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No. タイトル 登場人物 場所 作者 -010 呉島貴虎&キャスター 呉島貴虎&キャスター(メディア) ◆LjoEJeq7VA
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『だからもっと弾けていこう、恋していこう、青春はNon-stop』 静かに響き渡る旋律。 ゆったりと歌詞を紡ぐ穏やかな歌声。 小さな部屋の一室にて音楽が奏でられる。 『いつだって夢を見たいな 全力で羽ばたいていこう―――――――』 引き鳴らされるアコースティックギター。 サビを弾き終え、曲はゆったりと終わりを告げる。 詩も曲も彼女が作った。自分だけの音楽だ。 自宅で練習がてらに弾き語りを行うのが彼女の日課だった。 「………はぁーっ……」 弾き語りを終えた少女はギターを置き、ごろりとベッドに転がる。 そのままアンニュイな表情でぼんやりと天井を眺めていた。 (結局、今日も入部出来なかったなぁ…) 聖川 紫杏(ひじりかわ しあん)。 軽音部へ入部志望の高校一年生。 音楽をこよなく愛するごく普通の少女…なのだが、人見知りで内気な性分の持ち主である。 そんな性格が災いし、高校入学から暫く経っても軽音部へ入部出来ずにいる。 ゴールデンウィークが刻々と迫る中、未だに門の前で足踏みしている状態だ。 「早く入部届出さなくっちゃ…」 部活は時間が経てば経つほどまず入りにくくなる。 しかもゴールデンウィークには合宿があると言っていたような…。 とにかく、早く入部しないとダメだ。もたもたしてるとますます入りにくくなる。 でも正直に白状すると恥ずかしい。 こんな時期に入部希望だなんて、ヘンに思われそうで気が引けてしまう。 「あー、もう!ただでさえ人見知りなのになぁ、もーっ!」 ベッドの上でゴロゴロと悶え。 自らの性格を恨めしく感じながら、シアンは思った。 ―――――決めた。明日こそ入部しよう! 何度目かも解らぬ決意を胸に、くるりと寝返り。 俯せの姿勢になり、枕を抱えながらスマートフォンを弄り始める。 (頑張るのシアン。明日こそちゃんと入部しよう…その前に、まずはゲームで気持ち上げときますか!) つまり気分転換である。 シアンは慣れた手つきでスマートフォンを弄り、アプリケーションを起動。 「SHOW BY ROCK!!」。曲に合わせて三つのボタンを譜面通りタイミング良く押していく、言わば音楽ゲームだ。 音楽を愛するシアンにとってお気に入りのゲームである。 シアンはスマートフォンの画面と向き合い、リズムに乗りながらその指でメロディを奏で続け―――― 「やったぁ、最高記録!」 ―――――フルコンボ達成である。 自己最高記録を達成し、喜びの余りベッドの上で小さくはしゃぐ。 そのままシアンは画面をタッチし、リザルト画面へと移行。 このスコアならきっと珍しいアイテムが出てくる筈。 そう思っていた矢先だった。 [アイテムゲット!【シャブティ】] 「………シャブティ?」 リザルト画面に表示されたのは、見慣れぬ人形のようなアイテム。 シアンの顔にきょとんとした表情が浮かぶ。 次の瞬間。 スマートフォンの小さな画面から強烈な光が放たれ。 驚愕する間もなく、彼女の世界は反転した。 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 「え……え?何………?」 とある古びたアパートの一階、103号室。 シアンは自室で尻餅を突き、混乱した表情を浮かべていた。 ゴッサムシティのハイスクールに通うギタリストの少女は、『目の前』の非日常への恐怖を覚える。 突如として現れた『男』への恐怖と困惑を示す。 「誰なの…?」 始まりはごく当たり前の日常からだった。 自宅へ帰り、暇潰しと言わんばかりにスマートフォンを起動したシアン。 そんな彼女が発見したのは『シャブティ』という見慣れぬアプリ。 いつダウンロードしたのかも覚えていないそれに対し、どこか既視感を覚えたシアンは迷いつつも『シャブティ』を起動。 そして、ダウンロードの完了と共に―――――スマートフォンが光り。 自らの目の前に姿を現したのは。 「ヒャァーーーーッハァァァァァーーーーーーーーーッ!!!!!」 ――――――激奏ッ!! 唐突に響き渡るメロディ! 細長い指によって弦の音色が掻き鳴らされるッ! 卓越した高速ピッキングによる攻撃的なギターサウンドが轟くッ!! 呆然とするシアンに容赦なく暴風の如しロックンロールが叩き付けられるッ!!! 「ロックンロォールッ!!今日も元気にッ死んでるぜェェーーーッ!!!」 そして演奏はフィニッシュへと向かう! 怪物のようなエレキギターを掻き鳴らしていた男がシャウトのような声で叫ぶ! 青白い肌。牙にも似た剥き出しの肋骨。骸骨にも似た貧相な肉体。 その男は『ゾンビ』を思わせる異形の存在だったッ! ただぽかんとするのみのシアンは、演奏を終えたゾンビの男を無言で見上げる。 先程まではただ怯えるのみだったが。 シアンの顔から、いつの間にか恐怖が消え失せていた。 見下ろすゾンビ。見上げるシアン。 暫しの沈黙が場を支配した後。 シアンが、先に口を開いた。 「かっこいい……」 小さな口からぽつりと溢れる言葉。 眼をきらきらと輝かせ、頬を薄く紅潮させていた。 禍々しいギターによる激奏。魂に訴えかけるようなロックンロール。 最初は怖いと思っていた。 だが、そのサウンドを聴いている内にシアンの胸に熱い感情が込み上げてきた。 ――――――素敵だ。カッコいい。 ギタリストであり、音楽を愛するシアン。 目の前のゾンビが演奏する卓越したギターサウンドは、彼女の胸に強い衝撃を与えた。 シアンの心中の恐怖や混乱を吹き飛ばす程に。 「あ、あの…!もしかしてプロの方ですか!?」 グイッと顔を近づけ、ゾンビに問い質すシアン。 その表情からは興奮と昂揚が垣間見える。 魅入られた様子のシアンを見下ろし、ゾンビは機嫌を良くしたようにギターを鳴らす。 「よくぞ気付いてくれた!!俺サマはかつて『メタルの神』と称された男よ!! まッ、つっても随分過去の話だ!オマエみてぇなチンチクリンじゃ知らねえだろうがなァ!!」 『メタルの神』―――――ゾンビは己をそう称する。 シアンは思う。決して嘘ではないだろう。先程の演奏からして技術は卓越していた。 何より、あのサウンドからは滾るような想いを感じられたのだから。 「さあ願いを言ってみろ!オマエが聖杯に託す『願い』をよォッ!! 俺のマスターになったからには相応の願いがあるだろう!?」 そのまま唐突に畳み掛けるようにゾンビが言い放つ。 シアンはえっ?と言わんばかりのぽかんとした表情を浮かべる。 聖杯に託す願い。マスター。 そういえば、そんなこともあったような気がする。 何故だか解らないが、自分はそれを『知っている』。 それを言うべきかどうか、迷う様子を見せるシアン。 そのまま暫しの間を置いて、もじもじとした様子で伝えた。 「強いて言うなら……」 「おォ?」 「部活……」 「あ?」 「軽音部に……入部したいなーって……」 どこか恥ずかしそうに伝えるシアン。 ゾンビは呆気に取られた様子で彼女を見下ろしていた。 「………ケーオンブだァ?」 「ご、ごめんなさい!他に大した願いもなくって…」 「本当にそれだけかよ?」 信じられないと言わんばかりの態度で問い質すゾンビ。 上手い言葉が見つからないシアンは口籠らせる。 どこか疑う様子のザベルに対し、僅かに怯えた様子でシアンは言葉を紡ぐ。 「その…私、そんなに大それた願いも無いですし… ゴールデンウィークまでに部活に入ることが出来たらそれでいいかなーって…」 それはシアンにとっての本心だった。 大金持ちになりたいとか、世界征服を死体とか、そんな派手な願いは望んでいない。 ただバンドをやりたい。というか、軽音部に早い所入りたい。 今の彼女にとっての明確な願いとはそのくらいのものだった。 「つまんねェなア!聖杯なんてモンがあるんだぜ!? だったらデカい野望の一つや二つ叶えるしかねェだろうがよォ!!」 突然顔を近づけてながら言ってくるゾンビ。 ほんの少しびっくりした様子でシアンが後ずさる。 何でも願いが叶えられるモノがあるというのに、部活に入りたいだなんていうくらいの願いしか無い。 確かにちょっと地味だよなぁと、シアンは頬を掻きながら思った。 「えっと……考えておきますね。出来れば部活には自力で入りたいかなーとは思ってますし… あっでも私、あんまりいい願い浮かばないかもしれないかな…」 はにかみながら苦笑し、ゾンビにそう伝える。 何とも煮え切らない表情を浮かべていたゾンビだが、シアンは現に聖杯を使ってまで叶えたい願いが無い。 いきなり「勝ち残ったら聖杯を手に入れられる!」なんて言われても困るのだ。 そのまま何とも言えない空気が流れ、気まずくなったシアンが口を開く。 「あ…そういえば、お名前聞いてませんでしたよね!」 「おォ!そうだったなァ!!」 シアンに名を問われ、思い出したようにゾンビが言う。 そのままゾンビが己のギターを掻き鳴らしながら、その名を告げる。 「『ダークストーカー』――――――ザベル・ザロック様だ!覚えておきやがれェ!!」 闇の住人――――――ダークストーカー。 存在する筈の無い「番外位“エクストラクラス”」。 それがシアンの召還したサーヴァントだった。 ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ ◆◆◆◆ 聖杯戦争。 奇跡の願望器。 令呪。 マスター。 サーヴァント。 ゴッサムシティ。 ロックギタリスト、ダークストーカー。 余りにも唐突過ぎる始まり。 まるで空想の物語にでも入り込んだかのような常識外の話。 ゴッサムシティという街で繰り広げられる戦い。 勝利して得られるものは、あらゆる願いを叶えられるという奇跡の願望器。 ただゲームの最高記録を出しただけだったのに、何故こんな大それた話になっているのだろうか。 流石にこれが現実の出来事だなんてことは有り得ないだろう。 (ゲームのやりすぎなのかなぁ、私…) シアンは頬を掻きながら、ふとそんなことを思う。 ゲームをやっている途中でばったりと眠ってしまったせいだろうか。 今日はなんだか変な夢を見ているなぁと、暢気なことを考えていた。 【クラス】 ダークストーカー(エクストラ) 【真名】 ザベル・ザロック@ヴァンパイア 【属性】 混沌・悪 【ステータス】 筋力C+ 耐久C++ 敏捷B+ 魔力C 幸運C 宝具B 【クラス別スキル】 魔物:C 闇の住人(ダークストーカー)。伝承や噂話で語り継がれる異形の怪物。 種族によってその能力や特性は大きく異なる。 ザベルの場合、人から後天的に人外へと転じた。 魔の属性を持つ攻撃に対する耐性がアップする。 ただし退魔の逸話・能力を持つ攻撃に対しては逆に被ダメージが増加する。 対魔力:D 一工程(シングルアクション)によるものを無効化する。 魔力避けのアミュレット程度の対魔力。 【保有スキル】 ゾンビ:B 死の淵より蘇りし屍人。リビングデッド。 ザベルは魂に闇の洗礼を受け、ゾンビとして蘇った。 肉体を自在に変化・操作する能力を持ち、身体の伸縮による打撃、手足のチェーンソー化、骨による刺突など数々の奇怪な攻撃を行える。 ゾンビとしての不死性も備え、魔力を用いることで通常のサーヴァントよりも優れた再生能力を発揮出来る。 精神汚染:A 闇の眷属として蘇った猟奇的な狂人。 同ランク以下の精神干渉をシャットアウトする。 魔に魅入られ、己の信奉者達を生贄にし魔物へと転じた精神性は並の者には理解出来ない。 魔力放出(雷):C+ 武器・自身の肉体に魔力を帯びさせ、瞬間的に放出するスキル。 ザベルの場合、肉体を魔力で帯電させて攻撃に用いる。 空中戦闘:B 空中での攻撃判定にプラス補正が掛かる。 また滞空による敏捷値のマイナス補正を受け付けなくなり、常に十全の機動力を発揮出来る。 魔力を瞬間的に放出することで空中ダッシュを行うことも可能。 【宝具】 『Le Malta(ル・マルタ)』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:- 帝王オゾムがザベルの監視役として送り込んだ単眼の魔物。 ザベルの唯一無二の相棒として宝具へと昇華された。 短距離の空間転移を行え、ザベルを飲み込んで共に転移することも可能。 更にギターやスピーカーなど様々な形態に変身し、ザベルとのトリッキーな連携によって戦う。 『Death voltage(デス・ボルテージ)』 ランク:C+ 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:1人 魔力放出(雷)スキルより派生した宝具。 髑髏を象った強力な電撃を纏って突進し、相手を感電させる。 命中することで電撃による追加ダメージを与えられる。 空中戦闘スキルの恩恵によって空中でも発動可能。 空中で発動した場合、空中ダッシュによって突進する。 『Hell dunk(ヘル・ダンク)』 ランク:C++ 種別:対人宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:1人 奇想天外な地獄の籠球。 空間転移をしたル・マルタが地面から相手を捕獲し、無力なボールの形状へと変える。 そのままボール化した相手を受け取ったザベルがバスケットゴールに変身したル・マルタにダンクシュートを決める魔技。 ボール化は物理的防御や対魔力など相手のあらゆる抵抗を無視して一方的に押し付けられる。 ダメージ判定はダンクシュートが決まって相手が地面に叩き付けられた瞬間に発生し、 相手の耐久値を無視して大ダメージを与えることが可能。 ただし直感スキルなどの危機感知能力があれば地面から出現するル・マルタを事前に察知可能。 またル・マルタの行動を先読みできる能力や高い瞬発力さえあれば回避は然程難しくない。 ボール化はダンクシュートによるダメージ判定が発生した時点で自動解除される。 【Weapon】 己の肉体 【人物背景】 かつて「メタルの神」と称されていたカリスマギタリスト。 この世の快楽のみでは満たされなくなった彼は魔界の力に魅入られる。 ライブで自らのファン100人を殺害した後に自害し、ゾンビとして復活した。 殺戮を好む残虐で狡猾な狂人だが、ハイテンションでコミカルな一面も併せ持つ。 【サーヴァントとしての願い】 絶対的な力を獲得する。 【方針】 勝ち残る。 【エクストラクラス:ダークストーカー】 闇の住人を意味する魔物のサーヴァント。 悪魔や怪物、妖怪と言った人外の存在がクラス適性を持つ。 クラススキルとして「魔物」「対魔力」を備え、魔の属性に対する高い耐性を持つ。 ただし退魔効果や聖なる逸話を持つ武具を主な弱点とする。 【マスター】 シアン(聖川 詩杏)@SHOW BY ROCK!!(アニメ版) 【マスターとしての願い】 ゴールデンウィークまでに軽音部に入部したい。 ただし別に聖杯に縋るほどの切実な願いという訳でもない。 【weapon】 エレキギター 【能力・技能】 ギターの演奏が出来る。 自分で作詞作曲もしている模様。 【人物背景】 女子高生のギタリスト。クラスは一年三組。 内気な恥ずかしがり屋で、その性格から高校の軽音部に入部出来ずにいる。 明日こそ入部しようと決意した日の夜、アプリゲーム「SHOW BY ROCK!!」の世界に迷い込んでしまう…はずだった。 アプリ内にデータとして紛れ込んでいた「シャブティ」を入手し、シアンはゴッサムシティへと誘われることになる。 【方針】 聖杯戦争自体を夢だと思い込んでいる。 ダークストーカーとセッションしたい。 【令呪】 右手に発現。 肋骨を思わせる六本の刃に包まれたハート。 消費は左側の刃三本(一画目)→右側の刃三本(二画目)→ハート(三画目)。
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【登録タグ 曲 TG】 Girl 歌手:E・M・U
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14名無しさん@ゴーゴーゴーゴー!2018/02/06(火) 21 06 04.75ID gy/GivOe SN HotGirl troll 暴言ガイジ 負けたのをすぐ人のせいにするイキリおたく QWEのスキルがCDなら教えろよと無茶なことを言う池沼 名前 コメント
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轟音が響く。 瓦礫が降り注ぐ。 悲鳴が聞こえ、人々は逃げ惑う。 突如として市街地に現れた巨大な影。 漆黒の巨人が1歩踏み出す度に大地は震え、腕を振るう度に、ビリビリと窓ガラスが揺れる。 通報を受けてパトカーがやってくるが、この大質量を相手に何ができようか。 狙われたのは現金輸送車。 犯罪者達の襲撃に耐えうる堅牢な装甲も、屈強な警備員達も、このような規格外の相手には対抗する術はなく、逃走以外にとれる手段はない。 だが僅かばかりの抵抗も空しく、地響きをたてながら追走する巨人によっていとも容易く輸送車がつまみあげられる。 我先にと輸送車から逃げ出す警備員を尻目に、器用に輸送車をこじ開けた巨人はその掌に戦利品、輸送されていた現金の山を乗せる。 瞬間、不思議な事に淡い光と化した現金の山が巨人に吸い込まれるように消えていくではないか。 目の前の超常的な事態に茫然とする人々を嘲笑うかの様に、巨人は悠然とどこかへ歩いていく。 追いかけるだけの勇気を持ち合わせていたものは、この場にいなかった。 翌日、この強盗事件が紙面を賑わすと同時に、一握りの人間は気付くであろう。 これが自らと同様に聖杯戦争に参加した者達の仕業だと。 そして、彼ら/彼女達は一つの考えに至るだろう。 『あの黒い巨人は恐らく宝具、ならば今の内に該当する英雄の情報を集めれば有利に動けるのではないか』と。 その特徴的なフォルムから、一人の交渉人の情報にたどり着ける者もいるだろう。 たどり着いた者は戦争も始まる前から手札を見せた愚かな参加者もいたものだと嘲笑うかもしれない。 しかし、もしそのような事があれば、当の襲撃者本人は大笑いをする事だろう。 その英雄にたどり着いた事こそが、輸送車を襲撃したサーヴァント、ライダーの策略だったのだから。 「『白昼堂々の怪事件。現金輸送車が突如として現れた黒い巨人に襲われる』おーおー、一面記事を飾ってらぁ」 札束の山が積み上げられた一室で、椅子に座り新聞を片手に一人の男が愉快そうに口元を歪めた。 金髪の巻き毛と、見る人間によっては趣味が悪いと罵られそうな黄色一色のスーツとネクタイを着用した男だった。 「本当に貴方の真名はバレませんのよね、ライダー」 朝食の入った食器を片手に、一人の少女が入ってきた。 少女と男の間柄はマスターとサーヴァント。つまるところ、この聖杯戦争に呼び出された参加者である。 マスターとして呼び出された少女の名はトロン・ボーン。 空賊ボーン一家の長女であり、遺跡の発掘や強盗を生業とする犯罪者だ。 「ま、勘のいい奴の中には偽装に気づくやつはいるかもしれねえな。 だが、外装を外した訳でもねえし、偽装だと気付いた上であの宝具の使用者が俺だと探し当てるやつなんてのは、まずいねえよ」 ライダーと呼ばれた男はトロンが差し出したベーコンエッグを口に運びながら、不敵な笑みを浮かべる。 昨日の現金輸送車襲撃事件は彼らの仕業だった。 ライダーの宝具の一つは、搭乗時に真名偽装のスキルが発動する物。 モラトリアム期間であるにも関わらず、派手な犯罪行為を働けた理由は、この宝具だけでは自身の正体は暴かれないという、確固たる自身があったからだ。 「あの姿を見た奴なら十中八九、あのいけすかねえカラス野郎に行き着く。 あれが偽物で、かつ俺が犯人だなんてわかる奴は、トンでもないインチキでもしてるか、あるいは当のカラス野郎ぐらいの話って訳だ」 脳裏に因縁の相手である交渉人の姿がチラつき、ライダーの口がへの字に歪む。 トロンはその言い様とライダーの苦々しげな表情から、そのカラス野郎という人物にライダーが散々に煮え湯を飲まされたであろうことを察する。 ふと、トロンの脳裏に自身や兄弟の邪魔ばかりをしていた青いアーマーに身を包んだ少年の姿が浮かぶ。 犯罪者で機械知識に明るく、そして『正義の味方』に毎度散々な目にあわされる悪役。 生まれも思考も信条も何もかもが異なる相手ではあるが、変なところに共通点があるものだ、と神妙な表情をトロンは浮かべる。 「さて、先立つものは手に入れた。流石に二回も強盗をしたら他の奴ら以外にも目をつけられちまうからな。 これを元手に稼ぐ手段をどうにか考えるとするか」 食事を終え、ライダーが指を鳴らすと共に、山ほどあった札束が淡い光に包まれ、ライダーの体へと飲み込まれていく。 これが輸送車襲撃時に現金が消えた絡繰りにして、ライダー主従が輸送車を襲った真の理由。 ライダーのサーヴァント、ベック・ゴールドは彼が収集した金銭を魔力として貯蔵するスキルを持っている。 生前の彼にその様な能力はなかったが、「愛も夢もすべて金で手にいれる」と嘯き、巨額の富を手に入れ、その忌わの際には、金が自身の存在そのものと言い放った逸話が彼と金銭を同一の存在とみなし、魔力として貯蔵できるというスキルに昇華したものだ。 どれだけ金銭に執着があったのか、主であるトロンには知る由はない。 だが、このスキルがなければ魔力の保有量が高くない自身は早々に見限られていた事は容易に想像できる。 倫理観的な面での相性の良さと、犯罪者としての来歴、そして彼女と共にこの世界にやってきた物があったからこそ、ライダーを繋ぎ止められている自覚がトロンにはあった。 自身の立ち位置が危ういバランスの上に成り立っていると知りながらも、トロンはライダーと共にこの聖杯戦争を勝ち抜く気でいた。 脳裏に浮かぶのは借金のかたに捕まった兄と弟、彼らを助け出す為にも、この聖杯戦争で優勝し、借金を返済できるほどの大金を手に本来の世界に帰らねばならない。 なので、継続してライダーの魔力の源となる金銭を集めなければならないのだが、そこで一つの問題があった。 「ハァ、お兄さまやあの子達もこっちにいれば話は変わってきましたのに」 トロンがこの聖杯戦争の参加者として宛がわれたのは、今彼女が暮らしている修理屋のガレージと、併設している居住スペースのみだった。 兄や弟はもちろんの事、強盗先でシャプティを見つけるまで同行していたトロン手製のロボット、コブン達を模したNPCも一人たりとも存在しない。 元の世界での彼女の武器の一つであったコブン達の人海戦術は利用できず、現状ライダーとトロンのみで、今後の金策を練らなければならない状況なのだ。 戦略的に厳しいのは勿論の事だが、本人とは違うとわかっていても、心の支えとなってくれる家族達が誰もいない孤独な状況はトロンの精神に暗い影を落としていた。 「無い物ねだりをしたって仕方ねえさ。愚痴ったところで出てくる訳でもないしな」 欠伸を噛み殺しながらライダーが伸びをする。 マスターとは別口で魔力を補充できるとしてもその量は有限。 手っ取り早く金銭を集めるにしても、手勢も拠り所もないライダーとトロンの現状では稼ぐ宛がなく、魔力補充の目処がつかない。 大きく状況の動くことがないモラトリアム期間に宝具を使用してまで強盗を行った事は苦肉の策であったと同時に、今後の立ち回りを円滑に進める為の先行投資だったのだ。 懸念点といえば監督役からの警告や罰則だったが、今のところ何かしらのアクションが行われた形跡はない。 結果、一、二回程度の戦闘であれば十全に戦える程度の魔力は手に入れた。が、歴戦の英雄達を相手取るにはまだ足りない。 手勢を増やし、金を増やし、利用できるものは尽く利用しつくす。 犯罪者は犯罪者らしく。 狡猾に舞台の裏側で動きまわるだけである。 トロンが頭を振り、沈んだ心に喝を入れる。 今ここで、自分が立ち止まってどうするのか。 捕らわれた家族に、いなくなった自分の帰りを待っている家族に会うことを諦めるのか。 足りないものが多すぎる事が足掻くのをやめる理由になどなりはしない。 「そう、ですわね。なんとしてもあの子達の元に帰って、お兄様達を取り戻さないといけませんものね。 ええ、愚痴を吐いてる暇なんてありませんでしたわ」 決意を新たに意気込む主をライダーは冷めた眼で見つめる。 トロンが戦争に参加する理由をライダーは既に聞かされている。 正義感の強い者や多少は家族の情に理解のある者であれば、トロンの望みを叶える事に協力的な姿勢を見せていたかもしれないが、ライダーにはそれがない。 金だけを信奉するライダーにとって家族の絆などというものは、金儲けに利用するには有効だがそれ以外に何の価値も見出だせない程度の存在だ。 それでもライダーがトロンに協力的な理由は、トロンが犯罪者であり、犯罪行為に忌避感を持っていない事が大きい。 宝具以外の能力が最底辺のライダーは宝具に費やせる魔力の運用が重要となる。 宝具、『偽・大いなるO』はその巨体と兵装からスペック以上の戦闘力を保持している分、燃費が悪い。 実際に強盗事件の際には各兵装の使用不可に加えて輸送車を捕まえる程度の挙動が精一杯だった。 そんな大喰らいを扱うには魔力に替える金がいくらあっても足りない。 大量の金銭を一朝一夕で集めるには、マスターが相応の地位を得ているか、非合法な方法で集めるかのどちらかだ。 そして幸いにもトロン・ボーンは後者の集め方を生業としており、程度の差こそあれ犯罪行為に対する忌避感を持ち合わせてはいなかった。 そういう意味では相性のいい相手を引けたものだとライダーは感じている。 当面、マスターを乗り換える算段をしなくていいことに改めて安堵しつつ、ライダーはこの街で購入したタバコを一本、口に運んで火をつける。 口内から鼻孔を駆け抜ける煙草の香りを楽しみながら、紫煙を吐き出す。 「安物の煙草を随分と美味しそうに吸いますのね」 「その安物の一本が、俺達の世界じゃ贅沢品だったのさ。煙草なんざ全部合成品で、純正品が吸えた事なんて数えるぐらいしかねぇ」 呆れ顔のトロンにライダーが上機嫌で答える。 何もかもが合成品で作られていた世界の出であったライダーにとって、酒も煙草も純正品であるこの街は宝の山だった。 なにも自分が楽しむ為だけではない。 ここにある物を自身のいたパラダイムシティに持ち込むだけで、相応の富は築けるだろう。 故にライダーはここで手に入れた物を保持したまま、パラダイムシティへ受肉する事を聖杯戦争への望みとしていた。 この偽りの世界で受肉する気も、どことも知らない世界で受肉する気もライダーにはなかった。 結局のところ、ライダーにとっては40年前の記憶を失ったあの街こそが、時に大企業と手を結び、時に部下達と金を荒稼ぎし、時に憎き交渉人とぶつかり合うあの世界こそが、唯一の居場所だという事なのだろう。 「その一服が終わったら、ガレージまで来るように。 グスタフの改修は貴方が手を加えないと始まらないんだから」 ため息をつきながらガレージへと歩き始めたトロンに対し、手を振って無言の返事をしたライダーは、また美味そうに煙草の煙を吐き出した。 グスタフ。それはトロンが作成した万能二足型歩行戦車であり、ライダーがトロンに目をつけた理由の一つ。 シャブティ発見時にトロンが搭乗していた為に彼女の兵装として認識され共にこの世界へやってきた物だ。 グスタフを使用すれば、トロンも相応に戦闘が行えるとはいえ、神秘がなければ攻撃の通らないサーヴァントを相手取るとなると、一方的になぶり殺されるだけである。 そこを、ロボット工学に関するスキルのあるライダーが手を加える事で微量の神秘を宿し、肉弾戦では圧倒的に分が悪い自分達の弱点をカバーする算段だった。 最低限の戦闘さえ出来れば、このグスタフを宝具と偽った上で、自身の宝具を架空の敵対存在に仕立てあげ、「元の世界であの巨人と敵対していた」と他の参加者に吹聴して同盟を組めるかもしれない。 そして、見えない敵に警戒しながら順調に数を減らした所で正体を現し一網打尽にする。 成功するかはわからないが、一つのプランとしてライダーの胸中に留めてある。 無論、二の手、三の手。勝ち抜くための戦略を練ることをライダーは怠らない。 ライダーは弱い。 武勇に関する逸話や、組織を有するだけのカリスマめいたものなど微塵もない、ただ奸知に長け、金儲けが上手かっただけの悪党だ。 相性のいいマスター、貯蔵できた魔力、宝具を使わずとも戦う手段、ここまでは順調だ。 だが、それはライダーがまともに戦えるスタートラインに立っただけでしかない。 ライダーの宝具は強力な部類に入るが、相手は一騎当千の英雄達。 確実に勝てるなどという保障はどこにもない。 「パラダイム・パラダイス・パラライズ……」 不意にうわ言のような呟きが漏れた。 ライダーの脳裏に宿敵の駆るメガデウスよりも大きな機神の姿が浮かぶ。 それは、ライダーの保有するもう一つの宝具。 「……駄目だな。使ったところで後がねえ」 苦い顔を浮かべ、灰皿に吸殻を押し付ける。 ライダーの保有するもう一つの宝具、それは偽・大いなるOを遥かに凌駕する程の性能を秘めている。 無論、その分消耗も激しい。先の襲撃で手に入れた金額なら呼び出して数秒後には崩壊が始まり、マスターの魔力を吸い尽くしながら消滅するだろう。 だが、魔力の消費など些細な問題だ。 フラッシュバックするのは、眼窩がある筈の部分がぽっかりと穴の空いたかのように黒一色に彩られ、耳まで裂けんばかりの狂笑を浮かべたライダー自身の顔。 ライダーのもう一つの宝具は発動と同時に極めて高ランクの精神汚染が永続的に付与される。 最弱に近いサーヴァントがマスターとのコミュニケーションも取れない発狂状態に陥ればどうなるかは火を見るより明らかだ。 その宝具を使用した戦いには勝てたとしても、そこでライダーの聖杯戦争は終わりを迎える。 故にライダーはその宝具の存在を秘匿した。追い詰められたマスターが令呪を使ってでも宝具の開帳を命令しないとも限らないからだ。 重い腰を上げ、ライダーはガレージへと足を向ける。 当分はガレージに籠って改修作業だろうか。 憂鬱な気分になるが、致し方ない事だと肩を落とし、ガレージへと足を向ける。 コツ、コツという足音だけが無機質な室内に響いていた。 【クラス】 ライダー 【真名】 ベック・ゴールド@THE・ビッグオー(漫画版) 【属性】 混沌・悪 【ステータス】 筋力E 耐久E 敏捷D 魔力E 幸運B 宝具A 【クラス別スキル】 騎乗 D 騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み程度に乗りこなせる。 【保有スキル】 ロボット工学 A ロボット工学に精通している。機械に関する判定に有利な補正を得る。 また、ロボットに類する物があれば改修を加えることが可能。ライダーが改修したロボットには最低ランクの神秘を宿らせる事が可能。 ライダーはロボットを他者に提供、あるいは自ら用いて様々な犯罪を行ってきた犯罪者である。 黄金率 C 身体の黄金比ではなく、人生において金銭がどれほどついて回るかの宿命。 このスキルは宝具『偽りの楽園に狂笑は響く』発動後、固有スキルから消滅する。 詐欺・強盗・教唆・殺人、ライダーは様々な犯罪行為で私腹を肥やしていた。だが、ある記憶 メモリー を思い出した頃から、ライダーはあり余る財をある目的の為だけに浪費し続けた。 同一存在(金) A ライダーがあらゆる手段で収集した金銭を自身の魔力に変換し貯蔵する。 一度変換した魔力を金銭に戻すことも可能。 生前、自身の存在を金銭そのものと定義した事から生じたスキル。金額が高ければ高いほど、貯蔵される魔力量も多くなる。 【宝具】 『偽・大いなるO(スーパーベック)』 ランク:C 種別:対軍宝具 レンジ:0~10 最大捕捉:20人 ライダーが譲り受け改造したヘビーメタル・ユニット、スーパーベックを呼び出し搭乗する。 この間スペックが以下に変更される。 筋力がC、耐久がBに上昇 weaponに肩部ミサイル砲と指部レーザー砲を追加 スキルに仕切り直し C・真名偽装 Cを付与。 この宝具は頭部が無事である限り、破壊されても修復が可能。 また、ライダーの任意で偽装ビッグオー形態・通常形態・脱出装置のみの3種類の内どれかを召喚前に選択が可能。 ○スキル解説 仕切り直し C 戦闘から離脱する能力。 偽・大いなるOの頭部が健在な限り、高確率で戦闘から離脱できる。追撃に関するスキルを持っている対象には離脱確率が大幅に低下する。 偽・大いなるOの頭部はコクピット兼脱出装置であり、7度目の敗北で頭部が破壊されるまでビッグオーとロジャー・スミスから逃げおおせた。 真名偽装 C この宝具から真名を割り出した対象はライダーをビッグオーの搭乗者、ロジャー・スミスと誤認する。 偽装ビッグオー形態のみこのスキルは発動し、外装が破壊され、本来の姿を現すと、このスキルは消滅する。 また、Bランク以上の直感、またはそれに類するスキルの所持者はこのスキルを無効化する。 但し無効化に成功した場合でも内部の本体を視認しない限り、ライダーの真名にたどり着くことはできない。 ビッグオーの外観をまとったこの宝具でライダーは犯罪行為を幾度も行い、ビッグオーに対する悪評を広めた。 『偽りの楽園に狂笑は響く(ギガデウス)』 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:0~20 最大捕捉:60人 ライダーが地下深くで見つけ起動させたギガデウスを召喚、搭乗する。 この間スペックが以下に変更する。 筋力および耐久がAに上昇 weaponに腕部ドリル、眼部レーザー砲、火炎放射機構追加。 スキルに精神汚染 Aと狂気汚染 Aを付与。 ○スキル解説 精神汚染 A 精神が錯乱している為、他の精神干渉系魔術を高確率でシャットアウトする。 ただし同ランクの精神汚染がない人物とは意思疎通が成立しない。 『偽りの楽園に狂笑は響く』が発動して始めてこのスキルは効力を発揮し、以後は常時発動スキルとなる。 記憶 メモリー を思い出し、ギガデウスを発掘してロジャー・スミスと再会したライダーは完全に発狂していた。 狂気汚染 A 精神汚染 Aが発動している状態のライダーと戦闘し、かつ殺害に成功した主従に対して発動する。 対象主従に1日1回、精神による判定が発生する。判定に失敗した場合、対象は精神汚染 Aのスキルが付与される。 パラダイム・パラダイス・パラライズ。 ライダーの死後、自身を殺害したロジャー・スミスに対して悪夢という形でその精神を蝕み、廃人寸前へと追い込んだ逸話が昇華されたスキル。 【weapon】 単発式のピストル スタンガン 【人物背景】 40年前の記憶を失った街、パラダイムシティで悪事を働く犯罪者。 メモリーを取り戻そうとする人間やメモリーを取り戻した人間を利用して様々な事件を起こして金儲けをしていたが、ある事件においてロジャー・スミスに邪魔をされ逮捕される。 その折にビッグオーのパイロット=ロジャー・スミスである事を知り、彼の正体を知る数少ない人物の一人となった。 その後もメモリーを利用して様々な犯罪行為を行っていたが、ビッグデュオとビッグオーの戦闘においてなんらかのメモリーを思い出し、稼いだ大金もろとも姿を晦ます。 再びロジャーの前に姿を現した時には精神に異常をきたしており、彼の発掘したギガデウスにてロジャーとビッグオーを圧倒するものの、自壊を始めたギガデウスはビッグオーの攻撃を受けて爆散。 搭乗していたベックもまた、中空に放り出され無明の闇へと落ちていった。その散り際にロジャーへ多大なるトラウマを残して。 その後彼の存在はロジャーの精神を苛み、一時期廃人同然にまで追い込むが、これが彼の怨念だったのかは定かではない。 【サーヴァントの願い】 この街で大量に買い占めた純正品の物品を持ち込んだまま、パラダイムシティに帰還する。 【マスター】 トロン・ボーン@トロンにコブン 【マスターとしての願い】 借金を返済できるだけのお金と一緒に元の世界に帰る。 【weapon】 万能二足型歩行戦車・グスタフ 所謂ロボット。大きさはパトカーより少し大きい程度。 腕部にサーチキャノンと呼ばれる大口径砲を搭載。 ボーンバズーカ及びガトリングガンに関しては未実装。 【能力・技能】 メカニックの天才、作中及びロックマンDASHシリーズにおいて数々のメカを作成している。 設計思想は性能よりもコストパフォーマンス重視 【人物背景】 空賊ボーン一家の長女で戦闘メカの作成及び操縦担当。 高飛車な一面があるが、自身の作成したコブン達には厳しさと優しさを併せ持った対応をしており、母性的な一面がある。 基本的には空賊の名の通り銀行強盗から街の破壊、ディグアウターの襲撃に窃盗などで生計を立てている犯罪者。 悪党ではあるがどこか面倒見が良く、兄の影響か情に厚い一面も持っている。 本作品では初出のロックマンDASHシリーズではなく、スピンオフ作品のトロンにコブンの冒頭の時間軸からの参戦。 【方針】 とにかく金を稼いで宝具用の魔力を貯蔵する。 ただし今回の様な宝具を利用しての強盗に関しては当分見送り 他の参加者に関しては話がわかるようなら交渉。 話がわからない相手には『偽・大いなるO』の頭部だけを呼び出してとんずら。 追ってくるようならガレージに逃げ込んでグスタフで応戦する。 モラトリアム期間の内に偽装状態の『偽・大いなるO』を呼び出しているので、仮想敵に仕立てあげて他の主従との同盟も検討 なお『偽りの楽園に狂笑は響く』に関しては最終戦以外で出した場合、優勝の目が限りなく0になるので、使用予定は一切なし
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「スクールシップ・ウォー!」Q.学園艦が並んでるシーンの元ネタになった空母の一覧 「スクールシップ・ウォー!」 Q.学園艦が並んでるシーンの元ネタになった空母の一覧 └A. ガールズ&パンツァー GIRLS und PANZER 508輌目より 663 名前:風の谷の名無しさん@実況は実況板で[sage] 投稿日:2013/03/25(月) 16 39 32.57 ID MLIcAe0hP 235 他校の学園艦調べ、facebookの英語のコミュニティーで見つけた。 新たに出てきた学園艦 右から スルクフ(潜水艦) フランス→マジノ女学院 (スルクフは映画「ローレライ」に出てくるイ507潜水艦のモデル) 赤城(空母) 日本→知波単学園 (近代改修前の多段式甲板と思われる) インヴィンシブル級(空母) イギリス→「インヴィンシブル」がオーストラリアへ売却される計画があったことからコアラの森学園? アクイラ(空母) イタリア→アンツィオ高校
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1: グラスホッパー。英語でバッタを意味する言葉である。 それ以上の意味など、通常ない。衆愚の街、ゴッサム以外であったならば。 この街においてグラスホッパーと言えば、最近になって彗星のように現れた自警団の事を指す。 自警団。そう、ゴッサムシティで、である。馬鹿馬鹿しい試みであるとしか、通常は思えない。 警察と言う国家組織の半数がマフィアやギャングに買収されているこの都市だ。 自分の身は自分で守れと言う心構えはこの街どころか合衆国では当たり前のスタンスであり、自警団じたいが、寧ろ何故今まで設立されていなかったのか、疑問に思うだろう。 簡単だ。この街では余りにもそう言った物を設立する事が、馬鹿らしいものと認識されて来たからだ。 ギャングもマフィアも、汚職に手を染める公務員達は根っこは同じだ。自分達の自由を侵害される土壌と、それを行いかねない組織の台頭を彼らは嫌う。 つまり、そう言った組織を彼らは良しとしない、潰しにかかるのである。ひょっとしたら、過去、ゴッサムでも自警団の芽が芽吹いた事も、あったのかも知れない。 そう言った存在がメジャーなものにならなかったのは結局のところ、司法や行政、アウトローが一体となって彼らを潰して来たと言う理由が大きい。 しかし、今回は事態が違った。 ゴッサムに現れた新興の自警組織、グラスホッパーは、ギャングやマフィアのみならず、司法の手にも屈さなかった。 グラスホッパーの団員の練度は驚く程高く、マフィアやギャング達を軽くあしらう程強いと言うのもあるが、それよりも驚くべきなのは、彼らの首魁、犬養の手腕だろう。 犬養舜二と言う名前のこの日本人は、驚く程の手練手管の持ち主だった。インテリと言う言葉がこれ以上となく相応しい切れ者で、話術に長ける。 それだけでなくルックスの方も、日本人とは思えない、西洋人の美形風のそれで若い男女にも非常にウケが良い。 何よりも恐ろしいのは、この犬養。自らのそう言った武器を総動員し、組織の運営に一役どころか、二役三役、いや、四役も五役も買っているのだ。 行政法や市条例を駆使し、グラスホッパーを潰乱させようとする行政部を、彼らの上を往く法知識で軽くあしらいその危機を脱させて来た回数は、数知れない。 グラスホッパーのカリスマ的指導者として犬養は、今やこのゴッサムにおいて一方ならぬ有名人。知らない者など、それこそマイノリティな程のメジャー人物だった。 若き美貌の持ち主の上に、カリスマ性に富み、インテリジェンスに溢れてて。 それでいて如何なる暴力にも屈さないヒロイン性と、汚らしい権力の魔の手を軽く払いのける程の場数も踏んでいる。 これで、人気が出ない筈もない。現にグラスホッパーの入団者の志望動機の殆どが、グラスホッパーの掲げる理念に賛同した、と言うよりも、犬養のカリスマ性による所が大きい。 此処最近のグラスホッパーの入団希望者は、日々増加の一歩を辿っている。 大学生や高校生が若さ故に、理念、或いは犬養のカリスマ性に当てられ、入団を希望してしまったケースもある。 ミーハーの女性が、犬養の美貌に惚れてしまい、入団を希望してしまった事もある。 ギャングやマフィアに暴力を振るわれて過ごして来た浮浪者達も、面接を希望した事もある。ただ暴れたいだけの無骨な乱暴者の数も、決して少なくはなかった。 グラスホッパーに集う者の理念は種々様々であるが、解る事は一つ。グラスホッパーの人気は、今が絶頂の最中にある、と言う事だった。 そう言った狂熱に、グラスホッパーと言うグループが包まれている為に、気付く者は少なかった。 彼らと対立している政治家や議員、ギャングやマフィアが次々と消えて行っていると言う事に。少し考えれば、おかしいと気付く事ではあろう。 しかし、こんな簡単な事実に気付かない人間の方が、マジョリティであった。今まで汚い事をやって来た、政治家達の自業自得であると思われている事の方が多かった。 今では、グラスホッパーに対して否定的な意見をぶつけてくる人間の方が、少なかった。 一ヶ月にも満たない期間で、グラスホッパーが築き上げた基盤の強固さを驚くべきなのか。 それとも、今まで彼らと敵対して来た権力者や暴力団が消えて行った、と言うツキのなさを驚くべきなのか。 ――何れにせよ、解る事は一つだ。 今のゴッサムに、救世主として君臨するイナゴ達と、それを率いる王(アバドン)と敵対する存在は、最早絶無に等しいと言う事であった。 . 2: 「いやぁ、最近は良くもまぁまぁ、グラスホッパーの入団希望者が増えるじゃないか」 戯れ程度に犬養が置いて行った、数日前の、グラスホッパーの入団者の推移グラフを見て凌馬は面白そうにそう言った。 グラフは解りやすい棒グラフでデータを表しており、日を重ねるごとに、見事な階段状になっているのが見て取れる。 余程無学な者でも、日を追うごとにグラスホッパーに入りたいと言う気持ちの者が多くなって来ている、と言うのが解るだろう。 「解っているとは思うが、そのグラフに記されている希望者全員を入団させている訳ではないよ。信頼出来る人物にテストと面接で篩にかける事を任せているからね」 「希望者を面談なしに合格させても良いんだよ。その方が私としても、種々様々なデータを採れる」 「大量募集のアルバイトじゃないのだからそんな事はしないよ」 キャスターのクラスとして現界したサーヴァント、戦極凌馬は、犬養と同郷出身の英霊で、しかも活躍した年代まで近いと来ている。 話は合うかと思えば……まぁ、何処となく噛み合わない。凌馬が時々こんな、冗談めいた事を口にするからである。 科学者としての手腕と、その見識については、間違いなく凌馬は一流であるが、天才には奇人が多いと言う言葉に、嘘偽りはなく。この男も、そんな類であった。 グラスホッパーの運動神経に優れる団員達に、戦極ドライバーなる不思議なベルトバックルを行き渡らせたのは、何日か前の事だった。 キャスターのサーヴァントが発明した代物であるからには、それ相応の品物なのだろうと犬養は思っていたが、まさかあれ程までとは、思ってもいなかった。 ヘルヘイムの果実と呼ばれる代物で拵えられた、ロックシードなるアイテムをバックルに嵌め込む事で、 その人物は果実を纏う――不思議な表現だが、犬養にはそうとしか言いようがないのだ――。ユニークな表現であるが、これが事実なのだ。 そして、その果実を纏った戦士は、人間の時よりも遥かに優れた運動能力を発揮する、だけでない。専用の武器まで用意され、それを振う事が出来る。 これを上手く利用すれば、グラスホッパーの自警活動が大幅にスムーズになる事は間違いがなかった。凌馬にしても、私兵代わりの者達が増えるのだ。メリットは大きい。 この上に、戦極シードやロックシードは、量産が出来る。このゴッサムに、ヘルヘイムの果実の成る地帯そのもの。 つまり、ヘルヘイムが浸食――これに関しては、凌馬は最初で最後とも言える程の驚きを示していた――しているからだ。 この侵食部分さえ発見出来れば、理論上はロックシードは、団員全員に配ってなおおつりが来る程作成出来る。兵力増強はまさに、抜かりなし、と言うものだ。 団員達の戦極ドライバーについての簡単な詳細と、その使い方。 それらを用いた訓練、と言う名の、アーマードライダーになった際の軽い運動テストが終わったのは、一昨日の事だ。 アーマードライダーになったグラスホッパーの実地テストは、先日行われた。実地……つまり、弱小~中堅規模のギャングやマフィアのテリトリーの事だ。 結果の程は、凌馬にとっては当然の結果、犬養にとっては想像を上回る結果、と言う所だ。アーマードライダーと化したグラスホッパーは、目覚ましい活躍を遂げたと言う訳だ。 幹部連中には、時期にゲネシスドライバーと言う、戦極ドライバーの上位互換も配られる予定である。但しこれは秘密裏にだ。 何れにせよ、グラスホッパーの戦力増強、及び、聖杯戦争を勝ち抜く為の駒配置は、着実に進んでいる、と見て間違いはなかった。 「ところで、マスター。例の件、確証は取れたのかな」 言われたその時、犬養はアタッシュケースから数枚の書類を取り出し、凌馬が座っているデスクの上に置き始めた。 二人は今、ゴッサム市内の超高級ホテルの階層一つを貸し切って、其処を拠点としていた。此処を自警活動の拠点の一つとして利用している。 凌馬の陣地作成スキルは大して高くない。規模の小さな工房しか作成しえないが、これは逆に言えば、直に工房を作成出来ると言う事も意味する。 グラスホッパーの拠点はこのホテルだけでなく、他にも秘密裏に様々な場所にアジトを隠している。当然其処にも秘密の工房が用意されている。 仮にここを攻撃されても、最も頑丈な拠点が一つ潰れるだけであった。 どれどれ、と口にして凌馬は、犬養が手渡した資料に目を通す。 「やっぱりいたか」、数秒程して、ウンザリしたような口調で凌馬は書類を全て、机の上に叩き付けるようにして乱暴に置きだした。 「その四名、大方の予想がつくが……」 「そうだねぇ、聖杯戦争の関係者、として睨んでおいた方が良い」 言って凌馬は、心底面倒そうな表情でかぶりを振るった。 犬養が手渡した書類――もとい、ある人物らの身辺を調べ上げた調査書は、四枚あった。 凌馬はこのゴッサムに呼び出され、ユグドラシルタワーと言う、日本の沢芽市に建てられていた筈の建物をその目にした時、本当に驚いたような顔をしていた。 何でもあの建物は、生前凌馬が研究をする為に利用していた施設であったらしく、このゴッサムにあの巨大なビルが再現されていたとは、思っても見なかったらしい。 と言う事は、あの建物には、凌馬もよく知る人物が最低でも『四人』はいる筈なのだ。凌馬は、グラスホッパーのメンバーが膨れ上がった事を契機に、 犬養にユグドラシルタワーと密接に関係しているある四人を、グラスホッパーのメンバーを監視役にして、調べ上げて欲しいと頼んだのだ。 その結果が、今犬養から手渡された書類だ。結果は、四人とも、このゴッサムに招かれていた。だから、ウンザリしていたのである。 調査書の人物は全て、生前の戦極凌馬と縁のあった者達だ。 『呉島貴虎』。彼はゴッサムシティのユグドラシルタワーでも、研究主任と言う栄えある立場の住人だった。本社の前で瞠らせていれば、直に見つかった。 『シド』。元いた世界ではロシュオに殺されたそうだが、彼はこの世界ではユグドラシルの営業職として働いているらしい。 『湊耀子』。元の世界では凌馬の秘書であったが、彼女が此処で何をしているかは解らない。何れにせよ要警戒だ、生前は、凌馬を殺した相手に鞍替えした女性なのだから。 『呉島光実』。貴虎の弟だ。これはゴッサムでも立場は変わらないらしい。彼はゴッサム内の高校に通っているグラスホッパーのメンバーに頼んだら見つかった。 この少年は特に要警戒だ。NPCになっても喰えない、或いは、油断のならない少年になっている可能性は十二分に認められる。 以上四名。再現されたNPCである、と言う可能性は、確かに認められる。 しかし凌馬はそうは思わない。もしかしたらその可能性はありうるだろうが、警戒をしておくに越した事はないのだから。 「彼らは君と同じような、戦極ドライバーや、ゲネシスドライバーと言う奴で戦う事が出来るのだろう? サーヴァントなのかい?」 犬養が訊ねて来た。ノンノンノン、と言いながら、凌馬は人差し指を左右に振った。 「サーヴァントだったらユグドラシルや学校に通うよりも私みたいにこう言う場所に閉じこもって居たり、霊体化していた方が得策だ。彼らは十中八九、君みたいなマスターだろう」 「――で、私がそんな彼らに対抗する為に制作したのが、これだ」、そう言って凌馬は、机の上においてあったリモコンを手に持って犬養に見せつけた。 「何だか解るかい、これが」 「何となくは、ね」 「ほう、当ててごらん」 「もしも僕が君のような技術力と発想力を持っていたら、アーマードライダーが牙をむいた時の為に、保険を用意するよ。 例えば、戦極ドライバーやゲネシスドライバーとか言う物を破壊する為の、ね。君の持っているリモコンは、そう言うものだろう」 「正解」 ニコッと笑って、凌馬は犬養のベルトのバックル辺りに指を指示した。 「これは通称、『キルプロセス』、って言ってね。早い話が君の言った通りだ。ゲネシスドライバーをピンポイントで破壊させて、アーマードライダーに変身させない為の装置だ」 「戦極ドライバーには必要ないのかい? その、キルプロセスは」 「必要がないよ。戦極ドライバーとゲネシスドライバーには天地ほどのスペック差があるからね」 「……いや」、そう言うや、少し悔しそうな顔で凌馬は訂正の準備にかかった。 「正確に言えば、先に上げた四人が持ち込んでいるであろう戦極ドライバーのキルプロセスは、作れないと言うべきか。自壊装置を組み込んでないからね。 私がキャスターとして呼ばれた時以降に作った戦極ドライバーには、全てキルプロセスを仕込んであるが、それ以前に……つまり、生前開発したドライバーには組み込んでいない」 「その口ぶりだと、戦極ドライバーのキルプロセスも、作りたかったみたいだね」 「それはそうさ。今回の戦いは聖杯戦争だからね。書類の四人の内、戦極ドライバーも保険で持っていると思しき人間は、呉島兄弟だ。これは問題ない、私が倒せる。 だが、この二名の内誰かが、『サーヴァントを従えていたら』。これが問題だ。そうなってしまうと私は『戦極ドライバーのアーマードライダーとサーヴァントの二人を』相手にしなければならなくなる。どうなるか解るだろう?」 「当然、サーヴァントの相手はサーヴァントがする事になるだろう。従って僕の方には、『戦極ドライバーで変身したアーマードライダーが向かって来る』。勝ち目がない」 「君は実に聡明だ、マスター。そう言った事態を防ぐ為に、戦極ドライバー用のキルプロセスも用意しておきたかったと、臍をかんでいるのさ」 理に叶っている。凌馬の言う通りだ。ゲネシスドライバーを装備したアーマードライダーならば、戦極ドライバーを装備した者に負ける道理はない。 ましてや今の凌馬はサーヴァントだ、なおの事だろう。しかしこれも彼の言う通り、戦極ドライバーの装備者がサーヴァントを従えていたら? 犬養は戦闘の素養が全くない。相手は必然的に、従えるサーヴァントを凌馬にぶつけ、自分は犬養に向かうと言う戦法を取るだろう。こうなったらアウトだ。 だからこその、戦極ドライバー用のキルプロセス。尤もらしい理由だった。 「……それと、もう一つ。これはあまり言いたくないんだが……」 凌馬は左手の中指を立てた。思い出すのも癪だ、とでも言いたそうな表情だ。 常に不敵な笑みを浮かべている彼にしては珍しく、苦虫でも噛み潰したような渋い顔を浮かべている。 「実は僕、生前、戦極ドライバーを装備して戦った者に殺されてね……」 「ん? ゲネシスドライバーは確か……」 「おっと勘違いしないで欲しい。其処の所は覆らない。何と言うべきか……相手が、私の予想を上回る……進化、と言うべき現象を起こしてね。それに敗れたんだ……」 腸の煮えくり返る様な表情、と言うのはきっと今の凌馬が浮かべている表情の事を指すのであろう。 歯を食いしばり、生前の事を思い出しているに違いない。犬養には、凌馬が何に腹を立てているのか解らない。 まさか知る訳もないだろう。彼が腹を立てているのが、生前自分が殺されてしまった事に対する悔しさではなく、自らを殺した駆紋戒斗が、自分の手がけたドライバーを経ずに新たなステージへと進んでしまったと言う事実に憤っているなど 一息、呼吸をしてから、凌馬はリラックス。その後、口を開いた。 「科学者である私がこんな事を言うのも馬鹿げているが、まぁ、不吉なんだよ。戦極ドライバーはね。憂いの要素は、潰して置きたかった」 腰を下ろしていたチェアの背もたれに、深々と寄りかかりながら、凌馬は口にする。 大分、腹腔に蟠っていた怒りやら不満やらが薄れて来たらしい。口調もいつも通りのものに戻っていた。 「キャスター、実は僕が聞いておきたいのはその戦極ドライバーの事でね」 「知識欲旺盛だねマスター、何だい?」 「団員全員に行き渡らせて良いのかい?」 「……と、言うと?」 凌馬の瞳に、怪訝の光が宿り始めた。敵と対峙した時のような鋭さが、その黒瞳で光っている。 「君の戦極ドライバーを見て思ったのだ。実際、あれは相当に素晴らしい発明だ。それは解る、だが、奪われた時が問題だろう」 「……あぁ、そう言う事か」 犬養の考える懸念を即座に理解した。ユグドラシルに在籍していた時も、そう言った問題提起は行われていた。 そしてその問題は、当の昔にクリアーされている。手抜かりはなかった。 「マスターは、ギャングやマフィア、敵対する聖杯戦争参加者に、私の研究成果が逆に利用されるのではないか、そう思っているね?」 「そう思うのが、普通だと思うのだが」 「君は正しい事を言っている。だがこれも問題はない。戦極ドライバーは、最初に装備した者にしか扱えない。転用は不可能だ」 「ゲネシスドライバーは、如何なんだい」 「元々は転用出来る物だったが、今回制作する奴は、転用が出来ないようにするつもりだ。手違いで参加者に流れてしまったら拙いからね」 犬養の憂いはさしあたっては問題ない、と言う所らしい。 「――だが」、と。不安にするような一言を凌馬は口にする。補足があるらしかった。 「例外は存在するかもしれない。例えば私のように、キャスタークラスが他に召喚されていた場合だ。 私の傑作とも言える戦極ドライバーやゲネシスドライバーを、何らかの手段で改造され、キルプロセスも抜かれ、転用して来るサーヴァントがいるかもしれない。 無論、セキュリティは私以外には理解出来ないブラックボックスにしたつもりだが……例外は何時だって存在する。そうなってしまえば流石にお手上げだ」 「それは、仕方がないのではないか?」 「そうだ、そう言うエラーは仕方がない。だが、なるべくなら排除しておきたい。解析されるにしても、精々戦極ドライバーまでだ。 それより上のゲネシスドライバーを逆に解析され、転用されてしまう事だけは避けたい事態だ。だからこそ――『君専用のゲネシスドライバー』が必要になるんだよ、マスター」 ニヤリ、と口の端を吊り上げて凌馬が言った。 飽くなき研究欲求だけが全ての衝動のような男だったが、よもやマスターまでも巻き込もうとするとは。呆れた男だと、犬養は思った。 「くどいようだが、何事も絶対はない。ある人物のつけていたゲネシスドライバーを奪い、これを利用して戦った少年を、私は知っているのだよ。 セキュリティは万全に整えるが、私の世紀の発明がマスターに牙を向く事だって、なくはないのさ。 それに、さっきも言ったが、私がゴッサムシティに私が呼び出される以前に開発した戦極ドライバー所持者がサーヴァントを従えていたら、これは非常に拙いんだ。だからマスターも、戦う準備はしておいて欲しい」 「僕すらも、戦闘データーの一つにする気かい? キャスター」 「当たり前だろう?」 大げさに手を広げて、凌馬が言った。全く悪びれもなく、隠し通さず。彼は当然のように言って退けた。 「私がそう言う人物だと言う事は、おおよそ解っていただろうマスター。とは言え、安心したまえ。私がマスターに退場して貰いたくないと言うのは真心だ」 「聖杯が欲しいから死んで貰うのは困る、では?」 「アッハ!! 鋭い鋭い、貴虎も君ぐらい私と言う人間を理解出来ていれば、馬鹿な目を見ずに済んだんだが……」 パンパンと手を打ち鳴らし、実に愉快そうな口ぶりで凌馬はいけしゃあしゃあと口にする。 解っていた事だが、食えない男だと犬養は改めて戦極凌馬を認識した。これは、目を離す事が出来ない。常に手綱を握っておかねば、拙い人物だと再認させて貰った。 「私の下心が如何あれ、君に死んで貰いたくないのは事実だ、マスター。君が死ねば私もその時点でデッド、だからね。 私が現状で作製出来る、最良のゲネシスドライバーとロックシードを約束しよう。とは言え、科学者と言うのは常に進歩し、新たな着想を得なければいけない人種。 特に特別な君に、いつも通りのドライバーとロックシードでは進歩がないだろう、と思ってね。其処で、君に意見を仰ぎたい」 「意見、かい? 何だいそれは」 「犬養舜二専用ゲネシスドライバー案さ、君に意見を求めるのは当然だ。作業は酷く難航していたんだが……以前、ゴッサムのテレビ局で放映していた番組を見て着想を得てね。 おっと、実は後三十秒程で始まるんだ。とっくりと見て行くと良い、マスター」 言って凌馬は、テレビリモコンで液晶テレビの電源をオン。 チャンネルを回し、その番組が放映されるチャンネルに合わせる。それと同時に、時刻が午前八時に変わった。 ――このゴッサムには似ても似つかない様な小鼓の音が先ず、スィートルームにこだまする。 映画もダイナミックに見れるであろう大画面液晶テレビに相応しい、これまた大きなスピーカーから、その音は響き渡っていた。 見よ!! 毛穴は愚か、化粧の肌理すらクッキリと映る程の解像度の液晶内で、自らの身長程もある朱槍を振り回す、全身白一色に塗りたくった、江戸時代の大名――いや、殿様めいた姿の男を!! キレのあるアクション!! 次々と薙ぎ倒される斬られ役!! 和風の楽器と洋風の楽器が奏でる、血肉湧き躍るようなオープニングテーマ!! 嗚呼!! 全てが全て絶妙なバランスで成り立つ、この特撮番組は何なのだろうか!! 「……キャスター、これはなんだね」 犬養は先ず、自らが引き当てたサーヴァントである、戦極凌馬に問を投げ掛けた。犬養は呆然としていたが、凌馬は食い入るように番組を見つめていた。 「大江戸戦士トノサマン」 即答した。 「日本の英都撮影所と言う所で考案された特撮らしい。日本での人気はうなぎのぼりで人気シリーズ化、今では海外でも時期遅れで放映されるに至ったらしい」 求めてもいないのに、補足まで加えて来た。 「……戦極ドライバーのテストの時も思ってたが、『一撃!! インザシャドウ!!』って言う掛け声や、ドライバー、アーマードライダーのデザイン、って……」 「私の趣味だ。素晴らしい美学だろう。生前も評判だったよ」 良い笑顔を犬養に向けながら、凌馬は当たり前の事を口にするみたいに返事をした。 液晶内でトノサマンとやらが、大立ち回りを繰り広げている光景を目の当たりにしながら、犬養は口を開く。 「……これと、僕のゲネシスドライバーとの関連性はあるのかな」 聞くのが怖いが、聞かないでは済ませられないだろう。 尤も……聡明な犬養には、これから凌馬が口にするだろう事柄を、何となく理解していたが。 「この特撮番組の監督は、顔は見た事ないが、私と同じ優れたセンスを持っているに違いない。私と同じようなセンスの持ち主……有体に言えば、天才だ。顔も知らないこの監督に敬意を払い、私は彼のアイデアを借り受けたい」 「つ・ま・り、だ」。此処で大江戸戦士トノサマンのOPが終わり、スポンサー紹介の場面に映った。 「君には私が開発した中で最も優れた性能を持ち、それでいて、私が過去手がけた中でも一番新しいデザインのアーマードライダーになれる権利があるんだよ。それこそが、この大江戸戦士トノサマンの――」 「キャスター、君が以前僕に話した、生前開発したエナジーロックシードと言う奴の種類を纏めた資料があったね。あの中から選んでも良いかな」 心底不機嫌そうな表情と態度で、戦極凌馬は手近な机をパーンと叩いた。机の上に乗っていたミネラルウォーターの入ったペットボトルがぐらぐらと揺れる。 CMが終わり、トノサマン本編が始まる。今日は十五話であるらしかった。 . 【MID TOWN WEST SIDE/1日目 午前】 【キャスター(戦極凌馬)@仮面ライダー鎧武】 [状態]健康 [装備]ゲネシスドライバー [道具]レモンエナジーアームズ [所持金]マスターの犬養に依存 [思考・状況] 基本:聖杯が欲しい 1. ゲネシスドライバーの制作に取りかかってみるか 2. マスターには死んで貰っては困る。専用にチューンアップしたゲネシスドライバーを装備して貰う [備考] ※キルプロセスの開発を終えています。召喚された時以降に制作した戦極ドライバーにもキルプロセスは仕込んでいますが、生前開発したものについては仕込まれていません ※犬養専用のゲネシスドライバーを制作しようとしています。性能はもしかしたら、斬月・真よりも上になるかもしれません ※ゴッサムシティに生前関わり合いの深かった人物四人(呉島兄弟、シド、湊)がいる事を認識しております。誰が聖杯戦争参加者なのかは解っていません ※召喚されて以降に開発した戦極・ゲネシスドライバー双方は、イニシャライズ機能がついており、転用が不可能になっています。もしかしたらキャスタークラスなら、逆に解析して転用が出来るようになるかも知れません ※主だったグラスホッパー団員達には既に戦極ドライバーが行き渡っています ※トノサマンモチーフのアーマードライダーが作れなくて残念そうです 【犬養舜二@魔王 JUVENILE REMIX】 [状態]健康 [令呪]残り三画 [装備]スーツ [道具] [所持金]大量に有していると思われる [思考・状況] 基本:聖杯戦争と言う試練を乗り越える 1. 解っていたが、凌馬は油断できない 2. あと、趣味が悪いのかも知れない [備考] ※凌馬からゲネシスドライバーを制作して貰う予定です。これについては、異論はないです ※原作に登場したエナジーロックシードから選ばれるかもしれません。何が選ばれるかは、後続の書き手様に一任します ※もしかしたら、自分達が聖杯戦争参加者であると睨まれているのが解っているかもしれません ※凌馬が提起した、凌馬と生前かかわりのあった四人を警戒する予定です ※キルプロセスについての知識を得ました BACK NEXT 009 BLACK ONYX 投下順 011 虚無と歌姫 時系列順 BACK 登場キャラ NEXT 000 Lights,Camera,Action! 犬養舜二 017 魔術師と科学者 キャスター(戦極凌馬)
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チャ・テヒョン、ナルシャがMBC 単発ドラマ「4TEEN」に出演する。MBCドラマフェスティバルを通じて2部作として放映される「4TEEN」は、「女王の教室」を通じて演技力を認められた子役俳優チョン・ボグンがヨンフン役を引き受けて熱演する予定だ。チャ・テヒョンは大人になったヨンフン役で特別出演した。「奇皇后 DVD」で熱演したユ・イニョン、演技アイドルとしても活躍中のガールズグループBrown Eyed Girlsのナルシャも出演する。「コーヒープリンス 1号店」「ゴールデンタイム」などを演出してスターPDに浮上したイ・ユンジョンPDが独特の感覚的な演出を披露する予定だ。 「4TEEN」は作家・石田衣良の小説「4TEEN」を原作に脚色した作品だ。直木賞受賞作で10代の若者達の話を愉快ながらもしっかりと描き出して好評を博した小説。「4TEEN」は14歳の少年たちを全面に立て、それぞれ悩みを持つ若者達が世の中とぶつかりながら経験するエピソードを描く。1部は韓国で10月19日、夜12時5分より放送される。
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#7(2008.05.19) 1.Rocky Sharpe The Replays『Rama Lama Ding Dong』 2.THE RASCALS 『Good laving』 3.水樹奈々『MASSIVE WONDERS』(J1愛媛) 4.Shirley And Lee 『Let Good Times Roll』 5.The Blues Brothers『Jailhouse Rock(監獄ロック)』
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/11828.html
このページはこちらに移転しました 入院GIRL 作詞/しゅび 入院GIRL 作曲/音羽 青空遮る灰の街 私は羽の折れた蝶 今日も箱庭の中から アナタの世界を想うの 今すぐ飛び出せたら 私は羽の折れた蝶 今日も箱庭の窓から アナタの世界を見てるの もう一人では飛べないの 待ちきれないよ この暗く狭い部屋から 連れ去ってアナタの手で 私囚われ 入院 girl 裏と表の bilingual アナタのせいよ Fall in love 迎えに来てね shall me dance? oh Yeah... 私囚われ 入院 girl 裏と表の bilingual アナタのせいよ Fall in love 迎えに来てね shall me dance? oh Yeah... 音源 入院GIRL 入院GIRL(歌:しゅぴ)