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※虐待というよりかは虐殺。 ※東方キャラ登場。がんばったつもりだけど、やっぱりメイド長だけはキャラ崩壊。 ※特定のゆっくりが優遇(?)されてます。 ※いかにもゲスなゲスは出てきません。 ※でも、たくさん死にます。 ※東方キャラによる虐待は薄め、メインはゆっくり同士の殺し合い。 ※こっちか投棄場か、悩んだけど、こっちへ。 ※見ての通り、長いです。 「ゆぅぅぅぅ!」 まりさは、渾身の力で飛んだ。 捨て身の体当たり、それで自分の体がぺしゃりと潰れてもいい全力の一撃。 それで、そいつを倒せるなんて思っていなかった。できれば逃げてしまいたかった。 でも、おかーさんを助けるために、まりさは飛んだ。彼女は、元々れいむ種などよりも身体能力に優れているまりさ種の中でも特に秀でた個体だったが、相手が悪過ぎた。もしかしたらこの一撃で、などと微かな希望を抱くこともできなかった。 れみりゃ――。 ゆっくりの中でも、捕食種と呼ばれるそれは、れいむ種、まりさ種などの通常種など問題にしない能力を持っている。動きは鈍いが、それはまりさ種などもそうだったし、力となると全く相手にならない。 しかも目指すれみりゃは胴付きだ。小回りが効かぬため、入り組んだ場所に逃げ込めばむしろ胴無し種よりも容易な相手だが、手近なところにそのような場所は無いし、その手に握られたおかーさんを見捨てるわけにはいかなかった。 草原で思い思いに過ごす家族たち。 疲れた子供は寝転がって日向ぼっこ。 お腹が空いた子供は草を食む。赤ちゃんも食べたいといえば、咀嚼した草を吐き出して与えている。 おっかけっこに興じる子供たちもいる。 「ゆゆぅ、みんなとってもゆっくりしているね!」 母まりさが感無量といった感じで言った。 「ゆぅ、大きい子もちいちゃい子たちの面倒をよく見ているよ。とってもゆっくりしているね!」 それに答えたのは、母の横にいて妹たちを見守っている長女まりさ。 家族構成は、バレーボールサイズの母まりさに、それとほぼ変わらぬ大きさの長女まりさ、そしてテニスボールサイズの子まりさ四匹、子れいむ三匹。ピンポン玉サイズの赤ちゃんまりさが五、赤れいむが五、計十九匹のなかなかの大家族であった。 長女まりさだけが子供の中で大きいのは、彼女が両親の初めての子供であり、他の姉妹は既に死んでしまっているからだ。 おとーさんのれいむは、赤ちゃんたちが生まれてすぐにれみりゃに食べられて死んでしまった。一人立ちしていてもいい大きさの長女が家を出ないのはそのせいだ。 ――それでも、そろそろゆっくり一人立ちする時かもしれないよ。 すぐ下の妹たちが一番下の妹たちの面倒をよく見ている。そろそろその時期かもしれない。今は夏、秋を経て冬を越したらそうしようと長女まりさは考えていた。 それでも、すぐに完全に離れるわけではない。始めは今のおうちの近くにおうちを作り、いざとなれば助け合えるようにしようと思っていた。 そんな幸せでゆっくりな風景がそよ風に草揺れる草原で展開されていたのが僅か一分前である。 「れみりゃ、だぁぁぁ!」 その一声で、その場にあったゆっくりなど吹き飛んだ。恐ろしい捕食者、狩りの得意だったおとーさんれいむをむしゃむしゃと食べてしまったあのれみりゃが現れたのだ。 「ゆっゆっ、ゆ゛びぃぃぃ!」 「だじゅけでえええ!」 「ごっぢこに゛ゃいでええええ!」 と叫びながら、しょわぁぁぁぁ、としーしー垂れ流しながらも必死に逃げるすぐ下の姉妹たちはまだマシで一番下の姉妹たちなどは震えて動けなくなっている。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛」 「ゆ゛っ゛ぐぢ」 辛うじて声にもなっていないような声が口から漏れるだけだ。 失敗した。自分が離れすぎた、と長女まりさは思った。まだ赤ちゃんには固めの草を噛んで柔らかくすることや、おっかけっこで転んですりむいてしまった赤ちゃんの傷をぺーろぺーろするぐらいならば姉たちで十分にできたが、れみりゃの襲来に対しては、大きめの姉妹も小さい姉妹も等しく無力であった。 しかし、果たして自分がそばにいてもどうにかなったであろうか。れみりゃに対して無力なのは、長女まりさとて同様ではないか。 「ゆゆっ!」 長女まりさが硬直している間に、母まりさが脇目もふらずに赤ちゃんたちの元へ向かった。 「……ゆっ!」 慌てて長女まりさも後を追う。 「や、やめちぇね、むーしゃむーしゃしないでね!」 「ゆ゛あああん!」 赤ゆっくりたちはれみりゃへの無駄とわかっている懇願と悲鳴の大合唱だ。 「ゆーっ! まりさの赤ちゃんたちに手を出さないでね!」 一番手近なところにいた赤れいむに手を伸ばそうとしたれみりゃの前に、横から母まりさが立ちふさがった。おきゃーしゃんの登場に、赤ゆっくりたちは涙と涎をだばだばと流しながらその後ろに隠れる。。 「うー、ちいさいあまあまを食べようとしたら大きいあまあまが来たんだどー、いただきますだどー」 むしろそれにれみりゃは喜色を浮かべて、むんずと母まりさを掴んだ。指が母まりさの頭皮に食い込む。 「ゆぎぎぎぎ、赤ぢゃんだち、今のうぢにゆ゛っぐりじないで逃げでね!」 「あまあまだどぉー」 一足遅れて長女まりさが到着した時には、れみりゃは今にも母まりさにかぶりつこうとしていた。 「ゆぅぅぅぅ!」 まりさは渾身の力で飛んだ。 母まりさを助けたいという一心だった。 「うあ゛あああ」 その体当たりに、さすがにれみりゃがよろけて倒れ、母まりさを離した。 思っていた以上の戦果といえた。長女まりさは自分の渾身の体当たりですら、れみりゃはビクともしないだろうと思っていたのだ。 「ゆっ! ゆっ!」 続けて倒れたれみりゃに連続で体当たりを見舞っていく。今のうちにみんな逃げて、と思いながら。 「ゆっ! ゆっ!」 頭から餡子を少しはみ出させた母まりさもそれに加わった。 「い゛だいー、やめるんだどぉー」 れみりゃは泣き叫んでいる。そうなると、まりさたちは一層激しくぶつかっていった。 「おかーさんとおねーさんを助けるよ! 赤ちゃんたちは逃げてね!」 遠くに逃げていたはずの妹たちまで戻ってきてれみりゃ攻撃に加わったのに、母も長女もびっくりした。逃げて逃げて、といいたくとも、そのために少しでも体当たりの力が弱まったらその隙にれみりゃが復活して、子供たちがやられてしまうのでは、という強迫観念に支配されていて、体当たり以外にはあらゆる力を使えないのだ。 「ざぐやー! ごーまがんのあるじのびんちだどぉー! ざーぐやぁー」 叫ぶれみりゃへ決死の体当たりは続く、 「ゆゆーっ!」 長女まりさはれみりゃがいつまでも反撃して来ないので、思い切って噛み付き攻撃を仕掛けた。ぽよんぽよんと跳ね回る体当たりと違って噛み付きは強力だが、こちらの動きも止まってしまう危険な攻撃だ。 実際のところ、れみりゃが「さくや」なる言葉を吐き始めたら、これは相当に弱っているということなのだが、そんなことは知らない。そして、知らないのが良かった。少しも気を抜くことなく、みんな全力で攻撃している。 「むーしゃむーしゃ!」 長女まりさは、口の中に広がる肉汁の味に、思わず攻撃というよりも食事というべき声を出した。それを見て聞いた他のみんなも体当たりから噛み付きに切り替える。 「むーしゃむーしゃ! じねぇぇぇ!」 「にぐじるぶちまけてじねぇぇぇ!」 一つ一つは大したことのない傷でも、母と長女と七匹の姉妹たちに絶えず噛み千切られるのだから体の損傷は馬鹿にならない。 「いや、うめえ、これめっちゃうめえ」 「うめえ、マジパネェ、れみりゃイケる!」 そして、その台詞も段々、ただ単に食事している時と変わらなくなってきた。 「ざーぐーやー、だーずーげーでー」 れみりゃはこの期に及んでも反撃しない。というよりも、十分に反撃が可能な状態の時に泣くばかりで攻撃されていたために、もはや反撃ができないぐらいに体がボロボロになっていた。 「ゆゆっ! れみりゃが動かなくなったよ!」 長女まりさがそういった時には、れみりゃは既に事切れていた。 「ゆゆゆゆゆぅぅぅぅぅぅ!」 家族全員、大きく息を吐いてべしゃりと潰れるようにへたり込んだ。 「つ、疲れだよ゛~」 母まりさの言葉が全員の気持ちを代弁していた。無我夢中で限界を超えて動いていたのが、気が抜けた途端に意識が披露を認識して、どっと疲れてしまったのだ。 「もう動けないよー!」 と、言いながら、みな弾けるような笑顔だ。それもそのはず――。 「勝った! れみりゃに勝ったよ! 勝ったよ! 勝っだよー!」 母まりさは歓喜の声を上げる。それには、生き延びたという喜び以上の熱がこもっていた。 「でいぶぅぅぅ! 勝っだよ! れ゛みりゃにがっだんだよぉぉぉぉ!」 今は亡き伴侶の仇を討った。無論、れいむを殺したのは別の個体だが、同じれみりゃだ。見事仇討ちを果たしたと思いたいのも無理は無い。 子供たちもみんな、おとーさんのかたきをとったよ! と喜び転げ回っていたが、もしこの一連の光景を見ていたゆっくりにある程度詳しい者がいたら、こういって水を差したかもしれない。 「なんて弱いれみりゃだ」 と。 「むーちゃむーちゃ、ちあわちぇー」 「赤ちゃんたち、もうお腹一杯になったね! それじゃ暗くならないうちにおうちに帰るよ!」 れみりゃの残骸をついばんでいた赤ちゃんたちに母まりさが声をかける。 「ゆっきゅりおうちにきゃえるよ!」 「ゆっゆっ、ちょっと急がないと暗くなっちゃうから急いでね! ゆっくりはおうちに帰ってからするよ!」 一家がちょっとゆっくりしない速さで帰宅しようとしたその時、 「あ、あれじゃないかしら。ねえ、ちょっとみんな来て!」 上空からそんな声がしたかと思うと、すいーと空から妖精たちが合わせて三人、れみりゃの死体の傍らに着地した。 「うわちゃー、死んでるね、これ」 「うん、確かに赤バッチがあるわ」 「ああ、メイド長の激怒ぶりが目に浮かぶ……」 その妖精たちはメイド服を着ていた。この幻想郷でそんな格好をしている妖精といえば、泣く子も黙る悪魔の館、紅魔館のメイドたちである。 「あ、ゆっくり、まりさとれいむみたい」 「ねえ、ちょっと話を……なんか威嚇されてる?」 ぷくー、と顔を膨らましたゆっくり一家を見て、メイドの一人が困った顔をする。 その困惑顔を向けられたメイドは、ゆっくりの扱いを知っていた。 「ゆっくりしていってね!」 と、声をかけ、 「「「ゆっくりしていってね!」」」 と、元気に返事をされると、すぐに自分たちはゆっくりできる妖精だと伝え、ちょっと話を聞かせて欲しい、といった。 「ゆゆっ、暗くならないうちにおうちに帰らないといけないからゆっくりしないではやく話してね!」 「はいはい」 母まりさににこやかに答えると、メイドはれみりゃの残骸を指差した。 「あそこのれみりゃがなんで死んでるのか知らない?」 「ゆゆっ、それはまりさたちが……」 と、そこまで言って、もしやこの妖精たちはれみりゃの仲間ではないのか、と思った母まりさは口を噤んだ。長女まりさもそれを察して沈黙する。 「そのばかなれみりゃは、おかーさんとおねーさんとわたしたちがやっつけたんだよ!」 「そうだよ、わるいのは赤ちゃんを食べようとしたれみりゃだよ!」 「まりさたち、強いんだよ! れみりゃに勝ったんだからね」 しかし、妹たちはそこまで察することはできずに口々にそういって、ぷくーと膨らんでメイドたちを威嚇する。 「ええ、ウソでしょ!」 思わずメイドはいっていた。いくらなんでも、成体まりさが二匹だけで、あとは子供のゆっくり一家にやられるれみりゃはいないだろう、と思ったのだ。 「ウソじゃないよ!」 「まりさたちはウソつかないよ!」 「そうだよ! おかーしゃんもおねーしゃんも、強いんちゃからね!」 途端に、一家が激昂する。れみりゃを倒して仇討ちを果たしたと思っている母まりさと長女まりさも、頭からウソと決め付けるメイドの発言に、後先考えずに怒鳴り散らした。 「ああ、はいはい、ごめんごめん」 メイドがあっさり謝ったので、一家は「わかればいいんだよ、ゆふん」と胸……というか顎の下を張っている。 「……これを上げるわ」 それまで黙っていたメイドが母まりさに向けて手を差し出した。その掌の上には、赤いバッチがあった。れみりゃの帽子についていたものだ。 「ゆっ、それはれみりゃのお帽子についてた赤いのだね」 母まりさもそれに気付いた。 「あのれみりゃはチャンピオンだったのよ」 「ゆゆ? ちゃんぴおん?」 「すっごく強いことをみんなに認められたってことよ」 「ゆゆっ! まりさたちの方が強いよ!」 「うん、だから王者交代、この赤いのをこれからはあなたのお帽子に着けるの。れみりゃに勝ったという証よ」 「ゆぅ、それなら貰うよ!」 「じゃ、つけて上げる。あなたたちの口じゃつけられないだろうから」 メイドは母まりさの横にしゃがみこみ、黒い三角帽子にその赤バッチを取り付けた。 「うん、似合ってるわよ。新チャンピオン!」 ぐっ、と親指を立てるメイド。 「ゆゆぅ、なんか照れるよ……」 「すごーい、おかーさんすごーい!」 「しゅごーい、おきゃーしゃんしゅごーい!」 子供たちも囃し立てるものだからますます母まりさは照れてクネクネと体をよじる。人によってはそれだけで殺害理由になりかねない。 「でも、おかーさんが代表して赤いの貰ったけど、みんなもれみりゃをやっつけたちゃんぴおんなんだからね」 「ゆゆっ! まりさたちもちゃんぴおん!」 「ゆゆっ! れいむたちもちゃんぴおん!」 いい感じに出来上がっとるなあ、と思いつつ、メイドたちはふわりと宙に浮いた。 「それじゃあね、チャンピオン!」 「妖精さんたちありがとー」 「ありがちょー!」 「ゆゆっ、それじゃ急いでおうちに帰るよ! おうちに帰ってゆっくりしようね!」 「「「ゆっくりしようね!!!」」」 時折、ちゃんぴおん♪ ちゃんぴおん♪ と叫びつつ、ぽよんぽよんと跳ねて行くゆっくり一家を見送ってから妖精メイドのうち二人が紅魔館の方へと飛んでいった。その内一人の手には、れみりゃの帽子がある。 残った一人は、ゆっくり一家が去っていった方角へとゆっっっくりと向かった。 「……そう」 れみりゃが死んだ。ゆっくりまりさとれいむの一家に殺された。 そう告げて、れみりゃの帽子をテーブルに置いた。 「赤バッチをその一家の親まりさの帽子につけてあります」 「一人、残って一家を見張らせています」 「いい処置だわ」 れみりゃの帽子を優しく撫でながら、紅魔館のメイド長十六夜咲夜は、全く笑っていない笑みをメイドたちに向けた。そのうそ臭い笑みの向こうにあるものが自分たちに向けられていないことがわかっても背筋を悪寒が縦断せざるを得ない。 ああ、あの時のじゃんけんに勝っていれば……。 と、二人は悔やんだ。先ほど、残ってゆっくり一家を見張る役目をかけたじゃんけんで二人は見事に負けてしまったのだ。一見、さっさと館に戻るよりも、ずっとゆっくり一家を見張っている方が厭わしげに思えるが、れみりゃの死を報告すればメイド長がこうなることは目に見えていたので、むしろ残って見張りが一番マシな役目なのだ。 先ほどメイドがゆっくりたちにいった「赤バッチはチャンピオンの証」というのはもちろん嘘である。あれはあのれみりゃが紅魔館で飼われている――館の周辺や庭に住み着いて時々、メイドに餌を貰っているのではなく――正真正銘、十六夜咲夜に飼われているものであることの証であった。 飼いゆっくりのつけるバッチで最上のものは金バッチであるが、この赤バッチはそれよりも遙かに恐るべき存在であった。例え金バッチであろうとも、いやむしろ金バッチをつけているゆっくりほど虐待しがいがあるんだぜ、ヒャッハー! という人間の法できっちり裁かれるということがわかっていながらやってしまう筋金入りの虐待派でも、この赤バッチには手を出さない。 「出かけるわ」 「はい」 咲夜が立ち上がった。既に行くべき場所はわかっている。あの赤バッチには少々の魔法処置が施してあって、いわば外の世界でいう発信機のように場所を特定することができるのだ。 メイドが一人見張っているので、到着前に死んでしまっていることはないだろう。そう、残ったメイドは、いと死に易い生物であるゆっくりたちが、咲夜が行く前に外敵に殺されたりしないように見張っているのだ。 やはり、自分で手を下すか、とメイドたちは自分たちの判断の正しさにほっとした。実のところ、すぐにあのゆっくり一家を殺してしまおうかとも思ったのだが、きっと咲夜が自らの手で殺したがるだろうと思い直して赤バッチを取り付けて逃がしてやったのだ。 「おはよう」 しかし、廊下を歩いていると前方からやってきたのはレミリアであった。 レミリア・スカーレット。この紅魔館の主であり、この幻想郷の人間妖怪妖精神様その他全て含めてもトップクラスの力の持ち主である。見た目はロリっちいが、これでも五百年は生きている吸血鬼だ。 陽が落ちるこの時刻は、丁度彼女の起床時間である。 「早速紅茶を入れてちょうだい」 居間へ向かうレミリアが、咲夜を見た。感じたのは少しの違和感。 ――何を苛立っているのかしら? 一見、平静そのものの咲夜だが、なにやら心穏やかでないことは一目ではわからずとも、少し見ればわかった。 何かあった、と確信したのは、後ろのメイドたちを見てからである。こちらは必死に装うとしているが、全く成功していない。 「何があったのか話なさい」 レミリアは、メイドではなく殊更咲夜に言った。言外に、咲夜の口から全て話せ、と圧力をかけている。 ちら、とレミリアの視線がメイドに移ったところで咲夜は降参した。メイドたちがレミリアの強圧を受けて沈黙を通せるはずがない。それに、そもそもレミリアに感付かれてしまった時点で、隠し切れるはずがないと諦めてもいた。 まずは何よりもお茶よ。 との、主の命令に従って話をする前に紅茶が淹れられる。この状況でもいつもと変わらぬ絶妙のお茶を淹れる従者にいささかの満足を覚えつつ、レミリアは話を促した。 「ふーん」 話を聞き終えて、あからさまに、どうでもよさげにレミリアは呟いた。もっと面白い話かと思っていたと、続けて吐いた溜息に表れていた。 「ちゃんと掃除しときなさい」 そんなことする暇があるなら、という前段の言葉を省いてレミリアは言った。 色々と言いたいことはあるのだろうが、レミリアにそう言われては反論もできない。 「大体、あの肉まん、捕食種とかいうんじゃないの」 自分に似た格好で名前の響きまで似ているあの愚鈍な生物をそう呼ぶ気になれず、レミリアはいつもれみりゃのことを「あの肉まん」と呼ぶ。 「普通の巫女やら魔法使いに似たゆっくりよりも強いんじゃないの? なんでやられてんのよ」 少しそれが不満である。存在自体が不快なのに、それよりも弱いとされている連中にやられるとはどういうつもりなのか。 「あなたが甘やかし過ぎたからじゃないの」 部屋を出ようとしている咲夜の背中にそういってやると、明らかに動揺が感じられた。咲夜もそれに思い当たらないではいられなかったのだろう。実際、あのれみりゃが本気で戦えばまず負けることのないゆっくり一家にやられてしまったのは、痛みに弱かったからである。咲夜の庇護を受けていたのと、多少の強運もあり、ほとんど痛みらしい痛みを感じずに育ってしまったあのれみりゃは、少々の痛みにも取り乱し、反撃をすることを思うことすらできずにやられてしまったのだ。 紅茶を飲んでいると、どたどたと瀟洒とは言いがたい足音を立てながら咲夜がやってきた。 「何かあったの?」 あの咲夜がそんなことをするものだから、レミリアはけっこう真剣に何か重大な出来事が起こったのかと思ったのである。 「あのれみりゃの子供です!」 ずい、と目の前に差し出されたのは、ちっこいれみりゃだ。 「紅茶に肉まんは合わないわよ」 なんかもう、心底どうでもいいと思ったレミリアは適当にそういったが、咲夜は真剣な面持ちである。 「今日は早めに休みなさいな」 と、到底理解はできない理由ながら、意気消沈しているであろう従者を気遣ったレミリアだが、咲夜は下がらない。 「この子に親の仇討ちをさせます!」 「……ふーん」 「このままでは紅魔館の名折れです」 「別にそんな程度で折れるような名前じゃないけど、要するにそいつを飼いたいんでしょう。やることやって自分で面倒見るのよ」 「ははっ! ありがたき幸せ!」 やっぱりなんか咲夜はおかしくなっているな、と思ったレミリアは、退出する咲夜の背中へもう一度声をかけたのだった。 「本当に、今日は早めにお休みなさいな」 「……で、何してるのかしら、これは」 あの夜から、けっこうな時間が経った。無論、レミリアにとっては大した時間ではないが。 「うー、うー、うー」 「はい、あと十回、がんばれー」 「わんもあせっ!」 れみりゃが前に倒れて腕を屈伸させていた。いわゆる腕立て伏せだが、レミリアはいまいちそれがわからない。人間が体を鍛える方法など、自らが全く必要としないため興味がなかったからだ。 「特訓です!」 咲夜が、凄く目をキラキラさせて答えた。 「うー、うー、う゛ー」 「ほら、あと三回! まぁまの仇とるんでしょう!」 「今日は週に一度のプリンの日だよー、そらがんばれー」 苦しそうなれみりゃを、二人の妖精メイドが励ましている。 「……あれ、こないだの小さいの?」 「はい!」 だから、なんなのだ、そのキラキラした目は。 「うー、づかれだんだどぉー」 「はい、よくやったわね。プリンだよー」 「うー、うー、ぷっでぃーん。特訓の後のぷっでぃーんはさいこーだどー」 腕が疲れて動かないれみりゃの口に、メイドがスプーンでプリンを運んでやると、れみりゃは喜色満面、おいしそうに口を動かす。 「ふーん、頑張ってるようね」 何気なくいったレミリアの言葉に、 「そうなんです! ここまで来るには大変でした!」 凄い勢いで咲夜が食いついてきたので、何も言わないで黙っているのが正解だったとレミリアは後悔した。 あまりにも嬉しそうに言うので聞いてやった咲夜の話によると、あの晩から、既に特訓は始まっていたらしい。 「いい? あなたはお母さんの仇をとるのよ」 と、言い聞かせたが、当然そんなこと言っても赤ん坊なので聞きゃしない。そこで死なない程度にぼてくり回して、無理矢理、了解させた。 「う゛ー、れみりゃはまぁまのかたきをうつんだどー、そのためにいっしょーをささげるんだどぉー」 と、咲夜の提示された言葉を何十回となく復唱させた。 それからは、食事の前にそれを百回復唱しなければ食事をさせなかった。少しでも嫌がれば殴り蹴り押し潰し、死ぬ寸前まで痛めつけた。 それを続けていると、れみりゃも文句をいわなくなった。 「泣きながら殴った私の気持ちをわかってくれたんですよ」 と、咲夜は言うのだが、レミリアはコメントを控えた。 体が少し成長してくると、本格的な特訓が始まった。普段は餡子(もちろん、その辺のゆっくりを捕まえて潰したもの)を与え、週に一度だけ頑張ったご褒美として最上級のプリンを食べさせた。 もはや、そのプリンだけが人生ならぬゆっくり生における唯一の楽しみなのか、どんなにだらけてきても「今週のプリンを無しにするわよ!」と言うと、最後の力を振り絞った。 「ほら、見てください。あの自信に満ちた表情を」 ゆっくり生に疲れきった囚人みたいな顔にしか見えないが、咲夜にとってはそう見えるらしい。 「まあ、頑張りなさい……やることやった上でね」 寛大にそう告げてレミリアは去っていった。 またまた少し時間が経った。 「門番、何してるのよ」 紅魔館の中庭に紅美鈴がいるのを見て、レミリアは声をかけた。正直に言って、あまり門番として頼りになるとは思っていないのだが、それでも妖精程度なら通さないし、彼女がやられることで侵入者であることを知ることができるので、持ち場を離れられると本格的に役に立たないのである。 「これはお嬢様。咲夜さんにちょっと特訓を頼まれまして、門はメイド部隊に任せてあります」 「ふーん」 一応、その辺のシフトの組み換えは咲夜に一任してしまっているので越権行為とも言えず、レミリアは気の無い返事をした。 「あ、来ました」 咲夜が「あの肉まん」を連れてやってきた。もう、死んだ母親と同じぐらいの大きさにまで成長している。 「あら」 と、思わず隣の美鈴にも聞こえぬほどの小声でレミリアは呟いた。 れみりゃの顔が、何やら引き締まって見えたのだ。これまでれみりゃといえば脳天気に頭の悪そうな笑顔ばかりという印象だったのだが、何やら渋面というか、何も楽しいことはないというような顔をしていた。 それはこの前もそうだったといえばそうだったのだが、以前よりも諦めというか達観というか、自分のゆっくり生は、もうこれで行くしかないのだ、とでも言うような……。 「お嬢様もいらっしゃっていたのですね」 で、こいつは相変わらずキラキラした目である。 美鈴と相対すると、れみりゃの顔が強張った。 「じゃ、私と同じように」 「は、はいだどー!」 声にも緊張感がある。 「はい!」 美鈴の四肢が緩やかに動く。彼女は拳法を一通り心得ている。この幻想郷において大きな力を持つ者同士が決着をつけるスペルカードによる弾幕バトルではそれほどではないが、純粋な肉弾戦となったら紅美鈴は相当に強いと言われている。 「うー」 れみりゃもそれを真似て手足を動かす。 「そこぉ!」 突如、美鈴の足がしなってれみりゃの右腿を叩いた。 「う゛あ゛ー」 れみりゃの悲鳴など聞こえぬとばかりに、美鈴は動きを再開する。慌ててれみりゃもそれに続くが、 「何度蹴られりゃわかるんだ! お前はぁ!」 すぐさま美鈴に蹴られる。一発二発と蹴っていたが、とうとう倒れこんでしまい、そこを上から蹴られた。 ちらっ、と美鈴が咲夜を見る。咲夜は表情を少しも変えずにいる。 「おらぁ! 立てコラぁ!」 引きずり起こして無理矢理に立たせて、再開。しかし、既にれみりゃの両足はガクガクだ。すぐに体勢が崩れ、美鈴の怒声と蹴りが飛んでくる。 ちらっ、と美鈴が咲夜を見る。 「美鈴、その辺にしておきなさい」 「はい。おらっ、この肉饅頭! 咲夜さんがもう休んでいいとよ!」 と、また無理矢理立たせた。 「礼!」 手を合わせ、美鈴がれみりゃに向けて頭を下げる。 「あ゛じがどうどだいまじだぁー」 れみりゃが目を潤ませながら、同じように頭を下げた。ありがとうございました、と言っているらしい。 妖精メイドに付き添われて部屋に戻っていくれみりゃを見ながら、美鈴がぽつりと呟いた。 「……大丈夫ですかね? けっこう強く蹴ってしまいましたが」 「大丈夫よ、あの程度なら。壊れたところはすぐ回復するわ」 一連のやり取りで、レミリアには既に察しがついていた。 「美鈴は鬼教官役なのね」 「その通りでございます」 「ちょっとかわいそうですけどねー」 「見た目が私に似ているアレを蹴飛ばしてすっきりしているんじゃないの?」 「…………………………そんなことはありませんよ」 「何よ、その間」 「いえ、冗談、あくまでも冗談ですが、ええ、実はそうなんです、とか言っていいものかどうか悩んだわけです」 「あら面白い。言えばよかったのに、お腹抱えて笑ったわよ」 「私は門番の仕事に戻ります!」 「ええ、励みなさいな」 「ははっ!」 美鈴は凄い勢いで門の方へと戻っていった。 「でも、あの肉まん……」 「はい、なんでしょう」 「もう、けっこう強いんじゃないの。少なくとも、母親の仇のゆっくりに勝てるぐらいには」 美鈴はもちろん相当に手加減した蹴りを打っていたが、それでもそこそこの強さだった。普通のゆっくりだったら即死していただろう。それを何回も喰らいながら、目を潤ませる程度に我慢して泣き叫んだりすることは無かった。 「ええ、そうなんですが、ここまで来たらあの子がどれだけ強くなるのかと思いまして、それと……仇のゆっくりですが、今や群れの長になっておりまして」 「ふーん、その話、退屈しのぎに聞かせて貰おうかしら。お茶を淹れてね」 「はい、お嬢様」 (2へ続く)
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列車旅をするA Aは定期券で列車に乗るが少し定期券区間外に行く、定期区間外でも追加料金を払えば利用はできるのだ。 だが、今回Aが実践したのは、それに加えて目的地で降りずそのまま折り返し往復料金を払うというものだ。 この列車ワンマンで運転している。ワンマンとは車掌がいなくて運転士が車掌業務を兼任している列車のことである。 目的地にてそのまま折り返そうとして運転士に見つかり事情を説明するが不正乗車だの定期券没収だの運賃3倍の料金取るだの言いがかりをつけた。 『うぉるぁっ!!!!』 何かがキレたAは瞬間的に気合で運転士を殴り飛ばした。瞬間的なのでな。かなり飛んで行ってその速度は新幹線よりも早い10キロ向こうにある岩盤に衝突。 Aは次に元気玉を列車へ撃ち込み、その半径約4キロがクレーターとなり犠牲がかなり出たらしい。知ったことはない。 Aは既に無くどこかに飛んでいった。 ちなみに運転士は殴り飛ばされたとき即死だった。電車の運転士にならなければ幸せだったかもな。 こうして平和になったのだ。
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237 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 18 34.52 ID Uqr1f5Pf0 みなさん、こんにちわ。 アライさんトラップ研究所、通称、ATLです。 以前、「アライちゃんの育成方法」について、お話ししたかと思います。 今回は、【アライちゃん大部屋】からアライしゃんとして育てられる個体のその後をお見せしようと思います。 ネーミングはそのままですが、【アライしゃん大部屋】をご覧いただきましょう。 238 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 19 09.68 ID Uqr1f5Pf0 まずは、イメージ図を見ていただきましょう。 https //i.imgur.com/XESptwz.png 【アライしゃん大部屋】の大きさは、【アライちゃん大部屋】の時と同じ、十坪ほどの広さとなっています。 移動方法として、まず【アライちゃん大部屋】からアライちゃんを、四本爪のクレーンで包むように、捕まえます。 その後、ベルトコンベアに移動させて【アライしゃん大部屋】へ送り込みます。 もちろん、寝ている間に作業をします。 このとき、選び出す基準としては、そろそろ二足歩行をしそうな個体を選びます。 その見極めは、ベテラン職員の経験に基づいています。 中々、すごいんですよ? 見極め率は、九割を超えていますからね。 では、作業の様子を見ていただきましょう。 239 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 19 59.94 ID Uqr1f5Pf0 「「「「「「「「「「しゅぅー... しゅぅー...」」」」」」」」」」 現在、就寝中のアライちゃんの中から、クレーンを使って運びましょう。 ウィーン アライちゃん26「しゅぅー... しゅぅー...」 ガシッ ウィーン ガコン アライちゃん26「のりゃ!?」ビクッ ウィーン アライちゃん26「おしょりゃをとんでりゅのりゃ!?」ビクッ 部屋の上部に、クレーンが通れそうな穴が空いていますよね? これが、ベルトコンベアの入り口です。 ガッシャン ポテ アライちゃん26「いたいのりゃ!」ビエーン ゴウン ゴウン アライちゃん26「? じめんがうごいてるのりゃ。」 アライちゃん26「おもしろいのりゃ!」キャッキャッ フッ アライちゃん26「のりゃ!?」 アライちゃん26「おちりゅのりゃー!」ジタバタ 今、坂を落ちていきましたが、この先にアライしゃん部屋が待っています。 240 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 20 49.19 ID Uqr1f5Pf0 このように、どんどん捕まえていきますが、中には不測の事態もあります。 ウィーン アライちゃん49「しゅぅー... しゅぅー...」 ガシッ ウィーン ガコン アライちゃん49「のりゃ!?」ビクッ ウィーン アライちゃん49「アリャイしゃんを、はなしゅのりゃ!」ジタバタ スルッ アライちゃん49「のりゃ!?」ビクッ ヒュー グシャ アライちゃん49「...!」ビクンビクン アライちゃん83「...!」ビクンビクン このように、落下による巻き込み事故が起きてしまうのです。 貴重な実験材料を二匹失うことになります。 最悪の場合、もっと失ってしまうケースもあります。 そして、アライちゃんはこの異常な音で目を覚ますのです。 アライちゃん3「!? なにが、おきたのりゃ!」 アライちゃん74「ぴぃ! ちまみれのなかまがいりゅのりゃ!」 アライちゃん58「こわいのりゃ!」 ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ こうなってしまったら、この日の運搬作業は中止になり、後日に回されます。 241 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 22 12.13 ID Uqr1f5Pf0 このような作業を繰り返し、アライしゃんになる個体を選別しています。 では、【アライしゃん大部屋】に運ばれたアライちゃんはどうなるのでしょうか? こちらでも、【アライちゃん大部屋】のときと同じように、基本的なルールは変わりません。 争いが起きても監視をするのみで干渉はしない、定時間ごとに食事を与える以外はアライしゃんに任せる、などです。 最終的には【アライしゃん大部屋】で育てられた個体から、アライさんとしてさらに育成するもの、アライしゃんとして実験に使うものを選別します。 242 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 23 06.60 ID Uqr1f5Pf0 【アライしゃん大部屋】では、今まで以上に競争が激しくなります。 まず、二足歩行が出来ないものは、徹底的に虐められます。 また、食事でもパワーバランスが顕著に現れます。 食事は人数分用意して投入していますが、早い者勝ちになってしまうため、強者が指定数以上を食べてしまいます。 そうなると、敗者は食べ物にありつくことが出来ません。 このような弱肉強食の世界で生きていく厳しさを味わうことになるのです。 この競争で負けたアライしゃんは、衰弱死、暴行死で死ぬことが多いです。 243 : ◆cOAKBMeRl6 [sage]:2018/04/03(火) 22 23 42.20 ID Uqr1f5Pf0 如何でしたか? アライしゃんを使用した実験内容、アライさんの活用方法については、今後展開していきたいと考えています。 では、今回はこれで失礼いたします。 【アライさんトラップラボ】シリーズ
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キーンコーンカーンコーン チャイムの音と共に、子供達の声がぴたりと止んだ。 此処は、遊栗町遊栗久城学園。 私は、総合理事長にして子供達を愛する者・・・久城枝葉と申します。 ささ、折角いらっしゃったのです、授業の見学へ行こうではないですか。 ヒャア・・・・・・授業だァ! −久城学園の飼育− 「ゴホン・・・授業を始めます。 えーみなさん、『ゆっくり』という生物はご存じですね?」 教師の声に、当たり前だろ、知らないでか・・・等の答えが返ってくる。 その声に、中等部教師 逆多偉大(さかたグレート)は満足げに頷くと一度生徒達を見回して、言った。 「もちろん、知らない、という人の方が少数でしょうね。 しかしですよ?ゆっくりの生態について、はっきりとこういう物だ、なんて答えられる人は居ないんじゃあないでしょうか?」 今度の問いには、返事がなかった。 「皆さんがゆっくりについて知っていることは少ない・・・ ゆっくりは、野菜を食い散らかし、交通を邪魔し、あげくに自分たちはこの世の何よりも優れていると思い込み自然のバランスを破壊します。 もし皆さんが、久城学園の高等部に進学するのであれば、高等部ではゆっくりの駆除の仕方や、加工の仕方なんかを学ぶことになります。 そこで、この時間はゆっくりについて学ぶと共に、皆さんにゆっくりを育てて貰おうと思います!」 そうして、逆多は二匹のゆっくりを教室に運び入れたのであった。 「みなさん、ゆっくりという生き物は知っていますよね。」 中等部教師、芽出益代はそう言い、帰ってきた答えに満足げにうなずいた。 「はい、かわいいかわいいゆっくりちゃんです!皆さんも大人になったら、ゆっくりを飼いたいって思うと思うの。 でもね、ゆっくりについて知らない人たちが、育てるのに失敗して、うっかり事故で亡くなってしまうゆっくり達を先生大勢見てきたわ。 みんなやみんなが将来飼うゆっくりには、そんなつらい思いをして欲しくない・・・ だから、今日からこの時間はゆっくりのお勉強をしながら、みんなに実際にゆっくりを 育てて貰いまーす。」 そういい、目出は二人のゆっくりを教室に招き入れたのだった。 「お前ら、ゆっくりは知ってるな!」 中等部教師、鬼居三太郎は生徒達の返事に、満足げに頷き、授業を進めた。 「そうだ。だがな、こいつらについてお前らが知ってることなんて、精々が甘くする方法位だろう。 だが、こいつらにはなかなか面白い習性がある。それを知っているか知らないかで将来お前達の趣味の幅が広がる、なんてこともある。 だからな、先生はお前達の見聞を広めるために、だ。ゆっくりを買ってきた。 今日からゆっくりについて学びながらお前達にこいつらを育てて貰う。いいな!?」 そう言って、鬼居は二個の饅頭を教室に投げ入れた。 次の日 私、理事長の所にある要望書が出ていた。 一年生がゆっくりを飼育するための場所がほしい、とのこと。 もちろん、生徒達のためです、許可はすぐに出しましたとも。 さて・・・どんな飼育場所が出来たのか見に行ってみましょうか。 まずは、逆多先生のクラスですね。 ふむ、本体は木ですか。なかなか面白い形をしていますね。 右側は上に行くにつれ大きく、左側は逆に小さくなって行く・・・。 ふうむ、逆多組は美術の成績が良い子が多いみたいですねえ。 きちんと全面には金網を張って中が一目で分かるのも評価できますよ。 床は地面がそのまま、ああ、一部にはわらを敷く、と。 屋根はトタンを張るみたいですね。 ん、ホース?ああ、雨漏りがないか確かめているんですか。 ええ、みなさん、とっても上手に出来ましたね。 「ひそひそ・・・逆多先生・・・技術の授業にもっと力を入れるように。 あと、一応後で耐久性確かめておきましょう。」 「ひそひそ・・・分かりました、理事長・・・」 次は、芽出先生と。 これはなかなかの大作ですねえ、ちゃんと家になってるじゃないですか。 え、ほとんど鬼居先生が造った? あの人も器用ですからねえ・・・で、その鬼居先生と芽出先生は? 「鬼居先生、どうもありがとうございます。(にっこり)」 「いやあ、芽出先生のためならこの位は、わはは(でれでれ)」 ・・・減給しちゃいましょうかねえ・・・。 さて、中も見せて下さいね。 この丸い板は?テーブルですか。 あのクッションがベッド・・・ほうほう、なかなかのコーディネートですね。 あれは・・・本棚? ああなるほど、芽出クラスはパチュリー種が居るんですね。 みなさん、がんばってくださいね。 (いきなりパチュリー種とは・・・芽出先生減点、と) 最後が鬼居先生・・・なんですこれ? いや、犬小屋は見れば分かりますけどね。 これじゃ、ゆっくりが逃げてしまうでしょう? ・・・鎖でつなぐ? なるほど、飾りを固定すれば逃げられない訳ですか。 考えましたねえ。飾りを傷つけててまで逃げようとするゆっくりは少ないでしょうしね。 ええ、皆さんがんばって育ててくださいね。 1日目 逆多クラス れいむとまりさは居心地の良い職員室からこんなボロ小屋に入れられて不機嫌であった。 飾りには、銅バッチが付けてある。 「ゆゆ、なんなの?こんなぼろっちいばしょにこうきなれいむがすめるとおもってるの?」 「ゆ!このぼろごやさんはじじいたちにおにあいなんだぜ。 あのおおきいいえさんはまりさたちがもらってあげるからさっさとでていくんだぜ」 ぷくーっと膨らんで、自分たちは強いんだぜ、等と譫言をほざく二匹を置いて 生徒達は飼育グループを決めるためにさっさと教室に引き上げていったのだった。 芽出クラス 生徒達に、代わる代わるだっこされてありすとぱちゅりーは幸せだった。 頭の飾りには銀色のバッヂが輝いている。 「ゆゆう、なかなかとかいはなおうちね。でも、ありすがこーでぃねーとすればもっとと かいはになるわね」 「むきゅ、こんなにたくさんごほんがあるわ!ここがうわさにきくう゛わるとしょかんな のね!」 はしゃぐ二匹のゆっくりを生徒達はチャイムが鳴るまで眺めていたのだった。 鬼居クラス 「ゆああ!まりさにひどいことするくそじじいはおぼうしかえしてはやくしねぇぇぇ!」 まりさははらわたが煮えくりかえっていた。 やっと人間が独り占めしているお野菜を取り返せる!と思った矢先 お帽子を触手で奪うという人間の卑劣な作戦によって捕まってしまったためだ。 しかも、お帽子に鎖が取り付けられ、引っ張れば破けるなどと脅していった。 「じゃお!」 「ぐずめーりんはだまってろ!」 ぐずのめーりんが側にいるのも気に入らない。 攻撃しようとしても、鎖が短すぎてお帽子が脱げてしまうのだ。 もし、お帽子がなければ、ぐずのめーりんにでさえ負けるかもしれない・・・ いらいらしながらも、まりさは小屋に入る。 おうちは、くそじじいが用意したにしては寝心地が良かった。 めーりんは、ある使命を帯びているのだ! それは、このこーまかんを守るというものだ。 中のVIPを守るように、との命令。 「じゃおお!」 めーりんは雄叫びをあげ、門のまえでしぇすたに付いた。 「・・・鬼居先生、何故めーりん種を?」 「あれは、話せば分かる上に、捕食種であるふらんやれみりゃからは攻撃されません。 ゆっくりの門番としては最適かと」 「なるほど、なかなか考えましたねえ。」 「ええ、教師ですから」 二日目 晴れ 逆多クラス れいむとまりさはゆっくりしていた。 食べ物は、『きゅーしょく』とかいうのを人間が持ってきてくれる。 ペットショップよりは寒いけど、わらさんがあれば気にならなかった。 芽出クラス ぱちゅりーはご本を読んでいた。 ゆっくりにも読めるように芽出先生の下生徒達が書いた物だ。 本に囲まれて、ぱちゅりーは幸せだった。 ありすはくやしかった。 窓から見える隣のまりさが、れいむとゆっくりしていたからだ。 いつか、こっちのおうちの方がゆっくりできる。 そう言って、まりさを誘おうと思っていた。 鬼居クラス まりさは、苛立っていた。 馬鹿な人間は、まりさの偉大さをちっとも理解しない。 いくら、めーりんを殺せと命令しても、人間はまりさの言葉を理解していないのだ。 いくら言っても、「仲良くしろ、それがお前のためだ」としか言わない。 まりさは、『けいかく』を練っていた。 ぐずのめーりんを、馬鹿な人間にまりさが殺したと分からないようにする、完璧な計画を めーりんは寝ていた 七日目 雨 逆多クラス 「おちびちゃんたち、きょうもおかーさんのおうたでゆっくりしようね! ゆーっゆっゆっゆ~」 「ゆっくりー!」 「おかーさんのおうたはゆっくりできるにぇ」 「れいむはおうたがじょうずなんだぜ!」 二匹の間に、子供が生まれていた。まりさとれいむが一匹ずつ。 当然だろう。 狭い小屋の中では、走り回ることも、探検することも出来ないのだから。 することと言えば、おうたを歌うか、すっきりか・・・その二択。 そうして、今日ついに、ねんがんのおちびちゃんをてにいれたのだった。 芽出クラス ぱちゅりーは幸せだった。 目の前には、ゆっ生かけても読み切れないであろう本の山(生徒+先生で43冊ただし、ぱちゅりーは同じ本を今日で三回読んでいるのに気づいていない) ご飯は、1日分を飼い主さん達が置いていってくれる。 家の中にいれば、雨も気にならないのだ。 今日は、どのご本を読もうか・・・ぱちゅりーは本棚の前で真剣に悩み始めた。 ありすは、窓に張り付いていた。 窓の外では、れいむとまりさが、子供達と一緒にゆっくりしている・・・ それに比べて、ありすはどうだ? おうちをとかいはにこーでぃねーとしても、人間が来ると元に戻してしまう。 すっきりしようとしても、ぱちゅりーは、 「むきゅ、いまごほんをよんでいるのよ。はなしかけないでね」 と、そればっかり・・・。 人間さんが来て遊んでくれる時はすごくゆっくりできるし、人間さんには元気よく挨拶しなさいと言われているから元気に振る舞った。 でも、人間さんはどんなにお願いしても、しばらくすると帰ってしまう。 ありすは、多分自分がこの世で一番不幸なゆっくりなんだろうなあ、と思っていた。 鬼居クラス 「じゃお、じゃおおおぉぉぉぉぉ!」 「ゆっくりしないで、しぬんだぜ!ぷくーっ」 雨が降ってきて、めーりんがおうちに入ろうとしたときに、まりさはひらめいた。 そうだ、このままめーりんをおうちにいれなければ、じゃまなめーりんは死に、 愚かな人間は事故としか思わないであろうと。 しかも、今日はもう人間は食べ物を持ってきたし大分前に群れが人間の家から出て行った。今日はもう人間が来ない! まりさの計画は完璧だった。 「じゃおっ!」 「ぐずめーりんのこうげきなんて、きかないんだぜ!」 流石に、生命の危機を感じためーりんが、使命を破りまり差に攻撃を仕掛ける。 しかし、すでにめーりんの足はふやけており、まりさをはじき飛ばせるだけの力は出ない 小屋の入り口は、まりさがふさいでいる。 「じゃおぉぉぉ」 人間が、来てくれることを願うしかないのだ。 めーりんには、希望は残されていなかった。 8日目 曇り 逆多クラス 「どぼじでごはんがもうないのぉぉぉ!」 「「おにゃかしゅいたよー!」」 「くしょじじいははやくごはんをもってくるんだぜぇぇぇ!」 まりさとれいむは、お腹をすかせていた。 逆多クラスの子供達が給食の残りを持ってきていたのだが、食欲旺盛な子供達は昼食でそれを食べ尽くした。 夕食の時間になって、お腹が空いたものの、食べ物が来るはずはない。 しかも、親まりさとれいむは今まで二匹で食べるには多すぎる食料を貰っていたために、夜食まで食べ、それになれてしまっていた。 明日の朝、飼育係が朝食を持ってくるまで彼らは叫び続けるのだろう。 お腹が空いたといっても、命の危機を感じるほどではないのだ。 芽出クラス 「むきゅきゅー」 ぱちゅりーは、にこにこしながら本を読んでいた。 今日はどれにしよう?明日はどれを読もう? それを考えるだけで、もう、何もいらなかった。 「ゆっ・・・ありすは・・・ゆっくり・・・すっきり・・・おちびちゃん、ありすのおちびちゃん・・・」 ありすは、窓の外を見る気にはなれなかった。 まりさ一家の声が聞こえている・・・。 このおうちは音が余りしないのに、聞こえてくるのは、よっぽどはしゃいでるに違いない そう思うと、いつまでたっても本しか見ていないぱちゅりーが疎ましく思える。 この小屋を造った鬼居先生は、声が漏れないようにとしっかり内側に防音材を取り付けていた。無駄な凝りようである。 ありすは、子供の声を聞くたび、心が沈んでいくのを感じたのだ。 鬼居クラス 小屋の前には、ぐずぐずに溶けて元の形が分からなくなった帽子。 小屋の中には、中身を吸われてぺらぺらになった饅頭が一つ残っているだけだった。 9日目 逆多クラス 「ねえ、れいむぅ・・・」 「なあに?まりさ・・・」 「くそじじいたちはごはんをあんまりくれないよ。 まりさきめたよ、ここからでていこうね」 「ほんきなの!?まりさあ」 「ほんきだよ!このままじゃ、おちびちゃんたちはうえじにしちゃうよ!」 「でも、どうするの?」 「にんげんがごはんをもってきたときに、みんなでやっつけて、にげるよ!」 「おとーしゃん、にんげんさんをやっつけたら、どれいにしてごはんをもってこさせればいいんだじぇ!」 「だめだよおちびちゃん、まりさだって、にんげんさんのひとりぐらいはやっつけられるんだぜ! でも、にんげんさんはいっぱいいるから、ひとりどれいにしてもしかえしにきてゆっくりできなくさせられるんだぜ!」 「しゃしゅが、おとうしゃんはゆっくりできるにぇ!」 「そうときまれば、たたかいのまえにはおうたをうたってみんなでゆっくりするんだぜ!」 「ゆーっゆっゆっゆ~ゆゆゆゆゆ~ゆゆー」×4 まりさとれいむは逃亡計画を立てていた。 これが成功するか否か・・・神のみぞ知るのだろう・・・ゆっくりに神がいれば。 芽出クラス 「んほおぉぉぉぉ!ぱちゅりーったら、ごほんばかりよんでほうちぷれいだったのねぇぇ きづかなくてごめんねぇぇぇぇ!!」 ありすは、キレた。 限界に来ていた精神に、今日の一家の楽しそうな歌がトドメを刺したのだ。 「むきゅーっありすやめてぇぇぇ!かってにこどもをつくったらだめだってしけんでいわれたでしょぉぉぉ!?」 「となりだってこどもがいるんですもの、じごしょうだくんほぉぉぉぉ!すっきりー!」 「むきゅ・・・むきゅう・・・やべで、やべでぇぇぇぇ・・・すっきりー!」 ぱちゅりーの頭から、5,6,7・・・どんどんと茎が伸び始める。 それでも、止める気配のないありす・・・。 「すっきりー!すっきりー!」 最早、パチュリーのことなぞ考えず、すっきりを続けるありす・・・。 「むきゅ・・・むきゅ・・・ぱちゅりーの・・・ごほん・・・」 クリームを吐き、否定の言葉も出なくなったぱちゅりー・・・。 最早、ぱちゅりーの死は避けられないであろう事が明らかになったそのとき バタン! 「ありすちゃんっ!なにやってるの!?」 唐突に、一人の生徒が入ってきた。 昨日、鬼居クラスのゆっくりが死んだため、心配になって様子を見に来た女子生徒だった。 昼間、元気が無かったので、心配してオレンジジュースを買ってきたのに、 今ではこんなに元気よく・・・じゃなかった。 このような醜態を見せられ、思わず尻餅をついた。 「ありす・・・ちゃん?」 「もっと・・・ゆっくりしたかった・・・」 ぱちゅりーは、元気がなくなてしまった。 もっと、もっとすっきりがしたい! 赤ちゃんは、何故か生まれる前に黒くなって死んでしまった。 もっと、すっきり、すっきり・・・。 すっきりのことしか考えられなくなったありすが目にしたのは、女子生徒。 それも、昼間いちばんありすに良くしてくれるお姉さんだった。 そうだ!おねえさんとのあかちゃんなら、もっとゆっくりできる! 「おねえさんほぉぉぉぉぉぉ!」 女子生徒めがけ、飛びかかるありす。 女子生徒は、あまりの事態に呆けていたが、目の前に飛びかかってくるありすを見て、 思わず 「何をするだァーッ」 両手を突き出した。 「ずっきり・・・」 突き出した両手は、ありすを直撃。 ありすが、レイパー状態で飛びかかっていたのも災いした。 レイパーとは、防御を捨てた攻めの型。 普通のゆっくりに対して、一撃必殺の最強の型。 しかし、人間に対しては。 「もっど・・・ずっぎり・・・じだが・・・」 ありすの体を、腕が、貫通した。 10日目 逆多クラス 「いまだよっ!」 「ゆっおちびちゃん、ゆっくりしないでにげるよっ!」 果たして、まりさの計画は成功した。 餌を運んできたのが、 体育の時間に足をひねったものの、餌やりくらい大丈夫だって! と言って、ゆっくりとふれあいに来た少年だったのが幸いしたのだ。 怪我をしていた上、先ほどのまりさの後ろからの体当たりで更に痛みが酷くなった。 追いかけることも、他の生徒を呼びに行くことも出来ずに、少年はただただゆっくりの遠ざかる後ろ姿を眺めていた。 芽出クラス 放課後、ぱちゅりーとありすのお葬式がしめやかに執り行われた。 襲われた女子生徒は、今日は学校を休んでいる・・・。 泣きじゃくる芽出先生を、鬼居先生が「良くあることです」と慰め、 グーパンチを喰らった。 鬼居クラス 小屋と、鎖が付いた棒だけがそこには残されていた・・・。 13日目 「まったく、まりさがあんなにぐずだなんておもわなかったよ! きゅーしょくさんもみつけられないなんて! おちびちゃんたちはあんなふうになっちゃだめだからね!」 「ゆっわかったよおかーさん」 「でも、おとうさんのあんこ、おいしかったんだじぇ!」 小屋から逃げ出したれいむたちは、再び学校に戻ってきた。 まりさが、町の中で食べ物を見つけることが出来なかったためだ。 その上、町のゆっくり達が守ってきた狩り場の縄張りを知っているはずもなく、 町ゆっくりから追い出され、ついにまりさは子供を守るため『お食べなさい』をした。 まりさが居なくなったことで、食料を得ることが出来なくなったれいむは、再び学校へ戻ってきたというわけだ。 「ゆっ!おかーさん、おやさいさんがあるよ!」 「ほんとだね!ばかなにんげんさんも、ちょっとはきがきくんだね! あれは、にんげんさんがれいむたちによういしてくれたものだよ、 みんなでむーしゃむーしゃしようね!」 「やったあ!おやさいさんいっぱいむーしゃむーしゃするんだじぇ」 この、遊栗久城学校、高等部に。 ずぼっ 「いだああああ!?」 「先生、ゆっくりがかかったみたいです!!」 「ようし、この様に畑を襲うゆっくりに対し、落とし穴は非常に効果があるものだ。 ただし、ゆっくりは数が多い。数が来るとゆっくりの死骸で穴が埋まる事も多いからな 普通は落とし穴の他に二、三個の罠を用意しておく。ここ、テストに出すぞ~」 教師の言葉に、生徒達が一斉にメモを取り始めた。 「ゆ゛っ・・・でいぶの・・・おぢびぢゃ・・・」 親れいむが、子供を探して目をぎょろぎょろと動かす。 体は落とし穴にすっぽりと嵌ってしまい、動かすことが出来ない。 「おきゃーしゃん!」 「まりしゃたちはだいじょうぶなんだじぇ!」 「おぢびぢゃ・・・」 「おにぇーちゃん、はやくおやさいむーしゃむーしゃしようね!」 「はやくいくんだじぇ!」 「どぼじでぇぇぇぇ!?」 親れいむを踏んづけて、落とし穴を越え、二匹はまっすぐ畑に向かって行った。 れいむを振り返ることもなく・・・。 「ゆううみたことないおやさいだにぇ」 「せっかくだからまりしゃはこのあかいみをえらぶんだじぇ」 「じゃあ、れいむはこのきいろいのにするにぇ」 「「むーしゃむーしゃ」」 「「ゆげえぇぇぇぇぇぇぇ!」」 「見たか?今のように落とし穴を越えると、ゆっくりは安心する。 畑の中に入ってしまうわけだからな。 だが、油断したときが一番危険なものでな、このように周囲に唐辛子を植えておけば大 抵は自滅する。ただ、たまには見破る個体が出てくるから、赤唐辛子だけじゃなく黄色 唐辛子や指上なんかも植えておくといいぞ!」 キーンコーンカーンコーン 「ん、チャイムか。今日はここまでっ!」 「・・・10日ですか、まあ、持ったほうだと思いますよ?」 「そうでしょうか?」 「ええ、ねえ、鬼居先生?」 「いや・・・まあ・・・」 「私たちが中等部だった時は入ってきたとたんに鬼居君が潰しましたからねえ・・・」 「ははは、照れますなあ。良い思い出ですよ、ねえ、芽出先生?」 「褒めてません」 「あ、逆多先生、」 「はい?なんでしょう」 「高等部の落とし穴で、うちの校章が入った銅バッチが見つかったそうですが」 「え・・・あー・・・」 「さて、子供達のアフターケアはしっかりお願いしますよ? 高等部に入ったら、しっかり駆除の仕方を勉強して貰わないといけないんですからねぇ あとがき 逆多先生達は、初等部のお兄さん、お姉さん達です。 前よりは頑張ったけど・・・まだなんかあっさり? あと、何か酷い誤字あったので直しました。 連投ゴメン。 書いた物 ふたば系ゆっくりいじめ 349 久城学園のボランティア これ
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家族を作るということは、ゆっくりにとって最上の生存目的である。 人間と同じく、身体的精神的な快楽を求めて生きるのがゆっくりだが、 その中でも、つがいを見つけて子供を作り、家族で団欒する幸福は、 大多数のゆっくりにとっては、ゆん生において何よりもゆっくりできる至高の幸せだ。 愛しい夫と、妻と、愛の結晶である子供を成し、 互いに愛を確信しながら、身を寄せ合って共に生きる。 少なくとも、あまあまも玩具も知らない野生のゆっくりにとっては、 それ以上のゆっくりは想像できないのが通常だ。 飼いゆっくりを訓練する際も、 「家族を作る」という目的意識を「人間をゆっくりさせる」にすり替える過程において、 大多数の時間と労力が費やされる。 実際のところは、こうしたゆん生観の大転換が成功するほうが稀であり、 ほとんどのゆっくりが、ゆっくりとしての本能を捻じ曲げることに失敗して他の用途に回される。 ゆっくりショップに並んでいるような、多種の生物である人間の幸福を望み奉仕するゆっくりのほうが異常な洗脳饅頭なのだ。 それでさえ、多くは飼われているうちに種族の本能がぶり返して自分の子供を作ろうとし、 その結果人間に「ゲス」と呼ばれ、処分されることになる。 それほどにゆっくりにとって、自分で作る家庭とはかけがえのないものなのだ。 今、両親にとってその家庭は地獄そのものだった。 自らの手で、せせら笑いながらゆん生をズタズタにしたわが子が、 家族から離れて佇み、いつも氷のような視線で自分たちを見つめていた。 帽子と左目のない、全身傷だらけの子まりさは、 いつも意思とは無関係にうんうんとしーしーを垂れ流し、そこらに打ち棄てていた。 「おちびちゃん……きれいきれいしようね……」 垂れ流される便を、両親はかいがいしく処理した。 丹念にぺーろぺーろして床の便をかき集めて庭に捨て、子まりさの体表にこびりつく汚れを舌で落とした。 かつて赤ゆっくりだったころにもそうしてあげていたものだが、 「お前らが原因なんだから当然だ」というように、無表情でされるがままになっている子まりさの介護は、 とてもかつてのように心楽しいものではなかった。 両親のどちらかが近づくたびに、子まりさはナイフのような言葉で心をえぐってきた。 「やっちょころしちぇくれりゅの?」 「きょんどはみぎのおめめもとりゅの?」 「ぷーすぷーすしゃんはもうあきちゃの?」 その度に、両親は何度も何度も詫びるのだったが、子まりさは聞きもしなかった。 ただ死を望むばかりだった。 食事は日に二度、お兄さんが持ってきてくれた。 持ってくるのは二度だが、ゆっくりは通常、日に四、五回ほど食事をする。 充分な量の食事を、両親がきちんと配分して分配した。 もちろんのこと、子まりさにも平等どころか、むしろ多めに分配した。 持っていくたびに、生きる気力のない子まりさに両親は頭を下げて何度も食事するよう懇願し、 もはや家族を責め立てることにしか生き甲斐を見出していないらしい子まりさは、そうしてようやく口をつけるのだった。 楽しかるべき家族の食事はもはや団欒のときではなく、 こちらを睨みながら隅で佇んでいる子まりさに気兼ねしながら耐える苦痛のときでしかなかった。 自分達でずたずたにした我が子の前で、呑気に「しあわせーっ」などと叫ぶことなどできるはずもない。 食事時に「しあわせ」と発声できないことは、ゆっくりにとって想像以上のストレスである。 憎悪の篭った視線に射られながら口に運ぶ食事に味はなかった。 必死に詫び、乞い、なだめ、すかし、 両親は子まりさを家族の輪に入れようとしたが、 「またぷーすぷーすしゃんすりゅの?」 「まりちゃをこんにゃにしちゃゆっくちたちと、にゃにをしゅればいいにょ?」と言われては、 それ以上強いることもできなかった。 確かに、ゆん生がめちゃくちゃになるほどの暴行を受けた相手に囲まれ、さあ仲良くしろなどとは言えない 子供たちも、最初の頃こそ子まりさに詫びて泣いていたが、 子供は正直なもので、はっきりと口にこそ出さないものの、 時間がたつごとに便にまみれて臭気を放つようになった子まりさを疎んじる素振りが見えはじめた。 今では親以外、子まりさを食卓に誘う気配は見えない。 それどころか、言葉の端々に不穏なものが見え隠れしはじめた。 「じびゅんでこにゃいっていっちぇるんだから、あんにゃのほっといちぇいいのに……」 「おきゃーしゃん、まりちゃのごひゃんしゃん、おおしゅぎにゃい? どうしぇじぇんぶたべにゃいよ」 「おわっちゃこちょはしょうがにゃいよ!もういいきゃら、れいみゅたちだけじぇゆっくちちようよ!!」 そんな些細な失言にも、両親は強くたしなめ、叱りつけた。 善悪の道理の感覚がまだまだ薄く、贖罪の覚悟がない子供たちは、 両親のそんな叱責を窮屈に感じ、常時ふてくされ気味の態度で、 両親と子まりさから離れて子供たちだけで遊ぶようになっていった。 ベランダの隅から憎悪の視線を向けてくるうんうんまみれの子まりさ。 食事の時以外は両親から離れ、逆側の隅で身を寄せ合ってぼそぼそ喋っている子供たち。 子まりさに対して詫び、他の子供たちを叱りつける以外の会話はほとんどなくなった両親。 あんなに仲睦まじかった家族が、どうしてこんな事になってしまったのか。 夜毎に両親は身を寄せ合い、涙した。 誰を恨むこともできない、全面的に自分たちのせいであり、 あの子まりさがいる限り、家族のゆん生には贖罪しか残されていなかった。 当然、そこに一片のゆっくりもあろうはずはない。 あの時、お飾りのないゆっくりをあれほどに苛めなければ。 せめて目を潰さなければ、ぺにぺにを潰さなければ、まだ子まりさは許してくれたのかもしれない。 いや、きっと許してくれた、あんなにゆっくりできるいい子だったから。 親のまりさとれいむは歯噛みし、涙にくれて後悔しながら、 今は遠い彼方のものになってしまったゆっくりを偲ぶばかりだった。 しかし、それでも救いはあった。 少しずつバラバラになっていく家族の中で、 末っ子の子れいむだけが、根気強く家族を繋ごうとしていた。 姉妹たちに煽られて仕方なしに流されていた末れいむだったが、 この状況に耐えられなかったようで、必死に改善の努力をしはじめた。 両親と一緒になって、子まりさの排便の面倒を見ようとした。 ゆっくりできないうんうんの臭いは末れいむにとって涙が出るほど辛いものだったが、 誠意を見せたい一心で、懸命に口の中にうんうんを詰め込んで運搬した。 両親は止めたが、子れいむは毅然として言った。 「おねーしゃんはもっちょもっちょゆっくちできにゃいよ!! れいみゅのしぇいだきゃら、れいみゅがゆっくちできにゃくてもいいんだよっ!!」 子まりさは何も言わなかったが、 末れいむが自分の世話に参加するようになってからは、両親を責め立てる口数が心なしか減っていった。 姉妹たちと遊びながら、末れいむはこまめに子まりさの方にも顔を出した。 今日はこんなことを話した、こんな面白いことがあった。 返事をしない子まりさに向かって、末れいむは懸命に楽しい話をした。 他の姉妹も、強いて赤れいむを止めようとはしなかった。 通常、こうした目立った単独行動に出る仲間がいれば、 何も行動しない自分たちの後ろめたさを糊塗するために、 「いい子ぶっている」という理屈で攻撃性を剥き出し、苛めの標的にするケースが多いのは人間もゆっくりも同じだ。 しかし、元々性根が家族思いのこの姉妹にはそのようなことはなく、 引け目を感じながらも、子まりさの元に跳ねていく末れいむを黙って見送るにとどまった。 「あのにぇ、あのにぇ、きょうはにぇ、れいみゅおねーしゃんがね……」 「………れいみゅはゆっくちちてていいにぇ」 「ゆっ!?ゆゆっ、ゆっくちちてりゅよ!!まりちゃおにぇーちゃんも…」 「まりちゃのおめめとぺにぺにをつぶちて、みんにゃとゆっくちちちぇ、たのちいよにぇ」 「ゆぐっ…………」 ごく稀に子まりさが口を開いたかと思えば、辛辣な皮肉だった。 その度に末れいむは涙を浮かべて黙り込み、すごすごと引き下がるのだが、 それでも次の日には、また子まりさの元へ跳ねていく。 「おにぇーしゃん、しゅーりしゅーりちていい……?」 「……………」 「……しゅーり、しゅーり………ゆっくち、ゆっくちぃ……」 懸命になって子まりさを元気づけようとする子れいむを、両親は涙を浮かべて見守っていた。 あんなにゆっくりしている子がいれば、子まりさの心の氷もいつか溶けるのではないか。 この家族も、いつか、いつかきっと昔のようにゆっくりできる。 子まりさの心を氷で閉ざしたのはいったい誰なのか、 それは努めて考えないようにし、両親はかすかな希望にすがった。 「しゅーり、しゅーり……ゆぅ、おにぇーしゃんのおはだしゃん、ゆっくちしちぇるにぇ………」 「ゆっくちしちぇにゃいよっ!!」 子まりさが叫んだ。 「こんにゃにきじゅだりゃけでっ!!うんうんまみりぇのおはだしゃんが、ゆっくちしちぇるわけにゃいでしょっ!!」 帽子を捨てて以来初めて、子まりさが感情を剥き出しにしていた。 鬱屈した感情を正面からぶつけられ、末れいむは涙をこぼし、悲しげに目を伏せ、それでも答えた。 「ゆっくち………しちぇるもん……… まりちゃおにぇーちゃんの、おはだしゃん………きじゅだりゃけでも、うんうんでも……ゆっくち、しちぇるもん」 「うしょつくにゃ!!うしょちゅき!! だっちゃられいみゅもぷすぷすしゃれてみちぇよ!!ぺにぺにしゃんつぶちちぇよ!!おかじゃりしゅててよ!!」 「ゆ、ゆ………?しょんにゃ………」 「できにゃいよにぇ!!しょんにゃゆっくちできにゃいこちょ、じぇったいできにゃいよにぇ!! しょんにゃゆっくちできにゃいきゃらだになっちゃら、もうだりぇもいっちょにゆっくちちてくれにゃいもんにぇ!! まりしゃのこちょもゆっくちできにゃいっておもっちぇるくちぇに、ちらぢらちいよっ!!」 「………おにぇー、しゃん………」 末れいむはうなだれ、しばらく黙っていたが、 やがてゆっくりを向きを変えて家に向かっていった。 「もうきょにゃいでにぇっ!!」 子まりさは捨て台詞を吐いたが、その目には何日ぶりかの涙が浮かんでいた。 「おぢびぢゃん!!なにじでるのおおぉぉ!!?」 「やべでっ!!やべでね!!ゆっぐりがんがえなおじでね!!ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛だべえええええ!!!」 ボール箱で作られた我が家のほうから悲鳴が聞こえてきた。 何事かと子まりさが顔をあげると、あの末れいむが家族の制止を振りほどいてこちらへ向かってきているところだった。 その口には、あのぷすぷすさんが咥えられていた。 急速に冷めていく感情を視線に込め、妹の歩みをじっと待つ。 ぴょんぴょんと跳ねながら目の前にたどり着いてきた妹の顔とぷすぷすさんを交互に見て問う。 「しょれが、れいみゅのこちゃえ?」 「ゆっ!しょうだよっ!!」 「………わかっちゃよ。もう、どうでみょいいよ。はやきゅしちぇにぇ」 「ゆっ?ゆーっ、れいみゅ、できにゃいよ」 「……いましゃらにゃにいっちぇるの?」 「れいみゅ、じびゅんをぷーすぷーすできにゃいよ。おにぇーしゃん、おにぇがいにぇ!」 「ゆ?」 子れいむはそう言い、ぷすぷすさんを差し出してきた。 この妹は何を言っているのだ? 自分をぷすぷすして殺すのではなかったのか? それどころか自分に向かって、己を傷つけてくれと頼んでいる。 「れいみゅ、おにぇーちゃんといっちょがいいきゃら。 おにぇーちゃんといっちょにゆっきゅりしちゃいきゃら、ぷすぷすしちぇにぇ。 いっぴゃいぷすぷすしちぇ、おめめちょぺにぺにをちゅぶしちぇね」 「…………!!」 キラキラと目を輝かせ、笑顔で末れいむはぷすぷすさんをもう一度自分のほうに押しやってきた。 こいつはわかってない。 ぷすぷすさんがどれほど痛いのか、赤ちゃんを生めなくなることがどれほどの絶望かわかってない。 だから気軽にこんなことが言えるのだ。 思い知らせてやる。子まりさはぷすぷすさんを取り上げた。 しかし、できなかった。 ぶるぶる震えるぷすぷすさんの先を末れいむに向けながら、どうしてもあんよを踏み出すことができなかった。 「……おにぇーちゃん?どうしちゃにょ?」 「……………………」 「………なんぢぇ、ないちぇるの?」 「おぢびぢゃああああああん!!!」 両親が、姉妹たちが、駆け寄ってきていた。 「やべでっ!!おぢびぢゃんはいいがら!! ばりざおぢびぢゃんっ!!でいぶを、でいぶをぷすぷすしでねえええ!!」 「ごべんねっ!!ごべんねっ!!いままできづかなくてごべんねっ!! おどうざんが、いうべきだったのに!!おとうさんが!!ごうじでづぐなうべぎだっだのに!! ゆ゛ぐっ、おぢびぢゃっ!!おどうざんをずぎにじでいいよ!!ごべんねええええ!!」 「おねえじゃーっ!!でいびゅをぷずぷずしちぇえええ!!」 「ばりじゃも!!ばりじゃもおおお!!!」 家族全員が、子まりさに向かって腹を突き出す。 そして口々に、自分を傷つけてくれ、お前と同じようにしてくれと願った。 それを聞くうち、子まりさの口からぽとりとぷすぷすさんが落ちた。 「………お、とーしゃ………おきゃー………しゃ………」 「ハイハイハイ、ご立派!!お見事!!!」 お兄さんの声がした。 「いやあ、すばらしい家族愛でした。スバラシイッ! 償いのために、自らの体を差し出す自己犠牲の精神。ウツクしい。マネできない。 君たちのうるわしすぎる愛情に、お兄さん、涙がとまらないよ」 目元をハンカチで押さえながら、お兄さんは震える声で褒め称えてくれた。 お兄さんの前に並ぶ家族は、互いに視線を交わしながら「ゆふふ」と笑いあう。 子まりさも、まだ表情は硬かったが、一応は両親の傍に並んでいる。その傍らで末れいむがすーりすーりしていた。 「お帽子をなくして、傷だらけになってゆっくりできなくなった子まりさに対して、 決していじめたりせず、分け隔てのない愛を注ごうとする君たちの心根はホンモノだ。 認めざるをえないようだね………今の君たちは、弱い者苛めなどしない、本当にゆっくりしたゆっくりだ!」 「「「ゆゆーっ!!」」」 お兄さんに認められ、一同は満面の笑顔でもみあげやお下げを上げてガッツポーズをした。 「約束どおり、君たちを苛めることはもうしない。 こんな美しい家族を苛めるなんてできるはずがないじゃないか。 明日、森に返してあげよう。沢山のあまあまもお土産に持たせてあげよう。 今日はもう遅いから、あと一晩だけそこでゆっくりしていってくれ」 「ゆっくりりかいしたよっ!!」 「おにいさん、ありがとう!!」 「お礼なんて。むしろお礼を言うのは僕のほうさ。 こんなに心温まる家族愛を見せてもらってとってもゆっくりできたんだからね!」 「ゆーっ!それほどでもあるよっ!」 「おちびちゃん、それをいうなら「ないよっ」でしょ!ゆふふ」 試練を乗り越え、家族たちはこのうえなくゆっくりしていた。 これで家に帰れる。しかも沢山のあまあまを携えて。 子まりさはこんな体になってしまったが、そのおかげで、家族たちのつながりはより強固なものになったのだ。 子まりさを囲んで、これから沢山ゆっくりしよう。愛を交わそう。 両親のれいむとまりさは、万感の思いを込めて頬を交わした。 その夜は、久しぶりに子まりさを家に迎えて、みんなで語り合ってからゆっくりと眠った。 子まりさはまだ口数が少ないが、たっぷり時間はある。ゆっくりと仲直りしよう。 両親は寝る前に、子まりさと、そして末れいむを特別いっぱいぺーろぺーろしてあげた。 皆が寝静まった頃、親まりさはただ一匹、空のお月様を見上げていた。 お月様はまんまるさんだった。それは、今の自分たち家族を象徴しているようだった。 「ゆっくりしていってね………」 親まりさは穏やかな笑みを浮かべて、お月様に挨拶をした。 「「「ゆっくちおきちゃよっ!!」」」 「ゆふふ、おちびちゃんたちはおねぼうさんだね!」 ボール箱の家の中で、目を覚ましたおちびちゃんたちをぺーろぺーろしてあげる。 くすぐったそうに笑うおちびちゃんたちの表情に陰はない。 子まりさは強張ってはいるが、抵抗はしない。 この家で暮らすのも今日で最後だ。 終わってみれば、雨風はしのげるしご飯はお兄さんが持ってきてくれるしでなかなか快適な家だったが、 やっぱり、自分達で狩りをしてこそのゆっくりできる家族だ。 森へ戻れば、沢山の仲間達がまた迎えてくれるだろう。心配をかけちゃってごめんね、ぱちゅりー。 家族は箱を出て並び、お兄さんが出てくるのを待った。 出立が待ち遠しい。 帽子の内側を払ったりしながら、どれだけあまあまを運べるかの胸算用をする親まりさを見て、 親れいむが「ゆふっ」と笑った。 そうこうするうちに引き戸が開いた。 全員がそちらに向き直り、お兄さんに朝の挨拶をする。 「「「「「ゆっくりしていって「じゃおーん!」 「「「「「「ゆゆっ?」」」」」 出てきたのはお兄さんではなかった。 人間さんの頭部に合わせて見上げていた視線を、床すれすれに下げる。 「じゃおーん!じゃおーん!」 少しだけ開けられた引き戸の隙間から現れ、 鳴き声を上げながらこちらに跳ねてくる小さなゆっくり。 「ゆゆっ!ぐずのめーりんがいるよっ!!」 ――――――― 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーっ!!めーりんはゆっくりしてないね!!ぐず!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「れいみゅのぷーすぷーすによいしれちぇいっちぇね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「それしかしゃべれないの?ぐず!!のろま!!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆーん!おちょーしゃん、ちゅぐにきょろしちゃもっちゃいにゃいよっ!! まりちゃ、いっぴゃいあちょびちゃいよ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ゆゆっ、そうだね!おとうさんうっかりしちゃったよ!! ことばもしゃべれないのろまはたっぷりあそんであげないとね!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「ちゃべれにゃいにゃらおくちにゃんかいらにゃいよにぇ~~? ゆーっ!こうぢゃよ!!ゆーっ!!ゆーっ!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 ゆっくり共が、小さなゆっくりを取り囲んで罵詈雑言を吐き、執拗に痛めつけている。 傷を負ったあの子まりさを除き、八匹全員がリンチを楽しんでいた。 親れいむが子めーりんのもみあげを噛んで持ち上げ、びたんびたんと床に叩きつける。 執拗に口を狙っていた。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりしね!!ゆっくりしね!!」 「ことばもしゃべれないぐずめーりんなんかしかいにはいってこないでねっ!! こどものじょうそうっきょういくっにわるいよ!!」 「「「ぐーじゅ!!ぐーじゅ!!」」」 「じゃおーん!じゃおーん!」 「おめめしゃんぷーす!ぷーす!!ゆっくちくるちんでいっちぇね~♪」 「じゃおーん!じゃおーん!」 子めーりんの両目に爪楊枝が差し込まれ、砂糖水したたる眼球が一気に両方ともえぐり出される。 眼球でサッカーをしながら子ゆっくり共はゆきゃきゃと歓声をあげた。 ふと、親まりさが気づき、爪楊枝を咥えて子まりさのもとへ跳ねていった。 「ゆっ!おちびちゃんもいっしょにあそぼうね!!」 「…………やぢゃ」 「ゆーっ?どうして?とってもたのしいよっ!!」 「………いじみぇて、たのちいの?」 「ゆん!とってもたのしいよ!!おちびちゃんもいっしょにあそぼうよ!!」 「………まりちゃ、やぢゃ。いぢめちゃく、にゃいよ」 「ゆゆぅ?どうしてぇぇ?! おとうさんも、おかあさんも、おちびちゃんといっしょにあそびたいよっ! みんなでいっしょにあそぶからゆっくりできるんだよっ!!」 「そうだよ、おちびちゃん!」「「おにぇーちゃん!」」 親れいむと姉妹たちも、子まりさに駆け寄って必死に誘う。 「ね、いっしょにあそびましょう?おちびちゃんにも、ゆっくりしてほしいの」 「………………たのちくにゃいもん」 「ど、どうして?まえはあんなにたのしく………」 「まりちゃ、やぢゃ!なんかやぢゃ」 「ゆぅぅ………ね、いもうとたちも、おねえちゃんとあそびたがってるよ」 「ゆーっ!おにぇーちゃん、いっちょにゆっくちちようよ!!」 「いぢめ、やぢゃ……わるいこちょだよ……」 「ゆー、れいむ………」 「ゆ、そうだね………かんちがいしちゃったんだね。 ね、おちびちゃん。ゆっくりよくきいてね。 もちろん、よわいものいじめはゆっくりできないことだよ。 おぼうしがなくてゆっくりできないゆっくりだって、いじめちゃいけないよね。 おとうさんもおかあさんも、とってもはんせいしてるんだよ。 でもね、おちびちゃん。むずかしいかもしれないけど、よくきいてゆっくりりかいしてね。 あのね、ぐずのめーりんはれいっがいっ!なんだよ。 のろまで、ことばもしゃべれないめーりんが、だれをゆっくりさせられるの? いきててもめいっわくっしかかけないでしょ?じゃあなんのためにいきてるのかな?かんがえてみようね。 ね、おちびちゃん。あれはいきものじゃないの。おもちゃなの。 めーりんがやくにたつことといったら、みんなのおもちゃになることだけじゃない? だから、めーりんをおもちゃにしてあげることは、とってもゆっくりできることなんだよ!!」 「ゆーっ!!しょうだよっ!!」 「おにぇーちゃん!!いっちょにあちょぼ?」 「ね、おちびちゃん………」 「…………やぢゃ!!やぢゃやぢゃやぢゃああ!!ごわいいいいいぃぃ!!」 「お、おちびちゃん…………」 ついに泣き出した子まりさを囲み、オロオロしだす家族。 僕はそこで出ていくことにした。 「おい、お前ら」 「「「「ゆゆっ?」」」」 一斉にこちらを向き、にぱっと満面の笑顔を浮かべて挨拶してくる。 「「「「ゆっくりおはようっ!!ゆっくりしていってね!!!」」」」 あの時と同じだった。 全く後ろめたさのない、真っ直ぐな瞳。 自分達のする事に一片の疑問ももたず、家族愛に自己陶酔して満ち足りた表情。 吐き気がした。 「いいお目覚めだな」 「ゆーっ!!やっともりにかえれるひだよっ!!きぶんそうかいっ!!だよっ!!」 「あー、その件だけどな、取り消しだ」 「ゆ?……………ゆゆゆゆゆゆゆううぅぅぅぅ!!!?」 不穏な台詞に、ゆっくり共が叫ぶ。 「なんでっ!?なんでなんでなんでええぇぇ!!?やくそくがちがうよおおぉ!?」 「おにーさんっ!やくそくまもってねっ!!うそつきはゆっくりできないよぉ!!!」 「僕は何も約束を破っていない。 言ったはずだ、お前らが弱い者苛めをしないゆっくりになったら、ってな」 「そうだよっ!!まりさたち、もうよわいものいじめなんてしないよっ!!」 「れいむたちをうたがってるのおぉ!?」 「じゃあ、それは何だよ?」 両目をえぐり出され、やはり全身に爪楊枝を突き立てられている子めーりんを指差す。 そんな姿でも、まだ「じゃおーん」と鳴き続けている。 「ゆゆっ?」 きょとん、と子めーりんを見つめる家族。 二回目ともなるとすぐに僕の発言が飲み込めたようで、すぐに難詰してきた。 「ゆゆーっ!!まさか、おにーさんっ!!これもよわいものいじめっていうきなのおぉ!?」 「当たり前だろ………」 「いいがかりだよおぉ!!むちゃくちゃだよおおおぉ!!! こんなのまでいじめちゃいけないのぉ!?なかよくしなきゃいけないのおおぉ!!? だったらっ!!いしさんだっておはなさんだってうんうんとだってなかよくしなきゃいけなくなっちゃうよぉ!! おにーさんっ、きょくたんすぎるでしょおおおぉぉ!!?」 「極端かい?」 「じょうっしきっ!!でかんがえてね!! いじめはよくないけど、こんなのまでだいじにしてたら、ゆっくりいきていけないよっ!!!」 「僕だって生類哀れみの令を発布したいわけじゃない。 同じゆっくりを、苛めるなと言うのが、どうしておかしいんだ?」 「ぐずめーりんなんかゆっくりじゃないでしょおおおぉ!?」 「こんなのゆっくりじゃないよっ!!ごみくずだよ!!! ことばもしゃべれないで、じゃおじゃおいってるだけのごみく――」 僕はそれに被せていた帽子を取り上げ、本来の――末れいむのリボンを取り付けてやった。 「ゆえっ?」 状況を認識するまでに十数秒。このとろさでよく野生で生きているものだ。 いや、死亡率はそうとう高いらしいから妥当か。 「ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!」 「………あ゛………あ゛………あ゛…………あ゛………………!!!」 「おでえぢゃあああああああーーーーーーーーーっ」 あとは前回の再現だった。 末っ子れいむの惨状にながながと悲鳴を上げ、パニックを起こし、嘆き、詫び、 ぺーろぺーろできないだのおにいさんなおしてくださいだのと連呼した。 「どうしてわからないんだ、お前らは」 「ゆぐじでっ!!ゆぐじでぐだざいいいいいい!! ばりざが!!ばりざ!!まだいじべばじだああああ!!いじべでじばいばじだああああああ!!!」 「でいぶをごろじでぐだざいいいい!!おじおぎじでぐだざいいいいいい!!!」 「じゃおーん!じゃおーん!」 両目を失ってぴくぴく痙攣している末れいむを持ち上げ、見せ付ける。 「いいか。お前らがこいつをめーりんだと思ったのは、この帽子があるからだな」 緑色の小さい帽子を、もう一方の手でひらひらさせる。 ペットショップで購入した子めーりんの帽子を、ちょっと拝借してきたものだ。 「そして僕が細工した。こいつの口をテープでふさいだんだ」 末れいむの口に貼り付けたマスキングテープを、慎重に引き剥がす。 どうにか唇を破らずに済んだが、執拗に攻撃された口内は歯茎がずたずたに砕け、 ほとんど全て粉砕されたらしい歯の破片が大量に、きらきらと光りながらこぼれ出した。 「……ゆ゛……ぐ…………ゆ゛げぇ……」 「あ゛………あ゛………あ゛あ゛あ゛あ゛…………あ゛………お゛……ぢび、ぢゃ……」 「じゃおーん!じゃおーん!」 めーりんの帽子をひっくり返し、中に仕込んでおいた超小型のボイスレコーダーを見せる。 「じゃおーんの鳴き声は、このレコーダーに記録してループ再生させたものだ。 それだけで、お前らはこの黒い目黒い髪の、しかも我が子をめーりんだと思い込み、虐待した」 「ゆ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ………ごべ………ごべんだざ………」 「ぐずのめーりんはれいっがいっ!だってな? 喋れないからゆっくりできない、だから苛めてもいい。そう言ってたな。 じゃあ、もう喋れないこのれいむも潰していいわけだ。さ、いっくぞー」 「ゆ゛う゛う゛う゛う゛う゛う゛!! ぢがいばずっ!!ぢがいばずううううう!!!べーりんもいぎでばずっ!!ゆっぐじでぎばずうううう!!! じゃべれだぐでぼいぎでる、おなじゆっぐじでずううううううううごべんだざああああいいいいいい!!!!」 「でいぶをごろじでぐだざい!!おでがいじばず!!ぜいっざいじでぐだざい!!おでがいじばず!! でいぶはいぎるがぢのないげずでずっ!!おぢびぢゃんは!!おぢびぢゃんはあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!」 「いい加減にしろよ、お前ら」 僕に帽子を投げつけられ、びくんと震える家族。 「弱い者苛めはゆっくりできない。ただし帽子のないやつは「れいっがいっ」。 で、子供を苛めてしまい、反省したと思ったら今度は喋れないやつは「れいっがいっ」。 今回のことでもうめーりんは苛めないのかもしれんが、また理由つけて他の「れいっがいっ」で遊ぶんだろう。 髪の色が変だ、目の色が変だ、喋りが変だ、飾りが変だ、いくらなんでもこいつは、いくらなんでもこいつは。 なんとか理由を見つけて苛めを楽しむわけだ、本っ当に苛め好きだなあ、お前ら。 人間の中には虐待お兄さんってのが少なからずいるが、 お前らゆっくりは全員が虐待趣味抱えてんだなあ。まったく、頭が下がるよ」 「………ゆ゛ぐっ………………う゛う゛う゛う゛う゛う゛ぅ……………!!!!」 「詰みだよ、お前ら。たっぷり時間をかけて制裁し、惨たらしく殺してやる。全員な………あ、一匹だけは助けてやる」 「ゆ゛っ!!?」 満身創痍の妹を見つめながら震えている傷だらけの子まりさを取り上げてやる。 「こいつだけは助けてやる。こいつはめーりんを見ても苛めなかった。 自分の身にならなきゃわからなかったとはいえ、なかなか立派なものだ。 こいつだけはもはやゲスじゃない。助けてやろう。 あ、そこの末れいむも検討の価値はあるかな?」 「ゆ゛っ………あじがっ……おに、おにいざ……」 「何だよ」 「おねがい、じばず………ほがの、ほかの………おぢびぢゃんも………」 「駄目だ。見てなかったのか?大喜びでぷーすぷーす。弱い者苛め大好きゲスゆっくりだ。制裁すべきだな」 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛おでがいじばずおでがいじばずおでがいいいいいいい!!! おぢびぢゃんだげは!!ばりざだぢがぜんいんぶんぜいっざいざればず!!おぢびぢゃんだげはああああ!!!」 「いくら子供思いの親アピールされたって、こいつとそいつをここまで痛めつけたのお前らだしなあ」 「あ゛ーーーーーーーーーーっ!!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーーーーーーーっ!!!!」 完全に八方塞がり、しかも全面的に自分達で退路を断ったその状況に追い込まれ、 両親はもはや泣きながら絶叫するしかないらしかった。 ――――――― 「…………ゆっくり……おはよう……」 目覚め、家族を見回してから挨拶する。 返事は返ってこない。 ただ、疲れきった視線がひととき自分に集まるだけだ。 今日も目覚めてしまった。 もっと長く眠っていたかった。 眠りのまどろみから浮き上がった今、また現実をその目に映さなければならない。 「ゆぅ…………」 親れいむだけが、呻きで反応を返した。 それきり家族の視線は離れ、別の一点に改めて集中する。 「はふっはふっ!!うっみぇ!!まじうっみぇ!!ぱにぇぇ!!」 「まじやべっ!!うみぇっ!!とみゃんにぇっ!!あみゃあみゃ!!あみゃあみゃ!!」 家族が食い入るように見つめるその先では、二人の子ゆっくりが山盛りのあまあまに顔を埋めている。 ベランダには一日かけても食べきれないような量のあまあまが山積みになっていた。 クッキーやチョコレートやプリンを食べ散らかし、一口ごとにあまりの旨さにうれちーちーを漏らす子まりさと末れいむ。 かたや左目とまむまむを失い、かたや両目を失った状態だったが、 極上のあまあまの快楽に脳髄を痺れさせた今、もはや悲壮感は全くなく、 この世の栄華を極めたがごとき恍惚の表情を浮かべていた。 末れいむの砕けた口と歯はお兄さんが再生していた。 「こいつにはお前らにたっぷり言いたいことがあるだろうからな」、それが理由だった。 少しでもあまあまが減れば、お兄さんがすぐに追加する。 二人は昼夜の区別なく、のべつまくなしにあまあまを咀嚼する。 一方、残りの家族は、狭い水槽に閉じ込められていた。 透明な壁が四方を遮る空間に八人のゆっくりがみっちりと詰め込まれ、ほとんど動く余地はない。 あの日から、食事は一切与えられなかった。 唯一、子まりさと末れいむのうんうんとしーしー以外は。 「ゆぷー☆きゃわいいまりしゃがうんうんしゅるよ!!」 「れいみゅのしゅーぴゃーうんうんちゃいみゅだよっ!!きゃわいしゅぎてごみぇんにぇ!!」 子まりさと末れいむはそう宣言すると、わざわざ家族のいる水槽まで這いずっていき、 水槽に向けて尻を上げた。 透明な壁に向かって、二人のしーしーが叩きつけられ、うんうんがひり出される。 子まりさの方は常時うんうんとしーしーを垂れ流している状態だが、 意識して排出すると、こうして勢いよく噴出すのだった。 「おい、どれい!!ごみくじゅどみょにごひゃんしゃんをめぎゅんであげちぇにぇ!!」 「はい、ごしゅじんさま」 二人の傍に常時侍っているのは、ゆっくりさくやだ。 舌ともみあげでスコップと雑巾を器用にてきぱきと使い、専用の容器にうんうんとしーしーを集めていく。 「やしゃちいれいみゅのほどきょしだよっ!!ありがちゃくおもっちぇにぇ!!」 「なんちょかいえ!!ごみくじゅ!!」 二人の罵声に涙を浮かべながら、それでも家族は答えた。 「「「「あり………がどう、ございば……ず………」」」」 「ゆふんっ!!ゆっくちちてにゃいよ!! しょんにゃきょきょろのこもっちぇにゃいおりぇいで、ほどきょしはあげられにゃいよっ!!」 「どれい!!ごひゃんしゃんはぬきぢゃよ!!しゃげちぇにぇ!!」 「ゆ゛あああああ!!ありがどうございばず!!ありがどうございばず!! ばりざざまとでいぶざまのおがげで、ぎょうもごみぐずだぢはゆっぐじでぎばずっ!!!」 家族の懇願を聞きながら、二人の子ゆっくりはにやにやと笑みを浮かべる。 「しょんにゃにうんうんにゃんてたべちゃいにょ?ゆぷぷぅ~~☆」 「うんうんずきのごみくじゅにゃんてゆっくちできにゃいにぇ~~☆」 「ゆ゛ぐう゛う゛う゛う゛ぅ……………!!」 ひとしきり罵倒され、嘲笑され、それをじっと黙って耐えてからようやく食事が与えられる。 さくやが水槽の上部からうんうんとしーしーを一緒くたにして流し込み、 極度の空腹を抱えた家族がそれにかぶりつく。 「うんうんたべちぇるよ!!ごみくじゅがうんうんたべちぇるよぉ!!ゆぴゃぴゃぴゃぴゃ!!」 「くちゃいくちゃい~~♪こんにゃすがちゃでよくいきちぇられりゅにぇ~~☆」 始めの頃は、子供たちが泣き、怒り、反抗したが、 少しでもこの二人に逆らおうものなら、お兄さんの制裁が行われた。 『お前らに怒る権利があるのか、え? 弱い者を苛めて喜ぶゲスのゴミクズに、なんの権利があると思うんだ? こいつが子供を作れないのは誰のせいだ?こいつの目が見えないのは誰のせいだ? お前らがこいつらに向かって、いったいなにを要求する権利があんだよ。言ってみろ』 『ゆ゛ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!ごべんだざい!!』 『お前らが自分で言った通り、本当のゴミクズに生きる価値はない。 そんなゴミクズはせめて他のゆっくりのオモチャになったほうが幸せなんだろ? 幸せって言えよ、コラ』 『ゆぶぎゃばああああ!!じ、じあばっ!!じあばぜぇ!! ごんだごびぐずでだのじんでぐれでっ、あじがどっ、ごじゃばじゅうう!!がんじゃじばじゅうううううやべぢぇえええ!!!』 家族の体には、多くの傷が刻み込まれている。 ぷすぷすさんで刺された傷、あつあつさんで焼かれた傷、ぺちぺちさんで皮が破れるまで叩かれた傷。 体表がでこぼこになるほどに傷だらけになった家族は、 今日もお兄さんの制裁に怯えている。 ベランダには数々のゆっくりできる玩具が転がっており、 奴隷としてお兄さんがあてがったゆっくりさくやが、子まりさと末れいむの世話をなにからなにまでしてくれる。 ふかふかしたクッションに横になりながら、二人はさくやの子守唄を聞いて寝息を立て始めた。 うんうんを咀嚼しながら、家族は枯れる気配のない涙をまた一筋流した。 〔続〕
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【呼称】しゃーく 【使用デッキ】 2015 先行クェーサーエクストリオ #0706 解放墓守 #0913 ブンボーグの使者 #0915 ★0927 【出演動画】月影喫茶 【twitter】 【備考】月影喫茶の出演者。 名前 コメント
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│和(上州)│虫部│ http //wakanmomomikan.yu-nagi.com/momomi3/maki-7187.htm
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ゆっくりが泣く頃に 1 ボタンあき 過去書いた物 ふたば系ゆっくりいじめ 370 秋の恵み ふたば系ゆっくりいじめ 688 ゆっくり攫い 次こそは真面目に書き・・ま・・・す・・・・ゆ゛っ それでも文章が稚拙かもしれません。それでもよければご試食お願いします。 色々俺設定あります。 ここでは赤ゆっくりはまる一年かけてゆっくりと成長し、巣立ちます。 季節は12月 ゆっくりはもう越冬を始めているだろうか。 そんな季節である。 私は自分の祖父の残してくれた土地にあるマツタケなど山の幸を売ることで生計の足しにしているしがない農家だ。 しかしここのところ山菜やキノコ類の採集量は芳しく無い。 ここ数年減少の一途をたどっている。 その原因は主に・・・「ゆっくり」によるものだ やつらがそれらを無計画に食い散らかすおかげでこちらの被害は甚大だ。 行政はなんとかしなければと思い、ゆっくり駆除用の策を講じてはいるようだがいまだ目立った成果はない。 正直、今年のうちの家計は火の車だ。もちろん、それはうちだけじゃないだろう。 あいつらはとことん私の仕事の邪魔をするのが好きらしく、せっかく育てた畑の作物を食い荒らし、おまけに山の幸までも食い荒らす。 正直、怒りを通り越して殺意すら感じる。 あいつらの「ゆーゆー」という声や、あの下膨れを見るだけで虐待した揚句残酷に殺したいと思うようになった。 だから私は雪が降り始めたこの時期に、山へ 「ゆ狩り」にでた。 「こっちの方向でいいのか?」 「ゆっ もう少しこのままなんだぜ」 今私は自分の所有する山にゆ狩りに出ているのであるが、その腕にはある一人(?)のまりさを抱えている。 まりさは黒い光沢のあるゆっくり用のダウンコートを着こみ、とっても偉そうだった。 このまりさ、知人がいうには普通のとは「ちがう」らしい。 なんでも、名人なのだという・・・「ゆっくり狩り」の。 ここ最近の野生のゆっくりは巣に張る結界の完成度があがっており、人間の目を持ってしてもわかりにくくなっている。 結界、つまりカムフラージュ技術の向上により、ゆっくり達は確実にその勢力圏を広げていた。 しかし、そんな技術の向上したゆっくりの結界も、このまりさのもつ鋭い感覚はそれをいとも簡単に暴いてしまう。 なぜ通常種であるまりさがゆ狩りの名人なのかも、どうして同族狩りなどという職を選んだのかについてもよく知らない。 またこの職業は副業だという噂もきく。 このことを聞いても答えてはくれないだろうし、そもそも私は聞く気も無いが。 実はこのまりさに仕事を依頼する人は意外と多い。 重い腰の行政に頼むよりも、よりスピーディに、確実にゆっくりによる害を軽減させることができるためだ。 ただ冬の野生種のゆっくり狩りは本来休業らしく断られたのだが、その分お金を積み、しつこく頼み込んだら「しょうがないんだぜ」と言って仕事を引き受けてもらった。 もっとも狩り場まで私が運んで行き、巣の中に入るための障害は私が取り除くという条件付きだが。 山の雪道はなるべく歩きたくないらしい。 結構重いな・・と思いつつ少し積もった雪山の中を歩いてゆく。 あと一カ月もすれば雪はさらに降り積もり、いくら特殊な靴を履いたとしてもこの山を歩くことは困難だろう。 そんなことを考えていたら着いたようだ。 「そこの木の根元にゆっくりがいるんだぜ」 「・・・わかった」 木の根元は雪に埋まっており外見からではいるかどうかわからない。 半信半疑で私はまりさを雪の上に置き、そして木に積もっている雪を手でどかし、どんどん掘り進める。 すると木の幹には穴があり、そこには枯れ葉や木の枝が隙間なく覆い尽くされていた。 これが彼らの言う「けっかい」、つまりはバリゲードというものだろうか。 (もしかして・・ほんとにいるのかな) 耳を澄ませてみる ゆっ・・なにか来たよ・・みんな声だしちゃだめだよ・・ そうだよ!おとうさんの言う事聞いてねおちびちゃん、 ぴゃぴゃー きょわいよお・・・ だいじょうぶよおちびちゃん・・ゆっくり・・ゆっくりしていってね 静かにしていれば大丈夫なんだぜ。みんなゆっくりするんだぜ。 「すげえ・・・ほんとにいやがった・・・」 私は驚愕した。まるで目の前で超能力でも使われたの如く目を丸くしていただろう。 「ゆふん!まりさを雇って正解なんだぜ。それじゃあそのバリゲードさんをどかしてほしいんだぜ。そしたら仕事に移るんだぜ」 私がまりさの指示通りバリゲードを取り除いている間、まりさはゆっくり用ダウンコートを脱ぎ、のーびのーびと準備運動を始めるまりさ。 「どかしたよまりさ」 「ごくろうさんなんだぜ」 俺とまりさで露わになった木洞の中をのぞき見る。 中には親れいむと親まりさ、そしてその子供だと思われる赤ゆっくり5匹。 「な・・なんなの人間さんにまりさ!ここはれいむとまりさのゆっくりぷれいすだよ!かってにバリゲードさんどけないでね。それと覗かないでね!ゆっくりできないよ!」 「ゆっくりできない人間さんとまりさはさっさとここから出て行ってね!ついでに入口も元に戻してね!」 「きょわいよおおおお!!!ぴゃぴゃー!みゃみゃー!」 「ぷっきゅうううう!!はやきゅどっきゃいっちぇにぇ!れーみゅおこりゅよ?おこったりゃこわいんだよ?」 赤ゆっくりは怯えている奴も居ればそうでない奴もいる。反応はそれぞれのようだ。 まりさはそれを見てしばし無言になる。 まりさに「さあやっちゃっておくんなまし」と言おうとしたその瞬間まりさが口を開いた。 「こいつら越冬に失敗するのぜ。」 「ええ?」 突然のまりさの言葉に私は混乱した。私はうちの山に成った食材をたっぷり食べて栄養たっぷりなんじゃないの?という疑問にかられる。 「この時期に子供つくってるのぜ。それに5匹も。おまけに・・あんな蓄えの少ないこの状況で。越冬を嘗めすぎなのぜ。これじゃあ春までもたないのぜ?」 確かにまりさの指摘した通り、巣の奥にある越冬用の食糧の山は育ちざかりの赤ゆっくりをまかなうには小さいと思うが・・しかし・・。 「子供だけなら生かそうと思えば生かせるんじゃないか?」 「食料の消費ペース配分も解らない子供には無理なのぜ。すぐに親の体も食料も食べきって結局餓死するのぜ。十中八九死ぬのぜ。 でも絶対じゃないのぜ。僅かには生き残る可能性はあるのぜ。 それでも・・おにーさんがやれというのならまりさはやるのぜ。どうするのぜ?」 まりさは私の事を試しているのかもしれない。依頼者にはいざ駆除という場面になると「かわいそうだからやっぱやめにしてあげてくれない?」という人もいるとか。 しかし、その答えは考えるまでも無かった。即答だ。 「ぶち殺して☆ミ」 「わかったのぜ」 まりさは歪んだ笑みを浮かべると、帽子から刺身包丁を横に咥える。そしてその木の穴のなかにゆっくりとは思えないほど勢いよく入って行った。 木の洞に見えるのは一方的な虐殺だった。 まりさは横に加えた刺身包丁を体をねじる事で巧みに使う。 赤ゆっくり達を、愛する家族を守ろうと先頭に立ち、体を張る親まりさの両目を包丁で一閃。 シュバッ! ピチャッ 木洞の内壁にまりさの餡子が血しぶきの様に飛び散った。 (ゆ・・?目が見えなくなったよ・・・・) 次第に目を含も顔を切られた痛みが親まりさを襲う。 (いだいよ・・いだいよ・・目が見えないよ・・・いぎ・・・いぎいいい) ここでようやく自分が失明させられたという事に気がつく。 「ゆぎゃあああああああ!!!!ばりざのべがあああああああ!!!!!」 失明し、逃げることも避ける事も反撃する事もできなくなった親まりさをまりさは包丁で容赦なく何度も深く切りつける。 シュパシュパシュパシュパシュパッ 「ゆううううううううううううううう!!!!!!!!いじゃいいいいいいいいいい!!!!やべでええええええええ!!!!!!」 巣の壁とそれを見ていた家族の顔には親まりさの返り餡が飛び散る。 「ゆぎいいいいいい!!!!ばりしゃをごろじゃないでええええええ!!!!」 命乞いをしてもまりさの攻撃は一切止む様子を見せない。 その惨劇を見ている家族はただ黙って足元に失禁している。 そしてとどめに親まりさの目に深く突き刺す。 ブジュリ・・・「ゆびょ!!!!ゆ゛ぅ゛・・ん・・・」 それでこの一家の大黒柱であるまりさは無言のまま顔面からベシャリと倒れ、動かなくなった。 倒れた親まりさのまわりには液状餡子の池がゆっくりと広がる。 「ゆ・・ゆうううううう!!!!まりさあああ!!!!しっかりしてえええええ!!!」 「おちょーしゃーん!!ゆっくちー!」 「きょわいよー!」 「きょのいけあみゃあみゅだよー♪ゆっくちー」 叫ぶ一家。しかしそんなこと全く意に介さないのか、まりさは片っ端から「駆除」してゆく。 「まりさああああ(ブスリ)ゆ゛っぐ・・・」 親れいむの目に浅くだが包丁が突き刺さる。 「ゆぎいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!?」(ピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコピコ) 痛さの余り親れいむはもみあげを激しくピコピコさせながらその場でのたうち回る。 「おきゃーしゃあああああああん!!」 親まりさと同様に行動不能の状態に陥った親れいむをまりさは躊躇なく幾度も幾度も包丁で切り刻む。 「(シュバ)ゆぎぃ!!(ズバッ)ゆ゛っ!!(ブシュ)ゆ゛ん゛!!(ズブシュ)ゆ゛あ゛あ゛!!(ブリュ)ゆ゛びぃ!!」 親れいむは液状の餡を口から出しつつも命乞いをしているようだ。 ただ、吐餡が激しく、命乞いはうまく言葉にはなっていない。 きっと、「せめておちびちゃんだけでも助けてください」や「見逃してください」とか言ってるんだろうな。 やがて、とどめとばかりに親れいむは脳天に包丁を深々と突き立てられる。 ズンッ!!!!「ゆ゛ん!!ゅぅ・・・にげで・・・おちびちゃ・・ん・・」ドチャ 「「「「おきゃーしゃあああああああああん!!!」」」」 「ご臨終なんだぜ。」 親を殺し終わったまりさは次はお前だと言わんばかりに、赤ゆっくりのほうを睨みつけた。 「ゆぴいいいいいいいい!!やめちぇえええ!!まりしゃをきょろしゃないじぇええ!!」 「おきゃーしゃーんきょわいよおおお!!れーみゅをたちゅけちぇええ!!」 「れーみゅだけでみょゆっくちにげりゅよ!ゆっくち!ゆっくち!」 睨まれた赤ゆたちの大半は恐怖により動きが硬直する。 「とっとと逝っちうんだぜ。うんうんども」 まりさは小さな赤ゆっくりに包丁を使うのが面倒なのか、足でプチプチ踏みつぶす。 「ゆびいいいい!!!おきゃーしゃあああんゆっくちしちぇええ(プチ)ゆ゛っ!」 「おきゃーしゃーん!!たちゅけちぇえええええ!!!(プチ)ゆびゅば」 「ゆあああ・・まりしゃだけはたしゅけちぇにぇ(プチ)・・・!!」 「よきゅもみゃみゃをー!!ひどいこちょしゅるまりしゃはゆっく(プチ)ヂ・・・」 踏みつぶされた赤ゆっくりは目や口、破けた肌から大量の餡子を勢いよく出し、干からびたようにぺちゃんこになった。 この間ざっと3分ほど。すごいな・・ゆっくりとは思えない。 「終わったのぜ」 まりさはたくさんの返り餡を浴びて木洞から出てきた。 「ごくろうさん。見ててめっちゃスッキリしたわ」 「おにーさんも奇特な趣向の持ち主なのぜ」 まりさは私の発言にニンマリと笑った。 「それだけの腕があるならなんですぐに殺さないんだ?まりさなら30秒もあれば皆殺しに出来ると思うんだが」 「致命傷を与えるには大分踏み込まないといけないのぜ。そうするとたまに反撃食らう事があるのぜ。だからある程度痛めつけない限りまりさは深く踏み込まないのぜ」 「な・・なるほど・・」 私は背中に少し冷いものが走るのを感じた 私は次の巣に行くためまりさを抱えて出発した。 その時、その巣だったところを一度だけ振り向いた。 そこには冬は寒くて外に出れないけど、それなりの家族のだんらんがあったのだろう。 赤ゆっくりの宝物だったであろう綺麗な石やセミの抜け殻などが巣の中に散乱していた。 私がこのまりさに仕事を依頼しなければこの家族は今日もゆっくりと過ごせたのだろう。 幸せ・団欒・ゆっくりがあったそこは今や、大量に飛び散った液状餡と惨殺された死体・潰れた死体からなる凄惨な殺害現場となっていた。 どんよりとした鉛色の雲の下で私はそれを見て小さく「ゆっくりして逝ってね」と呟いた。 その付近にはゆっくりの巣は結構あった。 アリスとまりさの番の巣や、ちぇんとアリスの番の巣、子持ち番はあまりいなかったがいたとしても結果は変わらない。 その場でまりさに殺させるだけだ。 それも何の良心の呵責もなくゴミのように刻み殺すまりさをみて私は妙なハイテンションになっていた。 あれだけ苦労させられたゆっくりをこんなにスマートに駆除できるなんて思わなかったからだ。 先ほども言ったように今の野生のゆっくりは巣のカモフラージュ技術は著しく上昇している。 昔と比べてうまくなったものだ。きっとカモフラージュの下手な個体は淘汰された結果なのだろう。 そして言葉をある程度解する知能の高さもそれに資するかもしれない。 だからこそか、まりさの仕事は実にスマートに見える。 私はもっと早く雇えばよかったと思っていた。 だがそのハイテンションも次の巣で終わりを告げる。 その巣は洞窟にあった。 バリゲードを開けられ警戒している家族をよそに、比較的大き目な巣の中を見渡す。 「どぼじでドアさん壊しちゃうののおおおお!!?はなぐなおじでねええ!!」 「みんな奥に行ってね。このにんげんさんとまりさはゆっくり出来ない感じがするよ!!ゆっくりしないでいそいでね!!」 「おきゃーしゃーんこわいよーおおゆえええええええん」 「おちびちゃん!おとうしゃんのいったとおり早く奥に隠れてね!!」 恐慌状態になり泣き喚く赤ゆっくりをそれよりも年長の子ゆっくりが奥に行くように促す。 みなさわがしく何かを叫んでいるが私の耳には全く入ってこない。 どうせこれから死ぬのにいちいち構ってなどやれないからだ。 しかし私はその巣にある「ある物」に目がとまる。 その巣はまりさとれいむのおうちであった。しかし注目すべきはそこではない。 その巣の中には食いかけのまつたけやマイタケ・・銀杏など私の山で取れる幸がたくさん入っていたのだ。 無論、死んだ虫や、わけのわからない雑草もその山に大量にため込まれていたのでマツタケにはその匂いが染みついていて食えたものじゃないだろう。 主にこいつらに私の山の食材を取られたんじゃないかと言っていい位、巣の奥には山盛りされたそれがあった。 そして子供もたくさん・・ハンドボールサイズの子ゆっくりが4匹に最近生まれたと思われる赤ゆっくり8匹。 親を含めると合計14匹という大所帯である。 「なに・・じゃこりゃあ・・」 「ゆゆ?これだけの量だからきっとこいつらは狩りがうまいのぜ。何処の世界にも名手というのはいるのぜ。」 いや・・まあそれは想像つくけどさ・・この量はねーよ。 食料は丼ぶり山盛りなんて量じゃないぞ・・私の身長ほどある小山ができる・・ 楽に駆除して済まそうと思っていたが、こいつらはそれでは生ぬるいと思った。 山で取れる食材はわが家系の宝である。それをこんな・・こんな害獣に食いつくされて・・ 「じゃあさっさと仕事すませちゃうのぜ」 まりさは包丁を咥え巣の中に突撃しようと構えるが私はそれを制した。 「まった。まりさ。こいつらは俺がじっくりと・・お持ち帰りして教育したいんだ」 「・・・・・・そうなのか・・ぜ?あまり過激にやり過ぎると周りから変な目で見られて噂がたつから気を付けるのぜ」 「う・・むぅ・・・なるべく気を付けとく・・」 まりさにあっさりと考えを見透かされ言葉が詰まる。 「じゃあ運びやすいように気絶させとくのぜ」 と言ってまりさは巣の中に入り、当て身をする。 ドス「ゆ゛ん!!」ドサ 「おちょおしゃああああん!!」 「まりざああ!!しっがりじ(ドス)ゆ゛ん!!?」ドサッ ドス「ゆ゛」ドス「ぴぎゅ」ドス・・・ まりさは当て身で殺すことなくみんな気絶させて戻ってきた。 (すげえ・・・) 「今回はこんなところでいいや。帰ろう」 「わかったのぜ、帰りは大変そうだけどがんばるのぜ」 私はまりさと袋に収めたこの一家を抱えて山を下り、家に戻った。 正直かなりしんどかった。明日は間違いなく筋肉痛だろう。 まりさは報酬を受け取るとほくほく顔でピョンピョンと跳ねて家に戻って行った。 あのまりさかなりの金額を集めているのかもしれない。 一瞬強盗などに遭うんじゃないかという考えがよぎったが、まりさのおうちは交番のとなりだ。 心配は無用だろう。多分あのまりさ・・私よりも強いだろうからね・・・ 攫われたまりさとれいむ一家はいまだ夢の中にいた。 まりさは去年の夏、巣立ちを終えると野原でばったり狩りをしていた美れいむと出会う。 まりさは心の中でなんてゆっくりしたれいむなんだろうと一目ぼれをした。 それかられいむと親交を重ねついにれいむにプロポーズしようと決心したんだ。 綺麗な満月の夜、れいむとずっといっしょにゆっくりしようと約束した。あのときれいむは目からうれし涙を零していたっけ。 そして色々あったけど二人で頑張って狩りをし越冬する。 その時予備の食糧に我慢できずに手を出しちゃってれいむに怒られたっけな 何とか無事に春を迎える事が出来た。それかられいむと初めてのすっきりーを交わしたいといったられいむは顔を真っ赤にさせつつも了承してくれた。 それかられいむはにんっしんして、その額には小さな豆粒状の我が子等が実っているのを見て、 ついに・・ついにまりさにもおちびちゃんができたんだなあとうれしさで震えた。 その我が子である実ゆっくりは順調に育ち、ついに顔や種類の判別が出来るほど成長した。 「見てれいむ。この子まりさにそっくりさんだよ。こっちのこはれいむにそっくりさんだね」 れいむはまりさがおちびちゃんの成長を喜ぶ姿を見てとっても幸せそうだった。 そしてついにおちびちゃんが生まれ落ちる日がきた。その日は今でもはっきりと覚えてる。 とってもおひさまさんの機嫌がよかった日だったね。 「おちびちゃん!!れいむがおかあさんだよ!ゆっくりしていってね!」 「まりさのはじめてのおちびちゃん!!とってもかわいいね!ゆっくりしていってね!!」 おちびちゃんたちは積まれた柔らかい草の上とは言え生まれ落ちた衝撃で驚きつつも、しっかりと、ゆっくりした顔をして 「「「「ゆっくちしちぇいっちぇにぇ!!!」」」」 と元気よく返事をしくれた。その返事を聞いて思わずまりさ、泣いちゃったっけ。 おちびちゃんたちはとってもゆっくりしていた。おちびちゃんをみるだけで心の奥がぽっかぽっかになる。 初めてのご飯を食べさせてあげた時のおちびちゃんのしあわせーな顔は今でも鮮明に覚えてる。 おちびちゃんが寝ている時、留守番をれいむ任せ、まりさは出来るだけ美味しいものを食べさせてあげようと少し遠出したんだ。 そこはとってもおいしい木の実などがたくさん実っていてまさに楽園だったんだけど、にんげんさんが独り占めしようとして見張ってた。 色々な罠も張ってあった。まりさの知り合いが何人もそれで捕まったようだけど、どんな事をされたのかはまりさは知らないや。 ゆっくり出来ない事をされることぐらいわかるけどね。 ほんと、にんげんさんはゆっくりしていないね。なんであんなのが生きてるんだろう。どこかに消えちゃえばいいのにね。 あの追いかけてくるにんげんさん性格がとっても悪そうな顔してたなあ。 一度捕まりそうになった時、思いっきり体当たりして逃げ切ったけど、そのときまりさの顔を人間さんの持っていた刃物で切り付けられたよ。 あれは痛かったなあ。れいむもこの頬についた傷をみて心配して泣きながらペーロペーロしてくれたっけ。 それからも、まりさはなんとかそこから帽子にたくさん食べ物を詰めて家に持ち帰る。 またあのにんげんさんに追いかけられたりしたっけ。 にんげんさんはまりさよりも足が速かったけど、深い草むらに入れば追ってはこれないからなんとか逃げ切れたよ。 おちびちゃんにそこでとった食べ物食べさせてあげたらとっても喜んでたなあ。 「「「「ち、ちあわちぇえええええ!!!」」」」 「しっかり噛んで食べるのぜ。」 「すごいわまりさ。れいむ惚れ直したわ」 「ゆふふふふ。照れるのぜれいむ。でももっとほめていいよ」 おちびちゃんたちは美味しさの余りしーしーしながら食べててたな。お腹一杯になったおちびちゃんたちはまるでなすびだったんだぜ。 それからまりさが狩りに行ってる時、おちびちゃんの一人であるまりさが好奇心の余り外に飛び出して迷子になって泣いてたっけ。 れいむと一緒に必死になって探したな。無事に発見した時、怒ろうと思ったけどあの安心した顔を見たら怒る気がしなくなっちゃったよ。 夏になるとおちびちゃんたちは蜜柑程度大きくなったのでれいむといっしょに少しずつ狩りを教えてあげたよ。 初めて見る生きたむしさんやちょうちょさんをみてみんな目を輝かせていたっけ。 夏も終わりに近づく頃にはおちびちゃんたちは狩りが大分上手くなって、まりさといっしょに食べ物を集めたんだ。 食べきれないぐらいのたっくさんおいしい食べ物が溜まったよ。まりさの大好きな香りのいいおいしいきのこさんもいっぱい。 これで今年の越冬は楽勝だね。あたらしく子供つくってもおつりがでるよ。 だから・・・ね?れいむ・・ おちびちゃんたちの前でするスッキリーは恥ずかしくて・・でもとってもゆっくりできたよ。 それをみてたおちびちゃんたちは顔を赤らめてたけど、いずれみんな経験することだしね。 今日また新しい家族が増えたんだ。 いーち、にーい、さーん、・・?たっくさんの新しいおちびちゃんたち。 「まりさがおねーちゃんだよ!おちびちゃんたちゆっくりしていってね!」 「おねーちゃんゆっくちしちぇいっちぇにぇ!」 みんなおちびちゃんの誕生を祝ってくれたな。大切な大切なおちびちゃん。一匹も欠けることなく育てようね。 いよいよ雪が降ってきたよ。でもおうちの中には食べ物はた―くさん。だから安心だね。 みんな食事の時以外はお歌を歌ったり追いかけっこをしたりして思い思いに過ごす。 こら、まりさの髪の毛の中にもぐっちゃだめだよおちびちゃん。 ゆふふ・・・れいむもおちびちゃんたちもみんな・・まりさのたーいせつな宝物なんだ。 かわいいなあかわいいなあ・・・ 「・・・ろ」 「・・・きろ」 なん・・だろう・・・ 「おい起きろうんうんども」 ゆううん・・・ゆう・・なんだかゆっくり出来ない声が聞こえるよ・・ 「起きろっつってんだろうがあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」 「ゆびゃああああああ!!!!?」 そこには人間さんがいて、とっても意地悪そうで、ゆっくりできなさそうな、かつて楽園を独り占めし、まりさを追い掛けてきたあの「にんげんさん」がいたよ。 家に帰った私はご愛用のゆっくり保護ケースに気を失っているゆっくり一家を入れた。 一つじゃ足りないから、親、それ以外(子、赤ゆっくり)と二つのグル―プにわける。 親はまりさとれいむの二匹。子はまりさ×2れいむ×2の四匹 赤ゆっくりは赤れいむ6匹に赤まりさ2匹といった感じだ。一家合わせて合計14匹もいやがる。 ケースに詰め込まれたゆっくり達には遊びスペースがあまりなかった。 親ゆっくりは我慢できるかもしれないが、動きたい盛りの子ゆっくり、赤ゆっくりのいるケースには遊びスペースが少ないため、 みなその場に鎮座することを余儀なくされるだろう。 もう夜だが、私は寝る前に一回「教育」しておきたいと思い、未だ気絶したままの一家を起こそうと声をかけたが一向に目覚める気配がない。 ここは少しビシっとやったほうがいいな。 だから私はあらん限りの力で「おきろ」と叫んだ。 「ゆびいいいいい!!びっくりしたよ!!大声出さないでね!!れいむおこるよ??ぷくうううううううう!!!!」 「ゆえええええええん!!きょわいよおおおお!!きょわいよおおお!!ゆっくちできにゃいよおおお!!!」 「だいじょうぶだよおちびちゃん!れいむおねえちゃんがまもってあげるからね??ゆっくりしてね??」 「にんげんさん!!れいむのおちびちゃんを脅かさないでね?心の傷になってゆっくりできなくなっちゃったらどうするの!?」 「知るかよ。そんなうんうんは幸せになる以外ならどうなってもいい」 赤ゆは私の怒鳴り声で恐慌状態に陥っている。みんなうんうんかしーしーあるいはその両方を漏らし、大粒の涙を流していた。 姉である子ゆっくりのほうも赤ゆっくりを少しでも安心させようと、泣きだしたい気持ちを抑え冷静に振舞っているようだった。 「ゆう!あのときの・・らくえんさんを独り占めしているゆっくり出来ない人間さんだ!!」 「ん・・?」 おや・・どうやら・・この親まりさ私の事を知っているらしい。 私にとってゆっくりなんてよほど変わっていない限り皆同じしか見えないから解らなかったが、今このまりさが誰だったのか思い出した。 去年から今年にかけて私の畑を何度も何度も襲撃し、収穫物を略奪していったあの「まりさ」だ。 秋になったら来ないと思ったら、私の山の収穫物を漁っていたのか・・。 ん・・・?まりさの頬に傷があるな・・この傷は・・ 私はまりさの右頬についた古傷をみて確信した。この頬についた傷はかつて私がまりさを捕まえようとしてつけたものだ。 しかしあの時不意の反撃を食らい、捕えることはできずに作物を持ち逃げされてしまったが。 私は今このまりさと私がここで邂逅を果たした事は運命だと思った。 一家は早くここから出してと、家に返してと言っているが返すくらいならわざわざ攫ってはこない。 「お前たちは・・みんな殺すから。一匹も逃がさん」 饅頭一家はみなこの言葉でだまってしまった。 「じゃあまりさ。君にまた逃げられても困るから、まずは君から行こうか」 「ゆう!!」 このまりさの運動能力の高さは知っている。下手に扱うと家具を倒され破壊されるどころか窓を突き破り逃げることも可能だろう。 だから私は念には念を入れて一家全員に気絶している間にオレンジジュースに寒天を溶いた物をその体積に見合う分注入させてもらった。 寒天を注入された個体はまさに中身が羊羹状となり、粘度を増すため動きが極端に鈍くなる半面、出餡による死亡率が下がる。 寒天が体内に残っているうちは安心だが、ゆっくりは寒天をおよそ一週間ほどで体外に排出するようなので安心は出来ない。 一週間に一度は寒天を摂取させなければならない。忘れないよう気を付けなければ。 ゆっくりの動きを封じるには足焼きがもっとも確実なのだが、私は過去の虐待の経験上、捕まえてすぐに足焼きをされたゆっくりは逃げ延びることを諦め、 自暴自棄、捨て鉢になってしまう事が多いので面白くない。 ゆっくりはある程度の希望がないとすぐに精神崩壊を起こし、何も感じなくなってしまうのだ。 そんな現実逃避は、逃げは許したくない。ゆっくりには、特にこの一家には最後の最後まで苦しみぬいていってほしい。 もしそうなると私はゆっくりにまんまと逃げられた感じになり悔しい思いをする。 もっとたくさんの苦痛を、苦悶を、屈辱を与えなければ私の怒りは収まらないのだ。 ケースから出されたまりさはすぐに跳ねて自分の我が子を助けようとしたが、思うように跳ねること出来ずに混乱しているようだった。 ピョンッ ボテ ピョンッ ボテ 「おちょーしゃんはやきゅたしゅけちぇええええ!!」 「どうじで!!どうじでだがぐどべだいの!!?」 寒天を摂取させられたまりさは30センチも飛べていない。餡子が粘度を増した証拠だ。 「おいこっち向けよ。このうんうんが」 「ゆっ!まりさはうんうんなんかじゃな「うんうんだよ」(ベキィ!!)ゆぶしゅ!!」 私はまりさの頬を全力で殴った。溜飲が下がりとってもすっきりする。 このまりさはバスケットボールよりも大きいので私が殴ったくらいでは壊れないだろう。 私はこの親まりさを何度も何度も何度も、その顔が二倍に腫れあがるまで殴り続けた。 バギィ!!「ゆう!!」ズン!!「ゆばっ!」ベキョ「ゆ゛ん!!」ボグ「ゆぎぃ!!」 「ばりざああああ!!じっがりじでえええ!!!!にんげんざんもうやべであげでえええええええ!!」 「おとーさんをいじめるなあ!!ぷっくううううう!!!!」 「おちょおおしゃあああんゆっくちいい!!!!」 「きょわいよ・・きょわいよおおおお(チョロロロロロ)ゆええええええん」 普段、この一家の中でだれよりも強いであろう親まりさはなすすべもなく私に殴られ、顔の形が殴られるたびに変形する。 その様を見せつけられ家族は、特に赤ゆっくりはショックで言葉を失っていたようだ。 「ゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛っゆ゛」 「はぁっはぁっはぁっはぁっはぁっ・・つかれたー」 私は心地よい疲労を感じつつタオルで汗をぬぐっていた。結構な時間殴っていたんじゃないだろうか。 まりさは腫れあがった顔から液状餡子の含まれた涙を流し、痙攣していた。 あたりにはまりさの割れた歯が所々落ちている。 まりさを親れいむが入っているケースに戻し、代わりに親れいむを取り出した。 「ゆ・・ゆ??ゆゆ?」 親れいむは何故自分がケースの外に出されたのか解らない様子だ。 「次はお前だよ。」 私はバットを持って来て、れいむの頬に向けて全力でスイングをした。 バキュ!!「ゆ゛ん!!」 そのままれいむは壁まで飛ばされ、ベシャッと音を立て壁に張り付く。 ズル・・ズルズルズル・・・ドチャ 壁からズルズルと音を立て、床に落ちるれいむ。 どうやらバットの一撃で意識が飛んだようだ。 私はれいむを仰向けにさせたあとにオレンジジュースを掛け、目を覚まさせた。 「ゆ・・ゆーん・・あたまが・・いたいよ」 「お目覚めかいれいむ」 「ゆ・・・ゆう!!!!」 れいむは怯えた表情で私を見つめる。いっそずっと気絶させてくれればよかったのにといった顔をしているな。 「まだまだ・・私の怒りはこんなもんじゃないよ!」 れいむの顔に向けてバットを何度も振り下ろす。 ベキイ「ゆ゛っ!!」グシャ「ゆ゛ん゛!!」ドシャ「ゆ゛ゆ゛う!!」・・・・ まりさと同じように顔が二倍に膨れるまで叩き続けた。 これだけしておけば逃げる体力なんてないだろう。 私がケースにれいむを戻し部屋から出ていくと恐怖で黙っていたゆっくり達は騒ぎ始めた。 ゆっくり一家はこれからまた明日私がここに訪れるまでこれからさらにされるであろう虐待の恐怖で震えあがる事になる。 しかし、一家はまだ生きることを、逃げ延びることを諦めてはいなかった。 つづきます。
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注意 ※たぶん罪の無いゆっくりが酷い目に遭ってます。 「ゆっくりしんぶん <1面>」 まだ日も明けぬ頃、ここは町から程近い森の中。 その森のとある洞穴に、1つのゆっくり一家が巣を作って暮らしていた。 家族は親まりさと、親れいむの両親に、子まりさが3匹と、子れいむが2匹の7匹家族だった。 一家は巣の奥で身を寄せ合い、「ゆすぅ・・・、ゆすぅ・・・」とわざわざ声に出して寝息を立てて眠っていた。 まだゆっくりが目覚めるには早すぎる頃、巣の外の遠方から「ブロロロ、ブオオォォン」と音が聞こえてきた。 普段聞きなれないその音に親まりさがゆっくり目を覚ます。 他の家族は音に気がつかないのだろうか、まだぐっすりと眠っていた。 まだ眠り足りず、ねむけ眼の親まりさは巣の外に向かって、 「ゆぅ・・・、うる・・しゃいよ・・・、ムニャムニャ・・・しずかにして・・ね・・・ムニャ・・・」 とつぶやいた。 外から聞こえるその音は、巣の外まで近づくと止み、しばらくして再び聞こえてきたかと思うと、 「ブロロォォン・・・・」と遠ざかっていった。 「ムニャ・・・わかってくれたら・・・それで・・・いいんだ・・・よ・・・ゆぅ・・・ゆすぅ・・・」 巣の中はゆっくり達の寝息だけが聞こえ、親まりさは再び眠りの中へと落ちていった。 それから数刻後、巣の入り口に陽光が差し込み、ゆっくり一家が目を覚まし始めた。 「ゆゆっ?!太陽さんが出てきたよ。おちびちゃん達ゆっくり起きてね。」 親れいむが長女の子まりさの体を頬で揺する。 「ゆぅ・・・ゆ? あっ、たいようさんだ! おかーさん、ゆっくりおはよう!」 「おはようね、まりさ。今日もゆっくり元気だね! かわいい妹達もゆっくり起こしてあげてね。」 「ゆっ、わかったよ! れいむぅ、まりさぁ、あさだよー!!」 元気な声を上げて妹達を起こして回る長女まりさ。 最後に、姉妹で一番後に生まれて、他の姉妹より少し小さな末っ子れいむを起こす。 長女まりさは、少しのんびり屋さんなこの末っ子れいむが可愛く、よく面倒をみてやっていた。 「ゆぅ・・・。まりしゃおねえしゃん、ゆっくちおはよう!!」 一番下の末っ子れいむも目を覚まし、一家揃って朝の「ゆっくりしていってね!」をしようかと思っていた時だった。 親れいむはパートナーの親まりさがまだ起きていないのに気がつく。 普段は親れいむの次に目を覚ますはずの親まりさは、まだぐっすり夢の中だった。 「まりさぁ! 朝だよ! 寝ぼすけさんは恥ずかしいよ!」 「おかあさん、ねぼすけさんだー。キャハハ」 一家全員で親まりさの頬を揺すって、親まりさを起こす。 「ゆぅ・・・少し眠れなかったんだよ・・・。みんなゆっくりおはよう!!」 重たい瞼を持ち上げ、親まりさは家族達に答える。 親まりさも起きたところで、一家は巣の中で輪になる。 「それじゃあ、みんな起きたね。せーの・・・」 「「「「「「「ゆっくりしていってね!!」」」」」」」 一家はそれぞれの顔を見回す。 一家の表情は皆笑顔にあふれ、家族皆が元気である事を確認する。 「じゃあ、まりさはごはんを採ってくるよ!」 「ゆ、わかったよ。おちびちゃん達はお母さんと朝ごはんの準備をしようね。」 「「「「「ゆー! あさごはん!! おかーさん、いってらしゃい!!」」」」」 一家の朝食は、昨夜の夕食の残り物である虫の死骸と、親まりさが採って来る花やその葉、落ちている木の実である。 朝食なので遠くまでは採りに行かず、本当に巣の周りにある花や実を簡単に採って来るだけであった。 残った家族は、巣の中心に葉っぱを敷き詰めて、その上に昨夜の残り物を並べて待っているのだ。 朝食の準備を始めた家族を背に親まりさが巣の外に出ようとすると、 出口のそばに紙束のような物が置いてあるのが目に入った。 「ゆ? なにこれ?」 それは何枚かの紙が折り畳まれ、薄い紙テープで巻かれて止められた物だった。 紙テープには「ゆっくりよんでね!ゆっくりしんぶん!」というコピーと、かわいいゆっくりのイラストが描かれていた。 「ゆー!♪」 初めて見るそれに最初は不審がったが、「ゆっくり」というフレーズとかわいいイラストに喜んだ親まりさは、 その紙束を咥えて巣の奥へと引き返した。 「ゆ? おきゃえりなしゃい、おきゃーしぁん!! おいちいごはんいっぱいとれた?」 葉っぱを咥えて朝食の準備を始めたばかりの末っ子れいむが、期待に満ちた笑顔で迎える。 実際には親まりさは巣の外にすら出ていない。 「ゆっくりこんな物を見つけたよ!みんなで見ようね!」 親まりさの声に一家が集まってくる。 「もー、おちびちゃん達はおなかペコペコだよ。ゆっくり済ませてね。」 「ゆー、これ読んだらゆっくり狩りに行くよ。」 朝食を終えておらず空腹感は否めなかったが、初めて見るそれに家族全員が興味深々だった。 親まりさは口先でゆっくり紙テープをちぎると、その紙束を広げた。 紙の大きさは親まりさより一回りほど大きく、最初に開かれた紙面の右上には 『ゆっくりしんぶん ○月×日号』 と書かれている。その下には 『ゆっくり さいごまで よんでね!! よんだあとは すのでぐちに おいておいてね。』 と注意書きがされていた。 「ゆっくり理解したよ!」 と親まりさが紙面に向かって答える。 記事の文字のほとんどは、ゆっくりにも読み易いように平仮名や片仮名が使われており、 文字よりも、大きな写真やイラストが紙面の大半を占めていた。 「おかーさん、これなに?」 「これは『ゆっくりしんぶん』といって、ゆっくりできる物だよ。」 「ゆー!! まりさもゆっくりよむよ!!」 親れいむも初めて見るはずだったが、子まりさの質問にさも親らしく教える。 かわいいイラストも描かれており、ゆっくりできる物だと疑わなかった。 「ゆ、じゃあここから読むよ。」 親まりさが誌名のすぐ横、1面トップの記事に近づくと、子ゆっくり達もその記事の周りに集まった。 『だいこんばたけ またもひがいに』 「ゆ?」 記事のタイトルに少し違和感を感じた親まりさだったが、そのまま読み進める。 『さくじつ ひるごろ ○○さんのだいこんばたけに ゆっくりいっかがはいりこみ そだてていた だいこん15ほんが たべられました。(写真1 ○○さん提供)』 記事の横には、畑の大根を食い散らかし、満腹になってそのまま畑で眠るゆっくり一家の写真が掲載されていた。 「ゆーー!!! とってもおいしそうだよ!!」 「そうだね。みんな幸せそうだね。」 「あかちゃんもおなかいっぱいで、しあわせそうだよ!!」 子ゆっくり達は幸せそうな一家の写真に喜び、キャキャと跳ねて喜んだ。 「ゆー、続きを読むね。」 『○○さんは いっかみんなを ゆっくり捕獲しました。(写真2)○○さんによると とうじ いっかは 「だいこんさん、いっぱいおいしかったよ。おじさんもゆっくりしていってね!!」 とえがおが たえなかったそうです。(2面につづく)』 記事の横には、小屋の隅で、幸福に満ちた表情で並ぶ一家の写真が掲載されていた。 「みんなゆっくりできてよかったね。」 「まりさもだいこんさん、たべにいきたいよ!」 「こんどみんなで行ってみようね。」 「ゆー!! やったーー!! だいこんさんゆっくりしていってね!!」 親れいむの言葉に子ゆっくり達はコロコロ転げ回って喜ぶ。 「ゆぅ~~まりさもお腹すいたよ~~」 「まりさっ! よだれよだれ! もぅ! まりさがこんなの拾ってくるからだよ!」 「ごめんごめん、ゆっくり読んだら狩りに行ってくるよ! 今度はつぎのページだね。おちびちゃん達、少しどいてね。」 紙面の上に乗っていた子ゆっくり達が離れると。 親まりさは1面の端を咥えて「ゆーんしょ、ゆーんしょ」と広げた。 再び記事の周りに一家が集まる。 親まりさが続きを読み始めようとした時だった。 「ゆーんと・・・、ゆ゛っ??!!!」 「「「「「「ゆぎゃあああああああああああああああああああああああ!!!!」」」」」」」 1面が開かれ2倍の大きさに広がった紙面には1枚の写真がでかでかと掲載されていた。 その写真は、皮を引ん剥かれて真っ黒の塊となり、泡を吹いて苦悶の表情を浮かべる親ゆっくりと、 その後ろでは鍬を頭に突き刺されたもう片方の親ゆっくり、 2本の串に3匹づつ串刺しにされて囲炉裏で焼かれる赤ゆっくり達の様子が写されていた。 とくに写真の中央にでかでかと占める、皮を剥がれた親ゆっくりの表情は一家にとって衝撃的だった。 「ゆげぇええええええええ??! なにごヴぇえええええええええ!!!」 「ゆっぐりでぎないいいいいい!!!」 「やべであげでねぇぇぇぇ!!! いだがっでるよ゛ぉぉぉぉっ!!!」 「ゆっぐりごわいぎいいいいいいぃぃぃぃぃ!!!」 「ゆぎゃああぁんん!! ゆぎゃあああああん!!!」 一家は涙と涎を撒き散らして紙面の写真を汚しながら跳ね回った。 写真の下には、 『ゆっくりいっかは おしおきされて にどと すにはかえれませんでした。 ぜったいに まねしないでね!(写真3)』 と書かれている。 「はやぐそんなページめくっでね!!!!!」 「ゆぎぎぎぃぃぃぃ!! ゆっぐりりょうがいいいぃぃぃっ!!!!!」 親まりさはゆっくり急いで紙面をめくる。 「ゆぎぎぎぎぎぎぎぃいっぃぃぃぃぃぃぃぃっ!!!!」 今度は串刺しにされて焼き饅頭にされた赤ゆっくりを齧る○○さんの口元がアップで掲載されていた。 口の中に入れてしまわず、赤ゆっくりの左半分ほどを歯を立てて齧っているのが憎らしかった。 赤ゆっくりの左目には○○さんの前歯がささり、熱々に熱せられた眼球が「ブチュッ」と弾けている瞬間が捉えられた。 写真の下には『ゆっくりいっかは おしおきのあと、○○さんがおいしくいただきました。(写真4)』と書かれていた。 「ゆぎゃああああああ!!! だべぢゃだべええええええええ!!!!」 「ブぅぅチュぅぅぅぅぅ???!! だぁぁあぁぁぁぁ??!!!」 「ゆげぇぇぇぇっ!! ゆげぇぇぇぇっ!!!」 「あがぢゃんがあぁぁぁぁ!!! あがぢゃんがぁぁぁぁっ!!!!」 写真の赤ゆっくり達と年の近い子ゆっくり達は、写真中の惨劇が自身の事の様に思え、 喚きながら巣の壁に力一杯体当たりを始めた。 まだ情緒の安定しない子ゆっくり達には刺激が強すぎる写真だった。 「ゆぎぃぃっ!!! ぐぼぁっ!!! ゆぎぃっ!!! ぐぼぁっ!!!!・・・」 「おぢびぢゃんだちぃぃ?! だべええええぇぇぇぇ!!! おぢづいでねぇぇぇぇ!!!」 親ゆっくり2匹は急いで子ゆっくり達を壁から離す。 そして子ゆっくり達の頬をペロペロと舐めてやり、落ち着かせる。 子ゆっくり達はガチガチと歯を鳴らして震えていたが、しだいに落ち着きを取り戻してきた。 「おちびちゃん達、おかあさんがそばに居るよ。ゆっくりしてね。ゆっくり・・・、ゆっくり・・・。 ばりざぁっ!! 早ぐそのページをめぐっでね!! おちびちゃんがゆっくりできないよ!!」 「ゆっぐり、りょおぉかいいぃぃぃぃぃぃぃ!!!」 親まりさはゆっくり急いで紙面をめくる。 紙面をめくった後、親まりさは素早く目をつむる。先程のように不意に衝撃的な写真を見たくなかったからだ。 ゆっくりと瞼を上げていく親まりさ。 すると今度は先程までのような写真とはうってかわって、楽しそうなテーマパークのイラストが 右片面いっぱいに掲載されていた。 「ゆー!! こんどはゆっくりできそうだよ!! とっても楽しそう!!」 親まりさの表情に戸惑いながらも、他の家族達も恐る恐る集まってきた。 イラストの中央には大きなお城が描かれており、その周りにはいろんなお店やアトラクションが 所狭しと並ぶ大きな街が描かれていた。 街の中央の噴水からはオレンジジュースが噴き出し、様々な種類のゆっくり達がはしゃぎまわっている。 空からはキャンディーやチョコレートなどのお菓子が降って来ており、お菓子を食べたことが無いこの一家も よだれを垂らさずにはいられなかった。 イラストの両サイドには、サーカスの団員だろうか、ピエロの格好をした人間のお兄さんとお姉さんが、 それぞれ太いバトンの様な物とムチを持ち、「ゆっくり みんなでおいでよ!!」と吹き出しにメッセージが書かれていた。 そしてその下には「ゆっくり☆ポスタルパーク」と大きく書かれていた。 「「「「「「ゆー!!! すごーーーーい!! とってもゆっくりできそう!!!」」」」」」 ゆっくりが思いつく限りの贅沢が詰め込まれたそのイラストは、ゆっくり達にとって天国そのものの光景だった。 「おっきなおうちだね!!」 「ここのおみず、とってもおいしそうだよ!!!」 「みんなとてもゆっくりしてる!!!」 「れいむあれのりたーーい!!」 「まりさも行きたいよ!!!」 子ゆっくり達はイラストの上で体を揺らしながら、徐々に元気を取り戻しつつあった。 そんな子ゆっくり達の様子を見て、親ゆっくり二人も満面の笑みだった。 親まりさは紙面の角に、地図が描かれているのを発見した。 地図には「もり」と書かれ塗りつぶされた部分と、森に面した池とその横を通る一本の道が描かれていた。 地図に描かれた「もり」が自分達の住む森であるなら、そう迷う事は無い道程だった。森のそばの池にも心当たりがある。 「ゆっくり決めたよ!! 今度のしゅーまつはみんなでゆっくりポスタルパークに行くよ!!」 「「「「「「ゆ゛っ!!!!???」」」」」」 突如親まりさの口から発せられた言葉に、一家は驚きの表情を隠せない。 「まりさ道わかるの!!?」 「ゆっへん!! まりさはこの森を知り尽くしてるんだよ!! みんなをどこへでも連れて行ってあげるよ!!」 「「「「「ゆぅぅぅぅ・・・おきゃーーしゃーーーーーん!! だいすきぃっ!!!」」」」」 「こらこら、みんないっぺんに来るとゆっくりできないよ。」 親まりさの言葉に歓喜の声を上げる子ゆっくり達は、親まりさへと飛びついた。 「さすがれいむの愛したまりさだよ。」 そう言うと親れいむは、親まりさの口唇にキスをした。 ポッと赤くなる親まりさ。トローンと目に力が抜ける。 幾度か舌を絡ませた後、目をつむったまま口唇を離す親れいむ。頬が真っ赤に染まっている。 「ゆぅ・・子供達の前だと・・・、その・・・恥ずかしいんだぜ・・・。」 「いいじゃない、私達の愛が生んだ"えんじぇる"達だもの・・・。」 突然のチュッチュに動揺した親まりさはついつい若い頃の口癖がでてしまう。 子ゆっくり達もそんな両親の様子に頬を真っ赤に染めていた。 「「「「「ゆぅ~~・・・おかあさんたちチュッチュして、とてもゆっくりしてるよ・・・」」」」」 「ゆー!! みんなでしんぶんの続きを読むよ!!」 時と場所を弁えないチュッチュを誤魔化すように、親まりさは左の紙面を読み始めた。 左の紙面は読者の投稿コーナーだった。 『-きょうの ゆっくり いっく-』 「おかーさん、『いっく』ってなーに?」 「ゆぅぅんとねぇー・・・、『いっく』はとてもゆっくりできる物だよ。」 「ゆー!! すごーい!! まりさも『いっく』よむよ!!」 当然、親れいむも俳句の事なんて知る筈も無かったが、少なくとも目の前には『ゆっくり いっく』と書かれているので ゆっくりできる物だろうと親れいむは考えた。 『かわいいね つぶらなひとみに つまようじ』 (△△県 22歳 男性 会社員) 「ゆぅ?」 『さあにげろ そんなはやさじゃ たのしめない』 (□□府 18歳 男性 学生) 「ゆあ??」 『あかゆっくり うまれるまえに つみとるぜ』 (○○都 20歳 女性 フリーター) 「ゆぐぐ???」 ☆『ゆっくりと やいたおやこよ さようなら』 (△□道 28歳 男性 自営業) 「ゆうぇ・・・」 正直、ゆっくり一家は書いてある事の意味があまり分からなかった。 しかしながら、皆その胸中に何か言い表すことの出来ない不快感が沸いている事だけは感じた。 「ゆぅ・・・。おかーさん、なんだかゆっくりできないよ・・・。」 「ゆぅん・・・、そうだね。次のコーナーを読んでみようね。」 最後に編集者の総評が記されていたが、漢字が多くて親まりさには読めなかった。 胸の中のモヤモヤとした気持ちを引きずったまま、親ゆっくりは次のコーナーへと目を向けた。 『きょうの あかゆっくり』 「「「「「「「ゆぅーーーーーーー!!!」」」」」」」 一家全員から歓声が上がる。 そのコーナーは読者から投稿された赤ゆっくり達を紹介するコーナーだった。 今回は5匹の赤ゆっくりが紹介されていた。 「ゆーーー!! 赤ちゃんとってもかわいいよ!!」 「みんなとってもゆっくりしてるね!!」 「みんなニコニコしあわせそうでよかったね!!」 「かわいいあかちゃん、ゆっくりしていってね!!」 「あかちゃんたち、こんどまりさたちといっしょにあそぼうね!!」 紙面の上でコロコロ転がりながら、"出会えるはずも無い"写真の赤ゆっくりに語りかける子ゆっくり達。 親まりさも子ゆっくり達の様子を見て笑顔だった。 ふと、親れいむが親まりさにぐっと身を寄せて囁き掛けた。 「(まりさ・・・、ね・・・もう2人くらいね・・・。)」 そう囁くと、親れいむは左のおさげの髪先を「キュッ」と口に咥えた。 それは「こ・ん・や・(ハート」のサインだった。 「(れいむ、気が早いんだぜ。もう少しおちびちゃんが大きくなってからだぜ・・・。)」 「(もうっ、りちぎなんだからぁ。)」 「(それでもまりさのれいむへの愛は変わらないんだぜ。)」 「おきゃーしゃん!! れいみゅも、しんぶんしゃんにのりちゃいよ!!!」 不意に放たれた末っ子れいむの言葉に、バッと身を離す親ゆっくり2匹。 「そうだね、おちびちゃんもゆっくりしていれば、きっとしんぶんさんにのれるよ。」 「ゆー!! やっちゃー!! れいみゅ、ゆっくりしゅるよ!!」 適当にあしらわれた事にも気づかず、喜ぶ末っ子れいむ。 実際のところ、この『ゆっくりしんぶん』は誰が発行して、誰が読み、誰が応募しているのか。 ゆっくり達には知る由も無かった。 「ゆ? 次が最後みたいだね。みんなでゆっくり読もうね!」 そう言って親まりさは最後の1面をめくり上げた。 「ゆげえええぇぇぇぇぇ???!!! な゛に゛こべええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」 「「「「「「ゆぎいぃぃぎゃああああああああああああ!!!!!」」」」」」 先程のゆっくり出来た紙面に、気を抜いた結果がこれだった。 最後の紙面に掲載されていたコーナーは『ゆっくり てんらんかい』という、古典から現代アートまで、 ゆっくりに関する芸術作品を紹介するコーナーだった。 紙面上部を今回の作品の写真が占める。 写真では、大きな親ゆっくりの両方の目玉がくり貫かれ、代わりに小さな赤ゆっくりが埋め込まれていた。 親ゆっくりの口唇は切り落とされ、丸出しになった歯茎からは何本かの歯が抜かれている。 髪はあちこち抜け落ちており、まるで落ち武者のような形相で見る物を怯ませた。 わずかに残る毛髪から、その親ゆっくりがれいむ種だったことを窺わせる。 さらにその抜け落ちた頭皮に、眼孔に埋め込まれた赤ゆっくり達の物だろうか、 小さな黒い帽子が左右に貼り付けられており、それはまるで「鬼の角」を髣髴させた。 『タイトル「おやこあい」』 『なくなった おかあさんの おめめのかわりを あかちゃんたちが つとめるよ。 もりにかえしてあげたから であったときは ゆっくりしてあげてね。』 「「も゛ういや゛ぁぁぁぁぁぁ!!!!」」 「「「ゆぎいいぃぃぃぃっぃぃぃ!!!!!」」」 再び目にする衝撃的な有様に、子ゆっくり達は地面にその顔面をガリガリとこすりつけ始めた。 「おぢびぢゃんだちっ!!! だべええええぇぇぇぇぇぇ!!! ばりざぁぁぁぁ!!! はやぐそのじんぶんすでできでええええ!!!!」 「ゆっぐり、りょうがいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!」 親まりさは急いで新聞を畳み込むと、巣の外へと投げ捨てた。 巣の中では親れいむが子ゆっくり達を「ゆっくり・・・ゆっくり・・・」とあやしていた。 「ゆぅ・・・、ゆっくり捨ててきたよ・・・。」 「ゆぅぅぅ・・・。おちびちゃん達・・・。ゆっくりしてね・・・、ゆっくりしてね・・・」 「ゆぅ、まりさはごはんを採って来るよ・・・。れいむはおちびちゃん達のこと、見ていてあげてね・・・。」 「ゆぅ・・・。ゆっくりわかったよ・・・。ゆっくり気をつけてね・・・。」 すでに昼前になっていたが、とても食が喉を通るような気分ではなかった。 しかし1日中何も食べないわけにはいかない。 親まりさは子ゆっくり達の見送りも無いまま、巣を後にした。 翌日未明。 「ブロォォン!! ブロォォォォン!!」 とある民家の軒先にバイクのエンジン音が響き渡る。 一人の青年が愛用のオフロードバイクにまたがっていた。 その後部席には荷物用のBOXが据え付けられており、中には幾束もの紙の束が詰め込まれていた。 この青年こそ『ゆっくりしんぶん』の発行者本人であった。 「さてと・・・、最初の配達先はと・・・。」 青年はジャケットのポケットから「ポケットマップ」を取り出し、行き先周辺のページを開いた。 ページのほとんどの地域が森に覆われていたが、その森の中に10箇所ほど赤いペンでしるしが付けられている。 そのしるしの箇所は、事前に青年が足を運んで調べた、ゆっくりの巣の在り処だった。 その森は青年宅からバイクで10分弱ほどのところにあった。 元々ゆっくりいたずら趣向のあったこの青年は、数週間ほど前にこの「いたずら」を思いついた。 さっそく町の「ゆっくりいたずらサークル」のリーダーに相談し、会員の方からもいくつかネタを貰って、 念願の第1号を発行することが出来た。 ちなみに紙面中の『ポスタルパーク』の地図は、この会員の一人の邸宅への地図だった。 是非とも広告を載せて欲しいと依頼され、快く引き受けた。 初めは様子見ということで、10部ほどだけ発行してみて、ゆっくり達の反応を窺ってみる事にした。 紙面は、提供された画像をリサイズして並べ、テキストを簡単に並べた物で、とても『新聞』とは呼びがたい物だった。 元より素人の自分が作った物である。青年はその出来栄えに悲嘆する事なく、 実際自らの飼うゆっくり達に対して効果は抜群だった。 新聞の制作には編集に1時間、印刷に十数分、配達に1時間の時間を要した。 元々自分の時間をゆっくりいじめに費やしていた青年である、少し睡眠時間を早めるだけで、ほとんど苦にはならなかった。 自分の作った新聞を見て、喚き立てるゆっくり達を想像しながら床に着くのが青年にとっての愉悦となった。 「(今日は仕事も休みだ。配達が終わったら一眠りして、直接ゆっくり達の様子を見に行ってみよう。)」 青年は休日の楽しみを胸に秘め、バイクのアクセルを捻った。 しばらく町道を進むと、辺りは森に囲まれ、だんだんと見晴らしが悪くなってきた。 青年は野池のそばにある細いあぜ道を見つけると、スピードを落として、舗装された町道からそのあぜ道へと飛び込んだ。 普通の新聞配達で使う原動機付き自転車ではこの配達は勤まらない。 何軒か配達して回った青年は、配達先の一つである洞穴のそばに到着した。 洞穴から少し離れたところにバイクを止め、BOXから新刊を取り出した青年は洞穴へと進んでいった。 この巣も他の巣と同じように、巣の外に先日号の新聞が乱暴に投げ捨てられていた。 青年は洞穴の中に聞き耳を立ててみる・・・。 「ゆすぅ・・・、ゆすぅ・・・・」 とわざとらしい寝息の中に、 「ゆぐぅぅ・・ん・・・・、あかしゃん・・・たべないでね・・・・、やめてあげて・・・ね・・・ぅぐ・・」 といった寝言が混じるのが聞こえた。 「(クククククヒヒッ・・・・・・・・・!!!)」 青年は身をよじって、笑いを堪えるので精一杯だった。 投げ捨てられた先日号の新聞を回収すると、代わりに今日の新刊を巣の出口に置いた。 バイクの所まで戻り、回収した先日号をBOXに放り込むと、青年はバイクのエンジンをかけて次の配達先へと向かった。 「ゆっくりしんぶん <2面>」?へとつづく ※おまけ※ 『-きょうの ゆっくり いっく-』より 総評 (第1回からたくさんのご応募ありがとうございます。今回は多くの力作の中から四作品を紹介させてもらいました。) (その中でも(△□道 28歳 自営業 男性)さんの作品は、焼いた親子を文字通り焼いてしまったのか、または一部だけを) (焼いて森に帰したのかと、どちらの意にも解釈でき、想像を膨らます事ができます。今回は(△□道 28歳 自営業 男性)) (さんの作品を「特選星」に選びたいと思います。) ※おまけ2※ 『ゆっくり てんらんかい』より 作者からの解説 (どうもこの度「おやこあい」を制作した××と申します。この作品はゆっくり親子の究極の親子愛を形にしてみました。) (両目を失い、光を失った親ゆっくりは他者の助けがないと生きてゆくことができません。またその眼孔に埋め込まれた赤) (ゆっくりも身動きをとる事が出来ず、母親と同様に餓死してしまうでしょう。これら3匹(今では1匹)はこの先ずっと) (協力して生きてゆかねばなりません。そこに究極の親子愛が生まれると私は考えました。初めは左右の赤ゆっくりそれぞ) (れが「右だよ」「左だよ」と指示し右往左往していましたが、最終的にもあまり変化は見られませんでした。私は野生の) (環境の中でこそ真の愛が生まれると考え、この「おやこあい」を野に放ちました。もし森の中でこの「おやこあい」を見) (かける事があった折には、どうかゆっくり見守ってあげて欲しいとお願い申し上げます。) 今まで書いたもの 「おでんとからし ~おでん~」 「おでんとからし ~からし~」 「トカゲのたまご ~たまご~」 「トカゲのたまご ~とかげ~」 このSSに感想を付ける
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☆きゃんきゃん パイロットデータ きゃんきゃん(GZアイランド) きゃんきゃん, 女性, アリスモンスター, AAAA, 120 特殊能力なし 122, 113, 134, 138, 145, 148, 普通 SP, 50, 魅惑, 1, 信頼, 3, ひらめき, 10, 隠れ身, 21, 脱力, 27, 愛, 38 GALZOO_KyanKyan.bmp, ALM_GirlMonster.mid ユニットデータ きゃんきゃん(GZアイランド) きゃんきゃん, (アリスモンスター(きゃんきゃん(GZアイランド)専用)), 1, 4 陸, 3, S, 2200, 120 特殊能力 性別=女性 耐性=火光 2000, 60, 400, 70 DBCB, GALZOO_KyanKyanU.bmp 遊んで, 0, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +30, 突痺 もっと遊んで, 0, 1, 1, +20, -, 20, -, AAAA, +50, 突痺 === 応援, 回復Lv1, 1, -, 5, -, - 防御付与, 防御力UP, 2, 5, -, -, - きゃんきゃん(子供)(GZアイランド) きゃんきゃん, (アリスモンスター(きゃんきゃん(GZアイランド)専用)), 1, 4 陸, 3, S, 1200, 120 特殊能力 性別=女性 耐性=火光 パイロット画像=GALZOO_KyanKyan(C).bmp 1000, 30, 200, 50 DBCB, GALZOO_KyanKyanU(C).bmp 遊んで, 0, 1, 1, +20, -, -, -, AAAA, +30, 突痺 もっと遊んで, 0, 1, 1, +20, -, 20, -, AAAA, +50, 突痺 === 応援, 回復Lv1, 1, -, 5, -, - 防御付与, 防御力UP, 2, 3, -, -, - 戦闘アニメ メッセ きゃんきゃん(GZアイランド) 回避, 遊んでくれる? 回避, きゃんきゃんのしっぽ、つかまえて、つかまえて 回避, ばいばーい 回避, へへーん、あたらないよー 回避, はっずれー 回避, きゃははっ♪ 回避(きゃんきゃん(子供)(GZアイランド)), わーい ぱぁぱ、なでなでしてー♪ ダメージ小, あんまり痛くしないでね? ダメージ小, いじめちゃいやぁ ダメージ小, 何して遊ぶー? ダメージ中, あーん いじめちゃいやぁ ダメージ中, あうっ ダメージ中, ふにゃあ ダメージ大, あーん いじめちゃいやぁ ダメージ大, うわああん、いじめられたぁ ダメージ大, ふみーん、いじめちゃヤなのぉ 破壊, あーん 負けちゃったあ 脱出, あーん 負けちゃったあ 射程外, 遊んでくれないの? 攻撃, 遊んでくれる? 攻撃, 遊んで遊んで 攻撃, 遊んで遊んで♪ 攻撃, 戦いは嫌いだけど、レオさんの為にがんばるぅ 攻撃, あははー、うれしいな 攻撃(もっと遊んで), あはは、もっと遊んでー 攻撃(もっと遊んで), うふふ もっとー 攻撃(対レオパルド(GZアイランド)), あは、レオさんてなんだかかっこいー 攻撃(対オクトマン), いじわるな人 きらいきらい 攻撃(対俺は鉄壁), 小鳥さん、かわいいなー 攻撃(対フリーダム), 羽根羽根、いいなー きゃんきゃんも欲しいの 攻撃(対バウ), おじちゃん、お手手長いねー 攻撃(対百年バウ), おじちゃん、お手手長いねー 攻撃(対大王イカマン), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対金とり), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対戦う樹), きゃんきゃんのお友達、いじめないでね 攻撃(対王墓の守護者), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対テンタクルス), わーい ぴかぴか ぴかぴか 攻撃(対拷問戦士), えー……遊ぶ? 攻撃(対イカ男爵), イカ男爵さん、なんだかかわいそうなの 攻撃(対巨大イカ男爵), わーいわーい、でっかーい 攻撃(対赤い運命), なんか……あなたとは遊びたくないの 攻撃(対赤い運命), んー……レオさんと遊んじゃいや、きゃんきゃんと遊ぼ 攻撃(対スケッチ), あはは、お絵かき楽しそー 攻撃(対カメ子), あっ、カメさんなの! きゃんきゃんはね、うさぎさんなの! 攻撃(対ちゃぷちゃぷ), 遊ぼう、遊ぼう? 楽しいよー 攻撃(対言霊), きゃんきゃんも、お歌うたう! ぼえー♪ 攻撃(対はずれ女), ええー、なに、なに? 攻撃(きゃんきゃん(子供)(GZアイランド)), いっぱい頑張って.いっぱいぱぁぱに遊んでもらうのー サポートアタック, ね、ね、一緒に遊ぼうよ サポートアタック, あはは、わーいわーい サポートアタック(レオパルド(GZアイランド)), レオさんといっしょに、あそぼ、あそぼ サポートアタック(レオパルド(GZアイランド)), きゃんきゃん、レオさんを幸せにするの サポートガード, ね、ね、一緒に遊ぼうよ サポートガード, あはは、わーいわーい サポートガード(レオパルド(GZアイランド)), レオさんといっしょに、あそぼ、あそぼ サポートガード(レオパルド(GZアイランド)), きゃんきゃん、レオさんを幸せにするの 防御付与, はい、あげる 防御付与, これでちょっと痛くないよ 防御付与, はい、ぷれぜんと♪ 防御付与, これもこれも、はーい 発進, きゃはは♪ わーい♪