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■ 英語学習アプリ「鬼桃語り」の攻略サイト■ 鬼桃語り攻略メニューへ戻る -闇深キ洞穴ノ島 > 山の神 > 小さな守護者 タップ 発音 おにぎり -11 -11 Score 100 86 獲得小判 5040 5040 獲得経験値 1431 2343 宝桃 バトル① ちびうさきの子、ちびねこきの子、ちびいぬきの子、ちばはねきの子、ちびつのきの子 バトル② 小あか鬼火、みど鬼魂、小きい鬼火 バトル③ 小緑葉たま×2、フェアリーナイフ 最終バトル ちびみど子影、丑、みどオニおばけ ドロップ ■ 英語学習アプリ「鬼桃語り」の攻略サイト■ 鬼桃語り攻略メニューへ戻る
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武家屋敷 家具生産 小さな立て看板 (チイサナタテカンバン) 【家具】 #ref error :ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (s-tatekanbann.JPG) 価値 重量 種別 特殊効果 属性 1 0.8 屋外 なし − 幅 奥 高 ◇ ◇ 1.0 0.5 1.5 1 6 材料内訳 家具名 材料名 加工材料1 小さな立て看板 樺材:2(@3x1)「工房1」 樺の枝:6「林地1」 楢の枝:6 - 生産可能職 職業 技能 陰陽師 陰陽家具之い
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《小さな脱出劇》 No.229 Command <第三弾> NODE(3)/COST(1) 効果範囲:目標のカードに及ぶ効果 発動期間:瞬間 目標の〔あなたの場のキャラクター1枚〕を手札に戻す。ターン終了時まで、この効果で手札に戻したキャラクターカードは「奇襲」を得る。 「出たっ!」 Illustration:源五郎 コメント 緊急回収コマンド、「場に出た時」の効果の使い回しなど、用途の広いカード。 マイナス効果の呪符の破棄などにも使える。 速攻は付いてこない為単純に戻して出してもスリープ状態だが、逆に言えば元より速攻を持つキャラクターならそのターン中のみ奇襲と速攻を同時に持つ事が出来る事になる。 殴った後の魂魄 妖忌を戻し自壊デメリットの回避したり、自分ターンに戻して追加攻撃、相手ターンに戻しそのターン中手札からブロッカーとしてプレイ等いろいろと出来る。無論その分プレイコストが掛かるのだが。 奇襲を得るが、出さなくても良い。 関連 第三弾 Advanced Starter
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今日 - 合計 - クリックまんが銀河英雄伝説2の攻略ページ 目次 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 基本情報 [部分編集] ストーリー [部分編集] 攻略情報 [部分編集] Tips [部分編集] プチ情報 [部分編集] 関連動画 [部分編集] 参考文献、参考サイト [部分編集] 感想・レビュー 名前 コメント 選択肢 投票 役に立った (0) 2012年10月09日 (火) 16時55分18秒 [部分編集] ページごとのメニューの編集はこちらの部分編集から行ってください [部分編集] 編集に関して
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小さなメダル交換レート 名称 枚数 分類 ちからのもと 3枚 錬金素材 まもりのもと 3枚 錬金素材 まりょくのもと 3枚 錬金素材 万能ぐすり 5枚 草 せかいじゅの葉 10枚 草 ライデインの巻物 15枚 巻物 ステテコパンツ 20枚 装飾品 とうぞくのこしみの 20枚 装飾品 てんばつの杖[20] 25枚 杖 メガンテの巻物 30枚 巻物 強化の印 30枚 錬金素材 金塊 50枚 錬金素材 成長の印 60枚 錬金素材 英雄のヤリ 70枚 武器 オリハルコン 80枚 錬金素材 メタルキングヘルム 100枚 装飾品 入手可能なダンジョン 大盗賊の洞窟(20F以降) 秘密の遺跡(15F以降) 勇気の洞窟(10F以降) 強き者の神殿(10F以降) スライムのもり(8F以降) もっと不思議の森(15F以降) 黄金の館(10F以降) 盗賊王の宮殿(20F以降) 入手可能なクエスト ナゾのお宝 不思議なカギ 酒場の人気料理(3枚) 宿屋の快眠グッズ(3枚)
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Last up date 2011-06-05 23 57 41 (Sun) 目次 小さな魔力の水画像 効果 入手NPC クエスト ドロップモンスター 小さな魔力の水 画像 ▲ 効果 ▲ 入手 NPC ▲ クエスト ▲ ドロップモンスター ▲ 過去のコメントはコチラ 名前
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│和(志州)│鬼部│ http //www10.plala.or.jp/cotton-candy/momomi2/maki-3343.htm
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小さな芽の進化 なまえ 住 食 エ 年 小さな芽 0 68 0 400 小ぶりな葉 0 90 0 800 0 124 1 1800
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すごくシンプルな話。 ありふれていて、きっと誰もが心の中に持っていて、その温もりを知っている灯のこと。 「いー天気ね」 そう言いながら、かがみは長い髪を大きな風に揺らした。 舞い上がった優しい彼女の匂いに、少しだけ私は、目を丸くする。 ―小さな恋の話― 三年生になって一ヶ月が過ぎたばかりの、五月の放課後。 ほんの少し前まで満開の花を咲かせていた桜の梢には、すっかり新緑の葉が生い茂っていて。 太陽は暖かく、空はぴんと真っ青に晴れていて、窓を開けると草の匂いでいっぱいの風が吹き込んできていた。 そんな日の放課後。 つかさとみゆきはそれぞれの用事でいそいそと先に帰ってしまって、取り残された私とかがみは顔を見合わせた。 かがみの空みたいな瞳は、「帰るのが勿体無いよね」と言っていた。かがみの瞳に映る私が、それに応えて大きく微笑った。 屋上へ行ってみようよ、と私は言った。 そうね、とかがみは言ってまんざらでもなさそうな顔をしたので、私は先立って歩き出した。 「屋上っていかにも青春って感じジャン?」 そう言って振り返り、いつものように笑ってみせる。 そうすると、かがみはいつものように目を細めてみせる。 「わからないでもないような気もするけれど……わからんな」 「それって結局どっちなのさ?」 「わからん」 連れない反応に「冷たいよー、かがみん~」と言って私が背中に飛びつくと、かがみは「ええい、うっとおしい!」と振り払うような仕草をした。 でも本気で振り払ってるわけじゃないんだ。 だって、かがみだって笑ってるもん。 それからきっと、私も笑ってる。 この話の、本当の始まりは、私にもよくわからない。 だって、私はかがみのことが始めから大好きだったから。大好きな大好きなともだちだったから。 その気持ちに、『ともだち』とは違う熱が帯びてるってことに気がついたのは、随分経ってからだった。 それは、もうそれがどうしようもなく大きくなってから。鈍い私でも間違えようが無いくらいに。 まだ二年生の頃。ストーブの匂いがしていたから、多分冬。 いつも通り四人で、机を合わせて、話しながらご飯を食べてた。 それはいつも通りのお昼の光景。私の口にはいつも通りのチョココロネの味。 全部、いつも通りだったはずなのにね。 なのに、空から羽が舞い降りてくるみたいに、突然私の中に灯ったんだ。 『私ってもしかして――かがみのことが』 そう思ったその瞬間、タイミングよく、目の前に座っていたかがみが笑った。 目が、釘付けになった。 屈託無く笑うかがみの笑顔に、私は、もう間違えようがないくらいハートに火がついてることを知った。 女の子だから、とか、友達じゃん、とか。 その時に、そういうこと考えてるスキマは無かった。 だって、目の前でつかさやみゆきさんと笑うかがみは、それはもう確実に可愛かったんだよ。 普段は行かない屋上に向かって、ふざけ合いながら私とかがみは階段を登った。 ハートの火を自覚してからは、かがみといる時間のすべてが嬉しくて仕方がなくなった。 ふたりきりだと尚更。きっとかがみは気付いてないけれど、私の気持ちはいつもより明らかにハイになる。 だからついついふざけすぎて、かがみの雷を食らっちゃうこともあるんだけれど。 私より二歩早く屋上の入り口の前に立ったかがみは、鉄のノブに手をかけてその扉を開け放った。 「おわっ」 そしたらいきなり、びゅう、と音を立てて強い風が吹き込んできて、かがみが声を上げた。 私はと言えば、かがみの舞い上がったスカートに慌てて視線を逸らした。 でもバッチリ見たけれど。 水色のストライプ。 「風がきもちいー」 屋上に出たかがみは伸びをしながらそう言った。 「うん、とてもイイ風だよね。風ぐっじょぶ」 私が力強く言うと、かがみは不思議そうな顔をした。子猫みたいに無防備に首を傾げてる。 だから教えてあげることにした。 「水色のストライプ」 そう言って、「くふふ」と口元に手を当てて笑った。 かがみは何のことかすぐには分からなかったようで「えっ?」って顔をしていたけれど、きっかり三秒後に顔を真っ赤にして、今更スカートの裾を押さえた。 「見たのか!? 見たのか!?」 「風のイタズラですよ。いや~、かがみって意外と可愛いぱんつはいてん…」 鞄が飛んで来て、私の顔面にクリーンヒットした。 五月の太陽が、私たちの身体を真っ直ぐ突き抜けるように、ぴかぴかに真新しい光を降らせる。 私とかがみは柵に寄りかかって、下界を見下ろした。 グラウンドで運動部の生徒たちが声を出しながら走り回っているのが見えた。 それから、学校の周りに広がる田んぼの畦道の緑色。 街の影は遠く、そのさらに遠くに山の稜線。 風が吹くたびに、薄荷の匂いが鼻を掠めた。 空はとても青い。 「……屋上って案外人、いないのね」 何となく降りていた沈黙を、かがみののんびりとした声が緩やかに砕く。 「そうだねー」 ふたりきりだよね、とは言わなかった。言ってもしょうがないから。 代わりにいつのも軽口。 「世間で見る屋上の青春度合いを考えたら、満員御礼でもおかしくないのにネ」 「いやそんな屋上おかしいから。てかアンタの言うその『世間』は、アニメやゲームや漫画の中のことだろ」 「まねー」 「全く……」 かがみは呆れたように頬杖をつく。 柵に足をかけて遊んでいた私は、その横顔をこっそり覗き見た。 かがみって、きれいな顎のラインしてるなあ。 私はかがみを見るのが好きだ。 そのピンとした姿勢とか歩き方とか。全体的に凛としてるのに、歩くと揺れるツインテールが尻尾みたいで可愛いくて。 モノゴトをきっぱりと言う喋り方も好きだ。キッツいときもあるけれど、かがみのそれは打ち水みたいで心地がいい。 それから、当人はツリ目なのをちょっと気にしてるけれど。 私は、かがみの眼がすごく好きだ。 パッと見は、ちょっと厳しそうに見えるんだけれど。 かがみって、瞳がすごく優しいんだ。 それはかがみのことが好きな人なら、誰もが知ってることだけれど。 でもそれ以外の人は気付かない。 かがみを大好きだと思ってる人にだけ、その瞳が教えてくれる。 かがみが、とても優しい女の子だっていうこと。 「何考えてるの?」 唐突に顔を覗き込まれて、私は変な声を上げてしまった。 「ふぇ!? えっと、ツンデレのすばらしさ? とか?」 あながち間違ってないよね。 「何それ」と、かがみは首を傾げた。まあ、当然かナ。 かがみはまた頬杖をついた。気付いてるかどうかわからないけれど、これはかがみの癖だ。そしてそれは彼女によく似合う。 「空中見て黙りこんでたから、何かと思ったわよ」 「んーとね、ほら、あんまりいい天気だからね」 と、とりあえず返してみたものものの、あんまり考えていなかったので言葉の続きが浮かばない。 さっきの、かがみの顔が急接近してきた時から、心臓の辺りがうるさくなってて。 「いい天気だから、なによ?」 かがみの突っ込みは容赦ない。 むぅ。かがみの所為なのに。 「いい天気、だからさあ……」 だから、猫口を作って、言ってやることにした。 「かがみが可愛いなって」 「はあ!?」 すぐにかがみは真っ赤になって裏返った声を上げた。 本当に期待を裏切らないなあ。 「全然関係ないじゃない!」 「関係あるよ~」 あ、語尾が少し震えた。 今のかがみにバレなかったよね? 大丈夫だよね。 冗談交じりでも、本音を言うのはスリル満点。 私は外を見る振りをして視線を外す。 「だって、いいお天気で、気持ちいい風が吹いてて、二人で景色見てて……」 柵の外の世界に向かって両手を広げ、大きく声を飛ばした。 「かがみが可愛いんだよ? 関係あるよネ!」 「全然関係ねーよ」 はい、その通りだネ。 ナイス突っ込みだ。 期待通りの突っ込みにウンウン頷いていると、隣のかがみが、はぁ、と溜め息を吐いたのが聞こえた。 その溜め息の音がいつもの『うんざり』と言うより、何だか切ない感じに聞こえたから。 私はかがみに顔を向けた。 かがみは空を見てた。 ちょっと物憂げな顔で。なんだかそれが妙に女の子っぽくて。 見とれてしまった。 屋上の柵に上体を載せるように寄りかかりながら、私はかがみをじっと見た。 私のすぐ横の柵の上に、かがみの手がある。 白くて、綺麗な指。 ハートの火が揺れた。 ……手、繋ぎたいな。 手を伸ばしたら、変に思われるかな? かがみのことだから、きっと振り払って怒るんだろうな。 そしたら、きっとかがみが真っ赤になって照れるところが見られるんだろうけれど。 …振り払われるのは、ヤだな。 そもそも、かがみって同性とか、どうなんだろ。 聞いたことないけれど、やっぱ無理かな。 わかんないな。 普段はくっついたりしても、悪い顔してないけれど。 でもそれは『ともだち』だからだよね。 『好き』なんて言ったら、かがみ、困っちゃうよね。 そう考えたら何だか鼻の奥がつんとしたから、慌てて遠くの景色を見た。 太陽は少し傾き始めてきているようで、遠くの街の輪郭がきらきらしてるのが見えた。 「こなた?」 かがみの声。 「んー」 まだちょっと鼻がつんとしてたから、視線を固定したまま生返事をした。 かがみの声が続く。 いつもより、少し優しい音で。 「どうかした?」 こんなときにばっかり鋭くならないでよ。 「……いつもは鈍感のくせに」 「え?」 「んーん、なんでもないヨ」 私はわざとかがみに聞こえないような小さな声で呟いてから、大仰な仕草で手を振った。 それから、にまっと猫口を作って、いつもと同じように笑ってみせた。 「ならいいけれど」 いつも通りに戻った私に、かがみは少しだけ緩んだ声を返す。 そして、思い出したように話を始めた。 「そうそう、昨日ね、つかさがさ――」 私は目を閉じた。 かがみの声は、空気に波紋を作る。 私にしか見えない波紋。 目を閉じると見える。かがみの声で。 優しさの輪郭が、浮かび上がる。 それはきっと誰もが知ってる灯のこと。 本当にシンプルで、ありふれた話。 私は、かがみのことが好きだ。 「――ってさ。本当、やんなっちゃうわよねー」 隣にいるかがみが笑う。すごく楽しそうに笑う。 その笑顔に胸が温かくなるのを感じる。 ハートの火が揺れてる。 結局、手は握れない。 でもふたりで話して、目を細めて笑うかがみに、笑顔を返すだけで、それだけで十分胸がいっぱいだった。 ――でも、いつかそれだけじゃ、満足できなくなる日が来るのかもしれない。 そんな予感がする。 そしたら、私は手を伸ばしちゃうのかな。 『ともだち』じゃイヤだって、私は言っちゃうのかな。 そしたら、かがみはどんな顔するだろう。 その時――それでも――かがみは隣にいてくれるかな。 「本当に、いー天気ね」 そう言いながら、かがみは長い髪を大きな風に揺らす。 舞い上がった優しい彼女の匂いに、少しだけ私は、目を丸くした。 レイニー・レイニーへ続く コメントフォーム 名前 コメント (≧∀≦)b -- 名無しさん (2023-02-28 15 49 08) カワユスなぁ -- 名無しさん (2010-11-15 22 38 45) 二人ともカワイイ (*´Д`) -- ハルヒ@ (2008-06-12 19 07 44) 続き見たいなぁww -- 名無しさん (2008-05-15 23 11 25) 切なくてイイ! -- 名無しさん (2008-05-12 19 26 36) 実にシンプル だがそれがいい。GJ!! -- 名無しさん (2008-05-11 22 09 40)
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少女が歌を口ずさむ。 ふわふわした金髪が揺れるたび廊下に差し込む光をきらきらと散らし、膝丈のたっぷりとしたパニエがその軽い足取りと踊る。街中であれば、通り過ぎる者誰もが愛らしいと微笑ましげに目を細めただろうが、そこは薔薇の近衛隊スペードの搭、中央部に向かう廊下である。愛らしい少女の姿は、モノクロに統一された兵隊の根城で異様に浮いていた。 その異常を誰も呼び止めないことこそ最も異様であることに誰もが気が付いているのに、声をかけられない。まるで少女の歩みを止めるなど畏れ多いとでも思っているかのように、誰もが少女を見て足を止め、ただ見送った。 少女は蜂蜜のように甘くゆったりと歌を口ずさむ。 誰もが愛らしいと褒め称えるであろう理想の少女像。もし芸術家が少女をそっくり絵に描いたならば、民衆はこう酷評するだろう。「こんな酸いも甘いも舐めつくしたような瞳の少女がいるものか」と。 廊下の先に若い男達の集団が見えた。揃ってスペード隊服を身に着けており、立襟にはXの隊章が黒く輝いている。少女は目を輝かせて叫んだ。 「心ちゃん!」 少女がたたっと軽い足取りで一直線に男達に駆け寄る。男達はぎょっとしたがもちろん少女は気にもしない。その勢いのまま、集団の中でも一際目立つ銀髪の男、西園寺心に飛びついた。心は何なく少女を受け止める。 「っと。ここまでひとりで来たのか」 「うん! ぼく良い子だからひとりで来れるんだよ、えらいでしょ」 「うーん、偉いやつはひとりで侵入しないんだよなあ」 「侵入なんかしてないもん。ちゃんと堂々と正面から入ってきたもん」 「能力使って、堂々と?」 少女はにこりと微笑む。天使もかくやの微笑みだ。心がため息をついて、スペード塔の警備と防衛の見直しが確実になったことを嘆いた。 「ねえ、神は今日いる?」 「いるぜ。この時間ならいつもの執務室」 「連れてって!」 甘えて両手を伸ばす少女を、はいはいと片腕で抱え上げる。わあい高いと喜ぶ少女は天真爛漫で、見る者の気持ちを和ませる。 つい微笑ましげに見守っていた男たちは、はたとようやくその異様さに気づき、目配せしあった。 えっ今この子能力使ったって言った? 侵入者じゃん。いやでも心さん知り合いっぽいし。ていうかどんな関係だよ。隠し子? まさか。お前聞いてみろよ。やだよ俺。じゃあ俺がします。まじか勇者かよ。どうぞどうぞ。 無言のうちにそんなやり取りがなされたかどうか分からないが、口火を切った勇者は、スペード10番隊の中でも一番若い有望株であった。 「心さん、その子は…ご親戚ですか。可愛らしいお嬢さんですね」 勇者は当り障りのない言い方をした。その異質な少女とスペードの10番がどのような関係であろうと不況を買うことのない良い話しかけ方だ。しかも最後に少女をあげることを忘れない。さすが勇者、俺たちにできないことをやってのける。そこにしびれる憧れる。お前将来出世するぜ。男たちは年若な勇者を内心で褒め称えた。心は苦笑する。 「あー。こいつ、こんななりだけど俺の同い年だし、おと───むぐっ」 おないどし。 今同い年って言った? この幼児向け少女漫画みたいな絵面の子と? 気風もノリもいいけど訓練は鬼と定評のある西園寺隊長が? 同い年ってなんだっけ。定義の崩壊。 心の口を容赦なく塞いだ抱え上げられたままの少女、諏訪悠季は、その高さから男達を見下ろして目を細めた。 「はじめまして、雑兵ちゃんども」 小首を傾げた微笑みと、ロリポップのように甘く弾んだ声が、男達に容赦なく圧し掛かった(・・・・・・)。男達は青褪めた。ただ声をかけられただけだというのに、ひどく───光栄なことのように思えてならないのだ。 「お近づきのしるしに、軽々しく悠季ちゃん様って呼んでもいいよ」 表も裏も少女を極めた何かが、二回り以上も大きい体躯の男たちに当然のように“赦しを与える”。この少女は───いや、これ(・・)は、いったい“何”だ? 「悠季さーん。やめてやってくれねえ? そいつら俺の可愛い部下なんだわ」 「ちょっとご挨拶しただけだもん」 「挨拶が物騒なんだよ。なんで女王型って初対面でマウントとろうとするかな」 「ひどぉい! ね、ぼくさまそんなことしてないよね? みんなもそう思うでしょ?」 男達は自然と「はい」と口について出そうなところを、すんでのところでこらえた。 同調圧力、という言葉が男達の脳裏をよぎる。本来であれば多者の意見に少数の者が合わせられることを指すが、こと能力者界隈においては女王型能力者に付随する傾向のひとつを指すことが多い。 能力者は、個人特有の能力と型によって共通する基礎能力のふたつを持ち合わせている。例えば白ウサギ型ならば身体能力が高く、帽子屋型ならば道具の扱いが上手い。基礎能力は遊力量や練度によって落差はあるものの、大概の能力者が生まれつき持ち合わせている天賦の才だ。 女王型能力者には「カリスマ性」という共通性がある。発言力がある、求心力がある、説得力がある―――いずれにせよ女王型は他者を従えやすく、それを「同調圧力」と呼んだ。 心の部下のひとり、先ほど勇者と称された若い男も女王型の能力者であった。若くして10番隊に選抜され、女王型能力者として評価も高い期待のルーキーだ。 彼は、同期に比べて自らの同調圧力が強い方だと自負している。自分の言った意見が通りやすかったり、賛同してくれる人が多かったり、集団生活においてこれほど有用な能力もない。彼は子供部屋でも訓練生時代でもおおいに同調圧力を利用してその恩恵に預かってきたし、いつだってクラスの中心にいた。 もちろん、どんな意見でも通るわけではない。論理、倫理、妥当性、規律性、それらが欠けていれば賛同を得られないのは当然であるし、トランプに入隊してからは上司にも先輩にも殆ど同調圧力など通用しなかった。トランプでは他者へ影響を及ぼす能力に抵抗する訓練もあるし、そもそも遊力が強い者や練度の高い者には基礎能力が影響しにくいためだ。 それを身をもって理解するまで学生時代の鼻高々の気分が抜けなかった新人は、入隊当初、愚かにも西園寺心に対してマウントを取ろうとしたことがある。 何せ西園寺心は明るくて気安く、上司からも部下からもからかわれながらコミュニケーションをとるような気さくな男だったので、若者はつい、調子に乗ってしまったのである。平たく言えばナメてかかった。 こんなやつでも実働部隊トップのNo.10になれるのかと高をくくり、少し自らの力を見せつけてやろうだなんて思ってしまった若者は、ある日とうとうやらかした。西園寺心に、同調圧力をかけたのだ。 結論。心はものともしなかった。 同調圧力をかけられたことに気付いた心は、「お」と面白いものを見つけたような顔をして、叱責することもなく圧力を流し、何事もなかったように振る舞った。器が違う。高い鼻がぼきっと折れる音がした。 その後、何故か若者は10番隊への異動が決まった。大出世である。推薦したのはなんと当の西園寺心だった。 「その気概を買ってやるよ、新人くん」 獰猛にからりと笑った西園寺心に、若者は痺れた。 ───この人、めっちゃかっけえ。 それ以来、若者は従順に心の部下として付き従っている。女王型能力者として、いつか必ず心さんを越えて、従えてみせる。そんな懲りていない、邪ながら真っ直ぐな目標で、若者は日々鍛錬を積んでいる。高すぎる鼻は折れたが誇りは折っていない。女王型として能力は誰にも負けぬよう日々を研鑽していたが、今日、若者は初めて高すぎて目の前が暗くなりそうな壁というものにぶつかった。 一見幼いだけの子供が、筋も論理もないことに同意を求めているだけだというのに、ひたすら盲目的にYESと肯定したくなってしまう現状。若者は歯噛みした。まるで蛇ににらまれた蛙のように、女王型として圧倒された。マウントをとり返すどころか、従わないように抗うだけで必至だった。 どのくらい時間が経っただろうか。おそろしく冷たい狭間を静かな声が割り砕いた。 「悠季」 心の金色の瞳が少女を捉える。それは冬の朝、猛禽類が獲物を狙う時の張りつめた静けさによく似ている。これ以上己の部下を脅かすのならば容赦はしないと、鋭い瞳が物語る。 「はぁい」 蜂蜜のような声で、悠季はその圧力を解いた。心に抱き上げられたまま、にこにこと機嫌よさげに心の頭を撫でる。 「うんうん。心ちゃんはかっこいいねえ。いいこいいこ」 「はいはい、どーも」 「ぼくさまはねえ、心ちゃんのそうゆうとこ大好きだよ」 「俺はお前のそうゆうとこ、あんま良くねえと思う」 「んもー、この正直者っ! そこがいい!」 悠季ががしっと心の頭に抱き着き、ふと男たちを見た。 「きみたちも。さすが心ちゃんの部下だね。ぼくさま、けっこう本気出したのに」 にこりと小さな暴君が笑う。 「とくに、きみ」 鈴の音のような声が、ひとまわり低くなる。深い瞳が、少女の皮を被った何かが深いところから覗き込んでくる。 「きみ、女王型でしょ。まだ折れたことない女王の子はたいてい噛みついてくるんだけど……もう、誰かさんに折られたんだね」 ひゅ、と息を飲んだ。うっかり情けない声が出なかったのはもはや喉がカラカラに乾いていたからに過ぎない。悠季がにこりと微笑む。 「うんうん、気に入った! これから何か困ったときはぼくさまに頼ることを許そう。存分に、困り果てると良いよ」 はいこれ名刺ね。渡されたものを反射的に受け取る。ありがとうございますとか言った気がするが、何を言ったかはもう覚えていない。早く、この少女の目の前から消えたいとそればかりを願ってしまう。その思いが通じたのか、心が助け舟を出した。 「早く行かねえと霧島いなくなっちまうぞ」 「たいへーん! はやく神のとこ連れてって!」 「わーかったって。耳ひっぱんな」 じゃあ後はよろしくな、と心は少女を抱いて廊下の奥に去ってゆく。 男達は誰からともなく、背中の奥から出るような深い息を吐いた。気を抜いてその場にしゃがみ込んでしまいたいくらいだったが、スペード10番隊としてのプライドがなんとか彼らを支えた。 「なんだありゃ……」 誰かが呟いたひとことに、今の全てが詰まっていた。 何だかよくわからない。得体が知れない。どこに琴線があるかわからない。トランプに所属してからそれなりに色んなモノに遭遇してきたが、これはとびっきりの厄ネタである。 心のひとつ年上の男が、慰めるように青年の肩を叩いた。 「おまえ、あの人見たの初めてだったか」 「初めてです……有名な方ですか?」 「俺らの世代では有名だよ。子供部屋に入学してすぐ、最上級生のトップ女王をノして君臨したちびっこだから」 「ガチの天才じゃないですか」 「天才だし、天災だよ」 こちらの意をものともせず理不尽に降りかかる天気みたいなものだと思ってた方が気が楽だぞ。男が目を遠くして言った。たいへん実感のこもった含蓄のある言葉だった。 「卒業してすぐ起業したって聞いたけど、今あの人何やってんだ?」 わらわらと男たちが名刺を覗き込む。 『紹介屋 ゆびきり しょちょお 諏訪悠季』。 裏面には愛らしい丸文字で『ぼくさまがなんでも言うこと聞いてあげる券♡』と書いてあった。 「……」 沈黙。 「……おまえすごいの貰ったな」 喜んでいいのか嘆いていいのか、全く判別がつかなかった。 これ、どうしよう。若者の苦悩はこれから始まる。かもしれない。 スペードの10番が少女を抱っこしてスペードエースの執務室を訪問するという珍事に対して、神の反応はわりと普通だった。 「うわ」 神にしては何やら珍しい声をあげ、心底面倒そうな顔を隠しもしなかったが、まあ普通の範疇だろう。悠季が心の同期ということは、神の同期でもある。諏訪悠季と霧島神は子供部屋において仲が良かった。率直に言えば、諏訪悠季というスクールカーストトップのお気に入りの一人が神だった。神も神で、諦めか打算か絆されたか、さして文句も言わずにその立ち位置に甘んじていたのだから、仲が良かったと言っていいだろう。 子供部屋を卒業した後、心と神が薔薇の近衛隊訓練生に志願した一方で、悠季は早々にひとつの事務所を起業した。古いアパルトマンのこじんまりとした一室に掲げられた看板は『紹介屋 ゆびきり』である。看板の下の方には手書きの丸文字でこう記されている。「なんでもかんでも紹介します」「紹介料 あなたのお気持ち お菓子も可」。怪しいにも程があった。 数か月と持たず閑古鳥が鳴くと思われたが、何故かわりと繁盛した。店の噂にどのような尾ひれがついたのか、「今日の献立を紹介してほしい」とか「交際相手を紹介してほしい」とか、中にはちょっと言えないことまで、店を訪れる相談客の足は絶えない。 そして、このように悠季が神や心を訪問するのは、トランプ隊への紹介であることが多い。つまり、たいがい面倒事である。 神は何度目かになるため息をついて、未決裁書類の山に別れを告げた。残業確定である。備え付けのソファにちょこんと座ってぷらぷら足を揺らす悠季は、茶請けに出されたマドレーヌをリスのように頬張っている。神はその向かいに面した一人掛けソファに座って足を組み、肘かけに頬杖をついた。客に対して礼儀がなってなかろうが、無断で侵入してきたやつに払う礼儀などないのである。 執務室の扉の前で手を背で組み、律儀にも兵隊らしく待機している心に視線をやってこちらに来るよう促す。あ、仕事モードじゃなくてもいいやつ?と言わんばかりに心の雰囲気が緩んだ。心も一人掛けのソファにくつろぎ、マドレーヌに手を伸ばす。さて、楽しくもない同窓会の始まりである。 「で、今日はどういう厄介を持ち込んできた?」 「あれ、今日は素直にお話聞いてくれるんだね」 「聞かなかったところで巻き込まれるのは目に見えてるからな。最初から知っておいた方がマシだ」 んふふ、と悠季が上機嫌に目を細める。 「能力者専門のメンタルセラピスト、トランプにいるよね」 「よくご存じで」 「紹介してほしいの」 「経緯と患者の状態による。普通の病院でだめな理由は?」 「タロットが関わってるかもしれない案件だから」 ぴり、と部屋に緊張が走った。 タロット。大規模犯罪シンジケートの名称である。その規模は広く深く、何人捕縛しても全貌を知る者はいない、未だ謎の多い組織だ。トランプにとっても、タロットは頭の痛い存在だ。なにせ市中において起こる事件の裏でタロットが手を引いている事は少なくない。 「ルーアン地区郊外に、大きい洋館があるの知ってる?」 これに頷いたのは心だ。そこは元々、マールブランシェという貴族が所有していた洋館であった。マールブランシェ家は王家の覚えもめでたき由緒正しい家柄であったが、いつからか、とんと子宝に恵まれなくなった。ようやく子が産まれても、年端もいかぬうちに夭逝する。それならばと養子を取っても、若いうちに不幸な事故や病に倒れた。 彼らは半狂乱になった。もはや呪いか、崇りか。あらゆる手をつくしたが、どうしても子に恵まれることができない。家臣も従者も気味悪がって次々と家から去って行った。 マールブランシェ家はあっと言う間に廃れた。最後の当主はひとりきり、御年52でこの世を去った。心労のためか、まだ初老だというのに髪は白くなり、痩せぎすで、まるで老人のようだったという。それが数年前のことだ。 「当主が亡くなってからあの家どうなったんだ? 空き家か?」 「亡くなるちょっと前から売りに出されてたらしいよ。でもそんな曰くつきのある家でしょ、ずっと誰も買わなかったんだけど」 3か月前、ある男が館を購入したいと名乗り出たという。 曰くつきの館を持て余していた管理者は、男にここぞとばかりに飛びついた。曰くつきとはいえ、立派な館である。当然それなりの額であったが、男は気前よくその場で全額を管理者に支払い、館を購入した。そんなことが出来る資産家であれば有名であってもおかしくないが、不思議なことに男の素性はわからなかった。 「ずいぶん派手な身なりだけど、優しそうな人だったみたいだよぉ。それ以上は個人情報とか言って、管理者さんも教えてくれないの」 あれは裏でコレでも貰ってるんじゃないかな。悠季が親指と人差し指で丸を作り、少女然とした姿には全くそぐわない顔でにやりと笑う。 「ま、そんなのはどうでもいいんだけど。そこからが問題で」 妙な事に、男はほんの1週間もしないうちにまた管理者を尋ねてきて言った。 あれは自分の手には余るから、知り合いに譲ることにした。多くの人が出入りするだろうが、詮索はしないほうがいい。 そう告げて、男はルーアン地区から去って行った。詮索するな、という忠告を不振に思った管理者は、それからこっそりと館を訪れた。男が言った通り、多くの人間が館を出入りしている姿を遠目から確認している。 「それが、なんと地域でも有名なこわーい人たちだったんだって」 管理者は驚いた。館を購入した優男とその荒くれどもに繋がりが見えなかったからだ。しかし、忠告通りそれ以上詮索することはしなかった。ルーアン地区で名を馳せているならず者はタロットの傘下であるとまことしやかな噂があった。わざわざ危うきに近寄ることはない。管理者は見なかったことにして、その場を立ち去った。 館はならず者の根城になった。これに困ったのがその近隣の住民たちだ。治安の悪化を恐れた彼らは、どうにかしてくれと管理者に訴えた。管理者はそれを突っぱねた。すでに所有権は奴らに移っているため、自分にはどうすることもできない。もはや自分には関係ない。そう言われてしまえば、住民たちは頭を抱えるしかない。自警団に助けを求めても、まだ問題が起きていない状況では相手にもされなかった。戦々恐々と日々を暮らしているうちに、奇妙なことが起こった。 毎日出入りしていた男達の姿が消えたのだ。 館を捨てたのかと思えば、それも違う。夜になれば館の窓から明かりが見える。それなのに出入りしている様子が見られない。館に入ったきり出てこなくなったのだ。住民たちはこれはどうしたことだろうと首を傾げた。しかし大人しく過ごしてくれるのであれば問題はない。訝しく思いながらも、平穏な日々をすごしていた。 事が起きたのは2日前の事だ。ひとりの男が館から飛び出してきた。男は血まみれになりながら、半狂乱で叫びながら街を駆けずり回った。通報を受けた自警団が何とか男を鎮静化させたものの、男は譫言を言うばかりで全く話にならない。館の話を聞き出そうにも、館の名を出すだけで途端に怯え出し、また叫び始める。お手上げだった。 「で、どうにかしてくれる人を紹介して欲しいって、僕様ちゃんに依頼が来たってわけだよ」 悠季が3つ目のお菓子に手を伸ばす。心が顎に手をやり考えるように言う。 「そいつ、今どうしてるんだ?」 「んふふ。聞きたい?」 「え? うん聞きたい」 「こ・こ♡」 悠季がポシェットから飴玉を取り出す。包み紙が両端でねじられている何の変哲もない飴玉だ。しかし、それを見た瞬間、心も神も顔をひきつらせた。 悠季の能力【CANDY CANDY】の効力は多岐にわたるが、その中でもこの【ラッピング】は単純ながらになかなかエグい。子供部屋の卒業間近、神と心が些細なことをきっかけに殺し合───喧嘩になった時、今と殆ど変らぬ少女然とした悠季が「もう、悪い子はしまっちゃうんだからね!」と、突然大きいカラフルな包み紙をどこからともなく取り出し、神と心を“包んだ”。 巨大な包み紙がしゅるんと軽やかな音を立ててふたりを覆って消えると共に、神と心はこの世界から姿を消した。 代わりに悠季の手のひらには、可愛らしい飴玉がひとつ転がっていた。 包まれていた間、彼らがどこに行っていたのか、何をしていたのか、神も心も何も語らなかったが、今でもふたりの意見は変わらない。「二度と経験したくない」だ。 神が頭痛をおさえるように額に手をやる。 「話はわかった。タロットが関わっているというのは、館を買った男のことか?」 「ごめーさつ! 管理者さんは口を割らなかったけど、その奥さんがとぉってもお話し好きな人でね。なんでも『綺麗な顔立ちの男で、鎖骨の下にちらりと見える逆さ薔薇のタトゥーがセクシーだった』って」 悠季が自分の鎖骨あたりを指す。逆さ薔薇のタトゥー。知る人ぞ知る、タロットの構成員が身体のどこかに彫っているという烙印である。 「どーお? 紹介料くらいにはなった?」 神がふう、と息をつき、くるりと左手を翻した。いつの間にか手の中に現れた1枚のカードへ万年筆で何事か書きつけると、そのまま鋭く投げる。悠季は難なくそれを指で掴み、カードを眺めた。 トランプカードだ。絵柄はハートのQ。黒字で神の役職と名前が書かれている。 「ハートのクイーンさん?」 「遊び手による精神侵害の治療でそいつの右に出る者はいない。それが紹介状代わりだ。連絡はつけておいてやる」 神はそう言って、ソファ横に飾ってあるアイアン製の帽子掛けのような家具に手を伸ばした。アイアンの支柱にはツタ状の葉が茂っており、そのつるの所々にいくつかの花蕾が頭を垂れている。曇りガラスのような質感の、ランやユリに似た花だ。神がそのうちのひとつの蕾をなぞると、ふるりと花が開き、淡く輝いた。 「心ちゃん、あれなぁに?」 こっそりと悠季が心の耳に顔を寄せる。 「ベルユリのことか? トランプ内の連絡手段でな、話さなくてもあの花に触れてれば意思疎通ができる」 「本物の植物?」 「そ。遊生植物ってやつ」 遊力を糧に成長する植物の総称だ。通常の植物よりも生態が広く、花屋に普通に売っているものから、危険と言われているものまで様々な種類があり、未だに毎年新種が見つかっている謎の多い分野である。 中には根っこを足にして全速力で追いかけてくる遊生植物もあるとかないとか。 悠季にしてみれば、動く時点で動物じゃないかとも思うけれど、偉い学者さん曰く植物に分類されるらしいのだ。例え追いかけられた後に遊力を搾り取られては無理やり栄養を与えられ回復しては遊力を絞られるの繰り返しで死ぬまで生餌にされるとかいうA級危険遊生生物だったとしても、植物らしいのだ。うんもう定義なんか知らん。 「ベルユリ自体はどっかに自生してるらしいんだが、それになんか加工するとなんかガラスみたいになって、遊力を込めるとなんか使える」 「すごい、なにひとつ伝わってこない」 「そんなもんだろテクノロジーなんて」 からからと心が笑う。このベルユリは持ち歩きも出来るうえに、ベルユリの本株から場所の探知ができるらしい。動きを見張られてるみたいで微妙だよなあと苦い顔をする心の隊服の内ポケットから出てきた曇りガラス状の花蕾を見て、GPSじゃん、と思わず零した悠季の呟きは幸運にもシャリン、という美しい音に遮られ、心には届かなかった。 音の出元は神の手元だった。会話が終わったらしい花弁がそっと閉じていく。 「ハート隊と話はつけた。今から会えるそうだ」 「わーい、話がはやぁい」 「西園寺、案内」 「ええ、俺? 正直あそこ苦手なんだけど」 「お前がこの書類の山を片付けてくれるなら俺が行く」 「喜んで行かせていただきまーす」 あまりにも変わり身が早かった。じゃあさっそく行くか、と心が立ち上がる。 「またね、神!」 ソファからぴょんと降りて、にこにこと手を振る悠季に神はひら、と手をあげるのみだった。 パタリと閉じた扉。ひとりになった執務室で、神が深くため息をつく。 厄介なことになりそうだ。悲しきかな、こういう勘は外れたことがない。今のうちにいくつか根回ししておくか、と再度ベルユリに手を伸ばす。 嫌な予感を払拭するには神頼みも有効だが、あいにく神は無神論者だったので、代わりにあの小さな暴君にでも祈っておくことにした。 せめて巻き込まれるのは俺じゃありませんように。西園寺を生贄にしてもいいので、どうか。