約 2,812,519 件
https://w.atwiki.jp/legendofnorrath/pages/318.html
SS Title Eyes For The Hollow Skull Type Quest Faction - Attribute - Archetype Mage Level - Game Text - Card Number 1U-(Uncommon,Oathbound) Lore -
https://w.atwiki.jp/stalker_anomaly/pages/92.html
Hollow Boundaries UNISGの派閥のみプレイ可能 ニューゲーム初期地点にいるヘルナンデス少佐に話しかけると、状況の説明を受けられる。準備完了を選択すると、クエストがスタートする。 マーセナリー以外すべての派閥と敵対するUNISG派閥の影響で、それまでのストーリークエストとは別格の難易度を誇る。 ストーカーとしての実力を試されるだろう。 大まかな流れとしては、国連にゾーンの秘密や証拠となる情報を持ち帰るために各地を調査し、都度少佐へ報告する、というもの。 ゾーンの秘密へ迫るからには、やっぱりあの男とも関わることになる。 機密情報 ヘルナンデス少佐は「ダッシュマン」という男を探し出し、国連が彼に渡した重要な情報を回収するよう命じた。 デッド・シティにいるダッシュマンに会いに行く。最も安全に進行できるルートはトラック墓地を経由して陸軍倉庫を通るルートだが、ミュータントが多いルートとなる。荷物が軽いであろうことを利用してダッシュかステルスで切り抜けよう。 デッド・シティのダッシュマンたちはUNISG派閥とアイテムの売買を行ってくれるNPC群のひとつ。しばらく仕事を受け続けるのも手。 待ち合わせ ヘルナンデス少佐と、その分隊は「ジュピター」という場所に居る。指定された場所に情報を持って行く。 ジュピター工場を調査 ジュピター大規模工場でブリーフケースを探す必要がある。目撃者は排除しなければならない。 工場敷地内にはミュータントが、建屋内にはミリタリーの小隊がいる。ブリーフケースの場所は、Operation Afterglowの場所と全く同じ。 ヘルナンデスの元へ戻る 安全を確認した後、ヘルナンデス少佐にこのブリーフケースを持って行かなければならない。 突破 俺はジュピター地下での指揮を任されている。少佐は残りの隊員と一緒についてくる。命令は、前進して、まだここにあるかもしれない書類に目を光らせることだ。 ジュピター地下でルーズリーフ帳のような書類を探すことになる。暗所で大量のミュータントが襲ってくるため、味方に任せるか、自前でヘッドライトかナイトビジョンを用意するべき。 書類の場所はクレーン操作室の手前の部屋。机の中にある。 これ以降は各研究所へ調査に赴くことになる。順番は自由。 またジュピター地下へ続くトンネルへの入り口にUNISGのトレーダーが配置される。銃・スーツ・弾・修理道具などほとんどのアイテムが揃っており、しかも割安価格で売ってくれる。 X-18研究所を調査しろ 暗証コードを死体から手に入れ、二つの扉を開けた先にある文書を回収する。 文書を手に入れても任務が更新されず、脱出して地上に出た後に任務完了のメッセージが出る。初見で取り残しやバグを疑ってウロウロした人も多いのでは? X-16研究所を調査しろ ミラクル マシンの装置が設置されている巨大な部屋にはよりにもよってPseudogiantが待ち構えている。 回収する書類はトンネルへの脱出口がある部屋の木箱内で固定? X-19研究所を調査しろ ストーリーモード同様制限時間以内に最奥の装置を停止し、装置のすぐ先にある書類を回収する ブレイン スコーチャーを停止するとLonerとUNISGが停戦を宣言したとメッセージが表示され、互いの派閥の友好度が「友好」になる。ここまで来られたプレイヤーならLonerに変装する手段は持っているだろうし、プレイ難易度が劇的に変わるほどではない。 X-8研究所を調査しろ burerが3体いる部屋の奥にある移動命令書が確保する目標のアイテム 実験(2006年5月2日)、実験(2005年9月24日)、実験(2005年11月4日)の3つのアイテムはプリピャチ郊外の書店にいるグリフィスから受けるクエスト用のアイテム。そのうち二つは最下層の水たまりのある部屋に置いてあるが、一つはX-8に入ってすぐ左側の移動する電気アノマリーがいる部屋の奥にある。 また、水たまりのある部屋内の「アンテナ設置文書」は各派閥のキャラクターをはしごしていくクエストのうち「X-8研究所を調べろ」(Living Legendでストレロックから受けるのとは別)の目標アイテムとなっている。 暴かれた謎 Jupiter地下にいるヘルナンデス少佐に今まで手に入れた文書を渡す。 すでに文書をトレーダーに売り飛ばしていたとしても問題なく話は進む。 十字砲火:Military部隊を殲滅しろ プリピャチ郊外にいるストレロックを救出する。デグチャレフ率いるSSUの部隊が周りに居るが、NPCやミュータントがスポーンしていると コインランドリーにファストトラベルした直後から戦闘状態になっていることがある。ZombifiedならともかくMonolithの分隊が湧いていると SSUごと倒されることもあるので急ぐ必要がある。戦闘後ストレロックと会話し、懐柔するほうの選択肢を選ぶと以下へ移行。 脅す方の選択肢だとそこで会話が止まってしまい、クエストが進まなくなる。彼を殺害して「ストレロックの死体を調べろ」へ進めるほか無くなるので注意。 十字砲火:ストレロックを護衛しろ ストレロックをレッド フォレストへと連れて行く。「だましてジュピター地下のUNISGの拠点まで連れて行き、身柄を捕らえることも出来る」 とクエストの説明にはあるが、ストレロックを伴った状態でヘルナンデス少佐と会話しても特にイベントはない。 十字砲火:ストレロックと話せ 上の選択肢を選ぶとストレロックからUSBメモリーを貰い、「十字砲火:ヘルナンデス少佐の所へ戻れ」へと続く。 下の選択肢を選ぶとプレイヤーの所属がUNISGからLonerへと切り替わり、フリープレイへ。 所属が切り替わった後もUNISGとは友好状態だし、UNISGのトレーダーとも取引できるが、ジュピター地下のアジトは無人になる。 Lonerルートを選択した際、ストレロックにUSBメモリーは持っていてもいいぞと言われるが実際にはインベントリに追加されない。 + USBメモリーを無理矢理持ち続ける方法 上の選択肢を選ぶとUSBメモリーを貰え、その会話の最後の台詞(「じゃあな、ストレロック。」)をクリックするとストレロックが分隊から離脱しマップから居なくなる。 レッドフォレストではしょっちゅうドンパチしているので、ストレロックと会話してUSBメモリーをもらう→戦闘状態になったストレロックが勝手に距離を取り会話が強制終了 とうまく操作するとアイテムだけ貰ったままなお彼を引き連れることが出来る。もう一度会話を繰り返してUSBメモリーをまたもらったり、 今度は下の選択肢を選んでUSBメモリーを持ったままLonerになったり、ストレロックを引き連れたままヘルナンデス少佐へUSBメモリーを渡して クエストを完了したりできる。この状態だと逆にストレロックを分隊から外せなくなるので試す際はセーブデータを分けた方がよい。 なお、USBメモリーを2個以上持っていてもヘルナンデス少佐に渡すのは1個だけであり、イベントアイテム扱いなためかトレーダーは買い取ってくれない。 十字砲火:ストレロックの死体を調べろ ストレロックが死亡するとこちらへ分岐する。死体からUSBメモリーを回収する。 十字砲火:ヘルナンデス少佐の所へ戻れ USBメモリーをヘルナンデス少佐に渡す。UNISGとしての任務が完了したことを告げられ、特にイベントやエンディングもなくクエストが完了。そのままフリープレイに移る。 こちらの場合も、一度ジュピター地下のアジトを離れるとその後無人になる。また任務達成後にUNISGのトレーダーと会話すると今後の身の振り方について選択肢が出るが、どれを選んでも特にイベントはない。 コメント ブレインスコーチャーを停止しても特にメッセージは無くLonerとは敵対のままでした。設定やAddonによるものかもしれませんので、ご参考程度に - 名無しさん (2023-03-15 19 52 54) 名前
https://w.atwiki.jp/tadoku100/pages/463.html
YL 語数 語彙数 ジャンル フォーマット 1.3 3,700語 300語レベル ペーパーバック 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/tm-info/pages/34.html
Fate/hollow ataraxia ORIGINAL SOUNDTRACK ゲーム・ミュージック rhu 奈須きのこ Amazonで詳しく見る by G-Tools 詳細 発売元:TYPE-MOON 販売元:ジェネオン エンタテインメント 初回生産特典:特製カード4種のうち1枚封入 Fate/hollow ataraxiaのオリジナルサウンドトラック。劇中の音楽27曲を収録している。 収録曲 1.アタラクシア2.back to the night3.再会4.涼やかな風5.陽気に行こう6.可笑しな仲間7.幸せのかけら8.light step9.flicker10.ロマンス11.真実の扉12.暗闇の囁き13.encounter14.hollow(short edit) 15.stranger16.偽りの輪廻17.蜃気楼18.カレンのテーマ19.瓦礫の聖堂20.legend21.excalibur22.エミヤ#223.アヴェンジャー24.outbreak25.wars26.last piece27.僕たちの未来(short edit) ヴォーカル曲詳細 オープニングテーマ「ataraxia」 vocal rhu word 奈須きのこ music KATE arrange James Harris テーマソング「hollow」 vocal rhu word 芳賀敬太 music KATE arrange James Harris エンディングテーマ「僕達の未来」 vocal rhu word 芳賀敬太 music KATE arrange NUMBER201 KATE氏によるヴォーカル曲の裏話 ■オープニングテーマ「アタラクシア」 この曲のみ奈須きのこ氏が作詞を担当。幻想的なイメージを突出させている。劇中でながれるのがフルコーラス。 ■テーマソング「hollow」 歌詞は奈須きのこ氏よりイメージを提案してもらい、そこからKATE氏が自分なりの世界観を組み立てて作詞に入った。「孤立感」「罪悪感」といったマイナスなキーワードが軸ですが、その中で生き延びようとする意思を感じてくれればいいとのこと。 ■エンディングテーマ「僕達の未来」 「Fate/hollow ataraxia」で一番最初に手をつけた曲。劇中、一連の出来事を経験したことにより見つけた「前に向かっていく力」がテーマ。 14.「hollow」 27.「僕たちの未来」のフルバージョンについて。 オリジナルサウンドトラックに収録されているこれらはシングルCD「hollow」にてフルバージョンが収録されています。 特製カード 1.巫女服の凛 2.私服セイバー
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/710.html
The Hollow Shrine(前編) ◆C8THitgZTg 最初から出会わなかったのなら 喪うことはない。 友人を作らなければ。 仲間にならなければ。 誰かを愛さなければ。 親しくなりさえしなかったなら 喪うことはない。 最期まで出会わずにいられなかったのなら 喪うしかない。 友人を作ったから。 仲間になったから。 誰かを愛したから。 親しくなってしまったなら 喪うしかない。 ◇ ◇ ◇ 「凄いな……」 士郎は絢爛と飾られたホールを見渡して、そう呟いた。 そこは嘆息するほどに豪華な空間であった。 呆れるほどに高い天井。 目も眩むばかりの装飾の数々。 何十人、もしくはそれ以上の人間を収容しうる広さ。 全てが浮世離れしていて、ここが船の一室であることを忘れそうになってしまう。 「……悪趣味な内装ですわ。外見ばかり取り繕って、中身は空っぽ……」 相槌を打つ黒子の声はどことなく弱々しかった。 ふらつく足取りで壁沿いに歩き、ソファーに腰を下ろす。 青ざめた顔が、黒子の不調を如実に物語っている。 乗り物の揺れと加速による平衡感覚の異常―― 医学的には動揺病、もしくは加速度病と呼称される、俗に乗り物酔いと言われる症状だ。 「それにしても、なんて無茶な運転だったんでしょう……まだ頭がクラクラしますわ」 「ああ、確かにアレは凄かったな……」 ここに来るまでの間、グラハムはひたすらにジープを『操縦』し続けた。 急加速に急減速は当たり前。 他の車両が走っていないのをいいことに、車線の違いは完全に無視。 どんな不整地でも容赦なくアクセルを踏み込んでいたほどだ。 ジープの最高速度は毎時九十キロメートルから百十キロメートルにも達する。 流石に常時限界までスピードを出していたわけではないが、常識外れの走行だったのは間違いない。 「それでもあの二人は平気だったみたいだけどさ」 「あのお二方はパイロットなんでしょう? あれくらい大丈夫に決まってますわ……」 黒子は賞賛とも皮肉ともつかないことを口にして、ペットボトルを開けて少しだけ喉を潤した。 あれだけの暴走の直後だというのに、運転していたグラハムはおろかゼクスまでもが平然としていた。 尤も、二人の経歴を考えれば当然のことだと言えるだろう。 黒子には知る由も無いが、二人はそれぞれのモビルスーツ史に名を残すエースパイロットでもある。 不可能とされていたフラッグの空中変形を成し遂げ、その機動に名を冠されたグラハム。 並みのパイロットならば殺人的な加速度で命すら危ういトールギスを乗りこなしたゼクス。 どちらも常人離れした対G能力を持っている。 その点で黒子はただの人間だ。 学園都市では大能力者(レベル4)に分類されているが、耐久力は少女の域を超えはしない。 「それに比べて、わたくしときたら……」 ペットボトルを握る手に力が込められる。 肉体の丈夫さで劣っているのは深く気に病むことではない。 だが……いや、だからこそ、それ以外のところで足を引っ張ることだけは避けなければならなかった。 これは、ギャンブル船に到着してすぐのことだ。 グラハムは乗り捨て同然にジープを飛び降り、船内へと駆け込んでしまった。 利根川と真宵を手にかけた犯人が潜んでいるかもしれないのに、単独行動は危険極まりない。 ゆえに黒子は己の不調を隠して彼を追いかけようとした。 それを咎めたのは、他でもない衛宮士郎であった。 「…………」 黒子はそこから先の口論を思い出し、苦虫を噛み潰したような顔をした。 体調が悪いなら残るべきだと言い張る士郎。 単独行動をさせるわけにはいかないと反論する黒子。 自分のことながら、振り返るだけで頭が痛くなるほど低レベルな応酬であった。 冷静になって考えれば、どっちもどっちだと評するより他にない。 独断専行を許すのは確かに危険だ。 しかし空間転移すらできないコンディションで追いかけても、足手纏いになるのが関の山だろう。 そもそも下らない口論で時間を潰すこと自体が愚の骨頂だったのだ。 ゼクスが仲裁に入り、グラハムへの追従を申し出てくれなければ、タイムロスは更に拡大していたに違いない。 「気にするなよ。白井は女の子なんだから、無理はしちゃ駄目だ」 結局、グラハムとゼクスが衣達を捜索し、黒子と士郎はこの大ホールで待機しておくことになった。 待機といえば聞こえはいいが、現実は捜索からのリタイア。 自分が具合を悪くしなければ―― せめて平静さを失くしていなければ―― そんな思いが黒子の肩に圧し掛かっていた。 「あまり慰めないでくださいませ。余計と惨めになりますわ」 黒子は囁くような声で答えた。 先ほどからの会話は全て小声で交わされている。 利根川と真宵を殺した何者かがいるかもしれない以上、このホールも安全地帯ではないのだ。 少なくとも黒子が回復するまでは、静かに身を潜めておく必要がある。 「だからそんなこと言うなよ。……はい、薬」 「……ありがとうございます……ところで、これはどこから?」 士郎が手渡したのは、どこにでも売っていそうな錠剤の酔い止めだった。 都合のいいことに酔ってから服用しても効果があるタイプである。 「ゼクスがくれたんだ。俺達と会う前に調達した道具の中にあったんだってさ」 「そうだったんですの……。何から何まで、迷惑かけっ放しですわね」 ペットボトルの水で錠剤を二つ嚥下する。 実際に酔ってから飲んでも効果は控えめだろうが、飲まないよりはいくらかマシだろう。 一息つき、蓋が開いたままのペットボトルを傍らに置く。 しかしそれがまずかった。 大ホールのソファーは、一面を飾る装飾品と同様の高級品だ。 座り心地がいい分、重みが掛かった分だけ沈んで変形してしまう。 歪んだ面に置かれたペットボトルは、当然のように安定を崩し、床に中身をぶちまけた。 「あっ……」 咄嗟に容器を押さえるも、半分以上が零れてしまった。 黒子は再度溜息をつき、スカートのポケットからハンカチを取り出した。 たかが水とはいえ痕跡を残すのは望ましくない。 第三者からすれば、ここに誰かがいた証拠となってしまうのだから。 足元の水溜りをハンカチで拭うと、あっという間に水が浸み込んで使い物にならなくなった。 布が薄すぎて零れた水を吸いきれないのだ。 「これじゃ駄目ですわね。何か別のものは……」 黒子の呟きには微かな苛立ちが込められていた。 他に使えそうなものはなかったかと考えるより先に、聞き覚えのある言葉が耳に入った。 「投影、開始――(トレース・オン)」 「え――?」 それはどこで聞いた言葉だったか。 黒子が思い出すより早く、士郎は床に膝を突いて水を拭き取りはじめていた。 その手には一枚のハンドタオル。 どこから調達したのか分からないが、汚れひとつない新品だ。 「あの、衛宮さん? 似たような質問で恐縮なのですが……それはどこから?」 「えっと……これもゼクスから貰ったんだ」 説明としては筋道が通っている。 しかし士郎が僅かに言いよどんだのを、黒子は聞き逃さなかった。 「そうですか」 大して気にしていないように振舞いながらも、隠し事の理由を考える。 動機は単なる好奇心だ。 隠し事そのものを責めるつもりは一切ない。 黒子も能力のことを殆どの相手に隠している以上、士郎に文句を言える立場ではないのだから。 「……もしかして」 そこでようやく思い至る。 先ほど士郎が呟いた言葉―― アレは首輪を解析したときに聞こえた単語ではなかったか。 ――トレース・オン。 その一言が魔術を発動するキーワードになっているのだとしたら。 「衛宮さん、もしかしたらわたくしの勘違いかもしれませんけど……」 まさにその瞬間であった。 廊下へ繋がる扉の向こうから、微かな銃声が鳴り響いたのは。 「――な」 「え――」 黒子と士郎の視線が一瞬だけ交差する。 うっかりすれば聞き逃したかもしれないほど小さな音だった。 士郎は壁に立てかけてあったカリバーンを掴むと、銃声のしたほうへ駆け出していた。 「白井はそこにいてくれ!」 走り去っていく士郎の背中を、黒子はただ見送ってしまった。 あまりに急な展開に思考が追いつかない。 銃声? どこから? そこにいて? 貴方はどこへ? 縺れた思考が一本に繋がり、ようやく成すべきことを理解する。 「ちょっと! 衛宮さん!」 士郎を追って扉を押し開ける。 しかし時既に遅く、がらんとした廊下に人影はない。 どこかの岐路で曲がったのだろうか。 黒子は悔しげに、色の薄い唇を引き結んだ。 身勝手な行動を取った士郎を責めるのは容易い。 容易いが、正しいとは限らない。 あんな強行軍でギャンブル船に戻ったのは、衣とカイジの元へ迅速に駆けつけるためだ。 更に言えば、利根川と真宵の死を伝えられたからでもある。 それらは『衣とカイジが殺されてしまう前に二人と合流する』という目的に収束する。 ならば銃声を聞いて駆けつけることに何の問題があるというのか。 勿論、単独行動を取ったのは責められるべき点だが―― 「なんて――無様なんでしょう」 置き去りにしてしまうことと、置き去りにされてしまうこと。 一分一秒の違いで生死が変わりうる状況なら、悪いのはきっと後者だ。 自分が体調を崩していなければ。 あるいは、銃声が聞こえたときにすぐ動けていれば。 きっとこんなことにはならなかったに違いない。 黒子はがらんどうの廊下の向こうを見やり、静かに扉を閉めた。 どこかの誰かが言っていた。 加速度病を起こしやすい要因は、空腹、満腹、睡眠不足に物理的な圧迫感。 そして――精神的なストレス。 いつからだろうか。 こんなにも心が治まらなくなったのは。 「そんなの、分かりきってますわ……」 黒子は扉に体重を預け、ずるずると膝を曲げた。 静か過ぎる空間が固体じみた密度で圧し掛かって、黒子の胸の奥を軋ませる。 広大なホールにいるのは自分一人。 そう、どうしようもないほどに独りだから。 『あの人はもういない』という現実を、否応なしに突きつけられてしまうのだ。 「…………っ」 名前を叫ぶことすらできない。 もしもここで口にしてしまったら、抑えてきた感情を全て吐き出すまで止まらなくなる。 絶望。恐怖。孤独。喪失。不安。恐怖。後悔。慙愧。無念。 憂鬱。憎悪。空虚。諦念。憤怒。悲嘆。苦痛。怨恨。愛憎。 一度でも致命的な決壊を許してしまった堤防は、もう二度と使い物にならない。 そうなる前に穴を埋めないと、壊れた箇所から破損が広がり、溢れ尽くすまで崩れ続ける。 後に残るのは堤防を失った裸の自分だけ。 心の強い人なら、そこから新しい堤防を組み上げて立ち直ることができるだろう。 むしろ造り直すことで良い方向に転がることがあるかもしれない。 けれど黒子は、自分がそこまで強い人間だと信じることができなかった。 「…………」 ふと、思う。 これまでの自分は、この苦しみをどう耐えてきたのだろうかと。 ◇ ◇ ◇ ――彼女はゆったりとした手付きで、自動拳銃のグリップからマガジンを抜き取った。 焦るでもなく、焦らすでもなく、無難にマガジンの交換を終わらせる。 この程度は手順さえ分かれば誰でも出来ることだ。 撃ち尽くしたばかりの空弾装をデイパックへ放り込む。 赤みを帯びた瞳に正気の色は見られない。 衝動とは、感情ではない。 自身の外部から襲い掛かる暴力的認識――それを衝動と呼ぶ。 ならば彼女を突き動かすのは正しく衝動だ。 『日本人を殺せ』と強制する魔性の暴力。 彼女の内から湧き上がったのではない目的意識。 しかし、その凶行を実現するのは、他でもない彼女自身。 故に人々は彼女をこう呼ぶ。 虐殺皇女と―― ◇ ◇ ◇ 「……遅かったか」 見つけてしまったソレを前に、ゼクスは苦々しく呟いた。 二人をホールに残してグラハムを追いかけたのが五、六分前。 先行するグラハムとの時間差は一分前後といったところだった。 走れば埋まると思われた距離だったが、ゼクスは未だにグラハムとの合流を果たせていない。 この船を一時拠点にしていたグラハムと、初めてここを訪れたゼクスとでは情報量が違いすぎたのだ。 予備知識を元に動き回る相手を、土地勘のない者が捕まえるのは難しい。 いっそ自分が少女と残り、少年に捜索を任せたほうがよかったのではないか。 ゼクスは思考の片隅でそう考えながら、道なりに船内を駆け回った。 その結果、辿り着いたのがこの場所である。 「そこまで時間は経っていないようだが……」 必要最低限の情報はジープでの移動中にグラハムから聞かされている。 船に残っていたという人々については特に念入りに確かめた。 利根川幸雄。放送で名前を呼ばれた一人で、元帝愛幹部だったという中年の男。 八九寺真宵。同じく放送で名を呼ばれた、十代前半の少女。 伊藤開司。丸みのない顔付きで、頭髪を無造作に伸ばした青年。 天江衣。金色の長髪に大きな髪飾り。外見的には八九寺真宵と同年代か幼い程度。 いずれの人物とも直接出会ったことはないが、与えられた情報から、人となりの大枠は掴めたつもりだ。 それ故に確信できる。 この亡骸は伊藤開司の成れの果てであると。 無人の甲板。 船内へ通じる出入り口の傍。 陽光と船体の影との間に伊藤開司の亡骸はあった。 血だまりにうつ伏せで倒れ伏し、背中に開いた孔を晒している。 ゼクスは甲板に膝を突き、背中の銃創を検めた。 流血の様子からして、前のめりに倒れたまま動かされていないようだ。 伊藤開司に対してゼクスは特別な感情を持っていない。 だからこそ、こうして冷静に状況を検分できるのだろう。 一通り背中の創傷を観察し終えると、次は遺体を裏返して胸の傷を調べる。 銃創は様々な情報をもたらしてくれる。 ただ銃創を見るだけでも、撃たれた方向や銃の種類の見当がつく。 火薬の付着などを調べれば発砲した距離まで判別できるほどだ。 そして、伊藤開司の銃創からは以下のようなことが分かった。 胸の傷は小さく背中の傷が大きい。 これは彼が正面から胸を撃たれ、弾が背中へ貫通していったことを示している。 周囲の状況からして、犯人は船内と甲板の境界付近で発砲したようだ。 また胸の傷のサイズから、使用されたのが拳銃であると推定できる。 「やはり第三者の介入……まずいな、これは」 ゼクスの言葉には焦りと確信が込められていた。 伊藤開司の命を奪った弾丸は、心臓を水平に撃ち抜いている。 背丈の低い天江衣が発砲したにしては角度が不自然だ。 他の人物――利根川幸雄と殺しあった結果というのもありえまい。 心臓が何らかの理由で停止した場合、数秒から十数秒で脳が酸欠に陥り、死亡する。 つまり、伊藤開司が撃たれたのは早くとも放送の十数秒前。 利根川幸雄と相打ちになったと考えるには無理がある。 そして八九寺真宵に至っては両方の理由が当てはまってしまう。 この状況を説明する最適解、それが、第三者による殺害。 ゼクスはやおら立ち上がり踵を返した。 グラハムの追跡を続けるべきか、一旦ホールへ戻って、このことを二人に伝えるべきか―― 「待て、これは……」 ゼクスは踏み出しかけた足を止め、足元のそれを一瞥した。 そして再び、伊藤開司の亡骸に手をかける。 「まさかとは思うが……」 偶然の出来事という可能性は充分に考えられる。 しかし、もしこれが『明確な意図の下に成された』のなら、断じて無視するわけにはいかない。 ゼクスは発見したそれを記憶に刻み、船内へ駆け戻った。 無論、伊藤開司を殺した者もそれに気付いているかもしれない。 ゼクスは脇目もふらず、甲板へ向かう際に通った道を逆走していく。 階段へ続く角を曲がろうとしたときだった。 聞き覚えのない女の声が、ゼクスを呼び止めた。 「あの! すみません」 「……っ!」 咄嗟に振り返ると、そこにはスーツ姿の女がひとり、廊下の奥で佇んでいた。 距離は十メートル程度、或いはもう少しあるだろうか。 ゼクスは己の迂闊さに表情を険しくした。 見通しが悪い場所だったとはいえ、声をかけられるまで、女の存在を悟れなかったのだ。 第三者の殺戮を想定したばかりだというのに、有り得ざる油断である。 むしろ背後から銃殺されていないのが幸運といえるだろう。 ゼクスは周囲に意識を巡らせながら、女と対峙するように向きを変えた。 「――ああ、よかった。無視されてしまったらどうしようかと思っていました」 女はほっと胸を撫で下ろしたらしかった。 あまりに気の抜けた仕種に拍子抜けを禁じえない。 高度な教養を身につけてきたのか、行動や言葉の端々に気品が見え隠れしている。 例えるなら、雰囲気は王侯貴族のそれに近い。 少なくとも戦場慣れをしているようには感じなかった。 女は観察されていることに気付いていないのか、ゆったりとした足取りでゼクスに歩み寄ってきた。 「私はユーフェミア・リ・ブリタニアと申します。 少しお話をしたいのですが、お時間をいただけないでしょうか」 ◇ ◇ ◇ ――そして少女は涙を流す。 ああすればよかった。 こうすればよかった。 ああしなければよかった。 こうしなければよかった。 後悔が幾ら積もろうと、割れた鏡は戻らない。 時計の針は戻らない。 ◇ ◇ ◇ グラハムは独り無人の廊下を走り続けた。 船内通路に窓はなく、白色の間接照明だけが狭い路を照らしている。 しかし不気味さすら感じる静寂も、グラハムの足を鈍らせるものではない。 船室という船室を開け、物陰という物陰を覗き、ひたすらに船内を駆け回る。 「天江衣! 私だ、グラハム・エーカーだ!」 洞穴じみた薄暗さと静けさの中で、グラハムの声だけが反響する。 ギャンブル船に帰還した直後、彼は一も二もなく船内へ駆け込んだ。 その行為がどれほど危険かは自覚している。 しかし時には、無理を貫き道理をこじ開けなければならない場合もあるのだ。 かつて、民間人が勤務する軍需工場を襲った新型ガンダムを、単機で迎撃したときのように。 「聞こえたなら返事を頼む! 天江衣!」 グラハムをこうまで突き動かす動機。 それは只ならぬ焦りであった。 別行動の開始から放送までの短い間に、二人が命を落とした。 ギャンブル船で恐るべき出来事が起こったのは想像に難くない。 しかも、地獄は今も続いているのかもしれないのだ。 「……ここにもいないか」 グラハムは苦々しく言い捨て、空っぽの客室の扉を閉めた。 いくつ扉を開いても、目に映る風景はどれも同じ。 豪勢な室内灯。上等な絨毯。真新しいシーツのベッド。 代わり映えのなさに眩暈すら感じそうになる。 だが、諦めるわけにはいかない。 友達を作ることができると請け負った―― 彼女の安全を保障すると約束した―― その言葉を嘘にしてたまるものか。 「更に上階、いや――」 この一区画だけとっても数十もの客室が並んでいた。 船全体の部屋の総数に至っては、幾つになるのか見当もつかない。 それらを虱潰しに探すのはあまりにも効率が悪すぎる。 想像するのだ。 衣がどのような状況に置かれているのかを。 まず、船内の異変に気付いてすらいない場合。 これはまずありえないだろう。 利根川と真宵は衣と行動を共にしていたはずであり、放送も流れた後なのだから。 次に、異変には気付いているものの、活動が制限されている場合。 殺人者に捕らわれているか、逃げ場所が限られてしまった状況。 或いは何らかのトラブルで負傷し、身動きできない状況。 いずれにせよ最悪のケースだ。 衣の居場所を予測することなどできない。 そして、異変を察知していて尚且つ自由に活動できる場合。 これは最大の希望的観測だ。 肉体が健康で、かつ行動範囲が限定されていない状態の人間は、どこへ逃げ場を求めるのか。 例えば、確実に身を隠せる空間。 例えば、破壊されにくい頑健な守りの中。 「あるいは、一度訪れて見慣れている場所……まずはあそこだ!」 グラハムは踵を返し、脳裏に浮かんだ場所を目指して駆け出した。 天江衣が無事で、なおかつ逃走先を選べるなら、訪れたことのある場所に身を寄せるはずだ。 確率は五分か六分と踏んでいたが、闇雲に探し回るよりずっといい。 昼なお暗い廊下を走り抜け、グラハムは目的の扉を勢いよく押し開けた。 「天江ころ――――!」 その瞬間、グラハムの身体を鈍い衝撃が襲った。 一歩、二歩とたたらを踏み、廊下の壁際で踏み止まる。 驚きに目を見開き、衝突してきたそれを見下ろす。 小刻みに震える、耳のような飾り。 腰に届かんばかりの金糸の頭髪。 捜し求めていた少女が、そこにいた。 「グラハム……、えぐっ、利根川が……ひぐっ……カイジが……。 麻雀をしたのに……衣が白河夜船であったばかりに……ぐすっ……とーかぁ……」 衣はグラハムにしがみ付いたまま、混乱した思考をそのまま口に出している。 言葉に脈絡がない上に、涙声でひどく聞き取りづらい。 グラハムは軍服が濡れるのも構わず、衣の身体を抱き寄せた。 何があったのかは問い詰めない。 今はただ、衣が落ち着きを取り戻すまで待っている。 一分。 五分。 十分。 「やはり衣には……ひっく……知音を得ることなど……」 「…………」 時間が経つにつれて、嗚咽が小さくなっていく。 グラハムは噛み締めた歯が軋む音を聞いた。 この少女にどんな咎があったというのか。 苦しみもがき、悲しみに暮れなければならない理由がどこにある。 自分のように修羅として生きた者が地獄に堕ちるなら、それも宿命と受け入れられよう。 ならば、天江衣がこの生き地獄に堕ちる道理とは何なのか。 「赦せんな……」 怒りの矛先は幾らでもある。 衣を殺し合いに放り込んだ帝愛。 魔法とやらを売りつけた共謀者。 目的は見当もつかないが、私利私欲が根底にあるのは間違いあるまい。 だが、最も赦しがたいのは―― 「……何より、私自身を赦せそうにない」 「それは違うぞ、グラハム!」 衣がグラハムを見上げた。 涙やら他の液体やらで、顔中がひどいことになっている。 しかし眼差しはまっすぐにグラハムを捉えていた。 「グラハムは戻ってきてくれた……! 黯然銷魂としていた衣を……助けに来てくれた! だから……」 髪を振り乱し、グラハムの自責を否定する。 約束を蔑ろにした彼を怨思するどころか、肯定すらしているのだ。 「……その言葉、ありがたく受け取らせて頂こう」 グラハムはまるでガラス細工を扱うような慎重さで、衣の髪を撫でた。 ギャンブル船三階、会議室前。 かつて仲間達と集い、今生の別れとなったその場所で。 ◇ ◇ ◇ ――彼は死んだ。 どうしようもないほどの致命傷だ。 心臓に撃ち込まれた銃弾は、心筋に孔を穿ち、血流の中枢を潰してしまった。 胸の痛みが強過ぎて、背中が床にぶつかった衝撃すら感じない。 肉体を巡った静脈血を受け入れる右心房。 動脈血を肺から受け取って左心室へ送る左心房。 肺へ流れる静脈血が通る肺静脈。 酸素が満ちた血液を全身に届ける大動脈。 それら全てに孔が開いた。 心臓がどれだけ拍動しても、肝心の血液は溢れてしまう一方だ。 これでは絶命するより他にない。 それでも今はまだ血管を流れている血液がある。 見方を変えれば、その酸素が尽きるまでは生きていると言えるかもしれない。 しかしそれもごく僅か。 不可避の結末へ転げ落ちるこの瞬間を、死と呼ばずして何と言うのか。 最後の鼓動が動脈を駆けのぼる。 これが脳髄を通り過ぎれば、彼は終わる。 意識が消える。 記憶が消える。 肉体が潰えれば、魂までもが霧散する。 彼という人格が消えてしまう。 望みも決意も何一つ達することなく消えてしまう。 光などなく、闇さえもない、無の中へと墜ちていく。 そこではきっと、無という言葉も、墜ちていくという意味さえもないのだろう。 それでも―― ほんの数秒で終わってしまう命でも、何かできるはずだ。 小さな肩で震えていた、あの儚い少女のために。 時系列順で読む Back ぽかぽか時間 Next The Hollow Shrine(後編) 投下順で読む Back ぽかぽか時間 Next The Hollow Shrine(後編) 179 その日本人をぶち殺す 天江衣 188 The Hollow Shrine(後編) 179 その日本人をぶち殺す ユーフェミア・リ・ブリタニア 188 The Hollow Shrine(後編) 174 解明への灯 ゼクス・マーキス 188 The Hollow Shrine(後編) 174 解明への灯 グラハム・エーカー 188 The Hollow Shrine(後編) 174 解明への灯 衛宮士郎 188 The Hollow Shrine(後編) 174 解明への灯 白井黒子 188 The Hollow Shrine(後編)
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/8636.html
Hollow Knight 【ほろうないと】 ジャンル アクション 対応機種 Windows(Steam/GOG.com/Microsoft Store)Mac(Steam/GOG.com)Linux(Steam)Ubuntu(GOG.com)Nintendo SwitchXbox Oneプレイステーション4 発売元 ダウンロード版 Team Cherry パッケージ版 Fangamer Japan 開発元 Team Cherry 発売日 Win(Steam/GOG) 2017年2月24日 Mac/Linux 2017年4月11日 Switch 2018年6月13日 MS Store 2018年9月25日 PS4 2018年9月26日 定価 ダウンロード版 Steam 1,480円(税10%込) Switch 1,480円(税10%込) MS Store 1,750円(税10%込) PS4 1,507円(税10%込) パッケージ版 Switch/PS4/PC 4,000円(税別) コレクターズエディション9,680円(税10%込) プレイ人数 1人 判定 良作 ポイント 探索型ACTやり応え充分のボリュームと難易度考察の余地が多いストーリーと設定 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 いわゆるメトロイドヴァニアのジャンルに属する、探索型2Dアクションゲーム。 数多の虫たちが暮らす世界で、主人公は亡びた地下王国「ハロウネスト」へと飛び込み、その深淵へと進んでいく。 特徴 主人公 主人公はパッケージイラストにも描かれている、クワガタのような頭部が特徴的なキャラクター。「釘」と呼ばれる、剣のような形状の武器を振るって戦う。 敵を攻撃すると「ソウル」を回収でき、主人公はソウルを消費して回復や特殊攻撃を行うことができる。 ゲームの進行とともに主人公が可能なアクションは増えていき、攻撃手段や移動手段のバリエーションが増える。 攻撃面でも上述のソウルを使用する手段が多く、横方向の遠距離攻撃、上方広範囲攻撃、ダイブ攻撃など、ソウルを消費する代わりに強力な技を放てる。一方で、ソウルを消費しない釘でのチャージ攻撃もゲームが進むと使えるようになる。 機動面では、ダッシュ、壁蹴りジャンプ、高度を落とさず飛び続けるスーパーダッシュ、二段ジャンプなどが使えるようになっていく。 主人公は「チャーム」という強化アイテムを一定数装備することができる。 地図に自分の現在位置を表示してくれるもの、攻撃力や体力が増加するもの、単体では役に立たないものなど、様々な種類のチャームが存在している。 チャームは無制限には装備できず、主人公の「スロット」の数だけしか装備できない。また一つのチャームが占有するスロットの数も均一ではなく、効果が強力なチャームほど必要なスロットが多く設定されている傾向にある。 主人公が死亡した場合、死亡したマップに「カゲ」と呼ばれる真っ黒な存在を残して、主人公自身は最後に座ったベンチ(セーブポイント)で復活する。 復活した直後の主人公はソウルを溜められる量が減り、全てのジオ(通貨)を失った状態である。これらを元に戻すためには直前に死亡したマップまで戻り(*1)、カゲを攻撃して回収しなくてはならない。 なお、カゲを回収できないまま主人公が再び死亡した場合、最後に死亡したマップに新たなカゲが出現し、それ以前のカゲは消えてしまう。すなわち持っていたジオも回収不可能になってしまうので、注意が必要。 ボスキャラ 道中で湧く雑魚敵以外に、全部で40種近いボスキャラが登場する。 探索はある程度自由に行えるということもあり、クリアするだけなら全てのボスを倒す必要はない。 探索 プレイヤーは広大なダンジョンとも言えるハロウネストを探索し、時にはボス敵との戦闘などを経て新たな能力を取得し、その能力によって探索可能な範囲を更に増やしていくこととなる。 ハロウネストの各地には駅があり、現実で言う列車の代わりに巨大なムシ「スタグ」が路線を繋いでいる。スタグの駅は地上の街にも存在するため、ハロウネスト内で駅を解放すれば、それらの駅に加えて地上の街とも簡単に行き来できるようになる。 ハロウネスト内部では収集要素も多く、「仮面の破片」「器の破片」を集めることで、それぞれ体力やソウルの上限を増やせる。先述のチャーム用のスロットも様々な方法で拡張可能。また、各地にはガラス瓶に捕らわれている幼虫(*2)がおり、幼虫たちを助けることでジオ(通貨)の他、特別なアイテムやチャームなどを得られる。 上述の「ジオ」は作中に登場する通貨であり、これが様々な用途に必要となる。場面によっては雑魚敵を繰り返し狩っての金稼ぎが必要になることも有りうる(後述)。 ストーリー・世界観 本作の主人公は作中で一言も発言しないうえ、表情や動作などで感情を表現することもない。主人公がどのような存在なのかを正しく理解しているNPCもごく一部しか存在しないため、「この主人公はどういう存在で、なぜハロウネストを探索しているのか?」という疑問は、序盤のうちは置き去りにしてゲームを進めるしかない。 しかしゲームを進めることで様々な推測材料が示されていき、これらの疑問に対する答えをプレイヤーがある程度想像できるようになっている。また、「主人公が感情表現に乏しい」ということにも、きちんと理由があるのがわかる。 本作の舞台である地下王国ハロウネストは高度な文明を有しており、かつて繁栄を極めたものの突如として滅亡してしまった。 「王国はなぜ滅んだのか?」「現在のハロウネストに巣食うムシたちは何なのか? なぜ襲ってくるのか?」「王はどこへ消えたのか?」といった、世界観への理解を深めるほど浮かんでくるであろう疑問については、それぞれにヒントが示されている。一から十まで全て丁寧に解説してくれるようなつくりにはなっていないが、考察の余地を多く残しているとも言え、その点は好みが分かれるところであろう。 評価点 非常にやりごたえのあるアクション要素 本作はいわゆるインディーズゲームであり、(ダウンロード版の)定価もロープライス帯なのだが、フルプライスのアクションゲームにも劣らぬボリュームを持っており、初回クリアまでに20~30時間、あるいはそれ以上かかったという報告も珍しくない。 ゲームバランス的には、初見のボスを順調に撃破できることの方が稀であり「死にゲー」という評価を受けることもあるが、多くのボス敵は一定の行動パターンを持っており、繰り返し挑むことでいずれは攻略できるようになっている(*3)ため、練習を重ねることで着実に上達できるバランスになっている。 主人公のカスタム要素 主人公が振るう武器の「釘」は、「釘鍛冶」に素材とジオを渡すことで鍛えてもらうことができ、攻撃力を強化できる。 また、ソウルを消費した攻撃や、釘のチャージ攻撃が使えるのも前述の通りである。 チャームは全部で40種(*4)存在しており、スロットの許す限りこれらを取りつけて主人公を強化することができる。 組み合わせによって初めて意味を持ったり、効力が強化されたりするチャームも存在するため、様々なチャームを試す楽しみがある。 こうしたシステムにありがちな「組み合わせの自由度は高いが、結局は一つの最適解が存在し、最終的に皆同じ組み合わせになる」というようなことはない。通常攻撃、ソウル攻撃、耐久性、探索の利便性など、プレイヤーが何を重視するかによって最適な組み合わせは異なっている。 自由度の高さ 本作のエンディングを迎えるためには、三人の「夢見の守護者」による神殿の封印を解かなければならないのだが、そのタイミングはプレイヤーがある程度自由に決めることができる。 攻略上必要な「夢見の釘」を取得してすぐに守護者たちのところへ向かってもいいし、他のところへ向かって様々なアクションを解放し、主人公を鍛えてもいい。前述の通り、ゲームをクリアするだけならかなりの数のボスやエリアを無視しても問題ないつくりになっている。 魅力的なNPCたち 本作で主人公と出会い、時には支援や協力を行ってくれるNPCたちも基本的に「虫」なのだが、外見がデフォルメされていることもあって愛着が湧きやすい。広大な迷宮を探索するのは心細いが、その中でたびたび起こる彼らとの邂逅は、一服の清涼剤のような役割を果たすだろう。 あらゆるエリアに主人公より先に到達しており地図を売ってくれるコーニファー、駅と駅を繋いで主人公を運んでくれる最後のスタグ、ハロウネストで拾った遺物を高値で買い取ってくれるレムなど、主人公の役に立つNPCも多い。 最初は敵として戦うが徐々に態度を変化させていくホーネット、記憶を失った流浪の剣士クィレル、自分の中の恐怖心と戦いながら強さを求める冒険者クロースなど、共に戦う仲間との出会いもある。 一方、非常に弱く主人公に何度も助けられるくせに極めて尊大な態度を崩さないゾート(*5)や、一定以上のジオを預けると持ち逃げしてしまう銀行員ミリベル(*6)など、一筋縄ではいかない者たちもおり、総じて個性豊かである。 やり込み要素 本作は普通にクリアするだけでもなかなかの難易度だが、一度クリアすると「スティールソウル」モードが解放される。このモードでは、主人公が一度でも死ぬとその時点でゲーム終了、セーブデータも消滅するという強烈な縛りが付加され、まったく油断ができなくなる。一度の敗北も許されない上級者仕様のモードと言える。 無料DLCで追加された「神の家」は、本作のエンドコンテンツ。本編に登場した全てのボスキャラや、それらの強化版に加え、完全新規ボスとも戦える。一体だけ選んで戦うこともできるし、神の家内部の「神殿」はボスと連続で戦うボスラッシュ部屋になっている。 四つ目までの神殿ではそれぞれ10連戦だが、五つ目の「ハロウネストの神殿」では全てのボスと戦うことになり、脅威の42連戦を強いられる。しかも一部のボスは前に神殿で戦った時より強化されており、クリアは至難である。 賛否両論点 難易度の高さ 優れた操作性によって行える軽快なアクションは確かな評価点だが、前述した通り難易度もそれに合わせたように高め。少なくともアクション慣れしていないプレイヤーが安易に挑める難易度では無い。 主人公の攻撃(釘による斬撃)はラグがほとんどなく判定も短時間という刹那的なものであり、判定が出っぱなしというような初心者向けの甘い攻撃方法はない。接近戦主体と合わさって文字通りの「タイミングが命」というシステムである。 多くのザコ敵はもちろんボス戦もある程度パターン化が可能ではあるものの、最終的にはそのパターンをなぞるためには相当な集中力と反射神経を必要とする。 「ダメージを受けた直後は画面全体の視界が暗くなる」「瀕死になるとさらに狭まる」という仕様も厄介で、小柄・巨体問わず高速で動き回るボスが多いゆえに一回のミスによって見失ったり、そのまま致命傷につながる事も珍しくない。 攻略自由度の高さによる事前の探索や、チャームによる自己強化のカスタムによってある程度は難易度を下げる事ができるのだが、多くの場合は一度でもクリア(突破)できるようになると楽というレベルデザインであり、一度詰まってしまうと救済措置はなくそれ以上進めなくなるということもあり得る。 マップも同様で、トゲなどの1ミスで戻される道中を壁キックや空中ダッシュを組み合わせたアクションで進まねばならない箇所が多く、これらも一種のパターン化が要求される。 下記の情報の偏りにも通ずるが、いくつかの場所で情報不足ゆえに次に進める場所が分からなくなる箇所もある。プレイヤーが事前にマッピング作業を行えば解決するし、虱潰しに探索すれば突破できる箇所も多いので詰まる事は少ないが、どこに使えるかわからないキーアイテムや、鍵以外のイベントでいつ開いたか分からない扉など若干不親切な面も目立つ。 偏り気味な情報 まず前提として、ゲーム内で提示される情報は断片的かつ攻略自由度の高さゆえに時系列も整頓しにくい。大半の情報はそれとなく匂わせる形で留める手法であり、丁寧に作り込まれた世界や大まかな雰囲気の流れでつかめる情報も多いので「考察の余地が多い」「謎めいた部分もまた魅力」と取れば長所であるが、一方で中途半端なままの情報が多いのも事実で、明確に答えのない部分もまた多い。 わかりやすくストーリーを解説してくれるようにはなっていないので、クリアしても動機や正体が全く分からないということもあり得るし、プレイヤーの考察に過ぎず明確な答えのないものも多岐に渡る。 長所として自由度の高さを挙げたが、その弊害として、攻略順によっては一度見逃してしまうとそのプレイでは見られなくなってしまうイベントも多い。プレイヤーの行動によって結果が分岐するイベントもあるので、一周のプレイで全てを把握するのは困難である。 一部、生理的嫌悪感を刺激するエリアがある 既に述べた通り、本作の登場人物は敵を含め基本的に全て「虫」であるため、虫嫌いのプレイヤーにとってはキツい表現が出てくることもある。 よく挙げられるのが「王家の水路」と「暗闇の巣」。 「王家の水路」は下水道であり、気持ちの悪い雑魚敵が多い。倒すと真っ二つに裂けた上下の体が時間差で蘇って襲いかかってくる「スイツキ」、浮遊しておりプレイヤーを発見すると牙を剥いて猛追してくる「コスイツキ」、べちょべちょの白い体液にまみれた下水管を行き来して巨体で高ダメージの体当たりを仕掛けてくる「フルークムンガ」などがいる。隠し通路の先には虫の卵がびっしり植えつけられている場所もあり、虫が苦手な人にはかなりきつい。 「暗闇の巣」は本作屈指の異形の虫たちが生息しているエリアで、地面の棘トラップは棘の生えた無数の虫が蠢き絡み合うように形成されている。全体的に道幅が狭く、迷いやすいうえに敵との戦闘も避けづらい。またプレイに影響があるわけではないが、時折蜘蛛のような影が画面端を横切ったり、歩いていると何匹もの黒く小さな虫が突然主人公の足元から現れて左右へ散ったりする。巨大な虫が絶えず移動し続けているせいで、常に地鳴りのような音が響いている点も不安を煽る。雑魚敵には、暗闇の巣にいる特定の雑魚を倒すと数秒後にその死体を食いやぶって復活し、ガチャガチャ音を立てながら迫ってくる「シタイアサリ」や、何もない空間から突然現れて襲ってくる「イトアミグモ」などがいる。 これらふたつのエリアには、どちらも暗いという共通点がある。ルマバエのランタン(後述)を買っていないと視界が悪く、恐怖心を煽るとともに攻略の難度を上げている点も、嫌悪感を刺激していると言える。 プレイヤーの嫌悪感を刺激するという意味で、制作側の意図通りの内容になっているのだろうが、この二つのエリアはクリアのために攻略が必須(*7)であるため、賛否両論となる点であろう。 ファストトラベル要素 序盤は様々な箇所で見つかるエリア間の高速移動手段が豊富であり、気軽に探索できるのだが、中盤の後半にさしかかる頃から広大なマップに対して顕著に減ってくる。 未知のエリアの深部にある場合、これも「先に見つけられれば」かなりの便利なのだが、言い換えればできなかった場合はひたすら不便という裏返しでもある。 スキルとしてプレイヤーが任意に設置できる一方通行のワープ手段もあるのだが、一箇所では到底足りない。特に厄介なのがストーリーを進めると塞がれるエリアがある事で、意図的にファストトラベルの出口に設定されており、ただ遠回りをさせるだけの無意味としか言えない妨害要素となってしまっている。ワープ設置が活用できるといえば聞こえはいいが、そこで設置してしまうと他で使えなくなる。 地図 地図はミス時にも更新されるなど親切な設計なのだが、一方でフロア(部屋)単位なため一部で弊害が生じることがある。 そのフロアに到達した時点で全体図が書き込まれるので、まだアイテムが足りず入口近くから先に進めないといったフロアでも全容が記されてしまう。これにより(マップが細部まで書き込まれているので)探索済みと勘違いする可能性も高く、自力でのマッピングやマーカーを活用しないと延々と迷う事も。 上述の塞がれるエリアとも共通するが、一部の場所では扉が隔壁のように閉まってしまい、地図上ではつながって見えるのに二度と通行できないエリアがある。 しかもそういう場所に限ってエリア間の移動に便利そうな箇所だったりする。 かと思えば隠し通路が書き込まれる箇所・書き込まれない場所の違いが曖昧だったり、通路があるのに地図内のフロアがつながっていない箇所があるなど変な場所も見られる。 問題点 攻略上有用なアイテムが高すぎる 条件を満たすことで地上に開かれる商店では、様々なアイテムが売られている。その中にある「ルマバエのランタン」というアイテムは、ハロウネスト内の暗い場所で主人公の周りを明るくしてくれるものであり、一部の場所ではこれがないと誇張抜きで何も見えない状態になる。特に「水晶山」エリアへ進むためには、別のエリアで特殊なアクションを習得していない限り真っ暗な道を進むしかないため、そうしたプレイヤーはここでルマバエのランタンを必要とする。 しかし問題はその価格であり、1800ジオもする。 これがどのくらい高値かというと、一例として、この時点で繰り返し戦えるそこそこ強めの敵「コケの騎士」を倒した時に得られる金額が40ジオ。よほど何度もハロウネスト内を行ったり来たりしているのでもない限り、1800ジオ稼ぐためには、改めて金を稼ぐことを求められる。 また、この「ルマバエのランタン」は前述した「王家の水路」「暗闇の巣」でも役に立つアイテムであり、必須とまではいかずとも、攻略上とても有用なのが困りものである。 ちなみに、この商店で販売している商品が高額であることは作中のNPCからも指摘されており、これもまた制作側の意図通りであると思われる。 終盤の難易度 本作のグッドエンディングを迎えるためには、「白い宮殿」というエリアの最奥部まで辿り着く必要がある。 しかし、このエリアは今までとは別ベクトルの高難易度であり、敵はほとんど出てこないのだが、ステージのギミックがプレイヤーを殺しにかかっている。 具体的には、高速で往復する回転ノコギリ、床や壁から飛び出してくる多数の槍など、それまでの有機質な世界観からかけ離れたギミックが登場する。これらを攻略するためには壁蹴りやスーパーダッシュのほか、ギミックをタイミングよく釘で殴って反動で飛ぶなど、ここまで覚えてきたアクションを総動員して挑まねばならない。いずれもダメージを受けると直前のチェックポイントからやり直しになるものばかりなので、ここで先に進めなくなったりライフが尽きてやり直しになったりして、心が折れかけたプレイヤーも少なくない。 「神の家」のように自己満足の範疇ならまだしも、グッドエンディングの必要条件であることを考えると、白い宮殿の攻略難度が高すぎるという印象は否めない。 なお、白い宮殿の中で隠しルートに入ると「苦痛の道」へ進めるのだが、これは白い宮殿の正規ルートを上回る、極めて繊細で正確な操作を要求されるルートであり、並大抵のことでは突破できない。初見のプレイヤーが何も知らずに苦痛の道に入ってしまった場合、どれほどの苦難を味わう羽目になるかは……言うまでもない。 またグッドエンディングルートでのラスボスの強さも、尋常ではない。 行動セットのパターン化はできるもの、それができてようやくスタートライン。いざ戦闘が始まれば、それぞれのパターン毎に用意されている限られたとても小さな安全地帯へ瞬時に移動し、僅かな隙をついて攻撃するスキルが要求される。慣性や攻撃成功時のヒットバックなどで安全地帯からはみ出て被弾することも考慮しなければならない。 体感的には国産の「ロックマン」などよりも遥かに難易度が高く、また国産によくある救済措置は一切ない。あくまでガチで挑む必要があり、最後の最後でギブアップした層も多い。それだけに撃破できたときは感無量だが…。 統括すると、便宜上ジャンルは「探索型2Dアクション」の体裁を取っているが、 「ルートが発見できなくて先に進めない」ことよりも 「立ちはだかる敵が強過ぎて先に進めない」ことの方が圧倒的に多い 。その意味で『SEKIRO』や『DARK SOULS』のような死にゲーの2D版とジャンルづける方が適切だと見る層も多い。 総評 作りこまれたキャラクターと世界観、奥深いアクション性とカスタム性を併せ持ち、非常にやりごたえのある2Dアクションゲーム。 ロープライスのゲームとは思えないほどのボリュームがあり、アクションゲーム好きなら是非触れてほしい一作である。 余談 本作のパッケージ版には「ハロウネストの折り畳み地図」と「オリジナル説明書」が付属している。 パッケージ版の定価はダウンロード版よりも上がっているため、どちらを買うかはお好みで。 また、コレクターズエディション版にはこれに加えて複数のグッズが付属している。詳細は各自で確認されたし。
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/711.html
The Hollow Shrine(後編) ◆C8THitgZTg 「私はユーフェミア・リ・ブリタニアと申します。 少しお話をしたいのですが、お時間をいただけないでしょうか」 「……生憎だが、武装した相手と『お話』をする趣味はない」 ゼクスはユーフェミアの請願をにべもなく断った。 ユーフェミアはきょとんとしたかと思うと、はっと自身の手を見下ろした。 色白で華奢な右手に握られた、無骨極まりない拳銃。 英語には拳銃などの武器を指す"Persuader"という俗称がある。 本義は"説得者"なのだが、拳銃を突きつけて"説得"することから転じた婉曲表現なのだという。 銃身長149mmの自動拳銃を手に歩み寄るユーフェミアの姿は、まさにその通りの"説得者"である。 「あっ、申し訳ありません! 護身用のつもりだったのですが……」 ユーフェミアは大慌てで拳銃をデイパックに押し込んだ。 実際は、女の細腕がH K MARK23を持っていたところで、この距離なら対処のしようがあった。 .45口径弾専用拳銃として開発されたH K MARK23は、全長245mm、弾装込みで1576gという大型の拳銃だ。 高い命中率と対人攻撃力を有するが、反動の強さと重量は如何ともしがたい。 ユーフェミアの筋力では、両手で構えなければ狙いもつけられないだろう。 持ち歩くだけでも腕が疲労したに違いない。 不意打ちで撃たれたならともかく、この状況であればゼクスが取り押さえるほうが早いはずだ。 「私はゼクス・マーキスだ。話はどこか安全な場所でしよう」 ゼクスは警戒を続けつつユーフェミアの誘いを受諾した。 彼女が殺人鬼であるのなら、ここで野放しにするわけにはいかない。 そうでなかったとしても、殺人鬼がいる船内に一人で残すわけにはいかない。 どちらにせよ、彼女と接触するべきだという結論に至ってしまう。 「ありがとうございます。……それと、これは念のための確認なんですけど」 数歩分の距離を維持したままで、ユーフェミアはゼクスの顔を窺ってきた。 瞳が赤い輝きを帯びて見えたのは、果たしてゼクスの錯覚だったのか。 「貴方は『日本人』ではありませんよね?」 ユーフェミアの微笑みに、ゼクスは言いようのない違和感を覚えた。 まるで微笑を模った作り物。 目の前の女が別物に変貌してしまったかのよう。 「ああ、見ての通りだ」 「そうですよね。詰まらないことを聞いてしまいました」 変貌は一瞬。 ユーフェミアはすぐに元の雰囲気に戻っていた。 ゼクスは内心の疑念を悟られないようにしながら、適当な船室の扉を開け、入室を促した。 「失礼します」 驚いたことに、ユーフェミアは警戒もせずに船室に入ってしまった。 ゼクスが彼女を先に部屋へ入れたのは、レディーファーストなどという安直な理由ではない。 先に入った者は、扉を潜る一瞬とはいえ相手に背を向けることになる。 そのときの反応を確認しようと考えたからだ。 だが、ユーフェミアはまるで無警戒にゼクスへ背を晒した。 警戒すべき場面を知らない素人か、もしくは相当な豪胆か―― 二人はそれぞれに椅子を引き寄せて、数歩分の間を空けて向かい合った。 「話の前に、先ほどの銃を見せてはもらえないだろうか。 知人の持ち物と似ていた気がするんだ」 ゼクスは更に踏み込んで探りを入れる。 あの銃に見覚えなどない。 手にとって確かめたいことがあっただけだ。 「ええ、構いませんけど……」 ユーフェミアはデイパックから拳銃を取り出し、弾装を外してからゼクスに手渡した。 さすがにこの程度の配慮はできるようだ。 だが、ゼクスが確かめたいのはそんなことではなかった。 「…………」 受け取った拳銃を様々な角度から確かめる――振りをする。 調べたかったのは外見ではない。 銃とは火薬の爆発の圧力によって弾丸を飛ばす兵器だ。 当然ながら、使用するごとに莫大な熱量が発生する。 ゼクスが確認したかったのは銃身の温度である。 発砲した直後であれば、少なからぬ熱が残留しているはずなのだ。 実際は熱を吸い取った薬莢を棄てることで冷却するのだが、それでも銃身に残る熱はゼロではない。 「……どうやら私の思い違いだったようだ。これは彼の銃ではなかったよ」 「そうですか……」 ゼクスの読み通り、銃口付近に微かな熱が残留していた。 残念がる素振りを見せながら、ユーフェミアに拳銃を返却する。 その一瞬、ゼクスの視線は彼女の手に釘付けになった。 「よろしければ、そのお知り合いのお名前を教えていただけませんか? もしかしたら会ったことがあるかもしれません」 親指の腹に付着していた掠れた血痕。 もし甲板で『あれ』を見ていなければ、容易く見過ごしてしまっていたに違いない。 「名前か……ヒイロ・ユイという少年だ」 思わず、頭に思い浮かんだ名を告げて誤魔化す。 まさか『あれ』がこんなに早く意味を成すとは夢にも思っていなかった。 伊藤開司の亡骸の傍にあった、彼のものであろう荷物。 中身をすっかり持ち去られたデイパック。 彼を殺めた者も、それには価値を見出せなかったに違いない。 だからこそ、気がつかなかったのだ。 デイパックを開けようとすれば、ほぼ確実に触れてしまう絶妙な箇所。 開閉部の一部に付着した伊藤開司の鮮血に。 ゼクスも発見した直後は偶然だと思っていた。 しかし血が塗られていたのは、外からでは見えない位置であり、返り血とは考えられない。 その上、彼の手は殆ど血に濡れていなかったにも関わらず、一本の指だけがべっとりと汚れていた。 にわかには信じがたいことだが、あの血痕は意図されたもの。 絶命までの十秒間に、伊藤開司が残した最期の抵抗。 自分を殺して荷を奪えば、その証拠を残してしまうブービートラップ。 「その『ヒイロ・ユイ』という方は、日本人なのですか?」 「……国籍までは分からない」 またも一瞬だけ雰囲気が変わった。 ゼクスの直感は、彼女こそが殺戮者であると告げていた。 物的証拠は殆どない。 しかし、状況証拠は揃い過ぎているほどだ。 情報にない第三者であること。 熱を帯びた銃。 親指の血痕。 死んだ三人の共通点――『日本人』への反応。 それでも強行に踏み切れないのは、雰囲気の変貌があまりにも異様であるからだ。 「さて、何から話すべきかな……」 脳裏に過ぎる荒唐無稽な仮説。 ユーフェミア・リ・ブリタニアの精神は、外的に歪められているのではないだろうか。 まったくありえない想定というわけではない。 ゼロ・システムのように、科学的な手法で人間の精神に影響を与えることは可能だ。 もう一度、ユーフェミアの方を見やる。 「……? ……あの、私が何か」 まるで、爆弾の起爆装置を目隠しで探っているような気分だ。 どこに触れれば爆発して、どこを外せば解除できるのか。 ゼクスは一度目を伏せ、口を開いた。 ◇ ◇ ◇ きぃ、と音を立て、大ホールの扉が開かれる。 黒子は跳ねるようにソファーを立ち、扉のほうへと走っていった。 「衛宮さん――」 「白井……!」 士郎もまた、どこか慌てた様子で黒子に駆け寄る。 そして何事か口にしようとした瞬間。 「――の、馬鹿っ!」 「うわあっ!」 眼前から黒子の姿が掻き消え、背中に強烈なドロップキックが炸裂した。 士郎は完全に不意を突かれ、盛大につんのめって顔面から転倒。 ある意味華麗なフォームで倒れ伏した。 士郎の手を離れたカリバーンが床を滑り、鏡張りの壁にぶつかって停止する。 「まったく、信じられませんわ。 こんな鬼が出るとも蛇が出るとも知れない場所に、わたくし一人を残していくなんて」 黒子は大仰な動きで分かりやすく呆れてみせた。 あまりにも演技っぽく、叱責しようという意図は逆に感じられない。 「……すまない」 「ごめんで済んだら風紀委員(ジャッジメント)は要りませんわ」 そう言いながらも、さりげなく士郎を助け起こす。 一体誰が信じるだろうか。 年上の少年を翻弄するこの少女が、つい先ほどまで負の感情に潰されかけていたことなど。 立ち上がり、服の埃を払う士郎。 黒子は後ろからその仕種を眺めていた。 高校生としては平均的な、しかし小柄な黒子にとっては見上げるほどの背丈。 「ああ、もう。靴跡が取れていません」 「白井が蹴ったんだろ?」 黒子は士郎の背中を叩いて汚れを取ろうとした。 力を入れて叩いてもびくともしない。 自分や友人達とは全く違う感触に、同じ人間の身体なのかと驚いてしまう。 一見すると細身なのだが、体つきは意外にしっかりしているのだ。 「……まぁ、これくらいでいいでしょう」 そういうなり、黒子は空間転移を発動。 鏡張りの壁の傍まで移動し、カリバーンを両手で拾い上げた。 「この通り、わたくしもだいぶ調子が戻ってきましたわ」 遠くからこちらを見ている士郎に笑いかける。 最初の放送が御坂美琴の死を告げたとき、黒子の心の堤防は崩壊する寸前まで追い詰められていた。 全てを投げ出していてもおかしくなかった。 空っぽの身体一つで、生きることからすら逃げ出していたかもしれない。 そうならなかったのは彼がいたからだ。 弱音をぶつけられる相手がいる。 強がることができる相手がいる。 重すぎる荷物を背負い、倒れそうになる身体を支えてくれる人がいる。 そのことがこんなにも心強いとは思わなかった。 たとえ、失ったものを別の何かで埋めようとする代償行為の結果だとしても。 今はこの微温湯のような心地よさに浸っていたいと思っていた。 「それにしても、手ぶらで帰ってきたということは、収穫はなかったのですか?」 「……そうだ! 白井、これを見てくれ」 駆け寄ってくる士郎に向き直る。 そのとき、カリバーンの切っ先が壁に触れ、甲高い音を響かせた。 「――え?」 壁にぶつかって、どうしてこんな音が響くのか。 鈍い衝突音や、ガラス面を引っかく不快な音なら分かる。 今の音はそのどちらでもない。 まるで空のガラス製コップをスプーンで叩いたときのような響きだった。 原因を考えようとする黒子の思考は、士郎が差し出した紙によって中断した。 「これを見てくれ」 「手紙、ですか……」 手のひら大の紙片に、流麗な筆跡で短い文章が綴られている。 ホテルの客室にメモ用紙が置いてあるのは珍しいことではない。 恐らくそういったものを一枚千切って使ったのだろう。 署名はゼクス・マーキス。 市街地で出会い、ともにこの船へやってきた男の名前だ。 ゼクスの手紙を読み進めるに従って、黒子の表情が険しくなっていく。 「衛宮さん、これ……」 記されていたのは、想像だにしなかった出来事の一部始終であった。 最悪の展開は幾つもシミュレートしていた。 しかし、これは斜め上を行き過ぎている。 黒子は説明を求めるように、士郎へ視線を送った。 「銃声を聞いて飛び出した後、この階を走り回ってみたんだ。 それで何も見つからなかったから、念のため、ジープを停めた場所に戻ったら……」 「ジープにこの手紙が置いてあったんですね」 士郎は首肯し、言葉を継ぐ。 彼自身も、手紙の内容を受け入れられたわけではないらしい。 あくまで起こった事実だけを伝えていく。 「それと、ジープのタイヤが一つ、銃で撃ち抜かれていた。 たぶんここで聞こえた銃声は、そのときの音だと思う」 黒子は空いていた片手で額を押さえた。 ガラス張りの壁に背を預け、ぺたんと座り込む。 「白井!?」 「はぁ……頭が痛くなってきましたわ」 こんな展開になるなんて、数分前の彼女はこれっぽっちも予想していなかった。 手紙の内容は、隅から隅まで信じがたいものだった。 利根川と真宵だけでなくカイジも既に死んでいて。 しかもゼクスはその容疑者を連れて船を立ち去ったというのだ。 偽の手紙だと言い切ってしまえば、どんなに気持ちが楽になることか。 手紙の続きには、ゼクスが知る範囲で信頼できる人物や、件の容疑者の名前と特徴も書かれている。 けれど今はそこまで読む気力が沸いてこない。 「大丈夫か、白井」 「ええ……平気です」 座り込んだままで、士郎の制服の袖口をきゅっと掴む。 こうしておけば、さっきみたいに置き去りにされたりしないだろう、きっと。 ◇ ◇ ◇ 「あの、よろしいんですか? 修理すれば使えると思うんですけど……」 B-6港湾部。 ギャンブル船が停泊している港の一画。 潮風に揺れる髪を押さえながら、ユーフェミアは前を行くゼクスに話しかけた。 「構わんさ」 ゼクスは足を止めずに、顔だけを振り向かせる。 必要最小限の情報交換を交わした後、ゼクスはユーフェミアに同行を申し出た。 彼女を船に残しておくのはあまりにもリスクが高い。 だからといって無碍に扱うほどの証拠があるわけでもない。 ならば、船から離しつつ監視を続ければいい。 それが両方の考え方を充足する最善の一手だと、ゼクスは考えたのだった。 無論、ジープに乗っていたのは自分だけだと偽っている。 グラハムや白井黒子、衛宮士郎、天江衣のことは微塵も口にしていない。 彼女が『日本人』へ敵意を持つよう仕向けられているならば、名前を告げることすら危険だろう。 ゼクス・マーキスはユーフェミア・リ・ブリタニアのみと遭遇し、船を後にする。 これがゼクスとユーフェミアの間の真実だ。 その点、ギャンブル船が想像以上に広大だったのは不幸中の幸いといえる。 ゼクスがグラハムを見つけられなかったのと同様に、彼女も他の誰とも出会わなかったのだから。 「タイヤを破壊したのは、おそらく時間稼ぎのためだ。 修理に時間を掛けていては思う壺だろう」 ゼクスは、ジープのタイヤを銃撃したのはユーフェミアに違いないと確信している。 しかしそれすらも態度に出そうとしない。 むしろ『船には危険人物がいるから早く逃げよう』と、早急に立ち去る理由付けとして利用していた。 確かにあの程度なら修繕は容易だが、修理中に四人の誰かと遭遇したら全て終わりだ。 ユーフェミアの目を盗んで手紙を残したときにすら、タイムロスに気を揉んだほどなのだから。 「そうですね……」 ユーフェミアは歩きながら微かに顔を伏せた。 ゼクスを騙していることに罪悪感を覚えているのか。 それとも、撃たなければよかったと後悔しているのか。 表情から思考を読み取ることはできない。 「駅に着くまでの辛抱だ。車両にさえ乗れば後は楽になる」 ゼクス達が向かう先は西だが、置手紙に書き残した進行方向は南。 それぞれの方向は明らかに食い違っている。 当然だが、悪意を持って齟齬を残したわけではない。 理由は大きく分けて二つ。 まず、機動力の問題。 ここに来るときはジープに乗っていた。 しかし今は徒歩、それも女性を連れている。 正直に南下していると禁止エリアに阻まれてしまいかねない。 そのため一度西へ向かい、B-4の駅を利用しようと考えたのだ。 次に、残してきた四人のこと。 置手紙には追いかけないよう念を押しているが、聞き届けてくれるとは限らない。 とりわけ衛宮士郎という少年は、どうにかして追いかけようとしてくるだろう。 だからこそ、手紙に全てを書かなかった。 地図の記述を信じるなら、西へ1エリア分も動けば森林地帯に入るはずだ。 ジープを直し、置手紙の裏を読んで西に向かっても、ここから先へは乗り込めまい。 ゼクスはもう一度振り返り、ユーフェミアの様子を窺った。 交わした言葉はまだ少ないが、ゼクスは彼女に少なからぬ関心を抱いていた。 関心の理由は、彼自身も分からない。 だがもっと深く語り合えば、暴力を持ち込まずに事を解決できるかもしれない―― そんな予感さえしていた。 「どうかしました?」 「いや、――行こうか」 【B-4/ギャンブル船 3F 会議室/一日目/日中】 【グラハム・エーカー@機動戦士ガンダムOO】 [状態] 健康 [服装] ユニオンの制服 [装備] コルト・パイソン@現実 6/6、コルトパイソンの予備弾丸×30、軍用ジープ@現実 [道具] 基本支給品一式、五飛の青龍刀@新機動戦記ガンダムW [思考] 基本:殺し合いには乗らない。断固辞退 0:天江衣が泣き止むのを待って事情を聞く。 1:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 2:ゼクスと情報交換し方針を決定する。 3:ゼクスからガンダムについて詳しく聞きたい 4:張五飛と接触したい 5:主催者の思惑を潰す 6:ガンダムのパイロット(刹那)と再びモビルスーツで決着をつける ※刹那の名を知らない為、相手が既に死んでいることを知りません。 7:地図が本当に正確なものかどうかを確かめるために名所を調べて回る 8:衣の友達づくりを手伝う。ひとまずは一万ペリカを手にいれ、『麻雀牌セット』を買ってやりたい 【備考】 ※参戦時期は1stシーズン25話「刹那」内でエクシアとの最終決戦直後です ※バトル・ロワイアルの舞台そのものに何か秘密が隠されているのではないかと考えています ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※張五飛がガンダムのパイロット、少なくともソレスタルビーイングのメンバーであると知れないと考えています ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※ゼクスから駅周辺で戦闘が行われていることを聞きました。 ※第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、参加者同士で集まるというプランをゼクスから聞きました。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 【天江衣@咲-saki-】 [状態] 健康 [服装] いつもの私服 [装備] [道具] 麻雀牌セット、チーズくんのぬいぐるみ@コードギアス反逆のルルーシュR2 、レイのレシーバー@ガン×ソード [思考] 基本:殺し合いには乗らない、麻雀を通して友達を作る 1:どうすればいいのだ……? 2:《はらむらののか》と《清澄の嶺上使い》を救い出したい! 3:ギャンブルではない麻雀をして友達をつくる 4:グラハムが帰ってきたら麻雀を教える 5:チーズくんを持ち主である『しーしー』(C.C.)に届けて、原村ののかのように友達になる [備考] ※参戦時期は19話「友達」終了後です ※利根川を帝愛に関わっていた人物だとほぼ信じました。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました。 ※エスポワール会議に参加しました ※第2回放送を聞き逃しました 【B-6/ギャンブル船 1F 大ホール/一日目/日中】 【衛宮士郎@Fate/stay night】 [状態]: 健康、額に軽い怪我(処置済み)、左頬が腫れる(軽傷) [服装]: 穂村原学園制服 [装備]: カリバーン@Fate/stay night [道具]: 基本支給品一式、特上寿司×20人前@現実、基本支給品外の薬数種類@現地調達 [思考] 基本:主催者へ反抗する 1:黒子の具合を診る 2:ゼクスのことは…… 3:首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 4:黒子を守る。しかし黒子が誰かを殺すなら全力で止める 5:女の子を戦わせない。出来るだけ自分で何とかする 6:一方通行、ライダー、バーサーカーを警戒 [備考] ※参戦時期は第12話『空を裂く』の直後です ※残り令呪:なし ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※投影魔術自体は使用可能です。しかし能力を正確に把握していません。 ※ゼクスの手紙を読みました。 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康、精神疲労(中)、空虚感 [服装]:常盤台中学校制服、両手に包帯 [装備]:スタンガン付き警棒@とある魔術の禁書目録、タオル(投影品、2時間後に消滅) [道具]:基本支給品一式、ゼクスの手紙 [思考] 基本:なるべく普段通りに振舞う(スタンスは決めあぐねている) 0:今後の行動指針を考えたいが、色々ありすぎて混乱 1:衛宮さんが解析した首輪の情報を技術者へ伝え、解除の方法を探す。 2:お姉さまを生き返らせるチャンスがあるなら……? 3:衛宮さんが勝手に行ってしまわないようにする 4:衛宮さんが心配 5:衛宮さんはすぐに人を甘やかす 6:一方通行、ライダー、バーサーカーを警戒 7:少しは衛宮さんを頼る [備考] ※本編14話『最強VS最弱』以降の参加です ※空間転移の制限 距離に反比例して精度にブレが出るようです。 ちなみに白井黒子の限界値は飛距離が最大81.5M、質量が130.7kg。 その他制限については不明。 ※Eカード、鉄骨渡りのルールを知りました ※エスポワール会議に参加しました ※美琴の死により常に空虚感があります ※帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいるのではないかと考えています。 そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があったのではとも思っています。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ゼクスの手紙を一部読みました。 ※ゼクスの手紙には、少なくとも以下の内容が記述されています。 ・ゼクスの知り合いの名前と特徴 ・ユーフェミア・リ・ブリタニアの名前と特徴、『日本人』への反応 ・ユーフェミアが利根川、真宵、カイジを殺害した可能性があること ・ユーフェミアと共に南下する予定であること 他にも何か書いてあるかもしれません。 【B-5/廃村 西端付近/一日目/日中】 【ゼクス・マーキス@新機動戦記ガンダムW】 [状態]:健康 新たな決意 [服装]:軍服 [装備]:真田幸村の槍×2 [道具]:基本支給品一式 、ペリカの札束 、おもちゃの双眼鏡@現地調達、その他デパートで得た使えそうな物@現地調達 [思考] 0:ユーフェミアを警戒しつつ、本質を見定める 1:ユーフェミアと共にB-4駅を目指す 2:衛宮士郎が解析した首輪の情報を技術者、またはガンダム・パイロットへ伝える。 3:新たな協力者を探す。どんな相手でも(襲ってこないのなら)あえてこちらの情報開示を行う。 4:第三回放送の前後に『E-3 象の像』にて、一度信頼出来る人間同士で集まる 5:集団の上に立つのに相応しい人物を探す [備考] ※学園都市、および能力者について情報を得ました。 ※MSが支給されている可能性を考えています。 ※主催者が飛行船を飛ばしていることを知りました。 ※知り合いに関する情報を政宗、神原、プリシラと交換済み。 ※悪人が集まる可能性も承知の上で情報開示を続けるようです。 ※サーシェスには特に深い関心をしめしていません(リリーナの死で平静を保とうと集中していたため)。 ※ライダーと黒服の少女(藤乃)をゲーム乗った特殊な能力者で、なおかつ手を組んでいると推測しています。 ※ギャンブル船で会議が開かれ、参加者を探索していることを知りました。 ※グラハムから以下の考察を聞きました。 ・帝愛の裏には、黒幕として魔法の売り手がいる。そして、黒幕には何か殺し合いを開きたい理由があった。 ※衛宮士郎の【解析魔術】により、首輪の詳細情報(魔術的見地)を入手しました。 上記単体の情報では首輪の解除は不可能です。 ※ユーフェミアと情報交換をしましたが、船組のことは伝えていません。 【ユーフェミア・リ・ブリタニア@コードギアス 反逆のルルーシュR2】 [状態]:健康 [服装]:さわ子のスーツ@けいおん! [装備]: [道具]:基本支給品×4、豪華なドレス、アゾット剣@Fate/stay night、H K MARK23 ソーコムピストル(自動拳銃/弾数12/12発/予備12x1発)@現実 H K MP5K(SMG/40/40発/予備40x3発)@現実、神原のブルマ@化物語、ティーセット@けいおん!、特上寿司×21@現実 空のワインボトル×4@現実、ルイスの薬剤@機動戦士ガンダムOO、 シャトー・シュヴァル・ブラン 1947 (1500ml)×26@現実 紬のキーボード@けいおん! ペリカード(3000万ペリカ)@その他、1億ペリカ@その他、シグザウアーP226(16/15+1/予備弾倉×3)@現実 Draganflyer X6(残りバッテリー・10分ほど)@現実、Draganflyer X6の予備バッテリー×4@現実 レイのレシーバー@ガン×ソード、脇差@現実、即席の槍(モップの柄にガムテープで包丁を取りつけた物)、利根川幸雄の首輪 [思考] 基本:他の参加者と力を合わせ、この悪夢から脱出する。自分にできる事をする 特殊:日本人らしき人間を発見し、日本人である確証が取れた場合、その相手を殺害する 1:ゼクスと共にB-4駅を目指す 2:偽ゼロの存在を全参加者に知らせる 3:政庁で放送施設や通信施設を探し、全参加者に呼びかける 4:殺し合いには絶対に乗らない [備考] ※一期22話「血染めのユフィ」の虐殺開始前から参戦。 ※ギアス『日本人を殺せ』継続中。特殊条件を満たした場合、ユフィ自身の価値観・記憶をねじ曲げ発動する。 現在は弱体化しているため、ある程度の意識レベルで抵抗すれば解除可能。 今後も発動中に他の発動しているギアスと接近すれば弱体化、あるいは相殺されます。時間経過により回復。 会場において外部で掛けられたギアスの厳密な効果・持続期間に影響が出ているかは不明。 ※ギアスの作用により、ヒイロのことは忘れています。 ※ゼクスと情報交換をしましたが、船組のことは伝えられていません。 時系列順で読む Back The Hollow Shrine(前編) Next メメしい野郎共の詩 投下順で読む Back The Hollow Shrine(前編) Next 戦場に生きる者達(前編) 188 The Hollow Shrine(前編) 天江衣 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 188 The Hollow Shrine(前編) ユーフェミア・リ・ブリタニア 200 亡国覚醒カタルシス 188 The Hollow Shrine(前編) ゼクス・マーキス 200 亡国覚醒カタルシス 188 The Hollow Shrine(前編) グラハム・エーカー 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 188 The Hollow Shrine(前編) 衛宮士郎 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編) 188 The Hollow Shrine(前編) 白井黒子 196 試練~ETERNAL PROMISE~(前編)
https://w.atwiki.jp/gcmatome/pages/6534.html
Fate/hollow ataraxia 【ふぇいと ほろうあたらくしあ】 ジャンル 伝奇ビジュアルノベル+ファンディスク ※Windows版 ※PSV版 対応機種 Windows 98~XPプレイステーション・ヴィータ 開発元発売元【Win】 TYPE-MOON 発売元【PSV】 角川ゲームス 発売日 【Win】2005年10月28日【PSV】2014年11月27日 定価 【Win】7,140円(税5%込)【PSV】限定版:8,640円/通常版:6,480円/DL版:5,400円 レーティング 【Win】アダルトゲーム 【PSV】CERO C(15歳以上対象) 判定 良作 ポイント 繰り返される四日間の日常と戦い敵サーヴァント・サブキャラの掘り下げ充実したミニゲーム相変わらず"実用性"の方は微妙 Fateシリーズリンク 概要 ストーリー 特徴 ミニゲーム 開運 遠坂神社 風雲イリヤ城 ~とつげきアインツベルン~ トラぶる花札道中記(EX) 評価点 問題点 総評 余談 移植版の特徴 カプセルさーばんと 概要 『Fate/stay night』(以下前作)のファンディスクとして発売された作品。 舞台は前作で行われた第五次聖杯戦争の終結から半年後の冬木市で、前作のどのルートからも繋がっていない。 前作で登場したほぼ全てのキャラが登場し、それぞれのキャラについての掘り下げがなされている。 なお本作のシナリオは、本筋こそ前作と同様に奈須きのこが担当しているが、日常パートは他のライターが担当している。 2014年に発売されたPSVita版は、ボイスが追加されたほか、Win版の18禁要素を含むシナリオ・CG等が削除・改訂され、OPムービー及び主題歌も変更されている。また、ミニゲームも一部差し替えられた。 ストーリー “第五次聖杯戦争”終結から半年後の冬木市。サーヴァントたちは現界したまま、穏やかな日常を満喫している。衛宮士郎は何者かが聖杯戦争を再開しようとしていることをつかみ、調査のための夜回りを始める。 さあ、聖杯戦争を続けよう 夜。目覚めは苦痛から始まった。不快極まりない痛みとおぞましさを耐え、私は蘇生していた。胸を貫かれ、死んだはずの自分が…。 生き返った私の傍らには、“名前のない”サーヴァント。 残るのは曖昧で断片的な記憶。増幅していく嫌悪と不信。 斃すべき敵を求め、街へ。不吉な月の光の下、影が蠢く夜がまた始まる。 (PSV版公式HPより引用) + 主要キャラクター紹介 衛宮士郎 前作から引き続き主人公を務める、セイバーのマスター。平穏な日々の中で聖杯戦争再開の兆しを察知し、阻止のために行動を始める。 バゼット・フラガ・マクレミッツ もう一人の主人公で、第五次聖杯戦争開催の折、魔術協会より派遣された女性。繰り返される4日の聖杯戦争を勝ち抜くべく、戦いに挑む。 アヴェンジャー 本来聖杯戦争には召喚されない第8のクラスのサーヴァント。バゼットと契約し、彼女と共に夜の聖杯戦争に挑む。 カレン・オルテンシア 「教会」より、冬木市の教会に新たに派遣された銀髪の少女。 特徴 ストーリーは二つに大分され、一つは前作で主人公を務めた衛宮士郎の視点で、もう一つは本作で新たに登場するバゼット・フラガ・マクレミッツの視点で進行する。前者ではプレイヤーが冬木市上の各所に存在するイベントを選択し、それぞれの場所で起こる出来事を見ることができる。 見たことがない、あるいはストーリー進行に関わるイベントと選択肢にはそれぞれ印が付いている。 一日は午前・午後(場合によってはさらに放課後)・夜に分かれており、イベント一つにつき原則1つ時間を消費する。これを4日間繰り返すと、再び1日目の朝に戻る。ただし4日間までのどこかで死亡などの要因で打ち切られることもあり、この場合も1日目の朝に戻る。 ストーリー進行に関わるイベントを選ぶことでフラグが回収され、新たなイベントが出現する。 特定のイベントを選択することでミニゲームが解放されるほか、『eclipse』にシナリオが追加される。なお一度見たイベントは、メインメニューから自由に選択して見ることが可能。 後者は前者で行ったイベントの進行度合いによって、1日目の前に挿入される。本作の本筋は概ねこちらと言ってもよい。 主人公バゼットと、彼女のサーヴァント・アヴェンジャーが夜の聖杯戦争に挑む物語。 バゼット編に選択肢は存在しないが、読了後、新たにイベントが出現した状態で1日目が開始する。これにより選択肢が広がっていくことで、物語はエンディングへと近づいていく。 『eclipse』はタイトル画面から入る項目で本編から離れたエピソードを見られる。本作の18禁描写は一部を除きこちらに入っている。 そして、本作前後で型月と関わることになる、豪華ゲスト作家らによる壁紙イラストも収録。ファンディスクのお約束。 ミニゲーム 本作のミニゲームは3つ存在する。 開運 遠坂神社 遠坂凛が巫女を、アーチャーが宮司を務める神社。ゲーム開始時より選択可能。 ゲームを進行していると自動的に入手されるお金を消費して、おみくじや絵馬を買うことができる。 絵馬は本作キャラの設定画で、購入するとCGの項目に追加されるほか、それぞれの解説を聞くことができる。 風雲イリヤ城 ~とつげきアインツベルン~ あるイベントに仕込まれ、クリアした後は自由に選択可能となるゲーム。担当したのは『MELTY BLOOD』のフランスパン。 まずマスターを士郎・凛・桜の三人、サーヴァントをセイバー・アーチャー・ランサー・ライダー・キャスターの五人の中から一人ずつ選ぶ。 ステージは4つに分かれているが、基本的にクリックした箇所に進み、ゴールを目指す。 他のサーヴァントに接触すると戦闘となり、クリックを連打することで勝負。勝つと相手のHPを削ることができる。 魔力のゲージが満タンの状態で右クリックすると、先頭の敵に宝具を撃つことができる。敵も宝具を撃って来るが、クリック連打によって防ぐことが可能。 ステージ上には食べ物が存在し、これを取得することでHPを回復したり、移動速度上昇・無敵といった状態になったりできる。 最後のステージでボスを倒すとクリア。それまでのタイムが記録される。 サーヴァントを倒したりすることで出現する宝箱を開けると、コレクションアイテムを入手することがある。これらをすべて集めるとボーナスCGが閲覧できる。 ステージの間にはなぜか○×クイズが出題されるが、本作とはまるで関係のない問題が出されることも。 トラぶる花札道中記(EX) あるイベントをクリアすることで選択可能となるゲーム。拡張パッチを適用することでチームが追加されたEX(エクセリオン)になる。ストーリーモードのほか、フリー対戦モードやチュートリアルも完備。 こいこいルールを使用した花札であるが、加えてキャラ毎に設定された札をとることで蓄積されるMPを消費して、チームそれぞれ異なる『宝具』を使用することができる。 一部チームはゲームバランスを崩壊させるどころか、最早ゲームを成立させない宝具(*1)を使ってくる。 『Fate/stay night [Realta nua]』のPS2版初回限定特典に、またPSV版のRealta nua及び本作の購入特典に、このミニゲームのPSP移植版『とびだせ!トラぶる花札道中記』が前者ではパッケージ、後者ではDLコードとして同梱された。 『とびだせ!~』はパッチ適用前を基本としてフルボイス化、オリジナルチームを一つ追加したもの。 またPSV版にはいずれも、システムを流用した続編『とびたて!超時空トラぶる花札大作戦』も同梱された。 評価点 ファンディスクの域に収まらない、前作の補完も行われるイベントを含むシナリオ。前作から引き続き「きのこ節」も健在。 日常シーンでは、前作では基本的に敵として登場したサーヴァントとのイベントが大量に増えており、これまで知り得なかった一面を存分に見ることができる。 それぞれの過去を知ることができたり、それまでのイメージが一転するほどの壊れぶりが見られたりと、掘り下げが為されている。 秋ではあるが、室内プールに行くというシチュエーションがあるため、ヒロインたちの水着姿を見ることもできる。 他にも、前作では登場するシーンが少なかったサブキャラクターも登場する場面が増えた。 特に前作ではプロローグのみの登場となった氷室・蒔寺・三枝の三人は出番が劇的に増え、氷室については彼女が主役を務めるおまけシナリオも存在している。 夜の聖杯戦争に関わる戦闘描写も前作に引き続き好評。特に終盤は燃えること必至。 燃えを削ぐとして批判された18禁要素についても、『eclipse』という別枠に収めることで解決している。 本作で新たに登場した新主人公・バゼットと彼女のサーヴァントのアヴェンジャー、そして謎の少女カレンのいずれも、前作に登場したキャラクターと何らかの形で関わりがあるため、違和感を覚えることはないだろう。 なお今作のOPムービーは前作のようなアニメでなく静止画で構成されているが、流れるタイミング等も含め主題歌とセットで評価されている。 問題点 四日間を繰り返すという設定上、同じイベントを何度も見る羽目になることが多く、テンポが異様に悪い。 スキップ機能が充実しており、見たことがないイベントやストーリーを進める選択肢にそれを知らせるマークが付いていても、やはり気になることではある。 18禁要素こそあれ、実質おまけ扱いされているため実用性は微妙。 また、あるキャラクターとの濡れ場は例の如くシナリオ中(しかもほぼクライマックス)に挿入されているため、燃えを削いでしまっている。 前作がなまじ完成された作品であるがために、本作での一部キャラの掘り下げが却って蛇足となっていると捉えられることも。 掘り下げについても、日常パートはライターが異なるため、雰囲気の違いに違和感を覚えるプレイヤーも少なくない。 前作のルートの一つで登場した『真アサシン』が、本編中では一度も姿を見せない(*2)。 登場するのはパッチ適用後の「トラぶる花札道中記EX」のみ。しかも移植版では登場しないというあまりにも酷い扱い。 本作の主人公について + 核心に迫るネタバレのため注意 実は本作に登場する主人公・衛宮士郎は厳密には本人ではない。 そして本物の衛宮士郎は本編エピローグにチラッと登場するのみ。主人公だったのに。『eclipse』内にもう一つ本人としての登場エピソードがあるが、そちらは完全な番外編である。 補足すると、ややこしくはあるが「本物となんら変わらない偽者」と語られている通り「士郎」として登場している間は紛れもなく士郎である。なので「士郎のフリをして周囲を欺いている」のではなく「一時的に完全に士郎と化している」という解釈の方が正しい。 総評 ファンディスクでありながら、実質続編とも言える内容。 前作で主人公と敵対したキャラクターたちの日常の平穏、そして夜に繰り広げられる死闘。 それらを踏まえたうえでのクライマックスに向けての一連の流れは、多くのプレイヤーを魅了することだろう。 実用性については燃え描写からは切り離されたものの、ファンディスクとしては少々物足りないと思われる。 いずれにせよ『Fate』の本流を語るならば、前作に加えて本作も併せてプレイしておくべきだろう。 18禁のWin版と全年齢版のPSV版、いずれも好みで選んでも構わない。 余談 2014年1月30日に本編とのセット『Fate/stay night+hollow ataraxiaセット』が9,500円で発売された。 パッケージが描き下ろしだが、ゲーム内容は変更なし。Windows 8まで対応している。 スマートフォンアプリ『Fate/Grand Order』の爆発的ヒットなどにより本作が再度注目され、初回版もセット版も定価を超えるプレミア値段となっていた。 2019年6月28日に『Fate/stay night+hollow ataraxia 復刻版』が発売された。こちらはダウンロードカードであり、Windows 10まで対応している。 『Fate/hollow ataraxia REMASTERED』がSteam・Nintendo Switch向けに開発中と発表されている。 『Fate/stay night』と合わせて2014年時点で約40万本売れている。(参考リンク) 移植版の特徴 ミニゲームも含めて全てボイスが追加され、OPムービーと主題歌も一新された。 OPムービーはPSV版『Fate/stay night [Realta nua]』でも担当したufotableが制作し、主題歌は後にアニメ版『Fate/stay night [Unlimited Blade Works]』の後期OP及び挿入歌を担当することとなった「Aimer」が担当。 ED曲はアップデートで追加されたが、Win版ED曲の英語版となっている。こちらも同じく「Aimer」が担当している。 『eclipse』中の18禁要素を含むエピソードは削除されている(差し替えではない)。 そのため『eclipse』は前述の氷室が主役を務める話とゲームクリア後に追加される『後日談。』(というタイトルの番外編)のみと、専用のメニューがあるのに中身がスカスカになってしまった。 本編ストーリー中の濡れ場については18禁要素を削り改変という形になっている。 トラぶる花札道中記が特典となったため、新たなミニゲーム『カプセルさーばんと』に差し替えられた。それによってストーリー中でのミニゲーム解放までの下りも一部変更が為された。 このミニゲームでも『真アサシン』は登場しないため、正真正銘彼の出番がなくなってしまった。 その他のミニゲームはそのまま収録。いずれも多数のボイスが収録されている。 カプセルさーばんと 花札と同じ条件を満たすことで解放されるミニゲーム。所謂タワーディフェンス。なんかポ○モンっぽい 主人公を「シロウ」と「リン」のいずれかから選びゲームスタート。リンのほうが敵のレベルが高い。 登場するマスターやサーヴァントは前作『Fate/stay night』と本作のみならず、前日譚の『Fate/Zero』や外伝作品の『Fate/EXTRA』及び『Fate/EXTRA CCC』『Fate/Apocrypha』、原作のさらに原案の『Fate/Prototype』などなど、何気にオールスターを実現している。 バトルの方法は、時間経過で貯まるマナを消費してサーヴァントを召喚し、敵拠点を先に破壊した方が勝ちという、至ってシンプルなもの。 召喚したサーヴァントは敵拠点へ向かったりその場に留まったりと、様々な行動を取る。それぞれの特質をつかむことが重要。 サーヴァントは敵の攻撃によってHPがなくなると消滅して、マナを放出する。これを入手することでもマナは増加する。 原則倒した方にマナは移動するが、マナを横取りする能力をもつサーヴァントも存在している。 強いサーヴァントほど召喚に必要なマナの量も多く、再召喚にかかる時間も長い。 一度の戦闘で召喚可能なサーヴァントは事前にセットできる7騎までなので、よく考えてサーヴァントを選ぶ必要がある。 加えてサーヴァントを召喚する場所は召喚陣の位置を変えることで調整できる。極端な話敵拠点手前にも召喚可能。 ただし召喚陣を一定以上敵陣に近づけるほど、必要なマナの量は2倍3倍と増加するので注意。 また一定時間経過することで、マスターごとに異なる必殺技を使用できる。これで戦局を一気にひっくり返そう。 バトルに勝利すると、召喚した回数等に応じて各サーヴァントのレベルが上がる。 レベルが上がるとHPや攻撃力が上がるほか、再召喚にかかる時間が短縮されたりもするため、育成は重要。 同時にマスターのレベルも上がり、拠点のHPやマナの充填速度が上がる。 経験値は「自分以上のレベルの相手マスターに勝つ」「拠点ノーダメージ」「一定以上のマナを消費して勝利」を達成するほど倍増。 そして勝利後はガチャを回す。レアサーヴァントが出るか、既に持っているサーヴァントが出てしまうかは運次第。 排出されるサーヴァントは戦った相手が使ったものに限られるため、欲しいサーヴァントはそれを使う相手と出るまで戦い続ける必要がある。 ちなみにダブった場合はサーヴァントのレベルが1上がる。高レベルでは必要な経験値の量も増えるため、これでサーヴァントを育成するという手もある。 ちなみにいずれかの主人公でストーリーをクリアすると、敵マスターをプレイヤーとして選ぶことも可能。 それぞれのマスターで、特定のサーヴァントを召喚した場合の専用セリフがあったりするので、意外とボイスパターンは多様。 …最早おまけミニゲームの域を超えている。対人戦は不可能だが、あればきっと盛り上がったことだろう。 更に後の2019年12月20日、このゲームのみを切り出した移植版がスマホアプリとして買い切り販売された。
https://w.atwiki.jp/art-school/pages/51.html
SLEEP FLOWER 2005年12月21日発売、DVDディスク二枚組。
https://w.atwiki.jp/2jiseihaisennsou2nd/pages/234.html
Fate/hollow night◆ysja5Nyqn6 01/back to the stay night ――――目眩がした。 欠けた夢を、見ていたようだ。 “月を望む聖杯戦争”。 衛宮士郎(オレ)はいつの間にか、そう呼ばれる戦いに参加していた。 そこに俺の意思など関係はなかった。気が付けばすべてを忘れて、予選に参加させられていたのだ。 今でこそすべてを思い出してはいるが、それはまるで、夢を見ているような感覚だった。 ……いや、その感覚は、こうして目覚めた今も続いている。 「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 凛とした声が響く。 たったそれだけで、無理矢理招かれた事などどうでもよくなった。 それほどまでに、俺は目の前で佇む少女に目を奪われていた。 それを知ってか知らずか。少女はかつての再現のように、その言葉を続けた。 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。 ―――これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。 ――――ここに、契約は完了した」 その姿を、覚えている。 僅かに振り向く横顔。どこまでも穏やかな聖緑の瞳。 たとえ地獄に落ちようと、鮮明に思い返すことが出来と確信した、その姿。 ―――空には白銀に輝く真円の月。 静謐なる静寂の中、かつて騎士王と謳われた少女が、月の光に照らされていた。 † 「―――シロウ、“目は覚めましたか”?」 「あ、ああ。大丈夫、一応全部思い出した。 わるい、セイバー。心配かけちまったみたいだな」 俺の状態を確認するように、セイバーが声をかけてきた。 その声にはっと現実に立ち返り、慌ててそう答える。 「いいえ、かまいません。 シロウが周囲を心配させるのは、いつもの事ですから」 セイバーはそう言って、呆れたように小さく笑みを溢した。 「む……」 その言葉に若干の反感を覚える。が、反論の余地はないので押し黙る。 彼女の言う通り、自分が無茶をしてきた自覚はあるし、その無茶をフォローしてくれたのは主にセイバーだ。 下手に反論しては、どんなしっぺ返しが帰ってくるかわかった者じゃない。 それに――― 「それに、貴方が私を心配させるとしたら、それはこれからでしょう。 今のこの状況を、貴方が良しと出来る筈がないのだから」 「……………………」 さすがセイバー。衛宮士郎(オレ)のことをよく知っている。 「ああ、そうだな。……俺はこの聖杯戦争を止めるつもりだ」 もしこの聖杯戦争が、周囲に迷惑を掛けず、単なる魔術師同士の争いで終わるのなら、止めようとは思わなかったかもしれない。 なぜなら魔術師である、という事は常識から離れているという事であり、魔術師の本質は生ではなく死である。 死ぬ時は死に、殺す時は殺す。魔術とは、自らを滅ぼす道に他ならない。 そして相手が同じ魔術師なら、殺すことに抵抗はない―――それが俺の教わった、魔術師の初歩だからだ。 俺がするとしたらそれは、無用な被害が出ないように立ち回ることくらいだっただろう。 だがこの聖杯戦争は違う。 俺はこの聖杯戦争に、自分の意思とは関係なく強制的に参加させられた。 ならばどうして、他に同じように強制参加させられたマスターがいないなどと言えよう。 仮にも“正義の味方”を目指している以上、そんな巻き込まれてしまった人たちを見捨てるようなマネはできない。 「きっとまた、セイバーに何度も迷惑をかける事になると思う。 それでも良ければ、俺に協力してくれないか、セイバー?」 セイバーをまっすぐに見つめて、そう頼み込む。 自身の無力さは身に染みている。この聖杯戦争は、俺一人だけではどうすることもできない。 聖杯戦争を止めるには、サーヴァントであるセイバーの協力が必要だ。 「……まったく。やはりと言うべきか、貴方ならそう言うだろうと思っていました」 セイバーはため息を吐きながら、呆れ調でそう口にした。 そしてそのまま、ですが、と言葉を続ける。 「元より我が剣は貴方に預けています。貴方がそれを望むのであれば、是非もありません。 それに無辜の民、覚悟のない者を戦場に狩り立てるのは、私としても本意ではありませんしね」 「セイバー」 「行きましょう、シロウ。何をするにしても、まずは拠点を定めなくては」 セイバーはそう言って、再現された夜の街へと向けて歩き始める。 「ああ、そうだな」 その頼もしい背中を見つめながら、そう口にして彼女に続いて歩き出そうとして、 「――――え?」 セイバーが一瞬、彼女を象徴する青い衣ではなく、何か別の、黒い戦装束に身を包んでいるように見えた。 「どうしました、シロウ? 何かありましたか?」 「い、いや……何でもない。すぐ行く」 立ち止まったままの俺を不審に思ったのだろう。 そう振り返るセイバーは、いつもの紺碧と白銀の戦装束に身を包んでいる。 「気のせい……だよな。やっぱり」 たぶん、月の光で目が眩んだのだろう。 ネガポジが反転したように、一瞬だけ彼女の姿が黒く見えてしまったのだ。 「行こう、セイバー。 少しでも早く、こんな戦いを止めるために」 錯覚を振り払うようにそう口にして、セイバーと並んで歩き出す。 聖杯戦争は始まったばかりだ。 これから起こる戦いで、きっと何人ものマスターが散っていくだろう。その中には当然、無理矢理招かれたマスターもいるはずだ。 そういったマスターたちを助けるためにも、俺は、この聖杯戦争を止めなくては。 02/ Heaven’s Feel hollow night 「―――とまあ、こんな感じで“表”のオレたちの顔合わせは済んだわけだけど、」 不意にそう口にして、衛宮士郎(オレ)は目の前の少女へと声をかける。 「アンタのほうは何か思う所はあるかい、裏側の……いや、“本物のセイバー”?」 「――――――――」 “黒色の戦装束”を纏ったセイバーはその質問を黙殺し、冷たく押し殺した殺意だけをオレへと向けてくる。 実のところ、このセイバーは衛宮士郎がよく知る清廉なる騎士王ではない。 ある平行世界で『この世全ての悪(アンリ・マユ)』に呪われ黒化した、冷酷なる暴君である。 先ほどまで本来の騎士王としての姿をしていたのは、まあオレとの“契約”による特典みたいなものだろう。 「ケケ、嫌われたもんだねぇ。 ま、それも当然か。アンタからしてみれば、オレのこの姿はアンタの本来のマスターを侮辱しているようなもんだろうしな」 「よく回る口だ。だが程度を弁えぬのなら、喋れぬようその咽喉を切り裂くぞ」 セイバーはその金色の瞳に殺意を籠め、オレを射殺さんばかりに睨み付けてくる。 ―――死んだ。 もし視線で人を殺せるのなら、今ので軽く三回は死んだだろう。 彼女は本気で、それほどの殺意を籠めて口にしていた。 それが成されなかったのは単に、仮にもオレが彼女のマスターであるからに過ぎない。 「随分と物騒だなセイバー。聖杯戦争において、サーヴァントとマスターの相互理解は重要だぜ」 「貴様がそれを口にするか、“アヴェンジャー”。他者の殻を被るか、憎悪(のろい)を以てでしか世界(ヒト)と関われぬ道化が」 ―――アヴェンジャー。 たった今、セイバーは衛宮士郎(オレ)を指してそう呼んだ。 それは間違いではない。確かにオレは、存在しない第八のサーヴァントであると言える。 今ここにいる衛宮士郎(オレ)は、その実衛宮士郎本人ではなく、今回現界するにあたりその殻を被っただけの偽物なのだ。 第三次聖杯戦争においてアインツベルンによって召喚され、そして僅か四日で敗退したサーヴァント。 真名をアンリマユ。拝火教においてこの世の全ての悪を担う悪魔、その名を押し付けられた、ただの脆弱な人間。 そして大聖杯の中で、ようやく人々の願った存在として新生できた、人の悪性の極地。 それが今ここにいるオレの正体だ。 だが同時に、セイバーの言葉は決して正しくもなかった。 「おいおいセイバー。オレをそのクラス名で呼ぶのはおかしいぜ。 何しろオレは、アンタのマスターとして召喚されたんだからな」 「……………………」 オレの言葉にセイバーは、湧き上がる苛立ちを抑え込むように沈黙する。 そう、今のオレはアヴェンジャーではない。あえて言うのなら、クラス・マスターのサーヴァント。 この“月を望む聖杯戦争”の参加者として選ばれた、セイバーのマスターとして召喚された存在なのだ。 そしてサーヴァントを召喚する条件は、記憶を取り戻すこと。 つまり実際に予選を経験していたのは、衛宮士郎(オレ)ではなくセイバーだったのだ。 ちなみに衛宮士郎が参加していた予選の記憶は、“表側”を演じるための偽物の記憶だったりする。 ―――ことの発端は、“サーヴァントとして使役されていた”セイバーが、この聖杯戦争に参加したことにあった。 ある戦いの後、彼女は大空洞内にあった『ゴルフェの木片』に接触したことで、この聖杯戦争に参加する資格を得た。 だが参加資格を得ることと、実際に参加できることは違う。たとえ資格を得ていようと、本来使役中のサーヴァントがこの聖杯戦争に召喚されることはない。 なぜなら同じサーヴァントならば、既に召喚された存在を参加させるよりも、英霊の座から新たに召喚する方が遥かに安全だからだ。 何しろどこからも不満が出ない。 マスターとの仲が悪く、状況も悪いのであればいざ知らず、もしこれが関係は良好、勝利も目前な状態で召喚されれば、そのサーヴァントの参加していた聖杯戦争は破綻する。 マスターはサーヴァントを失って無条件で敗退するし、目前だった聖杯を逃したサーヴァントが反旗を翻すことも目に見えている。 たとえ手段としては簡単であっても、結果として生じるデメリットが大き過ぎるのだ。 故に原則として、サーヴァントは座からのみ召喚されるのだ。 しかしセイバーは使役されていた状態からこの聖杯戦争に参加した。 それを可能とした理由は、大きく分けて三つ。 一、セイバーが厳密には、死者ではなく生者の区分にあること。 二、黒化の影響で受肉したことにより、より生者に近しくなっていたこと。 三、彼女が生きている内に聖杯を手にする、という英霊の契約を交わしていたこと。 これらの理由により、セイバーは一人の生者として認められ、この聖杯戦争に参加することを可能としたのだ。 しかし、ここで問題が生じた。 いかに参加者として認められようと、現在のセイバーはあくまでもサーヴァントだ。 そしてサーヴァントには、魔力を供給するマスターが必要となる。 そこでムーン・セルは、セイバーにマスターとなる存在を宛がった。 即ち、オレだ。 形のない『無』であるオレに衛宮士郎の殻を被せ、彼女のマスターとして仕立て上げたのだ。 それが可能だったのは、セイバーが受肉し依代を不要としていたことと、 オレが『繰り返す四日間』の日常側において、「セイバーのマスターである衛宮士郎」の殻を被っていたからだろう。 本質的にはサーヴァントでありながら、マスターとしての側面も持つ存在。 それ故にオレは、衛宮士郎として行動する限りにおいて、魔力を自己生成し、セイバーへ供給することを可能としていた。 そうして、契約は果たされた。 聖杯戦争の参加者となった生者(サーヴァント)と、そいつに召喚された憐れな死者(マスター)。 そんな、色々な意味で反転した主従が誕生することになったのだ。 ホント、おかしな関係である。 天の逆月――堕天(ヘブンズ・フォール)とでも言うべきか。 その関係も、その属性も、その在り方も、全てが地上(ほんらい)の聖杯戦争とは逆さまだ。 まあこれが“月を望む聖杯戦争”である以上、ある意味において相応しい関係だと言えるだろう。 ………ただ一つ、どうしても分からない事があるとすれば。 それはオレがマスターに選ばれた理由だろうか。 この聖杯戦争に参戦したいと願うマスターは数多くいる。 そうでなくても、『ゴルフェの木片』に接触して資格を得た連中だっている。 ならばそいつ等の内の誰か一人をセイバーのマスターにしてもよかったはずだ。 だというのにムーン・セルは、わざわざオレをマスターに仕立て上げた。 それにどんな意味や理由があるのか、それだけがどうしても理解できなかった。 ただまあ、それは今考えたところでしょうがないし、聖杯戦争を勝ち抜いていけば分かることだ。 それに分からなかったとしても別に問題はない。 オレはただセイバーのマスター(エミヤシロウ)として行動し、その合間に“オレ”の役割を果たせればいい。 幸いにして、その機会はきちんと用意されている。 この聖杯戦争には、無力な弱者を喰い潰してでも聖杯が欲しいと願うマスターがそれなりにいる。そんな連中を殺す分には、衛宮士郎もそう文句は言わないだろう。 「ま、そんなワケだから、少しずつでも仲良くしていこうぜ、セイバー」 「……仕方あるまい。貴様がマスターとしての役割を果たす限りにおいては、その減らず口も見逃してやろう」 「お、ラッキー。早速一歩前進だ。やったね!」 「……………………」 セイバーは苛立たしげに眉を顰めると、その顔をバイザーで覆ってしまう。 同時にその戦装束が、漆黒から青色へと偽装される。 これ以上、オレと会話をするつもりはない、という事だろう。 なら、こちらも本性を見せている理由はない。 表向き、衛宮士郎に成りきって行動する。 彼女が内心でどう思っていようと、今のオレは衛宮士郎そのものだ。違いはどこにもありはしない。 なので、無理矢理参加させられた人達を助けようなどと、それらしい事を考えながら、衛宮士郎(オレ)はセイバーの横に並び立った。 頭上には孔のような真円の月。 杯のような輪郭は、まるで、そこにくべられる蜜を待ち望んでいるようだった。 「行こう、セイバー。 少しでも早く、こんな戦いを止めるために」 さあ、聖杯戦争を続けよう、アルトリア・ペンドラゴン。 ――――今度こそ、君の誓いを果たす為に。 00/END 「セイ、バー――――…………!!!!!!」 左右から繰り出された双剣。 爆撃めいたその一撃は、彼女の鎧を貫通して胴を薙ぎ払った。 紛れもなく致命傷だった。 その身がサーヴァントではなく、自然治癒の力が備わっていなければ、確実に即死していただろう。 そんな、人の身でサーヴァントを倒すという偉業を、彼女の本来のマスターは成し遂げて見せた。 「は……あ――――強くなりましたね、シロウ」 彼女にとって、それは心からの賞賛だった。 自分の代わりに戦うなどと、あまりにも無謀なことを口にした未熟な少年。 そんな彼が、本気の彼女と戦い、打倒し、後は止めを残すところまで来たのだ。嬉しくないはずがなかった。 「……いえ、それは違いましたね。貴方は、始めから強かった」 そう。彼は初めから強かった。 サーヴァントを失い、片腕を失い、かつての味方が敵として立ちはだかろうとも、決して諦めず一人の少女のために戦い抜いたその心。 たとえその意思が歪なものであったとしても、その強さを認めないわけにはいかないだろう。 「さあ、決着をつけてください。急がなければ、私の体は再生する」 倒れ伏す少年へと彼女は告げた。 傷は紛れもなく致命傷。いかに強力な再生機構を持とうと、あと数分は何もできない。 あとはとどめを残すだけ。その介錯を、彼女は少年に願った。 少年をその手に掛けてしまうくらいならば、その前に彼の手で、この命を終わらせて欲しかったのだ。 ………だが。 「――――――――」 「…………シロウ?」 彼女のその願いは、叶わなかった。 限界を超えた力の代償。 最後の一撃を放った時点で、少年はどうしようもないほどに終わっていたのだ。 「――――では、私の勝ちですね、シロウ」 呟く声に感情はなかった。 きっと慣れていたからだろう。 彼女とて国を救うために、村の一つを干上がらせ、そうして得た糧であまりにも多くの敵を斬り伏せてきた。 それが英雄というものだ。 いまさら人一人を死に追いやったところで、思う所がある筈もない。 今回はその相手が、自分の本来の主であったというだけの事に過ぎないのだ。 故に、涙は流れなかった。 この聖杯戦争の結末にも、もはや関心はなかった。 彼女の胸に去来していたのは、小さな哀れみと、より確かなカタチで懐いた、自らの願いだけだ。 少女――アルトリアは、王の選定をやり直すためにサーヴァントとなった。 聖剣を抜いてしまった時、国を救えなかった自分ではなく、国を救えた筈の相応しい王がいた筈だ。 故に、王の選定をやり直すことが出来るのなら、きっと国を救うこともできるはずだ、と。 そう、私は国を救えなかった。 そんな私をサーヴァントとした少年も、自らが死に追いやった。 つまるところ、私は王に相応しくなかった。王となるべきは、やはり私ではなかったのだ。 故に、私の願いは変わらない。 王の選定をやり直し、全ての運命を変える。 真に王に相応しい英雄であれば、国も、彼の事も救える筈だ。 そうして運命を覆し、国の亡びも、聖杯戦争の結末も、何もかもをやり直す。 それが仮にも王であった私の、彼のサーヴァントであった私の、残された最後の責務だろう。 ……ただ、それでも。 「―――問おう。貴方が、私のマスターか」 この身が呪われたままであっても。 この再会が偽りであったとしても。 「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。 これより我が剣は貴方と共にあり、貴方の運命は私と共にある。――――ここに、契約は完了した」 この虚ろな夢に微睡むことくらいは、今の私にも、赦されるだろうか。 【クラス】セイバー 【真名】アルトリア 【出展】Fate/stay night 【参加方法】 大空洞内にあった『ゴフェルの木片』と接触。 大聖杯を通じて自ら召喚に応じた。 【パラメーター】 筋力:B 耐久:B 敏捷:D 魔力:B 幸運:B 宝具:A++ ↓偽装時 筋力:B 耐久:C 敏捷:C 魔力:B 幸運:B 宝具:C 【属性】 秩序・悪(偽装時は、秩序・善) 【クラススキル】 対魔力:B、騎乗:‐(偽装時は、対魔力:A、騎乗:C) 【保有スキル】 直感:B、魔力放出:A、カリスマ:E(偽装時は、直感:A、魔力放出:A、カリスマ:C) 【宝具】 『風王結界(インビジブル・エア)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~2 最大補足:1個 セイバーの剣を覆う、風で出来た第二の鞘。厳密には宝具というより魔術に該当する。 幾重にも重なる空気の層が屈折率を変えることで、覆った物を透明化させることが出来る。 透明化された武器はその間合いを把握することが困難になるため、白兵戦では非常に有効な武器となる。 ただし、あくまで視覚に対する効果であるため、幻覚耐性や「心眼(偽)」などのスキルを持つ相手には効果が薄い。 また風で覆う対象は剣に限らず、オートバイに纏わせて空気抵抗を削減させたり、ビルをも覆う風の防御壁にしたりすることも可能。 セイバーの場合は基本的に聖剣を覆い不可視の剣としているが、透明化は副次的な役割であり、その本質は彼女の余りにも有名すぎる剣を隠すためのもの。 また纏わせた風を解放することで、「風王鉄槌(ストライク・エア)」という破壊力を伴った暴風として撃ち出す技ともなる。 ただし、一度解放すると再び風を集束させるのに多少時間を要するため、連発はできない。 『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』 ランクA++ 種別:対城宝具 レンジ1~99 最大補足1000人 生前のアーサー王が、一時的に妖精「湖の乙女」から授かった聖剣。 人ではなく星に鍛えられた神造兵装。聖剣というカテゴリーの中で頂点に位置し、「空想の身でありながら最強」とも称される。 神霊レベルの魔術行使を可能とし、所有者の魔力を光に変換、集束・加速させることで運動量を増大させ、光の断層による「究極の斬撃」として放つ。 攻撃判定があるのは光の斬撃の先端のみだが、その莫大な魔力の斬撃が通り過ぎた後には高熱が発生するため、結果的に光の帯のように見える。 ただし、黒化したセイバーが担うこの聖剣は、使い手の魔力を光に変換、集束・加速させるという作用の影響で、剣身や放たれる極光も黒く染まっている。 「聖剣」と呼ばれながらも黒化の影響を受け入れるのは、この宝具そのものが守り手である湖の乙女と同じく善悪両面の属性を有するため。 それ故か、この状態であっても聖剣としての格は全く喪失していない。 【weapon】 『エクスカリバー・モルガン』 セイバーが黒化した影響により、もう一つの側面である闇に染まった聖剣。 たとえ自身を黒化前に偽装していようとこの聖剣を誤魔化すことは出来ず、その刀身は禍々しい黒色となっている。 そのため、『風王結界』によって剣を隠す意味合いがより大きくなっている。 【人物背景】 通称セイバー・オルタ。 衛宮士郎のサーヴァントであったセイバー(アルトリア)が、アンリマユの影に汚染され黒化した存在。 HFルートにおいて、最強の敵として士郎たちの前に立ち塞がる。 【サーヴァントとしての願い】 王の選定も、聖杯戦争も、何もかもをやり直す。 【運用法】 マスターの影響により、黒化する前の自分へと偽装することが可能となっている。 アヴェンジャーが衛宮士郎に成りきれるように、現在の彼女も意識的に自己を反転させることが出来るのだ。 ただし、それはあくまでも偽装であり、主体が黒化した状態のセイバーであることに変わりはない(そのため偽装中でもクセ毛がない)。 また偽装状態であっても黒化の影響がなくなるわけではなく、騎乗、直感、カリスマといった精神系スキルがランクダウンしている。 さらには受肉し霊体化もできなくなっているが、セイバーはもとより霊体化が出来ない。 そのため依代が不要になり、彼女を維持するための魔力消費がゼロとなっただけである(ただし、戦闘の際にはマスターによるバックアップが必要)。 基本的な運用方法はどちらの状態でもほぼ同じ。 あえて区別するならば、偽装時は対魔術師や俊敏さを必要とする戦闘に、黒化時は近接戦闘に向いていると言える。 また魔力消費などマスターの負担を考慮しないのであれば、全ての能力値をワンランクアップさせることが出来る。 これは黒化の影響によるものであり、狂化スキルによる能力上昇とは異なる(本来の能力を超えた強化はできない)。 なお、聖剣の開放など膨大魔力を使用する場合には偽装を保つことが出来ず、黒化した彼女の姿が露わになってしまう。 【基本戦術、方針】 基本的には偽装状態で行動。シロウの方針に従い、強制参加させられたマスターの保護のために動く。 しかし可能であれば敵サーヴァントを倒し、必要であれば偽装も解く。 そして最終的には聖杯を手に入れ、全てをやり直す。 【マスター】衛宮士郎(アヴェンジャー) 【出展】Fate/hollow ataraxia 【参加方法】セイバーが参加者となったことにより、彼女のマスターとして召喚された。 【マスターとしての願い】 聖杯に託す願いはない。 強いて言えば、強制参加させられたマスターを保護し、聖杯戦争を止める事が願い。 ただしこれは衛宮士郎としてのものであり、アヴェンジャーとしての願いは不明。 【weapon】 『投影宝具』 衛宮士郎の武装。 投影魔術によって作り出した武装。 カリバーン、干将・莫邪といった宝具が代表的。 『右歯噛咬(ザリチェ)・左歯噛咬(タルウィ)』 アヴェンジャーの武装。投影という形でなら衛宮士郎も使用可能。 現界する際の元となった人物の特徴が色濃く出た、奇形の双剣。 刀剣砕き(ソードブレイカー)であり、切り裂くための武器ではなく、敵の武器を拘束する為の牙。 【能力・技能】 「セイバーのマスターの衛宮士郎」として召喚されたため、衛宮士郎と同程度の能力しかなく、分類的にはEXTRA主人公やありすなどの網霊(サイバーゴースト)に近い。 また同様の理由で、アヴェンジャーとしての能力や宝具が使用可能かどうかも不明。少なくとも、完全に衛宮士郎として行動している間は使用できない。 『投影魔術』 衛宮士郎の魔術。 想像理念、基本骨子、構成材質、製作技術、成長経験、蓄積年月の再現による物質投影。 それが「剣」であるのならば、いかなる武装でも複製できるが、彼自身の技量が未熟ため、完全な投影が出来ないものもある。 これは衛宮士郎本来の魔術である固有結界“無限の剣製”から零れ落ちたものだが、衛宮士郎の生成できる魔力量では起動させることが出来ないため除外する。 『偽り写し記す万象(ヴェルグ・アヴェスター)』 アヴェンジャーの宝具。本人曰く「傷を負わねば攻撃できない、クソッタレの三流宝具」。 ゾロアスター教経典「アヴェスター」の写本であり、「報復」という原初の呪い。自分の傷を、傷を負わせた相手の魂に写し共有する。 仮に右腕がなくなった場合にこの宝具を使うと、相手の右腕が同様に吹き飛ぶことはないが、感覚がなくなり、動かすことも出来なくなる。 条件さえ満たせば、高い魔術耐性を持つサーヴァントであっても問答無用で適用でき、また「共有」であるため、アヴェンジャーが自身の傷を癒さない限り、相手の傷も癒えることはない。 しかし、発動は対象一人に対して一度きり、放つのは自動ではなく任意発動。自分が軽傷ならば敵にもさしたる効果は与えられず、かつ今後同じ相手には使えなくなり、一方、致命傷を受ければ使う前に自分が死亡してしまうので発動できない。 使いどころが非常に難しい上、互いに重傷を負って動けないという困った状況が出来る。 ただし、足止め用としての性能はこの上なく高いため、止めを刺せる相棒と組めば、それなりの効果を発揮する。 『対人間(?)』 アヴェンジャーのスキル。 本人曰く、「英霊クラスの超人であろうと、人間である限り俺には勝てない」。 詳細は不明だが、おそらくセイヴァーのクラススキル「対英雄」に類するスキルの究極系であろうと思われる。 【人物背景】 「Fate/hollow ataraxia」の主人公。 繰り返す四日間の中で、謎の聖杯戦争の真相を探る。 厳密には、この衛宮士郎は「アヴェンジャーが士郎の殻を被ったもの」であり、士郎本人とは違う。 とはいっても、もともとのアヴェンジャーは虚無のものであるため、確たる性格というものはない。 そのため、彼本来の好奇心や夢など根底的な衝動などを除けば、その性格は衛宮士郎の暗黒面を現出させたものに等しい。 ちなみに“殻をかぶる”と表現されてはいるが、厳密に言うと本物の衛宮士郎との同化に近く、衛宮士郎として行動するときは完全になりきっている。 なおアヴェンジャーの持つ武装や宝具は現在の姿を形作った際に得たもので、元となった人物の特徴が色濃く出ている。 真名は「アンリマユ」。 この世全ての悪なるものを肯定する反英雄の極地であり、もとはその役割を一身に背負わされ、延々と蔑まれ、疎まれ続けた結果、「そういうもの」になってしまった普通の人間。 生まれ育った村の呪いによって、人間であった頃の名前は世界から喪失している。 決まった姿や人格を有せず、本来は人型の影として活動する。 今回はhollow時点での姿、すなわち「セイバーのマスターの衛宮士郎」という殻をかぶって召喚された。 【方針】 基本的に衛宮士郎として行動する。つまり、強制参加させられたマスターを保護し、聖杯戦争を止める。 セイバー・オルタからの指示があった場合は、一応その指示に従い、アヴェンジャーとして行動する。 アヴェンジャー個人としての行動方針は不明。あえて言うなら、自分が召喚された理由の解明。 【備考】 ※予選中のセイバーの設定は、学園の風紀委員であった模様。 ※令呪は衛宮士郎の左手にあるが、セイバーが召喚したという形式のためか、形状はマスターアルトリアのものとなっている。