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「だから私は今、幸せです」 ―― そうじゃない 少女は心の中で何度もかぶりを振っていた。 /*/ 宰相府藩国、春の園の一つ「桜の園」。 年中鮮やかな桜の咲き誇る、普段は人通りの多い区画である。 今そこは、並んで歩くメノウと彼女の父の姿しかなかった。 「(あの辺りに散った花びらはあそこへまとめれば…)」 歩きながら、ぼんやりと職業病じみたことを考えていた。 「どうかしましたか?」 横を見上げると、養父であるかくたが笑顔のまま様子をうかがっていた。 「派手なところですね」 「ええ、確かに、年中寒い、よんた藩国に比べれば」 「あれはあれで、いいと思います」 メノウの素直な感想だった。 彼女が育った国の風景は、生まれたところとはまるっきり違っていた。 それはすでに見慣れた風景となっていたが、それでも彼女は気に入っていた。 そして今、その見慣れた風景からさらにかけ離れた景色を目の当たりにして、心からの感想を述べた。 「私も大好きです、よんた藩国。たぶん、メノウの次、ぐらいに」 笑顔の父にそんなことを言われ、メノウの心に恥ずかしさとそれとは別の想いが、顔をのぞかせていた。 その結果、思わず下を向いてしまっていた。 「ごめんなさい、気を、悪くしてしまいました?」 メノウが顔を上げると、かくたは少し心配そうにしていた。 「でも、本当の事ですよ。決して、冗談ではなくて」 「そこは勘違いしていません。お父さん」 お父さんは本当に自分のことを大切にしてくれているのだと、メノウは理解できていた。 同じようにメノウにとっても父は大事な人だった。 不意に、父が自分を見ていることに気付いた。 メノウが気付いたことに気付いたかくたは、微笑んだ。 「よく似合っていますよ」 メノウが着ているのは、昨日の夜遅くまでかかって選んだメイド服だ。 着付けも先輩メード達にチェックしてもらい、合格をもらった。 完璧な仕上がりである。 自信とは裏腹に、はっきりとお礼を言う前にメノウの勇気はしぼんでしまっていた。 「…ありがとう」 心の奥からやっと出た言葉は、桜の散る音にすらのまれてしまいそうだった。 「はい」 かくたは聞いていた。 聞こえてなくていいと思っていた言葉も、聞こえてしまっていた。 そんな不意打ちに対して、メノウは抗議の視線を父に送った。 「今日は、何を」 話題変えとしてはなかなかに不器用な感じである。 「メノウも正式に、メイド勤めをするようになったら、なかなか一緒にいられなくなってしまうかもしれませんからね」 メノウはすこし考えた。 「…そっちのほうが、結婚も出来るし、いいと思います」 ここまで自分を見てくれていたお父さんが、誰かと結婚するというのは少し複雑な気持ちがする。 だけど…… 「まあ、よんた藩王のご成婚を見届け…ゲフンゲフン。んん」 なんだかんだでまともに進展しない藩王の恋路を思って、かくたは少し苦笑していた。 養父が、そうやって自分自身以外を優先する考え方をすることを、彼女はよく知っていた。 知ってはいたが、少し悲しかった。 メノウは悲しい時やつらい時に、気が紛れることをするようにしていた。 そしてそれは今、目の前の無数に舞い散る桜の花びらを掃き清めることに向けられた。 気を紛らわせるためとはいえ、日ごろの鍛錬の効果が現れ、周囲は見る間にきれいになっていく。 それは、普通の清掃員やお掃除ロボットが追いつくことは不可能な早さであった。 いわゆる『高機動メード』の動きである。 父であるかくたをお手本としてきたのだから、当然と言えば当然ではあるのだが。 「……メノウは、結婚してみたいですか?」 「いいえ」 ―― そうじゃないんです 知ってもらいたい。けれど、知られたくない。 「そうですね、私もずっとメノウと一緒にいたいですし」 またしても笑顔の不意打ちだった。 メノウは何と言えばいいのか、分からなくなってしまった。 「お父さんだって、幸せになっていいと思います」 ―― 幸せになってほしい お父さんが幸せになれるなら、私から離れても仕方がない。 メノウは本気で考えている。 「私はもう幸せですよ、よんた藩王にお仕えできて、藩国のみんなと笑い合って、そしてなにより、メノウ、あなたが一緒にいてくれます」 そこにいたのは、いつもの優しい父だった 「だから私は今、幸せです」 ―― それじゃだめなんです 「人の幸せばかり優先して…」 メノウは考える。 お父さんの周りは、お父さんにとって優先するべき事ばかりなのだ。私を含めて。 それならお父さんが自分自身を優先できるように、すればいい。 そのために私にできることは…… 「私、メードになります。立派なメードに」 「はい、立派で、そして世界一幸せなメードになってください」 メノウは考える。 お父さんが抱えていることを、私がやればいいんだ。 私が頑張って、お父さんの手を煩わせることをなくしてしまえばいいんだ。 そうしたら…… 「あなたが幸せなことが、私の一番の幸せなんですから」 メノウは言いかけた言葉を、決意と一緒に飲み込んだ。 そして、改めてかくたを見上げた。 「がんばります」 「はい」 かくたの笑顔に、メノウは決意を固くした。 /*/ ―― まったく、かわいい娘ですね かくたは自分の娘から(片目で)射すくめるような視線を送られながらも、そう思った。 が、あえて口には出さず、頭をなでてあげることにした。 「期待、していますよ」 返事はなかったが、黙っていることが全部を物語っているのにかくたは気づいていた。 少しの間そうしていたが、メノウにも恥ずかしさの限界というものがある。 照れていることを隠すため、彼女は周囲を掃除しはじめた。 かくたがそれに続き、父娘デートは突然の掃除時間となる。 「しかし、華やかで綺麗ですが、少し掃除が大変ですね、この桜というものも」 「はい」 かくたからメノウの表情は見えなかったが、声は弾んでいるように聞こえた。 またたく間に二人の周囲が綺麗になっていく。 この親子の前では、いかなるゴミ・汚れであろうとも太刀打ちなど出来るはずもなかった。 かくたが何気なしにメノウを見ると、彼女は目線を上に向けていた。 メノウの見上げた先には、薄桃色に染まった天井が広がっている。 その天井からはらはらと舞い散る欠片たちを見て、微笑んだのをかくたは見逃さなかった。 「また、ここに来ましょうね、一緒に」 「次は、本格的に庭掃除のアイテムを持って」 メノウ、本気の目である。 「ええ」 笑いながら答えたかくたは、自分と同じメードとしての魂が彼女にも宿っているのを認めた。 微笑むメノウにつられて、かくたはさらに笑顔になっていた。 「なんで、この仕事をしようと思ったんですか?」 もっともな疑問である。 そもそもにして、よんた藩国における解き明かせない謎の一つなのだから。 親がどうしてその職業に就いているのか、というのはやはり気になるのだろう。 「人の、」 ひと呼吸置いてから言い直す。 「人の笑顔が見たかったから、ですね」 割と普通の動機であった。 笑顔で答えるかくたを、メノウは真剣に見つめていた。 「私のちからで、人が喜んでくれて、感謝してくれる。それが嬉しかったから」 「そう、ですか」 その意味を少し考えているのか、メノウは顔を一瞬だけ伏せた。 そしてすぐに答えが出たのだろう。 再びかくたに向けられた表情は、優しい微笑みであった。 「貴方の養子になれてよかった」 この言葉を心から言えることこそが、なによりこの言葉が真実であることを証明していた。 「ありがとう、メノウ。あなたが、」 かくたが言葉に詰まらないわけがなかった。 「貴方がそう思ってくれたことが、私の幸せです」 かくたの言葉を聞き終えたかどうか疑わしいタイミングで、メノウは移動を開始した。 その速さたるや、一般人からすれば風でも通ったのかと思うほどであった。 もちろん、その風が通った後には塵一つ残っていないのだが。 ある日、宰相府の誇るお掃除ロボットたちが不正挙動を起こしたという騒ぎがあった。 以下はロボットたちの行動ログを見た整備士による証言である。 「一部の掃除ロボ達が整備工場に戻ってきた時間が、いつもよりあんまり早いんでログを確認したんですよ。ログ自体には特に異常はなかったんですが、どうやら特定の区画をルート上に設定してあるロボ達だけが帰ってきてるみたいでした。 何かのミスでどっかの区画を通り過ごしたのかと思って管理課に問い合わせたら、彼らはちゃんと仕事して区画はキレイになっている、って。まったく、わけがわかりませんよ。どう考えても1区画分くらいすっ飛ばした作業時間なんですから。 え、『特定の区画』がどこかですか? 春の園の桜のエリアですよ」 その後この話は、信憑性が疑わしいとしていわゆる都市伝説のように語られている。
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前へ 「はい、じゃあ手をつないで。・・・憂佳、もう少し右に。そう、首傾げてみて」 所変わって、撮影スタジオ。 衣装を届けてもらった私たちは、その場で着替えて、係のお姉さんにここへ連れてきてもらった。 そのまますぐ、カメラ撮影に入ったわけだけれど・・・なかなか、緊張して調子が出ない。 夏のカタログに載せる写真ということで、私はノースリーブのワンピース、岡井さん・・・岡井少年は、少し大きめなサイズのTシャツを、カーゴパンツに合わせている。 背景にはひまわり畑の写真。 今はいかにも作り物って感じだけど、編集すると本当にそこに居るみたいになるんだよ、とお父さんが言っていた。 お互いの腕に虫除けスプレーをかける真似をしたり、バス停の前で酔い止めの薬を飲んでる演技をしたり。 引きつってる私とは裏腹に、さっきまで青い顔をしていたはずの千聖く・・・いや、岡井さんは、お父さんの指示どおりにテキパキ動いて、ポーズを決めている。 「・・・慣れてるねぇ」 小声でそうささやくと、「もう、やるしかないって思ったら、ドキドキしなくなりました」と返って来た。 ・・・なるほど。いろいろ考え込んでしまうタイプとしては、うらやましい思考だ。 そういえば、花音も小学校の文化祭の出し物で、シンデレラ役に選ばれたとき、こんな感じだったっけ。 直前まで青い顔して「もう死ぬかもしれない」とか物騒なこと言ってたくせに、いざステージに立ったら、もう花音ワールド。 完全にナルシストな表情で「シンデレラレボリューション!」とか妙なアドリブを挟みまくって、しまいには魔法使い役の先生に怒られコントになってしまったんだった。 「ふふふ」 何度思い出しても笑えるその出来事、ふいに頭に甦ったものだから、つい吹き出してしまった。 「おっ、憂佳いいねー、笑顔笑顔!」 「ウフフ」 お父さんの声にあわせるように、岡井少年が私の顔に水鉄砲で攻撃を仕掛けてきた。 「やったなー!」 セットから少しはみ出しちゃうぐらいに、はしゃぎながらの追いかけっこ。 やりすぎたかな、と思ったけど、お父さん的にはアリだったらしく、そのまま止められることなく、しばらくはしゃいでいるうちに撮影は終わった。 「それじゃ、しばらくそこで待っててね」 お父さんたちが編集の作業に入って、私たちは隅っこに移動し、隣り合わせて座った。 「あははは」 「ウフフ」 今更ながら思ったけれど、この子は笑顔は不思議だ。なぜかつられて笑ってしまう。 「楽しかったね」 「はい」 最初の、泣いちゃうんじゃないかってぐらいに震えていた姿が嘘みたいだ。 さっきの撮影時の様子からしても、おとなしい子っていうより、単に極度の人見知りなタイプなのかもしれない。 そういう子の笑顔を引き出せたっていうのは、私にとってはとても貴重なことだった。・・・このままバイバイするのが寂しく思える。 だから、少し、勇気を出してみることにした。 「あの・・・今日はどうやって、ここまで来たの?私はタクシーで、少し遠いんだけどね・・・」 “仲良くなりたい人がいたらね、自分の話をしながら、質問するといいよ!” 年下の、ちょっと小生意気な可愛い友達の紗季が、昔そう言っていた。 たしかに、初めて紗季と話したのは“そのヘアピン可愛い!どこで買ったの?紗季のこのピンはねぇ・・・”という、とても唐突な、でも悪い気はしない不思議なとっかかりだった。 「あ・・今日は、あの、自宅から、小さい方の車で・・・」 「小さいほう。じゃあ、他にも何台かあるの?」 案の定、岡井少年も私の話しに自然に乗っかってくれた。 「昨日は時代劇を見ていて・・・」 「私はその時間は歌番組を見てたかな。時代劇、好きなの?」 「外で遊ぶのが好きです。えと・・・前田さんは」 「私はあんまり。最近はマンガばっかり読んでて、お母さんに怒られたりするんだ」 少しずつだけど、私のことも知ろうとしてくれているのがわかって、とても嬉しい。 家に車が5台もあって、メイドさんやコックさん、男の召使いさんまでいて、普通に夕ご飯でステーキとか食べちゃう、完全に私とは別世界に生きる男の子。 ・・・本当に、ここでお別れなのかな? まだ中1だから、ケータイとか持ってないし、住所や連絡先を聞いていいのかわからない。 それに、せっかくいい雰囲気なのに、変なアクションを起こして、拒否されてしまうのが怖い。社交的な紗季や花音みたいに、人と上手に関わる方法が、完全にわかったわけではないし・・・ 「前田さん?」 「あ・・・う、ううん。ごめんね、ボーッとしちゃうの、癖なんだ」 綺麗な茶色の瞳。心配そうな表情で見つめられて、私は慌てて話題を変えることにした。 「・・・そうだ。何か肝心なことを聞くの忘れてた。 今、何歳なの?私はね、12歳。中学生になったばっかりなの」 すると、なぜか岡井少年の顔がパァッと明るくなった。 「本当に?あの、ちさと・・・」 中学校の話でも聞きたいのかな?とか思っていたら、「2人とも、お疲れ様!」と声を掛けられた。 「あ・・・」 お父さんともう一人、彫りの深い顔立ちのおじさんがこっちへやってくるところだった。 聞かなくてもわかる。岡井少年と同じ、綺麗な深い茶色の瞳。私は慌てて起立した。 「憂佳。こちらは・・・」 「あ、こんにちは!あの、娘の憂佳です。えっと、いつも父がお世話になっております」 カミカミながらも、大人の口上を真似て挨拶すると、「しっかりしたお嬢さんだ」と笑ってくれた。 「うちのも、憂佳ちゃんぐらいシャキッとしてほしいもんだな。どうも、ボーッとしてて危なっかしい。な、千聖」 「もう・・・」 ほっぺたを膨らます岡井少年。結構、あまえんぼうなのかな?安心しきった顔がまた可愛らしい。 「2人が頑張ってくれたおかげで、いい写真が撮れたよ。 キッズ向けのページ、反響あるかもな」 そう言って、お父さんが1枚ポラロイド写真を見せてくれた。 商品の目薬を持ったまま、岡井少年の水鉄砲から逃げる私。 岡井少年は目を三日月の形にしている。2人とも、目じりに皺が入っちゃうぐらい、笑っている。背景のヒマワリも美しい。 あまり、自分の笑顔って好きじゃないんだけど・・・これは、何かいいなって思えた。 「ま、商品が目立ってないからボツだけど、なかなかいいだろう?」 「うん」 すると、私の手元を覗き込んでいた岡井少年が、私が手にしているポラを少し強めに引っ張った。 「ん?」 「・・・これ、欲しいです。エヘヘ、前田さんと一緒に写ってる」 言ってから、ウフフと独特な声で笑う。 何だかじわじわと嬉しさがこみ上げてくる。ああ、ちょっとぐらいは、私のこと好いてくれてるのかなって。 「私も欲しいな」 「ああ、わかった。憂佳のは、あとで渡すから」 「それにしても、2人は仲がいいんだね」 岡井少年のお父さんが、しみじみした口調で言う。 「千聖は内弁慶だから、友達づくりが下手なんだよな。家族の前じゃ、妹や弟と同レベルではしゃぐくせに」 「でも、仲良くなれて、私本当に嬉しいです。あの・・・なんていうか、弟ができたみたい。男の子の、年下の友達は始めてで」 すると、岡井少年のお父さんと、うちのお父さんはいっせいに首を捻った。 「何を言っているんだ、憂佳は」 「え、だって、私あんまり男子と喋らないし・・・それに、お姉ちゃんしかいないから」 もしかして、また変な事言ったのかな。 そう考えて、岡井少年の方を見る。 「え・・・」 唇を噛み締めて、うつむいている岡井少年。 「ど、どうしたの」 「・・・ち、千聖は・・・私は」 ――あれ?今なんて・・・ 「わ、私は、男の子ではないです!」 悲鳴のような声色。 同時に、自分の血の気が引いていくのがわかった。貧血の時みたいに、頭がくらくらして、言葉が出ない。 「でも・・・男の子って・・・代役って・・・」 やっと振り絞った声に、お父さんが気まずそうに口を開く。 「どうしても、キッズモデルが見つからなかったから、千聖さんにお願いしたんだよ。 たまたまボーイッシュな格好をしていて、よく似合っていたからな」 「そんな・・・」 「それに、弟・・・って、千聖は前田さんと同じ年なのに・・・千聖は・・・」 怒ってくれればまだ良かったのに、岡井・・・さんはとても悲しそうな顔をしていた。 どうして気がつかなかったんだろう。 よく考えれば、丸くて柔らかい指も、鈴が鳴るような声も、男の子のものじゃないってわかったはずなのに。 そもそも、「さん」づけされているといった時点で、何も勘付かなかったなんて、鈍すぎるだろう、私・・・。 思い込みの強いタイプだとはよく言われるけれど、こんな形で思い知らされるなんて。 「はっはっは。 千聖、良かったじゃないか。本当の男の子に見えたなら、モデルとして、ちゃんと役割を果たせたってことなんだから。お前が幼く見られるのはいつものことだろう?いいじゃないか、老けて見られるよりは」 「いや、本当に。 凛々しくて、精悍な顔立ちをしていらっしゃる。 事前に知らなかったら、男の子だと思って撮影していたかもしれないなあ」 ――もう、やだお父さんたちったら!フォローになってないし! 案の定、その失礼すぎる会話がとどめになってしまったようで、ついに岡井さんの目から大粒の涙がこぼれてしまった。 「岡っ・・・そんな、私・・・」 謝ろうにも、言葉が詰まって何も言えない。 そうこうしているうちに岡井さんは踵を返してスタジオを出て行ってしまった。 「あ、待って・・・!」 止めなきゃ。そう思っているのに、金縛りにあったように、足が動かない。 「まったく、うちのチビすけはすぐにいじけるんだからな。憂佳ちゃん、気にしないで」 「いや・・・しかし本当に美少年のような顔立ちで(ry」 「・・・・もう、大人のばかー!!!ヘンタイ!」 ついに、私の頭が大爆発を起こしてしまった。 普段の力の入らない、フニャフニャボイスはどこへやら、自分でも引くぐらいドスの効いた声。 「へ、変態はないだろお前・・・」 「うるさいうるさい!もう知らん!帰る!」 もう、感情を抑えきれない。私は勢い良くスタジオを飛び出し、廊下へ躍り出た。 どうしよう、岡井さんどこにいるの。 控室を見ても、誰も居ない。 近くのトイレにも居ない。 私の失礼すぎる勘違いで、どれだけ傷つけたんだろう。しかも2個も・・・。 さっきの泣き顔を思い出すだけで、どんどん心臓が痛くなってきて、私の視界もぼやけてきた。 ――いない、どこにも。そんなに遠くへは行ってないはずなのに。 ついに建物を出て、雨の中ビルの周りを探したけれど、それでも岡井さんは見つからなかった。 こんなことなら、つべこべ言わずに連絡先を交換しておくんだった。 あとでパパに聞くんじゃ意味がない。今すぐに謝らないと。でも、でも・・・ 考えがまとまらない。 完全にパニックになってしまった私は、もう何をどうしたらいいのかわからず、雨の中一人で立ち尽くすしかなかった。 次へ TOP
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832 名前:【SS】箸の日[sage] 投稿日:2011/08/04(木) 11 03 58.46 ID UKzV6V2p0 [2/8] 大介「お前たちに言っておきたいことがある」 京桐「「?」」 大介「今日が箸の日だからと言って ・あ~ん ・箸に感謝して使わず、口移しで食べあう ・お互いの箸を交換 といった行為は認めん」 桐乃「お父さん、あたしたちがそんなことするはずないじゃん」 京介「そうだぞ親父。変な夢でも見てたんじゃないか?」 大介「そうだな。どうやら俺の勘違いだったようだ」ホッ 桐乃「そうそう。蜂蜜の日に蜂蜜を指につけて舐めて貰ったり」 京介「首筋にこぼれた蜂蜜をツゥっと舐め取ったりなんかするはずないだろ?」 大介「・・・・・・」 桐乃「ところでお父さん、今日はお父さんにプレゼントがあるんだ」 大介「俺にプレゼントだと?」ワクワク 桐乃「はい、これ」 大介「これは・・・・・・塗り箸か」 桐乃「うん。ちゃんと名前も書いてあるんだよ」 大介「どれどれ・・・」 大介 質実剛健 大介「これは・・・」 桐乃「お父さんをイメージした文字も書いてもらったんだ」 大介「そうか。桐乃、この箸はずっと大事に使わせてもらうぞ」 佳乃「お父さんったら嬉しそうにしちゃって」 桐乃「はい、お母さんにも」 佳乃 良妻賢母 佳乃「ありがとうね。お母さん、嬉しいわ」 桐乃「ちなみに、これがあたしの」 桐乃 才気煥発 桐乃「文武両道とか才色兼備とか容姿端麗とか頭脳明晰とか華麗奔放とかも考えたんだけどね」 京介「・・・・・・俺にはないのか?」 桐乃「心配しなくたってちゃんと用意してあげたって」 京介「そ、そうか。そりゃ良かった。 ところで、俺の箸にはなんて書いてあるんだ? 全力投球とか難攻不落、聡明剛毅、高潔無比、ってところか」 桐乃「はい、これがあんたの」 京介 妹婚上等 京介「四文字熟語じゃねえ!?」 桐乃「『バカ兄貴』と迷ったんだけど、あんただけ名前じゃないのもかわいそうだから、ちゃんと『京介』にしてあげたよ」 京介「悩むところはそこじゃないだろ!?」 大介「桐乃。妹婚とはなんだ」 桐乃「これでシスコンって読むの。 こいつ救いようのないシスコンだからさ、これしかないって思ったんだよね」 大介「・・・そうか」 桐乃「とにかく、あたしからのプレゼントなんだから、あたしだと思ってちゃんと大事にしなさいよね」 京介「はいはい。ちゃんと一生大事にしてやるよ」 佳乃(箸のプレゼントには『幸せの橋渡し』や『一生食わせてやる』という意味があった気がするけど・・・ まぁ、気のせいよね) 851 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/08/04(木) 13 08 05.17 ID UKzV6V2p0 [4/8] 832のおまけ 赤京「「いただきます」」 赤城「ん?高坂、おまえマイ箸なんか使ってるのか」 京介「ああ。桐乃に貰ったやつだ。 『あたしだと思ってちゃんと大事にしてね』って言われたから、 肌身離さず持ってる」 赤城「そ、そうか。 ん?」 京介 妹婚上等 赤城「ぶっ!」 京介「どうした?」 赤城「いや、高坂は遠くに行っちまったんだと思ってな・・・」 -数日後- 赤城「高坂、俺もおまえの妹に習って瀬菜ちゃんに箸を贈ったんだ。 『兄婚最高』って書いてあるやつ」 京介「おまえ、シスコンにもほどがあるだろう」 赤城「おまえら兄妹には負けるぞ。 それで瀬菜ちゃんは初め恥ずかしがってたんだけどよ、俺が 『俺だと思って大事にしてくれ』って言ったらな」 瀬菜「ふひひひひひ!ああ、妄想が先走る! これで『お兄ちゃん×箸置き』でもカップリングできる!」 京介「兄と無機物すらくっつけるのかあの腐女子は!」 赤城「その時ふと気がついたんだが、 高坂は妹だと思ってる箸を食事ごとにぺろぺろしてるんだな」 京介「ぶっ! そ、そんなわけあるか!」 -------------
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<平沢唯 8歳> その日の夜、私はおしっこがしたくなって目覚めました。 夜のトイレは怖いけれど、以前それで行かずにいたらおねしょして怒られちゃったので、また繰り返すわけにはいきません。 また憂についてきてもらおうかとも考えましたが、起こしちゃうのもかわいそうだと思い直しました。 たまにはお姉ちゃんらしく、一人で行っちゃおう! 私は「おばけなんてないさ」を小声で歌いながら勇気を出してトイレに向かいました。 用を済ませて早く戻ろうとする途中でお父さんとお母さんの部屋を通り、そこから漏れる声に思わず立ち止まりました。 「ぁあ……ふぅ、あんっ…」 二人とも、何をしてるんだろう…。 そっとドアの隙間からうかがうと、そこではお父さんとお母さんが、ベッドの上で裸で抱き合っていました。 お父さんはお母さんの上で腰を振り、お母さんはお父さんを両腕と両足で抱きしめ、二人とも気持ちよさそうにあえいでいました。 いつもと違うお父さんとお母さん。なぜだかわからないけど私はすごくドキドキして、見てはいけないような気がして急いで子供部屋に戻りました。 「うい、うい!」 起こしたらかわいそう、そう思ったくせに結局起こしてしまいました。 「ん…なーに?お姉ちゃん」 目をこすりながら渋々起き上がる憂。悪いことしたなと可哀想に思いましたが興奮の方が勝り、私は憂に今見たものをそのまま話しました。 「うい、お父さんたち何してたのかなあ」 私は憂に尋ねました。憂はこのころから何でも知っていて、妹なのにすごいなあと私も頼りにしていました。 この時も、憂は驚くことなく説明してくれました。 「お父さんとお母さんはね、赤ちゃんを作ってるんだよ」 「赤ちゃん?」 「うん。あーやって、裸で二人で抱き合ったら赤ちゃんができるの」 「へえ〜」 やっぱり憂は物知りだなあと感心しました。 「それならいいことだね!ねえういは、赤ちゃんは弟と妹、どっちがいい?わたし妹がいいな」 「えと…私は、別に欲しくないや…」 「えー、赤ちゃん可愛いじゃん…そうだ!」 私はその時、完全にいいこと思いついたと信じて疑いませんでした。 「わたしたちもあーやって赤ちゃん作ろう!」 「ええっ!?」 「お父さんとお母さんのお手伝いするんだよ。わたしとういの赤ちゃん、きっと可愛いよ!」 「…うん、そうだね。いい考えだね。作ろう」 憂はゆっくりと頷きました。 「赤ちゃん赤ちゃん、ういと私の赤ちゃん」 私は大張り切りでパジャマと下着を全部脱ぐと、もじもじしている憂のパジャマに手をかけ、「うい、万歳して」とお姉さんらしく言って脱がせました。 そして私たちは布団の中で体を密着させました。お風呂などで何度も互いの肌かを見たことがありますが、布団の中というのは初めてなので、なんだか不思議な気持ちです。私が憂をぎゅっと抱きしめると、憂も私を抱きしめてきました。 「それからどうするの?」 「あのね、えっちなことをするんだよ…」 憂は小さな声で言いながら私のおっぱいを触ってきました。くすぐったさに思わず笑い声を上げながら、私も憂のおっぱいを触り返しました。 しばらくそうしてじゃれあっていて、何かのはずみで憂が私に抱き着き、私の唇に自分のそれを押し付けました。 「んんーっ」 えっちなことなんだから、きっとキスだってするんだ、そう思って私も抵抗しませんでした。 憂はいつまでも離れてくれません。舌も入ってきます。はじめてのキスに、私は段々脳がとろけるような感じがしてきました。そのせいか気づきませんでした。子供部屋に足音が近づいているということに…。 ドアが開いて、廊下の電気が裸の私たちを照らします。 「っ、二人とも、何やってるの!」 お母さんは血相を変えて、私たちを怒鳴りました。 そのあと私たちはお母さんたちにこっぴどく怒られました。 私がお父さんとお母さんの行為を見ていたことを話すと、二人はぎょっとして、そしてため息をつきました。 それから二人による性教育が始まりました。赤ちゃんが作れるのは大きくなった男の人と女の人だけだとも教わりました。 憂は知らなかったのでしょうか。何でも知ってると思っていた憂だけど、知らないこともあるんだなあ、とおかしくなりました。 あれから7年。 春休み、たまたまやっていたテレビドラマの内容を通して、私はあの出来事を思い出していたのです。 憂はテーブルの片づけをしていて、お父さんとお母さんはいつも通り海外に出かけていていません。 憂はあの事、覚えているのかな? <平沢憂 14歳> その夜、食器を片づけてテーブルを拭いている私を尻目に、お姉ちゃんはテレビを見ていました。 その番組はどうやら大人向けのドラマで、妹が兄の子供を妊娠してしまったという内容でした。いつもならこんな番組をお姉ちゃんが見ていたら即チャンネルを変えます。しかしその時の私はそれどころではありませんでした。 (お姉ちゃん、あの夜のこと覚えてるのかな…?) 「女同士で、しかも子供同士で、赤ちゃんはできない」。当時七歳だった私も、このことを知っていました。それなのに、あえてそれをお姉ちゃんに指摘しなかったのは、お姉ちゃんが得意げに出したアイデアに水を差したくなかったから——というのは建前で、本当は私がお姉ちゃんと寝たかったからです。 当時の私は七歳児らしからぬ性に対する好奇心を、なぜか実の姉に向けてのみ滾らせていました。そして、今も。 『実の妹と寝るなんて、何を考えているんだ!』 その台詞を最後にテレビは消えました。否、私が消したのです。 キョトンとした顔を向けるお姉ちゃん。その顔にいきなりテレビを消された不満が浮かぶ前に、私は口を開きました。 「お姉ちゃん、エッチしよっ」 その途端、お姉ちゃんの目が真ん丸に開かれ、かあっと両頬が染まりました。やっぱりあの事を思い出しているのかも…。 「だ、だめだよ。テレビでもさっき言ってたでしょ。妹と寝たらだめなんだよ」 「その前に、なぜ近親相姦がタブーとされるか、知ってる?近親相姦を通してできた赤ちゃんは、障碍児になりやすいからだよ。それに私たちはまだ中学生、お姉ちゃんはもうすぐ高校生で、赤ちゃんができたら将来設計に重大な影響が及んでしまう。でもね、もう知ってるでしょ。女同士で赤ちゃんなんてできないってこと」 7年前は、赤ちゃんを作るために私たちは体を重ねました。なのに今は、赤ちゃんができないことを理由に私はお姉ちゃんに性交を迫っています。 「だって、お父さんとお母さんたちに怒られちゃうよっ」 「お父さんたちの出張が終わるのは春休み明け。黙っておけばばれないよ」 「で、でもさ」 まだ納得できないようです。それは極めて正常な感情。血の繋がった姉妹で体を重ねるなんて、抵抗があるに決まっています。普段ぼんやりして特にこだわりないように見えるお姉ちゃんですが、それでも7年で本人も意識しないままにそれなりの倫理観が積み上げられてきたのでしょう。 「やっぱり駄目だよっ。だって、エッチは好きな人としなきゃいけないんだよ?」 「私はお姉ちゃん、好きだよ。お姉ちゃんは私のこと、好きじゃないの?」 「す、好きだよ」 「じゃあ、なんでいけないの?」 そういって詰め寄ります。もちろん、これでお姉ちゃんが納得してくれるとは思いません。ただ、万一の可能性にかけて…。 「…分かった。いいよ」 「へっ」 思わずお姉ちゃんの顔を見返しました。真剣な目に、赤く染まった頬。冗談を言っているのではなさそうです。 「私憂とエッチするよ」 「ほ、本当に!?」 「憂が言いだしたんじゃん」 「あ、えへへ…」 嬉しくて信じられなくて、つい大声で疑ってしまいました。 「じゃ、早くしよ」 あれ、おかしいな。私が言いだしたことだったはずなのに、なんだかお姉ちゃんのほうが押せ押せだ…。 「ま、待って。先にベッドに移動しようよ」 私はお姉ちゃんの手を引っ張ってリビングを出ました。 …あ、ベッドって言ってもどっちの部屋にしよう。私はどっちでもいいけどお姉ちゃんは…と思った時、第三の選択肢が目に飛び込みました。だけどそれを口に出すのはためらわれました。だってそこは…。 「お父さんとお母さんの部屋のベッドで、しよ?」 私の心を読み取ったかのように、にっこりと笑ってお姉ちゃんが言います。 「黙ってたらばれないよ」 と、私の台詞を使いまわして。 いないのをいいことに勝手にベッドを使うのには罪悪感もありましたが、なんだかお姉ちゃんと夫婦になるみたいで嬉しく思いました。 お父さんとお母さんの部屋。二人が二十年近く夫婦してた部屋。あの日のお姉ちゃんが大興奮で話していた、このベッドの上での行為…。 布擦れの音がして、振り向くとお姉ちゃんはもう上を脱いでいました。ブラを外すと、小ぶりなおっぱいがプルンと飛び出します。それはお姉ちゃんの成長の証。あの頃にはなかったもの。お互いの裸なんてあれからも何度も見たのに、あの時と比べながら目が釘付けになります。 私の視線に気づいたお姉ちゃんは、笑って、今度は下を脱ぎました。ズボンと下着を一気に下ろすと、15歳にしては薄い恥毛が覗きます。それも、あの頃には全くなかったもの。 すらりとした足。滑らかな曲線。7年で、お姉ちゃんはとても女性らしい体つきになりました。 「憂も早く脱ぎなよ」 全部脱ぎ終わったお姉ちゃんが笑顔で言います。お姉ちゃんの身体に見とれて自分の脱衣が疎かになっていた私は、慌てて上着に手をかけます。焦ったためか、引っかかってうまく脱げません。お姉ちゃんが服の裾を掴みます。 「憂、万歳して」 まるで小さい子に言うように。それはあの時と同じ台詞でした。言われるままに私は両腕を上げ、お姉ちゃんはシャツごと一気に脱がせてしまいました。 「うわー、憂ってほんとに巨乳さんだね。さっきはこれが引っ掛かって脱げなかったんじゃないの?私、こんな間近で見るの初めてだよ」 言いながらお姉ちゃんは、私のおっぱいをつついたり撫でたり、軽く揉んだりと感触を楽しんでいるようです。 私も、あの時のようにお姉ちゃんのおっぱいを触り返しました。お姉ちゃんはキャハハと笑って、私のブラジャーを外します。 「へー、憂のおっぱいって大きいだけじゃなくて形も綺麗なんだねー」 お姉ちゃんは私のおっぱいの間に顔を埋めました。 「憂のおっぱいって、フカフカで気持ちいいんだねー。私のは小さいし、こうはいかないよー」 「お、お姉ちゃんのだって、小さくても形は綺麗だし、私は好きだよ?」 「むー、小さいのは否定しないんだ。もう怒った、憂なんてこうしてやるっ」 お姉ちゃんはぱくっと右の乳首を口に含むと、ちゅーちゅーと音を立てて吸い始めました。舌でひっきりなしにつつき、こねくり回します。 「ふぁぁ…お、お姉ちゃんっ…んっ」 気持ちよさに、思わず変な声が出てしまいます。がくがくと足が震えますが、お姉ちゃんが両手で腰を支えてくれたおかげで、立っていることができました。 でもその手が…右手が私の体をなぞって段々と下に移動し、ついにスカートの中に滑り込みました。そのまま下着の中へ侵入します。私の恥毛をかきわけて進む、お姉ちゃんの手。 「わー、憂ってば剛毛さんだねー。そっくり姉妹とか言われるけど、こうしてみると何もかも私と大違いなんだねー」 うう…恥ずかしい。確かにお姉ちゃんよりは濃いけど、普通のつもりだし…。 「も、もうベッドにいこ、これじゃ何のために移動したのかわかんないよっ…」 「まだまだ、まだ寝かせないよ」 お姉ちゃんの指が割れ目をなぞり、陰核をつまみあげます。その時点でもう、私のあそこはどうしようもなく蜜が溢れていました。 「っ、ひぁあんっ」 「ほらほら、憂、気持ちいいでしょ?」 指の腹で陰核をこすりながらお姉ちゃんは囁きます。 「ぁんっ…お、お姉ちゃんっ……っ!」 私はもう一つの刺激に背中を震わせました。お姉ちゃんの左手が後ろから下着の中にもぐり、今度はお尻をさわってきたからです。 「くすっ。やっぱり、憂のパンツ、もうびしょびしょだね。漏らしちゃったみたい。それにしても、憂のお尻はすべすべで可愛いなあ〜。それから、ここも」 と、お姉ちゃんは私のお尻の穴に、私自身の愛液でべとべとした指を入れました。 「っあ……!」 「憂のアナルバージン、もーらった」 こうして私は、お姉ちゃんと密着し、前と後ろを同時に責められる形になりました。体温が上がったせいか、お姉ちゃんの肌が冷たく感じます。すべすべで、柔らかくて、しっとりと湿ったお姉ちゃんの肌。 「はぁ……んっ……ああっ」 喘ぐ私に合わせてプルプル震える乳房を、お姉ちゃんはチロチロと舐めます。 「っ……!」 どの刺激によってかはわかりませんが、とうとう私は絶頂を迎えました。 「…はあっ…はぁ…」 快楽の余韻に浸りながら、だらしなく涎を垂らす私。 「かわいいよ、うい」 お姉ちゃんはその涎を舐めとり、私に口づけしました。柔らかくあったかい、7年ぶりに味わう、お姉ちゃんの唇。 唇を離した後お姉ちゃんは、いつもの無邪気な顔で笑いました。 「えへへ、私うまかった?」 そのとき、私の心に沸々と何かがこみ上げてきました。 お姉ちゃんはずるい。私だけ気持ちよくさせて得意げな顔してずるい。 気が付くと、私は勢いをつけてお姉ちゃんをベッドに押し倒していました。 「お姉ちゃんだって、乳首こんなに立たせてっ」 私は両手でお姉ちゃんの乳首を弄繰り回しました。 「ぁあんっ、ふぁ、んんっ!」 私より大きな声で鳴くお姉ちゃん。そういえば、おっぱいが小さいと感度が大きいって本当かな? 「ここだって、こんなに、濡れてるじゃないっ」 お姉ちゃんの中を指でかき回します。 ぐちゅっ。 「ひゃあんっ」 びくりと体を震わせる、涙目のお姉ちゃん、可愛い。 私にかき回されたあそこからはますます蜜が溢れ、ベッドにシミを作っています。 「あーあ、汚しちゃって。お父さんたちにばれたらどうするの。しょーがない、私が全部、舐めてあげる」 私はお姉ちゃんの股間に顔を埋めました。 「ちゅぱっ、ちゅぷ…」 「いやぁっ、ぁああっ、はぁんっ…」 お姉ちゃんは震え、喘ぎながら私の頭を股間に押し付けます。 「う、うぅいっ!全部、ぜんぶなめてぇっ」 そう言われても、次から次へとすごい勢いで溢れてくるので舐めきれません。舌が疲れてきました。でも、やめません。これが、ようやく味わえた、お姉ちゃんの味なのですから。 突然、お姉ちゃんが私の頭を押しのけようとしながら叫びました。 「うぅいっ、だめ、いっちゃう!」 「いいよ、イって」 「だめ、お父さんとお母さんみたいにするのぉっ!」 お父さんとお母さんのように?そんなことできません。だって、私たちは女同士なんだから。 あっ…。 私はスカートと、びしょびしょのパンツを全部脱ぎ捨てて、お姉ちゃんのあそこと重ねました。 さっきイったばかりの体がびくりと震えます。 「はぁうっ、うい、気持ちいいよおっ」 これでよかったみたいで、ホッとしました。 「うい、ういぃっ」 「おねえちゃん、おねえちゃぁんっ」 お互いの名前を呼びながら、あそことあそこをこすり合わせます。密着した肌は汗で濡れ、互いの汗や体液がベッドに飛び散ります。でも、もうばれるかばれないかは、私たちにとってどうでもいいことでした。 (お父さんとお母さんのこれまでのどんなセックスより、ずっとずっと、愛し合おうね、お姉ちゃん…) 「ういっ!!」 お姉ちゃんの体が大きく跳ね、とうとう絶頂を迎えました。 お姉ちゃんの体から力が抜け、ベッドに沈みます。 もう眠ってしまうのでしょうか? 私がお姉ちゃんから離れようとした時、お姉ちゃんは私の腕をつかみ、薄目を開けて微笑みました。 「うい…私、ういとの赤ちゃん、つくるからね…」 そういうと、お姉ちゃんは本当に眠ってしまいました。さっきの台詞は寝言だったんでしょうか。あのころを夢見ての。 お姉ちゃんの寝顔を私はずっと見てきましたが、7年前から本当に変わっていない、幼いものでした。だけど今は、一人の女性のものに見えます。 私はお姉ちゃんの隣に寝そべって寝顔を見ていましたが、いつしか私も寝てしまいました。 次の朝。私は5時に目覚めました。隣にお姉ちゃんはいません。 もう起きたのかな。それともあの出来事は夢だったのかな…と一瞬思いましたが、お父さんたちのベッド、私が裸であること、シーツのシミ、ベッド脇に脱ぎ散らかされた二人分の服が、夢ではないと物語っていました。 「もうお姉ちゃん、起きたのなら服片づけてよ」 苦笑しながら私は服とシーツを抱えて洗濯しに行きました。早くしないとお姉ちゃんに朝ごはん作る時間もなくなってしまいます。 洗濯機にそれらを放り込み、シャワーを浴びて着替えた後、私はお姉ちゃんの部屋に行きました。ここまで一度もお姉ちゃんに会わなかったからです。 お姉ちゃんの部屋のドアの前に立つと、「いたっ…」という声が聞こえてきました。一体なにが?心配で、ノックも忘れてドアを開けました。 「お姉ちゃんっ」 「ん、なーに、憂」 お姉ちゃんは裸でベッドに座り、裁縫道具を出して何かを編んでいるようでした。針を刺したのか、指先を口にくわえています。 なんだか、ちぐはぐな…鳥?のぬいぐるみでしょうか…。 「ああ、これ?私たちの赤ちゃんだよー。名前は…」 お姉ちゃんはそれを、私に向かって突き出します。 「平沢唯と平沢憂の子供、平沢チキン!」 「ぷっ…あははは…!」 耐え切れず私は笑いました。そっか、お姉ちゃんの言葉は寝言じゃなくて、本当だったんだ。それで早起きしてこのおかしなぬいぐるみを…! 「憂?」 「ごめんごめん。あなたが平沢チキンね、はじめまして。私はえっと…」 お父さん、お母さん、どっちを名乗ればいいんでしょうか? 「両方お母さんでいいよ」 「ううん、お姉ちゃんが作ったんだし、お姉ちゃんがお母さんで」 「えー、だったら、私がお母さんで、憂はママね。それと今度、この子連れて一緒にピクニック行こうよ」 「うん。それから三人、川の字になって寝ようね」 あのドラマの中の兄妹は、こんな楽しい会話なんてできないんだろうな。フィクションだというのに、ちょっと気の毒にも感じました。 「もうすぐ完成するからねー」 「うん、楽しみに…ってお姉ちゃん先に着替えて着替えて!裸で裁縫って危ないよ!」 「ほえ?大丈夫だよー」 「だめだって!あとシャワーも浴びてないし!残りは私がやっとくからさっさとシャワー浴びて着替えなさい!」 「ちえー。でもその方がいっか。だって二人の子だもん」 お姉ちゃんが去って行った後、私は平沢チキンの作成を再開させました。こんな不気味なぬいぐるみだけど、お姉ちゃんと私の子だと思うと無性にかわいい。お姉ちゃんの不器用な縫い目も愛しくて。 「大好きだよ」 そのとさかに、そっと口づけしました。 戻る
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▼ A Boy s Dream 依頼者: アイルベーシュ(Ailbeche) / 北サンドリア・閲兵場 依頼内容: 釣り人があこがれる「ヌシ」を釣って 腹の中に飲み込んでいるという 宝を手に入れたい。 北サンドリア / 閲兵場 Ailbeche こんにちは。なんかますます立派な ナイトになってきたね! Vilbert やぁアイルベーシュ、 元気にやってるかい? Ailbeche あ、ビルバートさん! Ailbeche 帰ってきたんだね? またオークをやっつけてきたんでしょ? お話聞かせてよ! Vilbert ごめん、アイルベーシュ。 ちょっと疲れてるからまた今度な。 この人は? 見たところ僕と同じナイトの ようだけど……。 Ailbeche うん、この[お姉ちゃん/お兄ちゃん]には ビルバートさんが騎士団の遠征に行ってる間、 いろいろとよくしてもらってたんだ。 Vilbert そうか……。 Vilbert 申し遅れました、私は王立騎士団 エグゾロッシュ分隊隊長代理、 ビルバート(Vilbert)と申します。アイルベーシュの 面倒をみていただいて、私からも礼を言います。 Ailbeche ビルバートさんは、お父さんと 同じ隊にいるんだよ。 Vilbert 現在、エグゾロッシュ隊長は 体調が万全ではないため、私が隊長代理として 指揮をとっています。 Ailbeche お父さん、体なんてどこも悪く ないのに……。 Ailbeche あ、そうそうビルバートさんは、 この前の剣技大会で準優勝したんだよ! すごい強いんだ。 Vilbert いやいや、まぐれだよ。 Zarnei-Hamnei おーい! Ailbeche あ、ザラネイハムネイくん……。 何か用? Zarnei-Hamnei お前、釣竿を手に入れたん だってな。それなら、一緒にヌシ釣りに行って やってもいいぜ。 Ailbeche え、ホント? あれだけ頼んでも だめだって言ってたのに! Zarnei-Hamnei あぁ、ホントさ。でも1つだけ 条件がある。 Ailbeche 条件? Zarnei-Hamnei その条件ってのは、大ヨロイ蟲を 用意することだ。 Ailbeche え~、そんなの無理だよ! だって大ヨロイ蟲なんて僕らみたいな子供に取れる わけないじゃないか!? Zarnei-Hamnei そりゃ、もちろん。 でも、お前の父さんに頼めば簡単だろ? なんたって騎士団の隊長なんだからな。 Ailbeche ……。 Zarnei-Hamnei じゃあ、約束だ。 またここへ来る時までに持ってなかったら 一緒に行ってやんないんだからな。 Vilbert ヌシってそんなにすごい魚なのかい? Ailbeche そりゃもう! なんたってすごい宝物を飲み込んでるって いうんだよ。そいつを僕らで釣りあげてやるんだ! Ailbeche でもどこで釣れるのかは秘密だよ。 僕らが釣りあげるんだから、誰にも教えられないよ! Vilbert そういえば伝説にも、勇敢な騎士が 大魚と戦い、そいつが飲み込んでいた宝物を手に 入れた、ってのがあるな。アイルベーシュ、 大ヨロイ蟲のことはお父さんに頼んでみなよ。な? Ailbeche ……う、うん。分かったよ。 僕、お父さんに頼んでみるよ。 Vilbert あぁ。じゃあ僕は今回の遠征を トリオン様に報告して、休ませてもらうよ。 またな、アイルベーシュ。 Vilbert 冒険者の方もお気をつけて。 Ailbeche ビルバートさん、かっこいいなぁ。 僕もあんなナイトになりたいよ……。 Ailbeche ねぇ、[お姉ちゃん/お兄ちゃん]も ナイトだろ? 伝説の騎士みたいにヌシを釣って 宝物を手に入れてみたくない? 選択肢:ヌシを釣ってみようか? 今はやめておく +... Ailbeche え~、釣りが下手でも やってみないと分からないよ!? ビギナーズ・ ラックってこともあるしさ! なにせ、相手は ただの魚じゃないんだからね。 Ailbeche ねぇ、[お姉ちゃん/お兄ちゃん]も ナイトだろ? 伝説の騎士みたいにヌシを釣って 宝物を手に入れてみたくない? やってみよう Ailbeche そうこなくっちゃ! でもまずは、大ヨロイ蟲がないと話に ならないんだよなぁ。きっとお父さんに 頼んでもダメっていうに決まってらぁ……。 Ailbeche あ~あ、お父さんも ビルバートさんみたいだったらいいのになぁ……。 きっと頼んでみてもダメっていうに決まってらぁ。 南サンドリア / 武器屋 Exoroche う~ん、こんな装備では まだまだやつらには太刀打ちできないな……。 Ailbeche お父さん! Exoroche ん、なんだ、アイルベーシュか。 頼んでおいたおつかいはちゃんとやったか? Ailbeche う、うん……。 あの、ちょっとお父さんに頼みたいことが あるんだけど……。 Exoroche 頼みごと? Ailbeche 実は僕、大ヨロイ蟲が欲しいんだ。 それを取ってくれば、友達が一緒に釣りへ いってくれるって言ってるんだ。 Exoroche ……。 そんなことを言うような友達は、 良い友達とは言えんな。付き合う相手は選びなさい。 Exoroche それに私は、子供の遊びに 付き合ってやるほどヒマではない。 そのくらい、お前にもわかっているだろう? Ailbeche ……はい、お父さん。 北サンドリア / 閲兵場 Ailbeche ちぇっ、やっぱりダメだった…… お父さんも昔は、あんなんじゃなかったんだ。 Ailbeche 実は僕の母さん、オークに やられちゃったんだ。その時、お父さんも いたんだけど、防ぎきれなくて……。 Ailbeche お父さんはそれをずっと自分の武器や 装備が安物だったからだ、なんて思い込んじゃって、 毎朝やってた剣の練習もほったらかして、 お店に出入りしてばっかりいるんだ。 Ailbeche 遠征に行かなきゃいけないのに、 体調が悪いとか、まだ装備に不具合があるとか 言って、行こうとしないんだ。あのままじゃ、 騎士団を首になっちゃうよ。 Ailbeche お父さんぐらいのナイトなら きっと大ヨロイ蟲なんてすぐにでも手に 入れらそうなのに……。 このままじゃ釣りに行けそうにないや。 Ailbeche あーあ、大ヨロイ蟲は クロウラーの巣に行かないと手に入らないんだ……。 そんなの僕には無理に決まってら! どうにか手に入らないかなぁ……。 クロウラーの巣 (???を調べる) [Your Name]は、Dreadbugを倒した。 [Your Name]は、大ヨロイ蟲を手にいれた! 大ヨロイ蟲 『ドレッドバグ』のひだに寄生する蟲。 釣り餌。 北サンドリア / 閲兵場 (Ailbecheに大ヨロイ蟲をトレード) Ailbeche これ、僕にくれるの!? でもいつももらってばかりだし、[お姉ちゃん/お兄ちゃん]も 釣りたいんだろ? Zarnei-Hamnei お~い、アイルベーシュ! Zarnei-Hamnei 大ヨロイ蟲は手に入ったか? ないなら、一緒に釣りに行ってやんないんだからな! Ailbeche う、うん、それが……。 Ailbeche やっぱりダメだったよ。手に 入らなかった……。 Zarnei-Hamnei え、お前の父さん、取ってきて くれなかったのか? チェッ、やっぱりな。 騎士団の隊長ってやっぱウソなんだろ? もうお前なんか誘ってやんないからな! Ailbeche ……いつもこうなんだ。 Ailbeche 僕はもう行けないから、ヌシの いるところを教えちゃうよ。ヌシはね、 オズトロヤ城にいるって言われてるんだ。 Ailbeche 釣り名人を連れて行くなら、釣る前に ちゃんとお礼……、そうだね、大ヨロイ蟲を最低 5個ぐらいは渡すべきだね。 Ailbeche 自分で釣るんだったら、 もし釣りのスキルが低くても、ちょっと練習すれば 釣れるらしいよ。釣りは根気だからね。 Ailbeche でもヌシは釣りあげてからが 大変なんだって! なにせ大暴れするんだ。釣りの 腕よりも剣の腕の方が必要だ、って言われてるんだ。 だからみんなで釣りあげた人を守ってあげないとね。 Ailbeche ……ってここまでちゃんと調べたのに 行けないなんて! [お姉ちゃん/お兄ちゃん]、ぜひ僕のかわりに 釣ってきてよ! オズトロヤ城 ※大ヨロイ蟲を使って釣りをする。 [Your Name]は、Odontotyrannusを倒した。 [Your Name]は、オドントティラヌスを手にいれた! オドントティラヌス Rare Ex オズトロヤ城の貯水池のヌシ。大食・悪食と伝えられている。 北サンドリア / 閲兵場 (Ailbecheにオドントティラヌスをトレード) Ailbeche え、ヌシを釣ったの? すっごいでっかいんだ! 僕にはちょっと無理だった かもなぁ……。 Ailbeche それじゃ、急いでさばいてもらわないと! セルビナに魚のことに詳しい漁師がいる、って噂だよ。 さっそく行ってみなよ! セルビナ (Zaldonにオドントティラヌスをトレード) Zaldon なに、大きな魚を釣ったから さばいてほしいだって? 大きいっていうからには それなりのもんじゃないとな。ほれ、見せてみな。 Zaldon ほう、こいつは大きいな! こりゃ、何が出てくるか楽しみだ。ちょっと 待ってな。 Zaldon おお、騎士団のブーツが 出てきたぜ。もうボロボロだが、こりゃ結構 いいもんだったんじゃねぇかな。 だいじなもの 騎士団のブーツを手にいれた! 騎士団のブーツ 魚から出てきたブーツ。 ボロボロでとても使えない。 立派なもののようだが……。 北サンドリア / 閲兵場 Ailbeche そぉっか、ヌシのお腹には、そんなものが 入ってたんだ! [お姉ちゃん/お兄ちゃん]でも大変なんだったら、 僕らにはきっと無理だったろうなぁ……。 南サンドリア / 武器屋 Exoroche ん、その騎士団のブーツは 我々王立騎士団のもののようだな。なぜ持って いるんだ? 速やかにトリオン様に返上するのが よかろう。 ドラギーユ城 / トリオン王子の部屋 (Door Prince Royal s Rmを調べる) Trion 何か用か? Trion なに、魚からブーツが出てきただと? 見せてみるがいい。 Trion これは我が騎士団の専用装備のようだな。 もしそうなら、戦死した時に身元が分かるように 持ち主の名が彫ってあるのだが……。 「シュザルロー(Chusarlaud)」か。 Trion ふむ、ビルバートを呼べ。 Vilbert ハッ、トリオン様。 Vilbert 何か御用でしょうか? Trion お前と行方不明になったシュザルローとは 確か同じ部隊で仲がよかったな。当時も聞かれた ことと思うが、何か気づいたことはないか? その後になって、何か新しく思いだしたことは? Vilbert いえ、特にございません……。 あの事件に関して、何か分かったのですか? Trion いや、ちょっと思い出してな。 さがっていいぞ。 Vilbert ハッ! Trion 内密の話だが、実は1年ほど前に、 こちらの内部事情がオークどもに漏れているような 気配があってな。 Trion 行方不明になったシュザルローは、 当時ヤツらに内通しているのではないかと 疑いのあった者なのだ。姿を消したのでもしや……と 思っていたのだが、まさか死んでいたとはな。 ジョブがナイト以外の場合 +... Trion この事件を調査するのに適任の人物を 探しているのだが、やはりナイトがふさわしいな。 もしお前がナイトだったら頼んでいたのだが……。 まぁ、いい。 Trion これを届けてくれたことに感謝する。 ガラントレギンスを受け取ってくれ。 ガラントレギンスを手にいれた! Trion この男のまわりを、 お前に探ってもらいたいのだが、どうだろう? お前のような外部の者の方が適任だろう。 選択肢:どうしよう? 今はやめておく +... Trion そうか、お前にも予定があろうからな。 だが、もしこの事件を調べる気があれば、また 来てくれ。今のところ他に頼めそうな者は 思いつかないのでな。 Trion これを届けてくれたことに感謝する。 ガラントレギンスを受け取ってくれ。 ガラントレギンスを手にいれた! (Door Prince Royal s Rmを調べる) Trion 内密の話だが、実は1年ほど前に、 こちらの内部事情がオークどもに漏れているような 気配があってな。 Trion 行方不明になったシュザルローは、 当時ヤツらに内通しているのではないかと 疑いのあった者なのだ。姿を消したのでもしや……と 思っていたのだが、まさか死んでいたとはな。 Trion この男のまわりを、 お前に探ってもらいたいのだが、どうだろう? お前のような外部の者の方が適任だろう。 やろう Trion また、騎士団員には調査をしていることは 知られないようにな。 シュザルローの実家は南サンドリアにあったはずだ。 まずはそこから調査するといいだろう。 Trion では、何か分かったら報告してくれ。 Trion これを届けてくれたことに感謝する。 ガラントレギンスを受け取ってくれ。 ガラントレギンスを手にいれた! ガラントレギンス Rare Ex 防14 HP+15 CHR+5 盾スキル+10 ホーリーサークル効果アップ Lv52~ ナ Trion シュザルローの実家は南サンドリアに あったはずだ。まずはそこから調査すると いいだろう。くれぐれも内密にな。 ▲ 剣に磨きをかけて 小公望 誓いの剣 ■関連項目 アーティファクト関連クエスト , 北サンドリア Copyright (C) 2002-2015 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
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23ページ目 夕方になり、まずは桐谷さんが帰ってきた。 「どうでした、尾島」 「うーん、どうもまだよくならないらしい。とりあえず、病院で横になっているよ」 どうして彼だけそんな状態なのだろうか。……特別変わったことはされてないと思うんだけど。あの注射の針の打ちどころが急所だったとか。そんなことだろう。 メイドさんたちは夕食を作るために厨房へ行ってしまい、総悟はなにやら自分の部屋に行ってしまった。 「桐谷さん、私が魔法を使えるようになったとして、メリットがあるんですか?」 「察しがいいね。メリットか。うん、あるよ。俺にも、君にも。そして、安倍家にも。そして、君を狙う団体にもね」 「むー。まぁいいか。魔法って便利そうだし」 「さて、夕食も済んだことだ、明日からのことについてだが、今日のうちから話しておこうか。弥里」 「はいよ。総悟、それに葵ちゃん。あなたたちには本格的な術の修行に入ってもらいます。術だけでなく、その他の技術も叩き込みます。おもに、この2人がね」 二人のメイドの方を見る弥里さん。 「陰陽術や魔法を使うことはできませんが、体術などなら全般を使いこなせます。プロフェッショナル。全てにおいてSランクです」 弥里さんが自慢気に語る。 「肝心の陰陽術と魔法の基礎は俺が教えてやるよ。まぁ平日は仕事があるから、休みの日にな」 お父さんだなぁ、と思う。 お父さん。そういえば、お父さんはどうしているだろう。咲は?母さんは? 「で、そっちのくるくるパーマの茶色は何しに来たの?」 毒舌な総悟。だが、それも気になっていた。 「……俺のことか。俺もお前らの修行を見てあげるよ。これでも一応一通りなんでもできるんだぜ」 自慢気たっぷりだ。 次へ トップへ
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【 第3幕 】 ≪第1場≫ 塔城の一つ 塔の一方の窓下は物見の塔へ通じる道 メリザンド (窓の所にて髪を梳きつつ) 私の長い髪は塔の縁まで落ちて私の髪はあなたを待って塔の高さにさらに一日さらに一日聖ダニエル様に聖ミシェル様聖ミシェル様に聖ラファエル様私はある日曜日の生まれある日曜日の真昼の生まれ (塔への道よりペレアス入来る) ペレアス ほーら、ほーら、ほー。 メリザンド 其処に入らっしゃるのは誰? ペレアス 私、私、この私 窓の所で何をしていらっしゃるんです。 この辺の鳥で無いような歌を唄って。 メリザンド 夜、髪を梳いていますの。 ペレアス 壁の上に見えているのはそれですか? 私は灯が傍にあるのかと思いましたよ? メリザンド 窓を開けましたの、塔の中は暑う御座いましてね。 まあいい夜ですこと。 ペレアス 星が一杯です。 今夜位多数見た事が無い。 月はまだ海の上に居ますね。 暗い中に居ないで、メリザンド、 少し出て御覧なさい、 貴女の髪がすっかり見えるように。 (窓から乗出す) メリザンド 嫌なものですよ。 ペレアス おお、メリザンド、おお、貴方は美しい。 全く美しい。 もっと乗出して。乗出して。 もう少し近寄れるように。 メリザンド もう近寄れません。 出来るだけ出ましたもの。 ペレアス 私もこれ以上高く登れ無い。 せめて今夜は手だけでも、 私が出発する前に。 明朝立ちます。 メリザンド いけません、いけません、いけません。 ペレアス いいんです、いいんです、私は行きます、明朝行きます。 手をとらして下さい。貴女の手を、 その可愛らしい手を私の唇に。 メリザンド 私、御立ちになるんでしたら手は御取らせしませんよ。 ペレアス どうぞ、どうぞ。 メリザンド では御立ちなさら無い? ペレアス 延します、延しましょう。 メリザンド 暗い所に薔薇が一つ見えます。 ペレアス 何処に? 私にはただ塀の上に出ている柳の枝が見えるだけです。 メリザンド 下、下の方の庭。 彼処、すぐその蒼暗い中に。 ペレアス ありゃ薔薇でありません。 行ってすぐ見て来ましょう。 が、まず先に手を取らして下さい、 第一に貴女の御手を。 メリザンド さあ、さ、 もうこれより低く乗出せません。 ペレアス 唇が手へ届か無い。 メリザンド もうこれより低く屈めませんもの。 落ちそうですよ。 ああ、私の髪の毛が塔から下る。 (屈むと前に髪が突然垂れてペレアスの上にかかる) ペレアス おお、これは? 髪の毛、私の上へ髪の毛が下った。 貴女の髪がすっかり、メリザンド、 貴女の髪がすっかり塔から下ってきました。 私は双手に握っています。 口に咬えています。 腕にまきつけています。 首へ巻きつけています。 今夜は二度とこの手を開きませんよ。 メリザンド 離して下さい、離して下さい。 私落ちそうです。 ペレアス いや、いや、いや。 あなたのような、こんな髪はこれまで見たことがありませんよ、メリザンド。 そら、ごらんなさい。 あんなに高いとこから来て、 それでもまだその流れが私の胸元まで届くんです。 私の膝元までもとどくのですよ! そしてこの柔かいこと、まるで天からでも 落ちて来たように柔かなんです! この髪のお蔭でもう天を見る事も出来ない。 これ、ごらんなさい、ね? 私の両手で握り切ることが出来ない。 柳の枝にかかっている房毛さえありますよ。 鳥のように、私の手の中で生きている。そして、 私を愛して呉れて、あなたよりもっとよく私を愛してくれる! メリザンド はなして頂戴、離して下さい。 誰か通ったらわるいから。 ペレアス いえ、いえ、いえ。 今夜はあなたを行かせませんよ。 今夜は私の虜だ。 今夜中は、今夜中は。 メリザンド ペレアス様!ペレアス様! ペレアス 結んでいるんです。髪を柳の枝に結わえているんですよ。 もう決して此処からあなたを行かせないから。 ごらんなさい、私はあなたの髪に接吻しているんですよ。 苦しみという総ての苦しみが、私をこの髪の中に見棄てて行って呉れたんだ。あなたの髪を這い上って行く私の接吻が聞えますか。あなたの髪のあり丈をのぼっているんですよ。 どの一本一本の髪毛も、あなたに一つ一つの接吻を送っているに違いない。ねえ、私はこの手を開けることが出来るんですよ、私の手は白由なんです。それでも、あなたは私を放って行くことが出来ないのだ。 メリザンド ああ!ああ!あなたは私を苦しめなさるんです。 (鳩の群が塔を飛ぴ立って、彼等のまわりを夜の闇の中でぱたぱたする。) どうしたんでしょう?ペレアス様。 あたりを飛び廻るのは何んでしょうね。 ペレアス 鳩が塔を飛び出したんです。 私がおびやかしたんですよ。飛んで行くようです。 メリザンド 私の鳩なんですよ、ペレアス様。 行きましょう、離して下さい。 鳩が戻って来なかったらいけないから。 ペレアス 帰って来ないことがあるもんですか。 メリザンド 暗の中に迷うんです。 離して下さいよ。頭をのさせて下さい。 足音がします。離して下さいな。 ゴローだから!きっとゴローだから! 私たちの話してるのを聞きつけたんです。 ペレアス お待ちなさい!お待ちなさいよ!房毛が柳の枝にもつれているんです。暗がりで絡まったんです。 お待ちなさい!お待ちなさい!暗い夜だから。 (ゴロー、歩哨路から登場。) ゴロー ここでお前達は何をしているのだ。 ペレアス 私がここで何をしているか?私は… ゴロー お前達は子供だなあ。 メリザンド、そんなに窓からのり出しちゃいかん。 落ちるよ。 こんなに遅いのも分らないのか。 もう真夜中に近いのだ。 暗まぎれでそんなおいたをしてはいけないよ。 お前達は子供だなあ。 なんという子供らだ!なんという子供らだ! (ペレアスと一緒に出て行く。) (間奏) ≪第2場≫ 御城の窟 (ゴローとペレアス登場。) ゴロー 気をおつけ。こっちだ。こっちだ。 これまでこんな窟へ下りて来ようとしたこともないだろうね。 ペレアス いえ、一度あります。でも、ずうっと以前のことです。 ゴロー それごらん、これが私の話したその澱んでる水だ。 お前には、むれ上る死の臭いが鼻へ這入らないか。 その突き出ている岩のはなへ行って、 少し乗り出してごらん。 臭いがむれ上って、顔にぶつかるよ。 のり出してごらん。恐くはないよ、つかまえてるから。 お出し、いや、いや、手ではいかん。 すべっては悪いから、腕を、 淵が見えるか、ペレアス?ペレアス? ペレアス はい。淵の底の底までも見えるようです。 こんなにチラチラするのは灯ですか。 (彼は真直ぐに立って、ゴローを振向いて見る。) あなたが、 ゴロー そうだよ。提燈だよ。 そら、隅々まで照そうと思ってこれを振っているのだよ。 ペレアス 息が詰まりそうだ。行きましょう。 ゴロー よし、行こう。 (黙って退場。) SCÈNE 3 窟の入口にある高見 (ゴローとペレアス登場。) ペレアス ああ!漸く息がつけた。 一時私は、あの巨きな洞の中で気絶するかと思いました。も少しで倒れるところでした。 あそこの空気は湿っぽくて、鉛の露のように重い。そしてあの暗いことと言ったら、毒をふくんだ髄のようにみっちりしている。 がもう、この広々した海に一杯の空気だ! 爽々しいそよ風が吹いて来る。ごらんなさい。若葉のように清新な風が、あの小さな緑の波を渡って。 まあ、 あの人達は丁度、この高見の下で花に水をやったところなんだ。だからソウ葉の香りと、うるおった薔薇の香りとがここまで匂って来ますね。 もう真昼にちがいない。 花が既に塔の影になっていますから。 真昼です。鐘の鳴るのが聞えるし 子供たちが水を浴びに浜へ行っていますよ。 おや、 塔の窓の一つに、お母さんとメリザンドが出ていますよ。 ゴロー そうだね。陰の方によけてしまった。 メリザンドと言えば、私は、お前たち二人の間にあったことと、昨夜話していたことを残らず聞いてしまったよ。 それが子供の遊びだということは私も十分よく承知している。 けれど、二度とあんなことをしてはいけない。 メリザンドは、大変感じ易いんだから。それに、彼女もお母さんになりかけているんだから、猶一層心静かにしてやらなきゃならない。一寸した感情から、とんでもない不幸が起らないとも限らない。これが始めてではない。お前たちの間に何事かが起っているんだと思うようになったのは。 お前は彼女よりも年上だから、お前に話しておけば大丈夫だ。 出来るだけ彼女を避けておくれ。どんなことがあっても、目立たないようにしてくれ、目立たないようにね。 (退場。) (間奏) ≪第4場≫ 御城の前 (ゴローと幼きイニョルドが登場。) ゴロー さあ、ここへ坐ろう。イニョルド。 この膝にお掛け。 ここからなら、森の中の出来ごとが何もかも見られるよ。 此頃お前の顔をちっとも見ないようだ。 お前もまたこのお父さんを離れて、 何時でもお前の可愛いお母さんの側にくっついているんだね。 あ、私たちは丁度可愛いお母さんの窓の下に座っているんだよ。 お母さんは丁度今時分夜のお祈りをしていることだろう。 けれどねイニョルド、お母さんとペレアス伯父さんとはよく一緒になっているんじゃないかね。 イニョルド ええ、そうだよ。何時もだよ。お父さん。 お父さんがいない時は。 ゴロー ああ、ごらん、 誰かが提燈をもって庭を通っている。 けれど、二人は仲が悪いということだが、 よく口喧嘩をするらしいね、え? 本当かね? イニョルド ええ、そうだよ。本当だよ。 ゴロー 本当?ああ!ああ!でも、何んだって喧嘩するの。 イニョルド 扉のことで。 ゴロー 何んで?戸のことで? 何んのことを言ってるのだ? イニョルド それはその、扉を開け放しにしてはならないからだよ。 ゴロー 誰が開け放しにしてはならないの? ねえ、何故口喧嘩なんかするんだろう? イニョルド 僕知らないよ、お父さん、灯のことは。 ゴロー 灯のことなんか話しちゃいないよ。私はその戸のことを話しているのだ。手をロにあてたりなんかしちゃいけない。 さあ。 イニョルド お父さん!お父さん!僕もうしないから。 (泣く) ゴロー さあさあ。どうして泣くんだよ? どうかしたの? イニョルド おお!おお!お父さん、僕を痛くしちゃ。 ゴロー 痛くしたって?何処を痛くしたって? 何もそうするつもりではなかったんだが。 イニョルド ここよ、ここよ。僕の小腕を。 ゴロー ちっとも、そうするつもりではなかったんだよ。さあ、もう泣くな泣くな。明日は何かいい物をあげるから。 イニョルド 何を呉れるの、お父さん。 ゴロー 箭筒と矢をあげよう。 だから、戸のことで知ってることを話しておくれ。 イニョルド 大きな矢をくれる? ゴロー ああ、そりゃ大きな矢をあげるよ。 だけど、何故二人は戸を開け放しておいてはいけないの? ねえ、その訳を話しておくれ! 駄目だ、駄目だ、そんな泣くような口しちゃいけない。 お父さんは恐ってるんじゃないよ。 二人が一緒の時、どんなような事を話しているかね? イニョルド ペレアス伯父さんと可愛いお母さんとが? ゴロー そうだよ。どんな事を話しているかね? イニョルド 僕のことだよ。何時でも僕のことだよ。 ゴロー で、二人はお前のことを何んと言うのか。 イニョルド 僕が大変背が高くなるだろうってね。 ゴロー ああ、情けない! この私は、大海原の底に宝を探す盲人のようなものだ。 森の中で迷った生れ立ての赤子のようなものだ。 そしてお前は… だがねえ、イニョルド、お父さんはあんまり考えに沈んでいた。極く真面目にお話をしよう。 ペレアスと可愛いお母さんとは、私がいない時に、私のことはちっとも話さないのかね? イニョルド いえ、いえ、お父さん。 ゴロー ああ、では、お父さんのことを何んと言うんだね? イニョルド 僕がお父さんのように大きくなるだろうってね。 ゴロー お前は何時でもあの二人と一緒にいるのか。 イニョルド ええ、そうだよ。何時もだよ、お父さん。 ゴロー 何処かへ行って遊べと言ったことはないかい? イニョルド ないよ、お父さん。僕が側にいないと二人は恐いんだから。 ゴロー 恐い?どうして二人の恐がることがお前に分るんだね? イニョルド ニ人は何時も暗がりで泣いているの。 ゴロー ああ!ああ! イニョルド だから誰でも泣かされる。 ゴロー うむ、うむ。 イニョルド お母さんの顔は蒼いよ、お父さん。 ゴロー ああ!ああ!忍耐だ、おお、忍耐だ。 イニョルド なあに?お父さん。 ゴロー なんでも無い。なんでも無い。いい子だ。 狼が森を抜けるのが見えたよ。 時には互いに接吻もするだろう?ちがう? イニョルド 二人で接吻するかって?お父さん、いいえ、いえ、ああ、 そうだ、お父さんあったよ、一度、一度、雨の降ってる日に。 ゴロー 二人で接吻したのか。 でも、どうして、どんな風に接吻したのか。 イニョルド そおれ、お父さん、そおれ。 (彼は父のロに接吻して笑う) あ!あ!この髭が、お父さん!ちかちかするよ!ちかちかするよ!すっかり灰色になりかけているね、お父さん。 髪もだよ。なんにも灰色だ。なんにも灰色だ! (彼等が座っている直ぐより上の窓の明りがつく。その輝きが二人の上に落ちる) ああ!ああ!僕のお母さんがランプに火をつけたんだね。 明るくなったよ、お父さん。明るいね。 ゴロー うむ。明りがさして来たね。 イニョルド 僕たちも行こう、お父さん。あそこに行こうよ。 ゴロー 何処へ行きたいのか。 イニョルド あの燈のあるとこに。お父さん。 ゴロー よそう、ね、いい子だから。 もう暫くここの蔭にいよう。 まだ何んとも言えないことだ。 ペレアスは気が違ったんだろう。 イニョルド いえ、お父さん。気が違ったんじゃないよ。 伯父さんは大変親切だよ。 ゴロー お前はお前のお母さんを見たいか。 イニョルド ええ、ええ。僕見たいな! ゴロー 騒ぐなよ。 お前を窓のとこに揚げてやろう。 私にも届かないけれど、私もかなり高いんだがな。 (子供を差上げる。) 少しでもものを言ってはいけないよ。 可愛いお前のお母さんがほんとに吃驚してしまうから。 見えるかい?お母さんが部屋にいるか? イニョルド いるよ。おほ!明るいこと! ゴロー お母さんは独り切り? イニョルド ええ…いいえ、ペレアス伯父さんもいるよ。 ゴロー 伯父さんも! イニョルド ああ!ああ!お父さん!僕痛いじゃないか! ゴロー 大丈夫だよ。静かにおし。もう痛くしやしないから。 それごらん、イニョルド! 躓いたんだよ。声を小いさくして。 二人は何をしているのかね。 イニョルド 何もしてやしない、お父さん。 ゴロー 互いに寄り添っているかね? 何か話している? イニョルド いいえ、お父さん。何も言っていないよ。 ゴロー それじゃ二人は何をしているんだね? イニョルド 燈を眺めているよ。 ゴロー ニ人とも? イニョルド ええ、お父さん。 ゴロー 話してはいないんだね? イニョルド うん、そうだよ。眼をつぶってもいないよ。 ゴロー お互いに寄り添おうとしてもいないんだね? イニョルド おお!おお!お父さん、二人はちっと眼をつぶらないよ。 僕ほんとに恐くなった。 ゴロー 何がそんなに恐いのだ?見て!見ておいで! イニョルド お父さん、下して頂戴よ! ゴロー 見ておいでよ! イニョルド ああ!僕声を立てるよ、お父さん! 下して頂戴よ!下してよう! ゴロー さあ! (退場) TROISIÈME ACTE SCÈNE 1 Une des tours du château. Un chemin de ronde passe sous une fenêtre de la tour. MÉLISANDE à la fenêtre, tandis qu elle peigne ses cheveux dénoués. Mes longs cheveux descendent jusqu au seuil de la tour; mes cheveux vous attendent tout le long de la tour, et tout le long du jour, et tout le long du jour. Saint Daniel et Saint Michel, Saint Michel et Saint Raphaël, je suis née un dimanche, un dimanche à midi. Pelléas entre par le chemin de ronde. PELLÉAS Holà! Holà! Ho! MÉLISANDE Qui est là? PELLÉAS Moi, moi, et moi! Que fais-tu là, à la fenêtre, en chantant comme un oiseau qui n est pas d ici? MÉLISANDE J arrange mes cheveux pour la nuit. PELLÉAS C est là ce que je vois sur le mur? Je croyais que tu avais de la lumière. MÉLISANDE J ai ouvert la fenêtre; il fait trop chaud dans la tour. Il fait beau cette nuit. PELLÉAS Il y a d innombrables étoiles; je n en ai jamais vu autant que ce soir; mais la lune est encore sur la mer… Ne reste pas dans l ombre, Mélisande, penche-toi un peu, que je voie tes cheveux dénoués. Mélisande se penche à la fenêtre. MÉLISANDE Je suis affreuse ainsi. PELLÉAS Oh! Oh! Mélisande! Oh! tu es belle!! Tu es belle ainsi! Penche-toi, penche-toi! Laisse-moi venir plus près de toi. MÉLISANDE Je ne puis pas venir plus près de toi. Je me penche tant que je peux. PELLÉAS Je ne puis pas monter plus haut. Donne-moi du moins ta main ce soir, avant que je m en aille. Je pars demain. MÉLISANDE Non, non, non! PELLÉAS Si, si, je pars, je partirai demain. Donne-moi ta main, ta main, ta petite main sur mes lèvres. MÉLISANDE Je ne te donne pas ma main si tu pars. PELLÉAS Donne, donne, donne… MÉLISANDE Tu ne partiras pas? PELLÉAS J attendrai, j attendrai. MÉLISANDE Je vois une rose dans les ténèbres. PELLÉAS Où donc? Je ne vois que les branches du saule qui dépasse le mur. MÉLISANDE Plus bas, plus bas, dans le jardin; là-bas, dans le vert sombre. PELLÉAS Ce n est pas une rose. J irai voir tout à l heure, mais donne-moi ta main d abord, d abord ta main. MÉLISANDE Voilà, voilà. Je ne puis me pencher davantage. PELLÉAS Mes lèvres ne peuvent pas atteindre ta main! MÉLISANDE Je ne puis me pencher davantage. Je suis sur le point de tomber. Oh! Oh! Mes cheveux descendent de la tour! Sa chevelure se révulse tout à coup, tandis qu elle se penche ainsi, et inonde Pelléas. PELLÉAS Oh! Oh! Qu est-ce que c est? Tes cheveux, tes cheveux descendent vers moi! Toute ta chevelure, Mélisande, toute ta chevelure est tombée de la tour! Je les tiens dans les mains, je les tiens dans ma bouche, je les tiens dans les bras, je les mets autour de mon cou. Je n ouvrirai plus les mains cette nuit. MÉLISANDE Laisse-moi! Laisse-moi! Tu vas me faire tomber. PELLÉAS Non, non, non! Je n ai jamais vu de cheveux comme les tiens, Mélisande. Vois, vois, vois, ils viennent de si haut et ils m inondent encore jusqu au coeur; ils m inondent encore jusqu aux genoux! Et ils sont doux, ils sont doux comme s ils tombaient du ciel. Je ne vois plus le ciel à travers tes cheveux. Tu vois, tu vois? Mes deux mains ne peuvent plus les tenir; il y en a jusque sur les branches du saule. Ils vivent comme des oiseaux dans mes mains, et ils m aiment, ils m aiment plus que toi. MÉLISANDE Laisse-moi, laisse-moi! Quelqu un pourrait venir. PELLÉAS Non, non, non. Je ne te délivre pas cette nuit. Tu es ma prisonnière cette nuit, toute la nuit, toute la nuit. MÉLISANDE Pelléas! Pelléas! PELLÉAS Je les noue, je les noue aux branches du saule. Tu ne t en iras plus, tu ne t en iras plus. Regarde, regarde, j embrasse tes cheveux… Je ne souffre plus au milieu de tes cheveux… Tu entends mes baisers le long de tes cheveux? Ils montent le long de tes cheveux. Il faut que chacun t en apporte. Tu vois, tu vois, je puis ouvrir les mains. J ai les mains libres et tu ne peux plus m abandonner. MÉLISANDE Oh! Oh! Tu m as fait mal! Des colombes sortent de la tour et volent autour d eux dans la nuit. Qu y a-tu, Pelléas? Qu est-ce qui vole autour moi? PELLÉAS Ce sont les colombes qui sortent de la tour… Je les ai effrayées; elles s envolent. MÉLISANDE Ce sont mes colombes, Pelléas. Allons-nous-en, laisse-moi; elles ne reviendraient plus. PELLÉAS Pourquoi ne reviendraient-elles plus? MÉLISANDE Elles se perdront dans l obscurité. Laisse-moi! Laisse-moi relever la tête. J entends un bruit de pas. Laisse-moi! C est Golaud! Je crois que c est Golaud! Il nous a entendus. PELLÉAS Attends! Attends! Tes cheveux sont autour de branches. Ils se sont accrochés dans l obscurité. Attends! Attends! Il fait noir. Entre Golaud par le chemin de ronde. GOLAUD Que faites-vous ici? PELLÉAS Ce que je fais ici? Je… GOLAUD Vous êtes des enfants. Mélisande, ne te penche pas ainsi à la fenêtre, tu vas tomber… Vous ne savez pas qu il est tard? Il est près de minuit. Ne jouez pas ainsi dans l obscurité. Vous êtes des enfants… Quels enfants!… Quels enfants! II sort avec Pelléas. Interlude SCÈNE 2 Les souterrains du château Entrent Golaud et Pelléas. GOLAUD Prenez garde; par ici, par ici. Vous n avez jamais pénétré dans ces souterrains? PELLÉAS Si, une fois dans le temps; mais il y a longtemps. GOLAUD Eh bien, voici l eau stagnante dont je vous parlais. Sentez-vous l odeur de mort qui monte? Allons jusqu au bout de ce rocher qui surplomb et penchez-vous un peu, elle viendra vous frapper au visage. Penchez-vous; n ayez pas peur, je vous tiendrai. Donnez-moi - non, non, pas la main, elle pourrait glisser, le bras. Voyez-vous le gouffre, Pelléas, Pelléas? PELLÉAS Oui, je crois que je vois le fond du gouffre. Est-ce la lumière qui tremble ainsi? Il se redresse, se retourne et regarde Golaud. Vous… GOLAUD Oui, c est la lanterne. Voyez, je l agitais pour éclairer les parois. PELLÉAS J étouffe ici. Sortons. GOLAUD Oui, sortons. Ils sortent en silence. SCÈNE 3 Une terrasse au sortir des souterrains Entrent Golaud et Pelléas. PELLÉAS Ah! Je respire enfin! J ai cru, un instant, que j allais me trouver mal dans ces énormes grottes; j ai été sur le point de tomber. Il y a là un air humide et lourd comme une rosée de plomb, et des ténèbres épaisses comme une pâte empoisonnée. Et maintenant, tout l air de tout la mer! Il y a un vent frais, voyez, frais comme une feuille qui vient de s ouvrir, sur les petites lames vertes. Tiens! On vient d arroser les fleurs au bord de la terrasse et l odeur de la verdure et des roses mouillées monte jusqu ici. Il doit être près de midi; elles sont déjà dans l ombre de la tour. Il est midi, j entends sonner les cloches et les enfants descendent vers la plage pour se baigner. Tiens, voilà notre mère et Mélisande à une fenêtre de la tour. GOLAUD Oui; elles se sont réfugiées du côté de l ombre. A propos de Mélisande, j ai entendu ce qui s est passé et ce qui s est dit hier au soir. Je le sais bien, ce sont là jeux d enfants; mais il ne faut pas que cela se répète. Elle est très délicate, et il faut qu on la ménage, d autant plus qu elle sera peut-être bientôt mère, et la moindre émotion pourra amener un malheur. Ce n est pas la première fois que je remarque qu il pourrait y avoir quelque chose entre vous. Vous êtes plus âgé qu elle, il suffira de vous l avoir dit… Evitez-la autant que possible; mais sans affectation, d ailleurs, sans affectation. Ils sortent. Interlude SCÈNE 4 Devant le château Entrent Golaud et le petit Yniold. GOLAUD Viens, nous allons nous asseoir ici, Yniold; vien sur mes genoux; nous verrons d ici ce qui se passe dans la forêt. Je ne te vois plus du tout depuis quelque temps. Tu m abandonnes aussi; tu es toujours chez petite mère. Tiens, nous sommes tout juste assis sous les fenêtres de petite mère. Elle fait peut-être sa prière du soir ce moment… Mais dis-moi, Yniold, elle est souvent avec ton oncle Pelléas, n est-ce pas? YNIOLD Oui, oui, toujours, petit père; quand vous n êtes pas là. GOLAUD Ah!…Tiens, quelqu un passe avec une lanterne dans le jardin. Mais on m a dit qu ils ne s aimaient pas. Il paraît qu ils se querellent souvent… non? Est-ce vrai? YNIOLD Oui, oui, c est vrai. GOLAUD Oui? Ah, ah! Mais à propos de quoi se querellent-ils? YNIOLD A propos de la porte. GOLAUD Comment! à propos de la porte! Qu est-ce que tu racontes là? YNIOLD Parce qu elle ne peut pas être ouverte. GOLAUD Qui ne veut pas qu elle soit ouverte? Voyons, pourquoi se querellent-ils? YNIOLD Je ne sais pas, petit père, à propos de la lumière. GOLAUD Je ne te parle pas de la lumière; je te parle de la porte. Ne mets pas ainsi la main dans la bouche. Voyons. YNIOLD Petit père! Petit père! je ne le ferai plus. Il pleure. GOLAUD Voyons, pourquoi pleures-tu maintenant? Qu est-il arrivé? YNIOLD Oh! Oh! Petit père! Vous m avez fait mal! GOLAUD Je t ai fait mal? Qù t ai-je fait mal? C est sans le vouloir. YNIOLD Ici, ici, à mon petit bras. GOLAUD C est sans le vouloir; voyons, ne pleure plus; je te donnerai quelque chose demain. YNIOLD Quoi, petit père? GOLAUD Un carquois et des flèches. Mais dis-moi ce que tu sais de la porte. YNIOLD De grandes flèches? GOLAUD Oui, de très grandes flèches. Mais pourquoi ne veulent-ils pas que la porte soit ouverte? Voyons, réponds-moi à la fin! Non, non, n ouvre pas la bouche pour pleurer, je ne suis pas fâché. De quoi parlent-ils quand ils sont ensemble? YNIOLD Pelléas et petite mère? GOLAUD Oui; de quoi parlent-ils? YNIOLD De moi; toujours de moi. GOLAUD Et que disent-ils de toi? YNIOLD Ils disent que je serai très grand. GOLAUD Ah! misère de ma vie! Je suis ici comme un aveugle qui cherche son trésor au fond de l océan! Je suis ici comme un nouveau-né perdu dans la forêt et vous… Mais voyons, Yniold, j étais distrait; nous allons causer sérieusement. Pelléas et petite mère ne parlent-ils jamais de moi quand je ne suis pas là? YNIOLD Si, si, petit père. GOLAUD Ah, et que disent-ils de moi? YNIOLD Ils disent que je deviendrai aussi grand que vous. GOLAUD Tu es toujours près d eux? YNIOLD Oui, oui, toujours, petit père. GOLAUD Ils ne te disent jamais d aller jouer ailleurs? YNIOLD Non, petit père, ils ont peur quand je ne suis là. GOLAUD Ils ont peur? A quoi vois-tu qu ils ont peur? YNIOLD Ils pleurent toujours dans l obscurité. GOLAUD Ah! Ah! YNIOLD Cela fait pleurer aussi… GOLAUD Oui, oui! YNIOLD Elle est pâle, petit père. GOLAUD Ah! Ah! patience, mon Dieu, patience! YNIOLD Quoi, petit père? GOLAUD Rien, rien, mon enfant. J ai vu passer un loup dans la foret. Ils s embrassent quelquefois? Non? YNIOLD Qu ils s embrassent, petit père? Non, non. Ah! Si, petit père, si, une fois, une fois qu il pleuvait. GOLAUD Ils se sont embrassés? Mais comment, comment se sont-ils embrassés? YNIOLD Comme ça, petit père, comme ça! Il lui donne un baiser sur la bouche; riant. Ah! Ah! votre barbe, petit père! Elle pique, elle pique! Elle devient toute grise, petit père, et vos cheveux aussi, tout gris, tout gris. La fenêtre, sous laquelle ils sont assis, s éclaire en ce moment, et sa clarté vient tomber sur eux. Ah! Ah! Petite mère a allumé sa lampe. Il fait clair, petit père, il fait clair. GOLAUD Oui, il commence à faire clair. YNIOLD Allons-y aussi, petit père; allons-y aussi. GOLAUD Où veux-tu aller? YNIOLD Où il fait clair, petit père. GOLAUD Non, non, mon enfant; restons encore un peu dans l ombre. On ne sait pas, on ne sait pas encore. Je crois que Pelléas est fou. YNIOLD Non, petit père, il n est pas fou, mais il est trè bon. GOLAUD Veux-tu voir petite mère? YNIOLD Oui, oui, je veux la voir! GOLAUD Ne fais pas de bruit; je vais te hisser jusqu à la fenêtre. Elle est trop haute pour moi, bien que je sois si grand. Il soulève l enfant. Ne fais pas le moindre bruit petite mère aurait terriblement peur. La vois-tu? Est-elle dans la chambre? YNIOLD Oui. Oh, il fait clair! GOLAUD Elle est seule? YNIOLD Oui… Non, non! Mon oncle Pelléas y est aussi. GOLAUD Il… YNIOLD Ah! Ah! petit père vous m avez fait mal! GOLAUD Ce n est rien; tais-toi; je ne le ferai plus; regarde, regarde, Yniold! J ai trébuché. Parle plus bas. Que font-ils? YNIOLD Ils ne font rien, petit père. GOLAUD Sont-ils près l un de l autre? Est-ce qu ils parlent? YNIOLD Non, petit père, ils ne parlent pas. GOLAUD Mais que font-ils? YNIOLD Ils regardent la lumière. GOLAUD Tous les deux? YNIOLD Oui, petit père. GOLAUD Ils ne disent rien? YNIOLD Non, petit père; ils ne ferment pas les yeux. GOLAUD Ils ne s approchent pas l un de l autre? YNIOLD Non, petit père, ils ne ferment jamais les yeux… J ai terriblement peur! GOLAUD De quoi donc as-tu peur? Regarde, regarde! YNIOLD Petit père, laissez-moi descendre! GOLAUD Regarde! YNIOLD Oh! Je vais crier, petit père! Laissez-moi descendre, laissez-moi descendre! GOLAUD Viens! Ils sortent. Debussy,Claude/Pelléas et Mélisande+/IV
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「ちょっと違った未来21」 ※原作IF 京介×桐乃 黒髪桐乃の過去編 香織さんが弟さんに電話をした後、あたし達はサークル棟の前で待ち合わせをすることとなった。10月の夜だからか、少し肌寒い。 あやせはその弟さんがこちらに今向かっているというのを聞いて迎えに行ってしまった。 最近のあやせは少し変だ。普段は誰にでも優しい穏やかな性格なのに、件の「お兄さん」の話になるとその人のことばかりを熱っぽく話す。 この前大学の喫茶店で会った時大きなバッグを抱えていたから、どこに行くのと尋ねると、「今からお兄さんのおうちにお泊りするの♪」と嬉しそうに言っていた。緩みきった有名モデルのその顔は…うん、見ていられなかった。 (その後あやせに会ってその話をすると何故か話を逸らそうとするし、がっくりと肩を落として暗い表情になっていたけど…) 「桐乃ちゃん」 香織さんに話しかけられる。相変わらず美しい妙齢の美女の顔にいたずら小僧が同居しているような表情をしていて、今日のいたずらは何か大きなプレゼントを隠しています、といったような顔だ。知らないけど。 「桐乃ちゃんさ…あたしと初めてあの部屋で出会った時に言ってたそのヘアピンのこと…」 「ええ、これの事ですか」 「ああ。そのヘアピンある人からもらったって言ってたじゃん。そのある人って今どうしてんの?」 「それは…」 その事を思い出せば胸が苦しくなる。あたしのお父さんの身体が不自由になったことに大きく起因するからだ。 あたしのお父さんはあたしが生まれる3年前に刑事の試験に合格したんだけど、配属先の事件で殺人の疑いのある男の捜査が密行されていたらしい。その時まだ新米刑事のお父さんの指導役になっていた先輩刑事と共に容疑者の男の身辺を確認し、任意での同行を求めようとしたのだが、お父さんが「犯罪の嫌疑が十分固まっているので強制でいきませんか」とその先輩刑事に進言。 それを受けた先輩刑事は上役の警視の許可の下、逮捕状を裁判所に請求。通常逮捕に踏み切ったという。 容疑は殺人と死体遺棄、さらに公務執行妨害の現行犯で逮捕。司法による13年の実刑判決を下された男は刑務所に収監された。しかし事件は終わりではなかった。 その事件から13年がたった…。 あたしが10歳の小学4年生のころだった。日々の生活と仕事に追われ、その事件のこと も過去のこととして忘れかけた頃だった。 しかし犯人は執念深く復讐の機会をうかがっていた。その犯人は刑務所から出所するとその先輩刑事とお父さんのオフの日を狙って拳銃でそれぞれ狙撃…、結果その先輩もお父さんも病院で意識不明の植物人間のような重体になった。 お父さんは奇跡的な回復を遂げたんだけれど、その先輩刑事はそのまま帰らぬ人に…。お父さんも片足に自由が利かなくなり刑事を辞めざるを得なくなった。 「…」 その先輩(あたしはおじさんと呼んでいた)と高坂家はとても仲がよく、よく息子さんを連れてうちに遊びに来ていた。 その息子さん…少年はあたしのお兄ちゃんみたいな存在だった。あたしが生まれた頃からの付き合いだから10年になる。おじさんは妻をはやくに亡くし独り身だったので子育てが大変だったし、あたしのお父さんもお母さんもその少年のことをわが子のようにとても可愛がっていた。その矢先の事件だったのだ。 あの少年は今どこで何をしているのだろう。あの屈託のない笑顔、いたずら好きでいつも笑っていた。出来ないことなんて何もなくって、いつもくだらないことを企んでて…。 それが誰よりも眩しく見えた。 お父さん達はその少年のことをいつも気にしていた。おそらくどこかの孤児院にでも送られたのかもしれない、とお父さんがお母さんと二人で話しているのを盗み聞いてしまったことがあったけど…あたし達3人で食べていくだけでも当時は精一杯だったから。 最後のお別れも言うことが出来なかった、あの少年。あたしより3つも年上だからもし生きていたらもしかしたら働いているのかもしれない。彼には身寄りがなかったし、とても普通の子のように大学まで通わせてはもらえないだろうから。 香織さんはどこか切なそうな顔でこちらを見ている。そんな彼女に対し、 「…さあ。今はどこで何をしているんでしょうか…」 あたしは嘘偽りのない、けれど自分の気持ちに蓋をした事務的な回答をした。 「…そっか」 香織さんはこりこりと頭を1,2回その綺麗な指先で掻いた後、 「そっかそっか。そっかそっかそっかそっかぁ~♪」 何故かとても楽しそうに、破顔した。 「え?」 「うんうん。桐乃ちゃんにも色々あったんだね~。でも大丈夫!そんな暗く戸惑いの日々も今日で終わりだ!このあたしが終止符を打つから!」 「え?え?それってどういう…」 「お待たせしました~♪」 あやせの声が後ろから聞こえた。その声の方に振り返る。 「おう、久しぶりじゃねえか。相変わらず暗いな槇島」 「久しぶりだな、赤城。お前も相変わらずだな。就職活動はいいのか?」 「ばっか、今そんなこと言うなよ。そんなもん何とかなるに決まってんだろ。…たぶん」 「何かあっても助けられんぞ」 「槇島さん家のお力で何とか!」 「俺みたいな若造にそんな力、あるわけないだろう」 「槇島先輩、お久しぶりです」 「瀬菜か…。どうだ?このシスコン野郎に邪魔されても真壁と上手くいってるか?」 「も、もう!真壁先輩とはそんなんじゃないですから!///」 「あ、赤城さん…そんなにはっきりと…」 「何か言ったか小僧?」(ギロリ) 「ひ…」 噂の「槇島先輩」が今到着したみたいだ。隣であやせがにこにこしている。 サークルの皆が言う前評判通り、背が高くてあまり表情を見せないクールな切れ者。だけれども皆から慕われているといった印象だった。ってあれ…?この人どこかで…。 「京介!」 え? 隣で笑顔の香織さんが、 「京介!こっちだこっち!こっちに!桐乃ちゃん!」 香織さんがあたしの隣から「槇島先輩」に声をあげる。その「槇島先輩」もこちらを見て何か信じられないものをみたかのように顔が凝固していた。 …その瞬間、あたしの中のあの思い出の少年と目の前の彼とがぴったり符号するまでにしばし時間がかかった。それほどまでに目の前の「彼」と思い出の「あの少年」の実像が違っていたからだ。いつもあたしの手を引いて笑顔でかけていた、あの少年…。 「お、おにいちゃん…?」 「桐乃…か?」 すべての時間が止まった気がした。 「おにいちゃん…」 会いたかった。この8年間どれほど願ったかわからない…。どれほど神様にお願いしたかわからない…。それほどにあたしの中で彼の存在は大きなものだったから。 「…」 ああ…。やっぱり神様っていたんだ。運命って本当にあったんだ。 「お、おにいちゃ、」 運命の神様に感謝しつつ、彼に駆け寄りそうになったその時、 「…久しぶりだな、高坂」 ……え? 何故か、目の前の京介おにいちゃんは、あたしのことを拒絶するように、あたしの名字をよんだ。 「あ、あの?お、おにいちゃ」 「…お前がこっちの大学に来ているとは思ってなかったよ。元気そうで何よりだ。どうだ?麻奈実も元気にしているか」 え?え?え? 「ああ、覚えてないのか。俺と同い年の田村麻奈実だよ。田村屋っていったかな…和菓子屋の娘の。とはいっても小さな頃の話だからな。覚えてないのも無理はない」 どうして… 「俺も今の今までおまえのことはすっかり忘れていたくらいだからな。まあ、小さなころの記憶なんて人生の1割も時間にして占めないものだからな。その程度のものなんだろうな」 どうして、そんなこと言うの…。 目が熱くなる。涙が溢れそうになるのをあたしはぐっと我慢して目の前の「男の人」を上目遣いに睨み付けた。 そうするとおにいちゃんは少し悲しそうな顔をした。眉をやや下げる癖…まだ直ってないみたいだった。それでも何事もなかったかのようにすぐに仏頂顔に戻った。 「おい、京介てめえ…」 香織さんが憤怒の形相でおにいちゃんを睨んでいる。それを見ておにいちゃんは、 「なんですか香織さん」 「なんですか、じゃねえよこの野郎…。てめえ一体どういうつもりだよ」 「それはこちらの台詞ですよ。いきなり呼び出されたかと思えば…こういうことですか」 「ああ?!」 「香織さん。確かにあなたは俺の義姉だし、槇島の家には感謝もしている。しかしあまり余計なことをしないでもらいたい」 「余計なことだあ?!てめえ、どの口が言ってんだこらあ!!昔からてめえがあれだけ言ってた事だろうが!!」 香織さんの目が据わっている。その姿は覇気に溢れていてものすごく怖かった。どうしよう…あ、あたし達のせいで…。 激怒する香織さんを前にしてもおにいちゃんは全くたじろかず、淡々としている。 「余計な事でしょう。これは俺のプライバシーに関わることです。それにもう終わったことでしょう。所詮過去の話です」 プツン 何かの線が切れたのがあたしでもすぐにわかった。線の切れた先は当然…。 「てめ!」 そこに赤城先輩や真壁先輩が香織さんを止めに入る。隣にいるあやせもおにいちゃんの腕を無表情でぎゅっと掴んでいた。 「離せ!この馬鹿は一回鉄拳制裁しないと!」 「まあまあまあ!抑えてくださいよ、香織さん!」 「そうですよ!多分虫の居所が悪かったんですよ!そうでないとあの槇島先輩があんな事…」 「虫の居所?!そんな問題じゃねえんだよ!!」 暴れる香織さんを横目にあたしはおにいちゃんを見た。その瞬間どきっとした。 「…」 何の表情もなく、でも何かの感情を抑えているかのようにあたしのことをじっと見ていたからだ。 何故彼があたしを拒絶するような事を言うのか…。あたしには何も心当たりがなく、何もわからなかった…。
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前編 【初冬】 誰が疑問に持つこともなく二匹はツガイとなった 狩りの得意な成れいむが山を駆け巡り、たくさんのご飯を集め おっとりした成まりさが気の長いご飯の加工作業や巣の修繕をする 巣とは言っても洞窟や木のウロではない 偶然できた小さな倒木の空洞であり、雨をしのげる程度の作りだ 隙間だらけでとても冬の寒風を防げるはずもないし ご飯をしまうと成体二匹が身を寄せ合えば、なんとか寝る程度の広さしかない いつか増える家族の事を考えると、とても間に合ったものではない 「ゆぅ…これじゃあ ゆっくりできないよ…」 「どうしたの れいむ?」 いつものゆっくりとした口調でまりさが語りかける 「まりさ! ゆっくりしていたらだめだよ! このおうちでは ふゆさんは のりこえられないよ!」 「そうなの?」 「そうだよ! もっとおおきくて かぜさんも ゆきさんも こないおうちがひつようだよ!」 「ゆきさんて なんなの? おいしいもの?」 「ゆーーーーーーーーーーーー!」 これは困った おっとりとしたまりさのマイペースには れいむも大好きではあったのだが 生活するに当たって、まるで頼りに成らないのだ あの時れいむが助けてあげなかったら すぐに変なものを食べたり、他のゆっくりに騙されていたかもしれない しかしれいむは、このまりさとずっと一緒にいると決めたのだ 「どうしよう…どうしよう…どうしよう…」 またまたれいむはどうしようと呟き始めた 近くにはもう空いている洞窟もない 今から他の土地に探しに行くなんて危険を冒すことはできない きっとまりさがすぐに駄目になってしまうだろう れいむ一人なら さくっと探せてしまうのに なんでまりさはゆっくりしているのだろう これからゆっくりできなくなるっていうのに… なんでこんなまりさを選んでしまったのだろうか れいむは 狩りも上手い 料理も上手い 知識も多彩だ 一人でやっていけるはずだ なんでまりさといるんだろう 別に困ることなんてないんだ そんなことはない そうだ あの強いお父さんが れいむをかばって怖いふらんに怪我をされた時も お母さんが毎日お父さんを看病をしていた 優しいお母さんがれいむに古いご飯を食べさせてちゃって 酷く落ち込んで気に病んでしまった時も お父さんはいつも笑顔で元気にお母さんを励ましていた 一人では駄目なんだ 自分が狩りも料理も上手くなったのは両親のおかげだ お父さんお母さんが、まだ弱かったれいむを育てながら 三匹で暮らしていけたのは、夫婦で協力していたからだ 思い悩むれいむに、まりさが言う 「れいむ…ごめんね…れいむ……まりさのせいで ゆっくりできなくて ごめんね…」 「…」 「まりさは…いつも…れいむの あしでまとい だよね……だから……ほかの ゆっくりと いっしょに…」 「そんな…」 「れいむ?」 「そんなことないよ!」 「れいむ…」 「まりさが いてくれるから れいむは がんばれるんだよ! どんなにかりが たいへんでも おうちに まりさがいるから がんばれるんだよ!」 「…」 「れいむには…まりさが! まりさがひつようなんだよ! れいむのまりさは ひとりだけだよ! まりさは! まりさは! れいむの たからもの なんだよ!!!!!」 【真冬】 二匹のゆっくりが山を降りていた まりさ種の帽子が、とても膨らんでいるのは越冬用の食べ物がたくさん入っているからだろう ツガイであろう一回り大きいれいむ種はリボンに大きな葉っぱの袋を下げているようで おそらく生活で使う薬草や木の実の類だと見える 雪は降り始めているが地面はまだ白く染まっていない しかし気温はだいぶ下がり、秋には実りにあふれていた森は音を無くし静まり返っていた 「ゆっ! ゆっ! まりさ! ゆ! だいじょうぶ!?」 「ゆぅ! うん! ゆぅ! きゅうけいは いいよ!」 れいむ達は独り立ちをして跳ねてきた道を戻っていた 小さかった以前の倒木を後にして、持ち運びやすい食料を分担して運んでいる 「ゆっ! あとすこし! がんばって! ゆっ!」 「だいじょぶ! ゆ!」 思い出したのは両親の言葉だ 「おちびちゃん きをつけてね! つらくなったら もどってくるんだよ!」 「だめだよ! もうすぐ さむいさむい ふゆが くるから そのとき かおを みせてね!」 「おかーさん おとーさん! れいむは さびしくないよ! ちゃんと ひとりで ゆっくりできるよ!」 お父さんにれいむの顔を見せてあげよう そして れいむのまりさを紹介しよう お父さんにそっくりな まりさなのに こんなにお母さんにそっくりな ゆっくりさんだったら驚くかな? 巣の大きさはどうがんばっても三匹分しかないだろう しかし自分が育った土地だ 手早く加工すれば ご飯と一匹がギリギリ収まる程度のくぼみやウロは知っている まりさには冬の間 お父さんとお母さんと仲良くしてもらおう 冬がいなくなってくれるのが どれだけ長いのかは わからないが まりさに会うまでは一人で暮らしていたし すこしくらい寂しくても 春になってみんなと会えたら元気になる がんばろう 「ゆっ! ゆっ! ゆっ!」 がんばるんだ 「れいむ! いそぎすぎだよ!」 はやく 「ゆっ! ゆぅ! ゆぅ!」 おかあさんに 「れいむ きをつけてね! じめんさんが つるつるするよ!」 おとうさんに 「ゆっ! ゆぐ! ゆぅ!」 ほんのり雪で覆われた崖の斜面 何か草のようなものでフタをされて隠されているが れいむにしっかりと見えていた 見えた! 自分の育ったおうちだ! 見た事のある原っぱ! 見た事のある洞窟! 「あった! おうちだ! おうちだよ!!!」 塞いでいたフタを急いで外すと れいむは 洞窟の中へと駆けた 思い出すのは子供の頃ばかりで 昔の落書きやいろんな傷が今の自分にとっては とても小さいものに感じられる 「おとーさぁーーーーん!」 入り口にはお父さんが梅雨のときに盛った土の残りが置いてあった 「おかーさーーーーーん!」 お部屋にはお母さんが れいむを慰めてくれた藁のベットがあった 「れいむだよ! れいむが かえってきたよ!」 … 「おとーさん? おかーさん?」 … 「れいむだよ?」 … 「かえってきたんだよ!」 … 「どうして? どこにいったの? れいむが かえってきたんだよ!」 持ってきた食料を誰もいないお部屋に投げ捨てると だいぶ雪が降り積もった巣の外へ出てきた 両親はどこへ行ったのだろう? こんな寒い雪の中 出かけるはずもない まさかふらんに襲われた? それにしても部屋の様子はとても片付いており 荒らされたわけでもなく、狩りに必要な道具や荷物入れは置いたままで どこかへお出かけに行った様子もない すぐにでも使えるような おうちとお部屋があるだけで お父さんとお母さんだけが すっぽりと抜け落ちていないだけだ 『おとーさん なんで おうちのいりぐちを ふさいでいるの? こんなかたちだと れいむが ころんじゃうよ?』 『これでいいんだよ いりぐちと じめんさんに やまを つくっておくんだよ』 『こんなことすると おうちにはいりにくいよ!』 『だいじょうだよ! おとうさんのおとうさんも このいえに こうしてきたんだよ ずっとむかしからね!』 お父さんのお父さん? お父さんのお父さん(おじいちゃん)には…お父さんのお母さん(おばあちゃん)もいたはず なんで昔から住んでいたのに、れいむはお父さんの両親を見たことがないだろうか? 生まれて物心ついた時には お母さんとお父さんと三匹でくっついて 外の寒風を耳にしながら おうちの中で春を静かに待っていた ならあの頃 お父さんの両親 お母さんの両親は どこにいたのだろう? どこへ? この 雪の中 「うわぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああ」 れいむは視界が白く染まった雪の中に飛び出た 「おとーさぁあああああああああああああああああああああああああああん!!!!!」 れいむの声は、吹雪で白く染まった原っぱに溶ける 「おかーさあああああああああああああああああああああああああああん!!!!!!」 れいむの声は、閑散とした森に響くだけ 空を見上げたれいむの顔に、雪が舞い落ちる 頬を流れ落ちて行く雫は、雪が溶けたものではない 「…ゆっく……おとうさん………ゆぅ………おかあさん………ありがとう…………ありが……とう…………」 れいむは【自分の家】に戻った まりさは運んできた食料を解いて並べている 「…ゅ……まりさ…………あのね………」 「れいむ いいんだよ わかってるよ」 「…」 「れいむは とてもやさしいから れいむのおとうさんも おかあさんも とてもやさしいひとだって しってるよ」 なんて聡明な妻なのだろう あの冬の日 なんで自分は まりさを馬鹿にしてしまったのだろう 誰よりも優しいまりさだから、何も言わなくてもれいむの両親の気持ちがわかったのだ まりさに出会えてよかった まりさをを選んでよかった れいむを好きでいてくれてありがとう まりさをずっと好きでいよう ここでずっとゆっくり暮らそう 【越冬】 先日の吹雪が合図だった 早々に閉めた入り口には寒風がぶつかりガタガタと鳴らしている 少しだけ空いた覗き用の隙間から、寒さを超えて痛いような空気が入り込んでくる ある程度したら塞いでしまおう 「…」 「…」 ビュォォオオオ 唸り声のような風の音が聞こえるだけだ 「寒いね」 「そうだね」 火を扱えない二匹に暖を取る方法はない 寒さに身震いすると、れいむは入り口を完全に密封して まりさのとなりに落ち着いた 「ゆぅ…」 「…」 「ふゆさん、いつになったら ゆっくりしないで いってくれるのかな」 「まりさはべつに いつでもいいよ」 「ふゆさんが いなくならないと ごはんも たいようさんも ゆっくりしてくれないんだよ?」 「だって… ずっと れいむと くっついていられるから」 狩りを覚え、伴侶を探す、まだゆっくりにはすべき事がある 「もう まりさはー!///」 「こうやって すりすりすると あったかくなるよ」 「そうだね まりさの おはだは すべすべで すりすりきもちいいよ」 「れいむは ごわごわだけど なんだか たのしいよ」 「ごわごわ!? いったなー すりすりりすりすりすりすりすり」 「ゆは! れいむ! もう! すりすりすりりすりすりすりすりすり」 … 「ねぇ……れいむ……あのね」 「うん…………………………」 もう二匹は寒くなかった 彼女らの周りにだけ春が来ているようだ 「………………………………………赤ちゃんがほしい」 「…………………………………………………………!?」 当然の事だ 独り立ちして、夫婦になり、子供を育てる どんな動物でもしてることだ 「わ、わかったよ! れいむ、がんば……ん?」 「どうしたの?」 越冬で暗いおうちの中 若い二匹寄り添っていればこうなるのは当たり前だ しかしれいむには何か引っかかっていることがあった なんだろう 「ちょ、ちょっと ゆっくりしててね!」 「もう れいむ!! ばか!」 れいむは思い出してみた きっと玉のように可愛い赤ちゃんが生まれるだろう 子ゆっくりにまで育ったら、れいむの狩りを教えてあげよう 子ゆっくりに育つまで… 「あのね、まりさ」 「なあに?」 「いま すりすりして すっきりして ゆっくりした あかちゃんができると」 「ゆん?」 「まだ さむいさむい ふゆさんが はじまったばかりなのに ごはんもない おうちに あかちゃんが うまれるよ」 「ゆ…ん?」 「だから いまうまれると すぐおおきくなって ごはんも たりなくなるし さむいから あかちゃんも かわいそうだよ!」 「ゆー」 まりさは本当は理解はしているんだろうが 餡子の下の方に思考と情熱がいってしまい れいむが説得するのに一晩かかった まあ その説得方法も子種を渡さないようにすっきりしてたわけで 【初春】 寒風も弱まり雲の隙間から暖かい日差しが差し込むと おうちを囲んでいた雪も溶け始めてきた ひょっこり芽を出したふきのとうを れいむは採り過ぎないように集めていた 「まりさ! いまかえったよ!」 「ゆー おかえりなさい」 返事を返す まりさの体は少し変わっていた 頭のてっぺんから植物の茎のようなものが生えており 一個だけ白い実が生っていたのだ 「れいむ とってもゆっくりした あかちゃんだよ!」 「まりさに にて すごく ゆっくりしてるよ!」 まだ小さい実を二匹は笑顔で眺める れいむは たびたび入り口の隙間から季節の変わりを調べて もうすぐ春という頃合を計り、子供を設けたのだ そして春が来る数週間の間 貯蓄していた赤ちゃん用のご飯で、すくすく子ゆっくりとなり 春一番が吹いたら れいむと狩りの練習を始めるだろう 数日後の夜 「れれれれれれれれれれれいむ!!」 「ゆぅ…まりさ れいむは まだ ねむたいよ ゆっくりねかせてぇ」 「ゆっくりしているばいじゃないよ れいむ!」 「どうしたの まり……まままままままままままままままりさ!?」 まりさの茎にぶら下がっていた実が ぐりんぐりんと揺れている 赤ちゃんが無意識で産まれ落ちようと揺すっているのだ 「どどどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう」 たぶんれいむが生涯で一番どうしようと慌てただろう 「れいむ! わたしのまえに わらをしいてね!」 「つよいひかりは だめだよ!」 「いりぐちを しめてきてね!」 「まださむいから のっこたわらをふんで あたためといて!」 逆にまりさは人生一番のテキパキっぷりだ 「あかちゃん ゆっくりしてね! あわてなくていいよ!」 「あかちゃん! まりさが おかーさんよ! ゆっくりうまれてね!」 まりさの「お母さん」にれいむは思った そうか 自分はお父さんなんだ ついにお父さんになるんだ いつもまでも両親の子という感覚だったれいむは 親になると言う自覚を深く感じた 「れ れいむが おとうさんだよ! ゆっくりしていってね! ゆっくりしてね!」 くりんくりん揺れていた あかちゃんの小さな口が開いた 「ゅぅ~ ゆっくち うまれりゅりょ!」 まだ目は開いてないが つながった茎から離れようと小さく揺れている 「ゆ! あかちゃん! まりさ! しゃべ! あかちゃ! まりしゃ!」 「おちついてよ れいむ! 」 生まれる前に自分の子供の声を聞いてしまったれいむは もう何がなにやらと餡子脳の限界を超えていた 特に自分ができる事は もう何もないのだが とにかく何かがんばらなければとあたふたとしている ぷちっ とさ 二匹 「…!」 「…!」 おめめ ぱっちり 「ゆっくち ちていっちぇね!」 二匹 「…!!」 「…!!」 ちょっと不思議な面持ちで 「ゆ、ゆっくち ちていっちぇね?」 二匹は 「!」 「!」 そして力いっぱいに 「ゆっくち ちていっちぇね!!!!!!」 「「ゆっくりしていってね!!!!!!!!!!!!!!!!」」 まりさは誰に教わることもなく 茎をれいむに折ってもらうと軽く咀嚼して赤ちゃんに食べさせた れいむは自分が敷いて暖かくなった藁で赤ちゃんを包み いつまでも二匹―いや三匹は寄り添っていた 【二度目の春】 お母さんのまりさに見送られて、一匹の子ゆっくりが巣から顔を出した 赤ちゃんの頃からずっと今まで、巣の中で暮らしてきた、この子ゆっくりのまりさには 外の世界はとても眩しく感じられた 暖かいお日様 草の匂い 頬を撫でる風 今日はお父さんれいむが外で一緒に遊んでくれるという 「まりさ! ゆっくりしないでおとうさんについておいで!」 「ゆゆ!? おとーさん まって! ゆっくりしてね! まってぇえええ!」 こてん 転がってしまった 狭い巣の中では大きく跳ねる必要もなく 体全体を使うような経験がなかったからだ 転んでいるうちにお父さんの姿はどんどん小さくなる 「いじゃいよぉお あんよが ひりひり ずるのおぉおおお」 「…」 お父さんれいむは子まりさに振り返るが、すぐにきびすを返して跳ね始めた 「ゆぅ!?」 お父さんに助けてもらえると思っていた子まりさは 思いがけない対応に驚く 「…おとうさん もういくからね! まりさも はやくきてね!」 「ゆぅえええ! おどーじゃぁん! まっでよぉおお!」 お母さんまりさは入り口の傍で、そのやりとりを見届けると 巣に戻って梅雨になる前にベッドを新しいものに取り替えようと藁を組んでいた れいむは父親として厳しいかもしれないが 頼りない母まりさより、りっぱなゆっくりまりさになってほしいので 毎日狩りの訓練と言っては 何処へ行ってきたのか傷だらけになって戻ってきたり 森で怖い思いをして泣いて帰ってきたり、へんなキノコを舐めさせられたりとかは目をつぶっていた 【二度目の夏】 梅雨や日照りのある季節だ 水に弱く乾燥にも弱いゆっくりにとって冬と共に危険な季節だ 「ゆぅ~ あついよ~」 父れいむから狩りを教えてもらった子まりさも更に大きくなった 「まりさ! なつというのは あついだけじゃないからね!」 「ゆゆ? おとーさん なつは あついんでしょ! まりさも わかるよ!」 「あついあついといっても あつくないときが あるんだよ!」 「???」 どうやら父れいむの説明している事が 子まりさには理解できていないようだ 母まりさは そのうち不当労働に泣いてくるだろうと思って 皆で寝ているベットの上で、いつか使うだろう子まりさのための荷物入れを作っていた 「ゆえええええん!ゆええええん!おどーーざんのばがぁああ!まりさは わるいごどじでないのにぃぃい!」 あら早いこと 母まりさはベッドに飛び込んできた子まりさに おいでおいですると すりすりしながら 涙をぬぐってあげた 【二度目の秋】 実りの秋 春の時と同じように子まりさは巣の外に顔を出した 今度は両親と一緒だ 「…」 春の時は目を輝かせて お外を見ていた子まりさだったが 表情は陰り、はっぱで作られた荷物を抱えている 「まりさ きをつけてね! つらくなったら おかーさんのところに もどってきてね!」 「だめだよ! もうすぐ さむいさむい ふゆが くるから そのとき おとーさんに かおを みせてね!」 「おかーさん おとーさん! まりさは さびしくないよ! ちゃんと ひとりで ゆっくりできるよ!」 すくすくと育った子まりさは、いまや成まりさだ 春夏と過ごした巣は成体三匹では手狭となっている 成まりさはうすうす大きくなったら 一人で暮らす事を理解していた 「まりさ ほんとうに おおきくなったね! おとーさんはうれしいよ!」 お父さんれいむは、自分と同じくらい大きく育った成まりさを嬉しがっていた 「おとーさんの おかげだよ! まりさなら どんな かりでも できるよ!」 お母さんまりさは、自分と同じくらい賢く育ったに成まりさを喜んでいた 「まりさ! ふゆになるまえに ごはんをあつめてね!」 「わかったよ おかーさん! まりさは おかーさんにならった りょうりで いつも おいしいごはんを つくれるよ!」 「…」 「…」 「…」 「ゆわぁああああああああん」 「「まりさぁぁ!」」 この数ヶ月で、両親から受け継いだ狩りや自然の知識を学び 子まりさは一人前のゆっくりとなった もう自分一人の力で生きていかなくてはならない ひとしきり別れを惜しんですりすりを終えると 何度も何度も両親を振り返りつつ、成まりさは遠い草原の向こうを目指した 「いっちゃったね…」 「うん…」 母まりさと父れいむは顔合わせた 「はー 楽しかったねぇ」 「そうねぇ」 狩りの名人だった れいむ いつの間にか草原を駆けた足は、ハリをなくしヒビがわれている 美しかった まりさ 秋の陽光のせいだろうか、金の髪はところどころ白くなっている 「いっぱい ゆっくりしたね…」 「いっぱい ゆっくりしたよ…」 「あのこが ぶじにそだって よかったね」 「りっぱなこ になって よかったね」 おうちの中へ戻る れいむ 足を引きずるような跳ね方は、もう昔のように戻ることはないだろう よろけるれいむを まりさが支えてあげる 「ちょっと あのこのために むりしちっゃたかな」 「れいむったら おやばか ねっ」 れいむは自分の親が、どんな気持ちで見送ったのだろうかと 昨日まで思っていたが…もう考えるまでもなかった 夫婦二匹はおうちへ入った 【そして初冬】 巣のおくにはしわがれた二匹のゆっくりが住んでいた 赤茶にくすみ、垂れ下がったリボンから れいむ種だとわかる 普通より大きな体躯から、若い時には狩りに優れていだろう そのれいむに寄り添っているのは とても長い白髪を持っているまりさ種だ 今もなお 美しいツヤを持っている髪の毛は きっと輝くような金髪だったのだろう 巣の中は綺麗に整頓されており、生活感は漂ってない もしどこかの家族が移り住んだのなら この老ゆっくりより有意義に使うはずだ 二匹はお互いを支えあいながら入り口を出ると 近くにあった軽い枝を組み合わせたようなものでフタをした すると洞窟の入り口は、もう知っているゆっくりにしかわからないように隠されてしまった すでに雪は降っている もしかしたらもう足の感覚はないのだろうか うっすらと白くなった地面を這うように進んでいく その先には何もない もう雪は吹雪に近づき何も見えない けれど二匹は、まるで誰かが通っていったかように 草原だった方向を振り返りと 懐かしそうな目をしている どうしてだろうか 二匹は微笑んでいる きっと彼女達はゆっくりとした人生を過ごして来たのだろう なにも思い残すことはないだろう しかし二匹はいつまでも草原を見つめ続けて語りかけるように呟いた 「ゆっくりしていってね」 あとがき お読み頂きありがとうございました 書き始めたきっかけは 「ゆっくりは一冬しか生きられないほど、か弱いのでは?」と しかしそうなると越冬の経験がなくなってしまいます ではどうやって厳しい冬を乗り越えるのか たった一年の人生を、本能だけで狩りや生活をこなせるのか? その答えは劇中の通りです ちなみに好きな映画は「アンドリュー NDR114」です この映画ではアンドロイドの視点から200年を通してある一家が登場します SSでは、れいむ達は死期を悟ると 自分達の両親がしたように巣を空け渡してどこかへ消えてしまいます ゆっくりの短い人生のスパンでは祖父祖母を見ることは出来ません 代々受け継がれてきた親の愛情が今の元気な子ゆっくりに向けられている…家族っていいですよね! ううう・・・(泣)本っと家族っていいですね・・・ なんか切ないけどほのぼのというか・・・とてもいいお話だったと思います -- 名無しさん (2008-11-12 03 53 26) れいむは自分の親が、どんな気持ちで見送ったのだろうかと 昨日まで思っていたが…もう考えるまでもなかった 本当に涙が出てきた 連綿と受け継がれていく生命の営み 醜いこともあろうが美しい -- 名無しさん (2008-11-12 14 44 08) いつも虐待スレに居ますが、これは良いですね。たまには愛でるのも悪くないかなと -- 名無しさん (2008-11-14 04 27 47) 家族愛を伝える作品として、今までで一番良かったかもしれない。 ただ。。。 この出生率だと、種が存続できないような気が………。 -- 名無しさん (2008-11-14 21 53 05) 私もいつも虐スレに居ますが、この話には感動しました。 「はー 楽しかったねぇ」 この言葉に、生きる事の意味が詰まっているような気がしました。 -- 名無しさん (2008-11-21 03 51 45) 全 俺 が 泣 い た。誰かバスタオルをくれないか。 -- 名無しさん (2008-12-02 21 19 31) 畜生、泣かせんじゃねぇよ・・・。 -- 名無しさん (2008-12-03 01 56 23) 役目を終えた両親はゆっくりぷれいすに行くんだね -- 名無しさん (2009-07-06 11 48 55) 受け継がれる命と去りゆく命に感動しました。 -- 名無しさん (2009-07-13 19 50 37) 目から餡子 -- 名無しさん (2009-10-19 18 17 21) 泣けた。泣けたぁぁぁ。 -- 名無しさん (2010-05-03 18 56 34) ゆっくりしていってね… -- 名無しのゆっくり (2010-12-07 18 53 00) ビバ家族!! -- 名無しさん (2011-05-02 11 07 43) ゆわぁぁん…ものすごくかんっどうしたよ…! -- ななしのゆっくり (2012-10-14 23 19 31) 虐待ばっかで嫌になってたから、めっちゃ癒された。 -- ただのゆっくり (2013-02-11 12 32 49) 泣いた けどこのままだとどんどんゆっくりが減りそう -- 名無しさん (2013-05-14 14 54 06) 名前 コメント
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423 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2011/05/18(水) 16 22 38.86 ID auP8dkwG0 桐乃との距離は縮まったと思ってたんだが、 正直、意識しすぎて家に居る時はあまり会話も続かない。 「黒いのの言い成りって、あり得なくない?彼女の為にデートプランぐらい自分から考えなさいよ」 「俺はそれが黒猫の為に一番良い選択だと思ってんだよ」 「夜景の見えるレストランとか、記念にアクセ買ってあげるとか考えなれ無いわけ」 「黒猫は誰かと違って俺の財布のことも考えてくれる、可愛い彼女だったんだよ」 「ねえ、それあたしへの当て付け」 「あのな、普通の高校生はお前みたいに金持ってないんだよ」 「普通って、マジキモイ、どうせ黒いのとの、エロイベントばかり考えてたくせに」 「ああそうだよ、それが健康な男子高校生だ、悪いか!」 「!!!!!、キモ、こっち見んな!」 と、バカップルが、元カノを問い詰められた様な会話から、冷戦状態3日過ぎた所だ。 俺は真奈美との何時もと変わらない下校中、 俺の人生を引っくり返す桐乃からの電話が鳴った。 桐乃サイド----------------------------------- バカ兄貴、妹のピンチに呼びリン5回って遅くない 「もしもし兄貴、今どこ?家の庭に中年の男の人が立ってて、家の中覗いてるの、 今、家に私一人だし、早く帰って来て。」 やっと出た、兄貴ヘルプ! 「まじで!、で、戸締りはどうなってる?親父には電話したのか?」 「そ、そうだね、お父さんに今電話する。」 父さん警察なんだし、何で兄貴から電話してんだろう? 「おう、学校出た所だから急いで帰るから…京ちゃんどうかしたの~…ピッ」 地味子と一緒って、何やってんのバカ兄貴 電話を切った私は台所のカウンターに身を隠してまだ庭に居る男の様子を伺った 中年の男は必要に室内を覗き込んでいる。 マジやばいって、鍵閉めて無い窓とか無いよね、泥棒かな? マジロリコン?! 読モって変態とか家に来ちゃうの? 兄貴たすけて、京介、京介おそいって、涙出てきた、 ……お父さんに電話しなくちゃ。 京介サイド----------------------------------- 心臓が飛び出しそうだが走るしかないだろ、 家がこんな遠いなんて知らなかった、 桐乃無事かな、泥棒がロリコンだったら最悪だ、 ロリコンじゃ無くたって、あんな可愛いんだ、ヤバイだろ おっぱとか触っちゃうのか、俺も1回しか触って無いのに でもってその後は、ああぁぁ~~~~~~~~~~~ その泥棒殺す、絶対殺す!!!!!!!! 俺はさらに加速した。 ------------省略---------------------- 泥棒と俺の間に親父が割って入る、なに? 桐乃は俺の後ろに駆け寄ってきた。 「京介、この方はお前のお父さんだ」 「「へ…」」 「お前のお父さんは、わしの尊敬する先輩で秘密任務でインターポールで働いてらっしゃる」 「「い…」」 庭で窓の中覗いて、高校生に捕まってしまう秘密警察って…… 「と、言うわけで、お前もうすうす感付いて居たと思うが、お前はわしの本当の子供では無い!」 「「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」」 その夜は久々に寿司なんか取って、親父はリビングで旧友と酒を酌み交わし、 俺と桐乃も同席して本当の親父と話をした、俺の顔と今の家族を見たかったらしい 桐乃は俺の本当の親父にやたら愛想良く話してたっけ。 海外に帰る俺の本当の親父が乗るタクシーを見送り しばらくして、桐乃が俺の部屋にやって来た 「兄貴、さっきは有難う」 「つか、相手は無抵抗だったしな」 「私の王子様はまた、飛んできてくれた」 ヤバイ、顔が熱い、言葉が出ない 「本当の…お父さんの子供じゃ無いって聞いて…ショックだった?」 その事はずっと考えていた… 「ま、それでも俺はこの家の家族だし」 「私はいつまでも妹?」 「!!!!!!!!!」 しばしの沈黙のあと桐乃は部屋から出てゆく 「健康な男子高校生くん、宜しくね。」 なにが? -------------