約 1,390,404 件
https://w.atwiki.jp/jyakupoke/pages/143.html
モンジャラのみっつんの旅の軌跡 by夢の旅人@狩禁モンジャラ ◆3doWaInlRs進行状況 殿堂入り&レッド撃破 ROM クリスタル 506名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/09/26(火) 14 02 00 ID ??? さて、番外編の後は、水晶に戻ってモンジャラ一人旅。 4匹孵して♂が出たので早速スタート。 今回の縛りは「野生ポケ&再戦トレーナー狩り禁止」。 イベントポケは倒してからリセットで戦闘前に戻り、逃げたり捕まえたりやりすごしたりする。 ・ステータス・ みっつん/モンジャラ♂ L 5 HP 21 AT 11 DF 17 SA 15 SD 9 SP 11 技:からみつく・ねむりごな 意外と素早いモンジャラ。しかし特防はやっぱり低い。 「からみつく」の威力の低さは「ねむりごな」でカバーできるものの、とにかく時間を食う。 しかも「ねむりごな」は想像以上に外れる。ビードルに2敗したのはこのせいだと言い訳してみる。 そしてレベル10でようやく「すいとる」習得。 …まさか「すいとる」がこんなに強い技だったとは。 今一つでも「からみつく」より「すいとる」の方が強い。それが「からみつく」クオリティ。 しかしこの「からみつく」、結構活躍してくれたのだ。以下ハヤト~ヒワダライバル戦レポ。 507名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/09/26(火) 14 16 46 ID ??? ・ハヤト戦・ vs小鳩:眠粉→Z→(吸→Z)x4→絡み→Z→絡み vs中鳩:眠粉→Z→吸急→覚風→眠粉→Z→(吸→Z)x4 →吸→覚風→眠粉→Z→(吸→Z)x2→吸→覚風→絡み 勝利と同時にレベルアップで「どくのこな」習得(Lv13)。 さすが防御の高いモンジャラ。「かぜおこし」を受けてもなんとも無いぜ。 その後「きせきのタネ」を持たせてパワーアップしたモンジャラがツクシに挑む。 …その前にトサキントに1敗したのは秘密だ。 ・ツクシ戦・ vs虎:毒粉→糸外れ→吸→体→吸→体→吸 vs穀:眠粉→Z→(絡み→Z)x2→絡み→覚硬→眠粉→Z →吸→覚針→眠粉外れ→針(毒)→眠粉→Z→つ【どくけしのみ】→Z →(吸→Z)x4→吸→覚針→吸→針→吸 LvUP20 vsスト:先制連続斬りラッシュで乙orz 省略しているが、相手の方が素早いので「ねむりごな」を出すタイミングがつかめず、 連続斬り2連続でやられてしまう、というわけ。 そこで活躍するのが「からみつく」だったのだ。 508名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/09/26(火) 14 35 07 ID ??? ・ツクシ戦4回目・ vs虎・穀:(ry vsストライク:連→眠粉→(Z→絡み)x2→Z→絡み↓( “ー)b よし、下がった! →絡み→Z→絡み→覚連→眠粉→Z→木の実→Z→絡み→覚連外れ→眠粉→Z→(絡み→Z)x4 →絡み急→覚連急→眠粉→Z→絡み→覚連→眠粉→Z→(絡み→Z)x3→Z(電光で先制)→絡み 勝利!これが「からみつく」の本当の力だイヤッフウゥッ!…どうみても運gだが。 ・ライバル戦・ vsゴース:眠らせてから吸い取ること4回。ノーダメ勝利。 vsズバット:「すいとる」が「からみつく」より効かないのがネック。 眠らせて「からみつく」8回(うち急所一回)。途中相手が起きて吸血と噛み付くを受ける。 vsマグマラシ:煙 幕 炸 裂 こちらの「ねむりごな」が全然当たらない。そうこうしているうちに焼却されましたorz ・2回目・マグマラシで火の粉急所一撃。 ・3回目・ゴース・ズバットは略。 vsマグ:眠粉→Z→(吸→Z)x3→吸→覚火→眠粉→Z→傷薬→Z →吸→Z→吸→覚火→眠粉→Z→傷薬→Z→吸→覚火→眠粉→Z→ いい傷薬→Z→吸→Z→吸→Z→吸 勝利! LvUP21 どうだ!レベル20でもマグマラシに勝てるんだ!…激しく運gだがなorz その後ウバメの森で「からみつく」と涙の別れ。かわりに「ずつき」習得。 …ずつきの ちからって すげーっ! ガーディもブーバーもバシバシ倒してくれる。 一通りトレーナーを倒してからアカネに挑むことにする。 というのが先週から今日までの流れ。アカネ倒してくるノシ 570名前:夢の旅人◆3doWaInlRs:2006/10/01(日) 15 54 14 ID ??? ダイパは気にせず旅再開。 ・アカネ・(L:28) vsピッピ:眠粉→Z→頭突き→Z→頭突き vsミルタン:眠粉→Z→頭突き→Z→頭突き→Z→頭突き→Z→頭突き 勝利! ・嘘木・(L:28) 吸→岩→吸で乙。 (道中すいとる→メガドレイン) ・ライバルin焼けた塔・(L:33) vsゴースト:眠粉外れ→ノロイのノロイ→Mドレ→恨み5→Mドレ vsズバット:頭突き一発! vsマグマら:眠粉→Z→頭突き→Z→頭突き vsこいるん:いいギスぐすり→音速野郎→眠粉→Z→M&M→Z→Mドレ→Z→Mドレ 勝利! (注:M&M=モーモーミルク) ・マツバ・(L:35) vs小トトロ:眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ vs中トト1:眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ急所 vs大トトロ:眠粉→Z→Mドレ急所→覚催眠外れ→眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ vs中トト2:眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ→Z→Mドレ Mドレをちょうど使い切って勝利! ・ミナキ・(L:39) vsスリープ:宛帰一髪! vsゴースト:眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ vsマルマin:転外れ→頭突き→転→頭突き 勝利! LvUP40&毒粉→たたきつける ・シジマ・(L:40) vsオコリザル:眠粉外れ→空手→眠粉外れ→空手急所→眠粉→Z→頭突き→Z→頭突き LvUP41 vsニョロボン:眠粉外れ→爆裂外れ→眠粉→Z→相手何でも→Mドレ→Mドレ 勝利! ・ミカン・(L:41) vsコイル1:眠粉外れ→電磁波外れ→眠粉→Z→Mドレ→Z→頭突き急所 vsハガネール:眠粉→Z→Mドレ→Z→Mドレ→Z→相手凄い→Mドレ→Mドレ→Z→Mドレ急所 vsコイル2:眠粉→Z→頭突き→Z→頭突き→Z→頭突き→覚電磁波→超音波→からだが(ry→10万V急所→(混乱解ける)Mドレ 勝利! ・・・ちょwおまいらwww 612名前:夢の旅人◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 18 53 29 ID ??? ≡( “ー)b ゆめたびの こうそくいどう! (;〇o〇)正直疲れました 赤ギャラ:眠粉→Z→(成長→Z)x2→Mドレ→覚竜怒→Mドレで撃破。 縛りのためリセットして逃げようとするが「にげることが できない!」。赤ギャラはくろいまなざしも使えるのか! 仕方ないので弱らせてからハイパーボールを投げる。が全然効かないのでモンスターボールを投げたら素直に入ってくれた。赤が好きなのね。 ヤナギ:全 員 M ド レ 一 撃 ( ゚д゚ ) (;〇o〇)こっち見られたって困るよ ライバルin地下通路:眠粉成長コンボで突破 イブキ:上に同じ ライバルinチャンプ: ニューラ・眠粉→成長→頭突き2発。ニューラは起きなかった。 ゴルバット・頭突き2発。ゴルバットは怯んだ。 バクフーン・ニューラと同じ レアコイル&ゴースト・Mドレ一撃 フーディン・頭突き急所一撃 そして回復して凄いキズ薬を14個買ったら即四天王へ突撃。 613名前:夢の旅人◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 19 18 02 ID ??? ・イツキ・(この時点でこちらL:63。念のため言っておきますが野生ポケは一匹も倒していません) vsネイ40:眠粉→Z→(成→Z)x3→Mドレ→Z→頭 vsルージ:Mドレ一撃 vsナッシ:眠粉→Z→頭→Z→Mドレ vsネイ42:頭→サイコ→相手満タン→頭→頭 LvUP64 vsヤドラ:Mドレ一撃 勝利! このときはまだ余裕だった。だが…。 Item ふしぎなきのみx1(ずつき) ・キョウ・ vs蟻:頭→Gドレ→頭 vsMOLE:頭→毒々外れ→頭 vs廃:眠粉→Z→成→覚溶→眠粉→Z→成→覚小→眠粉→Z→Mドレ→Z →Mドレ→覚ヘド爆→Mドレ外れ→毒々外れ→Mドレ vs黒:眠粉→Z→相手回復薬→成→眠粉外れ→影→眠粉→Z→相手何でも→成 →眠粉→Z(→成→Z)x2→Mドレ→Z→Mドレ外れ→Z→頭→覚毒々→頭 vs森:毒消しの実→守り失敗→不思議な木の実(ずつき)→☆→Mドレ→撒き菱→Mドレ急所 勝利! 「分身」しないでくださいorz Item:不思議な木の実(ずつき、Mドレ) ・シバ・ vsカポ:頭→追討→頭 vsエビ:頭→炎P火傷→凍実→炎P→頭 vsサワ:頭→二度→頭 vsカイ:眠粉→Z→頭→覚クロス外れ→頭→クロス外れ→相手満タン→頭→頭→怯み→頭 vsイワ:Mドレ 勝利! ここでPPがヤバいことに気づく。不思議な木の実も残り1つ。他のピーピーはパソコンの中。 ・カリン・ vsぶら:眠粉→Z→成→覚黒眼→眠粉→Z(→成→Z)x3→成→覚光→苦実→ダーマ→成→ダーマ→Mドレ vsらふ:眠粉外れ→痺粉→痺治実→花舞→頭→花舞→頭→怯み→頭 vsへる:眠粉→Z→Mドレ→Z→相手満タン→Mドレ→相手何でも→Mドレ vsげん:Mドレ一撃 vsやみ:Mドレ一撃 勝利! Item:不思議な木の実x1(Mドレ)これでもうPPは回復できない。 時間が来たので以下のレポは次の時間に書きます。 615名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 22 25 58 ID ??? @が変わってなかったorz ・ワタル・(ここでずつき→ヘドロ爆弾に) 1回目と2回目は急所が出て乙。3回目。 vs凶竜:相手が雨乞いとかじたばたとかしている間に成長6回積み。 言っておくけどこんなことしたってカイリューやリザードンには全然効かない。 そしてその後も成長を連発しPPを削る。万が一攻撃技のPPが切れてしまったときのためだ。 満タンを一回使ってから雨乞いしたところをすかさずMドレ一撃。 vs快竜・雪:まずはヘド爆で様子見…と思ったら都合よく毒を浴びてくれた( “ー)b その後もう一回ヘド爆で毒死。途中電磁波を浴びて麻痺する。 vs岩鳥:まずは麻痺治しの実を使う。さすがモンジャラ、鬱を喰らってもなんともないぜ。 後はMドレで減ったダメージを全快しつつ一撃で倒す。 vs炎竜:ヘドロ爆弾2発。火炎放射で一気に黄ゲージまで減ったがなんともないぜ。 vs快竜・炎:ここで「とっておき」…じゃなくて眠粉を使う。その間にミルクを飲んで…。 と、相手は回復の薬を使ってきた。もちろん相手のHPは減っていない。この頃のトレーナーはこんなことも平気でやるのだ。 薬で相手が目覚めたところへヘド爆をとばす。またもや相手毒(;“o)サスガニポカーン 後は相手が大文字やら逆鱗を撃ってくるので回復して耐える。相手毒でダウン。 vs快竜・雷:相手はすっかり自信をなくしたのか、ヘド爆→電磁波外れ→ヘド爆毒→電磁波外れ→Mドレであっさり勝ってしまった。 ということでヘド爆のおかげで殿堂入り達成!さっさとカントーへ旅立つ。 スクショは相変わらず無し。ステータスはレッド撃破までお預け。 616名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 22 51 55 ID ??? ・カントー編・ マチス:ライとマル1は頭突き2発。レアコイルに電磁砲を受けてしまって調子が乱れるものの、なんとか勝利。 ナツメ:エーフィの砂に苦戦。1回目は2発も受けてしまったので敗北。2回目は1発で済んだので何とか勝利。 カスミ:ラプラス以外Mドレ一撃。ラプラスは2撃。相手は雨乞いしていたのでノーダメ勝利。 エリカ:モンジャラ戦で成長を2回積む。相性1/2のポケモンにはMドレ、1/4には頭突きで華麗に倒す。 アンズ:モルフォンまで頭突き連発。相手はそれぞれ嫌な音・毒々外れ・ひるみ・一撃ダウン。モルフォンは眠粉成長Mドレコンボで。 カビゴン:頭突き3発。でらくらく倒す。何故起きてるのにいびきを使う。 タケシ:(ry Rival:ニューラ戦で成長2回。後は頭突きやらMドレやら。 オクル:もしかして1回目だと必ずメガニウムになるのか?メガニウムで成長2回。メガ以外一撃。 カツラ:Mドレ、頭突き、頭突き3発。受けたダメージはギャロップの乱れ突き2回のみ。 みどり:ピジョットを眠らせて成長3回。後は梨と髭以外はMドレで倒す。 そしてあっという間にレッド戦。ちなみにイワヤマトンネルには入ってない。 617名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 23 14 25 ID ??? ~今回のラスト・ペナルティ~ レッドを30ターン以内で倒せ! ・レッド・ vsピカ:(眠粉→Z→相手回復の薬→成長)x2→眠粉→Z→(成長→Z)x4→頭突き→覚甘→頭突き(ここまで11ターン経過) vsフシ:眠粉→Z→Mドレ→覚日本晴れ→(Mドレ→ソラビ)x2→頭突き(ここまで16ターン経過) vsリザ:眠粉→Z(日差し弱まる)→頭突き急所→Z→Mドレ→Z→頭突き1ドット→Z→頭突き(ここまで21ターン経過) vsエー:Mドレ一撃(残り8ターン) vsカビ:Mドレ→ド忘れ→Mドレ(残り6ターン) vsカメ:Mドレ一撃!!(残り5ターン)勝利! 25ターンで、しかも1発でレッド撃破! …今回ばかりはあんまり凄くない。 ・ステータス・ ( 〇、〇)x みっつん/モンジャラ♂ L 84 持:奇跡の種 HP 254 AT 161 DF 269 SA 231 SD 131 SP 169 技:頭突き・Mドレ・眠粉・成長 618名前:夢の旅人@狩禁モンジャラ◆3doWaInlRs:2006/10/07(土) 23 28 39 ID ??? ~モンジャラまとめ~ ・モンジャラ強すぎる。もしかしたらレギュラーメンバーにも入れられるかもしれない。 ・難所は序盤だけ。正直ワタルよりツクシの方が強かった。 ・それもそのはず、「ずつき」を覚えるまで攻撃技は「からみつく」と「すいとる」。「すいとる」でも大分威力の高いほう。 ・それ以降は「ねむりごな」のサポートもあり、ほとんど負けることなくサクサク進んだ。 ・「からみつく」は威力は低いが先制をとれるチャンスを与えてくれた。ツクシ戦で大いに活躍。 ・「すいとる」は「からみつく」が消えるまで、「メガドレイン」は「せいちょう」を覚えてから役立つように。あとは「ずつき」を使ってた。 ・「ねむりごな」は当たれば反則級の強さだが、意外とこれが連続で当たらないことも多かった。あまりあてにはできない。 ・それにしても縛りをしても四天王前でL 60代、レッド前ではL 80を越していたので、晶のトレーナー数は一人旅には十分すぎるほど多いことが判明。 ・そもそも、考えてみたら過去の一人旅の2回とも、それほど野生狩りはしていなかったという罠。 ・これが二人旅になると辛い。番外編で思い知らされた。そう思うと今まで二人旅してきた人をかなり尊敬する。 ・「さらなるやりこみ」でもこの技構成で行くつもりだが、改めてモンジャラとの旅をL 5から始めるときには、状態異常技は封印したいとおもう。 ・防御が高く、そして特攻も高い。さらに逃げ足につられて素早さもそこそこ高め。特防は悪くはないがイマイチ。 次は赤緑でメノクラゲやります。
https://w.atwiki.jp/hutaba_ranking/pages/234.html
『赤ゆっくりと…』 39KB いじめ 虐待 赤ゆ 現代 虐待人間 うんしー 長いっす 俺の家は、勝手にゆっくりが生えてくる。 あらゆる入り口を塞いでも、どこからとも無く生えてくる。 野良だろうが野生だろうが、時には飼いだろうが、お構いなく俺の家に侵入してくる。 あのふてぶてしいツラで、生意気にもおうちせんげんをかます事もある。 今朝は成体のまりさが、冷蔵庫に体当たりしていた。体中に痣を作りながらも必死に頑張っていた。 最悪の目覚ましであったが、残飯漁りにしては必死すぎるので話を聞いてみることにした。 涙目になりながらも体当たりを繰り返している、そのまりさをアンパンを食わせてなだめ、 理由を聞いてみると、冷蔵庫の中から子供の声がする、ということだった。 親切心というより、冷蔵庫のものを食い荒らされていないか、 不安だったので冷蔵庫を開けてみると、案の定、野菜が食い荒らされていた。 もっとも、賞味期限切れの腐った野菜だったので、余りの不味さと、ゆっくりキラーのカビさん により赤まりさはその汚らしい餡子を体外にひり出して、絶命していた。 口から泡状の餡子を漏らし、 あにゃるから汁粉上のうんうん(ゆ下痢)が、びちびちと吐き出されていた。 「おちびちゃんぁぁぁぁぁん!」と泣き叫ぶまりさを見て、 「ざまぁ」とつい口走ってしまったら、 俺に向かって親まりさが顔を真っ赤にして体当たりしてきたから、蹴りをいれてやった。 アンパンの恩も忘れやがって。 つま先からずぶずぶと足を突っ込んで、あにゃるをおくちと同じ大きさに広げてやった。 大声を上げて泣き叫べば叫ぶほど、 うんうんがあにゃるから「ぶぴっ!ぶぴっ!」って飛び出して、爆笑モノだった。 一通り楽しんだら、「ゆひっ・・ゆひっ・・」としか言わなくなったので ゴミ袋に入れてゆっくりごみに出してやった。 ・・・まぁ、そんなことが日常茶飯事なんだ。 でさ・・・ 「ゆぴぴー」 「ゆぴゅー」 「しゅーや、しゅーや・・・」 夜遅く帰ってきたら、また奇妙なことが起こっていたんだよ。 昨日家の掃除をしたんだが、そのときバケツを床に放り投げておいたんだよ。 まぁ、ほっときゃ家にいる胴つきのれみりゃが片付けてくれると思ったからな。 で、そのバケツは今床に放り投げられたままなんだよ。 それ自体は別に気になることじゃない。 多分れみりゃは、バケツの置き場所が分からなかったんだと思う。 だが、何も入っていないはずのバケツから、 暢気な寝息が聞こえてくるのは、正直意表をつかれたよ。 「しゅーや・・・。しゅーやぁ・・・」 「ゆーん・・・」 バケツの中でぐっすりと眠っている、8匹の赤ゆっくりたち。 赤ゆっくりは、大抵親ゆっくりの髪の毛の中や、 柔らかい枯れ草の上で寝たりすることが多いと聞くけど、プラスチックの地面でも寝られるんだな。 赤ゆっくりたちは、一つの大きなコロニーを形成しようとしているのかと思われるほど、 寄り集まり、互いに持たれかかり眠っていた。 隣のゆっくりの髪の毛をもぐもぐと咀嚼している赤れいむや、寝言を突然叫びだす赤まりさや、 ぺにぺにをふるおっきさせている赤ありすや、寝返りでビンタを繰り出す赤れいむ。 そんなにアクティブな睡眠をするなら、お前ら離れて寝ろよって思うけど、 どうやら集まって寝るのはゆっくりの習性であり、幼い頃から教育しないと直らないものらしい。 事実、飼っているれみりゃは、俺に抱きつきながらじゃないと、眠れないらしい。 俺は寝相が悪いので、時々ラリアットをしたり、頭突きしたりすることもあるが、 それでも、引っ付いてくるのをやめないのを見ると、本能的なものなんだと思った。 「むーにゃ・・・むーにゃ・・・」 眠りながらも擬音語を忘れないゆっくりたち。その間抜けさに、本当に寒心してしまう。 感心じゃないぞ、寒心だからな。 幸せそうな赤ゆっくり達を見るだけで、その顔をぐちゃぐちゃに歪めたくなるのは、 恐らく俺だけではないだろう。幸せなことしか考える能が無い、 舌足らずで低脳な愚図どもを甚振る楽しみは、虐待お兄さんなら分かるはずだ。 端っこで寝ている、赤れいむを一匹掴みあげる。 「ゆぴぴー・・・。あみゃあみゃぁ・・・。」 涎をたらして、寝言を言っている。甘いものを食べる夢を見ているのかもしれない。 悪いな、あまあまは今うちには無いんだ。 「むーちゃぁ・・・むーちゃぁ・・・。」 だから、今お前に食べさせて上げられるものは・・・ 「ちゅーぴゃ・・・ちゅーぴゃ・・・」 この・・・ インスタントコーヒーの粉しかない。 赤れいむにストローを咥えさせて、コーヒーの粉を流し込む。 粉が口に入ってから数秒くらいは変化が無く、静かな寝息を立てていた。 「ゆぴぴー・・・。ゆぴぴー・・・。」 まるで天国にいるかのような至福そうな笑顔だ。 ただ、10秒ほど経過すると、その表情は一変した。 まず、顔が一気に青ざめた。 眉間に皴を寄せ、たるんでいた顔面が次第に強張っていった。 全身が小刻みに振動を始め、断続的に大きく痙攣した。 振動は次第に強くなり、「うぶっ、うぶっ」と何度も嗚咽を漏らす。 7,8回ほどえづいたら、勢いをつけてエレエレと餡子を吐き出そうとした。 ゆっくりに本来備わっている防衛機構によるものだろう。 ただ、俺も虐待お兄さん。 そんな簡単に苦痛から逃れられるようなことはしない。 餡子が一滴も漏れないように口をしっかりと手で覆ってあげた。 そこで、初めて赤れいむは起きた。愚鈍すぎる。 「!・・・!?・・・」 目をぎょろぎょろとしきりに動かして、状況を把握しようとしている。 ま、赤ゆっくりの餡子脳では、今何が起こっているのかわからないだろう。 赤れいむに分かることは、 今、どうしようもなく吐き気がすることと、 このままでは死んでしまうことぐらいだろう。 何度も、餡子を口から吐こうとするが、しっかり手で押さえているので、 体外に出ることは無い。吐き出そうとする餡子が俺の手をむにむにと押す。 それくらいじゃあ、おくちは開かないぞ。 我慢の限界に達し、吐餡することを諦めた赤れいむは、 今度は顔を真っ赤にして踏ん張り始めた。 下半身を前後左右にぶりんっ、ぶりんっ!と激しく振り回す。 こいつ、うんうんする気だな。 ゆっくりが体外に毒素を排出する機構は主に二つ存在する。 一つは、さっきみたいに、口から吐餡すること。毒素をお口近傍の 餡子で包んで、体内での拡散を防いだ後、吐き出す機構である。 お口近傍にある餡子は、反応性が非常に高く、 毒素がすぐに反応してしまう物体を即座に排出するのに適した機構である。 もう一つがうんうんとして排出すること。 ゆっくりは言ってしまえば全身が顔面である。それゆえ、 人間のように長い消化管をもたないし、消化に時間をほとんど必要としない。 餌を与えたゆっくりが、その2,3分後に餌をうんうんとして排出する ということはそんなに珍しいことではない。まさにうんうん製造機。 その機構を生かして、毒物を排出しようと言うのだ。 ただ、消化のための経路を通っているので、毒素が体をめぐってしまうと言う欠点もある。 あにゃるによる、毒素の排出機構はつまりおくちが使えないような非常事態に用いられる。 そうこう考えているうちに、赤れいむのあにゃるから、うんうんがひょっこりと顔をだした。 ゆんぎぎぎっ!っと踏ん張っているものの、ちょっとうんうんが体外に出てからは、 少し体が楽になったようで、もみ上げをぴこぴこと動かす余裕も出てきたようだ。 しかし、このまま回復させるつもりはない。このうんうんどもがっ。 出掛かっていたうんうんを、鉛筆を使ってゆっくりゆっくりと押し戻していく。 ムリ!ムリリッ・・・! 予想外の事態に赤れいむは、くわっと目を見開きガタガタと震え始める。 口を押さえていた手に、歯の感触が残る。 いや、これはうんうんが逆流する感覚にゾッとしているのだろうか? いずれにしても、赤れいむのうんうんは、無事餡子の塊の中に戻っていった。 しっかりとうんうんを押し戻された後の赤れいむは、虚ろな目で、俺を見つめながら ゆっくり、ゆっくりと黒ずんでいった。 赤れいむだったものを三角コーナーに捨てて、再びバケツの中を見る。 この大量の赤ゆっくりどうしようか。 れみりゃの餌にしても良いし、俺のおもちゃにしてもいいかもしれない。 赤ゆっくりなんて珍しくも無いが、こんなに大量に出現するのは久しぶりかもしれない。 全くもって心躍るハナシだ。 どうやって甚振ってやろうかと考えていると、玄関のチャイムが鳴る。 こんな時間にやってくるのは、いつもつるんでいる悪友どもか、あいつしかいない。 「うー!あけてほしいんだどー!かえったんだどー!」 ガチャ! 「おう、こんな遅くにどこ行ってたんだよ。HENTAIに襲われるぞ。」 「マンションさんにもへんたいさんがいるからきにしてもしょうがないんだどー。 そこのコンビニさんにいってきたんだどー!おにいさんのコーラもあるんだどー!」 「ああ、サンキュ!こんな夜中に飲んだら寝難くなるけどな。」 「でも、コーラさんはおいしんだどー」 「知ってるって。お前にも飲ましてやるよ。」 「うっうー!さすがおにいさんなんだどー!そこにしびれるあこがれるんだどー!」 ・・・どこで覚えてきたんだ、そんな言葉。 「はいはい。で、バケツの中にいる赤ゆっくりのことは知ってるか?」 「・・・?バケツさんのなかにあかゆっくりがいるのかどー?」 「ああ、8ぴ・・いや7匹もいるぞ」 「!たくさんいるんだどー!うぞうぞしててきもちわるいんだどー!」 同じゆっくりでも、この光景はキモイって感じるんだな。 実際赤ゆっくりが集まっているのを見ると、でかい石の裏の虫とかを見てるときの気持ちになるし。 いや、あいつらをいじめようとは思わんけど・・・。 さて・・・ 「れみりゃ、これ食べるか?」 「・・・バケツさんにいるゆっくりなんて、れみぃはたべたくないんだどー・・・」 「だよな。じゃあ・・・」 「最近忙しかったからなぁ・・・。れみりゃ、久しぶりに遊んでやるよ。」 「うっうー!うれしんだどー!なにしてあそぶんだどー?」 「こいつらでちょちょっとな。れみりゃが眠くなるまで遊んでやるよ。」 「うー!!!」 【赤ゆっくりと…】 さて、ただ今22:30でございます。れみりゃが寝るのは大体24:00くらい。 それまで、じっくり、ゆっくり赤ゆっくりを甚振ってやろうと思う。 ということで、まず、バケツの中から取り出そう。 用意するのは御存知、透明な箱。ゆっくり学の実験で使う小さい箱に赤ゆっくりを放り込む。 床の面積がこぶし大の広さだから、ピンポン玉サイズの赤ゆっくりを入れたら 酷い密度になる。眠っているから文句は言わないが、足の踏み場も無い。 起きたらギャーギャー泣き喚くだろう。そこがまた楽しみなんだけどな。 さて、最高の目覚ましで起こしてやろう。と、その前に・・・ 「れみりゃ、これ被れ。」 「あいあいさー!なんだどー!」 俺が渡したのは、黒い山高帽子。今朝、死のドライブに出かけたまりさの忘れ物だ。 これで、赤ゆっくりどもがれみりゃを見ても、泣き叫ばない。 携帯電話に入っている音声ファイルを再生する。 もちろん、音量はマックスだ。 『ゆぎゃぁぁぁぁぁぁっぁあ!!!!!!!!!!!!!!』 『やべでぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!』 『いだぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』 「「「ゆぴっ!!」」」 「「ゆ゛!!!」」 「ぴゅん!!」 「いびゃ!」 ゆっくりたちが目を覚ます。 俺のお気に入りの着ボイスが部屋中に響き渡る。 うちの学科のやつらの間では、最近ゆっくりの叫び声を着ボイスにするのが流行っている。 俺も例に漏れずやっていた。授業中に「ゆぎゃぁぁぁ!!」とか、 「ゆんやぁぁぁ!!!」とか変な声が響いてたり、テスト中に「んほぉぉぉぉぉぉ!!!」とか 聞こえてくるのはもはやお約束である。 ちなみにテスト中にれいぱーの叫び声を鳴らしたやつは単位を落とし、留年が確定した。 そういうわけで、赤ゆっくり達が目を覚ます。目を覚ますと同時に、箱の狭さに文句を言い始める。 「きょきょせみゃいよ!びゆっくちのれいみゅがすむとこりょじゃないよ!」 「まりしゃ、のーびのーびちたいんだじぇ!せみゃいんだじぇ!」 「んほぉぉぉぉぉ!!!まりちゃのおはだきもちぃぃぃ!!!」 「やべちぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 やはり、赤ゆっくりはうるさい。 こいつらを飼いたいなんていう奴は、どこか頭がおかしいのだろう。 とりあえず、好き勝手喚かれても面倒なので、箱のなかにゆっくりフードを放り込む。 あまあまには劣るかもしれないが、 野良ゆっくりであれば、舌が十分に肥えるほどの美味しさだ。 バラバラバラバラバラ・・・ 「ゆ!なにかふっちぇきたよ!」 「ごはんしゃんなのじぇ!!!」 「ゆっゆ!むーちゃむーちゃ!」クチャ、ヌチャ! 「はーひゅ!はーひゅ!」モチャ、ヌチャ! 「くーちゃ!くーちゃ!ぺーちゃ!ぺーちゃ!」クッチャクッチャ! 「んほっぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」 「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」 「どいちぇね!かわいいれいみゅがむーちゃむーちゃできにゃいよ!!」 「しらにゃいのじぇ!!まりしゃしゃまのうんうんでもたべてればいいのじぇ!」 ぷりんっ!もりもりもりっ! 「・・・くちゃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!」 「どいちぇね!ありしゅもむーちゃむーちゃするにょよ!」ドンッ! べちゃ! あ、鈍臭い赤れいむがうんうんにダイブした。 「れいみゅのきゃわいいおきゃおがぁぁぁぁ!!!くちゃいぃぃ!こりぇとってぇぇ!!!」 食い物を与えたら、かなり機嫌が良くなったみたいで、 箱の狭さなんてどうでもよくなったようだ。ちょっと例外もいるが。 子作りに励んでいる、れいぱーとまりちゃは、砂糖水を含ませた脱脂綿を張り付けて隔離しておく。 こうすれば、そう簡単に死ななくなる。さて、 「ゆっくりしていってね!!!」 「「「「「ゆっくちしちぇいっちぇね!!!」」」」」 「やぁ、俺特製のごはんさんはおいしかったかい?」 市販のゆっくりフードだけどあえてこう言う。 「おいちかっちゃよ!ありがちょー!」 「もっちょよこすのじぇ!」 「とかいはにゃありしゅもまんじょくのあじだったわ!」 ゲスもいるけど善良なのもいるようだ。いい品が揃ってるなぁ。 「お腹一杯食べたら、遊びたくならないかい?」 「あしょびちゃい!」 「あ、ありしゅはすーやすーやしちゃいわ!ときゃいはなべっとさんがほちいわ!」 「まりしゃはうんうんちたいのじぇ!!!」 「こりぇとっちぇぇっぇぇぇ!!!!ゆ゛ぁぁぁぁん゛!!!」 皆、それぞれの欲求をぶちまける。生憎俺は聖徳太子ではないので、全部聞くことはできない。 適当に聞いたふりをして、甘々な言葉をやつらに投げかける。 「ほうほう、皆やりたいことがたくさんあるんだね!分かった、 じゃあ、お兄さんと遊んでくれたら、なんでもしてあげるよ!」 「にゃんでも!?」 よし、食いついてきた。 「そうだよ、何でもだ。ドスまりさぐらいのあまあまを用意するのもいいし、 このおうちを君たちにあげるのもいい。最高のびゆっくりを番にしてあげても構わない。」 「びゆっくち!?ありしゅにふしゃわしいびゆっくち!」 「あみゃあみゃ!よだれしゃんがじゅりゅりゅりゅ!だよ!」 「そうにゃの?まりしゃおにぇえちゃん?」 俺とは目を合わせず、一匹の赤れいむがそう尋ねた。 視線の先にいるのは、山高帽子をかぶった、れみりゃ。 「・・・」 れみりゃは、じっと赤れいむを見つめる。 不安そうにれみりゃの瞳を見つめる赤れいむに、れみりゃは笑顔で答える。 「そうなんだどー。まいにちがしあわせー!!!なんだどーっ!!」 「・・・ゆわぁ!ゆっくち!ゆっくち!」 感動のあまり、未熟ゆのような言葉づかいをする赤れいむ。 周りのゆっくりたちも、つられて喜びだす。 「「ゆっくち!ゆっくち!」」 「「ゆっち!ゆっち!」」 「「ゆっきゃ!ゆっきゃ!」」 あるものはうんうんが顔についているのも忘れ、 またあるものは、しーしーを漏らしながら感動していた。 ―彼女たちは、幼い。 れみりゃが見せた笑みの意味を、 俺たちが抱えている、どす黒く濁った感情を読み取ることができない。 無知。純真。かつ貪欲。 本能のままに生きる赤ゆっくり達は、不幸なんて絶対に予測しない。 いや、今現在のゆっくりのため、未来の嫌なことなんて絶対に考えない。 少し考えればわかることでも、餡子脳は<未来>を考えない。 ゆえに、驚き、なにも出来ずに死を迎える。 動く死亡フラグの名は伊達ではないのだ。 「さて、最初に遊びたいのは誰かな?」 「まりしゃがあそびゅんだじぇ!」 「れいみゅがあそびゅんだよ!!ぷきゅー!!!」 「ゆぴぇぇぇ!!!きょわいのじぇぇぇ!!!やみぇるんだじぇぇぇ!!」プシャー! だじぇ口調のくせに随分恐がりだな。 まぁ、まりさ種って実は一番メンタルが弱いから仕方ないな。 だじぇまりさは、赤ありすの後ろに隠れてブルブルと震えている。 こいつを宥めるのはめんどいので、ぷくーっをしている赤れいむで遊ぶことにする。 「よし、ぷくーの強そうなれいむちゃん、俺と遊ぼうか!」 ぷひゅるるる・・・ 「ゆっくちりかいしたよ!」 透明な箱から、赤れいむを取りだす。 「おしょらをとんでるみちゃい!」 「うらやまちいのじぇ!まりしゃしゃまもおしょとにでたいのじぇ!」 まぁまぁ、そのうち出してやるよ。嫌でもな。 「なぁ、れいむって強いんだよな?」 「とうじぇんだよ!れいみゅはさいきょうのゆっくちなんだよ! そんなこちょもわからないにゃいの?しぬにょ?」 ―ピキピキ・・・ 「ごめんねー。おにいさんわからないんだー。」(棒読み) 「ゆふん!ゆっくちりきゃいしちぇね!!!」 ドヤ顔の赤れいむをサラダボウルのなかに置く。 ステンレス製のサラダボウルは硬く、冷たくて赤ゆっくりが涼むのには最適だった。 「ひんやりー!」 扁平型に広がって、金属の冷たさを堪能する赤れいむ。頬が緩みっぱなしだ。 「さて、最強のれいむちゃんにはその勇ましい姿を見せてもらおうかな。 このボウルのなかに現れる強敵を、倒してもらおうか。」 「ゆふふん!れいみゅはさいきょうだかりゃまけにゃいよ!」 「もちろんさ・・・。準備はいいかい?【まりさ】?」 「おーけーだどー!」 れみりゃはそう言って、俺の用意したあるおもちゃを構えた。 一時期大ブームになった【ある玩具】を・・・。 「行くぞ・・・構えて・・・」 「ぷくぅぅぅぅぅ!!!!」 スチャ・・・ 「ゴー・・・・」 「シュートッ!!!!」 ギャリリリリリリ! 【ベイブレード】を思いっきり打ちだす。 ―ベイブレード。 タカラが生み出した最強のベイゴマ。赤れいむが戦うのはこの強敵だ。 ベイブレードの頭頂部には今朝死んでいた赤まりさの帽子が張り付けられている。 「よわっちそうにゃまりしゃだにぇ!こりぇなららくしょうだにぇ!ぷくーっ!」 高速で回転するベイブレードに向かって、ぷくーを繰り返す赤れいむ。 奴の目にはただの赤まりさがくるくる回って近づいているようにしか見えないのかもしれない。 「ぷくーっ!・・・ちにぇぇぇ!!!」 果敢に体当たりを仕掛ける赤れいむ。が、ベイブレードは紙一重でそれをかわす。 「ゆべっ!」ブチッ ステンレスと熱いちゅっちゅを交わす赤れいむ。顔面を真っ赤にして怒りだす。 「にげりゅなぁぁ!!!れいみゅがせいしゃいしちぇやりゅぅぅぅ!!!」 再びぷくーを始める赤れいむ。どこか体に違和感を感じてはいるものの、怒りで我を忘れている。 「いいぞ、負けるなれいむ!」(棒読み) 「おうえんしてるんだどー!」(棒読み) 全くもって尊敬するよ。 ゆっくりってやつは本当に・・・ 「ぴこぴこしゃんでせいしゃいしゅるよ!ぴこっぴ・・・」 「ニヤニヤ」 「にやにやだどー!」 本当に・・・ 「どぼじてれいみゅのぴこぴこしゃんがにゃいのぉぉぉぉ!!!!」 本当に間抜けだ。 体の一部が欠損していたら、普通、即気がつくだろ・・・。 さっき体当たりした時からもげてたぞ。 「どぼじちぇぇっぇぇぇ!」 おいおい・・・。ゆんゆん唸ってる場合じゃねえぞ・・・。 よそ見なんかしてると、 「どぼじ・・・「いくんだどー!どらぐーん!」 ギャリギャリギャリ!ドムッ! 「ゆ゛ぼぉぉぉぉ!!!」 赤れいむは切り裂かれた。 前髪を。額を。おリボンを。運よく弾かれてベイブレードの攻撃圏内から出たものの、 その戦力差は明らかであった。 「い゛ぢゃいよぉぉぉ・・・!おがぁじゃぁぁぁん・・・」 涙を流して、ゆぐっ・・ゆぐっ・・・と泣く赤れいむ。 そんな赤れいむなぞお構いなく回り続けるベイブレード。 角の無い球体に近い赤れいむに対して、鋭利なエッジを持つドラグーン(ベイブレード)。 正面からぶつかり合ったときの結果は目に見えている。 ゴォォォォォォ・・・ 再びベイブレードが赤れいむに牙を向いた。 先ほどの衝突がよっぽど効いたらしく、戦う前の勇ましさは全く残っていない。 あにゃるをベイブレードに向けて、ぶりんぶりんと後ずさりしていく。 「くっ・・くりゅにゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」 当たり前のことだが、ベイブレードはゆっくりの言うことなんて理解しない。 非情にも、むきだしのあにゃるめがけて突進していく。 「ゆんやぁぁぁ!!!!!」 ブチ!ブチ!ブチ!ボゴッォ! ボウルの端まで飛ばされて、傾斜によってコロコロと戻ってくる赤れいむ。 あにゃるには綺麗な横一文字が描かれており、うんうんになりかけた餡子がどばどばと溢れてくる。 「ゆんぎぃぃぃぃ!!!れいみゅのせくちーできゅーとにゃあにゃるさんがぁぁぁ!!!」 「右から来るぞ!、気をつけろ!」ビシュ!べキィ!「ゆぼぉっ!」 「前から来るぞ!、気をつけろ!」ブシュ!ビチィ!「ゆびゃっ!」 「左から来るぞ!、気をつけろ!」バシュ!バシィ!「ゆばぁっ!」 「下から来ないぞ、気をつけろ!」ベジュ!バギィ!「ゆびぇっ!?」 赤れいむは満身創痍だった。 体の至る所から餡子が流れ、意識は朦朧としている。 「ゆ・・・ゆ・・・」ドシュ! また、弾き飛ばされた。 ・・・このままやられるだけじゃ、面白くないなぁ・・・。 「あきらめるな!れいむ!相手の力を利用するんだ!」 「・・・!ゆ・・・くりりかいち・・ちゃよ!!!」 コロコロと転がり落ちる赤れいむ。ボウルの中央にはベイブレードが佇んでいる。 転がりながらも、地面を強く蹴る。その度に餡子が漏れ出す。 締りのないあにゃるから、くっさい餡子が溢れだす。 それでも赤れいむは加速をやめない。 全てを・・・ この一撃にかけるために・・・!!! 「しにぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 ベイブレードに飛ばされた反動、転がり落ちるときの加速。 全てのエネルギーを、たった一度の体当たりに込める。 その幼い体に潜んでいる勇気を、全て出し切って体当たりをする。 ドムッ!ザシュザシュ! 「ゆふぅ・・・。ゆふぅ・・・。」 カンッ! 「すごいぞ!れいむ。ベイブレードを弾き飛ばしたぞ!」 「やっちゃ・・やっちゃよ・・・!」 白玉のおめめは引き裂かれ、餡子の涙を流す。 赤れいむの中枢餡の奥が、カッと熱くなった。 今まで経験してきた【ゆっくり】とは異なる感情の【ゆっくり】が、心の中に湧き上がってくる。 何ともいえぬ満足感が、赤れいむを支配する。 「れいみゅは・・・さいきょうなんだよ!」 全身が痛もうとも、流れ出る餡子が意識を奪っていこうとも、 赤れいむは満ち足りていた。最後の一撃で傷つき、光を失った赤れいむであったが、 心の中は、希望の光で満ち溢れていた。 「さすがだよ!!!最強のれいむ!」 「とうじぇんだよ・・・!」 赤れいむはは胸を張る。今の赤れいむは最高に自信に満ち溢れていた。 「あとそれと・・・」 「上から来るぞ!、気をつけろ!」 「ゆ?」 ゴォォォオ!!!!ドスッ!!! 「!?!?!?!?!?!いぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」 ベイブレードは確かに弾かれた。 だが、それはリングアウトを指しているわけではない。 赤れいむに弾かれたベイブレードは、宙を舞い、元の場所に舞い降りた。 赤れいむが佇む。ボウルの中央に。 脳天に突き刺さったベイブレードは失速することなく回り続ける。 「ゆげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげ!」 「おお、見事に掘り進んでらぁ。」 「ゆげげげげげげげげげげげげげげげげげげげげ!」 そして、 最短距離で・・・ 「ゆげげげげげギュゴコエオウヒウオヤエ!・・・」 中枢餡を破壊した。 「・・・勝者、ベイブレード!!!」 「うっうー!」 「「「「れいみゅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!!!!」」」」 「いやぁ、れいむはなかなか強かったけど、まだまだだね。」 「さて、次は誰が遊んでくれるかな?」 「「「ゆ゛ぅぅぅぅぅぅ!!!!!」」」 「きょわいのじぇぇぇぇぇ!!!!!」 勝気で調子付いた、でいぶ予備軍は楽しめた。 次は、泣き虫まりしゃちゃんで遊ぶかな! ―‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐ 「よし、じゃあ、次はまりさちゃんの番だよ!」 「ゆびぇぇぇぇぇん!!!!!」 透明な箱の中でガタガタと震える赤まりさをぎゅっと握って取り出す。 「びゅえ!!」 ちょっときつく握りすぎたようで、口から餡子を漏らす。 握る力をちょっと緩めてやると、ふひゅーっとため息をつく。 4,5秒ぼうっとしていたが、俺と目が合った途端に、再びガタガタと震え始める。 下唇を噛み、涙をこぼすまいと、必死に耐えている。 でも、しーしーがチョロチョロと漏れているから、バレバレだよ。 握っていないほうの手で、目を覆ってやる。 暗闇に怯えてぎゅっと目を瞑る赤まりさ。その瞼をふにふにと揉んでやる。 もこっ、もこっと白玉の眼球が動く。俺が弄くるたびに、びくん、びくんと痙攣する。 「ゆひぅっ・・・!ゆひぅっ・・・!」 口からぼたぼたと涎がこぼれる。涎に混じって餡子も出てきている。 ストレスが限界に達しようとしているのだろう。 このまま、いじり倒すのも悪くないかもしれない。 そう思っていると・・・ 「やめなしゃい!こにょいなきゃもの!!!」 「おいおい、田舎者なんて酷いじゃないか。俺はゆっくりできる人間さんだよ。」 「だっちゃらいましゅぐやめなしゃい!まりしゃがいちゃがってるでしょ!」 「ゆひぅっ・・・!ゆひぅっ・・・!」ガクガクガクガク・・・ ちっ、カスれいぱーの分際で偉そうなことを。いや、こいつはれいぱーというよりは つんでれありすに近いかな? つんでれありすっていうのは、れいぱー化しないありすの大部分のことだ。 ありす種って言うのはゆっくり一素直になれない性格である。 思ったことを上手く言えなかったり、つんでれのせいで誤解されたりとコミュニケーションが 実は苦手な種族である。コミュニケーション力の不足から溜まったストレスのせいでれいぱー化 するという仮説が出来るほど、実は悩み多き種族なのだ。 ただ、このありすはつんとでれの比率を上手く使い分けられるようで、 言いたいことをはっきりと言ってくる。おそらくこの赤まりさの姉的存在なのだろう。 「それはすまなかった。お詫びにあまあまをあげよう。」 「・・・あみゃあみゃだじぇ!」 さっきまでガクガク震えていたあの赤まりさが、目を輝かせて俺のほうを向いている。 まるで瞳の奥にあまあまという文字が見えるくらい、その目はあまあまを求めていた。 さっきまでつんつんしていた赤ありすも、 「べっ、べつにあみゃあまやをくれりゅのならゆるちてあげにゃいこともにゃいわよ!」 とか言う始末。傍観者だった残りの二匹の赤ゆっくり(赤まりさ、赤れいむ)も涎を垂らしている。 泣きじゃくっていた赤まりさにコーラを数滴飲ませる。 すると、プルプルと小刻みに震えだした。 ・・・もしかして、炭酸は駄目だったんだろうか? ちょっと失敗したかな~?と俺が後悔していたら、 「ししししししししあわしぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」 と、成体ゆっくりも腰を抜かすような大声をあげて感動していた。 真夜中にはちょっと厳しいボリュームだ。 「もっちょよこちぇぇぇぇぇぇ!!!!!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。」 「べっ、べちゅにありしゅもごーきゅごーきゅさせちぇほしいなんちぇおもっちぇないからにぇ!」 「はいはい、ゆっくりゆっくり。」 「れいみゅもほちいよ!」 「まりしゃしゃまにもよこすのじぇ!」 「やだ。」 「・・・」 「・・・」 「「どぼじてくれ゛にゃいのぉぉぉぉぉ!!!」」 「いっただろう?俺は遊んでくれるゆっくりの言うことは聞くって。 さて、ありすとまりさ。俺と遊んでくれるかい?」 同属を葬り、赤まりさをストレス死の一歩手前まで追いやった悪魔の化身に、 赤ゆっくりたちは心を許すのだろうか?ゆっくり学科で勉強している俺には、一瞬で答えが出る。 「もちろんだじぇえ!あみゃあみゃをもっちょよこすのじぇぇ!」 「べ、べつにあしょんであげちぇもいいのよ!」 あまあまは恐怖を穿つ。 どんなに凶暴な人間であっても、あまあまをくれる存在であれば、 信じてしまうのが普通の幼いゆっくりなのだ。 「じゃあ、このお洋服をきてくれるかな?」 「「ゆっくちりかいちたのじぇ!」わよ!」 やつ等にお洋服といって被せたのは、みかんネット。 あの赤いネットで、石鹸とか入れるのにちょうどいいやつだ。 赤まりさと赤ありすをみかんネットで覆ったら、出口を輪ゴムで縛る。 輪ゴムをいくつか連結させたら、即興ヨーヨーの出来上がりだ。 ハイパーヨーヨーみたいなヨーヨーというよりは、 露店で売っているヨーヨーに近い形だ。 「うー!ヨーヨーさんだどー!れみ・・・まりぃのとくいなあそびなんだどー!」 俺のいない間にヨーヨーで遊んでいるのは知ってたぜ、れみりゃ。 「ゆぅん・・・。ちょっとせまくてとかいはじゃないわ!」 「でみょ、いいにおいがしゅるのじぇ~!」 まぁ、みかんが入ってたからな。 「さーて、修行の成果を見せてもらおうか・・・【まりさ】?」 「うー!まりぃのえれがんとな、てくにっくをみせてやるのぜだどー!」 れみりゃ、すっかりまりさ種になりきってやがる・・・。口癖は抜けてないけど。 れみりゃの太い指にゴムの輪がスッポリと入れる。 手の甲を地面に向け、掌で赤ありすをしっかりと包み込む。その手を胸の近くまで持ち上げる。 「ま、まりしゃおにぇえしゃん、くしゅぐっちゃいわ! でみょ、びゆっくちのまりしゃおねえしゃんにゃらさわっちぇもいいわよ!」 「へんなとこはさわってないんだぜだどー」ちっ さりげなく舌打ちしやがった・・・。 目を輝かせ、俺の合図を待つれみりゃ。 俺もゴムの輪を指に通し、赤まりさをいつでも、振り下ろせる構えをとった。 「ゆゆ?おにいしゃんなにちてりゅのじぇ?はやくあみゃあみゃがたべたいのじぇ!」 涎をたらしながら、あまあまを要求する赤まりさ。 死亡フラグ立ちまくりなのに、ひたすら欲望に忠実なのは、感動的鈍感力だよ。 「あみゃあみゃじゅーすもいいけど、あみゃあみゃけーきさんもほしいのじぇ!」 赤まりさの頭の中にはもはや、あまあまを食べて、幸福になること以外の未来は 描かれないのだろう。 恐らく赤ありすも、何かしらのしあわせーっで頭がいっぱいに違いない。 そうだなぁ、びゆっくりとのすっきりーっでも妄想しているのかな? まぁ、奴らが何を考えていても問題は無い。 今から、全部を恐怖に塗り替えてやるからな・・・。 「じゃあ、行くぞ!まずは・・・。」 ブンッ!シュッ! 手首のスナップを利かせ、思いっきり地面に向かって赤まりさを振り下ろす。 「おしょらをとんで・・・」 浮遊感につい、あの台詞を口走ろうとする赤まりさ。 その顔は、あまあまを想像しているときのだらしない しあわせーっな顔とはまた違った、さわやかな笑顔であった。 どんなときの笑顔かと聞かれれば、 3日間我慢したうんうんを一気に放出するときの開放感、と俺は説明するだろう。 「るみ・・・」 だが、その心地よい浮遊感は・・・ 「ちゃ・・」 「いぎぃ!!!!!!」 一瞬で終わる。 輪ゴムが限界まで伸びて、赤まりさを覆っているネットが動きを止めた。 しかし、その中にいる赤まりさは、慣性の法則により、落下をやめられない。 結果、みかんネットの隙間に、柔らかい饅頭皮がミチミチと食い込む。 みかんネットは柔らかい素材で編まれているものの、赤ゆっくりの肌は柔らかい。 ほんのり赤い痣ができるほどの痛みを与える。 ゴムの復元力に従って、赤まりさは再び浮遊感を味わう。 今度は急上昇だ。先ほどの痛みは残るものの、本能が、その言葉を言わせる。 「お・・しょりゃ・・・・」 そして、赤まりさの行き着く先は・・・ 「はーい!オッカエリナサーイ!!!」 バシンッ! 「ゆ゛ぼぁ!!!!!!!!!」 再び真下へ弾き返すべく構えた、俺の掌だ。 ヒューーーーー・・・ 「おしょりゃ・・・ぐぇぇ!!!!!」 グォォォォォン・・・ベジンッ! 「おしょ・・・・・ゆ゛びゃぁ!!!」 下に落とされれば締め付けられ、上に昇っていけば叩きつけられる。 どこに行っても痛めつけられる、エンドレスバイオレンス。 みかんの匂いが付いているからちょっとだけ死ににくくなって、痛みが長続き! 我ながらいい玩具だと思うなぁ。 「や、やめにゃしゃいよ!このいにゃかもにょぉぉぉ!!!」 赤ありすが叫ぶ。両目に涙を溜めながら、必死にぷくーっをしている。 「まりしゃがいたがっちぇるでしょ!とかいはじゃにゃいわ!」 本当に優しいありすだ。れいぱーってやつらにまむまむの垢を煎じて飲ませてやりたい。 ガタガタと体を震わせながらも威嚇をやめようとしないありすに、俺は笑顔で告げる。 「確かにとかいはな行為じゃなかったなぁ。お兄さん反省しているよ。」 「わかっちゃならまりしゃをたすけちぇね!」 「真の都会は・・・」 「ありすで遊ぶ。 そうだろ?【まりさ】」 「・・・ゆ?」 「そうなんだぜだどー!ありすもおそらをとばしてやるんだぜだどー」 「ゆひぇ?・・・ゆひぇ!?」 思いっきり振りかぶるれみりゃ。 オーバースローで一気に赤ありすを地面に投げる。 「うぉーくざどっくだどー!!」 赤ありすは宙を舞う。ただ赤まりさよりは短い旅であった。 「ゆきゃぁぁぁ!!!おしょらを・・・ゆぎゃはびゃ!!!」 れみりゃの低身長から放たれたゆっくりヨーヨーは、あっという間に地面に叩きつけられた。 華麗な顔面スライディングを決めたせいでありすの前歯が粉々になり、四方八方に散らばっていく。 赤ありすはゴムの力によって、れみりゃの掌に戻ろうとするがれみりゃは容赦なく、それを押し返す。 「ありしゅのときゃいはでびゅーちーなはしゃんがぁぁぁぁ・・おしょらを・・ゆびゅべ!!!」 「いぢゃぃぃぃい!!!いぢゃいぃぃおしょりゃをぉぉおお!!!ゆごがぁぁ!!!」 「おべべしゃんがぁぁぁ!!!やべちぇぇぇぇぉぉぉおしょらぁぁぁああ!!!ごはっ!!」 歯が、目が、お飾りが。見る見るうちに傷ついていった。 「ゆひっ・・・ゆひっ・・!かっ・・・!」 床に叩きつけられている分、赤まりさよりもダメージを受けているようであった。 それでも死なないのは、みかんネット効果とれみりゃが上手に手加減しているからである。 パシッ! ありすがれみりゃの掌に収まる。 れみりゃは、にやりと笑って俺のほうを見た。 「しょうぶなんだどー・・・おにいさん!!!」 「望むところだ、れみりゃ。」 俺も赤まりさを掌に収め、れみりゃと対峙する。 「ゆぐっ・・・ゆぁぁ・・・」ガクガクガクガク・・・ 「ぁ゛・・・が・・・・ぎ・・・」ビクンッビクンッ・・・ 二匹の赤ゆっくりの痙攣をBGMに俺たちはにらみ合う。 手持ちの赤ゆっくりがびくんっ!びくんっ!となるたびに二人の間に緊張が走る。 「・・・ぁ・・・あ・・・ゆぴっ!」 「・・ぐ・・・びゅ・・・ゆきゃ!」 赤まりさと赤ありす。 二匹が目を覚ましたとき、戦いのゴングが鳴った。 赤まりさを空中へゆるりと放り投げる。 「おしょらをとんでりゅみちゃいーーー!!!」 本能に従って、あの言葉を叫ぶ。さっきとは違って、 軽く投げたため、ゴムの反動を受ける前に台詞を言い切ることができた。 台詞を言い切れて、満足げな赤まりさ。 しかし、俺が勢いをつけてヨーヨーを振り回してからはさぁ、遠心力のターンだ。 「ゆぶぶぶぶぶぶぶびぇ!!!」 れみりゃも負けじと赤ありすを振り回す。 「ゆぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょぴょ!!!」 振り回す、振り回す、ぶんぶんぶんぶん振り回す!!! 「ゆびびびびびびびびぇ!!!」 「ゆきゃきゃきゃきゃきゃきゃ!!!」 カウボーイが縄を投げるときのごとく、限界まで早く振り回す! 先ほどとは明らかに違うGを味わう赤まりさと赤ありす。 ミチミチッ!メリメリッ!と嫌な音を立てて饅頭皮が破れていく。 「いぎぎぎぎぎぎぎぎぃぃぃ!!!!!!!」 「ゆちょちょちょちょちょ!!!!!!!」 この遊びは、俺とれみりゃで考えた遊びだ。 限界までヨーヨーを振り回して、先に中のゆっくりを死なせたほうが勝ち。 まぁ、胴付きゆっくりと人間の男が力比べしたら、どっちが勝つかは分かるよな? 「ゆべべべべべ・・・・・ぎょ!!!・・・・・・・・・・・・・・」 赤まりさの悲鳴が聞こえなくなった。 餡子を出し過ぎたのだろう。床にびちびちと餡子が飛び散っている。 「まけちゃんたんだど・・・」 れみりゃは俯き、肩を落とす。 振り回していた腕も、同時に力を失う。 れみりゃが余所見をしたせいで、れみりゃの手からヨーヨーが外れ コントロールを失った赤ありすのヨーヨーは・・・ 「ゆひゅひゅひゅひゅひゅひゅ・・・びゅ!」びちゃ!!! 見事に床に染みを作った。 あんよがぐちゃぐちゃにつぶれ、フローリングの床と一体化している。 おいおい、れみりゃ。そんなに落ち込むなよ。 また遊んでやるからさ。 「ゆぎゅ・・・ときゃいは・・・ときゃ・・・」 それはそうと・・・ せっかく遊んでくれたのにいうこと聞いてあげられなくすまんねぇ。 運が悪かったと思って諦めてくれ、ありしゅちゃん! だって、俺の所為じゃ無いし。 「みゃみゃぁ・・・しにたきゅ・・・」 かろうじて息があるようだ。 残っていた片方の目から、溢れんばかりの涙を流し、 ボコボコの顔面を、更にしわくちゃにしながら必死に助けを求めていた。 そんな健気な赤ありすを、俺は 「・・・みゃみゃ・・・たしゅ・・・ゆ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛ぅ゛!!!」ブチュチュチュチュ! 煙草の火を揉み消すかのごとく床に擦り付ける。 じっくり、じっくりと脆弱な命が削られていく心地よい感触を味わった。 「・・・すっきりーっ!!!ってやつかな・・・ハハッ!」 ―‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――― もう、手持ちも少なくなってきた。 「さて、最後は君達の番だよ。れいむ、まりさ。」 「「ゆぴぇぇぇぇぇ!!!!!」」 「うっうー!」 「れいみゅはまだちにたくにゃいよ!だかりゃおにいしゃんとはあしょばにゃいよ!」 「ころしゃれたくにゃいのじぇ!くしょにんげんのいうことにゃんて、きかないのじぇ!」 「・・・」 ド低脳の赤ゆっくりでもさすがに警戒するか・・・? 「しょうだよ!れいみゅはおにいしゃんのいうことなんてきかないよ!」 「わかっちゃらまりしゃしゃまをここからだすのじぇ!!!ぐじゅはきらいなのじぇ!!!」 「・・・うー。」 ・・・あれ。 「れいみゅをおうちにかえしゅんだよ!!!あっ、なんだかうんうんしちゃくなっちゃよ! うんうんちゅっきりー!!」もりゅんっ! 「まりしゃしゃまも、うんうんしゅるのじぇ!!! うんうんちゅっきりーっだじぇ!!」ブリブリッ! あにゃるにうんうんをべっとりとつけて、満面の笑みを浮かべる。 透明な箱の床をうんうんかすを引きずって汚していく。 自分達で作り出したうんうんの筋に顔をしかめ、 「ゆぇぇ!くしゃいよ!くじゅにんげんはれいみゅのうんうんをかたぢゅけてね!!!」 「はやくうんうんをたべりゅのじぇ!ぐじゅ!!!ぶっころしゅじょ!!」 餡子脳って凄いな。 いつの間にか力関係が逆転してやがる。 俺に殺されるんじゃなかったのか。なんで俺が殺されてるんだよ。 まぁ、何にせよ。虐めることには変わりない。 最後のおもちゃを取り出す。 カチッ、ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!カチッ! しばらく使ってなかったので、もしかしたら壊れていたかもしれないが、どうやらまだまだ現役であるようだ。 丈夫だなぁ、ミニ四駆。 あにゃるにうんうんすじのついた赤れいむと赤まりさを片手で掴み上げ、 取り出したそれぞれのミニ四駆の先端に取り付ける。もちろんアロンアルファでだ。 「あんよしゃんがうごかにゃいぃぃぃ!!!!!」 「はなしゅのじぇぇぇぇぇ!!!!!ごにょくじゅぅぅぅぅぅぅ!!」 あんよを固定されてもなお、ぐにんぐにんと激しく動き回る、赤れいむと赤まりさ。 涙目で暴れまわる様はいつ見ても無様だな。 大げさに、芝居がかったジェスチャーを交えながら、このマイクロサイズ糞袋達を説得する。 「さて、君達には競争をしてもらう。この最速のすぃーで。」 「「すぃー!!!」」 暴れまわっていた二匹は、すぃーという魔法の言葉により、殺ゆん鬼である俺の話をようやく聞く気になったようだ。 「すぃーがあるのかじぇ?くしょどりぇい?」 「れいみゅ、すぃーにのりちゃいよ!」 目を輝かせて、すぃーを渇望する赤ゆっくり達。 お前らがすぃーに乗るとか死亡フラグ以外のなにものでもないのに、よく食いつくな。 「まりしゃしゃまはほしににゃるのじぇ!!!すぃーをよこしゅのじぇ!!!」 「れいみゅにもすぃーをちょうらいにぇ!たくしゃんでいいよ!!!」 だから、すぃーに乗ってるって説明したんだろう・・・この愚図が。 「今君達とくっついているのが、世界最速のすぃーだ。 このすぃーで、競争して勝ったほうには望むものを何でも与えよう。 さっきのあまあまなんて目じゃない、伝説のゆっくりプレイスでも、究極の美ゆっくりでも何でもあげるよ。」 「まりしゃしゃまはべーこんごはんしゃんがたべたいのじぇ!!!」 「れいみゅはぽんでりんぐさんがたべ「ただし!」 「ただし、負けたやつは、れみりゃの餌になる。」 いつの間にか帽子を被りなおしていたれみりゃは、お決まりの台詞を叫ぶ。 「ぎゃおー♪たーべちゃうぞー!!!」 「「れれれれみりゃだぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」」 「天国と地獄だ!さぁ、君達は生き残れるかな??」 「れいみゅはいきのきょってしあわしぇー!になりゅよ!うざいまりしゃはとっとちょちんでにぇ!!!」 「しぬにょはれいみゅのほうなのじぇ!!!まりしゃしゃまはさいしょくなのじぇ!!!ぷきゅーっ!!」 「ゆぴぇぇぇぇ!!!」ぷしゃー! 負けん気は赤まりさの方が強いようだ。 ミニ四駆のスイッチをオンにする。 カチッ、ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ! 「あの壁に先についたほうが勝ちだ。」 「ゆっくちりきゃいちたよ(のじぇ)!!!」 さて、れみりゃの寝る時間も近い。 さっさと勝負を始めよう。間髪いれずにミニ四駆を床に置き、走らせた。 「びゅん、びゅん、びゅーん、びゅーん!まりしゃしゃまはほしなのじぇぇぇ!!」 ゆっくりの思い込みの力のせいなのかは分からないが赤まりさのミニ四駆のほうがリードしていた。 「はちりぇぇぇぇぇ!!!!まけりゅにゃぁぁぁぁぁぁ!!!!」 赤れいむの方のミニ四駆もなかなか速いが、赤まりさのミニ四駆に赤ゆっくり三匹分の差をつけられていた。 赤まりさを乗せたミニ四駆がゴールの2メートルほど前に差し掛かる。 「れいみゅは、ちねにゃい!!ちにぇないんだぁぁぁ!!!」 赤れいむは顔を真っ赤にして叫ぶ したり顔で赤まりさは返事をする・・が、 「かつにょはまりしゃしゃなのじぇ・・・じぇじぇ?!」 言い終わる前に、赤れいむのミニ四駆に抜かれてしまった。 「どぼじ、どぼしちぇ!?」 勝負の分かれ目は、ミニ四駆の性能ではなく、やつらのお飾りにあった。 まりさ種のお帽子はとても取れやすい。 ゆっくりの普段味わうことの無いスピードで走ることは、当然想定外だ。 赤まりさのお帽子は、するりと脱げて、ミニ四駆のタイヤに引っかかった。 障害物に邪魔されて、赤まりさのミニ四駆は自然とカーブしていった。 赤まりさが困惑している間もレースは続く。 赤れいむのミニ四駆はゴールする寸前であった。 赤れいむは、未来に待っている極上のゆっくりを想像する。感情が高ぶる。 自分の気持ちを一々声に出さずにはいられないゆっくりらしく、叫ぼうとする。 ゴールにあわせてしあわせーっ!と大きく叫ぼうとして、口を大きく開ける。 しあわせのしの字まで発した瞬間にゴールする。 そして・・・ ドギャ!!!!!! ミニ四駆が固い壁にぶつかる。 赤れいむにも当然衝撃は伝わる。 口を大きく開けていたのが、最大の失敗であった。 口の端に衝撃が伝わり、赤れいむの上下の顎は、永遠のお別れをすることとなった。 「?!?!?!?!!!!」 大量出餡と、思考を奪う強烈な痛みで、あっという間に赤れいむの意識が無くなっていく。 上顎と下顎を分断された、不気味な赤れいむは俺を見つめている。 腐りきったどぶ川の水のような瞳で、俺を睨みつける。 出来る限りの明るい笑顔で、糞饅頭に語りかける。 「さっき俺は天国と地獄といったが、どうやら間違いのようだ。 正しくは、煉獄と地獄・・・だろうな。まぁ、なんにせよアレだ。 あの世でも、ゆっくり苦しんでね!!!たくさんでいいよ!!!」 濁りきった瞳は、そのまま動かず、 赤れいむの体は少しずつ黒ずんでいった。 赤まりさの方はどうだろう? ゴールから大きくそれた、赤まりさのミニ四駆は、部屋の隅に止まっていた。 運よく激突を避けられたようだ。 「た、・・・たしゅかったのじぇ! まりしゃしゃまは・・・いきのこったよ!!!」 ふるふると震えながら、歓喜の涙を静かに流す。 悪夢がやっと終わった。 とでも言いたいのだろうか? 赤れいむの下半身がくっついた、餡子塗れのミニ四駆を持ち、 愚図で救いようのない餡子脳に、ゆっくりと近づいていく。 「ちがうね」 「じぇ?」 「お前は生き残ったんじゃない」 「じぇじぇ?」 「ただ単に」 「ゆじぇじぇじぇ?」 「上手に死にそびれただけだよ」 ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ!ウインッ! ガリガリガリガリガリガリガリガリガリッ!!! 「いっ・・・・ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!」 高速で空回りするミニ四駆のタイヤを赤まりさにあてがう。 中身の餡子を、撒き散らさないように。 だが、饅頭皮の一枚も残さないように。 「んぎぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!」 邪魔な髪の毛は、皮もまとめて全部剥ぎ落としていく。 「ゆぴ・・・・!!!!!!!!!!!!!!!」 不粋な雑音しか出さない舌を、ブチブチと裂いていく。 「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」 ぴちぴちと水を出すおめめは、ローラーで穿っていく。 ぷるぷると震える。不気味な餡子の塊になったら、塩をかけて冷蔵庫に一晩置いておく。 傷口に染み渡る塩の作用で、ありえないくらい甘くなる。れみりゃごのみの甘さになる。 明日の朝には多分死んでいるが、出来るだけ醜い顔で朽ち果てろよ、まりしゃしゃま・・・ハハッ。 ―‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――――‐――――― 「ふぁぁー・・・だどー。」 眠たそうに目を擦るれみりゃ。 ウトウトとしているれみりゃを抱き上げ、ベットにもぐりこむ。 「たのしかったんだどー。」 「そりゃ何よりだ。」 途中、拗ねていたが、案外満足してくれたようだ。 「あしたもあそびたいんだどー。」 「ああ、遊んでやるよ。」 砂糖水につけて繁殖させていた、れいぱーとまりちゃが新しい玩具を生産しているだろう。 スー・・・スー・・・と寝息が聞こえ始める。 さて、俺も眠ろうか。 懐かしい玩具で沢山遊んだからな。 今日は昔の夢でも見るんだろうか? <あとがき> どうも、ドナルドあきです。 ゆっくりが勝手に生えてくるおうちのお話その2です。長ぇ。 過去作はまぁ、WIKIのドナルドあきの項目を見てください。 今回、容量ギリギリなので・・・。 では、また会いましょう。 感想、お待ちしてます。 http //jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/13854/1275389562/l50
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/1799.html
※注意! ゆっくりSSにおけるおなじみの注意事項(自分設定とか、虐待要素薄いとか、その他沢山)に該当するかもしれません 虐待されないゆっくり、しあわせなゆっくり、れいぱーありすが出ます。 苦手な人は回れ右。 『地に還れ』『ヒメイ』『カンミ』と世界観がつながっているきがします * * * この世の中にある全ての物は 『食べられるモノ』か『食べられないモノ』かに大別できると思う。 この場合ゆっくりは『食べられるモノ』だ それ以上でも以下でも無い 種族・性質・言動に細かな違いは数あれど 所詮は『食べられるモノ』でしかない、あらゆる意味で。 何もゆっくりに限った話ではない、マクロな視点で見た場合の話だ。 それが証拠に人間の上位種である所の妖怪から見れば 僕ら人間はゆっくりと同じ『食べられるモノ』だ。 そういう意味で僕らにはあまり大きな違いは無いのかもしれない。 事実、幻想郷の妖怪が総出で人間をそういう風に扱えば ほんの数日後には『ゆっくり加工場』ならぬ 『人肉加工場』なんてものがそこらでオープンする事も無くはないifだろう。 「む」 唐突に腹が啼いた、ここ数日摘んでいた乾物ももう空になっている。 きりのいい所でいったん筆を置く。 目頭を揉んで大きく伸びをする、窓から差し込む西日は紅く 秋の眩しい夕ざしが、薄暗い書斎を照らしている。 いけないいけない、仕事に熱中しだすと時が経つのを忘れてしまう。 しみじみと摩った下あごには3~4日分伸びた髭がチクチクと痛い。 もの書きと言う人種は、そうして無精を積み重ねていくのだなぁ… 「それにしても、『人肉加工場』とは我ながら穏やかじゃない」 次の話はそういった路線で書いて見るのも悪くないかもしれない まぁ、それより今は夕食を用意しよう ここ数日、乾物と茶しか口にしていない 原稿は八割方書きあがったのだし、ほったらかしでは 折角の『農園』も宝の持ち腐れだ。 * * * 僕の本は結構売れている。 堅苦しくない文体や、取り扱う内容から 僕とそう年齢の変わらない十代の若い人たちを中心に受けているそうだ。 おかげで日に一食口にするにも難儀するような貧乏暮らしとはオサラバ出来た訳だが 今度は忙しくて食べ物を用意する暇が無くなってしまった。 貧乏ではない、とはいえ手伝いの人を雇うほどの余裕も無い。 忙しさが限界に達したある日、僕はついに栄養失調で医者の世話になる羽目になってしまった。 身体に悪い所があったわけではないので、すぐに復調したのだが 根本の食生活がままならないままでは、同じことの繰り返しでしかない。 畑でも作るかなぁ…と考えたのだが とても毎日手入れできるような生活はしていない。 僕の本を刷ってくれている印刷所がしばらく休みをくれると言うので (正確には、身体を悪くするほど過密だった締め切りが延びただけ) 旧知である寺子屋の同窓生の所に顔を出し、飲み屋で遊んだ帰り道で すっかり暗くなり、行灯の光が照らす夜道で僕と友人に声をかける奇怪な物体が現れた。 『『ゆっくりしていってね!』』 でっぷりとした生首が二匹、わけのわからない事をのたまいながら跳ね寄って来たのだ。 僕は驚いて腰を抜かしたが、友人の方は辟易した顔で溜息をつくと 「そぉいっ!!」 「ぎゅゆふぇ!?」 鋭い蹴りを見舞われた帽子の生首は、汚らしい悲鳴を上げながら 行灯が照らしきれない闇の中に消えていった。 「ゆがぁ゛!て゛い゛む゛のばりざになにずるのお゛お゛お゛ぉぉぉぉぉ!!」 奇声を上げて帽子の飛ばされた方向へ跳ねていく蔦の生えた生首… 僕は絶句して友人にあれは何なのか、と尋ねると 「ゆっくりを知らないのかよ、お前…世間知らずにも程があるぞ」 と、歩きながら先程の生首の事を教えてくれた。 なんでも畑を荒らし、家の中に勝手に入って暴れ ドスと呼ばれる巨大な固体は人を襲って大怪我を負わせたりもするらしい。 「とんでもない害獣…獣?」 「…?、害獣でいいんじゃないのか」 「それがなぁ、あいつら饅頭なんだよ」 「は?」 「見ろよ、中身」 歩き続けた先には、先程吹き飛んだ帽子の生首…ゆっくりが 直撃した眉間の部分を喪い、中身をぶちまけて痙攣していた 痙攣にあわせて漏れ出している中身は…餡子? 「こいつら二種類は餡子、他にもカスタードや…変わったヤツだと肉まんとかピザまんとか」 「なんだいそれは…」 「しらんがな」 ( ・ω・`)な顔のまま、番らしい帽子の周りで 『ゆっくりしていってね!』を連呼して跳ね回っている ゆっくりの蔦を毟り取る 「ゆがぁ!?て゛い゛ふ゛のあがぢゃんがえぜぇぇぇぇぇぇぇ」 「ふんもっふ!」 「ぎ ち゛ ゅ」 生首の底の部分を引っつかみ、そのまま思い切り腕を振りぬく 底から口、頭部の天辺まで、ベロンといやな音を立てて皮が剥けた。 剥かれた皮には大きな穴が一つと小さな穴が二つ 両目の穴と口だと理解したとき、体が震えた 付着している白い石の様なものは…前歯か? 皮を剥かれた部分は黒い中身を剥き出しにしている。 「おいっ、いくらなんでも…」 「良いんだよ、所詮饅頭…見かけ次第潰す様にってのは里の取り決めでもあるんだ ほい、食えよ」 差し出された蔦は、先程生首の頭から毟られたモノだ。 その先に生っているのは…先程の二匹と同じ生首だった。 「美味いぞ」 「あ、ああ」 顔の中心を剥かれ、口も利けず震える親生首 その目だけが、小さな生首を口にしようとする僕を 異常な執念を宿した熱気で持って睨んでいる。 恐る恐る、一つちぎって口にする。 口の中に放り込んだ時、小さく「ゅ?」と声を上げた気がする。 恐ろしくなって急いでかみ締めた瞬間、「ぷちゅ」と音を立てる生首 口の中で…潰れた、死んだ、殺した、食った。 広がる甘い味、美味い…噛むたびに味が変わる シャクっと音を立てた歯ごたえのある部分は恐らく歯だ、 砂糖菓子の様な触感と味も餡子の甘味に加わる。 リボンと髪は飴細工のようだった…だが甘すぎず 薄く柔らかな皮も全体の味を引き締めていた。 時間をかけて飲み下す、すると一匹毟られたので気が付いたのか 蔦に生った生首たちが目を覚まし、騒ぎ始める。 まだ蔦には10個以上の生首…『ゆっくり』が生っている。 二つ、三つと友人と分けて食べる… 蔦の先で悲鳴を上げながら、小さな身体で必死に逃げようとする姿を見ながら 数分と経たずに、平らげた。 だが足りない、あの悲鳴、味わい・触感…もっと味わえないだろうか 「な、なぁ!」 「ん?」 突然大きな声を上げた私に、怪訝そうな顔をする友人 続く私の質問は、今思えば相当に珍妙なものだっただろう。 「ゆっくりってどうすれば大量に食えるんだ?」 「……( ・ω・`)」 * * * 今日の夕食を確保するために、僕は庭のに拵えた『農場』に足を向けた。 『農場』といっても、畑で野菜を育てたりしているわけではない 庭の何も無いスペースに立てた、納屋の中身が僕にとっての『農場』なのだ。 友人にわかる限りのゆっくりの生態を教わった後 休暇中そこらじゅうを走り回り、里の大工やゆっくり関連の店の協力を得て この納屋の中に、ゆっくりが生える施設を作ったのだ。 ここがあれば、安価で手軽に食べられるゆっくりが幾らでも手に入るというわけだ。 『農場』の中で動き回っているのはこの『農場』の世話を任せている ありす六匹だけだ、あとのゆっくりは一匹残らず呻きながら痙攣して身動き一つしていない。 「ゆっ!おにーさんじゃない」 「みっかかんもかおをださないなんて、ぜんぜんとかいはじゃないわね!!」 ぷりぷりと怒りながらありすたちが寄って来る。 「ごめんごめん、今日収穫できそうなゆっくりはいるかな?」 僕の質問に、ありす達は女性や子供が見れば悲鳴を上げそうなほど気味の悪い 邪悪な笑みを浮かべた。 「みんなみーんな、おいしくにんっしんしてるわ!」 「とかいはなありすたちが、ずーっとあいしてあげているもの!!」 このありすたちは『農場』内の世話や手入れだけでなく 『種付け』も行っている、そこらへんの野良ゆっくりだったのを捕獲しただけ 特別な教育はしていない固体だが、良く働いてくれている。 『農場』のゆっくりと同じ様に、死ぬまで子供を生まされ続けるか 冬でも暖かく安全な『農場』で、気の済むまですっきりしたりゆっくりしたりするか 前者を選ぶありすは殆んど居ない、子連れの個体でも大抵はすっきりの誘惑に負け 家族までもを犯して搾取する側に回る。 搾取される側、つまりここで生きている各種のゆっくりたちだが 彼らは底部を焼かれてもいなければ、箱に閉じ込めているわけでもない 食料は潤沢に〝循環"しているので、ゆっくりの基準に照らせば 相当栄養状態は良く、どの固体もでっぷりとしている。 だが、彼らは殆んど動く事ができない。 蔦を生やしたり、下腹部を膨らませたり 動かぬ身体で必死にちいさなゆっくりを庇おうと震えているもの 入り口に置いてある籠に、適当に見繕って12~3こ見繕って行く 甘味だけではバランスが取れないので ピザまん・肉まん・チーズ入り等、バランスよく摘み取って行く。 「……ッ」 「…っ!!!!」 「!!!!!!!!!」 「ゅっゆ……」 「ぃぃぃ!!!!!!!」 摘み取られた親ゆっくり達は顔を引きつらせ、声も出せないのに 身もだえして涙を流して悔しがっている。 彼らのうち、大人のゆっくりには、毒を使った 今この瞬間も呼吸困難や嘔吐感、体中に走る激痛に苦しんでいる。 餌に与えた鈴蘭の毒だ、人間でも死ぬ程に強力な毒だ…さぞ苦しいだろう。 子ゆっくりには死んだゆっくりや適当な甘味(水あめ等)を与えている。 そんなゆっくりを食べて平気なのか、といぶかしむ人もいるだろうが 勿論直接毒を摂取したゆっくりなど食べない。 食べるのは実ゆっくりか子ゆっくりまでだ。 蔦に生った実ゆっくりを食べられるのは意外かもしれないが ゆっくりがどんな毒物を食べようが、それが自然物であるなら 問題は無いのだと言う、化学物質のように残留するものならダメだが 鈴蘭〝程度"の毒素なら、無害化して餡子に変えるのだそうだ ましてや蔦を通して赤ゆっくりに送られる餡子は 余り知られていないが、殆んど無菌状態なのという。 今日の収穫はこのくらいにしよう、最後に一番最近来たまりさの蔦に手を伸ばし 一匹毟る。 「ゃ゛べ…ろ゛!!あが、ぢゃん、ぼっでぐなぁ!!!!!」 「ありすー、こいつまだ毒が回ってないぞー?」 「ゆ゛がぁ?!」 俺の声に、現在行っていた作業を全て中断して れみりゃに腰を振っていた者、巣の掃除をしていた者 餌の鈴蘭を世話していた者、六匹のありすがぞろぞろと集まってくる。 「もぅ!このこはいつもごはんをはいちゃうこね!!」 「ありすたちがあいしてあげてもつんでれなたいどをくずさないイキのいいまりさよ!」 「こんなにいっぱいあかちゃんをはらんでいるのに、すききらいなんてほんとうにいなかものね!!」 「ありす!たくさん『すずらんさん』をもってきて!!こうなったらたくさんねじこんであげましょう!!」 「それだけじゃとかいはじゃないわ、くちだけじゃなくてあにゃるやまむまむにもきれいな『すずらんさん』をたべさせてあげない?」 「それは…とってもとかいはじゃない!!」 鈴蘭係のありすの思いつきで、何十本もの鈴蘭が運ばれてくる。 先程の会話を聞いていたまりさは動かぬ身体を激しく震わせる。 これから自分の身に起こる事を、ある程度理解したのだろう その、眼―――震えながらあげた目線の先で、 僕はまりさの頭に生っていたゆっくりをわざと半分だけ齧り地面に捨てる。 白目を剥いて痙攣する赤ゆっくりにも満たない実ゆっくりまりさ 必死にそれに這いよろうとするまりさ、 「おにーさん、そのこたべていいの?」 地面に投げ捨てた食いかけの実ゆっくりの事を聞いているらしい。 暫く考えて、まりさから蔦を毟り取って実ゆっくりと並べてやる」 「あぁ、いいよがんばってるありすへの御褒美だ 生っている赤ちゃんもみんなで分けて食べていい」 「ゆっ!おにいさんたらやせているのにふとっぱらね!!」 「まりさっ!おいしいあかちゃんありがとうね!」 「むーちゃ、むーちゃ、とってもしあわせー!!」 「とかいはなあじわいだわ!!」 それを見ていたまりさは、最後の力で一番近くのありすに食いつこうと ブスッ――っと、まりさの後頭部に一輪の『鈴蘭』が咲いた。 「ゆ゛…ぎ…あ゛あ゛あ゛あ゛嗚゛呼゛嗚゛呼゛嗚゛呼嗚゛゛呼゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 鈴蘭の毒性は、とても強い。 いけた水を飲んでも中毒になる程に。 あにゃると呼ばれる機関は、内部の餡子に直結している、そこに鈴蘭が刺さったのだ。 「もっととかいはにしてあげるわね!!」 「ひ゛っ…!?」 まむまむ、両目、口には隙間無い程の大量の鈴蘭 それ以外の皮膚にも、猛毒の鈴蘭が…まるで剣山に刺しているようだ そしてそのまりさに、食事を終えた六匹が襲い掛かる 「「「「「「すっきりぢまぢょうねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」 鈴蘭の間から、或いはその上から場所を問わず、いきり立たせたぺにぺにを突き立てるありすたち 一匹適当なれいむの側で震えていた内から子ゆっくりを追加で二匹、奪い取る。 「殺すなよ、生かしておかないとすっきりできるゆっくりが減るぞー」 「「「「「「んほぉぉぉぉぉ、ころしたりしないわあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」 ならば良い、僕はそれ以上何も言わずに退出することにした 去り際、鈴蘭が何本も刺さったまりさの眼が、あの日のれいむと同じ眼で僕を睨んでいる。 僕は笑顔で手を振って、今度こそ『農場』を後にした。 『『『『『『ずっぎりーーーーーーーー!!!!!!』』』』』』 * * * 今日採取したゆっくりで夕食をとったあと 開けっ放しだった縁側に山のように山積している天狗の新聞に 日付順に眼を通していく(勝手に投げ込んでくれるので出不精の僕が外のことを知る重要な情報源になっている) 「ん?」 手に取った新聞の間から、赤い封筒が落ちる。 手触り、装丁、ドレをとっても一級の高そうな便箋である。 外側を損なわないように、ペーパーナイフで丁寧に空けると 中には妙な手紙が… 『ゆっくりに関わる人たちを書いていただけませんか?』 つづく。 【アトガキ】 免許取れました!就職決まりました! でも外付けHDDが壊れて新調しました。 最初書いてた話とずいぶん変わりましたし、期間開きましたが 久しぶりに虐待SSupです。 もっと毒で苦しむ描写とかメインになるはずだったのですが…あっさりめです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/index-ss/pages/910.html
『君は君でしかないから』スクライド仕立て 「私の名はアレイスター・クロウリー。上条当麻、私の元へ来ないか?」 「何を言ってんだ、あんた」 「そうよ。こっちはデート中よ」 「……いつデートに?」 「そこで突っ込まないでよ。 ――行って。あんたは自分のやりたいことをやりなさい。 あんたは――上条当麻なんでしょう?」 「……分かったよ、ビリビリ」 「ビリビリ言うな!」 「そんじゃ、改めて……任せたぞ、美琴」 「そうよ、そうやっていつもみたく御坂って呼んでれば――あれ?」 「お?もしかして……おまえを名前で呼んだのって、これが初めてか?」 「こんなときに……馬鹿。 ――ねえ、もう一回罰ゲームしない?」 「ルールは?」 「私とあんた……先に目的を果たした方が勝ち。 私が勝ったら、次からは名前で呼んでもらうわよ」 「それじゃあ、俺も勝ったら上条さんって呼んでもらうぞ」 「こういう場合、名前で呼ばせるんじゃないの?」 「そうなのか?じゃあ、名前でいいぞ」 「……まあ、いいわ。今回も私が勝つんだし」 「いや、今度は俺が勝つ。――だから、死ぬなよ」 「お互いね。……行って」 「……どこへ行こうというのだ?」 「行かせないわよ」 「それ以上虚勢を張るのは止めておいた方がいい。 おまえは余命幾ばくもない。00000号として性能を追求した結果だ」 「やっぱり、そうなのね……。 その残り時間を、少しでも有意義に過ごしたかったんだけど」 「今からでも遅くはない」 「そうはいかないわ」 「誰かが泣いてたら迷わず手を差し伸べて、誰一人見捨てない―― 私は、そんな幻想―ユメ―を諦めないあいつが好きなの。 私はあいつの幻想を守りたい! ここで残りの命を使い果たしても、絶対に後悔しない! でもね……私もあいつの隣に居てやらないと、 あいつの夢を守れないから――私は死なない。私は生きる。 “御坂美琴”は最後まで諦めないで、精一杯生きる!! あの子達のように――あの子達に負けないくらい、強く生きてみせる……!」 「――それでも、おまえの恋は実らない」 「そんなことは分かってんのよッ!この宙吊り野郎……!!」
https://w.atwiki.jp/aapose/pages/310.html
【このページのタグ一覧】 【キャラ別分類表】 三頭身モナー体型モナー体型/裸体 モナー体型/着衣 ギコ体型ギコ体型/裸体 ギコ体型/着衣 モナギコ小型モナギコ小型/裸体 モナギコ小型/着衣 ドクオ体型 八頭身八頭身男性体型八頭身男性/裸体 八頭身男性/着衣 八頭身女性体型八頭身女性/裸体 八頭身女性/着衣 八頭身小型八頭身小型/裸体 八頭身小型/着衣 特殊体型AA 拡大AA拡大AA/裸体 拡大AA/着衣 関連便利AA 【収録AA】 三頭身 モナー体型 モナー体型/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 モナー体型/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ ギコ体型 ギコ体型/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 ギコ体型/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ モナギコ小型 モナギコ小型/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 モナギコ小型/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ ドクオ体型 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 八頭身 八頭身男性体型 八頭身男性/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 八頭身男性/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 八頭身女性体型 八頭身女性/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 八頭身女性/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 八頭身小型 八頭身小型/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 八頭身小型/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 特殊体型AA 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 拡大AA 拡大AA/裸体 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 拡大AA/着衣 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ 関連便利AA 【基本】/這う/四つん這い/動物風 現在収集中 上へ
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/2768.html
※注意! ゆっくりSSにおけるおなじみの注意事項(自分設定とか、虐待要素薄いとか、その他沢山)に該当するかもしれません 虐待されないゆっくり、しあわせなゆっくり、れいぱーありすが出ます。 苦手な人は回れ右。 『地に還れ』『ヒメイ』『カンミ』と世界観がつながっているきがします * * * この世の中にある全ての物は 『食べられるモノ』か『食べられないモノ』かに大別できると思う。 この場合ゆっくりは『食べられるモノ』だ それ以上でも以下でも無い 種族・性質・言動に細かな違いは数あれど 所詮は『食べられるモノ』でしかない、あらゆる意味で。 何もゆっくりに限った話ではない、マクロな視点で見た場合の話だ。 それが証拠に人間の上位種である所の妖怪から見れば 僕ら人間はゆっくりと同じ『食べられるモノ』だ。 そういう意味で僕らにはあまり大きな違いは無いのかもしれない。 事実、幻想郷の妖怪が総出で人間をそういう風に扱えば ほんの数日後には『ゆっくり加工場』ならぬ 『人肉加工場』なんてものがそこらでオープンする事も無くはないifだろう。 「む」 唐突に腹が啼いた、ここ数日摘んでいた乾物ももう空になっている。 きりのいい所でいったん筆を置く。 目頭を揉んで大きく伸びをする、窓から差し込む西日は紅く 秋の眩しい夕ざしが、薄暗い書斎を照らしている。 いけないいけない、仕事に熱中しだすと時が経つのを忘れてしまう。 しみじみと摩った下あごには3~4日分伸びた髭がチクチクと痛い。 もの書きと言う人種は、そうして無精を積み重ねていくのだなぁ… 「それにしても、『人肉加工場』とは我ながら穏やかじゃない」 次の話はそういった路線で書いて見るのも悪くないかもしれない まぁ、それより今は夕食を用意しよう ここ数日、乾物と茶しか口にしていない 原稿は八割方書きあがったのだし、ほったらかしでは 折角の『農園』も宝の持ち腐れだ。 * * * 僕の本は結構売れている。 堅苦しくない文体や、取り扱う内容から 僕とそう年齢の変わらない十代の若い人たちを中心に受けているそうだ。 おかげで日に一食口にするにも難儀するような貧乏暮らしとはオサラバ出来た訳だが 今度は忙しくて食べ物を用意する暇が無くなってしまった。 貧乏ではない、とはいえ手伝いの人を雇うほどの余裕も無い。 忙しさが限界に達したある日、僕はついに栄養失調で医者の世話になる羽目になってしまった。 身体に悪い所があったわけではないので、すぐに復調したのだが 根本の食生活がままならないままでは、同じことの繰り返しでしかない。 畑でも作るかなぁ…と考えたのだが とても毎日手入れできるような生活はしていない。 僕の本を刷ってくれている印刷所がしばらく休みをくれると言うので (正確には、身体を悪くするほど過密だった締め切りが延びただけ) 旧知である寺子屋の同窓生の所に顔を出し、飲み屋で遊んだ帰り道で すっかり暗くなり、行灯の光が照らす夜道で僕と友人に声をかける奇怪な物体が現れた。 『『ゆっくりしていってね!』』 でっぷりとした生首が二匹、わけのわからない事をのたまいながら跳ね寄って来たのだ。 僕は驚いて腰を抜かしたが、友人の方は辟易した顔で溜息をつくと 「そぉいっ!!」 「ぎゅゆふぇ!?」 鋭い蹴りを見舞われた帽子の生首は、汚らしい悲鳴を上げながら 行灯が照らしきれない闇の中に消えていった。 「ゆがぁ゛!て゛い゛む゛のばりざになにずるのお゛お゛お゛ぉぉぉぉぉ!!」 奇声を上げて帽子の飛ばされた方向へ跳ねていく蔦の生えた生首… 僕は絶句して友人にあれは何なのか、と尋ねると 「ゆっくりを知らないのかよ、お前…世間知らずにも程があるぞ」 と、歩きながら先程の生首の事を教えてくれた。 なんでも畑を荒らし、家の中に勝手に入って暴れ ドスと呼ばれる巨大な固体は人を襲って大怪我を負わせたりもするらしい。 「とんでもない害獣…獣?」 「…?、害獣でいいんじゃないのか」 「それがなぁ、あいつら饅頭なんだよ」 「は?」 「見ろよ、中身」 歩き続けた先には、先程吹き飛んだ帽子の生首…ゆっくりが 直撃した眉間の部分を喪い、中身をぶちまけて痙攣していた 痙攣にあわせて漏れ出している中身は…餡子? 「こいつら二種類は餡子、他にもカスタードや…変わったヤツだと肉まんとかピザまんとか」 「なんだいそれは…」 「しらんがな」 ('・ω・`)な顔のまま、番らしい帽子の周りで 『ゆっくりしていってね!』を連呼して跳ね回っている ゆっくりの蔦を毟り取る 「ゆがぁ!?て゛い゛ふ゛のあがぢゃんがえぜぇぇぇぇぇぇぇ」 「ふんもっふ!」 「ぎ ち゛ ゅ」 生首の底の部分を引っつかみ、そのまま思い切り腕を振りぬく 底から口、頭部の天辺まで、ベロンといやな音を立てて皮が剥けた。 剥かれた皮には大きな穴が一つと小さな穴が二つ 両目の穴と口だと理解したとき、体が震えた 付着している白い石の様なものは…前歯か? 皮を剥かれた部分は黒い中身を剥き出しにしている。 「おいっ、いくらなんでも…」 「良いんだよ、所詮饅頭…見かけ次第潰す様にってのは里の取り決めでもあるんだ ほい、食えよ」 差し出された蔦は、先程生首の頭から毟られたモノだ。 その先に生っているのは…先程の二匹と同じ生首だった。 「美味いぞ」 「あ、ああ」 顔の中心を剥かれ、口も利けず震える親生首 その目だけが、小さな生首を口にしようとする僕を 異常な執念を宿した熱気で持って睨んでいる。 恐る恐る、一つちぎって口にする。 口の中に放り込んだ時、小さく「ゅ?」と声を上げた気がする。 恐ろしくなって急いでかみ締めた瞬間、「ぷちゅ」と音を立てる生首 口の中で…潰れた、死んだ、殺した、食った。 広がる甘い味、美味い…噛むたびに味が変わる シャクっと音を立てた歯ごたえのある部分は恐らく歯だ、 砂糖菓子の様な触感と味も餡子の甘味に加わる。 リボンと髪は飴細工のようだった…だが甘すぎず 薄く柔らかな皮も全体の味を引き締めていた。 時間をかけて飲み下す、すると一匹毟られたので気が付いたのか 蔦に生った生首たちが目を覚まし、騒ぎ始める。 まだ蔦には10個以上の生首…『ゆっくり』が生っている。 二つ、三つと友人と分けて食べる… 蔦の先で悲鳴を上げながら、小さな身体で必死に逃げようとする姿を見ながら 数分と経たずに、平らげた。 だが足りない、あの悲鳴、味わい・触感…もっと味わえないだろうか 「な、なぁ!」 「ん?」 突然大きな声を上げた私に、怪訝そうな顔をする友人 続く私の質問は、今思えば相当に珍妙なものだっただろう。 「ゆっくりってどうすれば大量に食えるんだ?」 「……('・ω・`)」 * * * 今日の夕食を確保するために、僕は庭のに拵えた『農場』に足を向けた。 『農場』といっても、畑で野菜を育てたりしているわけではない 庭の何も無いスペースに立てた、納屋の中身が僕にとっての『農場』なのだ。 友人にわかる限りのゆっくりの生態を教わった後 休暇中そこらじゅうを走り回り、里の大工やゆっくり関連の店の協力を得て この納屋の中に、ゆっくりが生える施設を作ったのだ。 ここがあれば、安価で手軽に食べられるゆっくりが幾らでも手に入るというわけだ。 『農場』の中で動き回っているのはこの『農場』の世話を任せている ありす六匹だけだ、あとのゆっくりは一匹残らず呻きながら痙攣して身動き一つしていない。 「ゆっ!おにーさんじゃない」 「みっかかんもかおをださないなんて、ぜんぜんとかいはじゃないわね!!」 ぷりぷりと怒りながらありすたちが寄って来る。 「ごめんごめん、今日収穫できそうなゆっくりはいるかな?」 僕の質問に、ありす達は女性や子供が見れば悲鳴を上げそうなほど気味の悪い 邪悪な笑みを浮かべた。 「みんなみーんな、おいしくにんっしんしてるわ!」 「とかいはなありすたちが、ずーっとあいしてあげているもの!!」 このありすたちは『農場』内の世話や手入れだけでなく 『種付け』も行っている、そこらへんの野良ゆっくりだったのを捕獲しただけ 特別な教育はしていない固体だが、良く働いてくれている。 『農場』のゆっくりと同じ様に、死ぬまで子供を生まされ続けるか 冬でも暖かく安全な『農場』で、気の済むまですっきりしたりゆっくりしたりするか 前者を選ぶありすは殆んど居ない、子連れの個体でも大抵はすっきりの誘惑に負け 家族までもを犯して搾取する側に回る。 搾取される側、つまりここで生きている各種のゆっくりたちだが 彼らは底部を焼かれてもいなければ、箱に閉じ込めているわけでもない 食料は潤沢に〝循環"しているので、ゆっくりの基準に照らせば 相当栄養状態は良く、どの固体もでっぷりとしている。 だが、彼らは殆んど動く事ができない。 蔦を生やしたり、下腹部を膨らませたり 動かぬ身体で必死にちいさなゆっくりを庇おうと震えているもの 入り口に置いてある籠に、適当に見繕って12~3こ見繕って行く 甘味だけではバランスが取れないので ピザまん・肉まん・チーズ入り等、バランスよく摘み取って行く。 「……ッ」 「…っ!!!!」 「!!!!!!!!!」 「ゅっゆ……」 「ぃぃぃ!!!!!!!」 摘み取られた親ゆっくり達は顔を引きつらせ、声も出せないのに 身もだえして涙を流して悔しがっている。 彼らのうち、大人のゆっくりには、毒を使った 今この瞬間も呼吸困難や嘔吐感、体中に走る激痛に苦しんでいる。 餌に与えた鈴蘭の毒だ、人間でも死ぬ程に強力な毒だ…さぞ苦しいだろう。 子ゆっくりには死んだゆっくりや適当な甘味(水あめ等)を与えている。 そんなゆっくりを食べて平気なのか、といぶかしむ人もいるだろうが 勿論直接毒を摂取したゆっくりなど食べない。 食べるのは実ゆっくりか子ゆっくりまでだ。 蔦に生った実ゆっくりを食べられるのは意外かもしれないが ゆっくりがどんな毒物を食べようが、それが自然物であるなら 問題は無いのだと言う、化学物質のように残留するものならダメだが 鈴蘭〝程度"の毒素なら、無害化して餡子に変えるのだそうだ ましてや蔦を通して赤ゆっくりに送られる餡子は 余り知られていないが、殆んど無菌状態なのという。 今日の収穫はこのくらいにしよう、最後に一番最近来たまりさの蔦に手を伸ばし 一匹毟る。 「ゃ゛べ…ろ゛!!あが、ぢゃん、ぼっでぐなぁ!!!!!」 「ありすー、こいつまだ毒が回ってないぞー?」 「ゆ゛がぁ?!」 俺の声に、現在行っていた作業を全て中断して れみりゃに腰を振っていた者、巣の掃除をしていた者 餌の鈴蘭を世話していた者、六匹のありすがぞろぞろと集まってくる。 「もぅ!このこはいつもごはんをはいちゃうこね!!」 「ありすたちがあいしてあげてもつんでれなたいどをくずさないイキのいいまりさよ!」 「こんなにいっぱいあかちゃんをはらんでいるのに、すききらいなんてほんとうにいなかものね!!」 「ありす!たくさん『すずらんさん』をもってきて!!こうなったらたくさんねじこんであげましょう!!」 「それだけじゃとかいはじゃないわ、くちだけじゃなくてあにゃるやまむまむにもきれいな『すずらんさん』をたべさせてあげない?」 「それは…とってもとかいはじゃない!!」 鈴蘭係のありすの思いつきで、何十本もの鈴蘭が運ばれてくる。 先程の会話を聞いていたまりさは動かぬ身体を激しく震わせる。 これから自分の身に起こる事を、ある程度理解したのだろう その、眼―――震えながらあげた目線の先で、 僕はまりさの頭に生っていたゆっくりをわざと半分だけ齧り地面に捨てる。 白目を剥いて痙攣する赤ゆっくりにも満たない実ゆっくりまりさ 必死にそれに這いよろうとするまりさ、 「おにーさん、そのこたべていいの?」 地面に投げ捨てた食いかけの実ゆっくりの事を聞いているらしい。 暫く考えて、まりさから蔦を毟り取って実ゆっくりと並べてやる」 「あぁ、いいよがんばってるありすへの御褒美だ 生っている赤ちゃんもみんなで分けて食べていい」 「ゆっ!おにいさんたらやせているのにふとっぱらね!!」 「まりさっ!おいしいあかちゃんありがとうね!」 「むーちゃ、むーちゃ、とってもしあわせー!!」 「とかいはなあじわいだわ!!」 それを見ていたまりさは、最後の力で一番近くのありすに食いつこうと ブスッ――っと、まりさの後頭部に一輪の『鈴蘭』が咲いた。 「ゆ゛…ぎ…あ゛あ゛あ゛あ゛嗚゛呼゛嗚゛呼゛嗚゛呼嗚゛゛呼゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 鈴蘭の毒性は、とても強い。 いけた水を飲んでも中毒になる程に。 あにゃると呼ばれる機関は、内部の餡子に直結している、そこに鈴蘭が刺さったのだ。 「もっととかいはにしてあげるわね!!」 「ひ゛っ…!?」 まむまむ、両目、口には隙間無い程の大量の鈴蘭 それ以外の皮膚にも、猛毒の鈴蘭が…まるで剣山に刺しているようだ そしてそのまりさに、食事を終えた六匹が襲い掛かる 「「「「「「すっきりぢまぢょうねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」 鈴蘭の間から、或いはその上から場所を問わず、いきり立たせたぺにぺにを突き立てるありすたち 一匹適当なれいむの側で震えていた内から子ゆっくりを追加で二匹、奪い取る。 「殺すなよ、生かしておかないとすっきりできるゆっくりが減るぞー」 「「「「「「んほぉぉぉぉぉ、ころしたりしないわあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」 ならば良い、僕はそれ以上何も言わずに退出することにした 去り際、鈴蘭が何本も刺さったまりさの眼が、あの日のれいむと同じ眼で僕を睨んでいる。 僕は笑顔で手を振って、今度こそ『農場』を後にした。 『『『『『『ずっぎりーーーーーーーー!!!!!!』』』』』』 * * * 今日採取したゆっくりで夕食をとったあと 開けっ放しだった縁側に山のように山積している天狗の新聞に 日付順に眼を通していく(勝手に投げ込んでくれるので出不精の僕が外のことを知る重要な情報源になっている) 「ん?」 手に取った新聞の間から、赤い封筒が落ちる。 手触り、装丁、ドレをとっても一級の高そうな便箋である。 外側を損なわないように、ペーパーナイフで丁寧に空けると 中には妙な手紙が… 『ゆっくりに関わる人たちを書いていただけませんか?』 つづく。 【アトガキ】 免許取れました!就職決まりました! でも外付けHDDが壊れて新調しました。 最初書いてた話とずいぶん変わりましたし、期間開きましたが 久しぶりに虐待SSupです。 もっと毒で苦しむ描写とかメインになるはずだったのですが…あっさりめです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2921.html
※注意! ゆっくりSSにおけるおなじみの注意事項(自分設定とか、虐待要素薄いとか、その他沢山)に該当するかもしれません 虐待されないゆっくり、しあわせなゆっくり、れいぱーありすが出ます。 苦手な人は回れ右。 『地に還れ』『ヒメイ』『カンミ』と世界観がつながっているきがします * * * この世の中にある全ての物は 『食べられるモノ』か『食べられないモノ』かに大別できると思う。 この場合ゆっくりは『食べられるモノ』だ それ以上でも以下でも無い 種族・性質・言動に細かな違いは数あれど 所詮は『食べられるモノ』でしかない、あらゆる意味で。 何もゆっくりに限った話ではない、マクロな視点で見た場合の話だ。 それが証拠に人間の上位種である所の妖怪から見れば 僕ら人間はゆっくりと同じ『食べられるモノ』だ。 そういう意味で僕らにはあまり大きな違いは無いのかもしれない。 事実、幻想郷の妖怪が総出で人間をそういう風に扱えば ほんの数日後には『ゆっくり加工場』ならぬ 『人肉加工場』なんてものがそこらでオープンする事も無くはないifだろう。 「む」 唐突に腹が啼いた、ここ数日摘んでいた乾物ももう空になっている。 きりのいい所でいったん筆を置く。 目頭を揉んで大きく伸びをする、窓から差し込む西日は紅く 秋の眩しい夕ざしが、薄暗い書斎を照らしている。 いけないいけない、仕事に熱中しだすと時が経つのを忘れてしまう。 しみじみと摩った下あごには3~4日分伸びた髭がチクチクと痛い。 もの書きと言う人種は、そうして無精を積み重ねていくのだなぁ… 「それにしても、『人肉加工場』とは我ながら穏やかじゃない」 次の話はそういった路線で書いて見るのも悪くないかもしれない まぁ、それより今は夕食を用意しよう ここ数日、乾物と茶しか口にしていない 原稿は八割方書きあがったのだし、ほったらかしでは 折角の『農園』も宝の持ち腐れだ。 * * * 僕の本は結構売れている。 堅苦しくない文体や、取り扱う内容から 僕とそう年齢の変わらない十代の若い人たちを中心に受けているそうだ。 おかげで日に一食口にするにも難儀するような貧乏暮らしとはオサラバ出来た訳だが 今度は忙しくて食べ物を用意する暇が無くなってしまった。 貧乏ではない、とはいえ手伝いの人を雇うほどの余裕も無い。 忙しさが限界に達したある日、僕はついに栄養失調で医者の世話になる羽目になってしまった。 身体に悪い所があったわけではないので、すぐに復調したのだが 根本の食生活がままならないままでは、同じことの繰り返しでしかない。 畑でも作るかなぁ…と考えたのだが とても毎日手入れできるような生活はしていない。 僕の本を刷ってくれている印刷所がしばらく休みをくれると言うので (正確には、身体を悪くするほど過密だった締め切りが延びただけ) 旧知である寺子屋の同窓生の所に顔を出し、飲み屋で遊んだ帰り道で すっかり暗くなり、行灯の光が照らす夜道で僕と友人に声をかける奇怪な物体が現れた。 『『ゆっくりしていってね!』』 でっぷりとした生首が二匹、わけのわからない事をのたまいながら跳ね寄って来たのだ。 僕は驚いて腰を抜かしたが、友人の方は辟易した顔で溜息をつくと 「そぉいっ!!」 「ぎゅゆふぇ!?」 鋭い蹴りを見舞われた帽子の生首は、汚らしい悲鳴を上げながら 行灯が照らしきれない闇の中に消えていった。 「ゆがぁ゛!て゛い゛む゛のばりざになにずるのお゛お゛お゛ぉぉぉぉぉ!!」 奇声を上げて帽子の飛ばされた方向へ跳ねていく蔦の生えた生首… 僕は絶句して友人にあれは何なのか、と尋ねると 「ゆっくりを知らないのかよ、お前…世間知らずにも程があるぞ」 と、歩きながら先程の生首の事を教えてくれた。 なんでも畑を荒らし、家の中に勝手に入って暴れ ドスと呼ばれる巨大な固体は人を襲って大怪我を負わせたりもするらしい。 「とんでもない害獣…獣?」 「…?、害獣でいいんじゃないのか」 「それがなぁ、あいつら饅頭なんだよ」 「は?」 「見ろよ、中身」 歩き続けた先には、先程吹き飛んだ帽子の生首…ゆっくりが 直撃した眉間の部分を喪い、中身をぶちまけて痙攣していた 痙攣にあわせて漏れ出している中身は…餡子? 「こいつら二種類は餡子、他にもカスタードや…変わったヤツだと肉まんとかピザまんとか」 「なんだいそれは…」 「しらんがな」 ( ・ω・`)な顔のまま、番らしい帽子の周りで 『ゆっくりしていってね!』を連呼して跳ね回っている ゆっくりの蔦を毟り取る 「ゆがぁ!?て゛い゛ふ゛のあがぢゃんがえぜぇぇぇぇぇぇぇ」 「ふんもっふ!」 「ぎ ち゛ ゅ」 生首の底の部分を引っつかみ、そのまま思い切り腕を振りぬく 底から口、頭部の天辺まで、ベロンといやな音を立てて皮が剥けた。 剥かれた皮には大きな穴が一つと小さな穴が二つ 両目の穴と口だと理解したとき、体が震えた 付着している白い石の様なものは…前歯か? 皮を剥かれた部分は黒い中身を剥き出しにしている。 「おいっ、いくらなんでも…」 「良いんだよ、所詮饅頭…見かけ次第潰す様にってのは里の取り決めでもあるんだ ほい、食えよ」 差し出された蔦は、先程生首の頭から毟られたモノだ。 その先に生っているのは…先程の二匹と同じ生首だった。 「美味いぞ」 「あ、ああ」 顔の中心を剥かれ、口も利けず震える親生首 その目だけが、小さな生首を口にしようとする僕を 異常な執念を宿した熱気で持って睨んでいる。 恐る恐る、一つちぎって口にする。 口の中に放り込んだ時、小さく「ゅ?」と声を上げた気がする。 恐ろしくなって急いでかみ締めた瞬間、「ぷちゅ」と音を立てる生首 口の中で…潰れた、死んだ、殺した、食った。 広がる甘い味、美味い…噛むたびに味が変わる シャクっと音を立てた歯ごたえのある部分は恐らく歯だ、 砂糖菓子の様な触感と味も餡子の甘味に加わる。 リボンと髪は飴細工のようだった…だが甘すぎず 薄く柔らかな皮も全体の味を引き締めていた。 時間をかけて飲み下す、すると一匹毟られたので気が付いたのか 蔦に生った生首たちが目を覚まし、騒ぎ始める。 まだ蔦には10個以上の生首…『ゆっくり』が生っている。 二つ、三つと友人と分けて食べる… 蔦の先で悲鳴を上げながら、小さな身体で必死に逃げようとする姿を見ながら 数分と経たずに、平らげた。 だが足りない、あの悲鳴、味わい・触感…もっと味わえないだろうか 「な、なぁ!」 「ん?」 突然大きな声を上げた私に、怪訝そうな顔をする友人 続く私の質問は、今思えば相当に珍妙なものだっただろう。 「ゆっくりってどうすれば大量に食えるんだ?」 「……( ・ω・`)」 * * * 今日の夕食を確保するために、僕は庭のに拵えた『農場』に足を向けた。 『農場』といっても、畑で野菜を育てたりしているわけではない 庭の何も無いスペースに立てた、納屋の中身が僕にとっての『農場』なのだ。 友人にわかる限りのゆっくりの生態を教わった後 休暇中そこらじゅうを走り回り、里の大工やゆっくり関連の店の協力を得て この納屋の中に、ゆっくりが生える施設を作ったのだ。 ここがあれば、安価で手軽に食べられるゆっくりが幾らでも手に入るというわけだ。 『農場』の中で動き回っているのはこの『農場』の世話を任せている ありす六匹だけだ、あとのゆっくりは一匹残らず呻きながら痙攣して身動き一つしていない。 「ゆっ!おにーさんじゃない」 「みっかかんもかおをださないなんて、ぜんぜんとかいはじゃないわね!!」 ぷりぷりと怒りながらありすたちが寄って来る。 「ごめんごめん、今日収穫できそうなゆっくりはいるかな?」 僕の質問に、ありす達は女性や子供が見れば悲鳴を上げそうなほど気味の悪い 邪悪な笑みを浮かべた。 「みんなみーんな、おいしくにんっしんしてるわ!」 「とかいはなありすたちが、ずーっとあいしてあげているもの!!」 このありすたちは『農場』内の世話や手入れだけでなく 『種付け』も行っている、そこらへんの野良ゆっくりだったのを捕獲しただけ 特別な教育はしていない固体だが、良く働いてくれている。 『農場』のゆっくりと同じ様に、死ぬまで子供を生まされ続けるか 冬でも暖かく安全な『農場』で、気の済むまですっきりしたりゆっくりしたりするか 前者を選ぶありすは殆んど居ない、子連れの個体でも大抵はすっきりの誘惑に負け 家族までもを犯して搾取する側に回る。 搾取される側、つまりここで生きている各種のゆっくりたちだが 彼らは底部を焼かれてもいなければ、箱に閉じ込めているわけでもない 食料は潤沢に〝循環"しているので、ゆっくりの基準に照らせば 相当栄養状態は良く、どの固体もでっぷりとしている。 だが、彼らは殆んど動く事ができない。 蔦を生やしたり、下腹部を膨らませたり 動かぬ身体で必死にちいさなゆっくりを庇おうと震えているもの 入り口に置いてある籠に、適当に見繕って12~3こ見繕って行く 甘味だけではバランスが取れないので ピザまん・肉まん・チーズ入り等、バランスよく摘み取って行く。 「……ッ」 「…っ!!!!」 「!!!!!!!!!」 「ゅっゆ……」 「ぃぃぃ!!!!!!!」 摘み取られた親ゆっくり達は顔を引きつらせ、声も出せないのに 身もだえして涙を流して悔しがっている。 彼らのうち、大人のゆっくりには、毒を使った 今この瞬間も呼吸困難や嘔吐感、体中に走る激痛に苦しんでいる。 餌に与えた鈴蘭の毒だ、人間でも死ぬ程に強力な毒だ…さぞ苦しいだろう。 子ゆっくりには死んだゆっくりや適当な甘味(水あめ等)を与えている。 そんなゆっくりを食べて平気なのか、といぶかしむ人もいるだろうが 勿論直接毒を摂取したゆっくりなど食べない。 食べるのは実ゆっくりか子ゆっくりまでだ。 蔦に生った実ゆっくりを食べられるのは意外かもしれないが ゆっくりがどんな毒物を食べようが、それが自然物であるなら 問題は無いのだと言う、化学物質のように残留するものならダメだが 鈴蘭〝程度"の毒素なら、無害化して餡子に変えるのだそうだ ましてや蔦を通して赤ゆっくりに送られる餡子は 余り知られていないが、殆んど無菌状態なのという。 今日の収穫はこのくらいにしよう、最後に一番最近来たまりさの蔦に手を伸ばし 一匹毟る。 「ゃ゛べ…ろ゛!!あが、ぢゃん、ぼっでぐなぁ!!!!!」 「ありすー、こいつまだ毒が回ってないぞー?」 「ゆ゛がぁ?!」 俺の声に、現在行っていた作業を全て中断して れみりゃに腰を振っていた者、巣の掃除をしていた者 餌の鈴蘭を世話していた者、六匹のありすがぞろぞろと集まってくる。 「もぅ!このこはいつもごはんをはいちゃうこね!!」 「ありすたちがあいしてあげてもつんでれなたいどをくずさないイキのいいまりさよ!」 「こんなにいっぱいあかちゃんをはらんでいるのに、すききらいなんてほんとうにいなかものね!!」 「ありす!たくさん『すずらんさん』をもってきて!!こうなったらたくさんねじこんであげましょう!!」 「それだけじゃとかいはじゃないわ、くちだけじゃなくてあにゃるやまむまむにもきれいな『すずらんさん』をたべさせてあげない?」 「それは…とってもとかいはじゃない!!」 鈴蘭係のありすの思いつきで、何十本もの鈴蘭が運ばれてくる。 先程の会話を聞いていたまりさは動かぬ身体を激しく震わせる。 これから自分の身に起こる事を、ある程度理解したのだろう その、眼―――震えながらあげた目線の先で、 僕はまりさの頭に生っていたゆっくりをわざと半分だけ齧り地面に捨てる。 白目を剥いて痙攣する赤ゆっくりにも満たない実ゆっくりまりさ 必死にそれに這いよろうとするまりさ、 「おにーさん、そのこたべていいの?」 地面に投げ捨てた食いかけの実ゆっくりの事を聞いているらしい。 暫く考えて、まりさから蔦を毟り取って実ゆっくりと並べてやる」 「あぁ、いいよがんばってるありすへの御褒美だ 生っている赤ちゃんもみんなで分けて食べていい」 「ゆっ!おにいさんたらやせているのにふとっぱらね!!」 「まりさっ!おいしいあかちゃんありがとうね!」 「むーちゃ、むーちゃ、とってもしあわせー!!」 「とかいはなあじわいだわ!!」 それを見ていたまりさは、最後の力で一番近くのありすに食いつこうと ブスッ――っと、まりさの後頭部に一輪の『鈴蘭』が咲いた。 「ゆ゛…ぎ…あ゛あ゛あ゛あ゛嗚゛呼゛嗚゛呼゛嗚゛呼嗚゛゛呼゛ああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!」 鈴蘭の毒性は、とても強い。 いけた水を飲んでも中毒になる程に。 あにゃると呼ばれる機関は、内部の餡子に直結している、そこに鈴蘭が刺さったのだ。 「もっととかいはにしてあげるわね!!」 「ひ゛っ…!?」 まむまむ、両目、口には隙間無い程の大量の鈴蘭 それ以外の皮膚にも、猛毒の鈴蘭が…まるで剣山に刺しているようだ そしてそのまりさに、食事を終えた六匹が襲い掛かる 「「「「「「すっきりぢまぢょうねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」」」」 鈴蘭の間から、或いはその上から場所を問わず、いきり立たせたぺにぺにを突き立てるありすたち 一匹適当なれいむの側で震えていた内から子ゆっくりを追加で二匹、奪い取る。 「殺すなよ、生かしておかないとすっきりできるゆっくりが減るぞー」 「「「「「「んほぉぉぉぉぉ、ころしたりしないわあぁあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」」」 ならば良い、僕はそれ以上何も言わずに退出することにした 去り際、鈴蘭が何本も刺さったまりさの眼が、あの日のれいむと同じ眼で僕を睨んでいる。 僕は笑顔で手を振って、今度こそ『農場』を後にした。 『『『『『『ずっぎりーーーーーーーー!!!!!!』』』』』』 * * * 今日採取したゆっくりで夕食をとったあと 開けっ放しだった縁側に山のように山積している天狗の新聞に 日付順に眼を通していく(勝手に投げ込んでくれるので出不精の僕が外のことを知る重要な情報源になっている) 「ん?」 手に取った新聞の間から、赤い封筒が落ちる。 手触り、装丁、ドレをとっても一級の高そうな便箋である。 外側を損なわないように、ペーパーナイフで丁寧に空けると 中には妙な手紙が… 『ゆっくりに関わる人たちを書いていただけませんか?』 つづく。 【アトガキ】 免許取れました!就職決まりました! でも外付けHDDが壊れて新調しました。 最初書いてた話とずいぶん変わりましたし、期間開きましたが 久しぶりに虐待SSupです。 もっと毒で苦しむ描写とかメインになるはずだったのですが…あっさりめです。 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau9/pages/857.html
(巣立ちの日) あるところに一匹のゆっくりまりさがいました。うまれてから数か月が経ち やっと一人暮らしが出来る大きさに育ったまりさ。今日は巣立ちの日です。 そんな彼女の晴れの日を、母親や幼い妹たち、家族全員が祝います。 「ゆー!おねえちゃんおめでとう!きょうからいちにんまえのゆっくりだね!」 「たまにあそびにきてね!ゆっくりしていってね!!!」 「ゆ~。おねえちゃんがいなくなるとしゃみしくにゃるよ。」 「ゆっくちしていっちぇにぇ!」 「ゆ~。おかあさんはしんぱいだよ。でもしかたないね。からだにきをつけてね!」 「ありがとうみんな!まりさはだれよりもゆっくりしたゆっくりになるよ!!!」 まりさの姿が見えなくなるまで、まりさの家族はぴょんぴょんと飛び跳ねて見送ります。 まりさの幸せを願いながら。まりさの健康を祈りながら。 これが今生の別れになることも知らず・・・ 一方まりさはこれから始まる新しい生活に期待を膨らませ、ぴょんぴょんと駆けて行きます。 新しい土地にはどんなゆっくりがいるんだろう。どんなお家に住もうかな。 まりさが想像する未来は希望に満ち溢れています。でも現実は・・・ (一軒目) 「ゆっゆっゆ~♪まりさのあたらしいおうちをつくるよ~♪どんなおうちにしようかな~♪」 まりさは自分が住む家を造る事に決めたようです。流石に昨日の野宿がこたえたのでしょう。 朝露に濡れた体を乾かすのに1時間もかかってしまったのですから。 まりさは「ゆっゆっゆ~♪」と歌いながら新しく家を造る場所を探します。 「ゆっ!ここにしよう!まわりにおはながたくさんさいてる!とてもゆっくりできそうだよ!」 「このあなをまりさのおうちにするよ!あとはやねがひつようだね!」 まりさが見つけた穴は大人のゆっくりがすっぽりと入れるほどの深さがありました。 広さはゆっくりが3匹も入ればぎゅうぎゅう詰めになってしまうくらい。 しかし若いゆっくりの一人暮らしにはちょうど良い大きさです。 まだ家族もいませんし、それに巣には夜寝るときに帰って来るだけです。 「ゆー。なにかやねにできるいいものがないかなー。」 「ゆっ!これはつかえそうだよ!あとは・・・」 「これでおーけーだね!さっそくやねをつくるよ!」 まりさは屋根を造る為の材料を集めてきました。 集めてきたのは細長い木の枝、柔らかくて丈夫な蔓、そして大量のススキ。 まず木の枝を穴の上に格子状に置いていきます。次に木の枝を蔓で結んで固定します。 手を持たないゆっくりなのですべてを口でやらなければいけません。 この工程には大分時間がかかってしまいました。それでもまりさは楽しそうに作業を続けます。 そして最後に出来上がった屋根の骨組みの上にススキを敷いていきます。これで屋根のできあがり。 まりさの素敵なお家が完成しました。まりさはとても満足げです。ですが・・・ 「ゆーーー!まりさのすてきなおうちがかんせいしたよ!」 「だいぶじかんがかかったね!もうおそとはまっくらだよ!」 「きょうはもうねるよ!あたらしいおうちでゆっくりねるよ!」 まりさは新しい家でぐっすりと眠ります。家を造るため朝から動いていました。疲れていたのでしょう。 しかし残念な事にまりさはこの家で朝までゆっくりと寝る事はできませんでした。 天気が急変したのです。突然吹き出した風の音にびっくりして、まりさは目が覚めてしまいました。 「ゆー。かぜがつよいね。なんだかこわいよ。」 「!!!ゆゆゆっ!!!やねが!まりさがつくったやねが!」 「あああああ!やめて!とばさないで!まりさのおうちをこわさないでね!」 なんということでしょう。まりさが苦労して造った屋根を、強風がすべて吹き飛ばしてしまいました。 穴の中で呆然とするまりさ。結局まりさは今日も野宿をする事になってしまいました。 (二軒目) 「ゆーーーー。きのうはひどいめにあったよ。せっかくつくったおうちが・・・」 「でもこんなことでくじけないよ!こんどはかぜにまけないじょうぶなおうちをつくるよ!」 つねにプラス思考なまりさ。昨日の災難にも挫けず、また新しいお家を造るためぴょんぴょん跳ねていきます。 こんどはどんなお家を造るのでしょう。 「ゆーゆーゆー♪どんなおうちにしようかなー♪」 「ゆゆっ!これだ!これをつかっておうちをつくろう!」 「これでかぜがふいてもだいじょうぶだよ!こんどはゆっくりできるよ!」 まりさが見つけたのは泥です。近くに住むゆっくりが泥遊びでもしていたのでしょう。 早速まりさの泥を使った家造りが始まりました。 一日目。まずまりさはたくさんの小石を集めました。そして集めた小石を積み上げていきます。 夕方頃には成体のゆっくりより一回り大きい小石の山ができあがりました。 「ゆー。とってもつかれたよ。きょうはこれでおしまい。」 二日目。まりさは朝早くから起きだして川の近くで泥を作ります。 土を集めてその上に川から汲んで来た水をかけるのです。 土を集めるのも、口いっぱいに水を頬張って運んでくるのも、とても重労働ですがまりさは楽しそうです。 歌いながら土をこね、泥をつくっていきます。 「ぺったん♪ぺったん♪たのしいな♪」 「こんどのおうちはどろのおうち♪これでかぜにもまけないよ♪」 そしてできあがった泥を小石の山の上にのせていきます。 日が暮れて辺りが真っ暗になった頃、小石の山は泥で覆われ大きな泥の山になりました。 「ゆー。きょうもとってもつかれたよ。きょうはこれでおしまい。」 三日目。きょうは久し振りに朝寝坊。まりさが目を覚ましたのはお昼頃でした。 昨日造った泥の山はすっかり固まってカチカチになっています。 「ゆーーー!うまくいったよ!」 「あとはいしをとるだけだよ!」 まりさは家が崩れぬ様、慎重に小石を取り除いていきます。 そして日が傾き始めた頃、まりさがすっぽりと納まる泥のドームが完成しました。 今度のお家は風が吹いても吹き飛ばされません。まりさは大喜びです。ですが・・・ 「できたーーー!できたよ!まりさのすてきなおうちがかんせいしたよ!」 「このおうちならかぜがふいてもへいきだよ!えっへん!」 「これでゆっくりできるね!きょうはひさしぶりにおうちでゆっくりねるよ!」 まりさは新しいお家で楽しい夢を見ます。今日まで毎日野宿だったのです。お家でゆっくりするのはひさしぶり。 しかし残念な事にまりさの夢は悪夢に変わってしまいます。 真夜中頃、まりさは突然降りだした雨の音で目が覚めました。 「ゆ・・・あめがふってきたね。あめはきらいだよ。」 「でもだいじょうぶ。おうちのなかにいればこわくな・・・ゆぶっ!!!」 なんということでしょう。まりさが苦労して造った泥のお家は、雨のせいで崩れてしまいました。 なんとか泥の中から這い出たまりさ。しかしこれで助かったわけではありません。 いくら帽子を被っているとはいえ、長時間雨に打たれたら溶けてしまいます。 まりさは急いで近くにあった大きな木の下に逃げ込みます。 結局朝まで降り続いた雨のせいで、まりさは一睡もできませんでした。 (三軒目) 「ゆっくしゅ!ゆっくしゅ!ゆうぅぅぅ・・・さむかったよぉ・・・」 「やっぱりおうちがないとゆっくりできないよ。」 「こんどはあめにもまけないりっぱなおうちをつくるよ!こんどこそゆっくりするよ!」 一軒目のお家は風で、二軒目のお家は雨で壊されてしまいました。 まりさは一人暮らしを始めてからまだ一度も家でゆっくりできていません。 若く体力があるとはいえ、そろそろ家でゆっくりしないと死んでしまうかもしれません。 それを知ってか知らずか、まりさは今までにない真剣な顔で新しく造る家の事を考えます。 「ゆ~~~。いったいどうしたらゆっくりできるおうちがつくれるの?」 「そういえば・・・まりさはみんなといっしょにすんでたとき、とてもゆっくりしていたよ。」 「そうだ!おかあさんがつくったのとおなじようなおうちをつくったらゆっくりできるんだ。」 まりさが家族と暮らしていたお家は、崖に掘られた横穴でした。 まりさのお母さんが家族の為に必死に掘ったものです。 その家は夏は涼しく、冬は暖かく、もちろん雨や風にも負けない立派なお家でした。 「ゆ!まりさもおかあさんとおんなじおうちをつくるよ!」 「どこかいいばしょはないかなー。」 「ゆゆっ!ここはよさそうだね!ここにおうちをつくるよ!」 まりさは新しいお家を造る場所を決めたようです。 小高い丘の中腹にある土が剥き出しの崖。ここなら大雨が降っても浸水の心配はありません。 まりさは張り切って穴を掘り始めました。雨にも風にも邪魔されずゆっくりする為に。 一日目。まりさは穴を掘ります。と言っても人間とは違い、手を使って掘る事はできません。 口を使って少しづつ掘ってゆくのです。 「むーしゃ、むーしゃ、むーしゃ・・・」 「ゆっゆっゆ」 「ぺっ」 崖に向かって歯を立てて土を削ります。その様はまるで食事をしているようです。 そして少し離れたところまで跳ねていくと、「ぺっ」と土を吐き出すのです。 終わる事が無いようにも思われる単純作業。泥だらけになりながら、食べては吐き食べては吐きを繰り返します。 しかしまりさは楽しそう。完成した家でどんな風にゆっくりするかを考えながら作業を続けます。 流石に穴を掘って家を造るのは大仕事。この日は入口を造っただけで終わってしまいます。 二日目。三日目。四日目。五日目。まだまだ作業は続きます。 しかしやっと家の形が見えてきました。今日は小さな部屋が一つ完成しました。 「ゆーーーーー!!!やったよ!やっとおへやがひとつできたよ!!!」 「ひさしぶりにおうちでゆっくりやすめるよ!ゆっくりーーーーーー!!!」 六日目。七日目。八日目。今までとは違い一日が終わると家の中でゆっくりと休むことができます。 おかげで作業効率が上がったようです。まりさの家造りはどんどん進みます。 「ゆっゆっゆ~♪おうちづくりはたのしいな~♪」 「このおうちができたら、およめさんをみつけて、あかちゃんをつくって、みんなで、ゆふふふふ♪」 初めは小さかった部屋が、ゆっくりの一家が団欒できるほどの大きさの居間に変わりました。 そしてゆっくりと休める寝室や、小さな食糧庫もできました。 一人暮らしには十分すぎるほどの立派なお家です。明日、内装を仕上げたらいよいよ完成です。 九日目。家はほぼ出来上がりです。今日は最後の仕上げ。 家の床に白くて綺麗な砂を敷き詰めます。 どこから拾って来たのでしょうか。小さな牛乳瓶に近所で摘んできた花を挿します。花瓶の完成です。 壁には木の枝を器用に使って絵を描きました。 寝室には柔らかい草をたくさん運んできます。これでふかふかのベットの出来上がり。 家の入口には拾って来た大きなフキの葉っぱを使ってドアも造りました。 「ゆーえす!ゆーえす!ゆーえす!」 まりさはどこからか平らな石を持ってきました。これはどうやらテーブルに使うようです。 居間の真ん中にテーブルを置くと、まりさは満足そうな目で家の中を見渡します。 「できたーーーーーー!!!まりさのゆっくりはうすのかんせいだよ!!!」 遂に完成しました。まりさの素敵なお家。今日からまりさはこの家でゆっくりと暮らすのです。 ふかふかのベットで夢を見るまりさ。彼女の見る夢とは、家族と過ごすバラ色の未来でしょうか。しかし・・・ 十日目。外で一日ゆっくりと遊んだまりさは家に帰ります。しかし何だか家の中の様子が変です。 ドアは開いたまま。それに中から何か話声のようなものが聞こえます。 まりさはゆっくりと家の中に入っていきます。そこで見たものは・・・ 「ゆっ!!!なにやってるの!ここはまりさのおうちだよ!ゆっくりでていってね!!!」 「あら、なにをいってるの?」 「ここはとかいはのありすたちのおうちよ。」 「そうそう。はじめにありすがみつけたんだから。」 「でもまりさもいっしょにゆっくりしたいのなら、しょうがないからいっしょにすませてあげる。」 「ゆっくりしていってね!!!」 部屋の中にいたのは五匹のありす。なんということでしょう。折角造ったお家が乗っ取られてしまいました。 まりさはぷんぷん怒ります。顔をプクッと膨らませありす達を威嚇し始めました。 「なにいってるの!ここはまりさのおうちだよ!まりさがつくったまりさのおうちだよ!」 「まりさはほんきでおこってるよ!ゆっくりできないありすはゆっくりでていってね!!!」 「ああああああ!おこったまりさもかわいいよぉぉぉ!!!!」 「おこったふりをしてさそっているのね!」 「そうそう。まりさはつんでれなのね!」 「そんなにありすとすっきりしたいのなら、しょうがないからすっきりさせてあげる。」 「いっしょにすっきりしようね!!!」 「なにいってるの!まりさはでていけっていってる・・・いやぁぁぁぁぁ!!!!!」 「やめて!まりさはまだすっきりできるほどおとなじゃ・・・」 「い゛や゛た゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ずっきりじだらじんじゃううううう!!!!」 「はなじで!はなじで!はな・・・すっきりー!」 「だめっ!すっきりしたら!これいじょうすっきりしたらしんじゃ・・・すっきりー!」 「あ゛あ゛あ゛あ゛!!!お゛か゛あ゛さ゛ん゛た゛す゛け゛・・・すっきりー!」 「だれか・・・たすけ・・・もう・・・だ・・・すっきりー!」 「ああ・・・もっと・・・ゆっくりしたか・・・すっきりー!」 「すっきりー!すっきりー!すっきりー!すっきりー!すっき・・・」 かわいそうなまりさ。五匹のありすに変わりばんこにすっきりさせられてしまいます。 頭からは幾本もの蔓が生え、やがてまりさは真っ黒に朽ち果ててしまいました。 物言わぬ皮と餡子の塊になってしまったまりさ。 翌朝、これが元々まりさだった事も忘れてしまったありすによって、きれいさっぱり食べられてしまいました。 まりさが苦労して造ったお家は今ではありす達の物。 まりさがゆっくりするはずだったその家で、ありす達のゆっくりとした生活が始まります。 しかしこのありす達のゆっくりした生活も長くは続きません。 ありす達にも残酷な運命が待っているのですが、それはまた別のお話。 まりさの初めての一人暮らし。その薄幸の物語はここでおしまい。 とっぴんぱらりのぷぅ。 end 作者名 ツェ 今まで書いたもの 「ゆっくりTVショッピング」 「消えたゆっくり」 「飛蝗」 「街」 「童謡」 「ある研究者の日記」 「短編集」 「嘘」 「こんな台詞を聞くと・・・」 「七匹のゆっくり」 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/pages/2685.html
L.― 電信 ――それは、難しいね。とても難しい話さ。 そうだなあ、例えば――君は、自分がしんでしまう時。……そう。最期に、どんな声を発するかなんて、考えたことがあるかい? 僕は近頃、よく思うよ。それで無くても、普段考えることなんて、それ程多くないから――ああ、ごめん。そんなつもりじゃ無かった。ありがとう、君は矢張り気遣い屋だね。 嘆きだとか、そういう少しかなしい考えは――自分でも驚く位起きないんだよ、僕の場合は。いつだって世の中は、在るがままに、在る。そうは思わないかな? 僕が、此処にこうして居る。君が、向こう側に居る。そして、お互い声を交わす。不思議だけど、これだって、どうしようもなく"在るがまま"さ。 ああ、それでね――うん。しんでしまう時。結局自分がどんな声を上げるか……答えは、出ないんだ。その時が来るまで、わからないことなんだろうね、きっと。 ただね、ひとが産まれる時は、泣いているって言うだろう? 僕もそうだったに違いない。勿論、君も。だから、――僕はしぬ時、微笑んで居られれば、って思う。ひとつも後悔は無く、っていうのは……ちょっとばかり、難しいかもしれない。と言うか、実際の処、それも矢張りよくわからないかな。 僕は、この眼で見てないものが多すぎる。昔見ていた筈のものも、段々忘れていっているような、そんな気もする。今そんな物をね、直に見てしまったら、それをもう見られなくなってしまうことを、後悔するのかなあ。 姉さんはね。僕に色々なことを、教えてくれるから。それで十分と言えば、そうかも。 本当なら――姉さんは、ひとごみなんかあまりすきな方では無いし、むしろ人見知りで。うん。知らないひとの前だと、僕の後ろに隠れてばかりだったんだよ。 けどね、なんて言うのかな。ここぞ、っていう時――僕の手を引くのは、姉さんの役目だった。今はもう、それも出来ないから。きっと、僕に気を遣って――多少無理をしてでも、話のタネみたいなものを、作ろうとしてくれてるのかな、って。そんなことも、思うんだ。 君にも、姉が居るんだったよね? ――色々とお節介? はは。……うん、そうか。そういうところ、似てるね。……うん、うん。素直じゃ無いのも、可愛いものだよ。姉さんに言うと怒りそうだから、言わないけどね。 え、……つんでれ? ――何だい、それ。外の言葉かい。面白い言葉を知っているね、君は。 ――忘れて欲しい? はは、わかった。聴かなかったことにしておくよ。 ……今日は、少し蒸すかな。ちょっと汗かいちゃった。此処は結構風通しが良いから、それほど居心地が悪い訳じゃあ無いけど。 大丈夫。今更風邪をひくって塩梅でも無いよ。君の方こそ、大丈夫かい。 調子が良いといっても、無理はきかない身体なのだろう? ―― ―――――――――― L.5 「……」 僕は、何を返せば良いのか。正直、頭に浮かばなかったのだった。虚をつかれたと言われれば、多分その表現が一番正しい。 今、僕の眼の前に居る少女。栗色の髪をした、少女。 彼女は、僕の知っている――『彼女』のことを、知っている? 「彼女は」 距離をとったまま、眼の前の少女は、口を開く。 「彼女は、聡明なひとだったよ。聡明で、うつくしかった。最期の時――彼女の家族は、間に合わなかったよ。ただ、其処には自分が居て――ああ、そんな事を言っても仕方がないのか。いくら喚いたところで、彼女はかえって来ないのだから。 ただこうやって、本当にたまにだけれど……逢いに来るんだ」 そう言って、彼女は俯いた。今眼の前に居る少女は――彼女の最期を、看取ったというのか。違う。僕とは、全く違う。 僕は本当に、彼女が眠りについてしまう際の際まで、彼女という存在から眼を背けていた。友達、等と。自信を持って言える筈も無い。其処が、僕と彼女で決定的に異なっている。 加えて、僕は彼女の死に、涙を流しもしていない。 『矛盾を』 五月蝿い。 『矛盾、を。有体に誤魔化す、己の姿を、鏡にうつしてみるといい。気付いて、いるのだろう? 単純で、誰の眼から見ても、明らかなことに』 五月蝿い、黙れ! 「――く」 立ち眩む。酷く、酷く気持ち悪い。 風の音が聴こえる。穏やかな筈のそれが、少し離れた場所に居る彼女の髪を巻き上げて、通り過ぎていった。 「自分もね、もう少し。もう少しで、彼女に逢えるかもしれないのだけど」 そう言って眼を細める彼女の視線は、何処か遠いところを見つめているような気がした。もう少し――とは。彼女もまた、その命の灯火がそれほど強い光を放っていないということ。 彼女の言を耳に通してから、何を話せば良いか直ぐに浮かんだ訳では無かったし、元々ぽんぽんと会話を売り買いしている訳でも無かった。 ただ、僕の中で。この時、この言葉が口をついて出たのだ。 「虚ろだ」 「えっ?」 「虚ろだ、と言ったんだ。僕も君も、存外に虚ろじゃあないか。ゆらゆらゆれて、かと言って芯にひとつ火を点すでもなく、僕達は此処に居るだけ。在るがままに、ここに居るだけだ」 言葉を、受けて。彼女はふと、眼を細める。 「そうかもしれない。ゆらりゆらりとゆれて、いつ消えてしまうかもわからない様な篝火だ。自分も――君も、か」 「……は」 言いながら、自嘲する。致し方ない。 僕は生きながらも、死人と大した違いがないのだもの。 「君は」 暫し無言の後、風下の彼女は口を開く。 「君は。君の言葉を、彼女には伝えきれたかい」 「何?」 ざぁ、と。その時聴こえたのは、風の音等では無い。それは己の身体の内から、血の気が引いていく音だ。 「言葉、さ。彼女の臨終、まさにその時。自分は彼女と、話をしている。彼女は、泣いていたよ。自分の想い人の言葉に、答えられないと」 ――やめろ。 「もう、しんでしまう時。その時発した言葉の中に――名前が、混ざっていたのだ」 ――やめてくれ! 「家族の名前では、無かった。勿論――自分のものでも無く。 ねえ、君。名前とは、便宜上の些細なものであると、自分は考えるんだ。 だけど――とても、大切なもの。だから、とても大事にしなくてはいけないのだね」 彼女の声が、透き通る声が、響く。 「花を。 うつくしい彼岸の花を、持ってきてくれると、言ってくれた想い人を。 私は待つことが出来ないと、彼女は泣いていたんだ」 ――嗚呼。 僕は、僕は――きっと彼女を、悲しませることしか、出来なかった。 『また、明日』 僕の記憶で、消したかったこと。 彼女に言った、最期の言葉。 その前に伝えてしまった、僕の白状。 "考え虫"はそれを見逃さず、僕を責め立てる。 ――馬鹿を、言うな。 "考え虫"など、都合の良いことを言うな。 全て僕だ。 己から聴こえる声は、全て僕の言葉だ! 誤魔化さなければ。きっと自分は堪えられなかったのだろう。 『弱い』 その通りだ。 『弱いのだ、"僕"は。君は病を患い、僕はこうやって話をする位しか出来ない。 きっと、良くなってくれ。 だから僕は、涙など流さない。 君は、良くなるのだから。そうに違いない、違いない! 君が快復した暁には、伝えたかったことを、伝えよう――』 『だから、』 『――また、明日』 有体な、言葉を。僕は彼女に伝えた。 もう叶わぬ筈の願いを、残してしまった。 彼女は――どれほど辛かったことだろう。 自分が快復にあたわぬことなど、彼女自身が、一番良く理解していた筈なのに! ――さよなら、と。ただその一言を、僕は伝えるべきだったのか―― 「僕は、彼女を――」 「――愛して、いたのだね」 その言葉を、まざまざと聴く。 何処か遠い場所から響く声であるかのように、僕は思った。 ただ、どうしようも無い。 もうその願いは、叶わぬのだから。 「僕は花を――持って行くことが、出来なかったのだ。 恐ろしかった、恐ろしかった! もう彼女を眼の前にして、……ぐっ、平静を保てる筈など……うぅっ……無かった! だから僕は――逃げたのだ」 情けない。僕は最早、全てが情けない。 そうでもしなければ。僕は―― あの日流れなかった涙が、今止まらない。 僕はもう、彼女に赦されることなど、無いのだから―― 「彼女は」 膝を地についた僕の上から、彼女の声が聴こえる。 「彼女はね、後悔していた。自分では、想い人の願いに、応えることが出来ないからと。 だから――伝言を、頼まれたのだよ」 「……伝言?」 「そう、伝言だよ。彼女の、最期の言葉さ。――君。自分ももう、きっと永くない。 だからこの言葉を、伝え残す為に――聞いていって、貰えないだろうか」 涙で視界がぼやけていたものだから、少し遠い位置に居た彼女の表情を、読み取ることが難しい。 ただ。すぅ、と息を吸い込んで、言葉を発したとき。彼女はその両眼を、瞑っていた。 「『私のことを忘れ――どうか、しあわせになって欲しい』」 ――それが、ひとつの望みである、と。確かにそう言っていたと、彼女は紡いだ。 嗚呼。どれほど御人好しなのか、君は。 僕は立ち上がり、膝についた砂を払い、彼女の墓の方を向く。 「約束を、――僕は、守れなかった。涙が、止まらないのだ。なあ、可笑しいだろう、」 君は僕を、笑うだろうか。 ふと見上げた空が、呆れる程に高く感じる。何て、遠い空。 「君。――手を」 「……手?」 ふと彼女は、そんなことを言う。 「もうひとつ、あるんだ。自分は、彼女の最期の熱を受け取った。――自分も近々――失ってしまうだろう、熱だよ。彼女の小さい手、その――てのひら、其処から伝わったものを。君に、覚えておいて欲しい。良いだろうか?」 「――構わない」 ざ、と。少し離れた場所から聴こえる、踏みしめの音。 彼女は歩を進め、僕の方へと近づいてくる。 すっ、と。差し出された、――眠ってしまった君とさほど変わりの無いような、小さなてのひら。 ――そうか。眼の前に居る彼女と、君は、よく似ている。 その手を、握る。 少し、つめたい。 だが、いきている。眼の前の彼女は、いきている。僅かな熱を、身体の内に留めて、いきている。 「ありがとう」 そう言って、眼の前の彼女微笑む。ただ、その眼には、涙が溜まっていて。声をかけようと思った刹那、彼女は後ろを振り返り、僕の元から離れていった。 もうこちらを見ることは無く、言葉を発する。 「これで、伝えきった。思わぬ処で、約束を果たすことが出来たよ。――ありがとう。 ただ、君の、君自身の約束は、まだ残っている。それは果たさなければならない。 君、――いきて、おくれよ」 『――これでもう、良いかな。うん、もう良いだろう――』 終わりの方に呟いた言葉は、きっと僕に向けられたものでは無かったのだろうと思う。 「――さよなら」 伝えられる。あの日、僕が言わなければならなかった言葉を、今、彼女が紡ぐ。 僕は彼女と、もう逢うことは無い。 「ひとつ、」 僕が言うと。彼女は、ひた、と歩みを止める。無論、こちらを向かないままに。 「ひとつ、訊いても良いだろうか」 「――何だい?」 「彼女の――最期。最期の時の様を、教えてもらえないだろうか。 我侭なことはわかっている……辛いことを、思い起こさせてしまうのだから。 僕は、とんでもない阿呆だ。 だが……それをせめて、胸に刻んで。そうやって、いきたいのだ。頼む」 どれほど辛い有様だったろう。だけどもう。僕は、其処から眼を逸らさない。 「――彼女は、」 もう一度、振り返る。 「彼女は、……微笑んでいた。あれほど出ていた筈の咳が、ぴたりとやんだのだ。君との約束が守れないことを、悔やんではいたけれど。その時に流した涙も、止まったのさ。 自分が――君に。きっと伝えてくれるだろうと。想いを伝えてくれるだろうと、――そう言い残して、彼女は穏やかに眠った」 そう、か。彼女は――微笑んで、いたのか。 またしても溢れそうになる涙を堪えていると、彼女が続けて口を開く。 「君。君は、来世というものを、信じるだろうか」 「来世?」 しんでしまった後。ひとはいつか、別なかたちで生まれ変わるという話。 そのことを、彼女は言っているのだろうか。 「そう、来世だ。君達はいつか、そうやって結ばれれば良い。――素敵な考えだろう? 姉さんが僕に、文字を教えてくれたからね。何、僕はほとんど、することが無いのだよ。だから、たまに文学を嗜んだりもするさ。その中のお話にあったものだから―― たましいは、巡るものらしい。何やら難しい言葉だったなあ。自分は君と、もう話すことも無いだろう。だけど……正直な処、君とはもっと、話をしたかった。初めて逢った気が、しないのだよ」 その感覚は、僕も同じだった。 話し方。その声。僕は何処かで、―― ふと、思いついて。彼女に訊いてみる。 「――電信は、よくするだろうか」 「――電信? ……ああ、」 そうか、と言って。 恐らく彼女は、気付いたのだろう。僕と同じ答えに。 「そうだね。たまに不思議なことも、あるのだろう。何処か遠いひとと、思わぬ話が出来ることも、あるのかもしれない。 そうだ、それなら――君が彼女に言った言葉は、間違いでは無かった。君達はまた、巡りあう約束をしたのだろう。だから、『また』。それで良かったのではないだろうか」 そう言って、静かに笑った。 「そう、だな。――ありがとう」 僕は眼を瞑り、呟く。 そして、また紡ぐ。 少しの間。や、どれほどの時が経つのかはわからなかったけれど…… 僕は彼女の『さよなら』言に対し、正しい返事を、しない。 「また、逢おう」 ちょっと眼を丸くして。僕の言を受けた彼女は、笑った。 「うん。――また、いつか」 踵を返し、今度こそ彼女はこちらを振り向かない。 小さくなっていく後ろ姿が、見えなくなるまで。 僕はいつまでも、見続けている。 潮風に吹かれる彼岸の花が。彼女の姿が見えなくなってしまってからも、我知らずと揺れていた。 ―――― R.― 白い部屋の会話 うん。君もあまり無理をしてはいけないよ。来てくれるのは嬉しいけど、うつしてしまったら、怒られちゃうから。 咳が出るって? ――やだなあ、やめてよ。 ああ、でも――それは前から、言っていたよね。僕が此処に来る前から――流行ってるみたいだから、気をつけた方がいい。それにしても、大丈夫なのかい? ねえ、巴。 えっと、ね。――や、大したことじゃあ無いんだけど。 ちょっと君が、羨ましいんだ。 え? 何でって……君はいつも、微笑んでいるから。やっぱり、彼が―― うん。それは言わなくてもいいか。何さ、そんなに照れなくてもいいじゃない。 とにかく、僕には中々出来ないことだもの。 大切にするのが、いいんだろうね。 ……
https://w.atwiki.jp/newgenreschool/pages/422.html
あらすじ 各々が修学旅行を楽しむ 決別と覚悟の想いを背負って 男への想いを殺し ただ生き抜くための未来の選択 貧嬢 これだけの女性を泣かし続けても 男は未だ動かない それが優しさだと勘違い ホテル「VIP・ザ・武道」 涙目で男を押し倒すクー その部屋の鍵を打ち壊し、部屋に入って来たのは 陸路より合流したミリ子だった ミリ 「・・・何をしている」 二人の姿を確認したミリ子の目に殺意のような鋭さが走る クー 「・・・」 伏せ目で何も語らないクー 男 「違う!!その・・・悪いのは・・・オレが」 ミリ 「男は黙ってろ!!!」 庇おうとする男の言葉を遮るミリ子の声 ミリ子はそっと部屋のドアを閉じる 男 「ミリ子・・・」 ミリ 「男・・・久々に会ってなんだが・・・ここは外してくれないか?」 男 「だけど」 ミリ 「手を出すつもりは無いよ、だから、ね?」 ふっとその目を緩め、微笑むミリ子 先ほど感じた殺意は感じない クー 「男、私は大丈夫だ・・・私もミリ子と話がしたい・・・」 男 「・・・クー」 微笑むクーに男はそっと部屋を出る、己の不甲斐なさを痛感しながら ツン子の班 医者 「・・・不思議だな・・・」 聴診器をそっと耳から外す医者 優のはだけた胸元をそっと閉じる ツン 「優・・・優は!?」 かけよるツン子の肩をそっと押さえる佐藤 宙を見上げふうと一息つく医者 医者 「・・・何も異常が無い・・・ただ寝ているだけです」 鮫子 「はぁ・・・?」 鮫子の目が医者を睨み付ける、ベッドの優はただ眼を閉じ動かない この異常事態をただ寝ていると片付けた医者への不信感からだろうか 渡辺 「でも~何回起こしても・・・起きないよ~?」 医者 「もちろん・・・ここからきちんとした病院へ移してから、もう一度きちんと診察を」 鮫子 「じゃあ今すぐ移しなさい、そこでもう一度」 医者が付き添いの看護婦に耳打ちする 医者 「ええ、もちろん・・・今段取りしますので」 日下はきゅっと鮫子の裾を握りしめる、やはり何かおかしい 男はぼうっと廊下を歩いていく 先の異常な雰囲気に飲まれてしまったのか、目眩でふらっとする そして廊下をどのくらい歩いただろうか、エレベーターホールのベンチに座る一人の男 常に変態古風の影・黒子「橘」が座りタバコをくゆらせていた 橘 「・・・男殿?」 男 「あ、橘さん・・・?」 橘 「はは、随分お疲れのようで」 男 「ええ、まあ」 黒いスーツに身を固めた橘はタバコの火を灰皿でねじ消す そして深呼吸しながらすこし背伸びをした 男 「そういえば・・・変・・・ゲフンゲフン古風は?」 橘 「ああ、古風お嬢様はお部屋で少し見繕いのほうを」 男 「まだ出てないの?意外だなぁ・・・何かこういう古都、好きだと思ってた」 橘 「そうでもありませんよ・・・」 男 「ん?少女趣味とか?」 橘 「そうとも言えます、意外ですか?」 男 「正直」 二人へへへと少し笑う しかし急に橘は真面目な顔になり 橘 「古風お嬢様は・・・男殿の事しか頭にありませぬよ」 男 「へ・・・?」 橘 「・・・育ちが少々変わってるだけですので、ま、嗜好の方もですけど」 そう呟くと橘は懐のタバコの箱を耳元で軽く振る 中身が無いことを確認すると、くしゃっと潰しゴミ箱へ投げ入れ窓の外の方へ向く 橘 「男殿・・・」 男に背を向けたまま橘は問いかける 橘 「古風お嬢様と添い遂げて貰えませぬでしょうか・・・」 橘は自分の長めの黒髪をぐしゃぐしゃと掻く その口元は少し笑っている 男 「あ・・・その・・・」 橘 「・・・何なら妾としてでも・・・しかし似合いますなぁ」 男 「そ、そんな風にはちょっと!」 橘 「古風お嬢様は、本気ですよ」 男 「へ?」 橘 「・・・そういうお方ですから」 橘は胸元のサングラスを取り出しふいっと掛ける その眼は未だ外に向けられている 男 「でも・・・オレは」 橘 「男殿」 男 「は、はい!」 急にくるりと橘が男のほうに向く。そして優しげな声で 橘 「・・・出来ませんなぁ」 男 「へ?」 橘 「いえ、本当は、男殿をさらって来いとの指示が出てましたが」 男 「は・・・はいぃぃいぃぃ!!!?」 橘 「・・・出来ませんなぁ」 橘は少し悲しげに上を見上げながら呟いた 橘が虚空を見つめたままぴたりと動きを止める 男はただそこに佇む 男 「・・・」 橘 「お気になさらずに、私の独断ですので」 ふっと橘が笑いかける かさりと後方から物音がする ホールの影からふっと一人の女性 変態古風がすっと姿を現す 古風 「橘・・・」 橘 「申し訳有りませぬ・・・やはり私めには」 古風 「いえ、つらい役目を・・・ご苦労でした・・・」 古風はそっと身を男の方に向ける、膝の部分をそっと撫でると すっと床に正座をし、両手を前につく 古風 「申し訳・・・ありません」 そして深々と頭を下げるのだった 男 「ちょ!!そこまでは・・・」 古風「男様・・・」 男 「ん・・・とりあえず立たないか?」 古風「いえ、最後のお願いといいますか・・・」 男 「ん、何だ?」 古風「いえ、この容器に精子をどぴゅっと」 かちゃり 男 「馬鹿かお前はっ!!!出来るかそんなもん!!何に使うんだ!!」 古風「男の子なら縄男、女の子なら蝋子」 男 「人の話を聞け!!」 古風「ああっ!!大変です!!」 男 「頼むから聞いてくれ・・・」 古風「二人目は縄二でよろしいのですが・・・女の子の場合蝋二とは少し違和感が」 そっと橘がハリセンを男に渡す 男 「#」 すぱーん!! 古風「り・・・理不尽ですっ!・・・うう・・・ひぐっ・・・」 男 「・・・古風」 古風「え・・・えへへ・・・私、男様とのこの・・・掛け合い・・・好きでした・・・ぐすっ」 男 「・・・」 古風「お幸せに・・・男様・・・」 そして目に涙を溜めながら、古風はまた深々と頭を下げるのだった