約 3,247,518 件
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/179.html
2012年1月25日 最新の更新:2013年9月6日 『ハヤカワミステリマガジン』に毎号掲載されている洋書案内〈世界篇〉(2012年4月号より洋書案内《世界篇》)コーナーで紹介された本の一覧と、その後の邦訳状況の追跡調査。 「洋書案内」という名称のコーナーが出来たのは『ミステリマガジン』1992年1月号である(もちろんそれ以前から洋書を紹介するコーナーはあった)。 「洋書案内」コーナーは2008年1月号から洋書案内〈英語篇〉と洋書案内〈世界篇〉の2つに分かれた。それ以前は主に英語圏の作品を紹介し、たまにフランス語圏の作品が紹介される程度だった。 洋書案内〈世界篇〉でアジアの推理小説が紹介されたことが数回ある。ところで辞書によれば、「洋書」とは「西洋の書籍」のことであり、ということは「洋書案内」コーナーでアジアの推理小説を紹介するのはそもそもおかしいということになる。「洋書案内」コーナーとは別に「アジア・ミステリ案内」コーナーを作ってもらえないものだろうか。 ちなみに、「洋書案内」コーナーで例外的に日本の作品が紹介されたことがある。1995年6月号で紹介された Nuit sur la ville である。これは原尞『そして夜は甦る』の仏訳本だった。 ※作者名からはWikipediaの記事にリンクしている(日本語の記事がある場合はその記事、なければ各言語版の記事)。 ※タイトルからは各地のオンライン書店の該当ページにリンクしている。初刊本ではなく基本的には一番新しいものにリンクしたが、あまり厳密なものではない。 号 国 言語 作者 タイトル 記事執筆 記事見出し 邦訳状況 2008年 1月号 フランス フランス語 ジャン=ユーグ・オペルJean-Hugues Oppel フレンチ・タブロイドFrench Tabloïds, 2005 中川潤一郎 フランス・ミステリと9・11 2月号 スイス ドイツ語 パスカル・メルシエPascal Mercier *注1 リスボン行き夜行列車Nachtzug nach Lissabon, 2004 平井吉夫 思考と感情をめぐる旅へ 『リスボンへの夜行列車』2012年3月 3月号 イタリア イタリア語 ニコロ・アンマニーティNiccolò Ammaniti えらBranchie, 1997 荒瀬ゆみこ 摩訶不思議な逃避行の果て 4月号 フランス フランス語 - パリ・ミステリ散歩Balades policières dans Paris, 2006 平岡敦 パリのミステリ的楽しみ方 5月号 ロシア ロシア語 ダリヤ・ドンツォワДарья Донцова スゴイ相続人Крутые наследнички, 2001 毛利公美 ロシアのお気楽ミステリ 6月号 チェコ チェコ語 ヨゼフ・シュクヴォレツキーJosef Škvorecký 警部ボルーフカの憂鬱Smutek poručíka Borůvky, 1966 佐々木和子 チェコ社会が垣間見える巨匠のミステリ 7月号 フランス フランス語 マクシム・シャタムMaxime Chattam Prédateurs, 2007 中川潤一郎 フランス・スリラーの新星 8月号 ドイツ ドイツ語 ウーヴェ・A・O・ハインラインUwe A. O. Heinlein 人形遣いの終演 *注2Finale der Puppenspieler, 2004 平井吉夫 めっぽう面白い科学スリラー 9月号 イタリア イタリア語 ジャンカルロ・デ・カタルドGiancarlo De Cataldo 父と異邦人Il padre e lo straniero, 2007(?) 荒瀬ゆみこ 異邦人はだれなのか? 10月号 フランス フランス語 ポール・アルテPaul Halter ホルスの部屋La chambre d'Horus, 2007 平岡敦 古代と現代の密室殺人 11月号 ロシア ロシア語 ボリス・アクーニンБорис Акунин F. M.Ф. М., 2006 毛利公美 謎解き版『罪と罰』 12月号 韓国 韓国語 ユ・グァンス유광수 秦の始皇帝プロジェクト진시황 프로젝트, 2008 米津篤八 秦の始皇帝復活の陰謀 2009年 1月号 フランス フランス語 ピエール・ブールジャドPierre Bourgeade ラマチュエルRamatuelle, 2007 中川潤一郎 奇妙な共犯関係を描くノワール 2月号 ドイツ ドイツ語 アンドレアス・フランツAndreas Franz ある教師の死Tod eines Lehrers, 2004 平井吉夫 ローカル色豊かな警察ミステリ 3月号 イタリア イタリア語 ニコロ・アンマニーティNiccolò Ammaniti 神様の命ずるままにCome Dio comanda, 2006 荒瀬ゆみこ 閉塞感のなかで生きる父と子 4月号 フランス フランス語 ファブリス・ブルランFabrice Bourland ベイカー街の幽霊Le fantôme de Baker Street, 2008 平岡敦 ホームズの幽霊が活躍する異色作 5月号 スペイン スペイン語 スサーナ・フォルテスSusana Fortes クアトロチェントQuattrocento, 2007 宮崎真紀 文学性に富んだスペイン発中世ミステリ 6月号 フランス フランス語 ピエール・ブールジャドPierre Bourgeade ピットブルPitbull, 1998 中川潤一郎 アブナイ世界を書く作家 7月号 ドイツ ドイツ語 ディーター・ヒルシュバークDieter Hirschberg 悪魔の日記Tagebuch des Teufels, 2005 垂野創一郎 名探偵ホフマン 8月号 ロシア ロシア語 ポリーナ・ダシュコワПолина Дашкова マインド・ゲームИгра во мнения, 2006 毛利公美 ロシアの今を描く短篇ミステリ 9月号 イタリア イタリア語 マルコ・ヴィキMarco Vichi ボルデッリ分署長Il Commissario Bordelli, 2002 荒瀬ゆみこ 花の都のゆる~い殺人捜査 10月号 フランス フランス語 ピエール・バイヤールPierre Bayard バスカヴィル家の犬事件 【※研究書】L'Affaire du chien des Baskerville, 2008 平岡敦 ホームズの推理ミス? 『シャーロック・ホームズの誤謬』2011年6月 11月号 イタリア ドイツ語 ラインホルト・メスナー *注3Reinhold Messner トーレ 石の叫び 【※実録ミステリ】Torre Schrei aus Stein, 2009 平井吉夫 名アルピニストが登山史の謎に挑む 12月号 スウェーデン スウェーデン語 ラーシュ・ケプレルLars Kepler 催眠術師Hypnotisören, 2009 ヘレンハルメ美穂 スウェーデンの覆面作家の正体は? 『催眠』2010年7月 2010年 1月号 韓国 韓国語 キム・ネソン(金来成)김내성(金來成) 魔人마인, 1939 米津篤八 朝鮮最初の長篇ミステリ! *注4 『魔人』2014年7月以降 2月号 フランス フランス語 パトリック・ペシュローPatrick Pécherot Soleil noir, 2007 中川潤一郎 ノワールの真骨頂 3月号 ドイツ ドイツ語 ガブリエーラ・ヴォレンハウプトGabriella Wollenhaupt グラッパ、コカインを嗅ぎつけるGrappas Gespür für Schnee, 2009 垂野創一郎 小さな町で大騒ぎ 4月号 イタリア イタリア語 ジョルジョ・シェルバネンコGiorgio Scerbanenco ミラネーゼは土曜日に殺すI milanesi ammazzano al sabato, 1969 荒瀬ゆみこ イタリア国産ミステリの父 5月号 ロシア ロシア語 ユリヤ・ラトィニナЮлия Латынина 栄誉の時にあらずНе время для славы, 2009 毛利公美 それでも書き続ける理由 6月号 フランス フランス語 ポール・アルテPaul Halter サラマンダーの殺人Les Meurtres de la Salamandre, 2009 平岡敦 〈ツイスト博士〉シリーズ、久々の新作 7月号 ドイツ ドイツ語 - アイフェル・ミステリ旅行案内 改訂第三版Eifel Krimi-Reiseführer, 2009 平井吉夫 ドイツのミステリ文学散歩 *注5 8月号 フランス フランス語 カリーヌ・ジエベルKarine Giebel Les morsures de l'ombre, 2007 中川潤一郎 “グランジェ以後”の女性作家 9月号 スペイン スペイン語 アンヘラ・バルベイÁngela Vallvey 詩人殺人事件Muerte entre poetas, 2008 井上知 ノスタルジックな文壇ミステリ 10月号 韓国 韓国語 イ・インファ *注6이인화 永遠なる帝国영원한 제국, 1993 米津篤八 国王暗殺説の真相 『永遠なる帝国』2011年12月 11月号 イタリア イタリア語 カミッレーリ ルカレッリ *注7Camilleri Lucarelli 黙ってろAcqua in bocca, 2010 荒瀬ゆみこ 黙っていられない二人の共演 12月号 アルゼンチン スペイン語 カサーレス オカンポ *注8Casares Ocampo 愛するものは憎むLos que aman, odian, 1946 垂野創一郎 ホメオパシー探偵の憂鬱 *注9 2011年 1月号 フランス フランス語 フランク・ティリエFranck Thilliez シンドローム〔E〕Le Syndrome [E], 2010 平岡敦 呪われた映画の謎 『シンドロームE』2011年11月 2月号 スペイン ガリシア語 *注10スペイン語 ドミンゴ・ビリャールDomingo Villar 水の眼Ollos de auga / Ojos de agua, 2006 井上知 スペイン・ガリシアの港町警察小説 3月号 イタリア イタリア語 ニコロ・アンマニーティNiccolò Ammaniti あたしとあんたIo e te, 2010 荒瀬ゆみこ 白い休暇(セッティマーナ・ビアンカ)の余韻 『孤独な天使たち』2013年2月 4月号 ドイツ ドイツ語 アキフ・ピリンチAkif Pirinçci 《猫科シリーズ》1作目~7作目 平井吉夫 牡猫フランシス健在なり *注11 5月号 フランス フランス語 リュック・ボッシLuc Bossi マンハッタン・フロイトManhattan Freud, 2009 平岡敦 フロイト、殺人鬼を追う 6月号 ドイツ ドイツ語 ディーター・ビューリヒDieter Bührig 翳(かげ)る黄金Schattengold, 2010 垂野創一郎 モーリス・ラヴェルの主題による連続殺人 7月号 イタリア イタリア語 シルヴィア・アヴァッローネSilvia Avallone 鋼(はがね)Acciaio, 2010 荒瀬ゆみこ 鋼の街の美少女たち 『鋼の夏』2011年9月 8月号 スウェーデン スウェーデン語 ヨハン・テオリンJohan Theorin 夜の雪嵐Nattfåk, 2008 ヘレンハルメ美穂 家にこめられた記憶の悲劇 『冬の灯台が語るとき』2012年2月 9月号 フランス フランス語 アンリ・ルーヴァンブリュックHenri Lœvenbruck オッカムの剃刀Le Rasoir d'Ockham, 2008 平岡敦 中世の手稿に秘められた謎 10月号 ドイツ ドイツ語 ベルンハルト・ヤウマンBernhard Jaumann ジャッカルの時Die Stunde des Schakals, 2010 平井吉夫 アフリカ新興国の女性刑事の苦闘 11月号 ドイツ ドイツ語 アルネ・ブルーム *注12Arne Blum 豚の一味Saubande, 2010 垂野創一郎 豚探偵とガチョウ探偵 カーリン・ベルクラートKarin Bergrath 飛来する死Tod im Anflug, 2011 12月号 スペイン スペイン語 - カルロス・ルイス・サフォンのバルセロナガイドGuía de Barcelona de Carlos Ruiz Zafón, 2008 井上知 『風の影』の舞台バルセロナを歩くガイドブック 2012年 1月号 ドイツ ドイツ語 ネレ・ノイハウスNele Neuhaus 《刑事オリヴァー ピア》シリーズ マライ・メントライン 北欧勢に迫るか? ドイツの気鋭ネレ・ノイハウス見参! 第3作『深い疵(きず)』2012年6月 2月号 フランス フランス語 ジャン=クリストフ・グランジェJean-Christophe Grangé 放浪者Le passager, 2011 平岡敦 失われた自己をテーマにしたグランジェの最新作 3月号 中国 中国語 王稼駿(おう かしゅん)王稼骏(ワン ジアジュン) 明暗線(めいあんせん)明暗线(ミンアンシエン),2011 阿井幸作 《青春》では言い尽くせない不良たちの学園ミステリ 4月号 イタリア イタリア語 ジョルジョ・ファレッティGiorgio Faletti 女衒(ぜげん)の覚え書きAppunti di un venditore di donne, 2010 荒瀬ゆみこ 鉛の時代を生きたカストラート 5月号 フランス フランス語 カリーヌ・ジエベルKarine Giebel Terminus Elicius, 2004 中川潤 仏女性作家の処女作 6月号 ドイツ ドイツ語 フォルカー・クッチャーVolker Kutscher 《ゲレオン・ラート》シリーズ マライ・メントライン 純・地元視点から活写するベルリン刑事警察伝説! 第1作『濡れた魚』2012年8月 7月号 中国 中国語 呉昉(ご ほう)吴昉(ウー ファン) 冥海花(めいかいか)冥海花(ミンハイホア),2011 阿井幸作 武侠小説とミステリの融合作品 8月号 イタリア イタリア語 ニコロ・アンマニーティNiccolò Ammaniti 微妙な時機Il momento è delicato, 2012 荒瀬ゆみこ 執筆生活二十年を振り返る短篇集 9月号 フランス フランス語 モーリス・ルブランMaurice Leblanc アルセーヌ・ルパン最後の恋Le dernier amour d'Arsène Lupin, 2012 平岡敦 ルパン・シリーズ 七十年ぶりの“新作” 『ルパン、最後の恋』2012年9月 10月号 ドイツ ドイツ語 メヒティルト・ボルマンMechtild Borrmann 沈黙を破る者Wer das Schweigen bricht, 2011 小津薫 ナチス小説+青春小説の傑作 『沈黙を破る者』2014年5月 11月号 フランス フランス語 ギヨーム・ミュッソGuillaume Musso 7年後7 ans après..., 2012 園山千晶 フランス発ロマンティックな暴力ミステリー 12月号 スイス ドイツ語 ミヒャエル・トイリラートMichael Theurillat *注13 リュートリの誓約Rütlischwur, 2011 小津薫 ドイツで最高の評価を得たスイス・ミステリ 2013年 1月号 フランス フランス語 ガストン・ルルーGaston Leroux 呪われた椅子Le Fauteuil hanté, 1911 中川潤 怪奇趣味とユーモアを融合させた古典ミステリ 2月号 スペイン スペイン語 ロレンソ・シルバLorenzo Silva 子午線の標(しるし)La marca del meridiano, 2012 井上知 スペインを代表する警察小説シリーズ最新刊 3月号 オーストリア ドイツ語 レーナ・アヴァンツィーニLena Avanzini インスブルックでの死Tod in Innsbruck, 2011 小津薫 エンタメ性に満ちたオーストリア・ミステリ 『インスブルック葬送曲』2013年11月 4月号 イタリア イタリア語 マルコ・マルヴァルディMarco Malvaldi 数えきれないMilioni di milioni, 2012 荒瀬ゆみこ 諧謔精神あふれるイタリアの小さな山村の物語 5月号 ドイツ ドイツ語 (アンソロジー) シュートは決まったScharf geschossen, 2011 小津薫 各国勢揃い、ミステリのワールドカップ! 6月号 フランス フランス語 アンリ・ルーヴァンブリュックHenri Lœvenbruck 薬剤師L'Apothicaire, 2011 平岡敦 仏版『薔薇の名前』 7月号 セルビア セルビア語 ボリスラヴ・ペキッチБорислав Пекић 狂犬病Беснило, 1983 奥彩子 ユーゴの亡命作家によるアンチ・ユートピア小説 8月号 ドイツ ドイツ語 (アンソロジー) はばかりをめぐる殺人事件Mördchen fürs Örtchen, 2011 小津薫 トイレにミステリは詰まっている 9月号 フランス フランス語 ダニエル・チエリDanielle Thiéry 胸にささった釘Des clous dans le cœur, 2012 土居佳代子 不器用で傷だらけの刑事 10月号 アルゼンチン スペイン語 オラシオ・コンベルティーニHoracio Convertini 悪の孤独La soledad del mal, 2012 井上知 アルゼンチン・ノワールの今 注1:パスカル・メルシエ … 本名はペーター・ビエリ(Peter Bieri)。哲学者。 注2:ウーヴェ・A・O・ハインラインの『感染症』(Der Infekt, 1998)、『追い込み』(Einsprung, 1999)、『人形遣いの終演』(Finale der Puppenspieler, 2004)を紹介。 注3:ラインホルト・メスナー … イタリアのドイツ語使用圏出身。 注4:金来成『魔人』(1939)は現在の韓国でも「韓国最初の長編ミステリ」と言われることがあるが、実際にはそれ以前にも長編ミステリは書かれている。金来成の生涯については「こちら」でまとめた。 注5:アイフェルを舞台にミステリを書いているジャック・ベルンドルフ(Jacques Berndorf)を紹介している。 注6:イ・インファ … 「イ・イナ」とも書かれる。どちらの表記も間違いではない。文字を一文字ずつ区切って読めばイ・インファとなる。実際の発音はイ・イナ(より正確にはイ・イヌヮ)。 注7:アンドレア・カミッレーリ(Andrea Camilleri)とカルロ・ルカレッリ(Carlo Lucarelli) 注8:アドルフォ・ビオイ=カサーレス(Adolfo Bioy Casares)とその妻シルビーナ・オカンポ(Silvina Ocampo) 注9:Los que aman, odian のドイツ語版 Der Hass der Liebenden の紹介。 注10:ガリシア語はスペイン北西部で使われている言語。この作品はガリシア語で執筆され、作者自身がスペイン語に翻訳している。 注11:アキフ・ピリンチの猫科シリーズは1作目『猫たちの聖夜』、2作目『猫たちの森』が邦訳されている。 注12:アルネ・ブルームは本名ラインハルト・ローン(Reinhard Rohn)。 注13:アレマン語版Wikipediaにリンク(ドイツ語版WikipediaにMichael Theurillatの記事なし)。 関連ページ ポケミス非英語圏作品一覧 創元推理文庫海外ミステリ非英語圏作品一覧 年間ミステリランキング 非英語圏作品一覧 ヨーロッパの推理小説 - ヨーロッパの推理小説に関する日本語文献の一覧 フランス語に翻訳された日本の推理小説/ミステリ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/101.html
2011年1月16日 かつて西尾維新が「期待の新人推理作家」だったという、嘘のような本当の話。 すでに4か月も前の話題だが、Togetterでまとめられた「西尾維新がラノベ読みに広く知られるようになったのはいつ頃か」(2010年9月15日)を昨日たまたま目にした。ライトノベルレーベルから作品を出していない西尾維新が、いつ頃からライトノベルの読者に読まれるようになったのかという議論である。 西尾維新は、2002年2月に、当時「ミステリの賞」と見なされることの多かった講談社のメフィスト賞を受賞した『クビキリサイクル』(講談社ノベルス)でデビューしている。その後も、講談社ノベルスや講談社BOXなどで作品を刊行しており、文庫サイズの一般的なライトノベルレーベルから作品を刊行したことは一度もない。 さて、この議論を見たときに、 「某掲示板の「ミステリー板」と「ライトノベル板」のスレッドの消費速度を見れば、当時の読者の分布が目に見える形で分かるのではないか」 と思いいたった。今でこそミステリー板に西尾維新のスレッドはないようだが、以前は確かにあったのである。ミステリー板の西尾維新スレッドがいつ頃消えてしまったのかも気になる。という訳で、調べて以下の表にまとめた。 当時のメフィスト賞をめぐる環境 2000年3月 『2000 本格ミステリ・ベスト10』(東京創元社)で殊能将之『ハサミ男』(メフィスト賞受賞作)第2位。 2000年12月 『2001 本格ミステリ・ベスト10』(原書房)で古泉迦十『火蛾』(メフィスト賞受賞作)第2位、殊能将之『美濃牛』第5位、古処誠二『少年たちの密室』(のちに『フラグメント』に改題)第6位。 2001年3月 舞城王太郎デビュー 2001年4月 『メフィスト』巻末座談会にて、秋月涼介『月長石の魔犬』、佐藤友哉『フリッカー式』、津村巧『SURVIVOR』(=DOOMSDAY)、西尾維新『並んで歩く』(=クビキリサイクル)、北山猛邦『失われたきみ』(=『クロック城』殺人事件)がメフィスト賞に当確。 2001年7月 佐藤友哉デビュー 2001年11月 (米澤穂信デビュー、滝本竜彦デビュー) 2001年12月 『2002 本格ミステリ・ベスト10』(原書房)で古処誠二『未完成』(のちに『アンフィニッシュト』に改題)第4位、黒田研二『硝子細工のマトリョーシカ』第5位。『このミステリーがすごい! 2002年版』で舞城王太郎『煙か土か食い物』第8位。 2002年2月 西尾維新デビュー 2002年3月 北山猛邦デビュー 2002年7月 (乙一『GOTH リストカット事件』刊行(本格ミステリ大賞受賞)) メフィスト賞はミステリ専門の賞という訳ではなく、エンターテイメント全般を募集する賞だが、この時期は特に受賞者が「本格ミステリ」の分野で活躍しており、ミステリの賞だと見なされていたように思う。そんな中、2001年になってメフィスト賞から舞城王太郎・佐藤友哉がデビュー。そして翌2002年2月、西尾維新がデビューした。 米澤穂信・滝本竜彦・乙一(3人とも1978年生まれ)はメフィスト賞作家ではないが、この界隈で関連して触れられることが多いので、関連情報を示した。上記で挙げたその他の作家は、メフィスト賞作家である。 2002年2月の西尾維新デビューから、2006年12月の講談社BOX『化物語(下)』刊行までの約5年間 ★=ミステリ側の反応 ▼=サブカルチャー(?)側の反応 ◆=ライトノベル側の反応 ミステリー板(2000年2月8日開設) ライトノベル板(2000年1月24日開設) 出来事 2002年2月 『クビキリサイクル』(戯言シリーズ1作目) 3月 ガンバレ!戯言使いスレッド(03/14) 4月 5月 クビキリサイクル、クビシメロマンチスト(05/18) 『クビシメロマンチスト』(戯言シリーズ2作目) 6月 7月 8月 戯言遣い 西尾維新 Part2(08/16) 『クビツリハイルクール』(戯言シリーズ3作目) 9月 ★『本格ミステリ・クロニクル300』(原書房)で300冊のうちの1冊に『クビキリサイクル』 10月 西尾維新その2 クビキリシメツリ戯言遣い(10/02) 11月 戯言遣い 西尾維新 Part3(11/10) 同人誌『タンデムローターの方法論』/『サイコロジカル』(戯言シリーズ4作目) 12月 戯言遣い 西尾維新 Part4 「傑作だな」(12/03) 西尾維新その3 ロジカルマジカル戯言使い(12/19) 『零崎双識の人間試験』連載開始/★『2003 本格ミステリ・ベスト10』(後述) 2003年1月 ★2chが選ぶこのミステリーがすごい!2003年版で『クビシメロマンチスト』第4位 2月 戯言遣い 西尾維新 Part5(02/05) 3月 戯言遣い 西尾維新 Part6(03/28) 西尾維新その4<戯言シリーズ>(03/18) JDCトリビュート『ダブルダウン勘繰郎』 4月 『メフィスト』に『きみとぼくの壊れた世界』「もんだい編」掲載、解答を募集★『本格ミステリこれがベストだ!2003』(東京創元社)西尾維新インタビュー 5月 西尾維新その5<きみとぼくの戯言世界>(05/29) 6月 戯言遣い 西尾維新 Part7 『甘えるな』(06/05) 7月 戯言遣い 西尾維新 Part8 「師匠は」(07/14) 西尾維新その6<師匠の事、好きです>(07/08)西尾維新その7<魔女・七々見奈波>(07/24) 『ヒトクイマジカル』(戯言シリーズ5作目) 8月 戯言遣い 西尾維新 Part9 『俺とお前の因果』(08/12) 西尾維新その8<やさしい戯言は遣えない>(08/24) 9月 西尾維新玖<惜しまれる萌えキャラなのが子荻なの>(09/19) 『ファウスト』Vol.1 10月 戯言遣い 西尾維新 Part10 『戯言だけどね』(10/27) 西尾維新その十全ですわ<最萌潤優勝>(10/25) 11月 西尾維新 Part11 『犯人はメイドのゲートベル』(11/25) 西尾維新その11<戯言使いと破片拾い>(11/16) 『きみとぼくの壊れた世界』 12月 西尾維新その12<ぽわぽよブルマー>(12/11) ▼『波状言論』創刊準備号、1号(翌月)、2号(翌月)に西尾維新インタビュー 2004年1月 西尾維新 Part12 『戯言遣いの新しいステージ』(01/23) 西尾維新<13階段>(01/17) 2月 西尾維新 Part13 『豚野郎』(02/28) 西尾維新 紫木一姫中間試験 追試第十四回目(02/10) 『零崎双識の人間試験』/『ファウスト』Vol.2 3月 西尾維新 part14 『エアマスター』(03/18) 西尾維新 その15<お兄ちゃん助けに来たよ!>(03/06)西尾維新 その16 <答えよう。優しさで>(03/30) 4月 5月 西尾維新17 気分がいいので、西尾スレに行こう。(05/21) ◆『Quick Japan』掲載の「ライトノベル必読書一〇〇冊」に『クビシメロマンチスト』◆ネット上の有志による企画「このライトノベルがすごい!」で作家別ランキング第1位作品ランキングでは『きみとぼくの壊れた世界』第6位、『ヒトクイマジカル』第7位 6月 西尾維新その18<不幸中の災い>(06/20) 7月 西尾維新その19≪もっと牛乳、飲まなくちゃ≫(07/17) 『新本格魔法少女りすか』/『ファウスト』Vol.3◆『ライトノベル完全読本』のランキングで戯言シリーズ第5位 8月 西尾維新その20≪20番目の地獄≫(08/06)西尾維新lt;lt;21歳の処女作 gt;gt;(08/25) 9月 西尾維新<発売延期から22日目>(09/18)西尾維新その23<絶体絶命、戯言遣い!>(09/30) ▼『ユリイカ』臨時増刊号「総特集 西尾維新」 10月 戯言遣い 西尾維新 Part15 @ファウスト合宿中(10/13) 西尾維新<24OISIN>(10/13)西尾維新その25<ヒトクイマジカル絶賛発売中!>(10/28) 11月 西尾維新その26<西尾維新の読者殺し>(11/17) 『ファウスト』Vol.4 12月 西尾維新その27<曳かれ者の小唄>(12/03)西尾維新その28(12/22) ◆この年刊行が始まった『このラノ』で戯言シリーズが第2位男性キャラクター部門でいーちゃんが第1位 2005年1月 西尾維新その29<クビツリへの十三階段>(01/14) 2月 西尾維新その30<電波読者はネコソギの夢をみるか>(02/01)西尾維新その31<行けるとこまで>(02/09)西尾維新その32<続きがないから、終わり>(02/12)西尾維新lt;泳いだのっ!?gt;(02/15)西尾維新その34<それでも物語は存在するのだから>(02/22) 『ネコソギラジカル(上)』(戯言シリーズ6作目) 3月 西尾維新その35<「……わん」>(03/07)西尾維新その36<「にゃるろ!」>(03/21) 『新本格魔法少女りすか(2)』 4月 西尾維新その37<終わりへの加速は発売日への加速>(04/05)西尾維新その38<シメキリスギテル 富樫義博と戯言遣い>(04/28) 5月 西尾維新その39<FOXワード>(05/19)西尾維新その40<さんくーいーちゃん(39+1=40)>(05/21) 『ファウスト』Vol.5 6月 戯言遣い―西尾維新 Part16(06/17) 西尾維新その41lt;狐に赤き征裁をgt;(06/06)西尾維新その42<もふもふフレンチクルーラー>(06/10)西尾維新その43<リストカットで気分スカッと>(06/17)西尾維新その44<四天王とかに4とけよ>(06/27) 『ネコソギラジカル(中)』(戯言シリーズ6作目) 7月 西尾維新その45<体は剣で出来ている>(07/13)西尾維新その45<4匠はいちいち5月病です>(07/13) 8月 西尾維新Part46(08/21) 『化物語』第一話「ひたぎクラブ」、『メフィスト』に掲載 9月 西尾維新 Part48(09/19) 『ニンギョウがニンギョウ』 10月 西尾維新その49(10/10)西尾維新その50~hollow ataraxia~(10/24) 11月 西尾維新その51(11/03)西尾維新その52~約束されし勝利の剣~(11/07)西尾維新その53(11/09)西尾維新その54(11/13)西尾維新その55(11/21) 『ネコソギラジカル(下)』(戯言シリーズ 完結)/『ファウスト』Vol.6A 12月 西尾維新その56(12/09)西尾維新その57(12/31) ◆『このラノ』で戯言シリーズが第1位、男性キャラクター部門でいーちゃんが第1位『ファウスト』Vol.6B/『化物語』第二話「まよいマイマイ」、『メフィスト』に掲載 2006年1月 58 戯言シリーズ、台湾で刊行開始(『斬首循環』)/『西尾維新クロニクル』 2月 戯言遣い―西尾維新 Part17(2006年2月~2009年7月) 59、60 3月 61 4月 62、63 『化物語』第三話「するがモンキー」、『メフィスト』に掲載 5月 64 6月 65 『ザレゴトディクショナル』 7月 66、67 8月 68、69 ノベライズ維新『DEATH NOTE』、『xxxHOLiC』 9月 70 10月 71、72 戯言シリーズ、韓国で刊行開始(『잘린머리 사이클』) 11月 73、74、75 講談社BOX創刊、『化物語(上)』/『零崎軋識の人間ノック』 12月 76、77 『化物語(下)』◆『このラノ』で戯言シリーズが第3位 2007年~現在は省略。『化物語』が刊行されておよそ4年が経った。ミステリー板では、2006年2月に立てられたPart17が2009年7月まで約3年半存続して落ちたのち、後続の西尾維新スレッドは立っていない。ライトノベル板では、2011年1月16日現在、「西尾維新その176」が立っている。 ライトノベル板では、53番目のスレッド以降は「西尾維新そのXX」でスレッドタイトルが統一されているため、2006年のものはタイトル(とスレッド開始の日付)を省略した。 右の「出来事」の欄では、短編の雑誌掲載などは省略している場合がある。 こうして見てみると、やはり最初は、西尾維新のスレッドはミステリー板に立っていることが分かる。メフィスト賞を受賞し講談社ノベルスから刊行される作品は、当時としてはやはりミステリとして語るのが自然の流れだったのである。 ミステリー板に遅れること2か月、戯言シリーズの2作目『クビシメロマンチスト』が刊行された月に、ライトノベル板に西尾維新のスレッドが立っている。その後、『メフィスト』に『きみとぼくの壊れた世界』の「もんだい編」が掲載された2003年4月頃(デビューから1年と2か月)までは、ミステリー板の方がやや速いペースでスレッドを消費している。 この頃は「本格ミステリ」の文脈で西尾維新が語られることが多く、1987年9月以降のミステリ小説を300冊紹介する『本格ミステリ・クロニクル300』(2002年9月、原書房)ではその1冊に『クビキリサイクル』が選出されている(ちなみに佐藤友哉『フリッカー式』も選出されている)。2001年11月に刊行されていた米澤穂信『氷菓』が300冊の内に入らず、『クビキリサイクル』が入っているのはやはり刊行レーベルの差だろう。講談社ノベルスから刊行されている、ということが当時それなりに重要な意味を持っていたのである。 2002年12月(デビューから10か月)刊行の『2003 本格ミステリ・ベスト10』では、西尾作品はランクインしなかったものの、「新人作家総まくり」と題された市川尚吾氏によるコラムでは以下のように紹介されている。 メフィスト賞で該当するのは『クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い』の西尾維新と『「クロック城」殺人事件』の北山猛邦の二人。両作ともマンガ等からの影響が強く感じられ、そういう部分では安直さも感じられるが、この二人には確実に本格ミステリ作家としてのセンスがあるし、すでに両者とも三作品を刊行して健筆ぶりを見せてくれているので、次代の本格を担う書き手として期待を寄せたい。 2003年4月の『本格ミステリこれがベストだ!2003』(東京創元社)では、2本のインタビューの内の1つが巽昌章氏による西尾維新インタビューだった。もう1つは『活字倶楽部』編集部へのインタビューであり、つまりは、ミステリがキャラクター小説との距離感を探っている時代だったのである。 ◆ 転機になっているのは、2003年7月(デビューから1年と5か月)刊行の戯言シリーズ5作目『ヒトクイマジカル』のようである。完全にミステリから離れ、異能バトルものと化した感のあるこの作品が刊行されて以降、ライトノベル板のスレッドは消費速度が急に上がり、2003年10月にはついにミステリー板に先んじてスレッドのPart10が立っている。ただし、翌2003年11月には『きみとぼくの壊れた世界』というミステリ作品が刊行されており、ミステリー板の方でも、この板では通常ありえない程の速度でスレッドが消費されていった。デビューから2年後の2004年2月には、ミステリー板のスレッドがPart13まで、ライトノベル板のスレッドがPart14まで進んでいる。 やや前後するが、『ヒトクイマジカル』が刊行された2か月後の2003年9月(デビューから1年と7か月)には、講談社から文芸誌『ファウスト』が創刊されており、西尾維新・舞城王太郎・佐藤友哉らは「ファウスト系」などとも呼ばれるようになる。 2004年、ライトノベル評論ブームにともなって、西尾維新をライトノベルとして評価する目に見える動きが多発するようになる。まず2004年5月、『Quick Japan』Vol.45でライトノベル特集が組まれ、「冲方丁×乙一によるライトノベル必読書一〇〇冊」の1冊に『クビシメロマンチスト』が選出される。『クビシメロマンチスト』を選んだのは乙一だが、冲方丁との話し合いの中で乙一は「広義のライトノベルに入ると思います」と発言している。また同月、インターネット上の有志により行われた企画「このライトノベルがすごい!」(注:当時は宝島社の『このライトノベルがすごい!』の刊行がまだ始まっていない)で、西尾維新が作家別ランキングの1位に選出される。作品のランキングでも、『きみとぼくの壊れた世界』が第6位、『ヒトクイマジカル』が第7位と好位置につけた。その2か月後、2004年7月に刊行されたライトノベル評論本の先駆け『ライトノベル完全読本』では、戯言シリーズが第5位となっている。 このような時期を経て、その5か月後の2004年12月(デビューから2年と10か月)に初めて刊行された『このライトノベルがすごい!』では、戯言シリーズが第2位(1位は涼宮ハルヒシリーズ)、男性キャラクター部門で戯言シリーズの語り手である「いーちゃん」が1位と好成績を収めている。つまりこの頃には、ライトノベル読者の間で、戯言シリーズは十分すぎるほどに知名度があったということになる。戯言シリーズは翌年に第1位に輝き、男性キャラクター部門では「いーちゃん」が連覇した。戯言シリーズはその翌年にも第3位となっている。3年連続でベスト3に入ったことで、「西尾維新の作品はライトノベルなのか」という議論をあざ笑うかのように、西尾維新作品は「ライトノベルとして評価された」という既成事実を手に入れたのである。 さて、このように、2004年には西尾維新のライトノベルとしての評価が目に見える形で広まったが、一方でミステリー板の西尾維新スレッドの方は、消費スピードが急激に落ち、やがては消滅することになった。 ◆ 2004年以前については、ライトノベル評論本の類が出ておらず、戯言シリーズが当時どのように評されていたのかは、ライトノベル読者の思い出を聞くしかなさそうである。ただ、スレッドの消費速度から見れば、やはり『ヒトクイマジカル』の頃、西尾維新はライトノベル読者の間で急激に知名度が高まったと言えそうである。 個人的な思い出を語れば、『クビキリサイクル』を読んだ当時(刊行の翌月)はライトノベルというものの存在すらおそらく知らなかった頃で、メフィスト賞作家のミステリを追いかけていた流れで、西尾作品もなんのためらいもなくミステリだと認識して読んでいた。3作目の『クビツリハイスクール』はミステリとは呼べないものだったが、この頃から、西尾維新の魅力は別のところにあるようだとやっと認識し始めた。それでも、4作目の『サイコロジカル』はミステリ作品だったし、2003年4月に『メフィスト』に掲載された『きみとぼくの壊れた世界』の「もんだい編」は、よく読み込んで、熱心に解答を考えたものだった。だから個人的には、西尾維新はミステリの流れをくむ、ライトノベルと一般文芸の中間にいる作家だというのが最もしっくりくる考え方である。 リンク 西尾維新@2ch カコログオキバ メフィスト賞と講談社ノベルスの愉快な仲間達@ミステリー板 過去ログメフィスト賞と講談社ノベルスの愉快な仲間達 (西尾維新デビュー時の講談社ノベルススレッド) 【ファウスト】【講談社BOX】【パンドラ】@ライトノベル板 過去ログ ライトノベル関連に戻る
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/121.html
2011年4月30日 大きな地図で見る 最近、日本で北欧ミステリが注目を集めている。その一番の要因としては、スウェーデンの作家であるスティーグ・ラーソンの『ミレニアム』(1~3、各上下巻、早川書房)が2008年末から2009年にかけて日本のミステリ界を席巻したことが挙げられるだろう。『ミステリマガジン』2010年11月号では北欧ミステリの特集が組まれ、今年に入って以降も、4月にハヤカワ・ポケット・ミステリからスウェーデンの作家ヨハン・テオリンの『黄昏に眠る秋』が出て話題になっているのみならず、5月にはノルウェーの作家カリン・フォッスムの『湖のほとりで』の刊行が予定されており、また年内にはアイスランドの作家アーナルデュル・インドリダソンの長編2作品の東京創元社からの刊行も予定されている(※2012年に延期)。 このページでは、逆に北欧では日本のミステリがどれほど読まれているのかを知るため、国際交流基金が作成している「日本文学翻訳書誌検索」を基礎資料として、それに独自に調査した分を加え、北欧諸言語に翻訳された日本のミステリをまとめている。なお、国際連合の区分では、バルト海を挟んでスウェーデン・フィンランドの対岸にあるバルト三国、すなわちエストニア、ラトビア、リトアニアも北欧5カ国とともに「北ヨーロッパ」に分類しており、また言語系統的にも北欧5カ国の一部とバルト三国の一部は関係があるため、このページではバルト三国での翻訳状況も一緒に扱うことにする。 北欧およびバルト三国の言語について 北欧に「ガラスの鍵賞」というミステリの賞がある。これは、北欧5カ国、すなわち、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランドの5カ国で1年間に発表されたミステリの中で、最優秀ミステリを決定しこれを表彰する賞である。この5カ国ではどの国でも国名に「 - 語」を付けた言語が使われていて、つまりこの賞は言語の壁を越え、5つの異なる言語で書かれたミステリから最優秀作を選ぶという、非常に手間のかかっていそうな賞なのである。 『ミステリマガジン』2009年10月号でミステリ評論家の松坂健氏は、「仮にアジアでこのようなミステリ大賞をつくって、日本、韓国、台湾、中国などとミステリ作品を競わせることができるだろうかと考えると、難しいだろうなあと思う」と述べているが、これは確かにそうだろう。北欧5カ国でこのような賞が可能になっているのは、その言語の近さによるものだと思われる。北欧5カ国の言語は、まったく言語系統の異なるフィンランド語を除けば、どの言語も北方ゲルマン語群(英語やドイツ語の親戚)に属し、「知識人であればどの北欧語も読めるというほど互いに似通っている」のである。なかでもノルウェー語話者は、特に訓練をしなくても、「スウェーデン人とデンマーク人の間では両者の仲介が出来、アイスランド人の発言の通訳が出来る」のだという。また、唯一系統の異なる言語を使用しているフィンランドでも、フィンランド語とともにスウェーデン語が公用語となっており、国民の94%を占めるフィンランド語母語話者の中にはスウェーデン語を理解できる人も多いという。東アジアの日本、韓国、台湾、中国は同じ漢字文化圏に属するとはいえ、言語は日本語・韓国語・中国語でまったく異なっており、翻訳の手間だけを考えても、北欧の「ガラスの鍵賞」と同じような賞の実現は難しいと言わざるを得ないだろう。 北欧5カ国の言語の中で唯一系統の異なるフィンランド語は、バルト三国のうちのエストニアの公用語であるエストニア語と非常に近い関係にある言語で、「相互理解も困難ではない」という。ただし、バルト三国の言語の中でフィンランド語に近い関係にあるのはエストニア語だけで、ラトビア語とリトアニア語は、北欧5カ国の言語やエストニア語とは異なる別系統の言語である。(言語に関する引用箇所は『世界のことば』(朝日選書、1991年)より) Index アイスランド (Iceland)桐野夏生 (Natsuo Kirino) ノルウェー (Norway)桐野夏生 (Natsuo Kirino) 高見広春 (Koushun Takami) 戸川昌子 (Masako Togawa) スウェーデン (Sweden)桐野夏生 (Natsuo Kirino) 戸川昌子 (Masako Togawa) デンマーク (Denmark)桐野夏生 (Natsuo Kirino) 鈴木光司 (Koji Suzuki) 戸川昌子 (Masako Togawa) 宮部みゆき (Miyuki Miyabe) フィンランド (Finland)高木彬光 (Akimitsu Takagi) 松本清張 (Seicho Matsumoto) ――北欧5カ国まとめ―― バルト三国のミステリ エストニア (Estonia)松本清張 (Seisho Matsumoto) ラトビア (Latvia) リトアニア (Lithuania)小林久三 (Kyuzo Kobayashi) 鈴木光司 (Koji Suzuki) 松本清張 (Seisho Matsumoto) 森村誠一 (Seiichi Morimura) 参考文献 リンク 以下、ISBNをクリックすると、現地のネット書店等の該当ページが開くようになっている。 「★追加」と注記した書籍は、国際交流基金のデータに掲載されていないものである。 アイスランド (Iceland) アイスランド語:母語話者数 約32万人(北欧5カ国およびバルト三国の中で最少) 桐野夏生 (Natsuo Kirino) Næturvaktin / 『OUT』 ISBN 9789979788157 (2005年) 翻訳者のJón Hallur Stefánsson氏(ノルウェー語版Wikipedia)はアイスランドの推理作家。 アイスランド語から(直接・間接問わず)日本語に訳されたミステリは、イルサ・シグルザルドッティル『魔女遊戯』(集英社文庫、2011年)、アーナルデュル・インドリダソン『湿地』(東京創元社、2012年6月)、『緑衣の女』(仮題/東京創元社から出版予定)などがある。 ノルウェー (Norway) ノルウェー語:母語話者数 約500万人 桐野夏生 (Natsuo Kirino) Ute / 『OUT』 ISBN 9788205352513 (2006年) 翻訳者のIka Kaminka氏は、ほかに村上春樹や夏目漱石、パトリシア・ハイスミスのノルウェー語訳を手掛けている。(日本の作品は、英語からの重訳だろうか?) 高見広春 (Koushun Takami) (ノルウェー語版Wikipedia) Battle Royale / 『バトル・ロワイアル』 ISBN 9788204105134 (2006年) 翻訳者のYngve Johan Larsen氏は、ほかに村上春樹の翻訳などを手掛けている。 戸川昌子 (Masako Togawa) Blodig dagbok / 『猟人日記』 ISBN 9788251403566 (1990年)(リンク先 書影なし) 翻訳者のAtle Næss氏(英語版Wikipedia)は、ノルウェーの小説家。 ノルウェー語から(直接・間接問わず)日本語に訳されたミステリは、ベルンハルト・ボルゲ『夜の人』(ハヤカワ・ポケット・ミステリ、1960年)、アンネ・ホルト『女神の沈黙』、『土曜日の殺人者』、『悪魔の死』(集英社文庫、1997-1999年)、トム・エーゲラン『狼の夜』(扶桑社ミステリー、2008年)、ジョー・ネスボ『コマドリの賭け』(ランダムハウス講談社文庫、2009年)、カリン・フォッスム『湖のほとりで』(PHP文芸文庫、2011年5月)などがある。 スウェーデン (Sweden) スウェーデン語:母語話者数 約1000万人(北欧5カ国およびバルト三国の中で最多) 桐野夏生 (Natsuo Kirino) (スウェーデン語版Wikipedia) Fri / 『OUT』 (★追加) ISBN 9789170022180 (2007年) ISBN 9789170026645 (2008年) 翻訳者のLars Vargö氏は、ほかに夏目漱石や安部公房の翻訳を手掛けている。 戸川昌子 (Masako Togawa) Kvinnojägaren / 『猟人日記』 ISBN 9789150209181 (1988年)(リンク先 書影なし) 英語からの重訳。翻訳者はÖjevind Lång氏。 ほかの北欧の国々と比べると、スウェーデンのミステリの邦訳は以前からそれなりになされており、古くは『新青年』にS・A・ドゥーゼやフランク・ヘラーの作品が邦訳されていた。1970年代から80年代にかけては、マイ・シューヴァル&ペール・ヴァールーのマルティン・ベックシリーズ全10作(角川書店)や、ヤーン・エクストレム『誕生パーティの17人』(創元推理文庫、1987年)が注目を集め、その後もヤン・ギルー(1995年)、シャスティン・エークマン(1998年)の邦訳が刊行されている。21世紀に入ってからは、2001年にヘニング・マンケルのミステリ作品が刊行されたのに続いて、リサ・マークルンド(2002年)、ホーカン・ネッセル(2003年)、カーリン・アルヴテーゲン(2004年)、アンデシュ・ルースルンド&ベリエ・ヘルストレム(2007年)、オーサ・ラーソン(2008年)、スティーグ・ラーソン(2008年)、カミラ・レックバリ(2009年)、ヨン・アイヴィデ・リンドクヴィスト(2009年)、ラーシュ・ケプレル(2010年)、ヨハン・テオリン(2011年)と、次々に新たな作家の邦訳が続いており、日本ではスウェーデンは、英米やフランスに次ぐミステリ大国として認知されているといっていいだろう。 デンマーク (Denmark) デンマーク語:母語話者数 約600万人 桐野夏生 (Natsuo Kirino) Ude / 『OUT』 (★追加) ISBN 9788791812309 (2008年) 鈴木光司 (Koji Suzuki) (デンマーク語版Wikipedia) Ring / 『リング』 (★追加) ISBN 9788759525012 (2005年) Spiral / 『らせん』 (★追加) ISBN 9788759526132 (2006年) 戸川昌子 (Masako Togawa) En kvindejægers dagbog / 『猟人日記』 (★追加) ISBN 9788777243462 (1993年)(リンク先 書影なし) 宮部みゆき (Miyuki Miyabe) Skyggefamilie / 『R.P.G.』 (★追加) ISBN 9788711431740 (2010年) 題名から判断して、英訳版『Shadow Family』からの重訳だろう。 デンマーク語から(直接・間接問わず)日本語に訳されたミステリは、アーナス・ボーデルセン『轢き逃げ人生』、『罪人は眠れない』、『殺人にいたる病』、『蒼い迷宮』、アイザック・ディネーセン(カレン・ブリクセン)『復讐には天使の優しさを』、ペーター・ホゥ『スミラの雪の感覚』(新潮社、1996年)、『ボーダーライナーズ』(求龍堂、2002年)などがある。 フィンランド (Finland) フィンランド語:母語話者数 約600万人 高木彬光 (Akimitsu Takagi) Ilmiantaja / 『密告者』 ISBN 9789510064917 (1974年) 翻訳者はMarjukka Iizuka氏。名字から判断して、日系の人が日本語から訳したのかなと思ったが、WorldCatによれば英語からの重訳だそうだ。 松本清張 (Seicho Matsumoto) Junaongelma / 『点と線』 ISBN 9789510059869 (1973年) 翻訳者はKristiina Kivivuori氏。 フィンランド語から(直接・間接問わず)日本語に訳されたミステリは、マウリ・サリオラ『ヘルシンキ事件』(TBS出版会、1979年)、ペンッティ・キルスティラ『過去よさらば』(新樹社、2000年)などがある。 ――北欧5カ国まとめ―― フィンランドを除く4カ国 桐野夏生『OUT』が4カ国すべてで翻訳されているのは、やはりエドガー賞の候補になったというのが大きいのだろう。またアイスランドを除く3カ国では、戸川昌子『猟人日記』が翻訳されている。戸川昌子は、ジュリアン・シモンズの推理小説研究書『ブラッディ・マーダー』でも取り上げられており、欧米ではある程度知名度があるようだ。あとは宮部みゆきの作品がデンマークで刊行されているぐらいで、有名どころの江戸川乱歩、松本清張、夏樹静子の本が出ていないか各地のネット書店等で検索してみたが見つからなかった。広義のミステリまで目を配ると、ノルウェーで高見広春『バトル・ロワイアル』、デンマークで鈴木光司の『リング』、『らせん』が訳されている。 フィンランド 言語系統が違うことが影響しているのか、翻訳されている作品もほかの4カ国とは異なっている。北欧5カ国およびバルト三国の8カ国の中で、唯一、高木彬光の作品が刊行されている。 上では単行本として刊行されたもののみまとめたが、短編では、スウェーデンの雑誌『CDM』(Short Stories of Crime, Detection Mystery)に宮部みゆき「うそつき喇叭」が掲載されている(情報源:『ミステリマガジン』2009年1月号、p.37)。また、国際交流基金のデータによると、ノルウェーのHalldis Moren Vesaas氏(英語版Wikipedia)が1988年に岡本綺堂の「平家蟹」(青空文庫)を翻訳している(ノルウェー語タイトル: Heike krabbane )。 ほかに、小松左京『日本沈没』(日本推理作家協会賞受賞作)のスウェーデン語訳(Japan sjunker、1980年刊行)もある。 国名 人口 公用語とその母語話者の数 推理作家一覧(各言語版Wikipedia) アイスランド 32万人 アイスランド語(32万人) ノルウェー 494万人 ノルウェー語(500万人) Kategori Norske krimforfattere (カテゴリ:ノルウェーの推理作家/146人) スウェーデン 942万人 スウェーデン語(1000万人) Kategori Svenska kriminalförfattare (カテゴリ:スウェーデンの推理作家/111人) デンマーク 556万人 デンマーク語(600万人) Kategori Krimiforfattere fra Danmark (カテゴリ:デンマークの推理作家/35人) フィンランド 538万人 フィンランド語(600万人) Luokka Suomalaiset rikoskirjailijat (カテゴリ:フィンランドの推理作家/74人) (フィンランドでは、国民の6%が母語とするスウェーデン語も公用語になっている) (母語話者数は、国外居住者も含む) バルト三国のミステリ 国名 人口 公用語とその母語話者の数 エストニア 134万人 エストニア語(105万人) ラトビア 223万人 ラトビア語(150万人) リトアニア 325万人 リトアニア語(400万人) (比較:横浜市の人口が約370万人) (母語話者数は、国外居住者も含む) バルト三国のミステリについて書かれている日本語の文献は今までに見かけたことがない。乱歩が世界のミステリについて手紙のやり取りをして苦労して情報を集めた時代とは異なり、現代ではインターネットという便利なものがある。 Google翻訳を使いつつWikipediaの記事を辿っていくと、以下の記事が見つかった。北から順に並べる。 エストニア語版WikipediaKriminaalromaan (推理小説) Eesti kriminaalkirjandusteoste loend (エストニアの推理小説リスト) Kategooria Eesti kriminaalkirjanikud (カテゴリ:エストニアの推理作家) ラトビア語版Wikipediaなし リトアニア語版WikipediaDetektyvas (推理小説) Kategorija Lietuvos detektyvų rašytojai (カテゴリ:リトアニアの推理作家) 「エストニアの推理作家」のカテゴリには10人の作家の記事がある。その中でも一番若い Indrek Hargla (1970年生まれ、男性)の作品はフランス語やロシア語、フィンランド語に翻訳されているとのことだが、amazon.frではそれらしき書籍が見つけられなかった。長編ではなく短編が翻訳されただけなのだろう。SFやホラーも書く作家のようだが、2010年には、15世紀のエストニアの首都タリンを舞台に、薬剤師のメルキオール(Melchior Wakenstede)が事件の謎を解く『Apteeker Melchior ja Oleviste mõistatus』(薬剤師メルキオールと聖オラフ教会の謎)(書影)と『Apteeker Melchior ja Rataskaevu viirastus』(薬剤師メルキオールとラタスカエヴ通りの幻影)(書影)を発表している。 ラトビア語版Wikipediaでは推理小説に関連する記事が見つけられなかった。エストニア語版Wikipediaが約8万の記事を擁しているのに対して、ラトビア語版Wikipediaは総記事数が3万ほどなのでこれは仕方がないか(比較:日本語版の総記事数は約73万)。 「リトアニアの推理作家」のカテゴリには8人の作家の記事があるが、他言語へ作品が翻訳されている作家はいないようだ。古い時期の作家の記事が多いが、1950年以降生まれの作家に、Juozas Šikšnelis(1950年生)とSaulius Stoma(1954年生)がいる。 この3言語では、日本の推理作家の記事は書かれていない。 エストニア (Estonia) エストニア語:母語話者数 約105万人 松本清張 (Seisho Matsumoto) Mäng sõiduplaaniga / 『点と線』 ISBN不明 (1974年版) 1974年?(国際交流基金のデータでは1972年)、エストニアの出版社「Eesti Raamat」から刊行。翻訳者はAgu Sisask氏。 エストニアでの刊行が確認できる日本のミステリはこの一作のみ。エストニアでの刊行とほぼ同じ時期に、フィンランドでも『点と線』が刊行されている。フィンランド語とエストニア語が非常に近い言語であることが関係しているのだろうか。 ほかに、国際交流基金のデータによれば、1962年に江戸川乱歩の短編「人間椅子」が翻訳されているとのこと(エストニア語タイトル: Inimtooi )。 ラトビア (Latvia) ラトビア語:母語話者数 約150万人 国際交流基金のデータでは翻訳なし(ミステリに限らず、ラトビア語への翻訳のデータが1件もない)。上で示したように、日本のミステリのデンマーク語への翻訳については、国際交流基金のデータではゼロだったが実際には翻訳があったので、ラトビア語訳も実際には刊行されているかもしれない。 リトアニア (Lithuania) リトアニア語:母語話者数 約400万人 小林久三 (Kyuzo Kobayashi) Rugpjūtis be imperatoriaus / 『皇帝のいない八月』 ISBN不明 (1984年) 1984年、リトアニアの出版社「Mintis」から刊行。翻訳者は(国際交流基金の記述では)Damute Skuoziuniene氏(正しくは Danutė Skuodžiūnienė か?)。 英訳やフランス語訳、ドイツ語訳も出ていない作品が突如出てきたが、この作品はロシア語訳が出ているので、おそらくロシア語からの重訳だろう(翻訳者の名前 Danutė Skuodžiūnienė で検索すると、ロシア語からリトアニア語への翻訳者であったことが推察できる)。表紙に書かれた作者名は「K. Kobajasis」となっている。 鈴木光司 (Koji Suzuki) Skambutis / 『リング』 ISBN 995597253X (2005年) Spiralė Skambutis II / 『らせん』 ISBN 9955700009 (2006年) Kilpa Skambutis III / 『ループ』 ISBN 9789955700104 (2007年) Tamsus vanduo / 『仄暗い水の底から』 ISBN 9789955972556 (2005年) 松本清張 (Seisho Matsumoto) Juodoji evangelija / 『黒い福音』 ISBN 5415001964 (1991年版) 1969年、リトアニアの出版社「Vaga」から刊行。翻訳者はJuozas Vaišnoras氏。 松本清張の作品の中で、なぜ英訳もフランス語訳もドイツ語訳も出ていないこの作品が?と思ってしまうが、この作品もロシア語訳が出ているので、その重訳だろう。なお、リトアニア語では清張の名前は「Seitė Macumotas」と書くようだ。発音は「セイチョー・マツモタス」でいいんだろうか。 森村誠一 (Seiichi Morimura) Mirties konteineriai/ 『死の器』 ISBN不明 (1986年) 1986年、リトアニアの出版社「Mintis」から刊行。翻訳者はStanislovas Nekrašius氏。国際交流基金のデータではタイトルの綴りに誤りがある。表紙に書かれた作者名は「S. Morimūra」。 国際交流基金のデータでは原題が書かれていないが、1986年以前にロシアで刊行された森村誠一作品を探したところ『Контейнеры смерти』(死の器)が見つかったので、リトアニア語版のタイトルからみても、これの翻訳と見て間違いないだろう。 参考文献 北欧5カ国のミステリについて:『ハヤカワミステリマガジン』2010年11月号【特集 北欧ミステリに注目!】(早川書房、2010年9月)(小山正「北欧ミステリ徒然草」、およびその他の北欧ミステリ特集記事) 北欧5カ国およびバルト三国の言語について:『世界のことば』(朝日選書、1991年)(池上佳助「アイスランド語」、大島美穂「ノルウェー語」、本間晴樹「スウェーデン語」、村井誠人「デンマーク語」、百瀬宏「フィンランド語」、松村一登「エストニア語」、志摩園子「ラトビア語」、村田郁夫「リトアニア語」) リンク Hið íslenska glæpafélag (アイスランド推理作家協会) Rivertonklubben (リバートンクラブ) ※ノルウェーの推理作家団体 Svenska Deckarakademin (スウェーデン推理作家アカデミー) Det Danske Kriminalakademi (デンマーク推理作家アカデミー) Suomen dekkariseura (フィンランド推理クラブ) Asociación Internacional de Escritores Policíacos (国際推理作家協会)北欧支部:Skandinaviska Kriminalsällskapet (スカンジナヴィア推理作家協会)Glasnyckeln - The Glass Key (ガラスの鍵賞) 「日本ミステリの海外刊行」に戻る
https://w.atwiki.jp/marowiki/pages/919.html
目次 【時事】ニュースミステリーバッグ mystery bag RSSミステリーバッグ mystery bag 口コミミステリーバッグ mystery bag 【参考】関連項目 タグ 最終更新日時 【時事】 ニュース ミステリーバッグ 12月24日(金)ヨシモト∞ホール開催ミステリーコメディ『もぐら殺人事件II~クリスマスイブの事件簿~』オリジナルグッズ発売決定! - PR TIMES 「マスターピース」「ミステリーランチ」最新バッグ10選【人気ブランド最新バッグカタログ】 - ニフティニュース ミステリ好きは注目! 「メフィストリーダーズクラブ」の限定イベント「綾辻行人×辻村深月」トークイベントレポ - ダ・ヴィンチニュース 本の世界を旅するホテル。『ランプライトブックスホテル福岡』開業:時事ドットコム - 時事通信 ドラマ『あなたの番です』犯人は結局誰?ネタバレあり徹底振り返り【反撃編】 | FILMAGA(フィルマガ) - FILMAGA by Filmarks DJIでホリデーの魔法をかけよう!! - PR TIMES 【マイクラ】“マインクラフト ブラックミステリーバッグ2”が発売! エンダードラゴンタオルやぬいぐるみなど日本未発売製品入り - ファミ通.com 『犬神家の一族』4Kデジタル修復版が初上映!草笛光子、市川崑監督の“変わった出演交渉”思い出明かす(MOVIE WALKER PRESS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【タイムセール祭り】「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバッグ」セール対象のおすすめ&AmazonランキングTOP10!【2021年11月13日】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ その名は「鬼死骸停留所」 伝奇ミステリーに出てきそうな名前の旧バス停が好奇心くすぐる(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース アウトドアからタウンユースまで使える「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバックパック」おすすめ6選!(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 斜線堂有紀の新本格ミステリー! 謎解きに没頭できる『廃遊園地の殺人』(ananweb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新商品】プラス、在宅勤務中に使うバッグ - SankeiBiz インナーバッグ単体でも優れている、とてもお得なCIEの新作「2WAYショルダー」! - GetNavi web マーダーミステリーゲーム「死ねない彼女の564かた」が11月20日に発売 - 4Gamer.net スリリングな非日常へ。ミステリー・サスペンス映画のお気に入り 5選【フィレンツェねこ歩き 番外編】 | コラム | カルチャー & ライフ - 株式会社三栄 消火栓ホースでリメーク商品 エコバッグ人気で評判 - SankeiBiz ハクバ、「Chululu(チュルル)」よりPCインナーケース&マルチポーチ新色発売 - BCN+R - BCN+R Autumn Reading本当のミステリーは 人間の心に潜む!? | Safari me time | Safari Online - safarilounge.jp 「ジミー チュウ」初のNFTをゲット! 世界に1点のデジタルアート&ミステリーボックスが登場 - ELLE 『マインクラフト』2022年実装の“The Wild Update”が発表、最大のアップデート“Caves and Cliffs Part 2”は2021年内に。11月からXbox Game Pass for PCにラインアップ - ファミ通.com 「りんくうプレミアム・アウトレット」は抜群のロケーションと充実したMD 接客も好感触 連載「ミステリーショッパーが行く!」 - WWD JAPAN.com 定番の中の定番「PORTER(ポーター)のショルダーバッグ」おすすめ6選&AmazonランキングTOP10!【2021年10月】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ ハクバ、 Canon EOS R3 専用液晶保護フィルムを2種発売 - BCN+R - BCN+R 西島秀俊&芳根京子、ミステリードラマ「真犯人フラグ」の現場の様子を明かす!『笑いの連鎖が起きてしまう』<インタビュー>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【心理テスト】ミステリー記念日なので…あなたの「性格のバックボーン」を解明します! (2021年10月7日) - エキサイトニュース 40代のトレンドバッグ、4つの正解!コーデの鮮度がぐっと上がる【秋ファッション】(集英社ハピプラニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『CLATHAS MONOGRAM SHOULDER BAG BOOK』TSUTAYA限定で11月4日(木)に発売決定![TSUTAYA News] - T-SITEニュース 生キャラメル専門「横浜キャラメルラボ」、魅惑のレーズンサンド発売 - BCN+R - BCN+R 「ミステリー映画(洋画)」DVDおすすめ5選 予想外の”どんでん返し”で、鳥肌間違いなし!【2021年最新版】 - - ITmedia 10秒で瞬間硬化! 家庭用UV接着補修キットをアサヒペンとアイカ工業が共同開発 - BCN+R - BCN+R 一人称ミステリー脱出ゲーム『DYING:1983』PS5版が2022年2月17日に発売決定。TGS2021にも出展 - ファミ通.com ファミチキを再現したポテチ、数量限定販売 - BCN+R - BCN+R コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に - TechCrunch Japan 軽くてエレガント!街でも旅先でも使いやすいバッグシリーズ「カナナモノグラム」がアップデートして新登場 - PR TIMES 頑丈で便利なミステリーランチのショルダーバッグは普段使いしたい | &GP - &GP 『マインクラフト』“秋のマイクラ プレミアム ステージ”が9月18日、19日開催。HIKAKINやStylishNoobなど超豪華出演者が3チームに分かれて対戦 - ファミ通.com 書店員とミステリー作家の溺愛ラブ「文豪に捧げる乙女」Sho-ComiXで移籍連載 - コミックナタリー 【新刊紹介】キレのいい倒叙ミステリー『教場X』など4作品(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 正体不明の老女と出会い…米作家が日本語で描く青春小説『ばいばい、バッグレディ』 - ananweb 大谷が考える勝負の綾 ジャンケンに通じる球種増加(写真=ロイター) - 日本経済新聞 【タイムセール祭り】万能バッグがお買い得! 「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバッグ」セール対象のおすすめを紹介(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ミステリーランチのバッグをひと目惚れ買い!だから早朝散歩を日課にしました、明日から | &GP - &GP ミステリーランチ新作「ストリートマーケット」は、コンパクト&使い勝手の良さで手離せなくなる! - GetNavi web ミニバッグの次はコレ!? “ネクストトレンド”と噂のバッグとは? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 容量を増やせて背負いやすいミステリーランチの「ピントラー」と1泊野営装備 | &GP - &GP 天神ロフトでミステリーマガジン「ムー」のグッズ販売 Tシャツなど140種類 - 天神経済新聞 パッカブルだけどミステリーランチらしくしっかり頑丈です! | &GP - &GP 台湾ミステリー小説、民主主義とともに普及 話題作が日本初上陸 - SankeiBiz Catch the Wave! [セリーヌ/バッファローチェックのバックパック]この秋、〈セリーヌ〉でチェックは着るよりも背負ってみる!? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 今年のマインクラフトライブの配信予定日が10月17日午前1時に決定! 本作に関する新情報やユーザーアンケートなども実施予定 - ファミ通.com シンプルデザインでハイスペック! ミステリーランチのバッグ、日本限定モデルの使い心地に虜です - GIZMODO JAPAN 今だけ15%OFF! 指紋でロックする鍵の要らない南京錠「Anylocksafe」 - BCN+R - BCN+R しまむら、「Minecraft」の「TNT」や「土ブロック」再現したクッションなど発売 - GAME Watch 「カナナプロジェクト」のバッグシリーズ「SP-2」に、ナチュラルにもモードにも合う秋冬限定色カーキブラウンが新登場 - PR TIMES ミステリーランチからスマホなどの収納にちょうどいい「ミッションコントロール」が発売 - GetNavi web 今年10月10、11日は「2021年デジタルの日」 ワクチンパスポート検討の機会にしては? - BCN+R - BCN+R 【タイムセール祭り】「リュック・バックパック」セール対象のおすすめ&AmazonランキングTOP10! アークテリクスやミステリーランチが安い!(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 【ミニバッグ】大人に最もふさわしいのは“スクエア型”説! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 取り出しやすく、中も見える、ちょっと便利な収納バッグ | &GP - &GP リュックからミニバッグまで、〈コーチ〉で話題の“色カモ”とは? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 阿部寛と新垣結衣が共演!東野圭吾原作の謎が謎を呼ぶ複雑なミステリー - ホミニス 「わたモテ」ミステリー小説アンソロジー発売、谷川ニコがイラスト&小説執筆 - コミックナタリー シンプルデザインでハイスペック! ミステリーランチの日本限定モデル「モッドロードセル」の使い心地に虜です|身軽スタイル - roomie 森林系カモフラのミステリーランチは街にもイイ感じ! | &GP - &GP マクドナルド、ハッピーセット「なりきり!プロキット」「リカちゃん」登場 - BCN+R - BCN+R 東京ミステリーサーカス「謎専門書店 らんぷ堂」オリジナルグッズ発売が決定 イベント『書店に眠る謎からの脱出』ステッカーも販売 - http //spice.eplus.jp/ 登山用バックパック-選び方とおすすめメーカー - 山旅旅 昨年完売の「CHUMS(チャムス)」大容量ドライバッグが別カラーで復活!8/3発売 - PR TIMES ミュージック花火やライトアップでキャンプでを楽しむ! 「STARLIGHT CAMPZ」が千葉市で始動 - BCN+R - BCN+R じっくりコトコト コーンポタージュ、クラッシュアイスで登場! - BCN+R - BCN+R サステナブル ブランド「CASUCA CiRculo」の第一弾。“リボーン・クチュール・バッグ” “リボーン・クチュール・Tシャツ”の販売をスタート! - PR TIMES 【話題】ミニバッグの中で圧倒的に人気なのはコレ! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 【プライムデー】ショルダーバッグがお買い得! Amazon売れ筋ランキングTOP10&おすすめ3選! 人気の定番ブランドがセール対象に(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 立って仕事できるPCスタンド「パタスタ」が本日発売、在宅ワークを快適に - BCN+R - BCN+R 背中がムレにくい「エース×ナリフリ」のビジネスバッグは、これからの季節にグッドだね! - GetNavi web ベッカムが愛用する、 上質極まるバッグの正体とは? | Celebrity | Safari Online - safarilounge.jp 死因究明“後進国”の日本が舞台の法医学ミステリー「そのモガリは熱を知らない」 - ナタリー アバーメディア、快適な配信環境を実現するコントロールセンター - BCN+R - BCN+R 家で「しび辛」が楽しめる「特製花椒パウダー」が黄金比に、エスビー食品から - BCN+R - BCN+R 身軽さを重視した「10L~20L容量のリュック・バックパック」おすすめ3選!【2021年5月】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ ケルティのボディバッグ「コンバーチブル MR」は変身がキーワード! めちゃくちゃ便利なヤツ!! - GetNavi web TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』Blu-ray&DVD 第2巻収録 完全新作アニメーションのタイトルが『ミステリーキャンプ』に決定! さらに場面カットも公開! - アニメイトタイムズ 週末の相棒にしたい〈ドルチェ&ガッバーナ〉の新作!休日カジュアルの品はバッグで決まる! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp ミステリーランチのバックパックに大量追加の新色一気見せ! | &GP - &GP ミステリーランチの日本別注「クレイジーブラックコレクション」。機能性と遊び心が融合してます! - GetNavi web モンベルの「ライトバッグ」は軽量で頑丈で大容量! 使いやすいエコバッグの正解、見つけちゃいました|マイ定番スタイル - roomie ミステリーランチの2WAYトートバッグ、守備範囲広め。脱いだアウターを放り込める収納力が頼もしい|マイ定番スタイル(2021年2月18日)|BIGLOBEニュース - BIGLOBEニュース エース、「世界ふしぎ発見!」竹内海南江と共同開発したバッグ「カナナモノグラム」限定色“ピスタチオ” - トラベル Watch ライトな登山やお出かけ用に軽量バックパックが最適です | &GP - &GP 【福袋】、アメリカでは返品制度で不正が横行!もトレーダージョーズの福袋の内容とは? - BLOGOS 但馬牛ステーキと自家高温燻製サーモンを使用、築地STEAK「哥利歐」の特製サンドウィッチ - BCN+R - BCN+R 「マインクラフト ミステリーボックスフレンズ」が全国のイオンで1月1日より販売開始!クリーパーのフリーボックスやキャラクターのフィギュアなど盛りだくさん! - 電撃ホビーウェブ 選手が選べる福袋 予約受付開始!あのレジェンド選手が福袋となって登場! - PR TIMES 4種類の生地が混在!ミステリーランチの別注モデルが面白い | &GP - &GP 第五弾「マインクラフトミステリーボックス」がお正月にもやってくる!全国のイオンで2021年1月1日(金)から数量限定で販売 - アットプレス(プレスリリース) ドーバー銀座、コム デ ギャルソンなどの新旧作が揃う限定ショップ - オフ-ホワイトとのコラボも - Fashion Press 【マイクラ】『マインクラフト』グッズがセットになったミステリーバッグが発売。中には日本未発売のブランケットも - ファミ通.com 普段使いに便利なミステリーランチの「ブーティーバッグ」がこの夏アップグレードして登場! | &GP - &GP 限定復刻! ミステリーランチ東京のみで買えるスペシャル限定アイテム発売 / Yamakei Online - 株式会社 山と溪谷社 mystery bag gnewプラグインエラー「mystery bag」は見つからないか、接続エラーです。 RSS ミステリーバッグ 12月24日(金)ヨシモト∞ホール開催ミステリーコメディ『もぐら殺人事件II~クリスマスイブの事件簿~』オリジナルグッズ発売決定! - PR TIMES 「マスターピース」「ミステリーランチ」最新バッグ10選【人気ブランド最新バッグカタログ】 - ニフティニュース ミステリ好きは注目! 「メフィストリーダーズクラブ」の限定イベント「綾辻行人×辻村深月」トークイベントレポ - ダ・ヴィンチニュース 本の世界を旅するホテル。『ランプライトブックスホテル福岡』開業:時事ドットコム - 時事通信 ドラマ『あなたの番です』犯人は結局誰?ネタバレあり徹底振り返り【反撃編】 | FILMAGA(フィルマガ) - FILMAGA by Filmarks DJIでホリデーの魔法をかけよう!! - PR TIMES 【マイクラ】“マインクラフト ブラックミステリーバッグ2”が発売! エンダードラゴンタオルやぬいぐるみなど日本未発売製品入り - ファミ通.com 『犬神家の一族』4Kデジタル修復版が初上映!草笛光子、市川崑監督の“変わった出演交渉”思い出明かす(MOVIE WALKER PRESS) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【タイムセール祭り】「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバッグ」セール対象のおすすめ&AmazonランキングTOP10!【2021年11月13日】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ その名は「鬼死骸停留所」 伝奇ミステリーに出てきそうな名前の旧バス停が好奇心くすぐる(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース アウトドアからタウンユースまで使える「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバックパック」おすすめ6選!(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 斜線堂有紀の新本格ミステリー! 謎解きに没頭できる『廃遊園地の殺人』(ananweb) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【新商品】プラス、在宅勤務中に使うバッグ - SankeiBiz インナーバッグ単体でも優れている、とてもお得なCIEの新作「2WAYショルダー」! - GetNavi web マーダーミステリーゲーム「死ねない彼女の564かた」が11月20日に発売 - 4Gamer.net スリリングな非日常へ。ミステリー・サスペンス映画のお気に入り 5選【フィレンツェねこ歩き 番外編】 | コラム | カルチャー & ライフ - 株式会社三栄 消火栓ホースでリメーク商品 エコバッグ人気で評判 - SankeiBiz ハクバ、「Chululu(チュルル)」よりPCインナーケース&マルチポーチ新色発売 - BCN+R - BCN+R Autumn Reading本当のミステリーは 人間の心に潜む!? | Safari me time | Safari Online - safarilounge.jp 「ジミー チュウ」初のNFTをゲット! 世界に1点のデジタルアート&ミステリーボックスが登場 - ELLE 『マインクラフト』2022年実装の“The Wild Update”が発表、最大のアップデート“Caves and Cliffs Part 2”は2021年内に。11月からXbox Game Pass for PCにラインアップ - ファミ通.com 「りんくうプレミアム・アウトレット」は抜群のロケーションと充実したMD 接客も好感触 連載「ミステリーショッパーが行く!」 - WWD JAPAN.com 定番の中の定番「PORTER(ポーター)のショルダーバッグ」おすすめ6選&AmazonランキングTOP10!【2021年10月】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ ハクバ、 Canon EOS R3 専用液晶保護フィルムを2種発売 - BCN+R - BCN+R 西島秀俊&芳根京子、ミステリードラマ「真犯人フラグ」の現場の様子を明かす!『笑いの連鎖が起きてしまう』<インタビュー>(WEBザテレビジョン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【心理テスト】ミステリー記念日なので…あなたの「性格のバックボーン」を解明します! (2021年10月7日) - エキサイトニュース 40代のトレンドバッグ、4つの正解!コーデの鮮度がぐっと上がる【秋ファッション】(集英社ハピプラニュース) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 『CLATHAS MONOGRAM SHOULDER BAG BOOK』TSUTAYA限定で11月4日(木)に発売決定![TSUTAYA News] - T-SITEニュース 生キャラメル専門「横浜キャラメルラボ」、魅惑のレーズンサンド発売 - BCN+R - BCN+R 「ミステリー映画(洋画)」DVDおすすめ5選 予想外の”どんでん返し”で、鳥肌間違いなし!【2021年最新版】 - - ITmedia 10秒で瞬間硬化! 家庭用UV接着補修キットをアサヒペンとアイカ工業が共同開発 - BCN+R - BCN+R 一人称ミステリー脱出ゲーム『DYING:1983』PS5版が2022年2月17日に発売決定。TGS2021にも出展 - ファミ通.com ファミチキを再現したポテチ、数量限定販売 - BCN+R - BCN+R コレクター向けのライブストリーミングショッピングアプリWhatnotが約165億円を調達、ユニコーン企業に - TechCrunch Japan 軽くてエレガント!街でも旅先でも使いやすいバッグシリーズ「カナナモノグラム」がアップデートして新登場 - PR TIMES 頑丈で便利なミステリーランチのショルダーバッグは普段使いしたい | &GP - &GP 『マインクラフト』“秋のマイクラ プレミアム ステージ”が9月18日、19日開催。HIKAKINやStylishNoobなど超豪華出演者が3チームに分かれて対戦 - ファミ通.com 書店員とミステリー作家の溺愛ラブ「文豪に捧げる乙女」Sho-ComiXで移籍連載 - コミックナタリー 【新刊紹介】キレのいい倒叙ミステリー『教場X』など4作品(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 正体不明の老女と出会い…米作家が日本語で描く青春小説『ばいばい、バッグレディ』 - ananweb 大谷が考える勝負の綾 ジャンケンに通じる球種増加(写真=ロイター) - 日本経済新聞 【タイムセール祭り】万能バッグがお買い得! 「MYSTERY RANCH(ミステリーランチ)のバッグ」セール対象のおすすめを紹介(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ミステリーランチのバッグをひと目惚れ買い!だから早朝散歩を日課にしました、明日から | &GP - &GP ミステリーランチ新作「ストリートマーケット」は、コンパクト&使い勝手の良さで手離せなくなる! - GetNavi web ミニバッグの次はコレ!? “ネクストトレンド”と噂のバッグとは? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 容量を増やせて背負いやすいミステリーランチの「ピントラー」と1泊野営装備 | &GP - &GP 天神ロフトでミステリーマガジン「ムー」のグッズ販売 Tシャツなど140種類 - 天神経済新聞 パッカブルだけどミステリーランチらしくしっかり頑丈です! | &GP - &GP 台湾ミステリー小説、民主主義とともに普及 話題作が日本初上陸 - SankeiBiz Catch the Wave! [セリーヌ/バッファローチェックのバックパック]この秋、〈セリーヌ〉でチェックは着るよりも背負ってみる!? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 今年のマインクラフトライブの配信予定日が10月17日午前1時に決定! 本作に関する新情報やユーザーアンケートなども実施予定 - ファミ通.com シンプルデザインでハイスペック! ミステリーランチのバッグ、日本限定モデルの使い心地に虜です - GIZMODO JAPAN 今だけ15%OFF! 指紋でロックする鍵の要らない南京錠「Anylocksafe」 - BCN+R - BCN+R しまむら、「Minecraft」の「TNT」や「土ブロック」再現したクッションなど発売 - GAME Watch 「カナナプロジェクト」のバッグシリーズ「SP-2」に、ナチュラルにもモードにも合う秋冬限定色カーキブラウンが新登場 - PR TIMES ミステリーランチからスマホなどの収納にちょうどいい「ミッションコントロール」が発売 - GetNavi web 今年10月10、11日は「2021年デジタルの日」 ワクチンパスポート検討の機会にしては? - BCN+R - BCN+R 【タイムセール祭り】「リュック・バックパック」セール対象のおすすめ&AmazonランキングTOP10! アークテリクスやミステリーランチが安い!(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 【ミニバッグ】大人に最もふさわしいのは“スクエア型”説! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 取り出しやすく、中も見える、ちょっと便利な収納バッグ | &GP - &GP リュックからミニバッグまで、〈コーチ〉で話題の“色カモ”とは? | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 阿部寛と新垣結衣が共演!東野圭吾原作の謎が謎を呼ぶ複雑なミステリー - ホミニス 「わたモテ」ミステリー小説アンソロジー発売、谷川ニコがイラスト&小説執筆 - コミックナタリー シンプルデザインでハイスペック! ミステリーランチの日本限定モデル「モッドロードセル」の使い心地に虜です|身軽スタイル - roomie 森林系カモフラのミステリーランチは街にもイイ感じ! | &GP - &GP マクドナルド、ハッピーセット「なりきり!プロキット」「リカちゃん」登場 - BCN+R - BCN+R 東京ミステリーサーカス「謎専門書店 らんぷ堂」オリジナルグッズ発売が決定 イベント『書店に眠る謎からの脱出』ステッカーも販売 - http //spice.eplus.jp/ 登山用バックパック-選び方とおすすめメーカー - 山旅旅 昨年完売の「CHUMS(チャムス)」大容量ドライバッグが別カラーで復活!8/3発売 - PR TIMES ミュージック花火やライトアップでキャンプでを楽しむ! 「STARLIGHT CAMPZ」が千葉市で始動 - BCN+R - BCN+R じっくりコトコト コーンポタージュ、クラッシュアイスで登場! - BCN+R - BCN+R サステナブル ブランド「CASUCA CiRculo」の第一弾。“リボーン・クチュール・バッグ” “リボーン・クチュール・Tシャツ”の販売をスタート! - PR TIMES 【話題】ミニバッグの中で圧倒的に人気なのはコレ! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp 【プライムデー】ショルダーバッグがお買い得! Amazon売れ筋ランキングTOP10&おすすめ3選! 人気の定番ブランドがセール対象に(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ 立って仕事できるPCスタンド「パタスタ」が本日発売、在宅ワークを快適に - BCN+R - BCN+R 背中がムレにくい「エース×ナリフリ」のビジネスバッグは、これからの季節にグッドだね! - GetNavi web ベッカムが愛用する、 上質極まるバッグの正体とは? | Celebrity | Safari Online - safarilounge.jp 死因究明“後進国”の日本が舞台の法医学ミステリー「そのモガリは熱を知らない」 - ナタリー アバーメディア、快適な配信環境を実現するコントロールセンター - BCN+R - BCN+R 家で「しび辛」が楽しめる「特製花椒パウダー」が黄金比に、エスビー食品から - BCN+R - BCN+R 身軽さを重視した「10L~20L容量のリュック・バックパック」おすすめ3選!【2021年5月】(1/3) | ねとらぼ調査隊 - ねとらぼ ケルティのボディバッグ「コンバーチブル MR」は変身がキーワード! めちゃくちゃ便利なヤツ!! - GetNavi web TVアニメ『ゆるキャン△ SEASON2』Blu-ray&DVD 第2巻収録 完全新作アニメーションのタイトルが『ミステリーキャンプ』に決定! さらに場面カットも公開! - アニメイトタイムズ 週末の相棒にしたい〈ドルチェ&ガッバーナ〉の新作!休日カジュアルの品はバッグで決まる! | Fashion | Safari Online - safarilounge.jp ミステリーランチのバックパックに大量追加の新色一気見せ! | &GP - &GP ミステリーランチの日本別注「クレイジーブラックコレクション」。機能性と遊び心が融合してます! - GetNavi web モンベルの「ライトバッグ」は軽量で頑丈で大容量! 使いやすいエコバッグの正解、見つけちゃいました|マイ定番スタイル - roomie ミステリーランチの2WAYトートバッグ、守備範囲広め。脱いだアウターを放り込める収納力が頼もしい|マイ定番スタイル(2021年2月18日)|BIGLOBEニュース - BIGLOBEニュース エース、「世界ふしぎ発見!」竹内海南江と共同開発したバッグ「カナナモノグラム」限定色“ピスタチオ” - トラベル Watch ライトな登山やお出かけ用に軽量バックパックが最適です | &GP - &GP 【福袋】、アメリカでは返品制度で不正が横行!もトレーダージョーズの福袋の内容とは? - BLOGOS 但馬牛ステーキと自家高温燻製サーモンを使用、築地STEAK「哥利歐」の特製サンドウィッチ - BCN+R - BCN+R 「マインクラフト ミステリーボックスフレンズ」が全国のイオンで1月1日より販売開始!クリーパーのフリーボックスやキャラクターのフィギュアなど盛りだくさん! - 電撃ホビーウェブ 選手が選べる福袋 予約受付開始!あのレジェンド選手が福袋となって登場! - PR TIMES 4種類の生地が混在!ミステリーランチの別注モデルが面白い | &GP - &GP 第五弾「マインクラフトミステリーボックス」がお正月にもやってくる!全国のイオンで2021年1月1日(金)から数量限定で販売 - アットプレス(プレスリリース) ドーバー銀座、コム デ ギャルソンなどの新旧作が揃う限定ショップ - オフ-ホワイトとのコラボも - Fashion Press 【マイクラ】『マインクラフト』グッズがセットになったミステリーバッグが発売。中には日本未発売のブランケットも - ファミ通.com 普段使いに便利なミステリーランチの「ブーティーバッグ」がこの夏アップグレードして登場! | &GP - &GP 限定復刻! ミステリーランチ東京のみで買えるスペシャル限定アイテム発売 / Yamakei Online - 株式会社 山と溪谷社 mystery bag #gnews plugin Error gnewsは1ページに3つまでしか使えません。別ページでご利用ください。 口コミ ミステリーバッグ #bf mystery bag #bf 【参考】 関連項目 項目名 関連度 備考 研究/福袋 ★★★★★ 同義 タグ 生活 最終更新日時 2013-01-03 冒頭へ
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/73.html
■■韓国で2008年に刊行された韓国オリジナルミステリ27タイトル全紹介(4)■■ 国際サスペンス編 2010年4月8日(作成中) 『Compound eye』キム・ドギョン、2008年2月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8975275981 韓国国防科学研究所が開発した最先端偵察衛星コンパウンドアイをめぐる情報戦、銃撃戦! 『New York’s dust』オ・スンファン、2008年2月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8925704382 半島の南北関係や日本・中国・アメリカをめぐっての緊張・事件などなど。 『ベビーシッター ブッシュ一家のグローバル企業狩り』マルク・ハムシンク、2008年6月 http //www.aladdin.co.kr/shop/wproduct.aspx?ISBN=8996037974 現在の国際関係(主に半島の南北関係)をメインに据えた作品など。 韓国の国際サスペンスでは、以下の2つの邦訳がある。 ファン・セヨン 『第二次朝鮮戦争勃発の日 ―D-DAY』上下巻 (扶桑社ミステリー文庫、2004年) (3)の歴史ミステリの方は、読者はミステリ読者ではなく韓国ドラマ好きの人や歴史好きの人にはなると思いますが、まだ需要があると思います。ただ、(4)の書籍はちょっと翻訳の需要は低いような気がしますね。個人的にもあまりこの辺りのテーマに興味を抱いていません。 こうして27冊をすべて見てくると、やはり一番気になるのは(1)のアンソロジー。若手作家がどんどん出てきているようですから、どこかの出版社から邦訳がでてほしいものです。 全27タイトル紹介終了。 (1)アンソロジー編(4冊) (2)現代を舞台にした長編ミステリ編(11作品) (3)歴史ミステリ編(9作品) 韓国ミステリ紹介 目次へ
https://w.atwiki.jp/bne_chu2/pages/55.html
概要 上位のアザーバイドは、ミラーミスと呼ばれます。 ミラーミスは常識を超越した存在であり、リンク・チャンネルで結ばれた世界そのものです。 ミラーミスの撃破 ボトム・チャンネル内の存在がミラーミスを撃破する事に成功した場合、以後、そのミラーミス本来のチャンネルからの崩界影響を受ける事は無くなります。 ミラーミスを元の世界に追い返す ナイトメア・ダウンの際、当時のリベリスタは出現したミラーミスを撃破せず、元の世界に帰還させています。 どのような手段を取ったのかは不明です。 ミラーミスの出現例 『R-TYPE』(設定上のみ) ナイトメア・ダウンの際に出現したミラーミスです。 当時の日本に残っていたリベリスタ達の犠牲の元に、『R-TYPE』を世界へ帰還させることに成功しました。 (撃破していない=『R-TYPE』のチャンネルからの崩界影響を現在も受けている)
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/250.html
2014年10月7日 このページは、今月初めに中国語の短篇ミステリ4作を翻訳・電子出版した稲村文吾さん(現代華文ミステリ翻訳部)にご寄稿いただいたものです。(Dokuta / 松川良宏) 稲村文吾さん Twitterアカウント (主に未邦訳の中国語ミステリの感想ツイート) 現代華文ミステリ翻訳部 Twitterアカウント (主に中国語ミステリの翻訳出版についての告知ツイート) Index 主催者挨拶 「人体博物館殺人事件」御手洗熊猫(みたらいぱんだ、ユーショウシー ションマオ) 「おれみたいな奴が」水天一色(すいてんいっしき、シュイティエンイースー) 「バドミントンコートの亡霊」林斯諺(りんしげん、リン スーイェン) 「犯罪の赤い糸」寵物先生(ミスターペッツ) 主催者挨拶 はじめまして、中国語のミステリを読み、日本で紹介する活動を行っている稲村文吾と申します。今回はこの場をお借りして、新しく翻訳が発表される中国語ミステリのご紹介ができることとなりました。 作家の島田荘司氏が中心となった華文ミステリの振興活動や、このサイトをはじめとするネットでの草の根の布教などを通して、中国語圏においても盛んにミステリが書かれているということ自体は日本でもある程度知られるようになっていると思われます。しかし、その成果を日本語で読むことのできる機会はまだまだ多いとは言えず、また中国語を学んでいる方や中国語圏の文化に興味を持っている方の中でも、ミステリに関心を向ける方はあまり多くないというのが現状です。 それでも、私の乏しい読書経歴の中だけを見ても、紹介されるべきだと思える華文ミステリ作品にいくつも出会ってきました。そこで、現代の中国語ミステリの姿を日本の読者の方々により知っていただきたいと決心し、翻訳の許可を取るところから始まって、翻訳、編集、出版準備や広報と、多数の方々から様々なお力沿えを頂き、今回、短篇作品4作の翻訳をAmazonの提供する電子書籍出版サービス、Kindle Direct Publishingを通し出版する運びとなりました。 今回紹介する4作品、それぞれ作品のタイプは異なりますが、日本の読者からしても各々に大きな魅力を持った作品です。この出版を通して、多くの素晴らしい作品が紹介されずに眠っている、現代華文ミステリに意識を向ける方が一人でも増えればと思っております。 ※ Kindleストアで販売している電子書籍は、Kindle端末を持っていない場合でも、Android端末(スマートフォン、タブレット)やiPhone、iPadなどからアプリを使用して読むことができます。 【追記】2015年1月に「KIndle for PC」日本語版がリリースされ、PC等からも読むことができるようになっています。 『現代華文推理系列 第一集』(以下四作の合本版) (表紙画像をクリックすると、Amazonのページが開きます) 「人体博物館殺人事件」御手洗熊猫(みたらいぱんだ、ユーショウシー ションマオ) 原題:”人体博物馆谋杀案”(人体博物館謀殺案)、2008年初出 (表紙画像をクリックすると、Amazonのページが開きます) 作家紹介1988年生まれ。雑誌『歳月・推理』(岁月・推理)の編集者であった杜撰に見出され、島田荘司にオマージュを捧げた短篇「異想天開之瞬移魔法」(异想天开之瞬移魔法)でデビュー。不可能犯罪とそのトリックに強くこだわった作風が特徴。 作品紹介「人体博物館殺人事件」は第一短篇集『御手洗濁的流浪』(御手洗浊的流浪)に収録された作品で、若き芸術家「小栗虫子」が設立した「人体芸術の美術館」で二重密室殺人事件が起こる。執筆にあたっては『黒死館殺人事件』から影響を受けていたと作者が語っている。 本文サンプル pdfファイル / mobiファイル 関連ページ 中国のミステリ作家・御手洗熊猫の長編推理小説『島田流殺人事件』 中国ミステリ史 第五章 「おれみたいな奴が」水天一色(すいてんいっしき、シュイティエンイースー) 原題:”我这样的人”(我這様的人)、2008年初出 (表紙画像をクリックすると、Amazonのページが開きます) 作家紹介1981年北京生まれ、北京工業大学コンピュータ学部卒。2001年ごろからインターネットフォーラム「推理之門」などで作品を発表、2006年に雑誌『歳月・推理』が創刊されると2008年まで編集者を務めた。2009年には長篇『蝶の夢 乱神館記』が日本語訳され、これは『2011本格ミステリ・ベスト10』海外篇で14位相当にランクされる健闘を見せた。 作品紹介『蝶の夢』は唐代を舞台にした作品だったが、本作「おれみたいな奴が」は現代が舞台で、卑小な男の破滅を冷静な筆致で描く倒叙ミステリ。『歳月・推理』2009年9号に発表され、北京偵探推理文芸協会の主催する賞、第五回全国偵探推理小説大賽(2011年)において最優秀短篇小説賞を受賞したほか、北京師範大学教授の任翔氏が編集した『中国百年偵探小説精選』第八巻(2012)などのアンソロジーに採られている。 本文サンプル pdfファイル / mobiファイル 関連ページ 2011本格ミステリ・ベスト10 海外本格ミステリ・ランキング 中国ミステリ史 第五章 中国ミステリ史 第六章 「バドミントンコートの亡霊」林斯諺(りんしげん、リン スーイェン) 原題:”羽球場的亡靈”、2004年初出 (表紙画像をクリックすると、Amazonのページが開きます) 作家紹介1983年、台湾嘉義県生まれ。台湾推理作家協会会員。2002年に短篇「判決」(のちに「褪色的愛」と改題)を『推理雑誌』誌に掲載してデビュー。2004年に本作「羽球場的亡靈」で第二回人狼城推理小説賞を受賞。2009年に『氷鏡荘殺人事件』で第一回島田荘司推理小説賞最終候補、2012年に短篇「第五大道謀殺案」で、中国大陸の雑誌『歳月・推理』が主催する賞、華文推理大奨賽(华文推理大奖赛)第二等入選。現在は『歳月・推理』誌で特約編集員を務める傍ら旺盛に執筆を続けている。 作品紹介本作はシリーズ探偵・林若平が安楽椅子探偵を務める密室もの。受賞後に『野葡萄文学誌』14、15期に発表され、2007年に輔仁大学の学生によって映画版が作られているほか、Ellery Queen s Mystery Magazine 2014年8月号に "The Ghost of the Badminton Court" として訳載された。 本文サンプル なし 関連ページ 島田荘司推理小説賞 米国EQMM掲載の日本ミステリ 「犯罪の赤い糸」寵物先生(ミスターペッツ) 原題:”犯罪紅線”、2007年初出 (表紙画像をクリックすると、amazonのページが開きます) 作家紹介1980年生、台湾大学情報技術学部卒。台湾推理作家協会理事。2007年に本作「犯罪紅線」で第五回人狼城推理文学賞受賞。2009年には長篇『虚擬街頭漂流記』で第一回島田荘司推理小説賞を受賞し、これは日本語訳も出版されて『2011本格ミステリ・ベスト10』海外篇では12位相当にランクされている。 作品紹介本作は「運命の赤い糸」を操るという神「月下老人」の伝説を十年前の誘拐事件に絡め、ある夫婦の馴れ初めを描いていく軽快にしてサスペンスルフルな作品。中国本土の『歳月・推理』誌にも掲載され、同誌の8周年記念号や、任翔編『百年中国偵探小説精選』第八巻(2012)にも収録された。 本文サンプル pdfファイル / mobiファイル 関連ページ 2011本格ミステリ・ベスト10 海外本格ミステリ・ランキング 島田荘司推理小説賞 このアジアミステリを邦訳してほしい! (台湾編) 関連ページ 台湾ミステリ 読書案内 中国ミステリ 読書案内 東アジアミステリ邦訳一覧
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/98.html
2010年12月24日 このページは、ブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の阿井幸作さんと、当サイト(アジアミステリリーグ)のDokutaが共同で作りました。 このページについて Dokuta (アジアミステリリーグ) 2009年11月に日本で翻訳刊行された中国の推理小説 水天一色(すいてんいっしき)『蝶の夢』の巻末解説や、2009年12月刊行の『本格ミステリー・ワールド2010』に掲載された天蠍小豬(てんかつしょうちょ)「中国ミステリー事情」でその名が紹介され、作品は1作も訳されていないものの、その印象的な筆名から日本の一部ミステリマニアの間では知る人ぞ知る存在になっている中国のミステリ作家 御手洗熊猫(みたらい ぱんだ)が、このほど初の長編作品『島田流殺人事件 -DARK SIDE OF THE AZOTH』を中国で自費出版することになりました。このニュースはブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」の2010年12月7日の記事「熊猫 風雲急を告げる」で日本にももたらされ、Twitter上でも少々話題になりました(Togetter:「御手洗熊猫 他 中国ミステリについて」、2010年12月10日)。 御手洗熊猫は、日本語で読める公刊された文献では以下のように紹介されています。 水天一色『蝶の夢』(2009年11月、講談社)巻末解説 池田智恵「発展途上の中国ミステリー」より引用(p.392) 御手洗熊猫:中国ミステリー界の鬼才。幼い頃から文学に傾倒し、さまざまなジャンルのSF、武俠小説、詩歌、純文学などを書くが、特にミステリーに興味を抱き、「新しさ」と「社会派ミステリーを書くには、高レベルなトリックと謎解きが必要である」ことを信条とする。ニ〇〇八年雑誌『推理』に発表した『異想天開之瞬移魔法(奇想天外の瞬間移動マジック)』によって衝撃的なデビューを果たす。探偵役は「御手洗濁」といい、日本の新本格ミステリー、特に島田荘司作品の影響を受けている。『二十角館的無頭屍(二十角館の首なし死体)』『島田流殺人事件』などがある。 『本格ミステリー・ワールド2010』(2009年12月、南雲堂)掲載 天蠍小豬「中国ミステリー事情」より引用(p.29) 中国本土のミステリー作家に目を向けると、中でも最も著名な作家は水天一色だ。(中略)その他には、杜撰(ずさん)、文澤爾(ぶんたくじ)、御手洗熊貓、普璞(ふはく)、周浩暉(しゅうこうき)、王稼駿(おうかしゅん)、馬天(ばてん)、言桄(げんこう)などが新作を発表しており、(中略)たとえば「不可能犯罪」ものの短編を書き続けている杜撰や、幻想ロマン溢れる筆致で島田荘司のような作風の確立を目指している御手洗熊貓、島田荘司推理小説賞の一次選考通過作となった江暁雯(こうぎょうぶん)『謀殺紅樓夢』などがそれにあたる。 【引用者注:原文では作家名に読み仮名が付されていないので、慣例に従ってこちらで付けました】 水天一色『蝶の夢』の巻末解説では、御手洗熊猫の作品として短編「奇想天外の瞬間移動マジック」、「二十角館の首なし死体」と長編『島田流殺人事件』のタイトルが紹介されていますが、『島田流殺人事件』は実際にはまだ刊行されていませんでした。島田荘司の5つの傑作長編『占星術殺人事件』、『斜め屋敷の犯罪』、『異邦の騎士』、『奇想、天を動かす』、『北の夕鶴2/3の殺人』に挑戦し、冒頭に「島田荘司に捧ぐ」、「新本格に捧ぐ」という献辞を据え、日本語の書籍に換算して1000ページにもなるこの大長編は、日本を舞台にしているということがネックになり中国での出版が決まらず、現在自費出版の道を模索しているとのことです。 このページでは、御手洗熊猫氏本人の許可をいただき、『島田流殺人事件』の目次・登場人物紹介・内容紹介の日本語訳を掲載しています。ページ作成にあたっては、以前からブログ「トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く」で御手洗熊猫の作品紹介をなさっていた阿井幸作さんにも協力していただきました(というよりも、翻訳はまず全体を阿井さんに訳していただき、そののちに二人で話し合って語句を調整するという方式で進めました)。 日本では翻訳の予定がなく、そして作品そのものは読んではいないので傑作であるかも分からないこの作品ですが、「島田荘司の作品に挑戦した大長編」が国境を越えて執筆され、刊行されるということ自体が一つの大きなトピックだと思います。いつの日か日本でも、この作品が翻訳紹介されることを願っています。 (右上の写真は、御手洗熊猫の現在までに刊行されている唯一の単行本『御手洗濁的流浪 -Mitarai Daku is Wandering』。5編収録の短編集。中国の書籍を販売している日本のネット書店「書虫」での該当ページはこちら→「御手洗濁的流浪-推理書系原創系列.017」。版元で品切れになっていなければ、購入できるはずです) 中国本土ミステリとの出会い 阿井幸作 (トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く) 北京での留学中に、キオスクで買った『歳月・推理』の誌面に奇妙な名前の新人作家を見つける。その名も御手洗熊猫、なんとも人を喰ったペンネームだ。 作品も他と比べて常軌を逸していた。新本格好きなら垂涎するような設定、まるでトリックのために用意された舞台、混濁した世界に秩序をもたらす名探偵は小説家島田荘司が御手洗潔というキャラクターを作るモデルとなった(という作中設定の)御手洗濁という浮浪者。 新作が掲載されるたびに無茶があるトリックだと思ったし、記述が矛盾していないかと疑うこともあった。 しかし作品が持っている吸引力は他の掲載作品と比べて特出していた。荒唐無稽なトリックはともすればバカミスに分類されるような危うさを孕んでいたが、探偵御手洗濁が考え抜いた末に披露する推理には不思議な説得力があった。 そして12月に入り、御手洗熊猫渾身の長編『島田流殺人事件』がなんと自費出版という形で世に出ることになる。このニュースは当然中国のミステリファンに衝撃を与え、予約購入者が相次いだ。 日本でも徐々にではあるが中国ミステリが認知されていく中で、自分もこの件に何か加わることが出来ないかと落ち着かないでいた。すると以前から中国ミステリを通じて交流があった本サイトの管理人Dokutaさんが既に御手洗熊猫氏と連絡を取り、本作のあらすじを日本語訳にする許可を頂いていたことを知る。 両者の了解を得て自分もこの翻訳活動に参加できることになったが、自分もDokutaさんも翻訳については門外漢で作者の意図を完璧に表すことができたかどうか自信がない。しかしこのページを見ていただいた方が、中国に御手洗熊猫という奇才がいることを知り、中国のミステリブームの熱を感じ取っていただければ幸いである。 本作『島田流殺人事件』は島田流を銘打っているだけあり、各所に島田荘司作品からの引用がある。引用文探しに奔走し、翻訳にも骨を折っていただいたDokutaさんにはこの場を借りて御礼を申し上げます。 基本情報 『島田流殺人事件』 作者:御手洗熊猫 字数:32万字(ほかに、冒頭の推薦文、巻末解説、同じく巻末に付された特別理論編が合わせて3万字程度) *注:日本でも刊行されている寵物先生(ミスターペッツ)『虚擬街頭漂流記』が中国語で13万2千字なので、その約2.5倍の分量。『虚擬街頭漂流記』の日本語版は全406ページであり、単純計算すれば、『島田流殺人事件』は約1000ページの大作ということになる) ジャンル:長編オリジナル推理小説 以下、御手洗熊猫氏本人が中国のSNSサイト「豆瓣」(Douban)に書き込んだ「《島田流殺人事件》預訂中」(2010年12月4日)より翻訳。 目次 『島田流殺人事件 - DARK SIDE OF THE AZOTH』 御手洗熊猫 著 【島田荘司に捧ぐ】 【新本格に捧ぐ】 推薦文:新本格の中国での新たなスタートライン (by老蔡(ラオツァイ)) *注:2000年8月に開設された中国最大手の推理小説情報サイト「推理之門」の創設時のメンバーの一人 序 上巻:謎編 第一部 巨人の解体 私は空を飛んでいた、といいましたが、それは本当ではありません。私は、白い巨人の右手にむんずとからだをつかまれ、天高く持ちあげられていたのです。 ――島田荘司『奇想、天を動かす』 第一章 憑依 第二章 驚異 第二部 斜め屋敷と騎士 朽ちていく流氷館の傾きは、今となってはひどく象徴的だ。この館は今やその役割を終え、ごく短い生を生き抜いて、土に帰ろうとしている。そう考えるとこの家は、沈みゆく、巨大な船のようでもある。 ――島田荘司『斜め屋敷の犯罪』 しかし、計画者の計算外の糸が、そこに一本だけまぎれ込んでいた。この糸が絡みつき、一糸乱れず機能していた無数の糸をもつれさせた。 ――島田荘司『異邦の騎士』 第三章 流氷館と黒塞屋敷(カーザ・ヘッセ)と黒死館 第四章 死体が三度起こした奇跡 第五章 人形ジャックに連れられて…… 第三部 アゾート 「来れ汝、奈落の、地上の、そして天上のボンボー、街道、四辻の女神よ。光をもたらし、夜にさまよい、光の敵、夜の友にして伴侶たる汝。犬の吠声と流されたる血に興じ、幽鬼に混じり墓場をさまよう汝。血を欲し人間に恐怖をもたらす汝。ゴルゴ、モルノ、千にも姿を変える月よ、仁慈の眼(まなこ)もて我々の供犠に立会いたまえ」 ――島田荘司『占星術殺人事件』 その暗がりに、ふいに鎧冑(よろいかぶと)が現われた! (中略)そして信じ難いことには、その鎧冑は、後ろ向きだった! ――島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』 第六章 島田荘司研究会 第七章 密室、死体、後ろ向きにさまよう鎧武者 第八章 屍たちの最後の変化 ★読者への挑戦★ 下巻:解決編 第四部 島田流の幻想 私はあっと言った。 目の前で消えた! 蜃気楼のように。 (中略)首筋の後ろあたりがしきりに鳥肌立つのが感じられた。 ――島田荘司『占星術殺人事件』 「そう、(中略)まったくこれはとんでもない事件でした」 ――島田荘司『北の夕鶴2/3の殺人』 第九章 夢幻の中の夢幻 第十章 鏡像の中の鏡像 後書き 解説:中国式の島田荘司流を飛翔させる作品 (by 長念州) *リンク先 中国語 特別理論編:世界性トリック (by 御手洗熊猫) 登場人物 御手洗濁――――――――流浪者 鴉城仙冬――――――――映画監督 鮎川野馬――――――――刑事 鮎川漂馬――――――――刑事、野馬の息子 石岡次郎――――――――落ちぶれた学者 梅沢――――――――――自殺した奇人 デミアン―――――――――新島田荘司研究会会長 ハリー・ハラー―――――――新島田荘司研究会会員 ヨーゼフ・クネヒト――――――新島田荘司研究会会員 ゴルトムント――――――――新島田荘司研究会会員 ナルチス―――――――――新島田荘司研究会会員 ペーター・カーメンツィント―――新島田荘司研究会会員 シッダールタ――――――――新島田荘司研究会会員 大貫――――――――――島田荘司研究会会長 パフ――――――――――島田荘司研究会会員 アカ――――――――――島田荘司研究会会員 タック―――――――――島田荘司研究会会員 夏樹――――――――――島田荘司研究会会員 糸井――――――――――島田荘司研究会会員 久保――――――――――島田荘司研究会会員 島田荘司――――――――推理小説の神 内容紹介 拳銃自殺を遂げた奇人梅沢は奇妙な手記を残していた。中にはかつて自分が巨人アゾートのバラバラになったところを目にし、更に自分もアゾートの一部分に取り憑かれたという恐怖の体験が書き記されていた。 時を同じくして新島田荘司研究会の会員たちは新しく建て直された『流氷館』で何者かに次々と殺害される。生き残った者はおらず、ある死体は三度、多重密室の中に現れた。 御手洗濁はこの二つの事件の間に計り知れない大きな関連があると考えた。前者には『占星術殺人事件』、そして後者には『斜め屋敷の犯罪』との関連性があったからだ。もっとも、前者の事件ではバラバラにされた死体がいまだ見つかってはいないが。 調査が進展するにしたがい、22年前に起こったアゾート塔連続殺人事件が浮かび上がった。1982年、九つの惑星が一直線に並ぶ惑星直列という天文学史上まれに見る奇跡が起こった日に、アゾート塔を訪れた島田荘司研究会員は新会員の歓迎会を開いた。ところがその晩、会員全員は身体の最も優れた一部分をそれぞれ奪い取られ、彼らの死体は三重の密室に放置された… 梅沢、奇妙な手記、アゾートの伝説、バラバラにされた死体、多重密室、夜鳴き石、後ろ向きにさまよう鎧武者、雪上に刺さった二本の棒、奇怪な音、これらは全て島田荘司の小説を模倣した犯罪なのか、それとももっと別な深い意味のある『社会への挑戦』なのか。 これは文字数で32万字の、中国語で書かれたものとしては最長の推理小説である。 この作品は、島田荘司の5篇の傑作長編に挑戦したものである。 この作品は、歴史上唯一の、謎編(謎の提出部分)と解決編の分量の割合が1:1の作品である。 この作品を書き終えた時に作者は、これは新本格の未来の道を指し示すことのできる作品であることを確信した。 この作品が示すのは、「世界性」トリックの存在である。 これはまた、市場の流通には馴染まない、非常に個人的な作品である。 作者は、この作品により、トリックをまったく新しい領域へと展開させることを志している。 『島田流殺人事件』の批評 *注:リンク先はすべて中国語 中国式の島田荘司流を飛翔させる作品(2009年1月21日) (by 長念州) 本格推理のトリックの饗宴 ― 御手洗熊猫『島田流殺人事件』評(2010年12月6日) (by 老蔡) 貪欲なまでのトリックの饗宴、最も純粋な本格の謎解き トリックに再び眩惑されることなかれ――『島田流殺人事件』(初稿)に関する雑感(2009年1月10日) 熊猫の『島田流殺人事件』読了。まさに奇書!(ネタばれなし)(2010年11月4日) 小綺麗にまとめるより、荒唐無稽に――『島田流殺人事件』を読んで(2009年1月18日) 『島田流殺人事件』――華麗な作品と穏和な批評(2009年1月6日) 『島田流殺人事件』:幻視力の原始的な輝きと映像投影(2009年2月25日) 私個人(熊猫氏)の評論は以下の通りです。 この小説は鮮やかな描写に徹底した創作です。 これは重度の本格マニアであってはじめて書くことができる作品です。 あらゆる面から見て欠点の尽きない作品ですが 私の心の中では奇書として数えられます。 何故なら最後のトリックだけではなく(一番最初の間違った推理にこそ心を惹かれるという人もいますし)、 この作品が私にとってある種の神性を持っているからでもあります。 解答編を書き終える前は、この作品が新本格の未来を照らす不思議な光を示していることなどは見て取れませんでした。 しかし最終章を書き終えて、作品の神秘的な構成と形態が作者自身すらも驚かせることになりました。 この瞬間に、作者はもう一つの本格の世界の存在を感じ取り、このために尽力しようとしました。 この作品が奇書だと言えるのは、作品がいつの間にか自分に対する超越を実現していたからです。 この超越を前にすれば欠点や長所やましてやトリック自身などほんのわずかに過ぎません。 竹本健治と同い年になって私は、広義的な意味における(作品本体の狭義的な意義がないと言っているんじゃありません)革命への前哨的な意味を持つ作品(もちろん革命性なんかじゃなく単なる混沌とした啓蒙にすぎません)を創り出すことができました。だから出版できるかどうかなんかもうどうでもいいんです。 *注:「竹本健治と同い年になって」――熊猫氏が『島田流殺人事件』を書き終えた年齢が、竹本健治が『匣の中の失楽』を書いた年齢とほぼ同じであったことを指している。熊猫氏は、『島田流殺人事件』を書く時に自分を励ましてくれた作品として、竹本健治『匣の中の失楽』と我孫子武丸『殺戮にいたる病』を挙げている(「『島田流殺人事件』――華麗な作品と穏和な批評」(2009年1月6日)に寄せたコメント)。 注 黒塞屋敷(目次 第三章)…原文では「黒塞屋」。「黒塞」(Heise)はヘルマン・ヘッセ(赫尔曼・黒塞)の中国語表記で、「黒塞屋」はヘッセが暮らした家、カーザ・ヘッセのこと。英語版Wikipediaの記事「Hermann Hesse」のCasa Camuzzi(カーザ・カムッツィ)の項参照。 島田荘司作品の引用元 島田荘司の小説からの引用部分は、現在までに刊行されているそれぞれの作品の最新版を参照し、引用した。 南雲堂『改訂完全版 占星術殺人事件』(2008年1月初版1刷)p.23、p.421-422 南雲堂『改訂完全版 斜め屋敷の犯罪』(2008年3月初版1刷)p.365 講談社文庫『改訂完全版 異邦の騎士』(2004年7月初版13刷(1998年3月初版1刷))p.430 光文社文庫『奇想、天を動かす』(2008年8月初版17刷(1993年3月初版1刷))p.138 南雲堂『改訂完全版 北の夕鶴2/3の殺人』(『島田荘司全集III』(2009年5月初版1刷)に収録)p.78、p.228 『北の夕鶴2/3の殺人』からの引用部分である「その鎧冑は、後ろ向きだった!」という箇所は、本来は「後ろ向き」に傍点がついているが、太字で代用した。 関連記事 トリフィドの日が来ても二人だけは読み抜く 御手洗パンダという男 (2008年8月28日) 歳月・推理11月号 (2010年11月17日) 歳月・推理12月号 (2010年12月1日) 熊猫 風雲急を告げる (2010年12月7日) 御手洗熊猫の問題 (2010年12月24日) - 御手洗熊猫氏からの日本の推理マニアへのクリスマスプレゼント(クイズ) アジアミステリリーグ (御手洗熊猫作品が掲載される雑誌) 中国のミステリ雑誌『歳月・推理』 公式サイト各号へのリンク集 中国のミステリ雑誌『推理世界』 公式サイト各号へのリンク集 その他の外部リンク 浑浊馆 ○ wish you were here - 博客大巴 - 御手洗熊猫氏本人のブログ「渾濁館」(こんだくかん) 御手洗熊猫 - Wikipedia 御手洗熊猫 他 中国ミステリについて (Togetter、2010年12月10日) 阿井幸作さんがニュースサイト「Kinbricks Now」で連載している「中国本土ミステリの世界」の2010年12月29日の記事「気鋭の中国若手推理小説作家・御手洗熊猫の渾身の傑作が自費出版で販売される理由―中国本土ミステリの世界」で、『島田流殺人事件』が取り上げられています。 韓国のWebマガジン『ファンタスティック』のサイトでも、『島田流殺人事件』が紹介されています。「중국의 추리소설 - 미타라이 판다 〈시마다 류 살인사건〉」(中国の推理作家 - 御手洗熊猫 〈島田流殺人事件〉)。この日本語のページから、目次などを韓国語に翻訳して紹介しています。
https://w.atwiki.jp/asianmystery/pages/151.html
2011年2月3日 ※2011年8月 改訂作業中 『中国ミステリ史 第三章』では、1940年代末から1970年代まで(中華人民共和国成立から文化大革命終了まで)の中国の探偵小説(偵探小説)/推理小説/ミステリの歴史を紹介している。 目次 第三章 1940年代末~1970年代: 社会状況の変化による中国ミステリの転変第一節 中華人民共和国の成立とソ連探偵小説の流入 第二節 中国の探偵作家とソ連の探偵作家の交流(1956年) 第三節 ソ連の探偵小説(1)ソ連の探偵小説の新潮流(1956年) (2)ロマン・キムの手紙で知る当時のソ連探偵小説界(1956年~1957年) 第四節 程小青の探偵小説論(1957年) 第五節 文化大革命期の"写本"現象 第六節 1940年代末~1970年代の代表的な作品 第七節 邦訳された1950年代~1970年代の中国探偵小説 参考文献 第三章 更新履歴 第三章 1940年代末~1970年代: 社会状況の変化による中国ミステリの転変 第一節 中華人民共和国の成立とソ連探偵小説の流入 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 六、新中国的反特小説」】 【2011年7月29日、加筆】 第二章第二節で述べたとおり、中国(中華民国)では終戦後、日本よりも早く探偵雑誌が創刊されている。1946年1月に創刊された『新偵探(しんていたん)』を皮切りに、同年には『大偵探(だいていたん)』、『藍皮書(らんひしょ)』が創刊されたが、これらの雑誌は、程小青の霍桑(フオサン)シリーズや孫了紅の魯平(ルーピン)シリーズなどの国内創作や、エラリー・クイーン、アガサ・クリスティ、ジョン・ディクスン・カーの翻訳作品などを掲載し人気を博していた。1949年にも探偵小説雑誌『紅皮書(こうひしょ)』が創刊され、中国の探偵小説界はこのままの形で発展していくかに思われた。 しかし、1949年、新中国=中華人民共和国の成立により、状況は一変する。これにより、かつてのような探偵小説を発表することは許されなくなり、『大偵探』、『藍皮書』【注1】、『紅皮書』は廃刊となる(『新偵探』は創刊から半年で廃刊となっていた)。欧米(西ヨーロッパやアメリカ)の探偵小説に代わって入ってきたのは、ソ連を中心とする共産主義国家の探偵小説で、それにより中国の探偵小説は変質を余儀なくされる。 この当時のソ連では通常の犯罪を描く探偵小説は刊行されておらず、ソ連で探偵小説【注2】といえば、潜入しているアメリカやイギリスのスパイを摘発する反スパイ小説のことであった。そのため、この時期は中国でも探偵小説といえば反スパイ小説をさすようになる。「スパイ」は中国語で「特務」であり、この時期の探偵小説は中国では反特小説(はんとくしょうせつ)と呼ばれる。 この時期に中国語に翻訳されたソ連の反スパイ小説の代表格としては、1955年に中国語訳が出たニコライ・トマン【注3】(1911-1974、ロシア語版Wikipedia)の『戦線付近の駅で』【注4】(邦訳なし、原題: На прифронтовой станции、中国語タイトル:在前线附近的车站)が挙げられる。 注1:1946年7月に創刊された『藍皮書(らんひしょ)』は1949年5月に休刊となったが、1950年に香港で復刊されている。江戸川乱歩は1956年から1958年ごろにかけて、この香港版『藍皮書』を定期購読している。 注2:この当時のソ連では、探偵小説・探検小説・SF小説などを総称して「冒険もの」(приключения、プリクリュチェーニヤ)と言っていた。日本ではこれらの小説は「探偵小説」と総称されていた。 注3:ニコライ・トマンは、飯田規和(1965)では、レフ・シェイニン(1906-1967、ロシア語版Wikipedia)と並んで当時のソ連の「スパイ小説的な推理・冒険小説」の代表的な作家だと紹介されている。ニコライ・トマンは小説の邦訳はないが、ソ連・東欧SFアンソロジーの『遥かな世界果しなき海』(早川書房、1979年)にエッセイ「SF論争 ――モスクワ・1965年」が訳されているようだ(著者名表記は「ニコライ・トーマン」)。 注4:仮に邦題を『戦線付近の駅で』としたが、『戦線付近の駐屯地で』の方がいいかもしれない。 第二節 中国の探偵作家とソ連の探偵作家の交流(1956年) 【2011年7月29日追加】 当時の中国ミステリ界とソ連ミステリ界の関わりについて伝える資料に、ソ連のスパイ小説作家ロマン・キムが江戸川乱歩にあてた手紙がある。(乱歩とロマン・キムが文通を開始した経緯については、「ソ連/ロシア推理小説翻訳史 - ロマン・キム(1899-1967)」を参照のこと) ロマン・キムからの第二信(『宝石』1957年1月号)に非常に興味深いことが書かれている。ソ連の探偵作家が北京や上海を訪れ、中国の探偵作家と交流したというのである。 1956年8月、ロマン・キムを含むソ連の探偵作家たちは、北京を訪れ、中国の探偵作家たちと歓談した。ソ連の作家たちは、ソ連ではスパイ小説に代わって本格的な探偵小説が現れはじめたということを伝え、中国の作家たちは、中国ではスリラー小説(驚険小説/惊险小说)が読者の間で絶大な人気を博しており、このジャンルの本が次々と出版されているということを伝えた。またソ連の探偵作家一行は上海にも赴き、探偵ものの戯曲「十五貫」を観覧したという。上海といえば、第二章で紹介した程小青(てい しょうせい)と孫了紅(そん りょうこう)がいた地である。彼らもこの交流に参加したのだろうか。なかなか興味深いところである。 また、この第二信によると、中国のムー・リンとハン・シンの中編「図面四〇七」は非常に中国国内で評判がよい作品で、ロシア語に翻訳され新聞『友情(ドルージバ)』(дружба)に掲載されたという。中国におけるスパイの活躍を扱ったものだというが、この作品が誰のどの作品を指しているのかは分からない。ほかに、中国の作家のスリラー小説中短編集『謎の数字』のロシア語訳の刊行が予定されているとも書いてあるが、これについても誰のどの作品を指しているのか、現段階では分からない。 第三節 ソ連の探偵小説 【2011年7月29日追加】 この時期の中国の探偵小説はソ連の探偵小説に大きな影響を受けていたが、そもそも日本では、ソ連の探偵小説自体があまり知られていない。そこでこの節では、主にロマン・キムが江戸川乱歩にあてた手紙を用いて、やや脱線に見えるかもしれないが、当時のソ連探偵小説界を概観する。 (1)ソ連の探偵小説の新潮流(1956年) 第二節でも少し触れたが、ロマン・キムの第二信によれば、ソ連ではこのころ、スパイ小説以外に本格的な探偵小説も現れ始めたとされている。実は、ソ連の探偵小説が(反)スパイ小説一辺倒だったのは1950年代半ばまでであり、スターリン死去(1953年)後しばらくすると、モスクワ警察の刑事たちが強盗事件などの一般の犯罪を捜査するような、いわゆる警察小説のタイプの探偵小説が刊行されるようになる。その先陣を切ったのが、1956年にソ連で雑誌掲載・単行本化されたアルカージイ・アダモフ(1920-1991、ロシア語版Wikipedia)の『雑色事件』(邦訳なし、原題:Дело «пёстрых»、ロシア語版Wikipedia)である。この作品は、翌1957年には早くも中国語訳(『形形色色的案件』)が刊行されている。 アルカージイ・アダモフの名は日本のミステリ界ではまったくと言っていいほど知られていないが、アダモフは中国では当時のソ連探偵小説界を代表する作家だと見なされており、たとえば中国で1998年に出版されたミステリ史の本、曹正文(そう せいぶん)『世界偵探小説史略』では、ソ連の探偵小説についての総論的な節とは別に、アダモフの紹介のための節が設けられている。 アダモフの『雑色事件』は残念ながら邦訳が出ていないが、幸いなことに、ソ連ミステリ・ソ連SF翻訳家の袋一平氏が『日本探偵作家クラブ会報』第120号(1957年7月)でこの作品のあらすじをごく簡単にだが紹介している。袋氏は作品タイトルを『雑色事件』としており、このページではこの訳題を採用した。 袋一平「ソ連の探偵小説界近況」(『日本探偵作家クラブ会報』第120号、1957年7月) 「雑色事件」 アルカージイ・アダモフ 四〇〇字、一千枚位の長篇 主人公はセルゲイ・コルシュノフという復員士官で、モスクワ刑事捜査局に勤務する。強盗、殺人団が横行しているが、正体がつかめない。というのはスタッフがあらゆる種類の人間の集まりだからで、題名の「雑色」はその意味。そしてこの一味は「犯罪のロマンス」を信奉し、手口が非常に凝っている。主な犯罪者は「パパーシャ」、ソフロン・ロジキン・クプツエウィチなど。このロマンチック犯罪をコルシュノフとその助手たちが解決して行く物語。 また、桜井厚二氏の論文「ロシア刑事探偵のフォークロア ―ワイネル兄弟『恩恵の時代』を中心に―」でも、アダモフのこの作品のあらすじがまとめられている。この論文は、「21COE研究教育拠点形成 スラブ・ユーラシア学の構築 中域圏の形成と地球化」の研究報告集No.23「文化研究と越境:19世紀ロシアを中心に」(2008年2月)に掲載されたもので、桜井氏はタイトルを「まだら事件」としている。 桜井厚二(2008)「ロシア刑事探偵のフォークロア ―ワイネル兄弟『恩恵の時代』を中心に―」 アルカージー・アダモフの『まだら事件 Дело пёстрых(1956)』は、ワイネル兄弟より以前に、戦後モスクワのギャングに挑むソヴィエト刑事探偵の肯定的イメージを提示してみせた先駆的作品であった。この作品は、以下のような梗概の連作短編集である。 第二次世界大戦から復員した青年セルゲイ・コルシュノフは、その軍功によりモスクワ警察犯罪捜査部の刑事に採用される。折しも首都で頻発する様々な凶悪事件から、その背後で犯罪者たちを仕切る「親爺」と呼ばれる黒幕の存在が浮上していた。当局は「親爺」に操られた雑多な者たちによる多種多様な一群の事件を「まだら事件」と名付け、特捜班を設置する……。 アルカージイ・アダモフの『雑色事件』はソ連では映画化されたほか、ソ連時代に少なくとも2度、ソ連崩壊後に少なくとも3度再刊されており、人気作のようである(最新の2002年版→ロシアのオンラインショップ)。また、ソ連時代の推理小説を集めた全集や選集がソ連崩壊後に何度か刊行されているが、この作品はほぼすべてに収録されており、どうやらソ連/ロシアの推理小説史においては記念碑的な作品のようだ。そのような作品が、結局邦訳されることがなかったのは残念なことである。 なお、翻訳は中国語訳以外に、少なくともドイツ語訳『Die Bunte Bande von Moskau』(1962年)が刊行されている。 アルカージイ・アダモフの作品は、『雑色事件』を含め1作も邦訳されていない。この当時のソ連の探偵小説(警察小説)で邦訳が出ているものとしては、1965年にハヤカワ・ポケット・ミステリで刊行されたユリアン・セミョーノフ『ペトロフカ、38』(原著1963年)がある。ユーモアとサスペンスにあふれ、一般的にイメージされる共産主義の暗いイメージとは無縁の傑作である。 (2)ロマン・キムの手紙で知る当時のソ連探偵小説界(1956年~1957年) 『宝石』1956年10月号に転載されたロマン・キムからの第一信は、「ロシヤでは探偵文学のジャンルは十九及び二十世紀(革命前)には発達しておりませんでした」、「革命後のわが国には探偵文学が発達しはじめました」――と、探偵の冒険ものやスパイ小説から始まって、次第に本格的な探偵小説が書かれるようになっていたソ連のミステリ史を伝えている。当時の最新の状況に触れているところを引用する。 ロマン・キム第一信(『宝石』1956年10月号、原卓也訳) ここ数年間というもの、ソヴェートの探偵文学は量的にも質的にも飛躍を続けております。主要な位置を占めておるのは云うまでもなくスパイ小説です。――外国の密使がいかにしてソ同盟に潜入し、秘密の工作を行うか、またソヴェートの偵察兵がいかにして彼らの正体を見破るか、といったたぐいのものです。しかし、最近のわが国には、犯罪とか、或いはソヴェートの探偵の活躍などに関する純然たる探偵小説も現われはじめました。例えばアダーモフの「複雑な事件」など。この秋にはモスクワで探偵小説を含む冒険小説の諸問題に関する第一回全同盟会議が開かれます。数百名の作家が参集し、当面の諸問題を審議するはずです。わが国の新聞雑誌には、もう一連の論文が現われておりますが、その中で、探偵小説というものは主題の興味や独特の構成のほかに、登場人物の性格とか全体の背景とかの巧みな描出によっても優れたものでなければならないという希望を、批評家や読者が表明しております。 わが国ではイギリス、アメリカ、フランスの作家の作品で政治的、社会的テーマが取扱われているようなものに深い関心が示されております。その意味でグレアム・グリーンの長篇「静かなるアメリカ人」(もうこちらの雑誌に掲載されたのです)はソヴェート読者の興味をひきました。またクイーンの「帝王死す」とか、大都市における腐敗堕落(コラプシオン)の光景が示されているチャンドラーの「さらば愛しき女よ」とか、「長いお別れ」などのような作品にも深い関心が寄せられております。 ロマン・キム第二信(『宝石』1957年1月号、原卓也訳) ごく近いうちに、ソ同盟で本格的探偵小説が発表されます。民警と犯罪者との闘いを描いたヴァレンチン・イワノフの「黄色いメタル」と、モスクワ捜査局の活動を扱ったアダモフの「さまざまな人の事件」がそれです。後者は一九五六年の雑誌「青春(ユーノスチ)」に載ったものでその雑誌は既に一月前木村浩さんに送りました。しかしこの長篇は単行本としてはまだ出ておりません。その後直ぐスパイ小説が出ます――エヌ・アターロフの「変名の死」と、ヴォエヴォディンのものと、タルンチスの「固い合金」がそれです。ポーランド語からの翻訳中篇「静かなる戦線」(東独に於ける西独スパイ組織の活動を扱ったもの)や、中国語からの翻訳で、中国作家の驚険中短篇小説集「謎の数字」も出ます。 レニングラードでは目下イギリスの作家プリイストリの「危険な転換」が上演されています。これは本格探偵作品ではありませんが、疑いもなく心理的スリラアです。 (中略) 小生は木村浩さんに、「さまざまな人の事件」を読んだら、その作品の筋を先生に伝えるよう手紙を出しておきました。多分この作品は日本語に訳されるのでしょう。 ロマン・キム第三信(『宝石』1957年8月号、木村浩訳) わがソ連邦では、探偵小説に対する興味が、それも特に本格探偵小説に対するそれが非常に高まっています。最近、コナン・ドイルの大きな選集の新版がでました。雑誌「外国文学」は、近々、今日の欧米の探偵小説の特集号をだす予定です。 (中略) 最近は、犯罪摘発をめぐるソヴェト捜査局及び民警の活躍に関する探偵小説が人気をよんでいます。(改段落)アダーモフの「ぐれん隊事件」につづいて、ブレスト及びランスキイの「見えない前線」、レフ・シェイニンの「探偵の手記」、ロイズマンの「狼」その他が出版されました。(改段落)わが国の文学において、かつてこれほど沢山の探偵小説があらわれたことはありません。もちろん、英米のそれと比較しますれば、わが国での探偵物の出版はそれほど多いとは申せませんが、しかし、過去と比較すれば、現在はかつて今まで見なかったほど多量の本が出たというわけです。 (中略) わが国でも多勢の学者、ジャーナリスト、エンジニヤ――一口にいってハイブラウな人々――は、クリスティ、クロフツ、クイーン、ブレイク、ウールリッチ、アイルズその他をよんでいます。多くの人々の机の上やポケットのなかに、ペンギンのマークのついたポケットブックを見かけることができます。 当時のソ連で反スパイ小説(引用文中では単に「スパイ小説」)が流行っていたことがロマン・キムの第一信からも確認できる。そのスパイ小説全盛の時代の中で出てきた最初の本格的な探偵小説として、アダモフの「複雑な事件」「さまざまな人の事件」「ぐれん隊事件」が挙がっているが、これはおそらくすべて前述の『雑色事件』(まだら事件)を指していると思われる。 「冒険小説(プリクリュチェーニヤ)」(探偵小説・探検小説・SF小説等の総称)に関する積極的な議論も行われていたようで、一般的なイメージにある「ソ連では推理小説は流行らなかった」という気配は微塵も感じさせない(もっとも、ロマン・キムはいわばソ連を代表して自国の推理小説を「宣伝」しているわけなので、いくらか割り引いて見るのが適切かもしれない)。 第四節 程小青の探偵小説論(1957年) 上原草さんのブログ「中国推理小説研究会」程小青 探偵小説論 その1(2009年5月10日) 程小青 探偵小説論 その2(2009年5月11日) 程小青 探偵小説論 その3(2009年5月12日) 程小青 探偵小説論 オールド上海の時代は?(2009年5月14日) この時期は、前述の程小青や孫了紅も、反特小説やスリラー小説(驚険小説/惊险小说)を書いている。作者にも読者にも、選ぶ余地はなかったのである。 1950年代の中国の反特小説は、ストーリーよりも政治性、思想性が強調され、また登場人物も類型的なものになり、誰が善人で誰が悪人かが一読してすぐ分かるようになっており、旧来の探偵小説の面白さは失われてしまった。このような問題点は1960年代になるとある程度改善される。また、1960年代には、大規模な詐欺事件を扱った作品や、警察官の生活を描いた作品など、異なる趣を持つ探偵小説も少しずつ書かれるようになる。 第五節 文化大革命期の"写本"現象 【主要参考文献:老蔡(ラオツァイ)(2009)「百年華文推理簡史 七、“文革”中的地下偵探小説」】 第三節で述べたように、ソ連では1956年にアダモフ『雑色事件』が発表され、スパイ小説一辺倒だった状況から脱し、警察が事件を捜査するような通常の推理小説が刊行されてるようになっていった。「共産圏では推理小説は発達しない」と思っている人は少なくないと思うが、それはまったくの誤りで、『雑色事件』以降、ソ連の推理小説の伝統は絶えることなく連綿と続いている。 一方中国では、1960年代半ばより文化大革命による文化の大弾圧が始まり、それまで刊行されていたソ連影響下の「反特小説」(反スパイ小説)すら刊行が許されなくなった。この時期には書籍に代わって、紙にペンで書きつけた「写本」の形で民衆の間に物語が広まった(こちらで写真が見られる)。写本として広まった物語の中には、50年代から60年代にかけての反特小説にストーリーの起伏やサスペンスを加えた変異形や、スリラー小説も多く含まれ、ひそか流行していたという。 第六節 1940年代末~1970年代の代表的な作品 李長声(リーチャンション)(2002)「中国のミステリー事情 大衆文学への渇望」では、1950年代から1970年代まで、「中国の探偵小説に見るべきものはほとんどない」とされている。ただし、反特小説の中でも、陸石(りく せき/ルー シー)と文達(ぶんたつ/ウェン ダー/文达)の共著による短編小説「双鈴馬蹄表(そうれいばていひょう)」(双铃马蹄表)や、白樺(はっか/バイフア/白桦)の短編小説「無鈴的馬幇(ぶれいてきばほう)」(无铃的马帮)は佳作といえるという。前者は「国慶十点鍾(こっけいじってんしょう)」(国庆十点钟、1956)というタイトルで、後者は「神秘的旅伴(しんぴてきりょはん)」(1955)というタイトルで映画化されている。 20世紀の中国ミステリの短編を集めた前述のアンソロジー『20世紀中国偵探小説精選』(2002年、全4巻)で、この時期を対象とする第2巻の収録作は以下のとおりである。 老蔡(ラオツァイ)(2009)によると、この時期はすべての探偵小説が反特小説だったわけではない。たとえば、国翹(こっきょう/グオチャオ/国翘)の短編「一件積案」(一件积案)は、欧米の黄金時代の作品を思わせる古典的な謎解き小説で、この年代にはなかなか得難い好編だという。これと同じようなタイプの作品として、ラオツァイ氏は弍丁(じてい/アルディン)の短編「一具無名屍体的秘密」(一具无名尸体的秘密)を挙げている。 『20世纪中国侦探小说精选(1950-1979) 谁是凶手』(誰是凶手)(=犯人は誰だ)白樺「無鈴的馬幇」 陸石・文達「双鈴馬蹄表」 国翹「一件積案」 弍丁「一具無名屍体的秘密」 賀慈航(が じこう/フー ツーハン/贺慈航)・樊家信(はん かしん/ファン ジアシン)「神秘的解剖室」 高現(こう げん/ガオ シエン/高现)「誰是凶手」(谁是凶手) 陸長源(りく ちょうげん/ルー チャンユアン/陆长源)「蛛糸馬跡」(蛛丝马迹) 葉一峰(よういつほう/イエ イーフォン/叶一峰)「一件殺人案」(一件杀人案) 王亜平(おう あへい/ワン ヤーピン/王亚平)「神聖的使命」(神圣的使命) ※ 王亜平 … 1980年刊行の長編ミステリ『刑警隊長』はロングセラーになった。 第七節 邦訳された1950年代~1970年代の中国探偵小説 【2011年7月31日、加筆】 柯藍(コーラン) 「鴉の告発」 (『探偵実話』1952年第2号) 参考文献 中国ミステリ史 参考文献 (新しいウィンドウで開きます) 第三章 更新履歴 2011年2月3日:公開 2011年8月7日「第一節 中華人民共和国の成立とソ連探偵小説の流入」の記述内容を訂正。 「第二節 中国の探偵作家とソ連の探偵作家の交流」を新設。 「第三節 1950年代のソ連探偵小説界」を新設。 「第六節 邦訳された1950年代~1970年代の中国探偵小説」に柯藍(コーラン)「鴉の告発」を追加。 『中国ミステリ史 第一章』(19世紀末~1910年代) 『中国ミステリ史 第二章』(1910年代~1940年代) 『中国ミステリ史 第三章』(1940年代末~1970年代) ←今見ているページ 『中国ミステリ史 第四章』(1970年代末~1990年代) 『中国ミステリ史 第五章』(1990年代末~21世紀初頭) 『中国ミステリ史 第六章』(現代)
https://w.atwiki.jp/murdermystery/pages/54.html
一条家の人々 イントロダクション 久保よしや氏監修、ヤスノカナメ&だーしゅ(Office KUMOKANA)作の国内オリジナル作品です。夏の京都が舞台の王道マーダーミステリーです。マーダーミステリーを初めて体験する方から経験者まで楽しめる作品です。 京都の名家、一条家の屋敷でティータイムを待つ人々。その昼下がりの静寂を悲鳴が破る。 発見されたのは一条家当主のこと切れた姿だった。そして呼び起こされる過去の毒薬の記憶。 毒を憎む者、毒に翻弄される者、そして毒を利用する者。現在と過去を結ぶ毒を巡るストーリー。 プレイ人数 7~8名 プレイ時間 3時間 クレジット 作:Office KUMOKANA(ヤスノカナメ&だーしゅ) 監修:久保よしや 公演個所・出張GM 店舗: Office KUMOKANA JELLY JELLY CAFE渋谷店 駒込ガレージ Queen s Waltz 出張GM: マシュー 公式情報 Office KUMOKANA