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第十話*②*③ Three years later... 細かい傷跡が残る古い銀製のオイルライターを擦過させ、点った火を紙巻煙草の先端に近づける。単に濃く苦い味ばかりが特徴の紫煙を肺腑へ流し込み、片手に持った電話子機の受話口に耳を当てながらノウラはワーキングチェアに腰を深く預けた。 「頃合いだと思っていたぞ、──シェルブ」 『その言草だと、既にコトは伝わっているらしいな。変らず、其方は業務熱心のようだ』 通信媒体を介しているとはいえ約二年振りに直接言葉を交わす、レイヴンズアーク時代からの古い知己の物言いに、軽くではあるが口許を歪めて見せる。とはいえ、特段互いの再会を懐かしむ間柄でもない為、一度紫煙を肺腑に含んでから吐き出した後、ノウラはそれに相応しい言葉を省略する事にした。 「其れは私達の要諦だ。この後に及んで気を害するモノでもあるまい」 『確かにな。だが、分水嶺には気をつけろよ。児戯の類でないとはいえ、私もお前も11年前に野に下った身だ。御上の庇護は受けられんのだから』 本人こそよく理解しているだろうその蛇足に相違ない忠告を適当に聞き受け、紙巻煙草を挟んだ指で眼鏡の位置を直す。 「知己の言葉、覚えておこう。支配企業とは言え、此方にとって大事な顧客だからな……」 社会的には【ターミナル・スフィア】の名称で通している独立企業体──遺失技術文化社団は創設時期こそ浅いもの、その業務内容と方針により支配企業グループを含む隷下企業とは堅密な利潤関係にある。 今から約11時間前、統一連邦領土付近の武装地帯でミラージュ社の差し向けた非公式戦力が何処ぞの独立系傭兵部隊を襲撃した。その始終を自社が秘匿保有している軍事衛星から、珈琲を片手に啜りながら丸々傍観していたなどという事が当事者達に知れれば、少なくない利益損失を招くのは想像に難くない話だ。 電話を介して話している当事者の一人のみは、例外だが……。 【ターミナル・スフィア】が非公式に一基保有している軍事監視衛星【エストラーダ】は、同組織が発足するより以前──今より11年前、レイヴンズアークに在籍していた当時に、ノウラが個人的に管轄権を引き継いだものである。故あって本人の管轄権から離れていた其れを、現役時代にレイヴンズアーク・アリーナのトップランカーを勤めていた電話相手と数人の有志達と共に、ある作戦の最中に奪取した。 その時の作戦を脳裏に思い出し、ノウラは軽く眼を細めた。レイヴンズアークが行ったそのアンオフィシャル・オペレーションを境に、古い知己──シェルブ・ハートネットはアリーナトップの称号とレイヴンズアークの社籍を返上し、組織から去った。 ──私は一線を退き、組織の暗部に留まった。 「……さて、和気藹藹と談笑に洒落込む間柄でもない。そろそろ、話を訊こうか……。こちらも気になる事柄が幾つかある」 『このホットライン、枝付きという事はないだろうな?』 その慎重な言葉にノウラは紫煙を強く吐き出し、はは、と短く笑った。豪胆の権化であったあの男が、そんな事を気にするようになったものだと、胸中で軽く驚嘆した。 「秘匿業務もウチの売りだ。統一政府の特別公安調査室にだって手は出させんさ」 半端に短くなった煙草を一気に吸い切って灰皿に押し付け、新しい紙巻煙草をデスク脇の専用ケースから一本抜き出す。ワーキングチェアから腰を上げ、執務室内の重層幹線道路に面した硝子貼りに歩み寄り、愛用オイルライターで紙巻煙草の先端に紅点を点す。 閉鎖型機械化都市【エデンⅣ】は商業区画の上空に、大規模なホログラム処理によって出力された未明の曇天が東の方角から、天外付随の日照設備の準備稼働によって俄かに明るくなりつつあった。幹線道路を早朝出勤の企業関係者を乗せた自動車が疎らに走り、周囲に密集して林立する摩天楼の群にも同様に灯が浮かび始めている。 『先日、ミラージュ社が実行した旧ナルバエス地方での古代遺跡制圧を知っているか?』 「……ああ」 ノウラはそれとなく言葉を濁し、その作戦に自らも半ば関与していた事実を伏せ置いた。知己のシェルブならば都合よく解釈してくれるだろうと、分かっていたからである。 先日、と言っても直接作戦にAC戦力を派遣したサンドゲイルにとっては、まだ消化不良の作戦であるだろう。旧ナルバエス地方で行われたその古代遺跡制圧作戦には、【ターミナル・スフィア】もミラージュ社からの直接の依頼で、二機のAC戦力を派遣していた。尤も、第一種制圧戦闘が依頼内容だった大多数のレイヴンとは異なる依頼に基づいて、だったが。 ──旧ナルバエス地方・施設識別コード:アスセナの施設調査及び不測事態における支援戦闘。 【ターミナル・スフィア】がミラージュ社から依頼された内容は第一種制圧戦闘ではなく、ミラージュ社が施設識別コード:アスセナと呼称する古代遺跡の内部調査であった。依頼内容(どこからそんな情報を仕入れてきたのかその詳細については訊かず──訊く気もなかったが)は、アスセナの最深度施設に保存されているとされる旧世代の重要凍結資材の確保とそれに伴う支援戦闘、及び公式作戦終了後の解析業務依頼の三本仕立てとなっていた。支援戦闘とはオマケのようなもので、実際の依頼は【ターミナル・スフィア】の主業務に則った非公式の依頼のみであった。 加えて第一種制圧戦闘についてはこの手の作戦に付き物のものという事で、フリーランスの同業者が一機、愉快な保険を兼ねた口封じ役として投入されたらしい。作戦の経過報告と事後処理から推測するに、そちらの依頼は作戦前か途中半ばで頓挫したようだが。依頼が達成できなかったという点については、戦力を派遣した此方も変わらなかったので、ノウラは胸中で密かに嘆息した。 元トップランカーが統率しているせいで密かに粛清対象となっていたサンドゲイルの事情については、その本人には黙っておくことにした。独立勢力となった時点で自らの経歴と含め、そのようなリスクを背負った上に、シェルブは独立系傭兵部隊を率いている。蛇足を言った所で何ら変わりはしないだろう。 【ターミナル・スフィア】としても結果的に緊急で舞い込んだ依頼に手間を取られ、アスセナ制圧作戦には関与できなかった。作戦終了後、ミラージュ社から送信されてきた事後報告には、施設識別コード:アスセナの最深度施設では、重要凍結資材に相当するものは発見されなかった──と、記載されていた。 本来なら【ターミナル・スフィア】への依頼はそれで終わりのはずだった。 それを能天気な面を下げて額面通りに信用してやれば、の話だが。 「有機体戦略支援機構──十一年前、お前は確かそう呼んでいたな」 『古い話だな。忘れているものとばかり思っていたが……。それがどうかしたか?』 燃え差しの紙巻煙草を口許で転がしながら、シェルブが今しがた口にした言葉を胸中で反芻する。返答に関しては、ただの振りに過ぎない。ノウラのその意図を何となく察知したらしく、電話向こうのシェルブは軽くため息をつき、 「始終を追跡したのなら、もう知っているのかもしれんが……。──"ソレ"の事だ」 ノウラは相手に気取られないよう、紙巻煙草を咥えた口許を大きく歪めて笑んだ。 「成程……、其方の置かれている事情は把握した。シェルブ、小僧にはよくよく言って聞かさんとな?」 『其れが出来るなら、こうはなっとらん。変らず厭な女じゃないか、ノウラ』 先日のアスセナ制圧作戦に置いてサンドゲイルが派遣したAC戦力──シェルブが手塩にかけて育て上げつつある新鋭の若年レイヴン。その少年が作戦行動を破棄し、途中で戦域離脱した事は既に本事務所の方で【エストラーダ】を扱い独自に把握していた。そのおかげで、ミラージュ社がサンドゲイルを強襲する場面に出くわすことができた訳だが。……とどのつまりは、そういう訳である。 ミラージュ社も施設識別コード:アスセナの周囲一帯に軍事衛星による広域警戒網を張り巡らせ、その最中でサンドゲイルが派遣したAC戦力の戦線離脱を捕捉したのだろう。前後状況と照会した結果、その戦力がアスセナ最深度施設で隔離保存されていた重要凍結資材を持ち去ったと推測、ミラージュ社は急遽非公式戦力をサンドゲイルの繋留するコロニーへ送り込んだ……。 旧グレイヴメイカーの一派が非公式戦力として派遣されていたあたり、別の要因がサンドゲイルにはあったようだが、それについては今思案すべき事案でもない。 支配企業の求める重要凍結資材に関してはそれが何なのか、そんなモノはノウラにとっては改めて調査するに及ばないモノであった。 兵器災害発生後、支配企業群が共同出資を行って運営していた、かの財団創設に関与していたノウラにとって、それは驚くべき種の話ではない。 「把握はしたが、それでどうする? 知己のよしみで気遣い程度はするがその先からはシェルブ、お前の判断次第だ……」 『ここから先は応交渉、独立勢力同士の商売という訳か』 「そう捉えてもらえると、コトが運びやすい。小僧には納得がいかんかもしれんが」 『……マイは俺が宥めよう。部隊解体の憂き目なんぞには変えられんからな』 アークを去った後間もなくして、シェルブがサンドゲイルを発足させた頃を薄く思い出す。マイという名前には聞き覚えがあった。確か、シェルブがその頃に孤児院から引き取った少年の名前だ。 「支配企業の一翼に啖呵を切ったんだ、穏やかな交渉の余地はないと思った方がいいだろう。──こちらに引き渡すか?」 『……それで安全の確度は?』 「此方が引き取った所で、せいぜいがとこ半々という所か。穏便に事を済ませるのなら、もう一つ手管が必要になってくる」 そう提言した時、電話の向こう側からシェルブの緊張を孕んだ無言の気配が流れ込んできた。商売相手──サンドゲイルにとってその進退がかかった交渉である。 「──是非に一度、調べてみたいモノだ」 『それだけか……?』 「焦るな。サンドゲイルの提供資材から得られた解析情報については、我社の業務方針に則り、それらが有価情報であると判断できた場合にのみ、相応の顧客へ売買する……」 【ターミナル・スフィア】は旧世代に関する史実や技術に関する情報収集・分析、加えて合法非合法を問わない依頼に基づく遺跡発掘、それらの長期保護などを主業務としている。創設経緯の特異性から、支配企業を含む隷下の系列組織などとは多く提携関係にあり、それはミラージュ社も例外ではない。 「色を付けた売却情報を判断材料に、此方から口利をして独立系傭兵部隊・サンドゲイルへの武力行使を無期限停止……こんな所でどうだ?」 『ふうむ……。少しばかり大きい貸しになりそうだが、仕方はあるまい……』 「いずれ何処かで返してもらう事とするさ」 本筋を辿れば、施設識別コード:アスセナの最深度施設で保管されていた重要凍結資材はミラージュ社の遺跡調査部隊によって発見、確保される予定だった。それが不測の事態によって回り巡りながら、結果的に【ターミナル・スフィア】の手に渡る。ミラージュ社にとっては保有権を放棄したうえに後塵を拝した形となる訳であり、サンドゲイルと【ターミナル・スフィア】の間に何らかの協定が繕われたと考えるのはおそらく当然の成り行きだろう。つまり、【ターミナル・スフィア】に対する顧客の点数も、ひとつ下がることになる。 まあ、それについてはサンドゲイルに追々貸しを返してもらう事にすれば済む話だとノウラは結論付けた。 (企業共も今すぐにでもという真似はすまい……) ──今回の件を含め、有機体戦略支援機構の確認は"四例目"。支配企業群にその所在が割れているのは、サンドゲイルの保有する一体のみ。【ターミナル・スフィア】にそれが渡ったと知れば、ミラージュ社を始めとする支配企業共がこぞってコンタクトを取りに来るだろう。 だが、単純な利潤関係と今後を考えるのなら、支配企業も喜び勇んで実力部隊を送り込むような愚行は犯さないはずである。有機体戦略支援機構の資材価値は、支配企業が考えているものと同様に【ターミナル・スフィア】にとっても業務遂行の要諦である。 『破壊された繋留コロニーの防衛ラインの復興支援をしなきゃならん。それに人目に付くような真似は避けたい。最低限の人員でエデンⅣまで送り届けるが、どうだ?』 「良いプランだと言いたい所だが、此方でも先日都市内部で問題があってな。ウチから人を送ろう。迅速且つ大胆に──引き渡しは20時間後、合流地点その他の詳細は追って送信する」 『いいだろう。最近奴さんの方じゃきな臭い噂をよく聞く。世の中もこんな情勢だ、何かが起き始めているのかもしれんな。11年前のように……』 過去を懐かしむようなシェルブのその言葉にノウラは一瞬だけ目を細め、咥えていた紙巻煙草を指にはさみ込んだ。肺腑に貯めこんだ紫煙を吐き出し、 「留意しろよ、シェルブ。お前達が思っている以上に、過去は私達を先回る……」 『ああ。ではまたな……』 短い別れの言葉を最後に、秘匿回線での古い知己との商談はあっさりと終わった。 スラックスのポケットから携帯灰皿を取り出して、短くなった吸殻を押し付ける。ソフトパックを縦に揺すって新しい紙巻煙草を抜き出す傍ら、ふと硝子貼りに映り込んだ自身の姿をノウラは見つめた。 「その通りだ、シェルブ。たったの五年で、この薄汚れた地上世界は大きく変容しつつある。……尤も、淘汰されてきた歴史から見れば、取るに足らん事物なのかもしれんがな……」 巨視的に見れば、前時代の【大戦】が終結して一世紀──そこから形式上統一政府を頂点に始まった人類再興より、何かしらの歪みは生まれ始めていたのかもしれない。半世紀近くを過ごした自身などは、その歪んだ波の一括りにすぎないのだ。 手首に嵌めていたゴムを手に取り、肩辺りまで伸びた墨色の髪を襟足から結え上げる。 生まれてから四十八年。兵器災害が人類を蹂躙してから、たったの五年だ── 硝子貼りに映り込む自身の双眸を強く捉える。切れ長の赤銅色の双眸は、鋭く研いできたノウラの意思を反映している。亡き父の跡を継ぐ考古学者として、またかつて一線の傭兵として戦場に在った者として、壮年期も暮れに入ろうとしているその肢体は、未だ衰えを見せぬ非常な頑健さを湛えている。 「囚われては逃れられん。ならば、その闇から闇へと渡っていくしかない、か……」 新たな技術概念の確立と共に現代に蘇ろうとしている、旧世代の人類から計画凍結を経て紡がれてきた次世代兵器開発要綱──【ARMORED CORE NEXT】。 兵器災害以降、かつて特別顧問として在籍していた旧世代技術解析財団【ジシス財団】が組織的解体を経てから、ネクスト開発計画は各支配企業へ分散した。支配企業達が血眼になって捜し求めている有機体戦略支援機構も──所謂生体CPUも、既に制御技術の根幹として深く関与している。 たったの五年だ。たったの五年で現代の人類は、旧世代が成し得なかった一つの兵器の極点に達しようとしている……。 (そろそろ時間か……) ノウラは窓硝子に映り込んだ自分の姿から視線を反らし、事務所内のオペレーターに当てて電話子機の内通ボタンを押し込んだ。接続中を知らせる軽い電子音楽のリズムが受話口から流れ、しばらくして不意に回線が開く。 「──聞いていたな、メイヴィス?」 『ええ、滞りなく。人員選定及び、ミラージュ社への書類作成は既に完了しました。派遣人員については指示に合わせて、随時動発可能です』 「重畳だ」 その言葉に対してメイヴィスは、過分な言葉です、と控目な言葉を返す。【ターミナル・スフィア】の通信技術部統括であり同時に独りの専属通信技官でもある彼女は、ノウラとは兵器災害以前から続く知己である。社団創設期にもノウラと共に常に動き、ノウラの知る限りでは、相当に優秀な通信技官の一人であった。 「作戦推移については?」 『【バラハ01】【バラハ02】【バラハ03】は、【エリアFr-06】にて第一種準備待機態勢を完結。準未確定勢力への通信傍受は0550時よりこれを継続、0630時より作戦態勢を第一種準備待機態勢から第三種戦闘態勢へ移行します』 「順調だな。現場は状況を維持。未確定勢力に変動ありの場合、現場判断により速やかにこれを排除しろ」 『了解。間もなく中継が始まりますが、あの子に──【レジェス57】に何か言われますか?』 銀製のオイルライターを片手で器用に擦過させ、種火を新しく咥えた紙巻煙草の先端に移す。 「……いや。あの娘には全て伝えてある。此処に及んで、私のような老兵が教える事は何もない。後は……、あの娘が自分で駆け上がるだけだ」 『相変わらずですね、ノウラ。──現場に現状維持を伝達、状況を更新します』 そこでメイヴィスとの通信が終了するかと思っていたが、回線の向こう側で何やら彼女がコンソールを操作する音が聞こえてきた。 『グローバル・コーテックス社の専用回線から通信です。発信主は──、前社所属レイヴン【スワロー】です』 「……スワローだと? ふん、珍しい顔が来たものだな」 ノウラは紙巻煙草を転がしながら口許を小さく釣り上げ、デスクに戻って備えつけのワーキングチェアに腰を下した。電話子機を台座に下ろし、外声音スイッチを押しこむ。 『回線番号:Ex-99821-Ad01に接続、ホログラム通信で出迎える。奴さんの事だ。下手を打つような真似はしないだろうが、一応記録しておいてくれ』 『了解しました。回線を接続します』 その言葉の直後、天井に敷設された出力装置から疑似映像が放射され、ノウラの座るワーキングチェアとデスクを残して執務室内は恣意的に作出されたデジタル空間の闇に呑まれた。 『回線接続完了。映像、出力します……』 突如闇に呑まれた室内、デスクから若干離れた場所に砂嵐のようなノイズが走り、発信主の佇まいが天井の出力装置から立体映像として構築されていく。軽い電子音が出力完了を知らせる。 『──久しぶりだね、ゼノビア?』 「開口一番にそう呼ぶとは、軽口は変わっとらんな」 情報映像として出力された"二十代の青年姿"の発信主は、ホワイトスーツに身を包み片手に嗜好品としては上物らしき葉巻を挟んでいた。しかし、反対側の左腕は包帯で首元から吊下げられ、適度に切り揃えられた濃紺色の前髪の間からのぞく額には、それでも随分と治癒したのだろう青あざが浮かんでいる。 まあ、形容するには一言で十分であり、つまり、レイヴンとしては珍しくない光景であるが、何とも痛ましい姿であった。 「中々様になってるじゃあないか、ええ?」 『変わらずキツイお言葉、嬉しいねえ。これでも大分マシになった方なんだ、明日には完治してるだろうさ』 「強化施術体の身体というのはつくづく便利なものだな。全身粉砕骨折を免れた上に、数日足らずで重傷を完治しきるか……」 『……やっぱり、あの戦域で二機のクレスト社陸軍所属ACを相手にしていたのは、君達だったのか』 演技じみた挙動で青年姿のスワローは、軽く肩をすくめて見せる。 今しがたスワローが指摘した通り、ノウラはつい先日にあったミラージュ社からの一連の依頼──外部依頼番号:061-3428──の際、近隣戦域においてグローバル・コーテックス社とクレスト社勢力が交戦していた事実について、【エストラーダ】の管理体制の一貫として既に作戦後の事後処理の段階で知り得ていた。 尤も、ミラージュ社からの緊急依頼がなければ、その光景を目にすることもなかっただろうが…… 「それで、七年振りのコンタクトの理由を訊こうか?」 『はあ、仕事熱心な所も変わらないね。ある意味で感嘆ものだよ……まあ、此方としても手間が省けて、有り難いけどさ……』 葉巻の濃い紫煙を周囲一帯に燻らせ、充分な時間の空きを取ってから言葉を紡いだ。 『他でもない。──【NEXT】についてだ。君なら、驚くほどのものでもないだろ。最初期の試験機開発要綱に携わっていた君なら……』 「何を知りたいのか知らんが、昨日の今日でソレを我々の方へ求めるか普通?」 『君が三十年来の、少ない知己だからだよ。それじゃあダメかい』 「つくづく男と言うのは、古い話を持ち出したがるのか? 呆れたものだ……」 スワローとの腐れ縁のような付き合いは、確かに長い。一線のレイヴンとしてノウラが戦場に在り始めたその頃から、スワローや彼の言う当時の少ない知己──シェルブ・ハートネットは既に共にいた。 結果的に、ノウラとシェルブはレイヴンズアークに、スワローは異なる大手企業へ渡っていったが。 ノウラはデスク内蔵のコンソールを叩き、投射型ディスプレイを起動させる。淡い灰青色の光源を放つ多分割ディスプレイが次々と浮かび上がり、ノウラの顔を青白く染める。 「有価情報なら商談に基づいて応提供しよう。だが、顧客情報については当然だが、売買できん」 『君の判断に任せる、僕はそれに従おう。──最近、裏の世論を騒がせてる【赤いAC】についてだ』 何を言い出すのかと思えば、スワローのその言葉はノウラが大よそ予測していたものとはかけ離れていたものだった。事実としてスワローは、口許に20代の好青年という風貌には不相応過ぎる奇怪な笑みを浮かべている。 『近頃、南方ミラージュ社領アンディオン地域を中心に、周辺の武装地帯で幾度か目撃されている。当該地帯は旧兵器遺跡の発見が相次ぎ、ミラージュ社軍事勢力による武力進行が著しい。近隣には統一連邦の軍事境界線が敷かれているが、当の本人らは静観を決め込んでいる模様だ。──【赤いAC】とされるシルエットは、その現場に積極的に武力介入を繰り返しているらしい。この事実関係に関する君の見解と、考古学者としての意見を是非とも聞かせてほしい?』 立体映像のスワローが向けている鋭い視線を受けながら、視界の隅でコンソールを操作し、【赤いAC】に関係するといわれる情報をディスプレイにいくつかピックアップしていく。 ──赤いAC。 いわくつきの所属不明機として世論では度々扱われているが、ノウラやスワローをはじめとするその手の業界に深く関わってきたものとしては、皮肉な言い方をすれば馴染みの深いものである。 「ナインボールか……。あんな怪奇話に興味を示すとは、コーテックスもよくよく暇を持て余しているようだな?」 『今回は至極個人的なモノだが、コーテックスにとっても近頃の事実関係は静観というものを超過している』 「個人的、ね……」 『其処を疑わないでほしいよ。僕や君にとってアレが、他人事でないのは過去が最もよく示している。コーテックスがのんびりとしているだけかもしれないが、何れ支配企業から正規の調査依頼が来てもおかしくないんじゃないのか? ナインボールに関与していた君相手に……』 首から吊るした右腕に持った葉巻をノウラの方へ差し向け、スワローは神妙な表情をつくってみせる。 スワローの察しは当たらずしも遠からずであった。 ノウラはかつて、兵器災害後の財団招聘時代に例の赤いACとやらに関与していた経歴がある。正確に言及すれば、財団が支配企群同士の内紛によって組織的解体に追い込まれた後に、再度。 「一学者である私が、容易に言及すべき物ではないな。だが……」 紙巻煙草を灰皿に押し付け、新しいものを咥えなおす。 「損得を抜きに"奴"を殺したい奴は、大勢いる。……お前を含めてな。どうだ?」 「……その返答次第かい?」 『私とてレイヴンだ。愚物が死地に自ら飛び込んで、敵味方の区別なく命を散らすのは何度も見てきた。昔のお前はどうだったか知らんが、今回は慎重に事を運ぶべきだ。奴を殺したいというのなら、尚更だろう』 ノウラのその言葉を聞き受け、スワローは普段の飄々とした態度をその身体の奥底に仕舞い込んだ。代わって彼の顔には、凄惨とも言える、いわば最古参のレイヴンのみが持つ鋭いまなざしが宿っている。 彼は慎重に言葉を選ぶように口を何度か動かし、それから、 『──ああ。僕も奴を殺したい。同業者として、一人のレイヴンとして。けれど、今の僕には昔以上の立場がある。奴を……ハスラーワンを殺したいのと、それとはまた別の話だ』 ──二十年前から青年の姿を維持する彼はその風貌とは裏腹に、研ぎ澄まされた老獪をのぞかせる言動をよこした。青年には表向きに与えられたレイヴンの地位以上に、グローバル・コーテックスから必要とされている才能がある。 ノウラは一時も彼の双眸から視線をずらさず、しばらくしてからコンソールを操作した。例の赤いACに関連した最も新しい情報を引き出す。 「──最近で確認されたのは、一週間前のミラージュ社領対統一連邦軍事境界線付近、ケレト大断崖の地下核部だ。ケレト地域は旧世代技術の発掘調査が一時は隆盛した場所でな。現在でも時折、凍結資材が発見される事がある。……一週間前も丁度そんな時期だった」 『そこへ、例の赤いACが?』 「今週行われた機構調整会議では、ミラージュ社はその事実関係を否定しているがな。だがウチの得た情報によると、ミラージュ社はその一連の武力衝突が行われた前後に、ケレト大断崖の地下核部資源地層で凍結資材を発見、確保している。……何だと思う?」 コンソールをたたん、と軽く叩き、その関連情報群をディスプレイに出力する。スワローと視線を交えつつ、ノウラの視界の隅に映っているのは、青白い肌を宿した一人の少女と思しきコールドスリープ設備に収められた凍結個体。ノウラは口許を歪めてみせ、スワローに自身の意図が伝わるよう表現する。 『──まさか、発見されたというのか』 ノウラは小さく首肯した。 『そうか……。赤いACの目的は、ソレだったと?』 「憶測の域を出んがな。これに踏まえいくつかの複合要素を吟味した所、現場に現れた"赤いAC"とやらは、オリジナルである可能性が濃厚だ……」 オリジナル──自らそう表現してみて、ノウラは改めて口許に自嘲のような笑みが浮かぶのを自覚した。 「その詳細については?」 『経営法規に則り、そこに関しては言及できん。悪いがな?』 そこばかりは仕方あるまいか、と彼は諦めの表情を作る。 経営法規に触れているかどうかは不鮮明だが、前後状況から考察したノウラ個人の推察では、ミラージュ社が先日、独立系傭兵部隊【サンドゲイル】に対して行った武力行使との関連性が疑われていた。ミラージュ社が先週に続いて凍結資材の確保を急務としていたのならその動機については不明だが、例の赤いACがケレトを強襲した動機としては筋道が立つ。そして、直前の客分とのやりとりより発する自社利益のためには、スワローに対してそれらを話すことは、現段階では経営法規に関わるのだ。 「巷の【赤いAC】に関して、今の私から言える事は以上だ」 『成程……』 互いに暫く無言を通し、それぞれ愛用の煙草に意識を傾ける。緊張感が張り詰めている訳でもない、ただただ静かに双方の意図を確かめあうような温い空気が仮想空間を満たす。 やがてノウラは短くなった紙巻煙草を指に挟み込み、 「──死を求めているように見えるのは、杞憂を抱いた老兵のソレか?」 片眉をつり上げ、スワローは心外だとでもいうような表情をつくってみせる。 『珍しいもんだね。君みたいな人間が、そんな事を言うなんて……』 ノウラは続ける。 「老いを過去に置き忘れて来た者の境地に、ちょっとした興味があるだけだ。貴様が心外だというのなら、それで構わん」 『まあ……。本来なら僕のような人間は、今のような表の地位でぶらぶらしているべきじゃないというのは、確かだろうね。でも、さっきの自分の言葉を正当化する訳じゃないけど、僕には僕の成すべき夢想がある。それを成さずして、表舞台から去る訳にはいかないんだ』 「それが、ナインボールか……?」 『それは、どうだろうね……』 例の年不相応な、含みを持たせた笑みを青年は浮かべる。 「兵器災害以降、この業界も随分と慌ただしい。新しい潮流が、そこまで来ているのかもしれん」 『ウチも最近、色々と新人の育成に力を入れてるみたいだしね。コーテックス・アリーナも押しつ押されつの状況さ』 「そういえば、Aランクにはまだ若手のレイヴンが二人も名を連ねているな。ソリテュードとやらも、確かその類だったはずだが……」 何か思いついたように、スワローはぱっと表情を上げた。表の地位の上での話だが、グローバル・コーテックスに在籍し、かつノウラが活動拠点としているこのエデン4に同じく居を構えているのが、コーテックス・アリーナでAランクという地位に君臨するレイヴン「ソリテュード」である。 『彼か。彼は若年だが、レイヴンとしては古参の域に入っているね』 そのスワローの言葉から、ノウラが隠した意図に彼が気づいている様子は見受けられなかった。 (奴さん、どうやら上手く隠しているようだな……) 『彼は本物の天才だよ』 興味の範疇から派生した記憶と照らし合わせ、ノウラはコンソールを操作してさらにソリテュードに関連した情報をピックアップする。彼のレイヴンとしての輝かしい戦歴から、パートナーの存在やコーテックス社内でのポスト、私生活に至るまでを。その中に、『ALICE』と銘打たれた西洋人形にでもありそうな整った造形をした少女の姿を見つけ、再度それとなくスワローの双眸を注視する。 「データベースによると、その男は兵器災害発生時に、旧兵器遺跡のひとつを沈黙させているようだな」 『兵士としての、僕にはない才覚を常に示し続けている』 「かもしれん。だが、死線の一つや二つを越えた程度で一流の先へ行けるかどうかは、また別の話だ。レイヴンが戦場で生き残るには、一流の先へ行くか、別の道を歩まねばならない。──私やお前、それにハスラーワンがそうであったように、な?」 それぞれの道を生きた。それが異なれど、そういった者達が迎える末路は、同じく歩んでいく線路のようなものなのかもしれない。 ノウラは腕時計に視線を落とし込んだ。アナログ時計の時刻は午前の0650時を指している。デスク脇に置いていたリモコンを手に取り、電源をONにする。正面に立つスワローの後方、恣意的に空間情景を削除されていたデジタル空間に、投射型TVの画面が出力された。チャンネルは事前に合わせていた通り、エデン4の統一政府運営下にある国営ニュース番組の始まりを告げていた。 「丁度頃合いだ。観ていくか?」 スワローの首肯に合わせて天井の出力装置が指向性を持って回転し、投射型TVの方向へ向く。 『お早うございます。GIN、午前7時、朝のニュースです』 テレビ向けに受けのいい顔立ちの整ったキャスターが原稿通りの挨拶を述べ、早速早朝のニュースがクローズアップされる。 『レイヴンズアーク社主催のアーク・アリーナにおいて0600時からトップクラス・マッチが開始され、新1stランカーが誕生しました。アーク・アリーナの最高峰、エクストリーム・アリーナにおける最高の地位を獲得したのは、同社所属の新鋭レイヴン・ロジオン──』 時を同じくしてレイヴンズアークで開催されていたアリーナの結果情報が速報で放送される様子をしばらく無言で見送る。2、3分ほど経ってようやく、キャスターの女性が次のトピックに目を向ける。原稿にちら、と視線を落として台詞を整える。 『続いてはエデンⅣ、グローバル・コーテックス社主催のアリーナ情報です。中央興行区コーテックス・アリーナで間もなく、0700時からアリーナ本戦出場予備大会、決勝が開始されます』 キャスターのその報道にスワローが目を瞠った。 『どういうことだい。国営とは言え、たかが予備大会の決勝がニュースに?』 ニュース番組を視界にとらえつつ、鳴り響いた内線通話の受話器を取る。 メイヴィスの落ち着いた声が届いた。 『作戦起動三分前です。現場、所定を完結。【エリアFr-06】にて、第三種戦闘態勢から第二種戦闘態勢へ移行します』 「わかった。予定通り、状況を開始しろ」 『了解しました』 内通電話を切り、スワローの問いに答える。 「新しい潮流という奴だよ。時間はあるんだろう? 観てみようじゃないか、その渦中を」 ノウラはニュース画面に映し出された二機のAC機体を、紙巻煙草を挟み込んだ指で指差した。 →Next… ③ コメントフォーム 名前 コメント
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【登録タグ D U.N.オーエンは彼女なのか? ルシュカ 凋叶棕 曲 綴】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); 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第三話/ /第四話/ /第五話 第四話 執筆者:CHU シェルター都市『MA31-HOPE』 ミラージュの庇護下にある人類の楽園だ。少なくとも居住している富裕層にとっての話だが。 ここに自分のオフィスを持つグローバルコーテックス所属レイヴン「スワロー」は、この日新人の専任オペレーター「ライラ・フェモニカ」と通信で依頼の吟味をしていた。 『レイヴン、こちらの依頼はどうですか。【MT部隊撃滅】報酬も悪くありませんし、ターゲットもMTですので簡単かと』 「うーん……、場所が森林区画だし、見通しが悪そうだなあ。そうすると死角からの被弾は避けられないだろうし、修理費がねえ……」 不平不満は聞き飽きたといった口調でライラが諌める。 『お言葉ですがレイヴン、この程度の依頼がこなせない様では、レイヴンとしての沽券に関わるのではありませんか?』 他にも色々な依頼を蹴られたのだろう。ライラの顔には疲れと呆れが浮かんでいる。 「おっ、これなんてどうかな?」 ライラの苦言を完璧に受け流し、そう言ってスワローが指定した依頼は【旧兵器遺跡制圧】と銘打たれていた。 「複数のレイヴンに依頼しているようだし、ボク一人がサボっていてもバレないでしょ」 『――すみませんレイヴン。その依頼は既にサンドゲイル隊が受諾しています。手違いで表示されたままになっていました。今消しますね』 スワローの期待が、一刀の元に両断される。 「はあ……、旨い話だと思ったんだけどなあ。そう上手いこといかないか。何かカンタンそうなお仕事、他にないの?」 煙草とコーヒーカップを片手に、リクライニングチェアーでふんぞり返っているスワロー。 その姿を画面越しに見て、駄々を捏ねるレイヴンなんて聞いたコトない……、と呟いていたライラがとある依頼を提案してきた。 『こちらはどうですか。【クレスト資源庫襲撃】。クレスト社の保有する資源保管施設の設備と兵器生産用資源の破壊、とのことですが』 「お、カンタンそうじゃないか。報酬額はいくらだい?」 『30000Cです。良い条件かと』 「確かに破格だね。……依頼者は誰だい?」 施設襲撃の相場が10000C程度と考えると、かなり割りの良い条件である。 『武装集団クライムロック、だそうです。余り聞かない名前ですね』 「武装集団風情が相場の数倍で依頼、か。ふうん……怪しいな」 『そうですか?しかしレイヴン、これ以外今期の依頼で条件が合うものは見当たりませんが』 暫く黙考したスワローは、顔を上げると、渋々といった顔で画面のライラに向かって頷いてみせる。 「仕方ないな。分かった、その依頼受けよう」 『了解です。依頼の詳細を送ります。作戦は明後日0600開始です、機体の最終チェックはご自分でお願いしますね』 次の仕事も決まり、幾分晴れやかなトーンがライラの声色に混ざる。が、 「ねえライラ、この仕事が片付いたらどこか食事にでも行かない?ホラ、ボク専属になったお近付きってことでさ」 「お断りします」 スワローのナンパで一気に硬化した。 作戦当日の天候は、いつも通りスモッグと排気ガスを吸った灰暗い雲に覆われていた。『良い曇天』である。 絶好の殺戮日和――と、言えなくも無い。 『そろそろポイントに到達します』 ライラの声で思考の世界から現実に引き戻される。 (この子は仕事は出来るが、あんまり良いカオしてくれないなあ。まあ、そこが新人のいい所だけど) スワローはコックピットのコンソールに作戦の詳細を表示させる。 施設と倉庫の破壊。新人でも楽勝な仕事だ。 「アナンタ、戦闘システム起動」 【ラジャー、戦闘システム起動します】 『味気ない』という理由だけで、有名女優のボイスサンプルでカスタマイズしたAI「アナンタ」が、重量2脚機体「アロウズ」を奮い立たせる。 ちなみにカスタム料は当然ながら自腹だった。 『ハッチ展開。降下OKです』 ライラからGOサインが出る。 「んじゃサクサクっと終わらせて帰りますか」 ブースターに火を入れ、アロウズが汚れた空から汚れた地表へと、その身を躍らせた。 重力に身を任せ落下していく。 鈍重な機体は落下速度を増しながら、大地に落ちていく。 【高度3000…2500…2000…1500…】 アナンタが艶やかで無機質な音声で高度を読み上げる。 【1000…500…、400、300、200】 残り100mともなると、地表の建造物が肉眼でもはっきり見えてくる。 スワローはフットペダルを踏み込み、ブースターの推力で落下速度を相殺する。 ドズンッッ しかし、ブースター始動のタイミングが僅かに遅れ、無様な四股踏みを晒してしまった。 兵装であるバズーカなどは、全長が長いため、先端が柔らかい地面にめり込んでしまっている。 『見事な着地ですね、レイヴン』 間髪入れずにライラから皮肉が送られてきた。 「いやいや、これは演技だよエンギ。敵を油断させるための高度な駆け引きだよライラ」 「演技に夢中で奈落に落ちないようお願いします」 痛烈なライラの返しが来たところで、アナンタが周辺の状況確認を完了させる。 【スキャニング完了。周囲に動体反応、エネルギー反応ありません】 コホンと咳払いを一つ入れ、気を引き締め直し辺りを見渡す。 鬱蒼とした木々の中に、ポツンと人の手による建造物がある。 小奇麗な外見の建物の他に、格納庫や、(輸送機のためのものだろう)滑走路もついている。 「コレか。……倉庫というよりはなんか研究施設っぽいけどね」 『そうですね、私も同意見です』 「でもまっ、ここが指定ポイントだし、破壊してしまえば問題無いな」 話との食い違いにやや面食らいながらも仕事は仕事、細かな差異など良くある話だ。 スワローがバズーカを構え、トリガーを引こうと力を入れるのと、ライラが鋭く報告を入れるのは同時だった。 『広域レーダーに反応!3つの熱源体がこちらに高速で接近中!この反応は、……ACです!」 (タイミングが良過ぎるな。予感的中ってところか) 未確認ACは、レーダー上を真っ直ぐにアロウズの方へ向かってくる。 何が狙いかは明らかだった。 「ダメもとで何か言い訳でもしてみるかなー。ライラ、あちらさんに通信を」 『ダメです。応答ありません』 「うーん、『まだ』何もやってないから言い訳できるかなーと思ったけど、やっぱプロだよね。さすがさすが』 どのような言い訳を考えていたか知らないが、非情が売りであるレイヴンに、そのようなものが通用するわけがないのだが。 スワローはこの明らかな危機にも動揺が見られず、泰然としている。能天気なだけかもしれないが。 『え……、これは一体?未確認ACは接近を停止。こちらから一定の距離を保ち、第一種戦闘態勢のまま包囲している模様』 オペレーターのライラも困惑しているようだ。 攻撃もしてくるわけでもない。 しかし通信も受け付けない。 「変なことになったなあ」 『便宜上敵性と認定します。敵ACのデータの照合完了。どうやらクレスト所属陸軍のようです』 ライラがそっけなく報告を入れる。 「まあそうだろうね、クレストの管理下にいるんだから」 クレスト所属機ならば、何か警告なり威嚇なり――最悪攻撃をしてきても不思議ではない。 しかし、クレストACは沈黙を保っている。 気まずい硬直を打ち破ったのは、意外なものだった。 『資源保管施設に変化があり。格納庫が開かれていきます。……!?』 格納庫が開き、中のモノがスワロー達の目に映る。 『あれは、パルヴァライザー!?』 スピーカーからライラの驚愕した声がコックピット内に響く。 独特のシルエットに、オレンジを基調にしたツートンカラー。 両腕にはロングブレードの代わりにマニュピレーターが付いていてライフルを装備している。ディテールこそ違えど格納庫から姿を現した二脚型の機体は、幾度も人類と交戦してきた旧世代の機動兵器『パルヴァライザー』に酷似していた。 「いや、似ているが、違う。コアにクレストCCM-0V-AXEの特徴がある。アレは、少なくともACだな」 スワローが酷く落ち着いた様子で分析結果を述べる。 『ではクレストの新型AC?』 「……まあ旧兵器の技術は流用されているだろうね。鹵獲したパルヴァライザーから全く異なる機体制御技術のサルベージに成功したという話や、新物質によるジェネレーターのエネルギー効率の革新に成功したという話は耳にする。「ターミナル・スフィア」という墓荒らし集団の噂くらいは、ライラも知ってるだろう?」 『ええ、独立した軍事力を保有する少数精鋭の旧世代調査団体、と記憶しています』 「ま、あのババアは調査が一番仕事は二番とか抜かしてるしね。己の好奇心を満たすためだけに、パルヴァライザーをとっ捕まえることぐらいしてそうだな」 スワローの声に懐かしさが混ざる。 『レイヴンはターミナル・スフィアに知り合いがいるのですか?』 「……いや、まあ、ね」 ライラが不思議そうに聞くと、頬を掻きながら笑ってはぐらかされた。 この男にも何か言いたくない事があるようだ。 これ以上の詮索は無意味と悟ったか、ライラは新型ACの解析作業に移る。 『あの新型ACは起動していないようです。エネルギー反応がありません。それ以外の情報は残念ながら解析不可能です』 クレストの新型と思われるパルヴァライザーもどきは、不気味に首を垂れ、動く気配は無い。 クレスト軍のACも同様に動きは無い。 スワローも動くに動けず、バズーカを施設に向けたまま固まっていた。 この沈黙を破ったのは、やはりライラの状況報告だった。 『敵クレスト所属AC全機、こちらから離れていきます。索敵レーダー範囲から離脱を確認』 全く動きを見せなかった敵ACが、一斉にアロウズから離れていく。 やはり全くの無言だった。 「良く分からないな。何かあったのは確かみたいだが」 『衛星からの情報によると、どうやら北西に向かっているようです。我々の他にも侵入したACが居るようですね』 目の前の敵よりも脅威となると判断したのだろう。それともアロウズをこの新型に撃破させようとでもいうのか。 【敵眼前ACにエネルギー反応】 アナンタからの報告でスワローはレーダーから視線を引き剥がす。 今まで置物のように鎮座していた新型ACに灯がともっている。 数々のACを見てきたが、禍々しいと形容する他無い外見だ。 スワローは状況に対応できるように、敵新型ACをロックオン。いつでもトリガーが引けるように操縦把を握り込む。 だが注意していたにも関わらず、敵新型ACの機動が全く見えなかった。 レーダーで確認してようやく真上に垂直ジャンプしたのだと理解した。 「速い……!オーバード・ブーストか!」 エクステンションの補助ブースターではこれ程の推力は出せないはずだ。 しかし、ライラからの報告は予想を裏切るものだった。 『違います……、信じられませんが、通常のブースターとスラスターのみの推力です!』 通常のブースターのみでオーバード・ブースト並の出力があるということだ、この新型は。 (旧兵器だけかと思ったが、まさかあの技術まで組み込んであるのか!?) アロウズの真上を取った敵新型ACは、両手のバーストライフルを交互に打ち込んでくる。 直上からライフルの弾丸が降り注ぐ。 スワローはレーダーで位置を確認しながら機体を急速後退。しかし避け損ねた幾らかの弾がアロウズの装甲を削っていった。 「結局こうなるのか!」 二次ロックの掛からないバーストライフルの特性上からか、それともロックオンシステムに不備があるのか、どちらとも言えないが、敵の狙いは甘く、鈍重であるアロウズを捉え切れていない。 (無人機か?狙いはお粗末だな……。まあ、あの加速では常人どころか並の強化人間でも耐えられんが) しかし圧倒的なスピードでサイティングすらままならず、視界外からの射撃が容赦なくアロウズの装甲を削っていく。 【AP80%に低下】 アナンタがこちらの劣勢を淡々と告げる。 『本社に増援を要請しましたが、到着に1時間以上掛かります。レイヴン危険すぎます、撤退を』 ライラが撤退を推奨してくる。 だがスワローは無駄に冷静だった。 「あのスピードから逃げられると思うかい」 機動力に数倍の差があるため、尻尾を巻いて逃げたとしても、簡単に追いつかれるだろう。 あちらの通常速度は、こちらのオーバード・ブースト以上なのだ。 『しかし!』 尚もライラは食い下がる。「逃げて」と、そう言っているのだ。 小心者で、大した腕でもないこの男が、この方法意外で生き延びる術は無いはずだ。だから「逃げて」と、そう言っているのに―― 「まあこのままだと――死ぬね。間違いなく」 『だったら!』 ライラの声は悲鳴に近い。 「いいかいライラ、良くお聞き。オペレーターというのは常に冷静でいなければいけない。冷静に状況を判断し、レイヴンのサポートをしなければならない。良いオペレーターになりたいなら、この事を忘れてはいけないよ、いいね?」 上を取られた状態でスワローは回避行動を取り続ける。 だが、コンデンサー内のエネルギーもそろそろ蓄えがなくなってきている。このままではいずれ捕まり、蜂の巣にされるだろう。 『こんな時に何を……』 【AP60%に低下】 アナンタが無情に報告を続ける。 「勿論ボクもこのまま死ぬつもりなど毛頭無い」 意外なことをこの三流レイヴンが言い出した。まさか玉砕でもするというのか。 しかし次のスワローの言葉は、ライラにとって更に意外なものだった。 「ライラ、本社に回線09Xで緊急通信を」 『え……?しかし援軍要請は既に……』 「いいから!言う通りにするんだ」 『りょ、了解っ』 尚も敵新型ACからの攻撃は続いている。 反撃でバズーカを打ち返すが、ロックオンすらままならず、カスりもしない。 『レイヴン、回線繋ぎます。どうぞ』 コックピットコンソールに白衣姿の妙齢の美女が映し出される。 "あらスワロゥ、どう…の?実験……ないのに" 回線が安定していないのか、ジャミングでも掛けられているのか、ノイズ交じりの映像だったが、やがてはっきりとした線を結んだ。 「やあディタ、雰囲気で伝わると思うけどピンチでね。機体の使用許可を貰いたい。ASAPだ」 スワローにディタと呼ばれた女性は僅かに驚いた様子だったが、すぐに合点がいったようで、手元のキーボードを打ち始める。 『火急のようね。分かったわ、使用を許可します。認証コードの入力はそちらでお願いね』 「ありがとう恩に着るよ」 『いいのよ。それよりも面白い土産話を期待してるわ。ご武運を』 最後にウィンクを残し、ディタの姿が消える。 『レイヴン、今のは?』 「あー、ごめんライラ。機密ってヤツでね、君の階位では話すことができないんだ。それより少しの間通信を切らなければいけない。けど心配しないでくれ、必ず戻る」 ライラは少し逡巡したが、すぐに頷いた。 『――わかりました。ちゃんと戻ってきたらデートのコト、考えてあげてもいいです。どうか、ご無事で』 ライラの声を聞き終えると、スワローは通信を切った。 「これは俄然やる気が出てきたな」 そう言ってスワローは獰猛な笑みを浮かべる。 普段の飄々とした態度とはかけ離れた、兇悪な猛禽の姿がそこにあった。 オーバード・ブーストで一旦距離を取り、左手の携行グレネードをパージして敵新型ACに投げつける。 勿論当てるのが目的ではない。 「ちょっと時間を稼がせてもらう」 ロックオンを『グレネードに』向け、トリガーを引く。 バズーカの砲弾が、放物線を描いてアロウズと敵新型ACとの間に投げ込まれた携行グレネードに当たり、弾薬に誘爆して紅蓮の壁を作り出す 炎の壁は、敵新型ACの姿を赫光で覆いつくす。 爆炎が視界を遮っている内に、アロウズを後退させコンソールにプログラムコードを入力。 「アナンタ!コードNX-28483だ!」 コードを確認したアナンタが命令を復唱する。 【イエス、マスター。コードNX-28483確認『ARROWS』起動します】 その瞬間、アロウズの機体が爆ぜた。 いや、爆発したように見えた。 実際には指向性の形成炸薬が増設した装甲を吹き飛ばし、本来の姿を晒し出しただけだ。 現れた新しい機体には、ミラージュ社に見る流線型の美しいフォルムに、クレスト社に見る直線のマッシブさが融合している。 塗装も迷彩も施されていない銀色の中量2脚が、鈍重な重量級の装甲を弾き飛ばし出現した。 腰部からパルスライフル程度の大きさの短身銃を取り出す。 小型軽量化されたプラズマライフルだ。 【インテグレイトコントロール接続】 コックピットのシートからプラグがせり出しヘルメットに合着。そしてスワローの脳神経と機体システムが直接接続される。 内部外部問わず、大量の情報がスワローの脳に直接流れ込んで来る。 「ぐ、うぅッ!」 脳を圧迫するほどの情報量に、スワローの顔が苦痛に歪む。 【コジマ粒子、安定しました。クイックブーストスラスターオールグリーン。200秒間のみ戦闘推力での稼働が可能です】 「……ふぅ。3分もあれば十分だ。」 自分の体に力がみなぎるような錯覚に、否が応でも気分が高揚する。 もはや自分は狩られる側ではなく、狩る側なのだ。 視界の回復したらしい敵新型ACが猛スピードで突っ込んで来る。 ライフルがアロウズの肌を喰い破ろうと襲い来るが、後方に一瞬で100m程飛び退り、回避する!こちらも通常ACでは考えられない速度だ。 強烈なGが、スワローの骨格を軋ませる。 「……ッ!飛ばし、過ぎだ!アナンタ!Gキャンセラー効いてないぞ、どうなってる」 【Gキャンセラーはオミットされています】 「そういやそうだった……。」 敵もこちらの変化に気付いたのか、今まで以上の速度で追い縋る。 「クソッ、無傷では帰れそうにないな!」 後退しながらトリガーを引き絞る。 破壊力を追求したプラズマがパルヴァライザーもどきに迫るが、弾速があまりにも不足していた。 余裕綽々で回避される。 「普通に撃っては当たらないか。……アナンタ、ロックオンを解除。手動でやる」 【ラジャー、オートロックオン解除】 相手の機動予測をコンピューターに任せていては当たらないと考えたスワローは、火器の生命線とも言えるロックオンを外す。 (無人と有人の決定的な差を教えてやるよ。閃光で怯んだりした所を見ると、視覚情報メインでの回避運動か。ならば!) プラズマライフルをわざと一定の射線で撃ち、敵新型ACを研究施設の方向へ誘導していく。 (お前の弱点はその馬鹿げた機動力だ) その時耳障りな警告音が響き渡る。聴覚も研ぎ澄まされているスワローは思わず耳を塞ぎそうになった。 【銃身異常加熱。40秒後に爆発します】 「これだからエネルギー兵器は大嫌いなんだよッ!」 スワローはアナンタに向かい怒鳴り散らす。 (まあいい、その前にケリをつけるだけだ!) スワローは後退から一転して追撃の姿勢を取る。 プラズマの光弾に追い立てられた敵新型ACは、施設の壁に沿うように回避し続けている。 しかし目の前を壁で塞がれてしまった。スワローは最初からこの場所へ誘い込むために、ワザと避けやすく撃っていたのだ。 築壁とプラズマに挟まれた敵新型ACは、他に逃げ場が無いと悟ったか、真上に急速上昇する。 (そうだ、もう上にしか逃げ道はない) スワローの予測通り、真上にクイックブーストをかけた敵新型ACの左足を、プラズマが撃ち抜いた。 パーツの部品と火花を撒き散らし、片足を失いバランスを崩した敵新型ACは、回転しながら施設の壁に叩き付けられる。 轟音を上げ、コンクリート片と埃煙が舞い上がった。 「チェックメイトだ」 ようやく体勢を立て直した敵新型ACのコアを、アロウズのプラズマが正確に撃ち砕いた。 【目標の沈黙を確認。エネルギー反応、動体反応共にありません。インテグレイトコントロール解除】 中枢を完全に破壊され、機能を停止した新型ACを確認し、スワローは溜め込んだ息を盛大に吐き出した。 「くはっ、色々と疲れた……」 一息ついたのも束の間、小型プラズマライフルが過剰熱量に耐え切れず爆発する。 格納武器はこれ一つだけなため、今のアロウズは丸腰ということになる。 「あー、……まあ敵を倒した後だからいいか」 自壊炎上する大嫌いなエネルギー兵器を見ながら、スワローはポツリと呟く。 【広域レーダーに反応。先程のクレストACが一機接近中です】 「ふむ。新型の反応が消失したから驚いて戻ってきたって所かな。一機だけだとすると、他の二機はまだ戦闘中か、あるいは……」 煙を上げ、動かなくなった敵新型ACを見やる。 「手土産に腕の一本でも持って帰りたいところだけど、荷物抱えて逃げ切れそうにも無いな。口惜しいけど諦めるか」 【クレストAC、索敵レーダー範囲内まで接近。マスター、ご命令を】 アナンタが状況の判断を促す。 「仕方ないな、このままサッサと逃げることにするか。アナンタ、亜音速推力でオーバードブースト機動」 【ジェネレーターの電圧が不足しています。亜音速推力では起動後116秒後に機能停止します】 「……、じゃあ準戦闘推力で起動だ」 【ジェネレーターの電圧が不足してい……】 「分かったよ!通常巡航用推力で起動だ!」 【ラジャー、オーバード・ブースト、スタンバイ】 溜息をつきながら、スワローは今回の戦闘を思い浮かべる。 あの新型には旧兵器の技術と、不完全ながらも「例の技術」が使われているのは間違いない。 このアロウズもその技術を流用して作られた試験機だ。 (やはり企業連中も本格的にNEXTに取り組み始めたか……。また面倒なことになりそうだなあ) 【オーバード・ブースト始動】 噴射炎を引きながら、アロウズがクレストの領空を疾駆する。 「アナンタ、グローバル・コーテックスに通信回線を開け。輸送機に迎えに来てもらおう」 【ラジャー、回線開きます……】 (さて、ライラには何て言い訳しようかな?) スワローが何よりも真っ先に思い浮かべたことは、可愛い可愛い自分専任のオペレーターだった。 第四話 終 →Next… 第五話 コメントフォーム 名前 コメント
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語句を追加可能な辞書を使ってランダムに文章を作るソフトウェアです。 ファイル構成 RG.exe 実行ファイル tree.txt カテゴリー名設定ファイル(編集しないで下さい) word.ini 辞書ファイル(編集しないで下さい) 使い方 語句の追加上部タブから「単語編集」をクリックして単語編集ページに切り替える 左カテゴリーツリーから語句を追加したいカテゴリーをクリックして選択する 「単語追加」ボタンの左にある欄に語句を入力する 「単語追加」ボタンをクリックして語句を追加する 文章を作る上部タブから「文章作成」をクリックして文章作成ページに切り替える 左上の「生成」ボタンをクリックして文章を作成する カテゴリー名を変更する変更したいカテゴリーを選択し、一拍置いてもう一度クリックする カテゴリーが編集状態になったら変更したい名前を入力する (※同じカテゴリー名を複数登録することは出来ません) 登録済みの単語を編集する単語編集ページの右のリストから編集したい単語をダブルクリックする 編集状態になったら変更したい語句を入力し、「Enter」で決定する FAQ バックアップを取りたいバックアップを取る場合はtree.txtとword.iniをコピーして保持しておき、バックアップを復帰したい時に既存のtree.txtとword.iniに上書きしてください カテゴリーの下に表示されるグループについてカテゴリー名 現在のカテゴリー名 (編集できません) 出現確率 文章に出現する確率です (0-100%) 出現位置 文章に出現する位置を固定します (0を指定した場合ランダムに決定されます) 出現位置を文章の長さの基準にする 設定中の文章量よりも出現位置の方が大きい場合、文章量を出現位置まで増やします 重複を許可する チェックすると文章中に複数回出現することがあります チェックボックスについてチェックがついていない項目は文章生成の際に候補になりません カテゴリーの「本文語句」などの親項目のチェックは、それに属する子項目も影響を与えます 最新版 RandomGenerator不具合の修正 句点指定を追加 小カテゴリーにもチェック項目が機能するように修正(「接続語句」のチェックを外せば「順接」などの連なるカテゴリーが出現しなくなります) コメント 名前
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Los Santos Underground Radio Los Santos Underground Radio概要 説明 プレイリスト 場所 余談 概要 ジャンル:ハウス 、テクノ 、エレクトロニック 所在地:ロスサントス 周波数:- 楽曲数:65曲(18+18+15+14) DJ:Solomun 、Tale Of Us 、Dixon 、The Black Madonna 説明 「ナイトライフ」アップデートで追加されたラジオ局。当初はGTAオンライン専用だったが、「アリーナウォーズ」アップデートでストーリーモードでも選局できるようになった。 プレイリスト ソロモンミックス アーティスト名 曲名 発売年 Am$trad Billionaire The Plan 2013 Ara Koufax Natural States (Edit) 2017 Swayzak In The Car Crash (Headgear's Always Crashing In The Same Car Mix) 2002 D. Lynnwood Bitcoins (Original Mix) 2018 Bryan Ferry Don't Stop The Dance (Todd Terje Remix) 2013 Denis Horvat Madness Of Many 2018 Johannes Brecht Page Blanche 2018 Solomun Ich Muss Los 2018 Matthew Dear Monster 2018 Truncate WRKTRX3 2018 Floorplan Spin 2016 Cevin Fisher The Freaks Come Out (2000 Freak Mix) 2000 Chris Lum You're Mine (Clean Version) 2014 Alex Metric Ten Ven The Q 2018 Solomun Customer Is King 2018 Adam Port Planet 9 2018 Dubfire The End To My Beginning 2018 Leonard Cohen You Want It Darker (Solomun Remix) 2016 テイル・オブ・アスミックス アーティスト名 曲名 発売年 Tale Of Us Overture 2018 Tale of Us 1911 2018 Tale of Us Trevor's Dream 2018 Tale of Us Vinewood Blues 2018 Tale of Us Anywhere 2018 Tale of Us Symphony Of The Night 2018 Tale of Us Another World 2018 Tale of Us The Portal 2018 Tale of Us Solitude 2018 Tale of Us Morgan's Fate 2018 Tale of Us Fisherman's Horizon 2018 Tale of Us Myst 2018 Tale of Us Seeds 2018 Tale of Us Endless Journey 2018 Tale of Us Valkyr 2018 Tale of Us In Hyrule 2018 Tale of Us Disgracelands 2018 Tale of Us Heart Of Darkness 2018 ディクソンミックス アーティスト名 曲名 発売年 Carl Finlow Convergence 2004 Caravaca Yes I Do 2017 Warp Factor 9 The Atmospherian (Tornado Wallace Remix) 2017 Mashrou' Leila Roman (Bas Ibellini Mix) 2018 Future Four Connection (I-Cube Rework) 2018 Rite De Passage Quinquerime 2018 The Egyptian Lover Electro Pharaoh (Instrumental) 2018 Marcus L. Telstar 2018 Romanthony Bring U Up (Deetron Edit) 2012 Solar 5 Seconds 2017 Sharif Laffrey And Dance 2018 Ron Hardy Sensation (Dub Version) 1985 Aux 88 Sharivari (Digital Original Aux 88 Mix) 2013 Oni Ayhun OAR003-B 2012 TCK FT. JG Reach Out Your Hand (Erol Alkan Rework) - GTA Edit 2018 ザ・ブラック・マドンナミックス アーティスト名 曲名 発売年 Ron Hardy Sensation 1985 Derrick Carter Where Ya At 2002 Tiga Bugatti 2016 Metro Area Miura 2002 The Black Madonna A Jealous Heart Never Rests 2013 Art of Noise Beat Box 1984 The Black Madonna ft. Jamie Principle We Still Believe 2018 Nancy Martin Can't Believe 1982 P-Funk All Stars Hydraulic Pump Pt. 3 1983 Steve Poindexter Computer Madness 2003 Ten City Devotion 1989 The Black Madonna We Can Never Be Apart 2013 Joe Jackson Steppin' Out 1982 The Black Madonna He Is The Voice I Hear 2017 場所 個々の楽曲 以下の場所で聞くことができる。ナイトクラブ 収録されているいくつかの曲は以下のロックスター・ゲームスの公式トレーラーに使用されている。Metro Areaの曲「Miura」は「GTAオンライン」に7月新登場 に使用されている。 TCK(Tuff City Kids)の曲「Reach Out Your Hand (Erol Alkan Rework) - GTA Edit」はGTAオンライン:ナイトライフ に使用されている。 余談 CMが無いラジオ局の1つで、プレイリストの順番は固定。 「ナイトクラブ」アップデートのバージョンではオンライン専用だったが、「アリーナウォーズ」アップデートでストーリーモードでも選べるようになった(同時にこのラジオ局で流れる曲が、選んでいるレジデントDJによって変わる機能も廃止された)。 GTA SAに収録されているラジオ局にSan Fierro Underground Radio(SF-UR)が存在した。 ソロモンミックスは2018年7月31日に最初に追加され、テイル・オブ・アスミックスは2018年8月7日に、ディクソンミックスは2018年8月14日に、ザ・ブラック・マドンナミックスは2018年8月21日にそれぞれ追加された。 Ron Hardyの曲「Sensation」の聴き比べができたり、Art of Noiseの曲「Beat Box」やJoe Jacksonの曲「Steppin' Out」といった過去作の収録曲を楽しめるのも魅力。 ラジオ局の収録曲の数はダントツで最多。全て聴き切るまでに4時間ほど掛かる。 上へ
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第四話/ /第五話*② 第五話 執筆者:クワトロ大尉(偽) 人類を襲った未曾有の危機、『アーセナル・ハザード』により世界が荒廃して5年。 世界は混迷を極めていた。 企業は己の利権を広げようと躍起になり、政府は政治主導を企業に乗っ取られるのを危惧して勢力の立て直しと拡大にのみ力を注いだ。 誰も自分の手に余る世界などというものを救おうとはせず、ただ己の幸福を追求した。 結果、企業や政府に係り合いのない多くの人々は虐げられ弱肉強食の分かりやすい理論が横行していた。 金のない人間は常に古代兵器の襲撃に怯え、金のある人間は安全な場所で豊かな暮らしを約束された。 コロニー『エデンⅣ』。各企業がしのぎを削る商業区画の隣に位置する居住区画。 快適な環境のマンションが立ち並ぶ居住区画だが、その中でもひときわ快適な高級マンションの一室で、若い男が通信用マルチコンソールに向かって何者かと会話していた。 「この情報は確かなんだろうな。信頼できるソースなのか」 企業の重役が座るようなチェアにもたれかかりながら男がコンソール越しに話しかける。 「各方面からの情報を整理した結果だ。各企業の機密情報からネットの掲示板書き込みまで色々とな。その中でも特にミラージュの情報は信頼できる。何せ主催者だったんだからな。まあ信頼度は80%といったところかな」 コンソールの向こう、ジャーナリスト風の30代の白人男性が資料を片手に自慢の顎鬚をさすりながら答えた。 「ほう。あんたが80%と言うからには、自信があると思っていいんだな、ジェイスン」 端正な顔立ちをした二十代後半と見られる男が口元を少し緩ませながらコンソールの向こう側の情報エージェント、ジェイスン・ランバートに語りかける。 友人に語りかけるような砕けた口調だったが、その目は真剣だった。猛禽類を思わせるような鋭い眼光は歴戦の戦士のそれだ。 「当然さ。これでメシを食ってるわけだからな。それに、お前相手に嘘はつかないよ。凄腕のレイヴン、ソリテュードに喧嘩売れるほどの度胸は持ち合わせていないんでね」 それを聞いて、ソリテュードと呼ばれた男はやっと表情を緩ませた。 「オーケー、やっぱりアンタは一流だ。じゃあ、今回の依頼はこれで完了ということにしよう。報酬はいつもどおり口座に振り込んでおく」 表情と同時に口調も柔らかいものへと変わる。 「そいつはありがたい。ちょうど美味いものが食いたいと思っていたところなんでね。そうだ、今後についてはどうする。引き続き調査しようか」 「いや、これ以上突っ込んでも今は何も出ないだろう。後は当事者に聞くさ」 「了解だ。じゃあ次の依頼を待っているよ。まあ、しばらくは食うのに困ることは無さそうだからな」 すっかりリラックスムードのジェイスンの片手にはウィスキーのグラスが握られていた。 「好きなだけ飲んで食ってくれ。また必要になったら連絡する。次は直接会って一杯やろう。じゃあな」 そう言って、コンソールを切ると、ソリテュードは短く切った黒髪をかき上げながら、ジェイスンからの情報を自分の頭の中で整理した。 「なるほど、そういうことだったか」 ジェイスンからの情報でソリテュードの頭を占めていた疑問のほとんどが解消された。 しかし腑に落ちない点があるのも事実だ。これはもう自分で解決する以外ないだろう。 どのみち近いうちに会うことになるだろうから、その時に確かめればいいことだ。 コンソールの脇に置いてあったコーヒーを手に取ると、椅子から立ちあがって窓際へと足を運んだ。 窓から見える作り物の空を見上げながら一人つぶやく。 「しかし・・・サンドゲイルとは意外だったな。まったく物好きなヤツらだ」 ―サンドゲイル― どの勢力にも所属しない遊撃隊で、傭兵というよりは何でも屋に近い性格をしているが、保有ACとレイヴンの実力は噂になっている。 ジェイスンの調査で現在の主力は4機のACで、しかもそのうちの2機は少年と少女が操縦しているらしい。 まあ今の時代、特に珍しいことではない。世界が荒れるほど兵士の年齢は若くなっていくものだ。 しかし、それならばむしろ納得のいく話だ。若いレイヴンならばそういう行動もあり得るだろう。 コーヒーを一口飲むと、ジェイスンから送信された調査資料を手に取り、目を落とす。 そこには、まだあどけなさが残る少年の顔写真と経歴、そして搭乗ACのスペックまでもが詳細に記載されていた。 「マイ・アーヴァンク、か。・・・少年、その拾い物はいささか君の手に余るぞ」 いずれ戦場で相まみえることになるだろう、若いレイヴンに届かない言葉を投げかける。 少し冷めた残りのコーヒーを一気に飲み干すと、資料をファイルに仕舞い、再びマルチコンソールへ向かう。 メールをチェックすると、企業からのパーツモニターの依頼や政府からのくだらない称賛のメール、アリーナのファンレターなどが確認するのも面倒なほど受信されていた。 それらに一通り目を通しながらメールを処理していると、軽快な電子音が耳に入った。 重要メールの受信ボックスに新着メールが届いたことを知らせるメロディ。 レイヴンにとっての重要メールとは無論、仕事についてのメールに他ならない。 作業の手を止め、すぐにメールを開く。 差出人はミランダ・キリシマ。ソリテュードの専属オペレーターだ。 ―レイヴン、緊急の依頼があります。依頼を受ける場合は3時間以内に専用ネット経由で返信、もしくは連絡してください。依頼の概容は以下の添付ファイルの通り。以上、緊急依頼の報告でした。― 相変わらず簡潔で分かりやすい内容だ。 今年で10年の腐れ縁だが、今も昔も仕事のスタイルは変わらない。 俺がレイヴンとなったのと同じ時期にミランダもオペレーターとなり、お互い新人の頃から今までやってきたが会ったことなんて数えるくらいしかない。 それに俺と同い年なのに、二児の母ってのが笑っちまう。こちとらまだ独身だってのに。 そんなことを思いながら添付ファイルを開き、概容をチェックする。 依頼は政府からだった。 エデンⅣの管理局が難民受け入れを拒否したことにより、テロリストの報復予告を受けたらしい。 すでに管理制御区の一つへ侵入の痕跡があり、難民受け入れと多額の賠償金の支払いがなければ攻撃を断行するとのことだ。 エデンⅣの管理制御は各ブロックによって独立しており、多数のバックアップもある。 それに中枢制御装置が破壊されない限りエデンⅣのシステムはダウンしない。 管理制御区の一つが破壊されたところでエデンⅣ全体には何の支障もないが、絶対的な安全性を売りにしているエデン管理局としては自分たちのセールスポイントに傷が付くことは何としても避けたいのだろう。 しかし、政府は本当にバカ揃いだ。 たかだかテロリスト相手に侵入を許すとは政府軍の警備部隊もたかが知れている。 自分たちの手に余るからとレイヴンを雇ったのでは、自分たちに力が無いと言いふらしているようなものだ。 まあ、政府軍にはロクなAC乗りがいないし、テロリストがレイヴンを雇っているか、もしくは保有している可能性だって十分考えられる。むしろそう考えた方が自然だ。 エデンⅣのセキュリティシステムは中々のものだし、MTぐらいなら、いくらなんでも警備部隊で何とかできたはずだ。 報酬は緊急の依頼だけあって上々だ。仮にACを相手にしたとしても十分釣りがくる。 ――悪くない。 そう判断したソリテュードは、すぐにグローバルコーテックス専用のネットワークで依頼受諾のメールを送信した。 メール送信後、ACガレージのアセンブリ画面を開き、機体の確認をする。 整備状況は万全。 パーツアセンブリも機動戦重視のオーバードブーストタイプでレーザーライフルとブレード、ミサイルのいつもの組み合わせで問題ないだろう。 最終確認終了、起動待機のコマンドを実行し、アセンブリ画面を閉じた。 アセンブリを終了したのと同時に、グローバルコーテックス専用通話回線を通じてコールが入った。 コンソールのパネルをタッチすると通信回線と画像が開く。 相手はオペレーターのミランダだった。 「先ほど依頼の受諾を確認しました。先方には連絡済みです。速やかに依頼を履行してほしいとのことですので、1時間以内にガレージまでお越しください。レイヴンが到着し次第、ミッションを開始します。何か質問はございますか」 整った顔立ちと栗色のショートヘアーが特徴的な美人だが、つとめて平静に、かつ無表情で必要事項だけを淡々と述べる。 声も綺麗で口調も丁寧だが、一切の感情が込められていない。 だが、それで構わない。彼女はプロなのだ。 そして俺もプロだ。余計な感情は必要ない。 「いや、特にない。今からすぐに出る。30分後には着けるだろうから、作戦内容と状況を整理しといてくれ」 「了解しました。お待ちしております。では」 通信回線が切れると同時に画像ウィンドウも閉じる。 マルチコンソールを待機モードにすると、ハンガーに掛けてあったフライトジャケットを引っ掴み、袖を通す。 多少の現金と各種認証カードが入ったサイフをズボンのポケットにねじ込み、部屋を後にする。 リビングを横切り、玄関に向かおうとしたとき、不意に隣の部屋のドアが開いた。 そこからひょっこり顔を出したのは年端のいかない少女だった。 「どこいくの、ソリッド」 少女らしい幼い声でソリテュードに語りかける。 その細い腕には大きなウサギのぬいぐるみが抱かれていた。 「ああ、これから仕事に行ってくる。急な依頼でね。悪いがいつもみたいに留守番しててくれ、アリス」 「しごと?」 トテトテとソリテュードに近づき、首を傾げる。 アリスと呼ばれたその少女は、今の時代に不釣り合いな格好をしていた。 まるでおとぎ話にでてくるようなゴシック調のドレスを身に纏い、小さな頭には大きなリボンが結ばれている。 「なに、簡単な仕事さ。すぐに戻ってくる。腹が減ったらケータリングでも頼むといい。好きなものを食べていいぞ。注文の仕方は知ってるだろ」 アリスはソリテュードを見上げると一拍置いて口を開いた。 「また、ころすの?」 何気ない一言だったが、その口調にはまるで感情が込められていなかった。 アリスは物凄い美少女であるが、その表情には喜怒哀楽の一切が無く、何を考えているか分からない。 まるで生きている人形のようだ。 ソリテュードは感情というものを与えられなかった少女に向き直り、大きく澄んだ赤い瞳を見ながら言いきった。 「ああ、殺す。それが俺の仕事だからな」 それを聞いた少女は納得したようにコクンと頷いた。 「じゃあ、いっぱいころしてきてね」 そう言ったアリスは、殺すということに何の疑問も抱いていないような様子だった。 しかし、それの言葉を聞いたソリテュードは、さすがに少し顔をしかめた。 「なあ、アリス。そういう時は『がんばってきてね』って言った方がいい。その方が、複数の意味が含まれていて便利だからな」 自分の予想とは違った答えにアリスは少しだけきょとんとした表情になったが、すぐに無表情に戻り、再びコクンと頷いた。 「わかった、メモリーする」 それきりアリスは黙ってしまった。 もう話すことは無いという彼女の意思表示なのだろう。 いつもの事とはいえ、彼女の妙な言い回しにソリテュードはもう一言くらいツッコみたい気分だったが時間が無い。 「じゃあ、行ってくる」 そう言うと、アリスに背を向け今度こそ部屋を後にする。 ドアが閉まるまでアリスはリビングに立ちつくしたままだったが、その視線だけはソリテュードを見送っているようだった。 マンションを出ると、大都市の喧騒が少し耳障りだった。 エデンという名が示す通り、ここに争いは無い。 実際にはエデンⅣ内部でも、今回の依頼のように戦闘が行われることがある。 しかし、人々がそれを知らなければ無いのと同じだ。 街を行き交う人々は自分たちに紛争や古代兵器の襲撃など関係が無く、どこか遠い世界の出来事だと思っている。 おめでたいヤツらだと思う反面、ソリテュードにとってはどうでもいいことだった。 他人の人生などに興味は無い。 あるのは自分が今のこの世界でどうやって生きていくかということ、それだけだ。 マンションから歩いて3分もかからない所に、エデンⅣ全体を網羅するリニアモーターカー、通称『リニア』のターミナルがある。 リニアは移動速度が車より圧倒的に速いので住民の交通機関の要になっている。 リニアのターミナルには一般車両の他に専用車両と専用路線があり、専用路線は主に政府関係者や企業の重役、それに俺たちのような特殊な職業むけに作られていて、当然グローバルコーテックス専用路線も存在する。 俺たちレイヴンはグローバルコーテックス本社にはまず用が無いので、行き先は自分のACガレージがアリーナになる。 専用路線には隔たるものが何もないので、数キロ離れたガレージへも10分もかからず到着できる。 しかも直通路線になっているので、乗り込んだ後は座っているだけで、自分の愛機が待つガレージへとたどり着くことができるのだ。 人々が行き交うターミナルの改札をくぐり、人の流れとは別の方向へと足を向ける。 専用路線のゲートはがらんとしていて人はまばらだった。 ゲートから出入りする数少ない人たちは皆スーツ姿で俺のようなフライトジャケットとジーンズというラフな格好のものは皆無だった。 俺に怪訝な視線を送る人間は、俺の行き先がグローバルコーテックス専用ゲートだと気付くと途端に目を逸らす。 当然の反応だ。今この世で一番物騒な職業の人間が自分の近くを歩いていたら誰だって距離を置く。 まあ別にどうということはない。むしろ余計な干渉をされないので好都合だ。 専用路線のゲートの前まで来ると、カードスロットに認証カードを滑らせる。 間抜けな電子音がした後、ゲートが開き、地下路線特有の淀んだ空気が鼻をくすぐった。 ターミナルへ入ると、自動的に隣接する格納庫から一人乗り用のリニアが運び出され、ドアを解放し、俺を迎え入れた。 いくら所属が同じといえども、レイヴンはミッションで協同する以外は敵でも味方でもないため、リニアも無用なトラブルを避けるために乗り合いではなく一人乗りが用意されている。 まあ、この専用路線を使うには、ある程度レイヴンランクが必要なのだが。 リニアに乗り込むと、認証カードをスロットに通し、コンソールに表示された行き先を確認してコンソールのエンターにタッチする。 後は機械任せだ。黙って座っていればいい。 リニアは音もなくゆっくりと滑り出すと、ものの10数秒で時速500キロ以上に達し、弾丸のように地下道を疾走していった。 リニアに乗り込んでから数分でグローバルコーテックス本社地下階層にあるガレージへと続くターミナルにたどり着いた。 リニアから降りて、ガレージへと続く専用通路を歩いて行く。 通路を行く途中、数度のセキュリティチェックをパスし、最後の隔壁の前で複数の生体認証とチェックコードをパスすると重々しいゲートが解放され、やっとガレージに到着した。 自宅のマンションを出てから約25分。まるで学生が学校に通学するような手軽さだ。 手荷物は何も持ってきていない。必要なものは全てガレージのロッカールームに保管されている。 ガレージに入ると、隔壁が閉じる少し前に照明が常夜灯モードから全点灯に切り替わる。 明るく照らされた巨大な空間。 その中心には鋼鉄の戦士がそびえ立っていた。 俺の愛機、『ブリューナグ』。 やや白に近いライトグレーのACは主が乗り込むのを待ちわびているようだった。 愛機を横目に見つつ、ロッカールームへと足を運び、パイロットスーツに着替える。 パイロットスーツを身に纏ったソリテュードの顔つきはすぐに歴戦の凄腕レイヴンのものへと変化する。 猛禽類を連想させる鋭い眼光に射抜かれたものはそれだけで戦意を喪失するだろう。 ソリテュードはこの瞬間、死を運ぶ魔鳥の化身となった。 全ての準備を整え、ヘルメットを片手にブリーフィングルームの通信用コンソールを操作し、回線を開いた。 「こちらソリテュード。準備完了だ。作戦内容の最終確認を頼む」 すぐにコンソールから返答が返ってくる。声の主はミランダだった。 「了解しました。作戦課からのミッションデータを転送します」 コンソールにミッションエリアと確認されている敵戦力、侵入経路の複合3D映像が映し出される。 「今回のミッションエリアは東地区の第一管理制御区、制御棟地下3階。制御装置が設置されている階層です。構造自体は単純ですが、通路が狭く回避スペースにあまり余裕がないようです」 ミランダが捕捉説明を入れる。 コンソールからは声だけしか聞こえない。 ミッション用の通信コンソールに通話映像など必要ないので機能がカットされているからだ。 「なんだよ、最深部まで侵入されているじゃないか。まったく、どれだけ役立たずなんだ、政府軍は」 「一応それなりの損害を与えているようですが、所詮足止めにもならなかったようです」 俺のボヤキにも捕捉を入れるミランダ。 どうやら政府軍が役立たずという考えは共通しているらしい。 「それで、敵勢力は」 「確認されているのは重装MTが6機、二個小隊のようです。それからアンノウンの高熱源体が1機。作戦課は85%の確率でACと判断しています」 なるほど。奇襲作戦を実行するのには、おおむね理想的な戦力だ。 となると金目当てのゴロツキではなく、少なくとも組織形態を持ったテロ集団とみたほうがいいだろう。 「敵勢力の組織は判明しているのか」 「犯行声明はテログループ『パニッシャー』として出されています。ただ、真偽のほどは定かではありませんが」 ――パニッシャーか・・・。 パニッシャーは名の通った筋金入りのテログループで、難民の救済を名目に、富裕層が住むシェルター都市やコロニーに難民受け入れを強要し、相手が突っぱねるとテロを実行して多額の金を要求する。 正に今回の手口そのものだ。 ただ、今回のやり方は規模が小さいように見える。 ヤツらの組織の規模なら同時多発テロも実行できたはずだ。 となると名を騙り手口をまねた模倣犯か、組織の末端が独断で行ったかのどちらかだろう。 まあどちらにせよ、殲滅することに変わりは無い。 状況は把握できた。 後は実行するのみだ。 「オーケー、ブリーフィングを終了する」 「了解しました。では出撃をお願いします。ミッションエリアまではサービストンネルを通じてAC運搬用リニアで輸送します。ゲート解放後、5番ACターミナルまで移動してください」 「了解すぐに出撃する」 通信用コンソールをシャットダウンすると、ヘルメットを被り、ブリーフィングルームを後にした。 タラップを上がり、コクピットへと滑り込む。 既にリモート操作でアイドリング状態になっていた愛機を起動するため、OSにパスコードを入力し、スリープを解除する。 OS起動と同時にジェネレーターから膨大なエネルギーが機体各所を駆け巡り、鋼鉄の戦士が目を覚ます。 コクピット内のすべてのディスプレイ、スイッチ、パネルその他諸々に火が灯り、コクピット内を妖しく照らし出す。 すべての機能が立ちあがり、メインディスプレイにカメラアイからの画像が映し出されると同時に搭載AIのボイスが準備完了の旨を告げる。 『システム、通常モードにて起動』 自分でもコクピット内すべての計器類に目を走らせチェックする。 問題無し。 「よし、手早くすませるか」 そう自分を鼓舞するように口に出すと、コントロールレバーを握り、スロットルを吹かした。 それに呼応するように、鋼鉄の戦士は重々しくその一歩を踏み出す。 ゲートから出ると、ミランダの指示どおりAC専用連絡通路を通って5番ACターミナルへと急ぐ。 ACターミナルとはACをガレージから発進させた後、適切な輸送方法にて迅速にミッッションエリアまでACを運ぶための施設だ。 地下に設営されており、輸送機や輸送ヘリ、今回使われるAC運搬用リニアなどが格納されている。 ターミナルに着くと、すでにリニアが用意されていた。 ミランダから通信が入る。 回線を開くと、いつのも淡々とした調子で指示を送ってくる。 「リニアに搭載、固定を確認後すぐに射出します」 「了解」 ACをリニアの荷台部分に乗せると、オートで脚部が固定され、抵抗を減らすために膝立ちの状態になる。 一拍置いて、ガクンと大きな振動がコクピット内に伝わってくる。 「固定完了しました。10秒後に射出、ミッションエリアまで輸送します」 リニア線路上のゲートが解放されるのと同時に、AC駆動音とは別の重低音が響いてくる。 リニアを高速射出するために電力を充填している音だ。 「カウントダウン開始します。10・9・8・・・・」 ミランダの規則的な声に耳を傾けつつ、射出の衝撃に備える。 「・・4・3・2・1、発進」 直後、レールガンの発射音のような轟音と共に、背後からの凄まじい圧力に襲われる。 リニアは時速500キロ以上でトンネル内を疾走していく。 民間用リニアのように、Gキャンセラーは付いていないし、OB用のGキャンセラーも今は機能していない。 強烈なGを感じながら目を閉じ、ミッションエリア到達までの間、頭の中でブリーフィングの情報と、これまでの戦闘経験を基に戦術をシミュレートをする。 イメージは大事だ。漠然と戦っていたのでは、いつか行き詰る。 まだ見ぬ敵をイメージし、その殲滅方法を頭にトレースする。 →Next… ② コメントフォーム 名前 コメント
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llList2ListStrided list llList2ListStrided(list src, integer start, integer end, integer stride) リストsrcのstart番目の要素からend番目の要素に関して、stride個ごとに要素を抜き出した別のリストを返す。 ストライダーとは馳夫のことであるが、ここでは意識しなくて良い。 しかしながら、気になる方のために簡単に説明しておくと、 「馳夫」→「大股でスタスタ歩く」→「階段とかも何段か飛ばしで登る」→「リストの要素を何個か飛ばしにする」 こんなイメージ。 一定間隔でリストを抜き出すメリットは、リスト上のデータ管理を以下のように行うことが可能になるからだ。 [key1, value1, key2, value2, key3, value3....] 時々見かけるかと思うが、キーと値を繰り返して管理するようなリストである。 要素のパターンの繰り返しが、3つや4つになることもあるだろう。 [item_no1, item_name1, texture1, price1, object_name1, item_no2, item_name2, texture2, price2, object_name2....] ベンダーなどではありがちな管理方式だ。 こうしたリストから、例えば2番目のtextureのデータだけを抜き出したいような場合、 list items = [ item_no1, item_name1, texture1, price1, object_name1, item_no2, item_name2, texture2, price2, object_name2.... ]; integer i; list texture_list=[]; for (i = 2; i llGetListLength(items); i+= 5){ texture_list += [llList2String(items.i)]; } これでももちろん可能であるが、手間だし冗長だ。 llList2ListStrided関数を使うと、上記の処理は一行で可能となる。 list items = [ item_no1, item_name1, texture1, price1, object_name1, item_no2, item_name2, texture2, price2, object_name2.... ]; texture_list = llList2ListStrided(llDeleteSubList(items, 0, 1), 0, -1, 5); llList2ListStrided関数は常に先頭からの「段飛ばし」になるので、2番目の要素であるtextureを先頭に持ってくるために、llDeleteSubList関数で最初の2要素を削除している。 この点、LSLの実装の仕方がとても頭悪いと思うが、こうなってるから仕方ない。 そして要素は5つ1セットになっているため、llList2ListStrided関数の最後の引数には5を指定し、5個飛ばしに要素を抜き出す。 名前 コメント
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These are the default hot key commands for Call of Duty 4 Radiant level editing. これらは Call of Duty 4 Radiant レベル編集のためのデフォルトホットキーコマンドです。 ToggleOutlineDraw J ToggleTintDraw Shift + J CSGMerge Control + U AutoCaulk Alt + C ViewFilters F HideSelected H HideUnSelected Alt + H ShowHidden Shift + H ShowLastHidden Shift + Control + H FitBrush Shift + B AdvancedCurveEdit Y SelectionKeyValue Shift + Control + F ToggleLockPatchVertices Control + Period ToggleUnlockPatchVertices Shift + Control + Period ToggleTurnTerrainEdges Control + ¿ ShowTexturesInUse U ViewTextures T ThickenPatch Shift + Control + T AddTerrainRow Shift + Control + A ExtrudeTerrainRow Alt + O RemoveTerrainRow Shift + Control + Q SplitPatch Shift + Control + X SurfaceInspector S PatchInspector Shift + S ApplyPatchCap Shift + Control + P TolerantWeld Shift + Control + J RedisperseVertices Shift + F RedisperseRows Shift + E RedisperseCols Shift + Control + E InvertCurveTextureX Shift + Control + I InvertCurveTextureY Shift + I InvertCurve Control + I IncPatchColumn Shift + Control + Plus IncPatchRow Control + Plus DecPatchColumn Shift + Control + Subtract DecPatchRow Control + Subtract Patch TAB Tab Patch TAB Shift + Tab TogglePatchWireframes Shift + W SelectNudgeDown Alt + Down EntityColor K CameraForward Up CameraBack Down CameraLeft Left CameraRight Right Vertex Select Up Control + Up Vertex Select Down Control + Down CameraUp D CameraDown C CameraAngleUp A CameraAngleDown Z CameraStrafeRight Period CameraStrafeLeft Comma ToggleGrid 0 SetGridPointFive ~ SetGrid1 1 SetGrid2 2 SetGrid4 3 SetGrid8 4 SetGrid16 5 SetGrid32 6 SetGrid64 7 SetGrid256 8 SetGrid512 9 DragEdges E DragVertices V ViewEntityInfo N ViewConsole O CloneSelection Space DeleteSelection Backspace UnSelectSelection Escape InvertSelection I CenterView End ZoomOut Insert ZoomIn Delete SelectPrev Shift + Comma SelectNext Shift + Period UpFloor PageUp DownFloor PageDown LinkSelectionToggle Shift + O ToggleClipper X ToggleCrosshairs Shift + X ToggleTexMoveLock Shift + T ToggleTexRotateLock Shift + R ToggleLightmapLock RemoveColorNode Control + R ToggleLayers L Preferences P ToggleCamera Shift + Control + C ToggleView Shift + Control + V DropVertices Shift + Alt + Control + D RotateZ Shift + D ToggleZ Shift + Control + Z SameTargetname B SameTarget Control + B ConnectSelection W SetViewToEntity F6 SplaySelection Alt + W SelectConnectedEntities Alt + Control + E SelectTargettedEntities Control + E PatchMatrixTranspose Shift + Control + M MakeDetail Shift + Control + D MakeWeaponClip Shift + Control + W MakeNonColliding Shift + Control + Minus MakeSplitCoplanarGeo MakeDontSplitCoplanarGeo MapInfo M NextLeakSpot Shift + Control + K PrevLeakSpot Shift + Control + L FileOpen Control + O FileSave Control + S Quit NextView Control + Tab ClipSelected Return SplitSelected Shift + Return FlipClip Control + Return MouseRotate R Copy Control + C Paste Control + V Undo Control + Z Redo Control + Y ZZoomOut Control + Insert ZZoomIn Control + Delete TexDecrement Shift + Subtract TexIncrement Shift + Plus TextureFit Control + F TextureFitAll Alt + Control + F TexRotateClock Control + Left TexRotateCounter Control + Right TexShiftLeft Shift + Left TexShiftRight Shift + Right TexShiftUp Shift + Up TexShiftDown Shift + Down TexLayerCycle Shift + L TexLayerMaterial TexLayerLightmap GridDown [ GridUp ] TexScaleLeft Control + Left TexScaleRight Control + Right LightShiftUp Alt + ] LightShiftDown Alt + [ CyclinderHeightUp Alt + Period CyclinderHeightDown Alt + Comma AssociateEntities Shift + G VehicleGroup Shift + V DynEntities Shift + Y DisassociateEntities Shift + Control + G SelectedAssociated Control + X OverBrightShiftUp Shift + ] OverBrightShiftDown Shift + [ CubicClipZoomOut Control + ] CubicClipZoomIn Control + [ ToggleCubicClip Control + \ MoveSelectionDOWN Subtract MoveSelectionUP Plus LinkSelected Alt + Q SelectNudgeLeft Alt + Left GetDistance Alt + F1 AutoEdgeTurn Alt + F2 SelectNudgeRight Alt + Right SelectNudgeUp Alt + Up CycleCapTexturePatch Shift + Control + N NaturalizePatch Control + N ToggleSnapToGrid Alt + Control + G SelectSnapPointsToGrid Control + G ShowAllTextures Control + A SelectAllOfType Shift + A SelectAllOfTypeRecurse Alt + A CapCurrentCurve Shift + C MakeStructural Shift + Control + S Center2DOnCamera Alt + X EnterPrefab Alt + PageDown LeavePrefab Alt + PageUp LightPreviewToggle F8 LightPreviewStart Shift + F8 LightPreviewStop Shift + Alt + F8 LightPreviewClear Alt + F8 LightPreviewSun Control + F8 LightPreviewRegions Shift + Control + F8 MaxLightIntensity Alt + Control + F8 VertEdit G RefreshTextures F5 TogglePreviewModels HideByClassname Shift + Alt + Control + H ToggleLayeredMaterialWnd F4 SaveLayeredMaterials (Original "http //www.infinityward.com/wiki/index.php?title=Radiant_Command_List") 名前 すべて読む
https://w.atwiki.jp/shanghai/pages/13.html
I bought 2 tickets for Ballet "Swan Lake" by The Novosibirsk State Academic Opera Ballet at Shanghai Grand Theatre with my wife. Why I wrote this news, because we went to buy the ticket for five days before, at that time seller said they couldn t sell it, because it cancelled. But I couldn t believe it I know other tickets sales office has still selling, so we visited again and got the tickets. The first visit seemed the sales person misunderstood our saying in chinese, and we easily gave up the purchasing. We learned from this experience in living china, we must consist our opinion and don t give up easily.
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■Nearly complete 7-5-69 Hyde Park free concert soundboard recording on audio tape. (untitled 2CDR transferred from audio tape) ■Stones in the Park (no credit), 7-5-69 Hyde Park free concert. (1CDR) ■He is Not Dead... (An All Sold Out Production), 7-5-69 Hyde Park free concert. (2CDR) ■11-7-69 Fort Collins show. First concert of the 9th US Tour. First US performance with new guitarist Mick Taylor. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-8-69 Inglewood Forum 1st show. The original source tape for the above bootleg releases. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■Wrapped Up in an LA Show. 11-8-69 Inglewood Forum 1st show, Sound quality is pretty good, but there are some drop-outs. (1CDR) ■11-8-69 Inglewood Forum 2nd show. (low generation, 2nd gen reels Sony PCM Beta 1CDR) ■11-8-69 Inglewood Forum 2nd show. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-9-69 Oakland 1st show. Amplifiers blown at concert. This is the master source for the complete show in best possible quality. (low Generation, master 1st gen 1CDR) ■11-9-69 Oakland 2nd show. Complete performance (drop-outs in Jumping Jack Flash Under My Thumb ). Excellent quality. (low Generation, master 1st gen 1CDR) ■11-10-69 San Diego show. Complete performance, excellent quality. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■San Diego 1969-Low Generation, 11-10-69 San Diego show. (1CDR) ■11-11-69 Phoenix show. Some distortion sound problems, Lirttle Queenie is garbled due to recorder malfunction. Acoustic parts crystal clear. (low generation, 2nd gen reels sony PCM beta 1CDR) ■Dallas 69, 11-13-69 Dallas show. Poor sound quality. (1CDR) ■11-13-69 Dallas show. (1CDR) ■11-15-69 Champaign 1st show. Some distortion sound problems, but still enjoyable. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■Another Mad Day on the Road, 11-15-69 Champaign 1st show. Some distortion sound problems, but still enjoyable. (1CDR) ■Welcome to Champaign, Illinois, 11-15-69 Champaign 2nd show. Rare recording. For many years thought to not exist. (1CDR) ■Champaign (2nd show), 11-15-69 Champaign 2nd show. Rare recording. For many years thought to not exist. (1CDR) ■11-16-69 Chicago show. Poor sound quality. (untitled 1CDR transferred from audio tape-low gen fragment) ■11-16-69 Chicago show. Poor sound quality. (untitled 1CDR transferred from audio tape-chicago more complete) ■Chicago Nov.16, 1969, Poor sound quality. This show ends the first half of the 1969 US Tour. (1CDR) ■Stranglers in the Night, 11-16-69 Chicago show. (1CDR) ■11-24-69 Detroit show. This show begins the second half of the 1969 US Tour. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-25-69 Philadelphia show. Second recording source, previously uncirculated, correct speed, complete. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■Philadelphia 69, 11-25-69 Philadelphia show. Speed problems, but still enjoyable. Midnight Rambler is incomplete. Includes six songs 11-16-69 Chicago as bonus tracks. (1CDR)■Philadelphia Special 1969, 11-25-69 Philadelphia show. (1CDR) ■11-26-69 Baltimore show. More songs and slightly better sound quality than the bootleg LP above--this tape is the source for the Baltimore 69 (DP 9305) bootleg CD. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-26-69 Baltimore show. Two recording sources spliced together--for the most part, this tape is the source for the Devil s Disciple (VGP-211) bootleg CD. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-27-69 New York City show. Same as above, but from CDR not tape. Complete show in best possible quality. Better than LP or CD. (untitled 1CDR 1st gen) ■Different source. Complete 11-27-69 New York City show in best possible quality. Better than LP or CD. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■11-27-69 New York City show. (low generation, master 1st gen 1CDR) ■11-27-69 New York City show. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■NYC 69-Two Days Three Shows, Complete 11-27-69 New York City show in nice sound quality. (3CDR-disc 1) ■M.S.G. 69 (Mickboy Remaster) (Tone Frayed Productions T F 005) (1CDR) ■NYC 69-Two Days Three Shows, 11-28-69 New York City 1st show-Complete fake. Compiled from 11-27-69 New York City, Gimme Shelter film, Get Yer Ya-Ya s Out LP. Not an audio tape. (3CDR-disc 2) ■New York City You Talk a Lot, 11-28-69 New York City 1st show-Complete fake.Compiled from 11-27-69 New York City, Gimme Shelter film, Get Yer Ya-Ya s Out LP. Not an audio tape. (1CDR) ■11-28-69 New York City 2nd show. Probably the best show they ever played, but low sound quality. Source for Gimme Shelter Film Get Yer Ya-Ya s Out LP. (low generation, master 1CDR) ■NYC 69-Two Days Three Shows, 11-28-69 New York City 2nd show. Probably the best show they ever played, but low sound quality. Source for Gimme Shelter Film Get Yer Ya-Ya s Out LP. (3CDR-disc 3) ■Boston Gardens 69, 11-29-69 Boston 1st show. Poor sound quality. (1CDR) ■The One that Closed the Bedroom Door, 11-29-69 Boston 1st show. Poor sound quality. (1CDR) ■11-29-69 Boston 2nd show. (1CDR) ■Boston Garden, 11-29-69 Boston 2nd show. (1CDR) ■11-30-69 West Palm Beach Pop Festival Low quality soundboard. Late arrival, bad weather (tuning difficulties) speed problems. (untitled 1CDR transferred from audio tape) ■Altamont 1969, 12-6-69 Altamont speedway free concert (2CDR) ■Altamont 1969-Europe 1 Broadcast, The FM soundboard above, plus the Altamont songs from Gimme Shelter film complete Brown Sugar spliced from 2 sources. (1CDR) ■The Rolling Stones Special Guests Altamont Racetrack 12-6-69, Here are the support acts from the 12-6-69 Altamont speedway free concert Santanna; Crosby, Stills, Nash Young The Flying Burrito Brothers the Jefferson Airplane in average audience quality. (2CDR) ■The Rolling Stones Friends Altamont Speedway 12-6-69, Compilation of the Rolling Stones and the other bands that played at Altamont. The best historical record of the day s events. (2CDR) ■Altamont Deluxe Edition, Compiled from three sources by DH. Smooth as silk editing from source to source. Includes bonus tracks from Gimme Shelter DVD. (2CDR) ■Rock n Roll Roots (2CDR) 1963-1969 BACK / NEXT