約 3,703,692 件
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/191.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 225 :名前が無い@ただの名無しのようだ:2007/03/29(木) 19 35 18 ID fD0wWhMX0 「よっしゃー、お題!初めてのキス!」 酔っ払ったマーニャが叫んだ。 宿屋で皆で酒を飲みながら、いつの間にかゲームが始まっていた。 お題を決めて、カードを皆で一斉に引き、ジョーカーを引き当てた者が お題についての自分の体験を告白する、という他愛もないゲームである。 カードを引いた勇者が、げっ、と声を上げた。 「あ、ジョーカー引いたわね!さあ、初キスについて語ってもらうわよ!」 「マジかよ、勘弁してくれよー。」 と、勇者が目を上げると、教会に行っていたクリフトとアリーナが戻ってきた。 「パス!俺、このお題クリフトにパスする!」 「そんなルールは、ありませんじゃ。」 「男らしくありませんぞ。」 ブライとライアンは抗議したが、マーニャはしばし考え、にまりと笑った。 「よし、採用!そっちの方が面白そう!」 マーニャに呼び止められたクリフトとアリーナは、面食らった顔をした。 「はあ?初めてのキスの思い出?」 「何なの、いきなり?」 「いいから!そういうゲームなの!クリフト、とっとと話しなさいよ!」 酔っ払ったマーニャ姐さんに叶う人間はいない。 「なんで私が。どういうルールですか、それは。」 ぶつぶついいながらもクリフトは昔を思い出しているような遠い目になった。 皆は、興味津々でクリフトを見守っている。 アリーナも、息を詰めるようにしてクリフトを見上げていた。 ふいに、クリフトがほっこりと、幸せそうな笑みをもらした。 「おお!!!」 皆が激しく反応する。 「何、何ですか今の!クリフトさん、何を思い出したんですか!?」 「【初キス】お題であんたにそんな楽しい思い出があるわけ!?」(←大失礼) 「クリフト殿も隅に置けませんな。」 「相手はどんな女だ、どんな!」 アリーナは、言葉を失っていた。 (クリフトの初キス…?私、そんなの知らないよ?) 急に周囲の空気が薄くなったように、息が苦しくなった。 皆の大騒ぎに、思い出に浸っていたクリフトが我に返った。 「どんな女とは、失礼な。私は母のことを思い出していたんです。」 「・・・母?」 一気に下がった周囲のテンションに気付かずに、クリフトは懐かしげに語った。 「はい。私の母は早くに亡くなりましたが、毎晩寝る前に、良く眠れるようにと、 優しくおでこにキスをしてくれたことは、今でも良く覚えてます。」 「いい話ですねえ。」 トルネコが家族を思い出したのかしんみりうなずいた。 「いや、いい話なんだけど、ちょっと違う…。」 勇者が横から小さく突っ込みを入れた。 アリーナは、ほっと息をついた。 また、普通に呼吸ができるようになっていた。 そこに、クリフトから声がかかった。 「さあ、姫様。もう夜も遅いですし、寝る時間ですよ。」 クリフトに連れられて2階に上がりながら、アリーナは首をひねった。 (さっきは、何で急に息ができなくなったんだろう?) 考えたが、答えは分からなかった。 アリーナが、自分の気持ちに気づくのは、まだだいぶ先のことになりそうだ。
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/151.html
クリフトのアリーナへの想いはPart5 684 :【花嫁修業】1/8 ◆cbox66Yxk6 :2006/07/29(土) 04 18 09 ID PwYwV1lX0 サントハイム王は、その日も玉座で唸っていた。 「何とかいい方法はないものか・・・」 せっかく旅を終えて帰ってきたというのに、自分の傍にちっともいてくれない愛娘アリーナ。 もっとも、活発でじっとしていられる性分でない娘を、自分の傍に縛り付けておくことが不可能なことは重々承知なのだが、それでもやはり譲れない一線はある。 「ブライ、アリーナはどこにおる?」 「自室におられぬのなら、おそらくゴットサイドでしょうな」 またか!! 王はむっと口をへの字に曲げた。 そう、サントハイム王のイライラの原因はここにある。 傍にいてくれないというのは、寂しいが我慢できないことではない。 たとえアリーナがエンドールのカジノに入り浸っていようが、諸国漫遊武者修行の旅にでようが、はたまたモンバーバラのステージに立とうが・・・いや、それはさすがに問題があるかもしれないが、とにかくあやつのもとにさえ行ってくれなければ問題ないのだ。 だが、現実はどうだ。 せっかくクリフトをゴットサイドに派遣し、アリーナと引き離したというのに、愛娘は暇さえあればかの地を訪れているという。 知らず握り締めた肘掛けがぎりりと鳴った。 (どうすれば、あやつから娘を引き離せるかのう?) そう考えるもなかなかいい案が浮かばない。 無意識のうちに自慢の髭をもてあそびつつ、何気なく傍らの書簡に目をやったサントハイム王は、次の瞬間、瞳を少年のように輝かせた。 「これだ!」 突如叫んで立ち上がった王にちらりと視線を送ったブライは、「そういえば書庫に用事が」と口にしながらそっと立ち上がった。 (陛下、わしは関わりとうございません) 経験は人に生きる術を与える。 老いたりとはいえど、向上心豊かなブライはいままでの数々の経験から学んでいた。 ―――君子、危うきに近寄らず。 すわ、巻き込まれては一大事、と老人のものとは思えぬほどの軽やかな身のこなしで、御前を辞そうとしたブライだったが、踵を返した途端、その肩をがしっと掴まれた。 「ブライ、忙しいところ悪いんじゃが、ちと“余”の頼みごとを聞いてくれぬかのう?」 王が敢えて「わし」ではなく「余」という一人称を使うときは、国事に絡むといって大過ない。 否、たとえ絡まなくてもその言葉を耳にしては、逆らえるはずもなく・・・。 悲しきは、宮仕えの身。 この日ブライは王宮勤め50年の矜持を以って、必死に拒絶の言葉を飲み込んだ。 「え?花嫁修業?」 「そうですじゃ。姫様もそろそろ本格的に始めませんとな」 どんな命令が下るのか、内心戦々恐々としていたブライだったが、意外や意外、サントハイム王が命じたことは至極尤も、且つ、国にとっても重要なことであった。 (陛下がちゃんと国のことを考えておいでだったとは・・・) わしは嬉しいですぞ! 国の王たるものに抱く感想とは思えぬ失礼な言葉を胸のうちで呟き、ブライは感動に浸る。 (姫様の花嫁修業を真剣に考えてくださるとは) 教育係として仕え、いままでも何度となくアリーナの花嫁修業を奏上したにも拘らず、「まだ早いじゃろ」とまともに取り合ってくれなかった王が、ついに愛娘を手放す決意をされた。 その事実が、何よりも嬉しい。 (思えば、王の教育係として宮廷に上がったのがいまから50年ほど前・・・) 胸の前でこぶしを握り締め、思考の海に身を投じるべく目を瞑ったブライ。 その長くなりそうな老人の述懐を読んだのか。 アリーナは疑問をぶつけることで、ブライを現実にひきもどした。 「でも、今更何をするのよ。礼儀作法とか、刺繍とか、大体のことは城の女官に学んでいるわよ? これ以上、何を学ばせようというの?」 我に返ったブライはアリーナの言葉にひとつ頷くと、僅かに目を眇めた。 「そうですな。最近の姫様は以前と違って、そういった花嫁修業も(さほど)嫌がらずに頑張っておられましたからな。じいは嬉しく思いますぞ」 ブライに小言を言われることは多々あれど、滅多に褒められたことのなかったアリーナは、驚いて目を見開き、そして気恥ずかしげに頬を赤らめた。 そんなアリーナを微笑ましく見つめると、ブライは先程の質問に答えるべく再び口を開いた。 「強いていうなれば・・・そうですのぉ。行儀見習い、といったところですな」 「行儀見習い?」 「そうですじゃ。まぁ、なんというか。親元を離れてですな、その、いままでの勉強の成果を試すことを兼ねた、いわば精神修養のようなものですじゃ。そうそう、清貧を心がけるということも大切ですな」 「親元を離れて? ということは、どこかに下宿するってこと」 素敵、と目をきらきらと輝かせ、アリーナは問う。 「で、どこに?」 「一応候補としては、この修道院なんですがの。我が国と交流のあるエンドールにも程近く、また、サントハイム正教の修道院でもありますじゃ。まさにうってつけのところだと思いますがの」 アリーナの眉根が寄った。 「修道院? それって決定なの?」 「と申されますと?」 「だって、全然おもしろくなさそうなんだもの」 唇を尖らし、そっぽを向いたアリーナだったが、ふと視線を宙に彷徨わせると脳裏を過ぎったある考えに、ぽんっと手を打った。 「ねぇ、要するに花嫁修業の出来るところならどこでもいいのよね?えぇっと、つまりお料理やお裁縫の修業が出来て、さらにそれを指導できる人がいて」 「まぁ、そうですな」 「礼儀作法にも厳しく且つ精通していて」 「うむ」 「そのうえ、清貧な生活の出来るところならいいのよね?」 「我が国は宗教国家でもありますからな。できれば、宗教、サントハイム正教に明るい者がおる所が理想的ですな」 「もう、ばっちり! で、他にも何かある?」 「そうですなぁ。特にはございませぬが・・・ちなみにそんなところに心当たりがおありなのですか?」 「うん、まあね。それより、その条件を満たしていれば、絶対反対しないわよね?」 「まぁ、そうですな」 「絶対反対しないわよね? 確約してくれないなら花嫁修業なんてしないで、武者修行の旅に出るわよ」 アリーナの脅しに内心冷や汗をかきつつ――なぜなら彼女が武者修行を心に決めた時点でそれは回避不能になることがわかっていたから――先程の言葉を反芻していた。 (料理裁縫の修行ができ、礼儀作法の指導ができる人物がいて……うむ、特に問題ないじゃろ) いつになく強気のアリーナに、僅かな不審を抱きつつも、ブライは大きく頷いた。 「まあ、よろしかろう」 その瞬間、アリーナが飛び上がって喜んだ。 「ありがとう、ブライ。私、頑張るわね」 じゃ、いまから行ってくる、と走り去ろうとしたアリーナに、ブライは慌てて声をかけた。 「姫様、で、どちらに参られるんですじゃ?」 ブライの言葉に、一瞬だけ振り向くと、アリーナはにっこりと笑って答えた。 「ゴットサイド。クリフトのところよ!」 「え?ちょっとお待ちくだされ。わしが申し上げたのは……」 申し上げたのは? 料理、裁縫の修業ができ、礼儀作法に精通し、清貧の志を持った、サントハイム正教を教示できる者がいるところ……。 「あーーーっ、し、しまった!! 修道院という言葉に惑わされて、『女性だけのところ』と言い忘れておったわい」 言質を取られてしまうとは、何たる失態!! その事実に突き当たると、ブライは頭の先からつま先まで真っ青になった。 「えらいこっちゃ」 慌てて自室に向かい駆け込むと、ブライは急いで荷物をまとめ始めた。 「のう、ブライを見かけなかったか?」 サントハイム王の問いに、明日の謁見の順番を確認していた大臣が手元から目を上げ答えた。 「先程、何やらものすごい勢いで自室を飛び出していかれるのをお見かけしましたが?あぁ、それにしてもあのように慌てたブライ様を拝見するのは初めてでした。まさに青天の霹靂と申しましょうか・・・」 大臣の言葉に、王は首を傾げる。 (慌てていた?ブライが?) 不思議なこともあるものだ。 そう感じたものの、根っから楽天的なサントハイム王はむしろそれを吉事と受け取った。 (おぉ、もしかしたら『膳は急げ』というやつかの!) 心の文字を読むことができたなら、「善」ですぞ!っと突っ込みを入れられそうな間違いを犯しつつ、王はにこにこと笑う。 「して、ブライは?」 喜色満面、今にも踊りださんばかりの上機嫌ぶりに、大臣は何事かと思いつつも、はっとしたように書簡の山を見つめた。 「そうでした。私、うっかりしておりました。先程ブライ様から陛下に書簡を預かって……。 あぁ、これです。申し訳ございません」 畏まって書簡を差し出す大臣に、王は鷹揚に手を振ってみせる。 そしていそいそと書簡を開き、そこに書かれた文字を追った。 『わしも花嫁修業に赴きたいと存じます。探さないでください。ブライ』 「なんじゃこりゃぁぁぁぁあぁーーーー!!」 その日が青天であったかは定かではないが、奇しくも先程の大臣の言葉が現実となり、サントハイムの玉間に霹靂が鳴り響いた。 蒼い髪の青年は、己の足元に三つ指ついてひれ伏す老人に困惑していた。 「クリフト、頼む。掃除でも洗濯でも肩揉みでも何でもするから、わしをここにおいてくれ!」 (終) 続き2006.08.01
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/366.html
クリフトのアリーナの想いはPart11 186 名前 姫と、勇者と、神官と。part1 Mail sage 投稿日 2010/04/29(木) 14 50 48 ID 4kfPzw390 (男勇者ソロ、アリーナ、クリフトの三角(?)関係話です。 あらかじめご了承下さい。ストーリー上設定のため、ライアンが出てきません) 「‥‥ん‥‥」 ベッドで横たわっていた男は、たった今目覚めたような眠気まなこで、辺りを見回した。 「(ここは‥‥宿屋?私は一体‥‥)」 「‥‥クリフト!気が付いたのね!よかったぁ‥‥」 「姫、さま‥‥?」 そんな彼をベッドのすぐ脇で座っていた彼の敬愛する主君アリーナは、ほっと胸を撫で下ろしたかのように嬉しそうな溜め息をついた。 「全く、いきなり倒れて高い熱出したりして‥‥ホントに心配だったんだからね‥‥」 「そのようなことが‥‥。姫を御守りするべく立場にある私が、なんという愚かなことを‥‥」 「何言ってるの?どうせクリフトのことだもん、本当はつらいのに無理してたんでしょ?わたしに迷惑かけないようにって‥‥」 「姫様‥‥」 「‥‥よかったなぁアリーナ。つい先日まで死にかけるくらいの重病を患っていただなんて、信じられないくらい彼、元気になって」 「‥‥!」 一瞬クリフトの意識が飛ぶ。 自らが仕える姫君の名を、まるで親しい間柄であるかのように呼ぶその声。 声の主を探すのに、時間は掛からなかった。その主もまた、アリーナと同じようにクリフトのベッドの脇で控えていたから。 驚きの眼差しを隠せないクリフトに変わって、翠玉のように鮮やかな髪をしたその若者は告げた。 「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はソロ。そんなガラでもないけど、周りからは勇者って呼ばれてるよ」 「ソロたちはね。パデキアの種を探して持ってきてくれたのよ。わたしたちの‥‥命の恩人よ」 嬉しそうに告げる姫君を見て、クリフトは心にぽっかりと穴が空いてしまったような、そんな感覚に襲われた。 それから数日した後、クリフトの病の完治を見計らったところで新しい頼もしい仲間、アリーナ、クリフト、ブライの三名を迎えた勇者ソロ一行の旅は再開された。 「いやはや‥‥馬車の旅、というのもなかなか快適でよいものですな。わしは若いモンと違って歩いて魔物どもと戦ってなど苦痛以外の何ものでもなかったから久しぶりに楽ができるわい」 「もうじいったら!そんなことなんだかんだ言ってついてきたのは何処の誰なのよ、全く!」 相変わらず小言の絶えない教育係ブライに、アリーナは呆れ顔で呟いた。 その様子を見て、ソロとトルネコが笑う。 「ブライさんとアリーナさんは本当に仲がよろしいんですね。例えが悪いかもしれないですけど、まるで親しい祖父と孫娘みたいに見えますよ」 「だよな。ケンカするほど仲がいいとも言うし、なぁミネア」 ソロはその隣を歩く占い師のミネアに話を振った。 彼女は姉のマーニャと共に生きてきた立場であるが、なんせ性格もまるきり違う姉妹。意見の衝突も多かったという。 「冗談言わないで下さいソロさん。姉さんたらお金にも男の人にもだらしなくって苦労させられるばかりだわ」 「実の本人がいる前でその言い方は酷くなくって?ミネアちゃん」 妹の告げる言葉に流石にむっときたのか、彼女の姉マーニャは、挑発的な態度でミネアに食ってかかってきた。 「しっかしさぁ、びっくりよねぇ。女の子なのにこんなに強いだなんてさ。初めて見たわよ。頑丈な扉をとび蹴り一発で突き破るお姫様だなんて・・・」 「姫様のそのご趣向のためにわしはどれだけ苦労させられたか数えても数えきれませんぞ‥‥全く、一国の姫君だというのに嘆かわしい‥‥」 ブライはやれやれと溜め息をつく。 「まーまーいーじゃないのおじいちゃん。アリーナちゃんてカワイイし、あたし正直妹が増えたみたいで嬉しいわ、ねえミネア」 「姉さんたら。仮にも王家からいらした高貴な方々なのよ、あんまり軽い口をきくのは‥」 「ううん、気にしないで。わたし、今まで女の子のお友達っていなかったから二人に会えてすごく嬉しいんだ!マーニャとミネアは姉妹なのよね?いいなぁ、わたし独りっ子だったから二人が羨ましいな」 嬉しそうに告げるアリーナに、マーニャは彼女の肩にポンと手をかけて言った。 「羨ましいなんてとんでもないわよ!一緒におしゃべりしたりエンドールにカジノしに行ったりして、お互い仲良しになろーね!」 「うん!」 「ちょっと姉さん!」 すかさず、「カジノ」の単語に反応したミネアが横槍を入れた。 「ふふふ。まるで妹のような存在が増えてマーニャさんたちも嬉しそうですね」 「実を言うとな。わしも正直嬉しい気持ちじゃよ。姫様は幼い頃にお母上を亡くされてからは女性の身寄りが無くての‥‥。 いつも御側にいたのはあのクリフトだけだったものでな」 マーニャとミネアと親しくなることで、少しでも女性らしくなってくれるに違いないと、長年彼女のもとで生きてきた彼はそう考えていたようだ。 それを聞いたソロは、今日1日体調が優れないらしく馬車内にいるクリフトのことを思い出した。 「クリフトさんがねぇ‥‥。そういえば、何故か知らないけど今日は馬車の中に居させて貰うと言ったっきりだなぁ。本当に大丈夫なんだろうか」 「ソロ殿、どうか気になさらずに。あいつは昔から身体の弱い輩でな。気にせんでも直ぐに元気になって出てきましょうぞ」 その頃、女性陣は会話を楽しんでいた。 若い女性が三人も集まれば、話題は当然恋愛話に向く訳で‥‥ 「‥‥そういえばさぁアリーナちゃん。アンタのお供のあの神官、名前クリフトって言ったっけ?二人ってさぁ、ひょっとしてデキてるの?」 「え?」 「姉さん!なんて話題を引っ張ってくるのよ!」 真面目なミネアが、当然素通りする訳がない。 「だーってホントでしょ。若い男女二人が同行してんのよ?おじいちゃんに内緒で想い合ってたり、とかアンタは考えない訳?」 「ねえっ、二人とも!」 「わたしとクリフトができてるって、一体何が??」 その言葉に、二人は唖然とした。 しばらくの沈黙の後、マーニャは苦笑しながら必死に話題を逸らした。 「あっはは!そっかー!じゃああたしとクリフトが仮に好き合ってもアリーナは怒ったりしないよね、あーよかったー」 「姉さんたら、納得するとこが違うでしょ!全く」 「?」 その日の晩。戦闘の疲れもあり、一行は早めに宿をとった。 「今日もアリーナの蹴りは絶好調だったなぁ!俺なんか遠く及ばないよ」 「そんなことないよ!ソロって剣も呪文も使えるし、すごいなぁ」 「‥‥」 その様子を離れたテーブルから静かに見つめる影が1つ。神官のクリフトである。 命を助けて下さった方なのだ、礼を言わなければならない。分かっている‥‥。 だが、彼の足は動かない。 それどころか、気が付けば訳の分からない感情にかられて命の恩人を睨み付けるような瞳で見つめてしまうのだ。一体、私はどうしてしまったのだろうか‥‥ 「クリフトぉ!」 「のわっ!」 突然抱きすくめられクリフトの思考は現実に戻された。 「あなたは‥‥確かマーニャさん?」 「そーよ!よろしくね!うふふ。アリーナはへなちょこって言ってたけどなかなか整った顔立ちしてんじゃん、思ったよりハンサムかも」 若い男を見るとじっとしていられないのも彼女ならではのこと。 アリーナとクリフトが深い仲でないと知ると、すぐさまクリフトに感心が向いたようだった。 「あ、あのっ‥‥!そんなに顔を近付けてジロジロと見ないで下さい!」 「あーら、案外シャイなのね。でもあたし、そんなタイプも嫌いじゃないわよ?」 「姉さんっ!!」 声を聞くなり、マーニャは罰の悪そうな顔を浮かべて振り返った。 そこにいるのは、勿論妹のミネア。 「姉さん、クリフトさんは神に仕える身の方なのよ。そんなふしだらなことをしてると天罰が下りますよ?」 「失礼ね!ただおしゃべりしてるだけでしょ!どこら辺がふしだらって言うのよ!」 ミネアはすかさず姉の手を思い切り引っ張りクリフトから引き離すと、申し訳なさそうに頭を垂れた。 「本当にごめんなさい。うちの姉ときたら男の人を見るとどうも黙っていられないらしくって‥‥」 「いえ、私は気にしませんよ。トルネコさんから伺ったんですが、マーニャさんとミネアさんはご姉妹だそうですね」 「そーよ!ソロに会う前までこんの真面目でつまんない妹のミネアとずっと一緒だったから退屈してたのよねー」 「姉さんはお酒とカジノがあれば退屈どころじゃなかったじゃないの!」 「あたしらとはうってかわってアンタはアリーナちゃんと一緒だったんでしょ?いーよなー若い男女二人ってさ」 マーニャの言葉に、クリフトの顔はみるみる赤くなっていく。 怪訝そうに見つめる二人の視線から逃れようと、小さくなりながら言葉をついた。 「わ、わ私と姫様は、決してそのようなっ‥‥!臣下として当然のことを‥‥」 さっきの落ち着いた大人の表情とはうってかわってしどろもどろに小さくなる神官を見て、マーニャはふふと笑った。 ますます追い討ちをかけるかのように質問をかける。 「あーら、お顔が真っ赤。あたしなんかマズイことでも言ったかなー?もしかして、クリフト。気になってるヒトがいたりして。うーん‥‥そーだな。クリフトに近いヒトといえばぁ‥‥」 「そっそっそのような方はいませんっ!断じてっ‥‥決して‥‥!わ、わた私は神に仕えているのですからっ‥‥!」 明らかによそよそしいその態度。 鋭いマーニャは悪戯を思い付いたかのような笑顔で、確信したのだった。 「(こいつ、明らかにお姫様にメロメロね‥‥)」 「(今日こそ勇者殿に礼を言わねば‥‥。常に恩義の心を忘れぬようにと天にいらっしゃる神も仰せなのだから‥‥)」 翌日。クリフトは決心していた。 今日こそソロに感謝の心を伝えようと。姫や老師と旅をしていた頃から早起きが日課だった彼は、旅立ちの支度の後、ソロに声をかけた。 「あの、ソロさん‥‥」 「クリフトじゃないか。一体どうしたんだこんな朝早くに」 「あなたにお話がありまして。ご迷惑でしたか」 「?別に迷惑ってことはないけど。なんだ?俺に話って」 「この間は‥‥」 と、その時である!二人の間に紅いふわっとした巻き毛の少女が割って入った。 「おはよっソロ!」 突然現れた女神のようなその笑顔にクリフトは心を奪われた。 「あれぇ、クリフトもいたの?」 「ひ、姫様。御早うございます‥‥」 「アリーナ。今俺はクリフトと話があるんだ。悪いけど少し待ってて貰えないか?」 「それならいいよ。わたし、ここで待ってるから。クリフト、一体ソロに何の用があるのよ」 「いえ、あの‥‥」 クリフトは戸惑った。ソロへの礼を述べると、姫はきっと彼を褒め称えるだろう。 本人はあくまで、感じるままに思って言うのだろうがクリフトには心から慕う姫君が他の男性を褒めることなど耐えられそうにない。 「いえ、大したことではありません。失礼致しました‥‥」 「何よクリフトったら。わたしがいたら話しにくいことなの?」 「そうだ。なぁクリフト、俺達これから色んな武器屋を見て回ろうと思ってんだけどさ、一緒に来ねぇ?俺のルーラなら、例え何人だろうと行きたいトコにひとっとびだぜ?」 「武器屋?」 状況の分からない表情をしているクリフトに、ソロはことの敬意を説明しだす。 「アリーナがさ、いい加減武器を変えたいって言うんだよね。これからはもっと強い魔物も出るだろうからって」 「別に反論はないでしょクリフト。だってこの鉄の爪、武術大会の時からずっと使い込んでいるのよ?もう、あちこち錆び付いてきてるわ」 「こんなに錆び付いてちゃアリーナも上手く戦えないだろうし、いっそお金に変えて貰えればなぁと思ってさぁ」 「‥‥」 クリフトは寂しそうな顔をした。無駄金を出すなとかそういう感情が絡んでいたのではない。 ただ、悲しかった。 あの鉄の爪はまだ、三人で旅を続けていた頃、クリフトが必死になって金を貯め、姫に授けた物である。 武術大会出場が楽しみで仕方なく、早く試合をとせがむ姫に何度も言い聞かせ、クリフトが二人に内緒で必死にお金を集め姫に授けた鉄の爪。 だからこそ、悲しかった。 あのボロボロに錆び付いてこれから売り払われる運命にある、鉄の爪が自分の姿を写し出しているような気さえして。 「姫様、それほど錆び付いていては、高値では取り引き出来ないのでしょうが‥‥」 「クリフト?」 「姫がそう願われるならば、私は幸せですよ‥‥」 気が付けば、クリフトは走り出していた。二人の呼ぶ声も、もう耳に入らない。 姫君に尽くすことが、神が自分に課せた使命なのだと思っていた。その中で、姫をいつしか思慕の目で見つめながらも‥‥。 その想いも絶ちきられる。もう、姫の御側にいられないと思った。いたくないとも思っていた。 「まさかあんなに落ち込むなんて思わなくてさ‥‥。言いたいことがあるなんて言っといて黙りこくったりするし、一体俺が何をしたというんだか」 ソロはあれほど思い詰めた顔をして駆け出していったクリフトのことを気にかけるあまり、アリーナとの武器屋巡りを断念することにした。 当然、アリーナは苦い顔をしていたが、また後日ということで了承してくれた。 「お人好し過ぎかな、俺。へへっ」 話し相手のマーニャがやけに冷たい視線を送ってくることに照れ隠しをしたのか、ソロは翠玉色の髪をかきあげながら笑う。 「へへっ‥‥じゃないでしょ。あのアリーナもそうだけどさ、アンタもそーとードンカンだわ」 「なっ‥‥!なんでそうなるんだよ!」 「よく考えて御覧よ?あの子はあたしらと会う前はずっとお姫様と一緒だったんでしょ?まぁおじいちゃんが御付きだったけどさ。 ひょっとして、アンタが売ろうなんて考えた鉄の爪は、あの神官からのプレゼントなんかだったりしたら‥‥」 「それがなんだっていうんだよ!」 「あの神官はお姫様に恋してるのよ!それもあの娘のことしか見えないくらい、一途にね」 ソロは思わず吹き出した。あの、冷静で真面目なクリフトが? 「何、それ‥‥?マジで?どういうこと?」 「だから、アンタが余りにお姫様と仲良くしてるの、あの神官にはちっともおもしろくないわけ! 要するに嫉妬って奴!」 「はぁぁ!?」 ソロは考えた。 なんでそんなことになっているんだよ!?俺はただアリーナと話をしたいだけだのに‥‥けど、仲間同士やれ嫉妬だのでむしゃくしゃされるのも気分がいいものじゃないしな・・・。 そこでクリフトの誤解を解くために呼んだのが、 「なぁに?クリフトに伝えて欲しいことがあるの?」 張本人のアリーナ。彼の誤解を解いて貰えるのは、恐らくクリフトが密かに想いを寄せる彼女しかいまい。 「そうなんだよ。彼には‥‥えぇと、俺は別にアリーナのこと狙っているだとかそういうつもりは一切なくて。 それからいくら俺とアリーナが仲良さげにしてたって、お前のことどう想っているかだなんて当の本人にしか分からない訳で‥‥」 「待って。なんか話がよく分かんなくなってきた。もっと分かりやすく最初から言ってくれない?」 「ま、まぁとりあえず、「クリフト、大好き。わたしにはクリフトしかいないの」とでも言ってやってくれ。あいつの誤解を解いて貰うにはお前の口からそう言ってやったほうが早いから。はははっ」 「?‥‥分かったわ」 アリーナは、馬車の外、ただ1人ぽつんとかがえこんで座っているクリフトを見つけた。 「クリフト探したわよ、何でこんなとこにいるのよ」 「姫様、私は‥‥私は、もう貴方の御側におれません・・・・」 「なんで?」 「このまま、ソロさんと仲良くされている姫様を見るのは・・・私にはもう・・・」 「ねえ、クリフト・・・大好き!」 「えっ!?」 姫君が満面の笑顔で告げる真実に、クリフトは驚愕のあまり目を丸くした。 「わたしには、クリフトしかいないよ!」 ――――ま、まさかまさか姫様も私のことを!?これは夢であろうか、夢ならば覚めないで欲しいとクリフトは心から願う。 「姫様‥‥私もずっと、姫様のことが‥‥!姫様っ!!」 感激のあまり、嬉し泣きをするクリフトだが‥‥ それもつかの間の幸せ‥‥ 「ってね、ソロが言ってたよ!」 「!!」 クリフトはそれからショックのあまり気を失ってしまった。 「あ、ソロ!聞いてよ、クリフトったらあの後倒れちゃったの」 「そりゃお前に大好きって言われるんだもの。嬉しいに決まってるだろうよ」 「え‥‥どういうこと?」 「だから、アリーナがクリフトのこと大好きって言ってやったんだ。今頃嬉しくてはしゃぎまわってるに違いないよ!」 「え、そうなの?わたしてっきり、ソロがクリフトのこと、大好きなのかと‥‥」 「え〝‥‥‥!」 その時、ソロは後ろから感じる凄まじいまでの殺気を感じた。 「ソロさん‥‥」 「うわぁぁっクリフト!誤解だっ!俺にはそんなヘンな趣向はないからなっ!」 「私がうかつでした‥‥。世界を救う勇者様と聞いたものですから姫様にとってどんな存在になることかと思っていたら、まさか‥‥私をからかうつもりだったとは・・・」 「違う違う!俺はただアリーナがお前のことについて‥‥!」 「この期に及んでまだ言い訳をなさるつもりですか?」 「だから!・・・うわあ!即死呪文やめて!!」 普段は真面目で、滅多に人と言い争いなどしないクリフトの様子を見て、アリーナはそんな彼がおかしく思えたのか、クスクス笑っていた。 その後、一行はアリーナがたまに馬車に待機している時、不器用ながらも必死で鉄の爪を磨き上げ、また、道具袋に大事に大事にしまってとっているのを見かけることが多くなったとか。 ―おしまい―
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/195.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 293 :【装備品】 ◆cbox66Yxk6 :2007/04/24(火) 18 39 08 ID mjbVEkFN0 「なぁ、アリーナの最強装備品って何だと思う?」 ソロが何気なく発した問いに、その場にいた者たちの視線が一点に集中した。 「それは……」 「やっぱり……」 「じゃな……」 視線の先に『いた』のは、蒼い髪の青年。 「攻撃(姫様危ない!『ザラキ』)、防御(姫様危ない!『スカラ』)、そして回復(姫様 危ない!『ベホマ』)……どれをとっても最強でござるな」 ―――どうやらアリーナ最強装備品はクリフトのようらしい。
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/27.html
本当はクリアリが好き 221 名前: ある晴れた春の日に 投稿日: 02/05/23 23 41 ID ??? 「姫様!姫様―――!!姫様はどこじゃ!見つかったか!?」 ―――遠い、遠い記憶。 まだ何もわからず、何も知らず、ただただその現実に泣くしかなかった、あの頃の記憶。 下のほうで自分の名が呼ばれている。 聞きなれた声。いつも聞いている、声。 ……でも、戻りたくなかったの。 戻りたくなんて、なかったの。 大事なひとが、いなくなったの。 わたしを置いて、どこかへ行ってしまったの。 ―――怖いの。……怖くて、悲しくて、寂しくて、泣きたくて。 だから、戻りたくなかったの。……戻れなかったの。 誰にも、代わりはできやしない。ずっと、この気持ちを抱えて生きていかなきゃいけない。 ―――そう思っていたころの、遠い、遠い記憶―――。 「きゃっ!」 突然頬に冷たい感触を覚えて、アリーナは跳ね起きた。 その途端目の中に飛び込んできたのは、穏やかな春の光と、そして…… 「ミーちゃん。…そっか、あなただったのね。」 傍らで自分の頬をなめた白猫を抱き上げ立ち上がると、彼女に向かって言う。 「夢…。…わたし、いつの間にか寝ちゃってたんだ。 でも、しょうがないよね!こんなにいい天気なんだもの。 ……あ、ねぇ、喉渇かない?下に行って何か飲み物もらおうよ、ミーちゃん。ね!」 そしてその二つの影は、光に包まれたテラスから城の中へと消えていった。 城の中で彼女が一番に気がついたこと。 「ねぇミーちゃん、今日ってやけにお花をいっぱい見ると思わない?」 城の廊下を歩くメイドたちの手に見えるのは、名前も知らない花たちだった。 最初はアリーナや王の部屋に飾られるものだと思っていたが、どうも違うらしい。 そういえば、去年もその前の年も今ごろになるとこの花を見かけることが多いな、とふと思う。 細かいことは気にしないアリーナだが、今どうしてもこの花のわけを知りたいと、何故かそう思った。 丁度今自分の方へと向かってくるメイドを捕まえて、彼女はは尋ねた。 「ねぇ、ちょっと聞いてもいい?」 「アリーナ姫様、ご機嫌麗しゅう。…ええ、よろしいですとも。何でしょうか?」 そう言われると彼女は楽しそうな表情を作り、腕に抱いた猫を下ろしてやりながら言った。 「今日ね、城の中でよくこのお花を見かけるんだけど、今日って何かあるの?」 「今日…ですか?ああ、これはその……娘からの母の日の贈り物なんですよ。」 ―――母の日? 「母の日って、なあに?」 初めて聞いた言葉だった。その言葉も、その花のことも。 ……彼女は何も知らなかった。 聞き返されたメイドのほうはといえば、目を泳がせ視線を合わせまいとしながらあからさまに慌てた様子である。 「えー…そう、ですね…何とご説明さしあげればよいのか… あっ!アリーナ様、申し訳ございません!私、急ぎの仕事が残っていますので、これで…」 早口でそう言うと、彼女は足早に去ってしまった。 「……変なの。」 何だか面白くなかった。自分だけが仲間外れにされたような気がしたのだ。 ……それに、こういうことは隠されれば隠される程、知りたくなってしまうのが人というもの。 それはアリーナも例外ではなかった。 「………あ!そうだ!!」 言うが早いか。彼女は広い廊下を全速力で駆け抜けた。 ―――思いついたのだ。こんなとき、一番に誰の元へ行くべきなのかを。 「クリフト、いる~?」 サントハイム城内にある教会の礼拝堂。 アリーナが真っ先に思いついたのはこの場所だった。 小さい頃からこういうことがあると、彼女はいつも真っ先にここへ駆け込む。 何故かって?―――それはもちろん、彼に会うために。 「これは姫様。どうなさいましたか?」 アリーナはこの場所が大好きだった。 こうしていつも変わらない笑顔で自分を迎え入れてくれる彼のいるこの場所が、大好きだった。 じいやのブライに「もう少しおしとやかに」と注意されたときも。 自慢のキックで城内の柱を壊して父王に叱られたときも。 ここに来れば、いつも変わらない、あたたかい笑顔があるから。自分も笑顔になれるから。 だから―――窮屈な城の中で彼女が最も好きな場所。それがここだった。 彼の微笑みに応えるように、自分も彼に満面の笑顔を返す。 ただこうすると彼が必ず顔を赤くすることだけが、アリーナには未だにわからないのだけれども。 「ねぇクリフト、ちょっと聞きたいことがあるの。今、時間ある?」 「はっ、はい!…ええと、今ですか?今は……」 「クリフト。アリーナ様直々のご指名です。行ってさしあげなさい。」 言いかけた言葉を遮って、二人の様子を見ていた神父が言う。 これくらいのことはこの城では日常茶飯事とでも言うべきこと。 この王女がどれほどこの神官のことを頼りにしているかくらい、城中の誰もがわかっている。 「ありがとう神父さま!さ、クリフト、行きましょう!」 王女に腕を引っ張られるようにして教会を後にする神官の顔は、輪をかけて赤くなっていた。 「母の日、ですか…?」 「うん。…ほら見て!さっきからあのお花を持ってるメイドたちがいっぱいいるの。 でもわたしには何も教えてくれないのよ。 ……ねえクリフト、あなたなら教えてくれるわよね?」 どうして誰も彼女に本当のことを言わなかったのか、彼にはすぐにわかった。 ……アリーナには母親がいない。彼女がまだ幼いうちにこの世を去ったのだ。 きっと彼女に何も言わないのは、母親のいない彼女を悲しませないようにしようという配慮なのだろう。 しかし、本当のことを隠し通すよりも、皆に嘘をつかれることの方が彼女にとっては辛いことだということも、彼はまた知っていた。 「アリーナ様。……母の日というのは、いつも自分にたくさんの愛情を注いでくれる母親に 自分の感謝の気持ちを伝える日なんですよ。 その時に贈り物としてよく選ばれるのがあのカーネーションという花なんです。」 ためらいはあったけれど、わざと何でもないことのようにそう言う。 その言葉を聞いたアリーナはほんの、ほんの一瞬だけ寂しそうな顔になったが、すぐにまた笑顔を作って彼のほうを見た。 「……そっか。なーんだ!だからみんなわたしには本当のこと教えてくれなかったのね。 わたしはお母様にありがとうって言うこと、できないもん。」 「……姫様……。」 「でも、別にいいのにな。そんなに気を遣ってくれなくても。わたしは平気なのに。 あ。ありがとう、クリフト!本当のこと教えてくれて。じゃあ私、行くね!」 そう言って早足で立ち去る彼女は、まるでその場から逃げ出すようにも見えて。 彼女を傷つけてしまったのかもしれない。そんな思いが彼の胸にちくりと刺さった。 ―――もう、日はだいぶ傾いて。少しだけ切ない色に変わった日の光がそこに差し込んでいた。 城内がやけに騒がしい。 クリフトがふとそう思ったのは、それからしばらくたってからのことだった。 そしてそれに気づいて間もなく、彼の部屋の扉を乱暴に開ける音が耳に入った。 「クリフト!!ここにおったか……!」 「あ、ブライ様。 あの、何だか城の中が騒がしいような気がしますが…何かあったんですか?」 部屋に飛び込んできたのは、アリーナの教育係のブライだった。 彼がこんなふうに自分のところへやってくる時はまずアリーナが絡んでいるとみて間違いない。 「姫様が、また!!壁を蹴破って外へ抜け出したらしいのじゃ! おぬし、先程姫と喋っておったというではないか。何か心当たりはないのか!?」 心当たり。……思い当たることといえば、ひとつしかない。 「姫様……。やっぱりあの時、あなたは……」 「ええい!こうなったらおぬしも姫探しに協力せい!」 「は、はい!!」 ―――やっぱり自分が姫を傷つけてしまったのだろうか。 いつもは平気そうな顔をしていても、心の中ではまだ、その傷は癒えてはいなかったんだろうか。 ブライがあわただしく部屋を出て行ったあとで、そんな考えが浮かんできた。 そんなつもりじゃなかった。自分はただ、彼女を傷つけたくなかっただけだったのに。 「姫様………私は…―――」 「――――クリフト!!」 勢いよく扉の開く音と、そして―――聞きなれた、高い声。 はっとして振り返ると、そこには肩で息をしながらも、その顔には笑顔をたたえた少女がひとり。 ―――手には、ちいさな花束を持って。 「…アリーナ…様……!?」 驚く彼に、へへっと悪戯っぽく微笑みかける。 そしてそのまま、手にしていた花束を彼の目の前に差し出した。 「―――…え?」 突然のことで状況が理解できなかった彼は、そのまま言葉を失った。 そしてアリーナは、そのちいさな花のついたちいさな花束の向こうから、彼に言う。 「最初はね、カーネーションにしようかなって思ってサランにあるお店に行ったの。 でもクリフトにはあんまり似合わないかなって思って、街の外に自分でお花、探しに行っちゃった。 ほら見て!ね!絶対こっちのほうがクリフトに似合うでしょ?」 薄い青みのかかったちいさな白い花の向こうに、笑顔が覗く。 「―――いつもありがとう、クリフト!…これ、受け取って。」 「……え…!?私にですか…!?いっ、いえ、でも……どうして……。」 その花束を受け取りながらもまだ理解できないといった彼の胸に、アリーナは顔を埋めた。 「………!!…ひっ、ひ、ひ、姫様っ!?」 「……ふふっ、あったかい。 …ねぇクリフト、覚えてる?…お母様が亡くなったとき。 わたし、すごく寂しくて、悲しくて…もう一度お母様に会いたいって思ったの。 ずっと前にね、誰かが、死んだ人はお星様になるんだよって言ってた。 だからわたし、城中で一番高い木に登ったの。 そしたらきっと星に手が届いて、もう一度お母様に会えると思ったんだ。」 言いながらアリーナはクリフトの腰に腕を回す。 また、彼は心から心配だった。自分の鼓動が彼女に聞こえはしまいかと。 「でも、そうやって登っちゃってから怖くなって、降りれなくなっちゃって… そのとき一番に来てくれたのがクリフトだったよね。 ……星に手が届いてももうお母様には会えないんだって言われて、わたし、泣いちゃったのよね。」 「……ひめさ……アリーナ…様……。」 「でも、クリフトはそうやって泣いてるわたしをぎゅって抱きしめて、頭を撫でてくれて… …私はいつでもあなたの側にいますって言ってくれた。 すごく………嬉しかったんだよ。」 窓から差し込む夕暮れの光が二人を包み込む。それは、とてもあたたかい、光。 彼女は顔を上げ、微笑んだ。その顔がいつもよりも綺麗に見えるのは、この夕陽のせいだろうか。 「クリフト、わたしね。 お母様が亡くなって、最初はすごく寂しかった。でも…… クリフト、わたしがそういう顔してると、いつも一緒に寝てくれて…。 あ!そうそう、寝る前に本も読んでくれたよね!えへへ、懐かしいな。 それで…寂しくなくなったの、わたし。クリフトがいてくれたから……。 クリフトは、あの頃のわたしにとってお母様でもあったんだよ。もちろん、今でも――。 ……だから。受け取ってね。わたしの感謝の気持ち……。」 そう言うと、再びアリーナは彼の胸に身を委ねる。 「……アリーナ様……。」 おそるおそる、目の前の少女の背に手を回そうと腕を伸ばす。 腕を伸ばして、彼女の背にそっと触れ、そして―――― 「姫様!!ここにいらしたのですか!!全く今までどこへ行っておられたのです!! ……ん?クリフト。おぬしは何をやっとるんじゃい。」 「じい!」 「ブ、ブライ様っ!!…あいたたた……。」 荒々しい音と共に飛び込んできた、今日二度目の怒声。 その音がしたと同時に一瞬にしてクリフトは部屋の隅まであとずさりし、壁に思いっきり身体をぶつけた。 …もちろん、彼女のくれた花束は手放すことなく。 「あ~…じい、もしかして怒ってる?ごめんなさい、あのね……」 「姫様!!ああ嘆かわしい!どうしてもう少しおしとやかにしていただけないのですか! 亡くなったお妃様はたいそうしとやかであられましたのに……ん?これは?」 お約束のお小言を遮って、アリーナはブライの目の前にちいさな紙切れを差し出した。 「ごめんね、じい。いつも怒らせてばっかりで。 でも、いつもわたしのこと心配してくれてありがとう!これ、受け取ってね。」 「これは……何ですかな?紙…?」 「サランにいた女の子に教えてもらったの!あのね、肩がこったときはこれをわたしに渡してね。 そしたらわたし、じいに心を込めて肩叩きしてあげるから!…あ、もちろん手加減するから大丈夫だからね?」 「……姫様。……なんともったいない!このわしにこのようなお心遣いを… い、いや!ですがそれと今回の脱走の件は別ですからな!」 そう言い背を向ける老魔法使いの目に光るものがあったことに二人は気づいていた。 けれど何も言わずただ二人顔を見合わせて、どちらからともなく微笑みあった。 ―――ああ、神よ。 この心優しき王女に祝福を。 願わくばどうぞこの彼女の笑顔を、あなたのもとにおられる彼女の母親にお届けください。 そして、いつの日にかもう一度…二人が笑顔で出逢えますよう―――。 それは、ある晴れた春の日の物語。 「…そして、願わくば…彼女が……いつの日にか、私に………」 「クリフト?何?お祈りしてるの?」 「うわわわ!!なっ、何でもありませんっ!!」 あたたかな光と笑顔に包まれた、平凡で、幸せな春の日の物語―――。
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/197.html
クリフトとアリーナの想いはPart7 2007.04.28の詩よりインスパイア 321 :【詩】1/9 ◆cbox66Yxk6 :2007/05/04(金) 03 16 02 ID dfejicMU0 「まだ……残っていたのですね」 古ぼけた机の引き出しの底板をはずすと、微かにかび臭さの漂う紙の束が姿を現した。 『日記』と題字されたそれは、クリフトが旅に出る前まで日課としてつけていたものだ。 いや、正確にいえば、裏日記といったところか。 人知れず保管されていたその日記帳には、誰にも吐露できない、まだ青い春の中を彷徨っていた頃のクリフトの思い出が詰まっている。 「懐かしいですね」 ぱらぱらと頁をめくれば、苦悩と情熱でかき乱れる己の姿が垣間見え、自然、苦笑混じりの微笑を浮かべる事になる。 「しかし、よく残っていたものですね」 しみじみと呟き、つい一月ほど前までのサントハイム城の姿を脳裏に描き出す。 数年にわたる魔物の占拠、そして無人の荒城……。 決して短いとは言い難い月日の間、誰の手入れもされずに放置されていた城は、至る所が傷み、破壊されていた。 その中にあって、城内の教会とそれに隣接していたクリフトの部屋は、まさに神の奇蹟か、殆どあらされた形跡も無く、以前の姿を保ち続けていた。 「神聖な空気を嫌ったのでしょうね」 サントハイム城の復興を手伝いにやってきてくれたトルネコが、教会の祭壇に飾られたご神体に目を光らせながら、そう呟いていたのを思い出す。 「このご神体の指にはめ込まれていた指輪に、魔を退ける力があったのでしょう」 もっと早く気づいていれば、旅の間も楽ができたかも、とため息混じりにそう言った希代の大商人。その言葉に聖職者であるクリフトが難色を示すと、彼はいつもの優しい微笑を浮かべたままこう続けた。 「でも、この指輪がここに存在していたから、お城の人たちも無事に戻って来られたの かもしれませんね」 指輪の存在に気がつかなかったからこそ魔に打ち勝つだけの実力を手に入れることができ、また、この指輪の存在がサントハイム城の人々を魔の手から守り抜いていたのではないか。 「この指輪がここに存在したこと、それこそが神の奇蹟ですよね」 ―――信仰に厚いサントハイムの人々に示された神の恩恵ですよね。 そう彼は締めくくった。 その恩恵に与ったもののひとつが、いまクリフトの手元にある。 面映いような嬉しいような不思議な感覚に、頁をめくる手を早めれば、遂に最後の日付となる記述に行き当たった。 「……そういえばこんなものも書きましたね」 そこに書かれているもの。 それは、一篇の詩―――自由を求めていまにも飛び出していかんとする敬愛する姫君を、サントハイムの王女アリーナを想って詠んだ詩だった。 「……見つからなくてよかったかも」 その一字一字を目で追いながら、クリフトは思わずくすりと笑う。 比喩が施されているとはいえ、それは明らかに恋心を彷彿とさせる。 「……仕舞っておこう」 少し照れくさくなって冊子を閉じようとすれば、それを横合いから素早く奪う手があった。 「え?」 驚いて振り返ると、そこには華やかな正装に身を包んだ美しい姫君がつい先頃までクリフトの持っていた冊子を手に立っていた。 「もうクリフトったら、ずるいわよ。自分だけ宴を抜け出して」 「ひ、姫様?」 突然の来訪者に驚きと戸惑いを隠せない。 「どうしてこちらに?」 よりにもよって一番まずい相手が目の前に現れ、クリフトは内心かなり強い動揺と焦りを感じていた。 が、クリフトの心など知る由もないアリーナはぷうっと頬を膨らませる。 「それはこちらの台詞ね。サントハイム城復興記念の祝宴を抜け出して、どうしてここにいるのよ。ソロたちだってまだ広間にいるのよ」 「それは……華やかな席が苦手だからです」 常だったらうまいかわし方も思いつくであろうに、アリーナの手にする冊子が気になり受け答えに集中できず、つい馬鹿正直に答えてしまう。 「クリフト、あなたね、私が宴を抜け出すたびいつも言っていたじゃない。 『主役が席をはずしてどうするのですか』って。今日はあなたも主役の一人でしょ」 案の定、揚げ足をとられ、クリフトは言葉に窮した。 「そ、それはそうなのですが……」 ちらちらと冊子に視線を送りながら口ごもれば、アリーナは漸くその存在に気づく。 そして『日記』という文字を目にするや、にんまりと笑い頁を繰った。 「おもしろそうね。じゃ、これと交換に、ひとりで抜け出したことを不問に付してあげるわ」 「えっ」 思いもかけない事態にクリフトが硬直すれば、アリーナは嬉しそうに読み進める。 「えーっと、なになに……『今日、サランの町で写真が売られていた。被写体を見れば姫様のお姿……なんとけしからぬ事だ。仕方がないので私はそこにあった全ての写真を買い占めた。これで、姫様のお写真で妙な気を起こすものもいないことであろう。 おぉ神よ。お導きをありがとうございました。 ……とはいえ、かなりの出費を要してしまった。今月こそは『新・信仰と祈り』が買える と思っていたのに……来月に持ち越しのようだ』って何これ?写真?そんなの見たことないわ。 クリフト、後で出しなさいよ……次は」 次々と読みあげていくアリーナに、我に返ったクリフトは必死の思いで冊子を取り返そう と試みる。 「姫様、お返しください」 「いいじゃない」 ひらりひらりとクリフトをかわしながら、アリーナは器用に目を通していく。 「姫様っ」 経験が物を言うのか。 正装に妨げられ、思うように動けないクリフトに対し、こちらは盛装とも言える華やかな衣装を身に纏っているにもかかわらず、アリーナの動きは留まるところを知らない。 次々と頁をめくっては、焦るクリフトをからかうようにひらりと身をかわす。 とはいえ、やはり動きながら冊子をめくるのは難しいようで、読む頁は飛び飛びになっている。そのせいであろうか、クリフトが見られては困ると思っているようなものは意外と避けられているようだ。 不幸中の幸いといって良いのかは判らないが、それがクリフトにとって救いであるのは今のところ確かだった。 だが、その幸運にクリフトが感謝する暇があらばこそ。彼が長年信仰してきた神は、彼に試練を突きつける。 ふいに、動きを止め、アリーナがしげしげと冊子に見入った。 そして小首を傾げたと思うと彼女はその華の顔を引きつらせ、次の瞬間、お腹を抱えて笑い出した。 「姫様、返してくださいっ」 漸く動きの止まったアリーナの手から冊子をもぎ取ったクリフトだったが、肩を震わせ、目に涙をためて笑い続けるアリーナの姿に、不審なものを感じた。 「そんなに大笑いされるようなものがございましたか?」 恥ずかしいというよりはあっけに取られ、そう問えば、アリーナは涙の滲む目をこすりながら開きっぱなしになっていた日記を指差した。 「その頁……」 アリーナが見ていた頁に視線を落とせば、そこには彼が記した『詩』が載っていた。 「ご、ごめん。笑うつもりじゃなかったんだけど……なんだかその」 笑いの滲む声に、クリフトはそこはかとない寂寥感を覚える。 見つかると困る、そう思っていた『詩』。 それは、如何に比喩が用いられているとはいえども、見る人が見れば誰が誰を思って書いたものかは一目瞭然の代物だった。 だからこそ危惧していた。 秘めたる想いを、彼女に知られてしまうのではないかと。 それなのに、彼女はこの詩を読んでただ笑うに留まっている。 即ち、彼女はこの詩の真意に気づいていないということなのだろう。 クリフトの、彼女への恋心に気づいていないということなのだろう。 ―――これほど赤裸々な想いにすら気がついてもくれないのか。 肩透かしを食らったように思えて項垂れれば、笑いをおさめたアリーナが、クリフトの顔をのぞきこむようにして微笑んだ。 「ごめんね。本当に笑うつもりじゃなかったのよ。だってとても素敵な詩なんですもの」 だけどね、と彼女は赤らんだ頬を押さえながら続ける。 「何だか少し照れくさいかも」 「照れくさい?」 不思議に思って問い返したものの、自作の詩を見遣れば、若すぎる感性が妙な羞恥心をあおる事に納得する。 「まぁ、確かに、照れくさいかもしれないですね」 冷静に分析し頷くと、アリーナが怪訝そうにこちらを見上げてくる。 いったい、何だというのだろう。 目線で訊ねると、彼女は困ったように眉根を寄せ、口を開いた。 「ねぇ、クリフト。私の言葉の意味、わかってる?」 「え?それはどういう……」 唐突な言葉に、首を捻る。 先程の言葉に、どんな意味があったというのか。 もう一度考えてみるもののさっぱり見当がつかず、お手上げとばかりにアリーナを見れば、彼女はやれやれといった様子でため息を漏らした。 「わかってないのね」 そのあきれた様子に、クリフトはますます当惑を深める。 一体全体、なんだというのだろう。 謎かけのようなアリーナの態度に混迷を繰り返す。 ―――自作の詩、姫様の笑い、照れくさい。 焦れば焦るほど、訳がわからなくなりクリフトは心底困惑する。 「姫様……」 答えを求めて声を発せば、それまでじっとクリフトを見つめていたアリーナがその言葉を遮った。 「ねぇ、クリフトは自分のことを書かれた詩を読んでも照れくさくないの?」 ―――彼女は一体、何と言ったのだろう。 混乱する頭を小馬鹿にするかのごとく、いち早く反応したのは彼の胸だった。 「あ……」 信じられないほど鼓動が早まり、息苦しささえ感じる。 何故?と思う間もなく、全身が熱くなる。 「姫様、それは……」 思考より先に言葉が漏れる。 どくどくと脈打つ音が耳に響き、頬が火を噴くのではないかと心配になるほど熱くなる。 自分の体はどうなってしまったのかと疑いたくなる。 冷静になるんだ、と己に言い聞かせてみるものの、思うようにならない。 自分の意志とは関係なく、胸が高鳴り、頬が熱をおびる。 潤む瞳でアリーナを見遣れば、こちらを見上げていた彼女と正面から視線が絡んだ。 「姫様……もしかして私の詩の意味を?」 掠れた声でそう呟くと、彼女は先程よりもはるかに赤くなった頬を押さえながら恨めしげに睨んだ。 「やぁね、もう。どうしてさらっと流せないのよ。……そんな反応されたら、こっちまで恥ずかしくなっちゃうじゃない」 そう文句を言いながらも、アリーナは律儀に頷く。 「わからないわけないじゃない」 アリーナは笑う。 「だってね、私もクリフトと同じ気持ちだから」 自身も白磁の肌を薔薇色に色づかせながら、彼女はクリフトの赤くなった頬へ手を伸ばす。 「クリフトに比べたら、まだ短い想いかも知れないけど」 それでもね、と迷いのない瞳でクリフトの目を覗き込む。 「想いの深さなら、負けないわよ」 生来の勝気さすら覗かせて、アリーナはますます艶やかに微笑む。 「クリフト。私、あなたが好きよ」 ―――素敵な告白を、ありがとう。 ―――誰かが呼ぶ声がする。 そう知覚すると同時に背後で扉が勢いよく開け放たれ、酒瓶をかざしたソロとマーニャが なだれ込んできた。 「おい、クリフト。おまえ、ずりーぞ。すこしはおまえものめよな~」 「宴はさ、もう終わりらしいんだけど、ブライが秘蔵の酒を出すから、部屋で飲みなおさないかって~」 「おまえ、こんどはさんかしろよなー。さっきろうかですれちがったアリーナにもさんかするようにいっといてやったんだからさ~」 「そうそう、酔った勢いで……なーんてこともあるかもよ~」 相当酒を過ごしたのか。呂律が怪しい。 それでも妙な使命感に駆られたふたりは、クリフトを誘うべく歩みを進める。 「ちょっとぉ~」 「クリフトってばよ~」 ふらふらと覚束ない足取りでクリフトに近づいてきたふたりだったが、次の瞬間、酔いなど忘れてしまったかのような俊敏な動きを見せた。 「ちょっと、クリフト。あんた、大丈夫なの?」 「まじ、ふつーじゃねーぞ、その顔色。飲みすぎたんか?」 「そんなことどうでもいいから、ソロ、水よ」 「お、おう」 「クリフトも遠慮なんかしなくてもいいから横になんなさいよ」 急にどたばたと立ち回り始めたふたりを前に、クリフトは不思議そうに小首を傾げた。 「御酒は……ほとんど召しておりませんが?」 どこかぼんやりとしてはいるものの、酔いの見られないしっかりとした口調で告げられ、慌てていたふたりは怪訝そうに振り返った。 「お酒を?」 「飲んでない?」 「えぇ。ほとんど口にしておりませんが?」 クリフトが頷くと、ふたりは顔を見合わせ、いままで以上に慌てた様子でクリフトに駆け寄ってきた。 「ちょっと、なんかの病気じゃない?」 「パデキアいるか?」 真剣そのもののふたりに迫られ、クリフトは思わず仰け反る。 「いえ、別に病気って訳では……姫様に日記を見られただけ……」 思わず正直に答えかけ、慌てて口を噤む。 が、ふたりがそれを聞き逃してくれるはずも無く――。 「ちょ、なに?なんかあったの?そこんとこ、詳しく話しなさいよ」 「え、まじ?っておまえ、手に何もってんのさ」 「あら?日記帳?ちょっと貸してごらんなさいよ」 「あ、ちょっと、それは……」 「ほら、マーニャ。いまだ」 「あ、そ、そんな……あぁぁぁ」 妙に連携の取れたふたりの攻めにあえなく撃沈したクリフトを残し、ソロとマーニャは日記を手に廊下を走り去る。 そして―――クリフトの裏日記は、見たくもない陽の目を見ることとなる。 「ふぉふぉふぉ、若いっていいのう」 真っ白な髭をしごきながら、ブライが柱の影から姿を現す。 それを聞こえない振りでやり過ごせば、目の前に桃色の鎧を纏った戦士が立ちふさがる。 「なんと情熱的な……いやいや、拙者、クリフト殿を見直しましたぞ」 褒めているのか、からかっているのかわからない口調。クリフトは即座に踵を返し、人影の少なそうな中庭に足を踏み入れる。 「あら、クリフトさん。ごきげんよう」 いつもと変わらぬ笑顔でミネアが近寄ってくる。 一瞬身構えたものの、あまりに普段どおりの彼女にほっと力を抜く。が、直後クリフトは顔を赤らめて全力疾走する羽目になる。 「クリフトさん。この水晶玉ならアリーナさんの○○も××も覗き放題ですよ? おいくらで買われます?」 一行の良心と思っていたミネアにまで、ソロとマーニャの手は伸びていた。 その衝撃に打ちひしがれながら中庭を突っ切れば、前方に丸っこい影が現れた。 「やぁ、クリフト君。大変そうですね」 一行の中で唯一の妻帯者、トルネコ。 彼は穏やかな微笑を浮かべて、クリフトを労う。 「でも、よかったじゃないですか。アリーナさんと両想いになれて。クリフト君、頑張っていましたからね。神様がきっと恩恵を与えてくださったのですよ」 からかいも冷やかしの色もない、優しい言葉。 クリフトが思わず頭をさげると、彼はクリフトの肩をぽんぽんと叩きつつ、囁いた。 「―――で、私にも神の恩恵のおすそわけを。アリーナさんとの婚儀がまとまったら、ぜひあの日記を出版しましょう。絶対売れますよ」 ―――世界を救った勇者たちに、神は恩恵を与え給う。 神の恩返し―――クリフト編・完
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/364.html
クリフトのアリーナの想いはPart11 164 名前 デイジー Mail sage 投稿日 2010/04/08(木) 22 07 22 ID l+7s1aBPO 小休止をするために馬車を小高い野原に留めたソロは、ふいと目線を泳がせた先に雛菊が固まって咲く野原を見つけた。 デイジーよ、綺麗! そんな声がしたかと思えば、アリーナが一目散に雛菊の群へと走り出して花の中へ飛び込んでいった。 雛菊の中で屈託無く笑うアリーナを見て、パーティー随一のアタッカーもやっぱり何だかんだ言って年頃の女の子なんだな…と少々こんな考えが浮かんだソロは、複雑な表情のまま自分の横にぼんやり立つクリフトをちょっとだけからかった。 「お前、愛しの姫君をデイジーに取られて悔しくないのか?」 「え、いやっ、あの……」 多分クリフトの奴また煮え切らない返事しかしないんだろう、あいつはいつもそんなもんだから。 ソロはそんな不器用な友人の返答を、ニヤ付いた顔を隠すこともなくのんびり待っていた。 しかししばらくして返ってきたクリフトの返事はソロのそんな予想とは裏腹に非常にはっきりしたものだったので、彼は少々面食らってしまった。 「いいえ、私もデイジーは好きですし何より姫様にとてもお似合いだと思うのです、ですから嫉妬などはこれっぽっちも……」 「ふうん、そっか」 確かにアリーナにはデイジーが似合ってるなあ、などとソロは呑気にそんなことを思ったのだが、では何故に何かを押し留めた表情のままなんだろう……クリフトの言動の奥に少しだけ引っかかる何かを感じた。 詮索するべきではないとはわかっているもののやっぱり気にはなるなあ……聡いクリフトは友人の悶々とした疑問の表情に気が付いたようで、ああ成程といった笑顔の後にとても穏やかな、ただちょっとだけ影の落ちたような笑いを浮かべて話を続けた。 「デイジーの花言葉をご存知ですか」 「花言葉?いや知らない」 「純潔、だそうですよ。まるで姫様そのものですよね」 「クリフト、お前」 クリフトはアリーナとあのデイジーを重ねているのだろう、紛れも無く恋焦がれた瞳を花畑に向けていた。 ソロ自身にも、いつも花畑で微笑みながら自分を見守ってくれた愛しい存在が居た事を思い出していた。 今はもう昔の話であったが全て失ってしまった。 花に決して触れられない想い人を投影する友人を見たソロは、胸の奥にチクリと痛む何かを感じた。 誰にも汚されない、という白い花はまるで彼女みたいだ。 そう、自分みたいな人間なんかには不釣り合いなんだ。 命を簡単に操る呪われた術を持っている自分、そして彼女に身の程知らずの恋慕と汚れた熱情を抱いてしまった身には決して手折る事の出来ない白い花。 クリフトは大方そんな事を考えているのだろう、決して想いを打ち明ける事など出来ない辛さ、にいつかこの真面目な男は押しつぶされてしまうのか。 何とも言えない屈折した考えを随分とぐるぐる繰り返していたのだろう、アリーナが一輪の雛菊を携えクリフトの側に駆け寄って来る軽やかな音がしてようやく、ソロは現実に帰って来たのであった。 当のアリーナは明るい澄んだ声でクリフトにじゃれつくように話し掛けていた。 「ねぇほら素敵でしょう!私ばっかり独り占めじゃいけないからクリフトにもおすそ分けしに来たの!」 「……え?」 「本当はクリフトも一緒にって思ったんだけど、ソロとお話してるみたいだから邪魔したら悪いかなって」 「そうですか……ありがとうございます」 「うん。私まだあと少しあそこにいるから、もしよければクリフトも来て!」 純粋無垢な笑い声が花畑へと遠ざかっていった、あちらからはアリーナを呼ぶ姉妹の声も聴こえる。 賑やかなもんだなぁと苦笑いしたソロは、クリフトに視線を黙って移す。 当の彼はぼんやりと指先で雛菊を持ったまま立ちすくんでいる。 「ほら、アリーナも誘ってくれたんだし俺達も行こう」 先程の切なさを振り切るようにして明るい声を上げたソロの声の大きさに、クリフトは少し驚いたのだろうか。 一呼吸置いて「えぇ」と少しだけおぼつかない返答が返ってきた。 ソロは「そう来なくっちゃな!」とニヤリと笑った後すぐ花畑に振り向き、「おーい」と大声で大きく手を振りながら丘を駆けだした。 だからソロは見ていなかった。 だからクリフトは見られていなかった。 指先の花にひとつ、慈しむようなキスを落として白い花びらをそっと指先でなぞった仕草を。 *
https://w.atwiki.jp/disneysorcerers/
ディズニー ソーサラー・アリーナの攻略wikiです。 配信日や事前登録情報などを掲載しています。 攻略情報も掲載していく予定なので、 ぜひゲームプレイの参考にしてください。 【公式】:https //www.disney.co.jp/games/dsa ■ゲームについて 説明 「ディズニー ソーサラー・アリーナ」は リアルタイムPvPありのアクションRPGです。 冒険と競争に満ちたソーサラーの世界に飛び込みましょう。 選択の一つ一つがあなたの運命を左右します。 2020年3月24日に世界同時配信をスタート。 プレイヤーは召喚士となり、カードからディズニーキャラクターを召喚して戦う。 トークンを集めることで新しいキャラクターを解放したり、 アイテムで自分のキャラクターを強化することができる。 ディズニーのバトルゲームにしては珍しく、 ディズニー映画のモブキャラクターから参戦している。 タイトル ディズニー ソーサラー・アリーナ 対応OS iOS/Android リリース日 2020年3月24日 ジャンル 新RPG 運営会社 Glu 公式サイト https //www.sorcerersarena.com/ja/#gamescreens
https://w.atwiki.jp/kuriari/pages/301.html
クリフトとアリーナへの想いはPart.9 892 名前 737  Mail sage 投稿日 2009/04/14(火) 01 08 55 ID 72TOOlaI0 【変化の杖2.0】 マーニャは二日酔いの為、馬車の中で休ませてもらっていた。 目を覚ますと、馬車の中にはトルネコが一人と大量の道具が散乱していた。 「・・・何やってんの?」 「道具袋の整理ですよ。必要な時に必要なものが すぐに取り出せなければ、宝の持ち腐れですからね。」 トルネコの割には正論じゃない。 と思ったが口には出さなかった。 「ふーん・・・・」 マーニャは馬車の中で無数に散らばる道具を眺めた。 「・・・あっ、コレ“変化の杖”!」 マーニャは杖を手に取る。 「これ、色んなものに変身出来て面白いのに、 使いどころが少なくて勿体無いわよね~。 ねぇ、ちょっとこれ借りてもいい?」 「いいですけど、今日中に戻してくださいよ。」 「わかってるって。」 マーニャは馬車を出た。 仲間は誰もいない。どうやらすぐ近くの町で一時解散になっているようだ。 「・・・・・さて。何に変身しようかしら。」 マーニャは変化の杖を構えた。 「モンスターに人間に、わりともうネタが出尽くした感があるけど・・・、 何か画期的なものに変身したいわねぇ・・・・・・・あ、そうだっ!!」 マーニャは変化の杖を振りかざした。 (ぼわ~~ん) マーニャは鏡を見る。 「よし、成功ね!!」 “もしも自分が男だったら”だなんて、 我ながら斬新な発想じゃない? 男になったマーニャは色黒でエキゾチックな雰囲気漂う美青年であった。 「ちょっとぉ・・・・!!あたしってばカッコいいじゃないの。 あたし、男でもイケてるわ! あたし、やっぱり最強ねっ!」 マーニャは男としての世間の実力を試してみたくなった。 マーニャは意気揚々と町へ入っていった―――― アリーナとクリフトは一緒にマーケットの露天商を見て回っていた。 なんだかんだ言って二人は楽しそうで、傍から見るとデートしているようだった。 (ふふ、ターゲット決定ね。これはクリフトを嫉妬させたら相当面白くなるわ。) マーニャはにんまりと笑う。 アリーナとクリフトが切り売りのマンゴーを仲良く一緒に食べていると、 その前にマーニャ♂が立ちはだかった。 「「?」」 「お嬢さん、この先にある隠し武器屋に俺と一緒に行きませんか?」 アリーナのツボはおさえているつもりだ。 ちなみに、隠し武器屋というのは単なる出まかせである。 「なあに、それ?何が売ってるの?」 クリフトが露骨に制止に入る。そして小声でアリーナを諭す。 「・・・姫様、こんな怪しげな者の言葉を聞いてはいけません!」 “こんな”?それに“怪しげ”ですってぇ? マーニャのこめかみがピクピクする。 「ちょっと、ニイサン。あんた邪魔だよ! 俺はそちらの可愛いお嬢さんに用があるんだ。」 するとクリフトの目が途端に冷たくなる。普段みんなには絶対見せない目だ。 「・・・・・・・・・・・・・。」 マーニャ♂はあっさり圧倒されて怖じけづいてしまった。 その時だった。 「あっ、アリーナ!クリフトさん!」 「あ、ミネア!」 (げっ!!ミネア!?や、やばいっ、あのコは勘がいいから絶対バレる!!) 「ミネア、どうしたの?」 アリーナが応対する。 「姉さんを見なかった?二日酔いで馬車で寝てた筈なのにいなくなってるのよ。」 「ううん、見てないわ。クリフトは見た?」 「・・・・・・いえ。」クリフトはいつもの目に戻っていた。 「そういえば、今の人は誰?」ミネアが尋ねる。 「ううん。知らない人よ。・・・あら?いなくなっちゃった。」 マーニャはマーケットの人ごみに紛れて逃げていった。 人が多いのであまり遠くまで逃げられないが、ここまで来れば大丈夫だろう。 後ろを振り返る。 (ふぅ~~、危なかったわ~~ それにしてもクリフトはキレたら相当やばいタイプね。) 後ろを向きながら歩いていると、 何かがひじに当たった。 すると、屋台に溢れんばかりに積んであったりんごの山が バラバラと雪崩のように崩れ落ちた。 狭い路地をりんごが埋め尽くす。 「~~っ!!」 「ちょっとあんた!売り物をどうしてくれんのよっ!!」 「すっすみません・・・!!すぐ拾いますっ。」 慌ててりんごを拾い出す。 (・・・・・あたし・・・・イケメンのはずなのに・・・・・・、 ・・・・・・・・・・・・・超ダサい。)マーニャは泣きそうになった。 マーニャ♂が焦りながらりんごを拾っていると、 通りかかる人、皆がりんごを拾って戻してくれている。 みんなの優しさにマーニャはじーんと感動した。 そこへアリーナとクリフトも通りかかり、 二人もりんごを拾ってくれている。 「ねぇ、クリフト。 りんごって二日酔いにいいかしら?」 「はい。果物全般には回復を促す効果がありますよ。」 「じゃあ、マーニャに買っていってあげましょ。」 「~~~っ!! アリーナ!あんた優しいわねっ。 昼まで寝てたから、もう大丈夫よ!」 マーニャはアリーナの手を握る。 「「!?」」二人の顔が不審に歪む。 「・・・・・・・・・あ。」 マーニャはまだ男の姿のままだった。 「へぇ~、変化の杖ってそういう使い方もできるのね!」 アリーナは目を光らせる。 「そ。面白いでしょ?」 マーニャ♂はりんごをかじりながら言った。 「ねぇ、私も男になってみたいわ。 昔からずっと男になりたいって思ってたのよね。」 「姫様っ!何をおっしゃるんですかっ!!」 「何よ。ちょっとぐらい、いいじゃない。」 「いいわよ、いいわよ~男になってごらんなさいな。」 マーニャは変化の杖を振りかざした。 (ぼわ~~ん) アリーナは男になった。 マーニャはごくっと唾を呑む。 「イ、イケメンすぎる・・・・。負けたわ・・・。 しかも強いし、王族だし! あんた、ずっとこのまま男でいてあたしと結婚してっ!!」 「マーニャさん!何を言ってるんですか! それに、男の姿のままでその発言は異様ですよ!」 「私ってそんなにかっこいいんだ!」 「あ、でも変身後の姿ってちゃんと生殖能力あるのかしら?」 3人の男は揉み合いになる。 「マーニャさんっ!!姫様の前でそういう下品な発言は止めてください!!」(クリフト♂) 「はぁ?別にそこまで下品でもないでしょ!!」(マーニャ♂) 「ねえねえ、それより鏡持ってないの!?」(アリーナ♂) 「・・・お前ら何やってんの?」 騒がしい3人に声がかけられる。 勇者だった。 マーニャは事情を説明する。 「ふーん、変化の杖でねぇ~・・・・・。 なぁ、オレも女だったらどうなるのか見てみたい!」 「お、いいわね。勇者はもともとイケメンだから美人なんじゃない?」 マーニャは変化の杖を振りかざす。 (ぼわ~~ん) 勇者は女になった。 「なぁなぁ、どう?うわ、声が高い!」 「・・・・・・・・・。」 「何だよ。何で3人とも無言なの?」 「んん~~顔は凛々しくて申し分ないくらい美人なんだけど・・・」 マーニャは首をかしげる。 「・・・男の時の勇者さんの髪はストレートなんですけどね。」 クリフトが続く。 「なんでそんなギズモみたいな髪型なのかしら?」 アリーナが核心をついた。 「ギズモ!?」 勇者はあわてて頭を確かめる。 「うわっほんとだ!!すげーボリューム!!なんだこれっ!?」 勇者は笑い出した。つられてアリーナ、マーニャも笑う。 最後にクリフトが笑い出したときに3人が一斉にクリフトを見た。 「・・・・・・・え?」 クリフトの顔がこわばる。 「あんたはやらないの?」マーニャの目は座っている。 「そうよ!クリフトだけやらないなんてずるいわ!」 「人のこと笑っておいて、お前はどうなんだ?」 じりじりと3人が近づく。クリフトは後ずさる。 「い、いえ・・・私は・・・・や、やめてくださっ・・・」 マーニャは変化の杖を振りかざした。 (ぼわ~~ん) クリフトは女になった。 3人は唖然とする。 「あっはっはっははは!!お前は男に生まれて正解だよ。クリフト」 「きゃはははっはははおかし~涙出てきた~~!!」 「ク、クリフトッ・・・・!!あんた確かに女顔じゃないわっ。」 「な・・・・私は一体どんな顔なんですか?」 3人とも大笑いしたまま答えない。 「教えてくださいよぉぉおおおお~~」 クリフトの甲高い女声が町中に響きわたるのだった。 (おわり)
https://w.atwiki.jp/mochewiki/pages/2349.html
《トリックスター・ライトアリーナ》 フィールド魔法 このカード名の①の効果は1ターンに1度しか使用できない。 ①:自分が「トリックスター」モンスターをリンク召喚した場合、 その素材とした自分の墓地の「トリックスター」モンスター1体を対象として発動できる。 そのモンスターを特殊召喚する。 ②:1ターンに1度、相手の魔法&罠ゾーンにセットされたカード1枚を対象として発動できる。 このカードが存在する限り、セットされたそのカードはエンドフェイズまで発動できず、 相手はエンドフェイズにそのカードを発動するか、手札に戻さなければならない。 ③:1ターンに1度、自分の「トリックスター」リンクモンスターが戦闘を行うダメージ計算時に発動できる。 その戦闘で発生する戦闘ダメージは0になり、そのダメージの元々の数値分だけ自分のLPを回復する。 使用キャラクター 財前葵(ブルーエンジェル) タグ一覧 トリックスター フィールド魔法 魔法カード コメント 名前 コメント