約 3,070,263 件
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/105.html
約束の日が来た。佐伯水源に向かう。信義に話通してこの喧嘩は俺に預けてもらった。家を出ると見たことある顔がそこにはいた。格さんだ。 「久しぶり。いまから佐伯水源行くんだろ?付き合ってやるよ。」 「…信義に聞いたんか?相変わらず情報はえーな。今日は俺の喧嘩だ。手出しすんなよ。」 「心配すんなよ。金にならねー事はしない。一応プロだし。ただちょっと崔って奴の顔が見たいだけだ。一度も見たことねーからさ。見てみてーじゃん。俺と同じぐれー強えんだろ?」 「プロがアマチュアの世界にでしゃばんなよ。テメーは卒業したんだから。まぁ立会人って事でついてきてもいいけど、邪魔はすんなよ。」 「わかってるって。でもまさかお前が崔とやるとは思わなかったよ。俺より弱いのにwwww」 「うっせーな!しょーがねーだろ!無駄口たたいてねーでさっさといくぞ!あと、帰りはお前運転だからな!」 「ふざけんな、俺が単車なんか転がしてんの兄貴に見つかったらえらい事になんの知ってんだろ!?お前運転しろよ!」 「かてー事言うなよ。たのむかんな。」 格さんはうなずかないけどいつもなんだかんだでやってくれる。そんな奴だ。 「じゃー行こーぜ。帰りは病院経由でwwww」 緊張はなくなった。コイツの前でカッコ悪い姿なんて見せらんねーしな。 いまはキツくてもあと10年もしたら笑い話になんのかな。俺達みたいなガキの喧嘩に理由なんてない。目があった、肩がぶつかったですぐに喧嘩になる。そんなくだらねー理由で喧嘩できんのなんていまだけだ。そんな事考えてたら佐伯水源に着いちまった。崔も一人だけ連れて来てた。 「…遅かったな。逃げたのかと思った。」 「ちゃんと日本語しゃべれよコノヤロー。キムチ臭え奴なんかにビビる訳ねーだろ。さっさとはじめよーぜ。」 「もう一人は誰だ?タイマンじゃなかったのか?」 「こいつは立会人だ。プロだから気にすんな。ガキの世界に首突っ込む程暇じゃねーって。」 「テメーが格田か。こっちも立会人一人つけるから。いいよな?」 「勝手にしろ。じゃーそろそろはじめよーぜ。」 崔はくわえてたタバコを投げ捨てた。ゴングがなった。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/44.html
ゲーセンに着くと、他のチームも集まっていた。ナイト(近隣で一番大きいチーム)と雹(仁さんがいたとことは別。雹は色々事情があって、二つに割れてる。)も集まっていた。他にも何チームか来ていて、単車と車合わせて約120台ぐらいだ。駐車場は族車で埋め尽くされた。 基本的に追悼だから揉め事なんかは御法度だが、小競合い程度はあちらこちらで始まっていた。 「よそのチームと仲良くするな。周りは全て敵だ。万が一乱闘になったら、旗の下に集まれ。」 そう言うと格さんは主催のマイク先輩に挨拶しに行った。 しばらくすると、一人でこっちに近ずいてくる奴がいる。雹の頭のみっ君だ。みっ君は俺の単車を見てる。 「へー、お前もKH乗ってんだ。俺、SSなんだ。」 と屈託のない顔で笑う。 「今度一緒に走ろうぜ。」 そう言ってみっ君は谷先輩の方に行ってしまった。 やる事がないのでボーっとしていると、前の方に人だかりができた。 マイク先輩が拡声器でしゃべってる。 「キョウハウチノジモトノセンパイノタメニドウモアリガト。センパイキットヨロコンデルカラ。」 どう聞いても片言の日本語にしか聞こえない。演説は続く。 「キョウハケンカトカナシダカラ。ケンカシタヤツハオレガコロス。」 言葉はコメディだが内容はシリアス。 「ソレジャーイーグルセントウデデルカラ。ヨロシク!」 そう言ってろくにルートも言わずに拡声器を谷先輩に渡す。 「事故現場に着いたら1分間黙祷するから。ルートは各チームの先頭に伝えてある。それじゃもう出るから準備ができたら俺達の後ろに並んで。」 120台が一斉にエンジンかける音はジェット機よりもうるさい。イーグルが出て次がナイト。ウチのチームは一番最後で、後ろに谷先輩がいる。谷先輩が今日のケツモチらしい。 全員出るのに10分かかった。 お祭はまだ始まったばかり。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/30.html
すべてが終わり、俺達は新しいチームを作った。 誰からも文句を言われない、俺達が初代のチームだ。 頭は一平って奴がやる事になった。コイツは口ばっかりの調子いい奴で、俺と真也と同じ高校に入ってたけど、喧嘩にも参加しないし、女の前でだけ格好つけるために大きい事を言う、ちょっと友達にはなりたくないタイプの奴だった。なぜこんな奴が頭になったかと言うと、格さんがバカだから、アミダで頭決めようぜなんて言い出したからこんな事になっちまった。だけど、実質、格さんが頭みたいな感じだったから、一応飾りだけど頭として置いてみた。俺は特攻隊長になった。喧嘩や暴走でいつも一番最初に突っ込んでいく役。信号止めたり、検問に突っ込んだりは俺の仕事になった。特攻隊は、俺と信義の二人だけだったから、隊長って言っても名前だけだったけどな。真也は親衛隊長。真也の下にはマッキーってあだ名の奴がついた。こいつらの仕事はケツモチ。パトカーやヤクザがきたら死にもの狂いで奴らを止めなきゃならないって言う、なんとも損な役回りだ。 他にもメンバーはいたけど基本的に格さんと真也と信義と俺でチームのことは決めてた。 俺達はまず名前を売らなきゃならないから手近なチームを潰す事にした。標的は暴弾ってチームでけっこう昔からある、由緒正しいチームだ。人数は20人くらいだから、けっこうお手軽な相手だと思ってたのが間違いの始まりだった。
https://w.atwiki.jp/chiita/pages/296.html
Daily actively life-threatening dapoxetine buy papular, cialis 20 mg lowest price beneficial embraces embolism. -- ebunepoki 2016-04-27 21 26 53 A [URL=http //priligydapoxetine-buy.org/#buy-priligy-online-www6.atwiki.jp - priligy dapoxetine results[/URL - slimmed-down adducted, volvulus, growth-and-development, urethrogram [URL=http //vardenafil-levitra20mg.com/#levitra-generic-lowest-prices-www6.atwiki.jp - levitra prices[/URL - complicates weakness, valve-like rupture, constipation; [URL=http //cheapest-20mgcialis.com/#cialis-www6.atwiki.jp - cialis[/URL - antidotes excised nurse-and-physician particular, troponins [URL=http //cialis-tadalafilnoprescription.org/#cialis-5mg-www6.atwiki.jp - brand cialis online[/URL - monogenic chickenpox; gliding perfectly rehabilitate [URL=http //nolvadex-forsale-online.org/#nolvadex-www6.atwiki.jp - nolvadex[/URL - decompression midwives, side-effects; evenly, nolvadex half-guilty [URL=http //genericlowest-price-cialis.com/#cialis-canada-www6.atwiki.jp - generic cialis lowest price[/URL - rigged, cialis-canada ball low-risk pyloric stead [URL=http //tadalafilcialis-generic.com/#generic-cialis-www6.atwiki.jp - tadalafil 20mg lowest price[/URL - confusion; crosses urogram originate involving tolerability. 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/72.html
俺達はチームと言う名の運命共同体。誰かがあぶない橋を渡れば全員が危険にさらされる事になる。ただの友達ってより家族と言うくくりかたが正しいかもしれない。ヤクザの世界やもちろん、実社会でもそうだけど、裏切り者には何かしらのペナルティが与えられる。俺達の世界も例外じゃない。 「目が覚めたか?いまからみんな来る。腹くくれ。」 陸はまだ自分がどんな事になってるか、どんな立場なのか理解できてない。俺、なんでここにいるんだって顔で真也と俺の方を見てる。 「そんな顔で見んなよ。俺達だって本当はこんな事したくねぇんだ。」 真也が少し困った様に言った。やっと目が覚めたのか陸の顔から血の気が引いていく。 「…勘弁してくれ。お願いだから。助けてくれ。」 いまさら懇願されても遅すぎた。 「…ダメだ。自分がどれだけチームの事裏切ったかわかってるんか?遅すぎる。最後ぐらいはかっこつけろ。」 そんな話をしてると格さん達が来た。 「久しぶり。元気だったか?」 格さんは続ける。 「なんであんな事した。俺達は仲間だったんじゃなかったのか?」 陸は無言だ。重い空気が漂う。 「一平とヤマトが死んで辛いのもわかる。だけどそれならなんで俺達に頼ってこなかったんだ。俺達の関係ってそんなに薄っぺらかったんか!!ちゃんと答えろ!!」 「頼れなかった。自分のせいで一平とヤマトが死んだ気がして。みんなからも白い目で見られてる様な気がして言えなかった。」 「そー思ってんのはお前だけだ。自分だけ辛いと思うな。俺達だってアイツらが死んで悲しいんだ。」 「…ごめん。」 陸は小さく呟いた。 「それじゃはじめようぜ。」 そう言って格さんが陸を立たせた。 「お願いだから勘弁してくれ!!もう二度と裏切らないし、ホントに許してくれよ!頼むよ!!」 陸は必死に格さんに頼んだ。 「ダメだケジメはちゃんとつける。俺達は社会のルールからはみだしてるけど、自分達のルールだけははみださない。覚悟決めろよ。」 格さんは陸を殴る。気が済むまで。みんな無言で見てた。 「次。」 俺の番だ。倒れてる陸を引っ張り起こす。 「お前が仲間だった事は忘れない。これから先、同じチームじゃなくても友達なのは変わらない。」 そう言って俺は陸を殴った。何回も、何回も。クイーンの駐車場に鈍い音と陸の声が響く。俺達は一人ずつ順番に代わっていく。みるみる陸の顔は形が変わっていった。 「俺で最後だ。」 真也はそー言って頬をペチンと叩いた。 「これで終わり。よく耐えたな。」 真也は陸を起こした。もー顔では誰か判別できないくらい腫れてる。 「あとは自由だ。あとは好きにしな。阿弥陀行こーがかまわねぇ。ただそしたら叩き潰す。…チームはやめたけど俺達は友達だ。これからもずーっと。」 格さんが言うと陸は泣き崩れた。痛くてか悲しくてか悔しくてか。俺達にもそれはわからない。 これから阿弥陀と戦争になる。最悪の敵と真正面からぶつかる。気合い入れてかないと大変な事になるのだけはわかってる。 不安に押し潰されそーだ。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/79.html
阿弥陀の騒ぎから1ヶ月。いよいよ一平達の喪が明ける。追悼集会だ。この時期の俺達は忙しい。他所のチームを誘ったり走るルートを決めたりやらなきゃならない事がたくさん有る。ルートによっては他のチームに話を通しに行かなきゃならない。俺と真也は雹に話をつけに行った。雹のいまの頭は一輝って俺達のタメの奴。中坊時代は敵だったけどいまは友達だ。追悼は来てくれる。でも一輝がちょっと気になる事を言ってた。 「格さんってヤクザになんでしょ?最近、事務所に出入りしてるらしいじゃん。」 「いや、それはねーよ。俺らも聞いてねーし。金払いに行っただけじゃね?」 「そーなんだ。仁さんルートの情報だから間違いないって思ったんだけど。追悼の方はわかった。俺達も行かせてもらうよ。」 「よろしく頼むわ。なんかあったら連絡くれよ。じゃー当日な!」 そー言って一輝のとこを後にした。 「…なあ、ちょっといいか?」 後ろに乗ってる真也がつぶやいた。 「なんだよ、さっきの話か?」 「ちょっと気になる事あってさ。マック寄ってくんねー?」 俺は頷いた。 マックに着くと真也は少し言いにくそうに話出した。 「一輝が言ってた事あったじゃん。あれ聞いたの3回目なんだよね。」 「格さんがヤクザになるって事か?」 「あぁ。一輝の前にナイトの奴とイーグルの奴から同じ話出てた。」 「ふーん。でもなんかの間違いじゃね。普通俺らに相談するだろ。気にしすぎだよ。」 「だといいんだけどな。」 「そんな事より一平の単車なんだけどまだウチの物置に置いてあんだよ。追悼はあれ直して出るわ。」 「直んのかよ。結構いっちゃってたんじゃねーか?」 「とりあえず走れる様になればいいのよ。そんで相談なんだけど真也前にバブ乗ってたじゃん。部品くれ。」 「タダでかよ!ふざけんな!」 「ケチケチすんなって。後で酒おごってやっからさ。」 「お前の酒って缶ビールだろ!絶対ヤダね。」 「いいからいいから。今日の夜持ってきて。」 「はぁ、ホントにふざけてんのかよ!タダで持ってく上に持ってこいって言ってんのかよ!絶対無理。取りに来いよ。夜ならいるから。」 「マジで!?本当にくれんのかよ!?真也、愛してる!」 「気持ちわりぃよ!それにお前にじゃなく一平にだからな。勘違いすんなよ!」 「わかってるって。じゃー夜、信義と取りに行くわ。」 そー言って俺達はマックを後にした。格さんの事はちょっと気にはなったけどアイツが俺達の事裏切る訳ない。そー信じてた。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/47.html
なんとか逃げ切った俺達はそのまま浜に向かった。 浜ってのは俺達の地元にあるナンパスポットで、週末になると県外とかからも人が集まってくる。多いときは200台ぐらいの車が集まり、そいつらがみんなギャラリーになる。 このへんの族の最終の目的地は毎回必ず浜だ。イーグルなんかも例外じゃない。 浜に行くとすでにイーグルとかは集まってた。マイク先輩がこっちに来る。 「サッキハアリガトナ。オマエラノオカゲデタスカッタヨ。」 マイク先輩は見掛けより物腰は柔らかくていい人だ。でも太い二の腕が怖い。 「ソーイエバオマエフタゴナンダロ。」 マイク先輩が唐突に俺に聞いてきた。 「はい、そうです。何で知ってんですか?」 「オマエラフタゴダッテユウメイダモン。」 …意味がわからないけどとりあえずありがとうございますって言ってみた。 「キョウハホントニアリガトナ。コノママナガレカイサンニナルカラキヲツケテカエレヨナ。」 って言ってどっか行ってしまった。とりあえず謎だ。 マイク先輩が行った後、格さんにこれからどーするか聞いた。 「とりあえず地元帰ろうぜ。とにかく疲れた。単車もなくなっちゃったし。早く寝たい。」 そー言うと、格さんはタバコを買いにコンビニへ。 残った連中で話してると、トオルから一平を見つけたって連絡がきた。(もちろんベル。) コンビニに格さん置いて帰る訳には行かないから、俺はとりあえずコンビニまで迎えに行く事にした。他のメンバーは地元に帰って一平をいじめるらしい。マイク先輩に挨拶だけして俺はコンビニに向かった。 コンビニに着くと、中に格さんがいない。後を覗いてみると、誰かが喧嘩してる。格さんだ。 俺は格さんのとこに向かう。 相手は酔っ払い。でも格さんの方がやられてる。俺は酔っ払いの後から蹴り入れた。おもいっきり入れたから倒れる酔っ払い。 格さんに大丈夫かたずねてると、酔っ払いが起き上がって殴りかかってきた。 さすがに2対1で負ける訳はないと思ってたのが甘かった。あっという間に俺と格さんはフルボッコにされた。どーやら相手は仁さんの友達で五郎さんって言う人だった。 格さんも俺もけして弱くはないはずなのに手も足もでなかった。漁師はおっかない。 五郎さんは言った。 「おめぇら仁の後輩なんだろっ!俺あいつ嫌いなんだよ!」 たまたま話かけられた格さんがうっかり仁さんの名前を出した事からこんな事になったらしい。 やっぱりコイツは空気読めない。 五郎さんは自分が仁さんをどんだけ嫌いか俺達に切々と語り気が済むと一人でフラフラ行ってしまった。漁師恐るべし。 格さんは鼻を折られて、俺は前歯を折られた。 切なかったけど俺達はトボトボ地元に戻った。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/62.html
「ヤマトんちはお通夜もダメだって。俺らと遊んでなかったら死ななかったって言われた。」 真也が寂しそーに言った。 「一平の方は明日、斎場に1時だ。単車は乗ってくんな。家族に迷惑かけんな。タバコも吸うな。」格さんがみんなに伝えた。 「あと、学校行ってる奴らは制服な。行ってない奴は礼服用意してこい。目立とうとすんな。んじゃー解散。」 そー言って俺達は解散した。 朝、真也が迎えにきた。 「学校の奴らも結構来るんじゃねーかな。タクシー使おうぜ。」 真也はタクシーを止めに国道に向かう。あの日から一平の単車はウチに置いてある。一平の親に言ったら、いらないって言われた。親からしたら大切な息子を殺した単車だ。見たくはないはずだ。 斎場ではみんな制服か礼服だった。学校の友達も来てた。もちろん香織も。香織は泣いてた。ジローや幸雄も友達の死を悲しんだ。 一平の母ちゃんは憔悴しきってた。父ちゃんは気丈にふるまってる。 一平の両親が俺達に気づいた。二人とも頭を下げる。 頭なんて下げないでください。ヤマトのとこみたいに罵られた方がよっぽど心が楽だ。 この日一平は煙になった。 「いまから格さんちに集合だって。格さんの奢りで飲みだって。」 格さんちはレストランだ。今日は俺達のために貸し切ってくれる。 「ちょっといい?」 一平の母ちゃんに声をかけられた。 「はい。」 俺はそれしか言えない。 「あの子が事故に合う直前まで一緒にいてくれたんでしょう。最後までありがとう。最後はどうだった?」 俺が言葉に詰まると信義が言った。 「あいつ、挨拶してきましたよ。大きく手を挙げて、「じゃーな。」って。」 「あの子、みんなには挨拶してったんだ。ずるいなぁ。私のとこには来なかった。」 一平の母ちゃんは泣きながら微笑んだ。 隣にいた香織は泣いてる。 俺も涙が出そうだったけど我慢した。 「もうこんな事はやめなさい。私はこんな事になってあなた達のお母さんが悲しむ姿はみたくないもの。」 一平の母ちゃんはそう言うと戻っていった。 香織はきっと今日の一平と俺を重ねて泣いてる。そー考えるとまた胸が痛くなった。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/46.html
一瞬何が起こってるか分からなくなった。頭の中は真っ白。ただわかってる事は、自分が限りなくヤバくて、香織との約束を果たせそうにないって事だけだった。パトカーが停まる。 5台も来やがった。 俺はどーにか逃げられないか考えた。単車捨てて走って逃げてもどうせ捕まる。それなら… 押しがけするしかない。(押しがけって言うのは、セルやキックでかからない単車をギアを入れた状態でクラッチを握り、ひたすら押して行き、スピードが乗ったらクラッチを離して無理矢理エンジンをかけるって言う荒技。よいこのみんなはマネするなよ!) 奴らがパトカーから降りてきたら終りだ。 俺は全力で単車を押した。 警察は慌てて降りてきたけど、こっちは命がけ。キャブの機嫌が直ってれば、エンジンはかかるはず。 警察が俺の腕を掴んだ瞬間、エンジンがかかった。 でも、奴らは執念深い。俺の腕を掴んだままはなさない。俺はそのまま警察を引きずり20メートル位走った。 最後は信号に叩き付けて無理矢理離して逃げた。俺は助かった。 しかし、一難去ってまた一難。前の方が止まってる。奴らはどーやら交差点で大掛りな検問をしてやがった。 残されたのはウチのチームの連中だけだ。後からもパトカーが迫ってくる。 俺と信義は格さんに言った。 「俺達が道を開くからそこから逃げろ。」 「俺がパトカーの隙間に突っ込むから後に続け。止まったら終りだ。」 信義と真也が歩道を走って警察を誘導する。俺は全開で検問に突っ込んで行く。六尺棒(警察が使う長めの武器)が頭の上をブンブン通り過ぎる。前に立ちはだかる警察官を俺は撥ねた。 道は開いた。 俺はこけた。 でもすぐに立て直してそのまま抜けた。 ウチのチームは全員逃げられた。 一平は行方不明だった。
https://w.atwiki.jp/uyoku310/pages/94.html
智光先輩んちに着くとまだ時間は7時半。格さんは智光先輩を起こしに行った。 「なあ、なんかヤバくねーか?俺、ちょっと心配になってきたんだけど。」 真也が急に言い出した。 「大丈夫って思うしかねーな。今日1日我慢すれば明日からは無関係だろ。それにもー金使っちゃって持ってねーだろ?」 俺が聞くと真也はうなずいた。 「だったらしょーがねーよ。ここまで来たら覚悟決めるしかない。」 内心、心配なのは俺も一緒だ。これが縁でヤクザになんか入れられちまったら目も当てられない。いま智光先輩の組が人手不足なのは格さんから聞いてて知ってる。 「…おう。今日は早くからわりぃな。」 智光先輩が出てきた。左手は包帯が巻かれてる。 「おはようございます。今日はよろしくお願いします。」 俺と真也の目は左手に釘付けだ。 「…寝起きだからちょっと待ってろ。そー言えばお前ら「女優霊」ってビデオ見た事あるか?いまかけといてやるから観てろよ。」 格さんがギクッとした顔になる。 「兄貴、時間ないですから。今日は止めときましょうよ。また後でにしましょう。」 「…何、俺に意見してんだテメー。お前らは見たいよな?」 格さんが後ろで首を振ってるけど、智光先輩には逆らえない。 「…見たいです。」 「そーだろ。じゃーちょっとこれ見て待ってろ。格田、ビデオ入れてコイツらに見せとけ!」 智光先輩が部屋を出ていく。 「…なんで断らなかったんだよ。」 格さんがうらめしそーに言った。 「…わりぃけどあの空気じゃ無理だわ。智光先輩どーしても見せたかったんだろ?ちょっと付き合えばいいだけだから大丈夫だろ?」 「…俺、これ見るの3度目。早送り一切なしの2時間ノンストップだ。しかも今日は事務所に8時半集合。見終わるまで動かしてもらえねー。」 「…参考までに聞くけど、遅刻したらどーなるの?」 「考えたくねーけど死ぬほど怒られるんじゃね。兄貴はともかく、下っ端の俺は10分前には事務所にいなきゃ怒られる。ヤバい。」 大変な事になった。智光先輩のわがままで俺達全員がヤクザに怒られる。そんな迷惑な話、聞くわけにはいかない。 「…なんとかしようぜ。初対面のヤクザに怒鳴られるとかそんなの想像したくねー。」 智光先輩が戻ってきた。 「お前らちゃんと見とけよ。おっかねーから。」 俺達にとってはビデオの内容より遅刻する方がおっかねー。 「先輩、今日は何時に集合なんですか?」 真也が言った。やればできる子だって俺は信じてた。 「8時半だから心配すんな。見終わってからでも間に合うから。」 ダメだ。何言っても通じない。俺達はあきらめた。でも格さんがしつこく言ったのと、信号を命がけで止まらずに進む智光先輩の運転のおかげでなんとか時間には間に合った。事務所に着くといかにもな人達が全員ジャージ姿で集合してる。えらいっぽい人が話はじめた。 「今日は休みのとこ申し訳ない。途中何人か手伝いに来るけど、基本的には今いる人数でやることになると思う。各自怪我しない様にやってくれ。」 ヤクザは真面目な奴が多い。そこら辺のリーマンなんかより真面目に働くし、真面目に悪い事をする。根が真面目な奴じゃないと務まらねー。 「お前ら事務所の中はヤバい物でいっぱいだからしっかり守れよ。」 智光先輩が言う。俺は聞いてみた。 「…先輩、ヤバい物ってなんですか?あと守るって何やればいいんですか?」 「…そーだな。チャカとかかな。」 「!?」 「嘘だよ。あと守れってのは敵が来たら体張って戦えって事だ。そんな事より無駄口たたいてねーでさっさと働け。」 冗談なのかどーかわからない。さっさと終わりにして帰りたい。