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「はー!疲れたぁ。」 カレー、ご飯、丸パン、そしてアイスをたっぷり食べて、みんなでゲームをやって、撮影が終わった。 盛り上がりすぎて少し時間が押してしまったから、とりあえず一度千聖とコテージに戻った。 「元気な人は後で舞美たちの部屋に集合!」なんてまだまだ元気な舞美ははしゃいでたけど、うちらはどうだろうか。 今日はいろんなことがあって疲れてしまったから、ちょっと厳しいかもしれない。 私はベッドにダイブして、お隣の様子を伺った。 「千聖?寝るなら着替えた方がいいよ。風邪引いちゃうからお布団入って。」 「んー・・・」 千聖は私服のワンピースのまま、小さく丸まって横になっている。喋るのも面倒なのか、完全に生返事だ。 「ほら、千聖。」 しかたないなあ。私はもたもた起き上がると、千聖のベッドに移動した。 「着替え手伝うよ。はい、バンザイして」 背中のリボンを緩めて、頭側からガバッとワンピースを脱がせる。 あらあら、今日のおブラは白ですか。薄いピンクのフリルが可愛い。 仕事上、メンバーの下着姿なんて見慣れているけれど、わざわざ自分で脱がせたりなんだりするのはやっぱりちょっとドキドキする。 「パジャマ、バッグに入ってる?」 「・・・」 返事がない。目を閉じたまま、むにゅむにゅと口だけが動いている。寝言モードにまで入ってしまってるなら、これは当分起きそうにないな。 私は千聖のかばんを探った。前みたいにTシャツ短パンが入ってるのかと思いきや、 「・・・ねぐりじぇ。」 丈の長い、薄いブルーのお姫様みたいなお召物が鎮座していた。なんだこれは。パフスリーブとプリーツが可愛らしい、いかにも高そうな柔らかい素材だった。舞美が好きそう、こういうの。 「えーこれ、どうやって着せたらいいんだろう。」 私もネグリジェは何枚か持っているけれど、こんなお値段の張りそうなのは持っていない。きっとママにおねだりしたか、お小遣いをためて買ったんだろう。これは、間違っても破いたり汚したりしたくない。 かといって、このまま下着で放置するわけにも・・・ええい、仕方ない! 私は自分のバッグから、パジャマ代わりの水玉のガウンを取り出した。 これなら着脱も簡単!腕を通して、帯を締めるだけ。 あっという間に着替えを終わらせて、掛け布団をかけてあげれば、千聖の就寝準備は終わりだ。 あ、私?私は、前になっきぃからもらったミカン野郎Tシャツがあるから大丈夫!LED発光だから暗闇でも光るよ! 本当はお昼の続きをしたかったけれど、疲れた千聖を起こしてまでやることじゃない。こんな風に、寝顔を眺めてるだけでも満足。 “えりかちゃんは、ちっさーのことが好きなんだよ” 「いやっ、そんなわけない!違う違う!」 さっきの栞菜の妄想劇場を、必死で頭から振り払う。 私ももう17歳。恋というのがどんな感情なのか、さすがに理解しているつもりだ。 恋っていうのはもっと、甘くて苦くて切なくて苦しくて、心が張り裂けそうなものだ。 千聖にエッチなことするときに生まれる感情は、そんなんじゃない。 正直千聖のちっちゃくてふにふにした体はとても抱きごこちがいいし、ずっと腕の中に閉じ込めていたくなってしまうのは否めない。あの子供みたいな顔が気持ちよさにとろけていくのを見るのも好き。お嬢様のくせに、びっくりするほど色っぽい声を出すのもなんかいい。 でもそれはドキドキじゃなくて、どちらかといえば和みや癒しの感情に近いと思う。だからこれは恋じゃない。恋であってはいけない。 “そういう愛の形だってあるんだよお姉ちゃん” 「ああーうるさいうるさい!お黙り、栞菜!」 私は脳内で語りかけてくる栞菜を追い払って、シャワーを浴びにいくことにした。 家から持ってきたバブルバスの素で、浴槽をもっこもこにする。大好きな薔薇の香りがただよい始めて、ちょっと興奮していた私の心も落ち着いてきたみたいだ。 ピンクの泡に体を沈めて、しばし考え事にふけることにした。 どうしようかな、これからの私と千聖のこと。 栞菜はおかしなことをいいつつも全面的に私の味方のようだし、愛理も面白がってはいるものの、千聖が決めることだと言っていた。 舞ちゃんはあんなことを言ってるけれど、実際に私たちが何をしているのかわかっていない。ていうか、中学1年生の女の子の考えが及ぶような行為じゃない。多分。舞美はもっとわかってない。 なっきぃとは結局あの後じっくり話す時間が持てなかったから、誤解を解くことも意見を聞くこともできてない。 本当になっきぃの言うように、私のしていることが千聖にとってよくないことなら、それは即やめなくちゃいけないとは思う。 でも私の本音を言えば、しばらくこの関係を続けていたい。 千聖を救って癒してあげる行為だと思っていたけれど、本当に心を癒されているのは私の方かもしれない。 “えりかちゃんは、ちっさーのことが好きなんだよ” 「・・・・わかんないよ、そんなの」 さっきまでは、違う!と否定できた脳内栞菜の囁きに、今は即答できない自分がいた。 戻る TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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前へ 「千聖。ちょお~っと後ろ向いてて。」 肩を掴んでくるりと反転させると、私はおもむろにワンピースを脱ぎ捨てた。 「これ、使って。」 後ろから手を回して、自分がつけていたブラを千聖の胸にあてがう。 「えっ!で、でも、これ・・・えりかさんの・・・」 「大丈夫。私は、えーっと、よく考えたらもう一枚持ってた!だから気にしないで、つけて?」 背中のホックを止めてあげる間、ちょっと下に首を傾けて大人しくしてくれる姿が可愛らしい。 もし本物の妹がいたら、こういうふわふわした子がいいな。 お嬢様の千聖はこちらが困ってしまうほど従順で柔らかくて素直で、何でもしてあげたくなってしまう。 ああ、こんなに可愛いならもっと早く新しい千聖と接しておけばよかった。 一人で悶々としてる時間は無駄だった。 私はどうも、考えすぎて二の足を踏んでしまう傾向があるみたいだ。 私だけはみんなと千聖を客観的に見守るだなんて単なる口実で、結局ヘタレえりかだから千聖から逃げていただけだったんじゃないか。 これからは、もっとこっちの千聖とも積極的に関わっていこう。可愛いし。 「んー・・・ちょっと、アンダーが、緩い?あんまり動かなければ平気かな。」 体格差がかなりあるから仕方ないけど、最近お菓子の食べすぎを自認している身としてはちょっとへこまされる。 胸の形を整えてあげて、洋服をかぶせると、見事なお椀が2つできあがった。 「おぉ~いいね!千聖、隠すよりこうした方が絶対いいよ。女らしくて綺麗。」 「そ、そうですか。あの、ありがとうございます。」 もともとブラに備わっているぬいつけパット的なもののせいで、立派なおっぱいがさらに立体的になっているのは仕方ない。(舞美のに比べたら偽装にもならない程度!) 「えりかさん、本当にいろいろご迷惑をかけてしまって。」 「いいって~キュートの仲間じゃないの。これからも何でも言ってよ。」 「はい。」 前の千聖も、今の千聖も、やっぱり笑顔が抜群に可愛い。 この顔を見せられると、つられてにっこりしてしまう。 皆がお嬢様千聖に甘くなってしまうのがなんとなくわかる気がした。 楽屋に戻るとすぐ、私はマネージャーの元へ急行した。 「ちょっと、お耳を拝借・・・・」 「・・・・というわけなんだよ、なっきぃ。いろいろ心配かけてごめんね。」 衣装合わせを終えた私は、なっきぃを誘って、隅っこの方で私と千聖の空白の数十分について説明をした。 目線の先には、胸元を押さえてうらめしそうにこちらを見るマネージャー(巨乳)。 「う~ん。それはいい話だねといいたいところなんだけど、1個言ってもいい?」 「はい。」 「別に、えりかちゃんが千聖にブラジャー貸す意味なくない?その行動ムダじゃない?えりかちゃんはそのまま自分のブラつけてればよかったんじゃない?」 「うっ」 「ていうか、すぐ近くにスーパーあるんだから買いに行けばよかったと思うんだけど。何もマネージャーから剥ぎ取らなくても。頼んでくれればなっきぃが行ったよぅ。」 「ぐっ」 「もーびっくりしたよ。えりかちゃんいきなりマネージャーに脱いで!とか言い出すんだもん。ちょっと冷静になればさぁ・・・ってえりかちゃん!そんなへこまないでよぅ。」 「1個じゃなくていっぱい言ったね・・・」 本当におっしゃるとおりすぎて、さっきまでの得意げな気分はしぼんでしまった。 要領がいい悪い以前に、判断がめちゃくちゃじゃないか、私。 いつもより心もとない胸元に、余計に風が吹きすさんだ。 「ごめんごめん。なっきぃつい言いすぎちゃうね。でも、千聖が嬉しそうだからこれで良かったんだと思うよ本当に。うん。それに、えりかちゃんが千聖のこと気にかけてたってわかってなっきぃも安心した。」 「・・・本当?」 なっきぃが指差す方向を見ると、ちょうど千聖がサイヤ人のような衣装を合わせているところだった。私となっきぃの姿を確認すると、軽く手を振ってきた。 「明るくなったよね、お嬢様。きっとえりかちゃんのおかげだよ。」 「なっきぃ・・・」 お姉ちゃんみたいな口調でなっきぃに励まされて、じんわり胸が熱くなった。 「あーでも、あの胸はちょっとヤバいね。えりかちゃんのパットのせいだ。キュフフ」 「・・・もうしわけありませんでした。」 数日後、私のプチ偽装ブラを気に入ってくれた千聖が、ライブトークの時にまでそれを装着して【ロケットおっぱい】【メロンπ】【( 三 ) 】などと話題をかっさらうことになったのはご愛嬌。 次へ TOP
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冬の寒い日。 わたしは自宅の近くの公園で一人、本を読んでいた。たまに、こうして外で本を読む。寒いけど空気が気持ちよく、気分を入れ替えることができるから。 「あっれー!?そこにいるのは有希っこかい?」 「あ……鶴屋さん」 長い髪の綺麗な女性が立っていた。鶴屋さん、とても明るくてかわいい性格をしていて、少し憧れてしまう。 「なにしてるんだい?こんなに寒い中で読書かい?相変わらずの本の虫っぷりだねぇ!!」 ゆったりとした空気の寒い冬に、ほんのりとあたたかい陽が射したような感じ。鶴屋さんと喋ると世界に明るい色がつくような感覚を覚える。 「一緒に読む?」 わたしは尋ねた。たぶん返ってくる返事はNO。だけど聞いておくのが人間の礼儀。 「いやいや!あたしは遠慮しとくっさ!それより有希っこ、一緒にご飯食べにいかないかい?あたしが奢るからさ!」 わたしは少し考えた。確かに昼食はまだ食べていない。でも、わたしなんかと行って鶴屋さんは楽しいのだろうか? 「……わたしと行って、楽しい?」 鶴屋さんは笑顔を満面に浮かべて答えた。 「あったりまえさぁ!有希っこはかわいいし見てて飽きないさっ!……そだっ!今日はあたしのこと《お姉ちゃん》って呼びなっ!あたし一人娘だから妹が欲しかったのさ!」 お姉ちゃん?わたしが……妹?それもいいかもしれない……。 「お姉……ちゃん」 「よしっ!決まりっさ!じゃあご飯食べにいこっ!」 そういってわたしは《お姉ちゃん》に手をひかれ、店へと連れられて行った。 着いた所はカレー屋だった。……高そうな。 「有希っこはカレーが大好きなんだよねっ?あたしが出したげるからたっぷり食いなっ!にゃはは~、一日姉妹サービスさっ!」 わたしは厚意に甘えることにした。姉妹とは、遠慮などしない気兼ねないものだと本で読んだから。 「ありがとう」 《お姉ちゃん》は笑顔で頷いて店に入り、ごちそうしてくれた。二人で二皿ずつ食べた。……おいしかった、また来よう。 「さてっ!おなかもいっぱいになったし……うちに行こうかっ!」 どんな理屈でそうなるのだろうか。その辺りはよくわからないが、わたし頷いて《お姉ちゃん》の隣りを歩きだした。 「姉妹は仲睦まじく手を繋ぐにょろよっ!」 と言われて、手を繋いだ。冬なのにあったかくて、わたしよりちょこっと大きな手はとても安心できた。 「有希っこの手はやっぱりちめたいねっ!名は体を現すってやつだね、あははは!」 暖かい手と冷たい手。全然似てない二人が今日だけは姉妹というのはなんだか不思議。しばらく手を繋いで歩くと、見たことのある道に。 文化祭で映画を撮ったときに通った道。鶴屋家が近付いてきた。 「ささっ!入った入った!今日は遠慮は無しだよっ!」 言われるままに門をくぐって屋敷の中に入る。いつ見ても大きい家だ。 「ここに連れて来たのはあたしの着物を有希っこに着せたかったのさ!とっても似合いそうなのがあるからねっ!」 ……着物?わたしでも似合うのだろうか?身長も少しわたしの方が小さいから合わないように思うが、言われるままに着せてもらうことにした。興味があったから。 出してもらった着物は、紺を基調とした雪の結晶の模様がちりばめられた物だった。 とても綺麗な着物で、わたしにはもったいないくらいの物だ。 「ほらほらっ!ボーッとしてないで早く服を脱ぐにょろよっ!」 と言われたが、自分から脱ぐ前に脱がされる。部室での朝比奈みくるの気持ちがとてもよくわかる。 そのまま手慣れた様子でわたしは着物を着せられた。 「うわおぅ……こりゃまた予想以上に似合ってるねぇ……。有希っこ!写真撮らせてもらうよっ!」 そのままどこからかカメラを持ってきて、何十枚と写真を撮られた。その時、インターホンが鳴った。 「お姉ちゃん……お客さん」 「いーのさっ!来たらこっちに通すように言ってあるからねっ!」 シャッターを切りながらそう返事をされた。こっちに通すということは知り合いなのだろうか。 「鶴屋さーん、来ましたよ……って、長門ぉ!?」 わたしが見た視線の先には彼と、朝比奈みくるの姿があった。 「ふえぇ……長門さん、綺麗……です」 二人とも表情と態度から驚いているのがわかる。そんなにわたしは変わったのだろうか?鏡を見せられていないから自分ではわからない。 「やぁやぁ!キョンくん、みくる、ここにいるのはあたしの一日妹、有希っこだよっ!」 二人に紹介する必要は無いのに、やけにうれしそうに紹介していた。 「そだっ!みんなで有希っこの写真撮って、誰のが一番よく撮れてるか見せ合いっこするさっ!いいよねっ?」 《お姉ちゃん》がわたしに同意を求めて来たので、頷いて答えた。 しばらくは部屋の中で、三人からいろんなポーズをとらされながら写真を撮られていたが、しばらくすると彼が唐突に口を開いた。 「長門、ちょっと庭に出てくれないか?」 少し疑問に思ったが、わたしは戸を開けた。 雪が降り始めていた。一つ一つが大きく、ゆっくりと舞い降りてくる雪。 わたしは空を眺めながら雪の一つ一つに見とれていた。 不意に聞こえるシャッター音。 「その表情もらったぜ、長門」 彼がわたしにカメラを向けていた。他の二人も同じように再び写真を撮り始めた。 しかし、雪が舞い降りる中では着物だけはとても寒かった。 「お姉ちゃん……寒い」 わたしが《お姉ちゃん》と呼んだことに二人は驚いていた。だけど、気にしない。 「ありゃ~、そっか。ごめんごめん!じゃあ中に戻って暖かいお茶でも淹れるっさ!」 わたし達は中に戻り、お茶を淹れに行った二人をわたしは彼と二人で待った。 「しかし……お前が鶴屋さんのことを《お姉ちゃん》だもんな。焦ったよ」 彼は苦笑いしながらそう言った。 「今日一日は、姉妹」 「そうか、いい姉ちゃんを持ったな。……長門、ほんとに綺麗で似合ってるぞ」 彼が褒めてくれるのが、素直にうれしい。着物を着てよかったと心から思う。 「……ありがとう」 そう言った所で、二人がお茶を持って戻ってきた。 「ありゃりゃ~?二人で見つめあってあやしいね~!キョンくん、有希っこを食べるのはお姉さん許さないにょろよっ!」 とても誤解をしているようだ。後ろから入ってきた朝比奈みくるも何故か顔を赤らめていた。 『やれやれ』という彼の声が聞こえる。いろいろなことが起こるのが今は楽しい。 わたしはしばらく楽しい時間を堪能した。 「それじゃ、そろそろ帰るとしますよ」 彼はそう言った。朝比奈みくるもそれに倣い、帰り仕度を始めている。 わたしはしばらく悩んでいた。 「あれ?長門、早く帰る準備をしろよな」 「……わたしは、お姉ちゃんと一緒に寝る。まだ、帰らない」 初めてできたわたしの《お姉ちゃん》。もっと長く一緒に居たくて、わたしはわがままを言った。 「あたしは別に構わないっさ!有希っこみたいな妹が欲しかったし、残念だけど今日だけだからもっと遊びたいさっ!」 やっぱり優しい反応をしてくれた。彼はわたし達を交互に見て、溜息を一つついて口を開いた。 「……しょうがないな。鶴屋さん、長門をよろしくお願いします。朝比奈さん、帰りましょうか」 彼はわたしの保護者のような口振りでそう言うと、朝比奈みくると二人で雪の降る中を帰って行った。 それからわたしと《お姉ちゃん》は、一緒にお風呂に入り、ご飯を食べて、布団を敷いた。 楽しい時間が早く過ぎるというのを、わたしは初めて体験した。 「有希っこ!一緒の布団で構わないねっ?」 わたしは頷いてそれに答えた。借りてから着ている少し大きめのパジャマを引き摺りながら布団に二人でくるまった。 「おほぉ~!有希っこと二人で布団の中とは珍しいこと極まりないねっ!」 誰かと一緒の布団に入るのはわたしも初めてだった。初めて感じる、人の全身のぬくもりにわたしは心地よさと、やすらぎを感じていた。 「……あったかい。お姉ちゃんの体、落ち着く」 《お姉ちゃん》は、薄く微笑んだ。 「そっかい?……ねぇ、有希っこ。今日だけのお姉ちゃんからの最後のお願いさっ、聞いてくれるかい?」 柔らかい笑顔でわたしに問い掛けてきたのを、わたしは首を縦に振って答えた。 「えっと……有希っこの笑った顔がみたいさっ!ダメかなっ?」 わたしの……笑顔。すぐに笑おうとしたけれど、よくわからなくて引きつってしまった。 「今日は楽しかったかい?」 そう聞かれたので、また縦に首を振って答えた。 「じゃあそれを思いだしながら笑顔を作ると上手く笑えるっさ!」 わたしは少し考えて、頭の中でいろいろなことを思いだした。 一緒にカレーを食べたこと、写真を撮られたこと、お風呂に入ったこと……。 次々に思いだしながらわたしは笑顔を作った。たぶん、上手く笑えたと思う。 「うん!やっぱり笑った顔もかわいかったさ!お姉ちゃんはこれで満足だよっ!」 そう言って、満面の笑みを見せてくれた。 わたしがふと時計に目をやると、たった今、午前0時をまわった。 これでわたしと鶴屋さんの姉妹関係は終了した。わたしは様々なことで楽しませてもらい、最後に自然な笑い方まで教えてくれた鶴屋さんにもう一度笑顔を作って、心からの気持ちを伝えた。 「ありがとう、お姉ちゃん」 おわり
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「千聖、大丈夫・・・?」 「ぅー・・・」 犬の子供みたいに小さく丸まって、千聖は体をピクピクさせたまま何も言わない。 焦らされまくると結構体の負担が大きいのはわかっていたけど、ついついいじめてしまった。可愛かったなぁ・・・“いじわるしないで”、だっけ・・・ 明るい方の千聖には日頃いじられっぱなしだから、これはちょっとした反撃のネタができたかも。なんてひそかにほくそえんでいたら、千聖はイモムシみたいにズリズリとベッドを這って、ムクッと起き上がった。 気力の問題もあるのか、お嬢様より回復が早いみたいだ。余韻でピクンと跳ねるお尻をニヤニヤしながら見ていたら、枕を投げつけられた。 「・・・わざとでしょ」 「何が?」 「えりか最悪・・・」 唇を尖らせて睨んできても、真っ赤なほっぺたと潤んだ目じゃ全然怖くない。怒っているというより、予想以上に恥ずかしい目に合わされたのが納得いかないみたいで、相変わらず「ヘンタイ」と口の中でモゴモゴフガフガ文句をたれている。 「いいじゃん、そんなこと言ってるけど気持ちよかったんでしょ?」 「何それ」 千聖は眉をしかめてうつむいた。 「え・・ちょっと」 「最低・・・ひどい・・・バカ・・」 そのまま、顔を覆ってヒックヒックとしゃくり上げる。さっき投げつけてきた枕をギュッと抱きしめて、千聖は声も出さずにうずくまっていた。 「ごめん、千聖・・・」 もう、何で私はこうも調子に乗りやすいんだろう。千聖は案外、こういうことに関してはデリケートで乙女なんだってつい忘れてしまっていた。 「泣かないでよー・・・ウチが悪かったから、ね?」 人の涙はすぐに伝染してしまう。私は情けない顔でべそをかきながら、枕に顔を押し付けている千聖の頭を撫でた。すると、ゆっくり千聖の顔が上がってきた。 「・・・え?」 ――あれ、泣いてない。 ていうか、笑ってる。 「うぇへへへへ」 「え・・・ちょ、待って」 「覚悟しろ、えりかー!」 千聖はいきなりベッドの上に仁王立ちになって、バランスを崩しかけた私の懐に飛び込んできた。 「わあっ!ちょっと!卑怯者!」 小柄とはいえ、千聖の身体能力は私とは比べ物にならない。あっというまにマウントポジションを取られる。 「えりかがヘンタイなのが悪いんだよ。グフフ」 「ち、ちしゃとぉ・・」 千聖の子犬みたいな愛くるしい顔が、舞ちゃんと2人でイタズラを思いついた時のあの顔に変化していくのを、なすすべもなく下から見守ることしかできない。 「ホントにさー、ヒドイよね。舞ちゃんだって、もうちょっと優しくしてくれたよ?」 「・・・やっぱり、こういうこと舞ちゃんともやってたんだ」 「違うよ、無理やり1回やられたんだもん!」 千聖は私の胸を乱暴に掴むと、お餅でもこねるような手つきで、グニグニと力を込めてくる。 「痛い痛い痛い!」 「あれ?嘘、痛い?ごめんごめん。乱暴にしちゃだめなんだ」 ちょっと考え込むような顔をする千聖。丸っこい指が一旦離れたかと思うと、今度は上半身を倒して、ギューッと抱きついてきた。 「ムフフフ・・・」 「んーっ」 さっきやってたみたいに、胸と胸がくっつく。あ、ちょっとこれはヤバイ・・・。まだ硬いままの千聖のと私の先端が押し合って、ムズムズするような変な感覚がせりあがってくる。 「どう?」 「へ、へー・・・千聖よっぽどこれが気持ちよかったんだ。」 それでも、一応年上の意地というものがある。何とか優位に立とうとしてからかうと、千聖は「違うし!」と顔を真っ赤にして、あわてて体を起こした。 「ふっふっふ、ごまかしたって私には・・・・・っ!?ちょっと、何やってンの!痛いって!」 今度は、下半身にビリッとおかしな感覚を覚えた。千聖が、私のだいじなとこに指を突っ込もうとしている。 「だって、さっきえりかちゃんもやってたじゃん!ちょっとぐらい我慢しなさいよね!」 なぜかオカマ口調でキレられて怯んでいると、千聖はそのまま私の上から降りて、足の間に回った。そして、ガッと押し開かれる。 「無理無理無理無理!千聖!やめてお願い!」 「・・・へー・・・・」 「へーじゃない!じろじろ見るんじゃありません!ねーもう、本当に・・・んんっ」 さっきとはうってかわって優しい手つき。千聖の手が、表面をゆっくりなぞる。 「こうすればいいのか、何となくわかった」 「あン、ちょっと・・・」 逃れようにも、下半身はガッチリホールドされているから、上体を虫みたいにぐねぐね動かす事しかできない。 「いっつも千聖ばっかりしてもらうんじゃ、納得できない。ってお嬢様状態の時にも思ってたはず。そういうの何となくわかるし。何だっけ・・・ふぇらじゃない?だっけ」 「違うよ!フェアじゃない、だから!そんな危険な噛みかたしないでちょうだい!」 「そんなのどっちでもいいよ。さぁ続き続きー♪」 話題を若干ずらそうとしても、千聖は全く意に介さず、再び指を動かし始めた。 「あ・・・あ・・・・」 「・・・」 急に、何も言わなくなった。千聖は本気で集中している時は、全く回りが見えなくなって、口を利くことすら忘れてしまう。その素晴らしい集中力をこんなことに使うなんて、どう考えてももったいない!間違ってる! 「やめ・・・ひいぃ」 実はこういう才能があったのか、千聖は絶妙な力加減で、私の弱いところをピンポイントで触ってくる。しかもエロ顔というより、伝統工芸職人のようなストイックな表情で黙々と。 手マ○職人岡井千聖、という誰にも披露できないギャグを思いついたけれど、まさか口に出すわけにはいかない。何と言っても、女の子の大事なところをガッチリ人質に捕られてるんだから、うかつなことは言わぬが花。 「千聖、ごめ・・・えりが、悪かったから・・・もうダメ!」 目の前がチカチカ点滅し始めた。これはヤバい。何とか制止しようと大声を出すと、やっと千聖は顔を上げた。無表情に近かった顔が、チェシャ猫のようにニィーッと笑いを深める。 「ちゃんと見届けるからね。えりかの・・・・グフフ」 「ションナ・・・アッー!!!」 その機械のごとく正確な手つきで、私はそれからすぐに、天国へと連れて行かれることとなった。まさか、千聖にここまでされるとは・・・・。快感半分orz半分でベッドに倒れこむ。が、しかし 「・・・千聖?もう、いいよ・・・もうウチ十分天国・・」 「・・・・」 「ちょっと、ねえ!」 千聖はいっこうに手を止める気配がない。また真顔で、大分ヒドイ状態になっているであろう私のソコに打撃を与えてくる。 「だって、さっきえりか、千聖に何度もこういうことしたでしょ」 違う!だってあれはただ単に焦らしただけであって・・・でも、今のピンクに染まった脳みそで、千聖にそれを説明するのは不可能なことのようだ。ますます体から力が抜けていく。 そういえば、佐紀の家で見た(以下略)で、女性は達し続けると、途中からはもはや快感じゃなくて苦しみになっていくって言ってた気がする。もしこのまま、千聖が延々と手を止めてくれなかったら・・・! 「千聖!」 視線がぶつかる。三日月の形の目がますます眇められて、年齢に合わない妖しい表情へと変化していく。 「何か、面白いね。えりか可愛い」 「あっ・・あ・・・!ちさ・・・!」 「うぇへへへへ」 その手は一向に止まらない。無邪気に笑う顔は、天使のようでもあり、悪魔のようにも見えた。 前へ TOP 次へ コメントルーム 今日 - 昨日 - 合計 -
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商品名 値段 効果 備考 カタナ 金貨8枚 攻撃力4 カタナ 銀貨30枚 攻撃力3 予約すればもっと良い刀や、ジパングの武具用の素材(サメ革、ワニ革など)が手に入る可能性がある 欧州のラシャ、日本の真珠、支那の陶器、アフリカ産の黒檀、オロシアの貂の毛皮も売ってる 店主はジパングの品を扱っているレーベ人。「料理人としての鈴音」のファン ダイス次第では威力7の刀も売っている
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冬の寒い日。 わたしは自宅の近くの公園で一人、本を読んでいた。たまに、こうして外で本を読む。寒いけど空気が気持ちよく、気分を入れ替えることができるから。 「あっれー!?そこにいるのは有希っこかい?」 「あ……鶴屋さん」 長い髪の綺麗な女性が立っていた。鶴屋さん、とても明るくてかわいい性格をしていて、少し憧れてしまう。 「なにしてるんだい?こんなに寒い中で読書かい?相変わらずの本の虫っぷりだねぇ!!」 ゆったりとした空気の寒い冬に、ほんのりとあたたかい陽が射したような感じ。鶴屋さんと喋ると世界に明るい色がつくような感覚を覚える。 「一緒に読む?」 わたしは尋ねた。たぶん返ってくる返事はNO。だけど聞いておくのが人間の礼儀。 「いやいや!あたしは遠慮しとくっさ!それより有希っこ、一緒にご飯食べにいかないかい?あたしが奢るからさ!」 わたしは少し考えた。確かに昼食はまだ食べていない。でも、わたしなんかと行って鶴屋さんは楽しいのだろうか? 「……わたしと行って、楽しい?」 鶴屋さんは笑顔を満面に浮かべて答えた。 「あったりまえさぁ!有希っこはかわいいし見てて飽きないさっ!……そだっ!今日はあたしのこと《お姉ちゃん》って呼びなっ!あたし一人娘だから妹が欲しかったのさ!」 お姉ちゃん?わたしが……妹?それもいいかもしれない……。 「お姉……ちゃん」 「よしっ!決まりっさ!じゃあご飯食べにいこっ!」 そういってわたしは《お姉ちゃん》に手をひかれ、店へと連れられて行った。 着いた所はカレー屋だった。……高そうな。 「有希っこはカレーが大好きなんだよねっ?あたしが出したげるからたっぷり食いなっ!にゃはは~、一日姉妹サービスさっ!」 わたしは厚意に甘えることにした。姉妹とは、遠慮などしない気兼ねないものだと本で読んだから。 「ありがとう」 《お姉ちゃん》は笑顔で頷いて店に入り、ごちそうしてくれた。二人で二皿ずつ食べた。……おいしかった、また来よう。 「さてっ!おなかもいっぱいになったし……うちに行こうかっ!」 どんな理屈でそうなるのだろうか。その辺りはよくわからないが、わたし頷いて《お姉ちゃん》の隣りを歩きだした。 「姉妹は仲睦まじく手を繋ぐにょろよっ!」 と言われて、手を繋いだ。冬なのにあったかくて、わたしよりちょこっと大きな手はとても安心できた。 「有希っこの手はやっぱりちめたいねっ!名は体を現すってやつだね、あははは!」 暖かい手と冷たい手。全然似てない二人が今日だけは姉妹というのはなんだか不思議。しばらく手を繋いで歩くと、見たことのある道に。 文化祭で映画を撮ったときに通った道。鶴屋家が近付いてきた。 「ささっ!入った入った!今日は遠慮は無しだよっ!」 言われるままに門をくぐって屋敷の中に入る。いつ見ても大きい家だ。 「ここに連れて来たのはあたしの着物を有希っこに着せたかったのさ!とっても似合いそうなのがあるからねっ!」 ……着物?わたしでも似合うのだろうか?身長も少しわたしの方が小さいから合わないように思うが、言われるままに着せてもらうことにした。興味があったから。 出してもらった着物は、紺を基調とした雪の結晶の模様がちりばめられた物だった。 とても綺麗な着物で、わたしにはもったいないくらいの物だ。 「ほらほらっ!ボーッとしてないで早く服を脱ぐにょろよっ!」 と言われたが、自分から脱ぐ前に脱がされる。部室での朝比奈みくるの気持ちがとてもよくわかる。 そのまま手慣れた様子でわたしは着物を着せられた。 「うわおぅ……こりゃまた予想以上に似合ってるねぇ……。有希っこ!写真撮らせてもらうよっ!」 そのままどこからかカメラを持ってきて、何十枚と写真を撮られた。その時、インターホンが鳴った。 「お姉ちゃん……お客さん」 「いーのさっ!来たらこっちに通すように言ってあるからねっ!」 シャッターを切りながらそう返事をされた。こっちに通すということは知り合いなのだろうか。 「鶴屋さーん、来ましたよ……って、長門ぉ!?」 わたしが見た視線の先には彼と、朝比奈みくるの姿があった。 「ふえぇ……長門さん、綺麗……です」 二人とも表情と態度から驚いているのがわかる。そんなにわたしは変わったのだろうか?鏡を見せられていないから自分ではわからない。 「やぁやぁ!キョンくん、みくる、ここにいるのはあたしの一日妹、有希っこだよっ!」 二人に紹介する必要は無いのに、やけにうれしそうに紹介していた。 「そだっ!みんなで有希っこの写真撮って、誰のが一番よく撮れてるか見せ合いっこするさっ!いいよねっ?」 《お姉ちゃん》がわたしに同意を求めて来たので、頷いて答えた。 しばらくは部屋の中で、三人からいろんなポーズをとらされながら写真を撮られていたが、しばらくすると彼が唐突に口を開いた。 「長門、ちょっと庭に出てくれないか?」 少し疑問に思ったが、わたしは戸を開けた。 雪が降り始めていた。一つ一つが大きく、ゆっくりと舞い降りてくる雪。 わたしは空を眺めながら雪の一つ一つに見とれていた。 不意に聞こえるシャッター音。 「その表情もらったぜ、長門」 彼がわたしにカメラを向けていた。他の二人も同じように再び写真を撮り始めた。 しかし、雪が舞い降りる中では着物だけはとても寒かった。 「お姉ちゃん……寒い」 わたしが《お姉ちゃん》と呼んだことに二人は驚いていた。だけど、気にしない。 「ありゃ~、そっか。ごめんごめん!じゃあ中に戻って暖かいお茶でも淹れるっさ!」 わたし達は中に戻り、お茶を淹れに行った二人をわたしは彼と二人で待った。 「しかし……お前が鶴屋さんのことを《お姉ちゃん》だもんな。焦ったよ」 彼は苦笑いしながらそう言った。 「今日一日は、姉妹」 「そうか、いい姉ちゃんを持ったな。……長門、ほんとに綺麗で似合ってるぞ」 彼が褒めてくれるのが、素直にうれしい。着物を着てよかったと心から思う。 「……ありがとう」 そう言った所で、二人がお茶を持って戻ってきた。 「ありゃりゃ~?二人で見つめあってあやしいね~!キョンくん、有希っこを食べるのはお姉さん許さないにょろよっ!」 とても誤解をしているようだ。後ろから入ってきた朝比奈みくるも何故か顔を赤らめていた。 『やれやれ』という彼の声が聞こえる。いろいろなことが起こるのが今は楽しい。 わたしはしばらく楽しい時間を堪能した。 「それじゃ、そろそろ帰るとしますよ」 彼はそう言った。朝比奈みくるもそれに倣い、帰り仕度を始めている。 わたしはしばらく悩んでいた。 「あれ?長門、早く帰る準備をしろよな」 「……わたしは、お姉ちゃんと一緒に寝る。まだ、帰らない」 初めてできたわたしの《お姉ちゃん》。もっと長く一緒に居たくて、わたしはわがままを言った。 「あたしは別に構わないっさ!有希っこみたいな妹が欲しかったし、残念だけど今日だけだからもっと遊びたいさっ!」 やっぱり優しい反応をしてくれた。彼はわたし達を交互に見て、溜息を一つついて口を開いた。 「……しょうがないな。鶴屋さん、長門をよろしくお願いします。朝比奈さん、帰りましょうか」 彼はわたしの保護者のような口振りでそう言うと、朝比奈みくると二人で雪の降る中を帰って行った。 それからわたしと《お姉ちゃん》は、一緒にお風呂に入り、ご飯を食べて、布団を敷いた。 楽しい時間が早く過ぎるというのを、わたしは初めて体験した。 「有希っこ!一緒の布団で構わないねっ?」 わたしは頷いてそれに答えた。借りてから着ている少し大きめのパジャマを引き摺りながら布団に二人でくるまった。 「おほぉ~!有希っこと二人で布団の中とは珍しいこと極まりないねっ!」 誰かと一緒の布団に入るのはわたしも初めてだった。初めて感じる、人の全身のぬくもりにわたしは心地よさと、やすらぎを感じていた。 「……あったかい。お姉ちゃんの体、落ち着く」 《お姉ちゃん》は、薄く微笑んだ。 「そっかい?……ねぇ、有希っこ。今日だけのお姉ちゃんからの最後のお願いさっ、聞いてくれるかい?」 柔らかい笑顔でわたしに問い掛けてきたのを、わたしは首を縦に振って答えた。 「えっと……有希っこの笑った顔がみたいさっ!ダメかなっ?」 わたしの……笑顔。すぐに笑おうとしたけれど、よくわからなくて引きつってしまった。 「今日は楽しかったかい?」 そう聞かれたので、また縦に首を振って答えた。 「じゃあそれを思いだしながら笑顔を作ると上手く笑えるっさ!」 わたしは少し考えて、頭の中でいろいろなことを思いだした。 一緒にカレーを食べたこと、写真を撮られたこと、お風呂に入ったこと……。 次々に思いだしながらわたしは笑顔を作った。たぶん、上手く笑えたと思う。 「うん!やっぱり笑った顔もかわいかったさ!お姉ちゃんはこれで満足だよっ!」 そう言って、満面の笑みを見せてくれた。 わたしがふと時計に目をやると、たった今、午前0時をまわった。 これでわたしと鶴屋さんの姉妹関係は終了した。わたしは様々なことで楽しませてもらい、最後に自然な笑い方まで教えてくれた鶴屋さんにもう一度笑顔を作って、心からの気持ちを伝えた。 「ありがとう、お姉ちゃん」 おわり
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前へ 「どうしたの。もう帰ったのかと思ってたよ。」 「私も自主練習をしようと思って。早貴さんがいらっしゃるまで、ロッカー室を使わせていただいてたの。」 お邪魔だったかしら?と言われたので、首を横に振る。 「ちょっと休憩しようと思って来ただけだから。千聖こそ、私のことは気にしないで歌続けてて。」 結局考え事に耽っていた私は、別に休憩を取るほど疲れてなんてなかったのだけれど。千聖に気を使わせたくなくてとりあえずそんなことを言ってみた。 手持ち無沙汰なので、ロッカーを開けてケータイを取り出す。 メールが着ているみたいで、ピンクのランプが点滅している。 「・・・栞菜だ」 急いで作った文章なのか、今日はふざけすぎてごめんねとか、なっきーが悪いみたいな言い方して私が子供だったとか、私への謝罪がところどころ二重の内容になりながらびっしりと書かれている。 だから私も、“なっきーも言い過ぎてごめんね。”とだけ返した。 完全解決とまではいかないけれど、とりあえず今日の分の仲直りはできそうだ。 少し気が楽になったので、端っこで歌を練習する千聖の方に意識を向けてみた。 今は都会っ子純情を歌っているみたいだ。可愛い声だな、と思った。 えりかちゃんいわく、お嬢様化が始まった当初の僕らの輝きは本当にひどかったらしい(いまだにその話を振るとえりかちゃんは死にそうになる)。 千聖特有の子供っぽい柔らかい声から、元気をポーンと抜いたような感じだったそうだ。・・・それはちょっと聞いてみたかった。 今歌っている声も、確かに以前に比べたら声量が落ちているようにも聞こえる。でもやけに甘く可憐な味があって、これはこれで結構いいんじゃないかなと思った。 しばらく目を閉じて聞いていると、何か違和感を覚えた。 「千聖さ、何基準で歌ってるの?千聖のパートだけ練習してるんじゃないよね。他の人の・・・」 私はそこまで言って、はっと気づいた。 千聖が練習しているのは、自分のパートと愛理のパートだった。 「・・・千聖。」 何て言ったらいいんだろう。私は結構人の地雷を踏みやすいから、余計なことを口走りそうで怖かった。 少しの間沈黙が訪れる。 「早貴さんには以前お話ししたことかもしれませんが」 やがて千聖が口を開いた。 「愛理は私の目標・・・・いえ、私のライバルなのです。」 そう言い切る千聖の瞳はあまりにもまっすぐで、私は思わず息を飲んだ。 舞美ちゃんと2人、キュートの楽曲のメインパートをまかされているセンターの愛理。 ソロパート自体ないことも珍しくない、後列組の千聖。 身の丈に合わない目標だと一笑したり、あるいは簡単に頑張ってなんて言えない真剣さがそこにあった。 「うん、覚えてるよ。千聖前にも私に話してくれたもんね。 愛理がライバルだって。でも、ほら、あのことがあってから、千聖はいきなり愛理と仲良くなったじゃない。だからもう、ライバルとかじゃなくなったのかと思ってた。 なっきーに言ってくれた気持ちはしぼんじゃったのかと思ったよ。」 嫌な言い方かもしれない。でも、私に思いをぶつけてくれた千聖には、自分の気持ちを自分の言葉で伝えたかった。 「ええ。私は確かに、愛理ととても親しくなりました。」 千聖は怯むことなく、少し考えてからまた言葉をつないだ。 「変わってしまった私を一番最初に受け止めてくれて、孤立しないように側にいてくれたのは愛理ですから。私は愛理の優しさにいつも救われています。 だからこそ、大好きな愛理に負けたくないのです。」 「うん。」 私は千聖の手を握った。 「よかった、千聖の気持ちを教えてくれてありがとうね。やっぱり千聖は変わってな・・・」 その時、ものすごい音を立ててロッカールームのドアが開かれた。 「舞さん。」 「舞ちゃん。」 目を吊り上げた舞ちゃんが立っていた。 「なっきーの嘘つき。元の千聖に戻って欲しいって言ってたじゃん。嘘つき!」 大きな目から涙が零れ落ちていた。 「なっきーは舞の気持ちわかってくれてるって信じてたのに。」 「舞ちゃん、待って」 すごい力で私の手を振り切って、舞ちゃんは一直線に千聖に向かって行く。その勢いのまま、千聖を壁際まで追い詰めた。 「もう嫌だ。全部あんたのせいだよ。千聖を返して。私からキュートのみんなを取り上げないでよ!!」 私は呆然と、胸倉を掴まれてガンガンとロッカーに押し付けられる千聖を見つめた。 どうしよう。 どうしたらいいの。 舞美ちゃん、えりかちゃん。 言うことだけは一丁前で、こんなときにどうすることもできない自分が悔しかった。 「お願いだから元に戻ってよ千聖ぉ・・・」 舞ちゃんが千聖の胸に崩れ落ちる。 舞ちゃんに泣いてるのを悟られないように、千聖が口を押さえて嗚咽をこらえている。 もう私にはどうすることもできない。 にぎりしめたままの携帯を開いて、震える指で履歴をたどる。 【もしもし?】 「・・・っ・・ちゃ・・・・」 電話口に聞こえた声に返事をしようとしたけれど、嗚咽でまともに喋ることができない。 【なっきー?何、なんかあったの?】 舞ちゃんの泣き声が耳に響く。あんなに強気な子を、私のせいで追い詰めてしまった。 「助けて・・・舞美ちゃ・・・みーたん、助けて・・・・」 次へ TOP
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関連ブログ @wikiのwikiモードでは #bf(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するブログ一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_161_ja.html たとえば、#bf(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 #bf
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前へ 車で家に帰る途中、いつもみたいにお姉ちゃんのわき腹をつっついてみた。 ク゛フク゛フ笑いながら反撃してくると思ったけれど、「きゃんっ」ってリップみたいな声を出してのけぞった。 バカじゃないの。バカじゃないの。バカじゃないの。 心配したのに。ふざけつづけるお姉ちゃんに私は自分の気持ちを馬鹿にされてしまったみたいで、悔しかった。 「明日菜ったら、どうしたの?」 甘ったるい舌たらずな喋り方がむかつく。思わず髪に触れた手を振り払ってしまった。 「もう、その寒いキャラやめないと口きいてあげないから。絶交だよ。」 姉妹で絶交って。でもお姉ちゃんには効果があったみたいで、泣きそうな顔してオロオロしている。 「明日菜。何か気に障ることをしたのならごめんなさい。でも、私思い当たることがなくて・・・・」 「何っゞ∫Σ&#!!!!!」 今度こそ掴みかかろうとしたら、またママが止めに入った。 「明日菜、お姉ちゃん疲れてるの。あんまりちょっかい出さないで。」 ああもう、本当嫌だ。疲れてるとか関係ない。お姉ちゃんがイタズラ好きなのは知ってるけど、今そんな空気じゃないって言ってるだけなのに。 「明日菜」 「もう話しかけないで。」 私はお姉ちゃんに背中を向けて、フテ寝することにした。 “家に帰ったら、数学の予習をしないと” “ええ、お母様のおっしゃる通りね” “うふふ” 断片的に耳に入ってくる言葉が勘に触る。ママもママだと思う。いつもお姉ちゃんばかり甘やかすんだから。ずるい。 そもそも私達姉妹がハロプロのお仕事を始めたのだって、私が大好きなモーニング娘。になりたいと言ったのが始まりだったはずだ。 なのにママは、キッズオーディションを受けるのに年齢が足りてなかった私には我慢しなさいと言って、お姉ちゃんだけ受けさせた。 私のことを待って、また別のオーディションを一緒に受けるんでもよかったはずなのに。 あの時はお姉ちゃんが「千聖どうしてもこれ受けたい!なんでも言うこと聞くからお願い!」 とママに食い下がったんだっけ。 お姉ちゃんは基本的に優しいけれど、どうしてもやると決めたことに関しては絶対に譲ってくれない。 私の一番の夢を私より先に掴んで、お姉ちゃんはキッズになってしまった。 結局私もその後エッグになれたから、もうそのことは恨んでないし今更うじうじ言うつもりはない。 でも今日みたいなことがあると、やっぱり自分ばかり損しているような気持ちになる。 ケガがたいしたことなくて、ふざけているんだったら早く怒ればいいのに。 こんなキャラで家に帰ったら、弟だって心配してしまうだろう。 「お帰りー!ちさと姉ちゃんケガ大丈夫?」 家に着いたら、よっぽど心配していたのか弟が玄関の前に立っていた。 「ありがとう。たいしたことなかったのよ。ずっと待っててくれたのね。」 お姉ちゃんはとても優しい顔で微笑んで、弟をやんわりと抱きしめた。 「え」 普段はやんちゃな弟が、お姉ちゃんの腕の中で目をパチクリさせておとなしくしている。 パパもママも、「千聖は優しいお姉ちゃんだね」とか言っている。 私はこのとき初めて、怒りではなく恐怖を覚えた。 ・・・・・もしかして、私がおかしいの?もともとお姉ちゃんはこういうキャラで、私が今日突然そのことがわからなくなってしまった? 「遅くなってしまったわね。お布団しいて、寝ましょう。」 お姉ちゃんの手が私の背中に添えられる。拒めない。 妙にあたたかくて、優しい手がとても重く感じた。 次へ TOP
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348 名前: NPCさん 2006/03/03(金) 22 51 10 ID ??? 「困ったちゃん」とはなんですか? ――困ったちゃんは悪意を持った人間で、友人であるGMに 反逆し、GMを、セッション卓を、メンバーとその我々が知るような ゲームを、破壊しようとしています。 あなたは困ったちゃんを暴き出し破壊しなければなりません。 アップルちゃんは困ったちゃんです。これらの遺伝異常者は 制御しきれない能力を持っており、セッション卓を守ることよりも 私利私欲のためにその能力を使用します。 彼らは排除されなければなりません。 千早神牙は困ったちゃんです。ゲームマスターに認可されていない キャラシートで無責任にもセッション卓のよき秩序を蝕む陰謀を 巡らせているのです。彼らは全滅されなければなりません。 ところで……あなたはアップルちゃんです。さらに千早神牙です。 あなたは困ったちゃんなのです。 349 名前: NPCさん 2006/03/03(金) 23 12 34 ID ??? はい、GM。シナリオは常に正しく、セッションに参加できた我々は幸福です。 350 名前: NPCさん 2006/03/03(金) 23 34 54 ID ??? 吟遊を怠るな! ダイスの目を信じるな! 膨大な裏設定を手放すな! 351 名前: NPCさん 2006/03/03(金) 23 52 41 ID ??? 348 アーバンアサルトのサポートコンピュータを思い出す言い回しだな…w 《敵との同盟はありません、全ての敵を破壊し支配を広げてください》 スレ91