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【Tags Ehehe-P Len tI B】 Original Music title ボクモテ English music title I ll Be Popular Among Girls Romaji music title Bokumote Music Lyrics written, Voice edited by えへへP(Ehehe-P) Music arranged by えへへP(Ehehe-P) Singer(s) 鏡音レン (Kagamine Len) Click here for the original Japanese Lyrics English Lyrics (translated by motokokusanagi2009): If all stunning dudes died, Girls would flock to love me without doubt, right? He he he Romaji lyrics (transliterated by motokokusanagi2009): boku yori kakko ii yatsu ga zenin shin dara hitsuzen teki ni boku ga mote mote dane ehehe [EheheP, Ehehe-P, Takyuushounen]
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【Tags Gumi Yucha-P tL U】 Original Music title 嘘とダイヤモンド English music title Lies and Diamond Romaji music title Uso to Daiyamondo Music Lyrics written, Voice edited by ゆちゃP (Yucha-P) Music arranged by ゆちゃP (Yucha-P) Singer Gumi (Megpoid) Click here for the original Japanese Lyrics English Lyrics (translated by animeyay): Through the days gnawed by too much tranquility, I search for a meaning. Scared of seeing my unadorned reflection, I paint it over with lies. Before I could notice, I ve become lost, without the possibility of returning. Dragging along with heavy chains around my ankles, I m still not sure exactly what my sin is. I have built up a deranged reality; it feels so comfortable that I can t get myself out of it. Shatter it! Shatter it! It s slowly choking my neck. Then, when it s shattered, and when I cast away everything I have, I could actually be saved. I was hiding myself behind the lies released by some dull light. What I had gripped in my hand was not a gemstone, but rather a pebble. What I defended, was my small pride, because I was scared at the thought of others trampling on it. The fact that I told lies in past is now blaming and scolding me. After some erasing, my real reflection becomes apparent, and it is overly decorated with greed. Someone, please return me to ashes. I have built up a deranged reality; it feels so comfortable that I can t get myself out of it. Lie to me! Lie to me! The excised yesterday is hurting. Then, when that yesterday breaks down, and when I cast away everything I have, I could actually be saved. Romaji lyrics (transliterated by animeyay): heion ni okasareta hibi imi o sagasu watashi kazari no nai sugata utsusu no osorete uso o nuru itsu no ma ni ka mayoikonda modoru koto mo dekizu omoi kusari hikizutta mama tsumi no imi mo shirazu ni kizukiageta kurutta shinjitsu kokochiyosa ni derarenai mama kowashite kowashite sukoshi zutsu shimetsukeru kubi soshite kowarete nani mo ka mo ushinaetara isso sukuwareru no ni nibui hikari hanatsu uso de kakushite ita watashi nigitte ta no wa houseki ja nakute ishikoro deshita mamotta no wa chiisana PURAIDO fumikomareru no ga tada kowakute ano toki hanatta usotsuki ga watashi o semeru keshite utsushita yokubari de kazaru watashi o dareka hai ni kaeshite tsumiagete ta kurutta shinjitsu kokochiyosa ni derarenai mama damashite damashite kiritotta kinou ga itamu soshite kowarete nani mo ka mo ushinaetara isso sukuwareru no ni [Yucha-P, YuchaP]
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自分がもう二度と得られないものを持っている彼女の傍にいるのが辛くて、巻き込みたくなくて逃げ出した先で、また出会ってしまった。 李舜生――彼もまた、自分の為に命を懸けてくれた人だった。 「あんた……どうして……」 現れた李に、か細い声で千晶は問う。 いつもそうだ。彼は頼んでもいないのに、助けて欲しくてどうしようもない時に現れる。まるでどこかで見ているかのように。 「そろそろ待ち合わせのファミレスに向かおうかと思いまして……。よろしければ一緒に行きませんか――」 李が言い終わるより早く、千晶は李に縋り付いていた。一緒に行こう――その言葉が今の千晶には何よりも嬉しかった。 「うっ……うっ……」 「大丈夫ですよ……原口さん」 幾ら巻き添えにしたくないと言っても、本当は心細くて押し潰されそうだった。そしてまた彼に縋ってしまう弱い自分が情けなくて堪らない。 「そうですか……なのはさんが。確かに翠屋にも迷惑が掛かってしまいますよね」 空は赤く染まりだし、ファミレスにも、徐々に人が集まり出した。その中の一席に李と千晶は向かい合っていた。 「あんたも……私に構わなくていいんだよ?」 それが彼女に出来る精一杯の拒絶だった。それでも――本当は行かないで欲しいと内心では叫んでいる。 「いえ……僕は協力します」 「でも……」 「きっと……これも運命なんですよ。あなたに会うことも……占いに、そう出てました」 「信じて……いいの?」 李は何も言わず、ただ優しく千晶に微笑んだ。その微笑が余りに優しくて眩しくて、千晶はテーブルに突っ伏した。 「原口さん……」 占いに運命、そんな都合のいい台詞も今の千晶には効果覿面だったようだ。嗚咽を漏らす千晶の肩を軽く叩いて慰める李の瞳は暗く、光が灯っていなかった。 「知り合いがいるんです。マカオの方で貿易とかそういう関係の仕事してて……。パスポートとか、用意してくれたり……」 李は途中からは千晶に顔を近づけて囁くように話した。なにせ内容が内容だ。 「偽造……?密入国とか、そういうこと?」 声を抑えなかった千晶を、李は自らの口に人差し指を立てて止める。周囲を見回すが反応している者はいない。 「あんた……留学生じゃなかったの?」 「いろいろと、事情はあるものです」 今度は声を抑えた千晶に、李はおどけて答えて見せた。 ニュース等で取り沙汰されているが、よくよくこの国も物騒になったものだ、と千晶は思う。だが、その御陰で僅かに希望が見えた。 「でも……お金、沢山必要です」 明らかに胡散臭い、詐欺臭いと思わなくもないが、組織の契約者に追われる女を狙うなんてリスクが大きすぎる。そんな風に思考が働く程度には、千晶も活力を取り戻していた。 「お金か……。銀行からもっと下ろせると良かったんだけど」 「何か代わりになるものがあれば……」 そこに千晶は反応した。今の自分に払えるものと言えば、 「情報はどう?パンドラの中枢にアクセスして得た極秘情報とか……」 PANDORA――天国門を巡った天国戦争の後に、地獄門が紛争の火種になることを防ぐ為に設立された国連主導のゲート・契約者研究機関。一国の独占を防ぐための協定も存在する。 だが、そんなものは既に形骸化しているのが現状だ。どの国も自分達がゲートの謎と力を手にする為に諜報員を多数潜伏させている。東京の裏に跳梁する契約者こそがそう。 「本当ですか?ゲート関連の情報は高く取引されてるはずです、どんなちっぽけなものでも」 「圧縮式重力反発素子やME技術以来の革新理論だよ?」 「じゃあ、きっと物凄く高く売れます!大丈夫です、連絡取ってみますから」 いちいち驚きの声を上げる李が面白いのか、千晶もやや自慢げだった。 対策会議は順調に進み、互いのことを少しだが話す機会もあった。彼と話していると不思議な安心感があった。 「お待たせしましたー」 ウェイトレスの運んできた料理に千晶は目を見張った。ピザにステーキ。スパゲティ、ピラフ、ハンバーグetc――。 「あんた……これ全部食べる気!?」 「すいません……いつもよりは少ないんですけど……」 テーブルを埋め尽くす料理を前に李は申し訳無さそうに縮こまった。このほっそりとしたどこにこれだけの量がはいるのか――。 「あんたねぇ……太るよ!今は良くても30過ぎたら絶対太る!でなきゃ世の中間違ってる!」 千晶はいつの間にか自分も頼んでいたワインを一気飲み。それも不安の裏返しだろう。飲まなければ不安で堪らないのだ。 「そんな先のこと、心配してる場合じゃないか……」 顔を赤らめながら遠い目をした千晶の真意を察しながらも、敢えて李は大声で笑ってみせた。すると千晶も釣られて笑いだす。 周囲の視線もまるで気にならない。笑うことで少しでも恐怖を払拭しようと、千晶は笑い続けた。 手洗いに立った千晶を見送り、李はひたすら料理を平らげていく。だが、その目は食事を楽しんでいる目ではない。それは後ろの男の存在だけが原因ではないだろう。 「聞いてはいたが見事なお手並みだな……」 「黄〔ホアン〕」 李の背後の席には40代そこそこの小太りの男が座っている。黄と呼ばれた男は軽蔑を込めて、李にだけ聞こえる大きさで呟く。 「お前ら程この仕事に向いてる奴らはいないだろうよ。なんせ罪の意識ってもんがねぇんだからな」 皮肉たっぷりの挑発的な物言いにも、李は構わず食べ続ける。尤も挑発に乗るようでは意味が無いのだが。 「ブツの目星は付いてるんだろう。さっさと手に入れろ」 そして彼から反応が無いことも黄には分かっていた。手短に指令を済ませて席を立つ。 「奴ら近くまで来ている。面倒なことになる前に女は消せ」 無慈悲な指令にも李は全く動じない。少なくとも表面上は。 ピラフを皿ごと持ち上げて掻きこむその態度は、或いは黄の言葉が正しいことを証明しているのかもしれない。 ファミレスに向かう二人の男を見下ろしながら、李は口の中の物を流し込んで席を立った。 男達が入店するのと、李が手洗いから帰った千晶をそのまま厨房へと押し込むのはほぼ同時だった。 「お、お客様!?」 店員を押し退けて、黒人の大男とスーツの男が李と千晶を追う。 「ちょっと、困りますよ!」 戸惑いながらも怒りを口にする厨房のコック達をよそに、スーツの男が拳銃を発砲した。店内中で次々に悲鳴が上がる。もう隠れて捕らえる気もなければ、生かしておく気すらないらしい。そして他者を巻き込むことも、能力を隠す気も、だ。 辛うじて棚の向こうに隠れた李は小麦粉を放り投げた。撃たれた小麦粉は厨房内に充満する。 「今です!」 李が駆け出し、全てが白く染まった中で、大男の瞳が赤く灯った。 この隙に千晶の肩を抱いて逃げ出そうとする李の頭上に積まれた、塩か何かの袋が爆発、四散した。粉状のはずのそれの"破片"がまるでショットガンのように、怯えて身を隠す二人のコックの頭を"貫く"。 おそらくは、爆発させた対象の破片をも硬化させるのだろう。 千晶と外に飛び出した李は肩に傷を負った程度で済んだが、中のコックは無事で済まない。 目的とその為の犠牲を天秤に掛けて、目的へと針が振れればいかなる犠牲も厭わない。これが契約者のやり方なのだ。 だが、そんなことも肩の傷も気にしてはいられない。手近なロッカーで扉を塞いで、階段を駆け下りる。結局はこうして逃避行を続けるより他に選択肢は残されていないのだ。 懐のガラス板がまたしても光を放ち出す。これは契約者と何らかの関わりがあるのではないか、そうなのはは見ていた。 「光は……あっち!」 夕陽が徐々にゲートへと沈んでいく。聳え立つゲートに向かい、なのはは飛んでいた。 彼女はまだ一人で逃げ続けているのだろうか?李はどうしているのだろう、巻き込まれていなければいいのだが。 部屋を出る彼女の顔はとても寂しそうだったように思う。自分達の団欒が彼女の孤独を煽ってしまったのだろうか?それともフェイトの言葉が傷つけてしまったのか? 助けるだけでは駄目なのだ。危険を払うだけでは彼女を本当に救うことはできないことに、ようやく気付くことができた気がする。 彼女に謝りたい。そしてもっともっと話したい。 焦るなのはは更に速度を増し、光の導きのままに、ファミレスへと降り立った。 男達が裏へと回った時には、既に女は逃げた後だった。スーツの男――アランは歯噛みしながらも、携帯を手に取る。 「ジャンか?逃げられた、合流しよう」 ふと、大男――ポールを見やると、道端のタンポポを毟って口に放り込んでいる。 ファミレスの裏手は小さな工事現場だ。道具や何やらが無造作に転がっているが、隅には僅かな野草は生えている。それを彼は食っていたのだ。 契約の対価だそうだが、何度見ても彼には理解できないものだった。 黙々と対価を払うポールに呆れたアランは、 「先に行ってるぞ」 と言い残して、合流地点へと向かった。答えを返すことなく、野草を咀嚼するポール。 そして、彼の傍に空から彼女は舞い降りた。 「あなたは……千晶さんを狙った人の一人ですね。答えて!あなた達は何故、千晶さんを追うの!?」 問うことなどせず、バインドなりで捕獲するべきだったのかもしれない。だが、なのはは知りたかった。他者をこれほど巻き込んでまで千晶を追う理由を。 まだ話せば分かると思っていた。 「お前は……あの時の女か!」 アランと二人で追跡した、篠田千晶の片割れ。そして千晶の逃亡を補助してる女だ。 「答えて!」 そんな必要は無かった、生かしておく必要も。立ち上がるポールの瞳に光が灯った。 「っ!!」 なのはが危険を感じて飛び退くと、一瞬前までいた背後の壁が爆発した。 コンクリートの一部が中心から放射状に破片を撒き散らし、BJを傷つける。 「くあっ!」 破片はBJを貫通して身体を貫く。破片でもこの威力――爆破を受ければどうなるか。これを防げるのかはまったくの未知数だった。迂闊に手が出せず、バリアを張って逃げ回るしかできない。 なのはは、ポールの目が赤く光る度に、自らの懐が青く輝くことにまで気が回らなかった。 身を隠す場所には事欠かないとはいえ、このままではまずい。破片も至近距離で受ければ危ないかもしれない。 しかし、隠れていて分かったこともある。それは、爆破する対象の前に障害物ができれば咄嗟にそれを透過して対象を爆破はできない、ということだ。 「それなら――」 身を乗り出すと同時に、なのはの胸に青い光が揺らめく。それはポールの能力の照準だ。 ポールは慎重に先を読み狙いを定める。それが収縮した瞬間、 ――今! 操作した鉄板で目の前を塞ぐ。爆散した鉄片をラウンドシールドで、シールドの範囲を越えたものはプロテクションで防ぐことができた。 爆発それ自体がどこまで貫通するのかは賭けだったが、立ちこめる土埃が晴れた時、彼女の射線上には無防備なポールが立っていた。 「アクセルシューター!」 「ぐぉぉぉ!?」 5発の魔力弾がポールを打ち、彼は派手に地面を転がった。契約者――異能の力を持っていても、その身体は人のものだろう。これだけ受ければ昏倒は避けられないはず。 現にポールは意識を失おうとしていた。なのははポールへと呼びかける。 「答えて、何が目的で千晶さんを狙うの?あなた達は誰?」 気を失いかけていても、ポールの頭は働いていた。 この女は何か特別な力を持っている、それも契約者とも違うようだ。彼はそう分析した。 「彼女とあなた達の関係は?」 これだけの力を持って篠田千晶を保護し、こちらを捕獲して情報を得ようとしている。そこから彼女についてもっとも可能性の高いものを、彼は導き出した。 「千晶さんを殺せば彼女の情報は得られないはずじゃ――」 それならば対策もおのずと決まる。対価を払わずに連続で能力を使ってしまった、最後の使用用途も合理的に考えれば――。 なのはの目の前でポールの左胸が弾けた。血と肉が噴きあがり、硬化した肉片がなのはへ飛び散る。 バリアがあったため、ダメージこそないが、赤黒い血がべっとりジャケットに付着した。それは指で触れると、ぬるりと嫌な感触がした。 ポールの目は見開かれている。胸に穴を開けたまま、もう動くことはない。 「え……?」 空は完全に黒く染まり、夜が訪れる。座り込む李に千晶は身を寄せ、涙を浮かべた。 「ごめんね……。私のせいでこんな……」 破片を受けた李の腕にハンカチを巻いているのだ。彼が顔を歪める度に、彼女の顔も不安に歪む。 「やっぱり無理なんだ……。あいつらから逃げるなんて……」 だから李は痛みを堪えて笑ってみせる。 「疲れた顔をしている、まるで死人みたいだ……。少しでも休んだほうがいい……」 「疲れた……本当に。もうあいつらに振り回されるのはたくさん……許せない」 そっと千晶は李の膝に頭を乗せた。彼はそんな千晶の髪を柔らかに撫でる。 「でも、一番許せないのは自分自身……。気付くと目の端であいつらを追ってる自分。両親を殺した時に証言しなかった自分が一番……」 「無くしてしまったほうが良かったんだ。契約者の記憶なんて……」 李は心からそう思う。契約者などと係わりを持つべきじゃない――彼らは人の命も心も躊躇いなく壊す冷酷な生物なのだから。 「こんな記憶でも、今まで捨てられなかった。無くなったら私は私じゃなくなる……そんな気がして、怖いんだ……」 「契約者は人間じゃない、人の皮を被った殺人機械だ。リスクを最小限に抑える為に目撃者は必ず殺す。奴らは嘘吐きで……裏切り者だ……」 契約者に魅入られた女に彼は暗く呟く。 そんなことは分かっている。それでも止められないのだ。 その言葉は誰に対してのものだろう。その言葉の意味を李も、千晶も、そしてなのはもすぐに知ることになる、それも最悪な形で。 小休止の後に、千晶は李に鍵を渡した。それは彼女なりの信頼の証でもあった。ほんの一日にも満たないはずなのに、彼"だけ"が、少しだけでも自分の孤独を埋めてくれたから。 それは駅のコインロッカーの鍵だった。ロッカーに入っていたのは、無地の装丁の本。機密というからにはデータディスクの類と思っていたが、まさか紙媒体とは李も意表を突かれた気分だった。 「あんたは見ない方がいい。この情報は知ってしまえば、私と別れても狙われる……」 彼女はそう言って中を確認させてはくれなかった。自分で抱えて先へと進んでしまう。 「それで?マカオの知り合いとは連絡できるの?」 「はい、大丈夫です。行きましょう」 勿論、そんなものはでまかせに決まっている。嘘吐き――早速彼はそれを実感した。 二人は駅を出て、夜の街を歩く。そのうち、背後からは気配を感じだした。 「ねぇ……。あんたさ……あの娘とどんな関係なの?」 歩きながら千晶は言った。胸にはしっかりと本が抱えられている。 「どうって……バイト先の喫茶店の娘さんです。昨日会ったばかりですよ」 「仲良さそうに見えたけど?」 「ほとんど話したこともありません」 すると、彼女は嬉しいとも悲しいともつかない表情で振り向いた。 「それでも……これからは話すでしょ?」 二人には多分これからがある。そして自分はどう転んでも二人との"これから"は無い。なのはとはもう会うこともないだろう。 「あの子に会ったら伝えておいてほしいんだ。『ごめん』って」 色々と言いたいことはあったが、今はそれしか出てこない。それに――。 「それだけでいいんですか……?」 「うん。私のことなんて早く忘れて欲しいから……」 多くを語ればきっと彼女は背負ってしまう。それだけは嫌だった。 彼女も同じく、出会って一日も経っていない。なのに、彼女の考えそうなことは分かる。彼女は優し過ぎるから。 暖かく迎えてくれたなのはの家族も、なのはを心配する友人も、千晶には孤独を際立たせるものでしかなかった。それでも、一緒にいればいつかは自分も――そう思わせてくれた。 だから彼女にだけは闇に染まって欲しくない。光であって欲しいのだ。 「わかりました、伝えます」 その彼女の意志を李も汲み取ったようだ。だから彼女も笑顔を返す。 「ありがと……」 その笑顔は僅かに晴れやかで、とても哀しかった。 「あの娘のこと、私はきっと忘れられないだろうけどね……」 暫く歩いていると、警察署の前に差し掛かる。おあつらえ向きに警官も立っていた。 「それと……あんたのこともね」 言い終わるよりも前に、李は千晶に密着するほど接近していた。そしてそっと首筋に触れる。 「いや……忘れるんだ」 契約者のことなど忘れたほうがいい――そう言った。だから自分のことも忘れた方がいい。 警官達の見る前で千晶は膝から崩れ落ち、その手には何も持っていなかった。李は倒れた彼女に見向きもせずに歩き去る。 背後からは警官の声、そして二人分の足音が速まった。李もそれに合わせて足早に歩きながらポケットから折り畳まれた黒い布を取り出す。 警察署の角を曲がった李は、走りながらそれを広げて羽織る。それは布地の全てが黒に染められたジャケット。 そして李は契約者――黒〔ヘイ〕へと変わった。 パトカーを運転している最中も、水咲は苛立ちを隠せなかった。篠田千晶もそれを追う連中も未だ不明、と目ぼしい成果は上がっていないからだ。 そこに飛び込んだ無線、まずは朗報。 「〈斎藤です。三田署から捜索中の篠田千晶を保護した連絡が入りました。フランス人らしき男達も、目撃されています。すぐに現場に向かいます〉」 「わかった、今すぐ応援を要請する」 相手が契約者ならば警官では荷が重いだろう。しかし彼らも正面きって警察とやり合うことは無いはずだ。 契約者は合理的に行動する。尤もそれ以上に優先すべきことならば躊躇いはしないだろうが。 「〈天文部はBK201の活動を観測しました!〉」 次は天文部との連絡役、大塚の報告。BK201――その正体、せめて能力だけでも探れると良いのだが。 そして最後の報告、これには水咲もハンドルを握った手を放しそうなほど驚いた。 「〈課長、松本です!篠田千晶の死体を確認しました!〉」 「何!?」 首都高下、川に面した駐車場。駐車した車はおらず、夜にはすっかり人気も無い。そこまで走って黒は足を止めた。 「契約者か、ルイを殺ったのもお前だな」 ジャンとアランが黒の背後に立った。ここならば存分に戦える。 黒は二人を前にしても眉一つ動かさない。当然だ、ここには追い込まれたのではない。誘い込んだのだから。それに、もう演技をする必要もない。 計算外なのは、いつの間にか拳銃を持って前に立っていた千晶だ。 「あんたが……ルイを殺したの……?」 彼女が何故ここにいるのかは解らない。拳銃は警官から奪ったものか。 「言っただろう。契約者は嘘吐きだって……」 黒はたった一言、そう答えた。 すべては演技に過ぎない。ブツを手に入れる為に、そして彼らを始末する為に。 そう、演技のはずなのに――。 「鼠は罠に掛かった……」 千晶の瞳から光が消え、アランは銃口を千晶へと向けた。囮を予想はしていた、ならば千晶はもう用済みなのだろう。 咄嗟に黒は千晶を庇って射線に割り込む。 乾いた銃声は夜に響き、黒は前のめりに倒れる。しかし硝煙が立ち昇るのはアランの銃ではなく、背後の千晶の銃からだった――。 「この女は篠田千晶じゃない。MEを使って抽出された篠田千晶の記憶を移植されたドールなんだよ。たった今、キーワードによってプログラムされた人格から引き戻された」 倒れ伏す黒にジャンが真相を語る。彼にとってそれは勝利宣言だった。現に苦悶の黒には何もできない。 「どの道、人格は2、3日しか持たない。罠だったんだよ、お前をおびき出す為のな」 それならば、本物の篠田千晶は既に生きてはいないだろう。全ては仕掛けだったのだ。入れ替わったのは、おそらく昨日の夜。千晶が拉致された時点だ。 真実を話したということは、次の行動は決まっている。アランは倒れた黒の背中に銃弾を撃ち込んだ。千晶――と呼ぶべきか、ドールはそれをただ虚ろな瞳で眺めていた。 二発ほど撃った時点で既に黒は動かなくなった。それでも念を入れておくに越したことはない。 「こんなに簡単とはな、本当にこんな奴にルイが――」 「残念。黒のジャケットは彼が着ることによってのみ防弾効果を持つんだ」 それは低い、男の声だった。しかしどこを見てもそんな男はいない。それ以前に気配すら感じなかった。 「び っ く り し た?」 アランとジャンは声の源を見つけた、それは猫だった。黒猫が喋る、びっくりしたに決まっている。 そして生まれた一瞬の虚を突いて黒は立ち上がった。 「なっ!?」 素早く放ったワイヤーは一直線にアランに向かう。苦し紛れの射撃も黒のジャケットに弾かれた。 黒は絡め取られたアランを手繰り寄せる。 「ぎゃぁあああああ!!」 断末魔。アランは全身を激しく痙攣させ、やがて弛緩した。がくりと折れたアランの背後に立つ黒の瞳には赤い光が輝いている。 まず一人。 それも束の間、青白い光が黒の胸に当てられた。ジャンが壁に当てた掌は同じ光が輝いている。 彼の能力は物質交換型テレポーテーション。すぐに殺らない辺り、発動に時間が掛かるようだが、重要な臓器を適当に石とでも交換してしまえば人など簡単に殺せる。 逃げてもそれはしつこく黒の胸に狙いを定めてきた。逃れられない光がぐっと収束し、次の瞬間、ジャンの掌で心臓が潰れた。 「チッ!」 黒の前に飛び込んだドール。心臓があったであろう部分には大きなコンクリートが詰まっている。 黒はすかさずジャンへとワイヤーを飛ばすが、命中する寸前で彼の姿は水に変わった。 どうやら逃げたようだ。能力を知られた以上は正面から戦うのは不利、合理的な判断という奴だ。 そして初めて黒は篠田千晶だったドールへと目を転じた。当然、即死だろう。 ドールが自発的に動くことなど有り得ない。それも銀のように本来の人格や記憶を残したドールでもなく、完全に契約者の支配下にあるはずのドールが。 僅かに残った記憶の残滓が自分を生かそうと働いたのか、それとも彼女が魅入られたランセルノプト放射光の輝きに惹かれたか――今となってはどうでもいいことだ。 「やっぱりこっちが囮だったか。本物のブツは既に別ルートで押さえてある。組織には全てお見通しだったってことだ」 気付けば背後には黄が立っていた。先程と同じ、嫌悪の視線で黒とドールの骸を見やる。 「どうしてその人形を殺しておかなかった?」 「人形じゃない。生きていた……」 昨日の夜から入れ替わっていたのなら――孤独と恐怖に震えていたのも、自分や彼女を巻き込みたくないと強がったのも、忘れないと言ったのも彼女だったのだ。 それをどうして人形と言えよう。自分達契約者よりも遥かに人間らしい。 「所詮ドールだ、受動霊媒なんざ……。そしてお前達契約者も所詮殺人マシーンに過ぎん」 黒は否定しなかった。代わりに間に割って入ったのは先程黒を助けた黒猫。 「止せ、黄!まだ仕事は終わっていない。銀、奴の行方は?」 黒猫の背後には水溜りに手を浸ける少女。 連絡役、監視役の黄〔ホアン〕。情報収集の猫〔マオ〕。ドールの銀〔イン〕。これが彼のチームの初仕事だった。 「糸は付いてる……」 「だ、そうだ。さっさと殺してきな、契約者。俺は報告があるんで先に帰るぜ」 立ち去る黄。そしてゆらりと立ち上がった黒に、銀は無言で仮面を手渡した。 黒もまた、何も言わずそれを被る。契約者――黒の死神としての仮面を。 そして誰もいなくなった駐車場の上空を、人型の影が過ぎった。 水と自分の交換テレポート。咄嗟のことだがどうやら上手くいった。 ジャンは必死に泳いで川を上がる。力を連続で使ってしまった為、彼はかなり疲弊していた。 対価を、対価を払わなければ――。 今の彼は契約者の冷徹さも合理性も無くし、ただ石並べに――対価を払うことのみに没頭していた。意味が無くとも、払わなければという激しい衝動が絶え間無く襲ってくるのだ。 それほど没頭していたせいもあるだろう。ジャンは幽かに水面に浮かぶ観測霊にも気付くのが遅れた。 「ひっ!?」 気付いた時には既に遅く、背後からは仮面を被った黒が歩いてくる。 仮面から表情は読み取れない。できるだけ長く恐怖を与えるよう、走ることもせずにジャンへと迫る。 なのはも懐のガラス板に導かれ、この場所へと降りた。目の前には仮面を被った黒衣の男がジャンへと迫っている。男の正体は分からないが、契約者であろうことは想像に難くない。 千晶の言うとおりなら、東京には無数の契約者が潜んでいるらしい。フランス人であるジャンを誰か別の契約者が狙っても不思議ではない。 「ひぃぃ……!」 だが、ジャンの様子は明らかにおかしい。酷く怯えて歯を鳴らしながら後ずさる。そこに川があることも忘れる程、動転している。 「はぁ……はぁ……うわぁ!」 川に転落したジャンを黒は追い詰めていく。それは無様で、とても滑稽だった。 いい気味だ。彼らは千晶を、李を、自分の命を散々狙ったのだから。最初はなのはもそう思った。 「あぁ……来るな……来るなぁ!」 少しでも黒から逃れようとするジャンは、とても冷酷な契約者には見えなかった。パニックになりながらも、生き残ろうと必死に逃げる様はとても人間らしかった。 黒人の男や仮面の男とはまるで違う。 なのはには契約者が何なのか分からなくなった。自ら迷わず命を絶つ者、命乞いする相手を淡々と追い詰める者、無様に生きようとする者。 「止めて……」 この男は自分達の命を狙ったはずなのに。どこまでも憎い相手であるはずなのに。 間違いなく人間だった。 「助けて……助けてくれぇ!!」 「止めてぇぇぇぇぇ!!」 気付けばなのはは叫んでいた。 それほどまでに今は黒が恐ろしく見えた――人でない何かに見えた。 背中に覚えのある叫びが突き刺さるのを感じながらも黒は歩みを止めない。一歩一歩ジャンへと歩み寄り、ゆっくりと川に片足を浸けた。 「何で……」 川面には動かなくなったジャンが浮いている。黒もなのはも含め、ゆらゆらと漂う死体以外に動く者はない。 「何で殺したの……!」 もう殺す必要なんて無かった。ジャンは明らかに戦意も力も喪失しているように見えた。 後は法に任せればよかった。なのに――。 「奴が契約者で……俺も契約者だからだ」 なのはは愕然とした。これまで接触した犯罪者達、例えばプレシアは娘の復活を目的としていた。その為に他者を犠牲にする思考は、納得こそできないが理解はできた。 他の犯罪者だってそうだ。少なくとも理解の範疇にはあった、いや無理にでも理由を付けて理解の中に押し込んできた。 そうでなければ恐ろしいから。 「それだけ……?」 だが、目の前のこの男は明らかに理解の範囲外にあった。 黒は振り向くことなく、 「それだけだ」 「!!」 次の瞬間には、なのはは黒へと魔力弾を発射していた。 彼は危険だ、絶対に放っておくわけにはいかない。本能が黒に警鐘を鳴らしていた。 「くっ!?」 初めて目にする魔力弾に驚きながらも、黒はそれを避けて見せた。超人的な身体能力が成せる技だろう。 そして避けながらも、なのはへとナイフを投げた。こうなっては黒も退く理由は無い。たとえ相手が彼女であっても、だ。 そうでなくとも、危険に身体が反応していた。 「プロテクション!」 光の障壁がナイフを弾く。避けるまでもなく、バリアがあれば彼の攻撃は届かない。 見たところ彼の能力は電撃。近寄らせず、水にも入らなければ防御を貫くことは不可能。 「っ!」 彼もそれを悟ったのだろう。ワイヤーを高所へ引っ掛け、闇に消えた。 ――逃げた?いや、まだだ。 どこからか分からないが、微かに感じる。この暗闇のどこからか虎視眈々と狙っている。 「!?」 風を切る音に反応して振り向くより早く、ワイヤーがバリアに弾かれた。黒の攻撃はなのはの反応速度を確実に上回っているが、防御を貫くには至らない。 黒が隠れてなのはの隙を狙い出してから、何分が経過しただろう。ほんの数分でも、身動きできずに周囲を窺うなのはには無限にも思える時間だった。 今は動くべき時なのか?その一瞬の隙を彼は狙っているのではないか?そう考えると金縛りになってしまう。長いブランクが無ければ、或いは結果は違っていただろうか? 周囲は全くの無音。明かりは黒が壊してしまった。今、この場を照らすのは偽りの星『BK201』のみ、なのはの味方になるものは何も無い。 彼は何度もなのはの反応を超える攻撃を繰り出しては、すぐに消える。 防御は完璧だ。たとえ彼が凄腕の暗殺者だとしても、この防御を貫くことは簡単ではない。 なのに――何故こんなにも落ち着かない? 夜道でふと暗がりに何かが潜んでいると感じることがある。この感覚はそれに似ているのかもしれない。 あるはずがないと知っていても、一度自覚した瞬間に、闇は何かの形を作り始める。 怪物や獣。もしくは、もっと得体の知れない何かか。 今のなのはにとって、黒はまさにそれだった。闇の中に無数の彼が潜んでいるのではないかとさえ思えてくる。 そんな根源的な暗闇への恐怖かもしれない。彼はそれほどまでに完全に闇に溶け込んでいる。契約者という異能者に対するイメージが独り歩きしているせいもあるだろう。 夜は怖いほどに静謐で深い闇に彩られている。その闇に、なのはは呑み込まれそうになっていた。 偽りの夜、偽りの星。東京の裏の世界。それは、今が彼の時間でここが彼の世界――黒よりもなお暗い。 彼が契約者という、なのはには到底理解できない種だから。 「奴が契約者で……俺も契約者だからだ」 なのはは黒の冷たい声を思い出す。思い出してはいけないと思いつつも、考えてしまう。 彼は一体何人の命をその手で奪ったのだろう。幾人の血と業でその手は黒く塗れているのだろう。偽りの夜に何人を闇に堕してきたのだろう――。 今の自分は、まるで黒色の中に落ちた一点の白の絵の具のように、この世界では異分子だった。 目が彼を捉えられないのは、彼が暗過ぎるからだ。 自分も夜を注ぎ込まれてしまうのか。闇色に染められてしまうのか――彼の穢れた指先で。 震えが止まらない。自分の内から何かが蘇ってきそうだった。 ――怖い……!怖い! 更に時が経ち、なのはは狂乱しそうに神経を磨り減らしていく。正気に戻してくれたのは、懐から漏れる眩い光。ランセルノプト放射光にも似た幻想的な青の光。 「この光は……」 胸のガラス板だ。それも熱いくらいに熱を放っている。 「何で…………――!」 懐を探ろうとした瞬間、光が一際強まった。ポールと相対した時も同様の現象が起こった。 同時に膨れ上がる殺気、そして風を切る音はナイフの音。 「そこ!」 振り向き様に放った魔力弾とナイフが空中で交差した。黒は辛うじて身を反らして回避。 なのははそれがナイフだと分かった時に回避を切り捨てて、攻撃に集中した。自らの防御を信じた選択だったが、結果としてそれが仇となる。 「そんな……!?」 ワイヤーが括られたナイフがバリアに弾かれると同時に、身体を包むバリアも、纏ったバリアジャケットも青白い燐光と化して霧散した。 そして唯一の味方、レイジングハートも待機モードに戻り、手から零れ落ちた。 「魔力結合が分解!?」 魔力がそっくり光へと変換された。それがただの電撃ではないことになのはも、当の黒自身も驚いている。 すかさずもう一度ワイヤーを飛ばす。今度は拒絶するものはない。 なのはの首筋に巻きついたワイヤーを黒は強く引き絞る。 「かはっ……!」 キリキリと嫌な音でワイヤーが巻き取られる。 殺される――。強烈な"死"のビジョンがなのはの目に浮かんだ。 なのはがワイヤーを握り締めて引くと、更に強く反発される。なのはは恐怖の中で、この先に黒がいることを悟った。 不思議と恐怖は消えていく。闇は見えない、得体が知れないからこそ恐ろしい。見えてしまえば、そこにいるのは敵でしかなかった。 意識を集中させて、まだ生きている魔力弾を操作する。それを悟られないように、そして黒の位置を確かめる為に強くワイヤーを引く。 「ぐぅっ……!」 首が絞まって、か細く息が漏れる。握った手からは血が垂れ落ちる。だが、おかげで位置が掴めた。 蛇の様に地を這って飛ぶ桜色の魔力弾は、周囲を僅かに照らしてくれる。光に気付き、黒が振り向いた時、既に弾は彼の顔面に迫っていた。 飛び退こうと黒はワイヤーから手を放そうとするが、なのはにワイヤーを引っ張られバランスを崩す。 「がぁっ!」 魔力弾は黒の仮面を直撃し、右目を欠けさせた。 強い――。黒も同様に、得体の知れないなのはを恐れていた。 契約者でもなさそうなのに、妙な力を使う。もう手加減はできない。 なのはの懐の光が、夜闇を塗り潰す勢いで輝いた。 「あああああ!?」 なのはの全身を刺激が駆け巡り、意識が遠のく。 最後に見えた景色は、割れた仮面から覗く、赤く煌く瞳。身体を包むランセルノプト放射光。そして一際空に瞬いたBK201――。 「情か?黒……」 黒猫、猫〔マオ〕はその外見とは裏腹の、渋い響きで黒に問い掛けた。 「……」 黒は何も答えようとはしない。直前で顔を反らしたので右目に支障は無く、傷も無い。 「"自分を殺すには高くつく"……契約者にそう思わせるのが、あの女の狙いだった。だが、あの女は知り過ぎた。契約者のことも、俺達のことも」 構わず続ける猫の口から出たのは、愛くるしい容姿とはかけ離れた、恐ろしいまでに冷徹な計算。 「リスクは承知の上、何を措いても殺すべき。それが当然だ。契約者ならばそう考える。……何故あの女を殺さなかった?もうほんの数秒、数秒で済んだはずだ……」 それでも黒は何も答えず、猫に見向きもせず、歩みを止めない。 「あの力……か?……ま、いい。黄には黙っておいてやる。お前にも考えがあるんだろ。俺は連帯責任を負うのも、黄に嫌味を喰らうのも御免だ。だが……」 猫は前足で顔を擦りながら黒の背中に言い放つ。それは彼女が泥沼に片足を踏み込んでしまったことを示唆していた。 「あの女には今後糸を付けさせるし、俺もある程度は監視する。組織の害になるようなら俺が黄に報告して始末させる。それが契約者ってもんだ。いいな、黒」 「好きにしろ……」 どうあれ自ら踏み入れた道だ。 黒はそれだけ言い捨てて猫から離れた。やがて黒の死神はジャケットを脱ぎ捨て、仮面を外し、黒から李の顔に戻った。 コンコン。 深夜の海月荘――201号室の扉が遠慮がちに叩かれた。 「はい……」 「ごめんね、李君……」 開けると立っていたのは高町なのはだった。まるで昨晩助けた時の千晶ように、彼女も疲れ切っているようだった。おそらく身体だけでなく心も。 「どうしたんですか……?」 「うん……。ちょっと聞きたいことがあって……」 取り敢えず李はなのはを部屋に上げた。 テーブルの上には遅めの夕食か、中華料理がこれでもかと埋め尽くしている。 「あ、よかったらどうぞ」 彼女は俯きがちに入り、勧められるままに座った。 食欲はまったく無かったが、飢えた身体は意思とは反対にそれを求めていた。本当はこんなことをしにきたのではないが、切り出すタイミングも掴めない。 「ねえ……李君。千晶さんはあれからどうなったのか知ってる……?」 やはり来たか。彼女は千晶が翠屋を飛び出して以後は会っていない。気にするのも当然だ。 「ええ、原口さんでしたら僕が知り合いに頼んで外国に逃がしてもらいました。彼女の情報がかなりの価値のものでしたので、家や職場もちゃんと世話してくれるそうです」 なのはは一度目を見開くが、またすぐに沈んでしまった。 「もう、今頃は成田を発ってる頃です。あ、信用できる人ですから大丈夫ですよ?」 「そう……なんだ……」 よくもこれだけすらすらと嘘が出るものだと、自分でも呆れる。だが、千晶の無事を伝えても彼女の表情は晴れなかった。 なのはは暫くテーブルに並んだ中華をぼぅっと見つめていたが、やがて遠慮がちに手を伸ばす。 「温かい……」 心身ともに凍るような戦いの後には、それはとても温かくて優しい味だった。それでも心は晴れず、上を向けない。 「原口さんからあなたに伝言です」 「何……?」 「『ありがとう』……だそうです」 契約者は嘘吐きだ――自分が千晶に言った言葉はあまりに正鵠を射ていたらしい。 なのはは料理を口に運ぶ。優しい味が今は何故か痛かった。 「李君の料理……温かいけど……」 ありがとう――それは真実よりも、なお重く彼女に圧し掛かった。 「しょっぱいよぉ……」 箸を咥えて俯く彼女の表情は前髪で隠れて見えない。ただ声と肩が細かく震えていたことから読み取るしかなかった。 無言の時が続く。なのはは黙々と食事をし、李は彼女の前で空を眺めていた。 「……私、千晶さんを救ってあげられたのかなぁ……」 たったそれだけ彼女は言って、また俯く。時折、ぐすっ、と鼻を啜る音が聞こえたが、李は彼女に優しい言葉を掛けることはしなかった。 きっとどんな言葉も空々しいだけだ。それに今は自己満足に付き合う気にはなれない。 救い――。李は空を見上げてその意味を考える。 唯一つ言えることは、契約者には救いも許しも無い。たったそれだけの、どうでもいいことだ。 ふと思う。彼女はもしかして千晶の死を知って――いや、それもまた、どうでもいい。 あの時、自分は本気で彼女を殺すつもりだった。なのに気付けば不思議とこうしている。勿論、それは情ではない。 彼女の懐の光――あの光はいつかどこかで見た光だった。そしてほんの一瞬、光の中に『白〔パイ〕』を見た気がした。あの光を追えばまた会えるのだろうか? 空を一条の星が流れた。この世界のどこかで、契約者が死んだ。 彼らはこうして自分が確かに存在したことを示せる。 だが、この空を美しく流れることなく消えていった者もいる。それは人知れず消えていった命の煌き。 世界でただ二人だけが、それをいつまでも想っていた。 次回予告 地獄は宙に消えたはずだった。 振り切れなかった闇は彼女を縛り、穏か過ぎた時間は彼女に対価を求める。 それは本来払うべきものだったのか、それとも一瞬の悪夢か。 導かれるように彼女と少女は惹かれ合う。 琥珀の瞳が見下ろす中――出会いは炎に包まれた。 第3話 新星は夜天の空を焦がし……(前編) 戻る 目次へ 次へ
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2009-04-26 14 39 First Entry 2009-04-26 14 40 21 (Sun) Last update Trasnlated by soundares Title Binary Star Lyric さりげなく絡め合う痛みも あなたとの距離を確かめる為のもの Even the pain we casually make entwine to one another is something to ensure the distance between you It must be waltz (we) won t be able to end being captivated even when (we re) aware of an angst (inside of us) What is secretly passed to one another is a signal that only two of us can understand Inside a speed that s growing are the phrases that keep synchronizing (We) come close and draw apart one another Those tracks are just like binary stars 不安に気付いていても 捉われてきっと終われないワルツ 密かに伝え合うのは 二人にしか理解らない合図 増してくスピードの中 シンクロし続けてるフレーズ 近づいては離れてく 軌跡はまるで連星のよう Lines that begin to overlap For they start to dissolve like they re entangled to one another (our) sights will start to blur 重なっていくライン 縺れ合うように溶けていくから 視界がぼやけて行くの If it s not going to come true, at least until to the last day I shall follow this light so I won t lose it from my sight 叶わないなら せめて最期の日まで この光 見失わない様に追い続けよう Even the pain we casually make entwine to one another is something to ensure a distance between you さりげなく絡め合う痛みも あなたとの距離を確かめる為のもの Even if it has been closed there s a scar that s tough to forget ringings in my ears that won t stop and... slight fever and headack that continue endlessly 疾うに塞がっていても 忘れ難い傷痕があるの 鳴り止まない耳鳴りと 止め処なく続く微熱と頭痛 It was promise (made) like some joke but I always remembered it even to now It s alright even if you donn t remember It s alright if we can have an answer that will rign to one another 冗談めいた約束だけど 今でもずっと覚えているの 忘れてても構わない 響き合う答えがあればいいわ Every time I stroke solitude, I am dyed into smile Submerging the feeling that lament deep (inside) 孤独を撫でる度に 微笑みに染まる 憂う想いを深くに沈めたままで Beacuse (they) don t touch, the dazzles will flourish and shadows that drop will waver and disappear an illusion becomes even more fresh 触れないから 眩さが華やいで 落ちる影 揺れて消える 幻はより鮮やかに Because you hope just as it start to ache I would drown by the depth of this feeling of love (to you) that brim over 疼き出すそのままで希むから 溢れ出る愛しさの底に溺れてく If it s not going to come true, at least until to the last day I shall follow this light so I won t lose it from sight 叶わないなら せめて最期の日まで この光 見失わない様に追い続けよう Even the pain we casually make entwine to one another is something to ensure a distance between you さりげなく絡め合う痛みも あなたとの距離を確かめる為のもの Please take me away somewhere (now) As you hope, as you long, So (I) won t even remember now このまま私を何処かへ攫って行ってよ 求めるまま 焦がれるまま 今を思い出せないぐらい (To the days we traced the days we can t go back) "Good bye" 還れない辿る日々に「さよなら」 憂う心 零れるから 惹かれさせていて This heart that lament is brimming so, please let me be attracted Comment If you have any advise or opinion for this post please write here.この投稿に対して助言、ご意見などありましたらこちらに書き込んで下さい。 Name Comment すべてのコメントを見る
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CE COMBAT04 THE OPERATION LYRICAL 第19話 戦線崩壊 ――苦渋の決断、それは撤退。 かつて、首都クラナガンの空がこれほど騒がしかったことが、過去の歴史においてあっただろうか。 いくつもの白い航跡が空に軌跡を描き、互いに背後に回り込もうと複雑なループを重ねている。時折見える爆発が、空中に咲いた花のよう に見えて、その光景を彩っていく。 端から見れば、美しく遠い空の戦い。だが、当事者たちがそんな言葉を聞けば顔を真っ赤にして怒るだろう。 美しいだって? 大きな間違いだ、ここは戦場だぞ、と言って。 小型戦闘機の代名詞、F-16Cを駆るウィンドホバーもまた、その当事者たちの一人だった。 正面に捉えた敵戦闘機は、パワフルなエンジンに洗練された機体設計で優れた機動性を発揮するSu-35フランカー。現代制空戦闘機の、一 つの完成形である。 ――近すぎる、機関砲でやろう。 旋回しながらのため、通常時の六倍もの重力に耐えながら、ウィンドホバーはウエポン・システムに手を伸ばし、使用する兵装をミサイル から機関砲に切り替えた。この距離でミサイルを撃てば、敵機も木っ端微塵だが自分もそうなる恐れがあった。 「野郎、じっとしてろ」 機関砲の照準を合わせようとするが、Su-35は右へ左へと小刻みに旋回してウィンドホバーの手を焼かせる。進路上に弾を適当にばら撒け ば当たるかもしれないが、この乱戦では弾薬は節約したい。ウィンドホバーは一撃必中にこだわり、敵機を追いかける。 照準に、Su-35の機影が重なろうとした。その瞬間を見逃すことなく、引き金を引く。 F-16Cの主翼の付け根に装備されたM61A1二〇ミリ機関砲が唸り声を上げ、赤い曳光弾がSu-35に吸い込まれていく。金属片がぱらぱらと飛 び散るのが見えたと思ったその時、Su-35は燃料に引火したのか、空中で爆発する。 ――っと、危ない。 降りかかってきたSu-35の残骸と火の粉をロールで回避。一息ついて、周辺警戒を実施するが、敵は見当たらなかった。 「スプラッシュ3……」 撃墜を確認したウィンドホバーは静かに撃墜三機目を意味する言葉を呟き、愛機を上昇させる。後方を振り返ると、同じように各々敵機の 相手をしていた僚機たちが集まっていた。 ほっと安堵したウィンドホバーは正面に向き直り、二時方向にいくつかの爆発があったのを目撃した。 あっちでも始まったのか――彼が胸のうちで呟くのと、空中管制機ゴーストアイから新たな指示が下るのはほぼ同時だった。 「ウィンドホバー、こちらゴーストアイ。新手だ、敵編隊が貴隊から見て二時方向に出現。現在、ドラゴン隊が交戦中。支援に向かえ」 「ウィンドホバー、了解。サーベラス、セイカー、ラナー、ついて来い」 ゴーストアイの指示に従い、ウィンドホバーは僚機たちを従えて新たな敵に向かって突き進む。 「……長い一日になりそうだな」 酸素マスクを装着しなおし、ウィンドホバーは疲れたように独り言を漏らした。 突如として来襲したスカリエッティのものと思しき大攻勢に対し、再編されたばかりの地上本部は素早く反応して見せた。 敵は戦闘機とガジェットによる空陸合同攻撃を目論んでいたようだが、迎撃に上がった地上本部の戦闘機隊は敵機を押し止めていた。 地上では、受けられるはずだった航空支援が受けられず、クラナガン市街に侵攻したガジェットが陸士部隊の防衛線の前に敗れ、瓦礫の山 を築いていた。 「それでも、敵は諦める様子を見せません。ゴーストアイからの情報によれば、後方にて待機している空中要塞らしきものから敵機が発進 しているとのことです」 地上本部、司令室。ここでは各方面からの報告が集められ、それらを参謀たちが整理した上でレジアスが首都防衛の指揮を執っていた。 「空中要塞から敵機……スカリエッティは空中空母でも持っていると言うのか。詳細は?」 「不明です。空中要塞周辺はジャミングがひどくて――」 参謀の一人に尋ねてみたが、空中要塞の全貌は今のところ分からない。ひとまず、レジアスは航空戦はこのまま敵機を抑えるよう命令を下 し、地上戦の状況を確認してみることにした。 「敵は三方面から侵攻してきています。我が方は第一師団と第二師団を展開させ、これを迎撃中です」 司令室の大型モニターに、クラナガンの全体図が表示され、下から三つの赤い矢印が中央に向かって前進してきていた。その間に、青い友 軍部隊を意味するシンボルマークが立ち塞がり、赤い矢印の行方を遮っている。 「市民の避難状況は?」 もっとも懸念すべきことを、レジアスは参謀に問う。ところが、参謀はその顔に苦々しい表情を浮かべた。どうやら、あまり思わしくないよ うだった。 「交戦中の地域からは、避難が完了しています。ですが、中央部の方ではまだ三〇%も避難できていません」 「むぅ……」 中央部はまだ戦場になっていないが、いつ敵が奇襲攻撃を仕掛けてくるか分からない。展開中の部隊も、ガジェットの大攻勢で突き破られ ると言う可能性は捨てきれない。市民の生命の保証は、地上本部にとって己の存在意義に関わることだった。 「よし、第三師団を市民の避難に回せ。これで何とかなるはずだ」 「本気ですか、中将? 第三師団はこの地上本部防衛を受け持ってるんですよ? もし転送魔法で大部隊が送り込まれてきたら……」 「君は自分の命と市民の命、どっちが大事なのかね」 驚き、命令に異を唱える参謀を一言で黙らせる。これで地上本部防衛はがら空きになってしまうだろうが、戦闘に市民が巻き込まれるより はマシだろう。 そうだ、これでいいと、レジアスは考えていた。せめて、地上本部の指揮官として市民の命だけは守らなければ。 あとは前線で戦っている陸士たちだが、彼らについてはあの世で謝るとしよう。そのためなら例え、地獄に落ちても構わない。 「戦闘機人と戦闘機――もう少し早く、戦闘機が手に入っていればな」 誰にも聞こえないよう小声でぽつり、とレジアスは呟いた。 その前線では、ベルツ率いるB部隊もガジェットと激しい戦闘を行っていた。 「二尉、Ⅲ型です! 正面から!」 「!」 積み上げられた土嚢から上半身だけ出して、軽機関銃を撃っていたベルツは傍で観測手をやっていた部下の言葉を聞き、視線を巡らせる。 部下の言うとおり、正面にあるビルの陰から一機のガジェットⅢ型がぬっと姿を現す。Ⅰ型よりもずっと装甲が分厚く、そして強い火力を 誇るこのタイプはベルツたち陸士にとって厄介極まりない。Ⅰ型が歩兵なら、Ⅲ型は装甲車か戦車と言ったところだ。 「ジャクソン、援護するから無反動砲で奴らを吹き飛ばせ!」 部下に命令を下しながら、本来据え置きで射撃するため重たい軽機関銃を持ち上げたベルツは土嚢の陣地を飛び出し、すでに大破したガジ ェットⅠ型の残骸を盾にしながら、Ⅲ型に向かって射撃開始。乾いた銃声が市街地に響き、銃弾がⅢ型の装甲を叩くが、表面を多少削った だけで何の損害も与えられない。Ⅲ型は怒ったようにベルツに向き直り、Ⅰ型のそれよりはるかに強力なレーザーを撃ち込んで来る。 ベルツは舌打ちして、軽機関銃を放棄して横に飛ぶ。放たれたレーザーはⅠ型の残骸と彼が持っていた軽機関銃を粉砕するが、寸前でベル ツは逃げ出したため、無傷だった。 「くそ」 腰のホルスターからサイドアームの拳銃を引き抜き、ベルツは寝そべった体勢のままⅢ型に発砲。もちろん軽機関銃でさえ貫けなかったⅢ 型の装甲が拳銃如きで貫通できる訳もなく、Ⅲ型は再びベルツを狙う。 感情の感じられない機械の眼と視線が合った――その瞬間、横から白煙を噴きながら突っ込んできた砲弾がⅢ型を貫き、爆発。巻き起こっ た煙のおかげでベルツが咳き込んでいると、部下の陸曹が無反動砲を肩に担いだまま傍までやって来て、起きるのを手伝ってくれた。 「どうです、俺の射撃の腕もまあまあでしょう?」 「――なかなかいいぞ、ジャクソン。だが世の中にはもっと上がいる」 「素直じゃないですね」 わずかに肩の力を抜いて、ベルツは部下と笑みを交わす。それからすぐに部下から失った軽機関銃の代わりにアサルトライフルを受け取り、 彼らは戦闘態勢を維持する。 現状では、地上の防衛戦は優勢だった。 クラナガンに敵の大部隊が侵攻してきたとの報告は、機動六課にも伝わっていた。 ただちに援軍を出すべき、とはやては考えたが、それに待ったをかけたのはクロノだった。 「どうしてや、アースラを動かすのは無理でも、スターズ、ライトニングを送り込むだけなら……」 「上の判断だよ。先の襲撃で六課は消耗してる――なのはたちは無事でも、それを支援すべきバックアップの要員が充足されてない」 ぐ、と通信回線を通してクロノに指摘された点を思い出し、はやては言葉を飲み込んだ。 戦闘機も魔導師も、その背後には何十人もの支援要員がついている。現代戦は兵士の頭数より、いかに兵士たちが効率よく戦えるかが鍵と 言える。二佐という階級にまでなっておいて、それが分からないほどはやては愚鈍ではなかった。 現状、隊員の半分以上を喪失した六課は半身不随も同然だ。今は本局の各部に支援要員差し出しの要請を出して、それを待っている。 苦しい表情をはやてが浮かべていると、クロノが彼女に安心するよう、声をかけた。 「大丈夫だ、本局の次元航行艦隊も動く。六課が出るまでもなく、事件は解決されるよ」 「やと、ええんやけどな――」 しかし、はやての不安は消えない。報告にあった空中要塞――カリムの予言と、合致する。それこそが聖王のゆりかごではないかと。 「ふーむ、強いねぇ……」 一方で、スカリエッティのアジト。投影された大型ディスプレイに表示される戦況図を見て、スカリエッティは他人事のように呟いた。 ありったけのガジェットと戦闘機による大攻勢を企て、そして実行した訳だが、地上本部は独自の戦力のみでそれを抑えている。 ――だが、いつまで持つかな? 本局に潜り込ませたナンバーズ二番、ドゥーエの情報によれば本局の次元航行艦隊も出撃準備をしているとのことだが、それらが出撃する 頃にはもう遅い。それより前に、あの男――レジアスの首をもらう。大将がいなくなれば、どんな有能な組織も崩壊する。 「と言う訳で、ウーノ? 皆の現在地は?」 通信回線を開き、ナンバーズ一番にして自身の秘書のような存在、ウーノにスカリエッティは問う。 「妹たちは現在、"ゆりかご"内部で待機中です。13もそこに……」 「そうか。では伝えてくれ、出番だとな」 ゼストたちの方は、好きにさせるつもりだった。彼らとは相互利益のために協力しているだけに過ぎない。レジアスとの因縁に決着をつけ たいようだが――もはや今のスカリエッティには、どうでもいいことだった。 ――そう、どうでもいい。もはや"ゆりかご"すら私にとっては、時間稼ぎに過ぎないのだ。 「ドクター?」 「……いいや、何でもないよ。ふふ」 どこか狂ったような含み笑みを浮かべたスカリエッティに、ウーノは怪訝な表情。それでも彼は、笑みを浮かべるのをやめなかった。 空では、ウィンドホバーが襲来した敵機で最後の一機に狙いを定めていた。 使用する兵装は、すでに短距離空対空ミサイルのAIM-9を選んである。弾頭が起動し、正面のSu-35のエンジンから放たれる赤外線を捉まえよ うとしていた。 「ようし、いい子だ――」 ミサイルの発射スイッチに指をかける。その瞬間、捉えていたはずのSu-35はアフターバーナーを点火し急上昇。ウィンドホバーのF-16Cを 振り切ろうとする。ただちに追うべく操縦桿を引くウィンドホバーだったが、双発大出力を誇るSu-35の急上昇は予想以上に鋭いものだった。 あっという間に、ミサイルのロックオン可能範囲からSu-35は逃げ出してしまった。 さらに、Su-35はある程度上昇すると反転、上空正面からF-16Cに挑みかかってくる。 「野郎!」 舐めるな、と言わんばかりにウィンドホバーはエンジン・スロットルを叩き込み、アフターバーナー点火。背中に衝撃があって、F100エン ジンが咆哮を上げた。 両機とも真正面から向き合い、全速で突っ込んでくるため距離はあっという間に縮まっていく。ミサイルの最短射程を割り、機関砲で決着 をつける他なくなった。 その時、Su-35の主翼の付け根で、光がチカチカと瞬く。ウィンドホバーは息を呑み、操縦桿を捻る。直後、愛機の主翼をかすめるように 飛んできたのは赤い三〇ミリの曳光弾。一瞬の判断の遅れが、生死を左右する。空中戦とはそういうものだった。 くるりと一回転して、Su-35の機関砲を回避したウィンドホバー機はお返しとばかりに機関砲をぶっ放す。放たれた曳光弾はまっすぐ飛び、 Su-35のインテークを突き抜ける。 勝者と敗者の交差。F-16Cと、被弾により黒煙を吐き出したSu-35はすれ違う。コントロールを完全に失ったSu-35は、そのまま地面へと吸い 込まれていった。 「ウィンドホバー、よくやった。最後の敵を撃墜したぞ」 ゴーストアイからの報告を受け、ウィンドホバーは疲れたように酸素マスクを外した。離陸してからぶっ続けの空中戦は、彼だけでなく全 てのパイロットたちの気力と体力を奪っていた。 「あぁ……今日一日で撃墜記録をずいぶん更新しちまったな」 「こちらイーグル2、燃料弾薬、ともに不足している。今ならいいだろ、地面に降りさせてくれ」 「喉がカラカラだ、誰か俺に上物のワインをくれ」 「終わってからにしろ、ドラゴン4」 地上ではまだ激しい戦闘が続いている。援護に行きたいところだが、弾薬どころか燃料も足りない機体もあるのだ、ひとまず体勢を立て直 す必要がある。 そうして全機が帰路につこうとした時――突如、ゴーストアイのレーダーが高速で接近する機影を捉えた。 「待て、新手だ……速い!? 敵機急速接近、全機避けろ!」 「何……!?」 慌ててウィンドホバーは振り返る。その直後、最後尾を飛んでいたF-14B、イーグル1とイーグル2のコールサインを持った機体が空中に 四散する。視線を上に上げると、主翼の先端を黄色で塗装した一機の戦闘機――Su-37が、獲物を見つけた鷹の如く、突っ込んできた。さら にその後方に続く人影、トーレ、セッテ、クアットロ。 「黄色の13より各員、管理局の戦闘機を始末しろ。クアットロはいつものように、電子戦を頼む」 「りょーかい♪」 楽しそうな声を上げて、クアットロがIS"シルバーカーテン"を発動。途端に、ウィンドホバーを始めとした戦闘機隊はレーダー、通信、全 ての電子機器がブラックアウトする。 「レーダーが急に……わあ!?」 「逃げろ、逃げるんだ!」 「通信もダメなのか、援軍も呼べない!」 燃料も弾薬もなく、ただ逃げ惑うだけの戦闘機隊に、悲鳴が上がる。あっという間に、空は戦場から狩場と化した――。 一方、空中で戦闘機隊が狩られる立場になったことで、地上の防衛線にも影響が出てきた。 相変わらず頑固に抵抗を続けていたベルツたちは、援軍にやってきた戦車と共に襲来したガジェットⅠ型の群れを相手にしていた。 ところが、この群れは以前と違って積極的に攻めて来ず、どこか及び腰だった。 ――おかしいな。 銃弾を一度浴びせただけで後退するガジェットⅠ型を不審に思いながら、ベルツはアサルトライフルのマガジンを交換する。 逃げるガジェットを追撃しようと傍らの戦車が前進しようとして、ふとベルツは奇妙なものを見た。緑色の怪しい光の線が、戦車の上面に 浴びせられていた。 その線を辿っていくと、ビルの上で見慣れない人影――ベルツは彼女の名を知る由もないが、ディエチがいた。その彼女が、手にした大砲 の砲身から光の線を放っていた。 「攻撃するつもりか……!?」 咄嗟にベルツはアサルトライフルを構え、ビルの上の彼女に向かって発砲。一度引き金を引くと三発の弾が出る三点バースト射撃で攻撃の 妨害を試みる。 「!」 銃弾がビルのコンクリートを叩き、ディエチは狙撃されていることに気付く。彼女は仕方がない、と言った表情を浮かべてその場から後退 する。 逃げられたか、とベルツは考えたが、攻撃は阻止できたものと思い、前進する戦車の後に続こうとする。 だが、その直後に彼の耳に入ってきたのは、上空からのジェットの轟音。視線を上げると、空から複数の機影が低空に降りてきて、こちら に向かってきていた。 「友軍機だ、助けに来てくれたぞ」 「いいぞ、やっちまえ」 部下たちは機影が友軍機のものだと思いはしゃいでいるが、ベルツはその動きに違和感を覚えた。友軍機であるなら、何故こちらに突っ込ん で来るのだろうか。 「――伏せろ!」 機影は何かを落として、上昇に入る。その瞬間、ベルツは叫んでいたが、何人の部下がそれを聞いたかどうか。 直後、投下された爆弾が彼らに降り注ぐ。前進していた戦車は直撃を食らってひっくり返り、ベルツの命令に従わず突っ立っていた部下が 爆風で吹き飛ばされた。ディエチは自分で攻撃する気はなく、爆装した味方戦闘機の誘導を行っていたに過ぎなかったのだ。 爆風と破片による破壊と殺戮が通り過ぎ、ベルツは恐る恐る顔を上げた。彼の視界に入ったのは、この世に舞い降りた地獄絵図だった。 「……くそ」 横転した戦車は内部で燃料に引火でもしたのか、乗員ごと炎上していた。中からは身の毛もよだつような、生きたまま焼かれる人間の声が 聞こえてきたが、もうどうしようもない。彼の部下たちは四肢をもがれ、もはや誰が誰なのか分からなくなっていた。 「畜生……」 また、部下を失った。戦友たちが死んだ。ユージア大陸で、強力な航空支援を持つエルジア軍を相手にした時、何度も似たような光景は見 たはずなのに――それでも慣れないこの感覚は、怒り。 「畜生、畜生、畜生ぉぉぉ!」 アサルトライフルを地面に投げつけて、ベルツは天に向かって吠えた。負け犬の遠吠えだった。 もはや、ここまでか。 通信が途絶え、ゴーストアイが送ってくるレーダー情報により次々と戦闘機が撃墜されていることが、全ての始まりだった。 これまで抑えられていた航空支援が復活したことでガジェットの群れは前進を開始。津波のような大部隊は無人機のため、全てが命知らず だった。陸士たちによる防衛線は崩壊、なんとか踏み止まって抵抗を試みる部隊は、降下してきたナンバーズ――チンク、セイン、オットー、 ノーヴェ、ウェンディ、ディードたちによって順番に駆逐されていった。 地上本部の司令室で苦虫を噛み潰したような表情を浮かべるレジアスの元に、容赦なく各部隊の惨状が送り届けられる。 「陸士三〇六部隊、応答無し。全滅したものと思われます!」 「三〇四、二〇四部隊、重傷者多数。身動きできないそうです」 「四〇一部隊、応答せよ。四〇一部隊……っ通信、途絶えました」 戦線は崩壊していた。本部防衛用の部隊を避難に回したので市民の命は失われていないが、そのおかげで今の地上本部は丸裸だ。攻められれ ば、戦闘と言うほどのものさえ起きないだろう。本局の次元航行艦隊の到着は、まだ時間がかかりそうだ。 いよいよ、か――。 何か指示をくれるよう頼んでいるような視線が、参謀や部下たちから浴びせられる。そして、レジアスは重い腰を上げ、通信回線を開く。 回線を全部隊に伝わるよう設定し、マイクを手に取る。一息置いて、レジアスは口を開いた。 「地上本部所属の、全部隊に告ぐ。敵は防衛線を突破し、地上本部陥落はもはや時間の問題だ――クラナガンから、撤退せよ。その後、本 局の戦力と合流、クラナガンを奪回せよ。これは命令である――なお、本戦闘における失態の責任は、全て私にある。各員は命令に従い、 冷静に行動してほしい」 以上だ、と最後に付け加えて、レジアスはマイクを置き、通信回線を閉じた。 当然、彼を待っていたのは部下や参謀たちの抗議の声だった。 「中将、馬鹿を言わないでください!」 「我々はまだ戦えます、その命令には従えない……っ!?」 突如、レジアスが懐から拳銃を――メビウス1が持っているものと同じ、マガジンに魔力を込めたもの――取り出し、天井に向けて発砲。 乾いた銃声が司令室に一発だけ響き、その場にいた全員が言葉を止めた。 「命令に従え。さもなくば、私自ら射殺する」 銃口を天井からゆっくりと下ろし、周囲を威嚇するようにレジアスは静かに、しかし力強く言った。 まずい、と言うことを実感したのだろうか。慌てて参謀たちは動き出し、言われた通りに各部隊に撤退命令を下した。 「……この場を頼む」 「は――中将、どちらへ!?」 娘であり副官のオーリスに一言だけ言って、レジアスは司令室を出た。後ろから声をかけられたが、彼は振り返らなかった。 目的地は、地下の戦闘機が多数保存されている格納庫だった。 エレベーターで地下に行こうと思っていたが、突然地上本部全体が揺れた。敵の攻撃が、ここまで及んできたらしい。今は散発的だが、い ずれこの攻撃も集中砲火に変わる。 ――これは、いかんな。 廊下を照らしていた電灯が、いきなり切れて周囲が薄暗くなった。送電施設でも破壊されたのかもしれない。エレベーターはやめて、階段 にすべきだろうか。 ルートを変更して歩みを進めていくと、突き当りの角で誰かの影とぶつかりそうになった。咄嗟に歩みを止めたが、司令官と言う職を任さ れてから運動不足になっていたのが災いして、レジアスはその場に転んでしまった。 「あ、すいません……っ」 「いや、いいんだ――君は!?」 ぶつかった相手が差し伸べてきた手を掴み、レジアスは立ち上がる――その瞬間、彼は相手が誰なのかを知った。 メビウス1だった。 少し、時間は遡る。 六課隊舎跡地から戻ったメビウス1は地上本部戦闘機隊の飛行場にいたが、肝心の愛機であるF-2は依然として修理中だった。 何も出来ないまま、地面で空中戦に関することを座学で指導して過ごしていたその時、この大攻勢である。 当然、彼も離陸しようとしたのだが――。 「無茶言わないで下さい! 今離陸したって、三〇分もしないうちに電子機器がダウンしちまいますよ!」 「二〇分あれば一機くらい落とせる、いいから出せ!」 「出来ません!」 電子機器系統の修理が完了していないF-2で離陸しようとした彼を、整備員が必死に止めていた。そうこうしているうちに、飛行場に響き 渡る空襲警報。さすがにこうなっては離陸など出来るはずもなく、メビウス1も整備員も退避壕に避難するしかなかった。 「……あ、くそ」 退避壕でじっと息を潜めていたメビウス1は、F-2の入っている格納庫がSu-35の投下した爆弾で木っ端微塵にされるのを目撃した。 一通り暴れた敵機の群れが飛び去り、整備員や消火班が協力して消火活動や滑走路上の残骸撤去を行う中、メビウス1は基地のジープを 借りて飛び出した。 それは、地上本部に出向している間に妙な噂を耳にしたからだった。曰く、"独自開発などと言うのは嘘で、レジアス中将は異世界から飛ば された戦闘機を大量に保有している"、曰く"配備されている戦闘機はそれらから飛行可能なものを引き抜いて、残りは地上本部の地下のど こかに隠されている"というものだ。 所詮噂は噂だろう、と一笑してしまってもよかったが、実際に地下には長い間立ち入り禁止になった区画が存在しているし、戦闘機にして も最初メビウス1が睨んだ通り、独自開発ではない。アヴァランチのF/A-18Fにはオーシア語で描かれた部品があったし、ウィンドホバーの F-16CにもスカイキッドのMir-2000もエルジア空軍が独自運用している通信機があった。他の機体も、ベルカ語による注意書きが残されてい たり、ユークトバニアに存在する軍用機生産メーカーの刻印が入っていたりした。 この非常時だ、中将も隠すことはあるまい。戦闘機を何でもいいから一機、貸してもらおう――。 そう考えて、メビウス1は戦闘が間近に迫りつつあるクラナガン市街を突っ切り、地上本部に辿り着いた。 「……で、どうなんですか、実際?」 偶然にも出会ったそのレジアスに、メビウス1は問う。彼も逃げ場がないと考えたのか、一度だけため息を吐き、 「ついて来たまえ、君には全てを明らかにしよう」 と言って、地下へと続く階段へと降りていった。 厳重に封鎖された扉の前にたどり着くと、レジアスは隣の電子パネルに暗証番号を入力し、扉を開けた。メビウス1も後に続くが、ここは 以前彼からF-2を託された場所と違うと言うことに気付く。 扉の奥は暗闇で何も見えなかったが、メビウス1は救難用のライトを飛行服のポケットに入れていることを思い出し、それを点けた。 「……これは」 ライトを照らすと、周囲に浮かび上がるのは無数の戦闘機。国籍マークはエルジア空軍のものもあれば、オーシア、ユークトバニア、ベル カと様々だ。奇妙なのは、地下にあるどの戦闘機も必ずどこか部品が欠けていることだった。 「中将、これは?」 「君のお察しの通りだよ」 メビウス1の問いに、レジアスは頷きながら答えた。そして、彼はさらに言葉を続けた。 「今から半年前のことだ――」 半年前、違法と知りながらも、レジアスは戦闘機人の開発計画を推し進めていた。実際に開発するのはスカリエッティで、レジアスはその 違法な研究開発に目を瞑り、時には援助すら送っていた。全ては、弱体化している地上本部の戦力を補うため。そして平和を守るため。 ところが、彼の手元に突如として無数の戦闘機が現れた。原因は不明だが、どうやら知らない次元世界から飛ばされてきたようだった。 戦闘機を調べていくうちに、レジアスは驚愕した。魔力によらずとも、本局のエリート空戦魔導師と互角以上に渡り合えるその性能に。 大半は飛ばされた際の影響か飛べなかった。それでも残りの機体だけでも、地上本部にとって大きな戦力となり得る。もう、違法研究に 手を貸す必要など無いのだ。 彼は無人の管理外世界に極秘裏に戦闘機とそのパイロットになるべく選抜された陸士たちを送り込み訓練をさせる傍ら、スカリエッティへ の援助を断ち切り、以後一切関わらないことを決めた。スカリエッティが何を言っても、こちらは知らぬ存ぜぬと言えばいい。世間は犯罪 者の言うことなど信用しない。 そんな時、メビウス1がミッドチルダに現れた。レジアスはこれを戦闘機運用の更なる発展の好機と捉え、成り行きでメビウス1が所属す ることになった六課に近づいた。 「意外だったよ。君をこちらに招いたことで、陸と海の対立までもが多少落ち着くなどとは――君はまさに英雄だよ、メビウス1」 「いや、あれは……」 いきなりレジアスが笑みを浮かべて放つ言葉に、メビウス1は戸惑わざるをえなかった。 それ以上に、メビウス1としては彼が違法研究、それも管理局にとって"敵"であるはずのスカリエッティと組んでいたことが衝撃的だった。 どこか裏があるとは思っていたが、これは予想外だった。 「中将、あなたはスカリエッティと……」 「そうだ。全ては地上の平和のため――そのはずだったのだがな。やはり違法は違法であるし、この輪廻から私は抜け出せなかったようだ」 自嘲気味な笑顔を浮かべるレジアスの眼は、澄んでいた。 「私がスカリエッティと手を組んだばかりに――奴は、勢力を拡大してしまった。私と同じように、戦闘機も手に入れた。だからだろう、奴 がクラナガンを攻めるなどと言う……管理局に正面から挑むなどと言う、愚行に至ったのは。強い力も、考え物だな」 ふう、と笑みを浮かべるのをやめたレジアスはため息を吐く。疲れたような、諦めたような、全てを覚悟したかのような――受け取り 手によって違う雰囲気を漂わせる彼の背中には、哀愁が漂っていた。 「……おそらく、スカリエッティはこの地上本部を制圧する気だ。そうしてそこを拠点にして、次は本局を打ち倒し、管理局を崩壊させる。 狂人でもない限り考えないことだが」 「あいつは、狂人だと?」 メビウス1が言うと、レジアスは頷いた。 「撤退命令を出したのは、まだ戦力に余裕があるうちに出した方が、後の作戦がやりやすくなるからだ。頼む、メビウス1。奴を……あの 狂人を、止めてくれ。確かに管理局は管理世界によっては嫌われていたりもするが、無くなれば困る者も大勢いるのだ。世界を混乱と破壊 に満ちた、強い者だけが生き残るようなものにしてはならない」 「頼むって――中将、あなたはどうするんです」 レジアスの言う言葉は、メビウス1も理解できた。彼の言うとおり、管理世界によっては管理局による"管理"を嫌う者も多い。だが、それ は無用な争いを避けるための治安維持のための行動だ。法は窮屈かもしれないが、法が無ければ文明社会は成り立たない。 しかし、それよりもメビウス1はレジアスの"頼む"と言う言葉が気にかかっていた。 まさかこの人は、と思う。だが、レジアスの言葉は、メビウス1の予想通りだった。 「私か? 私は――ここで、責任を取ろう。何であれ、スカリエッティのこの大攻勢は、私にも責任がある。死んだ陸士たちにも、謝りに 行かねばならんとな」 そういって、レジアスは拳銃を引き抜いた。この男は、スカリエッティによる大攻勢が始まった時から、こういう覚悟だったらしい。 「ただでは死なんさ、奴らに一泡吹かせてから、だ。さぁ、行ってくれメビウス1。撤退のヘリがもうすぐ、出発する」 「中将、あなたは……」 「頼む。武人として、死に様くらいは美しく、な」 拳銃を手に、屈託の無い笑みを浮かべるレジアスの顔が、メビウス1の脳裏に焼きついた。 「ん――?」 敵機を追い掛け回していた黄色の13は、Su-37のコクピットで異変に気付く。 はるか眼下の地上本部の敷地から、何十機ものヘリが離陸しようとしていた。それだけでは足りず、徴用されたと思しき民間のヘリ、果て は兵員輸送用の装甲車までもが群がる陸士たちを乗せて、どこかに出発している。 これは、撤退か――間違いない。 よく見れば、陸士たちは重装備のほとんどを放棄して我先にとヘリに乗り込んでいる。満員になり次第ヘリは発進し、どこかにその人員を 下ろしてきたヘリがまたやって来て、また満員になるまで陸士を乗せ出発のピストン輸送を繰り返していた。 どこかで見たことのある光景だと思ったら、ユージア大陸、サンサルバジオンからの撤退の光景とよく似ていた。悪化した戦況下の中、彼 と彼の黄色中隊はよく戦ったが、何機かは"リボン付き"に撃墜され、撤退を余儀なくされた。 「撤退を始めた? 逃がすものか――」 「よせ、トーレ」 同じ光景を見ていたトーレがヘリの群れに飛び掛ろうとしたのを、黄色の13は止めた。 「何故だ、13? あの数、後で脅威になるぞ」 「丸腰で逃げる奴らを後ろから撃つのは、気分のいいものじゃない」 「……了解」 トーレは不満げだったが、黄色の13の言葉にどこか重みを感じて、渋々従った。 敵とはいえ、撤退する姿は惨めなものだと彼は思いつつ、レーダーに映る敵戦闘機にも目をやった。その数は、当初の半分にまで落ち込ん でいた。 ついでに弾薬の方も確認してみると、残っているのは短距離用のR-73が二発、機関砲弾が七五発しかない。この辺りが潮時だろう。 「――深追いは禁物だ。黄色の13より各員、戦闘終了。目的は果たした、帰投する」 誰もいなくなった、地上本部。そこでただ一人、レジアスは自身の執務室で葉巻を吸っていた。文字通り、最後の一服だ。 手元にあるのは、魔力弾を撃つ拳銃。それに、何かのスイッチ。遠隔操作で、どこかと繋がっているようだ。 机の引き出しを引っ張り出すと、彼は懐かしいアルバムを取り出した。かつてまだ世界が夢と希望に溢れていた頃、一人の陸士として教育 を受けていた時代のものだ。 「……すまんなぁ、ゼスト」 アルバムに収められていた写真の中の、若い頃の自分と肩を並べている魔導師に語りかけるように、レジアスは呟いた。 「ワシはお前を巻き込みたくなかったんだ……だから、お前を捜査から外そうとしたんだが――裏目に出てしまったな」 写真をアルバムから取り出し、レジアスはそれにライターで火を点けた。最後くらい直接謝るべきなのだが、あいにく時間も状況もそれを 許してくれない。 「あの世に来たら、好きなだけ殴って構わないからな……先に逝くのを、恨まないでくれ」 燃える写真を灰皿に捨てて、レジアスは葉巻を吸うのをやめ――誰かが、執務室に入ってきたことに気付いた。制服を着た、女性の管理局 員だった。撤退のヘリに乗れなかったのだろうか。 「どうしたんだ、ヘリに乗れなかったのか? 今呼び戻してやる」 「いいえ、そうではありません」 通信回線を開こうとして、レジアスは女性の言葉でふと動きを止める。女性はどこか不気味な笑みを浮かべ、レジアスに近づいてくる。 「あなたの命を、頂きに参りました――レジアス中将」 女性の正体は、ナンバーズ二番、ドゥーエだった。長い間管理局員として潜伏していた彼女は最高評議会の三人を暗殺し、レジアスもまた その手にかけようとしていた。 彼女は爪状の武器、ピアッシングネイルを手にレジアスに向かって襲い掛かる。 ダンッ、ダンッ。 その瞬間だった。銃声が響き渡り、ドゥーエは動きを止めていた。彼女はゆっくりと視線を下ろすと、自分の胸にぽっかりと穴が開いてい ることに気付く。レジアスの手には、拳銃が握られていた。 「――っ!!」 再度、ドゥーエはレジアスに向かって突進する。レジアスは彼女に向かって、拳銃を全弾、放った。 銃声が執務室に木霊し、レジアスは思わず耳が痛くなるのを我慢できなかった。表情をゆがめ、しかしドゥーエは放たれた銃弾を全弾もろ に浴びて、事切れていた。 「驚いたかね? ワシが、まともに銃が扱えるなど、思いもしなかったか」 銃口を下ろし、彼は拳銃のマガジンを引き抜く。外されたマガジンは地面に落ちて、高い金属音を鳴らした。 「だがな――拳銃もろくに撃てんような将に、兵は従ってくれんのだ」 返事は当然、ない。完全にレジアスの独り言だった。 ゆっくりと拳銃から手を離し、レジアスはいよいよ、と用意したスイッチに手を伸ばす。 ありがちな、起爆装置だった。撤退間際に陸士に頼んで、ありったけの爆弾を地上本部の至るところに仕掛けておいた。スイッチ一つで、 あとは終わる。 「オーリス、機動六課、そしてメビウス1……後を、頼む」 わずかな逡巡の後、彼はスイッチに指をかけた。そこで気付く、自分の腕が、震えていることに。 急におかしな気分になった。覚悟を決めていたのに、自分は今更死ぬのが怖いのだ。自分自身を、笑い飛ばしてやりたい。この臆病者、だ からお前は違法研究などに手を伸ばしてしまうのだ、と。 しかし、レジアスはそんな自分自身に反論する。臆病者などではない、死ぬのは勇気の必要なことだ。 「死は、逃走ではない……"闘争"なのだ。自分自身との!」 スイッチを、押す。その瞬間、眼前が白熱し、全てが途切れた。 地上本部は、敷地内に侵入した多数のガジェットと共に崩れ落ちた。 なお、撤退した陸士たちの中に、レジアス・ゲイズの名は無かった――。 戻る 目次 次へ
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【Tags Len Shibashon-P ShibashonP tR tT G】 Original Music Title ごみばこ Trash Box / Recycle Bin (Gomibako) Music Lyrics written, Voice edited by シバションP (Shibashon-P) Music arranged by シバションP (Shibashon-P) Singer 鏡音レン (Kagamine Len) The song is related to Rin's "Salvage". Click here for the Japanese Lyrics English Lyrics (translated by soundares): The center of my pupil It spreads and spreads and become irreversible That place I was getting used to The vivid world, it s going far way If I call your name, will you realize it? Hurry and get me out, hurry, hey Already, too late I can t see I can t hear I can t feel I m vanishing off A crumple sound sounds out See, there s nothing A snow of junk falls and piles up Buries and buries and I ll drown If I m going to be trashed together Maybe it won t be so sad In that heart in you, do (I/my memories) remain? (Or was it) Just a list of code (You can just) forget about me now I m falling It s blackening I m not scared I m OK A crumple sound sounds out Then, good night I can t see I can t hear I can t feel I m vanishing A crumple sound sounds out See, nothing (is left) Now, good night Slightly sounds... ...an apology...? The center of my pupil It spreads and spreads and become irreversible That place I was getting used to The vivid world, it s going far way If I call your name, will you realize it? Hurry and get me out, hurry, hey Aleady, too late I can t see I can t hear I can t feel I m vanishing off A crumple sound sounds out See, there s nothing A snow of junk falls and piles up Buries and buries and I ll drown If I m going to be trashed together Maybe it won t be so sad In that heart in you, do (I/my memories) remain? (Or was it) Just a list of code (You can just) forget about me now I m falling It s blackening I m not scared I m OK A crumple sound sounds out Then, good night I can t see I can t hear I can t feel I m vanishing A crumple sound sounds out See, nothing (is left) Now, good night... Slightly sounds... ...an apology...? English Lyrics (translated by motokokusanagi2009): The spheres of my eyes are getting wider and wider They don t dialate That place and colorful world I started to get used to are now going away from me Will you notice me if I call out your name? Let me get out from here Quickly, my dear Oh, it s too late I can t see, I can t hear I can t feel, I m disappearing Hear the crumbling sound? Nothing left here Trash falling down, piling on like snow I m buried, buried and about to be drawn If you throw me away with them Maybe I won t feel that lonely Is there still a bit of me in your heart? I m in the sequence of the code So, forget about me I m falling down It s getting dark I m not scared Not at all Hear the crumbling sound? Well then, good night I can t see, I can t hear I can t feel, I m disappearing Hear the crumbling sound? Nothing left here Well then, good night A faint sound I heard was... your regret? Romaji lyrics (transliterated by Terme): Boku no hitomi no mannaka Hirogatte hirogatte modora naku naru Najimi hajime ta ano basho Azayakana sekai toozakaru Kimi no na wo yobe ba kizui te kureru? Hayaku dashi te, hayaku, nee Mou teokure Mienai yo kikoe nai yo Kanji nai yo kie te ku yo Kushakusha to oto ga natte Hora, nani mo nai Garakuta no yuki ga furitsumoru Umatte umatte obore te shimau Issho ni sute rareru no nara Anmari samishiku nai kamo Kimi no sono kokoro ni nokotteru kana Tada no kigou no raretsu Mou wasure te Ochi teku yo kuraku naru yo Kowaku nai yo heiki da yo Kushakusha to oto ga natte Jaa, oyasumi Mienai yo kikoe nai yo Kanji nai yo kie teku yo Kushakusha to oto ga natte Hora, nani mo nai Jaa, oyasumi Kasuka ni hibiku wa zange?
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【Tags Miku halyosy iso tR S】 Original Music Title 桜ノ雨 Rain of Cherry Blossoms (Sakura no Ame) Music Japanese Lyrics written, Voice edited by halyosy English part written by iso his friends Singer 初音ミク (Hatsune Miku) Click here for the Japanese Lyrics English Lyrics (translated by j.a.b): Even if we each go to our own places We are friends, no questions needed The day when we shone as ourselves Stretch our chests and pushed our backs The grounds filled with dirt and dust we competed on The uniforms we never wore properly The scribbles we wrote on top of the desks They are all our proof The reply on white paper isn t enough to say it Tears run at each memory We ve also childishly hurt each other Have we slightly become an adult I wonder From the classroom window the Cherry blossom rain Gentle palm Came to my heart The flowers we all made together Let s release them into the sky Don t forget Right now we are still even as a small petal We are not alone The love letter in the shoe box grumbling in the hallways in discontent The future we drew hand by hand on the roof they are all our proof Although it isn t written on our graduation certificate People learn from trusting and loving crying laughing Delighted Angry Just like us the blue blue sky crossing over~ From the classroom window the Cherri Blossom Rainbow A piece from our dreams We mounted on our chests Believing we met to separate Lets link our hands Don t forget Once more some time making a big bouquet bloom Let s meet here again From the thousands of schools The miracle which returned us together No matter how many year we age don t change That gentle smile From the classroom window the Cherry Blossom Rain Gentle palm Came to my heart the flowers we all made together Let s release them into the sky Don t forget right now we are still even a small petal we are not alone Once more some time making a big bouquet bloom Let s meet here again No matter how hard it hurts me (Smile again) I ll never say goodbye (I ll never say goodbye) Your presence will always linger in my heart (In my heart) Wanna see you smile again Romaji lyrics (transliterated by Terme): sorezore no basho e tabidatte mo tomodachi da kiku made mo nai jan juunin-toiro ni kagayai ta hibi ga mune hare to senaka osu tsuchibokori age kisotta koutei kyuukutsude kikuzushita seifuku tsukue no ue ni kai ta rakugaki dore mo kore mo bokura no akashi hakushi no touji niwa tsutaekire nai omoide no kazu dake namida ga nijimu osanaku te kizutsuke mo shita bokura wa sukoshi kurai otona ni nare ta no ka na kyoushitsu no mado kara sakura no ame fuwari te no hira kokoro ni yose ta minna atsume te dekita hanataba wo sora ni hana tou wasure nai de ima wa mada ... chiisa na hanabira da to shi te mo bokura wa hitori ja nai getabako de mitsu keta koi no mi rouka de koboshi ta fuhei-fuman okujou de taguri egai ta mirai zu doremokoremo bokura no akashi sotsugyoushousho niwa kai tenaikedo hito wo shinji hito wo ashi te manan da naki warai yorokobi ikari bokura mitai ni aoku aoku hare wataru sora kyoushitsu no mado kara sakura no niji yume no hitohira mune furuwa se ta deai no tame no wakare to shinji te te wo furi kaeso u wasure nai de itsuka mata ... ooki na hanarabira wo sakase bokura wa kokode ao u ikusen no manabiya no naka de bokura ga meguri ae ta kiseki ikutsu toshi wo totte mo kawara nai de sono yasashii egao kyoushitsu no mado kara sakura no ame fuwari te no hira kokoro ni yose ta minna atsume te dekita hanataba wo sora ni hanato u wasure nai de ima wa mada chiisana hanabira da to shi te mo bokura wa hitori ja nai itsuka mata ookina hanabira wo sakase bokura wa koko de ao u No matter how hard it hurts me. Your presence will always linger in my heart.
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【Tags Jimmythumb-P Miku tS S】 Original Music Title Starduster Music Lyrics written, Voice edited by ジミーサムP (Jimmythumb-P) / OneRoom Music arranged by ジミーサムP (Jimmythumb-P) / OneRoom Singer 初音ミク (Hatsune Miku) Fanmade Promotional Videos Click here for the Japanese Lyrics English Lyrics (translated by ikuy398): In the fear that I m not loved by you who is more precious than anyone, I escaped in a single bound to the star 10 thousand years ahead. I try opening my eyelid quietly, the sea of black sky is in my face. That would flow to the horizon 100 million years ahead. Before my senses freeze up For the temperature of a vacuum I breathed in, Give me one my body of love. Give the love at once, give the love to me, give the love please, give the love On a star which the light not shines, Not to be swallowed up by the darkness, I was looking at the evening glow 10 thousand years ahead alone. I m sure I ll do nothing but drift together with this space dust forever. Before disappearing into nothing in that way, please... Give the love at once, give the love to me, give the love please, give the love English Lyrics (translated by motokokusanagi2009): Afraid of not being loved by the one most precious to me, I ran off to a planet 10,000 light years from here I opened my eyes slightly and saw a sea of darkness I seem to be floating off to some land 100 million light years from here With the temperature of the vacuum I inhaled, My senses will freeze but before that Give me love the size of my body Give me love right now, give me love, please give me love Not to be overwhelmed by the darkness on this planet where the sun can t reach I look at the sunset 10,000 light years from here, all alone I guess I ll keep floating with the dust in this universe Before vanishing like that please... Give me love right now, give me love, please give me love Give me love... Romaji lyrics (transliterated by Terme): dare yori taisetsuna kimi ni aisa re nai koto o osore te ichi man nen saki no hoshi made hitottobi de nige ta sotto mabuta o akete miru me no mae wa kuroi sora no umi ichi oku nen saki no chihei made nagare te yukun da suikonda shinkuu no ondo de kankaku ga kooritsuku mae ni kono karada hitotsu bun no ai o ai o ai o ai o ai wo ima sugu ai wo watashi ni ai wo doka ai wo ai wo ai wo hikari sasanu hoshi no ue de kurayami ni noma re nai you ni ichi man nen saki no yuuyake o hitori de mite ta kitto kono uchuu no chiri to zutto tadayou dake nan darou souyatte kie te nakunaru mae ni douka ai wo ima sugu ai wo watashi ni ai wo doka ai wo ai wo ai wo ai wo.. ai wo.... [Jimmythumb-P, JimmythumbP, OneRoom, Jimmy Thumb-P, Jimmy ThumbP]
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【Tags Denporu-P Miku tA tD tT Y】 Original Music title 夢町コントラスト English music title Dream Town Contrast Romaji music title Yume Machi Kontorasuto Music Lyrics written, Voice edited by 電ポルP (Denporu-P) Music arranged by 電ポルP (Denporu-P) Singer(s) 初音ミク (Hatsune Miku) Append Click here for the original Japanese Lyrics English Lyrics (translated by Slimeball): I strayed into the town and I could meet you I could meet you who lived in the different town Since I was a rain seller, it was my fault I opened an umbrella because of a shower of rain I sacrifice the present time a little And quietly close my eyes I wonder if the castle of the dream I drew is Still remain at that time With you I was endlessly listening to Songs that started to go round and stopped before they ended Still the door won t open I ve been standing still and crying I m sure I ll be just watching the same sky alone as ever On that day your hand got away from me without touching me I want to meet you once again This will be the last time, After you This will be the last time, Repeatedly This will be the last time, I follow I run and run. Let it reach Hey... I think you re always watching the different sky with someone On the day the wish my hand drew will disappear I believe it s not an illusion Surely the two of us played together at that time Your hands and your voice remained in the memory of my youth I want to meet you, I want to meet you I can t meet you, I want to meet you I can t meet you, I can t meet you I want to meet you I can t meet you Romaji lyrics (transliterated by Slimeball): mayoikonde kimi ni aeta chigau machi no kimi ni aeta ame uri no watashi no sei da doshaburi ni kasa wo hirogeta ima wo sukoshi gisei ni shite sotto msbuta otosu yo watashi ga egaita yume no oshiro wa ano toki ni mada nokotteru kanaa mawarihajimete wa togireteiku uta wo zutto kimi to kiiteita ima mo doa wa hiraka nai no zutto naitetatte ita n da kitto kyou mo onaji sora wo kawarazu hitori de miteiru dake darou na ano hi kimi no te ga furezu ni hanareta mou ichido aitai na kore de saigo kimi no koto kore de saigo kurikaeshite kore de saigo oikakete hashitte hashitte todoite nee... kitto kimi wa chigau sora wo itsudemo dare kato miteiru kigasurunda sono hi watashi no te ga egaita negai mo kieteku kitto maboroshi ja nakute tashikani ano toki futari de asonda koto osanai watashi no kioku ni nokotta kimi no te kimi no koe wo aitai na aitai na aenai na aitai na aenai na aenai na aitai na aenai na [Denporu-P, DenporuP]
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【Tags Miku keeno tB B】 Original Music title bitter Romaji music title bitter Music Lyrics written, Voice edited by :keeno Music arranged by :keeno Singer(s) 初音ミク (Hatsune Miku) Append Dark Click here for the original Japanese Lyrics English Lyrics (translated by Swifty): A light flickering in my world is Surely the scar of the love once I had in my youth Only your voice came to mind and burst I can never take back the entangled day by now Though I pretend to be tough and smile, it runs over from my heart and it won t stop I m always like this, repeating that Among the shining street lights, see the memory and your shadow got dim Though I want you to smile a little more I thought I could already walk through the space of the town glowed orange alone I m still staying here. I can hear your voice That just makes me impossible to move, hey In the world where is too large to be alone I was holding my knees and crying Please, someone, save me out Before the night ends Find me Now the street lights went out and the sky grew brighter Why won t my tears stop? Though I just want you to be my side just for a while That won t be answered Among the shining street lights, see the memory and your shadow got dim Though I want you to smile a little more Romaji lyrics (transliterated by Swifty): hitori de ikiteikutsumoridatta mirai ni doushite kimi wa mada tonari ni itekureru no deshou masshirona shatsu ni shimikonda makkurona shimi mitaini nokoru ushirometai uso ya yaruse nai kanjou ni fureyoutoshite mata namida ga deta nee koko ni atta hikari wa kieta "shikata ga nai yo nante" furi de utsuro ni natta hibi no sukima ni miushinatta jibun no katachi hitori de ikiteiku kakugo wo kimeta noni doushite kimi no koe ga kou mo kiki taku naru no deshou makkurana heya ni sashikonda gaitou no akari mitaini yureru minikui kokoro wo okubyouna shinzou wo "kimi no tame" nante ka-ten de kakushite tsukame nai mirai ni se wo mukete kore de ii da nante kidottemiru kedo hitori de ikiteiku hazu datta mirai ni doushite kimi wa mada tonari ni itekureru no deshou nee kimi ga son na fuu ni warau tabi ni don na nayami mo doudemo yokunatteiku hitori ja ikite ike nai nante koto wa nai keredo koushite kimi to tsunaida te wo hanashi taku nai no desu