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No.0349 カード名:小森 霧/ひきこもり少女/女 パートナー:糸色 望/桃色係長/男 レベル:3/攻撃力:3500/防御力:6500 【闇】「開けないでよ」(エントリースパーク) [自] あなたのベンチに《闇》がいるなら、このカードを自分の控え室に置く。 レアリティ:R 作品名:週刊少年マガジン「さよなら絶望先生」
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ひきこもりタウンWIKI ひきこもりタウンにくるユーザーの情報を共有するために 建てているページです。 意見内容は過去の5Chの内容会話logにより構成されており 筆者の捏造中傷などは含みません。 現在の参加者数 現在のおしの数 (最新を見る場合リロードしてください) ひきこもりタウンの現状 荒らし放題 巻き込まれてアク金された人の放置 管理人がほぼ不在 ひきこもりタウン http //25.xmbs.jp/pikikomori/ ぴきこもりタウン掲示板IP取得用トラップhttps //jbbs.shitaraba.net/internet/12172/ 旧ひきこもり共和国が表向きではありますが、2014年1月末をもって閉鎖(現在も残党が残骸サイト(偽物)を作って 誘導活動してるので注意) 多くの問題をわざわざ作り、野放しにしてきたひきこもり共和国管理人ひきこもりと メンタルヘルスの悩みを抱える利用者を陥れたサイト「ひきこもり共和国」ルールには拒否のサイトとして、 正当な「ひきこもりタウン」が後継として開始 ☆ひきこもりタウンと、ひきこもり共和国の大きな違い☆ ・管理人は「まち」正体不明ではない。 ・暴言、出会い系、チャットの雰囲気を悪くする荒らしに対して積極的に排除するところ ・ひきこもりとメンヘラのためのサイトであること ・BANになったキチガイすっきり、うにが常住していますがスルー推奨 ・みこ、おりん、てのら、sakuraに要注意。スルー推奨 ひきこもりとメンヘラ、ルールを遵守し共存できるそれ以外の利用者のためのサイトを考えたサイト ひきこもりタウンが、最悪なサイト「ひきこもり共和国」のようにはならぬよう、 心から願っています 管理人のまち氏の良心的な思いが成就するよう、利用者のみなさんも協力しましょう またこのスレにはひきこもりタウンを排除された哀れなアク禁利用者もいますので、その点をご留意ください 追記 昨今過剰なまでのアクセス規制と忍者ツールなどをしのばせてるあたり管理者が執拗に 排除したい人を探っているまたは、住んでいる地域を特定するためにあらゆることを している様子 ホテルOFFしたひとだから新人あさりの為の可能性あり wikiに追加してほしい人または記事は責任をもって編集いたします 反映については公平に行います。 訴訟前 法律問題などが絡む場合または事実に反する削除依頼などは受け付けます。 あくまで公平な立場からの情報掲載に努めます。 うそや中傷は載せません 削除要求はこちら 「 削除依頼 」 運営管理 ヴェン 出資 享楽財団 技術協力 あめお ボランティア てのら うんたん 5ch書き込み人 ちきん やすし sakura ぽま たぬ SpecialThanks ゆなっち
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「はぁ、はぁ、はぁ」 薄暗い回廊をひたすら走る。辺りを見渡しても電灯の光が窓から入ってくるだけで、どこにも人影らしい物 は何も見えない。同じような扉はどこもかしこも口を閉ざし僕の求めている物を教えてくれない。 「マリア!」 僕は大声で彼女の名前を呼ぶが当然のように返事がない。聞こえてくるのは風の音だけだった。 「どこへ行ったんだ?」 辺りを見渡し、彼女がいるかもしないと希望を載せて手短な部屋の扉を開けてみる。 しかし彼女の姿はどこにも見えなかった。 再び別の部屋の扉を開くがどこにも彼女の姿は見えない。 「マリア!」 再び彼女の名前を呼ぶ。聞こえてくるのは僕が叫んだ言葉だけだった。 あのとき、学園祭で彼女が最後に言った言葉を思い出す。 「さよなら、セイヤ」 その顔がとても悲しくて、とても辛くて、とても切ない。 「くっ、どうすればいいんだ?」 壁を思いっきり殴る。壁が大きな音をたて、拳から痛みが走るが今の心に比べれば些細な物だ。 その時、頭の中にある光景が思い浮かんだ。 「うぇーん」 泣いている彼女が居た。遠い昔、小さい頃の彼女だ。そう、マリアは――。 「あそこしかない……」 僕は全速力で走った。床にけたたましい足音が響くがそんなの関係ない。僕は今、彼女に会いたい。 階段を駆け上がり、屋根裏部屋を目指す。昔、泣いている彼女をあそこで見かけたんだ。 呼吸を整えてドアノブに手をかけると冷たい感触が広がってくる。僕には分かる、彼女は間違いなくこの扉 の向こう側にいる。言いようの無い不安と緊張を抑えながら目の前の扉を開けた。 「来てしまったのか」 扉を開けると彼女が、マリアがそこに居た。あの時と同じように。悲しいことがあるとこの部屋に篭るのが 彼女の癖だった。だから僕は窓から手紙を書いた石を放り込む。うっかり窓ガラスを割ってしまったこともあ ったがそれ以上にマリアの悲しみが辛かった。 「マリア、どうして……」 僕の問いに対し、彼女は俯いたままだった。 「教えてくれ、どうして、彼女を撃った! 確かに悪魔に取り付かれて――」 そう、僕の主であるエリウシュケーを何のためらいも無く彼女は撃った。後で分かった事だが彼女は悪魔に 取り付かれていたのだ。悪魔を殺す聖貫弾である事をあえて言わずに僕は撃った理由を問いただした。あれを 持っているのは――。 その答えは彼女の後ろにいる存在が教えてくれた。 「どうして……」 後ろには白の翼を持った天使がいた。人ならざるものの赤の瞳と蒼の髪、透き通るような白い肌。 普通の人間なら畏怖を感じるんだろうけど僕は知っている、あの天使は……アイツは僕の、敵だ。 「セイヤ、この世界は腐敗しているとお前に言ったな」 「う、うん」 そう、僕がここに来る前、学校の屋上で二人で話した。 この世界は腐っている、貴族は驕り高ぶり、民衆もそれに対し不平不満を口にしながらなんら反乱も起こさ ない。あまりにも怠惰で、あまりにも卑怯で、あまりにも低俗だ。そうマリアは言った。でも僕は腐っている なら人の心は何も感じなくなると言った。その中から何かを取り出したい。腐っているならなおさらだ。未来 に続く種を僕は捜し求めていた。 「それで……この世界に何か希望は見出せたか?」 「それは……」 僕は答えが出せなかった。彼女が言った通り、僕はまだ希望を見出せなかった。 腐敗した貴族、絶望に彩られた民衆。みんなそれが当たり前になっていて変えようとは一回も思わない。 「見出せないのも無理はない、みな疲れきっているからな」 彼女は窓の所に座ると僕を観察するかのように見始めた。 疲れ切っている。そうかもしれない、何に、といわれれば”普通”であることだと僕は思っている。 努力はするものだがそれをしても報われない。強者に権利を言えば義務を果たしていないなど難癖をつけられる。 そして、心の奥に絶望が刻まれる。 「そしてそれを変えるには圧倒的な力だ!」 「違う! 力で世界は変えられない! 変わったとしてもせいぜい支配者が変わるだけだ!」 「例え変わるだけでもそれは変革だろう?」 「違う! それは自分で考えるのが嫌なだけだ!」 僕は真っ直ぐ前に見据えながらそう答えるとマリアは諦めた表情をした。 「そうか、セイヤ、私の手が取れない以上、君とは私は敵同士だ!」 そう言って彼女は仮面を付けた。悪魔の王を自称したテロリストの仮面を。 「まっ――」 僕の静止も聞かず、彼女は僕に背を向けると天使と共に飛び上がっていった。 怒ってて寂しくて、そして悲しい瞳で見つめながら。 僕は、僕は……。 「どうしてなんだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 ただ月に向かって、ただ吼えるしかなかった。 森宮祐一が重いまぶたをあげて最初に目にしたのは蛍光灯を備えた天井だった。 「ここは? うっ……!」 身体に力を入れて起き上がろうとする、しかし身体の節々に痛みを感じた。 自分の体を見ると手から始まり胸、足、腹、顔。全てといっても過言ではないくらい包帯が巻かれている。 痛みが大分引いた後、ゆっくりと辺りを見渡した。 白い天井と青いカーテンが辺りの物と遮断をしており、机の上には古い型のテレビと肌着が置いてあった。 ベッドの隣には酸素吸入器と点滴のパックをぶら下げてあり、ここが病院であることを教えてくれた。 何でここに? 「そうだ!」 先日の光景を思い出す。 「GOOD BYE、ユウイチ」 そう言って彼女は僕に向かって発砲したんだ。 事実を再認識すると身体が震えだし、疑問と悲しみが一気に噴出してきた。 目の前にある事実がどうしても信じられなかった。メアリーが自分を撃ったという事実に対して。 記憶の中のメアリーを思い出すとどれをとっても普通の女の子だった。 デートに強引に誘ってきたりもした、一緒に帰ったり、遊びに行ったりもした。流石にキスは出来なかったが……。 その時、病室のドアが開いた。 「気分はどうかね?」 「あ、あなたは!?」 入ってきた人物はハワードであった。バイラムとの戦いが終わり、世界は一時的な休息を得たのだ。 ハワードは事後処理に追われる形で雑務をこなしていたが祐一が撃たれたという事実を知り急遽訪問を決行したのだ。 「あの……すみませんが今日は?」 「君が倒れてから既に一週間が経過した」 バイラムが破壊されてから一週間、国連は各国に対し平和宣言を発表。バイラムによる脅威は無くなったことを 全世界に報告した。だが、戦いが終わっていないことは祐一が一番良く知っていた。 ネオ・バイラム。あれは恐らく……。 そんな祐一を見ながらハワードは冷たい口調で言葉を出した。 「真に勝手ながら君の家にあったデータは勝手に処分させてもらった。無論、君が考察した物も全て」 「そうですか、こんなお願いをするのはなんですけど調べて欲しい物があるんです」 「調べて欲しいもの?」 祐一の突然の願いにハワードは首を傾げるしかなかった。 ボルスは目の前の光景に対し、ただ呆然とするしかなかった。 バイラムを倒したらその時はワインをあけよう。 MPの鑑識が忙しなく動いている。指紋の採取、現場の確保、関係者の聞き込み。 目の前で担架に運ばれていく遺体を見る。 「すみません、一応確認をさせてもらいます」 ボルスはそういうと目の前にある布をそっとめくる。 そこには自分の親友がいた。その死に顔は穏やかだった。 エースと呼ばれたのも彼がいたからだ。新しい戦法を組み上げられたのは彼が徹夜をしてくれたからだ。 女にフラレた時も上司にいびられた時もお互い酒を奢ったり奢らされたりした、共に強敵に対し立ち向かった。 そして後で飲み交わそうと約束をした、親友。 「ケント、です。間違いありません」 ボルスが搾り出すかのように言うとケントの遺体は再び布に覆われ、運ばれていった。 「隊長……」 アルもレイも何もいえなかった。 強いと思っていた隊長が弱り果てている光景を見て、みんな無力さを噛み締めている。 「ふふ、笑ってしまうな」 「隊長?」 ふら付く足取りで部屋を出るとそのまま近くの階段に座り込んだ。 笑いが止まらないらしく体が震えていた。それを制すように手に力を入れて両腕を掴む。 「ふふふ、それがまさか、こんな事になるとは。現実は物語のようではないと言うがその斜め上を行くことに なるとはな、はっはっはっはっ!」 そう言うとボルスは狂ったかのように高らかと笑った。普通ならばこの手のお約束事はパイロットであるボ ルスの役目だと思っていた。だが、今目の前にあることはあまりにもジョークにしか見えない。 「隊長」 軽く引き気味な声でアルが声をかけると彼は笑うのをやめて二人の方を向いた。 その顔は痛々しさはなくむしろ憑き物が落ちたかのようなすっきりとした顔だった。 「二人とも、私に着いてきてくれるか?」 今度は戦場で見せるような真顔になった。二人は彼が情緒不安定に見えたらしくお互いの顔を見合わせた。 「別に構いませんが……でも隊長はお休みなられた方が……」 言葉に詰まりながらレイが言うとボルスは手でそれを制す。 「いや、休むつもりは無いさ。それよりも――」 ケントの部屋の方に視線を向ける。 「犯人の存在を探し当てる方が重要だ」 「……了解です!」 アルが大声で叫ぶ。この陰湿な空気を吹き飛ばすかのような豪快な叫びだった。 「……了解です」 一方のレイは少しトーンを落として答えた。その顔は少し曇り気味であった。 「では、行くぞ」 「ってどちらへ?」 ボルスが立ち上がり歩こうとすると後ろからアルが聞いてきた。 「決まっている、研究室の入室記録だ。ここから犯人の目星をつける」 この答えを聞いた二人は笑顔を見せた。お互いに顔を見合わせ、二人に明るい気持ちが戻ってきたようだ。 ケント、お前を殺した犯人を必ず捕まえて見せる! 決意を新にボルスは管理室へと向かった。 所変わってAUAの重慶基地。バイラムとの戦いが終わり、季節は秋の真ん中と言ったところだった。 部屋の中にはもうベット以外の物は何も無く、ただ白い壁が広がっているだけである。ほとんどの中身は昨 日のうちに送ってしまった。後は目の前にある鞄のみ。 奈央は鞄を手に取り、部屋の扉を開けた。そしてそのまま廊下を伝って階段を下りた。 長いようで短かった日々、もし”普通の戦争”ならここを離れる事はあっただろうか? そんな疑問を振り払うかのように宿舎の前に立つと頭を下げた。 ゆっくりとした歩調で基地の入り口にいくと自動車とリーシェンがそこに立っていた。 「いくのか?」 「はい……」 自分はしなくてはいけないこと、それはバイラムの事を祐一君に伝える。 それが奈央にとってやらなければいけない仕事だ。それから先は後で考えることにしてある。 「……乗れ、ここから町へ行くのは骨が折れるだろうからな」 そう言って車のドアを開けると奈央は頭を下げた。 「すみません」 「別にかまわん、黄龍を改修してくれた礼だと思ってくれればいい」 奈央が助手席に乗り込んだ事を確認するとリーシェンは運転席に座った。 軽いモーター音とともに車はゆっくりと速度を上げていった。 周りの景色が速い速度で風景が流れていく。 奈央は窓の外を見つめたままひたすら呆然としており、リーシェンはずっと運転に集中している。 お互いに言葉をかわすことなくひたすらそればかりをしていた。顔を見合わせるなんて事は一切しなかった。 そろそろ重慶の都市部に入ろうかというときに備え付けの通信機がなった。 リーシェンは少し顔をしかめると通信機の受話器を取る。 「こちらリーシェン、応答を願います」 「こちらヨウシン、悪いのですが今現在の行動を報告してください」 話の相手にリーシェンの眉が少し動いたがそのまま言った。 「今は水原を空港へ送っている最中です、その後真っ直ぐ帰還する予定ですが……」 「そうですか、すみませんがリーシェン少尉、悪いのですが水原元伍長と一緒に軽くドライブをお願いします」 ヨウシンの言葉にリーシェンは眉を動かした。 「ドライブですか?」 「ええ、このまま終わりというのも寂しいでしょうしね」 ヨウシンの言葉にリーシェンは眉をひそめる。奈央の方に視線を向けるとなおもまた大きく頷いた。 二人ともこういうときの司令は何かを考えている事は大体理解できた。 その何かはまだ分からないがこのまま空港へ向かうのは避けた方がいいようだ。 . 285 名前:創る名無しに見る名無し[sage] 投稿日:2011/08/13(土) 22 56 43.62 ID wWm+rbgB [5/13] 「了解しました。水原、どこか行きたいところはあるか?」 「じゃあ上海!」 「ここから上海だと!?」 奈央の言葉にリーシェンは思わずハンドルを切りそこない、道路に黒いゴムの跡が付いてしまった。 「いいではありませんか、リーシェン少尉。一緒に上海へ行ってさし上げなさい」 聞こえていたのかヨウシンの声にかすかな笑い声が混じった。 「了解……」 不満そうな顔で受話器を置くと隣にいる奈央のほうへと視線を送った。 「上海とは良く言ったものだ」 「行きたい所はあるかと聞いてきたのはリーシェン少尉です。私はそれに答えただけですよ」 先ほどまでしていた暗い顔と打って変わって明るい声で言ってきた。 そんな奈央に軽くため息を付くと再びハンドルを握りなおした。 「全く……折角だ、美味い春巻きがある店にでも行くか……」 「さすがリーシェン少尉! 太っ腹!」 「だが割り勘だぞ」 「ええ!? 奢ってくれるんじゃないんですか?」 「私がいつ奢ると言った!」 「え? だって――」 二人を乗せた車は一路、上海へと向かっていった。 「こちら、M608ポイント、現在の所、異常なし」 ファルはビスマルクのカメラで周囲を見渡す。漂っているのは一週間前の戦闘で破壊されたPMや戦艦の破片だけだ。 正直に言えばビスマルク隊もかなりダメージを受けた。バイラムとの戦闘後、残ったビスマルクの数は半分。 修理にしろなんにしろてんてこ舞いな状況であるがそれでも彼女達は軍人である。 動ける以上やる事はやっておきたいのだった。 「了解、そろそろ交代の時間だから戻って来ていいよ」 通信機の向こうからマールの声が聞こえてくる。軽巡航艦シュペール。これが今のファルたちの母屋だ。 「はいはい、にしてもなんでうちがパトロールなんてやんなきゃいけないわけ?」 文句を言いながら操縦桿を傾けるとビスマルクの顔がきょろきょろと動いた。 「仕方ないよ、ユニオンにしてみれば慌しい中買って出れば国際的な地位が向上すると思ってるんじゃないの?」 「うわ、打算的」 ファルは軽く深呼吸をした。特に敵らしい敵もいない。ゆっくり行っても問題はないだろう。 だが、そんな時、レーダーに反応を知らせる音が響いた。 「!?」 レーダーを見ると無数の反応が幾つもあった。その数は総勢十を超え、二十、三十と増えていく。 「こちら、ファル! 敵機が接近! 数は三十を超えています!」 「こちら、シュペール。了解しました、機種の確認をお願いします!」 ファルは敵機の方に向かっていった。宇宙に浮んでいる破片に身を隠しながらゆっくりと察知される限界ま で近付き、機種を確認する。 「う、嘘でしょ!?」 蒼ざめた顔で力が抜けていくのを感じた。 「どうしたの? ファルちゃん!」 力の無い声を聞いてマイクの先から怒鳴りつけるかのように叫ぶマール。 「バ、バイラムが……」 「バイラム? バイラムの亡霊でも居たの?」 冗談を混じらせながら言ってやったが彼女の声は決して明るくはならなかった。 「バイラムが、三十機いる……」 絶望を含んだ彼女の言葉にブリッジが凍りついた。マールは深呼吸をしてもう一度確認するために声をかける。 「ファルちゃん、もう一度確認をお願い」 「……画像データ送るわね……」 言葉の後に画像データが送られてくるとオペレーターは素早くキーを叩いた。 メインモニターに画像が映し出すと宇宙の陰になって見えづらいが黒い悪魔が三十機、どこかに向かって突 き進んでいた。しかもきちんとした編成飛行し、いつも剣と銃しか持っていないバイラムが槍や大砲といった それぞれ独自の武器を持っていた。以前のような強化されたわけでもない、いつものように銃と剣でもない。 完全なプロダクションモデル、完成品と言った雰囲気であった。 「あ、悪夢だ……」 誰かがそう呟いた。ブリッジにいる全ての人間、そしてそれを間近で見ているファルの気持ちを代弁してるかのように。 「どうします? 艦長」 オペレーターが振り絞るかのように言うとマールもまた搾り出すかのように答えた。 「一応上官に報告をしておきましょう。あとの事は……それからよ。ファルちゃんにも撤退命令を出して」 「了解」 オペレーターは素早くキーを叩いた。マールは軽くため息を付いて今後の備えについて考え始めた。 「残念だがメアリーという少女はいなかった」 祐一の要望通り、メアリーという少女について調べてみた。 結果は先ほどハワードが言った通り何も無かった。 彼女の部屋は既にもぬけの殻であり、彼女の経歴は全て嘘であり、彼女の名前すら嘘であった。 「そう、ですか……」 この報告を聞いた祐一はうな垂れると声をあげて泣き始めた。 「一体何があったか、教えてくれないか?」 「すみません……」 祐一は涙を拭くと一週間前の出来事を話し始めた。 バイラムとの戦いが始り、ちょうど奈央とリーシェンが対峙した時刻、祐一は小さなリビングで星海図を開 いてみた。そしてノートを取り出すとゆっくりと状況を整理し始める。それを元にコピーした星海図にマーキ ングをし始めた。 「えっと、出発してから……」 出発してから一日目、ここで月との軌道に入る。 出発してから四日目、月と火星の間に入る。 出発してから八日目、火星に到達。 出発してから十日目、火星とと木星の間に入る。 出発してから十五日目、木星に到達、そのまま観察に入った。 出発してから二十日目、観察終了、土星へと向かう。 出発してから二十七日目、土星の観察を開始。 出発してから三十二日目、土星の観察を終了、天王星へを向かう。 出発してから三十七日目、天王星の観察を開始。 出発してから四十日目、帰還開始。 出発してから五十日、ADAM、地球へと帰還。 これが祐一が知っているADAMの航行日程である。火星へは寄ることなく木星以降の星を巡る計画であった。 だが、実際はどうかというと――。 出発してから一日、ここで月との軌道に入った。 出発してから四日、月と火星の間に入る。 出発してから八日、火星に到達。だがエンジントラブルの為、一旦、火星基地へと寄航する。 出発してから十三日、無事出発、そのまま木星へと向かう。 出発してから十八日、木星へと到達、が、またもエンジントラブル。軽度であったため問題は無し。 出発してから十九日、木星の観察開始。 出発してから二十四日、木星の観察終了、土星へと向かう。 出発してから三十二日、土星へと到達、観察開始。 出発してから三十七日、土星の観察終了、天王星へを向かう。 出発してから四十日、ADAM、墜落。 祐一は再び父のレポートに目を通す。 おかしい、日付が合っていない……。それだけじゃない火星のレポートなんて必要ないのに……。 そう、何故か予定調和のようなレポートが入っていた。 父だけではく全員分、火星のレポートを書いているのだ。火星には火星開拓委員会がある。レポートは常に 彼らからもたらされる物だ。ADAMの宇宙飛行士が書く理由はまったく無い そして木星のデータだ。明らかに何かがおかしい。 そう思って木星に関するデータをひっくり返すと……。 「あれ?」 表記されている大気成分にコペルニシウムの文字があった。 コペルニシウムは決して木星には無い物質である。あるとすれば木星に何らかの実験を施した場合のみだ。 その実験とは核実験である。さらに正確に言えば――。 「木星で核弾頭の実験なんて質量を知っている人が居たら確実に反対されるのに」 人間の核などたかが知れている物ではあるがもし、何らかの作用によって木星が太陽となる場合は否定でき ない。その為、木星での核実験は国家レベルの国際犯罪と認定されているのだ。最悪の場合国連を脱退させかねない。 火星のレポート、木星の成分調査表。この二つの矛盾は何を意味するのか? そんなときだった。 「!?」 突然、玄関のチャイムが鳴り響いた。祐一の額に脂汗が湧き出してくる。 「ユウイチ、いないのー?」 メアリーだ。声を聴いた瞬間、憑き物が落ちたかのようにホッとした。 椅子から立ち上がるとすぐさま玄関の扉を開ける。そこに居たのは――。 「何だ、メアリーか」 「何だとは失礼な」 メアリーはツンと口を尖らせていた。そんな彼女を見てつい苦笑をしてしまう。 「それで今日は何しに来たの?」 「そんなの決まってるじゃない、祐一を誘いに来たんだよ」 胸を張って答える彼女に少し呆れた顔をしてしまう。 「誘いって何?」 「勿論無軌道デート! 予定も予算も全く決めない超テキトーなデート、どうですか、お兄さん……安くしときますよ」 そう言ってニヤニヤしながら祐一の腕を掴む。だが祐一は片手を挙げて少し残念そうな顔をした。 「ゴメン今日はちょっと用事があるんだ」 「用事? 重要なこと?」 「うん、今大詰めを迎えているんだ」 祐一は部屋の奥へと視線を向けるとメアリーは少し首をかしげた。 「もしかして、ゲームとか?」 「ちょっと似てるかな……」 「じゃあ終わるまで一緒に居させてよ」 上目遣いで祐一の顔を覗き込む。そんなメアリーを見ながら軽くため息を付くと部屋の奥へと案内し始めた。 「いいけど……土足厳禁だよ」 「了解、それじゃ、お邪魔しまーす」 そう言って部屋の奥へと入っていく。メアリーには珍しく靴下を履いていないのか裸足であった。 「へぇ、祐一の部屋って結構広いんだね」 メアリーのいう通り今はかなり広かった。二十畳以上ある広いリビングは誇り一つ無く奇麗な物であった。 そういえばメアリーを部屋に入れたのは初めてだったな。 いつも外でデートをしていたが今日に限って中で話をするというのは珍しかった。 「せっかくだからなんか作ってあげようか?」 「メアリーが?」 頭の中でバレンタインのときの思い出が蘇る。クロレラやら何やらが入ったチョコ、嫌、あれをチョコを呼 ぶのは祐一としては避けたかった。あれはチョコの形をした別の何かだと思っている。 「どうしたの? 顔真っ青だよ」 「大丈夫だよ、でも一人で作るのも大変だと思うから二人でつくろう」 そう言ってキッチンの戸棚から二枚のエプロンを取り出すと一つをメアリーに手渡した。 「じゃあ、何を作る?」 「勿論、コロッケ!」 エプロンを身につけたメアリーの言葉に思わず苦笑してしまった。 彼女は意外にもコロッケをよく食べていた。以前、好きなのかどうかを聞いてみたが、本人は否定をしていた。 「ハイハイ、それじゃお湯を沸かそうか」 「ハーイ」 祐一は鍋に水を入れるとコンロの火をつけた。た。 「さてと、ひき肉はあったかな?」 「え? ひき肉って?」 冷蔵庫を漁ろうとする祐一の言葉に首をかしげた。 「本当に無軌道だね……仕方が無い、ジャガイモを茹でてる間にお使い頼める?」 メアリーに千円札とメモを手渡した。 「うん、で、何を買って来ればいいの?」 「ひき肉と固形ブイヨン。あとパン粉だね」 「それだけいいの?」 「うん、後の材料はうちにあるから。でも余計な物は買わないでよ」 「分かってるって、それじゃ、いってきまーす」 「行ってらっしゃい」 元気よく玄関から飛び出して行くメアリーを見送ると祐一は奥の部屋と向かった。 「さて、一応片付けておかないと……あれ?」 祐一はあるものに気がついた、それは――。 「ADAMのスペック表か……それにこの時季は……あれ?」 おかしいことに気がつく。それに公転距離算出の表記が少し間違っていた。 太陽系の惑星は、太陽、水星、金星、地球、火星、木星――となっている。 そしてこれらの惑星は太陽に対し周りを回る公転軌道を描いている。 地球を出発点とした場合、火星から出発した物が金星を通って木星にたどり着く場合もあるのだ。 ゆっくりと現在の星の位置を確認する。そして木星と火星を一直線に結ぶとある事実に気が付いた。 「ちょっと待って!?」 それなら火星と木星の間に金星が入るって事!? ADAMが火星と木星の間を予定通りに進むならそうなるのが普通だ。しかし五日間という日数で木星まで行 くなら少し誤差が生じるはずである。ADAMのスペックならいつかという日付はおかしすぎる。 よほどいいブースターでも積んでおかない限りいつかで木星にたどり着くのはあまりにもおかしい。ただで さえ、エンジントラブルというリスクを抱えているというのに……。 「金星に一体何があるんだ?」 嫌な汗が止まらなかった。 父は、嫌、ADAMは金星に行ったということである。 だが、そんな事実はどこにも無い。あるのは火星と木星、土星へと行ったという事実のみだ。 後で計算し直してみよう。 そう決意すると祐一は身近なラックに資料一式をそっとしまった。 数分後、メアリーが帰ってきた。走ってきたのかかなり息を切らせていた。 「ただいまー! ひき肉とブイヨン、パン粉を買ってきたよ」 「ありがとう、じゃあやろうか」 祐一は下の開き戸からボールを取り出すと先ほど茹でていたジャガイモを入れた。 「芋が固かったらもう一度茹で直すからね。後、熱いから気をつけて」 「うん」 真剣な表情でグニグニと芋を潰して行くメアリー。手元がややふら付いているが危なげなく進んでいく。 「じゃあ、僕は今のうちにお肉の方をやって置くよ」 まな板に玉ねぎなどを置くと素早い手つきで次々とみじん切りにしていく。 「おお! すごい!」 キラキラと興味深そうに見るメアリー。 「じゃあ、これをジャガイモと一緒にしてっと……」 一通り切り終わるとそのままボウルへと放り込んだ。そしてメアリーがジャガイモを混ぜ始めた。 「うう、凄く重い……」 木べらで混ぜながら顔をしかめる。野菜の量もさることながらジャガイモの量もかなり多い。 混ぜるのはかなりの難易度だろう。 「上手く混ぜるには切るように混ぜるといいよ」 祐一が言った通りにするとまるで流れるように混ぜられるようになった。 「あっ、本当!」 ジャガイモと先ほど切った肉と野菜が混ざると戸棚と冷蔵庫から小麦粉と卵とパン粉を取り出した。 「後は、分かるね」 「うん」 二人はコロッケの種をそれぞれ好きな形にしていった。 「ご馳走様!」 空のお皿を前に明るい声で両手を合わせた。作ったコロッケのほとんどはメアリーのお腹の中へと消え去った。 「お粗末さまでした」 「じゃあ、次は……」 なにやらごそごそとポケット探り始めた。 「まだやるの?」 「終わるまで居て良いって言ったのは祐一だよ」 「それならテレビでも見ててよ、僕は隣の部屋に居るから」 お盆にお皿を載せて席を立つと流しに置くと少しため息を付いた。 身体がまるで錘をつけたかのように重く感じる。足はそうでもないが肩や背中から少し違和感が感じ取れた。 「ユウイチ、大丈夫?」 「うん、大丈夫だよ」 言葉ではそういうが頭はかなりほーっとしている。だけどまだやらなきゃいけないことがたくさんあった。 「じゃあ、後でね」 「うん」 そのまま寝そべりながらテレビを見ているメアリーを尻目に祐一は奥の部屋へと向かった。 そして奥の部屋から資料一式と携帯型端末を取り出すと椅子に座った。 「ええっと……」 携帯型端末に資料の日付を入力していく。すると、祐一の読み通り火星と木星の間に金星が入っていた。 「やっぱりそうだ! 火星と木星を一直線にすると間に金星が入る!」 だが、ますます分からない。この事実が意味することとは……。 しかし――。 「ない!? 金星のデータが全くない!」 火星、金星、木星。この間に一体何があったのだろうか? 折角の金星のデータを取るチャンスなのにそれをやらないという疑問が出てきた。 金星は火星に比べて得れるデータが豊富である。金星のテラフォーミング計画は幾度と無く企画されたが そのほとんどはデータ不足のせいで頓挫してしまった。太陽に近いというのもデータが得られない理由の一 つでもあるがそれ以上に金星の公転速度は速いのだ。一日のズレれば探査機を飛ばすことは不可能になってしまう。 例え、命令書に無くても惑星の事に関しては調査をする、そう父から聞いていた。 「祐一、何叫んでるの?」 突然メアリーがドアをノックしてきた。 「ご、ごめん」 扉を開けるとそこにはメアリーが居た。テレビを見てるのも飽きたのか妙にだるそうな顔をしている。 「別にいいよ、祐一の家なんだし」 「でも、さ」 少し困ったかのような顔をすると彼女は飛びっきりの笑顔を見せた。 「ほら、そんな顔をしてると幸せが逃げちゃうよ」 「う、うん」 だが、上手く笑えない。ハワードから渡された資料がほとんど予定調和的な資料であったことに戸惑いを隠 せなかった。仮にもプロフェッショナルがこの文章を書いたとするならあまりにもお粗末過ぎる。 これは本当に父さんたちが書いたのか? だがこれが偽物であるという決定的な証拠がは何一つ無い。それが一番いやなものだ。 だが、メアリーはそんな祐一の考えを看破したかのようになだめるように言った。 「ねえ、祐一。祐一が思ってること全部言っちゃっていいよ」 「で、でも……」 メアリーに話して分かるのか? そこから何か事実が分かるのか? 「いいから、とりあえず話せばさ、物事が分かると思うよ」 少なくとも聞いてくれる人が目の前にいる。その事実が祐一の心に温かさが沸き起こった。 「わかったよ。じゃあ一言だけ。父さんは、ADAMの報告書や計画書は全部デタラメだ!」 「どうして?」 「理由はいっぱいある。一つ目は火星の報告書、二つめADAMスペックと航行予定表。そして……」 「そして?」 「金星のデータが無いことだ!」 そう、金星のデータが無いこと派あまりにもおかしすぎる。仮にも進むべき道の情報が送られてこないのはおかしい。 細かい部分は筆跡鑑定をすれば分かるだろう。だが今必要なのはこの矛盾が何を意味するかが問題である。 と、勢いに任せて言ってみたがなんだか恥ずかしくなってきた。だからどうした、と言われればそれまでなのだが。 そう思うとなんだかおかしくなって来てしまった。祐一は苦笑をしながら――。 「まあ、メアリーには――」 「あーあ、知っちゃったんだ」 この一言が祐一を凍らせた。 「え?」 彼女は懐から何かを取り出すと思い切り横に振った。目の前に赤い液体が飛び散る。 「うわっ!」 鼻の頭から痛みが走った。触れるとそこから血が流れ出ているのが分かった。 彼女の方を見ると手にはナイフを持っていた。そしてそのまま祐一に飛び掛ってくる。 「ひぃ!」 素早く床を転がって逃げると勢い良く玄関とを飛び出していった。 「ちぃ!」 軽く舌打ちをするとすかさず彼女も祐一の後を追いかけていった。 「はぁ……はぁ……」 近くの公園まで来るとベンチに転がるように座った。 空は既に暗くなっており、街行く人々はどこにも見えなかった。 一体なんだったんだ? 知っちゃったってどういうことなんだ? 「どうして……?」 「教えてあげようか?」 耳元で誰かがそっと囁いた。振り向くとそこに居たのは――。 「メア――!」 全てをいう前に首を腕で回された。ぎりぎりと音をたてて首を締め上げてくる。 「ぐぅぅぅぅ……」 腕を掴んで振りほどこうとするが首が動かない。とても女の子とは思えないかなり強い力だった。 腕を掴んで振りほどこうとするが首が動かない。とても女の子とは思えないかなり強い力だった。 苦しい……息が……。 「うぐぐぐ……」 手に力を入れてもビクともしない。酸欠で頭が割れるほど痛くなってきた。 そしてそのまま首の骨が折られそうになった瞬間、祐一の中で何かがはじけた。 「うあわぁぁぁ!」 「へ?」 メアリーの身体を持ち上げるとそのまま前転するかのように地面にたたきつけた。 「ぐげ!?」 蛙を潰したような声をあげるメアリーを無視して彼は走り続けた。 走るたびに血が襟元を汚していく。しかし、そんなものに構っていられない。 後ろから何か足音が聞こえてきた。軽快な音から恐らく彼女だろう。 しかし、振り向くことなくただひたすら前を向いて走っていった。 だが、肩に手が置かれると目の前が一回転した。 「ぐぅぁ!」 そのまま地面へと叩きつけられる。受身をとらなかったせいか、背中全体から激痛が走る。 「うぐぐぐ……」 そして懐から何かを取り出そうとした。その何かは暗いせいで良く分からない。 「何をしているんだ!?」 突然後ろから声をかけられた。振り向くとそこには一人の警官が居た。 彼はゆっくりとした歩調で祐一たちに近付いてくる。 「一体、何が――」 全てをいう前にその場に倒れた。警官から赤い水溜りがアスファルトを覆い、排水溝へと流れ込む。生臭い 臭いが辺りに広がりなんとも言えない嘔吐感が全身から立ち上った。 メアリーの方を見ると彼女の手には拳銃が握られていた。 「!?」 もはや声が出ない、そう感知した祐一は立ち上がると一斉に走り出した。 「あっ、待って!」 以前ならそう言われたら止まっただろう。でも今は逃げる事を優先する。 何の躊躇いもなく警官を殺したという事実が足をさらに加速させていく。 街頭を照らすだけの道には誰の姿も見えなかった。犬の鳴き声も聞こえなければテレビの声も家族の談笑も聞こえない。 まるで、時が止まったかのようだった。 「うぐぅ!」 思わず足がもつれ地面を転がる。既に二時間以上も全速力で走ってきたせいか足が完全にくたびれていた。 体力には自信があった。誰に言われた訳ではないが毎日ランニングやストレッチを欠かした事は無かった。 だが、何度も走り続けてきたせいか、足は限界を迎えてしまった。もう考える余裕すら祐一から消え去っている。 「ユウイチ~」 声をした方を向くと彼女が居た。そしてその後ろに居たのは……。 「バイラム……!?」 そう、あの黒き修羅だった。いや、正確にはかなり違う。 右腕部には剣が備え付けられてはいないし左手にはビームガンも持っていない。 脚部のスラスターはかなりシャープでコンパクトであった。あれだけの巨体が飛んでいるのに音すらしなかったのだ。 胸部に動力炉と思われる所も星型では無く台形だ。頭部にはアンテナが3つ、角の様に生えていた。 そして何より漆黒のバイラムとは違い、彼女の機体は鮮血を思わせる赤だった 「もう鬼ごっこはお終い?」 少し残念そうな顔をしながら祐一を見つめる。まるでこれでお終いと言わんばかりの冷たい瞳が矢の様に彼 を捉えていた。殺意のような物は何一つ感じず、声のトーンから終わりへの未練しか感じ取れなかった。 遠くから何かが聞こえてきた。そう、ニュースだった。 「本日未明、各国で破壊行為を続けてきた国際テロリスト、バイラムが――」 バイラムだって!? メアリーの後ろに居る物を見る。そう、ニュースで良くやっていた黒の機体。そして、今目の前にいる赤い鬼。 一体どういうことなんだ? 「へぇ、結局やられちゃったんだ。残念」 這って逃げようとするが目の前を銃弾が飛んでいった。 「駄目だよ、ここでユウイチを殺しておかないと後で怒られちゃう」 「い、いったいどうして?」 「だから言ったじゃない。知っちゃったからって」 知っちゃったって……金星の事? いや、そうじゃない。メアリーが言っているのはもっと――。 混乱する頭で必死に彼女が言いたい事を考えるが塔の彼女は愕然としている祐一を見ながら大声で笑い始めた。 「あはははは! 本当に変なの!? あんな量産機を倒して喜ぶなんて!」 量産機!? バイラムが!? 「それにあれは――の――を使ってるのに……可哀相、ユウイチ」 メアリーは何かを言ったが肝心な部分が分からない。 耳を傾ける前にユウイチは自分の状況に気が付いた。 逃げなきゃ、そう思い足に力を入れる。だが、足は痙攣をしており、上手く動かなかった。 動け、動いてくれ、動かないと……。 「ユウイチ、GOODBYE」 彼女が引き金を引くと乾いた音が夜空に響き渡った。 「あぅ……」 そのまま仰向けに倒れた。貫かれた痛みは思ったほどではなかったがそれよりも倒れた衝撃の痛みの方が辛 かった。胸のあたりに手をやるとぬるっとした感触が広がった。 指先には赤い血がべっとりとついていた。起き上がろうと力を入れるが起きられず、身動きが取れない。 もう……だめなの? 薄れ行く意識の中、突然電子音が鳴り響いた。メアリーが耳元に手をやるとなにやら大声で会話をし始めた。 「別の――? 裏切り――! ちょっとどういうことなの!?」 苦い顔をしながら祐一の方を軽く一瞥するとメアリーはネオ・バイラムとともに夜空へと消えていった。 それを呆然を見送ると彼はそのまままぶたを閉じた。遠くからサイレンの音が鳴り響いていた。 「僕が知っているのはここまでです」 祐一の話を聞いたハワードは席を立った。 「ありがとう、これで奴らの正体が大体分かったよ」 そして廊下に向かうと携帯電話の電源を入れた。 「私だ、至急ADAM乗組員の家族周辺を徹底的に調べろ。一つも見逃すな。それとそこに最近越してきた人 間の近辺調査をしろ、いいか、裏づけは絶対にしておけ!」 マイクに向かって怒鳴り散らすと電源を切った。そして苦々しい顔をしながら低い声を出す。 「見事な物だな、アンギュロス」 そう小さく呟くとエレベーターに乗り込んだ。 中東、サウジアラビア南部のカミーラの家では荷物を背負ったアジャムが玄関の先にいた。 カミーラは畑仕事をやめてアジャムを出迎えた。 「おかえりなさい」 「ただいまってか?」 ややおどけた顔でカミーラに挨拶すると荷物を床に放り投げた。重そうな音を立てたことから銃器や電子機 器と言った仕事道具が主なのだろう。 「ご苦労様です」 「じゃあ、早速で悪いだがビールを頼むわ」 そう言いながら奥へと向かっていく。上着を脱ぐと汗の臭いが辺りに広がった。 「ビールは体に悪いですよ」 「いいんだよ、このクソ熱いのにビールぐらい飲まなきゃやってらんねぇだよ」 近くの椅子にドカッと座るとそのまま天井を見上げてため息を付く。口調からしてかなり不機嫌そうだった。 「何かあったのですか?」 「どうもこうもねえよ。金は払えないってさ!」 以前のバイラムとの戦いでアジャムはグライドアを使用した、そしてバイラムとの死闘の最中グライドアを 失ったのだ。当然連合軍の司令官のウィルスから厳しい叱咤を受けた。さらに止めとばかりに任務失敗を理由 に賃金を払うことが無かった。当然抗議はしたが……まともに取り合うことはしなかった。 「そうですか」 「やれやれ、こんな事ならもうちょっと搾り取るべきだったな」 アジャムにとってしてみれば命があるだけ儲け物らしい。宇宙での戦闘において戦死しなかったのは作戦に 参加した人間の三割だけだった。 「それで新しいPMを買うおつもりで?」 「ああ。そうだな。でもあのグライドアはいい機体だったからなぁ……AUAの機体もユニオンの機体もステ イツの機体もどうも肌が合わねえんだ」 アジャムには肌に合う機体がほとんど存在しなかった。一応各陣営のPMは一通り乗りこなしたのだがいま いちしっくり来なかった。別にアジャムの技量が悪いというわけではない。逆に機体の方に不満があるのかと 言われればそうでもない。だが圧倒的に何かが足りなかった。 「ならば、私の機体を使いますか?」 「私の? どういうことだ?」 「こちらへ来てください」 奥へと案内をしようとする、が――。 「……ビールを飲んでからじゃ駄目か?」 「……まあ、焦ることでもないですし良いですよ」 カミーラたちは奥の部屋と引っ込んでいった。 食事を一通り終えると二人は地下の階段を下りて行った。 薄暗い中、狭い階段はまるで無限に続くかのように続いていた。 「まさか、こんな所があるとはな」 「知らなかったんですか?」 意外、と言わんばかりの口調でカミーラが呟くとアジャムは軽く鼻で笑った。 「流石にひとんちに土足で踏み荒らすのは無くてね」 「そうですか」 そんなやり取りをしているうちに巨大な扉が現れた。 「アジャム、あれを持っていますね?」 「ああ、肌身離さずにな…」 「なら、この扉を開けてください」 アジャムが扉についている鍵穴に差し込むと軽い音をたてて鍵が開いた。 カミーラは横にある機械のスイッチを入れると扉が思い音を立てて開いていく。 「こいつは……」 目の前にあるものに対し驚くだけだった。 そう、彼女が渡してくれた物、それは……。 「バイラムじゃねぇか!?」 「いえ、正確にはバイラムではありません」 彼女がいうとおり姿形はバイラムに似ているが細部が違っていた。 ユニコーンのような見事な一本角。腕にはバックラーを思わせる楕円形の物が付いていた。 背中のスラスターは翼を思わせるような形をしており、顔つきもどこと無く威圧感ではなく英雄的な優しさを感じられた。 色は目が覚めるようなスカイブルー、胸部には正五角形を思わせるマークがついている。 横の壁についている武器は剣ではなく槍だった。銃剣一体型の槍だ。 宇宙にて戦闘を行ったバイラムともAUAに現れた新たなバイラムとも違う。 「こいつは一体なんだ?」 「そうですね、あえて言うならバイラム・Ⅱ(セカンド)と言った所でしょうか?」 カミーラの言葉にアジャムは顔をしかめた。 「はぁ? バイラムⅡ? ゲームの続編じゃねぇんだぞ」 「先ほど倒したのをバイラムとするならAUAに現れたのはネオ・バイラムです」 アジャムの言葉を無視して続けるカミーラに苛立ちをぶつけた。 「ちょっと待て! 一体どういうことなんだよ!!」 「冗談半分に聞いてください」 バイラムⅡを背に彼女は大声で宣言した。 「私は、異星人です」 この一言にアジャムは目を見開いた。 後半に続く
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カッ飛びひき子 VS闇子さん ここは、この町で一番眺めの良い高台。 この町を一望できるここは、カップルが夜景を見てアオカンするには持って来いだろう。 私は時々この場所にくる。ここは私のお気に入りの場所なのだ。 何をするでもなく、町を見下ろす。 ひ「こうして見ると模型みたい。ホント、オモチャみたい。・・・ん?」 キラリとした輝きを一つ見つける・・・いや二つ? 二つが近すぎて一つに見えたんだ。まるで天体のアルビレオの様に。 ひ「これは、ロリショタの輝き!」 このテの視覚情報には神をも凌駕するであろう鋭敏な目が察知する。 ひ「輝きの出所は・・・あの学校ね!」 行き先を決めた私は高台の柵を飛び越え、林を突っ切り、最短距離で急行する。 ひ「この目でしっかり見定めて 行き先地図上マークして♪ 近道、有ればそれが王道 はしょれる翼も有れば上等!!」 目の前に川が有れば水面を走り、谷が有れば飛び越える。 ひ「本能に従順忠実 翻弄も重々承知♪ 前途洋々だし だからたまにロリさらっちゃうんです!!」 音を追い越して駆け抜ける。 もうすぐ目的地、私のアルビレオがすぐそこに! ひ「消えない灼熱の華 輝き魅せておくれ♪」 目的地の学校が見えてくる。 ひ「あと400メートルってとこね。一気に跳ぶか。」 女子トイレの窓めがけて、400メートルジャンプを決行する。 人間砲弾の様に飛び、窓を・・・のハズが少しズレて窓のすぐ横の壁を突き抜ける。 ドゴォっと頭から壁をぶち破り侵入に成功する。 ひ「イテテ、私としたことが、地球の自転によるコリオリの力を計算し忘れるとわ・・・。 まあ侵入成功したし、いっか☆」 さて、私のアルビレオはっと・・・ 闇「な、なんなのよ!?」 契「何が起きたの?闇子さん大丈夫?」 いた。 ひ「突然ごめんなさい。とりあえず壁は組織の方で直すわ、私野良だけど。 それにしても・・・可愛い!!強気なロリと、それに押され気味でも包容力のあるショタ!! 早速、捕か 闇「ガーコMK.2!!」 目視が困難なスピードでおまる直撃し、派手な音を立てる。 ガーコがひき子さんの顔面に直撃する。 契「そ、そんないきなり攻撃しなくても…」 闇「いきなりはコイツでしょ!それに何か骨の髄まで冷えるような恐怖を感じたわ。 こんなの敵に決まってるわよ。まあ、ガーコ一発で倒せt」 ひ「危ない危ない・・・まあハイリターンを望めばハイリスクは付き物よね☆」 文字通り、目と鼻の先でガーコは止まっていた。 直撃の瞬間に「ロリ」と囁いた音圧で止めたのだ。 闇「な、効いてない・・・」 闇子さんの次の攻撃より、ひき子さんの方が速く動く。 神速を超えた神速で闇子さんをキャプチャーし、小脇に抱える。 闇「ちょっと!放しなさいよ!!」 契「闇子さんを放して!」 ひ「誤解しないで。」 ひ「別に貴女のガールフレンドを傷つけるつもりは無いわ。」 契「じゃあなんで、さらおうとするんだ。」 ひ「いろんなコスプレをさせて写真を撮りまくるためよ!! ほら、ショタ君もガールフレンドのスク水とか、メイド服とか、ブルマとか、巫女とか、浴衣とかミニスカサンタとかボンテージとかバニーとか見たくない?」 契「み、見たくなんか・・・見たくなんか・・・」 ひ「もう、素直じゃないんだから。」 がっし、と契約者らしきショタも捕獲する。 ひ「それにね、見たくないなんてガールフレンドが傷ついちゃうでしょ?」 それ以上二人の言葉に耳を貸さず、衣装を買いに発進する。 買った衣装を着せ、様々なロケーションを求めて奔走する。 ひ「強気に恥ずかしさを抑える表情が光るよー闇ちゃん! そして、女装させられて真っ赤になるショタ君!最高!!」 闇「く、なんでこんな格好・・・」 契「メイドの格好なんて恥ずかしいよ・・・」 カシャッ 闇「この時期にスク水なんて寒いし、最悪。」 契「文句言いつつ、シャッター下ろす瞬間にすっごく良い笑顔だね。」 こんな調子で二人で200枚以上写真に納める。 やはり都市伝説ロリは可愛いわ☆ 前ページ連載 - トイレの花子様
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977 名前: NPCさん 04/08/24 16 50 ID ??? 困ったちゃん未遂が・・・ 458 :NPCさん :04/08/24 16 49 ID ??? 書くところを間違えたぜ^^; 焼肉は無理だった。もちこもうとしたが、入り口で見られてNG。 サンドイッチとかの軽食程度なら可だったらしい。 仕方ないからセッションだけ中でやって 会場の駐車場の近くの階段を椅子代わりにして焼肉しました。 とちゅうウイスキーの水割りつくろうとしたら水が無いのに気づいて 中にくみにいったら管理のじじいに嫌味言われた。 水くらいケチケチすんない(笑) 以上報告でした。 978 名前: NPCさん 04/08/24 17 01 ID ??? それは未遂じゃなくて立派なバカだろう 978 名前: NPCさん 04/08/24 17 01 ID ??? それは未遂じゃなくて立派なバカだろう 980 名前: NPCさん 04/08/24 17 51 ID ??? 978 未遂だった(やっていいか、件のスレに相談に来た前科がある)のが…実行に及んでしまった、という意味だと思われ。 982 名前: NPCさん 04/08/24 18 06 ID ??? 釣りだと思いたいが、同レベルの阿呆(ゼミ室で焼肉パーティやって重要書類をことごとくにんにく臭くしたDQN)見たことあるからなぁ…… スレ29
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かけひきは、恋のはじまり;解説 かけひきは、恋のはじまり;あらすじ かけひきは、恋のはじまり;キャスト・スタッフ
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・・・ 澪「夜に、走るのも、いいな!」タッタッタッ 律「雨があがって、涼しいしな」 律「てか、走りじゃないか?」ハァハァ 澪「・・・ちょっと、休憩にするか」 律「賛成。さすがに飛ばしすぎだ・・・」 澪「たしかこのあたりに公園あったよな?ベンチで少し休むか・・・」 律「そうしよう・・・」 律「ふいー、汗かいた」フキフキ 澪「ベンチベンチ・・・」キョロキョロ 澪「あった」 澪「・・・あれ?律は?」 律「ほれ」ピトッ 澪「!?」ビクッ 澪「な、なにするんだ律!」ドキドキ 律「へへっ、自販機でスポーツドリンク買ってきた」カシュッ 律「・・・んー、うまい!」 律「はいよ。澪も飲んでおいたほうがいいぞ」スッ 澪「・・・いい、砂糖いっぱい入ってるし」 律「でも喉渇いてるだろ?汗もかいたし」 澪「そうだけど・・・」 澪「・・・口移し」 律「はい?」 澪「口移しなら飲んであげる」 律「」 律「じゃあ私が全部飲んじゃおう」ゴクゴク 澪「あぁー!冗談!冗談だって!」 律「お前の冗談は冗談に聞こえないんだよ」 澪「まぁ半分本気だったしな」 律「」 澪「・・・んく、んく」ゴクゴク 澪「はぁ、おいしい」 律「一汗かいた後だから余計うまく感じるよな」 澪「そうだな」 澪「・・・なぁ、本当にしないか?口移し」 律「・・・だからしないって」 澪「じゃあ質問を変えよう」 澪「ここで本番するのと口移しだけするの、どっちがいい?」 律「」 律「な、なに言ってんだ。こんな人の多いところで・・・」 澪「人なんてどこにもいないじゃないか」 律「あ・・・」 律「そ、そもそもこのまま普通に帰るって選択肢はないのか!?」 澪「残念ながらないな!」キッパリ 律「」 律「・・・じゃあ一人で帰る」クルッ 澪「」ガシッ 澪「このまま律を押し倒して草むらに行ってもいいんだぞ?」 律「・・・」 律「・・・あーもー」 律「一回、一回だからな!」 澪「どっちを?」 律「く、口移しのほうに決まってるだろ・・・」 澪「ふふっ、そうか」 律「にしてもそのうちお前は逮捕されそうだな」 澪「その時は律も一緒だぞ」 律「なんでやねん」 澪「どっちからする?」 律「・・・じゃあ、澪からで」 澪「うっ、そうか・・・」 律「(ほ、本当に誰もいないよな・・・?)」キョロキョロ 澪「・・・いくぞ」 律「・・・あぁ」ドキドキ 澪「・・・どれくらい口に含むものなんだ?」 律「・・・一口分?」 澪「そうか、・・・じゃあ」グッ 澪「・・・」スッ 律「・・・んっ」 律「ん゙っ!」ゴクン 律「げほっ、げほっ・・・」 律「・・・変なところに入った」ゼェゼェ 澪「私も・・・」ハァハァ 澪「慣れない事はするものじゃないな・・・」 律「まったくだ・・・」 澪「にしても以外と難しいんだな」 律「澪が一気に流してきたからだぞ!」 澪「なっ!律が欲しそうに顔してたからそうしたんだ!」 律「そんな顔してねぇ!」 澪「・・・」 律「・・・」 澪「・・・帰るか」 律「そうだな」 ・・・ 律「・・・はぁ、一汗かいたあとの風呂は格別だな!」 澪「まったくだ。・・・でも、もう一汗かくがな」 律「・・・今日はもうやめとこうぜ、疲れた」 澪「なっ、約束が違うぞ!」 律「だって疲れたし、明日は朝雨降らないから走るだろ?」 澪「・・・むぅ」 律「さて、なにかいいバイトはないかなー」ゴロン 澪「・・・しょうがない」 律「澪の事を考えるとそんなに選択肢ないんだよなー」ペラッ 律「・・・ティッシュ配り、スーパーのレジ、ファミレスのウェイトレス」 澪「・・・」 律「もうこの前のムギの知り合いの喫茶店でいいんじゃね?」 律「あそこなら怖い人滅多に来ないだろうし」 澪「・・・」 律「澪さーん?」 澪「バイトするのやめようかな・・・」 律「早っ!」 澪「・・・でも、怖い人来ないのはポイント高いかも」 律「だろー」 澪「だけどあの格好は・・・」 律「今まで散々着てたじゃん」 澪「うぅ・・・」 律「まぁ候補の一つには入れておこうな」 澪「他にいい場所がありますように・・・」 律「(正直これ以上にいい場所ってない気がする)」 律「今日はここまでにして寝るか」 澪「唯達は結局するのかな?」 律「うーん、しないんじゃないか?バイトより大事なことがあるし」 澪「・・・それもそうだな」 律「よし、さっさと寝るぞ。明日は早いぞ」 澪「はいはい」パチッ 澪「・・・寝る前におやすみのキスくらいはいいだろ?」 律「・・・まぁ、それくらいなら」 チュッ 澪「ぜひこの先も」 律「おやすみ」 澪「・・・やれやれ」 律澪「」スゥスゥ ・・・ 唯「アルバイトかぁ・・・」テクテク 唯「・・・」 澪『梓と憂ちゃんは受験生だし、一緒にいて支えてあげたほうがいいかもな』 唯「んー・・・」 唯「一応憂に相談したほうがいいのかな?」 唯「でもきっと、私の事は大丈夫だから。って言うよね」 唯「憂はやさしいから・・・」 唯「そこがいいんだけどね」テレテレ 唯「・・・決めた!」 唯「今年はアルバイトしないで憂の受験を応援する!」 唯「するとしたら来年、憂と一緒にだね」 唯「そうと決まれば早く帰ろう!」 唯「早く帰ってご飯の準備とお掃除だ!」 唯「今日は私のほうが早いからがんばっちゃうよー!」フンス ・・・ 唯「ただいまー」ガチャ 唯「・・・うん。憂はまだ帰ってきてないね」 唯「まずはお掃除!きれいにして憂をお迎えしよう!」 唯「~♪」フキフキ ・・・ 憂「また明日ね」フリフリ 梓「うん、じゃーねー」 純「ばいばーい」 憂「ちょっと遅くなっちゃった。早く帰ろう」テクテク 憂「・・・お姉ちゃん、心配してないかな?」 憂「メールしておこう。もう少しでお家だよ・・・っと」ピッ 唯「~♪」サッサッ ピロリロリン 唯「お、憂からだ」パカッ 唯「・・・た、大変!もう帰ってきちゃう!」 唯「玄関のお掃除に時間かけすぎちゃったよ・・・」 唯「しょうがない、他のお掃除はまた今度だね」 唯「とりあえずここだけは完璧にしておこう!」 唯「玄関はお家の顔って言うもんねー」フキフキ 唯「・・・できた!」 唯「えへへー、ピカピカー」 唯「よし、これを片付けて終了だね!」テクテク ガチャ 憂「ただいまー」 憂「わぁ、玄関がすごいきれい」 唯「あ、憂ー!・・・えいっ!」ダキッ 唯「おかえりー」スリスリ 憂「ふふっ、ただいま。玄関、掃除してくれたの?」 唯「うん!今日はちょっと張り切ってみました!」 唯「憂先生!採点をお願いします!」 憂「100点満点です!」 唯「やったー!」 憂「ふふふっ」ナデナデ 憂「でも言ってくれれば私も手伝ったのに」 唯「いいんだよー。憂には晩御飯作るのを手伝ってもらうからね!」 憂「ふふっ。今日はなにを作りますか、唯先生?」 唯「ふむ、ひき肉が残ってたからハンバーグにしようと思うのだよ」 憂「いいと思います!」 唯「一緒にコネコネしよーねー」 憂「うん!」 ・・・ 唯「今日ね、みんなと大学の学園祭のこと話してたんだよ」コネコネ 憂「へぇ、どんなこと話したの?」 唯「憂達を入れた新生放課後ティータイムの初舞台!ババーン!!」 唯「って盛り上がったよー」 憂「ふふっ、それは楽しみだね」 唯「待ち遠しいよー」ウキウキ 憂「私達の学園祭はお姉ちゃん達出れるのかな?」 唯「どうなんだろー?聞いたことないよね・・・」 憂「やっぱり無理なのかなぁ・・・」 唯「仮に一緒にステージに立てなくても、絶対に見に行くからね!」 唯「最前列で応援応援するから!」 憂「・・・ありがとう」ウルッ 唯「えへへっ。憂達がどんな演奏するのか楽しみだよー」 憂「私達もお姉ちゃん達に負けないくらいにがんばるよ!」 唯「おっ、頼もしいねー」 ・・・ 唯「出来ましたー!」 憂「おいしそうだねー」 唯「早く食べようよっ!」ワクワク 憂「お姉ちゃんお箸忘れてる」スッ 唯「おぉ、ありがとう!」 憂「じゃあいただきます!」 唯「いただきまーす!」 唯「ん~、おいしいよ~」モグモグ ・・・ 唯憂「ごちそうさま」 唯「えへへー。憂にいっぱいあーんしてもらっちゃったー」 憂「私もお姉ちゃんにたくさんしてもらってうれしかったよ」 唯「やっぱりあーんは料理をもっとおいしくする魔法のスパイスだね!」 憂「ふふっ、本当だね」 ピロリロリン 唯「およ、りっちゃんからメールだ」パカッ 唯「・・・おー!」 唯「ふむふむ・・・」 憂「どうかした?」 唯「うん。来週の・・・なんでもないよ!」 憂「?」 唯「そ、それより片付けしちゃおうかー」アセアセ 憂「う、うん」 唯「(危ない危ない。憂に喋っちゃったら折角のサプライズが台無しだよ)」 唯「(来週は制服で集合かぁ。さわちゃん先生やるねー)」 唯「(・・・でも、制服どこに仕舞ったっけ?)」 唯「(食器片付けたら探してみよう!)」 憂「(お姉ちゃん、どうしたのかな?)」 憂「(律先輩のメール?なんだろう・・・)」 憂「(来週のことと関係あるのかな?)」 憂「(・・・誤魔化したってことは知らないふりしたほうがいいよね)」 憂「お皿洗おうか!」 唯「う、うん!」 唯「(ほっ、怪しまれてない・・・)」 13
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律「なんか…優しい味っていうか…」 澪「安心できる味っていうか…」 律「薄味なのに…すっごくおいしい…」 紬「これは…唯ちゃん?」 唯「うん、これはみんなが思っている通り、あずにゃんのスープだよ。」 澪「この味、何か秘密があるのか?」 唯「なーんも!」 律「えっ?」 唯「これはね、あずにゃんのお肉と野菜をじっくり煮込んだだけなの!」 唯「その代わりたっぷり3時間煮込んで、アクを丁寧に取ってね。」 唯「味付けは塩と、白こしょうを少しだけ」 唯「あずにゃんのお肉なら、これだけで最高のスープができるんだよ!」 澪「なるほど…」 ズズズ… 紬「どう?梓ちゃん」 梓「おいっしいです!私すごい!!」 律「おう!私梓のことみなおしたよ!」 梓「てへへー」 テレテレ 澪「…あっ、そういえば唯。このスープ、具は入ってないけど…」 唯「ふふふ、煮込んだ野菜も食べてみる?」 コト 律「へえ、キャベツか…」 ホロッ パクッ 律「…あっ」 澪「…これ、朝食に食べたいなあ」 律「それ!そうそう、そんな感じする!!」 律「もうこれ野菜スープでいいじゃん、唯!!」 唯「えへへ、まあ今回は旨みの溶け出したスープを味わってほしかったからね」 澪「ふー」 律「最高のスープで口の中も洗い落とされたことだし、後半戦だー!」 唯「と、いいたいところだけど、もう折り返し地点だからね」 律「ええっ!?そんなあ!」 唯「冷静に探ってみてさ、今のお腹の具合はどんな感じ?」 律「ぺこぺこだよ!」 紬「うん…、もう少し入りそうな感じ」 澪「あんまりガツガツといける感じじゃあ、ないかな」 律「だああ、何言ってんだよ、軟弱物どもがぁ!」 梓「ぺこぺこ…です」 唯「ということで、こういう時の締めは!?」 律「カツ丼!」 澪「…お茶漬け?」 紬「おうどんとか…」 唯「お茶漬け正解!!」 律「えー!軽すぎ!」 澪「ふふん」 紬「お茶漬けね!いいんじゃない?」 唯「さて、じゃあ準備するかな」 デン 澪「肉!?」 紬「なるほど、肉茶漬けというわけね!」 律「むほっ!!」 キラキラ 唯「じゃあステーキよりも厚めに切ったブロック肉を焼いてくよー」 ジュー ジャッ 唯「ほいできあがり」 律「えっ?あれ」 澪「早すぎ…レアすぎないか?それだと」 紬「あんまりレアだと、生臭さが…」 唯「ふふふ、まあ見てなよ」 スイー 律「あぁ…やっぱり生だよ、カツオの叩きみたい」 唯「ご飯に小口切りにした長ネギを大量にのせてー」 モサッ 唯「レアに焼いたあずにゃん肉をのせて」チョイチョイ 唯「だし汁を砂糖と塩、醤油で味を調えたものを」 唯「たーっと」 トポポポポ 唯「仕上げにおろし生姜をのっけて」 ピッ 唯「きざみ海苔をぱらぱらぱら~」 唯「わさびはお好みで取ってつけてね」 コト 唯「できあがり~!!」 4人「…ごくり」 澪「じゃあいただくよ」 スッ 律「あたしも!」 ガバッ 澪「あっ、こら!」 律「もう順番とかいいじゃん!」 シャバシャバシャバ 律「かーっ!うっめーっ!!」 紬「…へえ!これは」 澪「ショウガのおかげか、全然生臭くないな」 唯「お肉も昨日取ったやつだからねー」 律「そうか、しっかり臭み抜きしたからこんなにおいしいんだな!」 唯「それもあるけど、それだけじゃないよ!」 紬「…」 ニコニコ 澪「ん?何か知ってるって顔だな、ムギ」 紬「うーん…お肉はね、新鮮なのがいいってわけじゃないのよ」 律「ええっ?新鮮なのが良いのは当たり前だろ?」 唯「お肉はね、取ってから時間を置いたほうがおいしくなるんだよ?」 律「えー?うっそだあ」 唯「切り落とされたお肉は、時間が経つにつれてお肉の中の酵素の力でおいしくなるの!」 唯「酵素はお肉を柔らかくしたり、旨み成分のアミノ酸を作ってくれたりするんだよ!」 唯「そしてこのお肉は昨日あずにゃんから切り落としたもの…」 紬「今まさに熟成のピークを迎えているというわけね」 唯「その通り!」 澪「なるほど、だからレアでもこんなに美味しくたべられるわけかー」 ズズズ 律「よくわかんないけどうまいからいいや!」シャババ 梓「…あれ、じゃあ最初のリアリティがどうこうって……」 ズズズ… 紬「ああ、お汁に溶け出したお肉の旨みが、たまらないわ」 律「ああ…もうなぃ…もっと飲みたいのに…」 ペロペロ 澪「こら律!はしたないぞ!もう…」 ウズウズ 梓「……」 律「なあ唯!もういっぱいちょうだい!もういっぱい!」 唯「うーん、同じ料理を2回出すのは私のポリシーに反するんだよねぇ」 律「そんなあ!後生だからぁ!」 唯「仕方ないなあ」 唯「じゃあ、これでも食べてなよ」 ネト 律「え………なにこれ」 澪「ご飯の上に…」 紬「…お味噌ね。これは」 律「ちょ、唯!おまえなあ!!」 唯「まあまありっちゃん落ち着いて。こっちはさっきより薄味のおだしをかけて…」 トポポポポ… 律「うん…?」 唯「ほぐして食べてね」 律「ねこまんまじゃねえか!!」 バン 律「あたしはもっと、こうなぁ…」 ズズ… 紬「…うん、素晴らしいわね、これは」 律「む、ムギ!?」 ズッ 澪「へえ…肉味噌か」 律「に、にくみそっ!?」 ズズズッ シャバババ 律「うっ、はあぁぁぁっ!!うんまーい!!」 唯「ふふふ」 ニコニコ 唯「これは、あずにゃんのひき肉を炒めてね」 唯「お酒とみりんを加えて煮詰めて、」 唯「それに八丁味噌とコチュジャンを加えて甘辛く仕上げた特製肉味噌だよ!」 律「あぁあん、たまんなぁい!!」 ジュビドゥバー 澪「お茶漬けもいいけど、これでご飯食べたいなぁ」 シャバシャバ 律「ああん、それもいぃーん!!」 ジュルッビドゥー 律「ぷはー」 澪「さすがに満足したろ?律」 唯「肉味噌とお茶漬けは別料理ってことで、ご飯もう一杯ワシワシしたからねー」 律「わらわは満足でおぢゃりまする」 澪「どこの出だ、お前は」 紬「満足したわ。すてきな料理をありがとう、唯ちゃん」 唯「ふふふ、まだデザートが残ってるよ、ムギちゃん!!」 律澪「おおっ!!」 紬「でも梓ちゃん尽くしのフルコースで、デザートとなると…?」 澪「そうか、肉料理なんだよな。全部」 律「肉の入ったケーキとか…うへぇ」 ナエナエ 唯「こらこら、勝手な想像して食欲減退させちゃ駄目だよー」 コトッ 澪「えっ、なにこれ、えーと、カラフルようかん?」 律「…中になんか入ってる。うへ、気持ちわりぃ」 紬「へぇ、ゼリー寄せとはまた考えたわね」 澪「へえ、ゼリーなんだこれ」 律「ゼリーに肉!?正気かよ唯!!」 唯「(無視)じゃあ先にムギちゃんどうぞ」 律「ゼリーってのはな!甘いんだぞ!?それに肉とか、おまえなあ!」 澪「ちょっと黙れ」 ゴチン 律「うう…あたしは世界の平和のために…」 澪「どんなスケールだ」 律「肉入りゼリーの存在なんか許してみろ!世界の破滅だぞ!?」 紬「…じゃあいただくわ唯ちゃん」 唯「どうぞどうぞ」 パク 紬「oh」 唯「ふふ」 ニコニコ 紬「こほん。…やるわね、唯ちゃん」 唯「ふふふ」 ニコニコ 澪「ムギをうならせるゼリーか…どれどれ」 チュルン 澪「はぅ」 唯「むふふふふ」 ニコニコ 澪「これは…」 澪「……すごい。」 紬「うふふ、すごいわ唯ちゃん」 澪「なんというか、この」 唯「まあ待って、澪ちゃん」チラ 澪「……」チラ 律「…なんだよ、食べないからなあたしは」 ビクビク 律「だいたいおまえらな!おかしいんだよ肉ゼリーとか!」 律「味覚障害か!?大福にいちこ入れてミスマッチー♪とか喜んでる世代か!?」 律「だいたい」 唯「えい」 カポ 律「もがっ!?」 律「んんんんん!!」 澪「いいから、律。噛んでみ?」 律「んー!んんんー!」 ブンブン 律「……ん?甘くない…」 唯「ふふふ」 ニコニコ クチュクチュ 律「んー!これは!」 律「うわあ!少し噛んだだけで口じゅうに広がる旨み!!」 律「まるで上等なスープを極限にまで凝縮したような…」 ンム… 律「あ、肉だ…」 ンム… ンム… コクン 律「……ほぅ」 唯「どう?りっちゃん」 ニコニコ 律「おいしぃ…」 トローン 律「……」 律「……ふぅ。」 律「んもー。唯がデザートっていうから甘いと思い込んじゃったじゃないかー」 澪「…言い訳が始まった」 唯「まあ、どちらかというと前菜に出すものだけどね、これは」 唯「でもね、フルコースで疲れた胃袋を優しいゼリーで癒して」 唯「また明日への活力を誘うには、私はぴったりの料理だと思うんだ、これ。」 律「なるほど。そういうデザートの考え方もありなんだな」 紬「豪勢なケーキもいいけど、フルコースの後の胃には少し重いものね」 澪「私は好きだな、こういう締めかた」 律「うん、今日の最高は料理だったよ!ありがとう唯!」 紬「本当に素晴らしかったわ。ありがとう唯ちゃん」 澪「唯にこんな才能があるなんて知らなかったよ。ありがとうな、唯」 唯「どういたしまして」 唯「でもそれなら私よりもお肉を提供してくれたあずにゃんに…」 梓「……」 グゥ~ キュルルルル~ 4人「あっ」 fin 補足 あとトンカツにかけたソースも、すりおろした野菜や果物を大量のスパイスと一緒に煮込んで、 軽く煮詰まった所を布で漉して、さらに煮詰めて作った特製ソースだったのにうっかり説明し忘れたぜ!! 戻る