約 106,092 件
https://w.atwiki.jp/runner7novel/pages/63.html
「もうこんな時間か」 俺は思わず時計を見る。時計の針は「7時」を指していた。 あの試合が終わって、2回目の夜が過ぎ、現在9月28日。一睡も出来ない。 ここまで俺の心は弱いとは思わなかった。 「英雄! いい加減学校行きなさい!」 下の階から、母親の怒号が聞こえる。 確かにそろそろ行かなければ…。重たい体を起こし制服へと着替える。 久しぶりに感じる日の光。今までカーテンを閉め切った部屋に居たからだろう。久しぶりに光を浴びた気分になる。 重たい体を強引に学校へと向ける。 学校に到着し、クラスへと向かう。 俺の顔を見ていく生徒。なんだ? 俺の顔になんか付いているのか? 教室に入ると、俺を皆が見てくる。 なんだ? 俺をあざ笑うつもりか? 「よぉ英雄! ってかてめぇ! なんで負けんだよ! これじゃあ延期した意味ねぇだろう!」 友人が俺に突っかかってくる。どうみても冗談交じりの態度だ。 いつもなら冗談で言い返せた俺。ってか言い返せたはずなのに、俺は鞄を地面に投げ捨て、いつの間にかそいつの胸倉を掴んでいた。 「うるせぇ!!! こっちだって好きで負けたんじゃねぇよ!!」 俺はそいつの胸倉を掴んだまま怒鳴る。 教室がシーンと静かになる。 「お、おい英雄! 冗談だって!」 「黙れよ!! 冗談だろうが、なんだろうが、こっちは、自分のゴミみたいな精神にイライラしてんだよ!!」 そいつの胸倉を掴む腕が強くなっていく。 「英雄!!」 ここで哲也が、俺に飛び掛って抑え付ける。誉も手伝い、俺とそいつから体を引き離した。 どこから現れるのか分からない怒りの矛先は、物へとぶつけられた。 上半身は、哲也に押さえつけられている状態で、俺は足だけで机を蹴飛ばす。 女子の悲鳴が教室にこだまする。 「止めろ英雄! 落ち着け!」 誉と哲也が、必死で俺を引き止める。 「糞野郎が!!」 哲也と誉を体から引き離すと、思いっきり教卓に頭を何度もぶつける。 悔しさや恥ずかしさ、自分の未熟さを忘れたいと願いながら、何度も何度もぶつける。 願わくば、このまま意識を失い、目覚めたとき、記憶喪失になることを願いながら。 「うおっ! 英雄なに教卓にヘディングしてんだ! ゴールは教室にねぇぞ!」 ここで現れた佐和ちゃん含む数名の教師に掴まれる。 だがそれでも暴れる俺。何発か教師を殴った気がする。 結局、さらに数名も追加し、暴れても動けない状態のまま、俺は指導室へと連れて行かれた。 まともな思考に戻った時、俺は指導室で、佐和ちゃんと対面で座っていた。 「天才は打たれ弱いって、前にお前が言っていたが、まさにその通りだな」 「………」 対面に座る佐和ちゃんが、そう真面目に話す。 「…俺は天才でも、怪物でも無いですよ…。少し実力があったからって、調子に乗ってた凡人なんですよ」 「そうか…」 そう言って佐和ちゃんは言うと、二人とも黙り込む。 「まったく、お前がそんな態度じゃ、まったく噛み合わないな。もうちょい、唯我独尊って感じでいけないのか?」 「俺は…凡人以下ですから…」 「おいおい、さっきよりランクダウンしてんぞ」 佐和ちゃんの軽口でさえ、今の俺には腹が立った。 だけど、腹立つ権利さえ、俺にはないと勝手に思い込み、怒号を喉の奥へと押し込んだ。 「まぁこのまま、日ごろの恨みをこめて、お前にグチグチいうのも悪くねぇが、一応俺は生徒指導の担当だからな。さっそく本題に入ろうか。今回のお前の指導だが…」 そう佐和ちゃんは指導について話していく。 ≪前 HOME 次≫
https://w.atwiki.jp/hakikewomoyo-sujyaku/pages/168.html
▽メニュー一覧 ディズニー マリオ達はギャバンに敗れ、ルイージ達は裁判で有罪判決を言い渡され、魔王監獄へ収監された。 マリオ達はリトルスターをクッパからリトルスターを取り返し、夜空を元通りにするために頑張ってきたのに、なのに、なんで逮捕されなきゃならないんだ。 マリオは単身、魔王監獄へ向かった。 マリオ「ぼ…僕らは、クッパからリトルスターを取り返して夜空を元通りにするために頑張ってきたのに…。なんでいきなり逮捕されなきゃならないんだ…。ギャバンにまでこんな扱いを受けるなんて…。早速魔王監獄へ救出に行かないと…。」 魔王監獄 魔王監獄。それは「トゥーンタウントゥーン作業法違反」を犯した者が囚われ、そして牢獄に入れられる。まさに地獄の様な場所だった。 マリオ「そんな…。そんな…。トゥーン達が囚われている…!」 マリオ達は不安のまま魔王監獄の中心部へとまっしぐらに進む。 マリオ「誰がこんな事を…。」 中心部には、魔王監獄を任されている宇宙犯罪組織「クーゴ」のボス、大魔王プーポサイドがいた。 プーポサイド「ほう、お前こそ、さてはマリオだな!!!自分からのこのこと出てくるとはな。こんな雑用係うんざりだ!!!手間がはぶけたわ。ワシが魔王監獄を任されている、宇宙犯罪組織クーゴの大魔王、プーポサイドよ!!!!!」 プーポサイドは自己紹介をするなり、マリオと戦闘。 プーポサイドは巨大な力でマリオを圧倒。そして、超魔法でマリオのパワーを弱め、最後の切り札「クーゴデスサイズビーム」でマリオを倒す。 プーポサイド「ハハハハハハハ!!!ワシをやっつけられるわけがない!ない!ない!ない!!!さあ、お望み通り、魔王監獄へ送ってやろう。ブタ箱の中で反省するがよい!!!」 プーポサイドはマリオを倒してしまい、彼を魔王監獄へ送ってしまう。 プーポサイドは勝ち誇ったかの如く、留置場へ収監されたマリオ達を更生させんと、彼に虫けらの如く捻り潰された記録を記述するように促す。 ラスベガス。 アンパンマン達やドラえもん達はロビンとジャンクマンとの試合をテレビで傍観していた。 ジャンクマン「大人しくジャンククラッシュの餌食になりな。さもないとキン肉マンかウォーズマンの背骨を傷つける事になるんだぜ。」 ロビンマスク「はぁ?」 ジャンクマン「我ら悪魔騎士は常に合理的な攻撃法を計算しながら戦っている。さあロビンよ、我が身を犠牲にして友を助けるか。それとも、友を捨てて我が身を守るか。二つに一つ!」 ジャンクマンはロビンに運命の選択を迫る。 ジャンクマン「行くぜ!ジャンククラッシュ!」 ジャンククラッシュでロビンに襲い掛かるも、突然、マグマザードの声が響き渡る。 マグマザード「やめろ、ジャンクマン。これを見るがいい…。」 そして空に写し出されたのは、魔王監獄の牢獄に収監されたマリオ達の姿だった。 マグマザードの暴行にジャンクマンの怒りが爆発。 ジャンクマン「なんでジャンククラッシュを取りやめるんだ!!!」 マグマザード「今度ロビンを攻撃したら、仲間の命はないものと思え。」 マグマザードはこう語った。 マグマザード「仲間の命は俺様が握っているのだ。」 ジャンククラッシュでロビンに何度も襲い掛かっても…。 マグマザード「ジャンクマン!仲間の命が惜しくないか!どうやら、諦めなきゃならないようだな。」 マグマザードのその言葉にショックを受けるアイドル超人。 テリーマン「そんな…。そんな…。」 キン肉マン「そんな…。そんな…。」 絶望に沈むジャンクマンとザ・ニンジャ。 ジャンクマン「もうダメだ…。ジャンククラッシュが使えなくなってしまった…。」 ザ・ニンジャ「アイドル超人を血祭にあげる計画が無駄になった。」 ジャンクマンとザ・ニンジャに激怒するアシュラマン。 アシュラマン「バカヤロウ!!!これじゃ我ら悪魔騎士なんか地球を支配できなくなってしまうんだぞ!!!」 ザ・ニンジャ「でも!仲間が捕まってるから拙者の忍術なんか使えやしないし、試合になんか集中できやしない!」 戦意を喪失したアイドル超人や悪魔騎士を尻目に、マグマザードはこう言う。 マグマザード「あんなヒゲ親父の為に命が関わるのかね?」 吉貝アナ「そんな…。酷い…。仲間が捕まるなんて…!ううぅ…!」 泣き崩れる吉貝アナ。 カジノホテルでオリー王が魔王監獄に収監されたマリオ達の映像を見てショックを受けた。 オリー王「そんな…。そんな…。嘘だ…!」 セロハンテープ(マリオ)「そんな…。そんな…。」 わゴム(マリオ)「ウソヨン!ウソ!」 惨めな気持ちで泣き崩れるオリー王。 オリー王「こんな悲しい気持ちのまま…。王国なんて…、作ってられない…。」 ロンドン ラジオからマグマザードの笑い声が響き渡った。 ビルとベン(きかんしゃトーマス)「マグザマードが、未だマリオ達の失意を笑っています。」 マグマザードの暴行にブチギレ状態のウカウカ。 ウカウカ「マグマザードがギャバンにマリオ達の逮捕を命じるという卑劣な手段で魔王監獄で投獄し、しかもあざ笑うとは…!許せん!!!」 コルテックスたち5人も激おこぷんぷん丸。 ラジオからマグマザードの笑い声を聞いたアクアクは激怒。 アクアク「マグマザードがギャバンにマリオ達の逮捕を命じて迄、オマケにあざ笑うとは、もう勘弁ならん!!!」 クラッシュ、ココ、クランチも堪忍袋の緒が切れていた。 ピサでソドー島の機関車達が激怒していた。 ヘンリー(きかんしゃトーマス)「酷いよ!!!仲間を投獄するなんて!!!」 ジェームス(きかんしゃトーマス)「本当、酷いよ!!!」 ゴードン(きかんしゃトーマス)「酷い奴だ!!!」 パーシー(きかんしゃトーマス)「腹立つよ!!!」 トーマス(きかんしゃトーマス)「頭に来たぞ、なんて酷いマグマザードだ!!!」 ダック(きかんしゃトーマス)「マグマザードの癖に、仲間を牢獄に投獄にするなんて、全くのインチキだ!!!」 ドナルド(きかんしゃトーマス)(きかんしゃトーマス)「もう!!!仲間を投獄するなんて!!!」 ダグラス「何とか、鼻を明かしてやりたいですね!!!」 ロサンゼルスにて補機を務めていたエドワードは激おこぷんぷん丸状態。 エドワード(きかんしゃトーマス)「許さない!!!絶対に許さない!!!マリオ達がクッパからリトルスターを取り返して夜空を元通りにするために一生懸命やってきたところだったのに…!!!マグマザードともあろうものが、私利私欲の為に、僕の前途ある仲間をよってたかって牢獄にご投獄にするなんて!!!」 京都にてトビーとオリバーとディーゼルが激怒。 トビー(きかんしゃトーマス)「許せない!!!」 オリバー(機関車)(きかんしゃトーマス)「堪忍袋の緒が切れた!!!」 ディーゼル(きかんしゃトーマス)「マグマザードが現れたと思ったら、ギャバンにマリオ達の逮捕を命じて、魔王監獄へ投獄するなんて!!!」 北海道札幌市にてウルトラマンレオが怒り心頭に達した。 レオ「許せない!!!仲間の信頼の為に俺は空手の修行を放棄する!!!マグマザードともあろうものが、ギャバンにマリオ達の逮捕を命じて迄、仲間をよってたかって終身刑にするなんて!!!」 シカゴにてソラが激怒していた。 ソラ(キングダムハーツ)「頭に来る!!!仲間の友情の為に俺は正義を貫く事にした!!!マグマザードともあろうものが、私利私欲の為に、仲間に向かって終身刑を下すなんて!!!」 パリでトゥーン達のパゾに対する怒りが爆発していた。 エンドルフ「いい加減にしろ!!!どういうつもりだ!!!」 ビングー(イロスマ)「てめぇ!どうしてくれるんだよ!?そんなの酷ぇよ!!!」 プラズマ(イロスマ)「どーゆー事か説明しろプラプラ!!!」 パゾ「何が説明だ!!!ワシはヒーローがヴィランをやっつけるのは「トゥーンタウントゥーン作業法違反」だと前も言ったはずだ!!!一度だけではないぞ、何百回も何千回も何万回もだ!!!これを見るがいい!!!」 テレビに写し出されたのは、牢獄に入れられたニュージェネレーションカートゥーンシリーズのトゥーン達だった。 ニュージェネレーションカートゥーンシリーズのトゥーン全員「助けてくれー!!!」 魔王監獄の牢獄では、マリオ達が泣き崩れていた。 オリビア(マリオ)「ぐすん、ぐすん…。一生懸命リトルスターを集めてきたところだったのに…。」 ルーシー(ペーパーマリオ)「神様…、レディーはどうすればいいの…?」 突然、牢獄の壁が爆発した。 マリオ「うわっ!」 スタンリー・シャドウ「うわ!」 壁を爆破したのはなんと、ガーネット、レイブン、ロン、ランチパッド、そしてベンからなる5人。 レイブン「マリオ、助けに来たわよ!」
https://w.atwiki.jp/saikyouryodan/pages/198.html
第二十一話 大切なもの、大切な時間 ──バキッ 乾いた音が響き渡り、喪失感が身を襲う。 どこかで、消えていった。 震える魂と、朽ちていく鼓動。 永遠などないと、物語っている。 『ごめんね・・・』 ◇橋◇ 桜「うぁぁ・・・・・・・・・・・」 ひざが震える。 顔を背けたくなる。 でも、それは現実から逃げることになるから。 花城「っ・・・・・」 さゆり「そ・・・・・そんな・・・・・」 その場にへたり込んでしまった。 あまりに唐突すぎて、受け入れられない。 茨『貴様ぁぁ・・・・・・』 雛菊『茨・・・・・』 茨『っち・・・』 もう、見る影も無い。 椿月「あっけない終わり方です。 もっと、張り合いがあるかと思ったのに」 さっきの狙撃銃を撃った女性があざ笑うかのように雪鎖を見下している。 その視線からは、『無様だな』というようなものさえ読み取れる。 ??「黙れよ、馬鹿が」 その時、後ろの方から声が響いた。 さらに── ??「ふざけてんじゃねぇ!馬鹿野朗がぁぁ!!」 ──ドォンッ 椿月「っぐぅ!!」 眼にも留まらぬ速さで女性の後ろに移動し、背中に回し蹴りを当てていた。 桜「ふぇ・・・・」 あまりに突然すぎて、間抜けな声が出てしまう。 ??「おいおい、この程度かよっ!」 さらに、続けて腹部への<硬突き>。 おそらく、高速型の能力者だろう。 椿月「だ・・・れ・・・だぁ・・・・」 ??「名乗るかよ、馬鹿」 あれは、もしかして・・・ ◇砂浜◇ 月夢「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」 あれからおよそ、10分。 月夢は、全ての敵機を撃墜し、ひざを突いて呼吸を荒くしていた。 その隣には、眞之が眠っている。 光李「月夢・・・」 あの能力は、何なんだ・・・。 <ライトサボタージュ>。 内部破壊に特化した打撃術、といったところか。 真「眞之、眞之!」 ゆら「ノックを一撃で・・・」 こいつの能力は、<治癒魔法>と<星使い>のはず・・・。 なぜ、近接戦闘型の攻撃が・・・。 月夢「<デスボディ>」 光李「なっ!?」 アンデット・・・・黒魔法だと? 多重能力・・・だと・・・ こいつ、何者なんだ・・・。 小雨「会長、あれは・・・」 光李「ああ、妙だな・・・」 青魔法、空魔法、打撲術、黒魔法・・・。 4つの能力を司る多重能力・・・。 2つでも珍しいってのに・・・。 光李「パーソナルリート・・・・か」 ◇学園◇ 白虚「空が綺麗だよ」 雨針「そうだね」 寂弥「綺麗だね」 屋上から見える星空は、ため息をつきたくなるほどに綺麗で、 今起きていることなんて、まるで夢なんじゃないかと思えてくる。 白虚「久しぶりの再開が、こんな状況だなんてな」 雨針「そうよね。もっと、ゆっくり話でもしたかったね」 雨針は、寝転んだままでこちらに見やる。 白虚「ん?」 雨針「ほんと、大人になったね」 雨針のむこうで、寂弥が笑っているのがわかる。 白虚「何がおかしいのよ」 寂弥「んー? べっつにー」 明らかに、この状況を楽しんでいるのが分かる。 まあ、こいつも笑えるようになってよかったと思う。 白虚「なにが、べっつにー、よ。明らかに面白がってるじゃない」 雨針「ふふふ」 寂弥「あはは」 二人して笑っている。 こんな時間が、とても大切なんだと思う。 白虚「ぷっ、ぷふふ、あはははは!」 ついつい、つられて笑ってしまう。 雨針「あははは」 雨針と、 寂弥「あははははは」 寂弥と、 白虚「あははははは」 私と。 こんな時間が、ずっと続いたらいいな、と、思う。 前の話 次の話
https://w.atwiki.jp/atogefan20110504/pages/199.html
一瞬の空白時間を得て、二人が到着したのは特に珍しくもない小さな田舎町だった。 「……ここが?」 レオルスが家の扉や屋根から飛び出る煙突を見ながら呟く。 「<秘境の魔女>とは、よく言ったものです。あの木々は結界。この小さな町が魔女たちの住処です」 周辺には何件もの民家が立ち並び、町の周りにはこの場所を守るように木々が囲っている。 結界を越えるまで何の存在も感じなかったことから、その一本一本がこの町の魔力を外に漏らさないような特別な力を持った木なのだろう。 レオルスが何となくそんなことを予想してから、思いついたようにクレイルに話しかける。 「じゃあ、ここにお前の母親の……って、おい! 囲まれてるぞ!」 「言われなくても」 レオルスが言葉を発した時点で違和感に気付いたのは言うまでもない。 二人は一瞬にして、とてつもない量の魔力に囲まれていたのである。 レオルスも合成師の中では比較的強い魔力を持っている方だが、その魔力をあざ笑うかのように、周辺を力強い魔力の流れが通過していく。 彼の身近な存在で、自分の父親とクレイルは自分よりも魔力量が多かったことを認めている。 それ故に、自分よりも魔力量があるクレイルに対抗心を持つ。 彼がクレイルをライバル視する理由の一つだった。 ところが、クレイルと同等、もしくはそれ以上の魔力量の存在に周りを取り囲まれているこの状況は、レオルスにとって初の体験であり、今までにない緊張感を彼に与えていた。 左右を警戒しながらも、圧倒的な魔力に思わず息を飲むレオルス。 空間を移動して到着したこの場に、出口はなく、前にも後ろにも地面が続いているだけで今の彼らに逃げ場はない。 そんなレオルスの前で、クレイルは平然とその魔力に立ちはだかる。 「…………」 自分では太刀打ちできない魔力同士の衝突を目の当たりにするレオルス。 それは悔しくも、今の自分には到底敵わない、クレイルという男との力の差なのである。 一方、クレイルは押しつぶされそうな魔力量に対して引け目をとることもなく、身を守るように抵抗魔力を放って辺りを見回していた。 先に動いたのは二人を周りを取り囲んでいたその<存在>たちだった。 音もなく一瞬のうちにして、彼らの前に姿を現す。 大きな帽子で頭部を隠し、その頭部から流れるように長く美しい髪が地に垂れている。 胸元と肩は露出し、女性らしさを演出しているが、代わりに下腹部から脚部へ向けて大きく広がる重厚なドレスがその女性らしさをかき消して、見る者を威圧する。 手に持つ魔力を帯びた箒が相乗して、彼女たちの存在感をより一層引き立てていた。 姿が確認できているのは、赤・青・白・緑・黒の五人の魔女。 クレイルがここに来る目的だった存在――色によって自身の力を区別している、秘境の魔女たちである。 「――ッ!」 魔力は、使い手によっては不可視の力で対象にダメージを与えることも可能である。 魔女たちはクレイルとレオルスを侵入者として構え、完全に排除する対象として魔力を放っている。 何の構えもなしにその場にいたレオルスが気圧されるのも仕方がない。 動じないクレイルに対し、魔女たちがその力をさらに強めようとしたその時―― 「待って」 魔女の一人、五人の真ん中にいた白い魔女が片手を挙げて他の魔女を制止した。 その合図で放たれていた魔力が収まり、レオルスはようやく呼吸を正常に戻す。 合図を送った白い魔女が、一歩一歩静かにクレイルに近づく。 「あなたまさか、クレイル?」 その問いかけに、クレイルは片膝を地面につき、ゆっくりと頭を下げて言った。 「初めまして……ティファレット叔母様」
https://w.atwiki.jp/zgok0079/pages/283.html
宇宙都市シリーズ 757 名前: 名無しは無慈悲な夜の女王 04/09/10 23 05 13 ジェイムズ・ブリッシュ「地球人よ、故郷に還れ」 名作の誉れ高いので期待したが、あまりにも酷かった。 特に前半がひどすぎる。ストーリーが行き当たりばったりで めちゃくちゃだし、キャラは没個性だし、特に主人公の行動が 基地外じみていて虫酸が走る。 終盤で、マゼラン星雲に逃げて降りた星で現地人を見て、 自分の行動の罪深さを悔い改めた後は、少しマシな行動をとるが、 結局自己満足の域を出ない。 それに一個の長編としてみると、終盤だけとってつけたように 作風が変わったような感じでバランスが悪く、読後感が非常に悪い。 50年代初期の中編を寄せ集めただけの本らしいので、 しょうがないか…… 本書の終盤やプロローグなどを読むと、シリーズ全体としては 科学技術が進歩してもいっこうに帝国主義から抜けられないまま 滅んでしまう愚かな人類の歴史を傍観して、哀れむないし あざ笑うといった大きなテーマがあるような感じはするが、 仮にそうだとしても、そういうテーマ設定自体が既に時代遅れで、 今更読んでもねえって感じもしないでもない。 ともあれ、これより後に書かれたシリーズの他の3作は多少ましに なっていることを期待したいです。 前半 0点 後半 5点 総合 2点 764 名前: でへ 04/09/11 22 33 52 宇宙都市シリーズ ジェイムズ・ブリッシュ ハヤカワSF 1.宇宙零年 2.星屑のかなたへ 3.地球人よ、故郷に帰れ 4.時の凱歌 全4冊 (西暦2000年(人類の太陽系外への拡散)~西暦4000年(宇宙の終焉)まで) ジェイムズ・ブリッシュは当時のハードSF作家です。 彼は当時の冷戦時代の政治状況をふまえて、次のような物語(宇宙都市シリーズ)を作りました。 ソビエトと合衆国は冷戦を限りなく続けて行き、双方とも官僚独裁制と言うべき政治形態となる。 (オーウェルの1984年みたいですね。) 両勢力は手詰まりに陥っており、最終的には自殺的な戦争(第3次世界大戦)をおこし共倒れになる可能性が高い (1950年代に書かれた話ですから、、ディックも同様な話が多い) 人類が生き延びるには、両勢力の力が及ばない地球外(太陽系外)にでる必要がある。 そこまで見込んだある人物が(科学まで統制がされた)世界で、なんとか新しい技術を開発し、恒星系へ出る手段を見つけようとする。 彼は対抗勢力を圧倒できるような兵器の開発をしているふりをして予算を獲得し、2つの手段を開発する ひとつは光速の何倍かで移動できる推進手段(スピンデイジー、ブラケット・ディラックの方程式による)、 もうひとつはそれでも何百年もかかるような航行が一人の人生で行えるための寿命延長手段(ゲルマニウム、抗生物質) このシリーズはこのような経緯で人類が銀河系に広がってゆき、銀河の覇権をとり、最後にはビッグバンの終焉とともに、、、 というスケールのでかい話です。 バクスターみたいでしょ、小説の下手糞さも似ている。(ry) 9点 ブリッシュは不遇な作家なんですよ。彼が脚光を浴びたのはスタートレックのノベライズぐらいです。 時の凱歌 113 名前:名無しは無慈悲な夜の女王[sage] 投稿日:2008/05/10(土) 19 10 22 ジェイムズ・ブリッシュ「時の凱歌」 宇宙大作戦のカーク船長みたいなニューヨーク市長が宇宙的な危機に立ち向かう! というお話。 本筋と娯楽要素のアンチシナジーが凄まじい。ダン・シモンズが偉大な人物に思える酷い出来だった。 反物質宇宙研究と「ヘラクレスの網」のアイデアは面白かっただけに残念。 7点
https://w.atwiki.jp/tohonktkt/pages/428.html
「あの時の問いを、今一度あなたに向けるわ。」 何も無い場所に、2人の少女が対峙していた。 背格好は小さく、服装こそ体操着にブルマと言うふざけた格好ではあったが、 両者の眼差しは、それだけを以ってして人を殺せそうな程に研ぎ澄まされていた。 「あなたは――」 2者の片方、傘を持つ無傷の少女が、その傘を前に向ける。 傘としての機能を全うすべく造られたその直線の先―― 傘としての機能には何ら影響しない、 洒落た時計の針の先のような装飾の切っ先には、傷だらけで方膝をつく少女が居た。 「……あなたは」 傷だらけ、と言う表記は聊か生易しいかもしれない。 既に少女に振るう腕は無く、背中には焼かれた木の枝のようなものしか生えていない。 本来であれば少女の背中に“焼かれた木の枝のようなもの”が生えているのはおかしな話であるが、 彼女―― ふらん☆ を知る者であれば、“それ”を見て直に気付くであろう。 ――“これ”の本来の姿が、宝石のように美しい彼女の“羽根”であったのだと。 「……。」 誰がどう見ても絶望的な状況であった。 だが腕も羽根も失った彼女は、それでも瞳の輝きを失ってはいなかった。 「あなたは、何になりたいの?」 傘の少女が問う。 ふらん☆の身体が小さく震える。 「私は――」 傘の少女に聞こえたのはそこまでだった。 血にまみれた小さな口から放たれた言葉は、 大気を僅かに震わせただけで、誰の中に入っていく事もなかった。 「自信が無いの? ……まあ、そのざまじゃあね」 暫しの沈黙の後、傘の少女はあざ笑う。 惨めな姿のふらん☆を見下しながら、今まで動かさなかったその足を一歩踏み出した。 「いいわわ、あなたにはもう無理でしょう。 今ここで楽にしてあげる。 ……安心しなさい、三連星は私が」 「私はッ!!」 “三連星”と言う言葉が出た瞬間、完全に消えていた炎が突如息を吹き返したかのように、 ふらん☆は顔を上げ、そして叫んだ。 「私は――」 そのままの勢いで、大地を蹴り駆ける。 「なッ……」 一瞬の油断が、驚きと共に大きな隙を生む。 その隙が消えるよりずっと前に、傘の少女の鳩尾にはふらん☆の頭がめり込んでいた。 「がはっ!」 勢いを受けて後ろに大きくのけぞる。 そのまま地面に倒れはするが、油断はここまで。 すぐに起き上がり今度こそ傘で心臓を貫き、ふらん☆の息の根を止める―― ――筈だった。 「私はああああッ!!」 しかし、ふらん☆はそれを許さない。 抉りこむようにして打ち込まれた突進からの頭突きだが、 横への力もさる事ながら、上への力が異様に強かった。 即ち―― 「バカな……!」 傘の少女の身体が、大きく浮く。 「うおおおおおおおおおおおっ!!」 落ちて来たところを、ふらん☆が再び頭突きで打ち上げる。 それを何度も、何度も繰り返し―― 「今一度言うわ!」 気付けば明らかに優劣が逆転していた。 空中で逆さまにされた傘の少女の足は、頭と同じ高さにあった。 決してあり得ない方向に折れ曲がっている訳ではない、しかし。 「私は……!!」 その上に乗るふらん☆の姿が、この戦いの結末を、傘の少女の末路を物語っていた。 「私は三連星であり続けたい! こいし☆と、ぬえ☆と一緒にッッ!!」 大地が粉砕される。 五体満足の傘の少女の瞳からは、光が消えていた。 ふらん☆は動かなくなった宿敵をその場に捨て置き、何も無い場所から立ち去る。 仲間が待っている――
https://w.atwiki.jp/naianakikaku/pages/2180.html
<彼の存在意義。> 「お…掟破りのテクニックを使っても、離れねぇだと!?」 男は焦っていた。 「相手は軽のカプチーノじゃねーか!なぜだ…どうして俺のランエボで引き離せねぇ!」 とある峠道、下り。ここはつい先日から男が走り込んでいる道で、地元の走り屋を文字通り捻り潰して走り込んでいた。 が、しかし。 「なんなんだあのカプチーノ!・・・待てよ、ありゃこの前崖からすっ飛んでった、奴のじゃねーのか…!?」 数十分前に時を巻き戻す。 「アレか?」 峠を往復し獲物を探す事数時間、ついに捕えた。 『ハイ…あの男に復讐を。それも出来るだけの絶望感と敗北感を。』 モトの問いに、「モトになった思念」の女が答えた。 モトを形成するのは、交通事故や事件に巻き込まれた者達の思念である。 その中に先日加わった女が強く望んだ事が、男への復讐であった。 車は女が元々乗っていたモノを記憶を元に具現化し、モトが乗りこんでいるのである。 「しっかしおみゃーさんもカプチーノで4WDに喧嘩売るたぁー大したタマやったんやのー。」 『…元々レーサーの端くれでしたの。大会にも何度か出てましたし、早かったんですのよ。』 そうこうしている間にどんどん標的のランサーエボリューション、略してランエボとの距離が詰まってゆく。 『貴方は私よりも数段早いみたいだけれど。』 「そんなこたぁ無か。ワレの技術と感覚、経験を使っとるんじゃけんの。」 『あら、嬉しいわ。あいつにこれで…。』 「よし、喰らいついたで。もう離さへん。」 そして今のカーチェイスに至る。 「ま・・・間違いねぇ、あのステッカー…この前抜かれた腹いせに突き落としてやった奴だ…なんで生きてやがる…」 男は器が小さかった。その癖にプライドだけは大きかった。性能のいいランエボに乗り、 貧乏な走り屋をあざ笑うかの如き運転を行い、挙句の果てに気に入らない相手の後ろをぶつけ、先日一人崖の下に落とした。 相手は美人の女だった。峠の上でナンパし、断られた腹いせに勝負を仕掛けたら抜かれそうになり、 本人曰く「ついうっかり」後ろからぶつけ、ガードレールを突き破って落としたのである。 「クソが…なんで軽如きに追いつかれんだ…こっちはランエボだぞ…4WD、排気量だってこっちが上だってのに…!」 ストレートでは確かに引き離すのだが、カーブを抜けるともう鼻先まで迫ってくる。男には全く理解が出来なかった。 いや、否定したかったのかもしれない。 「い…イカレてやがる!あんな速度でカーブを抜けてくるなんて正気の沙汰じゃねぇ!」 そう、タイヤのグリップが効くギリギリまでしかスピードを落とさず、迷わずキレイなカーブのラインを描いていくのである。しかも、理想ラインをほぼズラさずに。 細かい技術の蓄積は、車の性能比を埋めていた。 そして峠最後のヘアピンカーブ。 第二コーナー、女が落とされたのと同じ所でモトの運転するカプチーノが外側から男のランエボを抜いた。そして男がカプチーノへ自らの車をぶつけようとした瞬間に。 「格の違いを噛み締めて死になさい、悔いなさい…!」 フロントガラスに女が映り、男の耳には女の声と赤ん坊の泣き声が響いた。カプチーノが衝突を避けたため、力の行き場を無くしたランエボはガードレールに突っ込み落ちていった。 女によると、最後の悲鳴は『畜生がぁぁぁぁぁ!』だったらしい。 『ありがとう…これで私と私のお腹にいた赤ちゃんを殺した奴に復讐出来たわ…。』 モトはタバコを咥えるとニヤリと笑う。 「よかよか。ワシの仕事だっぺ。」 傍から見ると独り言をつぶやく時代遅れのヤンキーだ。しかし、そうではない。 モト。彼は交通事故によって亡くなった者の思念が集まって出来たモノ。 彼の存在意義。 それは悲劇を戒めるため。 それは復讐を遂げるため。 それは――――――――。 カプチーノの具現化を解き、新たに具現化したバイクに跨ったモト。ライターでタバコに火を付けたその時、背後に気配を感じた。 「…誰や。」
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/1960.html
ぐそくむしゃ【登録タグ KAITO VOCALOID く わんだらP 曲 殿堂入り 神威がくぽ】 作詞:わんだらP 作曲:わんだらP 編曲:わんだらP 唄:KAITO(KAITO版)、神威がくぽ(がくぽ版) 曲紹介 VN北海道提供曲。 後になってKAITOとがくぽの合わせ版が投稿された。 そしてKAITOとがくぽの合わせ版が殿堂入り。 2016年には「愚足武者・改」とV3 English ver.が投稿された。歌詞英訳は Korowan氏。 歌詞 難攻不落な問いの壁 いくつ行く先を阻もうと なりふりあとさき構わずに 真正面から体当たる 答えがないのが答えだなんて 逃げるが勝ちのあきらめは 嘆きの過去が打ち鍛えた 熱い刃で叩き斬れ 進撃をためらうな 悔やまないように 振り返らずひたすら 前を見据え 無謀など 立ち止まる理由にならない 百も承知の弱さ さらけ出して 走れ 完全無欠の愚か者 賢く生きるつもりはない いつの日か燃え尽きようとも 全力を賭けたその価値は 他に変えがたいものだから 戦わなければ負けないなんて 平和を装う甘さは ゆずれぬ意思を握りしめた 硬い拳でぶち破れ 玉砕を恐れるな 砕けて散るのは 己を縛る 馬鹿げたプライドだ 死なずにすむ事だけを 考えていては 死んでいるようにしか 生きられない 挑め 天下無敵の愚か者 傷の絶えぬ生き様 打ちのめされても 何度でも立ち上がり 先へ向かう あざ笑う傍観者どもを尻目に 不名誉な称号を 勲章に変え 目指せ 世界最強の愚か者 コメント 男が男らしく歌ってカッコイイので嬉しい -- 名無しさん (2009-03-06 23 38 37) カラオケ配信おめwww -- 名無しさん (2009-04-01 08 17 02) 配信決定おめでとーーーーっ ガンガン歌うよ!!! -- 名無しさん (2009-04-03 13 45 02) カラオケ配信おめでとうございます!!絶対歌います!! -- 名無しさん (2009-07-01 20 31 26) この曲かっこいいな//// -- コスモス (2009-09-12 18 23 30) 男らしい曲はボカロでは貴重だと思う。こういう曲がもっと増えてくれないかな -- 名無しさん (2009-10-02 23 15 09) 耳が痛い曲だよ… -- レンニゲウス (2009-10-21 23 29 34) この曲好き過ぎる。 -- 名無しさん (2009-10-29 17 03 57) KAITOとがくぽの合わせ版、殿堂入りおめ! -- 名無しさん (2009-12-04 01 23 08) 初めて聞いた時、時代劇の曲かと思った(← でも歌詞好き過ぎる -- 下弦 (2010-04-06 08 19 23) この詞のように生きるにはまだ遠いけれど、勇気と力をもらえました。わんだらP様に感謝してます。 -- 名無しさん (2010-06-12 00 54 17) KAITOとがくぽの声が………!!エロかっこいいってこういうことか! -- この曲は俺のバイブル (2010-08-27 14 47 10) よし。世界最強の愚か者を目指す。 -- 名無しさん (2010-08-27 14 49 44) KAITOとがくぽ、殿堂おめでとう!! -- 名無しさん (2010-12-07 22 05 27) ここ最近ずっとこの曲聞いてる がくぽと兄さんかっこよすぎる!! -- たんたん (2010-12-12 08 39 24) 最近この曲を知りました…なんてカッコイイ曲なんだ…!! -- haneru (2011-10-09 13 44 08) 受験生なんでこの曲聞きながら頑張ってます -- 名無しさん (2011-11-05 17 54 10) 久々に聞いたら耳が幸せになった -- 名無しさん (2012-03-30 13 28 36) いっつそーくーる! -- 火縄兵 (2012-07-13 14 49 57) カッコいい!!!!!歌詞が深い!!!! -- 名無しさん (2012-10-21 13 41 56) かっこいいよ兄さん!!! -- 名無しさん (2012-11-27 19 47 26) この曲でがっくんが好きになった! -- がっくん廃 (2013-09-22 11 10 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/streetpoint/pages/760.html
はなもあらしも ともえが連れられてきたのは、道場から少し行った場所にある演劇場だった。 街灯などないこの時代、劇場の周囲は昼のように提灯が飾り付けられていて明るい。 「うわあ、すごい人!」 娯楽の少ない中、人々は夜の楽しみの一つとして演劇場で寄席を楽しんでいた。今晩の演目は人気の噺家が何人も出るらしく、あちこちで人々が盛り上がっている。 先ほどまでの物思いに耽った表情はどこへやら―――そこはやはり年頃の女の子である。新鮮な風景に瞳を輝かせるともえを、垂司はさも愛しそうに見下ろしていた。と、その時だ。 「あら、この華やかな街には似つかわしくない田舎者が厚顔無恥にも歩いていらっしゃると思えば、どこぞの田舎道場の弓道家さんじゃあありませんの」 演劇場の入り口に近づくと、いきなり信じられない程の厭味をぶつけられた。何事が起こっているのか、脳が追い付かないような状況で声のした方を見れば、そこには笠原道場の橘雛菊が立っていた。その隣には同じく笠原道場の氷江雪人が並び、こちらに冷たい視線をあびせていた。 「おや、橘の姫君じゃないか」 そんな橘に声を荒げるでもなく、垂司はすっと前に出た。 「垂司さん……。あなたがそんな田舎娘のお相手をなさるだなんて、なんの気まぐれですの?」 「気まぐれなんかじゃないよ」 「あら、じゃあお遊びですかしら」 ほほほと橘は愉快そうに目を細めて笑ったが、ともえは反論する事すら出来ない。悔しくて辛くてたまらないのに、橘の言う事を真っ向から否定する事も出来ない。 「遊びはもうやめようかと思ってね―――なんて言ったら、君は信じるかい?」 「まさか! ほほほ、あの垂司さんがそんな事を思うはずがありませんわ! まして相手がその子では説得力にかけるというもの」 橘のあざ笑う声がともえの心を浸食する。 「いや、でも良かったよ。姫君にはちゃんとした王子がいるようだから」 「「なっ!」」 垂司の言葉に橘と氷江の両名が驚きを隠せなかった。 「なっ、なにを仰るんですの!? 私と雪人さんはそんな関係では……!」 「そうです! 大体垂司さん、あなたと言う人は!」 そんな二人の抗議をものともせずに、垂司はともえの肩を抱くと演芸場の中へと歩みを進めた。 「お待ちなさい!」 そんな垂司とともえの背中に橘が鋭い声を投げた。 「なにかな?」 やんわりと振り返った垂司だったが、ともえの肩から手を放そうとはしなかった。 「……あなたはその方の王子だとでも仰るんですの?」 「そうなりたいと思ってるよ」 さらりと垂司はそう答える。垂司を見つめる橘の瞳に映ったのは、嫉妬か憎悪か、それとも愛情なのか―――垂司の隣で身を固くしているともえには、判別のしようもなかった。 「…………では最後にもう一つだけ。あなたが先ほどからその子の肩に手を置かれるのは、その子が足を負傷していらっしゃるから?」 「おや、良く分かったね。少し前に暴漢に襲われてしまってね。君も気をつけるんだよ」 「暴漢―――? ……そんな事より垂司さん、お答えください。その子が怪我をしているから、そんな風に肩を抱かれるんですか?」 垂司がなんと答えるのか、ともえは内心動揺していた。心臓は早く脈を打ち続けている。 「これはただの趣味だよ」 垂司はあっさりそう言うと、今度こそ劇場内へと足を踏み入れた。 橘と氷江はその答えに呆然と立ち尽くし、二人が去るのを見送るので精一杯だったようだ。 →休息の時(垂司)No.3へ 垂司編トップへ戻る ブラウザを閉じてお戻りくださいv はなもあらしもトップへ戻る
https://w.atwiki.jp/lwetoho/pages/109.html
第15回大会詳報 大会詳報へ戻る 第15回興行は妖怪の山特設会場で執り行われ 地元の名産品である野菜や果物が販売されるコーナーも用意された。 前大会から引き続いた流れの試合が2試合、 地元からの登場秋姉妹初参戦試合、 そしてLTUタイトルマッチを含めた全5試合が発表された。 第1試合、稲田青果の青果アピールのために 静葉,穣子の秋姉妹が参戦。U3級選手として登録された。 対するはチルノ,レティの冬組が現れ、奇しくも秋冬冷戦と相成った。 試合は拮抗はしたが最後にはレティが貫禄をみせた形となった。 善戦した秋姉妹は今後もU3級戦線を盛り上げていくと宣言、 一方のチルノはチルノ軍としてLTU参戦を表明。 レティを入れても一人足りないはずにも関わらずの参戦に 会場からは大『⑨コール』がおきた。 第2試合はアリス対魔理沙のシングル遺恨試合となった。 この試合は後に『伝統のマリアリ戦』の序章と呼ばれる事になり その後のメインブックに多大な影響を与えた。 (別項 JUSTICE is MINE 第一裁判) 試合後魔理沙はアリスとのノーサイドでの握手を求める素振りで 上海を強奪。これを賭け品としたシングル再戦を脅迫 受けるしかないアリスは自身のコスチュームを賭けての試合が決定。 しかしこれは平等ではないとする四季映姫本部長が介入。 魔理沙へもコスチュームを賭け品にするよう命じ 次回『上海 コス・コントラ・コスシングルマッチ』が決定した。 第3試合は紅魔館対永遠亭全面戦。 『純粋な悪』対『難題・悪戯を駆使する小悪+1』の戦いは 要所要所で見せ場を作る永遠亭を力で捻じ伏せた紅魔館が勝利。 試合後永琳へ永遠亭へ戻るよう説得する輝夜だったが 逆に紅魔館にくればいいと切り返す永琳。 耳を貸さぬよう忠告する鈴仙だったが輝夜は移籍を口走る。 しかしそんなうまい話があるわけもなく、永琳は一蹴。 号泣する輝夜をあざ笑う紅魔館についに妹紅がリングに登場。 紅魔館の悪行を止めんと、先日敗れた慧音の復讐も含めて 当主フランの持つLSW挑戦権を主張。これが同意され 次回LSWタイトルマッチ妹紅vsフラン戦が決定した。 また同時に鈴仙,輝夜が永琳,雛組との対戦が決定 永遠亭と紅魔館の全面抗争は一向に収まる様相を見せなかった。 第4試合はタッグマッチ 妖夢 萃香の先日シングル対戦した同士と 咲夜 レミリアの元紅魔館組が登場。 試合は完全なワンサイドで、レミリアが萃香への不夜城レッドで勝利。 『未熟者乙!!』と一蹴され、足早にリングを後にした。 残ったレミリアは紅魔館追放組の3人での新ユニット名を発表。 幻想郷ナイトメアとしての再起と、ファンからの応援を呼びかけてリングを降りた。 第5試合LTUタイトルマッチ 団体の中でも初期からあり、各々が活躍している八雲家を 迎え撃つ王者組守矢神社。 橙はU3級ではあるが同時にLU3W王者でもあり、不足はない。 それを示すかのように双方が激しくぶつかりあう試合展開ではあったが 紫が神奈子の『蛇神万力』でまさかのタップアウト。 長期戦の試合の思わぬ幕切れに守矢神社の底力を見せ付けられる結果となった。 好試合となった双方は試合後もリングに残ったまま会場のファンへ挨拶をし 第15回大会は無事閉幕した。 しかしながら 次興行では主要メンバーがほぼ全て遺恨試合を執り行うという予告に 東プロが再び揺らぐ事件が起こる事は確実であり 誰もが震えながらも待ち遠しい日々を送る事となる。 2008年4月20日 次興行『第16回大会詳報へ』 このページを編集