約 1,091,122 件
https://w.atwiki.jp/toriko-kugi/pages/469.html
【名前】 もち石 【読み方】 もちいち 【分類】 鉱物? 【捕獲レベル】 - 【生息地】 不明 【体長】 - 【体高】 - 【体重】 - 【価格】 - 【詳細】 読者投稿の食材。 鉄平が数千年前の地層から発見し再生した餅のような石。
https://w.atwiki.jp/zooo2ndunofficial/pages/510.html
[#VASPオーディション] 基本情報 ルーム https //www.showroom-live.com/VCHETVASP2_0057 名前 おもち 番号 57 ニックネーム ファンネーム ルーム挨拶(入室) ルーム挨拶(退出) Twitter https //twitter.com/tadano_otaku_77 マシュマロ YouTube 配信タグ ファンアートタグ Twitter以外のSNSなど項目も適宜追加してください 目次 詳細情報自己紹介 配信タイムテーブル 活動の記録スタートダッシュ期間 予選イベント期間 決勝イベント期間 本選後の消息 用語・名言集 ファンのブログやnote、togetterまとめ 詳細情報 自己紹介 おはようございます、こんにちは、こんばんは!!! おもちと申します!! バーチャル アーティスト サポート プロジェクト に参加させて頂くことになりました!(ローマ字で書くのめんどかったw) 〜自己紹介〜 名前 おもち 好きなこと アニメを観る 声優さんヲタ ヲタ活 ゲーム🎮 好きなアニメ 鬼滅の刃 ハイキュー 呪術廻戦 僕のヒーローアカデミア 推し 我妻善逸 影山飛雄 狗巻棘 轟焦凍 声優さん推し 鬼頭明里さん 内田真礼さん 下野紘さん やりたいことをやるための第1歩としてこのオーディションを受けることに決めました! ゆくゆくは、声のお仕事をしたいと思ってます。 声優さんになることが最終目標です!!! そためには皆さんの力が必要です。 私に力を貸して頂けたら嬉しいです!! Twitterもやっているので是非フォローお願い致します✨ おもち頑張っちゃうよ〜〜👊👊 配信タイムテーブル 日付 配信開始 配信終了 星集め 星捨て 備考 活動の記録 スタートダッシュ期間 予選イベント期間 決勝イベント期間 本選後の消息 用語・名言集 ファンのブログやnote、togetterまとめ Twitter用画像です。本画像はページ最下部に配置してください。
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2472.html
890 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 46 50 ID XiaE8fNk 熱波と圧力、音と光、そして砕かれ、巻き上げられた備品が閉鎖された空間に溢れる。 その濁流の真っ只中に僕たちは投げ込まれた。 まず光と音、それに圧力が到達し、ついで熱波が僕を襲った。 咄嗟に蔦で全身を覆われ、強く抱き寄せられる。 しかし蔦は僕の全身を覆うには足らず、むき出しの部分に破片が次々と突き刺さる。 その暴力の濁流はフロア全体のガラスを突き破り、一気に外部に噴き出していく。 一瞬の爆発が、何分も続いているかのように長く感じられる。 光と音で目と耳をやられたせいで、感覚が狂ってしまったのだろうか。 そんな濁流は、唐突に始まったのと同じように唐突に勢いを失い、終わった。 「ううっ……」 目がかすむ。耳が痛い。見えるのは灰色の景色のみ、聞こえるのは強烈な耳鳴りのみだ。 やられた。 窮地に追い込まれたからと言って、まさか自分から自爆するなんて。 信じられない。 僕はロケット団というものを甘く見ていた。 助かる道があるのに、任務のためにこうもたやすく自らの命を投げ出すなんて。 そして皆はどうなったんだ。 「み、みんなー」 自分の声すら変に聞こえる。耳がおかしくなってるんだから当然といえば当然だけど。 爆発から距離があり、香草さんに守られた僕ですらこうなんだ、向こうの三人は…… 立ち上がろうとして、手をついた瞬間、手に激痛が走る。 目を凝らしてみると、手にも数個の小さな瓦礫が突き刺さっていた。 血も大分出ているみたいだ。 こうして視認すると、今までしびれるようだっただけの手に酷い痛みが走る。 この分だと、同様にしびれるようである足も、無事ではないだろう。 目の中に血が入ってきた。 上体を起こしたことで、血が流れてきたらしい。 ということは、頭部からも出血しているのか。 頭の痺れはてっきり目と耳がやられたせいだと思っていたのに。 どうやら僕も大分重症らしい。 意識があるのが幸いだ。 今敵に襲われたらおしまいだけど、すぐに襲ってこないところを見ると、どうやら敵も無事ではないらしい。 本当に助かる。 「香草さん、どこ」 とりあえず近くにいるはずの香草さんに呼びかける。 一刻も早く体勢を立て直さないと。敵もいつまで動けないか分からないし。 僕の呼びかけからほとんど間を置かず、かすかに高い声が聞こえた気がした。 香草さん……? 耳鳴りのせいでまともに聞き取れない。 突然、首筋に生暖かいものが触れた。 「ひいぃ!」 状況が状況だけに、情けない叫び声を上げてしまった。 咄嗟に振り払い、触れてきた何かの方を向く。 霞む視界に、ぼんやりと何かの塊が見える。 敵か、それとも味方か? 「…………ぉ……し……よ」 言葉は途切れ途切れにしか聞こえないけれど、この声は多分香草さんだ。 「よかった、無事だったんだね!」 無事かどうかは分からないけど、つい反射的にこういってしまった。 すがるように近づいてきたその塊を、そのまま抱きとめる。 「ありがとう、僕は無事だよ」 彼女を安心させるように僕は彼女にそう呼びかける。 そのとき、唐突に腹部に猛烈な熱さを感じた。 同時に足の力が抜け、立っていられなくなる。 「ゴールドォー!!」 背後から叫びが聞こえてきた。 例え耳がおかしくなっていたって分かる。これは香草さんの声だ。 じゃあ目の前のこいつは…… 目の前の何かの輪郭が歪み、すぐにそれは別の形をとる。 「おま、え、は……」 「うふふ、ばぁーか」 こいつは、ハシブトだ! 僕の腹部には、彼女の鍵爪が深々と突き刺さっている。 騙まし討ち……糞っ! やられた! 普段なら騙されることはなかっただろうけど、目と耳が霞んでいたのと、香草さんが心配だったのですっかり油断していた。 足の力が抜け、僕はいまや彼女の鍵爪で無理やり立たされていた。 「あ……が……」 痛みで思わず呻く。 「さーてお嬢ちゃん、この子の命が惜しかったら……」 891 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 47 16 ID XiaE8fNk 彼女がそう言いかけた時。 何かが僕と彼女の間に現れた。 彼女はそれを避けるように咄嗟に回避したが、間に合わず、当たった腹部から血が弾けた。 その直後、空気を切り裂くような音が聞こえた。 ハシブトが再び姿を消したせいで、支えを失った僕はそのまま地面に倒れこむ。地面の感覚がおかしい。いや、おかしくなってるのは僕の感覚のほうか。 動かない体で、何とか首だけ動かして視界を何かが来たほうに向ける。 僕の視界の先にあるそれは、随分と赤くそまっているけど、それは…… 「ち、こ……?」 それは香草さんに見えた。 彼女の手から伸びた蔦が、こちらに伸びているのも見える。 じゃあさっきの一撃は彼女が? 僕は信じられない思いだった。 だって、さっきの一撃は…… 「許さない……」 さっきの一撃は、攻撃が見えた後に、音が聞こえた。 「私のゴールドを傷つけた……」 満身創痍なはずの彼女の放った一撃は、つまり…… 「私のゴールドを!」 つまり、音の速さを超えていたことになる。 彼女は咆哮とともに、周囲の全てをなぎ払った。 金属製の机がまるでベニヤ板でできているかのように千切れ、部屋に跳ねる。 僕はポケットに手をいれ、震える手で何とか止血剤を掴むと、傷口にかけた。 「うぐっ……」 肉が焼けるような音とともに酷い痛みが僕を襲う。 これなら放置していたほうがマシと思える痛みだ。 しかし腹部の傷は浅くは無い。放置していたら出血で死んでしまうだろう。 その間も、僕の上では酷い勢いで蔦が荒れ狂っている。 衝撃波だけで人が殺せそうな迫力がある。 視界が不明瞭だから香草さんの表情は伺い知れないけど、間違いなく彼女は正気じゃない。 僕がやられて激昂しているのか。 「チコ……! やめろ……」 ちょっと大きな声を出すとすぐ腹部に響く。 ただこれだけの言葉を吐き出すのに、酷い苦痛が伴った。 「……ゴー、ルド? 無事なの? ゴールド!?」 僕の言葉で案外あっさりと正気に返った香草さんがこちらに駆け寄ってくる。 「よかった、私、ゴールドが刺されたのを見たら、頭が真っ白になっちゃって……」 僕の隣に蹲り、泣きじゃくる彼女の頬に手を伸ばす。 近くで見ると、そこらじゅうボロボロになっているのが分かる。酷い怪我だ。思わず目を背けたくなる。 だけど、今の僕にはそんなことはできない。 そして、僕はそんな彼女に、彼女を労わる言葉より、彼女を鼓舞する言葉をかけなければならない。 「香草さん、僕は大丈夫だから、それより気をつけて」 「大丈夫、私、絶対に負けないから。ゴールドを守ってみせる」 はは、頼もしいな。 騙し討ちにまんまと引っかかって重体の僕と、僕の命を救ってくれた彼女。 まったく、本当に僕は頼りない上に情けない。 自虐もほどほどにしないとな。腹部はまだ酷く痛むけど、止血剤のおかげで血も止まったし、それに、傷も思ったより深くなさそうだ。あの爆発のダメージが相手にもあったんだろう。 こうしている間に攻撃してこないってことは、おそらく先ほどの香草さんの一撃が思いのほか効いたか、それとも、その後の暴走で大怪我を負ったか。 それなら、こちらに勝機が見える。 後はやどりさんたちはどうなっているのか。 僕たちよりはるかに爆心地に近いから、まともに食らっていれば大怪我は免れないだろう。 あたりに立ち込めていた埃も晴れてきて、大分向こうの様子が見えるようになってきた。 よく見えないけれど、三人とも立っている。無事みたいだ。 黒い影がちらついていることから、ハシブトと応戦しているのだろう。 そうか、こっちが手がつけられそうに無いからまず向こうを落としに行ったのか。 しかもよく見えないけど、三人ともそれほどの怪我を負っているようには見えない。どういうことだ? もしかして、やどりさんがサイコキネシスで衝撃波と瓦礫のほとんどを相殺したのか。 さすがやどりさん。 でも、衝撃波を殺せても、音と光は防げない。 視覚と聴覚へのダメージはこちら以上だろう。 手放しで安心はできなさそうとはいえ、それでも一安心だ。 彼らの元に向かおうと、体を起こそうとするが、腕に力が入らなくて出来なかった。 彼らの無事を確かめたら、気が抜けたのだろうか。 892 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 47 45 ID XiaE8fNk 「チコ、僕は大丈夫だから……、彼らを助けてきてよ……」 気が抜けたせいか、大きな声を出すわけでもないのに、喋るのが億劫だ。体が重い。少し休みたい。 ランは自分を守ることはできるけど、味方に被害を出さずに相手を倒すのは難しい。 やどりさんは超能力が通じない以上、決定力に乏しい。 なら、相性はあまりよくないとはいえ、香草さんが一番の適任のはずだ。 現に先ほど大きなダメージを与えている。 「だめよ! 私はゴールドの傍にいる! 絶対離れたりしないんだから!」 香草さんは僕の言うことを聞こうとしない。 そういえば香草さんは、最初会ったときから、僕の話を聞いてくれなかったっけな。 起き上がろうともがくことに疲れて、僕は手を降ろす。 彼女は慌ててその手を抱きとめ、自分の胸に寄せた。 「嫌っ! ゴールド! ゴールド!」 どうしたの香草さん、そんなに慌てて。僕は大丈夫だよ。 そう言おうと思ったけど、口を動かすのが酷く億劫だったから、目を瞑りそのまま休むことにした。 「いやぁぁぁ!! ゴールドォォォォォ!」 香草さんが絶叫し、僕にすがり付いてくるのが分かる。 そんなに慌てなくても大丈夫だよ。ただちょっと一休みするだけだから…… しかし香草さんにこう縋られてはそれも叶わない。 その旨を告げようと、何とか力を振り絞って目を開くと、香草さんは僕の頭を抱えて粛々と泣いていた。いつの間に頭を持ち上げられたんだろう。気づかなかった。 「いや、ゴールド、こんなの絶対にいや。絶対にゴールドを死なせたりしないんだから」 彼女はそう言って、僕の頭を強く抱える。 苦しい。 目の前が塞がれて、真っ暗になるはずなのに、なぜか視界が薄明るい。 怪訝に思っていると、どんどんその光は強くなってきた。 何だ? 香草さんが光を放っている? いや、周囲から光を吸収しているのか? 草ポケモンの中には、光を吸収して急速に自らのエネルギーにできる者がいる。 香草さんもその能力があったのか。 ぼんやりとそんなことを思っていると、気づけば、その光は香草さんだけではなく僕にも伝わっていることに気づいた。 同時に、内部から力が湧き、全身の感覚が戻ってくる。 激痛、そして恐怖で全身から汗が噴き出した。 さっきまで、僕はいったい何を考えていたんだ!? 先ほどまでの症状は明らかに失血による意識の喪失一歩手前だったじゃないか!! どう考えても休んでいい状況じゃないだろ! 危なかった、危うく死ぬところだった。どうやら正常な判断力を失っていたようだ。 体力が回復したおかげで、少し正気が帰ってきた。 そのまま光に包まれていると、傷の痛みも若干引き、大分マシになってきた。 それにしても、この光は何なんだ? 光を吸収して回復することができても、それで回復するのは香草さんだけのはずなのに。 おかげで僕は死なずに死んだのだけれど、わけが分からない。 考えているうちに、香草さんと僕の発光は序々に弱まり、おさまった。 体を起こし、香草さんの腕の中から抜け出す。 「ありがとう香草さん、助かったよ」 「ゴールド!? 大丈夫なの?」 「うん、香草さんのおかげだよ。本当にありがとう」 僕がそういうと、香草さんは泣きながら飛びついてきた。 「ごーるどぉ! よかった! 本当によかったよぅ」 声はすっかり涙で滲んでいる。 回復してもらったとはいえ、衝撃が加わると大分傷が痛むのだけれど、何とか受け止めた。 泣きじゃくる彼女を抱きとめ、背中を撫でる。 しかしここは戦場だ。 そんな隙だらけの人間を放置するほど甘くは無い。 すぐに空間が揺らぎ、そこにハシブトが現れた。 僕は香草さんごと攻撃を避ける。 敵は随分と消耗しているのか、香草さんを抱きかかえながらでも攻撃は何とか回避できた。 香草さんもすぐに攻撃されたことに気づいたらしい。 「あんたのせいでゴールドが大怪我しちゃったじゃない……! アンタは絶対に許さない……!」 僕に見せる表情とは180度変わった表情となり、ハシブトに向けて蔦を振りかざす。 回避するハシブトを追って、そのまま攻める。 一方僕は飛んできたナイフを身をよじって回避した。 「おいガキ、さっきのはいったい何だ」 僕に向かってナイフを投げた男が、僕にそう問いかける。 893 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 48 11 ID XiaE8fNk 爆発の後、姿が見えなかったけど、不意打ちでも狙っていたのだろうか。 つくづく汚い奴だ。 それにしても、さっきのがいったい何だなんて、聞きたいのは僕の方だ。 回復中なんて一番無防備なときに攻撃されなかったと思ったら、この人たちも僕たちが突然光りだしたことの理由が分からず、警戒していたからだったのか。 もちろん、僕はその質問の答えを知らないし、答える気も無い。 「ロケット団員ってのは最低な人間だな。劣勢だからって部下に自爆させるなんて」 だから僕は憎まれ口を叩いてやる。 「質問に答えろ小僧。それに、あれは俺が指示したわけじゃない。自分から勝手にやったことだ」 「自分から勝手にやったことだって! それがお前のために死んでいった部下に言うことか!!」 「黙れ! お前に何が分かる!」 「何も分からなくたって、お前が最低な奴ってことは分かるさ!」 「これだからガキは嫌なんだ」 そういう男の背後にハシブトが現れ、二人そろって姿を消した。 また不意打ち狙いか? しかしまだ爆発の衝撃から立ち直っていない僕たちに時間を与えるようなことは、あまり上策とはいえない。 「チコ、向こうと合流しよう。わざわざ敵に合わせて一対一でやることもない」 僕は香草さんに駆け寄ると、そのまま向こうの三人に向かって駆け出した。 するとその三人のところに、男とハシブトと、そして何かの塊が現れる。 その塊を残し、二人はすぐに消え、やどりさんたちの攻撃を回避する。 そういえば、あの大爆発以来、ガドータの姿が見えなかった。 彼女が一番爆心地に近かったから、てっきりその衝撃でバラバラになったものだと思っていたのだけど…… 「みんな、逃げ――」 僕がその意図に気づき、叫び終わる前には、僕は香草さんの蔦によって香草さんに引き寄せられ、彼女に抱えられるようにして地面に伏せさせられていた。 瞬時に蔦で周囲の瓦礫を集めて壁が作られ、さらに物理攻撃のダメージを半減させる半透明の壁が展開する。 その即席の防壁は、すぐに大爆発によって消し飛ばされた。 なんてことを。 奴ら、瀕死の味方を爆弾として利用しやがった! 再び、構内に閃光と大音響、そして暴風と熱波が駆け巡る。 何をやるか分かっていたから、僕たちにはダメージは低かったけど、目の前で爆発されたあの三人は。 「シルバー!!」 思わず、叫びが喉を突いて出た。 壁が消え、目の前にはただただ黒煙が広がる。 「ゴールド、落ち着いて! 今動くのは危険よ!」 香草さんはそう言って僕を抱きとめるけど、頭で分かっていても、とてもじゃないがじっとしてなんていられなかった。 「やどりさん! ラン!」 僕の叫び声は空虚に崩壊した構内に響く。 その時不意に、悪寒を感じて振り向いた。 ハシブトの鍵爪が、今まさに香草さんの頭に振り下ろされるところだった。 「危ない!」 地面を蹴っ飛ばし、香草さんごと後ろに倒れこむ。 それを追うように、事態に気づいた香草さんが無数の蔦をハシブトに伸ばす。 しかし再びハシブトは煙に溶けるように姿をくらまし、蔦から逃れる。 クソッ! 爆発がただそれだけで終わるわけが無いじゃないか! どうしても動揺してしまい、彼らから注意が逸れてしまった。 どうして僕はこう馬鹿なんだ! 「いやああああああ!! シルバァアアアアアアア!!」 今度は何だ! 自己嫌悪に駆られている僕の耳に、誰かの絶叫が突き刺さる。 いや、こんな叫びを上げる人間なんてこの場にはひとりしかいない。 周囲に警戒しつつ、焼けた瓦礫を踏みながら急いでその声の場所に近寄ると、そこには何かの上に倒れるようにしてむせび泣くランの姿があった。 煤と怪我で全身が汚れていて、さらに涙やらなにやらで彼女は酷い有様だった。 まさか。 僕は浮かぶ疑念、いや、確信を必死に打ち消しながら、彼女が覆いかぶさっている何か、に近づく。 真っ黒に焦げたそれは、おおよそ生き物とは思えなかった。 だが、それは…… 「し、シルバー……?」 見る影もなく変貌したそれは…… 「……よ、よう……ゴールド……」 掠れて、普段のものとは程遠いその声は、やはりシルバーのものであった。 894 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 48 32 ID XiaE8fNk 声も出ない。 重度の火傷に加え、全身にいくつも瓦礫が突き刺さっていて、さらに手足の一部は明らかにちぎれてなくなっていた。 誰が見ても一目で分かる。 もうシルバーは助からない。 今生きて意識があるのが不思議なくらいだ。 ここがポケモンセンターだったら助かる可能性もあったかもしれないが、いくらポケモンセンターだって死者を蘇らすことなどできはしない。 「シルバー! 死ぬな!」 でも、僕はシルバーにそう言わずにはいられなかった。 ロケット団に人生を蹂躙され、ランにまっとうな生活を奪われ。 このまま死ぬんなら、何のために生まれてきたか分からないじゃないか!「……怒鳴るなよ、うるせえな……死なねえよ……」 口の端には血の泡が溢れている。 彼の減らず口が今だけは頼もしくて泣けてきた。 「どうなったんだ……? 暗くて、何も見えねえ……」 確かに視界は悪いけど、何も見えないというほどではない。 もう目も見えていないのだろう。 「泣いているのは、ランか? 泣くなよ……」 シルバーはそう言ってランの頭に手を載せた。 「ゴールド……覚悟しておけよ……」 いつにない、神妙な口調。やめろよ。やめてくれ。 「覚悟って何を」 僕の声も、震えていた。 「お前も……俺と同じ、運命に……」 シルバーの目はもう僕を見てはいない。 意識が錯乱しているのか? 「糞みてえな、人生だったが……それでも……」 「シルバー! もう喋るな!」 「ラン、最後だから、言ってやるよ……」 「シルバァアアアアアア! いやぁあああああああ!!」 「ラン……好きだ……ずっと……お前に逢えて……よかった……」 彼はランを抱くように動いたが、しかしランを抱くことなく、動きを止め、肢体を投げ出した。 そしてそれを最後に、動かなくなった。 「じょ、冗談だろ? なあシルバー?」 分かっている。 コイツは食えない奴だけど、こんな状況でふざける様な奴じゃない。 でも信じられない。 殺しても死なないような奴じゃないか。 それが、こんなあっけなく…… 「ゴールド、しっかりして! このままじゃ……」 ハシブトと戦っている香草さんも、僕達を守ったまま戦うのは辛そうだ。 確かに、今は感傷に浸っていられるような状況じゃない。僕は混乱した意識を無理やり戦闘に集中させる。 黒煙が粗方晴れたお陰で辺りが見えるようになってきた。 そのため、煤で汚れているものの、床に倒れているやどりさんを見つけることが出来た。 「やどりさん、しっかり!」 瓦礫に半分埋まったやどりさんを何とか掘り起こす。 「う、うーん……」 よかった、気絶していただけみたいだ。 気ぐるみと超能力で身を守れる分、彼女の怪我は軽かったようだ。だけど今回は一回目と違いランやシルバーを守る余裕が無かったのか。 「はやくチコさんの傍に!」 未だ意識が朦朧としているやどりさんには酷だろうけど、今は落ち着くまで待ってもらう猶予もない。 「ランも早く!」 ランの方を見ると、彼女は炎に包まれていた。 それも異常な熱を持っている。 一目で正常じゃないと分かる。 彼女のショックは僕の非ではないはずだ。 どんな暴挙に出てもおかしくはない。 まず真っ先にそのことを考えるべきだったのに。 冷静に行動したつもりだったけど、内心ではすっかり動揺しきっているみたいだ。 「ラ、ラン!」 どうしよう、なんて言葉をかければいいんだ。 どんな言葉をかけたって、今の彼女を何とかすることなんて…… ちくしょう、シルバー! お前だけなんだ! お前だけしかランをどうにかできる人間はいないってのに!! 僕が手をこまねいている間にも、彼女から放たれる熱量がどんどん上がっている。 もはや近づくことも不可能だ。 「隙だらけよ! ってあっつい!!」 ランを狙ったハシブトも返り討ちに会った。 彼女はこれで安全かもしれないが、このままではこっちがたまらない。 「ラン! 落ち着いて!」 言うに事欠いて落ち着いてとは、自分でもどうかと思う。 一層熱量が上がった。 ぎゃ、逆効果か!? 「ゴールド、ふざけてる場合じゃないわよ! このままじゃ、このビルが保たないわよ!!」 ふ、ふざけてなんかいない! シルバーの体はすでに火に包まれ、パチパチと爆ぜている。 もしかして、これは火葬のつもりなんだろうか。それこそ、そんな場合ではない。 895 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 48 51 ID XiaE8fNk 「ラーン! 話を聞いてくれー!」 業火の中にある彼女は、強い口調で答える。 「煩い! アンタと関わらなければ! アンタがいなければシルバーは!」 まるで僕のせいでシルバーが死んだと言わんばかりだ。 「最初からこれでよかったのに! あたしはシルバーがいればそれでよかったのに!」 さらに熱量が高まり、その一部が熱波となってこちらに押し寄せる。 「アンタさえいなければ!! アンタが、アンタが死ねばよかったのよぉー!!」 「ゴールド! 逃げるわよ!」 ランの絶叫と共に、猛烈な熱風が押し寄せてくる。 香草さんは咄嗟に僕を蔦で取り上げ、そこから逃げ出す。 僕は反射的にやどりさんの襟首を掴んだ。 意識を取り戻したやどりさんが水の膜を張る。 同時に、水を噴射して僕達を加速させた。 先ほどの爆発から逃れ、燃え残っていた可燃物が片っ端から燃えていく。 馬鹿げた熱波だ。 熱の濁流が、狂ったように空間を飲み込んでいく。 隔壁の手前まで逃れ、何とかまともに熱波に晒されることを避けることが出来た。 しかしそれでもランから大した熱が損なわれた様子は無い。 あれだけの熱を放出していながら、彼女は未だ煌々と輝いていた。 限界が見えない。ここも安全とは言えない。 「やどりさん、チコさん、僕達が通れる大きさでいい! 隔壁をぶち抜いて! は、早く!」 その声は、思いのほか震えていた。 ランに対する恐怖も無いとは言えない。 でもそれより、彼女に死ねと言われたことがショックだったのだ。 彼女は、本当にシルバーのことしか見えていなかったんだな。 僕なんて、ただの他人、いや、むしろ彼らの間に割り込む敵。 そのように思われていたんだな。 僕だけだったのか。 昔の、あの三人で過ごした日々を、大切に思っていたのは。 生命の危機に、何を寝ぼけたこと言っているんだと思われるかもしれない。 この旅に出てからの、度重なる恐怖と命の危機で、僕の危機意識はすっかりおかしくなってしまったみたいだ。 そもそも、こんな自分の命を自分で危険に晒すような計画に参加してしまった時点で、僕はもうどうかしていたのかもしれない。 シルバーを失い、ランから罵倒され。 確かに、彼女の言うとおり、僕は最初から関わるべきじゃなかったのかもしれない。 「ゴールド! 開いたわよ!」 彼女の方を見ると、分厚い隔壁を貫いて、ギリギリ人一人通れそうな穴が開いていた。 この短期間でよくやったものだ。 「チコさんから通って!」 「いいえ、ゴールドから!」 「いいから! 早く通って! 隔壁の向こうの安全を確保するんだ!」 僕はそう言って彼女を先に通らせる。 隔壁の向こうに敵がいるだなんて思っちゃいない。 今この場にいるまともな戦力は香草さんだけだ。 だから彼女の安全を真っ先に確保しなければならない。 今僕達に揉めている猶予は無い。 それは彼女もよく分かっているのだろう。 普段なら食い下がるところだけど、彼女は僕を何か言いたげに一瞬見たものの、すぐに隔壁の向こうに潜った。 ランを一瞥する。 白々した火柱に彼女は包まれていた。 とてもじゃないが話なんて出来る状況ではない。 頭を伏せ、隔壁を潜った。 上体を向こうに出したところで、香草さんによって引っ張られる。 「やどりさんも早く!」 隔壁を抜けると、僕はすぐに向こう側に手を伸ばした。 ボロボロになった着ぐるみの、ゴワゴワとした感触が手に返ってくる。 そのまま彼女を引っ張るが、途中で動かなくなった。 「どうしたんだやどりさん!? まさか、ロケット団に掴まれて……」 「違う……き、きぐるみが、ひっかかって……」 彼女はこんな事態にも関わらず、恥ずかしげにそう答える。 「着ぐるみなんて脱げばいいだろ!」 一刻も早くここを通り抜けないと、いつロケット団から背中を狙われるか分からないってのに! 彼らが姿を消しているのは機をうかがっているのか、それともさっきの熱波にやられて、まともに動けないのか。 後者であって欲しいけど、後者だということを想定して行動することはありえない。 「で、でも……」 「いいから、早く!」 僕は彼女の手を持ち、無理やり引っ張る。 着ぐるみの腕のところとそこから上の部分は、余程脆くなっていたようで、あっさりと千切れた。 そういえば、この着ぐるみも今まで散々痛めつけられてきたもんな。 そしてそこが切れたことで、ずるりとその中身であるやどりさんが出てきた。 当然全裸である。 896 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 49 12 ID XiaE8fNk 「……っ」 「……な、あ、あっ!」 両者の反応は予想通りであるので、僕はすでにそっぽを向いて、何も見ていないことをアピールする。 そもそも二人ともそんな場合じゃないだろうに。 上着を脱いで、やどりさんに差し出してやる。 「とりあえず、これ着て! そしたらすぐにその穴塞いで!」 ロケット団の二人、窓を破って入ってくることも考えられなくも無いけど、これだけの大騒動になると、この周囲に警戒が集まっているはず。 つまり外にでればその瞬間、下手したら集中砲火を浴びせられることになる。 さらにあの二人は大分消耗しているはず。 窓の強化ガラスを破るのにも苦労するはずだ。 ランの熱波を避けるためにも、彼らの追撃をかわすためにも、まずはこの穴を塞ぐべきだ。 ちょうど計ったように穴から炎が噴き出し、僕達を焦がす。 一触即発であった香草さんとやどりさんもこのことで頭が冷えたらしい。 二人して急いで穴を塞いでいく。 そのとき僕は気づいてしまった。 僕の上着は度重なるダメージを受けてボロボロになっており、やどりさんの大事な部分がまったく隠れていないことを。 普段なら嬉しいんだけど血の気が引いていく。もしこれに香草さんが気づいたら。 彼女も必死だったのか、幸いにも香草さんはそのことに気づくことなく、穴を塞ぎ終わった。 同時に、地響きがし、建物が大きく揺れた。 隔壁ごしでも熱が伝わってくる。 他の場所での戦いはどうなったんだろう。 通信機器が壊れている今、僕にそれを知る術はない。 「もう少し離れよう、ここじゃ危険だ」 隔壁を警戒しておきたいんだけど、それよりも僕達の安全が優先だ。 建物が何だか傾いてきている気がする。 もしかして、この建物はもう保たないのかもしれない。 結局、ロケット団から人々を守ることは出来たものの、ラジオ塔を守ることは無理そうだ。 僕達が隔壁から大きく離れたころ、ひときわ大きな爆発が起こり、隔壁が吹っ飛んだ。 「ぐうう!」 やどりさんが超能力で器用に僕達に飛んでくる大きな瓦礫を逸らし、力を壁のようにして小さな破片からも僕達を守る。 香草さんも光の壁とリフレクターを発動し、ダメージを低減した。 先ほどまで僕達がいたところは見事に吹き飛んで、跡形もなくなっていた。 隔壁があった場所の向こうには、ちょうど円の形をしたクレーターが出来ていた。 すべてが赤熱し、何もかもが赤く融け、まるで溶岩でも噴き出したかのようになっている。 これを、ランがやったのか。 肝心のランも、影も形も無い。 これほどの熱を発したんだ。おそらく彼女も…… 「ラン……シルバー……」 駄目だ、ここにいても熱で肌が焼かれる。 僕は瓦礫の影に屈みこんだ。 く……どうして、どうしてこんなことに…… ロケット団を撲滅し、大勢の人を救おうとした結果がこれだ。 僕達は、一体何のために…… 「ゴールド、危ない!」 その言葉を聞くか聞かないかのところで、体が勝手に浮き上がり、後方に吹っ飛ばされた。 その直後、僕のいたところに小規模の爆発が起こる。 そこには黒い塊が突き刺さっていた。 これは、ハシブトの不意打ち? そんな、まさか! そこには、血まみれでボロボロのハシブトと、ロケット団の男が立っていた。 顔面も含め、いたるところに酷い火傷が見られる。 しかもハシブトの腹部には、大きな瓦礫が突き刺さっていた。 生きていたなんて! どうやって逃げ延びたんだ!? とはいえ、相手は満身創痍。もう勝負は付いている。 「お前ら……もう諦めろよ……」 こいつらのせいで、シルバーは死んだ。 それなのに、不思議と彼らに対して強い怒りは沸かなかった。 あるのはただただやるせなさだ。 復讐という形ですら、もうこいつらと関わりたくない。 香草さんが両手から蔦を伸ばし、ハシブトと男を拘束した。 「俺バァ! 成功ズル! 成功ジデ、ノシ上がッデ、ゴノ国を変エデヤルんダァ!!」 口から血の泡を飛ばしながら、男がそう怒鳴る。もうその目に正気は無かった。 男の言葉が、やたら気に障った。 「そんな幼稚な妄想のために、どれだけの人間を犠牲にしたと思っているんだ、お前はぁああああ!」 僕は体当たりを食らわせ、男を押し倒す。 咄嗟に、鋭利な瓦礫が目に入った。 僕はそれを両手で掴むと、思いっきり振りかぶり、男の胸に突き立てた。 その切っ先は骨に当たり、骨の隙間にずれ込むようにして肉の中にめり込んでいく。 「ぐ、ヌオオオオオオオオ!!」 それは、酷い断末魔の叫びだった。 彼の死に顔は、間違いなく僕の見てきた中で一番酷いものといえるだろう。 大悪党に相応しい、悲惨な末路だ。 897 :ぽけもん 黒 28話 ◆wzYAo8XQT.:2012/01/30(月) 23 49 30 ID XiaE8fNk 「はぁ、はぁ。はは、ざまあみろ」 僕はその悲痛に歪んだその死体に、そう吐き捨てた。 脱力し、瓦礫の山にへたりこむ。 終わった。これで全て終わったんだ。 ロケット団の作戦は完全に失敗した。 肝心のラジオ塔が全壊してしまったんだから、僕達の作戦も成功とは程遠いけど。 しかし僕の胸に去来するのは達成感でも、勝利の愉悦でもなく、ただ空虚のみだった。 何も得ることが出来なかった。 ただ失うだけの戦いだった。 シルバー。 この作戦が成功するには、やっぱりお前が生きてなきゃ駄目だったんだよ。 僕じゃなく、お前が…… 虚しさに支配され、呆けている僕の腹部に、突如強い衝撃が走った。 腹部にめり込んでいるのは鳥の翼。 真っ白になる視界に、驚愕している香草さんの顔がうっすらと映る。 香草さんの前には、確かに縛られたハシブトの下半身があった。 コイツ、まさか、自分の下半身を引きちぎって!! 誰もが想像もしていなかった。 それゆえ、誰も反応することが出来なかった。 飛行なんていうまともなものじゃなく、ただの勢い任せの突進。 しかしそれは、それでも僕を壊れた窓の外に投げ出すのに十分な威力だった。 「グギャギャギャギャギャギャギャ!!」 野太い、狂ったような叫びが、どんどん僕から遠くなっていく。 僕が落ちているから。 下は瓦礫。 助けてくれる人はいない。 つまり、死ぬ。 僕は呆然と落ちていった。 何の感慨も沸かない。 こういうときには、今までの思い出が走馬灯のように見えるって言うけど、そんなこともない。 その代わり、世界がスローモーションで見えるってのは本当だったようだ。 僕が落ちた窓が、酷くゆっくりと遠ざかって行く。 なんだか酷くあっけない。 シルバーも、こうだったのかな。 ランは……そんなことはなさそうだな。 彼女は最後までシルバーのことだけを想って死んでいったのだろう。 「ごーるどぉおおおおおおお!!」 誰かの絶叫が、僕の耳に届く。 ああ、最期だってのに、ちっとも香草さんのことが頭に浮かばなかった僕は、だめな彼氏だな。 そう思った。 世界がどんどん加速していき、体に強い衝撃が走った。 「ううっ!」 痛みで呻くが、あんなに高いところから落ちたにしては随分大したことの無い痛みだ。 あんまりに強い痛みだから感覚が麻痺してるのかな。 それに、何だか風を感じる。 まるで空を飛んでいるみたいだ。 「ごーるどぉ!!」 大声で呼びかけられた。 まるですぐ傍から呼びかけられたような…… 目を開けると、僕は本当に空を飛んでいた。 な、なな、これは!? 「会いたかったです! ごーるどぉ!」 「ポポ!」 首を上げて見えたのは、満面の笑みで笑うポポの姿だった。 僕はちょうど彼女の両足に掴まれている形らしい。 「ポポ、君が助けてくれたんだね!」 地面に落ちる寸前のところで、彼女に救出されたのか。 「はいです!」 久しぶりに見るポポは以前と何も変わりなく……いや、以前よりさらに力強く、美しく見えた。 「ポポ、ありがとう」 今まで張り詰めていた緊張の糸が切れ、僕は意識を失った。
https://w.atwiki.jp/marsdaybreaker/pages/2618.html
おもち(おもち) 設定国民から平 祥子へのクリスマスプレゼント。 保有国一覧 藩国名 入手履歴 保有者 使用履歴 現在所持数 リワマヒ国 09/12/25:入手 琥村 祥子 1 参考資料 イベント掲示板 No.31346 上へ 戻る 編集履歴:矢上麗華@天領 (2010/03/20)
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/47927.html
【検索用 とんたはけもの 登録タグ VOCALOID aoiro code v flower と 曲】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:aoiro code 作曲:aoiro code 編曲:aoiro code 唄:Flower イラスト:ひころび(Twitter) 動画:pAri 曲紹介 aoiro code氏の11作目。 歌詞 (YouTube動画概要欄より転載) ねぇ神様 あなたはどうして 世界を知った気でいるの 私のことだって ろくに知らないくせにさ ねぇ神様 あなたはどうして 悲しみ一つもないのにさ 寄り添うふりをして 私の手を取るの ねぇ神様 祈りを聴いて 私に何をもたらすの 愛した人も先月ここを出て行った ねぇ神様 痛みを知って 無駄に強くなる心など 私はいらないから幸せだけ連れてきて ねぇ あぁ段々世界が変わる 私にふさわしい形になって あぁ段々私も変わる このくだらない本を閉じて もういいかい もういいよ 私は私の為 生きるんだ 伸ばしたこの手は闇を裂く希望だ いくら不恰好だっていいよ 定めに唾吐き捨ててやろうよ 見ようとしなかった未来はすぐそこだ あぁ眠れない夜だ あぁ騒がしい朝だ ねぇあなたは私のことを なんでも出来ると思ったかい そんなに器用には生きることが出来ないや ねぇあなたも私と同じ 孤独に怯えているだけだ だから尚のこと 私といればいいのに もういいかい もういいかい もういいよ あなたはあなたの為 生きるんだ 伸ばしたその手は鍵になる理想だ いくら不揃いだっていいよ 世界に罵声浴びせてやろうよ いつかの忘れてた未来はもうここだ これで晴れてばけものだ 理想喰らうばけものだ 美しきばけものだ コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/1378.html
317 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 19 07 ID Fq4q3HCv 遭難した。 何かの冗談でもなければ何かの比喩でもない。 本当に、道に迷った。 鬱蒼と生い茂る樹海の中で。 僕は、皆に向かって力の無い笑みを浮かべた。 シルバー達に逃げられた後。 延焼が起こらないことを確認した僕と香草さんはポケモンセンターに戻った。 香草さんが僕の火傷を心配したためだ。 香草さんはヒリヒリと痛む僕の肌を撫でると、今にも泣き出しそうな顔で僕を見た。そんな彼女に「今すぐポケモンセンターに行きましょう」と懇願されれば、同意しないわけにはいかない。 実際は火傷というより日焼けといったほうが正しいような軽症だった。どの道、このまま散歩を続ける気分にもなれなかったけども。 過剰に僕のことを心配したかと思えば、その直後に「あのアマ、今度会ったら絶対にぶち殺してやる」なんて恐ろしいことを口走る。 ますます香草さんとランは戦わせられない。 そもそもランが悪いわけじゃない。悪いのはシルバーなのに。 しかし、香草さんは感情の変化が激しすぎるように思う。笑っていたと思えばすぐに不機嫌になり、慌てていたと思えばすぐに怒り出す。もしかして女の子は皆こうなんだろうか。 だったら僕は今後女の子と関わっていく自信がない。 ポケモンセンターで診断を受けたが、やはり結果は「治療の必要なし」だった。 大事をとって一応塗り薬を出すか? と聞かれたが、不要だと思ったので断った。 僕が診察室からでて、診察室の前で待機していた香草さんにそれを告げると、「藪医者が!」と診察室に突撃しそうになった。 羽交い絞めにして抑え、なんとか説得した。 羽交い絞めにした際、香草さんの胸の感触がして恥ずかしいと同時に嬉しかったことは内緒だ。 しかしその後香草さんが「やけによそよそしかったから間違いなくばれていただろう。 触っているんだからばれない道理はないんだけど。 部屋に戻った後がまた大変だった。 香草さんの治療に行って以来戻っていなかったために、長時間(といっても一時間程度だが)放置されたポポは恐慌状態だった。 ドアを開けた僕の目にまず飛び込んできたのは散乱した羽。 次に目に入ってきたのは、隅のほうで小さくなっている、涙で顔をグシャグシャにしたポポの姿だった。 「い、一体何があった!?」 僕は慌ててポポに駆け寄る。どう見てもただ事ではない。 「ゴー……ルド…………ゴールド!? うわぁああああん!」 ポポの突進のような抱擁に僕は数メートル飛ばされ、背中から地面に叩きつけられた。ポポは僕の胸に顔をうずめ、泣きじゃくっている。 僕はすぐに危険を察知し、ポポの背中に両腕をまわした。 間髪空けずに、腕に蔦が叩きつけられる。 腕に爆ぜるような激しい痛みが走った。 「香草さん、何するのさ!」 「ち、違うの! ゴールドにやろうと思ったわけじゃないの! ただ私はその鳥に……」 「それがダメだって言ってるのさ! どうしてそんなことしようとするんだよ!」 「だってゴールドにだ……」 ポポが僕に思いっきりぶつかったことを怒っているのか。 「そんなこと言っている場合じゃないだろ! ポポ、僕たちのいない間に何があった!?」 僕は二度目となる質問をポポに投げかけた。 しかしポポは相変わらず泣いてばかりで話せそうに無い。 しかも廊下まで飛ばされてしまったので、人が通りかかるときっと奇異の目にさらされることだろう。 だからとりあえずポポを抱えてベッドまで移動することにした。 「な、何してるのよ!」 突然香草さんから批難のような質問が投げかけられる。 「何って、ベッドまで運ぼうかと」 直後、頭部を狙って飛んできた香草さんの蔦をかがんで回避した。 なぜかは知らないけど、香草さんの蔦が飛んでくる気がしたからだ。案の定、飛んできたわけだし。 香草さんの言葉には言外の意味が多すぎる。普通の回答じゃほぼ間違いなく蔦の餌食になることを僕はすでに学習済みだ。 318 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 19 29 ID Fq4q3HCv 次いでとんできた蔦も扉の陰に隠れることでやり過ごした。 ここは遮蔽物が多いから隠れやすいし、そもそも狭いから蔦を振り回しにくくて良いね。 香草さんの蔦対策がそのまま場所の良し悪しになっていることに泣けてくる。 「ダメよ、そんなの絶対にダメ!」 そういうことは蔦を振り回す前に言って欲しい。僕じゃなかったら今頃大怪我だ。 「何がダメなのさ」 「何がって……そんな……」 なにやら香草さんは大きな誤解をしているような気がする。 「ただポポから話を聞きたいだけだよ?」 「嘘よ!」 どうして嘘と判断したのか聞きたい。僕の今の話に何かおかしな点があっただろうか。それとも、僕はそんなに嘘つきに思われてるのかな。 「本当だよ。香草さんも一緒に聞こうよ。場合によっては警察のお世話になるかもしれないし」 「警察の世話になんてならないわよ! だってその鳥、それ自分でやったのよ!?」 自分で? 自分で羽を毟って撒き散らしたというのか? ポポは腕が翼になっているために自分で自分の羽を毟ったりは出来ない。どうやって自分一人でこんなことをしたっていうんだ。 そう思いながらも、確認のために一応ポポに問いかける。 「そうなのポポ? これ、自分でやったのか?」 僕の問いかけに、ポポは首をわずかに下げた。なんてこった。 最初この羽毛はポポのものかと思ったけど、よく見たら部屋の片隅にビリビリに引き裂かれた枕が転がっていた。 羽毛の枕なんて、なんて無駄に高級な設備なんだポケモンセンター! 税金の無駄遣いという言葉が頭をよぎったが、普段は枕もなしに野宿という旅人達のために、せめてここでくらいは柔らかい枕で寝て欲しいという優しさかもしれない。 というか、そうであって欲しい。 「どうしてこんなこと……」 「怖かったんです!」 「怖かった?」 「ゴールドが帰ってこなくて……捨てられたのかと思って……探しに行きたかったですけど……ゴールドが戻ってきた時いなかったら……約束破ったら捨てられちゃうと思ったんです……それで、どうしたらいいのか分からなくなって……分からなくなったんです」 ポポは泣きじゃくりながらポツポツと述べる。 はっきり言って、ポポの心理が理解できない。 「ポポ。どうしてポポはそんなに心配するのさ。僕ってそんなに外道に見えるかな?」 つい言ってしまった。ポポもこんなことを聞かれても困るだろう。彼女には否定以外の回答は初めから用意されていない。僕が気づいていないだけで、僕が本当に下衆野郎だとしても、僕から見放されないためには否定するしかないのだから。 「ポポには……ポポにはゴールドしかいないんです。ポポには何も無いんです。一人では何も出来ないんです。ゴールドが……ゴールドがいないと……。だから、ゴールドがいなくちゃ生きていけないんです! だから、だから……」 嗚咽によって言葉は途中で途切れた。ポポは再び僕の胸に顔をうずめて泣きじゃくる。 「そんなこと無いよ、ポポはもっと自分に自信を持つべきだ。僕が……」 「はいはいそこまで。分かったでしょ? その鳥に付き合うだけ無駄なのよ。まともな理由なんかないんだから」 僕がいなくてもポポは大丈夫。ポポは僕以外のトレーナーを知らないからそう思うだけなのさ。僕はけして特別じゃない。 その言葉は香草さんの割り込みによって中断された。 香草さんはうんざりした表情でポポを僕から引き離す。 ポポは両翼をバタバタと羽ばたかせて抵抗したが、香草さんの力には勝てなかったようだ。 一方の僕はというと、その様子をただ呆然と眺めているだけだ。 どうしたらいいか分からない。 ポポの状態はどう考えたってまともじゃない。僕が、何かを間違えたのだろうか。 きっと、僕のそんな様子でまた不安になったのだろう。ポポがまた今にも泣き出さんばかりに顔を歪めた。 僕はポポを安心させるためにとりあえず笑みを作る。中身の無い笑みを。 319 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 20 07 ID Fq4q3HCv 僕が入り口から向かって左側のベッド、ポポと香草さんが向かって右側のベッドで寝ることになった。 香草さんの強い要望のためだ。 それには、僕としても同意だった。 ポポを甘やかしすぎたのかもしれない。いや、甘やかしているというほど何かをやったわけではないけども。 とにかく、距離をとることには同意だった。 香草さんには悪役を押し付けてしまって申し訳ないけど、香草さんの要望ということであれば僕がポポを見放したということにもならない。 もちろん、香草さんにポポに対して暴力を振るわないことは約束させた。 ……これで責任を果たした、と考えるのはただの独りよがりなのだろうか。 もしかして、育児放棄を行った大人も、このように考えているのかもしれないな。最低限すら果たせてないのに、それで十分と勘違いする。 たとえ偽りでも、それが一時的な仮初であったとしても、ポポを愛すべきなのだろうか。 たとえ、それがいつか僕の人生と共に決定的な破滅に行き着くことが分かっていたとしても。 僕の心は揺れていた。 フワフワの羽毛の枕も、僕の煩悶を吹き飛ばしてはくれなかった。 重い気分で迎えた朝。 体を起こすと、香草さんとポポはすでに起き上がってこちらを見ていた。 なんだか怖い。 「お、おはよう」 「おはよう」 「おはようです」 僕の挨拶に対して二人は微笑んだが、それがさらに恐怖を煽る。 これは単なる被害妄想だろうか。 僕たちは準備を終えると次の町目指して出発した。 檜皮村から次の古賀根市へ行くには姥女の森を通らなくてはならない。 この森、木々が鬱蒼と生い茂っているため、昼間でも地上部まで日光が届かず、非常に薄暗い。その上、いろんないわくがあるとかで全国的に有名な心霊スポットでもあり、夜には絶対に立ち入りたくない場所だ。 地元住民からはいわくつきの地というより、神聖な場所ということで畏れられてこそあれ、怖れられているなんてことは無いから、いわくなんてものはただの噂で、実際には何も無いと信じたい。 入り口で通行が制限されるという特性上、ここは一つのチェックポイントにもなっている。僕は入り口の係員にポケギアで自分の情報を提示する。 係員の隣には警察の人もいて、ロケット団の出入りを監視しているようだった。 「ロケット団に気をつけて、見つけたらすぐに通報してその場から逃げてください」 と言われたが、シルバーの件を知っている僕からすれば、出入り口なんて警戒しても意味がないと思ってしまう。元々一部の人とトレーナーしか立ち入れない場所なんだし、そもそもロケット団が正規の出入り口を使うはずがないのに。 実際に踏み入ってみて分かったが、この森は本当に暗い森だった。 入り口から数十歩進んだだけで晴れから曇りになったくらいの明るさの差がある。 行き先は闇にかすんで、はっきりとは見えなかった。 「なんだか、気味が悪いね」 僕は思わずそう漏らす。 「な、情けないわね。ゆゆゆ幽霊なんているわけないじゃない!」 そういう香草さんの足は小刻みに震えている。少し可愛い。 ポポはといえばキョトンとしていた。羨ましいまでに鈍感だ。 光が入らないためか、あまり固くない地面を踏みしめながら進んでいく。 まだ朝だというのに、森はすでに雨天時よりも暗くなっていた。 暗さもさることながら、木々の密集度からポポが飛ぶことが出来ないことも厳しい。香草さんの蔦も本来の力を発揮することは出来ないだろう。 「きゃっ!」 香草さんがゆるい地面に足を取られ、短い悲鳴を上げる。 「大丈夫?」 「ポポは大丈夫ですー」 はいはい、分かったからね。 香草さんは――僕もだが――歩きにくそうにしているが、ポポは鉤爪のお陰か、それとも長かった野性の生活のお陰か、滑りやすく力を込めにくい地面をまったく苦にせず、なんでもないようにひょいひょいと歩いていく。 その跳ねるような動きが、ヒラヒラと揺れる服や羽と相まって、とても可愛らしい。 あっちに足をとられ、こっちに躓きと、ふらふら歩いている僕と香草さんとは大違いだ。 香草さんは何も言わないが、表情からは不機嫌さがにじみ出ている。 こういうときこそ、(一応)パートナーである僕が支えてあげないと! ……決してポイント稼ぎとか、そういうのじゃないからね! 僕は彼女に手を差し出した。 ふらふらしている人間同士が手を繋いだら共倒れになるんじゃないかとか、そういう野暮なことは考えてはいけない。 320 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 20 43 ID Fq4q3HCv しかしその手に重ねられたのは手ではなく翼だった。 いつの間にかポポが素早く駆け寄ってきていたのだ。 僕はポポを見たが、涙目で上目遣いで覗き込まれてしまった。 「だめ……ですか?」 涙声でのトドメの一押し。 これで何も言えなくなってしまうのは僕だけではないと自信を持っていえる。 そういうことで、なんのためか分からないけど、ポポと手を繋いで森を進む。 ポポと手を繋いでも、当然足場が安定するわけではなく、そのため何回かポポを巻き込む形で転んでしまった。 しかも一回は一見ポポを押し倒しているような格好でだ。 すごく気まずいと共に、手をつないだのが香草さんでなくてよかったと思った。香草さんとだったら今頃僕の命はない。運がよくても繋いだ腕は根元からなくなっていることだろう。 しかし巻き込んでしまっていることが申し訳ないから、ポポに手を離そうかと提案しようと思ったけど、ポポの嬉しそうな顔を見て、僕が手を離そうと言った後のことを考えると何も言えなかった。 僕の数歩前を行く香草さんの周りだけ闇が濃いように思えるのは気のせいではないと思う。 一方で、隣にいるポポはここが薄暗いというには暗すぎる森の中だと思えないくらいニコニコとして明るい。 まるで香草さんの周囲の光がポポの周囲に移動しているかのようだ。 僕はとても胃が痛い。 その胃が痛い空気で進むこと数時間。 唐突に、ポポが立ち止まった。 「どうしたの?」 「……誰かの泣き声みたいなのが聞こえる……気がするです」 僕の質問に、ポポはおずおずと答えた。 その様子からして確証は無いようだ。 事実、立ち止まって耳を澄ませてみても、僕には何も聞こえない。 香草さんにも尋ねてみたが、彼女はこちらに向き直ることもせず、無言で首を振った。 彼女は僕や香草さんと比べかなり耳が良いから、僕が分からなくたって間違いとは言えない。 しかし、こんな暗い、先の見えない森で泣き声。どう考えても気分のいい話ではない。 背中に寒いものが走る。 「と、とりあえず、先に進んでみようか。ほ、ほら、ポケモン同士のバトルかもしれないし!」 僕は結論を保留して先に進むことにした。 立ち止まっていてもしょうがないし。 何かに怯えながら、慎重に、ゆっくりと進むことしばらく。 聞こえた。僕にも、聞こえた。 しくしくと、すすり泣くような声が。 香草さんも聞こえたらしい。足が止まった。 香草さんは青ざめた顔をして振り返った。 き、ききき気のせいよね!? 口はパクパクと動くばかりで言葉をなしていないが、そう言いたかったような気がした。 僕はコクコクとせわしなくうなずく。 香草さんを勇気付けるというよりは、自分を落ち着かせようと暗示をかけているといった方が適切だ。 なんとか励まそうと言葉を発しようとしたけど、恐怖でパニック手前に陥っている頭は上手い言葉を見つけてくれず、僕も彼女のように口をパクパクさせるだけに終わった。 ポポはそんな二人の様子をキョトンとして見ている。ポポは幽霊に対する恐怖とかないんだろうなあ。ゴーストポケモンだったら戦う対象だろうけど、それ以外のモノはポポにとっては意味を成さないんだろう。 辺りを警戒しながらゆっくり先に進むが、明らかに香草さんの歩が遅くなっている。進めば進むほど、すすり泣きも近くに聞こえてきているから分からなくも無いんだけど。 ついに香草さんの足が止まった。彼女は今にも泣き出しそうな顔で振り返った。 か、かかか風の音よね!? 相変わらず言葉にはなっていないが、そう言っている気がした。 しかしこれが風の音ではないことは明白だ。もちろん気のせいでもないことも。 僕は無責任にうなずくわけにも行かず、沈黙を返す。 ポポは僕の顔の覗き込んで、不思議そうな顔をしている。 321 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 21 16 ID Fq4q3HCv 「そ、そういえば」 「そういえば?」 「い、いや、なんでもない」 「き、気になるじゃない。言いなさいよ」 「あー、えっと……思い出したんだけどさ、とある研究所で、幽霊の研究をしていた科学者が、幽霊に取り付かれて自分も幽霊になっちゃったっていうホラーを思い出してさ……」 「いやぁああぁあぁああああああ」 耳を劈く悲鳴が辺りに響く。 香草さんは叫びながら強く僕に抱きついた。骨が折れそうな勢いで。 肺から空気が噴き出していくのが分かる。い、息が…… 「ご、ゴールド!? しっかりして!?」 香草さんは僕がグッタリしていることに気づいたようだ。 「ま、まさか……幽霊の仕業!?」 いえ、貴方の仕業ですよ香草さん。 だからそんな青い顔をしてガクガクと震えないでください。 「チコのせいです!」 一方、幽霊なんてものに微塵の恐怖も抱いていないポポは当然僕がグッタリしている理由が分かっているわけで、激昂し、香草さんに飛び掛った。 止めなければ。僕がそう思うより早く。 ポポは突然空中で固まり、そのおかしな姿勢のまま地面に落ちた。 「ぽ……ポポ?」 呼びかけるも、返事は無い。 慌てて抱き起こす。意外なことに、ポポには意識があった。目だけをを必死に動かしているが、体の自由が利かないようだ。ポポ自身も、何が起こったかわからないらしい。 こ、これはまさか…… 「ゆ、幽霊……」 香草さんはそう呟いたかと思うと、体をまっすぐに伸ばしたまま後ろ向きに倒れた。抱き起こしてみたが、こちらはただの気絶のようだ。 よく見れば、前方の空間、木々が不自然に折れ曲がっており、しかも周囲に比べて水浸しになっている。これはもうじめじめの域ではない。 前方に何かいる。 おそらくポポが突然動けなくなった原因もそれだろう。 となると、この何かをなんとかするしかなさそうだ。 頼りの香草さんは気を失っているし、起こしたところで戦力にはなりそうにない。 となると、当てに出来るのは僕一人だけか…… 出来ることなら逃げたいが、そうも行かない。 僕はベルトに挿したナイフを抜くと、そろそろと進む。 またシルバーに遭遇しないとも限らないと思ってベルトに挿しておいたのだけれど、隙を少なく武器を取り出せることがこんなときに役に立つとは。 原因が本当に幽霊だとしたら効果があるかは疑問だけど、それでも心強い。 ほとんど進む必要もなかった。 ほんの数歩進んだだけで、濁った池が見えた。 同時に、その池に浮かぶ桃色をした何かも。あ、あれはまさか髪? で、溺死体? もしくは、あれはここで非業の最期を迎えた人の幽霊で、成仏しきれずに化けて出ているとか…… ろくでもない言葉が脳裏をよぎって、思わず身構える。 そうしている間もすすり泣きの声が聞こえてくる。 やはり発生源はアレのようだ。 ……嫌だけど、とりあえず近付くしかないのかな。 い、いや、そういえば、池に近付くと、そのまま池の中に引きずり込まれるなんて怪談ではよくあるパターンではないか! 「あ、あのー、すみませーん」 近付く気が失せたので、とりあえず呼びかけてみる。 しかし反応はない。 どうやら近付いてみるしかないようだ。 ああ、嫌だなあ。 そう思いながらゆっくり近付いていると、突然その桃色の物体が池から浮上した。 同時に、見えない手のようなものに押されて、その場に倒された。 慌ててナイフを構えなおし、前方を向くと、そこには、桃色の長い髪を持った、同じくピンクの着ぐるみのようなものを着た少女が立っていた。 着ぐるみは撥水加工がほどこされているのだろう、表面の水は見る見る玉となり落ちていく。 年は僕と同じくらいか少し上くらいだろう。目は物憂げに開かれており、口が開きっぱなしになっている。どこかこことは違う世界を見ているような、単に何も見ていないような、そんな不思議な印象を与える表情だ。 322 :ぽけもん 黒 ◆/JZvv6pDUV8b [sage] :2009/10/09(金) 22 22 01 ID Fq4q3HCv これは……ヤドンか。 幽霊の正体見たり枯れ柳とはまさにこのことだ。 ここはヤドン族が多数住んでいる檜皮村からいくらも離れていない。ヤドンに遭遇しても何の不思議も無い。 僕は安堵したが、同時に不安も覚えた。 ヤドンは本来温厚なはずだ。それなのに彼女の周囲にある木々はことごとく、おそらく念力で曲げられており、そしてポポが身動きが取れなくなったのは、きっと彼女の金縛りによるものだ。 だとすると、これはこれで、危険な状態と言える。 香草さんにもポポにも頼れない今、襲い掛かられたら僕は自分の身を守れるのだろうか。 情けない現実だ。 彼女は池から上がると、僕のほうにゆっくりと歩いてきた。 ど、どどどどうしよう! 警戒は怠ってはいけない。しかし相手に警戒心を与えてもいけない。 僕は彼女の死角になるように、背中にナイフを構えた。 念力を自在に操るヤドンに、果たしてナイフは通用するだろうか。 そう思わなくもないけど、何もしないよりはマシだろう。 見えない腕で全身を締め付けられるような、そんな感覚。 突然僕は四肢の自由を奪われた。 何もしないも変わらなかったかもしれない。 おそらく、いや、間違いなく彼女の仕業だろう。 彼女は一歩、また一歩と僕に近付いてくる。 恐怖におののくも、何も出来ない。 一回の跳躍で僕に届く、そんな距離まで近付いたとき。 彼女は突然パッタリと倒れた。 わけが分からず、混乱していた僕の目に飛びこんできたのは、着ぐるみから突き出した、根元に近い部分からバッサリと切り取られた尻尾だった。 碌な処置がされていないようで、傷口は随分と生々しい。 手当てしないと! そう思ったときには、すでに金縛りは解かれていた。 僕は彼女を引き摺り、香草さんとポポが倒れているところまで戻った。 「ゴールド!」 僕の姿を捉えるなり、ポポに抱きつかれた。やはりポポは彼女に金縛りをされていたのか。 「急に体が動かなくなって、それでゴールドもいなくなっちゃって、心配したです!」 いなくなったって言ったってほんの数十メートルの話なんだけどね。 と、今はポポと戯れている場合ではない。一刻も早く彼女の傷を看ないと。 「ポポ、ちょっと離れて。彼女の手当てをしたいんだ」 「あう、ごめんなさいです」 ポポは僕から慌てて離れる。お願いだからその不安げな目をやめてくれ。 彼女が意識を失ったせいか、傷口からは血がにじんでいた。彼女が僕に近付くとき、特に血が垂れた様子はなかったから、きっと起きているときは念力で止血していたのだろう。となると、ますますまずい状態だ。 僕はリュックをおろすと、中から傷薬と包帯を取り出した。 僕のリュックに入っている道具は何も逃亡用の物だけではないのだ。突然の怪我にも対応できるようにしておくのはトレーナーの常識さ! 僕はただ他の人よりほんのちょっと逃亡用の道具が多いだけなのさ。 傷薬を傷口に吹きかけると、傷にしみたのか彼女はうっと呻き声を漏らした。 気絶したんじゃなかったのか。しかし立っていることもできないほど弱っていることに変わりは無い。 「今傷の手当をしているから、じっとしてて」 彼女にそう言うと、今度は傷口にガーゼを当て、手早く包帯を巻いていく。 これでよし。元々出血は酷くなかったし、ガーゼすらいらなかったかも知れないくらいだ。 彼女が倒れた原因はおそらく貧血だろうけど、水の中にいなければここまで酷くならなかったんじゃないだろうか。 しかし外敵がどこにいるかわからない状況ではしょうがないか。 ……それにしても、どうしてこんな酷い怪我をしているのだろうか。 ヤドンの尻尾は再生能力があるから多少の損傷は問題にならないとはいえ、これほど酷いとそれも例外だ。ちゃんと治癒すればいいけど。 鋭利な物で切られたような感じの傷口からいって、自然に出来たものではなさそうだ。 となると、誰かに襲われたと考えるのが妥当だ。 すぐに思いつく心当たりが一つ。 ロケット団。 僕は、背中に冷たいものを感じた。
https://w.atwiki.jp/doujin-circle-list/pages/210.html
公式HP:「けもこも屋」ttp //www12.ocn.ne.jp/~kemokomo/index.htm 作家名:こもりけい? 同人誌リスト タイトル 元ネタ 備考 無添加少女2 ロマ剣Ⅱ 2000/05/14 おひるねこねこ ガンダムΖΖ・With You他 2000/10/29 caramel love With you 2000/12/30 Blind Love サクラ対戦 2001/05/13 ぷいぷいぷー 改 FFⅢ 2001/05/13 こねこねらふらふ Lの季節・MissingBlue 2001/10/28 にうにゅう フルバ 2002/05/12 なゆまゆ ぱにぽに 2002/08/11 ぶりのえっちほん ギルティギア 2002/11/03 ぷいぷいぷ~ うにっ FFⅢ 2002/12/30 きつねの時間 RO 2003/04/29 ちぅちぅ! With You 2003/11/09 うあくあべねでぃくたぁああぁ RO 2003/12/30 ゆきしゃんにゃぁ~ 水月 2004/08/15 こんにちはねこみみも~ど 月詠 2004/12/30 タマ姉の肉じゃが ToHeart2 2005/08/14 暴れ鈴木 ぱすチャContinue 2005/08/14 乱れ鈴木 ぱすチャContinue 2005/12/30 はるかさんとあそぼぉ~ ToHeart2 2006/04/23 ぷるぷにセイバ~さん Fate/stay night 2006/08/13 まなかでぽよぽよ ToHeart2 2006/08/13 にくじゃがカレーぱくぱく ToHeart2 2006/12/31 ぷにせいばーさんにゃぁ Fate/stay night 2006/12/31 ぷいぷいぷ~ 「filly」 FFⅢ 2007/04/30
https://w.atwiki.jp/i_am_a_yandere/pages/2474.html
958 名前: ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 06 59 ID 0qDfGH0o [2/9] ラジオ塔の跡には、テロの慰霊碑としてモニュメントが立てられることになった。 この事件でのロケット団を除く死者、行方不明者は二人だけ。 つまり事実上、その慰霊碑はシルバーとランの墓だ。 モニュメントを立てることを提案したのはラジオ塔の局長らしい。 シルバーとランの話を脚色し、構成しなおし、あっという間に二人をロケット団に人生を翻弄された悲劇の男女に仕立て上げた。 それを元にしたドラマも現在制作中だそうだ。流石、広告というものを扱う商売人なだけあって、よく言えば人心を掴む様なパフォーマンスがうまい。悪く言えば人でなしだ。 ランが作った溶岩溜まりのせいで、改修に多くの金がかかる土地を、たいした金も使わずに見事に有効活用してしまった。 お陰で広告収入は激増、人々の支持もうなぎのぼり、得られた収益は新ラジオ塔を建てても余りあるものだという。 だけど、そんな打算や計算は僕には関係の無い話だ。 僕にとって大事なのは、確かにここに慰霊碑が建ち、そしてそれがテロやロケット団を憎むシンボルとなり、そして二人の死が人々に悼まれるようになったという事実だけだ。 シルバーやランはそんなものには何の価値も見出さないと思うけど、僕にとっては大事なことだった。 確かに、彼らは生きていたんだ。 歪んだ形であれ、彼らの生は多くの人々の中に残ることが出来た。 それが、僕にとってのせめてもの救いだった。 あれから。 地獄より生還した僕達を待っていたのは、警察の猛烈な事情聴取だった。 ロケット団撲滅のためとはいえ、僕達のしたことは明らかな違法行為である。 当然、真実を話したら逮捕は免れないだろう。 ロケット団撲滅に協力してくれた大抵の人間は、普段は社会に属し、真っ当に生きている人間だ。それはまずい。 だから事を起こした後の対応は事前に打ち合わせてあった。 リーダーであるシルバーが死んでしまったから、指揮系統は壊滅かと思われたが、あのシルバーの傍らにいた男が見事にメンバーをまとめて、全員に適切な行動を取らせたようだ。元々、シルバーはただのお飾りで、あの男が実質的なリーダーだったのかもしれない。そうなると自分よりも支持を得られなさそうなシルバーをわざわざリーダーとして立てた意味がいまいちよく分からないけど。 ちなみに僕に与えられたシナリオは、旅の傍ら、観光にラジオ塔に着たら事件に巻き込まれ、ロケット団に襲われたので応戦した、というものだ。 僕の釈明に警察も納得はしていないようだったが、この度の事件で一気にロケット団撲滅の機運が高まり、警察も、それにせっつかれる形で大量の人員をロケット団撲滅に投入することとなったので、僕らの事情聴取に裂く人員も惜しいらしく、また、加害者であるロケット団を放置して、世間的には被害者に見える僕達を問い詰めるというのも、世間の目からすればよろしくないらしく、僕達は程なくして開放された。 今回の事件で一番割りを食ったのは警察と言えなくもない。 彼らは今後、世間から強い不信感を向けられながらも、命すら保障されていない危険な案件に地道に取り組んでいかなければならないのだから。 同情しなくもないけど、僕には関係の無い話だ。 警察から開放された僕達は、そのままポケモンセンターに避難した。単に警察病院からポケモンセンターの病棟に移動になっただけなんだけど。 そう、事情聴取を受ける以前に、僕はまず警察病院に収容されていた。ポポに助けられてから、次にまともに意識を取り戻すまで一週間もかかったらしい。 一週間も意識が戻らないような重症だ、警察の事情聴取が終わっても当然退院できるような状態ではなかったというわけだ。 ポケモンセンターに移り、警察からの事情聴取から解放されたと思ったら、今度はマスコミの取材に晒される羽目になった。 根掘り葉掘り話を聞かれるくらいならまだいい。それどころか、中には事件とぜんぜん関係ないことを調べたり、勝手なシナリオを自分の中で組み立てて、そのシナリオに欲しい証言を無理やり引き出そうとするものまであった。一部ゴシップ誌では、僕は立派な犯罪者として扱われていることだろう。見てもいないけど。 香草さん、やどりさん、ポポが復活してからは、三人で、犯罪紛いの方法で記者たちを撃退してくれたみたいで、ようやく平穏が訪れた。 彼女らのやり方が正しいとは思えないけど、事件からずっと休む間もなかった今の僕にはありがたかった。 959 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 07 52 ID 0qDfGH0o [3/9] 一度だけ、あの男から連絡があった。 反ロケット団のメンバーで再び会わないか。と。 迷うことすら無く断った。 今の僕には、興味も無いことだった。 それに、もうこれ以上ロケット団と関わりたくなかった。 なんでそんな拒否反応を起こしたかと言えば、僕は嫌だったのだ。 今作戦の成功を、リーダーの墓前に捧げよう、だとか。 私達はシルバーという偉大なリーダーを失った。だが、彼の意思をここで潰えさてはいけない、とか。 そうやって僕達の慰めや士気高揚のために、シルバーやランをだしに使われることが。 ラジオや世間の人間がシルバーとランを美化することは許せた。だけど、僕達の仲間だった彼らが、作り物のドラマなんかじゃない、真実を知っていた彼らがシルバーとランを美化することは許せなかったのだ。 それにもしシルバー達の遺留品でも渡されたら、僕はどんな思いでそれを受け取ったらいいというんだ。 僕がその申し出を断ったとき、男はとても残念そうにしていた。だけど、それでも彼の気持ちに答えようとは思わなかった。 僕は、一人で彼らの死を悼みたかった。 僕は、僕の知っている以上の彼らなんて知りたくも無い。 もう全ては終わったことだ。 もう終わらせてくれ。 「ねえゴールド、調子はどう?」 香草さんが僕の様子を伺いにやってきた。 もはや日課となっている。 体調が回復して、一般病棟に移されてからというものの。 僕はこうして、一日中引きこもっていた。 僕相手に詰め掛ける大勢の人間のせいで僕には一人用の病室が宛がわれたというのが、無遠慮に押しかけた彼らが僕に齎してくれた唯一の利益だ。 何かに大きな拒絶感があるというわけではなかったけど、とにかく気だるく、何もする気が起きない。 だからこうして日がな一日、ベッドでゴロゴロして過ごしている。 何かする以前に、そもそも思考がまとまらない。 何もかも薄く靄がかかっていて、価値を感じない。 僕の今までの人生は、一体なんだったのか。 僕が今までやってきたことは、一体なんだったのか。 何が意味あることで、何が無意味なことだったのか。 それとも、何もかも無意味だったのか。 まともに思考にならない。 「今日も気分が悪い……」 「そう……でも、こんな暗い部屋に一日中いたんじゃ、よくなるものもよくならないわよ」 「僕、光合成しないし……」 「わ、わたしだって光合成だけのために外に出るんじゃないわよ!」 僕が黙っていると、香草さんは「早く元気になってね」とだけ言い残し、部屋の前から立ち去った。 普通の人間が当然のようにできることも満足に出来ず、香草さんにまで心配をかけて。 僕は、人以下だ。 人間の屑そのものだ。 やっぱり、僕は死んでいるべき人間だったのかもしれない。 でも死ぬったって、どうやって死んだらいいんだ。 人の迷惑にならない、それでいて簡単な死に方は無いものか。 僕が死んだら、きっと香草さんやポポ、やどりさんは悲しむんだろうなあ。 でもどうしようもない屑人間の僕だ。どうせ生きていたって彼女らに更なる苦労を負わせるだけだ。 現に今だって。 ああどうして僕は。 960 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 08 23 ID 0qDfGH0o [4/9] そうやって一人、部屋で鬱々と過ごす。 そういう日々がさらにもう一週間続いたころ。 鍵をしてあるはずの部屋の戸が盛大に開いた。 「う、うわああああああ!!」 ロケット団からの暗殺者かと思って大げさに驚く。 「あら、思ったより元気じゃない。いい反応だわ。もっと無反応だと思ってたのに」 「か、香草さん!?」 だが部屋の戸を破って入ってきたのは他ならぬ香草さんだった。 「何やってるのさ! 病院の戸を壊しちゃだめだよ!」 「なんだ、もうすっかりいつものゴールドじゃない。安心したわ」 「安心したわ、じゃない……よ……」 文句を言おうとしたのに、香草さんに抱きつかれ、僕は閉口してしまった。 「いいのよ、ゴールド。私がいる。私が、ずっと傍にいるから……だから大丈夫よ」 彼女はそう言って、僕の頭を撫でる。 今までほとんど動かなかった感情が、まるで溶けたように一気に動いた。 「う、うわああああああああああ!!」 僕は香草さんに強く抱きつき、思いっきり泣いた。 今まで泣くべきときに泣けなかった分を、まとめて出したように。 香草さんは何も言わず僕を抱きしめ、頭をなでてくれる。 結局、ただきっかけが必要だっただけなのかもしれない。香草さんである必要なんてどこにも無かったのかもしれない。 でも、僕は確かに救われた。彼女の体温が、呼吸が、そして心臓の鼓動が僕を癒してくれた。 ありがとう、香草さん。 小一時間ほど経ったときだろうか。 「あーっ! なんでチコがここにいるです!」 「抜け駆けは、許さないって契約だったのに……」 ポポとやどりさんが壊れて閉まらなくなったドアの向こうに立っていた。 「ポポ、やどりさん」 二人の顔をまともに見るのも、随分久しぶりだ。 そういえば、香草さんだけ来て、やどりさんやポポが来ないのは不自然と言えば不自然な話だ。 「しかも、な、なんで二人で抱き合ってるですか!!」 「夜這い……しかも白昼堂々……許せない」 何だか雲行きが怪しくなってきた。 「べ、別に私はただこんな暗い部屋にずっといたらゴールドが腐っちゃうと思って、日に当てようかと思って」 「黙れですこの光合成脳!」 「う、うるさい! 元気がないときは太陽に当たるのが一番なのよ!」 「私達が検査に行っている隙に……」 ああまずい。このままではきっとまた争いが……! 「そ、そうだ! 皆で散歩に行こうよ! 天気もいいしさ!」 強引に話を変える。 ああ、僕の束の間の平穏もここまでかな。 散歩から帰ると、みんなそれぞれ自分の病室へと戻っていった、というか戻らせた。 香草さんもやどりさんもあの戦いでの怪我は決して軽症とは言えなかったし、ポポも病室を無理やり抜け出して、しかも相当の無茶をしたせいで、僕達はそろいもそろって仲良く入院中なのだった。 といっても、みんな治りが早くて、まともに入院している必要があるのは現在では僕だけなのだけれど。 帰った後、看護婦さんからドアを壊したことについてたっぷり説教を食らった。 悪いのは僕達だから、粛々と受け止めるしかない。 代わりの部屋もないので、簡単な修理だけしてその部屋を使い続けることとなった。 どのみち、マスコミや野次馬も減ってきたし、数日中に集団病室へ移ることになるかもしれないらしい。 961 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 10 41 ID 0qDfGH0o [5/9] 「ゴールド、入っていいです?」 夜遅く、ドアの向こうから声がかけられた。 この高く甘えるような声はポポのものだ。 その声には若干の不安の色が滲んでいる。 「だめだよ、こんな時間に。ちゃんと部屋にいないと」 僕がそう返事すると、扉の向こうで、微かに衣擦れの音が聞こえる。 泣いて、いる? 「ごーるど、だいじな話なんです……」 声は泣き出す一歩手前と言ったようなものになっていた。 大事な話……そう言われると、聞かないわけにもいかない。 「しょうがないな、入っていいよ」 僕は簡易鍵を外し、部屋の戸を開ける。 扉の向こうのポポは、両翼を下ろし、俯いていた。 まるで親に怒られた子供みたいだ。 「ありがとですゴールド!」 僕が戸を開けたのを見ると、彼女は顔を上げてぱあっと笑った。 彼女はぴょこぴょこと弾んだ調子で部屋に入る。 とてとてと床が鳴った。 「それで、大事な話ってなんだい?」 僕は扉を閉め、鍵をかけ直しながら聞く。 すると後ろから飛び掛られた。 「ポポ!?」 「ゴールドとこうするの、久しぶりです!」 そういえば、ラジオ塔で僕を助けてくれたときはすぐに気絶しちゃったし、それから今まではすっかり部屋に引きこもっていたから、彼女が僕に抱きつくのは本当に久しぶりだ。 「そういえばそうだね。ごめんね、色々心配かけちゃって」 「そうです。目が覚めたときゴールドがいなかったときは本当に、本当に心配だったんですよ」 ああ、そういえば、時間の都合上仕方が無かったとはいえ、怪我で入院しているポポを丁子町に置き去りにしてきてしまったんだった。 「ポポ、もしかして、ゴールドに捨てられたんじゃなないかって……えうっ、ひぐっ……」 「ああごめんよ! 緊急事態だったんだ! 僕がポポを捨てるわけないよ!」 「ごーるど、ほんとですぅ?」 彼女はそう言って涙目で見上げてくる。 う、これは非常にまずい気がする。 言い過ぎたかもしれない。 「いや、あのっ、その……」 ポポを捨てるわけ無いって、別にそんな意図は無かったんだけれど、知らない人が聞いたら二股宣言じゃないか。 でもポポは知らない人じゃないから、そんな心配は杞憂か。 「ポポ、ゴールドになら、全部あげられるですよ……」 全部って何の話だ!? 僕の思考を知ってか知らずか、ポポは上目遣いで僕を見上げる。 「だからぜぇーんぶ、ゴールドのものにして下さいです!」 ポポはそういいながら僕に寄り添うように体を近づける。 ポ、ポポぉー!? 「そ、そんなことより、大事な話って何だったの?」 どうも風向きが悪い。 体を離しつつ、強引に話を逸らす。 そんな僕に対し、ポポは大げさに驚いた顔をして、そして僕にすがり付いてきた。 「そんなことって、ポポは……ポポはゴールドにとって、そんなにどうでもいい存在なんですか!? ひどいです! ポポは、ポポはゴールドさえいれば、他になにもいらないのに!」 子供ならではの純真さって奴だろうか。 その純真さが直接僕の胸の抉り抜く。 うぐ、違うんだ、違うんだよポポ。 ポポのことがどうでもいいわけじゃないけど、僕には香草さんという大切な彼女がいるんだ。 ポポのことばかり見ているわけにはいかないんだよ。 「それとも、ほんとにほんとだったですか……?」 「な、何がさ」 「ゴールドが、チコのこと好きだって言うこと」 部屋の中から一切の音が失われた。 静か過ぎて耳鳴りがする。途端に寒気を感じる。 僕がこれに答えたら、きっとポポは悲しむ。 自分が大怪我をして気を失っている間にこんなことになっているなんて、ポポにとっては騙まし討ちもいいところだろう。 でも、僕は言わないわけにはいかない。 ここでポポに気を使っても、彼女を余計悲しませることになるだけだ。 だから僕は、背筋に走る激しい悪寒を無視し、答えた。 「うん、そうだよ。僕は香草さん……いや、チコに告白した。僕と彼女は付き合うことになったんだよ」 何故か冷や汗が流れる。 数秒の沈黙の後、ポポが口を開く。感情を押し殺したその声は、酷くザラザラしていた。 「……そんなの、おかしいです」 「おかしいって、何がおかしいんだ?」 僕は努めて優しい声色で話しかける。何でだ。どうしてこんなにも悪寒が止まらないんだ。か、風邪でも引いたかな? 「……ごーるどは、ぽぽのきもちには、こたえてくれませんでした。それなのに、ちこにだけこたえるのはおかしいですよ」 酷く可愛らしいその声が、雑音染みて感じられる。 僕の目の前にいる、小さな少女が、まるで魔物のように見えた。 962 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 11 03 ID 0qDfGH0o [6/9] 「……おかしくなんか無い。僕は、チコが好きだったんだよ。他の誰よりも」 「それは、ぽぽよりも、ですか?」 「……うん、そうだ」 空気が震えた。 部屋中のものが、カタカタと細かく震えている。 地震? いや、違う。 僕はこれが何か知っている。 本当は、ずっと前から知っていた。そしてようやく、それが何かを自覚した。 「……うそ、です」 硬いその言葉は、僕には懇願染みて感じられた。こんな小さな少女の、こんな健気な気持ちを裏切る。そのことに僕の胸は酷く痛む。しかしもうここで引き返すわけにはいかなかった。恐怖を押し殺しても、前に進まなければならないと思ってしまった。 「嘘、じゃない」 それは明らかな失敗だった。 「うそです!!」 瞬間、空気が爆発した。 それはポポを中心として、部屋中の全て、いや、建物そのものを飲み込んでいく。 僕は壁に叩きつけられた。 その壁も、ここにいるのを拒否するかのように激しく震えている。 濁流に翻弄されるように、僕も身動き一つ取れない。 まるで巨大な化け物の手に全身が握られたような感じだ。 ラジオ塔で、激昂したランを目の前にしたときと同じ感覚。 間違いない。これは―― 「だめですよ、ごーるど、そんなこといっちゃ」 「ど、どういうことだ?」 もう彼女の機嫌を伺うような声色は使わない。 毅然と、傍から見れば、ただの震えた情けない声かもしれないけど、僕の中では精一杯の虚勢を張る。 「だって、ぽぽは、ごーるどがいなきゃいきていけないですよ?」 彼女が一歩僕に近づく。 彼女が足を下ろした床が、発狂したかのように爆ぜた。 「だから、そんなこといっちゃ、だめです」 一歩、また一歩と彼女は僕に近づく。 壁に一斉に細かい皹が入り、それを飲み込むように大きな亀裂が走る。 「僕が、なれるのは、君の保護者までだ! もう僕は、それ以上には、なれない!」 彼女は翼を伸ばし、そっと僕の頬を撫でた。 肌が粟立つ。 963 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 12 01 ID 0qDfGH0o [7/9] 僕の頬を撫でたまま、彼女は一気に僕に肉薄した。 ぴょこんと傍に飛びよってくるような、普段どおりのとても可愛らしい動作で。 「ほごしゃでもいいですよ。ぽぽは、ごーるどがぽぽだけみてくれるなら、なんだっていいんです。ぽぽは、ごーるどがほしいものなら、ぜんぶあげるですよ?」 「……君には、僕の一番欲しいものをくれることは出来ないよ。絶対に」 「だいじょうぶですよぉ。だって、ぽぽが、ごーるどのいちばんほしいものになるですから」 彼女がニッコリと微笑むと、一際強い殺気が僕を飲み込み、僕は身動きが取れなくなった。 息をするのも苦しい。暴風の中にいるようだ。 まるで猛獣が捕まえた獲物を舌で舐めるように、ポポは僕の頬に舌を這わせる。 「ふふっ、ポポの愛おしいひと。そんなに怯えなくても大丈夫ですよ。ポポが、ポポが幸せにしてあげますからね」 悪魔染みた囁きに、背筋に怖気が走った。 何とか恐怖を払って彼女を突き飛ばそうとするが、やすやすと避けられた。 勢い余った僕はそのまま床に倒れる。 彼女は倒れた僕の上に飛び乗った。 「うふ、うふふふふ、ごーるど、ああごーるど」 彼女の足に力が増し、僕の背中に軽く鍵爪が食い込む。 体を捩って見上げると、彼女の表情はまさに恍惚と言うものだった。 堪えきれない、と言った風に、両の翼の先を自分の頬に当てている。 今の僕には、その笑みが酷くサディズムに溢れたものに見えた。 まったく似ても似つかないのに、獲物を捕らえた猛禽を連想させられる。 「ポポ、君は獣とは違う。自分の感情をコントロールすることができるはずだ。だからこんな馬鹿なことはやめてくれ。今なら、すべて無かったことに出来る」 場違いな上から目線の説得だ。 だけど、へりくだっても意味は無いだろう。 「や、で、す。ぽぽは、なんにもなかったことにするきないです」 「く、ポポォー!!」 僕の激昂と共に、扉が爆発したように裂け、部屋に爆風が吹き荒れる。 見るまでも無い。二人が、僕を助けに来たんだ。 「チコさん! やどりさん!」 「ゴールドを離せ、この畜生がァ!」 瞬間、僕は助けに来てもらったことを後悔した。 香草さんは未だかつて無いほど怒り狂っている。 ついさっき感じた恐怖の暴風が、そよ風に感じるほどだ。 部屋の戸が破られた瞬間、僕はポポによって窓枠のところまで運ばれていた。 片足で僕を掴み、もう片足で窓枠を掴んでいるポポが、香草さんを挑発する。 「遅かったですねえ! チコはいつも遅すぎるですよ。今まではたまたま運よく手遅れにならずに済みました。でも、そんな幸運は続かないですよ」 そういうと、ポポは窓枠が爆ぜるほどの力で、思いっきり窓枠を蹴っ飛ばした。 ほんの刹那遅れて香草さんの蔦が空気を切り裂くが、もう遅い。 ポポは僕を抱えていながら、すでに高く、蔦の死角に飛び上がっている。 香草さんは蔦によりすぐに屋上まで這い出てくるが、そのときにはポポはさらに遥か上だ。 彼女の蔦の有線範囲を遥かに超えている。 やどりさんも念力で飛んでくるが、やはりポポと比べればその速度は雲泥の差だ。 何より、やどりさんは念力で無理やり跳んでいるだけだ。 天性の飛行動物であるポポに勝てる道理はない。 「うふふ、くふふふふ」 ポポは空気が漏れるような、不快な笑いを漏らし続けている。 突如、その笑みが止まった。 そしてポポの全身に力が満ちたかと思うと、僕は強い衝撃を覚えた。 あまりにも急速な方向転換に、僕の体が耐えられなかった。 全身を強打されたかのようになって、気絶寸前の僕の視界の端に、香草さんが映った。 背後には無数の蔦が伸びている。 まさか、蔦を使って、自分を跳ね飛ばしてきたのか!? 本当に無茶をする。 「うわああああああああ!!」 そしてその蔦を引き戻すようにして、ポポを刈るように振り払った。 ポポが息を呑む気配を感じる。 しかし、その蔦は寸での所で空を切った。 香草さんの顔が絶望に染まるのが分かる。 彼女に空は飛べない。 後は、落ちていくだけである。 964 名前:ぽけもん 黒 29話 ◆wzYAo8XQT.[] 投稿日:2012/02/20(月) 17 12 23 ID 0qDfGH0o [8/9] 「いや、ごーるど、ゴールドぉおおおお!!」 彼女は叫びと共に手を伸ばす。 「チコオオオオオオオオオオ!!」 僕も手を差し出すが、しかしその手は圧倒的な距離に阻まれ、届かない。 「ふ、ふふ、ふふふふふ! これで、これでゴールドは、ゴールドはポポのものですうううううう!!」 ポポは狂ったように笑う。 「ばいばい。地を這うことしか出来ない、哀れな生き物。その風もつかめない非力な腕で、ゴールドをつかめるわけがないですよ」 泣き叫ぶ香草さんに、ポポは捨て台詞を吐くと、どんどん上空へと飛び上がっていく。 香草さんが見る見る遠くなっていく。 必死にこちらに向かって飛んでくるやどりさんも、あっという間に見えなくなった。 「うわあああああああああああああ!!」 僕の絶叫は、広すぎる空に溶けて消えた。
https://w.atwiki.jp/jubeat/pages/2264.html
おにけもだんす 公式MVは2022/01/19に Youtube にて公開 アプリ版jubeatのjubeat(ユビート) アルバム「ホロライブ」(2022/10/07配信)に収録 作詞・作曲・編曲はPandaBoY ソフトバージョンが「L44:A:F:*:**********」(韓国を除くアジア地域版)ではプレイ不可 その関係上、TOTAL BEST SCORE RANKINGでは集計の対象外となっている BASIC ADVANCED EXTREME LEVEL 3 5 8 Notes 204 398 652 BPM 197 Time Artist いろはにほへっと あやふぶみ(白上フブキ、百鬼あやめ、大神ミオ) ジャンル ソーシャルミュージック Version Ave. 譜面※外部サイト ■ ■ ■ 動画 - 譜面動画 譜面動画 - BASIC BASIC - ADVANCED ADVANCED - EXTREME EXTREME 譜面動画 EXTREME (シャッター+ハンドクラップ) - プレー動画 プレー動画 攻略・解説 各譜面の攻略に関する情報はこちらへ。 [ADV]赤と同じくいきなり6分で始まるため出落ち注意。また、BPM197の8分移動が多く、このレベルの適正者は追いつけずに終わる可能性があるため、レベル5に挑戦したい!という方は後回しにした方が良さそう。 -- 名無しさん (2022-10-26 20 47 50) 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BSC] [ADV] [EXT] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 ※体感難易度を書き記す際は、クリア難度・スコア難度のどちらかなのかを明記してください。 また、攻略と関係ない投稿・重複した内容は削除の対象になります 攻略とは無関係の話は該当する欄(情報交換&雑談) にてどうぞ。
https://w.atwiki.jp/kemonokaiwai/pages/95.html
ここではけものフレンズ界隈にまつわる出来事の年表(2020年)を掲載しています。 界隈年表 2016以前 - 2017 - 2018 - 2019 - 2020 - 2021 - 2022 掲載例 テレビアニメ『けものフレンズ』(アニメ1期)に関連した事象 『けものフレンズ2』に関連した事象 けものフレンズプロジェクトに関連した事象 たつき、irodoriに関連した事象 福原慶匡、ヤオヨロズ、8millionに関連した事象 『けものフレンズ』コンテンツの出演声優に関連した事象 吉崎観音に関連した事象 細谷伸之に関連した事象 榊正宗に関連した事象 株主総会に関連した事象 KFPアンチに関連した事象 KFP擁護派に関連した事象 けもちゃんに関連した事象 『けものフレンズR』に関連した事象 社会的なニュースに関連した事象 その他の事象 2020年 1月7日 テレビアニメ『群れなせ!シートン学園』放送開始。 『群れなせ!シートン学園』の原作者・山下文吾が過去に投稿したKADOKAWAへの批判やたつきを賞賛したツイートを受け、KFPアンチ達によって「シートン学園こそ真のけもフレ2」という評価が下る。 2月20日 たつきがTwitterにて自身の誹謗中傷に対し「すでに相手の氏名と住所を掴んだ」と公表、さらに2件を「警察にこれはひどいと捜査を勧められ」、「眩暈がするようなサイトにも空き時間に対応する」とのツイート。 3月10日 Blu-ray Disc『群れなせ!シートン学園』第1巻の売上が312枚と判明。以後、当作品がKFPアンチの口に上がることはなくなる。 3月14日 毎週土曜・日曜に映画、アニメ、ゲームに関する感想などをnoteに投稿しているじんちんが、放送から一年が経った『けものフレンズ2』を振り返る記事を投稿。「2」を平成最後のクソアニメと称する、ケムリクサに救われたと述べる一方で、漫画版によって『2』も救済されていると記述されている。*80 3月29日 志村けんが新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎により死去。 3月30日 志村けんが新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎により死去したことが公表される。(*1) ラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」の店長・じょーじが志村けんの死去のニュースからわずか40分ほどで志村けんのラテアートの写真をTwitterに投稿する。(*2)この投稿が承認欲求を満たすための行為と見做され、不謹慎であるとして批判が集まる。 3月31日 ヤオヨロズが株主総会の決議を経て解散する。(*3) 4月1日 「官報 令和2年4月1日(号外 第68号)」にヤオヨロズが株主総会の決議により解散したことが掲載される。代表清算人はヤオヨロズ代表取締役・寺井禎浩。(*4) 福原慶匡がヤオヨロズの解散について「ヤオヨロズを新法人8millionに統合します」「8million=八百万=ヤオヨロズですので、今までと何か変わった訳では無いのですが力が集まったって感じです。」とTwitterで説明する。(*5) 4月3日 ラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」の店長・じょーじがWHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長のものとして、ネットミームとして生まれた「頭の悪い人」(*6)のラテアートの写真をTwitterに投稿する。(*7) 4月9日 マーゲイ役の声優・山下まみが新型コロナウイルス陽性判定、当面の休業を公表。(*8)声優業界からコロナ罹患が確認されたのはこれが初となる。 コロナウイルス感染を受け、KFPアンチが山下まみへ多数の心無い誹謗中傷を送りつける。以後、KFPアンチの間でけものフレンズコンテンツの出演声優がコロナウイルスに感染する事を「ログインボーナス」と呼ぶ風習が生まれる。 4月12日 『クレヨンしんちゃん』の野原ひろし役などで知られる声優・藤原啓治が癌により死去。 4月16日 藤原啓治の死去が藤原の所属事務所であるAIR AGENCYによって公表される。(*9) ラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」の店長・じょーじが藤原啓治の死去が公表されたことを受け、過去に作った『クレヨンしんちゃん』の野原ひろしのラテアートの写真をTwitterに投稿する。(*10)志村けんの死去を受けてラテアートを投稿した事に続き、2018年に投稿した写真を流用して公表から程なくしてTwitterで投稿したことから承認欲求を満たすために行ったと見做され、不謹慎であるとして批判が集まる。(*11) 4月18日 石川由依への脅迫文と、吉崎観音、木村隆一、細谷伸之への殺害予告が5ちゃんねるのブラウザゲーム板のスレッド「艦これ愚痴スレpart2111」に書き込まれる。(*12) 4月20日 「けものフレンズ【2】580人目」において、「艦これ愚痴スレpart2111」で脅迫文を書き込んだ人物と同一人物と自称する人物によって石川由依、吉崎観音、木村隆一、細谷伸之への脅迫文が書き込まれる。(*13) 4月25日 『この世界の片隅に』で知られる片渕須直監督のインタビュー*81 *82の内容を踏まえ、日本に子供向けアニメが少ないとする問題について福原慶匡のコメントを交えて追求する記事が掲載される。ライターの飯田一史の署名。*83 4月26日 新型コロナウイルス感染拡大防止の為、「けものフレンズ大運動会」の中止を発表。 4月28日 ラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」の店長・じょーじがWHO(世界保健機関)のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長のラテアートの写真をテドロス局長のTwitterアカウント宛てにリプライで投稿(*14)、再度同じラテアートの写真をツイートする。同年4月3日に投稿したものと異なりテドロス本人のラテアートだったが、完成品の写真の他にテドロスのラテアートをふたつのスプーンで潰す写真も併せて添付していた。(*15) 4月下旬 ラテアートカフェ「Reissue(リシュー)」の店長・じょーじが、志村けんの死去、藤原啓治の死去、WHOのテドロス事務局長に対して行った投稿に批判が集まったことが原因で「デスカプチーノ」という蔑称で呼ばれるようになる。(*16) 5月15日 サーバル、ホワイトサーバル役の声優・尾崎由香が新型コロナウイルス陽性判定、当面の休業を公表。*84 けものフレンズちゃんねるが移転し、アドレスが変更される。*85 5月20日 ネクソン『マビノギ』と『けものフレンズ』がコラボ。カラカル、カタカケカンザシ両フウチョウ、ジャパリトラクターなどが含まれる一方、かばんは『けものフレンズ2』準拠のデザインとなるなど、事実上『2』とのコラボとなった。 5月29日 沼田心之介、自身が『けものフレンズ2』の騒動で誹謗中傷を受けた経験を踏まえた記事をnoteに投稿する。*86 6月4日 2020年アニメ関連脅迫事件の犯人・岸本福太が警視庁新宿署によって逮捕される。(*17) 6月5日 ドラゴンクエストXのプレイヤーであるみとちが、たつきを皮肉った4コマ漫画をTwitterに投稿する。*87 6月11日 沼田心之介、批判行為について自論を述べた記事をnoteに投稿。*88 6月19日 2020年KADOKAWA株主総会の開催。今年もけものフレンズの炎上騒動に関する質問が出る。*89 6月24日 細谷伸之がテレビ東京を退社。*90 8月6日 たつきが自身のツイッターにて、リモート外出アプリ『もるにあ』を公開する。 8月20日 大川ぶくぶ作画のカード『ごーごーすらいだー』がけものフレンズ3に実装される。 8月20日 第41回SF大賞のエントリーが開始、FAQに「エントリーには何を書けばいいの?」の項目が追加され「あらすじなどの作品紹介のみのエントリーは、お受けすることができません」など具体的な内容についての注意がなされる。 9月8日 リモート同人即売会イベント「あなたは、けものがお好きですか?」(略称は「けも好き」)を主催し、同人サークル「萬楽破天孔」を主催するCarasOhmiが、けものフレンズ関連の二次創作告知用アカウントの役割を担うバンラクチホー管理センターのTwitterアカウントにおいて、けも好きでけものフレンズR関連作品を取り扱うことを禁止する旨を告知する。*91 10月1日 私設図書館カフェ「シャッツキステ」、閉店に際しかつてのけものフレンズコラボにまつわる品の展示を行う。*92 10月25日 榊正宗が東北ずん子プロジェクト企画会社であるSSS合同会社をプライベートな理由により退社する。これにより、フリーランスとなる。(*18) 10月27日 ネクソン『テイルズウィーバー』と『けものフレンズ』がコラボ。ネクソン版からはガイドさん(ミライ)、2からはかばん(『けものフレンズ2』)とキュルルがアイテムのモデルとして採用され、事実上「アニメ一期が省かれたコラボ」となった。 11月2日 石ダテコー太郎、『其れ、則ちスケッチ。』プロジェクトを開始、キャラクターデザインは吉崎観音。インタビューにおいて『けものフレンズ』にも触れる。同時にクラウドファンディングが開始する。 11月15日 辛口ゲームレビュー動画で知られるYouTuberナカイドが「サービス終了ゲームまとめ2020【10月編中篇】」を投稿。サービス終了するアプリゲームをまとめた動画で、10月31日をもって終了したアプリゲーム「社長、バトルの時間です!」について触れる。配信元がKADOKAWAグループ、キャラクターデザインに吉崎観音が関わってることでけもフレ界隈の炎上騒動にも言及。この動画はニコニコ動画に無断転載され、KFPアンチがコメントでKADOKAWAと吉崎観音叩きを行った。 11月20日 けものフレンズ3、「シャッツキステ」の制服がモチーフになっている「クラシカルなメイド服」を実装。*93 12月7日 榊正宗が公式ホームページ「榊正宗 Official Site」を開設する。(*19) 12月10日 福原慶匡プロデューサー、プロレスイベント「爆裂忘年会2020」にボクサーとして参戦、入場曲は「ようこそジャパリパーク」。イベント終了後「ケムリクサ」は使わないのかというファンからの質問に「わかりやすさ優先」と返してしまう。 12月16日 サーバル(ネクソン版/ようジャパ/3)、アミメキリン(アニメ一期)役の声優・野中藍が新型コロナウイルス陽性判定、当面の休業を公表。*94 KFPアンチが野中藍のコロナウイルス感染を「ログインボーナス」にしようと拡散を試みるが大半のニュースサイトで「まどマギ声優の~」と紹介されてしまった為、不発に終わる。 12月28日 『其れ、則ちスケッチ。』クラウドファンディング、目標額に届かず終了。しかし、目標額に到達しなくても企画は進行するものであった。 12月30日 『もるにあ』がリモート外出アプリから仮想箱庭散策アプリに変更となる。 界隈年表 2016以前 - 2017 - 2018 - 2019 - 2020 - 2021 - 2022