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土や緑も珍しくない、郊外の住宅地。 今日、空を見上げた人間は、揃ってこう言うだろう──いい天気だなあ。 そんな爽やかな日差しの下を、一匹の犬が行く。 首輪は付いていない。 身の回りの世話をしてくれる人間──飼い主もいない。 俗にいうところの「野良犬」だ。 その日暮らしの彼ではあるが、翻せばそれは飛びっきりの自由だ。 飼い犬には決して真似のできないその生活を、彼は謳歌している。 彼の表情が、 「きょうはなにをしようかな?」 そう、楽しげに微笑んでいるように見えるのも、あながち錯覚ではあるまい。 いい天気だし、ちょっと遠出をしてみよう。 普段は歩かないコースを辿って、おもむろに電柱にマーキング。 その辺の飼い犬がなにやら吠えているが、そんなもの気にもならない。 縄張り拡大と放出感に満足し、ふと顔を上げると、前から何かが跳ねてきた。 「ゆっゆっゆ~。きょうはいいおてんきだね!」 「たいようさんも、すごくゆっくちしてるよ!」 「ゆっくち! ゆっくち!」 ポテン、ポテンと歩を進めるのは、ゆっくりの家族。 先頭の親れいむに、子れいむと子まりさが続く。 「ぜっこうの『ぴくにっく』びよりだね!」 起きたらこの好天気。 おうちのある藪を飛び出し、急遽ピクニックに出てきたのだった。 「ゆゆーん。おちびちゃんたち、みちのはしっこのほうをあるいてね!」 「はしっこをゆっくちあるくよ!」 かねがね、子どもたちに「社会勉強」をさせなければいけないと思っていた。 ほとんどおうちの周りから出たことのない子たちだ。 この世界で生きていく上でのルールを──特に人間さんの怖さについて──教え込まなければ。 人間さんに殺され、先に逝ってしまった番のまりさのためにも、この子たちにはずっとずっとゆっくりしてもらいたい。 しんぐるまざーとその子どもだからといって、他のゆっくり達に舐められてはいけないのだ。 親れいむは使命感に燃えていた。 「ゆゆっ!? あそこにおやさいさんがいっぱいあるよ! むーちゃむーちゃしていい?」 「ゆっ! そこははたけさんだよ! にんげんさんたちのばしょだから、はいったらこわいこわいだよ!」 「ゆ? ゆーん、ゆっくちりかいしたよ……」 未練タラタラ、横目で畑を見ながらも、子ども達はどうにか納得してくれたらしい。 とにかく人間さんには逆らってはいけない。 それさえ守れば、自分たちはずっとゆっくり暮らしていけるのだ。 平日の午前中、静かな住宅街。 人間さんも、すぃーも、この時間帯のこの場所ではほとんど見かけない。 まさにピクニックには最適な日だった。 「もうすぐかりのばしょだよ! おちびちゃんもおおきくなったらごはんをとりにくるばしょだから、しっかりおぼえてね!」 「ゆっくちおぼえるよ!」 地域のゴミ集積場へと向かう一行の前に、大きな影が現れた。 目の前に人間の生首が転がっている。 大きいのが一つに、小さいのが二つ。 揃って呆けたように彼を見上げている。 おお、と野良犬は唸った。 野良犬仲間に聞いたことがある。たしか「ゆっくり」と言ったか……。 初めて見るその生き物に戦々恐々としていると、突然、小さい二匹が声を上げた。 「ゆっくちちていっちぇね!」 その甲高い声に彼がビクっとすると、今度は大きいゆっくりが叫んだ。 「いぬさんはゆっくりできないよおおお!!」 混乱する親れいむ。 最愛のまりさを殺した人間さんへの恐怖を教え込むばかり、他のことがまったくおろそかになっていた。 そうだ。 そういえば。 この世界には、人間さん以外にも恐ろしいことはたくさんあるのだ。 犬さんもその一つ。 しんぐるまざー友達のありすは、子どももろとも犬さんに食べられたと聞く。 自分自身が遭遇した事がなかったとはいえ、なぜ子どもたちにその恐ろしさだけでも教えておかなかったのか……。 いや、今ごろ後悔してもはじまらない。とにかくこの場から離れなければ。 「お、おちびちゃんたち、ゆっくりしないでにげるよ!」 その時、犬さんが「クゥン」と優しげに鼻を鳴らした。 その音に反応したらしい。 「ゆゆっ? のらいぬしゃん?」 「ゆゆ、いまのこえ、いぬしゃんもゆっくちしちぇるね!」 子どもたちはあろうことか、犬さんの側に寄っていく。 「どうしていぬさんにちかづくのおおお!?」 子どもたちは聞いていない。 犬さんに「フンフン」と顔を、鼻を近づけられ、喜んでいるようだ。 「ゆ~、くちゅぐっちゃいよお~」 「まりしゃも! まりしゃもふんふんしちぇえ~」 あれ、と親れいむは思った。 この犬さんは、ひょっとしてゆっくりしているのかな? よくよく考えてみると、ゆっくりの中にも、ゆっくりしていない者などはザラにいる。 しんぐるまざー友達のれいむなどがそうだ。 「しんぐるまざー」であることを傘に着せ、いつも傍若無人にふるまっている。 同じれいむなのに、なんでああも自分とは違うのかと、いつも不思議に思っていた。 だから犬さんにもいろいろいるのかも知れない。 そんなことを考えていると、 「おれいにれいみゅが、ぴこぴこしちぇあげりゅね!」 子れいむは揉み上げをピコピコ上下させ、 「まりしゃはぴゅんぴゅんすりゅよ! ゆっくちみてね!」 子まりさはその場でピョンピョン跳ねた。 それを見た犬さんが、しっぽをフリフリさせる。 「ゆっ! いぬさんはゆっくりしてるね!」 親れいむは、とてもゆっくりした気持ちになった。 その時、犬の本能が閃いた。 犬という生き物は、動き回る物体がとにかく大好きだ。 それは飼い主とのフリスビー遊びや、ボール遊びを例に挙げるまでもあるまい。 野良犬である彼とて同じ事である。目の前で動いている小さいモノを目にして、体が動かないわけがない。 黒い帽子をかぶったゆっくりに向け、前足を一閃。 驚くほどあっけなく潰れる。 頭上からの一撃を受けたゆっくりは、「ゆ゛っ」と短くうめいて、そのまま動かなくなった。 あたりに、ゆっくりの中身──とろけるような餡子──の香りが漂う。 ところで、彼ら犬の大好きなものがもう一つある。 それは古今東西、甘いものだ。 甘い匂いの元に、彼は顔を近づけ…… 「れいぶの、れいぶのかばいいおちびぢゃんがああああああ!」 親れいむは絶叫した。 何が起きた? わかっている。目の前で我が子が潰されたのだ。 「素敵なお帽子」を体にめりこませ、平べったくなっている子まりさを見て、 「れいぶのおちびじゃんがつぶれじゃったあああああああ!!!」 親れいむは再び絶叫した。 「おねえちゃんがしんじゃっだあああああああ!!!」 遅れて子れいむも叫ぶ。 「おちびじゃん、しっがり! しっがりしでね! ぺーろぺーろ!!!」 死んでいるのはわかる。しかし親の悲しい本能か。我が子の痛みをやわらげようと、親れいむは子まりさの体 ──すでに中身と区別が付かなくなっている──を舐めはじめたが、もちろん無駄な行為だ。 死んだゆっくりは元にはもどらない。 「どうじて、なおらないのおおおおお!?」 その時、大きな影が親れいむを覆った。 犬さんだ。犬さんが、自分と死んだ子まりさを見下ろしている。 「ぷ、ぷくー!! ぷくーだよ、いぬさん!!!!」 咄嗟に親れいむが頬を膨らませ威嚇するが、犬さんはそれを見ていない。 犬さんは子まりさだったものを見つめ、鼻を「クン」と鳴らした後、おもむろに舌を突き出した。 「ゆゆっ! いぬさん! ぺーろぺーろしてあげてね! いたいいたいをなおしてあげてね!」 混乱しているのか、他でもない野良犬さんが我が子を潰したことを忘れきっているのか。 親れいむはただ必死だった。 「ぺーろぺーろだよおちびちゃん! いぬさんもぺーろぺーろしてくれてるよ!」 しかし親れいむは勘ちがいしていた。 犬さんは決して「ぺーろぺーろ」しようとしたのではない。 ぺーろぺーろと、なめようとしていたのではなく…… 彼は「それ」ガツガツと貪った。 甘い味と匂いが口の中に広がる。 初めてゆっくりに出会い、初めて食ったわけだが、これは久しく忘れていた快感だ。 気のいい人間から食べ物をもらえることは少なくないとはいえ、甘味はそうそう味わえるものではない。 大きいゆっくりが体当たりをしてくるのが邪魔くさいが、夢中でペロリと平らげた。 「じね! おちびじゃんをたべた、いぬざんはじねええええ!」 「おねえちゃんがたべられじゃっだあああああああ!!!」 なにがなんだかわからないが、親れいむとにかく体当たりを続ける。 怖い犬さんに出会ったら、それは実はゆっくりした犬さんで、そう思ったらおちびちゃんが潰されて、 あろうことか食べられてしまった。 「どおじでおちびじゃんをたべじゃうのおおおおお!!!!!!」 親れいむは、犬さんに体当たりを続ける。 まりさの忘れ形見だったのに! 素直で、とてもゆっくりしたいい子で……。 怒りと悲しみを込め、そのゆん生最大、渾身の体当たりを犬さんに見舞う。 「じね! ゆっぐりじねええええええ!」 その体に、犬さんの牙が食い込んだ。 もうそんなに腹は空いていない。 しかし彼は野良犬。こんな甘味に、次はいつめぐり合えるかはわからないのだ。 食べられる時にはしっかり食べるのが鉄則。 人間風に言うなら、さしずめ──据え膳食わぬはなんとやら、だ。 もし食べ切れなかったら、その時はその時。 いつものように…… 食べられている。 親れいむの恐怖は最高潮に達した。 「いぬさん! やべてね! いだいよ、やべでね! ゆっ! ゆがあああああああ!!!!」 「おかあしゃんがいたがってるよ! やめちぇね! もうやめてあげちぇね!」 容赦なく突き立てられる鋭い牙。 「れいぶのおりぼん!!!!!」 まりさが褒めてくれた、きれいなおリボンが引きちぎられた。 「れいぶのきれいなおべべがああああああああああ!!!!!!!」 まりさが好きだといってくれた、自慢の瞳がえぐり出され、あっけなく潰された。 「れいぶのあんよさん! たべないでええええええええ!!!!!!!」 美ゆっくりだったまりさをも魅了した、その自慢の脚線美も切り裂かれた。 親れいむのすべてが。すべてが蹂躙されていく。 「おかあしゃんをたべないでえええええええ!!!!」 ああ、おちびちゃんが怖がっている。 どうしてこんなことになっているのだろう? 子れいむの声をどこか遠くに聞きながら、親れいむは考えていた。 今日はとてもいいお天気。。 家族みんなで、社会勉強を兼ねた楽しいピクニックだったのに。 何を間違えたのだろう? しんぐるまざーとはいえ、どこよりもゆっくりした家庭を築いた自負があったのに。 「おかあしゃんが! おかあしゃんのからだがなくなっちゃったあああああ!!!!!」 ああ、おちびちゃん泣かないで。 薄れていく意識の中、親れいむは、番のまりさと子まりさのゆっくりとした顔を見た気がした。 公園の片隅、一匹の犬が土を掘っている。 彼のその口元と前足を汚す餡子に、だんだん土が混じっていく。 らんらんと輝く彼の目は、まるで特別な宝物を見つけた少年のものだ。 ほどなくして、掘り返された土の中から、かつては食べ物だった腐敗物や骨が姿を現す。 それを見た野良犬は、満足げに鼻を鳴らす。 かたわらでは、紅白の小さなゆっくりが、震えながら涙を流していた。 (了)
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『ワンス・アポンナ・タイム・イン・ニジウラシティ(前編)』 38KB 観察 戦闘 野良ゆ 都会 D.O コンポストまりさ秘話 ※『町れいむ』シリーズ番外編 コンポストで存在感を示しているあのまりさの過去です ※混乱を避けるため、『ふたば系ゆっくりR-18ロダ』に 年表とキャラ相関をあげております D.Oで検索して下さい 『ワンス・アポンナ・タイム・イン・ニジウラシティ(前編)』 D.O まりさには夢があった。 「まりさは誰にも負けない、ビッグな群れを作るのぜ!!」 これが、若さゆえの過ちとやらになるのか、現実になるのかは、この時点では誰も知らない。 ここは、人間達からは『ゆっくりの里』などとも称される街、虹浦市。 数ヶ月前に近くで山火事が起きたため、 大量の野生ゆっくりが市内に流入してしまったのが事の発端である。 動く饅頭が市の人口の1000倍以上も市内に侵入すれば、もちろん公害や事故の原因になる。 当然の流れとして、市ではゆっくりの一斉駆除が行われたのであった。 ちなみにまりさの母は、少々変わり種のドスまりさだったため、 この時に捕獲されて以来、ゆー物園で見世物になっていたりする。 そんな真相を知っていたとしても、まりさにとって慰めにはならなかっただろうが。 そんな珍騒動から数カ月。 事態がすっかり沈静化した現在でも、役所による小規模な駆除自体は、定期的に行われている。 だが、市内の一般人の方は、実際に受けた被害規模から考えると意外なことだが、 ゆっくりに同情的な者が大半となっていた。 山火事に追われた末に人間からまで駆除されるという悲惨さにくわえ、 実際にゆっくり達と間近に接してみて、相互理解が深まったということも要因かもしれない。 拾って飼ってあげよう、毎日公園で餌をあげよう、というのはさすがに少数派だが、 追いかけまわして踏みつぶそうだとか、邪魔だから蹴っ飛ばす、という人間もまた表からは姿を消していた。 そのあたりが適度な距離感を生んだのだろう。 ともあれ街中で住むほとんどの野良ゆっくりにとって、 駆除担当の『青い作業着のお兄さん』以外は、少なくとも『敵』ではなくなったわけである。 ・・・そして今、野良ゆっくりにとっての最大の敵は『街という環境自体』、 そして、『ゲス化した一部の野良ゆっくり』達自身となっている・・・ ちなみに、このまりさ自身が、問題の『ゲス』なのだが。 「ゆぅぅ~!まりさはこの程度で収まるような器じゃないのぜー!!」 「またまりさのびょうきがはじまったよー」 「うるさいのぜ!口ごたえする暇があったら、はやく強くて優秀なゆっくりを集めてくるのぜ!」 「まりさはなにいってるのー?めのまえにいるよー。」 「はぁ!?どっこにいるのぜぇぇええ!? 目の前にはうんうんより使えないちぇんしかいないのぜぇええ!ゆぁあん?」 「わ、わぎゃらないよぉおおお!!」 このまりさの母親は、ゆっくり中最大かつ最強の突然変異種、ドスまりさだった。 まりさの野心の大きさは、ドスの子としての自負によるところも大きい。 自分の力でゆっくりした群れを作ることくらい、 ドスの子たるまりさにかかれば簡単だ、と言ったところだろう。 母が人間に捕獲されてからは、乳母であるぱちゅりーの世話になっていた時期もある。 だが、ドスが捕獲されるときに人間と戦わず逃げた乳母ぱちゅりーに育てられるのは、 まりさにとってどうしても納得できないことだった。 『まりしゃの、ギラギラに輝く熱いハートは、ぱちゅりーなんかには理解できないのぜぇぇえ!』 『むきゅう!待ってー!?まりさはまだまだおちびちゃんなのよ!せめて、ぱちぇも連れて行ってぇ!』 『うっさいのぜ!まりさの仲間に、弱腰なゆっくりは必要無いのぜ!さらばなのぜ!』 『むきゅうううう!おちびちゃぁぁああん!!』 独り立ちするには少々早い、子ゆっくりと成体ゆっくりの中間くらいの頃、 自分の群れを作る事を決意して、まりさは乳母ぱちゅりーと決別していた。 その後は町内を東奔西走して、ようやく20匹程の野良を集めて群れの長に収まり、今に至るという訳である。 だが、まりさは今日も不満げである。 「まったく・・・どいつもこいつも低脳ぞろいで、どうしようも無いのぜ・・・」 不満の原因は、自分の周囲にいるゆっくり達、つまりこの群れのゆっくり達の無能にある。 「わかるよー。うん、わかるよー。わっかるよー。」 「ちぇん、何がわかったのぜ?」 「・・・・・・わからないよー。」 「ゆぎぃいいい!!何言ってるのぜぇええ!」 「ちぇんはいったい、なにがわかったのー?かしこいまりさは、はやくおしえてねー?」 「こっちが聞きたいくらいなのぜ・・・」 「まりさははやく、れいむとすっきりーしてね!すぐでいいよ!」 「どうしてまりさが、そんなことしなきゃいけないのぜ・・・」 「おちびちゃんはゆっくりできるでしょぉおおお!ばかなの?しぬの!?」 「れいむみたいなブッサイクと、どうしてまりさがすっきりーしなきゃいけないのぜぇえええ!!」 「ま・・・まりさは、れいむがきらいになっちゃったの・・・?」 「好きだった事なんて、一度もないのぜ・・・」 一事が万事、この調子である。 群れを率いるゆっくりの多くがぶち当たる壁に、まりさも正面衝突していたということだった。 それに、原因はもう一つあった。 ・・・まりさの生まれも育ちも、周囲の野良とは別格すぎたのである。 まりさの母は、この街にやってきた野生ゆっくりで唯一のドスまりさだった。 しかも、巨大な群れを率い、街のゆっくり全てを傘下に収めた事もある、有力なドスだったのだ。 その生まれを反映してか、まりさ自身、見た目だけで判断するなら、 飼い・野良・野生を問わず、抜群にゆっくりしたゆっくりであった。 若々しく、体力は全身に満ちており 顔立ちも、透き通った金色の大きな瞳が、くりくりとしていて実に愛らしい。 初めて出会った人間なら、ゆっくりショップに並ぶ高級ゆっくりが逃げ出したかと思うだろう。 笑顔になると人間の女性達もつられて笑顔になりそうなほどで、柔和な表情が良く似合う。 ゲスな笑みさえ浮かべなければ、性格の悪さなど微塵も見えてこない。 そもそも、並みの駄ゆっくりなら飲み水にすら苦労する街生活の中にあって、 黒く輝くお帽子と輝きを失っていない金髪、傷一つない体自体が、まりさの有能さを示していた。 野生・野良問わずゆっくりにとって、美しい外見を保っていると言うことは、 単に美しいと言うだけにとどまらない、立派なステータスなのだ。 偉そうな態度も伊達ではない。 おまけに一番身近にいた乳母ぱちゅりーも、さすがにドスに見込まれただけありすこぶる優秀で、 まりさは乳母ぱちゅりーに育てられていた間、飢えたことどころか、 生ゴミすら食べさせられた事も無く、街では貴重な花や虫、野草だけで育てられたという始末だ。 自分の命と利益のために、他のゆっくりを犠牲にして心が痛まない者が『ゲス』と呼ばれるのだが、 まりさが野心の達成や生活の向上を目的とした『ゲス』なのに対し、 目の前の駄ゆっくり達は、周囲のゆっくりを犠牲にしてどうにかこうにか命をつないでいるレベルなのである。 同じ『ゲス』でも、毛色の違いは明らかだった。 周囲の駄ゆっくりこそ平均的な野良ゆっくりの姿ではあったのだが、 まりさが不満を感じるのは当然、といったところであろう。 「ゆぅ。こりゃ、何とかしないとたまらんのぜ。」 野心ばかりは大きいものの、お先真っ暗なまりさの未来。 だが、まりさのように面白げな素材を、運命は放っておかなかったのだった。 ---------------------------------------------- まりさはこの日、特に目的もなく近所の河川敷を散歩をしていた。 普段は野草や虫を狩りに行く場所だが、たまにはゆっくり日向ぼっこというのもいいだろう、 それだけの理由で、いつもより少し遠くまで足を運んだのである。 そして、まりさは偶然、それと出会ったのだった。 「ゆぅ!?ゆわぁ、ひどいありさまなのぜぇ!」 まりさがぶらりとたどり着いた、川にかかる大きな橋の下。 そこは戦場跡だった。 成体ゆっくりばかり数十匹の死体が、 しかも無残に引き裂かれ、叩き潰された死体が辺り一面に転がされていたのである。 そして、その光景を作った原因が、戦場の中央あたりで息絶えていた。 「ゆぅ・・・ふ、ふらん?」 それは、一匹のふらんの死体だった。 羽が折れ、全身に十本近い木の枝を突き刺され、地面に餡子の水たまりを作って息絶えたふらん。 本来であれば捕食種のふらんが、そこらのゆっくり達と正面から戦うことはあり得ないはずだ。 狩られる方は逃げまどうだけだし、狩る方も一応逆襲は警戒して、 正面から戦う気満々の群れに突っ込んでいくことなどしない。 「ゆぅ~?どうしてこんな・・・」 まりさは、そこで初めて、ふらんの死体の下に隠れた、鳥の巣状の物体を確認した。 それは、ふらん種の、本来であれば灌木の茂みの中や木の上、家の軒下などに作る『おうち』であった。 そして、そこには無残に小枝を突き刺され、息絶えた赤ふらん達の死体もある。 「ゆん。運が悪いふらんなのぜ。」 ここまで状況が見えれば、まりさには容易に事の顛末が想像できた。 このふらんは、おそらく橋の下のどこか、橋脚の上あたりにでもおうちを作っていたのだろう。 それが何かの拍子に、地面に落ちてしまったのだ。 この時点では運よくおうちも、赤ふらん達も助かっていたようだが、 河川敷あたりを狩り場にしていた野良ゆっくり達から見れば、 自分達のすぐそばに捕食種の一家が住み着いていたのだから、さぞ衝撃をうけたのだろう。 そして、赤ふらん達が育ってしまわない、しかもおうちが自分達の手の届く場所にあるうちに、 戦いを挑む事を決意したに違いない。 その結果が、ご覧の有様と言うわけだった。 野良ゆっくり数十匹の犠牲の結果、何とかふらん一家を討伐することに成功したと言うわけである。 「うぅ・・・う、うぅ~・・・」 「・・・って、まだいきてるのぉっ!?」 その時、ふらんの死体が、もそもそと動いた。 だが、目の前のふらんは目に光もなく、やはり間違いなく死体である。 とすると・・・ 「うぅ~、おなかすいちゃ~。」 「ゆぅ?・・・ゆあ、おちびちゃんの方だね。驚かすんじゃないのぜぇ!まったく・・・ゆ?」 「おね~ちゃ、おなかしゅいちゃ~、あみゃあみゃ~」 「ゆゆっ!?まりさはおねーさんじゃないのぜ!か、噛むんじゃないのぜ!・・・ゆ、これ・・」 ふらんの死体を動かしたモノ、それは、ふらんが体を盾にして最後に守り通した、 まだ何が食べ物で、何が味方となる存在かもわからない可愛らしい赤ふらん。 その、まりさに向けられる甘えた瞳を覗きこんだとき、 まりさに、これまで考えても来なかった計画が閃いたのであった。 ・・・これは使えるよ・・・ 『そこらの野良が駄ゆっくりばかりなら、自分で育てればいいんじゃない?』 それが、まりさの出した結論である。 「あみゃあみゃー!うー!あーん!」 「ゆぅぅ~、たぶんそうだと思ってたけど、草なんて食べないのぜぇ。ゆふぅ。」 当然ながら、事は簡単ではなかったのであるが。 「まったく、おちびちゃんを育てるのって大変なのぜぇ。」 そもそも普通に自分の子を育ててすら、5匹産んで1匹おとなまで育てば大成功、 というのが野良の常識なのである。 おまけに相手は捕食種のおちびちゃん、食べ物から能力まで、まりさ種などとはまるで違った。 まりさもこの時ばかりは、変な野心をチラつかせるどころではなく、 子育てに全力を注ぐはめになったのである。 おまけに、 「まりさー、ふらんはこわいこわいだよー。どっかにすてようよー。」 「おちびちゃんがほしかったら、れいむとすっきりーすればいいでしょぉおお!?」 「うるさいのぜぇええ!まりさ様のかんっぺきな計画に、ケチをつけるななのぜぇええ!!」 周囲からの協力は得られず。 全員で暮らせるアジトを作る時も、よい狩り場を探す時もまりさが先頭に立っていたというのに、 なんとも薄情な連中であった。 まあ、この群れはまりさを筆頭に全員がゲスなので、当然と言えば当然だったのだが。 まりさもこの時ばかりは、乳母ぱちゅりーの姿を思い出すたび涙目になったものだった。 「ゆゆ~ん、ちょっとお邪魔するのぜぇ。」 そんなわけで今日もまりさは、可愛い赤ふらんのためのご飯を手に入れに奔走している。 「ゆ!?かってにおうちにはいらないでね!れいむはしんぐるまざーなんだよ!やさしくしないとだめだよ!」 「でていっちぇにぇ!ぷきゅー!」 「まあまあ、話をきくのぜぇ。」 まりさが向かうのは、近所に住む野良ゆっくり親子のおうち。 訪問するのは毎回別の場所だが、共通点は一つだけある。 生まれたばかりの赤ゆっくりを抱える家族で、しかも親が薄情そうな連中だ。 今日訪問したれいむ親子もそんな一家である。 「しんぐるまざーは大変なのぜぇ?れいむもよーく、わかってるはずなのぜぇ。」 「なにいっちぇるの!?おきゃーしゃんは、れいみゅがいりゅと、ゆっくちできりゅんだよ!」 「・・・・・・ゆぅ。」 「どうしちぇ、かんがえこんじぇるにょぉぉお!?」 とまあこんな感じで、性欲に勝てずすっきりーしたものの、 とてもおちびちゃんを育てられそうにはない、と実感させられている親ゆっくりは多い。 ある程度優秀じゃなければ、自分一匹分のごはんを集めるだけでも大変なのだから、当たり前の話だ。 『おちびちゃんはゆっくりできる』という本能に加え、 育児放棄がばれると近所のゆっくりに責められることになるために、渋々育てているのである。 「ゆへへぇ。そこでいい話があるのぜぇ。」 そんな微妙なれいむ親子の空気を把握した上で、 まりさは母れいむの目の前にポイッと紙袋を放った。 「ゆ!?『ガサガサ』ゆわぁ、ごはんがいっぱいはいってるよ!」 「ゆふふ。食べるのはちょっと待つのぜぇ。それと交換に、おちびちゃんを譲ってほしいのぜ。」 「ゆわーい!むーちゃむーちゃしゅる・・・なにいっちぇるのぉおお!?」 ・・・・・・。 「ゆっくりつれていってね!にどとこなくてもいいよ!」 「おきゃーしゃぁぁあん!?どうしちぇそんなこというにょぉおお!?」 母れいむはたっぷり2秒考え込んだ後、まりさに赤れいむを渡し、 3日分の食料に当たる、一握りの生ゴミを手にすることを選んだのであった。 母れいむは赤れいむを殺したり、育児放棄したりせず、しかも食料を手に入れられる。 まりさがどんな思惑を持っているのかは知らないが、母れいむにその後の責任は無い。 まりさもそうだが、この母れいむも街に生きる野良らしい、冷徹な計算をできるゆっくりだった。 「ゆぴぅ・・・おきゃーしゃん、どうしちぇ。」 「まあ、そろそろ泣きやむのぜ。」 「まりしゃおねーしゃん・・・」 こうやって、まりさはせっせと赤ゆっくりをもらってきては、 「どうせもう、まりさのおちびちゃんのご飯になるのぜ。ふらん、帰ったのぜ~!」 「うー!おとーしゃん!あみゃあみゃー!」 「ゆんやぁあああ!どうしちぇふらんがいりゅのぉおおお!!」 赤ふらんにご飯として与えるのであった。 そして、まりさは毎夜ふらんに、まりさを知っている者なら目を疑うような、 優しさあふれる笑顔を向けながらお話しする。 それは、普通の親子のような会話の事もあれば、そうでない事もあった。 「ふらん?お腹はいっぱいになったのぜ?」 「うー!ちあわちぇー。」 「ゆふふ、早くおおきくなって、おとーさんの邪魔をするゆっくりたちも、みんな食べちゃうのぜ。」 「う~、みんなあみゃあみゃ~?」 「あまあまなのぜ。食べちゃだめなのは家族だけなのぜ。」 「う?かぞく~?」 「そうなのぜ。あんこはつながってなくても、おとーさんとふらんは親子なのぜ。 家族は、絶対にゆっくりさせなきゃいけないのぜ。ふらんはおとーさんをゆっくりさせるのぜ!」 「うー!かぞくはゆっくちさせりゅー!あとはたべもにょー!」 「ゆふふ、ふらんは賢くって、とってもゆっくりしてるのぜ~。」 妙な洗脳を施しているようだが、実はまりさ、大まじめである。 まりさの世界では 『家族=まりさをゆっくり支える存在』 『群れ=まりさが搾取する相手』 『その他他ゆっくり=食い物(捕食種的な意味では無い)』なのだから。 まりさ本来の性格に加え、育ちも大きく影響していたのであろうが。 そしてふらんの方はと言うと、 「ゆぴ~、すぴ~・・・ふらん~、はやくおっきくなるのぜぇ~・・・」 「おとーしゃん・・・ちあわちぇ・・・」 親が与えている以上の愛情を受け取りながら、素直にすくすくと育っていった。 子育て上手は、まりさの意外な才能だったのであった。 まりさはこうして、野望への特急チケットを一枚、ついに手に入れたのである。 ---------------------------------------------- ふらんとの出会いから、数ヵ月が経った。 「ゆっへっへ。このナワバリは、まりさ様がいただくのぜぇ。」 「むほぉっ!このいなかものぉおお!このひろばは、『れいむファミリー』のなわばりなのよ!」 人もめったに近づかない袋小路で、2つのゆっくりの集団が、 今にも殺し合いを始めんばかりに火花を散らし合っている。 その数はおよそ50匹対50匹。数の上では互角だ。 ただしその一方には、最強クラスの捕食種・ふらんがいる。 そして空に浮かぶふらんの真下には、まりさの姿もあった。 「(ようやく、ようっやくここまで来たのぜぇ・・・)」 数カ月前から、数を倍増させた『まりさファミリー』。 大きく、強く、そして素直に成長した愛娘、ふらん。 周囲にあった3つの群れを滅ぼして広げた巨大なナワバリ。 今正面で向かい合う『れいむファミリー』は、まりさが独り立ちした頃には、 すでに町内で最大規模の組織だった。 『まりさファミリー』は、それと堂々と向かい合えるほどに成長したのである。 まりさの野望にはまだまだ先があるものの、当面掲げていた第一目標が、 今日こそ達成されようとしていたのだった。 この虹浦市には、『ゲスマフィア』と呼ばれる野良ゲスゆっくり達の組織が数多く作られている。 それは、街の野良ゲス達によって組織される、ゆっくり社会の裏側を支配する存在。 「裏側」という表現からもわかるように、普通の生活を営む野良ゆっくり達では、存在自体知らない事も多い。 その実体はゲスの中のゲス、悪質なゲスを集めた暴力集団であり、同時に秩序を守る存在でもあった。 ゆっくり間のトラブルを暴力でムリヤリ揉み潰して謝礼を要求したり、人間を刺激しそうな駄ゆっくりを暗殺したり、 さらに、ゆっくりにとっての麻薬や酒にあたる『あまあま』やら『小麦粉』やらを密売したり、 はたまた、ゆっくり達の間では意外と人気のある『賭博』の胴元をやったりと、 真っ当なゆっくり、非力なゆっくりでは手が出せない仕事を生業とするのである。 密売や賭博はともかくとして、野良社会では周りの迷惑を理解しない駄ゆっくりが 善良野良や、下手をすれば人間相手にまで暴れまわることはままあり、 トラブルは絶えないので、ゲスマフィアという暴力組織も一定の需要はあったのだ。 そんな、ゆっくり社会においても最も実力主義の色が強い舞台に、まりさは飛び込んでいった。 まりさの側近・ふらんを手に入れ、自分の知性への絶対的な自身もあり、イケイケ状態だったのかもしれない。 「ゆふふふ、『れいむファミリー』がなんぼのモンなのぜ。 ウチのふらんのえじきになりたくなければ、さっさと負けを認めるがいいのぜぇ。」 「うー!」 「「「む、むほ・・・」」」 『れいむファミリー』の下っ端ありす達は、ふらんの一鳴きでぺにぺにを委縮させる。 当然だ、とまりさはさらに胸を反りかえさせて自信満々な笑みを浮かべた。 ふらんは、かつて自分を守り抜いて死んでいった母ふらんの餡子を色濃く受け継いだ、優秀なふらんだった。 まりさに良く懐き、良く言う事を聞くという意味でも優秀だった。 しかもまりさの英才教育で、子ゆっくりの頃には成体ゆっくり3匹をぶら下げて飛べるほどに育ち、 今なお成長過程と言う猛者である。 野良ありすなぞ、ひとにらみされた瞬間ぺにぺにが千切れ飛ぶ、と言うものであった。 だが、まりさは一つだけ、大きな勘違いをしていた。 そのつけを、これから払うこととなる。 「道を開けてね!」 「「「むほっ!?」」」 ザザザッ!! ふらんの迫力によって、戦う前に勝負が決まったかのような雰囲気に包まれたその時だった。 大声でもないのに、不思議とよく響く声で発せられた命令。 それと同時に、『れいむファミリー』のゆっくり数十匹の固まりが、 中央から真っ二つに分かれて道をあけたのである。 のそ、もそもそ・・・ 「ゆふふふ、れいむがこのファミリーの長なのぜ? ノコノコふらんにやられに出てくるとは、いい度胸なのぜ。」 「・・・・・・。」 『れいむファミリー』の中央に作られた道を、 まりさの方に向けてのそのそと歩いてきたのは、一匹のれいむだった。 これまで潰してきたファミリーの長達と異なり、別段特筆するような風貌はしていない。 表情に険しさはまるでなく、周囲の下っ端ゲスよりよほど優しげである。 歴戦のつわものらしい傷も無く、体の大きさにいたっては並より若干小さいくらいだ。 しかも、あんよに茶色く焦げたような古傷が見え、その傷のせいか、あんよを引きずるように歩いている。 『まりさファミリー』のほぼ全員が、その姿を見て、れいむを見下すような表情を浮かべたほどだった。 だが、そのれいむと視線があった瞬間、まりさは気味の悪さを感じた。 別に、れいむの態度から何かを感じ取ったわけではない。 ただ、何の感情も浮かべていないれいむの、その野良にしては清潔で美しすぎる姿に、 まりさは自分に近い何かを感じたのである。 そしてまりさの体は無意識のうちに、れいむとの間に仲間のゆっくり達を挟むように動いて、 その影に身を隠そうとした。 しゅかっ! 「・・・ゆ?」 その瞬間、まりさとれいむの間の、一番れいむに近い場所にいた、 2匹の下っ端ちぇんのお帽子が宙を舞った。 ・・・ちぇん達の顔面と一緒に。 べしゃっ・・・ 「いくよ。」 顔面を失ったちぇん達が、一言も発さないままチョコを撒き散らして崩れ落ちた姿を見て、 茫然とするまりさファミリーの全員に、れいむがぼそりとつぶやく。 れいむの両もみあげには、いつの間にか、銀色に輝く凶器が握られていた。 それは、人間が食事の時に使う、子供用のハンバーグナイフ。 ・・・人間から見れば刃物と呼べるものでもない。 だが、金属製の薄い刃は、ゆっくり達にとっては、十分な殺傷能力を持つ武器だった。 おそらくもみあげの中にでも隠し持っていたのであろう。 「ふ、ふらん!みんな、れいむを!!」 どむっ!! しゅかっ! 「ゆぴぃっ!?」 まりさがファミリーに、れいむを囲み殺させるために指示を出そうとした瞬間、 ふらんの体当たりがまりさに炸裂した。 「な、なにするのぜぇっ!ふらん・・・!?」 何が起こったのか一瞬理解できなかったまりさは、痛みをこらえて自分の立っていた場所に振り返る。 「・・・ゆぅ。はずしたよ。」 そこには、つい一瞬前まで、確かにまりさから10メートル以上先にいたはずのれいむが立っていた。 「ゆ、ゆぇ!?どうぢで!?」 「歩いただけだよ。見えなかったの?」 「うー・・・ううー。」 れいむの目の前には、まりさを突き飛ばしたと同時に、れいむに頬を切り裂かれ餡子を流すふらんが見える。 だが、れいむはニヤリともせず、一撃で殺せなかった事に不満げな表情すら浮かべていた。 「ふ、ふらん!大丈夫なの!?」 「うー・・・へいき。」 右頬を深く切り裂かれながら、ふらんは痛みも忘れ、ただ驚きのために冷汗を流している。 れいむの異常な動きには、空中から見ていたふらんだけが反応出来たのだ。 ふらんにも、どういう原理でれいむが動いたかはまったく理解できていない。 だが、ふらんでさえまりさを突き飛ばすのがやっとという速度で、 まるでカーリングストーンを全力で投げたような、地面を滑るような動きで、 ゆっくり感覚で言えば『一瞬』と言っていい速度をもって、れいむはまりさとの間合いを詰めたのだ。 そして、まりさ達が状況を把握しようと餡子を高速回転させ始めた頃、 れいむはすでに、まりさファミリーの集団のど真ん中に勢いよく突っ込み、一方的な殺戮を開始していた。 ざしゅっ! 「ゆぺっ?」 しゅこっ! 「ぴっ?」 れいむは、驚きのあまり思考停止して、口をポカンと開けたままの下っ端ゲス達に高速で接近し、 もみあげを一振りするたびに一匹づつ輪切りにしていく。 「ゆ・・・わ、わぎゃらないよぉおお!」 「にがさないよ!ごぷっ!!」 しゅんっ!どすっ! 「わぎゃらっ!?」 10匹目がやられたあたりで、一番後ろにいた腰抜けちぇんが逃げようと動いたが、 れいむの喉の奥から勢いよく吐きだされたナイフが、ちぇんの後頭部を正確に貫く。 まったく、それは戦いにもなっていなかった。 むしろ捕食種から逃げまどう、野生ゆっくり達の姿を思わせるほどである。 そして、まりさとふらんは正確に理解した。 自分達の間違い、 自分達こそが最強だという勘違いを。 そして『アレ』は、ふたりがまともに戦って勝てる相手では無い、と。 「み、みんな、れいむを囲むのぜー!!・・・ぜ?」 まりさはそれでも、何とか冷静さを取り戻すことに成功し、指示を出そうとする。 しかし、それも手遅れだった。 「すたこらさっさーだよー!わかってねー!」 「で、でいぶまだじにだぐないぃぃいいい!!」 「ありすはまだすっきりーしたいのよぉぉおおお!!」 「ゆわわわ、ま、まりさを置いて行っちゃだめなのぜぇぇえええ!?」 瞬く間に半数近くの味方が輪切りにされる光景をみてしまったのだから当然なのだろうが。 自分の危険を理解した後のゲスの行動は早い。 まりさファミリーで生き残っていた下っ端ゆっくり達は、 まりさを置いてとっとと逃げ出してしまったのであった。 今、まりさの目の前には、味方だったゆっくり達の死体を挟んで、あのれいむだけが立っている。 「ゆ、ゆひぇぇぇ・・・ゆっぐぢだずげで・・・」 「ゆふふ。逃げるゆっくりに興味はないよ・・・もちろん、長は逃がさないけどね。」 「ゆわぁああああ!?『ジョロロロ・・・ブリッブリブリッ!!』ごべんなざいぃいいい!?」 振り上げられるれいむの刃。 失禁まりさの命は、その野心とともに尽きようとしていた。 「うーっ!!」 ドムッ!! 「ゆっ!?」 その時だった。 れいむに空中から、ふらんが襲いかかったのは。 れいむの2本の刃とふらんの牙が、ギャリギャリと鍔迫り合いを続ける。 「ゆうっ!逃げないとは立派だね!殺しがいがある獲物だよ!」 「うー、ぎぎ・・・おとーさん、にげてぇぇ・・・ぎぎぎ・・・」 ふらんの叫びがまりさに届いたとき、すでにまりさは後ろに振り返り、全力で逃走を開始していた。 「ふ、ふらん!あとは頼んだのぜぇえええ!!」 「ゆぅぅ、まりさの方はとんだ卑怯者だね。みんな!追いかけるんだよ!ふらんはれいむにまかせてね!!」 「「「むほぉぉぉおおお!!まりさのおしり、とってもおいしそうねぇぇえええ!!」」」 こうして、まりさはゆん生何度目かの圧倒的敗北を味わい、 自分のせっかく立ち上げた組織を丸ごと叩き潰されたあげく、 『れいむファミリー』の追手から屈辱的な逃走をすることになったのであった・・・ ---------------------------------------------- 半日後。 まりさは街のはずれにある小さな廃倉庫の、床下に作っていた隠れ家にたどり着いていた。 ふらん以外には、ファミリーのメンバーにすら教えていなかった秘密の隠れ家である。 「う~・・・ふらんかえった~。」 「ふらん!?よかったのぜ~。さすがはまりさのおちびちゃんなのぜ。」 「う~、でも、こわかった~。」 「ゆへぇ、ま、まったくだったのぜぇ。」 間もなく、ふらんも隠れ家に合流した。 これは、以前からいざという時のために考えていた、約束事だったのである。 事故があって離れ離れになってしまった時は、この秘密の隠れ家で合流しようという、 まりさらしい、抜け目のない取り決めだった。 まさかこんなに早く役立つとは考えていなかったのだが。 「うー、おとーさん。ふらんがんばったー。ほめてー。」 「ゆ?ゆふん!まりさだけでも、あのくらい何とかなったのぜ!」 「うー・・・すなおじゃないー・・・。おとーさん、おそろしーしーしてた。」 「ゆ!?ま、まあ、よくがんばってくれたのぜ。ぺーろぺーろしてあげるのぜ。」 「うー、きもちいー。」 ふらんにぺーろぺーろしながら、まりさは考える。 それにしても、時間稼ぎのためにれいむと一騎打ちしていたふらんが、十数か所の切り傷を受けながら、 それでも何とか大きな傷も受けずに逃げ切ったのは、不幸中の幸いだった。 というか、それぐらいしか明るい話の無い、ひどい負け戦だったといえる。 まりさだって、ふらんほどでは無いにしても、 れいむ種やまりさ種などの中ではかなり強い部類だとの自負があったのだ。 実際今回の逃走中にも、罠にはめたり待ち伏せしたりして、 隠れ家にたどり着くまでに追手を10匹以上半殺しにしている。 だが、あのれいむが見せた強さは、まりさのそれとは明らかに別の次元であり、 何の慰めにもなってなかった。 そして一つ、今回の敗北で、まりさはとても重要な事を学ばされた。 それは、『駄ゆっくりはいくら集めても、あてにならない』ということであった。 ふらんのような戦闘力や、まりさのような知力を求めるわけでもないが、 いざという時の盾の役割も果たせないようでは、お話にならない。 ファミリーを維持する労力を考えると、最初からいない方がまだマシである。 「うー。おとーさんのかみのけ、ふわふわ~。」 「ゆぅ~。ふらんはホントに、とってもいい子なのぜ。すーりすーり。」 「すーりすーり、しあわせ~。」 まりさは自分を置いてさっさと逃げた連中を思い出すと、怒りで餡子が煮えくり返りそうだったが、 大ケガを負いながらも自分に目一杯甘えてくるふらんを見ていると、その怒りも喜びに変わった。 むしろ、あのれいむに感謝したいほどであった。 なぜなら、今回の失敗のおかげで、まりさの中でついに、 理想とするファミリーの形が、ハッキリ見えたからである。 そしてその理想を実現するための手段もまた・・・ ---------------------------------------------- 「ぱちゅりー!」 「むきゅっ!」 「みょん!」 「みょっ!」 「えーりん!」 「はい!」 「これからおちびちゃん達は、まりさのおちびちゃんなのぜ! おねーさんのふらんと仲良くして、おとーさんをゆっくりさせるのぜ!」 「「「ゆっくちがんばりましゅ!」」」 「・・・ふらんも、新しい妹達と、仲良くするのぜ。」 「うーっ!かぞくはゆっくちさせるー!あとはたべものー!」 「その通りなのぜ!」 れいむファミリーとの戦いから数日経ち、ふらんの傷も癒えた頃、まりさに新しい家族が増えた。 それは、ぱちゅりー、みょん、えーりんの、3匹の可愛らしい赤ゆっくり。 もちろんまりさと餡子がつながったおちびちゃんは一匹もいない。 ふらんと同様、拾い子である。 あの敗北は、まりさに色々な事を教えてくれた。 これまで、まりさはこのように考えていた。 『家族=まりさをゆっくり支える存在』 『群れ=まりさが搾取する相手』 『他ゆっくり=食い物(捕食種的な意味では無い)』と。 だが、今は違う。 『家族=まりさをゆっくり支える存在』 『他ゆっくり=まりさに搾取されるべき存在』 こうである。 まりさにとっての『家族』が、必ずしも餡子のつながりを求めるものでないことは従来通りだったが、 今やまりさは、『群れ』と『家族』を区別することをやめてしまっていた。 今のまりさは、群れだなんだと言って集まってくる連中など、 自分が育て、自分に懐き、自分を親として尊敬する子供達に比べれば、価値など0以下だと確信している。 そこでまりさの出した結論は・・・『仲間は自分で育てる』、これであった。 しっかり育てたおちびちゃんは、100匹の駄ゆっくりに勝る。 ならば、多少遠回りであっても、育て上げて見せる。 新生まりさファミリーが、その歩みを始めた瞬間であった。 ---------------------------------------------- さて、まりさの理想実現が賭かっている3匹のおちびちゃん達なのだが、 まりさとしては贅沢を言うと、新規加入のおちびちゃん達は、 戦力として計算できる捕食種・希少種で固めたかったのが本音だったりする。 しかしまあ、さすがにそう都合よくいくものでもない。 まりさが自分の家族に迎える赤ゆっくりの条件として考えていたのは、結局のところ一つだけだ。 それは、両親がおらず、自力で生きられない赤ゆっくりで、今現在不幸の真っただ中におり、 要するに、まりさ以外に頼れる相手がいないということであった。 まりさが最初に向かったのは、とあるアンダーグラウンドのゆっくりショップ、 その裏手にあるゴミ置き場だった。 ショップ、とは言ってもまともなゆっくりショップでは無く、 街で大っぴらに商売するのがはばかられる類の、いわゆる虐待向けゆっくりショップである。 飼いゆっくり登録のバッジなぞ当然付けられず、毎日大量に繁殖させては、 生まれたその日のうちに売り尽くす。 客ひとりで3桁近い数の赤ゆっくりを買っていく事も珍しくない、要するにそういう店だ。 「ゆふふ、これなのぜ。」 まりさとふらんが人影のいない事を確認しつつたどり着いたそこには、 10個ほどの小汚いバケツが置かれていた。 そして、その中には、 「うー?・・・うあー!?すごい、あまあまがいっぱーい!」 「食べちゃだめなのぜふらん!人間さんに怒られるのぜ。」 「っくち・・・させちぇ・・・」「みゃみゃ・・・」「ゆ・・んやぁ・・・」 バケツいっぱいに、れいむ、まりさ、ぱちゅりー、ちぇんなど、 生まれて間もない大量の赤ゆっくりが詰め込まれていた。 これは、今日販売される予定の赤ゆっくり達である。 バケツにぞんざいに放り込まれ、 2~3匹圧死したところでどうでもいいと言った感じの扱われ方をされているあたり、 店の商品に対する考え方が良くわかる。 「うー。たべたいー。」 「まあ、見てるのぜ。・・・ゆんっ!おちびちゃんたち!ゆっくりしていってね!!」 「「「ゆ、ゆっくちしちぇっちぇにぇ!」」」 まりさの呼びかけに対し、バケツの中から息苦しそうな返事が返ってくる。 「おちびちゃん達、ゆっくりしたいのぜ?」 「・・・うっくちちちゃい・・!」「だしちぇぇ・・・」「ゆっくち!」 「じゃあ、自分ででてくるのぜ。」 「「「・・・・・・!?」」」 赤ゆっくりならなんでもいいというわけではない。 まりさが欲しいのは、少なくとも自分の盾になってくれる、根性のある素材だった。 まして、このバケツの中にいるような、希少種どころかゴミ一歩手前の赤ゆっくり達では、 なおのこと根性を見せてもらわなければ話にならない。 「たかくちぇ・・ゆっくちおりれにゃいよぉ・・・」「きょわいよぉ・・・」 「自分で出てきたら、まりさのおちびちゃんにしてあげるのぜ。来るなら早く出てくるのぜぇ。」 だが、赤ゆっくり達から見れば、自分達の入っている大きめのバケツから飛び降りるのは、 まさしくビルから飛び降りるような感覚であろう。 「おりれるわけにゃいでしょぉおお!」「ゆっくちおろしちぇにぇ!」 まりさの想像通り、ほとんどすべての赤ゆっくりが、こんな反応を返してきた。 だからこそ、店の方も逃げられる心配なぞせずに赤ゆっくりバケツをこんな所に置いておけるのであるが。 ・・・だが、百匹以上も赤ゆっくりがいれば、当然見どころのある者もいる。 「む、むきゅ!ぱ、ぱちぇはおりりゅわ!つれていっちぇにぇ!」 「そこから落ちたら、痛い痛~いなのぜ?降りられるのぜ~?」 「むきゅぅぅ、いじわるなこと、いわないで・・・」 この高さから落ちれば、生まれたての赤ゆっくりではあんよが破れて死んでしまっても不思議ではない。 だが、赤ぱちゅりーは自分達の状況をよく理解できていた。 生まれたばかりで、本来ならば、両親から精一杯ゆっくりさせてもらえるはずなのに、 こんな息苦しいゆっくりできない場所に押し込められているのだ。 ならばこの後は、さらにゆっくりできない目に遭ってもおかしくない、と。 だからこそ、赤ぱちゅりーは自分の運と、ひょっとしたらゆっくりできるかもしれない、 まりさと暮らす未来に最後の望みを賭け・・・飛んだ。 「むきゅーん!おしょら!」 ぽろり、ぽすっ。 「ナイスガッツなのぜ。」 そして、さっと差し出されたまりさの柔らかいお帽子に、包み込まれるように受け止められた。 ぱちゅりーがその感触を意外に感じながら顔をあげると、 そこにはまりさの、意地の悪さからは想像もつかない優しい笑顔があった。 ぱちゅりーは、まりさの家族として認められたのである。 「ゆぁぁああん!うけとめてくれりゅなら、どうちていってくれにゃいのぉおお!?」 「れいみゅも、れいみゅもおろしちぇぇぇええ!」 てっきり固い地面に降りなければいけないと思っていた他の赤ゆ達は当然、 ぱちゅりーを優しく受け止め、すーりすーりぺーろぺーろしてあげているまりさの姿を見て、騒ぎ始めた。 だが、それに対するまりさの反応は、冷たいものだった。 「欲しかったのは、最初のひとりだけなのぜ。あとのみんなは、勝手にゆっくり逃げだせばいいのぜ。」 「「「どうぢでそんなこというにょぉおおお!?」」」 「じゃ、ぱちゅりー、まりさのおうちにいくのぜ。ふらん、新しい妹なのぜ。」 「うー?いもうとー?」 「む、むきゅぅぅ・・・」 「うっうー!ゆっくりりかいしたー!」 「む、むきゅぅ、よ、よろしくにぇ、ふらんおにぇーしゃん。」 「「「ゆぁぁああん!まっちぇぇぇえ!たしゅけちぇぇぇええ!!」」」 こうして、幸運を自力で勝ち取った赤ぱちゅりーが新たに、まりさの家族に加わったのであった。 ちなみに、この時赤ぱちゅりーと同じバケツにいた赤ゆっくりで、 翌日まで生き延びた者はひとりもいない。 ぱちゅりーを選んだ方法は完全なその場の思いつきだったのだが、 まりさとしても、家族に加えるゆっくりを選ぶにあたり、過酷な試練を設けるというのは、 なかなか良いアイディアに思えた。 そんなことを考えながら次に向かったのは公園。 だいたい都合よいおちびちゃんが落ちていそうな場所は見当つけて探しているのだが、 まりさの思惑通り、またもや良さそうな赤ゆっくり達が見つかった。 「・・・・・・!?・・・!」 「うわ。なんかひどいことになってるのぜ。」 公園でまりさ達が出会ったのは、5匹の赤ゆっくり。 ちぇんが3匹とみょんが2匹だ。 親はどうしたのかと思ったが、赤ゆっくり達のすぐ後ろに生えている木の枝に、 成体ゆっくりと思われるちぇんとみょんが突き刺さっているのが見えたので、大体事情は理解できた。 それにしても、問題は赤ゆっくり達の方である。 「お口が開かないのぜ?・・・ゆぅ、これ・・・」 「「「・・・!!・・・・!?」」」 「うー?しゃべれないのー?」 赤ゆっくり達は、おそらく、というかほぼ確実に、人間の手で虐待済みだった。 額にはマジックで『げす』と書かれているあたり、この赤ゆっくり達の両親が、何か人間を怒らせたのか。 さらに、赤ゆっくり達の口元を見ると、どうやら固く接着されており、 うめき声一つ発することが出来ない有様である。 まりさ達には、何を使えばそんなことが出来るのかはわからなかったが、 つまりは接着剤で唇を接着されてしまっていたのであった。 「はがしてみるのぜ?ゆん、ゆんせ。」 「・・・!!・・!!」 「うー?はがれないー?」 「ゆぅん。こりゃ、歯もほっぺもくっついてるのぜぇ。引っ張ってもだめそうなのぜ。」 だが、まりさの表情は残念そうどころか、何やら上手い事を思いついた、という感じだった。 「うー・・・おとーさん、わるいかおしてる・・・。」 「べ、別に悪いことしたりしないのぜ。助けてあげようっていうのぜ。」 そしてまりさは5匹の赤ゆっくり達を連れて、公園のブロック塀のところまでやって来て、 顔に満面の笑みを浮かべながら言った。 「このままだと、おちびちゃんたちはお口が開けられなくて、むーしゃむーしゃもできなくて死んじゃうのぜ。」 「「「・・・!・・!?」」」 「だから、お口をこのザラザラの壁さんで削って、無理やりこじあけるのぜぇ。ゆふふ。」 「「・・・・・・」」 「・・・とっても痛いのぜ。」 「「「・・・!?・・・!!・・・!!」」」 「嫌なら、無理にはやらないのぜ。やりたくなったおちびちゃんから、まりさの方に来るのぜ。」 「「「・・・・・・」」」 赤ゆっくり達も、このままでは自分達が餓死してしまう事くらい理解できていた。 現に今、すでにお腹はぺーこぺーこで、めまいがしているくらいなのだから。 そして、ダラダラと脂汗を流しながら考え込んでいたが、ついに一匹の赤ちぇんが、前に進み出た。 他の4匹より多少体が大きいので、長女なのかもしれない。 「それじゃいくのぜ。」 ひょいっ。・・・じょり・・・じょり! 「・・・!!・・ぅー!!」 まりさはその赤ちぇんの体を舌でひょいっと持ち上げ、そのまま顔面をブロック塀に押し付けると、 ゴリゴリと赤ちぇんの唇をブロック塀で削り落していった。 所詮は饅頭。 ブロック塀のヤスリによって、赤ちぇんの唇と前歯はあっという間に削り落されていく。 そして、 じょーりじょーり、じょりっ! 「・・・!ゆ、ゆびゃぁぁあああああ!!」 「ゆんっ!お口が開いたのぜ!」 「ゆびぇ、びぴぅ・・・ゆげろぉ・・・・わぎゃら・・・・・・」 「ゆ?・・・あ、死んじゃったのぜ。」 「「「・・・!?・・!!」」」 そして、赤ちぇんはお口が開くと同時に大量のチョコを吐きだして、そのまま息絶えた。 死因は激痛によるショック死、あるいは非ゆっくり状態が続きすぎて、チョコを吐き尽して死んだのか。 ともあれ、まりさの家族に加わるには、強さが足りなかったようである。 「ま、しょうがないのぜ。じゃあ、次は誰なのぜ?」 「「「!?・・・!?・・・!!」」」 「どうせ、やらなきゃ死ぬのぜ?」 「「「・・・!!」」」 ・・・それから10分後。 結局5匹全員がまりさによって、唇全部と前歯の先端から3分の1ほどの部分を削り落された。 しかし結局、なんとか生き残ったのは末っ子の赤みょん一匹だけだった。 「みょ、びょ・・・」 「うー・・・だいじょうぶ?」 「ゆび・・びぇ・・」 「ゆわー。ひどい傷なのぜー。かわいそうなのぜー。(棒読み)」 「うー、おとーさんがやった。」 「な、なにいうのぜ!?まりさは別に悪くないのぜ!?」 まあ、とにかく強い生命力を持っていた赤みょんは、まりさの試練を乗り越えることができた。 みょんもまた、ぱちゅりー同様、自分の力で未来を手にしたのである。 少なくとも、愚かな両親の巻き添えになったあげくの、餓死よりはマシな未来を。 こうして、赤ぱちゅりー、そして赤みょんは、 赤ゆっくりにしては余りにも過酷な試練を乗り越えてきたわけだが、 そこまで大変な思いをせずにまりさの家族に迎えられた赤ゆっくりもいた。 えーりんである。 「ゆ?れみりゃなのぜ?」 「うー?」 街中でもたまに見かけるれみりゃ。 当然捕食種なので、普通のゆっくりならば大急ぎで身を隠すところだが、 まりさの場合、ふらんがそばにいるので、まず襲われる心配は無い。 まりさがれみりゃに関心を持ったのは、れみりゃがお口に咥えていた赤ゆっくりに目をつけたためである。 れみりゃがおうちでゆっくり食べようとしているのだろう赤ゆっくりは、明らかに希少種の風貌をしていた。 「・・・あれはいいおちびちゃんなのぜ。ふらん、ちょっともらって来てほしいのぜ。」 「うー?わかったー。」 ・・・・・・。 『うあー!れびりゃのごはんぅぅうう!!』 『うーっ!しねっ!しねっ!』 『やべでぇぇええ!!うあー!!』 「な、なんか、ややこしい事になってるのぜぇ。」 結局れみりゃがごねるので、まりさは近くにいたありす一家を捕まえてきてれみりゃに渡し、 穏便に交換してあげる事にした。 れみりゃも、希少種の良くわからない餡よりもカスタードの方が好みだったらしく、 気持ちよく交換に応じてくれた。 ふらんも無能なはずは無いのだが、この辺は向き不向きというものである。 「うー?このおちびちゃん、ゆっくりできるのー?」 「ゆふふ。これは、えーりんなのぜ。とってもゆっくりできるのぜ。」 まりさ達が助けた、長い銀髪と青い帽子を持つ赤ゆっくりは、 希少種中の希少種、ゆっくりえーりんだった。 「おちびちゃん、『まりさが』助けてあげたから、もう平気なのぜ。」 「・・・おきゃーしゃん・・・ゆぁぁああん!」 「怖かったのぜ?ゆっくりするのぜ。」 まりさとしては、この赤えーりんの親えーりんあたりに恩を売って、 今後上手く利用できればいいくらいに考えていたのだが、 親がやられているならそれはそれで好都合だった。 「おかーさんがいないなら、まりさのおうちにくるのぜ?」 「ゆぅん、ゆん。まりしゃおねーしゃんのおうち、ゆっくちできりゅ?」 「うっうー!おとーさんは、とってもゆっくりできる!だいじょうぶー!」 「・・・ゆん、ゆっくちよろしくおねがいしましゅ!」 こうして、赤えーりんはみょんやぱちぇと比べれば随分すんなりと、 新たな家族の一員として迎え入れられたのであった。 不公平なようだが、希少種と並みのゆっくりとではこの程度の差があってもしょうがないものである。 こうして、この数日でまりさの、餡子の繋がりなど一切ない家族は、その数を倍に増やし、 おうちはさながら保育園か孤児院のようになったのであった。 今回は捕食種がいなかった分、子育てはだいぶ楽だったようである。 まりさは、(主に自分のために)わざわざ柔らかい雑草を探し回り、 天日で干して作った特製の布団をかぶせてあげながら、子供たちに優しく語りかける。 「(まりさをゆっくりさせるために)早く、強く、大きく育ってね。おちびちゃん達。」 「「「おとーしゃん・・・ゆっくちー。」」」 正直な話、まりさとしては今でも、いざという時の盾にでもなってくれれば十分、という考えでいたのだが、 例によって子供たちの方は、まりさから与えられる以上の愛を受け取り、 素直にすくすくと成長していったのであった。 まりさの育て方は確かに上手だったのだが、 子供たちの方がまた、元々善良なゆっくりだったのかもしれない。
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『ふぇいと(笑)』 44KB 虐待 飼いゆ 虐待人間 待って無いかもしれないけどお待たせ!anko4040の後編だよ 補足 ・後編(一応anko4040からの続きになります。が、あらすじだけで事足りるような気がしてきた) ・虐待(特に悪いことをした訳でもないゆっくりが酷い目にあいます。本気出した結果がこれだよ) ・虐待人間(身勝手な理由でゆっくりを虐待する人間が出てきます) ・パロディ(多分わかる人にはわかると思うので一応。わからなくても何ら問題ありません) 前回までのあらすじ ・飼いゆ「あかちゃんほしいよ!」 ・飼い主「じゃあ1匹だけな」 ・2匹生まれちゃったので1匹は里子に 以上 ふぇいと(笑) 「ゆぅ・・・・・・おちびちゃん・・・・・・」 れいむは思わず溜息をついてしまった。 飼いゆっくりとして幸せな日々が続いているというのに、ふとしたきっかけで何か心にポッカリ穴が開いたような寂しさを感じてしまうのだ。 「どうしたのぜ?れいむ」 そんな妻(れいむ)の様子に気がついた夫(まりさ)が心配そうに声をかけてきた。 「ゆぅ、まりさ。・・・・・・れいむのおちびちゃん、ゆっくりしてるかな?って・・・・・・」 生まれてから一ヶ月もの間、一緒に暮らしてきた子れいむが別のお家に引き取られていった。 あれから一週間の時が流れた。 子まりさがいるとはいえ、その程度の期間では寂しさを忘れることはできなかった。 「だいじょうぶなのぜ。きっとゆっくりとしたまいにちをすごしているのぜ・・・・・・」 れいむを励ますまりさであったが、自身もその寂しさを感じていた。 「・・・・・・すーや、すーや。ゆゆぅ~ん・・・・・・もうたべられにゃいのじぇ~ん。むにゃむにゃ」 幸せそうにお昼寝をしている子まりさを見つめ、姉妹の子れいむもこんな風にゆっくりとした生活を送れているのかなと、不安な気持ちになってしまう。 二匹がそんな思いにふけっていると、飼い主のお姉さんが餌皿をもってやってきた。 「ほれほれー、エサだぞー」 「ゆゆ?」 「どうしたの、おねーさん?きょうはどこかにおでかけするの?」 二匹のゆっくりが小首をかしげる理由。 それは、今日がお休みの日であるにも関わらず、お姉さんがいつもの裸Yシャツのだらしない格好ではなかったからであった。 「ん?ああ、この格好か。いやね、今日は先輩が家にくるんでちょっとオメカシしてみた訳よ。似合うー?」 「「・・・・・・・・・」」 確かに、ちょっと胸元がセクシーではあったが素敵なお洋服である。 が、そんなことより重要な情報を入手したゆっくり達はお互い顔を見合わせながら無言の思案をはじめる。 「ちょっとー、何か反応してよー。不安になるじゃないのさー」 「・・・・・・きょう、せんぱいさんが、おうちにくるのぜ?」 「せんぱいさんって、れいむのおちびちゃんをもらってくれたおにーさんのことだよね?」 「うん?そうだけど・・・・・・」 急にそわそわとしだす二匹のゆっくり。 その反応にお姉さんは合点がいったようで、ばつが悪そうな顔で頭をポリポリとかきだした。 「あー・・・・・・言っとくけど、れいみゅは一緒じゃないよ。それに会わせてくれってお願いも却下ね。もう会えないってのが条件だった訳だし。・・・・・・大丈夫!れいみゅは先輩が大事に育ててくれてるよ」 お姉さんに先手を打たれてしまい、項垂れる二匹のゆっくり。 「・・・・・・わかってるのぜ、おねーさん」 「あのおにーさん、とってもゆっくりしてたもんね・・・・・・」 れいみゅの引き取り先のお兄さんについては二匹も実際会って人の良さそうな人物であることは確認済みである。 とはいうものの未練タラタラなのは二匹の表情からして明白であった。 (こりゃ、先輩とは会わせない方がいいかな。れいみゅに会わせろとか無茶なこと言いかねない) お姉さんは日ごろ職場でお世話になっているお兄さんに、プライベートで迷惑をかけるのは避けたいと考えた。 「・・・・・・アンタ達、今日は暫くこの部屋でまりちゃと遊んでな。こっちの部屋には良いって言うまでこないように。わかった?」 「!・・・・・・ゆぅ、わかったよ・・・・・・」 明らかに納得しかねる表情を二匹はしていたが、飼い主のお姉さんに逆らうことは出来ない為、素直に従った。 そんなやりとりをしていると、外から車の駆動音が聞こえてきた。 「あ、来たかな?」 お姉さんが窓を開けて確認する。 どうやらお兄さんの車がやってきたようだ。 それを確認した後、お姉さんは窓を閉めるのも忘れてそのままパタパタと出ていってしまった。 その開け放たれた窓を暫く見つめていたまりさであったが、急に何かを閃いたような表情を浮かべ声を上げる。 「・・・・・・ゆっ!いまがちゃんすなのぜ!」 「ゆ?どういうこと?ゆっくりおしえてね、まりさ」 「あのおにーさんの『すぃー』にのりこんで、おちびちゃんのところまではこんでもらうのぜ!」 ちなみに『すぃー』とはゆっくり語で車のことである。 どうやらまりさはお兄さんの車に忍び込もうというのだ。 「そっか!まりさあったまいい!!・・・・・・でもみつかっちゃったらどうするの?」 「そのときはあやまればいいのぜ!おねーさんはおこるかもしれないけど、あのやさしそうなおにーさんならきっとゆるしてくれるのぜ!おねーさんはおにーさんにあたまがあがらないみたいだから、きっとおねーさんもそんなにおこれないのぜ!」 「そうだね!かわいいれいむがあやまればだれだってゆるしてくれるよね!れいむ、かわいくってごめんねー!」 勝手な理屈で納得すると二匹は窓を超えて外へ飛び出した。 そしてお兄さんの車へ近づくとちょうど車のトランクが開いていた。 どうやら何か荷物を運んで来たようで、それを運び出したお兄さんは近くにいなかった。 「いまなのぜ!あそこにしのびこむのぜ!」 二匹はトランクの中に入り込むと、近くにあったシートの下にもぐりこんだ。 そこにちょうどお兄さんが戻って来たようで、バタンとトランクが閉められる。 「ゆっ!?まっくらだよ!」 「ここでしばらくゆっくりしているのぜ・・・・・・」 それからある程度の時間が経過した。 二匹は待っているうちに眠ってしまったが、急にトランクが開けられドスン!と何か荷物が載せられる振動に叩き起こされた。 「「ゆゆっ!?」」 そして直ぐにトランクは閉じられ、今度は車のエンジンが稼働した振動が伝わって来た。 どうやらお兄さんの用事は済んだようで、これから家に帰るようだ。 「い、いよいよなんだぜ・・・・・・!」 「これで、おちびちゃんにあえるんだね・・・・・・!」 二匹は緊張に震えながらも、愛しの子れいむに会える喜びに興奮するのであった。 一方その頃、お姉さん宅。 「れいむぅー、まりさぁー、先輩帰ったからもうこっちに来てもいいぞぉ~・・・・・・って、あれ?」 お姉さんが部屋に戻ってくると、そこに二匹の姿はなく、ゆっくり用のベッドには子まりさのみがスヤスヤと眠っているだけであった。 「あいつら、どぉ~こいたのかなぁ・・・・・・って窓あけっぱなし!・・・・・・まさか!?」 一応、あたりを探してみるがやはりれいむもまりさも姿が見えなかった。 「あ~・・・・・・やっぱ考えられるのは最悪の展開、かなぁ・・・・・・」 お姉さんはメンドクサそうな顔をしながら家の外へと出ると、自転車に飛び乗った。 「あぁ~もう!アイツら手間掛けさせやがってぇ!帰ったらお仕置きしちゃる!」 車の駆動音が停まった。 どうやら自宅に着いたようだ。 トランクが開けられ、お兄さんは積み込んだ荷物を取り出すと自宅へと移動する。 「ゆっ!ゆっくりあとをつけるのぜ!」 「ゆっくりりょーかい!だよ」 トランクから飛び出し、お兄さんの後を追うまりさとれいむ。 お兄さんは玄関の戸を開けると中に荷物を置いて、再び車の方へと戻って行った。 直ぐに戻ってくる気なのだろう、玄関は開け放たれたままだ。 「ここからしんっにゅうするのぜ!」 「ゆっくりおじゃまします!」 すかさずお兄さんの自宅に侵入し、おちびちゃんがいる場所を探し始める。 「おちびちゃん、どこなの?おかーさんがあいにきたよ・・・・・・」 「ゆぅ、やっぱりにんげんさんのおうちはおおきいのぜ。・・・・・・ゆゆっ!?おにーさんがかえってきたよ!かくれるんだぜ!」 玄関の閉まる音に反応し、慌てて物陰に身を隠すゆっくり達。 間一髪。先ほどまで二匹がいた場所をお兄さんが通り過ぎていった。 そしてお兄さんはある部屋の扉をあけるとその中へと入って行く。 「ただいま、れいみゅ。いい子にお留守番をしていたかな?」 そのお兄さんの声にまりさとれいむはハッとする。 「ゆゆっ!?あのおへやにおちびちゃんがいるのぜ!?」 「まりさ!いってみようね!!」 部屋の扉は閉まっていない。 まりさ達は物音を立てないように静かに部屋の中へと侵入する。 「・・・・・・そろーり、そろーり(小声)」 お兄さんの背中は見えるが肝心の子れいむの姿は見えない。 「・・・・・・さあ、れいみゅ。今日もゆっくりできるお勉強を始めようね」 だが、お兄さんの子れいむへ話しかける声は聞こえてくる。 恐らくお兄さんが壁になって見えないのだろう。 「もっと、もっとちかづくよ・・・・・・そろーりそろーり・・・・・・」 何とかおちびちゃんの姿を確認できないだろうか。 そう思い、更にお兄さんの元へと近寄って行った、その時であった。 「ゆびぃぇぇぇぁあぁぁあああぁあぁあっ!!!いじゃいいいぃぃぃぃ!!!」 突如、鶏の首を絞めたようなゆっくりの悲鳴が聞こえてきた。 「こ、このこえは!お、おちびちゃん!?」 「どぼじだのぉぉぉ!!?おちびちゃぁぁぁぁぁん!!」 こっそり移動することも忘れ、慌ててお兄さんの元へと駆けだすまりさとれいむ。 そこで二匹は驚くべき光景を目撃する。 「そうだ!もっと悲鳴を上げるんだ!そらっ!そらぁ!」 ピシャ!ピシャ! 「ゆびぃゃぁぁ!!いじゃいいじゃいぃぃ!やべちぇぇぇぇ!ゆっぐちできないぃぃぃ!!」 それは手にした鞭を子れいむへと情け容赦なく打ちつけるお兄さんの姿であった。 「な、なにしてるのぉぉぉぉぉぉ!!!?」 「やめてあげてねぇぇぇぇぇぇぇ!?いたがってるよぉぉぉぉぉ!!!」 思わず大声で静止の叫びを上げる親ゆっくり達。 その声に気付いたお兄さんは振り上げた鞭を降ろし、突然の侵入者に視線を向ける。 「ん?なんだ、お前ら、どっから入った?今は忙しいんだ。野良ゆっくりなら潰される前にとっとと帰るんだな」 「ま、まりさはおちびちゃんのおとーさんなのぜ!おにーさん!おちびちゃんになにをしてるのぜっ!?」 「れいむのかわいいおちびちゃんにひどいことしないでねぇぇ!?」 「あん?・・・・・・ひょっとしてお前ら・・・・・・アイツんとこのゆっくりか?どうやってここまで・・・・・・」 面倒な奴らに見られたとばかりに露骨に顔をしかめるお兄さん。 その表情は初めて会った時の人の良さそうな顔とはまるで別人のように不機嫌なものであった。 「それよりもはやくおちびちゃんをはなしてね!」 「これはいったいどういうことなのぜ!?おにーさんはおちびちゃんをゆっくりさせてくるんじゃなかったのぜ!?」 お兄さんの手に握られた子れいむは、あまりの激痛の為しーしーを漏らし虚ろな瞳のままでビクンビクンと痙攣している。 「何を言っている?見ての通り俺はこいつをゆっくりさせてやろうと教育しているんじゃないか」 「どこがゆっくりできるっていうのぉぉぉ!?」 「おちびちゃん、ないてるでしょぉぉぉ!?」 子れいむは痛みで意識が飛んでいるのだろう。 れいむとまりさが来ていることにも気が付いていない。 「これは餡質を上げる為の教育だ。こうやって子供の頃から餡質を高めておけば、将来こいつが生産する赤ゆの餡質も良くなるからな」 ゆっくりは痛めつけられると体内の餡子の質が良くなる性質がある。 これは加工所などで主に食料用ゆっくりに施される基本的な教育方法である。 「ゆゆっ!?あ、あんしつ?せいっさん?なんのことなのぜ!?」 とはいえ、愛玩用に育てられた二匹にとって、それがどういう事なのか理解できる訳が無かった。 「なんだ、知らなかったのか?俺は『生産用ゆっくり』を専門に育てるブリーダーなのさ。つまりこいつを食用ゆっくりを生み出す製造機(マシーン)に教育しようとしてるって訳」 食用の赤ゆを大量に生産させるゆっくり、それが『生産用ゆっくり』だ。 加工所などでも行われていることだが、こうして個人レベルで子ゆっくりの頃からじっくりと育成させた生産用ゆっくりはその餡質が加工所の物とは段違いであるという。 その為、腕のいいブリーダーに育てられた生産用ゆっくりは有名な製菓店などに高値で買いとられている。 「どぼじでそんなごどすどぅのぉぉぉ!?」 「そんなのぜんぜんゆっくりできないでしょぉぉぉ!!?」 親ゆっくり達は自分達と同じ愛玩用のゆっくりとして、子れいむは引き取られたと思っていた。 それなのに、これでは加工所送りとさして変わらぬ扱いである。 当然、納得などできない状況であった。 「俺は別にこいつを殺そうとしてる訳じゃない。むしろ逆だ。滅多な事じゃ死なないよう耐久力をつけさせているんだ。それにこいつのゆん生は安泰だぞ?毎日食事は与えられている。雨風にさらされることも無いし、天敵に襲われる心配も無い。そんなゆっくりできる生活を送る為の代償が子供を生産することなんて安いもんだろ」 そう言いながら、お兄さんは子れいむを透明な箱の中に無造作に放り込んだ。 だが、その透明な箱もただの箱ではなかった。 箱の中には無数の小さなナマモノがワサワサと蠢いているのだ。 「「な、なにぞれぇぇぇぇぇ!!?」」 そんな箱の中に放り込まれた子れいむに、ソレらは群がり出した。 『んほぉぉぉ!』 『んほっほぉ~』 『んほ!んほ!』 子れいむの身体にまとわり付く物、それは赤ゆよりも小さなれいぱーありすだった。 小さなれいぱーは自身より大きな子れいむにぬっちゃぬっちゃと体を擦りつけている。 中には子れいむのあにゃるやまむまむといった穴の中に頭を突っ込み尻をもるんもるんと振りながら潜り込もうとしているものまでいた。 それはまるで腐肉に群がる蛆虫のようにおぞましく醜悪な光景であった。 「こいつらは家ゆのれいぱーありすさ。こうやってれいぱーに体を蹂躙されることによって体の発育を促進させる効果がある。無論れいぱーは去勢してあるからにんっしんすることは無い。それに子供のうちからすっきり体験をさせておけば将来の連続すっきりに対する抵抗も少なくもなるしな」 家ゆとは人間の家に住み着くゆっくりだ。 家具と家具の間に巣を作る為、成体の家ゆでも通常の赤ゆよりも小さな体をしている。 その為、子れいむの『教育』に適していると判断された。 通常のれいぱーが相手では一回のすっきりーであっさり死んでしまうからだ。 「まあ、最初にこのれいぱー箱に放り込んだ時は一日中泣き喚いてうるさかったがな。今じゃすっかり慣れたのか、御覧の通り静かなもんさ」 子れいむは家ゆれいぱー達に抵抗するそぶりも見せず、輝きを失った瞳のまま呆然となすがままにされている。 「もうやめてね!やめてあげてねぇぇぇぇ!!どぼじでごんだごどすどぅのぉぉ!?ごの、ひどでなじぃぃぃ!!」 「こんなのってないのぜぇぇぇ!おにーさんはげすなのぜ!げす!げすにんげん!おちびちゃんをかえすのぜ!」 子れいむに対するあまりの仕打ちに、親ゆっくり達はお兄さんに対して涙を流しながら罵声を浴びせ始める。 お兄さんはその罵声に不快そうな表情を浮かべると、まりさのおさげを乱暴に掴み、自身の目の前まで持ち上げた。 「お、おぞらをどんでる!?いだいぃぃぃい!!」 「・・・・・・口のきき方には気をつけろよ、饅頭ども。人間の庇護がなければ生きていくことも出来ない脆弱な饅頭のくせに生意気な口を聞くんじゃねぇ。てめぇらが他人の飼いゆっくりだから生かしておいてやってるんだ。そうじゃなきゃ今頃とっくに潰されてるんだぜ?」 「ゆ、ゆっ!?」 まりさを射ぬかんとするようなお兄さんのギラギラとした眼光。 その恐ろしく冷たい氷の眼差しに、まりさはお兄さんの内に秘めた残虐性を本能で感じ取っていた。 「ゆわ、ゆわわわぁ・・・・・・」 この人間にはどうあっても勝てない、口答えしてはいけない。もし刃向かおうものなら一瞬にして潰される。 それを理解したまりさは歯をガチガチと鳴らし、震えが止まらなくなった。 「ば、ばりざぁぁ!!」 れいむもまた、お兄さんのただならぬ威圧感に、涙目でオロオロすることしかできなかった。 まさに一触即発。いつお兄さんの毒牙がまりさに襲いかかるかわからぬ緊張の空気がこの場を支配していた。 と、その時お兄さんの携帯電話が鳴りだした。 「ん?・・・・・・もしもし。・・・・・・ああ、来てるぞ。・・・・・・そうか、わかった」 電話を切ると、お兄さんは掴んでいたまりさを無造作に床に放り投げた。 「ゆべぇっ!?いだい!!」 「お前らの飼い主がこっちに向かってるそうだ。よかったな。これ以上暴言を吐き続けるようならアイツの飼いゆっくりでも何をするかわからなかったかもしれんぞ」 「ゆゆ!?おねーさんがくるの!?」 助けが来る!そう思い、安堵の表情を浮かべるれいむ。 このお兄さんの本性をお姉さんに訴えれば、おちびちゃんを助けることができるかもしれないのだ。 「一応忠告しておくぞ。今日ここで見たこと、このれいみゅのことは忘れろ。こいつはもう俺のもんだ。これをどう扱おうが俺の勝手だ。それを止める権利はお前らにもお前らの飼い主にも無い」 「そ、そんなこど―――ゆぐぅ!?」 そんな事を言われても納得できる二匹ではなかったが、突如吹きかけられたラムネスプレーによって意識が薄らいでゆく。 ゆっくりにとってラムネは催眠効果があるのだ。 「あいつは良くしてくれてるんだろう?だったらそれだけを享受して、これからゆっくりまったりとした余生を送ることだけを考えるんだな。それが、お前らの為ってもんだ。間違ってもあいつに―――」 二匹は必死に意識を保とうとするが、その意識は朦朧としてゆき、まりさは倒れ込み眠ってしまった。 「・・・・・・お、おちび、ちゃん・・・・・・おねーさん、たすけ・・・・・・」 れいむもまた、意識を深い闇の中へと落としていった。 ・・・・・・・・・ それはいつのことだっただろうか。 野良ゆっくりの両親の間に生まれたれいむ。 その暮らしはとても厳しいものであったが、優しい両親のおかげでゆっくりとした日々を過ごしていた。 それが、ある日突然。れいむが目を覚ました瞬間、消えてなくなった。 『・・・・・・ゆ?おちょーしゃん?おきゃー、しゃん?』 無残に餡子を撒き散らし横たわる父まりさ。 幾ら呼びかけても応えてくれない母れいむ。 『どぼちて?どぼちてぇぇぇぇ!?おちょーしゃん!おきゃーしゃん!ゆんやぁ!ゆぅんやぁぁぁ!!』 全てを失い絶望し、れいむは涙を流すしかなかった。 れいむの泣き声が、乾いた公園に虚しく響き渡る。 だが、通りかかる人間は誰一人としてれいむを気にかける者はいなかった。 ・・・・・・ただ、一人を除いて。 『どうしたの?れいむちゃん。そんなところで何を鳴いているの?』 れいむに優しい声をかけてくれたのは偶然通りかかったお姉さんであった。 『ゆひぃ!?に、にんげんしゃん・・・・・・!』 両親からは人間に近づかないよう教えられていた。 人間はとても恐ろしい存在だからだと。 『ああ、大丈夫。怯えないで。貴方に危害を加えるつもりはないよ。ほら、あまあま食べる?』 だが、お姉さんは両親が言うような恐ろしい人間ではなかった。 泣いていたれいむを気遣い、優しい言葉と美味しいお菓子をくれたのだ。 れいむは泣きながらお菓子を食べた。 そしてお姉さんに気を許したれいむは自身の両親が死んでしまったことをゆっくりと打ち明けた。 子ゆっくり特有のつたない幼児言葉であるにも関わらず、お姉さんは真剣な顔で黙って話を最後まで聞いてくれた。 『・・・・・・そう、それは大変だったね・・・・・・可哀想に・・・・・・』 話が終わると、お姉さんはれいむを慰めるように撫でてくれた。 そしてれいむの両親を丁重に葬り、お墓を作ってくれた。 『恐らくゲスの仕業だね。ここら辺には最近そういう性質の悪い奴が増えてきてるって聞いたし』 『そ、そんにゃ・・・・・・れいみゅ、こりぇからどうちたりゃいいにょぉ・・・・・・』 野良の生活は厳しいものだ。 餌の調達、寝床の確保、外敵からの防衛。 成体のゆっくりでさえもその日一日生きていくにも多大な労力が必要となる。 それに、ゆっくりは孤独を嫌うナマモノだ。 これからたった一匹だけで孤独に生きてゆくことがどれだけ精神の負担になることか。 甘えたい盛りの子ゆっくりとなれば尚更だ。 『ゆんやぁぁぁ・・・・・・れいみゅひちょりでなんちぇ・・・・・・ゆっくりできにゃいよぉぉ』 これからの生活の苦労を想像するだけでれいむは泣き出してしまった。 そんなれいむの姿を見かねたのか、お姉さんは暫しの思案の後、れいむに一つの提案を持ちかける。 『・・・・・・よかったら、家に来る?』 『ゆ?そりぇっちぇ・・・・・・れいみゅをかいゆっくちにしちぇくれるにょ!?』 『まあ、そういうこと。ただし!飼いゆっくりの暮らしも大変だよ?ちゃんとお姉さんの言うことを聞くこと。これが絶対の条件。それがゆっくり(あなた)にできる?』 飼いゆっくりにも苦労はある。 れいむも元飼いゆっくりであった母れいむからそんな話を聞いたことがある。 でも、たった一匹で野良生活をしてゆくことに比べればマシであるとれいむは考えた。 『だいじょうびゅだよ!れいみゅ、おりこうしゃんだからおねーしゃんのいうこちょなんでもきくよ!!』 『そう。なら契約完了だね。―――これからよろしく、れいむ』 そう言いながら、お姉さんはスッと手を差し出した。 れいむはその掌にピョンと飛び乗ると、その優しく温かい掌に頬をすーりすーりと擦りつけた。 『おねーしゃん、ありがちょう。おきゃーしゃんはえいえんにゆっくちしちゃったけど・・・・・・』 れいむは涙をぬぐい、ニッコリとお姉さんに微笑みかけた。 『こりぇからは、おねーしゃんがあたらちいおきゃーしゃんだにぇ!ゆっくち、しちぇいっちぇにぇ!!!』 『―――――っ!』 その屈託の無い笑顔を見て、お姉さんはれいむを胸に抱えるように抱きしめた。 『全く、アンタってば・・・・・・本当に、健気で・・・・・・良い子だね・・・・・・』 『お、おねーしゃん?』 柔らかな胸に抱かれ、れいむから顔は見えなかったがその声が震えていることには気がついた。 『ないちぇるにょ?きゃわいそうなれいみゅのために、ないちぇ、くれちぇるの・・・・・・?』 『ば、ばか・・・・・・そんなわけ、ないでしょ・・・・・・』 お姉さんは否定するものの、その震える声は明らかに何かを堪えているものであった。 『おねーしゃん・・・・・・』 その時、れいむは体の奥がとても暖かくなるのを感じた。 それはれいむの心に芽生えた、お姉さんとの掛け替えのない絆の証。 この絆があれば例え飼いゆっくりの生活が厳しいものであったとしても耐えてゆけるだろう。 そしてこの優しいお姉さんに助けてもらったことを感謝し、これから先、お姉さんと一緒にゆっくりとした生活を送っていこう。 それがれいむに出来る、心優しいお姉さんへの最高の恩返しになると信じて。 ・・・・・・・・・ 気がつくと、そこには見慣れた天井が広がっていた。 「・・・・・・ゆ?なんだかれいむ、とってもなつかしいゆめをみていたよ?」 眠りから覚め、ゆっくり体を起こすれいむ。 「・・・・・・ゆぅ、ここは・・・・・・まりさのおうち?」 隣を見れば同じ様に目を覚ましたまりさがいた。 「そうだよ。全く・・・・・・手間をかけさせないでよね」 近くにはお姉さんがぐったりとした表情で胸元を襟でパタパタと扇ぎながら椅子に座っていた。 「あ゙ー、疲れた。自転車で全力疾走なんてするもんじゃないね。もう脚がクタクタ、喉はカラっカラだよ」 お姉さんはテーブルの上に置いてあったラムネの瓶を手にするとグビリグビリと一気に飲み干した。 そんなお姉さんの様子をボーっとした表情で二匹のゆっくりは眺めていたが、次第に眠りに落ちる前の衝撃的な記憶を思い出し、慌ててお姉さんの元へと駆けよった。 「お、お、おねーさん!た、た、たいへんだよ!」 「おちびちゃんが!おちびちゃんがたいへんなのぜ!」 「ちょ、何ナニ?落ち着きなさいってば」 「お、おちびちゃんをひきとったおにーさんは!とんっでもないげすにんげんだったんだぜぇ!!」 その突拍子もない台詞にお姉さんは眉をひそめる。 「・・・・・・はぁ?何いってんの?確かに先輩はアレな所はあるけど、悪い人じゃないよ」 明らかに不機嫌そうな顔をするお姉さんであったが、れいむはこの反応をある程度予測していた。 だから怯む訳にはいかない。 事はおちびちゃんのゆん生がかかっているのだから。 「お、おねーさんがおにーさんのこと、だいすきだってことはわかってるよ!だから、れいむたちのいうことがしんじられない、しんじたくないってこともゆっくりりかいできるよ・・・・・・。でもね!これはれいむたち、ゆうん、おちびちゃんにとって、いっこくをあらそう、いちだいじなんだよ!だから、だから!おねがいだよ、おねーさん!れいむたちがこれからはなすことをきいてほしいよ!そして、うそ、いつわりのない、ゆっくりとしたしんじつを!おねーさんにうけとめてほしいんだよっ!!」 何時になく真剣なれいむの眼差し。 それに何かを感じたお姉さんは、手にしていたラムネ瓶をテーブルの上に置き、深く目を閉じると腕を組んでどっしりと椅子の背もたれにもたれかかった。 「―――わかった。詳しく話を聞こうじゃない。何があったの?」 「あ、ありがとうなんだぜぇ、おねーさん!じ、じつは―――」 まりさはお兄さんの家で見聞きした事をお姉さんに話した。 子れいむがどんな目にあっているのか。 お兄さんが何の目的で子まりさを引き取ったのか、全てである。 「―――そういうわけなんだぜ!」 そうして話を聞き終えたお姉さんであったが、 「ふーん・・・・・・で、それが何か問題あるの?」 「「ゆ!?」」 二匹のゆっくりは我が耳を疑った。 「も、もんだい?あ、あるのぜ!あるでしょぉぉ!?ぜんぜん!おおありなのぜぇぇ!?」 「そうだよぉぉぉ!だいっもんっだいでしょぉぉぉ!?」 お姉さんに全く危機意識が伝わっていないのである。 むしろ何を言っているんだとばかりに呆れた顔をしている。 「全く・・・・・・真剣な顔で何をいうかと思えば。だってさ、れいみゅは毎日エサも与えられてるし、雨風や天敵からも守られる立派なお家に棲んでるんでしょ?先輩がやってることだって別に殺そうとしてる訳じゃない、『教育』なんだから問題なんてどこにもないじゃない」 お姉さんはお兄さんが言っていたことと全く事を言っているのだ。 だがそれ以上に驚くべき発言が飛び出した。 「食用ゆっくりの生産なんて、ゆっくりが人間に貢献できる数少ない取り柄でしょ。脆弱なナマモノが生きてゆく上で必要なものをわざわざ人間が用意してやってんだから、それぐらいの苦労は仕方ないじゃない。むしろそれぐらいするのが当然ってもんだよ」 お姉さんは今の子れいむの状況は仕方ない、当然と断言したのだ。 「しかたなくなんてないのぜぇぇ!?だからっ!おねーさんははやくおちびちゃんをつれもどしてくるのぜぇ!?」 「え?なんで?もうあのれいみゅは先輩のものになっちゃったんだから無理に決まってるじゃない。アンタ達は知らないだろうけど飼いゆはバッチ申請とか住所登録とか色々面倒な手続きがあるの。生産用ゆっくりともなればなおさらね。理解できる?そういう『決まり』なの『規則』なの。だから無理無理。諦めなさい」 「ぞ、ぞんなぁ・・・・・・!!」 掌をシッシと振りながらお姉さんは子れいむ救出の要請をあっさりと却下した。 「・・・・・・『きまり』とか『きそく』とか・・・・・・にんげんさんは、かってなのぜ・・・・・・っ!」 そんなお姉さんの態度に、まりさは涙を流し、下唇を噛みしめながら呟き始めた。 「・・・・・・まりさはおちびちゃんのころからおとーさんとおかーさんからはなされて、にんげんさんにそだてられてきたのぜ・・・・・・」 「突然なんの話?」 お姉さんは訳が分からないといった表情を浮かべているが、まりさの独白は続く。 「にんげんさんには『むーしゃむーしゃするときはしあわせーするな』とか『おうたをうたうな』とか『おちびちゃんをかってにつくるな』とかいわれてきたのぜ。にんげんさんがゆっくりできないっていう、ただそれだけで!まりさたちのゆっくりがきんしされてきたのぜ!まりさたちはそんなりふじんなにんげんさんのつごうのためだけに、ゆっくりできないことをしいられてきたのぜ!!」 れいむも、そのまりさの言葉を聞きハッとした表情を浮かべる。 「そうだよ!れいむだっておねーさんにおちびちゃんのころからゆっくりできないことをしいらてきたよ!おねーさんにはおせわになってたからいままでがまんしてきたけど、さすがにおちびちゃんのことはがまんできないよ!れいむも、まりさも、そしておちびちゃんも!ゆっくりできないのを・・・・・・しいられているんだよ!!」 強いる!強いる!と連呼する二匹のゆっくり達。 銀バッチランクの飼いゆっくりは、自身がゆっくりできない制限をされることは容認できる。 だが、事が子供のこととなるとそうはいかなくなる。 それが銀ランクであり、金ランクに至らぬ要因でもあった。 二匹はここぞとばかりに溜まりに溜まった日ごろの鬱憤を吐き出し始めた。 そんな二匹の様子にお姉さんも次第に不機嫌さが増していった。 「そんな集中線付きのどアップで言いそうな台詞を連呼されてもねぇ。言わせてもらうけど、こっちだってアンタらのために『ゆっくりできないこと』を強いられてきたんだからね。最初はれいむ一匹だけだったのが、やれ番が欲しい、やれ子供が欲しいだの。その度に増えた食いぶちを養うために食費を削ったりしてやりくりしてきたんだから」 生物を飼うということはそれなりにお金がかかるものである。 ましてやそれがゆっくりともなれば金銭面以外でも色々と労力がかかってくる。 「そんなことまりさたちにくらべたらたいしたことじゃないのぜ!いいからおねーさんはおちびちゃんをつれもどしてくるんだぜっ!!」 「だから無理だってさっき言ったじゃん。それに連れ戻してどうするっていうのさ?」 「あんなげすおにーさんにはまかせておけないよ!れいむたちでおちびちゃんをゆっくりそだてるんだよ!」 「うちでは1匹以上は飼えないって言ったでしょ。それも忘れたの?この餡子脳」 「ひとゆでもふたゆでもおんなじでしょぉぉぉ!?」 「誰が餌の用意やうんうんの片付けしてると思ってんの。アンタらは毎日のんべんだらりと過ごしてるだけじゃん。さも自分達が世話しているみたいなこといわないでよね」 「うるさいうるさいうるさぁぁい!でいぶたちはまいにちおねーさんをゆっくりさせてあげてるでしょぉぉぉ!そのみかえりにおせわをするのはあたりまえでしょぉぉ!ぎぶっ、あんどっ、ていく!なんだよぉぉ!!」 だんだん言い分が滅茶苦茶になってくる二匹。 それだけ子供を救おうと必死なのだが、おかげで言論が支離滅裂になるのは残念なゆっくりクオリティの性質であった。 「あーもう煩いな。好き放題いってくれちゃってるけど、なんかゲス化してない?ゲスは殺処分なんだけど、いいの?こーんな風に、さ!」 お姉さんはれいむの腹部を鷲掴みにしながら持ち上げる。 「ゆ、ゆ、ゆぐるじぃぃ!はなじでぇぇ!?」 人間でいえば襟首を絞められているようなものらしい。 「言うこと聞かない子はお仕置きが必要だね・・・・・・」 れいむを掴む力をじわじわと強めていくお姉さん。 「やべで!やべでぇべべべべ!!」 「・・・・・・どうしたの?苦しいの?ぬわっぬわっぬわ!」 お姉さんは今まで見たことも無いような邪悪な表情を浮かべ、不気味な笑い声をあげている。 「ゆゆっ!?お、おねーさん!?ま、まざか・・・・・・!?」 まりさは気がついた。 そのお姉さんの瞳が、あの時のお兄さんと同じ、冷たい氷の眼差しであることに。 「げ、げすにんげん・・・・・・だったのぜ?」 「ゆべ、ゆべべべ」 れいむはあまりの苦しさにお尻をもるんもるんと揺らすがそんなことで楽になるわけもなく。 次第に口とあにゃるから餡子がぼたぼたと溢れだした。 「どうしたのぉ?れいむぅ。そんなに餡子を吐き出したら死んじゃうよぉ?死にたくなかったら謝りなさい。ゲスな発言して申し訳ございませんでした!お兄さんの悪口言ってすいませんでした!ってねぇ。ぬわっぬわっぬわ―――」 ドスリ! 「―――ぃたっ!?」 突如痛みを感じ、足元を見る。 そこには決死の表情で爪楊枝を咥え、お姉さんの足に突き刺しているまりさの姿があった。 「ゆふーっ!ゆふーっ!こ、このげすめぇ・・・・・・!れいむを、はなすのぜぇ・・・・・・!」 爪楊枝はそれほど深くは刺さっていなかったものの、皮膚を破り血を流させるだけの傷を負わせていた。 「――――――」 その様子にお姉さんは先ほどまでの邪悪な笑みとはうって変わり、感情を恐ろしいまでに凍らせた冷血な表情でまりさを凝視した。 「―――痛いじゃない」 無感情に。 それだけを呟くと、手にしていたれいむを投げ捨てた。 「ゆべっへ!?い、いだいぃぃぃ・・・・・・」 「で、でいぶぅぅぅ!?ゆっくりしてい――っだぃぃぃ!?おぞら!?」 そしてれいむの元へと駆け寄ろうとしたまりさの頭部を無造作に鷲掴みにすると、 「は、はなすのぜ!はなすの――ゆぶっ!?」 テーブルの角にまりさの顔面を叩き付けた。 「い、い、いだ・・・・・・ゆぶっぅ!?」 「痛いじゃない、痛いじゃない、痛いじゃない、痛いじゃない、痛いじゃない、痛いじゃない、痛いじゃない、」 壊れたロボットのように、何度も、何度も、何度も。 無造作に、無慈悲に、まりさをガツンガツンとテーブルの角に叩きつける。 「ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙、」 「あー、痛かった」 まりさの歯はほとんどへし折れ、右の目玉も潰れていた。 そのまりさをれいむの近くへと放り投げる。 「・・・・・・ゆ゙、ゆ゙、ゆ゙・・・・・・」 「ば、ばりざぁ!?ゆ、ゆっぐりっ!ゆっぐりじでいっでねぇぇぇ!?ペーろペーろ!!」 そんな二匹を冷めた眼差しでお姉さんは見つめていた。 「適当にお仕置きして勘弁してやるつもりだったけど・・・・・・もういいや。ここまでされちゃあ矯正は無理だろうし。こっちも愛想尽きた。やっぱり慣れない愛で派の真似なんてするもんじゃなかったかな」 ゆっくりと、倒れた二匹の元へと近づいてゆくお姉さん。 「ゆ、ゆぁ、ぁ、あ・・・・・・こ、こないでね・・・・・・こないでねぇ・・・・・・」 二匹にとって、その姿はもはやいつもの優しいお姉さんなどではなく、死を誘う死神の姿にしか見えなかった。 「・・・・・・馬鹿な奴ら。おとなしく言うこと聞いていれば幸せな飼いゆ生活を全うできただろうに。これからは愛で派の連中もバカにできないね。こんなアホ饅頭を手なずけられるなんてホント尊敬するわ」 元よりこのお姉さんは愛で派の人間ではない、むしろ生粋の虐待人間だったのだ。 故に、ゆっくりを虐めるスキルはあっても、愛で育てるスキルは持ち合わせていなかった。 その結果がこれである。 とは言え、所詮気まぐれで愛で派の真似ごとをしていただけに過ぎない虐待人間だ。 もはやお姉さんにとって二匹のゆっくりは飼いゆなどではなくなっていた。 「もうぶっちゃけるけどさ。先輩のとこに引き取られてああなるってのは子供が生まれた次の日には決まってたことなんだよね。・・・・・・でもそれを一カ月もの間引き延ばした。何故だかわかる?」 「ど、どういうことなのぉぉ!?」 「両親の元で何の不自由もないゆっくりとした生活。そんな幸福な環境からある日突然苦痛に満ちた調教地獄へと叩き落とされるその落差!そのギャップにより受ける精神的苦痛は、体を鞭で打たれる痛みやれいぱーに犯される屈辱を遥かに凌駕するものであり、ゆっくりの餡質を極上のものへと昇華させる糧となる!」 「「ゆゆぅ!?」」 「先輩もアンタらに感謝してたよ。アンタらがれいみゅを可愛がれば可愛がるほど・・・・・・この先待ちうける地獄の苦痛が増すことになるんだからねぇ!ぬわっぬわっぬわ!!」 れいむは愕然とした。 あの優しかったお姉さんの笑顔の裏に、こんな恐ろしい意図が含まれていたことに。 「ゆぐ、ぐぐぐぐぬぅぅ!」 そしてまりさは憤怒する。 自分達のゆっくりとしたおちびちゃんへの思いを冒涜したお姉さんの本性に。 「・・・・・・だましたのぜ!?おねーさんっ!まりさたちをだましたのぜぇぇ!!」 「騙してなんかいないよ。言う必要が無いから言わなかった。ただそれだけのこと」 「ふ、ふざけるな・・・・・・ふざけるなのぜぇぇぇぇ!!」 まりさは怒号と共にお姉さんへと飛びかかった。 ボロボロの体に残された全ての力を体当たりに乗せてお姉さんへと立ち向かってゆく。 だが、そんなまりさの攻撃をお姉さんはかわすこともなく、ラムネの空瓶を手に取り待ち構える。 「ゆぐぼぉっ!?」 勢い良く飛びかかてきたまりさの口にカウンターの如くラムネ瓶が奥深く突刺さった。 お姉さんはラムネ瓶を、咥えたまりさごと頭上へと持ち上げる。 「ゆぐぉぉ!?お、おろぜ!おろずのぜぇぇ!ぇん!!」 「・・・・・・砕け散れ」 そしてそのまま勢いよく床へと、 パリーン! 叩きつけた。 「ゆぐぅぉああああああ!?」 衝撃でラムネ瓶はまりさの口内で砕け散り、ガラスの破片がまりさの口腔を容赦なく切り裂いた。 「ゆぐへぇ!いだっ!ゆげぇっ!ゆげっぇへぁ!!」 まりさは必死に口内のガラス片を吐き出そうとするが、口から飛び出てくるのは細かい破片とラムネ瓶に含まれていたビー玉程度のみ。 内部に突き刺さった大きな破片は吐き出すことはできなかった。 「ダメでしょお、こんなところで吐き出したら。片付けが面倒なんだから飲みこんで消化しなさい」 お姉さんはまりさを足で踏みつけ、口を開けさせないよう圧力をかける。 「んぐぅぅ!?んぐ!んぐぅぅんんんっ!!!」 「ほらほら、どうしたの?ちゃんと飲みこみなさい。ゴックン!ってね」 グリグリとまりさを踏みつける圧力を徐々に上げてゆく。 そして限界まで踏みぬかれたまりさの背中からズブりとガラスの破片が飛び出した。 「おっとと。危ない危ない。スリッパ履いてなかったら足を切るところだった」 まりさの背中からは無数のガラス片が雨後のタケノコのように生えていた。 これでは下手にまりさに手を出せば怪我をしてしまう。 「うーん、やっぱりガラスはそう簡単には消化できないか。仕方ない、ガラスはこっちで処分するしかないか」 そう言うと、お姉さんはまりさの背中から生えているガラス片の一つを、指がキレないよう慎重に摘むと一気に引き抜こうと力を加えた。 「ゆぎぃぃい!!?いいいいだいいいぃぃ!!」 まりさの背中から強引に引き抜かれるガラス片。 それは氷山のように根元の幅が広がっており、まりさの皮膚を切り開きながら引き抜かれてゆく。 「ゆぎゃぁぁぁ!やべっ!やべでぇぇぇ!!」 「ほら、危ないから動かない動かない」 慎重に。ゆっくりと。 一つ一つ丁寧に背中からガラス片を抜き取ってゆく。 「ゆぎぃぃ!ゆぼぉぉぉぉおお!!」 その度にガラス片はまりさの柔な皮膚を切り裂き、傷を広げてゆく。 こうして全てのガラス片を抜き終わった頃には、まりさの背中の皮はごっそりと剥がれ落ち、中の餡子がむき出しの状態になっていた。 「ふぅ。これでよしっと。まりさぁ?生きてるぅ?」 「ゆ゙、ゆ゙ぎ、ぎ・・・・・・」 なんとか生きてはいるようだがガラス片を抜き取る際、中枢餡を傷付けたようだ。 もはやまりさは虫の息であった。 「ありゃ残念。これでお別れか。元飼い主としての情けで止めはきっちりと刺してあげないとねぇ」 お姉さんは足元に転がっていたラムネのビー玉を拾い上げる。 右手で握り拳を作りビー玉を親指の背に乗せるようにセットすると、まりさの方へとゆっくり向ける。 「それじゃバイバイまりさ。そんなにゆっくりしたかったなら、あの世で好きなだけゆっくりすればいいよ」 ターン! 親指に弾かれたガラスの魔弾が空を切り裂きまりさのもとへと突き進んでゆく。 「ゆぎぃぃぃいぃあああああっ!!!?」 まりさが壮絶な断末魔の悲鳴を上げる。 高速で飛来した魔弾はまりさのむき出しの餡子を容易く突き破り、その先にある中枢餡を打ち抜いたのだ。 「も、ど・・・・・・ゆぐ、り・・・・・・じだ・・・・・・がだ・・・・・・」 急所を打ち抜かれ、まりさはバタリと倒れるとお決まりの台詞を呟いた後、動かなくなった。 「ゆ、あ、あ、あ・・・・・・ば、ばり、ざ・・・・・・?」 れいむは目の前で起こっていることが信じられなかった。 「さて・・・・・・次はれいむの番だよ」 「ど、どぼじ、で?お、おねー、さん・・・・・・どぼじで、ごんな、ごど・・・・・・?」 「どおしてもこうしてもないよ。もうアンタは用済みなの。だからこれは単なる後始末」 「どぼじでごんだごどすどぅのぉぉぉお!?おねーさんは!ごんだごどするひとじゃないでしょぉぉぉ!?やざじがっだ・・・・・・でいぶをひろっでぐれだ、あのごろのおねーさんはどごいっじゃっだのぉぉぉ!?」 子供だった頃、両親をゲスに殺され、涙を流していたところを拾ってくれたお姉さん。 れいむの為に涙を流してくれた優しいお姉さん。 そんなお姉さんが、こんなに酷いことをするなど、れいむには理解することができなかった。 「ああ、そういえばそんなこともあったね。それじゃ冥土の土産に良い事教えてあげる」 ニッコリとほほ笑むお姉さん。 それはかつての優しいお姉さんの笑顔であったが、その裏に潜む邪悪な意志がれいむを怯えさせた。 「ねぇ、れいむ。アンタの両親ってどうして死んだのか・・・・・・知ってる?」 「ゆ、ゆぅ!?そ、それは・・・・・・げすのしわざだって・・・・・・おしえてくれたの、おねえさんだよね?れいむはあのとき、すーやすーやしてて、おぼえてなかったから・・・・・・」 「そうだね。確かにそんなこと言ったね。じゃあ、そのゲスって誰のことか、わかる?」 「ゆぇ?え?」 「ヒント。ゲスはゆっくりじゃなくて、人間です。そして、その人間はれいむも良く知ってる人。そうだねぇ、半径1メートル以内にはいるんじゃないかなぁ」 幾ら餡子脳のゆっくりでもそこまで言われれば理解できた。 今ここにいる人間は一人しかいないのだから。 「ゆぇ?え?そ、それ、まさか・・・・・・お、おねーさ、ん?」 「ピンポォ~ン!Yes!I am!」 「ゆっ!?ゆっ!?ゆぅ~!?!?」 衝撃の事実に驚き固まるれいむ。 お姉さんはそんなれいむを楽しそうに見つめながら話を続ける。 「いやね?公園の前通りかかったらさ、野良のくせに家族団欒しちゃってるゆっくり一家なんてもん見かけたもんだからね、ついピキィ!ってなっちゃったわけよ。それでね、ついね・・・・・・ぬっ殺しちゃった☆ごめんね!」 お姉さんはテヘへと笑いながら舌をペロリと出して謝った。 それはちょっとしたイタズラがバレてしまった程度の軽い謝罪。 れいむの家族を殺した罪などその程度のものであるという、誠意のかけらも無いものであった。 「ぞ、ぞん、な・・・・・・じゃあ、れいぶは・・・・・・」 「うん、親の仇に『おねーさんがあたらしいおかーさんだね!ゆっくりしていってね!!!』とか言って懐いてくるれいむは見てて最高に滑稽だったよ!」 「ゆぁ!?ゆぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」 れいむの為に涙を流してくれた、お姉さん。 それは全て嘘だったというのか。 その衝撃の事実はれいむの豆腐のような心(メンタル)をあっさりと打ち砕いた。 「それじゃれいむ、そろそろ死のっか?あの世でご両親と番のまりさが待ってるよ。ああ、そうだ。後からおチビちゃんのまりちゃも送ってあげようか?やったね!あの世でみんな仲良くゆっくりできるよ!」 「ゆ、ゆっくり、して、いって、ね?お、おねーさ、ゆっくり、ゆっくり!ゆっくり!ゆっくり!ゆっくりぃぃぃ!!」 れいむは恐怖のあまり引きつった笑みを浮かべたまま、イカレたレコードのように「ゆっくりゆっくり」と連呼し始めた。 「あれ?・・・・・・れいむ?お~い、れいむや~い・・・・・・っちゃ~。ここにきて非ゆっくり症か。もうちょっと楽しめるかと思ってたんだけどなぁ。暫く愛で派だったからゆ虐の感覚が鈍ったかな?」 一方その頃、別室。 「・・・・・・ゆぅ~、おとーしゃん、おきゃーしゃん・・・・・・?どこ、いっちゃったのじぇ?」 子まりさが目を覚ますと、近くに両親の姿が見当たらないことに気がついた。 そして隣の部屋から聞こえてくる妙な喧騒。 「どきょ、いっちゃったのじぇ?おとーしゃぁぁん!おきゃーしゃぁぁん!」 両親を探して隣の部屋へと移動する子まりさ。 そして目の前に飛び込んできた光景。それは、 ―――無残に餡子を撒き散らし横たわる父まりさ。 「・・・・・・ゆ?なに、こりぇ・・・・・・?」 惨状を目の当たりにすると硬直して動かなくなった。 恐らくゆっくりの餡子脳では状況を即座に理解することができないのだろう。 ゆっくりと時間をかけて状況を認識してゆく。 「ゆ?ゆっ!?ゆぅ~!?ど、ど、どうしちゃっちゃのぉぉぉ!?ひじょいけぎゃなのじぇぇ!おとぉーしゃぁぁん!!」 涙を流して父親に駆け寄る子まりさ。 だが、どんなにぺーろぺーろしようとすーりすーりしようと父まりさは反応を示さなかった。 当然だ、父まりさはもう死んでいるのだから。 「おきゃーしゃ!おきゃーしゃぁぁん!おとーしゃんが、おとーしゃんがぁぁ!」 ―――幾ら呼びかけても応えてくれない母れいむ。 今度は父の異常を母に訴えるが、母は「ゆっくり」と連呼するだけで何も反応を示さない。 「どぼじじゃっだのじぇぇぇぇぇ!!おぎゃーじゃぁぁぁぁん!!ゆんやぁぁぁぁぁぁ!!!」 もはや何をしていいのかわからず泣き叫ぶ子まりさ。 そんな子まりさを傍から眺めていたお姉さんは、その姿をかつてのれいむに重ね合わせていた。 そして何かを思いついたのか一瞬にんまりと笑みを浮かべた後、直ぐに冷静な表情に戻し子まりさに話しかけた。 「ゲスのせいでね、こんなことになっちゃった。ごめん、まりちゃ。助けようと思ったんだけど、お姉さんもゲスにやられちゃってね。ほら」 「ゆっ!?お、おねーしゃん!?」 お姉さんは父まりさに刺された足の傷を子まりさに見せた。 「ゆぅぅぅぅ!?ひ、ひどいのじぇぇぇぇ!?・・・・・・ゆ、ゆるしぇないのじぇ。まりちゃのおとーしゃんとおきゃーしゃん、そしちぇ、おねーしゃんにまでこんにゃひどいこちょするなんちぇ・・・・・・とんっでもにゃい!げすなのじぇぇぇぇぇぇ!!」 「ぷっ!」 思わず噴き出しそうになるお姉さん。 両親はともかく、お姉さんに傷を負わせたのはまぎれもなく子まりさの父親である。 つまりこの子まりさは無意識のうちに自分の父親をゲス呼ばわりしているのだ。 「泣かないで、まりちゃ。―――これを」 そんな泣きじゃくる子まりさにお姉さんは笑いをこらえつつ、一つのビー玉を差し出した。 「ゆ?なに、こりゃ?・・・・・・とってもきりぇいなたましゃんなのじぇ」 「これはお父さんまりさが持っていたものだよ。これなら死臭はしないだろうから、形見として貴方がもっているといい」 帽子やリボンといったゆっくりの装飾品は、持ち主が死ぬとその死臭を帯びてしまい他ゆんが所持することができなくなってしまう。 だが、このビー玉のように元々ゆっくりの装飾品ではない物には死臭がつきにくい。 「ゆぅ~・・・・・・おとーしゃん・・・・・・おとぉぉしゃぁぁん、ゆぐ」 子まりさはそのビー玉にすーりすーりと頬ずりをする。 「ゆゆぅ~ん。とぉってもしゅべしゅべしちぇちぇ、きもちがいいのじぇ。おとーしゃんのやさししゃがつたわっちぇくるようなのじぇ~ん」 子まりさはビー玉を抱きしめる。 それだけで、父まりさに抱きしめられているような気分になり心が落ち着いてゆく。 「ま、まり・・・・・・ちゃ、それを大事に、持っているといい。それもまた、れいみゅのリボンと同じく、貴方の心の支えとなって、くれる・・・・・・うう、はずだから・・・・・・っ!」 お姉さんは両掌で顔を覆いながら、プルプルと震えていた。 「ゆぅぅ?おねーしゃん、ないちぇるのじぇ?まりちゃはもうだいじょうぶなのじぇ。だから、おねーしゃんもげんきだしちぇね?ゆっくち、ゆっくちしちぇいっちぇね?」 「う、う、うぅぅぅぐぅぅぅ!!」 子まりさの励ましに、お姉さんは床にうずくまるように崩れ落ちる。 その動作だけを見ていれば、まるで大事にしていたゆっくりが殺されて悲しみにうち震えているように見えるだろう。 だが、実際のお姉さんの心中は・・・・・・ (ぬ、ぬっひひひひひ!!ま、まだだ!まだ笑うな!ここで笑ったら、これからのお楽しみが、台無し!で、でも、それにしても、このまりちゃの間抜けっぷりときたら!あの時のれいむとまんま同じだわ!) そう、このお姉さんに飼いゆっくりの死を悲しむと言う殊勝な心など持ち合わせている訳もない。 当然だ、その飼いゆっくりを殺したのは自分自身なのだから。 あのビー玉は父まりさに止めを刺した時に使用したものだ。 そんな父親の命を奪った凶器を、あの子まりさは宝物として大事に扱おうとしている。 そのあまりにも滑稽な様子に、お姉さんは笑い転げたくなる衝動を必死に我慢し続けるのであった。 「あんしんしちぇね!おねーしゃん!まりちゃ、つよくなるのじぇ!そしちぇ、おねーしゃんをいじめちゃげすをやっつけるのじぇ!ゆっくちできにゃいげすは、まりちゃがせいっさいするのじぇ!」 「ぶふぅぅぅ!(やめれ!お腹痛い!可笑しすぎて腹筋崩壊するぅぅぅ!!)」 その後、何とか落ち着きを取り戻したお姉さんは、子まりさに壊れた母れいむの面倒をみるよう別の部屋へと移動させた。 そして、父まりさの死骸を片付け、部屋を綺麗にしたところで、何とか一息つきシャワーを浴びることにした。 バスルームに入り、しっかり戸締りをすると服を脱ぎ、熱いシャワーを一身に浴びて今日一日の疲れを流し落とす。 「・・・・・・ぷ。く、くひ!くへへへぇ!ぬははははは!ぬ~わっぬわっぬわっぬわっぬわ!!!」 溜まりに溜まったものをぶちまけるように笑い出す。 ここなら防音もしっかりしているため、子まりさには気付かれないだろう。 狂ったように笑いに笑い転げた後、落ち付いた心でこれからあの子まりさをどうしようかと思案をする。 (このまま潰してしまうのは勿体ないな。暫くは様子を見よう。なんだったらこのまま最後まで面倒みてやるのも有りだろう。愛で派の真似ごともそれなりに楽しかったし。でも、また今回みたいに刃向かうことになったらどうしようか。・・・・・・その時はその時に考えればいいか。ああ、やっぱりゆっくりは愛でて、殺して、二度楽しめる。まさに最高の玩具だよ!) そんな事を考えていると、クゥとお腹がなった。 そういえば、ここ暫くまともな食事をしていなかった。 ゆっくりの為に自身の食費を削っていたからだ。 今日もそのことでお兄さんに叱られてしまったのを思い出す。 (ま、ダイエットになったと思えば別にいいんだけどね。そこらへん心配してくれる辺り、やっぱり先輩は優しいや。ゆっくりには鬼のように厳しいけどね) とはいえ、やはり栄養不足は体に毒だ。 せっかく喰いぶちが減ったのだから、今日の夕飯は御馳走と洒落こむのも悪くない。 バスルームから出て、お姉さんは子まりさの様子を覗いてみた。 子まりさは心労のせいか、ぐっすりと眠っていた。 壊れたれいむは相変わらず焦点の合わない瞳で呆けているが、今はおとなしくしているようだ。 (アレはほっといても数日で死ぬだろうけど・・・・・・面白そうだからまりちゃに世話させておくか) そんなことを考えながら、お姉さんは外出のための身支度をする。 「ゆぴぃ・・・・・・ゆぴぃ・・・・・・。れいみゅ、まりちゃはつよくなるのじぇ・・・・・・」 宝物のビー玉とれいみゅのお飾りを抱きながら安らかな眠りにつく子まりさ。 この後、子まりさにどのような運命が待ち受けているかはわからない。 結局、どう転んだところでお姉さんの手の内であることには変わりはない。 所詮ゆっくりの運命など人間の気まぐれで左右される程度のものでしかないのだから。 「さーて、と。今日は久しぶりに奮発して、ぎゅーポンの筋ばったステーキでも食べにいきますか!」 <了> 前作:anko3988_良い夢、神気分
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数は罪 数は暴力 数は罰 上 22KB ※※CAUTION!!!!!!!!!!※※ このSSは観察系に属します 登場する人間はゆっくりに何もしません 全体的にゲス分控えめです 「悪いゆっくりほど最終的に よりひどい目にあう」というわけではありません(みんな平等です) このSSはまだ完結していません 続きます そういったものがお嫌いな方は 誠に申し訳ありませんが このウィンドウを閉じていただきますようお願いします 以上を許容していただける方は ゆっくりご笑覧ください 追記 アップロードしたら餡子話に表示されるタイトルが変になってました 一度消して上げ直しますけど もう一度上げて直って無かったらもうそのままでいきます なんでなんだろう? 数は罪 数は暴力 数は罰 上 シチュエーション 打ちっぱなしのコンクリートに囲まれた一室 透明な箱(サイズ大) ゆっくりまりさ(成体) ゆっくりれいむ(成体 植物型妊娠済み 出産間近) ルール 餌は一日一回 ゆっくりはそれぞれ「餌を与えてほしいゆっくりのカテゴリ」を選ぶ カテゴリは「大人ゆっくり」「子ゆっくり」「赤ゆっくり」「まりさ」「れいむ」のいずれかである 最大多数票を得たカテゴリに属するゆっくりに餌を与える 票数は一匹一票 餌をその場で食べない場合は没収 餌の譲渡 貯蔵は禁止する 最大多数票を得たカテゴリが二つ以上あった場合 全員餌無しとする 箱内の全てのゆっくりが対象となるカテゴリは無効とする 備考 ゆっくりに与えられる餌には成長促進剤が含まれているため、毎日きちんと餌を摂取し続ければ およそ5日で子ゆっくりに 2週間で成体ゆっくりまで成長する 以上 赤ゆっくりが生まれた日から実験を開始する 1日目 観察 「「あかちゃん!ゆっくりしていってね!!」」 「「「「「「「ゆっきゅりしていってにぇ!!!」」」」」」」 赤ゆっくりが生まれた。まりさ種3匹 れいむ種4匹のようだ。 現在のゆっくり 親まりさ(成体) 1 親れいむ(成体) 1 赤まりさ 3 赤れいむ 4 赤ゆっくりが生まれた直後、男性が部屋に入ってきた。彼は餌係だ。 男性はれいむの頭から茎をむしり取ると、ゆっくりたちにルールを告げた。 親ゆっくりたちは当然餌係の男性を罵るが、男性は顔色一つ変えない。 何度も、何度も、何度も、何度も、何度も。 親ゆっくりがルールを理解するまでただルールを繰り返し続けた。 一日目 選択 数時間。 ゆっくりはようやくルールの内容、そして男性に従わざるを得ないことを理解した。 「どぼじでごんなごとにいいいいぃぃぃぃ!!!」 喚いているのは親まりさ。赤ちゃんができたらゆっくりできるはずだったのに。 なんで?どうして?そんな不満のオーラを全身から放出している。 「しかたないよまりさ!おちびちゃんたちにごはんをあげようね!」 対照的にやや落ち着いているように見えるのが親れいむ。 種としての母性の強さのおかげだろうか、 生まれたての赤ゆっくりに餌を譲り渡すことをすでに決めているようだ。 赤ゆっくりたちは口々に 「おにゃかすいた!」 だの 「れーみゅにごはんちょーらいね!」 などと言いながら親の周りをうろうろとしている。まるで緊張感が無い。 生まれたての赤ゆっくりに、理性だの空気を読むことだのを期待する方が間違っているという話もある。 ただ、赤まりさと赤れいむが1匹ずつ。合計2匹だけは親の周りで 「ゆっくりしていっちぇね!」 を楽しそうに繰り返していた。 「おちびちゃんたち!ゆっくりきいてね!これからあのおじさんにおちびちゃんだけごはんもらうからね! おじさんに『赤ちゃんにごはんちょうだい!』っていってね!!」 「「「「「「「ゆっくりわかっちゃよ!」」」」」」」 赤ゆっくりに説明する親れいむと元気よく返事をする赤ゆっくりたち。 親まりさは不満そうにしているが、さすがに生まれたばかりの子供に餌をやらなければ どうなってしまうのかは理解しているのだろう。口に出して異を唱えることは無かった。 一日目 決定 「では、餌をやってほしいゆっくりのカテゴリを選べ」 男性が告げる。 親ゆっくりたちは 「「あかちゃんにごはんあげてね!!」」 と言う。そして、赤ゆっくりたちは 「「「れーみゅにごはんちょーらいね!」」」 「「「まりしゃにごはんちょーらいね!」」」 「あかちゃんにごはんちょうらいね!」 と言った。 ゆっくりの選択 赤ゆっくり 3 れいむ 3 まりさ 3 赤ゆっくりはルールを完全に理解していなかった。 赤ゆっくりの中では「赤ちゃんにご飯をあげる」は「自分がご飯をもらう」と同義であり、 よりゆっくりできる「自分にくれ」を言葉として選択することは当たり前のことだったのだ。 しかし、「赤ゆっくりに」ご飯を与えることと、「れいむ(まりさ)に」ご飯を与えることは、違う。 それは厳然たるルールである。 この時点で赤ゆっくりが全員餌にありつくことは不可能になった。 加えて、一匹だけ親の言う事を正しく聞き、言葉を正しく使ったれいむがいたことが 最悪の結果を生んだ。 選択された「赤ゆっくり」「まりさ」「れいむ」が同数になってしまったのだ。 「最大多数票を得たカテゴリが二つ以上あった場合、全員餌無しとする」 一日目、ゆっくりたちは、誰も餌を得ることが出来なかった。 「なにやっでるのおおおおおお!!!!れいむ『あかちゃんにごはんちょうだい』っていえって いったでしょおおおおおおお!!!!」 激昂する親れいむ。当然だろう。自分たちは我慢して赤ゆっくりに餌をやろうとしたのに、 当の赤ゆっくりたちがあっさりとそれをフイにしてしまったのだから。 「「そんにゃのちらにゃいよ!れーみゅたちちゃんとごはんちょうらいっていっちゃもん!」」 「「「まりしゃもちゃんといっちゃもーん!」」」 「はやくごはんもっちぇきちぇね!」 赤ゆっくりたちは、自分たちが何を間違ったのか分かっていない。「自分はちゃんとやった。餌をよこせ」 を繰り返すだけだ。 親まりさは砂糖細工の歯を噛みしめ、赤ゆっくりたちをものすごい目で睨んでいる。 唯一正しい選択をした赤れいむは、困った顔をして親と姉妹たちをきょときょとと見比べていた。 「今日の選択は終わった。また明日だ」 男性は部屋を出ていこうとする。 「まっでぐだざいいいいいいいいいいい!!!!!!」 「おにいざあああああん!!!!ちびちゃんだぢはまぢがっだだけなんでずううううう!!! やりなおざぜでぐだざいいいいい!!!!!」 親まりさと親れいむは何とかして男性を引きとめようとするが、男性は何も聞こえていないかのように さっさと部屋を出て行ってしまった。 「どぼじでごんなごどにいいいいいいいいい!!!」 「おちびちゃんたちのばかああああああああぁぁぁ!!!!」 「「「「「ひどいこというおかーしゃんなんてもうちらないよ!」」」」」 「おちびちゃんたちがわるいんでしょおおおおおおおお!!!!!」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 部屋の喧騒は、一家が床につくまで収まることは無かった。 「・・・ろーり・・・そろ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ね!・・・・・・くりし・・・!」 2日目 観察 親れいむが目を覚ます。 「ゆっくりしていってね!」 朝の挨拶をすると、 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 と、水槽の端の方から返事が返ってきた。親まりさと赤まりさたちだ。 親まりさと赤まりさは不自然に水槽の端に寄り、何かを話していたようだった。 赤れいむたちはまだ寝ているのに、なんでまりさだけでそんなところに集まっているんだろうか? れいむは内心首(そんなものは無いが)を傾げながら、親まりさに思ったことをそのまま言う。 「れいむ!たいへんなんだぜ!あそこをみるんだぜ!」 しかしまりさは、れいむの問いには答えず箱の一角を下膨れた顎で示した。 帰ってきた答えはれいむの望んだものとは違ったが、それでも素直にれいむは指定された場所を見る。 そこには、 「れ、れいむのおちびちゃんがあああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」 物言わぬ饅頭となった二つの赤れいむがいた。 現在のゆっくり 親まりさ(成体) 1 親れいむ(成体) 1 赤まりさ 3 赤れいむ 4→2 「ゆっぐ・・・ゆぐっ・・・おぢびじゃんが・・・でいぶのがわいいおちびじゃんがぁ・・・・・・」 親れいむが泣いている。それを慰める親まりさと赤ゆっくりたち 「しかたないんだぜ! きっとごはんたべられなかったから、おなかがすいてずっとゆっくりしちゃったんだぜ!!」 「「「おかーしゃん!げんきだしてね!」」」 「「れーみゅのいもうちょー!ゆわーん!!!」」 いや、親れいむを慰めている赤ゆっくりは、まりさ種のみだ。 れいむ種は姉妹が死んでしまったことを嘆き悲しむのみである。 家族は死んでしまった赤ゆっくりの亡骸を箱の隅に置き、 別れを惜しんで泣いた。 「いつまでもかなしんでてもあかちゃんはかえってこないんだぜ! きょうこそぜったいおちびちゃんにごはんもらうんだぜ! ちびたちももうまちがえちゃだめなんだぜ?」 湿っぽい雰囲気の中、親まりさは気丈に言う。そのリーダーシップに溢れた振る舞いは、 親れいむを立ち直らせはしなかったものの、前向きな気持ちにさせることには成功したようだ。 「ぞうだよおちびじゃんだぢ!ぜったいのぜったいにきょうはごはんもらおうね! ぜったいのぜったいに『あかちゃんにごはんちょうだい』っていってね! いまからみんなでいってみようね!さんはい!」 「「「「「あかちゃんにごはんちょうらいね!!」」」」」 一斉に唱和する赤ゆっくりたち。当然だろう。今日ご飯にありつくことができなかったら、 餓死してしまうかもしれないのだ。 親まりさと赤まりさが何を話していたのか?親れいむはそんな疑問はもう頭には残っていなかった。 赤まりさたちが不自然なまでの笑顔を見せていることにも、親れいむは気付かなかった。 親れいむは親まりさが実の子供を殺したなどとは微塵も疑っていなかった。 2日目 選択 「みんな!わかってるね!」 「ちゃんというんだぜれいむ!まりさもちゃんというんだぜ!!」 「「「「「ゆっくちりかいちちゃよ!!」」」」」 「じゃあもういっかいいってみようね!せーの!」 「「「「「あかちゃんにごはんちょーらいね!!」」」」」 2日目 決定 「では、餌をやってほしいゆっくりのカテゴリを選べ」 男性が告げる。 親れいむは 「あかちゃんにごはんをあげてね!!」 と言う。 赤れいむも 「「あかちゃんにごはんちょーらいね!!」」 と言った。 そして、親まりさと赤まりさは、 「まりさにごはんをよこすんだぜ!!」 「「「まりさにごはんちょーらいね!!」」」 と言った。 ゆっくりの選択 まりさ 4 赤ゆっくり 3 餌は、まりさ種に与えられることになった。 「なんで!どぼじで!!どういうごどなのおおおおぉぉぉ!!!! どぼじでごんなごとずるのおおおおお!!!ばりざあああぁぁぁぁ!!!!!」 親れいむが半狂乱になりながら、箱に体当たりを続ける。 餌を与えられることが決まったゆっくりは水槽から出され、 各自の体の大きさに見合った量の餌を与えられている。 「「「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー♪」」」 赤まりさたちは、親れいむのそんな声がまるで聞こえていないかのように 幸せそうに餌を食べている。 それは親まりさも同じだった。 餌皿に顔を突っ込み、反対に持ち上がった尻をふりふり一心不乱に餌をむさぼっている。 「はっふ!むしゃむしゃ!まりさはふつかもごはんぬきなんてたえられないんだぜ! ちゃんとあかちゃんにもごはんあげてるんだから、まりさはわるくないんだぜ!!」 「れいむのあかちゃんはごはんもらってないでしょおおおおお!!!!!! ぜんぶたべないでごはんもってきてねえええええええ!!!!!」 この後に及んでも、親れいむが気にしているのは赤ゆっくりのことだった。 「むりなんだぜ!たべなかったらごはんはもっていかれちゃうんだぜ!! れいむのあかちゃんにはあしたごはんあげたらいいんだぜ!!」 「あじだになっだらあがぢゃんじんじゃうでじょおおおおおおおおおおおおお!!!!」 「「ゆえーん!おとうしゃんひぢょいよー!れーみゅおにゃかしゅいたー!!」」 「がっつがっつ!うるさいんだぜ!まりささまのすーぱーおしょくじたいむを じゃまするんじゃないんだぜ!!」 たった一日で親まりさはゲス資質を発現してしまったようである。赤まりさを扇動し、 自分が餌にありつけるように画策したのだ。 その後も親れいむは親まりさを問い詰めるが、親まりさはもう何も答えることは無かった。 3日目 観察 「「「「ゆっくりしていってね!」」」」 ぺっかー、と、幸せいっぱいに朝の挨拶をする親まりさと赤まりさ。 親まりさは肌はもちもち髪もつやつやである。 赤まりさたちも、昨日より心なしか大きくなったようだ。 「「「ゆっくり・・・していってね・・・」」」 対照的に元気が無いのが親れいむと赤れいむ。 赤れいむは皮が透け、餡子の黒みが外から見えそうである。 生まれてから何も食べずに二日。そろそろ限界なのかもしれない。 「きょうは・・・あかちゃんっていっでねまりさ・・・わかってるの・・・?」 恨みの籠った目つきでまりさを睨みつつ、絞り出すような声で言う親れいむ。 「んー?なにいってるんだぜれいむ。まりさはごはん」 「まりざああああぁぁぁぁぁ!!!あかぢゃんをじなぜでみろおおおおお!!!! ぜったいにゆるさないからねえええええ!!!!」 まりさの返事を遮りものすごい声量で叫ぶ親れいむ。 ものすごい気迫だ。 目は血走り、歯はぎりぎりと食いしばられている。 親まりさが拒否の言葉を吐こうものなら即座に飛びかかってやるという思念が目に見えるようだ。 2日何も食べていない上に運動能力ではまりさ種に敵わないれいむがまりさと戦えば、 れいむは負けるだろう。 しかし、その気迫にまりさは怯えた。 「わ、わかったんだぜ!きょうはあかちゃんにゆずるんだぜ!! おいちびども!きょうはあかちゃんにくれっていうんだぜ!!」 まりさは折れ、餌を赤ゆっくりに譲ることを約束した。 3日目 選択 「あかちゃん・・・ごはんたべてゆっくりしていってね・・・」 「ゆっくちわかっちゃよ・・・れーみゅごはんたべりゅよ・・・」 「やぢゃぁ・・・れーみゅだけじゃやぢゃぁ・・・おかーしゃんもごはんたべないとやぢゃぁ・・・」 対照的な2匹の赤れいむ。殊勝なことを言っているほうが、初日に正しい答えをした赤れいむである。 この個体は頭がいい上に他をゆっくりさせようとする気持ちが強いようだ。 「「まりしゃたちはきょうもゆっくちごはんたべりゅよ!」」 「おかあしゃんごめんね!まりしゃごはんたべりゅね!」 赤まりさたちは自分が餌にありつければ何でもいいらしい。 「・・・・・・ふんっ・・・まりささまにかんしゃするがいいんだぜっ・・・」 ふてくされる親まりさ。しかし親れいむがぎろりと睨むと、帽子を目深にかぶって親れいむの 視線が逃れようとした。 3日目 決定 「では、餌をやってほしいゆっくりのカテゴリを選べ」 男性が告げる。 「「あかちゃんにごはんあげてね!」」 これは親まりさと親れいむ。まりさはれいむが怖いのか、裏切ることはしなかった。 「「「「「あかちゃんにごはんちょーらいね!!」」」」」 赤まりさと赤れいむの声も綺麗に揃った。あの赤れいむだけは俯いて悲しそうにしていた。 ゆっくりの選択 赤ゆっくり 7 今日は赤ゆっくりに餌が与えられることになった。 「「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」」」 能天気に餌を食い荒らす赤まりさ 「むーちゃ・・・むーちゃ・・・ち、ちあわちぇぇぇぇ!!」 生まれて初めて食べる餌に感動している赤れいむ 「むーちゃ・・・むーちゃ・・・おかあしゃん・・・・・・」 ちらちらと透明な箱の方を振り返り、親れいむに申し訳なさそうにしている赤れいむ。 「いいんだよ!おちびちゃん!れいむのことはきにしないでゆっくりたべてね!!」 そのれいむに向かって声をかける親れいむ。美しき親子愛である。 親まりさはふてくされて箱の隅で横になっていた。 自分がれいむに気迫で負けてしまったことを恥じているようでもあり、 ただ単純に餌が食べられないことが不満のようでもあった。 4日目 観察 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 7匹の声が唱和する。 元気一杯赤まりさたち。 半眼でふてくされている親まりさ。 一回り縮んだように見えるが笑顔を絶やさない親れいむ。 そして、にこにこと笑っている赤れいむと親れいむを心配そうに見上げる赤れいむ。 家族は、危ういところでその均衡を保っていた。 現在のゆっくり 親まりさ(成体) 1 親れいむ(成体) 1 赤まりさ 3 赤れいむ 2 「それで、今日はどうするんだぜ?」 いきなり切りだす親まりさ。親れいむのことを睨みつけている。 「いっておくけどまりさは2かいもごはんぬきはいやなんだぜ! まりさたちがまりさっていえば、れいむたちはごはんたべられないんだぜ!!」 ふふんっと胸を張る親まりさ。昨日の借りを返してやると言わんばかりである。 「でも、おかーしゃんまりしゃたちがうまれてきゃらいっかいもごはんたべてにゃいよ?」 その時、くにょんと首(だから無いってば)を傾げて親まりさに言いつのる赤まりさが一匹いた。 長女の赤まりさだ。 「ちびはだまってるんだぜ!ちゃんとごはんあげてるんだからまりさにさからうんじゃないぜ!」 「でも、ごはんくれるのはにんげんさんでちょ?」 「なにいってるんだぜええぇぇぇ!!!まりさががんばって、 おまえらにごはんあげてるんだぜえええ!!さからうことはゆるさないんだぜ!!!!!」 実の子を憎々しげに睨みつける親まりさ。赤まりさはその視線に耐えきれずにうつむいた。 「「おねーちゃん、おとーしゃんはまりしゃにごはんくれちぇるよ?」」 妹まりさたちも親に追従する。 「ちがうよ・・・おとーしゃんはおかーしゃんをいじめてるだけぢゃよ・・・ ごはんくれちぇるのはおとーしゃんじゃにゃいよ・・・」 長女まりさは、帽子を深くかぶると誰にも聞こえないように呟いた。 4日目 選択 「とにかく、今日はまりさたちがごはんたべさせてもらうんだぜ!おなかがへったなられいむは しんだあかちゃんでもたべたらいいんだぜ!!」 ふふんっと鼻を鳴らすと(そんなもの以下略)、親まりさは勝ち誇ったように笑った。 「ごべんねええぇぇ!!おかあさん赤ちゃんにごはんあげられなくてごめんねええぇぇぇ!!!」 泣きじゃくる親れいむ。 「ひどいよおかーしゃん!れいみゅになんでごはんくれにゃいの!!!」 涙目で母に詰め寄る赤れいむ。 もう一匹の赤れいむは、何かに気づいたように姉妹の亡骸を見つめていた。 4日目 決定 「では、餌をやってほしいゆっくりのカテゴリを選べ」 男性が告げる。 「まりさによこすんだぜ!」 これは親まりさ。 「「まりさにちょーらいね!!」」 これは赤まりさ。 「赤ちゃんにあげてね・・・」 親れいむ。 「れいむにちょうらいいい!!!!」 赤れいむ。 「れいむおかーさんにあげてね!おかーさんちんじゃうよ!!」 赤れいむ。 「・・・・・・まりさに・・・ちょうだいね・・・」 これは長女まりさだ。 結局今日は、「赤ゆっくり」のカテゴリは選ばれることはなかった。 ゆっくりの選択 まりさ 4 れいむ 3 今日は、まりさ種に餌が与えられることになった。 「「「「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー♪」」」」 まりさたちが餌を食べている。 親れいむは、赤れいむを慰めているが、赤れいむは親れいむを罵倒し続けている。 「しょろーり、しょろーり・・・」 そんな中、初日に正しい選択をした赤れいむが、姉妹の亡骸に近づいて行った。 「れーみゅはおなかしゅいたから、いもーちょたちをゆっくちたべりゅよ!!」 殊更に大きな声を出すと、赤れいむは親れいむに背を向け、姉妹の亡骸にかじりついた。 「なにやっでるのおおおおおおおおおお!!??」 その声で親れいむが赤れいむのしていることに気づいた。ぽいんぽいんと・・・いや、 そんな勢いは無い。半ば這うようにして、親れいむは赤れいむの元へ向かう。 「おねえちゃんじゅるい!!!れーみゅもたべりゅ!!」 もう一匹の赤れいむも姉妹の亡骸へと近づき始めた。足の速さで赤ゆっくりが成体に 敵うはずもないが、極度に疲弊した親れいむと前日に栄養たっぷりの餌を食べている 赤ゆっくり。速度は対して変わらなかった。 ちなみに赤まりさの大きさはすでに生まれた時から比べると1・5~2倍程度になっている。 赤れいむも死んだ姉妹に比べれば違いが一目で分かる程度の成長を遂げていた。 加工所製の成長促進剤の効果である。 「ゆっくちたべりゅよ!」 結局先に姉妹の亡骸の元へたどり着いたのは、赤れいむの方だった。 赤れいむは姉の食べているものの相伴に預かろうと口元を覗きこむが、 姉れいむは、亡骸を食べているふりをしているだけだった。 「ゆ?」 妹れいむは混乱する。なんでだろう?何で姉は食べるふりなんてしているんだろう? どうして・・・? その時、親れいむが追い付いてきた。 「しまいをたべちゃうなんてなんてこなのおおおおおおおおおお!!!」 姉れいむに噛みついて、投げ飛ばそうとする。 姉れいむは、親れいむが口をあけ、突っ込んでくるタイミングに合わせて 姉妹の亡骸を口にくわえ、体を反転させた。 「がぶーっ!・・・ゆゆ?むーしゃ、むーしゃ、しあわせー・・・ごっくん」 結果、親れいむは赤れいむの亡骸を食べてしまった。その際に、姉れいむのりぼんの 一部も一緒に噛みちぎられた。 「ゆわああああああああああ!!!たべちゃったぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」 身をよじり、何とか吐き出そうとする親れいむ。だが飢えた体は栄養を即座に 吸収してしまおうとする。結局亡骸は、吐き出されることは無かった。 「どぼじで、なんでこんなことじだのおおおおおおおおおおおお!!!!」 泣きに泣く親れいむ。それに対して姉れいむ(以降このれいむを傷れいむと呼ぼう)は、 「おがあざんじんじゃっだらどうじようっておぼっだにょおおおおお!!!! れいみゅわるいこでごべんにゃざいいい!!でもおがあざんのごとがじんぱいだったのおお!!」 こちらも大泣きに泣いていた。 それを見て、親れいむはさらに涙を流した。 「あがぢゃん・・・でいぶのごどじんばいじでぐれたの・・・? ごべんねええぇぇぇぇ!!あがぢゃんにしんぱいかけるようなだめなおかあさんでごべんねえええ!!」 「おかーしゃんはれーみゅのたいせちゅなおかーしゃんだよ!しゅーり!しゅーり!」 「おちびじゃあああん!!おりぼんちぎっちゃってごべんねえええぇぇぇ!!おちびちゃんは れいむのあかちゃんのなかでもいちばんゆっくりできるこだよおおおお!!!」 激しくすりすりを繰り返す二匹。もう一匹の赤れいむは、そんなことはどこ吹く風とばかりに 姉妹の亡骸をかきこんでいた。 結局、赤ゆっくりの死骸は親れいむと妹れいむが全て食べた。 傷れいむは親れいむが何度言っても頑として姉妹を食べようとはしなかった。 「おかーしゃんのほうがおなかすいちぇるからおかーしゃんがたべちぇね! そのほうがいもーちょたちもよろこぶよ!!」 の一点張りだった。 5日目 観察 「「「「「「「ゆっくりしていってね!」」」」」」」 7匹の声が唱和する。結果として昨日はほぼ全員が餌を食べた形のため、声に張りがある。 昨日唯一餌を食べていない傷れいむもにこにこと笑っている。 皆が笑っているのが楽しいのだろう。 長女まりさは親れいむを見つめ、何か考えているようだ。 現在のゆっくり 親まりさ(成体) 1 親れいむ(成体) 1 赤まりさ 3→2 子まりさ 0→1 赤れいむ 2 5日目 選択 「今日はおちびちゃんにごはんをあげるよ!」 親れいむが高らかに宣言する。 「あかちゃんたべちゃったくせにまだははおやづらなのぜ?ひどいおやなのぜ!!」 親まりさはにやにやと笑いながら言う。 「うるさいよ!まりさがごはんくれないのがわるいんでしょ! きめたよ!れいむはこのれいむをまもるためならなんでもするよ!!」 傷れいむにすりすりしながら親れいむは親まりさを睨みつける。 親まりさは肩をすくめ(そんな以下略)親れいむに 「おぉ、こわいこわい」 とだけ言うと、赤まりさたちに向かって 「きょうはあかちゃんにごはんちょうだいっていえばいいんだぜ!きょうもまりささまが ごはんをやるんだからよろこぶがいいんだぜ!!」 と言った。 5日目 決定 「では、餌をやってほしいゆっくりのカテゴリを選べ」 男性が告げる。 「「「「「「「あかちゃんにごはんあげてね(ちょうだいね)!!」」」」」」」 全員の声が綺麗に揃った。 ゆっくりの選択 赤ゆっくり 7 今日の餌は、赤ゆっくりに与えられることになった。 いつも通りに選ばれたゆっくりが透明な箱の外に出される。 しかし、今日は何かおかしかった。男性の用意した餌皿は、4つしかなかったのだ。 最初に赤れいむと傷れいむがつまみ出される。その次に赤まりさ。そして、長女まりさ。 4匹は餌を与えられ、箱の中には親まりさと親れいむ、そして、一匹の子まりさが残った。 「「どういうことなの(んだぜ)!?」」 男性に詰め寄る親二匹。 それに対して男性は、 「そいつはもう、子ゆっくりだ。ずいぶん成長が早かったな」 とだけ言った。それだけで十分だろうと言わんばかりに。 「そんなことどうでもいいからはやくまりさにごはんたべさせてね!ぷんぷん!!」 赤→子まりさは事態を把握しきっていないようだ。なぜ自分だけ餌を貰えないのか、と怒りも 露わにぷくーをしている。 「おとーさん!まりさにごはんくれるんじゃなかったの!!はやくちょーだいね!!」 赤ちゃん言葉の抜けた子まりさは、今度は親まりさを責める。 この子まりさは、親まりさが餌をくれているのだと信じているのだ。 「ち、ちがうんだぜちび!これはまちがいなんだぜ!!」 親まりさはしどろもどろだ。まさかこんなことになるとは。 この箱の中で、重要なのは種の頭数だ。だからこそ親まりさは赤れいむを初日に2匹殺し、 数の上での優位を作りだした。 その上で赤まりさたちを掌握すれば、自分はずっと餌を食べ続けることができると踏んだのだ。 それは正しい判断だ。 あくまで、自分の子供たちを掌握し続けることができれば、の話ではあるが。 結局4匹の赤ゆっくりが餌を食べる間、子まりさは親まりさを責め続けた。 なぜごはんをくれない。なぜゆっくりさせてくれない。おとーさんなんてきらいだ。 ずっと、ずっと、ずっと。子まりさは親まりさを責め続けた。 to be continued あとがき と言うわけで、前作のあとがきで言っていた多数決ものです。 2週間で成体になるなんて、ハツカネズミもびっくりですね。 赤ゆっくりの成長によるカテゴリの変化が主なイベントのトリガーになっているので、 ××日 選択 特記事項なし という中だるみの日を減らすために、成長速度を滅茶苦茶に速めました。 文章を区切った方が読みやすいという意見を頂いたので、改行を多くして縦に長くしてみました。 このほうが確かに読みやすいかな? 予想はしていたのですが、分量的にとても長くなってしまったので、いくつかに分けることにしました。 続きも読んでいただけると嬉しいです。 それにしても一本で7日目ぐらいまでは書けると思ったのに・・・あわわ。どうしよう・・・ それではここまで読んでくださったあなたに感謝をささげつつ、今日はさようなら by ゆンテリアとか描いてる人 ゆンテリアあきの作品集 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る いや、全員ゆっくりにしては頭良すぎなんじゃね?w 初日のミスの原因とか理解できなさそうw -- 2010-09-14 01 13 34 傷れいむ頭良すぎだろww -- 2010-08-10 00 01 50
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飼いれいむにはれいむ似の赤ゆがいる。れいむから見れば目に入れても痛くないというレベルだろう。 だが、このれいむは子供を溺愛しているが一つだけ教育におかしなところがある。 「みゃみゃ~!れいみゅ、おしょとであそんでくる~!」 赤ゆっくりはかなり活発に行動する。そのため、知らずに命の危険に晒されるほどの怪我等を負い、永遠にゆっくりしてしまう例も少なくない。 だが、そうならないためにも必ず親ゆっくりは赤ゆに付き添うのだ。 そして、何が危険なのかを知っていくためにある程度の危険に触れ経験していくのも教育上必要なのだ。 これは野良でも飼いでも共通していること。このれいむも活発な盛りのためか家の庭はまさに遊園地にも等しいのだ。 だが、この親れいむはそれとは違っていた。 「なんどいったらわかるの!おそとはきけんだからおうちにいなさいっていつもいっているでしょう!!ばかなの!しぬの!(ぷくー!)」 注意するというレベルではなく、周りが引いてしまうしまう程激怒しているのだ。この親の反応に赤ゆはおそろしいしいを盛大に拭き出す。 「ゆぇーん!ごめんなさいー!!」 この親れいむは別に赤ゆが嫌いというわけではない。だが、この赤ゆの命の危機は自分自身の命の危機でもあるからだ。 なぜそうなったかは、赤ゆが生まれる数日前へとさかのぼる。 『条件』 れいむは特別なゆっくりであった。ペットショップ出身で他ゆにも分けるほど美しい美貌を持っているからだ。二か月前からお兄さんに飼われ始めている。 「おにいさん、れいむあまあまが食べたい!」「そうか、なら少し待ってくれ。今あげるから」お兄さんに言えばあまあまがいつでも食べられる。 「おにいさん、れいむうんうんしちゃった!」「しょうがないなー。今固片付けるよ」お兄さんに言えばうんうんの心配もいらない。 「おにいさん、れいむおもちゃがほしい!」 「わかった、取敢えずこのボールで我慢してくれ」お兄さんに言えば遊び道具だって手に入る。 ここで勘違いして欲しくないのは、お兄さんがれいむを甘やかしているだけではない。ちゃんと躾している。飼い主としての義務も完ぺきに近いほどこなしている。 だが、れいむは次第にそれが当たり前になってしまっていた。お兄さんの躾などれいむは聞いていなかった。自分は美しいから許されるのだ。 もしも、拒否などをすれば騒げばいい。そうすれば、掌を変えた様に言うことを聞いてくれる。れいむにとっては魔法の言葉だ。 お兄さんにとっては、近所迷惑になりかねないので仕方なく言う事を聞いているにしか過ぎないのだが…。 だが、一つだけ許されないことがあった。『番いは与えない、もちろんこどもは以っての外』というものだった。 (なにっているの!このれいむさまのこどもはぜったいにかわいいんだよ!!なのにうんじゃだめ!?あたまがわるいにもほどがあるあるよ!!それに…!) ゆっくりにとって最大のゆっくりを禁止するなんてバカ過ぎる飼い主だと思っている。 (どれいのぶんざいでみのほどをわきまえてよね!!) そのため、れいみの中ではお兄さんは飼い主から奴隷という位置づけになっていた。このような思考を持ってしまったゆっくりはいずれうっ憤が爆発する そんなある日あることが起きた。ある日お兄さんが家に帰っている来ると部屋は荒らされていた。 れいむを飼っていたため、危険なもの壊れたら困るものの安全対策はばっちりしているため床が汚されている程度で済んだ。 野良の襲撃かと思い、いち早くれいむを探したが直に見つかった。 「れいむ・・・。これは一体どういうことだい?」 「ゆぅ!れいむのいっていたどれいおにいさんがかえってきたぜ!」 「ほんとうだ!おい!どれい!れいむとだーりんのまりさはおなかがぺこぺこだよ!はやくあまあまをちょうだいね!!」 床を汚したであろう野良ゲスまりさの隣にれいむは堂々といた。状況と言動から見て野良まりさを入れたのはれいむであることは誰にだってわかる。 そして、れいむの腹は膨れていた。 「まさか、れいむ…。にんしん!してるのかい?」 「ゆ、そうだよ!だーりんとのあいのけっしょうだ!このこのためにもいっぱいたべないといけないんだよ!ぐずぐずしないであまあまもってきてね!たくさんでいいよ!!」 れいむがあろうことか、野良まりさとすっきりし胎児にんしんをしてしまったのだ。 「僕はは言ったよね!!番も子供も許さないって!!」 「「!!?」」 お兄さんは温厚な性格で滅多に怒らない。れいむに対して怒ったことがないのだ。そんなお兄さんが怒ったとき、れいむはほんの一瞬恐怖した。だが。 「おおきなこえをだすからびっくりしたぜ!!いしゃりょうとしてあまあまをたくさんよこすだぜ!!すぐしろ!くそどれい!!」 「ふ、ふん!しらないよ、そんなこと!おにいさんはれいむのどれいなんだよ!たちばをわきまえてね!!」 だが、れいむは反省の色を全く見せない。それどころか、まりさと共に罵倒し始めた。 お兄さんはただ静かに考えていた。自分の躾が間違っていたのか…。ある目的のために飼ったとはいえ、飼い主としての愛情はちゃんと注いだ。 だが、それが今のれいむを創り出してしまったことを悔いた。そんなことを余所にれいむたちは罵倒を止めない。 「だめにんげん!!」 「くずにんげん!」 「いきるかちのないにんげん!」 プチン お兄さんの中で何かが切れた。お兄さんの目つきは恐ろしいものへと変わった。それに気付いた二匹は自然と罵倒が止まった。 普通ならここでこの二匹を潰すだろう。 「ねぇ、まりさ。」 「な、なんだぜ!はやくあまあまを――」 「うん、あげるよ。でも、一つだけ条件があるんだ」 お兄さんの言葉を恐怖という本能から静かに聞く二匹。 「うちのれいむは見ての通り銀バッチなんだ。だから、そのれいむには同じ銀バッチであることが一番いいとおもんだよね。だから銀パッチになれたらお兄さんはまりさの一生の奴隷になるよ!」 「ゆ、ららくしょうなんだぜ!まりささまはゆうしゅうだからかんたんすぎるのぜ!!」 「ただし、見込みが無いとわかったら直にぼこぼこにして殺すよ、…いい?」 「なにいってるだぜ!ころす?どれいのぶんざいでくちのききかたがすぎるだぜ!ちょうしんにのるどれいはいますぐしね!!さっさとあまあまをよこすだぜ!どれい!!」 「まりさかっこよすぎるよ―!!」 が、次に出たのはあまあまと死ね罵倒だった。れいむはそんなまりさに惚れ直しているところだ。 「は~い!アウト~♪」 お兄さんは表情を全く変えずに少ししゃがみまりさを押さえた。 「ゆ、どれいのぶんざいでまりささまにきやすく<ドゴン!!>ゆぼべぇぇ!?」 「ゆ!?ま、まりさ~!!?」 触るなと罵倒する前にまりさの頬にお兄さんの拳が襲った。 「な、なにするだぜ!?なぜなぐるだ<ドゴン!!>ゆほへぇぇぇ!?」 「言っただろう?バッチ習得の見込みがないとわかったらぼこぼこにして殺すってさっきいったよ?覚えてないの?ばかなの?しぬの?」 「ま…まりさ・・さまはゆうしゅうなんだぜ…えりーとなんだ<ドゴン!!>ゆびゅびゅゅ!!?」 「そもそもさー」ドゴン!!「ゆふれぇぇぇ!!?」 「お兄さんに死ねって言ったよね?」ドゴン!!「ゆほらぁぁぁ!!?」 「あまあまよこせって言ったよね?」ドゴン!!「ゆへほぇぇぇ!!?」 「何回もクソ奴隷っていったよね?」ドゴン!!「ゆへひぃぃぃ!!?」 「その時点でね…。」ドゴン!!「ぼうやべでくだざいーー!!」 「見込み何って微塵もないんだよ!!!」ドガン!!「いやばばばばぁぁぁ!!!?」 ゆっくりとしては申し分ないほどの容姿をしていたまりさはボロ雑巾のようになってしまい前の面影など無くなってしまった。 「ま、まりさ!!!?」 れいむは恐怖で盛大におそろしいしいを流してしまった。お兄さんは殴るのを止め、次の段階へ移行した。 お飾りをずたずたに引き裂いた、「まりさのゆっくりたおぼうしが!!?」 髪の毛に身体が燃えない程度火を放った、「あつ!?あつい!!?まりさのさらさらなへあーが!!?」 歯を粉々にして喋れなくした、「ふぁりふぁのふぉうへぇひぃのようなふぁが!!?」 片目をあまぎった。「めぇが!?めぇがかふぁふぉがみぇまふぁいよぉー!!?」 もう何のゆっくりかすらわからない容姿になってしまった。 「ゆっくりが見たらゆっくり出来ないって制裁されるね。」 その言葉を聞いてガタガタと震えだした。お兄さんは震えるれいむを抱え、まりさをコンビニ袋へと入れた。 「殺さないで上げるよ、まりさ。こんなにしたお詫びに…ゆっくりが一杯住む公園まで送ってあげる♪」 それを聞いてまりさは力の限り暴れた。そんな抵抗は全く意味を無さかった。うざいので袋に入ったまりさを軽く地面に叩き付け黙らせ公園へと向かった。 ゆっくりが暮らしている真ん中の辺りでまりさを解放した。気力を取り戻したのか必死で話しているがさっき叩きつけられた衝撃で完全に歯が砕け喋れなくなってしまった。 「公園のゆっくりたち~!あまあまあげるから寄っといで~!!」 そう叫んですぐにお兄さんとれいむは近くの木に隠れた。他のゆっくりが集まって来た。 「かひゃあああ!かひゃあ!いいい!!?」 「むっきゅ!?なにこれ、ぜんぜんゆっくりできないわ!!」 「わかるよ~!ゆっくりできないだね~!」 「ぜんぜんとかいはじゃないわ!いなかものよ!」 「ち~ん~ぽ!ほーけーい!!」 お兄さんの言葉を聞いてゆっくりが集まってきた。当然あまあまはなかった。あったのは薄汚い塊だけであった。 集まったゆっくりはあまあまがないことに腹を立ててそこにいたまりさをぼこぼこにした。傷つきして抵抗もできない。 そして、ゆっくりの断末魔をあげることなくゆっくりした。集まったゆっくりが帰ったのを確認したあとまりさのもとに行った。 そこにはただ餡の塊しか残っていなかった。れいむは将来の幸せを約束したまりさのあまりにもゆっくりしてない死に様に恐ろしいしいを盛大に流すことしかできなかった。 「さてと、じゃあれいむの条件を言うね」 「ゆ、ゆっくりきくよ!!」うんうん、素直で宜しい。 「生まれてくる『赤ゆを絶対死なせない』ことだよ」 「ゆ、ゆっくり♪」 れいむは安堵した.野良ゆっくりならまだしも飼いゆっくりならば死ぬ可能性はないに等しい。そうれいむはお気楽に思考した。 「ただし、お兄さんは一切赤ゆには関わりません。ごはんもあげません。おトイレも処理しません!」 「・・・なんでぇ~~~!!!!?」 お気楽な思考は一瞬で砕かれた。抗議しようとしたが…。 「れいむって母性(笑)が凄いんでしょ?なら、平気でしょ?なんたって、ゆっくりの中で一番の子育て上手だもんね!」 「で、でも・・・!」 「あ、言い忘れてたけど死んだら君の大切だっただーりん以上にぼこぼこにして殺すからね♪」 「ど、どうしてそうなるの―――!!!!!??」 抗議し続けるれいむを余所にお兄さんは家へと帰宅した。 余談ではあるが、まりさにせいさいをしたゆっくりたちは近所の住民から騒がしいという連絡を受けた加工所によってゆん生を閉じた 「「「「ゆっくりできない~!!!!」」」」 れいむがにんしん!してから数日が経った。 ポン! 「ゆっきゅちぃしてねぇ~!」 「ゆぅ~♪とてもゆっくりしたあかちゃんだよ~!!」 とうとう赤ゆが産まれた。れいむに似たかわいい赤ちゃんだ(れいむから見て)。 「おにいさん!あかちゃんがうまれたからおいわいにあまあまちょうだいね!」 早速、お兄さんにあまあまを要求する。だが、出て来たのは自分の分だけだった。 「ゆ!?おにいさん!はやくあかちゃんのぶんももってきてね」 「れいむ、お兄さんは赤ゆに関わらないっていったよね?だから、自分の分から赤ちゃんのご飯は出してね」 「ゆ!ゆぇぇぇ!?」 そういってお兄さんは部屋を出てしまった。れいむは呆然としていたが 「あきゅあしゃん、れいみゅおなきゃしゅいたよぉ!」 「ゆ、ごめんねおちびちゃん!はい、ごはんさんだよ!」 渋々、自分のあまあまを赤ゆに与えた。 それからお兄さんは約束通り、赤ゆの世話一切しなかった。ご飯は勿論、トイレ処理と寝床の用意をしない。 怪我をしても… 「ゆああああん!!れいみゅのえれがちょできゅうちくるなおひゃだがー!!」 「おにいさん!おちびちゃんがけがをしちゃったよ!!おれんじじゅーすさんちょうだいね!!」 「?あげないよ。言ったよね、赤ゆに関わらないって。それにその程度の怪我ならぺろぺろすれば治るよ」 オレンジジュースすら与えなかった。 「いいからはやくそこせ!くそじじい!!」 「あー、がっかりだよれいむ。子供の世話もろくにできないなって。さてと、どんな風に虐待するか考えるかな」 「ゆっくりはやくぺろぺろするよ!!」 れいむは急いで赤ゆの傷を舐めた。幸い、傷はそんなに深くなく一時間足らずで感知した。 これ以降、おちびの行動をれいむは制限した。反抗するとゆっくりの「ぷくぅー!」で黙らせた。 悩みがあったが、赤ゆは着実に成長し子ゆっくりサイズまで大きくなった。 そんなある日のこと… 「さぁ~、おちびちゃん!きょうはおうたさんをうたおうね」 「―――――」 「ゆ!おちびちゃんへんじしてね!おへんじしないこはぷくぅーだよ!」 何も答えない赤れいむにお説教するれいむ。だが、次の瞬間・・・! 「ゆびょげぇぇぇー!!!?ゆぎょげーーーー!!!」 「ぷく・・・・!?おちびちゃん!!!」 赤れいむの様子が大きく激変した。突然奇声を上げながら中身を吐いている。 赤れいむの身体中に妙な緑の染みが出来ていたのだ。これは唯のシミではない。 ゆっくりの死亡要因上位に食い込む『ゆカビ』だった。 実は赤れいむ、先日降った雨が少し開いていた窓から入った霧雨程度の水滴が触れていたのだ。 この場合、良く拭き取り乾かすか親に舐めて貰うかしなければならない。ゆっくりの唾はゆカビ防止を担っている。 そのため、野良子ゆっくりは梅雨は両親からぺろぺろを受けゆカビを防止するのだ。 飼いゆっくりの場合は本来ならゆっくり病院で注射をするという予防を飼い主はしなければならない。 だが、お兄さんはそれをしていない。それどころか赤れいむの飼い登録すらしていなかったのだ。 「ゆげげげげーー!ゆごごげげげーーー!!」 「やあああ!おちびちゃん、これいじょうあんこさんはいちゃだめ!!!」 れいむは本能で理解した。このままでは死ぬと。 「おにいさん!おねがいしまぶ!!おれんじ…おれんじじゅーすざんをください!!!」 「ああ、いいよ。はい、オレンジジュースね」 駄目元でオレンジジュースを要求したが思いの外すぐにくれた。しかも、ペットボトルごとである。 オレンジジュースであることを確かめてれいむはに赤れいむぶっかけた。 「ゆぅ~~~♪これでなおるよ、おちびちゃん」 「ゆ、ゆ、ユビョーーービョビョー!!?」 「お、おちびちゃん―――!!!」 余計酷くなった。そもそも、カビに侵食されてる時点でゆっくりの皮の機能を大きく低下させる。 この状態になってしまえばいくらオレンジジュースで傷が一瞬で回復するゆっくりと言えどもう手遅れだ。 ここで余談をしよう。ゆカビに侵される原因は大きく上げると2つある。それは食事とストレス解消だ。 野良ゆっくりの赤ゆが全てゆカビに殺されるわけではない。死ななかったゆっくりは、比較的食事を取っている。 あるゆっくり学者が調べたところ、赤ゆ1・2匹程度の場合は食事を十分に与えられるためゆカビで死ななかった。 ただし、3匹以上いる家庭は食事が満足に与えられるず、ゆカビに侵されてしまい全滅する例が多くみられた。 ストレス解消とは、赤ゆは動くことで直に解消できる。梅雨に入る前にある程度身体を動かしていれば知らない間にストレスが解消される。 先にあげて食事を満足に取らなくてもゆカビには侵されないで済むのだ。(だが、一割程度しか見たい。) これはあくまで野良に対する例だが、このれいむの赤れいむはどちらとも満足に満たしていなかった。 食事も本来赤ゆが取るべき量にも満たなかった。怪我を恐れたれいむによって自分の行動が著しく制限されたことによりストレス増加を招いた。 さらに事ある毎にゆっくりにとっては恐怖である「ぷくー」をされたのだ。恐怖からのストレスも勿論溜まる。 つまり、この赤れいむがゆカビに侵されて死にゆくのは完全にれいむの子育てが招いたことなのだ。 れいむはこのままではおちびちゃんが死んでしまうというのを理解した。 いや、理解してしまった。このままでは、自分はあのまりさのようになってしまう…。 (いっそのことれいむがころして…!) 「あ、れいむが殺しても駄目だよ。もしそうしたらぼこぼこにせず直に殺すから」 「ゆぎゃあああああ!!?」 完全に逃げ道を塞がれてしまった。れいむはただがたがたと震えて見てるしか出来なかった。 「モ・・・リ・・・ピョ・・・!・・・」 おちびちゃんはゆっくりの断末魔をあげることすら出来ずにどろりと崩れ絶命した。普通では考えられない死に方だった。 れいむはおちびちゃんの死を悲しむよりも自分がこれから酷い目に会うという恐怖でそれどころではなかった。 恐る恐るお兄さんに振り向いた。そこにはいつもの笑顔のお兄さんがいた。 これは事故だ、だかられいむのせいじゃない。れいむは何も悪くないから許してくれるんだと希望を持った。 「お、お兄さん!ゆっく「スーパーボコボコタイム!」ドゴン!ゆべぇ!!?」 ゆっくりしてねを言う前にれいむはお兄さんの拳を喰らった。突然の痛みに混乱するれいむをよそにお兄さんは笑顔のまま殴り続けた。 ある程度殴ったらオレンジジュースをかけ回復させまた殴り続けた。拳の嵐が止み、オレンジジュースをかけて回復したれいむにお兄さんは語りだした。 「お兄さんね、最初はれいむがすきだったんだよ」ドゴン!「ゆぼぃ!!?」 「いくらある目的のために飼ったとはいえ、お兄さんの最初のゆっくりだから」ドゴン!「ゆぶぅ!!?」 「でも、れいむはお兄さんが奴隷だと勘違いしてたんだね、それに気付いてから嫌いになったんだ」ドゴン!「ゆびぁ!!?」 「実はね、あのまりさとすっきりした現場を見てたんだよ。直に殺そうと思ったな」ドゴン!「ゆべぅ!!?」 「でも、下らない良心で出来なかったから一応、れいむを信じてあの条件を出したんだ」ドゴン「ゆぼぇ!!?」 「だけど、絶対に失敗してくれるってわかってからね」ドゴン!「ゆばぉ!!?」 語りながらもれいむを殴るのを止めなかった。そして、オレンジジュースをかける事も忘れてはいない。 「それと赤ゆには関わらないって言ったけど、最低限のことはしたんだよ」 ジュースをかけながらあることをしていた事を話しだした。産まれてかられいむのご飯は赤れいむにあげられる分だけ増やしていたこと。 庭は草むしりのおまけで危険なものを撤去していたこと。つまり、赤ゆを育てるには申し分ないほどの環境であった。 だが、れいむのしていたことは自分のご飯の量だけ優先し赤れいむには死なない程度しか与えなかった。 まりさのようになるのが嫌で怪我をさせないために赤れいむの自由を奪っていた。行動も理由も母親としては最低なのが分かる。 痛みの中、あることを思い出した。 「ま、まってね!おにいさん!!!」 「うん?」 それはれいむにとって最後の希望でありこの状況を打破できるものだった。 「れ、れいむがしんだらおにいさんはひとりぼっちにもどるんだよ!またさびしいせいかつにもどるんだよ!!」 「・・・」 それはれいむを飼った理由にある。お兄さんは振ろうとしていた拳を解いた。 お兄さんは一人暮らしで寂しかったかられいむを飼ったと言っていた。つまり、れいむが居なくなれば寂しい生活に戻る。 (ゆ!や、やったよ!これでなぐられないですむよ!!) 最後の最後でお兄さんを詰めたとれいむは確信した。れいむの言葉を聞いて思い出し、お兄さんはれいむを治療するだろう。 そして、謝罪を込めてより世話をし続けるだろう。泣いて許しをこいてくるだろう。 そしたら、あまあまを一杯食べさせてもらう。新しいおちびちゃんを作って世話もしてもらお ドシュン!!! 「ゆげぇdajhfshiua・・・!!!??」 そんなばら色な妄想を描いていたれいむはお兄さんの蹴りで痛みで現実に戻された。 「別にいいよ、れいむが死んでも悲しくないしそれにその理由でれいむを飼っていたわけじゃないし・・・。」 「ゆーー!?ゆ、!?ゆ!?」 「お兄さんね、れいむをゆっくりを買う為の練習として飼っていたに過ぎないんだよ。れいむのお陰で大分ゆっくりの世話がどういったのかも理解したかられいむはもういらない♪」 本当の理由も聞かされた。ゆっくりを飼う為の練習・・・ただそれだけの存在だった。 「あ、紹介するね。あの子が僕の本当の飼いゆっくりだよ」 お兄さんが指差す方にはふかふかのクッションに気持ち良さゆっくりめーりんが寝ていた。 「め、めーーー!!?」 本来ならめーりんを殺しにかかるところだが無駄だと理解した。近づこうとした瞬間殺されるだろう。何たって本当の飼いゆっくりなんだから…。 お兄さんは仕上に取り掛かった。小麦粉で口を塞ぎ、両目をあまぎった。足も紙やすりでボロボロにされた。作業している中でお兄さんはもう一つの真実を話した。 「一つ誤解しないでくれ、お兄さんはね。れいむのことが大好きだったんだよ。お仕事もがんばってもう一匹ゆっくりを飼ってそれを番にしてあげるつもりだったんだ。」 お兄さんは一時、仕事から帰ってくるのが遅かった。それはれいむのためにバッチ付きの番を飼ってやるためにしていたこと。 「れいむが大けがした時はお休みの日でね、閉まっているゆっくり病院に頭を下げて診てもらったりもした」 最初のころ大けがしたれいむのために一生懸命になってゆっくり病院を探し出していたこと。 まだまだ他にもあった。ゆっくりでは数えきれないほどの量だった。それはれいむを大切に、家族として「愛していた」からであった。 「嫌いにならなきゃ、れいむが永遠にゆっくりするまでずっと一緒に暮らすつもりだったんだよ。でも、嫌いになったからもう無理な話だけどね」 だが、そんな風に思ってくれるお兄さんをれいむは「どれい」として見下していた。 「さて、出来た。じゃあ、公園へ行こうか」 最後に残った耳がその言葉を聞いてしまった。お兄さんはまりさと同じようにれいむをゴミ袋へいれ戸締りをしっかりし家を出た。 「じゃあね、れいむ。色々と楽しかったよ。」 バイバイと手を振って去っていった。余談だが、お兄さんはめーりんと幸せな生活をすることが出来た。 まりさの様に公園に放置された。だが、公園の一斉駆除によってゆっくりはいなかった。 しかし、れいむを殺す存在はゆっくりだけではない。黒き鳥がれいむの沢山いることに鳴き声気付いた。 人間がいないことを確信したカラスたちはすぐさまれいむを貪り食い始めた。悲鳴すら上げられない。 れいむは後悔した。全てにおいて後悔した。赤ゆを産んだこと。まりさとすっきりしてしまったこと。 何よりもお兄さんに嫌われることしかしなかたこと。 もしも、嫌われるようなことをしなかった今頃お兄さんと笑ってご飯食べていたかもしれない。 とてもゆっくりしたプレイスは自分で壊した。 自分の行いがあまりにもゆっくりできないことに気付いた時、全て遅すぎた。 ――愚かな饅頭はカラスによって消された――。 色々なSSや漫画を見て書きたいなと日ごろから思っておりついに文章化してみました。 如何でしたでしょうか?一応「自業自得」と「制裁」を意識して書いてみたのですがすっきりできたでしょうか? また、時間やアイディアがあれば書いていきたいと思いますのでその時はぜひお願いします。 *感想で指摘されると助かります。指摘下さった意見を参考にしつつ、次に活かしていきたいと思います。
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* 前作 SSの元ネタ絵:銀バッチ(笑)まりさのイラスト 不感症なまりさ 水の上で飼ってみた まりさが何かにレイプされた話 この家族は、冬越しの為に人里へ降りてた すでに12月間近のこの時期、普通ならバカなレイパーでもすっきりを自制する季節 しかし、この夫まりさと妻れいむは、寝相でついすっきりした結果、子供ができたせいた 冬が近いため間引いたが、子供でゆっくりしたいため、それでも自分に似た1匹づつ残してしまった しかし、生まれてすぐ食べ盛りに入る赤ゆっくりの分の貯蔵は寒さ的に不可能だ まりさは、どうするか迷っていた、子供を間引くかれいむを・・・ だがその考えは実行されなかった れいむは提案した 人間の家にいけばゆっくりできると 「ゆ~ん、この家を、まりさ達のゆっくりプレイスにするよ!」 「わかっちゃよ、おとうしゃん!」 まりさは人里についてすぐに、ゆっくりプレイスにする家を決めた 地面であるコンクリートは、森とは比べ物にならないぐらい冷たい 生まれたばかりの赤ん坊を、帽子に乗せて移動するのも疲れ果てたからだ 「さっそく中に入ろうね」 「ゆっくりわかっちゃよ!」 親の言葉に1回1回、大声で反応する 少しでも自分を見てもらうため、ゆっくりさせてもらうための本能だ 自分を頼ってくれる元気な子供 2人は1回1回、涙がでそうなほど感動してしまう しかし人里は寒い、感動の余韻もそこそこに親子は入り口を探した 「どぼじで入り口ざんないのおお!!」 「ゆぁ~ん、しゃみゅいよ~」 「ゆっきゅしちゃいぃ!」 1時間近くかけて家を1週したが、入れそうな入り口は見つからなかった 鍵が開いてたとしても、ゆっくりに開けるのは無理に近い ガラスを割る芸当なんて、ドスか角があり力持ちな鬼種ゆっくりぐらいだろう 一家は途方にくれた 「ゆぐ・・・ごめんね、れいむにちびちゃん達・・・」 「仕方が無いよ、まりさ、きっとこの家の人間が入り口を隠す名人だったんだよ」 「おにゃきゃすいたよぉおお!!」 「しゃみゅいいいい」 「とりあえず、あの草むらで今日はゆっくりしようね」 しょげこんだまりさを慰めるれいむ 空気の読めないちび達 まりさは、軽くスルーして、草むらをれみりゃ達から身を隠す場所にして、明日になったらまた入れる家を探すことに決めた しかし、これが功をせいしたのか、まりさ達はゆっくりプレイスを見つけることができた 「・・・ゆ? ゆゆ! まりさが入り口さん見つけたよ!」 「ゆ!? ほんちょ!?」 「おちょーしゃんしゅごいよ! れいみゅが一番にはいりゅよ!」 草むらの後ろにあった穴に、家族は我先にと飛び込む と、言っても、ちび達は帽子の上でキャッキャ言ってるだけなのだが 「ゆぅ~ん?」 穴の中に入ったまりさが周りを見渡す 広い 今までのお家のどころか、皆と一緒にゆっくりした野原ぐらい広い 「しゅごいよ、とってもゆっきゅりひりょいよ!」 「あしょこは、れいみゅのへやにしゅりゅよ!」 「じゅりゅいよ、まりしゃの部屋にしゅりゅよ!」 部屋といっても仕切りも何も無い、そこはちょっとした凹みだった それでも、新しい家に自分の部屋がほしい子供達は、その凹みを取り合った 両親はそれを[ゆっくりしてるね]とニコニコして見守る 暫くして、れいむが子供達を止め、まりさの帽子に入れてもってきたご飯を食べてて、その日はゆっくり寝ることにした これが、最後のまともな食事になるとは知らずに 2日目 目を覚ましたまりさは家族を起こした 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 家族全員での挨拶 一日の始まりの、最高にゆっくりできる瞬間だった 「それじゃあ、おとーさんは狩りに行って来るね」 「いっちぇらっしゃい、おとーしゃん!」 朝ごはんを食べて、昨日、入ってきた穴から出ようとする * o + が、まりさはでれないでいた 「ゆ? どうしたの?」 「な・・・」 「ゆぅ?」 「なんででれないのおおおお!!!」 穴には柵ができており、まりさは外にでれないでいた 「お、落ち着いてね、まりさ!」 れいむが諭すと、落ち着きを取り戻したまりさは柵に体当たりを始めた 「邪魔な壁はゆっくり壊れてね! ゆぎゃっ」 しかしびくともしない 逆にまりさがダメージを受けるほどだった 「ゆぎぎぎぎ、ゆっくり壊れろぉ!!」 「まりさ、落ち着いてね、ケガしちゃうよ!」 「おとーしゃんがんばれー」 「ばきゃな壁なんきゃ、ぶっこわしぇー!」 最初の体当たりを傍観していたれいむは気づいた これは、まりさでも壊せるものじゃない 最初の体当たりを傍観していた子供は空気をよまない まりさをはやし立てた 数分後 そこには、体当たりのしすぎで顔を擦り傷だらけにした、まりさが倒れていた 「まりさ大丈夫? ぺ~ろぺ~ろ」 「おとーしゃんにゃんで、まけりぇるのぉ!」 「このばきゃぁ!」 れいむは、まりさの気遣った 子供は、まりさを罵倒した 「ゆぐぐ・・・ごべんで・・・まりさがもっと・・・」 「いいんだよ、まりさ、今日は調子が悪かっただけだよ」 まりさは、この日ケガをしたので狩りに行けなかった れいむは、キズ口を舐めてまりさを少しでも早く回復させてあげることに努めた 子供達は、お腹がすいたと愚痴りまりさを無能と罵った まりさと、れいむは、慣れているかの様にスルーした 3日目 朝起きて挨拶をした 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね! おにゃきゃすいたぁ! ゆぁ~!!」 「しょうだよ! おにゃきゃすいて、もう、うごきぇないよ!」 挨拶もそうそうに、子供がお腹がすいたと言うので、家の中に生えていた草を集めて朝ごはんにした 家の中という事もあり、子供達も狩りに一緒に連れて行ってあげたら大喜びして走り回っていた 「それじゃあ、れいむ、狩りに行って来るね」 「まりさ、ゆっくり行ってらっしゃい」 お出かけの挨拶を交わす二人 子供達は、まりさへ挨拶もせず広い家を走り回っていた 「今日はいっぱい取ってくるからね・・・・・・・ゆっ!?」 「どうしたの、まりさ?」 れいむは、デジャブを感じた そういえば昨日は、硬い壁に邪魔されてでれなかった またあの壁が居るんじゃ・・・ しかし、れいむの予想は外れた 正確には、柵はあるがそれ以上の問題が発生したのだ 「雨さんが降ってるよ」 「ゆゆ!? ほんとうだね、ゆっくり降ってるよ!」 外を見れば、大雨がザーザーと言う音と、共に降っていた まりさ達からは見えないが、雷の音も遠くに聞こえる 「これじゃあ狩りに行けないよ・・・」 「ゆぅ・・・それなら家族でゆっくりすればいいよ!」 雨なら狩りに行けない なら、その分みんなでゆっくりできるではないか れいむの脳内餡子でゆっくり計算が行われた 「なんじぇ、きゃりに、いきゃないの!」 「おにゃか、いっぱいに、ゆっきゅりしちゃいよ!」 やはり子供達は空気を読まない 子供故に自分がゆっくりしないと気がすまない しかし、れいむとまりさも慣れたもの 華麗にスルーをして、ゆっくりさせた ゆっくりした子供達は、お腹がすいてることを忘れた 夜暗くなるまで家族は、ゆっくりした時を過ごした 「おきゃーしゃんのほっぺ、あっちゃきゃいよ・・・」 「おとーしゃんのほっぺ、かっきょいいね・・・」 就寝の時間 一家は纏まって床についた どこのゆっくりの家庭でも見れる光景だ これが、家族ですごす最後の夜だった 4日目 外は大雨 今日も、まりさが一番に起きてみんなを起こす 体が少し重く感じたまりさは、起きた体勢のまま、ゆっくり挨拶をした 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 愛する家族とのゆっくりした挨拶 その余韻に浸る両親に、異変を訴えた もっとゆっくりしようね、そう言い聞かせていたまりさとれいむも異変に気づいた 家族全員がくっ付いて離れれないことに 「ゆあああああ!? なんでくっついてるのぉ!?」 「ゆぎぎ、まりさにまかせてね! すぐにゆっくりさせてあげるよ!」 「いじゃいいいいいいいいいい!!!!!」 状況判断をしようとした、れいむ 剥がそうと身をくねらせた、まりさ 頬がひっぱられて痛みを訴える、子れいむ ちなみに引っ付いている順番は 親まりさの左後頭部に、親れいむの右後頭部 親れいむの右頬に、子まりさの左後頭部 子まりさの右頬に、子れいむの左頬 子れいむの右後頭部に、親まりさの左頬 親まりさ→親れいむ→子まりさ→子れいむ→親まりさ...... このような順番で数珠繋ぎになっていた 「ゆっきゅりできにゃいいいい!!」 「いやじゃぁ!! おぶぢがえるー!」 子供達が、ゆっくりできないと泣き叫ぶ 両親は、どうにかしようと相談するが一考に良い案が浮かばない 離れようとしたら、皮が薄い子供達が激痛を訴えた ぺろぺろして剥がそうとしたが、それも効果がなかった 泣き叫ぶ子供、おろおろと困り不安な顔をする愛する妻 まりさは、1つの決断をした 「・・・・皆、ゆっくり聞いてね」 「ゆきゅりできりゅかぁ!」 「ゆっきゅりしゃせろぉ!」 「まりさ・・・」 子供達は、相変わらずゆっくりさせろとうるさく吼える こんな状況じゃしょうがない そう自分に言い聞かせて、まりさは続けた 「今までずっとゆっくりありがとうね。まりさは愛しい家族と、とてもゆっくりできていたよ」 「どうしたの? なんで・・・そんな・・・」 「ゆっきゅりできてるわきぇないでしょ! ゆっきゅりしちゃいよおおお!!」 「初めてれいむと会って、一緒にお家を掘って、夫婦になって、子供ができて・・・いままでとてもゆっくりできたよ」 「・・・・・・」 れいむはじっとまりさの言葉を聞いていた まりさの目を見たら、何を決意したかわかってしまったからだ 「だから・・・まりさの分もゆっくりしてね!」 「まりさぁぁぁあああああ!!!」 「うるしゃいよ、ばばぁ!」 「ゆああぁぁぁぁぁあああ!?!?!? いじゃいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!」 まりさは、家族への別れの言葉のあと体を思いっきり捻った 自分が犠牲になり、自分の皮だけ破れば家族を助けれる だが、まりさは誤算していた たしかに、まりさの皮は剥がれた くっきりと左後頭部に餡子が見える しかし、穴は1つ 思いっきり体を捻った結果、皮が薄い子れいむの皮も引きちぎってしまった 「いじゃいいいよお"お"お"お"お"!!!」 「ゆ"!? なんべ、でいぶぼ、やぶででるどぉ!?」 まりさの計算では自分が犠牲になるだけだった しかし、死ぬまでの数瞬、子れいむの様子が見えてしまった 親まりさと、子れいむは、わけもわからずそのまま息を引き取った 「ゆああああああ!! ぎょわいよおおおお!!! ぎぼいいいい!!! いじゃいいいいい!!!」 「ち、ちびちゃんゆっくり落ち着いてね!」 「ゆあああああ、いじゃいいいいいい、ぎぼいいいいい、いじゃあああああいいいいい!」 死体になった子れいむを、振りほどこうと、まりさは体を振った しかし、体を動かせば先ほどの、まりさと子れいむと同じ 未だ引っ付いてる親れいむに、皮を残し剥がれようとする 痛みが引くように親れいむに近づけば、死体が近づく 母に近づく、死体が近づく、振りほどく、痛みが走る、母に近づく・・・ 何度繰り返しただろうか その動きがようやく止まることになった 「ぐるばぁぁあああ!!」 「ゆっくり落ち着いてね!」 「 いじゃいいいいい!?!?」 子まりさが動きを止めた 母れいむの、おさげによる一撃で気がそれたためだ 「なにずるの! いじゃいで・・・」 「落ち着いてって言ってるんだよ! 死にたいの?! おとーさんとちびちゃんみたいになりたいの!!」 「ゆ・・・ぐ・・・いじゃいよぉ・・・・・」 殴られたことに反論しようとしたが、母れいむから生まれた初めて受けた体罰と罵倒にすっかり萎縮してしまった 「怒ってごめんね・・・でも、おかーさんは、ちびちゃんにゆっくりしてほしいからしたんだよ。ゆっくり理解してね」 「ゆっきゅり理解しちゃよ・・・」 不満が残るが、ここで食って掛かったらまたおさげで・・・ そう思うと黙るしかなかった (このままだと全滅だよ・・・でも、どうすればいいの・・・) 「おにゃきゃ、すいちゃよぉ・・・・」 (ゆゆ! そうだよ、れいむ閃いたよ!) れいむは圧倒的に閃いた 「ちびちゃん、コレがおかーさんの最後の言葉になるから、ゆっくり聞いてね」 「ゆぅ・・・わかっちゃよ・・・」 子まりさは、母の言葉なぞどうでもよかった まさか一生ゆっくりさせないようにするんじゃないか怖かった だが、れいむはそんな思いは欠片もなかった せめて、ちびちゃんだけでもゆっくりしてほしい そう願っていた 「おとーさんも、れいむに似たちびちゃんも死んじゃって、れいむとちびちゃんもこの通りゆっくりできない状態だよ」 「わかっちぇるよそんなこちょ・・・」 「だから、れいむも覚悟したよ」 「おにゃきゃすいちゃよ・・・」 「ちびちゃんは、れいむを食べて生き残ってね」 「ゆっきゅりしちゃいよ・・・ゆ? ご飯たべれりゅの!?」 「そうだよ、だから少しゆっくりお話聞いてね」 「ゆっくりわかっちゃよ!」 ご飯が食べれる 子まりさは黙った 「れいむは、これからちびちゃんのご飯になるよ」 (ゆゆ~ん、あまあまだよ!) 「でも、冬を越すには、れいむの体だけじゃ足りないから、れいむを食べたらおとーさんを食べてね」 (あまあまが、ふたーちゅ!) 「それでも足りなかったら・・・その時は妹のれいむを食べてね」 (でじゃーと、げっちょだじぇ!) 「できれば・・・できれば、妹は食べないで春さんが来たらお墓を作ってあげてね」 (なにゆっちぇるの? あまあまはまりしゃのなんだよ? ばかなの? さっさとしんじぇね!) 「以上だよ・・・じゃあね、ちびちゃん、ゆっくり生き延びてね」 (はやきゅ、あまあま、たべちゃいよ!) 「・・・・さぁ、お食べ!」 パカッ (あまあまげ~~~~っちょ!) れいむは真っ二つになった れいむの作戦、それはまりさと違い[お食べ宣言]をすることだ これなら自分が二つに割れて、ちびちゃんの皮は無事 れいむは、子のお腹がすいたと言う言葉をヒントに考え付いた作戦だった 1つの誤算を除いては・・・ 「ゆ~ん、うるしゃい、ばばあは、しんじゃね。すーぱーあまあまたいみゅだよ!」 親の死より、空腹優先 子まりさは、真っ二つになったれいむに飛びついこうとした 「ゆぅ~ん、あみゃあみゃ・・・ゆ? なんじぇ、あんよさん、うごきゃないのおおおお!?」 体を動かせど、体は微動だにしない それどころか、また先ほどの皮が千切れる痛みが襲う 「ゆぁー!? いじゃい! いじゃいよおお! あまあまたいみゅなのに、にゃんでぇ!?」 子供であるまりさが、どんなにがんばろうと動けるはずが無かった 真っ二つになったとはいえ、母の体積は自分の10倍近い 加えて、右頬には死んだれいむの体も引っ付いている 簡単なれいむの誤算だった 「ゆっきゅりしゃしぇてええええええ!!!!」 身動きが取れず、叫び続けるまりさの声は誰にも届かなかった 外は大雨、まりさの叫びをすべて打ち消すには十分だった それから1週間後 人間の家の床下には何も残ってなかった イラスト数点、SS数点を呼んでて複合合体 久々に書いたらこの結果だよ!
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・駄文注意 ・色々な作者氏のネタを使ってます、ご容赦を ・ 『ふたば系ゆっくりいじめ 346 2200円れいむ(前編)』を見ないとちんぷんかんぷんです ・重ね重ね申し訳ありません 2200円れいむ(後編) ペッパーあき 四日目。 朝 「たっだいま~」 「ゆっ!おかえりなさいおにいさん!!」 朝食を買いに行っていたお兄さんが帰ってきた 時刻は9時、少し遅めの朝食だ。 「おにいさん、なにをかってきたの?」 「れいむの大好きなあまあまさんだぞ~」 も う お わ か り だ ろ う 。 「ポンデさんだ!!」・・・パチィッ!!「カッ!!」 「なにやってるの?」 「いや・・・なんでもない・・・・・」 昼 「これは困った・・・・」 山の中腹にて、愛車のランボルギーニ・オワタがエンストしてしまった。 ランボルギーニなのに、エンストしてしまった、ぷんぷん!! ここから目的地までは、徒歩で行くには多少遠すぎるし 車も少し休ませておきたい。 今日はキャンプ場に行って、自然の中で苦しむゆっくり達をれいむに 見せてあげようと思ったのだが・・・・・仕方ない。 そう思いながらフラフラしていると、なんだか面白そうな群れを見つけた。 一匹のまりさを中心に、集まる数百のまりさ達。 皆、水上に浮かんでおり 葉っぱで中二っぽい眼帯をしている奴や、 草を銜えていかにも「俺!カコイイ!」モードの奴などもいる。 ゆんゆん言っている内容を聞くと、どうやら御一行は 川下にあるのうかりんの畑を奪い、果ては人間の群れの征服(笑)まで目論んでいるらしい。 「ゆっゆー!まりささまかいぞくだん!!しゅっこうなのぜー!!」 ここは川だ。 「おにいさん・・さすがにあれはないよ・・・」 「ああ、気が合うな、人間なら黒歴史モノだぞ」 「ゆっくりでもくろれきしさんだよ・・・・」 出発した途端にバランスを崩して海のもくず(笑)となっていくまりさ達を横目に 陸路でのうかりんの畑に向かう事にした。 川を下った所で出迎えてくれたのは 公務ゆっくりを排出することで有名な「国営実験農地」の看板と 「見学者はこちら」の矢印。 フェンス越しに中を覗いてみると なんともおいしそうなのうかりんと野菜・・・・・・ なんともおいしそうな野菜とのうかりんが見えた。 「よしれいむ!!ここに入るぞ!!」 「はたけさんだね!なんだかゆっくりできそうだよ!!!」 そうしてホイホイと施設に挿入っていったお兄さん達は手早く受付を済ませ、 のうかりんの下へ。 の「ゆっくりしていってくださいね」 れ「ゆっくりしていってね!!!!」 お「それより俺と一時のランデヴーを楽しまないかい?」 ま「ここのおやさいさんはまりさがいただいていくんだぜ!!」 ド「三つの山が一つになる・・・・」 それぞれの思惑が交差する中、状況は動きを見せ始めた・・・!! ガッ「なにするんだぜ!!おろsポイッゆわーい!おそらぶっ!ガリガリガリゆぎゃぁあああ!!!」 侵入してきたまりさをコンポストで潰すまでの時間、僅か五秒。 ・・・・のうかりん、オソロシス。 のうかりんの話によると、この畑の肥料の八割方がゆっくりで賄われているらしい。 その話を聞いた途端に、れいむが「もっとゆっくりしたかった・・・」と言い出したので放置 十分後にチョップすると意識が戻った。 なにやら巨乳のおねえさんに会ってきたんだとか 一度は逝ってみたいもんだ・・・・・ 余談だが、まりさ種が大量に溺死し上流から黒い水が流れてくることが 年に数回あるそうで、地元では「餡流水」と呼ばれ、親しまれているそうな。 五日目。 朝 少し垂れ下がりながらも、すくすくと伸びている緑。 そして、今にも目覚めんばかりに小刻みにプルプルと震えている数個の実。 緑・・・もとい茎の根元には、本来いるであろう筈の親の姿は無く 白く濁った水の入ったビーカーがある。 (れーみゅは、ゆっくち、うまれりゅよ!) そんなことでも思っているのであろうか、 まるで生まれ落ちた後には、絶対にゆっくり出来る未来があるというのを 確信しているようなそんな顔をしている。 プルプル・・プル・・・ (ゆゆ・・もうしゅぐだよ・・・きゃわいいれいみゅが・・・・) プチッ・・・ 「きゃわいいれいみゃがうまれちゃベチャ!ぶゆうっ!??」 生まれ落ちて僅か一秒、ゆん生初の痛みを味わったれいみゅは目を白黒させる・・・紅白なのに。 普通、実ゆっくりが落ちる時には、落下点におぼうしや軟らかい草などを敷きつめる だが、れいみゅが落ちたのは硬い鉄の床。 なぜなら、ここは加工所の一室だから、 ここではゆっくりをゆっくりさせるつもりなんて端からないから。 ゆっくりは痛みや恐怖を受けることによって、味に深みやコクが増す。 これは、涙を流す為に体内で餡子が活性化し、水分を作るということに起因している。 甘くなるのはその時の副作用とでも言えようか。 何不自由なく育ってきたゆっくりの餡子がパサパサしていて不味いのはこの為だ。 「ゆ”・・・ゆえーん!どぼぢでごんにゃごとじゅるにょおおおお!!?」 プチッ・・プチッ・・・・ベチャ! 「ゆっくちしちぇいっぶぇ!!」「ゆゆーん!まりじゅえ!!」 れいみゅが泣き喚いている間にも、次々と生まれ落ちる姉妹達、 皆が皆、泣き喚いているところに、生まれて初めてのあの言葉が聞こえてきた。 「ゆっくりしていってね!!!!」 「「「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!!!!」」」」」 「・・・・・ゆ?おきゃーしゃん?どきょにいりゅにょ?」 その言葉に反応するかのように、鉄の箱の一面が開く。 「おちびちゃんたち!こっちにきてね!!」 赤ゆっくり達は、疑いもせずにその言葉に従う、だって絶対にゆっくり出来る筈だから。 「そのうごくゆかさんのうえにのってね!!」 従う、なにせ初めて「ゆっくりしていってね!!!!」と声をかけてくれた相手の言葉だから。 「「ゆっきゅりー!!」」 「「すぃーしちぇるよ!!とっちぇもたのしいよ!!」」 ベルトコンベアの上、未知の感覚に酔いしれ、歓喜の声をあげる。 少々ゆっくりしていない速度で進むベルトコンベアは、遂に終点を迎え・・・・ 「おにいさん!!ゆっくりしていってね!!!!」 「なんだ、もうおっきしてたのか」 「そんなことよりおうどんたべたい!!!」 渾身のギャグをスルーされた・・・ だが今はそんなことどうでもいい。 「・・・はぁ?」 「おうどんたべたい!!!」 とかなんとか言いながら キリッ!とした顔でぽいんぽいん飛び跳ねているのがウザイので一応蹴ってみる。 ドゴムッ!!「ぶふぅっ!!・・・・おうどんたべたい!!!」 いつに無く強気・・・というか発作でも起しているのだろうか? 流石のお兄さんもこれには折れて、棚を漁りだす。 「しゃあねーな・・・あ、あったあった『ゆゆこ印の○朗うどん~吸引力の落ちない唯一つのうどん~』だ」 お湯をかけてたったの三分!目の前にはまるで触手のように動く無数の麺!! ・・・そしてからめとられるれいむ。 ガチャ!!「退避!!」バタン!! 「うわあああああああああ!!!!」 「これ食用じゃなくて虐待用だった・・・ごめんにぇ」 昼 「がごうじょばいやああああああ!!!」 「フーハハ!絶望しろ!!それが我の力になるのだァ!!!」 といっても、れいむを挽いて潰して粉々に粉砕死に逝くわけではない。 「粉砕されるのはれいむの同族だけだ、大喜びだろう。」 「よろこぶわけないでしょおおおおおお!!?」 「ナレーション読むなよ」 「おもいっきりくちにだしてたでしょおおおおおお!!!!」 てへりこ☆ 農村の中にそびえ立つ場違いな建物。 定期的にトラックで搬入されてくるゆっくり達の悲鳴が心地よく、 加工所だと知らずに自らおうち宣言をしにくるゆっくりが微笑ましい。 『月刊ONI−SAN』でのなりたい職業、辞めた職業ランキング共に一位の職場でもある。 なんでも、繁殖部署、育成部署に充てられたお兄さんは全員辞めてしまうとか。 「おお、ここだ『ゆっくり調教Gコース:赤ゆ揚げ饅頭製造工程ライン見学』」 「ばんぶるびぃぃぃ!!ばんぶるびぃぃぃ!!?」 「こねえよそんなもん」 ・・・・・・ポロッ・・コロコロ・・・・ 「ゆっ!ころころしゅりゅよ!!」 終着点の先は坂道、白い粉が常に吹き出ており、転がる赤ゆっくりを真っ白にしていく。 「ころころしゃんはゆっくちちてるにぇ!!」 「まりしゃがいちびゃんにょりなんだじぇ!!」 滑りがよくなった赤ゆっくり達は、その勢いを止める事無く、 黄色い液体の中へと突っ込んでいく。 ピチャ!バチャチャ!!! 「ゆう?」 普段のゆっくりは 「おみずしゃんはゆっくちできにゃぃいいい!!」などと言うが、 実は赤ゆっくりは「水」の危険性は理解していない なぜなら「水」は飲むものであり、体を綺麗にしてくれるものだからだ。 遺伝的に恐怖するのは「雨」だ。 「ぺーりょぺーりょ・・ちちちちあわちぇええええ!!!!」 「ゆっきゅりぃぃぃぃいいいい!!!!」 初めての食事、良すぎる食事、もうこのゆっくり達は野生では生きていけない、 これが最初で最後なのだから、生きていく必要もないが。 「ゆ・・・?・・くち・・・ゆ・・!!」 異変が起き始めた 「・・!!ゆ”・・!!??・・・・」 体に異常は無い、だが、声が出ない。 先ほど飲んだ「黄色い水」が、口内に膜を作ったのだ。 そして身動きが取れない、「白い粉」が「黄色い水」を程好く吸収したからだ。 前方に、待ち焦がれた親の姿が見える、本当の親ではないが。 そして開口一番。 「くずのおちびたちはそこでしんでね!!」 「おお、ぶざまぶざま」 「ゆっくりできるとおもったの?ばかなの?しぬの?」 「そんなめでみないでね!!きしょくわるいよ!!」 罵声の応酬・・・・ゆっくりできない 声も出せぬ、身動きも取れぬ赤ゆっくり達は、静かに涙した、 笑顔を貼り付けたまま。 ガコッ!!ウィイイイイイイイ!! しかし、状況は待ってはくれない。 世界が傾いていく、少しづつ、滑り落ちていく、そして、真っ逆さまに・・・・・ ベルトコンベアで運ばれてきた赤ゆっくり達に小麦粉を塗し、 とき卵が入ったトレーの中に落とす。 勝手に動いて体中に染み込ませてくれるので、非常に効率的だ。 そして、動かなくなったところで周囲にあるモニターに成体れいむが映る 恐らく、ゆっくりできないことを言っているのだろう。 「おちびちゃんたちとってもかわいいね!!!」 しかし、この通りさっきかられいむはごきげんだ。 ここが製造工程ラインである以上、結末は決まっているのに。 ガコッ!!ウィイイイイイイイ!! 機械の作動音と共に、トレーが傾いていく そして、パチパチといい音を立てている油の中へ・・・・・・ ・・・・・・ジュワアアアアアアアアアアアアアア!!!!! 「「「「「「「ぎゅべぇ!!?・・・・・・!!!!ゆ”!!・・・・!!?」」」」」」」 「ゆんやああああああああああああ!!!??」 「ヒャッハァアアアアアアアアアアア!!!!!!」 因みに、この時だけ特設スピーカーから中の音が聞こえる、加工所クオリティ。 「ほ~られいむ~あまあまだぞ~」 「だべだぐないっでいっでるでじょおおおおお!!!」 「こんなにいい顔してるんだぞーこいつらだって食べて欲しかった筈さ!」 『ゆっくり調教Gコース:赤ゆ揚げ饅頭製造工程ライン見学』 見学費:一人1500円・ゆっくり無料 お土産に、赤ゆ揚げ饅頭をプレゼント! お申し込みは年中無休、田舎加工所まで! 田舎工場広報係広報係長 六日目。 朝 「今日が最後だな」 「ゆんゆん」 「どこ行きたい?」 「どこもいきたくないよ」 「じゃあ俺が決めるぞ」 「いってもむだだとおもってたよ・・・」 れいむは・・・今日をなんとしてでも生き延びる事を考えていた。 明日の朝にはお兄さんが迎えに来る、元の生活に戻れると信じて。 「ダーツの旅~どんどんぱふぱふ!!・・・シャッ!!!」 野球で言うアンダースローのフォームで市内地図の拡大コピーへ投げる。 海に刺さったら海中へ行くのだろうか? ガッ!!「・・・・はい!研究所にけってーい!」 「めいきょうしすい・・・めいきょうしすい・・・」 昼 ピロリロピロリロ 「いらっしゃいませー」 「あのーすいません、ゆうかにゃん売ってますか?」 「oh・・・・crazy!!」 「yukkurisiteittene!!!!」 「I like susi! I love tuna!」 「Me too!」 辿り着いた研究所は、 真昼間だというのに暗雲が立ち込め、薄闇に包まれて禍々しいオーラを放つ 壁面は蔦に覆われ、鉄製の門は錆付いている。 「廃墟」や「幽霊屋敷」という名がしっくりきそうな場所だった。 「ここ・・・まだ使われてる筈なんだが・・・・・」 多少ビビリながらも、門に手をかける。 キィィィィィィィィィイイ・・・・・・ガガッ! 「「Holy shit!!!!」」 音的に駄目だ、そしてあまりにもバイオな雰囲気に 図らずも英語になるお兄さんとれいむ。 「兎に角・・・入るぞ、中は意外と普通かも知れん」 「ふらぐさんをたてないでね・・・・」 ガチャ・・ 薄暗い廊下。 終わりの見えない闇。 唯一の光は緑色光のライン。 謎の水音。 くぐもった様な声。 甲高い声。 そして、どこからか、感じる視せnバタン! 「はい、駄目でしたー」 「さすがにこれはやめたほうがいいよ・・・・」 「ほぅ・・・なら、れいむが帰るというならお前を残して俺は帰る れいむが帰らないというのなら、俺も帰らない」 「ふぇあじゃない・・・・のはいつものことだね、いくしかないならいくよ・・・」 「そうか、じゃあどうぞ一匹で行ってくれ!」 「どぼじでぞうなるのぉぉぉぉぉおおお!!?」 「帰らないとは言ったが、行くとは言っとらん!!!」 「もうやだおうちかえる!!」 「そうか!!それなら(ry なんやかんやで結局一緒に中に入ったお兄さん達。 入るときこそ躊躇ったものの、入ればどうと言う事は無い、ゆっくりしかいないのだから。 「しかしここのやつら・・・みんな寝てるな、なんかの実験か?」 ・・・ずりずり 「お?」 とあるガラスケース、その中にいる何の変哲も無いれいむがこちらに寄ってきた。 「ゆっくりしていってね!!!!」 「・・・・・・・・・・・・・」 「なんだこいつ?喋れないのk ボ ッ !! うおおおおおおおおお!!!?」 「ゆびいいいいいいいいいいいい!!?」 口から目が出てきた・・・いや、あそこが口だと誰が言った!!! さらに、目の少し下に新たに目!!・・・これがクリーチャーだ!!! 「逃げるぞ!!ここは危険すぎるっ!!!」 元来た道がわからない、我武者羅に走るしかない。 そして目の前にはまた見た目は普通のれいむ、口もある、だが油断はできない・・・!! 「いってこい れいむ !!」 「ジュブブシギデギデデべ!!!!」 「ゆんやああああああああ!!!!」 やはり普通では無かった・・・・・ 背後から聞こえてくる ドドドドドドドドドドドドドド!!! という音。 明らかにゆっくりの移動音ではない、こんな走り方をするのは 「ゆっくりしていってね!!!!」 あんなのまりさじゃないやい!! 「腐海に帰れぇえ!!そしたら死んでねぇっ!!!」 ふわふわふわ・・・・ 「エクスペクトパトロォナァァァァアム!!!!!」 「ゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っゆ”っ」 「デコピン!」 「ゆぴい!・・・はじめてしっつしんっをゆういぎにつかってたのにぃぃぃぃい!!!」 「放置していくという手もあるんだぞ!あるんだぞ!!!・・・・生贄・・・・」 「おとりにしようとかかんがえないでねえええええええ!!!??」 「「もうやだ!おうちかえる!!!」」 夜 プロジェクトは無事に成功した。 そして俺は、この成功によって一気にエリートコースへと躍り出た。 つい一週間前までとは大違いだ、そう、一週間前・・・一週間前? なんだったっけ?なにかを忘れてるような・・・・・・ 「おにいさん?どうしたの?」 「えっ!?・・ああ、いやなんでもないよ」 この子はゆうかにゃん 今日、ペットショップで購入してきた俺の飼いゆっくりだ・・・・ 飼いゆっくり?・・・・・・一週間前・・飼いゆっくり・・・・・・れいむ!!! そうだ、完全に忘れてた・・・友人にれいむを預けたんだった・・・・ 道理で家にゆっくりフードがあったわけだよ・・・というか、流石に気づけよ・・・・ まあいい、どうせ死んでるだろうし、明日電話でも掛けるか。 七日目。 朝 プルルルルルルルプルルルガチャ 「はいよ、・・・・・へぇ・・・・はあ・・・・・うんうん・・・・そうか・・・・じゃあまたなー」 「おにいさん?どうしたの?」 「おう、丁度いいとこに」 「ゆう?」 「お前、捨てられたぞ」 「・・・・・・・・・・・・ゆ?」 「三つ選択死をやろう 1・俺に飼われる だが、今までと違って手加減はしないが 2・野良になる 生まれたときから飼いゆっくりのお前には厳しいだろうが 3・感想になる 少し前は串刺し方式だったんだが、今は轢き潰すらしいぞ さあ、選べ」 「ゆうぅぅぅぅ!!!れいむは!!れいむばあああああ!!!」 「へっ・・・へあっ・・・・・・」 「「ベークショイ!!」を”え”ら”ふ”よ”!!!!」 「ゆ?」「え?」 おしまい かなりの実験作・・・・・ いや、本当にすみませんでしたとしか 今回登場した海賊団は、一応『末っ子れいむの帰還』の子供に当たる世代です どこまでも設定使わせてもらいました はてさて、難航しているようですがコンペはどうなることやら ついでに、この作品のおまけを書こうかなとか思ってます 零武VS武裏馬裏鎖・・・・・・ 過去作 『ふたば系ゆっくりいじめ 300 顔面胡椒』 『ふたば系ゆっくりいじめ 302 壊れてしまったドスまりさの話』 『ふたば系ゆっくりいじめ 308 ユックリンの笛吹き』 『ふたば系ゆっくりいじめ 320 一般道とロードローラー』 『ふたば系ゆっくりいじめ 328 コンポストの中のゆん生』 『ふたば系ゆっくりいじめ 346 2200円れいむ(前編)』
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今日のお酒1月号 編集ぜんぜんしてねーっていうそろそろ、今日のお酒消していこうと思う。 保存庫新しくまたつくっておきます 1月14日 深夜 オール中、 とりあえず、今現在喧嘩師として、活躍している人たち出していきましょうか 南無阿弥陀仏君 罵倒おおいけど、タイピングはなかなかなんじゃないかな?これから がんばれ 刹那 中層にいこうとがんばっているが、 まあタイピングも論もなかなか だからこれからがんばれば、中層もいけるんじゃないかな 竹神 毎回釣りしてるときに 相手になってしまう^^; ステハンなのが自業自得やで 山ちゃん 論的にはなかなかつよいです、 がんばろう 創世記 もなちゃとからの喧嘩師 主に改造 以上がんばれ がんばれぃ(=ω=)ノ -- なみぃ (2010-01-21 19 03 51) 名前 コメント 1月15日 出会い厨おもしれえ(´・ω・`) みほちゃま◇q5Fl/A: 写メとかプリとかある? 秀樹◇HoWNfI: ん~ないな みほちゃま◇q5Fl/A: ないかぁー みほちゃま◇q5Fl/A: んぢゃぁしょーがないねぇ ももか◇7TeSC.: ははは╬ 秀樹◇HoWNfI: 最近あんまり写真とかとらないからないわ みほちゃま◇q5Fl/A: そっかぁ みほちゃま◇q5Fl/A: けーたい持ってる? 秀樹◇HoWNfI: 持ってない みほちゃま◇q5Fl/A: 私も みほちゃま◇q5Fl/A: ぱそこん 秀樹◇HoWNfI: 高校いったら買ってもらう みほちゃま◇q5Fl/A: 顔見たかったぁ 秀樹◇HoWNfI: じゃあ携帯持ってからだねぇ 秀樹◇HoWNfI: 見るとしたら みほちゃま◇q5Fl/A: うん みほちゃま◇q5Fl/A: そぉだねぇ みほちゃま◇q5Fl/A: 私ゎブスよ 秀樹◇HoWNfI: 自分に自信持ったほうがいいよ 秀樹◇HoWNfI: 自分は可愛いと思ってればいいよ みほちゃま◇q5Fl/A: 持てないこの顔ゎ みほちゃま◇q5Fl/A: 悲惨だよぉ たぁ◇wAAtpw: どしたぁ? 秀樹◇HoWNfI: 俺だってもてないよ 秀樹◇HoWNfI: 告白するとしたら俺からだもん みほちゃま◇q5Fl/A: いちぉ彼氏ゎいたケド 秀樹◇HoWNfI: 俺は今いる みほちゃま◇q5Fl/A: 告白ゎされた 秀樹◇HoWNfI: 彼女 ももか◇7TeSC.: トイレ行きたい 笑 秀樹◇HoWNfI: その彼女も俺から告白した みほちゃま◇q5Fl/A: おぉww ももか◇7TeSC.: もれる みほちゃま◇q5Fl/A: 付き合ってどのくらい? ももか◇7TeSC.: うごきたくない 秀樹◇HoWNfI: 3ヵ月くらいかな ゲスト◇CkPRpw: 廃れたな・・・ ももか◇7TeSC.: はいそーです 秀樹◇HoWNfI: 俺長くて1年~2年だよ みほちゃま◇q5Fl/A: お互い初カレ初カノで 秀樹◇HoWNfI: 告白するのがちょっと怖くなってきてるんだよね みほちゃま◇q5Fl/A: ごめん落ちます 秀樹◇HoWNfI: 最近 秀樹◇HoWNfI: うんわかった ももか◇7TeSC.: うん ももか◇7TeSC.: やっぱ ももか◇7TeSC.: といれ ももか◇7TeSC.: いく あの~・・・喧嘩師やめます。たまぁ~にくるけどねぇw 嗚呼最近竹神来てるよね?酒さん!竹神の喧嘩の相手よろしくです。学校でも聞きましたww -- 魑魅魍魎 (2010-01-16 23 59 41) 名前 コメント 1月16にちか はい、ちーず。 なんか、浮気がどうたらこうたらで もめている人がいた。 まあおもしろいからSSとることにした 取りあえず、なんか竹神が俺と喧嘩したいみたいなので 相手してあげてもいいんだからねっ(゚∇^*) テヘ♪ 名前 コメント 1月17日 はいどうも、 今回 飴の守り人 殺し屋と喧嘩致しまして 見事に惨敗になりました。 いやー強かったね。 久しぶりに負けてみると 結構気持ちがいいものだな Mではないぞ、 さあ、SSの中にいる俺はどこにいるでしょーこ! 守り人とかW 酒さn負けたの? わお。吃驚。 -- 飴 (2010-01-27 22 55 29) 名前 コメント 1月18日 やべえ、 三国無双おもすれぇー(´・ω・`) 今日は にょろにょろのブログ? てきなものをもらったので 更新情報にいれておきますね よろしくね^^ よかったらみておいてあげてね^^ http //lniefwe.jugem.jp/ ←これっす^p^訪問 コメよろ-- ニョロにょろ~ (2010-01-31 05 07 10) ついでに俺のも・・・http //x31.peps.jp/berubou/?cn=1 -- ベル坊 (2010-01-31 08 29 37) 三国無双ハイパー好きだわw -- エルフェン (2010-02-06 00 18 49) 名前 コメント 1月19日 論理現る・・・! が無言 なぜだろう、 なにしてるのかが、わからない そうえば論理って 影武者となかがいいってほんとうなのだろうか それとパッソアが卒業したとかなんとかもきいたきがする、 まつざきと引き分けだったらしいです、 名前 コメント 1月20日 もなちゃとに乗り込んでみたが ぜんぜん強い人がいませんでした、 っていうかベル坊を乗りで総長にしている ちびちゃと連合軍のみなさん、 それはねーぞ(o゚c_,゚o) カス坊もっと強くなれやとかいう奴∵ゞ(´ε`●)←吹いた。byエルフェン -- エルフェン (2010-01-28 00 33 51) 名前 コメント 1月21日 RADを広めるために へっくしゅんという曲の歌詞を提示します、 「マジでもう死にてぇ 笑」 死んじまえ お前とか是非とも死んじまえ 毎晩ティッシュとともに眠るベイビー 精子たちもろとも消えちまえ(バイビー) えっ?! どこ?なに?それ 俺からなの? sorry, you should ve get another one 「お前の行くとこは天国じゃない」と そう願ってやまない今日この頃 NO!!!!!!!! ho-ho-ho こんな想いにさせないでよ いつからだか忘れたこの気持ち この体が日々求める怒り 痛み これが喜び感じさせてくれる唯一の光 ならばね これをチョーダイしなry RADいいぞ! 名前 コメント 1月22日 今日、バイクで 山にいったんだが、 1時なのに、車が山の奥にとめてあった、 其処に外国人二人が 女性・・?の死体らしきものを 山に捨てているところを目撃した。 そのときにとおりかかってしまい・・・ すごいガンつけられた・・! え、これなに警察通報するべき? とおもいながら、 30分後その車なくなってるし どうすればよかったのか、 死体捜したほうがいいのか。 だけど、山のかなり下のほうにいってしまったので また今度探してみます。 見つけ次第警察に通報する。 マジスレ? -- GLeGLe (2010-01-24 19 11 27) 名前 コメント 1月23日 今日は、いろいろあったのだが、 取りあえずベル坊が喧嘩をしていましたが 惨敗ということになりました。残念です ルーキー喧嘩師 新たに 足立が入りました。 まあ、暇だった見てくれ、因みに 死体探しの件については 見つかりませんでしたので、 また今度見つけることにします。 ああ、そうだ輪廻 どこに 軍が書いてあるのか わからないので もう一度詳しく 話してくれ よろしく(o゚c_,゚o) どこに軍が書いてあるって、、あれか、どこに情報をかいたってことかな? それならちびちゃと連合軍の情報交換所にかいたんだけど。。。ん、もしくはアレを敷衍した文説明を頼み見るってことなのか!? -- 輪廻を巡りし者 (2010-01-24 18 45 09) 初めて俺が今日のお酒に載った。嬉しいんですがww(^O^)/ -- エルフェン (2010-01-28 00 30 58) 名前 コメント 1月24日 今日はシャースにあった、 シャースは 下層がどうたらこうたらといって、 前よりかなり変わった様子だった。 シャースは 最近偽者が多すぎて 誰が誰なのかわからないので、 シャースとコテハンを名乗っても、 もしかしたら、釣りなのかもしれないので、注意してくれといっていた みんなも気をつけてくれよ。 因みに、 新規ページ作成 ちびちゃととggってみた というページ ちびちゃと ってggってみたら、 色んなのが出てきたので。 懐かしのちびちゃとの様子もみれるし 暇だったらみてあげてね リンクも張ってあるので よろしく。 名前 コメント 1月25日 今日は夜中にしかこなかったが、 夜中懐かしいボトムズ喧嘩師にあったが、 月にたたかれていた、 最終的には無視という、 かなげな行為で 逃げるのであった。 名前 コメント 1月26日 今日の夜中の面子あんまり集まりませんでした・・・^^: っていうか、最近つくづく思ったのだが、 A君「酒さん、酒さん、ちびちゃと連合軍っていつもなちゃとにいくんですか?」 って聞いてくるけど、いや俺リーダーじゃないわ(´・ω・`) まあ、べぇぇぇぇるるるるるるるぼぉぉぉるるるうるるるryが総長 だから、あいつ行動しないのは、わかる。 じゃあ、そういうことだから、俺が勝手に決めるわ。 30日にもなちゃとに集合だな8時かな、そこら辺でよろしく 暇だったら見に行くb -- ニョロにょろ~ (2010-01-27 09 18 09) 了解しますたわぃ。 -- 輪廻を巡りし者 (2010-01-27 15 55 03) もなちゃと 大部屋? どこやねーん!? -- GLeGLe (2010-01-28 00 27 49) 戦力になるか分からんが援護いたすわ。(^t -- エルフェン (2010-01-28 00 29 26) 次はぐだぐだにならない様にしましょう。 -- ニョロにょろ~ (2010-02-01 00 55 24) 名前 コメント 1月27日 おはようございます、現在5時56分です。 筋トレしてた。 変更しました31日に やるのでよろしくおねがいします 8時大部屋フラッシュ集合になっておりますので、宜しくお願いします。 取りあえず、 論題を用いている喧嘩師が最近少ないということで 論題作ってみました。 っていってもこれはあくまでも良くある議論かもしれませんが 「造語は誤字になるのかならないのか」 ← 「常識の定義について」 「揶揄という評価あるべきかないべきか」 「俺のリストはあるべきか」 「喧嘩のルールというものはあるべきか」 「インスタントラーメンはあるべきか」←これってどうやって議論すればいいのか分からなかった。 以上、参考にしてみてね(o゚c_,゚o) これは・・・・wwww -- バイト喧嘩師 (2010-01-28 22 32 27) でた・・・w -- 刹那 (2010-01-30 21 16 04) バイト喧嘩師 これ使われてたなw -- ニョロにょろ~ (2010-01-31 02 08 26) 名前 コメント 1月28日 今日なんか知らないけど知らない人に告白された^^; 困ります。 すき とか言われて 貴方も好き? とかいわれて、 ぇ、いやなにがなんだか・・・ っていったら 嫌い? とかいわれていや、そういうわけでもないです! なんか・・・ このシナリオ聞いたことがあるシナリオだな これエロゲーだろ。 名前 コメント あれ?日にちずれてるやんけ まじでねーわ^^: 1月31日 この度、ちびちゃと連合軍がもなちゃとの大部屋へ攻めるという 企画を出した張本人が、お酒を飲んで酔っ払っていて途中で 棄権してしまったことについて、深くお詫び申し上げます。 が、しかし それでは納得がいかないと! gdgdで 馬路で喧嘩師の喧嘩じゃねー!とかいう意見もあったということなので 次は俺も参加して、もういちどやりたいとおもいます!! 日にち、7日日曜日夜8時半ちびちゃと木ー1集合(´・ω・`) よろしくお願いします。 ちびちゃと連合軍の方々、 いっぺん連合軍のサイトを見て更新情報を見たらコメントしてね 喧嘩の途中で酒さん落ちましたけど竹神に勝ちましたよ、ご検討宜しく -- 蛙鳴蝉噪 (2010-02-02 22 12 03) 竹神は弱いよ。そんなやつに勝ったとしてもはいれないだろ。調子のんな -- ぐーやほー〜! (2010-02-03 18 24 36)
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『はんせいしてますごめんなさい』 36KB 虐待 嫉妬 誤解 日常模様 同族殺し 共食い 飼いゆ 野良ゆ 赤ゆ 現代 独自設定 よろしくお願いします ッじめに 善良な個体の虐待です 通常種のみ登場します グロテスクな表現を含みます 以上の点に注意して読まれるようお願いします 1 「おにいざん!!! ごべんばざい!!! おでがいでずがらおうじにいれでぐだざい!!!」 街中の住宅街のとある家の玄関前 一匹のれいむが玄関のドアに向かって必死に呼びかけていた 「もうおにいざんどのやぐぞぐやぶっだりじまぜん! あやばりばず!!! はんぜいじばず!!! だがら、だがらでいぶをもういじどがっでぐだざい! おうじのながにいれでぐばさび!!! おにいいさあああああああああああああああん!!!」 必死の呼びかけが通じたのか、ドアが開き中から一人の中年男性が出てきた れいむは悲痛に歪めていた表情をパァっと明るくして中に入ろうとした 「だれもいれるなんていってねーよ」 男性はそう言うと右足を振りあげてれいむの腹を蹴りつける 「ゆぐぅ!!! ・・・・・・ゆ、ゆゆゆごおお・・・げ、げええええ ・・・・・お・・・おにい・・・・さん?」 完全に油断していたれいむは蹴りをまともに受けてしまい、その場にへたり込んでしまう 苦しそうにうねうねと芋虫のように蠢くれいむ 口からは泡だった泥のような餡子を吐きだしている 「ゆごっ! ゆごごっ・・・! でいぶ・・・あやばっだ・・・のに・・・」 「しらねーよ。 謝ったからなんだってんだよ。 謝ったらそれで全部終わりだとでも思ってんの?」 「でぼぉ・・・でぼおおおおお!」 「でもじゃねーよ。 言い訳してる時点で反省する気ゼロだっていってるようなもんじゃねーかよ」 「ゆ、ゆうううううううううう!!! どぼじでえええええ! どぼじでごんなごどにいいいいい!」 「あーうるせーうるせー。 うぜーからさっさと消えろや」 男性はそう言ってドアを閉めてしまった 後に残されたれいむはただただ泣き続け、そのままそこで一晩明かした 翌日、男性が仕事に出かけに中から出てくると、れいむは一目散に駆け寄って挨拶をした 「おにーさん! ゆっくりいってらっしゃい!」 とびっきりの笑顔で挨拶するれいむ れいむは頑張っていい子にしていればれいむの事を許してくれると考えていたのだ お兄さんはれいむに一目もくれずさっさと行ってしまった だがれいむはあきらめない あきらめてはそこで全てが終わってしまう お兄さんが許してくれるその日まで、頑張り続けるとれいむは心に誓った 「ゆううううう・・・・ おなかがぺーこぺこだよぉ・・・ べーこんごはんさんがたべたいよぉ・・・」 餌を与えられずに庭に放置されたままのれいむは、さっそく空腹に悩まされた 加工所で生まれ、ショップで育ち、外の世界を知る間もなくこの家にやって来たれいむは ゆっくりふーどや人間さんの食べ残しを食べていたので、野生のゆっくりがするような食事はしたことが無かった 背に腹は代えられずいやいやながらも庭にぼうぼうと生い茂った雑草を一口かじってみる 「・・・・・・・・・・・・・・・ゆげえええええええええええええええええええええええ!!!! にがにがでゆっぐりでぎないいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 草を咀嚼していくうちに草の汁が口全体に広がってゆき、苦いという感覚がじわじわとしみ込むように舌へ伝わってくる 耐えられずに吐きだしたが舌や歯茎には味の感覚が残っていた お水でうがいをしようにも水の入った皿などどこにも見当たらない れいむは仕方なく、自分の唾液で口の中が満たされるのを待った とてもこんなものは食べられない しかし、お腹はすいてしまう 何か他に食べれるものはないか辺りを見渡してみる どこを見ても草、草、草・・・・・・ れいむはため息をついて後ろにコロンと倒れた なにも考えずに空に浮かぶ雲を見つめる 「・・・これかられいむはどうすればいいの? ・・・おにいさんはゆるしてくれるのかなぁ?」 白い雲に問いかけるように、れいむは頭の中で不安に思っていることを言葉にした その問いかけに答えるものはどこにもいない 空腹に耐えきれなくなったれいむは観念してもう一度草に挑戦する 一口むーしゃむしゃする度に溢れる汁を何とか飲み込んで、また新たに草を口に入れる 何度か戻しそうになったが、草を無理やり飲み込むことで何とか耐えきった 「むーしゃむーしゃ・・・・・しあわせええええ! このランチさんはとってもとかいはだわぁ!」 向かいの家で飼われているありすがしあわせーと叫んでいる それを聞くと大粒の涙がぽろぽろとおめめから流れ落ちてきた 「ゆぐっ・・・・・・ゆぐううううう! どぼじでええええええ・・・ おにいざあああああんんんんん・・・・・」 れいむは怒られた理由が全く分からなかった 普段のように言われたことを守り、きちんとルールを守って生活していた なのに、突然あんよをぺんぺんされ外に放り投げられたのだ 怒られた理由が分からないままのれいむはただただ悲しくて仕方なかった 2 「おにいざん!? はなじをぎいでね!? でいぶをむじじないでね!?」 固く閉ざされたドアに何度も身体を叩きつけて懇願するれいむ 帰って来たお兄さんと話そうとしたが完全に無視されてしまったのだ れいむがどんなに呼びかけても、聞こえてくるのはテレビさんの音ばかり 「どぼじでっ・・・ どぼじでなんにぼいっでぐれないの!? でいぶはずっどいいごにじでだよ!? どぼじで・・・どぼじでえええええええええ!!!」 「・・・るっせえっつってんだろ!!!」 「ゆぎゃん!」 突然開いたドアが顔面に衝突して吹っ飛ぶれいむ 顔は真っ赤になり歯が何本か折れたが、それでもお兄さんが出てきてくれたことがうれしくて笑顔になる 「おにいさんきいてね! れいむはがんばったんだよ! とってもつらかったけどあきらめなかったんだよ!」 「だから、なに?」 「ゆっ・・・ こ、これからももっともっとがんばっておにいさんをゆっくりさせるよ!」 「で? 反省はどうした?」 「・・・ゆぅ? はん・・・せい・・・?」 れいむはぽかんと口を開けたまま固まってしまった 怒られた理由を思い出すことをすっかり忘れていたのだ 「その様子じゃ反省してないみたいだな。 じゃ、そゆことで・・・」 「まっ! まっでね!? でいぶはんぜいじでいいごにじでだよ!?」 「へぇ、じゃあ何をどう反省したか言ってみろよ」 「ゆぅ・・・ それは・・・」 「やっぱり反省してねーじゃねーか。 口だけの反省ならそこらへんのゲスでもできるわ」 「で、でもぉ・・・でもぉ・・・」 「また『でも』か。 まぁいい、それより飯は食ったのか?」 「ゆん!? ごはんさん!? ごはんさんくれるの!?」 ご飯という単語にもみあげを即座に反応させてピコピコ動かすれいむ 目がキラキラと輝いて、涎がたらりと滴り落ちる 「まだやるとはいってねえよ。 そこに草沢山はえてるだろ?」 「ゆん? ・・・くささんはゆっくりできないよ」 「話は最後まで聞け。 そこに生えてる草を全部食べたら飯食わしてやるよ」 「ほ、ほんとにいいいい!? うそじゃない!?」 「本当だ、まぁせいぜい頑張れや」 「ゆわぁい! れいむ、がんばってむーしゃむしゃするよ!」 お兄さんはそう言ってドアを閉めた 「さっそくむーしゃむしゃするよ! くささんはゆっくりれいむにたべられてね!」 草に向かってそう宣言したれいむはおくちを大きく開けて草にかじりついた お口の中いっぱいに広がる青臭い臭いと、じわじわとにじみ出る苦い草 ゆっくりできない臭いと味を我慢して無理やり口の中へと押し込んで行く 「むうううううじゃあああああむうううううじゃあああああああ・・・・・じばばぜえええええええええええええ!!!」 しあわぜーは本当のしあわせーではなく、無理やりひねり出した言葉だった そうでもしないと、ゆっくりできなさすぎて餡子がおかしくなりそうだった 「げええええええっぷ! ゆぅ・・・まだまだたくさんあるよ。 でも、れいむあきらめないよ!」 草を全部飲み込むと、また次の草を引っこ抜いて口の中へと押し込む ようやくお腹がいっぱいになり、次第に眠くなっていくれいむ しかし、ゆっくりできるべっともふかふかもどこを探しても見当たらない 仕方ないので引っこ抜いた草をしいて、縁の下で眠ることにする 「ゆぅぅぅ・・・ はやくおうちのなかでゆっくりすーやすやしたいよぅ・・・」 冷たい地面に敷いた青臭い草の上へ倒れこむように横になるれいむ 口の中には草の苦い味がまだ残っている 「どぼじでおにいさんはあんなにぷんぷんしてるの? れいむはいったいなにをしたの? わからないよ・・・ おにいさんおしえてよ・・・れいむはいったいなんてあやまったらいいの?」 どんなに考えても、れいむは反省すべき理由がわからない 疲れ切ったれいむは考えがまとまらない内に眠ってしまった れいむは夢の中でべーこんごはんさんをおなかいっぱいむーしゃむしゃした 夢の中でお兄さんはいつものお兄さんに戻って、れいむを優しく介抱してくれる お兄さんはれいむにしていたことを謝って、れいむのことを許してくれた (ゆふふふふ・・・ れいむはおこってたけどゆるしてあげるよ・・・ またいっしょにたっくさーんゆっくりしようね・・・・・) そんな幸せな夢は、突然中断された もみあげを引っ張られて無理やり縁の下から引きづり出されたのだ 「ゆ・・・! ゆゆゆゆううううう!? おにいざん!? でいぶになにずるの?!」 混乱したれいむは身体をぐねぐねとうねらせて必死に抵抗した 外はまだ暗く、おひさまは顔を出していない 「まぁ落ち着け。 おまえにプレゼントしてやろうとおもってな」 「ゆぅ!? プレゼントさん!?」 「そうだ、今さっきジョギングしてたらゆっくりが因縁つけてきたんだよ んで、フルボッコにしてぶっ潰してやったんだわ。 それがこいつ等な」 お兄さんはそう言うと、ビニール袋から二体のゆっくりの死体を取り出してれいむの前へ放り投げた 恐らく番であろうまりさ種とれいむ種が一体ずつ 大きく目を見開いて、口をだらしなく広げたまま絶命している 「ゆげええええええええええええ!? なにごでええええええええええええ?!」 「だからプレゼントだって。 これ中身は餡子でできてるんだからお前食えるだろ? お前の為に持って来てやったんだから遠慮しないで食べていいんだぞ」 「ごんなのだべれるわげないでしょおおおおおおおおおおおおお!? ばがなのじぬのおおおおおおお!?」 「はぁ!? 食えないわけねーだろが! それ食い終わるまでここでみてやるから早く食え。 残さず食え」 「だがらむりだっでいっでるでしょ!? れいむのはなじをぎいでね!?」 「食わなかったらもう許してやらねーぞ。 それでもいいのか?」 「ゆぅ!? なんでそうなるの!?」 「反省してるならくえるよなぁ? なぁ? 反省する気ねえのか、こら」 「・・・はん・・・せい」 反省という言葉を出されたとたん黙ってしまうれいむ まるで魔法をかけられたように従順になってしまう 「早くしろ。 じゃねーともう許してやんねーぞ」 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 一撃で踏みぬかれたのか、脳天を潰されてぺしゃんこになった二つの骸 目玉が飛び出て餡子がはみ出だして表情が読み取れないほど激しく損壊している はみ出たその餡子を恐る恐る口に含み、飲み下す 口の中には甘いゆっくりした味が広がってゆく しかし、れいむはまったくゆっくりできない 想像してみてほしい どんなにおいしそうに調理されていたとしても それが人間の肉だと知っていてあなたはそれを食べることができるだろうか 「全部残さずたべろよ。 できるだけ早くな」 お兄さんの声がこんなに恐く感じたのは初めてだった 3 「ゆ、ゆべえ・・・ ゆぎゅううう・・・ ごっくん!」 時刻は昼の十二時をまわり、れいむはようやくゲス番の死体を完食することができた 口の周りにべっとりと餡子をつけたれいむ その顔は大量のカロリーを摂取しているにもかかわらずげっそりとやつれている 「なんで・・・ でいぶが・・・ ごんなべに・・・・」 死臭が体中に染みつき、一秒たりともゆっくりできない お兄さんが打った精神強化剤が無ければとっくに餡子を吐いて永遠にゆっくりしてしまっていただろう 「よし、全部食べたな。 偉いぞ、れいむ」 「ゆぅ!? おにいさん!? れいむをゆるしてくれるの!?」 食べ終わるまでずっとそばにいたお兄さんが漸く口を開いた れいむは期待に腹を膨らませ、もみあげをピコピコさせてお兄さんにすり寄る しかしその淡い期待は一瞬で打ち砕かれた 「はぁ!? 偉いとは褒めたが許してやるとは一言も言ってねーけども」 「どぼじでぞんなごどいうのおおおお!? でいぶごんなにがんばっだんだよ!?」 「まぁ、頑張り次第では許してやらんこともねーけどよ。 まだまだ頑張りが足りないってこった」 「これいじょうなにをがんばればいいのおおお!? でいぶはもうげんっがい!なんだよおおおおおお!」 「それだけ喚ければ大丈夫だ、問題ない。 れいむ、お前に新しい課題をくれてやろう」 「あたらしいかだいさん!? まだなにかしなくじゃいげないのおおおおおお!?」 「なに、難しいことじゃねーよ。 家の壁を全部なめなめして綺麗にしろ それができたらお前を許してやる」 「・・・なめなめってぺーろぺろのこと?」 「そうだ、この家の壁の汚れをすべてぺーろぺろして綺麗にするんだ」 「ぞんだごぼでぎるばずないでじょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「それと引き続き庭の雑草毟りもやれよ。 ある程度綺麗になったらまた飯食わしてやるから」 れいむは途方もない課題に茫然自失になった このれいむにとってあまりに巨大なお家をぺーろぺろで綺麗にしなくてはならないのだ それに草も食べ続けなければならない 「誠意をみせろよ、れいむ」 そう言ってお家の中に入って言ってしまうお兄さん 今日はお兄さんの仕事が休みの日で、本来ならお兄さんと沢山遊んで好きなだけゆっくりできる筈だった それがどうだろう いまのれいむには、ゆっくりのゆのじもない 「ゆぅ・・・ とりあえずくささんをむーしゃむしゃするよ・・・」 それでもれいむはあきらめなかった 与えられた課題を一つ一つクリアすれば、れいむは許されてまたゆっくりした毎日が戻ってくる そんな一筋の希望にすがる様に、れいむは草をむーしゃむしゃしていった それから数日後 れいむは草をある程度食べ終えると壁の清掃へと取りかかった 白く塗られた壁は薄らと塵が被っており、れいむが舌で舐めるとそこだけぴかぴかになった 草と違って極端ににがにがな味がするわけではないが、ゆっくりできる味など当然するはずがない 「ゆっくりぺーろぺろするよ・・・ ぺーろぺろ・・・・・」 少しずつ壁の汚れをなめとっていくれいむ ふと、べーこんごはんさんを食べた後のお皿をぺーろぺろした時のことを思い出した ぺーろぺろする時はいつも幸せだったのに、今しているぺーろぺろはただただ虚しい 「みゃみゃ! みちぇみちぇ! あのれいみゅかべしゃんをぺーりょぺりょしてりゅわ!」 「しっ! みちゃだめよ! あのれいむはちょっとあんこがふじゆうなのよ、かわいそうなのよ」 「どうしちぇ? いにゃかもにょなにょ?」 「そんなこといったらとかいはになれないわよ! さ、もういきましょ。 かえったら、ままがぺーろぺろしてきれいにしてあげるわ」 「ゆん! みゃみゃのぺーろぺろはとっちぇもゆっくちできりゅわぁ!」 野良のありすの親子が通りかかって話しているのが聞こえた れいむは清掃をやめて、その親子をじっと見つめていた れいむは生まれてすぐに親から引き離され、金バッチをつけた他ゆんのありすやれいむに育てられた 育ての親の言うことを素直に聞いていたのでゆっくりショップの人間さんはやさしくしてくれた だから、れいむは人間さんの言うことをきちんと守ればゆっくりできると信じている 野良が庭にやってきても無視してやりすごしたし、一緒に遊ぶようなことはなかった 野良は自分勝手でルールをわきまえないとてもゆっくりしていないもの そういう認識を加工所で刷り込まれたれいむにとって野良とはそういう存在だった だが、ありすの親子はとってもゆっくりしていた その理由をれいむは理解できない 「ゆぅ? もしかしてのらはゆっくりできるの? みんなはれいむにうそをついてたの?」 子ゆっくりのころに去勢されたれいむはぼせい(笑)の形成に至らなかった ぼせい(笑)が存在しないため、おちびちゃんはゆっくりできるという感覚も存在しない そのため、ありすの親子がゆっくりしていたのは、親子が一緒だからではなく野良だからという認識にすり替わる 加工所やショップで言われ続けていた野良はゆっくりできない存在という認識が揺らぎ始めた 極度のストレスと疲労が伴ってれいむの判断能力は劣化していたこともあり、疑念が頭をもたげる 「こんなことなられいむものらになりたいよ。 のらがあんなにゆっくりできるなんてれいむしらなかったよ・・・」 あんよがずーりずりと外の世界へと向かって無意識に動いていく 門を出ればすぐに外の世界へと出て行けるのだ 後少し、もう少しでゆっくりできる・・・ 「なにかんがえてるんだろうね・・・ れいむはおにいさんにせいいさんをみせてゆっくりするんだよ・・・」 お兄さんの存在を思い出して足を止めるれいむ もしここで外の世界に出て行ってしまったら、お兄さんはもう二度と許してくれないだろう もう一度・・・もう一度お兄さんとゆっくりするんだ! れいむは確固たる決意の元、与えられた課題へと取りかかった 「お~頑張ってるじゃねーか。 正直ここまでやるとは思わなかったぞ」 「ゆん! おにいさんじゃましないでね! れいむはがんばってるんだよ! がんばってせいいさんをみせておうちにいれてもらうんだよ!」 「そーかそーかいい心がけだな。 そんなれいむにプレゼントをもってきてやったぞぉ」 「・・・ぷれ・・・ぜんと・・・さん?」 プレゼントという単語に凍りついてしまうれいむ お兄さんが抱えている、がさごそと動く段ボールに視線が釘づけになる 「お、その様子だとプレゼントがなんなのか大体察しがついてるようだな じゃあ早速御開帳といこうか。 今日のプレゼントは元気なおちびちゃんでーす!」 お兄さんはそう言って段ボールをひっくり返して中身をぶちまけた れいむ種とまりさ種が五匹ずつ計十匹の赤ゆっくり達が地面にぼとぼとと落ちてくる 「おとおしゃあああん!? おきゃあしゃああああん!?」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいい! いちゃいよおおおおおおおおおおお!」 「まりしゃのおぼうちかえちちぇえええええええ! ゆんやああああああああああ!」 「どびょじじぇごんにゃごじょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「ゆぅ・・・ いたいのはいやなんだじぇ・・・ こわいんだじぇ・・・」 「もうやじゃあああああ! れいみゅなんにもわるいこちょしちぇないのにいいいいい!」 「かわいいれいみゅがなんでこんにゃめに・・・・」 「おきゃあしゃん・・・・ おとうしゃん・・・・・」 「ゆっ・・・ゆっ・・・」 「ゆんやあああああああああ! ゆんやあああああああああああ!」 「おちびちゃんたち!? ゆっくりしていってね!? ゆっくりゆっくり!」 突然外に放り出された赤ゆっくり達は一斉に泣き出した 中には瀕死の者もおり、れいむはどうしていいか判らず狼狽する そんな光景を見てにっこりとほほ笑むお兄さん 「それ、食え」 「・・・・・ゆ ・・・・・お兄さん? いまなんて?」 「食え。 残さず全部食え」 「これ、ゆっくりだよね? おちびちゃんだよね?」 「だからなんだ。 食え」 「で、できないよ・・・ おちびちゃんなんかむーしゃむしゃしたら・・・」 「できぬともうすか。 いま、できぬともうしたか」 「ゆぅ?」 「食わないならお前はもう許さない。 お前はそこで乾いていけ」 「そ、そんな・・・」 「どうした、はやくしろ」 「ゆう・・・・ れいむは・・・」 泣き叫ぶおちびちゃん達 じっとれいむを見つめるお兄さん ゆっくりの中での最大の禁忌である同族食い そしてもう一つの禁忌、おちびちゃん殺し れいむはその片方を既に犯している もう片方も犯せば、れいむは立派なゲスゆっくりになってしまう 「・・・ゆっくりりかいしたよ」 れいむの中で、理性よりもお兄さんへの恐怖が勝った 「おちびちゃんはれいむにゆっくりたべられてね。 はーみゅはみゅ」 「ゆぴぃ!? ゆんやああああああああああ! はなしちぇええええええええ!」 れいむは一匹の赤まりさを咥える 咥えられた赤まりさはぶりんぶりんとあんよを左右に振って抵抗している なかなか踏ん切りがつかないのか咥えたまま動かないれいむ そんなれいむにお兄さんはあるものを注射器で注入した 「ゆひぃ!? ほひひはん?へいふひはひひはほ? ・・・はんはははははははふふはっへひはほ?」 注射器のラベルには『コンポストゆっくり用食欲増進剤 精神強化成分配合』と書かれている れいむは頭がぼーっとして身体が熱くなっていくのを感じると同時に今まで感じたことのない空腹感を感じた まるで三日三晩食事を取らなかったような飢え めがぐーるぐるして、舌がピクピクとひきつる 「はなしちぇええええええええ! まりしゃまじゃしにちゃく『ぐちゃ!』・・・!」 咥えていた赤まりさを噛み潰したれいむ その光景を見て、他の赤ゆっくり達は一斉に逃げ出した 「なんだかとってもおなかがすいたよ! れいむはたっくさんむーしゃむしゃするよ!」 「こっちにくりゅなあああああああ! このげすうううううううううううう!」 一匹の赤れいむに狙いをつけて飛び跳ねるれいむ すばやく回り込んで赤れいむをもみあげでつまみあげる 「はなしちぇえええええええええ! れいみゅをたべにゃ『げちょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 光悦の表情を浮かべるれいむ 眼下で息を切らしてお腹に体当たりをくり返す赤まりさに気づく 「きょうぢゃいをこりょしちゃげしゅはまりしゃがせいっしゃい!しゅりゅのぜえええええ! ゆっくちしにゃいでしゃっしゃちょ・・・ゆわあああああああ! はなしちぇええええええ! ゆるしちぇええええ『げしょげしょ!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆわあ、あ、あ、あ、あ・・・・ みんにゃてべられちゃうのじぇ・・・」 「きょわいよおおお・・・ れいみゅもうしんじゃうにょかなぁ・・・」 「ゆうううう・・・ おきゃあしゃん・・・ おちょうしゃん・・・」 「どびょじぢぇ・・・ どびょじぢぇごんにゃめに・・・」 壁の隅にひと塊りになって震える赤まりさと三匹の赤れいむ れいむは大きく広げた口でそれらを被うと、口を閉じて一気に噛み砕いた 「しあわせええええええええええええええ!」 「ゆっ・・・ゆげえええええええ!」 「ゆっ・・・ゆっ・・・ゆっ・・・」 「しあわせええええええええええええええ! しあわせええええええええええええええ!」 精神的に追い詰められて餡子を吐く赤まりさと既に瀕死になっていた赤れいむ それらを食べ終え、最後の一匹になった赤まりさににじり寄っていくれいむ 「ゆわぁあわわわ・・・・ まりしゃ・・・おいしくにゃいよ? たべちぇもおいちくにゃいよ? おねがいぢゃかりゃこっちにこにゃいでにぇ? まりしゃとゆっくちしてにぇ?」 「かわいいれいむはむーしゃむしゃするよ!」 「ゆんやあああああああああああ『ぷしゃああああああああ!』あああああああああああ!」 赤まりさの下腹部から、おそろしーしーが勢いよく噴出される がたがたと震える赤まりさを前に、れいむは笑顔で宣言した 「ゆっくりいただきます!」 「やめりょおおおおおおおお! しにちゃくにゃあ『ぎっちょん!』・・・!」 「しあわせええええええええええええええ!」 全ての赤ゆっくりを完食し終えたれいむ そんなれいむにお兄さんはこう言った 「見ろよ、あのれいむゆっくりしてないだろ?」 「あんなにかわいいおちびちゃんをたべちゃうなんて・・・ このゆっくりごろし・・・」 「みゃみゃぁ・・・ ありしゅこわいわぁ・・・」 お兄さんの傍らには、先ほどのありすの親子がいた 4 「おにいさん! おにいさんにもらったぶろっくさんで ありすのおちびちゃんがとってもとかいはなこーでぃねいとをしたのよ!」 「みちぇみちぇ!おにいしゃん! ありしゅがんばっちゃわ!」 「すごいなぁ! ありすもありすのおちびちゃんもとっても都会はだな!」 お家の中からは楽しそうなお兄さんとありす親子の声 れいむはそれを聞くと惨めな気持ちになるので聞かないようにしていたが、嫌でも耳に入ってくる れいむが赤ゆっくりを食い殺したあの後、お兄さんはれいむではなくありすの親子を家に入れた お兄さんは新しくありす種が飼いたくなったのでつれてきたとのこと れいむにとってはあてつけにしか思えなかった 毎日のように聞こえるありす親子の生活音 それを聞くたびにいーらいらするれいむ れいむはただただ耐え続け、今日も壁を綺麗にする 「とってもとかいはならんちさんだわぁ! おにいさんゆっくりありがとう! ほら、とちびちゃんもおれいをいいなさい!」 「おにいしゃん! ゆっくちありがちょー!」 「いいんだぞー! いっぱいたべてゆっくり大きくなってね!」 れいむの大好きなべーこんごはんさんの臭いがする 臭いだけ嗅がされておなかが情けない音を立てた もうここ何日もまともなごはんを食べていないれいむにとっては拷問だ 「ゆうううぅぅぅぅ・・・ れいむのべーこんごはんさん・・・・」 空腹を紛らわすために、その辺に生えていた雑草を毟って口に入れるれいむ もう雑草の味には慣れたがちっともゆっくりできない 「みゃみゃ! ありしゅこーりょこりょすりゅからみちぇちぇにぇ! こーりょこりょ!」 「とってもとかいわなこーろころだわぁ! おにいさんもみてあげてぇ!」 「可愛いなぁありす! もっかいこーろころして見せてくれるか?」 「ゆっくちりかいしちゃわ! こーりょこりょ!」 楽しく遊ぶありす親子とおにいさん 前はれいむがお兄さんを一人占めして一緒に遊んでいた 「おにいしゃんしゅーりしゅりしちぇ! しゅーりしゅり!」 「だめよ、おちびちゃん! おにいさんはいまてれびさんをみてるのよ!」 「いや、かまわんぞ。 ほーらこっち来い、すーりすり」 「ゆわぁい! おにいしゃんのおちぇちぇとっちぇもあっちゃかいわぁ! ありしゅ、おにいしゃんのおちぇちぇだーいしゅき!」 お兄さんの手にすーりすりする赤ありす その手はれいむだけに優しくしてくれる温かい手だった 「ありしゅ、にゃんぢゃかにぇむいわぁ・・・」 「ちょっとおひるねにしましょうか・・・ おちびちゃんゆっくりおやすみなさい」 「ありしゅおにいしゃんとねむねむしちゃいわ・・・」 「ああ、いいぞ。 ありすもこっちに来いよ」 「ええ!? いいの!? おにいさんはほんっとう!にゆっくりしたにんげんさんね!」 「それほどでもあるよ。 さぁ、みんなでゆっくりお昼寝しようか」 「ゆぅ・・・ ありしゅ・・・ おおきくなっちゃらおにいしゃんのおよめしゃんになりゅ・・・ゆぴー」 お兄さんとお昼寝するのはれいむの特権の筈だった 今は別のゆっくりがおにいさんの手の中で眠っている 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ゆっくりしないでかべさんはきれいになってね! ぺーろぺろ!」 れいむは早くお兄さんを取り戻そうと躍起になった しかし、れいむの小さな舌では壁を綺麗にするのには時間がかかりすぎる まだ四分の一も終わっていないのだ 「ぺーろぺろ!ぺーろぺろ! ぺーろぺr・・・・ゆぐうううううううう!!! なんででいぶがごんなごぢじなぐじゃいげないのおおおおおおおおおおお!? おにいざんあんなにやざじがっだのにいいいいいいいいいいいいいいいい!!! なにがいげながっだの!? なにがわるがっだの!? でいぶはなにぼあやばればいいぼおおおおおおおおおおお?」 壁に額をつけて、ぽろぽろと零れ落ちる涙を見つめるれいむ 奪われてしまったしあわせ 終わらない課題 ゆっくりできない食事 変わってしまったお兄さん 何が問題で、何が悪かったのか れいむにはとうとう答えが分からなかった 永遠と続くと思われた絶望的な生活 だが、そんな日々は突如として終わりを告げる 「おにいしゃんはなしちぇええええええ! みゃみゃあああああああ! どぼしちぇたしゅけちぇくりぇにゃいにょおおおおおおおおおお!?」 「ごめんなばい! おでがいでぶがらおじびじゃんぼばなじでぐばばい!」 「うるせーよこの屑ども。 あんなに可愛がってやったのに恩をあだで返しやがって」 「どぼしちぇこんにゃこちょしゅりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおお!? ありしゅなんにもわりゅいこちょしちぇないにょにいいいいいいいいいいい!!!」 「だべえええええええええええええ! ぞんなごどいっじゃだべええええええええ!! おでがいだがらおにいざんにあやばっでええええええええええええええええええ!!」 「はー・・・ どうしようもねえクソ餓鬼だな お前死刑確定だから。 ゆっくり苦しんで死んでいってね」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいい!!! もうやじゃ! おうちかえりゅううううううううううううううう!」 お兄さんにつかまれている赤ありすと、顔をぐしゃぐしゃにして謝り続ける親ありす そんな二匹をお兄さんは汚物でも見るかのように見ていた れいむが外から家の中を覗くとカーペットの上にシミができている どうやら赤ありすが粗相をしてしまったようだ 「おい、れいむ! いるか?でてこい!」 「ゆぅ、れいむはここだよ。 おにいさん」 庭に出てれいむを呼ぶおにいさん れいむは一目散にお兄さんのところへ跳ね寄っていく 「これ、食え」 「ゆぴいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!?」 「おにいざああああああああああああああん! やべべええええええええええええええ!!!」 さも当然とでも言うかのように言い放ったお兄さん 赤ありすはこのお家に来た日に、れいむがおちびちゃんを食い殺しているのを見ていたので必死に抵抗する 親ありすの方は、泣きながら懇願しつづけていた 「おでがいでずがらおちびじゃんぼごろざないでぐだざいいいいいいいいいいいい!!!」 「言ったよなぁありす。 こいつがトイレで失敗しないようにちゃんと面倒見ろって」 「ありずはじゃんどおじえだわ! でぼじょっどめをはなじだずぎにいいいいいいいいいいいい!」 「阿呆が。 今回だけじゃねーだろーが。 こいつが何回失敗したか覚えてるか?」 「ええっと・・・ いち、にい、たくさん・・・ だぐざんでずうううううううううううう!!!」 「だろぉ? トイレの場所も覚えられないゴミ屑は死んだ方がいいよね! ゆっくりりかいしてね!」 「ぞんだあああああああああああ!!! もういっがいだげじゃんずぼぐばばいいいいいいいい!」 「嫌だよ、何度もチャンスやったのにそれを不意にしたお前が悪い」 「どぼじでえええええええええええええええええええええ!!!」 「ゆんやああああああああああああああ! みゃみゃあああああああああああああああ!」 れいむは呆れた トイレの場所も覚えられないなんて、なんてバカなんだろう れいむが同じくらいの大きさだったころはトイレの場所はおろか数や文字まで覚えさせられていた その程度もできないのにれいむのお家で暮らし、お兄さんを一人いじめしていたなんて・・・ 「おにいさん! はやくそのくずをちょうだいね! れいむはおなかがすいてるんだよ!」 「お、れいむはほんとにいい子だな~! 流石は加工所産だけあるな」 「なにいってりゅにょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなああああああああ!」 れいむは子ありすを直ぐにむーしゃむしゃできるように身構えていた 憎きありす親子に自ら制裁をくわえることができるのだ 楽しくないはずがない 「いくぞ~! ほ~れ!」 「ゆぴいいいい! おしょらをとんじぇるみちゃいいいいいいいいいい!?」 「やべろおおおおおおおおおお! おじびじゃんぼだべるなあああああああ!」 放り投げられた子ありす、踏みつけられて身動きとれない親ありす れいむは落下予測地点に先回りして口を大きく開けた その中に子ありすがすぽりと入り、れいむは思いっきり口を閉じた 「ゆんやああああああ! ありしゅまだしにt『びちぃぐちゃ!』・・・!」 「むーしゃむーしゃ! むーしゃむーしゃ!」 子ありすが絶命しても執拗に噛み砕くれいむ まるで今までため込んできた不満を全てぶつけるかのように・・・ 「しあわせえええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」 「あでぃずのおじびじゃんがあああああああああああああああああああああああ!!!!」 久々に心の底からゆっくりを感じたれいむ 絶望の真っ只中に叩きこまれたありす お兄さんはそんな二匹をみて満足そうにほほ笑むとお家の中に入って行った 5 「はやくしてね! れいむはおこってるんだよ!」 怒りの声を上げるれいむ 口には錆びた錆びた釘を咥えている 庭にはれいむのほかにありす、まりさ、ぱちゅりー、ちぇんがいる れいむ以外のゆっくりは総出で家の壁をなめて綺麗にしている 「ごべんなべい! あやばりばずがらゆるじでぐださい!」 「もうへとへとなんだぜええええ! おねがいだからゆっくりさせてほしいのぜええええ!」 「むきゅ・・・エレエレエレ。 もっど・・ゆっぐじ・・・」 「わぎゃらないよおおおおおお! ぱちゅりーしっかりしてねええええええ?!」 ぱちゅりーが中身のクリームを吐きだして、心配そうに駆け寄る一同 れいむはそんなゆっくり達に満面の笑みを浮かべて言い放った 「ぱちゅりーはきょうのごはんさんだよ! れいむがむーしゃむしゃするからね!」 「「「どぼじでぞんなごどいうのおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 驚愕するゆっくり達を放っておいて、れいむはぱちゅりー近寄ってほっぺをガブリと食いちぎる 「むーしゃむーしゃ・・・・しあわせええええええええええええええ!」 ぱちゅりーを食べたれいむはとてもゆっくりした表情を浮かべた 他のゆっくりは寄り添ってがたがたと震え、恐ろしーしーを漏らす 「なにしてるの!? さっさとかべさんをぺーろぺろしてね! きょうののるまさんをたっせい!するまですーやすやもきんしだからね!」 れいむは咥えた釘を振りかざし、生き残ったゆっくりを仕事へと駆り立てた あれからお兄さんは野良を拾って来て、その野良に何か不都合なことがあるとお庭に放り出した 外に出されたゆっくり達は庭に住んでいるれいむに番や姉妹を食われ、以後奴隷としてれいむの課題を手伝わされている 「よぉ、れいむ。 今日も精が出るな」 「ゆゆ? おにいさん? あたりまえだよ! れいむはがんばってるんだよ!」 「そーかそーか。 で、結局怒られた理由は分かったのか?」 「ゆぅ? りゆうさん? なにそれおいしいの?」 「ふっ・・・そんなもんか。 まあいい、今日でお前のことをゆるしてやるよ」 「ゆーん!? ほんとうなの!? れいむ、もうがんばらなくてもいいの!?」 「ああ、もう頑張らなくていいんだぞ そうなるとそいつらはもういらないよな。 全部食って処分しとけよ」 「ゆっくりりかいしたよ!」 「「「どぼじでぞうなるのおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」」」 涙を流して嘆く野良達はれいむがにじり寄ると直ぐに身構え戦闘態勢に入った 沢山の野良を食らい体調良好なれいむ 僅かな食事しか与えられず貧弱な身体を酷使してきた野良 結果は比を見るより明らかだ 「いぢゃいいいいいいいい! までぃざにひど『ぶすり』ゆぎゃあああああああああああ!」 両目を刺された後まむまむに釘を突っ込まれたまりさ 「わぎゃらないよおおおお! どぼじでごんな『むしゃり』・・・!」 顔面を容赦なく噛みちぎられて断末魔も上げられず絶命するちぇん 「のろってやるううううう! ごのいながぼの『へしゃり』ごべええええええええええええ!」 身体を抑えつけられて不自然な方向へと無理やりへし折られたありす 「れいむのすーぱーむーしゃむしゃたいむはっじまっるよー☆」 物言わぬ饅頭になった四体の野良に、れいむはドヤ顔で言った 苦労の末に獲得したしあわせーな食事 れいむは夢中でむしゃぶりつき、作業着の人間さんがお兄さんのお家を尋ねてきたことに気づかない 「あ、どーもー! お待たせして申し訳ありませ~ん」 「別にいいんですよ。 あれを引き取ってもらえればいいだけなんで」 「はぁーい。 ではさっそく・・・ うわ!これはひどい・・・」 「もう手がつけられなくてどうしようもないんですよ・・・」 明るい声で挨拶をした作業着の人間さんは、れいむを見て絶句した おいしそうに同族を食べるれいむ 口の周りは餡子やカスタードでべたべた ゆっくりが饅頭とは言え見ていてあまり気持ちの良い物ではない 「ええっと・・・ じゃあ、連れて行きますね・・・」 「はい、助かります。 支払いはクレジットでも大丈夫ですか」 「あっ・・・ はい、大丈夫ですよ。 ちょっと待っててください」 「ゆーん! がんばったれいむへのごほうびさんだよ! むーしゃむーしゃ!」 「おい、れいむ!」 作業着のお兄さんが支払い用の端末を取りに行くとお兄さんはれいむを呼んだ れいむは食事を中断され不機嫌そうに膨れるが、お兄さんに呼ばれたので直ぐに笑顔になってすり寄っていく 「おにいさん! れいむがんばったよ!」 「ああ、頑張ったなれいむ。 そんなことより、れいむ。 今日でお前とはお別れだ」 「ゆーん! おうちにいれ・・・ゆぅ? おわ・・・かれ・・・?」 れいむはお兄さんの言っていることが理解できない お別れという言葉に思考がフリーズする 「そうだ、お前は加工所に連れて行って処分してもらう」 「しょ・・・ぶん・・・?」 「永遠にゆっくりさせるってことだ」 「ゆううううううううううううううう?! なんでえええええええええ!?」 「さあ、なんでだろうな。 そんなことよりれいむ、怒られた理由は分かったか?」 「ゆぅ!? ぞんなのわがらないよ!? でもでいぶがんばっだんだよ!? ぜいいざんをみぜでばんぜいじだんだよ!?」 「だろうな、お前は怒られた理由も分からないで俺に謝罪して反省したわけだ」 「ぞうでず!!! でいぶはおごられだりゆうばわがりばぜん! でぼいっじょうげんべいばんぜいじばじだ! あやばりばじだ! だがらでいぶを『・・・だよ』・・・ゆ?」 「もともと理由なんてなかったんだよ。 お前は俺のと言った通りずっといい子にしてた 勝手にむーしゃむしゃすることも、野良っとすっきりして子供を作ることもしなかった お前はゆっくりにしては聞き分けのいいやつだったよ」 「・・・じゃあ、どぼじで?」 「だから理由なんてないっていっただろ。 まぁ、早い話飽きたんだわ」 「・・・あきたさん?」 「そうだ、だからお前を家の中から閉め出した だけどお前は自分が何か悪いことをして追い出されたと勘違いした。 ただそれだけなんだわ」 「どぼじで・・・? どぼじでなのおおおおおおおおおおお!? でいぶがいいごにじでだらあんばにぼめでぐべばぼびいいいいいいいいいいい!!!」 「この数日間、理由も解らないで必死に反省してるお前を見てて十分楽しめたよ まぁ、お前の言葉を借りて言うならゆっくりできたってとこだな」 「じゃあ! じゃあ!!! でいぶをもういじどがっで『それはできない』どぼじでえええええ?!」 「言ったろ、飽きたって。 もうお前がどうなろうが知ったこっちゃない」 「ゆうううううううううううううううううううううう!!!! なまいぎなぐじをぎいでごべんばばい! ばんぜいじでばぶごべんばばい!!!」 「必死だな、おぃ」 泣いて額を地べたにこすりつけるれいむをニヤニヤと見下ろすお兄さん 「おまたせしました~」 作業着の人間さんが戻ってくるとお兄さんはニヤついた顔をキリっと引き締めた 支払いが済むと作業着の人間さんは透明な箱にれいむを入れた 加工所特性のゆっくり専用防音ケースである 「お゛に゛い゛ざあああああああああああああ『パタン』・・・・」 「じゃあ、お願いしますね」 「はい、でも本当にいいんですか? 銀バッチでとっても懐いてるみたいですけど」 「昔はいい子だったんですよ、でも今は・・・」 そう言って庭に目をやるお兄さん 庭にはれいむが食い散らかした野良の死体が散乱している 「・・・確かにこうなったら手放したくなるのも無理はないですよね」 「すみません、情が湧くといけないので・・・」 「あ、はい。 では、またご利用になる時はよろしくお願いします」 「はい。 ありがとうございました」 「いえいえ。 こちらこそ・・・では」 挨拶を終え、乗って来た軽トラックの荷台にれいむを放り込んで出発する作業着の人間さん お兄さんは無言でそれを見送った 「ばんぜいじでばずごべんばばい! でいぶばわるいごでじば! げずばゆっぐぢでじだ! あやばりばずがらゆるじでぐばばい!! おべがいじばず! だのみばず! ごでがらばごごぼをいべがべでいいごにじばず! だがらッ! だがらああああああ!!!!」 れいむは透明な箱の中で、誰に聞かれることもない謝罪を繰り返していた 終 あとがき 前回『anko2410さくのなかとそと』を投稿させていただいた者です どうやら沢山の方に読んでいただけたようで、大変ありがたいことです にとりあきさんには素敵な挿絵を書いていただき、本当にありがとうございます 皆さまにこの場を借りてお礼を申し上げさせていただきます 今回の作品はいかがでしたでしょうか 感想がございましたら感想板に書き込んでいただけると大変助かります 次回の作品の参考にさせていただきたいと考えているので 遠慮なく思ったことを書いて頂ければ幸いです では
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喧嘩した人は666とks natu ヾ(=^▽^=)ノ(タイプ遅い&きもい) zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた 喧嘩したひとがいたらかいてね -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-20 17 28 55) 俺はひろみってゆうやつ3人とけんかしてかった -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-20 17 29 28) うちもツルリーナと喧嘩したい!!ってかちびちゃとであいたいな♪ -- ピソリーノ (2011-02-20 18 11 58) あそびげんかならやっていいよ でもいつ? -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-23 20 43 17) ええと・・ツルリーナがきめていいよ! -- ピソリーノ (2011-02-23 21 19 44) 平日は5時~6時まであんまやらないひは月曜日 -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-24 16 12 02) 休日は土曜の8時20分~10時(朝)昼は4時~6時のあいだおk? -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-24 16 13 06) うん!!どこに? -- ピソリーノ (2011-02-24 20 20 49) いつもは公園かベンチにいますね -- キングツル・ツルリーナ3世 (2011-02-25 20 05 43) 俺が御前を論破すればいいのか? -- Come Again(POSO) (2011-03-17 00 52 47) そうゆうわけじゃない -- キングツルリーナ3世 (2011-03-17 14 51 13) zeroとは雑魚だったな・・・・・ -- ☪✡キングツルリーナ3世☪✡ (2011-03-19 08 47 18) wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww -- wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww (2011-03-21 06 30 59) zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた -- zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた (2011-03-21 06 42 19) zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた -- zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた zero☆(40分以上喧嘩したにげたにげたゆうざこいやつ途中で掃除機かけるとかゆってにげる)かてた (2011-03-21 06 42 31) なんでここ雑魚ばっかりなの、俺でも倒せるんだが。 -- るんと (2011-03-26 09 42 11) 同じ名前なんだけどね 弟子をいじめないでくれw -- Zero (2012-02-24 03 52 45) 名前 コメント