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【登録タグ S joinT ぬくぬくにぎりめし 初音ミク 曲】 作詞:joinT 作曲:joinT 編曲:joinT 唄:初音ミク 曲紹介 joinT氏のVOCALOID処女作。リミックス等は投稿していたが、VOCALOIDオリジナル曲は初投稿。 イラストはぬくぬくにぎりめし氏が、動画は にのみや氏 が手掛ける。マスタリングは DenDora氏 が担当。 2019秋M3にて頒布予定のアルバム『What the Fxxk Holy Sweet!』収録曲。 歌詞 (ニコニコ動画説明欄より転載) Sweet Devil's Wonderland わたしの事を見逃さないで 足りないの ハート押して いつか素敵な王子様に出逢うまでは 誰に何と言われても 辞めるつもりはないから ふと思い立ち始めた投稿も いつの間にか生活の一部になってた リアルは目立たない教室の端だけど ここでのわたしはアイドル みんなこれ欲しいんでしょ わたしかわいいんでしょ もっとわたしを満足させてほしいんだよ いまからあげる Sweet Devil's Wonderland わたしの事をもっと愛して 足りないの らぶりつして 早く素敵な王子様よ迎えに来て 綺麗なままのわたしを強く抱きしめてよ ねぇ 氷の檻に閉じ込められる前に 最後まで輝きたい Sweet Devil's Wonderland Sweet Devil's Wonderland いつか素敵な王子様に出逢うまでは まだまだ終われない ずっと目を離さないで コメント 作成乙!かっこいい -- 名無しさん (2019-10-22 12 59 00) 名前 コメント
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登録日:2023/11/08 Wed 22 53 16 更新日:2024/04/19 Fri 04 15 46NEW! 所要時間:約11分で読めます ▽タグ一覧 23年夏アニメ TOKYO MX わたしの幸せな結婚 わた婚 アニメ アニメ化 シンデレラストーリー 上田麗奈 今田美桜 大正時代 実写化 富士見L文庫 小説家になろう 月岡月穂 朗読劇 漫画 異能 目黒蓮 純愛 豪華声優陣 顎木あくみ 鬱展開 これは少女があいされて幸せになるまでの物語。 『私の幸せな結婚』は、顎木あくみによる小説作品。略称は「わた婚」。 「小説家になろう」にて投稿されたオンライン小説が母体で、KADOKAWAの富士見L文庫により書籍化されている。現在の刊行数は8巻(2024年4月現在)。 書籍版のイラストは月岡月穂が担当。 【概要】 明治・大正時代を意識した、いわゆる「和風シンデレラストーリー」。 可愛がられる妹や後妻に虐げられてきた姉が、婚約者と出会い、幸せを感じ、困難に立ち向かう成長過程を描いている。 なお作中の雰囲気は明治・大正時代の日本に似ているが、国家元首が天皇ではなく「帝(みかど)」で、鬼や妖怪が存在しており、異能者(超能力者)が公的機関の一員として認められている等、あくまで日本をモチーフにしたファンタジー寄りの架空の世界である。 原作者の顎木は、作品の世界観を明治・大正時代にしたことについて「どうしても和風の世界を舞台に描きたいというモチベーションがあり、日本文化や西洋文化が織り交ざる独特な世界観の中で華やかさに惹かれた」ことを原作小説1巻のあとがきにて触れている。 2023年3月時点で電子書籍・コミック含むシリーズ累計発行部数は700万部を突破している。また、『次に来るマンガ大賞2020』ではWebマンガ部門にて本作のコミカライズが第8位に、『全国書店員が選んだおすすめコミック2021』では本作のコミカライズが第1位になった。 なお、本作のヒットによる影響なのか、現在「小説家になろう」では同じく女性を主人公としたシンデレラストーリーモノが激増している。なろう系ではよくある事だ。 メディアミックス ①漫画版 高坂りとによるコミカライズが『ガンガンONLINE』にて2018年12月から連載中。 なお、一部主要キャラ以外のデザインに関しては高坂によるオリジナルである。 ②朗読劇 ソニーPCL制作による朗読劇が2021年に上演された。 ③実写映画 2023年3月にTBSスパークル制作による実写映画が公開された ④テレビアニメ版 2023年7月から9月まで放送され、第2期の制作が決定している。 【あらすじ】 斎森家の長女・美世は、異母妹・香耶が、父・真一と継母・香乃子に愛情深く育てられる一方で、ないがしろにされ、使用人同然の生活を送っている。やすらぎをくれるのは、心優しい辰石家の次男・幸次だけだった。 だが、父は香耶の夫として幸次を婿養子に迎える。そして美世には、冷酷無慈悲と噂される軍人の久堂清霞のもとへ嫁ぐよう命じて……。 (アニメ公式HP 第1話のあらすじより引用) 【キャラクター】 ※テレビアニメ担当声優/実写版版キャスト の順で記載 (主要人物) 斎森美世 CV 上田麗奈/演 今田美桜 本作の主人公。癖の無い黒髪ロングのストレートヘアの女性で、左目の下にほくろがある。 19歳の時、久堂清霞の婚約者になる。 異能者の家系である斎森家の生まれだが、異能を持たない用無しとみなされ、使用人同然の扱いを受けてきた。しかもそれだけに留まらず、父の後妻である香乃子や異母妹の香耶からは虐待に等しい虐めを受けて過ごしてきた。 そのせいで、自分が悪くないことでも反射的に「申し訳ございません」と謝罪するのが癖で、自信を失ってしまっている。何事に対しても悲観的で卑屈な感情が先に来てしまうとも言える。 幸か不幸か上記の経験もあり、家事は一通りできる。裁縫もでき、料理に関しても清霞に「美味い」と言わせるほどの腕前である。 香耶からは女性としても見下されている……が、実は絵に描いたような大和撫子で、呉服屋の主人が「原石」と称する程の美人。 更にとある事情で隠されているものの、実は亡き実母の家系に由来する異能「夢見の力」を潜在的に持っている。だがこれを制御できず、たびたび悪夢にうなされ、体調を崩してしまう。 久堂清霞 CV 石川界人/演 目黒蓮 名家・久堂家の現当主を務める美男子。27歳。 彼もまた異能者だが周りとはけた違いの力を有しており、帝国陸軍対異特務小隊を少佐として率いるほどの他を寄せ付けぬ強さを持っている。 母の影響なのか、名家の子女に対する偏見と、自分によって来る女性がどれも自身の容姿や財産目当ての人々ばかりだった他、ゆり江を軽んじる者もいたことから、こうした女性たちに辟易としていた模様。よって人付き合いを避けており、美世と出会うまでに会ってきた女性との縁談は全て破談となっている。 しかし、そんな中でこれまでの女性とは違う美世と出会い興味を抱く。そしてぎこちないながらも少しずつ交流を重ね、自己肯定感があまりに低くなってしまったその生い立ちを知ると、次第に彼女を守りたいという意識が形成され、美世に深い愛情を抱くようになる……。 (斎森家関係者) 斎森真一 CV 家中宏/演 高橋努 斎森家の現当主。 若い頃は後妻となる香乃子と交際していたが、後に政略結婚により澄美と結婚して美世を設ける。 彼女が亡くなった後は香乃子と結婚するが、美世に異能の力がないとみるや切り捨てる格好になり、美世が虐待を受けていても知らぬ存ぜぬを決め込んでいた。 一方で、腐っても当主だからか只々香耶を甘やかす香乃子と比べると、家の利益を優先させることもある。 斎森澄美 CV 日高のり子/演 土屋太鳳 美世の実母。真一とは政略結婚で結ばれた。娘を出産して間もなく亡くなっている。 精神感応(いわゆるテレパシー)の異能を扱うことが可能。また、美世の「夢見の力」を持つことを把握していたが、娘の今後のことを考え封印することにした。 斎森香乃子 CV 植田佳奈/演 山口紗弥加 美世の継母。真一をめぐって恋敵存在である澄美を憎んでいる。彼女が亡くなってから、自分の都合で美世に虐待を続けていた。 一方で実子の香耶には愛情を注ぎつつも、美世よりもあらゆる面において上であると言い聞かせ歪んだ価値観を増幅させながら育ててきた経緯がある。 斎森香耶 CV 佐倉綾音/演 髙石あかり 美世の異母妹。 華やかな美貌を持っており、周りの人々からの評価も高いが、その内面は徹底的なまでに自己中心的。 異母姉に対しては自分の方が力は上であると自負しつつ、彼女が貶められることにより自分の価値が高まるとの歪んだ価値観を抱いているという、いわゆる「悪役令嬢」である。(悪役令嬢であるが最近のトレンドに則って別に転生して性格変わって善人になりはしない) 美世と清霞との縁談が決まった時は彼女を嘲笑したが、偶然出会った彼に一目惚れ。しかも厚かましいことに「幸次さんと取り替えてくださいな」とまで父にねだって美世から奪おうとするも却下される。 そして、世間知らずの小娘らしく愛憎入り交じった感情のままに暴走して、大事件を起こすことに……! (久堂家関係者) 久堂葉月 CV 日笠陽子/(実写版には登場せず) 清霞の姉。洋装が似合うモダンガールである。何かと不器用な弟とは対照的に明るく社交的。弟を愛してくれる美世に好感を抱き、礼儀やマナー作法を教えてくれるなど本作の良心の1人。。実は離婚歴がある。 ゆり江 CV 桑島法子/演 山本未來 苗字は不明。清霞が幼い頃から使用人として仕え続けてきた老女で、彼のことは幼少期からずっと(成人した今も)「坊ちゃん」と呼んでいる。清霞にとっては母にも等しい家族同然の心を許せる数少ない存在ゆえ、ゆり江のことは大事に思っており、実際彼女に辛く当たったのを理由に破談とした婚約者もいたらしいことがモノローグから推察できる。 葉月と同様、清霞と美世の二人の関係が進展するのを見守っており、2人に様々な助言をしてくれるほか、香耶と偶然鉢合わせた際には美世を庇うことができる豪胆さも持っている。彼女もまた本作の良心の1人といえる。 なおアニメ版声優の桑島は、このゆり江役でアニメで初の老婆役を担当することになった(朗読劇等ではたびたび演じている)。数多くのメインヒロインを演じてきた経歴も相まって、ファンからは驚きの声もありつつ、優しい可愛いおばあちゃんとしての演技が好評で、好意的に受け止められている。 (辰石家関係者) 辰石一志 CV 深町寿成/(実写版には登場せず) 辰石家の長男。派手な身なりをして一見軽薄そうなイメージを受ける。飄々とした性格なため真意をつかみ取れないが、父親の美世に対する企みに対しては反対しており、美世を助けようとする幸次の背中を後押しする。 斎森・辰石家の騒動以降は当主を引きづぎ、清霞の協力者になる。 辰石幸次 CV 西山宏太朗/演 小越勇輝 辰石家の次男。美世と香耶の幼馴染。美世に想いを寄せているが、政略結婚により香耶の婚約者になった。 虐待されている美世を気にかけているが、小心者故に行動に起こせない。異能の力があるが、父親の力には遠く及ばない。辰石と斎森家の陰謀で美世が拉致された際には美世を助けるために清霞に助けを乞う。これ以降は自分の不甲斐なさを見直し、鍛え直すことを決意する。 辰石実 CV 堀内賢雄/演 平山実 辰石家の当主。没落しつつある家の再興のため、美世の母方の家系である薄刃家の異能を欲している。美世と清霞を別れさせて、長男の一志の嫁として嫁がせるように画策する。 後に香耶に協力して美世を拉致するという強硬策に出て、清霞の怒りを買う。炎の異能を操り闘いに挑むが、圧倒的な力量差を思い知ることになり敗北。しかし、破れかぶれとばかりにあるとんでもない暴挙に出る。 後に当主の座を長男に譲り失脚する。 (薄刃家関係者) 鶴木新 CV 木村良平/演 渡邉圭祐 中堅の貿易会社を経営する鶴木家の御曹司。しかしこれは表の世界の名前で、本名は薄刃新。美世の母方の従兄にあたる。 幻を操る異能を持ち、精神的に揺らいでいたとはいえ、清霞を倒すだけの実力がある。 キツい物言いが目立つが、美世を守りたい気持ちは本物で、薄幸の人生を送っていた美世を引き取ろうとしたが、美世の「清霞を助けたい」という気持ちを受け、身を引くことになる。 鶴木義波 CV 廣田行生/演 火野正平 新の祖父にして澄美の父親。鶴木家で暮らしている。娘の澄美に対して、助けてあげられなかったことを悔いている。それもあってか孫の美世に対しては、その後悔の念を語りつつ支えになりたいと思っている模様。 (帝国陸軍関係者) 五道佳斗 CV 下野紘/演 前田旺志郎 清霞の部下。ややお調子者な一面があるが、優れた異能の持ち主であり、頼れる存在である。美世に対しても好意的に接しているが、持ち前の軽口のせいで彼女を困惑させて清霞に突っ込まれることもある。 大海渡征 CV 三宅健太(実写映画版は出番なし) 帝国陸軍参謀本部に勤める軍人。階級は少将。 清霞の上司である。葉月とはかつて夫婦であったが、諸事情により離婚してしまった過去がある。よって公私ともに清霞とは関わり合いがあると言える。 (帝国関係者) 尭人 CV 石田彰/演 大西流星 帝位を継ぐ最有力候補。清霞とは年が近いこともあり、友人関係を構築している。中世的な顔立ちでミステリアスな雰囲気を持っている。帝に代わり、不完全ではあるが、天啓の異能で国難の予見を代行している。 今上帝 CV 菅生隆之/演 石橋蓮司 国を治める最高権力者。現在は病に伏せている。皇太子時代から夢見の力によって帝の権威が薄れることを恐れており、故に薄刃家を敵視して潰そうと画策している。薄刃澄美と斎森真一の婚姻をお膳立てしたり、辰石実の後ろ盾を買って出たりと、美世を陥れた黒幕でもある。 【用語】 帝国 本作の舞台。明治・大正時代の日本がモチーフとなっている。 異能 念力、火を起こす力、瞬間移動、風を操る、幻を作るなど、それぞれの家系から受け継がれている能力である。これにより様々な災厄から救われたとされている。 異形 古来より帝国に現れ、人間に危害を加える存在。鬼や妖が挙げられる。これらは基本的に異能の力を持つものでないと倒せないとされている。 【実写映画版】 2023年3月17日に公開された。監督は塚原あゆ子。 目黒蓮と今田美桜がW主演を務める。制作はTBSテレビの映像制作部門であるTBSスパークルが担当。 原作第1巻の内容をベースにしつつ、第2巻以降の内容を織り交ぜるなどオリジナル展開も見られる。 興行収入は2023年3月17日~19日にかけて3日間で47万9700人を動員。興行収入は6億5400万円をあげて全国映画動員ランキングで初登場1位となる。 主題歌は「タペストリー」(Snow Man) 【テレビアニメ版】 2023年7月から9月にかけてTOKYO MXほかで放送された。 背景描写や作画、所作に対する演出のこだわりが丁寧でファンからも好評だった。 第1期最終話の際に第2期の制作決定の告知がなされた。 制作はキネマシトラス。 主題歌(1期) ・OP「貴方の側に。」 りりあ。によるオープニングテーマ曲。 ・ED「ヰタ・フィロソフィカ」 伊東歌詞太郎によるエンディングテーマ。 追記・修正は辛いことを二人で乗り越えられるパートナーと出会った時にお願いします。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] とても奇麗なお話ではあるんだが、美世の境遇や周囲の状況含めてお辛いパートが多くて…もっと清霞といちゃいちゃしてくれてもいいんよ…? -- 名無しさん (2023-11-08 23 48 44) 名家の娘なのに使用人同然の扱いをされて不幸、とか言われるとじゃあ始めから使用人な人の人生は何なんだって思ってしまう…。一方、親や家族の愛情を全く感じられない点は確かに不幸なんだけど。 -- 名無しさん (2023-11-09 01 16 14) ↑いやいや「使用人として働きに来た人」と「本来受けるべき教育を受けさせてもらえずに使用人同然の扱いを受けている人」では境遇が全く違うじゃん。例えば「子供が親の命令で学校を無理矢理やめさせられて働くことになった」と「高校や大学を卒業して就職活動をして働くことになった」だと同じ仕事をする場合でもどっちが可哀想なのかは一目瞭然でしょ? -- 名無しさん (2023-11-09 02 08 07) 普通の使用人は虐待なんかされないからな… -- 名無しさん (2023-11-09 07 34 14) ピクシブ百科事典で斎森家が落ちぶれた理由を細かく辛辣に書かれてて笑った。幸次にも優しさだけじゃ誰かを救えないと厳しかったし -- 名無しさん (2023-11-09 09 38 06) 意外と能力バトルもしててびっくりした -- 名無しさん (2023-11-09 17 49 05) なんかピクシブと文体が似てるね -- 名無しさん (2023-11-10 02 37 45) ニコ動で不幸次くんだの幸次の不幸せな結婚だの言われてて笑った -- 名無しさん (2023-11-12 04 32 19) アニメEDに出てくる謎カマキリ ウスバカマキリか?(薄刃家だけに) -- 名無しさん (2023-11-12 08 11 44) 名前 コメント
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【登録タグ VOCALOID nowhere man ち 曲 鏡音リン】 作詞:nowhere man 作曲:nowhere man 編曲:nowhere man 唄:鏡音リン 曲紹介 「キミのココロに、わたしはいますか?」 イラスト:YuMeco。 歌詞 (piaproより転載) 元気ですか? 風邪など引いてませんか? きのう夢で逢えたばかりだけど 「キミのココロにわたしはいますか?」 いたずらに 忘れたふりで もっと 困らせてもいいよ はじめましてから話すの そんなふう 考えつつね まくら抱きしめてる 雨の夜は キミがあふれてくるの この切ない気持ちを届けます ちっぽけなわたしの へたっぴな詩 もう会えないってこと 嘘だったらいい 「ひとりの夜、泣かないもん…。」 つよがりは そう 役に立たないの 別れ際はいつも 手を離さないの キミは駆け出す (行かないで…。) わたしは ひとり 今 ベッドの上 元気ですか? 風邪など引いてませんか? もいちど聞くね しつこいけど 許してね 「キミのココロにわたしはいますか?」 コメント 名前 コメント
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<平沢家> 唯「“恋”ってなんだろう……」 憂「えっ?」 わたしが小さくつぶやくと、憂が反応してくれた。 唯「“恋”ってなんなのかな?」 憂「うーん……好きな人のことを想って、ドキドキしたりすることかなあ……」 唯「ドキドキ……」 胸に手を当てて考えてみた。わかるようなわかるような……。 憂「……最近ドキドキしたりすることでもあったの?」 唯「えっ? ううん、ないよ」 憂「そっか」 唯「でもね」 これだけは自信を持って言える。 唯「ギー太と演奏してる時はいつもドキドキだよ」 わたしがそう言うと、憂はいつものかわいい笑顔を見せてくれた。それから両手をぽんと合わせてこう言った。 憂「じゃあお姉ちゃんはギー太に恋してるんだね!」 唯「ギー太に……恋……?」 憂「うん! お姉ちゃんいつもギー太と一緒だから。朝起きてから、夜寝る時までずーっと!」 唯「言われてみれば……」 憂「それはギー太に恋してないとなかなかできないことじゃないかな?」 唯「なるほど……」 <唯の部屋> 唯「ギー太〜今日は何着て寝る?」 ジャラアン…… わたしが弦をなでると、ギー太は優しく返事してくれる。今日はピンクのパジャマかあ。 唯「ふふ……」 ギー太を見ていると、ついつい笑っちゃう。 初めてギー太と出会った時の気持ちは今でも変わらない。とてもかわいい。 唯「ギー太……」 ギー太とは軽音部に入ってから一緒だ。ずっと見つめていてもまったく飽きない。 部屋で一緒に練習するのはとても楽しい。触って、演奏していると胸がドキドキする。 うまく演奏できると、ギー太も音を鳴らしてそれに応えてくれる。 わたしはこのやりとりが大好きだ。やっぱりギー太に恋してるのかも……。 とても眠くなってきた。わたしももう寝ないと……。 もう一度なでてから、毛布をかけてあげた。 唯「ギー太……おやすみ……」 ♯ 憂「お姉ちゃん起きて、朝だよー!」 唯「う〜ん……おはよ〜……」 憂「今日も添い寝してあげてたんだね。ほっぺたに弦の跡がついてるよ?」 唯「あ、ほんとだ……」 憂「急がないと遅刻しちゃうよ。着替えておりてきてね」 唯「はーい……ギー太もおはよう」 返事はくれない。ギー太も朝は弱いのかも。わたしと一緒だね。 寝ぐせを直してから制服に着替えた。ギー太をケースに入れて出動準備完了! 今日の朝ご飯は何かなあ。 <部室> 放課後、いつものお茶の時間 みんながどう思っているのか気になったので、わたしはみんなにきいてみることにした。 唯「みんなは自分の楽器のこと好き?」 律「もちろん! 中古だけどな」 紬「好きよ。とーっても!」 梓「好きですよ」 澪「私も好きだよ」 唯「ふむふむ……」 やっぱり誰でも自分の楽器は好きだよね。 けど、みんなはわたしみたいに…… 梓「どうしたんですか、いきなりそんなこときいて……」 唯「えっとね、わたしもギー太のことが好きなんだけど……ただ好きなだけじゃなくて……何ていうか……ドキドキするというか……」 律「ドキドキ?」 紬「胸が?」 唯「うん。ギー太と一緒に練習してると何だか胸がドキドキするんだ」 梓「ドキドキ、ですか」 澪「演奏している間に気持ちが高まって、とかじゃないのか?」 唯「うーん……それもあるかもしれないけど、見ているだけでもドキドキするんだ。かわいい服着せて飾っている時とか!」 律「……そりゃあ楽器に愛着はあるよ。けど、その境地に到達できるのは唯だけだと思うぞ?」 唯「そうなのかなあ……。みんなは服の着せ替えとかしないの?」 梓「しませんよそんなの!」 唯「え〜? かわいいのに……」 澪「……唯はギー太を買った時の気持ちを今でも忘れていないからドキドキするんだよ、きっと」 唯「えっ?」 澪「純粋な気持ちで人間と同じようにギー太と接するからドキドキするんだと思う……。私も買う決心が付くまでずっとエリザベスのこと考えてたから、なんとなく唯の気持ちがわかるよ」 梓「そこまで愛しているんですね……」 律「これって、なかなかできることじゃないよなあ……」 紬「すごいわ、唯ちゃん!」 唯「いや〜それほどでも〜!」 紬「まるでギー太ちゃんが“恋人”みたい!」 唯「!! “恋”……」 澪「え?」 唯「やっぱりギー太に“恋”してるのかなあ……」 律「うーん……“恋”とはまた違う気もするけどな……」 澪「でも、“愛着”のレベルは越えているだろうな……」 唯「……うん、“恋”だよ、これは。間違いないよ! 一緒に演奏してて、とっても楽しくて、しあわせだから!」 梓「私も、先輩方と一緒に演奏している時はとても楽しいしドキドキします!」 律「それは私も!」 紬「わたしも!」 澪「わ、私も……」 わたしも勢いよく手を上げた。 “恋”が原因じゃなくても、演奏していてドキドキするのはわたしだけじゃなくてみんなも同じ気持ちなんだ! 梓「……じゃあみんなでドキドキしましょう! ちょうどいい機会なのでみんなで演奏しませんか?」 律「そうだな、お菓子も食べたし!」 紬「さっきのお話を聞いたからかもしれないけど、いつもよりうまく演奏できそう♪」 わたしも同じ気持ちだ。今なら何でも演奏できそう! 澪「よし、じゃあ『ふわふわ』でいい?」 梓「はいっ!」 律「おう!」 紬「うんっ!」 なんだか緊張してきた。演奏が始まればもっとドキドキすると思う。 ギー太と……みんなと演奏していると、とても楽しい。 この気持ちはわたしに音楽の楽しさを教えてくれた。 これからもずっと、その楽しさをわたしたちに教えてほしい! そのためにも、これからずっと一緒にがんばらないと! 唯「出番だよ、ギー太!」 ギー太が元気よく鳴り響く。 みんなが笑っている。ほら、今だってドキドキしてるよ。 だってわたしはギー太に恋してるから。 おわり。 戻る
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パンパン! 銀行内に銃声が響き渡る。 しかし、変身した事により強化されたわたしの視力は、発射された銃弾の軌道を捉えていた。 チュンッ! 腕を水平に薙いで難なく銃弾を叩き落とす。 弾いた銃弾が地面をえぐった。 「ひぃっ!テ、テメエ!ば、バケモノか!?」 目の前のちんけな銀行強盗は裏返った声で叫んだ。 バケモノ・・・? 正直、カチンと来た。 まあ、セーラージュ○ターだと名乗ったところで、コイツのからっぽの頭では理解出来ないだろう。 わたしは静かに男を睨みつけ、歩み寄る。 「く、く、くるんじゃねぇ!!」 男は再び拳銃を構え、わたしを撃つ。 今度は叩き落すような真似はしない、避ける事もしない。 銃弾は全てわたしの身体にに食い込み、弾かれ地面に落ちた。 パンパンパンパン・・・・・・ やがて銃弾が尽き、わたしは男の目の前に立つ、身長はわたしの方が大きかった。 「あ・・・あわ・・・」 わたしは女子中学生にしては、大きな掌で、拳銃ごと男の手を掴んだ。 そして、ゆっくりと握り潰す。 メキメキ、パキ、ベキ ゴギュ 「ぎやぁあああああああ!!!!」 金属のひしゃげる音と、骨が砕けて肉が潰れる音が混ざり合う。 わたしが開放すると、拳銃は潰れ男の手は只の肉片となっていた。 「ひぃぎゃああああ!!!手が!手がアアアアア!!!」 男は泣き叫ぶ。 これで終わりだと思う? わたしは男の首根っこを掴むと、宙高く吊るし上げる。 「た・・・たしゅ・・・け・・・」 声にならない声で助けを懇願する男。 コイツはわたしを撃った。 人を殺そうとしたんだから、コイツも当然死ぬ覚悟が出来てるんだろう。 ゴキッ、グシャ わたしが少しだけ力を加えると、グロテスクな音が辺りに響き渡った。
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_ __ ´⌒≧У∠こ`...,,_ ,. '’ ` ., / t、 / \ , / , ー‐ / 、 __ ノ / < . / ` ー―1 |r\\ . ヽ l ___ . | i i`¨¨\ヘ ヽ i j f、(__/ i | ム 、 ≠x 、\ } トリヘ. \_., イ | | j⌒\ \_f{い, リ/ / . | . il \(\{ ー―一 ゚ _ヲ // / jノ \. t | \{ ,ァ=ミ ー‐1 ! ー―- .、. ゚。 い. V r ;i ! \ \. \j\\ ミ\_,,, fフ / ! ! \ \. / |`ー ( ̄  ̄ イ | ; ヽ . / ,ノ, -――‐- 。 .,,__ / { ,ノ } ヽ !. ,/ /r┴- ., \ ̄ / ノ ヽ | _,.. '´ .イ´ ̄ ̄¨ ミ 、 /ヽ ヽ / _ ヽ | / / `Г ̄¨ヽ 丶\{ } / / | \ i |. / / | r” ̄ ̄)゛ | . ィ r‐‐j ァ‐、 | |f / j, 八 ´  ̄_} ノ / ,/ ! / .イ i | !{ | / {  ̄ ,J 〈 / / / //| '. | ノ〉、 | ,/ { '⌒ i;! Λ\ | / ,ィ////{ } |. \ト\ { ハ\_ 从{△ \j // V//Λ 〈 / ‘, / \_厶'/\ ヽ ゚'゚ V//Λ ヽ /. \ ______,/ /////\ ¨そ |////i l} / }──〈 //////ノ,、 ̄ ィ≦j////j ,ノ / 名前:わたし 性別:女 原作:人類は衰退しました AA:人類は衰退しました/わたし 人類は衰退しましたの語り部且つ主人公。 自身を「わたし」と呼び、本名は不明だが、小説版によればイニシャルはM。 長髪で、旧版ではブラウンの直毛、新版やそれを原作としたアニメではピンクの癖毛。 身長は170㎝以上と、やや高め。 現人類である「妖精さん」と旧人類の橋渡し役を担う国連の調停官。 「妖精さん」との関係は良好であるが、「妖精さん」は不思議な力を使いトラブルも起こすため、 それに付き合う・巻き込まれるのも仕事の一種となっている。 見た目は真相の令嬢っぽいが、実は年相応の女性相応というか、それ以上に俗っぽい。 祖父の引き合わせで、助手の少年(本名はジョシュアだが作中では「助手さん」としか呼ばれない)を連れている。 キャラ紹介 やる夫Wiki Wikipedia アニヲタWiki ニコ百 ピクペ 登場作品リスト タイトル 原作 役柄 頻度 リンク 備考 はじめは世界最初の名探偵のようです。 まんがで読破 モルグ街の殺人 語り部 常 まとめ 完結 やる夫「王様ゲームしようぜ!!」 オリジナル 1期の途中から参加、別名ふぁたし 準 wiki まとめ 安価 完結 レベルを上げるスレ オリジナル 神聖騎士団の副総長、勇者を崇拝している 準 まとめ 予備 あんこ 完結 あんこ時々安価でクトゥルフ神話TRPG クトゥルフ神話TRPG シナリオ「向日葵は陽炎」に登場する、幽霊 脇 登場回 wiki R-18G 安価あんこ 華麗なる召喚術士ルイズの召喚獣、入即出やる夫 オリジナル ルイズの母親 脇 まとめ 予備 完結 黒鉄アルトは家の誉れを取り戻すために魔法学校で命を賭すようです オリジナル 貴族を徹底的に敵視する上級生 脇 まとめ R-18 安価あんこ 美鈴はアイドルで大陸を一つにするようです オリジナル 営業担当 脇 まとめ rsswiki やる夫Wiki 安価 完結 やる夫は吸血鬼と共に魔王を倒したいようです オリジナル ラゼンガンの生みの親 脇 まとめ 予備予備2 完結 短編 タイトル 原作 役柄 リンク 備考
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第27話 あなたの中のわたし カーテンの隙間からベッドの上に揺らめく歪な縞模様。随分月が明るいようだ。 美希はそっとカーテンを捲る。浮かんでいるのはまろやかなカーブを描く三日月。 薄く鋭い刃物の様な姿なのに、驚くほど豊かな光を湛えている。 三日月がこんなにも明るく光る所を美希は知らなかった。 「綺麗ね…」 下から聞こえる静かな声。 「…ゴメン、起こしちゃった?」 せつなが眠っていない事は分かっていた。 多分、彼女は自分が起きている限り眠れない。 美希を信用していない訳ではなく、彼女の意識がそれを許さないのだろう。 祈里に気を許し過ぎた結果がもたらした、取り返しのつかない過失。 勿論、それはせつなの所為ではなく、責められるような過失でもない。 しかし、ほんの少し前のせつななら。 イースなら絶対に犯さなかった過ちだろう。 他人に出された物を警戒もせずに口にし、その結果意識を失うなど。 恐らく、せつなはこれから先に二度と他人よりも先に眠りにつく事はしないのではないだろうか。 ただ一人、ラブの側を除いては。 「美希、眠れないの?」 少し心配そうに見つめられ、美希は大丈夫、と言うように首を振る。 心は波立っているが、せつなの所為ではない。 自分の心の在りかを探しあぐね、どこに気持ちを持って行っていいか掴みかねている。 今日は随分色々な自分の気持ちと向き合ったつもりだったが、どうやらまだ足りないみたいだ。 「せつなは綺麗ね……」 心に浮かんだ言葉をそのまま口に出す。 唐突だとか、脈絡が無いとかは考えない。考えたって仕方ない。 初めてせつなと二人きりになった時の事を思い、美希はくすぐったくなる。 盛り上がる話題を見つけようと必死になる美希。会話を繋げる、と言う意識すらないせつな。 一人で気を回して、一人で気疲れして。 でも、そのお陰で教えてもらった。 話す事がなければ無理に話さなくてもいい事。 会話なんて無くても心地好く過ごせる相手もいる事。 恐いって言ってもいい。守ってもらってもいい。 みっともなくたって笑われたりしないって事。 お姉さんでいなくても大丈夫なんだと思えた事。 浮かんでは消える飛沫のような思いを、思い付くままに舌に乗せる。 幼馴染みの二人なら、自分の言葉にどんな反応を返すかはいつも大体予想が付く。 付き合いの浅い友人には、初めから相手が反応に困るような言葉は使わない。 せつなには、そのどちらとも違う。どんな言葉や態度が返って来るのか予想が付かない。 それが少し不安で、とても楽しみで。 そしてそんな事が出来るのは、せつながとても正直だから。 自分の欲しい答えでなくても、せつなからもらう答えには、 何かしらの真実が含まれていると思うから。 親友の顔を見つめながら美希は改めて嘆息する。 どうしてこの子が異様な目立ち方もせず、学校の人気者程度のポジションにいられるのか。 どうすれば、あんなに周囲に溶け込めるのか。 これ程美しく生まれつき、立ち居振舞いにも隙がない。 他を圧倒する美貌と頭脳、存在感を持っているはずなのに、同時にそれらを覆い隠すベールをも併せ持っている。 自分には、とても出来なかったのに。 人より少しばかり美しく生まれついただけの普通の人間の美希でさえ、 いつもジロジロ見られ、遠巻きにヒソヒソと噂され、時には異物として排除されそうになった。 美希がどんなに普通に振る舞おうとも、周りはいつもどこかに壁を作っていた。 モデルになると言う夢を持ち、尚且つ、いつも変わらぬ笑顔で側にいてくれた ラブと祈里と言う幼馴染みがいなければ、美希はどれほど孤立していたか。 美希が普通の子供として、楽しい思い出に包まれていられたのは、ラブと祈里と言う稀有の親友、 そしてこの町の飾らない気風のおかげだったのだろう。 改めてせつなを見る。 月明かりの中に浮かぶせつなは本当に綺麗だと美希は思った。 イースが鋭いナイフの様な三日月なら、今のせつなは柔らかな 光を湛えた満月だろうか。 「本当に、綺麗よ。せつなくらい綺麗な子、滅多にいないんだから」 「…知ってるわ」 軽く驚いたような顔をした後、苦笑いを浮かべて答えるせつな。 美希は少し目を見開き、そしてなるほど、と思い直す。 せつなは自分が容姿に恵まれている事を自覚していない訳ではない。 興味が無いだけだ。 以前なら見た目の美しさを餌に相手を油断させ、罠にかける。 そんな風に策謀の手段にする事はあったかも知れない。 しかし今はそんな必要は無くなった。 この世界を容姿を武器に渡って行くつもりなどない。 出る杭は打たれ、平均から外れた物は良くも悪くも排除されかねない。 そんな世界ではずば抜けた美貌は却って邪魔なくらいなのかも知れなかった。 何もしなくても華やかな顔立ちや、均整の取れた肢体は隠し様がない。 だからこそ、少し野暮ったいくらいの服装。大人しやかな仕草。控え目な言動。 可愛いんだからもっとお洒落すればいいのに、そう思われるくらいが丁度いい。 埋もれ過ぎず、目立ち過ぎず。それくらいが一番生きやすい。 分かっていても、自分の武器を敢えて隠しながらそんな事が出来る人間なんて 滅多にいないだろうけど。 「美希も綺麗よ。とても」 美希の隣で月光を浴びながら囁く声。 少しからかい気味に言われても、美しい同性から受ける賛辞は時に 異性からの言葉よりもずっと価値がある。 「それはどうも」 「あら、真剣に言ってるのに」 「分かってるわよ。そりゃ、アタシは努力してますから」 そう。努力してる。 美希にとって容姿を磨く事は生きていく為の手段であり、目的だ。 これからの人生を左右する程の。 一流のモデルになる。それが目標であり、夢だから。 その夢を諦めてもいいと思った事もあったけれど。 以前、一生に一度かも知れないチャンスを棒に振った。 ギリギリまで迷ったけれど、そうしても良いと思った。 それくらい、あの二人は大切な存在だったはずだった。 そして、あの二人も同じように自分を大切に思ってくれていると信じていた。 「…どうしてかしらね……」 どうして、せつなを嫌いになれないのだろう。 せつなを憎めたら、どんなに楽になれるだろう。 「ねぇ、せつな。アタシって何?」 「…美希……?」 「アタシ、一人で馬鹿みたいだと思わない…?」 「…………」 「蚊帳の外で右往左往して。アタシに出来る事なんか無いのにね」 「……………」 「それでもね……アタシ、やっぱりみんなと一緒にいたいみたいでさ…」 そっと頬を撫でられた。 下らない言い種だとは分かっている。 仲間外れにしないで。結局、それだけの事なのだから。 美希以外の三人にはどれほど深刻な悩みでも、当事者ではない美希には理解出来ない。 それでも、置いてきぼりは嫌だ。 もう居場所を失うのは嫌だ。 居場所なんて自分で見付けて築き上げるものだと言う事は分かっている。 自分の足で、誰とも手を繋がずに立てなければそんな場所は見付からない。 だけど……… (……ねえ、美希ちゃん。わたしって昔から結構いい子だったと思わない?) あの日、朝の公園での祈里の声が頭に甦った。 自分の欺瞞を嘲笑うかのような祈里の顔。 自分の言葉で自らを切り刻んでいるようだった。 いい子なんかじゃなかった。 優しくなんかなかった。 そう、泣き笑いで天を仰いでいた祈里。 ほんの少し、あの時の祈里の気持ちが分かるような気がしていた。 いつだってお姉さん役だった自分。 そして、そのポジションに満足していた。 一番しっかり者のつもりだった。 一番大人に近いつもりだった。 一番広く世界を見ているつもりだった。 具体的な将来の夢を持っていると言う点では祈里と同じだったが、 既に仕事をこなし、金銭を得ている分、ずっと自分の方が先に行っていると思っていた。 ラブや祈里を子供扱いするつもりは毛頭無い。 しかし、もし仮に三人の輪が崩れ、それぞれ道が別れる事になったとしても。 一番最初に閉じた世界から出て行くのは自分だと思っていた。 美希は夢にも思った事が無かったのだ。 まさか、この自分がラブや祈里に置いて行かれる立場になる事など。 置いて行かれるとしても、「一人にしないで」なんて、縋るような気持ちになるなんて。 両親が離婚した時ですら、決してそんな気持ちを人前では見せなかったのに。 綺麗で、自信に溢れていて、自立した自分。 仕事にしても、恵まれた容姿だけに胡座をかかず、 両親のコネにも頼らず、努力を惜しまない。 常に完璧を目指し、自分を磨く。それが当然だった。 そうありたいと思い、そんな自分が好きだった。 でも少し違ったのかも知れない。 自分がそうありたいのではなく、周りからそう見られたかっただけなのではないか。 寂しいと泣いて、一人で頑張る母に負担をかけたくなかった。 周りから可哀想だと同情されたくなかった。 同世代の子供の中では飛び抜けた美しさの為に、子供達からは悪気無く 距離を取られたりもした。 その事を寂しく思っている事を知られたくなかった。 みんな何でもない事。傷付くような事じゃない。 だって、アタシは完璧だから。みんなにも、そう思って貰えるように。 ラブも祈里も、こんな気持ちを味わったんだろうか。 今までの自分が崩れて行くような感覚。 信じて疑いもしなかった自分像が歪み、溶けて、流れ去り、 見たことも無い自分が浮かび上がって来るような、恐怖にも似た感覚。 せつなに出会わなければ、ずっと心の奥底に閉じ込めていられただろう、 醜くおぞましい自分の一面。 「せつな、アタシ、分からなくなっちゃった。アタシってこんなに何も出来ないヤツだったのかな……」 「…美希」 「ねえ、教えて。アタシ、せつなにはどう見えてる?」 「美希は、私が『美希はこう言う子よ』って言えば安心するの…?」 「……分からない。でも、聞きたい」 今までの美希を知らないせつなに。 初めて、幼馴染み以外で出来た親友のせつなに。 親にも見せた事の無い、情けない姿も知っているせつなに。 聞いてみたい。意味なんか無くても。単なる自己満足でも。 美希自身、もう自分が分からないから。 美希がせつなにとっても親友だと言うなら、それはどんな姿をしてるのか。 最愛の人であるラブや、そうなりたくて叶わなかった祈里とはどう違うのか。 それを知れば、この波立った心も少しは凪ぐかも知れないから。 「ねぇ、美希。美希は出会った頃から、私を警戒してたわよね」 「……?……うん」 「胡散臭いって。何かおかしいって。私がラブに近づくのを快く思ってなかった」 「…うん」 「でも、美希は何もしなかったわよね」 「……え…?」 「私の事、疑ってるのに、ラブを私から遠ざけようとはしなかった」 「…それは……」 何もしなかった訳ではない。 それとなく、警告めいた事を口にした事はあった。 ただ、ラブには伝わらなかっただけだ。 ラブがせつなに夢中になっているのは一目瞭然だったから。 「正直に言うわね。私、美希の事なんて眼中になかったわ」 「……はっきり言ってくれるわね」 「ふふ、ごめんなさい。でも、美希にも分かってたでしょう?私がラブしか目に入ってないの」 最初は、軽く美希を警戒したのは確かだ。 おっとりとした雰囲気の祈里と違い、聡そうな瞳をした美希を。 開けっ広げにせつなを受け入れようとするラブと違い、明らかに異物を 眺める視線を送る美希を。 しかしすぐに興味を無くした。 何も仕掛けてくる気配が無かったから。 ラブの様子を見ていれば、自分と関わり合う事に注意を促されては いないという事も分かった。 ラブの性格なら、もし親友である美希に付き合いを制限する様に言われたなら、 それを態度や表情に表さず隠す事は難しいだろうから。 そして、その頃のせつなは密かに失笑した。 所詮、そんなものなのか、と。 このまま関わりが深くなって行けば、いずれラブは傷付く。 そう、美希は予感していたはずだ。 にも関わらず、ラブに注意を促すでも、せつなに釘を刺すでもない。 そんな美希を臆病者とすら感じた。 親友だと言いながら傷付くのを黙って見ているだけ。 頭は良くても自分の手を汚すのは嫌な事無かれ主義なのだろう、と。 ならば放って置いても問題はない。どうせ何も出来はしない、と。 「美希、こっち向いて」 話が進むにつれ、どんどん項垂れていく美希の顎に指をかけ、上を向かせる。 涙を溜めた美希の瞳を見つめながら、せつなは困ったように息を付く。 「だから、言ったでしょ?最初はって。今は違うから。泣かないで」 そうは言われても心が抉られる。全部本当の事だったから。 せつなを怪しいと感じながらも、その疑問を軽く口にする事しか出来なかった。 嬉しそうにせつなと話すラブ。それを眺めながら、不安を募らせるだけで何もしなかった。 トリニティのライブ会場で倒れたせつな。 そのポケットにラビリンスの証を見つけたのに、ラブとせつなを 二人きりにさせていた。 『せつなは敵よ。せつなはラビリンスだったのよ』 その台詞を口に出したのすら、せつな自ら正体を明かした後だった。 とうの昔に気付いていたのに。 せつなの言う通りだ。自分は臆病で日和見な事無かれ主義の卑怯者だ。 「もうっ!ちゃんと最後まで聞きなさいよ」 「…いいの、本当の事だもの……」 「違うから!」 「何が!」 「だからっ、今はそんな風に思ってる訳ないでしょ!」 「…でもっ」 「でもじゃないの」 駄々を捏ねる子供を慰めるように、せつなは微笑む。 「美希だって、今は違うでしょう?私は美希の友達なんでしょう?」 「…………」 「最初は……ラブのおまけだったかも知れないけど…」 「ちょっと、せつな…」 「だって、そうでしょ?美希、私と二人きりになっても話す事が無くて困ってたじゃない」 分かってたのか。 「今は違うんでしょ?私と二人きりでも平気。 私の事を好きになってくれたって、思ってもいいのよね?」 「……当たり前よ」 「よかった。それって、美希だって私への印象がいい方へ変わったからでしょう?」 「でも……アタシ自身は何も変わらない。せつなは頑張って変わったじゃない」 周りに溶け込む為に。過去を償う為に。 そして、すべてを受け入れた上で幸せを掴む為に。 「本当に、そう思う?私は昔と変わったって」 「……………」 そう言われると自信が無い。だってせつなの過去なんてほんの一部しか知らないから。 イースとして目の前に現れ、敵として戦った。 イースの心の内なんて考えた事も無かった。 美希が知っているのは、今、目の前にいるせつなだけだ。 イースとしての過去を知ってはいても、それが今のせつなを構成している物の 一部だと分かってはいても、心のどこかでせつなとイースを分けて 捉えている部分を否定できない。 「あのね、せつな。アタシ、前にラブに言ったの。 『せつななんて子は最初からいなかったのよ』って」 「…上手いこと言うわね……」 「…ごめんね。アタシも、あの時はラブしか大事じゃなかった」 「……………」 「アタシだって、せつなの事なんてどうでも良かったんだと思う。 ただ、ラブが辛い思いするのを見たくなかった」 ごめんね……… 「私も、今はそう思ってるわ」 「………?」 「美希は、ラブに傷付いて欲しくなかった」 「…うん」 「だから、不安でも、信じたかったのかな…って」 「……誰を…?」 「私を……」 思わず顔を上げてせつなを見る。 そこには、少し憂いを帯びたような大人びた表情のせつな。 「全部取り越し苦労であって欲しい。私はただの変わり者の女の子で、 ラブを裏切ったり悲しませたりしないって」 「……せつな」 「今なら、そう思うの。美希は優しいから。信じていた相手に 想いが届かない事がどれだけ辛いか知ってるから…」 「………」 「だから、私がラブを悲しませるような存在じゃないかって。 そんな事、私を疑うような事を言うなんて、ラブに言うには 苦しかったんだろうなって」 「…………」 ラブが目を輝かせて新しい友達の事を話す。 その瞳を曇らせてまで、確証の無い疑念を口にしてもいいのか。 単なる杞憂に終わるかも知れない。そうであって欲しい。 半ば祈るような気持ちでいた。 「だから、美希は…何も出来なかった。違うかしら」 ぽたり、と雫が落ちる。 違う。そうじゃない。自分はそんなに深く考えてた訳じゃない。 ただ、確証も無い事を口に出す自信が無かっただけだ。 無責任にせつなを貶めて、何も無かった時に後で非難されたくなかっただけだ。優しくなんてない。 そう、喉まで出かかっている言葉が声にならない。 優しいから、なんて言われて泣くなんて。 どれだけ心が弱っているのか。みっともない、そう思うのに涙が止まらない。 (……そんな訳ない。アタシはそんなにイイコじゃない…) せつなはアタシを買い被り過ぎている。 そう思うのに、湧き上がって来る嬉しさ。 せつなの言葉に溺れたくなる。 綺麗な言葉を浴びせかけられるのは本当に肌触りが良くて。 でも、そんな甘い言葉をそのまま受け入れるのは躊躇われた。 目の前に出された餌に飛び付くようなみっともなさを感じてしまう。 つまらないプライドなのだろう。 反論を試みずにはいられない、天の邪鬼な自分。 そして、その裏側にある、それをも否定して欲しいと言う甘え。 (お願い、せつな……) これから美希の言う言葉を否定して欲しかった。 美希の行動が、優しさ故の臆病さだと言うなら、それを納得させて欲しい。 せつな自身の言葉で。美希が、己の卑怯さや小ささも引っくるめて、 自分をまっすぐに見据えられるように。 第28話 月の裏側へ続く
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ヤマネコ わたしの目の前で、市電が走り去ってしまった。 いつも何かに取り残されてばかりだと悔しい思いをかみ締めて、ぎゅっと拳を握り締めながら停留所で一人たたずむ。 「ったく…、ついてないな。ロードワークついでにひとっ走りするか」 爪を引っ込めてメガネのつるを摘み、ジムまでひと汗覚悟で駆けて行く準備。 すたっと横断歩道を駆け抜けて、制服のスカートを翻しながら一雨ごとに暖かくなる街の風を切る。 手を握り締めると、不思議と何かに燃えてくるので不思議だ。拳はわたしの宝物なのだろう。 ただでさえ少ない種属・イリオモテヤマネコ族なのに、男の子のようなショートヘアと内気な性格のおかげで 他の子たちからからかわれてきたわたしが出来ること。それは、おのれの拳で語ることだけだ。 拳は正直者。相手がトラであっても、オオカミであっても理屈を捏ねることなく白黒はっきりさせてくれる正直者だ。 しかし、規律正しい学園の中で暮らしてゆくには拳は正直者に『バカ』がついてしまう厄介者となるだろう。 そんなオトナの顔をした学園であった話。 「鎌田!起きろ!もうすぐ啓蟄だぞ」 「……まだまだ2月じゃないか。2月はGⅠがあったかな…、3月は中山…」 「ヒーローが縮こまってどうする!正義の拳を振りかざせ!」 ウマの塚本とシカの来栖が半纏に包まった「ライダー」こと鎌田を囲み、奮い立たせようとしている。 鎌田も鎌田でまだまだ寒いからと一向に動く気配も無い。ここまで登校することが出来たことが奇跡だ。 関わらないようにと、わたしはクラスの子たちと一緒に鎌田のことで笑っていた。 「ヒーローごっこなんてやっぱ男子ってバカタレだよね、りんご」 「そ、そうだよね、リオ。はやみもそう思う?」 「そうね…あはは」 正直者の仮面を捨てて、上っ面のウソをつく。 ヒーローなんているのか。ヒーローなんてわたしたちの幻想ではないのか。 幼い子には映っても、大人になればなるほど薄っすらと消えてゆくヒーローに思いを馳せているなんて、 鎌田もわたしも同類なのかもしれない。事実わたしがヒーローになれるかも…なんて思ってもいなかったし。 「とお!!」 ヒーローのような掛け声で、ジムにわたたしは駆け込む。スカートがふわりと風にのっても下はスパッツだから気にしない! 「きょうは早かったな、瀬戸はやみ」 「へへ、勢家さん。きょうは走ってきたんですよ。遅刻なんてもうしません」 わたしが挨拶をするまで、オニのような顔をしていたトレーナーがニッとジムに似合わない笑顔を見せ、わたしを出迎えてきた。 カンガルーである彼はそんな雑談はさておきと顔を元の真面目な顔に戻し、わたしに着替えて、ウォーミングアップの要求をする。 スパーリングの音が響くジムをわたしはスカートを翻しながら横切る。 きっかけは些細なことだった。 ヒーローになりたかった。 ただそれだけ。 ものごとは始める理由なんて、たったそれ程度でも十分な言い訳になるはず。 Tシャツに着替え、ジャージを履けばわたしが何者だろうが拳だけを信じる一人っきりのヒーローだ。 「着替えてきましたあ!」 「お前、メガネを取ると大分印象が変わるな。いつものことだけど」 あれは伊達メガネ。ボクシングをしていると顔にパンチが当って悲しい顔になってしまうことが多々あるから、 普段はこうしておしゃれで隠してるんですよ。わかりますか?トレーナー。 きっと、クラスのみんなはわたしがボクシングをやっているなんて知らないだろう。 むしろ、わたしにとってはみんなに知られないほうがいいかもしれない。 それは、人知れずヒーローになることがわたしにとっては拳を握る原動力になるからだ。 身体を温めながら、先輩たちがリングの上で拳を交える姿を見る。 このジムで身体を動かす女の子はわたしだけ。 人数も少ないし、チャンピオン育成どころかやる気があるのかどうかわからないここのジム。 カンガルーのトレーナーやヤマネコの会長の人徳だけで続いているようなものだ。 そんな『対馬野ジム』に通うようになったのは一人のヤマネコのおかげ。同じ血が流れるもの同士わかるのだろうか。 わたしが、いじいじと毎日暮らしていたのを公園で見て、拾ってくれたのが会長の一人娘、対馬野はな。 わたしと同じヤマネコだったからか、はなは自分にわたしを重ねて一人ベンチでたたずむわたしに 「あなただったら、大丈夫」と根拠の無い激励をしてくれたことを忘れない。 2年前のあの日、わたしは一人だった。何もかも終わればいいと思っていた。 生まれながら正直なのが災して、損ばかりしていたわたしは何もかもがわたしを苦しめるものに見えた。 わたしが座っているブランコでさえ、嘘っぱちの固まりに見えてくるからその日のわたしはおかしかったのかもしれない。 わたしだけに見える刃こぼれのした剣を振り回して、わたしを苛める何もかもを斬り倒したい。 例え誰かを斬り倒しても、許されるんじゃないかと、自分勝手な解釈を始めるわたしは末期症状。 「バカー!!」 石を蹴り上げ、街に叛旗を翻したぞ、という中学生男子のような過剰なえらぶりっ子をしていると、 一人のネコにこつんと当った。しまった、わたしはそこまで悪い子じゃない。 「ごめんなさい!!」 「わたしは大丈夫」 大人びたネコ…ヤマネコが髪をなびかせ、わたしを許してくれた。 わたしと違って髪も長く、大人の香りのする彼女は理由も無くわたしの味方をしてくれたのだ。 わたしは彼女と話しをした。ここ最近、これ以上お喋りしたことなんかないと思うぐらい、彼女に自分のことを話した。 「わたしもね、ツシマヤマネコって言う種族だから、はやみちゃんもことがとっても分かるの」 「お姉さんも…わかるんですね。ヤマネコの辛さを」 「そうね。そうそう…興味があったら、ここにおいで。あなただったら…大丈夫…」 名刺を渡してそういい残すと、せきをしながら彼女は正直者の街に消えて行った。 対馬野はなは全てを敵に見ていたわたしの持つ剣を優しく握り締め、鞘にそっと収めてくれた。 彼女に引かれて、ここの門を叩いたのは言うまでも無いこと。 初めてはめたグローブも、今じゃすっかり手に馴染み、これさえつければ何でも出来るんじゃないかと勘違いするようになった。 初めはすぐにばててしまったロードワークも、自分を苛めるが快く感じることさえなってきた。 「さて、はやみ。ロードワークにでも行ってこいよ…」 「ええ?わたし、さっき走ったばかりですよ」 「バカタレ、たったそれしきで体が出来たと思うなよ。それじゃあ、おれは病院からはなちゃんを迎えに行くかな」 「勢家さんのバカー!」 素直にトレーナーの言うことを聞きながら、リングに上がる時間を待ち望み、春風が控える街に駆け出る。 わたしだって、ヒーローになれる…かな。 もうすぐ、春。鎌田はそろそろ起き出すけれども、わたしはとても今、眠い。 おしまい。 関連:瀬戸はやみ&対馬野はな
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ウサギのナミダ ACT 0-4 ■ 朝。 わたしが目覚めると聞こえてきたのは、すぐ右手にあるパソコンのキーボードを叩く音だった。 キーを叩く人は遠野貴樹。 きのう、わたしのマスターになった人。 「お……おはようございます……」 「おはよう」 おずおずと声をかけたわたしに、あっさりと、そしてどこかそっけなく返事が来た。 シーツ代わりのハンカチを引き寄せ、マスターになった人の顔を見つめる。 端整な顔立ち、だと思う。 細いフレームの眼鏡をかけ、理知的な印象だ。 それが口調とも相まって、少し冷たい印象を受けるけれど。 どんな人なのだろうか。 コーヒーカップを口元に運ぶ横顔。 いままで、わたしが会ったお客さんたちとも違う印象。 真面目そうで、理知的な瞳は、いつもまっすぐにわたしを見る。 彼の指の動きが止まると、その瞳がわたしを映した。 「よし、行くか」 「えっ……?」 キーボードを叩いていた手が、わたしに伸ばされてくる。 わたしは身構える。身体を固くしてしまう。 いや、すくんでしまうのだ、恐怖に。 わたしに伸ばされる手は、いつだって、酷いことの予兆だったから……。 わたしの様子を不審に思われたのか、手は一瞬止まった。 けれど、すぐに動き出してわたしを包み込むように掴むと、そのまま彼の胸元へと移動する。 そして、わたしはシャツの胸ポケットにおさまったのだった。 ……酷いことなんて、何もされなかった。 それが当たり前だと思えないほど、わたしは酷いことの方に慣れすぎていた。 □ 身体をすくませ、何かを耐えるように掴まれるのを待つ姿には、正直へこんだ。 俺が「何もしないから、安心しろ」と言い聞かせても、おそらく態度を変えることはないだろう。 この身をすくませる態度は、ティアが過去にされてきた仕打ちに起因するのだと思う。 だとしたら、言い聞かせるだけでは変わらない。 ティアが俺を本当の意味でマスターと認めてくれない限りは。 だからその時を待ちながら、辛抱強く待つしかないのだった。 俺は家を出ると、ゆっくりとした足取りで歩き出した。 外は快晴。早朝の爽やかな空気が気持ちいい。 俺はこの時間に散歩をするのが好きだった。 それが自分の神姫と一緒なら、きっと楽しいことだろう。 俺のひそかな夢の一つだった。 ■ マスターのシャツのポケットは、わたしにあつらえたようにちょうどいい大きさだった。 リズミカルな振動は、マスターが歩を進めている動き。 わたしは少し顔を出してみる。 ……まぶしい。 マスターの部屋も、とても明るいと感じたわたしだったけれど、外の世界はさらに光に溢れていた。 色に、溢れていた。 世界を覆う空は、見たこともないような青だった。 建物の壁は、その建物ごとに何種類もの色があった。 たくさんの植物が道に沿って植えられていて、それもただの緑色ではなかった。 一本の木に、たくさんの緑色が集まって、一つの緑に見えている。 色とりどりの自動車、道行く人の洋服もカラフル。 なにより、全ての色がはっきりとしている。 光が、溢れている。 木々が揺れる。 顔を出したわたしの頬を、やわらかな空気が撫でていく。 これが、風? マスターはゆっくりと歩いていく。 その胸元から見る世界は、わたしが初めて目にするものばかりだった。 やがて、マスターとわたしは、公園へとやってきた。 公園というものを初めて目にしたわたしは、心を奪われてしまった。 見たこともない大きな空間には、色とりどりの緑色が溢れかえっていた。 天井はどこまでも続く空の青。 現実の場所とは思えない。 いままで、わたしが知っている場所とはあまりにも違う。 わたしは知らなかった。想像もしていなかった。 世界は…… 「広いですね……」 わたしは思わず呟いていた。 □ 「ああ、この公園は、このあたりでは一番大きい」 なんて答えた俺は、後悔することになった。 ティアの呟きにそんな意味が隠されていようとは思いもしなかった。 ティアの真意を知るのはずっと後だったが、何というトンチンカンな答えをしたのだろう、と今でも後悔に苛まれる。 俺にとってはいつもの散歩道でも、ティアにとっては初めて見る外の世界だったのだ。 そんなティアの感傷を想像だにせず、俺は公園の遊歩道を歩いていく。 ■ マスターの歩みには迷いがなかった。 まるで自分の家の中のように、歩いていく。 マスターにとっては、何度も来た場所なのだろう。 ふと、疑問に思って、思い切って、本当に思い切って、マスターに尋ねてみた。 「マスター……今日は、どこへ行くんですか?」 おそるおそる見上げると、マスターは何故か驚いたような顔をしていた。 「どこへって……どこへも行かないぞ?」 「……え?」 「あえて言えば、ここが目的地か……」 ここが目的地だというのに、マスターはひたすらに歩き続けている。 マスターは一体何をしに来たというのだろう? このときの記憶を思い出すたびに、わたしは恥ずかしさにいたたまれなくなる。 目的などあるはずがない。 マスターは散歩をしに、この公園までやってきたのだから。 こうして歩いていること自体が目的だなんて、あの時のわたしには思いも及ばないことだったのだ。 だけど、マスターはこう言ってくれた。 「そうだな、おまえに、この公園を見せたかったんだ」 このときのマスターの声は、この上もなく優しかった。 散歩から戻って一休みすると、マスターはパソコンに向かってなにやら作業をはじめた。 おそるおそるディスプレイを覗いて見ると、武装神姫の情報サイトをチェックしているみたいだった。 でも、わたしにはどんな情報をマスターが欲しているか分からない。 マスターは、時折腕を組んで考えては、マウスを操作し、次々にサイトをチェックしていく。 マスターは情報収集に夢中で、わたしを気にかけない。 わたしは手持ちぶさたになった。 マスターのパソコンから音楽が流れてきている。 マスターは作業中、音楽データをかけっぱなしにしているのだ。 いくつもの曲が聞こえてくる。 あ、わたしも聴いたことのある曲。 お店で音楽を聴く機会は、踊りをするときだけだった。 お客さんのための踊り。 でも、音楽に乗せて身体を動かすことは、わたしの数少ない楽しみの一つだった。 自然と、踊りたいという気持ちがわき上がってくる。 マスターはサイト検索に夢中。 右手に広がっている作業用のスペースは、わたしが踊るのには十分すぎる広さだった。 わたしは立ち上がり、リズムを取る。 そして、曲の途中から動き出す。 身体はすんなりと、覚えていた振り付けを再現する。 曲に合わせて踊る、踊る。 すぐに夢中になる。 周りのことなど意識せずに踊る。 お店にいた頃は、そうでもしなければ踊り続けることが出来なかった。 その習慣が出てしまったのか、今も意識が踊りだけに向いている。 ……そして、わたしが踊り終わったとき、こちらを向いてわたしを見つめているマスターと目があった。 気が付かなかった。マスターがわたしを見ていることに。 わたしはマスターの命令もなく、勝手に踊ったりして、しかも、マスターの作業の邪魔をするなんて……なんてことを……! 「あ、あ、あのっ、そのっ……わ、わたし……ご、ごめんなさ……」 「もう一回やってみろ」 あわてて謝ろうとするわたしにかけられた一言は、意外なものだった。 「曲は同じなら踊れるか?」 「えっ? ……あ、は、はい……」 マスターはマウスを簡単に操作する。 するとパソコンから、先ほどと同じ曲が流れはじめた。 わたしは曲のリズムに合わせて体を動かす。 再び滑り出すように踊り始めた。 でも、表情がこわばっていたかも知れない。手や足の先の動きがぎこちなかったかも知れない。 だって、マスターがじっとわたしを見つめていたから。 静かに、まっすぐに、踊るわたしを見つめている。 マスターの瞳からは表情は読みとれなかったけれど。 わたしは、なんだかとても恥ずかしかった。お店で踊ったどんな踊りよりも。 お客さんのあざとい視線を受けているときよりも。 マスターの視線は、わたしの全てを見透かしているようで。 やがて曲が終わり、わたしは静かに踊りを終える。 マスターを見ると、視線はディスプレイの方を向いていた。 「やはり、バランスがいいな」 「は……?」 「思った通りだ。おまえはバランス感覚が平均よりもずばぬけている」 「はあ……」 マスターの言葉がぴんとこなかった。 わたしが踊っている間、マスターはわたしのデータを何かモニターしていたようだけれど、それが何なのか、詳しいことは分からない。 「うん……やっぱりこれにしよう」 「何を……ですか?」 「おまえの装備だ」 マスターはわたしの方にディスプレイを向けた。 ものすごい勢いで、ジャンプ台から飛び出した男の人。 画面から飛び出してきそうな勢いの動画が表示され、わたしは思わず驚いてしまう。 画面の中の人は、車輪のついた靴を履いていた。 道でない場所さえ、自由自在に、駆け回り、飛び跳ねる。 「ローラーブレード……」 「知っているのか?」 「あ、はい……実際のものを見るのは初めてですが……」 一般常識として、メモリには記録されていた。 でも、こんなに激しく、華麗に、そして自由に動くものだとは初めて知った。 「おまえ用の装備として、武装神姫向けにアレンジしたローラーブレード型の脚部パーツを作ろうと思う」 「え……でも……」 そんな装備は、公式の装備にはないはずだった。 いや、移動用の車輪付脚部パーツや、トライク型に代表される地上用の神姫の装備には、それに近いものはある。 だけど、さっきの映像のように、小型で高速機動が可能な地上用装備は、少なくともわたしのメモリに登録されている武装神姫公式装備カタログの中にはない。 「その装備では、公式戦には出場できないのでは……?」 「別に、公式戦に出たいわけじゃない」 マスターはこう言った。 「俺は、まだ誰も見たことのない様な、ただ一人の武装神姫を作りたい」 ただ一人の武装神姫。 「それが可能なら、公式大会に出られなくてもいい。どこかのゲームセンターに、誰もしない戦い方の神姫がいる。そんな風に言われるのが、俺の夢だ」 マスターの夢。 「おまえは、踊るように、舞うように、美しく戦うんだ。ギャラリーも、対戦相手のマスターも、神姫も。おまえの戦いぶりで魅了することが出来たなら……」 魅了することが出来たなら……。 「最高だな」 わたしは、夢の中にいるような気分だった。 わたしは、マスターの夢を実現するために、ここにいる。 ここにいて、マスターのお手伝いが出来る。 それはなんて素晴らしいことなんだろう。 「で、でも……わたしなんかで、大丈夫でしょうか……?」 「だから、『わたしなんか』って言うな」 怒られてしまった。 「苦労はするだろう。練習も膨大な時間が必要になる。だが、それでも、俺は俺の夢を叶えたい。……おまえには苦労をかけることになるが。なにしろ、ベースとなる戦闘プログラムもないからな」 「いいえ……! わたしは、わたしでよければ、がんばりますっ」 わたしは、はじめて……夢を持った。 マスターの夢を叶えること。 誰も見たことがないような、踊るように、舞うように戦う武装神姫。 この日から、わたしの武装神姫としての修行が始まった。 次へ> トップページに戻る
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春に愛されるひとに わたしはなりたい 春に愛されるひとに わたしはなりたい アーティスト 花澤香菜 発売日 2018年2月7日 レーベル アニプレックス CDデイリー最高順位 4位(2018年2月7日) 週間最高順位 22位(2018年2月13日) 月間最高順位 67位(2018年2月) 初動総合売上 3727 累計総合売上 4560 収録内容 曲名 タイアップ 視聴 1 春に愛されるひとに わたしはなりたい 2 ひなたのしらべ CD/総合ランキング 週 月日 CDシングル 総合シングル 順位 週/月間枚数 累計枚数 順位 週/月間枚数 累計枚数 1 2/13 5 3727 3727 22 3727 3727 2 2/20 623 4350 623 4350 3 2/27 210 4560 210 4560 2018年2月 34 4560 4560 67 4560 4560 関連CD ざらざら