約 1,127,606 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2332.html
「お兄さん、れいむたちをおうちに入れてね!」 「おうちにいれてくれないとゆっくりできなくなるよ!」 玄関の戸をボフンボフンと叩く音がすると思ったら2匹のゆっくりがいた。 成体サイズのれいむとまりさだ。 いきなりやってきて、人様の家に入れろとは馬鹿馬鹿しい。 当然、戸を閉めて鍵をかけようとした。 「まってねお兄さん!れいむのかわいそ話を聞いてね!」 「聞いてくれないとゆっくりできなくなるよ!」 〔ゆっくりかわいそ話〕 れいむとまりさは、秋に群れを巣立ち新しい巣穴でゆっくりと冬を越えるつもりだった。 しかしある晩、夜風にあたっていたら寒くなったところ、れいむとまりさは「す~りす~り♪」とお互いを暖め そして気がついたられいむの頭には茎が1本生えていた。 冬越え直前に子供を産むことは一家心中を意味する。 だから、れいむとまりさは相談し実を一個だけ残して後は産まれる前に処分する事にした。 初めての赤ちゃんをどうしても全て処分する気にはなれず、それがギリギリの妥協だった。 それから減った分の餡子を補うために冬越え用のごはんを「むーしゃ♪むーしゃ♪」して それを見ていたまりさも赤れいむも羨ましくなって、お腹いっぱいになるまで食べた。 一度お腹いっぱい食べると、次もお腹いっぱい食べたくなってしまうのが人情・・・それから毎日おなか一杯になるまで食べて とうとう食べつくしてしまった。 自業自得じゃねーかアホか。 やっぱり戸を閉めようとした。 「ゆっくちちていっちぇね!」 まりさの帽子のすそからピョコッと赤ちゃんれいむが顔を覗かせる。 ああ、こいつが今の話に出た生き残った赤ゆっくりか。小汚いな。 相変わらず冷めた目で眺めていたら、れいむが鼻息をフンッと噴出し勝ち誇った顔をしてふんぞり返っていた。 それに気がついたまりさも一緒になってふんぞり返る。 「かわいいかわいいれいむの赤ちゃんだよ!お兄さんいきててよかったね、すごくゆっくりできるでしょ!」 「ゆっへん!」 「ゆっくちちていっちぇね!」 親ゆっくりにとって赤ゆは、とってもゆっくりできる存在だ 自分がゆっくりできるのだから、きっと他の誰が見てもゆっくりできるよね! そういう理屈が成り立つのが餡子脳である。 ピキピキッ! こめかみの辺りで確かにそんな感触がした。 よし、締め出すのはやめだ。そんなに俺の家に入りたければ入れてやろうじゃないの。 ヒョイッと赤れいむを摘み上げる。 「ゆっ!おしょらをとんでるみちゃい!」 「あー!なにするのぉお!れいむのあかちゃんをかえしてね!」 「あかちゃんをはなさないと実力行使するよ!まりさはお兄さんよりいっぱいつよいんだぜ!」 足に力いっぱい体当たりを仕掛けてくるまりさと涙目になってオロオロと慌てふためくれいむを無視して 玄関の奥へと赤れいむをぶら下げていく。 そして、黒電話の隣にある空っぽの水槽に赤れいむを落とした。 「みゅ!」 この水槽で以前、熱帯魚を飼っていたが、一緒にアメリカザリガニを入れたところ不要になってしまった。 水槽だってタダではないので捨てずに洗って置いておいたが、透明の箱の代用として十分再利用できる。 「れいむの赤ちゃんがいたがってるよ!ゆっくりやめてあげてね!」 「どうだ!まいったか!降参するならいまのうちだよ!」ぽよんぽよん! 水槽を地面に降ろして開いている天井部分を、れいむとまりさの正面に来るように横向きに倒す。 ころころと中で転がる赤ちゃんに2匹とも駆け寄ってきた。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!いたいとこない?ぺーろぺーろ!」 「ゆっ、ようやくかんねんしたね!赤ちゃんは返してもらうよ!ゆゆ~ん、とってもかわいいあかちゃんだよ!」 2匹とも仲良く水槽に入ったところでゴロンッと元の向きに戻す。 「「ゆっ!」」 捕獲完了。 成体ともなれば、ちょっとした鉄アレイ並に重量がある。 左右に1匹づつ持って歩くよりも自分から入ってくれて大助かりだ。 「おちびちゃん、ぺーろぺーろ!いたいのいたいのとんでいけー!」 「すーりすーり、まりさの赤ちゃんとりかえしたよ!とってもかわいいよ!」 「ゆんゆん、おかーしゃんくちゅぐっちゃいよ!」 すっかり俺の存在を忘れて体をすり合せたり舌で舐めあったりしてグルーミングをしている。 天井部分のフタを閉めたところで影ができ、ようやくこちらに気がついた。 「ゆっ、ジジイはまだいたの?ここはれいむたちのおうちだよ!ゆっくりできないジジイはでていってね!」 「ゆっふっふ、ジジイはバカだね!おうちをまんまととられた上に人質のおちびちゃんまで取り返されて、もう打つ手がないね!」 「ばかなじじいはでちぇいっちぇね!」 プクーっと風船の様に膨らんで威嚇するれいむ。 赤れいむもそれを真似してほほだけちょっぴり膨らんでいる。 まりさは、自分の力に俺が屈したのだと得意げになり眉をひそめながら侮蔑な視線を向けていた。 「おー、こわいこわい、それじゃあお前らはその自分の家でゆっくりしていってね!」 「プンプン、ここはれいむのおうちなんだからあたりまえでしょ!」 「きっと、あたまがかわいそうなんだぜ!」 そのまま水槽を放置し目と鼻の先の居間でソファーに腰をかける。 しばらくすると、「ゆっゆっゆっ~♪」と雑音が聞こえてきた。 きっとれいむが赤ゆに歌を聞かせているんだろう。 しばらくするとその雑音にまりさの声も混ざり、それから赤れいむの「ゆぅ♪ゆっ♪」と舌っ足らずのワンテンポ遅れた声と合わせて 合唱となった。 「ゆっゆっっくり~♪」「ゆっくりぃ~♪」「ゆぅ♪ゆぅ♪」 ー数時間後ー 「おかーしゃん、れいみゅゆっくちおにゃかすいたよ!」 「ゆっ、そうだねおかーさんもお腹すいたしそろそろごはんにしようね!まりさ、ごはんをもってきてね!」 「それじゃ虫さんでもとってくるね!ここはきったなそうだから虫さんくらいいそうだよ!」 お腹をすかせて表情が曇っている赤ゆにほっぺたをすり合わせて慰めるれいむ。 そんなゆっくりした家族を養うべく、まりさはさっそうと透明な内壁めがけて跳んだ。 「ゆべぇ!」 見えない壁に阻まれて弾き返されグラグラと水槽が揺れる。 「いちゃいぃいい!おそとにでれないよぉぉお!」 「なにいってるのまりさ!何もないのにでれなくなるわけないでしょ!」 れいむがまりさの出ようとした方向へ進むと 「ゆっ?」 確かに見えない壁のような物がある事がわかった。 今度はまりさとれいむで別々の方向へ出口がないか壁面に沿って探す。 地面に沿って自分の足で入ってきたのだから当然その入り口があるはずだ。 入り口は出口になる。これはゆっくりでも理解できる真理だ。 赤れいむは親達が何をしているのかわからず、「ゆぅ~?」っと小首を傾げている。 一方親達は水槽の内側を一周したのにもかかわらず、それらしき出口が見つからない。 だんだん焦りの色が濃くなり、そしてとうとう喚きだした。 「どぼじででぐちがなくなってるのぉぉおお!」 「かべさんいじわるしないでねぇえええ!」 「ゆ・・・ゆぅ・・・ゆわぁぁあああん!」 「やあ、ゆっくりしてるかい?」 そろそろ頃合かなと、ゆっくりどもの様子を見に来てみた。 片手には食べかけのシュークリームを持っている。 「ゆゆっ!じじい!ここはれいむのおうちだよ!まだいたの!?」 「じじいのせいでお外にでれなくなったでしょぉぉお!なんとかしてよねぇええ!」 「ゆわぁぁあああん!ゆわぁぁぁああん!」 「まあ、そういわれてもだな・・・もぐもぐ、そこはお前らの家なわけだし・・・もぐもぐ 自分たちで何とかしないといけないんじゃないかね・・・もぐもぐ」 ゆっくりどもが腹を減らしてるだろうことを見越して、わざと見えるようにシュークリームを口へ運ぶ。 もぐもぐと声に出して言うことでアピール全開だ。 「じじい!なにたべてるのぉ!れいむたちはお腹をすかせてるんだよ!」 「それをこっちによこしてねぇええ!いまなら半殺しでゆるしてあげるよぉお!」 「ゆっぐ・・・ゆっぐ・・・おにゃかすいちゃよぉ」 「ああ、これ?食べたいの?どうしよっかなー♪ 一口くらいあげよぉっかなぁ?」 一かけら程しか残っていないシュークリームを水槽の上部のフタを開けて ゆっくりがジャンプすれば届くか届かないかくらいの距離を保って見せ付ける。 カスタードクリームの香りがれいむとまりさの鼻をつき、それがとっても甘くてゆっくりできるものである事がわかった。 「ゆっくりよこせぇええええ!」 「まりさのだよ!ここはまりさのおうちなんだから、ここにあるのはまりさのだよ!」 「ゆっ!ゆっ!」 毎日お腹一杯たべていたゆっくりにとって、空腹は我を忘れさせるのに十分だった。 れいむもまりさも水槽の中でギリギリで届かないシュークリームに向かってぴょんぴょんと懸命に飛び跳ね 赤れいむもピコピコと真上にある甘そうなお菓子に夢中でお口をあけて目をキラキラと輝かせている。 「ほーら、まりさのお口にシュークリームはいっちゃうぞぉ、コイツ全部ひとりでくっちまうつもりだぞぉ!」 スィーっと指につまんだシュークリームの欠片がまりさの口元をかすめる。 まりさが口に収めようと懸命に飛びかかってきたところで、ヒョイッとかわす。 れいむはまりさが自分の分まで食べようとしていると焦り気が気ではない。 目をギョロっとみひらいて涎を飛ばしている。 「おっと、こんどはれいむの方へいくぞぉ」 まりさの口をかすめた時よりも若干低空にして指の動きを止める。 「れいむのだよ!なかのクリームから薄皮の一枚までぜんぶれいむのだよ!」 ピョ~ンっと飛び上がった姿はまるで、釣り上げた魚の様にピチピチとしている。 彼女の言葉通り、クリームも皮も一口ですべてれいむの口の中に消えた。 「どぼじでまりざのシューシューぜんぶたべちゃうのぉおおお!」 「ゆぅえぇ~ん!れいみゅのごはんたべりゃれちゃったよぉ!おかーしゃんがぜんぶたべちゃったぁ!」 「ゆっ!れいむじゃないよ!れいむはたべてないよ!虫さんだよ!この家は虫さんがおおいっていってたよ!」 2匹の様子に我を取り戻したれいむだが、必死に出た言い訳がこれだった。 一同しばらく沈黙し、それからまりさはれいむから距離を置いて 赤れいむもまりさの傍らでゆっくりとした。 時折、親れいむに憎しみの視線を送ってはブツブツとなにか呟いている。 食べ物の恨みは恐ろしいというが、ゆっくりの世界では人間のそれよりも重罪なのだ。 れいむがまりさと赤れいむの方へ寄っていくと そそくさと、まりさも赤れいむもその反対側へ逃げていく。 こんな事を数分の間くりかえした。 「ゆぅ・・・」 れいむは気まずくなって、俺のほうへ話しかけてきた。 「おにーさん、れいむたちをここからだしてください。れいむたちがなにか悪いことをしたのなら謝ります」 「ん?なんだ急に」 家に入った時とはうってかわって、姿勢を低くしている。 ひょっとしてゆっくりの土下座だろうか。 「ここにいると、かぞくみんなでゆっくりできません いっしょうのお願いなので、どうかゆるしてください。」 「一生のお願い?」 「いっしょうのお願いです。れいむたちをお外に出してください。」 子供のころによく”一生のお願い”とかいって親を困らせたものだが そういう概念がゆっくりにもあったらしい。 最初の悪態はどこふく風、すっかりしおらしくなったれいむに、どうしたものかとしばし考えた。 「うん、じゃあまりさ、お前の一生のお願いを言ってみな 一つだけ願いを叶えてあげよう。」 れいむは、なんでまりさなんだろうとわからなかったが 結局は同じだろうと思った。 れいむとまりさの仲が気まづくなったのは、このゆっくりできない空間のせいで ついこの間まで仲良く巣で暮らしていたのだ。 まりさだって、まず第一にここから出たいに決まっている。 お外に出れたら、この人間の食べ物を全部奪って巣にもってかえってやろう。 そうすれば、また家族みんなでゆっくりできる。 「まりさはおかしがほしいよ!シューシューが食べたいよ!」 「ゆ”ゆ”!?」 れいむにとって意外な答えだったが、俺としては予想どおりだ。 「ちがうでしょぉおお!おそとにでないとだめでしょぉおお!」 そんな叫びを無視して、俺のほうへ向き直りシュークリームを食べさせてもらえる期待のお目めを輝かせていた。 「よしきた、いま作ってやるから待ってろよ!」 あらかじめ用意していたゴム手袋を両手にはめると 腰に釣っているポーチから”ゆっくりアリスの精子餡”と書かれているチューブを取り出す。 まず手のひらにニュッと白い餡を搾り出して 今度はそれを両の手の平で全体に伸ばすように馴染ませる。 次に、よく白餡を馴染ませた手のひらでまりさののほほを優しくなでてあげる。 「ゆっ♪あったかくてきもちいいよ♪」 それから、弧を描くようにしてさすり徐々に振動を加えながら 力任せにゴシゴシとこする。 「おにーさん、ちょっと痛いよ!」 「これもシュークリームを作るためだ!我慢しろ!」 お兄さんの腕が腱鞘炎になりかけた頃 しだいにチューブの白餡よりも、まりさの粘着質な体液が放出されてきた。 「ゆほぉぉお、なんだかとってもゆっくりしてきたよ!」 目がトロンとして、口元から涎を流しながらヒクヒクとしている。 こうなれば、あと少しだ。 「すっきりぃいいい!」 まりさの帽子の隙間から茎がニョキニョキと生えて、すぐに小さな実をつける。 この白餡には成長促進剤も含まれているため植物型の出産なら通常の何百倍も早く赤ちゃんが産まれる。 実はすでに5個のアリス種と3個のまりさ種という具合に識別できるほどになっていた。 素早く、アリス種が覚醒する前にもいでやってまりさの目の前に転がしてやった。 「ほ~ら、ミニシューシューでちゅよぉ」 アリス種の中身はカスタードクリームなので、皮が薄い赤ゆのうちは シュークリームの食感によく似ているのだ。 「ゆっ、おいしそうなシュークリームだよ!おちびちゃんもいっしょに食べようね!」 「ゆっくち!むっちゃむっちゃ、ちあわちぇ~♪」 まりさがアリスの実4個と赤れいむがアリスの実1個の取り分となり仲良く食事にした。 人間の味覚からしても赤ゆの味は高級洋菓子に匹敵する。 きっと俺が食べていたコンビニで100円のシュークリームよりも美味しいだろう。 製造工程を見てしまうと食べる気がしないが・・・。 一部始終をみていたれいむはガタガタと震えていた。 まだ、まりさの頭上には3個のまりさ種の実がついているが、こっちはそのままにしておいた。 そのうち産まれ落ちるんだろうな。 「お、おにいさん・・・おねがいです、れいむをそとにだしてください・・・いっしょうのおねがいです」 青ざめて震えているれいむ。 「そうだな、まりさの一生のお願いを聞いてあげて、れいむの一生のお願いを聞いてあげないわけにはいかないよね。 よし、お外にだしてあげよう!」 よっこらせ!っと 水槽を抱えて持ち上げると、よろよろと持ち歩き ベランダの窓を足で開けた。 「そら、お外だぞ!ゆっくり冬越えしていってね!」 ピューっとベランダに冷たい風が吹く。 「ゆゆっ!ちがうでしょぉおお!このままお外にだされてもだめでしょ!」 「あ、え?水槽から出してって意味ね? な~んだ、ハッキリ言ってくれないとわからないってば! じゃあ来世ではちゃんと、そう言ってよね。一生のお願いはもう使い切ったわけだし♪」 ゆがーん! おまけ 〔ゆっくりれいむとまりさ一家の冬越え編〕 ベランダに出されてから最初の夜を迎えようとしていた。 水槽のおかげで始めこそ寒さが遮られ保温されていたが、いまではすっかり外気と同じ温度になっている。 食事は、お兄さんが夕食を作るためにでたジャガイモの皮とキャベツの芯。 「おかーしゃんしゃむいよぉおお!」 「おちびちゃんゆっくりがまんしてね、すーりすーりしてれば暖かいからね!」 まりさと赤れいむは、ほおずりをして少しでも寒さから逃れようとした。 「れいむもおちびちゃんとすーりすーりさせてね」と近づいてきたが れいむはあっちに行ってね!れいむのせいで寒い思いをしているんだよ!と追い返されてしまった。 赤れいむも 「ゆっくちできにゃばかなおかーしゃんはゆっくちちんでね!いいきみだよ!」と言い放つ始末である。 まりさの頭上で赤まりさの実がゆらゆらと揺れて、産まれ落ちようとしていた。 赤れいむは、さっきのシュークリームがまりさの頭上の実である事を見ていたので また、あまあまが食べられるよ!とお目めをキラキラさせながら、いまかいまかと待ち望んでいた。 そして、とうとう1匹目の赤まりさ落ちる。 本来なら、地面にやわらかい葉っぱを敷き詰めて備えるが、ここは底面もガラス張りだ。 「ゆっ、ゆっくち~♪」 べちゃ 「・・・ゆ・・・もっとゆっくち・・・ちたかっちゃ・・・」 人工的に生産された赤ゆは早産のため普通の赤ゆよりも皮が柔らかい それに加えて硬い地面に叩きつけられた赤ゆは、あっさりと餡子をぶちまけて短い生涯に幕を閉じた。 「ゆっ!まりさの赤ちゃん・・・」 餡子の上にはまりさ種特有のお帽子が乗っている。 続けて、2匹目3匹目が同時にそこへ落下してきた。 幸いにも、1匹目の屍骸とお帽子がクッションとなり潰れることなく産まれた。 「ゆっくちちていっちぇね!」 「ゆっくぃゆっくぃ!」 2匹とも、ゆっくりとしたお帽子を被っているまりさの子供だ。 「ゆ~ん、まりさのあかちゃん・・・まりさと一緒でとってもゆっくりしてるよ!」 れいむとの間に作った最初の赤ちゃんはれいむ種1匹だけ残して後はすべて間引いてしまった。 だからこれが初めての同種の赤ちゃんとのご対面だ。 れいむの赤ちゃんの時よりもはるかにゆっくりできた。 そこへ、もぞもぞとシュークリームが産まれてくるのを待っていた赤れいむが 2匹の赤まりさの足元の餡子を舐め取っている。 「あ~ま♪あ~ま♪ちあわちぇー!」 餡子の上にはまりさ種の帽子が乗っているため、それがまりさの赤ちゃんの餡子であることはまりさにもすぐに理解できた。 元はといえばれいむのせいで、今こんな目に合っている。 自分の赤ちゃんを食べて空腹を満たそうとしている赤れいむ。 急に憎たらしく見えてきてムカムカと腹が立ってきた。 「れいむの赤ちゃんはゆっくりしないであっちへいってね!」 「ゆぴゃ!」 まりさに体当たりをされて、親れいむの方へところころと転がっていく。 「ゆっ?ゆゆ?」 さっきまで優しかった親まりさがなんで自分にそんな事をするのか赤れいむにはわからなかった。 キッとこちらを睨み付けてきて、駆け寄っていったらまた突き飛ばされそう。 だから、おずおずと側にいる親れいむの方を見た。 親れいむは視線を合わせない。 自分に向かって死ねとか言ってくる子はもう可愛くはなかった。 赤れいむは、この狭い水槽の中で一人ぼっちになった。 両親から嫌われている赤れいむは、赤まりさ達がもう少し大きくなれば虐めの対象になることであろう。 翌日、親まりさは固い野菜の芯を赤まりさのために柔らかく噛み砕いてあげて食べさせた。 甘いものを食べたことがない赤まりさは、美味しくない餌でも口移しで食べさせてもらえるごはんを喜んで食べた。 親れいむは赤れいむを無視してバリボリとまりさも食べない味のない屑皮をかじる。 赤れいむは食べられるものがないので、まりさ達か親れいむがうんうんをするのをジッと待った。 まりさからもれいむからも苛められて育つ赤れいむは将来どんな一生のお願いをしてくれるんだろう。 きっと、自分だけゆっくりさせてくれとかだろうな。 そうしたら水槽を家の中に入れて、この赤れいむだけを可愛がってみせてやるか。 ゆっくり一家の冬越えはまだ始まったばかりだ・・・。 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり ゆっくりいじめ系1940 愛されまりさの一日 ゆっくりいじめ系1993 加工場産の赤ゆっくりを育てる 前編 ゆっくりいじめ系1994 加工場産の赤ゆっくりを育てる 中編 ゆっくりいじめ系2110 加工場産の赤ゆっくりを育てる 後編1 ゆっくりいじめ系2111 ゆっくり二世帯住宅 作者:まりさ大好きあき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/592.html
※たぶん実験系的な何か ※髄所に実験としておかしいところがある ※あとがきが長い ① 実験内容 狭い水槽の中にいるのは4匹のゆっくり。 1匹は成体のゆっくりれいむ。 他に成体がいないところを見ると彼女がこの巣の主らしい。 残りの3匹は全員赤ゆっくりだった。 1匹はゆっくりまりさで、もう1匹はゆっくりれいむで、最後の1匹はゆっくりありす。 「おちびちゃん、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちていっちぇね!」」」 この巣の主のかつてのつがいはゆっくりまりさ。 つまり、最後の1匹のゆっくりありすはれいむの本当の子どもではない。 れいむと仲の良い人間が彼女にありすを預けただけである。 「れーみゅ、ゆっくちー!」 「ゆゆっ!ゆっくちちてりゅよ!」 「ゆゆーっ!まりしゃもゆっくちちちゃいよー!」 しかし、3匹の赤ゆっくりの関係は非常に良好でこの家族にこれと言った問題はない。 彼女達は知る由もないことだが、同じ環境の水槽が5つ用意されていた。 いずれも大きさも、家族構成も、かつてのつがいも殆ど同じ。 ただひとつ違う要素があるとすれば、母親であるれいむの育った環境だけだ。 どの水槽もゆっくりの力では脱出できないようになっており、人間から与えられる餌が彼女たちの命綱。 その事はありす種の養育を素直に引き受けている点から、彼女たちもとりあえず理解しているはずだ。 ここまでは用意したゆっくりについて説明してきたが、ここからは実験内容について説明して行きたい。 実験はいたって簡単で、現在定期的に与えている食料をある日から大幅に減らし、その後彼女たちがどのような行動に出るかを観察する。 この実験の目的は幼少期の環境の親ゆっくりへの影響を調べることで、彼女達の性質を評価する際には3つの基準を用いる。 ひとつは合理性。これはより健康な個体に食料を優先して与えるなど、種を残すことを優先した行動を取るとこれが高いと判断する。 二つ目は従順さ。人間から預かったありすをどれだけ優先するかがこれを測る目安になると考えられる。 最後に利己的さ。これは自分の分の食料をどれだけ確保するかや、ありすへの扱いなどがこれを測る要因になるだろう。 ② 実験開始 1つ目の水槽のれいむは過酷な環境で弱い姉妹が次々死んでゆく中で生き延びた個体。 よって、彼女の気質は比較的厳しい自然環境の中で育ったゆっくりに近いものだと考えられる。 ゆゆっ!おにーさん、これじゃぜんぜんたりないよ!」 「「しょーだよ!ゆっくちできないよ!」」 「ときゃいはじゃないわ!」 「仕方ないんだ。しばらくこの量になるけど、我慢してくれ」 そう言ってれいむ達の言葉には殆ど耳を傾けず、さっさと水槽から離れた。 残されたれいむ達はすぐに抗議するのを諦め、少量の餌を皆で分け合いながら食べた。 内訳はれいむは若干多く、赤ゆっくり達はほぼ等量といったところ。 「むーしゃむーしゃ、しあわせ~!」 「でも・・・じぇんじぇんたりにゃいよ・・・」 「ゆぅ、ゆっくちできにゃいよぉ・・・」 かつて酷い飢えや恐ろしい外敵の恐怖に怯えながら生きてきたれいむは下手に動かず、余計な消耗を避けている。 が、食べ盛り赤ゆっくり3匹にとって突然の食糧難は相当辛いらしく、口々に不満を漏らしていた。 にもかかわらず、空腹感を忘れるために遊ぼうとするので、れいむはしぶしぶ動いて彼女達を叱りつける。 「おちびちゃんたち!こういうときはゆっくりするのがいちばんだよ!」 「「ゆぅ・・・でもぉ、ぽんぽんがゆっくちできにゃいよ!」」 「それでもゆっくりするんだよ!つぎのごはんさんまでゆっくりがまんしようね!」 母親の言葉をゆっくり理解した3匹は渋々その日は大人しくして過ごす事にした。 そんな彼女達に「おしゃべりはしてもいいよ!」と告げると、れいむはすやすやと寝息を立て始めた。 しかし、実はその日の食事があの1回でお終いだとはこの時のれいむが知る由もなかった。 翌日、早くもごく少量の餌しか貰えなかった彼女達の食料の配分に変化が現れ始める。 今日は母れいむの食料が赤ゆっくり1匹とほぼ等量になっており、一方で赤ゆっくり内の食事の量に明らかな差が見られた。 母れいむにとってその量は明らかない少ないが、意外と上に強い成体ゆっくりなら1ヶ月以上は間違いなく生きられるだろう。 れいむとまりさは母れいむより多いくらいの食料を受け取っていたが、ありすは母れいむよりも若干少ない。 「「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」」 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅだけすくないわ・・・」 「ありすはれいむのこどもじゃないんだよ!おにーさんにおねがいしてね!」 れいむが人間から食料を貰うようになったのはありすを預けられるずっと前のこと。 つまり、彼女にとってありすを育てることはお世話になっている人間からの頼みを断れなかったに過ぎないのだ。 よって食糧難、それも人間がもたらしたものとなれば我が子を優先してしまうのはまあ、仕方のないこと。 「とってもゆっくちできちゃよ!」 「まりしゃはれーみゅとしゅーりしゅーりちてあしょぶよ!」 「ゆぅ・・・ぽんぽん、ときゃいはじゃないわ・・・」 結果、ありすと彼女以外の赤ゆっくりの様子にも明らかな差異が出始めた。 まりさとれいむは実験開始前ほど出ないにしてもそれなりに活発に水槽の中で遊びまわっている。 一方、ありすは先日母れいむに言われたとおりにただ何もせずにじっとしているだけだった。 「れーみゅ、しゅーりしゅーり!」 「まりしゃ、とってもゆっくちちてりゅね!」 2匹が楽しそうにはしゃいでいる傍らで・・・。 そんな日々が続く中で、ありすの食料は更に減らされ、やがて一切の食料が与えられなくなった。 それに比例するようにれいむとまりさは成長できるほどではないが、活発に動けるほど食料を得る。 「もっちょ・・・ゆっくちちたかっちゃわ・・・」 「ゆぅ!?おかーしゃん、ありしゅが!ありしゅがー!?」 「ゆっくちー!ゆっくちちてね、ありしゅー!」 やがて、空腹に耐え切れなくなったありすはずっとゆっくりしてしまった。 翌日以降、れいむ達に与えられる食料は再び大幅に減ることになった。 その量は恐らく昨日までの半分程度。 「おかーしゃん、おなきゃしゅいたよぉー!」 「れーみゅ、ゆっくちちたいよー」 「ゆっくりがまんしてね、おちびちゃん!」 何とか我が子を諌めようとするれいむ。 ありすがいた時のように誰かの食料を減らすと必ず家族の誰かが苦しむことになる。 その状況において、れいむはこれと言った手を打つことも出来ず、涙ながらに空腹を訴える赤ゆっくり達を慰めるばかりだった。 しかし、その翌朝に事件が起きた。 「ゆぅううう!もうがまんできにゃいよ!」 「ゆゆっ!まりしゃ、やめちぇね!れーみゅのごはんだよ、やめちぇね!」 「ゆゆっ!おちびちゃん、ゆっくりやめてあげてね!」 一度「誰かの食料が減れば自分がゆっくり出来る」ことを理解した赤まりさが赤れいむの食料に口をつけた。 その場は何とか母れいむは2匹が喧嘩しないように仲裁したことで収まったが、これが彼女達の食料配分を変えるきっかけとなった。 「ゆぅ・・・?おかーしゃん、れーみゅのごはんがしゅくないよ?」 「それがれいむのぶんだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 この母れいむは過酷な環境を生き抜いてきた個体である。 それゆえ、少しでも多くの食料を得た健康な、なおかつ食料を勝ち取る強さを持ったまりさを優先した。 こうなってしまえば空きっ腹を抱えたれいむとまりさの力は徐々に、しかし確実に開いてゆく。 「やめちぇね、やめちぇね!れーみゅのごはんとりゃないでね!?」 「れーみゅはゆっくちだまっちぇね!」 「ゆぴゅ!?いぢゃい、いぢゃいよおおおおおおお!?」 加えて、開いた力の差を用いて少ない食料までも奪われてしまう始末。 こうして、十分な食料を得たまりさはただ一匹水槽の中でゆっくりを我が物にした。 れいむが力尽き、更に食料を減らされてしまうその日まで。 2つ目の水槽のれいむは良好な環境の中で姉妹が1匹も欠けることなく成長した個体。 これは飼いゆっくり以上に安穏とした環境だと言え、現実にはあまり存在し得ない個性だろう 「ゆゆっ!なんだかごはんさんがすくないよ!?」 「おにーしゃん、まりしゃもっちょほちいよ!」 「これじゃゆっくちできにゃいよ!」 この水槽の4匹も同様に餌の少なさに不満を漏らした。 こちらでも先ほどと同様にしばらくこの量のままであることを告げると、すぐに水槽から離れる。 それでも4匹は人間の消えて行ったほうに向かって延々と文句を垂れていた。 「れいむ、ゆっくりおこるよ!」 「れーみゅ、ゆっくちちちゃいよ!」 「こりぇじゃゆっくちできにゃいよ!」 などなど、自分勝手な主張を繰り返しながら無駄なエネルギーを消費している。 母れいむの育った環境が恵まれていたばかりに、我慢するとかそういった意識が低いのかもしれない。 やがて、自分達の要求が通らないことを悟った4匹はようやく少量の餌を分け合い、食事を始めた。 ちなみに分配の内訳は子ども達が平等なのは先ほどのれいむと同様だが、母れいむの分がかなり多くなっている。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「でも、じぇんじぇんたりにゃいよ!」 「しょーよ!こんにゃのときゃいはぢゃにゃいわ!」 そして、あっという間に食事を終えた4匹はまた不満を口にする。 体力の温存だとか、そういった考えは保護者であるれいむすらも持ち合わせていないようだ。 温存の必要が微塵もない環境で育ったのだから当然と言えば当然だが。 「ゆぅ、おなかすいたよ・・・」 「「「ゆっくちー」」」 そうして無駄な消耗によって更に強い空腹感を覚えた4匹は歌を歌い始めた。 しかし、歌というのは消費カロリーを表示するカラオケなんてものがある程度には疲れるものである。 結果、これまた当然のように空腹感が強くなった。 その後、ようやく寝ようという結論に至ったれいむ達だったが、空腹感のせいで眠れないと騒いで更に悪循環に陥る。 次の食事までの辛抱となんとか眠りに就いたが、今までなら三食あったはずの食事が一向に来ない事に腹を立て、また騒ぎ出した。 その後のことはもはや言うまでもないだろう。 「ゆぅ・・・みゃみゃ、ありしゅのごはんしゃんしゅくにゃいよ?」 「ありすはれいむのこどもじゃないからしかたないんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「「むーちゃむーちゃちあわちぇー・・・だけど、たりにゃいよ!」」 翌日、先の水槽と同様に自分の子どもではないありすの食料が真っ先に削られた。 ただし、その食料の行き着く先の大半は子ども達ではなく、れいむのどこにあるのかも良くわからないお腹の中。 ここから先の事態は大体最初の水槽と同じで、そのままありすが衰弱、ずっとゆっくりしてしまう。 「ゆゆっ!またごはんさんがへったよ!?」 「「ゆえーん、おなかしゅいちゃよー」」 が、そこからの対応はずいぶんと異なっていた。 食料をまた減らされたことを把握したれいむは、何故かれいむを贔屓し始めたのだ。 もっとも、自分が一番多くの食料を確保したままではあるが。 「ゆぅうぅぅぅ!どうちて!どうちて、まりしゃはちょっとなの!?」 「まりさはそれでがまんしてね!ゆっくりりかいしてね?」 「やぢゃ、やぢゃあああ!もうがみゃんできないよ!」 そう言って赤まりさは赤れいむの食料を奪い取ろうと彼女に体当たりを仕掛けた。 突然の攻撃に身構えることの出来なかった赤れいむはころんと引っくり返り、その体勢のまま泣きじゃくる。 そんな彼女にわき目も振らず、まりさは赤れいむの食料に口をつけようとした、瞬間・・・ 「ゆーっ!おしょらをとんで、ゆっぴぃ!?」 「れいむにひどいことするこはおしおきだよ!」 母れいむに髪を咥えられて高々と持ち上げられ、硬い水槽の床へと叩きつけられた。 その後もれいむに何かしようとするたびにお仕置きを受けたまりさは心身ともに衰弱し、数日でありすの後を追った。 3つ目の水槽のれいむは産まれたときから1匹で孤独に震えながら大きくなった個体。 ゆっくりにとって生まれた直後からの孤独というのは珍しいものではなく、野生でもありがちなことだ。 が、彼女の反応は先の2匹とは最初から大きく異なっていた。 「さあ、おちびちゃんたち。ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ、でみょ・・・みゃみゃのごはんしゃんが・・・ありしゅ、おにーしゃんに・・・!」 「いいんだよ!おにーさんにわがままいわないでね!れいむのぶんをたべてね!」 この母れいむは人間に不満を訴えることをさせず、なおかつ自分の食料を分け与えるという選択をした。 その上、自分は満足に食べられなかったにも関わらず、子ども達を見守る表情はどこか満足げ。 面白い行動ではあるが、このままでは飢えに強い成体と、それなりに満足している子どもがだらだらと生き延びる展開にしかならない。 実験としてあまり好ましいことではないが、更に餌の量を減らしてみることにした。 「ゆぅ・・・またへっちぇるよ・・・」 「しかたないよ。おちびちゃんたち、ゆっくりたべてね!」 「ゆぅ・・・おかーしゃん・・・」 少しの間、赤ゆっくり達は母の分まで食べることを渋っていたが、結局3匹で全部平らげた。 しかし、それでも一応の満足すらも得ることは出来なかった。 また、それでも餌を与えれくれる相手に不満をこぼすこともせず、徐々に衰弱してゆく我が子の姿を見せ付けられるという状況に陥る。 この状況を打開する方法は1匹か2匹を切り捨てて、他の赤ゆっくりに多くの食料を与えることだけ。 「ゆぅ・・・こうなったら、おたべなさいをするよ・・・」 あまり賢くないゆっくりとは言え、流石にこの状況の不味さも、唯一の打開策も彼女は理解していた。 それでも、彼女は誰かを見捨てようとはせず、自らの身すらも我が子達に与えようと考える。 流石に「お食べなさい」をやられると実験に支障が出ると判断したので一言「お前が死んだら全員殺処分するよ」とだけ伝えておいた。 4つ目の水槽のれいむは厳しいブリーダーのしつけによって従順に振舞うように訓練された個体。 かと言って人間の役に立てるほどの能力があるわけでもなく、典型的な飼いゆっくりといったところだ。 「ゆゆっ!おかーしゃん、どうちてありしゅだけたくしゃんなの?」 「しょーだよ、じゅるいよ!」 「ありすはにんげんさんのこどもだからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 人間のペットとして、いや奴隷として育てられてきた成果だろうか、彼女は自分の子ども達よりも人間に預かったありすを優先した。 当然、彼女の娘であるれいむとまりさは不満いっぱい。母親に向かってほほを膨らませて怒りをあらわにする。 が、母れいむにとって人間に従順であることはゆっくりの存在意義ですらあるらしく、彼女たちの言葉には一切耳を貸そうとしない。 「どうちて!ありしゅはおかーしゃんのこどみょじゃないんだよ!?」 「しょーだよ!おかーしゃんのこどみょはれーみゅたちだよ!」 「みゃみゃ・・・ありしゅ、こんなにたくしゃんいらにゃいわ」 2匹に剣幕に圧倒されたありすは自分の分を2匹に分け与えるように提案する。 しかし、れいむはありすの提案を拒否すると、自分の子ども達を舌でぴしゃりと打ち据えた。 どうやらわがままに対するお仕置きにつもりらしい。 「ゆえーん、どうぢて!どうぢぢぇぇ!?」 「おちびちゃんたちがわがままをいうからだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「でみょ、でみょぉ・・・ゆぴぃっ!?」 その後、2匹が抗議するのを諦め、ようやく食事を取り始めた。 もっとも、ありす以外は全く空腹がしのげず、ありすも精神的に全然ゆっくり出来ない有様だったが。 「ゆゆっ!ありしゅはこっちこにゃいでね!」 「ゆえーん、どうぢぢぇしょんなこというにょおおお!?」 「しょーだよ!ありしゅなんてきりゃいだよ!?」 「そんなこというゆっくりできないこはおしおきだよ!」 先日の出来事がきっかけとなってれいむ・まりさとありすの関係は急速に悪化していた。 食べ盛りの赤ゆっくりにとって食べ物の恨みはそれほどまでに恐ろしいものなのだ。 「だっちぇ、だっぢぇっ!?」 「ゆっぐ・・・れーみゅ、おなかしゅいたよぉー」 「かんけいないよ!ありすはおともだちでしょ!おともだちにひどいことするこはゆっくりできないよ!」 こんなやり取りが繰り返されるのは実はこれで4度目。 険悪になった関係を何とか修復しようとありすが近づくたびにれいむとまりさは彼女を拒絶した。 そのたびに母れいむに叱られる2匹だったが、困ったことに拒絶しなくても結果は同じなのだ。 「ゆっぐぢりがいぢだよ・・・でみょ、れーみゅ・・・ぽんぽんがゆっくぢできにゃいかりゃ・・・あそべだいよぉ・・・」 「まりしゃもだよ・・・」 「ゆゆっ!ありしゅ、みんなとゆっくちあしょびたいよ・・・!」 と、そんなやり取りの後に母れいむが「ありすとあそんであげなさい」と彼女たちを叱りつけてくる。 もちろん、すきっ腹を抱えて一緒に遊んだからといってその日の食料の配分が増えるわけでもない。 結果、れいむとまりさは3日ほどでまとも動けないほどに衰弱し・・・ 「ありすとあそばないこはおしおきだよ!」 「「ゆぐっ・・・もっぢょ、ゆっきゅちちたかったよ・・・」」 ありすと遊ばないことを咎められ、母れいむのお仕置きによって短いゆん生を終えた。 5つ目の水槽のれいむはありすにレイプされて出来た個体で母れいむに忌み嫌われ、虐待(もっと正確に言えばネグレクト)されながら育った。 これも野生のゆっくりとしては決して珍しいパターンではなく、中には特定種を無条件に排除する群れすらあると言われている。 ただし、このれいむは母親以前にレイプされた先祖は少なく、本能的に敵意を覚えるほどにありす種を嫌ってはいない。 「ゆゆっ!?みゃみゃー、ありしゅのごはんだけしゅくないわ?」 「ありすはそれだけだよ!ゆっくりがまんしてね!」 「「おきゃーしゃん、そんなのかわいしょーだよー!」」 とはいえ、過去の自分の苦労の多くがありす種に起因している以上、やはり彼女を軽んじてしまうようだ。 たとえ人間から預かった相手であろうと・・・いや、人間から預かったありすだからこそということかもしれない。 その考え方は最初の水槽のれいむと同じだが、初日から早々食料を減らす辺りには多少なりとも悪意が感じられる。 ちなみに、自分の取り分はかなり多く、その影響で多めに食料を貰っているれいむとまりさも少量にとどまっていた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー!」 「でみょ、じぇんじぇんたりにゃいよ」 「おちびちゃんたち、ゆっくりがまんしてね!」 こんな調子で、大体最初の2つの水槽と同じようにありすが真っ先に力尽きた。 そして、翌日以降。さらに食料を減らされたれいむは・・・ 「おかーしゃん、れーみゅおなきゃしゅいたよぉー・・・」 「まりしゃもむーちゃむーちゃちたいよぉー・・・」 「むーしゃむーしゃ、しあわせー!」 れいむは親としての責務を放棄した。 虐待を受けて育った者が我が子に虐待をする、あるいは育児放棄するというのは人間も含む多くの動物に見られること。 どうやら、それはゆっくりにとっても例外ではなかったらしい。 もっとも、食料が不足するまでは普通に育てていただけ、幾分かましな方かもしれないが。 ③ 実験結果 最初の水槽で唯一生き残ったのはまりさだった。 れいむと赤まりさだけになった後、れいむは自分の食料をすべてまりさに譲っていた。 今わの際に、自分より彼女を優先した理由をれいむに訊いたところ・・・ 「だーりんがいないからだよ」 とだけ答えると、そのままずっとゆっくりしてしまった。 どうやら、次の世代に子を残すという生物としての本分を最優先したらしい。 そして、自分のつがいが健在ならば自分達とそのつがいが生き延びて子を宿す道を選んだ可能性もある。 このれいむは人間に対する従順さはきわめて低かったものの、決して利己的ではなかった。 きわめて合理的に生物として、親として最善の選択をしたと言えるだろう。 もっとも、彼女のような親に育てられたゆっくりはまりさのように他者を出し抜こうとする、いわゆるゲスになる傾向がありそうだが。 2つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむで、赤ゆっくりは結局全滅してしまった。 苦労知らずで育ったために自制心が育まれなかったのだと考えられる。 ちなみに、赤まりさより赤れいむを優先した理由を問いただしたところ・・・ 「れいむにそっくりのおちびちゃんがゆっくりできないのはゆっくりできないよ!」 との回答を得ることが出来た。 子どもの能力ではなく、自分に容姿が似ていること、そういった子どもがゆっくり出来ないのを見ているとなんとなくゆっくり出来ない。 そう言った理由で彼女は赤れいむを優先したらしい。もっとも、その赤れいむも最後には見捨てられることになったのだが。 このれいむは人間に対する従順さも、合理性も低く、きわめて利己的な性質を持っていたといえる。 3つ目の水槽の唯一の生存者は母れいむだった。 ただし、彼女もまた長期間にわたる絶食生活ですでに虫の息。 結局、彼女は誰を見捨てることも出来ず、子ども達は仲良く衰弱していった。 このれいむの合理性が低いのは言うまでもなく、同時に従順でもなく、利他的とも言い難い。 長い間ひとりで暮らしていたためか、仲間に恨まれることを嫌って非情な選択が出来なかったのだから。 4つ目の水槽の唯一の生存者は赤ありす。 しかし、れいむが姉妹のように育った赤れいむ達を殺す瞬間を目撃した彼女がゆっくり出来たはずもない。 挙句の果てに親代わりのれいむまで自分に食料のすべてを分け与えて餓死してしまったのだ。 この先、彼女はどのような思いを抱えてえ生きていくことになるのかは想像に難くない。 人間に都合のいいように育てられたれいむは従順だが、利己的でないのに合理性もないあまりにも歪な存在だった。 最後の水槽の生存者は言うまでもなく母れいむで、食料を独り占めしたことであの状況下で平然とゆっくりしていた。 しかし、真っ先にありすを見捨てたのが我が子を優先した結果なのか、ありす種憎しでのことなのかが分からない。 少なくともさほど従順ではなく、非常に利己的であることは間違いないだろうが。 ありす種以外の個体にこのれいむの母親をレイプさせるべきだったかもしれない。 ---あとがき--- 1つずつゆっくり視点で丁寧に書いていったほうが良かったな、これ それはさておき、今日で初投下からちょうど1年なのぜ・・・ ---Wiki収録時には省いてください--- と言うことで、他の作者の方に倣って玉男名義での投下作品一覧 ゆっくりいじめ系322 ゆっくりボール 阿求×ゆっくり系8 ゆっくりボール2 ゆっくりいじめ系353 ゆっくりボール3_1~3 ゆっくりいじめ系375 ゆっくりボール4 ゆっくりれみりゃ系いじめ31 ぷっでぃ~ん天国 ゆっくりいじめ系401 びりゃーど その他 ゆっちぇす ゆっくりいじめ系412 必殺コンボ? ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5 ゆっくりいじめ系436 ゆっくりみだら1 ゆっくりいじめ系438 ゆっくりみだら2 ゆっくりいじめ系442 ゆっくりみだら3 ゆっくりいじめ系448 ディスコミュニケーション ゆっくりいじめ系458 ゆっくりみだら4 ゆっくりいじめ系484 鬼意さんVSドス 1~3_2 ゆっくりいじめ系500 ゆっくりみだら5 ゆっくりいじめ系513 ゆさくや1 ゆっくりいじめ系525 ゆさくや2_1 ゆっくりいじめ系526 ゆさくや2_2 ゆっくりいじめ系529 ゆっくりみだら6 ゆっくりいじめ系559 ゆさくや3 ゆっくりいじめ系573 ゆさくや3.5 ゆっくりいじめ系582 淡々とゆっくりを尾行してみた1・2 ゆっくりいじめ系597 虐待おばば ゆっくりいじめ系602 淡々とゆっくりを尾行してみた3 ゆっくりいじめ系607 ゆっくりみだら7 ゆっくりいじめ系620 ゆさくや4 ゆっくりれみりゃ系いじめ42 ゆっくりみだら8 ゆっくりれみりゃ系いじめ43 ゆっくりみだら9 ゆっくりいじめ系650 虐待おばば2 ゆっくりいじめ系665 ゆっくり研究 ゆっくりいじめ系684 鬼意裁き ゆっくりいじめ系697 野生のゆっくり ゆっくりいじめ系749 現代ゆっくり ゆっくりいじめ系753 殺されたお兄さん ゆっくりいじめ系760 とうぎじょう ゆっくりいじめ系782 非ゆっくり過敏症 ゆっくりいじめ系814 ゆー園地 ゆっくりいじめ系818 すっきりしたくないありす その他 M ゆっくりいじめ系850 ゆっくり研究2 ゆっくりいじめ系865 二択1・2 ゆっくりいじめ系890 技巧派まりさの誕生_1~2 ゆっくりいじめ系893 虐待おばば3 ゆっくりいじめ系916 ゆー郭 ゆっくりいじめ系921 ゆー郭2 その他 ゆっくりボール乙 ゆっくりれみりゃ系いじめ51 ゆっくりゃへのおしおき ゆっくりいじめ系964 ミニマムゆっくり ゆっくりパチュリー系いじめ3 ぱちゅりー ゆっくりいじめ系993 バレンタインデイ ゆっくりいじめ系995 普通のゆっくり虐め ゆっくりいじめ系1007 見守るドスまりさ ゆっくりすいか系いじめ1 ゆっくりすいか ゆっくりいじめ系1139 やねのうえのゆっくり ゆっくりいじめ系1107 ゆくぶつかん ゆっくりいじめ小ネタ172 ほしれいむ ゆっくりいじめ系1193 れいむをまもるもの ゆっくりいじめ系1199 ゆっくりできた日々1 ゆっくりいじめ系1209 ことばのろう ゆっくりいじめ系1218 ゆっくり ゆっくりいじめ系1231 こんにゃゆっくちいりゅかな? ゆっくりいじめ系1240 でーしーえす ゆっくりいじめ系1274 虐兄とドス ゆっくりいじめ系1280 ゆっくりのがっこう ゆっくりいじめ系1291 ありす ゆっくりいじめ系1301 ゆっくりできた日々2 ゆっくりいじめ系1307 ゆーろ ゆっくりいじめ系1342 お食事会 ゆっくりいじめ系1347 まりさのおうち ゆっくりいじめ系1378 かみいじめ ゆっくりいじめ系1409 ルールある虐待_01~03 ゆっくりいじめ系1453 ゲスまりさ調教_01~02 ゆっくりいじめ小ネタ216 うんうん ゆっくりいじめ系1472 うんうん2 ゆっくりいじめ系1484 ゆっくりを退化させよう ゆっくりいじめ系1502 初物お兄さん ゆっくりいじめ系1530 髪の毛で綱引き ゆっくりいじめ系1571 ゆっくり問答 ゆっくりいじめ系1595 ねじこんでみた ゆっくりいじめ小ネタ234 しゃぶれいむ ゆっくりいじめ系1645 れいコン ゆっくりいじめ系1652 ふぐぅ! ゆっくりいじめ系1659 おうち宣言を最大限尊重してあげた ゆっくりいじめ系1902 カッパの住処 ゆっくりいじめ系1906 ぱんちゅりー ゆっくりいじめ系1967 ゆんどら 1・2 ゆっくりいじめ系1974 ゆっくり人間(クロスオーバー作) ゆっくりいじめ系1995 ゆっくりいじめ系2002 新物質 ゆっくりいじめ系2016 げっぺるどんがァーッ! その他 ゆっくりスレ その他 実録!虐待SSの作り方 ゆっくりいじめ系2033 ゆっくり学部虐待科 ゆっくりいじめ系2045 馬鹿なの?寝るの? ゆっくりいじめ系2057 あるレイパーの更正 ゆっくりいじめ系2076 飽きた ゆっくりいじめ系2088 力 ゆっくりいじめ系2124 お帽子 ゆっくりいじめ系2126 せつゆん ゆっくりいじめ系2142 ドスモス ゆっくりいじめ系2164 巨大ゆっくりの饗宴(前中後編) ゆっくりいじめ系2170 ゆれんたいん ゆっくりいじめ系2174 新たなる?ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ340 矢ゆっくり ゆっくりいじめ小ネタ341 ゆっくりになったお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ351 敬いお兄さん ゆっくりいじめ小ネタ369 ゆっかりクッキング ゆっくりいじめ小ネタ391 ゲスに情けなど不要! ゆっくりいじめ系2198 とあるHumyonの憂鬱 ゆっくりいじめ系2254 100スレ記念1 ~6 ゆっくりいじめ小ネタ405 ふえちゃうぞ! ゆっくりいじめ小ネタ409 うんうんイーター ゆっくりいじめ小ネタ416 めだま ゆっくりいじめ系2349 やさぐれいむ ゆっくりいじめ小ネタ425 うんうんする理由 ゆっくりいじめ系2377 まりさのあい(前後編 ゆっくりいじめ小ネタ428 奇跡の声 ゆっくりいじめ系2406 レイパーの動機 ゆっくりいじめ小ネタ441 虐待おばば4 ゆっくりいじめ小ネタ450 赤ゆの底力 ゆっくりいじめ系2465 どのゆっくりがこのみ? ゆっくりいじめ系2488 あおりぼん ゆっくりいじめ系2493 やさぐれいむ2 ゆっくりいじめ系2509 魔剣ゆギャリア ゆっくりいじめ小ネタ470 えたーなるばーじん ゆっくりいじめ系2523 目が見えない少女 ゆっくりいじめ系2586 まりさと子るーみあ ゆっくりいじめ系2597 飼いゆっくり ゆっくりいじめ系2602 うんうんと4匹 ゆっくりいじめ小ネタ484 コネタ集? ゆっくりいじめ小ネタ489 ゲス家族 ゆっくりいじめ小ネタ492 21かもしれない ゆっくりいじめ系2682 365匹を虐殺してみた1~5 ゆっくりいじめ系2695 副工場長れいむに勝手にパラレル ゆっくりいじめ小ネタ502 ゆっくりしていってね! ゆっくりいじめ系2719 ある愛護団体のお仕事 ゆっくりいじめ小ネタ519 ゆ虐1発ネタ?集 ゆっくりいじめ小ネタ520 コード ゆっくりいじめ小ネタ524 ドス・・・ ゆっくりいじめ系2836 ありす虐待エンドレスシリーズ ゆっくりいじめ小ネタ554 ゆっくりカスタムキット ゆっくりいじめ系2906 ゆっくりが生き残れる理由 ゆっくりいじめ小ネタ557 平凡な虐待 ゆっくりいじめ系2915 ○んぶーぶ○ーど Y ゆっくりいじめ系2918 駄作!! ゆっくりいじめ系2936 死神のいたずら 何この数?馬鹿なの?死ぬの? byゆっくりボールマン このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2506.html
「ゆっくりひな」 ~~3ヶ月前~~ ゆっくりひなを飼いたかった私は、川原に来ていた。 川原に来た理由は特に無い。ここにいなければ、次は、森に行く予定だった。 ゆっくりは水に弱いせいか、川原にはゆっくりの姿が見えない。 「くるくるー」 あきらめて帰ろうとすると妙な声が聞こえた。 声が聞こえたほうは葦だと思われる草に囲まれるあたりだ。 葦だと思う植物を掻き分けて進むと、ゆっくりがいた。 緑色の髪と特徴的なリボンと宙に浮きながらくるくる回っていることから、そのゆっくりはゆっくりひなだと思う。 確信が持てないのは、珍しく胴付きであること、それと大きさがやけに小さいからだ。A4サイズの単行本くらいの大きさだ。 普通の胴付きはその倍くらいの大きさはある。 じろじろ見ていると、こちらに気づいたそのゆっくりが声をかけてきた。 「どーしたのおにーしゃん?厄をすってほしいの?」 どこか、舌ったらずな感じで、そう言った。 その台詞でこのゆっくりがひなだと確信した。 ゆっくりひなには、とある特徴がある。 厄 (ゆっくりできないもの、環境ホルモン等の汚染物質、他人の不幸など) を集めて自身の中に溜めることができるのだ。 溜めた厄は川に流したり、地面に穴を掘って埋めたりしているらしい。 厄を集めると言うことは、周りのゆっくりにとっては、ゆっくりできるはずだが、 たいていの場合は、他のゆっくりは、ゆっくりひなに近寄ろうとしない。 ―――ゆっくりひなに触ると厄が移るのだ。 そのため、ゆっくりひなのほとんどは、孤独に生活している。 私は、ゆっくりひなに手を伸ばした。 「やめて!!さわらにゃいで!!」 いきなり拒絶された。・・・が無視して近づく、 「これいじょうちかよったら、おにーしゃんにも、厄がうつっちゃう!!」 無視して近づいて、ゆっくりひなの頭をなでてみる。 「ごめんにゃさい、おにーしゃんに厄がうつっちゃった。・・・でもうれしい。こんなにやさしくされたのはじめて・・・」 頭をなで続けてみた。 「ひな、もうだみぇ、おにーしゃんがいないとゆっくりできない」 「私の家に来ないか」 私は、そう提案してみた。 「いいのおにーしゃん、ひな、おにーしゃんといてもいいの?」 「私は構わないさ」 「ありがとう、いっしょにゆっくりしましょう!」 ひなは大粒の涙を浮かべながらそういった。 こうして、私は、ゆっくりひなと生活することになった。 ちなみに、このときゆっくりひなが集めていたのは、漆らしく、 手がかぶれたのは、ひなには内緒だ。 ~~現在~~ ゆっくりひなは、実にかわいい。 くるくるまわっている姿は、かわいい。 クッキーを両手でつかんで食べてる姿も、かわいい。 ひなの全てがかわいい。 だから、これからする行動もきっとかわいいはずだ、見なくてはならない。 数分前、ひなは、 「厄をながしてくりゅのー」 と言って、トイレに入っていった。 話は変わるが、ひなの厄で手がかぶれた私は、ひなに厄を集める事を禁止している。 ひなは、 「厄をあつめにゃいと、おにーしゃんがゆっくりできにゃいの」 と言っていたが、 ひなのあごを小指で軽く持ち上げながら、 「ひなに厄を集めさせる為に一緒になった訳じゃない」 と説得したら、顔を真っ赤にしながら、納得してくれた。これでひなに触っても大丈夫。 とは言えひなの厄を集める能力は、本人の意識外でも少し働いてるらしく、 1、2ヶ月に一度無意識に集めた厄をトイレに流している。 私は一度、どうやって厄をながしているのか、見せてほしい是非といったが、 顔を真っ赤にしながら 「はずかしいかりゃ、それだけはだめー」 と言われた。 むりやり見るという選択肢もあるが、無理やりはよくない。 事は、エレガントに紳士的に行うのが、私のモットーだ。 そんなわけで、私は、ひなの入っているトイレのドアに耳をくっつけて中の音を聞いている。 時折「くるくるー」と聞こえるが、それだけで中で何をしているかはわからない。それが逆に私の想像を掻き立てる。 (くそっ、どうしてトイレにドアがついているんだ!!) ご丁寧にトイレの鍵までかけている。 (教えたわけでもないのに、鍵をかけられるなんてひなは賢いな) トイレのドアの鍵を「うんしょ!、うんしょ!」とかけているひなを幻視していると、・・・思い出した。 (そうだ!!こんなこともあろうかと盗撮用のビデオカメラを買ったんだった。) 私は、しまってあるはずの押入れの中をがさごそと漁って目的のものを見つけた。 (電池は?・・・ある!) 私は、トイレの前まで移動した。 (トイレの下にビデオカメラを差し込む隙間は?・・・ある!!ある!!) 私は、運命の神様に感謝した。感謝だけでは足りなかったので運命の神様がいそうな方向に3度ほど土下座した。 そうして、いざ事に及ぼうとした私は、ある事を思い出した。 (確かこのビデオカメラには録画用のアタッチメントもあったはずだ。) あまりに事がうまく行き過ぎていたのでそのことを忘れていた。 (ひなのかわいい姿を一度見ただけで満足できるか?・・・否!!録画していつもなんどでも楽しむべきだ!) 私は、急いで押入れに戻り、アタッチメントを探し始めた。がこういうときに限って見つからない。 時計を見ると、ひながトイレに入ってから5分ほど経過していた。 もうすぐ、ひなの厄流しが終わってしまう。 「どこだ!どこだ!どこだ!どこにやった!!」 アタッチメントさえあれば、ひなのかわいい(はずの)厄流しを永遠に楽しめるのに。 「おにーしゃん、なにさがしてるのー」 「ひなのかわいい姿を録画できるビデオカメラさ」 「ビデオカメラならこっちにありゅよー」 「ああ、そっちにあったか」 いつの間にか、ひなの厄流しが終わっていた。 私は、トイレに入って号泣した。泣いたというか、むしろ鳴いた。 生まれて初めて男泣きした。 ~~翌日~~ 夢の中でも、昨日の失敗を悔やんでたらしく、目元には、涙のあとがあった。 時刻は6:55分目覚ましの鳴る5分前だ。 微妙すぎる時間に起きた私は、まだ寝ているであろう、ひなの寝顔を見に行った。 かわいい、実にかわいい。 ひなはくーくーとかわいい寝息を立てている。 ひなは私が作った、簡易ベットで寝ている。中身を限界まで入れたティッシュの箱を布で覆ったものだ。 布団は、厚手のハンカチをそのまま利用している。 このまま時間が止まればいいのに。と私が本気で思っていると、目覚ましのアラームが鳴った。 俺には、時を止める事はできないようだ。 「ん~、あさ~」 ひなが目をこすりながら、起きた。 ちなみに、この時すでに私は、台所に行き、朝食を作りはじめている。 ひなの寝起きは、実に興味深いが、私がじっと眺めているところをひなに知られるといい気持ちはしないだろう。 だから、私は眺めていなかったかのように振舞う。 朝食も終わり、着替え等、朝のしたくも終わると、家を出るまでの間は、 ひなか、テレビを見て過ごす。 今日は、ひなを見ることにする。 「くるくるー、くるくるー」 ひなは、そう言いながら宙に浮きながら、くるくる回っている。 ところで、ゆっくりふらんや、れみりあなんかが、空を飛ぶのは羽があるからと言う理由でなっとくできるが、 羽も無いひなはなぜ宙に浮けるのだろうか、 本人に聞いてみた。 「うかんでにゃいと、くるくるーってできにゃいからだよ」 と答えてくれた。理由になってない。かわいいから許す。 くるくる回っているひなを見ている私は、ある事を思いついた。 早速実行する。 くるくる回っているひなの体を両手で優しく包んで回るのをやめさせる。 「?どーしたの、おにーしゃん」 「なんでもない」 と言って、手を離す。 「へんにゃ、おにーしゃん?」 そう言って、ひなはくるくる回りだす。 しばらくしたら、また、両手で優しく包んで回るのをやめさせる。 それを、何度も繰り返す。 何度も繰り返す。 繰り返す。 「もう!おにーしゃんやめてね!!ぷくー」 そう言って、ひなは、ほほを膨らませた。 私を、途方も無い悲しみを襲ったが、ひなかわいいよ。 「わかった、もう邪魔しない」 私は、そう言うと腹ばいになって腕を胸の下に持ってきた。猫の箱座りみたいに。 「これでもう、邪魔できないよ」 それを聞いてひなは、すぐには、邪魔できないことを確認してから、 またくるくる回りだした。 「くるくるー、くるくるー」 少し、警戒していたがすぐに、楽しそうに回りだした。 計画通りだ。ひなは、いまこちらに注意を払っていない。 もう、くるくるを止められないと思っているからだ。 しかし、私の目的は、くるくるを止めることではない。 現在、私のだいたい70cmほど前方 高さはだいたい40cmの辺りにひなはいる。 そう、この位置ならひなのスカートの中が良く見えるのだ。 「くるくるー、くるくるー」 ひなのかわいい笑顔が見える。 「くるくるー、くるくるー」 回った拍子にスカートがめくれ上がり、すらっと白くてきれいな足が見える。 (あと・・・あともう少しだ!) 「くるくるー、くるくるー」 ふっくらとしたきれいな太ももが見える。 (あともう少しで、ひなの聖少女領域が拝める!) しかし、太ももから上を拝むことはできない。 見えそうだが重力にしたがって降りてくるスカートがいいところで邪魔をする。 (私のプランには、間違いはなかった。・・・間違っているのは世界のほうだ!!) 私が、世界と世界を作った神に頭の中で文句を言っていると、 「くるくるー、くるく・・・おにーしゃんそろそろじかんじゃない」 ひなはくるくる回るのをやめて、床に下りながらそういった。 「なんてこった!!ちくしょうめ!!」 私は、あきらめて、荷物を持って玄関に向かう。 「おにーしゃんいってらっしゃーい」 ひなが私を見送っている。 「・・・ああ、行って来る」 「あっ、おにーしゃん」 そう言って、ひなは、私のほほの辺りに浮いてきた。 「どうしたんだ」 ひなは、私の疑問に答えずに、 私のほほに 「ちゅ」 キスをした。 (!?!!??!!!っな!!) 「えへへー、いってらっしゃいおにーしゃん」 「うむ」 内心の動揺を悟られないようにこれだけ返事をした。 私は、駅までの道をスキップしていた。 周囲の目など気にならない。 私は、大声で叫んでいた。 「ヒャッハー!!幸せだー!!」 ~ あ ~ と ~ が ~ き ~ 主人公はたっぷり変態なことしてるけど、 ばれてないからいじめじゃないのかもしれない いじめと言うのは、 いじめる側と、いじめられる側のどちらかが認識して初めていじめになるのだと 書いてて思った。 さんきゅ~ふぉ~り~でぃんぐ このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/164.html
発情期の野生のゆっくり霊夢とゆっくり魔理沙を窓の無い白い4畳間ほどの部屋に閉じ込める そこが安全な場所であることを確認すると、やがて交尾を始める 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっゆっ!ゆ゙ーっ、ゆ゙ーっ!…」 白目を向き、歯を剥き出しに全身を強く痙攣させるゆっくり霊夢 次第にゆっくり霊夢は黒ずんで朽ち、頭から二本の蔓をのばしはじめる そして蔓から数個の子供達を実らせる 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 計5個の小さいゆっくり霊夢の赤ちゃん達 ゆっくり魔理沙も微笑みながら 「ゆっくりしていってね!」 と返事する ゆっくり魔理沙と一緒にその場でピョンピョン跳ね回るゆっくり霊夢の赤ちゃん達 夜にはみんなで大人のゆっくり魔理沙に寄り添いあって床につく、実にほほえましい光景である 「あしたもゆっくりしようね!」 「ゆっくりするね♪」 「ゆっくりするー♪」 翌日、起きた順に仲良く部屋の中を跳ね回るゆっくり達 「おはよう!きょうもゆっくりしていってね!」 「ゆっくり!ゆっくり!」 最後の1個が目を覚まし、みんなご機嫌だ しかし、部屋に閉じ込められてからというもの、食べ物が一つとして部屋に入れられて来ない 当然、部屋の中には蝶々もバッタも、それどころか水ひとつありはしない 遊び疲れておなかを空かせたゆっくり霊夢の赤ちゃん達もやがて騒がしくなってゆく 「ゆっくりできないよ!」 「おなかへったよ!」 「うー!うー!」 ゆっくり魔理沙もここに入れられてからずっとご飯を食べていない、ここには捕食できるものは何一つ無さそうだ 鍵のかかったドアを押してみるが開く様子は無かった 「おにいさん!ここからだして!ゆっくりしたいよ!おうちかえして!」 外に開放するよう訴えるゆっくり魔理沙 外の世界の存在など知らないゆっくり霊夢の赤ちゃん達はそれを不思議そうに眺める 叫んだらさらにお腹が減ってしまった…、しぶしぶとドアの前から立ち去る すると、ゆっくり魔理沙の視界に一緒に部屋に入れられたゆっくり霊夢の亡骸がとびこんできた おそるおそると口に運ぶゆっくり魔理沙、数日前一緒に行動を共にしたそれは予想外に美味しいものであった ゆっくり魔理沙が黙々とそれを食べている姿を真似し、次々とそれに口をつけていく赤ちゃんゆっくり達 「すごい!ゆっくりできるね!」 「あまあま♪」 ゆっくり霊夢の亡骸を平らげると、皆満足げに眠りに落ちていくのであった 翌日から、目を覚ましたゆっくり達はふたたび食糧難に悩むことになる 「おなかへったよ!」 「ゆっくりできないよ!」 しかし部屋には食べ物一つありはしない その状況が、1日、また1日と過ぎていく …そして4日間が経過した この間まで元気だったゆっくり霊夢の赤ちゃん達も静まり返ってしまっている 「おなか…へった…よ…」 「ひゅー…、ひゅー…」 育ち盛りの赤ちゃんが、生まれてから一度しか栄養を摂取せずにいたのだ、もはや餓死寸前の状況だ やがて、ゆっくり魔理沙の目に、もう意識の無いゆっくり霊夢の赤ちゃんが飛び込んでくる これだ これしかないのだ ゆっくり魔理沙はゆっくりと瀕死のゆっくり霊夢の赤ちゃんに近寄ると、頭から思い切りかぶりついた 「ゆ゙っ!ゆ゙!ゆ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っっ!!」 痛みで意識を取り戻す瀕死の赤ちゃん 「や゙め゙でよ゙お゙っ!ゆ゙っ゙ぐり゙じよゔよ゙おっ!」 必死に抵抗するが、先ほどまで瀕死で動くこともできなかった身である、大人のゆっくり魔理沙と体力の差は歴然だ 「ハァ、ハァ…うめぇ!めっちゃうめぇ!…ッハァハァ…!」 がしゅがしゅと涎を垂らしながら品もなく食事を続行するゆっくり魔理沙 ゆっくり霊夢の赤ちゃんは全身を強く痙攣させながら 「や゙めでぇ…」 と、うわごとの様に繰り返し続けた 「…っ!!…っ!!」 他のゆっくり霊夢達は恐怖で動くことすらできずにいた ここに生まれてからずっと一緒にゆっくりしてきたゆっくり魔理沙が 自分達をまとめてくれていた、ゆっくり魔理沙が 自分の仲間を襲い始めたのだ 食ったのだ 「がしゅがしゅ…ハァ…ハァ…!うめぇ!がしゅがしゅ…ハァハァ!」 ゆっくり魔理沙はゆっくり霊夢の赤ちゃんを綺麗に食べ終わると、大きなゲップを残し眠りにつく 残されたゆっくり霊夢の赤ちゃん達は部屋の隅に身を寄せ合い、恐怖に震えながらその晩を過ごすのであった 翌日、ゆっくり魔理沙は朝、昼、晩、と1個ずつゆっくりの赤ちゃんを食べていった 必死に抵抗されたが、所詮は赤ちゃんである、食べる程度造作も無い こんなにお腹が膨れたのは何日ぶりだろう、ここなら外敵に襲われる心配もないし、気兼ね無く睡眠をとることができる 「ゆっ♪ゆっ♪」 ご機嫌そうにゆっくり霊夢の赤ちゃんに近寄ってくるゆっくり魔理沙、その顔はどこか艶めいている すると突然、ゆっくり魔理沙は、震える最後のゆっくり霊夢の赤ちゃんに頬ずりをはじめた 抵抗する余力も無いゆっくり霊夢の赤ちゃんはおびえながら身を震わせる 「ゆっ、ゆっ、ゆっ、ゆっくり!!」 突然強く身体を押し付けるゆっくり魔理沙 「ゆーっ!ゆーっ!ゆーっ!」 「…!!??」 息を荒くしてゆっくりの赤ちゃんのしかかる 「ハァハァ!…ゆっくりしていってね!」 そう、食欲と睡眠欲を満たしたゆっくり魔理沙が生殖行為をはじめたのだ しかし、相手はまだ生まれて間もないゆっくり霊夢の幼生である 「…!?…や゙っ…や゙め゙っ…ゆ゙っぐっ…!」 懸命にもがき、言葉を口にしようとするが、密着した魔理沙の体が邪魔してうまく喋ることができない 「い゙や゙あ゙あ゙゙あ゙っ!!」 行為に耐えられず悲鳴をあげる最後の赤ちゃん その顔は、白目を剥いて、口の横から泡が溢れ出して痙攣している 「ングッ…ハァハァ…!…ハァハァッ!ッゆっくりしていってねっ!!」 ゆっくり魔理沙は声をあげると、途端にぶるぶると小刻みに身体を震わせはじめた 生殖の開始である 「んい゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙い゙っっ!!」 切なげな絶叫が部屋に響いていく… 行為が終了して数時間後、ゆっくり霊夢の赤ちゃんは黒く朽ちはて、その頭からは蔓がのび、数個の実をつけていた しかし、そのうち2個をのこして、他の実は全てドロ団子である そのドロ団子は小刻みに震え、口と思わしきところをパクパクとさせている そう、それは形状を完成させることができなかった奇形のゆっくりの子供達 まだ、ゆっくり霊夢が成長しきっていない体にもかかわらず、生殖行為を強要された結果である その状態では、恐らく生まれてから一日と持つことはないだろう やがてボトボトと蔓から子供達が落ちてくる 衝撃で2個の元気なゆっくり霊夢の赤ちゃんが目をさます 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり魔理沙の挨拶に答える2個のゆっくり霊夢の赤ちゃん達 3個は笑顔でその場をピョンピョン跳ねる それはいつかのような、微笑ましい光景であった ~ゆっくり永久機関~ END 選択肢 投票 しあわせー! (0) それなりー (5) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/283.html
秋と言ったら栗。花の香りがとても卑猥な、あの栗である。 そんな栗拾いに出かけ、籠を一杯にして一休みしているとゆっくりれいむがのそのそとやって来た。 大きいな。ひょっとしたら子持ちかもしれない。そう考えつつぼんやり眺めていると、脇に置いた籠を見つめている。 どうせ食おうとしているのだろう。面白そうなので黙ってみていると、ジャンプして籠に飛び込んだ。 イガグリの海に自ら飛び込むとは何て面白い饅頭だ。昔の若手芸人でもそんな奴はそうそういなかった。 「い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛い゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 大暴れして全身にイガグリが刺さっていくゆっくり。駄目だ面白すぎる。 「ぶはははははははははははははははははは!!!」 たまらず腹を抱えて爆笑する俺。そんな俺に向かって、 「わらってないでさっさとたすけてね!!」 等と怒鳴ってくるゆっくり。さっきまでの狂乱ぶりが嘘のようだ。ひょっとしてああ振舞えば助けて貰えると思ったのか? 「ジャンプして飛び出してくればいいじゃないか」 「ゆ!そうだねっ!!ゆっくりとびだすよ!!」 思い切りジャンプして外に飛び出してくるゆっくり。殆どのイガグリは衝撃で取れたが、体の底には深々と刺さっている。 イガグリの上であんなに強く踏み切った結果がこれだよ。 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」 今度は本気で痛かったらしい。当たり前だ。あんなに深く刺さったら中身にまで届いてる。 再び腹を抱えて爆笑する俺。駄目だこいつ面白すぎる。そんな俺に、今度は全く余裕の無さそうな様子で 「はや゛ぐだずげでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ゆ゛っぐい゛でぎな゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!」 「嫌だよ。どうして俺がお前なんかを助けないといけないんだ?一人でもがいてろよ」 「どお゛じでぞんな゛ごどい゛う゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「どうしてと言われても。別に俺は痛くも痒くもないし。むしろ楽しいし。お前ら風に言えばゆっくりできてるし」 「ゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛!ごでじゃゆ゛っぐり゛でぎな゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「そうかい。じゃ、俺はそろそろ帰るよ。じゃあな馬鹿饅頭。ゆっくりしていってね!!!」 「ひどぅい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛!!!だずげでよ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 ゆっくりが撒き散らしたイガグリを籠に入れて帰宅。途中で十匹程のちびゆっくりとすれ違った。 ひょっとしたら母親の悲鳴を聞いて駆けつけてきたのかもしれない。 悲鳴が聞こえなくなる頃にはそんなどうでもいい事より、晩の栗メニューについて考える。 結局夕飯はお隣さんからお裾分けして戴いたカレーだった。女子大生の作った王子様カレーは最高に美味かった。 翌日も栗拾いに行ってから帰ると、家の中から話し声が聞こえてきた。 すわ泥棒かと思い一気に全身から冷や汗が吹き出る。だが、よくよく耳を澄ませるとそれはゆっくり達の声らしかった。 こっそり覗いて見れば、ベランダの窓が開いている。しまった、鍵掛け忘れてたか。 とりあえず追い出そうと、ゆっくり達が駄弁っている居間へ行く。 「おじさんだれ!?ここはれいむたちのおうちだよ!!ゆっくりでていってね!!」 「ゆっくいでていってね!!」「ゆっくりかえって!!」「ゆっくりしていかないでね!!」「ごゆるりと…」 「はいはい。お前ら馬鹿饅頭が何を言おうがここは俺の家なのでとっとと出て行ってね」 「ゆ!おじさんきのうのひとだね!!」 「きのうのひと?」「だあれ?」「ゆっくりできるひとなの?」「出来ておる喃…おじさんは…」 昨日の?あああのイガグリゆっくりか。略してゆっグリだな。 「このおじさんはゆっくりできないひとだよ!!れいむにひどいことをしたんだよ!!」 「ゆゆっ!!!」「おじさんゆっくりできないの!?」「ゆっくりかえってね!!」「やってくれた喃おじさん!」 「出て行くのはお前らだ。とっとと帰ってイガグリでも食ってろ」 「ゆー!!おこったよおこったよ!!みんなでおじさんをやっつけちゃえ!!」 「ゆっくりしね!」「ゆっくりでていってね!」「ゆっくりどっかいっちゃえ!」「母霊夢はここに居よと申しておらぬ」 あーうるせえ。話を聞かないなら実力で放り出すまでだ。 鷲掴みにして、全て窓から外に放り出す。 「ゆぐっぐ!!ひどい!どうしてこんなことするの!!おじさんとはゆっくりできないよ!!」 と、散々支離滅裂な悪態を吐いて何処かへ行くゆっくり親子。巣に帰るのか? その瞬間、俺に電流走るっ……!そうだ、奴らの巣を突き止めれば面白い事が出来る。 やられっぱなしはつまらんからな。たまにはやり返してやらんと。 素早くドアから外へ出て、気付かれないようにゆっくり親子をストーキングして巣を突き止める。 意外と大きいんだな……出入り口は割と小さいが中は大人二人は入れる位の広さがありそうだ。面白い。 場所は覚えた。後は奴らの巣に押しかけて…ああ楽しそうだ。 あの傍若無人で生来の泥棒気質なゆっくり共が一体どんな反応をするのか想像しただけで笑えてくる。 とりあえず家へ戻って準備をする。明日はここでパーティだからな。貴重品はしっかり保管しないと。それに買い物も必要だ。 翌日、遠足当日の小学生のごとく早起きしてしまう俺。年甲斐も無くドキドキしているのか俺は。我ながら気持ち悪い。 ニヤニヤしながら朝食を済ませ、身支度を整える俺の姿は変質者そのものだろうな。 準備万端整えると、早速昨日突き止めたゆっくりの巣へ向かう。手には昨晩剥いた栗のイガが入った籠とベニヤ板。 ゆっくりの巣に到着だ。籠とベニヤを巣の出入り口からは見えない所へ置き、中を確認する。 全員居る。どうやら食事中のようだ。ではお邪魔させてもらうとしよう。 「おいお前ら!ここは俺の家だぞ!何勝手にくつろいでんだ出て行け!!」 断っておくが決して俺はホームレスではない。 「ゆゆ!おじさんまたれいむたちのおうちをとりにきたの!?ゆっくりでていってね!!」 「ああ?何言ってやがる。お前らの家はここじゃないだろう」 「ゆっほう!!そうだよ!!ゆっくりたちのおうちはここじゃないよ!!さっさとおうちにあんないしてね!!」 「あんないちてね!」「ゆっくりつれてってね!」「ゆっくりはやくしてね!」「おじさま、連れて行って下さいまし」 何だ、あっさりこっちの言う事を聞いたぞ。もっと抵抗するかと思ったのに拍子抜けだ。 「よし、それじゃ着いて来い。40秒で支度しろ」 「ゆっくりしゅっぱつするよ!!ゆっくりおひっこし!!ゆっくり~♪」 「ゆっくいちゅっぱちゅ!」「ゆっくりいくよ!」「ゆっくりたのしいね!」「まこと広うなり申した…」 ゆっくりを引き連れて自宅へ向かう。ゴチャゴチャと楽しそうに騒いでいるのが何とも耳障りだ。 家のドアを開け、全員を中に連れ込み、挨拶をする。 「じゃあな馬鹿饅頭。ゆっくりしていけ」 「ゆっくりしていくよ!!おじさんありがとう!!さっさとでていってね!!」 礼を言う態度じゃねえ。まあいいや。手の届かない所にあらかじめ置いてあったバルサンを起動させて家を出て鍵をかける。 悠々とゆっくりの巣へUターン。中に這入り、ゆっくり達の家具であろう草や葉でできたベッドらしき物をぐちゃぐちゃに踏み散らかす。 備蓄の食糧は全て外に捨てる。ゆっくり達の玩具らしきガラクタの類は全てバラバラに壊す。 とにかく徹底的に巣の中を壊し尽くした頃には、ぼちぼちバルサンも終わっている時間になっていた。 自宅へと取って返し、ゆっくり達の様子を見なければ。ああ忙しい。 ゆっくり達にもバルサンは効くらしい。母ゆっくりだけは辛うじて生きているが、子供達は全滅していた。 全てのゆっくりがバルサンから離れた場所で密集しており、白目を剥いて顔は真っ白、限界まで開いた口から泡を垂らしていた。 「おい起きろゆっくり。一体何があったんだ?」 ビクビクと痙攣している母ゆっくりの頬をびたびた叩きながら白々しく質問する。 「ゆ゛っぎぇ……けむ゛いが…けむ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ひひひいぃぃぃぃぃ」 意識が混濁しまくっていて会話ができん。元々意思の疎通は困難だが、これでは話にならん。 とりあえず冷蔵庫からオレンジジュースを出して飲ませてみる。 1リットル程口に流し込んだら復活した。何ていい加減なんだ。 「ゆっおじさん!!ここじゃゆっくりできないよ!!けむりがもわもわってなってゆっくりできなかった!!あやまってね!!」 「何で謝らないといけないんだ。お前らが勝手にここに住み着いたんだろうが。俺は知らん」 「ゆくー!どうしてそんなこというの!!こんなゆっくりできないところはおじさんがすめばいいんだよ!!」 「そうかいそりゃどうもじゃあここは俺の家だから、とっとと帰れ」 「いわれなくてもそうするよ!!おうちかえる!!」 「おい、汚いから片付けていけよ。このボロクズをな」 「れいむはしらないよ!!おじさんがゆっくりかたづけてね!!」 何て薄情な奴だ。子供の死体の処分を面倒臭がった。 「ああそうかい。じゃ、これは俺が貰っておく」 ビニール袋に死体を入れる。これは後で使えるな。持って行こう。 「じゃ、行くぞ」 「どこへいくの!?ゆっくりできるところ!?」 「アホか。お前の家だよ。あんな薄汚い家は俺も要らないからな。お前にやるよ」 「きたなくないよ!!れいむのおうちはきれいだよ!!ゆっくりあやまってね!!」 「知るか。ほれ早くしないと置いていくぞ」 「まって!ゆっくりつれていってね!!」 どうして俺が一緒に行くのか疑問にも思わないらしい。まあその方が面倒が少なくていいが。 巣に着く頃にはもう機嫌が直っていた。情緒不安定かこいつは? そんな上機嫌ゆっくりを待っていたのは荒れ果てた自分の巣だった訳だが。 「ゆ゛ぐ!!ひどい!!だれがこんなことをしたの!?おじさんがやったの!!?」 「そんな訳無いだろ?あー、そうだ。野良犬だ。野良犬が荒らしていったんだよ」 「ひどいよ!!いぬさんなんてきらいだよ!!ゆっくりなおしてね!!」 「俺には関係ないだろ。大体、こうなったのもお前がきちんと戸締りしないからだぞ。だからお前が悪い」 「とじまり!!?とじまりってなあに!!ゆっくりできるもの!!?」 「ああ。ゆっくりするのに戸締りは欠かせない。戸締りしないでゆっくりできる訳が無いんだ」 「じゃあおじさんがれいむのおうちをとじまりしてね!!さっさとゆっくりさせてね!!」 「いいとも。じゃあまず奥に行け」 「わかったよ!!ゆっくりいくね!!」 何の疑いも持たずに奥へ向かうゆっくり。こいつ本当に人を疑う事を知らないんだな。 「ほれ、エサだ」 ゆっくりチルドレンの入った袋を投げ込む。 「これはごはんじゃないよ!!れいむのあかちゃんだよ!!」 あ、一応自分の子供だとは認識してるんだ。あんまり薄情だからてっきり分かってないのかと。 中から飛び出して来る前に、籠を持ってきてイガを流し込む。 「そら、これもエサだ。沢山あるぞ。喜べ」 「い゛だい゛い゛だい゛!!ごれ゛はだべら゛れ゛な゛い゛よ゛お゛お゛お゛お゛!!!」 「そんな贅沢言うなよ。じゃあ後は戸締りだ。ゆっ栗して逝ってね!!」 ベニヤで出入り口を塞ぐ。中からは痛いよ、助けて、出してという悲鳴が聞こえてくる。 数時間、音楽を楽しむようにその悲鳴を聞き続けていたが、やがて疲れたのか寝息が聞こえてきた。 これからはしばらくここで暇を潰せそうだ。あの死体に手を付けるのは一体いつなんだろう。 俺は当分続くであろう娯楽にまたニヤニヤしながら家路に着いた。途中ですれ違った人が不審者を見る目でこちらを見ていた。 FESTIBAL du MARRON FIN 作:ミコスリ=ハン
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2782.html
前 2つ目の土嚢は異常に大きかった。その高さはドスまりさの身長を超えており、飛び越えることは不可能。 しかし、道を外れると木々が生い茂っていて大きすぎるドスまりさではこちらを通ることも困難だった。 業を煮やしたドスまりさはできれば取って置きたかった3発限りの虎の子の破壊光線(ドスパーク)を放ち、土嚢を破壊した。 すると、中から・・・ 「ゆぎゃあああああああああ!!」 「あづいよ”ああああああああ!!」 「いだいいいいいい!!ゆっぐりでぎないよおおおお!!」 「だずげで!だずげでえええ!!」 「ごれぢゃゆっぐりできないよ!」 見知らぬゆっくりたちの断末魔。どうやら土嚢の中に放り込まれていたらしい。 『あ、ああ・・・』 助けるべきゆっくりたちを、自らの力で焼き払ってしまったことにショックを隠せないドスまりさ。 その頬には若干ながら涙が伝っている。 「まりさ!ゆっくりきにしないで!わるいのはこんなことをしたひとなんだから!」 『ゆ・・・そうだね!きをとりなおしてゆっくりいくよ!』 それでもれいむの言葉ですぐに気を取り直したまりさの前に3つ目の土嚢が立ちはだかる。今度は7mくらいの高さだ。助走をつければ飛び越えられるかもしれない。 『ゆっゆっゆっゆ・・・ゆ~っ!!』 たっぷり助走をつけたドスまりさは体の最底辺を土嚢にこすりつけながらも、何とかその土嚢を飛び越えることに成功し、無事着地した。 『ゆぎゃっ!?』 「どうしたの、まりさ!?」 どうやら、土嚢の中に刃が仕込まれていたらしい。こすった最底辺の出来た切り傷がじりじりと熱を帯びている。そして底から僅かながら餡子が流れ出す。 『だ、だいじょうぶだよ!ちょっとちゃくちしたときにいしをふんだだけだよ!』 4つ目。今度の土嚢は6m程度。怪我をしているが体の大きなドスまりさとってはたいしたダメージではないし、ちゃんと助走をつければ底辺をすることもなく飛び越えられるはず。 そして、予想通り無事飛び越えることが出来たのだが・・・悪意はその向こう側に潜んでいた。 熱せられた巨大な鉄板。その存在に気付いたときにはドスまりさには成す術も無く着地するという選択肢しかなかった。 『ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!』 先ほどとは比べ物にならない痛みとそれに比例した大きさの叫びが響き渡り、木々を揺らす。 しかし、ドスまりさは他のゆっくりとは比較にならない意志力で叫びながらも鉄板の上を素早く跳ね進んでダメージを最小限にとどめた。 「ゆゆっ?!まりさ、どうしたの!?だいじょうぶっ!?」 また帽子の中からドスまりさの安否を気遣うれいむ。 『ま、またいしをふんじゃっただけだよ!!』 れいむを心配させまいと必死で痛みをこらえながら虚勢を張る。 次、7mほどの高さの土嚢が来たら、今度は飛べるだろうかという懸念を抱きながらもゆっくりと進んでいく。 すると、目の前に透明な箱に入れられた数匹のゆっくりが視界に入った。 『ゆ!だいじょうぶ!?』 そのゆっくりたちを気遣い、急いで駆け寄っていく。すると・・・ 「「「「「「「ゆぎゃ!」」」」」」」 という悲鳴が足元から聞こえてきて、その直後に・・・ 「あ”あ”あ”あ”あ”でいぶのあがぢゃんがああああああああ!!」 「ゆううううううううう!!まりざのあがぢゃんがああああああああ!!」 箱の中のゆっくりたちの悲痛な叫び声が響き渡った。 そう、足元には葉で隠され、石に偽装された子ゆっくりたちが転がっていた。 「どぼぢでごんんなごどずるのおおおおお!!」 「ゆっぐりぢでぎないならゆっぎりぢねえええ!!」 続いてやって来たのはドスまりさへの罵倒。子どもを殺された憎しみで気が狂ったかのようなおぞましい形相を浮かべている。 『ご・・・ごべんなざいいいいいいいいい!!』 ドスまりさは泣き叫びながら、逃げるように加工所に進んで行った。背中で憎しみを一心に受けながら。頭上のれいむの「あかちゃん・・・ごめんね」という悲しげな呟きを聞きながら。 そして5つ目の土嚢。高さ6m程度の何の変哲も無い代物だ。しかし、今のドスまりさには飛べるかどうかかなり怪しい高さでもある。 それでも助走をつけ飛び上がる・・・が飛び越えることはままならず土嚢の上に着地する。否、飛び越えられなかったわけではない。 ドスまりさが下を見ると、そこにはプールがあった。そう、さっきの鉄板からこの攻撃を学習したのだ。 素早く土嚢を蹴り、プールの向こう側へと着地することに成功した。 6つ目はまたしても10mを越える高い壁だった。越えることはままならない。しかし、ドスまりさの巨体では迂回もまた困難。 先ほどのゆっくりたちの断末魔を思い出しながらも、再びドスパークを放った。 「「「「ゆぎゃあああああああああああ!!」」」」 またしても土嚢の中にいたゆっくりたちの断末魔が響き渡る。 案の定の悲劇がそこにあった。 『・・・ごべんね!』 ドスまりさを目を強く瞑ると急いでその場を後にした。 7つ目は一見すると普通の土嚢だった。高さは6m程度。さっきも飛べたのだから今回だって飛べるはず。 そう自分に言い聞かせながら勢い良く助走してから、土嚢の上に一瞬だけ着地し、再び宙を舞う。 下を見て何も無いのを確認すると徒労だったか、と少し落胆するが、その直後、木製の巨大な杭がドスまりさめがけて飛んできた。 数は3本。幸い直撃コースにあるのは一本だけ。しかも体を上手くひねれば帽子だけで済むような、そんな軌道だ。 しかし、ドスまりさは自分の帽子の中にれいむがいることを思い出し、それをかわすこと無く右の瞳で受け止めた。 『ゆぎゃあああああああああああああああ!!』 今までの攻撃とは比較にならないほどの痛みがドスまりさを襲い、なんとか杭を引き抜くと、右目に出来た空洞から餡子があふれてきた。 「ゆ!?まりさ、どうしたの?!」 『ゆ・・・だ、だいじょうぶだよ。ちょっとごみがめにはいっただけだよ』 まだ加工所に到着してすらいないのに、ドスまりさは満身創痍に近い状態にあった。 8つ目の土嚢はまたしてもただの高い壁。きっとこの中にも・・・。 そんなドスまりさの陰鬱とした想像を汲み取ったかのように急に雨が降り始め、それと同時に何処からか声が聞こえてきた。 「大丈夫だよ。その中にはゆっくりは入っていない。気にすることなく砲撃を撃てば良いさ」 この声の主はきっと人間だろう。正直、信じてよいものか疑わしい。しかし、何をするにしても他に選択肢がないのもまた事実。 ドスまりさは砲撃を撃つために残された僅かなエネルギーを体内からかき集めると最後の砲撃で土嚢を破壊した。 破壊された土嚢の中には確かにゆっくりはいなかった。そして、その影からたった一人の青年が姿を現した。 背丈は人間にしては高いほうだが2mにも届かず、ドスまりさと比べれば赤子と大人くらいの差があるように思える。 青年の手には異様に長い槍が握られており、それを肩にかけたまま不敵な笑みを浮かべている。 「ようこそ、ウスラでかいクソ饅頭♪」 『おにいさん、じゃまだよ!ゆっくりどいてね!』 他のゆっくりよりやや低い声でドスまりさが威嚇しても、その青年は身じろきの一つもしない。 信じられないことに彼は自分の勝利を確信しているのだ。その身の程知らずぶりはゆっくりのそれに通ずるものがある。 しかし、一つだけ違うことがあるとすれば・・・彼は人間だと言うこと。 ここに来るまでに仕掛けられた狡猾な罠の数々もきっと彼が仕掛けたのだろう。どんなに余裕ぶっていても決して油断はしない。人間とはそういう生き物だ。 『もういちどいうよ、おにいさん!ゆっくりどいてね!そしたらみのがしてあげるよ!』 「ゆっくり風情がこの僕に命令するなよ?生意気だぞ♪」 今の状態で実力の未知数の相手との余計な戦闘は避けたいドスまりさは精一杯に威嚇するが、その青年はまるでその声が聞こえていないかのようにニヤニヤと笑っているだけだった。 しかも、彼の目の動きを見る限り、雨によってぬかるんだ土の何処がへこんでいるかだけを頼りにドスまりさの位置を把握している。 自分より大きい相手というだけでも恐ろしいのに、その上見えない状態の相手を前にしてこの余裕。 ドスまりさはその底知れない相手の存在感に僅かな恐怖を覚えながらも、どこかなきたくなるような懐かしさを感じていた。 ・・・そういえば、昔のまりさを見た人間たちもこんな表情でまりさたちを見下ろしていたっけ。 ・・・・・・そういえば、一度人間の子どもに挑んで酷い目にあったことがあったっけ。 ・・・・・・・・・そういえば、真正面から人間を見据えること自体ずいぶん久しぶりのような気がする。 そんな感傷に浸りながらも、ドスまりさは目的のために目の前の敵をひねり潰して進むことを決心した。 『はなしのわからないおにいさんだね!そんなおにいさんはゆっくりしね!』 「かかって来なよ、クソ饅頭。僕が心行くまでゆっくり虐待してあげるよ!」 互いの口上の終了と同時に両者の最初の一撃が放たれた。 その初撃が届くまでのゆっくりとした濃密な時間の流れの中で、ドスまりさはその人間が自分をドス呼ばわりしないことに気がついた。 そもそも、僕は何の能力も無いただの人間だ。せいぜいほんのちょっとゆっくりを虐めるのが得意なだけ。 きっと、彼にこの役割が回ってくる前にこの依頼を蹴った連中であったならばこの程度の相手は何の苦も無く倒せるのだろう。 しかし、ただの人間にはそうは行かない。槍で腹を突いても僅かに悲鳴が聞こえるだけだ。しかも姿が見えないから出血、いや出餡の様子をうかがうことも出来ない。 反面、自分は一撃でも攻撃を喰らえばほぼ戦闘不能。そのまま踏み潰されておしまい。冗談みたいに不利な戦いじゃないか? ドスまりさの動きを確実に封じるために・・・ 「この土嚢の先と森の中にはそこら中に幼いゆっくりが生き埋めになっている。踏み潰したくなかったら下手に動かないようにするんだね♪」 と、釘を刺しておいたのでがんがん距離を詰めてくるということは無いのだが、手近な土嚢を上手いこと僕めがけてと投擲してくるので休む暇が無い。 土嚢程度の重さなら子どもに当たっても運がよければ死なない。しかも腹立たしいことに、僕の足を狙ってに投げてくる。 どうやら足の付近なら子どもはいないし、いたら僕に踏まれてすでに死んでいるものと判断したのだろう。たいした奴だ。 そんなドスまりさの先ほどの激情を微塵も感じさせない冷静な戦いぶりのせいで僕は何度も地べたを転がり泥を被ることになった。 やはり体格差がありすぎる。普通の人間ならばいい加減絶望している頃だろう。しかし、僕は虐待お兄さんだ。 誰もまだ虐待したことの無いゆっくりを前にして逃げるなどあってはならない。ゆっくりを虐待する・・・それこそが僕の唯一の力なんだから。 僅かな隙を見つけては槍で突きを仕掛け、泥を投げて位置を確認してから弓を射ってはひたすら攻撃をかわし続ける。 ひたすら森の中に潜んでヒット&アウェイを繰り返す短調な戦いを続けること30分。徐々にドスまりさの攻撃の精度が悪くなってきた。一方、僕の攻撃の精度は徐々に上がっていく。 「賢いといっても所詮はゆっくりだ」 木の陰からじっくりとドスまりさの様子を伺いながらほくそ笑む。 そう、ひたすら投げ続けた泥と矢と槍によってその輪郭が把握できるまでになったドスまりさをじっくりと観察していた。 きょろきょろと僕を探していたドスまりさはようやく僕を見つけると、即座に土嚢を投げようとするが、僕が急いで移動するとすぐに見失ってしまう。 その理由は3つある。 1つはドスまりさが片目をしなっていること。これでは焦点が定まらないし、何より死角が多すぎる。 2つ目は森が薄暗いこと。その上遮蔽物も多いのだから僕を捕捉しにくいことこの上ないだろう。 最後に、泥まみれになった僕が見事に環境利用闘法を使用していること。泥まみれになった僕は森の豊かな土や木の幹の溶け合っていて、容易に見つけることが出来ない。 そう、いつの間にか見えるものと見えないものの関係が逆転していた。 とは言え、やっぱり圧倒的な巨体の前に僕はあまりにも無力だった。 「はあっ!!」 上手く死角に回り込むと、手近にあった槍を手に取りドスまりさに突きつける。 これで突き刺した槍は12本目。それでもドスまりさは一向に動きの鈍る気配を見せない。 いや、動きが鈍らないというのは不適切だろう。元々罠によるダメージで動きは鈍かったし、子どもを気遣ってあまり動けない。 さらに刺さった槍が木々に引っ掛かり、ドスまりさの方向転換の邪魔をし、無理やり方向転換すれば傷口を広げる。 ただ、それだけの攻撃を受けても一向に倒れる気配を見せない。 ドスまりさがこっちに振り向いた瞬間に駆け出し、弓を射ながら再び死角へと逃げ込む。 しかし、こう何度も同じことを繰り返していればいいかげんドスまりさも対策を立ててくる。 多少傷が開くのを承知の上で素早く相手の移動したほうへ90度向きを変える。 いたって簡単なことだが、これだけのことで距離を取っているがゆえの大きく、なおかつ木々を避けて移動しなければならない僕をほぼ確実に視界に収めることが出来る。 何とか目を潰そうと矢を射るが、完全に見えているわけではないのでさすがにそこまで正確に狙うことは出来ない。しかも、周囲の泥の動きを見る限り、目を細めて的を小さくしている。 そんな駆け引きを何度か繰り返し、ドスまりさの投擲モーションを見た僕が素早く反対側の森へ駆け抜けようとする。が、さっきまでいた場所に土嚢が飛んでくることは無かった。 フェイク・・・。投げるモーションだけしておいて投げてこなかったのだ。そして森から躍り出た僕の進行方向めがけて土嚢を投げつける。 「ちっ!このクソ饅頭がっ!?」 しかし、飛んできた土嚢が僕に当たることはなかった。 その土嚢とほぼ同時に帽子から飛び出してきたゆっくりれいむが、土嚢を叩き落して僕を助けた。 『ゆ!れいむ、どうしてじゃまするの!?』 「まりさ、もういいよ!まりさはもうがんばったよ!かんがえてみて?このにんげんひとりにここまでくせんするんだよ?もうどうやってもかてないよ!」 『でも・・・でも・・・』 「もういいよ・・・もうゆっくりしてもいいんだよ・・・」 そんな2匹のやり取りを眺めながら立ち上がると、れいむの後頭部を掴んで持ち上げた。 『れいむっ!?』 「なあ、クソ饅頭。君が素直に降伏すればこの子の無事を保障しても良いよ?」 『ゆ!?ほんとうに?』 「さっきだって土嚢の中にゆっくりがいなかっただろ?」 『・・・・・・わかったよ。だかられいむをゆっくり放してね』 「放すのは無理だ。でも、安全も無事も健康も保障するし、その確認のために3日に1回の面会を認めてあげるよ」 『ゆぅ・・・。れいむいがゆっくりできるなら』 それから加工所にたどり着くまでの道中、別れを惜しむかのようにずっと見つめ合っていた。 そんな2匹を見ていると僕はこみ上げてくる感情を抑えるのがつらくなってきて、口に手を当てて無理やりそれを噛み殺した。 ドスまりさの加工所襲撃の日から3日が経った。 ここで出されるご飯は決して美味しくはないけれど、特別不味いわけでもない。 全く身動きが取れないこの透明な箱は少し苦しいけれど、それでも不愉快な連中に囲まれているよりはずっと良い。 毎日のように実験と称して人間が変なことをしてくるのは少し鬱陶しいけれど。 でも、これでれいむが無事にゆっくりできるなら何も言うことはない。 そういえば今日は約束の最初の面会日だ。 れいむと会ったら何を話そうかな? ずっとここにいるからあんまり話すことがないや。 こまったなぁ・・・これじゃれいむを退屈させちゃうかもしれない。 そんなことを心配しながら必死に話題を考えていると、あのお兄さんに連れられてれいむがやってきた。 『れいむ・・・ひさしぶり』 思わず涙が出そうになる。けれど必死でこらえて笑顔でれいむを迎えた。 「・・・うん、ひさしぶりだね!」 けれど彼女の様子はどこかそっけない。一体何かあったんだろうか? 『れいむ、ちゃんとごはんはたべてる?いじめられてない?』 「そんなことされてないよ!ごしゅじんさまはすごくやさしいよ!」 『ごしゅ・・・じんさま?』 『おにいさん!れいむになにをしたの!?』 「何もしてないよ?約束どおり無事に安全に大事にしている」 「そうだよ!ごっしゅじんさまはいままでどおりれいむをかわいがってくれてるよ!へんなこといわないで!」 『今まで通りってどういうこと?』 「君がれいむと会うずっと前からそうしていたように可愛がって大事にしている・・・そういう意味だよ。馬鹿なクソ饅頭には分からないかな?」 「ごしゅじんさま!こんなのはなしてたらゆっくりできないよ!」 『ま、まってれいむ!』 「さようなら・・・・・・“どす”まりさ♪」 思考が追いつかない。れいむは何を言っているの? もう訳が分からない。自分は一体・・・一体、何? 何とは何?何に対して何といっているの? もう訳が分からない。頭が痛い。もう何も考えたくない。 自分はどうすれば、どこにいけば、いつになったらゆっくりできるの? もう、何もかも分からない。 『ゆぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』 たった一つの支えを失ったドスまりさの慟哭が加工所にこだまする。 誰もが忌々しそうに耳を塞ぐ中、僕だけは3日前にかみ殺したものを吐き出すように大笑いしていた。 (終) ----あとがき---- 鬼意さんの所持する情報があまりにも多かったり、 れいむの行動が明らかに基地外じみていたりするのが気になった人もいるとは思います。 とりあえずこんなオチでした。つまらん?さーせん>< ドスまりさのスペックがかなり高めだったのでお兄さんでもホイホイ虐待できませんでした。 スーパーお兄さんタイムを期待していた方、ごめんなさい! れいむの「強制ゆっくりはいやん」でゆっくり光線を封印したりと頑張ったんですけどね。 さて、変態お兄さんでも書くか・・・。 byゆっくりボールマン ゆっくりいじめ系322 ゆっくりボール 虐 道 無 阿求×ゆっくり系8 ゆっくりボール2 虐 道 ゆっくりいじめ系353 ゆっくりボール3 虐 環 無 ゆっくりいじめ系357 ゆっくりボール3-2 虐 環 捕 無 ゆっくりいじめ系365 ゆっくりボール3-3 虐 制 無 ゆっくりいじめ系375 ゆっくりボール4 虐 家 捕 無 ゆっくりれみりゃ系いじめ31 ぷっでぃ~ん天国 虐 捕 無 ゆっくりいじめ系401 びりゃーど 虐 家 道 無 その他 ゆっちぇす そ ゆっくりいじめ系412 必殺コンボ? 虐 ゆっくりれみりゃ系いじめ36 ゆっくりぼーる5 虐 家 道 ゆっくりいじめ系436 ゆっくりみだら1 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系438 ゆっくりみだら2 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系442 ゆっくりみだら3 そ 家 性 無 ゆっくりいじめ系448 ディスコミュニケーション そ 無 妊娠ゆっくりゃいじめ ゆっくりみだら4 鬼意さんVSドス 1 鬼意さんVSドス 2 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/697.html
「……!……!」 「うん……?」 何か音が聞こえる。それと、枕元から漂ってくる、妙な熱気で目が覚めた。 「んほおおおおおおお!!!」 「んぎっもっちいいいいいいい!!!」 「「すっきりーーーー!!!」」 「うおおおおおあああああああ!!!!」 あまりのおぞましさに私は飛び起きた。 そう、それは最近幻想郷に蔓延しているというゆっくりとかいう生物だった。人語を解し、その性質には不明な点も多いが押しなべて自己中心的で、人間に迷惑をかけて恥じないどころか増長するという噂は聞き及んでいた。 聞き及んではいた、が…… よりにもよってこの私の寝所へ侵入し、その上生殖行為にふけるだなんて。 しかもよく周囲を見回せば、さまざまなものがこいつらに荒らされて散らかり放題になっている。 許せない…。 「ゆっ!?おねえさん、どうしてひとのぷらいばしーをしんがいしているの?ばかなの?しぬの?」 お前らは”ひと”じゃないし、プライバシーを侵害されてるのはこっちの方だ。 「れいむのおうちからゆっくりでていってね!!」 ぷちん、と私の中で何かが切れた。 いや、落ち着こう。こいつらとは会話にならないと聞いている。喩えるならば、オウムと本気で会話を試みるようなものなのだろうか。 であるならば、自らの品格をおとしめるような真似はしたくない。 私はため息をつき、気持ちを落ち着ける。 あえて怒鳴りつけたり、出て行くように諭したりはしなかった。 できる範囲で必要なことを速やかになす。 「ゆゆっ!!」 「だまってないでなんとかいったらどうなんだぜ!!」 「………」 手で触れるのも嫌だったので、隙間を経由してご退場いただいた。 エターナル冷やし饅頭 隙間から飛び出すと、そこはゆっくり達の以前住んでいた草原だった。 「れいむのゆっぐりぶれいずがあああ!!!」 「だぜえええええええ!!!」 理由もわからないまま、ゆっくりぷれいすを失ったことに泣き叫んだゆっくり達だったが、五分とたたないうちに忘れて新たなゆっくりを開始した。 そしていくらかの時間が過ぎる…。 「れいむのあかちゃん、ゆっくりそだってね」 「まりさのこどもでもあるんだぜ!ゆっくりうまれてくるんだぜ!」 あの時、紫の家で身ごもった子が生まれようとしていた。 いまや親となった二匹のゆっくりは、口々にやがて生まれてくるわが子へと話しかける。 そしてついに、 「ゆゆっ!!うまれるよ!!」 「ゆっくりがんばるんだぜ!!」 出産がはじまった。 「ゆ~っ、ゆ~っ…」 「がんばるんだぜ…れいむ…」 「ゆゆゆゆぅ~~っ!!!」 産道が今までよりも大きく開き、ついに子供が生まれた。 身体から出て行くわが子の重みを感じ、ついにそれが身体から完全に出きったことを確認したれいむは、大きく息をつき、出産の喜びと成功したことへの誇らしさを感じていた。 「まりさ……れいむがんばったよ……」 伴侶であるれいむの方を見る。きっと笑い返してくれるだろうと思って。 しかしその予想は裏切られる。 「おい……でてきてないんだぜ……?」 まりさの真剣な表情から、それが嘘ではないと知れた。しかし、出産した側である自分は、身体から出て行くゆっくりとした感触も覚えているのだ。れいむは混乱した。 「うそだよ!!まりさ、あんまりわらえないじょうだんはゆっくりやめてよね!!」 「うそじゃないんだぜ」 れいむはあたりを見回す。まりさも、れいむのいたあたりの草むらをゆっくりと調べる。 「あかちゃ~ん!!どこぉ~!!」 「はやくでてくるんだぜ~!!」 生まれたばかりのわが子。 これから二匹でゆっくりさせてゆくのだとずっと楽しみにしていた子供。 「う゛お゛お゛ーーーん!!!ま゛り゛さ゛の゛こ゛と゛も゛ぉ゛ぉ゛ーーー!!!」 「どごな゛の゛お゛お゛お゛お゛ーーー!?」 その子は、ついに、見つかることはなかった。 二匹は長い間ゆっくりともせずに探し回り、ついにどこにもいないと悟ったときには大声で泣き叫んだが、いつかそのことも忘れていった。 私は冷蔵庫に見慣れないものがあるのを発見した。藍か橙かのおやつだろうか?私の知り合いと同じ顔付いてるんだけど…? 「ゆっ!ゆっ!おきゃあさん?」 「誰があんたのおかんか」 と、その時不意に、その奇妙な物の来歴について思い当たった。 「ああ、そうだったわね、そんなこともあったわね」 不愉快な出来事を思い出すことになったが、こうして対価は強制的に取り立てているので問題ない。 納得したところで、何が嬉しいのかぴょんぴょん跳ねだした塊に爪を立ててみる。 「ゆぷぎぃぃぃっ!?にゃ、にゃにするにょおおおおお!!!!!」 「親の因果が子に報い、ってね」 致命傷にならないよう、また食べ物として過度に見た目を損ねないよう、つんつんと爪の先で傷をつけていく。それだけでも塊は泣き叫ぶ。 「ゆっきゅりできにゃいよぉぉぉ!!!ゆっくりさせてよお!!!!」 「い・や・よ」 あっ駄目、これ面白すぎる。爪攻撃だけでなく、つねって皮部分を少しだけねじりとってみたり。 「ゆ゛っ゛!!ゆ゛っ゛!!」 「あははははは」 虐待趣味の人の気持ちが少しだけ理解できる。 しかも、親よりはまだしも話を聞く能力がありそうなので、私は言い聞かせてみることにした。 「あなたのお父さんとお母さんが、私の枕元で勝手にゆっくりした結果がこれだよ!!ゆっくりできないまま食べられて頂戴☆」 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 その日、式神とその式神の式神には、おいしい冷やし饅頭が振舞われたという。 (ごめんね二人とも……私はあなた達の安全が確認されてからいただくことにするわ……) もちろん大変美味であり、なにも問題はなかった。 紫は、あのゆっくりの産道にあたる部分に隙間細工を施し、自家の冷蔵庫へと繋げたのだった。 「ゆっくりは野生の動物やいじめ好きな人間に捕らわれてすぐに死んじゃうっていうけど、あの二匹にはできるだけ長生きして欲しいわね…」 あれらが生きて子供を生み続ける限り、紫達は天然で新鮮な冷やし饅頭が食べられるのだから。 あのゆっくり達は、理由がわからないまま何度も出産に挑戦した。 「ま゛た゛と゛っ゛か゛い゛っ゛ち゛ゃ゛っ゛た゛あ゛あ゛!!!!な゛ん゛て゛た゛め゛な゛の゛お゛お゛お゛!!!!!」 「れいむ、おちつくんだぜれいむ」 「も゛う゛い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!ゆ゛っ゛く゛り゛あ゛か゛ち゛ゃ゛ん゛う゛ま゛せ゛て゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 おしまい。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2200.html
「ゆっくりしていってね!」 六畳間の部屋の簡易ベッドから成体サイズのまりさがピョンっと飛び跳ねる。 俺のまりさは可愛い。 ペットショップで血統書付とはいかないが、赤ゆっくりのうちから一緒に生活し 一般的な社会常識を教育してある。 食事のときは「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ〜♪」と意地汚い一面もあるが 養ってもらっているという感謝の心をもった良ゆっくりだ。 「おにーさん、まりさは、そろそろゆっくりした子供がほしいよ!」 うん、そうだな、そのうちな。 そうやってお茶を濁すのが最近の日課になってきた。 飼いゆっくりとはいえ、可愛い子供が欲しいゆっくりしたパートナーが欲しいと思うのは本能だろう。 だが、これは虐待SSだ。 きっと・・・いや必ず、このまりさが不幸になるような出来事がこれから起こる。 これは避けようのない100%確定の事実。 そして、それは今日これからたった一日のうちに起こる出来事だ。 だからこそ俺は飼い主の責任として、全身全霊をかけて今日一日このまりさを守ってみせる。 「ゆっゆっゆっ〜♪」 当のまりさは窓からお外を眺めながら、ベッドのスプリングをトランポリンのように ポイ〜ンポイ〜ンっと跳んで遊んでいる。 窓から覗いている視線の先には花壇の赤いチューリップがあった。 その傍らに、そのチューリップの様に赤い飾りをつけたゆっくりれいむが佇んでいる。 「ゆっくちちぇいっちぇね!」 向こうの、ゆっくりれいむもこちらに気がついてゆっくり同士の挨拶をする。 まだトマトより一回り小さい赤ゆっくりと子ゆっくりの中間程度のサイズ。 危険性はほぼないが、念のため窓の鍵を施錠しておいた。 窓から侵入してきた野良ゆっくりが、飼いゆっくりをレイプして殺すなんてことはよくある事だ。 相手が子ゆっくりとはいえ念には念をいれておいて損はあるまい。 ピンポ〜ン! インターフォンの音が鳴る。 「ちわー、宅配便です。」 「ゆっ、まりさはゆっくりしてるからハンコを押してくるよ!」 ポイ〜ン、ポイ〜ン! 素早く腕を伸ばして、むんずと、まりさのお帽子と頭頂部を力任せに捕まえる。 ポイ〜ンの時の一番高いときに掴むと ゆっくりの運動エネルギーが0の状態として傷つけることなく簡単に捕獲することができる高等テクニック。 こんな事もあろうかと日々練習を欠かさなかった。 「俺が行ってくるから、まりさは部屋で待っててくれ」 「ゆゆっ!ゆっくりりかいしたよ!」 おおかた、まりさにハンコを持たせたら外からレイパーありすが入ってくるなりする展開だろう。 ゆっくりが宅配業者にハンコを持って行ったところ施錠をし忘れて野良ゆっくりの侵入を許してしまうという事例は記憶に新しい。 玄関で伝票にハンコを押すと、ダンボールを受け取る。 ラベルには”お野菜”と記載があり 実家から送られてきた野菜の詰め合わせであることがわかった。 ダンボールで両手が塞がってしまい、ドアを閉めることを慣性に任せた時 ぬっと小さな物体が足元を素通りした。 「こっそりはいるよ!しょろーり!しょろーり!」 子ゆっくりサイズのアリス種だ。 両手が塞がってしまい、足で踏み潰そうとするが 渡されたダンボールの重量が思いのほかあり、ノタノタとしてなかなか踏み潰せない。 そうこうしてるうちに、子アリスはどんどん奥へ奥へと侵攻する。 「しょろーり!しょろー・・・ゆべっ!」 その子ありすが、脳天がバックリっと割れるようにひしゃげて絶命した。 宅配業者のお兄さんだ。 「あぶないあぶない、この季節は野良のゆっくりが家屋に侵入しやすいですからね こういう事は結構慣れてるんですよ」 サッと玄関の外に、潰れたアリスを掃き捨てると 宅配業者のお兄さんは一礼して去っていった。 危ないところだった、アリス種は子であっても危険度が高い。 ゆっくりに交尾はぺにまむを使わなくても極端な話、体が触れ合うだけでも妊娠する。 相手がアリス種となればなおの事ありうる事だった。 今日一日は一切油断しないと誓った矢先にもうこれだ。 ゴソゴソ・・・ んっ、ダンボールの中で何かが動く感触がある。 嫌な予感がしたのでダンボールの口を少しだけ開いて中を覗く。 すると、そこにはバレーボールサイズのれいむとまりさが居た。 「ゆゆっ!ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりできないお兄さんはでていってね!」 「れいむにおかしをもってきてね!それからゆっくりでていってね!」 台所からガムテープを持ってくると絶対に開かないように念入りに口を閉じた。 きっと、野菜を詰め合わせたときに子ゆっくりでも紛れ込んでいたんだろう。 それが、ここに届いたときにはバレーボールサイズにまで成長して、野菜をバリボリと食べ漁っている。 害虫は駆除せねばと、キンチョールのノズルをダンボールの隙間に差し込む。 「ゆっ、なにかニョキっとしたものがおうちに入ってきたよ!」 れいむがノズルの先端を咥える。 「ぱくっ、味がしなくて美味しくないよ!これはできそこないだよ!」 プシューーーーー! 「ゆぶびぼへぶぶぼっ!」 「どうしたのれいむ!」 体内いっぱいに殺虫剤のジェット噴射を受けるれいむ。 まりさは真っ暗なダンボールの中で何が起こったのか把握できていないが、れいむの目や尿道、あにゃるから煙がでてくると それを吸ってしまい、一緒に悶えた。 キンチョールの中身を全て出し切ると、ダンボールの隙間から殺虫剤の嫌な香りが鼻を突き これだけやればゴキブリでも死ぬだろうと箱を放置する。 部屋に戻るまえに風呂場やトイレの窓も施錠を確認し、この家の中に居る限り 絶対に安全だという事に納得すると、まりさを待たせている部屋へ急いだ。 六畳間の部屋に戻ると愕然とした。 さっきまで部屋の外を眺めていたまりさが消えていて、窓が開いている。 外部から石などで割られているのではない。 家の唯一の出入り口である玄関から自分は来たわけで、窓からまりさが外へ出て行ったのは明白だ。 まりさが自分で窓を開錠して外へ? そんな事は今まで一度もなかったが、事態は一刻を争う 俺のゆっくりまりさが虐待なんぞされてたまるか! ホップ、ステップ、ジャンプのタイミングで床、スプリングのついたベッドを踏み切ると 足が窓枠に引っかかって、お空をとんでるように飛び込みながら庭の花壇へ脳天から着地した。 「ぐふっ」 痛みを意に介している暇はない。 柔らかい花壇の土が幸いにもクッションとなり 首が寝違えたように傾いた状態から動かないが、軽症。 すぐに、まりさと先ほどの赤いチューリップの傍に居た子れいむを見つけると懐のジッポライターを取り出した。 あまりの形相にびっくりした子れいむは跳んで逃げようとしたが、踏み切って頂点に達したときを左でガッチリとキープ。 右手でジッポをもって火を灯す。 直火ではなく距離をあけての炙り焼き。 「お兄さんやめてね!れいむはまりさのお友達だよ!」 「あんよがあちゅいよ!ゆっくちやめちぇね!」 「俺のまりさはどこだ?言わなければ足を焼くぞ」 子れいむを捕まえている手に更に力をこめて脅しつける。 ジッポの火を近づけたり遠ざけたりして、本当に足を焼くぞと煽る。 「お兄さん、何を言っているの!まりさがお兄さんのまりさだよ! だからお家に連れて帰っていってまりさに美味しいご飯とお菓子をちょうだ・・・ゆべっ!」 足でまりさを踏みつける。 「俺のまりさは、お兄さんなんて俺のことを呼ばない。おにいちゃまだ!」 「ゆっ、そうだったの? おにいちゃま、まりさはおにいちゃまのお家の飼いまりさだからゆっくりお菓子をちょうだいね! あとれいむを離してあげて、ゆっくり謝ってね!」 体重を重いきしかけてギュッっと踏む。 「むぎゅ〜」 「やっぱりか、正直まりさとまりさの見分けはサッパリつかなかったが そんなこったろうと思ったぜ!」 本当はお帽子の飼いゆっくりバッジがついてない事で自分のまりさでない事がわかっていた。 子れいむの足にはジッポの火を押し付けての直火焼き。 トマトよりも一回り小さいその体は足の面積も狭く、あっというまに黒ずんでいく。 「ゆぴゅきぃー!」 「さあ、俺のまりさをどこへ連れて行った? 言わなければ永遠にゆっくりできなくしてやるぞ!」 「あんよがいちゃいよぉー!やめちぇね! まりしゃはおかーしゃんがおうちにあんないしていっちゃよ!」 「どぼぢでしゃべっじゃうのぉおお!」 ポイッと子れいむを捨てると 今度は足で踏みつけているまりさに向き直り、巣へと連れて行くよう言った。 「まりざのおちびちゃんがぁあー!おちびちゃんののあんよをかえしてね!」 「足が動かないのに、こんなところにいつまでも転がってたら、そのうち犬や猫にでも食われるかもな とっとと、まりさのところへ案内しろや!」 首が傾いたまま凄むと、はたからみたら怒ってるのかなんなのかよくわからない光景だが まりさは「おうちへ連れて行くから許してねー!」と泣き叫んだ。 踏みつけている足をどかすと、ぴょ〜んっと跳び上がり ゆっくりしない動きで、こちらに背を向けるとボフンボフンっと走りだす。 「ゆっくりできないジジイとグズなおちびちゃんはそこで死んでね!まりさはゆっくり逃げるよ!」 「どぼじでちょんなこちょいうにょー!ゆえ〜ん!」 横向きに倒れて自分で起き上がることができない子れいむは恨めしそうにまりさの背を泣きながら眺める。 まりさをすぐには追いかけないでしばらく立ちすくみ、ある程度距離が離れてきたら 早歩き程度の速度で追いかけた。 「ゆっくりにげるよ!ゆっくりにげるよ! お家に帰ればあんぜんだよ! ばかなおちびちゃんはまりさのこどもじゃないよ!」 ボフン、ボフンっと派手な動きなくせに時速2キロくらいしか速度がでていない野良まりさを追うと わずか50メートル程度の茂みに人間がすっぽり入れるような大穴があった。 「飼いまりさは、ここでゆっくりおとなしくしていってね!」 成体のれいむは、飼いまりさの背中をグイグイ押すと巣穴の奥へと押し込んでいた。 その周囲には3匹の子れいむと2匹の子まりさ。 「ゆっくちおくでじっとしててね!」 「おとーしゃんが、にんげんをどれいにしたら、れいみゅたちもゆっくりしたごはんがたべれるよ!」 「おなじまりさなのに、このまりさだけごはんをひとりじめしてたなんて不公平だよ!」 「このまりさは、ここでしぬまでごはんぬきにしようね!」 うぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!! 巣穴を発見すると、逃げていた野良まりさを抜きさり、土煙を上げながらそのままスライディング! 音にびっくりした成体れいむがこちらに振り返るのと同時にその顔面に素足の蹴りが直撃する。 「ゆびゃぶぼっ!」 スライディングの勢いが余って、奥にいる俺のまりさにぶつかるまいと 人体の構造的に無理がある半ひねりをくわえて方向転換 その時、骨盤と背骨あたりでメキメキメキっと鈍い悲鳴が走ったが、構わずきりもみ状に巣穴の横壁にぶち当たって止まった。 子れいむと子まりさが1匹づつ巻き込まれて半壊。 まさに顔の半分だけぐっちゃりと潰れていた。 「ゆっ、なんでおうちに逃げてきたまりさよりも先にジジイがいるの!? まりざのれいぶとおちびちゃんたちがぁぁぁああ!」 遅れてきた野良まりさに向き直って、横っ飛びに蹴る。 綺麗に両足を揃えた、横っ飛びの動きはまるで着地のことなんて考えてない低空ドロップキック。 自身の犠牲の割りには威力の低い蹴りだが、その鬼気迫る一撃は正確に野良まりさの目元をとらえてマシュマロのような目が圧力で抉りだされた。 「まりざのおべべがぁあ!まっぐらでみえないよぼぉお!れいむぅ!どこにいるのぉぉおお!」 「おとーしゃんになにちゅるのぉおお!」 「ゆっくちちねぇええ!」 「おかーしゃんたちのかたきぃぃい!」 ぴこっぴこっと子れいむ2匹と子まりさ1匹が体当たりを仕掛けてくる。 ドロップキックで腹ばいで倒れたままゴロゴロゴロ〜っと横回転。 俺は人間ロードローラーだ! 突き出ていた岩肌に幾重にも切り傷を作ったが、一瞬にして3匹の子ゆっくりを踏み潰す。 「ぶぎゅっ!」 「ぴぎゃっ!」 「ゆごふっ・・・たちゅけて」 僅かな隙間で致命傷を逃れた子ゆっくりだが、人間ロードローラーは壁にぶち当たると 逆回転して帰ってきてトドメを刺した。 「ぶちぇぴっ!」 土煙が止むと巣穴には、光を失ったまりさと顔面にスライディングを受け口が大きく裂けて昏倒しているれいむ 1匹残らず潰れた子ゆっくり達。 それから無傷の俺のまりさが残された。 「怪我はないかまりさ!」 「おにーさんのほうが大怪我してるよ!ぺーろ、ぺーろ!」 目を失い、口がさけ、足の焼かれた子ゆっくりにはもはや悪事はできまい。 こうして俺のまりさは無事だった事だし命だけは助けてやろう。 「おべべがみえないよぉぉおー!れいむどこぉお!」 「ふひゅー!ふほひゅー!」 俺も鬼じゃない。 さきほど、足を焼いた子ゆっくりを巣穴に放り込んで帰してやると まりさを抱えて家路に着いた。 窓から、いっせーのーせっ・・・でまりさを放り込む。 それから、痛む体を我慢して窓枠に足をかけてスプリングのベッドへ着地。 戸締りを完全にしてから窓から飛び出たもんで、帰りも窓からしか入れないのだ。 「おにーさん、だいじょうぶ!」 「なに、平気さ それより、なんでまりさは勝手に窓からお外に出たんだい?」 まりさは、お帽子から赤い花を咥えて取り出す。 それは窓から眺めていた花壇の赤いチューリップだった。 「おにーさんにプレゼントだよっ!」 まりさは窓から見えたチューリップを摘むために外に出たのだ。 注意しなければいけない事だが、いまは叱り付ける事ができずただ頭を撫でた。 ガタンゴトンッ 部屋の外から物音がする。 家の戸締りは完璧だったはず。 しまった、窓が開けっ放しになっていた隙をついて野良ゆっくりに入られたか! ガタンバタンッ!ガシャーン! 「ここは田舎くさいおうちね!アリスがとかいはにこーでぃねーとしてあげるわ!」 「さすが、みゃみゃー!ゆっくちありちゅもこーでぃねーとするからほめちぇね!」 「ありちゅもありちゅも!」 ガラガラガシャーン! 戸棚の陶器類は端から端まで床に叩き落されており 鍋などは中身をぶちまけて床に散らばった中身を赤ちゃんアリスがすすっている。 進入したのはアリス種の一団。 成体サイズのアリスが3匹、子ゆっくりサイズのアリスが5匹、赤ちゃんアリスが10匹前後いる。 よくみると、部屋の隅では子ゆっくりサイズのれいむとまりさが頭から茎を数本生やして黒ずんで絶命している。 状況から見て、先に侵入した子ゆっくり2匹が後から来たアリス種の一団にレイプされ、このゆっくりプレイスも奪われたのだと推測できた。 「ゆっ、おにーさん!アリスはゆっくりできないよ!」 窓は閉めなおしたが、まりさを部屋に1匹で置いておくのは逆に危ないと判断し連れて部屋を出た。 結果的に、俺の飼いまりさをアリスどもの目に晒すことになってしまった。 「じゅるり・・・ゆっくりできそうなまりさがいるわよ!」 「これはとかいはなまりさね!」 「ここはけんかしないでうらみっこなしではやいものがちだわ!」 成体のアリス3匹が嫌らしいザクレロの様な目つきで嘗め回すようにまりさを見ると ジリジリとナメクジの様な動きで距離をつめてきた。 満身創痍であるが、ここで飲まれるわけにはいかない 距離をつめるアリスよりも遥かに素早く助走をつけて飛び込むと、ジャンケンのチョキのような形を作り 先頭に居たアリスの目を勢いよく突く。 「ぴきゅきー!」 フイをつかれたアリスは悲鳴をあげて、両の眼球をこぼす。 それから、中指をおったててファックユーの形を作ると、その切っ先を2匹目のアリスのペニペニにぶち込む。 「ぶぎゅりゅきゅぷ!」 いきり立ったペニペニは兼用の産道へと裏返り自身を犯して同時に大量の白濁液を体内にぶちまける。 3匹目のアリスは足でエイッっと普通に踏み潰した。 「ぶほっ!」 一瞬の出来事に子アリス5匹は赤アリス10匹と震えて縮こまり放心している。 落ちていた鍋に15匹を1匹づつ冷静に回収すると、そこに水を張って ガス台に乗せて火をかける。 さっきのアリスの1匹が自身の頭に数十本の茎と実をつけ黒ずんでいたので、その茎を力任せにひっこぬいて鍋にぶちこんで蓋をした。 目の見えないアリスはポリ製の縦長ゴミ箱へ、自力で脱出はできないのでコンポストとして役に立ってくれるだろう。 それらが一通り済んでから、ようやく赤アリス達の時間が動き出した。 「ゆっくちちぇまいよー!」 「くらいよぉおお!みゃみゃー!」 「こんにゃのぜんぜんとかいはじゃないわー!」 「ゆっくちだしちぇねー!」 「おみずちゅめたいよぉー!」 「みゃみゃー!たちゅけてみゃみゃー!」 「おみずはゆっくちできにゃいよ!」 「ありちゅをふまないでにぇ!ぷんぷん!」 「ありちゅのいもうちょがぁあああ!」 「ぴょんっ、ごぼごぼごぼ、ぴょん!」 「おみずがだんだんあっちゃかくなっちぇきちゃよ!」 「ゆっくちちちぇいっちぇね!・・・ごぼごぼごぼ!」 「ゆっくちちちぇっ!ゆっ、じゃぽん」 「ゆっくちっじゃぽん!」 「ゆっくっ・・・ごぼごぼごぼ!」 「めがぁああ!ありすのとかいはなめが見えないわぁああ! それにくさいぃいい!ここはどこなのぉぉおお!おちびちゃんたちはどこいったのぉおお!」 あっ!カスタードじゃお汁粉にならねーじゃねーか! 「あちゅいぃぃいい!」 「みゃみゃーたちゅけてみゃみゃー!あちゅいよぉぉおお!」 「とけりゅぅぅうう!とかいはにゃありちゅがゆっくちとけりゅうう!」 「たちゅけてねぇええ!」 「あついよぉお!」 「ごぼごぼごごぼごぼ・・・」 「ゆっくちちちぇっ、あちゅいぃいぃ!」 「ゆっくちっ、ぴぎゃああぁあああ!」 「どこなのぉぉお、ありすのおちびちゃんたちいぃぃい!」 程よく茹でられて、熱により実ゆっくりも1匹残らず生まれてそのまま熱湯に溶けていった。 部屋の片づけをまりさとして、鍋を開けてみたが カスタードをお湯で溶いた、なんだかわけのわからないものが完成したので そのまま排水溝に捨てることにした。 カチューシャは排水溝が詰まる原因になりそうなので、生ゴミとしてコンポストの方へ捨てる。 一応は食べれる素材らしいので、そのうち親アリスが処分してくれるだろう。 「おにーさん、おにーさん!」 まりさが口に、黒ずんだ子まりさを咥えていた。 「こらっ!汚いから、そんなの咥えちゃダメでしょ!」 まりさは困った顔をしながら、その黒ずんだ子まりさの頭頂部に生えている実の方を目で訴えている。 1本に1匹の赤まりさと、3匹の赤ありすの顔がすでに形成されていた。 「まりさは、この赤ちゃんを育てたいよ!」 ぴょんぴょんっと跳ぶ。 レイパーありすからちゃんとした赤ちゃんが生まれるとは思えないが このまりさも、赤ちゃんのうちから飼いゆっくりとして育てたら良いゆっくりへと成長してくれた。 ひょっとしたら、この実ゆっくりも同じように育ってくれるかもしれない。 そういえば、まりさは赤ちゃんが欲しいと言っていたな。 「しょうがないな・・・まりさ種だけだぞ」 「ゆっ、他のあかちゃんは可愛そうだけどしょうがないね」 黒ずんだ子まりさから、茎を丁寧に摘むと コップに砂糖水を張って、そこへ茎を挿す。 こうすることで、実ゆっくりはちゃんと赤ゆっくりとして生まれることができるのだ。 赤アリスの実は生まれてからだとまりさに情が移ってしまうかもしれないので今のうちにもいで 親アリスのコンポストに投げ入れる。 コップの砂糖水を吸った茎のまりさの実は、わずか数分のうちにみるみると豊かに太り いまにも生まれようとしていた。 レイパーによる植物方妊娠は早産になる事が多いが、それに栄養状態の良さが加わると更にそれは早まる。 コップの下にはタオルをひいて、落下のときに赤ゆっくりが傷つかないように気を使う。 そして、ふるふると実が揺れ始めたかと思うと、ヘタが千切れて落下。 「ゆっくちちぇいっちぇね!」 丸っこい赤ちゃんまりさが、ころりころりとタオルを転がって着地し元気にご挨拶。 「ゆっくりしていってね!」 まりさが返事をするが、赤まりさはなぜか俺の方をみている。 「ゆっくちちちぇいっちぇね!」 もう一度赤まりさのご挨拶。 「ゆゆ〜ん、ゆっくりしていってね!」 まりさが、赤まりさに近づいてすーりすーりしようとすると、赤まりさがビクッとして表情を強張らせた。 「おじさんはだりぇ!おとーしゃんはこっちのおにーしゃんだよ!」 なんだか矛盾したことを言いながら俺のほうへすりよってくる赤まりさ。 砂糖水をあげたのが俺だからなのか俺の方が親だと認識しているようだ。 「どぼじでぞんなごとをいうのぉおお!」 とうとう、まりさは泣き出してしまった。 まりさを泣かせる悪いゆっくりは許さん! 俺は指でひょいっと赤まりさを摘む。 「ゆぅ〜、おしょらをとんでるみちゃい! さすがおとーしゃんはゆっくちちてるにぇ!」 それをコンポストへポイッ! 「ゆ〜!ゆっくちおちりゅよ・・・ゆべっ!」 「ありしゅのとかいはなあかちゃんんっ!」 本当の親ゆっくりと感動のご対面だ。 「くしゃいぃぃい!、ひぃぃいばけもにょおぉお!」 目が抉り取られてカスタードを覗かせているアリス、目が見えずとも自分の子供であることはわかるようだ。 しかし、赤まりさのほうドクロのようなアリスの顔にすっかり怯えている。 「おにーさん、まりさのあかちゃんはどこへいったのぉぉお!」 このまま放っておいたら、まりさがコンポストをひっくり返してしまいそうだ。 しょうがない、もったいないがコンポストごと捨ててこよう。 まりさを連れて外へ出る。 家に残していくよりも一緒に居る方がまりさにとって安全だと判断してのことだ。 先ほどの巣穴へ行くと、目の見えないまりさと口が裂けたれいむ、それに歩けない子れいむが 3匹で寄り添って寝息を立てていた。 そこへコンポストをひっくり返して、目に見えないアリスと赤ちゃんまりさに、未熟児で生まれるであろう茎つき実アリス3個を開放した。 コンポストの中の生ゴミはせめてもの餞別。 突然の異臭に、まりさとれいむ、それに子れいむは目を覚ます。 「ゆぅぅ〜くちゃいぃぃい、なんなのおぉぉお!」 「ふほひぃぃー!」 「ゆぎゃあぁ!ばけもにょがいるよぉぉお!」 アリスや赤まりさも戸惑っている。 「そこにだれかいるのぉぉお!とかいはなおべべがみえないのぉぉ!ゆっくりたすけてねぇええ!」 「みゃみゃ〜!ばけもにょがいりゅよぉぉおお!」 お互いに目が見えないまりさとアリスは互いに抵抗することは出来ず。 口がさけてるれいむは震えながら歩けない赤れいむを庇う。 赤まりさは懸命に、目なしまりさに体当たりをするが、体が小さすぎてまるで効いていない。 「それじゃあ、お前ら仲良くしろよ!」 互いにその巣穴から逃げることが出来ない事で新たなゆっくり一家が誕生した。 もうすぐ日が落ちる。 家路にまりさを抱えながら歩き 俺は虐待からまりさを守りきったぞ!という満足感でいっぱいになった。 おまけ 「動けるのはまりしゃだけなんだから、ゆっくち餌をとってきてね!」 大声でまくしてたてているのは動けない子れいむだ。 「ゆっ、おそとはこわいよ、まりしゃはおかーしゃんと一緒にいるよ!すーりすーり!」 「ありすのあかちゃん、すーりすーり!」 まだ生まれたばかりの赤まりさは自分で餌をとることなど出来ず、ただ目の見えないアリスに寄り添っている。 口の裂けたれいむだけが僅かな食べ物をとってきているが、ほとんどは自分の分だ。 目の見えないまりさはもう完全に諦めていて、置物のようにジッとしている。 そこへポイ〜ンポイ〜ンっと気の抜けた跳び方をするゆっくりが近づいてくる。 「ゆっくり、たべものをもってきたよ!」 今日も飼いゆっくりまりさが、帽子にクッキーを入れて持ってきた。 「ゆっ、おそいよ!れいむもうおなかペコペコだよ!」 「まりしゃもだよ!ゆっくりしないでいそいでもってきてね!」 「ごめんね、おうちにあるお菓子もだんだん減ってきたらから今日はこれしかないんだよ」 帽子の中のクッキーはほんの3枚 野良ゆっくりにとって普段は食べたことがないほどの味だが、量の少なさがむしろ蛇の生殺しとなった。 「こんなんじゃぜんぜん足りないよ!」 「まりしゃたちはかわいそうなんだよ!ゆっくりりかいしてね!」 「ゆぅ〜、ごめんねごめんね・・・ゆぎゃっ」 そのとき、影になっていた目無しまりさが、まりさのほほに噛み付いた。 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせ〜♪」 「ひどいよ!もうまりさはお菓子もってこないからね!ぷんぷん!」 「ゆぅぅ!れいむたちはかわいそうなんだよ! かわいそうなれいむたちをたすけないゆっくりはゆっくりしねー!」 しかし、足が動かない。 「おじさん、まりさだけでもたすけてねー!」 赤まりさがぴょんぴょんっとすがってくるが、もうまりさは振り返らなかった。 ポイ〜ン、ポイ〜ンっ! 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり 作者:まりさ大好きあき
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/404.html
ある所に、とてもみじめなゆっくりまりさがいました。 ごはんをたくさん食べて、寝て……まだ小さいので子供はいませんし、家族ともずっと昔に別れてしまいましたが、普通のゆっくりとほとんど変わらないゆっくりライフを営んでいました。 周りのゆっくりとほとんど変わらない生活をすごしているのに、なぜこのゆっくりまりさはみじめなのでしょうか? それは、帽子をなくしてしまったからです。 ゆっくりは、生まれた時から帽子やリボンなど、何らかの飾りを身に付けています。 れいむなら赤いリボン、ちぇんならキャベツ……もとい帽子、みょんならキクラゲ……いや黒いリボン、ゆかりならドアノブ……違う。帽子、そして、まりさならとんがり帽子。 種族によって違いはありますが、必ず何かを付けています。 極めて稀な例で、とんがり帽子をかぶったれいむ等といった奇形も誕生しますが、それにしても飾りを身に付けているのには変わりありません。 ですが、みじめなゆっくりまりさにはリボンや別種の帽子すらありませんでした。 飾りは、ゆっくりが生きていくのに必要な器官ではありませんが、だからと言って必要ないものでもありません。 飾りを身に付けている事で、ゆっくりはゆっくりとして、ゆっくりできるのです。 もちろん、みじめなゆっくりまりさは、本当の意味でゆっくりする事はできませんでした。 そのため、飾りをなくしたゆっくりは、代わりの飾りを探します。 ――飾りさえ持っていれば、もうこんなみじめな思いをしなくて良い。ゆっくりできる。 その思いから、ゆっくりなりに必死になります。 探した結果、自分の飾りが見つかれば良いですが、どうしてもない時は別のゆっくりの飾りを奪ってでも手に入れようとします。 ですが、奪われた方のゆっくりにとっては、たまったものではありません。次にみじめな思いをするのは、奪われたゆっくりなのですから。 奪おうとするゆっくりと、奪われまいと警戒するゆっくり。 本来ならば一緒にゆっくりできる仲間と、そんなゆっくりできない関係になってしまうため、飾りのないゆっくりはみじめなゆっくりなのです。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ早く起きます。 近くに寝ているゆっくりがいたら、その飾りを奪うためです。 みじめなゆっくりが、洞窟に入っていきました。 どうやら、まだ寝ているゆっくりを見つけたのでしょう。ゆっくりとは思えないほど慎重に、音を立てない様に注意して入っていきます。 「ゆっ……! ゆっ、ゆー!!!」 「ゆっくりしね!!!」「しね!!!」「ゆっくりでていけ!!!」 どうやら見つかったみたいですね。 激怒したゆっくりれいむ一家に追い立てられて、ほうほうの体で逃げていきました。 母ゆっくりは限界までふくらんで、威嚇しています。石を口にくわえて投げつける子ゆっくりもいます。 目の前で子供を殺された時ですら、ここまでの攻撃はしないでしょう。 ゆっくりの飾りを盗むという事が、どれほど重大な問題なのかをうかがわせる光景です。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ早く食事を終えます。 近くに飾りが落ちてないかどうか探すためです。 先ほど追いかけられたみじめなゆっくりは、へとへとになりつつも食事を探しだしました。 この辺りは、捕食種であるゆっくりれみりゃもゆっくりフランもおらず、エサの量が多いため、みじめなゆっくりでもたらふく食べる事ができます。 「うめっ! めっさうめぇこれ!」 普通のゆっくりまりさと変わらない下品な言葉を発しつつ、たくさんの草や虫を食べていきます。 あらかた食べ終わったみじめなゆっくりは、それほど休まずに動き出しました。 食後の散歩でしょうか? 違います。どこかに飾りが落ちていないか、探しているのです。 みじめなゆっくりは、なめるように周囲を探していきます。 時には、遠出をしてでも見つけ出そうとします。とはいえ、ゆっくりなのでそれほどの距離を移動する事はできません。 みじめなゆっくりが、ゆっくりと戻ってきました。 どうやら飾りは見つからなかったらしいですね。寂しそうにうつむいています。 そんな、落ち込んでいるゆっくりの耳(あるのかは不明ですが)に、別のゆっくりたちの声が飛び込んできました。 ゆっくりまりさとれいむの集団です。このゆっくりたちは、全員帽子とリボンを付けています。 「ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくり……していってね!!!」」」 嬉しそうにあいさつするみじめなゆっくりに対し、姿が見えた瞬間、少し距離を置いてあいさつを返すゆっくりたち。 あいさつをした相手と遊んだ上、そのまま家におじゃまして一緒に寝る事もあるほどに種族仲の良いゆっくりにしては、珍しい光景です。 それもこれも、みじめなゆっくりが飾りを身に付けていないからです。 「ゆっくりあそぶよ!」 「なにしてゆっくりあそぶ?」 「ちょうちょさんとおっかけっこしよう!」 「「「ゆっくりあそぼうね!!!」」」 楽しそうに遊ぶ内容を話し合い、近くに来たちょうちょを追いかけて遊んでいます。 みじめなゆっくりと、普通のゆっくり。 一見仲良く遊んでいますが、実はお互いに非常に警戒し合っています。 「ゆ”っ!?」 「まりさ!」 「……ゆっくりころんだ!」 「だいじょうぶ? ゆっくりおきあがってね!」 「ゆっくり……ゆぎゅぅぅぅ!」 「……ゆっくりおきあがるのてつだうよ!」 「ゆっぐ、いらないから……ゆっぐり、はなれてね!!!」 起き上がるのを手伝おうとしたみじめなゆっくりを、全力で振り払おうとするゆっくりまりさ。 当然です。みじめなゆっくりは、助ける事にかこつけてまりさの帽子を奪おうとしていたのですから。 ちなみに、この時他のゆっくり達はただ眺めているだけです。 どちらのゆっくりが帽子を被るかによって相手への対応が変わるため、うかつに動く様な事はできないのです。 元々のみじめなゆっくりが弾き飛ばされ、木にぶつかって止まったのを見届けてから、また皆で一緒に遊びます。 心配して近づくゆっくりはいません。近づいたら最後、飾りが奪われる可能性があるからです。 ゆっくり達は、遠くから声をかけます。 「ゆっくりだいじょうぶ?」 「ゆっくりこっちにきてね!」 「いたかったら、そこでゆっくりやすんでね!」 「……ありがとう、でもだいじょうぶだからいっしょにゆっくりあそぼうね」 みじめなゆっくりは、優しく問いかける仲間に対してにこやかに返事をしつつ、元気に飛び跳ねながら仲間達の元に行きました。 「ゆっ! おひさまがかくれちゃうよ!」 「たいへん! ゆっくりかえらなきゃ!」 「みんなでゆっくりかえろうね!」 西日が傾いてくると、ゆっくり達は帰宅します。 夜になると、ゆっくりれみりゃやゆっくりフランといった、捕食種が現れるからです。 「ま、まって! もっとゆっくりあそぼうよ!!!」 そんな中、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら皆を引き止めるみじめなゆっくり。 遊んでいる最中はスキを見つけられなかったらしく、飾りはありません。 「ごめんね! でもゆっくりかえらないとれいむがおかあさんにおこられるの!」 「まりさもおこられるから、みんなでゆっくりかえろうね!」 ねー、と声をかけ合うゆっくり達。 みじめなゆっくりが何と言おうとも、普通のゆっくり達は聞き入れず、仲良く帰っていってしまいました。 「まっでー! もっどゆっぐりじようよー!!!」 最後には泣き叫びながら引き留めようとするみじめなゆっくりですが、皆でがっちりと固まって帰ってしまいました。 これでは、帰ろうとするゆっくりの背後から奪い取る事もできません。 結局、みじめなゆっくりは飾りを奪う事はできませんでした。 みじめなゆっくりは、他のゆっくりよりもほんの少しだけ遅く眠ります。 近くにゆっくりが寝ていたら、その飾りを奪うためです。 皆が帰るのを眺めていたみじめなゆっくりも、気を取り直して巣に戻りました。 いつまでもゆっくりしていると、捕食種の餌食になるからです。 ゆっくりと巣に戻り、巣に戻ったらゆっくりして、そのまま眠りに付きます。 「ゆぅ……ゆ……ふぅ……ゆー……ゆっ!」 完全に眠ったと思った瞬間、飛び起きてゆっくり外へと出て行きました。 みじめなゆっくりは、そのまま朝とは別の洞窟に入っていき、何も被らずに出てきました。 自分に合う飾りがなかった様です。 自分と同じサイズのものでなければ、周りから飾りとして認められません。 それでは、奪い取っても意味がありません。 とぼとぼと、みじめなゆっくりが自分の巣に帰ろうとしている最中、話し声が聞こえてきました。 「……よ、ほんとうに……」 「……ね、ゆっくり……」 何事かと恐る恐る覗いてみると、先ほどまで遊んでいたゆっくり達のうち、2匹が楽しそうに談笑していました。 どうやら巣が近くにあった様です。体をくっつけて「ゆぅ~♪ゆっ♪」と歌ったりもしています。 みじめなゆっくりが声をかけようと近づくと、話の内容が聞こえてきました。 「ぼうしないこ、ずっとれいむたちのりぼんみてたよね」 「まりさのぼうしをとろうとしてたよ」 「ぼうしなくてかわいそうだとおもったからゆっくりしてあげたのに、だめなこだよね」 「だめなこだよね、ゆっくりできないこなんだよ、あのこ」 「いやだよね、ぼうしないこはゆっくりしてなくて」 「ほんと、ぼうしないとゆっくりできなくなるんだね」 「きっと、ちかづいたら『ぼうしとるぞー!』っておいかけてくるよ」 「おお、こわいこわい」 みじめなゆっくりは、そのまま動けなくなってしまいました。 昼間に遊んだゆっくり達が、同情のみで遊んでいた事を知ってしまったからです。 その日以来、みじめなゆっくりを見る事はありませんでした。 ――いかがだったでしょうか。 帽子やリボンがないだけで、ゆっくりはこれほど惨めな思いをする事になるのです。 何としても飾りが欲しいと思うゆっくりの思いを理解していただけたでしょうか。 ただ、ここまで見てきて疑問に思われた事があるでしょう。 生きているのじゃなくて、死体から帽子なりリボンを奪えば良いんじゃないか? という疑問が。 確かにその通りです。 ですが、ゆっくりは、どれだけ惨めな思いをしても仲間の死体から飾りを奪う事は決してしません。 それをしてしまえば、皆に殺されてしまうからです。 バレない様にこっそり奪えば良いという意見もあるかもしれませんが、死体の飾りには死臭が付いているため、どれだけこっそりしていても絶対にバレてしまいます。 頭の良いゆっくりが、死臭を消すために肥溜めに落としたりした事がありましたが、そこまでしても死臭を消す事はできませんでした。 ちなみに、そのゆっくりは制裁として肥溜めに落とされ、フタをした上に重石を乗せられました。 ゆっくりにとって、飾りはそこまで重要なものなのです。 だから、ゆっくりにどれだけ腹を立て、殺したいほど憎くても、また、殺したとしても、決して飾りだけは取ってはいけません。 飾りを取った人間に対し、ゆっくりがどれほどの憎しみを抱くか……考えただけで恐ろしくなります。 ゆっくりだから大した事はないと思ってはいけません。 奴らは、飾りを取られた恨みを決して忘れず、どこまでも追いかけてくるからです。 ……なぜ私がここまで怯えるのか、不思議だったり情けなく思ったりする方がいるでしょう。 ですが、これは全て事実なのです。 奴らは、普段は鈍重でボンクラで一匹位いなくなっても気にしない間抜けどもの癖に、飾りを壊した奴の事は決して忘れません。 何が出来る訳じゃない、ただただ攻撃を仕掛けてきて殺されるだけなのに、死体の山を築き上げたとしても諦めずにずっと付いてくるのです。 私は、恐ろしい。 ……あんた、笑ったか? 出来の悪いホラーを見るような態度で笑っただろう。 いや、笑うのも分かるさ。私だって、ゆっくり程度に怯える奴がいたら、笑うさ。 でも、この音を聞いてみろよ。後ろからずっと、返せ返せって呟きながら、べちゃべちゃとついてくる饅頭どもの音をさぁ! 殺すのは簡単だよ、こんな奴ら。無抵抗に近いんだからな。ぶつかってきても痛くも何ともない。 ナイフとかのこぎりとか物騒な器具がなくても、ただぶん殴れば終わるさ。 でも、ずっとついてくるんだよ。返せ、べちゃ、返せ、べちゃ、返せ、べちゃって、ついてくるんだよぉ! 職場でも家でも風呂でもトイレでも、ずっとついてくるんだよぉ!!! ……ほら、今も聞こえるだろう? 奴らの声が。足音が! べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ べちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せべちゃ返せ ――ゆっくりを虐待している皆さん。 ――くれぐれも、奴らの飾りだけは盗られないよう、お気をつけ下さい。 ――さもなくば、彼のようになりますよ。 この話の骨子は、 316のレスを見て思いつきました。多謝。 でもなんで、こんな話になったんでしょうか……自分でも分からないです。 ところで、 863……本当に、怖くないですか?
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/98.html
ゆっくりしっかく はしがき はじめに断っておかねばならない。 以下の文章は、私がまりさの話を聞いて、書いたものである。 私がまりさと出会ったのは、丁度今から一年位前のことで、 そのときまりさは、既にだいぶ老いたゆっくりだった。 体中に傷を負い、帽子は破れ、片目は潰れていた。 制裁か、事故か、虐待か、もっと他の理由か、それはわからない。 腹を空かしていたようなので、私は気まぐれの善意でまりさを自宅に連れ帰り、 いくらか餌をやったら、以下のようなことを私に語ったのである。 だから、文章の大筋はまりさの経験、ゆん生に即しているが、私の空想も多分に含まれている。 本文の中で“自分”としているのは、このまりさのことであるが、 その“自分”の言葉、行動、感想などは、一部を除いてほとんどが、私の想像である。 まりさとはすぐに別れたので、今この瞬間、まりさがどこで何をしているか、私は知らない。 おそらく死んだものと思われるが、断言は出来ない。 とにかく、私は私がまりさから聞いたことの一部始終を、誰かに聞いてほしかった。 だからこの文章を書いたのである。 まりさは賢いゆっくりで、沢山のことを記憶し、私に語ってくれた。 その体験はゆっくりとしては稀有なものと思われるので、 読者諸鬼意山の興味をそそるような事があれば、これ幸いである。 ゆっくりしっかく 恥の多いゆん涯を送ってきました。 自分はまだ子ゆっくりの頃に、いろんなことがあって故郷の森を飛び出しました。 そして、なんの当ても無く、ただただ歩きました。 歩いた先に、人間さんの住む街が見えましたが、自分はそこで疲れ果て、倒れました。 そんな自分を、助けてくれたのは、街に住む、ありすでした。野良のありすです。 自分にはありすの餡(正確には、餡ではないのですが)が流れています。 だから、ありすはそれを感じて、哀れに思ったのかもしれません。 ありすは自分を、分厚い、茶色い紙さんで出来た、ありすのおうちへと案内してくれました。 ありすは元々、人間さんに飼われていたらしいのですが、 その人間さんが他の土地へ移るのと同時に、捨てられて、それで野良になったのだそうです。 ありすは自分に、食べ物をくれました。お魚さんの頭と、お野菜さんのヘタでした。 少し酸っぱい臭いがしました。味は覚えていません。 ありすに「もうすこし、ここにいてもいい?」と聞くと、 「ええ、いいわ」とだけ、答えました。 それ以来、しばらく私はありすのおうちに居座ることになりました。 丁度、雪さんがちらつく季節で、私もありすも凍えるようでした。 ありすと私は頬を寄せ合い、寒さを凌ぎあいました。 ありすに、「かぞくは、いないの?」ときくと、「いないわ」と答えました。 「おちびちゃんが、ほしくないの?」ときくと、「ほしいわ」と答えました。 そして自分の方に、余計に擦り寄ってきました。 自分は森に、妻のれいむを遺してきていました。 れいむに嫌な所はありませんでしたが、その母親が、嫌でした。 れいむの母親は、長の従姉妹かはとこ(記憶が曖昧で、よく覚えていません)で、 常にそのことを鼻にかけているところがありました。 何かあれば、「れいむはおさのゆんせきなんだよ」と、自分を脅し、 自分の狩って来た獲物をゆすり取る始末でした。 さらにひどいのは、自分に対して、良からぬ事を求めてきたことでした。 自分は拒みました。拒めば相手も一旦は退きましたが、 すぐにまた、同じことを要求して来ました。 とうとう自分は、逃げました。なんの罪もない妻を置いて、群れを捨てました。 そしてただなんとなく、この街に来て、すぐに、あのありすに会ったのでした。 ありすとの間には、沢山のおちびちゃんが生まれました。 たしか、雪さんの溶けた頃でした。自分にそっくりなまりさが、一匹生まれました。 なぜか、自分はそのおちびちゃんを可愛いと思いませんでした。他のおちびちゃん達も、同じです。 ただの饅頭にしか、見えませんでした。 ありすが喜んでいたので、自分もそういう振りをしましたが、内心では全くの無感動でした。 おちびちゃん達が生まれても、自分はしばらく、ありすと一緒にいました。 しかし、食べ物は溢れていても、常に危険が付きまとうのが、この“街”というところでした。 ゆっくりは、人間さんたちから“いきもの”と認められていませんでした。 自分達は、“ナマモノ”と呼ばれていました。 ナマモノというのは、お魚さんや、牛さんや、豚さんの死んだものと同じ呼び方です。 つまりその程度の扱いしか受けませんでした。あるいは、それ以下の扱いでした。 何もしていないのに、すすんで自分達ゆっくりを殺そうという人間さんはあまりいませんでした。 でも、ゆっくりが人間さんの捨てたものを漁ったり、人間さんの物を盗ったりすると、 人間さん達は、全く容赦なく、ゆっくりを殺しました。 実際に何度か、ゆっくりの死体を見ました。 自分は生来臆病なので、そういった危険を冒す事はしませんでした。 “こーえん”と呼ばれる、小さな森のようなところで、 苦い苦い草さんや、小さな小さな虫さんを採っては、食べていました。 たまに木の実さんが取れると、それはごちそうでした。 しかし、寒い季節に採れる食べ物は微々たるもので、 自分とありすの二人きりのときはそれでもなんとかなりましたが、 おちびちゃん達が生まれると、とても足りなくなりました。 結局、ある日の朝早く、私はありすと、そのおちびちゃん達を置いて、そのおうちを出ました。 そして二度と戻りませんでした。また、逃げたのでした。 その日の夕方、自分は再び、街の中をぶらぶらと徘徊していました。 道端に、れいむの家族がいました。 れいむと、三匹のおちびちゃんたちでした。 れいむ達は、道端に紙さんを敷き、その上に座って、大きな声でお歌を歌っていました。 「ゆっくりのひ~♪すっきりのひ~♪まったりのひ~♪」 なんだか哀れでした。人間さん達はれいむ達に見向きもしません。 それでもれいむ達は歌うのをやめません。 「れーみゅたちのおうたでゆっくりちていっちぇにぇ!」 「おうちゃをきかしぇちぇあぎぇりゅかりゃ、あまあまをちょーらいにぇ!」 ちびれいむたちも、必死で懇願していました。 「ゆっくりしていってね」 「ゆゆ、ゆっくりしていってね!」 「「「ゆっくちちちぇいっちぇにぇ!」」」 自分は居ても立ってもいられなくなって、れいむ達に声をかけました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだね!」 「おうたをうたっていて、ほんとうにあまあまがもらえるの?」 「ゆゆ、れいむはおうたがじょうずだからね!」 れいむの脇には、なにか硬いものでできた、細長い入れ物が置いてありました。 中を覗いてみると、飴さんが二つに、キャラメルさんが二つ、 それからグミさんとチョコレートさんのカケラが一つずつ入っていました。 なるほど、このれいむ達が、どうにか暮らしてゆけるくらいの食べ物は、手に入るようでした。 「まりさも、れいむのゆっくりしたおうたをきいてゆっくりできたから、これをあげるね」 自分はその硬い入れ物の中に、採って来た木の実さんを一つ、入れました。 「ゆゆ、ありがとう!まりさはやさしい“びゆっくり”だね!」 「「「ありがちょーにぇ!」」」 その木の実さんは、本当はありすにあげるはずのものでした。 でも、ありすの処へは戻れません。だから、れいむにあげたのでした。 このれいむも、番相手とはぐれたようだったので、せめてもの罪滅ぼしに、と思ったのです。 その日の夜は、一人で(以前見つけたのとは別の)こーえんで過ごしました。 一人で眠るのは久しぶりでした。いろいろなことを考えました。 風はまだ冷たくて、どうにかこうにか落ち葉さんを集めて、震えながら眠りました。 次の朝目が覚めて、いつものとおり食べ物を探していると、自分と同じゆっくりまりさに出会いました。 「ゆゆ、みたことのないまりさだぜ!」 まりさも、あのれいむと同じことを言いました。 どうやら野良のゆっくりというのは、飼いゆっくりは言うに及ばず、 野生のゆっくりよりも、見たことのないゆっくりへの警戒心が強いようでした。 きっと、ゆっくりにとってなんの掟も無い街の中で、 うっかりしていると食べ物やおうちを盗られてしまうからでしょう。 しかし自分にそんな考えが無いと知ると、 まりさは随分と打ち解けて、いろいろな事を話してくれました。 家族やおちびちゃんは居ないのかと聞くと、 「まりさはいっぴきおおかみなのぜ!そんなものはすててきたのぜ!」と答えました。 どうやらこのまりさも自分と同じく、番相手やおちびちゃん達を捨ててきたようでした。 まりさは変なしゃべり方をするゆっくりでした。 言葉のお尻に、「のぜ!」とか「だぜ!」とか、そんなものを付けてしゃべりました。 まりさは自分のことを「きっすいののらなのぜ!」とも言っていました。 つまり、まりさの両親も、野良ゆっくりだということなのでしょうが、 どうやらそれは、まりさにとって誇りのようでした。 なぜだかは、よくわかりませんでした。 わたしはこの変なまりさと、一緒に行動することにしました。 一緒に狩りをして、一緒にむしゃむしゃして、一緒に眠りました。 自分とまりさとは同じ種類のゆっくりなので、 お互いゆん愛感情を抱くことはありませんでした。 自分はなんとなく、このまりさと一緒に居るに過ぎないのでした。 それからしばらくしたある日、 まりさが自分に「いいところへつれてってやるんだぜ!」と言って来ました。 随分暖かくなってきた頃で、食べ物も充分に確保できていたので、 自分はまりさの言う「いいところ」へ付いて行くことにしました。 まりさに付いて行ったその先には、一軒の、例の分厚くて茶色い紙さんでできたおうちがありました。 中にはありすが居るのが、遠くからでもわかりました。 勿論、あの、自分が“ひどいこと”をした、あのありすではありませんでした。 「たまにはいきぬきもひつようなんだぜ!」 まりさはそう言いましたが、自分には何がなんだかわかりませんでした。 「あのありすは“ゆんばいふ”なのぜ!」 “ゆん売婦”―――はじめて聞く言葉でした。 まりさの言うゆん売婦とは、食べ物と引き換えに、 すっきりをさせるゆっくりのことでした。 自分はまりさに薦められるままに、そのありすのおうちへ入っていきました。 「いらっしゃい……あら、びゆっくりさんだわ。ゆっくりしていってね」 「ゆっくりしていってね」 近くで見るとそのありすは、思っていたよりも綺麗なゆっくりでした。 少し年をとっているように見えましたが、 自分なんかよりよっぽど、美ゆっくりといえました。 自分は随分緊張していましたが、ありすの艶々しさに欲求を抑えられなくなり、 結局、すっきりをしました。 「こんなことをして、おちびちゃんができたらどうするの?」 少し落ち着いた自分は、ありすに尋ねました。 「ありすはもともとにんげんさんのところにいたの。そのときに“きょせい”されたのよ」 「“きょせい”?」 「そう。ぺにぺにをきって、まむまむにあついぼうをいれて、おちびちゃんができないようにするのよ」 ありすは悲しい顔をしました。 「だからこうしてすてられても、おちびちゃんのできないありすと いっしょになってくれるゆっくりはいないのよ」 生きるために、と言ったらなんだか美化しすぎているようですが、 このありすがゆん売婦になったことは、 ある意味当然の流れだったのかもしれないと思いました。 きっとありすはこの先もずっと、 そのゆん生が終わるまで、たった独りで生きてゆくのだと、その時は思いました。 帰り際に、ありすは自分を呼び止めて、こう忠告しました。 「あのまりさは“げす”なんだから、あんまりなかよくしないほうがいいわ」 “ゲス”―――ゆっくりにとって最低の称号でした。 ゆっくりがナマモノなら、ゲスはそのナマモノですらない、本当のクズでした。 一緒に居るまりさのことを、こんな風に言われたのは少し心外でしたが、 どういうわけか、自分はそのゲスという言葉を忘れられませんでした。 その後しばらくして、まりさと自分は些細なことでケンカをして、別々に行動することになりました。 まりさと自分は、それまで溜め込んだ食べ物を半分ずつに分けることにしました。 そのとき、まりさの帽子が随分膨らんでいるのに気が付きました。 でも、自分は見て見ぬ振りをしました。 まりさがそんなことをしたので、自分の取り分は僅かになりました。 でも、自分はそれに文句を言いませんでした。 自分はその食べ物を、ゆん売婦のありすの処へ持っていって、あるだけ使ってしまうことにしました。 「こんなにつかってしまって、だいじょうぶなの?」 「しんぱいないんだぜ……ありすはえんりょなくうけとるといいんだぜ」 「でも……もうすぐあめさんのきせつになるわ。とっておかないとたいへんよ」 自分はあのまりさに影響されたのか、知らないうちに変なしゃべり方をするようになっていました。 ありすは自分に少し好意を持っているようで、自分のことをしきりに心配していました。 (自分は元々、ゆっくりありすに好意をもたれることの多いゆっくりでした) 自分はありすのその好意につけ込んで、あるお願いをしました。 「じゃあ、しばらくありすといっしょにいさせてほしいのぜ」 ありすは頬を赤らめました。 すっきりは沢山したのに、なんだか不思議なことにも思えました。 自分はありすが嫌いではありませんでした。嘘ではありません。 しかし、自分のこの求婚とも取れる発言は、 純粋な好意から来たものでなかったことも、否定できない事実でした。 ありすはゆん売婦をして稼いだ沢山の食べ物を、 他のゆっくりと交換して、保存のきく食べ物に代えていました。 自分はよく、ありすから“さーびす”として、“こと”が終わった後、その食べ物を一緒に食べていました。 ありすのおうちに蓄えてある、あの食べ物があれば、かなり長い間ゆっくりできる。 「そういうかんがえはなかった」と言うことは、自分には出来ませんでした。 自分は、ゆん売婦のありすと番になりました。 ありすはゆん売婦を辞め、二人でゆっくりとした毎日を送りました。 しばらくすると雨さんの季節になりましたが、 おうちの屋根には雨さんを弾く、青いものが被せてあったので、平気でした。 自分とありすはときどき、雨さんの音を聞きながら、ただ快楽のためだけに、すっきりをしました。 すっきりをするとのどが渇きます。自分が雨さんを汲んで飲もうとすると、ありすがそれを止めました。 「こっちにもっと、とかいはなおみずさんがあるわ」 ありすは床に開いた穴から、細長くて透明で、それでいて硬い入れ物を取り出しました。 その細長いものの中には、お水さんが入っていました。 「おみずさんなのぜ?」 「“おさけさん”よ」 “お酒さん”―――それが自分のゆん生を大きく変えました。 変なにおいのするそのお水さんは、口に含むとなんとも奇妙な味がしましたが、 ほのかに甘く、しかもだんだんと、ゆっくりとした気分になってくるのでした。 自分は次第に、そのお酒さんの虜になってゆきました。 雨さんの季節が終わる頃には、自分はもうお酒さん無しでは生きてゆけないようになっていました。 はじめのうちは、毎晩、そのうちに、昼夜問わず、来る日も来る日も、お酒さんをあおりました。 そしてだんだん寒さを感じるようになった頃に、沢山あったはずのお酒さんは、底を尽きました。 「ありす、おさけさんがほしいんだぜ……」 「きのうのんだぶんで、もうさいごよ」 絶望的な宣告でした。 「だったら、ここにあるあまあまさんと、こうかんしてこればいいんだぜ……」 「むりよ。おさけさんは“おかねさん”がないと、こうかんしてもらえないわ」 自分はお酒さんが貴重なものだと理解していませんでした。 野菜さんや、あまあまさんや、虫さんといったものは、他のゆっくり達と交換することで手に入りました。 しかし、お酒さんは、人間さんと交換しなければ手に入らないものだったのです。 人間さんは、自分達ゆっくりと、物々交換をしてくれません。 唯一、交換してくれる場合というのは、それはお金さんを持って行った場合だけでした。 「じゃあどうして、ありすはおさけさんをもっていたのぜ……?」 「むかし、かいゆっくりのおきゃくさんがいたのよ。そのおきゃくさんがくれたの」 自分はこの時、半ばやけになっていて、後先を考える余裕など無く、ただお酒さんを欲していました。 そして遂に、ありすに対して絶対に言ってはならないことを言ってしまいました。 「だったら、もういちど“ゆんばいふ”になればいいんだぜ……」 そこから先はハッキリとは覚えていません。 あまりに悲惨な光景だったので、思い出したくないのかもしれません。 ただ、ありすの凄まじい泣き声と、見たことも無い悲しい顔だけは、覚えています。 自分とありすは、別れることになりました。 出て行くのは、またしても自分でした。 ありすは自分(まりさ)のことを、ゆん生で唯一、 自分(ありす)を愛してくれるゆっくりだと、思い込んでいたようでした。 しかし、それはありすにとって勘違いというか、不運というか、気の毒なこととしか、言い様がありませんでした。 自分は、ゆっくりがゆっくりを好きになる―――そういう感情が一切、理解できないゆっくりなのでした。 自分のおちびちゃんすら、愛することのできないゆっくりなのでした。 もし、愛しているゆっくりが居るとすれば、それはたった一匹、他でもない、自分自身でした。 みんなは、そういうゆっくりを、“ゲス”と呼びます。 自分は気が付かないうちに、ゲスになっていました。 いえ、あのれいむを置いて森を出たときから、既にゲスだったのかもしれません。 口調も、行動も、そして長い野良生活でボロボロになった外見も、まさに醜いゲスそのものでした。 完璧な、ゲスでした。他のどのゆっくりよりも、ゲスでした。 ゆっくり、失格。 もはや、自分は、完全に、ゆっくりで無くなりました。 (おしまい) ☆☆☆☆☆ 七割方書いてから、別の作者さんが「ゆっくり失格」というSSを既に発表してらっしゃることに気づきました。 「ひらがなだからゆるしてね!ひどいことしないでね!」 (過去作) ゆっくりいじめ系2909 偏愛 ゆっくりいじめ系2999 おはなありす 選択肢 投票 しあわせー! (16) それなりー (0) つぎにきたいするよ! (0) 名前 コメント すべてのコメントを見る