約 1,895,797 件
https://w.atwiki.jp/krmember/pages/52.html
名前 lLondl(ボリス) 呼称:ぼんばー 愛称:ロンちゃん・さん・くん、アフロン、がぷりよつ 性別:ニュークォーター レベル 100あたり 出没時間帯 21時あたり その他使用キャラ:〇凹 コテッ 自己紹介 こんにちは。ぼくドラエモンでしたー。 えーと、はい! KRをいつも、小杉竜一(ブラマヨ、イニシャルKR)と解釈しかけるロンドです! どうして人は悲しくなるのでしょうか。 それは、そこにアフロが無いからです。 なぜアフロがもじゃもじゃっとしているかわかりますか? それは、そこにアフロがあるからです。 アフロをかぶる、それはごく自然なことです。 自分を偽ってはしあわせになれませんよ? アフロへ清き一票をお願いいたします!! メンバーへ一言 だしっぱなし、さしっぱなし、あけっぱなし、ながしっぱなし… 小さなようで大きな話 ぱなしばかしじゃ地球も悲しい↓ アフロはアリって話です♪ ここを編集 他メンバーからのお言葉♪ ちょっと何言ってるか分かんない(^ω^) -- おくま (2010-03-05 01 20 20) 彼こそアフロマスター! -- マスター (2010-03-05 06 29 28) アフロは顔の一部です(=゚ω゚)ノ -- かねつぐ (2010-03-05 06 58 53) アフロでボリスをアピールしてるようです…w -- ラファエロ (2010-03-05 10 59 02) 基本良い人。時々暴言に近い発言(俺にだけ)。 -- ゆ改 (2010-03-10 11 22 19) リアルでもアフロにして欲しいな♪ -- なーや (2010-03-10 20 50 28) 壁|д・´) 師匠・・・ツイテイキマス -- うらん (2010-04-26 21 37 01) わかめおつ^^ -- ヨッシー (2010-04-27 20 07 42) 実はしっかりもの。実はクラブきっての努力人。実は優しい人。 -- マスター (2010-05-11 23 06 08) 皆のクラチャに反応してくれる人。良い人かも・・・私もまりもって呼んで良いですか! -- りーべ (2010-05-12 23 28 07) まりも饅頭買ってきて( ゚д゚) -- かねつぐ (2010-05-19 06 54 52) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/rohan_coralreef/pages/46.html
めちゃくちゃ装備にお金がかかるが、 現在、単体火力最強職 他の職の最強の一撃に近い攻撃を通常攻撃でたたき出します ギルマス専用スキルの無敵を入れたテンプラ見たら 逃げること以外しちゃだめ! メンバリ・グループユーフォリア・リバイブによるメンバー援護もあり Lv60 http //rohan.redpotion.jp/simulator.php?sel1=elf_healer sel2=elf_templer sel3=59 e_heal=1 e_divine_aura=1 e_magical_blow=5 e_group_heal=1 e_magic_barrier=5 e_detect=1 e_instance_heal=1 e_mental_barrier=5 e_teleport=1 e_revive=3 e_kill_time=1 e_t_mental_blow=5 e_t_int_blow=5 e_t_blunt_mastery=5 e_t_reflection=5 e_t_euphoria=1 e_t_group_euphoria=5 e_t_mana_shield=5 e_t_vanishment=2 e_cure_silence=1 Lv90 http //rohan.redpotion.jp/simulator.php?sel1=elf_healer sel2=elf_templer sel3=89 e_heal=1 e_divine_aura=1 e_magical_blow=5 e_group_heal=1 e_magic_barrier=5 e_detect=1 e_instance_heal=1 e_mental_barrier=5 e_teleport=1 e_revive=5 e_kill_time=1 e_t_mental_blow=5 e_t_int_blow=5 e_t_blunt_mastery=5 e_t_reflection=5 e_t_euphoria=5 e_t_group_euphoria=5 e_t_mana_shield=5 e_t_vanishment=2 e_cure_silence=1 e_t_mareas_anger=4 e_t_cast_over=1 e_t_incarnation=5 e_t_mareas_hammer=5 e_t_white_curse=5 e_t_grey_mask=1 e_t_erase=2 e_t_destruction=1 Lv99 http //rohan.redpotion.jp/simulator.php?sel1=elf_healer sel2=elf_templer sel3=98 e_heal=1 e_divine_aura=1 e_magical_blow=5 e_group_heal=1 e_magic_barrier=5 e_detect=1 e_instance_heal=1 e_mental_barrier=5 e_teleport=1 e_revive=5 e_kill_time=1 e_t_mental_blow=5 e_t_int_blow=5 e_t_blunt_mastery=5 e_t_reflection=5 e_t_euphoria=5 e_t_group_euphoria=5 e_t_mana_shield=5 e_t_vanishment=2 e_cure_silence=1 e_t_mareas_anger=5 e_t_cast_over=1 e_t_incarnation=5 e_t_mareas_hammer=5 e_t_white_curse=5 e_t_grey_mask=1 e_t_erase=5 e_cure_confusion=1 e_saint_strike=4 e_t_destruction=1
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1361.html
BIOHAZARD 6 レオン編 part63-300~,351~355,384~393、part64-5~11 301 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/10/19(金) 19 25 51.38 ID QInqt6090 【レオン編】 CHAPTER 1 合衆国大統領直属のエージェント組織【DSO】の一員、【レオン・S・ケネディ】は、震える手を押さえながら銃を構えた。 「それ以上近づかないでください」 通じないことはわかっていた。“感染者”は、もはや人間ではないのだから。しかしそれでも、レオンは呼びかけ続けていた。 「近づかないでください…… お願いです、大統領…… ……アダム!」 届かないとわかっていても、彼は叫んだ。しかし、合衆国大統領アダム・ペンフォード“だったもの”は、 殺戮本能の赴くまま、シークレット・サービスの女性へと襲い掛かろうとしていた。 次の瞬間、彼は心を氷に閉ざして、引き金を引いた。 ……時は2013年6月29日。場所は合衆国の地方都市トールオークス、アイヴィー大学の一室。 この大学で、大統領はパーティを開催し、そしてその壇上で、ある重大な発表を行なう予定であった。 しかし、それはもうもはや叶わない。彼は、動く死体を経て、いまや物言わぬ死体へと変わり果てていた。 ショック冷めやらぬなか、シークレット・サービスの女性は、意を決したようにレオンにある衝撃的なことを告白した。 「私がやったの…… 私が、この事態を引き起こした」 突然の展開に驚くレオン。女性の正体と話の内容とを尋ねる。だが、女性はそれに答えず、目的地だけを告げた。 「トールオークス教会の大聖堂。そこですべてを話すわ」 ちょうどそのとき、オペレーターの【イングリッド・ハニガン】から通信が入った。 ハニガンはDSOをサポートする組織【FOS】の一員で、レオンとは9年前の事件で組んで以来の長い付き合いである。 ハニガンによれば、この女性は【ヘレナ・ハーパー】。現在シークレット・サービスに出向しているが、所属はDSOらしい。 「二人とも無事でよかったわ。状況を報告して」 「……大統領を射殺した」 ハニガンの指示に対して、沈痛な表情で答えるレオン。 さすがのハニガンも驚き絶句したが、しかしある程度周辺状況を把握しているだけに、事情はすぐに飲み込んだようだ。 「大学を中心に半径3マイル四方が感染。状況は悪化する一方よ。今すぐ脱出して」と、ハニガンは言った。 平和だった街は、瞬く間にバイオテロの餌食となり、ゾンビが溢れる地獄へと変貌したのである。大統領も犠牲となった。 「トールオークス教会に向かうわ。レオンが犯人の情報を掴んだらしいの」 ヘレナが素早くウソをついた。レオンも、少し考えて、それに調子を合わせることにした。 騙されてくれたかどうかはわからないが、ハニガンは教会行きを許可し、サポートしてくれることになった。 「……やけに教会にこだわるな? 懺悔したいことでもあるのか?」 「そこじゃないと話を信じてもらえないからよ」 軽口を混ぜながらもレオンが質問するが、ヘレナはそれに簡潔にしか答えない。すべての説明は、教会に着いてからだという。 大学の木造校舎を進む。木の床を革靴で踏む足音が、人の気配のまるでない廊下に響いた。……15年前の記憶(トラウマ)が蘇る。 「もしこの事態を引き起こしたのが本当にお前だったら……覚悟してもらう」 レオンはヘレナに対して、冷たく言い放った。 ふと、人影が見えた。生存者か。素早く追跡する二人。 追いつくと、大学職員の男性であった。どうやら構内にいるはずの娘を探しているらしい。 いったい何があったのか、状況を把握しきっていないレオンは彼に尋ねてみた。 「霧… 突然、霧のようなものが!」 と、彼はやや曖昧な表現で答えた。パニックや不安もあるし、実際、正確なところはわからないのだろう。 リズ、という名前の彼の娘を一緒に探すことになった。 ヘレナは先を急ぎたい様子だったが、レオンは無視した。真相解明も大事だが、生存者保護のほうがもっと大事だ。 進んでいくと、意外とあっさりリズを発見できた。だが、血にまみれており、足元もおぼつかない様子である。 父親が彼女に肩を貸して歩いた。大学から出るには、地下の駐車場に行けばいい、と彼は教えてくれた。 四人でエレベーターに乗り込む。だが、エレベーターが地下に着く前に、リズは力尽きて動かなくなった。 父親は泣いた。感染したのか、咳き込みながらも泣いた。 そのとき、急に停電が起こった。暗闇に包まれる。 「グァァァァ……!」 うめき声。肉に何かが突き刺さる音。血が噴出す音。何かを噛むような音。 電気が戻った。……父親は死んでいた。娘は、父の喉を食いちぎり、その肉に食らいついていた。 次の獲物のレオンに襲い掛かるリズ。不意を突かれて対応が遅れたレオン。ヘレナに「撃て!」と叫んだ。 ヘレナはためらったが、しかし、レオンを助けるために発砲した。リズの頭に銃を突きつけ、撃ち抜いた。 「撃たなければ俺が死んでた。……それに、あれはもう……人じゃない」 ショックを受けた様子のヘレナを、レオンはそっと慰めた。 地下駐車場に着いた。しかし、ここももうゾンビに侵食されつつある。シャッターには、何十体もへばりついている。 シャッターを開けて外に出ることは不可能だろう。他の出口を探す必要がある。 悪夢のような状況の中、二人は脱出に向けて歩き出した。目指すは教会。大学構内を抜けて、徒歩で向かうことにする。 中庭に出た。そこのセキュリティ・ゲートを潜れば、外に出られる。職員棟に行って鍵を取り、ゲートを通りぬける。 裏通りに出て、ちょうどそこに停まっていたパトカーを拝借する。予備の鍵は、サンバイザーに挟んであった。 車を走らせ、このまま一気に教会へ……は、辿り着けなかった。事故車にぶつかり、車は横転。二人は何とか這い出る。 地上は、事故車と漏れたガソリンの火の海で、まともに進めない。ハニガンは下水経由で地下鉄の線路に入るルートを提案する。 それに従い、マンホールを降りる二人。深い縦穴の奥は、漆黒の暗闇であった。 ふと、レオンの脳裏に、アダム・ペンフォードと交わした会話が思い出された。 彼は、レオンにとっては上司であり、同時に、旧友であり同志であった。DSOは、彼がレオンを招いて設立したものだった。 昨今のバイオテロの横行する現実は、すべて【アンブレラ】が元凶とされている。しかしさらなる元凶は、合衆国政府だった。 アンブレラに生物兵器の開発を依頼したのは合衆国なのだ。だが、政府は15年前、アンブレラにすべての責任を押し付けた。 「だが、B.O.W.はいまや全世界の脅威だ。そうなった責任は我々にある。すべてを明らかにする、それが我々の務めだ」 アダム・ペンフォード大統領は、レオンにそう打ち明けていた。今日、行なわれるはずだった演説とは、それだったのだ。 その勇気ある決断をした彼は、今はもう動かない。レオンにできる弔いは、彼の意志を邪魔したこのテロの真相を解明することだろう。 地下鉄に出た。電車が猛スピードで走り抜けていく。轢かれそうになったところを、危なく避けた。 「なんで電車が?」「たぶん暴走だ。中身はゾンビで一杯だろう(That s a Zonbie Express)。」 ヘレナの疑問に、レオンは軽口で答えた。(エクスプレスには、急行電車という意味と、宅配便という意味がある) まだ先は長いのに、ライトの調子が悪くなってきた。暗闇の中、ゾンビと戦いつつ、二人は進む。 暴走電車を避けたり、停止した列車の中を通りぬけたりして、ようやく、教会に最寄の地下鉄の駅へと着いた。 地下に入ったことで一時的に途切れていたハニガンとの通信が回復した。周辺の様子を尋ねた。 「事態は悪くなる一方。……一言で言うなら“地獄”よ」と、ハニガンは端的に答えた。 街中いたるところで車両事故が起き、そこらじゅうが火の海だった。この光景もまた、15年前を思い出させるものだ。 ゾンビの中には、鎮圧に来ていた特殊部隊員らしき格好の者もいた。装甲が分厚く、銃弾を弾かれてしまう。厄介だ。 また、喉が驚異的に発達し、「鳴き声」によって攻撃とゾンビ召集を行なう変異体にも遭遇した。 状況に応じて、民家を通り抜けたり、工事中の足場を使ったりして、着実に進んでいく二人。 すると、生存者を見つけた。カップルと、警察官だ。横暴な男、ヒスる女。ゾンビ映画の典型のようなカップルだった。 警察官曰く、近所のガンショップにも生存者がいるという。豊富な武器と強力な防犯設備で、拠点になっているらしい。 レオンは彼らと合流してそこに向かうことを提案。ヘレナは半ばあきらめたようにそれに合意した。 ガンショップについたが、店主のオヤジはちょうどゾンビも押し寄せてきているという理由で入れてくれない。 とりあえず周辺のゾンビを片付けろ、というオヤジ。「害虫駆除じゃないんだぞ……」とちょっとあきれるレオン。 カップルの男が「付合ってられるか、俺は逃げる!」と一人で出て行った。そして、お約束のように死んだ。 レオンは、ゾンビの中に「ダメージによって変異する固体」がいることに気づいた。 脱皮というか、表面のヒフがズルリと脱げて、筋肉剥き出しの姿になると、身体能力が驚異的に向上しているのである。 【t-ウィルス】によるゾンビとは、性質が違う。おそらくは、新型のウィルスなのだろうと想像できた。 ガンショップ周辺のゾンビを一通り片付けて、次の連中が押し寄せてくる前に、急いで二階へと上がって合流した。 (生存者の中に日本人がいて、日本語で「まかせとけ!」「やったぞ!」とか言う。ドラマ『HEROS』を意識してるのかな) ショップ店長のオヤジ曰く、友人がバスでこちらに向かっているという。合流したら、避難所の教会に行くつもりらしい。 寄り道かと思いきや、結果的に教会への最短ルートとなった。二人は、このまま生存者たちと行動を共にすることにした。 ゾンビがまたぞろぞろと押し寄せてくる。すると、極めて異常な巨体のゾンビが登場した。巨漢というより、肥満体である。 「XLサイズもいたのか」とレオンは軽口を叩いたが、そのパワーと重量は尋常ではない。相当の苦戦を強いられる。 生存者で力を合わせたものの、無尽蔵のゾンビたちにじりじりと押されていく。部屋から部屋へ、ベランダまで追い詰められた。 と、そこへ爆音をあげてバスが到着。助かった。全員バスに乗り込んで、いざ教会へ向けて出発……できなかった。 まだ生きていた肥満ゾンビが、バスを持ち上げている。タイヤが空回りして走れない。 ガンショップのオヤジが転落した。助けようとして、日本人も一緒に落ちた。オヤジは奥の手の手榴弾でゾンビごと自爆した。 あとちょっとのところで犠牲となった二人を悔やみつつ、レオンは肥満ゾンビに銃弾を浴びせる。 ゾンビが手を放した。バスが走り出し、ゾンビを轢き殺しながら進んでいく。 ……夜は、まだ始まったばかりだ。 351 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/10/26(金) 20 54 25.62 ID jLx55A0p0 【レオン編】 CHAPTER 2 バスの車内にて、ハニガンと連絡をとる二人。彼女曰く、トールオークスの9割、約7万人が感染しているという。そして…… 「“ネオアンブレラ”を名乗る集団から犯行声明が出ているわ」 「アンブレラ!? ……ラクーン・シティの再来というわけか」 思い出したくなかった名前を聞かされ、表情が曇るレオン。 「ところで、あなたは何を掴んでいるの、レオン? あなたから情報を引き出せと“外部”がうるさいの」 とハニガンは言った。外部とは、FOSオフィスに乗り込んできた大統領補佐官の【ディレック・C・シモンズ】のことだ。 DSOおよびFOSはあくまで大統領直属。政府内での大統領の側近であろうが、ここでは権限を持たないヨソ者である。 とはいえ、大統領が死亡した現在、その原則にも矛盾が生じ始めている。シモンズの介入を防げる状況にはない。 説明しろと言われてもできないし、ウソでしたとはいえない。口ごもるレオン。 だがそのときうまい具合に(というと語弊があるが)、バスが事故を起こした。動けなくなったところを、ゾンビに囲まれる。 さらには、暴走トラックに突っ込こまれて、バスは崖から落下した。レオンとヘレナは外に放り出され、泥の上を転がった。 彼ら以外の生存者は、バス落下の衝撃で押しつぶされたか、その後の爆発炎上で焼け死んだ。 「嘆いてるヒマはないわ」とヘレナは言った。そのとおりだった。教会はもうすぐ、墓地を抜ければ辿り付ける。 墓地の中では、肉がかなり腐れ落ちているゾンビと頻繁に遭遇した。おそらく、埋められた死体が蘇っているのだろう。 今回のウィルスは、t-ウィルスをはるかに上回る、強力な感染力を持つということだろう。 鍵を探したり、ゾンビに襲われた弾みでヘレナとはぐれたり、いろいろしつつも墓地を抜け、ついに教会に到着した。 分厚いドアを叩き、開けるように頼む。しかしまたもやちょうどゾンビが押し寄せてきて、殲滅するまで入れてもらえない。 「お前を信じてここまで来たんだぞ? それに値する情報なんだろうな?」 「そう思えなければ遠慮なく私を撃てばいい」 ゾンビと奮闘しながら、レオンは念を押して尋ねる。ヘレナはそれに淡々と答えた。 ようやく中に入ることができた。生存者たちは喜びを見せるが、レオンが「救助隊じゃない」と言うととたんに落胆した。 所在なげにうろうろとしている生存者たちをよそに、ヘレナはまっすぐに教会の祭壇へと向かい、そして顔色を変えた。 「前に来たときは、確かに階段があったのに……。仕掛けがどこかにあるはずよ」 そういうことなら、レオンは慣れたものだ。そこらじゅうを探索し、聖母像をつかった仕掛けを解読。ドアが開いたので、 その先にある石像の罠や、レーザー光に反応するドア、鐘を撃って鳴らす仕掛けなどを次々と解読していく。 そして、鍵となる像を手に入れて、再び聖堂に戻ってきた。それを使って、祭壇に隠れた階段を開く。 ……すると、その階段から、ぶよぶよと膨れた体の怪物が登場した。体中に、乳房にも似た袋状の器官をぶら下げている。 怪物は、その器官から紫色のガスを噴出した。ガスに触れた生存者は、あっと言う間にゾンビに変わってしまった。 大学で出会った生存者の「霧」という言葉を思い出すレオン。……今回の事件の元凶は、どうやらコイツらしい。 その怪物、【レポティッツァ】を撃破した二人は、階段を降りていく。すると、薄汚い牢獄のような場所に出た。 番号を入力するだけで鍵が開く、非常に簡素なセキュリティ・ロックがかかっているので、入力して進んでいく。 椅子がひとつ置いてあるだけの、少し広い監房に着いた。ヘレナが椅子の感触を確かめるように触って、言う。 「……この場所覚えてる。デボラがまだいるはずだわ」 言うと、ヘレナはどんどん先行してしまう。デボラという名前を呼び続け、部屋を手当たり次第に調べていく。 とある部屋に着いた。牢獄から一転、ハイテク機器が充実した、いかにもバイオ研究所という感じの部屋だ。 そこの培養カプセルには、人の形をした、全身かさぶたに覆われているような、【サナギ】のようななにかがあった。 「3日前にはこんなものなかった」とヘレナは驚く。どうにも説明が要領を得ないが、ヘレナは説明は後だと言い続けた。 その研究室で、レオンはVHSビデオテープを見つけた。……2013年のいまどき、VHS? と思いつつ、手にとると…… ラベルには『Happy Birthday Ada Wong』の文字。……【エイダ・ウォン】!? 驚き、ビデオを再生するレオン。 培養層の中にあるのと同じ、人間型のサナギ。その背中が割れて、粘液の糸を引きながら、人間が這い出してきた。 それは、アジア人らしき髪色と肌色の女性だ。その女性が顔を上げる。それは……まさしくエイダ。 「……これがお前の言う“真実”か」 レオンがいらだたしげに尋ねる。が、ヘレナは知らないと答えた。 「あんなの人間の生まれ方じゃない あなた“あれ”の知り合いなの?」 怯えたような疑いの声で、ヘレナが言う。 「……まあな。……お前が全部話すなら、引き換えに教えてやってもいい」 レオンは少し面倒そうに答えた。 研究施設の中もゾンビがうようよいた。白衣を着たゾンビが目立つ。研究員も被害に遭ったようだ。 そして、ところどころ、さきほどのサナギがぽつぽつと存在していた。これもまた研究員のなれの果てだろうか。 そのサナギの背中が割れて、中からオゾましいクリーチャーが誕生し、襲い掛かってくる。まさに、地獄だ。 レバー操作で足場を操作しながら進むエリアを抜ける。ゾンビに囲まれたのでダストシュートで脱出した。 いいかげん、あてのない探索にいらだったレオンが、ヘレナに情報を明かすよう言うが、ヘレナの答えは同じだ。 「言ってもあなたは信じてくれない……でもあの子さえいれば…… “あいつ”の企みを立証できるの」 そしてついに、ある部屋にて、横たわる女性を見つけた。ヘレナは喜び、駆け寄る。 「デボラ! デボラ、しっかりして!」「……ヘレナ?」 彼女は生きていた。すこし虚ろではあるが、意識もあるようだ。三人で、脱出をめざし移動開始する。 だが、少し進むと、デボラが苦しみ始める。とつぜんの発火、そして変異。デボラもまた、サナギと化した。 そしてそのまますぐ、背中が割れて、再誕した。……もちろん、怪物として、だ。 狂乱し、泣き叫ぶヘレナ。デボラがもはや人間ではないことを、すぐには受け入れられない。 駆け寄り、抱きしめる。デボラの背中から生えた触手が、ヘレナの背中に突き刺さろうとしていることに気づかない。 突如、ボウガンが飛んできた。デボラに直撃し、吹っ飛ばす。驚いて振り返る二人。そこにいたのは……エイダ。 「まるでバケモノでも見るようね」 エイダは、いつもの微笑と口調を見せた。 ヘレナは彼女に銃を向けた。それをそっと抑えるレオン。そして、エイダに説明を求めた。だが、やはりはぐらかされる。 お約束通り、地下施設が崩れ始めた。長居はできない。 「どうする? まだ話を続ける?」 エイダに皮肉っぽく言われるまでもなく、脱出を優先するしかなかった。 だが、変異を続けるデボラに襲われる。脱出しつつも、ところどころでは戦いながらの行動になった。 広間っぽいところでは戦闘し、そこが崩れて落ちたら今度は脱出優先だ。エイダを加えた即席チームで進んでいく。 ヘレナから少し離れたときを見計らったように、エイダはレオンに指輪をそっと渡した。 「勘違いしないでね? 意味はあとでわかるわ」「そうかい」 相変わらずエイダは秘密主義だ。レオンも質問しなかった。 トロッコを見つけた。おそらくは、外に通じているはずだ。それの発車と同時に、再びデボラが襲来。走りながら戦う。 無駄だと分かっていても、デボラに対し呼びかけ続けるヘレナ。彼女に対して、エイダが冷たく聞こえる声で言った。 「殺してあげなさい…… 妹さんが可哀想だと思うのならね。でないと、あなたが殺されるわよ」 トロッコが脱線した。足場に片手でつかまり、今にも落下しそうなエイダ。そして今にもデボラに襲われそうなヘレナ。 レオンは片方に手を貸し、片方に射撃援護してそれぞれを救い出す。 デボラが落下していく。ヘレナが伸ばされた手を掴んだ。……だが、彼女にももう分かっていた。もうこれは、妹ではない。 「……もう泣かないわ、あなたの仇をとるまでは ……だから……許して」 ヘレナは、手を緩めた。デボラの手がすり抜けていく。長い竪穴の底知れぬ闇へと、デボラは墜ちていった。 ついに、ヘレナは重い口を開いた。 今回のテロ事件は、すべて大統領補佐官のシモンズが絵図を描いたものである、と。 シモンズは、ヘレナとデボラの姉妹を拉致。デボラを人質にして、ヘレナを脅迫する。「大統領の警備に隙を作れ」と。 今回のテロの最大の標的は、大統領だったのだ。トールオークスの7万人は、それの巻き添えのようなものだった。 仕方ないとはいえ、ヘレナはテロの実行および大統領の暗殺の実行犯も同然。彼女の台詞は、そういう意味だったのだ。 ヘレナの情報を聞き終えたレオンは、次にエイダへと質問の矛先を変える。 だがエイダは、またしても「話せば長いわ」とはぐらかした。こうなると絶対に聞き出せない、とレオンは知っている。 「相手はこの国を作った連中よ。うまく立ち回らないと、自分たちが死ぬことになるわ」 エイダは、二人に対してそうアドバイスを残して、さっさと一人で立ち去ってしまった。 残された二人は、テロの首謀者にして、大統領の、妹の仇であるシモンズに、怒りをあらわにする。 そのとき、本部から通信が入った。 その声は、ハニガンではなかった。 「私がどうしたって?」 「……シモンズ!」 384 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/02(金) 13 11 31.16 ID DRLhSctd0 【レオン編】 CHAPTER 3 「君のことは大統領から聞いているよ、レオン・スコット・ケネディ君」 「こっちもアンタのことは聞いている。30年来の盟友だそうだな」 シモンズからの連絡は、遠回りな社交辞令から始まった。 シモンズは言う。 「君たちにテロ首謀者の嫌疑がかかっていてね。特にヘレナ・ハーパー、君は大事なときに警護をおろそかにした」 脅迫によって絵図を描いておきながら、いけしゃあしゃあと、シモンズは言ってのけた。 「ふざけないで! このテロを仕組んだのはあなたたちよ!」 「告発のつもりかね? なんの証拠があって言っている?」 シモンズは自信たっぷりに言う。実際、その通りだった。最重要容疑者である二人の証言に効力はないし、物的証拠はない。 「国家の安定を保つこと それが私たちの任務だ」 シモンズは言う。「国家の安定」と彼は強調した。レオンは、そこに陰謀の壮大さを嗅ぎ取る。これは容易ではない事態だ。 「……本当の地獄は、ここからのようだな」 余裕綽々のシモンズが通信を一方的に切ったあとで、レオンはヘレナにそう打ち明けた。 「俺たちは同じボートの上のようだな、嫌が応にもパートナーというわけだ」 今いる場所は、教会の地下。カタコンペ(地下墓地)に繋がっているので、そこを通って脱出することにする。 教会の地下がまるごとバイオ研究施設 兼 実験生物収容所だったことを考えると、ここもシモンズの息がかかっているだろう。 案の定、趣味のいい仕掛けが山盛りの、インディ・ジョーンズの映画に出てきそうな遺跡に仕上がっていた。 ほとんどミイラ化した死体のゾンビがうようよと出てきた。教会に収められた死体か、あるいは長年の生体実験の廃棄物か。 「やれやれ、教会で暴れまわった罰か?」 こんな状況でも、レオンは軽口を忘れない。 先に進むと、「一族の証を示せ」と刻まれた頑丈なドアに辿りつく。あいにく二人ともシモンズの一族とはつながりがない。 もしや、と思って、エイダからもらった指輪を使ってみると、ドアが開いた。 その先は、水の満ちたエリア。そこには、サメ状の怪物がいた。できるだけ相手をしたくないものだ。避けて進む。 クランクで交互に鉄格子を開きながら進んでいく。 厳重な警備に辟易するが、しかしこういう仕掛けがあるということは、研究室を守るために人の手が加えられた道である証。 要するに、どこか出口と繋がっているというわけで、つまりこの道を進めば脱出できると考えてよいだろう。 ようやく大きな門に到着。これで出られそう、と思ったら、また落とし穴に落ち、再び地下遺跡へ逆戻りした。 崩れまくる道とゾンビたちに苦労しながらも、またひたすら進む。 そのうち、地下水流に出た。水の中を歩き、時にはもぐって泳ぎ、どんどん進んでいく。 先ほどのサメのB.O.W.に襲われるも、戦ったり逃げたりを繰り返すこと数度。 最後は、天然の岩肌ウォータースライダーを滑り降りながら銃撃し、サメを撃破することに成功した。 ひたすら水に流される二人。なんとか水面に浮き上がると、気がつけば市街を脱出し、湖まで抜け出ていた そんな二人の上空を、爆撃機が通り抜けていく。……ふと街の方向を見ると……キノコ雲が浮かんでいた。 かつてラクーンでも行なわれた、核ミサイルによる「滅菌作戦」であった。 トールオークスの街は、地図から姿を消した。もはや、テロの証拠は微塵も残っていないに違いない。 これもシモンズの差し金に違いない。歯噛みする二人。 そこに、ハニガンが連絡を入れてくる。彼女はまだ二人を信じて協力してくれるようだ。とても心強い。 シモンズは何者かと電話で会話し、慌てて出て行き、プライベート・ジェットで中国へ向かったらしい。 B.S.A.A.によれば、中国で新しいテロが起きているという。なにか想定外のトラブルのようだ。 「中国では、半年前に東欧で発見された、新型の【C-ウィルス】が使用されたらしいの」 とハニガン。新たな恐るべき脅威に、二人にも緊張が走る。 ハニガンいわく、DSOおよびFOS上層部からも、二人はテロ犯人だと疑われはじめているらしい。 レオンは一計を案じ、ハニガンに「俺たちはここで死んだことにしてくれ」と頼んだ。 時間を稼いでいる間に、中国へ乗り込み、シモンズと直接決着をつける。 387 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/02(金) 13 13 58.85 ID DRLhSctd0 【レオン編】 CHAPTER 4 ……2013年6月30日、中国、蘭祥(ランシャン)上空。 トールオークス消失から、まだ一晩も経っていないが、レオンらは次なる戦場へと向かっていた。 移動手段は飛行機。ハニガンに無理を言って用意してもらったもので、ほかにも乗客は何人かいる。 ヘレナは、なぜ当局に引き渡さなかったのか、尋ねる。ヘレナを突き出せば、少なくともレオンの疑いは晴れたはず。 だが、レオンはそうしなかった。そのことについて、レオンはまた得意の冗談を混ぜて答えた。 「君ひとりを悪者にして解決する事件じゃない。……それに、女に振り回されるのは慣れてる」 ことこういう事態において、こういう移動が平穏に終わったためしがない。案の定、飛行機が揺れた。 急いでコクピットへ向かうと、パイロットが感染し、あのレポティッツァへと変異していた。 紫色のガスを吐かれたら、乗客たちがゾンビと化してしまう! 急いで攻撃する二人。 しかしトドメを刺しきることができず、逃走を許してしまう。レポティッツァは天井裏へと逃げた。 飛行機の異常は止まらない。ハニガンの分析によれば、圧力隔壁に原因不明の異常とのこと。 後部へと向かい、バルブを閉める二人。そこに、レポティッツァ再登場。紫色のガスを盛大にぶちまけられた。 非常にマズい事態だ。すぐさま、ガスを外に放出させるために、後部ハッチを開いた。 ガス以外にも後部格納庫内のものが気圧差で吸い出される。レポティッツァも落ちていった。 レオンとへレナの二人も落下しそうになったが、なんとかハッチにしがみついて耐えて、飛行機内に戻った。 パイロット不在では飛行機は堕ちる。急いでコクピットへ戻る二人。 しかし、機内は既にガスで充満、乗客は全員ゾンビとなっていた。だが、手遅れを悲しむ暇はない。 コクピットに到着、今度は左の主翼に異常。墜落はほぼ確定事項だった。 「なけるな…… どこまでひどくなるんだ? この状況は……」 やむなく、レオンが操縦。せめて不時着は成功させようと、必死でレバーを引いた。 ランシャンの街が近づいてくるのが見えた。 ふとそのとき、レオンは、街を走る列車の上にエイダが立っているのを見かけた。 なんとか街に降り立った二人。少し進んだところで、思わぬ二人組と遭遇した。 その片方はレオンもよく知っている少女……いや、15年も経てばもう立派な大人か……【シェリー・バーキン】だ。 「シェリー、どうしてここに? エージェントになったとは聞いていたが」 レオンの問いに、シェリーは傍らの男……【ジェイク・ミューラー】を示し、「彼を保護し、連れてきた」と答えた。 レオンに同じ事を尋ねるシェリー。レオンは正直かつ端的に答える。 「俺たちは、大統領補佐官のシモンズを追ってきた。ヤツはテロの首謀者だ」 「えっ!? そんなはずない…… シモンズは私の直属の上司よ」 レオンの言葉に驚くシェリー。だが、レオンがそういうことで偽りや出鱈目を言う男ではないと、彼女は知っている。 互いにいろいろと情報交換したいところだったが、来訪者がそれを阻んだ。 シェリーらを追ってきたと思われる強靭な体躯を持つB.O.W.、【ウスタナク】が、攻撃を仕掛けてきたのだ。 巨大な鉄塊が投げつけられる。レオンはシェリーを救おうとするが、少し遠い。しかし間一髪、ジェイクがシェリーを守った。 「またあいつかよ!?」 起き上がり、敵を確認した男が叫ぶ。 「知り合いか?」「元カノみたいなもんさ、どうにも引き際がわかってねぇんだよな!」「わかるよ、そのうち慣れるさ」 皮肉屋同士が、軽口を叩き合った。銃を構える。四人で共闘だ。 「ラクーンに比べれば朝飯前さ、そうだろシェリー?」 ウスタナクは持ち前の強靭さに加え、右腕パーツを付け替えながら戦う。その頑強さにてこずる四人。 だが、燃え盛る鉄塔が倒れてきて、ウスタナクは下敷きになった。死んだかは怪しいが、少なくともしばらくは動けまい。 レオン・ヘレナ組とシェリー・ジェイク組は分断されてしまったが、とりあえずは逃げられる。 鉄塔越しに、シェリーが無事か確かめるレオン。 シェリーは、クーチェンのクンルンビルでシモンズと落ち合う手はずになっている、という情報をくれた。 折りよくハニガンとの通信も回復した。ナビをしてもらいながら進む。 そばには、いかにも中国らしい、雑多なマーケット街がある。そこを抜ければ、クンルンビルへの近道となる。 マーケットに足を踏み入れる二人。彼らを出迎えてくれたのは、住民と思われる男の断末魔の悲鳴だった。 「今のは何!?」「……トラブル、だな」 イヤな予感をひしひしと感じつつ、マーケットを通り抜ける道を探す二人。 鍵がみっつもかかった扉を抜ける必要があり、その鍵を探さねばならないようだ。またいつものパターンである。 そんな折、積んであった豚の死骸から、形容しがたい奇妙な怪物が這い出てくる。 いちおう人型ながら、各部位ごとに分離しながら生存が可能。攻撃して千切れても、またすぐに元に戻る。まるで不死身だ。 動きはのろいが、どんな狭い隙間でも通り抜けるし、触手状の器官で壁でも屋根でもよじ登って追跡してくる。 あしらいつつ、鍵を3つ揃えたレオン。精肉所らしき建物に侵入し、怪物をミンチマシーンにぶちこんだ。 まだ活きているかもしれないが、さすがに細切れになっては、少なくとも今すぐには行動できないだろう。今のうちに逃げよう。 ようやく辿り着いた。ビルはもうすぐそこだ。しかし、目当ての扉に先に入っていく先客の影が見えた。……あれは、エイダ? 急いで追跡するレオン。追いつき、声をかけた。やはり、エイダだった。……どこか違和感があるが、しかし確かにエイダだ。 だが、そのときアサルトライフルの連続した銃声が響いた。エイダは話もせずにすばやく逃げ出した。 銃撃したのは誰だ? ソイツらも、エイダを追っているのか? 新たな勢力の介入に疑問は深まりつつも、レオンはエイダをひたすら追跡することを選ぶ。 エイダを追っていくと、そこはまたも恒例の、研究施設だった。罠や仕掛けが侵入者を阻むようにできている。 そんな折、エイダを追跡していた何者かの影がちらりと見えた。どうやら武装している軍人らしい。 彼らとほぼ平行して進んでいく。すると、奇妙な部屋に閉じ込められた。 ガラス越しに隣を見ると、そちらでもエイダを追う二人組が閉じ込められているのが見える。 「何、この部屋?」「わからないが…… 嫌な感じだけは伝わってくるな」 『ロック完了しました。試作品のテストを開始します』 彼らの言葉に答えるように、アナウンスが響いた。 エイダが、試作品の兵器、自動運転で敵に向かっていく爆弾を起動したのだ。 爆弾は次から次へと湧き出てくる。いくら銃撃してもきりがない。ロックを解除して部屋から抜けるしかない。 さすがのハニガンでもハッキングで解除するのは不可能らしいので、内部からの手動操作も交えてロック突破を狙う。 なんとか解除に成功。だがエイダは一足早くさっさと逃げていた。レオンはさらにエイダを追跡していく。 ついでに向こうにいる男たちも部屋を抜け出したようだ。ヤツらより先にエイダに追いつかなければ。 「待て、エイダ! 話がある!」「悪いわね。そんな気分じゃないの」 エイダはひたすら逃げる。 「逃がすな!」「わかってます!」 男たちの叫びも響いた。彼らは周りこんでエイダを角に追い詰め、銃を突きつける。 レオンは、そのうちの一人に乱闘を挑んだ。エイダを殺させるわけにはいかない。 乱闘の末、銃を突きつけあう二人。お互いの顔を見つめあい……そして、気づく。 「……クリス?」「……レオンか!」 そう、彼らはB.S.A.A.の【クリス・レッドフィールド】と、その部下の【ピアーズ・ニヴァンス】だった。 「彼女を殺させるわけにはいかない、彼女はテロの重要証人だ」 レオンが言った。 「証人? 彼女はテロの首謀者だ!」 クリスが反論し、「違う、首謀者はシモンズだ!」 またレオンが言い返す。 「俺たちは、部下を皆殺しにされた!」「俺たちは、アメリカ大統領と市民7万人を失った!」 お互い、一歩も譲らない。 「ネオアンブレラだぞ? この名前が俺たちにどういう意味を持つのか……!」 「わかってる!」 「どうあってもこの女を信じるというのか?」 「……信じる」 クリスの問いに、レオンは明確に答えた。 そうこうしている隙に、エイダは閃光手榴弾を投げて、すばやく逃走した。 追跡を妨害され、少し苛立つクリスだったが、しかし、戦うべき敵、目指す目的は同じだというレオンの説得に折れる。 「……エイダはB.S.A.A.が追う、お前たちはシモンズを追ってくれ」 「……クリス、お前を信じるぞ」 レオンは別れ際に、クリスにそう呼びかけた。クリスは、少し曖昧に頷いた。 「レオン、本当によかったの? 後悔しない? 彼女を追わなくて……」 「俺たちのターゲットは、あくまでシモンズだ。エイダの心配なら、あとでするさ」 ヘレナの問いに、レオンは静かに答えた。そう、憎い敵はほかにもいる。狙いはそいつ……シモンズだ。 二人は、黒服に護衛されたシモンズを、ついに発見した。そこに、シェリーとジェイクのコンビも到着する。 「エージェント・バーキン! 彼らにこの場所を教えたのは君か?」 「あなたがテロの首謀者だというのは本当ですか!?」 シモンズの問いに答えず、シェリーは叫んだ。 「余計なことまで吹き込まれたか? アメリカのため、ひいては世界のためだ」 自白も同然に、シモンズは答えた。 「それが大統領を殺した理由か!」「なにを言っている? 殺したのはキミだろ」 レオンの叫びに、シモンズは答える。そして、黒服に発砲を命じた。黒服たちはマシンガンを乱射する。 知らなくていいことを知ったシェリーらは消し、レオンとヘレナは捕らえてテロリストとして処刑。それが彼のシナリオだ。 レオンは、ジェイクにシェリーを任せて、自分たちはシモンズを追うと言った。全員がそれに合意した。 シェリーは別れる前に、シモンズに渡すはずだったデータをレオンへと手渡す。 C-ウィルスから世界を守るために必要な情報が、すべて入っている、とのことだった。 一方、シモンズ。立ち去ろうとしたところに、謎の暗殺者に襲われた。喉元に、麻酔弾を撃ち込まれる。 だが、その麻酔針弾に入っていたのは、麻酔液ではない。C-ウィルスだ。 「……あの女、考えることは一緒だったか!」 シモンズは低くうなって、ふらふらと落下。電車の上に降り立った。 レオンとヘレナの二人は、それを追って電車へと飛び乗った。 電車の中を通り抜け、屋根へと上った二人。シモンズが電話で誰かと話している様子を目撃する。 「あなたが私にくれたもの、そっくりお返しするわ、シモンズ。最初は不安や恐怖に襲われるでしょうけど、安心して。 あなたはただ人間でなくなるだけよ、全人類と共に、ね」 謎の女の勝利宣言に、シモンズは怒りで携帯電話を握り潰した。すでに変異は着実に進みつつある。 「シモンズ! とうとう追い詰めたぞ!」 叫ぶレオン。 「私を追ってどうする? あの女を追え。エイダ・ウォンをな。あの女は私を裏切った、何かを企んでいる」 シモンズは言った。言い訳ではなく、本心なようだった。だが、二人の最大の標的はシモンズだ。 「大統領の仇か、バカめ! あのまま発表させていたらどうなった!? アメリカの権威は失墜、世界は破滅していた! まだわからんか! この国も大統領も、世界を破滅に導く…、立派な…… 罪人だ……ッ! 言い分を言い終わる前に、シモンズの体はウィルスによって変異し、四速歩行の獣状の怪物となった。 「無知で無価値な虫ケラがぁぁ! ばらバらにヒキさいテやる!!」 シモンズと戦う二人。電車内を立体的に使うシモンズを銃撃して、外に落とした。 しかしシモンズは、電車と同じ速度で平行して走って追ってくる。なんという身体能力だ。 「C-ウィルスの叫びが聞こえる!! もはや私の意志ではどうにもならん!!」 シモンズに、反対車線の電車が突っ込んでくる。だがシモンズは、正面衝突した電車を逆に弾き返して見せた。 そして全速力でレオンらの乗る電車の前に回り込むと、そのまま突っ込んできた。 万全の状態で衝突されたら電車が吹っ飛ばされる。だが二人の銃撃で態勢を崩したシモンズは逆に電車に轢かれた。 人間形態に戻るシモンズ。 「わかってるのか貴様ら… この世界から私が消えることの意味が!」 しぶとく自己を正当化し続ける。 「世界に再び安定が訪れるってことだ!」 レオンが力強く答えた。 そして、ヘレナの弾丸が、ついにシモンズの額を貫いた。決定的なダメージを負い、崩れていくシモンズの体。 いつの間にか電車と平行して飛んでいたヘリが、それを見届けたように離れていく。 それを見て、シモンズは絶望したように叫ぶ。 「バカな! ファミリーが私を見捨てるはずがない!!」 電車は制御を失いつつある。河をまたぐ大橋の上で、レオンらは電車から河へと飛び降りた。 そして電車は脱線、シモンズごと河へと落下していった。 河から上がる二人。……シモンズにトドメは刺せたのだろうか? これで勝利なのか? 「……どうだろうな。俺たちのやれることはやった」 レオンは、自分に言い聞かせるように言った。 よろよろと街へとあがると、民間人を避難させているB.S.A.A.らと遭遇。のろのろとだが着実に避難が進んでいる。 「これで、終わったのね」「ああ、終わった」 ヘレナが言い、レオンも答えた。 だが、その予測は甘かった。ハニガンから連絡が入る。シェリーと連れの男が、何者かに誘拐されたらしい。 発信機の信号によれば、彼らの居場所は海底油田。間違いなく、ネオアンブレラの息がかかった拠点施設である。 なぜさらわれたのか? 思い当たる理由はひとつ。先ほど受け取ったデータを、まだ持っていると勘違いされたからだ。 つまり、敵組織の狙いはこのデータだ。急いでデータ内容をチェックする二人。 「これはどういうこと? C-ウィルスの脅威から世界を救う方法って…… ジェイク!?」 驚く二人。 海底油田に最寄のB.S.A.A.部隊の照合を頼むレオン。ハニガンによれば、最寄なのはクリスらのチームらしい。 急いでクリスに連絡を繋いでもらった。クリスは現在、戦闘機に乗っているらしい。 「レオン、今どこにいる!?」 こちらの用件を言う隙もなく、クリスが慌てたようにいった。 「ターチィの街のはずれだが、どうした?」「レオン、急いでそこから逃げろ!!」 だが、遅かった。ミサイルがどこからかまっすぐに飛来し、ターチィ上空で爆発したのである。 紫色のガスが飛び散り、街中に広がる。……そう、C-ウィルスだ。ターチィの街は、瞬時に地獄へと化した。 ……最悪の夜が、始まった。 6 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/02(金) 14 39 46.19 ID DRLhSctd0 【レオン編】 CHAPTER 5 ターチィの街は地獄と化した。市民のみならず、B.S.A.A.の隊員たちもゾンビに成り果て、襲い掛かってくる。 クリスは、戦闘機のコクピットからレオンへと呼びかける。幸い、レオンらはガスの直撃を浴びていなかった。 クリスが今にもターチィに引き返してきそうに思えて、レオンは制止した。彼らには、もっと大事な任務がある。 海底油田へと向かい、C-ウィルスから世界を救う鍵を握る二人を救い出してもらわなければならないのだから。 「一人はシェリー・バーキン。もう一人は、ジェイク・ミューラー。……あのアルバート・ウェスカーの息子だ」 レオンが、シェリーから受け取ったデータに書いてあった衝撃の事実を告げた。クリスは驚き、叫ぶ。 「レオン……。エイダ・ウォンは死んだ」 クリスが、自分の目で見た衝撃の事実を告げ返した。レオンは驚き、言葉を詰まらせた。 さておき。少しでも多くの人々を救い出すべく、B.S.A.A.を手伝うことにしたレオンとヘレナ。 街中にガスが充満しているが、ガスは地表に広がるように設計されているらしく、超高層ビルの上層階までは届いていない。 そこなら、緊急避難場所として、そして屋上からヘリで脱出する出口として使うことができるだろう。 「よし、クアッドタワーへ向かうぞ」 レオンの提案に、ヘレナは頷く。 B.S.A.A.隊員たちと縦列フォーメーションを組んで進む。しかしすぐに生存者の保護どころではなくなった。 テロ攻撃のウィルスが強力すぎるのである。もはや街で出会う人影はゾンビばかりであった。 レオンはt-ウィルスに対して完全な抗体を持っているのだが、その彼でさえ、呼吸ごとに体力が奪われているのが分かる。 濃厚な霧の直撃を食らえば、一息吸うまでもなく衰弱死してしまうであろう。生き延びて進むだけで精一杯だ。 霧のない場所を見つけて走り、建物の中に逃げ込んだ。だが、ゾンビが窓を割って侵入してくる。霧も流れ込んできた。 とにかく、走る、走る、走る。生き延びるにはそれしかない。 ゾンビに追いつかれた。B.S.A.A.の隊員の一人が、ゾンビたちを一身に引き受けて、レオンたちに叫んだ。 「振り返るな、いくんだ!」 彼は建物の中に残り、自らの手でドアを硬く閉めた。 気がつけば、何人かいた隊員たちも、残るは一人だけだった。車を見つけて、三人で乗り込む。 霧の濃い地帯を通り抜けることに成功したものの、道路が事故車で埋まっており、タワーまではたどり着けなかった。 レオンらは降りて進むことを選んだ。隊員は「生き残りを探す」と言って車で別の道へと向かった。 ゾンビと戦いながら進む。そこに、石油を満載したタンクローリーが突っ込んできた。衝突、爆発、炎上。 爆発に吹き飛ばされて、ヘレナはダメージを追う。レオンは彼女を励ました。 そこに、小型の戦闘ヘリ。パイロットの顔はフラッシュライトの裏に隠れてよく見えないが、レオンははっきりと見た。 「……エイダ!? 死んだはずじゃ……!?」 その呼びかけに答えているつもりか、ヘリがガトリングガンを乱射。レオンらに襲い掛かるゾンビをなぎ倒していった。 ハニガンとの通信が回復した。彼女に状況を聞いてみるが……返事は予想通りの「地獄」だった。 彼女のナビで、タワーへの最短ルートを教えてもらう。だが、その途上にはゾンビの群れや事故車の河が待ち構えていた。 さらに、墜落した戦闘機が落下してきて火の海になったり、乗せてもらったヘリがパイロット死亡で墜落しかけたり……。 さんざんな目に遭いつつ、ようやくタワーに到着。だが、彼らを迎えてくれたのは、B.S.A.A.隊員の死体の山だった。 いや、もう一人いた。その姿を見て、レオンは呟く。「……懲りないヤツだ」 そう、シモンズだ。 またも獣状の形態へと変異するシモンズ。だが、先ほどよりもさらに身体が大きい。変異が暴走しているようだ。 そこに、エイダの乗ったヘリが登場した。ガトリング砲でシモンズに攻撃を加える。 「わかったぞ エイダ…! 私の命令を無視し、ウェスカーの息子を連れ去った理由が! 貴様、よりによってヤツの“血”で、C-ウィルスを強化したな!!」 叫ぶシモンズ。その言葉を証明するかのように、変異は暴走を続け、みるみる巨大化していく。 シモンズは、ティラノサウルスを思わせる二足歩行の巨大獣へと変身した。だがその頭部全体は巨大な眼球で出来ている。 まぶたの代わりに、花弁のように牙が並んでおり、それで食らいついて攻撃してくる。 戦っていると、さきほど別れたB.S.A.A.隊員が銃座つきトラックで合流した。さっそく乗り込んで使わせてもらう。 だが、しばらく戦った後、シモンズの攻撃を受けてトラックは吹き飛ばされ、隊員は下敷きになって死んでしまった。 シモンズがとうとう沈黙した。それを見届けたエイダのヘリは、タワーの屋上へと向かって飛んでいった。 レオンらは、それを追って、エレベーターで屋上へ向かうことにした。 「あなたにとって、彼女はどういう存在なの?」 ヘレナが尋ねた。レオンは答えに詰まって、少し考える。 そして答えようとした、そのとき、爆発でエレベーターが外れた。ジャンプしてワイヤーにつかまり、自力でよじ登ることに。 必死でよじ登る二人。そんななか、もう聞き慣れてしまったあの声が響いた。シモンズ、三度復活である。 エイダが、今度は生身でそれに応戦した。手を貸したいところだが、両手ともふさがっている。祈ることしかできない二人。 だが、エイダは攻撃を受けてしまい、気絶してしまった。エイダの危機に、レオンは己の身の危険も顧みず、跳んだ。 エイダらがいる足場へ無事着地し、エイダを抱き上げて呼びかけるレオン。 「エイダ、聞こえるか? こんなところでくたばるオマエじゃないだろ? 悪運の強さはお互いさまのはずだ」 「お前に用はない、レオン! 彼女から離れろ! エイダ、さあおいで…… 私だけがお前の理解者だ……!」 意味ありげな言葉を吐くシモンズが、爪を飛ばす攻撃をしかけてきた。レオンは、エイダの盾となってそれを背中に受ける。 「……変わってないわね」 エイダが目覚め、レオンを見つめる。いつもの謎めいた笑みではなく、暖かく柔らかい笑みを浮かべたように見えた。 レオンとエイダ、そして離れた位置から援護するヘレナの3人で共闘する。だが真に怪物となったシモンズはしぶとい。 レオンが吹き飛ばされた。片手で足場の縁に掴まるが、シモンズにその手を踏みつけられる。 「助かりたいか? 死にたくないだろう!? ならば命乞いをしろ!」 サディスティックに見下すシモンズ。 その背後から、エイダが近づく。脇腹にクロスボウの矢を深くねじ込み、さらに抱きかかえて共に飛び降りた。 そして自分だけは空中でワイヤーフックを使い、華麗に向かいのビルへ。シモンズだけが、まっさかさまに落下していく。 見詰め合うレオンとエイダ。傍にいた時間はほんのわずか、また離れ離れになった。笑顔を残し、立ち去るエイダ。 「……お前はいったい誰なんだ? なぜ俺を助ける? エイダ!」 レオンの呼びかけにも、何も答えない。 思えば、レオンはエイダのことを何も知らない。目的も素性も、エイダ・ウォンという名前が本名なのかさえも。 「……レオン、行ってもいいのよ。追わなくていいの?」 ヘレナが言った。だがレオンは「いいんだ」と短く答えた。 ヘレナの情報端末に、メッセージが届いていた。発信者はエイダだ。 『もう少し長く遊んでいたかったけど、もういくわ。それと屋上にあなたたちへのプレゼントを用意しておいたわ』 屋上へ上がった二人。そこで、エイダが先ほど乗っていたヘリがあるのを発見する。あれで脱出できる。 だが、既に屋上もゾンビで溢れはじめている。ヘリポートまで、それらをかき分けて進まなければならない。 ヘリまであともう少しというところで……またも、シモンズ。 さすがにダメージが大きかったのか、触手を伸ばしてゾンビに突き刺しては捕食し、失った肉体を補っている。 いや、それどころか、吸収を続けてどんどん巨大化を繰り返している。頭部の眼球は大量増殖し、もはや昆虫の複眼状。 手足の数は増え、さらに羽まで生えた。そのフォルムは巨大な蝿のよう。いわば「蝿の王」大悪魔ベルゼブブだ。 「ここがお前の墓場だ。もう死ぬ準備はできたか、シモンズ?」 「もう十分よ、地獄があんたをお待ちかねよ!」 渾身の決戦となった。おりしも、空には雷雲が立ち込めている。避雷針が落ちていたので、レオンは一計を案じる。 それをゾンビに突き刺して、シモンズがそれを捕食するように仕向ける。そこに雷が落ちれば、シモンズはダメージを受ける。 なんとかシモンズをひるませて、ヘリへとたどり着いた二人。そこには、エイダからのプレゼントがもうひとつあった。 ……お約束の、ロケットランチャーだ。 慣れた手つきでそれを構えて、シモンズの頭部へと狙いを定めるレオン。発射、着弾、炸裂。シモンズは叫び、そして落ちていく。 空中で人型に戻るシモンズ。そしてタワー中央ホールに聳え立つオブジェに突き刺さり、動かなくなった。 シモンズの体液がタワーの床を染めた。……上から見下ろすレオンには、その模様が、あのアンブレラのマークに見えた……。 ヘリのコクピットを開ける二人。そこに、もうひとつ、エイダからのプレゼントを見つけた。コンパクトだ。 その中には、あるデータチップが隠されていた。端末を取出し、すぐに内容を確認する。 それは、シモンズがテロ首謀を自白している映像と、ほかさまざまな証拠が入っていた。これがあれば、二人の嫌疑は解ける。 ……二人はヘリに乗り込み、飛び立った。目指すは、合衆国。 絶望の夜は、こうして終わりを迎える……。 11 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/02(金) 15 04 54.59 ID DRLhSctd0 【レオン編】 Ending 日時不明。さわやかな青空が広がる昼下がり。 ヘレナは、墓前に花を添えた。仇を討ったことを、妹に報告していたのだ。 デボラの遺体はここにはない。トールオークスごと消滅してしまった。でも、魂はここに眠っていると信じている。 振り返り、レオンとハニガンに礼を言うヘレナ。「これで思い残すことはない」と。 いかなる理由があろうと、彼女はテロに手を貸した大罪人だ。万を超える命を奪った罪を償わねばならない。 だがレオンは彼女に、DSO制式拳銃を手渡す。復帰の誘いだ。驚き、理由を尋ねるヘレナ。 「調査委員会が証拠を正式に採用したのよ。世間に公表はできないけど、ね」 ハニガンが、法的な理屈を言った。 「大統領なら、きっとこうしたはずだ」 続けてレオンが、私的な理由を言った。 はじめは疑いもあったが、今ではもう、彼らは立派なチームだ。ヘレナは微笑み、銃を受け取った。 本部に戻るため、車へと向かう三人。と、ヘレナがレオンに向かって、何かを投げた。 ……それは、あのエイダのコンパクトだった。 「次、会ったときに、彼女に返すんでしょ?」 ヘレナは、悪戯な笑みを浮かべて言った。そして、あっけにとられるレオンを尻目に、さっさと車に乗り込んでしまう。 「……女ってヤツは(Women...)」 レオンは苦笑いし、どこかで呟いた覚えがある言葉を、また繰り返すのだった。
https://w.atwiki.jp/pwmangudai/pages/18.html
■Ventrilo導入TIPS (ボイスチャット) ■Ventrilo導入TIPS (ボイスチャット) ■インストール ■接続までの設定方法ログインネームの設定 接続するサーバーの設定 ■接続してからの最低限の設定 ■音が回ってしまう人の設定 ■Ventriloが今までのIPで繋がらなくなった場合。 Lively @ PerfectWorld では コミュニケーション手段として、ボイスチャットを導入しています。 マイクがなくても聞けるだけでも充分なので導入してみてください。 また、マイクがある人は、夜仕事から帰ってきて 「ただいま」と言えば きっと、全国津々浦々老若男女の「おかえりラッシュ」を体験する事が出来ます。 家族のような仲間達とこれも何かの縁だと考え、 是非触れあってみてください。 特に領土戦やフラグ戦、遭遇戦などの時は 指揮系統はすべてボイスチャットを利用しますので 戦争前にはセットアップを終了しているようにお願いします。 PCが苦手でわからない人もギルドチャットで誰かに聞いてもらえば 親切丁寧に導入が出来るまでサポートいたします。 ■インストール 新しくVentを導入する方、または既に最新版のVentを導入済みの方は、 下記のクライアントに入れ直してください。 Client 右クリックで対象をファイルに保存。zipファイルなのでその後解凍する。 ※重要 接続する際に、英語でバージョンアップしますかとダイアログが開く場合があるので 必ず、NOにしてください。あとでsetupの一番右のタブから表示しないように設定できます。 ■接続までの設定方法 ログインネームの設定 name.gif 3に自分の名前を入れる ※画像にあるmaitanは例ですので自分の設定した名前にしてください。 また呼び名とキャラ名が違う場合は「呼び名(キャラ名)」と設定してください。 例:tarou(勇者太郎様) 接続するサーバーの設定 3に任意の設定名を入れる。(livelyなど) 5に現在のVentのIPに書いてあるIPを入れる。 6に「mn」と入れる。(これは入れなくてもつながりますが、将来的に入れておいてください) 8をクリックするとつながります。 上記の方法でつながらない方はギルドチャットやIRCにて 他の人に聞いてみてください。 ■接続してからの最低限の設定 まず、最初にventの最低限の設定を行います。 ログインが完了すると のような画面になります。 左赤枠の01_MAINっていう所がみんなが使ってる部屋です。 部屋は、ダブルクリックをすると入ることが出来て 自由に他の部屋に移動出来ます。 まずは、右赤枠のSETUPをおします。 setupを開くと この画面が開きます。 まずは、1番にチェックを入れて 2番に話すときに使うキーを入力します。 (F12や右ALTなど、ゲームや他の作業時に使わないボタンがおすすめ) これで、そのボタンを押した時だけ自分の声が 流れるようになります。 (自動認識にも出来ますが同時接続人数を考えて 余計な音を拾わせないようにボタン押しトークを推奨します。) 次に3番にチェックが入っていないのを確認して 4番がnoneになってるかどうか確認してください。 その下のメーターは inbound がみんなの声の大きさ outbound が自分の声の大きさ になるので、PWの音量とバランスを取って 聞き取りやすい音量に設定してください。 (PWはデフォルトですと物凄い音が大きいので ventと併用する場合は、限りなくPWの音量メーターを左側にするのがお勧めです) 次に、入った時とか部屋に入った時に流れたと思う 変な外人の機会声を消します。 上にあるタブの中からVoiceの隣の「event」を開きます。 すべてnothingに変えてください。これで消えます。 次に一番右の「global」タブを開いてください。 チェックを外します。 これでOKを押してsetupを閉じます。 最低限の基本設定は以上です。 ■音が回ってしまう人の設定 ■Ventriloが今までのIPで繋がらなくなった場合。 VentriloのServerが何かのきっかけで落ちてしまうと IPが変更されて今までのIPアドレスでは接続できなくなります。 現在のVentのIPに書いてあるIPアドレスに手動で変えて下さい。 初回IPの変更方法 Ventriloの起動した画面で Serverの右のほうにある 「 」をクリック Newをクリック、Nameに「mangudai.mn.IP」と入れOKをクリック。 Hostname or IPに、現在のVentのIPにあるIPを入れる。 Passwardに「mn」と入れOKをクリック。 Connectをクリック。 上記の設定を一度している方は次回からこちら Ventriloの起動した画面で Serverの右のほうにある「▼」より「mangudai.mn」を選択。 Connectをクリックし、接続する。 接続できなければ Serverの右のほうにある「▼」より「mangudai.mn.IP」を選択し、右の「 」をクリック。 Hostname or IPに、最新のIPを入れOKをクリック。 Connectをクリック。
https://w.atwiki.jp/ungrotk/pages/25.html
ティンダロスとはのび太のBIOHAZARDの派生作品の無理ないシリーズに登場するB.O.Wである キャラクターの特徴 黄色い体毛に三つの頭を持ち目は赤い 名前の由来はティンダロスの猟犬かららしい 技や能力 本家BIOHAZARDのネメシスポジションであるため作中で恐ろしいほどしぶとく付き纏ってくる 主な登場作品 のび太のBIOHAZARDシリーズ その他 T-ウィルスに感染した雌犬から誕生したという設定 続編では量産されて複数存在する 強化個体も存在し瞬間移動に見えるほどのスピードで移動する 死ぬとなぜかケルベロスの死体に変化する アサケーツクスレとの関わり アサケーツクスレで製作中のゲーム、エア本さんの信仰RPG-ウディタ版-に登場する
https://w.atwiki.jp/fskhm/pages/15.html
https://w.atwiki.jp/mashaaloha/pages/11.html
コメントプラグイン @wikiのwikiモードでは #comment() と入力することでコメントフォームを簡単に作成することができます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_60_ja.html たとえば、#comment() と入力すると以下のように表示されます。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/mashaaloha/pages/5.html
まとめサイト作成支援ツールについて @wikiにはまとめサイト作成を支援するツールがあります。 また、 #matome_list と入力することで、注目の掲示板が一覧表示されます。 利用例)#matome_listと入力すると下記のように表示されます #matome_list
https://w.atwiki.jp/storytellermirror/pages/1362.html
BIOHAZARD 6 クリス編:part64-33~35,71~79,190~197 33 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/08(木) 22 32 17.95 ID lKYL3JHR0 【クリス編】 CHAPTER 1 2013年6月29日、東欧某国。 男が、酒に溺れていた。年齢は中年か。隆々とした体躯と体中に残った傷跡。まさに歴戦の勇士の体であった。 そんな男が、明らかに荒れた様子で呑んでいた。暗く、そして危険な空気を漂わせて。 客は誰も近づかない。店の雰囲気も暗くなっていた。店も客も、明らかに迷惑していたが、男はそれでも酒を呑んでいた。 ついには、バーテンの女性に絡み、客の一人と乱闘を始めた。男は荒れに荒れて、落ちるところまで落ちていた。 青年が、男の乱暴を止めた。近寄りがたい雰囲気で呑んでいた男の隣にわざわざ座ってステーキを食べていた青年だ。 彼は【ピアーズ・ニヴァンス】と名乗り、男に【クリス・レッドフィールド】と呼びかける。 ピアーズは、クリスのことを半年間も探し回って、ようやく見つけ出したのだという。 だが、クリスにはピアーズと面識がなかった。いや、思い出せなかった。彼は半年前に記憶喪失に陥っていたのだ。 ピアーズは携帯端末を取り出し、写真を見せた。彼らが半年前に共に戦った任務の写真だった。 ほかにも、たくさんの男たちが彼らのチームだった。ピアーズは端末で仲間たちの写真を表示し、クリスに突きつける。 「事実から目を背けることは許されない、あんたは過去と向かい合うべきだ。 見ろ、見るんだ! みんなあんたにすべてを託して死んでいった仲間だ! そうやって目を背けて、なかったことにする気かよ!」 ピアーズの熱弁もむなしく、クリスはなにも思い出せない。しかし、ひとつだけ、クリスの頭を刺激するものがあった。 ピアーズのジャケットの肩に縫い付けられた、【B.S.A.A.】のエンブレム。 「そうだ。あんたの帰るべきところだ。みんなが待ってる。あんたを迎えに来たんだ、隊長」 ピアーズはそう言った。ほかにも数人の男たちが、クリスの傍に集まってきた。彼らは、クリスを慕う部下たちだった。 (俺は何から逃げていた? その答えを知らなければ、永遠に前に進めない……。) 記憶は相変わらず蘇らない。だがクリスは、この男たちの隊長として、再び戦場に立つことにした。 そこに、自分の失われた記憶が、自分の人生の意味があると信じて……。 翌6月30日。中国、偉葉(ワイイプ)。生物兵器【ジュアヴォ】を用いたテロ事件が発生。B.S.A.A.が鎮圧に向かう。 テロ組織は、国連職員数名を拉致し、とある雑居ビルに監禁しているらしい。その救出が、彼らの任務だ。 クリスは、アルファチームのリーダーとして戦うことになった。その隣には、ピアーズが従っている。 到着したクリスらを真っ先に出迎えたのは、カメラマンとリポーターだった。それらを押しのけて、クリスらは進む。 奇妙な仮面(京劇に使うものだろうか?)を被ったテロリストと遭遇。なんと、頭に銃弾を受けても活動している。 「ジュアヴォと遭遇! イドニア内戦時と同じ特徴を確認した!」 ピアーズがH.Q.(ヘッド・クォーター=本部)に報告するのが聞こえた。 ジュアヴォとは、人間同様の思考能力と武器活用などの応用力があるB.O.W.だ。さらに変異する性質も秘めている。 彼らは人に見えるが、もう人ではない。無抵抗の市民にも容赦がない、恐るべきバイオ兵器へと堕ちてしまった存在だ。 ジュアヴォは武装していた。ロケットランチャーを取り出して、B.S.A.A.のヘリを墜落させる者までいた。 それらと戦うクリス。記憶はまだなくとも、身体で覚えた戦いのカンは鈍っていないらしく、快進撃を続ける。 別チームの一人が、ジュアヴォに首を絞められているのに遭遇。ピアーズは細く息を吐いて、狙いを定めた。 見事、ジュアヴォの肘関節に命中。ピアーズは狙撃を最も得意としており、その腕は天才的である。 するとそのジュアヴォの腕が、急激に変異を始める。これが、ガナードやマジニと決定的に異なる特徴だ。 驚異的な再生能力により、ダメージをきっかけとしてより怪物的でより強力な特徴を備えた個体へと変異を遂げるのだ。 敵の反撃によって、部下の隊員が一人死亡した。その姿を見て、クリスの記憶の断片がフラッシュバックする。 一瞬、それに気をとられたクリスだが、ピアーズに肩を叩かれて我に返った。考えにふける時間はない。 クリスは任務に集中し直し、素早くチームに指示を出す。迷いはなく、内容も的確だ。 目標地点の雑居ビルにたどり着いた。だがチームの消耗が激しい。突入前に、他チームの到着を待つことにする。 ワラワラと湧いてくるジュアヴォたちを殲滅し、無事合流を果たしてビル内に突入した。 H.Q.の指示に従い、7Fへ。下半身全体が変異し、まるでクモかゴキブリのように走り回るジュアヴォが登場、 人質をがっちり抱きかかえてあっちこっちに逃げ回る。人質を傷つけないよう注意しつつ攻撃、救出に成功。 続いては1F。人質周辺の敵を一気になぎ倒し、安全を確保。……したと思った次の瞬間。 人質の背後に突然ジュアヴォが登場、刃物で人質の喉を切り裂こうとしている。 脳内物質による錯覚か、クリスには周辺の風景がスローモーションに見えた。狙いを定め、ジュアヴォを撃ち抜く。 他チームのメンバーからも続々と人質救出の連絡が入る。どうやら全員の救出に成功したようだ。 あとは脱出するだけだ。すべてのメンバーが脱出したら、汚染拡大を防ぐため、このビルは爆撃される。 だがあと一歩で脱出というところでビルが崩れ、クリスとピアーズだけが中に取り残されてしまった。 H.Q.に急いで連絡を取るが、もう爆撃は始まってしまった、とのこと。 「マズいな 仲間の爆撃で殉職なんてゴメンだぜ」 3Fまで戻り、バルコニーから外へ飛び出した。次の瞬間、ミサイルが着弾し、爆発。間一髪だった。 爆発と崩落が収まってから、クリスらは雑居ビルの跡地を確認しに向かった。 残骸の中には、ジュアヴォたちの成れの果てと思われる、黒粘土の人形のような物体がゴロゴロしていた。 その“サナギ”をみて、フラッシュバックと頭痛に襲われるクリス。半年前の記憶が、蘇る……。 71 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 12 03 10.26 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 2 半年前、2012年12月24日。東欧、イドニア共和国。 クリスは、B.S.A.A.アルファチーム隊長として、バイオ兵器を用いている反政府ゲリラたちの鎮圧に来ていた。 複雑な内政事情により内戦が絶えないこの国は、まさにテロ組織が隠れ潜むのにぴったりの土地である。 部下の一人が、殉職した。敵の情報を持ち帰ってくるのに無茶をしたらしい。 「B.S.A.A.の使命は、バイオテロを根絶することだ。俺たちは捨て駒じゃない」 「大切なのはおまえたちが生き残り、同志を増やしていくことだ。ここにいるひとりひとりが希望だ」 クリスとピアーズは、部下たちにそう語った。 部下が命を賭けて入手した情報を確認した。反政府ゲリラたちは新型のB.O.W.ジュアヴォを用いているらしい。 ゲリラがそれを開発したわけがないだろうから、その背後に何らかのバイオテロ組織がいることは明白だ。 気を引き締めて任務にかかるよう、クリスは発破をかけた。 落ち着かない様子の部下に、クリスは声をかけた。彼の名は【フィン】。今回が初陣らしい。 「いいかフィン、俺たちは家族だ。家族を信じろ」 クリスは、フィンの肩を叩いて微笑んだ。 移動中、さっそく敵部隊と遭遇。すぐさま市街戦に突入した。 思い思いの服装と武器を手にしたゲリラたちとしばらく戦ううちに、ピアーズがあることに気づいた。 「弾を少しも恐れちゃいない…… 普通じゃないですよ、こいつら!」 クリスも同じことを感じていた。一見普通の人間に見えるが、どこかが違う。これがジュアヴォか。 作戦通りに着実に進んでいくアルファチーム。その道中に、驚異的な巨体のB.O.W.が登場した。 頭は建物の屋根よりさらに高く、その手足は大型トラックがミニカーに見えるほどに大きい。 現地の言葉で「巨人」を意味する【オグロマン】という名のB.O.W.であった。 「規格外もいいところだ! 新種のオンパレードだな!」 巨体にふさわしいタフさで、しとめ切れず逃げられる。そのついでに道を崩されて、遠回りを強いられた。 「あんな新種、報告されてませんよ!」「新しく投入されたんだろう」 ピアーズの疑問に、クリスが答える。どう考えても、ただの反政府ゲリラではない。 さらに進んでいく。が、B.S.A.A.の装甲車が地雷を踏んで走行不能になってしまった。 対戦車地雷まで出てくると、テロというよりもはや戦争だ。戦いはどんどん激しくなっていく。 徒歩で進んでいくが、ルート上で列車が横転している。……そう都合よく? 明らかに、足止めするワナ。 案の定、ジュアヴォたちがワラワラと湧いてくる。工兵フィンに爆破準備させ、他の隊員たちで応戦した。 線路沿いに進んでいくと、鉄橋に到着。ブラヴォーチームの負傷兵が1名、橋に取り残されているのが見えた。 さらに奥には、ぱっと見は旧型だが相当改造されているらしい戦車。さらに奥はバリケードで封鎖されている。 ブラヴォーチームと合流、正面と側面の二手に別れて攻略することにした。 狙撃の名手であるピアーズは側面部隊のほうが向いているだろう。クリスはそちらへピアーズを送った。 フィンが先行、クリスもそれを追う。だが、足を踏み入れたとたん、橋が爆破された。 崩れそうな橋にしがみつき、這い登るクリス。フィンに引き上げてもらって、なんとか命拾いした。 戦車とまともに遣り合っては勝ち目はない。ピアーズになにか有効な目標はないか聞いてみる。 彼はタンクローリーを発見し、狙撃。爆破、炎上。戦車と周辺のジュアヴォは巻き込まれて灰になった。 クリスとピアーズは合流し、橋の上部を確保。しかし敵はさらに増援を送ってくる。 フィンに負傷兵の様子を聞くが、足をやられていて動けないらしい。 「隊長! 私たちにはかまわず、先に行ってください!」 「部下を見捨てて逃げるような真似はしないさ、ここで待っててやる、引きずってでも連れて来い!」 ワラワラとわいてくるジュアヴォを必死に防ぐが、倒しても倒してもキリがない。装甲砲台まで出てきた。 だがフィンも新人ながらなかなか骨がある。負傷者を担いで、クリスらの下へしっかり合流した。 その彼に、橋を爆破するよう指示するクリス。フィンは絶妙なタイミングで爆破し、装甲砲台を下へ落とした。 これで追われる危険は大きく減少した。クリスらはやっと橋から撤収した。 負傷者をブラヴォーチームに任せて、アルファは作戦を継続することに。すると、予期せぬ客と遭遇した。 まだ若い男女の二人連れで、女性のほうが「合衆国エージェント、【シェリー・バーキン】」と名乗った。 「シェリー? ラクーン・シティ事件の? クレアから聞いている。妹が世話になっているな」 クリスは、初対面ながらも縁深い相手との出会いに、顔を綻ばせた。 「クリス、後ろのヤツは反政府ゲリラです」 ピアーズが目ざとく見つけ、クリスに報告した。 シェリーは慌てて、彼は故あって自分が保護した人物で、生粋のゲリラではなく傭兵である、と弁護する。 だが青年、「カネ次第で怪物とだって隊列組むぜ」と不謹慎な冗談を吐き、ピアーズはそれにカチンと来る。 一触即発になったが、喧嘩が始まる前に、ゲリラとの戦闘が始まった。 上空に謎のヘリが登場し、それがぶら下げていたB.O.W.を投下したのだ。超巨大な怪物、オグロマンである。 「安全なところへ下がっていろ!」 「いいえ、戦わせて! もう……守られる立場は卒業したの!」 クリスの心配をよそに、シェリーは協力することを提案。クリスもそれを快く受け入れた。 B.S.A.A.エコーチームが増援に駆けつけているが、敵組織の高射砲が邪魔でヘリが近づくことができない。 B.O.W.の相手をしながら高射砲を破壊する、二面作戦が必要になる。 工兵であるフィンが、高射砲に爆薬を仕掛ける。その間、クリスらは援護に徹した。 オグロマンを撃破するが、2体目が登場。さっき逃がしたヤツだ。 時間が経ったからか、むき出しだった背中の弱点が中に引っ込んでしまい、金属のパーツがちょこんと見えるだけになっている。 ある程度ダメージを与えた後、ビルの屋上から背中へと飛び移り、力任せに引き抜く。ヘリからの爆撃で、怪物は絶命した。 無事エコーと合流できた。クリスはヘリコプター部隊に、シェリーらを本国へ連れて帰るように指示を出した。 歩み去ろうとする青年……【ジェイク・ミューラー】に、クリスが声をかけた。「……どこかで会ったか?」 ジェイクは一瞬ためらってから、減らず口を叩いた。「B.S.A.A.のアホ面どもの見分けなんかつくか」 「テメェ、いい加減に!」ピアーズが激高するが、クリスが止めた。 「逃がしてよかったんですか? あいつら傭兵にやられた仲間だってたくさんいるんですよ!」 アツくなってクリスにつっかかるピアーズ。だがクリスは冷静にそれをなだめた。 「俺たちは戦争に来たんじゃない。B.S.A.A.の使命はバイオテロと戦うことだ。それを忘れるな」 シェリーらと別れ、アルファチームは目標であった庁舎内部へ突入した。 敵の大部隊がいるかと思いきや、誰もいない。代わりに、人型の奇妙なオブジェが立ち並んでいた。 「これ… ヒトですか?」 「生体反応アリだ、まるで“サナギ”だな」 不気味な展開に戸惑いながらも、B.S.A.A.隊員は調査を進める。 部隊を分けて探索を進めるよう指示するクリス。ピアーズとフィンとで、奥を調べることにする。 すると、生存者らしき人影が見えたので、追う。青いドレスに整った黒の短髪という、場違いな格好の女性に見えた。 オフィスらしき部屋に着いた。それを見計らったように、そこにあった“サナギ”が、突如変異を遂げた。 甲殻類のような体表に身を包んだ重量級B.O.W.【】である。非常にタフで、排除するのは骨が折れた。 庁舎奥へと進む。そこには、大量のクスリのアンプルが散らばっていた。 「【C-ウィルス】……反政府ゲリラはそう呼んでいたわ」 アンプルに気をとられた3人の隙を着くように、女性が話し掛けてきた。青いドレス、黒の短髪のアジア人女性。 「【エイダ・ウォン】。ここの職員よ、捕まっていたの。……保護してもらえないのかしら?」 銃を突き付けられた女性は、余裕ある態度を崩さずにそう言った。クリスらは当然、それだけでは疑いは解かない。 女性は薄く笑いを浮かべると、ある情報を口にした。 「【ネオアンブレラ】。反政府組織に協力していた組織がいたの。確かそいつらがそう名乗っていたわ」 エイダと名乗る女性は、テロリスト一味ではないようだが、妙に余裕たっぷりな態度が気になる。 クリスは、女性を保護するようフィンに指示したが、同時に警戒は解かないようにとピアーズに耳打ちをした。 ホールに戻る。エイダの案内で直通の近道を通った。と、ホールにあったサナギがすべて孵っている。 チーム全員と合流してこちらの数も増えているが、それ以上にサナギから出てきたB.O.W.の数が多い。 こいつらを掻き分けて正面から退出するは不可能と判断し、上階へと逃げることにする。 庁舎の中はサナギだらけで、行けども行けどもB.O.W.に遭遇する。だが数は少なくなっており、対処しやすい。 チームは一丸となって出口へと向かった。あと少しで脱出できそうだ。 ……そのとき、ピアーズがふとあることに気がついた。慌てて周囲を見渡す。そして叫んだ。 「さっきの女がいない!」 そして、ワナが作動した。前を走っていたクリスとピアーズは運よく逃れたが、他全員が鉄格子に閉じ込められる。 「エスコートしてくれてありがとう。お礼にイイモノあげるわ」 ワナを作動させた張本人であるエイダ・ウォンが、やはり余裕のある勝ち誇った声で言った。そしてあるモノを投げる。 野球のボールほどの大きさで、無数に針が仕込まれた装置。それは、B.S.A.A.メンバーたちの真ん中で炸裂した。 無数の針が隊員たちへと突き刺さる。針には、C-ウィルスが仕込まれていた。 クリスは鉄格子を叩いた。開かないとわかっても、しがみついて必死に叫んだ。 しかしクリスの呼びかけもむなしく、クリスの目の前で、部下たちはC-ウィルスでサナギと化してしまった。 鉄格子が開き、サナギのひとつが羽化する。絶望に呆然とするクリスは、殴り飛ばされ、後頭部を強打してしまった。 クリスの意識は薄れていく。視界は闇に覆われ、音もかすれていく。 だが意識を失う寸前まで、クリスの視界から、変わり果てた部下たちの姿が消えることはなかった……。 76 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 13 12 07.58 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 3 ……回想は終わり、場面は2013年6月30日のワイイプへと戻る。 B.S.A.A.の火炎放射隊が、雑居ビル残骸で発見されたサナギを丁寧に焼却していた。 その姿を眺めながら、クリスは低く冷たい声でピアーズに質問した。「エイダ・ウォンはどうしている?」と。 「記憶が戻ってるんですか?」 ピアーズは驚き、説明を始めた。「あの女は、ネオアンブレラと関係していて……」 「この街にいるかいないのかどっちだ!?」 遮るように、クリスが怒声を上げた。余計な情報は要らない。 「……目撃情報あり。この街にいます、絶対に」 その気持ちを察して、ピアーズは端的に答えた。 クリスはすぐさま、今後の指揮をすべて自分が執ると宣言。他チームも含めた部隊再編をすばやく指示した。 負傷者の保護やこのビル跡地の処理にあたるチームを作り、残りの活動できる戦力はすべて追跡チームとした。 目標はたたひとつ。部下の仇である憎きテロリスト、エイダ・ウォンの追跡・捕獲である。 早速移動を開始する、と、廃墟の地下から、ヘビ状のB.O.W.がヌルリと登場したのに遭遇した。 どういう仕組みか、いわゆる光学迷彩の原理で、周辺の光景と同化して透明になる能力を持っているらしい。 B.O.W.あるところにテロリストあり。このB.O.W.を追跡すれば、エイダの元に辿り着くであろう。 追跡の最中、部下が食らいつかれ、そのまま連れ去られた。再び部下の命が奪われたことに、ますます激昂するクリス。 公園を抜けて、雑居ビルへ。大都会の裏通りのゴミゴミした集落を超えていく。 すると、街を彷徨っているシェリーとジェイクを発見した。 「あいつら生きていたのか! イドニアから半年、行方がわからなくなっていたんです」 とピアーズが、ここ半年の情勢を知らないクリスに説明した。そこに、重装甲の武装ヘリが登場する。 さらにはジュアヴォたちがワラワラと湧き出し、シェリーらを包囲する輪を作った。 「あいつら、ネオアンブレラに追われていたのか!」 ピアーズが、謎が解けた、という感じで叫んだ。 「よし、怪物どもを大掃除するぞ」 クリスはそう決断し、部隊に攻撃を命じた。 B.S.A.A.アルファチームは彼らを援護し、武装ヘリとジュアヴォに攻撃を仕掛ける。 シェリーらを安全なルートに誘導しようと通信兵が呼びかけるが、通信機器が壊れているのか無視しているのか、 二人からの返事はなく、誘導することは不可能。その場に留まる二人をとにかく守る形での戦闘になった。 今回のジュアヴォは、腰から下が完全に変異し、バッタの足のようになった姿をしていた。 すさまじい跳躍力でビルを飛び越え、高い安定性で武装ヘリの上に着地して銃撃をしてくる。恐ろしい生物兵器だ。 だがB.S.A.A.も歴戦、身体能力で劣っていてもそう負けはしない。ジュアヴォを殲滅、ヘリも撃墜した。 ジェイクと目が合うクリス。だが、お互い言葉を交わすことはなかった。立ち去っていくシェリーとジェイク。 「あの二人を保護しましょう! アイツらだけじゃ危険です!」 ピアーズが提案した。 「……放っておけ 行くぞ」 しかしクリスは冷たく却下。彼の目には、エイダの追跡しか映っていないかのようだ。 人命を何より大事にしていたクリスのものとは考えられない命令だ。驚いたピアーズは、珍しく反対した。 「隊長、行かせちゃダメです! ネオアンブレラに追われてるんですよ!?」 「俺たちの目的はB.O.W.の殲滅だ! 何度も言わせるな! エイダ・ウォンの居場所を突き止める!」 「……隊長、お願いだ、冷静になってくれ……」 ピアーズの願いもむなしく、クリスは聞く耳を持たなかった。 先へ進むアルファチーム。廃墟付近でB.O.W.に連れ去られた部下の死体を見つける。ひどい有様だった。 クリスの頭に、ますます血が昇った。ピアーズの反対も無視して、廃ビルへの強行突入を指示する。 だが、立体的な構造で隠れるところも多い建築物は、ヘビ型B.O.W.にとっては格好の狩場だ。 通風孔から、天井裏から、窓から、突然飛び出してきては、隊員が一人ずつ襲われ、殺されていく。 クリスは完全に逆上している。ヘビの気配を感じ、そちらへ一目散に突っ込んでいった。 チームワークを省みない、明らかな暴走だ。返り討ちに遭いそうになり、ピアーズに救われた。 「ひとりで突っ走るなんて、なに考えてるんだ!?」 ついにピアーズは我慢の限界に達し、クリスに噛み付いた。 「決めるのは俺だ、ついてこれないヤツは切り捨てていくぞ」 だがクリスも、方針を曲げる気はない。 チームに険悪な雰囲気が漂う。そんな中でも、一人また一人と隊員たちは命を散らしていく。 ビル内でB.O.W.と戦闘、弱らせて裏路地へ追いやった。 そこでB.O.W.は、透明化を解除し、表面を硬質化して防御を固める戦術に切り替えてきた。銃弾は通用しない。 クリスらは、ビルの電源を使って電撃を浴びせる作戦を実行し、ついに仕留めることができた。 B.O.W.を仕留めたが、しかしそれは小目標に過ぎない。クリスは、既に二人しかいなくなった部下に告げる。 「エイダがまだだ。あいつを片付けない限り、何も終わりじゃない」 まだ冷静になりきれていないクリスに、ピアーズはなおも慎重策を提案する。だが、その台詞をさえぎるように、 「私を探しているのかしら?」 妖艶な女性の声が響いた。忘れもしないこの声。青のドレス。間違いない、エイダ・ウォンだ。 だが、銃を構える暇もなく、エイダの放ったウィルス弾が、最後の部下、マルコに命中した。 見慣れてしまった、もう見たくなかった、あの変異が起こってしまう。マルコは、怪物になってしまった。 エイダはさっさと逃げてしまった。クリスらは、部下であった怪物と戦わねばならない。 エイダへの怒りをますますたぎらせるクリスだが、半年前のトラウマが蘇り、銃を構えることをためらう。 「こうなったらもう殺すしかない。俺たちが仲間としてコイツにできることは、もう……」 ピアーズが、戦うことを促す。クリスも覚悟を決めて、マルコを、いや、B.O.W.を、射殺した。 B.O.W.の死体から、C4爆弾が転がり落ちた。マルコは工兵で、爆発物担当だったのだ。 その忘れ形見を拾い上げ、クリスはそれを鍵のかかった鉄格子に叩き付けるようにして設置。道を作り、進んだ。 完全に頭に血が上っているクリスを見て、ピアーズは落ち着くように言った。 「おまえはここまでされてなんとも思わないのか!」 クリスはなおも興奮してピアーズにも噛み付く。 しかしピアーズは反論した。今のクリスは、明らかに復讐に取り憑かれ、正気を失っている。 「B.S.A.A.の使命なんかどうでもよくなってるんだろ!? 今のアンタの姿を、フィンたちに見せられるのかよ!」 その指摘にクリスは顔色を変える。しかし、大切な部下を、自分の記憶を、奪ったエイダへの怒りは収まらない。 売り言葉に買い言葉の勢いもあって、気に入らなければ着いてこなければいい、一人でも進む、とクリスは宣言した。 しかしピアーズはあくまで共に行動すると言った。「今のアンタは危なっかしすぎる」と。 H.Q.と情報をやり取りした結果、スラムを抜けて、南の港湾方面へ向かうことにした二人。 道中、ジュアヴォ編隊に襲われつつも、それしきで足止めされるほどヤワではない。突破して進んでいく。 むしろ防御網にぶつかるたびに、目指す標的に近づいているという確信が深まり、足取りは力強くなっていく。 ボートに乗り込むエイダを肉眼で確認。ここで捕らえる、と思ったが、そこに武装ヘリが登場した。 やむなく追跡を中断し、港の高級レストランに逃げ込んで応戦。見事、武装ヘリの撃墜に成功した。 だが、エイダには逃げられた。H.Q.にエイダの逃走先を確認。どうやら近くに研究所があるらしい。そちらへ向かう。 到着すると、ちょうどドアをくぐるエイダを発見した。誰かと話している最中なのか、ドアの中に気をとられている様子だ。 反射的に発砲するクリス。だが命中しなかった。エイダはフックショットですばやく脱出した。 「逃がすか……!」 クリスは低く呟き、すぐさま追跡。 いかにも研究所然としたエリアに踏み込む。案の定、侵入者を阻む仕掛けが満載であった。 「よく来たわね。ここは私のお気に入りの場所…… せっかくだから楽しんでいって?」 エイダが姿を見せ、挑発した。 仕掛けを解除し、追いかける。部屋に閉じ込められて新兵器の実験台にされたりもしたが、突破して追いかけた。 そしてクリスとピアーズで挟み撃ちにし、角に追いやった。ついに、ついに追い詰めた。 しかし、クリスの背後から、何者かが妨害に入ってくる。不意を突かれたものの、クリスはしっかりと応戦した。 乱闘の末、銃を突きつけあう二人。お互いの顔を見つめあい……そして、気づく。 「……クリス?」「……レオンか!」 そう、彼らはDSOの【レオン・S・ケネディ】と、その同僚の【ヘレナ・ハーパー】だった。 「彼女を殺させるわけにはいかない、彼女はテロの重要証人だ」 レオンが言った。 「証人? 彼女はテロの首謀者だ!」 クリスが反論し、「違う、首謀者はシモンズだ!」 またレオンが言い返す。 「俺たちは、部下を皆殺しにされた!」「俺たちは、アメリカ大統領と市民7万人を失った!」 お互い、一歩も譲らない。 「ネオアンブレラだぞ? この名前が俺たちにどういう意味を持つのか……!」 「わかってる!」 「どうあってもこの女を信じるというのか?」 「……信じる」 クリスの問いに、レオンは明確に答えた。 そうこうしている隙に、エイダは閃光手榴弾を投げて、すばやく逃走した。 ピアーズが発砲するが、すべて空振り。またしても、エイダに逃げられてしまった。 追跡を妨害され、少し苛立つクリスだったが、しかし、戦うべき敵、目指す目的は同じだというレオンの説得に折れる。 「……エイダはB.S.A.A.が追う、お前らはシモンズを追ってくれ」 「……クリス、お前を信じるぞ」 レオンは別れ際に、クリスにそう呼びかけた。クリスは、少し曖昧に頷いた。 H.Q.によれば、エイダは軍港に向かったという。そこには、数日前に突然連絡を絶ってどこかに消えた合衆国の空母が、 突如姿を現して停泊しているという。まず間違いなく、ネオアンブレラが奪い、テロに利用しているものに違いない。 真っ赤なスポーツカーでハイウェイを飛ばすエイダ。B.S.A.A.の二人は、それを追うべく銃座つきトラックに飛び乗った。 トラックの銃座を握るクリスは、運転席に座ろうとしたピアーズを呼び止めて、言った。 「……おまえのいうように、俺は目を背けていたのかもしれない、すべての過去から」 自らの過ちを認めたクリスの顔は、いままでの濁った怒りが薄れ、かつての爽やかさを取り戻していた。 クリスがようやく本当の自分を取り戻した姿を見て、ピアーズも彼への信頼を回復させる。 「行けるか、ピアーズ?」「任せてくださいよ、隊長!」 スポーツカーとトラックが、ハイウェイをひたはしる。敵が妨害してくるので、クリスは銃座を乱射して蹴散らした。 H.Q.にハイウェイの封鎖を要請するが、人員が割ける状態ではないとのこと。となれば、自力で追いつくしかない。 エイダの乗ったスーパーカーが乗り込むのと同時に、空母は離岸してしまった。 しかし二人はトラックを全力で走らせてジャンプさせ、無理やり空母の甲板へと乗り込んだ。 トラックから投げ出された二人は甲板上を転がる。事故同然だが、なんとか空母に乗り込むことに成功した。 190 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 04 54 43.44 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 4 無理やりな着艦の痛みにうめく暇もなく、二人は立ち上がって銃を構えた。すぐに警備のジュアヴォが押し寄せてくる。 今までの中国の街中で出会ったジュアヴォは、本格的な武器こそ持っていたが、服装はラフだし戦術も雑だった。 一方こちらはネオアンブレラの精鋭のようで、完全武装し、狙撃兵など複数の役割に分かれて統制の取れた攻撃をしてくる。 エイダが船橋へと入っていくのが見えた。それを追おうとする二人だが、階段を外され、隔壁が下ろされてしまった。 「やってくれたな…… どうしますか?」「作戦に変更なしだ、エイダを追う」 ピアーズの質問に、クリスは力強く答えた。 ジュアヴォたちに邪魔されながらも、甲板上を走り回って進路を開いていく二人。 空母に搭載されていたミサイルを操作し、隔壁にブチ込んで壊した。階段はレバー操作で元に戻した。 赤いジャケットと革のパンツ姿のエイダが、ワイヤーフックを駆使して華麗に進んでいく。二人はそれを追い続ける。 しかしエイダは、その気になればたやすく振り切れるのに、あえて姿を見せて誘導しているかのようだ。 ピアーズはそれを、エイダがこちらを振り回して挑発しているものと受け取って、腹立ち紛れに悪態をついた。 そうこうしていると、聞き覚えのある声が電話で話しているのが聞こえた。……ついにエイダに追いついた。 「あなたがわたしにくれたもの そっくりお返しするわシモンズ。あなたは人間でなくなるだけよ。……全人類と共にね。 今日までの世界を築いたのはあなたとあなたのファミリーよ。でも明日、目にするのは……まっさらな世界よ」 黒い短髪。青いドレス。エイダは通話相手を嘲笑い、通話を打ち切る。そして二人の追跡者に気づくと、また逃走した。 艦橋の頂上に辿り着いた。ここからではもう、空でも飛ばなければ逃げ道はない。ようやく、追い詰めた。 「懲りないわねぇ。バケモノになった部下たちは、きちんと始末できたの?」 しかしエイダは二人を嘲笑う。 「挑発に乗っちゃダメだ、隊長!」 ピアーズが叫ぶ。だがそれは余計な心配だった。クリスはもう、自分を取り戻している。 クリスの構えた銃が火を噴いた。だが、撃ち抜いたのは体ではなく、彼女が持っていたウィルス針を発射する銃。 「B.S.A.A.には使命がある。……一人なら、忘れていたところだ」 クリスは語った。エイダへと、自分へと、ピアーズへと。 そして、エイダへ告げる。「投降しろ」と。怒りもある。憎しみもある。しかし復讐に心を曇らせることは、もうない。 「……もう遅いわ、沖にむかった別の空母が、もう発射準備を始めている」 しかしエイダは余裕を崩さず言った。。 なにを、は、エイダは言わなかった。しかしクリスにはすぐ予想がついた。 さきほど、この空母でも見かけたもの。そして、3年前、ウェスカーが世界中へのウィルス撒布に使おうとしたもの。 「……ミサイルか!」 「あのラクーンの光景が蘇るの。でも今回は規模が違うわ……全世界でよ」 エイダの口元が、邪悪に歪んだ。 そのとき突然、ヘリコプターが現れた。驚く二人。だがエイダもまた驚いて振り返っている。 ヘリから身を乗り出していた黒服の男が、彼女の胸に弾丸を撃ち込んだ。そしてそのまま飛び去っていく。 「……あの男……考えることは一緒だったようね…… でももう、誰にも止められない……!」 致命傷を負い、血を吐きながら、それでもエイダは勝利を確信した笑みを浮かべる。そしてそのまま、船橋から落下した。 慌てて駆け寄り、下を覗き込むクリスとピアーズ。甲板には、ぴくりとも動かない体と、飛び散った血の跡が見えた。 あまりにもあっけなく、エイダは死んだ。理解しきれない謎を残して。 しかし、感慨に浸ったり、疑問に惑ったりしている余裕はなかった。テロは今なお進行中なのだ。 ピアーズはエイダが置いていったトランクをすばやくチェックした。 「新型の注射器のようです。二本ぶん開いてる……!」 1本はマルコに使ったものだろうが、あともう1本は? 「調べてる時間はない」 クリスは短く言った。怪物と遭遇したら、そのときに対処するしかない。 そして残った1本の押収を命じた。本部に持ち帰れば、分析用のサンプルになる。 「至急、所在不明の船舶を確認してくれ!」 クリスはH.Q.に強く要請した。 「首都機能が完全にマヒして、向こうの司令部と連絡が取れない、少し時間をくれ」 とH.Q.は答えた。 合衆国ではつい昨日、大統領がテロによって死亡。その空白を補うはずの補佐官も、私用で行方知れずになっている。 そんな状況で機敏に対応しろというのも無茶かもしれないが、しかしそんな悠長なことを言っていられる状況ではない。、 「急いでくれ! このテロすべてが陽動だ! ヤツらの目的は……全世界だ!」 それだけ伝えて、通信を切るクリス。そして二人は空母の格納庫へと向かった。おそらく、戦闘機があるはずだ。 格納庫へ向かう扉を開くには、3つのパスコードがいる。いつもの面倒な足止めに苛立ったが、集めなければ先へ進めない。 千切れても破片のまま動き回る不死身のB.O.W.【ラスラバンネ】に邪魔されつつも、パスコードを揃えて戦闘機を強奪した。 H.Q.からの連絡で、所属不明の空母があるとわかった。甲板に怪しげなミサイルがあることも確認された。 「エイダは世界中でラクーンを再現すると言っていた…… なのに、用意したのはミサイル1発?」 疑問に思ったクリスが再確認するが、しかし可能性のある船舶はそれしか見つからなかったという。 なんとなくイヤな予感を覚えつつも、ミサイルを止めるべく、二人を乗せた戦闘機は空を駆けていく。 空母は巡洋艦数隻に守られている。戦闘機だけですべてを撃沈するのは、とても可能とは思えない神業である。 だが、元空軍のエースだったクリスと天才狙撃手ピアーズの腕と、B.S.A.A.の強い信念があれば、不可能も可能になる。 巡洋艦と高射砲をすべて破壊し、着艦。ピアーズが甲板に飛び降りて、ミサイルへと走った。クリスは機銃で援護した。 すると、甲板にあった巨大なコンテナが壊れて、中身がこぼれ出た。それは超巨大B.O.W.、オグロマンだった。 「エイダめ、まさかここまで想定して!?」 クリスが機銃で応戦している隙に、ピアーズがミサイルの発射装置を解除した。カウントダウンが止まった。 あとは急いで脱出だ。クリスは甲板のクレーン近くへと機体を寄せて、ピアーズを無事回収した。 ……しかし、その瞬間を狙ったかのように、ミサイルが再起動した。またしても騙された。もう解除は間に合わない。 こうなったらミサイルを破壊するしかない。海や空へとウィルスは拡散してしまうだろうが、街中で炸裂するよりはマシだ。 空母に向けて戦闘機の誘導ミサイルを撃ち込む。……しかし、破壊は失敗。ミサイルは真っ直ぐに陸地へ飛んでいく。 ちょうどそのとき、【FOS】という組織のオペレーターから連絡が入り、DSOのレオンが通信を求めていると言われた。 「レオン、今どこにいる!?」 繋がるや否や、レオンの用件を聞く余裕もなく、クリスは慌てて尋ねた。 「ターチィの街のはずれだが、どうした?」「レオン、急いでそこから逃げろ!!」 だが、遅かった。空母を離れたミサイルは、ターチィ上空へと真っ直ぐに向かい、そこで爆発したのである。 紫色のガスが飛び散り、街中に広がる。……そう、C-ウィルスだ。ターチィの街は、瞬時に地獄へと化した。 その惨状を、レオンの口を通じて聞かされるクリスたち。怒りと責任感とで、街へ向かおうと操縦桿を傾けた。 しかし、その様子を察したレオンに制止された。クリスらに、もっと大切な任務を頼みたい、という。 ネオアンブレラの拠点である海底油田へと拉致された、世界を救う鍵を握る二人を救い出してもらいたい、と。 「一人はシェリー・バーキン。もう一人は、ジェイク・ミューラー。……あのアルバート・ウェスカーの息子だ」 レオンが、衝撃の事実を告げた。クリスは驚き、叫ぶ。 「レオン……。エイダ・ウォンは死んだ」 クリスが、自分の目で見た衝撃の事実を告げ返した。レオンは驚き、言葉を詰まらせた。 情報交換を終えて、通信を切った。 目指すは、海底油田。そこがきっと、最後の戦いの場所となるだろう。 193 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 02 31.32 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 5 夜は更けていく。時刻は夜半を回り、暦上では7月1日となった。 クリスとピアーズは戦闘機を操り、海底油田に繋がる海上プラントへと侵入した。 警備は下部に集中しているらしく、上部から下部へと繋がるエレベーターまではあっさりと到達できた。 「皮肉なもんですね」と、エレベーターの中でピアーズは言った。 ジェイクの父親、アルバート・ウェスカーは、バイオテロによって世界を破滅させる陰謀を巡らせた男だ。 しかしその息子は、バイオテロから世界を救う鍵になりえる男として、陰謀に巻き込まれている。 そして、そのジェイクを救い出そうとしているのが、ウェスカーを殺した張本人であるクリス。 それは確かに、皮肉にも思えた。だがクリスは「運命なのかもしれない」と言い換えた。 「……ウェスカーを倒したとき、俺の戦いはいったん終わりを迎えた」 クリスはそう続けた。発端である【洋館事件】以来、12年に渡る因縁は、ウェスカーの死によって終わった。 本当は、クリスが銃を撃ち続けねばならない理由など、もうなくなっているのかもしれない。 「ジェイクの救出が終わったら、俺は銃を置く。これからのことはお前に託す。大丈夫さ、お前ならな」 クリスは、ピアーズにそう伝えた。部下は、頼れる相棒に成長した。ピアーズになら、後を任せられる。 「さて……最後の仕事だ!」 侵入してさっそく、セキュリティルームに到着した。すばやくコンソール操作するクリス。 シェリーとジェイクが監禁されている部屋を発見したので、そのロックを解除しようとする。 が、やはり一筋縄ではいかないようで、警報が鳴ってしまった。解除できたかどうかはわからない。 なんにせよ、直接監禁場所へ行かねばなるまい。研究施設層へ向かう二人。 ピアーズと別行動をとったり合流したり、ジュアヴォと交戦しながら下へ下へと進む。 海底油田は複数ブロックに別れた構造であり、目指す研究施設層へは通路接続の操作が必要らしい。 それには各ブロックごとの気圧の調整など、全自動とはいえ複雑な手順が必要で、その間待たされる。 そして案の定、確実に足止めできるポイントとして、ネオアンブレラはそこに防衛線を用意していた。 「ようこそ侵入者…… あなた方は国連軍かしら? 状況から考えればB.S.A.A.が一番ありえるかしらね」 続々と集まってくる警備部隊と戦っている最中、エイダの音声が響いた。生前に録音したものだろう。 「ミサイルと共に産声を上げるこの世の地獄、その地獄にさらなる破滅をもたらす存在“ハオス”。 ここはハオスが目覚め、解き放たれる場所。ハオスの目覚めとともに私の望んだ世界は幕を開けるのよ」 エイダの音声は狂気的な野望を滔々と語った。エイダの真の狙いは、ここに眠るB.O.W.の解放らしい。 世界各地でのウィルス撒布テロも、あのミサイルすらも、この「ハオス」とやらのための囮に過ぎない。 未知の驚異的B.O.W.の情報をH.Q.に連絡したいが、深い海の底まではさすがの通信衛星も届かない。 クリスとピアーズは二人でこの状況をなんとかするしかない。 研究施設層との接続が完了、防衛部隊と戦っていてもキリがないので、振り切って奥へ進んだ。 すると、既に監禁部屋を脱出していたシェリーらと遭遇。意外とあっさりと合流できた。 「あなたたちが助けてくれたの?」「さすが正義の味方だな」 シェリーが生真面目に二人に礼を言うのに対して、ジェイクは相変わらず斜に構えた台詞を吐いた。 「……よく見れば父親の面影がある」 そのジェイクに対して、クリスはそう言った。 「親父を知っているのか?」「ああ。……俺が殺した」 それを聞き、ジェイクはクリスに銃を向ける。 「撃ちたいなら撃て。君にはその権利がある」 クリスはそれに対して抵抗も見せず、そう言った。 「なぜ親父を殺した? B.S.A.A.としてか? あんた個人として?」 ジェイクが質問した。 「……両方だ」 少しだけ考えて、クリスは正直に答えた。 ジェイクは、クリスに向けた銃を発砲。だが弾丸は、クリスの頬をかすめて、後ろの壁に穴を開けた。 「……こんなことやってる場合じゃねぇんだよ」 ジェイクはそう言った。 「言っとくが、話が終わったわけじゃねぇぞ? お前にはまだ訊くことがヤマのようにあんだよ」 その憎まれ口が、彼なりの精一杯の答えだった。 脱出を目指し、四人で行動することに。ここは、サイロ状(巨大な円筒形)の構造になっており、 そのド真ん中には超巨大なサナギがぶら下がっていた。おそらくは、これが例の【ハオス】だろう。 エレベーターを発見し、上部へと進む。ジュアヴォたちに妨害されるが、四人で共闘し撃退した。 だが問題は、機械が作動し、「ハオス開放」のプロセスが始まってしまっていること。 このサナギが目覚めれば、おそらくは……世界の終わり、であろう。 エレベーターで昇りつつ、サナギに攻撃する四人。だが針でつつくようなもので、効果は見えない。 ついに、サナギが羽化した。中から出てきたのは、ドクロ状の頭部を持ち、全身が透き通った軟体の怪物。 何本か触手を持っており、人型というよりは、クラゲやイカをベースにしたかのように見える。 その巨大な手が、四人を見つけて攻撃してくる。その一撃は足場を簡単に粉砕した。 「お前たちは先に行け! これは専門家の仕事だ」 と、クリスらはジェイクらに逃げるよう促す。 反発して戦おうとするシェリーだが、ジェイクはその手を強引に引いた。 「他にやることがあんだろ!?」というジェイク。そう、彼らの仕事は、生還して世界を救うことだ。 ジェイクらを逃がすための囮となって、クリスとピアーズはハオスをひきつけて走る。 足場はどんどん壊されていくが、なんとか逃げ切って最上部に辿りつき、エレベーターに乗った。 だが、あらゆる障害物をあっさり破壊して突き進んでくる相手から逃げられるわけもなく、追いつかれた。 結局、正面から戦うことになった。手持ちの武器を駆使して攻撃を加える。多少は怯ませることができた。 だが、ハオスが大暴れしたせいで、研究施設層はいたるところから浸水している。脱出せねばならない。 中央層へと、通路を走って戻る。だがまた活動開始したハオスが、通路を壊しながら追いかけてくる。 閉まっていく隔壁に、スライディングで滑り込む。最後の隔壁は、クリスが間に合うまでピアーズが体で押さえた。 なんとか中央棟へ戻れた、と思ったのもつかの間。ハオスが巨大な触手を一振りした。 直撃を受けたピアーズは吹き飛ばされ、壁に衝突。……運悪く、壁の一部が右肩を貫通してしまう。 さらに巨大機械を投げつけるハオス。ピアーズは避けられない。右腕が完全に挟み潰された。 クリスも一撃を受けて昏倒する。ハオスはそれを掴みあげて、締め上げる。握り潰すつもりか。 激痛と出血に朦朧としつつも、ピアーズはあることに気がついた。 ……空母でエイダから回収した、特別製のC-ウィルスの注射器が、懐から落ちて転がっている。 他に、手はない。 ピアーズは、右腕を根元から引きちぎった。這って進み、注射器を拾って…… それを、右肩へと打ち込んだ。 失った右腕が、瞬時に再生された。……ジュアヴォのような、変異した触手状の腕が。 特別製のウィルスの力か、その腕には、電撃のようなビームを放つ能力が備わっているようだ。 クリスの手持ちの銃火器と、ピアーズの右腕の能力とで、ハオスと戦うことになった。 ある種のクラゲは、死亡するとサナギ状になり、また誕生する、不老不死の性質を持つものがいるという。 ハオスもそれに似た性質を持っているのか、いくらかダメージを与えるとサナギ状に変化してしまい、 そこから再誕したときには以前のダメージがまったくなくなっているという、不死身に近い性質があった。 だが、絶対の不死身などありえない。サナギ状のときに攻撃すれば、不完全な状態で復活させられる。 そのときに短時間だが弱点となる臓器が見えるので、ナイフを突き刺してやれば、ダメージになる。 長い戦いの末、ついにハオスが沈黙した。ドロドロと溶けて、黒く濁ったカスになった。 ピアーズに肩を貸すクリス。ピアーズの変異は、まだ右腕だけで済んでいるようだ。若干混濁しているが、意識もある。 クリスはピアーズを励ました。ジェイクの体のウィルス抗体から治療法が見つかれば、助かるはずだ。 それまで、ウィルスに体を乗っ取られないように耐えればいい。そういって、二人で脱出を目指す。 二人は、脱出ポッドのある部屋に辿り着いた。クリスは機械を操作する。ポッドのひとつが開いた。 ピアーズに肩を貸し、ポッドの中に入れようとしたとき…… 不意に、ピアーズがクリスを突き飛ばした。 ポッドの中に転がるクリス。ピアーズは、ポッドに乗らずに外からその扉を閉めた。 「ピアーズ! 何をしている! 開けるんだ! 二人でここを出るんだ! だめだピアーズ! 諦めるんじゃない!」 クリスはそう叫んだ。だが、ピアーズにはわかっていた。ウィルスの侵食は進んでいる。自分はもう助からない。 いや、本当はクリスも気がついていた。既にピアーズの変異は、肩や首を超えて顔の半分まで進んでいたことに。 ポッドが射出された。クリスを乗せて、海の中を進んでいく。ピアーズの姿が、海底油田が、遠くなっていく。 ……ポッドを追いかけるように、油田から巨大な青白いモノが飛び出してきた。……ハオスだ。 だが、特大の電撃が、ハオスを襲った。ピアーズの最期の攻撃だった。彼は最後まで、B.S.A.A.として戦い抜いたのだ。 その直後に、沈んでいくハオスを巻き込んで、海底油田は大爆発を起こした。 ……ポッドが、海に浮かんでいる。東の空は赤く染まっていた。絶望の夜の終わりを告げる朝明けである。 クリスはそれを眺めると、自分の右手に視線を移した。 そこには、B.S.A.A.のワッペン。ピアーズに突き飛ばされたときに、彼の制服の肩から偶然むしりとったものだ。 ほんの2日前には記憶を失って呑んだくれていた自分が復帰できたのも、ピアーズのこのワッペンを見たおかげだ。 恩人であり、大切な相棒である男は、もういない。形見のワッペンを、クリスはぐっと握りしめた。 ……遠くから、迎えのヘリの羽音が聞こえた。 197 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 09 56.77 ID ByUqFtM40 【クリス編】 Ending 日時不明。少し陰鬱な印象を与える曇り空。 東欧の酒場にて、クリスはステーキを食べていた。 そこは、かつて記憶を失った彼が酒に溺れていた酒場だ。そして、ピアーズと再会し、己の道を取り戻した場所。 そのときピアーズはこれと同じステーキを食べていて、なかなかうまいと言っていた。 「隊長、指令です」 クリスを呼ぶ声がした。クリスの部下のひとりだ。 その顔は、ピアーズではない。フィンでも、マルコでもない。他の部下たちでもない。彼らはもう死んだのだ。 だが、彼らの残した希望は、決して死なない。決して死なせはしない。クリスが、B.S.A.A.が戦い続ける限り。 「……わかった。案内してくれ」 クリスは席を立ち、堂々とした足取りで歩み去った。 戦士はまた、戦いに赴く。 その背中に、仲間たちから継いだ遺志を背負って。
https://w.atwiki.jp/storyteller/pages/1783.html
BIOHAZARD 6 クリス編:part64-33~35,71~79,190~197 33 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/08(木) 22 32 17.95 ID lKYL3JHR0 【クリス編】 CHAPTER 1 2013年6月29日、東欧某国。 男が、酒に溺れていた。年齢は中年か。隆々とした体躯と体中に残った傷跡。まさに歴戦の勇士の体であった。 そんな男が、明らかに荒れた様子で呑んでいた。暗く、そして危険な空気を漂わせて。 客は誰も近づかない。店の雰囲気も暗くなっていた。店も客も、明らかに迷惑していたが、男はそれでも酒を呑んでいた。 ついには、バーテンの女性に絡み、客の一人と乱闘を始めた。男は荒れに荒れて、落ちるところまで落ちていた。 青年が、男の乱暴を止めた。近寄りがたい雰囲気で呑んでいた男の隣にわざわざ座ってステーキを食べていた青年だ。 彼は【ピアーズ・ニヴァンス】と名乗り、男に【クリス・レッドフィールド】と呼びかける。 ピアーズは、クリスのことを半年間も探し回って、ようやく見つけ出したのだという。 だが、クリスにはピアーズと面識がなかった。いや、思い出せなかった。彼は半年前に記憶喪失に陥っていたのだ。 ピアーズは携帯端末を取り出し、写真を見せた。彼らが半年前に共に戦った任務の写真だった。 ほかにも、たくさんの男たちが彼らのチームだった。ピアーズは端末で仲間たちの写真を表示し、クリスに突きつける。 「事実から目を背けることは許されない、あんたは過去と向かい合うべきだ。 見ろ、見るんだ! みんなあんたにすべてを託して死んでいった仲間だ! そうやって目を背けて、なかったことにする気かよ!」 ピアーズの熱弁もむなしく、クリスはなにも思い出せない。しかし、ひとつだけ、クリスの頭を刺激するものがあった。 ピアーズのジャケットの肩に縫い付けられた、【B.S.A.A.】のエンブレム。 「そうだ。あんたの帰るべきところだ。みんなが待ってる。あんたを迎えに来たんだ、隊長」 ピアーズはそう言った。ほかにも数人の男たちが、クリスの傍に集まってきた。彼らは、クリスを慕う部下たちだった。 (俺は何から逃げていた? その答えを知らなければ、永遠に前に進めない……。) 記憶は相変わらず蘇らない。だがクリスは、この男たちの隊長として、再び戦場に立つことにした。 そこに、自分の失われた記憶が、自分の人生の意味があると信じて……。 翌6月30日。中国、偉葉(ワイイプ)。生物兵器【ジュアヴォ】を用いたテロ事件が発生。B.S.A.A.が鎮圧に向かう。 テロ組織は、国連職員数名を拉致し、とある雑居ビルに監禁しているらしい。その救出が、彼らの任務だ。 クリスは、アルファチームのリーダーとして戦うことになった。その隣には、ピアーズが従っている。 到着したクリスらを真っ先に出迎えたのは、カメラマンとリポーターだった。それらを押しのけて、クリスらは進む。 奇妙な仮面(京劇に使うものだろうか?)を被ったテロリストと遭遇。なんと、頭に銃弾を受けても活動している。 「ジュアヴォと遭遇! イドニア内戦時と同じ特徴を確認した!」 ピアーズがH.Q.(ヘッド・クォーター=本部)に報告するのが聞こえた。 ジュアヴォとは、人間同様の思考能力と武器活用などの応用力があるB.O.W.だ。さらに変異する性質も秘めている。 彼らは人に見えるが、もう人ではない。無抵抗の市民にも容赦がない、恐るべきバイオ兵器へと堕ちてしまった存在だ。 ジュアヴォは武装していた。ロケットランチャーを取り出して、B.S.A.A.のヘリを墜落させる者までいた。 それらと戦うクリス。記憶はまだなくとも、身体で覚えた戦いのカンは鈍っていないらしく、快進撃を続ける。 別チームの一人が、ジュアヴォに首を絞められているのに遭遇。ピアーズは細く息を吐いて、狙いを定めた。 見事、ジュアヴォの肘関節に命中。ピアーズは狙撃を最も得意としており、その腕は天才的である。 するとそのジュアヴォの腕が、急激に変異を始める。これが、ガナードやマジニと決定的に異なる特徴だ。 驚異的な再生能力により、ダメージをきっかけとしてより怪物的でより強力な特徴を備えた個体へと変異を遂げるのだ。 敵の反撃によって、部下の隊員が一人死亡した。その姿を見て、クリスの記憶の断片がフラッシュバックする。 一瞬、それに気をとられたクリスだが、ピアーズに肩を叩かれて我に返った。考えにふける時間はない。 クリスは任務に集中し直し、素早くチームに指示を出す。迷いはなく、内容も的確だ。 目標地点の雑居ビルにたどり着いた。だがチームの消耗が激しい。突入前に、他チームの到着を待つことにする。 ワラワラと湧いてくるジュアヴォたちを殲滅し、無事合流を果たしてビル内に突入した。 H.Q.の指示に従い、7Fへ。下半身全体が変異し、まるでクモかゴキブリのように走り回るジュアヴォが登場、 人質をがっちり抱きかかえてあっちこっちに逃げ回る。人質を傷つけないよう注意しつつ攻撃、救出に成功。 続いては1F。人質周辺の敵を一気になぎ倒し、安全を確保。……したと思った次の瞬間。 人質の背後に突然ジュアヴォが登場、刃物で人質の喉を切り裂こうとしている。 脳内物質による錯覚か、クリスには周辺の風景がスローモーションに見えた。狙いを定め、ジュアヴォを撃ち抜く。 他チームのメンバーからも続々と人質救出の連絡が入る。どうやら全員の救出に成功したようだ。 あとは脱出するだけだ。すべてのメンバーが脱出したら、汚染拡大を防ぐため、このビルは爆撃される。 だがあと一歩で脱出というところでビルが崩れ、クリスとピアーズだけが中に取り残されてしまった。 H.Q.に急いで連絡を取るが、もう爆撃は始まってしまった、とのこと。 「マズいな 仲間の爆撃で殉職なんてゴメンだぜ」 3Fまで戻り、バルコニーから外へ飛び出した。次の瞬間、ミサイルが着弾し、爆発。間一髪だった。 爆発と崩落が収まってから、クリスらは雑居ビルの跡地を確認しに向かった。 残骸の中には、ジュアヴォたちの成れの果てと思われる、黒粘土の人形のような物体がゴロゴロしていた。 その“サナギ”をみて、フラッシュバックと頭痛に襲われるクリス。半年前の記憶が、蘇る……。 71 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 12 03 10.26 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 2 半年前、2012年12月24日。東欧、イドニア共和国。 クリスは、B.S.A.A.アルファチーム隊長として、バイオ兵器を用いている反政府ゲリラたちの鎮圧に来ていた。 複雑な内政事情により内戦が絶えないこの国は、まさにテロ組織が隠れ潜むのにぴったりの土地である。 部下の一人が、殉職した。敵の情報を持ち帰ってくるのに無茶をしたらしい。 「B.S.A.A.の使命は、バイオテロを根絶することだ。俺たちは捨て駒じゃない」 「大切なのはおまえたちが生き残り、同志を増やしていくことだ。ここにいるひとりひとりが希望だ」 クリスとピアーズは、部下たちにそう語った。 部下が命を賭けて入手した情報を確認した。反政府ゲリラたちは新型のB.O.W.ジュアヴォを用いているらしい。 ゲリラがそれを開発したわけがないだろうから、その背後に何らかのバイオテロ組織がいることは明白だ。 気を引き締めて任務にかかるよう、クリスは発破をかけた。 落ち着かない様子の部下に、クリスは声をかけた。彼の名は【フィン】。今回が初陣らしい。 「いいかフィン、俺たちは家族だ。家族を信じろ」 クリスは、フィンの肩を叩いて微笑んだ。 移動中、さっそく敵部隊と遭遇。すぐさま市街戦に突入した。 思い思いの服装と武器を手にしたゲリラたちとしばらく戦ううちに、ピアーズがあることに気づいた。 「弾を少しも恐れちゃいない…… 普通じゃないですよ、こいつら!」 クリスも同じことを感じていた。一見普通の人間に見えるが、どこかが違う。これがジュアヴォか。 作戦通りに着実に進んでいくアルファチーム。その道中に、驚異的な巨体のB.O.W.が登場した。 頭は建物の屋根よりさらに高く、その手足は大型トラックがミニカーに見えるほどに大きい。 現地の言葉で「巨人」を意味する【オグロマン】という名のB.O.W.であった。 「規格外もいいところだ! 新種のオンパレードだな!」 巨体にふさわしいタフさで、しとめ切れず逃げられる。そのついでに道を崩されて、遠回りを強いられた。 「あんな新種、報告されてませんよ!」「新しく投入されたんだろう」 ピアーズの疑問に、クリスが答える。どう考えても、ただの反政府ゲリラではない。 さらに進んでいく。が、B.S.A.A.の装甲車が地雷を踏んで走行不能になってしまった。 対戦車地雷まで出てくると、テロというよりもはや戦争だ。戦いはどんどん激しくなっていく。 徒歩で進んでいくが、ルート上で列車が横転している。……そう都合よく? 明らかに、足止めするワナ。 案の定、ジュアヴォたちがワラワラと湧いてくる。工兵フィンに爆破準備させ、他の隊員たちで応戦した。 線路沿いに進んでいくと、鉄橋に到着。ブラヴォーチームの負傷兵が1名、橋に取り残されているのが見えた。 さらに奥には、ぱっと見は旧型だが相当改造されているらしい戦車。さらに奥はバリケードで封鎖されている。 ブラヴォーチームと合流、正面と側面の二手に別れて攻略することにした。 狙撃の名手であるピアーズは側面部隊のほうが向いているだろう。クリスはそちらへピアーズを送った。 フィンが先行、クリスもそれを追う。だが、足を踏み入れたとたん、橋が爆破された。 崩れそうな橋にしがみつき、這い登るクリス。フィンに引き上げてもらって、なんとか命拾いした。 戦車とまともに遣り合っては勝ち目はない。ピアーズになにか有効な目標はないか聞いてみる。 彼はタンクローリーを発見し、狙撃。爆破、炎上。戦車と周辺のジュアヴォは巻き込まれて灰になった。 クリスとピアーズは合流し、橋の上部を確保。しかし敵はさらに増援を送ってくる。 フィンに負傷兵の様子を聞くが、足をやられていて動けないらしい。 「隊長! 私たちにはかまわず、先に行ってください!」 「部下を見捨てて逃げるような真似はしないさ、ここで待っててやる、引きずってでも連れて来い!」 ワラワラとわいてくるジュアヴォを必死に防ぐが、倒しても倒してもキリがない。装甲砲台まで出てきた。 だがフィンも新人ながらなかなか骨がある。負傷者を担いで、クリスらの下へしっかり合流した。 その彼に、橋を爆破するよう指示するクリス。フィンは絶妙なタイミングで爆破し、装甲砲台を下へ落とした。 これで追われる危険は大きく減少した。クリスらはやっと橋から撤収した。 負傷者をブラヴォーチームに任せて、アルファは作戦を継続することに。すると、予期せぬ客と遭遇した。 まだ若い男女の二人連れで、女性のほうが「合衆国エージェント、【シェリー・バーキン】」と名乗った。 「シェリー? ラクーン・シティ事件の? クレアから聞いている。妹が世話になっているな」 クリスは、初対面ながらも縁深い相手との出会いに、顔を綻ばせた。 「クリス、後ろのヤツは反政府ゲリラです」 ピアーズが目ざとく見つけ、クリスに報告した。 シェリーは慌てて、彼は故あって自分が保護した人物で、生粋のゲリラではなく傭兵である、と弁護する。 だが青年、「カネ次第で怪物とだって隊列組むぜ」と不謹慎な冗談を吐き、ピアーズはそれにカチンと来る。 一触即発になったが、喧嘩が始まる前に、ゲリラとの戦闘が始まった。 上空に謎のヘリが登場し、それがぶら下げていたB.O.W.を投下したのだ。超巨大な怪物、オグロマンである。 「安全なところへ下がっていろ!」 「いいえ、戦わせて! もう……守られる立場は卒業したの!」 クリスの心配をよそに、シェリーは協力することを提案。クリスもそれを快く受け入れた。 B.S.A.A.エコーチームが増援に駆けつけているが、敵組織の高射砲が邪魔でヘリが近づくことができない。 B.O.W.の相手をしながら高射砲を破壊する、二面作戦が必要になる。 工兵であるフィンが、高射砲に爆薬を仕掛ける。その間、クリスらは援護に徹した。 オグロマンを撃破するが、2体目が登場。さっき逃がしたヤツだ。 時間が経ったからか、むき出しだった背中の弱点が中に引っ込んでしまい、金属のパーツがちょこんと見えるだけになっている。 ある程度ダメージを与えた後、ビルの屋上から背中へと飛び移り、力任せに引き抜く。ヘリからの爆撃で、怪物は絶命した。 無事エコーと合流できた。クリスはヘリコプター部隊に、シェリーらを本国へ連れて帰るように指示を出した。 歩み去ろうとする青年……【ジェイク・ミューラー】に、クリスが声をかけた。「……どこかで会ったか?」 ジェイクは一瞬ためらってから、減らず口を叩いた。「B.S.A.A.のアホ面どもの見分けなんかつくか」 「テメェ、いい加減に!」ピアーズが激高するが、クリスが止めた。 「逃がしてよかったんですか? あいつら傭兵にやられた仲間だってたくさんいるんですよ!」 アツくなってクリスにつっかかるピアーズ。だがクリスは冷静にそれをなだめた。 「俺たちは戦争に来たんじゃない。B.S.A.A.の使命はバイオテロと戦うことだ。それを忘れるな」 シェリーらと別れ、アルファチームは目標であった庁舎内部へ突入した。 敵の大部隊がいるかと思いきや、誰もいない。代わりに、人型の奇妙なオブジェが立ち並んでいた。 「これ… ヒトですか?」 「生体反応アリだ、まるで“サナギ”だな」 不気味な展開に戸惑いながらも、B.S.A.A.隊員は調査を進める。 部隊を分けて探索を進めるよう指示するクリス。ピアーズとフィンとで、奥を調べることにする。 すると、生存者らしき人影が見えたので、追う。青いドレスに整った黒の短髪という、場違いな格好の女性に見えた。 オフィスらしき部屋に着いた。それを見計らったように、そこにあった“サナギ”が、突如変異を遂げた。 甲殻類のような体表に身を包んだ重量級B.O.W.【】である。非常にタフで、排除するのは骨が折れた。 庁舎奥へと進む。そこには、大量のクスリのアンプルが散らばっていた。 「【C-ウィルス】……反政府ゲリラはそう呼んでいたわ」 アンプルに気をとられた3人の隙を着くように、女性が話し掛けてきた。青いドレス、黒の短髪のアジア人女性。 「【エイダ・ウォン】。ここの職員よ、捕まっていたの。……保護してもらえないのかしら?」 銃を突き付けられた女性は、余裕ある態度を崩さずにそう言った。クリスらは当然、それだけでは疑いは解かない。 女性は薄く笑いを浮かべると、ある情報を口にした。 「【ネオアンブレラ】。反政府組織に協力していた組織がいたの。確かそいつらがそう名乗っていたわ」 エイダと名乗る女性は、テロリスト一味ではないようだが、妙に余裕たっぷりな態度が気になる。 クリスは、女性を保護するようフィンに指示したが、同時に警戒は解かないようにとピアーズに耳打ちをした。 ホールに戻る。エイダの案内で直通の近道を通った。と、ホールにあったサナギがすべて孵っている。 チーム全員と合流してこちらの数も増えているが、それ以上にサナギから出てきたB.O.W.の数が多い。 こいつらを掻き分けて正面から退出するは不可能と判断し、上階へと逃げることにする。 庁舎の中はサナギだらけで、行けども行けどもB.O.W.に遭遇する。だが数は少なくなっており、対処しやすい。 チームは一丸となって出口へと向かった。あと少しで脱出できそうだ。 ……そのとき、ピアーズがふとあることに気がついた。慌てて周囲を見渡す。そして叫んだ。 「さっきの女がいない!」 そして、ワナが作動した。前を走っていたクリスとピアーズは運よく逃れたが、他全員が鉄格子に閉じ込められる。 「エスコートしてくれてありがとう。お礼にイイモノあげるわ」 ワナを作動させた張本人であるエイダ・ウォンが、やはり余裕のある勝ち誇った声で言った。そしてあるモノを投げる。 野球のボールほどの大きさで、無数に針が仕込まれた装置。それは、B.S.A.A.メンバーたちの真ん中で炸裂した。 無数の針が隊員たちへと突き刺さる。針には、C-ウィルスが仕込まれていた。 クリスは鉄格子を叩いた。開かないとわかっても、しがみついて必死に叫んだ。 しかしクリスの呼びかけもむなしく、クリスの目の前で、部下たちはC-ウィルスでサナギと化してしまった。 鉄格子が開き、サナギのひとつが羽化する。絶望に呆然とするクリスは、殴り飛ばされ、後頭部を強打してしまった。 クリスの意識は薄れていく。視界は闇に覆われ、音もかすれていく。 だが意識を失う寸前まで、クリスの視界から、変わり果てた部下たちの姿が消えることはなかった……。 76 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/11/16(金) 13 12 07.58 ID mIDdPHBW0 【クリス編】 CHAPTER 3 ……回想は終わり、場面は2013年6月30日のワイイプへと戻る。 B.S.A.A.の火炎放射隊が、雑居ビル残骸で発見されたサナギを丁寧に焼却していた。 その姿を眺めながら、クリスは低く冷たい声でピアーズに質問した。「エイダ・ウォンはどうしている?」と。 「記憶が戻ってるんですか?」 ピアーズは驚き、説明を始めた。「あの女は、ネオアンブレラと関係していて……」 「この街にいるかいないのかどっちだ!?」 遮るように、クリスが怒声を上げた。余計な情報は要らない。 「……目撃情報あり。この街にいます、絶対に」 その気持ちを察して、ピアーズは端的に答えた。 クリスはすぐさま、今後の指揮をすべて自分が執ると宣言。他チームも含めた部隊再編をすばやく指示した。 負傷者の保護やこのビル跡地の処理にあたるチームを作り、残りの活動できる戦力はすべて追跡チームとした。 目標はたたひとつ。部下の仇である憎きテロリスト、エイダ・ウォンの追跡・捕獲である。 早速移動を開始する、と、廃墟の地下から、ヘビ状のB.O.W.がヌルリと登場したのに遭遇した。 どういう仕組みか、いわゆる光学迷彩の原理で、周辺の光景と同化して透明になる能力を持っているらしい。 B.O.W.あるところにテロリストあり。このB.O.W.を追跡すれば、エイダの元に辿り着くであろう。 追跡の最中、部下が食らいつかれ、そのまま連れ去られた。再び部下の命が奪われたことに、ますます激昂するクリス。 公園を抜けて、雑居ビルへ。大都会の裏通りのゴミゴミした集落を超えていく。 すると、街を彷徨っているシェリーとジェイクを発見した。 「あいつら生きていたのか! イドニアから半年、行方がわからなくなっていたんです」 とピアーズが、ここ半年の情勢を知らないクリスに説明した。そこに、重装甲の武装ヘリが登場する。 さらにはジュアヴォたちがワラワラと湧き出し、シェリーらを包囲する輪を作った。 「あいつら、ネオアンブレラに追われていたのか!」 ピアーズが、謎が解けた、という感じで叫んだ。 「よし、怪物どもを大掃除するぞ」 クリスはそう決断し、部隊に攻撃を命じた。 B.S.A.A.アルファチームは彼らを援護し、武装ヘリとジュアヴォに攻撃を仕掛ける。 シェリーらを安全なルートに誘導しようと通信兵が呼びかけるが、通信機器が壊れているのか無視しているのか、 二人からの返事はなく、誘導することは不可能。その場に留まる二人をとにかく守る形での戦闘になった。 今回のジュアヴォは、腰から下が完全に変異し、バッタの足のようになった姿をしていた。 すさまじい跳躍力でビルを飛び越え、高い安定性で武装ヘリの上に着地して銃撃をしてくる。恐ろしい生物兵器だ。 だがB.S.A.A.も歴戦、身体能力で劣っていてもそう負けはしない。ジュアヴォを殲滅、ヘリも撃墜した。 ジェイクと目が合うクリス。だが、お互い言葉を交わすことはなかった。立ち去っていくシェリーとジェイク。 「あの二人を保護しましょう! アイツらだけじゃ危険です!」 ピアーズが提案した。 「……放っておけ 行くぞ」 しかしクリスは冷たく却下。彼の目には、エイダの追跡しか映っていないかのようだ。 人命を何より大事にしていたクリスのものとは考えられない命令だ。驚いたピアーズは、珍しく反対した。 「隊長、行かせちゃダメです! ネオアンブレラに追われてるんですよ!?」 「俺たちの目的はB.O.W.の殲滅だ! 何度も言わせるな! エイダ・ウォンの居場所を突き止める!」 「……隊長、お願いだ、冷静になってくれ……」 ピアーズの願いもむなしく、クリスは聞く耳を持たなかった。 先へ進むアルファチーム。廃墟付近でB.O.W.に連れ去られた部下の死体を見つける。ひどい有様だった。 クリスの頭に、ますます血が昇った。ピアーズの反対も無視して、廃ビルへの強行突入を指示する。 だが、立体的な構造で隠れるところも多い建築物は、ヘビ型B.O.W.にとっては格好の狩場だ。 通風孔から、天井裏から、窓から、突然飛び出してきては、隊員が一人ずつ襲われ、殺されていく。 クリスは完全に逆上している。ヘビの気配を感じ、そちらへ一目散に突っ込んでいった。 チームワークを省みない、明らかな暴走だ。返り討ちに遭いそうになり、ピアーズに救われた。 「ひとりで突っ走るなんて、なに考えてるんだ!?」 ついにピアーズは我慢の限界に達し、クリスに噛み付いた。 「決めるのは俺だ、ついてこれないヤツは切り捨てていくぞ」 だがクリスも、方針を曲げる気はない。 チームに険悪な雰囲気が漂う。そんな中でも、一人また一人と隊員たちは命を散らしていく。 ビル内でB.O.W.と戦闘、弱らせて裏路地へ追いやった。 そこでB.O.W.は、透明化を解除し、表面を硬質化して防御を固める戦術に切り替えてきた。銃弾は通用しない。 クリスらは、ビルの電源を使って電撃を浴びせる作戦を実行し、ついに仕留めることができた。 B.O.W.を仕留めたが、しかしそれは小目標に過ぎない。クリスは、既に二人しかいなくなった部下に告げる。 「エイダがまだだ。あいつを片付けない限り、何も終わりじゃない」 まだ冷静になりきれていないクリスに、ピアーズはなおも慎重策を提案する。だが、その台詞をさえぎるように、 「私を探しているのかしら?」 妖艶な女性の声が響いた。忘れもしないこの声。青のドレス。間違いない、エイダ・ウォンだ。 だが、銃を構える暇もなく、エイダの放ったウィルス弾が、最後の部下、マルコに命中した。 見慣れてしまった、もう見たくなかった、あの変異が起こってしまう。マルコは、怪物になってしまった。 エイダはさっさと逃げてしまった。クリスらは、部下であった怪物と戦わねばならない。 エイダへの怒りをますますたぎらせるクリスだが、半年前のトラウマが蘇り、銃を構えることをためらう。 「こうなったらもう殺すしかない。俺たちが仲間としてコイツにできることは、もう……」 ピアーズが、戦うことを促す。クリスも覚悟を決めて、マルコを、いや、B.O.W.を、射殺した。 B.O.W.の死体から、C4爆弾が転がり落ちた。マルコは工兵で、爆発物担当だったのだ。 その忘れ形見を拾い上げ、クリスはそれを鍵のかかった鉄格子に叩き付けるようにして設置。道を作り、進んだ。 完全に頭に血が上っているクリスを見て、ピアーズは落ち着くように言った。 「おまえはここまでされてなんとも思わないのか!」 クリスはなおも興奮してピアーズにも噛み付く。 しかしピアーズは反論した。今のクリスは、明らかに復讐に取り憑かれ、正気を失っている。 「B.S.A.A.の使命なんかどうでもよくなってるんだろ!? 今のアンタの姿を、フィンたちに見せられるのかよ!」 その指摘にクリスは顔色を変える。しかし、大切な部下を、自分の記憶を、奪ったエイダへの怒りは収まらない。 売り言葉に買い言葉の勢いもあって、気に入らなければ着いてこなければいい、一人でも進む、とクリスは宣言した。 しかしピアーズはあくまで共に行動すると言った。「今のアンタは危なっかしすぎる」と。 H.Q.と情報をやり取りした結果、スラムを抜けて、南の港湾方面へ向かうことにした二人。 道中、ジュアヴォ編隊に襲われつつも、それしきで足止めされるほどヤワではない。突破して進んでいく。 むしろ防御網にぶつかるたびに、目指す標的に近づいているという確信が深まり、足取りは力強くなっていく。 ボートに乗り込むエイダを肉眼で確認。ここで捕らえる、と思ったが、そこに武装ヘリが登場した。 やむなく追跡を中断し、港の高級レストランに逃げ込んで応戦。見事、武装ヘリの撃墜に成功した。 だが、エイダには逃げられた。H.Q.にエイダの逃走先を確認。どうやら近くに研究所があるらしい。そちらへ向かう。 到着すると、ちょうどドアをくぐるエイダを発見した。誰かと話している最中なのか、ドアの中に気をとられている様子だ。 反射的に発砲するクリス。だが命中しなかった。エイダはフックショットですばやく脱出した。 「逃がすか……!」 クリスは低く呟き、すぐさま追跡。 いかにも研究所然としたエリアに踏み込む。案の定、侵入者を阻む仕掛けが満載であった。 「よく来たわね。ここは私のお気に入りの場所…… せっかくだから楽しんでいって?」 エイダが姿を見せ、挑発した。 仕掛けを解除し、追いかける。部屋に閉じ込められて新兵器の実験台にされたりもしたが、突破して追いかけた。 そしてクリスとピアーズで挟み撃ちにし、角に追いやった。ついに、ついに追い詰めた。 しかし、クリスの背後から、何者かが妨害に入ってくる。不意を突かれたものの、クリスはしっかりと応戦した。 乱闘の末、銃を突きつけあう二人。お互いの顔を見つめあい……そして、気づく。 「……クリス?」「……レオンか!」 そう、彼らはDSOの【レオン・S・ケネディ】と、その同僚の【ヘレナ・ハーパー】だった。 「彼女を殺させるわけにはいかない、彼女はテロの重要証人だ」 レオンが言った。 「証人? 彼女はテロの首謀者だ!」 クリスが反論し、「違う、首謀者はシモンズだ!」 またレオンが言い返す。 「俺たちは、部下を皆殺しにされた!」「俺たちは、アメリカ大統領と市民7万人を失った!」 お互い、一歩も譲らない。 「ネオアンブレラだぞ? この名前が俺たちにどういう意味を持つのか……!」 「わかってる!」 「どうあってもこの女を信じるというのか?」 「……信じる」 クリスの問いに、レオンは明確に答えた。 そうこうしている隙に、エイダは閃光手榴弾を投げて、すばやく逃走した。 ピアーズが発砲するが、すべて空振り。またしても、エイダに逃げられてしまった。 追跡を妨害され、少し苛立つクリスだったが、しかし、戦うべき敵、目指す目的は同じだというレオンの説得に折れる。 「……エイダはB.S.A.A.が追う、お前らはシモンズを追ってくれ」 「……クリス、お前を信じるぞ」 レオンは別れ際に、クリスにそう呼びかけた。クリスは、少し曖昧に頷いた。 H.Q.によれば、エイダは軍港に向かったという。そこには、数日前に突然連絡を絶ってどこかに消えた合衆国の空母が、 突如姿を現して停泊しているという。まず間違いなく、ネオアンブレラが奪い、テロに利用しているものに違いない。 真っ赤なスポーツカーでハイウェイを飛ばすエイダ。B.S.A.A.の二人は、それを追うべく銃座つきトラックに飛び乗った。 トラックの銃座を握るクリスは、運転席に座ろうとしたピアーズを呼び止めて、言った。 「……おまえのいうように、俺は目を背けていたのかもしれない、すべての過去から」 自らの過ちを認めたクリスの顔は、いままでの濁った怒りが薄れ、かつての爽やかさを取り戻していた。 クリスがようやく本当の自分を取り戻した姿を見て、ピアーズも彼への信頼を回復させる。 「行けるか、ピアーズ?」「任せてくださいよ、隊長!」 スポーツカーとトラックが、ハイウェイをひたはしる。敵が妨害してくるので、クリスは銃座を乱射して蹴散らした。 H.Q.にハイウェイの封鎖を要請するが、人員が割ける状態ではないとのこと。となれば、自力で追いつくしかない。 エイダの乗ったスーパーカーが乗り込むのと同時に、空母は離岸してしまった。 しかし二人はトラックを全力で走らせてジャンプさせ、無理やり空母の甲板へと乗り込んだ。 トラックから投げ出された二人は甲板上を転がる。事故同然だが、なんとか空母に乗り込むことに成功した。 190 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 04 54 43.44 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 4 無理やりな着艦の痛みにうめく暇もなく、二人は立ち上がって銃を構えた。すぐに警備のジュアヴォが押し寄せてくる。 今までの中国の街中で出会ったジュアヴォは、本格的な武器こそ持っていたが、服装はラフだし戦術も雑だった。 一方こちらはネオアンブレラの精鋭のようで、完全武装し、狙撃兵など複数の役割に分かれて統制の取れた攻撃をしてくる。 エイダが船橋へと入っていくのが見えた。それを追おうとする二人だが、階段を外され、隔壁が下ろされてしまった。 「やってくれたな…… どうしますか?」「作戦に変更なしだ、エイダを追う」 ピアーズの質問に、クリスは力強く答えた。 ジュアヴォたちに邪魔されながらも、甲板上を走り回って進路を開いていく二人。 空母に搭載されていたミサイルを操作し、隔壁にブチ込んで壊した。階段はレバー操作で元に戻した。 赤いジャケットと革のパンツ姿のエイダが、ワイヤーフックを駆使して華麗に進んでいく。二人はそれを追い続ける。 しかしエイダは、その気になればたやすく振り切れるのに、あえて姿を見せて誘導しているかのようだ。 ピアーズはそれを、エイダがこちらを振り回して挑発しているものと受け取って、腹立ち紛れに悪態をついた。 そうこうしていると、聞き覚えのある声が電話で話しているのが聞こえた。……ついにエイダに追いついた。 「あなたがわたしにくれたもの そっくりお返しするわシモンズ。あなたは人間でなくなるだけよ。……全人類と共にね。 今日までの世界を築いたのはあなたとあなたのファミリーよ。でも明日、目にするのは……まっさらな世界よ」 黒い短髪。青いドレス。エイダは通話相手を嘲笑い、通話を打ち切る。そして二人の追跡者に気づくと、また逃走した。 艦橋の頂上に辿り着いた。ここからではもう、空でも飛ばなければ逃げ道はない。ようやく、追い詰めた。 「懲りないわねぇ。バケモノになった部下たちは、きちんと始末できたの?」 しかしエイダは二人を嘲笑う。 「挑発に乗っちゃダメだ、隊長!」 ピアーズが叫ぶ。だがそれは余計な心配だった。クリスはもう、自分を取り戻している。 クリスの構えた銃が火を噴いた。だが、撃ち抜いたのは体ではなく、彼女が持っていたウィルス針を発射する銃。 「B.S.A.A.には使命がある。……一人なら、忘れていたところだ」 クリスは語った。エイダへと、自分へと、ピアーズへと。 そして、エイダへ告げる。「投降しろ」と。怒りもある。憎しみもある。しかし復讐に心を曇らせることは、もうない。 「……もう遅いわ、沖にむかった別の空母が、もう発射準備を始めている」 しかしエイダは余裕を崩さず言った。。 なにを、は、エイダは言わなかった。しかしクリスにはすぐ予想がついた。 さきほど、この空母でも見かけたもの。そして、3年前、ウェスカーが世界中へのウィルス撒布に使おうとしたもの。 「……ミサイルか!」 「あのラクーンの光景が蘇るの。でも今回は規模が違うわ……全世界でよ」 エイダの口元が、邪悪に歪んだ。 そのとき突然、ヘリコプターが現れた。驚く二人。だがエイダもまた驚いて振り返っている。 ヘリから身を乗り出していた黒服の男が、彼女の胸に弾丸を撃ち込んだ。そしてそのまま飛び去っていく。 「……あの男……考えることは一緒だったようね…… でももう、誰にも止められない……!」 致命傷を負い、血を吐きながら、それでもエイダは勝利を確信した笑みを浮かべる。そしてそのまま、船橋から落下した。 慌てて駆け寄り、下を覗き込むクリスとピアーズ。甲板には、ぴくりとも動かない体と、飛び散った血の跡が見えた。 あまりにもあっけなく、エイダは死んだ。理解しきれない謎を残して。 しかし、感慨に浸ったり、疑問に惑ったりしている余裕はなかった。テロは今なお進行中なのだ。 ピアーズはエイダが置いていったトランクをすばやくチェックした。 「新型の注射器のようです。二本ぶん開いてる……!」 1本はマルコに使ったものだろうが、あともう1本は? 「調べてる時間はない」 クリスは短く言った。怪物と遭遇したら、そのときに対処するしかない。 そして残った1本の押収を命じた。本部に持ち帰れば、分析用のサンプルになる。 「至急、所在不明の船舶を確認してくれ!」 クリスはH.Q.に強く要請した。 「首都機能が完全にマヒして、向こうの司令部と連絡が取れない、少し時間をくれ」 とH.Q.は答えた。 合衆国ではつい昨日、大統領がテロによって死亡。その空白を補うはずの補佐官も、私用で行方知れずになっている。 そんな状況で機敏に対応しろというのも無茶かもしれないが、しかしそんな悠長なことを言っていられる状況ではない。、 「急いでくれ! このテロすべてが陽動だ! ヤツらの目的は……全世界だ!」 それだけ伝えて、通信を切るクリス。そして二人は空母の格納庫へと向かった。おそらく、戦闘機があるはずだ。 格納庫へ向かう扉を開くには、3つのパスコードがいる。いつもの面倒な足止めに苛立ったが、集めなければ先へ進めない。 千切れても破片のまま動き回る不死身のB.O.W.【ラスラバンネ】に邪魔されつつも、パスコードを揃えて戦闘機を強奪した。 H.Q.からの連絡で、所属不明の空母があるとわかった。甲板に怪しげなミサイルがあることも確認された。 「エイダは世界中でラクーンを再現すると言っていた…… なのに、用意したのはミサイル1発?」 疑問に思ったクリスが再確認するが、しかし可能性のある船舶はそれしか見つからなかったという。 なんとなくイヤな予感を覚えつつも、ミサイルを止めるべく、二人を乗せた戦闘機は空を駆けていく。 空母は巡洋艦数隻に守られている。戦闘機だけですべてを撃沈するのは、とても可能とは思えない神業である。 だが、元空軍のエースだったクリスと天才狙撃手ピアーズの腕と、B.S.A.A.の強い信念があれば、不可能も可能になる。 巡洋艦と高射砲をすべて破壊し、着艦。ピアーズが甲板に飛び降りて、ミサイルへと走った。クリスは機銃で援護した。 すると、甲板にあった巨大なコンテナが壊れて、中身がこぼれ出た。それは超巨大B.O.W.、オグロマンだった。 「エイダめ、まさかここまで想定して!?」 クリスが機銃で応戦している隙に、ピアーズがミサイルの発射装置を解除した。カウントダウンが止まった。 あとは急いで脱出だ。クリスは甲板のクレーン近くへと機体を寄せて、ピアーズを無事回収した。 ……しかし、その瞬間を狙ったかのように、ミサイルが再起動した。またしても騙された。もう解除は間に合わない。 こうなったらミサイルを破壊するしかない。海や空へとウィルスは拡散してしまうだろうが、街中で炸裂するよりはマシだ。 空母に向けて戦闘機の誘導ミサイルを撃ち込む。……しかし、破壊は失敗。ミサイルは真っ直ぐに陸地へ飛んでいく。 ちょうどそのとき、【FOS】という組織のオペレーターから連絡が入り、DSOのレオンが通信を求めていると言われた。 「レオン、今どこにいる!?」 繋がるや否や、レオンの用件を聞く余裕もなく、クリスは慌てて尋ねた。 「ターチィの街のはずれだが、どうした?」「レオン、急いでそこから逃げろ!!」 だが、遅かった。空母を離れたミサイルは、ターチィ上空へと真っ直ぐに向かい、そこで爆発したのである。 紫色のガスが飛び散り、街中に広がる。……そう、C-ウィルスだ。ターチィの街は、瞬時に地獄へと化した。 その惨状を、レオンの口を通じて聞かされるクリスたち。怒りと責任感とで、街へ向かおうと操縦桿を傾けた。 しかし、その様子を察したレオンに制止された。クリスらに、もっと大切な任務を頼みたい、という。 ネオアンブレラの拠点である海底油田へと拉致された、世界を救う鍵を握る二人を救い出してもらいたい、と。 「一人はシェリー・バーキン。もう一人は、ジェイク・ミューラー。……あのアルバート・ウェスカーの息子だ」 レオンが、衝撃の事実を告げた。クリスは驚き、叫ぶ。 「レオン……。エイダ・ウォンは死んだ」 クリスが、自分の目で見た衝撃の事実を告げ返した。レオンは驚き、言葉を詰まらせた。 情報交換を終えて、通信を切った。 目指すは、海底油田。そこがきっと、最後の戦いの場所となるだろう。 193 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 02 31.32 ID ByUqFtM40 【クリス編】 CHAPTER 5 夜は更けていく。時刻は夜半を回り、暦上では7月1日となった。 クリスとピアーズは戦闘機を操り、海底油田に繋がる海上プラントへと侵入した。 警備は下部に集中しているらしく、上部から下部へと繋がるエレベーターまではあっさりと到達できた。 「皮肉なもんですね」と、エレベーターの中でピアーズは言った。 ジェイクの父親、アルバート・ウェスカーは、バイオテロによって世界を破滅させる陰謀を巡らせた男だ。 しかしその息子は、バイオテロから世界を救う鍵になりえる男として、陰謀に巻き込まれている。 そして、そのジェイクを救い出そうとしているのが、ウェスカーを殺した張本人であるクリス。 それは確かに、皮肉にも思えた。だがクリスは「運命なのかもしれない」と言い換えた。 「……ウェスカーを倒したとき、俺の戦いはいったん終わりを迎えた」 クリスはそう続けた。発端である【洋館事件】以来、12年に渡る因縁は、ウェスカーの死によって終わった。 本当は、クリスが銃を撃ち続けねばならない理由など、もうなくなっているのかもしれない。 「ジェイクの救出が終わったら、俺は銃を置く。これからのことはお前に託す。大丈夫さ、お前ならな」 クリスは、ピアーズにそう伝えた。部下は、頼れる相棒に成長した。ピアーズになら、後を任せられる。 「さて……最後の仕事だ!」 侵入してさっそく、セキュリティルームに到着した。すばやくコンソール操作するクリス。 シェリーとジェイクが監禁されている部屋を発見したので、そのロックを解除しようとする。 が、やはり一筋縄ではいかないようで、警報が鳴ってしまった。解除できたかどうかはわからない。 なんにせよ、直接監禁場所へ行かねばなるまい。研究施設層へ向かう二人。 ピアーズと別行動をとったり合流したり、ジュアヴォと交戦しながら下へ下へと進む。 海底油田は複数ブロックに別れた構造であり、目指す研究施設層へは通路接続の操作が必要らしい。 それには各ブロックごとの気圧の調整など、全自動とはいえ複雑な手順が必要で、その間待たされる。 そして案の定、確実に足止めできるポイントとして、ネオアンブレラはそこに防衛線を用意していた。 「ようこそ侵入者…… あなた方は国連軍かしら? 状況から考えればB.S.A.A.が一番ありえるかしらね」 続々と集まってくる警備部隊と戦っている最中、エイダの音声が響いた。生前に録音したものだろう。 「ミサイルと共に産声を上げるこの世の地獄、その地獄にさらなる破滅をもたらす存在“ハオス”。 ここはハオスが目覚め、解き放たれる場所。ハオスの目覚めとともに私の望んだ世界は幕を開けるのよ」 エイダの音声は狂気的な野望を滔々と語った。エイダの真の狙いは、ここに眠るB.O.W.の解放らしい。 世界各地でのウィルス撒布テロも、あのミサイルすらも、この「ハオス」とやらのための囮に過ぎない。 未知の驚異的B.O.W.の情報をH.Q.に連絡したいが、深い海の底まではさすがの通信衛星も届かない。 クリスとピアーズは二人でこの状況をなんとかするしかない。 研究施設層との接続が完了、防衛部隊と戦っていてもキリがないので、振り切って奥へ進んだ。 すると、既に監禁部屋を脱出していたシェリーらと遭遇。意外とあっさりと合流できた。 「あなたたちが助けてくれたの?」「さすが正義の味方だな」 シェリーが生真面目に二人に礼を言うのに対して、ジェイクは相変わらず斜に構えた台詞を吐いた。 「……よく見れば父親の面影がある」 そのジェイクに対して、クリスはそう言った。 「親父を知っているのか?」「ああ。……俺が殺した」 それを聞き、ジェイクはクリスに銃を向ける。 「撃ちたいなら撃て。君にはその権利がある」 クリスはそれに対して抵抗も見せず、そう言った。 「なぜ親父を殺した? B.S.A.A.としてか? あんた個人として?」 ジェイクが質問した。 「……両方だ」 少しだけ考えて、クリスは正直に答えた。 ジェイクは、クリスに向けた銃を発砲。だが弾丸は、クリスの頬をかすめて、後ろの壁に穴を開けた。 「……こんなことやってる場合じゃねぇんだよ」 ジェイクはそう言った。 「言っとくが、話が終わったわけじゃねぇぞ? お前にはまだ訊くことがヤマのようにあんだよ」 その憎まれ口が、彼なりの精一杯の答えだった。 脱出を目指し、四人で行動することに。ここは、サイロ状(巨大な円筒形)の構造になっており、 そのド真ん中には超巨大なサナギがぶら下がっていた。おそらくは、これが例の【ハオス】だろう。 エレベーターを発見し、上部へと進む。ジュアヴォたちに妨害されるが、四人で共闘し撃退した。 だが問題は、機械が作動し、「ハオス開放」のプロセスが始まってしまっていること。 このサナギが目覚めれば、おそらくは……世界の終わり、であろう。 エレベーターで昇りつつ、サナギに攻撃する四人。だが針でつつくようなもので、効果は見えない。 ついに、サナギが羽化した。中から出てきたのは、ドクロ状の頭部を持ち、全身が透き通った軟体の怪物。 何本か触手を持っており、人型というよりは、クラゲやイカをベースにしたかのように見える。 その巨大な手が、四人を見つけて攻撃してくる。その一撃は足場を簡単に粉砕した。 「お前たちは先に行け! これは専門家の仕事だ」 と、クリスらはジェイクらに逃げるよう促す。 反発して戦おうとするシェリーだが、ジェイクはその手を強引に引いた。 「他にやることがあんだろ!?」というジェイク。そう、彼らの仕事は、生還して世界を救うことだ。 ジェイクらを逃がすための囮となって、クリスとピアーズはハオスをひきつけて走る。 足場はどんどん壊されていくが、なんとか逃げ切って最上部に辿りつき、エレベーターに乗った。 だが、あらゆる障害物をあっさり破壊して突き進んでくる相手から逃げられるわけもなく、追いつかれた。 結局、正面から戦うことになった。手持ちの武器を駆使して攻撃を加える。多少は怯ませることができた。 だが、ハオスが大暴れしたせいで、研究施設層はいたるところから浸水している。脱出せねばならない。 中央層へと、通路を走って戻る。だがまた活動開始したハオスが、通路を壊しながら追いかけてくる。 閉まっていく隔壁に、スライディングで滑り込む。最後の隔壁は、クリスが間に合うまでピアーズが体で押さえた。 なんとか中央棟へ戻れた、と思ったのもつかの間。ハオスが巨大な触手を一振りした。 直撃を受けたピアーズは吹き飛ばされ、壁に衝突。……運悪く、壁の一部が右肩を貫通してしまう。 さらに巨大機械を投げつけるハオス。ピアーズは避けられない。右腕が完全に挟み潰された。 クリスも一撃を受けて昏倒する。ハオスはそれを掴みあげて、締め上げる。握り潰すつもりか。 激痛と出血に朦朧としつつも、ピアーズはあることに気がついた。 ……空母でエイダから回収した、特別製のC-ウィルスの注射器が、懐から落ちて転がっている。 他に、手はない。 ピアーズは、右腕を根元から引きちぎった。這って進み、注射器を拾って…… それを、右肩へと打ち込んだ。 失った右腕が、瞬時に再生された。……ジュアヴォのような、変異した触手状の腕が。 特別製のウィルスの力か、その腕には、電撃のようなビームを放つ能力が備わっているようだ。 クリスの手持ちの銃火器と、ピアーズの右腕の能力とで、ハオスと戦うことになった。 ある種のクラゲは、死亡するとサナギ状になり、また誕生する、不老不死の性質を持つものがいるという。 ハオスもそれに似た性質を持っているのか、いくらかダメージを与えるとサナギ状に変化してしまい、 そこから再誕したときには以前のダメージがまったくなくなっているという、不死身に近い性質があった。 だが、絶対の不死身などありえない。サナギ状のときに攻撃すれば、不完全な状態で復活させられる。 そのときに短時間だが弱点となる臓器が見えるので、ナイフを突き刺してやれば、ダメージになる。 長い戦いの末、ついにハオスが沈黙した。ドロドロと溶けて、黒く濁ったカスになった。 ピアーズに肩を貸すクリス。ピアーズの変異は、まだ右腕だけで済んでいるようだ。若干混濁しているが、意識もある。 クリスはピアーズを励ました。ジェイクの体のウィルス抗体から治療法が見つかれば、助かるはずだ。 それまで、ウィルスに体を乗っ取られないように耐えればいい。そういって、二人で脱出を目指す。 二人は、脱出ポッドのある部屋に辿り着いた。クリスは機械を操作する。ポッドのひとつが開いた。 ピアーズに肩を貸し、ポッドの中に入れようとしたとき…… 不意に、ピアーズがクリスを突き飛ばした。 ポッドの中に転がるクリス。ピアーズは、ポッドに乗らずに外からその扉を閉めた。 「ピアーズ! 何をしている! 開けるんだ! 二人でここを出るんだ! だめだピアーズ! 諦めるんじゃない!」 クリスはそう叫んだ。だが、ピアーズにはわかっていた。ウィルスの侵食は進んでいる。自分はもう助からない。 いや、本当はクリスも気がついていた。既にピアーズの変異は、肩や首を超えて顔の半分まで進んでいたことに。 ポッドが射出された。クリスを乗せて、海の中を進んでいく。ピアーズの姿が、海底油田が、遠くなっていく。 ……ポッドを追いかけるように、油田から巨大な青白いモノが飛び出してきた。……ハオスだ。 だが、特大の電撃が、ハオスを襲った。ピアーズの最期の攻撃だった。彼は最後まで、B.S.A.A.として戦い抜いたのだ。 その直後に、沈んでいくハオスを巻き込んで、海底油田は大爆発を起こした。 ……ポッドが、海に浮かんでいる。東の空は赤く染まっていた。絶望の夜の終わりを告げる朝明けである。 クリスはそれを眺めると、自分の右手に視線を移した。 そこには、B.S.A.A.のワッペン。ピアーズに突き飛ばされたときに、彼の制服の肩から偶然むしりとったものだ。 ほんの2日前には記憶を失って呑んだくれていた自分が復帰できたのも、ピアーズのこのワッペンを見たおかげだ。 恩人であり、大切な相棒である男は、もういない。形見のワッペンを、クリスはぐっと握りしめた。 ……遠くから、迎えのヘリの羽音が聞こえた。 197 :Biohazard 6◆l1l6Ur354A:2012/12/07(金) 06 09 56.77 ID ByUqFtM40 【クリス編】 Ending 日時不明。少し陰鬱な印象を与える曇り空。 東欧の酒場にて、クリスはステーキを食べていた。 そこは、かつて記憶を失った彼が酒に溺れていた酒場だ。そして、ピアーズと再会し、己の道を取り戻した場所。 そのときピアーズはこれと同じステーキを食べていて、なかなかうまいと言っていた。 「隊長、指令です」 クリスを呼ぶ声がした。クリスの部下のひとりだ。 その顔は、ピアーズではない。フィンでも、マルコでもない。他の部下たちでもない。彼らはもう死んだのだ。 だが、彼らの残した希望は、決して死なない。決して死なせはしない。クリスが、B.S.A.A.が戦い続ける限り。 「……わかった。案内してくれ」 クリスは席を立ち、堂々とした足取りで歩み去った。 戦士はまた、戦いに赴く。 その背中に、仲間たちから継いだ遺志を背負って。