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オープンカフェ。その中の一席に彼はいた。 注文も出さず、彼はただ、そこに座っていた。 テーブルの向こうには空き席が1つある。 少し暑い。昼時だからだろうか。スーツの上着を脱ぎ、椅子に腰かけた。 彼がオープンカフェに来ているのも昼休みで腹ごしらえに来たかもしれない。 かもしれない、というのも可笑しいが、彼はどうも、なぜ自分がここにいるか分からないようだった。 なんとなく、知らない内にオープンカフェのテーブルに座ったのだろうか? 周囲を見回してみる。 ここは大都会といえる場所なのだろう、オープンカフェから視線を逸らせば道行く人は様々だ。 商談のためにスーツ姿で歩くサラリーマンに暇な時をショッピングで潰す若者。 空から落ちてきた太陽の光が街の人を動かしているようだった。 オープンカフェ内に視線を戻す。 ああ、やはり昼時だ。オープンカフェにごった返す人々。 みなランチを食すためにここに来ているのだ。彼が座るテーブル以外はみな満席だ。 「ああ……失礼……相席、いいかい?」 彼がしばらく呆けていると、ある男が声をかけてきた。身長は高く、190cm弱はある。 しかし男がやってくるまで彼は人の気配を感じず、まるで男が湧いて出たようであった。 男は白人で、ヨーロッパから来たことが分かる。 「ん、ああ、構わんよ」 「悪いな…このオープンカフェ、満席みたいでな…ここ以外空いてなかったんだ」 彼は少し驚いた様子を見せながらも、丁寧に応対する。 その男は席に座ると、彼を不思議そうに見てから尋ねた。 「なあ、おっさん…注文、頼まないのかい?」 「うむ?店員からやってくるんじゃあないのか?」 彼はおっさんと呼ばれても怒ることなく、その質問に答える。 彼は頭部に白髪が目立ち、頬がこけていた。どこか疲れているような印象を持たせる中年の男性だった。 「いや、このカフェはまずレジに行かなくっちゃあならない。そこで注文してから席に座るんだ」 「そうだったのか。すまないな、私はこういうところにあまり来たことがなくてね」 「それで、何を注文するんだ?俺はイタリア出身だからイタリア料理をオススメしたいところだな。例えばピッツァ・マルガリータとか」 「…なら、君に任せてみようかな。私としても何を食べるか決めかねていたところだ」 彼はとりあえずカフェへの注文を男に一任した。 しかし、男は注文をしにレジに向かおうとせず、しばらく黙って彼を見つめていた。 「…私の顔に何かついているのか?」 「いや…その、おっさんは何か悩み事があるのか?」 「………」 「心に何かしょい込んでいるような浮かない顔をしている」 彼は男に会ってから、愛想笑いを見せることはあってもすぐに口元を一の形に戻し、思いつめた表情をしていた。 この男は彼のことを心配しているのだろうか。 「ああ…実は私には気がかりなことがあってな。…変なことを口に出すかもしれないが、許してほしい」 確かに、彼には心に抱えている疑問がいくつかあった。 突拍子もないことだが、この男に話そうと決めた。 「私は……もう死んだはずなんだ」 ◇ ◇ ◇ ――父さん、頼む死なないでくれ!! 「ライト…」 ――父さん 「よ…よかった…」 ――ああよかった、動けるか父さん!? 「私はまだ目を持っている。あの死神の…リュークの話ではノートを所有する人間の寿命は見えない」 「おまえはキラじゃない…本当によかった」 ――!余計なことはしゃべるな 「す…すまなかった。結局、私は奴を殺せなかった…。わ…私はもう駄目だ」 「ライト…後の事は頼…―――」 ――!…父さん、奴の名前を! ――奴の名前を最後の振り絞って書くんだ、やられっぱなしでいいのか!! ――さあ父さん、これじゃ無駄死にだ!それでいいのか! ――書くんだ。父さん早く!しっかり奴の顔を思い出して! ――父さん! ――父さん!父さん!死ぬなバカヤローッ!! ◇ ◇ ◇ 「次長………ん?」 「どうした?松田」 「次長が左手に何か持ってますよ」 「これは……エジプトの――」 ◇ ◇ ◇ 彼の名は、夜神総一郎。二代目Lこと夜神月の父であり、Lや部下達と共に犯罪者を殺す存在「キラ」を追っていた。 総一郎はマフィアから名前を書かれた者が死ぬ「デスノート」を取り返す作戦に参加した際、 デスノートにメロことミハエル=ケールの名前を書くことができずにマフィアの生き残りの凶弾に倒れる。 正義感が強く、警察官の鑑のような人物の彼は、最後の最後でメロをノートで殺すことを躊躇してしまったのだ。 死の床で、死神の目で月の寿命が見えたため月がキラでないと確信した。 Lとの捜査から息子にかかっていた容疑は真実ではなかったことに心から安堵した。 メロの名前を書けなかったことを詫びて意識が暗転すると、総一郎はいつの間にかどこだか知らないオープンカフェの中の一席にいた。 空を見上げると今にも落ちてきそうだった。 総一郎はキラに関する事件の始まりに捜査の経緯から死ぬ直前までの出来事を男に全て話す。 男は黙って総一郎の話を聞き続けていた。 「――今まで犯人と疑われていた息子が無実だと分かった。その事実があるだけで安心して死を受け入れられる。なのに私はまだ、こうして生きている。何故だろう?何か思い当たる節はないか―――レオーネ・アバッキオ?」 「……どうやら、あんたが死神と取引をしたっていう話は嘘じゃあなさそうだな。まさか名乗ってもいないのに名前を言い当てられるなんてな」 総一郎は未だ健在である死神の目を通じてその男――レオーネ・アバッキオに問いかける。 名乗ってもないのに名前を言い当てられるアバッキオは動揺を隠せない。 「私の『死神の目』は、人の顔を見ると名前と残りの寿命が見えるのだが、君の寿命が見えないんだ。その点も私としては不可解だ」 総一郎が持っていた疑問の一つ目は、自分が死んだはずなのに今、ここで確かに生きていること。 二つ目は、目の前にいるアバッキオという男の寿命が見えないこと。 デスノートの所有者の特徴として、死神の目を通して寿命が見えなくなるというものがある。 アバッキオが相席を求めてきたときはキラかと思い、驚いたがキラがヨーロッパ系の人間という事実はLの推理と大きく矛盾している。 この男はキラではない。長年キラの連続殺人事件に関わってきた総一郎は自然と察することができた。 キラでないならば、寿命が見えないことに何か他の理由があるのではないか、もしかしたらこの男は何か知っているのではないかと思い、アバッキオに抱いていた疑問を吐露したのだ。 「そうだな…答える前にこっちからも聞かせてくれ。『聖杯戦争』を知っているか?」 アバッキオは総一郎の質問に質問で返す。 「…聖杯戦争?…知らないな」 「よおく頭の引き出しの中を根掘り葉掘り探し回ってみろ。絶対にあるはずだ…聖杯がおっさんの頭の中に入れた記憶がな」 そう言われて総一郎はなんとか思い出そうと目を閉じた。 総一郎の54年の生涯が詰まっている記憶の海。その中で「聖杯戦争」をキーワードに検索をかける。 すると、確かに聖杯戦争に関する記憶が頭の表層に出てきた。 どこで知ったかもわからない、デジャヴに近い感覚だった。 総一郎は目を見開き、愕然とする。 「…どうやら思い出したみてーだな」 「……あ、ああ……」 「おっさん、俺は何だと思う?」 「…『シーカー』…私のサーヴァント。真名は…レオーネ・アバッキオ…」 そう、アバッキオは総一郎のサーヴァント。そして総一郎は死に際に何故か握っていたシャブティを介してゴッサムへ招かれた存在だったのだ。 アバッキオが相席を求めた際に湧いて出たように感じたのもシャブティがアバッキオに変化したため。 そして寿命が見えなかったのは彼がサーヴァント、つまり、既に死亡している存在だったからだ。 ◇ ◇ ◇ しばらくの間、総一郎は顔を手で覆い、俯いていたが今は落ち着きを取り戻している。 テーブルの上には二杯のイタリアンコーヒーが置かれていた。 もちろんアバッキオのチョイスである。 「…なぜ私はその聖杯とやらに呼ばれる必要があったのだ?」 「そこまでは俺にもわからねーな…」 「確かに、事件は私の目が黒い内に解決したいとは思っていた。聖杯に願えば生き返ることもできる…だが、だからといって人を殺すなど決して認められん…!」 サーヴァントという英雄を味方に授かり殺し合うという聖杯戦争に総一郎は怒りを燃やす。 総一郎はこれといった願いを持っていない。 志半ばで命を落としたが、それは月をはじめとする仲間達が受け継いでくれるはずだ。 では、ろくな願いも抱かず、なぜ聖杯に呼ばれたのだろう? そんな総一郎を見て、アバッキオは警官になったばかりの頃を思い浮かべ、一種の羨望を覚えていた。 ――俺もあの時、挫けずに正義を持ち続けていれば…おっさんみたいな立派な警官になれたかもしれない。 過去のアバッキオは汚職警官になり下がり、同僚を死なせてしまい身も心も「暗黒」へと落ちていった。 あの時からアバッキオは何にも心を動かされず、ただ、何もかも忘れて絶対的な存在に従って生きてきた。 この総一郎という男はキラという殺人犯がどんなに危険だとしても決して諦めずに犯人に向かう『意志』を貫くだろう。 この聖杯戦争でも―― 「シーカー。たとえ私が死んでいたとしても、私の精神が生きている限り警察官としての職務を全うするつもりだ。 このふざけた殺し合いに乗る者にも、聖杯戦争を仕掛けた者に対しても断固として立ち向かう。そのために私と共に戦ってくれないか?」 ――前を向いて『真実』を追い続けるだろう。 総一郎は己の信念を突き通すことを選んだ。 ここが東京だろうがゴッサムシティだろうが警察官がやるべきことは決まっている。そう結論付けたのだ。 総一郎の言葉を聞いたアバッキオはその瞬間、死後の同僚との邂逅を思い出す。 アバッキオの行動を誇りに思ってくれていた、アバッキオを過去の十字架から解き放ったあの瞬間を。 『大切なのは『真実に向かおうとする意志』だと思っている。向かおうとする意志さえあれば、 たとえ今回は犯人が逃げたとしても、いつかはたどり着くだろう?向かっているわけだからな…違うかい?』 アバッキオは思った。もう一度警官としてやり直したい、と。 総一郎と共に『真実に向かおうとする意志』を持って戦いたいと。 「おっさんが『真実』に向かおうってんなら…俺は全力であんたを手助けするぜ。大切なのは『真実に向かおうとする意志』だからな」 「もちろんだ。キラは私が生きている内に逮捕することはできなかったが…今度は真実へ辿り着いてみせる…!」 真実へ向かい、その途中で死亡した二人は再び行動を開始する。 たとえどんな苦難が彼らを襲おうとも、きっと何か意味のあることを切り開いて行くのだろう。 【クラス】 シーカー 【真名】 レオーネ・アバッキオ@ジョジョの奇妙な冒険 【パラメータ】 筋力C 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運C 宝具C 【属性】 中立・善 【クラス別スキル】 追跡:B トラッキング能力。僅かな痕跡から敵の能力や行動パターンを予測し、現在位置をある程度の確率で特定する。 【保有スキル】 真実に向かおうとする意志:A+ シーカーがギャングに身を落とした後も心の底で持ち続けていた意志。 どのような肉体・精神状況下においても十全の戦闘技術を発揮できる。 そして、辿り着くべき『真実』に近づいているほど全パラメータが上昇する。 戦闘続行:B 信頼した者にはどこまでもついていく義理堅さ。 決定的な致命傷を受けない限り生き延び、瀕死の重傷を負ってなお戦闘可能。 【宝具】 『映出す証拠(ムーディー・ブルース)』 ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:- 生命が持つ精神エネルギーが具現化した存在。所有者の意思で動かせるビジョン『スタンド』。 人型だが、機械のような外見をしている。 過去にあった物事を再生、早送り、巻き戻し、停止して見る(利用する)ことができる。 スタンドの額にはデジタル表示のタイマーがあり、何時間・何日前の映像なのかが表示されている。 人間やサーヴァントの行動も再現できるが、宝具など敵の持つ異能や固有能力までは再現出来ない。 また再生中は攻撃も防御もできない完全な無防備となる。 この為、追跡や手掛かり探索などの調査などでは非常に役に立つが、直接的な戦闘行為には不向きである。 スタンドビジョンのダメージは本体にフィードバックされる。 『映出す真実(ムーディー・ブルース・プログレッシブ)』 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:- 「映出す証拠」の進化形態。真名解放を行うことで使用可能になる。 従来の再生能力に加え、敵の宝具含む異能をも再生することが可能になる。 実質的に敵の宝具やスタンドを投影して利用することができるが、敵の使う能力によっては魔力消費がかなり多いので注意。 【weapon】 宝具『映出す証拠』のスタンドビジョン スタンドで格闘戦を行うことが可能。 ステータスはサーヴァント換算で 筋力D、耐久D、敏捷D相当。 一応戦えないこともないが、本体が戦い、その補助として運用した方がいい。 【人物背景】 ブチャラティチームの一員のイタリアンギャング。 幼いころから正義感が強く、警官になるが、 次第に社会の矛盾に気づきはじめ、やがて自らも収賄などの汚職に手を染めていく。 しかし後にそれが明るみとなって汚職警官として罰を受けたばかりか、 それが原因となって同僚が自分を庇い殉職してしまったことで一生外すことのできない十字架を背負ってしまい、 その後にフーゴとブチャラティの勧誘を受けてギャングとなった。 そんな過去があるため、人をあまり信用しない性格。 特に新入りのジョルノ・ジョバァーナとは初対面時からことあるごとに衝突している。 しかし、一度信頼した者に対しては忠実に従い続ける義理堅さも持ち合わせている。 ブチャラティには絶対の信頼を置いており、ブチャラティが組織を裏切った際にも彼についていくことを選んだ。 トリッシュの記憶からサルディニア島へ辿り着いた後、スタンド能力でボスの過去を探っている時に 変装したボスの一撃により、再生中に致命傷を負わされる。 だが死の間際に最期の力を振り絞り、ボスの素顔のデスマスクと指紋をブチャラティたちに託し絶命した。 死後の世界では、かつて死なせてしまった同僚と再会。 彼が死後もアバッキオを恨んでいないどころか、アバッキオの生前の行いを誇りにさえ思っている事を知る。 かつての同僚と和解することで、アバッキオの魂は本当の意味で救われながら天に昇っていった。 【サーヴァントとしての願い】 警官として総一郎と共に戦う。 総一郎のことは信頼している。 【マスター】 夜神総一郎@DEATH NOTE(漫画) 【マスターとしての願い】 ゴッサムで警察官としての職務を全うする 【weapon】 特になし ただし、警官として警察庁から拳銃を支給されるかもしれない 【能力・技能】 死神の目 人間の顔を見るとその人間の名前と寿命を見ることができる。 写真や映像であっても、人相が判別できるほど鮮明であれば名前と寿命を見ることができる。 似顔絵では名前と寿命が見えない他、鮮明な写真でも顔が大きく欠けている場合は見えないことがある。 自分自身を含めたデスノート所有者に関しては、名前だけしか見ることができない。 ちなみに、目の取引を行った場合、本来の視力にかかわらず、3.6以上の視力になる。 サーヴァントの真名も見ることができるが、サーヴァントは英霊であり、既に死んでいるため寿命は見えない。 シーカーの『映出す証拠』で人物を再現した場合、その人物の名前を見ることは可能。 【人物背景】 警察庁刑事局局長にして日本捜査本部長でもある。主人公である夜神月の父親。 正義感の塊で、まさに警察官の鑑ともいえる人格者。 Lが息子である月をキラだと疑っていることで、大きなストレスを抱え込んでおり、日に日にやつれていっている。 第2部からは次長に昇進。娘と引き換えにノートを犯人に渡してしまったことに責任を感じており、 死神の目の取引をしてメロの本名を知るも、その正義感故にメロの名前をノートに書くことを躊躇い、 その隙をつかれて銃撃された傷が致命傷となって死亡。 最後まで月がキラだということを知ることがないまま死去した。 【方針】 困っている人がいたら助けたい。 銃を撃つなど人を傷つける事を良しとせず、たとえ敵であろうともむやみに殺そうとは思わない。
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【クラス】 デストロイヤー 【真名】 加藤鳴海@からくりサーカス 【パラメーター】 筋力B+ 耐久C 敏捷B 魔力E 幸運D- 宝具B (クラススキルによる上昇含む) 【属性】 中立・善 【クラススキル】 破壊の権化:A 悪魔(デモン)を自称し、敵にもそのように恐れられた「人形破壊者」しろがねの一人。 気配遮断などの存在隠蔽スキルが消滅するかわりに筋力と敏捷のランクを向上させる。 また人形や改造人間など機械の属性を持つもの、魔術や呪術、科学など原因を問わず病をもたらすものに対するダメージに大幅な上昇補正が発生する。 【保有スキル】 しろがね-O(偽):EX 同ランクの肉体改造を内包する特殊スキル。 このランクが上がればあがる程、正純の英雄から遠ざかっていく。 「生命の水」によって「しろがね」となり、後に命を繋ぐために「しろがね-O」の技術を利用した治療・改造を受けている。 そのため肉体的には「しろがね-O」として不完全である。しかし仲間を失い、使命に囚われた彼はどんな「しろがね-O」よりも人形染みていた。 平常の彼は激情の男であり、肉体のしろがね化もあまり進行しない「しろがね」らしかぬ男であった。 しかし全ての「しろがね」の始祖、白銀の記憶を濃く受け継ぎ、彼に勝るとも劣らぬ人形への憎悪を自らの経験から持つこの上ない「しろがね」でもあった。 体内を流れる「生命の水」による高い精神耐性、治癒能力を持つ。 血液を通じて「生命の水」を他者に与えることで対象の治癒能力を高めることも可能。 ただしサーヴァントである彼の魂の比重は大きく、人間に過剰に与えた場合「生命の水」に溶けた鳴海や白銀の記憶に人格を塗りつぶされる危険がある。 中国武術:A+ 中華の合理。宇宙と一体になる事を目的とした武術をどれほど極めたかの値。 修得の難易度は最高レベルで、他のスキルと違い、Aでようやく“修得した”と言えるレベル。 A+ならば木石でできた手足であろうとも気を放てる達人の域。 心眼(真):B 修行・鍛錬によって培った洞察力。 窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す“戦闘論理” 逆転の可能性が数%でもあるのなら、その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる。 戦場の華:A 華麗さと勇猛さをもって戦場を駆ける華。 鳴海の戦う姿は、敵味方を問わず意図せずして精神に影響を与える。 背中にいる守る者にとっての彼はサーカスの花形たる道化。観客が笑えるようになるまで戦場という舞台の上を跳ね回る。 並び立つ味方にとって彼は咲き誇る希望。敵の首魁を打ち取れる切り札として信頼され、何をしてでも助けようと慕われる。 敵対する者にとって彼は手向けの花を贈る悪魔。その強さと容赦のなさは強い畏怖を呼び起こす。 精神防御で抵抗可能。 【宝具】 『限界状況を超える悪魔の舞踏(デモンダンス・フォア・ザ・ハリー)』 ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:0~10 最大捕捉:1人 師父や同門生に与えられた技術。仲間に託された遺志。子供たちの笑顔。 何より持ち時間の総てを使って愛した女性の想い。 彼は個にして個に非ず、単身では為せぬ偉業をなす。 スキル、Bランク以下の対人宝具、Bランク以下の最大捕捉が10人以下の宝具による防御・耐性効果を無効化して攻撃できる。 加えてスキル、Bランク以下の対人宝具、Bランク以下の最大捕捉が10人以下の宝具によって受けるダメージ・バッドステータスを半減する。 『怒りと悲しみを覆う笑顔の仮面(ラフィング・クライング・アルルカン)』 ランク:E- 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人 かつて白銀という男の保持したうっすら笑っているように見える仮面。 何の変哲もないものだが、200年の時としろがねたちによる信仰を重ね宝具にまで昇華した。 所持者はE~Aランクの自己暗示スキルを獲得する。 獲得するランクは装備者が心をどれだけ隠そうとするかに応じて変化する。 鳴海の場合、ゾナハ病の患者の前にも出られるよう怒りを隠し、逝った戦友のために本心を秘した逸話よりAランクで獲得できる。 Aランクともなれば瀕死の傷であっても「戦える」と思えば戦えるなど、肉体面に影響を及ぼすほどの思い込みが可能。 装備中はさらに自己暗示のランクが向上し、あらゆる精神干渉を無効化できる。ただし心を完全に隠してしまう為念話が使えなくなり、また他者との接触で悪印象を与えてしまう可能性が高い。 鳴海以外の者でも使用可能だがどの程度効果を発揮するかは個人差がある。 『ここが駅、駅長さん鳴らす笛ぽっぽう!』 ランク:E 種別:対軍宝具 レンジ:0~25 最大捕捉:100人 機関車型の自動人形、『長足クラウン号(クラウントレイン・テイク・ユー・オン・ザ・スマイリング)』を召喚する。 本来これは彼のものではなく、フェイスレスの作成した自動人形をフゥが改造した宝具を借り受けており、仲町サーカスの団員ならば呼び出すことができる。 いうならば宝具を召喚する宝具である。 自動人形であるため自前の魔力で動き、召喚にも駆動にも鳴海自身が消耗することはない。 だが逆に鳴海の魔力消費で修理することはできず、修理には機材と技術者を必要とする。『壊れた幻想』も基本的にできない。 戦闘においてはほぼ役に立たず、味方を撤退させたり大きなものを運搬したりするのに役立つくらい。 なお敏捷に優れたサーヴァントならば追いつくのもできなくはないので、撤退時には注意が必要。 最大の強みは鳴海が信頼したものならばこの宝具を託し、発動することができる事。 マスターはもちろん、仲間として認めたものならば長足クラウン号を呼び出すことができる。 誰かに託していれば鳴海の消失後も発動可能である。 【weapon】 マリオネットの四肢 『竜殺しの名を冠する聖剣(エペ・デ・サン・ジョルジュ)』の左腕。 『絶対に水が枯れぬ川に潜む頼もしき毒蛇(マンバ)』の右腕。 『北欧のヴァイキングが振るう大槌(スレイプニイル)』の左脚。 『苦痛の嵐巻き起こす疾風(ペンタゴナ・ノッカー)』の右脚。 かつての戦友が所持・操作した宝具の欠片を四肢とする。 あくまで欠片であるのに加え、様々な改造を施しているため性能はともかく霊格としては原典の宝具より大きく劣り一武装となっている。 しかし籠められた心は先述の宝具の一部になるほどかけがえないもの。 通常の「しろがね」以上の力と速度をもたらす他、疾風のように優れた跳躍、車輪による高速移動、仕込みの刃による斬撃や射出などを可能とする。 また人形殺しの概念が全てに込められており、機械に属する存在・武装に対するダメージに大幅な上昇補正がかかる。 ちなみにフゥの手によって外観を整えられた状態。 【人物背景】 かつては気弱な性格で、母親が第2子を妊娠、兄となる自覚から『強くなりたい』と拳法を習い始めた。 しかし結局は流産、以後の妊娠も望めぬ体となったことで絶望を覚えたものの、師匠の言葉でどこかに生まれ変わったであろう弟妹のために拳法を続ける決意を固める。 それゆえ子供たちに対する愛情は深い。 ある日遺産目当ての誘拐・暗殺の危機に瀕した少年、才賀勝と出会う。 涙を流す勝を笑顔にするためにも彼を誘拐・殺害しようとする者達との戦いに「しろがね」を名乗る美女エレオノールと共に挑む。 勝の救出には辛うじて成功するが代償として記憶と左腕を失い、勝たちの前から姿を消す。 その後不死人「しろがね」の男、ギィに救われ、人形の左腕と不死人と化す霊薬「生命の水」のよる処置を受け「しろがね」となり、かつて自らも苦しんでいたゾナハ病の元凶たる人形との戦いに巻き込まれていく。 数多の戦いを経て人形への憎悪を深め、「悪魔(デモン)」を自称するようになり、サハラ砂漠での人形との最終決戦に臨む。 この戦いにおいて重傷を負い残った両足と右腕も失うが、仲間の献身的な治療で一命を取り留める。 仲間の心を宿したマリオネットの四肢を移植し、他にもさまざまな処置を加えてサイボーグ(しろがね-O)に近い身体となる。 この決戦で「最古の四人」を含む人形との戦いにひとまず決着をつけるが、そこに黒幕はいなく、大儀はあれど意義はない戦いだった。 多くの仲間を失い、死にゆく仲間に真実を告げることも出来なかった彼の生はその瞬間一度終わる。 黒幕とゾナハ病を滅ぼすことに憑りつかれ、ひたすら人形との闘争と破壊を繰り返そうとした。 誤解とすれ違いからエレオノールを憎悪するが、かつて助けた女性と才賀勝の言葉を受け再び自らと愛する者の幸せのために生きることを誓う。 「最後の四人」のうち二人を破壊し、エレオノールに愛を告げ彼の闘いは幕を下ろす。 その後の彼の生は語られていないが、きっと恋人の恩師であり自らの戦友ルシール・ヴェルヌイユが遺した言葉の通り、生涯彼女を愛し続けたのだろう。 【サーヴァントの願い】 人々が笑顔で過ごせるような平和を。 【クラス捕捉】 『破壊者』のクラス。 何らかの物体・状態を破壊する『破壊という現象の象徴』であることがクラス適正となる。 同一クラスとして呼ばれる可能性がある人物としては門矢士(仮面ライダーディケイド)、デストロイア(ゴジラvsデストロイア)のような慄然とした世界の破壊者から 上条当麻(とある魔術の禁書目録)や球磨川禊(めだかボックス)のような限定的な状態の破壊者も含める。 加藤鳴海以外の人形破壊者「しろがね」もまたこのクラスの資格を持つ。 クラススキルは『破壊の権化』。 ただし、英霊が『何を破壊したか』でスキルの内容が大幅に変わってくる。 だいたいは宝具やスキル・逸話にたがわぬものを破壊できる能力になる。 鳴海はこのクラスで召喚されたため『破壊者』としての一面が強い、最も自動人形に憎悪を抱いた時期の体となっている。 「剣士」や「不死者」としてならば左腕のみが人形の肉体で、「拳闘家」としてなら四肢の揃った肉体で召喚されるかもしれない。 このクラスの召喚にはマスターとサーヴァントの精神性の相似が必要となる。 ゾナハ病の元凶を破壊することに邁進し己を持たなかった鳴海と、切嗣の願う世界平和に全てを捧げた舞弥。そしてその内に秘めた愛の大きさが二人の縁となった。 舞弥が自己を持たない存在であることもまた、鳴海が人形染みた肉体として召喚された一因だろう。 なお当然だがサーヴァントであるため、鳴海自身は生涯全ての記憶を保持しており人形染みてはいない。
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脱落者名簿 DEADが付いているのが脱落済みの参加者です。 ※脱落したキャラクターの名前をクリックすると、そのキャラの退場話に移動します。 【セイバー陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 オズワルド・コブルポット 後藤 レヴィ グリムジョー・ジャガージャック 【アーチャー陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 前川みく ジャスティス 広川剛志 エシディシ 呉島光実 暁美ほむら ディック・グレイソン ジョン・『プルートー』・スミス 【ランサー陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 シェリル・ノーム ウルキオラ・シファー 志々雄真実 エスデス 御剣怜侍 ジェイド・カーティス ヤモト・コキ 乃木園子 【ライダー陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 ジョーカー バットマン 【キャスター陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 犬養舜二 戦極凌馬 呉島貴虎 メディア ハナ・N・フォンテーンスタンド デスドレイン 【アサシン陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 ジョンガリ・A カール・ルプレクト・クロエネン ノーマン・スタンスフィールド 鯨 DEAD レッドフード DEAD チップ=ザナフ ロールシャッハ シルバーカラス 【バーサーカー陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 少佐 ン・ダグバ・ゼバ エンリコ・プッチ セリュー・ユビキタス 【エクストラ陣営】 状態 マスター名 状態 サーヴァント名 多田李衣菜 ノノ ミュカレ ジェダ・ドーマ 久宇舞弥 加藤鳴海 【残り22/23組】
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【マスター】 ジョーカー 【出典】 バットマン 【マスターとしての願い】 ゴッサムに、聖杯に、最高に最悪なジョークを叩き付ける。 【weapon】 ジョークグッズの様な武器を好んで使用する。 また、笑気ガスや硫酸入りの造花等も装備している。 【能力・技能】 ジョーカーは特別な能力を持たない人間である。 しかし、卓越した頭脳と狂気は恐るべき武器となり得る。 【方針】 異常者であるジョーカーの方針を読み解く事は出来ない。
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取り立てて語ることの無い仕事だった。 前もって受け取っていた情報に基づいて廃ビルの一室にて体制を整え、数百メートル先のホテルの入口から外へと踏み出したターゲットの眉間を撃ち抜いて、終わり。 突然の凶行に慄いた人々が慌ただしく駆け寄るか逃げ回るのを尻目に、ジョンガリは手早く退却の準備を進める。 聖杯戦争のマスターの資格と共に、ゴッサムの住人としての役割も課せられたジョンガリの今日の仕事はこうして容易く終わる。 今回の依頼を受けたことについて、現状維持を理由とする説明は可能である。 単純に最低限の金は必要なため。悪事こそ日常とするゴッサムという地に溶け込んで生活し、下手に悪目立ちしないため。生きた標的を訓練相手とすることで、狙撃の腕を少しでも鈍らせまいとするため。依頼内容自体は簡易な物であり、本領である聖杯戦争への対応を阻害するほどでもなかったため。 しかし、状況の好転へと繋げられる理由は生憎と見当たらなかった。後に報酬を払う契約であるクライアント、凶弾に貫かれ既に命を落としたターゲット、その双方が聖杯戦争とは一切関係の無い人物であり、また今後の大きなバックアップ等も期待出来そうにない。 (手詰まりになるのもそう遠くないか) 現実的な問題を言えば、ジョンガリとアサシンの一組だけで広大なゴッサムの戦争を勝ち抜くには限界がある。 情報の入手量。継戦能力。戦力増強の余地。どの点を見ても、単体で行動を続けていてはいずれ頭打ちだ。 ならば、他者と手を組むことが必要だ。 戦力を質量ともに向上させられる。街を駆けずり回る人員を確保できる。いずれ敵対する相手でも、一時的にでも互いに持てる物を提供し合えれば事はスムーズに進められる。 思考の中に過るのは、協力者の候補達の姿だ。聖杯戦争に関わるか否かは、一旦は脇に置くとする。 (誰と組むか、だな) 大規模……を条件に挙げれば、「包帯男」が該当する。急激な組織の拡大を今も続ける彼の快進撃は、日陰に生きる者はおろか表の世界を生きる者ですら把握していたとしても何らおかしくはない。 ろくに機能しない公安組織に代わる治安維持部隊のグラスホッパーもまた、今頃は彼の組織の拠点の一つを突き止め、「纏う果実」とやらを使って彼等と撃ち合っているのだろうか。 接触は容易だろうが、悪目立ちするだけに手を組むならば身の危険を覚悟するべき相手となる。 中規模または小規模……となると、未だ「包帯男」の息のかかっていない連中となる。市民でも名くらいは知る集団、裏の道を行くものでなければ実態を把握できない集団。枚挙に暇がないとは最早言えない程に頭数は減っているが、数は未だ残されている。 特にその姿を知る者が少ないと言えば、あの醜く肥えたペンギン男……もとい、オズワルド・コブルポットがそれだ。とある有識者が市政に携わるために用意した傀儡としての側面は、全市民が察しているだろう。 しかし、自らと同じ境遇の者達と結成したという犯罪組織の首領としての側面は、市民は愚か警察やグラスホッパーですらどこまで把握しているか不明瞭だ。尤も、当のジョンガリもまた噂に聞いた以上の実態を知らないのだが。 彼等の組織が危機を逃れられるならば良いが、一方でいずれ組織自体が潰される可能性もあることを考えると、協力者としては大きな期待も持てなそうか。 ジョンガリと同じく単体の戦力と言えば、フリーランスの暗殺者だ。行動力にはさほど期待できない一方で、接触が容易であるのが利点となる。 ……と言っても、誰ともつるまないスタイルを選ぶジョンガリが組めそうな相手となると、何が面白いのかジョンガリと言葉を交わす機会のそれなりにあるレベッカ・リーが第一候補となってしまうのだが。 この稼業を営む者に言うのは詮無きことだが、敵と見なせば即発砲となってもおかしくない相手に背中を任せるのは、やはり気が引ける。 仮にあの女と手を組むならば、一定の距離を常に取っておきたいのが本音であった。 (何にしても、売れる物は手に入れておきたいか) いずれの相手と組むにしても、まずはこちらから提供できるメリットを見せないことには始まらない。 狙撃手としての実力は当然として、他にはこれまでに得た情報であったり、またはジョンガリが兵力として挙げる確かな実績であったりと様々だ。 そのためにも、ここで情報の精度を上げておくのが得策か。 ジョンガリとアサシンの集めた情報の中でも、グラスホッパーに関する物を再度整理する。 果実の形をした鎧で戦う。基本的には一般市民出身者で構成されている。そして、街に突然現れる奇妙な極彩色の果実に強く執心している。 アサシンは偵察活動の中で目撃したという。その果実を食った者は瞬く間に怪物となり、理性無く暴れ始める。その姿を発見したグラスホッパーの団員達は、鎧を纏い怪物を迅速に討伐する。そして食われることの無かった果実を団員達は回収し、去っていく。 グラスホッパーと果実の関わりは、これだけでも推定が可能だ。 果実と怪物をグラスホッパーは狙っている。言い換えれば、果実の実る所にはグラスホッパーが現れ、怪物の蠢くところにはグラスホッパーが鎧を纏って現れる。 となると、情報を求めるジョンガリの為すべきことは決まっている。 ……依頼された仕事の遂行から一時間が経過し、現在は夜の六時を過ぎている。 場所を改めたジョンガリの視線の先では、いくつもの果実が鮮やかな色を見せつけている。 その色をジョンガリの目は識別出来ない。ただ、そこにあるというだけで十分だ。 ◆ 取り立てて語ることの無い仕事、のはずだった。 また例の果実が出現したとの報を受けて自分達四人のチームで現場に急行し、また出現した例の化物を取り囲んで屠った時点で終わる話のはずだった。 新型の戦闘スーツによって増大した筋力、堅固な装甲、数の優勢、どれを取っても失敗する要素など無かった。 だから、いつものように化物の肉体が爆風と化するのを見届けて、やっぱこのスーツ凄いな、なんて自画自賛を潜ませた軽口を叩き合う。そんな自分達に一声かけるチームのリーダーとの間には、距離感らしい距離感も無い。 そしてこれからも同じような流れが続き、そのうち街に巣食う害悪共を残らず駆逐する時を迎えられるのだろうなと想像しながら、揃ってスーツの装着状態を解除し、生身の姿へと戻った。 化物を倒した時点で警戒態勢を取り続ける必要は最早無かったのだ。 そんな判断が、間違いだったのだろうか。 「――お、ごっぉ」 ぐちゅっ、と。突然、何かを抉るような音が聞こえた。続いて、小さく漏れるような声。 二つが聞こえた方へと視線を移した時、見えたのはリーダーが訳の分からないといった表情を浮かべながら硬直している姿。 その顔の下、首元にあったのは一つの小さな穴。 穴から流れ出る液体は、赤黒い。口からごぽと吐き出される液体もまた同じく。 頭が目の前の事態を理解するよりも早く、彼の身体は地面に身体を崩れ落ちた。 何秒経過しても、動く気配は全くなくなっている。 「ねえ、ちょっと」 何が起きたのかを理解したのだろう。 撃たれた彼を除く二人のチームメンバーの団員の内、女の方が素早く前に出た。倒れたリーダーの生命を案じて駆け寄ったのだ。 しかし、その右足が三歩目を踏み出そうとしたところでまた耳障りな音が響く。同時、彼女の右太腿から血液が噴き出した。 悲鳴。また身体が地面にぶつかる音。両手で太腿を押さえつけ、激痛に泣き悶える彼女の姿。 見間違えようも、聞き間違えようも無い事実がそこにある。 誰かに、撃たれた。 「……二人を守れ! 救援も呼べ! 俺が前に出る!」 硬直していた男の方の団員に向けて叫ぶ。混乱する頭の中で辛うじて出した判断だった。 泣き出しそうになりながらも了解の返事をした男の団員は、震える手でドライバーに錠前をセットし、再びの変身を完了させる。 すぐさま倒れた女の団員の方へ駆け寄り、身体を抱えて庇う体勢を取る。距離の問題もあって女の団員しか庇えないが、仕方が無い。そもそもリーダーの生命は……もう、とっくに尽きているとしか思えなかった。 あとは彼が同胞への連絡をスムーズに行うのを祈るばかりだ。 「嵌めやがって、糞野郎……!」 同じく変身を終えると共に、毒づく。 遠距離からの銃撃によって自分達を襲ったのだろう何者かのやり口は、自分達への対抗手段としては腹正しいものであった。 怪物という第三者との接触の場にて、恐らくは予め待機していた。 交戦が終わったことで警戒心を弛緩させながら武装を解除し、生身を外気に晒した瞬間を狙い撃ち、即座に殺害した。 残る三人の団員のうち一人に対しては脚を撃ち抜き、しかし生命を奪うことなく行動の余地だけを奪った。 もう一人は撃たれた団員を庇うための防御態勢を取る以外の選択肢が無くなり、折角の優れた武装を宝の持ち腐れ同然にする羽目となった。 事実上、戦えるのは自分一人だけとなっている。 ……いかにも暗殺者の好みそうな、腹正しい程卑劣で、しかし腹正しいほど有効な戦法によって、アーマードライダーの絶対的な力を持つはずの自分達は容易く危機に陥らされている。 しかし、幸いであったのは場所が人の寄り付かないトンネル内であったことだ。四方八方が見渡せる街中ならともかく、この場合は敵の位置の推測も容易。前方加工法のどちらかへとトンネルを抜けた先にいるのが間違いない。 そして今回は、リーダーの撃たれた傷口の反対側に向かえば良い。駆ければいずれ敵は見つかる。 「はっ、効かねえって見りゃ分かるだろ」 今度は自分を狙ったらしい。右肩に銃弾が一発当たり、しかし小気味良い音と共に跳弾する。 アーマードライダーの装甲は、既存の現代兵器では到底破れない。大火力のバズーカ砲ならともかく、狙撃用のライフルの銃弾程度で破壊出来るわけが無い。 それどころか、今の銃弾のおかげで敵のいる方向がある程度は推測しやすくなった。最初は得体の知れない敵かと思ったが、なんだ、単なる阿呆ではないか。 槍の柄を握る手に力が籠もる。見つけ次第、徹底的に血祭りに上げてやらなければ気が済まなくなっている。早く俺の前に姿を見せろと、心が躍る。 犠牲は出てしまったが、ようやく敵の死によって決着が付けられる。 そのはずだった。 「あ、ああ、あああああああっ!?」 「は?」 突然、後方から男の団員の叫びが聞こえた。 何事かと振り返った先、東部のモニター画面越しに見えたのは、女の団員を抱くアーマードライダーの姿。女の額からは、赤がとろりと流れ出ている。 直後、慟哭の声を上げながらアーマードライダーは自分とは反対方向へと駆け出した。 ……どういうことだ。 今自分が向かっていた方向から撃ったとしても、女の団員の額を撃ち抜けるはずが無い。男の団員は、女の団員の身体を抱える形で庇っていた。位置や角度を考えても、敵のいる方面から女の頭部は撃ち抜けないはずだった。 当たり前だ。弾丸は、直線の一方向にしか進めないのだから。 ならば、実は狙撃手が180度反対側にもう一人いたのか。もしくはたった一人の狙撃手が実はずっと近くにいるのか。それとも、弾丸が空中で軌道を変更したとでも言うのか。 いや、それより狂乱するあの団員を早く止めなければ。今からでも落ち着いて力を合わせれば、敵を迅速に叩き潰せるに決まっているのだ。 努めて冷静であろうとする頭で結論を出し、指示を出すため喉を鳴らそうとした、その時。 向こう側に、アーマードライダーではない黒い影が一つ、すとんと降り立った。トンネルの出口付近の外壁に張り付いていたのが降りてきたかのように見えた。 「あっ」 この口から間抜けな声が漏れるのも、仕方の無いことだ。 その黒い何者かの右腕で銀色が煌めいた次の瞬間、アーマードライダーの首から上が無くなっていたのだから。 いや、首から上は確かにあった。鮮やかに宙を舞い、赤い線を空中に引き、そしてコンクリートの地面にごとりに衝突する。ごろごろと転がり、やがて停止する。 殺された黒いライダーの胴体が崩れ落ちるのと同時。殺した黒い何者かはそのガスマスク越しに足元へ視線を向けて、死した団員の頭部をサッカーボールのように軽く蹴飛ばした。いかにも邪魔そうに。 「……お前えええええっっ!!」 感情が、一瞬で爆発する。 離れていた距離など全力で駆けて埋めて、勢いに任せて黒いガスマスクの男に槍を突き出す。即刻息の根を止めてやる、その黒い激情のままに。 しかし貫けない。左の腕にトンファーのように装備された銀のブレードが振り上げられ、突き出したこちらの穂先はあっさりと弾かれた。そしてがら空きとなったボディに、回し蹴りが叩き込まれる。 無様に仰け反る自分の姿を、ガスマスクの男はただじっと見ていた。まるで退屈極まる見世物でも眺めるかのように。 「だったら、」 すぐさま反対側に飛び退き、左手で目当ての物を掴み取った。 それは、本来はリーダーに支給され、今は彼の懐から零れ落ちた一つの錠前。今の自分の装備となっているマツボックリ型の装甲よりも上位とされる力の源だ。 今までの装備でガスマスクの男を倒せるか分からない。ならば、より強い装備を使うだけのことだ。 『ドリアン!』 「……ちょっと借ります」 今に見せてやる。上級ロックシードの力を。 『ドリアンアームズ! ミスター・デンジャラス!』 新たに纏われる、棘だらけの緑の装甲。両手に握るのは、両刃の鋸。 危険性が増したと一目で分かるその姿を前にして、しかしガスマスクの男は大きな情動の一つも露わにしない。 その素顔に浮かべる表情は、未だ読み取れない。 「おい、俺達を撃った奴の仲間かよ」 男は、一言も応えない。 「……じゃあ力づくで聞き出してやる。そのムカつく仏頂面を剥ぎ落としてからな」 己を振るわせるための挑発の文句と共に、大振りの鋸二つを向ける。応じるように、ガスマスクの男も両手のブレードを回転させて風を切り、そして構える。 「見せてやるよ。アーマードライダーの力を」 直後、四の得物が激突した。 ◆ ジョンガリは戦況を観察する。 音を聴き、念話を聴き、風を感じ取りながら。 奇妙な果実を食べた浮浪者が怪物と化し、その後に現れたグラスホッパーの武装部隊によって殲滅されるまでの一部始終を、気配遮断スキルを発揮しつつ身を潜めたアサシンが全て見ていた。その情報は、念話によってジョンガリに過不足無く伝達される。 事を終えて油断した彼等を目標に据え、まずジョンガリが行動を起こした。 手始めにリーダーと目される男を射殺。残る三人のうち一人は脚だけ撃ち、もう一人には庇わせ、最後の一人を隔離する。 この過程の中で理解した事実は三つ。 一つ。予想通りではあるが、彼等の黒い装甲の強度は高く、ジョンガリの持つライフルの弾丸で貫通することは叶わない。 生身の時を狙うならともかく、一度あの装甲を纏われたらその時点でジョンガリ単独でグラスホッパーの団員を殺すことは不可能となる。厄介な話だ。 尤も、彼等は決して四六時中あの装甲に身を包んでいるわけではない。街の住人の延長線上として生活する以上、いずれは素肌を晒さざるを得なくなる。ジョンガリからすれば、彼等を撃てるタイミングなど全く存在していないわけではないのだ。 一つ。彼等の持つ装備は攻撃手段の汎用性には乏しくない。共通装備の槍は単なる刺突武器としてだけでなく、怪物を爆散させるほどの高エネルギーを纏わせることも可能だという。また装着プロセスに使用する錠前次第で装備も変わり、その錠前はドライバーを別にしても使用可能とする互換性がある。 しかし、それだけだ。槍を装備した団員は槍しか持たず、遠距離を狙える装備を新たに調達することは出来ない。それが出来るなら、仲間を庇いながらでもこちらを攻撃しているはずだ。 一種の錠前につき一種の武器。それは、一種のスタンドが持つのは一種の異能というスタンドの原則にも似通っている。 一つ。スタンドビジョンはスタンド使いにしか見えないという原則は、聖杯戦争のために用意された肉人形同然の団員達にも適用される。 魔術回路を持つアサシンは、マンハッタン・トランスファーの中継衛星の目視を可能していた。その時点で、スタンド使いでなくともマスター或いはサーヴァントであればスタンドビジョンをその目に映し出せるとの推測は可能であった。 かなり強引な形ではあるが、魔術回路が精神エネルギーの代替物として機能してくれているのだ。 ならば、マスターでもサーヴァントでもないゴッサムシティの大多数の市民達の場合はどうなるのか。 その確認のため、ジョンガリを捕らえるために走り出した団員の視界内に、敢えて中継衛星を浮かばせてみた。もしもスタンドが見えているならば、中継衛星に目を向けるなり叩き落とすなりのアクションを起こすはず。 結果、あの団員は何一つ反応を示さなかった。最初から彼の目にスタンドが見えていないのは明らかであった。そのせいで、ジョンガリが実は団員の向かっているのと全く反対側から弾丸を幾度も反射させて狙撃しているのだという事実にも気付けない。 となれば、「スタンドが見えない者」はマスターではなく、「スタンドが見えている者」がマスターであるという判断基準を立てることも可能となるか。 単なる部外者を私兵に変える装備品を造るサーヴァントの技術力は確かに驚異的だが、しかし齎されるのはあくまで外装でしかない。人の内に宿る精神エネルギーを本質とするスタンドの原則を、科学で超えることは叶わない。 それが叶うのならば、空条承太郎とのコネクションを持つというあの財団がスタンド使いの人造をとっくに成功させているだろう。科学者のサーヴァントがこの地で成果を挙げるまでもなく、だ。 もしもこの場に持ち出されているのがホワイトスネイクやスタープラチナのような人間型スタンドであるならば、団員がスタンドの存在を悟ることすら叶わないまま一方的な殴打のラッシュを存分に叩き込まれる……くらいの話は実現され得るだろう。 しかし、ジョンガリの持つマンハッタン・トランスファーというスタンド自体には一切の攻撃力が無い。スタンド使い特有の有利な条件は、グラスホッパーの持つ外装の強度に打ち消される。 それでも、問題は無い。 何故ならば、ジョンガリはスタンド使いであると同時に、サーヴァントを従える聖杯戦争のマスターだから。 そして、ジョンガリとアサシンは、共に「暗殺者」なのだから。 四人いた団員のうち二人はジョンガリに撃ち殺され、一人はアサシンによって斬首され命を落とした。 さて、残るは上級と目される鎧を纏った戦士が一人。 丁度良い機会だ。彼のお望み通り、アーマードライダーの性能を見せてもらうとしよう。 ◆ 埒が明かない。 得物のサイズならこちらが上だ。向上した腕力だって劣ってはいないはず。 それなのにガスマスクの男を未だ仕留められていないのは、最小限の労力で斬撃のことごとくをいなされているためであった。 始めに刃をぶつけ合った時、力関係は均衡していたと言える。そのことを察したのだろう、ガスマスクの男は攻撃を受け止めるのではなく受け流すように試み始めた。 振り下ろされた鋸の刃にブレードをぶつけて軌道を逸らす。それを何度か繰り返し、隙を見てはブレードを突き出してこちらの装甲を裂こうとする。 当然、受けてやる義理も無い。装甲の固さに物を言わせ、身体を逸らしてこちらも受け流す。 たまにこちらからの攻めが決まれば、男の身体からどういうわけか血では無く砂が零れる。人間では有り得ない事態が起こることの真相を考えるほどの余裕までは無い。 そんな攻防が、先程から一分以上も続いている。 亡き仲間が既に救援を呼んでいる。到着までの時間は不明だが、いつかは来てくれるはずだ。そして、ガスマスクの男がそのことに気付いていないわけが無い。 それにも関わらず一気に攻め込まない理由が何であるのか、今になって察しが付いた。 「ライダーの性能だけ身で感じたら今日はオサラバ……ってか」 性能テストに、利用されているのだ。 アーマードライダーの自分の方か、ライダーとは別種であれども明らかにまともな人間では無いガスマスクの男自身か。 どちらか一方、あるいは双方の力関係を図ろうというのだろう。いずれ頃合いを見て撤退し、情報だけ持ち帰るのが大方の狙いか。 ふざけるな。こちらに取り返しのつかない被害を出しておいて、自分だけ欲しい物を得た満足感を胸に住処へ帰るなどと。 ……ああ、だったら欲しい物をくれてやる。今のこの男が欲する以上の物を、即ち「戦果」を。 「食らえよ」 『ドリアン・スカッシュ!』 数歩下がり、ドライバーのカットブレードを作動。鳴り響く高らかな電子音声で、必殺の一撃を繰り出す合図を伝えてやる。 警戒するように身構えたガスマスクの男目掛けて、大きく振りかぶり、鋸の片方を投げ飛ばす。間髪入れず、もう片方も投擲する。 当然のようにブレードで弾き飛ばされ、そして今回の場合はこちらの無防備さを晒すこととなる。武器を捨てたのだ、こちらに出来ることはもう無い。 好機と踏んだに違いないガスマスクの男が一気に距離を詰め、ブレードを一直線にこちらの首元へと突き出さんとするのを視界に捉えた。 「ふん、嵌められたなあ」 直後、展開していたアームズを初期状態へと戻す。 円形の果実型となった装甲が、上半身を守る。奴のブレードはアームズの装甲を貫き通せるだけの威力を持たない。呆気なく跳ね返される。 ほら、こちらを放置しては拙いと恐れたことで、或いはこちらを討ち取れると思い上がってくれたおかげで、こうして距離を詰めてくれた。 失敗のツケは、今ここで払わせてやる。 「……そらあああっ!」 エネルギーを込めたアームズによる、頭突き。これがドリアンアームズの持つ第一段階の必殺技。 振り下ろされる巨大な凶器は、奴の貧相な武器で防ぎきれるわけが無い。今更抗おうが、無駄だ。 阻む物の無い奴の胴体に、アームズが衝突した。 高ランクのロックシードに生み出される絶大な威力に耐え切ることは当然叶わず、圧され、削られ、何かの音がして。ガスマスクの男は大きく後方に吹っ飛んでいき、無様に地面へと叩きつけられる。 その様を見た時に生まれたのは、苛立ちであった。 例の怪物ならこの一撃でエネルギーの奔流に耐え切れずとっくに爆散しているだろうに、ガスマスクの男はと言えば未だ健在だ。 あの男の肉体は、いったい何で出来ている。そもそも本当に生身なのか。少しよろめきながらも再び立ち上がるあの男は、まるで機械のようにも見えて。 苛立ちと、そして薄気味の悪さ。その二つに駆られるまま、今度こそ本当に息の根を止めようとして。 「……………………へっ?」 装甲が、いきなり消えた。 アーマードライダーへの変身が、何の前触れも無く解除された。 何故。敵を前にして臨戦態勢を解くような馬鹿になったつもりは無い。そもそも、必殺技の発動以外のためにドライバーを操作する暇など無かった。 だったらどういうわけだと腹部へと伸ばした指先。そして、あるはずのない痕跡に触れる。 それは、亀裂。或いは切れ目。 ドライバーに装着されていたロックシードが、一刀で切り裂かれた跡。 「嵌められたのは俺かよ」 奴の片方のブレードはアームズで防いだ。 しかしもう片方のブレードは的確にロックシードに一撃を加え、その機能を停止させていたのだ。 奴のブレードではアームズの防御力を破れない。が、ロックシードの硬度ならば破るには十分だった。 先の必殺技で倒すことが出来なかったのは、奴の耐久力だけの話ではない。ロックシードが途中で出力不足を起こしていたためだったのだ。 距離を詰めれば敵を倒せる。そう考えたのはお互いに同じで、そして無防備さではこちらが勝ってしまった。 だから、勝てない。 戦場で生身を晒した兵士の末路など、決まりきっている。 「先輩、すいません」 視界のど真ん中を、一つの輝きが突き抜けてくる。 こうして、三つ目の射殺体は完成される。 ◆ 単純なスペックも、必殺の一撃の火力も身を持って味わえた。 実戦による情報収集としては及第点だろう。大きなダメージを食らったという目に見える証拠が出来たのも十分だ。 そして、情報収集は次のステップへと進む。 誰だって、「戦果」が欲しいに決まっている。 ……きりきりと、ゼンマイが回転する音が聞こえる。 歯車がゆっくりと、ゆっくりと回るのを感じる。 ◆ 他チームの団員が救援要請を出したとされるポイントに辿り着くと、そこには幾つもの死があった。 喉を撃たれて死んだ男の亡骸。 脚と額を撃たれて死んだ女の亡骸。 首を切られて死んだ男の首だけの亡骸と、首が無い亡骸。 破損したロックシードを衆目に晒しながら、額を撃たれて死んだ男の亡骸。 後方に立つハイスクール通いの男子団員が堪えきれず嘔吐する音が聞こえた。 「なんで俺らが狩られてるんだよ。グラスホッパーだぞ、ライダーなんだぞ、俺ら」 アーマードライダーを超える圧倒的な力を持つ怪物に殺されるなら、まだ納得は出来たかもしれない。 しかし助けを求めた団員のたどたどしい通信越しの説明を聞くに、殺人者は大したことの無い手合いであったに違いない。 たかが銃を武器とする雑魚の悪党であり、その雑魚の分際でグラスホッパーの者達を手に掛けたのだ。 安堵した瞬間を突いた、遠距離からの銃撃。雑魚に相応しい卑劣なやり口なんかに陥れられて、正義のために戦う団員の尊い生命は何人分も奪われた。 だから、悪は決して許されてはならないんだ。 身を震わせる怒りを、今回の真犯人に真っ直ぐぶつけてやりたいのにそれは叶わない。その代わりと言うべきか、悪の仲間と思しき者なら少し距離を置いた先に横たわっていた。 黒いガスマスクで顔を覆った、五つ目の亡骸である。 両腕のブレードのそれぞれに僅かに付着した血は、団員の一人を殺害したのがこの者であると推測する根拠として十分だった。 そして黒いボディに残された焼け跡は、一人のアーマードライダーが生命と引き換えにしてでもこいつに傷を負わせた証拠である。 「……うえっ」 面構えを拝んでやろうとマスクを脱がせ、その直後に後悔する。 この男の顔は、醜く壊れていた。瞼が無い。唇が上も下も無い。まともに表情も浮かべられないだろうグロテスクな有様は、気色悪いとしか言いようが無い。 異常と言えば、この男の身体に刻まれた幾つかの傷口から零れる砂もだ。傷口から血液が流れ出るならともかく、どうして砂が零れているのだ。 ……試しに、手に握る槍で腹を何度か突いてみた。砂が零れた。身体はぴくりとも反応しない。 この男は素顔を見るに人間ではあるのだろうが、ただの人間では無い。砂の詰まった身体を駆る怪人とでも言うべきか。果実の怪物とは異なる、別種の異形の生物だ。 せめてもの幸いは、身体に一撃を加えられた時の反応から察するに、この男が既に死んでいると改めて確信出来たことだった。 ちゃちな狙撃手一人では成し遂げられないはずのアーマードライダーの小隊の全滅という惨劇に加担したに違いない怪人は、既に自分達の敵ではない。 となれば、憂さ晴らしを兼ねてこの怪物に最大威力の必殺技を叩き込んで八つ裂きにする程度、許されて当然。正義の鉄槌を、この手で。 「おい」 「……ちっ、分かってるよ」 同僚に肩を叩かれ、我に返ると共に胸の中の怒りを強引に静める。 もしも完全に未知の外敵または物体等を確認し捕縛が叶った場合、今後の対策を立てるためにも一度こちらの手の内に置け。そんな指示がグラスホッパーのメンバー間に伝わっていることを、咄嗟に思い出した。 黒のガスマスクの男は、その異様な生態の一点だけでもまさしく未知の外敵に該当する。そして反抗の可能性が無い以上、こちらで確保することは既に容易だ。 となれば、今の自分達がするべきはこの男への八つ当たりでは無い。この男の身体の研究の準備、グラスホッパーの栄光への足掛かりなのだ。 グラスホッパーは正義の味方。より多くの悪をぶち殺す為には、時には冷静さも不可欠だ。 「こいつはワゴンに乗せるぞ。死んだ仲間達と相乗りなんて反吐が出る」 仲間と二人がかりで覆面男の身体を運び、車体の後部に放り投げる。 仲間達が命と引き換えに自分達に与えた「戦果」を糧に、グラスホッパーはきっとまた勝利を飾ることになる。 本来ならば経験せずに済むはずだった死への怯えも、ようやく薄らいだ気がした。 死した兵士達は、ガスマスクの男は、こうして他者の手によって戦場を後にすることとなる。 走り去るワゴン車のマフラーが吐き出した排気ガスが、風に揺られた。 ◆ 『機械仕掛の殺戮卿(モルト・マシーネ)』。 それはアサシン、またの名をカール・ルプレクト・クロエネンが持つ宝具の一つであり、人間と機械の融合体と言うべきアサシンの肉体を象徴する胸のゼンマイ。 このゼンマイを自ら正の方向に回転させることで、アサシンの身体能力は一時的に跳ね上がる。 そしてゼンマイを逆の方向に回転させた時には、アサシンの肉体は一時的な活動の停止、即ち仮死状態に至ることが可能となる。簡単に言えば「死んだふり」である。 尤も、サーヴァントになった現状では死んだふりは意味を成さないだろう。 サーヴァントとは死した英霊の写し身。その身に生命を宿さない幻想の人形。極一部の例外を除けば、サーヴァントとは等しく死人。これが聖杯戦争の常識中の常識である。 故に、聖杯戦争の知識を持つ者ならば、一見するとアサシン生命活動を停止したかのように見えようとも肉体を消滅させることなく存在し続けている事実が未だ健在である何よりの証拠ではないか……と、アサシンの姑息な演技を看破することが可能となる。 マスターとサーヴァント同士の決闘の地では、『機械仕掛の殺戮卿(モルト・マシーネ)』の第二の機能など何の利益も生まない。 生まないはずだったのだ。 しかし、今この場面においては例外が存在する。 その例外とは、犬養舜二とキャスターのサーヴァントが聖杯戦争での手駒として運用する、武装集団と化した自警団グラスホッパーである。 攻守に優れたアーマードライダーの兵装を纏う彼等は、マスターはおろか戦法次第ではサーヴァントとも渡り合える可能性を秘めている。単純な戦力してみれば、十分に脅威と言えるだろう。 しかし、彼等がマスターでもサーヴァントでも無いことは揺るぎない事実だ。言い換えれば、彼等は聖杯戦争の当事者としてあくせくと活動していながら聖杯戦争という儀式に関する知識を持たず、聖杯戦争の当事者となっていることの自覚も無い。 下手に知識を提供したことで不必要な混乱、場合によっては私欲に基づいた反逆の可能性が生じることを危惧した犬養舜二が、自らの部下達に対して聖杯戦争という儀式自体の情報を極力明かさない方針を取っているためである。 故にグラスホッパーの団員達は聖杯戦争を、聖杯という名の願望器を、そしてサーヴァントという名の存在を全く認識しないまま行動を続けている。 だから、彼等はアサシンの「死んだふり」を見抜けない。 死んだようにぴくりとも動かない。心音は聞こえず、得物で傷を負わされても痛がる素振りを見せない。つまり、こいつは本当に死んでいるのだろう……と、彼等なりの常識で判断する。 サーヴァントという在り方さえ知っていれば決して下すはずの無い判断を、彼等は無知であるがために容易く下してしまう。 こうして彼等は、本来ならば即刻排除しなければならない相手を「戦果」だと誤解したまま、自分達の領内へと無警戒に招き入れ、拠点の位置や貯蔵する武装の数々を敵に教えるなどという愚行を犯すに至ってしまう。 スタンドもサーヴァントも全く知らない部外者達で結成した大組織を聖杯戦争に介在させたことの、弊害。それが、今回の顛末に繋がったと言っても過言では無いだろう。 アサシンの胸のゼンマイが再び正方向に回転するその時、未だ何も知らない団員達はようやく知ることとなるだろう。自分達が、失態を犯したのだと。 第二の惨劇の幕開けはそう遠くない。 風が、何の前触れも無く吹き荒れる時は近い。 【MIDTOWN WEST SIDE/1日目 夜間】 【ジョンガリ・A@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]盲目、タクシーで移動中 [令呪]残り3画 [装備]白杖に偽装した狙撃銃 [道具]なし [所持金]一万程 [思考・状況] 基本:聖杯による主君の復活を。 1.アサシンの向かうグラスホッパー所有の施設へ向かい、襲撃すると共に情報等を得る。 2.『黒いタールの殺人鬼』『赤覆面』『グラスホッパー』『ヤモト・コキ』『包帯男』に関する情報を得たい。 [備考] [備考] ※職業はフリーランスの殺し屋です。裏社会に精通するマスターで顔見知りの相手がいる可能性もあります。 ※セリューと知り合いました。サーヴァントであることには気付いていません。 ※盲目のためにサーヴァントのステータスを視認することが出来ません。 ※クロエネンが偵察で得た情報を聞きました。少なくともキャスター(デスドレイン)のことは聞いています。 他にも情報を得ているかは後続のリレーにお任せします。 ※グラスホッパーで配備されているアーマードライダーの存在を知りました。 【アサシン(カール・ルプレクト・クロエネン)@ヘルボーイ(映画版)】 [状態]魔力消費(小)、ダメージ(小)、仮死状態 [装備]ガスマスク [道具]トンファー型ブレード×2 [思考・状況] 基本:聖杯による主君の復活を。 0.仮死状態。 1.ジョンガリと共にグラスホッパー所有の施設へ向かう。 2.敵を捕捉した際には暗殺も視野に入れる。 3.ニンジャのサーヴァント(デスドレイン)に警戒。 [備考] ※キャスター(デスドレイン)の外見・宝具『死の濁流』を視認しました。 ※念話によってマスターとの意思疎通が行えます。 ※ジョンガリに偵察で得た情報を伝えました。 少なくともキャスター(デスドレイン)のことは伝えましたが、他にも情報を得ているかは後続のリレーにお任せします。 ※気配遮断スキル発動中はセリューの『正義都市探知機』には引っ掛かりません。 ※一定の距離が離れているため、セリューの気配は感じ取っていません。 ※現在、グラスホッパーの輸送車に乗せられて移動中です。同乗している団員達はクロエネンが仮死状態であることに全く気付いていません。 行き先はMIDTOWN区域内にグラスホッパーが所有する施設のいずれかですが、詳細は後続の書き手さんにお任せします。 [備考・その他] ※スタンドビジョンは、スタンド使い以外にもマスターやサーヴァント等の魔術回路を持つ者ならば見えます。 そのためNPCが変身した黒影トルーパーはスタンドへの攻撃自体は可能ですが、視認が不可能となっています。 この問題はあくまで「本人の体内に宿る精神エネルギー(或いはその代替物)の有無」が条件のため、戦極ドライバーの改良等による解決は不可能でしょう。 BACK NEXT 043 進撃の黒飛蝗 投下順 035 Black Onslaught 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 030 Dead Man’s reQuiem ジョンガリ・A アサシン(カール・ルプレクト・クロエネン)
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【クラス】 アサシン 【真名】 カール・ルプレクト・クロエネン@ヘルボーイ(映画版) 【ステータス】 通常時 筋力D 耐久A++ 敏捷C+ 魔力E 幸運D 宝具C++ 宝具『機械仕掛の殺戮卿』発動時 筋力C+ 耐久A++ 敏捷A+ 魔力E 幸運D 宝具C++ 【属性】 混沌・悪 【クラス別スキル】 気配遮断:B サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。 完全に気配を断てば発見する事は非常に難しい。 ただし自らが攻撃体勢に入ると気配遮断のランクは大きく落ちる。 【保有スキル】 直感:C(B) 戦闘時、つねに自身にとって最適な展開を「感じ取る」能力。 また、視覚・聴覚への妨害を半減させる効果を持つ。 宝具「機械仕掛の殺戮卿」の発動時には1ランクアップする。 自己改造:B 機械と生体の融合。 自身の肉体に機械を付加させている。 血液は砂状と化しており、生体そのものも通常のものから大きく変異している。 このスキルのランクが高くなればなるほど、正純の英雄からは遠ざかる。 精神異常:A 常人と掛け離れた異常な精神。 独自の美観によって機械との融合を果たした狂人。 あらゆる精神干渉をシャットアウトする。 【宝具】 「機械仕掛の殺戮卿(モルト・マシーネ)」 ランク:D+ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 胸部に埋め込まれたゼンマイ。 ゼンマイを回すことで筋力と敏捷をアップさせ、更に直感スキルを1ランク上昇させる。 高い身体能力と反射神経による強力な白兵戦能力を獲得するが、長時間の発動は相応の魔力消費を強いる。 ゼンマイを逆回転をさせることで仮死状態になることも出来るが、サーヴァントになった現状では死んだふりは意味を成さないだろう。 「機巧心音(ウン・シュテルプリヒ・カイト)」 ランク:C++ 種別:対人(自身)宝具 レンジ:1 最大捕捉:1 常時発動型宝具。 クロエネンの肉体そのものであり、機械的な改造による不死の身体。 ありとあらゆる攻撃を喰らっても決して「死なない」。 例え致死のダメージを受けようと肉体が耐え切り、戦闘の続行を可能とする。 この宝具による判定が発生した際、魔力消費は受けたダメージの大きさに比例する。 【Weapon】 トンファー型ブレード×2 【人物背景】 ナチス・ドイツ随一の殺し屋にして、トゥーレ協会の会長。 帝政ロシアの怪僧と称されるラスプーチンに忠誠を誓う。 常にガスマスクを装着しており、左手は義手となっている。 自身の肉体に嫌悪感を持つ「身体醜形障害」であり、瞼、唇、爪を自ら切除している。 更に自らの肉体を不完全と感じており、その価値観によってガスマスクの着用、精密機械との融合に至った。 その精神状態は既に常人のそれと大きく掛け離れており、一切の言葉を発しない。 しかしオペラの鑑賞を好むなど、ある程度の人間味は残っている模様。 1944年に「ラグナロク計画」の失敗と共に失踪していたが、2004年になって再び出現。 機械による不死身の肉体を得たクロエネンは、世界の破滅を目論むラスプーチンらと共に暗躍を始める。 【サーヴァントとしての願い】 ラスプーチンの復活。 【方針】 一人ずつ着実に始末する。 集めた情報はマスターに念話で報告する。
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【マスター】 エンリコ・プッチ@ジョジョの奇妙な冒険第六部 ストーンオーシャン 【参戦経緯】 DIOの遺品回収にエジプトに行った際に現地のシャブなんとかさんに触る 【マスターとしての願い】 覚悟がもたらす幸福な世界、すなわち『天国』へ到達する。 【能力・技能】 ホワイトスネイク。 サーヴァントにダメージを与えられるほどの強い神秘は持っていないためガードくらいにしか使えない。 また、サーヴァントのDISCは抜き取り不可能。 ただし、対マスター戦ならいつもどおりのスペックで戦えるため無比の強さを発揮する。 また、スタンドがある分精神エネルギーが強いため魔力も常人よりは潤沢であるといえる。 【方針】 セリューの行動方針は唯一。 悪を許さない。それだけである。 他者を殺して願いを叶えるような奴はだいたい悪なので見敵必殺と言い換えてもいいかもしれない。 さらに言えばNPCだろうと悪は悪、当然裁きの対象となる。ゴッサムシティ全体が彼女の獲物と言っても過言ではない。 なお、プッチは神父であるし、セリューと同じく正義側の人間であるとセリューが判断しているのでプッチの殺しはノーカン。今はまだ。 敏捷にやや難があるが遠中近距離全てに対応できる『十王の裁き』を持つバーサーカー。 ステータスの低さも彼女を上回るステ値のコロちゃんで補える。その上魔力が許す限りは二対一で戦える。 狂化中も一応会話が可能であり、バーサーカーの中ではかなりの当たりと言えるかもしれない。 ただし、プッチが『悪』だと判断すればセリューは迷わずプッチを殺す。彼女はそういう存在だから。
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「ねえねえ、どうだったアサシン」 『とっても上手だったよ。マスターが楽しんで歌ってるって見てる方もわかるぐらい元気いっぱいで、ダンスのキレもすごかったもん。でも』 「でも?」 『あんまりマネージャーさんを困らせたら駄目だよ』 「だってアサシンとはやく遊びたかったんだもん!」 赤城みりあはTV局の楽屋にて、見えない誰かとおしゃべりをしていた。 虚空に向けて語りかける彼女を誰かが見咎めても、幼い時期の子供特有の頭の中の友達に話しかけていると捉えるか、はたまた不思議ちゃんとして売り出す準備をしているか程度にし か思われないだろう。 しかし彼女は確かに実在する存在と会話をしていた。自分の持っていたシャブティが姿を変えた存在――サーヴァントと。 『マネージャーさんはマスターのことを思って言ってくれてるんだから、ちゃんと言われたことを守らなきゃ』 「だって私、ちゃんとみんなにお疲れ様でしたって言ったよ」 『うっ、確かに……。だ、だけど、そうしなさいって言われたってことは、きっとそうしなきゃいけないんだよ。次からは全員に聞こえるように大声でお疲れ様でしたって言うだけじゃ なくて、きちんとひとりひとりにも挨拶しよ。ね? マスター』 「えー……。…………でも、アサシンがそういうならそうするね」 『うん』 みりあがアサシンの言葉に納得した次の瞬間、楽屋の扉が開かれた。早歩きで中に入ってきたのはスーツを着こなした三十代半ばの女性――みりあのマネージャーだ。 その顔つきは険しく、先ほど収録が終わると同時に、出演者全員にきちんと挨拶することなく飛び出していったみりあに怒り心頭のようである。 「みりあ! あなたね、自分の立場ってものがわかってないの!? まだ駆け出しのヒヨコでしかないあなたがこの街のお偉いさんに目を着けられたらひとたまりも――」 「プロデューサーごめんなさい! 今度からちゃんとひとりひとりに挨拶します!」 「まだ子供だからわからないかも知れないけど………………て、え? ど、どうしたのよ急に」 「プロデューサーは私のことを思って言ってくれてるから、ちゃんとしなさいって言われたことは守らなくちゃって」 「え、ええ……。なんだわかってるじゃない。それならいいんだけど、次から頼むわよ」 「はぁい。あ、そうだ! ねえねえプロデューサー、今から友達とショッピングに行ってきていい?」 「今から? まあまだ明るいから構わないけど、絶対に路地裏とか人気のないところに行ったら駄目よ? あと暗くならない内に帰宅すること。ちゃんと守れる?」 「うん!」 「なら行ってよし」 「やったぁ! 早くいこ♪ アサシン!」 「は? アサシン?」 『わわ、人前でみだりにクラス名を喋っちゃ駄目だよマスター!』 「あ、そっか。なんでもないよプロデューサー! じゃあいってきまーす☆」 訝しむプロデューサーを他所に、みりあは急いで着替えを済ませると楽屋から飛び出した。 迷路のようなTV局の中を迷うことなく駆け抜け、出口で彼女のことを待ち受けている少女に声をかける。 「お待たせアサシン♪ さあ、ショッピングにレッツゴー☆」 『だからアサシンって呼ぶのは駄目だってば……』 「えーっと、じゃあ樹ちゃん! ショッピングに行くぞー!」 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆***** 「アサシンはなにか叶えたいお願いってあるの?」 『だからアサシンじゃないよ』 繁華街の人ごみの中、マスターは聖杯に望む願いはないかと尋ねてきた。 流石にこうも人が多いところで聖杯戦争に関わる話をすることは憚われ、持ってきていたスケッチブックで返事をするわけにはいかなかった。 「私ね、叶えてもらいたいことがいーっぱいあるんだっ☆ カワイイ衣装とか、大きなステージで歌ったりとか! でも一番はみんなのところに戻って、また全員一緒にステージに立ちたいんだ☆」 『私の願いも、マスターを元の世界に戻してあげることだよ』 「ほんと!?」 『うん』 「えへへ♪ ありがとう樹ちゃん☆」 マスターはアイドルであった。 自分が歌手になるという夢を抱いたのが12歳の時であったのに、マスターは11歳にして既にステージに立ち、そしてお客さんを笑顔にしていた。 すごいと思った。歌唱力もダンスもとても小学生のものとは思えないレベルで、そしてなによりも彼女の笑顔は、煌びやかな衣装やスポットライト、出演者が身に着けていた宝石なん かより、ステージ上の他のどんなものよりずっとずっと輝いていた。キラキラしていた。 そう。彼女は、スターなのだ。 歌と、そして彼女の笑顔の輝きでみんなを笑顔にする、人々を幸せにする素敵な星。 きっと彼女が元居た世界では、彼女が失踪したことでみんなが心配している。悲しんでいる。 だから私は、マスターを守って、無事に元の世界に帰してあげなければならない。 「樹ちゃんってお姉さんがいるんだ! えへへ、実は私は妹がいるんだー☆ だから私もお姉さん!」 ううん、それだけじゃ駄目。ひょっとしたらNPCとしてマスターの知り合いもこの汚らわしい街に呼ばれているかもしれない。 彼女をアイドルたらしめる笑顔を、こんな聖杯戦争なんかで曇らせるわけにはいかない。もしもを考慮するとNPCへの被害も極力防いでいかなくてはならないだろう。 「ねえねえ樹ちゃん! また前みたいに変身して私を運んで! あれジェットコースターみたいですっごく楽しかった☆」 『そろそろ聖杯戦争が本格的に始まるから、そんなことしたらすぐに他のマスター達に見つかっちゃうよ。しばらくは禁止です』 「えー!! なんで!? 見つかっても大丈夫だよぉ! お願いッ」 『大丈夫じゃないし、今は人目も多いから無理だよ。あと、念話で話さないと変な目で見られるよ?』 「そんなことないよ。だって樹ちゃんはちゃんと私を守ってくれるし、今もこうして私とお話してくれてるもん。なにもおかしくないよ☆」 マスターはおしゃべりが大好きなのに、呼び出された時期のせいで念話かスケッチブックでしか会話できないことが申し訳ない。 だけどその分マスターを守る力を持ってくることができたのだから、彼女の為にも精一杯頑張ろう。 「そろそろお腹減ってきたね。樹ちゃんは何か食べたいものある?」 マスターからの質問。 近くに目をやれば、ハンバーガーショップやホットドッグの屋台などがある。 ハンバーガーやホットドッグなど、四国にも外国の料理は残っていたが、やはり本場のものはスケールが違う。 どれも捨てがたく、悩みに悩んで出た答えを手元に用意していたスケッチブックに書いてマスターに見せる。 「おうどんかー。この街にうどん屋さんってあるのかな?」 【クラス】アサシン 【真名】犬吠埼樹 【出典】結城友奈は勇者である 【属性】秩序・善 【パラメーター】筋力 C 耐久 D 敏捷 B 魔力D 幸運 C 宝具 B 【クラススキル】 気配遮断:‐ 後述の『無力の殻』を発動中にのみ、サーヴァントとしての気配を完全に断つことが可能。 【保有スキル】 神性:E~B 身体の一部を供物として神樹に捧げたことにより得たスキル。 供物として捧げた機能は神霊の所有物であるが、アサシンの身体の一部であることに変わりはないため、『散華』を繰り返す度に神霊としての側面が増加していくこととなる。 無力の殻:- 勇者へ変身していない状態のアサシンは英霊として座には記録されていないため、変身を解いている状態のアサシンは魔術師及びサーヴァントにサーヴァントとして認識されない。 なお上記のパラメーターは勇者に変身している状態のものであり、このスキルが発動している状態でのアサシンの身体能力は一般の女子中学生のものと変わらない。 【宝具】 『勇者の不凋花(神樹の祝い)』 ランク:B 種別:対人(自身)宝具 レンジ:0 最大捕捉:1人 神の祝福。 『勇者』という存在を害する全てに対し精霊が出現し、無効化する。しかし神霊由来の防御であるため、一定ランク以上の『神性』を持つ相手ならば突破は可能。その際の攻撃はBランク分の威力削減を行ってからダメージ計算する。 また神性由来でなかろうと、攻撃によって発生した衝撃波や音などには精霊が現れない、もしくは現れてもそれを緩和する程度となる。 なお、『無力の殻』を発動している状態でも、アサシンに危害が及ぶ際に自動で精霊は出現する。 『満開』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:99 最大補足:1000人 勇者の切り札。神樹から通常よりも多くの力を引き出し、飛行能力を得るだけでなく全てのパラメーターを倍加させる。 発動すると神官や巫女を思わせる服装となり、背後に巨大なアーチと花が現出し、そこからワイヤーを射出出来る。発動中はワイヤーの射程距離・操作性も格段に上昇する。 10ターンの発動を以って終了し、その際に『散華』が発生して身体機能の一部を喪失する。喪失する機能はランダムであり、サーヴァントとなっているため『散華』しても精霊が増加することもない。 また、『満開』発動中は『勇者の不凋花』は発動しない。 【weapon】 ワイヤー 勇者に変身している際、両手の裾に花の装飾が施されたリングを召喚し、そこからワイヤーを伸ばすことができる。 ワイヤーを巻きつけて拘束したり細切れに切断することなどが可能。 雲外鏡 満開によって追加された精霊。 木霊とは異なり自動発動はしないが、Dランク以下の攻撃を無効化する結界を展開できる。Dランク以上の攻撃は突破されるが、その際にDランク分の威力削減を行う。 【サーヴァントとしての願い】 マスターを平穏無事に元の世界へ戻す。 またマスターの関係者が巻き込まれていた場合、その人物も無事に元の世界へと戻す。 【マスター】 赤城みりあ@アイドルマスター シンデレラガールズ(TVアニメ版) 【マスターとしての願い】 叶えて欲しいことはたくさんあるが、一番は346プロのみんなとまたステージに立つこと。 【weapon】 なし 【能力・技能】 アイドルとしてのレッスンを行っている為、運動神経はいいかもしれない。 おしゃべりが趣味で、相手が独特な話し方をしていてもきちんと意思疎通ができる。 【方針】 アサシンに任せる。
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【マスター】 前川みく@アイドルマスター シンデレラガールズ(TVアニメ版) 【マスターとしての願い】 アイドルとして輝きたい? 【weapon】 なし 【能力・技能】 アイドルとしてのレッスンを行っている為、運動神経はいいかもしれない。 【人物背景】 346プロダクション主催の企画「シンデレラプロジェクト」の一員。 大阪出身の15歳。猫のような独特の口調で喋る新人アイドル。オーディションでアイドルになった模様。 努力家で明るい性格だが他者への対抗心が強く、内面では自身への劣等感を抱えている。 デビューにおいて他のアイドル達に遅れを取り、みくは次第に焦燥感を募らせていく。 そうしてみくはプロデューサーの真意に気付かぬまま、聖杯戦争へと召還される。 【方針】 どうしたらいいのか解らない。 死にたくないし殺したくもない。 アーチャーだけを傷付かせたくもない。
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ゴッサムシティ そこは犯罪者が我が物顔で歩きまわり、それを取り締まるはずの警察は賄賂やマフィアとの癒着により全く機能していない。 犯罪者にとっては楽園。一般市民にとっては地獄。それが犯罪都市ゴッサムシティ。 その犯罪都市の路地裏と言えば文字通り無法地帯である。 血や吐瀉物など様々な異臭が充満し、恫喝の声や悲鳴がどこかしらから聞こえてくる。 街灯はほぼほぼ叩き割られ周囲は薄暗いが辺りを見渡せば薬物売買が平然と行われ、人が血を流し倒れている。 しかし誰ひとりして警察に連絡をすることもなくそれどころか見向きもしない。 ここではそれが日常だからだ。 そんな無法地帯で似つかわしくない声が響き渡る。 「レオ~、ラファ~、ドナ~、みんなどこ~?」 迷子か何かだろうか?声色からしてティーンエイジと思われる。その声は若干震えていた。 しかしその声に反応するものはなく、ただ空しく路地裏に響き渡る。 その声の主の元に鉄パイプを持った屈強な男達が迫ってきている。 彼らはその声の主の身ぐるみを根こそぎ剥ぐつもりだ。 いや身ぐるみだけならまだマシ、最悪殺されて臓器を売買されるかもしれない。 しかしそれを咎めるものは誰もいない。 逆に暢気に大声を出してこの路地裏を闊歩しているこの声の主が悪いと片付けられる。 それがこの路地裏の住人の価値観だ。 男の一人が鉄パイプを振り上げ、そして振り下ろす。 頭を殴打する感触を予期したが、それは裏切られ手に残る感触はコンクリートを殴打したことにより生じた手のしびれだった。 しびれに構わず鉄パイプを握り直し殴打する態勢を整えるが声の主は何時の間に安アパートの壁面を駆け上がっていた。 数秒で屋上にたどり着き、すぐさま別の建物の屋上に飛び移る。 その時月を隠していた雲が除かれ、月明かりが周りを照らした。 屈強な男は自分の襲撃を躱した人物を一目見ようと見上げるとその人物はカメだった。 カメでニンジャでティーンエイジだ。 元は普通のカメだったがミュータント化しセンセイから忍術を学び、地球外生命体や悪の軍団からNYの平和を守る正義のヒーローになった。 ある日、同じカメのミュータントであり兄弟であるレオナルド、ラファエロ、ドナテロと共に夜のパトロールをおこなっていた。 そして廃工場で犯罪行為に手を染めているフット軍団の発見し、その計画を阻止した。 それはミケランジェロにとって日常といってよい出来事だった。 家路に帰ろうとした時、ふとある物に目が留まった。 何故だか無性に興味を引き付けられ家に持って帰ろうとシャブティ像に触った時にはゴッサムシティの路地裏に移動していた。 「みんなどこにいったのかな?まさかボクがみんなピザを勝手に食べたから怒って帰っちゃったのかな?」 ミケランジェロはあるビルの屋上の床に腰を落としながら独り言をつぶやく。 兄弟たちを探すために街を駆け巡っている中ある疑惑が思い浮かんでいた。 ここは自分が住んでいるNYではないのでは? 実際ここは電脳世界で再現されたゴッサムシティなので当然である。 そしてミケランジェロは自分が聖杯戦争に招かれたことをまだ理解していない。 いつも傍にいるはずの兄弟がいないことが見知らぬ土地にいるかもしれないというミケランジェロの不安をさらに駆り立てる。 「きっとボクのためにサプライズパーティを開こうとして先に帰って準備しているんだ!何のパーティか知らないけど」 しかしミケランジェロは基本的に楽天的で物事を深く考えない性質である。 不安を頭の奥底に追いやり今の状況を自分の良いように解釈した。 「まっててね~今誕生日祝われるマンが行くから!」 そう言うとミケランジェロは屋上から路地裏のマンホールへ駆け下りる。 マンホールの蓋を開け下水道に降りようとした時にある人物に目が留まる。 緑を基調とした体色、虎の面影を見せる顔面、片腕に備えられた堅牢な爪。 それは明らかに人間ではなく化け物と言っても差し支えないだろう。 普通の人間なら見た瞬間真っ先に逃げ出すだろう。 「ねえ君、ミュータント?その爪かっこいいね」 だがミケランジェロはまるで友達に声をかけるように話しかけた。 自分がミュータントであるがゆえに異形に対する偏見はまるでない。 さらに兄弟の中で一番人懐っこい性である。 だがミュータントであるがゆえか友人は決して多くない。 声をかけたのはもしかしたら友達になろうとしたのかもしれない。 しかし緑の怪物はミケランジェロの声掛けに攻撃で返答した。 「うわ!何!?何!?」 ミケランジェロは緑の怪物の袈裟切りをバックステップで回避する。 緑の怪物は構わずミケランジェロを追撃し爪を振り下ろす。 その風切音だけでその一撃が恐ろしい威力を秘めていることがわかる。当たりさえすればミケランジェロの身体を容易く切り裂くだろう。 しかしミケランジェロも忍術を学びし者。持ち前の俊敏性で攻撃を躱していく 「もう怒った!やっつけてやる!よく見ればその爪も超ダサい!」 友好的に声をかけたのに襲われた。 自分の行為を無下にされたことに怒りを覚えていた。 襲ってくるなら迎撃するまでミケランジェロは自分の得物のヌンチャクを取り出す。 だがいつの間に集まっていた緑の怪物15体を見てその顔は青ざめることになる。 「というのはジョークだからね……」 そう言うと踵を返して走り去る。 自分ではこの数は相手には出来ない。ならばとる手段は逃げの一択。 後ろを振り返ることなく全速力で走り曲がり角を右に曲がった瞬間に急ブレーキをかける。 ミケランジェロの目に飛び込んできたのは壁だった。 只の壁ではなく高さ数十メートルはある大きな壁だった。 自分の脚力では飛び越えることは不可能。 他の建物を利用して飛び越えようと考え左右を見渡すが周りも同じような壁で囲まれていた。 「わあ~どうしよう!どうしよう!どうしよう!」 文字通り頭を抱えながら悩んでいると緑の怪物はすぐそばに迫っていた。 「いや~その爪マジかっこいい!顔もトラみたいで超クールだよ! どっかのドックボッコとは大違い!その緑色も最高にイカてるよ!そういえばボクも緑色!もしかして兄弟!……だから見逃してくれない?」 その問いに緑の怪物は咆哮で答える。 明らかに殺意を漲らせた30の瞳がミケランジェロを見据えていた。 「やっぱりダメ?」 ミケランジェロはヌンチャクを振り回しながら戦闘態勢に入る 数々の戦闘経験からこの怪物一体で自分と同程度の実力と判断する。 それがあと14体。いかに絶望的な戦いかは肌身に染みていた。 「ブヤカシャー!」 だが戦わなければやられる!独特の掛け声を発しながら緑色の怪物にむかって跳びかかるが。 「サイゴン!」 突如謎のシャウトが聞こえたと思ったら、緑色の怪物の首は切断されていた。 その傍には迷彩柄のシノビ装束を身に纏い、異様な円錐形の編み笠を被った謎の男が立っていた。 「大丈夫か!まだ部隊の生き残りがいたのか!?今からそのべトコンを始末する!」 「GARAAA!」 緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる! 「サイゴン!」 怪物は迷彩柄のシノビ装束の男に噛みつこうとするがその前に手に持っているマチューテで怪物の首を切り飛ばす! 飛ばされた首は近くにあったゴミ箱に吸い込まれた。ポイント倍点! 「GARAA!」 緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる! 「サイゴン!」 怪物は迷彩柄のシノビ装束の男をその爪で切り裂こうとするがその前に手に持っているマチューテを素早く投擲! マチューテは額のど真ん中に突き刺さる!ストライク! 「GARAAA!」 緑色の怪物は雄叫びをあげながら迷彩柄のシノビ装束を纏った男に襲い掛かる! 「サイゴン!」 怪物は迷彩柄のシノビ装束の男の心臓に爪を突き刺そうとするがその前に手に持っているマチューテが怪物の心臓に突き刺さる!ワザマエ! 「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」 「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」 「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」「サイゴン!」「GARAAA!」 数分後そこは目を覆いたくなるような光景が広がっていた。 15体の緑の怪物は全滅し、切り落とされた手足があたり一面に散乱していた。 「ウップ……夜ご飯に食べたピザ吐きそう……」 ミケランジェロは口元を抑え顔色を青くしている。 このような悲惨な光景を目の当たりにしたら気分が悪くなるのも当然と言える。 「ドーモ、フォレスト・サワタリです。お前名前は!」 「ええっとミケランジェロ。レオ達からはマイキーとも呼ばれているかな」 「ミケランジェロ!周囲一帯は直に米軍のナパーム弾が落とされる。直ちに塹壕に避難するぞ」 「ちょちょっと待って。米軍って何!?ナパーム弾って何!?」 そう言うと迷彩柄のシノビ装束の男はミケランジェロを素早く抱きかかえ、マンホールの蓋を開け下水道の中に消えて行った。 フォレスト・サワタリはこの聖杯戦争においてアサシンのクラスで召喚されたサーヴァントだ。 サワタリはニンジャであり、そして狂っていた。 その身に宿したニンジャソウルはグエン・ニンジャ。 そしてソウルの影響で偽りのベトナム戦争の記憶に支配されていた。 先ほどもナパーム弾が投下されると言っていたが現実にはそのようなことが起こるわけもなく、それどころか上空には飛行機も通っていなかった。 しかしグエン・ニンジャのソウルの影響でナパーム弾を落とそうとする爆撃機の旋回音が確かに聞こえていたのだ。 サワタリは薬物中毒者めいて偽りのベトナム戦争の幻覚を見ることがある。 その記憶が彼を狂気に誘ったのだ。 下水路内は悪臭が漂い、壁面には湿気と不衛生な環境のせいか苔がびっしり生えている。 そこらじゅうでドブネズミが我が物顔で駆け巡る劣悪な環境。 しかしサワタリはミケランジェロを抱えながら平然と地下下水路を駆け巡り、適当な場所に腰を掛ける。 「何だよ!いきなり下水道に連れてきて、それにレオ達はどこ!?」 「レオ達とは何者だ?」 「ボクの家族だよ!」 「そうかミケランジェロよく聞け。我々の部隊はべトコンからの襲撃を受け、生き残りは我々二人のみになった。そしてお前の家族とも分断された。 だがこの戦争をサヴァイブし、財宝を手に入れなければならない!」 サワタリもサーヴァントとして現界している時点で聖杯戦争の知識は授かっている。 普通のサーヴァントならばこのゴッサムシティは電脳世界であり、聖杯戦争に勝ち残らなければ元の世界に帰れなく、勝ち抜けば聖杯によって己の願望が叶えられると伝えられただろう。 だがグエン・ソウルの影響で狂ってしまったサワタリは正しく聖杯戦争の仕組みを伝えることができなかった。 「ちょっと待って!さっきから意味がわからないよ!フォレサワ!戦争って何!?レオ達はどこ?」 「フォレサワとは俺のことか?」 「そう!フォレスト・サワタリで略してフォレサワ。カッコいいでしょ?」 ミケランジェロは得意げな顔でサワタリの反応を求めるがそれを無視し、話を続ける。 「この街はナムの地獄と化す。俺たちはサヴァイブしなければならない」 「ちょっと答えになってないんだけど……」 ミケランジェロは意思疎通がとれないサワタリに対してイライラしていた。 今までに会ったことないタイプの人種。 これなら宇宙人のクランゲのほうがまだマシにコミュニケーションが取れるとも考えていた。 「余計なことを考えずにサヴァイブに専念しろ。そうすればお前の兄弟にも会える」 「本当に~?」 「そしてサヴァイブし続ければお前が望むものが手に入る」 「マジで!!するするサヴァイブしちゃうよボク!」 気分が沈んでいたが『兄弟に会える』『望むものが手に入る』という言葉を聞いてやる気を出し始める。 ミケランジェロは純粋な性格だ。 普通なら初対面の人間から望むものが手に入るとなど都合のいいことを言われても簡単には信じないだろう。 しかしその純粋さ故にすぐに人を信じる。 何よりあの絶望的状況の自分を助けてくれた恩人が騙すはずがないという思い、とりあえず信じることにした。 「とりあえずはこの下水路に拠点を作る。適した場所を探すぞ。ついてこいミケランジェロ」 そう言うとはしめやかに下水路を走り出し、ミケランジェロも置いていかれない様に全速力で走り出す。 サワタリはミケランジェロの姿に生前自分が創設したクラン。サヴァイヴァー・ドージョーの面々の姿を見ていた。 自分は何のために召喚されたのか分かっていなかった。 だが緑色の怪物に囲まれているミケランジェロを見た時に理解する。 俺はこの未熟なバイオニンジャをこの聖杯戦争で生き残らせるために呼ばれたのだと。 ノト―リアス、ディスターブド、カマイタチ 彼らのように自分未熟さで命を落とさせたりはしない! それがサヴァイヴァー・ドージョーのリーダーである自分の役目であると。 (ボクが今欲しいものか~やっぱりピザかな!しかも一生分!) 一方ミケランジェロはサワタリの姿を追いながらまだ手に入れてもいない報酬のことを考え涎を垂らしていた。 サワタリの言う通り生き残ることができれば確かに兄弟の元へ帰れるし、望むものも手に入る。 ただミケランジェロは知らない。この聖杯戦争は命がけのイクサであり。 自分の望みを叶えるためには最低でも一人のマスターの願望と元の世界への帰還という望みを絶たなければならないということを。 【クラス】 アサシン 【属性】 中立・中庸 【真名】 フォレスト・サワタリ@ニンジャスレイヤー 【ステータス】 筋力B 耐久A敏捷C魔力D 幸運D 宝具D 【クラス別スキル】 気配遮断 B サーヴァントとしての気配を断つ。 完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。 【保有スキル】 戦闘続行 A グエン・ソウルがもたらした生命力。 瀕死の傷でも戦闘を可能とし、決定的な致命傷を受けない限り生き延びる 仕切り直し B サヴァイヴァー道場のリーダーとして培われた判断力。的確な判断で戦闘から離脱する。 サヴァイブするためには逃げることも必要である 単独行動 A マスターからの魔力供給を断ってもしばらくは自立できる能力。 ランクAならば、マスターを失ってから一週間現界可能。 精神汚染E グエン・ソウルにより偽りのベトナム戦争の記憶を植え付けられ精神が錯乱している。 同ランク以下の精神干渉をシャットアウトする。 しかしランクが低い為ある程度コミュニケーションはとることができる 【宝具】 「ナムの地獄(キリングフィールド・デス・トラップ)」 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:10 最大補足:3人 サワタリの類まれなる技術が宝具として昇華したもの。 そのニンジャ野伏力で敵に気付かれない間にトラップを設置し、トラップが発動すれば相手に十全の力を発揮させることもなく死んでいく。恐るべき殺戮領域を構築する。 サワタリは道具作成のスキルはないが宝具使用時にはトラップの道具を作成することが 可能となる。 生前にトラップに使用した木杭、トラバサミ、ワイヤー、鍋爆弾などは作成可能。 マシンガンなど生前に使用したことがないものは作成できない トラップ設置時のサワタリの気配遮断能力のランクはA+となり、設置終了後は気配遮断のランクはBに戻る。 【weapon】 編笠 彼のトレードマーク。盾としてスリケンなどを防ぐほか、その淵はブレードになっており、隠し持った奥の手としてここぞというときの投擲武器になる。 タケヤリ 鋼の四倍の強度を誇るバイオバンブー製の槍。組み立て式のようだ。 ククリナイフ ネパールの少数民族・グルカ族が生んだコンバットナイフ。「く」の字型に湾曲した刀身が特徴。サワタリは数本を所持している。 マチェーテ いわゆる鉈。森林行軍のために使われた作業用の刀。「マチェット」とも。 【人物背景】 元は暗黒メガコーポの一つヨロシサン製薬の社員。 ニンジャソウルが憑依しニンジャとなる、それに伴って実験体であったバイオニンジャを引き連れ脱走。 その後仲間のバイオニンジャと共に過酷な環境のネオサイタマで気高きトラのように逞しく生きていく。 【サーヴァントとしての願い】 この戦争をサヴァイヴする 【マスター】 ミケランジェロ@ミュータントタートルズ(ニコロデオン版) 【マスターとしての願い】 ピザかな!しかも一生分! 【weapon】 ヌンチャク ヌンチャクは鎖鎌にも変形する。 【能力・技能】 スプリンター先生から教わった忍術。 その戦闘力、身体能力は常人をはるかに凌駕する 【人物背景】 元は只の普通のカメだったがミュータジェンを浴びたことにより突然変異した人間並みの体格と知能も持ったミュータントタートルズになる。 性格はお調子者で好奇心旺盛。 そのお調子者さから度々トラブルを引き起こすがどこか憎めない。 【方針】 とりあえずサワタリの言う通りゴッサムシティでサヴァイヴする。