約 524,912 件
https://w.atwiki.jp/vipthmj/pages/675.html
名前:ふわふわ 称号:大迷惑 キャラ:ヤマメ中心に気分次第 極最近野良からVIPの幻想麻雀スレにお邪魔させてもらっている新参者 空気を読む程度の能力が欲しいと思っている 使うキャラからして多分嫌われている 打ち方は何の面白みもなく特徴はないと思います。その割に振り込み率高いわ、和了率低いわ、ラス率高いわ・・・ リーチは相手を降ろす妨害として好きだけど待ちを読める相手には大抵無駄になる でもあんまり悪形待ちリーチは好きじゃないです 同卓した際はどうぞよろしくお願いします + 大会成績 第二回白玉楼王位戦 総合2位&チルノ賞 第2回サシウマ頂上チーム戦 Danuさん、マグナムさん、kuroさん、ねこかげつさん、凡将さん、mSさん、烏丸さんと組ませていただきました 結果 チーム3位 個人:4位、4位、2位 1P なんたる足手まとい・・・ 第1回炎上杯1回戦敗退 + 成績 総スコア 一位 二位 三位 四位 勝率 順位 振込率 和了率 平ドラ 平翻数 立直率 聴牌率 ツモ率 400戦 -929 92 99 100 104 23.29% 2.55 15.65% 20.23% 1.44 3.81 21.07% 43.43% 30.74% 502戦 -1324 111 127 119 134 22.61% 2.56 15.25% 19.91% 1.48 3.86 20.81% 43.05% 32.86% 600戦 -1632 130 152 147 160 22.07% 2.57 15.16% 19.91% 1.44 3.75 20.63% 42.83% 32.91% 700戦 -1963 150 178 170 185 21.96% 2.57 14.72% 20.05% 1.42 3.68 20.01% 43.05% 33.00% あれ・・・?おかしいな、あまりの酷さに目から汗が ▼ぬめぬめした卓より 同卓がなかなか多い方ですね!振込み率を下げようとしてるみたいですね 自分は600戦時に15パーセント切れませんでした・・・しかし最近切れたと伺いました! 抜かれるのも時間の問題ですね・・・そして期待してますですw 記念卓凸ありがとうございました! ポリ 最近よくvipで見かけるヤマメ使いの方 妨害系の能力で邪魔をしながら、大きい手をズガーンと和了っていく印象があります 書いてる人は目の前で2度も大三元を見せ付けられました なかなか思いきりのいい打ち方をされているので、振り込んでしまうこともしばしばのようですが・・・ 同じヤマメ使いとして頑張っていきましょう! byひにち ↑ コメントありがとうございます。騎乗位卓の方にもまた凸らせてもらいます。 ヤマメちゃんは結構嫌われるキャラですけどがんばりましょう、思い切りがいいんじゃなくて危険察知できないだけだったり 最近配信でみかけるかたで400勝立直配信で華麗にまくられ2位におとされましたェェェェェ・・・・ そしてよくきりたいとこを縛ってく・・・にくいお方ね・・・ 自分も似たような成績だったので全然いけますね!お互いがんばりませう!byポリ ↑ コメントありがとうございます。おお、本当だ、確かに昔の成績の方には結構似てますね でも今のそちらの成績は羨ましい限りです。機会があれば一体何をどうしたらよくなったのかご教授願いたいものです。 ▼満身創痍卓より 最近よく見るヤマメ使いの方、高確率で私の浮く予定の字牌を縛って行きます 正直この方のおかげで今ヤマメ恐怖症です、卓にヤマメが見えると(*1)))ガクガクブルブルしてます ヤマメの縛りを上手に利用して和了りを持って行く姿は鬼そのもの う~んヤマメちゃん怖い;; 羽子
https://w.atwiki.jp/hydra/pages/130.html
#blognavi 参加者:あおきし、アル、QT、カモ、フランク、フェンダー、ぐら、金、はりい、はずき、ルーシー、マリア、みずき、おゆり、ピン、ピノ、るみ、さがら、とも、T2、ヨッシー、ヨワスギ、ゆり、ざく 初のザルカバード挑戦。 予想はしていましたけど惨敗です。この人数と今の力では砦四つ攻略するのが精一杯でした。24名は少なすぎですね。今後も定期的に挑戦していきたいと思っていますが、ジョブ構成も大幅に見直す必要があると感じています。 クリアはまだまだ先で、当面の目標は最終防衛ライン撃破でしょうか。その上で構成を考えてみると・・ 黒魔導師 サンダガ一斉掃射で砦アーリマンを殲滅するとなると、最低6人出来れば8人くらい必要 ナイト NMモンクやその他強い敵にインビンで対応するために最低2名~3名欲しいところ 赤 マラソンのサポート、寝かし、回復などで多めが理想。最低6名は欲しい 白 とにかく範囲攻撃が強烈でケアルシャワーになる事も多い。3-4名ほしい。 詩人 デーモンはスリプルで寝ないため、ララバイが必須。もちろん、MPヒーラーとしても重要。4人はほしい。 忍者or戦士 砦NMマラソン役、アタッカー、盾など仕事は多いです。 狩人 影縫いが必要。範囲攻撃が痛いので遠隔で火力が出せる狩人は重要。 統括すると、アタッカーは近接より遠隔が有利。サポートも非常に重要というところです。 初めてだったこともあって多くの経験値、ギル(リレや薬品)を失いました。今回の反省を生かして次回頑張りたいと思います。 上記ジョブが上げられる人は頑張ってレベル上げもしましょう。 戦利品は以下の通り AF希望品 あおきし(ナ) AFフリー なし 高額貨幣 モリヨン銀貨x1 カテゴリ [Dynamis] - trackback- 2007年09月01日 12 07 29 名前 コメント #blognavi
https://w.atwiki.jp/17ban-toho/pages/19.html
企画「東方同人ゲー<発明家は二度死ぬ>」専用の一般BBSです。 企画に対するコメントはこちらにお願いいたします。 テスト -- 隊長17番 (2009-10-18 15 07 01) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/17ban-toho/pages/36.html
東方幻想郷育成シュミレーションゲーム制作室 このページは、東方SSゲーム制作企画 幻想郷育成シュミレーションゲーム の活動状況を示したページでございます。 このページの編集権は、企画に参加されている、または管理者が許可したものだけでございます。あらかじめご了承ください。 企画参加者・手伝い・ゲストの方々は画面右上のログイン画面より、お知らせいたしましたパスワードを入力してください。 更新情報につきましては右の一覧より確認してください。 (なお、この企画に関しての更新情報は「SLG」と書かれたものをご覧ください) 募集用バナー(クリックすると別ウィンドウが開きます) 活動内容<非メンバーの方のページ> 2009/11/30以降の会議予定についてはメンバー専用ページを参照してください。 [2009/12/06]制作室立ち上げ。(元企画のシナリオ固め期間の暇に) その他の更新情報についてはこちらを確認してください。 今後の予定<非メンバーの方のページ> [2009/12/06]これからの予定を決定 その他の予定についてはこちらを確認してください。 メインメニュー 参加メンバー -製品情報>現在編集中。 ストーリー>現在制作中 システム>現在制作中 スペシャル>現在制作中 メンバーズページ(制作メンバー限定ページ) BBS 参加希望の方へ まずはこちらをご覧ください。 次にそこに書かれている指示通り、メールを送信してください。 WLメッセンジャーかスカイプにて、結果を報告いたします。 リンクリスト 今回の企画に参加していただいた方々のリンクリストです。 (ぐれ=GR様のホムペ) (SHOEI様のホムペ) バグ・不具合を見つけたら? 要望がある場合は? お手数ですが、メールでお問い合わせください。 メールアドレス
https://w.atwiki.jp/maichail/pages/10.html
@wikiにはいくつかの便利なプラグインがあります。 RSS アーカイブ インスタグラム コメント ニュース 人気商品一覧 動画(Youtube) 編集履歴 関連ブログ これ以外のプラグインについては@wikiガイドをご覧ください = http //atwiki.jp/guide/
https://w.atwiki.jp/inarikonkon/pages/14.html
インスタグラムプラグイン 人気の画像共有サービス、Instagram(インスタグラム)の画像をアットウィキに貼れるプラグインです。 #ig_user(ユーザー名) と記載することで、特定ユーザーのInstagramのフィードを表示することができます。 例)@dogoftheday #ig_user #ig_tags(タグ名) と記載することで、特定タグのInstagramのフィードを表示することができます。 #dogofthedayjp タグ #ig_tag #ig_popular と記載することで、Instagramのpopularフィードを表示することができます。 詳しい使い方は以下のページを参考にしてください! =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/935.html
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2961.html
● Tさんの呟きに、俺も無茶苦茶な戦いの終わりが近い事を悟った。 「年貢の納め時だな、ハンニバル」 「……ここで、死ね」 髪を伸ばした黒服さんと腕を竜っのそれっぽいものにした朝比奈のおっちゃんがハンニバルのおっちゃんに言い、攻めよせる。 「くっ!!」 明らかに鞘を狙っていると分かる攻撃。それをハンニバルのおっちゃんは剣で受け止める。 「――っ舐めるなぁ!!!」 ハンニバルのおっちゃんが叫んで剣を振り回し、今まで剣を弾いていた朝比奈のおっちゃんの肩が切り裂かれた。 「竜の装甲を抜いたか」 「おいTさん、おっちゃん大丈夫なんだろうな? 前の時より弱ってんだろ?」 Tさんは「さて……」とか呟くと指をハンニバルのおっちゃんに向けて伸ばした。 「舞、≪エクスカリバー≫が光っているのが見えるな?」 「え? あ、ほんとだ」 ≪エクスカリバー≫がいつの間にか光ってる。なんか、怖いな……。 「追い詰められて足掻きだしたということだろう、油断はできん。舞、俺の後ろに下がっていろ」 「お……おう」 言われた通り、Tさんの後ろに下がる。 「貴様ら如きに、私の邪魔はさせぬ!!」 「そう言うんなら、ここから逃げ出してみな……まぁ、この状況じゃ無理だろうがな」 生首のおっちゃんがまたなんか触ったら喰われるっぽい闇を作ってハンニバルのおっちゃんを呑みこもうとする。 「≪マリー・セレスト号≫の神隠し説の応用といったところか……お前には、あまり接近すべきではないようだな」 それを避けたハンニバルのおっちゃんは光る≪エクスカリバー≫を振り回した。 「――っ」 Tさんの鋭い呼吸音が聞こえ、 「破ぁ!!」 ハンニバルのおっちゃんの衝撃波とTさんの光がぶつかって弾ける。 けど、 「うわ、なんかいっぱい飛んできた?!」 剣が光ってるせいかさっきよりもはっきりと見える衝撃波の群れがこっちに飛んできた。 「っ、――無差別攻撃、いや、視ているな? 退路を確保するために何処を切り拓くのが一番有効か!」 Tさんが両手に光を溜め、斬撃への防壁にする。 光弾と光壁、斬撃の破裂音が連続する。 「Tさん、少し引き受けよう」 直希の兄ちゃんの言と共に天使が現れて衝撃波を受ける。同時に俺の頭の上を携帯電話が飛んでった。 小規模な爆発。 「姉ちゃん?」 「く、け……」 ≪爆発する携帯電話≫の姉ちゃんが辰也の兄ちゃんを抱えながら携帯を放り投げていた。 「こちらは盤石だな」 笑みでTさん。けどすぐ厳しい顔になって、 「向こうが少し不安になってきたか」 ハンニバルのおっちゃんと戦ってる二人は押しきれていないみたいだ。 「Tさん、あの黒服さんが保持している回復術が……」 「おそらく限界にきているだろうな」 言われて初めて気付く。髪の伸びる黒服さんの様子がおかしくなってる。そう、傷が……、 「回復、遅くなってねぇか?」 「石に限界が来たのだろう。このまま長引かれると不味いな」 「しかしここを僕たちが動いてしまうと階段から脱出されるぞ」 「でも髪の伸びる黒服さんぜってえ退かねえぜ? どうすんだよ」 「仕方ない、俺が――ん?」 Tさんが言いかけて口をつぐみ、衝撃波の群れを防ぎながらこっちを振り返った。あぶねぇなこの野郎。 「辰也、それは成功しそうか?」 「え?」 反射的に辰也の兄ちゃんを見る。 兄ちゃんはなにやら床を足で叩きながら、 「俺の全てを、賭けて……成功させるさ……」 Tさんは答えた辰也の兄ちゃんの目を何秒か睨みつけるようにして、 「……ならばその賭けに乗ろう」 頷き、ハンニバルのおっちゃんの方向に向き直った。 「髪の黒服さんも気付いたみたいだ」 直希の兄ちゃんが髪の伸びる黒服さんの方を向いて小声で言う。 「では詰めに入ろう。辰也、指揮を」 俺の疑問を余所に男衆の間では、なにやら作戦ができあがったらしかった。 ● 宏也の疲労が激しい、自分が参戦して宏也の負担を軽くしようかとTさんが思った矢先、辰也が床をある種のパターンを踏んで叩き、宏也になんらかの意図を伝えようとしているのに気付いた。 Tさんは満足に動かない身体を必死に動かしている辰也の目を見てその目に浮かぶ意志に、彼の賭けに乗る事を決めた。 「やるのは……騙し討ち、だ……Tさん、剣を破壊する、か……奴の気をこっちに向けさせてくれ」 「了解した」 答えながら直希と恵に、 「衝撃波の対処を二人に頼みたい」 「任せておいてくれ、もう少しくらいなら天使も喚んでいられる」 「う、ん……大丈夫」 ≪光輝の書≫の青年は天使を喚ぶ負担が大きく、≪爆発する携帯電話≫の契約者は衝撃波を目で追って対処しているというよりも爆発物による面の防御を行っている。 長引けばこちらが殺られる。 そう結論し、手に攻撃用の光を現し、辰也に言う。 「準備完了だ」 ● ハンニバルに追いすがり、その脚を絡めとろうとした髪が一瞬で切り落とされる。 その隙に朝比奈秀雄が接近し、 「っ」 鋭い呼気と共にハンニバルへと爪が振り下ろされた。 鞘を狙った左半身への攻撃は、しかし剣を盾にしたハンニバルによって目的を果たす事は出来なかった。 だが、 「竜の爪の一撃だ、刀身の負担はいかばかりだろうな?」 ハンニバルに向けてTさんが構えた腕が白光を纏う、 ――あの狂人の鞘を砕く力を、 断続的に飛んでくる衝撃波が払われていく中、幸せを願われた光は光弾としての形を為す。 腕の先、ハンニバルが朝比奈秀雄を剣の一閃で追い払い、鞘へと収めて刀身を復活させようとする。 「……行けっ!」 辰也の声、応答は即座になされた。 「破ぁっ!!!」 光弾がハンニバルへと襲いかかる。 鞘に吸い込まれるように飛んでいく光弾に、剣を鞘に納めるタイミングを逸らされたハンニバルは朝比奈秀雄によって傷んだ刀身を構えて強引に光弾を受け止めた。 痛んだ刀身に亀裂が広がる。 「――っ」 舌打ちが響き、刀身が粉々に砕け散った。 忌々しげにハンニバルが根元をわずかに残すのみとなった剣を鞘に収めた直後、 「――――ッ這い出ろ、≪13階段≫!!!」 辰也の叫びにハンニバルが剣を引き抜きながら階段へと警戒の目を向ける。 しかし階段には何の変化も起きない。 そも、辰也には立ち上がるだけの力すら無いのだ、何かが出来るはずもない。 「……な?」 疑問がハンニバルの口をついて出る。それら一連の動きの間、陰に隠れるように動いている者がいた。 「悪いな」 宏也だ。宏也の髪がハンニバルの左腕を鞘ごと捉えていた。 「あいつは、てめぇの息子である以上に…………俺の、弟分なんだよ」 言葉と共に左腕が骨ごと切り裂かれた。≪エクスカリバー≫の鞘がハンニバルの手から離れる。 「貴様ぁっ!!」 「っ!」 ハンニバルが怒声と共に剣を振るい、宏也を左肩から袈裟懸けに切り裂いた。 鞘は破壊される事無く、先程扉から吐き出された海水の上に落ちる。 「むっ」 衝撃波が飛んでこなくなったため飛び出そうとしたTさんは、ハンニバルが伸ばした手、その先に現れた白い手を見た。 水面から生えた白い手は≪エクスカリバー≫の鞘を掴むとそのまま海面へと沈んでいく。 ≪エクスカリバー≫の加護をつかさどる妖精が今更回収に現れたか……。 「終わりだ」 Tさんが小さく呟く。ハンニバルは白い手を恨みのこもった目を向け、 「っ湖の乙女ぇ……! 私に一方的に力を与えておきながら…………私を裏切るのかぁ!!!」 怨嗟の叫びもむなしく鞘は白い手によって回収された。 「ぐ、ぁ……」 失われた左腕はもう二度と癒されることはない。 「――っ!」 ハンニバルは右腕に持った剣を構え、力を使い果たしつつある≪賢者の石≫で傷を再生させる宏也へと走った。 「ただでは、死なぬ、貴様も、死ねぇっ!!!」 「ッ冗談……男と心中する気なんざねぇよ!!」 叫び返し、伸ばした髪でハンニバルを迎撃しようとする宏也。両者が激突する寸前、 「何故だ……何故、視えぬっ!?」 ハンニバルの喚声が木霊した。 「お嬢さん達が、うまくやってくれたらしいなぁ?」 皮肉気に笑う宏也の髪が今度こそハンニバルの全身を覆い尽くした。 「舞、リカちゃん、見るな」 いらえが返るか返らないかのタイミングで宏也の声、 「――――あばよ、狂人。二度と蘇ってくるんじゃねぇ」 直後、ハンニバルの全身が肉片へと解体される異音が聞こえた。ハンニバルであった肉片が血の河の上に落ちていく。右手に握られていた≪エクスカリバー≫が床に落下し、首だけが無傷のまま宙へと放り投げられる。 呆然とした表情のそれに、朝比奈秀雄が炎を吐きつけた。 「Tさん?」 「ああ、舞もリカちゃんも……もういいぞ」 舞達に答え、振り向いた時にはハンニバルはこの世から消滅していた。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/legends/pages/3637.html
● 「――うわっ、やっぱここ相当良いマンションだな。徹心のおっちゃん羽振りいいのか?」 浴室に入ってモニカを風呂椅子に座らせながら、俺は驚きついでに呆れた声を出していた。 風呂は俺とモニカが一緒に入ってもまだ余裕がある程の大きさがある。とても独り暮らしの千勢姉ちゃんが入るような風呂じゃねえ。 しかも、こんないい部屋を何年間も放置してたってんだからとでもねえ話だ。家賃いくらくらいなんだろ? そんな事を考えながら湯船から手桶で湯を掬う。 「目ぇつぶれー」 返事を待ってから湯をかけて、リカちゃんがとってきた、掃除の時に容器の中身を入れ替えたばかりのシャンプーでモニカの髪を洗う。 最初は緊張していたモニカの体から力が抜けていくのを見て俺は安心した。警戒対象とはみなされてねえってことだもんな。 それに、モニカの身体が、少なくとも見た目には綺麗なのも確認できて良かった……。 研究対象なんて話が出てたから、もしかしたら身体になにか痕でもあるんじゃないかと内心身構えてたのが馬鹿みたいだな。 でも幽霊が憑けられていたし、身体の中はどういじられているのか分かったもんじゃねえ。 不安を煽るような話ばっか聞かされたから心配になるんだよなぁ……。 らしくないなぁと苦笑して、分からない事はとりあえず気にしない事にした。今はモニカと親睦を深める事に集中しよう。 「なげえ髪は手入れとか大変だろ?」 毛先まで丹念に洗って酒の臭いを取ろうと頑張りながら訊く。 「うん、でもフィラちゃんみたいに髪を長くしたかったから」 「フィラちゃん好きなんだ?」 「うん!」 嬉しそうに頷いてモニカは続けた。 「≪首塚≫ではね、わたしみたいな行き場の無い子がいっぱいいるの。だからわがままなんて言っちゃいけないんだ。でもね、フィラちゃんの前でだけは少しだけ言っちゃうの」 親しい人間の事を話すような、どこか悪戯っぽい口調だ。本当にフィラちゃん好かれてんだなぁ……。 「へえ、そりゃまたなんでなんだ?」 「フィラちゃんはね、わたしのお姉ちゃんになってくれるって言ってくれたから」 「お姉ちゃんなの?」 シャンプーボトルを元の場所に戻したリカちゃんの反復にモニカは頷く。 今のお姉ちゃんって言葉に込められた意味は大きなものなんだろうと俺はなんとなく感じる。 今日の話を聞いてる限りだと、モニカは両親を目の前で殺された上にそれをやったのが親しかったあの騎士におっちゃんと来ている。そんな状況を経験してる上でそれでも家族っていう集団を連想させる言葉を使ってるんだから、モニカにとってフィラちゃんはそれだけの存在なんだろう。 「モニカお姉ちゃん。あのね、リカちゃんのお姉ちゃんもね、いい人なの!」 「舞お姉ちゃんの事?」 「うん! モニカお姉ちゃんのお姉ちゃんにもなってもらえばいいの!」 モニカとリカちゃんはお姉ちゃん談義に花を咲かせている。お互い拾われた身ということで分かり合うものがあるらしい。 「そいつはいいな。モニカが気に入るなら俺もお姉ちゃんに立候補するぜ」 モニカは背中越しの声に首を傾げ、やがて頷いた。 「うん! 舞お姉ちゃん!」 ああなんだろうこれかわいいなぁおい! そう思いながら手桶を手探りでとろうとして、 「あれ?」 手桶がさっき置いた筈の場所から消えていた。 「では私は舞とモニカ、両方の姉になろうか。――目を閉じろ」 「へ?」 頭上から湯が降って来た。 ● 心構えが足りなかったせいで、降って来た湯に盛大にむせながら、いつの間にか浴室に入って来ていた人に向かって俺は声を上げた。 「千勢姉ちゃん!?」 「ああ、モニカと仲良くなったみたいでよかったよ」 豊満な身体を惜しげも無く晒しながら浴室に入って来た千勢姉ちゃんは、手桶にもう一杯湯を掬った。 「千勢お姉ちゃん?」 湯で流しきれなかったシャンプーで目が見えないモニカの問いに、千勢姉ちゃんは頷いて湯をかける。 シャンプーが洗い流されてモニカはぷはー、と息を吐き、目元を擦った。 微笑んで千勢姉ちゃんはシャンプーの容器を手にする。 「さて、次は舞だな」 「じゃあわたしが千勢お姉ちゃんのお背中流すね!」 「私も手伝うの!」 一気に風呂の中が賑やかになった。 順番をモニカと入れ替わって先頭を俺、その後ろに千勢姉ちゃんでモニカがその後ろ、リカちゃんがボディーソープをつけたスポンジを装備してモニカの後ろに並ぶ。 「俺は一人でやるからいいって」 「ふふふ、そう遠慮するな。私としても若い娘の肌をたまには触っておかねばな」 「言い方が危ない人みてえだぞ?」 「気にするな」 そう言って千勢姉ちゃんの手が頭でリズムよく動き始める。 最初は拒否ったけど、他人に髪を洗ってもらうというのはこれでなかなか気持ちいいもんだ。思わず体の力が抜けていく。 後ろの方でもモニカとリカちゃんが楽しそうにはしゃいでいる声が聞こえてきて、平和だなーと思ってると、千勢姉ちゃんが髪を洗う手を止めずに話しかけてきた。 「舞、モニカの気分を持ち直させてくれたようだな、感謝する」 「いや、俺なんか何にもしてねえぞ? モニカがポジティブシンキングだったんだって」 「そうかそうか」 その声には笑みの気配が感じられる。楽しそうに人の髪洗うなぁ千勢姉ちゃん。 「舞も今日一日にいろいろとあって疲れたろう」 「まあな」 「馬鹿弟子に聞いた。あまり血生臭い事には慣れてないそうだな?」 「そうだなー、慣れねえな」 これから先もそんな事に慣れようとは思わねえ。 「≪冬将軍≫が喚んだ兵」 「――っ」 勝手に背筋が粟立った。緊張が伝わったのか千勢姉ちゃんがすまない、と小声で言う。 「凍死体、グロテスクだったろう。嫌なものを見せたな」 「……まあ、確かに肉が残ってたり、なんか模様が浮き出てたりで、ちょっと見た目あれだったけど、大丈夫だよ。俺は何を見ても潰れたりはしねえって」 まあちょっと覚悟がいるから、いきなり風呂場でくつろぎタイム満喫してる時に言われるとビビるけど。 「そうか……。――湯をかける」 「おう」 堅く目を閉じる。湯がかけられてシャンプーが洗い流されていった。 顔の滴を拭って目を開けようとしていると、 「さて、次は」 千勢姉ちゃんが仕切り直すようにやけに楽し気にそう口にしたので、俺は危機感からすぐさま口を開いた。 「や、体は自分で――」 「問答無用」 いきなり胸を鷲掴みにされて口から悲鳴が漏れた。 ● 「…………あー、なんというか……うん、別に馬鹿弟子は胸が大きい方が好きというタイプの人間ではないし、そんなに気にする事はないと……思うぞ?」 「嫌な気の遣われ方だな……ってかTさんの好みってなにさ?」 一通り揉まれた後湯船に放り込まれた俺は、千勢姉ちゃんとそんな会話をしていた。 千勢姉ちゃんは首を捻り、 「さて、私にもよく分からん。個人的には舞の悲鳴は耳に心地よかったが」 「びっくりしたの」 「でも可愛かった!」 そんな事を言いながら、リカちゃんにとって来てもらったタオルで髪をまとめた俺達は湯船に浸かっている。……しかし千勢姉ちゃん、手を何度も握ったり開いたりしては首を傾げているのはセクハラじゃねえか? 目の前に大きなのを見せつけられてるのも考えるとパワハラかもしれん。くそう、胸囲的な胸だ。とか親父ギャグに走るぞ? 「舞お姉ちゃん? おおきくしたいの?」 モニカの頭のタオルの上で水分を吸って潰れ気味のリカちゃんが、モニカ共々首を傾げて問いかけてきた。 「いや、別にあんまり気にしやしねえけど」 こう、話題に出されると若干気にせざるを得ないからなあ……。持たざる者としては。 「舞お姉ちゃんも千勢お姉ちゃんみたいにおっきくなるよ!」 「モニカはいい子だなぁ」 心安らかにそう思っていると、千勢姉ちゃんもうんうん、と首を上下に振った。 「希望は無くしちゃいかんな、うん」 ……なんだろう、いじる対象として千勢姉ちゃんにロックオンされちまった気がする。 まあ、と前置きして千勢姉ちゃんは流し目気味に俺を見て続けた。 「いざとなれば馬鹿弟子が大きくするだろう」 「お兄ちゃんが?」 「Tさんってそんな事もできるの?」 リカちゃんとモニカの言葉に神妙に千勢姉ちゃんは頷く。 「それはもう、――揉めば大きくなるという話も聞くからな」 「千勢姉ちゃん、相手は子供だ」 あんまりアダルティな話をしちゃいけないと思う。 しかし千勢姉ちゃんはわざとらしく怪訝な表情になって更に会話の年齢制限を上げてきた。 「もしかして……まだなのか?」 「何がだよ!? ってかそれガチにセクハラじゃね?!」 千勢姉ちゃんはさらりと無視した。 「契約してからそのまま一緒に暮らしていたのではないのか?」 「そうだけど?」 元々Tさんは実体にならなくても大丈夫だったし、そもそも俺は特にそこら辺意識してなかったからなぁ。 告白してからもTさん相手だと妙な信頼感があって特に何もないな。時が来たらなるようになるんだろうさ。 千勢姉ちゃんはほうほう、と感心したように呟き、 「身持ちが堅いのだな」 「それぞれのペースでいいじゃねえか。リカちゃんだっているんだしな」 「そうかそうか」 そう何度も頷きながら千勢姉ちゃんは小気味よく笑った。 疑問符を頭上に浮かべているリカちゃん達に適当に言葉をかけてごまかし、千勢姉ちゃんに呆れる。 でも、きっとこの騒ぎもモニカの様子を心配しての事なんだと思う…………たぶん。 だったら多少のセクハラにだって耐えてやろう。そんなふうに決意していると、モニカにガーゼで空気を溜めて風船を作る遊びを教えていた千勢姉ちゃんが俺を見てきた。 不意に名前を呼ばれる。 「……舞」 声のトーンがさっきとは違う。 思わず、俺も湯船の中で姿勢を正した。 「なに? 千勢姉ちゃん」 千勢姉ちゃんは難しい顔で眉間に皺をよせて数秒考えるようにした後、おもむろに口を開いた。 「舞は、あの馬鹿弟子になにやら騙されてないかとか、まあそんなふうに思ってな」 ● 「……どういう事だ?」 いまいち話が掴めない。千勢姉ちゃんは続ける。 「アレの契約都市伝説とその能力は知っているな?」 「おう、≪ケサランパサラン≫で、幸せの可能性を招くんだろ?」 そうだ、と応じて千勢姉ちゃんは低く呟いた。 「そしてその幸せは他者の幸せを踏みつけにだってする」 言って、姉ちゃんは俺の目を覗き込んでくる。リカちゃん達には聞こえないように小声で、 「そう……馬鹿弟子の幸せはそれを履行する行程で他者を蹂躙することもある。そして馬鹿弟子はそれを行う事を躊躇わない。まあそんな風に育ったのにもそれなりの下地があるわけだが、なんにせよ、アレも相当悪い――」 言い差して口を閉ざし、言葉を探すように目を泳がせて、だけどすぐに千勢姉ちゃんは言葉を継いだ。 「――そう、舞、君の中の倫理に照らし合わせて、相当悪い事をやってきた人間だ。殺人だってやってきたような、な。 君がアレと契約する前に居た場所とアレが居た場所は、住む世界が違うと言ってもいい」 だから、 「これからもあの馬鹿弟子は必要なら殺すだろう。舞、君はあの馬鹿弟子と契約した時に助けられた。そしてその事でアレを信用しているから、だからアレの綺麗な部分だけを見て、好意を寄せているのではないのかと思って少し心配になってな」 「つまり?」 「クーリングオフするなら今だぞ。ちょうど引き取り手もここに居る」 仄かに笑って自分を手のひらで示す姉ちゃん。 あー、なるほど……。 俺はつい声を上げて笑ってしまった。 「……一応、真剣な話なのだがな」 「うん、分かってる分かってる」 そう答え、不思議そうな顔をしているモニカとリカちゃんの頭をタオル越しに軽く叩く。 「なんつーかさ、やっぱりTさんは姉ちゃんの弟子だな」 「? ……どういう事だ?」 「似たような事言われたんだよ、告白した時に」 あの時、Tさんは自分の存在が俺の負担になるようなら自分はどっかに去るとか抜かしてたな。心配性め。 「俺は大丈夫、Tさんの人となりを知ってるし、Tさんの過去も――幸福が招く不幸も知ってるし、Tさんが人を、まあ……そうしたのも見てるから」 それでも、 「俺の気持ちは変わらねえ。罪だって一緒に背負ってさ、それでずっと一緒に在ろうって決めたんだ」 そう、俺はそう決めた。迷いなんてない。 だから姉ちゃんに言ってやる。 「Tさんは返品しねえぜ。――俺んだ」 「……む」 目を丸くした千勢姉ちゃんに笑いかけ、湯船で身体を伸ばす。 「それに、信用つってもしっかり信じた分の責任は負うつもりだぜー」 Tさんに全てを依存してTさんの荷物にだけはなりたくないからな。 千勢姉ちゃんは力を抜いた笑みを浮かべた。からかうような調子で言う。 「舞、本当にあの馬鹿弟子を好きなんだな」 「――う、うるさい! 何か文句あっか!?」 「いや……」 千勢姉ちゃんは小さく首を振って俺を抱き寄せた。 「ありがとう」 その声はとても情味溢れるもので、小さい頃のTさんはこの人に救われたんだろうなと、あったかくてでっかい胸の間に挟まれながら感じた。 前ページ次ページ連載 - Tさん、エピローグに至るまで
https://w.atwiki.jp/chisakiss/pages/38.html
千咲ちゃん、天真先輩と手繋ぎデートする 内容 本文 感想コメント 内容 記憶喪失になって地下室に閉じ込められていたガヴリールが、タプリスに連れられて謎の塔を上っていくお話。 本文 ――――――――――――――――――(00/40)―――――――――――――――――― ―薄暗い石畳の部屋― ガヴリール「ん……」 ガヴリール「あれ、私……寝ていたのでしょうか」 ガヴリール「……それにここは、どこでしょう」 ガヴリール「どこかの地下、のように思えますが……」 ガヴリール「部屋の中には何もありませんし」 ガヴリール「どうして、私はこんなところに……」 ガヴリール「あ、あれ……うそ……」 ガヴリール「何も……思い出せない」 ――――――――――――――――――(01/40)―――――――――――――――――― ドンドンッ ガヴリール「誰か! 誰かいませんか!」 ガヴリール「……」 ガヴリール「はぁ、ドアも外から鍵がかけられているみたいですし」 ガヴリール「壁にも特に細工などはありませんね……」 ガヴリール「ど、どうすれば……」 ガヴリール「でも、慌てても仕方がありません」 ガヴリール「大人しく座って、思い出せることがないか、考えてみましょう」 ―― ガヴリール「……あれ」 ガヴリール「いけない、少し眠って……」 ガチャ ガヴリール「ッ!? ド、ドアが……」 ギィッ ガヴリール「……だ、誰?」 タプリス「……やっと、見つけました」 ――――――――――――――――――(02/40)―――――――――――――――――― タプリス「まさか、こんなところに、いらっしゃるなんて……」 タプリス「探すのに手間取ってしまって、ごめんなさい」 タプリス「随分、お待たせしてしまいましたよね」 タプリス「……でも、もう大丈夫ですから」 タプリス「さぁ、行きましょうか」 ガヴリール「あの……」 タプリス「どうしました? 天真先輩」 タプリス「あ、どこか調子が悪かったりします?」 タプリス「でしたら、少し休んでからでも……」 ガヴリール「えっと……」 タプリス「……?」 ガヴリール「あなた……どなたですか?」 ――――――――――――――――――(03/40)―――――――――――――――――― タプリス「……ッ」 ガヴリール「ごめんなさい、私、自分の名前以外、思い出せなくて……」 ガヴリール「あなたは、私のお知り合いみたいですけど……」 タプリス「……そうですね、こういう可能性だってあったんですよね」 タプリス「わかってたとしても、やっぱりつらいです……」 ガヴリール「あの……、どうしました?」 タプリス「い、いえ、何でもありませんっ」 タプリス「わたしはですね、天真先輩の後輩で」 タプリス「とても、とーっても、先輩にお世話になった者です」 タプリス「ですから、その恩を少しでも返したくて……」 ガヴリール「……」 タプリス「だから、その……ですね」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「天真先輩、あなたを助けにきました」 ――――――――――――――――――(04/40)―――――――――――――――――― タプリス「とはいえ、いきなり知らない人にこんなこと言われても」 タプリス「怖いだけですよね、あははは……」 ガヴリール「そ、そんなことは……」 タプリス「で、でも、これだけは信じてください」 タプリス「わたしは絶対に、先輩を裏切ったりしません」 タプリス「絶対に先輩を、ここから救い出してみせますから!」 ガヴリール「……」 タプリス「わたしが言えるのはここまでです」 タプリス「……それでも、わたしを信じてくれるなら」 タプリス「わたしの手をとってください」スッ ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「……ごめんなさい」 ――――――――――――――――――(05/40)―――――――――――――――――― タプリス「そ、そうですよね……」 タプリス「そんな、すぐに見ず知らずの人を信じるなんて、無理ですよね」 ガヴリール「いいえ、そうじゃないの」 タプリス「えっ」 ガヴリール「私なんかのために、ありがとう」 ガヴリール「なぜかはわからないけど、あなたの言葉は……」 ガヴリール「すっ、と胸の中に入ってきて、私を安心させてくれる」 ガヴリール「そんな気がしますから」 タプリス「先輩……」 ガヴリール「それに……ここに一人で居たって、何も始まらないし」 ガヴリール「だったら私は、あなたに賭けてみたい」 タプリス「あ、ありがとうございます、先輩」 ガヴリール「お礼を言うのはこちらの方。改めて、本当にありがとう」 ガヴリール「こんな私ですが、よろしくお願いしますね」 ぎゅっ タプリス「はい、任されました」 タプリス「……絶対に、手を離さないでくださいね」 ――――――――――――――――――(06/40)―――――――――――――――――― ―薄暗い通路― タプリス「ここを抜けると、吹き抜けになっている塔の一階に出ます」 ガヴリール「塔、ですか?」 タプリス「はい、高い高い塔です。100階まであると言われています」 ガヴリール「すごい高さですね……」 タプリス「ええ、それをわたしたちは今から、上っていくんです」 ガヴリール「えっ……ど、どこまでですか?」 タプリス「もちろん、一番上までですよ」 ガヴリール「そ、そうですか。上りきる自信がないですけど……」 タプリス「大丈夫です、階段の傾斜はそこまできつくありませんし」 タプリス「ちゃんと休憩も挟みます」 ガヴリール「一番上には何があるんですか?」 タプリス「それは……ごめんなさい」 タプリス「わたしの口からは言えないんです」 タプリス「でも、先輩にとって、とても大切なものですから」 ――――――――――――――――――(07/40)―――――――――――――――――― ―塔1階 はじまりの広間― ガヴリール「すごいですね……上は、本当に吹き抜けになっています」 ガヴリール「床に彫られているのは、フクロウですかね」 ガヴリール「今にも動き出しそうで美しいです……」 タプリス「わたしたちが歩くのは、あそこからです」 ガヴリール「か、壁に沿って、螺旋のように階段が続いているみたいですが」 ガヴリール「一番上が、全然見えませんね……」 タプリス「ここからだと……少し見えづらいかも、ですね」 ガヴリール「あなたは、ここを上ったことがあるんですか?」 タプリス「いえ、厳密にはありませんが……」 タプリス「似たような塔なら、一度だけ上ったことがあります」 ガヴリール「なるほど。それで、そんなに詳しかったのですね」 タプリス「あはは、ある程度はですけどね」 タプリス「準備がよろしければ、出発しましょうか」 ガヴリール「はい、大丈夫です。もともと、何も持っていませんしね」 タプリス「わかりました、では行きましょう」 タプリス「つらくなったら、いつでも言ってくださいね、休憩しますから」 ガヴリール「はい、ありがとう」 ――――――――――――――――――(08/40)―――――――――――――――――― ―塔11階― コツコツコツ タプリス「大丈夫ですか? きつくありませんか?」 ガヴリール「ふふっ、あなたったら、さっきからそればっかり」 ガヴリール「もしかしたら、一階上がるごとに言ってるんじゃないかしら」 タプリス「そ、そうですかね。そんなつもりはなかったんですが」 ガヴリール「大丈夫です、全く問題ありませんよ」 ガヴリール「あなたが前で、私の手を引いてくれていますから」 ガヴリール「あなたの方こそ、疲れたら言ってくださいね」 タプリス「わ、わかりました。ありがとうございます」 ガヴリール「いえいえ、どういたしまして」 タプリス「ふふっ」 ガヴリール「どうしました? 笑ったりして」 タプリス「記憶を失ってても、やっぱり先輩は先輩だなって」 ガヴリール「えっ、どういうことですか?」 タプリス「いえ、何でもありません。先を急ぎましょうか」 ――――――――――――――――――(09/40)―――――――――――――――――― ―塔25階 赤の回廊― ガヴリール「あれ、階段がここで途切れていますね」 タプリス「やはり、ここにもありましたか……」 ガヴリール「えっ」 タプリス「この塔にはこうやって、回廊になっている階がいくつかありまして」 タプリス「反対側に回らないと、次の階に行けないんです」 ガヴリール「そうなんですか……でも、今まで階段ばかりでしたし」 ガヴリール「こうやって平坦な場所を歩くのも、気分転換になって」 ガヴリール「良いかもしれませんね」 タプリス「……そうでもないんです、ここは」 ガヴリール「ど、どういうことですか?」 タプリス「先輩、今からわたしが言うことを、絶対に守ってくださいね」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「この回廊では、何が起こったとしても……」 タプリス「絶対に、振り返らないでください」 ――――――――――――――――――(10/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「わ、わかりました……ですけど」 ガヴリール「もし……振り返ってしまったら、どうなるんです?」 タプリス「先輩にとって、よくないことが起こります」 ガヴリール「よくないこと……」 タプリス「それはきっと、取り返しがつかないことです」 ガヴリール「わ、わかりました……気をつけますね」 タプリス「大丈夫です。わたしと手を繋いで、しっかり歩けば」 タプリス「すぐ次の階段に着きますから」 ガヴリール「は、はい」 タプリス「では行きましょうか」 コツコツコツ ガヴリール「……」 タプリス「……」 『ようやくここまでたどり着いたのね、ガヴリール』 ――――――――――――――――――(11/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「う、後ろから誰かの声が……」 タプリス「駄目です、天真先輩。彼女の言葉を聞いてはいけません」 タプリス「彼女は惑わす者、なんですから」 ガヴリール「惑わす者?」 タプリス「ええ、先輩を永久にここに閉じ込めるべくして、生まれた存在です」 タプリス「だから、どんな言葉であろうと、耳を傾けてはいけません」 『ずっとここで待っていたのよ、あんたの永遠のライバルとしてね』 ガヴリール「なんでしょう、思い出せないはずなのに」 ガヴリール「なんだかとても、懐かしい感じがします……」 タプリス「それも、彼女の狙いです、だから……」 『私は長い時間をかけて、ついに世界のすべてを、この手中に収めたわ』 『これで私の心は全て、満たされるはずだった』 『……でも、そうはならなかった。一つだけ、心にぽっかりと穴が空いていたの』 『そう、それはね。あんたにだけ……、一度も勝てなかったことよ』 ――――――――――――――――――(12/40)―――――――――――――――――― 『このままじゃ私は、悔やんでも悔やみきれない』 『勝ち逃げだなんて、絶対に許さない』 『……私と勝負しなさい、ガヴリール』 ガヴリール「……」 『もちろん、ただでとは言わない……もしあんたが勝てば……』 『私の世界の半分を、あんたにくれてあげるわ』 『だからもう一度だけ、私と勝負を――』 ガヴリール「……ごめんなさい」 ガヴリール「私、世界になんて興味はないし」 ガヴリール「勝負なんてもっとそう。あなたと争うくらいなら」 ガヴリール「私の負けで構わない」 『……そう、それがあんたの答えなのね』 ガヴリール「ええ、ごめんなさい……そして、さようなら」 『ふんっ……せいぜい、後悔するといいわ』 タプリス「せ、先輩……」 ガヴリール「さ、行きましょう」 ――――――――――――――――――(13/40)―――――――――――――――――― ―塔42階― コツコツコツ ガヴリール「……ありがとうね」 タプリス「えっ、突然どうしました?」 ガヴリール「いえ、さっきの回廊を抜けられたのは」 ガヴリール「あなたのおかげ。だから、ありがとう」 タプリス「そ、そんな、違いますよ。天真先輩の心が強かったからです」 タプリス「わたしはただ、少し助言をしただけですから」 ガヴリール「……あなたがずっと、手を握っていてくれたから」 タプリス「えっ」 ガヴリール「私も、心を強く持てたんだと思うの」 ガヴリール「だから、私を助けてくれて、ありがとう」 タプリス「は、はい。ど、どういたしまして、です」カァァ ガヴリール「ふふっ、すっかり照れてしまって、かわいい」ナデナデ タプリス「……ッ」 ガヴリール「あら、ごめんなさい。頭を撫でられるのは嫌でしたか?」 タプリス「い、いえっ、そうではなくて、その……」 タプリス「もしかして、無意識だったんですか?」 ガヴリール「そうですね、確かに」 ガヴリール「自然と、手が伸びてしまいました」 タプリス「先輩はよく、わたしの頭を撫でてくれたんです、だから……」 タプリス「何か思い出してもらえたのかなって思って」 ガヴリール「ごめんなさい、そこまでは……」 タプリス「そ、そうですよね。大丈夫です、ゆっくり焦らずにいきましょう」 ――――――――――――――――――(14/40)―――――――――――――――――― ―塔50階 白の回廊― タプリス「ようやく50階、半分到達ですね」 ガヴリール「また階段が途切れている……ということは」 タプリス「ええ。ここも、です」 タプリス「一度、乗り越えている先輩でしたら、大丈夫ですよ」 タプリス「さぁ、行きましょう」 ぎゅっ ガヴリール「は、はい」 コツコツコツ 『やっと、お会いできましたね、ガヴちゃん』 ガヴリール「……ッ」 タプリス「天真先輩、優しい声色に騙されてはいけません」 『私はあなたのことをずっとずっと、待っていたんです』 『そして、ずっとずっと、会いたかった……』 『だって私は、あなたと一番お付き合いが長い……』 『言わば、幼馴染のようなものですから』 ――――――――――――――――――(15/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「……幼馴染?」 『あなたは、全てを忘れてしまいましたが』 『私はあなたのことを、小さい頃から知っているんです』 『初めてお会いした時も、そして、お友達になった時も』 『……あなたの記憶が失われてしまったことは、本当に仕方のないこと』 『ですから、私が一から、あなたに教えてあげます』 『私の知る、あなたの全てを……』 ガヴリール「私の、全て……」 タプリス「……」 『……今、あなたと一緒にいる子』 ガヴリール「えっ?」 『その子は、いったい何者なのでしょうか』 『私は、その子のことを何も知りません』 ガヴリール「そ、そんな……」 『もしかすると、記憶を失ったガヴちゃんに取り入り、騙して』 『陥れようとしているのかもしれません』 ――――――――――――――――――(16/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「違います! この子はそんなんじゃ……」 『そうではない、と本当に言えますか?』 ガヴリール「えっ……」 『あなたは今、その子に言われて、この塔を上っていますが』 『最上階に何があるのか、知っていますか?』 ガヴリール「そ、それは……」 『やましい理由がなければ、隠す必要なんてないはず』 『真実を言わないということは、あなたを騙していることと同義なんです』 ガヴリール「……」 『さぁ、私と行きましょう、ガヴちゃん』 タプリス「……天真先輩」 ガヴリール「……」 ――――――――――――――――――(17/40)―――――――――――――――――― タプリス「……全ては、先輩にお任せします」 タプリス「ですが……ですけど、これだけは、信じてください」 ぎゅっ タプリス「わたしは絶対、先輩に嘘はつきません」 ガヴリール「……」 『この世に 絶対 ほど、信用のできない言葉はありません』 『ですから、私と一緒に――』 ガヴリール「……お断りします」 『今なんと言って……』 ガヴリール「お断りします、と言ったんです」 『どうしてですか、そんな子を信じるというのですか』 ガヴリール「この子が本当に、私を陥れようとしているなら」 ガヴリール「こんなにも震えた手で、私の手を握るはず、ありません」 タプリス「……ッ」 ――――――――――――――――――(18/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「信じてください、という強い決心の裏で」 ガヴリール「私の言葉を待ちながら、こんなにも怯えている」 ガヴリール「この子の情味あふれる仕草や、私への思いやりの心は」 ガヴリール「私にとって、信じるに値します」 ガヴリール「ですから、あなたとは一緒に行けません」 『そうですか、わかりました』 『そこまで言うのでしたら、私は止めません』 『どうぞご自分の目で、真実を確かめてきてください』 ガヴリール「えぇ、ご忠告、感謝します」 ガヴリール「それでは……さようなら] ガヴリール「……あなたとは、もっと違う形でお会いしたかった」 『ええ、私もです。それでは、ごきげんよう』 ガヴリール「さぁ、行きましょうか」 タプリス「は、はい……」 ――――――――――――――――――(19/40)―――――――――――――――――― ―塔64階― コツコツコツ ガヴリール「……」 タプリス「……」 ぎゅっ ガヴリール「……どうしました?」 タプリス「えっ、あ、その……す、すみません」 タプリス「ちょっと考え事をして、力んでしまって……何でもないですからっ」 ガヴリール「……そうですか」 タプリス「は、はい」 ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「すみません、ちょっといいですか?」 タプリス「えっと、何でしょう」 ガヴリール「私、足に疲れが溜まってきてしまって」 ガヴリール「ここ、ちょうど踊り場になっていますし」 ガヴリール「少し休憩しませんか?」 タプリス「あ……ごめんなさい、気づかなくて。わ、わかりました」 ――――――――――――――――――(20/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「見てください。下がもう、ほとんど見えません」 タプリス「ええ、もう64階ですから」 ガヴリール「……お隣、座ってもいいですか?」 タプリス「は、はい、どうぞ」 ガヴリール「……」 タプリス「……」 ガヴリール「あの」 タプリス「あのっ」 ガヴリール「あ、あなたからどうぞ」 タプリス「いえ、先輩の方から」 ガヴリール「……ふふっ」 タプリス「……あははっ」 ガヴリール「……この手のぬくもりと」 ガヴリール「あなたがどれだけ、私を大事に思ってくれているかという気持ちから」 ガヴリール「私にとっても、あなたがどれだけ大切な存在だったのかが、よくわかります」 ガヴリール「たとえ記憶を失ってても、私のどこかで、それを憶えている」 ガヴリール「そんな気がするんです」 タプリス「先輩……」 ――――――――――――――――――(21/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「最上階で、何が待っていようとも」 ガヴリール「あなたとならきっと……乗り越えられる気がします」 タプリス「はい……、わたしの決意も固まりました」 タプリス「先輩を必ずや、最上階までお連れします」 タプリス「それがわたしの……使命であり、望みですから」 ガヴリール「ええ、ありがとう。でも……」 ガヴリール「私たちは、先輩と後輩の仲だったんでしょう?」 タプリス「は、はい、そうですけど」 ガヴリール「だったら、そんな使命とか、堅苦しいことは抜きにしましょう」 ガヴリール「そうですね……、手繋ぎデートなんてどうでしょうか」 タプリス「て、てててっ、手繋ぎデートですかっ」 ガヴリール「ええ。その方が、気楽に楽しく進めそうで良いじゃないですか」 タプリス「そ、そうです、かね。そ、そうですね……、恐縮です」カァァ ガヴリール「ふふっ、顔を真っ赤にしちゃって、かわいいんだから」ナデナデ ガヴリール「それでは、そろそろ行きましょうか」 タプリス「あ……」 ガヴリール「どうしました?」 タプリス「あの……、えっと……もう少しだけ……」 タプリス「もう少しだけ……このままでも、いいですか?」 ガヴリール「……ええ、もちろんですよ」 ――――――――――――――――――(22/40)―――――――――――――――――― ―塔75階 紫の回廊― タプリス「おそらくここが、最後の回廊です」 ガヴリール「そうですか……、なんだか前の二つと雰囲気が違いますね」 タプリス「ですが、ここまで乗り切ってきた先輩なら、問題ありません」 タプリス「わたしの手を、離さないでくださいね」 ガヴリール「ええ、もちろん」 コツコツコツ 『久しぶりね……ガヴ』 ガヴリール「……ッ」 『こんな形でも、また、あなたに会うことができて、よかった』 『だって本当なら、あの時点で……』 『私たちはもう、二度と会うことはできなくなってたんだもの』 『だから、本当に嬉しい』 ――――――――――――――――――(23/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「記憶に無いはずなのに……どうして……」 『ねえ、ガヴ。憶えてる? 私たちが初めてあった時のこと』 『私が下界に来て早々、道に迷って困っていた時に』 『あなたは優しく、声をかけてくれたよね』 『そして、友達になってくださいって、言ってくれたよね』 『私、あの時、本当に嬉しかった』 ガヴリール「この声は……特に、頭に響いてきて……」 タプリス「先輩……」 『堕天してしまってからは、本当に手がかかる子だったけど』 『素っ気ない態度をとりつつも、大事なときにはいつも』 『一緒に、付き合ってくれた』 『私が落ち込んでいるときにはいつも、励ましてくれて』 『そして、優しく……してくれた』 ――――――――――――――――――(24/40)―――――――――――――――――― 『私が風邪を引いたときなんか、一目散に駆けつけてきて』 『普段は料理なんてしないのに、張り切っちゃって……』 『正直、味は微妙だったけど、本当に、本当においしかった』 『だって、あなたの真心がこもっていたんだもの』 ガヴリール「……」 『だからね、ガヴ。あなたにはお礼を言いたい』 『私と友達になってくれて、ありがとう』 『私と出会ってくれて、ありがとう』 『そして、あなたと過ごした日々に、ありがとう』 ガヴリール「……本当に」 タプリス「えっ」 ガヴリール「この子の言っていることは……本当に嘘なんでしょうか……」 タプリス「そ、それは……」 ――――――――――――――――――(25/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「頭ではいけないってわかってるのに」 ガヴリール「心のどこかで……この子の優しさを憶えてる……」 ガヴリール「本当に迷惑をかけたって、憶えてる……」 タプリス「先輩……」 『私はここで、あなたをずっと見守っているから』 『たとえ一人になっても、あなたの幸せをずっと願っているから』 ガヴリール「……ッ」 『最後に、ずっと伝えることができなかったけど』 『私は、そんな不器用で優しいあなたのことが……』 『大好きでした』 ――――――――――――――――――(26/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「……ッ!」クルッ タプリス「先輩っ!?」 『ありがとうね、私を選んでくれて』 『これからは二人で、ここにいましょう?』 『そう、永遠に――』 ガヴリール「うそ……、何も、ない……?」 ゴゴゴゴゴゴゴッ タプリス「いけない! 先輩、急いで! 天井がっ!!」 ガヴリール「なっ!?」 ピシッ ピシピシッ ガヴリール「だめっ、間に合わな――」 タプリス「先輩、危ないっ!!」ガバッ ――――――――――――――――――(27/40)―――――――――――――――――― からんからん ガヴリール「せ、背中が……」 タプリス「……先輩、無事ですか?」 ガヴリール「ええ、なんとか……って……」 タプリス「えへへ、ゴホッ……間に合って、よかった」 ガヴリール「う、うそ……あなた、両脚が……」 ガヴリール「い、今、瓦礫をどけるから!」 ガヴリール「ぐっ……ぐぐぐぐっ……」 タプリス「無理です……こんな大きいの、とても動かせません」 ガヴリール「どうして……どうして、私なんかをかばって……」 タプリス「身体が勝手に……ゴホッ、動いて、しまったんです」 タプリス「仕方がないじゃないですか」 ガヴリール「……私のせいなのに」 ガヴリール「私があなたの言いつけを破って、振り返ってしまったせいなのに」 タプリス「……それも、仕方がないんです」 ガヴリール「えっ」 タプリス「あの方が言っていたことに、嘘偽りはなかった」 タプリス「ですからわたしは……」 タプリス「改めて先輩が、ほんとに本当に優しい方なんだってわかって」 タプリス「嬉しかったです」 ――――――――――――――――――(28/40)―――――――――――――――――― ゴゴゴゴゴゴゴッ ガヴリール「この音は……」 タプリス「じきに、ここも完全に、崩れます……」 タプリス「どうやら、わたしは……ここまでの、ようです」 ガヴリール「だめです! あなたを置いてなんて行けません!」 タプリス「もう時間が、ありませんから……よく聞いてください」 タプリス「これから、最後の力を、振り絞って……」 タプリス「先輩を……階段まで、転移させます」 ガヴリール「なっ!?」 タプリス「本当は……使いたく、なかったんですけどね」 タプリス「わたし、動けなく、なっちゃうから」 タプリス「でも……今なら、使うことができそうです」 ガヴリール「やめて、お願いだから……」 タプリス「一緒に行くって約束……守れなくて、ごめんなさい」 ガヴリール「……ッ」 ――――――――――――――――――(29/40)―――――――――――――――――― タプリス「すみません、先輩……まだ、そこに、いますか?」 ガヴリール「えっ……」 タプリス「もう、目が、よく見えなくて……」 ガヴリール「……ッ」 ぎゅぅぅ タプリス「あっ……」 ガヴリール「いやっ! 絶対に嫌っ! あなたを置いて行くくらいなら、私もここに――」 タプリス「それ、以上は、だめです。先輩……」 タプリス「先輩は……進まないと、いけないから」 タプリス「最上階へ、たどり着かないと、いけないから」 ガヴリール「どうして!? 最上階にいったい、何があるっていうの!?」 ガヴリール「あなたを見捨ててまで行く価値なんて、本当にあるっていうの!?」 タプリス「……はい」 ガヴリール「……ッ」 タプリス「わたしは……そのために、来たんですから」 ――――――――――――――――――(30/40)―――――――――――――――――― タプリス「そうだ、最後にこれを……」スッ ガヴリール「これは……あなたの髪飾り……」 タプリス「はい……これ、先輩に、もらったもの、なんですよ」 ガヴリール「私が……?」 ガヴリール「……ッ」 ガヴリール「これは……あぁっ、そんな……」 ゴゴゴゴゴゴゴッ タプリス「……時間です、先輩」 タプリス「神よ、我に力を」 パァァァッ ガヴリール「いやっ、やめてっ!!」 タプリス「今まで、本当にありがとう、ございました」 ガヴリール「お願いだからっ……、タプリスッ!!」 タプリス「……ッ」 ガヴリール「私もう、絶対に忘れない! あなたのこと、忘れないからっ!」 ガヴリール「だからお願い! こんなこと、やめてっ!」 ガヴリール「お願い、だからぁ……」 タプリス「やっと、わたしの名前……呼んでくれましたね」 タプリス「これで、思い残すことは……ありません」 パァァァッ ガヴリール「いやっ……いやぁぁぁぁぁっっ!!」 ガヴリール「タプリスーーーーッ!!」 タプリス「さようなら、天真先輩」ニコッ ――――――――――――――――――(31/40)―――――――――――――――――― ゴゴゴゴゴッ ズドンッ ―塔76階― シュンッ ガヴリール「あぁ、あぁぁっ……」 ガヴリール「わ、私が……タプリスを……」 ガヴリール「私が、守ってあげなくちゃ……いけなかったのに」 ガヴリール「大切な後輩を……守ってあげなくちゃ、いけなかったのに……」 ガヴリール「……」 ガヴリール「ごめっ……ぐすっ……ごめんなさい、タプリス……」 ガヴリール「本当にごめんなさい……」 パサッ ガヴリール「これは……あの子の、髪飾り」 ガヴリール「……」スッ ぎゅぅ ガヴリール「……」 ガヴリール「……タプリス、そうですよね」 ガヴリール「あの子が望んでいたことを、叶えなきゃ……」 ガヴリール「私が、叶えなくちゃ……」 ――――――――――――――――――(32/40)―――――――――――――――――― ―塔85階― タッタッタッ ガヴリール「急がないと……、もっと急がないと……」 ガクッ ガヴリール「……ッ」 バタンッ パサッ ガヴリール「いたっ……あっ……」 ぎゅっ ガヴリール「……これは、絶対に落とさない」 ガヴリール「大丈夫……まだ走れる」 ガヴリール「こんなの、あの子の痛みに比べたら、なんでもない」 ガヴリール「絶対に、たどり着いてみせる」 タッタッタッ ――――――――――――――――――(33/40)―――――――――――――――――― ―塔100階― ガヴリール「はぁ……はぁ……やっと、着いた」 ガヴリール「ここは……庭園? 空が眩しい……」 天使「遅かったな」 ガヴリール「えっ……あ、あなたは……」 天使「待ちくたびれたぞ」 ガヴリール「私、なの……?」 天使「ああ、そうだよ。お前は、私だ」 ガヴリール「ねぇ、教えて! ここはいったい何なの!?」 ガヴリール「どうして、私がもう一人、ここにいるの!?」 ガヴリール「私はどうして、ここに来なければならなかったの!?」 天使「おいおい、質問は一つずつにしろよ」 ガヴリール「あ、ごめんなさい……」 天使「その様子だと、あいつはここまで、来られなかったようだな」 ガヴリール「タプリスのことを知っているの?」 天使「……まずは順に話していこうか」 ――――――――――――――――――(34/40)―――――――――――――――――― 天使「ここは私の記憶の遺跡、お前らは塔って呼んでたけど」 天使「実際はここがスタート地点。お前のいたところが、おそらく最下」 天使「そして、私はお前を見つけて、ここに連れて来なければならなかった」 天使「けど私は、ここで体の維持をしなくてはならず、ここを動けない」 天使「だから、タプリスにお前を探させたんだよ」 ガヴリール「では、私とあなたは、どういう……」 天使「お前はな、私がはるか昔に捨てた、別の人格」 ガヴリール「なっ……」 天使「今までは必要なかったから、放っておいたんだけど」 天使「そのせいで、記憶まで失ってしまったみたいだな」 ガヴリール「……」 天使「でも、とある理由から、お前が必要になったんだ」 ガヴリール「私が……必要……?」 天使「ああ。でもまさか、あんな奥の、そのまた奥にいるとは思わなかったよ」 天使「お前のことを一番慕っていた、あいつに任せて正解だった」 ガヴリール「……あの子がどうなったか、知っているんですか」 天使「もちろん」 ガヴリール「どうしてそんな……平然としていられるんですか」 ガヴリール「あなたが私なら、あなたにとっても大事な存在じゃないんですか!?」 天使「ああ、そうだよ。だから、お前を呼んだんだ」 ガヴリール「そ、それは、どういう……」 天使「お前と私が、一つになるためにな」 ――――――――――――――――――(35/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「私とあなたが、一つに、ですって……」 天使「ああ、お前も私の一部だからな」 天使「あいつが慕ってたお前がいないと、あいつも寂しがるだろ」 天使「それに何より、全ての私が揃わないとダメなんだよ」 ガヴリール「全てって、どういうことです……?」 天使「まぁ、それはやってみればすぐにわかる」 ガヴリール「やってみればって……そんな大雑把な」 天使「あいつに会いたくないのか?」 ガヴリール「……ッ」 天使「私は、会いたい。だからこうして頼んでいる」 ガヴリール「……」 天使「あいつにもう一度会うために、協力してくれないか」 ガヴリール「一つになったら、私はどうなるんですか?」 天使「そうだな。たぶん、私が主人格だから……」 天使「お前はあまり、出てこられないだろうな」 ガヴリール「そう、ですか。でも、あの子にもう一度、会えるんですね」 ガヴリール「あの子がもう一度、笑ってくれるんですね」 天使「ああ、約束する」 ガヴリール「……わかりました、お願いします」 ――――――――――――――――――(36/40)―――――――――――――――――― 天使「手を合わせて……」 ガヴリール「こう、ですか?」 天使「ああ、準備はいいか?」 ガヴリール「はい、いつでも」 天使「それじゃあ、いくぞ」 ガヴリール「あの子のことを、頼みました」 天使「ああ……頼まれた」 パァァァッ ―――――― ―――― ―― ――――――――――――――――――(37/40)―――――――――――――――――― ―病室― ピッ ピッ ピッ 老ガヴリール「思い、出した……あの頃の、天使学校時代の……」 老ガヴリール「あの子が、慕っていた、私を……」 老ガヴリール「ようやく、見つけることができた……」 老ガヴリール「これでやっと、みなに……会いにいける」 老ガヴリール「サターニャ、ラフィエル、ヴィーネ……」 老ガヴリール「そして……タプリス」 老ガヴリール「私も、お前たちのところへ……」 ピッ ピッ ピーーーーーッ ――――――――――――――――――(38/40)―――――――――――――――――― ガヴリール「ん……ここは……」 サターニャ「あ、ようやく来たみたいね」 ヴィーネ「まったく遅いのよ、ガヴったら」 ラフィエル「まさか、ガヴちゃんが一番長生きするなんて思いませんでしたね」 ガヴリール「お、お前たち? ってことは、ここが……」 ラフィエル「ええ、ご想像のとおりです。お久しぶりですね」 ガヴリール「そうか……、お前も元気そうで何よりだ、ラフィエル」 サターニャ「来て早々だけど、とりあえず勝負よ!」 ガヴリール「は? 何言ってるんだよ」 サターニャ「景品はそうね、世界の半分なんてどうかしら」 ガヴリール「そんなのやるわけねーだろ」 ガヴリール「お前は何も変わらないな、サターニャ」 ヴィーネ「ガヴ……」 ガヴリール「ヴィーネ、心配かけたな。もう大丈夫だ」 ガヴリール「私はもう……どこにも行かない」 ヴィーネ「うんっ……うんっ……」 ガヴリール「ところで……あいつは?」 ――――――――――――――――――(39/40)―――――――――――――――――― タプリス「……遅いです、天真先輩」 ガヴリール「すまん、ちょっと忘れ物を取りに行っていてな」 ガヴリール「お前は知ってるだろうけど」 タプリス「そうですね、無事にお届けできたみたいで、よかったです」 ガヴリール「あと、もうちょっと、だったけどな」 タプリス「うぅ……先輩の意地悪」 ガヴリール「まぁ、なんだ。その……おほんっ」 ガヴリール「タプリス。また、会えましたね」ニコッ タプリス「あ、あぁ……あの頃の先輩……」 ガヴリール「これをあなたに、返さないと」 タプリス「これは……わたしの髪飾り?」 ガヴリール「付けてあげますね」スッ ガヴリール「やっぱりあなたにはこれが、よく似合います。かわいいです」 ぎゅぅぅ タプリス「えへへ……また先輩に会えて、嬉しいです」 ガヴリール「ええ、私もですよ」 ガヴリール「もう絶対に、タプリスのことを忘れたりしません」 ガヴリール「だから、ずっとずっと、私と一緒にいてくださいね」 タプリス「はいっ、先輩!」 おしまい ――――――――――――――――――(40/40)―――――――――――――――――― SS一覧へ このページのトップへ 感想コメント 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/3085.html
「あなたは、本郷猛様でいらっしゃりますね?」 イプシロンとのサッカー対決の後、鬼道有人と行動を共にしていた本郷は突然満面笑顔の男に声をかけられた。 「いかにも私は本郷猛だが? ッ!?ガハッ!」 本郷が答えた瞬間、男は満面笑顔のままで本郷の腹にパンチを打ち込んできた。 「本郷さん!」 「ぐ……鬼道くん!この男は危険だ!君は逃げるんだ!」 鬼道有人は少しためらったようだったが、すぐに近くの建物へと避難した。 「なぜ……いきなりこのようなことをする……お前はまさか……」 「申し訳ございません、このようなファーストコンタクトで。申し遅れました。私はショッカー幹部、海東純一と申します」 「やはり……ショッカーか……」 「本郷猛……いや、仮面ライダー1号、あなたはショッカーへの反逆者です。試してあげましょう、貴方の力を。変身」 海東は微笑みながら歪な◇とAで構成された仮面を被った怪人・ライダーキラーグレイブに姿を変えた。 「ライダー……変身!」 本郷も仮面ライダー1号に変身し、戦いが幕を開けた。 1号とグレイブの戦いは一進一退のまま続き、互いに体力をすり減らしていた。 しかしついにグレイブラウザーによる斬撃を避けた1号がグレイブに一撃を入れる。グレイブの手からグレイブラウザーが落ちた。 「今だ、ライダーキック!」 1号は必殺技を浴びせようと、宙に飛び上がり必殺のライダーキックの構えを取る。 だがその時、背後から銃撃をうけ、1号は体勢を崩したまま地面に落ちた。 「な……もう1人いたのか……」 背後から現れた四角い仮面を被った怪人は、1号に向かってさらに銃を連射する。1号は立ち上がることも叶わないまま銃撃の雨をうけ、大地に伏せた。 「やあ、よく来てくれたね大樹」 ライダーキラーグレイブ・海東純一は嬉しそうに四角い頭の怪人に語りかけた。 「紹介しましょう。海東大樹、私の弟です。ショッカー基地で凍死していたので、私と同じように改造手術を施してもらい蘇ったのです これで弟も真っ当な人間になれました。ライダーキラー3号……ライダーキラーディエンドとでもお呼びください」 「ヤメテクレナイカ、ソウイウソレッポイコトヲイウノ」 「もっとも言語には異常が残ってしまったようなのですが……ところで大樹、1号の仲間はどうした」 「ヤメテクレナイカ、ソウイウソレッポイコトヲイウノ」 そう言ってライダーキラーディエンドが指差した先には、射殺された鬼道有人の死体が転がっていた。 「貴様ら!!なぜ彼まで殺した!!」 「あなたと活動していたということはあなた……仮面ライダーの仲間だということ、いわば危険分子です」 「そんな理由で……彼を……」 「そろそろ貴方にもケリをつけてあげましょう、大樹」「ヤメテクレナイカ、ソウイウソレッポイコトヲイウノ」 2体の怪人は宙へ跳び上がり1号のベルト目掛けてダブルキックを打ち込んだ。その攻撃により、仮面ライダー1号のベルトは完全に破壊された。 「ダブルライダーキラーキック……いいネーミングだ。感動的だな」 「ヤメテクレナイカ、ソウイウソレッポイコトヲイウノ」 標的の破壊を確認した2体のライダーキラーはその場を去っていった。 (光太郎くん……春香さん……そして正義の心を持ったすべての人たち……たのむ……どうかこの戦いを…・・・終わらせてくれ…………) 吹き荒ぶ朝の風に晒されたまま、仮面ライダー1号・本郷猛は死亡した。 【三日目・7時30分/新惑星・東京都】 【海東純一@仮面ライダーディケイド】 【状態】改造人間、ライダーキラーグレイブに変身 【装備】グレイブバックル@劇場版 仮面ライダー剣 【道具】醒剣グレイブラウザー@劇場版 仮面ライダー剣 【思考】基本:ショッカーによる全世界の完璧な統治 1:ショッカーに従う 【海東大樹@仮面ライダーディケイド】 【状態】洗脳、改造人間、ライダーキラーディエンドに変身、言語障害 【装備】装填銃ディエンドライバー@仮面ライダーディケイド 【道具】カメンライド@仮面ライダーディケイド、アタックライド@仮面ライダーディケイド 【思考】基本:ショッカーと海東純一に従う 0:ヤメテクレナイカ、ソウイウソレッポイコトヲイウノ 【本郷猛@仮面ライダー 死亡確認】 【鬼道有人@イナズマイレブン 死亡確認】