約 194,159 件
https://w.atwiki.jp/ogasawara/pages/147.html
ここに一人の男女の物語の一片を語ろうと思う。 男の名前は青森恭兵、少女の名は扇りんくという。 蜜月を過ごしたはずの、その数日後にりんくの元に届いた手紙は全てを打ち砕く内容であった。 「あ、青森さん…!? どうして…!」 男から少女への別れの手紙は短かった。 お前は悪くない、幸せになってくれ。そしてさよならという言葉だけである。 どこからどう見ても別れの手紙。普通なら全てが涙で終わるところである。 そう、普通ならここで物語は終わるところであった。 「悪くないなら、どうしていなくなるの…! 私の幸せは、青森さんと一緒にいることなのに…!」 ばかー!!!と叫ぶと、りんくは物凄い勢いで荷物をまとめて家を飛び出した。 青森が一つ間違っていた事は、こと色恋事に関することで乙女の辞書に諦めるとか泣いて忘れるとかその手の言葉は存在しないのであった。 飛行機から降り立つと、熱い風が吹いて来る。 ここは北海島に位置する砂の国、キノウツン藩国。とある一件以来、青森が長らく根城としている国である。 空港を出ると、りんくは早速手がかりを得るためにあちこちの人に聞き込みを始めた。 「手がかりを知ってそうな人…だれか、青森さんを知りませんかー!?」 だが、流石に全く知らない土地である。手がかりも無いまま時間だけが過ぎていった。 じりじりと太陽の熱が体力を奪っていく。森に囲まれた世界忍者国との気候の差に苦しむりんく。 とりあえず目に入った木陰で荷物を降ろすと、携帯を取り出す。おそらく小笠原に出かけていなければいるであろう知り合いの番号へとかけた。 十分ほどすると、ひょこひょこと曲がり角から一人の男が手を振りながらやってきた。 「こんにちはー」 「こんにちは、お久しぶりです。突然ですか青森さんをしりませんか、高原さん」 「青森をついに持って帰りにきたんですかw」 ド迫力のりんくに早く持って帰ってくださいよ、うちが暑苦しくていけません、とへらへらと笑い返す高原。中の人が言うのもなんだがこれでいいのかこの男。 「まあ、ある意味そんなところです。というか、もう首輪をつけて連れ戻しに行くくらいの感じです」 りんくの言葉に、首輪をつけた青森を連れて散歩している姿を想像する高原。 鎖と首輪らしきものが荷物からはみ出ているところを見ると、それほど間違った想像ではないようだった。 「青森なら、市街地です。なんなら案内しますよ」 「でも、いなくなっちゃったんです。置手紙を残して…! それで、手がかりを探しに来たのですが、何か知りませんか?」 「え?いや、それは本当ですか」 うちの嫁じゃあるまいし、と呟く高原。何か似たような経験があるらしい。 「本当です…。ほら、こんな手紙が」 りんくが取り出した手紙を読みながら、高原は何か考え込んでいる。 「というか、居場所に心当たりがあるならぜひ案内してください…!」 「あ、はい。余計なのが乗ってますけど、どうぞ」 りんくの言葉に我に返ると、高原は元来た曲がり角へと戻っていく。 「よ、余計なの? あ、えと、お願いします」 慌てて荷物を背負うと、りんくも曲がり角を曲がる。 一台のオープンカーが止まっていた。目にも鮮やかな赤一色で塗られている。 「なーにが余計なんだか」 助手席に座っていた女性が、片肘をドアについて呟く。 りんくは目の前の人物の名前を思い出そうとする。そう、確かアララ・クランとかいう人である。 でも確か普段はながみ藩国にいるのでこの国にはいないはずではなかっただろうか。あと、髪の色も違った気がする。 そこまで考えて、はっ、と慌てて挨拶をした。 「え! あ、初めまして…。扇りんくです。ちょっとお邪魔します」 りんくはわたわたと後部座席に腰と荷物を降ろす。 「気にしないで」 ひらひらとアララは手を振る。その間に高原はシートベルトを締めると、車のエンジンに火を入れた。 「お二人とも、ありがとうございます」 「すぐですよ」 がっこんとシフトレバーを入れると、車のタイヤが高速回転する。 それから到着までの事を、りんくはよく覚えていない。必死に車体にしがみついていたからである。 「って、本当にはやい…! きゃー」とか叫んだ気がしたが、よく覚えていない。 やっぱアメショーとは同じようにはいかないなあとか聞こえた気もしたが覚えていないのだ。 砂の舞う道をドリフトで流したまま通過すると、そのまま盛大にスピンして車は一件の家の前に止まった。 「急いでるわね」 「急がんでか」 猛スピードで駆け抜けたのにも関わらず、普通に会話をする二人。 「あ、ありがとうございます。えっと、それで青森さんはこのあたりに?」 「ここがやつの家です。一人暮らしがいいと買いやがりまして」 高原が目の前の砂を固めて作ったような家を指差す。酷く簡素な家だ。 「青森さんの家…! 勝手に入ってもいいですか?」 「もちろん」 鍵はこいつです、とダッシュボードから取り出してりんくに渡す高原。どうでもいいが何故鍵を所有しているのだろう。 「ご協力感謝です! では、お邪魔します」 急にしゃきっとりんくは立ち上がると、家へと歩いていった。 鍵を開けて家の中へと足を踏み入れる。心臓の鼓動が、少し早くなる。 家の中にはわずかな家具以外、何も残されていない。 「なにか、何かない…!? これは…」 りんくの目にしなびた花束が止まる。テーブルの上に置かれた白い花束。 花束を手に取ってみる。かさり、としおれた葉が擦れて音を立てた。 花束の下には、指輪が一つ置かれていた。りんくの指にあるものと同じ、2つしかない指輪の一つ。 約束は約束だ、と言って最期に会った時にくれた思い出の品。 あの時の表情が一つ一つ、一緒に浮かんでくる。 「……ばか」 そのままりんくは少し泣いた。涙を流さないと、何だかここでくじけてしまいそうだったから。 やがて指輪を手にしてポケットにしまうと、りんくはぐい、と涙を拭いて家を出た。 「高原さん、すみませんが他に行きそうな場所、心当たりとかありませんか?」 ああ早かったですね、と言いかけた高原はりんくの言葉にアララと顔を見合わせる。 「えーと。いや、貴方の家くらいしか…。だいたいなんで、変じゃないですか。何があったんですか」 「私の家…なるほど。それがわかるなら、こんな苦労してません…」 「あ……すみません」 ええと、どうすれば、とあわあわする高原を尻目にりんくは何事かぶつぶつ呟いている。 「どうせ、幸せなのが怖くなったとかに決まってる…! 男の人はこれだから…!」 徐々にエキサイトしてきたりんくを見て、アララが呟く。 「相手に飽きたとか」 りんく、なるだけ考えないようにしていた答えを言われて一気にしゅんとなる。 「アララ……」 「って、アララさん。それはちょっと凹みます…」 「じゃ、貴方に致命的欠陥あったとか」 「う……そ、そんなことないと信じたいですけど(涙目)」 二人のお前この空気でそれはあかんやろという視線をものともせず、淡々と語るアララ。 「アララ、ダメです。追い討ちかけたら」 「あら、同性としては冷静な判断だけど」 くすくすと笑うアララ。 「とにかく、そのあたりの事情もひっくるめて、本人に問いただしにいきたいんです。力を貸してくれませんか?」 「もちろんです。アララ、さんがどうあれ、手伝います」 手伝ってるつもりだけど、と言っているアララをとりあえず置いておいて高原がどんと胸を叩いた。 「ありがとうございます。お二人とも!」 りんくは頭を下げると、大急ぎで私を送ってくださいと頼んだ。 本当に大急ぎで本州までぶっ飛ばされたのでやっぱりその間の記憶はよくわからなくなった。 「ただいまー!!」 到着もそこそこに世界忍者国の自宅へと飛び込むりんく。 自分が荷物を纏めて出て行ったときのままで、何も変わっていない。 特に誰かが寄った気配も無く、手紙などもなかった。 「ここじゃ、ないの…? あと、あの人が行きそうなところ…」 ぷるぷると握った拳を震わせると、窓を開けて思い切り息を吸い込む。 「青森さーん!!!! どこいったのーーーー!!」 ビリビリと周囲の空気を振るわせるりんくの叫び。そんな魂の叫びを車に乗りながら高原とアララは聞いている。 「アララ、なにかありませんか」 「戦争屋でしょ?戦争よ」 「今は休戦期です」 そんな掛け合いをしていると、家の中からりんくが出てくる。叫んだせいか酷く憔悴していた。 「ぜー。ぜー。アララさん、お願いです。青森さんが行きそうな戦場を教えてください。というか、今戦場になってそうなところを」 そんなもの(休戦期)誰が決めたの、とぶつぶつ言いつつアララは少し考えて横に首を振った。 「パーフェクトワールドとかではないでしょうし…そもそも、そんなところには行けませんし…」 りんくはうーんうーんと頭を抱えて目をぐるぐるさせている。 「私のほうでも、国通じて調べてみます。あの、なんというか、元気出してください」 「すみません。お願いします」 疲れきった表情でりんくはありがとうございます、と付け加えた。 りんくの家に高原とアララが再び訪ねてきたのはそれから数日後の話である。 調査は続行しているが、全く情報がないという答えだった。 流石に凄腕の元イリーガルである。足取りどころか目撃情報すら手に入らない。 沈痛な表情のりんくは、携帯を取り出すと世界忍者国の国民が誰しも『最後の頼り』とする人物へ電話をかけた。 第6世界群の一つ、通称式神世界と呼ばれる世界。 東京市にある玖珂家ではじりりりりん、じりりりりんと黒電話が鳴っている。 はいはいといいながら台所から誰かが走ってきて受話器を取った。 「はい、玖珂でございます」 この女性は玖珂ミチコ-元(?)セプテントリオンにして橙のオーマ。更に元世界の秩序と未来の神様の母親という玖珂家最強の人である。 受話器の向こうから物凄く早口であわあわとまくし立てる少女の声が響く。素早く受話器を耳元から放すと、ミチコは相手が落ち着くのを待って話しかけた。 「どうしたの?」 「青森さんがいなくなっちゃったんです。捕まえたいんですが、どうすればいいですか?」 家にはいなかったんです。白い花束と、指輪が一個だけ。とその後ろに付け足す。 『……そうね。彼は家を買ってたようだけど。今確認したわ、キャンセルされている』 どうやって、と聞いてはいけない。ミチコにはそれが出来るのである。 「そうなんです。現在地すらわからなくて……」 「小笠原でなにか起きたと考えたほうがよさそうね」 貴方に会いたくない、かしら、と少し言いづらそうに答えるミチコ。りんくの背中がますます小さくなる。 「……うう。でも、私は会いたいんです。会う方法はありませんか?」 『会ってどうするの?……原因が貴方なら、冷たいようだけど、会っても何の解決にもならない』 「……原因が私でも。それでも、会って事情を聞かなきゃ納得なんてできません。ましてや、何が原因かすらわからないんです」 携帯を持つ手に力が入る。みしみしと軋む音が受話器にも聞こえており、ミチコはため息をついた。 『……おちついて。何も、思いつくことはない?手がかりは?』 「お、落ち着けません…えと、原因…かもしれないのは、『引退する』とか言ってたあたりのような気も…今手に入れた手がかりは、家にあった白い花束と、指輪しか。あと、手紙…」 『引退する……どう答えたの?』 ミチコの問いにええと、と言いながら海岸沿いでの出来事を頭の中で再生してみる。確かあれは指輪をつけてもらってきききキスをしてもらって抱きしめてもらった時だったはず。 「私、そんなに弱くないつもりですよ。青森さん、絶対子供が危ないのを見過ごせないじゃないですか。って答えました。」 「遠まわしな拒否に聞こえない?」 いつの間にか背後に回っていたアララが、少し前かがみになっていたりんくに体重を預けながら会話に割り込む。 自分が青森を拒否した、という今まで考えていなかった方向の意見に、りんくの表情は青ざめた。 「え…! そ、そんなこと少しも考えてなかったです…」 『微妙な線ね……他に何かなかった?妙によそよそしいとか』 「妙によそよそしい……夏も終わりだなとかは言ってましたけど…」 うーんうーんと考えるりんくの耳元でアララが囁く。 「Hを断ったとか」 「え!?」 時速100マイルを超える直球ど真ん中の発言にりんく、赤面どころか体温が急上昇する。 「貴方だけです。すみません、この人は愛情表現がえーと」 言葉に詰まってひとしきり謝った後、額に指当てて頭痛そうにちょっとこっちきなさいとアララの首根っこ掴んで外へ引きずっていく高原。 なによー相談に乗ってるだけじゃないのーといった発言がだんだんと遠ざかっていった。 その間にりんくはすーはーすーはーと深呼吸を繰り返して、落ち着きを取り戻していた。 「えーと…えーと…ちょっとだけ心当たりのようなものはあったりなかったり…(汗)」 ふうん、とりんくの言葉を受けて、ミチコは少し考え込んだようだった。 『夏も終わり……恋の終わりみたいな表現にも聞こえるわね』 「!!」 そんな、という形に口が動く。だがあまりのショックに言葉が出てこない。 『でもHなこと断ったくらいで別れ話になるかしら……難しいわね。相手はどんなティーンエイジャーかしら』 「……青森さんはいい年したおっさん(byソーニャさん)です……」 『だったら……そんなにせっぱつまってもいないとは思うけど……』 流石に一般常識をわきまえた主婦である。青少年のことを考えて直接的な表現を控えた発言であった。 それはそれとして電話から聞こえてくるミチコの声も、大分困っているようだ。 「じゃあ、どうして……」 もういろいろな世界を飛び回っている出張鳥の須田にでもすがるしかないのだろうか、そんな考えがりんくの頭を掠める。 『どうして……他にはなにか』 りんくの必死な思いを感じて、何とかしてりんくの話から手がかりを得ようとするミチコ。 「愛情表現がわかりづらいとか、悩み相談で好きな人と一緒にいられないとか言った事は関係なさそうだし…」 あと気になるのはやっぱり引退の話のときに出た、『家族が人質にされたらそれで終わりの軍人では役に立たないんだよ』くらいです…と少し涙目になりながら話すりんく。 『その線もあるか。でも、それなら、引退の話はふらないか……他には、ない?本当に?』 「他…えーとえーと…初っ端に、神様に悪い気がするとか言ってましたけど。だからどうしたとも言ってたし…指輪くれたときも普通だったし…散々子供だとは言われましたが…」 『……子供だとなにか問題が?』 子供、という単語にミチコが反応する。 「って、子供でもいいとは言ってくれてたはず、です。たぶん」 たぶん、か、と呟いてから数秒経って、ミチコは一つの仮説を口にした。 『相手が子供過ぎて、愛情でないことに気付いた。とか』 「……!!……あう………」 違う、きっと違う。そう頭の中では思っているのに、言葉が、出ない。 またしても、沈黙が支配した。 『結論は出たみたいね』 さて、どう慰めればいいかしらと考えをめぐらせるミチコにこの日何度目かの衝撃的な発言がぶつけられた。 「み、ミチコさん。私を大人にしてください……!できるだけ今すぐに……」 ミチコ、危うく受話器を落としてすっ転びそうになる。 何とか態勢を保つと、再び受話器に向かった。 『……え、どうやって(汗)』 「どうにかして」 目が据わっている。りんくが見えないはずなのにミチコはそう感じた。 声だけでそれを察せるのだから、相当なものである。 『どうにかって、時が解決する問題をどうやって』 「なんかないですか!方法とか怪しい薬とか!なんでもいいですから!!」 時間が解決じゃ遅いんです…!とりんくが叫ぶ。あまりにも痛々しい叫びに、しかし逆に冷静になるミチコ。 『外見や体つきはどうにでも出来るわ。でも、それが本当の問題かしら』 「中身が大人になる方法…!」 『ないわ。そんなものは、どこにもない』 「……うう。青森さんのばか。それなら、面と向かって普通にそう言ってくれればいいじゃない。手紙だけ残していくのなんて、卑怯だ…」 『会えば、気が変わるとおもったのかも知れない』 「やっぱりずるい。そんなの。会いに、いってやる。絶対、会いにいってやるんだから…」 床に座り込んで、涙を流しながらそう言い放つりんく。この瞬間、彼女の決意は新たに塗り替えられたのかもしれない。 『一応、調べるだけ調べておいてあげる。彼の居場所を』 来週にでも連絡するわ、とミチコは約束した。 「ありがとうございます、ミチコさん。よろしくお願いします」 『OK』 ガチャン、という音と共に通話が途絶える。 りんくは顔に残っていた涙を腕で拭くと、再び荷物を纏め始めた。 人に頼っているだけじゃいけない。自分で探し出して、自分で文句を言わなきゃ。 「全く、恋する乙女は大変ね」 受話器を戻すと、ミチコはそう言って少し微笑み、手早くエプロンを外して茶の間にいるであろう養父に少し出かけてきます、と声をかけた。 今回語れる物語はここまでである。この先の結末はまだ誰も知る事は無い。 機会があれば、また物語を語らせていただく事にして、今日はここまで。 扇りんくの大冒険 エピソード5~運命の逆襲~了 作品への一言コメント 感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です) 名前 コメント ご発注元:扇りんく@世界忍者国様 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=94;id=gaibu_ita 製作: 高原鋼一郎@キノウツン藩国 http //cgi.members.interq.or.jp/emerald/ugen/ssc-board38/c-board.cgi?cmd=one;no=280;id=UP_ita counter: - yesterday: -
https://w.atwiki.jp/zemynatoszinbutu/pages/40.html
677 名前:名無しさん@ゴーゴーゴーゴー![] 投稿日:2016/10/28(金) 01 14 52.26 ID M/Sl3RrV 【チーム名】 ままりり 【クラス】 ウォーロック 【所属ギルド】 猫びーる団 【SS/動画】 http //imgur.com/a/plfSJ 【罪状】 サルラスに防具全壊れ武器無しで来るガイジ
https://w.atwiki.jp/marowiki001/pages/1635.html
目次 【時事】ニュースりん うーさーのその日暮らし りん 藍蘭島 RSSりん うーさーのその日暮らし りん 藍蘭島 口コミりん うーさーのその日暮らし りん 藍蘭島 【参考】関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース りん うーさーのその日暮らし gnewプラグインエラー「りん うーさーのその日暮らし」は見つからないか、接続エラーです。 りん 藍蘭島 gnewプラグインエラー「りん 藍蘭島」は見つからないか、接続エラーです。 RSS りん うーさーのその日暮らし gnewプラグインエラー「りん うーさーのその日暮らし」は見つからないか、接続エラーです。 りん 藍蘭島 #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 口コミ りん うーさーのその日暮らし #bf りん 藍蘭島 #bf 【参考】 関連項目 項目名 関連度 備考 参考/うーさーのその日暮らし ★★★★ 登場作品 うーさー 参考/小澤みのり ★★★ キャスト 参考/れん ★★★★ 関連キャラ 参考/ながされて藍蘭島 ★★★★ 登場作品 藍蘭島 参考/白石涼子 ★★★ キャスト アニメ 参考/浅川悠 ★★★ ドラマCD 参考/りつ ★★★★ 関連キャラ 参考/りさ ★★★★ 参考/りり ★★★★ タグ キャラクター 最終更新日時 2013-05-22 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/tesu002/pages/5742.html
「さっき一口二口と食べたこのサフランライスは」 梓の願い虚しく、唯の口から震えた声が零れた。 黙れ。言うな。言うな。言うな。 梓は心の中で強く強く念じた。お願いだから言わないで下さい。それ以上続けないで下さい。 黙れっ。 「りっちゃんのおしっこで」 「違うっ。尿なんかじゃないっ」 唯の言葉を遮った金切声が、キッチンを劈いた。 救いを求める思いで、梓は声の主へと視線を向ける。 梓の視界を占めて屹立する澪が、頼もしい堅牢な城壁にも見えた。 「律は天使なんだよっ。天使が排泄なんかするかっ。 私達みたいな人間風情と一緒にするなっ」 「いや、だって、今現に……」 吠える澪に気圧された風を見せつつも、唯が事実で以て立ちはだかった。 そう、澪の言に縋るには、その事実が邪魔だった。 梓の脳裡にも刻み込まれている映像は、律が紛れもなく排泄した事を証している。 「あれは尿じゃない。りしっこ、って言うんだ」 梓は弾かれたように背筋を伸ばした。 特殊な性癖を持っておらず衛生観念も正常な梓にとって、尿を摂取したなど耐えられない事だ。 だが今、眼前には蜘蛛の糸が垂らされている。 そうだ、あれが尿でないならば──自分は性的にも衛生的にも狂った事はしていない── 梓の視界の端、律が恥ずかしそうに頬を染めて俯いている。 りしっこ、という言葉に羞恥を衝かれたらしい。 その可憐な姿を、焦点に捉える。 この可愛らしい生き物が、排泄などするだろうか。 また、尿があのような香りを放つだろうか。 そして、尿がこのような芳しい色合いと味を米に付すだろうか。 自問に否と返す梓の中で、澪の言うりしっこを肯んずる為の根拠が堆積されてゆく。 人は得てして、自分に取って都合のよい話を信じたがるものだ。 そして追い詰められた時ほど、その傾向は強くなる。 全ての進路が塞がれた人にとっては、 オプティミズムに縋る事が最早最良の選択肢となるのだから。 悪質なビジネスもカルト宗教も、そういった人の弱さに付け込んで成立しているのだ。 「何を狂った事を言っているの?馬鹿馬鹿しいわ。いい加減にして頂戴っ」 我を取り戻したと宣すような紬の金切声が、凍り付いていた一室を動かした。 唯が、憂が、立ち上がって口を開く。 「そうだよ。私達にそんなもの口にさせるなんて、澪ちゃんはどういう積もりなの?」 「こんな非道な真似、幾ら追い詰められての事とは言え、許せませんっ。 絶対に、許せませんっ」 違う。梓は胸中で呟いた。憂は気付いていないのだ。 澪へ向けて言ったに違いないその言葉が、本当は自分達に向けられている事に。 追い詰められている側は、自分達の方だ。 そして──その行為を許せるのか? その問いも、自分達に向いている。 梓の答えは、決まっていた。 「何怒ってるの、憂。唯先輩やムギ先輩も、落ち着いて下さいよ」 梓は落ち着き払って言い放つ。 呼び掛けられた彼女達の、剥かれた目が梓に向いた。 「梓ちゃん?怒るのは当たり前でしょう?それとも梓ちゃんは、許せるの? 私達、尿を含んだ米を食べさせられたんだよ?それを、許せるの?」 憂の口から零れた声を、怒気と戸惑いが震えさせていた。 「憂。私達、尿なんて口にしてないよ?澪先輩が言ってたじゃん。 あれは、りしっこだよ。尿じゃない。私達の排尿とは違う、高貴な液体だよ。 だから怒るんじゃなく、本来感謝するべきだよ」 自分に言い聞かせるように、否。 自分に信じ込ませる気迫を込めて、梓は言った。 「梓ちゃん?正気なの?あんな屁理屈。 んーん、ただの妄言に耳を傾ける余地なんて、あると思うの?」 憂の表情から戸惑いが消え、純粋な怒気が声とともに繰り出される。 「だから、妄言じゃないって。事実だよ。 あれはりしっこ。尿じゃない。だって──」 ──尿を摂した自分なんて許せないから 「そうしないと、私達、尿を口にした事になるんだよ? 憂はそれでいいの?ねぇ、憂、私達、尿なんて嚥下してないよね? 憂は私の事、尿を摂取した人間だなんて思わないよね? 私は憂の事、尿を摂取した人間だなんて思いたくないっ」 梓は話している内に感情が昂ぶり、最後には縋るように吠えていた。 対する憂の顔からは怒気が消え失せ、左右に揺れる瞳に純粋な戸惑いが表れている。 「それは……。梓ちゃんの言う通り、私達が尿を口にしたなんて、信じたくないけど。 認めたくないけど。でも」 ここまで来て、憂は未だ現実への未練を捨てきれないらしい。 歯痒い思いが梓の口を衝き、迸る声を甲高く尖らせる。 「私達だけじゃないよっ?憂のお姉ちゃんだって、尿を胃に収めた事になるんだよっ? いいの?大好きなお姉ちゃんが、そういうものを食べたって事にしちゃって、許容できるのっ? お願い、憂ぃ。私の事も、尿を飲んだなんて認めないでよ……」 憂の瞳が激しく左右に揺れた。 その一端は姉である唯に振れ、もう一端が梓に振れる。 数秒続いた視線の忙しい往復は、梓を焦点にして止まった。 見返した憂の顔は、小刻みに震えている。 その先端で痙攣する顎が、緩やかに落ちた。 ──堕ちた。 そう梓に確信させる動作だ。 「私、どうかしてたみたい。 梓ちゃんの言う通りだよね。 こんなに美味しくて、色合いも良くて、いい匂いのするものが、尿な訳ないものね。 うん、りしっこだよ、これは」 自分の事だけなら強硬な態度を取れても、姉や友人を巻き込まれれば軟化せざるを得まい。 憂が周囲を優先して考える性格だという事は、今までの付き合いで梓も分かり切っている。 尤も、憂の性格に付け込んで意見を翻させた自分に対して、梓は些かの気後れも感じていなかった。 或いは、気付いていない風を通していた。 これがりしっこだとする自分の信念に、微かの迷いさえ生じさせたくはない。 「憂っ?憂まで何言ってるの?」 正気を疑うような、と形容すべき表情なら、梓も今までの人生で幾度か見てきている。 だが、それを唯が浮かべる事も、それが憂に向けられる事も、梓は初めて見た。 「梓ちゃんの話、聞いてたよね?」 唯を見る憂の目は、縋るように震えていた。姉に甘える妹そのままに。 「うん。私を思い遣ってるのは分かるよ。 でも、澪ちゃんのした事は許せな」 「それだけじゃないの、お姉ちゃんっ」 唯の言葉を遮って、憂の声が割り込んだ。 言葉に変わって訝しげな視線を向けてきた唯に、憂が悲壮な表情で言い募る。 文節の区切りを強調する為の長い間が置かれた、明瞭かつ力強い語調で。 「私、お姉ちゃんが、尿を飲むなんて、認められないよ? でも、それ以上に、私が尿を飲むような妹だなんて、お姉ちゃんに思われたくないの」 唯が目を瞠り、短く息を吸った。空気を切るような吸音が、梓の鼓膜を衝く。 それはもしかしたら、自分の呼吸音かもしれなかった。 梓も唯同様、意表を突かれていたのだから。 梓は憂が、姉のイメージを崩したくないが為に、りしっこを受け入れたものだと思っていた。 だが憂の本音は、姉からのイメージを崩したくないという点にあったのだ。 梓の言説は、その連想に至る誘因として機能したに過ぎないらしい。 そしてこの意図していなかった顛末から、期待を越える効果が紡ぎ出されようとしている。 ──連想から、連鎖へと。 唯の愕然とした表情が、梓にそう教えてくれていた。 「お姉ちゃん、お願い。私の事、汚らしい妹だなんて思わないで。お願い」 呟く憂が震える。受けた唯も震えた。 ただ、振れる方向が姉妹で異なっている。 憂は顔が横に痙攣し、一方の唯の頭は縦に慄いていた。 その違いが、徐々に隔たりを露わにしてゆく。 唯の動作が、大きくなっていったからだ。 それが首肯に至ったと、梓が認識した時。 唯が口を開いた。 「汚いだなんて、思わないよ。だって、憂は汚いものなんて、何も口にしてないんだから。 だって」 妹に語りかける唯の声音は優しかった。 言葉が途切れても、その余韻が梓の耳に残っている。 そして今、覚悟を込めるかの如く、唯が深く息を吸い込んだ。 優しい姉を貫き通すと、意を決したのだろう。 「あれは、りしっこ、だもんね」 「お姉ちゃんっ」 短く叫んだ憂の身体が、背を拉がれたように前方へと傾く。 唯の──姉の胸へと。 「よしよし」 唯は抱き付いてくる憂を受け止めて、その胸に凭れる妹の頭を撫でた。 陥落した姉妹が抱き合い慰め合う様を、梓は瞳に強く強く焼き付ける。 これで良かったのだと、自分に言い聞かせる為に。 或いは、犯した罪悪の重みを自覚する為に。 これで良しとするはずなのに──。 抱き合う姉妹の姿を否定するかのような、強く食卓を叩く音が響いた。 「くっだらないわっ。いい加減にして頂戴っ」 紬が両手を食卓に打ち付けた勢いそのままに立ち上がり、顔を伏せて喧しく吠えた。 打たれた衝撃で卓上の食器が揺れ、素材の硝子が金切声を上げて鳴く。 紬の叫喚の残響であるかのように、それは室内に甲高い耳障りな音となって響いていた。 「りっ、りぃーっ」 紬の剣幕に驚いたのか、律が涙声を靡かせて澪の胸に飛び込んだ。 それを片腕で抱き止めた澪が、空いている手で律の頭頂を優しく撫でる。 「よしよし。こら、ムギ。いきなり怒鳴るなよ。 律が怯えちゃってるじゃないか」 律の頭に手を添えたまま、澪が険しい眼差しで紬を責めた。 伏せっていた紬の顔が上がり、瞋恚の睥睨が澪を迎え撃つ。 衝突して火花の散る視線を、双方とも逸らそうとはしない。 一歩も、退こうとしていない。 「貴方にも怯えて欲しいくらいよ。何よ、平然と構えちゃって。 りしっこだなんて、ちゃんちゃらおかしいわ。 こんな物を食べさせて、どう始末を付ける積もりなのっ?」 視線を衝突させたまま、紬が澪に噛み付いた。 「こんなものとは何だよ。律の可愛らしい好意を踏み躙る気か? それに私達は、責められるような事なんてしていないぞ。 サフランライスに似たものを、安価に振る舞うって約束を果たしただけじゃないか。 第一、お前だって、それを楽しみにしてた一人なんだからな」 「どうせ、大口叩いたら引くに引けなくなっていったってだけでしょ? できもしない約束なんかして、追い詰められたからって自棄を起こして、こんな暴挙に出たんでしょ? 始めから謝れば良かったのよっ。それで恥を甘受すればよかったのよっ。 こんなもの食べさせて、尿なんて食べさせてっ、 もうっ、謝ったって済まない事態になっちゃってるのよっ?」 発言が進むにつれて、紬の声に露わな感情が乗っていった。 自分の吐いた言葉が、彼女自身の感情を昂ぶらせているかの如き有様だ。 そして最後には、自棄を起こしたかのような叫喚へと至っている。 「いや、私はできもしない約束なんてしていない。自棄になってもいない。 繰り返すけど、私達は約束を果たしたんだ。 実際、味も匂いも似ていただろ?」 問い掛ける澪の声音は、一転して冷たい。 気圧されたのか、対する紬の視線が逸れた。 そうなのだ。実際に、この黄色い米飯は、昨日食べたサフランライスに似ている。 多少の違いはあるが、その差異も澪の言に加勢する役を果たしていた。 サフランそのものを使った、という推量を否めるからだ。 「似ていただろ?」 黙りこくった紬へと、澪が容赦なく問いを繰り返す。 「……っ。だからって、こんなものを食べさせる必要ないじゃないっ」 澪の質問が弾となって、紬を撃ち抜いたのだろうか。 そう思えるくらい、紬の口から迸った声は悲鳴に似ていた。 その甲高い叫喚に、もう一つ甲高い音が交じっている。 「りぃーっ」 律が悲しげな鳴き声を上げた。 紬が自分に給されていた皿を引っ繰り返したのだ。 その行為こそが、もう一つの甲高い音の正体だった。 「お前っ、何て事するんだっ。 律が折角、りしっこを提供してくれたのに」 抗議の声を上げる澪に、紬の血走った眼が向く。 吐く息も荒く、発作の余韻を表していた。 皿を引っ繰り返すと言う乱暴な行為が、紬自身を攻撃的な姿勢へと駆り立てているらしい。 怒りが攻撃的な言行に繋がり、その攻撃的な言行が更に怒りを煽る。 梓の目にも明らかな程、紬は典型的なヒステリーのスパイラルに陥っていた。 その螺旋階段の行き着く先は、孤立でしかない。 「ムギちゃん、みっともないよ」 唯の声が割って入ると、紬の血眼はそちらへと矛先を転じた。 口を開くまでもなく、裏切り者、という絶叫が決した眦から発せられている。 対する唯に、怯んだ様子は見られない。 「これがおしっこなんかじゃないって事、分かるでしょ? おしっこがこんなにいい匂いする訳ないんだから。 これだけ証拠を揃えられているのに、自論に固執しちゃうなんて、 滑稽も暗愚も通り越して見苦しいよ」 「何よっ。唯ちゃん、いえ、貴方だって、怒っていたじゃないっ。 尿なんて食べさせられて、怒り心頭だったじゃないのっ」 紬は普段通りに唯を呼称してから、他人行儀な三人称へと言い換えていた。 換言の際に慌てた様子はなく、始めから訂正するつもりだったのだろう。 紬の穏やかではない心中を、梓は敏く感じ取る。 「誤解してたからね。でも私はいつまでも、妄執したりしないんだ。 それとも何?ムギちゃんは、私の憂がおしっこを口にしたなんて言う積もりなの? 幾らムギちゃんでも、私の憂を穢すような事は許さないよ。 絶対に、許さないよ」 声に力を込め、双眸毅然と唯が言い切った。 妹を抱く腕にも力が籠もり、憂を囲む両腕の輪も狭まっている。 気圧された紬とは対照的に、憂は潤んだ瞳で姉を見上げていた。 その瞳が紬に向かった時には、もう潤んでなどいない。 怨敵を見据える、決然とした眼差しに転じていた。 「お姉ちゃんの言う通りだよ。 私達の事、紬さんの意地で穢したりしないで下さいっ。 律さんにも謝って下さい」 姉の心持ちに心を打たれたに違いない。 元はと言えば、憂が懇願したからこそ唯はりしっこを援用したのだ。 憂は唯に同調の声を上げる責任があった。 「な、何を言っているのよ? 貴方を、いえ、私達を穢したのは、あの二人なのよ?」 紬の人差し指が律と澪へと向けられる。 声同様に震えた、弱々しい手付きだった。 「おい。今度は私の律を貶す積もりか? 排尿なんてすると、まだ言い張って律を貶めるのか? 私だって唯と同じだ。 いくらムギが相手でも、私の律を悪し様に扱うなら、絶対に許さない」 澪が怒気露わに凄んだ。 獰猛な肉食獣でさえ、逃げ出しかねない容貌だ。 それが今、紬へと向いている。 「りー、りー」 律も澪へと、鳴き声で以って与していた。 澪の両腕の中、頻りと拳を振りながら繰り返し発声している。 梓の瞳には、唯に抱かれ守られる憂の姿と重なって映った。 ならば、孤立し傷付いた紬を、誰が抱いてあげるのだろう。 そして自分は──と、梓は胸の中で自問した。 「もういいっ」 紬が甲高い声を上げながら、激しく頭を振った。 全てを投げ捨てるような、激しい動作だった。 異邦人に囲まれてコミュニケーションを放棄する、理解されない人間の姿だ。 そして、自分こそが正気だと信じてやまない狂人の姿そのものだ。 「帰るわっ。好きにして頂戴っ」 紬は叫びざまに食卓へと背を向けた。 勢いで椅子が弾き倒されて、太い音を短く響かせる。 紬は気にする様子もなく、言葉通りにキッチンの出口を目指していた。 歩く度、聳えた双肩が揺れる。 梓の目にはその乱暴な足取りが、部活そのものから去る紬の姿と重なって映った。 間違いなく、紬はこのまま退部するつもりだろう。 だが──梓にそれを見過ごす積もりなどなかった。 紬の背に抱き付いて足を留め、叫ぶ。 「待って下さいっ」 そうする義務があると、確信していた。 梓の胸の中で、その答えが出ていたのだから。 澪が律を抱いているように、唯が憂を抱いているように。 梓も、紬を両の腕に収めた。 「何よ。貴方だって、りしっこを信じているんでしょう? 私の事、見苦しいって思っているんでしょう?」 体格で梓に勝るはずの紬は、抱擁を振り解こうとはしなかった。 だが、言葉にも声調にも、彼女の自棄になった心持ちが表れている。 手酷く糾弾された人間は、周囲全てが敵に見えてくるものだ。 それが自分を更に追い詰める事になると理解していても、 孤独が産む妄執は容易には消えてくれない。 だから梓は、優しい声音で囁いた。 自暴自棄となった人間に、否定で突き放していては拗れる一方だ。 相手の言と尊厳を肯定しつつ、自分達の側へと流していかなければならない。 「いえ、見苦しいだなんて、思っていません。 確かに、りしっこを認めてはいます。 でも、それは、ムギ先輩の為なんですよ?」 「何を言ってるの?何処が私の為だって言うのよ」 紬の口調には相変わらず険があるものの、語勢は落ち着きを取り戻してきていた。 紬を慮ってやった事が、功を奏したのだろう。 梓は紬を離すと、こちらへと身体を向かせた。 対面して、目と目を合わせて話す必要がある事だ。 態度の軟化している紬は、抵抗せずに従ってくれた。 「だって、ムギ先輩の振る舞ってくれたサフランが、尿と同等の訳がないですから。 いえ、物自体はどうでもいいんです。 私は、ムギ先輩の好意が、おしっこと同等だなんて耐えられないんですっ」 訴えかけるように、梓は語尾に掛ける勢いを強めた。 併せて尿を俗語で表現した事にも、醸した幼稚さで不釣り合いを示す意図がある。 自失の体で立ち尽くす紬から、怒髪の威勢はもう見えない。 声や怒りに留まらず、生気さえも失くしたかのような姿だった。 梓は澪や唯達に聞こえないよう、耳元で声を潜めて畳み掛ける。 「それは憂や唯先輩だって、同じ思いのはずです。 そういう配慮だって、りしっこを認めた背景にはあるはずです。 なのに、この事態の原因となる食事を振る舞った当のムギ先輩が、 その配慮を汲んでくれないから、あんなに怒ってるんです。 お願いです、ムギ先輩。私達の配慮を汲んで下さい。 ムギ先輩が振る舞ってくれた好意に、報いたいんです」 紬の顔色は蒼白だった。 無理もない。この事態の全ての責任が、彼女の心に圧し掛かって拉いでいるのだろうから。 梓がそう突き付けたのだ。 貴方の為なのに貴方の所為なのに、自分だけ被害者を気取って好き勝手に怒るのか、と。 「ごめんなさい」 消え入りそうな声が紬の青白い唇から漏れ出て、血の気の失せた頬を涙が伝った。 見ていられず、梓は再び紬の身体を抱き締めた。 「ごめんなさいっ」 耳元を、紬の悲鳴が劈く。 顔を見ずとも、紬が泣いている事は嗄れた声で分かった。 そして今度は澪達にも、紬の声は間違いなく届いたはずだ。 間近で聞いた梓の耳道が、痺れと共にそう教えている。 「りっちゃん、ごめんね。私、どうかしてた。 折角作ってくれたのに、引っ繰り返したりしちゃって。 美味しいのにね、いい匂いなのにね。 りしっこ、だもの。汚いはずがないものね。 その事も、ごめんなさい。りっちゃんが、尿を出すだなんて、言い張って、 りっちゃんを穢してしまって、本当に、本当に、ごめんなさい」 紬の絞り出す涙声が、未だ痺れている梓の耳に入ってくる。 尤も、痺れの原因は、音量のせいだけではないかもしれない。 目論見通りだが、梓の胸は重かった。 実際には、この勝負を受けた者は他ならぬ自分である。 にも関わらず、梓は紬の好意をこの事態の原因として論い、彼女へと帰責させたのだ。 紬から譲歩を引き出すという目的は達したものの、 何らの引け目も残さぬような過程は辿っていない。 梓はその重みから逃れようと、必要な犠牲だったと心に言い聞かせた。 惨烈な犠牲を強いる為政者が、大義を掲げて正当化するように。 加えて──自分にも責任があるからこそ、けいおん部の崩壊を手段問わずに阻止しなければならない。 それこそが責任の取り方だとする論理も、梓は紬を拉いだ手立てへの擁護とした。 反面、紬がりしっこを認めさえすれば、澪や唯達も矛を収めるだろうとの確信があった。 その蓋然性を前提せずに、大切な仲間である紬に非道な駆け引きなど仕掛けはしない。 「なぁ、どうする?確かにムギは酷い事したけど、反省してるみたいだし。 お前が許すなら、私だって許してあげたいよ。 余人ならともかく、仲間なんだし」 事実、律に語り掛ける澪の言葉からは、紬を許すよう促す含みが読み取れた。 梓が紬を翻意させた手段に言及する様子もない。 澪達とて、紬の退部までは望んでいないのだ。 HTTを存続させていきたい思いだけは、 メンバー全員が他念のない本心から共有していると断言できる。 そして澪が主張を通しつつ部の存続も望むならば、妥協できる機は今しかない。 ここで過程にまで難癖を付けて、千載一遇の好機を逃したくはないだろう。 「りー」 梓が算段した通り、律は澪の言葉に素直な反応を見せた。 上下に動く頭部も、紬への免罪を示している。 「当の律先輩が許すって言ってるんだもん。 私達が怒る理由なんてないよね?」 律の意思表示を待っていた梓は、首を唯と憂へと振り向けて言った。 問いの形を取って、紬の赦免と場の和解を共有する確認の作業に過ぎない。 憂の衛生観念を守るという妥協点が満たされた今、姉妹が怒る理由はないのだから。 「ムギちゃんも過ちを認めてるし、いいよね?憂」 「うん、まあ。私だって、ちょっと言い過ぎたかなって、思ってるし」 姉に促され、憂は歯切れの悪い声で頷いた。 思い返せば昨日、憂も梓と共に澪へ向けて挑戦的な態度を取っている。 紬を裏切ったように思えて、梓と同じく罪悪感を抱いているのかもしれない。 昨日は中立を貫いていた唯の方が、割り切りは良いようだった。 罵った相手が紬だろうと澪だろうと、唯に負い目を抱く理由など見当たらない。 彼女は巻き込まれて、割りを食った形なのだから。 甘い物を奢ってやる程度では、贖いきれないだろう。 思わず漏れそうになった苦笑を、梓は堪えた。 自分が信ずべき前提から考えれば、そもそも被害など誰にも出ていない。 唯が割りを食ったなどと、考えてはならない。 あれは”りしっこ”なのだから。 「さ、一件落着した事ですし。続きを頂きましょう。 お替わりだって、あるんですからね」 気を取り直した梓は、紬の抱擁を解いて卓へと導いた。 戻る紬の足音は弱く、双肩が力なく垂れている。 「あ、じゃあ、ムギのは粧い直さないとな。 今度は食べてくれる、よな?」 確認するように、澪が問う。 紬は満身創痍の体ながら、頭を縦に振った。 「ええ。でも、粧い直す必要はないわ。 勿体ないし、私の責任だもの。これ、頂くわね」 紬は自席の卓上へと撒いた米飯を指差しながら言った。 彼女なりの誠意なのだろう。 汲んだ梓は、止める事なく自席に着いた。 「いいのか?」 代わって、澪が問うた。 そこまでしなくても、という言外の思いがあるのかもしれない。 「ええ」 紬は前言を翻す事なく短く答えると、引っ繰り返っていた皿を除けた。 そうして全てが露わになった米飯の前、紬の身体が椅子へと落ち着く。 「そうか。じゃあ、改めて。頂きます」 「りーっ」 澪が宣して、律が続いた。 梓達も、倣って声を揃える。 「頂きます」 芳しい香りと高貴な味を噛み締めながら、梓は紬を盗み見た。 紬は机に突っ伏して、スプーンを使わずに口で直接食べている。 彼女の瞳の端に、梓は涙の粒を認めた。 そして向かいには、律と澪が座している。 泣きながら頭を垂らす紬の姿勢は、その二人に対して屈服と恭順を乞うているようだった。 澪は律と微笑みを交わし合っていた。 紬を嘲っているようには見えない。 単に、律の成分が高価な香辛料に勝ると認められて、嬉しいのだろう。 梓は米飯を頬張る口元に、律と澪に倣って笑みを浮かべた。 この価値を信仰すると決めた以上、梓はもう蒙昧だった頃の自分ではないのだから。 こちら側の、人間だ。 <FIN> 戻る
https://w.atwiki.jp/shinkiss_matome/pages/2805.html
ゆりりね! 少女と神姫。 どこにでもいる、仲の良い二人組。 マスターの少女は神姫が大好きで。 神姫はマスターの少女が大好きで。 けれど……二人には、誰にも言えない秘密があったのです。 ※基本的に女の子と神姫がイチャコラどころかエロエロな事するだけのお話です。過度な期待はしないでください。 ※本編は全編18禁です。18才未満の神姫マスターさんは、18才になってから読んで下さい。 書いた人:新井しーな その1 りり! その2 ゆりり! その3 りりね! その4 ゅりりね! その5 ゆりりね!(完結) 今日 - 昨日 - 合計 - 名前 コメント すべてのコメントを見る ありがとうございます。ブレないというかコンセプトがそれしかなかったのでブレようがありませんでした。でもお仕事の合間にこんなもの読んじゃらめぇ!w -- (あらい) 2013-03-29 18 42 40 完結おめでとうございますヽ(^0^)ノ休憩時間に読むものじゃ無いですね〜おっきしちゃった(核爆)百合ブレないその姿勢には敬服致します(只の変態ですが)面白かったです、ありがとうございましたm(_ _)m -- (ナナシ) 2013-03-26 03 16 31 ありがとうございます。こちらはもう全部出来ているので、ぼちぼちと投下していきたいと思います。 -- (あらい) 2013-02-08 17 21 21 新シリーズ・・・ありがとう御座いますm(_ _)m良い百合加減が素敵ですねぇ〜、此方も楽しませて頂きます -- (ナナシ) 2013-02-07 07 41 57
https://w.atwiki.jp/ivdd/pages/1392.html
西島りりか 出演 画像・動画検索 Google/Yahoo!/Bing/NAVER/Baidu/YouTube 西島りりか「ダ・ダーン!」 監督 加藤謙司 メーカー タオ 発売日 2005/10/21 通販 Amazon.co.jp DMM
https://w.atwiki.jp/elphinta/pages/159.html
りりーか/ティチ/むささびの森 精霊の森2にてサンライズマクロ(人のいない時間・昼間または深夜)
https://w.atwiki.jp/himacom/pages/24.html
えり ヽ(^^)22才 -- 名無しさん (2014-02-07 10 08 28) 丶(^^)44才 -- 名無しさん (2014-04-03 23 31 22) 暇つぶ以外でも現れるけど、暇つぶで長文よく書いててワロタw -- 名無しさん (2014-09-10 11 33 24) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/telestea/pages/218.html
625 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2016/02/11(木) 11 37 05.40 ID Hm4BHYqP まりりーぬが善人なのは別人だからです 初代持ち主が過去に行った行為は旧クロティアの人達は知ってるんだよ 桜咲t○○がまりりーぬアカウント購入したのは ニコ生放送で自ら友達から買ったと言ってたからな4000円 桜咲はイサック2体目でメインイサックはデリンセヒルマクロ放置で GM呼ばれてBAN 現在のまりりーぬ使用者は汚キャラを購入した 626 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2016/02/11(木) 11 46 41.72 ID Hm4BHYqP クロティア時代まりりーぬが所属してたクラブは夜明けバグや 迷惑行為してたクラブ 要塞も参加 クラブが解散したのは当時マスターだった人が仕事が多忙になり引退 マスターはニコ生で夜明けバグをして最後はSEEDをばらまいて引退 当時有名所のアタック しのけん?は一時アカウント停止 アタックは露天看板に求 WMと書きGM呼ばれてBAN アタック、しのけん〔生主〕はロゼへ逃亡 627 :名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!:2016/02/11(木) 12 30 39.72 ID s26cVlFh まりりーぬ=eropage
https://w.atwiki.jp/vocalyric/pages/131.html
れるりり MUGIC 脳漿炸裂ガール