約 977,217 件
https://w.atwiki.jp/hachimanjinja/pages/1397.html
よくみたら地面に小さなボタンがあった ● 押したら花畑が2つにわかれて階段ができた 降りる このまま花畑を進んでいく? 花畑を進む
https://w.atwiki.jp/drapro/pages/350.html
サポート 対象範囲/効果 属性 [自身][増加] 火 自身のパラメーターが一定確率で増加する。レベルが上がると効果が増加する このスキルを所持しているカード 夏色乙女ガルーダ
https://w.atwiki.jp/ankoss/pages/4601.html
『は?っていうぐらい強いドス まりさ編』 4KB 群れ ドスまりさ 自然界 独自設定 思いつきで書きました。 まりさは考えていた。 なぜ自分がドスでもないのにドススパークが撃てるのか。 試しにドススパークを撃とうとしてみたがなぜか今度は撃てなかった。 仕方がないので普通の(ゆっくり基準で普通ではないが)特訓を始めようとした。 と、そのとき―――― 「おい、そこのまりさ。」 「だ、だれなのぜ!」 「ドスはドスだ、お前がドススパークを撃ったまりさか?」 明らかに野生のゆっくりらしくない威厳のあるドスだ。 しかも漢字が使える。 このドス、少し遠くの群れの長で、噂を聞きつけ自らまりさの元へやってきたのだ。 「ド、ドスううううう!?な、なんでまりさのところへ やってきたのz・・・ですか?」 「お前、ドススパークが撃てるな?撃ってみろ、今すぐ。」 「い、いまはむりですぅぅ!あのときはたまたまうてただけで・・・」 「そうか、なら・・・死ね。」 「ええええええ!ちょ、ちょっとおま!『ズン!』ゆびゃ!」 ドスvsまりさ 「いきなりなにをするんですかぁぁ!いきなりふっとばすなんて どすのすることじゃぁありませ『ドン!』ゆぎゃあ!」 「お前はドススパークが撃てなかった。よって?を吐いたとみなし、 排除する。」 「そんなぁ!りふじんすぎるぅぅぅ!」 「喋ってる暇があれば逃げるか立ち向かうかしたらどうだ?」 「なら、まりさはたちむかうのぜ! かくごしてください!ドス!」 一方的なリンチから一転、反撃に移る。 素早く、不規則な動きをしかく乱させる。 「見切ッタァ!」 「ゆべしッ!」 しかし見切られて反撃を食らう。 次は助走をつけて渾身の体当たり、からの噛み付きだ。 「ゆおおおおお!」 「遅いッ!」 「ゆぎゅえやあ!」 またもカウンターを食らう。 ちなみにこのドス、まりさがいくらあがこうと勝てる相手ではない。 少なくとも25倍は強い。 30分後―――― 「まけるかぁぁぁ!」 「いい加減諦めたらどうなんだ・・・」 「あきらめない!ぜったいにあきらめない!」 まりさの体はもうズタズタボロボロで普通ならもっとゆっくりしたかった・・・とか言ってるレベルの怪我だ。 まりさは死んでもドスに勝つつもりらしい。 とはいえ、まりさ種特有のプライドが関係しているのだが。 (そろそろ頃合いかな・・・試してみるか。) ズンッ。ドスの体がまりさにのしかかる。 まりさは移動できずにもがき苦しんでいる。 「ぐっ・・・あ”あ”!」 「そろそろ止めを刺させてもらう、さようなら、勇敢なまりさ。」 「ゆ”がああああああああ!しんでたまるかああああ!」 (来たっ!やっぱりこいつ・・・!) バアアアアン! 「うわっ!危なかったぁ・・・」 ドスが紙一重でゼロ距離のドススパークを避ける。 ドスの頬に熱気が伝わる。 「ゆぜぇ、ゆぜぇ、ゆぜぇ・・・」 「合格だ、やはりお前は天才だった。」 「は、はぁ?なんのことですか?」 「今後に及んで敬語はいらない。気軽に話してくれ。」 「わかったのぜ・・・ぜぇ、ぜぇ・・・」 「さっきは悪かった、謝罪する。テストのつもりだったのだが、 危うく殺しかけたな。」 「テ、テスト?なんなのぜ?それは。」 「力量・・・つまり力を測るものだ。お前が本当にドススパークを撃てないのか試させてもらった。」 「で、まりさはごうかくして、どうなるのぜ?」 「ドスの元で修行してもらう。まずはドスと同じドスになるまでの修行だ。」 「ま、まりさがドスになる?ほんとうになれるの?」 「ああ、だが修行は辛いし厳しい。修行をするかしないかの選択を今日一晩させてやる。 明日、またここに来い。」 「・・・ゆっくりりかいしたのぜ。よくかんがえてくるのぜ。」 ドスが去った後、まりさもその場を離れた。 まりさはもちろん行くつもりではあるが、少し不安が横切った。 群れを放って自分だけ離れることについての不安だ。 何度か群れを守ったことのあるまりさではあるが、それだけ自分が いなくなることで群れが弱体化、そのあげく壊滅、なんてことを考えている。 そこで長ぱちゅりーに相談する事に決めた。 「おさ、ちょっといいのぜ?」 「あらまりさ、なにかあったの?はなしてみなさい。」 「おさ、じつはきょう――――――」 事情説明中~ 「むきゅ、そんなことがあったの。」 「おさ、まりさはむれからでないほうがいいのかだぜ?」 「・・・いえ、だいじょうぶよ。むれのことならぱちぇにまかせなさい。 ぜったいまもってみせるから。」 ぱちゅりーは力は無い。 それゆえ、知識だけで群れを守っていくつもりのようだ。 ぱちゅりーにはそれだけの知識がある。 自分に自信がないと言えない言葉だ。 「いいのかだぜ?ほんとうにいってもいいのぜ?」 「ええ、そういったのがきこえてなかったの? それともぱちぇにまかせるのがしんぱいなの?」 「そんなことはおもってないのぜ、じゃあおまかせするのぜ、おさ。」 「あしたいくのね、さみしくなるわ・・・」 「それじゃああしたにむけてまりさはもうねるのぜ、さよならなのぜ」 翌日、まりさは群れの皆に見送られ、ドスの元へ向かった。 「来たな、では来い。」 「わかったのぜ!じゃあいくのぜ!」 こうしてまりさはドスについて行き修行に励んだ。 始めは自分がやっていた特訓の何倍も厳しく、すぐにバテていたがドスのスパルタによって それに耐えうる体を10日かけて得た。 それから1ヶ月、まりさは見事ドスへ成長し、さらに1年、ドスの元で修行を続け 群れへ帰るのであった。 その後成長したまりさが見たのは思いもよらない出来事だった・・・ 続く あとがき すいません、書くのが超めんどくさかったのでドスとの修行は大幅カットさせて頂きました。 次回からは少しの間、他の話を書いていくつもりですのでご了承を。 過去作 は?ってぐらい強いドスシリーズ 少年とゆっくり
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1153.html
前 まりさつむりの記憶 (後編) ☆ゆっくり同士の戦闘シーンがあります。 罪のないゆっくりが酷い仕打ちに遭います。 東方のキャラがちょっとだけ出演します。 SSの数だけ設定が存在します。 お気に召さない方は回れ右! 霧の湖のほとり。鍾乳洞の奥深く。 美しい黄金色の長い髪がゆーゆーと寝息を立てている。帽子は無いが紛れもないゆっくりまりさである。 肉体的にも、精神的にも疲れ果てていたため一週間以上眠り続けていたのだ。 その傍には蜂蜜色の、ゆっくりありすの姿があった。 動く気配も呼吸している様子も無い。死んでしまっているようだ。 しかしその顔は幸せに満ちた寝顔、そのものであった。 「ゆっ・・!ゆっくりおはよう!!!」 まりさが漸く目を覚ました。しかし辺りには誰もおらず、まりさの声だけがゆっくりと木霊する。 「ゆっ・・ゆう・・・。」 すぐに最愛のありすを失ったことを思い出し、がっくりと肩を落としていた。 ゆっくりに肩があるかどうかは気にしてはいけません。 悪い夢なら覚めて欲しい。そう思うことも否定はできないのだが、 まりさが座る葉の下には3個の真っ白い卵。ありすからの贈り物である。 この子達のためにも頑張らなくては・・!何よりもありすのために・・・! 「ゆっしょ!ゆっしょ!ゆっしょ!」 ざっくざっくざっく・・・ まりさは全身傷だらけになりながらも、硬い鍾乳洞の床に穴を掘っていた。 ありすの両親の形見だった三日月の紋章、かちゅーしゃを穴に放り込むと、 ありすをゆっくりと埋葬して葉っぱで覆い、墓標となる石を置いた。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 森の中に埋葬するのも手であるが、腐葉土に覆われた土壌のため すぐにありすの亡骸は朽ち果ててしまうだろう。 まりさには心が痛むためできなかった。 「ゆー・・・」 まりさは目をとじて墓標の前でゆっくりとうなだれていた。 しかしあまりゆっくりしている時間はない。冬ごもりの準備をしなくてはならない。 以前の集落では充分な食糧を確保してきたものの、全て置いて逃げ出さなくてはならなかった。 まりさはゆっしょと体を起こし、残ったこれくしょんの貝殻を吐き出すと、 卵をほおばり勢いよく鍾乳洞を飛び出した。 10月。幻想郷では秋が深まりつつあった。 魔法の森も美しい紅葉に包まれていた。しかしまりさには楽しむ余裕はない。 朝早く起きてから昼過ぎまで、休むことなく食糧や資材集めに奔走した。 魔法の森の奥深くまでは人間も妖怪も滅多に姿を現さない。 しかし帽子を失っていたゆっくりまりさに、他のゆっくり達の攻撃は容赦がない。 食糧をほおばり枝や葉などの資材をかついで巣に戻ろうとしていると、 「ゆゆっ!あそこにゆっくりできないまりさがいるよ!!!」 れいむが大きな声を上げる。 「ゆー、ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!!!」 「「「「「「ゆっきゅりしね!!!ゆっきゅりしね!!!」」」」」」 成れいむが2匹、子れいむ6匹の群れである。 以前の狩りの得意なまりさであれば、荷物をかついでいても逃げ遂せたであろう。 今は連日の過酷な労働と、ゆっくり達との戦闘に疲労困憊であった。 ましてやありすとの愛の結晶である大事な卵を抱えている。 まりさは泣く泣く集めてきた資材を捨て、黙って一目散に逃げるしかなかった。 「ゆーっ、まりさがゆっくりにげるよ!!!はやくおいかけようね!!!」 「ゆゆっ、まりさがたべものをいっぱいおいてったよ!!! きっとれいむたちにゆるしてほしくておいてったんだね!!!」 「こんな、むーしゃ、もので、むーしゃ、れいむたちをゆるしてくれなんて、しあわせー!!! なんてげすなまりさなの!!!ばかなの?」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー!!!」」」」」」 まりさが残していった虫、草や茸を思い思いに食い荒らすれいむ一家。 「ゆゆっ!!!こんなまずそうなはっぱなんていらないね!!!」 れいむが葉っぱをすりつぶすと、ゆっくりとぼろぼろになってしまった。 果たしてこのれいむ一家は無事に冬を過ごせたのだろうか? 一方のまりさは、より疲労の色を強めていた。 自分はろくに食事もとらずに生まれてくる子供たちと冬を越すために一生懸命である。 しかし何度も他のゆっくり達に襲われてしまい、思うように食糧を集められずにいた。 そんなある日のこと。 「ゆ・・・。ゆっくりおはよう。」 もはや大きな声を出す元気も無かった。その時かすかに背後から物音が聞こえてきた。 まりさは振り向くと、卵を覆っていた葉っぱを取り去った。すると卵がかすかに動いているではないか。 「ゆゆっ、うまれるよー!!!ゆっくりがんばってね!!!」 がさがさがさっ 卵の振動は強まっていく。 ぴしぴしぴしっ 3個の卵にゆっくりと、一斉に亀裂が入る。そして卵が割れる。 「ゆゆーっ!!!」 割れた卵から黄金色の塊が2個、蜂蜜色の塊が1個、飛び出した。 「ゆっ・・・。ゆっくりしていってね!!!」 まりさ種2匹とありす種1匹である。しかし卵の中を覗き込むも、帽子もかちゅーしゃも見当たらない。 まりさはとっさに笑顔を作って渾身の思いで声を張り上げるが、落ち込みを隠せない。 「「「ゆっきゅりしていっちぇね!!!」」」 「ゆっ・・・。どおしてぇ・・・」 どうやらみょんに突き刺されたありすは、生命だけではなく生殖器にも影響を及ぼしていたようだ。 この子達には自分と同じ運命が待っているのかと思うと、断腸の思いであった。 ゆっくりに腸があるか無いかについては議論してはいけません。 「おきゃーしゃんどおしたの?ありすなにかわるいことしたならごめんね・・。」 振り向くと、母の落ち込んでいる様子を見て、透き通った瞳の子ありすが首をかしげていた。 見た目も、生まれたばかりなのに母を気遣う優しさも、まさにありすの生き写しであった。 感動のあまりまりさから大粒の涙がこぼれ落ちる。 「ううんちがうの・・。ありすはいい子だから、いい子だから・・・」 「おきゃーしゃんをいじめるわるいやつはゆるさないよ!!!」 子まりさが威勢よく声を上げて飛び跳ねる。その瞳もまた、ありすの生き写しであった。 「うっ・・・。こんなおかあさんでごめんね・・・。う、うわぁああああん!」 まりさは3匹にすり寄ると、大声で泣き出してしまった。 ありすから授かった、如何なるこれくしょんよりも素晴らしい宝物に、感動が止まらなかった。 一人で暮らしていた頃と比べると、随分涙もろくなってしまったものだ。 「「「お、おきゃあしゃん・・・?」」」 「ご、ごめんね・・。もうだいじょうぶ、だいじょうぶだから・・。」 きゅるるるる・・・。1匹の子まりさのおなかが勢いよく鳴る。 「おきゃーしゃん、まりしゃもうはらぺこだよ・・・」 「ごはんのよういをするからまっててね。」 「「「ゆっ、ゆっくりまってるよ!!!」」」 食糧の備蓄量は決して多くは無かった。 自分が食事をがまんすれば、子供たちが二週間は耐えられる程度であった。 その後は・・。自分が食糧となるしかないが、とても冬を越せる量ではない。 徐々に寒くなってきているものの、まだまだ食糧を集めなくてはならないようだ。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」」」 幸せそうな子供たちを背に、まりさはありすの墓標へ向け、ゆっくりと語りかけていた。 「ありす・・。きょうね、まりさとありすのこどもがうまれたんだよ。 ありすににててね、とってもとかいはで、かわいくて、やさしくて・・。 ありすにも、ありすにも・・。うっ・・うっ・・・・。」 後ろでは子供たちがゆーゆーと寝息を立てていた。 まりさは子供が生まれた嬉しさと、ありすに見せられなかった悔しさの境界に立たされながらも、 子供たちに寄り添ってゆっくりと眠りを深めていった・・・。 一方、魔法の森のとあるゆっくり集落に、帽子の無いまりさの噂が広まっていた。 ある者は、襲いかかると常人・・じゃなかった常ゆっくりならぬ力で跳ね飛ばされ、 またある者の前では、威嚇しただけで食糧を山のように置いて逃げていったという。 冬ごもりが近く、少しでも多くの食糧を集めなくてはならない。 帽子もないくせに、山のように食糧を集めるゆっくりはさっさとしんでもらうべきである。 集落のゆっくり達は、策を練り始めていた。 「ゆ・・・ゆっくりおはよう!」 「ゆ・・・ゆっきゅりしていってね!!!」 まりさは更に狩り、採集に精を出していた。 子供たちの声を聞くと、溜まっていた疲れも一気に吹き飛ぶというものだ。 ありすとの大切な大切な3人の子供・・。絶対に無事に冬を乗り切らなくてはならない。 他ゆっくりの威嚇にもひるまずにかつゆっくりと逃げ回り、こつこつと食糧を集めていった。 子供が生まれてから半月ほど過ぎたある日の夕暮れ、 まりさには追手もおらず食糧を抱えてゆっくりと巣に向かっていた。 しかしそれが仇となった・・。 「ゆゆっ、ゆっくりみつけたよ!!!」 「ゆっくりおかあさんにしらせてくるね!!!」 まりさの足取りがゆっくりであったため、れいむの5姉妹に後をつけられていたのだ。 「ぼうしもないげすなまりさなんて、かわいいれいむのあしもとにもおよばないのよ!!!」 れいむ姉妹が下っぱらを膨らまし、ゆっくりと踏ん反り返る。 虐待お兄さんに見られたら、即クリアボックス行きである。 程なくしてまりさの巣の位置が集落に知れ渡る。 ゆっくり達は夜が明ける頃、まりさの巣に張り込んで出てきたところを袋叩きにする算段だ。 「ゆっくりおはよう!」 「ゆっくりしていってね!!!」 まりさ親子の間で、朝の挨拶が交わされる。 しかしなぜか、辺りは不穏な空気に包まれていた。 まりさは音を立てないようにゆっくりと入口に近づくと、 外でゆっくり達がゆーゆーと息の音を立てている。数はかなり多いようだ。 「ついに・・・。見つかったみたいだね・・・。」 このまま黙ってやられるわけには行かない。子供を守るべく、まりさは最大限の抵抗を試みることにした。 まずは巣の中の持ち運べる石をありったけ集めて、入口を封鎖することにした。 1匹で作れるバリケードはたかが知れているが、それでもすぐにゆっくり達には石の壁を崩せないだろう。 壁がつみあがったらまりさは、隙間を抜けて再び外の様子を見に行った。 もう昼近いというのに、食い物のためか、帽子無しゆっくりへの復讐か、ゆっくりらしからぬ執念である。 「ゆゆっ!!!れーむおなかがちゅいてきたよ!!!」 子れいむが耐えきれなくなって叫ぶ。 「そうだな、そろそろゆっくりとつげきしようぜ!!!」 群れのまりさが叫んだ。 「「「「ゆ゛ゅーーーーーーーーーーー!!!」」」」」 他のゆっくりも一斉に叫ぶ。 まりさは元来た隙間をすり抜け、急いで内側から封鎖した。 「かわいいれいむのために、ゆっくりごはんをちょうだいね!!!」 「このとかいはなおうちはありすにこそふさわしいのよ!!!」 「ぢーんぼっ!!!」 「むきゅむきゅむっきゅーーーーん!!!」 各々が思い思いに怒号を上げる。 どしんっ!どしんっ!・・・ 程なくして、石壁に体当たりが行われた。 予想以上に数が多い。崩されるのも時間の問題か。 隙間から外の様子を覗ってみる。 「ゆーえす!!!ゆーえす!!!」 ゆっくり達は息を揃えて石壁に体当たりを繰り返していた。その数は50以上であろうか。 しかしよく見てみると・・・ どしんっ 「ゆ゛あ゛っ!!!」 どしんっ 「ゆ゛べじっ!!!」 先頭のゆっくり達は、後続のゆっくり達の勢いに逆らえず、顔を強く石壁に叩きつけられていた。 どしんっ 「で、でいぶのがぁい゛い゛がお゛に゛ぎずがぁあああああ!!!」 どしんっ 「ゆ゛っ、ゆ゛がっ!!!」 どしんっ 「ゆっ、でいぶの゛お゛め゛め゛がみ゛え゛な゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 どしんっ 「ゆ゛っ、ゆ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 最初の犠牲者が出た。 敵のれいむの1匹は衝撃に耐えきれず、ぱぁあああん!と弾け飛んだ。 しかし後続のゆっくり達は、気にも留めず体当たりを繰り返す。 どしんっ 「あ゛、あ゛り゛ずの゛どがい゛はな゛お゛がお゛があああああ!!!」 ありすの頬が石でえぐり取られる。カスタードクリームが漏れ出していた。 どしんっ 「ぢべっどっ!!!ろ゛じあ゛っ、お゛る゛れ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!」 続いてありすが犠牲となった。石の角に皮を貫かれ、辺りにカスタードクリームをぶちまける。 「み゛ょんっ!!!ぺにい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ず!!!」 「わがら゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ら゛ん゛じゃま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「じ、じあ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」 みょんが、ちぇんが、めーりんが、次々と石壁と仲間達の境界に飲み込まれていく。 まさに地獄絵図である。いくら自分を殺そうとしている相手だとはいえ、まりさもいい気分ではない。 まりさは一度巣の奥に引き返した。 子供たちは洞窟の中に響くゆっくり達の体当たり音に怯えていた。 「みんな貝がらにかくれて!!!だれもいなくなるまでぜったいにでてきたらだめだからね!!!」 そこにはまりさのこれくしょんの、子ゆっくり達より二回り大きい巻き貝の殻が3個あった。 「ゆゆっ!!!ゆっくりわかったよ!!!」 まりさ達がそれぞれ貝殻の中に身を隠す。 「お、おきゃーしゃんは・・?」 ありすが尋ねる。 「ゆっくり生き残ってみせるよ!!!だから・・・。おかあさんとのやくそくぜったいまもってね!!!」 ありすも続いて貝殻に潜り込む。 しかしまりさには生き残れる自信などあまり無かった。 自分は犠牲になってでも子供たちはなんとしても助けなきゃ・・。そう思っていたのだった。 ずががががぁあああん!!! 洞窟の中に轟音が響きわたる。遂に石壁が崩されたようだ。 「むぎゅむぎゅーーん!!!」 「ゆ゛っぐじ゛じだげっががゆ゛あ゛っ!!!」 「で、でいぶの゛ごどもがああああああ!!!」 「ま゛、ま゛り゛ざの゛お゛がお゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 また数匹、犠牲になったようだ。洞窟の入り口が開かれたことで外から甘い匂いが立ち込める。 「おきゃーしゃん、あまあまだよぅ・・・」 1匹の子まりさが呟く。 「しゃべっちゃだめよ!」 子ありすにたしなめられる。 まりさは鍾乳石の影でゆっくりと様子を窺う。 一連の出来事で幾分かは数は減ったが、30は下らない。 「ゆゆっ、げすなまりさははやくれいむにあやまってね!!!」 子供が石の下敷きとなったれいむである。ぷんぷんと下っぱらを膨らませている。 もし虐待お兄さんが見ていたら、ゆっくりとスライスされるところである。 ゆっくり達が続々と奥に進入してくる。 まともに戦っては勝ち目がない。しかし先に子供たちを見つけられるわけにはいかない。 意を決して、まりさは姿を現す。 「ゆゆっ!!!げすなまりさがいたよ!!!はやくごはんだしてゆっくりしね!!!」 れいむが飛びかかってきた。 まりさは素早く飛びあがると、上かられいむを踏み付けた。 「ゆ゛べしっ!!!」 すぐに上から大きな石を投げ下ろす。 「ゆ゛ゆ゛っ!! でいぶのあだま゛がぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむは後頭部をきれいに潰されて、ゆーゆーと弱々しく息を立てていた。 切り口からは餡子が漏れ出すが、幾分かは石にせき止められている。 命を失うのは時間の問題であろう。 「よ゛、よ゛ぐも゛でい゛ぶお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 続いて一回り大きな敵まりさが突っ込んできた。 まりさは少し前に出ると、下から思い切り飛び上り、敵まりさを上に跳ね飛ばした。 「ゆ゛ゆ゛っ!!!ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鍾乳石に頭から貫かれる形となった。 「は、はやくまりさをおろすんだぜ!!!」 幸いと言うべきか、急所は外れており、餡子の流出も少なくぴんぴんしている。 敵に助けを求めるとは、同族ながら非常に愚かである。 これではどちらがげすかわからないと、まりさは呆れた表情であった。 が、残ったゆっくり達に四方八方取り囲まれてしまった。 「ゆっへっへっへ!!!やっぱりおまえはげすなまりさだぜ!!! どーぞくとしておろかだぜ!!!」 一際大きなまりさが踏ん反り返り、下っぱらを誇張して下品な笑いを浮かべている。 もしAQNが見ていたら、火薬で木端微塵にされるところであろう。 さすがに栄養不足の中ひたすら暴れまわったため、まりさの体力も限界が近い。 まりさは奥の手に出ることにした。 「ふふっ、おまえは人からたべものをうばわなければいきていけない、 ただのとーぞくにすぎないんだよ。」 「だっ・・、だれうま!!!」 ゆっくりの餡子脳はそんなものだということでご容赦下さい。 大まりさがまりさに突撃を仕掛ける。 まりさは口の中に隠していた茸をかみ砕くと、正面の敵に向かってゆっくりすぱあくを放った。 すぱあくとは名だけで、ただ当たるとしばらくの間ゆっくりしてしまう光線のようなものである。 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 正面の敵まりさだけではなく、同じ方向にいるゆっくり達にも当たったようだ。 まりさは近くの鍾乳石をゆっくり持ち上げると、敵まりさの脳天から串刺しにした。 「ゆ゛ゆ゛っ・・!ゆ゛あ゛じっ!!!はやくまりささまをはなさないとゆるさないんだぜ!!!」 急所を貫いたはずだが、まだ息の根があるようだ。 「おまえはもう・・・しんでいる。」 「ゆゆっ?ゆ゛っ、ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 言われてみないと死んでいることにすら気付かない。 もしもえーりんが見ていたら、こっぴどく実験のネタにされることであろう。 「「「「ゆっ!!ゆゆーーーーーー!!!」」」」 掛声とともにまりさの後頭部に鈍い痛みが走る。 生き残った子れいむ達が後ろから投石を仕掛けてきたのだ。 「れいみゅのいしがあたったよー!!!すぎょいでしょ、ゆっへん!!!」 「「「ゆーー!!!れいみゅすぎょーい!!!」」」 姉妹から称賛を浴びた子れいむは、ますます天狗になる。 子供とは言え、下っ腹を憎らしく膨らませる姿を虐待お兄さんが見ていたら、 長きに渡って針攻めにされることだろう。 「「「「「ゆっくりげすなまりさをやっつけるよ!!!ゆっくりしね!!!」」」」」 続いて残りのゆっくり達が総攻撃を仕掛けて来た。 突撃してくるもの、投石するものなど様々で、味方が投げた石にゆ゛ゆ゛っと潰されるゆっくりもいたが 疲れ果てたまりさに成す術はもう残されていなかった。 ゆっくり達に体当たりされ、噛みつかれ、石をぶつけられ・・。 遠のく意識の中まりさの涙は止まらなかった。 叩きのめされる痛みからではない。 ありすとの約束を果たせなかったため。自分が死ねば次は子供たちの番であろう。 ありす・・・こどもたち・・・、ごめんね・・・・・・。ご・・・めん・・・ね・・・・・・・・・ 1分とかからず、まりさはただの餡子の塊となってしまった。 多くのゆっくりの遺体が圧し掛かっているため、ぱっと見ではまりさの存在がわからない。 その様子を見ていたまりさの子供たち。 「お・・おきゃあさんっ!どぼじで、どぼしでえええええ!」 悲しい悲しい悲しい。ただこの子達には母まりさの狙いがわかっていた。 大声を出してやすやすと見つかるようなマネをしては、母を裏切ることになる。 敵の群れに対する被害も甚大であり、1匹の母れいむと数匹の子れいむを残すのみとなっていた。 一匹のまりさ相手に壊滅寸前・・・である。 それから程なくして、 「みてー!!!むこうにきれいなかいがらがあるよー!!!」 「ゆゆっ!!!れいむのかいがらさん、ゆっくりまっちぇちぇね!!!」 数多くの仲間が犠牲になったというのに、その記憶はもう吹っ飛んでいる。さすがゆっくりブレイン。 生まれたばかりの子供たちにとって体格差は歴然。もう勝ち目はないものと思われた。 一匹が貝殻を拾い上げると、 「ゆゆっ!!!なかにゆっくりできないまりさがはいっているよ!!!ゆっくりしね!!!」 帽子、髪飾りを持たないので当然襲い掛かってくる。 あるれいむは貝殻の中に舌を伸ばしてきた。 「ゆ゛あ゛っ!!!ぎもぢわるいよ!!!」 子まりさが勢いよく舌を噛み切った。 「ゆっ・・・ゆっぎゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶのぺろぺろがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの舌から餡子がどくどくと流れだす。舌の根は中心に近いため、 早く手当てしないと命に関わる。 あるれいむは貝殻を跳ね飛ばして割ってしまう算段だった。 「きれいなかいがらさんはかわいそうだけど・・・ゆっくりしね!!!」 跳ね飛ばした貝殻は割れることなく鍾乳石に当たって跳ね返り、れいむの右目に直撃した。 「ゆっ・・・でいぶのお゛め゛め゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 更に中の子まりさは容赦無く噛みついた。 「ゆっぎゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 目のあった部分から餡子がどくどくと流れ出す。失餡死には至らないが、 野生で目を失うことは命に関わる。 あるれいむは勢いよく踏みつぶそうという算段だった。 「ゆふっ!ゆっくりしね!!!」 れいむは大きく膨らんで貝殻に圧し掛かった。当然ゆっくりの硬さ、力では割れるはずがない。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっふ!ゆっふ!」 何度も貝殻を踏み付ける。もちろんびくともしない。 「こんどこそ・・、ゆっくりしね!!!」 れいむが高く飛び上った瞬間、中の子ありすは地面に対して垂直に貝殻を立てた。 「ゆっ・・、ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶのあ゛んよがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの足となる部分から餡子がどくどくと流れだす。今度は一番タチが悪かった。 貝殻はれいむの皮を貫き、口の中まで達していた。 膨らませていた口からひゅーひゅーと空気が漏れたことで 大量の出餡につながった。当然足を痛めて野生で動けないことは命に関わる。 「ゆゆっ、こんなゆっくりできないかいがらはさっさとしね!!!」 母れいむは自分たちの力では潰せないとわかると、 頭から湯気をぷんぷんと上げながら霧の湖のほとりまでやってきた。 「ゆっくりおみずでしんでね!!!」 母れいむは持ってきた貝殻を湖へ向けてゆっくりらしからぬ勢いで投げ込んだ。 ばっしゃん!!! 3個の貝殻は霧深き湖の底へと消えていった、かに思われた。 「やっぱりかわいいれいむはてんさいだね!!!ゆっふっふっふん!!!」 踏ん反り返って勝利の笑い声をあげる。しかしこれがいけなかった。 「ゆ゛っ、ゆるんっ!!!」 ぼっちゃん!!! れいむは水中へ真っ逆さまであった。普通のゆっくりは泳げるわけもなく、 「ゆっくりした結果がこれだよー!!!」 とのたまいながら、体がふやけて沈んでいくのを待つしかなかった。 「「「ゆっしょ!!!」」」 ばしゃん!!! 子まりさ達が声をあげる。貝殻が浮き袋となり、3匹とも無事であった。 それだけではない。長いサバイバル生活を生き抜いたありすに起きた体の変化、 耐水性を引き継いでいたため、水に触れ続けていてもふやけて沈むことはない。 「まりさおなかがすいたよー!あれでもたべよう・・・?」 そこには、間抜けにも足を滑らせた母れいむが情けない顔で湖底に沈んでいる姿であった。 「ゆゆっ、でもおかあさんがほかのゆっくりを食べたらゆっくりできなくなるって・・。」 「ありすたちどうせぼうしがなくてねらわれるのよ!このままうえじぬぐらいだったら あれをたべてでもいきのびるしかないわよ!!!」 3匹は意を決して再び水中に潜った。 れいむを近くの岸までゆっしょゆっしょと力を合わせて引き上げると、3匹は貪り食った。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」」」 餓えた子供たちにかかれば、母れいむだった物体は あっという間にりぼんを残して食べられてしまった。 ちなみに保護者を失った子れいむ達は、2匹は失餡死、 残りは飢餓と生き残るものは皆無であった。 11月。幻想郷にもちらほらと雪が舞い始める。 子ゆっくり達はどうにか森の中で食いつないできたが、さすがに寒くなるとそうもいかない。 夏ほど食糧は見つからないし、今更溜めてもひと冬過ごす分には到底間に合わない。 「ゆっしょ!ゆっしょ!」 子ゆっくり達は掛声とともに、ゆっくりと木の根元に細くて深い穴を掘り始めた。 そして草を詰めていく。 雪が降ってきたら貝殻ごと草の中に潜る。 天気が良い日は雪の中から食糧を探し出す。森の中なら何かしら収穫があるはずだ。 冬になってしまえば他のゆっくりが出歩く危険も少ない。 食べきれない分は巣に持ち帰って吹雪の日に備える。 防寒と食糧集めを両立することができる、画期的な巣だ。 この先、彼らの成り行きについては不明である。穏やかな日々が続いた事を意味している。 つまりは、まりさとありすの命を懸けた努力は決して無駄とはならなかったのだ。 安らかに、ゆっくりと眠れることを祈るばかりである・・・! 「こ・・・、こんな事情があったとは・・・」 月の頭脳、八意永琳は驚いた表情で鈴仙のレポートを読み進めていった。 「再現性も問題ありません。2サンプルとも調べてみましたが、全く同じ観察結果でした。」 ここは永遠亭の一角、永琳と鈴仙の真新しい研究室である。 廊下を挟んで向いの部屋、及び上のフロアーには多くの実験室が連なっている。 永琳達は元々、住居のある本館の地下に実験室を構えていたが、 ゆっくりが現れてからというものの実験の量が膨大になっていった。 そんな時、ゆっくり加工場から多額の研究費が舞い込み、本館の裏側に実験棟を建ててしまったのだ。 外向きは日本建築でなんら違和感がないが、中には最新の実験設備が整っている。 鈴仙は、竹林越しとはいえ日や月の光が入ってくる今の実験室をとても気に入っている。 永琳は元々ゆっくりを死滅させたり、特殊な生理作用を及ぼす薬剤の開発に主眼を置いていた。 最近ではゆっくりの産業的応用に力を入れ、糖分や水分が多いにも関わらず 簡単に細菌、黴や茸に侵食されない秘訣について研究を進めていた。 その結果、ゆっくりの表皮から抗菌性のタンパク質を単離することに成功した。 ゆっくり産な故非常に安価であり、医薬品、食品添加剤のみならず 抗菌ブームに乗って様々な需要があり、加工場から莫大な資金援助を受けることができたのだ。 「鈴仙、この結果をまとめてJounal of Yukkuriscience に投稿するのよ。」 「はっ・・・ はいっ!私が・・・ですか?」 Jounal of Yukkuriscience はゆっくりの研究結果についてまとめた論文専門の雑誌である。 東方求聞史紀を編纂した稗田阿求が、より苦痛の強いゆっくり虐待方法の追求のため、 永琳に話を持ちかけたのが企画の始まりであった。 今では阿求編集長以下永琳や加工場のエリート研究者を編集員兼論文審査員として招き、 幻想郷中で競うようにゆっくりに関する研究結果が投稿され、まとめられている。 「鈴仙は今回よく働いてくれたわ。にとりさんやアリスさんの協力があったから、この ゆっくり記憶探査装置の完成が実現したのよ。だから彼らの分もしっかり頼むわよ。」 ゆっくりのコアは魔力が込められており、子供たちに受け継がれてゆっくりの原動力ともなる。 コアに封じられた記憶を探査することで数代前のゆっくりの記憶を引き出すことができる。 この機器は科学と魔法に関する知見を融合することで生まれた、夢の共演なのである。 今回の論文ではこの装置の信頼性に関する実験と、 まりさつむりに関する分析結果を同時に投稿する予定である。 「しっかし師匠、面白いものですね。新種のゆっくりの誕生にはこのようなドラマがあるとは・・・」 「ゆっくり達に限らず、生物が進化するには何かしら刺激があるから。 ゆっくりはコアの部分に代々記憶の一部が引き継がれていて、肉体的や精神的に 強い衝撃を受けると、その時期の記憶を強く残して子供に伝えていくのよ。 いわば年輪のように積み重なっていくもの。 ある程度記憶が積み重なると、それに対処すべく体が変化していく。 彼らから冬を迎えた以降の記憶を引き出せなかったのは、 それ以降進化を動機付けるに匹敵する強い刺激が無かったから。 但し化学物質の変化ではないから、魔力による解析が必要よ。」 そして永琳は続ける。 「あくまで論文は論理的に、じゃないとね。情を捨てて書かないとならないわ。 いつかは彼らのドラマも人目に出る日が来るでしょうけど・・。」 「はいっ!精一杯やらせていただきます!」 鈴仙は自分のデスクに置かれた、これまた真新しいパソコンに向かうと一心不乱にキーを叩き始めた。 装置の中では帽子の代わりに貝殻をかぶったゆっくりまりさ、まりさつむりがゆゆっと首を傾げていた。 永琳はまりさを装置から取り出すと、ゆっくりと自分のデスクの上に降ろして羊羹の一切れを与える。 「ゆー♪」 まりさは透き通った瞳をぱちぱちさせながら、永琳を見つめていた。 「たまには、こんなお遊びの研究も面白いわね。何時かは何かの役に立つかもしれないし・・・。」 まりさの髪を撫でながら、永琳は緑茶を片手につぶやいた。 あとがき 思いつきで書きだしたのはいいですが、べらぼうに長くなってしまいました。申し訳ない。 もしここまで読んでくれた方がいらっしゃったら、ものすごく感謝します。 ゆっくりの種類によって、台詞の漢字の比率を変えてみたつもりです。 全体として統制がとれていることを祈りつつも・・。 突発的つぼ焼き案を読みながらスライムつむりを連想し、 スライムがまりさになっている姿を連想し・・・ 勢いで書いたはいいがまとまらなくなり、最後は雑になっています。 設定としてはありすやぱちゅりーの血も混じっているはずですが、 ややこしくなるのでまりさつむりだけでお茶を濁しました。ストーリー中の描写も少なめです。 ただぱちゅつむりという名を出したかっただけだったり。 何よりも貝殻かぶっているありすの姿が想像できませんでした。 まりさつむりの設定は序盤の描写と続く説明文として固めて書いておきました。 ありすつむりを出せなかった分、ありすの瞳を受け継いでいる点を強調しました。 この瞳が真珠のように狙われて乱獲される話も作れるかもしれません。 終盤は、何かに使おうとしていた永遠亭の研究施設とゆっくり学界の設定です。 加工場ネタや実験ネタにつながっていくと嬉しく思います。 それにしても、好色家じゃないゆっくりありすはかわいらしいものです。 Q&A Q-1 最初に主人公ありすの両親を襲った群れは・・・どうなったの? A-1 この時期のありすは幼く、逃げるしか無かったため戦闘や復讐の描写は避けました。 まりさに助けられてからも、わざわざ復讐に帰る血の気なんてありません。 彼らが愚か者なのは間違いありません。再び人間の畑を襲撃して根絶やしにされる、 人里方面に向かったちぇんと戦闘になり滅ぼされるなど、ご想像にお任せします。 Q-2 主人公まりさ、やたらと賢いけどなんでなの?ありすはまだわかるけど。 A-2 家族が滅ぼされてしまい、生存に対する強い意志、仲間を大切に思う気持ちが芽生えたためです。 違いはごくシンプルですが、一般的なゆっくりは自分がゆっくりできる事しか考えていません。 特に終盤では、自分のゆっくりらいふを犠牲にしてありすや子供たちの為に尽くします。 ゆっくりにも向上心があればきっと成長できると信じています。 Q-3 主人公まりさがれみりゃに襲われた時の描写が無い。 A-3 全体として筋は通したつもりなものの、小話の積み重ねであるため複雑化を避けて割愛しました。 Q-4 主人公ありすのとかいは発言が無いんだぜ!!! A-4 ありす特有の高飛車さを持たず、純粋無垢な性格であるためです。 両親に大切に育てられ、見ず知らずだったまりさに命を救われてやさしい子に育ったのでしょう。 空気を読まないつんでれもありません。結果的に好評だったので良かったです。 それでもまりさのために体を張ったりと、その辺のゆっくりと比べたらずっと勇敢です。 Q-5 まりさつむりの話だけで終始している。ゆっくりつむり一括で話を組み立てたら? A-5 まりさつむりの設定はすぐに固まりましたが、他の種では差別化を図ることができませんでした。 いくらなんでもゆっくりが人形を作ったり、ごほんを読むだけで魔法が使えたらヘンでしょ? Q-6 最後の戦闘、一度沈んだ貝殻が浮き上がったのはどういう原理? A-6 ちょうどゆっくりにかかる浮力と重力がほぼ同じだったと考えてください。 れいむに放り投げられて少しは沈みましたが、幼ゆっくり達でも浮かび上がることができました。 Q-7 どぼじででいぶばっがり゛い゛じめ゛る゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ A-7 個人的に純粋なまりさやありすがかわいらしくて、 踏ん反り返るれいむがあまりにもにくたらしかったからです。 Q-8 ありすかわいいよありす A-8 そう言っていただけると嬉しく思います。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1593.html
※ゆっくりいじめ系2791 一家離散:妹れいむ『かえして』 の続きとなります 「……うん、うん。そう、罠も見破られて。変に賢いのよ。ずっと見張っているのも億劫だしさ。 篭っているところを殺しても、そのまま中で死体が腐られるのも嫌だし。出来れば引っ張り出してから一網打尽にしたいのよ」 妹れいむが小学生の少年にその命を買われ、新たな生活を始めた日の、夜。 夕食を終えて、風呂あがりの少女が自室のベッドの上で携帯電話越しに相談を持ちかけていた。 相手は家がわりかし近所でもある、ゆっくりに詳しい従兄。今は大学生のはずだ。 「庭の花とか軒並みやられたのよ? トゲのある薔薇や背の高いやつだとかは無事だったけど。それにたまに変な歌とかで五月蝿いし。 なんかいい方法無い? 引っ張り出して逃げられないようにしつつ捕まえる方法。……うん、捕まえたら駆除するつもりだけど。……だって、気持ち悪いじゃん。喋る生首なんて。ヘビやミミズより嫌い」 ギュッ、と抱えていたクッションに込める腕の力と同様に、語気も強くなる。 「この間だって、蝶をおいかけてたヤツが私の目の前で車に轢かれてさ。餡子が飛び散って高校の制服についたのよ。……あれは本当に気持ち悪かったわ。トラウマ」 電話の相手が乾いた笑いをあげるのを聞き、「笑い事じゃない」とぷりぷり怒って返す少女。 それに対して軽い調子で謝りの言葉を言ってから、電話の相手はようやく相談内容の答えを返した。 「…………え? うん、まぁ、いけるかもしれないけどさ。私、さっきまで嫌いだって言ってたよね? 〝毒をもって毒を制す〟、って……。 いや、うん。他に方法が無かったら、やってみる。ありがとう。でも、他に方法思いついたら教えてよね?」 相手が望んでいた答えを返してくれたのには感謝をしたが、今一釈然としない様子で少女は電話を切り、携帯電話を折りたたんだ。 携帯電話を充電器に置いてから、少女は南窓からベランダへと出て、庭を見下ろした。 少女の眼下にあるのは、修繕を施してはあるものの未だ荒らされた跡の残る、花壇。 そして少女の耳に届くのは、平和で、呑気で、牧歌的で、人の神経を逆撫でする、調子っぱずれた四重奏。 その歌声の持ち主の絶殺を誓いつつ、少女は部屋へと戻り窓を閉めた。 その頃妹れいむが売られていった一家は、まさしくお通夜のごとき静寂さに包まれていた。 どのゆっくりも皆泣きはらした跡があり、表情も揃って沈んでいる。 今は夕食の時であるが、パサパサした大量安価売りのゆっくりフードでは陰鬱な気持ちは晴らせるわけもなく、ただ義務のように咀嚼するのみだ。 いつもは真っ先に食べ終える姉れいむでさえ、食べ終えるのに四倍近い時間をかけていた。 「ゆぅ……れいみゅがいないとゆっくりできないよ……」 自分の分のゆっくりフードを食べ終えた姉れいむが、ポツリとそう呟いた。 そしてそれが引き金になってしまった。それまでゆっくりフードを口に含んでいた姉まりさが、妹まりさが、親れいむが親まりさが、同時にその目に涙を浮かべたのだ。 「ゆぐっ、ぐじゅっ……れいみゅぅ…………」 妹まりさのぐずぐずと漏らした嗚咽が虚しく響く。 一番の末っ子であり、一家のアイドル的存在であった妹れいむの喪失。 それは一家にとって幸せの中央に風穴を空けられたのにも等しかった。 親れいむがボロボロと雫を頬につたらせ、姉まりさが床に小さな水溜りを作って震えている。 哀しみに耐え切れず、妹れいむが親まりさの髪にその顔をうずもらせた。 「まりさのあがぢゃん……」 しかし、親まりさとて妹まりさの悲しみを受け止められるほど、自分に余裕があるわけではなかった。 最愛の我が子を唐突に、理不尽に奪われてしまった嘆きは、妹まりさに勝るとも劣らない。 もちろん、親れいむも姉れいむも姉まりさも。皆、同じなのだ。 突然に、前触れも、前振りも、予兆も無く。 同意も勧告も説明も一切無く、妹れいむは人間によって連れ去られた。 「どぼじでなの……?」 姉まりさのその疑問に、答えられるものは一家にはいなかった。 姉まりさは日課である外の世界を眺めることも忘れて、ただただ泣きじゃくり、どうして、なんで、とうわごとのように繰り返す。 どうして、なんで。 理由などこの一家に分かるはずもない。生涯知ることもない。ただ、ありのまま、その運命に身を委ねて滑稽に嘆くだけ。 だが、この一家の疑問に答えられるものが一人、近くに居た。 昼間、少年の接客をした店員だった。彼は今、ガラス越しにお通夜状態の一家を眺めている。 視界に映る値段表は、一家まとめ買いの部分の〝六匹〟に二重傍線が引かれ、『ゆっくり親子五匹セット 2,270円』となっている。 店員は昼間の事を思い出しながら、一家の今後の扱いについて考えている。 少年に妹れいむを渡す時、店員は一家があそこまで泣き叫ぶとは思っていなかったのだ。 店員はゆっくりについてこのペットショップでしか見たことがなかった。だから、ゆっくりの家族観について全然知らなかったのである。 ゆっくりが、あそこまで家族を大事に思っていることに。 勉強不足といえばそれまでだが、あの一家はこのショップでは異端の存在なのだ。あの一家だけだ。同じスペースに複数入れられているのは。 少なくとも、この店では。 あの一家は他の商品のゆっくりとは違う事情がある。それがあの低価格の理由でもあり、同じスペースに詰められている理由でもある。 妹れいむの時はあまりにもダミ声すぎてなんて言っているのか分からなかったが、恐らく家族と引き離されるのを嫌がっている、というのは後から他の店員から聞いて理解した。 一家はまとめ買いで安くなる価格設定をしてはいるものの、別にそれをウリにしているわけではない。 ただ、早く数が減れば良いにこしたことがないだけだ。たとえバラ買いでも、数が減るのだからそれは歓迎すべきこと。 あの一家に関しては、早めに売れたほうが良い。 当然、他のゆっくりについてもそれは同様ではあるのだが。 「だけど、なぁ……」 いくらなんでも、バラ買いの受け渡しの際に毎回あぁして泣かれれば、流石に印象が悪すぎる。 次回から、何かしらの手は打たなければならないだろう。 店員は想起する。夕食用のゆっくりフードを与えた時の事を。 壁を空けて閉鎖的空間を外界とつなげた時、一家は揃って店員に詰め寄った。 「れいむのおぢびぢゃんをがえじでっ!!」 「れいみゅはどこにいっだの!?」 「おにーざん、おじえでねっ!!」 「れいみゅは、れいみゅはっ!?」 「まりざのあがぢゃんをもどにもどしてねっ!!」 グシャグシャになった泣き顔で殺到するゆっくりを跳ね除けながら、淡々と小皿にエサを入れ、何の返答も返さずに扉を閉めた。 その作業を経て思ったのは、ゆっくりへの同情や憐憫の思いなんかではない。 いつまでもあの調子では、安くても売れないのではないかという懸念だ。 事実を教えるべきだろうか。売れなければお前達は死ぬのだと。 いつまでも泣いて、笑って、怠惰に暮らす生活が約束されているわけではないのだということを。 それを教えれば、必死になって買われようと表面だけでも笑顔を取り繕うだろうかと。 「いや……」 詮無き考えだ。それは自分が決めることではない。 少なくとも当面は、何も知らせずありのままにさせるというのが、店長の方針だ。教えるにしても、店長と相談してからだ。 店員はふと時計へと目を移し、閉店時間であることを確認すると店を閉める作業へと移った。 店の電気を消し、店内のゆっくり達が次々眠っていくその中で、店員は悲しみを補うかのように一箇所に寄り添って眠るあの一家の姿を見た。 「いやいや、野良って探してもすぐ見つかるものじゃないでしょ」 学校帰りに少女は従兄に教えてもらった方法を実践しようと野良ゆっくりを探しているのだが、見つからない。 どうでもいい時には目にするのに、いざ探すとなると見つからない。 「まるで野良ネコね」 もっとも、数は野良ネコより少ないが。 とりあえずいつだったか従兄が言っていた野良ゆっくりがよく出るスポットを一通り見て回ったが、目当ての存在はなく、ただ疲労だけが募った。 もう今日は諦めよう、と肩を落として歩道を歩いている時だった。 「…………あっ」 その店を見つけたのは。 視線の先、十数メートル前方に見えるはペットショップ。それも、ゆっくりも扱う店だ。 少女は足を止め、しばし逡巡した。どうせ見つからないのだから、あそこで調達するかと。 しかし、ゆっくりの相場なんて知らない少女は自分の財布の中身を思い出して、果たしてそこまでして手に入れるものかと思い直す。 だが、いつまでもあいつらをのさばらせおくのも精神衛生上甚だしくよろしくないし、またゆっくりを探すために歩き回るのも業腹だ。 とりあえず幾らぐらいするのかだけでも見よう、とそう決めると、少女はペットショップへと入っていった。 が、一歩踏み入れた途端少女は後悔した。 店に入って右側、及び左側奥には普通の犬猫などやペット関連グッズがある。それは別に良い。 だが、左側手前。そこはゆっくり専用スペースとなっていた。 何段とあるガラス張りスペースの中にはゆっくりれいむやゆっくりありす、ゆっくりまりさ等が各々呑気そうにゆっくりとしている。 それが、少女が店内に入った時に何匹かが少女の方を向いて何か喋ったのだ。 何と言っているかは聞こえなかったが、十中八九『ゆっくりしていってね!!!』だろう。 自分にその言葉が向けられただけでも嫌なのだ。声が聞こえなくて本当に良かったと少女はガラスに感謝した。 すぐさま引き返して外に出ようかと思ったが初志貫徹。値段だけ確認しようと中に入っていった少女は、値段表を見て絶句した。 「うっそ……なんで饅頭なんかがこんなにするのよ……」 桁数を一つ、二つほど間違えているだろうとげんなりしながら、一番安いのはどれかと視線をめぐらす。 しかし、どれもこれも高い。ゆっくりにこれだけ金を出す人の気がしれない、と会ってもいない人物を軽く否定しながら少女は眉をひそめた。 一番安いゆっくりでもCDが三枚は買えるじゃない、思い自分の考えの浅はかさではなく饅頭にこんな値段がつく世の中を罵倒しながら諦めて店を出ようとした。 と、その動作を途中で停止。ふと視線を戻す。 視線の先にあるのは他のゆっくりと違って同じスペースに複数詰められたゆっくり達。 そして、そこ貼られた値段表。 『ゆっくり親子五匹セット 2,270円 親子セット 1,000円 親ゆっくり 600円 子ゆっくり 500円』 「これよ!」 即決。少女はそのゆっくりを買うことを決意した。 そうよ、この値段よ。子供一匹ワンコイン。そのぐらいが身分相応なのよ、と直前見て幻滅した現実を否定するかのように歓喜する。 常の少女ならばこの値段でもゆっくりに金を出すことを渋っただろうが、先ほど見た値段で金銭感覚が鈍っていたのだ。 少女はすぐさま店員を呼び、子ゆっくり一匹を買う旨を伝えた。 「どれでもいいからまりさ種一匹。あ、やっぱり安い方で」 店員は一応まとめ買いを勧めてみたが少女は頑として拒否。 財布から五百円硬化一枚を取り出した。 「さて、と」 一旦バックヤードに引っ込んだ店員はあるものを取り出した。 それは透明の液体が入った小さな注射。それを手に持って店員はゆっくり一家がいるスペースへと向かった。 壁を空け、ゆっくり一家のいる空間が外界と繋がる。一家は揃って店員の方へと顔を向けた。顔は未だに陰鬱だ。 「ゆぅ……ごはん?」 姉れいむが小さくそう訊ねたが、店員はいつものゆっくりフードの袋を持っていない。 どころか、何も無い手を一家に伸ばした。 瞬間、一家によぎるのは昨日の悪夢。成す術もなく攫われた妹れいむの記憶。 「ゆっ、ゆっ、ゆゆうぅぅぅぅぅぅ!?」 「おぢびぢゃん、にげでぇぇぇぇぇぇ!!」 「やめでねぇぇぇぇ!! ばりざのあがぢゃん、づれっでじゃだめぇぇぇぇぇぇ!!!」 一家は涙を撒き散らし、錯乱した。 姉れいむは我先に店員から逃れるようにスペースの隅へ行き、妹まりさは親れいむの後ろに隠れてガタガタ震えだした。 そうして頼られた親れいむは頬に空気を溜めて膨らみ、我が身を盾にしようと前に出る。 「れいむのおちびちゃんをつれてかないでねっ!!」 しかし、店員はそちらを相手にしていない。 店員が腕を伸ばしたのは、ただ滝のような涙を流して木偶の坊状態の親まりさの横に居た、姉まりさ。 一番近くにいたそれであった。 店員は姉まりさを乱暴に鷲づかみにすると、すぐさま腕を引っ込めた。 その腕に喰らいつくように、涙目の親まりさが追いすがったが、それを鬱陶しそうに店員は手で払うと、無慈悲に扉を閉める。 そうして、また一匹減った。連れ去られた。 五匹から、一匹減って四匹。 またしても、またしても成す術無く家族が連れ去られた。何の説明も無く。 大事な、大事な家族がまた一匹。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛んや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!」 「ばりざのっ、ばりざのあがぢゃん……がえじでぇぇぇぇぇっぇ!!!」 「おねぇぢゃん……おねぇぢゃんがぁ…………」 「どぼじでっ!! どぼじでごんなごどずるのぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!!」 連日して一家を襲う不幸。理不尽な搾取。 それに対して一家が行なえるのは、泣き寝入りのみ。四匹なってしまった家族達は、失われた家族を思い、泣き喚く。 だが、それも防音加工のおかげで遠く外には届かない。少女は既にレジへと向かっていた。 誰にも届かず、誰にも聞き入られない嘆きの声は、ただ虚しく一家の〝おうち〟の中で反響する。 姉まりさ。一家の中で一番の美貌を持っていた、同じ茎から生まれた姉妹の二番目の子。 いつもガラスから、外の世界を眺めていた。外のゆっくりに視線を注いでいた。 物憂げに外を見つめるその表情が、一家は大好きだった。一家は知っていた。姉まりさが外に憧れを持っていることを。 だが、それ以上に自分達家族の事が大好きな事を。 そんな、自分達も大好きな姉まりさは、もういない。妹れいむと同じように、連れ去られた。 もう、あの顔が見られない。あの声が聞こえない。もう、一緒に寝ることも遊ぶことも出来ない。 きっと、二度と会えない、帰ってこない。妹れいむと同じように。 そう思うと、泣かずにはいられない。悲しまずには、いられない。 そんな一家の無様さを嘲笑うかのように、不幸に見舞われた一家に誰も彼も視線を向けていない。 誰も、一家を見ていなかった。 「…………これで良し」 ペットショップでもらったビニール袋に五百円でその命を買った姉まりさを入れて、少女は家路へとついていた。 今、姉まりさは眠っている。店員が用意したあの注射の中身はゆっくり用の即効性睡眠薬だったのだ。 眠ったままの姉まりさは、やはり店員が外に出した時イヤイヤと涙を流しながら暴れた。 人間に対してその抵抗は無意味でしかないのだが、やはり引き渡す時に泣き叫んでいられると評判が下がったり面倒な事になりかねない。 そのため眠らされた姉まりさは、少女に聞こえない程度の小声で「おかぁしゃん……」と小さく寝言をほざいていた。 自宅へと到着した少女は早速従兄に教えてもらった策を実行しようと必要な物の準備を始めた。 姉まりさを適当に玄関の下駄箱の上に置くと、屋外に置いてある倉庫へと向かった。 倉庫の中から取り出したのは、青いビニールシートが二枚と十数個のレンガ。それに埃を被った父親の釣竿と釣り針だ。 少女は取り出したうち、青いビニールシートを一枚手に取るとまず庭へと向かった。 外縁が少女の趣味で手入れをされていた花壇である芝生の庭に、少女はビニールシートを広げて敷く。 しっかりと広がっているのを確認した後、レンガ十数個も庭へと運んでおく。 そして、最後の準備。姉まりさの出番である。 ビニール袋を引っくり返し、乱暴に手の平へと姉まりさを落とした少女は、そのふにっ、とした手触りに鳥肌をたてつつも、自制。 ボテッ、と少女の手の平に転がり落ちた姉まりさは、そこでようやく目を覚ました。 「ゆぅ……? おにゃかすいた……、おかぁしゃんは……?」 しょぼしょぼと少女の手の平で眠気眼を開かせる姉まりさは、すぐには自分の状況が理解できずにいた。 そして、理解できるだけの暇も与えられなかった。姉まりさが言葉を放った直後、姉まりさの後頭部にぶっすりと釣り針が刺さったからだ。 「────ゆびっ!?」 突然の、激痛。生涯感じたことのない鋭い痛みに、姉まりさは短く悲鳴を上げた。目には反射的に涙が浮かんでいる。 しかし、釣り針を刺した当人である少女はそんな姉まりさに気をつかうわけも無く、ずぶずぶりと釣り針を更に奥深く差し込んだ。 根元までしっかりと。体の半分近くの深さで体内を蹂躙する釣り針は、返しの効果もあってもう容易には抜けないであろう。 「ゆびぃぃぃぃぃぃ!! いじゃい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!!!」 当然、たまらないのは姉まりさだ。産まれて初めて感じる痛みに、家族と引き離された悲しみを感じる余裕もない。 涙を浮かべてイヤイヤと身を捩るが、その結果は釣り糸で釣竿と繋がって宙に浮くその身をプラプラと揺らすだけだった。 少女は暴れる姉まりさを見てしっかりと釣り針が刺さっていることを確認すると、姉まりさを生餌として付けた釣竿を持って庭へと向かう。 従兄に相談し、姉まりさを買ってまで少女は殺したい相手。それはゆっくりありすであった。 数は恐らく四匹。四匹のゆっくりありすだ。 そのありす達は、何時からか少女の家の軒下に住み着いていた。 しばらくは家族の誰も気付かなかった。家族が皆家を出払ってから軒下から出て、帰ってくる前に軒下にまた潜り込むからだ。 そして、最初に気付いたのは少女だった。ある日学校から帰ると大切に育てていた庭の花が無惨に荒らされていたのだ。 誰がこんな事を、と呆然としていたが、直後に聞こえてきた調子っぱずれな歌声に導かれて軒下を覗いた時、犯人を確信した。 「ゆゆんゆゆ~♪ とっかいはな~くらし~♪ とっかいはな~ありす~♪」 軒下に住む成体ありす一匹と子ありす三匹。恐らく一家であろうその一家が、己の食欲を満たすために食い漁った。 現場を見ておらず、状況証拠でしかないが、少女にとってはゆっくりを殺す理由はそれだけで充分であった。 しかし、軒下に篭られてはなかなか手が出せない。 殺ゆ剤をぶち込んでも良かったが、死体を我が家の軒下に放置しておくのは我慢がならなかった。 ゆっくりホイホイという粘着シートを庭に設置してみたが、ものの見事に回避された。 その他にも色々と、思いつくかぎりの罠をしかけてみたのだが、どれもこれも回避されている。 なんと甘味にもつられなかったのだ。 そうこうしている間にも、日に日に庭の花々は食い散らされていく。 もう自分ではどうしようもならない。そう判断した少女は、ゆっくりについて詳しい従兄に相談をもちかけたのだった。 そうして従兄が提案した方法が、 「ゆっくりまりさという生餌の使っての、釣り」 ごくごく単純な事だ。ゆっくりの中でもまりさ種が比較的好きなありす種の特性を突いた物である。 死体ではダメだ。ありす達は呑気でバカっぽいが、やけに賢い部分がある。見抜かれる恐れがあるからだ。 だから、生餌。生きた状態のゆっくりまりさを、エサとして、おびき出す。 従兄の見立てでは、生餌であるまりさの自由を奪っておけば十中八九レイパー化して出てくると言っていた。 本当だろうか、と少女は訝しんだ。 視線の先では青いビニールシートの上の中空でプラプラと揺れて泣き叫ぶ姉まりさ。 底部が地面についていないため、自由に動くこと叶わないのだ。更に暴れるために後頭部から突き刺さった釣り針が姉まりさの内部を刺激し、更なる痛みを産んで、 「ゆびゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! いぢゃいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛、ごれどっでぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 無限ループ。泥沼だ。 こうしてまりさの声を回りに撒き散らせばありすは寄ってくる。 そう従兄は言っていたような気がするが、ありすが出てくるより先に自分が音をあげそうだと少女は思った。 耳障りだ。それにあまり長くやるとご近所の目も気になるし。 もういっそ口を閉じさせてやろうかと少女が苛ついた時であった。 「あっ」 「んっ、んほぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ばっ、ばりざぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 「ざぞっでいるのね゛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「とってもきれいなまりざね゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!!」 四匹のありすが軒下から出てきたのは。 少女は、それを確認した途端。 「よしっ!」 釣竿を、地面に置いた。 そして、もう一枚のビニールシートへと、その手を伸ばす。 「ゆびっ!!」 これまで中空に浮いていた体が地面へと落下した。それによる底部への痛みと、釣り針が体内を抉る激痛に姉まりさは身を引きつらせた。 「ゆぅ……いちゃいよ……」 ズキズキと体を襲う痛みに姉まりさはボロ、とまたも涙を流した。体中の水分が全部体外へ出ていきかねない程、もう涙を流した。 訳が分からなかった。突然〝おうち〟が開いておにいさんが現れたかと思ったら、家族から引き離されて、気付いたら体が痛くて……。 「ゆっ」 そうだ、皆。皆はどこだろう。 姉まりさは咄嗟に両親や姉妹を探して顔を振った。が、体内を襲った痛みにうめくはめにはる。 「ゆぎっ!!! い゛、いぢゃい、いぢゃいよ……」 頬をビニールシートにつけるようにこてん、と横になる姉まりさ。痛みでろくに動くこともままならないのだ。 と、横になった視線の先に。 「あ、ありす……?」 こちらへとやって来る、ゆっくりありすの姿があった。 「ゆっ、ゆぅ…………!」 姉まりさは、体の痛みも一時忘れて歓喜に包まれた。 姉まりさはずっと夢見ていた。家族以外のゆっくりとも、いつか会って、お話しして、遊んで。 友達になって、一緒にゆっくりする。 言葉を交わせない距離からいつも見ていた、姿。夢。 それが今、何も隔てる物のない場所にある。その事実に、姉まりさは胸躍り、痛みも一時忘れて笑顔で呼びかけた。 「ゆっ、ゆっぐりしていってね!!!」 笑顔で若干ひきつりながらも元気一杯に見せた笑顔。この挨拶はゆっくりがゆっくりである所以の原初の本能だ。 きっと、相手も笑顔で返してくれるはず。 そんな、姉まりさの希望は裏切られる。粉々に粉砕される。 姉まりさの夢は、最悪の悪夢となってその身に襲い掛かった。 「ばっ、ばりざぁぁぁぁぁぁ!!!!! ゆっぐりじでいっでねぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 「ありじゅはゆっぐりじでるわよ゛ぉぉぉぉぉぉ!!!」 「とっちぇもかわいいまりしゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」 「いっちょにしゅっきりしまちょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」 何か、様子が変だ。いつも見ていたありすと違う。 姉まりさがそう違和感を覚えた時には、もう既に姉まりさは四匹のありすに囲まれていた。 どれもこれも、ペットショップにいたありすとは似ても似つかない、醜悪な表情をしていた。 体中薄汚れて、髪にはゴミや虫の死骸が絡まっている。とてもではないが、姉まりさが夢見ていた相手では、無かった。 「ゆ……? ありしゅどうした────」 の、という言葉は声にならなかった。一匹の子ありすがその口で姉まりさの口を封じたからだ。 途端、姉まりさを襲う怖気。悪寒。嫌悪。醜悪な匂い。 口を封じられ顕在されぬを悲鳴をあげながら、姉まりさは必死で逃げようとした。 襲い掛かる激痛。体内を蹂躙する釣り針が、姉まりさを苛む。 そうして崩れかけた姉まりさの体勢を支えるように、いや押さえ込むように、残った三方から成体ありす及び子ありす二匹が襲い掛かった。 「ゆびっ……やべっ、やべでっ──!!! ぎぼぢわりゅいよ゛ぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」 姉まりさは本能から感じる嫌悪感から泣き叫んだ。目の前にいるゆっくりがこれまで夢想してきたありすとは全然別物に感じられた。 姉まりさはレイパーと化したありすから逃げようとした。しかし、既に四方向全てを包囲され、その汚らしい体を押し付けられている。 逃げるのは、不可能であった。 絶望。それしか無かった。希望など、夢など、全て打ち砕かれ最初から無かったかのよう。 それを証明するかのように、姉まりさの頭上の空が覆われた。上からビニールシートが被せられたのだ。 つまり、発生するは密閉空間。上から覆いかぶさったビニールシートの端に加重がかかり、上から押さえつけられるようになる。 上下をビニールシートで挟まれ、前後左右をレイパーありすによって囲われた醜悪結界。 逃げ道などなく、姉まりさは四匹の襲撃と釣り針の痛みで苦しむしかない。 姉まりさは叫びたかった。叫んだ、泣いて、少しでも苦痛を紛らわしたかった。 しかし、それも出来なかった。子ありすの一匹が姉まりさの口を封じてその口内を舌で蹂躙しているからだ。 汚物を詰められたかのような嫌悪感に姉まりさは餡子を吐き出したかった。しかし、身を捩るたびに感じる激痛でそれも叶わず。 両頬から襲い掛かるレイパーありすの頬。にっちょ、にっちょと、汚く擦り付けてくるそれが、姉まりさにはこの世の物とは思えなかった。 恐ろしきは子ありすだ。およそ姉まりさと同じぐらいの子ゆっくりであろうに、既に一人前のレイパーと化している。 恐らく、潜在的に存在した欲が鬱屈としら野良生活で蓄積され、突如前に出された美まりさによって一気に解放されたのだろう。 しかし、そんな事は姉まりさにとってどうでも良いことだ。 ただ、姉まりさが思い望むのはこの最悪な地獄からの脱出。それだけだ。 そのために思うは ────おかぁしゃん!! おねぇちゃん!!! 最愛の家族。つい先刻まで一緒にいた家族の存在。 想起するは幸せだった思い出。いつも聞かせてくれた親れいむと姉れいむの歌声。決して今聞こえてくる醜悪なありすの声ではない。 想起。親まりさの頬。妹まりさの頬。妹れいむの頬。家族とのすりすり。幸せを噛み締めるスキンシップ。 決して、今感じるありすの汚い頬などではない。 ボロボロ、と姉まりさの目から大粒の涙が零れた。ゆっくりと頬を伝うかと思われたそれを、両側のレイパー子ありすがベロリ、と舐め取った。 沸き起こる鳥肌。襲い掛かる絶望。こいつらは、ただ泣くことも許さない。 にっちょにっちょ、と後ろのレイパーありすが身をこすりつけてくる。自慢の、姉まりさ自慢の髪を汚している。 一片たりともこちらを思っていない、自己の快楽だけを求めた運動。自分の体を姉まりさの髪にこすりつけるそれは、ただの自慰に等しい。 姉まりさは逃げたかった。ありすを突き飛ばしてでもこの場から逃げたかった。 けれども、それは許されない。一センチたりとも動けぬこの地獄。姉まりさはただ、レイパーありす達に弄ばれる人形でしか無かった。 醜悪で、汚らしい。 姉まりさは夢見ていた。いつか家族以外のゆっくりと友達になって遊ぶことを。 いつか、恋をして、愛のあるすっきりをして、両親や姉妹に負けず劣らずのゆっくりとして家族を作ることを。 そうして初めて間近で出会った家族以外のゆっくり。それが今、目の前にいるありす達だった。 それを認識した瞬間、姉まりさは涙をまた流し、ありすに舐めとられた。 未だ蹂躙される口で叫びたかった。助けを呼びたかった。両親を。姉妹を。 ────たじゅげでぇぇぇぇぇぇぇ!!! ぎぼぢわりゅいよ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛ぉ゛!!! だけど、届かぬ。誰にも。決して。 姉まりさの嘆きは、思いは、助けの声は、誰にも届かない。誰も、聞くことが出来ない。 ただ、この狭い空間の中で、 「ゆびっ!?」 今、ビニールシート越しに上空から重量物を落とされて、潰れて中身を撒き散らして絶命した子ありすのように、醜く死に絶えるだけだ。 びちゃり、と姉まりさの顔にカスタードクリームがかかった。 それは、さっきまで姉まりさの前面で襲い掛かっていた子ありすの中身だ。つまりは、ゆっくりのハラワタである。 「ゆ゛……ゆ゛あ゛ぁ……」 人間にとっての、血肉、内臓。生涯で初めて見る、死体、スプラッタ現場。 原型を無くす程グチャグチャな死体となったお陰で自由となった口で、姉まりさは震える声を出す。 両隣及び背後のレイパーありすは子ありすが死んだことにも気付かないのか、未だに体を動かしている。 いや、今また一匹動かなくなった。頭上からの攻撃で潰れたのだ。 グチャリ、また一匹。子ありすが全部、死んだ。重くて、硬い一撃によって。 死。万物に等しく訪れる最後の時。姉まりさはそれを、本能的に感じた。 姉まりさは、今度は死の恐怖に襲われた。 理不尽に襲い掛かる暴力からなる、恐怖を。 まるで訳も分からぬまま立て続けに襲ってきた質の違う恐怖。姉まりさは、もう、既に。 正常な思考を保っていられなかった。 叫んだ。泣いた。もはやダミ声と化した、言葉になっていない音を振り搾りながら、姉まりさは駆け出した。 ビチャ、と子ありすだったものを踏みつけて、転びそうになりながらも、駆けた。 背後では成体ありすが、子達と同様に質量爆撃を受けて四散した。 嫌だ、死にたくない。怖い。気持ち悪いのはもう嫌だ。痛いのも嫌だ。ゆっくり出来なくなるのも嫌だ。 そして、こんな地獄から抜け出して、帰りたかった。家族の許へと。 「ゆぐっ、えぎゅっ……どぼじで、どぼじで……!! おがぁ、ざ……おねぇ、ぢゃ……!」 上から被さるビニールシートに引っかかって帽子が落ちたが、それすら気にならないほど、姉まりさは恐慌状態に陥っていた、 底部についたカスタードクリームと涙で滑りそうになりながらも、必死で走って、目前に光を見た。 ビニールシートの端。その向こうに広がる世界。 そこへ、あそこへ行けば希望がある。 あそこへ出れば、また皆に会える。 姉まりさは根拠もなくそう信じた。少なくとも、この閉鎖された地獄からは脱出できる。 そう、希望を胸に抱き、激痛を感じる体に鞭打って走って。 グチャリ、とあっけなく、惨めに、レイパー達と同じ運命を辿った。 姉まりさにレイパーありす達が殺到するのを確認した少女は上からもう一枚のビニールシートを被せた。 下に敷いたビニールシートと重なるように被せたビニールシートの上から、更に重しとしてレンガを置く。 まずは四隅。そして念のため四辺の真ん中にも。 計八個のレンガで上下を挟む結界を構築し、容易に逃げられないようにしたのだ。レイパー達は姉まりさに夢中でこの作業の間も逃げ出す気配は無かった。 そして、最後の仕上げ。 少女は積み上げたレンガのうちの、一個を掴むと、もぞもぞと膨らんで蠢いているビニールシートの中央へと向かった。 そして、両手でレンガをその膨らみの直上に持っていって、投下。 地球の重力によって落下したレンガは、その質力と速度を持ってレイパーありすの一匹を抹殺した。 潰れて蠢きが小さくなったのを確認すると、続けて二個レンガを投下した。立て続けにレンガに襲われたゆっくりが、絶命していく。 その様に胸がすっとなるのを感じながら、少女は成体ありす用にレンガを三個ほど積んで持ち上げた。 残った蠢く膨らみの、大きい方へと狙いを定めて投下。ぶちゅり、と潰れて大きな膨らみが動かなくなる。 少女はそれでも、念のためなのかこれまでの恨みなのか、足でだんだん、とトドメを刺すようかのように成体ありすの死体をビニールシート越しに踏みつけた。 何度か踏んで、ようやく動くもの無くなったかと安堵した時、目の端で動くものを確認した。 もぞもぞと小さい膨らみが外へと動いている。一匹逃したかと少女は慌ててレンガを拾い上げると、その膨らみを追った。 そして、その膨らみが外へと出るその直前にレンガを下投げで放り投げる。逃がすまいと放ったその一撃は、しっかりと逃亡者を捕らえていた。 少女にはそれが姉まりさだとは分からなかった。けれども、姉まりさだけを生かす気も少女は無かったのだ。 姉まりさに恨みはない。確かに殺す気はなかった。だが、生かす気も無かったのである。 どちらでも良いのなら、手間の無い方を選ぶ。わざわざ手間かけて選別して救出するよりも、皆殺しの方が、早いし楽なのだ。 少女はビニールシート越しに動くものがないか今度こそ確認すると、被せたビニールシートを剥がし、庭のホースでビニールシートの汚れを流し始めた。 ゆっくりの死体を洗い流す少女の顔は、ようやく訪れた庭の平穏を噛み締めて笑顔そのものだ。 ザァ、と最後に洗い流された黒い帽子は、ひたすらに家族へと助けを求めた饅頭の、最後にこの世に残った名残であった。 さて、では。 最後まで姉まりさが助けを、会うことを望んだ残りの家族は一体、如何様な運命を辿るのだろうか。 つづく ───────────────────── あとがきのようなもの Q:前回の妹れいむ、小学生に何度も蹴られて丈夫すぎじゃね? A:衝撃に強い球形と弾力のある皮。そして石蹴りのように殺すのではなく蹴り飛ばす蹴りのおかげで命は助かりました byキノコ馬 このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/5054.html
青年が親まりさを連れて行ったのは台所だった。 今なら家族は誰も居ない。手短に済ませなければ。 青年はまず、親まりさの帽子を取り上げると、 「ゆゆっ! やめてねっ、まりさのおぼうしさんかえしてねっ!」 それを細かく手で破っていき、黒い布のゴミを大量に生み出した。 このゴミは後でありすが食べさせられることとなる。 「まりざのおぼうじざんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!! どぼじでごんなご────ゆぎゅっ!?」 帽子の処理はただの第一段階に過ぎない。 青年は続いて親まりさを床に押し付けて、膝で挟み込んでガッチリと固定すると、両手で親まりさの金髪を引っ張りあげた。 ただし、今度は持ち上げる動作ではない。膝の力も使った、髪を引き抜く動作だ。 「ゆ゛びい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!? いじゃい゛よ゛っ! いじゃい゛よ゛っ! ばりざのがみのげ、ひっばっぢゃだべぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 ミチミチと音を立てて親まりさの体が縦に伸びていく。 両頬からかかる膝の力が親まりさの体を下に押しやり、髪を引っ張る腕の力が親まりさの頭を上へと持ち上げる。 額の面積が大きなり、毛根の埋まった頭皮が無理な形へと引き伸ばされて、尋常ではない激痛に親まりさの顔は涙と苦しみに歪んでいく。 必死に目を閉じて痛みに耐えながら、やめてやめてと体をよじって抵抗する。 その僅かばかりの抵抗を、青年は挟み込んだ膝の力で完封する。底部も動かせぬ非力な抵抗など、なんの障害にもなりはしない。 青年が全力で引き抜かんとする親まりさの髪は、力がある一点を超えた途端、ブチンと綺麗に頭皮から離れていった。 「ゆ゛んびゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」 頭皮はちぎれはしなかった。 綺麗に、金髪だけが親まりさの体から離れていった。 青年は引き抜いた親まりさの髪を、今はただのゴミとなった金髪を、同じくゴミと化した元帽子と一緒に山にしていく。 はらはらと青年の手から落ちるかつての自分の髪を、親まりさは呻き声をあげながら、名残惜しそうに見つめている。 「ばりざの……ゆ゛っ、ばりざの、がみのげが……」 しかし、まだ親まりさに髪は残っている。 青年は、速やかに、残りの髪も引き抜いていった。 その度に親まりさの口から絶叫が迸り、こぼれた涙がフローリングを濡らす。 青年が“先にあの処置をしておくべきだった”と後悔した頃には、親まりさの頭には金色のものは何も残っていなかった。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……かひゅっ……」 全ての髪を引き抜き終えた頃には、既に親まりさはあまりの激痛に意識を失う寸前であった。 帽子を失い、髪も失い、もはやゆっくり好きであっても個体の判別が不可能なまでの顔だけハゲ饅頭と化した親まりさ。 しかし、まだ終わりではない。最後の仕上げが残っている。 青年はある器具を取り出した。このために台所に来たのだ。 それを手に取った青年は、ゆっくりと床でのびている親まりさへと近づいていく。 親まりさは痛みで悶絶しながらも、まだ意識は保っていた。 だから、視界に青年と、青年が手に持っているそれに気づく事が出来た。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ?」 親まりさは知識としてそれは知っていた。 見たことは初めてだったが、その形と、それが何に使うのかを知っていた。 だから、不思議だった。なんでそれが今出てくるのかと。 本来の用途どうりに使われるのであれば、それはもしかしたら親まりさにとっても良いことになるかもしれない。 しかし、一連の流れにはそうはならない。 “それ”は絶対に親まりさに向かって使われる。 どうやって使うのか。どこに使うのか。 それに思い至った時、親まりさはこれまで味わったどの恐怖をも超越した、もっとおぞましい何かを感じた。 ゾクリ、と餡が震え上がり、その想像を頑なに否定しようとする。 だが、青年が“それ”のスイッチを入れて、親まりさにゆっくりと近づけていくにつれ、親まりさは自分の想像が当たっていたことを確信した。 「や゛……、やべでっ、ごないでっ! やべでね゛っ! だべっ! いやだっ! ぞんな……っ! ゆっぐりやべでねっ! ごないでねっ! いだいよ゛っ! どっでもいだい゛よ゛っ! ぜっだい、やべ……っ! ゆ゛んや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! やべぢぇよ゛っ! ゆっぐぢでぎないよ゛ぉ゛ぉ゛!! ばりぢゃ、いぢゃい゛の゛い゛やぢゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! でいびゅぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! ばりぢゃ、いぢゃい゛のいや゛……ぢゃ───! ゆ゛……あ゛っ……ぎゃ…………!!!!」 ヴィィィィィィィィィィィィィ。 ビチュ。 グリュグリュグリュグリュ。 ガリガリガリ。 ミチュ。 ガリガリガリ。 モリュモリュモリュ。 扉が再び開き、青年が姿を現した時妹まりさは親まりさが戻ってきたのだと思った。 だから、青年が抱えているキャベツ大のそれも、ゆっくりだと信じて疑わなかった。 しかし、妹まりさはその考えを改めることとなった。 何故なら、 「ゆっ! おかーしゃん、かえっちぇき────」 青年が抱えてきた、“ゆっくりと思わしきモノ”には、 「ちぇ…………ゆ゛っ……?」 顔が無かった。 「ゆみゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」 こんな大声を出したことなど、妹まりさは初めてだった。 同じ部屋にいるありすも、妹まりさと同じように叫び声をあげている。 だって、無理もない。 今、青年が抱えているモノは、大きさも、肌の色も、ゆっくりのものだ。 親まりさを抱えて出て行ったのだから、抱えて戻って来たのも、同じくゆっくりと思うはずだ。 しかし、しかしだ。 青年が抱えているモノには、髪も、飾りもなければ、あるはずの顔もない。 顔があるはずの場所には、混沌が広がっていた。 グチャグチャの、滅茶苦茶。 肌色も小豆色も混ざった混沌の広場。 まるで、顔面を何かで攪拌されたかのような破壊されぶり────。 いや、その表現は的確ではない。 “ような”ではない。 親まりさの顔面は、事実。 ハンドミキサーによって蹂躙されたのだ。 他でもない、青年の手によって。 生クリームを泡立てるかのような気楽さで。 小麦粉の皮の肌も。 中身の餡子も。 寒天の目玉も。 砂糖菓子の歯も。 皆、皆。全部が全部。 崩れ去り、混ざり合って、腐海となった。 顔の形に整えられていた菓子達はしかして、全てをゴチャゴチャに混ぜ合わせた生ゴミと化した。 普通の生物ならば致命傷。 しかし、ゆっくりはこれだけされてもなお、生きている。 グチャグチャになった顔面から餡子が零れて死んでしまわぬように、ラップが顔だったところ一面に張られてもいる。 これで、親まりさの名残は全て消えた。 飾りも、髪も、顔も全て無くなった。 声も出せないし、底部も動かせないから動くことも出来ない。 親まりさと固体認識させる要素は、全て無くなった。 「さて、ありす。さっきのまりさじゃなくて、今度はこいつを孕ませるんだ」 「ゆ゛っ!?」 ありすは唐突かつ突拍子もない青年の言葉に驚愕し、恐怖した。 一体、何を言うのだろうか、と。 こんな、こんな顔なしのバケモノと肌を合わせて子作り、しろと? 「や゛……ありじゅ……いや゛、じゃ……」 震えながらかろうじて拒否の言葉を零したありすを、青年は容赦なく蹴り飛ばした。 「黙れ。やれ。殺すぞ」 有無を言わせぬ青年の言葉に、ありすは震え、歯を打ち鳴らし、泣きじゃくりながら従った。 青年が床に置いた顔なしのバケモノに、体を擦り合わせ始めた。 ありすがすっきりー、して親まりさを孕ませるまでに、きっと何時間もかかるだろう。 その何時間の間に、ありすは一体どれだけ殴られることになるだろうか。 ありすが行為を始めたのを確認すると、青年は水槽へと近づいていった。 水槽の側に立ち、上から水槽の中の妹まりさを覗き込んだ青年は、先ほどとは打って変わって優しい口調で語りかけた。 「やぁ、まりさ。さっきはすまんな。君のお母さんはあまりにもかわいそうだったから、今は別の部屋でゆっくりさせてるよ」 青年のその言葉は、呆然としていた妹まりさを立ち直らせた。 青年は今、何と言ったか。 「……ゆっ!? おかーしゃん、べつのへやにいりゅの!?」 「あぁ、そうだよ。残念ながらすぐには会えないけど、ゆっくりしてるよ」 「ありぇは!?」 「あぁ、あの顔ナシのバケモノは別の所から連れてきたものさ。君や君のお母さんとは関係ないよ」 「おかーしゃんじゃないの!?」 「当たり前だろ。あんな気持ち悪いバケモノが君のお母さんなわけないだろ」 一度はそう思っていた事を、青年は否定した。否定してくれた。 アレは親まりさではない。自分の母親ではない。 その言葉に、妹まりさはすがりつくしかなった。 「ゆゆっ! そうだにぇ! おかーしゃんはもっときれーだもん!」 「そうだね」 妹まりさのその言葉を聞き、青年は内心でほくそえんだ。 これでお母さんお母さんと喚くことはあるまい。 上手くできればお母さんに合わせてやると言えば実験にも積極的に取り組むだろう。 お母さんに会いたいと言っても、別の場所にいると言い続ければいい。 妹まりさはそれが嘘だと証明する事はできないし、同じくあの顔ナシが自分の母親だと証明する方法もない。 嘘だと証明できない嘘は真実と同じなのだ。 「さっ、お母さんと会うために、練習頑張ろうか」 青年の水上まりさ製作実験が、ようやく開始された。 「やっ……まりしゃおちちゃうよぉ……!!」 遠くから、我が子の声が聞こえる。 頬に触れるにちょにちょとした感触を感じながらも、親まりさはじっと、妹まりさの声に神経を傾けていた。 「ちんじゃうぅぅぅぅぅ、まりしゃおちちぇちんじゃうぅぅぅぅぅ!!」 「落ちないための練習だろうが。ほら、ちゃんとやれ。寝る時以外は浮き島に乗ることを許さんぞ」 我が子の嘆きが聞こえる。 「たちゅけちぇぇぇぇぇぇ!!! おかーしゃん、たちゅけちぇぇぇぇぇぇ!!」 助けが、聞こえる。 「まりさが頑張って一人で水に浮くことが出来れば、お母さんに会わせてあげるよ」 ちょっとでも気を緩めれば、顔面を苛む激痛に意識をもっていかれない。 それでも親まりさは、気を引き締めて妹まりさの声を拾った。 親まりさはもう何も出来ない。本当に、何も。 何もせず、ただ黙って、じっとして、母体となる。 それだけが、親まりさに許された事。それだけが、親まりさの役割だから。 親まりさはもう、我が子のために出来ることは何も無い。何も出来ない。 出来るとしたら、ただ、祈るだけ。 妹まりさの声を聞き、まだ生きていると確認して、いつか幸せになりますように、と自分以外の何かに託すだけ。 その願いを聞き届けるものは、誰も居ないというのに。 夜。眠りの時。 日が暮れて、青年が夕食を食べ終えて、夜の練習も終わって、ようやく青年が寝るという段階になって、ようやく妹まりさは浮き島に乗ることを許された。 それまでは、ずっと水に浮かべた帽子の上に乗ることを強制されていた。 落ちれば死亡。その事が妹まりさの精神を追い詰めて、なんとか一度も落ちずにすんだ。 落ちたら青年は助けてくれただろうか。 それとも、代わりはいくらでもいると言って助けてくれなかったのか。 それは分からないが、なにはともあれ、今はようやく、休むことが出来る。 妹まりさは水槽の中の浮き島から部屋の中を見回す。 ここは青年の部屋だ。だから青年もここで寝る。ありすは部屋の隅に置かれたゴミ箱の中に入れられるのを、さっき見た。 そして、水槽の横。 同じ棚の上に置かれた、それ。 ゆっくりならば額と思わしき場所から実ゆっくりを宿らせた茎を生やして、顔なし髪なしの丸いバケモノ。 額からはやした茎には、まりさ種しかいない。 ありす種は、ありすがすっきりー! して茎が生えた直後に、青年が全て潰してゴミ箱に捨てていた。 当然、その捨てられたゴミはありすが片付けた。 こんな、得たいのしれない気味悪いものの側で寝なくてはならない。 それは妹まりさにとって到底ゆっくりできるものではないが、かといってこの浮き島から逃れることも水槽の外に出ることも出来ない。 妹まりさは、仕方なく、目を閉じて視界から、意識から気味の悪い顔ナシを追い出そうとした。 そうして、目を閉じて、ゆっくりと、ゆっくりと意識を睡眠へと移行させていく過程で、妹まりさは、温もりを、欲した。 「ゆぅ……おねーちゃん……おかーしゃん……」 思い返してみれば、誰かと寄り添わずに寝ることなど、初めてかもしれない。 少なくとも、記憶の中では。ここに来る直前の睡眠だって、眠りに入る時は、そばに親まりさがいた。 妹まりさは想起する。 親れいむの温もりを。姉れいむの温もりを。姉まりさの温もりを。妹れいむの温もりを。 親まりさの、温もりを。 いつも、そばにいた。片時も離れなかった、愛しい母親の暖かさ。 今は、どこにあるのだろう。今はどこにいるのだろう。 感じたい。あの温もりを。 今だって、ほら。寸分違わず思い出すことが出来る、あの温もりを。 目を閉じて、夢の世界へと旅立ちながら、親の温もりを探した妹まりさは────。 「…………ゆっ?」 その温もりを、見つけた。 首を傾げた妹まりさの視線の先。そこには顔がグチャグチャに潰れたバケモノ。 だけど、けれども。 「おかー、しゃ……」 さっき感じたあの温もりは、間違いなく、親まりさのものだった。 離れていたのに。触れてもいなかったのに。 水槽を隔てているというのに。 錯覚でもなく、幻でもなく。 妹まりさは、今、確かに。 アレから、親まりさの温もりを感じたのだ。 「おかー、しゃん……」 信じられないといった響きを含んだ呟きが、妹まりさの口からこぼれた。 アレが自分の母親とは、俄かには信じられない。当然だ。 だが。 妹まりさの呟きに、顔ナシは確かに反応した。 自由の無いはずの体を、わずかに、しかし確かに身じろぎさせて、応えた。 妹まりさの呼びかけに、応じたように。 「おかーしゃん!」 それで、確信した。 アレは自分の母親だと。 髪がない。飾りがない。顔がない。 それがどうした。 間違いなく、アレは親まりさだ。自分の母親だ。最愛の肉親だ。 だって、間違いない。 あの温もりは、片時も忘れたことのないあの温もりは。 間違いなく、大好きなお母さんの物なのだから。 「おかーしゃ…………!」 妹まりさは、あれだけ求めた温もりに直に触れたくて、包まれたくて、身を乗り出して────。 ちゃぽん、と。 冷たい腕の中に包まれた。 翌朝。 青年は水槽に浮かぶ、持ち主を失った帽子を見た。 水槽の中の水は、わずかに濁っていた。 つづく ──────────────────── これまでに書いたもの ゆっくりいじめ系429 ゆっくり合戦 ゆっくりいじめ系443 ゆッカー ゆっくりについて3 ゆっくり求聞史紀 そ ゆっくりいじめ系495 ゆっくり腹話術(前) ゆっくりいじめ系527 ゆっくり腹話術(後) ゆっくりいじめ系549 ゆっくりの飼い方 私の場合 ゆっくりいじめ系613 虐待お兄さんVSゆっくりんピース ゆっくりいじめ系646 普通に虐待 虐 家 無 ゆっくりいじめ系654 普通に虐待2~以下無限ループ~ ゆっくりいじめ系674 二つの計画 制 無 ゆっくりいじめ系691 普通に虐待2~以下無限ループ~加筆分 ゆっくりいじめ系705 ある復讐の結末(前) ゆっくりいじめ系706 ある復讐の結末(中) ゆっくりいじめ系721 ある復讐の結末(後-1) ゆっくりいじめ系731 ある復讐の結末(後-2) ゆっくりいじめ系739 ある復讐の結末(後-3) ゆっくりいじめ系868 ゆっくりに育てられた子 ゆっくりいじめ系874 ゆっくりに心囚われた男 ゆっくりいじめ系884 晒し首 ゆっくりいじめ系1040 チャリンコ ゆっくりいじめ系1055 コシアンルーレット 前編 ゆっくりいじめ系1071 コシアンルーレット 後編 ゆっくりいじめ小ネタ161 いろいろと小ネタ ごった煮 ゆっくりいじめ系1129 庇護 ゆっくりいじめ系1132 庇護─選択の結果─ ゆっくりいじめ系1100 不幸なゆっくりまりさ ゆっくりいじめ系1223 終わらないはねゆーん 前編 ゆっくりいじめ系1253 終わらないはねゆーん 中編 ゆっくりいじめ系1273 終わらないはねゆーん 後編 ゆっくりいじめ系1286 おデブゆっくりのダイエット計画 ゆっくりいじめ系1314 ノーマルに虐待 ゆっくりいじめ系1434 大家族とゆっくりプレイス_01 ゆっくりいじめ系1435 大家族とゆっくりプレイス_02 ゆっくりいじめ系1492 都会派ありすの憂鬱 ゆっくりいじめ系1500 都会派ありす、の飼い主の暴走 ゆっくりいじめ系1512 都会派ありすの溜息 ゆっくりいじめ系1535 都会派ありすの消失_01 ゆっくりいじめ系1536 都会派ありすの消失_02 ゆっくりいじめ系1577 まりさの浮気者! ゆっくりいじめ系1660 ゆっくりべりおん ゆっくりいじめ系1675 家庭餡園 ゆっくりいじめ系1777 ありふれた喜劇と惨劇 ゆっくりいじめ系1790 あるクリスマスの出来事とオマケ ゆっくりいじめ系1820 踏みにじられたシアワセ ゆっくりいじめ系2024 都会派ありすの驚愕 ゆっくりいじめ系2025 都会派ありす トゥルーエンド ゆっくりいじめ系2026 都会派ありす ノーマルエンド ゆっくりいじめ系2039 大蛇 ゆっくりいじめ系2077 それでも ゆっくりいじめ系2103 いつもより長い冬 ゆっくりいじめ系2241 おかーさんと一緒 ゆっくりいじめ系2248 魔理沙とドスまりさと弾幕ごっこ ゆっくりいじめ系2250 ゆっくり働くよ! ゆっくりいじめ系2278 虐待一家のその後※ ゆっくりいじめ系2420 リ・ターン ゆっくりいじめ系2540 子供のオモチャ ゆっくりいじめ系2551 好きだよ ゆっくりいじめ系2791 一家離散:妹れいむ『かえして』 ゆっくりいじめ系2801 一家離散:姉まりさ『生餌』 ゆっくりいじめ系2912 一家離散:親れいむ『捌け口』 ※は過去に匿名で投下したものです このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1591.html
青年が親まりさを連れて行ったのは台所だった。 今なら家族は誰も居ない。手短に済ませなければ。 青年はまず、親まりさの帽子を取り上げると、 「ゆゆっ! やめてねっ、まりさのおぼうしさんかえしてねっ!」 それを細かく手で破っていき、黒い布のゴミを大量に生み出した。 このゴミは後でありすが食べさせられることとなる。 「まりざのおぼうじざんがぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛っ!! どぼじでごんなご────ゆぎゅっ!?」 帽子の処理はただの第一段階に過ぎない。 青年は続いて親まりさを床に押し付けて、膝で挟み込んでガッチリと固定すると、両手で親まりさの金髪を引っ張りあげた。 ただし、今度は持ち上げる動作ではない。膝の力も使った、髪を引き抜く動作だ。 「ゆ゛びい゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛!? いじゃい゛よ゛っ! いじゃい゛よ゛っ! ばりざのがみのげ、ひっばっぢゃだべぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 ミチミチと音を立てて親まりさの体が縦に伸びていく。 両頬からかかる膝の力が親まりさの体を下に押しやり、髪を引っ張る腕の力が親まりさの頭を上へと持ち上げる。 額の面積が大きなり、毛根の埋まった頭皮が無理な形へと引き伸ばされて、尋常ではない激痛に親まりさの顔は涙と苦しみに歪んでいく。 必死に目を閉じて痛みに耐えながら、やめてやめてと体をよじって抵抗する。 その僅かばかりの抵抗を、青年は挟み込んだ膝の力で完封する。底部も動かせぬ非力な抵抗など、なんの障害にもなりはしない。 青年が全力で引き抜かんとする親まりさの髪は、力がある一点を超えた途端、ブチンと綺麗に頭皮から離れていった。 「ゆ゛んびゃ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!!」 頭皮はちぎれはしなかった。 綺麗に、金髪だけが親まりさの体から離れていった。 青年は引き抜いた親まりさの髪を、今はただのゴミとなった金髪を、同じくゴミと化した元帽子と一緒に山にしていく。 はらはらと青年の手から落ちるかつての自分の髪を、親まりさは呻き声をあげながら、名残惜しそうに見つめている。 「ばりざの……ゆ゛っ、ばりざの、がみのげが……」 しかし、まだ親まりさに髪は残っている。 青年は、速やかに、残りの髪も引き抜いていった。 その度に親まりさの口から絶叫が迸り、こぼれた涙がフローリングを濡らす。 青年が“先にあの処置をしておくべきだった”と後悔した頃には、親まりさの頭には金色のものは何も残っていなかった。 「ゆ゛っ、ゆ゛っ、ゆ゛っ……かひゅっ……」 全ての髪を引き抜き終えた頃には、既に親まりさはあまりの激痛に意識を失う寸前であった。 帽子を失い、髪も失い、もはやゆっくり好きであっても個体の判別が不可能なまでの顔だけハゲ饅頭と化した親まりさ。 しかし、まだ終わりではない。最後の仕上げが残っている。 青年はある器具を取り出した。このために台所に来たのだ。 それを手に取った青年は、ゆっくりと床でのびている親まりさへと近づいていく。 親まりさは痛みで悶絶しながらも、まだ意識は保っていた。 だから、視界に青年と、青年が手に持っているそれに気づく事が出来た。 「ゆ゛っ……ゆ゛っ?」 親まりさは知識としてそれは知っていた。 見たことは初めてだったが、その形と、それが何に使うのかを知っていた。 だから、不思議だった。なんでそれが今出てくるのかと。 本来の用途どうりに使われるのであれば、それはもしかしたら親まりさにとっても良いことになるかもしれない。 しかし、一連の流れにはそうはならない。 “それ”は絶対に親まりさに向かって使われる。 どうやって使うのか。どこに使うのか。 それに思い至った時、親まりさはこれまで味わったどの恐怖をも超越した、もっとおぞましい何かを感じた。 ゾクリ、と餡が震え上がり、その想像を頑なに否定しようとする。 だが、青年が“それ”のスイッチを入れて、親まりさにゆっくりと近づけていくにつれ、親まりさは自分の想像が当たっていたことを確信した。 「や゛……、やべでっ、ごないでっ! やべでね゛っ! だべっ! いやだっ! ぞんな……っ! ゆっぐりやべでねっ! ごないでねっ! いだいよ゛っ! どっでもいだい゛よ゛っ! ぜっだい、やべ……っ! ゆ゛んや゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!! やべぢぇよ゛っ! ゆっぐぢでぎないよ゛ぉ゛ぉ゛!! ばりぢゃ、いぢゃい゛の゛い゛やぢゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!! でいびゅぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!! ばりぢゃ、いぢゃい゛のいや゛……ぢゃ───! ゆ゛……あ゛っ……ぎゃ…………!!!!」 ヴィィィィィィィィィィィィィ。 ビチュ。 グリュグリュグリュグリュ。 ガリガリガリ。 ミチュ。 ガリガリガリ。 モリュモリュモリュ。 扉が再び開き、青年が姿を現した時妹まりさは親まりさが戻ってきたのだと思った。 だから、青年が抱えているキャベツ大のそれも、ゆっくりだと信じて疑わなかった。 しかし、妹まりさはその考えを改めることとなった。 何故なら、 「ゆっ! おかーしゃん、かえっちぇき────」 青年が抱えてきた、“ゆっくりと思わしきモノ”には、 「ちぇ…………ゆ゛っ……?」 顔が無かった。 「ゆみゃぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!?」 こんな大声を出したことなど、妹まりさは初めてだった。 同じ部屋にいるありすも、妹まりさと同じように叫び声をあげている。 だって、無理もない。 今、青年が抱えているモノは、大きさも、肌の色も、ゆっくりのものだ。 親まりさを抱えて出て行ったのだから、抱えて戻って来たのも、同じくゆっくりと思うはずだ。 しかし、しかしだ。 青年が抱えているモノには、髪も、飾りもなければ、あるはずの顔もない。 顔があるはずの場所には、混沌が広がっていた。 グチャグチャの、滅茶苦茶。 肌色も小豆色も混ざった混沌の広場。 まるで、顔面を何かで攪拌されたかのような破壊されぶり────。 いや、その表現は的確ではない。 “ような”ではない。 親まりさの顔面は、事実。 ハンドミキサーによって蹂躙されたのだ。 他でもない、青年の手によって。 生クリームを泡立てるかのような気楽さで。 小麦粉の皮の肌も。 中身の餡子も。 寒天の目玉も。 砂糖菓子の歯も。 皆、皆。全部が全部。 崩れ去り、混ざり合って、腐海となった。 顔の形に整えられていた菓子達はしかして、全てをゴチャゴチャに混ぜ合わせた生ゴミと化した。 普通の生物ならば致命傷。 しかし、ゆっくりはこれだけされてもなお、生きている。 グチャグチャになった顔面から餡子が零れて死んでしまわぬように、ラップが顔だったところ一面に張られてもいる。 これで、親まりさの名残は全て消えた。 飾りも、髪も、顔も全て無くなった。 声も出せないし、底部も動かせないから動くことも出来ない。 親まりさと固体認識させる要素は、全て無くなった。 「さて、ありす。さっきのまりさじゃなくて、今度はこいつを孕ませるんだ」 「ゆ゛っ!?」 ありすは唐突かつ突拍子もない青年の言葉に驚愕し、恐怖した。 一体、何を言うのだろうか、と。 こんな、こんな顔なしのバケモノと肌を合わせて子作り、しろと? 「や゛……ありじゅ……いや゛、じゃ……」 震えながらかろうじて拒否の言葉を零したありすを、青年は容赦なく蹴り飛ばした。 「黙れ。やれ。殺すぞ」 有無を言わせぬ青年の言葉に、ありすは震え、歯を打ち鳴らし、泣きじゃくりながら従った。 青年が床に置いた顔なしのバケモノに、体を擦り合わせ始めた。 ありすがすっきりー、して親まりさを孕ませるまでに、きっと何時間もかかるだろう。 その何時間の間に、ありすは一体どれだけ殴られることになるだろうか。 ありすが行為を始めたのを確認すると、青年は水槽へと近づいていった。 水槽の側に立ち、上から水槽の中の妹まりさを覗き込んだ青年は、先ほどとは打って変わって優しい口調で語りかけた。 「やぁ、まりさ。さっきはすまんな。君のお母さんはあまりにもかわいそうだったから、今は別の部屋でゆっくりさせてるよ」 青年のその言葉は、呆然としていた妹まりさを立ち直らせた。 青年は今、何と言ったか。 「……ゆっ!? おかーしゃん、べつのへやにいりゅの!?」 「あぁ、そうだよ。残念ながらすぐには会えないけど、ゆっくりしてるよ」 「ありぇは!?」 「あぁ、あの顔ナシのバケモノは別の所から連れてきたものさ。君や君のお母さんとは関係ないよ」 「おかーしゃんじゃないの!?」 「当たり前だろ。あんな気持ち悪いバケモノが君のお母さんなわけないだろ」 一度はそう思っていた事を、青年は否定した。否定してくれた。 アレは親まりさではない。自分の母親ではない。 その言葉に、妹まりさはすがりつくしかなった。 「ゆゆっ! そうだにぇ! おかーしゃんはもっときれーだもん!」 「そうだね」 妹まりさのその言葉を聞き、青年は内心でほくそえんだ。 これでお母さんお母さんと喚くことはあるまい。 上手くできればお母さんに合わせてやると言えば実験にも積極的に取り組むだろう。 お母さんに会いたいと言っても、別の場所にいると言い続ければいい。 妹まりさはそれが嘘だと証明する事はできないし、同じくあの顔ナシが自分の母親だと証明する方法もない。 嘘だと証明できない嘘は真実と同じなのだ。 「さっ、お母さんと会うために、練習頑張ろうか」 青年の水上まりさ製作実験が、ようやく開始された。 「やっ……まりしゃおちちゃうよぉ……!!」 遠くから、我が子の声が聞こえる。 頬に触れるにちょにちょとした感触を感じながらも、親まりさはじっと、妹まりさの声に神経を傾けていた。 「ちんじゃうぅぅぅぅぅ、まりしゃおちちぇちんじゃうぅぅぅぅぅ!!」 「落ちないための練習だろうが。ほら、ちゃんとやれ。寝る時以外は浮き島に乗ることを許さんぞ」 我が子の嘆きが聞こえる。 「たちゅけちぇぇぇぇぇぇ!!! おかーしゃん、たちゅけちぇぇぇぇぇぇ!!」 助けが、聞こえる。 「まりさが頑張って一人で水に浮くことが出来れば、お母さんに会わせてあげるよ」 ちょっとでも気を緩めれば、顔面を苛む激痛に意識をもっていかれない。 それでも親まりさは、気を引き締めて妹まりさの声を拾った。 親まりさはもう何も出来ない。本当に、何も。 何もせず、ただ黙って、じっとして、母体となる。 それだけが、親まりさに許された事。それだけが、親まりさの役割だから。 親まりさはもう、我が子のために出来ることは何も無い。何も出来ない。 出来るとしたら、ただ、祈るだけ。 妹まりさの声を聞き、まだ生きていると確認して、いつか幸せになりますように、と自分以外の何かに託すだけ。 その願いを聞き届けるものは、誰も居ないというのに。 夜。眠りの時。 日が暮れて、青年が夕食を食べ終えて、夜の練習も終わって、ようやく青年が寝るという段階になって、ようやく妹まりさは浮き島に乗ることを許された。 それまでは、ずっと水に浮かべた帽子の上に乗ることを強制されていた。 落ちれば死亡。その事が妹まりさの精神を追い詰めて、なんとか一度も落ちずにすんだ。 落ちたら青年は助けてくれただろうか。 それとも、代わりはいくらでもいると言って助けてくれなかったのか。 それは分からないが、なにはともあれ、今はようやく、休むことが出来る。 妹まりさは水槽の中の浮き島から部屋の中を見回す。 ここは青年の部屋だ。だから青年もここで寝る。ありすは部屋の隅に置かれたゴミ箱の中に入れられるのを、さっき見た。 そして、水槽の横。 同じ棚の上に置かれた、それ。 ゆっくりならば額と思わしき場所から実ゆっくりを宿らせた茎を生やして、顔なし髪なしの丸いバケモノ。 額からはやした茎には、まりさ種しかいない。 ありす種は、ありすがすっきりー! して茎が生えた直後に、青年が全て潰してゴミ箱に捨てていた。 当然、その捨てられたゴミはありすが片付けた。 こんな、得たいのしれない気味悪いものの側で寝なくてはならない。 それは妹まりさにとって到底ゆっくりできるものではないが、かといってこの浮き島から逃れることも水槽の外に出ることも出来ない。 妹まりさは、仕方なく、目を閉じて視界から、意識から気味の悪い顔ナシを追い出そうとした。 そうして、目を閉じて、ゆっくりと、ゆっくりと意識を睡眠へと移行させていく過程で、妹まりさは、温もりを、欲した。 「ゆぅ……おねーちゃん……おかーしゃん……」 思い返してみれば、誰かと寄り添わずに寝ることなど、初めてかもしれない。 少なくとも、記憶の中では。ここに来る直前の睡眠だって、眠りに入る時は、そばに親まりさがいた。 妹まりさは想起する。 親れいむの温もりを。姉れいむの温もりを。姉まりさの温もりを。妹れいむの温もりを。 親まりさの、温もりを。 いつも、そばにいた。片時も離れなかった、愛しい母親の暖かさ。 今は、どこにあるのだろう。今はどこにいるのだろう。 感じたい。あの温もりを。 今だって、ほら。寸分違わず思い出すことが出来る、あの温もりを。 目を閉じて、夢の世界へと旅立ちながら、親の温もりを探した妹まりさは────。 「…………ゆっ?」 その温もりを、見つけた。 首を傾げた妹まりさの視線の先。そこには顔がグチャグチャに潰れたバケモノ。 だけど、けれども。 「おかー、しゃ……」 さっき感じたあの温もりは、間違いなく、親まりさのものだった。 離れていたのに。触れてもいなかったのに。 水槽を隔てているというのに。 錯覚でもなく、幻でもなく。 妹まりさは、今、確かに。 アレから、親まりさの温もりを感じたのだ。 「おかー、しゃん……」 信じられないといった響きを含んだ呟きが、妹まりさの口からこぼれた。 アレが自分の母親とは、俄かには信じられない。当然だ。 だが。 妹まりさの呟きに、顔ナシは確かに反応した。 自由の無いはずの体を、わずかに、しかし確かに身じろぎさせて、応えた。 妹まりさの呼びかけに、応じたように。 「おかーしゃん!」 それで、確信した。 アレは自分の母親だと。 髪がない。飾りがない。顔がない。 それがどうした。 間違いなく、アレは親まりさだ。自分の母親だ。最愛の肉親だ。 だって、間違いない。 あの温もりは、片時も忘れたことのないあの温もりは。 間違いなく、大好きなお母さんの物なのだから。 「おかーしゃ…………!」 妹まりさは、あれだけ求めた温もりに直に触れたくて、包まれたくて、身を乗り出して────。 ちゃぽん、と。 冷たい腕の中に包まれた。 翌朝。 青年は水槽に浮かぶ、持ち主を失った帽子を見た。 水槽の中の水は、わずかに濁っていた。 つづく ──────────────────── これまでに書いたもの ゆっくりいじめ系429 ゆっくり合戦 ゆっくりいじめ系443 ゆッカー ゆっくりについて3 ゆっくり求聞史紀 そ ゆっくりいじめ系495 ゆっくり腹話術(前) ゆっくりいじめ系527 ゆっくり腹話術(後) ゆっくりいじめ系549 ゆっくりの飼い方 私の場合 ゆっくりいじめ系613 虐待お兄さんVSゆっくりんピース ゆっくりいじめ系646 普通に虐待 虐 家 無 ゆっくりいじめ系654 普通に虐待2~以下無限ループ~ ゆっくりいじめ系674 二つの計画 制 無 ゆっくりいじめ系691 普通に虐待2~以下無限ループ~加筆分 ゆっくりいじめ系705 ある復讐の結末(前) ゆっくりいじめ系706 ある復讐の結末(中) ゆっくりいじめ系721 ある復讐の結末(後-1) ゆっくりいじめ系731 ある復讐の結末(後-2) ゆっくりいじめ系739 ある復讐の結末(後-3) ゆっくりいじめ系868 ゆっくりに育てられた子 ゆっくりいじめ系874 ゆっくりに心囚われた男 ゆっくりいじめ系884 晒し首 ゆっくりいじめ系1040 チャリンコ ゆっくりいじめ系1055 コシアンルーレット 前編 ゆっくりいじめ系1071 コシアンルーレット 後編 ゆっくりいじめ小ネタ161 いろいろと小ネタ ごった煮 ゆっくりいじめ系1129 庇護 ゆっくりいじめ系1132 庇護─選択の結果─ ゆっくりいじめ系1100 不幸なゆっくりまりさ ゆっくりいじめ系1223 終わらないはねゆーん 前編 ゆっくりいじめ系1253 終わらないはねゆーん 中編 ゆっくりいじめ系1273 終わらないはねゆーん 後編 ゆっくりいじめ系1286 おデブゆっくりのダイエット計画 ゆっくりいじめ系1314 ノーマルに虐待 ゆっくりいじめ系1434 大家族とゆっくりプレイス_01 ゆっくりいじめ系1435 大家族とゆっくりプレイス_02 ゆっくりいじめ系1492 都会派ありすの憂鬱 ゆっくりいじめ系1500 都会派ありす、の飼い主の暴走 ゆっくりいじめ系1512 都会派ありすの溜息 ゆっくりいじめ系1535 都会派ありすの消失_01 ゆっくりいじめ系1536 都会派ありすの消失_02 ゆっくりいじめ系1577 まりさの浮気者! ゆっくりいじめ系1660 ゆっくりべりおん ゆっくりいじめ系1675 家庭餡園 ゆっくりいじめ系1777 ありふれた喜劇と惨劇 ゆっくりいじめ系1790 あるクリスマスの出来事とオマケ ゆっくりいじめ系1820 踏みにじられたシアワセ ゆっくりいじめ系2024 都会派ありすの驚愕 ゆっくりいじめ系2025 都会派ありす トゥルーエンド ゆっくりいじめ系2026 都会派ありす ノーマルエンド ゆっくりいじめ系2039 大蛇 ゆっくりいじめ系2077 それでも ゆっくりいじめ系2103 いつもより長い冬 ゆっくりいじめ系2241 おかーさんと一緒 ゆっくりいじめ系2248 魔理沙とドスまりさと弾幕ごっこ ゆっくりいじめ系2250 ゆっくり働くよ! ゆっくりいじめ系2278 虐待一家のその後※ ゆっくりいじめ系2420 リ・ターン ゆっくりいじめ系2540 子供のオモチャ ゆっくりいじめ系2551 好きだよ ゆっくりいじめ系2791 一家離散:妹れいむ『かえして』 ゆっくりいじめ系2801 一家離散:姉まりさ『生餌』 ゆっくりいじめ系2912 一家離散:親れいむ『捌け口』 ※は過去に匿名で投下したものです このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/752.html
前 まりさつむりの記憶 (後編) ☆ゆっくり同士の戦闘シーンがあります。 罪のないゆっくりが酷い仕打ちに遭います。 東方のキャラがちょっとだけ出演します。 SSの数だけ設定が存在します。 お気に召さない方は回れ右! 霧の湖のほとり。鍾乳洞の奥深く。 美しい黄金色の長い髪がゆーゆーと寝息を立てている。帽子は無いが紛れもないゆっくりまりさである。 肉体的にも、精神的にも疲れ果てていたため一週間以上眠り続けていたのだ。 その傍には蜂蜜色の、ゆっくりありすの姿があった。 動く気配も呼吸している様子も無い。死んでしまっているようだ。 しかしその顔は幸せに満ちた寝顔、そのものであった。 「ゆっ・・!ゆっくりおはよう!!!」 まりさが漸く目を覚ました。しかし辺りには誰もおらず、まりさの声だけがゆっくりと木霊する。 「ゆっ・・ゆう・・・。」 すぐに最愛のありすを失ったことを思い出し、がっくりと肩を落としていた。 ゆっくりに肩があるかどうかは気にしてはいけません。 悪い夢なら覚めて欲しい。そう思うことも否定はできないのだが、 まりさが座る葉の下には3個の真っ白い卵。ありすからの贈り物である。 この子達のためにも頑張らなくては・・!何よりもありすのために・・・! 「ゆっしょ!ゆっしょ!ゆっしょ!」 ざっくざっくざっく・・・ まりさは全身傷だらけになりながらも、硬い鍾乳洞の床に穴を掘っていた。 ありすの両親の形見だった三日月の紋章、かちゅーしゃを穴に放り込むと、 ありすをゆっくりと埋葬して葉っぱで覆い、墓標となる石を置いた。 「ゆ・・・ゆぅ・・・」 森の中に埋葬するのも手であるが、腐葉土に覆われた土壌のため すぐにありすの亡骸は朽ち果ててしまうだろう。 まりさには心が痛むためできなかった。 「ゆー・・・」 まりさは目をとじて墓標の前でゆっくりとうなだれていた。 しかしあまりゆっくりしている時間はない。冬ごもりの準備をしなくてはならない。 以前の集落では充分な食糧を確保してきたものの、全て置いて逃げ出さなくてはならなかった。 まりさはゆっしょと体を起こし、残ったこれくしょんの貝殻を吐き出すと、 卵をほおばり勢いよく鍾乳洞を飛び出した。 10月。幻想郷では秋が深まりつつあった。 魔法の森も美しい紅葉に包まれていた。しかしまりさには楽しむ余裕はない。 朝早く起きてから昼過ぎまで、休むことなく食糧や資材集めに奔走した。 魔法の森の奥深くまでは人間も妖怪も滅多に姿を現さない。 しかし帽子を失っていたゆっくりまりさに、他のゆっくり達の攻撃は容赦がない。 食糧をほおばり枝や葉などの資材をかついで巣に戻ろうとしていると、 「ゆゆっ!あそこにゆっくりできないまりさがいるよ!!!」 れいむが大きな声を上げる。 「ゆー、ゆっくりできないまりさはゆっくりしね!!!」 「「「「「「ゆっきゅりしね!!!ゆっきゅりしね!!!」」」」」」 成れいむが2匹、子れいむ6匹の群れである。 以前の狩りの得意なまりさであれば、荷物をかついでいても逃げ遂せたであろう。 今は連日の過酷な労働と、ゆっくり達との戦闘に疲労困憊であった。 ましてやありすとの愛の結晶である大事な卵を抱えている。 まりさは泣く泣く集めてきた資材を捨て、黙って一目散に逃げるしかなかった。 「ゆーっ、まりさがゆっくりにげるよ!!!はやくおいかけようね!!!」 「ゆゆっ、まりさがたべものをいっぱいおいてったよ!!! きっとれいむたちにゆるしてほしくておいてったんだね!!!」 「こんな、むーしゃ、もので、むーしゃ、れいむたちをゆるしてくれなんて、しあわせー!!! なんてげすなまりさなの!!!ばかなの?」 「「「「「「むーちゃ、むーちゃ、ちあわちぇー!!!」」」」」」 まりさが残していった虫、草や茸を思い思いに食い荒らすれいむ一家。 「ゆゆっ!!!こんなまずそうなはっぱなんていらないね!!!」 れいむが葉っぱをすりつぶすと、ゆっくりとぼろぼろになってしまった。 果たしてこのれいむ一家は無事に冬を過ごせたのだろうか? 一方のまりさは、より疲労の色を強めていた。 自分はろくに食事もとらずに生まれてくる子供たちと冬を越すために一生懸命である。 しかし何度も他のゆっくり達に襲われてしまい、思うように食糧を集められずにいた。 そんなある日のこと。 「ゆ・・・。ゆっくりおはよう。」 もはや大きな声を出す元気も無かった。その時かすかに背後から物音が聞こえてきた。 まりさは振り向くと、卵を覆っていた葉っぱを取り去った。すると卵がかすかに動いているではないか。 「ゆゆっ、うまれるよー!!!ゆっくりがんばってね!!!」 がさがさがさっ 卵の振動は強まっていく。 ぴしぴしぴしっ 3個の卵にゆっくりと、一斉に亀裂が入る。そして卵が割れる。 「ゆゆーっ!!!」 割れた卵から黄金色の塊が2個、蜂蜜色の塊が1個、飛び出した。 「ゆっ・・・。ゆっくりしていってね!!!」 まりさ種2匹とありす種1匹である。しかし卵の中を覗き込むも、帽子もかちゅーしゃも見当たらない。 まりさはとっさに笑顔を作って渾身の思いで声を張り上げるが、落ち込みを隠せない。 「「「ゆっきゅりしていっちぇね!!!」」」 「ゆっ・・・。どおしてぇ・・・」 どうやらみょんに突き刺されたありすは、生命だけではなく生殖器にも影響を及ぼしていたようだ。 この子達には自分と同じ運命が待っているのかと思うと、断腸の思いであった。 ゆっくりに腸があるか無いかについては議論してはいけません。 「おきゃーしゃんどおしたの?ありすなにかわるいことしたならごめんね・・。」 振り向くと、母の落ち込んでいる様子を見て、透き通った瞳の子ありすが首をかしげていた。 見た目も、生まれたばかりなのに母を気遣う優しさも、まさにありすの生き写しであった。 感動のあまりまりさから大粒の涙がこぼれ落ちる。 「ううんちがうの・・。ありすはいい子だから、いい子だから・・・」 「おきゃーしゃんをいじめるわるいやつはゆるさないよ!!!」 子まりさが威勢よく声を上げて飛び跳ねる。その瞳もまた、ありすの生き写しであった。 「うっ・・・。こんなおかあさんでごめんね・・・。う、うわぁああああん!」 まりさは3匹にすり寄ると、大声で泣き出してしまった。 ありすから授かった、如何なるこれくしょんよりも素晴らしい宝物に、感動が止まらなかった。 一人で暮らしていた頃と比べると、随分涙もろくなってしまったものだ。 「「「お、おきゃあしゃん・・・?」」」 「ご、ごめんね・・。もうだいじょうぶ、だいじょうぶだから・・。」 きゅるるるる・・・。1匹の子まりさのおなかが勢いよく鳴る。 「おきゃーしゃん、まりしゃもうはらぺこだよ・・・」 「ごはんのよういをするからまっててね。」 「「「ゆっ、ゆっくりまってるよ!!!」」」 食糧の備蓄量は決して多くは無かった。 自分が食事をがまんすれば、子供たちが二週間は耐えられる程度であった。 その後は・・。自分が食糧となるしかないが、とても冬を越せる量ではない。 徐々に寒くなってきているものの、まだまだ食糧を集めなくてはならないようだ。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」」」 幸せそうな子供たちを背に、まりさはありすの墓標へ向け、ゆっくりと語りかけていた。 「ありす・・。きょうね、まりさとありすのこどもがうまれたんだよ。 ありすににててね、とってもとかいはで、かわいくて、やさしくて・・。 ありすにも、ありすにも・・。うっ・・うっ・・・・。」 後ろでは子供たちがゆーゆーと寝息を立てていた。 まりさは子供が生まれた嬉しさと、ありすに見せられなかった悔しさの境界に立たされながらも、 子供たちに寄り添ってゆっくりと眠りを深めていった・・・。 一方、魔法の森のとあるゆっくり集落に、帽子の無いまりさの噂が広まっていた。 ある者は、襲いかかると常人・・じゃなかった常ゆっくりならぬ力で跳ね飛ばされ、 またある者の前では、威嚇しただけで食糧を山のように置いて逃げていったという。 冬ごもりが近く、少しでも多くの食糧を集めなくてはならない。 帽子もないくせに、山のように食糧を集めるゆっくりはさっさとしんでもらうべきである。 集落のゆっくり達は、策を練り始めていた。 「ゆ・・・ゆっくりおはよう!」 「ゆ・・・ゆっきゅりしていってね!!!」 まりさは更に狩り、採集に精を出していた。 子供たちの声を聞くと、溜まっていた疲れも一気に吹き飛ぶというものだ。 ありすとの大切な大切な3人の子供・・。絶対に無事に冬を乗り切らなくてはならない。 他ゆっくりの威嚇にもひるまずにかつゆっくりと逃げ回り、こつこつと食糧を集めていった。 子供が生まれてから半月ほど過ぎたある日の夕暮れ、 まりさには追手もおらず食糧を抱えてゆっくりと巣に向かっていた。 しかしそれが仇となった・・。 「ゆゆっ、ゆっくりみつけたよ!!!」 「ゆっくりおかあさんにしらせてくるね!!!」 まりさの足取りがゆっくりであったため、れいむの5姉妹に後をつけられていたのだ。 「ぼうしもないげすなまりさなんて、かわいいれいむのあしもとにもおよばないのよ!!!」 れいむ姉妹が下っぱらを膨らまし、ゆっくりと踏ん反り返る。 虐待お兄さんに見られたら、即クリアボックス行きである。 程なくしてまりさの巣の位置が集落に知れ渡る。 ゆっくり達は夜が明ける頃、まりさの巣に張り込んで出てきたところを袋叩きにする算段だ。 「ゆっくりおはよう!」 「ゆっくりしていってね!!!」 まりさ親子の間で、朝の挨拶が交わされる。 しかしなぜか、辺りは不穏な空気に包まれていた。 まりさは音を立てないようにゆっくりと入口に近づくと、 外でゆっくり達がゆーゆーと息の音を立てている。数はかなり多いようだ。 「ついに・・・。見つかったみたいだね・・・。」 このまま黙ってやられるわけには行かない。子供を守るべく、まりさは最大限の抵抗を試みることにした。 まずは巣の中の持ち運べる石をありったけ集めて、入口を封鎖することにした。 1匹で作れるバリケードはたかが知れているが、それでもすぐにゆっくり達には石の壁を崩せないだろう。 壁がつみあがったらまりさは、隙間を抜けて再び外の様子を見に行った。 もう昼近いというのに、食い物のためか、帽子無しゆっくりへの復讐か、ゆっくりらしからぬ執念である。 「ゆゆっ!!!れーむおなかがちゅいてきたよ!!!」 子れいむが耐えきれなくなって叫ぶ。 「そうだな、そろそろゆっくりとつげきしようぜ!!!」 群れのまりさが叫んだ。 「「「「ゆ゛ゅーーーーーーーーーーー!!!」」」」」 他のゆっくりも一斉に叫ぶ。 まりさは元来た隙間をすり抜け、急いで内側から封鎖した。 「かわいいれいむのために、ゆっくりごはんをちょうだいね!!!」 「このとかいはなおうちはありすにこそふさわしいのよ!!!」 「ぢーんぼっ!!!」 「むきゅむきゅむっきゅーーーーん!!!」 各々が思い思いに怒号を上げる。 どしんっ!どしんっ!・・・ 程なくして、石壁に体当たりが行われた。 予想以上に数が多い。崩されるのも時間の問題か。 隙間から外の様子を覗ってみる。 「ゆーえす!!!ゆーえす!!!」 ゆっくり達は息を揃えて石壁に体当たりを繰り返していた。その数は50以上であろうか。 しかしよく見てみると・・・ どしんっ 「ゆ゛あ゛っ!!!」 どしんっ 「ゆ゛べじっ!!!」 先頭のゆっくり達は、後続のゆっくり達の勢いに逆らえず、顔を強く石壁に叩きつけられていた。 どしんっ 「で、でいぶのがぁい゛い゛がお゛に゛ぎずがぁあああああ!!!」 どしんっ 「ゆ゛っ、ゆ゛がっ!!!」 どしんっ 「ゆっ、でいぶの゛お゛め゛め゛がみ゛え゛な゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛」 どしんっ 「ゆ゛っ、ゆ゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 最初の犠牲者が出た。 敵のれいむの1匹は衝撃に耐えきれず、ぱぁあああん!と弾け飛んだ。 しかし後続のゆっくり達は、気にも留めず体当たりを繰り返す。 どしんっ 「あ゛、あ゛り゛ずの゛どがい゛はな゛お゛がお゛があああああ!!!」 ありすの頬が石でえぐり取られる。カスタードクリームが漏れ出していた。 どしんっ 「ぢべっどっ!!!ろ゛じあ゛っ、お゛る゛れ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん!!!」 続いてありすが犠牲となった。石の角に皮を貫かれ、辺りにカスタードクリームをぶちまける。 「み゛ょんっ!!!ぺにい゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛ず!!!」 「わがら゛だい゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!ら゛ん゛じゃま゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「じ、じあ゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛」 みょんが、ちぇんが、めーりんが、次々と石壁と仲間達の境界に飲み込まれていく。 まさに地獄絵図である。いくら自分を殺そうとしている相手だとはいえ、まりさもいい気分ではない。 まりさは一度巣の奥に引き返した。 子供たちは洞窟の中に響くゆっくり達の体当たり音に怯えていた。 「みんな貝がらにかくれて!!!だれもいなくなるまでぜったいにでてきたらだめだからね!!!」 そこにはまりさのこれくしょんの、子ゆっくり達より二回り大きい巻き貝の殻が3個あった。 「ゆゆっ!!!ゆっくりわかったよ!!!」 まりさ達がそれぞれ貝殻の中に身を隠す。 「お、おきゃーしゃんは・・?」 ありすが尋ねる。 「ゆっくり生き残ってみせるよ!!!だから・・・。おかあさんとのやくそくぜったいまもってね!!!」 ありすも続いて貝殻に潜り込む。 しかしまりさには生き残れる自信などあまり無かった。 自分は犠牲になってでも子供たちはなんとしても助けなきゃ・・。そう思っていたのだった。 ずががががぁあああん!!! 洞窟の中に轟音が響きわたる。遂に石壁が崩されたようだ。 「むぎゅむぎゅーーん!!!」 「ゆ゛っぐじ゛じだげっががゆ゛あ゛っ!!!」 「で、でいぶの゛ごどもがああああああ!!!」 「ま゛、ま゛り゛ざの゛お゛がお゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 また数匹、犠牲になったようだ。洞窟の入り口が開かれたことで外から甘い匂いが立ち込める。 「おきゃーしゃん、あまあまだよぅ・・・」 1匹の子まりさが呟く。 「しゃべっちゃだめよ!」 子ありすにたしなめられる。 まりさは鍾乳石の影でゆっくりと様子を窺う。 一連の出来事で幾分かは数は減ったが、30は下らない。 「ゆゆっ、げすなまりさははやくれいむにあやまってね!!!」 子供が石の下敷きとなったれいむである。ぷんぷんと下っぱらを膨らませている。 もし虐待お兄さんが見ていたら、ゆっくりとスライスされるところである。 ゆっくり達が続々と奥に進入してくる。 まともに戦っては勝ち目がない。しかし先に子供たちを見つけられるわけにはいかない。 意を決して、まりさは姿を現す。 「ゆゆっ!!!げすなまりさがいたよ!!!はやくごはんだしてゆっくりしね!!!」 れいむが飛びかかってきた。 まりさは素早く飛びあがると、上かられいむを踏み付けた。 「ゆ゛べしっ!!!」 すぐに上から大きな石を投げ下ろす。 「ゆ゛ゆ゛っ!! でいぶのあだま゛がぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむは後頭部をきれいに潰されて、ゆーゆーと弱々しく息を立てていた。 切り口からは餡子が漏れ出すが、幾分かは石にせき止められている。 命を失うのは時間の問題であろう。 「よ゛、よ゛ぐも゛でい゛ぶお゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」 続いて一回り大きな敵まりさが突っ込んできた。 まりさは少し前に出ると、下から思い切り飛び上り、敵まりさを上に跳ね飛ばした。 「ゆ゛ゆ゛っ!!!ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 鍾乳石に頭から貫かれる形となった。 「は、はやくまりさをおろすんだぜ!!!」 幸いと言うべきか、急所は外れており、餡子の流出も少なくぴんぴんしている。 敵に助けを求めるとは、同族ながら非常に愚かである。 これではどちらがげすかわからないと、まりさは呆れた表情であった。 が、残ったゆっくり達に四方八方取り囲まれてしまった。 「ゆっへっへっへ!!!やっぱりおまえはげすなまりさだぜ!!! どーぞくとしておろかだぜ!!!」 一際大きなまりさが踏ん反り返り、下っぱらを誇張して下品な笑いを浮かべている。 もしAQNが見ていたら、火薬で木端微塵にされるところであろう。 さすがに栄養不足の中ひたすら暴れまわったため、まりさの体力も限界が近い。 まりさは奥の手に出ることにした。 「ふふっ、おまえは人からたべものをうばわなければいきていけない、 ただのとーぞくにすぎないんだよ。」 「だっ・・、だれうま!!!」 ゆっくりの餡子脳はそんなものだということでご容赦下さい。 大まりさがまりさに突撃を仕掛ける。 まりさは口の中に隠していた茸をかみ砕くと、正面の敵に向かってゆっくりすぱあくを放った。 すぱあくとは名だけで、ただ当たるとしばらくの間ゆっくりしてしまう光線のようなものである。 「ゆゆっ、ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくりしていってね!!!」」」」」 正面の敵まりさだけではなく、同じ方向にいるゆっくり達にも当たったようだ。 まりさは近くの鍾乳石をゆっくり持ち上げると、敵まりさの脳天から串刺しにした。 「ゆ゛ゆ゛っ・・!ゆ゛あ゛じっ!!!はやくまりささまをはなさないとゆるさないんだぜ!!!」 急所を貫いたはずだが、まだ息の根があるようだ。 「おまえはもう・・・しんでいる。」 「ゆゆっ?ゆ゛っ、ゆ゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 言われてみないと死んでいることにすら気付かない。 もしもえーりんが見ていたら、こっぴどく実験のネタにされることであろう。 「「「「ゆっ!!ゆゆーーーーーー!!!」」」」 掛声とともにまりさの後頭部に鈍い痛みが走る。 生き残った子れいむ達が後ろから投石を仕掛けてきたのだ。 「れいみゅのいしがあたったよー!!!すぎょいでしょ、ゆっへん!!!」 「「「ゆーー!!!れいみゅすぎょーい!!!」」」 姉妹から称賛を浴びた子れいむは、ますます天狗になる。 子供とは言え、下っ腹を憎らしく膨らませる姿を虐待お兄さんが見ていたら、 長きに渡って針攻めにされることだろう。 「「「「「ゆっくりげすなまりさをやっつけるよ!!!ゆっくりしね!!!」」」」」 続いて残りのゆっくり達が総攻撃を仕掛けて来た。 突撃してくるもの、投石するものなど様々で、味方が投げた石にゆ゛ゆ゛っと潰されるゆっくりもいたが 疲れ果てたまりさに成す術はもう残されていなかった。 ゆっくり達に体当たりされ、噛みつかれ、石をぶつけられ・・。 遠のく意識の中まりさの涙は止まらなかった。 叩きのめされる痛みからではない。 ありすとの約束を果たせなかったため。自分が死ねば次は子供たちの番であろう。 ありす・・・こどもたち・・・、ごめんね・・・・・・。ご・・・めん・・・ね・・・・・・・・・ 1分とかからず、まりさはただの餡子の塊となってしまった。 多くのゆっくりの遺体が圧し掛かっているため、ぱっと見ではまりさの存在がわからない。 その様子を見ていたまりさの子供たち。 「お・・おきゃあさんっ!どぼじで、どぼしでえええええ!」 悲しい悲しい悲しい。ただこの子達には母まりさの狙いがわかっていた。 大声を出してやすやすと見つかるようなマネをしては、母を裏切ることになる。 敵の群れに対する被害も甚大であり、1匹の母れいむと数匹の子れいむを残すのみとなっていた。 一匹のまりさ相手に壊滅寸前・・・である。 それから程なくして、 「みてー!!!むこうにきれいなかいがらがあるよー!!!」 「ゆゆっ!!!れいむのかいがらさん、ゆっくりまっちぇちぇね!!!」 数多くの仲間が犠牲になったというのに、その記憶はもう吹っ飛んでいる。さすがゆっくりブレイン。 生まれたばかりの子供たちにとって体格差は歴然。もう勝ち目はないものと思われた。 一匹が貝殻を拾い上げると、 「ゆゆっ!!!なかにゆっくりできないまりさがはいっているよ!!!ゆっくりしね!!!」 帽子、髪飾りを持たないので当然襲い掛かってくる。 あるれいむは貝殻の中に舌を伸ばしてきた。 「ゆ゛あ゛っ!!!ぎもぢわるいよ!!!」 子まりさが勢いよく舌を噛み切った。 「ゆっ・・・ゆっぎゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶのぺろぺろがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの舌から餡子がどくどくと流れだす。舌の根は中心に近いため、 早く手当てしないと命に関わる。 あるれいむは貝殻を跳ね飛ばして割ってしまう算段だった。 「きれいなかいがらさんはかわいそうだけど・・・ゆっくりしね!!!」 跳ね飛ばした貝殻は割れることなく鍾乳石に当たって跳ね返り、れいむの右目に直撃した。 「ゆっ・・・でいぶのお゛め゛め゛があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 更に中の子まりさは容赦無く噛みついた。 「ゆっぎゃぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 目のあった部分から餡子がどくどくと流れ出す。失餡死には至らないが、 野生で目を失うことは命に関わる。 あるれいむは勢いよく踏みつぶそうという算段だった。 「ゆふっ!ゆっくりしね!!!」 れいむは大きく膨らんで貝殻に圧し掛かった。当然ゆっくりの硬さ、力では割れるはずがない。 「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっふ!ゆっふ!」 何度も貝殻を踏み付ける。もちろんびくともしない。 「こんどこそ・・、ゆっくりしね!!!」 れいむが高く飛び上った瞬間、中の子ありすは地面に対して垂直に貝殻を立てた。 「ゆっ・・、ゆっぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!でいぶのあ゛んよがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 れいむの足となる部分から餡子がどくどくと流れだす。今度は一番タチが悪かった。 貝殻はれいむの皮を貫き、口の中まで達していた。 膨らませていた口からひゅーひゅーと空気が漏れたことで 大量の出餡につながった。当然足を痛めて野生で動けないことは命に関わる。 「ゆゆっ、こんなゆっくりできないかいがらはさっさとしね!!!」 母れいむは自分たちの力では潰せないとわかると、 頭から湯気をぷんぷんと上げながら霧の湖のほとりまでやってきた。 「ゆっくりおみずでしんでね!!!」 母れいむは持ってきた貝殻を湖へ向けてゆっくりらしからぬ勢いで投げ込んだ。 ばっしゃん!!! 3個の貝殻は霧深き湖の底へと消えていった、かに思われた。 「やっぱりかわいいれいむはてんさいだね!!!ゆっふっふっふん!!!」 踏ん反り返って勝利の笑い声をあげる。しかしこれがいけなかった。 「ゆ゛っ、ゆるんっ!!!」 ぼっちゃん!!! れいむは水中へ真っ逆さまであった。普通のゆっくりは泳げるわけもなく、 「ゆっくりした結果がこれだよー!!!」 とのたまいながら、体がふやけて沈んでいくのを待つしかなかった。 「「「ゆっしょ!!!」」」 ばしゃん!!! 子まりさ達が声をあげる。貝殻が浮き袋となり、3匹とも無事であった。 それだけではない。長いサバイバル生活を生き抜いたありすに起きた体の変化、 耐水性を引き継いでいたため、水に触れ続けていてもふやけて沈むことはない。 「まりさおなかがすいたよー!あれでもたべよう・・・?」 そこには、間抜けにも足を滑らせた母れいむが情けない顔で湖底に沈んでいる姿であった。 「ゆゆっ、でもおかあさんがほかのゆっくりを食べたらゆっくりできなくなるって・・。」 「ありすたちどうせぼうしがなくてねらわれるのよ!このままうえじぬぐらいだったら あれをたべてでもいきのびるしかないわよ!!!」 3匹は意を決して再び水中に潜った。 れいむを近くの岸までゆっしょゆっしょと力を合わせて引き上げると、3匹は貪り食った。 「「「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー!!!」」」 餓えた子供たちにかかれば、母れいむだった物体は あっという間にりぼんを残して食べられてしまった。 ちなみに保護者を失った子れいむ達は、2匹は失餡死、 残りは飢餓と生き残るものは皆無であった。 11月。幻想郷にもちらほらと雪が舞い始める。 子ゆっくり達はどうにか森の中で食いつないできたが、さすがに寒くなるとそうもいかない。 夏ほど食糧は見つからないし、今更溜めてもひと冬過ごす分には到底間に合わない。 「ゆっしょ!ゆっしょ!」 子ゆっくり達は掛声とともに、ゆっくりと木の根元に細くて深い穴を掘り始めた。 そして草を詰めていく。 雪が降ってきたら貝殻ごと草の中に潜る。 天気が良い日は雪の中から食糧を探し出す。森の中なら何かしら収穫があるはずだ。 冬になってしまえば他のゆっくりが出歩く危険も少ない。 食べきれない分は巣に持ち帰って吹雪の日に備える。 防寒と食糧集めを両立することができる、画期的な巣だ。 この先、彼らの成り行きについては不明である。穏やかな日々が続いた事を意味している。 つまりは、まりさとありすの命を懸けた努力は決して無駄とはならなかったのだ。 安らかに、ゆっくりと眠れることを祈るばかりである・・・! 「こ・・・、こんな事情があったとは・・・」 月の頭脳、八意永琳は驚いた表情で鈴仙のレポートを読み進めていった。 「再現性も問題ありません。2サンプルとも調べてみましたが、全く同じ観察結果でした。」 ここは永遠亭の一角、永琳と鈴仙の真新しい研究室である。 廊下を挟んで向いの部屋、及び上のフロアーには多くの実験室が連なっている。 永琳達は元々、住居のある本館の地下に実験室を構えていたが、 ゆっくりが現れてからというものの実験の量が膨大になっていった。 そんな時、ゆっくり加工場から多額の研究費が舞い込み、本館の裏側に実験棟を建ててしまったのだ。 外向きは日本建築でなんら違和感がないが、中には最新の実験設備が整っている。 鈴仙は、竹林越しとはいえ日や月の光が入ってくる今の実験室をとても気に入っている。 永琳は元々ゆっくりを死滅させたり、特殊な生理作用を及ぼす薬剤の開発に主眼を置いていた。 最近ではゆっくりの産業的応用に力を入れ、糖分や水分が多いにも関わらず 簡単に細菌、黴や茸に侵食されない秘訣について研究を進めていた。 その結果、ゆっくりの表皮から抗菌性のタンパク質を単離することに成功した。 ゆっくり産な故非常に安価であり、医薬品、食品添加剤のみならず 抗菌ブームに乗って様々な需要があり、加工場から莫大な資金援助を受けることができたのだ。 「鈴仙、この結果をまとめてJounal of Yukkuriscience に投稿するのよ。」 「はっ・・・ はいっ!私が・・・ですか?」 Jounal of Yukkuriscience はゆっくりの研究結果についてまとめた論文専門の雑誌である。 東方求聞史紀を編纂した稗田阿求が、より苦痛の強いゆっくり虐待方法の追求のため、 永琳に話を持ちかけたのが企画の始まりであった。 今では阿求編集長以下永琳や加工場のエリート研究者を編集員兼論文審査員として招き、 幻想郷中で競うようにゆっくりに関する研究結果が投稿され、まとめられている。 「鈴仙は今回よく働いてくれたわ。にとりさんやアリスさんの協力があったから、この ゆっくり記憶探査装置の完成が実現したのよ。だから彼らの分もしっかり頼むわよ。」 ゆっくりのコアは魔力が込められており、子供たちに受け継がれてゆっくりの原動力ともなる。 コアに封じられた記憶を探査することで数代前のゆっくりの記憶を引き出すことができる。 この機器は科学と魔法に関する知見を融合することで生まれた、夢の共演なのである。 今回の論文ではこの装置の信頼性に関する実験と、 まりさつむりに関する分析結果を同時に投稿する予定である。 「しっかし師匠、面白いものですね。新種のゆっくりの誕生にはこのようなドラマがあるとは・・・」 「ゆっくり達に限らず、生物が進化するには何かしら刺激があるから。 ゆっくりはコアの部分に代々記憶の一部が引き継がれていて、肉体的や精神的に 強い衝撃を受けると、その時期の記憶を強く残して子供に伝えていくのよ。 いわば年輪のように積み重なっていくもの。 ある程度記憶が積み重なると、それに対処すべく体が変化していく。 彼らから冬を迎えた以降の記憶を引き出せなかったのは、 それ以降進化を動機付けるに匹敵する強い刺激が無かったから。 但し化学物質の変化ではないから、魔力による解析が必要よ。」 そして永琳は続ける。 「あくまで論文は論理的に、じゃないとね。情を捨てて書かないとならないわ。 いつかは彼らのドラマも人目に出る日が来るでしょうけど・・。」 「はいっ!精一杯やらせていただきます!」 鈴仙は自分のデスクに置かれた、これまた真新しいパソコンに向かうと一心不乱にキーを叩き始めた。 装置の中では帽子の代わりに貝殻をかぶったゆっくりまりさ、まりさつむりがゆゆっと首を傾げていた。 永琳はまりさを装置から取り出すと、ゆっくりと自分のデスクの上に降ろして羊羹の一切れを与える。 「ゆー♪」 まりさは透き通った瞳をぱちぱちさせながら、永琳を見つめていた。 「たまには、こんなお遊びの研究も面白いわね。何時かは何かの役に立つかもしれないし・・・。」 まりさの髪を撫でながら、永琳は緑茶を片手につぶやいた。 あとがき 思いつきで書きだしたのはいいですが、べらぼうに長くなってしまいました。申し訳ない。 もしここまで読んでくれた方がいらっしゃったら、ものすごく感謝します。 ゆっくりの種類によって、台詞の漢字の比率を変えてみたつもりです。 全体として統制がとれていることを祈りつつも・・。 突発的つぼ焼き案を読みながらスライムつむりを連想し、 スライムがまりさになっている姿を連想し・・・ 勢いで書いたはいいがまとまらなくなり、最後は雑になっています。 設定としてはありすやぱちゅりーの血も混じっているはずですが、 ややこしくなるのでまりさつむりだけでお茶を濁しました。ストーリー中の描写も少なめです。 ただぱちゅつむりという名を出したかっただけだったり。 何よりも貝殻かぶっているありすの姿が想像できませんでした。 まりさつむりの設定は序盤の描写と続く説明文として固めて書いておきました。 ありすつむりを出せなかった分、ありすの瞳を受け継いでいる点を強調しました。 この瞳が真珠のように狙われて乱獲される話も作れるかもしれません。 終盤は、何かに使おうとしていた永遠亭の研究施設とゆっくり学界の設定です。 加工場ネタや実験ネタにつながっていくと嬉しく思います。 それにしても、好色家じゃないゆっくりありすはかわいらしいものです。 Q&A Q-1 最初に主人公ありすの両親を襲った群れは・・・どうなったの? A-1 この時期のありすは幼く、逃げるしか無かったため戦闘や復讐の描写は避けました。 まりさに助けられてからも、わざわざ復讐に帰る血の気なんてありません。 彼らが愚か者なのは間違いありません。再び人間の畑を襲撃して根絶やしにされる、 人里方面に向かったちぇんと戦闘になり滅ぼされるなど、ご想像にお任せします。 Q-2 主人公まりさ、やたらと賢いけどなんでなの?ありすはまだわかるけど。 A-2 家族が滅ぼされてしまい、生存に対する強い意志、仲間を大切に思う気持ちが芽生えたためです。 違いはごくシンプルですが、一般的なゆっくりは自分がゆっくりできる事しか考えていません。 特に終盤では、自分のゆっくりらいふを犠牲にしてありすや子供たちの為に尽くします。 ゆっくりにも向上心があればきっと成長できると信じています。 Q-3 主人公まりさがれみりゃに襲われた時の描写が無い。 A-3 全体として筋は通したつもりなものの、小話の積み重ねであるため複雑化を避けて割愛しました。 Q-4 主人公ありすのとかいは発言が無いんだぜ!!! A-4 ありす特有の高飛車さを持たず、純粋無垢な性格であるためです。 両親に大切に育てられ、見ず知らずだったまりさに命を救われてやさしい子に育ったのでしょう。 空気を読まないつんでれもありません。結果的に好評だったので良かったです。 それでもまりさのために体を張ったりと、その辺のゆっくりと比べたらずっと勇敢です。 Q-5 まりさつむりの話だけで終始している。ゆっくりつむり一括で話を組み立てたら? A-5 まりさつむりの設定はすぐに固まりましたが、他の種では差別化を図ることができませんでした。 いくらなんでもゆっくりが人形を作ったり、ごほんを読むだけで魔法が使えたらヘンでしょ? Q-6 最後の戦闘、一度沈んだ貝殻が浮き上がったのはどういう原理? A-6 ちょうどゆっくりにかかる浮力と重力がほぼ同じだったと考えてください。 れいむに放り投げられて少しは沈みましたが、幼ゆっくり達でも浮かび上がることができました。 Q-7 どぼじででいぶばっがり゛い゛じめ゛る゛の゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ A-7 個人的に純粋なまりさやありすがかわいらしくて、 踏ん反り返るれいむがあまりにもにくたらしかったからです。 Q-8 ありすかわいいよありす A-8 そう言っていただけると嬉しく思います。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/r1025/pages/58.html
forみたいな動き(section) !--{section name=test start=1 loop=$row step=1}-- startとstepは省略可能 !--{if $smarty.section.test.first}-- 最初 !--{/if}-- !--{if $smarty.section.test.iteration % 5 == 1}-- 5行おき !--{/if}-- !--{if $smarty.section.test.last}-- 最後 !--{/if}-- 現在のループインデックスは !--{$smarty.section.test.index}-- 回目です。 (0又はstart属性の値から始まり、1又はstep属性の値ずつ増加) 現在ループは !--{$smarty.section.test.iteration}-- 回目です(1からスタート)。 !--{/section}-- ループの最後のインデックスは !--{$smarty.section.test.loop}-- です。 ループトータル回数は !--{$smarty.section.test.total}-- 回です。 トータル: - /今日: - /昨日: -
https://w.atwiki.jp/futabayukkuriss/pages/2543.html
まりさとリボン 8KB 観察 ギャグ 現代 愛護人間 創作亜種 独自設定 「まりさとおちびちゃん」の続きです 『まりさとおぼうし』 独自設定満載 『まりさとおちびちゃん』の続きです。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 例の如く、デジカメ装備お帽子を調整中である。 その間、また頭にカメラを乗せたまりさによって、 庭やベランダでの撮影会が開かれていた。 「んん・・・・・・さっぱりわからん・・・・・」 どうしても不幸のカメラの謎が解けなかった。 非科学的な物を、理屈で処理しようと言うのが間違いなのかもしれない、 でも・・・・どうにかしてやりたかった。 家族を撮る分には問題は無かったようだが、 他のゆっくりや人に、被害を出すのではゆっくり出来ない。 頭を悩ませていると、まりさが作業部屋に入って来た。 邪魔する気はないようで、そのままベランダへ・・・・ ベランダから下を眺めていた。 ふと、まりさの頭上のカメラモニターが目に映る。 「ん?」 何やら紅いリボンのような物を着けたありすが映っている。 「なんだ?」 ありす種にリボンの飾りは無いはず・・・・・ 停滞していた作業を止めてベランダから下を見た。 「あれ?リボンなんかしてない?」 『ゆゅ?ありすはりぼんさんはしてないんだぜ?』 俺の呟きにまりさが答える。 まりさにも見えていないようだ。 「おかしいなぁ・・・・・・・」 もう一度モニターを覗く、 「あれ?あれれ?なんだ?」 モニターにはリボンがはっきりと映っている。 理解出来ない俺は、何度もモニターと実物を比べる。 やはり映っていた。 『おにいさん?どうしたんだぜ?』 やや困惑気味だったので、まりさが心配する。 「あ?・・・おぉ悪い悪い・・・おーそうだ! まりさ、あそこでゴミ箱漁っているありすを撮ってみてくれ。」 試しに、まりさにありすを撮影させてみる。 『ゆ?わかったんだぜ。ゆーーーー』 ゴトン ブチュ カシャ ゴミ漁りをしていたありすは、ゴミ箱の下敷きとなり動けなくなってしまった。 でも、ブリンブリンと身体を動かしているので、生きてはいるようだ。 「まさか・・・・・」 まりさを持ち上げてモニター越しに周囲を確認してみる。 「やっぱり・・・・」 『ゆゆ?どうしたんだぜ?』 映る生き物全てに、リボンが映っていたのである。 違うのはそのリボンの色であった。 白いのから紅いのまで、他にも様々な色のリボンが確認出来た。 「うわぁ・・・あれは真っ黒だな・・・・・」 お向かいの家にでいぶが侵入して行く所であった。 でいぶのリボンは真っ黒で染まっている。 まりさにシャッターを降ろさせる。 カシャ 予想していた通りの光景が写った。 家から出てきたお向かいさんが、 シャベルで迷い無く、でいぶを貫いて処分する瞬間が撮れた。 しかしまだ予想の域は出ていない、 検証してみないと・・・・・ 「ぱちゅりー?どこだー?」 1階で育児中のぱちゅりーを探す。 『むきゅう?な~におにいさん?』 居間で子まりさにチラシを見せていた。 「いたいた・・・ちょっとじっとしていろよ・・・・」 モニターを覗いて驚いた。 「こりゃ・・・・凄いな・・・・・」 ぱちゅりーのリボンは金色に輝いていた、 子まりさは白色であったがやはり光り輝いている。 これで確信が持てた。 このリボンの色は、その者の運をさしているのだと・・・・・・ 色が濃ければ濃い程、 運が悪くなり、 ぱちゅりーのように、光を放てば運が良くなるのであろう。 どうやらまりさには、リボンは見えていないようだが、 無意識的に、濃い色を追っている可能性がある。 それならこれまでの事も分かるような気がする。 後は何故、 タイミング良くそんな場面に出くわすのか・・・・・ だが被写体を選ぶ基準が分かった、それだけでも十分進歩であろう。 『ゆゆ・・・おにいさん・・・いたいんだぜ!』 思わず力が入ってしまったらしい 「おっと!これはいかんいかん・・・・」 まりさを床に降ろしてやる。 実験をしに行こうとまりさを連れて外へ、 玄関を出てすぐに、近所に住む893のお兄さんに出くわした。 このお兄さん、顔は竹内力も道を譲るであろう怖い人相をしている。 しかしその見た目に反して、かなりのゆ愛な人であった。 「おぅ!まりさ、元気しとるか?」 『ゆゅ~ん、おにいさんゆっくりしていってね。』 「わしゃ~今からちぃと出かけんといけんのじゃ・・・ゆっくりなんぞしとられん。」 『ゆゅ~それはゆっくりしてないんだぜ~』 この人の言葉は、風体にさらに凄みを増す。 893のお兄さんは、まりさの頭上のカメラに気が付く、 「なんじゃいまりさ?お前はゆっくりやのに写真なんぞ撮るんか?」 『ゆっへん!そうなんだぜ。』 「ならわしも撮ってくれや、出入りで何かあったら写真がいるき、 せっかくじゃけ撮ってくれや。」 こんな人に物を頼まれて、断れる人がいるなら代わって欲しい。 『わかったんだぜ~』 安請け合いをするまりさ、 もう少し自分の資質に自覚を持って欲しい・・・・・ 「あ・・・・・」 ふと、モニターを覗くと893のお兄さんにもリボンが映っていた。 色は赤である。 今撮ると不幸になる・・・・ しかしこの状況で止めれる程、俺は強い人では無い、 『ち~ずなんだぜ~』 「おぅ!格好良く撮ってくれや。」 また無茶な注文を・・・・ ガチャン カシャ 「なんじゃこりゃー!」 893のお兄さんは、手錠をかけられた瞬間を撮られてしまった。 「陳比良躍三!暴行傷害の容疑で逮捕する!」 横から警察官が893のお兄さんを捕まえる。 「ま・・・まってくれい!わしゃ違うんじゃ・・・」 警察官は問答無用で連行する。 『まつんだぜ!おにいさんは、なにもわるいことはしてないんだぜ!』 事情も分からんくせに、口を挟むまりさ、 「君はなんだ?」 『まりさはまりさだぜ、おにいさんのともだちなんだぜ!』 「陳比良、本当にそうなのか?」 「おぅ!まりさはわしのまぶだちじゃけ!」 「そうか・・・・ゆっくり好きに悪い奴はいない! 本官に任せておきなさい、 悪いようにはしないから。」 「ほうか!あんたもゆっくり好きか・・・あんたなら信用できそうじゃ、 わしの身のふりはあんたに任すけ頼むわ。」 『まりさもおにいさんをしんじるんだぜ!』 そう言って、893のお兄さんは連行されていってしまった。 これでいいのか国家権力と裏社会? 俺は会話についていけずに、ただパトカーの走って行くのを眺めていた。 「何だったんだ・・・・」 我に帰ってドッと疲れた。 とりあえず公園へ行ってみる。 「おぉ~いるいる。」 先日、一斉駆除があったと言うのに、また野良は増えていた。 とりあえずモニター越しに確認する。 『ゆゅ?おにいさん、まりさはあれをとりたいんだぜ。』 まりさが被写体に選んだのは、でっぷりと太ったありすであった。 野良のくせに、何を食ったらこれだけ太れるのだろう? リボンの色は赤黒い、これならかなりの不幸度である。 「よし!やってみろ。」 『ち~ずなんだぜ。』 『ゆゅ・・ぐ・・・ぼぼぼぼぼぼぼぅぐほほほほ』 カシャ ありすの目口から、噴水のようにカスタードが吹き出てきた。 一瞬何が起きたのか分からなかったが、側に落ちていた物を見て理解した。 炭酸ジュースの空き缶とメントスである。 こんな食い合わせをしたこうなって当然である。 やはりまりさは、自分の目で無意識的に不幸な者を追っているようだ、 正直、まりさが言わなければ気が付かなかった。 「よし、次いってみよー」 ドリフのようにサクサク次に移る。 次の被写体は便所裏に住むれいむ親子である。 色は濃い目の赤、 何故だか知らないが、便所裏に住み着くゆっくりはれいむが多い気がする。 しかも「しんぐるまざー」ばかりのような・・・・ これ程、臭い場所でも平気なのは、れいむ種が全てにおいて雑だからだろう。 『ち~ずなんだぜ。』 ブッ・・・・・・シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ 『おそらをとんでるみたいぃぃぃぃぃぃ』 カシャ 地中の配管が壊れたのか、 水が噴き出しておうちごとれいむ親子を吹き飛ばした。 まぁ濃い目の赤だったし、たぶん死んでないでしょ。 次は色の薄めのを探す。 追いかけゴッコで遊ぶ子まりさを選んだ。 色は薄い赤、 『ち~ずなんだぜ。』 ポテ 『ゆぇぇぇ~ん。いちゃいよ~』 カシャ 躓きこけて、泣き喚く子まりさ。 やはり、色の濃さは影響あるようである。 もう少し実例を見ておきたい、 『わ・・・わがらぎぎょぉぉぉぉぉ』 カシャ 駆けていたらシッポが木に引っかかり、1本千切れてしまったちぇん、 色は赤 『やめちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ・・・・もっとゆっぐちしたかった・・・・・・』 カシャ れいぱーに襲われ茎だらけで死んだ子まりさ、 色は赤黒い 『でいぶはしんぐる・・・・・・ごべんなざい・・・いだいぃぃぃ・・・ごべ・・いだだだぐぅぅぅ・・』 通りかかった人に、あまあまを要求して蹴りまくられるでいぶ、 色は朱色 キィィィィィーーーーーーーーーードン カシャ 道を渡ろうとして、車に撥ねられて潰れたまりさ、 色は黒 黒は即死が多いのかもしれない、 中途半端よりかはその方が幸せかも・・・・・ 大体は把握できた、とりあえず帰宅して今後の対策を考えよう。 後日、あの893のお兄さんが釈放されて来た。 「おぅまりさ!お前にも心配かけて悪かったのぉ~」 『ゆゅ~ん。いいんだぜ、まりさはおにいさんのともだちなんだぜ。』 聞く所によると、あの日は893による「まりさを愛でる会」の発足式だったらしい、 あの警察官も会に参加するべく、 警察官によるゆ愛仲間数人で、監視名目で入会していったそうな・・・・・・ やはり世の中、何か間違っている気がする・・・・・・ ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー デスラッチは、書きたい話が複数あって順番に迷います。 ぱちゅりーの外伝も書きたいけど、子ぱちゅりーの活躍も書きたい・・・・・ お兄さんとの出会いも書いてないので迷います。 文章力がもっとあれば長編を書くのですが、まだまだ勉強不足ですね。 添削はちゃんとやっているつもりなのですが、やはり漏れが・・・・・ 誤字・脱字等あれば勘弁して下さい。 これまで書いた物 ふたば系ゆっくりいじめ 1097 ゆ虐ツアー ふたば系ゆっくりいじめ 1111 ゆ虐ツアー お宅訪問編 ふたば系ゆっくりいじめ 1116 雪原のまりさ ふたば系ゆっくりいじめ 1122 ゆヤンワーク ふたば系ゆっくりいじめ 1129 まりさの思い出 ふたば系ゆっくりいじめ 1152 まりさとつむり ふたば系ゆっくりいじめ 1154 ゆっくり種 ふたば系ゆっくりいじめ 1156 ゆっくり種2 ふたば系ゆっくりいじめ 1160 まりさとおにいさん ふたば系ゆっくりいじめ 1169 ゆっくり種3 ふたば系ゆっくりいじめ 1174 まりさとまま ふたば系ゆっくりいじめ 1188 ゆっくり種4 ふたば系ゆっくりいじめ 1192 まりさとおちびちゃん ふたば系ゆっくりいじめ 1209 ゆっくり種5 トップページに戻る このSSへの感想 ※他人が不快になる発言はゆっくりできないよ!よく考えて投稿してね! 感想 すべてのコメントを見る 893と犬・・・ -- 2010-12-29 22 50 47