約 314,626 件
https://w.atwiki.jp/yuina/pages/188.html
「……………………………………うぅっ…。 …エンリケ…ジュリア……、敵兵は…、もう…大丈夫なのですか?」 「カネモリぃ……、無事だったのか!? 心配かけやがってぇ!」 「そーだよぉ! キミがいなくなッちゃったら…ボクたち…。」 「黒の錬金術師」が意識を失っていたのは、ほんの僅かな時間だった。 しかし、その間にも仲間の身を案じ、彼の無事を確認した支援士たちの声は 込み上げてくる感情で上ずっている。 「…すみません、ご心配を掛けました。 それにしても、不正な手段で鍵を解くとドアノブに電気が流れるとは 本当に厳重な仕掛けですね? やはりこの扉の向こう側には、重大な秘密が隠されているはずです。」 「…あのさカネモリ、『でんき』ッて…ナニ?」 「うぅ~ん…。 …分かりやすく説明すれば、『雷』のようなものです。 雷とは、巨大な電気が集まったものなのですよ。」 そう説明しながら鍵穴を覗き込む彼の右手は激しい電撃で掌が焼けただれ、 衝撃で破裂した血管からは血が流れ出している。 「よーし、だったらこの扉、一撃で蹴破ッてやる!」 「いけません! …ここは慎重にゆきましょう。」 太い足を振り上げるエンリケを制止し、カネモリが有り合わせの粉薬を扉に振り掛ける。 すると… 〈パチパチッッ!!〉 扉の縦横に張り巡らされている真鍮で出来た装飾の間で、紫電の火花が飛び散った! 『……………………〈顔面蒼白〉』 「…ふぅ、これでは扉に触れることさえできませんね…。」 ………………………………………………。 ……………………………。 ………………。 「そうだっ! ボクに任せてよ☆」 扉から少し距離を置いて、正拳突きの構えを取るジュリア。 「『気拳打撃《ブロウ・フィスト》』!!」 〈ガンッ! ガンガンッッ!!〉 彼女の繰り出す拳の先から放たれた気が何度も扉を強打するものの… 「…はうぅっ……、もう…限界★」 この技は決して打撃力を何倍にも増幅するものではない。 分厚く頑丈な木材の板を打ち破る腕力を、ジュリアは持ち合わせていなかったのだ。 「参ったな。…お前さんの魔法でどうにかできないのか、カネモリ?」 「…残念ながら、わたくしの操る『水』は電気を伝えるのです。 『爆裂薬』を振り掛ければ破壊できるかもしれませんが、それも水薬。 いま用いるのは…、とても危険です。」 『うぅ~~ん……』 ………………………………………………。 ……………………………。 ………………。 「…仕方ないね。 ここは素直に、この扉の鍵手に入れようよ。 この艦船(フネ)でいちばん偉い人なら、きっと持ってるよ!」 「それは艦長ですね、ジュリア。甲板(うえ)で戦闘を指揮しているのでしょう。 …さぁ、いったん上がりましょう。」 「おいっ! お前さんの手の手当ては…」 「エンリケ、今は時間が惜しいのです。急いで下さい!」 〈…………………〉 軍艦の甲板上は、異様な静けさに満ちていた。 支援士集団の活躍で異人軍の戦力はほぼ制圧され、彼らは全員で武器を構えて 豪華な鎧を身に着けたひとりの褐色の肌の男を取り囲んでいる…。 「…さぁ艦長、『例のオパール球』の在り処を白状なさい。 返答次第によっては…、あなたを四方八方から串刺しにしますわよッ!」 大振りのハルバードの切ッ先を艦長に突き付け、パラディンナイトの女性が詰問する。 『………。』 他の方向からは彼女が統率するレンジャーナイトたちが同じように、槍を向けている。 「…言えぬ。 それだけは決して…、我が口が裂けようとも…ッ!」 艦長の要職にある者だけに、これほど絶望的な境地に追いやられようとも 頑なな態度をなかなか崩さない。 「…!」 〈ザッ!〉 女パラディンナイトが視線で合図を送ると、レンジャーナイトたちは一歩ずつ前進! 彼女たちの鋭い刃(やいば)は、もう艦長の身体からいくらも離れていない。 「……うむぅっっ………」 もはや艦長は絶体絶命。 (たとえ征魔の珠の在り処を白状しても、この小癪な奴等には手出しできまい。 今すぐに口を割れば、あるいは捕虜として命を繋ぐ道も残されている…) 黒い男の焦茶色の瞳に諦めの色が浮かんだとき、 「…スティングレイっ!!」 〈ザパッッ!!!〉 先の戦闘で倒れた兵卒のひとりから発せられた必死の叫びに呼応して右舷の海面から 一匹の巨大エイが飛び上がり、 「うわぁぁぁーーーーッッッ!!!」 命運尽きた艦長を銜えた(くわえた)まま、左舷の彼方へと消えてしまった! 『………………………………………………………。』 「…『その秘密を漏らす者は上官とて構わず消せ』。 ……それが大王様の勅命なのだ……ウグッ。」 口元から血の泡を吐きながらそう呻く(うめく)と、異人の兵士は事切れた。 「支援士のみなさん! 艦長の居場所をご存知ありませんでしょうかッ?」 普段は滅多に出ることのないカネモリの大声が甲板に発せられたとき、 〈ザワザワザワザワ……〉 軍艦の甲板上には、動揺と混乱の喧騒が溢れ返っていた。 「…あなたが教会と連名で『例の依頼』を出した、『黒の錬金術師』ですわね?」 「えぇ。艦長の居場所をご存知なのですか?」 「艦長に何かご用なのかしら? …でも残念ですわ。今先ほど…」 女パラディンナイトから事の顛末を伝え聞いた彼の表情が、次第に険しくなってゆく。 「…何ということですか!? あぁ…。あの部屋の鍵は、もう海の藻屑です…。 ふたりとも、こうなったら自力で扉を破るしかありません。戻りましょう。」 「『鍵』!? 『扉』!? いったい何のことですの!?!? それよりも…」 「…『例のオパール』のことですね? それはきっと、これからあの洋上に姿を見せる『もう一隻の艦船』の中ですよ!」 艦隊の隙間に開けた虚ろな海面を指差しながら、三人は再び艦内に駆け込んでいった。 『……………………!?!?!?』 錬金術師の男が示した場所に『炎の壁』に囲まれた圧倒的な巨艦の姿が浮かび上がって くるのを目の当たりにして、驚愕の余り支援士たちが再び沈黙したのは その直後の出来事だった…。 「…大王様ッ! 第2護衛艦と第1結界艦が立て続けに轟沈!! 第4護衛艦と第3結界艦もまた、相次いで敵の手に落ちてございますッッ!!!」 黒船艦隊を統べる巨大なる海の要塞・旗艦(フラッグ・シップ)の一室。 『世界制覇』の野望を心に抱いた若き指揮官と三人の臣下の元に、 ひとりの異人兵が駆け込んで思いも寄らぬ戦況を報告する。 「何事ッ! 我らが偉大なるシャマル王の軍勢を押し返すことすらできぬ奴等が…、 如何にして…ッッ!!?」 頭の毛を一本残らず剃り落とした筋骨隆々の巨漢が、苛立ちの声を上げる。 「…狼狽え(うろたえ)るな、カムシン。 『大軍で押し返せない相手に対し少数精鋭の戦力を潜入させる』。 兵法の心得ある者ならば、いつかは思い付く作戦。 …そうでありましょう、ギブリ殿?」 「左様でございますな。カリフ。 しかし、万に一つもない危機に対しても万全の策を前もって打つのが我らの流儀。 …大王様がお心揺るがせることなどございません。」 怒りに打ち震える親衛隊長・カムシンを冷静に制した妖艶なる女参謀・カリフと、 彼女の問い掛けに落ち着き払って答える、白髪の老宰相・ギブリ。 「うむ。 ギブリ、カリフ、カムシンよ。 速やかに建て直しを図り、侵入者に備えるのだ。 …四人とも、下がって良いぞ。」 『はっ!』 臣下たちが声を揃えて退室し、ひとり広い船室に残った褐色の大王シャマル。 「……おのれ…、小賢しき大陸の民どもよ。 我が無敵なる艦隊を…よくも……。」 大王は右手に掲げていたオパールの宝珠を机上に置き、傍らに立ててあった両手剣を 荒々しく抜き放つ。 「…我の前に姿見せることあるならば、こうしてくれるッッ!!!」 〈カッ! スサッ!! シャッッ!!!〉 黒と白銀の波紋が浮かび上がった剣身が三度振り払われると… 〈ガランッッッ!!!〉 …すでに大王が征服した王国から奪い取った板金鎧(フルプレート・アーマー)がバラバラと なり、厚手の絨毯の上に散らばり落ちた。
https://w.atwiki.jp/akazunoma/pages/12.html
14 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/07/09(日) 21 22 47 ID PqLPPlfb0 家ではないけど私の通ってた高校の校舎にはそういう類のなんか誰も近づきたがらない ちょっと変な噂がたってる開かずの間らしいものはあったなあ。多目的ホールとして昔は 使ってたらしいけどなんか昔不良同士の喧嘩がその部屋であって片方がその喧嘩の怪我が元で 片目が失明したとのこと。両方退学したらしいんだけどそれから両方の家族同士のいざこざで 片目を失明させたほうの親が自殺。その後二人がどうなったかわからずじまい。そんな噂が 流れてた。気になるのはその開かない部屋の小さな窓から暗い部屋をのぞきこむと萎れた花束と 線香が供えられてるのが確認できること。一体全体過去に何がこの校舎であったか知らないけど 先生ですらその部屋にはいる人は誰一人としていなかったなあ。 だからその部屋は蜘蛛の巣だらけ。まあ、結局真相はなにもわからないけどね。
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/140.html
桐石登也、甚目寺禅次郎、福良練の三人は実習棟に駆けつけた。。 「おおおおおおおっ!!!」 実習棟に入ったとたん、練と禅次郎には聞き覚えのある声が響いていた。 「随分派手にやってるみたいだな…もしかしなくても、アレか?」 走りながら、桐石が苦笑いを浮かべると二人に視線を向けた。 「そうみたいです…。」 「騒ぎが大きくなる前に何とかしないとな、急ごう。」 禅次郎の言葉に頷くと、三人は声のするほうへと足を速めた。 「きゃああっ!」 部長が柔道着の入った袋を振り回していると、危うく彼女らしき女子生徒にぶつかりそうになる。 「おっと、女に暴力はよくねえな。」 「危ないな、ちょっと大人しくしてようか…」 ぶつかりそうになった袋を、片手で受け止めながら女子生徒の前に立つ桐石。 そして怯んだ部長を背後から抑える甚目寺。 すかさず、距離をとるために女子生徒の肩を支えながら後ろに下がる練。 三人の連係プレーでとりあえずの暴走は止められたようだった。 「なんだテメエら!まさか、男がもう一人…いや二人も居たのか!?…くそ、動けねえ。。」 部長は甚目寺を振り払おうとするも、後手をしっかりと締め上げられた状態で、経験を積み重ねた先輩ハンターの力に敵う筈もなかった。 「(きゅんっ)、、ありがとうございます! …や、止めてよ。そうやって直ぐ勘違いしてキレるところが嫌いなのっ! B君だって、私を心配して相談に乗っててくれただけなのに…」 男前な登場の桐石に思わずときめく女子生徒だったが、部長の言葉を聞くときっとにらみつけながら言い返した。 どうやらB君といわれる浮気相手らしい男性は既に逃げてしまったようだ。 「相談だぁ?あっちこっち男ばっか作りやがって!」 「あ…あの失礼ですけど、彼女さんが、浮気したっていうのは本当でしょうか? …なんだか、お話を聞いていると部長さんの勘違いのような気がするんですが…」 再び怒鳴りだす部長にストップをかけるように、恐る恐る練が片手を挙げ女子生徒と部長の両方に問いかけて。 「は?浮気?そんなのしてないわよっ!!ただ、目が合った、とか重いものを持ってもらった、とかその程度で度々コイツが一人で嫉妬してるだけよ。 そもそも、あたし先週コイツに告白されたけど、”付き合ってない”わよ?」 いい迷惑、と言わんばかりに両腕を組みながらふいっとそっぽを向いてしまった女子生徒。 「なーーーーーーにーーーーーーっ!? …だ、だってお前あの時、『柔道で汗を流してるところがかっこいいと思ってたの☆』とか言って赤くなってたじゃねーか!!!!」 「それは、本当にかっこいいと思ったからいっただけでしょ? かっこいいって言うなら、柔道部部長を軽々締め上げちゃうそっちの男性の方がずっとかっこいいわぁー…(きゅん)」 動揺する部長に追い討ちをかけるように、禅次郎を見ながら両手を合わせて頬を染める女子生徒。 どうやら、勘違いしやすい男、と思わせぶりな女のすれ違いな事情だったようだ。 「えっと……どうしましょう?部長さん泣いちゃいました…」 「とりあえず、桐石に任せようか…なんか熱い男同士上手くいきそう」 「あー、、まぁ、しょうがねえな。汗でも流して忘れろや。」 がっくりと項垂れ、膝をつく部長の肩を桐石はぽんと叩いた。 「アニキーーーっ!」 叩かれた手をぎゅっと握りながら涙を流す部長の姿に若干引きつつも笑顔で受け止める桐石だった。 「ねえ、あたしかえってもいーい?」 「あ、すみません!聞いておきたいことがあって…あかずの間とか部室棟から校舎への渡り廊下のうわさについて知りませんか?あとあと、この霧のこととか!」 練は帰ろうとする女子生徒にすかさず七不思議について尋ねると、その勢いに若干困惑する相手だったが助けてくれたこともあり、知っていることは全て話してくれた。 「あかずの間っていうのはね、実習棟三階の一番突き当たりの女子トイレにあるのよ。 確か一番奥の個室の扉を開けるとナントカっていう…場所も人があまり来ないところだし、噂を知ってる子は殆ど行かないわね。 渡り廊下のって……ああ、大学部の映研が去年撮影してたアレ? かっこいい先輩の知り合いがいるのよー、、で聞いたんだけど、撮影って知らないで高等部の子が居合わせちゃって悲鳴上げながら帰ったって話。 面白いから噂のまま残しとこうって言ってたんだけどね?確か…―」 そういってガセではあるものの、噂として流れていた真夜中の来訪者の全貌を聞かせてくれるのだった… 依頼【暴れ出した部長を止めてⅡ~三角関係の大修羅場~】 噂【真夜中の来訪者】を完成、真相を解明! 噂【あかずの間】のヒントを入手! 【実習棟三階女子トイレ】にいけるようになりました。
https://w.atwiki.jp/akazunoma/pages/30.html
214 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2006/08/02(水) 02 08 09 ID +QpCKnaS0 家の実家の台所兼ダイニングの天井に一畳ほどの他の天井板とは 色の違う部分がある。押すと上に上がるような構造をしていたので 帰省したときダイニングで茶を飲みながら、上を見上げなにげに 婆さんに問うたところ「今は使っとらん。」「屋根裏に登るための?」 「違うほこりまるけやろもう」「何??部屋があんの!」 ということで30年間気づかなかった、自分の家の開かずの間に気づいたとさ 話によると、小作の人が寝泊まりする場所だったらしい、もう一つの入り口は2階の 昔自分が使っていた部屋からとのこと、そういえば物心ついた頃から その部屋に置いてあった本棚の後ろに扉があったっけ?? うかつ、うかつ、何度模様替えしたか、その時本棚も動かしたけどその扉がじゃまで 「やっぱり本棚はここがいい。」と扉も開けずにいたな、、、。 何でこの先に部屋があるって想像できなかったのか、、、、オレって本当に抜けている。 その部屋の捜索はせず、、、紫檀の本棚めちゃくちゃ重たいんだって。
https://w.atwiki.jp/akazunoma/pages/70.html
915 名前: 本当にあった怖い名無し 投稿日: 2007/02/16(金) 13 02 10 ID c+sx538K0 開かずの間とはちょっと違うんだけど、うちの本家には 部屋に入れるのは、本家の家督を継いだ者のみのという部屋がある。 その部屋の名前もあるのだけど、親戚が見ていたらバレルといけないので 場所やその呼び名は伏せておく。 お盆の時期は、分家も本家に集まる事になっていて 本家・分家を問わず 17歳になるとその部屋の事を知らされる。 (昔は15歳だったけど、今は受験を気にした親達が17歳に決めたらしい) まぁ わざわざ聞かなくても、子供のころからその部屋の事は大体知っていたけど。 その部屋には、先祖に縁のある人の一部が納められている箱があり ソレをお祭りするのだと言う。 (この『一部』に付いてもハッキリいえない。ゴメン) お祭りするのは、先にも述べたように 本家の家督を継いだ者が 基本なんだけど、例えば 本家に子供が出来なかった時とか 若くして死んでしまった時は、分家の子供(男女を問わず)が 養子になりその部屋を祭る。
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/257.html
ヴィジットサウンドノベルシリーズリンク ※『最終電車 (PS2)』と『ノベルズ』以外の7作品は廉価版も存在する。 機種 タイトル 概要 判定 ハイパーノベル PS あかずの間 ヴィジットノベル第1作。しかし…。 ク 最終電車 一応代表作…か? なし PS2 最終電車 存在意義が疑問視される誰得移植。 PS 19時03分 上野発夜光列車 『最終電車』の続編。ヒロインは14歳。 なし 閉鎖病院 恐らく最高傑作。だが…。 なし タレント怪談 PS 大幽霊屋敷 ~浜村淳の実話怪談~ 語り口の妙を味わえ!? なし 稲川淳二 恐怖の屋敷 出演者的に黒歴史。 稲川淳二 真夜中のタクシー こちらは黒歴史ではないが…。 なし その他 PS ノベルズ ゲームセンターあらしR 誰得な(?)オムニバス。 なし
https://w.atwiki.jp/fightingmovie/pages/15.html
かずのこ Kazunoko(Nash Necalli) vs Infiltration(Nash) 2015年12月
https://w.atwiki.jp/47umatabi/pages/29.html
ようこそ、ラシーン乗りのおかずのりがうまい棒配りで全国行脚するようです@wikiへ。※PCと共用ページもあるから、携帯電話のクリアボタンか、左キーでこのページに戻ってくると見やすい。 【 Main Menu 】 旅の記録5日目 旅の記録4日目 旅の記録3日目旅の記録2日目旅の記録1日目 そして旅立ちへ全てのはじまり 【 Sub Menu 】現行スレへ行く避難所(パー速)テンプレ(共用)PC版トップへ
https://w.atwiki.jp/aspurand1106/pages/251.html
59話 ひろかずの言うとおり~しんげき~ 「一緒に生き残ろうって……言ったのに……」 レオノーレの敗死を目の当たりにし、落涙する守矢。 そのレオノーレの死体は兵士達によって無造作に片付けられる。 「ここまで五人やって、勝ったの一人だけじゃねぇか……!」 「じゃあ、ここにいる人、殆ど死ぬって事じゃん……!」 余りに無情な現実を前に、絶望感を露にする史雄と真耶。 他の生存者達も――巴と千華は涼しい顔をしていたが――前述の二人と似たような面持ちだった。 ジャンケンで勝てば良い、ただそれだけの事が、生存者達には監獄の塀よりも高い障壁のように思えてならない。 負ければ問答無用で「死」なのだから。 「はい、次」 しかしそんな生存者達の気持ちなどお構いなく、寛和は次の順番の者を呼ぶ。 「舩田勝隆」 「……っ」 紺色狼の少年、舩田勝隆。 「……行ってくるよ、陽平」 「ああ……絶対勝てよ」 朝礼台へ上る勝隆。 その時陽平が見た勝隆の表情は、最初に出会った時とはまるで別人のように凛としていた。 「さて、変態君。気分はどうだ? 首輪から盗聴してたんだけどよ、ちゃーんと聞こえてたぜ? お前がオナってた時のヨガリ声」 「……そうですか」 やはり聞かれていたのかと思うと、勝隆は少し身体の芯が熱くなったが、自制の心がそれに勝る。 流石に今はそんな場合では無い事ぐらい勝隆も理解していた。 「流石、動じねぇか」 「絶対勝ちますよ。勝って、生きて、また好きな事をするんです」 「……良い目してんなぁお前。あんなヨガリ声あげてた奴と同一人物とは思えねぇ」 強い意志を宿した双眸、そして表情を見て、寛和は感想を述べる。 「よーし、じゃあ宣言してやろう。俺は次、チョキを出す」 唐突に次に出す手を宣言する寛和。 何事かと戸惑う他の生存者達、冷静に寛和を見詰める勝隆。 「じゃあ、グーを出せば俺は勝てるんですね?」 「ああ」 「……分かりました」 「よぉし……行くぜ?」 「セット」 第六回戦が始まる。 「さーいしょーはグー」 「ジャン」 「ケン」 「なーんてな♪」 ここで、寛和は宣言を反故にした。出した物は「パー」であった。 「ああっ」と、生存者達が絶句する。誰もが勝隆の敗北を覚悟した。 しかし――――勝隆の手には「チョキ」の形になっていた。 「……チッ、反応良いなお前」 「……」 勝隆の首輪が電子音の後に外れ、朝礼台の上に音を立てて落ちる。 「舩田勝隆、生きる。」 朋佳が勝隆に告げ、生存者達から歓声が沸いた。 勝隆は生存者達の方に向き、疲れ切った様子ではあったが笑顔を浮かべ、小さくガッツポーズを決めた。 レオノーレの死で悲しんでいた守矢も、涙を拭いて、ジャンケンに勝利した狼の少年を祝福する。 そして兵士達に連れられ悠里の待つ合格者席へ歩いて行く勝隆。 「みんな! 勝って生き残ろう! 陽平……待ってるから! みんな勝って! 絶対勝って!」 残りの生存者達に向かって、勝隆は精一杯の声援を送った。 それによって、生存者達の心は幾許かではあったが勇気付けられる。 難しい事では無い、ジャンケンに勝てば良い。勝てば生き延びられるのだと。 「はい次! 七塚史雄」 「よっしゃ行くぞォォォオオ!」 大声を張り上げて勢い良く朝礼台へ上がるバーテンダーの青年、七塚史雄。 「セット。さーいしょーはグー。ジャーンケーン、ポン」 寛和は「チョキ」、史雄は「パー」。 寛和の勝ち。 【七塚史雄 死亡】 「次、保土原真耶」 「真耶さん頑張って!」 「行ってくる! ご主人の元へ絶対帰るんだぁあ!」 守矢の応援を胸に、主人の元に帰るべくゲーム機擬獣人化女性、白狐の保土原真耶は勝負に臨んだ。 「セット。さーいしょーはグー。ジャーンケーン、ポン」 寛和は「パー」、真耶は「グー」。 寛和の勝ち。 【保土原真耶 死亡】 「長沼陽平」 「うおお見てろ勝隆! お前に続くぞぉおお!」 「セット。さーいしょーはグー。ジャーンケーン、ポン」 寛和は「グー」、陽平は「チョキ」。 寛和の勝ち。 「陽平……!」 勝隆の願いも虚しく、長沼陽平の首は宙を舞った。 【長沼陽平 死亡】 「原小宮巴」 「巴! 勝って!」 「おねーさん……」 悠里が自分を応援するとは思ってなかった巴は少し驚いた表情を浮かべる。 当の悠里も、最初巴と出会った時は、自業自得の部分も有るとは言え殺されかけたのだから印象は最悪だった。 だが以降は共に行動し、自分に危害を加えるどころか気遣ってくれる場面が多くなっていったので、 悠里は巴に対し十分な仲間意識を持つようになっていた。 そして、巴もまた、悠里の事を大切な仲間だと感じていた。 にこり、と、巴が笑みを浮かべる。 今まで殆ど無表情だったが、その笑顔は普通の少女と何ら変わりの無い、屈託の無いものであった。 「巴……」 「頑張るよおねーさん。一緒に生き残ろうね」 「うん、うん……!」 だが。 現実は非情なもので。 寛和は「チョキ」、巴は「パー」。 寛和の勝ち。 「巴ええぇえええ……!!」 首と胴体が別れた犬狼の少女に向かって、悠里は悲痛な叫びを上げた。 【原小宮巴 死亡】 残りは、五人。 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 目次順 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 吉橋寛和 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 岩岡朋佳 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 原小宮巴 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 都賀悠里 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ リクハルド 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 深谷明治 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 舩田勝隆 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 長沼陽平 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 白峰守矢 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 保土原真耶 GAME OVER 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 沢谷千華 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 油谷眞人 次:ひろかずの言うとおり~きょうのよきひに~ 前:ひろかずの言うとおり~うんだめし~ 七塚史雄 GAME OVER
https://w.atwiki.jp/kamikaze4u/pages/131.html
月宮香蓮と東雲直は高等部の保健室へとやってきた。 「すみませーん、先生ーいますかー?」 部活動でたまにお世話になっていた保健室ということもあり、抵抗感なく薬品の香りが充満する室内へと足を踏み入れる直。 「へぇ、なんか懐かしい感じ。誰もいないみたいだけど、ハズレ、かな?」 学園出身ではないものの、勿論学生時代はあった香蓮がそのツンとした匂いに目を細めて。 市倉はおろか、保険医すらいない様子に軽く肩をすくめてみせた。 「そうですねー、…あれ、なんだろ?」 ふと室内をぐるり見渡した直は、薬品棚の扉の隙間から風呂敷がはみ出しているのを見つけた。 「あからさまに怪しい包みだよね、保険医さんのへそくりとか・・だったりして。」 白い室内に不似合いな紫の包みがひらりと覗くのを見ると、興味をとめられず二人は近づき手を伸ばそうと・・・ ―ガラッ! 「誰だっ!!?」 その瞬間を見計らったかのように、勢いよく開いた扉と刹那に響いた男性の声。 「何をしてるっ!?」 二人が振り返るや否や、白衣の男性が血相を変えて薬品棚に駆け寄ると風呂敷を押し込み扉をぴしゃりと閉めた。 「…えっと、先生?すみません、何か大事なものでしたか?」 「…ああ、東雲か、久しぶりだな。…いや、気にするようなものじゃない。怒鳴ってすまなかったね。」 直の言葉に我に返った保険医は、薬品棚の前に立ったまま、取り繕ったような笑みで挨拶を返した。 「怪しすぎでしょう、先生?何か見られちゃまずい物でもしまってるんですか? ……あ、もしかして女装の写真とか~。」 「誰だ、お前は」という保険医の訝しげな視線も気にすることなく、香蓮はニッコリと微笑みながら、適当なことを言いながら首を傾げた。 「ぐ……そ、そうだ東雲、今日は七不思議を調べてるんだったな!」 「あ、そらした。」 「ちょ、月宮さんっ!………そうなんです!先生何か知ってますか?」 香蓮のあてずっぽうが、まさかの図星だったのか、口ごもった後視線を直へと移し会話を転向させる保険医。 直もこれ以上は可哀相だと思ったのか、香蓮の服をくいと引っ張って小声で止めたあと、とってつけたように言葉を続けて。 「長いこと保険医をやってるからな、色んな話は聞くが、、、まぁ大体お前らも知ってるだろうな。 最近だと、あかずの扉とかいう女子トイレの噂が有名だ。 それと気をつけろよ・・・・七つ目を知るとよくないことがある、とか知ってはいけないってよく言うが、アレはな、”知ることが出来ない”らしいんだ。なんでかは知らないがな。 過去に調べようと思った奴らは皆言うんだ、『七つ目が、思い出せない。』って。」 そうして二人の探索は謎を残したまま、高級栄養ドリンクを手土産に強制的に保険医に追い出される形となって終了した。 その後、保険医の秘密が隠れた噂になって流れたのは言うまでもない… 噂【あかずの扉】の情報を入手! 直、香蓮は【栄養ドリンク】(HP全快)をゲットした!