約 2,714,691 件
https://w.atwiki.jp/eroscape_bibouroku/pages/28.html
『病弱・不幸なヒロイン』の議事録 【提案内容】 2009年04月09日 題名 病弱・不幸なヒロイン POV説明 いわゆる「薄幸の美少女」です。 不治の病に冒された彼女の闘病記や 不幸な彼女が逆境にめげず頑張る作品を登録してください。 【死生観】【感動】のAランクにも該当すると思う場合はAで、 (【心に残るバッドエンド】【鬱】【後味悪い】の条件も満たしていれば、なお良し) 病弱/不幸設定はあるのに、活用しきれてない(泣けない)と思う場合や (バカゲーで)笑いを取るためのネタにされているような場合はCで。 【審議】 2009年09月13日 ~ 2009年10月25日(登録日) 内容 病弱と不幸の分割して審議。 【病弱】 病弱に身障者を含むか?→含む。 精神を病んでるとの重複回避の為、説明文を補足。 ネタバレ回避の注意喚起を、説明文に補足。 【不幸】 説明文に不幸の具体例があった方が良いのか? →POVによるが、今回は具体例を無くしシンプルに。 【結果】 2009年10月18日 可決されました。 題名 病弱・身障者ヒロイン POV説明 一人病院で静かに入院しているヒロイン、身体的にハンデを抱えたヒロインなど 儚げさ、健気さなどピュアな印象が強い病弱・身障者のヒロインが登場する作品の登録をお願いします。 心を病んでいる場合は【精神を病んでるヒロインが魅力的】への登録をお願いします。 それとネタバレ回避のために、オフィシャルサイトでそのヒロインの病弱設定が公表されていない場合は名前を伏せるよう心がけてください 2009年10月25日 可決されました。 題名 大きな不幸を背負った助けたくなるヒロイン POV説明 不幸な境遇に負けず懸命に生きている、 苦労が報われてない感じがする、諦めて逃げちゃってもいいのにと思える、 そんな思わず手を差し伸べたくなるような、不幸なヒロインを登録してください。 ABCは「支えてあげたい/守ってあげたい」と思った度合いでお願いします。 タグ一覧:POV
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2509.html
ご新規さん向けガイドライン-Q A Q A 一覧 完成したのです(このQ Aの内容は今後、都合により変更される場合も多々あるのです) Q&A解説キャラの紹介 wikiに掲載される(する)までの流れってどうなってるの? どの作品から読んだら良いの? 都市伝説の定義 契約ってなに?契約者ってなに? 都市伝説と契約するメリット・デメリット 都市伝説のタイプ 契約コストと容量 話を書く上で、押さえておくべき基本事項 既に出ている都市伝説を使用しても良いの? 他人のキャラとクロスオーバーする為の共通設定 学校町の設定を使いたいんだけど、建物・お店・学校なんかの施設って勝手に追加して良いの? 学校町以外の都市を舞台にしたいんだけど良い?
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4467.html
我々は情報提供を目的とした集団である。我々はあらゆる人、都市伝説、地域、集団等の情報を集める。そして、求められれば、顧客情報以外のあらゆる情報を提供する。 その際、我々は顧客の人、都市伝説、年齢、人種、身分等で差別をしない。我々はただ金によってのみ客を見る。 ただそれだけの集団が「組織」に襲撃されるなど、想像もしていなかった。 「組織」が来るという情報は知っていた。話し合いで解決出来ると思っていた。来る理由も知っていたから、和解出来ると信じていた。 来たのは、一人の少女だった。まだ小学校も卒業していないような、幼い少女。我々の情報にはない契約者だった。 我々はまず不安になった。こんな子供と話し合いが出来るだろうか、と。 しかし考えてみれば、我々三十人近い契約者集団(そのうち半数が情報収集特化型であるが)にたった一人の少女だけを送り込むわけがない。 おそらくこの少女は、間違ってはやく来てしまったとかそんな理由で、後から黒服が来るだろう、そう考えた。 それでも念のため少女を調べておこうかと、目をむける。 すると、少女は紙飛行機を飛ばしていた。攻撃かと身構えつつ、紙飛行機の都市伝説などあっただろうかと疑問に思った瞬間、紙飛行機の後から煙が出現し、我々を包み込む。 煙幕かと瞬時に判断し、他の契約者からの攻撃に注意するよう指示をする。また、少女の動向も調べさせようとし、息が上手く出来ない事に気が付く。 「煙を、すう、な……ケム、トレイル……だ……。」 誰が言ったかはわからない。私も仲間も皆、死んでしまったのだから。 とある集団の滅亡から数十分後、一人の泣きそうな少女のそばに黒服の男が現れた。 「今回の任務はこれで終わりです。お疲れ様でした。」 「あの、あの人達は、何をしたんですか?」 「悪事を働く人間に情報を教えました。再三の警告にもかかわらず止めなかったため、強行手段にでました。以上です。」 「で、でもっ、殺すことはなかったんじゃ。」 「必要があったから殺したのです。さあ、もうお帰り下さい。私は後始末をしなければなりません。それと、こちら今月の生活費です。」 「…………ありがとう、ございます。……さようなら。」 少女がいなくなった後、ため息をつく黒服の携帯がなりだした。 「はいもしもし、……ええ、はい任務は問題なく終わりました。……私の言ったとおり、あの子は有能でしょう?…………はい……大丈夫です。『組織』に反抗的な態度は、全くありません。 …………ええ、ですから。……はい大丈夫です。……ええ、……あの子を、殺さないでやってください。」 終 「単発もの」に戻る ページ最上部へ
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1422.html
ドクター 12 「ドクターとメアリー出会い編」 ベッドで鼾をかいて寝ている中年男性 その傍らに寄り添っていた女性は、男を目覚めさせないようにそっと身を起こした ファッションモデルと言っても通用するような美麗なプロポーションの身体には、あちこちに情事の跡が残されていた 女はシャワールームに入ると、その痕跡を消すように丁寧に身を清めていく 鏡に映る自らの身体を見るその目は、蔑みと嘲りの色がありありと浮かんでいた そして、シャワーから出た彼女は身支度を整えると、鏡に向かい化粧道具の入ったポーチから口紅を取り出し その口紅で流麗な筆記体でメッセージを書き上げる 『エイズの世界へようこそ!』 その文字を書き上げた瞬間 「お、うごっ!? が、はっ!」 ベッドに眠っていた男が、突然苦悶の声を上げる 声にならない音と共に血反吐を撒き散らしのた打ち回る男を尻目に、女――『エイズ・メアリー』は部屋を後にした * 「ターゲットは仕留めたわ」 『そうか。では次のターゲットだ』 携帯電話の向こうにいるのは、何処にでもいる典型的な『メン・イン・ブラック』の一人 自我というものもろくに存在せず、ただ上から決められた事を忠実に守り言葉だけを伝える存在だ こんな連中にいいように使われるのは真っ平だったが、奴らは本当に『何処にでもいる』のだ 自分は身体を媒介にして強力な病を運び交わった対象を※す以外は、ただの人間と大差ない 超人的な身体能も無く、人と接触するタイプが故に霊的な隠密能力もなく、人間でないが故に戸籍や人権も無い 処分されないためにもただ飼い犬として生き、飼い主が不要とした人間を殺すためだけの日々 「そう……これでもう何人目かしら」 『ターゲットの情報はメールで送る。確認したらすぐ破棄するように』 相槌すら打たない相手に、メアリーは盛大に溜息を吐いて天を仰ぐ 「了解したわ」 話すに値しない相手に時間を浪費しても仕方ない それだけを告げて電話を切ると、すぐにメールの着信を知らせるメロディが鳴った ホテルの名前と住所、そしてターゲットの顔写真だけという単純極まりない情報だが、彼女にはそれだけで充分だった 「女……まあ私に回ってくるわけだし、女好きのレズビアンといったところなんでしょうけど」 片手を上げてタクシーを止めると、その住所とホテルの名前を運転手に告げ 一件しか入ってないメールボックスの中身をすぐに空にしてしまった * 「さて、リトルグレイの一件だが。連中はある機関と交流を持っていてな。チンピラをぶちのめしたら超巨大マフィアの下っ端だったでござるといった感じなわけだ」 「どう考えてもその組織ってアメリカ絡みだと思うんですが、その敵の懐に飛び込むような真似をしなきゃいけないんですか」 南米のとあるホテルの一室 欧州から飛行機を乗り継ぎこの地を訪れたドクターとバイト青年 「南米には私が所属する『第三帝国』の支部が一つあってな。話をつけてもらうにはここが一番というわけだ」 「電話とかで伝えちゃダメなんですか」 「ジャングルの奥地のなんとかという遺跡に基地を作っていてね。携帯電話でなく連絡人を通して無線でないと繋がらんのだよ」 「それが彼女か」 その言葉に、ドイツの軍服を着た一人の少女がびしりと敬礼をする 「はっ! 南米支部との連絡役、都市伝説『エニグマ暗号機』の契約者であります!」 「それもう解読されたろ」 あっさりとしたバイト青年のツッコミに、軍服少女は小さな胸を逸らしてふふんと威張る 「だからこそであります! 解読不可能の暗号機などまさに都市伝説であり、そのイメージを有するに値する暗号機! 故に小官の暗号は同じ能力を持つ妹のみが解読可能というわけであります!」 * 「詭弁だなぁ……つーか別に暗号でなくても無線連絡ぐらいできないんですか。というか彼女に電話すれば良かったんじゃ」 「可能ではあるが、向こうに傍受されると手札を晒す事になる」 「というわけで小官にお任せあれ! 契約により『エニグマ暗号機』は無線の役目も果たすのであります! 傍受は不可能でありますよ!」 そう言うと軍服少女は目を閉じ両手の人差し指をこめかみに当て、うーんうーんと唸り出す 「……ドクター、大丈夫なんですかこの子?」 「まあ能力使用時の見た目は色々可哀想だが実に優秀な子だぞ」 ドクターはそれまで座っていたベッドから立ち上がると、ドアへと向かって歩き出す 「何処へ行くんですか?」 「散歩だよ、散歩。総統閣下に話を通して事が決まるまでは多少時間が掛かるだろうしな。君はその子を頼む」 「頼むって……何で俺が」 「君はボクに雇われた身だろう? 電話番ならぬ無線番ぐらいはこなしたまえ」 言葉に詰まるバイト青年を置いて、ドクターは悠々と部屋から出て行った * メアリーはターゲットが宿泊しているというホテルの手前でタクシーを降り、目的地まで歩きながらどう接触を図ったものかと思案する 自分に回ってくる仕事のターゲットは基本的にろくでもない女好きばかりで、知り合ったその日のうちにベッドに連れ込むような輩ばかりだ 「ホテルのレストランかバーか……接触を図れるポイントを確認しなきゃ。とりあえずはラウンジで様子を見るのが妥当かしらね」 ホテルの入り口が見えたところで、突然背後で車のクラクションが鳴らされる 何があったのかとちらりと視線を向けると、そこにはなにやら頭の悪そうなアピールをしているチンピラ数人を搭載した珍走車が停まっていた 汚いスラングまみれの言葉を脳内で翻訳にかける気にもなれない 無視してホテルに入ってしまえば、あの風体では追っては来れないだろうと考え足を早める が、それに気付いたチンピラの一人が、車を降りてメアリーの肩を掴んできた 本人は愛想笑いを浮かべているのだろうが、例えた対象に失礼過ぎて例えようが無い顔だ 手を振り払ってホテルへ駆け込もうとするが、それよりも早く腕を掴まれてしまう 普段ならわざと誘いに乗って皆*しにしているところだが、今は忌々しいMIBに与えられた任務中で、余計な時間を食っているわけにはいかない 護身用にとポーチに忍ばせていた小型の拳銃に手を伸ばしかけた、その時 「待ちたまえ、彼女は嫌がっているようだが?」 ホテルの入り口から、飄々とした足取りでこちらに向かってくる白衣の女、ドクター その顔は、間違いなくメアリーの任務の対象であり ――何、こいつ 小心者で自己中心的、強気にへつらい弱きを詰るといったタイプの多いメアリーの任務対象が、こういった状況で接触してくるのは珍しい事だった 余りにも自信満々な態度に気圧されたチンピラだったが、ドクターの顔と身体を嘗め回すように見ていた一人がニヤニヤと笑いながら近付――こうとして、ブレーキ音と共に宙を舞った 残るチンピラが驚いてそちらを見るとバンパーをへこませたロールス・ロイスが、まるで獣が喉を鳴らして威嚇するかのように静かにエンジン音を鳴らして停車していた 路上にボロ雑巾のようになって転がる仲間を慌てて車に積んでアクセル全開で逃げ出すチンピラ達 それ以上の速度で追いかけるロールス・ロイスが視界からあっという間に消えていく 「大丈夫だったかね?」 突然の乱入車に呆気に取られていたメアリーは、ドクターの声で我に返る 「あ、その、あ、ありがとうございました」 ぺこりと頭を下げるメアリーに、ドクターは微笑を浮かべ歩み寄る 「夜道の一人歩きは危険だろう、目的地があるならタクシーを使うといい。宿を取るなら丁度そこにホテルがある」 そう言ってドクターは、ポケットから紙幣を取り出すとメアリーの手に握らせる ああ、助けて恩を売って更に金で――メアリーはそう考え、都合良く身体を預けるチャンスが出来たと内心ほくそえんだのだが 「可愛い娘のいる飲み屋でも探そうと思っていたが、都合よく貢げる可愛い娘に出会えたものだ。安全のために有効活用したまえ」 そう言って片手を上げ、さっさと踵を返しホテルに戻ろうとするドクター 「え、これ、ええ?」 戸惑うメアリーに、ドクターは首を傾げる 「ん、足りないかね?」 「い、いえ! というかお金を受け取る理由が」 「君の安全が確保される。それが理由さ」 何なんだろうこの女は ただの偽善者なのか、ただのバカなのか、それとも理解し難い何かなのか メアリーは理解ができずにただ戸惑うばかりだったが、どうにかターゲットである彼女に接触し関係を持たなければならない 「あの、行きずりでお金だけ貰うのも……せめてご一緒にお食事でもして、親しい間柄になりません?」 我ながら強引かつ捻りのない誘いだとは思ったのだが 「そうかい? それではそこのホテルのレストランはどうかな」 実に嬉しそうにあっさりと誘いに乗るドクター メアリーは内心頭を抱えつつ、もう酒でも飲ませて無理矢理事に及んでしまおうと考えていた * 「う゛~……」 赤いのか青いのかわからない顔色でベッドに倒れ込むメアリー 「大丈夫かね? 強くないのであれば無理をしてボクに付き合わなくてもよかったのだが」 ――何がだ、あれだけ呑んで顔色すら変えないザルめ ワインだけで何本開け、その摂取したアルコールと水分はどこへ消えたんだ 内心毒づきながら、回る世界と戦い続ける 「この部屋の宿泊費は支払ってある。気分が良くなるまで休んでいるといい」 「……ご迷惑をお掛けします」 「なに、女性に優しくするのはボクの趣味だ」 微笑みを浮かべそっと手を握ってくるドクターに、メアリーは内心ほくそ笑む 最悪、キスの一つ――粘膜接触ができれば、感染発動は可能なのだから 「女同士でこんな事を言うのも……けど、安心できると思うんです……キス……してもらえませんか?」 「ああ、安心してゆっくり休むといい。ボクがついていてあげるから」 そう言って優しい口付けが、頬に 「え、その……」 女好きであるというターゲットの性癖を知っていたせいで、思わず声が出る 「今はまだ友人としての親愛のキスだよ。チンピラから助けた事も旅費や宿泊費を助けた事も過ぎた事になってから改めて君を口説かせてもらうよ。その時にボクを受け入れてくれるなら……ね?」 唇に人差し指を当てられ、それからそっと頭を撫でられる 「ボクは老若も人間かどうかも問わずに食ってしまうから、受け入れるなら覚悟しておきたまえ」 「……判ってたの?」 「多分、刺客か何かだという事も含めてね。そしてボクに刺客が来るとしたら、間違いなく都市伝説絡みだ」 ドクターはメアリーの頭を撫でながら、諭すように語る 「流石に女相手の仕事はあまり無かったんだろう? あちこち不自然なところがあったし、何より『同類』のにおいがしなかった」 「同類って……」 「ん? 端的に言うなら同性愛、レズビアン、百合、タチとネコ。同性相手は流石に不慣れだったんだろう?」 あっけらかんと言い放ち、ドクターは備え付けの電話に手を伸ばす 「多分、そこも含めて君を使ったのだろう。さて……ああボクだ。一番上のフロア……そうそう、バーラウンジのすぐ下、エレベーターからすぐの部屋だ。何、来ればすぐ判るだろう」 諦めの混じった溜息を吐くメアリー 「仲間を呼んで……私を始末するのね」 「馬鹿な! そんな勿体無い事をするわけがない! ……ああいやこっちの話だ。それでは急ぎで頼むよ、何せ」 オートロックのはずの部屋のドアが、音も無くゆっくりと開く 「もう敵が来ているんだ。いやはや、バレていたなら君の言う通り普通に電話連絡でも良かったな」 ベッドを取り囲むように立つ四人の黒服 おおよそ特徴というものを感じさせない中で、一人だけ髪型の違う黒服が二人の前に立つ 「……この様で言うのも難だけど、信用されてなかったのね」 「お前は気付いていなかっただろうが、監視はいつもの事だ。野良の都市伝説などをあの方が信用するはずがないだろう。情に触れればすぐに転がって腹を見せる雌猫風情が」 科学的とはお世辞にも言えない造形の不気味な光線銃を抜くと、その銃口をまずはメアリーに向ける 「今まで合衆国の平穏の為に今まで尽くしてきた事と、この女を護衛から引き離せた事だけは評価して、苦しまないよう消し去ってやろう」 「ふむ、ボクの事はスルーかね」 「貴様が都市伝説と契約しておらず、戦闘能力も有していないのは調査済みだ。痛い目を見ずに死にたいなら大人しくしていろ」 「勘違いしているな、君達は」 ドクターはにやりと笑い、メアリーを抱き寄せる 「ボクは未だ都市伝説とは契約していない。だからこそ、だ」 その言葉を理解したメアリーは静かに目を閉じ その行為を理解したドクターは、交われば死しかないエイズ・メアリーに躊躇無く唇を重ねる 「んっ……ふ……」 呆然と立ち尽くす黒服達など、まるでいないかのように ただ二人きりで愛し合う恋人同士が互いを求め合うように 絡み合う舌が惜しまれながらも解かれ、離れた唇を繋ぐように伝う唾液 都市伝説として己の存在を理解しながらも、それが死を運ぶ行為でしかなかったが故に紡ぐ事を恐れていた信頼の糸 「私の世界へ、ようこそ」 そう言ってドクターに抱き縋るメアリー 「私と契約したあなたは、ウイルス、薬物、その他あらゆるものによる身体疾患……つまり『病気に掛からない』という特性を持つ事になります」 はっと我に返った黒服は、その言葉に改めて銃の狙いを定める 「それがこの状況で、何の役に立つというのかね」 「それは私と共に存在するための契約能力。そして契約により私は私の持つ特性をコントロールできるようになったわ」 そして彼女は宣言する 高らかに、高らかに 「エイズの世界へ、ようこそ」 黒服の視界が、ぐらりと揺らぐ 息が荒くなり身体のあちこちから痛みや痒みが脳に這い上がってくる 「飛沫感染の怖れのある距離ぐらいかしら、効果範囲は?」 崩れ落ち血反吐を撒き散らす黒服達 「なるほど、契約者への特性は、契約者自身を巻き込まないためのものか」 「いざという時に契約者が私を殺せるための特性でもあるわ」 「君が世界の敵になるわけではあるまい?」 「あなたが世界の敵にならないのであれば」 「ふむ、それならば問題は無いな。時にこの感染能力はどれぐらい持続するのかね?」 「発動と持続は一瞬です、その瞬間に効果範囲内にいなければ何の問題もありません」 「だ、そうだ。入ってきても大丈夫だぞ」 その言葉に、廊下で待っていたらしいバイト青年とエニグマの少女が恐る恐るといった感じで部屋に入ってくる 「廊下に残ってた連中はもう『沈め』ました。完全にこの連中の上を敵に回しましたね」 肩を竦めるバイト青年に、ドクターも肩を竦めて首を振る 「まあ仕方ないさ、南米の総統閣下には後で詫びを入れておこう」 「それを伝えるのは小官なのでありますが」 「済まない、この埋め合わせはいずれ必ず」 ドクターに親愛を込めて抱き締められ、わたわたと暴れるエニグマの少女 「そ、総統閣下より入電であります! 日本の総統閣下が医療従事者を求めているそうなので、そちらへの転属を手配するそうであります!」 「日本?」 「強力な都市伝説が集う町があり、日本の総統閣下がそちらへの人材を求めているそうであります! 奴らの干渉も薄い特殊な地区らしくドクターの赴任には最適かと!」 「何から何まで、ありがたい限りだ。同行者が一人増えたのだが問題は無いかね?」 「あまり大規模にならなければ全く問題は無いそうであります! 転属をお受けいただけるでありますか!」 「無論だ。君達も構わないだろう?」 「まあ俺は元々日本の生まれですから」 「あなたが行くところであれば何処へでも」 部屋の死体を異次元のホルマリンプールに沈め片付けながら応えるバイト青年と、ただ微笑みドクターの傍らに寄り添うメアリー 「航空機は手配されておりますので、準備が済み次第出発できるという事であります!」 「ああ、ありがとう。総統閣下に宜しく伝えてくれ」 「了解であります! それではご武運を!」 移動用の航空機に関するメモを残すと、エニグマの少女はびしりと敬礼をして部屋を後にする それを見送って一息ついたところで、バイト青年が呟く 「こいつら、死体が残らないんですね。プールの連中が首を傾げてましたよ」 「敵ながら、後始末が楽で良いだろう?」 見れば、部屋に残されていたはずの血痕も見る間に黒い塵となって空気に溶けるように消えていた 「こいつらの上って一体何者なんですか。まさか本当にアメリカ政府が雇ってるわけじゃないでしょう」 「ふむ、遠からず近からず。都市伝説の雇い主は都市伝説だよ」 ドクターにしては珍しい、吐き捨てるような嫌悪混じりの声 「ロシアの『スターリン・ジョーク』と双璧を為す都市伝説。『アメリカ政府の陰謀論』とその契約者さ」 そして彼女達は南米を離れ、都市伝説が色濃く渦巻く日本の一都市を訪れる事となる そこで起こる出来事は、これから記される事となるだろう 前ページ / 表紙へ戻る / 次ページ
https://w.atwiki.jp/gc2nd/pages/78.html
アクスレイ 後のトレジャースタッフが開発した、というトリビアを披露される事があるが、スタッフロールで確認できるトレジャースタッフはサブプログラマー1名のみ。 操作に慣性があると言われる事があるが、実際は慣性が付いているのはカメラのみ。 縦スクロールステージの遠近表現はスーパーファミコンの拡大機能を活かした演出、と解説される事があるが、実際にはラスタースクロールの応用。 がんばれゴエモンシリーズ ゆき姫救出絵巻が150万本、奇天烈将軍マッギネスが200万本売れたとするコピペがネットに出回っていたが、資料としてはこれを否定する物しか報告されていない。 https //twitter.com/xnagawax/status/1403941472844410895 クロノトリガー 強くてニューゲームがクロノトリガー発祥という説がネットで広まっていた。実際には正式名がなかっただけで80年代作品にも見られる機能。 真・女神転生 電源を入れた時に1/65536の確率で画面全体に赤文字ですぐに消せすぐに消せ…と表示されるというネット都市伝説。 実際には2chのネタ投稿がニコニコ動画で事実風の説明文で再現動画を作られた事で広まった物。 このため老舗のメガテンサイトなどでは特に取り上げられていない。 仮にこの現象が実在したとして、どうやって正確な確率を知ったのかというツッコミ所もある。 この現象は開発者から否定されているが、パロディー演出として一部作品に逆輸入されている。 アメリカ大使トールマンはアメリカ大統領ハリー・S・トルーマンが由来、という説が常識として語られているが、 開発者のインタビューでは似ているのは出来すぎた偶然とされている。 スーパーダライアスⅡ ゲームカタログに全てのゾーンに専用ボスが配置された、という前作と混同したデマが書かれていた。 スパルタンX 24周目をクリアすると恋人のシルビアが襲ってくる、という架空の仕様が「ファミコンロッキー」に掲載されていた。 ポケットモンスターシリーズ 任天堂最強法務部伝説として、ユリゲラーが起こした裁判に「ではここで超能力を使ってみてください」と機転を利かせて勝訴したとする逸話が出回っていた。 実際にはこのようなやり取りがあった記録は見つかっておらず、賠償請求はユリゲラー敗訴になったとされるものの、 2020年にユリゲラー側が使用禁止要請を解除するまでポケモンカードでユンゲラーが封印カードとなるなど、実際の商品展開に影響を及ぼしている。 https //wiki.xn--rckteqa2e.com/wiki/%E3%83%A6%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%A9%E3%83%BC%E8%A3%81%E5%88%A4 タッチ 卑猥なパスワードを採用したため原作者が激怒したという風説が伝わっていた。 解析によると実際は大抵のパスワードが通るだけだったとされる。 https //triplequotation.web.fc2.com/Analyze/Elucidation/Elucidation.html#Touch ドラゴンクエストⅡ いのりのゆびわは渡しながら使うと壊れない、という情報が流通していたが、実際には壊れる。 掲載サイトの例。http //mtstnzm.sakura.ne.jp/series/dq2/index.html ドラゴンクエストⅣ お告げのほこらで「あすをいきられない」という怖い台詞が流れるというネットコピペが存在する。 大技林などの裏技本で後期版はメタル聖水や8逃げ技が修正されたとされていたが、実際には国内で修正されたバージョンが確認されていない。 ドラゴンクエストⅤ 隠しボスのエスタークを規定ターン内に倒すと仲間になるという噂が全国的に広まっていた。 リメイクでは噂が逆輸入される形で「プチターク」が仲間になるという要素が追加された。 ファイナルファイト2 前作よりキャラが小さいという事実と異なる批判がレビューサイトやゲームカタログに掲載されていた。 ファイナルファンタジーⅣ マルカツスーパーファミコンに「ゼムスキラー」という武器が存在するという誤情報が掲載された。 https //wikiwiki.jp/ffdic/%E3%81%9D%E3%81%AE%E4%BB%96/%E3%80%90%E3%82%BC%E3%83%A0%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%80%91 耐性装備を付けるとバグで弱点が増える、という誤った解説がFF辞典やそれを参照した大手動画で拡散された事がある。 実際はこの現象はアダマンアーマーでのみ起きる、通常プレイの範囲では遭遇しないバグ。 セシルを育てると敵が早くなるという誤った解説をされる事がある 実際はセシルと一定以上スピード差が付いた敵はそれ以上早くならないという 計算式の飽和を突いたテクニックのため、それ以下であれば速さに比例した行動回数で動く。 DS版FF4で主題歌オーディションに不正があったとする誹謗中傷デマを匿名掲示板やFF辞典に書かれていた事がある。毎回異なる内容が投稿されていたが、全てデマだった。 ゲームカタログでは対処法やヒントのあるシーンを理不尽な運ゲーと書き立てたり、 マップやオート機能などのどう考えても無いよりあったほうがいい追加機能を謎の減点法で問題点と書き立てるなどデマの限りを書かれていた。 特に気が狂っていた要素として、召喚演出スキップ機能の存在を隠して 「召喚を使うと入力中の操作が何の意味もなく突然キャンセルされる現象」かのように捻じ曲げたデマが書かれていた。 ファイナルファンタジーⅤ 海底に存在する意味ありげなモアイに何か秘密があると言われていたが、何もなかった。一部リメイクでは隠しダンジョンに使用されている。 ファイナルファンタジーⅦ 隠しマテリアを使うとある人物が生き返る、という噂。 https //wikiwiki.jp/ffdic/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%86%E3%83%A0/%E3%80%90%E6%B0%B4%E4%B8%AD%E5%91%BC%E5%90%B8%E3%83%9E%E3%83%86%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%80%91 ファミリーコンピュータ本体 赤を多用したデザインはその色の素材が安かったから、と一時期報じられていたが、その後否定されている。Wikipedia等参照。 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/legends/pages/2938.html
俺様は「獏」だ。 名前はまだねぇ。 俺様は中国の山奥で生まれた。しかし「飽き」ってのは必ず来るもんだ。 ここでの暮らしに飽きちまって、はるばる海を越えて辿り着いたのは日本のある町の山。 意外な事に、ここにも数頭獏がいてな。俺様の性格が良すぎたもんで、すぐに打ちとけちまった。 そいつらは俺様の知らない事を色々話してくれた。 (獏 「都市伝説」? ぁんだそりゃ? (獏A え? 知らないのかい? (獏 あぁ。 中国じゃ聞いたことがねぇ。 (獏A 妖怪やUMA、怪奇現象・・・そういうものをひっくるめて人間はそう呼んでるんだ。 君や僕等のような伝説上の生き物も「都市伝説」に分類されるんだよ。 (獏B それがこの町では多く出没してまして。 それらの所為で恐怖に怯える人間も多くて、まずい夢が殆どなんですよ。 (獏 へぇ・・・俺様が・・・つぅか、そういうのが多いんだったら人間も少ないんじゃないのか? 町を離れたり、その都市伝説に殺されたり・・・ (獏A 大丈夫だよ。 この町には「契約者」も多いからね。 (獏 は? 何だって? (獏A 「契約者」。 何て言えばいいんだろうね、人間と都市伝説が手を組むんだよ。 (獏B 基本的に、彼等は「都市伝説」と戦っているんですが、 「組織」のようにこの町を守る人間もいますし、 中には「都市伝説」の力を利用して悪事を行なう人間もいます。 (獏 そいつぁ面白そうだな。 (獏B 「獏」と契約したっていう人間はまだ聞いた事ありませんけどね。 でも夢系都市伝説に耐性があるので、ある程度重宝されるんじゃないでしょうか。 (獏A それに、契約したら強い力も手に入れられるっていう噂もあるし。 ま、僕達は興味ないけどね。 自由が一番だよ。 強い力・・・俺様はその言葉に惹かれた。どんな力なのか、気になって仕方がなかった。 数日間、そいつらから「都市伝説」や「契約」について、 ついでにこの町のことも片っ端から聞きだして、この山を後にし、町へと向かった。 既に2ヶ月も経過した・・・マシな奴が見つからねぇ。 そもそも俺様が探していたのは、「若い」人間だった。 契約してすぐに死なれると厄介だからな。 もう夢の力も尽きかけていた。 誰でもいいから契約させろ、そう思っていたら、だ。 1人・・・2つの都市伝説と契約していたガキがいたんだ。 先客こそいるが、この際どうでもいい。 俺様は早速、そいつの夢に入り込んだ。 (ガキ ん?ここは――― (獏 目が覚めたか? (ガキ おわ! 熊と象の化け物!? 失敬な奴め!しかし「獏」とそのままいっちまうと拍子抜けされそうだ。ここは1つ騙しちまおう。 (獏 違う! 俺様は“夢”を司る神だ! (ガキ 神? 夢を司る? わかった、これは俺の夢だな? (獏 そうだ。 夢を通してテメェに話しかけている。 しかし気づく。 俺様は2ヶ月も探し回っていたのに、 前にこの東区にきた時、こんな気配を持った奴はいいなかった。 (獏 テメェ、この町の者ではないな? (ガキ まぁね。 前にいた町に中学校がなかったから1ヶ月ほど前にこの町に越してきたんだ。 で、熊さん? 何か用? 白い貝殻の小さなイヤリングなんて落としてないけど? (獏 だから熊ではないといっているだろうが! 今すぐ俺様と契約しろ! (ガキ は? 何を言い出すかと思えば、お前都市伝説か。 あのね象さん? 俺はもう既に2つの都市伝説と契約してんだ。 これ以上は流石に無理だぜ。 それとも何か? デメリットが帳消しになるのか? ククク、俺様の勝ちだな。 (獏 デメリットなどを恐れるようでは、大した契約者ではなさそうだな。 (ガキ カチン! 言いやがったな? 俺を誰だと思ってやがる? いいぜ!どうせ夢なんだし、言ってやるよ! (獏 ほぅ? 何を言うと? (ガキ 決まってんだろ! この俺、黄昏裂邪が! お前と契約してやる! (裂邪 理夢~? 理~夢~? (理夢 うおっと、何だ主? (裂邪 今日の収穫具合はどんな感じよ? (理夢 まずまずな夢ばっかりだな。 なんつーか、良くも悪くもない意味不明な夢ばっかりだ。 (裂邪 どんだけ意味不明なんかすげぇ気になるんだけど。 あとで見せてよ。 (理夢 バーカ、夢の力吸収してからじゃねぇと無理だ。 (裂邪 え~!! 最初は後悔もしたさ。 契約者がまさかこんな奴だとは思ってもみなかった。 俺様を足代わりに扱き使うし、年下の少女に手を出すし・・・ でも何でだろうな。 そういうところもひっくるめて・・・何つったらいいんだ? こいつを認めちまうっつうか、こいつらしいっつぅか・・・とにかく、時間って怖ぇな。 (理夢 バクッ!・・・うっし、チャージ完了だ。 (裂邪 そうか。 じゃあ家まで全速力でダーッシュ! (理夢 OKィ! ...END 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1937.html
正義の鉄槌 日常編 02 ――――深夜の住宅街。 俺と彼女は、いつものように夜警に当たっていました。 「兄貴になまはげにシンデレラおばさん……この町へ来てからまだ2日しか経ってないのに、遭遇した都市伝説は3人、ですか……」 「…………多い」 俺の言葉に、隣にいる彼女が頷いてくれます。 大体10年ほど前から共に行動を始めた彼女……名前はアリスと言います。 ちらりと横を見れば、まず目に入ってくるのは腰まで伸びる長い金色の髪と、蒼い目。暗い夜でも、彼女が日本人出ない事は一目でわかるでしょう。 ……と言って、彼女の国籍は日本の、しかも生粋の外人ではなく日本人と英人のハーフだと言うのですから、人間は外見で判断できませんね、全く。 ちなみに年齢は14歳ですが、童顔の関係で一見すると小学生にも見えます。本当に、人間は外見で判断できないものです。 「…………何?」 少しの間見つめていたからでしょうか。その視線に気づいたアリスが尋ねてきました。 「ああいえ、ただちょっと見とれていただけですよ」 「…………そう」 真顔で答えた俺に、アリスの頬が少し朱に染まったのが、この暗さでも分かります。 ……ああもう、可愛いなぁ、全く! ここがもし屋内だったら遠慮なく抱きしめている所ですが……不幸な事に今俺達がいるのは町中で、しかもそろそろ日を越そうかという深夜。 ただでさえ警官に見つかれば補導される様な時間です。もし今アリスに抱きつく所を見られでもしたら、ロリコンなんて不名誉な称号と共に余生を過ごす事になるでしょう。 まぁ、アリスは実際俺の彼女なわけですから、そう言われても仕方ないのかもしれませんが……。 ……いや待って下さい。彼女なら俺が抱きついても問題はないんじゃないんでしょうか? ああいやしかしこの国の警察相手となると弁解の一つも聞いてもらえなそうですし……。 「…………あ」 悶絶する俺をよそに、アリスが小さく声を洩らしました。 その視線が、とある方角に固定されています。 「どうしました?」 アリスの視線を辿り、住宅街の一角へと目を移します。 その視線の先、暗がりから姿を現したのは―――― 「……口裂け女?」 膝まで覆う長いコートに、顔の半分を覆うマスク。 その姿格好だけ見れば口裂け女のそれですが……。 「…………でも、男」 ……そう、短髪に広い肩幅。少し優男の部類に入るような体格ですが、そのコートを来ているのは間違いなく男性でした。 口裂け男なんて聞いた事はありませんが……。 警戒する俺たちに向かって、男が口を開きました。 「――俺、イケメン?」 「………………」 「………………」 ……何と言えばいいのやら。 恐らくこの男性、口裂け男でまず間違いはないでしょう。 しかしまさか「イケメン」かどうかを問われるとは思いませんでした。 普通の口裂け女なら「それなりに」と答えれば正解なはずです。 しかしもしそう答えたとして、「それなりに」イケメンって何でしょう。それは日本語として成立しているんでしょうか。 しかし口裂け男はずっとこちらを見つめて立っています。ずっと待たせるわけにもいきません。 制限時間があるのかどうかは知りませんが、試しに聞いてみるのもいいでしょう。 「ええと――――」 口を開き、言葉を紡ごうとすると 「ああいや言わなくて良いんだ少年。俺がイケメンなのは自分でもわかってるよ。しかし聞かなくては俺の都市伝説としての存在意義にかかわってしまってね。大俺がイケメンなのは分かり切っているのにイケメンかどうかを尋ねるのはどうかと思わないか?そもそもイケメン都市伝説として生まれてきた時点で俺がイケメンなのは明らかなわけで――――」 ……マシンガンのような言葉が、口裂け男から飛び出してきました。 何と言っているのかは分かりませんが、数秒に一回「イケメン」と言う単語が出ている所を見ると、どうやら自分の容姿について語っているようです。 そこから推測するに、恐らくこの男性は自分大好き、つまるところ「ナルシスト」と言う部類の人間なんでしょう。 ――出来れば関わり合いになりたくない人種の方ですね、はい。 そんな彼にどう対応していいのか俺には分かりません。むしろ出来れば対応したくありません。 と言うより、質問をした後に延々と自分語りを始める彼はある意味人畜無害なんじゃないのでしょうか? ……ふむ、どこぞの誰がこんなナルシストな口裂け男の話題を流し、作ったのかは知りませんが、これはもしかして退治しなくてもよい都市伝説なのでしょうか。 「……アリスは、どう――――」 「…………不細工」 「――――思いますか……って何を言っているんですか、君は」 ああほら、言われた口裂け男が固まっているじゃありませんか。 ギギギギ、と音がしそうな程ぎこちない動作で口を上げる彼。 「君……今何と言ったんだね」 「ああいや何でも無いんですよ何でも。ですから自分語りでも何でも勝手にやっていてくれれば、ね。……ほら、アリスも何か言って」 「…………不細工」 「はうあっ!?」 「そうじゃないーっ?!」 崩れ落ちる口裂け男。 その手が懐から何か光る物を取り出してますが……そうですよね、口裂けと名がつくには持っているんでしょうね。 「ふ、ふふふふふふ…………」 懐から出したそれは、よく研がれた大きな鋏。 そしてそれが向けられた先は……アリス。 「てめぇも同じ顔にしてやろうかーーっ!!!」 そう言って、口裂け男がアリスに向かって鋏を振りかぶりました。 ……これがもし普通の男女なら、俺が身を呈してアリスを守る場面。 ですが、彼女にはそんな援護は必要ないでしょう。 殺意を向けられたアリスは、両手を上に上げて、一言呟きました。 「…………カンガルーさん」 同時に響く、ズン、と言う重い音。 どこか異空間から現れた「それ」を見て、口裂け男がマスクの裏で口を大きく開けているのが分かります。 「……何だ、これ」 「それ」は、全長5メートルは超えようかという、カンガルー。 月明かりが、そのビル数階分にも及ぶ身長を強調しています。 さもの口裂け男も圧倒されているようでした。 ……と、言うか 「――住宅地でこんな大きな生物を出したら駄目だと言っているでしょう? アリス」 今はまだ気付かれていませんが、もしこんなカンガルーがここの住民に目撃されれば、大騒ぎになる事必死です。 そんな事になれば「組織」が動くでしょうし、俺達にその目が向く可能性もあります。 まだこの町へ越してきてから2日。出来ればまた引っ越しなんて事態にはしたくありません。 ですから―――― 「もっと小さな動物にしなさい」 「…………分かった」 不服そうに、それでもアリスは頷いて、手を自分の胸の高さまで降ろしました。 そしてその手をパンッ!と叩くと 「消えていく…………」 どこか異空間へと消えていくカンガルー。 それを見て、口裂け男がポカンと口を開けていました。 ……というか、あんなに開くんですか、あの口。顔の半分以上覆っちゃってるじゃないですか。 「…………クロオオアリさん」 呆ける口裂け男を無視して、アリスが再び両手を上に上げ、呟きました。 それと同時に彼の目の前に出現する、黒い物体。 次に出現したのは、先程のカンガルーよりは小さい、全長1メートル程の蟻。 ……まぁ、これなら許容範囲でしょうが…… 「……比率、おかしくないですか?」 確か通常の蟻の全長は、大きいものでも数センチ程度。 先程のカンガルーが通常の2、3倍の大きさだとすれば、この蟻は恐らく通常の何十倍もの大きさを誇っているはずです。 しかし、それに対するアリスの答えは 「…………大丈夫」 と言う、たったの一言。 一体何が大丈夫なんでしょうか。 時々彼女の思考がよく分からなくなる事があります。 ……これが「女心」なのでしょうか。 なるほど、複雑です。 「はっ、今度は何かと思えば、蟻ちゃんか」 新たに現れた動物……と言うより、昆虫を見て、おかしそうに笑う口裂け男。 あぁ、笑っても顔の半分を覆うのですね、あの口は。 「駄目だなぁ、全然イケメンじゃないじゃないか、君。俺を見習い給え。そんなんじゃ俺に勝てるようになるのに後10年……いや、100年はかかるよ?」 ポンポンと蟻の肩を叩きながら、口裂け男は笑い続けています。 正直、言っている内容の意味はよくわかりません。 彼にとっての「強さ」は「イケメン」に比例でもするのでしょうか。 いや、確かにこの世は「※ただしイケメンに限る」などと言われているご時世。 もしかしたらその等式も正しいのかもしれません。 が、どう考えてもこの場でその等式が成り立つわけがない、と言うよりも成り立つはずがないと思うのですが……。 ――――ガシリ、と。 「…………お?」 肩に置かれた腕を取る蟻。 その様子を、口裂け男は不思議そうに見つめていました。 どこか、呆気にとられたような様子で。 「ふ、ふふ……あ、蟻にしては力強いじゃないか」 プルプルと、口裂け男は腕を引き抜こうとしています。 しかし、全く動かない腕。 と言うよりむしろ、段々とその締りがきつくなっているような、いないような。 ギリギリと言う音が聞こえるような、聞こえないような。 「あっ、ちょっ、い……痛くはない、痛くはないんだが……は、離してくれると、お兄さん嬉しいなぁ?」 ギリギリギリギリギリ…… 「い、いや? 痛くはないんだよ? でも、出来ればちょーと離してくれるだけでも……」 ギリギリギリギリギリ…… 「い、痛くない! 痛くないぞ! こ、このイケメンの俺にかかれば、これくらい……」 ギリギリギリギリギリ…… 「やっぱり痛いですすいませんごめんなさいちょっと離してくれませんかお願いします」 うわ、弱ぇ……。 「あ、アリス? ちょーっとやり過ぎなような気がしなくもないんですが……」 「…………やっちゃえ」 わーお、なんて非情! 天国のお父さん、お母さん、女の人って怖いとです……。 ……いや、まだ死んでませんでしたっけ、俺の両親。 「ちょっ、タンマっ! 来ないでっ! 離したのはいいけど何で顎向けてるの、君! 無理! 俺おいしくない! おいしくないよーっ!?」 一人自分のツッコミを入れていると、どうやら話が進展したのか口裂け男が何やら叫んでいます。 ……何やら「おいしくない」がどうのこうのとか不穏な単語が聞こえてきたのは気のせいでしょうか。 「何やってるんですか? あれ……」 「…………捕食」 ……聞かなければよかった。 その間も、むしゃむしゃとかパクパクとかぼりぼりとか色々な音が聞こえてきます。 ……何の、どの部位を食べる音かはご想像にお任せしましょう。 「いやっ! 生きたまま食われるなんて嫌ーっ!?」 その日の夜数時間、町中に響いた絶叫。 後に「夜道を歩いていると人の叫び声が聞こえてくる」なんて都市伝説が誕生したらしいですが……。 それはまた、別のお話。 【終】 前ページ次ページ連載 - 正義の鉄槌
https://w.atwiki.jp/legends/pages/171.html
夕日が、ゆっくりと沈んでいっている 幸い、今は校内や学校周辺では、都市伝説絡みの事件はない たまっている仕事も無い 今日こそ、さっさと帰って寝るとしよう 白骨標本と変態には、見回りの警備員が見ている時には動かないように言っておく 自転車置場に向かい、自転車に乗り込もうとした所で…携帯が、着信を告げてきた 誰だ、と思いながら番号を確認し…着信拒否したくなる衝動にかられた が、そうした方が後々面倒になると判断し、電話に対応する 『あ、兄さん?』 向こう側から、何とも嬉しそうな声が聞こえてきた 相変わらずの、能天気な声 実の弟ながら、鬱陶しい 「…どうしたんだ」 『兄さん、今日は仕事、夜までかかる?』 「いや、今日はもう帰るが」 『そう?良かった。それじゃあ、僕、夕食作って待ってるからね』 家で待っている、とでも言うその様子に、眉をひそめる …まさか、こいつ、「また」家に上がりこんでいるのか? 「……鍵は変えたはずだが」 『うん。変わってた。でも、大家さんに身内ですって言ったら、鍵貸してくれたよ』 あの大家め 面倒な事を 小さく舌打ちした音が、向こうに届いたかどうか とにかく、弟は楽しそうな声で続けてくる 『兄さん、最近物騒だし、早く帰ってきてね?兄さんのボディガードは、学校の外に連れ出せないんでしょ?』 「…あいつらはボディガードじゃない」 特に、変態の方は あんなボディガードはいらん 死んでもいらん まだ何か言ってきていたが、強引に電話を切る …今度、アパートの大家には、あいつがやってきても鍵を貸さないようにしっかりと言っておかなければ ため息をつきながら自転車に乗り込み、走り出す ……あの、弟は 自分の、実の弟 自分とは似ても似つかぬ性格の、あの馬鹿 どうしてこうも、自分に構ってくるのか 女の一人でも作って、そっちの相手でもしていればいいだろうに さっさと兄離れしろ、馬鹿が 心の中で愚痴りつつ、自転車を走らせる アパートまでは、学校からさほど遠い距離ではない 通勤時間が短くすむ、という理由で選んだアパートなのだから ………が こう何度も不法侵入を繰り返されるようでは、とっとと引っ越した方がいいのかもしれない 真剣に、引越しを検討しようかと考え出した、その時 「…………っ!?」 進行方向目の前に立つ、その影に 思わず…自転車を、止めた 止めてしまってから、後悔する …しまった とっとと、逃げるべきだった アパートまで、あと少しという位置 急いで逃げれば、振り切れたかもしれないというのに 進行方向に立っていた影は、どうやら男らしかった らしい、と言うのは…そいつの顔は、包帯で完全に覆われていて、顔で男女の判別ができないからだ 恐らく、男であろう…こちらの、当たってほしくない予感が、当たっていれば 包帯は、全身に巻かれているらしい 目があるべき場所は、一応空けられているが…しかし、そこに目玉は存在しない ぽっかりと、闇のようにあいた穴があるだけだ コートを着たその男は、変質者のように荒い息を吐き…こちらに、近づいてくる 「…注射をしても、いいかい?」 あぁ、やはりか 何故、嫌な予感に限ってあたるものか 「……注射男か」 人を襲うタイプの、厄介な都市伝説 普通、子供や女を狙うはずで、自分などターゲット外のはずなのだが 注射男 夕暮れ時、帰宅している小学生に、そいつは声をかけてくる 「今、何時だい?」 もしくは 「注射をしてもいいかい?」 と 前者であれば、時間を確認しようとしたその瞬間、腕に注射を刺される 後者であれば、問答無用に注射を刺される 果たして、その注射器の中の液体の正体は何なのか? それは、誰にもわからない ただ、はっきりしているのは…その注射を刺された者は、目から、鼻から、口から血を流し …死んでしまう、と言うことだけだ 「…ねぇ、注射をしても、いいかい?」 じりじりと、そいつは近づいてくる ごそり コートのポケットに手を突っ込み…注射器を、取り出してきた じりじりと、こちらとの距離を狭めてくる ……まったく、こんな場所で……! 自分が契約している都市伝説の弱点の自覚を、否応梨に自覚する 人体模型、白骨標本 どちらも、しっかりとした実体をもっており、誰にでも目に見える都市伝説 ゆえに、常に連れ歩く訳にはいかないのだ あんな連中連れ歩いていたら、正気を疑われる 「注射…しても、いいかい?」 「断る」 とにかく、これだけは答えておく 拒絶したからと言って、見逃してくれるとは思えないが 「…駄目、かい?」 …にぃいいいいいい 注射男が、薄気味悪く……笑った 「でも…私は、注射をしたいんだよねぇ……!」 ぎらり 夕日に照らされ、注射器が光る さて…どうやって、この状況から逃げ出そうか? 思考を働かせ続けていた、その時 視界に…注射男の、後方に、見えてきた、そいつの姿に げ、と別な意味で逃げ出したくなる 「兄さん!」 あの野郎 家で待っているとかほざいていなかったか 何故、ここに来やがるか 必死に走ってきやがって …いや 今回、はそのお陰で助かるが 弟が叫んだものだから、注射男は、くるり、そちらに向かって振り返った だが、もう遅い 反応すらできないだろう 弟は、ペットボトルを一本、手に持っていた 自販機でも買える大きさの……コーラの、ペットボトル 弟は走りながら…勢いよく、その蓋を、空けた ごぽ ごぽごぽごぽ、と ペットボトルから、コーラが溢れ出す そのコーラの液体は、物理法則を無視して、らせん状になりながら、注射男に向かって飛んでいく 「っ!?」 その危険性を、ようやく察知したらしかった 注射男は迫り来るコーラから逃れようとするが、身体能力自体は普通の人間とさほど変わらないのだろう 逃れる事は、できない 注射男に向かっていくコーラは、そのまま勢いよく…注射男の口の中へと、注ぎ込まれていく 「っがぱ!?」 ごぽごぽごぽごぽごぽごぽ 注射男が苦しげにうめくが、コーラはそのまま注ぎ込まれていく じたばたともがく注射男 その、体が びくり、大きく痙攣した 「……っが……!?」 …じゅうぅううう…と 注射男の体から、煙が立ち昇り始める その体が 内側から、ゆっくり…ゆっくりと、溶かされていっている 激痛に悲鳴をあげようにも、口にコーラを流し込まれ続けては、悲鳴もあげられまい いっそ、さっさと殺してくれた方がマシレベルの激痛を、今、注射男は味わっているはずだ 「…苦しい?」 にこにこと コーラのペットボトルを手に持ったまま、弟は注射男に笑いかけている 「僕の兄さんに襲いかかろうなんて千年早いよ。じっくり苦しんで死んでいってね」 …ごぽぽぽぽぽ、と ペットボトルから溢れ出ているコーラは、なくなる事がない そのまま、コーラは注射男の口に注がれ続けて… 注射男はもがき、苦しみながら、ゆっくりと融けていった …注射男が、完全に解けたのを確認し 弟はにこにこと笑いながら、こちらに駆け寄ってくる 「兄さん、大丈夫?何もされてない?」 「…こいつに注射を刺されていたら、とっくに死んでいる」 こちらの言葉に、良かった、と弟が笑う …自分と、同じ顔 一卵性双生児の、双子の弟は、こうやって、こちらとは全く違う印象の笑顔を浮かべる こちらと違って、人付き合いもうまいのだ、とっとと結婚して子供でも作っていろ、と思うのだが …何故、ブラコンヤンデレになど育ってしまったのか 自分と同じ育てられ方をしたはずなのだが、何故こうなった しかも、この弟まで、都市伝説と契約していると知った時は、自分の運命を呪いたくなった 「だって、契約すれば、兄さんを悪い都市伝説から護れるでしょう?」 と、当たり前のように言ってきた時は、とりあえずひっぱたいておいたが 弟が契約した、都市伝説 『コーラを飲みすぎると骨が融ける』 進化した能力なのか、それともこいつと契約したせいなのか このコーラは骨どころか、全てを溶かす凶器となる 弟が溶かしたいと思ったもの その全てを溶かしてしまうのだ 凶悪極まりない能力 しかも、こちらと違って持ち運びも便利ときたか なんてチートな野郎だ 「…とりあえず、溶かしすぎだ、馬鹿。どうするんだ、この状況」 「………あれ?」 じゅぅううううう 注射男を溶かしたコーラ どうやら、注射男を溶かし尽くしても、まだ、余っていたようで 道路まで、溶かしていっている 流石に、道路の下を走る配水管まではいかないとは思うが 明らかに、溶かしすぎだ 不自然な穴が残る事は間違いない 「まぁ、いいじゃない。兄さんが無事だったんだし」 確かに、自分が無事だったのはいいのだが …こいつに何を言っても、暖簾に腕押しになりそうで、面倒くさい 小さくため息をつき、自転車を押し始める 「…誰かに目撃される前に、とっとと帰るぞ」 「うん、兄さん」 弟は、素直に後ろをついて来る …いっそ、自転車に乗っていって置いて行こうか、などとも考えたが そうやって締め出して、アパートの扉を解かされてはたまらないので、我慢する 「…お前、夕食作ってるとか言ってなかったか?まさか、コンロの火をつけっぱなしとかいう状態で来たんじゃないだろうな?」 「大丈夫、そんなベタなお約束はしてないよ。夕食のカレーはちゃんとできてるから、帰ったらあっためて食べようね」 「玄関の鍵はかけてきただろうな?」 「大丈夫だよ。兄さんの部屋に、不審者が上がりこんだら大変じゃないか」 むしろ、お前が不審者だ その言葉を、喉元で押さえ込む こんな奴でも、一応仮にも時として身内だ 決して、嫌っている訳ではない 鬱陶しいとは思うが 多大に問題のある弟を後ろに引き連れながら 不良教師は深く、深く、ため息をつくのだった fin 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
https://w.atwiki.jp/legends/pages/1953.html
「ソニータイマー」 「やあ、僕の名前は任天 堂寺。ゲームが大好きな普通の高校生さ。強いて人と違うところをあげるとするなら、 幼女に興味があるってことかナー」 どこかで聞いたような台詞を呟く青年は任天堂寺。公立の高校に通う2年生である。そして最後の台詞からも分かるように彼にはロリコンの気がある。彼はいつものようにプレステ2を楽しんでいるのだが… 「よし、順調に進んでる。あとはラ○ポスを5体倒せば終わりだな」 彼は今モ○ハンをプレイしている。 「よし、あと2体…ってアレ?」 突然、画面の映像が消える。コントローラーの操作も利かない。 「???…故障か…?何でこんな時に………!!?」 彼が困惑していると、画面に初代ド○クエのような文字が浮かび上がるのであった…《ケイヤクかんりょう》と… 『オドロイタカ?オレノナマエハ「ソニータイマー」。キカイニヒソム“都市伝説”ダ』 なんだこの声?どこから聞こえてくるんだ?と言うかそもそも都市伝説って何なんだ!!? 突然の出来事に彼は驚きの表情を隠せないでいる。 「どこにいるんだ? それに都市伝説って一体…」 『ココダ』 声の主がPS2の中から現れる。それはまるで目覚まし時計のような姿だった。 『都市伝説ッテノハナ、…マアカンタンニイウト〈ニンゲンノウワサガグゲンカシタヨウナモノ〉ダ。 都市伝説ハニンゲント“ケイヤク”スルコトデニンゲンニジブンノノウリョクヲアタエタリ、ミズカラノノウリョクヲパワーアップスルコトガデキル。 チナミニオレノノウリョクハ、〈視界ニハイッタモノニ“SONY”マークヲツケル〉、〈“SONY”マークヲツケタモノガ、作ラレテカラ1年イジョウタッテイタバアイ、ジブンノ指定シタ時間ニ、ソレヲコワスコトガデキル〉ダ』 「…成程、大体理解した。でも何故僕を契約者に選んだんだ?」 冷静さを取り戻した彼は、ソニータイマーに質問をする。 『オマエヲエランダリユウカ?順番ニセツメイスルカラヨクキケヨ。マズ、最近アタリデワルイ都市伝説ガサワギヲオコシタリシテル。デ、オレタチハソイツラヲタオサナケレバナラナイッテコトダ。 ダガソレニハオレノチカラダケデハ荷ガオモスギテナ、ソレデ“ケイヤク”ヲスルヒツヨウガアッタ。デ、ゲーム好キナオマエト、オレハアイショウガヨカッタッテワケダ。アトハマア…オレノ知名度ヲアゲルコト…ダナ。』 「おk把握した。つまり産業で説明すると、 都市伝説が暴れてる! でもオレだけの力じゃどうにもできない! あなたと…契約したい…←今ココ ってことだね?」 ソニータイマーの説明を理解した彼は、何故かそれを三行にまとめる。 『ナカナカリカイガハエージャネエカ。ジャ、ソウイウワケデコンゴトモヨロシクナ。…エット…』 「堂寺でいいよ」 『…堂寺』「こちらこそよろしく。ソニータイマー」 こうして、彼は都市伝説と契約し、“普通の高校生”では無くなるのでした 続く…かも
https://w.atwiki.jp/legends/pages/4870.html
「ビオ……やっぱり、ビオなんだな……?」 見下げるように聳える蛇型ロボットに、 裂邪は小さな声で、呟くように問いかけた 「人間は面白いものを創ってくれたものだ… 夢などという下らないものを持ちながら、絵空事を紙に書いて夢のまま終わらせる そうして都市伝説となってしまった兵器達がこの世に幾つも存在する 僕はそんな兵器達を手駒として製造した でもそれだけじゃ面白くない 他の都市伝説を合成させ、より強力な都市伝説に“改造”してあげたのさ 使えなければ廃棄処分し、また製造すれば良い その工程を何度も繰り返し、より強力な機械軍団を作り上げた 中でもこのβ10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land Sea-1935228は、 僕の最高傑作だと言っても過言じゃない 直接命令した事を忠実にこなすだけの他の兵器とは違い、 「人工知能」によって細かい状況も可能になった奇襲用兵器さ 結果として何千もの人間、何百もの町を破壊した……血塗られた大蛇だよ」 「黙れ! それはお前が強引に押しつけた結果だろうが! こいつは……ビオは、好きで人を殺した訳じゃない!」 「ビオ? そんな下らない名前までつけて…つくづく人間は愚かな生き物だね」 「……ッ!!」 2本の大鎌を構え、β-No.0との距離を詰めた が、彼の前にビオが立ち塞がった 「っ!?」 「β10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land Sea-1935228、 殺し方は君の好きにするが良い でも、凄惨且つ芸術的な殺しの方が僕は好みだ」 にやり、と彼は笑った 連続した重厚な音が響いたと思えば、ビオの機体にある機関銃の砲口が、全て裂邪の方に向けられている 「ビオ! 俺だ、黄昏裂邪だ! 覚えてるか!?」 「主!そっから逃げろ!!」 「お前が忘れてる訳ないよな!? 山で俺と会った事…ちゃんと覚えてくれてたもんな!? 名前まで一言一句覚えててくれてたもんな!?」 「ご主人様――――――」 駆け寄ろうとしたミナワだったが、シェイドに肩を掴まれた シェイドは何も言わず、ただゆっくりと頷いただけだったが、 彼女はそれを理解し、心配そうに裂邪を見守った 「……お前が洞窟の中まで助けに来てくれた時さ……俺、凄く嬉しかったんだ 正直、これからもお前と一緒にいたいって、本気で思ったんだ あの時は、言えなかったけどさ……助けてくれて、有難うな」 「ハハハハハハ、もはや救いようが無いね 遺言はそれだけかな? ならいい加減に――――――――む?」 その異変に、ようやくβ-No.0は気付いた ビオは目標を定めはしたが、その後からは一切動いていないのだ 「どうしたβ10-MidgardSchlange-ArtificialIntelligence+MicroSystem-MachineGun+BearingBallet-Land Sea-1935228? たった数体の契約者や都市伝説程度、君だけで十分だろう?」 《……緊…急………事,態…………発……生…………熱源,反応……感,……知………》 冷たい女性のような声が響く 直後、その蛇を模した機体が微弱に動いたが、やはり攻撃には移らない その様は、裂邪には苦しんでいるように見えた 「ビオ…!」 《……方角不明…距離0………熱源…………自,分??………理解,不能……???》 「な……ッヒヒヒヒ……そうだ、お前はやっぱりただの機械じゃなかったんだ お前はちゃんと“生きてる”んだよ! 命を持って、心を持ってな!」 《命??………心???………》 「お前の身体ン中が熱いのは、お前の心に何かが燃え始めたからだ! 殺意でも怒りでも無く! お前の優しい心が産声上げて目覚め始めたんだよ! お前は誰かの言いなりで動く殺戮マシーンじゃない! ただ、自分が何をすべきか分からなかっただけなんだ! まだ赤ん坊だったんだ! 俺が教えてやる! その命が、心が、魂が……何の為に生まれて、何の為に使われるべきなのか!!」 裂邪は「レイヴァテイン」の刃を床に突き立て、 その左手を、ビオに向けて真っ直ぐに伸ばした まるで、握手を求めるかのように 「俺と一緒に来い! ビオ!!」 「そんな戯言に耳を貸す必要はないよ。殺せ」 沈黙 機械の駆動音と心臓の鼓動だけが響く空間 何分経っただろうか、遂に静寂が断たれる事となる 「……そういうことか」 β-No.0は静かに呟くと、すっ、と左腕を上げた 「どうやら“バグ”があったようだね」 その瞬間、ビオの機体全体から、光る流体が溢れだし、 β-No.0の左掌の吸い込まれていった 同時に、彼へと向けられる筈だった機関銃の砲台が全て停止し、 擡げた先頭車両ががくん、と力を無くしたように落ち、床が罅割れ部屋が揺れた 「ッ!? ビオ! おい、ビオ!!」 《…………Re,tsu,ya,…………………A………R………G………T………―――――――――――――――》 声が止まる 裂邪が駆け寄り何度も何度も呼びかけたが、返事は無い 「言ってなかったね、僕は「生命エネルギー」を操れるんだ 僕が作り出した兵器達はこの「生命エネルギー」を動力源としている つまり今のように“バグ”が生じた場合、これを取り除けば後はただのガラクタになる訳さ そう、丁度こんな風にね」 「……ガラクタだと?」 「創造主の思い通りにならないものは壊すのが当然だ、そうだろう? 何らかの“バグ”が生じたなら尚更、ね」 「バグじゃない! 機械が、都市伝説が心を持って何が悪い!?」 「素晴らしい御花畑脳味噌だね。物が心を持つ訳が無いじゃないか」 「さっきのビオの言葉、聞いてなかったのか!! 俺には確かに聞こえた……『ありがとう』って言ってたのがはっきりとなぁ!!」 「ハァ………往生際が悪いね、君も 仮に心があったとしても、そのガラクタにはもうどうすることも出来ないじゃないか そもそも兵器や機械なんてものは、生み出されては壊されるという決まり切った運命にあるんだよ」 「この世に最初から決められたもんがあって堪るか! もしもビオの運命が必然だったっつぅんなら……変えてやるよ! 俺が、その運命を!!」 裂邪はおもむろに、ベルトのホルダーから何かを取り出し、ビオに翳した 灰色の、四角いパスのようなもの ナユタの事件の時に蓮華から予備として貰った、最後のパスだった 「………シェイド、ごめんな。これで最後にするから」 「ドウセヤルト思ッテイタ。トイウカ、ココデ止メレバ私ガ悪者ニナル」 「サンキュー、シェイド」 「何の儀式を始める気かな?」 「お決まりの奴さ」 すぅっ、と大きく息を吸い込み、 裂邪は辺りに響く程の声で言い放った 「ビオ! 目を覚ませ! 俺と――――俺達と一緒に来い!!」 刹那、灰色のパスが、眩い光を放った ...To be Continued 前ページ次ページ連載 - 夢幻泡影