約 1,005,441 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1767.html
前ページ次ページゼロの答え 「うぅ、腰が痛い……」 そう呟きながらルイズは街を歩いていた。 なにせ馬に乗ったことはあるものの、あんな速度で走り続けた経験はない。 なのに初めて馬に乗った上にルイズ以上の速度で駆っていたデュフォーは平然としていた。 恨めしげに横目で睨むものの、文句は言えない、馬で行こうと言ったのは自分である。 まさか初めて乗る馬ですら、あんな完璧に扱うとは思っていなかった。 そのデュフォーはというと、初めて街にきたはずなのにルイズの先を歩いていた。しかも迷いなく。 「ちょっと待ちなさいよ。あんた武器屋の場所わかってるの?」 「お前、頭が悪いな。武器屋はどこだ?の答えも出せるからアンサー・トーカーだろ」 ルイズはその場で深呼吸をして怒りを静めた。街中でキレるわけにはいかない。 「ふぅ……ま、まあそれはいいとしてスリには気をつけ」 ギロリ。そう言いかけた所でデュフォーが横を睨んだ。 「きゃっ!な、なによ急に?」 デュフォーが睨んだ方を見ると一人の男が恐れをなした表情でこそこそと退散するところだった。 「……もしかして今の」 「スリだ」 「……あっそ」 その後、数回同じことがあり、デュフォーに対してスられる心配は杞憂だったとよくわかった。 そうこうしている内に武器屋にたどり着いた。本当に場所がわかっていたことに今更ながらルイズは驚いた。心底得体の知れない使い魔だと思う。 武器屋に入るとルイズはまず店の主人のところに向かった。一方デュフォーはちらりともそちらを見ず、乱雑に積み上げられた剣のところに行った。 そして主人とルイズが話している間にその中から一本の大剣を掴み出した。 「おでれーた!いの一番に俺を選ぶなんていい目をしてるじゃねーか坊主」 デュフォーが掴み出すと同時に剣が叫んだ。が、デュフォーはまったく動じず、まだ話をしている最中のルイズと主人のところへ持ち込んだ。 「おいおい無視すんなよ。てかその体で俺を扱えんのか?悪いことは言わねぇからもっと体に合った武器にしろよ。いくら俺が名剣でもよー」 「ルイズ。この剣でいい」 「へ?ってあんた何勝手に決めてるのよ!それになによその剣は!錆が浮いてボロボロじゃない!みっともない!」 「若奥さまの言うとおりですぜ。そんな剣よりもっと良い剣がうちには」 「この剣以上の物はないだろう?」 「へへっ、その通りだぜ。だけど坊主、お前の体じゃ俺を扱うのはちーとばかし……」 そう剣が喋ったところでデュフォーが左手を見せた。 「これなら問題はないだろ」 「おでれーた!おま『使い手』か!流石俺を一目で選ぶだけのことはあるぜ!俺の名前はデルフリンガーだ。これからよろしくな、相棒!」 何かに引っかかったのかぴくりとデュフォーの眉が動いた。だがデュフォーが口を開くより早くルイズが怒鳴った。 「だーかーらー、勝手に話を決めるなって言ってるでしょうが!何よ、その変なインテリジェンスソードは!」 しかしデュフォーと変な喋る剣は一向に話を聞こうとしない。疲れた溜息を吐くとルイズは主人に告げた。 「……あの剣はいくら?」 「へぇ、あれなら百で十分でさ」 デュフォーはルイズの財布を懐から出すと、その中からきっちり百枚をカウンターに置いた。 「毎度」 鞘に入れられたデルフリンガーをデュフォーは受け取った。肩から提げるようにして身に着ける。 そんなデュフォーを横目に主人とルイズが話をしていた。 「若奥さま。俺がこういうのもなんですが下僕の躾はちゃんとしたほうがいいですぜ」 「……できるならとっくにやってるわよ」 こうして無事(?)目的の剣を購入し、店から出て、学院へと戻るデュフォーとルイズ。 その様子をキュルケたちが見ていた。 「ふふっ、これはチャンスね。あんな剣よりもっと良い剣を買ってあげれば一気に好感度アップよ」 「それはないと思う」 「む、何でよタバサ」 「彼、まったく迷いもせずにあの剣を選んでた。きっとよっぽど気に入ったんだと思う。他の剣をプレゼントしてもあれ以上に気に入られる可能性は低い」 「う、そう言われると。……うーん、確かにあなたが言うとおりね、他の剣を贈っても気に入られなきゃ意味がないわ」 そう言うとキュルケは大きく溜息をついた。せっかく親友に無理やり付き合ってもらってまで街にきたのに収穫は何もないのだ。 タバサごめん、と謝るとキュルケは学院に帰ることにした。勝負は夜だと考えて。 寮に帰るとすぐにルイズはベッドの上でうつ伏せになって枕に突っ伏した。帰りも行きと同様に馬に乗ってきたため、更に腰を痛めたらしい。 患部に水でぬらしたタオルを置いて冷やしてながら恨みがましい目でデュフォーを睨みつけていた。 だがデュフォーはそんなルイズを無視して、さっそく鞘からデルフリンガーを抜いて話しかけた。 「おい」 「なんだ相棒?」 「いつまでその姿でいる気だ」 「は?何言ってんだあいぼぐっ!」 デュフォーは問答無用でデルフリンガーを石造りの壁に叩き付けた。 「思い出したか?」 「いきなり何しや―――」 再び壁に叩きつける。 「思い出したな?」 「は……はい。思い出しました……」 「そうか、なら次だ。ガンダールヴという名前に聞き覚えは?」 「ん、あー……なーんか頭の隅に引っかかる名前だな」 それを聞くとデュフォーは呆れた表情になった。 「……忘れていることが多すぎるな。仕方がない、思い出させてやる」 「お、おい、ちょっと待てよ、相棒。ら、乱暴はよ……」 「この角度で強い衝撃を与えると思い出しやすい」 しばらくの間、金属を石に叩きつける音とデルフリンガーの悲鳴が響いた。 ―――そして小一時間後。 「思い出したな?」 「あ、ああ。ばっちりだぜ相棒……だからもう石に叩きつけるのはよして……お願い……」 ボロボロになったデルフリンガーがそう懇願するのを聞いてデュフォーはこう告げた。 「なら早く元の姿に戻ったらどうだ?」 「わ、わかった。今すぐ戻るぜ!だ、だから岩に叩きつけるのはもう勘弁して……」 デルフリンガーがそう叫ぶと、突然その刀身が光り出した。 そして光が収まるとそこには錆の浮いた大剣ではなく、まるでたった今、研がれたばかりのように光り輝く大剣があった。 「これがほんとの俺の姿さ。ど、どうだい相棒、おでれーたか?」 多少びくびくしながらデュフォーの反応を見るデルフリンガー。だがデュフォーは無反応。 「くぅ~。相棒、そんなんじゃガンダールヴとしちゃ役立たずだぜ!良く聞け!ガンダールヴの力はな」 「心の震えで決まるんだろう」 「なっ!?知ってるのか、相棒。だったら俺の言いたいことも」 「問題はない。心の力を込めることなら慣れている」 「へ?慣れてるってどういうこった」 「他に言いたいことはあるか?」 「いやだからちっとは俺の話を……」 「ねえ、デュフォー。さっきからあんたがこの剣と喋ってるガンダールヴって何?」 デルフリンガーの言葉をさえぎるようにしてベッドの上からルイズがデュフォーに話しかけた。 「名前なら聞いたことがあるはずだが?頭が悪いから忘れてたのか?」 「っの!始祖ブリミルが使役していた伝説の使い魔の一人でしょ!それくらい知ってるわよ!わたしが聞きたいのは何であんたが『ガンダールヴ』とか言ってるのかってこと!」 「お前、頭が悪いな。俺が『ガンダールヴ』だからに決まっているだろ。この使い魔のルーン。これが『ガンダールヴ』の証だ」 そういうとデュフォーはルイズに左手のルーンを見せる。 そしてルイズに対してガンダールヴについての説明を始めた。 デュフォーの説明に対し、最初はうさんくさげな顔をしていたルイズだったが、話が進むにつれ、徐々に顔色が変わってきた。 「理解できたか?」 一通り説明を終えると、デュフォーがそう訊ねる。 「……証拠」 「お前、頭が悪いな。証拠なら」 「違う。ルーンじゃなくて、実際にそんな力を持ってるって証拠を見せて!でないと信じられないわ!」 強張った表情でそう叫ぶルイズ。 仕方ないなと言ってデュフォーはデルフリンガーを持って立ち上がった。 「ついてきて、中庭に行くわよ」 そういうとルイズはドアを開け、部屋の外に出た。 「きゃっ!?」 ちょうどデュフォーに会うためにルイズの部屋の前に来ていたキュルケが、目の前でいきなりドアが開いたことに驚いて悲鳴を上げた。 「ちょっとルイズ!急にドアを開けないでよ、びっくりするじゃない!」 キュルケがルイズに対して文句を言うが、ルイズはそちらを向こうともせず表情を強張らせていた。 それに訝しげな表情を浮かべるキュルケ。だがルイズに続いてデュフォーが出てきたのを見ると相好を崩し、ルイズのことは頭から消え去った。 「あら、ダーリンじゃない。こんな時間に部屋から出るなんて……ひょっとして私の部屋に来る気だったとか?」 デュフォーは違うと一言でキュルケを切って捨てるとルイズの後を追った。 前ページ次ページゼロの答え
https://w.atwiki.jp/mira112358/pages/15.html
数学たんbotで配信しているもんだいの答えだよ 別の解き方や証明があったら教えてね No1
https://w.atwiki.jp/1548908-tf/pages/270.html
丸藤翔:おなじきもちで モンスターカード コマンダー ×3 サイクロイド ×3 大砲だるま ×3 魔貨物車両 ×3 ドリルロイド ×3 魔装機関車 デコイチ ×3 雷電娘々 魔法カード 強欲な壺 サイクロン 月の書 突撃指令 ×2 早すぎた埋葬 光の護封剣 リミッター解除 罠カード 援護射撃 ×2 玉砕指令 ×2 自業自得 死のデッキ破壊ウイルス 人海戦術 ×3 同姓同名同盟 ×2 魔法の筒 リビングデッドの呼び声 計40枚
https://w.atwiki.jp/talesrowa/pages/213.html
応えるための答え G5の町までまであの演説が聞こえている―――。 それはつまり、ファラの演説は島のほぼ全域にまで届いていることを意味する。 最も、教会まで届いているかは定かではないが・・・。 必然的に、ファラの声はカイルとミントの耳にも入っていた。 二人は橋から少し西に向かい、自体を把握するためにファラの声を聞いて草原に腰をおろしていた。 「ミントさん聴きましたか!?」 カイルは驚きの表情を隠しきれずに隣にいるミントへと振り向く。 「・・・ハイ」 その顔色は嬉しさを持ち、その中に悲しみを帯びた微妙な表情。 カイルはもしかしたら協力してくれるかもしれないと、そんな期待を込めてミントに顔を向けたのだが、その表情に戸惑ってしまった。 「ど、どうしたのミントさん・・・何かあった?」 「いえ、実は・・・」 ミントはゆっくりと息を吸って吐き、カイルに現実を伝える。 「確かにあの方の声には真剣な想いが感じられました。ですが・・・」 カイルはじっとミントの話しを聞く。 「カイルさんも気付いていらっしゃるとは思いますが、あの方はおそらくもうそう長くはないでしょう」 ミントの顔は至って真剣。その真剣な眼差しゆえ、カイルは思わず俯いてしまう。 確かにカイルは気付いていた。彼女の声に途切れ途切れ異様な咳き込みが混ざっていたこと。 そして『これが最期の仕事になるかもしれない』と言っていたこと。 そこからはみなまで言わずともイヤでも察してしまう。あの声の主は、極めて健康ではないということが。 そこまでカイルにも気付いていて、じゃあこれからどうすればいい? やっぱり、あの声の下まで行くべきじゃないのか? そんな衝動に駆られる。僅かな自尊心を持つものなら誰にでも訪れるモノだ。 だがミントはその考えを躊躇いがちに制止する。 「・・・あの方の下に向かえば、おそらく他の人たちも集まってくるでしょう。それは善悪問わずにです」 ミントの意見は的を射ていた。確かにそれが今の現状、それが事実。 つまりそれは、言葉にせずともあの声の下―シースリ村―は遅かれ早かれ色んな人たちが集まり、この異常な状況下の中互いに剣を交じ合わせてしまう混沌の戦場へと化してしまう。 ミントの冷静な判断がカイルにはひしひしと伝わってきた。 判っている。ミントさんは自分たちの身を案じて言ってくれているんだ。 そんな危険な場所に行けば死んでしまいますよと、残酷なことを彼女は頑張って諭して言ってくれているんだ。 それだけで今の自分の状態が判る。判ってしまう。 自分は誰かの隣にいて、誰かの隣に自分がいる。 だから言葉を交わし合って、的確に状況を判断できる。 本来はそんな危険な場所に行くべきではないと、臆病な自分が囁いてくる。 だけど・・・ 「だけど・・・」 カイルはゆっくり口を開く。 自分の本当の意見を。 自分の素直な気持ちを。 「それでも俺は、あの声の人を助けたい」 知らずに右手が握り拳になっていた。それだけカイルは必死だった。 「英雄なんて肩書きじゃなくて、ただ純粋にあの声の人の気持ちに応えたいんだ」 今度は小さく声を絞る。 「そりゃ、俺の考えは後先なくて、理想主義なのかもしれない。でも」 ミントは黙って聞く。何を考えるわけでもなく、ただカイルの声を聞く。 「それが俺だからね。誰が何て言おうと、これだけは譲れない」 その瞳は確かにカイル自身の強い色が輝いていた。 「そうですか」 言って、ミントは 「では参りましょうかw」 なんてニコッとした天使のような微笑みをカイルに向けた。 「え・・・いや、あの」 あまりの呆気なさに困惑するカイル。 恐る恐るミントに声をかける。 「反対してたんじゃ・・・」 だがミントは「いえ」と言って、 「ただ私はシースリ村というところが人でいっぱいになってしまいます。と言いたかっただけです」 間の抜けた声で出発の準備をする。 カイルは開いた口が塞がらない。 (もしかして・・・俺の思い込み!?) カイルはがっくりと肩を落とす。あまりに自分が真剣すぎたせいで彼女の雰囲気がものすごいぽわんとしていて・・・。 「ダメだ・・・気を持ち直さないと」 パンと頬を両手で叩き、気合いを入れなおす。思いのほか痛かった。 「それに・・・」 ミントが呟く。とても小さな声で。 「え?何か言った?ミントさん」 あまりの小ささに聞き取れなかったのでカイルは問いただすが、 「いいえ、何でもありませんよ」 と茶を濁して歩き出す。 「早くしないと置いていってしまいますよ~」 カイルを急かす。後ろからは「待ってよ~」という嘆きが聞こえてくる。 それに・・・ 「カイル君ならそう言うと思ってましたから」 今度も本当に小さな声でミントはそう呟いた。 晴れてカイルは英雄なんて称号にこだわらず 自分の意志を貫く決意を手に入れた だが完全に英雄を捨てたわけではない 彼は一人の少女の英雄であることに変わりはないのだ 【カイル・デュナミス 生存確認】 状態:全身に軽い打撲 (ほぼ完治) 所持品:鍋の蓋、フォースリング、ラビッドシンボル (黒) 第一行動方針: 声の主の所に行く 第ニ行動方針:リアラとの再会 第三行動方針:父との再会 第四行動方針:仲間との合流 現在位置:F3草原 【ミント 生存確認】 状態:健康 TP2/3 所持品:ホーリースタッフ サンダーマント 第一行動方針:シースリ村に向かう 第二行動方針:仲間と合流 現在位置:F3草原 前 次
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1530.html
前ページ次ページゼロの答え ギーシュとの決闘に決着がついた後、ルイズはデュフォーに駆け寄ろうとしたが、出来なかった。ルイズが駆け寄るよりも早く、観戦していた生徒たちがデュフォーに押し寄せたからだ。 人波によって外に追い出されて、ルイズは離れたところからデュフォーを見ていた。 自分の使い魔が浮かべている表情はメイジに勝った喜びや信じられないことが起きた驚きでもなく、いつもと変わらない表情。 それだけであの使い魔にとって、メイジに勝ったことは奇跡でもなんでもないとわかった。わかってしまった。 歓声が広場を揺らしていた。あの平民すげー!とか、平民に負けるなんてギーシュ情けねー!とか、色々な声が怒涛のように響く。 午後の授業が始まっても、そこら中でヒソヒソと決闘のことが話されていた。そしてその話題の中心になっていたのはデュフォーについてだった。 ついさっきまであの平民は魔法の使えないただの平民というだけだったのに。 だけど今は違う。魔法は使えないけどギーシュに勝った平民。それが今のあいつの評価だ。 魔法の使えないメイジと、魔法は使えないけど『ドット』メイジよりも遥かに強い使い魔。 見返そうとして失敗した自分と、自らの有能さを周囲に見せ付けたデュフォー。 どれだけ努力しても魔法を使えない自分と、魔法が使えなくてもメイジであるギーシュにあっさり勝ったデュフォー。 ……デュフォーと比べてみて、自分が勝っているところが何も見つけられなかった。 そんなことを考えていたら、ふとあることに気がついた。 (あれ?でもアンサー・トーカーってあいつが言うには『答え』を出す能力よね。もしかしてその能力なら……) 結局、その日の午後の授業は何も手につかなかった。 授業が終わるとルイズはデュフォーと一緒に自室に戻った。 今から夕食までは部屋で二人きり。聞くなら今しかない。 「ねえ、デュフォー……」 「何だ?」 深呼吸を一度する。緊張で胸が高鳴った。 本命の質問をする前に、まずはこいつの能力の確認からだ。 「昼の決闘ってアンサー・トーカーとかいう能力によるものなの?」 「お前、頭が悪いな。意味がないかどうかは見ていればわかると言っただろう」 ビキッと顔が強張るのを感じた。緊張は一瞬で消えた。沈んでいた気持ちも怒りで浮上する。 「そそそ、そうだったわね。ででででで、でもどうやったらその能力であんな芸当が出来るの?」 「お前、本当に頭が悪いな。どうすれば躱せるかの『答え』も出せるから、アンサー・トーカーだろ」 怒りが全てを凌駕した。少し前までデュフォーに対して感じていた劣等感とか色々な感情が全て頭から吹き飛ぶ。 ―――もしかして、どうすればわたしが魔法を使えるようになるのかに対しても『答え』を出せるの? そんなことをデュフォーに聞こうなんて考えていた自分を頭の中で叩きのめした。 (ぜっっっっっっっっっっっっっっっったい!こいつの力なんか借りないで魔法を使えるようになってやる!!) 同じ頃。学院長室で二人の男が頭を突き詰め合わせて悩んでいた。片方は学院長である老人、もう片方は頭がさびしいことになっている中年の男性教師である。 二人が悩んでいたのは昼に行われた決闘の件に関してであった。 昼ごろ、中年の男―――コルベールがデュフォーの左手に刻まれていた使い魔のルーンが伝説の使い魔『ガンダールヴ』のものと同じであると学院長に報告しに来たのだ。 ちなみにその時、学院長であるオスマンは秘書であるロングビルという女性にセクハラしていた。 その後、ロングビルを退室させ、オスマンとコルベールがガンダールヴのことについて話し合っていると、退室していたロングビルから、ギーシュと件の使い魔が決闘するという報告が届いた。 その報告を聞いた瞬間、オスマンとコルベールは顔を見合わせてアイコンタクトを取った。 (これは……まさにグッドタイミングじゃ) (その通りです、オールド・オスマン。彼が本当に『ガンダールヴ』なのかどうか確認する、またとない機会です) オスマンとコルベールは一瞬でお互いの意思疎通をこなすと、『眠りの鐘』の使用許可を即座に却下し、『遠見の鏡』でヴィストリの広場を映し出した。 そして彼らは見ることになる。ギーシュが呼び出したゴーレムが『ガンダールヴ』と思われる平民の使い魔に触れることすらできなかったのを。 ギーシュが降参し、決闘が終わるまで彼らはその光景から目を離せなくなっていた。 あまりにも決着までの流れが自然だった。襲い掛かる七体のゴーレムなど障害にすらなっていない。 全てが終わったところでやっと二人の硬直は解けた。 「……あの平民、勝ちましたね」 「……うむ」 そう呟いたところで、コルベールとオスマンはお互い魂を抜かれたような表情になっていることに気がついた。それくらい衝撃的な光景だった。 頭を振り、気を取り直すとコルベールはオスマンへと話しかけた。 「あれは、一体なんだったんでしょう?伝承では『ガンダールヴ』はあらゆる『武器』を使いこなし、敵と対峙したとあります。ですが彼は……」 「……素手じゃったな」 「はい。それに、あれは、あの戦い方はなんというか『ガンダールヴ』とはまったく別物のように思えて仕方がありません」 彼がただの人間であることは既に『ディテクト・マジック』で確かめてある。確かめた結果、彼は正真正銘の平民であった。 だから彼に何か特別な力があるとすれば『ガンダールヴ』であるからとしか考えられない。それでもあれが『ガンダールヴ』の力だとは思えなかった。 「そう、じゃな……あれはまるでチェックメイトまでの道筋が確定したチェスを見ているかのようじゃった」 昼の決闘を思い返してオスマンは軽く身震いをした。 確かにギーシュは一番レベルの低い『ドット』メイジである。だがあの戦いは相手が『ドット』だったこととは無関係に思えた。 単純な力の差ではない別の何か。それがあの戦いにあったように思えてならなかったのだ。 「それでオールド・オスマン。彼のことは王都に報告して指示を仰ぎますか?」 「それには及ばん」 オスマンは重々しく頷いて、そうコルベールに告げるとこう続けた。 「第一、何を報告する気かね?彼が本当に『ガンダールヴ』なのかどうかですらまだ確証を得られていないのに」 「で、ですがあれを見れば」 「―――確かに彼のやったことを考えればただの平民の使い魔とは思えん。だが現状で彼が伝承にある『ガンダールヴ』と共通しているのは左手のルーンの形だけじゃ。それだけでそう決め付けるのは早計かもしれん」 それにとオスマンは付け加えた。 「王都のボンクラどもに『ガンダールヴ』などを引き渡したらまたぞろ戦を引き起こしかねん。例え彼が本物の『ガンダールヴ』でなくとも伝説の使い魔との肩書きをつけることができれば十分じゃからの。だからこの件は私が預かっておく。他言は無用じゃ」 前ページ次ページゼロの答え
https://w.atwiki.jp/ifrozenteacherss/pages/480.html
「よぅ、書き散らし」 病室に、おあ氏の元気の良い声が響く。 「お、おあ氏か。どうだぁ? その後のS氏とは?」 晴れやかな笑みを浮かべてそう言う書き散らし。 そんな書き散らしを見て、おあ氏はどういったものかと悩むが 「ちゃーんと、真面目な交際してるさ」 「それなら良い。S氏をちゃぁんと幸せにしろよぉ? じゃねぇと私、殴るぞぉ?」 と、ふざけた口調で言う書き散らしに勘弁してくれよ。とおあ氏は苦笑する。 「なぁ書き散らし」 「なんだよ?」 「俺、本当にS氏と付き合ってて良いのか?」 「は?」 「だってよ。俺はお前の答えを聞く為にS氏に間違って告白染みた事いっちまったじゃないか」 な? と、おあ氏は困ったような笑みを浮かべる。 「んー……これは、真紅先生にも言ったんだけどなぁ?」 真紅先生が、見舞えに来てたのかとおあ氏は少し驚くが、書き散らしの次の言葉を待つ。 「階段なんだよ。私は」 「なんだよそれ」 「だから、階段。よく言うこの人とこの人をフッつけるってヤツだなぁ。私は、昔からそうなんだ」 なーにか、不思議な力でもあるのかね? と、書き散らしは笑う。 「本当に良いのかよ? なぁ?」 「あのなぁ。当事者の私が良いって言ってるんだ。良いんだよ」 書き散らしは、笑みを浮かべてそう言う。だけどよぉ。とおあ氏は俯く。 「えぇーい! お前は男だろうがぁ! しゃきっとすれぇ! どーせ、この後S氏とデートだろぅ?」 ニヤニヤと笑みを浮かべながらそう言う書き散らし。なんで知ってるんだよ? と、言う表情になるおあ氏。 「私には私なりの情報網があるんだぜぇ?(もっぱら先生達の話だけど)」 「そ、そうか」 「S氏を待たせるんじゃない。さっさと言って来いよ」 「また来る」 「おう」 書き散らしにそう言った後。おあ氏は病室を後にした。 「願わくばー。二人に幸せあれーってか? あー柄じゃない実に柄じゃない! 新しい恋みつけるかなぁ……」 病室から見える外の風景を見ながら書き散らしはそう言った。 だが、物語は、より複雑に絡み合うのであった。
https://w.atwiki.jp/ercr/pages/2690.html
発売日 2002年6月21日 ブランド CAGE タグ 2002年6月ゲーム 2002年ゲーム CAGE キャスト 遠野由佳(ちだ),長崎みなみ(雪乃),富永理恵(江里香),まきいづみ(音々) 西田こむぎ,草柳順子 スタッフ 企画/原案:DT_ 原画:空中幼彩 シナリオ:しだれ桜,塩野谷海 グラフィック統括:攻牙沙 グラフィック:CAGE プログラム:ちだ,Meek スクリプトワーク:あく,鶴 音楽:リバーサイド・ミュージック 河辺健宏,上松範康,藤田淳平,藤間仁 アニメ制作/背景マネジメント:STUDIO Perth 音声収録:USE Studio engineer:Tomohiro Endo(Xuse) 音声加工:masin 音声マネジメント:近藤靖尚 制作進行:あく 広報:あじょぁ DTP:樹真,遊び人の伸さん デバッグ:all staff Special Thanks:おうば,masin,圭都 ジェネラルプロデューサー:DT_ ©️2002 RUNE/CAGE 主題歌 「しっぽのきもち」 作詞:yuria 作編曲:河辺健宏 Vocal:ゆっか
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/437.html
なりたいものはたくさんあるけど いちばんなりたいものは きまってる それは 神父 神父 神父よ 聖職者 神父よ 真実をしるために 神父をめざすの 告白きいて 事実をしったの 妹と弟が…? ダメだゆるされない わたし プッチ プッチ プッチよ ペルラの兄よ なぜ人はであうのか 「彼」にあいたいの だけどねDIOは 死んでしまったの これじゃ天国の道がみえないよ わたし プッチ プッチ プッチよ 神父のプッチよ 承太郎のDISCよみ 天国めざすの 徐倫がじゃまする ウェザーもじゃまする 小僧もじゃまする 人類の幸福 わたし プッチ プッチ プッチよ 神父のプッチよ ガンバル わたしまけない プッチのきもちよ プッチ プッチ プッチよ 神父のプッチよ 「覚悟」したそのさきに 幸福をみるの プッチ プッチ プッチよ 神父のプッチよ 「覚悟」したそのさきに 幸福をみるの
https://w.atwiki.jp/lovetrick/pages/217.html
焼きもち by ◆dv1/DP6HGsさん 6-10 あぁ、キスされるんだな、とわかってた気もするけど、 そう思うより唇が触れる方が先だったかもしれない。 けど、そんな事はどうでもよかった。 背中には腕が回されて、何度も何度も口付けて。 どれ程の時間が経っただろうか。 息苦しさで我に帰って、何とか上田を押しやった。 「はぁっ…苦し…お前もうちょっと考えて、んっ!」 隙ありと言わんばかりに口に舌が入ってきて口内を撫で回す。 優しく舌を絡め取られて、また私の頭は簡単に思考を手放す。 もう、どうなってもいいかな…なんて朧気に思った頃、上田はやっと唇を離した。 「you…可愛いな」 「な、気持ち悪い事言うな」 やっぱり普段の勢いがないのが言いながらわかった。 上田は笑いが抑えられないといった様子で返してくる。 「ふっ、そんな真っ赤な顔して言っても可愛いだけだ」 何でこんな時だけ余裕があるんだこいつは。 「…上田さんも顔赤いですよ」 「嘘だろ!?」 「あ、赤くなった」 「…こいつ」 ふっ、やっぱり私の方が一枚上手だな。 「それくらいで優位に立ったつもりか? いいか、俺はyouとは決定的に知識の量が違うんだよ。 今までどれだけ練習してきたと思ってるんだ」 「そんな事自慢するか普通…っていうか、普通こんなに雰囲気ぶち壊しにするか?」 「それはyouのせいだろ」 「……」 「………」 もう、何でこうなってしまうんだろう。 知識が豊富だとか自慢してた目の前の男もこんな時の対処法はわからないらしく、 目が泳いでいて私なんて目に入ってないみたいだ。 やっぱり肝心な所は私が動かないといけないのか。 しょうがないなぁ、もう。 心の中で小さく決意を固めて、私はそっと上田の頬に手を伸ばした。 驚いた上田が向けた視線に思わず止まりかけたが、勢いのままにそっと唇を重ねた。 おずおずと食むように唇を動かすと、すぐに上田はさっきの調子に戻って あとはもう、上田のペース。 気付けば押し倒されるような体勢になっていて、お互いの息も荒くなっていた。 もっと触れて欲しい。 そんな想いが浮かんだ事がたまらなく恥ずかしかったけど、 でも、どうしようもない。 気持ちを悟られたくなくてそっと視線を外すと、上田は小さく笑った。 「…何で笑うんですか」 「もう何も言うな。さっきみたいになるのは嫌だからな」 「嫌です」 「おいyou」 私はそっと腕を首に回して抱き寄せて耳元で囁いた。 「あの…私も…好きですから。だから…」 優しくしてくださいね、という言葉はキスの嵐で押し込められた。 至る所に唇をつけながら、上田は器用にボタンを外していく。 あっと言う間に服は脱がされ、とうとうブラも外された。 身につけているのは下着一枚のみ。 「そんなに見るなぁ…っ」 恥ずかしくない訳がない。 視線のやり場に困って思わず目をつむってしまう。 「気にするなyou。小さいが…綺麗だよ」 そう言って上田は胸に顔を埋めて、また至る所にキスしてくる。 ゾクゾクして思わず足を擦り合わせていると、一際強い刺激に襲われた。 「やぁっ…」 「やはり感度はいいみたいだな」 恐る恐る見てみると、上田は胸を揉みしだきながら先端に口付けていた。 「んっ…あぁっ…」 顔が、いや顔だけじゃない。 身体中が熱くて、身体の奥が疼いてしょうがない。 何なんだろうこの感覚。 上田の顔はどんどん下に下がっていき、 気付けば太腿に舌を這わせていた。 口から出るのは自分の物とは思えない喘ぎ声ばかり。 足を開かれても恥ずかしいとも思わなかった。 考えられるのは、早くどうにかして欲しいという事だけ。 「you、随分濡らしてるじゃないか」 上田は笑みを浮かべてこっちを見てくる。 「うっ、うるさい…もう一思いにやってくださいよ」 「一気にいきたいのは山々だがな、 俺は紳士だから初めてのyouを気遣って徐々に慣らしてやってるんだ。 まずはじっくり愛撫しないとな…」 「やるなら黙ってさっさとやれ、この変態」 「変態ならyouもだろ。あんなに喘いじゃって更に更にこんなに濡らして」 「あーもうわかったから言うなっ」 上田はあの余裕たっぷりな笑みを浮かべて、顔を足の間に戻した。 ムカつく。でも… その先を考える間もなく、また強い刺激が身体中を駆け巡る。 「んあぁっ…はぁっ…」 気持ち良い。気が遠くなる位に。 でも、何か足りない。 「んっ…うえださん…」 お願いがあるんですけど。 「どうした?」 強がりな私はなかなか言えないけど。 「あの…起き上がってもいいですか?」 本当に言いたいのはそんなことじゃないのに。 上田は少し悲しそうな顔をした。 「…気持ち良くなかったのか?練習は完璧だったはずなんだが…」 それには答えずに私は身体を起こした。 そして向かい合う形になった上田にそのまま抱きつく。 「…この方がいいです」 多分、私が欲しかったのは快感じゃなくてあなたの温もり。 「you…」 上田が頬に唇をつけたのを合図に、またキスの嵐が始まった。 片方の腕は背中に回されたまま、もう片方の手は下へと伸びていく。 まだ十分に濡れているらしく、上田の指はすんなりと中に入ってきた。 自分の中で自分じゃないものが動いてるなんて変な感じだ。 変なだけじゃなくて、ちょっと気持ち良い。 やっとキスが止んだと思ったら、同じ位息の荒い上田が口を開いた。 「はぁっ…奈緒子、腰浮かせて」 不安じゃないと言えば嘘になる。 けど、今はそんなのがどうでもよくなる位穏やかな気持ちだった。 大丈夫、死ぬ訳じゃないんだし。 私は小さく頷いてそっと腰を上げた。 嫌でも目に入る、冗談だとしか思えない上田の巨根。 「力抜かないと怪我するぞ」 「なるべく痛くなく…って無理ですよね」 「努力するから安心しろ、you」 そして、口付けと同時に上田は侵入してきた。 物凄い圧迫感だったけど、上田は少しずつ入っていく。 「うっ、痛っ…あぁっ」 「はぁっ…you、力を抜かないと…」 だからそうできれば苦労しないんだって。 痛くて痛くて仕方なかったけれど、時間が経つにつれて少しずつ慣れてきた。 「上田さん…ちょっと大丈夫になってきました」 「そうか…動いて大丈夫か?」 「はい…多分…」 「動き出したら止まらなくなるぞ、きっと」 「あの、私が痛がっても気にしないでくださいね。何とかなりますから。ただ…」 私は背中に回した腕に少し力をこめた。 「…何だ」 「いや、やっぱ何でもないです」 「言えよ」 「いいです」 「奈緒子」 あぁもう、言わなきゃよかった。 顔が熱くなるのがわかる。 「あの…離さないでくださいね」 上田は小さくフッと笑った。 「わかったよ」 そして上田はゆっくりと動き始めたが、激しくなるのにそう時間はかからなかった。 肉がぶつかり合う音が耳に響く。 「うえだ…さんっ」 「奈緒子っ…」 理性なんて吹き飛んでるように見えても、上田はちゃんと約束を守ってくれた。 しっかりとした腕の中で繋がって、絡んで、口付けしては抱き合って。 肌が二人を隔ててることすら鬱陶しくて、 このまま溶けてしまえばいいと本気で思った。 「あぁっ、うえださん…もっ…だめぇ…」 そう口に出したのと同時に目の前が真っ白になって 私はそのまま意識を手放した。 「ぅん…うえだ…さん?」 目が覚めると上田はいなくて、身体には毛布がかけられていた。 ちゃぶ台に目をやると「夕飯を買ってくる」との置き手紙。 時計を見るともう9時を過ぎていた。 …何時間やってたんだ? 「おぅ、you起きたか」 びっくりして振り返ると、コンビニの袋を持った上田が立っていた。 「人の家なんですからノックするなりしてくださいよ」 「俺が家賃払ってるんだから俺の家だろ」 「あーはいはい。それより早くご飯食べましょうよ」 「食べたら2回戦だからな」 「は?何の話ですか?」 「さっきの続きに決まってるだろ」 「…おとこわりします」 「今ちょっと迷っただろ」 「おとこわりします」 「試してみたい体位とか色々あるんだよ」 「おとこわりしますって言ってるじゃないですか!」 「じゃあ無理矢理やるまでだ」 「だから犯罪ですって」 「どうせ通報なんてしないだろ。俺がいなくなって困るのはyouだからな」 「それは上田さんの方じゃないんですか?」 「さっき離さないでとか泣きそうな顔で言ってたのは何処の誰だよ」 「…空耳じゃないですか?」 結局勝てなかった私は一晩中上田の好きなようにされてしまった。 立ったままだとか後ろからだとか 一体どれだけ試せば気が済むんだ?こいつは。 やっと終わったと思ったら、 今度は道具を用意しておくから楽しみにしてろとか言いながら鼻息荒く去って行った。 何をどうしたらあんな変態が出来上がるんだ? 結局されるがままになってしまうんだろうけど。 あの馬鹿力に敵うはずがない。 でも、絶対に私はハマったりしないように気をつけないと。 …上田にはハマってしまったのかもしれないけど。 おしまい。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1507.html
前ページ次ページゼロの答え 一旦部屋に戻ってルイズは爆発でボロボロになった服を着替えた。着替え終えると昼食をとるため食堂へと向かった。 デュフォーにも一緒に来るように言っておいたので一緒に廊下を歩く。 正直気分は最悪だった。腹の立つ使い魔にご主人様らしいところを見せ付けようと張り切ったのに結果はあれだ。 これではますます嫌味を言われる材料を与えてしまったようなものだ。 なのに使い魔のほうは何も言おうとしない。ひょっとして同情されているのだろうか? そう考えるとますます落ち込む。 (平民の使い魔にすら同情されるなんて……) そうこうしていると食堂に着いた。 このときルイズは酷く落ち込んでいてあまり周りを良く見ていなかった。 そのせいか椅子に座ろうとしたとき、一人の男子のマントをうっかり踏んでしまった。かなり思いっきり。 「ぐえっ」 蛙を踏み潰したような声を上げて男子が仰け反る。とその時、男子のポケットからガラスの小壜が落ちた。 勢いよくポケットから飛び出たためだろう、その小壜は床に落ちるとあっさり割れてしまった。 「あ、ごめん、ギーシュ」 流石に悪いと思ったのかルイズは謝った。だがギーシュは謝罪の言葉など聞こえていないかのようにルイズを怒鳴りつけた。 「なんてことをするんだ!ゼロのルイズ!この香水はモンモランシーが僕に」 ギーシュは最後まで言うことができなかった。モンモランシーにまで言ったところで一人の少女が席から立ちあがり、ギーシュの前に立ち塞がったからだ。 「ギーシュさま……」 「ケ、ケティ。その、これはごかぶっ」 最後まで言い訳させずケティと呼ばれた少女はギーシュのほほを思いっきり張り飛ばした。 「ご自分でおっしゃったことが何よりの証拠ですわ!さようなら!」 呆然とほほを押さえるギーシュ。だがその少女と入れ替わるように、また別の少女がギーシュの前に立ちふさがった。 「ギーシュ。何か言いたいことは?」 「モ、モンモランシー、こればぁっ!?」 モンモランシーはケティと同様に言い訳させる間もなく殴り飛ばした。平手ではなく、拳で。綺麗なストレートだった。 もんどりうって倒れるギーシュ。モンモランシーはテーブルの置かれたワインの壜を掴むと、倒れているギーシュにかけた。 中身が空になるとおまけといった感じで壜をそのままギーシュの頭の上に落とした。 「この嘘つき!」 そう言い捨てると憤懣やるせないといった表情でモンモランシーは自分の席に戻る。ギーシュは目を回していた。 ルイズは自分が原因だったため、流石に少しは悪いことをしたかなと思ったものの、元はといえば二股をかけていたギーシュが悪いと思い直して気にしないことにした。 ギーシュの分の食事が余ったのでデュフォーにも多少分けてあげようかと思ったが、マリコルヌが既に陣取っていたので諦める。 そのデュフォーだがパンとスープを食べ終わるとどこかへ行ってしまった。どこに行ったのか気になったものの、こちらはまだ食事中だったので放っておく 普通はご主人様の食事が終わるまで待つものだが、もうこの使い魔にそんなことを期待するのは諦めた。 ちなみにワインまみれで目を回しているギーシュを介抱しようとする人間は誰もいなかった。まあ二股かけていた最低男を助けるほど心の広い人間はいなくて当然だからよし。 ルイズが食事を終えてデザートを待っていると、何故かどこかへ行ったはずのデュフォーと今朝見かけたメイドが配っているのが目に入った。 驚いてルイズは飲みかけた紅茶を噴いた。正面に座っていた女子が嫌な顔をする。だがそんなことよりデュフォーのほうが重要だ。 「デュフォー!あんた何やってるのよ!」 デュフォーはケーキの置かれたトレイを近くのテーブルに置いて、怒鳴り声をあげて近づいてくるルイズに向きなおった。 一緒にケーキを配っていたメイドは突然怒鳴り声をあげて貴族が走ってきたため硬直している。 とりあえずルイズは一緒にケーキを配っていたメイド(シエスタというらしい)の方から事情を聞くことにした。 デュフォーから聞こうとしないのは、こいつが説明したら平静を保てる自信がなかったからだ。 「……つまりあいつはわたしが上げたパンとスープじゃ足りなかったから。直接厨房に行って、手伝う代わりに食事をくれって言ったのね」 「はい、そうです。デュフォーさんが突然、厨房に来たときは驚きました」 「あなたが一緒に配っているのは?」 「あ、それは私は今朝デュフォーさんと顔を合わせたので面識があったからです」 なるほど理由を聞いてみれば単純なことだった。ルイズに食事の量を増やしてくれと言わなかったのは、使い魔としての立場を理解してのことなのか。 それとも言っても聞き入れるわけがないと理解していたからなのか。―――恐らく後者だろうとルイズは思った。 「でも大丈夫?こんな奴が手伝ったらかえって邪魔じゃない?」 「そんなことありませんよ。デュフォーさんは私がケーキを掴み易いタイミングと高さでトレイを出してくれるから凄い助かってます」 そういうとシエスタは再びケーキの配り始めた。デュフォーと一緒に。 ―――面白くない。とルイズは思った。 (わたしに対してはあれだけムカつくことをしてくるのに、メイドに対しては優しいなんて) 実際は別にそんなことはないのだが、ルイズはそう思い込んでいる。 ルイズがそんなことを考えていると誰かに話しかけられた。そちらを見るとそこにいたのはギーシュだった。 「何よ、何のよう?言っておくけど今機嫌が悪いから、話しかけないで」 「ゼロのルイズ。君のせいでケティとモンモランシーの名誉が傷ついたじゃないか。どうしてくれるんだい?」 「は?何言ってるのよ。あれはあんたが二股かけてたのが悪いんじゃない」 「それに昼食もとれなかった。これもどうしてくれる」 「……それもあんたの自業自得でしょ」 どうやらギーシュは今さっき目が覚めたらしい。ギーシュの分の昼食はマリコルヌが全て平らげていたから当然昼食にはありつけなかったのだろう。 ルイズは相手をするのが馬鹿らしくなってギーシュから視線を外した。するとケーキを配り終えたらしいデュフォーが目に映った。 「おい、ルイズ。一体どこを見て……ん、あれは?」 ギーシュもルイズの視線に気がついたのかデュフォーたちの方を見る。 ちょうど配り終えたらしくルイズのところへと歩いてくるところだった。 ルイズの傍にきたところでギーシュは馬鹿にしたように鼻を鳴らした。 「流石はゼロのルイが呼んだ平民だ。ご主人様を放っておいて同じ平民の子とデートでもしてたのかい?」 どうやらルイズからデュフォーへと八つ当たりの対象を変えたらしい。 もちろんギーシュだって二股をかけていた自分が悪いことは理解しているが、八つ当たりをしないと収まらないのだ。 だがはっきり言って絡んだ相手が悪かった。 「お前頭が悪いな」 「なっ!」 「このトレイを見ればデザートのケーキを配っていたことはわかるだろう?それとも頭が悪いから理解できないのか」 「なななな、なっ!」 ギーシュの顔が怒りのあまり赤を通り過ぎてどす黒くなった。 これはもう喧嘩を売っているという次元ではない。今すぐギーシュがデュフォーを殺そうとしても納得できるほどだ。 現にデュフォーの隣に居るシエスタは恐怖のためか蒼白になっている。 ルイズですらあまりにもあまりな言いように硬直していた。 「きききききききききき、君はどうやら貴族に対する礼を知らないようだな。さ、流石はゼロのルイズが呼んだ平民だ」 「お前頭が悪いな。さっきも流石はゼロのルイズが呼んだ平民だ、と言ったのをもう忘れたのか?」 ギーシュが無言で薔薇の造花を振り上げたところで近くにいたギーシュの友人がギーシュを押さえ込んだ。 「よせ、ここで魔法を使うのは拙い」 「離せ、こいつは、僕が」 「気持ちはわかるが落ち着け。やるならヴィストリの広場だ」 必死でギーシュを宥める友人たち。当事者の癖に我関せずといった表情でそれを見つめるデュフォー。 傍から見れば蒼白になっているシエスタの方がギーシュの怒りを向けられた当事者にしか見えない。 しばらくして何とか落ち着いたのか荒い息を吐きながら、ギーシュはデュフォーに薔薇の造花を突きつけた。 「決闘だっ!いいか、ヴィストリの広場で待ってるから必ずきたまえ!貴族に対する礼儀を教えてやろう!」 そう告げるとギーシュは体を翻した。その後ろをさっきまで宥めていた友人たちがわくわくした表情でついていく。一人だけデュフォーの案内と逃がさないようとの監視も兼ねて残った。 「あ、ああああ、なんてこと。あ、あなた殺されちゃう。貴族をあんなに怒らせるなんて……」 血の気を失った表情でそう言うと、シエスタはだーと走って逃げてしまった。 そこでやっとルイズの硬直が解けた。 「あああああ、あんたね、平民がメイジをあんなに怒らせてどうするのよ!本当に殺されるわよ!」 「大丈夫だ」 「何が大丈夫よ!ああもう!仕方ないわね。私も一緒に頭を下げてあげるから謝りなさい!あんただけだと確実に許してもらえないだろうけど、わたしも頭を下げるなら許してもらえるかもしれないわ」 「非があるのはあいつだろ。俺やルイズが謝る理由はない」 「このわからずや!あんたは確かにムカついてムカついてムカついてムカつく奴だけど、それでもわたしが召喚した使い魔なのよ!勝手に死なせるわけにはいかないんだから!」 「なんだと?」 「そうよ!あんたは絶対に勝てないわ。その上あれだけ怒ってるのよ。手足の一本や二本くらいの重傷で済んだら運がいいわよ!」 「言いたいことはそれだけか?」 「それだけかって……聞きなさいよ!メイジに平民は絶対勝てないの!あんたがアンサー・トーカーとかいう能力を持ってても意味がないの!」 「意味がないかどうかは見ていればわかる」 そういうとデュフォーは一人残っていた男を促して歩き始めた。 「――――――っ!もう知らない!あんたなんかどうなっても知らないんだから!」 そう叫ぶとルイズはデュフォーを追いかけていった。 デュフォーがヴィストリの広場についたときには、噂を聞きつけた生徒たちで広場は溢れていた。 「とりあえず逃げずにきたことだけは誉めてあげるよ。それとも謝りにきたのかい?今更謝っても手遅れだけどね」 そう告げるとギーシュは薔薇の造花を突きつけた。目は殺気だって血走っている。傍目にも、もはや謝った程度では許す気はないのがわかる。 「お前頭が悪いな。戦いに来たことくらいわかるだろう」 ギーシュの顔が歪んだ。この期に及んでもそんなことを言われると思っていなかったのだろう。 「そ、そうかい。それじゃ始めるか」 そう言うと同時にギーシュが薔薇の花を振り、花びらを青銅でできたゴーレムへと変える。 「僕はメイジだ。だから魔法で戦う。よもや文句……」 ゴーレムを出すとギーシュは長々と口上を述べようとしたが、途中で止めざるをえなかった。デュフォーが歩みを止める様子を欠片も見せず、こちらへと向かってくるからだ。 開始を告げると同時にデュフォーはギーシュへと近づいていった。走らず、歩いて。ギーシュがゴーレムを出してもまったく足を止めることはなく、ザッ、ザッと距離を詰めていく。 そのギーシュのゴーレムなど気にするまでもないというかのような態度に知らず歯を食い閉めた。ギリッと歯が軋む音が聞こえた。 ギーシュは無策に歩いて近づいてくる平民を叩きのめす―――いや叩き『殺す』ようゴーレムに指示を与える。 同時に再び薔薇の花を振り、更に六体のゴーレムを出す。新たに出たゴーレムにも同様の指示を出した。 ここまで自分を馬鹿にした態度をとる平民を生かして帰す気は、もはやギーシュになかった。 合計で七体ものゴーレムが一斉にデュフォーへと殺到し―――そして全ての攻撃があっさりと避けられた。 「―――え?」 ギーシュが間の抜けた声を出した。だがそれはその場を見た人間の素直な感想だった。誰一人として今、目の前で起こったことを理解できなかった。 誰が見ても避けられるとは思えなかった七体ものゴーレムの攻撃が、デュフォーがほんの少し動いただけで全て宙を切った。 そこから先はまるで夢の中の出来事のようだった。ギーシュにとっては悪夢に等しい。 ギーシュへと近づいていくデュフォーに攻撃をしかけるゴーレムたち。だがデュフォーはまるでどこにくるのかが解っていたかのように、少し動くだけでそれを全て避ける。 目の前の男を平民だと侮る気持ちは跡形もなくなった。代わりに恐怖が芽生える。 「何でだよ、何でワルキューレの攻撃が当たらないんだよっ!」 必死でゴーレムに命令を下すギーシュ。だが攻撃を当てることはおろか、後退、いや足を止めることすら満足にできない。気がつけばデュフォーはもう間近に迫っていた。 ドン、とギーシュの背中に何かが当たる。振り向くとそこには壁があった。ギーシュは無意識のうちにデュフォーから離れようと後ずさりしていたことに気がついた。 (追い詰められた―――?) ギーシュがそう思った瞬間、首を掴まれ、壁に押し付けられた。一瞬息が詰まる。魔法の杖である薔薇の造花が叩き落された。 「まだやるか?」 冷めた声でデュフォーが訊ねる。既にギーシュは戦意を喪失していた。 震える声でギーシュが降参を告げたのをルイズは信じられないものを見るような思いで見ていた。 前ページ次ページゼロの答え