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開催日:2009年10月31日 会場:日比谷野外音楽堂 出演者 大槻ケンヂ 神谷浩史と絶望少年達 神谷浩史 上田耀司 寺島拓篤 杉田智和 水島大宙 絶望少年達 野中藍 井上麻里奈 新谷良子 真田アサミ 後藤邑子 松来未祐 後藤沙緒里 バンドメンバー Vocal:大槻ケンヂ Guitar:NARASAKI Bass:村井研次郎 Keyboard:DIE Drums:OKAZAKI セットリスト 絶望少女達パート 絶望レストラン/真田アサミ・後藤邑子・松来未祐 密室ロッカーズ・ルーム/野中藍・井上麻里奈・新谷良子 灰かぶりの少女/後藤沙緒里 恋路ロマネスク/真田アサミ・後藤邑子・松来未祐 デッド・ラインダンス、デス/全員 大槻ケンヂと絶望少女達パート 人として軸がぶれている ニート釣り マリオネット 絶望遊戯 おやすみ-END 空想ルンバ さよなら!絶望先生 林檎もぎれビーム! おやすみ-END/大槻ケンヂ・新谷良子
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強がりに満ちた笑いの後は、現実に襲われる時間だった。 幻夜・フォン・ボーツスレーは死んだ。 ステルス鬼畜とサプライズパーティーの二人と共に。 その二人に勝利して放送を超えた後に、死んだ。 (……あれ?) ネコミミストは何か引っかかる物を感じた。 そう、それは確か……。 「……放送だ」 放送の時だ。 幻夜・フォン・ボーツスレーの名が呼ばれなかった、第二回定時放送。 だがそれだけではない。あの放送の死者の名には。 「第二回放送……ステルス鬼畜の名しか呼ばれてない!」 「まさか!」 それを聞いた666が死体に駆け寄る。 それは剣に刺し貫かれた岸田洋一の姿をした遺体だ。 脈を取り、傷の具合を診る。 結論はすぐに出た。666は首を振る。 「……いや、もう死んでいる。心臓を一突きにされたんだ、間違いなく即死していたよ」 「え……?」 その死体が、サプライズパーティーの筈だった。 ステルス鬼畜を仕留めたと高笑いを上げ、しかし逆に殺された男。 何か違和感を感じはしたが、残ったステルス鬼畜も間違いなく悪だと断じて、討った。 勝利の後に仲間との死別を経験する程の激闘によってだ。 だけど。 「じゃあ、どうして放送で呼ばれなかったんだ?」 何か致命的な見落としを予感させる、そんな不安が全身を蝕んでいた。 666は無言で立ち上がり、もう一つの同じ姿をした死体に歩み寄る。 ステルス鬼畜だと思われていた、ネコミミストにより顔面の半分と頸部を破壊された死体。 屈み込んで、その容態を診る。 そして言った。 「死んでいる。だがこちらは即死しなかったようだ」 「え…………?」 ネコミミストも死体に駆け寄り、そして息を呑んだ。 確かにその死体は、衝撃波により頸部の殆どが吹き飛ばされ抉れていた。 だが首輪が盾となったのだろう。 奇跡的に血管が、そして神経が、ズタズタになりながらも部分的に残っていたのだ。 「意識は保てなかっただろう。死も確実だった。だが、即死ではなかったようだ」 それはつまり。 「こっちの死体がサプライズパーティーだ」 「そんな……」 幻夜が危険人物だと言ったステルス鬼畜は、先に殺された方の男だった。 ステルス鬼畜は死の間際、サプライズパーティーに濡れ衣を掛けたのだ。 「それじゃ私が殺したのは誤解によって殺された……被害者……?」 「気にするべきではない。彼もまた危険人物だ」 666はそう言う。 どちらにせよ危険な相手だったのだから気にしてはいけないと。 「でも……もしかしたら話し合えて……そうしたら幻夜は……!」 それでもネコミミストは、素直にそれを受け容れる事が出来なかった。 人を殺した。誰かを傷つける者を。罪無き者を殺す者を殺した。 だけどそれが間違いだとしたら? 本当は悪人なんかではなくて、戦いを避ける方法が何処かにあって、 そして無理に討とうとしなければ、仲間が死なずに済んでいたとしたら? 「そうしたら幻夜は……むぐ」 「君は、良い子だな」 その嘆きを、666が抱き締めていた。 頭一つ分だけ大きな幼い体で抱き締めて、その罪を溶かしてしまう。 「ろ、666……」 666の指が、優しく髪を梳かした。 くすぐったい、柔らかな指の感触。 文字通り猫になったような不思議な気持ちになる。 「だが、保証は私がしよう。君はまだ道を誤ってはいないと。 君は正しいことをした事を、私が保証しよう。判断を間違えはしていないと」 「…………本当に?」 「本当だとも」 666は、優しい微笑みで応えて見せた。 「私を信じてくれ」 「666…………」 666はもう一度、ネコミミストを優しく抱き締めた。 罪への不安に震えるその小さな体から、やがてその震えが無くなるまで。 溢れる愛を篭めて、抱き締めていた。 ――そう、この痛みはもう要らない。既に与えてあるのだから。 666は捻れた愛を胸に秘め、優しくネコミミストを労り続ける。 ずっと、長いこと。 だけど、それでも。 確かに何時までも強がり笑いをしてはいられない。 でも、何時まで泣いてもいられないのだ。 やがてネコミミストは毅然と立ち上がり、地を踏みしめ拳を握り締める。 「もう、いいのかい?」 「うん……もう、大丈夫だ。ありがとう」 666の労りに感謝して、前に進むことを決意した。 666は安堵の息を吐いた。 「よし。行こう」 「ああ」 二人は立ち上がった。 前に進むために。だが。 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 彼女達の前には悪夢が立ち塞がる。 * * * デビル・シャリダム。コ・ホンブックから引き剥がされた悪夢の残滓。 校庭に現れた彼女は、ゆっくりと歩きだす。 その背中から翼のように伸びる触手が全てを包みこまんと大きく広がっていく。 夜の帳。悪夢の象徴。シャリダム自身もそれに覆われ姿を隠す。 それが、閉じた。 上から、左から、右斜め上方から、左上方から、正面から、右方から、前面全てから触手が襲い来る。 「たあぁっ!!」 叫びと共にネコミミストが右手の刀を振るう。サプライズパーティーの持っていた永遠神剣『冥加』だ。 正面下方から鋭く伸びる爪を持った触手を叩き斬り、返し上げる刀で右方から伸びた岩のような触手を打ち払う。 続けて伸び上がった右腋の隙を絡め取ろうと襲う無数の房を持った触手を左手から放った衝撃波で跳ね返す。 だが連続した右方からの攻撃に集中させた所に、左方から水気で膨れあがった触手が無数押し寄せる。 「こ、のお!」 無理矢理体をよじって触手の群を切り裂く。 しかし切り裂かれた触手は、バシャリと溜め込んだ水気をぶちまけた。 「…………ぁ」 万全の状態にある触手は色んな使い道が出来るのだ。甘く見たネコミミストの不覚。 ――ちなみに触手汁の主な効能は繊維質の分解、痺れ薬、媚薬、不妊治療、白くて滑って臭うだけなど物による。 「させはしない」 身を挺して666が割り込んだ。 降り注いだ触手汁はどうやら衣服溶解型だったらしく見る見るうちに666の燕尾服を腐食していく。 「666!」 「大したことはない」 ネコミミストは幸いにも殆ど影響を受けなかったが、前方からは更なる触手が押し寄せててきた。 次なる触手はスライム状。スライムもまた触手。薬液そのもののスライムが洪水のように襲い掛かる! (まずい――!) 息を呑むネコミミスト。その目前に投げられる何か。 「伏せなさい!」 666の声。咄嗟に反応したネコミミストはブックを押し倒して背後に伏せた。 次の瞬間、投げ込まれたそれは爆発した。 飛翔の蝙也の爆薬。割と地味なそれはこの場合に最も有効な手札だった。 ダメージの少ない、だが強く広い面の衝撃力を持った爆風が押し寄せるスライム状の触手を吹き飛ばす。 シャリダムに続く視界が、開いた。 「当たれ!」 間を空けず、666の手に握られたF2000Rから自動照準高速貫通ライフル弾が連射される。 放たれた無数の鉛玉がデビルシャリダムの肢体を穿つ。少女の体が衝撃で滑稽に踊る。 デビルシャリダムの少女の形は一瞬で蜂の巣にされて引き裂かれた。 「やったか!?」 ネコミミストの叫びを。 「いや、まだだ!」 666の叫びが否定する。 果たしてシャリダムは大したダメージを受けてはいなかった。 穿たれた無数の銃弾はぷつぷつと果物の種を吐き出すように排出される。 衝撃に引き裂かれた肉体が頭へと引きずられ元の場所に収められる。 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 見る見るうちに元の姿を取り戻したシャリダムは畏怖すべき咆哮を上げた。 ネコミミストは息を呑んだ。 「あの再生力はまさか……不死者、なのか?」 アニロワ2ndに登場する異能力の一つ、不死者。 不死の酒を呑んだ者がなる文字通り不老不死の存在。殺す方法は原作ではただ一つ。 「なら問題は解決だな。私達は既に切り札を持っている。いや、幻夜が持っていた」 「まさか……」 666はそう言ってデイパックからそれを取りだした。 幻夜すら未確認だった、ゲドー・ザ・マジシャンの未確認支給品。 ――不死の酒。 人を不死者に変える秘薬。起死回生の一手。 不死者を殺す方法は原作においてただ一つ。 同じ不死者が相手の額に右手を当てて心の底から『食べたい』と念じる事。 それにより不死者は『喰われる』。 肉体は一片すら残らず呑み込まれ、知識と記憶と経験は喰った者に受け継がれる。 つまりこの酒を飲めば、シャリダムを『喰う』事が出来るのだ。 「ネコミミスト君、時間を稼いでくれ」 「ダメだ、666」 そう言う666をネコミミストが制止した。 「それをあなたに使わせるわけにはいかない。あなたがそれを使っちゃダメなんだ。 判ってるだろう、それを使うとその時点の怪我も保存され、永遠に痛み続けるんだ!」 「仕方ないだろう。これを使う以外に手はない」 666は脇腹の傷を押さえて苦笑いを零した。右目の傷はもう出血こそ止まったが鈍い痛みを送り続ける。 666がこれまでに受けた傷は致命的なものこそないが、気休めにも浅いとは言えないものだ。 「永遠に続くと思うと少し憂鬱だがなに、耐えられない痛みではない」 「ダメだ。それはわたしが使う。どう考えてもそれが一番良いんだから」 「…………判っているのかい? それが、何を見る事になるのか」 不死の酒のメリットとデメリット。 永遠に生き続けねばならない苦痛。 「わたしにとってはその位、どうという事は無い。この年齢のまま永遠を生きるなんてむしろ私好みな位さ。 だけど君は……そうじゃないだろう?」 「それは……」 666にとって自らの生は永遠でも構わないものだ。 666はそういう側に生きている。 ネコミミストはきっと、違う。666はそれを知っている。 だけど、と。ネコミミストは歯を噛み締めて言った。 「でもわたしは、仲間が傷付くのはもうイヤだ。 戦っても、危険に身を晒しても、わたしはあなたに護られて傷を押しつけてばかりいる! もうそんなのはイヤなんだ! わたしが不死者の恩恵と呪いを受け容れれば、もっと何かが出来るはずなんだ! だから……おねがいだ、666! ここはわたしに任せて! きっと、なんとかしてみせるから!」 666は少しだけ沈黙して。 「――わかった」 重々しく、頷いた。 666は、ネコミミストに不死の酒を手渡した。 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 その瞬間、シャリダムは弾かれたように動き出した。 シャリダムは不死の酒が自分に何をもたらすのか知っていたのだ。 無数の触手がネコミミストを目指して殺到し、同時に別の一本が脇へと伸びた。 それは埋葬すべく寝かされていた幻夜・フォン・ボーツスレーの死体を取り込んでいく。 「な、幻夜……!」 「君の役目を果たせ、ネコミミスト!」 ネコミミストの動揺と666の叱咤。 ネコミミストはハッとなり不死の酒の封に手を掛ける。 無数の触手はもう目前にまで迫っていた。 「ネコミミストは私が守る」 大小の吸盤を備えた歪な蛸の如き触手が666の振るう鉄板の剣ドラゴン殺しに斬り潰される。 ドラゴンころしを振り上げながら、螺旋を描き絡め取るように襲来した触手をわざと左手に絡ませて動きを止めて、 続いて押し寄せた絵にするとモザイクの掛かるような卑猥な触手ごと、右手一本で振り下ろして叩ききる。 ネコミミストは封を開けるのを省略して衝撃波で栓周辺を吹き飛ばした。栓の開いた酒瓶に口を付けて―― ガチガチに硬い触手を力いっぱい振り下ろしたドラゴン殺しで折り砕く。 だがその裏に待ちかまえたぬるぬると滑る触手がドラゴンころしの勢いを削いだ。 瞬時、まるで針金のような触手が666の握るドラゴンころしに絡みつく。 「ぐっ、うああぁ!?」 パチリ。音と共に666が呻く。 ハードな用途の放電触手である。流された電流が666から握力を奪いドラゴンころしを地に落とす。 邪魔が消えた瞬間を狙い、上空から迂回した三本の触手がネコミミストに襲い掛かる。 666は舌打ちと共にゲート・オブ・バビロンの扉を展開し、撃ちだした。 緩やかに沿った西洋刀が三本の触手を百舌のはやにえのように串刺した。 だが、三本目は先程と同じくたっぷりの薬液で膨れ上がった水風船のような触手だったのだ。 引き裂かれた触手から弾けた大量の触手汁は、そのまま真下のネコミミストに降り注ぐ――! ネコミミストは、不死の酒を一息に飲み干した。 まるで滝のように、全身に触手汁が降り注ぐ。 今度の液体は衣服溶解型などという甘い物ではなかった。 一滴垂らすだけで貞淑な聖女でもとか無垢な乙女さえとか枕詞が付くアレである。 効能を発揮すればその時点で色々と規制的にヤバイ事この上無いアレである。 ていうか効き目有りすぎだろなんだあの夢のお薬是非一瓶下さいなってヤバ本音がいやいやとにかくアレである。 ネコミミストの全身に降り注いだそれは瞬時に全身の皮膚から浸透すると、 当然ながらこれまた瞬時にその色んな意味で危なすぎる効能を彼女へと発揮―― ;フラグが立っている場合は勝利ルートへ進む。 ;フラグが立っていない場合はBadEndへ進む。 ;※:大変申し訳有りませんが現在バグによりBadEndへ進む事が出来ません。 ; 有志によるパッチ制作をご期待ください。執筆元からの予定は有りません。 「………………」 ネコミミストは闘志に滾る瞳でシャリダムを見つめていた。 その意志は、汚されていない。 体は戦意で燃えている。 確かに、触手汁はネコミミストの全身に降り注いだ。 それは瞬時に全身の皮膚から浸透した。 その時点ではまだ、不死の酒も効能を発揮してはいなかった。 だがネコミミストの全身に浸透した薬液がネコミミストの神経を変異させるコンマ数秒前。 不死の酒は衝撃のネコミミストを不死者へと変えていた。 不死者となった肉体はその時点で保持される。 よって次の瞬間にネコミミストを作り替えんとした触手汁の効能は、不死の酒の再生効果で相殺された。 触手汁が肉体に変調をもたらす速度を、不死者の再生速度が上回った。 ネコミミストの戦意は今だ健在。闘志と戦意を瞳に燃やしシャリダムをじっと見つめている! 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 シャリダムが絶叫する。 目の前に生まれた脅威を肌で感じ、恐怖と怒りに満ちた叫びを上げる。 新たに生まれたのは無数の腕だった。 その全てが右手。先が右手型をした触手が数十と生え揃う。 それは人型を半端に残しているために完全な異形よりも尚おぞましい光景だった。 「喰らうつもりか」 666は呟く。 不死者は右手を相手の額に当てて『喰いたい』と念じれば、相手を喰う事が出来る。 つまりあの無数に生えた数十本の右腕触手が一本でもネコミミストの額に到達すれば、 ネコミミストは喰われ、彼女達は敗北してしまうのだ。 「666。……道は、作れる?」 「もちろんだ、任せてくれ」 666とネコミミストは見つめ合い、こくりと頷きあう。 「行け。君の道は私が護る」 「おねがい」 ネコミミストは一歩を踏み出した。 にちゃりと服に染み込んだ触手汁が粘り着く。かなり動きづらい。 「く……ふ、服なんて探せば幾らでもある!」 思い切って脱ぎ捨てた。べちゃっと重く地面に落ちる。 大体命の危機の前に恥ずかしいだのなんだの些事に過ぎない。 左手に永遠神剣『冥加』、右手は喰らう為に無手。装備は以上。 「世の中には女性は裸が一番美しいと言う男も居る。気にする事はない」 「あ、ありがとう」 赤くなりながらも666の言葉に頷いた。 そして改めて、一歩。 二歩、三歩。 ネコミミストは触手を密集させる悪夢に向けて、足から衝撃波を放ち特攻する。 666が必ずや彼女に道を作ってくれる事を確信して。 触手の津波に挑む、生まれたままの姿の少女。 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 シャリダムの咆哮と共に無数の右腕がネコミミストへと殺到する。 666が、叫ぶ。 「させん」 666の言葉と共に放たれたのは無数の矢だ。 何処からか射手に放たれた如き矢の雨は正確に触手の波を貫いた。 そのまま串刺しに射止めて再生まで遅らせる。 ネコミミストは見る見るうちにシャリダムへと肉薄していく。 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 だがシャリダムは尚も足掻く。自らの生存を賭けて蠢く。 ネコミミストの目前に、突如それは出現した。 「な――!」 幻夜・フォン・ボーツスレー。 シャリダムの触手に取り込まれたその死体がひび割れた巨大な剣ミロクを振り上げて――。 紅い一線が走った。 振り下ろされようとした剣に食い込んだ小さな紅い宝石。 それは砕け散り、輝きと共に力を解放する。 大剣巳六は死して尚酷使された幻夜の腕と共に、塵と化していた。 「やれ、ネコミミスト!」 666の叫び。 ネコミミストは一瞬のそのまた一瞬だけ死して尚利用された仲間を悼み。 「すまない。――おやすみ、幻夜!」 それを終わらせる為に、幻夜の胴を両断した。 両断された胴の向こうに、シャリダムの本体が見えた。 「はああああああああああああぁっ!!」 断、と。 右手をデビルシャリダムの額に叩きつけた。 (――喰いたい) ぞぶりという音がした。 ネコミミストの右掌がシャリダムを呑み込んでいく。 肉体を。 精神を。 シャリダムがネコミミストの一部になっていく。 シャリダムの全てが……ネコミミストの中に…………。 「あ」 * * * ネコミミストはいつの間にか森の中に立つ自分に気付いた。 周囲は暗闇に塗り潰され、うっすらとしか見えない。 「ここは……一体……?」 戸惑うネコミミストに言葉が掛けられた。 「あら? そこにいるのはもしかしてアニロワ2ndの書き手さんじゃないですか?」 「誰だ?」 声のした方を振り返る。 見るとそこには、闇よりも尚昏い漆黒の仮面が浮かんでいた。 「おまえは……誰だ?」 「それ、アニタちゃんの格好ですよね? だったらアニロワ2ndの書き手さんなんじゃないかなーって思うんですけど」 「……何を言っているんだ?」 返答は要領を得ない。 ネコミミストの姿はアニタ・キングの姿と合致しない。 だが人影はそれには応えず、言葉を続ける。 「――? ああ、ごめんなさい。コレじゃあ、誰だかわからないですよね」 人影は漆黒の仮面を外した。そこには先程までとは対照的なまでに白い、女の顔が浮かび上がった。 「こんばんわ。私は◆AZWNjKqIBQ――いや、ここでだとマスク・ザ・ドSだね。よろしく♪」 噛み合わない会話とその名前にネコミミストはようやく理解した。 その名は昼の放送で呼ばれていた。つまりこれは過去で、今が夜なのは開幕直後を意味する。 「ここは……コ・ホンブックの記憶なのか?」 デビル・シャリダム。 元はコ・ホンブックだった、コ・ホンブックから分離された狂気の澱。 その精神と、そこに繋がる経緯。 暴走するコ・ホンブックから初期状態のコ・ホンブックを取り除いた後に残された物。 それはつまり。 * * * 突如、びくんとネコミミストの体が震えた。 驚愕と動揺に目が見開かれる。 「…………ぅ」 微かな声が漏れた。 その右掌はシャリダムを呑み込んでいく。 * * * 「や、やめろ、来るな!」 ドSに向けて衝撃波を放とうとした。だが。 「――出ない!?」 当然だ、これは既に過ぎた事なのだから。 その内容を追体験しているに過ぎない。全ての経緯は既に確定した事。 ひうんひうん――と。風を切る不可視の獣が走る様な、そんな奇妙な音が聞こえた。 「あぐっ」 宙を舞った無数の糸がネコミミストを背後の樹に縛り付けた。 かつてコ・ホンブックがされたのと同じように。 だがこれは『記憶であって記憶ではなかった』。 何故ならコ・ホンブックは暴走していた頃の記憶を残しているのだから。 記憶という情報は既にコ・ホンブックが持ち去っている。 ならばこれはなんなのか? 「普通の人間が糸を操るなんてできるはずがないじゃないですか。――けど私は『ニンジャ』ですから」 ドSの指がゆっくりと、動く。 その度に鋼線は、舐めるように白い肌を伝い、嬲るように柔らかい肌へと食い込んでいく。 木々の間に張り巡らされた鋼線がギィン……と弦を弾く様な音を静寂の中に響かせる。 「う……あ…………」 全身の肌で感じる鋼線の感覚がネコミミストの記憶へと刻み込まれていく。 体験していく。 「暴れないで下さいね……怪我をしますから。じゃあ――」 ソレ。小さな掛け声が響いた。 今度はひゅるひゅると見えない蛇が空を泳ぐような音がし、続けて森の中に無数の白い破片が飛び散った。 澄んだ森の空気の中を舞い月光を跳ね返して雪の様に降り注ぐ、白いワンピースだったもの。 ネコミミストは冷ややかな夜気に晒された白い肌を震わせて、羞恥と恐怖に歯を噛み締めた。 体験を経た記憶がネコミミストに刻み込まれていく。 そう。 シャリダムの中に残されていたこれは、コ・ホンブックの軌跡だった。 体験する者という代行者が抜け落ちた、体験そのものだった。 * * * 背中が丸まる。何かに怯え身を守ろうとするように。 歯が震える。噛み締めてそれでもカチカチという音が残る。 「ぎ、ひっ…………」 その瞳に、恐怖が浮かんだ。 その右掌はシャリダムを呑み込んでいく。 * * * 「動かないほうがいいですよ。その糸、砥いでありますから引っ張ると喰いこみます」 「うぐ……っ」 ネコミミストはかつてのブックと同じように動き、後ろ手に縛られた親指を傷つけてしまった。 ブックが解放されて置いていった、ブックの味わったものと同じ苦痛。 「抗うと辛くなるばかりですよ。幸せは受け入れることから始まるんです。前を向いてください――」 漆黒の皮手袋に包まれた両手が、ネコミミストの白い顎を持ち上げる。 ブックはこの時、もう恐怖に怯えた瞳しか出来なかった。 だけどネコミミストは恐怖を噛み潰し、必死にドSを睨みつけてみせた。 記憶と体験の違い。 「不安な気持ちは忘れて、楽しい未来を思い描きましょう」 どんな心構えをしていても、感覚は同じように襲い掛かる。 ドSの手は顎から離れ、冷たく這いずる蛇の様にネコミミストの肌を伝い始める。 猫の肌を蛇がしゅるしゅると舐っていく。 「く、くそ……やめ…………あ……やっ…………!!」 屈辱を覚え、羞恥に怒り、不安に怯え、恐怖を感じながら。 ネコミミストはシャリダムに残された体験に耐え続ける。 * * * 歯の震えは最早はっきりがちがちと音を鳴らしている。 瞳に浮かんだ怯えは気丈な意志を徐々に呑み込んでいく。 666はネコミミストへ向けて駆け出した。 その僅かな距離が、余りにも遠い。 ネコミミストの右掌は尚もシャリダムを呑み込んでいく。 * * * 「く……そ…………」 全身を嬲りつくす指の蹂躙が過ぎ去る。 ネコミミストは恐怖と不安を必死に堪えて耐えていた。 「……~一筆書き、☆の絵には~。5つのトンガリがあるでしょう~♪ ……と、出来た」 見るとドSは意味不明な歌を歌いながら、メモに星を基調とした複雑な模様を描いていた。 その上には銀色の鋏が一つ。 間もなくそれは火花と煙を散らして奇妙な金属塊へと姿を変えた。 「錬金術……?」 「普通の人間である私が錬金術を使える訳ないじゃないですか。――コレは忍法『金遁の術』ですよ」 一瞬ドSが返事をした様に錯覚し、すぐに否定する。 恐らくはただの偶然だ。 ドSはその金属片を摘みあげ、ネコミミストの目の前まで持ってくる。 それは3センチ足らずの小さな、骨組みだけの傘のような形をしていた。 ネコミミストは寒気と胸騒ぎを同時に感じる。 (なんだこのサイズ……見覚えが……) ドSはすぐにその答えを教えてくれる。 「コレ見えます? 今からコレをあなたに刺すんですけど、見ての通り『返し』がついてて、引っ張って抜くと☆型に肉が抉れるんです♪」 「な…………っ!!」 全身の体毛が逆立った。 そして気付いた。シャリダムの胸に、丁度そんな大きさの傷が無数についていた事を。 何故、この『体験』がシャリダムの中に残されていったのか。 その理由は言うまでもない。 コ・ホンブックは情報としての記憶だけを持って救われた。 そう、救われたのだ。 そしてブックの心を壊したのは体験、言うならば感情としての記憶の積み重ねであり、 それを持っていってしまえばブックの心はまた壊されてしまう。 だから残された。 つまり言うならばこの記憶は――。 「や、やめ……う…………ッ……」 プスリ。 ネコミミストの視線の先で金属塊が胸の柔肌を突き刺した。 差し込まれた針の末尾には鋼糸が結ばれ、その糸はドSの手の中へと繋がっている。 ほんの僅かに指が震え、ゼロコンマ数ミリだけ糸が引かれた。 「――――ッ!」 歯を食いしばる。目を見開く。息が荒くなる。心臓が早鐘のように脈打つ。 全身が汗を吹き出し、まるで鋼鉄と化したように体が固まる。 世界が止まったような錯覚を覚えた。 …………プスリ。…………プスリ。…………プスリ。 「…………ふっ………………ぅっ! う…………きゅっ…………」 世界の音が消え去って、静かすぎる耳鳴りが聞こえ始めた。 口の中の唾が冷え切って冷たさを主張し始める。 …………プスリ。…………プスリ。…………プスリ。…………プスリ。 「…………いっ………………っ………………きっ………………ひゅっ…………」 漏れているのは声なのか、それとも吐息なのか判らなかった。 必死に落ち着け、意識を逸らせ、痛みに備えろと言い聞かせる。 鼓動は乱れ、意識は集中させられ、心構えすら出来ずに感覚が続く。 …………プスリ。…………プスリ。…………プスリ。…………プスリ。 「ひ…………ぁっ……ぁ…………きっ、ひ……いぁっ……ぁ……かっ」 噛み締めていたはずの歯はいつの間にか浮いていた。 生け簀から上げられた魚みたいにぱくぱくと口を開いて閉じて痛みを逃す。 「身体を固くしているとよけい痛いですからね。 リラックスしてください。リラックス。脱力ですよ。身体が水みたいになったってイメージするんです」 ドSは凍り付くほどに優しい口調でそう言うと、片手でネコミミストの頭を撫でる。 猫耳が撫でられ、思わずぴくんと体が震えた。 「きぁっ」 視界が真っ白に染まる激痛に硬直する。 ドSはそれに頓着せず、認識した様子もなくもう片方の手で糸を絞る。 「そしたら痛くないですから。とっても気持ちいいですから…………」 「や……やめ…………やめ……て…………」 ネコミミストの前髪をかき上げてびっしりと汗ばむ額にキスをあげると、ドSは持っていた糸を力の限りに引き絞った――。 ――詰まるところこの記憶は、追体験するだけで少女の心を容易く壊す地獄そのものなのだ。 * * * 恐怖に満たされた瞳の焦点は中空を結ぶ。 口が開いた。舌が伸び、喉が震えた。そして。 「ぎ、ひっ、あがっあああぁあああぎゃあああああああぁあぁあぁああああああああああああ」 ネコミミストは、身も凍るような悲鳴を吐き出していた。 ネコミミストの右掌は尚もシャリダムを呑み込んでいく。 * * * 「――………………………………………………!!!!!!!!!!」 体験の中ではネコミミストはブックと同じように、悲鳴を上げる事すら出来なかった。 ショックで死んだと思うほどの激痛を味わって、それでも死ぬ事は出来ない。 そもそもショック死と言われる物は、主に出血性ショックによる死亡なのだ。 元から心臓が弱ってでもいないかぎり、痛みで死ぬことは出来ない。 詰まるところ肉体が傷付く事の無いこの追体験では、どんな体験をしても死ぬ事は無い。 痛みが激しすぎて、意識を失う事すら出来なかった。 「あ、がっあが、あかっかはっがっああ……が……あぎゃっきああああぁあぁ……かっ」 開けっ放しの口は意味不明な呻きと共に涎を垂れ流し、眼からはぼろぼろと涙が零れていた。 「あ…………」 その視線の先にはドSの手があった。 手には無数の長い針が握られていた。 「大丈夫。大丈夫。ここから先はとても素敵だよ。とぉっても気持ちよくなれるよ……」 「や……いや、だ…………そんなの……は…………ああああ!!」 いやいやと首を振るネコミミストの腹部にドSは、針を突き刺した。 肝臓を貫き通すように何本も、何本も。 通常のものとは違う重くてゆっくりと染み入る痛みと、異物の挿入感。 乗り物酔いを何百何千倍にしたこの様な感覚。 身体が内側から引っくり返り内蔵が口から飛び出すような錯覚。 それは極上の苦痛だった。かつてブックが味わった、誰も望まない最高品質の痛みだった。 * * * 666の手の中で、小さな手鏡が何か映像を映しだしていた。 それは長い内容だったが、ほんの僅かな時間で上映は終わりを告げる。 現実の姿、ネコミミストにゆっくりと呑み込まれていくシャリダムの姿に重なった。 制限でも掛かっているのか、それとも酢飯細胞という異分子のせいか、捕食はとても遅かった。 それでもシャリダムは一切抵抗できずに呑み込まれていく。 * * * (痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い 痛い痛い痛い痛い痛いいたい痛い痛いイタイ痛いいたい痛い痛いイタイ痛いいたいイタイ いたいイタイイタイ痛い痛いいたい痛イ痛いイタい痛いイたイいイタイ痛イいたイイタい イタイいたイイタいいたいイタイいタいイタいいたイいたい痛痛痛痛痛痛痛痛――――) 純粋な痛みの塊。 手を動かすのは痛い事。立っているのは痛い事。座り込むのは痛い事。音を聞くのは痛い事。 何かを見るのは痛い事。匂いは痛い。味は痛い。感触は痛い。思うは痛い。考えるは痛い。 痛い。痛いから痛い。痛いのも痛い。痛いけど痛いから痛くて痛むのが痛い痛い痛い…………。 思考を、閉ざすべきだったのだろう。 あるいは狂うべきだったのかもしれない。コ・ホンブックのように。 だけど幾つもの出会いと別れの中で、死に行く者達と666から多くの物を与えられたネコミミストは、 かつてのコ・ホンブックよりほんの少しだけ強かった。 痛みに全てを塗り潰された中でコ・ホンブックの軌跡は乖離剣エアを振り上げる。 (痛い痛いイヤだ痛いのはこんな痛いイヤだ痛いイタイ助け痛いイヤ痛い痛いこんな誰かイタイ助け 痛いどうにか痛い痛いイタイイタイお願いだから痛いイタイ痛いイタイやめ痛いそれはイタイ痛い 痛い痛いイタイイタイ殺しちゃ痛いいけないイタイイタイ痛いその人達は痛い悪くな痛い痛い痛い 痛いイタイイヤイタイイタイダメイタイダメ痛いダメイタイ止まって痛い痛いやめイタイ痛い痛い おねがい止めて――――!) 涙を流そうとも止まらない。痛いだけ。 逃げてと叫ぼうとしても声は出ない。痛いだけ。 助けてと願おうとしても考えられない。痛いだけ。 目をふさぐ事も考えを止める事も出来ない。痛いだけ。 全て痛みに塗り潰された中で。 コ・ホンブックの軌跡は、フォルゴレの姿をした書き手と、王ドロボウジンの姿をした書き手を殺害した。 * * * 「愛がなければこんなことはできない。あなたは正しいよ、ドS。……だが」 666はゆっくりと呑み込まれていくシャリダムの、切り離されている部分を抱き上げる。 シャリダムに取り込まれた幻夜・フォン・ボーツスレーの死体、その上半身だ。 シャリダムの一部といっても差し支えない、ゆっくりと再生しシャリダムと繋がろうとしているそれを。 「私は少しだけ、アプローチの仕方が違うんだ」 シャリダムを呑み込んでいくネコミミストの右掌に、押しつけた。 * * * (痛い痛い痛い痛い痛い痛いいたいいたいいたいいたいイタイイタイイタイイタイ……) 激痛に埋め尽くされた風景が。 「……ただの見世物ならばな。 だがこれは紛れもなく我々の前に突きつけられた現実だ。笑ってばかりもいられまい」 激変した。 (え…………これ……は…………?) 219 Blitzkrieg――電撃戦 (後編) 投下順に読む 220 さよならは言わないで。だって――(後編) 218 仮面の下の邪悪な微笑み 時系列順に読む 220 さよならは言わないで。だって――(後編) 199 かくて勝者は不敵に笑う 衝撃のネコミミスト 220 さよならは言わないで。だって――(後編) 199 かくて勝者は不敵に笑う 派手好き地獄紳士666 220 さよならは言わないで。だって――(後編) 183 第二次スーパー書き手大戦 第183話 了承!! デビルシャリダム 220 さよならは言わないで。だって――(後編)
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あれから、もう二週間が経つことになる。 わたしの使い魔が――――ゴーレムに踏み潰されて死んでから。 ☆ 学院生活二年目に入ってしばらくが経過した、よく晴れたある日のこと。 「あんた誰?」 春の使い魔召喚儀式で呪文を唱えたルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール (つまりそれはわたしのことだ。16歳の魔法学院2年生。身長はかなり小柄、体格はかなり細身、顔はかなり可愛い……と自分で言ってみる。愛称は特に決まってないけど、『ゼロ』とかいう超ありがたくない二つ名が広まっているようだ) は、平民の女の子を召喚した。 トリステイン魔法学院のものとは違った制服を着ている。 身長は平均ぐらい、髪型は耳にかかる程度のショートカットで、スレンダーな肢体。 わたしほどでは無いけどかなり整った顔立ちの、ちょっと吊り上った勝気な感じの大きな瞳が印象的。 つまる所、極めて記号的に表現するならば『ボーイッシュな美少女』という言葉が適切な外見をしている。 「誰って……。ボクは白咲深春(しらさきみはる)」 「どこの平民?」 杖もって無いし平民よね。 なんてことなの、平民を召喚するなんて前代未聞だわ。 「ルイズ、『サモン・サーヴァント』で平民を呼び出してどうするの?」 誰かがそう言うと、居合わせた人間の半分ぐらいが笑った。 違うの、わたしはやれば出来る子なの、呼び出すことにはちゃんと成功したじゃない。笑わないでよこれは違うの。 「ちょ、ちょっと間違えただけよ!」 そうよ次は絶対完璧にちゃんとした使い魔を召喚して見せるわ! 「でも僕もあんな美少女を使い魔にしたい」 「ゼロのルイズは僕らに希望をくれた!」 「俺はもうちょっと幼い子が」 「自重しろ、マルコメ」 あれ、以外に好評? 評価高い? 羨ましがられてる? あっ、ギーシュがモンモランシーに殴られてる。あの二人つき合ってたんだ。 「さあ、ミス・ヴァリエール、使い魔と契約を」 わたしは言われるままに使い魔と契約した。 「つまり、ボクは勝手にそっちの都合で呼び出されて、年中無休給金無料で一生働かされるという訳だね」 何よその言い方、まるでわたしが悪いみたいじゃない。わたしだって普通の使い魔が良かったのに。ドラゴンとか。グリフォンとか。 「まあ、しょうがないか。帰る方法が見つかるまではお世話になるね」 「なによそれ、何でわたしがお世話するのよ。逆でしょうが」 考えてみれば、普通の使い魔と違って人間の言葉は喋れるし、手が使えるんだから……使用人で十分な事ばかりだわ。 「でもねー、使い魔ってなにするの?」 「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力が与えられるわ」 「どういうこと?」 「使い魔が見たものは、主人も見ることができるのよ」 「へぇ」 「でも、あんたじゃ無理みたいね。わたし、何にも見えないもん!」 なによその顔、使い魔としての能力が足りないあんたが悪いのよ、わかってるの? 「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば秘薬とかね」 「秘薬ってなに?」 「特定の魔法を使うときに使用する触媒よ。硫黄とか、コケとか……」 「えっと、ちょっと無理」 そうよね、秘薬の存在すら知らなかったものね! 「そして、これが一番なんだけど……、使い魔は、主人を守る存在であるのよ! その能力で、主人を敵から守るのが一番の役目! でも、あんたじゃ無理ね……」 「あっ、それなら自信あるかも」 「魔法が使えない平民がどうやって守るのよ……。あんたなんか特技でもあるの? 料理がうまいとか編み物が得意とか」 使用人としてしか使えないのなら、使用人として使ってあげるわ。 「特技? うーん、そうだ!」 えっ、なんでこっちに、ちょっと、制服をっ。 何が起こったかですってぇ? ああああっあんな恥かしいこと言える訳ないじゃない変態! 気づいたら、朝になっていた。 太陽が黄色い。 使い魔と一緒に部屋を出ると、異常な肉塊を二つつけた女悪魔が現れた。 しかも、ブラウスの一番上と二番目のボタンを外して、胸元を見せびらかしている。 わたしに喧嘩を売ってるのか、こんにゃろー! う、うらやましくなんかないんだからね! 「おはよう。ルイズ」 こいつ笑った、わたしを見て笑った、わたしの胸を見て笑いやがった。 「おはよう。キュルケ」 「あなたの使い魔って、それ?」 使い魔を指差して、バカにした口調で言った。 「そうよ」 「あっはっは! 本当に人間なのね! すごいじゃない!」 なによ、そういうあんたは、おおお、おっぱい悪魔じゃないの。 「『サモン・サーヴァント』で、平民喚んじゃうなんて、あなたらしいわ。さすがはゼロのルイズ」 「うるさいわね」 「あたしも昨日、使い魔を召喚したのよ。誰かさんと違って、一発で呪文成功よ」 誰もあんたのことなんて聞いてないわよ。 「あっそ」 「どうせ使い魔にするなら、こういうのがいいわよねぇ~。フレイムー」 おっぱい悪魔は、勝ち誇った声で使い魔を呼んだ。悪魔の巣からのっそりと、真っ赤で巨大なトカゲが現れた。 ちょっと、暑いじゃない。 「うわぁ! 真っ赤な何か!」 使い魔が目を輝かせて近寄る。あんまり近づくと危ないわよ。 「おっほっほ! もしかして、あなた、この火トカゲを見るのは初めて?」 「うん、初めてっ! 何これっ」 「サラマンダーよね」 わたしの使い魔なんだから、わたしに聞きなさいよね。 「そうよー。火トカゲよー。見て? この尻尾。ここまで鮮やかで大きい炎の尻尾は、間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? ブランドものよー。好事家に見せたら値段なんかつかないわよ?」 なによっ、自慢して! 「わたしの使い魔だって凄いんだからっ!」 ゆ、指とか? 「どこが凄いのよ? ふふふ、そんな顔を真っ赤にして考えこまなくてもいいじゃない、おかしな子ね」 い、言え無い……。 「あなたお名前は?」 「ボクは白咲深春だよ。貴方は?」 「シラサキミハル? 変な名前ね。あたしはキュルケ、微熱のキュルケよ。 ささやかに燃える情熱は微熱。でも男の子はそれでイチコロなのですわ。ルイズと違ってね。 じゃあ、お先に失礼。今度、じっくりルイズについて語り合いましょう」 さっさと消えなさい。まったく。 「くやしー! なんなのあの女! 自分が火竜山脈のサラマンダーを召喚したからって! ああもう!」 「いいじゃない、召喚なんかなんだって」 「よくないわよ! メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言われているぐらいよ! なんであのバカ女がサラマンダーで、わたしがあんたなのよ!」 「え~、でも人間だよ? 動物よりすごくない?」 「わたしは使い魔を召喚したのよ。人間じゃないわ」 なのになんで、人間が呼び出されるのよ。 ……昨日は本気で動物扱いしてやるつもりだったけど、さすがにそれはひどいかしら? 「ところで、あの人、ゼロのルイズって言ってたけど、『ゼロ』ってなに? 苗字?」 「違うわよ! わたしの名前はルイズ・ド・ラ・ヴァリエール。ゼロはただのあだ名よ」 「あだ名ね。あの人が微熱ってのはなんとなくわかったけど。ルイズちゃんはどうしてゼロなの?」 「知らなくていいことよ」 むしろ、知ったらいけない事よ。 「むね?」 ダメ、これはダメだわ。いくらわたしが海よりも深い慈愛の持ち主でもこれはダメ。 いえ、むしろ躾けてあげるのが主としての愛よね。 「あああ、あんただってそんなに無いじゃないっ!」 でも、わたしよりも有る。なんて生意気な使い魔! 「かわすな!」 ええい、ちょこまかと。こいつ、なんで当たんないのよ。どこまでもご主人様に逆らう使い魔ねっ! 【巻き戻し】 【再生】 →【早送り】 【朝食】 「あのね? ほんとは使い魔は、外。あんたはわたしの特別な計らいで、床」 「ひ、ひどいよルイズちゃん……」 「ちょ、泣かないでよ。わかったわ、半分こしましょ、ねっ?」 「あっ、このお肉おいしー」 「あんた、涙は? 嘘泣き? 嘘泣きだったの?」 【授業】 眠い、ううんダメ、って、コイツ早速寝てるぅー! ご主人様が、苦労して頑張っているのに。 起きなさい、起きろ、このバカ……犬じゃないわね、どっちかっていうと猫? 起きろバカ猫っ! えっ、いえ先生、使い魔に躾を、はい、やります。サモン・サーヴァントは出来たんだし大丈夫よね。 ……ちょっと失敗したみたいね。 「ううん、ルイズちゃんどうしたのー?」 あんたは、もうちょっと寝てなさい。 【片付け】 使い魔が寝ていたので自分でやろうと思ったけど出来なかった。 使い魔を起こしてやらせようとしたら、そこらの使用人に声をかけてあっと言う間に終わらせた。 どうやら、わたしの魔法がほとんど成功しないことに薄々気が付いていたらしい、なんで? 使い魔なんかに、慰められたくないわよ。 まあ、わたしの顔が可愛いことは認めるけど。 感度って、バカ! バカ猫! 【昼食】 「なんで、あんたがテーブルで食べているのよ」 「うん? あの人が代わってくれたんだよ」 見れば、豚、じゃない、マ、マー、マルコムⅩ? とにかく太っちょの男子が床に座り込んで幸せそうな顔で使い魔用スープを啜ってた。 女の子と話したのは数ヶ月ぶりとか、つぶやきながらうっとりしている。気持ち悪い。 椅子を取りに行って、そのまま永遠に消えればいいのに。 【決闘】 なんか一年生の女子がからんできた。 マリーコール・ド・グランドプレとかいう、わたしほどでは無いがそれなりに可愛い子だ。 兄を床で食事させて、平民の使い魔をテーブルで食事させるなって、わたしは無関係なんだけど。 それにしても似てない兄妹ね。 あれよあれよというまに、使い魔が決闘することになってしまった。 やめてよね、平民がメイジに勝てるわけないじゃないの。 ああ、でもこの時期の一年ならまだ系統も決まってないし、コモンだってろくに習ってないハズよね。 あっ、風で吹き飛ばされた。 なんどやっても近づくことすら出来ないじゃない。一方的ね。一年は。 わかったでしょ? 平民は、絶対にメイジに勝てないのよ! あっ、また。寝てなさいよ! バカ! どうして立つのよ! 「痛いなあ、あのさあ、君、さっきからミニをはいて風を起こしているから、可愛い苺の下着が丸見えだよ?」 なっ、なんてこと言うのよ。でも、一年の動きも止まったわ。 速い、一瞬で、一年の懐に潜り込んだ。 ミシマコウゲンリュウ? なにそれ、あっ、一年、白目剥いてる。 【看護】 もう、打ち身と擦り傷が一杯じゃない。 そんなに、意地張ることないのに。 あれから平民がメイジを傷つけたって大変だったんだからね。 幸い、気絶してただけで別状は無かったのと、向こうから挑んできたので不問になったけど。 ふふ、寝顔だけは可愛いわね。 【プレゼント】 「あなたも、まあまあ、役に立つことがわかったし、なにか買ってあげるわ。剣なんかいいかしらね」 「うーん、ボクが習ったのは体術だからいらないかな。それより代えの服や下着が欲しいんだけど。後、お風呂入りたい」 「わかったわ。明日買いに行きましょう。それと今、お風呂入ったらすごくしみるわよ?」 「うん、ありがとねルイズちゃん」 「べ、別に使い魔がいつもみすぼらしい格好をしてたら、わたしが恥かしいってだけなんだからね」 【一週間後の夜】 「誰もいないわよね」 こんな所、誰かに見られたくない。 「じゃ、いきます」 杖を構えて精神を集中させる。 使い魔は明るい性格で、たちまち学院に馴染んだ。わたしにも友達が出来た。 おっぱい悪魔は余計だけど。 でも、最近、使い魔が主でわたしがそのオマケみたいな気がする。 だから、魔法の練習をする。 大丈夫、わたしはゼロなんかじゃ無い。 『サモン・サーヴァント』も『コントラクト・サーヴァント』も成功した。 千分の一でも、万分の一でも、成功した例があるかぎり、ゼロではない。 それに平民が魔法を使おうとしても何も起こらないけど、わたしが使うと爆発する。これは普通では有り得ない事だ。おそらく魔法に使われる力の暴走、それは言い換えれば、こつさえ掴めばすぐに魔法を使える可能性があると言うこと。 集中、集中 集中、集中、集中。 「今よ!」 いままでに無い手ごたえ、これはいける。 ……うぅ、ケホッ、ケホッ、なんで爆発するのよ。煤まみれじゃない、体洗いたい、それに着替えないと。 あっ、壁に、見てない、わたしは壁に大穴なんて見てないわよ! 翌朝、大騒ぎになってた。 宝物庫の壁が壊されて、秘宝の『破壊の杖』が盗まれたそうだ。 わっわっわ、わたしのせいじゃないわよね? 何、あんたたち、そんな所に集まって、盗み聞き? 「ばかもの! 王室なんぞに知らせている間にフーケは逃げてしまうわ! その上……、身にかかる火の粉を己で払えぬようで、何が貴族じゃ! 魔法学院の宝が盗まれた! これは魔法学院の問題じゃ! 当然我らで解決する!」 そういって学院長が、捜索隊を募ってるけど。 「し、しかし、あの宝物庫の壁を破壊するなど、どう考えてもスクウェア、到底私たちには……」 ……どうやら教師たちは、あの宝物庫に穴を開けるなんてってびびっているみたいだけど、たまたま不幸な事故で、ほんの少しだけ、ほんのちょっぴり、人が通れるくらいの穴はあいていたわけで。 これチャンスじゃない? 「おらんのか? おや? どうした! フーケを捕まえて、名をあげようと思う貴族はおらんのか!」 宝物庫に飛び込むと、杖を学院長の前に掲げる。 「ミス・ヴァリエール!」 教師たちが驚きの声を上げる。 「何をしているのです! あなたは生徒ではありませんか! ここは教師に任せて……」 「誰も掲げてないじゃないですか」 ここで名を上げとけば、うふふ、もう誰も……。 あれ、ちょっとキュルケ真似しないでよ。タバサも? 教師たちがごちゃごちゃ文句をいったけど、結局、わたしと使い魔、キュルケとタバサ、ミス・ロングビルで盗賊の隠れ家に行くことに決まった。 ミス・ロングビルが御者を買って出た。 キュルケが、彼女に話しかけている。 「よしなさいよ。昔のことを根掘り葉掘り聞くなんて」 まったく、これだから成り上がりもののゲルマニア貴族は。 「暇だからおしゃべりしようと思っただけじゃないの」 「あんたのお国じゃどうか知りませんけど、聞かれたくないことを、無理やり聞き出そうとするのはトリステインじゃ恥ずべきことなのよ」 キュルケは、舌打ちすると下品に足を組んだ。 「ったく……、あんたがカッコつけたおかげで、とばっちりよ。何が悲しくて、泥棒退治なんか……」 「とばっちり? あんたが自分で志願したんじゃないの」 「あんたが一人じゃ、ミハルが危険じゃないの。ねえ、ゼロのルイズ」 「どうしてよ?」 「いざ、盗賊が現れたら、あんたはどうせ逃げ出して後ろから見ているだけでしょ? ミハルを戦わせて自分は高みの見物。そうでしょ?」 こいつ、何てこと言うのよ。 「誰が逃げるもんですか。わたしの魔法でなんとかしてみせるわ」 そう、絶対に盗賊は、わたしが捕まえて見せる! そうこうしている間に、馬車が森の中に入っていった。 薄暗くて気味が悪いわね。 「ここから先は、徒歩で行きましょう」 ミス・ロングビルがそう言って、全員が馬車から降りた。 森の小道をしばらく歩くと開けた場所に出た。 元は木こり小屋だったのだろうか。確かに廃屋がある。 「わたくしの聞いた情報だと、あの中にいるという話です」 ミス・ロングビルが廃屋を指差して言った。 人が住んでいる気配は、まったくない。 わたしたちは、ゆっくりと相談をし始めた。とにかく、あの中にいるのなら奇襲が一番よね。寝ていてくれたらなおさら。 相談の結果、タバサの立てた作戦にしたがってミハルが中を確認することになった。 「誰もいないよー?」 ちょっと、皆で小屋に入ってどうするのよ。わたしは外で見張るわ。 ミス・ロングビルは辺りを偵察してきますと言って、森の中に消えた。 それにしても、キュルケやけに使い魔と親しすぎない? 青い髪のタバサとかいう子とも、もしかして、男だけじゃなくてそういう趣味も? まっまっま、まさか、あんなことや、こんなこと……そ、そんなことまでっ? ダメよ、ダメ、不許可よ! ツェルプストーに使い魔を寝取られたなんてことになったらご先祖様に申し訳がたたないわ! ■ あれ、いまやけに視界が暗くならなかった? 「きゃああああああ!」 ゴーレム! まさか盗賊の? そんな、こんな魔法が使える相手だなんて話が違うわよ! 巨大なゴーレムが、いつのまにか現れ、小屋の屋根を吹き飛ばした。 大丈夫! 自分を信じればきっと夢は適うんだ! 失敗でもいい、あの宝物庫の壁を壊した力なら! 力が弾けた、だけど、それは、あの時の感覚とは比べ物にならないほど弱い。ゴーレムがこちらを振り向く。 集中が甘かったようね、もう一度! 「逃げて! ルイズちゃん!」 使い魔が、叫んでる。 「いやよ! あいつを捕まえれば、誰ももう、わたしをゼロのルイズと呼ばないでしょ!」 ゴーレムは、迷うなそぶりを見せている。やる、やれる。 キュルケが、タバサが、ミハルが、何か言っている。 でも、もうそれは、わたしの耳には入らない! 逃げたくないといったら嘘だ。でも、きっとこんなチャンスは二度とない、偶然とはいえ一度は起こせた爆発をもう一度、今、起こせれば! そう出来る、やれる可能性が1%でもあるなら、それを試さずに引いて後悔するなんて絶対に出来ない! 「わたしは貴族よ。魔法が使える者を、貴族と呼ぶんじゃないわ」 杖を痛いほど握り締める。 「敵に後ろを見せない者を、貴族と呼ぶのよ!」 ゴーレムの足が持ち上がる。魔法を詠唱し、間に合わないっ。 視界に、ゴレームの足が広がる。引き伸ばされた感覚の中、死がゆっくりと、降りてくる。 突き飛ばされた。 ミ、ハ、ル? 突き飛ばされたわたしの目の前に血が広がっている。 わたしの使い魔は平民だ。いえたとえ、メイジやエルフだって30メイルもあるゴーレムに踏み潰されて生きていられるとは思えない。 死んでいる。間違いなく。 ミハルは、馬車に轢かれたカエルみたいになって生きているような化け物じゃくて肉体的にはごく普通の人間だもの。 ご主人様の言うことをちっとも聞かなくて、その癖、明るくて、憎めなくて、わたし、あなたに相応しい主なろうと、思って、それで……。 何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何でこうなるのよっ! わたしが、わたしが殺したんだ。こんな任務、志願しなきゃ良かったんだ。 視界がゆがんだ。 ああ、わたしは今泣いているだなとここで初めて自覚する。 「ミハル……」 返事は無い、永遠に。 ゴーレムが再び、足を上げる。 足の裏に、人の形をわずかにとどめた肉の塊がこびりついている。 ミハル、わたしの使い魔、ごめんね。せめて、同じ死に方をするから許してね。 ああ、キュルケが何か叫んでいる。 「ちょっとぉ、何ぼんやりしてんいるの! ボクが命がけで助けたんだからさっさと逃げなよ!」 えっ? ミハル? ゴーレムの足にくっついているのは? 幻覚? おそるおそる伸ばした手は、すり抜けた、ああそうか、と思い至る。 わたしとしたことが、完璧に失念していた。取り乱しすぎて、完膚なきまでに忘れていた。 ……そういえば、この世界には、こういう奇跡があるってことを。 ☆ あれから、もう二週間が立つことになる。 わたしの使い魔、シラサキミハルがゴーレムに踏まれて死んでから。 ……踏み潰されて死んだあと、幽霊になってから。 あの後、盗賊(フーケとかいう奴だったらしい)は、幽霊になったミハルに驚いたのか、ゴーレムを操作せずに逃げていったみたい。 足取りを掴むことは出来なかったけど、『破壊の杖』は小屋に置き忘れていったので、わたしたちは『シュヴァリエ』の爵位をもらった。 タバサは何故か気絶、ミス・ロングビルも草むらで気絶して居る所を見つけた。そんなに怖いものなのかしらね。 特にミス・ロングビルは、青い顔で何度も謝ってきた、別に引率者ってわけでもなかったんだから、そんなに責任を感じなくてもいいのに。 秘書もやめて、田舎に帰るらしい。御札とか高価なお供え物を大量にもって来た。学院の秘書ってそんなに儲かるのかしら?
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#blognavi さよならchemist 君は明日、この世から隔絶された世界へ旅立つ 僕たちは君を誇りに思う 誰にも負けない ゴルファーになってくれ taem IFK より。 カテゴリ [1人の勇ましい男について] - trackback- 2007年07月25日 22 05 16 言いたい放題言いやがって… -- chemist (2007-08-03 22 26 48) 事実になってしまったのがイタすぎる -- chemist (2007-08-03 22 27 13) 名前 コメント #blognavi
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第4回びわ湖高島さよならCUP 日時:2011/03/12(土) 学年:6年 会場:今津総合運動公園 宿泊場所: 宿泊場所 詳細: 組合せ表 試合結果 更新:2011/03/09
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ネコミミストの視るコ・ホンブックの悪夢に、全く別の記憶が流れ込む。 流れ込む風景は明らかに違う誰かの物だった。 「全く持って愚かな事よ。 あやつらは書き手として殺し合いを描く内に、己もその中に取り込まれていたというのか」 (幻夜の声……それにこれは……幻夜の思考? 記憶まで……) そしてこれまでに無かった記憶と、思考を伴う物だった。 シャリダムにはコ・ホンブックそのものが残されていなかった。 だが幻夜の死体には幻夜そのものも残されていたのだ。 (このバトルロワイアルへの憂い……それを感じているのに有効な手が無い悔しさ……) 幻夜はホテルに現れた神行太保のDIE/SOULと話す。 「そうだ。我達は貴様の……、いやここに来た全員の姿と振る舞いを見ていたのだ」 (多くを見ていたという傲慢……それに伴う強さと自信……落ち着き……)) 「それよりも気になるのは貴様の先程の発言だ。 『縁起が悪い』とはなんのことだ? そして何故、貴様はこの『縁起の悪い』と言う場所に来た?」 「……俺のいたロワ。それはアニロワ1stの事だが。 そこにあったホテルは跡形も無く破壊され、そこで13人の人間が死んだ……」 「よろこべ古強者よ。お前が当たりをつけた通りに事は運んでおる」 (興味……疑問……理解……祝福……) 死地に赴く激動のトウカリョウ。 「……解っている。 だが、俺は見せたいんだ。2nd最初の書き手が1st最強の書き手と戦えるということを! 俺……いや、俺達2ndの書き手の実力をあの時の、そして今のLX氏に見せたい。 それが、俺を『激動のカワラザキ』と言うポジションに据えてくれた紹介者への酬いになると思うし、 この会場の中で悪戦苦闘している同じロワの仲間達への励みになると思う……」 (別れ……仲間の残した意志……) 「仕方あらへんな……。幻夜さん、コレ持って行き」 そしてゲドー・ザ・マジシャンが言う。 「オレにつきあって一緒に死ぬ必要はあらへんやろ? コレ持って自分だけで行きぃや」 フラグを残せと言う言葉。 「……『書き手』という者は、本当に救いがたい業の持ち主ぞ。アイツも貴様も……そして我も」 書き手としての同胞達と自分を自覚する想い。 「最後に、言うとくわ。……恨むなよ。読み手を、な。 酷いこと言う時もあるかもしれん……し、こないな、けったいなことやらかすこともある……けど。 どんな時でも、……恨むな。あれは、あかん。……辛いのは、自分だけやで。いーこと無しの損しっぱなし、や。 それにな―― ――大事なもんも、いっぱいもらったやろ?」 ゲドー・ザ・マジシャンの言葉に噴き上がる想いと。 「……貴様は、……貴様という奴は!」 「なんや? ……めっちゃ、いい……書き手……か?」 固まった、意志。 「――どうしようもなく、どこまでも『書き手』だったよ」 (ああ、そうか) ネコミミストは知った。 自分達を護った幻夜・フォン・ボーツスレーの力の源を。 幻夜とて非力だった。多くを助けられず見殺してきた。 それでも多くの者達に多くの者を与えられた事。 (それが、弱い私達を前に進めてくれる……) 「わたしにはまだ……多くが残っている……」 それはネコミミストの言葉。 幻夜に教えられた真実だと思っていた。だけど幻夜の記憶は違う事を教えてくれる。 その時まで、幻夜の笑いは強がりだった。 死んでいく事が認められずに強がっていた。 ゲドー達、仲間のフラグが断ち切られる事を、成就できなかった事を悔やんでいた。 せめて仲間を生き残らせようという、妥協の末の成果があの勝利だった。 だけどネコミミストの言葉が、その強がりに実を与えていたのだ。 (はは、そうだ、我達にはまだ多くのものが残っている。 バトルロワイアルで多くを失い、だが同時に多くを託された。 ゲドーの首輪フラグも……きっとこやつが成就してくれよう……! はは、はははは! 感謝するぞネコミミスト! 貴様のおかげで我はこんなにも――――) 「そうだたわけめ……だから我らは、上を向いて笑えばいいのだ…………」 だからこそ幻夜はここに勝者有りと傲慢に。 「くはっ、はは……はははははは……ははは…………はは……は……」 高らかに笑いながら、逝けたのだ。 ――風景は戻る。 全ては痛みへと引き戻される。 激痛の檻に連れ戻される。 「が、あが、あぎぎぎあ、あ、あぁあぁあああああかっ、はあ…………!!」 戻った風景はシャリダムの軌跡。 コ・ホンブックが狂い行く地獄の最中。 だけど。 「いたい……いた……いた…………まけ……な……い…………!!」 一歩歩く毎に痛かった。 風が吹く毎に視界が真っ赤に染まって音が消えた。 かと思いきや次の瞬間には胸から腹から激痛が走りボロボロと涙が零れた。 「ぁ……あ…………あぁ…………」 それでも必死にこらえる。 理性を、正気のタガを手放すまいと掴み続ける。 (狂っちゃ……ダ……メ…………こわれ…………たら……!) 屈してはいけないのだ。 命のリレーはネコミミストへ繋がれたのだから……ネコミミストが壊れてはいけないのだ。 そんな事になれば幻夜の死も、ゲドーの死も。 体がスクライドで出来ている書き手の死も、666の負傷も、サプライズパーティーの殺害も。 「いた……いたい……イタイ…………いた……ぁ…………」 全ては無駄に。いや。 一人のマーダーに繋がる悲劇として片づけられてしまうのだから。 * * * 「少しは、持ち直したか」 666は呟く。ネコミミストの発狂は彼女にとっても避けたかった。 派手好き地獄紳士『666』は完全なる崩壊など望んでいないのだから。 「だが、これでも足りない。ネコミミストの決意と幻夜の遺志をもってしても、まだ」 666はネコミミストを見つめながら、考えていた。 * * * 「う……ぐ…………うぐっ……うぅ…………ひっく……ぅ…………」 一歩歩くだけで、痛かった。腕を振るうだけで、痛かった。 罪を犯していくのもたまらなく辛かった。 よく判らないスーツを来ている漆黒の、と呼ばれた書き手をエアで吹き飛ばした。 仮面ライダーカブトに変身した吉良吉影には戦いになるも漆黒を連れて逃げられた。 コ・ホンブックの体もバラバラに引き裂かれ、再生して歩き出した。 「イダイイダイイダイイダイイダアアイタッイタイダアアア…………」 次は前原圭一の姿をした書き手だった。激戦の末、ネコミミストは心臓を抉られた。 激痛に血の涙を流しながらエアを振るい、真名を解放するのではなく突き刺した。 だけど飛んできた何かに目を眩まされ、気が付くと相手の書き手は居なくなっていた。 「痛い……イタイ……いたい……イタイ、イタイ、イダイ、イダ……メェ…………」 四人組のチームに向けて威力を押さえたエアを解放した。 そしてばらけた一人、朝倉音夢の姿をした書き手の左目に、エアを突き刺した。 (いた……ダメ……イタイ……ヤダ……痛い……止めて……ダメ痛い痛いおねがいいたいやめ) 降り注いだ瓦礫に潰され、トドメを刺すことはなかった。 だけどその直後、通りすがりに居たディス・アストラナガンの姿をした書き手を、全く無造作に、 唐突に、何もさせる事無く、無数の紙の槍で貫き、引き裂いた。 「ァ……ま……た…………痛い、いたい、いたいイタイいたい痛痛痛痛痛いたいたいたたいいイイイ」 更なる罪と激痛に心が黒く染まる。 そこを救ったのは。 「――『痛い』んだね? その『痛み』、私なら治せるよ。『みんなを殺す』以外の方法もあるよ。 少し手間と時間はかかるけど、私は、私だけが、貴女を救うことができる」 (あなたは……ボマ………) 「あ…………」 ネコミミストが一度見た、LSロワの書き手。 彼女の言葉はブックの軌跡の中で、数少ない救いだった。 * * * 「しかしまさか、彼女が関わっているとは思わなかったな」 666は悲しげに。そして愛しげに悼みながら、想いを零した。 ボマー。第一回放送の時点で唯一残っていたLSロワの同胞。 第二回放送の時には既に死んでいた、仲間。 「私にだって仲間意識くらいは有る。ああ、愛とは別にね。 だけど何かを為そうとするならばそれは、コ・ホンブックに対してするべきだろうし」 666は手を握り締め、触手の電流に痺れていた握力が回復した事を確認すると。 ネコミミストを。その右掌に呑み込まれていくシャリダムを見つめた。 「この抜け殻は単なる怪物ロリと扱って構わないだろう」 * * * 「たすけて……くれるの…………?」 「うん。大丈夫だから……。絶対、助けてあげるから……」 その痛みの地獄に現れた一筋の救いすら。 「ご縁がありますね。コ・ホンブックさん」 現れたあの怪人、ドSの手によって。 「――その人は。――あなたを助けようとしたので。――私が。――殺しました」 断ち切られた。 「――死ねっ、化物! 死ねっ、人殺し! いなくなれっ、化物! 消えてなくなれっ、人殺し!」 ネコミミストはコ・ホンブックの絶望を知った。 コ・ホンブックの地獄を見た。 コ・ホンブックが……狂った理由を知った。 「あ……ああ…………あああぁああぁあああああぁああぁあぁああっああああああああぁぁぁぁああ」 それに対してネコミミストはただ、絶叫した。 吼えた。 嘆きを。世界への悲しみを、怒りを、喪失を叫んだ。 ただ咆哮した。 全身に浸透した地獄を感じながら、ネコミミストが思ったのはただ――――。 * * * 『私が思うに不幸とは、『途中』であることだと思います。 終わりでなく途中。途中を維持すること。中途半端なままになってしまうこと――それこそが不幸だと』 666は浄玻璃の鏡に映し出された、ブックが意識を失っていた時の言葉を反芻する。 (それにしてもドS氏、私と貴方は本当に似ていたよ。違うのは少しだけだ。 ただ一つ、やり方だけが貴方とは違う) 666はドラゴンころしを握り締めた。 そしてそれをゆっくりと、振り上げて――。 * * * 全てを塗り潰した物があった。 ネコミミストを支える想いさえも押し潰した物があった。 それは負の極地、ドS氏が積み上げたコ・ホンブックの地獄。 ――では、なかった。 「だから言え!!おまえの本当の願いを!!お前の味方はここにいる。俺は死なない、負けない、放っていかない。 ずっと、一緒にいてやるから!!」 それは希望の極地、承の放ったスパロボ展開。 ――それ自体でも、なかった。 そのどちらでもあり、どちらでもなかった。 ネコミミストは信じる。 (ようやく、救われる) コ・ホンブックの地獄の末で、思う。 (悪夢が終わる。痛みが終わる。悲しみも罪も終わる。もう痛くない、いたくなくなる……) 承のもたらした希望に手を伸ばして、感じた。 (この結末に……辿り着けたのなら…………) 救いは有ったのだと、そう考えて。 それでも痛みが収まらなかった瞬間。 自分ではない誰か、傷一つ無いブックの姿が自分以外の自分ではない場所に誕生した時。 ネコミミストの心は決壊した。 『どうして! どうして終わらないの!? どうして痛いの! どうして、いやだ痛い、いたい! いたいよ、イタイイタイ痛いいたいぃっ、あ、うっ、ヤダ、ヤダイヤダもうやめておねがっ、ああああ!? イヤだ助かったとおもったのにたすかってもうおねがいイヤだイヤイヤイヤイヤアアアアアアアアアァッ! たすかるとおもってがまんしたのに! 耐えられたのに! やだ、もうヤだあ、やあ! イタイイタイイタイタスケテオネガイイヤダタスケイタイイタイタイイィイィイィイイィイィ――――』 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 喉から出たのは悪魔的な咆哮だけだった。 種明かしを、しよう。 これはブックの軌跡であって、ブックの軌跡ではない。 ブックが味わった苦痛そのものの軌跡だ。 それが分離されてシャリダムが生まれた。 ネコミミストが喰らったのはシャリダムなのだから、まだ続きがあるのは当然だった。 ここに来てネコミミストの感情移入はブックからシャリダムに切り替わる。 シャリダムは思う。全ての生ある者が憎いのだと。 ネコミミストは思う。全ての生ある者が憎いのだと。 シャリダムは願う。全て死んでしまえばいいと。 ネコミミストは願う。全て死んでしまえばいいと。 シャリダムは殺意を向ける。全ての生ある者に。 ネコミミストは殺意を向ける。全ての生ある者に。 ネコミミストは目の前の敵に―――― 斬。 視界が、激変した。 痛みがあった。右腕が根本から切り落とされていた。 分厚い鉄板がその先とを遮断していた。 それをした者は目の前にいて、ネコミミストの残る左手には剣が握られていた。 ネコミミストは当然のように剣を突きだして――。 「………………………………あっ」 悪夢が終わっていた事と。 悪夢を始まった事を、知った。 「ネコ……ミミス…………ト……」 666の口から夥しい量の血が吐き出された。 茫然とそれを見つめる。 666の口から溢れた血は顎を垂れ、喉を伝い垂れていく。 溶解液により露わになった白い裸体を伝っていって。 胸の途中の、刃が突き立っている所の別の赤い流れと合流した。 その血はそのまま胸を伝い、腹を伝い、脚を伝い、地面に真っ赤な水たまりを作った。 「あ…………」 茫然と、一歩下がった。 ネコミミストの後退と共に胸に突き立っていた刃が引っ張られて、抜けた。 開いた穴から更なる血が噴き出した。 刃の先は赤い液体で濡れていた。666の、血。 誰がこんなひどい事を? 刃の根本はどこにある? 遡ったその先には震える左手が待っている。 だれの左手? 震えているのはだれ? それはネコミミストの左手。 どうして震えているのかは――。 「あ……ああ…………あ……あ……あああ…………ああああ………………」 壊れた機械のように母音だけが吐き出される。 何をした? 何をしてしまった? 殺意に任せて何をした? 悪夢に流されて何をしてしまった? 「わ、わたし、わた……ころ……し…………」 カラン。 滑稽なくらい小気味よい音を立てて、剣が落ちた。 「…………あ………………は…………」 心が軋んで、ヒビが入る。 表情が、壊れた。 「あは…………あ……はは…………あははっ、あははははははは……………」 (もう、おしまいだ……) 犯してしまった罪に潰されてネコミミストは乾いた笑いを―― パァンと、本当に綺麗な音がした。 「あ…………」 「う…………ぐ……っ」 666の呻く声。 血を撒き散らして苦痛に顔を歪めながらも振るった掌が、ネコミミストの顔を叩いていた。 「666…………」 動揺し戸惑いながらもネコミミストは666を見つめる。 666は苦しげに顔を歪めながら、ネコミミストを見つめる。 目が合う。 そして666はホッと、安堵の溜息を吐いた。 「良かった……君が、壊れなくて……」 「え…………痛っ」 麻痺していた右肩に一瞬だけ鋭い痛みが走る。 切り飛ばされた右腕が不死者の再生力によりずるずると引き戻されて、接合したのだ。 腕が飛んできた方を見るとそこには。 「ONII…………CHAAAAAA……………!!」 ドラゴンころしで右腕が断たれた為に食い残された、デビル・シャリダムが蠢いていた。 「え……な…………あ…………」 「君が壊れてしまわなくて……ほんとうによかった……」 ネコミミストは理解した。 シャリダムを喰らうネコミミストの様子を見て危険だと判断した666は、 ネコミミストが不死者であり死なない事を逆手に取り右腕を切り落とす事で、 不死者の捕食を強制的に中断させ、ネコミミストを救ったのだ。 「ふふ……それに奴もあそこまで弱れば、消し炭にすれば倒せるだろうしね……」 666はそう言うとデビル・シャリダムに歩み寄る。 地面を赤く染めあげながら歩いていく。 その背後の空間が揺らいだかと思うと、無数の爆薬がシャリダムと666の周囲に転げ出た。 「ろ……666……?」 まるで川の様に大地を染めた夥しい量の血の海。 確実な致命傷を負った666は、ネコミミストを振り返って微笑んだ。 「ああそうだ……そこに置いてある幻夜のデイパックには、デバイスも入っていた。 君の服はもう着れないし、あれでバリアジャケットを作ると良い……うぐっ」 「666!!」 「来るな」 駆け寄ろうとするネコミミストを手で制した。 「ふふ……そうだ、リクエストでもしておこう……。 リボンだ。 君には、きっとリボンがよく似合う。 色は、君の元の服と同じ白かな……うん、きっとよく似合うさ……」 「怪我を……666、あなたの傷の治療をっ」 ネコミミストも判っている。 666の傷は間違いなく致命傷で、助ける術など何も無いのだと。 それでも666は笑っていった。 「さっきは済まない……これは私のミスなのに君を叩いてしまったな……」 「ち、違う! わたしのせいだ! ぜんぶわたしの! わたしのせいで、わたしが、わたしがあなたをころ……」 「それは違うよ、ネコミミスト……私は殺されなん……ぐっ……」 666は導火線に火を点けた爆薬を一つ、爆薬で囲った中に放り出した。 ジジジジと音を立て、火が爆薬に近づいていく。 666とその足下で蠢くシャリダムを爆炎に包み込むために。 666はこみ上げた血の塊を呑み込んだ。 そしてまるでどこかに旅立つような軽やかな笑顔を浮かべて。 「生き続けたまえ、ネコミミスト。いつか、また会おう」 「666――――――――!」 閃光が全てを包み込んだ。 爆風がネコミミストに吹き寄せる。 思わず目を瞑り地面に伏せた。 そして煙が晴れた時、そこには。 666の居た痕跡も、シャリダムの居た痕跡も、綺麗さっぱり残っていなかった。 「あ……ああぁあああぁああぁあああぁああぁああああああぁあああああああああああああぁっ」 慟哭が天を衝いた。 * * * 学校より少し東のビル街。 そこに有る高層ビルを直上。詰まるところ屋上。 その更に少し上空。 「……おやー?」 緊張感の無い声が響いた。 リリカルなのはのヴィータの姿をしたその少女は、首を傾げた。 クマのプー太さん。 書き手ではない、パロロワの有名絵師。主催側からの監視者。 同行していた転が優勝狙いに転向した様に、殺し合いが極めて円滑に進むのを見てとった彼女は、 転移により主催の本拠地に帰還しようとした。 その直前にふと、上空からゲーム会場を一望していこうと思ったのだ。 ただそれだけの事。 何て事はない、どうでもいい気まぐれだ。そうまでしなくとも彼女は監視を実現できる。 だからそこで彼女に出会ったのは偶然に近かった。 「何してるんですかー?」 彼女は屋上に居た人影に訊ねた。 無数のリボンがはためいていた。 * * * 出しっぱなしのシャワー。虚ろな瞳。 傷一つ無い肌。肌を伝い流れ落ちていく水滴。 響き続ける水音。動く様子のない、少女。 あまり長くない黒髪は、だけども深みのある艶を取り戻していく。 瞳は依然、虚ろなままだった。 それでも少女は、唐突に動いた。 きゅぅっと、シャワーの蛇口を捻って止めた。 それからシャワー室の中でも身につけていた右手薬指の指輪を掲げて、呟く。 「クラールヴィント。バリアジャケットを」 ベルカ式のこのデバイスでは騎士甲冑というのが正しいのだが、 デバイスはそんな差異を咎める程に狭量ではなかった。 まるで蛹から蝶が生まれるように、デバイスからリボンが溢れ出る。 真っ白なリボン。純白という色の線。 (あの人が望んだカタチに――) 無数のリボンが絡みつく。 中指の付け根にリボンが絡み、そこから手の甲を覆って手首に結び、 編み上げるように二の腕までを包み込んでいく。 衝撃波を制御しやすくする為に、指と掌が露出したフィンガーレスグローブ。 ウェディンググローブにも使われる優美なデザイン。 (白い、リボンで――) 足指にもリボンが絡む。指先からまるで壊れやすい物を包むように繊細に、しっかりと。 まるでトゥシューズ。 足首に達したリボンはそこから絡み合うように溶け合って、足を薄く広く包み込む。 タイツかストッキングかソックスか。見る人により意見の異なる曖昧さ。 (タイトに、抱いて) 胸を、胴を、腹部を、股関節を。 強く深く抱き締める、貞節の白い帯。所により締め上げて、所により僅かなゆとりを残す。 「フッ…………」 吐息を漏らす。 震えていた小さな肢体を、もう震えないようにしっかりと締めくくるレオタード。 体にピッタリと吸い付く白い鎧。 その上でまたもリボンが踊り、白い上着が飾られる。 リボンが踊る。 汚されて捨てた白い鉢巻に代わって、新たなリボンが頭部を締める。 新たな鉢巻。前に進む決意を持てるように。 美しくも華奢なヘッドドレスではなく、 「わたしを……護って。わたしがみんなを……護れる…………ように………………」 それからまたもリボンが踊った。 手首で、足首で、首もと、胸元で白いリボンが舞い踊る。 それらは優しく結ばれた。 彼女を飾り、祝福する為に。 零れた水滴はシャワーの水滴の残り水か、決意と悲しみの涙か。 「わたしが……あの人の。 あの人とみんなの想いを無駄にしない為に」 それが残った願い。 体はスクライドで出来ている書き手は、牙無き者の剣として想いに殉じ果てた。 幻夜・フォン・ボーツスレーは死の連鎖の中でも何かを遺し繋がれる事を願った。 そして派手好き地獄紳士『666』は――ネコミミストが壊れず、正しく生き続ける事を望んだのだ。 「わたしがあなたに出来る事は、それだけだから……」 故にネコミミストが彼女達の為に彼女の想いを汲もうとするならば、 死ぬ事も、狂気に逃げる事も、何もせず鬱ぎ込む事さえ許されはしないのだ。 罪の意識はネコミミストを前に向けて引きずる。 悲しみは絆に応えなければいけないと急き立てる。 ネコミミストには未来への一方通行しか遺っていない。 「だから……」 シャワー室から出たネコミミストは、入り口に立て掛けておいた双剣を手に取った。 ゲドー・ザ・マジシャンの支給品から出てきた、マテリアルブレード。 テイルズシリーズ出展の炎と氷の属性を持ったこの二刀は、 例えばアニロワに登場するFateの干将莫耶のように、二本で一組の剣なのだ。 だが馴染み薄いアニロワの住人には別々の武器に思えたのだろう。 それは炎上するホテルにおいて、四次元デイパックの奥の奥に有った不死の酒が見落とされた一因だった。 ただでさえ支給品が三つ有るかは判らない。 だからグルメテーブルかけとこの双刀で三つだと思ってしまった。 ……ネコミミストには関係の薄い話だった。 ネコミミストがこの双剣を握るのは、666を刺してしまったあの刀を使いたくないからだ。 その双剣を、ジャケットの一部に形成した白亜の鞘へと滑り込ませる。 新たな武器と白いリボンに身を固めて、ネコミミストは歩き出した。 未来へ向けて。 「だからわたしを………………」 ――気高き白猫は歩き出した。 * * * 「何をしているか? そんなもの、あの子を愛しているに決まっているじゃないか」 黒いリボンがはためいている。 衝撃のネコミミストが纏ったバリアジャケットとそっくり同じデザインのリボンドレス。 ただ全ての色が、黒かった。 それ以外に違う所が有るとすれば、背中から黒い翼が無数に伸びている事ぐらいか。 その手にはメタルイーターMXから取り外された狙撃スコープ、つまり望遠鏡が握られている。 「愛して覗きですか? えへへ、変態さんですね」 「覗きとは人聞きが悪い。見守っていたのだよ。うん、辛うじて前向きなようで何より」 彼女はスコープをしまい込むと、プー太へと振り返った。 特に警戒する様子もなく、言う。 「丁度良い話し相手が出来たな。何かな、プー太くん」 プー太は彼女に聞き返す。 「そうじゃなくて、どうして生きているんですか? あの子には死んだって思われてるみたいですよ……ええっと、何て呼びましょう?」 「そうだな……君なら666で良いだろう。更に偽名を名乗ろうかと考えてはいるけれど、まだ良い」 派手好き地獄紳士『666』は、答えた。 「私がまだ生きている理由はそう、一言で言えば悔恨だ」 「悔恨ですか?」 ああと頷いて続ける。 「私は彼女に随分と色々な物を与え、教え、変えてきた。沢山の事を。 その結果、あの子は私の望む理想像を叶えてくれたと言えるだろう。 私を殺すのがあの子だとしたら、それ以上を望むべくもない位だ」 666はそう言うと、どこかしら愁いを感じる表情を浮かべた。 「だけど私は見落としていたんだ。 ならば私は、あの子に殺されるに足る存在だろうか? という事をね。 私はあの子に多くを求めながら、その実、ネコミミストに釣り合う存在ではなかったんだ。 まったくもってひどい話だ」 「えー……すごく悼まれてるみたいですよ?」 「ああ、それだけでしかない」 666は言う。 「私は心底からネコミミストの事を愛している。ネコミミストも私の事を大切に思ってくれていた。 あのまま死ぬのは本当に至福だった。 私はネコミミストの喪失した大切な物として、彼女の心にずっと居座り続ける事が出来ただろう。 愛し、愛してくれる者の心に永遠に残る事ほど幸せな事なんて無い。 ――だけど」 涙さえ零しながら話す。 「それではダメなんだ。そんな事ではダメなんだ!」 666は本当に心の底から、ネコミミストのために泣いていた。 「まだ先があるはずなんだ! あれより先が! もっと上があるはずなんだ! あれより高みが! 更に底があるはずなんだ! あれより深みが! だから私は、私が愛させてくれたネコミミストに続きを与えようと思う。 そう、その為に――」 それはほんとうに純粋な愛の涙で。 「――ネコミミストから私への愛がそっくり憎しみに変わるとしても」 寒気がするほどに真摯な、人から外れた感情だった。 「うーん、つまりあなたは何をするつもりなんですか?」 「やる事は簡単だ。私は、極悪人になる」 666は微笑みすら浮かべて言った。 「あれ、殺し合いに乗ってくれるんですか?」 「そういう事になるな。とにかく私は憎まれる事にした。悪のカリスマでも、下衆な鬼畜生でも良い。 このバトルロワイアルに参加する全ての者から悪鬼の如く憎まれるようになれたら尚良い。 最も望ましい事は、それを暴露した末にネコミミストの手によって――『喰われる』事だ」 「喰われる……」 「そう、私の想いの全てをネコミミストにぶつける。それが私の望む最高のクライマックスだ。 そしてネコミミストが、全ては自分への愛によるものだった事を知ってなお立ち上がろうと足掻く事を願っている。 そうでなければ――悼みも苦しみも悲しみも全て終わってしまうのだからね」 クマのプー太は気付いた。 「ところで666さん。あなた主にLSロワの書き手じゃないですか」 「ああ、そうだとも。絵板では何時も貴方に素晴らしい絵を描いてもらっている幸せなLSロワの書き手だ」 「でもその黒い羽ってもしかすると、アレを取り込みました?」 「ああ、そうだとも」 666は不敵に笑った。 「あれも私が出した支給品には変わりないからな、出せない理由なんて何も無い」 「やっぱり。えへへ、予想はしていたんですよ、その時が来るのは」 プー太も平然と笑って見せた。 「やっぱり使っちゃいましたか。――“闇の書”を」 「使ったとも。――“闇の書”を」 666はアニロワ1stでも、序盤に数話だけ執筆していた。 その時に出したアイテムは、やはり彼女の異名通り良くも悪くも強烈だ。 BLOOD+からディーヴァの剣とルルゥの斧。 ドラえもんからマイクロ補聴器。 魔法騎士レイアースから鳳凰寺風の弓と矢、それと剣。 ――そう、シャリダムの触手に向けて放たれた矢はこの矢に他ならない。 Fate/stay nightから凛の宝石十個 ――シャリダムに操られる幻夜の死体に放たれた石はこの宝石に他ならない。 そしてなにより、闇の書。 これで全てだ。 融合型デバイス闇の書。アニロワ1stにおいて重要な役回りを果たし大ボスの一つとなった危険物。 このアイテムは闇の書と融合する事で制御される。 666の髪は白髪に染まり、お下げは解かれて後ろに流されていた。 更にずっと付けていた丸眼鏡を外した事で、外見の印象は大きく様変わりしている。 「私があの状況で生き残れたのはこの闇の書のおかげだ。 シルバースキン・アナザーで爆風を防ぎ、闇の書とユニゾンして強大な魔力と高演算能力を獲得し、 強化した能力に加えて凛の宝石を一個使って懐中時計型航時機カシオペヤを瞬時に起動して疑似空間転移。 その後にもう一本だけ残っていたエリクシールで傷を癒す。いやはや危ないところだった」 「うわあ、チートですねえ」 「ラス1補正と言ってくれたまえ。なに、このロワではこれでようやく中堅だろうさ」 あながち間違いとは言えないのが怖ろしい。 「だけどそのバリアジャケットは“闇の書”で生成した物でもない」 「その通り。どっちで作っても同じなら、ネコミミストとお揃いにしたかったのでね」 その全身を包むのはネコミミストの白リボンバリアジャケットを丸々黒く染め変えたもの。 そして666の右手薬指には、“クラールヴィントがはめられていた”。 「クラールヴィントは情報戦に強い。 同じクラールヴィントでジャミングをかけておかないと、ネコミミストはすぐに私の生存に気付いてしまう。 物事にはタイミングという物が大事だ、今はまだ知られるわけにはいかない」 「じゃあ、そのクラールヴィントはどこから出てきたんでしょう? あなたのアイテムは全て、あなた自身がどこかのロワで登場させた支給品です。 アニロワ1stで出したのはあなたじゃありませんし、LSでは出てません。 では他のロワでしょうか?」 666の笑みに一瞬、狡猾な邪悪さが混じった。 「さあ、どこのロワだろうね。ふふふ」 「どこのロワでしょうねえ? えへへ」 顔を見合わせて笑い合う。そしてプー太は言った。 「その事実だけであなたは十分に鬼畜だと思いますよ?」 「ありがとう、素晴らしい誉め言葉だ。話し相手になってくれたお礼に、これをあげよう」 666はエリクシールの瓶を一本手渡した。 プー太は怪訝な様子で瓶を受け取る。 「エリクシールですかあ? いえ、でもこれは……」 「アレの分泌したイケナイ触手汁だ」 「ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!!!!」 指差した先、隣のビルの屋上で咆哮が上がる。 そこに居たのは言うまでもない。ようやく再生を終えた、デビル・シャリダム。 殆ど崩壊したものを、666が連れ去っておいたのだ。 「正確にはそれを被ったネコミミストが脱ぎ捨てた服から搾り取ったものだ」 「うわ、なんともフェチズム溢れますねえ」 「何か変わった展開に使えるかなと思って、エリクシールの瓶2本に詰めておいた。 持って帰りたまえ」 「はい、ありがたく……ってどうするんですかこんなの! エロ展開以外の何に使えと!?」 「ハハハ、主催側の書き手に渡せば頭を絞ってシリアス展開にも使ってくれるさ。多分。 では、さらばだ!」 666はばさりと六枚の黒翼を広げて、舞い上がる。 凄惨で救われないのに前に足掻こうとしてしまう残酷極まりない美しき悲劇を、ネコミミストにプレゼントする為に。 ――禍々しき黒天使は飛び立った。 【午後/E-5/学校跡地】 【衝撃のネコミミスト@アニ2nd】 【装備】:マテリアルブレード@テイルズロワ、クラールヴィント@アニロワ1st、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、拡声器 【状態】:精神的に消耗。不死者化。 【外見】:バリアジャケットの白いリボンドレス。 【思考・行動】666…………… 基本:前に……進む………… 1:スクライドの遺志を継ぎ、牙なき人の剣になる。積極的にマーダーキラー路線。 2:熱血王子と再会したら、今度こそ彼を止める。 ※衝撃波を使えます。掌からだけでなく、足の裏からも出せるようになりました。 ※「大あばれ鉄槌」を幼女好きの変態と勘違いしています。 ※シャリダムを通じて幻夜の死体を喰い、その記憶と知識と経験を得ました。 また、ブックがロワに来てからシャリダムが生まれるまでの経緯を体験しました。 ※血塗られた、永遠神剣第六位『冥加』は学校跡に残されました。 【午後/E-6/ビル屋上】 【派手好き地獄紳士666@LSロワ】 【装備】:ゲート・オブ・バビロン@アニロワ2nd(※特殊仕様)、闇の書@アニロワ1st、 クラールヴィント@アニロワ1st(ネコミミストと同じ物)、バリアジャケット 【所持品】:支給品一式、エリクシール瓶に入ったシャリダムのイケナイ触手汁 【状態】:闇の書発動。不死者化? 【外見】:黒いリボンドレス、背中から黒い六翼。長い髪は白く染まり後ろに降ろしている。眼鏡外し。 【思考・行動】 基本:極悪外道になった後、ネコミミストの前に敵として再会。ネコミミスト心から愛してる。 1:マーダーとして悪行を積む。 2:ネコミミストの前に敵として現れ、最終的に喰われる。 ※ゲート・オブ・バビロンで出せるアイテムをどれも『一応は何とか使いこなせ』ます。 エリクシールと爆薬は使い切りました。 浄玻璃の鏡の回数制限は残二回。凛の宝石は残り八個。風の矢は残量不明。 ※「大あばれ鉄槌」を(ロリ的に)危険人物と断定しました。 ※ゲート・オブ・バビロンで出せる新たに判明した物及び追加された物。 アニロワ1stからディーヴァの剣、ルルゥの斧、マイクロ補聴器、 鳳凰寺風の弓と矢、鳳凰寺風の剣、凛の宝石×10、闇の書。 加えて――マテリアルブレード@テイルズロワ@XXX、クラールヴィント@アニロワ1st@XXX、 不死の酒@アニロワ2nd(既に使用済み?)@XXX。 ※闇の書と融合しているため、その内に言うまでもなく―― ※クマのプー太氏に【エリクシール瓶に入ったシャリダムのイケナイ触手汁】が渡されました。 エリクシールはバビロンのアイテムですが、中身が代わっている為、666以外でも使えるようです。 【午後/E-6/別のビル屋上】 【デビルシャリダム】 【状態】:酢飯細胞侵食、不死者分大幅減量、胸に12の傷(※)、腹に10の刺し傷(※) 【装備】:乖離剣・エア@Fate※ 【道具】:なし 【思考】: 基本:ONIICHAAAAAAAAAAAAAAAAAANNNNN!! 1:全てを飲み込む ※不死者化する前に出来た傷は治りません。ずっと、痛いままです。 ※エアは取り込まれていますが、過負荷により機能停止中です。 このままでは再起動しません ※シャリダムはこの後、204話『我輩は――……』に続きます。 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 投下順に読む 221 したらば孔明の陰謀 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 時系列順に読む 204 我輩は――…… 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 衝撃のネコミミスト 232 傷だらけの天使たち 220 さよならは言わないで。だって――(前編) 派手好き地獄紳士666 223 エロス頂上決戦、決着……?! 220 さよならは言わないで。だって――(前編) デビルシャリダム 204 我輩は――……
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最高の全握だったかもしれない。 まず、朝起きたのが6時半で 5時に起きる予定だったので、このままだとミニライブもいい席で見れへんなーって思ってたのでそのまま寝ちゃいました笑 起きたのが昼の12時で、途中参加しようと会場に向かいました。 とある事情により6枚消化しなければならないんでどんどん並ぼうとしたらすごい人の数で最終的に2枚しか消化できなかったんで 残りは振替として交換してもらいました♪ そうそう握手の形式が変わったんですよね まずAとBブロックに別れていて、各レーン握手が終わったあと 今度は上のレーンに行くような形になっております。(最初はしたからはじまる) つまり二回握手できるということです。ちなみに下のレーンは基本選抜メンバーで 下が研究生レーンとなっています。 レポート 今回はこのルールを適用して たかみな、さっほー、ゆーりん、ぱるる、かとれな、あんにん と握手できましたwww しかも二枚でねww で、レポートつっても全握なんでほとんどしゃべれなかったのでメンバーの感想を言っていきます。 たかみな ちっちゃくて、可愛い。一応話を振ったけどしっかり聞いてて、返してくれる。さすが総監督でした。 若干疲れてたかな? さっほー 初見で研究生の子です。元気でした。可愛かったしね。 ゆーりん 天使だった。可愛いし、元気だし、身を乗り出してくれたし、もう女神だった。 ぱるる 塩塩塩 大塩の乱 でも可愛いんだよ~~wwww かとれな イメージと違った。梅ちゃんみたいな雰囲気だった あんにん 美人だった。結構小さかった。俺のことみて「はっ!」としてたけどあまりにこの俺がイケメンすぎて驚きを隠せな(ry 以上です。 あととにかく寒かったね ほんとはゆきりんで終えたかったけど時間が迫っててやめました 次はいくぞ!
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「良かった、マスター。無事合流できて……しかし、なんという格好をしているんですか、マスター? ああ大変だ、怪我……していますね」 「いっいやぁそんな……そんなに、大したこともないって言うか……!!」 「少しの傷でも見逃せません、感染症にでもかかると大変ですから。 さぁ、見せてください、マスター。この僕が治療しましょう」 「えっ、えっと……わ、わかったけど、ちょっと待って……!!」 オーケイ、オーケイ、状況を整理しよう。 わたしは今、これはきっと、ちょっとばかし危うい状態にある。 はずだ。 推定年代は不明、座標も不確定。かろうじて分かるのはヨーロッパ……イタリアのあたりだということ。 そんな不安定な特異点にレイシフトしたわたしが真っ先に出会ったのは、人はもちろん、モンスターとも形容し難いような……形が崩れた、土人形だった。 それも、とびっきりの敵意むき出しの。 味方も居なくて窮地!ピンチ!そんなところに思わぬ助っ人が現れ、今に至る。 周囲にはすごく大きな茨の生垣。もちろんそれを構成している茨のトゲも大きくて、殺傷力はそれなりだと思う。 痛かったもん。 カルデアとの通信は切れている。 ここに到着した時には確かに繋がっていたはずだけれど、先程の戦闘からぱったりと途絶えてしまった。 目の前には……知ってる彼。わたしの頼れる仲間、異形の怪物に襲われていたわたしを助けてくれたサーヴァント。 いつもの十字をあしらったロングコートに、いつもの表情、いつもの声。 アサシン、シャルル=アンリ・サンソン。 そして、わたしは。 ところどころ破けたカルデアの制服姿で、地面に転がって、彼が捲ろうとするスカートを抑えて抵抗している。 ……なんとも第三者の誤解を招く絵面である。 彼、サンソンの名誉の為にも説明しておこう。 確かにわたしは先の戦闘のせいで怪我をしている――それも太ももの辺り、スカートで少し隠れる位置。 それにわたしは治療を受ける気もある、ただ、ただ。 「その、そんなにしなくても、わたし暴れたりしないから!!」 彼にそんな下心なんてないと知っていても。善意の行動であると知っていても。 英霊とは言え男性に押し倒されて、スカートに手をかけられたら、抵抗するなという方が無茶だと思う! わたしの必死の形相に、サンソンはぱちくりと目を瞬かせて。 「……ああ、これは失礼しました」 無事、わたしの身体は自由を取り戻した。ふう、と安堵のため息が漏れる。 サンソンってこんなに積極的だったっけ……なんて、まだ心臓の鼓動が速いままなのを感じつつも彼のほうを見た時―― 「ええ、本当に。あと数秒貴方が退くのが遅かったら、力尽くでも彼女から引き剥がすところでした」 ――三人目の、声がした。 ◆◆◆ 神は女に向かって言われた。 「お前のはらみの苦しみを大きなものにする。 お前は、苦しんで子を産む。 お前は男を求め 彼はお前を支配する。」 ――――創世記3 15 ◆◆◆ 啜り泣きが聞こえる。 ごめんなさい、ごめんなさいと震える声が言う。 あなたを産んでしまったから、あなたが産まれてしまったから。 ごめんなさい、ごめんなさいと声は繰り返す。 「では、産まなければいい」 啜り泣きの主はゆっくりと顔を上げる。 視線の先には、一人の若い男。 どうして。 彼はその問いには答えない。 整った顔を半分覆い隠す、柔らかな前髪をゆらりと揺らして男は微笑む。 その左手には、血のように紅い葡萄酒で満たされた、輝く杯が握られていた。 ◆◆◆ 「……おや」 「あっ……まくさ……!?」 「はい、貴女のルーラー、天草四郎です。マスター、お元気そうで何よりですね」 三人目――天草四郎はにこやかに笑う。いつから居たの君。 「戦闘を行っている気配があったので、もしやと思って駆けつけたらこの様ですよ。 いえ、マスターの趣味に口を挟む気など毛頭ありませんが、このような敵陣の真っ只中とも言える場所であられもない姿を晒すのはあまりお勧めしませんね……」 「あのね!?違う!違う違うから!!」 「ははは、誰かさんに似てきましたねマスター」 軽口を叩きながらも天草はわたしとサンソンの間に立つ。自然に。 そうそれは不自然なほど、自然に。 わたしが気付くのだ、勿論サンソンもその違和感には気付いたらしい。 「……何の真似だい」 「おや、貴方が一番理解していると思いますが」 警戒心の露わな瞳のサンソンとは対照的に、天草四郎は。 「どこの誰とも知れない輩がマスターに近付いているとなると、黙ってはいられないじゃないですか?」 にっこりと、笑った。 ◆◆◆ 金の喇叭を撫でる手を止め、少年はゆらり、と顔を上げる。 歳に合わぬ白い髪、遠くを視ているかの様な透き通る青い瞳。 陶器のような雪花石膏の肌に映える、薔薇色の唇が開く。 「来たね」 声が答える。 「あのおねえちゃんはどうかな」 少年の周囲に人影はない。 「きっと味方だよ」 少年は声に笑いかける。 「おねえちゃんはつれていってくれるかな」 また、声。 「ああ……きっと、救ってくれるはずさ」 悲しげな瞳、総てを赦す瞳で、 少年――――アヴェンジャーは微笑んだ。 ◆◆◆ 「……へぇ」 天草の言葉にサンソンの目が険しくなる。 ――けれど、けれど、彼の口元は笑っている。 「おや、否定しないんですね。こういう時は往生際悪く言い訳をして足掻くのがセオリー通りの展開だと思ったんですが」 「はは、ははは」 さも可笑しいと言ったようにサンソンは笑う。笑って、わたしを見る。 見覚えがある。その瞳は。 涼しいはずのサファイアが、違和感を感じるほど、熱を帯びているのは。 そう、それは、あのとき、フランスで。 「肯定も否定もしないよ――だが、安心してほしい。僕はマスターに危害を加えるつもりは毛頭ない。 ……まあ、天草四郎、君は随分と僕を警戒しているようだから、こんな言葉では信用するに値しないかもしれませんが」 バーサーク・サーヴァント――――目の前の彼が、あのオルレアンで出会った彼の姿と重なる。 でも、でも。 それとは違うんだと、わたしの感覚が告げる。 「マスター。この刃は貴方の為に振るうと、そう決めたのだから」 わたしの瞳をまっすぐに見つめて、優しく微笑んで、処刑人は言う。 「貴方が望むならば、いえ、望まざろうとも。僕は貴方を守ります。 貴方を守る為ならば、僕はそう――何人でも、殺せるからね、マスター」 ぞくりとした。 「……今、な、んて」 「はぁ、やっと気付きましたか。全く困ったマスターですね」 大人しかった天草が呆れたように言う。黙っていてほしい。 わたしはサンソンを見る。 そんな、そんな、信じたくない。わたしが信じて、わたしに力を捧げると言ってくれたサンソンは、 「ええ、殺せます。殺しましょう。裁きましょう。マスター。貴方の為に、貴方の名の下に。 貴方を害する者には総て、この僕が罰を与えよう」 ――――処刑人であって、殺人者ではない。 「……歪むんですよ。此処では」 愕然とするわたしを横目に、天草四郎がぽつりと言う。 「彼のように……抱く思想が人道的であればある程、道徳的であればある程、この永久都市ではズレて、歪むのです。 そしてその産物は最早、別物と呼ぶに相応しい」 天草は続ける。 「そうでしょう、バーサーカー……シャルル=アンリ・サンソン」 サンソンは笑みを絶やさない。 「さぁ、どうだろうね。それに……君こそどうなんだい、天草四郎」 「私ですか?私の願いは世界の恒久的な平和ですからね、それこそ理想的過ぎるが故に歪みようが無かったんでしょう」 天草は両腕を広げて自信満々に笑う。この通りルーラーですからね、と。 サンソンもそれに応えて笑う。傲慢なお方だね、と。 わたしはそんな二人についていけない。 だって、だってそんなの、あまりにも。 あまりにも、酷すぎる。 ――『でも、処刑と殺人は違う!否、違わなければならない!』 彼の言葉が蘇る。 悩み、苦悩し、罪なき人間を殺すことを何よりも嫌がったのが、この処刑人――シャルル=アンリ・サンソンではなかったか。 そんな、そんな、サンソンの苦しみを、経験を。 全部全部踏みにじるような仕打ちは。 「ゆるせ、ないよ……っ」 何としてでも、特異点を修正する。 こんなふうに、歪まされて、台無しにされて、踏みにじられているのはサンソンだけではないかもしれない。 「マスター、いかがなさいましたか」 ぐす、と鼻をすすって前を睨むわたしを見てサンソンが困ったように言う。それがまた、つらかった。 わからないのだ。今の彼には。 これがどんなに酷い仕打ちなのかが、わからないのだ。 そして、そんな彼に対してわたしが今すぐにできることも、ないのだ。 「……とにかく、今は、今は、カルデアと連絡をとらなきゃ」 そう、最優先すべきことはこれだ。 通信が途絶えてマシュにもダヴィンチちゃんにも心配をかけているに違いない。 そもそも、なぜ通信が切れているのだろう? 「この生垣のせいですよ」 周囲にそびえ立つ茨を見上げながら天草が言う。 ……というか、これ、何? 「詳しくはわかりませんが……おそらくは何者かによる宝具と考えるのが妥当でしょう。 そう、これは唯の生垣ではありません」 マスターに合流するまでにある程度把握しましたが、と天草は一呼吸置いて言い放つ。 「茨で出来た巨大迷路――迷路園です」 BACK TOP NEXT Overture 歪聖永久都市 バチカン ---
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第4回びわ湖高島さよならCUP 日時:2011/03/13(日) 学年:6年 会場:今津総合運動公園 詳細: 組合せ表 最終結果: トーネメント表 試合結果 更新:2011/03/15
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← 少女が一人横たわっている。 クリーム色の柔らかな髪が夜風にそよぎ、一つまた一つと顔を覗かせる星々に照らされる。 自然が生み出したステージ上で、少女が立つ様子は一向に見られない。 ここは彼/彼女が輝ける舞台に非ず。 終焉を迎える、箱庭の一幕に過ぎない。 ダグバの体から粒子が放出される。 ネビュラガスを注入された者に終わりの時が訪れた証拠だ。 たとえスマッシュから元に戻っても、全員が無事でいられる訳ではない。 小倉香澄のように元々虚弱な体の持ち主なら、ネビュラガスを注入した時点で死に至る。 蓮達との戦闘で重傷を負ったダグバもその例に漏れず、スマッシュにされた時既にその命は消滅が確定した。 「……」 刻一刻と迫る死を前にしてもダグバは笑う。 作り笑いではない、本当に楽しくて嬉しかったと言わんばかりに微笑む。 アークワンという最高の玩具で遊べた。 圧倒的な力を行使し胸が弾む光景を幾つも作った。 グロンギの頂点に立つ自分でさえ、命の危機が迫る瞬間があった。 互いに痛みと死をぶつけ合い、同じ力を持つ者同士でしか見れない世界を見れた。 これを喜ばずにどうするという。 ――…… 真乃もまた笑みを浮かべる。 あれだけ自分の心を蝕んだ悪意は今やどこにも感じられない。 死へ近付いてようやく消え去ったのは、流石に遅過ぎると思うけど。 それでも、安堵と諦観を抱き静かに微笑む。 きっと、これで良かったのだろう。 生きていれば、自分の体を動かす彼はもっと多くの人を傷付ける。 今より沢山の人が悲しみ、怒り、死んでいく。 子供の頃から憧れたアイドルが笑顔を届けるのとは違う。 彼の作り出す世界で笑顔になれるのは、彼一人だけ。 だからこれで良い、これが正しい。 これ以上、誰かが命を落とす前に。 これ以上、誰かの笑顔が奪われる前に。 自分が自分で無くなり、彼と同じ笑顔を消し去る存在になる前に。 ここで終わった方が、きっと誰にとっても良いことなんだと思う。 ああ、だけど。 未練というやつはどうしたって顔を出す。 自分と同じ究極の闇をもたらす者となったクウガと、ゲゲルをやりたかった。 そうしてまた一つ、笑顔になりたかった。 帰りたい場所がある。 内気な自分を変えたくて飛び込んだ世界は、想像の何倍も輝いていて。 失敗続きのレッスンから始まった、胸を張ってお互いが大好きだと言える、真乃達三人の居場所。 どこまでも羽ばたきたいと思えたイルミネーションスターズに。 だからやっぱり 「まだ、死にたくないな」 一字一句同じ言葉を口にして、ここに二人の物語は終わりを迎える。 現代に蘇った古代種族の王は永遠の眠りにつき。 色鮮やかに輝く星々の一つは、誰にも知られず舞台を降りた。 最後の時まで彼/彼女を象徴する笑みを、決して失わないまま。 【ン・ダグバ・ゼバ@仮面ライダークウガ(身体:櫻木真乃@アイドルマスター シャイニーカラーズ) 死亡】 ◆ 生体反応が完全に消失。 死体は髪の毛一本、服の切れ端すら残さず、あるのは首輪が一つだけ。 視覚センサーで周囲を警戒しても、動体反応はゼロ。 本当に終わったと分かり、ようやっとブラッドスタークの変身を解除。 気怠さをこれでもかと籠めたため息を吐き、首輪と支給品を回収。 やることを終え、地面へ大の字に横たわる。 アイドルの体でやるには余りにだらしない仕草だが、エボルトを咎める他の参加者は皆無。 隣に転がしたままの共犯者は未だ気絶中だ。 スマッシュに変えたダグバを使ってオリジナル態の気を引き、隙を見て纏めて攻撃。 ダグバが落としたミニ八卦炉の砲撃は大した威力だった。 これなら自分のエネルギーを流し込んで使う、エターナルソードの代わりの媒介に丁度良い。 ただ砲撃の餌食となったのはアイススマッシュ一体のみ。 オリジナル態の方は発射を察知し即座に逃走を選び、あっという間に視界から消え去った。 理性がないとはいえ生きるという本能に従うのがオリジナル態だ。 危機察知能力は高く、単に暴れ回るだけのスマシュとは違うらしい。 「プラマイゼロってとこか」 面倒な参加者が死に、そいつが使っていた道具も手に入った。 それは良いがアルフォンスは暴走したまま行方を眩ませている。 首輪解除に役立つかもしれないと踏んで同行を反対しなかったが、迂闊な判断だったと今更ながらに思う。 暴走の頻度が街に居た時より悪化しており、これでは戦兎の元へ連れて行ってもいらぬ火種になるのではないか。 先の砲撃はこれでも意識を奪う程度で済ませるくらいには加減した。 蓮からスパイダーショックを借りて拘束、処遇をどうするかは追々考えるつもりだったが結果はこれだ。 一つ良い事があれば面倒ごとも同じ分やって来る。 何時になったら気を抜けるのやらと呆れを口にし、 「……で、そろそろ元気出せよ。千雪」 (…っ!!) 己の内から怒りを向けられた。 お世辞にも機嫌が良いとは言えない体の持ち主へ、エボルトは大袈裟に肩を竦める。 それが却って、千雪の神経を逆撫ですると分かった上でやっているのだろう。 (どうして、ですか…どうしてあなたは…!) 「どうしてどうしてと言われてもねぇ?仕方なかったってやつだろ?」 (っ!あなたなら真乃ちゃんを、殺さないでどうにかする事だって……!) 「買い被ってくれてありがとよ。だが良いのか?愛しのプロデューサー以外の男に目移りするなんざ、尻軽と思われるぞ?」 (ふざけないで!あなたは…!) この期に及んで軽薄な態度を引っ込めようともしないエボルトへ、抑え切れずに声を荒げる。 千雪を知る者がいたらさぞ驚くだろう。 ここまで怒気を露わにする彼女は余程のことでもない限り見れない。 同じ事務所に所属するアイドルの少女を怪人に変貌させ、トドメを刺すというその余程の事態が起きたのだが。 「殺さないで済まして、それで?」 怒りのままに続けようとした言葉は、淡々としたエボルトの声色で押し留められた。 ダグバをスマッシュに変えず、尚且つ殺さずに捕え、蓮を庇ったままオリジナル態を大人しくさせる。 難易度は上がるが絶対に出来ない訳ではない。 問題は、それをやって何の意味があるのかということ。 「まさか、忘れちまったとは言わねぇよな?体は人気のアイドルだろうと中身は別物。そいつをわざわざ生け捕りにして、それでめでたく解決だと本気で思ってるのか?」 (っ……) 反論の言葉が出ず、吐息が漏れた。 千雪の様子を気の毒だと思うこともなく、やはり温度を感じさせない声で続ける。 「大体アイツは相棒から恨みを買い過ぎてる。お前だって知ってるだろ?それとも、体の女がかわいそうだから水に流してやれなんて言う気か?」 (そ、れは……) エボルトにしてみれば、ダグバを生かす意味は全く無かった。 もしダグバが優勝し願いを叶える為や、一刻も早く帰還する為に殺し合いに乗ったなら。 交渉次第で難波重工のように利害関係で繋がることも出来ただろう。 だが現実にダグバは優勝と言う結果ではなく、参加者と殺し合う過程に価値を見出す者。 まともな話の通じる手合いではない。 仮にダグバが気まぐれを起こし、共にボンドルド達を倒すのに協力すると言い出したとしてもだ。 千雪に言った通り、ダグバは殺し合いで他者からのヘイトを集め過ぎている。 確認出来るだけでも5人、蓮は仲間を殺された。 お人好しであれど判断力は悪くない蓮でも、流石に仲間の命を奪った奴と一時的に手を組むと言われれば納得などできないだろう。 蓮だけではない。 交戦経験からダグバを危険視するキャメロットや、同行者であったいろはを殺されたジューダス。 彼らとて承諾しかねるに違いない。 ダグバを生かすメリットと言えば、真乃と元々知り合いだった千雪や大崎甜花からエボルトへの印象を多少マシに出来る程度。 リスクとリターンがまるで釣り合っていない。 ディケイドや暴走中の康一は生きており、主催者との直接対決も控えている現状で抱え込むには厄介にも程がある。 そのような相手にまで手を差し伸べるような博愛主義者ではない。 真乃を気の毒に思う参加者はそれなりにいるだろうが、エボルトがやったのは果たして責められる内容なのか。 複数人の善良な参加者を殺した危険な者を利用し、トドメを刺した。 打算とはいえ蓮を守り、アルフォンスの暴走はそもそもエボルトの責任ではない。 感情論を抜きにすれば別に間違った行動ではなかった。 「ま、そういうこった。怒り足りないなら原因を作った連中を恨むんだな」 話はこれで終わりとばかりに立ち上がる。 唇を噛み俯く女の姿がありありと浮かぶも、所詮は些事だ。 それより今の戦闘を見て、他の殺し合いに乗った者がやって来る方に警戒すべき。 気絶中の蓮は元より、エボルトも消耗が大きい。 面倒な輩とぶつかる前に移動し、さっさと戦兎に合流するに限る。 ダグバのデイパックを漁り魔法のじゅうたんを取り出す。 これなら蓮を寝かせたまま移動できるし、余計な体力を使わずに済む。 「とんだ寄り道になっちまったが、そろそろ行くとしますかね」 道を阻むものは現れず、西を目指して飛んで行く。 あっという間に橋へ到達すれば、最早戦場には何も残らない。 王と偶像が生きた証も、何一つとして。 ○○○ 『千翼…お前を殺しに来た』 赤い獣が笑う。 『千ィ翼ォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!』 緑の獣が怒る。 『千翼ォ!逃げろぉ!!』 少年が自分を逃がそうとする。 『やがて、星が降る……星が降る……頃……』 そして少女が、あの娘が、 イユ、が―――― 「―――――ッ!!!!!!!!!」 記憶の中の人々が、幾つもの痛みが浮かんでは消えて。 本能という濁流に流され、木っ端微塵に散らばる。 獣は咆える。生きる邪魔をするなと。 獣は咆える。生きる為に喰わせろと。 獣は哭く。誰か自分を止めてくれとでも言うように。 そんな獣を憐れむように、慈しむように。 星は静かに見下ろしていた。 【C-4と5の境界 橋/夜】 【雨宮蓮@ペルソナ5】 [身体]:左翔太郎@仮面ライダーW [状態]:ダメージ(大)、疲労(絶大)、SP消費(大)、体力消耗(特大)、怒りと悲しみ(極大)、ぶつけ所の無い悔しさ、メタモンを殺した事への複雑な感情、じゅうたんに乗って移動中、気絶中 [装備]:煙幕@ペルソナ5、T2ジョーカーメモリ+T2サイクロンメモリ+ロストドライバー@仮面ライダーW、三十年式銃剣@ゴールデンカムイ [道具]:基本支給品×6、ハードボイルダー@仮面ライダーW、ダブルドライバー@仮面ライダーW、スパイダーショック@仮面ライダーW、新八のメガネ@銀魂、ラーの鏡@ドラゴンクエストシリーズ、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、2つ前の放送時点の参加者配置図(身体)@オリジナル、耀哉の首輪、ジューダスのメモ、大人用の傘 [思考・状況]基本方針:主催を打倒し、この催しを終わらせる。 0:…… 1:西側のエリアに向かい、しんのすけや協力出来る一団やと合流する。 2:仲間を集めたい。 3:エボルトは信用した訳ではないが、共闘を受け入れる。 4:今は別行動だが、しんのすけの力になってやりたい。フリーザの宇宙船にいるみたいだ。 5:どうして双葉がボンドルド達の所にいるんだ?助け出さないと。 6:体の持ち主に対して少し申し訳なさを感じている。元の体に戻れたら無茶をした事を謝りたい。 7:ディケイド(JUDO)はまだ倒せていない気がする…。 8:新たなペルソナと仮面ライダー。この力で今度こそ巻き込まれた人を守りたい。 9:推定殺害人数というのは気になるが、ミチルは無害だと思う。 [備考] ※参戦時期については少なくとも心の怪盗団を結成し、既に何人か改心させた後です。フタバパレスまでは攻略済み。 ※スキルカード@ペルソナ5を使用した事で、アルセーヌがラクンダを習得しました。 ※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。 ※翔太郎の記憶から仮面ライダーダブル、仮面ライダージョーカーの知識を得ました。 ※ベルベットルームを訪れましたが、再び行けるかは不明です。また悪魔合体や囚人名簿などの利用は一切不可能となっています。 ※エボルトとのコープ発生により「道化師」のペルソナ「マガツイザナギ」を獲得しました。燃費は劣悪です。 ※しんのすけとのコープ発生により「太陽」のペルソナ「ケツアルカトル」を獲得しました。 ※ミチルとのコープ発生により「信念」のペルソナ「ホウオウ」を獲得しました。 ※アルフォンスとのコープ発生により「塔」のペルソナ「セト」を獲得しました。 【エボルト@仮面ライダービルド】 [身体]:桑山千雪@アイドルマスター シャイニーカラーズ [状態]:ダメージ(大)、疲労(絶大)、千雪の意識が復活、じゅうたんに乗って移動中 [装備]:トランスチームガン+コブラロストフルボトル+ロケットフルボトル@仮面ライダービルド、グレートドラゴンエボルボトル@仮面ライダービルド、魔法のじゅうたん@ドラゴンクエストシリーズ、スマートフォン@オリジナル [道具]:基本支給品×4、フリーガーハマー(9/9、ミサイル×9)@ストライクウィッチーズシリーズ、ゲネシスドライバー+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武、アークドライバーワン+アークワンプログライズキー@仮面ライダーゼロワン、ミニ八卦炉@東方project、ランダム支給品0~1(シロの分)、累の母の首輪、アーマージャックの首輪、ダグバの首輪、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル、大人用の傘 [思考・状況]基本方針:主催者の持つ力を奪い、完全復活を果たす。 1:西側のエリアに向かう。ようやく会えそうだな戦兎ォ? 2:ナビからの連絡を待つ。トラブルでもあったのかね。 3:蓮達を戦力として利用。アルフォンスの奴は…どうしたもんかねぇ。 4:首輪を外す為に戦兎を探す。会えたら首輪を渡してやる。 5:有益な情報を持つ参加者と接触する。戦力になる者は引き入れたい。 6:自身の状態に疑問。 7:このエボルボトルは何だ?俺の知らない未来からのプレゼント、ってやつか? 8:ほとんど期待はしていないが、エボルドライバーがあったら取り戻す。 9:柊ナナにも接触しておきたい。 10:今の所殺し合いに乗る気は無いが、他に手段が無いなら優勝狙いに切り替える。 11:推定殺害人数が何かは分からないが…まあ多分ミチルはシロだろうな(シャレじゃねえぜ?) 12:ジューダスの作戦には協力せず、主催者の持つ時空に干渉する力はできれば排除しておきたい。 13:千雪を利用すりゃ主催者をおびき寄せれるんじゃねぇか? [備考] ※参戦時期は33話以前のどこか。 ※他者の顔を変える、エネルギー波の放射などの能力は使えますが、他者への憑依は不可能となっています。 またブラッドスタークに変身できるだけのハザードレベルはありますが、エボルドライバーを使っての変身はできません。 ※自身の状態を、精神だけを千雪の身体に移されたのではなく、千雪の身体にブラッド族の能力で憑依させられたまま固定されていると考えています。 また理由については主催者のミスか、何か目的があってのものと推測しています。 エボルトの考えが正しいか否かは後続の書き手にお任せします。 ※ブラッドスタークに変身時は変声機能(若しくは自前の能力)により声を変えるかもしれません。(CV:芝崎典子→CV:金尾哲夫) ※参加者がそれぞれ並行世界から参加していると気付きました。 ※主催者は最初から柊ナナが「未来を切り開く鍵」を手に入れられるよう仕組んだと推測しています。 ※制限で千雪に身体の主導権を明け渡せなくなっている可能性を考えています。 ※自分と戦兎がそれぞれ別の時間軸から参加していると考えています。 【C-5/夜】 【アルフォンス・エルリック@鋼の錬金術師】 [身体]:千翼@仮面ライダーアマゾンズ [状態]:疲労(絶大)、空腹感(極大)、食人衝動(大)、自分自身への不安、目の前で死者が出て助けられなかったことに対する悲しみ、暴走中 [装備]:ネオアマゾンズレジスター@仮面ライダーアマゾンズ、ネオアマゾンズドライバー@仮面ライダーアマゾンズ [道具]:基本支給品、銀時のスクーター@銀魂、グレーテ・ザムザの首輪 [思考・状況]基本方針:元の体には戻りたいが、殺し合うつもりはない。 0:生きる 1:西側のエリアに行き神楽さん達と合流する。 2:暴走を抑える方法も考えないと…。 3:グリードは一先ず大丈夫、かな? 4:産屋敷さん、じゃなくて無惨って人は殺し合いに乗ってたんだ…。ミーティの体、元に戻してあげられなかった… 5:殺し合いに乗っていない人がいたら協力したい。 6:もしこの空腹に耐えられなくなったら… 7:千翼はやっぱりアマゾンだったのか… 8:機械に強い人を探す。 [備考] ※参戦時期は少なくともジェルソ、ザンパノ(体をキメラにされた軍人さん)が仲間になって以降です。 ※ミーティを合成獣だと思っています。 ※千翼はアマゾンではないのかとほぼ確信を抱いています。 ※支給された身体の持ち主のプロフィールにはアマゾンの詳しい生態、千翼の正体に関する情報は書かれていません。 ※千翼同様、通常の食事を取ろうとすると激しい拒否感が現れるようです。 ※無惨の名を「産屋敷耀哉」と思っていました。 ※首輪に錬金術を使おうとすると無効化されるようです。 ※ダグバの放送を聞き取りました。(遠坂経由で) ※Fate/stay nightの世界観および聖杯戦争について知りました。 ※千翼の記憶を断片的に見ました。 ※アマゾンネオ及びオリジナル態に変身しました。 ※久しぶりの生身の肉体の為、痛みや疲れが普通よりも大きく感じられるようです。 139 Jの奇妙な冒険/懐玉 投下順に読む 141 自由の代償(前編) 時系列順に読む 137 瞬間センチメンタル 雨宮蓮 142LOST COLORS -桃源郷エイリアン- エボルト アルフォンス・エルリック 134 悔いなき選択 -傷痕- ン・ダグバ・ゼバ GAME OVER