約 3,545,431 件
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/164.html
妹紅と饅頭 蓬莱の人の形、藤原妹紅は、庵で暇を持て余していた。 この時間、友人の慧音は寺子屋で子供たちに勉強を教えているのだ、邪魔をするわけにはいかない。 最大の暇つぶしは輝夜との殺し合いなのだが、こんな昼間からそんな不健全な行為を行う気にはなれなかった。 自分も、慧音に絆され、随分と丸くなったものだ。 妹紅は小さく溜息を吐いたが、その表情はどこか幸せそうだった。 「そうだ、博麗神社にでも行ってみようかな」 妹紅は、先日弾幕り合った紅白の巫女のことを思い出した。 純粋な人間であるにも関わらず、人間離れした実力と、どこか不思議な雰囲気を漂わせる霊夢。 そんな彼女に惹かれ、あらゆる人妖が博麗神社を訪れるという。 霊夢の方も、賽銭を寄越さない客人たちでも、追い返したりはしないようだ。 「まぁ、邪険にされることはないでしょ。一応人間なんだし」 そう呟くと、妹紅は緋色の翼を広げ、神社へと飛び立った。 「なんだ、珍しい顔だな」 神社に降り立った妹紅に最初に声をかけたのは、霊夢ではなく、その隣で茶を啜る魔理沙だった。 「何よ、私が来たら行けない?」 「いや、悪くはないさ。ただ、珍しいなと思って」 それとも、私が知らないだけでお前もよくここに来るのか?と魔理沙が尋ねると、霊夢が代わりに答え、また尋ねた。 「妹紅がここに来るのは初めてよ。何か用事でもあるの?」 「別に用事はないんだけど、暇で暇で仕方がなくて」 一人でぼうっとしてるより、三人でぼうっとしてる方がいくらか楽しそうでしょ?と言うと、 魔理沙が、違いない、と笑って言い、 霊夢は、どうだかね、と呆れたように言った。 そうして、三人で茶を啜りながら他愛ない話などをしていると、ふいに霊夢が呟いた。 「そういえばあんた、前に饅頭怖いなんて言ってたわね・・・」 「なんだ、落語か?」 「いや…話のノリで言っただけよ。でも確かに、ここに饅頭が出てきたらあまりの恐怖に心臓が止まるかもしれない」 そうおどけてみせたが、 「あら、私にはそんな酷いことはできないわね。楽園の素敵な巫女さんはとっても優しいの」 と一蹴されてしまった。 というか、おまえは何を言っているんだ。 「そうだな、そういう悪戯は私の十八番だ。すぐ戻ってくるから大人しく待ってろよ? 」 魔理沙は、そう言い終らない内に箒に跨り、瞬く間に飛び去っていった。 「…お茶、お代わり」 「はいはい」 しばらくして、白い袋を抱えた魔理沙が戻ってきた。 「なぁに、それ」 「饅頭だぜ」 「動いてるわよ」 「動く饅頭だぜ」 ほら、と袋を開けると、中から飛び出したのは… 「ゆっくりしていってね!!! 」 楽園の素敵な生首だった。 「霊夢、初めて会ったときから人間とは思えない強さだったけど…やっぱり人間じゃなかったのね」 「何言ってんのよ、それのどこが私に似てるのよ。失礼ね」 そうは言っても、頭に付けた真っ赤なリボンは、まさに霊夢が付けているそれだ。 確かに、この生首の顔を霊夢だと言ってしまうのは、少し失礼かもしれないが。 「これはゆっくりれいむって言うんだ。最近神社の周りとかに増え始めたんだが、竹林の方にはまだいないみたいだな。どうだ、怖いか?」 「怖いっていうより、なんだか気持ち悪い」 「これで意外とかわいいところがあるんだぞ。わたしの飼ってるゆっくりありすも、頭を撫でられるのが好きで…」 魔理沙がれいむとやらの頭を撫でると、ゆーゆーと気持ち良さそうな声を出した。 「ゆっくりありす?」 「アリスみたいなゆっくりだ」 「そんなのまでいるのね」 「ゆっくりもこう、も探せばいるかもしれないな」 それは勘弁してほしい。 「で、これが饅頭なの? 」 「そうだよ!れいむ、おまんじゅうなんだよ! 」 魔理沙ではなく、その腕に抱かれた饅頭が答えた。 「喋るのね」 「しゃべるよ!すっごいしゃべるよ! 」 「うるさいわね」 「ごめんなさい!おこらないでゆっくりしていってね! 」 ゆっくりしていってね、か。 それでゆっくりという名前なのか。 「ほら」 魔理沙が、ゆっくりれいむを差し出した。 「何よ」 「これはおまえにやるよ、大事に育ててやれよ」 「は?」 「あら、良い退屈しのぎになるんじゃない? 」 「永遠亭もたくさん兎を飼ってることだしな、おまえも対抗してみたらどうだ。大事にしたら身体が生えて、存外役に立つかもしれないぞ? 」 「まさか!? 」 思わず受け取ってしまったが最後、ゆっくりれいむは妹紅の腕の中で、おねえさんよろしくね!と叫んだ。 「なんだ、ゆっくりじゃないか」 夕刻、庵に戻ると寺子屋から戻った慧音に会った。 「慧音、知ってるの? 」 「あぁ、無害だし、言葉を話すこともできるからな。里の子供たちに人気なんだ」 こんなものが流行るとは、最近の若い者の感性は不思議だ。 「おねえさん、こんにちは! 」 「あぁ、こんにちは。ほら、礼儀正しいだろう? 」 「うーん…こいつ、妖怪なんじゃないの? 」 「さぁ、どちらかというと妖精に近いような気がするな。何にせよ、妹紅がペットを飼うなんて、珍しい」 「いや、これは…」 「これを機に命の大切さを学んで、殺し合いだなんていうのも止めてくれると嬉しいんだが」 「それとこれとは別でしょ」 「む…まぁ、妹紅がこうした小さな命にも目を向けてくれたことが嬉しいよ」 「…」 妹紅も、不死とはいえ、命の重さ、大切さというものを忘れてしまったわけではない。 自分と輝夜は例外として。 ただ、ふてぶてしい顔をしてゆっくりを見て、命の大切さを説くことは、なんだか滑稽に思えた。 (殺しても死ななそうな顔ね) だが、嬉しそうな慧音の顔を見ていたら、そんな無粋な言葉を口にすることが憚られた。 (まぁ、どうせ寿命も短いんだろうし、少しくらい飼ってやっても良いかな) こうして、妹紅とゆっくりの生活が始まった。 朝、ゆっくりしていってね!!!という大声で目が覚めた。 「…うるさい…」 「おねえさんおはよう!!! あさだよ!!! ゆっくりおきてね!!! 」 「わかった…起きるから、静かにして。寝起きにあんたの声はきつい」 「わかったよ! ゆっくり静かにするね! 」 相変わらず大きな声だったが、それでも先ほどよりはいくらかマシになった気がする。 妹紅は、寝巻きからいつもの服に着替え、布団をしまう。 「そういえば、餌って何をあげればいいんだろう」 饅頭だから、砂糖などの甘いものが必要なのだろうか? わざわざ菓子類を調達するのは面倒だ。 「れいむ、なんでもたべれるよ! おやさいも、おにくも、だいすきー! 」 それはありがたい。 妹紅は、いつものように川でてきとうに魚を捕ることにした。 道中、やはりれいむは騒がしかった。 不死鳥の翼を見て、火が怖いと泣き喚いたかと思えば、無理やりにでも抱えて飛んでみれば、お空を飛んでると大いにはしゃいだ。 青い空、澄んだ空気、生い茂る木々、鳥の囀り、そんな当たり前のもの全てが、れいむを喜ばせた。 きれいだね すてきだね たのしいね そう言って笑うれいむが、なんだか羨ましく思えた。 川で魚を捕って、焼いてやる。 それを食べたれいむは、目を輝かせて叫んだ。 「しあわせー!!! 」 そしてガツガツと物凄い勢いで平らげていく。 「れいむ、おさかなはじめてたべたよ! 」 「そうなの? 」 「そうだよ! おみずはこわいから、おさかなはとれないの! おみずにぬれたら、ゆっくりできないよ! 」 「ゆっくりできないって、死ぬってこと? 」 「そうだよ! あんこがなくなったら、しんじゃうの! 」 そういえば、これは饅頭だったな、と改めて思い出した。 饅頭にも、死という概念があるのか。 「あんた、死ぬのは怖い? 」 れいむは、先ほどまてとは打って変わり、とても静かな声で答えた。 「とっても、こわい」 適当に暇をつぶして、庵に戻ってゆっくりしていると、雨がパラパラと降ってきた。 「ゆゆっ! 雨だ! ゆっくりできないよ!! 」 「馬鹿ね。家の中にいるんだからゆっくりできるでしょ」 「そっか! おねえさんすごいね!! 」 なんだか、ゆっくりに褒められてもあまり嬉しくないな。 むしろ馬鹿にされているような気がしてきて、軽く突付いてやれば、れいむはころころと後転していった。 「ゆゆ~!? 」 「あはは」 そんなことをしていると、ふいに、戸を叩く音が聞こえた。 「誰だ?」 出迎えれば、雨の中、永遠亭の兎が一羽、雨の中立っていた。 後ろでれいむが、いらっしゃい!! などと叫んでいるが、無視して話を始める。 「姫様が、いつもの時間に、いつもの場所で、と」 何のことはない、いつものお誘いだ。 「今日も?雨が降ってるんだけど」 兎が、その幼い顔に似合わぬ、意地の悪い笑みを浮かべた。 「殺り合う前から言い訳ですか?らしくもないですね。ここのところ負け続きですからね、臆病になるのも無理はないですけれど」 カッ、と全身が熱くなる。 「まさか。不死鳥は雨ごときで掻き消えたりはでしない。私の復讐の炎も同じことだ」 「そうですか、では」 兎は何食わぬ顔で去っていく。 「れいむ、私は出かけるからね。ここでゆっくりしてな」 「ゆっ!? おそとはあめがふってるよ! 」 「わたしはゆっくりじゃないから平気。輝夜と殺し合うってのに、そんなものを気にする方が馬鹿だったわ」 「ゆっ!? 」 しまった、口を滑らせた。 「ころしあいって!? だめだよおねえさん!!! ゆっくりできなくなっちゃうよ!!! 」 「あんたには話してなかったけど、私は死なないの。永遠にゆっくりできるのよ 」 「ゆっ!!? 」 「だから、殺し合いなんて別に―」 「うそだっ!!! 」 れいむが叫んだ。 「嘘じゃない、なんならあんたの前で死んで見せようか?すぐに生き返るよ」 「ちがうよ!!! ちがうの!!! 」 れいむは、駄々をこねる子供のように、ぐずぐずと続ける。 「けがをしたら、いたいよ!! いたいのは、ゆっくりできないよ!! 」 「そんなの、慣れてるから平気だって― 」 「だって、あおいおようふくのおねえさんだって、かなしむよ!!! 」 痛いところを、突かれた。 「…慧音は、解ってくれる。でも、あんたは、あんたに、私の何が解る!? 私の歴史を知ってるとでも!? 私の屈辱を!痛みを!苦しみを!! 」 たかが饅頭のくせに。 そう吐き捨てたときの、れいむの悲しそうな顔。 妹紅はそれを見なかったことにして、庵から飛び出した。 その晩、妹紅は、完膚無きまでに輝夜に負けた。 「いつもに増して腑抜けてるわね。どうしちゃったの? 」 輝夜にまで、そんなことを言われる始末だった。 「あなたがそんなんじゃ、私が困るのよ。良い暇つぶしの相手が見つかったと思っていたのに」 何を言い返しても、負け犬の遠吠えでしかない。 だから妹紅は、黙って聞いていた。 「…ねぇ、妹紅。私は、殺し合いじゃなくても、暇は潰せると思うのだけれど」 だって、あなたって、見てるだけで面白いわ。ちょっと馬鹿なところが。 からかうように付け加える。 「まぁ、私が憎いというなら、いくらでも付き合ってあげるわ。それこそ永遠に、ね」 その言葉を最後に、輝夜は立ち去った。 「…馬鹿みたいだ」 身体に降り注ぐ雨が、冷たい。 獣でも寄ってきたら厄介だな、と思いながらも、立ち上がる気力もなかった。 「…」 結局、ただの意地なのだ。 千年もの間、意地を張り続けている。 そうしないと、自分を保てないような気がした。 けれど、それはただ、子供が駄々をこねているようなものだ。 いつもと同じような傷。 けれどいつも以上に体が重くて、寒かった。 (…あいつに、あやまらなくちゃなぁ) 目を瞑る。 遠くから、あの喧しい声が聞こえた。 「おねえさん!!! 」 走馬灯だ。 この身体になってから、何度も見てきた。 しかし、飼い始めてたった一日の饅頭を見ることになろうとは。 「おねえさん! ゆっくりしてないでおきてね!!! 」 (まったく、こんなときでも煩い奴だな…) 「おねえさん!! 」 その喧しさが、なんだか心地よかった。 だが、 「おねえさん!!!!!!! おねぇぇぇええええぇぇえええさあああぁぁあぁぁああぁん!!!!!!!!!! 」 「うるせぇぇええええええぇぇぇぇええ!!!!!!!!?? 」 あまりの声量に飛び起きた。 人間の身体ってすごいね、その気になれば何でもできるんだ。 「ゆっ!!! おねえさんっ!!! 」 「ちょっと! なんであんたがここにいるのよ!!! 」 驚いて怒鳴りつけると、れいむは身体を震わせて泣き出した。 「ごめ゛んな゛ざいぃぃぃ!!! お゛ねえざんにひどい゛こといってごめ゛んな゛ざいぃぃぃ!!! 」 おこらせて、ごめんなさい。ごめんなさい。 何度も謝るれいむを抱き寄せて、雨から守ってやる。 「そんなことのためにここまで来たの? 死ぬかもしれないのに! 」 れいむの身体はだいぶ濡れていた。 とりあえずは庵に戻ろうと、立ち上がる。 「ゆっくりできなくなるのはやだよ!! 」 ゆっくりなんて、人間よりも、下手したらそこらの小動物よりも弱い生き物だというのに。 しぬのは、こわい れいむは、そう言っていた。 「おねえさんとゆっくりできなくなるのはやだよ!! 」 濡れて力が出ないのだろう、ぐったりとしながらも、れいむは叫んだ。 「れいむは、おねえさんとゆっくりしたいよ!!! 」 おねえさんとおそらをとぶのは、とってもたのしかった おねえさんといっしょにたべたごはんは、とってもおいしかった おねえさんのせなかのひは、こわいけれど、とってもきれいだった れいむは、何度も何度も、妹紅に言った。 おねえさんがだいすきだということ。 いっしょにゆっくりしたいこと。 妹紅は、慧音と出会った日のことを思った。 人間が好きだと、自分を好きだと言ってくれた慧音のこと。 とてもうれしかった日のこと。 「ごめんね、れいむ。…ありがとう」 一際強くれいむを抱きしめて、呟いた。 れいむは、ゆっ、と一声鳴いた。 庵に戻ると、れいむのからだを丁寧に拭いてやる。 「ゆゆ~、くすぐったいよ~ 」 「少しは我慢しなさい」 掌の上に小さな火を起こして、身体を温めてやる。 「ゆゆっ、きれいだね! れいむ、おねえさんのひ、すき~ 」 れいむは無邪気に笑う。 妹紅も、笑って言った。 「おねえさん、じゃないわよ」 「ゆっ? 」 「妹紅、私の名前。自分も紅く染まれって意味なのよ」 「もこーにぴったりな名前だね! 」 おそらく、意味もよく解らず言っているのだろうが、それでも、なんだか嬉しかった。 「もこー」 もこ、もこ、もこー 楽しそうに何度も 「ねぇ、れいむ」 「なぁに、もこー」 「あんたは、ちっぽけで、弱い命なんだよ」 「うん」 「だからね、あんたがゆっくりできるように、私が守ってあげる」 「じゃあ、れいむがもこーをゆっくりさせてあげる! 」 これってぷろぽーずなんだよ!とれいむは言った。 プロポーズか、ならば幸せにしてもらわないとな、と妹紅は思った。 これからは、退屈しなくてすみそうだ。 次の日、妹紅の庵を訪ねた慧音に、ふたりは叫んだ。 「「ゆっくりしていってね!!!! 」」 おわり はじめまして、まめちこ、と名乗らせて頂きます。 もこたんが饅頭怖いと言っていたなぁ、と思い始めたら止まらず、勢いで書き上げてしまいました。 落雷で停電したときはもう…orz なんだかありきたりな感じではあるのですが、少しでも楽しんで頂ければ幸いです。 ゆっくりはかわいいですね。 今回のゆっくりはありえないくらい賢い感じなのですが、おばかなゆっくりもかわいいですよね。 ゆっくりもこうとか、増えて欲しいです。 とらうまになるよ!! それでは、お読みくださって、ありがとうございます。 妹紅と輝夜の関係がいいですね。意地を張ることしかできない妹紅と、殺し合わなくても共に過ごせるのではないかと思いながらあえて戦いを受ける輝夜。二人がゆっくりが加わったことによってこれから救われたらいいなと思います -- 名無しさん (2008-09-06 17 18 54) やっぱり愛で最高 虐めから移ろうかな -- 名無しさん (2008-10-03 22 37 00) 後日談も是非!! -- 罪袋 (2009-07-14 16 38 39) ありきたりとか作者さん言ってるけど、キャラの心理描写が良くて全然ありきたりじゃなかったです。 -- 名無しさん (2010-05-03 19 37 04) ゆっくりは人間の精神的パートナーになれると思うの。 -- 名無しさん (2010-11-27 19 23 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1018.html
「ゆっくりしていってね!!!」 誰も答える事のない我が家での起床 もう家族とは二度と会う事はないかもしれない 住み慣れた木は雷で焼けてしまった 家族は散り散りになり新天地を探す旅に出てしまった 家族が旅立った後も焼け跡から焦げてしまった餌を引っ張り出して食べていたが底を尽きてしまった もうここは家族で住んでいた場所ではないと実感させられる 今彼女は家との最後の時間をすごしていた 「ゆぅ・・・きさん、いままでありがとうね・・・」 ギシッ!!・・ 「ゆゆ!?いたいの?だいじょうぶ?」 ギシッ!!・・ギシギシッ!! 「ごめんね!!れーむはもういくね!!」 メリメリッ!!・・・ズズーン!! 「ゆゆぅ・・これからどうしよう・・・れーむもみんなみたいにゆっくりぷれいすをさがしにいくよ!!!」 「ゆゆ~♪もりのなかならきっとすぐにみつかるよ!!!・・・あのきなんかよさそうだよ!!!」 「ゆっくりはいるよ!!!ゆゆ~♪なかもひ・ろ・・い!?」 『ゆっくりしていってね!!!』 『『『ゆっくちちていってにぇ!!!』』』 「ゆ?れーむのゆっくりぷれいすでなにしてるの?」 『ここはまりさたちのおうちだよ!!!さっさとでていってね!!!』 『『『いっちぇにぇ!!!』』』 「ゆゆ~・・・ここはあきらめるよ・・・」 しかしどこに行っても同じだった よさそうな木の洞や洞窟にはもうすでにゆっくりが住んでいたのだった そして餌場探しも似たようなものだった 「おなかすいたからごはんをみつけにいくよ!!!」 「ゆ~♪むしさんみーつけた♪むーしゃ♪むーしゃ♪しあわ・・せ?あれ?」 『むーしゃ!!むーしゃ!!しあわせーー!!!』 「ゆっ!!それはれーむがさきにみつけたんだよ!!!ゆっくりかえしてね!!!」 『はやくたべないほうがわるいんだよ!!!ゆっくりりかいしてねっ!!!』 「ゆぅ~・・・ひどいよ・・ゆっくりしたいだけなのに・・・」 こんな調子で過ごしていたある日の事、れーむはかつての家族の一人と偶然再会した しかし、再び会った姉の姿は変わり果てていた 目は血走り、頬はこけ、髪や皮にも汚れや傷が目立った 「ゆゆっ!?おねーちゃん!!!ひさしぶりだね!!!」 『れーむ?・・・・・まだいきてたんだね』 「みんなはいまどうしてるの?ゆっくりあわせてね!!!」 『どうしてるかなんてしらないよ・・・それよりれーむ、どこかいいえさばでもしってるの?』 「ゆゆ?しらないよ!!どーして?」 『だって、そんなにぷっくりしてるし・・・かみやかわのつやだって・・・』 そんなやり取りの後彼女は今までの自分の暮らしを姉に話した 姉は終始興味無さげに聞いた後ただ一言『ゆっくりがんばってね』とだけ言い残しどこかに行ってしまった 体の丈夫な姉でさえあの有様だ、もう妹や赤ちゃんとは会えないだろう その現実が今の彼女には重過ぎるものだった 「ゆっくりしていってね・・・」 『ゆっくりしていってね!!!』 『『『いっちぇにぇ!!!』』』 「ゆゆ?おかーさん?みんな?どーしてここにいるの?」 『ゆ~?なにをいってるの?ここはみんなのゆっくりぷれいすでしょ?』 『『『ゆっくちぷれいしゅだよ!!!』』』 「じゃあ、れーむもここでゆっくりするよ!!!」 『れーむにはまだはやいよ!!!ゆっくりもどってね!!!』 『『『もどってにぇ!!!』』』 「・・・・・おかーさん!!!・・・・ゆめだったの?」 「みんなとあいたいよ・・・おうちかえりたい・・・」 「さむいよ・・・あめさん、はやくやんでね・・・」 「おなかすいたよ・・・おみずのむよ・・ごーく、ごーく、しあわせ・・・」 「ゆっ・・ゆっ・・・さみしいよぉ・・・」 「あめがはれたらゆっくりぷれいすをめざすよ・・・がんばるよ」 姉と別れた数日後の朝、森の広場の枯葉の中で彼女は目覚めた ゆっくりプレイスとはいえないが雨風が凌げるだけましである 今は目だけ隠れないようにして枯葉に埋まっている、外敵と餌を見逃さないためである 常に辺りを見回し、少しの物音にも敏感になり、精神的に磨り減っていった 数日前に見た姉の姿が今の自分と被る、その現実から逃れようと力を振り絞る 「ゆっくりねたらすこしうごけそうだよ!ゆっくりぷれいすをさがすよ!!!」 「ゆゆっ!!にんげんのさとにでちゃったよ!!どうしよう・・・」 「しょうがないね!!あそこでゆっくりさがすよ!!!」 「だれでもいいよ!!!かわいいれーむをひろってね!!!」 「れーむにはおうちがありません!!!だからたすけてね!!!」 「ごはんでもいいよ!!!なにかたべさせてね!!!」 「ゆ~♪ゆゆ~♪、おうたもうたえるんだよ!!!すごいでしょ!!!」 「むししないでね!!ひとのはなしをきいてね!!!」 「おねがいしますぅぅぅ!!!むししないでくださいぃぃぃ!!!」 「ゆぅぅぅ!!!だれもいいからおへんじしてね!!おはなししようね・・・」 物乞い等で里の人間に声をかけること数刻、辺りには夕闇が下りてきていた 夜になれば妖怪の時間が来る、いつゆっくりできなくなっても文句は言えない 「ゆゆっ!!おそらがくらくなってきたよ!!ゆっくりできなくなるよ!!!」 「ゆっ!!ここならだいじょうぶだね!!・・・ゆっくりぷれいすみつからないかな」 「おかーさん、おとーさん、みんなどこにいっちゃったの・・・・」 「ゆっくりしたいよ・・・」 「きょうこそゆっくりぷれいすみつけたいよ・・・」 「ゆゆ?おいしそうなにおいがするよ!!!ゆっくりさがすよ!!!」 「ゆ?ゆっ?ゆゆっ??ここ・・かな?」 「わからないけどゆっくりはいるよ!!!おなかぺこぺこだよ!!!」 「ひろいよ~!でもくらいよ!!まんまりみえないよ!!!」 「ゆっ!!たべものがおちてるよ!!!むーしゃ!むーしゃ!・・・しあわせぇ・・・」 「ゆぅぅぅぅん!!やっどゆっぐいでぎるよぉぉぉぉ!!!」 「いっぱいたべるよ!!!むーしゃ!むーしゃ!もっとたべるよ!!!」 「こんなところにかいだんがあるよ!!!ゆっくりのぼるよ!!!」 「ゆっ!ゆっ!ゆっ・・っと、ゆっくりついたよ!!!」 「うえにはなにがあるの『う~?』か・・な?」 『なんでゆっくりがそとにいるんだどぉ~?』 「れ、れ、れみりゃーー!!!」 後編へ 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1025.html
「ゆっくりしていってね!!! あさだよ!!!」 「れーむ!! れーむ!! あさだよー!!」 朝の神社にゆっくりの声が響く、飼い主はまだ寝ているようだ 秋も終わりに近づき冬の足音も、もうすぐそこ 朝・日中・夕方と気温が変わりやすく、体調を崩しやすい そんな季節の変わり目には用心すべきである 「れーむー!! ゆっくりいそいでね!! さむいよ!!」 「いつもの『ぽかぽか』よういしてね!!」 ぽよぽよと小気味良い音をさせながら跳ねてきたのは飼い主の寝室 寒い朝に耐えかね暖の用意をせがみに来たようだ 「ゆっくりはいるよ? ゆっくりおきてね!!!」 「うー・・・静かにしてよね・・・ズズッ」 「どうしたの? こえがへんだよ!!」 「風邪よ風邪。・・・なんてことないわよ・・・」 「かぜ? ゆっくりせつめいしてね!!」 「頭に響く・・・もうちょっと静かにしてくれる・・・ズズッ」 「ゆっくりりかいしたよ! だからせつめいしてね!」 「アンタのよく言う『ゆっくりできない』状態になったのよ・・・わかった?」 「いやぁぁぁ!!! だめだよぉぉぉ!!! ゆっくりしようよぉぉぉ!!!」 「こんなことで泣かないでよ・・ズズッ・・寝てれば治るわよ」 「そうなの?・・うそつかない?」 「嘘じゃないわよ・・・だからゆっくり寝かせてね」 「ゆっくりりかいしたよ・・・じんじゃはまかせてね!!」 「ああ、はいはい。・・・・えっ?」 そんなわけで霊夢が治るまで『博霊の巫女(代理)』を勤める事になったゆっくりれいむ まず始めたのは境内の掃除。椛の葉があちこちに散っている 霊夢が普段やっているのを思い出しながらの作業だ どうやら箒はもてないので口で集めているようだ 「ゆっくりそうじするよ!!」 「はっぱさんをあつめるよ!! かってにうごかないでね!!!」 「ゆーしょ! ゆーしょ! ゆふー!! ゆゆっ!! かぜさん!! ゆっくりやめてね!!」 「ゆっ! ゆっ! ゆゆっ!! はっぱさんがへらないよ!? どうして!?」 「どうじでであづめだそばがらいなぐなるのぉぉぉ!!! ゆっくりじでねぇぇぇ!!!」 「ようゆっくり、ゆっくりしてるか?」 「までぃざおねーざん!? ゆっぐいじでいっでね!!!」 「こんなところでなにやってんだ? 霊夢は居ないのか?」 突然やってきた魔理沙に状況を説明するれいむ 半べそのゆっくりの言葉は聞き取りづらかったが「霊夢が寝込んでいる」という事は分かったらしく 今日一日霊夢の看病を兼ねて、ゆっくりれいむの面倒も見ることにしたようだ 「・・・というわけで神社は任せるんだぜ!!」 「ゆっくりまかせてね!!!」 「分かったから・・・ゆっくり寝かせて・・・・」 「・・・さてれいむ、とりあえず何するんだぜ?」 「ゆー・・・さっきの続きをやるよ!!」 魔理沙と二人で作業再開 魔理沙が箒で、れいむが塵取。手馴れたものでパパッと片付いてしまった 「ふん♪ふふ~ん♪ふ~ん♪っと、こんなもんかな?」 「ゆっ! ゆっ! ゆふ~!! ゆっくりあつまったよ!!!」 「さて、この葉っぱどうするかな? 焼き芋でもやるか?」 「やきいも!! やきいも!! やるやるー♪」 「んじゃ決まりだな! 私は準備してるから、台所から芋二個くすねてきてくれないか?」 「ゆっくりわかったよ!! ちょっとまっててね!!」 「よし、準備はバッチリだな。火をつけるから少し下がったほうがいいぜ」 「ゆゆっ!! そーろ、そーろ、おねーさんのうしろにかくれるよ!!」 「よっ、と。後は待つだけだな」 「ゆゆ~♪ ゆっくり~♪ ゆっくり~♪」 待つ事半刻ほど、どうやら芋も良い具合に焼け、食べごろのようだ 二人仲良く一つずつ、ちょっと贅沢な休憩である 「おおっ! 良い感じじゃないか。ほら、ゆっくり食べろよ」 「ゆっくりたべるよ!! むーs! あふっ!! むーしゃ! あふふっ! あっついよぉぉ!!!」 「ほら私が冷ましてやるよ。ふー、ふー、これでどうかな?」 「ゆっふいたべるよ!! むーしゃ! むーしゃ! しあわせー!!!」 午後も二人で神社の雑務をこなしていく 雑巾がけ、蜘蛛の巣取り等など そんな時間も過ぎ夜が来た 漆黒の闇、妖怪の支配する世界 魔理沙は神社の戸締りを済ませ、家に帰っており 今は霊夢とれいむの二人だけである 「そーろ、そーろ・・・こっそりー・・・」 そろり、そろりと擬音を口にしつつも霊夢の寝室にゆっくり入っていく、れいむ 暗闇の中布団への侵入を試みているようだ 「もーぞ、もーぞ、ぱかぽか~♪」 「・・・・まだ起きてたの?」 「ゆゆっ!? みつかっちゃったよ!!」 「あんまり近くによると風邪ひくわよ?」 「だいじょうぶだよ!! れいむはつよいから、かぜなんかひかないよ!!」 「そう・・・なら一緒に寝る? 湯たんぽが無いから寒いのよね」 「なられいむが『ゆたんぽ』になってあげるよ!! きっとあったかいよ!!!」 「ならお言葉に甘えさせてもらうわね・・・本当だ、あったかい」 「ゆっくりねてね!! おやすみ!!」 「おやすみ、れいむ・・・・今日はありがとう・・・」 朝、澄んだ空気が心地良い目覚めをくれる季節 巫女の風邪も治り、すべては日常に戻っていった・・・が 『ゆっぐじおあよう!!! いいあざだね!! ジュルジュル!!』 「ほら、また鼻水で出るわよ。はい、チーンして」 『ジーーーン!! じゅっぎりー!!ジュルッ!』 「もう、なんであんたまで風邪引くのよ・・・」 『ゆっぐじなおじでいっでね!! ズズッ』 博霊神社の素敵な巫女と、不思議な饅頭 二人は今日もほのぼの過ごしていく ~おわり~ けなげでおばかなれいむに萌えた -- 名無しさん (2008-11-05 21 35 20) いいね~ほのぼのww -- なんかこう、フツフツと・・・・ (2009-04-17 17 49 35) かわええの 「ゆーしょゆーしょ」 -- 名無しさん (2010-04-14 22 42 39) なんにでもさん付けは媚び過ぎな気がする。それ以外は可愛いと思う -- 名無しさん (2010-04-15 00 36 54) 鼻水はどこから出るんだw -- 名無しさん (2010-12-09 09 30 48) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/2935.html
『いっしょにゆっくりしていってね!』 24KB いじめ 虐待 日常模様 野良ゆ 現代 虐待人間 リハビリ ゆっくりって元々こんなでしたっけ? 過去作 anko1548(前)/1744-5(中)/2170-1(後) 『よわいものいじめはゆっくりできないよ!』 anko2263-4『ゆっくりいじめはゆっくりできるね!』 anko2424-5『かけがえのないいのちなんだよ!』 『いっしょにゆっくりしていってね!』 ○月○日 びっくりした。 まさかこんなものを本当に目にするなんて思ってもいなかった。 世間ではそういうものが突然現れたといってニュースになっていた。 物珍しさからすぐに大騒ぎになり、ブームになったりもしたが、 人の関心というのは長続きしないもので、 依然として第一級の研究対象にありながら、市井の一般市民の間ではやがて話題にも上らなくなった。 なにしろ数が少なくて、半ばツチノコのような存在である。 受験勉強のためと称して、片田舎のアパートに越してきた。 親元を離れた気楽な生活に憧れてのことだが、もちろん受験勉強もきちんとやるつもりだ。 一週間ほどはほとんど勉強もせず、ごろごろと気楽さを楽しんでいたが、 そろそろ勉強にかかろうとしていた矢先に、それが家に上がりこんでいた。 近所の商店に夜食のカップ麺を買いに行っており、家を開けていたのは一時間もなかった。 家の鍵はかけていたのに庭に面した引き戸は開け放したままだったという雑なことをやっていたため、 どうやらそこから侵入してきたらしい。 「ゆっ!ゆっ!ゆっ!ゆっ!」 家に入った途端に、ころころと甲高いその声が耳に入った。 ぽんぽんと気の抜ける効果音とともに、肌色の球体が廊下を横切っていく。 「ゆっくりー!!」 黒い帽子を被り、金髪を生やしたその饅頭は、 僕の部屋の座布団に座り、ゆふー、と息をついた。 世間でさんざん騒がれていたので、その名前と特徴はよく知っている。 バスケットボール大の肌色の饅頭で、髪が生え、頭に帽子や飾りをつけ、目と口がついている。 目の前に鎮座しているそれは、眉を八の字型に曲げ、ぱっかりと開いた口をしゃくれ気味に突き出している。 馬鹿にしているようにしか見えない。 口をぱっかりと開けたまま目を閉じ、座布団の上でゆらゆらと体を蠢かせていたかと思うと、 またぱちっと目を開いて叫んだ。 「ふかふかさんでゆっくりー!ゆっくりできるねっ!!」 僕は絶句していたが、そこで声をかけてみた。 「おい」 「ゆっくりびっくりー!!」 それは座布団の上で10cmほど飛び上がった。 今の今まで目の前にいた僕に気づいていなかったらしい。微妙に真正面からズレてはいたが、それにしても呑気だ。 驚いて飛び上がったらしいが、八の字眉としゃくれ口の表情は変わっていないから不思議な感じだ。 「ゆっくりびっくりだよっ!!ゆっくりふりむくよっ!!」 そう言い、座布団の上でぽんぽんと何度か跳ね、少しずつ角度を調整して僕の正面に向き直る。 「ゆっくりたかいたかいだよっ!ゆっくりみあげるよ!ゆっくり~~!!」 そうしてぐいーっと体を反らし、僕を見上げた。なんでいちいち宣言してから行動するんだろう? 立っている僕の、遥か上空にある顔を視界に捕らえようとして上体をぐいぐいと反らす。 いまにもひっくり返るんじゃないかと思っているうちに、ぱさっと帽子が落ちてしまった。 「ゆうーっ!!おぼうし!!まりさのおぼうしゆっくりもどってねっ!!」 こちらが驚くほどそれは慌てふためき、目に涙を浮かべてごろりと座布団の上から転げ落ちると、 畳の上に転がった帽子を口に咥えて置き直し、尻をぷりぷりと振りながら頭を突っ込むようにしてかぶり直した。 「まりさのおぼうしゆっくりおかえり!ゆっくりできるねっ!!ゆっくりーっ!!」 叫んでぴょんと飛び跳ねる。完全に僕のことは意識から消えている。 「おい」 声をかけると、「ゆっくりふりむくよっ!!」と叫んでまたぽんぽん跳ねようとしたので、 面倒になり、それを両手で掴んで座布団の上に置き直す。 饅頭というにはぶよぶよもちもちとした触感で、正直あまり気持ちのいいものではなかった。 というか……肉に近い。肉まん? 僕の前に向きなおったそれ……ゆっくりまりさは、 ちょっと首(体全体?)をかしげた後、しゃくれた口をさらにしゃくれさせて景気よく叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!」 「……ゆっくりしていってね」 返答してしまった。 ゆっくりがこの挨拶をしてきたら同じように挨拶を返すと喜ぶ、という習性も知っていた。 そのゆっくりまりさはパァッと表情を明るくした(ような雰囲気。実際はさらにしゃくれた)。 そのままゆんゆんと体を揺らし、黙ってこちらを見つめている。 何かあるのかと思ったが、別になにもなく、ただ「ゆっくりしている」ようだ。 呆然と見つめ合っていると、別のところから声が聞こえてきた。 「ゆっくり!ゆっくりー!!」 まだいたのか。 部屋を出ると、台所にもう一匹の饅頭が蠢いていた。 今度は黒い髪で、頭に赤いリボンをつけている。後頭部だけでわかる、ゆっくりれいむだ。 「ゆっくりごはんさんをさがすよ!ゆっくりー!」 そう言ってゆっくりれいむが向かうのは、台所の隅に無造作に袋に入れてまとめてあった野菜だった。おい! 「ゆっくりごはんさんがあったよっ!!ゆっくりむーしゃむーしゃするよ!!」 宣言すると、ゆっくりれいむは袋の外に転がっていたジャガイモにかぶりついた。 「おいおい、やめろ」 「ゆーっ!?おそらをとんでるみたいっ!!」 背後からリボンごと髪の毛を掴んで持ちあげる。ジャガイモを取り落とし、ゆっくりれいむは間の抜けた声を上げた。 すぐにもるんもるんと尻を振りはじめる。 「ゆっくりできないよっ!!ゆっくりあたまがいたいよっ!!ゆっくりーっ!?ゆっくりーっ!!」 こいつらでも痛みは感じるのか。 台所のテーブルに置き直し、ゆっくりれいむと向かい合う。 やはり聞いていたとおりの顔だった。 赤いリボンのゆっくりれいむ、キリリと逆八の字型に釣り上った眉に、まりさと同じくぱっかり開いた口。こちらはしゃくれてない。顔はりりしい(のか?)が、目尻に涙が浮いている。 しかし、僕と向き合うと、少し首をかしげてからぽんっと小さく跳ねて叫んだ。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりー!!」 喜んでいるらしい。表情がほとんど変わらないのでよくわからないが。 とりあえず二匹(数え方は匹でいいのか?饅頭だから個じゃないのか?まあ、いいか)を座布団の上に並べて置き、 自分も座布団に座って、部屋の中で腕を組んで考える。 二匹のゆっくりのほうは、僕があの挨拶を返したというその事実だけですっかり安心しきったらしく、 僕の前で微妙に揺れながらすっかりくつろいでゆっくりしている。一応今は口を閉じていた。閉じれるんだ。 物珍しいので捕獲してはみたが、さりとてどうするかも思いつかない。 一応、会話はできるのか試してみる。 「どこから入ってきた?」 「ゆっくりまどさんからはいってきたよっ!」 ガラス張りの引き戸が開いていたことを言ってるらしい。 「お前らの家はどこだ?」 「もりさんにすんでるよっ!」 なんでここまで来たのか、までは言わない。聞かれたことに直接答える以上の気は回らないようだ。 その程度の知能らしい。仕方がないのでいちいち聞く。 「なんで森からここまで来たんだ?」 「ごはんさんをさがしにきたんだよ!ゆっくりしていってね!」 「……ゆっくりしていってね」 その上、会話の中でいちいち唐突に「ゆっくりしていってね」を挟む。 そうして期待に満ちた視線を向けてくる、試しに答えないでみたら表情がやや沈んだ。 答えを返したらぱっと明るくなる。 一応、こいつらなりに不安を感じているのかもしれない。 「ゆっくりしていってね」で安心できる相手かどうか確認しているのか? 「あのな、ここは僕の家なんだ」 「ゆっくりりかいしたよっ!」 「だからここにあるのは僕のご飯だ。お前らのじゃない。勝手に食べちゃだめだ。というか、勝手に入っちゃだめだ」 「ゆっくりりかいしたよっ!」 返事はいいが、別に出ていこうという素振りも見えなかった。 ゆらゆらもにもに動きながら座布団の上でゆっくりしている。 結局、放っておくことにしてみた。 別に可愛いとかそういうふうには思わなかったが、物珍しさから追い出すのもためらわれた。 もう少しどういうやつらなのか見てみよう。 参考書とノートを開き、勉強を始めようと机に向かったところで、ゆっくりはまた叫んだ。 「ゆっくりごはんさんをさがすよっ!!」 元気よく座布団から飛び出し、勝手にうろうろと跳ねまわり始めるまりさとれいむ。 さっきやめろと言ったばかりじゃないか。その程度の知能か。会話はできても意志の疎通は期待しないほうがいいようだ。 「いたいよ!!いたいよ!!ゆっくりできないよ!!ゆっくりできないよ!!」 「はなしてね!!はなしてね!!ゆっくりさせてね!!はなしてね!!」 掴みあげた二匹はもるんもるんもるんと忙しく蠢く。気持ち悪い。 ひとまずダンボールの空き箱の中に放り込む。 「ゆべっ!!」と叫び、痛みに涙を浮かべているが、表情はやはり変わらない。 「ゆっゆー!ゆっくりいたかったね!!いまはいたくなくてゆっくりー!!」 「はこさんはゆっくりできるね!!」 などと言いながら箱の中でゆっくりしている。 さてどうやら食欲はあるらしく、すぐに「ゆっくりごはんさんをさがすよっ!!」と叫び出した。 「ゆっくりはこさんからでるよっ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「ゆっくりでられないよっ!!はこさんはゆっくりどいてね!!ゆっくり!!ゆっくりー!!」 「ゆっ!!ゆっ!!はこさんをゆっくりどかすよ!!ゆっ!!ゆっ!!」 「おなかがぺーこぺーこだよ!!ゆっ!!ゆっ!!」 そう言い、ぼすんぼすんとボール箱の内壁に体当たりをしているが、そうそう倒れない。 面白いのでそのまま放置して、今この日記を書いているというわけだ。 いちいち元気よくやかましい饅頭だが、腹が減ったら少しはおとなしくなるだろうか。 ○月○日 目を覚ましたら、ボール箱が倒れていた。 昨日見ていた時はただ無造作にぼすぼす体当たりを繰り返しているだけだからムリだろうと思っていたのだが、 たまたま二匹のタイミングが合ったのか、箱は横倒しになり、中の饅頭は逃げ出していた。 さて饅頭はどこかと言えば、探すまでもない、キンキン甲高い声を撒き散らしているのですぐわかった。 「むーしゃむーしゃ!!むーしゃむーしゃ!!」 「むーしゃむーしゃ!!むーしゃむーしゃ!!」 「「しあわせーっ!!!」」 台所の野菜を食い荒らし食べ散らかしている。 普段は緩慢とさえ言える動きだったが、野菜を前にすると、ガツガツガガガガとネズミのように激しくがっついている。 そうして野菜をかじり口に入れるのだが、入れるたびにいちいち「しあわせーっ!!」と叫ぶため、 口の中のものが涎と一緒に半分近く四散し、食べ方が汚いというレベルではない。 呆然と眺めていたが、野菜をかじっては叫び、四散した食べカスをはぐはぐと唇でかき集めては叫び、 農家の人たちに土下座で詫びたいようなありさまになっていた。 野生動物だってもう少し綺麗に喰う。 蹴りを入れることにした。 「むーしゃむーゆぶびぇっ!!?」 ゆっくりまりさの頬につま先を叩きこむと、ごろごろと二回転して床にへたり込んだ。 次にゆっくりれいむの方を見るが、片割れのまりさが蹴り転がされたというのに全く気付きもせず、野菜をかっこんでいる。 「しあわぜぼふぉおぉっ!!」 顔を上げるまで待ち、しあわせーと叫んだところで顔面を踏みつけてやった。 踏みつけたままぐにゅぐにゅごろごろと床に押しつけて転がす。 「ゆぼっ!!ぼぼっ!!ゆっぐ!!いだいっ!!ぼぶ!!ゆっぐりっ!!でぎだっ!!」 「ゆっくりやめてね!!ゆっくりやめてね!!いたがってるよ!!やめてあげてね!!」 見ると、まりさの方がぽんぽん飛び跳ねて抗議していた。 目から涙を流し、口の中の歯が何本か欠けていたが、八の字眉にしゃくれ口はそのままなのがシュールだ。 ちょっと思い立ち、足でれいむを転がして顔面を上に向けてから、大声で叫んでみた。 「ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 れいむの顔もひどかった。 やはり何本も折れた歯が口の中でちゃらちゃら言い、ゆひゅーゆひゅーと激しい息をついていたが、 今の挨拶でゆっくりしたのか、まりさもれいむも涙を流しつつ明るい表情を浮かべている。 こいつら、面白い。 なんだか怒る気はなくなり、僕は二匹を元のダンボール箱に放り込んだ。 言ってもどうせ無駄だから放っておき、四散した野菜を片付ける。 農家のみなさんごめんなさい。今後は食べ物は高いところに置こう。 「ゆっくりごはんさんをさがすよっ!!」 どうやら全く懲りていないらしく、昼になる前にゆっくり二匹はまた叫び、 ボール箱に体当たりを始めた。 先ほど食べ散らかされて生ゴミになった野菜のカスを、三角コーナーから救い出してゆっくり共の頭の上からぶっかける。 すぐに「むーしゃむーしゃしあわせー!!」の声が聞こえてきた。 さて、僕は学校に行かなければならない。 こいつらを放置していると、僕がいない間に部屋をどれだけ荒らされるかわかったものではないので、 ガツガツ生ゴミをがっついている間に、ボール箱の蓋を閉めてしまう。 「ゆゆっ!!くらくなったよ!!まっくらさんだよっ!!」 「ゆーっ!!くらいくらいはゆっくりできないよっ!!あいてね!!あいてね!!」 どうやら暗闇は怖いらしく、中の二匹が叫び、ぼすんぼすんとボール箱の内壁に体当たりしはじめた。 「あいてね!!あいてね!!こわいよ!!こわいよ!!ゆっくりできないよ!!」 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりさせてね!!くらいくらいはやめてね!!ゆっくりできないー!!」 叫び続ける二匹の声を聞きつつなんだか楽しい気分になりながら、僕はボール箱の蓋をガムテープで閉じた。 夕方になって帰ってきた時には、叫ぶ声は聞こえてこなかった。 しかしボール箱に耳を当てて様子を窺うと、嗚咽が聞こえた。 「ゆぐっ……ゆぐっ……ゆっぐじでぎだい……」 「ゆっぐじじだいよぉ……ゆっぐじ……ゆっぐじぃぃ………」 ガムテープを剥がして箱を開けると、中の二匹がこちらを見上げてパァッと表情を明るくした。 「ゆっゆーっ!!あかるくなったよ!!ゆっくりしていってね!!」 「くらいくらいはゆっくりできなかったよ!!あかるくなったからゆっくりできるね!!ゆっくりしていってねー!!」 「ゆっくりしていってね」 返事を返しながら、にやにや笑みがこぼれる。 こいつら、箱を閉じたのが自分だということを認識していないのか。 野菜にがっついている間に気づかれずに閉めたわけだが、原因を想像する、ということをしないのか。 「ゆっくりしていってね!!ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりできるね!!さびしくないねっ!!ゆっくりーっ!!」 涙でびしょびしょになった顔を輝かせて飛び跳ねるゆっくり二匹。 そんな二匹をにやにやと見下ろしながら、僕はダンボールに蹴りを入れた。 すくい上げるような蹴りでダンボールはひっくり返り、中の二匹が転がり出す。 「ゆゆんっ!?びっくりーっ!?」 「ゆーっ!!ゆっくりころがるよっ!!」 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 転がってうろたえているらしき二匹に挨拶を投げかける。 横倒しになったまりさと逆さまになっているれいむが笑顔で返事を返してくる。 見ると、髪が動いていた。 まりさの左側頭部にある黄色い三つ編みのおさげと、れいむの両側にぶら下がっている二本のもみあげが、 いかにもうれしそうにぴこぴこと跳ねている。 すっかり嗜虐的な気分になった僕は、二匹をさらに蹴り、踏みつけた。 「ゆぶっ!?ゆばぁっ!!」 「ゆ!?やめてね!!やめてね!!けらないでね!!ゆっくりやめぼぉっ!?」 「ゆっぐじでぎだいよっ!!やべでね!!いだいよ!!いだいよ!!ぶぼおぉ!!」 「あびっ!!ゆびいぃっ!?ゆっぐじ、ざぜでねっ!!ゆっぐじでぎだいよ!!やべでね!!やべでね!!」 「ゆっくりしていってね!!」 「「ゆっくりしていってねばびゅっ!!?」」 どれだけ虐げられても、ゆっくりしていってねと声をかけさえすれば大喜びで返事を返し、 楽しげに白痴じみた笑顔を浮かべる。この人はゆっくりできる、自分たちをゆっくりさせてくれる、と。 そこを即座に痛めつけ、急転直下の悲しみに叩き落とすのはなんとも言えない快感だった。 登校している間に、すでに心は決まっていた。 受験勉強のストレスをこいつらで発散しよう。 僕だって人並みにストレスを抱えていた。受験生のストレスは大きい。 将来安定した仕事につくために、遊びたいのを我慢して机に向かい、 周囲は勉強はどうした遊んでいる時じゃないぞお前のために言っているんだと顔を合わせるたびにしたり顔で説教する大人たち。 別に普通のことで、みんなが通る道だとはわかっているけど、それでもいやーな気分になって沈みこむことは多い。 そんな時期に、こいつらと出会った。 こいつらは世の中になんの不安もないというように、いつでもどこでもゆっくりする。 いつも喜色満面、ごろごろだらだらとゆっくりすることになんの疑問も持たず、 自分がゆっくりするのを邪魔されるわけがない、それどころか周囲が自分をゆっくりさせて当然だと思っているふしさえある。 人間は将来仕事について毎日食事にありつく、それだけのためにこんなに辛い思いをしているのに。 「ほらほら、どうした!!逃げろよ!!僕はゆっくりできないぞ!!」 「ゆんやあぁぁ!?やめてね!!いたいよ!!ゆっくりできないよ!!」 「そうだよ、ゆっくりできないんだ、さあどうする、ゆっくりしたかったら考えろ、努力しろ、どうすればゆっくりできる?」 「いだああぁぁ!!ゆっぐりじだいよっ!!やべでねっ!!おにいさん!!ゆっくりしていってねぇ!?」 「僕に頼るなよ、自分で考えろよ、逃げるか?戦うか?なにか差し出すか? のんびりするためには努力が必要なんだぜ?競争に勝たなきゃ食事にはありつけないぞ、座る席もないぞ、彼女だってできないぞ」 「ゆーっ!!ゆっくりしていってね!!ゆっくりしてね!!ゆっくりしてよぼぉっ!!」 「だから他人に期待しちゃダメだって、アテにするなって、さあ自分で考えろよ、この状況をどうするんだ、考えてみろよ!」 「わかんないよ!!わかんないいぃ!!ゆっくりしてよおぉぉぶばぁっ!?」 「わかんないんなら無能だってことだな!無能は淘汰されるのが世のならいだぜ、恨むなよ、お前らもうゆっくりできないぞ!!」 「「ゆんあああああーーっ!!?」」 「おわっ!?」 泣きながらも八の字眉と逆八の字眉、しゃくれ気味の例の笑い顔を張りつけていた二匹が、 ここで表情を大きく歪めて叫び、じたばたと暴れだした、というよりだだをこねだした。 「ゆっくりしたい!!ゆっくりしたい!!ゆっくりできないのはいやだよおおおぉ!!ゆっくりさせてよーっ!!!」 「ゆっくり!!ゆっくり!!ゆっくりさせてね!!ゆっくりしたいよおおぉぉ!!」 どうやら、「ゆっくりできない(させない)」と言われるのが一番こたえるらしい。 あのムカつく笑い顔を歪ませられたことが、いよいよ僕の興をつのらせた。 「……ダメだよ。ゆっくりできないんだよ」 「いやだよぉーっ!!ゆっくりしたいいいぃぃ!!!」 「したい、したいって、希望を僕に言われてもねぇ。君たちの希望を叶える義理なんてないしねぇ。 ゆっくりしたかったら自分ですればぁ?」 「おにいさんはゆっくりできないよ!!れいむたちはゆっくりするよ!!ゆっくり!!ゆっくりーっ!!」 「ゆっくりにげるよ!!ゆっ!!ゆーっ!!」 二匹は僕に背を向けて、必死にぽむぽむと跳ね始めた。 ようやく逃げるという選択肢を採る気になったようだ。 窓も玄関も締め切った家を、僕から逃げようと必死になって跳ね回るゆっくり二匹。 そんな二匹の姿を見て僕はいよいよ楽しい気分になり、放置したまま、こうして日記をつけている。 ○月○日 結局、昨日は日記をつけたあと、家の中を逃げ回るゆっくり二匹をのんびりと追いかけて虐めて回った。 「こないでね!!こないでね!!こっちにこないでね!!ゆっくりしたいよ!!」 廊下を跳ねるまりさにとことこ歩いて追いかけ続け、玄関の隅にゆっくり追い詰めてぐいぐいと足で踏みつけた。 「ゆ゛ぎゅうーっ!!ゆ゛ぶぶうーっ!!」 口のあたりを狙って踏みつける。口の皮に引っ張られて目が縦に延びている。鳴き声がまったく面白い。 ぱきぱきと口の中で歯が折れる音がしたところで解放してやったが、なかなか形が戻らず、 口を閉じてべっこりへこんだままぶるぶる震えて涙ばかり流していた。 それでもしばらくしたら輪郭は元に戻っていた。不思議なものだ。歯は折れたままだったが。 「べばぁーっ!!」 狭い自室の中にれいむと二人きりで楽しいひとときを過ごした。 僕は部屋の真ん中にあぐらをかいて座りこんでいるだけだが、 四畳半程度の部屋の中ではゆっくりがどこに逃げてもちょっと腕を伸ばすだけで簡単に捕まえられる。 「ほうら、逃げないとゆっくりできないぞ~」 「ゆびゅう!!ゆぶううぅ!!ゆっくりしだいで、にげるよっ!!そろーり、そろーり!!」 面白い習性がまたひとつわかった。 相手に気づかれないで逃げようとするとき、「そろーりそろーり」と発声してずりずり這うのだ。 目の前に相手がいるのに、そう発声するだけで気付かれていないつもりでいるらしい。 当然、僕に掴まる。そして壁に投げつけられる。 「はーい、いらっしゃ~い」 「ゆびゃばぁ!!」 壁に叩きつけられ、ずるずると床に滑り落ちていくれいむ。 やはり歯が折れ、笑顔は消え、表情をぐしゃぐしゃに崩して泣きじゃくる。 「さ、もう一回投げちゃうぞ~、逃げなくていいのかな~?頑張れ、頑張れ」 「ぼ、ぼう、ゆっぐじ、なげられだぐ、ないよっ……ゆっ、ぐじ、にげる、よっ………ぞろーり、ぞろーり……」 「いらっしゃ~い」 「ばびいぃ!!」 そろーりそろーりと言いながら目の前を横切ろうとするれいむを再び掴みあげ、壁とキッスを交わさせてやる。 げほっ、ごほっ、と少量の赤黒いものがれいむの口から飛び出す。餡子か。部屋が汚れるけど、これぐらい構うものか。 「ゆ……ゆ゛…………ぞろー、り………ぞろー………」 ひいひい泣きながらナメクジのように遅々とした歩みで這いずるれいむに、ふと思いついて言ってやる。 「ゆっくりしていってね!!」 「ゆっくりしていってね!!」 パァッと表情を晴れやかにするれいむ。 その満面の笑顔が、ゆっくり、ゆっくりと沈み、泣き笑いになり、やがて歯をくいしばった泣き顔に変わってゆく。 そう、もう二匹のゆっくりは学習していた。 ゆっくりしていってねと言ってくれた。ゆっくりさせてくれる。これでゆっくりできる。 言われた瞬間は本能的にそう喜ぶが、すぐに経験と記憶が反復される。 そうだ、この人間さんはゆっくりできない。ゆっくりさせてくれないんだ、と。 目の前でくっきりと起こる、その感情の振れが面白すぎて、僕は何度もこれをやるようになっていた。 絶望そのものの表情で涙を流し、ゆひっ、ゆひっ、と震えているれいむを、僕は大喜びでまた投げつける。 毎晩寝る前には、ボール箱の中に押し込んでガムテープで閉じてしまう。 最初はゆっくりできないと泣き叫ぶが、すぐに泣きじゃくりに変わり、おとなしくなる。可愛いものだ。 ついつい没頭しそうになるが、しっかり勉強もする。ストレスを発散できているおかげではかどる。 ○月○日 今日は寝過して、つい放置したまま学校に行ってしまった。 帰ってからボール箱を開けると、ゆぐゆぐ泣きじゃくっている。 箱をひっくり返して転がしてやると、「ゆっくりころがるよっ!!」などと叫んでいる。 何かをするたびにいちいち宣言するという間抜けな習性が、虐待されている現状とミスマッチで面白い。 野菜屑をばらまいてやると、ガツガツと貪り喰う。 喰っているところをシャーペンの先でつついてやる。 「むーしゃむー、ゆぎぃ!!いだいいぃ!!やべでえぇ!!」 「しあわゆごぉっ!!?」 しあわせーと叫ぶまりさの口の中にシャーペンの先を突き入れる。 したたかに喉を突いたようで、げほげほ激しくせき込みながら転げ回っていた。 そこまでされても食事をやめようとしない。一つのことしか見えないんだろう。 ゆっくりと出会ってからそんなに日は経っていないのに、もう僕の行為はエスカレートしていた。 学校で文房具を見かけるたびに、これは使えるな、これで虐めてやろうなどと考えていた。 ホチキスでれいむの舌をばちんばちんと挟む。 「いだっ!!いだいいぃ!!いぃぃだあああああぁぁぁ!!!」 「いだがっでるよっ!!やべであげでねっ!!やべであげでねっ!!いだがっでるよおおぉ!!」 引っ張り出した舌はけっこう長く、30cmぐらいはあった。 その舌をホチキスの針まみれにする。 手を放しても舌はべろんと伸ばされたままだった。動かすだけで痛みが響くんだろう。 そんなれいむの舌を掴んでぶら下げてやると、すごい悲鳴を上げてもるんもるんと尻を振っていた。 「ゆっくりしていってね!!」と言ってやると、そんな状態でもきちんと「ゆっくりしていってね!!」と発声していた。 どうなっているんだ。 チューブ入りの糊をまりさの口に流し込んでやる。 「ゆげっ!!ゆっげええぇぇ!!まずいいぃぃ!!これどくはいってるううぅぅ!!」 げえげええずこうとするまりさを抑えつけ、さらに糊を流し込む。 ついでに左目にもべたべた塗りつけてやった。眼球をぐりぐり回しながらいい声で叫んでくれた。 必死にチューブの先から逃げようとする黒目が面白い。 体中に糊をまぶしたあげく、鉛筆削りに溜まった削りカスを全身に振りかけてやる。 「ゆい゛いいいぃ!!いやだああぁぁ!!ぎぼぢわづいよおおおぉぉ!!いだいよおおぉぉ!!」 とくに糊のたまった左目に削りカスをまぶしてやったときの声が傑作だった。 そのまま動き回られて糊とカスをあちこちにこすりつけていったのには閉口したが。 思い立ち、二匹の底部、あんよに画鋲を刺してみた。 「ゆづううぅぅういだああああいいいいぃい!!」 「いだーっ!!いだああーーっ!!ゆっぐじ!!ゆっぐじでぎだいいーっ!!」 「ゆっくりしていってね!」 「「ゆっくりしていってね!!」」 反応を楽しみつつ、動きを完全に奪うのもつまらないので、 ちょうど五個ずつ、底部の中心と四隅に挿し、上からガムテープを貼って固定した。 これで動くたびに痛みが走るというわけだ。 「さあ、おめでとう、これでお前たちはこれから一生、一秒たりともゆっくりできないぞ。よかったな!!」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーっ!!いやだーーーーっ!!いやだよおおおおぉぉぉお!!!」 「ゆっぐじじだいよおおおおぉおぉ!!ゆっぐじじだいいいいいいいいい!!!」 泣きながら跳ね、這いずり、そのたびに画鋲の痛みにぼろぼろと涙を流して呻くゆっくり。 その前で僕は腹をかかえて笑い続けていた。 ○月○日 今、僕の生活はとても充実している。 ストレス発散のおかげで受験勉強は大変はかどり、センター試験ではいい成績を出せた。 講師には志望校のレベルをワンランク上げてはどうかとまで提案された。 実際、辛い勉強も苦ではない。 合間合間に、あの饅頭たちを虐待する楽しさが、勉学の辛さを吹き飛ばしてくれる。 あの二匹は、すっかり使い古してしまった。 「……ゆっぐ、り…………じだぃ………」 「…………ゆ゛…………」 自室で机に向かっている僕の足の下には、ゆっくりまりさとゆっくりれいむが敷かれている。 二匹とも髪はほとんど抜け落ち、全身傷だらけ、 べたべたと張り付いた各種のテープやらゴミやら刺しっぱなしのホチキスの針やらで汚れきっている。 切り傷、黒焦げの火傷なんか数えきれない。 死なない程度に短い鉛筆があちこちに刺さっている。 目は耳かきでえぐり抜き、まりさの右目が残っているだけだ。 生殖器があったので、シャーペンの芯やら爪楊枝やらまち針やらを突っ込んでいじくり回していたら、 しーしーの穴とまむまむとあにゃるの三つともずたずたの状態でがばがばに開いたままになり、今は消しゴムが突っ込まれている。 飾りを奪ってやった時が一番の大騒ぎだったが、目の前で切り刻んだあげく燃やしてやったら、 廃人、もとい廃ゆっくりみたいになった。 体のあちこちに刺さった異物が激痛をもたらすので、今ではほとんど動かない。 それでも虐めればいい声を出すので問題ない。 すっかりぼろぼろだが、使い込んで愛着の湧いた可愛いやつらだ。 今日も勉強が一段落した僕は、二匹の前に屈みこんでこれからすることを説明してやる。 「ごめん、待たせちゃったね、僕のかわいいゆっくりちゃんたち! 今日も沢山いっしょに遊ぼうな。今日はこんなのを持ってきたんだ」 学校から持ち出してきた糸鋸を二匹の前で振る。 「刃がサビちゃってるけど、これで面白いことができるかと思ってさ。 これでさ、君たちの横からがりがり挽いていくよね、それだと真っ二つになっちゃって死んじゃうだろ。 でも、刃がすっかり入ったところではしからオレンジジュースで直していけばさ、 死なせないで刃を右から左に抜けさせることができるんじゃないかと思うんだ。もちろん中枢餡は裂けて、頭のほうをやるよ。 失敗しちゃいけないから、一時間ぐらいかけてゆっくり、ゆっくりやってみるつもりだよ。 大丈夫、死なないさ! すっ………………ごく、痛くてゆっくりできないと思うけどね」 説明を聞きながら、無表情の二匹はぷるぷるぶるぶると震えだし、その瞳からぼろぼろぼろぼろと涙があふれ出ていく。 そういえばもうずっと、この二匹の笑い顔を見てないな。初めて会ったときにはあんなに顔に張り付いてたのに。 ふとそう思った僕は、久しぶりにあの言葉をかけてみた。 「ゆっくりしていってね」 「「ゆっくりしていってね!!」」 〔終〕
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/3631.html
ペット用ゆっくり向けに”成長抑制剤”という薬品がある。 飼いゆっくりは栄養状態が良いため、野生種と比べて体が大きい。 それでは可愛くないと感じる飼い主が多く、好みのサイズまで成長したら この成長抑制剤を投与することでそれ以上は大きくならないのだ。 成体サイズになる前に投与すれば去勢をする必要もなくなり ゆっくりを傷つけたくない愛護派を中心に喜ばれた。 最近では飴玉状に加工して砂糖と果実のフレーバーをふんだんに使い ゆっくりに気づかれることなく食べさせるだけで成長を止める事ができるという商品も発売し 誰でも購入することが出来るようになっていた。 今回は、その成長抑制飴をペット目的以外での使用を試みることにする。 「ゆっくりしていってね!」 森の中、いかにもゆっくりが住んでそうな洞穴を見つけると、さっそく声をかけた。 「ゆっくりしていってね!」 「「「「「ゆっくちしていっちぇね!」」」」」 洞穴は枝や葉っぱで入り口を偽装してあったが、本能的に「ゆっくりしていってね!」に反応してしまうため まったくの無駄。 さっそく、入り口を塞いでいる枝を取り除くと中には成体れいむ1匹と 赤れいむが3匹、赤まりさが2匹いた。 つがいの成体まりさは餌でも探しに出ているのだろう。 「ゆっ、ここはれいむたちのおうちだよ!かってにはいってこないでね!」 れいむは、入り口に立ち塞がりプクーっと顔を膨らませてこちらを威嚇している。 その脇からピョコっと赤れいむと赤まりさがこちらを覗いていた。 「おにいさんはゆっくりできる人だよ、その証拠にあま~い飴玉を君たちにあげるよ!」 包み紙をとってあげて、コロコロとしたビー玉の様な成長抑制飴を差し出す。 「ゆゆっ!あめさんゆっくちたべちゃいよ!」 「まりしゃにもちょーだいね!」 「おにいさんはとってもゆっくちしてるよ!」 「あまあま~♪」 「おにーさん、ゆっくりしてるね!おちびちゃんたちがかわいいからおかしをくれるんだね! とくべつに、かわいいかわいいれいむのあかちゃんをみていってもいいよ!ゆっへん!」 赤ゆ1匹につき1個食べさせる。 飴だから「ぺーろぺーろ」と舐めるのかと思いきや、飲み込むようにがっついて野生種の下品さを思い知らされた。 「「「「「ちあわちぇ~♪」」」」」 これで、この可愛い赤ちゃんとやらは永遠に可愛い赤ちゃんのままです(笑) 親ゆっくりは一生餌をとってくる仕事を頑張ってね! ん?よく見ると、1匹の赤まりさだけ奥のほうへ引っ込んだまま飴を舐めに来ない。 お~い、赤まりさ!飴をやるからこっちこいよ!と呼んでみた。 「ゆっ、そのおちびちゃんはいいんだよ!かわいくないあかちゃんなんだから!」 飴をその赤まりさの方へ転がしてやると、自分に飴を与えようとしているのだと気づいて 明るいところまで出てきた。 「まりしゃにもあめしゃんくれりゅの?」 その赤まりさは帽子の先が欠けていて、まるで折れたトンガリコーンの様になっていた。 ゆっくりにとって飾りは命よりも大切なものだ。 きっと、これが原因で親からも姉妹からも苛められているのだろう。 「おまえはいいんだよ!あめなんてもったいないでしょ! おまえがせけんさまにみられるとめいわくだから、そこからでてこないでね!」 親れいむが赤まりさを突き飛ばす。 「ゆぅ・・・」 「ゆっくちできにゃいおねーしゃんにあまあまはもっちゃいないよ!」 「これはれーみゅがもらうね!」 そして、赤まりさの分の成長抑制飴は姉妹に横取りされてしまった。 これじゃ、あの赤まりさだけ普通に成長してしまうなぁ 無理やり食べさせるのも面倒だし、まあいいかと巣を後にする。 来月あたり様子を見に来よう。 しばらく、ゆっくり探索に森を徘徊していると、ひどい雑音のれいむの子育て歌が聞こえてきた。 「ゆっゆっゆっ~♪れいむのあかちゃんゆっくりしたいいこにそだってねー♪」 「ゆっくりしていってね!」 れいむの頭には1本の茎が生えており、その茎には4個の実がついていた。 れいむ種2匹、ありす種2匹と飾りまでハッキリ見分けられるほど成長しているので もうそろそろ生まれてくるころだろう。 「ゆぅ」「ゆゆぅ」「くぴー」「みゅー」 などと寝息を立てている。 「ゆっ?おにいさんはにんげんさん?」 「やあ、お兄さんはゆっくりできる人間だよ。 今日は子育てを頑張ってるれいむのごほうびにあま~い飴をあげにきたのさ。」 実ゆっくりは茎から親の栄養を吸って成長するため口から餌を食べることはできない。 それなら親ゆっくりに成長抑制飴を飲ませれば、この実ゆっくりはどうなるのだろうか? 前例がないだけに分量がわからず多めに10個ほど与えた。 「あまあま~♪こんなにおいしいんだから、きっとれいむのあかちゃんたちもすごくゆっくりできるよ!」 これで、成長抑制の成分が実ゆっくりに伝わるのかと実ゆっくりを観察してみると 「あみゃあみゃ~♪」「ゆっくち・・・ゆぅゆぅ♪」「ゆぅ~ん♪」「ゆっくち~♪」 目は開かないが笑顔で喜んでいるように見える。 これで永遠に実ゆっくりのままなのかね? 一生、実のままゆっくりしていってね! つがいのありすが帰ってくる前に退散した。 また、しばらくゆっくり探索をしていると、今度は大きめの洞窟を発見した。 ゆっくりどもが生息しているところを見ると猛獣などの野生動物がこの森に住んでいることはない。 代わりに、こういう雨風しのげそうな場所にはたいがいゆっくりがいるのだ。 洞窟内部は人間でも余裕があるくらい広々としている。 その中心に50センチサイズはある、大きなゆっくりまりさとれいむがいた。 「ゆっ、おにいさんどうしたの?ここはまりさたちのおうちだよ」 「れいむたちはもうすぐあかちゃんうまれるんだからじゃましちゃだめだよっ!」 まりさの下あご部分が大きく膨らんでいるので胎生妊娠していることがすぐにわかった。 このつがいは、れいむが父役として餌を集め、まりさが妊娠し子供を産むという珍しい組み合わせだ。 まりさの下には葉っぱが幾重にも敷き詰められていて座布団のようにして座して 巣の奥にはリンゴや柿、桃に葡萄といった果実が山のように蓄えられていた。 こいつらが集めたんだろうか? 「ふ~ん、あかちゃんうまれるんだ ところで一つ聞くけど、れいむたちは人間の畑からお野菜を取ったりするゆっくりかい?」 「ゆゆっ、れいむたちはそんなことはしないよ!それはわるいことだよ! ごはんは、じぶんたちであつめるよ!」 野良には珍しく、善良なゆっくりのようだ。 これは、ごほうびをあげないといけないな。 「そうかそうか、それでは飴さんをあげよう! まりさは妊娠してるみたいだし、特にたくさん食べさせてあげなさい。 きっとお腹の中の子ゆっくりも喜ぶさ!」 赤ゆっくりの成長を止めれば、そのまま一生赤ゆっくり 実ゆっくりの成長を止めれば、茎から一生落ちてこない それじゃあ胎生妊娠で産まれる子ゆっくりは、いったいどうなるんだろう? そんな素朴な疑問の答えを求めるべく成長抑制飴を与えた。 「まりさよかったね!ゆっくりできるにんげんさんがあめさんをたくさんくれたよ!」 「あまくておいしいね!でもぜんぶたべたらもったいないから、あかちゃんのぶんもとっておこうね!」 なるほど、産まれてきた赤ちゃんのために飴をとっておこうというのか 自分の事よりも子供を大切にする・・・お兄さん感動した! これだけ良ゆっくりだと、ますます行く末が楽しみですな。 「子供の分もちゃんと用意してあるんだよ。 袋の中の飴さんを全部あげるから、それは君たちで食べなさい!」 袋をひっくり返してバサバサっとありったけの飴を吐き出す。 中途半端に与えると、今度は冬越え用にとっておくとか言い出しかねないので本当に全部くれてやった。 「おにーさんありがとう!このおんはいっしょうわすれないよ!」 「まりさのあかちゃんがうまれたら、おにいさんもみにきてね!きっととってもかわいいこがうまれるよ!」 洞窟を出るまで、れいむが見送ってくれた。 お礼にと、葡萄を1房差し出したが「いいよいいよ」と断る。 尚もれいむが勧めるので、何度も断るのは失礼かなと思って結局受け取った。 帰り道、葡萄を1粒1粒食べて皮を捨てていくと 後からどこかの赤ゆっくりがピョンピョンッとついてきていた。 「あみゃあみゃさんがおちてくるよ!」 無視して、そのまま食べ歩いていると いつの間にか後をつけてくる赤ゆっくりが増えている。 「れいみゅにもあみゃあみゃさんちょーだいね!」 「まりしゃもまりしゃも!」 葡萄を全部食べ終えると捨てる皮もなくなって後をつけてきていた赤ゆどもが騒がしい。 「れいみゅのぶんのあまあまさんがないよ!ぷんぷん!」 「まりしゃもまだもらってないよ!」 「あまあまをくれにゃいにんげんさんはとかいはじゃないわ!」 そんなに食べたければ家に持ち帰ってコンポストにでも使うか。 たらふく”なにかの皮”を毎日食わせてやろう。 ヒョイっと摘み上げて次々とポケットの中にしまう。 「ゆぅ~おそらをとんでるみちゃい♪」 「ゆっ、まっきゅらでなにもみえないよ!」 「ここはどこにゃの!こんにゃのとかいはじゃないわ!みゃみゃー!」 後編へ
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1022.html
*注意* ゆっくりが死ぬ描写が有ります。苦手な人は回れ右 「ゆゆ~・・・おはなさんがいっぱいだよ~」 「すごいね~きれいだぜ、れいむ!!」 「「ここをふたりのゆっくりぷれいすにしようね!!!」」 ある日山の中にある向日葵畑に二匹のゆっくりがやってきた 何も知らない二匹はここを自分達のゆっくりぷれいすに決めたようだ そう、大妖怪『風見幽香』の畑とは知らずに・・・ 「ゆゆ~♪これだけおはなさんがあればすごくゆっくりできるね♪」 「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせ~♪」 『あら・・・貴方達は何をしているのかしら?』 「ゆゆっ!!おねーさんもゆっくりしていってね!!!」 「ここはれーむとまりさのゆっくりぷれいすだぜ!!!」 『ふぅ・・・いつ見ても醜い物ね。貴方達、ここは私の畑なのだけれど?』 「ゆゆ?そんなことないよ!!おはなさんがかってにさいてたんだよ!!!」 「そもそも、はたけってなんなんだぜ?たべれるものなのかだぜ?」 『ふぅ・・・醜い挙句に無知なのね。貴方達子供はいるの?』 「ゆっ!?・・いたけど、しんじゃった・・・」 「たべものがなくて、ふゆをこせなかったんだぜ・・・」 『ここの花は私の子供達なのよ?それを食べるなんて万死に値するわ、覚悟はあるの?』 「ゆゆっ!!!あやまるからゆるしてね!!!ころさないでね!!!」 「こどもたちのぶんまでゆっくりしなきゃならないんだぜ!!!ゆるしてほしいぜ!!!」 『好き勝手した挙句命乞いとは呆れる・・・興が冷めたわ、どこにでも行きなさい』 「おねーさんまって!!!れーむたちはちゃんとあやまってないよ!!!」 「おねーさんのためになにかしたいぜ!!!させてほしいんだぜ!!!」 『あら、ゆっくりにしては殊勝な考えね。辛くても逃げない覚悟はあるかしら?』 「ゆゆっ!!もちろんだよ!!!がんばるよ!!!」 「だいじょうぶだぜ!!!にげたりしないぜ!!!」 『もうここから外には帰れなくてもいいのかしら?』 「ゆゆっ!?・・・・ゆっくりかくごしたよ!!!みれんはないよ!!!」 「からだひとつにゆっくりだましい!!!ここでしんでもないたりしないぜ!!!」 『ふふっ、気に入ったわ。一緒に来なさい、貴方達の新しいお家に案内するわ』 ゆっくり出来る事はたかが知れているので植物を育てさせる事にした 最初は向日葵にしようとしたが、「たべられるおやさいさんのほうがいい!!」とのことで野菜にした しかし、ゆっくりに育てさせる野菜を何にするかが難しかった 大根や人参は成長具合が分からず、やる気をなくすと面白くないのでプチトマトにしてみた そして幽香とゆっくり達の共同生活には、ある条件が用意された 『逃げる・飽きる・枯れさせる。以上のことをした場合、即肥やしにする』 「「ゆっくりおはよう!!!」」 『あら、おはよう』 「おねーさん!!さっそくおやさいさんをそだてるよ!!!」 「でもわからないからおしえてほしいんだぜ!!!」 『まずはこの『種』をよく日のあたるところに植えなさい。後は適度な水とたっぷりの『愛』を与えなさい』 「ゆゆっ?むずかしくてよくわからないよ?」 「もっとわかりやすくおしえてほしいんだぜ?」 『ふぅ・・・これをゆっくり出来る場所に埋めたら、偶にお水をあげていっぱい歌でも聞かせてあげなさい』 「「ゆっくりりかいしたよ!!!」」 『無知というのはそれだけで罪ね・・・手間がかかりそうだわ』 「ゆっ!!ゆっせ!!ゆっしょ!!!ゆふ~、これくらいでいいかな?」 「んじゃ、ゆっくりうえるぜ!!!・・・・みてないでれーむもてつだうんだぜ!!!」 「「ゆっくりうえたよ!!!」」 『そしたら水をかけてあげなさい。喉が渇いてたらゆっくり出来ないでしょう?』 「「ゆっくりみずまきするよ!!!」」 「ぴゅー♪ぴゅー♪ゆっくりおおきくなってね!!!」 「ちょーろ♪ちょーろ♪りっぱにそだつんだぜ!!!」 ゆっくりが朝おきて水をまき、歌を歌って聞かせ、自分の排泄餡を肥料として与え そして、ゆっくりが気づかないところで幽香の能力で成長を進める 「進める」といっても幽香が手出しするわけではなく花の成長スピードをちょこっといじくる程度である そんな生活も半月も過ぎプチトマトも立派に生長して小さな実をつけた 二人は天にも昇るような思いだった、自分たちの努力が目に見える形で実ったのである そんな矢先に事件が起こってしまった 「ゆーかおねーさーん!!!やっぱりまりさがいないよ!!!」 『そう・・・館の中にもいないのよねぇ』 「ゆゆぅ~・・・どこいったのかなぁ・・・」 『れーむ、最後にまりさと会ったのはいつ?』 「ん~、あさおきて、おそとをみて、ごはんをたべて・・・そこまでしかおぼえてないよ!!!」 『手がかりが少なすぎるわね・・・今日はおやさいさんは見に行った?』 「いってないよ?おそとはあめだからゆっくりできないし・・・もしかして!?」 『多分、そうでしょうね・・・・まったく無茶するわね・・・』 「おそとはあめだよ!!!さがしにいけないよ!!!」 『私が行ってくるわ。お留守番できるかしら?』 「・・・れーむもいくよ!!!まりさとおやさいさんがしんぱいだもん!!!」 二人の予想通りまりさはプチトマトのところでみつかった 自慢の帽子をプチトマトの茎を蔽うように被せ、自分は泥にまみれてそれに寄り添っていた どう贔屓目に見ても助かりそうに無い状態だった 「ばでぃざぁぁぁぁ!!!しっがりじでぇぇぇ!!!ゆっぐいじようよぉぉぉ!!!」 『貴方、雨なのになんでこんなところにいたの?』 「あかちゃんが・・・れーむとまりさのあかちゃんが・・・ゆっくり・・できない」 『どういうことなの?』 「あめ・・・ぬれちゃ・・・しんじゃ・・」 「ばでぃざぁぁぁ!!!なんでごんなごとじだのぉぉぉ!!!」 「もう・・・あかちゃ・・・くるしむとこ・・・みたくない・・から」 『貴方は馬鹿ね、本当に馬鹿よ・・・・なんで私に相談しなかったのよぉぉぉ!!!』 「じぶんたちで・・・やるって・・・やくそく・・した」 「じなないでぇぇぇ!!!ばでぃざぁぁぁ!!!ひどりにじないでぇぇぇ!!!」 『貴方はもう助からないのよ?何でこんな無茶するのよ?本当に・・・愚かよぉ・・・』 「ふたりとも・・なかないで・・・まりさはさきに・・こどもたちとゆっくり・・してるよ」 「ばでぃざぁぁぁ!!!れーむもづれでってぇぇぇ!!!」 「おねーさん・・ごめんなさい・・やくそく・・まもれないよ」 『もういいから、喋るのをやめなさい!!肥やしにするわよ!!!』 「おねーさ・・・じょうだん・・・きついよ・・・これを・・まりさだとおもって・・・そだてて・・・」 『これは・・・お饅頭?』 「まりさの・・・いちばんだいじな・・・あんこだよ・・」 「いがないでぇぇぇ!!!かえっできでぇぇぇぇ!!!」 「ゆっくり・・・した・・けっか・・・」 「までぃざぁぁぁぁ!!!めをあげでぇぇぇ!!!」 『・・・・・・馬鹿』 二人は泣いた、声が枯れればいいと、涙なんか枯れてしまえと 涙も声も全て雨がかき消してくれた、二人の慟哭はまりさと共に天へと昇っていった その後、幽香が受け取ったあのお饅頭はあかちゃんゆっくりという事が分かった まりさのためにも悲しんではいられないとれーむは働いた 幽香もまた普段どおりに戻っていった それから三回目の夏が来た ゆっくりの畑は拡張され、トマト・大根・スイカの三種類の畑となった 最近では近隣のゆっくり達にも食糧支援や越冬時の支援など大忙しである 「ゆっくりおみずをまくよ!!!じゅんびはいい?」 「ゆっくちまくよ!!!・・・ぴゅー!」 『ちょっと・・それは私の足よ・・・』 「「ゆっくりまちがえたよ!!!」」 「おおきなおぼうしのはたけ」と呼ばれる畑はその名の通りまりさ種の大きい帽子が目印 風に揺られて今日も畑を見守っている ~おわり~ イイハナシダナー!プチトマトって植物型の胎児によく似ているからまりさは子供たちのことを思い出したんだろうか。 -- 名無しさん (2008-10-14 00 25 17) 良かった。読み終えた後気持ちいい。こっそり手伝ってあげてる幽香さんにときめいた。 -- 名無しさん (2008-10-14 01 06 20) まりさのカタチをした案山子さんがいるにちがいないー!「ここはみんなのゆっくりプレイスだよ!!!まりさはゆっくりプレイスをまもるよ!!!」雨の日も風の日も畑を護れるまりささんは、とっても素敵に無敵にゆっくりなのでした。…なんてネ♪ -- ゆっけのひと (2009-04-11 05 16 59) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1016.html
『ゆゆ~♪おとーさんとおかーさんのほっぺたあったかいよ~♪』 「みんなでくっついてればさむくないね!!!」 「ゆっくりはるをまとうね!!!」 冬、十分な備蓄と準備の下ゆっくり達の冬越えが始まる 家族みんなで身を寄せ合い、溜め込んだ餌を食べ、春に思いを馳せながらゆっくりすごす 冬越え、といっても冬眠ではなく単に巣の中でゆっくり春を待つ 『みんなでゆっくりするのもひさしぶりだね!!!れーむ、しあわせ~♪』 「はるがきてもげんきにがんばろうね!!!」 「れーむははるがきたらどうするの?じぶんのゆっくりぷれいすさがしにいく?」 『ゆゆっ!?じぶんだけのゆっくりぷれいす?』 「おとーさんとおかーさんはここがゆっくりぷれいすだけど、れーむにもじぶんだけのゆっくりぷれいすがあるはずだよ!!!」 『ゆ~、みんなとゆっくりしたいけど・・・じぶんだけのゆっくりぷれいすがほしいよ!!』 「じゃあきまりだね!!ゆっくりぷれいすをみつける”コツ”をおしえるよ!!」 『ゆっくりおぼえるよ!!!』 「ゆっくりれみりゃはだっこしてあそんでくれるけど、ちからがつよいからきをつけてね!!!」 「うーぱっくはいろんなところにつれていってくれるから、すごくゆっくりできるよ!!!」 「ありすははずかしがりやさんですぐほっぺをすりすりしてくるけど、いやがらないであげてね!!!」 そのほかにも、餌場の事、巣を構える場所の条件など親ゆっくりはゆっくり丁寧に教えていった 『ゆ~・・・ゆっくりぷれいすをみつけるのはたいへんそうだね・・・』 「「ゆっくりがんばってね!!!」」 「まりさ!!まどのそとをみてね!!ゆきがやんでるみたいだよ!!!」 「ほんと!?そろそろはるもちかいね!!!ゆきがとけたらいりぐちをあけようね!!!」 『ゆきさん!!はやくとけてね!!!』 春、この家族から一匹のゆっくりが旅立った、自分だけのゆっくりぷれいすを求めて きっとこのゆっくりも家族を作り、子を育て、冬を超え、自分の子を送り出していくのだろう 『おかーさん!!!おとーさん!!!いままでありがとう!!!』 「「ゆっくりがんばってね!!!おとーさんとおかーさんとのやくそくだよ!!!」」 『ゆっくりいってきます!!!』 ~おわり~ 餌ってアンタ・・・・ -- 名無しさん (2012-05-11 00 26 38) ↑な、何かの間違いだよきっと、じ、自分たちの食料を餌だなんて・・・ -- 名無しさん (2012-12-24 17 47 00) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/1042.html
F県でゆっくりの化石が発見されたのは去年のことだ 饅頭のゆっくりに化石も何もあるものかって感じだが、 1億年前の地層から発掘されちゃったんだから仕方が無い ゆっくりの生物的進化を探る上で重要な証拠とされた ゆっくり研究の権威の葉加瀬博士と助手のジョシュ君は日夜を問わず研究を重ねていた 「ゆっくりはコムギコとアンコでショー?よく化石なんかできましたね」 「河童だってミイラとかあるではないか。ゆっくりの化石があったっておかしくはない」 「あれは木でできたフェイクデス」 「え!?し、しってたけどね!」 「そうですよネー」 「HAHAHA!」 その晩ジョシュ君が見かけた博士は、一生懸命クーリングオフの方法を調べていた。 「しかし昔のゆっくりはシダでも食ってたんですかね」 1億年前と言えば白亜紀だ。 「白亜紀と言えば恐竜の全盛期だな」 「まさかT・レックスとタイマンで格闘してたりシテ」 「HAHAHA!」 二人の脳裏にティラノサウルスをむしゃむしゃ食ってしあわせーと叫ぶゆっくりが思い浮かんだ 「・・・作業を続けるか」 「・・・そうデスね」 「アッー!」 「何だね騒々しい」 「アレを見てくだサーイ」 研究所の前を歩いていたゆっくり霊夢をジョシュ君は指指した 咥えているのは出土した化石のようだ 「むっ、いつの間に化石を持ち出されたのかね?」 「いってみまショー、ハカセハカセ!」 「いってみよう、ジョシュジョシュ!」 「ハローゆっくりサーン! ユックリシテイッテネ!」 「ゆ!ガイジンサンはろはろしていってね!」 「あーチミ、霊夢君といったかね。そいつを研究所から勝手に持ち出してはいかんぞ」 「これはれいむのぬけがらだよ!」 「ハカセ、これはちがったようデス」 ゆっくり霊夢が持っていた物は二人が研究していた物より小奇麗だった 「なに、そうなのか。これは一本とられたわい」 「脱皮するゆっくりなのデスネー」 「HAHAHA!」 「しっかりしてね!」 「こりゃ悪かったぞい。ところでチミは、そいつをこれからどうするのかな?」 「これからすてにいく!かことのけつべつだよ!はずかしいかこはあなほってうめるよ!」 そういってゆっくり霊夢は体を捩じり高速回転した 「ゆっくりギガドリルブレイク!」 「ハカセ、ゆっくりの化石がどうして出来たかわかる気がシマース」 「・・・化石の前に、ゆっくりの生態について研究せねばいかんのう」 できた穴ぼこは、地層を軽く何千万年分つらぬいていた。 「HAHAHA!」 帰りどうすんだよ・・・ -- 名無しさん (2009-04-10 02 38 17) ゆっくりとぶよ!!!「へぶんじょうたい!!!」 ふよふよふよ… -- ゆっけのひと (2009-04-11 05 25 55) 細かいことですが一億年前にT.レックスはいませんよ -- 名無しさん (2009-04-17 23 04 13) ゆっくりの生存年代とT.レックスの生存年代を重ねれば分かるのではないかと。 -- 名無しさん (2009-04-18 00 08 41) 放射性廃棄物クラスの処分じゃねぇかW たかだか小麦粉とあんこだけだろうに -- 名無しさん (2009-05-04 04 16 34) そんなもん気にすんなゆっくりには常識、科学の壁なんて無いんだから -- 名無しさん (2009-05-08 09 42 51) はろはろしていってね!!! -- 名無しさん (2011-12-15 23 25 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/302.html
「ゆっくりは食物である」 これが俺の持論だ。 動くから、小憎らしい面構えだから、言動にイラつくからといった理由から虐待して無駄に潰している人が大半だが、俺は彼らに間違っていると強く訴えたい。 魚に例えてみたら分かりやすいだろう。 魚の面が憎らしいからという理由で踏み潰したり、肥料にするか? しかも、それが美味い魚だったら、色々と調理して食べるのが正しいだろう。 以上の理由から俺はゆっくりを見つけたら必ず食べる事にしている。 ゆっくりは美味しい食べ物だ。 そして、美味いものは、美味しく食べなきゃ損だ。 夕方、家でゴロゴロしていると、何やら騒がしい声が聞こえてきた。 これはゆっくりだろうと見当をつけ、声の聞こえてくる方へと歩を進めると、早速ゆっくりを見つけた。 「ゆっゆっゆ~♪」 赤いリボンを揺らしつつ跳ねている後ろ姿を見て、よだれがこぼれそうになった。 このゆっくりは、一般にゆっくりれいむと言われている種類だ。 だが、俺は食材の種類に興味はないので、全てのゆっくり○○を一律にゆっくりと呼んでいる。 「ゆっくり~♪ ゆっくり~♪」 いくらこっそり追いかけていたとはいえ、真後ろまで来たのに気付かないというのはどうなんだろうか。 まぁ、そのおかげで簡単に食えるから、文句はないが……。 「ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていっでぇぶぎゃ!」 返事を最後まで聞かずに、持っていた木の棒で殴りつける。 食材と仲良く会話する趣味はない、そのまま背負っていたカゴに入れた。 そのまま焼いて食うか、ちょっと手を加えるか、それとも汁粉が良いか……。 どう調理するか楽しく考えながら家路についた。 次の日、畑を耕していると、勝手に作物を食い荒らしているゆっくりの親子を見つけた。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」」」 普通の農家ならこのままクワを叩き込むところだが、俺は違う。 加工場に渡せば損失はほぼゼロ、場合によってはプラスになるんだから、肥料にするには上等過ぎる。 「こんにちは、ゆっくりしていってね」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 一斉に振り向くゆっくりを、笑顔で眺める。 ひのふのみの……大きいのが2匹に、小さいのが3匹の、合わせて5匹か。 とりあえず、手近にいるのを何匹か捕まえた。 「ゆ? 遊んでくれるの?」 「まりさの次はゆっくりれいむとも遊ぼうね!」 「まりさもあそぶー!!!」 「れいむもー!!!」 やたら大声を出すので若干イラつくが、食材にイラついても仕方が無いので笑顔で話しかける。 「ここじゃゆっくりできないから、お兄さんの家で皆一緒にゆっくりしようね」 「「「うん! ゆっくり遊ぼうね!!!」」」 どんなゆっくりポイントかなぁ、楽しみだねーなどとのんきな会話を交わしつつ、ゆっくり一家が後をついてきた。 ……速攻でクワを振り下ろす人の気持ちが、ほんの少し分かった気がする。 その日の昼飯は、汁粉とちょっと平べったい饅頭2個。 食後のお茶を楽しみつつ、ゆっくりは美味しい食べ物だと改めて思った。 次の日もゆっくりの親子を見つけたので、家に連れてきた。 「おじゃまします!」 「「「お兄さんの家でゆっくりしていくね!!!」」」 「はいはい、ゆっくりしていってね」 やたら礼儀正しいゆっくりだ。 親ゆっくり2匹と、赤ちゃんゆっくり5匹という、ごく普通のゆっくり一家のはずなんだが。 不思議に思いつつも、ゆっくり一家を全て家に入れて鍵を閉めた。準備完了。 一匹一匹をどう調理するか……ここからが腕の見せ所ってところか。 何が楽しいのか、ぶつかり合ってはきゃっきゃと笑う赤ちゃんゆっくり5匹をまとめて持ち上げた。 「もっとゆっくり出来る様に、赤ちゃん達をお風呂に入れてあげるよ」 「お兄さんありがとう!!! ゆっくりおふろにいれてね!!!」 小さくても5匹なら、美味しいお汁粉が出来るだろう。 「ちゅめたーい!」 「からだありゃうのきもちいいよ!」 「「「ゆっきゅりからだをありゃってね!」」」 適当に返事をしつつ、丹念に洗う。 野生のゆっくりは加工場のものより美味しいが、ゆっくりの体には、構造上汚れがかなり付いている。 そのため、食べる前に洗わなければ腹を壊してしまう危険性があるのだ。 子供達は体を洗われるのが気持ち良いらしく、全く抵抗はない。 その様子を微笑ましそうに眺めている親を尻目に、洗った5匹を水を張った鍋に放り込んで火をかけた。 「あっちゃかーい!」 「おふりょきもちいいよ!」 「「「ゆっきゅりちゅからしぇてね!」」」 火をかけてから5分、10分と経つ内に、段々親の表情が変わってきた。 何かおかしいぞ、ひょっとして……いや、まさか…… そんな葛藤が起こったらしい。食材のくせに生意気な。 ――というか、なんでこいつらはここまで人を信じるんだろうか? 浮かんだ疑問を頭から消して、鍋をそのまま火にかけ続けた。 「おにーしゃん、あちゅいからもうゆっきゅりだしてね……」 「おふろもういいよ、あしょぼうよ……」 「ゆっきゅりのぼしぇちゃったよ、ゆっきゅりだしてね……」 「「お兄さん!!! そこだとゆっくりできないから今すぐ出してあげてね!!!」」 鍋に火をかけてから20分、5匹はぐったりとしてきた。 2匹は既にアンコが染み出しており、多分もう死んでいるだろう。うん、美味しいお汁粉になってくれそうだ。 親2匹はもう俺をクロだと断定したらしく、何やら叫びながら足にぶつかってきているが、痛くも何とも無い。 「お兄さん! 出して――」 「お母さん達がうるさいから、ちょっとそこでゆっくりしていてね」 「「ああああ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁぁぁ!!!」」 親ゆっくりが何か言いかけたが無視して鍋のフタを閉めた途端、2匹同時に物凄い形相になって突っかかってきた。 「あがぢゃんがぁぁぁぁ!!! 出してあげてぇぇぇぇ!!!」 「なにずるのおおおぉぉぉぉ!!!」 「何って、食べるんだよ」 「「やべでぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」 顔をよだれと涙でぐちゃぐちゃにして鍋に向かっていくが、ゆっくりの背では届かない。 「あ”がぢゃんがぁぁぁぁぁ!!! れ”い”む”のあ”がぢゃんがじんじゃうぅぅぅ!!!」 「い”や”ぁぁぁぁぁぁぁ!!! ごども”だべな”い”でぇぇぇぇぇぇ!!!」 食べないでと言われても、こいつらは食材だしな。 鍋の前から振り払おうとすると、こっちを向いて頭を下げる動作をしてきた。 「「れ”い”む”どま”り”ざはだべでも”い”い”でずがら”、お”ね”がい”でずがらごども”はだずげでぐだざい”ぃぃぃぃぃ!!!」」 聞き違いかと思った。 だが、もう一度「おねがいじまずぅぅぅ!!!」という必死な願いを聞いて、聞き間違いじゃないと分かった。 ゆっくりという生物は、自分の命を最も重視し、飢餓に陥ったら自分の子供さえ食ってしまう最悪の生物であるというのが、幻想郷に住む人の一般的な認識だ。 だが、目の前の2匹は自分は食べられても良いから、子供は助けて欲しいと必死に頼み込んでくる。 そんな2匹を見て、食材に対してではない感情が芽生えてしまった。 当然、助けるという方向の感情ではない。 確か、絶望だか恐怖だかを味合わせたゆっくりは、甘くなるって聞いた事あるな。 今回だけはちょっといじめてみるかな、甘くなるかどうかの確認をするために虐待してみるだけさ。 ニヤケ面を抑え切れないまま、俺はゆっくり2匹を持ち上げた。 「そう言われてもなー……ほら、もうこんな事になってるし」 フタを取って鍋の中身を見せると、美味そうなお汁粉が出来ていた。 「ごばんはい”ら”な”い”がら”あ”がぢゃんがえ”じでえぇぇ」 「お”ね”がい”じま”ず、あ”がぢゃんがえ”じでぐだざい”ぃぃ」 自分の子供が汁粉になったとは認識出来ないらしく、泣きながら更に頼み込んでくるゆっくりども。 「もう、お前らの子供はいないんだよ。お汁粉になっちまったのさ」 沈黙。 同時に、2匹は泣き喚きだした。 「「びゅどぅおおおおうぼぉ!!!」」 「ぐ……あぶね」 凄まじい勢いで手を振り払い、そのまま鍋に飛び込もうとする2匹を全力で押さえる。 こいつらはお汁粉にはしたくないし、まだ洗ってないから鍋に入れさせるわけにはいかない。 「あ”がぢゃんはどご!!! どごにい”っだのぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ”ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!! ま”り”ざのあ”がぢゃんどごぉぉぁぁぁぁぁ!!!」 無論、こっちの都合はおかまいなしに涙とよだれのアンコを撒き散らしつつ鍋に向かおうと必死にもがく2匹。 いい加減腕が痛くなってきたので、2匹を黙らせる事にした。 まずは洗浄。 2匹同時に流し台に置き、一匹ずつごしごしと洗う。 「がえ”じでえ”え”え”え”え”ぇぇぇぇぇぼぼぼぶげぇぇぇぇ!!!」 「ごぶぼぉぉぉぉぉ!!! あ”がぢゃんがぁぁぁぁ!!! あ”がぢゃんがあぁぁぁぁ!!!」 続いて、切断。 髪と思しき皮の部分から横に切り取る。 「ゆ”ぎゃあ”ぁあ”ぁあ”ぁ!!! あ”だま”が! れ”い”む”のあ”だま”がぁぁぁ!!!」 「れ”い”む”ぅぅぅぅ!!! や”べで!!! や”べでぇぇぇぇぇ!!!」 中身のアンコを取り出して……と。 もう一匹は別の料理にするため、縄で縛り付ける。 「ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”!!! ゆ”ゆ”! ゆー、ゆっゆっ……ぶぎゃ」 「ゆ”ぶっ! あ”、あ”んごどら”な”い”でぇぇぇ!!! れ”い”むがじんじゃう”よ”ぉぉお”お”おぉぉ」 汁粉をそのまま入れていく。 「reぃ……ぁka……ゃ……n」 「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁぁぁぁ……れ”い”むがじんじゃっだぁぁぁ」 そのまま氷室に持って行き……。 「れ”い”む”をがえ”ぜ!!! あ”がぢゃんをがえ”ぜ!!! じね”ぇぇぇ……」 適度に冷やすと、ゆっくりシャーベットの出来上がり、と。 もう1匹は、丸焼きにするかな。 「ゆ”っぐり”じね”、じね”ぇぇぇぇぇぇあ”あ”あ”あ”あ”あ”がぁぁぁぁぁ!!!」 もはや、ゆっくりとは思えない形相で叫んでいるゆっくりに串を刺し、そのまま焼く。 まりさ種にしては珍しく、最後まで命乞いをせずに俺を睨み続けていた。 さて、明日はどんなゆっくりが食べられるかな。 大小合わせて8個分の饅頭で一杯になった腹をさすりつつ、次の料理の事を考えて幸せな気分になった。 5スレ549の「IDがゆっくりの悲鳴っぽい」ってのがツボにはまったので使わせてもらいました。 ゆっくりしすぎた結果がこれだよ!!!
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/275.html
俺は森でゆっくり霊夢を拾ってきた 理由は抓りがしたいからである 俺は森の中でなるべく幼いゆっくり霊夢を探したら、あっさり見つかった クッキー1枚あげて「僕についてきたらもっとあげるよ」と言ったら飛び跳ねてホイホイ着いてきた 家に着くと、ゆっくり霊夢は俺より早く部屋にあがりこみ、中心で跳ねながら 「おじさん!はやくくっきーちょうだい!」と喚き始めた 俺は安物のクッキーを3枚ほどあげる 俺がゆっくり霊夢の口へ近づけようとしたら、先にゆっくり霊夢が飛びついてきて3枚とも持ってかれた 「むーしゃ!むーしゃ!しあわせー!!」 ああもう粕をボロボロ零すな まぁいい、馬鹿饅頭のことだからこれで俺の事は完全に信用しただろう 「おじさん!はやくもっともってきてね!」 とりあえず残りの2枚を渡す。 「むーしゃむーしゃ」 いまだ、今しかない クッキーを食べきる前にゆっくり霊夢の饅頭を弱く抓る 「む?むーしゃ、むーしゃ」 この程度では頬を触られてるくらいにしか思わないのだろう。 俺はどんどん抓る力を強くしていく。 頬にひっぱられて口の食べかけのクッキーが床に落ちる 「ゆっくりたべさせてね!いたいよ!いたいよ!」 流石に痛くなってきたのか、俺の指から抜け出そうと体をぐいぐい動かしている 当然、指が離れる訳がない、俺は更に抓る力を強くする 「い゛た゛い゛よ゛!や゛め゛て゛ね゛!ゆ゛っ゛く゛り゛や゛め゛て゛ね゛!」 ゆっくり霊夢は我慢できない痛さになったのか、涙を流し始める。 まだまだいくぞ、俺はもう少しで頬が千切れるんじゃないかというほど抓り、捻りを入れてみる 「い゛だ゛い゛い゛ゆ゛っ゛ぐりでぎな゛い゛よ゛お゛」 ついには涙がだくだく流れるようになった 俺はこれくらいじゃ終わる気はなかった。 開いていた左手をゆっくり霊夢の頬のもう片方にもってきて、 最初からMAXパワーで抓る 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛い゛だい゛よ゛お゛お゛お!」 幼い子供のゆっくりは抓りの痛さに耐えられなくなり、大声で泣き叫び始める 「ゆ゛っ!」という間抜けな声とともに頬が元に戻る。 抓られるのが終わったのがわかると、ゆっくり霊夢は途端に俺に体当たりしてきた 「あやまってね!ゆっくりあやまってね!」 体当たりがうざかったので俺は思いっきり頭から叩きつけてつぶしてやった 「ゆ゛ぐっ!」という間抜けな声とともにゆっくり霊夢は絶命した。 さ、明日もやるか。と、俺はギチギチに餡子と皮がつまったゴミ袋に残骸を詰めた