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クリフトとアリーナへの想いはPart.9 818 名前 737  Mail sage 投稿日 2009/03/20(金) 02 58 44 ID XdA0jXSi0 【アイデンティティ】 勇者は宿のベッドに寝そべり、暗闇の中、目を開けて佇んでいた。 今日、魔族の皇子ピサロが仲間になった。 あの宿敵“デスピサロ”だった男だ。 あいつは俺の父さんと母さん、シンシア、 それに村の人たちを皆殺しにした男だ。 恋人を殺されて修羅に堕ちたという 同情の余地があるのは分かる。 でも、俺にとってはただの憎き殺人鬼でしかない。 マーニャとアリーナとトルネコは親しげに話しかけていたけど・・・。 正直、俺はあいつを仲間としてわだかまりなく接する自信はない。 月明かりが部屋に射し込み、ぼうっと部屋の中が見える。 宿の大部屋にはライアン、トルネコ、ブライ、クリフトと 自分の5人が泊まっている。ピサロは別の部屋だ。 トルネコのいびきが部屋に響いていた。 (やれやれ・・・今夜は眠れそうにないな。) 隣のベッドでクリフトが何度も寝返りをしている。 「・・・クリフト?もしかして起きてるのか?」 「あ!・・・・はい。」クリフトは上半身を起こした。 「少し外で話さないか?」 勇者とクリフトは寝巻きのまま外へ出た。 クリフトは神官服に着替えようとしていたが、 煩わしいので無理矢理そのままの姿でひっぱり出した。 クリフトは周りをキョロキョロ見回している。 「何?」勇者は尋ねる。 「あ、いえ。こんな はしたない姿を姫様に見られやしないかと・・・。」 「プッ。お前、いっつもアリーナのことで頭がいっぱいなんだな。」 クリフトの顔が赤くなる。 「そうですともっ!!私は姫様をお守りするために旅をしているんです!」 しかし途端にクリフトの顔が暗くなる。 「でも、もう私は必要ないかもしれない・・・・。」 「え、なんで?」 「あのピサロという男!ベホマにベホマラーにザオリクに、それにザラキの上位呪文の ザラキーマまで使えるんです!もう私のいる意味がありません・・・・!!」 クリフトは頭を抱えてうつむいてしまった。 「お、おい、そんなことないだろ?ほら、いくらピサロがザラキーマ使えたって、 お前のザラキほど唱えてくれないよ!」 「いささか言葉にトゲを感じるのですが。」 クリフトはこういう時はやけに鋭い。 「いやいや!お前がいなかったらアリーナは誰が守るんだよ。 ピサロはお前みたいに、誰よりも何よりも最優先にアリーナを援護なんかしないぞ!」 クリフトは顔をあげた。 「そうでしょうか?」 「そうだよ。アリーナはイノシシみたいに敵陣に突っ込むしか策がないんだから、 お前が守ってやらなきゃダメだよ!」 クリフトの顔がパッと明るくなった。 「ありがとうございますっ!!勇者さんに話さなければ このまま一人で思い詰めているところでした!」 「・・・・もしかして、お前の眠れなかった理由ってそれなの?」 「はい。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・。」 なんて単純なんだ。 オレが悩んでるのがバカバカしくなる。 ―――ピサロは黒幕を倒すまで共に戦うと誓ってくれた。 あれこれ深く考えず、とりあえず信じてみてもいいのかもしれない。 「勇者さん?」 「・・・なんか、お前に癒されたよ。」 勇者は目を細め微笑んだ。 「さ、もう帰って寝ようぜ!トルネコのイビキが止んでたらいいんだけど。」 《おわり》
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2012年03月31日(土)広島県・広島グリーンアリーナ OPEN/START 17 00/18 00 キリンチューハイ 氷結 Presents Perfume 3rd Tour「JPN」 http //www.perfume-web.jp/cam/JPN/ セットリスト: 01.The Opening 02.レーザービーム(アルバムver.) 03.VOICE 04.エレクトロ・ワールド 05.ワンルーム・ディスコ ―MC― 06.Have a Stroll 07.時の針 08.微かなカオリ 09.スパイス 10.JPNスペシャル(仮) (music by 中田ヤスタカ) (着替え曲) 11.GLITTER(アルバムver.) 12.Perfumeメドレー シークレットシークレット(イントロ) 不自然なガール Take me Take me Baby cruising Love 575 love the world I still love U シークレットシークレット(アウトロ) 13.ポリリズム ―MC―(P.T.A.のコーナー) ※「Body Soul」 14.FAKE IT 15.ねぇ 16.ジェニーはご機嫌ななめ 17.チョコレイト・ディスコ 18.MY COLOR アンコール E01.Dream Fighter E02.心のスポーツ
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クリフトとアリーナの想いは Part4.2 458 :煩悩神官が現れた! ◆cbox66Yxk6 :2006/03/06(月) 13 15 41 ID 7yxjRVWR0 岬のお告げ所。そこにはかつて予言の力を持つ神秘的な女性がいた。 だが、先の戦いでその女性も失われ、多くの人の悲哀を誘った。予言の力を失ったお告げ所は衰退の一途を辿っていたが、突如現れた謎の物体によってその運命は変わろうとしていた。 広がった噂の中で密かにささやかれるその名前は、「パンドラボックス」―――運命の櫃――― と呼ばれていた。 「家に俺の居場所がないんです。だからつい浮気を・・・」 あなた、アホですか。そんなことするから居場所がなくなるのでしょう! 「浮気相手に貢ぐお金で、奥さんに何か買ってあげなさい。さすれば、居場所は確保できるでしょう。居心地のよい空間は自分で作り出すものです」 「パンドラ様、助けてください~。ギャンブルにはまってしまって抜け出せません~」 人生転落コースですね。なんと愚かな・・・。 「労働時間を3倍にしてみなさい。賭け事に向ける情熱を労働に。さすれば、賃金も3倍up人生薔薇色です」 「おれ、女にもてないんですよ。どうしたらいいんですか?」 あなた、来るところ、間違っています。そんなだから、もてないんですよ。 「身だしなみを整えて心機一転してみなさい。人とのお付き合いは、その広さよりも深さを求めるべきです。さすれば、運命の人に出会えるでしょう」 「パンドラ様・・・(以下略)」 クリフトはため息をついた。 (私は一体、何をしているのでしょう) 事の発端は1ヶ月前、神官長様直々のお呼出しに何事かと緊張して赴くと、神官長様はいつもの得体の知れない微笑を浮かべられ、こう告げられた。 「岬のお告げ所で、人々のために奉仕しなさい」 内容としては真っ当だった。しかし、その背後に用意されていた物体を見て、いやな予感がしたのも確かだった。 「やってくれますよね」 有無を言わさぬ押しの強さで、気がつくとここにいた。 ここ・・・そう、パンドラボックスと名づけられた箱の中に。 そして、毎日毎日、楽しくもない愚痴を聞いてはアドバイスを繰り返す。 悩み事相談も神官の務めだ。それはわかっている。しかし、どうしてこんな箱に入らなくてはならないのか、意図がわからない。 クリフトは、人がいなくなるのを確認すると、ボックスの蓋に手をかけた。 (やってられるか!) 憤りもあらわに立ち上がろうとすると、お告げ所の扉が静かに開き、女性が一人入ってきた。 慌てて蓋を閉めると、前面のマジックガラスを通してその人物を見た。 クリフトは絶句した。 (ひ、姫様?) 柔らかな赤毛、緋色の瞳。間違いなく、アリーナだった。 アリーナはきょろきょろと辺りを見回し、誰もいないことを確かめると、箱の前に来てちょこんと座った。 (姫様にも、悩み事が?) ぜんぜん気がつかなかった。いつも元気で、そんなそぶりを見たことがなかった。 クリフトは若干のショックを受けつつも、座りなおす。なぜか正座をしてしまうのが自分でもおかしかった。 「あの、パンドラ様」 ガラスをはさんだすぐ側でアリーナも正座している。これではまるでお見合いみたいだ。 クリフトはアリーナの声に耳を傾けながら、少し赤面する。 1ヶ月ぶりに会う彼女は、ちょっと大人になったように感じた。どこがというわけではないが、なんとなく。 「あの、パンドラ様。わたし悩みがあるんです」 その声がクリフトを現実に引き戻す。 少し言いにくそうにしているのは、悩みが深いからだろうか? 心配になり少し身を乗り出すと、アリーナが意を決したように話し始めた。 「実は、私の好きな人が最近よそよそしくて、もしかしたら、愛想をつかされたのかなって」 クリフトは言葉が出なかった。 思い返せばここ1ヶ月、忙しすぎて帰ることが出来なかったのは確かだ。それが彼女を悩ませる原因だったとは・・・。 (姫様・・・すみません) クリフトは心の中で謝りながらも、ちょっとあたたかい気分になった。 不謹慎かもしれないが、嬉しかった。 クリフトが口を開こうとした時、アリーナがきっと前を見据えて言い放った。 「確かに私は『貧乳』だけど、あんまりだと思うわ!!」 (なんですと?) あまりの衝撃にクリフトが二の句をつなげないでいると、アリーナは怒涛のごとく話し始めた。 「彼、ここ一ヶ月まともに戻ってこないの。仕事だっていうから、どんな?って聞いたけど、 口を濁して話してくれないし。気になって、神官長に尋ねてみたら、赴任先がモンバーバラだっていうじゃない!モンバーバラっていったら例のお店があるところよね。きっと、クリフトは、そこに入り浸っているのよ!!」 一気にまくし立てて疲れたのか、一息つくと今度は少し声のトーンを落とした。 「それで、悩んで、モンバーバラにいる友人に相談したら、ここのことを教えてくれて。 私、少しでも胸を大きくしたいんです」 真摯なまなざし。クリフトは頭がくらくらした。何をどういったらよいかわからず、泣きたい気分になる。 しばしの沈黙の後、アリーナはおもむろに立ち上がると、胸元からなにやら取り出した。 「マーニャさんが言っていたの。その、パンドラ様の蓋を少しずらして、中を見ないようにこれをいれると願いが叶うって。パンドラ様、お願いします!」 ひらりと、白い物体がクリフトの顔に落ちてきた。ほのかにあたたかく柔らかな手触り。 アリーナは再度、お願いしますと呟くと、顔を赤くして走り去っていった。 扉が閉まる音で我に返り、クリフトは手の中にある白い物体を見つめた。 ほのかにあたたかくて柔らかなそれは、アリーナの・・・。 それが何であるか悟った瞬間、クリフトは声にならない叫びを上げた。 それから数分後、次の訪問者がやってきて、パンドラ様の異変に気づく。 「きゃぁぁぁぁぁ~、パンドラ様が、血の涙を流してる~」 この噂は瞬く間に広がった。 そして、つまらないことでパンドラ様の心を悩ませてしまったと、人々は深く反省し、 その後まじめに働き、幸せな人生を送ったという。 「クリフト・・・情けないわね」 お告げ所の中を見て、マーニャが眉間にしわを寄せる。 「せっかく、一生懸命に働いたご褒美をあげたというのに」 残念そうに話すのは、初老の男性。サントハイムの神官長だ。 「姉さん、やりすぎはよくないっていったでしょ!」 一番良識派のミネアは、赤く染まった箱を見つめ頭を抱える。 「ごめんなさい、クリフトさん」 こうしてクリフトのお告げ所勤務は幕を下ろした。 「ねぇ、ねぇ、クリフト~」 お告げ所から戻って1ヶ月。煩悩との戦いに全精神力を使い果たしたクリフトは少しやつれていた。 「なんでしょう、姫様」 顔に血液が集まるのを阻止すべく、頭の中で繰り返す。 平常心、平常心、平常心。 そんなクリフトの悩みをよそに、今日も元気なアリーナがクリフトの手を掴む。 「ね、少し成長したと思わない?」 手に当たる柔らかな感触・・・。 「きっと、パンドラ様のご利益ね」 無邪気に笑い、手を振り走り去る。 この日、大量に血を流し倒れているクリフトが発見された。 世界を救うほどの腕前を持つ神官を誰がこのような目に合わせたのか。 人々は口々にこう言い、そして口を噤んだ。 「世の中、知らない方がいいこともあるのです」 それがサントハイムの人々が出した結論である。 (終)
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クリフトとアリーナの想いは Part4.2 722 :【桜!すっぽんぽん祭り】1/6 ◆cbox66Yxk6 :2006/03/28(火) 16 42 02 ID 5LzM1dQp0 事の起こりは一通の手紙から。 「よう、みんな来てくれたんだな」 ソロから呼び出された旅の面々は、アネイルの町へやってきていた。 「ねぇ、ソロ。どこでお花見するの?」 アネイルといえば温泉地。お花見も楽しみだが、温泉もまたみなの心をひきつけていた。 そんなアリーナの質問に、ソロは嬉しそうに答えた。 「温泉に浸かりながら花見酒。一石二鳥だろ」 「温泉?じゃ、男女別々なの?」 つまんないな、とぼやくアリーナ。 ソロはにんまりと笑うと、同じようにがっかりしているクリフトの肩に手を置いた。 「ま、それはついてのお楽しみって事で」 そう言い置くと、楽しげに温泉に向かう。 他のメンバーは狐につままれたような顔をしていたが、とりあえずソロの後に従った。 「なるほど、混浴ね」 ピンクのレオタードに身を包んだマーニャが杯をあおりながら笑った。 「なー、いいだろ。こういうのも」 そういうソロの腰には少し長めのタオルが巻かれている。 「ですが、どうして男性はタオルだけなんです?」 水着でも用意すればいいのに。 少し不満げに言うクリフトに、ソロがにやりと笑う。 「まー、そういうなって。結局はさ、裾が乱れるほど飲まなきゃいいって事だろ」 ソロの言葉にマーニャが挑発する。 「あら、それじゃ、あまり楽しくないわね」 呑みすぎはともかく、それなりには呑んでよね。 マーニャはそういうや否や、ソロに酒を注ぐ。 「さ、ぐっといってもらいましょうか」 飲ませ上手のマーニャ。うまくのせられて飲まされているソロを横目に、クリフトは視線を上に向けた。 混浴という趣向はともかく、温泉に浸かりながらお花見というのは贅沢な気分になれる。 はらりはらりと舞い落ちる桜の花びらが湯に浮かび、夜空には綺麗な三日月。 クリフトはほうっとため息を漏らすと、手にしていた杯を干した。 「おぉ、クリフト、いい飲みっぷりじゃな」 酒、女、温泉と好物目白押しで上機嫌のブライが、さりげなく酒を注ぎ足す。 「あ、すみません」 クリフトが恐縮すると、ブライは呵呵と笑った。 「何を畏まっとる。今日は無礼講じゃ。楽しめ楽しめ」 「そうよ、そうよ」 ブライの言葉尻に乗っかって、アリーナまでもがお酌にやってきた。 「ね、クリフト。飲んで」 にっこりと笑ってお銚子を差し出すアリーナに、クリフトは照れながらも杯を差し出す。 「あら、折角だから、全部飲んでから注ぎたいな」 クリフトは一瞬だけ躊躇したものの、アリーナのかわいらしさに負けて飲み干した。 「いいぞ、いいぞ~」 既にかなり酔いの回り始めたソロが、へらへらと笑いながら騒ぐ。 「ソロさん、飲みすぎですよ」 そう注意したクリフトだったが、周りを見渡して唖然とした。 ミネアと飲み比べをしていたライアンとトルネコがかなり。マーニャは温泉に浸かっているということを忘れて、いつものように速いペースで飲んだせいで少し良いが回り始め ているようである。そして、さきほどまで元気だったブライも、興奮状態が祟ったのか、こくり、こくりと舟をこぎ始めている。 いくらなんでも、ペースが速すぎる! あわてて介護に向かおうとしたクリフトの肩を、思いがけず強い力が掴んだ。 「あら、クリフトさん。まだ、私のお酌を受けてませんよね」 いつもの雰囲気とは打って変わった色っぽいミネアが、うっとりするほど妖艶な笑みを浮かべて杯を差し出した。 「さぁ、飲んでください」 「え、あ、その、ミネアさん?」 あまりの豹変振りに驚いたクリフトが思わず顔を赤らめた。 「あ~、クリフト。美女のお酌とは隅に置けないわねぇ~」 マーニャが口笛を吹いて、囃し立てる。 アリーナはその様子にむっとして、ミネアと反対側のクリフトの横を陣取る。 「ねぇ、クリフト。私のお酌も受けてくれるよね」 万事休す。 逃げ道を失ったクリフトは、頭上に桜、両手に花の状態でこのあと延々と呑まされ続けることと なった。 どれほどの時間が経過したのだろうか。 燗がついてしまった面々の言動が徐々におかしくなり始めた。 そして悲劇は起こる。 「んもう、熱いわねぇ」 そう言ったミネアが急に立ち上がると、ピンクのレオタードを脱ぎ始めた。 「おお、ミネア、いい脱ぎっぷり!そんじゃ、私もすぱーんといこうか」 こちらも酔いの回ったマーニャが、妙にハイテンションな状態でレオタードを脱ぎ捨てた。 「ひょ~、いい眺め~」 自分が何を言っているのかもわかっていなさそうなソロが、それでもへらへら笑う。 そんなソロにマーニャとミネアが近づく。 「れでぇがぬいだってのに、なんであんたがぬがないのよ~」 ふたりして羽交い絞めにすると、ソロのタオルを剥ぎ取る。 「ぬわ~」 抵抗もむなしく大切な『良心』を奪われたソロが、情けない悲鳴を上げる。 「あら、まぁ」 「ふふ、かわいい」 悪魔の姉妹によって品定めをされてしまったソロは、よろよろと立ち上がると露天風呂の岩肌に 『の』の字を書き始めた。 「僕、もう、お婿にいけない・・・」 なんだか妙な展開を見せ始めた花見の宴に、クリフトは思わず息を呑んだ。 酔っ払ったモンバーバラの姉妹が、次々とタオルを剥いでゆく。 そしてその魔の手は、酔いが回ってふらふらしているアリーナへも伸びていた。 「ありーな、おんせんはね、ふくきてはいるものじゃないのよ~」 「そそ、はだかのつきあいってたいせつよ~」 眠そうに目をこすっていたアリーナがふたりの声に反応する。 「そうなの~」 じゃあ、クリフトも脱がないと~。 きゃはきゃは笑いながら、アリーナがレオタードに手をかける。 「ひ、ひめさま」 かろうじて残っていた理性でアリーナを守ろうとしていたクリフトは、次の瞬間、左右をモンバ ーバラの姉妹に抑えられてしまった。 「それ、ありーな、いまよ」 「ぬがしちゃえ、ぬがしちゃえ~」 「おっけ~」 レオタードを脱ぎ去ったアリーナがクリフトのタオルに手をかける。 「えぇ!あ、ひ、ひめさま、いけません、そんな~・・・」 悲しいかな、非力なクリフトは見事なまでに押さえ込まれてしまっている。 しかも、両腕に女性特有の柔らかな膨らみ。そして眼前には愛する人の裸体。 「☆※*▲×○◆~㊦!!!」 言葉にならない悲鳴が露天風呂に響き渡った。 午後11時。清掃のおばさんことジェシカおばさんはいつもどおり、露天風呂浴場に足を踏み入 れた。 「お~ぉ、今年も派手だねぇ」 毎年この時期になると、こういった光景は珍しいものではない。 ため息混じりに、酔いつぶれた面々を湯船から引っ張りあげ、女性陣にはバスタオルを、男性陣には桶をかぶせてゆく。 この道35年のジェシカおばさん、少々のことでは動じない神経を持ち合わせているようだ。 次々とかぶせられていく桶とタオル。そのジェシカおばさんが大変珍しいことに思わず手を止め てしまった。 「・・・収まるかねぇ」 桶と見比べて、嘆息する。 青い髪の美青年、見た目に似合わず何というか・・・。 ジェシカおばさんは柄にもなく頬を赤らめると、そっと桶をかぶせた。 「ひめさ・・・むにゃむにゃ」 青年の寝言と共に、桶が持ち上がった。 「おぉ!」 これにはさすがに驚いたジェシカおばさん。しばし硬直していたものの、そこはさすがのベテラン。 立ち直るや否や、何事もなかったかのように湯船を清掃し始めた。 モップの音、青年の寝言、そしてその度に上下する桶の音だけが、桜祭りの終わった露天風呂に 響き渡っていた。 ・・・こうしてアネイルの桜咲くすっぽんぽん祭り(事件?)は幕を閉じた。 (終)
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クリフトのアリーナへの想いはPart5 201 :【たき火をかこんで】1/3 ◆dVT/uH21fA :2006/05/12(金) 00 40 33 ID ePUPY0IW0 夕食も終り、たき火をかこんでの憩いのひととき。旅の中で、最もくつろぐことができる時間のうちのひとつと言えましょう。 今日の話題は、装備のこと。とは言っても、幸せの帽子のデザインがどうとか、水の羽衣の素材がどうとか。 神官として育った私には、正直言いまして勝手の分からない話題でしたので、薪の上ではぜる火を見ながら黙っておりました。 「ねえねえ、クリフト。」 ひそかにお慕い申し上げている姫様の、しかも近くからの声にびっくりして見上げると、姫様が私のすぐ前に立っておられました。 「その神官の帽子って、けっこうおしゃれだよね。」 私が狼狽していることには、幸いにもお気づきにならなかったのでしょう、姫様は無邪気に続けます。 「そうでしょうか。」 「うん。さりげなく下とあってるし。ちょっと貸して。」 私は立ち上がり、帽子を取って、姫様の指に己の手が触れないように細心の注意を払いながら、姫様にお渡ししました。 「うわっ、重い!」 「そうですね。布地を幾重にも重ねて、その上に、布地と同色の糸で刺繍がしてありますので。」 「ふーん。これで、よく肩凝りにならないね、クリフト。」 姫様は、帽子の中をのぞき込んでから、それをおかぶりになりました。 「うわっ?」 姫様のお頭が、眼のところまで、私の帽子の中にすっぽりと入っています。予期しない状況に不意をつかれたのか、帽子の重さのためなのか、姫様は完全にバランスを崩してしまわれました。 その後ろには、ぱちぱちとはぜるたき火。 「姫様申し訳ございません!」 と、私は、とっさに姫様の手首をつかんでしまいました。姫様がバランスを持ち直したら、すぐに手を放し、お頭から帽子を取るつもりでおりました。 荒野に止まる馬車。その脇で焚火が心地よい音をたてている。 その焚火を囲んでいたであろう面々は、地面に倒れているひとりの青年の上にかがみ込んでいた。 「この、たわけものが!」 と、白髪の老人。よくみると眼の端がそよいでいる。 「心臓発作かしら。」 と、艶然とした雰囲気をただよわせる女性。 「後頭部を打って脳震盪かも知れないわよ、姉さん。倒れるときに受け身がとれていなかったから。」 と、かっちりとした服装をした女性。 「しかし、アリーナ姫も、体勢を建て直す時間は十分あったのに、そのまま腕の中に倒れ込むとは。」 と、いかにも手だれの戦士然とした男性。 「これで俺たちも枕を高くして眠れるなっ!」 と、精悍かつ朴訥とした青年。 「いやー、残念ですが、姫の場合、まだまだ無意識の範囲でしょう。クリフト君の上から立ち上がる時の反応を見るに。」 と、どっぷりと太った男性。 「姫ー!」 と、先程の女性が、艶っぽい声を張り上げた。 「世界樹の葉、まあだー?」 「あったよー。」 ひとりの少女が、大きな帽子をきゅっと胸に抱きしめながら駆けてくる。
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クリフトとアリーナの想いは Part4.2 818 :【贖罪の先】1/8 ◆cbox66Yxk6 :2006/04/06(木) 19 28 48 ID mWxMTpXT0 「あんた、クリフトと仲いいわね~」 オネエサン、妬けちゃうわ。 何の気なしにからかったマーニャ。だが、アリーナの表情を見てただならぬものを感じた。 「クリフトとわたしは・・・そんなんじゃないわ」 そう言って俯いたアリーナは、ひどく寂しげであった。 「あ、クーリーフート。ちょうどよかった。ちょっと付き合ってよ」 教会帰りのクリフトの腕に絡み付いてきたのは、踊り子の服にショールを羽織っただけのマーニャだった。 「え、あ、ちょっとマーニャさん」 クリフトの抗議を無視して、そのまま酒場に引っ張っていく。 そして酒場のカウンターに無理矢理座らせると、自らもその横に腰掛ける。 「マスター」 適当に注文をすると、マーニャは訝しげにこちらを窺うクリフトににっこりと笑った。 「あんたに、ちょっと聞きたいことがあるんだ」 「あのさ、あんた、アリーナのこと嫌っているってホント?」 突然のマーニャの質問に少し目を瞠ったものの、クリフトはいつもの穏やかな雰囲気を崩すことなく微笑んだ。 「姫様から・・・お聞きになったのですか?」 心のうちを読ませない完璧な表情。人の心を読むのが得意なマーニャにとってもこういう相手は手強い。あいまいな表情は全てを包み隠してしまうから。 マーニャの挑発的な目とクリフトの穏やかな瞳が交錯した。 しばらくの間無言で見つめあっていたふたりだったが、ふと視線をはずすとクリフトはため息混じりに呟いた。 「そうですね。私は姫様が・・・嫌いでした」 マーニャの視線を避けるかのように、グラスの中の琥珀色の酒をあおる。 普段、これでもかというほどにアリーナに尽くしているクリフトを見慣れているマーニャにとって、この言葉は少し衝撃的であった。 「・・・意外ですか?私が姫様を嫌っていたということが」 マーニャの表情を読んだクリフトが、困ったように笑う。 マーニャは手にしていたグラスの中身を一気に飲み干した。 「まぁ、ねぇ。意外といえば意外よね。てっきりあんたは、昔っからアリーナにホの字だと思っていたから」 でも、過去のことなんでしょ? 言外に聞いてくるマーニャにクリフトはクスクスと笑う。 「えぇ。・・・考えても見てください。私と姫様が出会ったのは私が6歳、姫様が3歳の時ですよ。 その頃の姫様といったら、わがままで、生意気で、癇癪もちのとても扱いにくいお姫様でしたし。 私自身も子供でしたから」 そこで一度言葉を切ったクリフトは、マーニャに視線を向けちょっと思案する。 「マーニャさん、私と姫様が乳兄妹の関係にあるということは聞いたことがありますか?」 唐突な話題変換にも拘らず、マーニャは戸惑いもせず即答する。 「あぁ、ミントスで、ブライの爺さんから聞いたわ」 その答えにクリフトが頷く。 「何か、疑問をお持ちになったのでは?」 クリフトの鋭い指摘にマーニャは息を呑む。 そう、今回クリフトから聞き出そうとしていたのは、それがあったから。 本当は立ち入るべきではないと思う。ただ、ともに旅を続けていく上で、仲間内にわだかまりがあるのを良しとしないために、マーニャがその調整役を買って出たのだ。 マーニャが疑問に思ったこと、それは。 「あんたとアリーナって3つも離れているのよね」 マーニャの言葉にクリフトは珍しく心からの笑みを見せた。そして、マーニャに向き合うと正面から見つめた。 「よろしければ、私の話を聞いていただけますか?」 グラスの中の氷が、からんと音を立てる。 「私には妹がいました、3つ年下の」 クリフトの独白にマーニャは耳を傾ける。 「姫様がお生まれになった当時、サントハイムは現国王陛下に代替わりしたばかりで、政局的に不安定な時代でした。即位したばかりの国王陛下は、まだお若く、また王妃様も後ろ盾のしっかりした方とは言い難かったので、何かと問題が起こりまして」 乳母を捜すことすら難しかった。 有力貴族はこぞって自分の娘を国王に娶わせようとしていたため、王妃の生んだ子供は目障りだった。ましてや、その子供は病弱。しかも王妃は出産以降体調を崩していた。あえて、手助けせずとも、王妃と姫に何かがあれば・・・。野心を持つものたちにとって好機だった。 「ですから、私の父が母を乳母として送ったのです」 父と国王陛下はエンドールでの遊学中に知り合い、身分違いの恋に悩む父の背中を蹴り飛ばし・・・押して恋を成就させてくれるほどの仲だった。 「父は、私がこう言うのもなんですが、母にべたぼれだったので、乳母として送り出すことがとても辛かったようでした。なかなか会えなくなってしまいますからね。しかも、父は平民。 母は一応それなりの家柄の娘だったようですが、それでも宮廷内で孤立することはわかりきっていました」 「孤立・・・というよりは」 危険な立場になるってことじゃないの。 あとに続けようとした言葉をマーニャは思わず飲み込んだ。 クリフトがあまりに悲しげな瞳をしたからだ。 「そうです。母は姫様の乳母として登城し、私が6歳になった年に、何者かに殺害されました」 妹とともに・・・。 「母は、宮廷内の荒れように、王妃様と姫様に危険が迫っているのを感じ取っていたようでした。 そして、身代わりを申し出てそのまま・・・」 グラスを持つ手に力が入る。しばらく俯いていたクリフトだったが、胸のうちにたまった苦い思いを吐き出すかのようにため息をつくと、顔を上げた。 「母と妹の死を知らされた父と私は、王城へ向かいました。そして私は母と妹、そして姫様に対面しました」 冷たい骸になってしまった母と妹。その側でどうして起きないの!!と癇癪を起こしていた姫様。 「悪意あるささやきが私の耳に届きました。あの姫のせいでお前の母と妹は殺されたのだと」 そのときの私は、幼すぎて・・・。 唇を噛み締めたクリフト。 マーニャはその胸の内を思う。 奪われた母と妹。クリフトだってまだ母が恋しい年であったろうに。 「それからまもなくして、父が病を得て他界し、私は城へ引き取られることになりました」 姫様の乳兄妹として。 「毎日、毎日、私はサランの町の片隅に眠る父と母、そして妹の墓に足を運びました。本当なら姫様の乳兄妹としての役目があったのですが、私は果たす気になれなかった」 幼い足で毎日サランの町まで歩く。それだけがそのときのクリフトにとっての生き甲斐。 「そんなある日、姫様が私の後をついてきました。その憮然とした表情は、遊び相手として紹介されたにも拘らず、全然遊ぼうとしない私に腹を立てていたように見受けられました」 だから、私は、言いました。 「おまえなんか、だいっきらいだ!!ついてくるな!!」 かあさまといもうとを、かえせ!!! ふぅ、と息をついたのはクリフトだったのか、マーニャだったのか。 クリフトは片手で顔を覆うと、再び口を開いた。 「それから1年ほど、私はほとんど姫様と顔を合わすこともなく過ごしました。陛下もブライ様もそれを容認してくださいました。そして、ある日のことでした。私がいつものようにサランの墓に参った時のこと。私はそこに異変を感じました」 手摘みの花束。磨かれた墓石、雑草を取り除かれた敷地。 誰がしてくれたのだろう? 城に戻って、服を泥だらけにしたアリーナが叱られているのを見てクリフトは悟った。 姫様だったのだ、と。 「そのとき私は気づいたのです。姫様はあの時、私と遊ぼうとしていたのではなく、一緒に墓に行こうと・・・いえ、母と妹の居場所を知ろうとしていたのです。教えてほしかったのでしょう。 それなのに私は、心無い言葉を投げかけてしまった」 姫様を傷つけてしまった。 「私は、激しく後悔しました。辛かったのは私だけではなかったのに・・・。姫様のお優しい心を わかろうともせず・・・。姫様はわがままな王女でした。しかし、それは優しくないからではなく、どう振舞っていいのかがわからなかったのです」 マーニャがおいた新しいグラスに手を伸ばして、クリフトは微笑んだ。 「私は、それから、神学の道を歩み始めました。人の心を救うために。人の心を読み解くために」 それでも、とクリフトは言う。 「私は姫様が苦手でした。母と妹が犠牲になってまで守った人にしては、わがままで王女という 立場を軽んじていて。姫様が王女という身分を否定すればするほど、私は母と妹の犠牲がいたた まれなかったのです。ただ、それでも私は、姫様に仕えました。己がしてしまった行為の贖罪の ために・・・」 クリフトは天を仰いだ。 「私は贖罪のために姫様とともにありました。おそらく姫様もそれをご存知だったのでしょう ね」 ずっとずっと、私はそうして過ごしてきた。 黙って話を聞いていたマーニャがぽつりと呟いた。 「初めは・・・そうだったとしても。人間は変わるものよね」 それが何をさすのか、クリフトには判りかねたが、おそらくマーニャ自身の経験からでた言葉なのであろう。 ふと瞳を和ませたマーニャが、クリフトに笑いかけた。 「それで?いまは?」 いまはどうなのよ。 マーニャの言葉にクリフトはかすかに耳朶を赤くした。 「長い時を共に過ごすにつれ、私は姫様の本心に触れる機会を得ました。・・・姫様は、姫様が王女であることを否定していたのは、罪の意識からでした。自分が王女でなければ、あのような悲劇は起こらなかったのだと。ずっとご自分を否定されてきたのです。それを知った時、私は・・・」 この手で、小さな優しい姫様を守ろうと心に決めたのです。贖罪ではなく自分の意思で。 時には兄のように、時には家庭教師として、時には神官として、時には・・・。 黙りこくってしまったクリフトに、マーニャがグラスを差し出した。 「アリーナのこと、好きなのね?」 「はい」 思いがけず素直に言葉がでた。 そう、自分は・・・姫様を愛している。たぶん、男として・・・。 いつから気持ちが変わったのかはわからない。気がついたら目で追っていた。 贖罪などではない。決してない。それを否定しようとする自分もいる。だが。 「好きでもない女性のために命をはれるほど、私は立派な男ではありませんから」 臆面もなく言い切ったクリフトにマーニャは優しい微笑をおくると、ゆっくりと立ち上がった。 「そう。よかったわ」 ね、アリーナ。 続けられた言葉にクリフトが立ち上がる。 「え、あ、姫様!?」 カウンターの後ろの席にアリーナがいた。 綺麗な緋色の瞳にうっすらと涙が浮かんでいる。 「ま、そういうことみたいね。アリーナ、だからいったでしょ?人間はね、一度嫌いになったからといって一生そのままってことはないのよ」 その逆も然り、だけどね。 ほんの一瞬だけ辛そうな表情を見せたマーニャだったが、すぐにそれを打ち消すとクリフトの背中を押した。 「あんたの姫様はね、あんたが自分のことを嫌っているってずっと思い込んでいたのよ」 報われない想いなのだと、泣きながら語ったアリーナ。 自分は彼を好きになってはいけなかったのだと、好きになる権利すらないのだと。 普段の明るいアリーナからは考えられない言動。それほど、彼女は辛かったのだ。 「え、しかし、姫様が私を・・・などと、そんな畏れ多い・・・」 ここに来てしり込みするクリフトに、マーニャはため息をつく。 「あんた、さっき言ったじゃないか。好きでもない女性のために命なんてはれないって! アリーナはそれを実践したじゃない。ミントスで」 命がけでパデキアの種を探しに行ったアリーナ。半端な気持ちでできることじゃない。 「それが答えよ」 クリフトの顔に朱がさしこむ。 「私は一介の神官でしか・・・いえ、マーニャさん、ありがとうございます」 決然と顔を上げたクリフトは、己のうちで何かを乗り越えたように見えた。 それは、いままでただ思慮深さで大人っぽく見せていた彼が、正真正銘大人の男になった瞬間だったのかもしれない。 「じゃあね」 そう言ってマーニャは酒場を後にした。 酒場の扉を開けるとき、ちらりと目にしたふたりは不器用ながらも、一生懸命気持ちを伝え合っているようだった。 「姉さん」 酒場を出たところで、ミネアが声をかけてきた。 マーニャはそこにミネアがいることを知っていたのか。驚くそぶりも見せず笑った。 「いよいよ、明日ね」 ミネアの言葉にマーニャは頷く。 嫌いだったあの人。気障でいばりん坊で。 なのに・・・時折みせる不器用な優しさ。気がついたら好きになっていた。 そしていまは・・・。 「父さんの仇、絶対討つからね」 お堅いことは大っ嫌い。はすっぱなで移り気で。 「でも、あんたと私は少し似ているのかもね」 青い髪の不器用な青年。彼は乗り越えることができた。不安にさいなまれていたアリーナも彼の支えを得て、きっと壁を乗り越えていくだろう。 自分は・・・自分はあいつと対峙した時どうするのだろう。 憎しみに身を焦がすのか。それとも・・・。 心配げに見上げてくるミネアに微笑みかけると、マーニャはぐっと腹に力を入れた。 明日は、バルザックとの決戦。 (終)
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ペギー,◆e.sLpeggy2クリフトのアリーナの想いはPart12 425 名前 戦う理由 1/4 Mail sage 投稿日 2011/10/17(月) 23 53 41.96 ID 9GJ7VNi00 「クリフトー、稽古しようぜ、稽古。」 「またですか、あなたも元気ですね。」 クリフトは剣を振り回す俺を、苦笑しながら眺めた。 「たまにはライアンさんと練習したらどうです?」 自分の剣を取りに行きながらも尋ねてくるクリフトに、俺は首を振った。 「いや、ライアンさんの剣は重いから、体調万全じゃないとしんどい。」 「調子が悪い時は、私程度がちょうど良いと言うわけですか。」 クリフトは、ちょっと傷ついた顔をしたが、それでも剣を構えてくれた。 「ふぃーっ、疲れたーーー!!」 ひと通りの打ち合いを終えると、俺は、その場に座り込んだ。 「お疲れ様です。」 クリフトが笑いながら長剣を拭って鞘にしまう。 俺はクリフトを見上げた。 「お前、よくそんな長い剣使ってるよな。扱いづらくないか?」 前々から思っていたことだ。 しかしクリフトは、手に持った剣を眺めて首を傾げた。 「そうですか?…私は、初めて習ったのが長剣でしたから…。」 「へえ?珍しいな。」 普通は短めの剣から入るもんだけど。 と、クリフトが苦笑した。 「私が最初に習ったのは実戦ではなく、剣舞の方でしたので。」 「ああ、なるほど。」 以前アリーナから聞いたことがある。 神官は皆、神に納めるための剣舞を習うんだって。 「お祭りの日には飾りのついた長い剣を持って皆で舞うんだけど、 それがね、すっごい綺麗でカッコいいの!」 アリーナはそう言って目をキラキラさせていたっけ。 「そういわれると確かに、お前の剣の動きって舞みたいだよな。 何だかこう、流れるみたいで。」 俺は褒めたつもりだったんだけど、クリフトは嫌な顔をした。 「…まだ、そう見えますか?」 どうやらクリフトは、自分の剣が実戦向きでないと言われているように 感じているらしい。 「何だよ、別にいいじゃないか、動きは綺麗な方が。」 しかしクリフトは首を振った。 「剣舞のために習う剣技は、あくまでも舞であって 人を傷つけることがあってはならないんです。 切っ先で人を傷つけないように剣を引いてしまう癖を直すのに 随分苦労しました…もう克服したつもりだったんですが。」 「へぇ…。」 俺は、クリフトを見上げながら、ふと考えた。 神に捧げる技としてしか剣に触れたことのなかった神官。 サントハイムがあんなことになってなければ、こいつはきっと 戦いとは縁遠い場所に身を置いて一生を過ごしたに違いない。 俺は山奥で育ったせいか、魔物とやり合うのも日常茶飯事だった。 物心ついた頃には、短剣を握ってスライムとやり合っていたものだ。 でも、クリフトにはそういう攻撃的なニオイを全く感じない。 むしろ、こいつの能力は命を生かす方に発揮される類のものだ。 そんなこいつが、今のように平然と魔物を屠るようになるまでには、 きっと俺には想像もできないような葛藤があったに違いない。 長くて重い長剣を実戦で使えるようになるまでにも、 血のにじむような努力をしてきたんだろう。 そして、こいつがそんなにも努力する、その理由はもちろん…。 「クリフトー!」 明るく響く声に、クリフトがすごい勢いで振り返った。 「姫様!」 そして、手を振るアリーナのもとに笑顔で駆け寄っていく。 毎度の光景を眺めながら、俺はごろんと草の上に横になった。 たとえ想いが届かないとしても。 たとえ単なる独りよがりだとしても。 その人を守るためなら、自分の生き方を変えることも厭わない。 クリフトは、そうやって強くなってきた。 今のあいつの太刀筋は、決して俺やライアンさんに劣らない。 だったら、俺はいったい何のために強くなっているんだろう。 太陽がまぶしくて、俺は目を閉じた。 脳裏に、羽帽子をかぶって微笑む、懐かしい顔が浮かぶ。 強くなって、戦って、その後、俺にはいったい何が残るんだろう。 不意に、そのまま大地に溶けてしまいそうな疲労感が俺を襲った。 目を閉じてもまだ太陽はまぶしかったけれど、顔を背けるのも億劫で 俺はそのままじっと横たわっていた。 と、不意に目の前が翳って、俺は目を開けた。 そこには頬を膨らませてこちらを覗き込むアリーナの顔があった。 「ソロったら、稽古するんなら、私も呼んでくれればよかったのに!」 俺はゆるゆると首を振った。 「無理。今晩は俺が不寝番だもん。お前とやり合う体力はないの。」 「…どうも先ほどから、そこらへんが引っ掛かるんですよね…。」 アリーナの後ろでクリフトがブツブツ言っている。 「それよりも、ソロ、クリフトがお茶淹れてくれるって!行こう? 稽古して喉渇いてるでしょう?私、何だかお腹も空いちゃった。」 「でしたら、昨日街で買ったクッキーがあるので、 それをお出ししましょうか。」 「やったー、クリフト大好き!ほら、ソロ、早く起きて!」 アリーナが俺の手をつかんで、ぐい、と引っ張り上げた。 さすが力は抜群だ。俺はあっという間に引き起こされた。 「稽古ではライアンさんや姫様に比べて力不足かもしれませんが、 あなたの喉の渇きを癒すくらいは、お役に立てると思いますよ。」 そう言って笑うクリフトに、アリーナが笑いかけた。 「うん、クリフトのお茶はどこのお店よりも一番美味しいものね!」 「ひ、姫様にそう言っていただけるなんて、光栄です…。」 「…。」 ―――ああ、そうか…。 笑顔で言葉を交わす2人を見ながら 俺はふいに目の前が開けたような気がした。 俺の戦う理由。 俺が強くなる理由。 それは目の前にあるじゃないか。 大切な友人たちの愛する者が奪われないように。 あんな悲劇を二度と繰り返さないために。 そして戦いが終わった後に、こいつらが変わらず笑顔でいてくれたら そうしたら、きっと、俺も何かを掴める気がする。 俺は2人に向かって手を差し伸べた。 「よし、お茶も飲むしクッキーも食べるぞ! そしてたくさん修行して、俺はもっと、もっと強くなるからな!!」
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クリフトとアリーナへの想いはPart9 698 名前 無限ループ ◆YISOKD5/z2  Mail sage 投稿日 2009/01/15(木) 15 26 45 ID MHR+25Gp0 ミントスで病に倒れたクリフトだったが、勇者一行との幸運なめぐり合わせにより、 一命を取り留めた。 命の恩人ともいうべき彼らは、何やら部屋の外で詩人と話し込んでいる。 ただ一人、主君であるアリーナ姫だけが、ベッドの傍ら、クリフトの顔を覗き込んでいた。 「ねえクリフト、パデキアまだ残ってる?」 「えーと…全部飲み干してしま…っ…」 言い終わる前に、クリフトの唇は塞がれていた。 「…ひ、姫…?」 熱がぶりかえしたような、ぼうっとした顔で、クリフトは呟いた。 アリーナはというと、舌をチロリとしては、苦いようで顔をしかめている。 「私にも病気がうつったかもしれないから、クリフトから薬を分けてもらったのよ」 「ええっ…!? し、しかしそれでしたら、新しいものをすぐに用意いたしますから! 何もそんな方法で…」 アリーナはプイッと顔を反らした。 「冗談よ」 そう小さく呟いて、再びクリフトの唇に軽くキスをした。 病み上がりなうえに強烈な先制攻撃を受けたクリフトは、完全にパニック状態だった。 「じょ、冗談でこんなことをなさるなんて…! クリフトをからかっておいでなのですか…!?」 「違うわ。 パデキアを分けてもらうっていうのが冗談ってことよ」 「…そ…それは…どういう…」 もう一度、今度は少し乱暴なキスだった。 「わかってもらえるまでキスするわ」
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基本情報 人間椅子 ツアー「真夏の夜の夢」 2007年9月21日(金) 横浜アリーナサウンドホール 開場18 15 / 開演19 00 前売¥3500 / 当日¥4000 セットリスト OP ボンベイからのハーレム・シルク / レス・バクスター 1 転落の楽典 2 戦慄する木霊 3 夜が哭く 4 りんごの泪 5 猿の船団 6 侵略者 7 空飛ぶ円盤 8 牡丹燈籠 9 どっとはらい ※ 10 洗礼 ※ 11 痴人の愛 ※ 12 世界に花束を 13 膿物語 14 道程 15 愛の言葉を数えよう 16 エキサイト -En.1- 17 恐怖!!ふじつぼ人間 18 幸福のねじ -En.2- 19 地獄風景 ※=1音半下げ |タグ:2007年 ツアー ライブ 人間椅子 横浜アリーナサウンドホール | link_trackback| [コメント] このライブについてのコメントをご自由にどうぞ。 ライブレポへのリンク、トラックバック大歓迎! 名前 コメント すべてのコメントを見る
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クリフトとアリーナの想いは@wikiへようこそ こちらは2ch「クリフトとアリーナの想いは」スレのまとめwikiです。 ほのぼのから悲恋物まで、あらゆるクリアリの行く末を語り合っていきましょう! 携帯の方はこちらからどうぞ。 ,. --、 | |田|| 姫様、お気をつけて |__,|_|| __△__ L..、_,i ヽ___/ . 。ぐ/|.゚.ー゚ノゝ / ,ノノハ)) クリフトがいるから `K~キチス (9ノ ノ(,゚.ヮ゚ノi. 大丈夫よ! ∪i÷-|j @〃とヾ二)つ Li_,_/」 ん'vく/___iゝ し'`J じ'i_ノ 現行スレ したらば クリフトとアリーナへの想いは Vol.1 http //jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/game/58970/1428160083/ 避難所 wiki専用 クリアリ掲示板(避難所) パスワードは「kuriari」です 管理人がチェックする頻度は低いですが、連絡用にでも使ってください 管理人からのお知らせ 2015.3.3 本スレは復活したようですが、2chの閲覧が難しくなるようなので、避難所として掲示板は残しておきます。 2015.1.18 掲示板を設置してみました 本スレが無い今、どれだけの人が気付いて利用するのかは謎ですが… せっかく無双やシアトリズムなどの外伝ゲームが出るのに語るところがないのは寂しいので 検索 タグ検索 and or アンケート あなたが好きなクリアリは? 2008.04~無期限 選択肢 投票 ほのぼの (290) 甘甘 (202) エロ (164) 悲恋 (44) ギャグ (128) 掲載基準 OK 規定スレに本人が投稿した作品であること 多少の下ネタはOKです。むしろ歓迎! セリフのみ、萌えがたり系(萌え語りコンテンツに収録) NG 性描写、残虐描写(暴力、精神的)を含むもの クリアリではないもの(クリフトとアリーナが出てるだけ、単体萌え含む) 他スレからのコピペ 未完のもの(未完であっても、そこまででストーリーとして成立するものは掲載している場合もあります) 作者本人が「wikiに載せないで」と書いてあるもの 自分の作品ページの取り消しは「管理人に問い合わせ」から連絡下さい。 このページは自由に編集することができます。 注意 このwikiの文章は作者本人以外の転載は禁止しています。 Yesterday. - Today. - Total. -