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「こちら〈オーディン〉配置につきました。」 「こちら〈ヘル〉こっちも大丈夫です」 「いい?〈ロキ〉は狙撃でけん制、〈トール〉は待機。〈オーディン〉、〈ヘル〉が誘拐。誘拐したらヘルの中にのせちゃって」 宝生は屋根に上ると、身体をロープで固定した。ルミナスもまた、宝生の横に来ている。 二人はベランダに降り立つと、ロープを外した 「つきました」 「カウント5・4・3・……」 三秒から黙り、心の中で残り三秒を数えると、部屋中に催涙ガスが充満するのが見えた。 宝生とルミナスはガスマスクを付け、部屋の中に入っていった。 御蓮の王女を見つけると、手を握りしめ、ベランダからおちる。そして真下にはコックピットを空けたヘルとオーディンがあった。 「ヘルはさっさと逃げる!」 李からの叫び声。 しかし、ヘルの前には、白色のおおきな壁があった。 「な……」 「テロリストにつぐ!抵抗はやめなさい!」 「特殊兵装かよ……」 ルミナスが毒づくと、レーザーの一閃が飛んだ。ロキだ。 「ヘルは、さっさと逃げなさい!」 ルミナスは言われたとおり、全速力で逃亡した。それを特殊兵装制圧機動隊のフレイが狙撃する。 当たりそうなところでオーディンのシールドが守った。 「サンクス!オーディン」 「さっさといけ!」 オーディンはグングニルをフレイに向かって投げると、グングニルはフレイに直撃した さらにオーディンは周りを取り囲む小型アームヘッドを蹴り飛ばすと、戻ってきたグングニルを重砲に向かって投げた。 「重砲は私が壊す」 と、ロキからの連絡が入ると、重砲を壊したグングニルが戻ってきた 「はやくいってよ」 「遅くなった」 「遅い!」 トールは、ミョルニルを投げ、振り回したりしている 「よし、ヘルは確実に逃げ切った。戦線離脱して大丈夫。ロキももうすでに逃げ去ったぞ」 李からその連絡が入るとオーディンとトールは全速力で遁走した。 「良い動きだった」 と、李が私達を呼び集めていった。 「どうも」 みんな適当に返すと、宝生は御蓮の王女をみた。 「まさか、あんたが王女様とはね」 「私も驚きました。先輩が消えてから数ヶ月、まさか、こんなことになっていたなんて」 御蓮の王女、此花が言った 「いやあ、なりゆきだよ。生きている者は、死んだ者の意志を受け継ぐ義務があんのさ」 「そういうところ、変わりないですね。私、どうなるんですか?」 「それは私も知らない。あの李、ていう人に聞いてよ」 「分かりました」 「久しぶりだ。ウインド」 ラグナロクはウートガルザロキを介してウインドと会話をしていた 『ヨォ、ユグドラシル』 「……」 『またヘヴンの侵略にでも来たのか?いいぜ。やってくれよ。バカなヤツが封印をといてくれるかも、だ。』 「それは心配ない。私が封印をといてやろう。その代わりに、私に少しの間従え」 『寝言は寝て言え。』 「いいのか?封印をといてやらんぞ」 『クククク。何のためにあのお嬢ちゃんが居るとおもっていやがる、お前のような阿呆が、封印をとこうとするのをとめるため、だろ?』 ウインドがそういうと、ウートガルザロキは撃ち落とされた 『よう、ルーンズのお嬢ちゃん』 ウィアドは、何も言わず、去った。 「今日はよく集まってくれた、皆。」 ラグナロクは語りかけていた。 「まあ、殆どが子機で自我をもたんような輩が多いが、ここで宣言しよう。いま!人間の時代は終わる!これからは……」 「我々の時代だ!」 ファントム達が、狂うように叫びだした。 「いくぞ。……あの腐った人間を駆逐する!」
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空は青く、雲は白く、地面は緑に包まれ、木々の恵みを、大地の、すべての恵みを、世界は謳歌している。 〈ハード〉はそんな場所だと思っていた。 そんなティンクの想像を、悪い意味でそれらは裏切った。 空は鮮血をまいたような赤。雲は黒く、地面は乾き、植物なんて見あたらない。 「……」 これじゃあ、〈ホーム〉と何ら変わりは無いじゃないか。ティンク思った。 これが、これが楽園なのか? ティンクは今、荒野の上に立っていた。荒涼としていて、何もない。 「……」 ただ、口は動かせても、言葉は出ない。これは、自分が夢にまで見ていた、〈ハード〉か? ティンクは、ゆっくり歩き始めた。 ティンクの足跡は、すぐに乾いて、風にさらわれて、消えていった。時々吹く突風は乾いた砂をティンクにぶつける。 脚が、痛いことを思い出した。唐突に。そういえば、そうだった。ノックに…… あの時は自然と身体が走り出していたが、今はもう、走れなくなっていた。全身が痛い。疲労感はズルズルとティンクを捕らえた。 まるで、泥に足を取られているように、歩けない。倒れてしまおうか、と、ティンクは思った。しかし、今、それはできない。自分言い聞かせる。 歩かないと。進まないと。 ――何処に――? ティンクは、倒れた。 揺れる炎が見える。 ただ揺れている。 不規則に、何の規則性もなく揺らめくそれは、ただ、自分を見据えている 炎はゆっくり、大きくなっている。 燃えながら、食い尽くす獣のように ゆっくりと―― ティンクが目を覚ますと、目の前には石でできた暖炉があった。 「……」 まだ、夢がつづいているのか、とはぜながら燃える火を見て思った。暖かい。何だろう、毛布もある。ふわふわしていて、暖かいそれらは、ティンクを、また心地よい眠りの中に誘おうとしていた。 ゆったりとまどろみ、瞼が重くなっていく。寝ても、大丈夫だよな。自分自分自身に聞いてみた。 (ウン、大丈夫だよ) そうか――目を暗闇に閉ざそうとした瞬間、しゃがれた女性の声が耳に飛び込んできた。 「起きたのか?」 飛び起きて見てみると、顔に皺をたためた老婆だった。 「え?」 「アルセイムの荒野に倒れていたのを、わしがひろってやった。」 と、老婆は言って、パイプを取り出した。 「吸うか?」 それをこっちに向けられても、何かよく分からないティンクは、首を横に振った。 「ふむ」 ティンクは、彼女が何故かティンクのご機嫌を取ろうとしているような気がした。 「……」 「……」 「いや、お前くらいの孫が居たもんだからな。」 「……そのお孫さんは、どうしたんですか?」 「……ターミーになった。それで、行方不明だ。」 ターミー、と言う者が何か分からない。 「旅人のことだ。……お前、どっから来た?」 ティンクが黙ると、老婆は一人で頷いた 「いや、いいや、言わなくて言い。トレイスから来たんだろう?あそこは戦争の影響で、沢山の難民が出たと言うからな。」 違う、と言いたいが、言えるはずもなく、頷いた。 「……そうか、大変だったな。傷の手当てはして置いた。あれは、火薬兵器か」 火薬兵器って何?と思ったが、言わないことにした。 「……火薬兵器というのは気念の銃弾を火薬で飛ばす兵器だろう?」 気念って何? ティンクは思った。 「お前、臭いぞ。……風呂に入れてやろう。そうだ、もうすぐ、フィーレーが来るじゃないか。あいつにやらせよう」 と、老婆が言った瞬間、誰かの声がした 「ツァーばあさん、お変わり無いですか?」 「おお、丁度良いところに来た、フィーレー。上がってくれ。」 「はあーい」 女性の声だ。まだまだ若い。 現れたのは、皮と厚い布の服を着て、腰には何かをぶら下げている女性が居た。彼女がどうやらフィーレーらしい。 (あれが、剣か……) と、おもって、自分を不思議に思った。 (何で、分かったんだ?) 「何ですか? この子。」 「……わたしが拾ってきた。トレイスから逃げてきたらしい」 「ええ? あのトレイスからですか?そりゃあ、大変だったでしょう」 「うむ、だから、風呂に入れてやってくれ。」 「……はあい」 彼女は一瞬ためらったようだったが、ティンクを見て、頷いた。 「じゃあ、こっちに来て。」 ティンクは、服を脱がされ、たわしで全身をこすられ、熱いお湯の中に放り込まれた。 「わたしも、君くらいの弟が居たらな、と思ってたんだ」 たわしでこする途中、フィーレーは言った。 その顔は、にこやかに笑っていた。それを見た瞬間、「ここは、〈ハード〉なのだ」と初めて実感した。こんな笑顔が〈ホーム〉にはあっただろうか 「あなた達は、みんな、そんな風に幸せに笑うんですね。」 言った後、あ、と思った。何故、こんなことを言ってしまったんだろう。自分でも不思議に思った。 「……それは、幸せだからだよ」 ……しあわせ?幸せって何だ? 「……」 全身を泡で磨かれ、布で身体を拭かれたティンクは自分の服を着ようとした。 「ああ、ちょっと」 ティンクが止まると、フィーレーは畳まれた布の束を見た。 「あそこ、あそこにあるのを着なさい」 ティンクは嫌々したがった。その服からは、森のにおいがふんわりと漂っていた。 「うん、ツァーばあさんのだけど、丁度良いじゃないか。」 フィーレーは一人で頷いた。動きやすいし、丈夫そうな服だ。 ティンクは適当に腕や脚を動かしてみた。脚がずきずきするが、大丈夫だろう。フィーレーはその様子をまじまじと見つめた。その後、ティンクをこの家の庭に引っ張ってきた。 「なんだ?」 「ちょっと、ちょっとで良いから。」 そういってティンクに肘から手のひらまでの木の棒を渡した。 「?」 「いいから、振ってみてよ。お願い」 家の中のツァーを見ると、楽しげに首を傾げた ティンクは適当に振った。それをまたフィーレーはまじまじと見ていた。 「……」 フィーレーも、木の棒を拾うと、ティンクに向かって、それを振り下ろした。 ティンクはそれを当然のように受け止めた。 第二撃。脇腹めがけて水平に振る。 それも、同じように防御された。 「……」 フィーレーは木の棒を両手で構えた。木の棒が青白く発光する 「……ちょんと受けろよ」 フィーレーはそれだけ言うとティンクめがけてそれを思いっきり振った。青白い残像をみながら、ティンクの見る景色は線となって消えた。 ぼんやり目を開けると、フィーレーが居た。彼女はティンクを見た瞬間ホッとしたように表情をゆるませた。 「良かった……」 「ふつう、子供に気念刀技なんてつかうか?」 ツァーが呆れた風に言った。 「……」 フィーレーは頭を掻いて恥ずかしそうにした後、ティンクをまじまじと見た。 「君、ターミーにならない?」 フィーレーがそういうと、ツァーが静かに彼女を睨みつけた。ああ、そだ、そうだった。孫が、なくなっているんだった。 「……どうする?」 ツァーのその視線を無視し、フィーレーは続けた 「わたしが保証する。君は、強くなることができるはずだ。」 ティンクは、首をゆっくり横に振った。ツァーは、少しホッとしたようだったし、フィーレーは悔しそうにしていた。 「僕は、やらないといけないことがあるから。」 「……それは、どういうこと?」 「探すべき、人が居る、んだ。」 それが誰のことかも分からないまま、そういってしまっていた。誰かは、考えてみたら分かることだった。 ルームノック・ノーウェー。彼、か、はたまた彼女か。ノーウェー、彼女を捜すことがいつの間にかティンクの最重要課題となりつつあった。 「この国にいるの?」 「分からない。居ないかもしれない」 フィーレーは少し考えているようだった。ツァーが口を開いて止めようとした瞬間フィーレーはしゃがみ込んで、ティンクの顔を覗き込んだ。 「だったら、どの国にでも行くことのできる、ターミーの資格を持っておいた方が、いいよ。受けることのできる特典も、沢山あるわけだし」 「……」 「それは、本当ですか?」 「もちろんだよ。」 「僕が、その資格を取れなかったら?」 「……大丈夫だ、わたしが教える。」 その瞬間、ティンクの意識は空高く昇り、一気に急降下して、地面の寸前で止まり、また地面に沿って一直線に駆け出す。 農地、荒野、森、石畳の街をすり抜けながら進んでいく。 一人の少女を見つけた瞬間に、意識は元に戻った。 「……うん、今、決めました。」 ツァーは静かにティンクを見つめる 「僕は、旅人になります」 フィーレーは嬉しそうに顔を明るくし、ツァーは何も言わず、頷いた。 「じゃあ、ツァーばあさん、彼は、預かっていいね?」 「さっきも言ったが、彼は孤児だ。……好きにしなさい」 フィーレーはにっこりと笑った。 「じゃあ、わたしの家に行こう、いいね?」 「んで、ターミーの特典なんだけどね?」 馬車に揺られながらフィーレーは説明してくれたが、ティンクの頭には何も入っていなかった。 「……聞いてる?」 と、聞かれ、顔を上げた。 聞いてない、何て言えない。 (どうごまかそうか) 「まァ、いいや。」 ティンクは無事乗り越えられた事にホッとして自分の新たな服と、腰にささった黒く、艶のある白色銀鋼……プリズナーで作られていた。 プリズナーという金属は、最も一般的な金属で、金属の基本値が、すべて規定を少し上回る数値で最も安価であり、手に入りやすく、加工も楽だという。 (結構、憶えてるもんだな。) すべて、先ほどフィーレーが教えてくれた。 この服も、特別なんだよな? 青みを帯びた、軟らかい、服。 これは蒼金というやらわかく、丈夫な性質を持つ糸らしく、少々値が張るが、フィーレーはこれを無理して買ってくれたようだった。 (……誰かに何かを買って貰う、なんて初めてだな……) それだけ、期待されていると言うことなんだろうか。気が重い。期待される、嫌な感覚だった。 「お城の近くについたら、まずは宿を取って、少し休んでから、女王と謁見だね」 ……女王? 〈ホーム〉にも、統治する人間がいたらしい。それを国王、と呼ぶことを、ティンクは昔ムシクから習っていた。 女王、つまり、最も偉い人間に会う、ということ。 「え、ええ?」 ティンクが取り乱すと、フィーレーはなだめるように笑った。 「大丈夫。きさくな人だよ。」 「……フィーレーとは知り合いなのかい?」 「うん、そうだよ。小さい頃からの、友達でね」 それを聞いた瞬間、フィーレーがとても偉い人間のように見えた。 「……」 ティンクが絶句すると、フィーレーは慌てて取り消した。 「そんなに、凄いモンじゃないよ。ただ、公務から逃げ出した彼女と一緒に遊んでた、ってだけで。」 「……すごいね、それ」 「まあ彼女はわんぱくだったから。」 フィーレーは、その彼女が凄い、と思ったようだった。 「アルゴン地方の警備兵になってから、会わないけど、元気にしてるかな。」 彼女の目は、遠くの城に向けられていた。 昔の友達と会う、か。 (みんな、どうしてるだろうか) もう、良くなった脚をさすっていた。 「……世界を、改革する、ね」 ノックの言葉が堂々巡りをしていた 「あ、あと、女王と面会するときの、注意事項を、一つ」 フィーレーは苦笑しながら言った。ティンクが小首を傾げると、顔は苦笑したまま言った。 「堅苦しいことをすると、ぶっ飛ばされるよ」 「……?」 どういう意味かは、分からなかった。 その瞬間、馬車が轟音を立てて止まったかと思うと、その瞬間ふわり、と浮き上がると、落ちていくのが分かった。 「なんだろう?」 「影悔いだ……」 ティンクが「なんだい?それは」と尋ねる前に馬車は地面に叩きつけられ、バラバラになった。 他の乗客は少なかったので、怪我をした人間は居なさそうだった。 目の前に、真っ赤な真紅の薔薇が咲いている。とても巨大で、茨のあるツタが蠢いていた。 「影悔いの薔薇か……」 フィーレーは嫌そうに言うと、腰の剣を抜いた。細身の青い色の剣だ。 ティンクも、それに見習って剣を抜いた。 ゆらゆら蠢くツタ。 ティンクは剣を上段に構えた。 その瞬間ツタは鞭のようにしなりながらフィーレーの腰を直撃し、そのままティンクの頭をめがけて飛んできたが、剣に阻まれティンクを後の木にぶつかるまで吹き飛ばした。 「あぐ」 思いっきり木にぶつかったティンクがあえいだ。 「……」 剣を杖のようにし、ゆらゆらと立ち上がり、そいつを睨んだ。 薔薇の方も、ティンクをじっくり睨んでいる気がした。 (力を抜けよ。どうなるかは、自分で分かるだろ?) ティンクは息をのんだ。なぜ、知っている? (自分のことは一番自分が分かってるもんだろ?) ゆらゆら蠢くツタたちを睨んだあと、フィーレーを見た。 早くしないと、フィーレーが危ない…… (そうだ。) ティンクは目を瞑り、力を抜いた。 ゆっくりと、剣が発光し始める。 (ブランクがあった割には、いい出来じゃねえか) 全身の血液が、流れ、回る感覚。空気を吸った瞬間の爽快感。 ティンクは、笑いが止まらなかった。 ツタがティンクを攻撃しようとした瞬間、ティンクは剣を下段から上へ斜めに振り上げた。 ツタは地面に落ちた。 ジリジリと近づき、飛んだ。 薔薇の花弁の真ん中に着地すると、一回転回る。それによって、殆どのツタが切り落とされた。 一回転してからすぐ、薔薇の花弁に剣を突き刺した。 本当の意味で、全身から気力を失ったティンクは、ふらふらと地面に伏せた。 体の中が動いているような感覚だった。それに従って、動いていた。僕に、あんな動きができるとは。 無心で、勝手に身体が動いた。 頭の中で、繰り返す。 変なにおいがする。かいだことのない様なにおいだ。 ゆっくり、目を開けると、ティンクは白いベッドの上に横たわっていた。四方を囲む木製の壁は、ティンクを見つめていて、天井のキャンドルは部屋に影を落としていた。 「ティンク!」 目の前のフィーレーが叫んだ。彼女に名前で呼ばれるなんて、初めてじゃないだろうか (僕の名前知ってたんだ) つい、思ってしまった。へたをすれば声に出してしまいそうだ。 「すごいじゃないか」 「なにがですか?」 「影悔いを倒したそうじゃないか。城中の噂だぞ」 「え?」 「……お前じゃ……ないのか?」 ティンクは目を瞑ってゆっくりと記憶をたどった。 倒した……ような気もする。どうだったっけ 「倒したような、気はするんですが、倒していないような……どうだったんでしょうか」 フィーレーは黙り込み、こめかみを押さえた。 「……もしかすると、見間違いだったのかもしれない。」 「……そうですよね」 フィーレーは安心したように息を吐こうとしたが、それは予想外の声で遮られた。 「本当の戦い方、というものは身体が、知っている物だ」 声のした方を見ると、赤いドレスに身を包み、長い裾を引きずりながら歩いてくる女性がいた。 「久しぶりだ、フィーレー」 「……お久しぶりです。アルフォンモさま」 「堅苦しいのは、好きじゃないんだ。」 そういわれてもまだ頭を下げ続けるフィーレーを彼女は睨んだ。 「顔を、あげなさい」 フィーレーはゆっくり顔を上げた。 「よく、いきていたな。」 というと、二人は抱き合った。 「何年ぶりだ?」 フィーレーは黙りこくってただ、抱きしめあっている。 「アルフォンモ、久しぶりだ。」 「そうだな。……フィーレー。……昔のように呼び合おうじゃないか。」 フィーレーは頷いた。 「彼が、ティンクか?」 アルフォンモが尋ねると、フィーレーは頷いた。 アルフォンモはしゃがみ込んで、ベッドに座っているティンクと眼を合わせた。 「……かわいいな」 と、呟くと、長い袖から白い素肌を取り出し、ティンクの目の前につきだした。 「ソルディナの女王、ソルディナ・アルフォンモだ」 「……オルティーバ・ティンクです」 と、ティンクが呟くと、アルフォンモは白い手をさらにつきだした。 「手を、握るんだ」 とフィーレーが耳打ちした。 ティンクは、ゆっくりアルフォンモの手を握った。 「……」 アルフォンモは一瞬、ふらりとバランスを崩しかけ、倒れる直前で踏みとどまると、ティンクを睨んだ。 「……お前……」 といいかけ、周りを気にしたのか、咳払いを一度だけすると、言った。 「午後、私の皇室に来い」 と、言い捨てるとひらりと部屋から出ていこうとした 「フィーレーはついてくるなよ。彼だけに、聞きたいことがあるからな」 と、フィーレーに釘を差すと、部屋から出ていってしまった。 「……来たか。」 アルフォンモはティンクに言うと、椅子に腰掛けるよう促した。 「まあ、お茶でも飲みなさい」 紅い色の熱いお湯が出てきた。それにいい香りだ。 「結構です」 知らない物だったから、ということもあり、ティンクはそれを断った。 「そうか……では、本題に移ろう。と、その前に。」 「?」 「我々、光帝のちすじ、というものは様々な能力を与えられている、というのは……」 アルフォンモはティンクを見た。 「……知らなかったんだな。」 ティンクは頷いた。 「様々な能力がある。我らソルディナの者は、そのものの、過去が分かる。うそじゃあ、無い。」 そう聞いて、ティンクはぞくり、とした。 すべてばれているのだ。自分が、この世界にいてはならない〈ホーム〉の者であるということが、すべてばれてしまっている。 「……僕を、どうするつもりですか?」 「本来なら……」 どうする?戦って、勝てるかもしれない。このままでは、きっと殺されてしまう。 ティンクが無意識に立ち上がった瞬間、肩に威圧感を憶えた。ゆっくりとアルフォンモの方を見ると、紅い色の怪物がティンクを睨んでいる。 部屋の四方にあった黒い影はするすると部屋の中に忍び寄り、天井の明かりが意味をなさないほど部屋の中が暗くなったような気がした。 「すわれ。」 脚が震える。 「すわれ。」 脚の力がスッと抜け、落ちるようにしてティンクはまた椅子の上に座った 「『本来なら』だ。」 「本来ならば、即刻死刑、が、しかし。」 『しかし』その言葉でティンクはホッとした。 「お前のその戦闘能力を買う。その年で影悔いを相手に殆ど怪我無しで戦えるものはそういない。君の秘密は、私が守ろう。その代わり、君には今から五年間、この城で訓練を、受けて貰おうと思う。」 「五年間? 僕はターミーにならないといけないんだ!」 「ターミーになるための訓練だ。これで君は、もっと強くなる。では、私はこれで。公務があるんだ」 アルフォンモが出ていった後、ティンクは、ずっと座っていた。
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つい最近隊長になった、(正確に言うとなってしまった)美井山は売店の自動販売機でコーヒーを買った。その熱さは彼女の手を傷つけた。 「あつ」 思わず手を放してしまい、コーヒーはフローリングの床に落ちた。 「はあ」 自分のこの鬱陶しい憂鬱をはね飛ばしたいものの、どうすることもできなかった。私はため息をつきながら缶コーヒーを拾った。まだ熱い。私はコーヒーを両の手で転がした。 天井から吊してあるテレビに目をやってみると、生きていたらしいアイネアスがテレビに出ている。どうやら、近くにいた人に助けてもらって、自分は生き延びたらしい。ああ、昨日もやってたな 私は缶コーヒーを開けた。白い湯気が上がり、口の中にはコーヒーの独特の香りが広がり、苦みと酸味が広がって、熱いその液体は私の喉を通っていく。ん?また間違えて微糖を買ってしまったらしい。少し甘い。 「……軍も、アイネアスを失うのはイタイらしいな。」 「ここにいたんですか?」 少し長めの黒い髪をそのままおろし、警察の制服を着てバッチをつけた青年が居た。新山岡だ。新山岡はニヤッと笑って茶化すような声で言う 「キムタクさんがよんでますよ」 ああ!このむかつく笑い方!私は睨みつけた。 「すいません」 彼は頭を下げた。別にそこまでしなくっても。 「……今はそんな気分じゃ……ない。木村にいっといてよ。『美井山さんは、帰りましたー』って。ね?」 彼はため息をついて顔をゆるませた。 「わかりましたよ」 「……じゃあね」 「……ッ美井山さん!ずる休みできるの、今日限りですよ」 美井山は新山岡に手を振ると、去っていった。 「……’あいつら’は……もうすぐ……」 アイネアスメイヤーは、手首の包帯がやっと取れたことに感激を憶えた。こんにちの医学はここまで進んでいるのか。こんなに簡単に包帯が取れるとは気づかなかった。 「さ、これで大丈夫ですよ。一が月ほどしたら、もう一度来てください」 私は答えずに立ち上がった。 「……あの証拠、消すの面倒だったんで、気をつけてください。これからは。まあ、あなたはきっと、軍にとっても重要な人材なんでしょうね」 部屋の中は静まりかえり、私は立ちあがった。 「とんだ軍医もあったもんだな」 私はうしろにある扉に手をかけた 「それでは、お大事に」 「……」 私は外に出て、扉を閉めた。 「ああ、隊長。大丈夫だったんですか?」 「……クボヤマ……だったな?」 そいつは私の前で立ち止まり、敬礼した。 「そういうのは、いい。用件を言え。何があった?」 「作業用のアームヘッドが暴走中との情報が……」 私は歩き出した。 「……行かないんですか?」 「……そういうのに適したのか警察にいるだろう?そいつらに任せておけよ」 「あと、ですね、菊田重工の菊田武蔵氏が、面会を求めています。」 私はずっと聞いていなかった菊田という名前を聞いた。 「……キクダゴンザエモンの……父親だったか?」 クボヤマは頷いた。彼の黒い髪が揺れる 「……いまからか?」 「はい」 私はあるき出した。全く、病み上がりの人間を……
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(私を、解放しろ、宝生) そんな声が聞こえ始めたのは、一週間ほど前から、毎晩聞こえてくる (……だれ?) (……世界を、変革する者。違う意味で。次こそ、世界の終わりが。一枚の羽根のよって巻き起こされる。) (……) (いいから、早く、私を解放しろ。お前が、よく分かっているだろう? 私の存在は。) そういわれて、宝生は驚いた。 (まさか、お前は) (……世界で、待つぞ) 宝生はベッドの上から飛び上がると、自室のタンスをあさくって、黒い革鞄を取り出した。鍵を半ば壊すようにして、それを開けると、現れたのは光を失ったアームコアだった 「……ラグナロク……」 宝生はさっきまで使っていた枕をどかし、それを置き、枕として仰向けになった。 急に眠くなり、眠りの世界へと飛び込むのに時間はかからなかった。 「……」 目の前にあらわれた世界に、宝生は息をのんだ。 金色の玉座が、そこにはあった。 「……」 「来たんだな。宝生」 そこには、黒いスーツに身を包んだ男が居た。 「……ラグナロク……」 「……いかにも、私が、そうだ」 「随分、イメージが変わったな。私を廃人にしよう、とかいう気はないだろうな?」 「まさか、あのころとは、状況が変わった。我々は、蘇る。ただのアームコアではなく、あのころの輝ける存在として。」 「……どういう事だ?」 宝生が尋ねる 「わからんか。まだ、お前も若かったからな。」 「?」 「……」 ラグナロクが息をすっとすうと、叫んだ 「蘇るのだ! 誇り高く! 美しく! そして、力強く! 大いなる樹・ユグドラシルに祝福された子供達が! 今! それぞれの武魂へ!」 「……もしかして、あいつも? オーディンも?」 「そうとも。宝生。眼を覚まし、今お前が今枕にしている物を、見るがいい。」 そういわれて、眼が覚めた。 枕を見ると、輝いていた。一転の曇りもなく、まるで太陽のように
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『雪那、調和が、何か知っているか?』 そういう父の問いに、雪那はまっとうな答えを出した。 「アームホーンとパイロットの波長がより合致する事で、アームヘッドが発動する事が出来る特殊能力の事です。」 村井幸太朗は、苦笑を浮かべた。 『そのとおりだよ。』 幸太朗の答えに、雪那は不安を抱いた。 「……なんだか、そうじゃない。と言いたげですが。」 『ふふふ』 幸太朗は神妙な笑みを浮かべた。雪那には、それが不快だった。 『いつか、お前にも出会えると良いな。お前の、最高のパートナーとなりうる、アームヘッドが。』 「……お父様と、セイントメシアの、ような、やつですか?」 『そうなるね。……人間とアームヘッドの関係、っていうのは、体験しなくちゃ、始まらないさ。それは、常に心に、めいじておくんだな』 「分かりました。お父様。」 何故、今更こんなことを……と、雪那は思った。今現在、自分はファントムに囲まれ、今にも死にそうな状態となっているのに。 「……くそ、身体が……動かない……クソ……」 わたしも、死ぬのか?……ええい、まだ……まだ…… 『お前と、リアルメシアは、どんな関係なんだ?』 ……だれだ? 『まず、信頼することだ。信頼しないと、何にもならない。絆は、信じ合って、紡ぐ事ができるんだぜ。』 急に、雪那の中に、血が流れる、そんな感覚がした。動く。五体満足だ。片腕がないだけだ。 ファントム達を蹴散らしながら、‘真の救世主’が、覚醒した 「……調和か、何を今更」 ラグナロクは冷たく言った。 「黙れ、のっぽ。」 「くくく、良いね、良いよ。さあ、もっと足掻いてくれその方が、摺り下ろしやすい。」 「あぐっ」 吹き飛ばされたオーディンをスルトは見下ろしていた 「ダメだ、全然ダメだな。旬香。楽しくないぞ」 オーディンはユミルを睨んだ 「なんだ、その顔。楽しくないな」 「いまだッ! グングニール!」 ユミルの背後から一直線に突き進む一本の槍を、スルトはまともに受け止めた。 「ぐぬっ」 その瞬間、手元に戻ってきた槍をオーディンは構え、一気に突撃した。
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「料理はしないのか?」 アイネアス固形食料をほおばりながら言った。 「食べ屑が飛んでるよ」 菊田も固形食料をかじっている。菊田はアイネアスを指差していった。 「……じゃあ、君はしてるの?自炊」 「……してない」 菊田はにたっと笑った。一口固形食料をかじると言った。 「僕はしてる」 アイネアスはそっぽを向いた。 「どうしたの?」 「べつに、お前が気にするようなことでもない」 「……キクダ、一つ聞きたいことがある。お前は……」 菊田は笑って答えた。手の中の固形食料はもう無くなっていた。 「何故、リズからおわれているか、聞きたいんだろう?でなければ色んな国の軍が動くわけがない。そういいたいんだろ?」 菊田はコップの中にもう冷めたコーヒーを入れると、それを飲んだ。 「簡単なことさ。リズの大事な物を奪えば、そうなる。しかも、超極秘のね」 アイアネスはゆっくり立ち上がると、息を乱しながら菊田の近くに寄ると、肩の上に手を置いた。 「どうした?えーっと……」 「アイネアス……だっ……」 アイネアスは床の上に崩れ落ちた。さらに息を荒くしながら、床の上にうずくまる。金色の髪は床の上に散らばった。 「う、っく、クソ……少し歩いただけで……」 「オイ、大丈夫か?アイネアス。全身を強打してる。両足にはひびが入ってるし、右手は手首からぽっきり。左手に至っては、肩の骨にひびが。腰には青あざができてるし、胸の肋骨は折れてる。絶対安静だよ」 「はっは、早く……言えよ……べ、ベッド……あぐう」 身体を引きずりながら進もうとするが、動くわけもなく、菊田がすぐにアイネアスの近くに寄った。 「大丈夫か?すこし、動くぞ」 菊田が身構えると、アイネアスは菊田が何をしようとしているのか察したらしく、精一杯抵抗するが、あっけなく持ち上げられた。 「ちょ、ちょっと!は、はなせ!はなして!」 菊田があっけにとられたような顔をした。 「……何?」 「ちゃんと女の子みたいな声だすんだなあ」 「……この……ッ」 言いかけた途端、アイネアスはベットの上におとされた。 「飯の準備してくるから、ここで待ってろ。な?」 菊田は部屋の中から消え、少しして香ばしいにおいがしてきた。 「……なんだろう……このにおい……」 アイネアスは天井のシミを数えながら鼻歌を歌っていた。 「なに?その歌」 アイネアスはまたそっぽを向いて眼を合わせようとしない。 「お粥作ってきたぜ」 「お粥?オコメのか?」 アイネアスは菊田の方を向いた。 「いいや、麦の方だ。リズ人だろ?だったらこっちの方が良いかな。って思ってさ」 「……ありがとう。気を遣ってもらって」 「気は使うもんだよ」 菊田はスプーンを動かしながら言った。アイネアスはゆっくり手を動かすが、眉間には皺が寄って、手は震えている。 「……大丈夫か?」 黙々と手を動かしていた菊田がいった。 「……何がだ?」 菊田はスプーンを持った方の腕を動かしながらもう片方の手でアイネアスの動く事すらままならない手を指差した。 「鎮痛剤が、もう切れてるんだな。腕を動かすと、痛くならないか?」 「……鎮痛剤は?」 「痛いんだな?」 アイネアスの手は自然にゆるみ、スプーンが床に落ちた。 「っつ」 「キクダ、聞いて良いか?」 菊田のスプーンを動かす手は止まり、彼は優しく答えた 「なんだ?アイネアス」 「……お前は……なぜ、そうも人に優しくできる?私は、お前を殺すかもしれない人間だ。そんな人間を、何故助けるんだ?キクダ。……情けをかけているつもりなのか?」 菊田は大きく息を吸った。 「そうだ。せめてもの罪滅ぼしだ。正直言おう。僕は、スルトにのまれている。徐々に。そんな俺が、無意識のうちに殺して死まった、人たちへの……罪滅ぼしだ。お前以外は……みんな……」 「そうか。ありがとう」 「……悲しくないのか?」 「私は……軍人だぞ」 アイネアスはうつむいた。 「泣かないのか?それとも……」 「……泣けないのか?」 アイネアスはベットに取り付けられたテーブルを杖代わりにしてデットの上に立ち上がった。 「私が泣くものか!アイネアス・メイヤー!私は、私は……」 「……泣くことを……知らないのかも、しれない……」 菊田は、立ち上がって、アイネアスのスプーンに付いたほこりを、服の裾で取ると、アイネアスに差し出した。 「……泣こうとして、泣く奴なんて、いない。涙は、自然に溢れてくるのさ」 「う、う、う……うわあぁああ」 アイネアスは、ベットの上に膝をついた。
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名前:KANTA 職業:学生 誕生日:あ、あきひとさま! 趣味:妄想 特技:調子に乗ること
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鼻歌を歌いながら、宝生はアパートへ向かっていた。ついに、世界級チャンピオンちょろいものだ ウキウキでドアを開けると、クラッカーがなった。 「オメデトォオオゥウ」 髪の毛を黒く染めたルミナスが言った。 「ありがとう」 宝生は笑顔で言った。そして、ルミナスに抱きついた 抱きついたまま、ルミナスを持ち上げ、部屋の中へと入っていく。居間のテーブルには、沢山の料理がおかれていた。 「おーろーせよー」 手をジタバタさせるルミナスを椅子の上に置き、席に着いた。 肉汁溢れる……肉。ぐふふふふふ。ルミナスと宝生は気味の悪い笑みを浮かべた。 「おかえり」 エプロン姿のスーが両手に新たな料理を手にしている 「キャアアアアア」 次々に増える料理を目にし、ルミナスは今に踊り出しそうなほどだった。 「さ、めしあがれ」 菊田重工で書類を紙飛行機にして遊んでいた菊田は、菊谷が入ってきた途端、さも書類を読んでいるふりをした。 「バレバレですよ、社長」 菊田は答えず、また紙飛行機を折りだした。飛ばした飛行機は菊谷が拾い、元に戻してまた束にしていく。菊田が飛行機にして、菊谷が元に戻す、一種の流れ作業だった。 「て、いうかさ、菊ちゃん」 変なあだ名で呼ばれ、菊谷はどきっとした。 「秘書の山谷君は?」 菊谷は、またどきっとした。 「か、彼は……」 「何?」 「そんなに俺の秘書が良いの?」 菊谷は何も言えなくなり、菊田は頭を掻いた。 「まあ、とりあえず、李を呼んできて」 「……わかりました」 菊田は、にやりと笑った。あの菊谷とかいうやつ、仕事はできるが、なんか、面白い物を感じる。まあそうでなかったら、俺の側にはおかん。 「プレゼント!フオオオゥユウウウウウゥゥウゥゥゥゥ」 ルミナスは、スーと宝生に一枚のチケットを配った 「これは?」 スーが聞いた。 「リ・ビットのチケットさ、シュンちゃん好きだろ?」 「オーゥイエース!」 宝生は小躍りした。 「それ、明日の奴だから、三人でゴー、な?」 「いいよな?スー」 スーは頷いた 次の日の夕方、三人はアパートを出た。ライブ会場の看板には、「ゼップ コウキョウ」とある。間違いない コンサートはすぐ始まった。 「マイ・ロック・フォーユー!」 離戸田が叫んだ。歓声が沸く。ギターとドラム、ベースが演奏し出す こんな日が、つづけばいいのに宝生は、呟いた
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「壊れる!オーディンが!」 あわてふためく宝生の姿を見る村井は、ひどく落ち着いていた。 その瞬間、オーディンを光が包んだ。 おおきな木の枝に首をつる老人。腹には槍が刺さっている。その瞬間、リアルメシアの粒子砲が当たった。しかし、貫通しない。微動だにせず再生がつづく その樹は鼓動するように動き、再生が――止まった。 オーディンの自壊は止まっており、真っ赤なアームヘッドがあった。 『旬香、どうするかね』 「今は……戦うべきじゃない。逃げるべきだ。」 宝生がそういうと、オーディンは納得したように頷いた オーディンのバーニアが一瞬止まり、その瞬間、爆発的なエネルギーが噴出された。 その一回で、リアルメシアを通り越すと、バーニアの全速力で飛ぶ。 「……所長、……これ……」 そういわれて〈ひかり〉の映像を見た天体学者が持っていたコーヒーを落とす 「直ちに、御蓮政府に連絡しろ……緊急事態だ……」 「ギャラルホルンが……」 糸目の男、虎次が言った。 「何が起こるんだ?」 李は不思議そうに言った。 「……世界が終わるかもしれません……」 「ただいま」 すると、ルミナスと旬涼が現れた。 「……旬香はどうした?」 「……リアルメシアに、妨害され……おいてきました」 旬涼がそういうと、李は頷いた 機械音がなり、李が携帯電話を取り出した。その画面を見るなり、李の表情は一変した。 「……」 携帯は次々に回され、次々に表情は変わっていった。 「To be able to fight, and to change the world」 画面にはそう書かれていた。 トゥ・チェンジ・ザ・ワールド。世界を変えるために、戦う 「ギャラルホルンが発令された。……今こそ、戦うときだ。全員、戦闘に待機せよ」 みんな、李の問いかけに答えようとはしなかったが、その場の空気は変わった。 「皆々、好きなように戦え。……死ぬな」 全員がアームヘッドに乗り込むと、李はみんなに向けて親指を立てた。 「こんなところで待つだけとは、歯痒いな」 李が飛び立ったアームヘッドの背中をみながら言うと、虎次が答えた 「待ちましょう。帰ってきた英雄を、もてなすことが私達の仕事でしょう」 李は、完成したがパイロットの居ないアームヘッド、ベオウルフをみた。 「まさか、出撃できないなんてな」 李がそういうと、此花が現れた。 「……これに、のせてください」 「何故だ? 乗れないかもしれないのに。期待を抱くだけ……無意味だ」 「聞こえるんです。この子の声が。」 「きこえるだと?」 「そうです。……戦いたくて身震いしている」