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「で、依頼ってのはそれで良いんだね?」 紅く染まった頭巾をかぶる少女はそう言った。 目深に被ったそれのせいで顔はよく見えないが、爛々と光る双眸が私を捉えている。 『あ、あぁ。間違いない。』 その迫力に気圧され、少しどもってしまったが…これなら頼りになるだろう。 評判も決して悪いものではなかったし、これからも贔屓にして――― 「じゃ、前払いで…これくらいかしら。」 ―――は? 『なっ…高すぎる!いくらなんでもこんな…』 そこに書かれていた希望金額は、依頼の内容と見合わない高額だった。 思わず声を荒げてしまったが、眼の前の彼女は冷静に話を続ける。 「落ち着きなさい。たしかに高価な仕事だけど… ある条件の元、負けてあげるわ。」 『条件?』 「…大上アオ。もしあいつに会ったら、私に引き渡しなさい。」 彼女が言う名前には聞き覚えがあった。なんでも、大人しく可愛げがあるおかげで好かれている生徒だと聞く。 「あいつのボロボロになった姿をこの目に収めてやる。 それだけで私は悪夢を見ずに眠れるのよ。」 …どうやら、並々ならぬ因縁があるらしい。しかし、安くなるというのなら受けない手はないだろう。 『…わかった。約束しよう』 「交渉成立ね」 ―――ある日の一幕
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活動内容 私たち愛知学院大学フライングディスク部は アルティメットという競技をを中心として活動を行っています。 練習は基本的に月・水・金の週3日で 愛知学院大学のはずれにある第4グランドでやってます。 4限終了後の午後4時半から暗くなるまで練習します。 毎週月曜日には「夜練」があります。 昼練の後、場所を変えて、第1グランドにて7時から9時まで練習をします。 ただ今新入部員のみなさんを絶賛募集中です☆ 「部活」と聞いて硬いイメージを持たれるかもしれません。 たしかに練習はつらいこともあるけれど、 私たちはそのつらさを共に乗り越えていける「仲間」です。 あなたも私たちの「仲間」になってみませんか? 大学生活で何か新しいことに挑戦したいと思っている人にはぜひオススメです☆ だって大学に入るまでは「アルティメット」なんて聞いたことなかったでしょ? みんなとスタートラインがこんなに同じスポーツ他にはないよ~★ 詳しいことは後回し!とにかく一度私たちの練習を見にきてください。
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その光景を見て、藤本美貴はほくそ笑んだ。 やはり彼女たちは、この“海上の監獄”に乗り込んできた。 それも、「新垣里沙を奪還する」などという馬鹿げた目的で。 あれは裏切り者だ。薄汚いマインドコントローラーだ。 にもかかわらず、彼女たちは里沙を救出すべく、その生命を賭して戦っていた。 これを馬鹿げていると言わずして、なんと言えよう。 たしかに、モニターに映る彼女たちは、快進撃をつづけているように見える。 組織の手の者を相手に、それぞれの能力を遺憾なく発揮し、縦横無尽に暴れまわっている。 しかし、その勢いが最後までつづかないことを、藤本は確信していた。 もっとも、彼女たちを迎え撃つのは藤本の役目ではない。 それはあの女の役目だ。 藤本の役目は、あの女の迎撃作戦を監視することだった。 しかし、あの女の作戦には穴がある。 それは、彼女たちを「個」として捉えていることだ。 たしかに、一人ひとりの能力に対する対策は万全だが、彼女たちが結束して 能力を発揮したときのことにまで考えが及んでいない。 また、里沙がどう動くかもわからない。 拘束下にあるとはいえ、相手が能力者である以上、不測の事態は充分に起こりうる。 不確定要素は常にあるのだ。 あの女の慢心が、虚栄心が、それを見ようともしない。 殺されてしまえばいいのだ。 彼女たちがあの女を殺し、自分が彼女たちを始末する。 それこそが、藤本が思い描く最良のシナリオだった。 突然、モニターの中で大きな爆発が起こった。 彼女たちの中の自然発火能力者が、仲間と協力してなにかしたのだろう。 あの女の慌てふためく姿を想像して、藤本はにやりと笑った。 「ハデにやってるなぁ、あいつら」 不意に、後ろから声をかけられた。 聞き覚えのある声。 その声の主は、ここにいるはずのない人物だった。 不確定要素が、ここにも舞い込んできた。 皮肉に歪む笑みを抑え、藤本は振り返った。 吉澤ひとみ。 かつて藤本がその手で葬り去り、組織の手によって蘇生された女。 「なにしに来たの?」 その長身を見上げながら、藤本は見下したように冷たく言い放った。 藤本の態度も意に介さず、吉澤が問い返す。 「お前のほうこそ、なに企んでるんだ?」 「企む?命令どおり監視してるだけじゃん」 「おおかた、石川とやり合って疲弊したあいつらを、まとめて潰そうってハラだろ?」 「“当たらずとも遠からず”ってやつ?」 「残念だけど、そりゃ無理だ。お前はもうすぐ死ぬ」 藤本は、吉澤の死の宣告が、とくに意外なこととは思わなかった。 一応は組織に身を置きながら、吉澤の中で彼女たちへの想いが消え難く残っているのは 明白だったからだ。 「ふ~ん、やっぱりあいつらに付くんだ」 「さあね。これは私の個人的な行動だ。あいつらと示し合わせたわけじゃない」 「個人的な恨みを晴らそうってわけ?」 「わかってるなら、話は早い」 吉澤の言葉に、藤本は冷笑を浮かべた。 組織において重きをなす自分への復讐。 それは、組織に対する反逆にほかならない。 「そんなことして許されると思ってんの?」 「“上”の許可はもう取ってある」 藤本の顔にはじめて動揺が走った。 「なに言ってんの?そんなこと、ありえるわけないじゃん」 「ありえちゃったんだな、これが」 おどけるように言う吉澤だったが、その眼が鋭さを帯びてくる。 「異端の魔女は、磔に処されるのが歴史の定めだろ?」 吉澤の両手に光の粒子があふれだし、なにかの輪郭をすばやく形作っていく。 アポーツ――物質転移。 光がほどけると、その両手に二挺のサブマシンガンが出現した。 「魔女狩りの時間だ」
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『さぁレースは第4コーナーに差し掛かります、ここで集団最後方から仕掛けてきたサクラグローリア!じわじわポジションを上げていく』 初めてレースに出たときのことは、今でも鮮明に思い出せる。なんとかトレセンにはいれて、そこでの模擬レースで一位を取ったときのこと、そしてそこでトレーナーさんと出会ったこと。 『トリプルティアラサクラグローリア!ぐんぐんとスピードを上げていく!』 そこからいろんなレースに出た。メイクデビュー、芙蓉ステークス、阪神ジュベナイルフィリーズ、 チューリップ賞に桜花賞、フローラステークス、オークス、秋華賞そして、ジャパンカップ。 いろんなウマ娘がいた、いろんな夢、想いがあった 『最終直線に入り先頭を行く〇〇〇〇〇〇〇〇〇!このまま逃げ切れるか!中山の直線は短いぞ!』 −桜が落ちるまであと310m− ウマ娘はいつだって多くの想いを載せて走る。 誰よりも早く走りたいと思う子、一族の悲願のために走る子、理想を示し続けるために走る子もいれば、単に走るのが好きな子もいる。 走るために生まれてきたと言われる私達のもつその脚は、それ以上に多くのものを運んでいる。 ならば私の走る理由は− 『女王が直線一気で〇〇〇〇〇〇〇〇〇に迫る!〇〇〇〇〇〇〇〇〇に並…ばない!並ばない!〇〇〇〇〇〇〇〇〇をかわしたー!』 違和感はあった。当然だろう、雨の降りしきる重馬場しかも私の走りは追い込み、ゴールドシップみたいに壊れないほうが異常なのだ。 散らない桜はないし、不変のものなんてない。壁に当たって散っていった夢のなんと多いことだろうか。 『サクラグローリア先頭!サクラグローリア先頭!2バ身!3バ身!圧倒的末脚で〇〇〇〇〇〇〇〇〇を突き放す!レースは残り100mを切った!』 −桜が落ちるまでまであと100m− 覚えているでしょうか、あの夏の線香花火を。 その日はあいにくの雨で花火大会がなくなってしまった日だった。 火花を散らして地面に落ちたあの花火を見てあなたはこっちのほうがいいって言ってくれた。 「打ち上げ花火は観客も会場も要る、それに晴れてないとできない。でも線香花火ならこうやって二人でもできるだろ」 『サクラグローリア、5,6バ身の差をつけ今1着でゴォール! サクラグローリアァァ!!!』 − 桜が落ちるまであとー − 「考え直さないか?」 登録前のトレーナー室であなたはそう、言ってくれた 「安心してください。あなたに、ファンの皆さんに、いつもどおり栄光を示します」 嘘、たしかにはじめはそうだった。 応援してくれるファンのため、私に負けたウマ娘たちのためそう思っていた。 夢を叶えるということは、誰かの夢を散らすこと。 彼女たちからしてみれば、さしづめ私は春の嵐のようなものだろうか。レクイエムやパストラルだってそんなふうに感じているのだろう。 トレーナー たしかにあなたが私を思う気持ちもわかる。 みんなで祝った誕生日、プレゼントのあの時計は、そういうことでしょ? 嬉しかった、誰かのためにいられるということが 怖かった、誰かの思いを背負うということが それでも、いや、だからこそ 私は、あなたのために走りたいんだ 桜は散ってもまた次の春に咲く。嵐のあとには虹がかかる。聖なる栄光は朽ち果てず、ずっと人の心に残り続ける。 待ってろ、レクイエム、パストラル、私は絶対に来年戻ってくる。 こんなこと言うのはお門違いかもしれないけど、私のいない間はあなた達にずっと勝ってて欲しい。なんてったってハナ差で一着を取られたかもしれなかったのだから 『やはり強い! 強すぎるっ!! 1年を通しG1の舞台を彩り続けた桜が! 決して散ることのない、栄光の万年桜が! 今、年末の有馬記念にも咲き誇りました!! ああ、すごい…凄い光景です!』 雨の降るなか遂に桜は、中山の地に落ちた。
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いろいろブログ&サイト【陰謀論・裏の歴史・まさかの世界】 ■ 船井幸雄.com 経営コンサルタントや経営者という枠を超え、“人間研究家”となったといえます。そして混迷を極める現代を生きる上で、多くの人々にとっての“人生の指南番(しなんばん)”の役割を担うようになったともいえるでしょう。そんな船井幸雄のファンは非常に多く、経営者にとどまらず最近ではとくに若い人や女性からの支持が急上昇中です。 ☆ 船井幸雄〔Wikipedia〕 ☆ 船井幸雄をサーチ〔虚空と君のあいだに〕 ■ 空しき逸材(改) ■ 船井幸雄、中丸薫も霊に利用されている 「徹底検索、堀進(2008.11.8)」より ・ただ、そのような過去の功績によって知名度が高いお二人だけに、異次元の存在から目を付けられ、巧妙な働きかけを受けて洗脳されてしまったようです。 たぶん先生のところにも、いっぱいいろんな霊たちが寄ってきているということですよね。何か伝えたくて伝えたくてしかたがない。そういうのはたしかにあると思うんですよ。 ・(※ mono的には、異次元とか霊が寄ってくるなどと言っている時点で、この人も眉唾です。) .
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コロボの種類 コロボは野菜や果物を育てると現れる妖精の事です!! どのコロボもとってもキュート// たくさん種類があるのでコロボを目的に育ててもいいですね♪♪ 注意するのは最大コロボは3匹までしか家に住まわせることができません。。残念(´・д・`) 「にんじん」のコロボ 名前がにんじん弟。。。ということは兄もいるのかな(笑) 「じゃがいも」のコロボ なんか聖ポテトってかっこいい☆彡 「ぶどう」のコロボ このコロボは女の子です!かわいい(੭ु ›ω‹ )੭ु⁾⁾♡ 「きゅうり」のコロボ 美キュウリ。。たしかに上品そうなオーラがみえる、、、気がする(笑) 「とうもろこし」のコロボ 謎のモロコシって「とうもろこし」じゃないのかなぁ~ 名前もトモロチェンコ・モローシカって長いなー!! 「イチゴ」のコロボ イチゴなのに名前が「ごるる」なんて強そう!でもそこがギャップ萌! 「トマト」のコロボ 「トマト」のコロボはツンデレっぽそうだな~ 「南プス リンゴ」のコロボ えっっリンゴなのに鳥のコロボ(驚) 夏の羽科ってかっこよすぎ~ 「奇跡のリンゴ」のコロボ 犬のかぶり物がキュート! 名前もKaiとか外国人みたいでカコ(・ω・)イイ!!
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ひょっとしたら、別れが辛いのはわたしだけではないのかもしれない。 お姉ちゃんもまた、わたしと別れるのが辛いのかもしれない。 考えもしなかった。 お姉ちゃんにとって、自分がどのような存在なのか。 唯一の妹であり、自分の姿形を見ることが出来る存在。 声を聴き、応えられる存在。 手を握り、温もりを感じ取れる存在。 お姉ちゃんからしたら、わたしはたった一人の生きた人なのかもしれない。 けど、その考えは主観を用いて作られた根拠のない認識という域を出ない。 その所為か、心の隙間を埋めんとする衝動に駆られる。 不安でしょうがない。 わたしはどんな存在なのか。 瞳を通して、わたしの何を見ているのか。 わたしには分からない。 都合よく、人間には言葉という意思疎通する為の表現法がある。 そして、幸運にもお姉ちゃんと話しをすることが出来る。 短い言葉だけでも、人はお互いを知ることが出来る。 そう、だから訊けばいい。 訊いて、自分の存在を確かめればいいのだ。 「お姉ちゃん」 依然として、目の前の双眸はしっかりとわたしを見ている。 「わたしのこと好き?」 わたしは訊かないでいられなかった。 言葉で、声で、受け取りたかった。 けど、お姉ちゃんはわたしの意には関せず、 「当たり前じゃん」と言い放った。 当たり前。 お姉ちゃんにとって、それは当たり前だった。 いや、わたしにとってもそれは当たり前だったはずだ。 長い間離れていた所為か、いつしか当たり前が曖昧模糊としたものになっていたのかもしれない。 「言ったでしょ、わたしは憂に会いに来たって」 帰ってきて間もなく、お姉ちゃんはたしかにそう言った。 「憂はわたしのこと好き?」 「好き……大好き……当たり前だよ」 そう、当たり前なのだ。 わたし達はお互いを好いている。 「ねえ、お姉ちゃん。わたしのこと愛してる?」 「え、うん」 「愛してるって言って」 「ええ~、恥ずかしいよぉ」 少し仰け反って、そんなことを言った。 「わたしはお姉ちゃんのこと愛してるよ」 ずっと言えなかった言葉。 言おうと思ったときには、お姉ちゃんはいなかったから。 お姉ちゃんは崩した顔を僅かに戻して、微笑む。 そして、 「愛してるよ、憂」と言ってくれた。 「ありがとう、お姉ちゃん」 わたしはたしかに愛されていた。 そのことがたまらなく嬉しかった。 わたしは立ち上がる。 覚悟は決まった。 悲しむのはもう止めよう。 泣くのも、もう止めよう。 わたしはお姉ちゃんの為に笑顔で見送るのだ。 「憂?」 「顔、洗ってくるね」 さて、今日はなにをしようか。 朝食後、話し合いの末に海へ行くことになった。 お姉ちゃんのリクエストだったので、即決だった。 海へは片道二時間と、近くもなく遠くもなくといったところか。 泳ぐわけじゃないので、夕方前には帰ってこられるはずだ。 駅に着くまでに真夏特有の炎天下の中を歩くことになり、気力、体力がそれなりに消耗してしまった。 「あづい……あづい……」 お姉ちゃんのそんな呟きを聞いてると、余計に暑く感じる気がする。 本当に暑い。 けど、この暑さがなければ夏じゃないのだろう。 海は海水浴に来た人で溢れ返っていて、静かに海を見られる場所を探す為に歩き回った。 相変わらず、太陽の照りが強烈だったけれど、潮風や海の匂い、澄み切った青空を見ると、そんな不快な思いも気にならなくなる。 それはお姉ちゃんも同じらしく、暑さをものともせず子供のようにどんどん先に行ってしまうから、追うのが大変だった。 人気の少ない場所に腰掛けると、横一線に伸びる水平線を境に濃い青と薄い青に別れた風景が視界一杯に映った。 それはまるで、この世と天国の境界のようだ。 ざざあ、ざざあと波が寄せては引いていく。 波音がくすぐるように耳に飛び込んでくる。 「お姉ちゃん。明日ね、お母さんとお父さんが帰ってくるんだよ」 「明日ぁ。タイミング悪いなぁ、もう」 「本当だよね。折角会えたのに」 お姉ちゃんは膝に肘をたて、両手に顎を載せる。 「でも、最初から決まってたのかもね」 「最初から?」 「そう。つまり、運命っていうのかな。 わたしが戻ってきたのは、憂に会いに来たからで、それ以外はしちゃ駄目っていうかさ」 お姉ちゃんはそう言って、蹲るように顔を隠した。 「お姉ちゃん?」 「あづい……」 「うん。暑いね」 わたし達はその後も海を見ながら様々なことを話した。 その間にも刻々と時は過ぎていく。 お姉ちゃんと過ごせる時間が減っていく。 それでも覚悟が変わることはない。 けど、何かをしたいと思った。 やれることをやって、後悔しないように。 やれることがあるはずだから。 じっくりと海を堪能して帰宅した後、最後になるであろう昼食を作りながら鼻歌を歌っていると、わたしのものではない響きを持った音が聴こえてきた。 それはお姉ちゃんの鼻歌だった。 わたしの鼻歌に自然と重なり、終いにはユニゾンとなっていた。 そこでわたしは思った。 お姉ちゃんの声を残すことは出来ないかと。 わたしは早速お姉ちゃんに提案をしてみることにした。 「お姉ちゃん。お昼を食べたら歌わない」 お昼を食べ終えると、わたしは直ぐにマイク付きのラジカセを探しに行った。 ビデオカメラは試してみたけど、お姉ちゃんの姿は捉えられなかったから、ラジカセは唯一の録音機材と言っていい。 ラジカセは最近はめっきり使っていなかった所為で埃を被っていた。 埃を簡単に払い、カセットテープの差込口を開けてみる。 中にはテープが入っていなかったので、テープを用意をしなければならない。 だけど、今からカセットテープを買いに行くのは躊躇われた。 外に出ている間にお姉ちゃんが消えてしまえば、そこまでだからだ。 家に保管されているテープを探して、それを使うしかないだろう。 テープを使ったことは一度や二度だったし、自分で積極的に使ったわけでもないので、テープの保管場所については知らないと言っていい。 とりあえず、有りそうな場所として両親の寝室の押し入れを探ってみた。 しかし、押し入れには大量の荷物が鎮座しており、隅々まで探していては時間が足りないだろう。 やはり、外に買いに行った方が早いか。 押し入れの前で跪きながら考えを巡らせていると、 「憂、なにをしてるの~」 お姉ちゃんが寝室の入り口から顔を覗かせていた。 わたしはまだ録音の企みを教えていない。 「お姉ちゃん、カセットテープの場所知らない?」 「カセットテープぅ? ……ん、ああ、カセットテープね。探してるの?」 「うん、どこかにあったと思って」 「ちょっと待ってて」 お姉ちゃんは床をどたどたと音を鳴らしながら駆けていった。 場所を知っているのだろうか。 わたしも寝室を離れ、足音が向かった先の部屋を覗いた。 そこはお姉ちゃんの部屋だった。 机の抽斗の奥をなにやら漁っている。 「あったあったぁ!」 抽斗から引き抜かれた手には、テープの収納ケースが握られていた。 「よっ。セット完了~、再生っと」 お姉ちゃんがラジカセの再生スイッチをカシッと押し込む。 ラジカセがそれに続いてアナログな音を響かせると、テープがたしかに回り始めた。 スピーカーから流れてきたのは、お姉ちゃんの歌声だった。 「これ、お姉ちゃんの声だよね」 「そうそう。練習のときに録ってみようってことになってさぁ。いつのだっけなぁ」 歌声と共に聞こえる雑音が、妙に声の存在感を際立たせていた。 「それで、なんで急にカセットテープなの?」 軽音部の演奏が流れるなか、訊いてきた。 「お姉ちゃんの声を残そうと思って」 「声? 残してどうすんの」 「どうって……なにも残らないのって悲しいから」 「でも、わたしの声ならDVDに残ってるじゃん」 たしかに過去の学園祭のDVDを観れば、声を聴くことはできる。 過去と現在では違うものがある。 「今にいるから歌えるものがあるよ。お姉ちゃんが歌っていない歌が」 カーテンを開けると、陽光が部屋内を舞う埃の姿を浮かび上がらせた。 日色はもうじきオレンジになるであろう時間。 時計の針が一秒毎にカチッカチッと音を鳴らして、時を刻んでいた。 床の片隅にはテープがセットされたラジカセが置かれ、コンセントにはそのプラグが接続されている。 部屋の中央には歌詞が書かれた紙を持ってお姉ちゃんが座っており、わたしはギターを抱えながら、いささか離れて座っていた。 今から歌おうとしている曲を、お姉ちゃんは弾いたことも歌ったこともない。 わたしはこの曲だけは必死に練習をして弾けるようになっていた。 お姉ちゃんが生前に書き残した歌詞を元に作られた曲だ。 だから、お姉ちゃんは歌詞を知っている。 歌は先日のDVDで予習済みである。 「憂、準備オッケー?」 問いかけに、わたしは深く頷いて応える。 それを見て、静かに録音のスイッチが押された。 人差し指と親指に挟まれたピックが、ギターの弦と触れ合って音色が弾き出される。 刻まれるリズムにお姉ちゃんの歌声が乗る。 まるで空を自由に羽ばたく鳥のようにそれは優雅だった。 その声にわたしは自分の声をそっと重ねる。 たった二人だけのアンサンブルが部屋にこだました。 不思議な光景、不思議な感覚だった。 今、この瞬間、この部屋はどこか違う世界に位置している、そんな感覚。 橙色に近い鮮やかな日の光が部屋に差しこみ、お姉ちゃんがそれを纏いながら歌っている。 お姉ちゃんが肩を左右に揺らす度に髪はふわりと揺れ動き、瞬きをする度に橙色の光を宿した瞳がチカチカと明滅し、口は歌詞を表現する為にその形を変えていた。 その一挙一動から目が離せず、自分がちゃんとしたコードを弾いているかさえはっきりとしない。 それでも楽しくて、嬉しくて、幸せで、自然と笑みが零れてしまう。 歌うお姉ちゃんも柔和な笑みを浮かべていた。 ガシッという音に続いて、テープは回るのを止めた。 それと同時に静寂が部屋に訪れる。 その中でわたしはほっと吐息をもらす。 はちみつみたいに甘ったるい余韻が部屋には漂っていて、体中に浸透するように満足感を与えてくれる。 ギターを下ろし、お姉ちゃんの表情を読み取ろうと試みる。 けど、お姉ちゃんはわたしに背を向けている為に、表情を窺うことが出来なかった。 「――――ありがとう」 そんな声が聞こえた。 「お姉ちゃん?」 それはたしかにお姉ちゃんの声だった。 「ありがとう、憂」 「なにが?」 感謝の言葉が何に対してのものなのか、わたしには解らない。 「……暑いね。窓開けよ」 お姉ちゃんがそう言ったので、わたしは素直に従い、窓に手をかけた。 窓をスライドさせると、生温い風が部屋に入り込んでくる。 「憂、会えてよかったよ」 背後の声に咄嗟に振り返った。 歌詞が書かれた紙が、床にひらりと落ちていく。 「おねえ……ちゃん……」 呟いた声は行き場がなく孤独だった。 お姉ちゃんが消えた。 いなくなってしまった。 とうとう時間が来てしまった。 でも不思議と、感傷の気持ちはなかった。 涙も出ない。 喜びでも悲しみでもない、それ以外のなにか温かい感情が胸に湧き上がっていた。 その感情は血肉に溶けるように体中に沁みていき、未知の力を漲らせた。 わたしは床に落ちていた紙を拾い上げる。 紙には黒い染みが模様のように点在していた。 「お姉ちゃん、泣いたんだ」 わたしには笑顔でって言った癖に、自分はしっかりと泣いていたみたいだ。 わたしはそれがなんだか可笑しくて、頬を緩めてしまう。 紙を折りたたんで机の上に置き、窓の外を眺める。 夕焼けと影を持った雲とが、絵画のように調和している風景を見せていた。 わたしはしばらく風を浴びながら風景をぼんやりと眺め、幾何か時間を潰すとラジカセの前に座って、カセットテープを巻き戻した。 次いで、再生スイッチを押す。 そして、わたしは録音の結果に耳をすました。 ――――これから夏が訪れる度に、わたしはこの年の夏を思い出すだろう。 お姉ちゃんと二人で過ごした、あの一週間を。 わたしはもうお姉ちゃんのことで泣くことはないと思う。 それは後ろ向きなものではなく、前向きであり成長だ。 お姉ちゃんのお陰で過去に手を振ることが出来た。 忘れるのではなく、自分の中で消化することで未来への道はより確かなものになったと思う。 けど、そのようなことよりも、わたし達二人にとって最も大事なことは――会えてよかった――その言葉に集約されるのだろう。 愛する人に会えてよかった。 夏休みも終わりが近い今日、家に元軽音部の皆さんを集めた。 居間ではあの日のラジカセに視線が集中している。 わたしは静かに再生スイッチを鳴らす。 スピーカーからギターの音が流れ出し、続いてメロディーに乗った声が聞こえてきた。 その声が誰のものなのか、それを聴いて皆さんがどのような顔をしたかは、ご想像にお任せしたいと思う。 お わ り 戻る
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ツルギ 「剣」 一文字:「剣」 「・・・たしかに、オバケはいないが・・・ネズミはいるようだな」 初登場 小説「改装機・戦!」で初登場 山の部屋2.5時期 一人称 私 メインカラー シルバー+紅 詳細 刃戦団のリーダーである、戦闘用改装機。 生真面目で人徳があるのだが、カタブツで鈍感なのが欠点。 生真面目が過ぎて、過剰にストレスがたまりすぎるとキレる。 ヤイバの弟子であり、最も彼の影響を受けている。師には未だに頭が上がらない。 サンマが好き。 その点でザンゲツと張り合っている。 誕生日は11月11日。 ちなみにその13日後にカイゾーたちが生まれている。 来歴 ヤイバの元で指導を受けた一人。ヤイバ曰く「かつては泣き虫小僧」だったらしい。 12話によれば、兄の敵を討つために彼の元で修行していたようだが……。 機能 特筆すべき機能はない標準的な性能である。 武装 御善光(ごぜんこう) 両肩の鞘に収められた、二本一組の日本刀。 左右全く同じ形状・重さであり、完全に左右対称な 二刀流での戦闘が可能となる。
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「部屋荒らしたりするなよ?特にハルヒ!」 キョンはそう言い残して出ていった。 バタン 「腹立つわね!キョンのくせに!なにが『特にハルヒ!』よ!」 そんなに信用ないのかしら…?ってそりゃそうよね。普段からキョンには好き勝手言ってるし、やってるし…。 きっとキョンだってあたしのこと・・・・ って違う違う違う違~う!まるであたしがキョンに気があるみたいじゃないの。 ないない!それだけはない! ………はず/// うわぁ~何考えてんのよあたしは! 「あ~もう!!!」 気が付くと声に出てた…。 「…………?」 有希が珍しく漫画(キョンの部屋だから)に向けていた目をあたしに向けて不思議そうな顔をしている。 ど、どこから声に出てたのかしら? 聞かれてたらまずい言葉もあったから困るわね… と悩んでいると古泉君が話かけてきた。 「きっとキョン君には涼宮さんに見られたくないものがあるから涼宮さんに念を押したんでしょうね」 「……なるほど!さすが古泉君ね。SOS団の副団長を務めるだけあるわ!」 そうよ!きっとそうに違いないわ!キョンにはあたしに見られたくないものがあるのよ。 例えば… エッチな本とか?いや、それじゃ普通だわ。 高校生なら普通にあるはずだもの。 ていうかキョンもそういうことするのかな…?もしかしてあたしをおかずに……。 はっ!駄目よ!だめ!なに考えてんのよ! ないない!それはないわ!もしそんなことしてたら死刑……?そうよ死刑なんだから! 「はぁ~なんか疲れちゃったわ。」 あたしはベッドに横になった。 すると古泉君が言ってきた。 「なんでキョン君の家にしたんですか?」 突然の質問にあたしは考えもせずに答えてしまった。 「キョンの部屋に行き…」ここまで言って気付いた。 ま、まずい!このまま言ったらまるであたしがキョンが好きだからキョンの部屋に行きたかったみたいに思われる! 「キョン君の部屋にいき…?」 古泉君がいつものさわやかな笑顔で聞いてくる。 とっさにあたしは考えた。「キョンの家に生き霊がいるらしいのよ!」 …我ながらいい誤魔化しだわ。ほれぼれしちゃう。 「でも生き霊はいないみたいね」 あたしは付け加えて言った。これで信憑性もばっちりね。 第一あたしはキョンの部屋に来たかったわけじゃ……? そういえばここキョンの部屋なのよね。そしてここはキョンのベッドね。 パフッ 枕に顔をうずめるとキョンの匂いがした……。 しばらくそのままでいたけど、ジッとしてるのは退屈だわ。 「遅いわね~」 有希にはいってもしょうがないので古泉君に言った。「まだ9分ぐらいしかたってないですよ」 古泉君が言う。 え?まだそれだけしかたってないの?キョンが出て行ってからもう30分はたっていると思ってたわ! 時計を見るとたしかに9分ぐらい、むしろ8分ちょっとしかたってなかった。 あたしは時計を眺めてた。チッチッチッチッ…… なんか時計が進むのが遅い気がする。 壊れてるんじゃないの?と思い、携帯をみたら壊れてないことがわかった。 …暇過ぎる。キョンの匂いのするベッドでゴロゴロして長すぎる時間を持て余していた。 ガチャ 玄関の開く音がした。 あたしは時計を見た。まだ10分しかたってなかった。 階段をキョンが一段上ってくる度に、心臓の音が大きくなる気がした。 …まぁきっと気のせいね。 「買ってきたぞ」 入ってきたキョンは少し汗をかいてた。 古泉君と有希がお礼を言っている。 たしかに行ってくれたのは感謝してるけど団長のあたしをあんなに暇させるなんて本来なら死刑よ! ……でもまぁその汗に免じて許してあげるわ! 「10分ちょっとね。キョンにしてはなかなかのタイムね。お疲れさま」 やっぱりキョンがいないとつまらないわね。 なんでなのかしら? まぁそんなのは気のせいね。そうに違いない! 「ハルヒ、お前部屋荒らしてないだろうな?」 キョンが言った。 「荒らしてなんかいないわよ!」 ふふん、やっぱりあたしに見られたくない物があるようね。 あ!キョンの奴今タンスの方をチラ見したわ! 今度来たとき見つけてやるんだから!! ~キョンサイド~ ハルヒの奴日記には気付いてないよな…?タンスのあれはともかく机の引き出しの日記はまずいからな…。 おっと視線はタンスに向けてフェイクを入れないとな。 おわり
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904 名無しさん@秘密の花園 [sage] 2009/12/02(水) 02 49 41 ID x7HAKm1X Be みんな寝静まったようっすね。 やっぱり合宿といえばこれはお約束っすよね? 『寝てる顔に落書き』 ふふふ…それじゃ先輩、覚悟するっす。 まずはほっぺたにおヒゲを書いて、お鼻を黒く塗ってと…。キュッキュッ。 先輩、かわいい、かわいいっす!このまま連れて帰りたいっす!先輩… ──10分経過 はっ!あまりの愛らしさに我を忘れてたっす。 気を取り直してと。落書きといえば定番のあれっすよね?おでこに… 『肉』 ぷ…くっ…くくっ…さすが定番っす。凄い破壊力っすね。こ、これはキツいっす。 でもフェイスペイントだし、すぐ消えるし、大丈夫っすよね。 ──マ○キー油性マーカー あれ? ──マ○キー『油性』マーカー そんなバカなぁ!!!な、なななんで油性っすかっ! たしかに、すぐ落ちるフェイスペイント持ってきたはずなのにっ!なんで、なんでっ!! お、落ちつくっす。なんとか落書きを誤魔化すっす。 まずは目立たないように、おでこの『肉』に一文字付け足して…。キュッキュッ 『肉欲』 な、何をやってるんすか、私は…。これじゃ変態さんじゃないっすか…。 こうなったら文字を塗りつぶして黒目にして三つ目を作って…。キュッキュッ こ、こわっ。先輩は眼を閉じてるのに、邪気眼だけこっちを見てるっす…。 だったら瞼の上に眼を書いて…。キュッキュッ …マネキンみたいになったっす…邪気眼持ちの…。う~、今度こそっ!キュッキュッ… ──30分経過 どうしよう…。どんどん酷くなってるっす…。こんなはずじゃなかったのに。 みんなが起きる前に先輩起こして、笑って怒られて…。 それで落書き消しに一緒に朝の露天風呂に行こうって思ってたのに…。 油性じゃ消えないし、こんなになってたら先輩も本気で怒るっすよね? 先輩に嫌われるっすか?こんなつもりじゃなかったのに…。 ………じわっ 「うわぁぁぁ~ん!先輩、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!」ガバッ! 「うわあああっっ!!!…って、モモか…。どうしたんだ、こんな夜中に?」 「ごめんなさい…先輩。私のこと、嫌いにならないで欲しいっす」 「…?なにを謝ってるのかわからないが、私は何があってもモモを嫌いになったりしないぞ?」 「ほんとっすか?」 「本当だ。さぁ、まだ朝まで時間がある。もう寝よう」 「はい。…先輩、おやすみなさい」 「おやすみ、モモ」 やっぱり先輩は優しいっす!大好きっす!…でも、やっぱりその顔は怖いっす。 ──翌朝 「おはようございます、加治…」 「おはよう、津山。…津山?その札は何だ?」 「妖怪退散っ!!!」 「ま、待てっ!私だ、加治木だっ!」 「…あ、加治木先輩?」 「そうだ。まったく、まだ寝ぼけているのか?」 朝から襲われるとは…。それにしても何で、そんな札を持っているんだ? 「う~ん、うるさいなー」 「ああ、すまない蒲原」 「…ユミちん?ぷっ、ワハハハハハハハハッ!!」 「蒲原?」 何かおかしい。私の周りで何かが起きている… 「ふわぁ~。おはようございます、加治木せ…」バタッ 「か、佳織?しっかりしろ、佳織っ!」 「…あ、あれ、智美ちゃん。なんか変な夢見たみたい…加治木先輩が悪霊になってて…」 「ワハハ、半分合ってるな」 まさか、昨日のあれは… 『うわぁぁぁ~ん!先輩、ごめんなさい、ごめんなさいっ!!』 そうか、そういう事か… 「津山、鏡を貸してくれないか?」 「あの、見ない方がいいと…ぷっ…思うんですが…ぅ…くく…」 「落書き…されたんだな」 「はい。残念ですが見事なまでに…ぷ…くっ…」 お前は出来た後輩だよ。そんなに震えてまで笑うのを堪えてくれるとは。 だが、もう我慢しないでくれ、津山。震えるを通り越して、痙攣に近くなってきたぞ… それに引き換え、こっちの後輩は… 「モモ、起きているんだろ?」 「ね、寝てるっすよ、まだ。すー、すー」 「津山、モモの腕を押えろ。蒲原は足。妹尾は頭だ」 「せ、先輩、なにをっ!!!」 その問いには答えず、マ○キー『油性』マーカーに手を伸ばした。 「桃子、因果応報というやつだ」 「ワハハ、あきらめるんだなー」 「あの加治木先輩、桃子さんも反省してるでしょうし…」 ギロッ… 「ひぃっ!ご、ごめんなさい、桃子さんっ!!」 さて、どうしてくれよう? 「せ、先輩っ!そんなっ!昨日の夜は許してくれるって言ったのにっ!」 「嫌いにならないとは言ったが許すとは言ってない」 「あっ…」 「成敗」 ぎゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ………っす ちゃぷん… そんなわけで予定は狂ったっすけど、先輩と朝の露天風呂に入ってるっす。 「う~、完全には消えてないっす」 「誰のせいだ、誰の」 「ごめんなさい」 先輩は不機嫌そうにしながらも、私の頭を撫でてくれるっす。 先輩は本当に優しいっす。ごめんなさい…もう絶対しないっす。 でも… 「やっぱ不思議っす。たしかにフェイスペイント持ってきたはずなのに なんでマ○キー『油性』マーカーになってたっすか?」 「でかける時に慌てて間違えたんだろ」 「そんなはずないっす。荷物は前日には纏めてたのに。う~ん…」 「そんなことより、せっかくの露天風呂だ。景色を楽しまないと損だぞ?」 「…そうっすね、先輩!」 たしかに目の前は絶景。隣を見ればさらに絶景。楽しまないと損っすね。 「先輩、また温泉来ましょうね?」 「ああ、今度は二人で…な」 ──そのころ 「あれ?智美ちゃん、これなぁに?」 水性ドーラン用マーカー『顔ペン』 「佳織、策士とは自らの手は汚さないのだよ、ワハハ」 「ふぇ?」 おわり