約 27,661 件
https://w.atwiki.jp/saiyowiki/pages/138.html
No. 23力の薬(魔法のアイテム) 【コスト:火、火】【得点:0】 《起動》力の薬を生け贄にする:パワーカードを1枚引き、あなたの召喚ゲージを2増やす。 ・「ダイスドロー」と異なり、引いたカードは必ず手札に加えなければならない。 ▶ 考察 「薬シリーズ:火」。同シリーズの中では水の『知識の薬』と人気を二分するかなぁ…? 効果はこのカードを生け贄にする(取り除く)事を条件に、召喚レベルを+2、カードを1枚ドローする。 多くのレベル上昇系と違い、このカード自身がが取り除かれるため、実質的にも2枚多く召喚が出来るようになるため、その恩恵が大きい。 通常「火」に絡むカードはドロー系のカードが多いんだけど、こちらは単に1枚ドローのため運任せの部分が大きく、レベル上昇がむしろメインと考えて良い。もちろん手札が1枚増えるのもありがたいが。 「薬シリーズ」は使い捨てのアイテムではあるが、このカードは十分その価値のあるカード。 もともと「得点:0」のため、あくまでサポートカードではあるが、多くの場合不足しやすい召喚レベルを大きく上げつつカードを引けるのがありがたい。 レベル上昇力が高いので、あとは召喚で得点を稼げる形のカードが相性が良い。 召喚するたびに3クリスタルを得れる『春の杖』、最終召喚カード数が単独トップの場合に高得点になる『ラグフィールドの兜』。 そもそも召喚魔力が不足しては元も子もないので、召喚補助系の『運命の手』や『イジャンの忘却の壺』。 カードを引く前に内容を確認できる『水晶球』との組み合わせもなかなか強力。 ※はずれの時は使用を見送るとか。 サポートカードと言うこともあり、逆に相性の悪いカードは無いに等しい。 1回使いきりのため、『フェアリー』があんまり怖くないというのも良い。 使うタイミングはランダムドローと言うこともあり、1〜2年目がおススメ。3年目にレベルは上がったはいいけど召喚条件が厳しくて出せなかった…ではお話にならない(-ω-;)ウーン 使い勝手の良い、優良カードなんだけど、得点を確保できるわけではないので、ドラフトの優先順位はC~D(4〜7枚目)かな? 一般的には『知識の薬』の方が上位なんだろうけど、個人的にどちらを先に取るか、B~C(2〜5枚目)ぐらいで悩んでいる。 レベルが2も上がるので、「レベルダイス」いらねーヾ(*´∀`*)ノ♪ってやってると、だいたい終盤に死ぬ( ノД`)シクシク…ことになるので、要注意。 レベルはやっぱり大事。手札に埋もれて死ぬのは泣けてくる。 ▶ 関連 『知識の薬』『春の杖』『ラグフィールドの兜』『運命の手』『イジャンの壺』『水晶球』『フェアリー』
https://w.atwiki.jp/nicoworld/pages/587.html
正式名称は『撃王〜紫炎龍〜』。 縦スクロールシューティング『紫炎龍』(アーケード)のPS移植版であり、 1999年5月に童より発売された。 第十五幕シーン5で、とかちがドラゴナスのことを 「逃げるなんて、ずるい龍…いや、むしろせこい龍だな!」と評しているが、 これは『撃王〜紫炎龍〜』のおまけモード「ずるい龍」「せこいりゅう」が元ネタ。 また「ずるい龍」のタイトル画面には「無調整無添加!」と記されており、 こちらもドラゴナスの台詞の元となっている。 関連動画 無調整無添加の力を見せてやるぜ!
https://w.atwiki.jp/nostradamus/pages/1825.html
『ノストラダムスの万能薬』(The Elixirs of Nostradamus)は、1995年に英米で刊行された。前年にドイツで刊行されたクヌート・ベーザーのDie Elixiere des Nostradamusの英訳だが、原書に比べて大幅な改編がなされている。 【画像】The Elixirs of Nostradamus 内容 『化粧品とジャム論』の英語版である。底本はクヌート・ベーザーが1994年に編集したドイツ語版だが、問題が多い。 まずはドイツ語版で保たれていた章立てが廃止されている。さらに、本来の『化粧品とジャム論』が第1部全34章(ドイツ語版の底本になった1572年アウクスブルク版の時点で第18章が省かれていたので、全33章)、第2部全31章なのに対し、この英語版は、第1部が23章分、第2部が25章分しか訳出されていない。 訳語についても、1572年ドイツ語版から1994年ドイツ語版を経ての英語訳であるため、信頼性の点で疑問がある。 ピーター・ラメジャラーは「小便」が「飲み水用の井戸」に化けてしまっている例などを引き合いに出しつつ、「驚くまでもなく、伝言ゲームのようなものである。(略) もしあなたがこれらを容認するなら、自分で責めを負うしかない」(*1)と突き放している。 日本語訳 この英語版からの翻訳として『ノストラダムスの万能薬』(八坂書房、1999年)が刊行された。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mineraru/pages/11.html
基本情報 誕生日:冬の6日 愛情度800アイテム:焼きとうもろこし 『好きなもの』 クズ鉱石以外の鉱石(銅、銀など)、おにぎり、パン、花、ハチミツ、カレー等 『嫌いなもの』 クズ鉱石、カブ、温泉卵、たけのこ等 恋愛イベント 『黒』 曜日:木曜日以外 場所:鍛冶屋 時間:AM10:00~PM1:00 『紫』 場所:宿屋2階 時間:PM4:00~PM9:00 『青』 曜日:月曜日(晴れ) 場所:牧場 時間:AM6:00 入手アイテム:グレイのブローチ(「ちょっと興味ある」を選択) 『黄』 曜日:月曜日 場所:鍛冶屋 時間:AM10:00~
https://w.atwiki.jp/ff14fan/pages/74.html
製作レシピ [#g74d551b] 製作レシピ [#g74d551b]中間素材 [#kbcd8892] 染料類、塗料類 [#n3cd5g9w] 錬成品 [#na52e722]未整理 [#sbdab035] コメント [#nae19244] 中間素材 [#kbcd8892] 推奨 br;ランク アイテム名 数 材料 クリスタル 複合・設備・資格 説明 備考 確認 br;Ver にかわ 12 羊革の切れ端x1 br;骨片x1 br;濁水x1 ファイアシャード×2 br;ウォーターシャード×2 調合の手引 錬金材類 oβ にかわ 骨灰x1 br;栗鼠の粗皮x3 br;濁水x1 錬金材類 oβ ラバー 3 ラテックスx1 br;硫黄x1 br;蒸留水x1 ライトニングシャード×2 br;アイスシャードx1 簡易錬金術設備 br;調合の手引 錬金材類 サブ木工R4で経験不足 oβ ラバーソール 3 にかわx1 br;ラバーx1 ライトニングシャード×3 br;アイスシャード×2 靴類部品 oβ 食塩 24 蒸留水x1 br;岩塩x1 ファイアシャード×2 br;ウィンドシャード×2 粉引きの手引 調味料 oβ 15 24 マルムケルプx1 br;海砂x1 ファイアシャード×2 br;アイスシャード×2 調味料 β3 1~ 蒸留水 3 濁水x1 ファイアシャードx1 錬金材類 修練値はR3の時最多になる oβ メープルシロップ 12 メープル樹液x1 ファイアシャード×1 br;ウォータシャード×1 簡易錬金術設備 br;調理スキル 調味料 oβ 蜜蜂の巣 12 蜜蜂×1 ファイアシャード×1 br;ウォーターシャード×1 錬金材類 oβ 蜂蜜 12 蜜蜂の巣×3 ファイアシャードx1 br;ウォーターシャードx1 調味料 oβ 蜜蝋 12 蜜蜂の巣×3 ファイアシャード×3 br;ウォーターシャード×3 錬金材類 oβ 10? 魚にかわ 24 インディゴヘリング×5 br;シーピクルx1 br;濁水x1 ウォーターシャード×4 br;ファイアシャード×4 調合の手引 錬金材類 β3 10? ゼラチン 24 ブラスローチ×1 br;蒸留水×1 br;蝙蝠の翼×1 ファイアシャード×1 br;ウォーターシャード×1 調合の手引 加工食材 β3 リンシードオイル 12 亜麻×4 ライトニングシャード×2 br;アイスシャード×2 簡易錬金術設備 br;調合の手引 油類 R4+でぎりぎり製作可能 oβ オリーヴオイル 12 オリーヴ×4 ライトニングシャード×2 br;ウォーターシャード×2 簡易錬金術設備 br;調合の手引 油類 oβ クローヴオイル 12 クローヴ×4 ライトニングシャード×2 br;ウォーターシャード×2 簡易錬金術設備 br;調合の手引 油類 β3 ジェリーオイル 12 海月の傘×2 ライトニングシャード×2 br;ウォーターシャード×2 調合の手引 錬金材類 R10で作成不可 oβ 水銀 12 辰砂×3 ファイアシャード×4 br;ウォーターシャード×2 簡易錬金術設備 錬金材類 oβ コーングリッツ 12 ミリオンコーン×4 ライトニングシャード×6 粉挽きの手引 穀類 β3 小麦粉 12 小麦×4 ライトニングシャード×8 簡易錬金術設備 br;粉挽きの手引 穀類 oβ ライ麦粉 12 ライ麦×4 ライトニングシャード×6 簡易錬金術設備 br;粉挽きの手引 穀類 oβ 銅粉 12 カッパーナゲット×3 ファイアシャード×2 br;ウインドシャード×3 標準錬金術設備 br;粉挽きの手引 金属材類 β3 胡粉 12 帆立貝×3 ウインドシャード×3 粉挽きの手引 錬金材類 oβ 麻痺毒素 24 海月の刺胞×6 ライトニングシャード×2 br;ウィンドシャード 毒薬調合の手引 錬金材類 ランク12現在、作業すら不可能。 br;高難易度の模様。 β3 麻痺毒素 24 ブラックスコーピオンx3 ライトニングシャード×2 br;ウィンドシャード 毒薬調合の手引 錬金材類 ランク12現在、作業すら不可能。 br;高難易度の模様。 β3 律動薬種 24 ブラックスコーピオンx4 ファイアシャード×2 br;ウィンドシャードx1 毒薬調合の手引 錬金材類 β3 静寂毒素 4 タランチュラx3 ライトニングシャード×2 br;ウィンドシャードx1 毒薬調合の手引 錬金材類 oβ 多弁薬種 24 タランチュラx4 ファイアシャード×2 br;ウィンドシャードx1 薬種調合の手引 錬金材類 β3 鉄甲薬種 4 ヘルメットクラブx4 ファイアシャード×2 br;ウィンドシャードx1 薬種調合の手引 R10でもっと腕を磨いてから oβ 自覚薬種 4 ベラドンナx4 ファイアシャード×2 br;ウィンドシャードx1 薬種調合の手引 錬金材類 R10でもっと腕を磨いてから oβ グロースフォーミュラ・アルファ 1 シュリークシュルームx1 br;水銀x1 br;岩塩x1 ライトニングシャード×4 br;アイスシャード×4 調合の手引 霊薬類 oβ グロースフォーミュラ・ベータ 1 赤飛草の葉x1 br;水銀x1 br;岩塩x1 ライトニングシャード×6 br;アイスシャード×6 調合の手引 霊薬類 oβ 各種シャード 16 細砂x1 各種クリスタルx1 水晶類 oβ 染料類、塗料類 [#n3cd5g9w] 推奨 br;ランク アイテム名 数 材料 クリスタル 複合・設備・資格 説明 備考 確認 br;Ver 羊革染料(グレイ) 12 スケイルバグ(グレイ)x1 br;リンシードオイルx1 ウォーターシャード×6 br;ライトニングシャードx2 染料類 br;羊革用の黒灰色染料 oβ 羊革染料(トープ) 12 スケイルバグ(トープ)x1 br;リンシードオイルx1 ウォーターシャード×6 br;ライトニングシャードx2 染料類 br;羊革用の土竜色染料 oβ 大鳩革染料(ブラック) 12 スケイルバグ(ブラック)x1 br;リンシードオイルx1 ウォーターシャード×6 br;ライトニングシャードx2 染料類 br;大鳩革用の墨色染料 β3 草布染料(グレイ) 12 ダイアーモス(グレイ)x1 br;蒸留水x1 br;アルメンx1 ウォーターシャード×6 br;ファイアシャード×2 染料類 br;草布用の鉛色染料 β3 草布染料(ブラウン) 12 ダイアーモス(ブラウン)x1 br;蒸留水x1 br;アルメンx1 ウォーターシャード×6 br;ファイアシャード×2 染料類 br;草布用の茶色染料 oβ 綿布染料(セレスト) 12 ダイアーモス(セレスト)x1 br;蒸留水x1 br;アルメンx1 ウォーターシャード×6 br;ファイアシャード×2 染料類 br;綿布用の空色染料 β3 ラッカー塗料(アジュール) 12 ラックバグ(アジュール)x4 ウォーターシャード×4 br;ファイアシャード×4 塗料類 br;木材用の紺色塗料 β3 ラッカー塗料(ヴァート) 12 ラックバグ(ヴァート)x4 ウォーターシャード×4 br;ファイアシャード×4 塗料類 br;木材用の緑色塗料 錬金スキル6で難しすぎる oβ ラッカー塗料(セーブル) ラックバグ(セーブル)x? 塗料類 br;木材用の黒色塗料 材料はおそらく×4 β3 ラッカー塗料(オーア) ラックバグ(オーア)x? 塗料類 br;木材用の黄色塗料 材料はおそらく×4 β3 ラッカー塗料(ギュ-ルズ) ラックバグ(ギュ-ルズ)x? 塗料類 br;木材用の赤色塗料 材料はおそらく×4 β3 ラッカー塗料(パーピュア) ラックバグ(パーピュア)x? 塗料類 br;木材用の紫色塗料 材料はおそらく×4 β3 錬成品 [#na52e722] 推奨 br;ランク アイテム名 主材 仕上げ 材料 クリスタル 必要資格 性能等 備考 ブラインダガー クローヴオイルx1 br;暗闇毒x1 br;ダガーx1 oβ 未整理 [#sbdab035] 推奨 br;ランク アイテム名 数 材料 クリスタル 複合・設備・資格 説明 備考 確認 br;Ver ラバーバンド 3 ラバーx2 ライトニングシャード×3 br;アイスシャード×2 簡易錬金設備 oβ 暗闇毒素 ブラインドフィッシュx3 oβ 光明薬種 ブラインドフィッシュx4? oβ 光明薬 光明薬種x1 br;岩塩x1 oβ ラベンダーオイル ラベンダーx4 oβ にかわ 溝鼠の粗皮x3 br;骨灰x1 br;濁水x1 oβ 魚にかわ ワフーx1 br;ジャックナイフx1 br;濁水x1 oβ 骨灰 骨片x6 br;その他? oβ 綿布染料(メイズ) R10難易度高め oβ 綿布染料(オリーヴ) R10難易度高め oβ コメント [#nae19244] 情報提供・データ報告・修正依頼などこちらへおねがいします。 名前 (コメント/製作(錬成),20,below,reply)
https://w.atwiki.jp/dngss5/pages/334.html
SSその1 ――能力起動。『演ぜよ睨天の水鏡』。 スロット1:アウトサイドイミュニティ スロット2:尺取虫 スロット3:サクララ スロット4:果てしない夢(ネバー・エンド) ――スロットへの入力を確認。能力の展開を開始します。 ――hello,world.Blessed are the pure in heart.(おはよう、そしてよいゆめを) 『えー、続いてのニュース。骨鷺(ほねさぎ)重工(じゅうこう)専務で、現在五賢臣としても活動している骨鷺(ほねさぎ)ミツコさんが一時誘拐された事件について、続報です。警視庁は今日の記者会見で、17歳の少女を容疑者として逮捕したと発表しました。公式な発表はありませんが容疑者は魔人であるとみられ、魔人問題の専門家は懸念を……』 「……ん」 テレビから流れてくるニュースに、一瞬だけ夕食(ビーフシチュー)を運ぶ手が止まる。 そうか、泉桜原(せんおうばら)レイラ、ちゃんと捕まったんだな。さすがの魔犯対(魔人犯罪対策室)。あたし……徒士谷真歩(かちやまほ)が非番でもちゃんとやる事はやってくれてる。 うんうん、と頷いて、再びスプーンを口に運んだ。ん、塩加減とコクが絶品。かがり、さらに腕をあげたな。 こちらを心配そうに見つめるかがりと目が合う。にっこり笑って親指を立ててやると、輝くような笑顔を返してくれた。うむ……わが娘ながら完璧に天使だ。こっちもさらに笑顔になってしまう。 『……さて、続いてはスポーツです。グロリアス・オリュンピア、いよいよ残る選手は4人に絞られましたが、準決勝の組み合わせ発表の記者会見がもう間もなく……』 笑顔に緩んでいた顔が引き締まる。 そう、あたしが今日非番なのは、かがりのおいしい晩御飯を堪能するためだけではない。試合の組み合わせと試合会場の発表が、今回は各種マスコミを通じて行われるという事になり(大会プロモーションの一環だそうだ)、室長が気を効かせて非番にできるよう調整してくれたのだ。組み合わせ公表で仕事の気が散らないように、というのもあるのかもしれないが、ありがたい話ではある。 対戦相手の可能性があるのは3人。 いずれ劣らぬ強敵ぞろいだが、相手が分かっているのとそうでないのとでは戦いの準備の仕方も自ずと異なる。先入観を入れたくなかったのもあり、現時点であたしの準決勝の戦闘プランはほぼ白紙に近かった。故に、出来るだけ早く対戦相手を知る、というのは対策を取る意味でも重要なのだ。 さて……誰が来る? テレビに映る記者会見会場の中で、五賢臣のお歴々がぞろぞろと入場してきて、用意されたパイプ椅子に座る。お、真ん中で仕切るポジションにいるの、誘拐されてた骨鷺ミツコさんじゃないか。 『それでは、準決勝の組み合わせ、及び試合会場を発表させていただきます』 鋭利なキャリアウーマン、といった印象の骨鷺さんが淡々と言った。手元に用意した大きな茶封筒をペーパーナイフで開き、中に入っていたプレートをカメラに向けて見せてくる(トーキョー、とか言いそうだ。テロとか色々あって幻になっちゃったんだよな、東京オリンピック。……いや、今は関係ないか)。 プレートに書かれた内容を、骨鷺さんが復唱した。 『希望崎学園STAGE、ファイヤーラッコVSモブおじさん。 体内STAGE、恵撫子(えぷし)りうむVS徒士谷真歩。 以上2試合が準決勝となります。各選手の奮闘を期待します。以上です』 表情一つ変えず言い切った骨鷺さんのアップから、ニュース番組のスタジオにカメラが戻る。 あたしは無言でリモコンを操作し、テレビのスイッチを切った。キャスターのコメントを聞くためにつけてたんじゃないからな。 さて、恵撫子りうむと来たか。 曲者ぞろいの準決勝進出者(あたし自身が曲者かの評価は評論家連中に任せる)の中では、彼女は曲者の方向性が分かりやすい方だ。 なにしろ、2回戦(恵撫子にとっては1回戦だが、いちいち注釈してるとくどいし、あたし達一般の選手にとっては2回戦なんで、そっちの表記で統一する)の対戦相手である井戸浪(いとなみ) 濠(ごう)によってその魔人能力はすでに明らかにされているからだ。 しかも、その明らかにされた内容はめっちゃ音読されていた。 全国放送で。 恐ろしい奴だな、井戸浪……おそらく恵撫子に揺さぶりをかけるためだったんだろうが、魔人能力の全国暴露なんてやられたら心臓の弱い魔人ならそのままショック死しかねないぞ。 まあ、心臓の弱い魔人なんて奴が実在するかどうかは知らないし、もちろん恵撫子は心臓の弱い魔人ではなかったので、その後いろいろあって二回戦に勝利したわけだが。 問題なのは、明らかにされた恵撫子の魔人能力の内容だ。これがとんでもない物だった。 二回戦での井戸浪の発言から引用すると 『恵撫子りうむ。エプシロン王国の秘宝、『エプシロンの杯』の願望具現によって現れた、人造魔人。能力名は『演ぜよ睨天の水鏡』。『グロリアス・オリュンピア』予選に敗退した42名の選手の持つ特殊能力を行使できる力。戦いの目的は「自分の力がどこまで魔人に通用するか試すこと」』 四十二重能力者。 正気か。 井戸浪のハイセンスなジョークという可能性を支持したくなる気持ちもあったのだが、残念ながら恵撫子の反応や戦闘自体の推移をみるに、割と大マジな話らしかった。 さきほど恵撫子の事を方向性の分かりやすい曲者、と評したが、それは別に彼女が弱いという事を意味しない。 むしろ逆だ。四十二重能力者という方向性が分かりやすいだけで、彼女はその方向性で十二分に曲者、強者なのである。 「さて、どうしたもんかね。……ん?」 ふと視線を感じてそちらを見返すと、そこでは天使がむくれていた。 もとい、かがりがむくれていた。 「ママ……シチューが冷めちゃいます!」 「お、おお。すまん」 「返事ははい! 謝るのはごめんなさい!」 「はい! ごめんなさい!」 慌ててシチューの方に意識を戻す。 ごめんな、かがり。ママこれからまた忙しくなるけど、その分はちゃんと埋め合わせるから。 でも、ミズリースプラッシュマウンテンは勘弁してくれな……あれはもうやだ……。 噛みしめたシチューは、どことなく生命(いのち)の味がした。 なぜか、そんなポエムじみた形容をしたくなる気分だった。 さておき。 待ってろよ、恵撫子りうむ。 沢山の力(・・・・)を束ねるのは(・・・・・・)お前だけのやり方(・・・・・・・・)じ(・)ゃない(・・・)んだぜ? ぺちぺちぺちぺち。 ハローぺちぺちワールドぺちぺち。意識のぺちぺち覚醒はぺちぺち暫く前からぺちぺち概ね良好ぺちぺち。 ……ぺちぺち何をやってるのか、ですか? ぺちぺち。 詳細な事は隠し球でもあるので今はちょっと秘密にさせてほしいのですが。ぺちぺち。 事実だけを言うと、私は今、一心不乱にテーブルの上のコインを平手でぺちぺちしてるのです。ぺちぺち。 「りうむちゃーん」 ひたすらな単純作業なので飽きるかと思ったのですが。ぺちぺち。 「りうむってばー」 これはこれでなかなか。ぺちぺち。 奥深い物が。ぺちぺち。 「りーうーむーちゃーん」 ああ、ぺちぺちとは、世界とは、宇宙とは。ぺちぺち。 目の前に光がぱぁーっと広がって……ぺちぺち。 「りうむー!!!」 「うひゃあぁっ!?」 突然の大声。 びっくりしました。かなりびっくりしたので、あやうくコインがどこかに飛んでいきそうになりました。 実に危ないです。飛んで行ったら割と取り返しのつかないところでした。 「何するんですかフェアリーちゃん! びっくりしたじゃないですか!」 「だってぇ。りうむ、さっきからずーっとそれなんだもの。私、もうピラミッドと夢の国の録画見終わっちゃった」 私のおこに返事をするのは、絵本から飛び出してきたような、身長10cmぐらいの妖精さん。 名前はトゥインクル・フェアリー。長いので私はフェアリーちゃん、と呼んでいます。 ……別に私がヤバい幻覚を見ているわけではありません。 私が選んだ4つの魔人能力の1つ、正体不明永遠の少年系青年魔人ジョン・ドゥさんの能力、果てしない夢(ネバー・エンド)。 夢見る心をエネルギーに変える能力、らしいのですが、フェアリーちゃんはその能力の化身なのです。 事前に能力把握はしていましたので驚きはしなかったのですが、1つ予想外だったのが、彼女が私の思った以上に自由奔放に動く事。 私の言う事を尊重はしてくれますが、絶対服従ではない。場合によってはこんなふうに、文句だって言ってくるのです。 「だったらもう一周見てくださいよう。私は大分長い時間ぺちぺちしなきゃいけないんだって、最初に言ったじゃないですか」 「ネタバレ分かってて見るのつらいですー。せめて一緒に見てコメントしてくださいよぅ」 「あー……」 ……なるほど。一理あります。 世の中には「内容が分かっていると面白さが半減する作品」や「人とコメントを言いあいながら見ると、何回目でも高い面白さを得られるタイプの作品」という物があると聞きますが、ピラミッドや夢の国の戦いはある種それらに近い物なのかもしれません。 ……ぺちぺちの速度は少々落ちますが、やむを得ないでしょうか。私はコインをテーブルから拾い上げると、試合の録画映像を見るべくPCデスクに移動します。フェアリーちゃんはちっちゃいので、並んでみるのが苦にならなくてよいです。あ、私の肩に座りました。ちょこんとしててかわいい。 さて、グロリアス・オリュンピアの結構な数の試合は、実は動画サイトで配信されています。最新試合じゃないのは有料になっちゃいますが、そこは2回戦で貰ったベストマッチ賞金の一部でなんとかしました。小金持ちな気分です。ぶい。 動画サイトで再生ボタンをぽちっと押して、試合映像を見始めます。もちろんその間もコインをぺちぺちするのは忘れませんが。 映像の展開に合わせて、フェアリーちゃんと気ままなおしゃべりタイムを繰り広げつつ、しばし経って。 「ねぇりうむ。りうむちゃん」 「なんでしょうかフェアリーちゃん」 「……この徒士谷さんって人、馬鹿みたいに強いですね」 「……やっぱりそう思いますかー」 フェアリーちゃんの言葉は、疑問形ですらありませんでした。それほどまでに、疑問の余地を感じさせないほど、徒士谷さんは強かったのです。 PCのディスプレイの中では、ピラミッドでの戦いの映像……炎の鞭に足首を絡まれた徒士谷さんが絡んだ鞭を足首ごと切り落とし(!)、さらにその勢いのまま石造りの扉を十字切りにして(!!)、勝利する映像が繰り返し流れていました。 おぅ……サムラァイ……。というか、いくら回復が約束されてるからって自分を斬るのが躊躇なさすぎやしませんかこの人! さらにその後の一撃もまったくダメージが効いてるように見えないんですが! 「どうですか解説のりうむさん。魔人っていうのは皆さんこんな事が出来る物なんですか」 「いやぁ、私も三週間ぐらい(ながねん)この業界いますけど、こんなに戦闘に……いえ、闘い(・・)に秀でた魔人はほんとに珍しいですね。この人は業界でもトップクラスじゃ……って、誰が解説ですか!」 「あはは、りうむノリツッコミありがとー」 「もー。フェアリーちゃんったら、私をからかっても何にも出ませんよ?」 「私は面白いけどな。りうむも笑ってるじゃない」 「……あれ」 フェアリーちゃんに言われて自分の口元を触ってみると、確かに口角は上がっているようではありました。私、確かに笑ってるみたいです。 そういえば、自信たっぷりにふふーんって笑ったりする事は何回かありましたけど、何かが面白くて笑ったのは初めてかもしれません。 というか、誰かとわちゃわちゃしながら何かを眺める、という行為自体が初めてです。まあ、人生三週間ぐらいなのでそんなもんではある、のでしょうが。 「……ふむ」 「どうしたの、りうむ。そろそろピラミッド終わって夢の国始まるよー」 「いえ、まあ。大したことではないのですけど」 「うん」 PCのマウスを操作して、動画を一時停止します。何となくですが、これを言うのは動画見ながらじゃダメな気がしました。 「フェアリーちゃんとこうやって何かを見るの、楽しいな、と。ちょっと思っただけです」 「…………」 フェアリーちゃんは一瞬ぽかん、とすると、次の瞬間目いっぱいの笑顔を浮かべてくれました。 「ありがとっ。私もりうむと一緒に見るの、楽しいよっ」 「そ、それはどうも……って、ちょ、フェアリーちゃんどこに乗っかるんですかっ」 「りうむの死角、頭の上でーす。ぱいるだーおーん、がしーん」 「むむう、重くはないですがなんだか変な心地です。あ、髪の毛いじらないでくださいっ」 「すすめーすすめーものどーもー」 「よく分かりませんけどなんかその歌は良くない気がします!」 わーきゃー言っちゃいます。ああ、なんだかこういうのも楽しく思えてきちゃいました。 この時間がもう少し長ければよかったなあ、とさえ、思えました。 でも、大丈夫。この時間の思い出さえあれば、私はどんな闘いに強い魔人さんとだって渡り合えます。 「りうむ、早く続き見よー。夢の国初見だとそこそこ分からないところあったからもう一回見たいんだー」 「はいはい、再生ボタンクリックして……あ、そうだ。これ見終わってぺちぺちも終わったら、桜の枝も取りに行かないとですね」 「お花見だ、いいなー。あれ、でも桜の枝って折ると怒られるんじゃ」 「大丈夫です、治せますから!」 「りうむすごい! アフターケアも万全だ! あ、夢の国の前説終るよ」 「おっと。じゃ、見ていきましょうか。この戦場はいろいろ複雑なんですよね……」 ふっふっふ。 待っていてくださいよ、徒士谷真歩さん。 私とフェアリーちゃん、そして残る3つの能力が、貴女を倒しちゃうんですから! ――“体内”STAGE 奇異な戦場だ。 夢の国とはまた別の魔人が生成を担当しているのだろう。中々どうして、国交省も層が厚い。 実在しないこの戦場においては、二回戦のときのように“事前に歩いておく”手は使えない。 「(それは、まあ、折り込み済みだから構わねえ。だが――)」 ぐちゃりと気色の悪い感触の足元に顔をしかめながら、真歩はその戦場を歩いて《徒歩圏》を広げる。 「ここは一体何だ…?」 人が中に入って暴れられるような巨大生物は実在しない。 当然、何らかのファンタジー的な着想に基づいて構成された戦場だろう。 例えば天をゆくドラゴン、例えば地を圧する巨人、ピノキオの物語になぞらえて大鯨なんてのもあるかもしれない。 真歩にはいま自分が何の生物の体内を歩いているのかを知るすべはなかったが、それにしても明白におかしい部分がある。 「――ふッ!」 襲いかかる触手を切り捨てる。 その動きは打ち据えるのではなく絡め取るそれ。 その根本に目をやれば、拘束台のようなしつらえが伺える。 「(なぜ、生物の体内に“対人トラップ”が存在する――?)」 つまるところ、意思を感じるのだ。 ここは戦場である。 勝負の場を提供する。 それが熱い戦いであれば尚良い。 そんなものとは一線を画する、“邪悪”な意思を、第一線をゆく刑事である真歩は感じ取っていた。 頭上から、どろりと粘性の強い液体が降り注ぐ。 それを能力で回避し、顔をしかめた。 あるいは、そう。或いは。 例えばどこかで、なにか良からぬ意志が介在しているのではないか――― 『これは……いや、そんな馬鹿な…だけど、間違いない…!』 「! 何かわかったのか、エイジ!」 『はい、恐らくここは――』 インカム越しに、相棒の息を呑む気配が伝わる。 頭の回る男だ。自分よりも状況を俯瞰できる位置にいるエイジであればこそ、いち早く何かを察したのだろうと考える。 『――エロトラップダンジョンです!』 ……何て? 思わず硬直してしまった。 「……」 『……』 「……」 『……』 「……」 『エロトラップダンジョンです!』 「いや違う。そうじゃない。聞こえてる。ちゃんと聞こえてはいるぞ、うん」 『…。 あ、エロトラップダンジョンっていうのは――』 「言ってる意味がわからなかったわけでもないからな? いや、正直わかりたくもないのは確かなんだが」 真歩は淫魔人の性犯罪者との交戦経験もある。 捜査の関係上必要になるケースもあるのでこの手のある種偏った知識だって持ち合わせているのだ。流石に入ったのは初めてだが。 「ただ、な、うん。エイジ、お前は疲れてるんだ。 この所少し無茶をさせすぎたのかも知れないと、結構反省しているんだよ、これでも。 やっぱりそう、一度休暇でも取ると良い。ご実家には顔を出しているか?」 『先パぁイ……気持ちはわかりますけど現実見ましょうよ…』 「……」 だめかな。だめか。そうか。 「お前……だってお前…おかしいだろこれぇ………全国放送だぞ…各ご家庭のお子さん方の目に触れたら駄目なやつだろぉ……」 頭を抱えたくなるのを抑えてぼやきながら歩みを進める。 モブおじさんあたりの時点でいろいろ手遅れな部分はあるのだが。 それにしたって何かこう……運営側がこういうのに積極的になるの、だめだろう、やっぱり! 「くそ……誰だよ企画通したやつ……」 『五賢臣じゃないですかねー』 「ふざけんなよ……やって良いことと悪いことがあるだろうが……」 ぶちぶちと文句を言う間にも襲い来る触手だの落とし穴だのガス孔だのを切り払い、歩みを進める。 「――っとぉ」 そんな折に、爆発音が耳を突いた。 肌に触れる微細な振動の様子は、それがさして遠くはないことも示している。 「向こうも動いたな。エイジ、どう見る?」 『そうスね……接触目指したほうがいんじゃないでしょうか』 「ほう。先に徒歩圏を広げるだけ広げる線もあるが?」 『必要なら退いてそうしましょう。ただ、準備時間を与えないほうがいい能力の可能性もあります。爆発物を扱うなら特に』 「よし採用」 短いやり取りを経て方針を決定する。 文字通りに何をしてくるかわからない相手だが、だからこそ主導権を握りに行く。筋は通るし、何よりそちらのほうが好みだった。 一歩強く踏みしめ、駆け出す。 構造――『計測』完了。材質――『計測』完了。骨格――『計測』完了。設計理念――『計測』完りょうぉーいなんじゃこれえ!!!!! 脈拍――『計測』完了。分布――『計測』完了。起動条件――『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了。『計測』完了『計測』完了『計測』完了『計測』完了『計測『計測『計測『計測『計『計『計計計計計計計計計計計計計計計計計計計計計計計計―― 「え――」 急速に流れ込む情報の本流に、ひとときめまいに似た感覚を覚えました。 圧迫された処理領域は身体制御に干渉し、視界と平衡感覚の不良を喚起します。 どくどくと脈打つ生暖かい内壁に膝をつく傍ら、それでも私は声を挙げます。 回路でも、プログラムでも、オーダーでもない私の中の熱が、そうさせずにはいられなかったのです。 「エロトラップダンジョンじゃねーですかこれええええええ!!」 ツッコミでした。 「うぐぅ……」 大声を上げたせいか、頭痛がひときわ強く私を襲います。 フェアリーちゃんが心配そうにふよふよと飛んでいるのを、大丈夫、と手で制しました。 いやしかしこれ……ダメでしょ……駄目なやつじゃないですか……なんですか。なんなんですか。やって良いことと悪いことがあるでしょう。エプシロンが誇るクソ王女も大概ですけど大会の運営も大分ぶっ飛んでますよこれシラフで企画立てたとは思えませんね誰か止めなかったんですか本当に何なんですかHENTAIの本場の面目躍如なんですか未来に生きてんな!ホワイジャパニーズピーポゥ! ―――的なことをもっと叫びたかったんですど。今はこの情報の整理と把握が優先です。 常磐 糸吉さんの能力、『尺取虫』 触れたものを『計測』するこの能力は、計測対象が発生してから経た時間が長いほど一度の『計測』で得られる情報は少なくなります。逆に言えば、短いほど一度の『計測』で大量の情報を得ることができます。 翻ってこの戦場は、『計測』で得た情報による所、国交省の魔人の能力によって生み出されてからの経過時間はたったの32時間ほど。一度の『計測』であらゆる情報を得ることができます。 「そういう意味だと、フィールドにトラップが点在してるっていうのは……まあ種類はともかく、嬉しい材料ですね」 「なるほど! りうむは今ありとあらゆるエロトラップに精通しているのね!」 「言い方! フェアリーちゃん言い方!!」 ファンシーな見た目でなんてこと言うんでしょう! まあ、言ってる事自体は間違いじゃあありません。 位置、起動条件、効果、その他諸々。すべてを『計測』し、把握しました。 あの怪物じみた刑事さんに通用するかはわかりませんが、利用しない手はないでしょう。 「…と、ぼやぼやもしていられませんね! 次は場所選び、です。フェアリーちゃん、支援よろしく!」 「アイアイ!」 相手は接近戦おばけですから、なるべく開けた場所を選ぶ必要がありました。 情報の奔流から立ち直った私は、『計測』した情報をもとに目的地を定めます。 「そして慣らし運転! てやーっ!」 「ちょやーっ!」 襲いかかるトラップに向けて、掌を向けます。 フェアリーちゃんが同じポーズを取れば私の掌から銀色の光が放たれて、着弾したそれは、BOMB、とどこかカートゥニックな音と共に爆発しました。 これが私の、“夢見る心”から変換されたエネルギーなのでしょう。 「よし、いい感じ!」 なぜだか不思議と、“馴染む”感じがします。イェイ、と、フェアリーちゃんとハイタッチを交わしました。 さて、勝ちの絵は描きました。 相手は大会屈指の武闘派魔人。相手にとって不足なし! まがい物の力で―――一矢も二矢も、報いてみせましょうか! 「――げ」 「――お」 顔を合わせた私と徒士谷さんは、互いに声を挙げました。 むう、『計測』した時の位置から考えて、もう少し時間がかかるものと思っていましたが……。 距離と時間を考えれば、ほぼ一直線にこの場所に向かってきた計算となるでしょう。もう少し、仕込みに時間を使いたかったのが本音です。 私と徒士谷さんは、既に張っていた『サクララ』――麗 御咲さんの能力による桜のフィールド――を隔てて、向かい合います。どうでもいいですけど内臓の肉色を背景に舞う桜の花びらって、絵的な違和感が半端ないです。 「六の九、それから三の四……いや二の一、か」 「……?」 「こっちの話だ。さて、互いに必殺の不意打ちとは行かなくなったわけだが。…挨拶はいるかい」 「そうですね。もちろん私達はきっと、互いを知っているのでしょう。 ここ幾日か、ずっとあなたのことを考えていましたし、あなたもそうなのだと信じています」 今大会――いえ、世界でも最高峰に値するであろう魔人。 “自分の力でどこまでやれるのか”―――私の胸に宿すその渇望に、これほど響く相手もいません。 「けれど私、“そういうの”、結構好きなんです」 「そうかい、あたしもだ」 と、徒士谷さんは口角を緩めました。 それはずいぶんと穏やかでは有りましたが、一方で眼光は酷く鋭く。睨天鉄の心臓が高鳴る心地を覚えます。 「警視庁捜査一課 魔人犯罪対策室所属。魔人警視流――徒士谷真歩」 彼女は低く、伸びのある声で名乗りました。 それが、彼女を示すことばなのです。自分が何者で、どこにいて、 「目的は、踏破」 ーーーーどこに向かうのかを。 「エプシロン王国 『エプシロンの杯』所属。恵撫子りうむ」 静かに渦巻く桜の花びらの中心で、私は優雅にカーテシーをします。 これが私の名前で、これが私のいまいる場所です。 何もない場所から生まれて、自分の渇望を燃やした、自分の戦いの中で、自分で決めた、自分のあり方。 「流派はえーっと……『予選落ちした、42人のぱわーです』」 茶目っ気たっぷりに笑みを一つ。 一度髪をかきあげ、簪のように刺した桜の枝を整えます。 こうして私は示しました。自分が何者で、どこにいて―― 「目的は、勝利」 向かう先など、無いことを。 私にとっては、いま、ここが、全てなんです。 「……」 「……」 私達は、(「トゥインクルフェアリー、所属はりうむちゃん!」という空気を読んで控えめに為されたフェアリーちゃんの名乗りを挟んで)しばし見つめ合います。 「いざ」 「尋常に」 「「勝負!」」 立ち上がりはむしろ緩やかでした。 サクララの中央で構える私に対して、刀を提げた徒士谷さんは悠然と近づいてきます。 ぴんと伸びた背筋に、ぶれのない体幹、迷いなく踏み出される両の足は美しさすら感ぜられました。 彼女はそうして桜舞い散る私のフィールドの手前で足を止め―――ない! えっマジですか! 確かにサクララに攻撃性能はないけどもう少し警戒とかしませんか普通! 肝座りすぎでしょう! 「刑事だからな」 刑事って凄い。 ―――じゃなくて! 「魔人警視流」 サクララに攻撃能力はなくとも、その感知性能は極めて高性能です。 動作の起こり、呼吸の間隔、そうしたものを十全に伝えてくれます。瞬間移動をする達人、を相手取るにあたって、どうしても必要なものでした。 「“合気”」 そして攻撃! 防御重視のサクララと合わせて用いる攻めの能力! 命中精度だってフィールドの中では跳ね上がります!私はフェアリーちゃんに目配せをs 「蜉蝣(カゲロウ)」 「――っぶない!!?」 目線切った瞬間に一気に距離を詰めて来ましたねこの人! ニンジャか! サクララの感知がなければ今ので終わってましたようおー! ナイスチョイス、私! そうしてすんでのところで対応することのできた私は、振り下ろされる刀を右手で受けます。 え、正気の沙汰じゃない? まあ、おっしゃる通りですがこれも計算! お忘れですか? 私の体を作っているのは睨天鉄(エプシリウム)――“世界で最も頑強な金属”! 達人といえど、魔人といえど、能力(にんしき)に依らない一撃なら、受けきることは可能なんです――! 「…っ! 固ッて…!」 「…っ! 痛ッたぁ…!」 ――って、め、めちゃめちゃ痛い…!……っていうか半ばくらいまで腕斬られてるんですけどどういうことですかこれぇ! 何なのこの人! ―――どろりと、傷口からこの身の中を流れる血液代わりの流体金属(エプシリウム)が漏れ出て、腕に銀色の筋を描きます。 めちゃくちゃだ…!メチャクチャなんですけど……でも、これはまだ、ギリッギリだけど、想定内! 「い、っけえええ!」 「……っ!」 神出鬼没、出入り自在の達人剣豪。 それに対抗する手段は限られています。 私が選んだのはカウンター(・・・・・)、攻撃の瞬間。必ず接触するその瞬間に、肉を切らせて骨を断つことでした。実際はこっちの骨も断たれかけているわけですが! 兎に角も策はなります。刀を受けた姿勢のまま、私の夢見る心(渇望)が銀色の光となって徒士谷さんを襲いました。 「………くそ、やりにくいな」 「お褒めの言葉で?」 「手放しのな」 ――浅い!ですが、確実にダメージを与えました。 能力で距離をとって構え直す徒士谷さんの肩口は、ほんのり赤く染まっています。私は相対しながら、そっと切りつけられた傷口を撫ぜました。 石化フェチ系トレジャーハンター・泉桜原レイラさんの能力、『アウトサイドイミュニティ』で斬りつけられた腕も元通り! 「……本当にやりにくい」 「お褒めの言葉で?」 「今のァ愚痴だよ」 顔をしかめる徒士谷さんと、視線が交錯します。 初撃の必殺。 互いにそれはなりませんでした。戦いは、ここからが本番なのでしょう。 「魔人警視流“剣術”――雀蜂!」 これは“造られた膠着状態”です。 私はそう考えていますし、徒士谷さんも恐らく同じように考えているでしょう。 私は今、フェアリーちゃんの力を借りて空を飛んでいます。 果てしない夢(ネバー・エンド)によって 夢見る心 から変換された力は、私の背中に銀色の翼を与え、そう広くはないとはいえ桜舞い散るこの空間を、自由自在に飛び回っています。 徒士谷さんは、それに対して驚いた様子はありませんでした。 彼女は床面は勿論壁と言わず天井と言わず走り回り、彼女の能力『東海道五十三継』を駆使しては撹乱し、時に、矢のように飛来しては一撃必殺を狙います。 それに対して私は、もはやそうは驚きませんでした。 なんかさ、もう、これぐらいはやるよね! うん! やりますよこの人は! そして私はその超人的な猛攻を、サクララの反応向上の力を借りて躱し、受け、時に反撃し、また傷を治します。 多少の傷は治せて、少しずつでもダメージを蓄積させている私が有利、と取れなくもないですが。徒士谷さんの剣は一歩間違えれば必殺に至ります。 そしてこのひりつくような膠着の主導権を握っているのは、どちらかといえば徒士谷さんでしょう。 「ほぁっ――ぶなぁい!?」 “その一撃”を、空中で急旋回してどうにか避けます。 そう、剣が必ずしも必殺ではないこの状況下では、決して受けてはいけない攻撃がもう一つ有るのです。 “蹴足(・・)”です。 過去の試合の映像からも分かる通り、恐らくそれを受ければどこにいようと彼女の《徒歩圏》内、と言うこと。そうなれば今のようにしのぎ続けることは叶わず、試合の天秤は一気に傾くでしょう。あぶない! 「―――」 徒士谷さんは、猛禽のような鋭い目で、剣に交えて“それ”を狙ってきます。 「(あ)」 ぞくりと、なにか嫌な予感がしました。 「(ん?)」 予感?予感ですって?私が? なんて非合理! なんて面倒くさい!これも人間をトレースした肉体を得た故でしょうか! あのぽんこつ杯め! いらん仕様ばっかり実装して! もう! 詫び石よこせー! ――そう嘆いている間に、徒士谷さんは幾度目かの跳躍を見せます。 ひりつく嫌な予感に引きずられるように、カウンターをせずに距離をとります。そこに、彼女は追いすがってくる。 「―――っ!」 違ったのは、彼女の狙った先でしょう。 首でも、心臓でも、肺でも、脳でもありません。 急所でも何でも無いこの肩口は、しかしこの上ない急所でありました。 「フェアリーちゃんっ!!」 思わず、彼女をかばって無理な姿勢制御を行います。そこに―― とんっ と、衝撃と呼ぶには軽い感触が、フェアリーちゃんをかばう私の腕に注ぎました。 「…っ!」 蹴足――! しまった! やられた、やられた、やられた――! せめてもの反撃にと腕をふるった時には、彼女の姿は消えていました。 サクララにも反応はなし。一時、距離をおいたのでしょう。 彼女はもう、いつでも私を狙えるのですから…。 「うー……しくじりました!」 駆け引きは向こうが上手ということでしょうか。歯噛みをしながら、じっと踏みつけられた右手を睨みつけます。 「ぅ……ご、ごめん、りうむちゃん。あたし、足を引っ張って――」 「いえ、いえいえ、あれはあたしの手落ち……ていうか徒士谷さんが上手でしたね!過ぎちゃったことはしょうがないです! ウン!」 あんまり湿っぽくしているのはポップでコミカルなふんわり復活怪人系ヒロインを自認する私らしくありません。ぱん、と手を叩いて、殊更に明るく言いました。 いつ、また彼女が現れるかわかりません。切り替えはホラ、ぱっとやらなきゃね。ぱっと。 「……と、こういう流れで言い出すの、ちょぉっと心苦しいんですけど。フェアリーちゃん。ちょっぴり、協力して欲しいナー、なんて」 「………?」 さて、これがどうでるか。たしかに彼女は一歩、先んじました。 けれど反撃の策は我にあり、です! 「二の一・果てしない夢(ネバー・エンド)、六の九・サクララ、一の四・アウトサイドイミュニティ……場所を決めるのが早かったせいでだいぶやりにくかった。おそらく最後の一つは一の六・尺取虫だ」 『最後……スか』 インカム越しの、相方の声は訝しげだ。 『まだ他に控えてる可能性は?』 「まず無い。…………ものとする」 『あったらマズイ、と』 「お前も見たろ。井戸浪のダンナも暗黒騎士のぼうずも生半可なタマじゃあない。手札を伏せたまま勝てた相手じゃあ無かったハズだ。だから能力の数は4で見る」 恵撫子りうむを《徒歩圏》としてからの一時撤退。 探索の途中で目星をつけておいた避難場所(宿場)で一息をつきがてら、方針を確認する。 「……この能力ならお前の策が使える。頼む(・・)ぜ、相棒」 『……うす』 相棒、内裏エイジの魔人能力。『代理のエイジ(エージェントエイジ)』は、対象からの依頼又は承認があれば、自分の行動を“対象が行ったこと”にする能力だ。 そしていま、真歩は相棒に「依頼」し、相棒はそれを承認した、 エイジの声は、些か緊張で強張っていた。だがまあ、良い緊張感だ。 “別に劇的な理由はない” ――柊木茜音(ひいらぎあかね)警部補(・・・)の一件をしてそのように嘯いていたエイジだったが、しかしそれは、彼に確実な変化を齎していた。 できることを一歩ずつ。 踏みしめていけば、きっと良い刑事になるだろう。 『……すぐ仕掛けますか?』 「ん、そうだなァ…とりあえず傷の応急手当をして、それから………ちょいと焦らすか」 『焦らす、ですか』 「ああ。あいつらにしてみればいつ襲われるかわからない。分からないからサクララは解除できない。警戒も、集中も、怠れない。だから焦らす」 『うわっ、性格悪ゥい』 「こういうトコで稼いどかねえと何がどうなるかわかんねんだよ。強いよ、あいつ」 『……。』 「だからこうやって追い詰める。性格が悪かろうとな」 『…先パイって身内の気持ちにちょいちょい鈍感なのにこういう時めちゃめちゃ相手の立場でモノを考えますよね』 「ハッハッハ、職業病かなァ」 ……しかしこいつもちょいちょい一言多いな。後で覚えてろよ。 「……。」 「………。」 「…………。」 タイマーをみても、さっき確認してから5分ほどしか経っていませんでした。 あっれれー!おっかしーぃぞーぅ! 主観時間と実際時間の経過速度が噛み合いません。 これはアレでは?やっぱりあの、ポンコツ杯がなんかやらかしたのでは?おかしくありません? さて、徒士谷さんの一時撤退を許した私とフェアリーちゃんですが。 基本の方針は待ちの一手です。 待ち伏せの場所は、まだ徒士谷さんの手(というか足)が及んでいなくて、比較的天井が高く、開けている場所―――そういう条件で選んで仕切り直しました。ちなみに尺取虫の計測によると胃に相当する部分だそうです。 あとはアウトサイドイミュニティで傷を治し、いくつかの“仕込み”をし、そして待つばかり―――なんですが。 「……。」 「………。」 「…………来ないね」 「…………来ない」 来ない。 来ません。 それはもう、あまりにも。 来ません。 主観時間と実際時間の乖離にやきもきしながらも更に待ち、やっぱりこれおかしいですよ!セルフチェックを実行。 ――仕様です。 そっかー仕様かー!なら仕方ないなーーー! 「ってバカ!!」 杯はすぐ余計なことする! 「うわっ、びっくりした!」 私の頭の上にぱいるだーおーん!していたフェアリーちゃんも飛び跳ねます。ごめんね。 本当は髪の毛とかいじられるのあんまり好きくないんですが。ちょっとしょんぼりしていたようなので好きにさせていたのでした。 「あー…いや、なんでもないです。ごめんね」 「? ふーん……」 「……」 「………」 「…………」 さて、かれこれ30分。 いい加減相手の意図も読めてきました。 とはいえ、こちらから動きにくいのもまた事実。ええい!意外とやり口が!陰険! 「……ねー」 「ん、なんでしょう」 となると緊張感を保つのも少々難しくあります。 むーん。実に面倒くさい。人間性っぽいメンタルとボディ。 ともあれ、警戒を怠るではないですが、ポツリと口を開いたフェアリーちゃんのお話に付き合います。 「浅草、楽しかったね」 「そーですねぇ」 サクララが作り出す花びらの舞を眺めながら応じます。 そう、私達はこの桜の枝を調達するために、先日浅草にまででかけたのです。まあ、ちょっと理由もありましてね。 私は用事――桜の調達だけを済ませてもよかったのですが、やけにはしゃぐこのフェアリーちゃんにせがまれて、あちらこちらと散策をしました。 仲見世通りで買い食いをしたり(フェアリーちゃんお饅頭を食べきれなかったのだ) 浅草寺を参拝したり(宗教儀式……私的には、うーん…) 一応の変装は施したんですが、それでも正体がバレそうになって、慌てて逃げ出したり。 テキ屋の喧嘩になんでか巻き込まれたところを鮮やかに解決したり。 「(あれ、思いのほかろくでもない!)」 ―――ハズなんですが。 はしゃぐフェアリーちゃんに振り回されて西へ東へ巡るのは… 「楽しかった、ですねえ」 ―――そう思います。 「また行きたいなあ」 「……。それは」 彼女はまがい物の作り出した、さらに仮初めの存在。 この戦いに勝てど負けども、クソ王女は“満足”し、彼女は役割を終えることになります。 「言ってみただけだよう」 フェアリーちゃんはその運命を知っているのでしょう。さっぱりとした様子で笑いました。 「……」 私は、口をへの字に曲げて黙り込みます。 なんか、なんか、こう……もにゃもにゃする!! 「…行きましょう」 だからかそんな言葉が自然と口を突きました。 何言ってるんでしょうね、ほんと。 「へっ?」 「良いじゃないですか。お互い、クソ王女のわがままに散々振り回されてるんですから。 これぐらいのワガママ言っても、バチは当たりませんったら」 まあ、別に。そう、別にいいんじゃないでしょうか。 だってほら、私って始めからバグってて、壊れてる存在ですし? プログラムの加護は薄い代わりに、プログラムの制約も受けない存在なのです。アイムフリーダム!なのでセーフ! 「私は、ほら。“どこまでやれるのか”試したかっただけですし。でも優勝すればなんか、色々出来るらしいじゃないですか。正直あんまり興味なかったんですけど――このへんが、ほら、丁度いいんじゃあないでしょうか」 ―――いや、何が丁度いいんだかよくわかりませんが。 ともあれ、ええ。ついで程度であればそれも悪くはないです。 私、生まれてから三週間ぐらい(けっこうながい)ですけど、ええ。戦いの充足感とは別に、………一番楽しかったのは、事実ですし。 「…あはっ」 フェアリーちゃんは、笑いました。 私の口角も、多分ゆるんでいたのでしょう。 「…勝とうね、りうむちゃん」 「あったりまえです!私を誰だと思っているんですか!」 「可愛く強い恵撫子りうむちゃん!」 「大正解です!!」 ちり、と、桜の花が揺れました。 それが、最終局面の合図です。 「魔人警視流 “居合”」 それは最も得意とする、必殺の型。 「天狗乃太刀っ!」 が 「―――っ!?」 その刀は空を切る。 真歩は面食らったが、足元にその答えは転がっていた。 そこにあるのは彼女の東海道! 「(――切り落としたのか!自分の、右腕を!)」 「――いかれてやがる!」 「アンタが言うなーーーっ!!」 わかる。と、インカム越しに聞こえてくる相棒の声は無視する。 とにかく空振りによって伸び切った身体に、銀色の光条――果てしない夢(ネバー・エンド)による攻撃が襲いかかる。 真歩は連射されるその幾つかに貫かれ、歯をかみ鳴らした。 「(まだ、動ける…っ!)」 機先を制された動揺はあった。 あったがこの局面、退いて好転はすまいと覚悟を決めた。 細かくステップを踏み、一歩、また一歩と徒歩圏を広げ、その中で次々と攻撃を回避していく。 「くっ……フェアリーちゃん!」 恵撫子りうむが叫ぶ。呼応した妖精は頭上から“それ”を撒いた。 「(あれは――古銭か!)」 彼女らの意図するところを察し、慌てて転がるようにその場を脱する。 遅れての大爆発――常磐糸吉の尺取虫、その、過剰計測だろう。奥の手の大盤振る舞いというわけだ。 爆発に押し出されるように肉の床の上を転がる。 すぐに立ち上がって間合いを測る。目測、間合いまで――10歩! 機先を制されたことによる負傷、中破! 一旦退いて応急手当、ですむものではない。退いても状況は好転しない。 切り札を切った以上、相手も同じ心づもりだろう。 今ここで、決着をつける! 爆発物を交えた制圧射撃! そのなかを前進するのは難事も難事。 東海道の足がかりにしようと踏みつけた肉片を蹴飛ばしてみるもやり口は見抜かれているらしく、すべて撃ち落とされてしまった。 結局、手段は射撃の合間を縫ってじりじりと前進するより他にない。 じっと猛禽の目で睨みつけ、微細な隙間を縫うようににじり寄る。 連なる射撃―――それは《夢見る心》をエネルギーに変換しているという。 その力は、最初の接敵と比べて明らかに増している。 「(恵撫子りうむ――お前は、どんな夢を見る…?)」 一歩、二歩、三歩 僅かな間隙を見逃さず、押し広げるように前に出る。 「(いや、何を見ていても関係ない…!)」 それを踏み越えて、自分は進む。自分が進む! 覚悟はあたしの道行きの、はるか後ろに置いてきた! 四歩、五歩、道半ば! 目的は、踏破! 捨て身の六歩目。残り四歩。 刺し違える七歩目。残り三歩。 「魔人警視流」 手にした愛刀が、光条に弾き飛ばされる! この剣の間合いまで、あと三歩の所で! いいさ持ってけこいつは駄賃!果敢に挑んだ小妖精を鞘の黒杖で叩きのめす! そして!そしてだ! 「――槍術(・・)!」 三歩の間合いを、“これ”が補う!すでに、射程内! 半歩ばかり、左へ軸をずらすだけの能力行使。しかし一度消え、現れた真歩のその手には、蛇をあしらった赤褐色の槍が握られている! 手品のように突如として現れた槍に、恵撫子りうむの目が驚愕で見開かれる。 「花果山(カカザン)ッ――!!」 同時、その一閃が。 恵撫子りうむの脇腹を貫いていた。 「上手くいった――かな」 東京都霞が関 警視庁本庁内 押収品保管庫。 その中にあって内裏エイジはひとり、呟く。 その手の中に鈍く冷たい感触だけを残し、先程まで手の内にあった【槍】が消え失せていた。 思いついてしまえばごくシンプルな――簡単な、と言っても良い連携(コンボ)だ。 エイジの上司、徒士谷真歩は自分の持っているモノごと瞬間移動が出来る魔人。 エイジ自身は、自分の行動を、対象が行ったことにすることができる魔人。 エイジは、自分が手にした槍を「真歩が持っていることにした」。それだけだ。 これを使えば会場外からリアルタイムに必要に応じた物資が送り込めるし、今回で言えば送ったモノが特別性だ。恵撫子りうむへの鬼札になり得るし、あの上司ならばきっとやり遂げるだろう。 「…正直。達成感はないかな」 重要で、代わりの利かない代わりの仕事だ。 だが、槍を持って突っ立ってただけだ。 正直、その、なんだ。やるせない。決着がつくのは、自分では及びもつかない修羅の巷で。自分は一生そこには至れないと思う。 それでも、一歩前に進めば一歩分、その距離は縮まるはずだ。 「……じっくりいくさ。俺、ワープとかできないしね」 誰も居ない保管庫で、エイジは一人、皮肉げに笑った。 「そん、な…!」 突如として現れた槍は私の脇腹を貫きました。 咄嗟に私は、アウトサイドイミュニティでその傷を治します。―――治して、しまいました。 「どうして、“これ”が、ここに――!」 それが、致命傷。 彼女の能力を身に宿したときから、知識としては知っていました。 彼女自身の能力ならざる、もう一つの力!石化の情報を付与するアーティファクト! 「彫刻槍(スカルプチュアランス)…!!」 脇腹から徐々に、しかし、確実に。 重く、冷たい感触が広がっていきます。彫刻槍とアウトサイドイミュニティ。そのシナジーのもとにあっては完全石化まで一分程度、でしたか。 「準備に忙しくて、ニュースなんざ見ちゃいないか。泉桜原レイラは警察(あたしら)が逮捕した。こいつは、その押収品だ。色々手を尽くして、利用させてもらった」 「何、で…!」 傷口を押さえながら重々しく語る徒士谷さんに、私は疑問をぶつけます。 不合理です。意味がわかりません! 「私が、アウトサイドイミュニティを使うと、事前にわかる筈がありません…! 警察に、予知の魔人でも居るっていうんですか…!」 「は、いりゃあ、話は早かったかもな。……別に分かってたわけじゃあないさ。ただ、準備していただけだ」 「準、備……?」 ごほごほと、徒士谷さんは数度、咳き込みました。 「決まってンだろ。警視庁捜査一課 魔犯対(魔人犯罪対策室)ならびに魔捜研(魔人能力捜査研究所)総勢40余名。 総出で予選敗退者四十二名のすべての能力を検証し、解明し、想定し、対策した。それだけだ」 「…っ! そんなことが…」 「できるわけないか? どうしてそう思う」 じろりと、徒士谷さんは私を睨めつけます。 ――言われてみれば、思い当たるフシはあります。 尺取虫の地形把握を活用されぬよう、即座に距離を詰めました。 サクララに攻撃能力がないと見切り、躊躇なく踏み込みました。 果てしない夢(ネバー・エンド)を振るうのをフェアリーちゃんと見切り、狙いを定めました。 そして今、私は彫刻槍を突き立てられている。 「世界最高峰の魔人強国の、そのまた更に最精鋭。あたしらは、世界最強の対魔人組織だ。………桜の代紋、舐めんじゃねえ」 それはホンモノが持つ。自負と、誇りと、傲慢でした。 「……ここもあたしの東海道だ。悪いが先へ行かせてもらう」 その言い分はいっそ清々しほどでした。 紛い物を一顧だにせず突き進む姿は、ホンモノならではの輝きなのでしょう。悔いはあれどもこの敗北は、受け入れるべきものなのです。 「お前とは、背負ってるものが違うんだ」 ―――その一言さえ、なければですが。 「………んだと」 歯をかみ鳴らします。 完全に石化するまで一分弱。そう、あと、一分弱は動けるんです。 「なんだと…!」 じり、と、胸の奥が熱く痛みます。 かろうじて動く左手を持ち上げ、簪にした桜の枝に触れます。 サクララ、再起動。 「あなたが、どんなに強くても、どんなに正しくても、どれだけ背負っていても…!」 「……おい、やめろ。無駄に動いて苦しむんじゃあない」 何を哀れんでいるんです、この野郎―――っ!! 「これは私が望んだものです! そのように造られた命令(モノ)でなく! そのように初めからあった渇望(モノ)でなく! 小さくても、生きたあたしが、選んで掴んだ願い(ユメ)なんです!」 それを、比べられて、軽んじられて、たまるもんですか! 尺取虫――過剰計測:“体内”ステージ。 アウトサイドイミュニティ:“体内”ステージ 戦場を、このサクララの範囲内を残してすべて、吹き飛ばします。 逃げ場は、与えません。 「―――っ!」 この段になって徒士谷さんは、再び槍を手に振りかぶります。 けれど、遅い。 これが本当に本当の、最後の手段。 「私は、勝って、もう一度!」 ねえ徒士谷さん。知っていますか? 浅草寺のしだれ桜。あれって―――樹齢三百年を、越えるんです。 「あの子と、会うんだあああああ!」 過剰計測(メルトダウン) は、は、は、 はァ―― ここは……ああ、トラップのタテ穴か。尺取虫で、目をつけていたんだな。 ……すごいな。お前は凄いよ、恵撫子りうむ。 こいつはやぶれかぶれの心中なんかじゃなく、お前は最後まで勝つつもりだったんだ。 だから、“爆発に巻き込まれない安全な場所”が存在した。 悪いな、一緒になって利用させてもらったぜ。 ………いや、違うか。違うな。 謝るのは、そんなことじゃあない。 そうか。お前は、ツレに会いたかったのか。 そうだよなァ……そいつを馬鹿にされたなら、そりゃあキレるさ。あたしだってそうだ。 ……あたしが、悪かったよ。ごめんな、ごめん。 …あたしも、だいじなひとを殺された。 そいつを、追ってるんだ。……だから、あたしも負けられない。 ………。 …。 ……ん、ああ、復活を願わないのかって? ま、そう思うよな。…でもな、ダメだ。いや、その、あれだ。 ちょいと面倒くさい男でサ、そんなことしたら、多分な。嫌われちゃんだ。 あたしはそれが一等怖い。詫びの代わりに恥を晒すぜ。笑ってくれよ。 …。 あとはそう、他に。他になにかあったかな。なんでもいいが。 あたしの身体はどうなってる。痛くもないってのはやべぇよなあ。 とにかく何か話してないとやばい感じだ。エイジ。なあ、エイジ、きこえてねえのか。くそ、あいつ肝心な時に。 おい、恵撫子りうむ。聞いているか。聞こえているか。それとももう、完全に石になっちまったか。 ……。 …だったらさ、この勝負は、あたしの勝ちでいいよなあ。 負けられないんだ。進むんだ。頼むよ、なあ。アナウンスはまだか。あたしは勝ったのか。 ああ、かがり。かがりに会いたい。ちくしょう、死にたくない。 死にたくない……。 ・ ・ ・ ■グロリアス・オリュンピア 公式速報 ▼準決勝 体内STAGE 判定結果 恵撫子りうむ 死亡(石化) (2時間32分41秒) 徒士谷真歩 死亡(失血死)(2時間34分55秒) 勝者:徒士谷真歩 決勝進出 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――第二段階、概念成型フェイズに異常な自己定義が入力されています。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――異常な自己定義を除去してください。『霊薬』による介入を推奨します。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――『霊薬』による介入を検知しました。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――異常な自己定義の除去を開始します。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――『霊薬』をロードしています。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――第二段階、概念成型フェイズの復旧を行っています。 ――私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。私は石。 ――『霊薬』のロードが完了しました ――第二段階、概念成型フェイズの復旧が完了しました。 ――hello,world.Blessed are those who mourn. …………。 ……ハロー、ワールド。 意識の覚醒は明瞭、かつ、この上なく最悪。 私は、医務室の簡素な寝台から起き上がると、まずは周囲を見てみます。 お医者さんや看護師さんの姿はありません。お留守のようです。 ぺたぺたと自分の体を触って状態を確かめます。 身体が石になってるようなこと、なし。両手両足五体満足。パーフェクト人間体のりうむちゃんでした。 よかったー……。 「……よくないですよ。全然よくないです」 意識を失う直前、最後のあの瞬間の記憶が蘇ります。 怒られたからすぐ謝って許してもらおうなんて、ずうずうしいです。 許してあげません。いえ、そもそも私が許す事じゃありません。 彼女への軽視を許せるのは、彼女だけです。 ですが。 「……フェアリーちゃん、います?」 返事はありません。 当たり前です。もう、彼女とその能力を使った闘いは、とっくに決着がついています。 だから、ほら。ワンピースをめくればそこに、宝石だった四つの石ころ。 「……ん、ぐぅ」 唇をかみしめます。 分かってました。分かってました。分かってました。こうなる事は、彼女と出会った時から、この身に果てしない夢(ネバー・エンド)を宿した時から、なんなら私が生まれた時から分かってました。 この結果は必然なのです。最初から決まってたことなのです。 彼女と私は、短い逢瀬(おうせ)の後、お別れをするのが定めだったのです。それがいやなら、最初から出会わないべきだったのです。 なのになのに、ああ。 どうして(・・・・)少しでも(・・・・)望んで(・・・)しまった(・・・・)のでしょうか(・・・・・・)。ずっと(・・・)一緒に(・・・)いたい(・・・)だなんて(・・・・)。 望まなければ、希望を持たなければ、この敗北も受け止められたのでしょうか。 分かりません。望まなかった私は、この世界にはいませんから。 ここにいるのは、ただ、自分の望みが叶わなかった、哀れな女の子一人です。 りうむちゃんへ。 こんな感じでメッセージを残すのは初めてだから、緊張します。 まずはえーと、わがまま言ってごめんね。もう1回浅草行きたいなっていう、あれです。 私が、この戦いを終わったら消えちゃうのは分かってました。 そして、生き返ったとしてもそれが『今の私』なのか『別の私』なのかは分からないな、って事も。 その辺りの事は難しくてちゃんとしたことは言えないけど、でも、無邪気に今の私のままだよ! ともいえないことぐらいは分かりました。 だから、あれは完全に私の、出来ないけどダダをこねてみたわがままなのでした。ごめんなさい! こほん。 この戦いが終わったらりうむちゃんはどうするでしょうか。 もう1回浅草に行ってみる? あの時はお昼だったから夜のお祭りとか? それともエプシロンに里帰り? どうするかはりうむちゃんが考える事なので、あんまり私が言っちゃうのはやめておきます。 だけど、その。今回の戦いで勝ってても、負けてても。 自棄(やけ)になっちゃうことだけはやめてほしんです。自棄って自分を棄てるって書くんですよ。りうむちゃん可愛いんですから、そんなことしたらもったいないです。 人生楽しまなきゃ。短い間だったけど、人生の先輩だったりうむちゃんに教わったんですよ。 私は、楽しかったです。 さて、そろそろ時間が限界みたいです。 お元気で。りうむちゃんが行く先々に、果てしない夢がありますように。 おっきな夢を込めて。 フェアリーちゃんことトゥインクル・フェアリー 追伸: もし、オリジナルのトゥインクル・フェアリーちゃんに会う事があったら、フェアリーちゃんがよろしく言ってたよって伝えてくださいね! ――『演ぜよ睨天の水鏡』、終了処理を行います。 スロット1:自己の確立(わたしはわたし) スロット2:願望の保持(だいじなねがい) スロット3:友といた記憶(さよならのおもいで) スロット4:果てしない夢 ――スロットへの入力を確認。能力の展開を終了します。 ――hello,world.Blessed are those who mourn.(なみだをふいて、ゆきなさい、あなたのみちを)
https://w.atwiki.jp/sugar_aa/pages/791.html
ルース=B 『紫影のソナーニル』 属性:器 コスト:白 MHP500 武300 敏200 知300 器300 穏300 ホームラン コスト:赤 「紫影のソナーニル」キャラが攻撃しているバトル中に使用する。 相手バトル参加キャラに100ダメージを与える。 ウォール街の主人 コスト:白 自ターン中に使用する。 味方「リリィ」1体に攻+100する。 (1ターンに1回まで宣言可能) 俺は世界最高の打者になる。王さまになるんだ。ホームランの王さま! No0587/U
https://w.atwiki.jp/zsphere/pages/79.html
父は藤原為時、母は摂津守藤原為信の娘。 『宝物集』『今物語』などに、紫式部が死後地獄に堕ちた、とする説話が載る。 ある人の夢枕に立ち、そらごとを多く綴ったゆえに堕ちた地獄の苦しみを訴える、という筋。 仏教の不妄語戒を破ったためと説明される。 (『季刊 怪』No.34) 紫式部は「日本紀の局(つぼね)」とあだ名されていた。 『源氏物語』を読んだ天皇が、これを書いた紫式部は 日本書紀を読んでいるに違いない、と言った事からそういう名がついたと 『紫式部日記』にある。 怪 vol.0034 62484‐10 (カドカワムック 406)
https://w.atwiki.jp/kaibasyatyou/pages/29.html
『まべにめ』 このチームの一員であり、ロリコンである 社長曰く、「KCの『真の』四天王の1人」である。 「真紅眼」と名乗るときがあるが、本人曰くこの2つの違いは まべにめ⇒ロリコンモード 真紅眼⇒ノーマルモード らしい。 最近はその違いが無くなりつつある。 『三沢』 この単語は2つの意味を持つ。 ①「E・HEROエアーマン」の事を指す。 ②チャットなどで影が薄くなった人の事を指す。 『紫キャベツ爆発しろ』 会長の口癖。 会長曰く、「紫本人が爆発したらあれだけど、紫キャベツが爆発するなら死人も出ないし……ねぇ?w」
https://w.atwiki.jp/cro-chro/pages/369.html
年齢:20歳誕生日:天馬の月4日所在:アレンハイムクラス:騎兵系使用武器:武器全般、火術、水術、幻術、光術、神聖術肩書き/通称:クレスベルク王子、紫苑騎士団長 クレスベルク王国の王子。 天才肌で、文武両方の才能に優れ、レゼリアのザクソン大学を主席で卒業する。 しかし、その突出した才能により孤独を感じ、周りからの期待に重荷を感じている。 大学に留学中、ルドルフと出会い、メリット無しでも付き合ってくれる彼とは、親友となる。 『紫苑騎士団』の団長を務め、第一師団を率いている。 所有AF: