約 2,011,193 件
https://w.atwiki.jp/kontonpsw2/pages/169.html
使用者 ユッカ 折りたたみ式デスサイズ 武器強化 効果: 〈バヨネット〉のように銃に取り付けるように加工された〈デスサイズ〉です。 〈デスサイズ〉と同様の能力を持つ〈バヨネット〉として扱います。 武器習熟A/ガンを習得しているなら〈デスサイズ〉の持つランク効果も使用できます。 詳細: 帝技研職員の思いつきで製作されたデスサイズを使用したバヨネットです。 普段はストック側に折りたたまれるように格納されており、 使用するときは刃を展開し銃身を大鎌の柄のようにして振るいます。 この世界では魔法を使用しなければ弾丸が暴発することもないので安心。
https://w.atwiki.jp/mousouvs/pages/1754.html
ヴェルデバスターガンダム 出展:【機動戦士ガンダムSEED C.E.73 STARGAZER】 所属:地球連合軍 形式番号:GAT-X103AP 全高:18.46m 重量:99.36t 盾:ない 変形:ない 換装:ない 抜刀:ある 連ジコスト:310 連ジ耐久力:560 連ザコスト:450 連ザ耐久力:650 装甲材質:ヴァリアブルフェイズシフト装甲 DP:シャムス・コーザ バスターガンダムのときとは違って、ライフルとガンランチャーの連結機能が失った。 もしガンガンコストで戦おうとするときには、アシストパートナーとして勤める。一度の呼び出しにたったの1機しか助けが呼べられないが、強力な射撃と格闘で援護してくれる。 ■射撃 メイン射撃【高エネルギービーム砲】 弾数:8 リロード:1発につき4.5秒(実弾式)ダメージ:110 サブ射撃【6連装ミサイルポッド】 弾数:12 リロード:全弾6秒(打ち切り式)ダメージ:1発につき30 特殊射撃【ガンランチャー】 弾数:3 リロード:全弾4,2秒(打ち切り式)ダメージ:一度の発射に20×8=160 メイン格闘【複合バヨネット装備型ビームライフル(射撃)】 弾数:14 リロード:2発につき5秒(実弾式)ダメージ:一度の発射に100+100=200 納刀中だけ撃てられる。ギャプランのダブルビーム砲と一緒。 特殊格闘【複合バヨネット装備型ビームライフル(切り替え)】 バヨネットを納刀←→抜刀状態に切り替える。 ■格闘【複合バヨネット装備型ビームライフル(銃剣)】※格闘体制に入る場合は、バヨネットを抜刀状態にする必要がある。 Nメイン格闘【接近して、斬りつける】 ダメージ:40×4=160 前メイン格闘【連打刺し】 ダメージ:40×4=160 横メイン格闘【回り込んで斬りかかる】 ダメージ:40×3=120 後メイン格闘【飛び蹴り→刺す→また蹴る】 ダメージ:40+50+40=130 ストライクガンダムの特殊格闘と同じ。 基本戦術 具体的には おすすめアシストパートナー おすすめ精神コマンド タッグと組むなら CPUとボス攻略 更新情報 2022・8・17 画像をアップ。 2012・5・7 新設。
https://w.atwiki.jp/y256/pages/176.html
今にも雨が降りそうな雲の下、3人は姉さんの家に向かって歩みを進めていた。 ミキオとタンサンが昨日のテレビ番組『金曜映画劇場』の話題で盛り上がり、その後に白いヘッドホンをしたナツキが続くといったふうだ。 「道わかるの…?」 迷う様子もなく肉屋の角を曲がったミキオを見て、ナツキがふとそう聞いた。 ミキオは今更か、という表情で振り返り「姉さんの家行ったことあるしな」と返す。 ナツキは納得した表情になるが、すぐにギョッとする。 「うわー不潔ー!」 そう言いながらミキオの背中をばしばし叩いた。 タンサンも調子に乗って「ミキオちゃん不潔ー」と続ける。 「うっせー!弟子なんだからいいじゃねーか」 ミキオは2人の罵声から逃れるように早歩きになった。 第3(9)話 突入!あたしんち 「ここだぜ」 ミキオは灰色のアパートを見上げてそう言った。 『~A棟』とあったが、まわりにB棟なる建物は見当たらなかった。 「なんか庶民っぽいわね」 ナツキは階段を昇りながら、品定めするように言う。 白いヘッドホンは、すでに首に下ろしていた。 「おめーどこの貴族だよ」 先頭を歩いていたミキオが、2階の右側の部屋で止まる。 扉の横には『本田』と書かれたプラスチックの表札があった。 「本田って苗字なんだだ。案外フツーね」 「姉さんにイチャモンつけねーと気が済まないのかよ…」 呆れ顔でミキオはインターホンを押す。 壁を隔てた向こう側でピンポーンと小さい音が聞こえた。 パタパタと足音がドアの前迫ってきて、止まる。 覗き穴からこちらを見たのであろう数秒の間を空けて、鍵がガチャリと開いた。 「いらっしゃい」 ドアを開けたのは黒茶色の髪の女性、姉さんだ。 靴を脱ぎながら「お邪魔します」というタンサンの後ろで、ナツキがぽかんとする。 「え…あんたウチのガッコだったの?」 姉さんの格好は、上が白いプリントTシャツで、下は白いラインと府釜高校のマークが入った紺色のハーフパンツ。 そのハーフパンツは、ナツキも数日前に購入したばかりだった。 「言ってなかったか?」 ミキオは頭をかいて「卒業したばっかだぜ」と続けた。 「あれ?フガコウに決まったんだ、進路」 「オレたち3人ともね」 ミキオがそう言った後に、「おれっちはかなりギリギリだったけどな!」とタンサンが無駄に偉そうにに付け加えた。 フガコウ…府釜高校は府釜市の山沿いにある高校だ。 普通科6クラスの男女共学校で、レベルは中の下くらいだったがそれなりに人気があった。 最初にここを受験すると決めたのはミキオだった。 それを追うようにナツキが、そして「じゃあおれっちも」とタンサンが受験し、見事に3人とも合格。春から通うことになっていた。 「どうぞどうぞ」 と言って姉さんは3人を部屋に通す。 彼女の部屋は、中央に折りたたみ式のテーブル、壁に隣接するように木製のタンスと本棚が配置されていた。 急いで片付けたのか、部屋の隅に雑誌が山になっていた。 「うちの高校あんまり厳しくないけど、その髪の色どうよ?」 扉を閉めた姉さんがミキオの金髪を指して言った。 いつの間にか手にはおぼんを持っており、お茶の入ったグラスが4つ載っていた。 「指導の先生と対決してやりますよ」 姉さんは「そ」と言って、おぼんをテーブルの上に置いた。 「さてと、本題ね。こっちで余ってたプレスタのハーフは、青2つと黒1つなんだけど…どうする?」 ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラー]とフルアーマーガンダムMk-2をそれぞれ表にした束がテーブルに出される。 「じゃあその青セット2つ貰ってあげる」 ナツキが「はい、白セット」といいながら荷物からカードを取り出す。 これで青セットが3つ。十分な枚数のカードが揃った。 ウチの色は青で決定だね。 ナツキはそう考えて少しほっとした。少なくとも白デッキを使わずにすむのだから。 「そうだ、これもあげるわ」 と姉さんはおもむろにデッキケースを渡した。 ナツキがケースからカードを取り出し、ぱらぱらと確認する。それを横から覗くミキオ。 政治特権に急ごしらえ…基礎カードばかりだった。 「姉さん、これ…」 「タケシのとこから持ってきといたから、使って」 タケシ先輩のところから”搾取”してきたのか…とミキオは苦笑した。 聞きなれない名前に首をかしげているナツキに、タンサンが「タケシってのは姉さんの幼馴染でカレシ」と小さい声で補足した。 「でも、姉さん…いいっすよ、こんなにあげたらこいつ自分で集める気なくしますし」 ミキオはカードを全部見終わる前にナツキからデッキケースごと取り上げて、テーブルの上に戻す。 戻されたデッキケースを見つめ、姉さんは納得したように「ちゃんと彼女のこと考えてあげてんだ」と言った。 ミキオからすれば「タケシ先輩に申し訳ねぇな」くらいの気持ちだったのだが、姉さんの言った「彼女」が気になった。 「いや、カノジョじゃ…」 「お似合いよ?」 姉さんはクスクスと笑って「でも、あげる」とデッキケースを再びナツキに渡す。 ぽんと手渡されたデッキケースを、今度はしげしげと見つめるナツキ。 素直に「ありがとう」と言いそうになったが、言葉を飲み込んで顔を上げる。 「あんたに言われなくても、ウチとミキオはお似合いなんだってば!」 「ちょっとまて!オレは姉さんのおっぱいのが…」 「うがー!ミキオのばかー!!」 「そうだぜミキオちゃん、おっぱいのおっきい女はバカって言うだろ?」 3人が口々に言う。 それを見ながら、姉さんはお茶を飲み「夕飯は何を作ろうか」などと考えていた。 「こうなったら、どっちが強いか決めればいいじゃんよ~!」 あーだこーだ言い合った末、タンサンがそう言った。 部屋の中が静まり返る。 「あたしと…ナツキちゃんで?」 姉さんは意表を突かれて自分を指差す。 「オレが両方のを揉んで決めるってのは?」 「っ…あんたが触りたいだけでしょ」 鈍い音。 胸を揉むポーズをするミキオに、間髪入れずに姉さん鉄拳が飛ぶ。 「ウチのはいつでも触っていいんだよ?」 頭を抱えて痛がるミキオに、今度はナツキが上目使いでそう言い寄る。 胸を強調するようなポーズだったが、残念ながら強調するほどのバストサイズはなかった。 「やっぱ、おめーのはいいや」 「うがー!!」 タンサンは輪から離れ、本棚の漫画本を読みだした。 ミキオとナツキの問答にはもう慣れたといわんばかりの態度。 姉さんはふうと息をついて、空になったグラスを下げてテーブルを拭く。 「1回だけよ?」 姉さんの言葉に、言い合いをしていた2人は顔を見合わせる。 「今デッキ作るからまってなさいよ!」 姉さんにキツイ視線を向けた後、すぐにミキオに向き直り「教えて☆」とウインクしてみせるナツキ。 ミキオのアドバイスを元に、姉さんから受け取った束とプレリュードスターターのカードからデッキを作ることになった。 タンサンは3人に桃色の背表紙を向け、黙々と漫画を読み続けている。 姉さんは彼に、「少女マンガだけど、面白い?」と伺うように聞いた。 「おれっち的にはこういうのもアリだね」 「ふぅん。あ、羽鳥にはこれがあったわ」 姉さんは思い出したように『Shop Championship』の箔が押されたジンクス3(コーラサワー機)を3枚差し出す。 タンサンはあざっす、あざっす!と頭を振った。 「やるわよ!」 ナツキがカードの束を手にそう叫ぶ。 随分簡単に出来たんだな、と少し姉さんは心配になった。が、本人がそう言うのだからお節介はやめだと考え直し、「じゃあ、やりますか」と手首にしてあったゴムで髪を結った。 ベランダに雨音が響く。どうやら降り始めたようだ。 つづく 前へ / 第2期TOP / 次へ txt Y256 初出:mixi(10.03.04-05) 掲載日:10.03.05 更新日:10.04.01
https://w.atwiki.jp/codevein/pages/40.html
女王討伐隊の銃剣 バヨネット ライオットスマッシャー 穿つルベライト 白狼の銃剣 ブラッドスノウ フレイムディサスター 落日の銃剣 黒衣の銃剣 リベルタドール 堕ちたバヨネット ブローディア
https://w.atwiki.jp/siberia-g/pages/75.html
某国軍制式サバイバルナイフ
https://w.atwiki.jp/karanemi/pages/277.html
作品名:ストライク・ザ・ブラッド 使用者:ラ・フォリア・リハヴァイン ストライク・ザ・ブラッドに登場する武器。 金属塊の機械人形すら貫通する呪力弾丸と備えられた銃剣による切断が可能な銃。 また、銃剣は膨大な霊力を注ぐことで疑似聖剣と化す。 武器についての詳細形容 基本性能 呪力弾を発射する銃 銃剣(バヨネット) 欠点 使用者との関連性アルディギア王家 元ネタ? 関連項目 関連タグ リンク 武器についての詳細 形容 美しく巨大な単発式拳銃金管楽器に似た美しい装飾が施されている大型拳銃。 刃渡り十五センチほどの銃剣が装着されている。 金色に輝く大型の呪式銃だ。銃把には美しい装飾が施され、拳銃としては長めの銃身の下 に、刃渡り十五センチほどの銃剣が装飾されている。 基本性能 威力(銃弾) 吸血鬼の真祖の殴打を受けても破壊されない機械人形を一発でまとめて吹き飛ばす 威力(疑似聖剣) 生命力及び再生能力が高い人狼、吸血鬼が一撃で戦闘不能になる。加えて作中に登場した眷獣を一撃で消滅させている。※破魔の力の補助あり 呪力弾を発射する銃 呪力を籠めた弾薬を扱う銃呪力を封印した貴金属の弾薬を籠める。 呪式銃とは、呪力を封印した貴金属の弾薬を使う特殊な銃だ。 呪力を籠めた強力な貴金属の弾を発砲する発砲時は凄まじい閃光が放たれる。 全身が鋼でできている機械人形の群れを貫通し、全壊させる。 単発式のその拳銃に、弾薬を装填し、彼女は迫り来る兵士たちに向けて躊躇なく 発砲した。銃から凄まじい閃光が放たれて、黒鎧の兵士たちを吹き飛ばす。 (中略) 閃光の正体は銃弾だ。たった二発の弾丸が、強靭な兵士たちの包囲網を破り、古城たちの 窮地を救ったのだ。 銃剣(バヨネット) 呪式銃に装着された刃渡り十五センチほどのバヨネット使用者の精霊炉化によって疑似聖剣と化す刃。ヴェルンド・システムによって長さ数十メートルの長さの刃を形成する。 その詠唱が終わる前に、ラ・フォリアの銃剣が閃光に包まれた。青白い輝きが太陽のよう に周囲を照らし出し、刃渡り十数メートルもの巨大な刃を形成する。 欠点 弾薬が高価である上に一発しか装填できない構造上、相手からは銃口から弾丸が装填されているかどうかが丸見えで長時間戦闘に向かない。 王女の呪式銃に弾が残っていないことが、キリシマの目には見えていた。単発式の呪式銃は 構造的に、弾丸が入っているかどうか銃口から丸見えなのである。 使用者との関連性 アルディギア王家 疑似聖剣精製使用者の精霊炉化によって銃を疑似聖剣へと変える。 元ネタ? 拳銃にバヨネット CQB(クロス・クォーター・バトル)の一種。 銃身の短い火器にバヨネットを装着することで屋内での戦闘を可能にする。 現代ではアサルトカービン等にバヨネットを着けたCQBが主流だが、第一次世界大戦の段階では拳銃が主役だった。 詠唱 恐らく北欧神話に登場する戦乙女(ヴァルキュリア)が元ネタと思われる。 神々の娘で人の戦に加わって勝利をもたらし、死亡した英雄を神々の世界であるヴァルハラへと運ぶ。 関連項目 ヴェルンド・システム 銃剣を疑似聖剣へ変える戦術支援兵器。 関連タグ ストライク・ザ・ブラッド 刀剣 武器 聖剣 銃剣 銃火器 リンク Wikipedia CQB Wikipedia ワルキューレ
https://w.atwiki.jp/mousouvs/pages/786.html
【M9D ファルケ 】 耐久力 630 コスト☆3.5(450) DP:クルーゾー 変形不可 出展【フルメタルパニック】 メイン射撃【アサルトライフル】 弾50 リロード10秒 ダメージ13×10 手持ちのアサルトライフルから弾を10発撃つ。 サブ射撃【57mm滑腔砲】 弾数4 リロード7秒 ダメージ200 遠距離用の武装。 長押しで砲撃モードに可能。 特殊射撃【AS用対物狙撃銃】 弾数6 リロード15秒 ダメージ160 遠距離用の武装。 通常格闘【単分子カッター】 手持ちのナイフで斬りつける。 特殊格闘【ECS】 一定時間姿を隠し、ロックができなくなる。
https://w.atwiki.jp/naruhara/pages/656.html
武器 銃剣 強攻撃で射撃攻撃が可能な武器です。 入手方法に「ショップ」とあるものは、宝箱から入手した後にショップに並びます。 (並ぶのは無強化のものです。また、初期装備は最初からショップに並んでいます) 転成品を入手した際は、通常版・無強化がショップに並びます。 (例 「バヨネット 咬」を入手すると、「バヨネット」がショップに並ぶ) 「活力」と「忍耐」の能力補正が存在する武器は無い?ので、その二つの項目は省いています。 攻撃力の基本値や吸血性能とガード性能は、必要パラメータが足りていない場合は減少する。 数値は必要パラメータが足りていて、強化していない状態(+0)の数値です。 ※各装備の詳細頁も作る予定です。 名称 能力値補正 必要パラメータ 重量 攻撃力 ガード性能 入手方法 腕力 器用 精神 意志 属性 基本値 吸血 ST軽減 吸血 女王討伐隊の銃剣 - 【A】 【C+】 【B】 器用【D】精神【D+】意志【D+】 15 切断貫通 130 0.27 30 0.34 宝箱「主人公の記憶」(強化+5) ショップ ブローディア - 【A】 【C】 【B】 器用【C+】精神【D】意志【C】 10 切断貫通 150 0.27 30 0.34 交流「ミア」からもらう※TP50 ライオットスマッシャー 【B】 【C+】 【C】 【B】 腕力【D+】器用【D】精神【D】意志【C】 22 切断 119 0.27 35 0.34 宝箱「干上がった海溝」(強化+3) ショップ バヨネット - 【A】 【C】 【B+】 器用【C】精神【D】意志【C+】 14 破砕貫通 138 0.27 30 0.34 宝箱「闇の巣窟」(転成:咬) ショップ 穿つルベライト - 【A】 【C+】 【C+】 器用【D】精神【D+】意志【D+】 18 切断貫通血40 125 0.27 35 0.34 宝箱「白い血の聖堂」(強化+4) 宝箱「零の区画」(転成:停) ショップ 白狼の銃剣 - 【B】 【D】 【B+】 器用【C】意志【C+】 27 破砕貫通 174 0.27 45 0.34 ドロップ フレイムディザスター 【B+】 【A】 【B】 【E+】 腕力【C+】器用【B】精神【C】 33 切断火60 82 0.27 50 0.34 ボス撃破報酬「棺の塔」(一戦目) 落日の銃剣 - 【C+】 【C】 【D】 器用【D】意志【D】 8 切断貫通 153 0.27 30 0.34 ドロップ 黒衣の銃剣 - 【B+】 【D】 【B+】 器用【C+】意志【C+】 24 切断貫通 163 0.27 35 0.34 宝箱「虚空の区画」(転成:停) ドロップ リベルタドール - 【C+】 【B】 【B】 器用【D+】精神【C】意志【C】 20 切断貫通 183 0.27 35 0.34 交流「エヴァ」からもらう※TP50 堕ちたバヨネット - 【C】 【D】 【C】 意志【D】 11 切断 167 0.27 30 0.34 宝箱「崩壊都市 地下区域」 ドロップ 攻撃性能 ※各説明は主観かつ独自なものです。 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 弱攻撃一段目 A 速 斜め振り 〇 〇 △ 近 「弱攻撃・二段目・Eパターン」と殆ど同じ左前方以外は当て難い 女王討伐隊の銃剣ブローディア落日の銃剣 〇 自 × 〇 × × B 速 斜め振り △ 〇 △ 近 比較的範囲が狭い ライオットスマッシャーフレイムディザスター黒衣の銃剣 × 自 △ × × × C 速 横振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・二段目・Fパターン」と殆ど同じ比較的広範囲の攻撃 バヨネット堕ちたバヨネット 〇 自 〇 〇 × × D 速 刺突 × 〇 △ 近 「弱攻撃・二段目・Aパターン」と殆ど同じ前方以外は当て難い 穿つルベライトリベルタドール × 自 × × × × E 並 刺突 × 〇 △ 近 前方以外は当て難い 白狼の銃剣 × 自 × × × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 弱攻撃二段目 A 速 刺突 × 〇 △ 近 「弱攻撃・一段目・Dパターン」と殆ど同じ前方以外は当て難い 女王討伐隊の銃剣ブローディア落日の銃剣 × 自 × × × × B 速 斜め振り 〇 ◎ 〇 近 前方の距離が長め ライオットスマッシャー 〇 自 × △ × × C 速 斜め振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・三段目・Aパターン」と殆ど同じ比較的広範囲の攻撃 バヨネット堕ちたバヨネット 〇 自 〇 × × × D 速 斜め振り 〇 〇 〇 近 ◇二連撃の一撃目◇前方以外は当て難い 穿つルベライトリベルタドール × 自 × × × × 速 斜め振り 〇 〇 〇 近 ◇二連撃の二撃目◇前方以外は当て難い × 自 × × × × E 速 斜め振り 〇 〇 △ 近 「弱攻撃・一段目・Aパターン」と殆ど同じ(距離がやや短め)左前方以外は当て難い 白狼の銃剣 〇 自 × △ × × F 速 横振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・一段目・Cパターン」と殆ど同じ比較的広範囲の攻撃 フレイムディザスター黒衣の銃剣 〇 自 〇 〇 × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 弱攻撃三段目 A 速 斜め振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・二段目・Cパターン」と殆ど同じ比較的広範囲の攻撃 女王討伐隊の銃剣ブローディアフレイムディザスター落日の銃剣黒衣の銃剣 〇 自 〇 × × × B 並 横振り △ 〇 △ 近 比較的広範囲の攻撃 ライオットスマッシャー 〇 自 〇 △ × △ C 速 横振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・四段目・Aパターン」と殆ど同じ後方中移動比較的広範囲の攻撃 穿つルベライト白狼の銃剣リベルタドール 〇 自 〇 × × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 弱攻撃四段目 A 速 横振り 〇 〇 〇 近 「弱攻撃・三段目・Cパターン」と殆ど同じ後方中移動比較的広範囲の攻撃 女王討伐隊の銃剣ブローディア落日の銃剣 〇 自 〇 × × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 強攻撃 A 並 - × ◎ × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【1】弾速が速め冥血が無いと発射出来ない 女王討伐隊の銃剣ブローディア落日の銃剣 × 自 × × × × B 並 - △ ◎ △ 中 ◇射撃攻撃◇消費冥血【1】一度で多数の弾を発射(単発より範囲が広め・判定は一回)弾速が速め冥血が無いと発射出来ない ライオットスマッシャー × 自 × × × × C 並 - × 〇 × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【1】冥血が無いと発射出来ない バヨネット堕ちたバヨネット × 自 × × × × D 並 - × ◎ × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【1】「強攻撃・Aパターン」と似ている(弾の形と弾速が違う)冥血が無いと発射出来ない 穿つルベライト × 自 × × × × E 遅 - × 〇 × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【1】球状の弾丸を発射する冥血が無いと発射出来ない 白狼の銃剣黒衣の銃剣リベルタドール × 自 × × × × F 並 - × 〇 × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【2】火の弾を山なりに発射冥血が【1】以下だと発射出来ない フレイムディザスター × 自 × × × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 溜め強攻撃 A 遅 - × ◎ × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【2】弾速が遅め冥血が【1】以下だと発射出来ない 女王討伐隊の銃剣ブローディア白狼の銃剣落日の銃剣黒衣の銃剣リベルタドール × 自 × × × × B 遅 - △ 〇 △ 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【2】一度で多数の弾を発射(強攻撃より範囲が広め・判定は一回)弾速が速め冥血が【1】以下だと発射出来ない ライオットスマッシャー × 自 × × × × C 遅 - △ 〇 △ 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【2】扇状に5発同時発射冥血が【1】以下だと発射出来ない バヨネット堕ちたバヨネット × 自 × × × × D 遅 - × ◎ × 遠 ◇射撃攻撃◇消費冥血【2】「溜め強攻撃・Aパターン」と似ている(珠の形と弾速が違う)冥血が【1】以下だと発射出来ない 穿つルベライト × 自 × × × × E 遅 - × ◎ × 中 ◇射撃攻撃◇消費冥血【5】しばらくの間、炎を発射し続ける(途中で回避による中断が可能)発射中は方向転換が出来ない冥血が【4】以下だと発射出来ない フレイムディザスター × 自 × × × × 攻撃方法 パターン 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 特殊攻撃 A 鈍 刺突 × 〇 △ 近 後方中移動~前方中移動吹き飛ばし性能あり前方以外は当て難い 女王討伐隊の銃剣バヨネット穿つルベライト黒衣の銃剣 × 自 × × × × B 遅 斜め振り △ 〇 △ 近 前方中移動前方以外は当て難い ブローディアライオットスマッシャー白狼の銃剣フレイムディザスター落日の銃剣リベルタドール堕ちたバヨネット × 自 × × × × 攻撃方法 動作 振り方 範囲 距離 備考 対応武器 ダッシュ攻撃 速 斜め振り △ △ × 近 範囲が狭い 銃剣共通(ライオットスマッシャー※) △ 自 × △ × × 打ち上げ攻撃 遅 縦振り △ △ × 近 後方中移動~前方中移動範囲が狭い △ 自 × △ × × 前方回避攻撃 速 斜め振り △ △ × 近 「ダッシュ攻撃」と殆ど同じ範囲が狭い※回避部分を除いた性能 △ 自 × △ × × 後方回避攻撃 並 横振り 〇 〇 〇 近 前方小移動比較的広範囲の攻撃※回避部分を除いた性能※距離が短め 〇 自 ◎ × × 〇 横回避攻撃 並 横振り △ 〇 〇 近 前方微移動比較的広範囲の攻撃※回避部分を除いた性能※距離が短め 〇 自 ◎ × × ×
https://w.atwiki.jp/kuhigasi/pages/22.html
巻第十七(とをまりななまきにあたるまき) 天平(てむひやう)二年(ふたとせといふとし)庚午(かのえうま)冬十一月(しもつき)、太宰帥(おほみこともちのかみ)大伴の卿(まへつきみ)の、大納言(おほきものまをすつかさ)に任(よ)さされ 帥を兼ねたまふこと旧の如し、京(みやこ)に上りたまふ時、陪従人(ともひと)ら、海路(うみつぢ)に別れて京に入(むか)へり。是に羇旅(たび)を悲傷(かなし)み、各(おのもおのも)所心(おもひ)を陳べてよめる歌十首(とを) 3890 我が背子を吾(あ)が松原よ見渡せば海人娘子(あまをとめ)ども玉藻刈る見ゆ 右の一首(ひとうた)は、三野連石守(みぬのむらじいそもり)がよめる。 3891 荒津の海潮干潮満ち時はあれどいづれの時か吾(あ)が恋ひざらむ 3892 磯ごとに海人の釣舟泊てにけり我が船泊てむ磯の知らなく 3893 昨日こそ船出はせしか鯨魚(いさな)取り比治奇(ひぢき)の灘を今日見つるかも 3894 淡路島門(と)渡る船の楫間にも吾(あれ)は忘れず家をしそ思ふ 3895 玉はやす武庫の渡りに天伝ふ日の暮れ行けば家をしそ思ふ 3896 家にてもたゆたふ命波の上に浮きてし居れば奥処(おくか)知らずも 3897 大海の奥処も知らず行く我をいつ来まさむと問ひし子らはも 3898 大船の上にし居(を)れば天雲のたどきも知らずうたがた我が背 3899 海人娘子漁(いざ)り焚く火の朧(おほほ)しく角(つぬ)の松原思ほゆるかも 右の九首(ここのうた)は、作者(よみびと)不審姓名(しらず)。 十年(ととせといふとし)七月(ふみつき)の七日(なぬか)の夜、独り天漢(あまのがは)を仰(み)て懐(おも)ひを述ぶる歌一首 3900 織女(たなばた)し船(ふな)乗りすらし真澄鏡(まそかがみ)清き月夜(つくよ)に雲立ち渡る 右の一首(ひとうた)は、大伴宿禰家持がよめる。 十二年(ととせまりふたとせといふとし)十一月(しもつき)九日(ここのかのひ)、太宰(おほみこともち)の時の梅の花の歌を追ひて和(よ)める新歌(にひうた)六首 3901 御冬過ぎ春は来たれど梅の花君にしあらねば折る人もなし 3902 梅の花み山と繁(しみ)にありともやかくのみ君は見れど飽かにせむ 3903 春雨に萌えし柳か梅の花ともに後れぬ常の物かも 3904 梅の花いつは折らじと厭はねど咲きの盛りは惜しきものなり 3905 遊ぶ日の楽(たぬ)しき庭に梅柳折り挿頭(かざ)してば思ひ無みかも 3906 御苑生(みそのふ)の百木の梅の散る花の天(あめ)に飛び上がり雪と降りけむ 右、大伴宿禰家持がよめる。 十二年(ととせまりみとせといふとし)の二月(きさらぎ)、三香原(みかのはら)の新都(にひみやこ)を讃むる歌一首、また短歌(みじかうた) 3907 山背(やましろ)の 久迩(くに)の都は 春されば 花咲き撓(をを)り 秋されば 黄葉(もみちば)にほひ 帯ばせる 泉の川の 上つ瀬に 打橋渡し 淀瀬には 浮橋渡し あり通ひ 仕へまつらむ 万代までに 反し歌 3908 楯並(たたな)めて泉の川の水脈(みを)絶えず仕へまつらむ大宮所 右、右馬頭(みぎのうまのつかさのかみ)境部宿禰老麿(さかひべのすくねおゆまろ)がよめる。 四月(うつき)の二日(ふつかのひ)、霍公鳥(ほととぎす)を詠める歌二首 3909 橘は常花(とこはな)にもが霍公鳥住むと来鳴かば聞かぬ日なけむ 3910 玉に貫(ぬ)く楝(あふち)を家に植ゑたらば山霍公鳥離(か)れず来むかも 右、大伴宿禰書持が奈良の宅(いへ)より兄家持に贈る。 四月の三日(みかのひ)、和ふる歌三首 橙橘(たちばな)初めて咲き、霍公鳥嚶(な)き飜(かへ)る。此の時候(とき)に対(あた)りて、なぞも志を暢(の)べざらむ。因(かれ)三首(みつ)の短歌をよみて、欝結(おほほ)しき緒(おもひ)を散(や)るにこそ 3911 足引(あしひき)の山辺(やまへ)に居(を)れば霍公鳥木の間立ち潜(く)き鳴かぬ日はなし 3912 霍公鳥何の心そ橘の玉貫く月し来鳴き響(とよ)むる 3913 霍公鳥楝の枝にゆきて居(ゐ)ば花は散らむな玉と見るまで 右、内舎人(うちとねり)大伴宿禰家持が久迩の京より弟(おと)書持に報送(こた)ふ。 霍公鳥を思(しの)ふ歌一首 田口朝臣馬長(たぐちのあそみうまをさ)がよめる 3914 霍公鳥今し来鳴かば万代に語り継ぐべく思ほゆるかも 右ハ伝ヘテ云ク、一時交遊集宴セリ。此ノ日 此処ニ霍公鳥喧カズ。仍チ件ノ歌ヲ作ミテ、 思慕ノ意ヲ陳ベリト。但其ノ宴ノ所ト年月ハ、 詳審ラカニスルコトヲ得ズ。 山部宿禰赤人が春鴬(うぐひす)を詠める歌一首 3915 足引の山谷越えて野づかさに今は鳴くらむ鴬の声 右ハ年月所処、詳審カニスルコトヲ得ズ。但 聞キシ時ノ随ニ茲ニ記載ス。 十六年(ととせまりむとせといふとし)四月の五日(いつかのひ)、独り平城(なら)の故宅(ふるへ)に居りてよめる歌六首 3916 橘のにほへる香かも霍公鳥鳴く夜の雨にうつろひぬらむ 3917 霍公鳥夜声なつかし網ささば花は過ぐとも離れずか鳴かむ 3918 橘のにほへる苑に霍公鳥鳴くと人告ぐ網ささましを 3919 青丹よし奈良の都は古りぬれどもと霍公鳥鳴かずあらなくに 3920 鶉鳴き古しと人は思へれど花橘のにほふこの屋戸 3921 かきつはた衣に摺り付け大夫(ますらを)の着装(きそ)ひ猟する月は来にけり 右、大伴宿禰家持がよめる。 十八年(ととせまりやとせといふとし)の正月(むつき)、白雪(ゆき)多く零り地(つち)に積むこと数寸(ふかし)。時に左大臣(ひだりのおほまへつきみ)橘の卿(まへつきみ)、中納言(なかのものまをすつかさ)藤原豊成朝臣と諸王(おほきみたち)諸臣(おみたち)とを率(ゐ)て、太上天皇(おほきすめらみこと)の御在所(みあらか)中宮西院 に参入(まゐ)りて、供(つか)へ奉(まつ)りて雪を掃(はら)ふ。是に詔(みことのり)して大臣(おほまへつきみ)参議(おほまつりごとひと)また諸王をば大殿の上(へ)に侍(さもら)はしめ、諸卿大夫(まへつきみたち)をば南の細殿に侍はしめて、酒(おほみき)賜ひて肆宴(とよのあかり)す。勅(みことのり)したまはく、汝(いまし)諸王卿等(おほきみたち、まへつきみたち)、此の雪を賦(よ)みて、各(おのもおのも)其の歌を奏(まを)せとのりたまへり。 左大臣橘宿禰の詔を応(うけたま)はる歌一首 3922 降る雪の白髪までに大皇(おほきみ)に仕へまつれば貴くもあるか 紀朝臣清人(きのあそみきよひと)が詔を応はる歌一首 3923 天の下すでに覆ひて降る雪の光りを見れば貴くもあるか 紀朝臣男梶(をかぢ)が詔を応はる歌一首 3924 山の峡(かひ)そことも見えず一昨日(をとつひ)も昨日も今日も雪の降れれば 葛井連諸會(ふぢゐのむらじもろあひ)が詔を応はる歌一首 3925 新(あらた)しき年の初めに豊の年表(しる)すとならし雪の降れるは 大伴宿禰家持が詔を応はる歌一首 3926 大宮の内にも外(と)にも光るまで降れる白雪見れど飽かぬかも 藤原豊成朝臣、巨勢奈弖麻呂朝臣、大伴牛養宿禰、 藤原仲麻呂朝臣、三原王、智奴王、船王、邑知王、 小田王、林王、穂積朝臣老、小田朝臣諸人、小野 朝臣綱手、高橋朝臣国足、太朝臣徳太理、高丘連 河内、秦忌寸朝元、楢原造東人。右の件(くだり)の王(おほきみ) 卿(まへつきみ)たち、詔を応はりてよめる歌、次(つぎて)の依(まにま) に奏(まを)せりき。登時(すなはち)其の歌の漏失(もれ)しをば記さず。 但(ただ)秦忌寸朝元は、左大臣橘の卿の謔(たは)ぶれて曰(のたま)は く、歌を賦み堪(あ)へずば、麝(かほりけだもの)以ちて贖(あがな)へと のりたまへり。此に因りて黙止(もだ)りき。 大伴宿禰家持、天平十八年閏七月(のちのふみつき)、越中国(こしのみちのなかのくに)の守(かみ)に任(ま)けられ、即ち七月に任所(まけどころ)に赴(ゆ)く。時に姑(をば)大伴坂上郎女が家持に贈れる歌二首 3927 草枕旅ゆく君を幸(さき)くあれと斎瓮(いはひへ)据ゑつ吾(あ)が床の辺(べ)に 3928 今のごと恋しく君が思ほえば如何にかも為むするすべの無さ また越中国に贈る歌二首 3929 旅に去(い)にし君しも継ぎて夢(いめ)に見ゆ吾(あ)が片恋の繁ければかも 3930 道の中国つ御神は旅ゆきもし知らぬ君を恵みたまはな 平群氏女郎(へぐりうぢのいらつめ)が越中守大伴宿禰家持に贈れる歌十二首(とをまりふたつ) 3931 君により我が名はすでに龍田山絶えたる恋の繁きころかも 3932 須磨ひとの海辺常去らず焼く塩の辛(から)き恋をも吾(あれ)はするかも 3933 ありさりて後も逢はむと思へこそ露の命も継ぎつつ渡れ 3934 なかなかに死なば安けむ君が目を見ず久ならばすべなかるべし 3935 隠沼(こもりぬ)の下ゆ恋ひあまり白波のいちしろく出でぬ人の知るべく 3936 草枕旅にしばしばかくのみや君を遣りつつ吾(あ)が恋ひ居らむ 3937 草枕旅去(い)にし君が帰り来む月日を知らむすべの知らなく 3938 かくのみや吾(あ)が恋ひ居らむぬば玉の夜の紐だに解き放(さ)けずして 3939 里近く君がなりなば恋ひめやともとな思ひし吾(あれ)そ悔しき 3940 万代と心は解けて我が背子が抓(つ)みしを見つつ忍びかねつも 3941 鴬の鳴くくら谷に打ち嵌めて焼けはしぬとも君をし待たむ 3942 松の花花数にしも我が背子が思へらなくにもとな咲きつつ 右ノ件ノ十二首ノ歌ハ、時々ニ便使ニ寄セテ 来贈ル。一度ニ送レルニハ在ラズ。 八月(はつき)の七日(なぬか)の夜、守大伴宿禰家持が館(たち)に集ひて宴する歌 3943 秋の田の穂向き見がてり我が背子がふさ手折り来る女郎花(をみなへし)かも 右の一首は、守大伴宿禰家持がよめる。 3944 女郎花咲きたる野辺を行き廻り君を思ひ出徘徊(たもとほ)り来ぬ 3945 秋の夜は暁(あかとき)寒し白布(しろたへ)の妹が衣袖(ころもて)着むよしもがも 3946 霍公鳥鳴きて過ぎにし岡傍(び)から秋風吹きぬよしもあらなくに 右の三首は、掾(まつりごとひと)大伴宿禰池主がよめる。 3947 今朝の朝明(あさけ)秋風寒し遠つ人雁が来鳴かむ時近みかも 3948 天ざかる夷(ひな)に月経ぬしかれども結ひてし紐を解きも開けなくに 右の二首は、守大伴宿禰家持がよめる。 3949 天ざかる夷にある我をうたがたも紐解き放けず思ほすらめや 右の一首は、掾大伴宿禰池主。 3950 家にして結ひてし紐を解き放けず思ふ心を誰れか知らむも 右の一首は、守大伴宿禰家持がよめる。 3951 晩蝉(ひぐらし)の鳴きぬる時は女郎花咲きたる野辺を行きつつ見べし 右の一首は、大目(おほきふみひと)秦忌寸八千島(はたのいみきやちしま)。 古歌(ふるうた)一首 大原高安真人ノ作。年月審ラカナラズ。但聞キシ時ノ随ニ茲ニ記載ス。 3952 妹が家に伊久里(いくり)の杜の藤の花今来む春も常かくし見む 右の一首、伝へ誦(よ)むは僧(ほうし)玄勝(げむしやう)なり。 3953 雁がねは使ひに来むと騒くらむ秋風寒みその川の辺(べ)に 3954 馬並(な)めていざ打ち行かな澁谿(しぶたに)の清き磯廻(いそみ)に寄する波見に 右の二首は、守大伴宿禰家持。 3955 ぬば玉の夜は更けぬらし玉くしげ二上(ふたがみ)山に月かたぶきぬ 右の一首は、史生(ふみひと)土師宿禰道良(はにしのすくねみちよし)。 大目秦忌寸八千島が館に宴する歌一首 3956 奈呉の海人の釣する船は今こそは船棚(ふなだな)打ちて喘(あべ)て榜ぎ出め 右、館ノ客屋ハ居ナガラニシテ蒼海ヲ望ム。 仍テ主人八千島此歌ヲ作メリ。 長逝(みまか)れる弟(おと)を悲傷(かなし)む歌一首、また短歌(みじかうた) 3957 天ざかる 夷治めにと 大王の 任(まけ)のまにまに 出でて来(こ)し 我を送ると 青丹よし 奈良山過ぎて 泉川 清き河原に 馬駐(とど)め 別れし時に 好去(まさき)くて 吾(あれ)還り来む 平らけく 斎(いは)ひて待てと 語らひて 来(こ)し日の極み 玉ほこの 道をた遠み 山川の 隔(へな)りてあれば 恋しけく 日(け)長きものを 見まく欲り 思ふ間に 玉づさの 使の来(け)れば 嬉しみと 吾(あ)が待ち問ふに 妖言(およづれ)の 狂言(たはこと)とかも 愛(は)しきよし 汝弟(なおと)の命(みこと) 何しかも 時しはあらむを はたすすき 穂に出(づ)る秋の 萩の花 にほへる屋戸を 言フハ、斯ノ人、為性(ヒトトナリ)花草花樹ヲ好愛(コノ)ミテ多ク寝院ノ庭ニ植ヱタリ。故レ花薫フ庭ト謂ヘリ。 朝庭に 出で立ち平(なら)し 夕庭に 踏み平らげず 佐保の内の 里を往き過ぎ 佐保山ニ火葬(ヤキハフリ)セリ。故レ佐保ノウチノサトヲユキスギト謂ヘリ。 足引の 山の木末(こぬれ)に 白雲に 立ち棚引くと 吾(あれ)に告げつる 3958 好去(まさき)くと言ひてしものを白雲に立ち棚引くと聞けば悲しも 3959 かからむとかねて知りせば越の海の荒磯(ありそ)の波も見せましものを 右、天平十八年秋九月(ながつき)の二十五日(はつかまりいつかのひ)、越中守大伴 宿禰家持が遥かに弟の喪を聞き感傷(かなし)みてよめるなり。 相(あ)へるを歓ぶ歌二首 3960 庭に降る雪は千重敷くしかのみに思ひて君を吾(あ)が待たなくに 3961 白波の寄する磯廻を榜ぐ舟の楫取る間なく思ほえし君 右、天平十八年八月、掾大伴宿禰池主が大帳使に 附きて、京師(みやこ)に赴向(おもむ)き、同じ年の十一月(しもつき)、本の任(つかさ) に還到(かへ)れり。仍(かれ)宴して弾琴(ことふえ)の飲楽(あそび)せり。時に白雪(ゆき) 降りて、地(つち)に積むこと尺余(ひとさかあまり)なり。復(また)漁夫(あま)の船、 入海に瀾(なみ)に浮かぶ。爰に守大伴宿禰家持が二つの ものを眺(み)て、聊か所心(おもひ)を裁(の)ぶ。 十九年(ととせまりここのとせといふとし)春二月(きさらぎ)の二十日(はつかのひ)、忽ち病ひに沈み、殆(ほとほと)みうせなむとす。仍(かれ)歌詞(うた)をよみて、悲緒(かなしみ)を申(の)ぶる一首(ひとうた)、また短歌 3962 大王の 任(まけ)のまにまに 大夫(ますらを)の 心振り起こし 足引の 山坂越えて 天ざかる 夷に下り来 息だにも いまだ休めず 年月も いくらもあらぬに うつせみの 世の人なれば 打ち靡き 床に転(こ)い伏し 痛けくし 日に異(け)に増さる たらちねの 母の命の 大船の ゆくらゆくらに 下恋に いつかも来むと 待たすらむ 心寂(さぶ)しく 愛(は)しきよし 妻の命も 明けくれば 門に寄り立ち 衣袖(ころもで)を 折り返しつつ 夕されば 床打ち払ひ ぬば玉の 黒髪敷きて いつしかと 嘆かすらむそ 妹(いも)も兄(せ)も 若き子どもは をちこちに 騒き泣くらむ 玉ほこの 道をた遠(どほ)み 間使(まつかひ)も 遺るよしも無し 思ほしき 言伝(つ)て遣らず 恋ふるにし 心は燃えぬ 玉きはる 命惜しけど 為むすべの たどきを知らに かくしてや 荒夫(あらしを)すらに 嘆き伏せらむ 3963 世間(よのなか)は数なきものか春花の散りの乱(まが)ひに死ぬべき思へば 3964 山川の極(そきへ)を遠み愛(は)しきよし妹を相見ずかくや嘆かむ 右、越中国の守の館にて、病に臥し悲傷みて、 此の歌をよめり。 二十年(はたとせといふとし)二月の二十九日(はつかまりここのかのひ)、守大伴宿禰家持が掾大伴宿禰池主に贈れる悲しみの歌二首 忽に病ひに沈み、累旬痛苦す。百神を祷ひ恃みて、且消損を得れども、由ほ身体疼(いた)み羸(つか)れ、筋力怯軟(よは)くして、未だ謝を展るに堪へず。係恋弥よ深し。方今(いま)春の朝春の花、春の苑に流馥(にほ)ひ、春の暮春の鴬、春の林に囀(な)く。此の節候に対(あた)りて、琴樽翫(もてあそ)びつべし。乗興の感有りと雖も、策杖の労に耐へず。独り帷幄の裏に臥して、聊か寸分の歌をよみて、軽(かろがろ)しく机下に奉り、玉頤を解かむことを犯す。其の詞に曰く、 3965 春の花今は盛りににほふらむ折りて挿頭(かざ)さむ手力(たぢから)もがも 3966 鴬の鳴き散らすらむ春の花いつしか君と手折り挿頭さむ 天平二十年二月二十九日、大伴宿禰家持。 三月(やよひ)の二日、掾(まつりごとひと)大伴宿禰池主が守大伴宿禰家持に報贈(こた)ふる歌二首 忽に芳音を辱(かたじけなく)す。翰苑雲を凌ぎ、兼て倭詩(うた)を垂(たまは)る。詞林錦を舒べ、吟(うた)ひ詠(なが)めて能く恋緒をのぞく。春の朝の和気、固より楽しむべく、春の暮の風景、最も怜(たぬし)むべし。紅桃灼々とし、戯蝶花を回りて舞ひ、翠柳依々として、嬌鴬葉に隠りて歌ふ。楽しきかも。淡交席を促して、意を得て言を忘る。楽しきかも、美(うるは)しきかも。幽襟賞(いつく)しむに足れり。豈(あに)慮(はか)りきや、蘭蕙叢を隔て、琴樽用(つか)はるること無けむと。空しく令節を過さば、物色人を軽(あなづ)らむ。怨むる所此に有り。然黙止することを能はず。俗語に云く、藤を以て錦に続ぐと云へり。聊か談咲に擬するのみ。 3967 山峡(かひ)に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか思はむ 3968 鴬の来鳴く山吹うたがたも君が手触れず花散らめやも 沽洗(やよひ)の二日、掾大伴宿禰池主。 三月の三日(みかのひ)、守大伴宿禰家持が更に贈れる歌一首、また短歌 含弘の徳、恩を蓬体に垂れ、不貲の思、陋心に報へ慰めしむ。来眷を載荷し、喩ふる所に堪ふること無し。但稚き時、遊藝の庭に渉らず、横翰の藻、自ら彫虫に乏し。幼年山柿の門に逕らず、裁歌の趣、詞を叢林に失ふ。爰に藤を以て錦に続ぐといふ言を辱(かたじけな)くす。更に石を将て瓊に同じくする詠を題(しる)す。固(まこと)に俗愚懐癖、黙止すること能はず。仍(かれ)数行を捧げて、式て嗤咲に酬ふ。其の詞に曰く、 3969 大王(おほきみ)の 任(まけ)のまにまに しなざかる 越を治めに 出でて来し ますら我すら 世間(よのなか)の 常し無ければ 打ち靡き 床に臥い伏し 痛けくの 日に異に増せば 悲しけく ここに思ひ出 苛(いら)なけく そこに思ひ出 嘆くそら 安けなくに 思ふそら 苦しきものを 足引の 山来隔(へな)りて 玉ほこの 道の遠けば 間使も 遣るよしも無み 思ほしき 言も通はず 玉きはる 命惜しけど 為むすべの たどきを知らに 隠(こも)り居て 思ひ嘆かひ 慰むる 心はなしに 春花の 咲ける盛りに 思ふどち 手折り挿頭さず 春の野の 茂み飛び漏(く)く 鴬の 声だに聞かず 娘子らが 春菜摘ますと 紅の 赤裳の裾の 春雨に にほひ湿(ひ)づちて 通ふらむ 時の盛りを いたづらに 過ぐし遣りつれ 偲はせる 君が心を うるはしみ この夜すがらに 眠(い)も寝ずに 今日もしめらに 恋ひつつそ居る 3970 足引の山桜花一目だに君とし見てば吾(あれ)恋ひめやも 3971 山吹の茂み飛び漏く鴬の声を聞くらむ君は羨(とも)しも 3972 出で立たむ力を無みと隠(こも)り居て君に恋ふるに心神(こころど)もなし 三月(やよひ)の三日(みかのひ)、大伴宿禰家持。 晩春(やよひ)の三日、遊覧する七言の詩(からうた)一首、また序(はしかき) 上巳の名辰、暮春の麗景、桃花瞼(まなぶた)を照して、紅を分つ。柳の色苔を含みて緑を競ふ。時に手を携へて曠く江河の畔を望(みや)り、酒を訪ひて迥かに野客の家に過ぐ。既にして琴樽性を得、蘭契光を和らぐ。嗟乎、今日恨むる所は、徳星已に少きか。若し寂含の章を扣(たた)かずは、何を以てか逍遥の趣を抒(の)べむ。忽に短筆に課して、聊かに四韻を勒すなり。 余春の媚日怜賞すべし 上巳の風光覧遊するに足れり 柳陌江に臨みてゲン服を縟(まだら)にし 桃源海に通ひて仙舟を泛(うか)ぶ 雲罍(うんらい)桂を酌みて三清湛へ 羽爵人を催(うなが)して九曲流る 縦(ほしきまま)に酔ひ陶心彼我を忘れ 酩酊処として淹しく留らざること無し 三月の四日(よかのひ)、大伴宿禰池主。 掾大伴宿禰池主が報贈(こた)ふる歌二首、また短歌 昨日短懐を述べ、今朝耳目を汗(けが)す。更に賜書を承り、且不次を奉る。死罪々々謹み言(まを)す。下賎を遺(わす)れず、頻に徳音を恵む。英雲星気、逸調人に過ぎたり。智水仁山、既に琳瑯の光彩を韜(つつ)み、潘江陸海、自ら詩書の廊廟に坐す。思ひを非常に騁せ、情を有理に託(つ)け、七歩に章を成し、数篇紙に満つ。巧に愁人の重患を遣り、能く恋者の積思を除く。山柿の歌泉、此に比ぶるに蔑(な)きが如し。彫龍の筆海、粲然として看ることを得。方に僕の幸有ることを知りぬ。敬みて和ふる歌、其の詞に云く、 3973 大王の 命畏み 足引の 山野(やまぬ)障(さは)らず 天ざかる 夷も治むる 大夫(ますらを)や なにか物思(も)ふ 青丹よし 奈良道(ならぢ)来通ふ 玉づさの 使絶えめや 隠(こも)り恋ひ 息づきわたり 下思(したもひ)に 嘆かふ我が背 古ゆ 言ひ継ぎ来らく 世間(よのなか)は 数なきものそ 慰むる こともあらむと 里人の 吾(あれ)に告ぐらく 山傍(び)には 桜花(さくらばな)散り 容鳥(かほとり)の 間なくしば鳴く 春の野に すみれを摘むと 白布(しろたへ)の 袖折り返し 紅の 赤裳裾引き 娘子らは 思ひ乱れて 君待つと うら恋すなり 心ぐし いざ見にゆかな ことはたな知れ 3974 山吹は日に日に咲きぬうるはしと吾(あ)が思(も)ふ君はしくしく思ほゆ 3975 我が背子に恋ひすべなかり葦垣(あしかき)の外(ほか)に嘆かふ吾(あれ)し悲しも 三月の五日、大伴宿禰池主。 守大伴宿禰家持が、また報贈(こた)ふる詩(からうた)一首、また短歌 昨暮使を来(たまは)る。幸なるかも、晩春遊覧の詩を垂れ、今朝信を累ぬ。辱(かなじけな)きかも、相招望野の歌を賜はる。一たび玉藻を看て、稍欝結を写し、二たび秀句を吟ひて、已に愁緒をのぞく。此の眺翫にあらずは、孰(たれ)か能く心を暢べむ。但惟(ただ)下僕(あれ)、禀性彫(ゑ)り難く、闇神瑩(みが)くこと靡し。翰を握れば毫を腐し、研に対へば渇を忘る。終日因流して、綴れども能はず。所謂(いはゆる)文章の天骨、習へども得ず。豈字を探り韻を勒して、雅篇に叶和するに堪へむ。抑々鄙里の少児に聞く、古の人言酬いざるは無しと。聊か拙詠を裁りて、敬みて解咲に擬す。如今(いま)言を賦し韻を勒し、斯の雅作の篇に同じくす。豈石を将て瓊に同じくし、声遊の走曲に唱ふるに殊ならむ。抑小児の濫謡に譬ふ。敬みて葉端に写し、式て乱に擬すに曰く、 七言一首 抄春の余日媚景麗し 初巳の和風払ひて自ら軽し 来燕泥を銜えて宇を賀きて入る 帰鴻廬を引きて迥(はる)かに瀛(おき)に赴く 聞く君が嘯侶新たに曲を流すことを 禊飲爵を催して河の清きに泛ぶ 此の良宴を追尋せむと欲すれども 還りて知りぬ染懊して脚のレイテイすることを 短歌二首 3976 咲けりとも知らずしあらば黙(もだ)もあらむこの山吹を見せつつもとな 3977 葦垣の外(ほか)にも君が寄り立たし恋ひけれこそは夢に見えけれ 三月の五日、大伴宿禰家持が病み臥(こ)やりてよめる。 恋の緒(こころ)を述ぶる歌一首、また短歌 3978 妹も吾(あれ)も 心は同(おや)じ たぐへれど いやなつかしく 相見れば 常初花(とこはつはな)に 心ぐし 目ぐしもなしに 愛(は)しけやし 吾(あ)が奥妻 大王の 命畏み 足引の 山越え野行き 天ざかる 夷治めにと 別れ来(こ)し その日の極み あら玉の 年行き返り 春花の うつろふまでに 相見ねば 甚(いた)もすべ無み 敷布(しきたへ)の 袖返しつつ 寝る夜おちず 夢には見れど うつつにし 直(ただ)にあらねば 恋しけく 千重に積もりぬ 近くあらば 帰りにだにも うち行きて 妹が手枕 差し交へて 寝ても来(こ)ましを 玉ほこの 道はし遠(どほ)く 関さへに 隔(へな)りてあれこそ よしゑやし よしはあらむそ 霍公鳥 来鳴かむ月に いつしかも 早くなりなむ 卯の花の にほへる山を 外(よそ)のみも 振り放け見つつ 近江路(あふみぢ)に い行き乗り立ち 青丹よし 奈良の吾家(わがへ)に 鵺鳥(ぬえとり)の うら嘆(な)げしつつ 下恋に 思ひうらぶれ 門に立ち 夕占(ゆふけ)問ひつつ 吾(あ)を待つと 寝(な)すらむ妹を 逢ひて早見む 3979 あら玉の年返るまで相見ねば心も萎(しぬ)に思ほゆるかも 3980 ぬば玉の夢にはもとな相見れど直にあらねば恋ひやまずけり 3981 足引の山来隔(へな)りて遠けども心しゆけば夢に見えけり 3982 春花のうつろふまでに相見ねば月日数(よ)みつつ妹待つらむそ 右、三月の二十日(はつか)の夜裏(よ)、忽ち恋の情(こころ)を起してよめる。 大伴宿禰家持。 立夏四月(うつきたち)、既(はや)く累日(ひかず)を経て、由ほ霍公鳥の喧(こゑ)を聞かず。因れ恨みてよめる歌二首 3983 足引の山も近きを霍公鳥月立つまでに何か来鳴かぬ 3984 玉に貫く花橘を乏(とも)しみしこの我が里に来鳴かずあるらし 霍公鳥は立夏(うつきたつ)日、必ず来鳴きぬ。又越中(こしのみちのなか)の 風土(くにざま)、橙橘(たちばな)希なり。此に因りて大伴宿禰家持が懐 を感発(かま)けて、此歌を裁(よ)めり。三月二十九日。 二上(ふたがみ)山の賦(うた)一首 此山ハ射水郡ニ在リ 3985 射水川(いみづがは) い行き廻れる 玉くしげ 二上山は 春花の 咲ける盛りに 秋の葉の にほへる時に 出で立ちて 振り放け見れば 神柄(かむから)や そこば貴き 山柄(やまから)や 見が欲しからむ すめ神の 裾廻(すそみ)の山の 澁谿(しぶたに)の 崎の荒磯(ありそ)に 朝凪に 寄する白波 夕凪に 満ち来る潮の いや増しに 絶ゆることなく 古(いにしへ)ゆ 今の現在(をつづ)に かくしこそ 見る人ごとに 懸けて偲はめ 3986 澁谿の崎の荒磯に寄する波いやしくしくに古思ほゆ 3987 玉くしげ二上山に鳴く鳥の声の恋しき時は来にけり 右、三月の三十日(つごもりのひ)、興(こと)に依(つ)けてよめる。大伴宿禰家持。 四月の十六日(とをかまりむかのひ)の夜裏(よ)、遥かに霍公鳥の喧(こゑ)を聞きて懐(おもひ)を述ぶる歌一首 3988 ぬば玉の月に向ひて霍公鳥鳴く音遥けし里遠(どほ)みかも 右、大伴宿禰家持がよめる。 大目(おほきふみひと)秦忌寸八千島の館にて、守大伴宿禰家持を餞(うまのはなむけ)する宴の歌二首 3989 奈呉(なご)の海の沖つ白波しくしくに思ほえむかも立ち別れなば 3990 我が背子は玉にもがもな手に巻きて見つつ行かむを置き去(い)かば惜し 右、守大伴宿禰家持が正税帳を以ちて京師(みやこ)に入(まゐ)らむとす。 仍(かれ)此歌をよみて、相別(わかれ)の嘆を陳ぶ。四月二十日。 布勢水海(ふせのみづうみ)に遊覧(あそ)べる賦(うた)一首、また短歌 此海ハ射水郡ノ舊江村ニ在リ 3991 物部(もののふ)の 八十伴男(やそとものを)の 思ふどち 心遣らむと 馬並めて 彼此触(うちくちぶり)の 白波の 荒磯に寄する 澁谿の 崎廻(たもとほ)り 松田江(まつだえ)の 長浜過ぎて 宇奈比(うなひ)川 清き瀬ごとに 鵜川立ち か行きかく行き 見つれども そこも飽かにと 布施の海に 舟浮け据ゑて 沖へ榜ぎ 辺に榜ぎ見れば 渚には あぢ群騒き 島廻(しまみ)には 木末(こぬれ)花咲き ここばくも 見のさやけきか 玉くしげ 二上山に 延(は)ふ蔦の 行きは別れず あり通ひ いや毎年(としのは)に 思ふどち かくし遊ばむ 今も見るごと 3992 布勢の海の沖つ白波あり通ひいや毎年(としのは)に見つつ偲はむ 右、守大伴宿禰家持がよめる。四月廿四日。 布勢水海に遊覧びたまへる賦(うた)に敬和(こたへまを)す一首(うたひとつ)、また一絶(みじかうたひとつ) 3993 藤波は 咲きて散りにき 卯の花は 今そ盛りと 足引の 山にも野にも 霍公鳥 鳴きし響(とよ)めば 打ち靡く 心も撓(しぬ)に そこをしも うら恋しみと 思ふどち 馬打ち群れて 携はり 出で立ち見れば 射水川 水門(みなと)の渚鳥(すどり) 朝凪に 潟に漁りし 潮満てば 嬬(つま)呼び交す 羨しきに 見つつ過ぎ行き 澁谿の 荒磯の崎に 沖つ波 寄せ来る玉藻 片縒(よ)りに 蘰(かづら)に作り 妹がため 手に巻き持ちて うらぐはし 布勢の水海に 海人船に 真楫(まかぢ)掻い貫(ぬ)き 白布(しろたへ)の 袖振り返し 率(あども)ひて 我が榜ぎ行けば 乎布(をふ)の崎 花散りまがひ 渚には 葦鴨(あしがも)騒き さざれ波 立ちても居ても 榜ぎ廻り 見れども飽かず 秋さらば 黄葉(もみち)の時に 春さらば 花の盛りに かもかくも 君がまにまと かくしこそ 見も明らめめ 絶ゆる日あらめや 3994 白波の寄せ来る玉藻世の間も継ぎて見に来む清き浜傍(び)を 右、掾大伴宿禰池主がよめる。四月廿六日追和。 四月の二十六日(はつかまりむかのひ)、掾大伴宿禰池主が館にて、税帳使守大伴宿禰家持を餞(うまのはなむけ)する宴の歌、また古歌(ふるうた)四首 3995 玉ほこの道に出で立ち別れなば見ぬ日さまねみ恋しけむかも 右の一首は、大伴宿禰家持がよめる。 3996 我が背子が国へましなば霍公鳥鳴かむ五月(さつき)は寂(さぶ)しけむかも 右の一首は、介(すけ)内藏忌寸繩麿(うちのくらのいみきなはまろ)がよめる。 3997 吾(あれ)なしとな侘び我が背子霍公鳥鳴かむ五月は玉を貫(ぬ)かさね 右の一首は、守大伴宿禰家持が和(こた)ふ。 石川朝臣水通(みとほし)が橘の歌一首 3998 我が屋戸の花橘を花ごめに玉にそ吾(あ)が貫く待たば苦しみ 右の一首、伝へ誦むは主人(あるじ)大伴宿禰池主なりき。 守大伴宿禰家持が館にて飲宴(さけのみするひ)の歌一首 四月二十六日 3999 都方(みやこへ)に立つ日近づく飽くまてに相見て行かな恋ふる日多けむ 立山(たちやま)の賦(うた)一首、また短歌 此山ハ新河郡ニ在リ 4000 天ざかる 夷に名懸かす 越の中 国内(くぬち)ことごと 山はしも 繁(しじ)にあれども 川はしも 多(さは)にゆけども すめ神の 領(うしは)きいます 新川(にひかは)の その立山に 常(とこ)なつに 雪降り敷きて 帯ばせる 片貝川の 清き瀬に 朝宵ごとに 立つ霧の 思ひ過ぎめや あり通ひ いや毎年(としのは)に 外(よそ)のみも 振り放け見つつ 万代の 語らひぐさと いまだ見ぬ 人にも告げむ 音のみも 名のみも聞きて 羨(とも)しぶるがね 4001 立山に降り置ける雪を常なつに見れども飽かず神(かむ)ながらならし 4002 片貝の川の瀬清くゆく水の絶ゆることなくあり通ひ見む 四月の二十七日、大伴宿禰家持がよめる。 立山の賦に敬和(こたへまを)す一首(うたひとつ)、また二絶(みじかうたふたつ) 4003 朝日さし 背向(そがひ)に見ゆる 神(かむ)ながら 御名に負はせる 白雲の 千重を押し分け 天(あま)進(そそ)り 高き立山 冬夏と 別(わ)くこともなく 白布(しろたへ)に 雪は降り置きて 古ゆ 在り来にければ 凝々(こご)しかも 巌(いは)の神さび 玉きはる 幾代経にけむ 立ちて居て 見れども霊(あや)し 峯高(だか)み 谷を深みと 落ち激(たぎ)つ 清き河内(かふち)に 朝離(さ)らず 霧立ち渡り 夕されば 雲居たな引き 雲居なす 心も萎(しぬ)に 立つ霧の 思ひ過ぐさず 行く水の 音も清(さや)けく 万代に 言ひ継ぎゆかむ 川し絶えずは 4004 立山に降り置ける雪の常なつに消(け)ずてわたるは神(かむ)ながらとそ 4005 落ち激つ片貝川の絶えぬごと今見る人も止まず通はむ 右、掾大伴宿禰池主が和ふ。四月廿八日。 京(みやこ)に入(まゐ)らむこと漸(やや)近く、悲しみの情(こころ)撥(はら)ひ難くて、懐(おもひ)を述ぶる歌一首、また一絶 4006 かき数(かぞ)ふ 二上山に 神さびて 立てる樛(つが)の木 幹(もと)も枝(え)も 同(おや)じ常磐(ときは)に 愛(は)しきよし 我が背の君を 朝離(さ)らず 逢ひて言問(ことど)ひ 夕されば 手携はりて 射水川 清き河内に 出で立ちて 我が立ち見れば 東風(あゆ)の風 甚(いた)くし吹けば 水門(みなと)には 白波高み 嬬(つま)呼ぶと 渚鳥(すどり)は騒く 葦刈ると 海人の小舟(をぶね)は 入江榜ぐ 楫の音高し そこをしも あやに羨(とも)しみ 偲ひつつ 遊ぶ盛りを 天皇(すめろき)の 食(を)す国なれば 御言持ち 立ち別れなば 後れたる 君はあれども 玉ほこの 道ゆく我は 白雲の 棚引く山を 岩根踏み 越え隔(へな)りなば 恋しけく 日(け)の長けむそ そこ思(も)へば 心し痛し 霍公鳥 声にあへ貫(ぬ)く 玉にもが 手に巻き持ちて 朝宵に 見つつゆかむを 置きて去(い)かば惜し 4007 我が背子は玉にもがもな霍公鳥声にあへ貫き手に巻きてゆかむ 右、大伴宿禰家持が掾大伴宿禰池主に贈る。四月卅日。 忽に入京述懐の作を見て、生きながら別るる悲しみ、腸を断つこと万回。怨緒禁(のぞ)き難し。聊か所心を奉(まを)す一首(うたひとつ)、また二絶(みじかうたふたつ) 4008 青丹よし 奈良を来離れ 天ざかる 夷(ひな)にはあれど 我が背子を 見つつし居(を)れば 思ひ遣る 事もありしを 大王(おほきみ)の 命畏み 食す国の 事執り持ちて 若草の 脚帯(あゆひ)手装(たづく)り 群鳥(むらとり)の 朝立ち去なば 後れたる 吾(あれ)や悲しき 旅にゆく 君かも恋ひむ 思ふそら 安くあらねば 嘆かくを 留めもかねて 見わたせば 卯の花山の 霍公鳥 音のみし泣かゆ 朝霧の 乱るる心 言に出でて 言はば忌々(ゆゆ)しみ 礪波(となみ)山 手向(たむけ)の神に 幣(ぬさ)まつり 吾(あ)が乞ひ祈(の)まく 愛(は)しけやし 君が直香(ただか)を 真幸(まさき)くも 在り廻(たもとほ)り 月立たば 時も易(か)はさず 撫子が 花の盛りに 相見しめとそ 4009 玉ほこの道の神たち幣(まひ)はせむ吾(あ)が思ふ君をなつかしみせよ 4010 うら恋し我が背の君は撫子が花にもがもな朝旦(あさなさな)見む 右、大伴宿禰池主が報贈(こた)ふる和歌(うた)。五月二日。 放逸(そら)せる鷹を思(しぬ)ひ、夢(いめ)に見て感悦(よろこ)びよめる歌一首、また短歌 4011 大王(おほきみ)の 遠の朝廷(みかど)と 御雪降る 越と名に負へる 天ざかる 夷にしあれば 山高(だか)み 川透白(とほしろ)し 野を広み 草こそ茂き 鮎走る 夏の盛りと 島つ鳥 鵜養(うかひ)が伴は 行く川の 清き瀬ごとに 篝さし なづさひ上る 露霜の 秋に至れば 野も多(さは)に 鳥多集(すだ)けりと 大夫(ますらを)の 友誘(いざな)ひて 鷹はしも あまたあれども 矢形尾の 吾(あ)が大黒(おほくろ)に 大黒ハ蒼鷹ノ名ナリ 白塗(しらぬり)の 鈴取り付けて 朝猟に 五百(いほ)つ鳥立て 夕猟に 千鳥踏み立て 追ふ毎に 免(ゆる)すことなく 手放(たばなれ)も 還(をち)も可易き これをおきて または在り難し さ並べる 鷹は無けむと 心には 思ひ誇りて 笑まひつつ 渡る間に 狂(たぶ)れたる 醜(しこ)つ翁の 言だにも 我には告げず との曇り 雨の降る日を 鳥猟(とがり)すと 名のみを告(の)りて 三島野を 背向(そがひ)に見つつ 二上(ふたがみ)の 山飛び越えて 雲隠り 翔り去(い)にきと 帰り来て 咳(しはぶ)れ告ぐれ 招(を)くよしの そこに無ければ 言ふすべの たどきを知らに 心には 火さへ燃えつつ 思ひ恋ひ 息吐(づ)きあまり けだしくも 逢ふことありやと 足引の 彼面此面(をてもこのも)に 鳥網(となみ)張り 守部(もりべ)を据ゑて ちはやぶる 神の社(やしろ)に 照る鏡 倭文(しづ)に取り添へ 乞ひ祈みて 吾(あ)が待つ時に 少女(をとめ)らが 夢(いめ)に告ぐらく 汝(な)が恋ふる その秀(ほ)つ鷹は 松田江の 浜ゆき暮らし つなし捕る 氷見(ひみ)の江過ぎて 多古の島 飛び徘徊(たもとほ)り 葦鴨の 多集(すだ)く舊江(ふるえ)に 一昨日(をとつひ)も 昨日もありつ 近くあらば いま二日だみ 遠くあらば 七日(なぬか)のうちは 過ぎめやも 来(き)なむ我が背子 ねもころに な恋ひそよとそ 夢(いめ)に告げつる 4012 矢形尾の鷹を手に据ゑ三島野に猟らぬ日まねく月そ経にける 4013 二上の彼面此面に網さして吾(あ)が待つ鷹を夢(いめ)に告げつも 4014 松反(がへ)りしひにてあれかもさ山田の翁(をぢ)がその日に求めあはずけむ 4015 心には緩(ゆる)ぶことなく須加の山すかなくのみや恋ひわたりなむ 右、射水郡古江の村にて蒼鷹を取獲たり。形容 美麗(うるは)しくて、雉を鷙(と)ること群に秀れたり。時に 養吏(たかかひ)山田史君麿、調試節を失ひ、野猟候に乖く。 風に搏る翅、高く翔り雲に匿る。腐鼠の餌、呼 び留むるに験靡し。是に羅網を張り設けて非常 を窺ひ、神祇に奉幣して虞らざるを恃む。粤(ここ)に 夢裏(いめ)に娘子有り。喩して曰く、使君(きみ)苦念を作し て空に精神を費すこと勿れ。逸放(そら)せる彼の鷹、 獲り得むこと未幾(ちかけむ)。須叟ありて覚寤して、懐に 悦びて、因(かれ)恨みを却す歌をよみ、式て感信を旌 す。守大伴宿禰家持。九月二十六日ニ作メリ。 高市連黒人が歌一首 年月審ラカナラズ 4016 婦負(めひ)の野のすすき押しなべ降る雪に宿借る今日し悲しく思ほゆ 右、此の歌を伝へ誦むは三國真人五百國(いほくに)なり。 二十一年(はたとせまりひととせといふとし)春正月(むつき)の二十九日(はつかまりここのかのひ)、よめる歌 4017 東風(あゆのかぜ) 越ノ俗語ニ東風ヲアユノカゼト謂ヘリ 甚(いた)く吹くらし奈呉の海人の釣する小舟榜ぎ隠る見ゆ 4018 水門(みなと)風寒く吹くらし奈呉の江に嬬(つま)呼び交し鶴(たづ)多(さは)に鳴く 4019 天ざかる夷とも著(しる)くここだくも繁き恋かも和(なぐ)る日もなく 4020 越の海の信濃 浜ノ名ナリ の浜をゆき暮らし長き春日(はるひ)も忘れて思へや 右の四首(ようた)は、大伴宿禰家持。 礪波郡(となみのこほり)雄神河(をかみのかは)の辺(へ)にてよめる歌一首 4021 雄神川紅にほふ娘子らし葦付 水松ノ類 取ると瀬に立たすらし 婦負郡(めひのこほり)にて鵜坂河(うさかがは)を渡る時よめる歌一首 4022 鵜坂川渡る瀬多みこの吾(あ)が馬(ま)の足掻(あがき)の水に衣濡れにけり 潜鵜(うつかふ)人を見てよめる歌一首 4023 婦負川の早き瀬ごとに篝さし八十伴男(やそとものを)は鵜川立ちけり 新河郡(にひかはのこほり)にて延槻河(はひつきがは)を渡る時よめる歌一首 4024 立山の雪し消(く)らしも延槻の川の渡り瀬鐙(あぶみ)漬かすも 氣多の大神宮(おほかみのみや)に赴参(まゐ)るに、海辺を行く時よめる歌一首 4025 志雄路(しをぢ)から直(ただ)越え来れば羽咋(はくひ)の海朝凪したり船楫(ふねかじ)もがも 能登郡にて、香島の津より発船(ふなで)して、熊來(くまき)の村を射して徃く時よめる歌二首 4026 鳥総(とぶさ)立て船木(ふなき)伐るといふ能登の島山今日見れば木立繁しも幾代神(かむ)びそ 4027 香島より熊來をさして榜ぐ船の楫取る間なく都し思ほゆ 鳳至郡(ふふしのこほり)にて饒石川(にぎしかは)を渡る時よめる歌一首 4028 妹に逢はず久しくなりぬ饒石川清き瀬ごとに水占(みなうら)はへてな 珠洲郡(すすのこほり)より発船(ふなで)して、太沼郡(おほみのさと)に還る時、長濱の湾(うら)に泊てて月光(つき)を仰見(み)てよめる歌一首 4029 珠洲の海に朝開きして榜ぎ来れば長濱の浦に月照りにけり 右の件の歌詞(うた)は、春の出挙(すいこ)に依りて諸郡(こほりこほり)を巡行(めぐ)る。 当時(すなはち)目に属(つ)く所(ごと)によめる。大伴宿禰家持。 鴬の晩哢(おそき)を怨む歌一首 4030 鴬は今は鳴かむと片待てば霞たな引き月は経につつ 造酒(みきたてまつる)歌一首 4031 中臣の太祝詞言(ふとのりとごと)言ひ祓へ贖(あが)ふ命も誰がために汝(なれ) 右、大伴宿禰家持がよめる。 -------------------------------------------------------- .巻第十八(とをまりやまきにあたるまき) 天平(てむひやう)二十一年(はたとせまりひととせといふとし)、春三月(やよひ)の二十三日(はつかまりみかのひ)、左大臣(ひだりのおほまへつきみ)橘の家の使者(つかひ)造酒司(さけのつかさ)の令史(ふみひと)田邊史福麿(たのべのふみひとさきまろ)を、守(かみ)大伴宿禰家持が館(たち)に饗(あへ)す。爰に新歌(にひうた)を作(よ)み、また古詠(ふるうた)を誦(うた)ひて、各(おのもおのも)心緒(おもひ)を述ぶ 4032 奈呉の海に舟しまし貸せ沖に出でて波立ち来やと見て帰り来む 4033 波立てば奈呉の浦廻(み)に寄る貝の間無き恋にそ年は経にける 4034 奈呉の海に潮の早干(ひ)ばあさりしに出でむと鶴(たづ)は今そ鳴くなる 4035 霍公鳥いとふ時なしあやめ草かづらにせむ日こゆ鳴き渡れ 右の四首(ようた)は、田邊史福麿。 その時明日布勢(ふせ)の水海に遊覧(あそ)ばむと期(ちぎ)りき。かれ懐(おもひ)を述べて各(おのもおのも)作(よ)める歌 4036 いかにせる布勢の浦そもここだくに君が見せむと我を留むる 右の一首(ひとうた)は、田邊史福麿。 4037 乎布(をふ)の崎榜ぎ廻(たもとほ)りひねもすに見とも飽くべき浦にあらなくに 一ニ云ク、君が問はすも 右の一首は、守大伴宿禰家持。 4038 玉くしげいつしか明けむ布勢の海の浦を行きつつ玉藻拾(ひり)はむ 4039 音のみに聞きて目に見ぬ布勢の浦を見ずは上(のぼ)らじ年は経ぬとも 4040 布勢の浦を行きてし見てば百敷の大宮人に語り継ぎてむ 4041 梅の花咲き散る園に我ゆかむ君が使を偏(かた)待ちがてら 4042 藤波の咲きゆく見れば霍公鳥(ほととぎす)鳴くべき時に近づきにけり 右の五首は、田邊史福麿。 4043 明日の日の布勢の浦廻の藤波にけだし来鳴かず散らしてむかも 一ニ頭云ク、ほととぎす 右の一首は、大伴宿禰家持が和(こた)ふ。 前の件の十首歌(とうた)は、二十四日(はつかまりよかのひ)の宴によめる。 二十五日(はつかまりいつかのひ)、布勢の水海に往く道中(みち)、馬にのりながら口号(よ)める二首(うたふたつ) 4044 浜辺より我が打ち行かば海辺より迎へも来ぬか海人の釣船 4045 沖辺より満ち来る潮のいや益しに吾(あ)が思(も)ふ君が御船かも彼 右の一首は、大伴宿禰家持。 水海に至りて遊覧(あそ)ぶ時、各(おのもおのも)懐(おもひ)を述べて作める歌六首 4046 神(かむ)さぶる垂姫(たるひめ)の崎榜ぎめぐり見れども飽かずいかに我せむ 右の一首は、田邊史福麿。 4047 垂姫の浦を榜ぎつつ今日の日は楽しく遊べ言ひ継ぎにせむ 右の一首は、遊行女婦(うかれめ)土師(はにし)。 4048 垂姫の浦を榜ぐ舟楫間(かぢま)にも奈良の我家(わぎへ)を忘れて思へや 右の一首は、大伴宿禰家持。 4049 疎(おろ)かにそ我は思ひし乎布の浦の荒磯(ありそ)のめぐり見れど飽かずけり 右の一首は、田邊史福麿。 4050 めづらしき君が来まさば鳴けと言ひし山ほととぎす何か来鳴かぬ 右の一首は、掾(まつりごとひと)久米朝臣廣繩(ひろなは)。 4051 多古(たこ)の崎木晩(このくれ)繁(しげ)に霍公鳥来鳴き響(とよ)まばはた恋ひめやも 右の一首は、大伴宿禰家持。 前の件の八首歌(やうた)は、二十五日よめる。 掾久米朝臣廣繩が館(たち)にて、田邊史福麿を饗(あへ)する宴の歌四首 4052 ほととぎす今鳴かずして明日越えむ山に鳴くとも験(しるし)あらめやも 右の一首は、田邊史福麿。 4053 木晩(このくれ)になりぬるものを霍公鳥何か来鳴かぬ君に逢へる時 右の一首は、久米朝臣廣繩。 4054 霍公鳥こよ鳴き渡れ灯し火を月夜(つくよ)になそへその影も見む 4055 鹿蒜廻(かへるみ)の道ゆかむ日は五幡(いつはた)の坂に袖振れ我をし思はば 右の二首は、大伴宿禰家持。 前の件の四首歌(ようた)は、二十六日よめる。 太上皇(おほきすめらみこと) 清足姫天皇なり 難波の宮に御在(いま)す時の歌七首 左大臣(ひだりのおほまへつきみ)橘宿禰の歌一首 4056 堀江には玉敷かましを大王(おほきみ)を御船漕がむとかねて知りせば 御製歌(みよみませるおほみうた)一首 和 4057 玉敷かず君が悔いて言ふ堀江には玉敷き満てて継ぎて通はむ 或ハ云ク、玉扱(こ)き敷きて 右の件の二首歌(ふたうた)は、御船江より泝(のぼ)りて 遊宴(うたげ)する日、左大臣の奏(まを)す歌、また御製(おほみうた)。 御製歌一首 4058 橘の殿の橘弥(や)つ代にも吾(あれ)は忘れじこの橘を 河内女王の歌一首 4059 橘の下照(で)る庭に殿建てて酒漬(さかみづ)きいます我が大王かも 粟田女王の歌一首 4060 月待ちて家には行かむ我が插せるあから橘影に見えつつ 右の件の三首歌は、左大臣橘の卿(まへつきみ)の宅(いへ)に在(いま) して、肆宴(とよのあかり)きこしめす御歌(おほみうた)、また奏す歌。 4061 堀江より水脈(みを)引きしつつ御船さす賤男(しづを)の伴は川の瀬申せ 4062 夏の夜は道たづたづし船に乗り川の瀬ごとに棹さし上れ 右の件の二首歌は、御船綱手を以(ひき)て江より泝(のぼ)り遊宴(うたげ) せる日作めり。伝へ誦(よ)む人は、田邊史福麿なり。 後に追ひて和(なぞら)ふる橘の歌二首 4063 常世物この橘のいや照りにわご大王は今も見るごと 4064 大王は常磐にまさむ橘の殿の橘ひた照りにして 右の二首は、大伴宿禰家持がよめる。 射水郡(いみづのこほり)の駅館(うまや)の屋柱(はしら)に題(か)き著くる歌一首 4065 朝開き入江榜ぐなる楫の音のつばらつばらに我家(わぎへ)し思ほゆ 右の一首は、山上臣がよめる。名はしらず。或ひと云く、 憶良の大夫(まへつきみ)の男(むすこ)といへり。但其の正名(な)さだかならず。 庭中(には)の牛麦(なでしこ)の花を詠める歌一首 4070 ひともとの撫子植ゑしその心誰(たれ)に見せむと思ひ始(そ)めけむ 右、先の国師の従僧(ずそう)清見、京師(みやこ)に入(まゐのぼ)らむとす。 因(かれ)飲饌(あるじ)を設(ま)けて饗宴(うたげ)す。時に主人(あろじ)大伴宿禰家持、 此の歌詞(うた)を作みて、酒を清見に送れりき。 また作(よ)める歌二首 4071 しなざかる越の君のとかくしこそ柳かづらき楽しく遊ばめ 右、郡司(こほりのつかさ)より下(しも)、子弟より上(かみ)、諸人此の 会(つどひ)にあり。因(かれ)守大伴宿禰家持、此の歌を作める。 4072 ぬば玉の夜渡る月を幾夜経(ふ)と数(よ)みつつ妹は我待つらむそ 右、此の夕、月の光遅く流れて、和やかなる風稍たちぬ。 即ち目に属(ふ)るるに因りて、聊か此の歌を作めり。 越前国(こしのみちのくちのくに)の掾大伴宿禰池主が来贈(おく)れる歌三首 今月十四日を以ちて、深見の村に到来(いた)り、彼の北方を望拝す。常に芳徳を思ふこと、何れの日か能く休(や)まむ。兼(また)隣近に以(より)て、忽ちに恋緒を増す。加以(しかのみにあらず)、先の書に云はく、「暮春惜しむべし、膝を促(ちかづ)くることいつとかせむ」と。生別の悲しみ、それ復た何をか言はむ。紙に臨(むか)ひて悽断す。奏状不備。 一 古人(いにしへひと)の云へらく 4073 月見れば同じ国なり山こそは君があたりを隔てたりけれ 一 物に属(つ)きて思ひを発(の)ぶ 4074 桜花今そ盛りと人は言へど吾(あれ)は寂(さぶ)しも君としあらねば 一 所心歌(おもひをのぶるうた) 4075 相思はずあるらむ君をあやしくも嘆きわたるか人の問ふまで 三月(やよひ)の十五日(とをかまりいつかのひ)、大伴宿禰池主。 越中国の守大伴宿禰家持が報贈(こた)ふる歌四首 一 古人の云(うた)に答ふ 4076 あしひきの山は無くもが月見れば同じき里を心隔てつ 一 物に属きて思ひを発ぶに答へ、兼(また)遷し任(よ)さして旧りにし宅の西北(にしきた)の隅の桜の樹を詠める 4077 我が背子が古き垣内(かきつ)の桜花いまだ含(ふふ)めり一目見に来ね 一 所心(おもひをのぶ)に答ふ。即ち古人之跡(ふること)を今日の意(こころ)に代へたり 4078 恋ふと言ふはえも名付けたり言ふすべのたづきも無きは吾(あ)が身なりけり 一 また物に属きてよめる 4079 三島野に霞たなびきしかすがに昨日も今日も雪は降りつつ 三月の十六日、大伴宿禰家持。 四月(うつき)の一日(つきたちのひ)、掾久米朝臣廣繩が館にて宴せる歌四首 4066 卯の花の咲く月立ちぬ霍公鳥来鳴き響めよ含みたりとも 右の一首は、守大伴宿禰家持がよめる。 4067 二上(ふたがみ)の山にこもれる霍公鳥今も鳴かぬか君に聞かせむ 右の一首は、遊行女婦(うかれめ)土師(はにし)がよめる。 4068 居り明かし今宵は飲まむ霍公鳥明けむ朝(あした)は鳴き渡らむそ 二日ハ立夏ノ節ニ応(アタ)ル。故(カレ)明旦ハ喧カムト謂ヘリ。 右の一首は、守大伴宿禰家持がよめる。 4069 明日よりは継ぎて聞こえむ霍公鳥一夜の故(から)に恋ひ渡るかも 右の一首は、羽咋郡(はくひのこほり)の擬主帳(ふみひと)能登臣乙美がよめる。 姑(をば)大伴氏坂上郎女が、越中守大伴宿禰家持に来贈(おく)れる歌二首 4080 常人の恋ふといふよりは余りにて我は死ぬべく成りにたらずや 4081 片思ひを馬に太馬(ふつま)に負ほせ持て越辺に遣らば人詐(かた)はむかも 越中守大伴宿禰家持が報ふる歌二首 4082 天ざかる夷の奴(やつこ)に天人(あめひと)しかく恋せれば生ける験あり 4083 常の恋いまだやまぬに都より馬に恋来ば担ひ堪(あ)へむかも 別(こと)に心(おもひ)をのぶ一首(ひとうた) 4084 暁(あかとき)に名のり鳴くなる霍公鳥いやめづらしく思ほゆるかも 右、四日(よかのひ)、使に附けて京師(みやこ)に贈上(おく)る。 天平感宝(てむひやうかむはう)元年(はじめのとし)五月(さつき)の五日(いつかのひ)、東大寺(ひむかしのおほてら)の占墾地使(はりところをしむるつかひ)の僧(ほうし)平榮等を饗(あへ)する時、守大伴宿禰家持が、酒を僧に送れる歌一首 4085 焼大刀(やきたち)を礪波(となみ)の関に明日よりは守部(もりべ)遣り添へ君をとどめむ 同(おや)じ月の九日(ここのかのひ)、諸僚(つかさづかさ)少目(すなきふみひと)秦伊美吉石竹(はたのいみきいはたけ)の館に会(つど)ひて飲宴(うたげ)す。その時主人(あろじ)、百合の花縵(はなかづら)三枚(みつ)を造りて、豆器(あぶらつき)に畳ね置き、賓客(まらひと)に捧贈(ささ)ぐ。各(おのもおのも)此(そ)の縵をよめる歌三首 4086 燈火(あぶらひ)の光に見ゆる我が縵早百合の花の笑まはしきかも 右の一首は、守大伴宿禰家持。 4087 灯し火の光に見ゆる早百合花ゆりも逢はむと思ひそめてき 右の一首は、介(すけ)内藏伊美吉繩麿(うちのくらのいみきなはまろ)。 4088 早百合花ゆりも逢はむと思へこそ今のまさかも睦(うる)はしみすれ 右の一首は、大伴家持 和。 短歌(みじかうた) [ママ] 独り幄(あげはり)の裏(うち)に居て、霍公鳥の喧(ね)を聞きてよめる歌一首、また短歌(みじかうた) 4089 高御座(たかみくら) 天(あま)の日継(ひつぎ)と すめろきの 神の命(みこと)の 聞こし食(を)す 国のまほらに 山をしも さはに多みと 百鳥(ももとり)の 来居て鳴く声 春されば 聞きのかなしも いづれをか 別(わ)きて偲はむ 卯の花の 咲く月立てば めづらしく 鳴く霍公鳥 あやめぐさ 玉貫くまでに 昼暮らし 夜わたし聞けど 聞くごとに 心うごきて 打ち嘆き あはれの鳥と 言はぬ時なし 反し歌 4090 行方なくありわたるとも霍公鳥鳴きし渡らばかくや偲はむ 4091 卯の花の咲くにし鳴けば霍公鳥いやめづらしも名のり鳴くなべ 4092 霍公鳥いと妬(ねた)けくは橘の花散る時に来鳴き響(とよ)むる 右の四首は、十日、大伴宿禰家持がよめる。 英遠浦(あをのうら)に行くとき、よめる歌一首 4093 阿尾の浦に寄する白波いや益しに立ちしき寄せ来(く)東風(あゆ)をいたみかも 右の一首は、大伴宿禰家持がよめる。 陸奥国(みちのくのくに)より金(くがね)を出だせる詔書(みことのり)を賀(ことほ)く歌一首、また短歌 4094 葦原の 瑞穂の国を 天下り 知らしめしける すめろきの 神の命の 御代重ね 天の日継と 知らし来る 君の御代御代 敷きませる 四方(よも)の国には 山河を 広み厚みと たてまつる 御調(みつき)宝は 数へ得ず 尽くしもかねつ 然れども 我が大王の 諸人(もろひと)を 誘(いざな)ひ賜ひ 善きことを 始め賜ひて 金(くがね)かも たのしけくあらむ と思ほして 下悩ますに 鶏(とり)が鳴く 東(あづま)の国の 陸奥(みちのく)の 小田なる山に 金ありと 奏(まう)し賜へれ 御心を 明らめ賜ひ 天地の 神相うづなひ 皇御祖(すめろき)の 御霊(みたま)助けて 遠き代に かかりしことを 朕(あ)が御代に 顕はしてあれば 食(を)す国は 栄えむものと 神ながら 思ほしめして もののふの 八十(やそ)伴の雄を まつろへの むけのまにまに 老人(おいひと)も 女童児(めのわらはこ)も しが願ふ 心足らひに 撫で賜ひ 治め賜へば ここをしも あやに貴み 嬉しけく いよよ思ひて 大伴の 遠つ神祖(かむおや)の その名をば 大来目主(おほくめぬし)と 負ひ持ちて 仕へし職(つかさ) 海行かば 水漬(みづ)く屍(かばね) 山行かば 草生す屍 大王の 辺(へ)にこそ死なめ かへり見は せじと異立(ことだ)て 大夫(ますらを)の 清きその名を 古(いにしへ)よ 今の現(をつつ)に 流さへる 祖の子どもそ 大伴と 佐伯の氏は 人の祖(おや)の 立つる異立て 人の子は 祖の名絶たず 大君に まつろふものと 言ひ継げる 言の官(つかさ)そ 梓弓 手に取り持ちて 剣大刀 腰に取り佩き 朝守り 夕の守りに 大王の 御門の守り 我をおきて また人はあらじ といや立て 思ひし増さる 大王の 御言の幸(さき)の 聞けば貴み 反し歌三首 4095 大夫の心思ほゆ大王の御言の幸(さき)の聞けば貴み 4096 大伴の遠つ神祖(かむおや)の奥つ城(き)は著(しる)く標(しめ)立て人の知るべく 4097 すめろきの御代栄えむと東(あづま)なる陸奥山に金(くがね)花咲く 天平感宝元年五月の十二日、越中国の守の館にて、 大伴宿禰家持がよめる。 芳野の離宮(とつみや)に幸行(いでま)さむ時の為、儲(あらかじ)めよめる歌一首、また短歌 4098 高御座 天の日継と 天の下 知らしめしける すめろきの 神の命の 畏くも 始め賜ひて 貴くも 定め賜へる み吉野の この大宮に あり通ひ 見(め)したまふらし もののふの 八十伴の男も おのが負へる おのが名名負ひ 大王の 任(まけ)のまにまに この川の 絶ゆることなく この山の いや継ぎ継ぎに かくしこそ 仕へまつらめ いや遠長に 反し歌 4099 古を思ほすらしも我ご大王吉野の宮をあり通ひ見(め)す 4100 もののふの八十氏人も吉野川絶ゆることなく仕へつつ見む 京(みやこ)の家に贈らむが為、真珠(しらたま)を願(ほり)する歌一首、また短歌 4101 珠洲(すす)の海人(あま)の 沖つ御神に い渡りて 潜(かづ)き取るといふ 鮑(あはび)玉 五百箇(いほち)もがも 愛(は)しきよし 妻の命の 衣手の 別れし時よ ぬば玉の 夜床(よどこ)片さり 朝寝髪 掻きも梳らず 出でて来し 月日数(よ)みつつ 嘆くらむ 心なぐさに 霍公鳥 来鳴く五月の あやめ草 花橘に 貫(ぬ)き交へ 縵(かづら)にせよと 包みて遣らむ 反し歌四首 4102 白玉を包みて遣らなあやめ草花橘にあへも貫くがね 4103 沖つ島い行き渡りて潜くちふ鰒玉もが包みて遣らむ 4104 我妹子が心なぐさに遣らむため沖つ島なる白玉もがも 4105 白玉の五百(いほ)つ集ひを手にむすび遣(おこ)せむ海人は喜(むが)しくもあるか 右、五月の十四日、大伴宿禰家持が興(こと)に依(つ)けてよめる。 史生(ふみひと)尾張少咋(をはりのをくひ)を教喩(さと)す歌一首、また短歌 七出の例(さだめ)に云はく、 但一条を犯せらば、即ち出(さ)るべし。七出無くて輙(すなは)ち棄(さ)らば、徒(みつかふつみ)一年半(ひととせまりむつき)。 三不去の例(さだめ)に云はく、 七出を犯すとも、棄(さ)るべからず。違へらば、杖一百。唯奸悪疾を犯せれば棄(さ)れ。 両妻の例に云はく、 妻有りて更に娶らば徒一年。女家は杖一百にして離(はな)て。 詔書に云はく、 義夫節婦を愍み賜ふ。 先(かみ)の件の数条(をどをぢ)を謹み案(かむが)ふるに、建法(のり)の基、化道(みち)の源(はじめ)なり。然れば則ち義夫の道、情存して別無く、一家財を同じくす。豈旧きを忘れ新しきを愛(うつく)しむる志あるべしや。所以(かれ)数行の歌を綴作(よ)み、旧きを棄(さ)る惑を悔いしむ。その詞に曰く、 4106 大汝(おほなむぢ) 少彦名(すくなひこな)の 神代より 言ひ継ぎけらく 父母を 見れば貴く 妻子(めこ)見れば 愛(かな)しくめぐし うつせみの 世のことわりと かくさまに 言ひけるものを 世の人の 立つる異立て ちさの花 咲ける盛りに 愛(は)しきよし その妻の子と 朝宵に 笑みみ笑まずも 打ち嘆き 語りけまくは とこしへに かくしもあらめや 天地の 神言寄せて 春花の 盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りを 離(さか)り居て 嘆かす妹が いつしかも 使の来むと 待たすらむ 心寂(さぶ)しく 南風(みなみ)吹き 雪消(け)溢(はふ)りて 射水川(いみづがは) 浮ぶ水沫(みなわ)の 寄る辺無み 左夫流(さぶる)その子に 紐の緒の いつがり合ひて にほ鳥の 二人並び居 奈呉の海の 奥(おき)を深めて 惑(さど)はせる 君が心の すべもすべなさ 佐夫流ト言フハ、遊行女婦ガ字(アザナ)ナリ 反し歌三首 4107 青丹よし奈良にある妹が高々に待つらむ心しかにはあらじか 4108 里人の見る目恥づかし左夫流子に惑(さど)はす君が宮出(みやで)後風(しりぶり) 4109 紅はうつろふものそ橡(つるはみ)のなれにし衣になほしかめやも 右、五月の十五日、守大伴宿禰家持がよめる。 先(もと)の妻(め)、夫(せ)の君の喚(め)す使を待たず、自ら来たる時よめる歌一首 4110 左夫流子がいつぎし殿に鈴懸けぬ駅馬(はゆま)下れり里もとどろに 同じ月の十七日、大伴宿禰家持がよめる。 橘の歌一首、また短歌 4111 かけまくも あやに畏し 皇祖神(すめろき)の 神の大御代に 田道間守(たぢまもり) 常世に渡り 八矛(やほこ)持ち 参ゐ出来(こ)しとふ 時じくの 香久(かく)の木(こ)の実を 畏くも 残し賜へれ 国も狭(せ)に 生ひ立ち栄え 春されば 孫枝(ひこえ)萌いつつ 霍公鳥 鳴く五月には 初花を 枝に手折りて をとめらに 苞(つと)にも遣りみ 白妙の 袖にも扱入(こき)れ 香ぐはしみ 置きて枯らしみ 熟(あ)ゆる実は 玉に貫きつつ 手に巻きて 見れども飽かず 秋づけば しぐれの雨降り あしひきの 山の木末(こぬれ)は 紅に にほひ散れども 橘の なれるその実は ひた照りに いや見が欲しく み雪降る 冬に至れば 霜置けども その葉も枯れず 常磐なす いや栄(さかは)えに しかれこそ 神の御代より よろしなべ この橘を 時じくの 香久の木の実と 名付けけらしも 反し歌一首 4112 橘は花にも実にも見つれどもいや時じくに猶し見が欲し 閏五月(のちのさつき)の二十三日(はつかまりみかのひ)、大伴宿禰家持がよめる。 庭中(には)の花を詠(み)てよめる歌一首、また短歌 4113 おほきみの 遠の朝廷(みかど)と 任(ま)きたまふ 官(つかさ)のまにま み雪降る 越に下り来 あら玉の 年の五年(いつとせ) 敷妙の 手枕まかず 紐解かず 丸寝(まろね)をすれば いふせみと 心なぐさに 撫子を 屋戸に蒔き生ほし 夏の野の 早百合引き植ゑて 咲く花を 出で見るごとに 撫子が その花妻に 早百合花 ゆりも逢はむと 慰むる 心し無くば 天ざかる 夷に一日も あるべくもあれや 反し歌二首 4114 撫子が花見る毎にをとめらが笑まひのにほひ思ほゆるかも 4115 早百合花ゆりも逢はむと下延(ば)ふる心し無くば今日も経めやも 同じ〔閏五〕月の二十六日、大伴宿禰家持がよめる。 国の掾久米朝臣廣繩、天平二十年(はたとせといふとし)に、朝集使(まゐうごなはるつかひ)に附きて京(みやこ)に入(のぼ)り、その事畢(をは)りて、天平感宝元年閏五月(のちのさつき)の二十七日(はつかまりなぬかのひ)、本の任(つかさ)に還到(かへ)る。仍(かれ)長官(かみ)の館(たち)に詩酒宴(うたげ)楽飲(あそ)べり。その時主人(あろじ)守大伴宿禰家持がよめる歌一首、また短歌 4116 おほきみの 任(ま)きのまにまに 取り持ちて 仕ふる国の 年の内の 事結(かた)ね持ち 玉ほこの 道に出で立ち 岩根踏み 山越え野行き 都辺に 参ゐし我が兄(せ)を あら玉の 年ゆき返(がへ)り 月重ね 見ぬ日さまねみ 恋ふるそら 安くしあらねば 霍公鳥 来鳴く五月の あやめ草 蓬かづらき 酒漬(さかみづ)き 遊びなぐれど 射水川 雪消(ゆきけ)溢(はふ)りて 行く水の いや益しにのみ 鶴(たづ)が鳴く 奈呉江の菅の ねもころに 思ひ結ほれ 嘆きつつ 吾(あ)が待つ君が 事終り 帰り罷りて 夏の野の 早百合の花の 花笑みに にふぶに笑みて 逢はしたる 今日を始めて 鏡なす かくし常見む 面変りせず 反し歌二首 4117 去年(こぞ)の秋相見しまにま今日見れば面やめづらし都方人(みやこかたひと) 4118 かくしても相見るものを少なくも年月経れば恋ひしけめやも 霍公鳥の喧(ね)を聞きてよめる歌一首 4119 古よ偲ひにければ霍公鳥鳴く声聞きて恋しきものを 京(みやこ)に向(まゐ)でむ時、貴人(うまひと)を見、美人(をとめ)に逢ひて飲宴(うたげ)せむ日、懐(おもひ)を述べむ為、儲(あらかじ)めよめる歌二首 4120 見まく欲り思ひしなべに縵(かづら)掛け香ぐはし君を相見つるかも 4121 朝参(まゐり)の君が姿を見ず久に夷(ひな)にし住めば吾(あれ)恋ひにけり 一ニ云ク、愛(は)しきよし妹が姿を 同じ〔閏五〕月の二十八日(はつかまりやかのひ)、大伴宿禰家持がよめる。 天平感宝元年閏五月の六日(むかのひ)より小旱(ひでり)して、百姓(おほみたから)のうゑし田畝(た)稍(やや)凋める色あり。六月(みなつき)の朔日(つきたちのひ)に至りて、忽ちに雨雲之気(あまけのくも)を見、仍て作める歌一首 短歌一絶 4122 すめろきの 敷きます国の 天の下 四方の道には 馬の爪 い尽くす極み 船(ふな)の舳(へ)の い泊(は)つるまでに 古よ 今の現(をつつ)に 万調(よろづつき) 奉る長上(つかさ)と 作りたる その農業(なりはひ)を 雨降らず 日の重なれば 植ゑし田も 蒔きし畑も 朝ごとに 凋(しほ)み枯れゆく そを見れば 心を痛み 緑子の 乳(ち)乞ふがごとく 天つ水 仰(あふ)ぎてそ待つ あしひきの 山のたをりに この見ゆる 天の白雲 海神(わたつみ)の 奥津宮(おきつみや)辺に 立ちわたり との曇りあひて 雨も賜はね 反し歌一首 4123 この見ゆる雲ほびこりてとの曇り雨も降らぬか心足らひに 右の二首は、六月の一日の晩頭(ゆふぐれ)、守大伴宿禰家持がよめる。 雨落(あめ)を賀(よろこ)ぶ歌一首 4124 我が欲りし雨は降り来ぬかくしあらば言挙げせずとも年は栄えむ 右の一首は、同じ月の四日(よかのひ)、大伴宿禰家持がよめる。 七夕(なぬかのよ)の歌一首、また短歌 4125 天照(あまで)らす 神の御代より 安の川(がは) 中に隔てて 向ひ立ち 袖振り交はし 息の緒に 嘆かす子ら 渡り守 舟も設(まう)けず 橋だにも 渡してあらば その上(へ)ゆも い行き渡らし 携はり 項(うな)がけり居て 思ほしき ことも語らひ 慰むる 心はあらむを 何しかも 秋にしあらねば 言問ひの 乏しき子ら うつせみの 世の人我も ここをしも あやに奇(くす)しみ 往き更(かは)る 年のはごとに 天の原 振り放(さ)け見つつ 言ひ継ぎにすれ 反し歌二首 4126 天の川橋渡せらばその上(へ)ゆもい渡らさむを秋にあらずとも 4127 安の川い向ひ立ちて年の恋日(け)長き子らが妻問の夜そ 右、七月(ふみづき)の七日(なぬかのひ)、天漢(あまのがは)を仰見(み)て、 大伴宿禰家持がよめる。 越前国(こしのみちのくちのくに)の掾(まつりごとひと)大伴宿禰池主が来贈(おく)れる戯歌(たはれうた)四首 忽ちに恩賜を辱(かたじけな)くす。驚き欣ぶこと已(すで)に深し。心の中に咲(ゑみ)を含み、独り座りて稍開けば、表裏同じからず。相違何ぞ異れる。所由(そのゆゑ)を推し量るに、率爾に策を作(な)す歟。明かに言の如きことを知りぬ。豈に他の意有らめや。凡そ本物を貿易(まうやく)する、其の罪軽(かろ)からず。正贓倍贓、急(すみや)けく并満すべし。今風雲に勒して、徴使を発遣(おく)る。早速返報したまへ。延回したまふべからず。 勝宝元年十一月十二日。物貿易せらる下吏、謹みて 貿易の人断る庁官司の 庁の下に訴ふ。 別に白(まを)す、可怜(うつくしみ)の意、黙止(もだ)り能(え)ず。聊か四詠(ようた)を述(よ)みて、唯睡覚に擬す。 4128 草枕旅の翁と思ほして針そ賜へる縫はむ物もが 4129 針袋取り上げ前に置き返さへばおのともおのや裏も継ぎたり 4130 針袋帯び続けながら里ごとに照らさひ歩けど人もとがめず 4131 鶏(とり)が鳴く東(あづま)をさして誇(ふさ)へしに行かむと思へどよしもさねなし 右の歌の返報歌(こたへうた)は、脱漏(も)れて探求(もと)め得ず。 更に来贈(おく)れる歌二首 駅使(はゆまつかひ)を迎ふる事に依りて、今月十五日、部下(くぬち)加賀の郡の境に到来(いた)る。面蔭射水の郷に見はれ、恋緒深海(ふかみ)の村に結ふ。身胡馬にあらねど、心北風を悲しめり。月に乗りて徘徊(たもとほ)り、曽て為す所無く、稍来封を開く。その辞に云く、「著者先に奉る書、返りて疑ひに度れることを畏る歟」とのりたまへり。僕(われ)嘱羅を作し、且使君を悩ます。夫れ水を乞ひて酒を得、従来能き口なり。論じて時理に合へり。何か強吏と題(しる)さめや。尋ねて針袋の詠を誦むに、詞泉酌めども渇(つ)きず。膝を抱(むだ)き独り咲(わら)ふ。能く旅愁をのぞき、陶然として日を遣る。何か慮(はか)らむ、何か思はむ。短筆不宣。 勝宝元年十二月十五日。物を徴(はた)りし下司(かし)、謹みて 伏せぬ使君 記室に上(たてまつ)る。 別(こと)に奉る云々歌二首 4132 竪(たた)さにもかにも横さも奴とそ吾(あれ)はありける主の殿戸(とのど)に 4133 針袋これは賜(たば)りぬすり袋今は得てしか翁(おきな)さびせむ 宴席(うたげのとき)、雪、月、梅の花を詠める歌一首 4134 雪の上に照れる月夜に梅の花折りて送らむ愛(は)しき子もがも 右の一首は、十二月(しはす)、大伴宿禰家持がよめる。 4135 我が背子が琴取るなべに常人の言ふ嘆きしもいやしき増すも 右の一首は、少目(すなきふみひと)秦伊美吉石竹が館の宴に、 守大伴宿禰家持がよめる。 天平勝宝二年正月(むつき)の二日、国庁(くにのまつりごとどの)にて諸(もろもろ)の郡司(こほりのつかさ)等を給饗(あろじ)せる宴歌(うた)一首 4136 あしひきの山の木末のほよ取りて挿頭(かざ)しつらくは千年寿(ほ)くとそ 右の一首は、守大伴宿禰家持がよめる。 判官(まつりごとひと)久米朝臣廣繩が館の宴の歌一首 4137 正月(むつき)立つ春の初めにかくしつつ相し笑みてば時じけめやも 同じ月の五日(いつかのひ)、守大伴宿禰家持がよめる。 墾田(はりた)の地(ところ)を検察(みさだ)むる事に縁りて、礪波の郡の主帳(ふみひと)多治比部北里(たぢひべのきたさと)が家に宿れる時、忽ちに風雨(かぜあめ)起こり、え辞去(かへ)らずてよめる歌一首 4138 荊波(やぶなみ)の里に宿借り春雨に籠りつつむと妹に告げつや 二月(きさらぎ)の十八日(とをかまりやかのひ)、守大伴宿禰家持がよめる。
https://w.atwiki.jp/oretuba_2ch/pages/65.html
m9(・e・☆ 王雀孫が作ったたまひよの顔文字。流行るのか? 最近のスレではジュウシマツに出番を食われがち。 m9(・e・☆ その辺でしてきなさいっ! 名前 コメント