約 1,952,174 件
https://w.atwiki.jp/kyokotan/pages/133.html
クリスマスまであと少しとなると、教室の雰囲気も多少変わる。 落ち着かない様子の人も居れば、何が楽しみなのか浮かれている人も居る。 「佐々木さん、今年のクリスマスイブはどうするのですか?」 お昼休み、机を挟んだ向かい側から橘さんが、お弁当をつつきながら聞いてきた。 ちなみに彼女は先ほどの例で言えば、どちらかというと後者だろう。 そして私はどちらでもない、その他になる。 「どうって、普通に家に帰って家族とケーキ食べるわよ」 「えぇー? そんな事言って、本当はいい人とデートの予定だったりしないんですか?」 「生憎、そんな相手はいないもの」 「そんな、勿体無い」 「勿体無いって、私は特に気にならないけど」 橘さんが不服そうに言い返す。 「違いますよ」 「違うって?」 「逆です。佐々木さんを放置するなんて世間の男はなんて勿体無い事をしちゃうんでしょうか」 時々思うのだけど、どうして橘さんは私をこうも持ち上げるのだろう。 話し方にしても、同級生なのに敬語まで混ざったりする。 結構付き合いだって長いのに、何故なんだろう。 前に、その辺を聞いた事があるけれど、彼女にもそれほど明確な理由はないらしい。 何となく、そうなってしまうのだそうだ。 それはともかく、さすがにそれは言いすぎだと思ったけど、幸い周囲に今の発言を聞きとがめた人は居ないようだ。 私は苦笑しながら首を振る。 「それはさすがに過大評価が過ぎるわよ」 「過ぎてませんよ。んんもう、あたしが男なら絶対、ほっとかないのになー」 「毎年そうしてるんだから、別に・・・」 不自然に言葉を切った私に、橘さんが怪訝そうに聞く。 「どうしたんですか?」 「え、ああ、だから別に今年もいつも通りって事」 「・・・あの、佐々木さん、その家族でケーキ食べるのって、時間厳守なんですか?」 「特にそういう訳ではないけど? 行事という程でもないし」 「あのですね!」 橘さんが身を乗り出してくる。 「なに?」 「他にクリスマスの予定がないなら、せっかくだからいいもの見に行きませんか?」 こうして彼女に、やや強引に押し切られる形で、私はクリスマスの約束を取り付けられた。 行き先は、少し遠くの町で、数年前に作り直された光るイルミネーション。 そこがクリスマスの日限定で、イベントをするのだそうだ。 存在は知っていた。去年は新聞のニュースでも見た。 かなり派手だったし、賑わったらしい。 確かに、せっかくのクリスマスなのだし、そういう綺麗なものを鑑賞するのは悪くない。 行き帰りの所要時間から計算しても、女子高校生が帰宅するのに非常識な時刻にならずに済む。 特に理由もなく女一人で行く気にならなかったけど、二人なら多少はましだろう。 本当はカップルで行くべき場所という気もするけれど。 午後の授業が始まる。 何だか上機嫌の橘さんを見ながら、私はさっき言葉に詰まった原因を思い出す。 毎年そうしてると言ったけど、厳密には違った。 去年のクリスマスも、やはり家に帰るのが遅く、ケーキは後から食べた。 あの頃の私には、とても仲の良い異性の友達がいた。 彼が去年のクリスマスの夕方、私を誘い2人で街を歩き回った。 と言っても彼の目的は、クリスマス限定商品が時間切れで投売りされるのを狙っただけなのだけど。 実に色気のない事おびただしい話だ。 でも彼には私を誘う必然性はないのに、ごく自然に声をかけてきた。 一緒に行くのが当然、という風に。 私も疑問すら感じずに同意し、妙にわくわくしながら街に向かった。 一昔前ならともかく、今は売り手側もあまり無計画な事はしない。 だから収穫はちゃちなものだった。 安っぽい限定商品とか、賞味期限の短そうなお菓子がいくつか買えただけ。 それでも、宝探しの探検の様なそれは楽しかった。 クリスマスの時だけではない。 彼と共に居た中学最後の一年は、とても楽しい日だった。 その最中には、そこまでとは思わなかったけど、別々の学校に行ってしまった今になって、痛感する。 彼は今、どうしているのだろう。 時折、無性に会いたくなるけども、何でもないのにわざわざ押しかけて行くだけの踏ん切りがつかない。 行きたいのだけど、私が女で彼が男という事実がブレーキになってしまう。 そこに色々な意味が勝手に付いてくるからだ。当人同士にも、周囲からも。 学校が終わり、私は橘さんと共に下校する。 彼女は例のイルミネーションの見所を、色々と解説してくれる。 その詳しさは、どうやら前にも見に行った事がありそうなのだけど、あえてこちらからはそれを聞かない。 聞いて欲しくない話なのかもしれないから。そうでないなら、そのうち話してくれるだろう。 しかし、橘さんの解説どおりのイベントだとすると、思ったより帰宅が遅くなりそうだ。 さすがに泊り込みにはならないだろうけど。 ひょっとすると男女で見に行った人は、そのままどこかに泊り込むのかもしれない。 駅の構内で、私は彼女と別れる。 「それじゃ」 「クリスマス、楽しみですねー。それじゃ、また明日」 嬉しそうに微笑みながら、橘さんは多少オーバーアクションで手を振り、自分の乗る路線があるホームへ歩いていった。 まだ4日もあるのに、今からこんなにはしゃぐなんて、気が早いことだ。 とか言いながらも、実は私も結構楽しみにし始めていた。 イルミネーションだけではない。橘さんとは仲のいい友達なのだ。 友達とどこかに行く事自体が、楽しみなのは当たり前だろう。 朝。 いつもと同じ、けだるい目覚め。 でもいつもと違う、何か良く判らない違和感がある。 何か、楽しい事があったような。 日付的には、クリスマスが迫っている。その関係だろうか。 でも、思い出せない。思い当たる事がない。 漠然と考えているうちに、違和感は消えていった。 私はいつもと同じ様に支度を済ませ、義務を果たすように学校に向かう。 自分を奮わせて授業に集中し、やがて放課後。 どこのクラブにも入っていないから、そのまま下校する。 帰宅の途中、数日ぶりに彼女は居た。私を見つけ、こちらにやってくる。 「佐々木さん、こんにちは」 挨拶をしてくる相手に無言を貫けるほど、私は意地悪くはなれない。 「こんにちは」 「それで…」 「また同じ話なら、私の答えも同じよ。興味はない」 「え…はい。でも…本当なんですよ?」 「別に、嘘を言っているなんて思ってないわ」 「それでは、信じてくれるんですか?」 「それも違うの。真偽は問題にしてない。話が突拍子もなさ過ぎて、私には扱いきれないのよ」 神だの能力だの世界の真実だのという話題は、ただの読み物としてならいいだろう。 でも個人に降りかかってくる話としては、途方もなさ過ぎる。 「それじゃ、ね」 何を言えばいいのか悩んでいる様子の彼女を置いて、私は再び歩き始めた。 もちろん、この程度であきらめる相手ではないだろうけど。 ふう、と溜息が漏れた。 足が重い。まあ、これは彼女のせいばかりではない。 「佐々木さん」 背後から急いで追いついてくる気配と共に、彼女がまた呼びかけてきた。 振り返りもせずに答える。 「なに?」 「あの、あのですね。クリスマス、何か予定入れてますか?」 「別にないわ。それが何か?」 思わずむっとしたせいか、少し言葉が刺々しくなってしまった。 「でしたらクリスマスに、ちょっといいもの見に行きませんか?」 「いいもの?」 首を傾げる私に、彼女は少し遠くの町で、クリスマス限定のイベントをする光るイルミネーションの話をした。 そういうのがあることは知っている。去年は新聞のニュースで見た。 とっても綺麗らしいけど、だからって理由もなく一人で見に行くほどではない。 そんな事を考える私に、彼女はそのイルミネーションの見所を、顔を輝かせて解説してくれる。 どうやら前にも見に行った事がある様子だ。 判る気はする。新聞の写真でも結構派手だったから、現場で見ればさぞ壮観だったのだろう。 説明をしていた彼女は、ふと気が付いたように付け足す。 「あ、念のために言いますけど、これは今までお願いしていた事とは一切関係ありません。純粋にあたし個人からの提案です」 「まあ、それが綺麗なのは判ったけど、なんでそれを私に…」 「佐々木さんが元気なさそうだったからです。たまにはこんな賑やかな物を見に行くの、いいと思いますよ?」 余計なお世話。却って疲れそう。 喉まで出かかった反論が、何故か言えなくなった。 まあ確かに、彼女の言う通りでもある。気晴らしした方がいいのは自分でも判ってる。 でも他人から言われたくはない。 そのはずなのに。 どうしてだか、私はその提案を嬉しく思ったのだ。 軽く眩暈がする。何かを思い出しそうだけど、思い出せない。 「…佐々木さん?」 黙り込んでしまった私に、橘さんが少し不安そうに話しかける。 それで我にかえった。 不思議な事に、先ほどまでの苛立ちが収まっている。 私は軽く微笑みながら、そして自分が微笑んでいる事に少し驚きながら、言った。 「そうね。たまにはそういうのもいいかな」 「…あ、ええ、そうですよ!」 「だけど、言いだした側の責任ってあるわよね?」 「はい?」 「エスコートくらいはお願いできるかな? 橘さん」 「え……あ、はい! 喜んで!」 目の前の橘さんの笑顔。 それが、誰かと被る。 誰だろう。 私に、彼女と似ている知り合いなどいただろうか。いないはずなのだけど。 なのになぜ、懐かしく思ってしまったのだろう。 まるで、親友と再会したみたいに。 <終>
https://w.atwiki.jp/kyokotan/pages/135.html
彼女は彼にチョコレートをあげるのだろうか…… 今日は2月14日、バレンタインデー。世間では女の子が想い人に気持ちを伝える絶好の機会だ。 お菓子メーカーの陰謀という人もいるが、そんなのは知ったことじゃない。 自分の気持ちを伝える為なら、そんな陰謀など利用してやろう。女の子はたくましいのだ。 「佐々木さん、佐々木さん。佐々木さんはキョンさんにチョコをあげないんですか?」 「ああ、橘さん。いや、恥ずかしい話だが、迷っているんだ。」 目を伏せて喋る彼女からは、いつもの余裕のようなものが感じられなかった。 「……告白……するんですか?」 彼女は何も答えなかったが、その沈黙が言外に私の問いを肯定していた。 「……佐々木さんなら……きっと、大丈夫なのです。」 「でも、僕のよな男女が告白したところで、気持ち悪がられるだけのような気がしてね……怖いんだ。」 「佐々木さんは十分可愛いです!」 私は意図せずに叫んでいた。 「何で自分に自身を持ってあげないんですか!そんなの、佐々木さん自身が可哀想じゃないですか!」 彼女が驚いたように私を見つめるが、私の言葉は止まらない。 「貴女が好きなキョンさんは、貴女のことをそんな風には思ったりしません!それはキョンさんへの侮辱です!何より、そんな人を好きになってしまった貴女自身への冒涜に他なりません!」 私は頭に血が上るのをはっきりと感じたが、自分の口を付いて出る言葉を止めることが出来なかった。 「橘さん…………」 落ち着きを取り戻すと、笑顔で彼女の背中を押そうと言葉を紡ぐ。 「もし――そんなことは絶対にあり得ませんが――万が一にでも駄目だったときには、私が一緒に食べてあげます。いいえ、食べさせてください。佐々木さんの作ったチョコが美味しくないはずないのです。」 「…………ありがとう、橘さん。」 「……こういうのは、決心が鈍らないうちに、すぐ行動に移すものです。」 「……うん。」 少し逡巡するような仕草を見せたが、彼女はもう一度ありがとうと言い残すと、彼の下へと行ってしまった。 頭のいい彼女のことだ、私の気持ちなんてとっくにお見通しなんだろう。 「あーあ、無駄になっちゃったなぁ……」 彼女が去ったあと、後ろ手に回していた紙袋を弄びながら一人呟いていると、急に後ろから声をかけられた。 「―――それは―――なに……?」 「うひゃぅ!?くっくく、九曜さん!?い、一体いつからそこにいたんですか?」 「―――ずっと―――いた……」 「そ、そうですか……」 「―――それは―――なに……?」 「これですか?これはチョコレートですよ。」 「―――ちょこ―――れいと……?」 「よかったら食べますか?」 「―――いい―――の……?」 「構いませんよ。もう必要なくなってしまったみたいですし……丁度、一人で食べるにはちょっと多いと思ってたところです。」 包装を全て剥がしてから、彼女に一口サイズのチョコレートを渡してあげる。 包みのまま渡したら、そのまま食べてしまいそうな気がしたからというのは内緒だ。 「――――――……。」 彼女は暫らく手のひらに乗せてチョコを眺めていたが、ゆっくりと口の中に放り込んだ。 「―――美味しい……」 「お口に合いましたか?」 「―――意外と……」 「…………。九曜さん、一言余計なのです。」 「よう、橘に九曜。お前ら、こんなとこで何やってんだ?」 振り返ると、佐々木さんが彼を連れて戻ってくるところだった。 彼のコートのポケットからは佐々木さんのチョコが覗いていたのには後から気が付いたが、そんなものは見なくとも彼女の幸せそうな表情から、私は結果が分かってしまった。 もっとも、結果が違っていたところで、私の想いが叶うはずもなかったろうが。 そう、これは負け戦。最初から勝負など決まっていた。今更どうこう言っても仕方がないのに…… 「美味しそうだね。」 彼女が私のチョコを見てそう言った。 「本当だな。一つ貰ってもいいか?」 「ええ、どうぞ。」 私はそう答えるのが精一杯だった。 「悪いな。」 彼がチョコを口にすると、途端に目を見張る。 「ほぉ、こりゃ美味いな。」 それはそうだ。だって、とっても頑張ったんだもの。そこら辺の女子高生が作るものと一緒にして欲しくない。 込めた想いだって負けてはいない自身があった。 「ほら、佐々木。お前も食えよ。」 彼は私のチョコを一つ掴んで、彼女の口の中に放り込む。 私は少しむっとしたが、頬を染める彼女を見ると、何かを言う気が失せてしまった。 「本当だ、美味しいね。」 そう言って微笑んだ彼女は、この世のものと思えないくらい美しかった。 まるで、女神のようだった。 少なくとも、私にとってはそれそのものに見えた。 今までずっと見ていたはずなのに、どうして私は彼女がこんな表情ができることに気が付かなかったのだろう…… いや、理由は分かっていた。彼のおかげなのだろう。彼が彼女をこんなに素敵にするのだ。 彼女の笑顔のおかげで、先程まで恨めしく思っていた彼のことが少しだけ好きになった。 どうやら私は、自分が思っていたよりも単純な人間ようだ。 でも、私はそれで満足だった。 彼女が幸せなら、それが私の幸せだ。
https://w.atwiki.jp/voice2012/pages/43.html
【支払方法】 【eBay Invoice と直接入金インボイスとは】 【Transaction ID とは】 【代理人による支払い希望】 【過不足入金】 【直接入金ができないと言われた場合】 【Money Requestとは】 【返金方法】
https://w.atwiki.jp/android_is01/pages/44.html
「コメント/トップページ002」作成 - 名無し 2011-12-23 23 40 アンドロイド アプリの管理ツール - Tapnow(タップナウ)「http //www.tapnow.jp/」 【世界最大級のダウンロードサイト Softonic(ソフトニック)】 iPhone、Androidアプリの無料ダウンロードとレビュー「http //www.softonic.jp/mobile/os-android」 About 1Mobile Market「http //www.1mobile.com/app/market/」 SlideME Marketplace「http //slideme.org/」 -- (SMAPOKE) 2012-01-13 17 05 34 ↑↑あらあら。容量オーバーになってたのに気が付かずすんませんでした。 is01関係を見るとしてもnextとかrootとかばかり見て、こちらの存在をさっぱり忘れてました。^q^ 今回は対応に気苦労していただいたようでご迷惑をおかけして申し訳ないのと同時に感謝致します。 わたしゃ元からお飾りの管理だけしようというスタンスなので、追加ページ作るなりなんなりはこちらの許可を待たずにどうぞどうぞです。 ページ名の変更と削除は管理者しかできないみたいなので、それはコメントとかに書いて、放置しておいてくれれば、自分が(極稀に)訪れた時に対処しますんで。 -- (かんりにん) 2012-01-24 21 30 55 管理人不在で困る事があるんだZE!って場合があるなら別管理者をおいたり募集したりする事も考えましたが、 現状めちゃくちゃ困る事はないと思うので、とりあえずこのまま。要望があれば答えるやもしれませぬ。 …メールボックスの整理してたら、2件ほど参加希望メールが来てたことに今更気が付きましたけど。 ご、ごめんね?当時の人。(2010/11/27と2011/01/13にメール送ってくれた人。) こんな私ですが私はis01を続けるよ!友人にはスマートじゃないスマートフォンと言われ続けてるが。後続機マダー? -- (かんりにん) 2012-01-24 21 34 31 アンドロに偽装して普通のLinux乗せられない? -- (名無しさん) 2012-03-06 09 34 02 放置プレイ -- (名無しさん) 2012-10-17 17 28 22 管理人不在でもう終わりかな -- (名無しさん) 2012-12-13 11 51 56 GooglePlayにフリーのIS01専用BASICが出てますね。 進化形ポケコンとしてまだ使っていけそう。 -- (名無しさん) 2013-11-30 00 25 10
https://w.atwiki.jp/javadsge/pages/6381.html
(1)表 表 (2)プログラム (3)グラフ (4)出所 日本銀行 (5)メモ リンク名 リンク名 https //drive.google.com/file/d/1MepYHMryiGxAOLLYKO_C_BYxHL1XAoM-VQ/view?usp=sharing https //drive.google.com/file/d/1FYGxQzUlDAm17ooAoqZygQG4x9Qbbw029A/view?usp=sharing (6)作業記録 4月1日 データ追加 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 imageプラグインエラー 画像を取得できませんでした。しばらく時間を置いてから再度お試しください。 -
https://w.atwiki.jp/mh-hc/pages/539.html
S05-010 ターゲットモンスターカード カードタイトル:クシャルダオラ パワー:2000 フィールド:雪山 ランク:★★★★★★ 報酬:1 素材:甲殻(赤) イラスト:中北 晃ニ <部位破壊/角>:狩りの終了時まで、このカードのパワー-500。 <オープン>:狩りの終了時まで、雪山にあるハンターの中で先頭のハンターのパワー-800。 コンセプトデッキ クシャルダオラで登場したターゲットモンスター
https://w.atwiki.jp/android_is01/pages/39.html
raziko/ラジコ公式アプリが何故にかXperia対応しながらIS01を対象外にしたため、これ以外に利用選択肢は無い。 - 名無しさん 2010-07-31 00 16 24 メディア・システム・アラーム・着信音・ - Volumer++ 2010-07-31 03 27 44 ↑ radikoって普通に使えるぞ - 名無しさん 2010-07-31 11 40 51 radikoは利用できるけど公式にはサポート対象外ってコトだろ。サポート対象外前提で公式アプリ使うか、ハナから非公式のraziko使うかという選択肢ではあるわな。どっちも何時公式からハネ - 名無しさん 2010-07-31 18 05 10 ……ハネられるか分からんけどな。 - 名無しさん 2010-07-31 18 05 35 だから、radiko使えるうちはつかってりゃいいじゃん。金だしてるわけでもないのに意味わからん。 - 名無しさん 2010-08-01 21 41 52 radiko&raziko追加したけどエリア外で使ったことないのでテキトーです。詳細文を誰か頼む。 - 名無しさん 2010-08-02 11 42 35 razikoエリア外で使えました。 - 名無しさん 2010-08-04 12 49 33 そうなんだ、九州なので試したことすらなかった。ダウンロードしてみるか。 - 名無しさん 2010-08-04 18 07 29 wifi Analyzer / - 名無しさん 2010-08-11 05 08 09 wifi Analyzer /電波状況がよく分かって良いよ!↑はミスった - 名無しさん 2010-08-11 05 09 49 XMedia Recodeの設定をiPhone4の最大解像度でいくと少し横につぶれませんか? - 名無しさん 2010-08-15 21 47 42 アプリとか設定をバックアップできるソフトはないものかね・・・ - 名無しさん 2010-08-28 19 17 13 まだ使い込んでないけど、設定で2画面に出来るファイラGhost Commanderが便利そう。 - 名無しさん 2010-09-07 00 24 17 音楽同期はitunesユーザーならTunesyncがお勧め。Wi-Fi経由で同期をしてくれるのは非常に楽。 - 名無しさん 2010-09-13 21 59 36 手動でアンマウントしたSDを再マウントしてくれるアプリってないのかな・・・ - 名無しさん 2010-09-15 08 09 07 Rmaps(IS01に導入) + Moblie Atlas Creator(PCで導入)で、IS01をナビに変身させられます。しかもオフラインでもOK - 名無しさん 2010-09-17 12 55 07 Googleマップのナビが経路検索後は通信せずにナビしてくれるが、ルートを大きく外れると無理だね。後音量が終了しても変わったまんま・・・ - 名無しさん 2010-09-18 03 41 29 再マウントするウエジットならあったけど、使えるのかな? - 名無しさん 2010-09-18 03 42 55 ↑ 「ReloadSD」なるウィジェットあるけど、手動でアンマウントすると再マウントできないです。 - 名無しさん 2010-09-21 10 39 59 「AutoMount」これを入れておけばSDカードのマウントトラブルを防げる。PCとつなぐだけで自動でSDを開いてくれる。USBコードを抜く時は必ず「安全なデバイスの取り外し」を怠らない事だ大事 - 名無しさん 2010-09-28 08 59 17 こういうのはお奨めソフトなんですかねぇ。 - 名無しさん 2010-10-02 08 27 50 ttp //daisystem7.do.ai/nurse/ - 名無しさん 2010-10-02 08 28 25 KyoteMusicPlayerはSDに保存せず、PCから音楽ファイルをストリーミング再生してくれます。itunesフォルダを指定すれば、ipodいらずに。PCはつけっぱなしになりますが - 名無しさん 2010-10-04 15 32 20 RockPlayerはUniversalよりオフィシャルページのARMV7の方がいい気がする - 名無しさん 2010-10-08 00 33 00 テザリングソフトでPdaNetが使えた。フリー版で確認。時々httpsが使える。 - 名無しさん 2010-10-12 10 55 41 Airplane mode wifi tool 機内モードでwifiが使えます。8円維持には良いと思います。 - 名無しさん 2010-10-12 23 36 09 MySettingsがAndroid Marketで見当たりましぇん。 - 名無しさん 2010-10-16 08 43 44 俺もだ... - 名無しさん 2010-10-17 00 15 42 MySettings 1.5.1から有料になったかも。1.4.0なら作者サイトからリンク先でまだ落とせるはず。 - 名無しさん 2010-10-17 14 49 08 mysettingsマーケットにないな。作者ページによればfree or donateだから無料のはずなんだが・・・blogに米してみるか - 名無しさん 2010-10-18 15 19 58 appbrainのfast web installerを使ってやっとv1.5.1をインストールできた。現状、androidマーケットからv1.5.1はダウンロードできないみたい。 - 名無しさん 2010-10-23 14 24 47 作者のblogにも報告してみたけどマーケットの問題としたら改善されるかは不明。最新が欲しいって人はマーケット以外から落としたほうがいいと思う。 - 名無しさん 2010-10-23 14 26 40 MySettingsが欲しいんだけど、マーケット以外のどこにあるの? - 名無しさん 2010-10-26 16 31 10 v1.4.0でよければslideme。v1.5.1がよければappbrainかねttp //slideme.org/application/mysettings - 名無しさん 2010-10-26 16 48 35 appbrainって、そういう事だったのかー。やっと理解出来ました。さんくす☆。 - 名無しさん 2010-10-27 09 09 31 Usage Timelines Lite は左上のステータスバーに常駐し、CPU稼働率を表示してくれる。 - 名無しさん 2010-10-27 09 45 48 「ピンポイント天気」は郵便番号を入れると地元の天気が表示される。 - 名無しさん 2010-10-27 09 46 54 SystemPanel Liteは超お勧めです。システムのあらゆるデータが見られます。すばらしい。 - 名無しさん 2010-10-27 09 48 47 標準のメディアプレーヤやRockPlayerで動画再生を早送りする方法は無いものか? - 名無しさん 2010-10-27 16 32 15 Usage Timelineを常駐させると画面スリープに入らないことを発見! 逆にスリープ防止に使えるかも。 - 名無しさん 2010-10-28 14 51 58 テキストエディタならTxtPadLiteおすすめ。 - 名無しさん 2010-10-29 12 25 40 ttp //jp.androlib.com/android.application.com-daikyo-rssreader-qpBCj.aspx - まとめサイト 2010-11-01 13 22 12 MySettings - 名無しさん 2010-11-01 17 10 08 おすすめソフトがあるならコメントに書くんじゃなくてWikiに追加してこうよ… - 名無しさん 2010-11-02 01 27 22 と思ったけどコメントボックスに一言残すだけでも十分ってありました、失礼! - 名無しさん 2010-11-02 01 28 12 ドルフィンブラウザって画像保存はタッチして長押し? 落ちるんだけどバグ? - 名無しさん 2010-11-06 21 43 32 MysettingsはAndroidマーケットのアップデートアンインスコしたらでてくるはず。漏れはオールリセットしたら出てくるようになってた。 - 名無しさん 2010-11-13 18 08 46 OruxMaps Mobile Atlas CreatorというPC用ソフトで、地図データを作ると、オフラインで利用できる地図ソフト。Rmapより高機能。 - あげぽん 2010-11-15 05 16 47 旬れぽ クックパッドで料理したい人におすすね - 名無しさん 2010-11-21 17 33 14 あかん、、、こどものゲーム機化してきた。 - 名無しさん 2010-11-23 12 59 55 だいぶ追加されてるね、まとめてくれたひと乙です - 名無しさん 2010-11-24 02 50 14 ニコタッチでとうとうフリック入力可能になった - 名無しさん 2010-11-24 23 41 49 ニコタッチでとうとうフリック入力可能になった - 名無しさん 2010-11-24 23 42 56 GoToUrl+Search:UTF-8対応のページのみ検索可能。Google、Yahoo、Bing、Wikipedia、Amazonはいけた - 名無しさん 2010-11-25 00 31 39 webブラウザでネットしてると勝手にskyfireが立ち上がってうざい - 名無しさん 2010-11-29 20 58 31 lismoのコメント欄がauの工作かテスト。あなたは今回リリースしたlismoをどう思いますか? - 名無しさん 2010-11-30 20 19 34 ニコニコプレイヤー(仮)が暫定的にMP4以外にも対応したね。 - 名無しさん 2010-12-08 16 32 24 まだ再生出来る物が少ない・低画質・低音声でしか再生出来ないのは実験中だから当然としてもこれからの更新に期待が出来る。 - 名無しさん 2010-12-08 16 35 13 galapagos blowserとかperfect viewerとか、使用中のアプリががぽんぽん落ちまくるんだけど……俺だけ? - 名無しさん 2010-12-08 20 12 24 IRCクライアントAiCiA 作者がIS01で動作写真撮ってるw ttp //gorry.haun.org/android/aicia/ - 名無しさん 2010-12-08 20 57 49 Mysettingsよりquick settingsのほうが好きだ。てかただ色々onoffしたいだけならswitchProが一番カッコイイし便利だった - 名無しさん 2010-12-14 03 16 10 TweetDeckのAndroid版快適ですよー - 少女A 2010-12-16 06 43 32 ↑↑switchProってBluetoothのボタン使えなくない? - 名無しさん 2010-12-18 00 45 46 モバイルGoogleマップが5.0になってから電池食い過ぎじゃね?3Dモードとか使ってるわけでもないのに。 - 名無しさん 2010-12-22 16 00 43 ADW.Launcherの作者のページ ttp //jbthemes.com/anderweb/ - 名無しさん 2010-12-22 22 26 40 root取得専用アプリだけど、linux installer ってアプリってまさか端末にそのままlinuxねじ込むってアプリじゃないよね?どういうアプリなんだろ...気になる... - 名無しさん 2010-12-29 21 15 01 俺も気になる昨夜アプリはインストールしてみた。怖くて実行できない - 774 2011-01-01 13 10 18 ttp //android.galoula.com/en/LinuxInstall/ を流し読みした限りだとandroidには影響ないみたいだよ。SDカード上に仮想HDDを作成してインストールするみたい? - 名無しさん 2011-01-04 09 25 45 is01 - 名無しさん 2011-01-04 12 19 32 ↑is01で使えそう?やり方とか設定とか分かればやってみるんだけど... - 名無しさん 2011-01-04 18 23 00 ↑やってみた。1の設定は上手くいくけど2からerrorが出て進まない。 - 名無しさん 2011-01-11 14 02 09 ADW.Launcher for IS01 IS01ように調節されたADW壁紙問題も解決してます - 名無しさん 2011-01-13 22 27 43 誰かセキュリティロックのon offが確実にできるウィジェット知らない?色々試したけど動かなかったり不安定なのばっか・・・。ちょっと席を立つときとかにサッとロックできたらいいのに - 名無しさん 2011-01-14 00 08 48 改fring is01 でインカメラを使ってのビデオチャットが出来るようになったよーw - 名無しさん 2011-02-09 00 14 27 bluetoothから曲送りとか一時停止できるようなメディアプレイヤーありませんか?(デフォルトのソフトだとできるのですが... - 名無しさん 2011-07-17 09 12 17 ブラウザならxscopeが早くていい - 名無しさん 2011-08-09 13 16 03 XMediaRecode 2.2.7.7 では、プロファイルを「PSP h.264720x480」にしたら動画音声ともに再生できた。 - 名無しさん 2011-12-18 23 58 49 動画変換はLNSOFTのどこでも!Android動画が細かく設定できる。IS01は画面サイズ960×480なので設定可能な853×480で変換して黒枠を少なくしています。 - 名無しさん 2011-12-29 15 04 56 Radiko使用できなくなったっぽい。 - 名無しさん 2012-04-11 19 57 12 「Super Depth」Android移植版。物理キーボード付きだから操作し易い - 名無しさん (2021-08-29 18 49 13) 「Super Depth」Android移植版。物理キーボード付きだから操作し易い - 麻浪迅 (2021-08-29 18 49 29) ↑ミスって多重投稿してしまった - 麻浪迅 (2021-08-29 18 49 58)
https://w.atwiki.jp/mvno-soudan/pages/23.html
MVNO各社まとめ(OCN編) 本ページではOCNモバイルONEのサービスに関しての詳細を記載する。 ※価格は全て税抜き表記 提供会社 エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 サービス名 OCN モバイル ONE サービスエリア ドコモの「Xi」エリア(LTE)およびFOMAエリア(3G) 最大通信速度 上り50Mbps/下り150Mbps 支払方法 公式Webサイト上ではクレジットカードのみの表記。但し、電話での申し込みにより口座振替も可能 既存接続会員への割引 OCN光モバイル割。月額利用料が、毎月200円(216円)割引。 高速通信容量超過時の規制速度 200Kbps 高速⇔低速通信切替機能 有。iOSアプリ・Androidアプリにて高速⇔低速の切替可能。 高速通信容量の繰越 有。2015/01/20より対応。繰越期間は日次コースは翌日末まで繰越、月次コースは翌月末まで繰越。 専用Wi-Fiスポットの利用 可。2015/01/20より対応。提供可能エリア、詳細は2015/01/14までに公式サイト上で発表予定。 ・サービス料金(データ通信プラン) コース(プラン) 最大通信速度 通信容量 月額料金 70MB/日コース 150Mbps 70MB/日 900円 100MB/日コース 150Mbps 100MB/日 1,380円 2GB/月コース 150Mbps 2GB/月 1,100円 4GB/月コース 150Mbps 4GB/月 1,450円 500kbpsコース 500kbps 7GB/月 1,800円 SMSオプション・・・・120円 SIMカード追加・・・・450円 専用(推奨)050IP電話・・・・・050plus(150円/月) 初期費用・・・・・・・・3000円 解約金・・・・・・・・・なし ・サービス料金(音声通話プラン) コース(プラン) 最大通信速度 通信容量 月額料金 70MB/日コース 150Mbps 50MB/日 1,600円 100MB/日コース 150Mbps 100MB/日 2,080円 2GB/月コース 150Mbps 2GB/月 1,800円 4GB/月コース 150Mbps 4GB/月 2,150円 500kbpsコース 500kbps 7GB/月 2,500円 SMSオプション・・・・0円 SIMカード追加・・・・450円 専用(推奨)050IP電話・・・・・050plus(無料) 初期費用・・・・・・・・3000円 解約金・・・・・・・・・6か月以内の解約で8,000円 【初期手数料3,300円(税込)が無料】OCN モバイル ONE エントリーパッケージ [音声対応SIM / SMS対応SIM / データ通信専用SIM] (ナノ / マイクロ / 標準サイズ対応) 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/kyokotan/pages/134.html
デートは中止という電話が掛かってきたのは約束の時間の、三十分前だった。 「それは、また」 吐く息は白く。商店街の街並みは、昼間だというのにライトアップされ、普段とは違う一面を見せている。 「唐突ですね。どうしたんですか?」 「……声聞けばわかるだろ。風邪引いたんだよ」 ジングルベルの音がやかましい。携帯を耳に押し当て、声に少しだけ力を込める。 「でも、キョンさんですからね。長門さんあたりを連れ込んでるという可能性を、否定しきれません」 「そうだと言ったらどうする気だ?」 「そうですねぇー」 まったく、と笑みが浮かぶ。風邪をひいていても、意地悪な所は変わらない。 「泣きます」 「……冗談だ。手ごわくなってきたな、お前」 「それはもう。いつもいつも愛のあるイジメをしてくれる素敵な彼氏がいますから」 携帯の奥で、言葉に詰まる彼の姿が目に浮かぶ。こういう直接的な言い方に弱いのだ、彼は。 「……あのな、橘。いや、彼氏である事は否定しないし、いやむしろ嬉しいくらいなんだが、いきなり」 「とりあえず、そっち行きますね。大人しく布団で寝ていてください」 有無を言わさず電話を切った。 過剰なまでのデコレーション。喧しいくらいのクリスマスの音。 となりに誰かさんでもいれば、素敵なイリュージョンと心躍る音楽へと変わったのだろうけれど。 「でも、しょうがないですね」 少しだけ残念そうに息をついて、デートのスタート地点に別れを告げた。 こんなのだからこそ、私たちらしいといえるのだろう。 財布を確認し、銀行前に止めてあった自転車を引っ張り出す。スーパーまで走って五分。 気分晴らしに鼻歌でも歌いながら、たまご粥を作る歌を歌いながら、唐突に閃いた。 腕時計の針は十時を指している。ちょっと早い昼食になるが、たまご粥でも作ってあげよう、と橘は思った。 商店街を、風を切って駆け抜けていく。 クリスマスという幻想を振り切り、ただの十二月の二十四日として、今日という日を迎え撃つ。 キョンの住むマンションは、駅前にあって大きくて綺麗で、家賃も高い。 もちろん、一人暮らしをするには贅沢すぎる部屋であり、一般的な両親を持つ大学生が住むにはちょっと無理な家賃である。 では、どうして彼はそこに住んでいるのか。 そのカラクリは隣に住む長門有希さんとその反対側に住む朝倉涼子さん、の謎の叔父さんの支援による。 どこをどう吹っ飛べばそうなるのか理解できないが、高校を卒業すると同時にマンションを買い上げ格安で提供したのだ。 始めのうちこそ断った彼であったが、長門有希と朝倉涼子の誠意ある説得により首を縦に振ったそうだ。 そうした訳で、彼の部屋はSOS団の支部として十二分に活用され、佐々木団(キョン命名)の支部と化している。 と、そこまで考えて溜息。 敵は強大である。 駐輪場に自転車を止めて、カゴから袋を取り出す。念のため、卵が割れてないか確認。 問題なし。 角の店で買ったガトーショコラを落とさないように気をつけつつ、マンションに入る。 暗証番号は暗記している。何せ、自分の誕生日だ。 ちょっとだけ優越感に浸りつつ、ピピピピ、とボタンを押してドアを開けた。エレベーターに乗り七階を押す。 707号室が彼の部屋だ。サブマリンかよ、という彼の謎の突っ込みは誰にも理解されず、闇へと消えた。 エレベーターを降りて、部屋へと向かう。 呼び鈴を押してみる。 反応なし。 念のため、もう一度押してみる。反応がない。寝ているのかしら? ポケットから合鍵を取り出して、ロックを解除。 と、がらんとした廊下の先、寝室のドアが開いていた。 「……あー、橘か?」 「お邪魔します。起きてましたか」 ケーキの箱をテーブルの上に置いて、袋から卵とネギを取り出す。 「ほらほら、病人は寝てて下さい。ひどい顔ですよ」 寝巻きのまま、彼が起きてくる。髪はボサボサで、辛そうに息をしている。 「いや、何する気だ?」 「れすきゅー、です。とりあえずお昼ごはんでもと思いまして。お米、炊いてありますよね?」 「ああ、あるけど。正直、あんまり食欲無いんだが」 キッチンに常備してある自前のエプロンを取り出す。 三角巾をキュっと締めて、振り返り、笑う。 「たまごがゆ、お嫌いですか?」 たまごがゆのつくりかた。 一 炊いてあるご飯に水を入れ、コトコトと弱火で煮込みます。 二 鼻歌でも唄いながら、ネギを細かく切りましょう。 三 ネギと一緒に溶き卵を加えて、 ……大事な事を忘れていた。 「お塩がいいですかー? お味噌がいいですかー?」 寝室の奥から任せるー、の声。ならばと思い、味噌を入れる。 薄味が彼の好みだ。 四 よく煮込んだら、お皿にとってあげましょう。 愛情たっぷりの、たまごがゆの出来上がりー 「出来ました」 「ああ。悪いな」 「ふふん、自信作ですよー」 「いや、たまごがゆってそんなに難しいもんじゃないだろ?」 「まだまだですねー。簡単な料理ほど腕を振るいがいがあるってものです」 そういうもんなのか、という言葉に、そういうもんですよ、と返す。 「……まあいいか。頂きます」 「はい、どうぞ。熱いですから気をつけて下さいね」 外はクリスマス一色で。 みんな、それぞれのクリスマスを楽しんでいるのだろう。 けれど、それを羨ましいとは思わない。 何故ならば、キョンが美味しそうに、自分の作ったたまごがゆを食べているからだ。 頬笑みが隠しきれない。湧き上がってくる嬉しいという感情が、どうしても止められない。 だって、たまごがゆを、あんなに美味しそうに食べているのだから。 「おい、そうニヤニヤしながら見られると食べづらいんだが」 「あ、お気になさらず。今、もの凄い幸せ感じてますから」 「答えになっとらん」 ジングルベルの鈴が鳴る。 今日はクリスマス。雰囲気に浮かれ、デコレーションに酔う日。 そんなお祭りに参加できないのは残念だったけれど。 でも、と橘は思う。 雰囲気も、ロマンも、鈴の音もない。 この部屋にはクリスマスの破片すらない。 けれど。 そんな十二月の二十四日もあっていい、と橘は思うのだ。 だって、今。 とても幸せなのだから。 「キョンさんキョンさん」 「ん?」 「メリー、クリスマス」 幸せそうに、橘京子は笑った。 「で、そのケーキはなんだ?」 「あ、これですか。これは私が食べたかっただけです」 「…………」
https://w.atwiki.jp/kyokotan/pages/132.html
季節は梅雨である。梅雨といえばじめじめとしてアンニュイな気持ちになりやすそうなものだが、 意外にもハルヒはいつも通りのハイテンションで、春先の佐々木をめぐる騒動以来、古泉のアルバ イトもトンと減っているようである。そんなこんなで、世界の平穏を気にすることもなく、いつも どおりハルヒにつれまわされて体力と財布の重量だけが減っていくなか、束の間の平穏を謳歌して いた日曜日のことである。ちょっとした事件が起こった。 いつものように部屋でごろごろと漫画を読んでいた俺に、妹が猪のごとく突撃してきた。 「ねぇ、ねぇ、キョンくん。明日学校でね。そうごうがくしゅうっていうので外国の人と日本の文 化の勉強をするの。」 学習指導要綱が代わったことにより総合的な学習が強化されたらしいが、外国人と触れ合うとはほ んのちょっと前じゃ考えられなかったことである。あの頃は、出島などの一部を除いて外国人がい るところなどは存在しなかった。 「そうか。楽しんでこいよ。」 俺は大いなる平穏を維持するためにも受け流すことにした。うむ、ナイスな判断だ、俺。 「うんっ。それでね。みんな一人一人が日本っぽいものを持っていって紹介するんだって。だから ね。あたし剣玉にしたのっ。」 「ほう、そうかそうか。それは何よりだ。しかし、家に剣玉なんてあったか。」 「ないよ。だからキョンくん買ってき」 「断る。」 妹が言い終わる前に返事をした。何が悲しくてせっかくの休日に剣玉を買いに行かなければならな いのだろうか。日本っぽいものなら、俺が十秒ほどで水墨画を描いてやるからそれをもって行きな さい。俺の水墨画は凄いぞ。 観念的過ぎて本人にも何が書いてあるんだか分からないんだからな。 「えー、それじゃあダメだよう。さっきテレビで剣玉やってたんだもん。」 つまり、テレビでやってた剣玉に感化されてやりたくなったわけだな。これはいよいよもって、行 く必要がなくなってきたぞ。 「それにね。お母さんからもうお金貰ってきたの。キョンくんにもお駄賃でこのきれいなお札を」 「行かせて貰おう。」 俺は再度、台詞の途中で割り込んだ。妹の手には剣玉代と見られる野口秀夫さんと、俺へのお駄賃 と見られる源氏物語の絵巻物が握られていた。 その後、任務を果たすべく駅前まで出張ってきた俺であったが、すぐに窮地に立たされる事にな った。剣玉が売ってないのである。むぅ、どうすべきか。このまま帰ったのでは紫式部さんは返却 されてしまうだろうし、かといって電車に乗って都会まで出たのでは、俺の取り分が減ってしまう。 そもそも剣玉なんてどこに売ってるんだ。やはり、おもちゃ売り場しかないだろうか。んー、んっ、 待てよ。大きめの100円ショップになら売ってるんじゃないのか。あそこなら値段も100円で 電車賃を考慮に入れても足が出ることはない。うむ、決定だ。膳は急げとばかりに、俺は電車に揺 られホームタウンを後にした。これがトラブルのもとになるとも知らずにな。 大都会に着いた後はとんとん拍子に話が進んだ。100円ショップも剣玉もすぐに見つかり、店 員さんのさわやかな笑顔にも癒されながら、晴れやかな気持ちでお店を後にした。ルンルン気分で、 柄にもなく口笛でも吹いてやろうかと思いつつ歩いていると、突然、雨が降ってきた。サムデイイ ンザレインなんてものではなく、サムデイインザスコールだ。突如として振り出した大雨は、あた ふたとしている俺の服をあっという間にびしょびしょにし、普段のさえない俺を水も滴るいい男へ と変身させてしまった。って冗談を言っている場合ではない。早いとこ雨宿りできる場所を見つけ なくては。あたりを見回すとどこの店もびしょびしょのまま入れるような雰囲気ではなく、雨宿り は出来そうにない。ええい、どこかないのか。俺は走りながらも懸命にあたりを捜索した。普段の 不思議探索でも、このくらい真剣に行えば何か見つかっていたかもしれない。何せこっちにはハル ヒがいるんだからな。俺の弛まぬ努力の結果、一箇所だけ雨宿りが出来そうな場所を見つけた。そ の店は歩道の方向にも屋根がせり出しており、雨の大部分はしのげることだろう。はやる気持ちを 押さえつつ、ダッシュでその店まで行き、びしょ濡れの髪を掻き揚げてショーウィンドウを覗いた。 ランジェリーショップだった。幸いにして店内に客はいないようだが、店員さんの目線が痛い。い や、向こうも事情はわかっているといった様子だが、そのためかやや笑みをこぼしており猛烈に恥 ずかしい。思春期のうぶな男子生徒には拷問のような仕打ちだ。もしもこの姿を知り合いに見られ ようものなら生き地獄だ。やれやれ、泣きっ面に蜂とはこのことだな。 15分ほどその場で雨宿りしていたが、一向に雨脚が弱くなりそうな気配はない。さて、どうし ようか、と思いをめぐらせていると、 「あれっ、こんなところで何してるんですか。」 とできれば二度と聞きたくない声が聞こえてきた。地獄に仏という言葉はあるが、地獄にはやはり 鬼しかいないようだな。俺はそう言うと顔をもたげて、そいつ、橘京子を見据えた。白いブラウス にオレンジのワンピースを着て、三度目にあったときも持っていたフェンディーの傘を掲げていた。 橘は、思わず笑い返してしまいそうになる楽しげな笑みを浮かべ、こちらへと近づいてきた。 「ふふっ、そんなこと言ってると、本当に鬼にしか会えなくなってしないますよ。…それにしても どうしたんですか。こんなところにお一人で。高校生の女の子に下着をプレゼントするのはあんま りベターな選択とはいえませんよ。」 くそっ、誰がそんなことするか。かくかくしかじかで雨に降られちまっただけだ。まぁ、お前には 関係ないがな。 「もう、またっ。見ればわかりますよ。ちょっと冗談を言っただけじゃないですか。それで、どう するんですか。そんな格好のままじゃ電車にだって乗れませんし、風邪を引いてしまいますよ。」 お前に言われなくてもわかってるさ。だからこそこうして途方にくれていたわけだ。 「なるほど、ランジェリーショップに駆け込みたくなるほど途方に暮れていたのですね。」 くっ、しつこいぞお前。朝比奈さんのこともこないだのことも絶対に許してやらないからな。 「あっ、そうだ。」 俺の悪態にも涼しい顔をしていた橘は、今まさに思いついた、というような声を上げると、右手の 人差し指をあごに当て、やさしげな笑みを浮かべた。そして、ややあってこう言い放った。 「あたしの家に来ませんか。このすぐ近くなのです。」 さて、どうするべきか。 二十分後、俺はとある大手ファッションセンターの前で一人たたずんでいた。人が出入りするた びに店内から店のオリジナルの歌が流れてくる。軽快かつ単純なそのリズムは、俺の脳細胞の中に もすっかりと刻まれてしまった。だがそれも仕方のないことだろう。なんせ十分もここに立ったま まなのだから。 橘のやつが、『家に帰る前に一箇所だけ寄って行きたいところがあるんですが、いいですか。す ぐ済みますから。』と言って、やってきたのがここである。女の感覚からすれば十分というのは大 変短い時間になるのだろうが、いつも買いたいものだけを買ってすぐに帰る俺にとっては、ずいぶ んと長い時間である。無論、これから世話になる人間に対して文句を言う権限などあろうはずもな いが、相手はあの橘だ。なんとなく、その行動すべてに難癖をつけてしまうのである。それにして も、ここで買える服は、現代の女子高校生が利用する衣服としてはいささかミスマッチではないだ ろうか。ハイブランドの服で全身をそろえろという気はないが、もう少しハイカラな店をチョイス して欲しいものである。あと付け加えておくが、俺は決してこの店を批判しているわけではないか らな。この不況の中、低価格を堅持しているその姿勢には感動すら覚えているくらいだ。むっ、そ うか。橘のやつ貧乏なのか。神的な能力をハルヒが所持している以上、あっちの組織は機関ほど裕 福ではないはずだ。いや、しかし、朝比奈さんを@誘拐したときはワゴン車を一台丸々放棄してい たな。ふむ、やはり橘のセンスに問題があるだけか。などと取り留めのない思考によって雨や風に 因る体温の低下を紛らわしていると、やっとこさツインテールが自動ドアを潜り抜けてこちらへ走 ってきた。 「お待たせしてしまってごめんなさい。こんな天気なのに、会計が込んでいたの。」 橘は軽く頭を下げると、左手にぶら下げた荷物を俺に突き出してきた。ちょっと待て、なんでお前 が買ったものまで俺が持たなきゃならんのだ。断固拒否させてもらう。 「そんなんじゃ女の子に嫌われちゃいますよ。あっ、でも今モテモテでしたよね。あなたのそんな そっけない態度に惹かれてるのかしら。」 大きなお世話だ。それに俺は全くもててなどいない。誘拐だけじゃなく、嫌味まで言えるようにな ったようだな。お前の家に行かざるをえないとはいえ、荷物持ちまでするつもりはないぞ。 「今日のあなたはなんだか藤原さんみたいですね。文句ばっかり。ふふっ、そんな怖い顔しないで 下さい。ほんとにあの人のことが嫌いなんですね。それと、今買ってきたのはあなたの服なのです。 ビショ濡れの服を乾かす間に着る服がないと困るでしょう。あたしはメンズ服は持ってないですし…。」 ぐっ、卑怯な。それを先に言っていれば俺とて何の文句もなく持っていたものを。 「あたしが言おうとした矢先に、あなたが発言したんでしょう。面白かったのですぐには訂正しな かったですけど。じゃ、そろそろ行きましょうか。」 橘は俺に荷物を預けると、当たり前のようにこちらへ身を寄せてきた。そもそも傘は一本しかった わけで、相合傘のようになるのは必然である。これが初めての相合傘なら相手が橘とはいえ多少狼 狽気味にもなろうが、こちとらハルヒで一度経験済みだ。俺はうろたえることなく悠然と歩を進め た。橘の家へ向かう途中は取り立てて言及することもない。橘が大体しゃべっていて、俺がそれに 相槌を打つという構図だ。たまに橘が俺の肩に頭を預けて、俺の反応をからかったりしていたが、 どうということもない。俺は顔を赤くなどしてないしな。そこ、嘘じゃないからな。 一人で暮らしているという橘の家は、わりと新らしい高層マンションだった。入り口にはカード キーのロックだけでなく、リアル警備員まで常駐していた。いたるところに監視カメラも取り付け てあり、女の子の一人でもこれなら安心して暮らせそうである。橘の部屋はそのマンションの最上 階に位置しており、エレベーターで5分以上も揺られてやっと到着した。まったく、景色はきれい なのかもしれんが利便性には疑問を持たざるを得んな。こつこつと前を歩く橘について行きながら そんなことを考えていた。そのうちに、橘が立ち止まった。 「着きました。ここです。」 そう言うと、鍵を空けて部屋のドアを開けた。 「ふふふ、ようこそあたしの家へ。あっ、ちょっと玄関で待っててくださいね。今、タオルを持っ てきますから。」 俺はとことこと部屋の中へ入っていく橘を見ながら、ドアを閉めた。玄関には今橘が脱いだ靴しか 置いておらず、それ以外はちゃんと靴箱にしまってあるようだった。また、壁にはくまさんのポス ターが張っており、同じ一人暮らしでも、長門とは違い女の子を感じさせるインテリアで占められ ている。 「お待たせしました。まずはこれで大体の雫を拭っちゃってください。」 橘がこりゃまたくまさんの描かれたバスタオルをもって戻ってきた。全裸に赤いTシャツのくまさ んだ。 「おう、悪いな。」 「そうしたらそこの扉がバスルームになってますので、先にシャワー浴びちゃってください。あと、 濡れた服は乾燥機に入れておいてくれれば乾かしますから。」 橘は今出てきたばかりの扉を指差しながらそういった。俺は体を拭くと、やっと少し落ち着けると 思いながらバスルームへ向かった。バスルームには橘の下着が干してるなどといったお約束もなく、 すぐに熱いお湯を浴びることが出来た。シャワーを浴びると先ほど買ったばかりの地味なスウェッ トの上下を着てバスルームを後にした。 廊下に出ると、食欲をそそる匂いが鼻腔をついてきた。 「ん、なんか作ってるのか。」 「あっ、お湯加減はどうでしたか。」 かわいらしいフリルのついたイエローのエプロンを着た橘が、キッチンから顔を覗かせてきた。 「おかげさまで生き返る思いだ。礼を言っておこう。それで、何を作ってるんだ。」 「ビーフシチューです。あなたも昼ごはんはまだでしょう。服が乾くまで時間がかかりますし、食 べて行きませんか。」 確かにもう昼時だな。今日は休日ということで朝起きるのも遅く、朝ごはんを食べてないし腹が減 ってきたな。 「何から何まで悪いな。」 「いえ、気にしないで下さい。あなたにはこれからもいろいろと迷惑をかけることもあるでしょう から。ギブアンドテイクなのです。」 橘は腰に手を当てて誇らしげにそう言った。というかこれからまだ迷惑をかけるつもりなのかよ。 出来れば勘弁してもらいたいもんだ。 「それじゃあ、あたしもシャワーを浴びてきますね。鍋の火はこのままかけといてください。」 そう言うと、エプロンをはずし着替えを持ってバスルームに入っていった。お約束のやり取りがあ ってもいいものだが、橘はお約束が嫌いなようで、そのまま鼻歌を歌いながら出て行ってしまった。 しばらくするとシャワーの音が聞こえてきた。同世代の女の部屋に一人残されるというのはなんと も落ち着かないもので、あちらへ歩いてはすわり、歩いてはすわりと、おまわりさんが見ていたら 職務質問されそうな装いだった。橘の部屋はホワイトを基調として、暖色系のオレンジやイエロー のマットや家具、それにすっかりおなじみのくまさんのグッズが並べられていた。また、棚の上に はにおいつきのアロマキャンドルが弱弱しい明かりをともしている。玄関でも述べたが、長門(部 屋には何もない)や中学時代に訪れた佐々木の部屋(佐々木らしくスタイリッシュにまとめられて いた)とは違って、ザ・女の子といった部屋は、俺に一切の安らぎを与えることはなかった。しか しながら、徐々にではあるが落ち着いてきた俺は、背の低い机の前に身じろぎもせずに座っていた。 「ふーいい湯だった。やっぱりシャワーは生きる活力を与えてくれるのです。」 20分後、橘がバスルームから出てきた。湯上りということもあって、いつもよりやわらかい印象 を与える表情をしている。また、濡れた髪がわずらわしいからだろうが、自慢のツインテールを解 いて、髪をシニヨンに結い上げていた。Tシャツにジャージという色気のない服装ではあるものの、 そこから覗くうなじは、普段、幼い印象を与える橘を女性的に演出していた。ギャップとは恐ろし いものである。なるほど、あのツインテールはこういう効果もあるわけか。谷口あたりなら野獣と かしているところだろう。いや、あいつはいつでも野獣か。 「あっ、シチューもそろそろ煮えたみたいですよ。」 俺が風呂上りの橘に面食らってる間に、当の本人はキッチンへすいすいと入っていたようだ。 「パンしかないんですけど、かまいませんか。」 キッチンから橘の声が聞こえる。昼食にパンとは日本も国際化したものである。俺はどちらかとい えばお米のほうが好きだが、メインディッシュがビーフシチューならパンもなかなかいいものだ。 「じゃあ、運ぶの手伝ってもらえますか。」 「おう。」 それから、しばらくは世間話をしながら橘の料理に舌鼓を打った。一人暮らししているだけあって こいつの料理がなかなか上手く、一瞬こいつのしてきた悪行―主に誘拐―を忘れてしまいそうにな るほどだった。 昼食を終えて一段落すると、橘がコーヒーとカステラを持ってきた。 「食後はやっぱりコーヒーですよね。砂糖やミルクは入れますか。」 「いや、俺はブラックでいい。」 ゆらゆらと湯気を立てるコーヒーを口に含むと、強い苦味が広がった。しかしただ苦いだけでなく、 その奥にはしっかりとこくがあった。意外にも橘もブラックのようであったが、カステラを片手に 幸せそうにコーヒーを飲んでいた。ん、そういえばお前の両親はどうしてるんだ。組織のこととか 知ってるのか。 「いえ、二人とも機関については何も知りません。もちろん、佐々木さんや涼宮さんのことも知り ません。ごくごく普通の一般人なのです。今は仕事の関係でアンドラで暮らしています。」 アンドラってどこにあるんだ。アフリカのどっかか。いや、あれはアンゴラだったか。ええい、や やこしい。まぁそれはともかく、よく一人暮らしが許されたな。俺の妹じゃ絶対許してもらえない だろうな。 「ええ、それはもう、説得するのに苦労したのです。でも、あたしはしっかり者で、信頼も厚かっ たですから、いろいろと理由を言ったら許してくれました。一人暮らしは高校に入ってからですけ ど。両親には感謝しないといけないですね。そのおかげで、今、こうしてあなたの前にいられるの ですから。」 俺にとっては残念な結果だがな。 「もうっ。」 橘はそういいながら手をパタパタとさせている。しかし、親御さんが何も知らないということは、 こいつはずっと秘密にしながら活動していたわけだ。こいつといい古泉といい怪しいやつばっかり だな。それにしても、一人娘が母国で誘拐なんかしてると知ったら、お前の親も泣いてるんじゃな いか。 「それは…、そうかも知れません。でも、あたしたちにとっては絶対に必要なことだったの。機会 を設けてくれるなら、朝比奈さんにも是非謝りたいと思っているわ。」 おう、是非ともそうすべきだね。出来れば会わせたくはないが、今日は借りもできたし、考えてお いてやろう。だがな、お前たちがなんと言おうが、あんな行為に意味などあるはずもない。 「そうですね…。まだあなたの服が乾くのに時間がかかりますし、いい機会だから話しておこうと 思います。」 橘は、神妙にそう言うと語り始めた。 「あの誘拐劇の意味を理解して頂くには、まず、あたしたちの置かれた状況を理解して頂かなくて はなりません。佐々木さんが神のような存在であるということや、あたしたちに力を与えた存在が 佐々木さんであること。これらのことは事実です。少なくともあたしたちにとっては真実なのです。 これは絶対に譲ることの出来ないことなの。また、佐々木さんが神のごとき力を持っていたほうが、 世界が平穏である、ということにも、確信を持っています。事実、涼宮さんは、幾度となく今の世 界を変容させようとしてきました。中学時代は特にひどかったのです。しかし、そんなあたしたち の思いとは裏腹に、改変能力は涼宮さんが所有し、宇宙人や未来人はあちらに近づいて行きました。 あたしたちは不安になりました。」 橘は、ここでいったん言葉を切ると、少し冷めたコーヒーをこくりと飲み込んだ。 「あたしたちはその不安を解消するために、様々な意見を出し合いました。その中には、非常に危 険な強硬手段、つまり、佐々木さんや涼宮さんを暗殺しよう、と言う者たちまでいました。二人が いなくなれば、世界の消失を心配する必要はなくなりますからね。殺した時点で、世界が消えてし まう危険性もありますが…。ただ、そういったリスクがなかったとしても、そのような手段に賛成 することは出来ないのです。絶対に。ですが、それに対して強く反対し、そう主張する者たちが組 織から出て行ってしまったら、もう彼らを止める事はできません。組織は彼らに対して何の拘束力 も持たなくなるのですから。できることといえば、せいぜい佐々木さんたちの護衛を強めることく らい。だからあたしたちは、彼らを組織に留めつつも、そういった手段を今後、絶対に実行させな いようにする必要があったの。あっ、でも、これで組織のことを軽蔑しないでほしいの。だって、 同じような火種は、機関も未来人も宇宙人も抱えているんだから。宇宙人に関しては、あなた自身、 身をもって体験したんじゃなかったかしら。」 確かに、ハルヒなんていう子供に言いように振り回されて、機関の仕事に嫌気がさしているやつは いるだろうな。宇宙人にだって俺は一度殺されかけたし、機関に対しても、未来の勢力に対しても きな臭さは感じているさ。だがな。朝倉の襲撃以来、どの勢力も強硬な手段には出てきてないし、 それどころかいろいろと世話になってる。結局のところ、あいつらの勢力はそういう爆弾をきっち り抑えることに成功していて、お前らのところは暴発させちまったってことだろ。おまえがどんな 人間であれ、そんなやつらを信じることなど絶対に出来ないな。 「早合点しないで、あれは抑え切れなかった訳ではないの。ガス抜きのようなものなの。あたした ちは今言ったような状況にあって、ずっと耐えてきたわ。そんな中、やっと転機が訪れたの。」 藤原と九曜か。 「ええ、その通りよ。彼らの出現で、あたしたちはにわかに活気づいたわ。これでやっとスタート ラインにたてた、ってね。そのおかげで、これまであった強硬論は一切消えうせたわ。むしろ、今 までそういっていた人たちほど深く思いつめていたから、今までの陰鬱とした議論が嘘のように喜 んでいたわ。でもね。だからこそ、未来からの甘言に簡単に乗せられてしまったの。それでも、彼 らを諭すことは出来たと思うわ。だって3年間も抑えてきたんですもの。だけど、そうして抑えた 後で、あたしたちの行った方法が失敗したらどうなるかしら。一度、光を見てしまっただけに、彼 らはきっとひどく落ち込むと思うわ。それこそ強硬な手段も辞さないほどに。そしてそうなったら、 あたしたちは彼らを止める事はできないわ。なぜなら、彼らの主張を遮ってまでやった方法が失敗 しているから、あたしたちに対する信頼が失われてしまうでしょ。もちろん、これはあくまで想像 よ。でも、そうなる可能性が少しでもあるなら、それを排除しておきたかったの。」 つまり、そいつらの主張を一度採用することにより、今後、そいつらが暴走するのを防いだってこ とか。 「ええ、それにあの誘拐劇が失敗するだろうってことはわかっていたから。失敗すれば彼らも、あ たしたちの失敗にも寛容にもなるし、一石二鳥だったのです。ただ、これはあくまであたしたちの 都合だし、朝比奈さんには恐ろしい目にあわせてしまって申し訳ないと思っているわ。」 橘はそう言うと、視線を落とし頭を深く下げた。まあ、なんていうか。今の話が本当だとするなら、 さっき言ったとおり朝比奈さんに合わせてやらんでもない。実際、古泉の話によるとお前は反対派 だったらしいし、俺がお前の立場だったら同じことをしたかもしれんしな。 「ふふふ、ありがとう。朝比奈さんに会えるのを楽しみにしているわ。」 橘は少し安堵したように笑顔を浮かべた。うむ、精々、謝罪の言葉でも考えていなさい。だがな、 これはあくまで誘拐のことについてだけで、ハルヒの力を移すとかは待ったくべつだからな。 「ええ、わかっているわ。だから、それに関しては別の手段を考えてるの。」 『それはどんな?』と橘に声をかけようとすると、突然、不意に、猛烈な眠気が襲ってきた。体が がくりと傾き、腕がテーブルの上を払う、もうコーヒーの入っていないカップが静かに絨毯に落ち る。しかし、それでもカップは割れることはなかった。状況が全くつかめないまま、頭をもたげ橘 を見据えると、親しみを感じさせる笑顔は消えうせ、橘京子個人から機関の橘京子の表情に変わっ ていた。 「やっと、睡眠薬が効いてきたみたいね。今飲んでいたコーヒーに入れておいたの。このあと、藤 原さんと九曜さんに協力してもらって、あなたと佐々木さんを監禁させて頂くわ。あなたが何日も 佐々木さんと一緒に行方不明になったら、涼宮さんはどう思うかしら。ふふふ、世界が崩壊してし まうかもしれないわね。どうすればくい止められるかしら。」 くそっ、一瞬でもこいつを信用した俺が馬鹿だった。意識が朦朧としてきて口が動かない。橘が何 かぐだぐだとしゃべり続けているが、一切頭に入ってこない。体の感覚が段々となくなってくる。 まぶたを開けているのも辛くなってきた。俺は最後の抵抗のつもりで、ありったけの殺意をこめて 橘をにらみつけた。そんな俺の視線も橘は華やかな笑顔で受け流し、ゆっくりと口を4回動かした。 お・や・す・み と。そしてそれを最後に、俺の意識は夢の世界へと旅立っていった