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あかぎ(列車愛称) 「あかぎ」 (AKAGI) は、JR東日本が高崎線などで運行している特急列車。 1985年3月から2002年11月までは、「新特急あかぎ」という名称の特急列車として運行していた。 使用する列車種別 走行路線および区間 主な行き先 使用車両 発車標表示イメージ 関連項目 外部リンク 使用する列車種別 「特急」(全区間) 走行路線および区間 東北本線(宇都宮線) --- 上野~大宮 山手線・東北本線 --- 新宿~(田端)~大宮 新宿駅発着の列車のみ走行する。 高崎線 --- 大宮~高崎 上越線 --- 高崎~新前橋(~渋川) 新前橋~渋川間は、「あかぎ4号」の8号車~14号車のみの運行。 両毛線 --- 新前橋~前橋 主な行き先 新宿 上野 高崎 新前橋 前橋 使用車両 JR185系(大宮総合車両センター/大宮<宮オオ>) JR185系(田町車両センター/田町<東チタ>) 発車標表示イメージ 5文字表記 (下の画像をクリックすると、実際の交互表示を別ウィンドウで表示します) 関連項目 ウィークエンドあかぎ(列車愛称)(土休日のみの運転) 水上(列車愛称) 草津(列車愛称) 外部リンク あかぎ (列車) --- Wikipediaの記事
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鉄研遺産登録。高麗人参エクスプレスの後継車。寝台列車の車両ケースの中にかぎタバコを投下した。しかし、においがつく前に発覚、かぎタバコが撤去されてしまった。 関連項目 鉄研遺産 高麗人参エクスプレス
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作成中です・・・ ページ:1 2 3 作品 ■▲▼ わたし 655 名前:「わたし」 [] 投稿日:03/05/29(木) 21 01 ID qsphP42R ここから「 」ここまでは私有地です 花を植えたり、寝そべったりするのです 「ここ」には入口などないのです 返事をしなくても怒らないでください いつも工事中なのです 大きな犬も飼っています 「ここ」で何をしていても どうか責めないでください 花を枯らしても、万年床でも、 女王のフリをしていても 「ここ」でまあるくなってると とても気持ちが良いのです でも、怖い夢を見るのです 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 愛の孤独のかたつむり 662 名前:愛の孤独のかたつむり [] 投稿日:03/05/30(金) 10 00 ID mUWx80ag あなただけを わたしは愛したい たとえあなたが なめくじになっても あなただけが 生き甲斐だったのよ お願いわたしを 括弧に入れて もう一度もう一度 名前呼んで もう一度もう一度 夢を見させて だけどあなたは なめくじになったから ずっとわたしを愛してくれる うぅ うぅ うぅ うぅ わたしは喋らないあなたを括弧に入れた 孤独なかたつむり しあわせのかたつむり 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 理解への夢 663 名前:理解への夢 [] 投稿日:03/05/31(土) 13 05 ID dZXx9ifx 「 」 「「」 「「「「「「」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「 」」」 「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「」」」」 「「」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 」」」」」」」」」」」」」」」」」」」 」」」 」 《 「 」 》 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 「」 665 名前:「」 [sage] 投稿日:03/05/31(土) 16 13 ID +7IPs+/R タイポグラフィに任せちゃならんと 僕はやっぱり駆け出したんだ 犬みたいに真っ赤な舌を へらへらさせて ギャーッ だなんて 叫ぶこともできなくなって いったいどんだけ経ったのか そんなことすら忘れちまって 舌から涎を垂らしっぱなし 引き締められた口元とかさ 見開かれた目 それだけさ それだけなんだよ必要なのは セカイをとめる沈黙と セカイをうごかすコトノハさ 言葉をくくる静寂が 今の僕には何より大切 ほら いってみようぜ ためらうな さあ 「 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ シンラバンショウ VS 「 」(目的編) 668 名前:シンラバンショウ VS 「 」(目的編) [] 投稿日:03/05/31(土) 17 44 ID VHRXeR1y 「アリクイはアリを食べるために生まれた」 「鳥は空を飛ぶために生まれた」 「猫は足音を立てないために生まれた」 「蟹は狭い岩陰に隠れるために生まれた」 「魚は水中でも呼吸ができるために生まれた」 「ハリセンボンやハリネズミは外敵を刺すために生まれた」 「アルマジロやカメは外敵の攻撃を防ぐために生まれた」 「ペニスはヴァギナに挿入されるために生まれた」 人間はシンラバンショウを「 」で括るために生まれた という括弧は なんて俺一人では作れないものなんだろう 675 名前:シンラバンショウ VS 「 」(逸脱編) [] 投稿日:03/05/31(土) 21 28 ID dkqBw7MO 「「アリクイはアリを食べるためにつくられた」 「鳥はアリを食べるための長い舌をもってない」 「猫はアリを食べるための長い舌をもってない」 「蟹はアリを食べるための長い舌をもってない」 「魚はアリを食べるための長い舌をもってない」 「ハリセンボンやハリネズミはアリを食べるための長い舌をもってない」 「アルマジロやカメはアリを食べるための長い舌をもってない」 「ペニスはアリを食べるための長い舌をもってない」 人間はシンラバンショウを「 」で括るための概念をもっているが アリを食べるための長い舌はもってない」 という括弧を 俺は一人ではつくれなかったその上にアリを食べるための長い舌をもってない 前編は不思議なことだ 後編はなにやらどうでもいい ーーーーーーーーーーーーーーー 672寸評ありがとうございます この作品は 668と前編後編セットで一作品ということにします 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 渚の「」(かぎかっこ) 670 名前:渚の「」(かぎかっこ) [sage] 投稿日:03/05/31(土) 19 05 ID kxraF6b1 渚にでも行ってさ のんびりと過ごそうか・・・ かき氷でも食べながら。 ぎりぎりショットを堪能しつつ かっこつけてナンパとかさ・・・ っていうか「春」「夏」「秋」「冬」どの季節でも こんなこと言ってる俺達って寂しい香具師だよな・・・ <「オンライン」で渚のギャルを堪能するヒッキー達のつぶやき> 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 横倒しトラップ 679 名前:[横倒しトラップ] 1/2 [sage] 投稿日:03/06/01(日) 22 39 ID KVF/U4Dp 4月だけの風上にやってきているインクの色とカタチだけ 探しているその目はどこにも視点があわないままで時計回り 右手と左足が同時に動き出す列からはみ出して四方八方に 散らばるから手も滑って震えて落ち着かないだけ 解けてこない話と結び目のない釣り糸の中間に奇麗な痣 フォントを変えてリハビリを始める不自由な言葉のあや そんな朝の話をどこか遠くのマイクで拾って集めている メモだけ串刺しにして積み重なっていく ところどころ笑ってしまっては繰り返さないで その「 だけ横に倒して次の獲物を待ち続ける影のない交差点 どこか見たことのあるようでない景色の前で彼らはただ振り返り 意味の見当たらない微笑を僕らに差し出して終わりだ ──隠れた塹壕に勝手に消えていくのだから 空を切った 」の終わり方も今は無視して 最初から繰り返し閉じられない扉の形をした罠 もう少しだけ後ろへ回ればなんともないふりをして 自分から進んで転んでいくその行進の真似事だけ 「あの信じている何かと言ってしまえば簡単だ 2秒後に落とし穴に落ちると結論付ければいいからな」 680 名前:[横倒しトラップ] 2/2 [sage] 投稿日:03/06/01(日) 22 39 ID KVF/U4Dp スクラップの集めた山の中から崩れていく次々と死んだ会話の 台詞集のト書きだけを抜き出して空白で塗りつぶしていく映画 その全ての演技は全て嘘であったら皆がどうするかなんて 考える度に見えるのは方向もそろわない行進 さあ今それを好き勝手に捌こうとしている あなたのすることなんてたった1つしかない ──その「 だけ横に倒して次の獲物を待ちましょう。 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ 日記帳に語り掛けるとき 681 名前:日記帳に語り掛けるとき [] 投稿日:03/06/01(日) 23 15 ID R4nLzRqJ 青い空 引越しして初めての日曜日 足りないものを買い物に やっぱり郊外 緑が濃い バラ 真っ赤な びろうどのような 花びらが三分咲きでしばらく 楽しめそうと思ったら衝動買い 花屋のおじさんに根掘り葉掘り聞かれ 広口の花瓶に一輪挿しして テーブルに飾るだけと いったら カスミソウをおまけしてくれた 引っ越してよかった 色々な物が片付いていく 出すことのなかった あなたへの手紙 屑篭へ あと何回か 日記帳にさみしいと 書くかもしれないけど 引越ししてよかった…… 【コメント】 【得点】 0点 ■▲▼ LOCK/UNLOCK 682 名前:LOCK/UNLOCK [sage] 投稿日:03/06/01(日) 23 49 ID cBlppHS6 僕が粘土でこしらえた 鍵の形のアクセサリ 何一つ開錠できず これは鍵でない だから括弧に入れて 存在を抑圧させた方が適切だ 僕は(鍵)を持っています 今 自分で引いた 「 」 を凝視すると (鍵)(鍵) (鍵) (鍵) (鍵) (鍵) (鍵)(鍵) が浮かび上がるのは 僕がお金を欲しいからだろう マスクとサングラスを着用して ナイフも懐に忍ばせ 夜を浴びる 683 名前:2 [sage] 投稿日:03/06/01(日) 23 50 ID cBlppHS6 か ぎか っこ (ぎか) 「」 だからきっと「」が(挿入口)となるはず ダッテソウイウキマリダカラ! お菓子の家が崩れる 早く逃げなきゃ 警告! 警告! 警告! 番犬が吠えるから どこからともなく警察官が駆けつけるんだ やばい足を滑らせてしまった 僕の頭が地を蹴る カチン ホラヤッパリソウダ! (ぎか)を逆さにすると(かぎ)になる (鍵)になるんだ そして 」「 684 名前:end [sage] 投稿日:03/06/01(日) 23 51 ID cBlppHS6 イツダッテソウナンダ! 鍵と挿入口は 正反対の関係 しかし(鍵)を(挿入口)に入れても 「」「」 (挿入口)が2つできるだけで開錠できない だから(鍵)は使えないのか いつでも不法侵入は失敗する 僕は貧乏だ 【コメント】 【得点】 0点 ページ:1 2 3 ページ先頭へ トップページ
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【検索用 うつろいかきり 登録タグ UTAU う そぞろまる 名前シレズ 曲 曲あ】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:そぞろまる 作曲:そぞろまる 編曲:そぞろまる 唄:名前シレズ 曲紹介 軽やかに水面を辷る速度でなければ たちどころに溶解されてしまう 曲名:『うつろいかぎり』 コンピレーションアルバム『合成音声のゆくえ』収録曲。 ボカコレ2023春ルーキー参加楽曲で、43位にランクインしている。 歌詞 (「合成音声のゆくえ」公式サイトより転載) 息、思い出したら波で また探さなきゃ からだを畳んで 濁り出したらあわいで 振り返らずに 不可視の底まで ひかりの移ろう粒子だけ かろうじて繋ぎとめて ととのったら顔を出そう シャッターチャンスは与えない! すらすらと辷る水面には 待ったの飛沫も上がらない 踊っている、踊らされてる? 問いを躱して 溶かないで ねぇ まるで眼路(イメージ)の縁から 甘い花をつけて誘惑する梢 ねぇ本当は待ってるんでしょ 濁りもつらぬく誰何を あなたの声で安心したいよ そして虹の膜だけが浮かんでいる 「シャッターチャンスは与えない!」 くらくらと強がる水面には 待っての飛沫も上がらない それでも手放せなくて 次の波でも きっときっときっとそばだてて コメント 名前 コメント
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かぎ針編み 必要なもの 糸 糸の号数に合ったかぎ針 編み図(あると良い) とじ針 ☆基本の編み方 ※編み図記号はPCで打てる文字で良いものが無いためほぼ省略 輪と呼ばれる作り目から開始 鎖編みの作り目から開始 引き抜き編み編み図記号 細編み(編み図記号:×) 鎖編み 編み図記号 中長編み編み図記号 長編み編み図記号 長々編み編み図記号 (長編みのグループはたくさんあります。長編み3目の玉編みなど他山のようにありました。とても長くなるので編み図記号からどうぞ) 編み方の種類は多いですが、やっている編み方は似たような編み方が多いです。 やってみると意外と簡単なのでアクリルたわしを作ったりするところから始めてみてはいかがでしょうか アクリルたわしなど作る場合に減らし目や増やし目を使うと思いますが細かい部分は検索して頂けると助かります。 (わからない・うまくいかない場合はスレで質問OKです) 参考サイト 手づくりタウン 編み物の基礎知識→編み方の基本(かぎ針編み)、編み目記号の編み方(かぎ針編み) あみぐるみ・あみぐるむインフォメーション URLとして載せようか一番迷いました。VIPで叩かれることを承知の上で載せます。 ただ、このサイトの編み方動画は本当に材料から始める初心者向きでとてもわかりやすかったです。なれてきたらアミテクというところも見ると良いかと思われます。 レース編み 必要なもの レース糸 糸の号数に合ったレース針 編み図(あると良い) ☆基本の編み方 編み図から見て思っただけですが編み方はかぎ針と同じだと思います。 ただ、長編み3目の玉編みを知らずに長編みをただ3回したりということが無いように気をつけましょう (調べてわからなければうpして聞くのも良いかなと思っています)
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DQM2 モンスターズ2に登場する道具。 マルタの国の扉の間には鍵穴があり、これに鍵を差し込むことによって異世界へと旅立つことができる。 マルタの国に帰りたいときは【マルタのかぎ】を扉に刺すことで帰宅できる。 ストーリー上必要になる鍵と、捨てたりできる汎用の鍵とがある。 ストーリー上必要になるような特別な鍵は、名称に形容詞が無いのですぐにわかる。 例えば「天空の鍵」だとか「狭間の鍵」だとかである。 ストーリーに関わる鍵は最初から名前が判明しているので、鑑定の必要が無い。 当然、ストーリーに関わる重要な鍵なので、交換したり捨てたり出来ないが、例外も存在する。 完全にモンスター集め用のものとなる汎用の鍵は、鍵屋で鑑定をしてもらわないと使うことができない。 汎用の不思議な鍵の入手手段は異世界のダンジョン最深部の宝箱か、格闘場の景品以外の入手手段は基本的に無い。 鑑定費用はこちらの連れているモンスターの強さに比例して高くなり、高いほど出現するモンスターも強い。 名称はレア度を表す形容詞部分と、生息しているモンスターの系統を表す名詞部分からなる。 例えば、「さいごのちかしつの鍵」の場合、出現するのはレア度3.5か4のスライム系と悪魔系となる。 形容詞はGB版では16種、PS版では32種存在し、名詞はGB版は56種、PS版は86種存在する。 これにより、不思議な鍵の種類はGB版では896種、PS版は2752種類存在している。 形容詞部分のランクが高いと、前作までの各系統の最強モンスターが普通のエンカウントで出てくることもある。 ただしそういった希少価値の高い鍵の異世界で出てくる敵は強く、並みのモンスターでは歯が立たない。 これら汎用鍵の異世界のおかげで????系を配合で産み出す難易度が大きく下がったことは間違いない。 ただし、汎用の鍵で行ける異世界では、ボスモンスターが権力を握って一つの地域または世界を支配している。 そのためエンカウントで出てくる魔物が人間の仲間にならないよう圧力をかけているので普通は仲間に出来ない。 仲間を集めたい場合は、まずボスを倒すところから始めなければならないのだ。 ごく稀に、「○○のまおうのかぎ」というかぎが出現することがあり、ここではなんと全ての敵が????系である。 歴代のラスボスがその辺をウロウロしているという(見た目的にも)恐ろしい世界で、他の世界とはケタ違いの経験値が貰える。 また、魔王の鍵の異世界では、どんなに頑張ってもモンスターを仲間にすることは出来ない(跳ね除けられる)。 これは????系が霜降り肉で簡単に仲間になったらゲームが崩壊するため、当然の処置だろう。 汎用の鍵の異世界はランダムにマップが作成されるが、これが前作と比べても秀逸なシステムが組まれている。 作成される異世界には必ず町、ボスの城、塔や洞窟のようなダンジョンと、主な施設が一通り揃っており、 単なるランダム作成のダンジョンでしかなかった前作の旅の扉の異世界とは違って、異世界らしいマップになる。 また、ランダム作成で海のスペースが生成された場合、水上には扉の系統に関係なく水系モンスターが出てくる。 こうした手の込んだマップが必ず生成されるため、一つの鍵の異世界を完全に探索し尽すのには、かなりの時間を要する。 なお、魔王が跳梁跋扈している超危険な異世界でも、概ね何の問題も無く人間が暮らしているようだ。 彼等の強さはライフコッドの村人さえも上回るかも知れない。もっとも、魔王の世界だと住人はガイコツだが。 PS版では魔王の鍵は無くなってしまった。また、異世界での鍵の入手率がGB版に比べて異様に下がっており、未クリアの鍵が無くなってしまうケースが非常に多い。 その為、鍵入手のためにひたすら闘技場を制覇し続けなければならなくなり、非常にストレスが溜まる。 その代わり、鍵一つ一つのストーリー性は高まっている。
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どうして 終わりなの どうして 星空が 涙で 滲んでゆく どうして 終わりなの どうして あしたから わたし なにしていくの 駅からの 坂道も 途中の ラーメン屋さんも いつも寄る コンビニも あなたを思い出す 場所よ どこにいても いつでも ふたり いっしょだったから この街に いるだけで あなたのこと 思い出す 青い空や 夕焼け いつも ふたり 見てたから この星にいるかぎり あなたのこと 思い出してしまう ほんとに 終わりなの ほんとに いつだっけ 朝がくるまで ふたり ちぎった カレンダーのうらに クレヨンで 未来の絵を 描いたね ふたりが違う星に 移り住む日まで このまま 続くと 思ってたわ あしたさえ もう来ないのに クリスマスも 連休も ふたり 過ごしていたから こんどから どうすれば 楽しいのか わからない 雨の中や 陽だまり ふたり 歩いてきたから この星に いるかぎり あなたのこと 思い出してしまう どこにいても いつでも ふたり いっしょだったから この街に いるだけで あなたのこと 思い出す 青い空や 夕焼け いつも ふたり 見てたから この星にいるかぎり あなたのこと 思い出してしまう
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てつのかぎ(鉄の鍵) 概要 PS版デスティニーに登場した貴重品系のアイテム。 登場作品 + 目次 デスティニー(PS) 関連リンク関連品 デスティニー(PS) 貴重品の一種。 きんのかぎとせいどうのかぎとともにアンスズーンの開かない扉を開くのに必要。 同所のねずみを倒すと手に入る。 分類 貴重品 備考 - 効果 アンスズーンの開かない扉を開く 入手方法 他 アンスズーンでねずみを倒す ▲ 関連リンク 関連品 きんのかぎ せいどうのかぎ
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括弧、推理、城にて(中編) ◆0RbUzIT0To (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル [[第186話] 数十分後、レナの手元には文字がびっしりと書き連ねられた八枚のメモがあった。 唯一、文字を書けなかったカービィは今は亜美の腕の中にすっぽりと納まっており申し訳無さそうな顔を浮かべている。 しかし、それを気にする素振りも見せず手元にあるメモ全てに目を通していきながら、レナは頭を必死に回転させてゆく。 ここにいる者はレナと文字を書けないカービィ、そして未だ眠るつかさを除いて八人。 それぞれがこの一日で経験してきた事象はかなり膨大なものとなっている。 理解するだけでも苦しいだろうその数の情報を、レナは極限まで高めた集中力で頭に叩き込んでいく。 大広間にはレナがメモを捲る静かな音と、それらを紛らわす為のカモフラージュの雑談の音が響き……。 そして、レナは小さく頷くと一枚のメモを皆に見せるように翳した。 『首輪解析の詳細と、皆の持つ全ての情報。確かに見せて頂きました。 ですが、これだけではまだ理論を展開するには至りません。 だから、ここから個別に話を聞かせて貰いたいんですが、よろしいでしょうか?』 今更断る理由など、この場にいる者は持ち合わせていない。 全員が頷くと、レナは感謝の意を述べてすぐさま新たな一文を書き記したメモを見せる。 『まず聞きたいのは、アリスちゃんとカイバーマンさんが解析したという首輪の性能に関して』 『……いいわ、何でも聞いて頂戴』 『アリスちゃんの解析によるとこの首輪には魔法の刻印が刻まれているという話。 その性能について読ませて貰ったけれど、その中で少し気になる点があった。 ――ここには、魔術によるハッキングを防止すると書いてある、だとしたら、ハッキング以外の魔法は効くのかな?』 『ハッキング以外……?……首輪を大きくするだとか、形状を変えるだとかは無理よ』 『そう……なら、この爆弾を起爆する事は出来ないのかな?物理的なものを使わずに』 『起爆?』 周知の通り、首輪には爆弾が取り付けられている。 外側は強固な金属で覆われており、その首輪に衝撃を与えて起爆する事は難しいと考えられる。 しかし、内側からなら話は別だ。 事実、富竹はその首輪を内側から拳銃で撃つ事によってその衝撃で首輪を爆破する事に成功している。 霊夢も、YOKODUNAを倒す時に無理やり首輪を外そうとしてその首輪を爆破させたのだ。 ここで例として出しているのはそのどちらもが物理的な衝撃によるものである。 だが、もしもそれを魔法的な技術を持っている者が首輪に物理的なもの以外で衝撃を与えたならば? いや、それは衝撃でなくて構わない。 『……恐らく、出来ると思うわ。爆発するように、と爆弾に対して魔力を付加すればそれだけで』 『実例は?』 『無いわよ……そんな事、思いつきもしなかったんだから』 『ならそれは事実では無い可能性がある……今ここで、実験してみてくれないかな?』 そう書き記すと、レナはすぐさま立ち上がり窓を開けると彦麿とアリスを来るように促す。 彦麿から首輪をを受け取り、レナは更にメモに走り書きをしてゆく。 『ここから、首輪を思い切り投げる。少し遠い場所……しかも動く物に命令を送る事になるけど、出来ると思う?』 『遠かろうが動く物だろうが関係無いわ、まだ魔力は少ししか回復してないけど起爆する程度ならそれほど魔力を使わないしね。 それよりも貴重な首輪を爆破して本当にいいの?』 『うん、これは更なる理論の展開に必要な実験だからね……』 辺りを見回せば、残りの面々も頷きレナの奇行を見守っている。 嘆息をつきつつ、アリスは指先に魔力を高めていった。 爆弾を爆発させる魔法程度、アリスにとっては初歩の初歩だ。 幾ら魔法を通しにくい術式が首輪に施されていようと失敗するはずがない。 目で準備完了の合図を送ると、それを察知したレナが首輪を外へ向けて大きく投擲した。 首輪は放物線を描いて遠く上空まで舞い上がり、城門を飛び越えて城外へと飛び出す。 あそこまで遠ければ爆発しても城内にいる自分達には影響が無いだろうと判断し、指先を首輪へと向け。 その魔力を一気に首輪へと注ぐ――。 「え?」 しかしなにもおこらなかった。 首輪は無常にも地面に落ち、一向に爆発する様子は見えない。 呆然としているアリスを他所に、それを見てレナは満足げに頷くと再びメモを見せる。 『起爆の魔法は成功しなかったけど、原因はわかる?』 『……わからないわよ、こんなはずはないのに』 魔力をしっかりと込めたし、距離だって決して無茶な程離れていた訳ではない。 幾ら能力を制限されているとはいえ、首輪を爆破する程度の魔法など朝倉を操るよりも遥かに容易いはずだ。 だからこそ、失敗した理由がわからない。 『霊夢ちゃんはどうかな?自分なら出来ると思う?』 『どう思う、レイジングハート?』 『アリスの術式は正確無比なものでした、あれで起爆出来ないというのなら我々でも無理でしょう』 そう、アリスの首輪に向けて放った命令は確かなものだったはずだ。 それで不可能だというのなら、レイジングハートと霊夢がやっても結果は同じものになるだろう。 その見解を聞き、レナは再び皆にソファーに戻るよう促し続ける。 『今の実験でわかった事は、魔法を行使して首輪を起爆させようとしても無理だと言う事……だね』 『つまり、主催者はその爆発させる魔法を封じたっていう事かしら?まあ、理由は簡単ね。 もしも、魔法を使って首輪を爆破なんてさせられたら、私達にはたまったもんじゃないもの』 レナの言葉に、閣下が苦笑交じりに答える。 仮にアリスが成功していたとするならば、魔法が使えない閣下達にとってこれほど恐ろしいものはない。 何故ならアリス達魔法が使える者がその気になれば、人を発見次第首輪を爆破する事が可能になるからだ。 もしも魔法が使える者が殺し合いに乗っており、その事に気が付いたとすれば自分達はあっという間に淘汰されるだろう。 そんな事になっては面白くない、と主催者達がその爆破する魔法を制限したというのも頷ける。 閣下のその理論に、周りの者が頷く中。 『ちょっと違うかな?』 レナが首を傾げながら、その閣下の言葉を否定した。 『主催者達はアリスちゃん達の魔法を制限した訳でも、首輪に起爆の魔法が通じないように設計した訳でもないと思うよ』 『……どういう事かしら?』 『アリスちゃんの解析結果から、首輪に通じないようにされている魔法はハッキング関連だけだという事がわかってる。 だから、アリスちゃんの解析が正しいならば後者は有り得ない。 次に、アリスちゃんは確かに起爆の魔法を行使した……その魔法は確かに放たれたんだから、魔法が制限された訳でもないんだよ』 そう、未だ全てを解析するには至っていないがアリスの見解では首輪に効かないとされる魔法はハッキング関連だけなのだ。 首輪側に起爆を封じる措置が為されているとは考え難い。 そして、アリスの様子を見る限りではアリスは魔法を行使出来なかったのではなく、行使をしたもののそれが効かなかったのだ。 だとするならば、その起爆魔法が制限されているという認識は間違っている。 アリスが起爆の魔法を放った時点で、その制限が為されていないと証明出来ているのだから。 『起爆の魔法は制限されておらず、また首輪側はその魔法を遮断するようには作られていない――しかし、首輪にはそれが効かない。 これが事実……そして、この点を頭に入れながら、話をまだ続けさせて欲しい』 そう言いながら、レナは次にカイバーマンへとメモを見せ付ける。 『カイバーマンさんの見解では、この首輪には盗聴機能の他にも首輪を付けている者の体調管理……。 わかりやすく言えば、生死を判断する装置がついているという事ですがその点についてもう少し細かく教えて欲しい』 『ふぅん……体調管理とはその名の通り。 恐らくは人体の体温や脈拍等といったもので奴らは人の生死を察しているのだろう』 『……なるほど。だとすれば、矢張りその見解はおかしいです』 『何だと?』 『私の仲間に、動くお人形さんがいたんです』 一瞬、そのメモを見てアリスが反応をしたが気にも留めずレナは続ける。 水銀燈――ローゼンメイデンの第一ドールである彼女は、精巧に作られているものの実態はただの人形である。 人形であるからして、心臓などというものは存在せず。当然体温や脈拍などというものはない。 『それだけじゃない、私の仲間には首ではなく巻き毛にその首輪を付けられている人がいました。 皆さんも知っていると思いますが、毛には体温も脈もありません』 レナの指摘は、カイバーマンの解析した穴を的確に指摘していた。 彼女の言う通り、水銀燈やピッピの毛には体温も脈も無いのだからその生死を体調管理機能で把握する事は不可能なのである。 反論する術もなく、力なくカイバーマンは頷く。 だが、だとすれば主催者達はどのようにして自分達の生死を判断しているのだろうか。 『……結論から先に言いなさい、焦らすのは好きだけど焦らされるのは好きじゃないの』 『焦らしたつもりは無いんだけど……でも、そうだね。 結論から先に言う……。 さっきのアリスちゃんによる首輪の実験結果。そして、カイバーマンさんの見解の穴。 この二つの情報が示すものはたった一つ……。 この会場全体に、主催者達は魔法をかけているんだよ!!』 『『『『『『『『な、なんだってー!?』』』』』』』』 レナのあまりといえばあまりな飛躍した発言に、思わずその場にいる全員がメモに同じ語句を書く。 しかし、それすら気にせずレナは更に理論を展開していく。 体調管理が意味を為していないというのなら、どうやって生死を判断しているのか……。 まさか、監視者がわざわざその体調管理が意味を為さない者をずっと監視しているという訳でもあるまい。 水銀燈にしろピッピにしろ、大規模な戦闘をしていたのだ。 レナが見つけて殺した、あの赤い野菜の宇宙人程度ではすぐに逃げ出して監視どころの話ではなくなるだろう。 だとしたら、導き出される答えはたった一つ。 何らかの"魔法"を使ってその生死を確認しているとしか考えられない。 『これに関しては、私は専門じゃないからわからない……だから、霊夢ちゃん達の意見を聞かせて欲しい』 『……そうね』 レナの言葉を受けて、霊夢は考える。 魔法――いや、この会場全体にかけているのだとしたらそれはむしろ結界と呼んだ方がいいだろう。 結界の事ならば、自分の専門分野である。 『レナの言う通り、体温や脈拍以外で生死を確認する術は確かにある。 この全域に結界を張り、首輪をつけている者の生死を調べる事は出来るわ。 外界と自分達の世界とを遮断している大結界に比べれば、遥かに簡単な結界ね』 『なら、この首輪と同じように――ここにいる人たちの能力を制限する結界っていうのは?』 『……それも可能よ。でも、それが?』 『ありがとう……やっぱり、私の考えは間違いじゃない』 霊夢の質問に答えず、レナは更に考える。 結界を使い、主催者達が自分達の生死を判断しているのはほぼ間違い無いだろう。 しかし、主催者の張り巡らした結界はそれだけじゃない。 まだもう一つ――今まで集まった情報から考えて、張られている結界があるはずだ。 『彦麿さんとアリスちゃんが出会ったお猿さん、そして霊夢ちゃん達が出会ったケラケラ笑うお化け。 彼らは首輪をしていなかった……かといって、コトノハさんやコロネちゃん、ヲタチちゃんのように従順な支給品であった訳じゃない。 つまり、彼らは主催者にとってイレギュラーな存在……ここまでいい?』 全員が頷くのを確認して続ける。 『そのイレギュラーが危険な存在であるというのは、霊夢ちゃんが出会った吸血鬼の話から推測出来る。 だからこそ、異例であろう参加者の新規追加が為されたんだ』 『あの吸血鬼が、主催者達にとっても脅威だって事?』 『でないと、新規追加なんてするはずがない……そして、ここからが重要。 私達が把握しているだけでも、二つのイレギュラーの例があるんだ。 そんなに多く発生するイレギュラー対して、ここまで用意周到な主催者が予防線を張っていないはずがない』 主催者がイレギュラーに対して用意した予防線――即ち、参加者もそれ以外の者も、この会場にいる全ての者の力を封印する結界。 確かに、余りにも多すぎるイレギュラーが出る事を彼らが察知していたのだとしたならば、それを用意している可能性は限りなく高い。 『つまり、私達は首輪と結界――二つによって能力を制限されてるって事?』 『恐らくは……どちらかが破れたとしても、私達に完全な力の復活をさせない為にもね』 二重の枷と、二重の結界。 レナの推理によって齎された新たな情報は、脱出への希望に満ち溢れていた彼らにとって突如現れた難題であった。 首輪を解体したとしても、結界によって未だ力を制限されるのだ。 そんな状態で主催者達に戦いを挑んだとして、勝てる可能性は限りなく低い……。 しかし、その不安を拭うかのようにレナは再びペンを取り活路を見出す。 『悲観する事はありません。その結界がこの会場"のみ"を対象としているのならば、この会場を出れば解決します』 『……なるほど。確かに貴様はその術を持っているのだったな』 そう、レナはこの会場を脱出する術を持っている。 だからこそ、結界の方に関する制限に関してはそれほど重要視するものではないのだ。 『はい……それに、何も絶望的な事実だけが発見されたという訳じゃない。 新たに見つけた事実の中には、勿論私たちに益があるものも確実に存在する。 それは……ハッキング以外で、首輪爆破の危険を取り除く方法です』 その言葉に、一同が一斉に顔つきを変える。 レナは技術者ではないし魔法を使う事も出来ないはずだ。 そんな彼女が、一体如何様にして首輪を解体するというのか……一同の関心は強まる。 だが、期待をする彼らの目を他所に、レナは申し訳なさそうに苦笑をしながら書き連ねる。 『皆の期待を裏切るようだけど……首輪の解体も、無効化も私には出来ないよ。 私が提案しようとするのは、単に"首輪爆破"に関してのみ取り除くものだから』 『どういう事だ』 『……この首輪に、首輪を爆破出来ないような細工をする。私が提案するのは、それだけだよ』 疑問の表情を浮かべる彼らに対して、レナは更に言葉を噛み砕くようにしてわかり易く説明してゆく。 『まず、どうしてこの首輪が爆発するのか……禁止エリアに入ったと認識するのはどうやってか。 カイバーマンさんはどう思いますか?』 『この首輪にGPS機能のようなものをつけ、それで位置を特定出来るようにする。 そうしてメインコンピューター側で禁止エリアをセッティングし、そのエリアに進入した場合のみ起爆するよう……。 いや――違うな、これでは――』 『そのエリアにいる死んだ参加者の首輪まで爆発してしまう……ですね』 レナの言葉にその通りだ、とカイバーマンが頷く。 日吉が倒した奇妙な形をしていた青いタヌキは、この城からすぐ北のC-1にそのまま残っている。 しかし、C-1で爆発が起きた様子は全く見て取れないのだ。 そこから推察するに、死亡していた場合に限り、首輪は爆発しないという事になる。 つまり、カイバーマンが言ったGPS機能のみを使った爆破機能は違うものだと言えるだろう。 『……ですが、カイバーマンさんの推察は当たらずとも遠からずであると思います。 GPSを使っている、管理体制を敷いている……それに加えて、別の要因がこの首輪には働いている』 『その要因とは?』 『アリスさんの首輪解析によるメモの第二項――即ち、魔法技術と機械部分とのリンクによるものです』 文字だけで説明するのは難しい、とレナはメモに首輪とそこに向かう二つの矢印を書き記して皆に見せる。 『この二つの矢印はそれぞれ、魔法と電波です。 先の推察の通り、この魔法は首輪をつけている者の生死を判断し、識別している。 そして、この電波はカイバーマンさんの推察通り、GPS――ええっと、私たちの居場所を知る為のものです。 この二つはそれぞれがそれぞれを支え、情報を主催者達に送っていると思われます』 二つの矢印を線で繋げ、その横に"電波"・"魔法"と書き加え更に続ける。 『電波が位置情報を与え、魔法がその生死の情報を主催者側のコンピューターに与えます。 そうして、その両方の条件が一致――即ち、生存している者が禁止エリアに進入したと判断した場合に"のみ"首輪は爆破される』 『つまり、貴様が言いたいのはこういう事か……。 その"魔法"或いは、"電波"の情報を主催側に感づかれぬように、改竄すれば爆破はされないと』 カイバーマンの問いかけに、レナは大きく頷いた。 機械側の位置情報を、主催側に常に禁止エリア外に存在すると認識させる事が出来れば、禁止されたエリアに入ろうと首輪が爆破される事は無い。 魔法側の生死情報を、主催側に死亡したと認識させる事が出来れば、禁止されたエリアに入ろうと首輪が爆破される事は無い。 片方だけを細工する事が出来れば、この首輪の爆破の危険性は大いに軽減されるのだ。 『問題はこれが可能かどうかですが……』 『この首輪から発せられる電波を遮断し、それに似せたカモフラージュの電波を放つというのならば可能だろう』 如何に未来の技術が使用されていようとも、発せられる電波自体はカイバーマン達が生きる時代でも判断がつくはずだ。 何らかの手段でそれを解析し、その電波と同じものを生み出す事は不可能ではない。 到底不可解な代物から発せられていようと、電波は電波。 そこに特別な伝達方法が無いのだとしたならば、カイバーマンの技術力でも十二分に通用する。 『魔法に関しても不可能ではないでしょうね。 張り巡らされた結界からその魔法の術式を読み取り、首輪の周りを相手側に死んでいると判断させる種類の術を展開すればそれでいい。 ただ、こちらの問題は魔力源ね』 『魔力源?』 『魔法を使う為の力、原動力よ。……継続して首輪の周りをそれで覆うとなれば、相応の量が必要になるわ。 その問題を解決しない事には現実的ではないわね』 苦虫を潰したかのような表情で告げるアリスに、レナは首を振って否定する。 確かに首輪の危険性排除における一つの糸口を絶たれた事は痛い。 しかし、まだ全ての希望が絶たれた訳ではないのだ。 まだ慌てるような時間じゃない。 『魔法による首輪の危険の除去に関しては置いておいて、次に電波遮断による一層の安全策に関して詳しく話します。 まず、この首輪議論はカイバーマンさんのハッキングに対する二次案、ただの"保険"である事を念頭に入れておいて下さい』 『了承した……それで、まだ何か問題はあるのか?』 『ええ、先に話したものでは、首輪はまだ首に残る事になります。 これがこの案における唯一にして最大の問題点……ですから、それを排除する方法についてです』 この案をやむを得ず使った場合。 仮に上手く脱出したとしても首輪はつけられたままとなってしまう。 そうして主催者達の根城に辿り着いたとしても、主催者に直接首輪を爆破されてしまえば一巻の終わりだ。 だからこそ、レナはそれを避ける唯一の方法を知らせる。 『先ほどの実験において、アリスちゃんや霊夢ちゃんによる魔法は首輪を爆破するに至らないという結果が出ました。 でも、これはおかしいんです。 何故なら、私たちはあの大広間で見ました……一人の少女が、首輪を直接爆破させられる現場を』 その言葉を受けて、一瞬だがその場にいる全員が苦い顔をする。 しかし、すぐさま取り繕い、平静を装うとレナの書き記したメモへと視線を写した。 『スイッチか何かを使って爆破したようには見えなかった、それはつまり魔法を使ったと考えるしかない。 だとするならば、この首輪には魔法が効くんです。 ならば、何故アリスちゃん達の魔法は効かないのか……答えは一つ。 アリスちゃん達の魔法が効かないのではなく、主催者の魔法"だけ"が効くように作られているからです』 その言葉を聞いても未だその場にいる全員にはピンと来ない。 数秒後、ようやく一人の男がレナの言いたい事を理解する。 『この首輪は、一つの信号しか受け取らない……そういう事か』 レナは頷いて、肯定する。 『この首輪の爆弾を着火出来る命令コードは、たった一つしかないんです。 それはまるで小さな鍵穴のように、一つの鍵でしか開ける事は出来ない。 ……わかり難いなら、機械と同じように考えればいいでしょう。 例えばトランシーバー……これはラジオやテレビと同じように、電波を飛ばして会話をする事が出来ます。 しかし、それが送受信出来るのはたった一つの対となっているものだけ。 他の命令信号を受けても、それが反応をする事はありません。 それと同じように、この首輪もたった一つの命令コードでしか爆発しないように出来ているんでしょう』 『……主催者がそのようにする理由は?』 『さっき閣下ちゃんが言ったように、私たちが爆破出来ないようにする為だよ』 閣下ちゃん、という単語は気にはなったが、道理が通っていると頷いてみせる。 確かに、彼女の言う通りならば全ての辻褄は合う。 たった数十分前までは自分達の情報を何も持たず、首輪の詳細すら知らなかった少女。 しかし、今やその少女は新たな希望と注意すべき脅威を閣下達に知らせるまでに至った。 内心、関心をしながらも平静を装いカイバーマンへと目を向ける。 カイバーマンもそれは同じようで、もはや何も言う事は無いとばかりにペンを放り出し腕を組んで目の前の少女を見据えていた。 『つまり、安全策を取る為にはこの首輪が受ける唯一の魔法による命令コードを解除・改竄・或いは封じる術を見つけなければならない。 ……やっぱり、これも難しいかな?かな?』 『……確かにレナの言う通りなら私の魔法が通じなかった理由も説明出来る。 ただ、その魔法の術式を把握するのは矢張り難しいでしょうね……。 出来たとしても、相応の時間が必要となる』 レナは少しだけ気を落とした様子を見せたが、それも一瞬。 すぐに笑顔を取り戻すと、たった一文だけをメモに書き記してペンを置いた。 『これで私の考察はおしまい。 何か間違ってる事があったら、言って欲しいかな?』 その文字を見て、ペンを取ろうとする者はただの一人もいなかった。 レナの推理は、推察ばかりではあるものの誰の目に見ても完璧なものだった。 機械技術に長けているカイバーマンの助言。 魔法形態について詳しいアリスと霊夢の齎した情報。 それらがレナの推理の穴を埋め、新たな事実を立証した。 カイバーマンのハッキングが仮に失敗した時の"保険"である脱出案を仕立て上げたのだ。 「ふぅん……とはいえ、この俺が失敗するはずも無いがな」 しかし、それでも万が一という可能性もある。 ただでさえ何が起こるかわからない現状、手札は多いに越した事はない。 それをわかっているからこそ、カイバーマンも憎まれ口を叩きつつその顔に笑みを浮かべている。 『ところで、肝心の脱出経路に関する情報は?』 『大丈夫、もう用意してます』 閣下の言葉に素早く反応し、レナはポケットからメモを取り出した。 いつの間に書いたのか、と目だけで問いかければこの大広間でKASと霊夢が言い争いをしていた時に影で隠れて書いていたという。 その妙な狡猾さに閣下は苦笑しながら、そのメモを手に取った。 脇にいたカイバーマン、彦麿、アリスもそれに習って覗き込み、亜美と日吉までもが後ろに立って文字を見ようと必死に動き回る。 そこに書かれているのは、先の塔においてレナとその仲間がそれぞれの知恵と知識を合わせて練った全ての事柄。 このゲームの根本に関わるルールの確認事項や、それらが定められた主催者側の意図。 自分達が何故ここに集められたのかという当然の疑問に関しての回答と、脱出経路になるであろう駅に関しての情報。 そして、その脱出経路を細かく調べたKASの持つ情報が更にそこに加えられている。 それら全ては先ほどのレナの推理と同じく、殆どが推察ばかりではあるが理路整然としており道理が通っている。 特に脱出経路の確保に関してと主催者の目的に関する考察はカイバーマン達の度肝を抜いてみせた。 ――だが、それらの情報の中で唯一気になった点がある。 当然、自分達がアニメのキャラクターであると……そう記されている点だ。 レナの渡したメモには、主催者が自分達を集めた理由がニコニコ動画という動画サイトに関連すると書かれている。 友人キバや永井博之、泉こなたが齎した情報によればレナを救って逝った外山恒一はそのサイトでかなりの人気を誇る人物。 また、友人キバや永井博之自体もそのニコニコ動画では相応の知名度を持っているという話だ。 更にレナ自身やティアナ達はアニメの中の存在として彼らの世界では認識されているという。 ここまで共通点があるのならば、或いは本当にそうなのかもしれない。 実際問題こなたやキバはレナ達に対してデジャヴを感じていたのだし、仮にレナ達が本当にアニメの世界のキャラクターなのだとしたら。 博之が展開した理論のように、数ある時空からそのアニメと全く同じの世界を探し出し主催者は自分達を集めたのかもしれないのだ。 その事を、レナや他の塔にいた者達は重々承知していた。 しかし、この場にいる面々に関してはそうはいかない。 突然自分達がアニメのキャラクターなのだと言われて、即肯定出来るはずがないのだ。 理解に苦しんでいるカイバーマン達……しかし、それを証明する手立ては既に手の内にある。 「理解が出来ないのなら、実際に見てみればいいわ」 「何?」 言いながら、霊夢が取り出したのは何の変哲もない一つのノートパソコン。 使い方なんて何一つわからないが、霊夢はこれを渡してくれた小さな鬼の言葉を思い出す。 「これを渡した萃香の話じゃ、このぱそこんっていうヤツの中はそのニコニコ動画ってのに繋がるらしいわ。 これを使って実際に見れば貴方達も納得するでしょう?」 「確かにその通りだ。貸せ、霊夢……む、バッテリーが不足しているようだが……」 「電力なら、ここにありますよ」 霊夢からノートパソコンを奪い取ったカイバーマンの前に、電池が差し出される。 礼を言いながらそれを受け取り、パソコンから伸びるプラグに差し込む。 すると、バッテリーはすぐさま満タンになりそれを知らせる緑の点滅ランプがチカチカと光り輝きだす。 レナが渡したのはウルトラスーパー電池……。 ノートパソコンのバッテリーを満たす程度ならば、30%しか残っていない現状の電力でも十分である。 パソコンを立ち上げ、初期状態のデスクトップ画面がモニターに写る。 「これがニコニコ動画?ただの風景画じゃない」 「これはただのデスクトップ画面だ……特にこれといって変な様子は無いが」 ニコニコ動画というからには動画サイトのはず……ならば、とカイバーマンをIEを起動してみせる。 だが、ネットに繋がっていない為に目的の場所へは繋がらない。 お気に入りには入っている為にネットにさえ繋げる事が出来たのならば、見る事は容易いはずだが……。 軽く舌打ちをしながら周囲を見回してみると、この場にいる全ての人間がカイバーマンの操るノートパソコンの画面に注目している。 自分達がニコニコ動画というサイトに本当に投稿されているのか、誰もが気になっているのだろう。 「ふぅん……待っていろ、すぐに見せてやる」 そう呟くや否や、カイバーマンはノートパソコンを持って立ち上がると大広間の一角にあった古びた電話台を張り倒す。 電話機を強引に引き剥がすと、そこから伸びていた電話線を手に取るとそれをノートパソコンへと接続した。 「装備アイテム!電話線をノートパソコンに装備!! 更にゴッドカイバーマンSEの特殊効果『ネット環境の設定』を発動!! これにより、ノートパソコンはネットに繋ぐ事が可能となりニコニコ動画を閲覧する事が可能となる!!」 呆気に取られる周囲の目を他所に、カイバーマン自身はそのテンションをどんどんと膨れ上がらせていく。 それはいつかのNiceboat.内で普通の魔法使いを呆れさせた時のように。 今度はその仲間である紅白の巫女と七色の人形使いの前で不可能を可能にしてゆく。 光速すら超えているかもしれない手の動きと共に、キーボードが激しく叩かれる音だけが響いてゆく。 そんな時、その光景を見守っていたKASのデイパックからi-podが零れ落ちた。 拾う間も無く、それは床へと接触し――途端、床に落ちた衝撃で電源が入ったのか否か、そこから大音量の名曲が流れ始めると同時。 カイバーマンはその喉が瞑れんばかりに叫びだす。 「AABBAABB!AABBAAABBBBB!!AABBAABB!AABBAAAリバースカードッ!! AABBAABB!AABBAAABBBBB!!AABBAABB!←→AB!エネミーコントローラー! →B→B→B→B→B→B→B→BAAAAAAAA→AB!」 叫びと共に全く止まらず凄まじい勢いで入力していくカイバーマン。 その形相はもはや狂気染みたものとなっており、周囲を思い切り引かせていた。 しかし、唯一KASだけはそのカイバーマンの叫びに合わせて首を動かし、楽しそうにリズムを取っている。 「いいリズムだぜカイバー!」 「サレンダァー!!」 二人だけにしかわからない世界がどんどんと広がってゆき、他のものは取り残される。 何故この男はたかだかネット環境の設定だけでここまでテンションを上げる事が出来るのだろうか。 彼らの疑問は当然のものだったが、そんなものは全く解さずにカイバーマンはキーボードを叩き続け。 そして、i-podから流れていた曲が終わると同時にカイバーマンの手は止まった。 「ふぅん……完了だ!」 「AとBしか入力してないのにか!?」 ようやく的確なツッコミが入るが、それを無視してモニターを全員に見せるように傾ける。 そこには確かにネットに繋がっているIEが繋がった事を示す画面が映し出されていた。 あんな入力方法で本当にネットに繋げる事が出来たのかと皆はその目を疑ったが、事実は目の前にある。 全員がカイバーマンの近くに寄り、その画面に注目する。 メールアドレスとパスワードの入力画面と、その下についた小さなボタン。 その上に書かれているニコニコ動画(仮)の文字が、ここが目的のサイトである事を示している。 すぐに自分達が写っている動画の確認をしたくなるが、しかし、まだ壁は残っている。勿論このログイン画面の事である。 ログインをしなければニコニコ動画の中にアクセス出来ない以上、どうにかしてパスワードとアカウントを解析しなければならない。 舌打ちをしつつ、再びパソコンに向かいキーボードを叩こうとするカイバーマン。 しかし、その手は空を切り――KASにノートパソコンを奪い取られる。 「俺に任せろカイバー!」 「馬鹿を言え、貴様に解析が出来るはずが「解析する必要は無いんだっていう」……何?」 慣れた手つきで二つの項目を入力してゆきながら、KASは考える。 先ごろから感じていた違和感、既視感……それらの正体をこの画面を見てやっと突き止めたのだ。 時報やその単語を聞いて違和感を感じて当然である、何故なら自分はそこで100を超える動画を投稿してきたのだから。 ニコニコ動画――何故今まで忘れていたのだろう。 自分の名はそこで生まれ、そして万人にとは言わないまでも愛されてきたというのに。 項目への入力が完了し、ログインボタンを押す。 すると、画面が切り替わり……KASが慣れ親しんだトップページがモニターに映し出された。 「これがニコニコ動画……か?何の変哲もない動画サイトのようだが」 「それを今から調べるんでしょ。KAS、私達が写ってるものがあるかどうかわかる?」 「任せろレムー、俺はプレミアム会員だぜ!ニコ動の墨から炭まで知り尽くしてるっていう!!」 思い起こせば、この場にいる全員の顔もどこかで見たようなものばかりだ。 それが何なのかはまだ微かにしか思い出せていないが、動画を見ればきっと全てを思い出せるだろう。 そう思いながら、KASはマイページへと飛ぶとそこからマイリストを開く。 KAS動画と太文字でタイトルがつけられたそれの中から適当なものに見当をつけておもむろに開く。 ページが切り替わり、軽快な音楽が流れ始めたかと思えば――。 今正に、パソコンを操っている赤い帽子を被ったその男がその画面内に現れた。 その光景を見て一同が唖然とする中、張本人は腕を組んで満足げに微笑んでいる。 「やっぱ俺ってばかっくいーぜ!」 画面の中のKASは破天荒な振る舞いで縦横無尽にMAPの中を駆け回り、時々大きくなったり小さくなったりしながら敵を倒して先へ進む。 何かが起こる度に、画面上にメッセージが流れ、その動画をより一層鮮やかなものとする。 ある程度KASの動画を見届けた後、カイバーマン達は他の者もいるのか確認を――とKASに指示を出す。 頷きながら、KASは目当てのものを呼び出す為に上の空欄に文字を入力し検索をする。 ニコニコ動画を初期から利用する者ならば誰もが知っているであろうその動画。 もはやニコニコの顔と言っても過言ではないそれを見つけ出し、クリックする。 画面には先ほどとは打って変わって、黒い帽子を被った胡散臭い男。 そして、スカートを振り振りステップを踏んでいる少女の姿が映し出された。 「これは――!?」 「私と……彦麿!?」 自分達が映し出されたそれを確認し、食い入るように見入るのは画面の中と同じ人物。 ノートパソコンからはシンクロ率∞の音楽が流れており、二つの動画が完全に融合している事を示している。 呆けたようにそれを見る二人を無視し、KASは更に操作を続ける。 陰陽師と人形師のコラボレーション映像が切り替わり、次に映し出されたのは栗色の髪をした少女。 それを見つけた瞬間、レナの顔つきが真剣なものとなるが――。 音楽が流れ、動画が動き始めた瞬間から、その表情が真剣味を帯びつつも微妙に物悲しげなものへと変わっていった。 それもそのはず、その動画は……少女にとって余りにもショックが大きすぎた。 画面の中の彼女は、音楽に乗せて狂気的な声を上げていた。 表情もあまりに酷いもので、一種の顔芸にも見える。 ……端的に言えば、年頃の少女なら絶対に見せたくないような面ばかりが映し出されていたのだ。 「……こんなの私じゃない、って言えたら楽なんだけどなぁ」 先ほど推理していた時の冷静さと真剣さはどこへやら、膝を抱えて俯くレナ。 実際、昨日の昼ごろまではきっとこんな事になっていたんだろうなと思うからこそ落ち込む。 辺りに重苦しい空気が立ち込めるのを察知し、慌ててカイバーマンが指示を出す。 「……KAS、気を取り直して次だ」 「合点承知!」 画面に映ったのは先ほどの少女とはまた違った意味で直視し難い雰囲気を纏った少女。 「あら……私ね」 音楽に合わせて少女は踊り、サビの部分ではよく統率された者達がコメントを持ってして画面を埋め尽くす。 その様子に関心したかのように少女は頷きつつ、評価を下す。 「この歌……聴きなれないものだけど、中々いい曲じゃない。 それに、この統率された者達も私を崇め称えているわ……悪い気分はしないわね」 くすくすと口へ手を当てながら、嘲笑する。 閣下はこの動画を気に入られたようです。 「どうするカイバー?他のも見るか? 探せばピヨやアーミンやレムー、それにお前のも見つかると思うぜ?」 「いや……その必要性は無いだろう」 KASの問いかけにカイバーマンは首を振って意を伝える。 ここまで見ただけでもKAS、アリス、彦麿、レナ、閣下の動画が全てこのサイトに存在したのだ。 これ以上見るまでもなく、自分達がこのサイトに関連して集められたと見て間違い無いだろう。 KASからノートパソコンを受け取り、霊夢に確認を取ってから電話線を引き抜き己のデイパックに入れる。 霊夢にしてみればノートパソコンの使い方などわからないのだから、自分が持っていても意味が無い。 それならば有効活用が出来るであろうカイバーマンに持っていた方がいいに決まっているのだ。 窓から外を見れば、既に朝日は昇ろうとしている。 恐らくは後数十分もすればあの忌々しい放送が為されるであろう。 「して……これから、我々は如何様にするのか?」 「ふぅん……情報は集まった。ならば、後はそれを行動に移すのみだ」 彦麿の発言にカイバーマンが答え、それに周囲の面々も頷く。 脱出の算段はついたものの、それを実行しなければ意味が無い。 首輪の機能を停止させ、まだこの地に蔓延る脅威を取り除かなければ脱出は出来ないのだ。 しかも、彼らが解決しなければならない問題は多い。 Niceboat.へ行き、そこから主催者達のメインコンピューターにハッキングを仕掛ける。 それが仮に失敗した時の事を考えこの場に設置された結界と電波情報の解析も進めたい所だ。 そして、この殺し合いに乗ってる者たち――ヴァンデモン、涼宮ハルヒ、八意永琳、古泉一樹、阿部高和、ムスカの打倒・或いは説得。 町に向かった萃香や未だどこにいるとも行方が知れない博之、妹、遊戯、魅音の捜索も行いたい。 一同が考え込む中、閣下はメモに己の考えを走り書きして記しそれを見せる。 『優先順位としてはハッキングと結界・電波の解析がまず第一ね。 無情なようだけど、どこにいるかも無事かもわからない人物の捜索も説得出来るかどうかもわからない連中の相手もしている余裕は無いわ』 sm186:括弧、推理、城にて(前編) 時系列順 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 投下順 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 海馬瀬人 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 日吉若 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 双海亜美 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 矢部野彦麿 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) アリス・マーガトロイド sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) カービィ sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 天海春香 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 竜宮レナ sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) クラモンD sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 博麗霊夢 sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) KAS sm186:括弧、推理、城にて(後編) sm186:括弧、推理、城にて(前編) 柊つかさ sm186:括弧、推理、城にて(後編)
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括弧、推理、城にて(前編) ◆0RbUzIT0To (非登録タグ) パロロワ ニコニコ動画バトルロワイアル 第186話 海馬達が案じた策――脱出への第一歩、首輪の解析に関しては目処がついた。 Niceboat.のコンピューターから主催側のメインコンピューターへ向けてのハッキングによる首輪機能の停止。 それさえ成功すれば、この忌々しい枷は外す事が出来る。 しかし、それだけではまだ脱出へのロードは切り開かれた事にはならない。 「……どうしたものかしらね」 黒く淀んだ瞳を鈍く輝かせながら、春香は呟く。 絶対安静の亜美を探しに行った彼女は、その目的の人物を中庭で発見をした。 有無を言わせず寝室へと戻そうとしたが、亜美は日吉と共に何やら特訓をするつもりらしくそれを頑なに拒んだのだ。 力づくで連れ帰ろうにも、そんな事をして余計に亜美の容態を悪くしたら本末転倒だと春香は呆れ半分、二人に無理をしないように告げて戻ってきたのだった。 「脱出経路……ね」 脱出経路……即ち、この場から逃げ出す算段を彼女達は持っていない。 首輪を外した所で、それはただ枷を外しただけに過ぎず彼女達は未だ檻に閉じ込められたまま。 その檻を破る手段を見つけなければ真の脱出へのロードは未然防がれたままである。 「あの山を越えるというのも無理がある……あれだけの険しい山、怪我人を引き連れている我々ではそう易々と登れはしまい」 「それに、あの山を越えた所で何があるとも知れないしね」 今、彼らがいるのは大広間。 休息をするのならば寝室でもいいものかと思ったのだが、不測の事態にもすぐさま対応出来るようにと戻っていたのである。 そのお世辞にも座り心地がいいとは言えないソファーで体を休めながらもそれぞれの頭を捻らせて脱出案を練る。 だが、その四人がどれだけ苦心しても一向にいい案は思い浮かばない。 主催者の根城に攻め込むにしろ、それぞれのいた場所に戻るにしろ、その手段が無いのである。 何も考えが浮かばぬままそれぞれが沈黙し――その場を静寂が包み込んだ瞬間。 「方法ならあるわ」 凛とした声が大広間に響く。 四人は一斉に声のした方向へと振り向き、その声の正体を見る。 「もっとも、私が見つけたものじゃないけどね」 四人の視線の先には、少しだけ自嘲気味にそう呟く血塗れの巫女が立っていた。 「霊夢ッ――!」 「久しぶり……というべきかしら?それにしても、なんて格好してるのよ」 「うっ、こ、これはその……」 ようやく見つけた知人との再会に、思わず駆け寄ろうとしたアリスの足がその言葉を受けて止まる。 彼女が今羽織っているものは男性用の胴着が一枚だけ。 しかも、アリスの体型に大してそれが大きすぎる為に色々と目に毒な事になっているのだ、霊夢の言葉も当然といえば当然。 しかし、よくよく見回してみると、他の三人も大なり小なり格好がおかしい。 コスプレをした正義の味方、チャイナドレスを着こなす黒い瞳を湛えた閣下、半裸の胡散臭い男。 断言していいだろう、知らない人物が見たら間違いなく裸足で逃げ出すに違いない。 溜息を吐きながら、まだまごついているアリスの横を通り抜け霊夢は寝室へと通じる廊下へと足を向ける。 「海馬、ベッドは空いてるわよね?」 「空いてはいるが……まさか、寝たいなどと言うつもりではないだろうな?」 「そうしたいのは山々だけど、許してくれないでしょう?……この子を寝かせてあげるだけよ」 そう言いながら、霊夢は背を向きその負っていた少女を場にいる者に見えるようにする。 その瞬間、アリスと彦麿が息を呑み、春香の瞳が鈍く光り輝いた。 空気が変わった事に気付いた霊夢が、三者を見つめ返し問いかける。 「……何?この子を知っているの?」 「よく知っているわ……どこで拾ったのかしら?」 「ここからそう離れてはいないわ、それで……私はこの子を拾ってよかったのかしら?」 「ええ、礼を言わせて貰うわ。その子とはまた会って話さなきゃいけない理由があったから」 言いながら霊夢に近づき、その背負った少女を春香が引き受けつかさの様子を見る。 つかさが危険な状態である事は素人目にもすぐわかった。 話を聞くのは彼女の体調が戻ってからだろうと、春香はその焦がれる思いを押し込めて寝室へと向かう。 その様子を見送った後、霊夢は近場にあったソファーに座り込み大きく息を吐く。 ここまでの疲れやストレスが一気に押し寄せてきた為、思わずその眉間に手をやりそれを押し込める。 ようやく一息をつき、安堵した瞬間に鼻腔を通っていったものは血の匂い。 ちらりと立ち尽くすカイバーマンに目をやれば、その隣にいつもいた元気な少女の姿が確認出来ない。 それだけで、ここで起きたのか大まかに予想が出来た。 「そっちも大変だったようね……」 「様子を見た限りでは、そちらも……だな」 そう言うカイバーマンの口元には、いつもの嘲笑うかのような笑みは浮かんでいない。 恐らくは、彼もまた霊夢の身に起こった事柄について見当をつけたのだろう。 いつも霊夢の隣にいた食いしん坊恐竜がいない理由に。 ……再び脳裏を掠めた彼の姿に意識を飛ばしていると、カイバーマンが向かいのソファーへと座りメモとペンを霊夢へと差し出す。 その横にはアリスと彦麿が座り、カイバーマンと同じように瞳を霊夢へと向けている。 「お前も疲れているのだろうが、そうも言ってられん状況だ。 先ほどの言葉の続き……詳しく聞かせてくれ」 「……感傷に浸る暇は無い、か。でも、私がそれを教える必要は無いわ」 「どういう事だ?」 「私よりも、もっと上手く説明出来る人間がいるのよ。 だから、私よりも彼女に聞いた方が話は早いと思う」 「……そいつは今どこにいる?」 「中庭。KASと日吉と亜美と、あとピンクの丸いのと一緒にいる。もうしばらくしたら入ってくるでしょ」 それきり、もう何も話したくは無いとばかりに霊夢は口を噤み視線を宙へと投げかけた。 戻ってきた春香が隣に座ろうとも、特に何も反応せずそのままの姿勢を保つ。 そのまま数分、再び大広間は静寂に包まれていた。 しかし、その沈黙に耐えかねたかのように一人の少女が口を開く。 「ねぇ霊夢、その……」 「……何?」 「魔理沙の、事なんだけど……」 「……ああ、そうね」 少女の言葉に、霊夢はすぐさま思い当たる。 目の前にいる正義の味方は、霊夢が何故この城から出て行ったのかを知っていたのだ。 二人の間で情報交換をされていたのだとしたら、少女の言葉の意図がすぐ読める。 「話すわ、私が城を離れてから何がしてきたのか」 順を追うようにして、自分が城を離れてからの行動を話していく。 離れてすぐに見つけた血に染まった白黒の衣服、Niceboat.でレイジングハートが解析をした首輪の情報。 親友を殺めた外道の最期、町での変態とのカーチェイス、そして……。 「ヨッシーは死んだ……私のせいでね」 町で富竹に無理やり従っていたヨッシーは、更なる混沌を齎した吸血鬼に向かって自爆を敢行してその命を散らした。 自分の力が至らないばかりに、彼を亡くしてしまった。 今でもその情景を思い出すと何かが込み上げてくる。 しかし、奥歯を激しく噛んでその感情を押し殺す。 「それで、その吸血鬼は……?」 「……合流したKASと萃香と一緒に、戦ったわ。でも、殺す事は出来なかった……」 その後、萃香は町へロールの説得に向かい、自分とKASは城へと急いでその道中でつかさを発見し保護。 更にこの城へつく寸前に、先に述べた自分よりも脱出算段について上手く説明が出来る人間と合流をした。 それが、城を出てから帰ってくるまでの彼女の行動の全て。 全てを語り終えて、深く息をつくと霊夢はデイバックから一つの黒い帽子を取り出した。 「……!」 それが何なのかを悟った瞬間アリスは口に手を当て悲壮に顔を歪ませる。 見間違うはずがない、あの普通の黒白魔法使いがいつも愛用していた物を見間違うはずがない。 それがここにあるという事は、矢張り、彼女は死んでしまったのだ。 改めてその事実を突きつけられ、思わず隣の胡散臭い男の胸に顔を埋める。 少女の啜り泣きが大広間に響く中、霊夢はそれを一瞥して立ち上がった。 「霊夢?」 少女と同じく悲痛の顔を浮かべていたカイバーマンの疑問の声に答えようとはせず、霊夢はテラスへと足を進める。 「話は終わったし、休憩も十二分に取れたわ……あの吸血鬼を退治してくる」 「なっ!?」 それだけを告げ、霊夢はレイジングハートを起動しその足に桃色の羽を生やす。 レイジングハートは、それを咎めようとするものの霊夢は聞かない。 慌て、カイバーマンが立ち上がり霊夢の肩を掴む。 「待て、貴様の話ではその吸血鬼はKASと萃香という鬼の力を合わせても太刀打ち出来るものではなかったのだろう!? 貴様一人で戦いを挑んでなんとかなるものではあるまい!」 「大丈夫よ、あの子との戦いでその吸血鬼も弱っているはずだもの」 KASは確かに頭に問題はあるがその実力は折り紙つきだ。 萃香にしても制限がなされているとはいえ、彼女の持つ鬼の力は強大である。 その二人と協力をして尚、倒せなかった吸血鬼にたった一人で敵うはずがない。 それがわかっているからこそカイバーマンは霊夢を止めるが、霊夢はそれを冷たくあしらい更に歩みを進める。 「あいつはヨッシーを殺したわ、私にはその責任を取る必要がある。仇を取る必要がある。 心配はいらない……私はあのYOKODUNAも一人で倒したもの、魔理沙の仇を取ったもの。 今度もなんとかなるわよ」 そう、今から大体半日前にこの城を出た時は、共に異変を解決してきた黒白魔法使いの仇を取る為だった。 そして、その仇討ちは見事上手くいった。 だからこそ、今度もきっと大丈夫だと。 この殺し合いの場に連れてこられてずっと一緒にいたあの恐竜の仇を必ず取れるのだと霊夢は信じていた。 「そうよ、これくらい訳ないの……今まで解決してきた事件に比べれば、これくらい……」 言い聞かせるようにそう呟くと足元へと魔力を込める。 肩を掴んでいたカイバーマンの手を強引に引き剥がし、やや白みがかってきた空へと飛び出そうとしたその時。 「クスクスクス……」 黒い笑い声が聞こえた。 振り返り、声の元を見る。 全てを見下し、嘲笑うかのような微笑みを湛えた黒き瞳を持つ者がいた。 「……何?」 「別に……ただ、滑稽に見えただけよ。あなたがね」 問いかけた霊夢に返ってきたものは嘲笑交じりの言葉。 その言葉に、カッと全身が熱くなり顔が紅潮する。 可笑しい?滑稽?一体、今の自分の何が滑稽だというのだろうか。 憤怒と疑問の表情を浮かべていた霊夢に、春香は言葉を続ける。 「柳の下の泥鰌……一度上手くいった仇討ちが今度も上手く行くと誰が保証出来るのかしら? その相手が、強大な敵というのなら尚更。それを人は勇猛でも蛮勇でもなく、無謀と呼ぶのよ」 「……無謀だろうがなんだろうが構わないわよ、私はあいつと戦えれば――」 「あら?仇討ちをするのではなかったかしら?」 「ッ……!」 不意に立ち上がり、立ち尽くす霊夢へと春香は近づいていく。 「そう、あなたは勝とうが負けようが構わないと考えてる……駄目ね、それでは。 そんな気の持ちようで戦ったら勝てる相手にも勝てるはずがないもの」 「違う……私は勝つわ、必ず。いつものようにね」 「……まるで英雄気取りね」 「ッ!」 理性が働く前に、体が動いていた。 レイジングハートを握り締めていた方とは逆の手を大きく開き、思い切り春香目掛けて叩きかける。 カイバーマンが止めに入る暇もなくそれは春香の頬へと近づき。 受け止められる。 「なっ!?」 「ほら、ね?すぐ挑発に乗って体が動く……。図星を刺されたかしら?それとも、単に短気なだけ? どちらにしろ、矢張り無謀ね」 「ッ!あんたに……そんな事を言われる謂れは!」 「霊夢……?」 いつになく感情的な霊夢の口調に、ようやく感情が落ち着いたアリスが声をかける。 しかし、それすらも聞こえないかのように霊夢は怒りを募らせてゆく。 目の前の少女は黒かった、とてつもなく黒かった。 闇を操る程度の能力を持つ妖怪なんかに比べて、圧倒的に黒かった。 だからこそ、腹が立つ。腸が煮え繰り返る。 何故そんな者にここまで言われなければならないのか、闇を具体化したような者に自分の行いを咎められなければならないのか。 「あんたにはわかんないでしょうけどね、私には責任があるのよ! ヨッシーを死なせてしまった、その責任が! だから私は――」 「死ぬ?責任を取る為に、態々死にに行く?また英雄気取りね」 「ッ!?いっ……!が……」 叫ぶ霊夢の腕を捻り上げ、春香は嘆息する。 「責任、責任……馬鹿の一つ覚えみたいにそればかり。 大体、私にわからないってどういう意味よ、そっちの方がむかつくわね」 「もうよせ、春香!それ以上は……」 「嫌よ、むかつくもの。それと私は閣下と呼びなさい」 見かねて仲裁に入った彦麿を睨みを利かせて止め、春香――否、閣下は言葉を紡ぐ。 「責任感、義務感、大いに結構。やれる事をやる者がやるのは道理だものね。 でも、今のあなたはそれを言い訳にしているだけに過ぎない……違うかしら?」 「違っ……!」 「違わないわね、その反応は図星を刺されたもののそれよ」 じわじわと言葉で責めながら更に腕を捻り上げていく。 霊夢の顔は苦痛に歪み始めるが、閣下は手加減をする様子をまるで見せない。 まるで罪人に罰を与えるかの如く、責めを強めてゆく。 「あなたは逃げているのよ、ヨッシーと霧雨魔理沙の亡霊からね。 救えなかった、助けられなかった、力を持つ自分がいたのに守れなかった、だから自分には責任がある、責任を取らなきゃいけない。 茶番ね……力があろうが無かろうが、死ぬものは死ぬし、生きるものは生きるわ」 「だまれ……!」 「真理よ……っと、これ以上やると本当に折れちゃうかもね」 そう言い放つと共に、閣下は霊夢を床に叩き伏せる。 小さな呻き声を呟きながら霊夢は倒れこみ、すぐさまアリスが駆け寄る。 しかし、それを無事な方の腕で振り払って霊夢は自身を見下ろす閣下に目を向ける。 「誰が逃げてるっていうのよ……!私は二人の死をちゃんと受け止めているわ。 だから――!」 「責任を取る……でしょう?聞き飽きたわよ」 「ッ!だったら、聞くな!」 「そういう訳にもいかないのよ、ここであなたを死地に向かわせたら……私もその『責任』を背負わなきゃいけないからね」 霊夢に振り払われたアリスは、それでも尚閣下に食いかかろうとする霊夢を止めようと体を押さえつけていた。 霊夢が暴れる度に胴着が捲れ上がり、その肌が露になるが気にする素振りは見せない。 必死に霊夢に縋り、止める。 「そもそも責任を取るって何かしら?仇を取る事?自分も死ぬ事?守ってもらった命を大事にして生き抜く事?」 「仇を取る事よ」 「そう、ならそれをヨッシーや霧雨魔理沙は望んでいて?」 「それは――」 魔理沙はあんな性格だ、仇を取ったならきっと喜んでくれている、と思う。 もしかしたら自分に倒せなかった相手を――と悔しがっているかもしれないが、それでも怒る事はないだろう。 だが……ヨッシーはどうだろうか?彼は少し頭が弱くて何よりも食事に対して貪欲で間が抜けていたが、心優しい恐竜だった。 そんな彼が、危険を冒してまで仇を討つ事を望むだろうか? 彼は最期の言葉に、彼の仲間の事を話していた。 大食漢ではあるものの、気のいい仲間だと……遊びに行ったなら、その彼らと仲良くして欲しいと。 だとしたら、彼が望むものはその仲間に彼の最後を伝える事? いや、そんな事は一言も言っていなかった……彼は、彼の仲間に会えとは一言も言っていない。 「わからない……」 「そうよね、死人は言葉を話さないから何を望んでいるか何をすればいいのかなんてわからない。 だからこそ、責任なんてものは取れないのよ」 「責任が……取れない……?」 放心したように呟く霊夢に、閣下は先ほどまでとは打って変わって諭すような口調で言葉を投げかける。 「結局の所、死人相手に責任を取るなんてのは自己満足にしかならないのよ。 生きてる者がその死人に対して出来るのは、悲しむ事と想いを継ぐ事くらいね。 だから、割り切りなさい。その者の死は死であると、受け止める」 「……そう簡単に、割り切れる訳ないじゃない!」 簡単に割り切れたとするなら、どれだけ楽だろう。 この心に降りかかる重く苦しい重圧感が取れるというのなら、どれだけ楽だろう。 そうする事が、今の霊夢にとって最良の手段であるという事くらい自分でもわかっている。 閣下の言葉の全てが自分の図星を突き、正論であるという事もわかっている。 しかし、そう簡単に人の心というものは移ろうものではない。 ヨッシーは霊夢の目の前で死んだ、自分がもう少し上手くやっていればと思えば思うほど、その自責の念は一層強まる。 尚も体を押さえつけていたアリスを振りほどき、霊夢は立ち上がり宙に浮く。 そして、足に生えた桃色の翼をはためかせてテラスの方へと全速で駆け抜ける。 止める者は何もいない、いや、余りの行動の速さに誰もが反応出来ていなかった。 唯一肉体的にその速度に追いつけるはずの閣下は、冷ややかな瞳を霊夢へと向けている。 どう思われようと構わない、仇を討てれば、責任が取れれば――それで構わない。 そのまま、テラスを抜けて大空へと飛び上がろうとしたその時。 「シリアルは禁止だって言ったろレムー!!」 その空気をぶち壊す声と共に、霊夢の腕は掴まれた。 「ッ……!離して、KAS!!」 「さっきから『……』が多いぞ、レムー!シリアルな証拠だ!俺は言ったはずだぞシリアルは駄目だって! とりあえず、落ち着けって。ほら、ここ寒いから中入るぞっていう」 そう言うと強引に霊夢の腕を引っ張って再び大広間へと戻る。 少女は必死に引き剥がそうとするものの、KASが強く握っているそれはそう簡単に剥がせない。 「割り切る割り切らない、難しい事ばっか話すんじゃないっていう。 そんなに割り算が好きかレムーは!レムーが割り算なら俺は加減乗除の加になる!!」 「また訳のわからない事を……!」 先ほどまでの切迫していた空気とはまた違う意味で、大広間には緊張感が漂っていた。 違う点は、霊夢と論争をしているのが理知的な閣下ではなく感情的であり且つ言語能力にかなり不備があるKASであるという点である。 KASは霊夢の腕を掴んだまま、顔を思い切り近づけて力説する。 「でっていうが死んでからレムーはおかしい!シリアルになる回数が多い、その上なんか変!よくわかんねーけど!」 「常時変なあんたに言われたくは無いわ!」 「俺のどこが変だっていう!?俺はいつだってTASの上を行く男!!変なはずがないっていう!!」 「もうよせ、KAS。貴様が話していてはラチが明かん……」 「うるせーカイバー、俺はレムーと話してんだ!スッコンドビッチ!」 カイバーマンを一喝し、KASは再び霊夢に向き直る。 表情はいつもと同じく、何を考えているのかわからない。 そして、態度もまたいつもと同じく――真剣なもの。 「でっていうの死が割り切れない?だったら、何だって俺に言わない?」 「あんたに言った所で……」 「だからレムーは馬鹿だってう!割り切れない、割り切れないって割り算も出来ない馬鹿だ!」 唾を飛ばしながらKASは叫び、そこで一拍置いて霊夢の瞳を覗き込んだ。 少女の瞳に死地に向かう事への恐怖は無い、そこにあるのはただ一人で恐竜の死を背負ってしまった事に対する責任感と罪悪感。 それを見つけたからこそ、KASは大声で叫ぶ。 「割り切れないなら、括弧で括って俺を足せ!!」 それは、いつもの如くKAS独特の言い回しで理解が不能な言葉だった。 だからこそ、霊夢も……そして、そこにいた全員がその言葉の意図をすぐに理解出来なかった。 それがわかっているのかいないのか、KASは更に言葉を続ける。 「割り切れないってのは、数字が足りてないんだ。 だから、ずっとずっと割っていっても小数点が延々と続いて割り切れない!なら、俺を足せってう!」 その言葉を足されて……霊夢達は、ようやくKASの言っている言葉の意味を理解した。 彼はいつだって真剣でいて、それでいて純粋で真っ直ぐである。 つまり彼が言いたいのは、こういう事だ。 『ヨッシーの死を背負うのは、霊夢一人だけでは無い』と。 「っ……!」 「俺だって、でっていうが死んで悔しくて悲しくてでもそんなの俺じゃねぇ!からここまで来たんだ! それなのにレムーは一人でシリアルして割り切れない割り切れない!! なんで一人でやろうとすんだ!俺がいるってう!カイバー達もいるってう!!」 ヨッシーが死んで、悲しんでいるものは霊夢一人だけではない。 ヨッシーをよく知り、そして少しの間だけでも過ごしたKASやカイバーマン達。 そして、それは霊夢とヨッシーとずっと行動を共にしてきたパートナーも同じである。 『レイム……』 霊夢が握るその魔法の杖は、言ってしまえばただの道具に過ぎない。 だが、それでもその魔法の杖には感情がある。 共に過ごした仲間を大切に思う慈しみの心と、その死を悲しむ感情が。 『KASは確かに理解不能な言語を用います、その言葉全てを解析するのは不可能でしょう。 ですが、彼の言っている言葉の真意と彼の持つ心は……きっと、今の私の持つそれと同じでしょう』 「……レイジングハート」 「レムーが割り算なら俺は加減乗除の加になる!!」 大事な事なので二度言う。 少女にとってヨッシーの死が余りにも重いものなのだとしたら、それを半分でも引き受ける。 そうすれば、目の前の少女はまたいつもの調子を取り戻してくれるだろうと。 自分の苦手な重苦しい空気を生み出す事も無くなるだろうと、信じて。 純粋なまでの自身の思いの丈を、目の前の少女へとぶつける。 「KAS……」 霊夢は俯き、先ほどとは変わって蚊の無くかのような小さな声で呟く。 彼女は幻想郷で誰にも縛られず、重さも受けずに過ごしていた。 唯一苦楽を共にした仲間であるヨッシーの死を受け、その重荷を背負ってもそのスタンスは変わらないはずだった。 事実、閣下の並べた言葉の前でも彼女は頑としてそれを受けなかったのだから。 しかし、それでも……目の前にいるこの男は霊夢の心の中にまで無理やり入り込み、抉じ開け、救ってみせた。 その重荷を共に背負ってくれると言ってみせた。 KASの持つ能力にはどれだけ難攻不落のステージだろうと攻略してみせる、その奇抜な発想の他にもう一つ。 どれだけ厚い壁があろうとそれををすり抜け、例えダメージを受けても前にひたすら進むその強引さがある。 その強引さが、霊夢の心の壁をぶち破り通り抜け、思いの丈を彼女へと伝えるに至ったのだ。 霊夢の様子に気付いたKASが、その腕を放す。 もう、少女は迷わないはずだ。 少女は理解した……自分のせいで死んだ恐竜は、無謀な仇討ちは望んでいないと。 そして、その死を悲しみ背負ってくれるのは自分ひとりではないと。 だからこそ、少女はその俯いていた顔を上げて目の前の男を見つめて、口を開く。 「ありがとう」 素直に出てきたのは、感謝の言葉。 それを述べる少女の顔には、彼が死んでから久しく見せていなかったその極上の笑みが浮かんでいた。 「さて……こちらは一件落着したとして……」 先ほどとは打って変わって、和やかな雰囲気が立ち込める大広間の中。 閣下はその視線を、一人の少女へと向けた。 少女は閣下から浴びせられる、その人を試すかのような瞳には決して物怖じせずににこりと微笑み返す。 「あなたが、私達に教えてくれるのかしら?その、経路を」 「そうなるかな?かな?」 その言葉を受けて、閣下は満足気に頷くと少女にソファーにかけるよう勧める。 少女が座ると、その対面側に閣下……そして、霊夢の様子を見守っていたアリス、彦麿、海馬とが連なって座る。 横を見れば、中庭から戻ったらしい日吉と亜美、カービィが立ってその様を見つめていた。 「日吉、お主は中庭で特訓とやらをするのではなかったのか?」 「したかったさ……だが、そこの鉈女が埋葬し終わった後、俺達にまで付いて来いって言いやがってな。 俺達は頭働かすのが苦手だっつっても、それでも必要だからって聞かねぇ……。 さっさと話つけてくれた方がありがたいんだがな」 ちっ、と軽く舌打ちをして日吉は半ば自暴気味に言う。 それを受けて少女は少しだけ困ったかのような顔をして日吉に謝罪をするも、それでも尚必要だからとこの場に留まるように説明する。 渋々といった様子で日吉は了承し、その場に座り込む。 そして、ようやく落ち着きを取り戻した霊夢とKASが少女の横に座ると同時に閣下がその口を開いた。 「まずは、名前を聞かせてもらおうかしら?」 にこりと微笑みながら、少女はその瞳に青い炎を灯して答える。 「私の名前は竜宮レナ――。 殺戮の運命をスクラップ&スクラップして打開してみせる、その意思を継いだ者です」 話はまず、レナがこの場に連れてこられてから今までに起きた全てのものを話す事から始まった。 外山浩一、友人キバとの出会い。月の頭脳・八意永琳との対峙。塔で起こった惨劇と、それを超えた意思を継ぐという大きな誓い。 富竹ジロウの強襲。自分達に魔法の知識を与えてくれ、守ってくれていたティアナ・ランスターの死。そのティアナから機動六課の意地を受け継いだ萃香との契り。 水銀燈、キバ、こなた、ピッピ……四人もの犠牲を払ってようやく勝ったTASとの戦い。 そして、ここに来るまでの道程で出会った博麗の巫女とTASを超える男との出会い。 「初めは霊夢ちゃん達の事を疑っちゃったんだけどね……だって、こなちゃんを背負ってるんだもん。 だから、二人には悪いと思ってるけど……」 「いきなり鉈を向けられた本人としては、悪いと思ってる程度ですまして欲しくないけどね」 「うぅ、ごめんなさい……」 「……あの時のあんたとは別人ね。どっちが本性なのかしら」 すっかりいつもの調子を取り戻した霊夢が悪態をつくと、レナが涙目を浮かべて謝罪の言葉を述べる。 レナと霊夢達との出会いは、一言で言えば最悪だった。 それも当然といえば当然、KASと霊夢はその背中につかさとこなたを背負っていたのである。 レナが鉈を二人に向け、冷たい瞳を浮かべて二人を背負っている訳と素性を質問したのであった。 慌て、弁明をした二人の言葉はレナから見て嘘を吐いているようには見えなかった。そうして三人は和解し、この城まで来た。 城につくなり霊夢は城内へ事情を説明に行き、レナとKASは日吉達と共にこなたを改めて埋葬する事にしたのである。 ――因みに、その道中レナの口からTASの死を聞かされたKASは喜びとも悲しみともつかぬ曖昧な表情を浮かべ、ただ一言、「そっか……」と呟いただけだった。 しかし、それも一瞬の事……次の瞬間にはまたいつものテンションに戻っていたのだが……。 「あなたの来歴はわかったわ……何だか少し、親近感が沸くわね。同類として」 「どういう意味かな?かな?」 「わかってるくせに……まぁ、いいわ。それよりも……」 と、閣下が呟くと同時にカイバーマンが二枚の紙と白紙のメモをレナへと差し出す。 「あなたが言っていた、博之とキョンの妹……だったかしら? 彼らはこの城には来ていないみたいね……私はここから南の川からこの城へ向かっていたけど、それらしい人影は見なかったもの」 「そう……他の人は、どうかな?どんな事でもいいんだ、手がかりなら……」 会話をしながら、レナは渡された紙に目を走らせる。 そこに書かれていたのは、首輪の解析結果についての詳細。そして、自身が持っている脱出経路の説明を求めるという旨だ。 見上げれば、この場にいる全ての人間がその瞳をレナに集中させている。 ふぅ、と一息をつくとレナは渡されたメモにたった一文だけを記し、それに合わせて九枚の白紙のメモをカイバーマンに渡す。 『全てを話す前に、皆の持つ情報が欲しい』 レナが渡した紙には、たったそれだけしか書かれていなかった。 一瞬、カイバーマンは文句を言おうかと目の前の少女を見つめ返す。 今はそんな悠長な事を言っている暇ではないと。 情報交換の以前に、脱出経路を知る事の方が先決であると。 「ふぅん……手がかりを知って、どうするつもりだ?貴様には如何様も出来まい。 それよりも先に、貴様がすべき事があるだろう」 自然と、閣下とレナの会話に割り込むようにしてレナに対して皮肉を言う。 それは彦麿やアリス、閣下も同意見だったようでカイバーマンの横で静かに頷く。 すると、少女は首を傾げその顔には微笑みを湛えながらも……その瞳に、青い炎を燃え盛らせながら呟いた。 「私の今すべき事は、手がかりを得る事だよ……」 静かに、だが力強く、言葉を続ける。 「私には運命を打ち砕くなんて勇気も、仲間の為に腕を失って血を噴出しながら説得する強い意志も、何も持たないのに人々を魅了するカリスマも無い。 だから、私が自慢出来るのはこれだけ」 頭を指差し、呟く。 「小賢しいまでによく働く、この頭脳を行使する事だけだよ」 そう言うやいなや、すぐさま再びメモに一文を足しつつ話を続ける。 「私は誰も守れなかった。外山さんを、圭一君を、ティアナちゃんを、銀ちゃんを、キバさんを、こなちゃんを、ピッピちゃんを。 皆々、守れず、救えず、助けられず……あまつさえ、殺してしまった。 だからこそ、私が今やらなきゃいけない事は誰よりも私がわかっている……私がすべき事は、博之さんと妹ちゃんを早く見つけて守る事……」 『そして……全ての情報を揃え、整理し、分析し、推察し、推理し――活路を見出す事』 「博之さんと妹ちゃんを見つける為にも、皆には協力して欲しいかな?かな?」 そのメモに記されていた言葉に、大広間にいる一同は一瞬だが息を呑んだ。 レナとて、自身が口にしている通りにその仲間が危険な状態にあるかもしれないと思っているはずだ。 だというのに、彼女は即座に脱出への情報を教える前にカイバーマン達が持っている情報を渡せと要求している。 しかも、そこに絶対の自信を持って。 「……そうね、それで仲間が見つかるというのならレナに協力してもいいかもしれないわ」 一番最初に反応したのは、霊夢だった。 会話の上でレナの言葉に肯定すると同時に、ペンを取りメモに自身の持つ情報の全てを箇条書きにしてゆく。 それは決して、レナの真摯な言葉に突き動かされたという訳ではない。 ただ、レナの言葉に勘が働いたのだ。 この少女の言う言葉は本物であると……この少女ならば、全ての情報を得て活路を見出す事が出来るかもしれないと霊夢の勘がそう告げた。 それに習ったかのように、KASもペンを取り周りの人間も同じようにメモへと自身の情報を書いていく。 「……ふぅん」 唯一、カイバーマンだけは挑戦的な目をしたまま腕を組み動かない。 目の前の少女は確かに、只者ではないだろう。歴戦の戦士であるカイバーマンにはそれくらいの判断がついた。 しかし、かといって自身の持つ全ての情報を会ってまだ間もない少女に明け渡していいのだろうか。 加えて言えば、情報を箇条書きにしてレナに渡し、それを把握させ推理させるだけでも時間はかなり浪費してしまう。 だからこそ、カイバーマンはレナに向けて苦言を施す。 「本当に貴様は、情報を得れば貴様の仲間を見つけ出せるというのか?」 それを受けて、レナは迷う暇も無く真っ直ぐな瞳を持って答える。 「見つけ出します、それが私がここまで生き残った……その意味だと思いますから」 「ふぅん……面白い。ならば、見せてもらおうか」 ペンを取り、カイバーマンは呟く。 「貴様の生き残った意味とやらを、この目でしっかりとな」 sm185:フルボッコを追跡しながらやってみた 時系列順 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm185:フルボッコを追跡しながらやってみた 投下順 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) 海馬瀬人 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) 日吉若 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) 双海亜美 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) 矢部野彦麿 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) アリス・マーガトロイド sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) カービィ sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm183:リィンカーネーション(後編) 天海春香 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm176:両手には飛び立つ希望 竜宮レナ sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm176:両手には飛び立つ希望 クラモンD sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm181:全並行世界ナイトメア(後編) 博麗霊夢 sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm181:全並行世界ナイトメア(後編) KAS sm186:括弧、推理、城にて(中編) sm181:全並行世界ナイトメア(後編) 柊つかさ sm186:括弧、推理、城にて(中編)