約 1,696,678 件
https://w.atwiki.jp/hosyoku/pages/293.html
真っ白な部屋の中にいた 何もない部屋には、俺だけがいた。 壁はあるが、天井はなく、見上げたら空があった その空に昇っていく男女の姿があった。 男の方がこっちを振り返る 「お前が跡継ぎか。少し驚くかもしれないが、悪いもんじゃないぜ。ま、後はよろしくな」 そう言い残すとふたたび空へ向き直し、見えなくなるまで昇って行った。 何の跡継ぎだ?ここで何を継ぐんだ? そして… 目を覚ます 不思議な夢だった。 見回すといつも通りの俺の部屋だった。 昨夜の騒乱の後を残す放り出されたクッションや飲みかけのグラスが目に留まる ああ、そうだ。昨日は… 「あたしのこと、本当に好きなの?」 恵美にそう言われて、俺は驚いた。 たしかに最近仕事が忙しくてあまり構ってやれていない。 しかし、そういうことを言ってるわけではないようだ 昨日はいつもより妙に積極的だった恵美は初めて俺の部屋へあがりこんだ。 そして、グラスを傾けた後、ふと目にとまった時計を見て 「終電、大丈夫か?送ってやろうか?」 それから一転、真っ赤になった恵美は取りつく島もないほどに怒り、あの一言を残して帰ってしまった。 何に怒っているのか? これから彼女に何か言うべきなのか? 謝るべきなのか?だとしたら何に? 起き抜けの頭が昨日の騒乱の収拾に動き出した頃、頭の中で、不思議な声が聞こえた 「何をしている。早くあそこへ行くんだ。時間はないぞ」 どこかで聞いたような声とともに、激しい頭痛が響く。 なぜか、それを皮切りに俺の意識に叫びかけるものがいた ココハオレノイルベキバショジャナイ そこからは、急だった。 何かにせかされるように俺は身一つで部屋を出て、駅へ向かった そこから向かったのは、行ったこともない町 そこで降りた俺は、フラフラと港へでて、船に乗った 船の行き先を見ることもなく。 船は島へつき、そのまま俺は山へ歩いて行った 途中、買ってあったドリンクを飲む 部屋を出てからずっと、妙にのどが渇くのだ そして、腹が減って仕方なかった 店の人が驚くほど買った弁当や菓子類が気が付いたらほとんどなくなっていた そして、焦点の定まらない目でたどりついたのは山頂の大きな建物 そこに入ると、誰もが俺を見咎めることなく建物へ招き入れた 嫌に丁寧に。 いや、崇めるような目線で。 俺は、招かれるまま部屋へ引き入れられた。 疲れた… 豪華な飾り付けがされた広い部屋に俺は倒れこんだ。 服はいつの間にか脱いでいたようだが、いつ服を脱いだかすら記憶になかった 俺の意識はそのまま眠りの海へ沈んでいった。 また、あの部屋にいた 俺はただ一人だった ここで、何をするのか? 腹が減っていた。 無性に腹が減って仕方なかった。 目が覚めた まず覚えたのが体の違和感だった。 手足の感覚がない 腹ばいをしている感覚 起き上がろうとしても起きられない 体をよじるようにして動いてみる ドシン! 大きな音が響く まるで重量物を壁にたたき付けたような そして、体の一部に衝撃が伝わる 俺の体が出した音なのか? わからないことだらけな中で、視界に入ったのは変な服を着た男だった 「お待ちしておりました。崇神様」 なんだ?崇神様って? 何かを尋ねようと口を動かすが、声にならない 「こちらへお越しになってから3日間お眠りになっておりました。 その間に先代様にも劣らぬ見事な崇神様になられたようでお喜び申し上げます。 さ、どうぞ。神々しいお姿をご確認ください」 差し出された鏡に映った姿を見た俺は気を失い、その場に倒れた。 そこに映っていたのは金色に輝く巨大な蛇そのものだった。 再び意識を取り戻す。 あの男はもういない。 俺は崇神様と称する巨大な蛇になってしまった。 この姿では外に出ることはできない。 出てしまっても人間扱いされるはずがない。 どうすればいいのだ? 混乱する俺の意識を支配するもう一つの感情 腹が減った 体が変化したせいか、それともこの体がもともと燃費が悪いせいなのかとにかく腹が減って仕方なかった しかし、頭に浮かぶのは今まで俺が食べてきたいろんな食べ物ではなかった その代わりに、もやもやした不思議な想念が浮かんでいた。 しかし、その想念を俺ののこっていた人間の理性が必死に阻んでいた 不思議な想念が浮かんでは消え、浮かんでは消える どれくらいそれを繰り返したろうか… あの男がやってきた 「これより、崇神様お就きの儀式がございます。申し訳ありませんがご足労願います」 そういってドアを開けて俺を導く。 特に何をするでもないし、何をすべきかすらわからない俺は、慣れない蛇の体を引きずりながら部屋を出た 長い廊下を通って、ドアの向こうには 大きな祭壇があった そして、眼下には多くの人の姿 彼らは不思議な祈りを俺に捧げている なんとなく、俺の位置が分かった 彼らの信仰する宗教の崇めるご神体というのが崇神様、つまり俺だということだ。 なぜ俺がそんなものになったのかはわからない。 もちろん、この後俺が何をするのかも ただ、ひたすら腹が減っていた。 わけのわからない儀式が俺を無視して祭壇の前で行われている。 儀式が進むたびに群集の興奮も上がっているようだ そして… 「これより崇神様に初めての生贄を召し上がっていただきます」 生贄? そういわれて、祭壇に運ばれたのは全裸の娘だった 娘は祭壇に乗せられる。 その姿を見た俺の意識に、あの想念が浮かんだ 「ウマソウ…食ベタイ」 娘を目にしてから、その想念は防ぎようもなく拡大していた その想念の拡大に混乱している俺の目の前で、さらに信じられない景色が進行していた 娘を数人の信者の男が輪姦していったのだ 恐怖に怯えつつも、娘は動くことも逃げることもなく男たちに犯されるままになっていた。 娘の股間から破瓜のそれと思しき出血が見える 娘は少しずつ恐怖の中に女性の快感を擦り込まれていく そして、全員に犯された後、残ったのは放心状態で股間から精液を垂れ流し、全身精液まみれにされた無残な姿だった。 信者たちは娘を祭壇から俺の目の前に移す 娘は、弱弱しい視線を俺に向ける ナントウマソウナ ムスメダ そう思った一瞬後のことだった 俺の口の中から大きな舌が伸び、娘を口の中へ飲み込んだ そして、娘の体は抵抗なく喉を通っていく。 俺は、あの娘を飲み込んだ? のど越しに、娘の弾力のある肉感、すべすべの肌の感覚、 そして、たれ流れた愛液からにじみ出る女性の臭い あの娘のすべてがのど越しに感じられた 小さな顔と頭はするすると喉を通っていき、その下にある二つの膨らみがのどを刺激する その刺激はいったん腹のくびれで弱まって、腰の尻の肉や太腿で再び強くなる 肉質の良い尻や太腿を俺の喉は感じていた 娘の体は、腹の中で留まった。 娘はもぞもぞと俺の腹の中で動く 動くたびに娘の柔らない体を感じていた。 その娘の動きが突然急なものになった。 それとともに、腹の奥に今まで味わったことのない味が広がった 濃縮した女性の味とでもいうような甘美な味だった そして、腹の中の娘の感触が、舌の上で溶ける砂糖菓子のように崩れていった 俺の腹の中で消化されている そう感じたころには、娘は動きを止めていた。 溶けていく娘の体が奥へ奥へと流し込まれる 俺の感覚は、それが顔の肉なのか太腿の肉なのか膣のなれの果てなのかがはっきりと識別していた あの娘を俺は食べてしまった。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/22312.html
【登録タグ IA R イカ娘ハンター 曲 殿堂入り 結月ゆかり 雪月佳】 作詞:紗夜 作曲:イカ娘ハンター 編曲:イカ娘ハンター 唄:結月ゆかり・IA 曲紹介 「願いの光をつかみとれ・・・!」 イカ娘ハンター氏 の3作目。「ゆかりあ」コラボの第一弾。 歌詞を 紗夜氏 が、イラストを 雪月佳氏 が、動画を Pokage氏 が手掛ける。 『VOCALOID3発売記念楽曲コンテスト』 にて、「ドワンゴ賞」を受賞。 歌詞 夜に照らされた 月の笑みは 悲しいほど 黒く淀む 虚飾の隙間に 見えた君を 隠していった 夢に舞う 遠い日々の欠片 弄(もてあそ)ぶように砕く 時の流れが 全てを飲み込んで いつからだろ desire future 脆い幻想を抱き fill my heart 耳を澄ませると 孤独な実が静寂に染まって 熟しては朽ちる 握り締めた手のひらに 君が落としていった 赤い言葉だけ いつまでも燻る 青く重く 吐息に溶かしてく 星に照らされた 足跡さえ 切ないほど 白く歪む 閉ざした心の鍵を君は 隠し続けた 夢に見た 遠い日々を今も 君は覚えていますか 変わることなく 世界は精彩で いつまででも believe future 空に描きだす夢は blaze out 瞳を閉じれば 凍える身を温めてくれた 優しい微笑み 守りたくて 触れたくて 伸ばしたその手は 君をすり抜けて 虚空を掴み取る 青く淡く 羽は散らばってく いつからだろ desire future 脆い幻想を抱き fill my heart 傍にいられずに いつまででも believe future 空に描きだす夢は blaze out 強さの先には あなたが―― 解き放つ この願い 光の中へと 青い鳥が飛ぶ 風に身を任せ 最後の鍵 その翼に乗せて 雲を突き抜ける 過去でも未来でもない 「今」を生きる音 胸に手を当てて ただ感じるだけで 強く強く 想いが咲き誇る 歌う この心に迷いはないからと コメント 追加乙!!! -- 名無しさん (2012-07-24 11 19 45) ぉめでとぉ -- 風 (2012-07-30 07 52 59) すごくいい曲!!もっとのびるべき -- おむひつ (2012-08-11 14 25 07) ゆかりとIA大好きだからこのコンビ流行ってほしい! -- 名無しさん (2012-09-21 11 20 36) CDに収録しないかな…凄く好き。 -- 名無しさん (2012-09-21 20 17 39) いいねー!ハマった!! -- 名無しさん (2012-10-29 21 14 42) この曲なんて読むの? -- 名無しさん (2012-10-29 23 03 34) desire future とfill my heartなんていってるのでしょうかねぇ!? -- 名無しさん (2013-04-04 13 54 05) この曲初めて聴いたときめっちゃ泣いた… てか今でも泣きそうになる… 「世界は精彩で」のところ特に好き!! この曲でIAとゆかりんのコンビが大好きになった!!! -- 瑠璃香 (2013-12-28 16 27 23) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/vocaloidchly/pages/1119.html
◎涼宮ハルヒの憂鬱 ○冒険でしょでしょ? 作詞:畑亜貴/作曲:富田暁子/編曲:藤田淳平/歌:平野綾 答えはいつも私の胸に... なんでだろ あなたを選んだ私です もうとまらない 運命様から決められたけど I believe 真似だけじゃつまらないの you‘ll be right! 感じるまま感じることだけをするよ 冒険でしょでしょ!? ホントが嘘に変わる世界で 夢があるから強くなるのよ 誰の為じゃない 一緒に来てくださいっ どこまでも自由な私を見てよね 明日過去になった今日のいまが奇跡 I believe you... 戻れないとこまで 行かなきゃつまんない さあ教えて 秘めてる願いを鏡に投げた my del ight 身体ごと受けとめたら your mind fly! 驚かせて驚いて笑顔になろう 始まりでしょでしょ!? キレイが闇を照らすみたいに 私のちからあなたの涙 どっちも正しいの 現実にゆれる繊細な心が 傷つくのはイヤ 思いましたいつも夢の奥に 答えが... 普通じゃないのが当然なら 答える私は何ができる? 普通でも普通じゃなくて 感じるまま感じることだけをするよ 冒険でしょでしょ!? ホントが嘘に変わる世界で 夢があるから強くなるのよ 誰の為じゃない 始まりでしょ始まりなんでしょ!? キレイが闇を照らすみたいに 私とあなた冒険の途中 一緒に進んでく どこまでも自由に 現実を超えて 明日過去になった今日のいまが奇跡 確かな未来を つかもう未来を I believe you... ○God knows... 作曲:神前暁/作詞:畑亜貴/歌:涼宮ハルヒ(C.V.平野綾) 渇いた心で駆け抜ける ごめんね何もできなくて 痛みを分かち合うことさえ あなたは許してくれない 無垢に生きるため振り向かず 背中向けて 去ってしまう on the lonely rail 私ついていくよ どんな辛い世界の闇の中でさえ きっとあなたは輝いて 超える未来の果て 弱さ故に魂壊されぬように my way 重なるよ いまふたりに God bless... 届けて熱くなる想いは 現実溶かしてさまよう 会いたい気持ちに理由はない あなたへあふれだす Lovin‘ you せめて美しい夢だけを 描きながら 追いかけよう for your lonely heart やめて嘘はあなたらしくないよ 目を見てこれからのことを話そう 私覚悟してる 暗い未来だって 強くなって運命変えられるかもね my wish かなえたいのに すべては God knows... あなたがいて私がいて ほかの人は消えてしまった 淡い夢の美しさを描きながら 傷跡なぞる だから私ついていくよ どんな辛い世界の闇の中でさえ きっとあなたは輝いて 越える未来の果て 弱さ故に魂こわされぬように my way 重なるよ いまふたりに God bless...
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/495.html
全く持ってけしからん……いいぞ、もっとやれ! -- (名無しさん) 2010-07-08 22 08 23
https://w.atwiki.jp/point123/pages/15.html
#blognavi asahi.comの記事一覧を追加してみたが、ちょっと長すぎるかな。 カテゴリ [wiki] - trackback- 1970年01月01日 09 33 27 #blognavi
https://w.atwiki.jp/kumaexe/pages/37.html
(2005年06月21日) 何日ぶりやねん!
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/2744.html
唯先輩浮気はだめだよ〜。 -- (あずにゃんラブ) 2013-01-20 21 31 12
https://w.atwiki.jp/fadv/pages/1548.html
鷲は飛び立った 鷲は飛び立った (ハヤカワ文庫NV) 鷲は飛び立った (Hayakawa Novels) 題名:鷲は飛び立った 原題:THE EAGLE HAS FLOWN ,1991 作者:JACK HIGGINS 訳者:菊池光 発行:早川書房 1992.7.15 発行 価格:\1,900(本体\1,845) まあ、 おおよその『鷲……』の読者はこんなものには期待してはいけないわけで (^^;) ぼく自身過去の『鷲……』を陵駕する作品がヒギンズに書けるとはもう思っていない、 という点でも、多くのヒギンズ・ファンと同感である。 そういう彼が書いたのだから、まあ<余興>でしょう、この作品は。 ぼくはプロレスが好きなんだけど(いきなり話が飛ぶようですが(^^;))、ある程度仕掛けがわかっていてもそのへんを逆に怒らないで楽しむ方法というのに精通していないと、 プロレスというものはいつまで経ってもつまらない。 「遊び」の感覚を積極的に使うかどうかは、ぼくはその人の器量の問題だとまで思っているので (^^;)、こうした<余興>には真面目に怒らないことにしているわけである。 その分プロレスと同じでこの手の<余興>も楽しんでしまうのが、ぼくという人間なのである。 でもそんなところから過去の『鷲……』への畏敬の念はさらに育ってゆくわけで、 軽薄な楽しみの中にも愛情を注ぐ何かの対象はきちんとあるわけだから、あながちすべてが無意味だとも言われたくはないのである (^^;) さて同じ<余興>であるなら花火はどーんと高く打ち上がったほうがいい。 奇麗な花火であるほうがいい。そういう単純な意味ではこの小説は失敗ではないのである。 プロレス嫌いがプロレスを見て目くじらを立てるように、鷲ファンはこの小説を「これが『鷲……』の続編か」と怒ることはできるけれど、はなからそんな期待を置き捨ててきているぼくは、プロレスファンが会場に脚しげく通うが如く、ヒギンズの小説を読読み続けるし、拍手をおくることだって、それはたまにはあるわけである。 今度の作品の目玉サービスは、 まさにヒギンズ作品のオールスター戦と言っていいようなキャストの多彩ぶり。 物語は予備知識さえなければ単純に面白く、 それだけを取ったら今さら別にシュタイナーでもデブリンでもないのだが……。 というのは、ヒギンズ作品というのは名前を変えただけであまり見分けがつかないタイプの似通ったタイプのキャラクターが多いので (^^;)……もっとも同じ名前で出ている別人、しかし性格はけっこう同じ人というのも実は多いのである (^^;)……なにも『鷲……』の続編にする必要はないような作品だと思う。 だからこそ<余興>であり、 何を隠そう50作記念作品(書きゃあいいってものじゃないっての (^^;))であり、ぼくはやっぱりバトルロイヤル感覚でこれを読んじゃう、 楽しんじゃう、ビールを飲んじゃう、涼んじゃう、のだね。 (1992.08.22)
https://w.atwiki.jp/shareyari/pages/449.html
作者:◆W20/vpg05I 「ここか」 俺は今、樹下楓が活動しているだろう中学校の前に立っていた。 時はすでに下校時刻を過ぎ、おそらく部活動も終わる頃。 辺りは夕焼けで黄金色に染まり、もうすぐ俺の本来の役割を発揮する時間帯に迫ろうとしていた。 「こうやってると、ドクトルJを思い出すな」 目的の人物が現れるまではむやみに中に入ることは躊躇われた。 ガードレールに腰掛けながら、暇つぶしを兼ねて少し前を思い出す。 突然再び現れた来訪者達、そしてその後に起こった事を懐かしむ。 色々あったな…… 「……月下君?」 意外と深く思いふけっていたのだろう、横から声を掛けられるまで気付くことができなかった。 慌てて振り向くと、そこには茶の混じった黒髪を風で靡かせつつ、釣り目がちな目を真っすぐに向けた少女が立っていた。 両手で学生鞄を抱えつつ、不思議そうな表情を浮かべている。 その少女に俺は片手を挙げ、答える。 「よう。会いに来たぜ。樹下楓」 * * 「やっぱり君なら見つけらると思ったんだ。ウチたちのホームページ」 「いや、あれだけわかり易ければ誰でもわかるぞ」 「そう? 君に与えた情報は二つだけ。それでわかるのは才能よね」 目の前を歩きつつ、校舎内を案内する楓の話を聞く。 一見何の変哲もない校舎。リノリウムの廊下を歩く音は二人分。 他には誰もいない。 外ではまだ運動部が活動しているのだろう、歓声が聞こえてくるが文系の部活は終わっているようだ。 今向かっているのは世界EIYU協会の活動拠点。その一室だった。 俺みたいな部外者を通すにはどうなんだと思うが、そこは楓のお眼鏡に叶ったとのことだ。 協力する気はないと言っているのに、俺に対し彼女は何を期待しているのだろうか。 「ついたよ」 何の変哲のない部室の扉。そこには世界EIYU協会と堂々と立て看板がかかっていた。 「……秘密結社じゃなかったのか?」 「ウチたちの活動は地域密着型よ。秘密にしてどうするのよ」 俺の呟きが聴こえたのだろう。そう楓は答えを返す。 はて、ここまでオープンであると言うことは本当にただのボランティアサークルだったのか? そんな疑問を抱きつつ、俺は楓の行動を待つ。 そして、楓はあっさり扉を開け、無言で部屋へと入る。 俺もそれに続き、中に入った。 「特に何も変わった所のない、普通の部屋だな」 「当たり前じゃない。ボランティアサークルよ。ウチたち」 そこにはスコップやら、軍手やら、野外活動をするためだろう様々な雑貨が置いてあった。 しかし、特に怪しい物はなく、本当にただのボランティアサークルだったのだろうか? と疑問が浮かぶ。 周りの様子に気を配っていると、人の気配を感じた。警戒の意味を込めてその方向を見る。 そこには一人の少女が座っていた。お茶が入っているだろう湯のみを机に置きながら、黙々と本を読んでいる。 外見は中学1年か、下手すれば小学生位。黒髪を三つ編みお下げにしている。 動かなければ人形と間違えそうになる位、生きている感じのしない少女だった。 俺はその姿を見、放心と共に一瞬でも後ろに下がりたい衝動を感じる。 ……何故かはわからないが、何かがおかしい。 本当なないはずのものがある感覚と言うのか、作り上げられている姿が真実を表していないような錯覚。 これは俺が創造を司る能力を有しているが故なのか。 思い、思わず立ち止まってしまっていると、楓はやすやすとその少女に近づき話しかける。 何故かびしっと敬礼までしていた。 「総統! 前に話した少年、岬月下君を連れてきました!!」 「総統なのか! その子!? 人は見た目によらないな!」 思わず突っ込みを入れてしまった。 ……やっぱり何かおかしい、この組織。 そう思っていると、人形のような少女をページをめくる動作を止め、こちらを向いた。 途端に生気が戻ったかのように感じる。なんというか“人”を感じる動作だった。 「あら珍しい。お客さん? ああ……君が楓が話してた月下君ね」 その俺よりも年下と思われる少女から掛けられた言葉は、しかし俺よりも年上に感じられた。 なんというか非常に落ち着いた感じがする。 「ああ、岬月下だ」 「よろしくね、月下君。あ、後、楓、総統は止めてっていつも言っているでしょう?」 「えー。いーじゃないですか。総統ですよ総統。ヒーローには指令が必要なんですから!」 「まったく……人前であんまりそういう事は言わないのよ。変な子だと思われるわよ」 「いいですもん!」 なんか急に楓が子供っぽくなった気がする…… いや、この少女が大人っぽ過ぎるのか? そう思いながら俺は眺めていると、三つ編み少女はこっちに改めて顔を向けた。 「あ、ごめんなさいね。そこにお掛けになって。楓の友達なら奮発しようかしら。玉露入りにしましょうか」 そう言ってその少女は器用に片手でティーバッグを取り出すと、お湯を注ぐ。 進められるままに俺は椅子に座り、出てきたお茶を飲む。 ……うーん苦い。 それを飲んでいると、ふと少女と目があった。彼女は軽く会釈して、 「あらあら、そういえば私の名前言ってなかったわね。私は加藤時雨、よろしくね」 自己紹介し、その少女は俺に向けて微笑みかけた。 * * テーブルの上には様々なお菓子の山。 完全におやつタイムになってしまったが、俺の昼の能力を底上げできると考えれば悪くない。 「おっ。これ旨いな」 「それはクグロフっていってフランスのお菓子ね。中に入ってるフルーツがいい感じでしょ?」 「あ、月下君、ほっぺにお菓子ついてるよ。取ってあげる」 「って、おい! いきなり舐めてくるなんなよ。びっくりするだろうが!」 「月下君も男の子ねぇ。でも楓も少しは気を使いなさい」 「ねぇねぇ総統。ウチはこれ貰っていい?」 「話を聞いてない……はいはい、わかったわよ」 ……あ、しまった。腹も満たされて満足する所だった。 ここに来た目的を忘れてどうするんだ。 「そういえばこのサークルはどんな活動をしてるんだ?」 念のため確認を取るために聞いておく。その質問に答えたのは楓だった。 「ボランティア。ゴミ拾いしたりとか。とにかく環境に優しい事ならなんでもやるのが特徴ね」 「私はここで本読んでるだけよ。そういう活動してるのは楓だけね。部員なんて全部で3人しかいないんだし」 「総統も一緒にやりましょうよ。私も昼の能力のせいで昼の間は満足に動けないんだから」 「私は静かに本を読めるから入っただけよ」 横から口を挟んだ時雨さんに対し、楓は文句を言うように返している。 なるほど、本当にボランティアサークルだったんだな。しかも環境関係。 あの大仰なサークル名は何だったんだ。 「ん? 楓、お前昼間は満足に動けないってどういうことだ」 なんとなく気になったことを口に出す。その問いに楓は「ああ」と頷き答えを返した。 「えっとね。私の昼の能力は『英雄養成ギブス』っていって昼間は日常をぎりぎり普通に過ごせる程度の力しかでないの。 視力まで落ちちゃうから普段はメガネなのよ。今日はたまたま掛けてないけどね」 「それはまた厳しい能力だな」 「本当に困っちゃうわよ。いっつも体育じゃビリだし、すぐ疲れるし」 そう言って困ったように笑う楓に俺も一応苦笑で返す。 昼間は全く力を発揮できないか。ある意味俺よりもキツイ能力かもしれないな。 「大変だな。……そういやドクトルJが言ってたな。能力は必ず人を幸福にする訳ではないって」 あえてさりげない形でドクトルJと言う名前を出す。 その反応で裏を知っているかどうかある程度判断できるはず。 多少危険な賭けではではあるが、二人の俺への警戒は薄いと判断。ここは勝負どころだろう。 その言葉に始めに喰いついたのは楓の方だった。 「ドクトルJ?! それって悪のマッドサイエンティストとか。君の敵対組織とか!? ウチが力貸せる所ない!?」 うわぁ。めっちゃ目を輝かせて言ってるな。 しかしドクトルのことを知っているという反応ではない。 これは白か……? 「まったく、楓はいっつもそういう系統の事になると首突っ込もうとするわね。止めときなさいな危ないから」 「むー。ヒーローになるには、事件に首突っ込んでこそだとウチは思うわ」 「それで危険になるのは楓よ。最近の猛犬注意程度なら楓でも大丈夫でしょうけど、 こういうことは何倍も危険なんだから、もう少し注意なさい」 その楓に対し、やんわりと止めるのは時雨だった。 これも子供をたしなめる大人と言った雰囲気以外は特に問題は……ん? 「いや、ドクトルJ って俺が呼んでるだけだから。その人は普通の人だな」 「ちぇー。残念」 「残念じゃないでしょ」 真実を隠し、否定しておいた。どうやら楓が白である以上、俺の闘いに巻き込む訳にもいかないだろう。 ……それよりも気になるのは時雨の方だ。先ほどと雰囲気こそ全く変わらないが、何か気になる。 彼女の態度は、普通に見えるが微かな違和感を感じた。 しばらくその違和感の正体へと考えを巡らし、ふと気付いた。 彼女は猛犬と同等以上にドクトルJを樹下楓と関わらせる事、それ自体を危険と見ていた。 俺が言う程度なら近所の妙なあだ名をつけられた人程度に思うことだろう。実際にそう説明している。 だが、彼女の判断基準にドクトルJが一般人という考えがない。 つまり、彼女はドクトルJを知っている。 ――こっちが当たりか。 予想外だったが収穫はあったと言うことだろう。 後は彼女が敵かどうかだが…… 「あら、もうこんな時間ね。そろそろお開きにしましょうか」 「あ、本当だ。はーい」 そこまで考えを巡らした所で時雨がお開きの宣言をした。 時雨の言葉に楓も返事し、てきぱきとかたし始める。 時雨はぴょんと椅子から降り、さっさと扉に向かって言った。 「私は月下君を送るから。後頼んだわね」 「はーい」 何気ない言葉。その中に込められた意味を感じ、俺も頷いた。 つまり話があるということか。 「じゃあな。楓」 「さよなら。月下君」 楓に挨拶をし、廊下に出る。 リノリウムの廊下を歩く音は二人分。他には誰もいない。 外からは運動部の声も聞こえない。 さっきから妙な緊張感を感じている。自分よりも年下のはずの少女へ警戒感は高まっていく。 前を歩く時雨から不意に声がかかった。 「月下君、そんなに警戒しなくてもいいわよ」 「……ばれたか」 「そりゃそんなに筋肉を硬直させてればね」 やはり黒だったか。場合によっては戦う必要もあるか? そんな俺の考えを気にした風もなく、時雨は歩き、俺もその後ろに続く。 「そうね、一つだけいい?」 「なんだ?」 「ドクトルJを知ってるの?」 やはり、そういうことか。思い、言葉を口にする。 今度は嘘を吐く必要はないだろう。 「ああ、会ったこともある」 「そう……なら、一言いっておくわね。楓は何も知らないわよ。だから、彼女をそちら側につれてかないでね」 口調こそゆったりと、なんでもない頼みごとをする時の物。 だが、その時雨の雰囲気は、俺をしてたじろいでしまうほどの威圧感を纏っていた。 ……これが、闇の深き所にいる者の気配か。 だが、俺も闇を生きる者。この程度で負ける訳にはいかない。 「ああ、約束する」 「なら、いいわ。楓の事、友達としてよろしくね。あの子もあんな感じだから友達少なくてね」 「……いいだろう」 それが闇の物としての最後の会話だった。 それから俺たちは他愛のない会話をしながら家路につく。 ――そのはずだった。 * * 「ふう。これでよし。さっさと帰らないとね」 部室の掃除片づけは終わった。 楓はそう呟き、背伸びをする。そこでからりと扉が開く音を聞き、楓は振り向いた。 「おかえりなさい。総と……」 言葉は続かない。そこにいたのは、この間警察に突き出したはずの相手。 その男は暗い笑みを浮かべると楓へと言葉を掛ける。 「ただいま。かわい子ちゃん」 瞬間、男の拳が楓のみぞおちに突き刺さる。 声も挙げられず倒れた楓に、男は馬乗りになり無造作に首を絞めた。 「ガッ……クヘ……」 「大丈夫。今ここで殺したりはしないよ。 ゆっくり、しっかり恐怖を味わってもらいながら切り刻んであげるからね」 それが楓がその場で聞いた、男の最後の言葉だった。 続く。 登場キャラクター 岬陽太 樹下楓 加藤時雨 上へ
https://w.atwiki.jp/sdstarwiki/pages/79.html
「信じるもの」 「待ちたまえ、イザーク」 アマルフィ村での戦闘についての報告書を提出し、部屋から 出ようとするイザークを呼び止める部屋の主。 「何か問題でも?クルーゼ殿」 イザークは立ち止まって振り返り、 少々キツめの瞳をさらに鋭くして部屋の主の方を向く。 クルーゼはその蒼い瞳を一瞥すると 「この報告書によると超重戦車部隊の敗北を確認後、森の外で倒れている デュエルシュラウドを発見、回収して撤退、とあるが」 机に積まれている書類のうちひとつを取り出し 「これによれば同時に種子の適合者を発見するも、隊長の指示でデュエルシュラウド 回収を優先、適合者は放置・・・これはどういうことかね?」 イザークは顔をゆがめ、 「申し訳ありません、その事を記しておくのを忘れていました。自分のミスです」 その表情を隠すため頭を下げた。 「君も人間である以上、間違いを犯すのは仕方が無い。しかしそれはともかく 何故適合者を連れてこなかった?」 ここで初めてクルーゼの口調が怒りを込めたものに変わる。 「いくら君達でも戦闘後で消耗している適合者を連れてくる事ができただろう? たとえ多少の犠牲を払ったとしても、だ」 「部下の命をそのように扱う事はできません。それに、」 「何かね?」 「我々の任務は後方からの監視です。我々だけではあれを力ずくで連れてくるのは 不可能でした。超重戦車ほどの戦力があれば話は別ですが」 イザークは直立不動のままクルーゼを見据えて答える。挑発ともとれるその態度に対しクルーゼは声を低くする。 「・・・まさかとは思うが」 「何か?」 「君は自分がメンデルの大森林攻略部隊の指揮から外された事や私の用意した超重戦車に対する不満からこんなことをしたのではあるまいな?」 「まさか」 仮面で隠れてはいるが明らかに憎悪が感じられるその雰囲気に圧倒されつつも平然と答えるイザーク。 「・・・まぁ、君がそんなささやかな抵抗をするような小物だとは思わん。しかし、 君がミスを犯したのは事実だ。相応の罰は受けてもらう。これからはしばらく前線を離れ、この城の守備につきたまえ」 イザークは何も答えなかった。 「我々も必死なのだよ・・・君のように前線に立つ者に勝手なことをされては困る。 我々を脅かす種子に関わる事なら尚更、だ。これから大きな戦いもあるのだから」 「大きな戦い?」 訝しがるイザーク。クルーゼはそんな彼を疎ましそうに睨む。 「君には関係の無い事だ。さぁ、話は終わりだ。下がりたまえ」 「・・・はい」 イザークは踵を返し部屋から出て行く。それを眺めていたクルーゼは扉が 閉まった後、静寂が支配する部屋で呟く。 「所詮人間か・・・それなりに期待していたのだが。やはりMS族の方が扱いやすいな」 部屋を出て静かにため息をつくイザーク。やりきれない思いで廊下を歩いていると、デュエル・・いや、デュエルシュラウドと遭遇する。この鎧をつけてからすっかり人が変わってしまった。まるで別人だ。もう会話を交わすこともなくなった。 が、一応声をかける。 「おい、傷はもう大丈夫なのか」 するとそれまで黙って通り過ぎようとしていたデュエルシュラウドの様子が一変し、こちらを振り向き詰め寄ってくる。 「貴様・・・何故あの時俺を連れ帰ったりした!」 その威圧感に気おされながらも反論する。 「あのままではお前は危なかったのだぞ!そんな状態のヤツを放っておけるものか!」 「余計な事を!あの時俺はまだやれた!貴様が余計な事をしなければ今度こそ、 ストライクを・・・!」 「何を言う!お前はそこまで弟を殺したいというのか!血をわけた実の兄弟だろう!」 「殺したいとも!ヤツは殺さねばならんのだ、俺が俺であるためにな!」 「・・・もういい」 これ以上の会話は無意味と判断し、憎しみの表情しか見せないデュエルシュラウドを哀れむように睨んだあと、肩を掴む手を振り解き再び廊下を歩き出す。 「フン」 てっきり掴みかかってくるだろうと思っていたデュエルシュラウドは 面白くなさそうな顔をしてクルーゼの部屋へと向かった。 「悩み事か、イザークよ」 城のバルコニーでまたもため息をつき空を眺めていると 後ろから声をかけられる。振り向くとそこにはザフト騎士団長・シグーが立っていた。 「師匠(せんせい)…!自分は、一体どうしたらよいのでしょうか」 イザークは先ほどの出来事を全て包み隠さずに話す。自分がクルーゼに関して不信感を抱いている事も。この人なら全てを打ち明けられる、それほどにイザークはこの男を慕い、尊敬していた。 「自分は、一体どうすればよいのでしょうか・・・」 イザークは不安げな表情でポツリともらす。その表情を見てシグーは腕を組み、 「ふむ・・・確かに私も彼には何か不審なものを感じるし、信用はしていない。だが、国を守る騎士がそんなことではいかんな」 意外にも厳しい口調で返答するシグーに驚いた表情を作るイザーク。 「しかし…!」 「イザークよ、お前は何のために戦う?私は、陛下と、この国の民を護るために戦っている。そして陛下は世界を統一し安定した世界を作るために努力しておられる。ならばそのためには何があっても迷わず剣を振るうべきだと私は考える」 イザークはその言葉に噛み付くように反論する。 「ですが、近頃の陛下の様子は明らかにおかしいではないですか!以前ならこんなことはなかった!それにアスラン王子も『見聞を広める旅に出る』とだけ書き残して行方知れず・・・これはおかしいとは思わないのですか!?」 「陛下には陛下の、王子には王子のお考えがあるのだ。我々が口出しすべき事ではない」 この男、シグーは無駄な殺生は望まないなど決して悪い男ではないのだが、意志が固く、かなり信念に凝り固まっている。結構な間ザフトに仕えてきたので王に対する忠誠は絶大であった。 逆にクルーゼに対する不信感もかなりのものだが、戦うことしか知らない彼はクルーゼにとっては道化でしかなかった。そんな事実も知らずに彼はイザークを諭す。 「とにかく今は戦うしかない。戦い続ければ、おのずと答えは出るだろう。お前は前線から外されてしまったようだが、その分私が戦う。だからお前は陛下と、民と、我々が帰ってくる場所を守ってくれ。頼んだぞ」 イザークの肩に手を置き、言いたい事を言ってシグーは城の中へと入っていってしまった。どこか強い決意のようなものを感じるその背中を見送ってイザークは考える。 確かに、ザフトの騎士として国のために戦う事は重要かもしれない。だがクルーゼの振る舞いや言動、ラクロアを裏切りやってきた二人の騎士の変貌ぶりを考えるとやはり得体の知れない不安を感じるのだ。一体自分はどうするべきなのか・・悩んでも答えは出そうにない。 気分転換にでも街を見回るか、そう考えて城を出る。すると城の前の立て札に貼られた紙がふと目に付く。その内容は更にクルーゼへの不信感を募らせるものであったが、 それはまた別の話。