約 5,739,323 件
https://w.atwiki.jp/w52h/pages/15.html
microSD対応状況 microSDの転送速度(xx倍)はCDの1倍速(150KB/s)を基準としての速度です。 あくまで読み込み時の最大であり、特定の条件下での測定値ということになっています。 特に書き込みは読み込みに対して大幅に速度が落ちるので、参考程度に留めておくべきです。 携帯電話を介した場合、読み書きともまずこの速度は出ません。 W52HはmicroSDのスロットがバッテリの下にあり、電源を切らないと取り出せないため、PCとUSBケーブルで接続し本体をリーダーライターとして利用するのが中心になると思われます。 なのでmicroSDの転送速度をことさら気にする必要はありません。 -07/06/21 日立が公式に動作確認しているものを◎、メディアのメーカーが動作確認しているものを○に変更します。 また、メディアの初期不良の可能性もあるため、複数の報告が得られるまでは×を一時凍結し、 ▲として 登録します。 報告の少ない現状では◎○以外のものは参考程度と考えてください。 ◎:日立公式確認済み ○:メディアメーカー確認済み ●:ユーザ動作報告あり ▲:ユーザ不具合報告あり (×:動作不可) ―:未検証または未発売 メーカー 64MB 128MB 256MB 512MB 1GB 2GB 東芝 ― ― ◎ ◎ ◎ ● Panasonic ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ● SanDisk ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ アドテック ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ― バッファロー ― ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ Transcend ― ― ― ● ● ● ADATA ― ― ― ― ● ● PQI ― ― ― ― ● ● ELECOM ― ― ― ― ― ● IO-DATA ― ― ― ― ― ● SILICON POWER ― ― ― ― ― ● TwinMOS ― ― ― ● ― ― CFD ― ― ― ― ― ● UMAX ― ― ― ● ― ― Lexar ― ― ― ― ― ● EVERGREEN ― ― ― ― ― ● kingston ― ― ― ― ▲ ● 動作報告は以下にお願いします Trenscendの1G使ってますがW52Hで問題なく認識しとりやす!(-_-)ゝ -- 名無し (2007-06-14 20 31 38) PQIの1GB(あきばおーで1200円で購入)W52Hで問題なく使えてますよ。 -- 名無しさん (2007-06-14 21 28 56) 東芝の2GBもOK -- 名無しさん (2007-06-14 22 28 02) A-DATA 2G問題ないです -- sepi (2007-06-15 01 19 42) ELECOM 2G MF-MRSD02G おkです。 -- 名無しさん (2007-06-15 01 30 21) Transcendの2GB(TS2GUSD-2)(上海問屋にて\2,999)問題ありません。 -- 名無しさん (2007-06-15 08 44 12) PQIの2Gもおkです。 -- 名無しさん (2007-06-16 08 32 16) IO-DATA 2GB MicroSD問題無しです。 -- 名無しさん (2007-06-16 10 00 54) SILICON POWERの2GB手に入れましたがW52Hで動作OK! -- 名無しさん (2007-06-16 16 36 42) TwinMOSのmicroSD 512MBもおKぃよ -- 名無しさん (2007-06-16 16 40 15) SanDisk2GB(英語パッケージ),Panasonic64MBが問題なく使えていますよ。 -- 名無しさん (2007-06-16 16 47 46) CFD 2G使えました。(60倍速 Read 9Mbps)読込みは早いみたいですが書込み遅いです。携帯内で使う分には特に問題なしですが、PCにデータ移動とか頻繁にする場合は他のメーカーをお奨めします。 -- LLD (2007-06-16 18 31 49) CFD 2G動作OK。余談ですがSDカードアダプターに何故かバッファローのロゴあり。中身はメルコと同じか? -- 名無しさん (2007-06-17 02 55 37) UMAXの512MB問題なく動作してます。//↑CFDというのはバッファロー系列の販売会社なので、中身がバッファローのものをバルク販売していることもあります。 -- 名無しさん (2007-06-17 20 45 46) Lexarの2GB、OKです。 -- 名無しさん (2007-06-18 07 34 21) EVERGREENの2Gワンセグ録画できません。上海問屋にて2980円 -- 名無しさん (2007-06-18 19 24 46) EVERGREENの方、DONYA FLASHの60倍速でしょうか?ワンセグ以外のカメラ機能、SDオーディオなどでは使えますか?録画できないというのはどういう状況でしょうか。また、データフォルダに保存したものをmicroSDに移動することは出来ますか?あれこれと質問して申し訳ありませんが、ご協力いただけると助かります。-- 管理人 (2007-06-21 10 03 50) EVERGREENのDONYAFLASH60Xです。W47Tからのフォーマットで使用不可でしたが、W52Hで再フォーマットしたところ問題なく使えるようになりました。使えなかったときの状況はワンセグ録画機能だけが使えない(0分)空き容量があっても空き容量がありません。が表示される状態でした。データフォルダーのものをmicroSDに移すことはできましたが、フォーマット前ではデータフォルダに録画したEZテレビデータが移動できない状態でした。現在は問題なく使えてます。お騒がせしました。-- 名無しさん (2007-06-23 11 40 37) PANASONICの64MB使えました。 -- 名無しさん (2007-06-24 13 43 34) 東芝 1GB おkです -- 名無しさん (2007-06-24 15 39 15) kingstonの台湾製1Gですが予約録画のみの現象で残量なしですと表示され予約開始できませんでした。 -- 名無しさん (2007-06-24 20 25 39) A-DATAは1Gのほうも問題なく使用できています -- 名無しさん (2007-06-26 19 30 21) パナソニックの2GBが使えてます。 -- しいなん (2007-06-30 00 50 39) 3つ上の方と同じでkingstonの1Gで予約録画時に残量なしで録画できませんでした。 -- 名無しさん (2007-06-30 03 38 43) Transcend 512MB動作確認しました。 -- 名無しさん (2007-07-05 08 42 00) UMAXの2G問題なさそうです -- 名無しさん (2007-07-06 18 14 02) Transcendの1GBで自分だけかも知れませんがムービーのビデオモードだけがsdカードアクセスエラーになります。それ以外は問題なく使用できます。 -- 名無しさん (2007-07-07 13 49 45) ↑の報告ですが、私のTranscend1GBではそのような症状はありませんでした。 -- 名無しさん (2007-07-08 17 40 26) Transcendは動作報告が多いので、↑↑のは個体不良の可能性が高いです。一度フォーマットしなおしてみて、ダメなら交換してもらったほうが良いと思います。 -- 名無しさん (2007-07-09 09 16 43) PQI 2GB 問題無しでした。 -- KD (2007-07-10 10 03 34) TwinMOS 2G 使えました -- tk (2007-07-12 00 40 10) PQI 512MB問題なく使えております。 -- DSD (2007-07-12 04 20 42) ALL-WAYSの1GB問題無しです。 -- 名無しさん (2007-07-12 08 02 35) kingstonの2G動作確認できました。問題全くなし。 -- 名無しさん (2007-07-12 14 13 38) 追記kingstonの2Gでは録画予約問題なくできました。 -- 名無しさん (2007-07-12 14 17 05) KingMax 2GB OKSD Audio , 単純録画で確認しました -- KinKin (2007-07-15 15 12 05) CFD1GBバッファローロゴあり動作確認できました。 -- 名無しさん (2007-07-21 13 16 06) kingstonの1Gですが、はじめは認識しませんでしたが、2-3回試したところ、予約録画できました。 -- 名無しさん (2007-07-23 23 56 14) Transend 2GB 普通に動きます。 -- 名無しさん (2007-07-27 17 29 52) IO-DATA 256M 認識しました。IO-DATA側でも動作確認済みのようです。 -- 名無しさん (2007-07-30 23 58 03) photofirstの2G 150X動作確認済みです -- BOILD (2007-08-01 11 23 47) ADATAの256M使用可能ですV601T(VodaのSD携帯)では使用不可能でした -- W52H買ったばかり (2007-08-08 19 06 27) ELECOM 1GB MF-MRSD01G 使えました。 -- 名無しさん (2007-08-09 11 20 26) 虎2G予約録画、SD Audioおk-- 名無しさん (2007-08-21 03 14 26) kingstonの1G動作確認できました。問題無しでした。-- 名無しさん (2007-08-27 12 31 14) GREEN HOUSE 2G動作確認。問題なし -- 名無しさん (2007-09-04 22 05 55) サンディスク1GB、A-DATA2G動作確認しました -- REY (2007-09-07 15 45 41) サンディスク1Gバックアップ不可です。 -- ころ (2007-10-06 22 37 48) CFD(バッファロー)1GBはOKです。問題なし。 -- 名無しさん (2008-02-03 19 28 24) KINGMAXの2G動作確認しました。 -- 名無しさん (2008-02-03 19 33 03) USBドライバをインストールしてUSBに挿してもフォルダ参照できません。 -- 名無しさん (2008-10-07 01 04 18) KINGMAX 2GB 動作OKです!!!! @580円 -- 名無しさん (2009-05-14 15 52 47) PNY製2GB。問題ありません。 -- 名無しさん (2009-06-30 20 27 46) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/wiki6_wind/pages/4.html
https://w.atwiki.jp/jubeat/pages/509.html
Black Crosses BASIC ADVANCED EXTREME Level 5 7 9 Notes 324 556 662 BPM 200 Time - Artist Strung Out Version jukebeat 動画 Youtube 譜面動画 ADVANCED (フラワー) ニコニコ動画 譜面動画 EXTREME (フラワー) 攻略 各譜面の攻略に関する情報はこちらへ。 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BSC] [ADV] [EXT] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 コメント時は、以前同じような攻略が投稿されていないか、よく読んでからにしましょう 「攻略」には、譜面の攻略情報を書きましょう(攻略と関係ないものは削除の対象になることがあります) 攻略に関係の無い話はこちらで ⇒ 情報交換&雑談 【よくある書き込み】 1. 譜面攻略に関する質問 ⇒ まずは、ひと通りページを読みましょう。既に出ている情報の場合、重複とみなし削除されます。 2.『クリアできた』『やっとS取れた』といった報告 ⇒ 攻略に関係の無いコメントは禁止です。 3. 攻略とは関係の無い、曲に関する情報 ⇒ 関連情報は、ページ上部(タイトル近く)に追記されることがあります。 4. 他の曲との比較 ⇒ ほどほどにしましょう。 注意書きを編集する
https://w.atwiki.jp/gaburiera/pages/250.html
CrossField 家門LV30+3 '11.05.06更新 + メモ日記 メモ日記 1.19 新規再開 2. 6 Ex覚醒 スタンス取得 2.12 入党 2.21 Ex4達成 2.27 天上進出 3. 2 聖魔クエ完了 3. 8 生カトリ編入完了 4. 3 Ms覚醒 5. 6 ヴァレリア編入完了 Ms キャラクター レベル スタンス ファイター♀ Ms 1 ハンギング マスケッティア♂ Ms 1 フリント Ex キャラクター レベル スタンス スカウト♀ Ex 7 ET ミフユ Ex 3 エクィテス グレイス Ex 2 スーペリア 生カトリ Ex 2 デスチョ 白虎 Ex 2 - カリュケ Ex 1 - ウォーロック♀ Ex 1 - グレイス (Ex 1) - Vt キャラクター レベル ロミナ Vt 7 アスカ Vt 4 ビセンテリオ (Vt 2) エデュアルド Vt 1 アデリーナ Vt 1 ヴァレリア (Vt 1) 人形カトリ Vt 1 リサ (Vt 1) カルヤライネン (Vt 1) アニア (Vt 1) 100以下 キャラクター レベル アンドレ 100 アイラワン 100 オーシュマスケ♀ 84 グラシエルロ 84 ソソ 84 マスケッティア♀ 84 クラウドボネ 66 ナル 61 アレハンドロ 60 ソホ 60 アデリーナ 60 エミリア 35
https://w.atwiki.jp/japanesehiphop/pages/2810.html
Format Title Artist Label Model Number Release Press 12 YOU SAY GIANT SWING AVEX,Rhythm REPUBLIC,CUTTING EDGE RR12-88117 1999/--/-- - 228448940_624.v1443539057.jpg Side Track Title Produce A 1 YOU SAY feat.MICHICO rap performed MITCH MATLOCK T.KURA B 2 YOU SAY(Inst) T.KURA 3 YOU SAY(Acap) T.KURA PERTAIN CD AMAZON マスターピース(1)
https://w.atwiki.jp/ranoberowa/pages/376.html
第316話:Cross Point 作:◆69CR6xsOqM 「あぁああああぁ嗚呼ああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!」 「何っ!?」 ガギィンッ 咆哮、そして金属音。 硬質化した祐巳の右の爪が振り下ろされた吸血鬼(ブルートザオガー)を弾き返す。 不意を突かれ、カーラは体勢を崩してしまった。 その隙に懐に入った祐巳の拳が心臓を正確に撃ち抜く。 「ぐ……は……っ!」 胸に白い竜麟が浮かび上がり、心臓を傷つけるまでは至らない。 しかしそれでも一瞬、呼吸を止められてしまった。 そしてさらに追い討ちをかけてくる祐巳。鋭さを増した爪を持った五指を振りかぶる。 魔術を行使するには時間が足りない。 瞬時にそう判断したカーラは吸血鬼(ブルートザオガー)を盾にして呼吸を整える。 衝撃。 小さな見た目に合わない、その異常なほどの膂力にカーラは吹き飛ばされてしまう。 接触した瞬間に吸血鬼(ブルートザオガー)を発動させようとしたのだが、 祐巳の想像以上のスピードに呼吸を整えるのが間に合わなかった。 何とか空中で体勢を整えて着地し、祐巳の方を見る。 今度はすぐには襲い掛かってはこなかった。 うなり声を上げながらこちらの様子を見ている。 『まずいわね。身体能力ならこの竜の子が最高位だと思っていたけれど あの娘のほうが若干上回ってしまっているよう。 魔術で勝負をつけたいけれど、あの娘の速さを出し抜くのは少々難しいわね。 あの娘、先ほどとはまるで雰囲気が違う。説得や、詐術は……通じそうにない。 どうすれば…』 「アアアアアアアアアアアアアァァァァアァ!!」 ほんの数秒の思考時間しか与えられず、再び祐巳は咆哮をあげながら襲い掛かってくる。 自分の魔力を補佐するリングやアミュレットは今はない。 通常の戦士が相手ならばどのような手練であろうとも、 剣を撃ち合いながら呪文を唱える自信はあった。 自分の剣士としての技量はかつての英雄たちと遜色ない位置にあるはずだからだ。 しかし彼女の速度と膂力は尋常ではない。まさに魔獣のそれだった。 攻撃を凌ぐことが精一杯で呪文に集中するどころではない。 意識を防御から一瞬でも逸らせば、その瞬間にこの強靭な爪で引き裂かれてしまうだろう。 相手が無力を装っているからとて、不用意に接近しすぎたことが失策だった。 しかしまだ勝機はある。 彼女はまるで狂戦士のように闘争本能のみで撃ちかかって来ており、そこには技もなにもない。 よって速度にさえ慣れてしまえば、攻撃の軌道を読むことは可能になる。 それに実際のところ、カーラは勝つ必要はない。 このまま殺されても、次の肉体が目の前の少女に移るというだけのことなのだ。 しかし一つの懸念がある。それは相手が二つの意識を持っているらしいこと。 弱き少女の心と理性無き獣の心。 今まで、一つの肉体に二つの精神を擁する相手を支配した例は無かった。 そこにどんなイレギュラーが起きるか判らない以上、敗北はなるべく避けたい。 『私は負けるわけにはいかない。 なんとしてもフォーセリアに帰還し、再び灰色の均衡に世界を導かねばならないのだ』 そしてその時は訪れた。 カーラの誘いにかかって祐巳が繰り出した右の一撃は見事に空を切り、決定的な隙を曝け出す。 その一瞬を逃さずに左側面から吸血鬼(ブルートザオガー)を繰り出すカーラ。 しかし祐巳の反射速度はその致命のはずの一撃をも上回った。 空を切った右腕の下をくぐるように左手が現れ、吸血鬼(ブルートザオガー)を受け止めてしまう。 刃を握り締め、さらに右の腕を振りかぶる祐巳。 そして、カーラは微笑んだ。全ては目論見どおり。 ぐん、と吸血鬼(ブルートザオガー)に力が送り込まれその能力が発動する。 その剣に刻まれた……接触した相手を瞬時に切り刻む能力が。 カーラはその接触の時間を半秒だけでも作り出せばよかったのだ。 祐巳の全身に裂傷が生まれ、鮮血が迸る。 カーラは勝利を確信する。しかしそこに一つの誤算があった。 全身が血塗れになっても祐巳は怯まずに右腕を振り下ろしたのだ。 「そんなっ!?」 裂傷が生まれる際の衝撃によって攻撃の軌道は逸らされたものの、 その一撃はカーラの額冠を弾き飛ばしていた。 カランッ キィン どさっ 乾いた音を立てて落ちる額冠と吸血鬼(ブルートザオガー)。重い音を立てて崩れ落ちる少年の肉体。 自分に対する悪意が消えたことによって満足したのか、祐巳は黙って佇んでいる。 その身体に生まれた裂傷はすでに治癒が始まっていた。 数分もしないうちに傷口は全て塞がり、そして……祐巳は目を覚ました。 「……あれ、私は……?」 周囲を見渡し、そして蒼白になる。 少年が倒れていた。 この少年がいつ現れたのかは全く記憶に無い。 意識の無かった自分。そして倒れている少年。 それを見て蘇る少女を殺した……悪夢。 「そんな! 大丈夫ですか、しっかりしてください!」 慌てて少年の身体を抱き起こしてみる。 ……生きていた。呼吸も心臓の鼓動も正常だった。 ところどころに裂傷があるけれど、どれも深刻なものではなかった。 安堵する。それと同時に再び涙が溢れ出してきていた。 また自分は人を傷つけてしまったのだ。 また一つ罪を重ねてしまった。やはり自分は消えなければならないのだろう。 怖い。でも勇気を振り絞らなければならないのだ。 もう誰も傷つけない覚悟を決めなければならないのだ。 震える全身を止めようと心臓の辺りの衣服ををぎゅう、と握り締める。 【その必要はないわ】 「えっ?」 不意に聞こえた声に周囲を見回す祐巳。 【あなたの望みは何? 私なら、それを叶えてあげられるわ】 その声は、地面の上の額冠から聞こえてきた。 カーラもまた賭けに出たのだ。このまま放置されても目覚めた竜の子に砕かれるは必至。 自分は彼の願いを裏切ったのだから。 ならば結果が不確定とはいえ、祐巳を支配することを選ぶしかない。 「私の……願い?」 【そう、あなたは泣いていましたね。それは叶わぬ願いがあるからではないのですか?】 核心を突かれる。 祐巳は項垂れ、懺悔のつもりで話始めた。 「私は、力が欲しかったんです。お姉さまを、友達を守る力が。 理不尽に死んでしまった友達の分も生きる力が。そして私はその力を手に入れたはずでした。 でも……それは私には制御できなかった。そのせいで……」 一人の少女を死に至らしめてしまった。 【そう、それはとても哀しく、辛いことでしたね。 自らに釣り合わぬほどの大きな力は須らく破壊への導火線となってしまう。 均衡を外れた力はそれほどに危険なのです。 福沢祐巳。わたしを受け入れなさい。そうすれば新たな力ともにあなたの願いは叶えられるでしょう】 祐巳は恐る恐る額冠を拾う。 「本当に、できるんですか? 私がみんなを救うことが……」 【あなたは食鬼人というとても強い肉体を手に入れました。 しかしそれを制御するにはあなたの精神は脆弱にすぎたのでしょう。 わたくしは魔女。力を制御する術は他の誰よりも深く理解しています。さあ】 そうだ。私の心が弱かったから私は自分の力に負けてしまったのだ。 それならば……。 祐巳は目を閉じ、静かに額冠を装着した。 「やめろぉっ!」 突然の制止の声と風切り音。 背後から伸びてきた腕を祐巳は鋭い身のこなしで回避した。 「ちっくしょう! 遅かったか」 「もう目覚めたのね。流石竜の子といったところかしら」 そう、そこにいるのはカーラの呪縛から解き放たれた竜堂終だった。 「よくも俺の気持ちを裏切ってくれたな。 俺もどうかしてたけど、あんたはもっと酷いぜ! さあ、その女の子を放せ!」 「悪いけど、今はあなたに構っている暇はないの。この娘の力に慣れないといけないから」 祐巳……いや、祐巳の肉体を手に入れたカーラは不敵に微笑むと呪文を唱え始めた。 終はそれを見るや否や、カーラに向かって突っ込んでいく。 先ほどまで自分自身がカーラだったのだ。彼女の魔法の恐ろしさはよく理解していた。 能力を制限された自分が耐え切れる攻撃ではないということも。 それならば魔法の完成前に額冠を奪い取るしかない。 しかしカーラの唱えていた呪文は攻撃のためのものではなく、終の予想よりも早く詠唱が終わった。 詠唱が終了したと同時にカーラは巨大な鳥に変化し、終の間合いの届かない場所まで舞い上がったのだ。 カーラが単独での長距離移動に使用するロック鳥への変化だった。 「あ? きったねえ!」 カーラはそれに応えることもなく、南の方へ飛び去っていく。 終は放置されていた吸血鬼(ブルートザオガー)を拾い上げ、空へと構えた。 あの距離、制限されているとはいえ自分のライフルアームならばまだ撃墜は可能だ。 だが結局は断念し、吸血鬼(ブルートザオガー)を降ろす。 そしてもうカーラは目視のかなわない場所まで飛び去って行ってしまった。 カーラは許せない。しかしカーラに憑かれている少女には罪はないのだ。 カーラを通してみた少女の涙が思い返される。 「絶対に助けてやるからな。待ってろよ」 決意を音に出して風に乗せる。 兄である竜堂始が死に、家族同然であった鳥羽茉理が死んで、目標を見失ってしまった終だが 新たな目標を持って胸に熱いものがこみ上げてくる。 「家訓曰く恨みは十倍返し。待ってろよカーラ」 そして終は走り出した。まずは仲間だ。 自分ひとりではやれることにも限界がある。 カーラの存在を広め、助けてくれる人を募るのだ。その為には人が集う市街地を目指すことにした。 彼の瞳にもう、迷いはなかった。 一方、カーラは島の南端まで飛ぶつもりが、あまりの消耗の激しさに途中で着陸せざるを得なくなっていた。変化を解いて、森の中に着地する。 その瞬間眩暈に襲われた。思わず膝を突いてしまう。 血が足りないのだ。傷口は塞がっているものの、失血を取り戻せるわけではない。 食事をし、休養を取らなければならない。 市街地へ赴けば食糧の問題は無い。しかし今の状態で人の密集する市街地は危険だ。 デイパックから地図を取り出し開く。現在地はF-4。すぐ南に城があるらしい。 人がいないとは言い切れないが、市街地よりはマシだろう。 少数ならば説得する自信もある。何より今はか弱い少女の姿なのだから。 そう方針を決め、進もうとした時再び眩暈に襲われる。 今度は無様に両手を地に突いてしまい、強烈な嘔吐感が込み上げてきた。 少し自分の状態を甘く見ていたかもしれない。思いのほか精神力を消耗してしまっている。 肉体を手に入れてからこれまでの短い時間に連続で魔法を使いすぎてしまったようだ。 特に変化魔法での消耗が著しい。これからは逃げるにしても方法を考える必要があるだろう。 加えて、肉体が不安定な状態での強引な治癒による体力消耗。 最悪の状態で自分は憑依してしまったらしい。辛うじて嘔吐を堪え、自嘲する。 「ふふふ、これが彼と、この娘への裏切りの報い、かしらね。 だけど、それでも私は倒れるわけにはいかない……必ず世界を理想へと導いてみせる。 黒でも、白でもない灰色の世界へ」 そう呟いて、カーラは城へと向かって足を踏み出した。 【F-4/森の中/一日目、12:18】 【福沢祐巳(カーラ)】 [状態]:看護婦 魔人化 失血による貧血 精神、体力共に深刻な消耗 [装備]:サークレット 保健室のロッカーに入っていた妙にえっちなナース服(血まみれ) [道具]:ロザリオ、デイパック(支給品入り) [思考]:早急に休養を取る/フォーセリアに影響を及ぼしそうな参加者に攻撃 (現在の目標、坂井悠二、火乃香) 【C-4/崖の上/一日目、12:18】 【竜堂終】 [状態]:あちこちにかすり傷 かなりの疲労 [装備]:吸血鬼(ブルートザオガー) [道具]:なし [思考]:市街地へ向かい仲間を探す/カーラを倒し、少女を救う 2005/05/11 修正スレ99 ←BACK 目次へ(詳細版) NEXT→ 第315話 第316話 第317話 第382話 時系列順 第349話 第301話 福沢祐巳 第353話 第301話 竜堂終 第358話 第301話 カーラ 第353話
https://w.atwiki.jp/touhoukashi/pages/3792.html
【登録タグ DiGiTAL WiNG S デジウィ BEST 曲 花たん 霊知の太陽信仰 ~ Nuclear Fusion】 【注意】 現在、このページはJavaScriptの利用が一時制限されています。この表示状態ではトラック情報が正しく表示されません。 この問題は、以下のいずれかが原因となっています。 ページがAMP表示となっている ウィキ内検索からページを表示している これを解決するには、こちらをクリックし、ページを通常表示にしてください。 /** General styling **/ @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight 350; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/10/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/9/NotoSansCJKjp-DemiLight.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/8/NotoSansCJKjp-DemiLight.ttf) format( truetype ); } @font-face { font-family Noto Sans JP ; font-display swap; font-style normal; font-weight bold; src url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/13/NotoSansCJKjp-Medium.woff2) format( woff2 ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/12/NotoSansCJKjp-Medium.woff) format( woff ), url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2972/11/NotoSansCJKjp-Medium.ttf) format( truetype ); } rt { font-family Arial, Verdana, Helvetica, sans-serif; } /** Main table styling **/ #trackinfo, #lyrics { font-family Noto Sans JP , sans-serif; font-weight 350; } .track_number { font-family Rockwell; font-weight bold; } .track_number after { content . ; } #track_args, .amp_text { display none; } #trackinfo { position relative; float right; margin 0 0 1em 1em; padding 0.3em; width 320px; border-collapse separate; border-radius 5px; border-spacing 0; background-color #F9F9F9; font-size 90%; line-height 1.4em; } #trackinfo th { white-space nowrap; } #trackinfo th, #trackinfo td { border none !important; } #trackinfo thead th { background-color #D8D8D8; box-shadow 0 -3px #F9F9F9 inset; padding 4px 2.5em 7px; white-space normal; font-size 120%; text-align center; } .trackrow { background-color #F0F0F0; box-shadow 0 2px #F9F9F9 inset, 0 -2px #F9F9F9 inset; } #trackinfo td ul { margin 0; padding 0; list-style none; } #trackinfo li { line-height 16px; } #trackinfo li nth-of-type(n+2) { margin-top 6px; } #trackinfo dl { margin 0; } #trackinfo dt { font-size small; font-weight bold; } #trackinfo dd { margin-left 1.2em; } #trackinfo dd + dt { margin-top .5em; } #trackinfo_help { position absolute; top 3px; right 8px; font-size 80%; } /** Media styling **/ #trackinfo .media th { background-color #D8D8D8; padding 4px 0; font-size 95%; text-align center; } .media td { padding 0 2px; } .media iframe nth-of-type(n+2) { margin-top 0.3em; } .youtube + .nicovideo, .youtube + .soundcloud, .nicovideo + .soundcloud { margin-top 0.75em; } .media_section { display flex; align-items center; text-align center; } .media_section before, .media_section after { display block; flex-grow 1; content ; height 1px; } .media_section before { margin-right 0.5em; background linear-gradient(-90deg, #888, transparent); } .media_section after { margin-left 0.5em; background linear-gradient(90deg, #888, transparent); } .media_notice { color firebrick; font-size 77.5%; } /** Around track styling **/ .next-track { float right; } /** Infomation styling **/ #trackinfo .info_header th { padding .3em .5em; background-color #D8D8D8; font-size 95%; } #trackinfo .infomation_show_btn_wrapper { float right; font-size 12px; user-select none; } #trackinfo .infomation_show_btn { cursor pointer; } #trackinfo .info_content td { padding 0 0 0 5px; height 0; transition .3s; } #trackinfo .info_content ul { padding 0; margin 0; max-height 0; list-style initial; transition .3s; } #trackinfo .info_content li { opacity 0; visibility hidden; margin 0 0 0 1.5em; transition .3s, opacity .2s; } #trackinfo .info_content.infomation_show td { padding 5px; height 100%; } #trackinfo .info_content.infomation_show ul { padding 5px 0; max-height 50em; } #trackinfo .info_content.infomation_show li { opacity 1; visibility visible; } #trackinfo .info_content.infomation_show li nth-of-type(n+2) { margin-top 10px; } /** Lyrics styling **/ #lyrics { font-size 1.06em; line-height 1.6em; } .not_in_card, .inaudible { display inline; position relative; } .not_in_card { border-bottom dashed 1px #D0D0D0; } .tooltip { display flex; visibility hidden; position absolute; top -42.5px; left 0; width 275px; min-height 20px; max-height 100px; padding 10px; border-radius 5px; background-color #555; align-items center; color #FFF; font-size 85%; line-height 20px; text-align center; white-space nowrap; opacity 0; transition 0.7s; -webkit-user-select none; -moz-user-select none; -ms-user-select none; user-select none; } .inaudible .tooltip { top -68.5px; } span hover + .tooltip { visibility visible; top -47.5px; opacity 0.8; transition 0.3s; } .inaudible span hover + .tooltip { top -73.5px; } .not_in_card span.hide { top -42.5px; opacity 0; transition 0.7s; } .inaudible .img { display inline-block; width 3.45em; height 1.25em; margin-right 4px; margin-bottom -3.5px; margin-left 4px; background-image url(https //img.atwikiimg.com/www31.atwiki.jp/touhoukashi/attach/2971/7/Inaudible.png); background-size contain; background-repeat no-repeat; } .not_in_card after, .inaudible .img after { content ; visibility hidden; position absolute; top -8.5px; left 42.5%; border-width 5px; border-style solid; border-color #555 transparent transparent transparent; opacity 0; transition 0.7s; } .not_in_card hover after, .inaudible .img hover after { content ; visibility visible; top -13.5px; left 42.5%; opacity 0.8; transition 0.3s; } .not_in_card after { top -2.5px; left 50%; } .not_in_card hover after { top -7.5px; left 50%; } .not_in_card.hide after { visibility hidden; top -2.5px; opacity 0; transition 0.7s; } /** For mobile device styling **/ .uk-overflow-container { display inline; } #trackinfo.mobile { display table; float none; width 100%; margin auto; margin-bottom 1em; } #trackinfo.mobile th { text-transform none; } #trackinfo.mobile tbody tr not(.media) th { text-align left; background-color unset; } #trackinfo.mobile td { white-space normal; } document.addEventListener( DOMContentLoaded , function() { use strict ; const headers = { title アルバム別曲名 , album アルバム , circle サークル , vocal Vocal , lyric Lyric , chorus Chorus , narrator Narration , rap Rap , voice Voice , whistle Whistle (口笛) , translate Translation (翻訳) , arrange Arrange , artist Artist , bass Bass , cajon Cajon (カホン) , drum Drum , guitar Guitar , keyboard Keyboard , mc MC , mix Mix , piano Piano , sax Sax , strings Strings , synthesizer Synthesizer , trumpet Trumpet , violin Violin , original 原曲 , image_song イメージ曲 }; const rPagename = /(?=^|.*
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/35401.html
【登録タグ CROSS L 初音ミク 曲】 作詞:CROSS 作曲:CROSS 編曲:CROSS 唄:初音ミク 曲紹介 『あなたのおかげで最期は人として終れるの』 CROSS 氏の26作目。 歌詞 (piaproより転載) 忘れ去られた場所で 雨音に揺られる夢の欠片 澱んだ意識の中 暗がりに咲く花を見た 壊れた体 消えた命の灯 手放した明日を 見せてくれると言うならば この手は届きますか? 途切れた回路 霞む雨の中 夢幻に沈む あなたと抱き合ったことも 流した涙のやわらかな熱も 遺された私の中に あなたがまだ息づいてる もうわかんないよ神様 泡沫の夢 取り戻せない 夢の中でいいから もう一度だけ抱きしめて チクタク逆さの針 暗い空に真っ逆さま 深い深い意識の奥 寒い一人はもう嫌だな 錆びた体じゃ動けない 神様の悪戯ももうすぐ終わる 時計が刻む音の中に あなたの面影を感じた 陽だまりのような声がした 包み込まれる白衣の胸元に 堪えきれず流れ出した やわらかい熱の涙 もう何年前かわからない この声、体、暖かさも 最期のプレゼント 終わる為のプログラム 時計の針が止まる前に 伝えられなかった心残りがある 消えちゃう前にあなたにだけ 私のホントの名前は「Iris」 心を宿した この体はもう機械じゃない あなたのおかげで最期は人として終れるの 「愛してる、ずっと・・・」 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/animerowa-3rd/pages/2016.html
crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(2) ◆ANI3oprwOY /PSI-missing(2)/あるいは阿良々木暦の俯瞰風景『接続(善)』 強烈な圧迫感が全身を打ち据えていた。 鼓膜に叩きつけられる風切り音は、金切り声のように甲高い。 僕は飛ばされないように必死で踏ん張っている。 もう、目なんか到底開けていられない。っていうか顔を前に向けることすら至難。 少しでも口を開ければ見えない異物感が喉の置くまで進入し、呼吸困難を引き起こす。 「枢木! いくらなんでも速すぎる!」 戦場から離脱を開始してより数分、ランスロットの速度は段違に上昇していた。 手の平に乗った僕等のことなんか若干無視した勢い。 分っている、そのぐらいの速度じゃないと駄目だ、確かにそうだ。 だから僕はいい、耐えられる。 だけど腕の中に抱える天江が、もう限界だ。 「構うなあららぎ。衣は大丈夫だから」 呟かれる言葉は力強く、だけど苦しそうだ。 僕は少しでも天江の負担が減るようにと、彼女を抱え込むことしか出来ない。 「けど、……?」 更に言葉を続けようとして、しかし急に当たる風が軟化した。 轟々と耳をイカれされていた音が弱まっている。 きつく閉じていた両目も、薄っすらと開くことが出来た。 「なっ」 僕の身体越しに天江もポカンと、それを見る。 いつのまにか、真っ白い修道服に身を包んだインデックスが僕達の正面に立っていた。 「何を、してるんだ?」 彼女はこの風の中で微動だにせず、僕等の前で風を受け止めている。 相変わらず冷たく、無機質な、感情を感じさせない視線で僕達を見ていた。 「私には、『歩く教会』の防護があります」 素っ気無い言葉一つだけ。 インデックスは僕等に背を向けて正面を見据えた。 原理は分らないけど、風除けになってくれるってことか。 「……ッ」 内心で、歯噛みする。 どうして僕はこういつもいつも、出来ることが無いんだろう。 あの場に残ってグラハムさんの助けになることも出来ず、 天江を救うこともルルーシュ頼みで、 風除けすらインデックスより役に立たない。 まして、この状況を打開する方法なんて浮かびやしない。 ランスロットはビル街の小道(といっても大通りと比べての小道だ。ランスロット大のロボが通れる位の道幅は在る)を疾走している。 速度は手の乗った僕らが振り落とされないギリギリの……いや多分、許容範囲を超えている。 これほどの勢いで移動して僕らが無事なのはきっと、枢木の操縦の腕が特段に良いからだ。 実際、僕にはそんなの分らないけど、そうでも思わなければとても乗っていられない。 「くそ、せめて飛んで行ければ……」 ランスロットには飛行機能があるらしい。 それでも地上を進む理由は敵に見つからないためだ。 せっかくグラハムさんと式を囮にしてまであの場から離脱したというのに、 空中に飛び上がってしまえばすぐに発見されてしまうだろう。 もともと空中を移動してこなかったのは信長に見つからないためなんだ。 それが一方通行に遭遇してしまって、こうして分散するはめになっているけど……。 「もしかしてアイツ……僕等の居場所が分かってるんじゃ……」 それは最悪の予想だった。 だけど実際出会ってしまっている以上、否定しきれない予感。 前回の襲撃といい、今回の待ち伏せといい、タイミングが不自然すぎる。 どうにもこちらの動きを読んで仕掛けてきているような、周到さがあるのだ。 もしそうなら、アイツがグラハムさん達を無視して僕達を追ってくる可能性は捨てきれない。 背後から今にも奴の笑い声が追ってくるようで。 いや、それ以前にグラハムさん達はまだ無事なのか。 もうやられてしまっているんじゃないか。 ああ、駄目だ。ネガティブな考えしか浮かんでこない。 「プラスになることを考えろ」 自分に言い聞かせるように、口の中で小さく呟く。 一人で腐ってたってしょうがない。 それじゃ本当にただの役立たずだ。 僕にしか出来ないことを考えるべき。 この場で、操縦に集中している枢木と、ディートハルト。 追い詰められている天江、何を考えてるかも分らないインデックス。 その中で僕にしか出来ない事は、まあ、地味ながら、さっきからやってはいるんだけど。 「ていうかいい加減、繋がれよっ」 通信機を耳に当て、ルルーシュへとコールする単純な仕事。 まずは奴に僕らが移動し始めたことを教えなければならない。 合流を急ぐ意味はもちろんある、天江の時間はもう残り少ない。 更にグラハムさんと式への援軍の見込みも、もうルルーシュ以外にかける望みが無い。 この状況を打開するためには、どうしても奴の強力が不可欠だ。 諦めず懲りず、繋がるまではコールし続ける。 「それ、と」 もう一つ、さきほど考え付いた作業を開始する。 コックピットで機体の操縦をしている枢木に、僕の考えを伝えないと……。 □ □ □ □ ジェットコースターのような逃避行の中で、 僕らが辿り着いたのは巨大なショッピングセンターだった。 地図に記された要所の一つでもある、南西の巨大施設だ。 ショッピングセンター第二駐車場。 僕らはいまそこにいる。 ショッピングセンターを出てすぐの場所にある、屋外駐車場だ。 ちなみに第一駐車場はショッピングセンターと直接繋がっている立体駐車場を指すらしい。 後は北上して、ルルーシュと合流する予定。 けど、その前にやることがある。 「枢木……いけそうか?」 「金額は足りてる」 枢木の腕の再生だ。 ショッピングセンターのサービスを利用して、枢木の片腕に義手を接続する。 式が教えてくれた情報は間違っていなかった。 枢木、僕、天江、インデックス。 第二駐車場に備えられた首輪換金機の前にて、四人で見据えている。 『青崎燈子の義手』と記されたタッチパネル式の画面を。 「…………」 枢木は黙したまま、指先で画面に触れて、サービスの使用を選択した。 しばし、静寂の間が入る。 少々、時間が掛かるようだった。 僕はその間にルルーシュへの通信を再度試みた。 相変わらず電波状況は最悪のようだ。 何度コールしてもノイズしか聞こえない。 それでも僕はルルーシュへと呼びかけ続けていた。 枢木の腕が治れば、状況は改善する。 僕は枢木と話した結果、そう結論をつけた。 枢木は言っていた。腕が万全でさえあれば、ランスロットで空を行ける、と。 それはつまり、例え一方通行に発見されようと、操縦技術が戻ればルルーシュとの連携がすぐにでも可能になる。 枢木にはその自信があるということだ。 天江を助けたい僕にとっても枢木にとっても、理に叶っている。 だからここに来た。枢木の腕を直しに。 僕は賭けた。ルルーシュとの合流、それが活路になることを。 「…………まだ……か?」 いぶかしむ枢木の声が聞こえた。 僕も通信機を耳にかけたまま、自販機を見る。 冷蔵庫大の金属箱は沈黙を守ったままだった。 「壊れている?」 おかしい。 薬局の例をなぞるなら、ここから主催の者が現れ……ってパターンが予想できる。 けれど、一向に何も起こらない。 このままじゃ最悪無駄足だ。またしても主催者の罠が仕掛けられているのか……? なんて事を考えていたとき、突如背後から、内臓を震わせるほどの地鳴りが聞こえて―― 「「「…………!!!???」」」 『ずぅぅぅん』と太く重たい尾を引いて、僕らの腹の中をかき回しながら抜けていった。 僕も、枢木も、天江も、一様に振り返る。 何の……音だ……? 背後に聳えるビルの山脈の向こうで何が起こっているのか。 分らないけど。嫌な予感以外の何も感じない。 急がないと。 そう思って再度、自販機を見たとき。 「お待たせしました。 これよりサービスを執行します」 誰かが唐突に、抑揚無く語りだした。 「本来、この場でのサービスを担当していた者は現状では動けないようです」 声に一同全員、振り返る。 そう『振り返った』のだ。 現れた誰かを見るのではなく。 それは僕らの内の一人を、すたすたと枢木に歩み寄り、真っ白い修道服の長い袖に通した腕を伸ばす、 「よって、禁書目録が代行として魔術の行使を行ないます」 主催者、インデックスに、全員の視線が集中していた。 「な……」 突然のことに、僕を含めた全員が絶句するなか。 差し伸べられたインデックスの手の平の上に、何かが形作られていく。 「使用治癒術式の厳選開始――完了。 前執行者が使用していた異世界魔術の応用が現状にて最も短時間にて発動可能な魔術と認識。 術式使用方法の照合――完了。 治癒に必要となる義腕部の転送は滞りなく遂行。 ――警告。腕部接続時の術式に禁書目録の理外の法あり」 凄まじい早口で何事かをまくし立て始めた少女に、僕らは呆気に取られるしかない。 それ以上に異質なのは、彼女の手の上に乗せられていたソレ。全員が凝視していた。 「い、インデックス……?」 心配そうにインデックスを見ていた天江の視線も、もちろん固定されている。 それは、一本の腕、だった。人間の腕だ。血の通った腕、ビクンビクンと胎動している。 断面からは骨と血が見える。何故こぼれ出さないのか疑問なくらいに、生々しい。 「前執行者の術式を解析―――――――失敗。 警告。同様の工程では術式の再現は不可能。 前執行者の異世界魔術工程を参考に、独自の解釈で魔術の再解析を試行―――――成功。 結果から逆算、媒体の効力のみを解析、同様の奇跡の再現が可能。 警告。この術式の使用は禁書目録独自の魔術仕様が必要。 魔術使用許可を申請――許可されました。禁書目録にかけられた制限の解除を確認」 誰にともなく……自分にか? 留守電を再生するかのように、淡々と言葉を重ね続けるインデックスを、みなが唖然と見守る中で。 彼女は枢木へと、両手に抱え持った『腕』を差し出した。 「接続はすぐに終わります。傷口をお見せください」 「ちょ、ちょっと待てよ……! インデックスお前……!」 背筋を冷たいものが伝う。 鋭い刃物が背骨に当てられているような、無視できない寒気だった。 こいつが今言ったことは、原理とか魔術とか分らないけど、 やってることはつまり主催者の立場に身を置く奴の振舞いだ。 これはどういう事だ? インデックスとディートハルトは主催を裏切ったんじゃないのか? だから彼女は天江を助けたいって、思ったんじゃないのか? そんなやつがどうしてサービスの執行なんか……。 「やめろ」 インデックスの肩を掴もうとしてた僕を、枢木の手が阻んでいた。 「けど」 「尋問は後でいい」 見下ろせばインデックスもまた、冷たく突き放すように僕を見上げている。 「ここで時間を費やすことは、本意では無いはずです」 その無機質な声、無感情な瞳、思えば最初に見たときから何一つ変わっていない。 変わってはいなかった。 僕は大きな勘違いをしていたのかもしれない。 だとするならばこれは、この状況は未だに主催者の手の上って事になるんじゃないか……? 「……わかったよ」 僕はインデックスへと伸ばしていた手を引っ込める。 確かに枢木の言うとおり、今はこれより優先することがある。 一刻も早く腕を直すことが、先決だ。 天江は一刻を争う事情を抱えているんだ。 インデックスのことはその後で考えるべきだろう。 今はそれより―― 僕は腕の接着を開始した枢木達から視線を切って、背後を見る。 駐車場から少し離れたところには、ランスロットに乗り込んだディートハルトがいる。 インデックスより、奴の狙いが分らなくなってきた。 奴ははっきり言ったんだ。『我々』は裏切り者だ、と。 にも拘らずインデックスは、未だに自分が主催者側の人間なのだと、隠す気がなかった。 奴は何かを僕達に隠している。思えば肝心なことは何も言って無い。 天江の制限時間に、僕の目はきっと曇っている。 なにか……重要なことを見落としているような……。 『ザザザ――ブッ…………』 その時、耳の中で聞こえた音に、僕は意識を引き戻された。 通信機が、通話状態になっている。 「ルルーシュ!? おい聞こえるか!? 今僕達は――!」 僕は救われるような心地で状況をまくし立てた。 不安材料はあるけど、状況は好転してきている。 これでルルーシュからの援護が得られる。 枢木の腕も治った。 状況だけ見れば、悪くない、希望の光は消えてない。 通信が繋がったということは、多分ルルーシュと僕らの位置が近づいてきてるってことだ。 合流は近い、援軍が近づいてきている、グラハムさんと式を助けられる。 僕らの戦力は完全になる。後はどうやって一方通行を撃退するかを編み出せすかだけど。 そこは智将ルルーシュの出番だろう。 僕はその後に、奴と対決することになるかもしれない。 それでも今は目の前の敵への対応が必要なのだから。 「ザザザザ――!」 やっぱりノイズが酷い。 すぐにでも切れてしまう事だろう。 とにかくこっちの状況だけでも正確に伝えないと。 そう思って声を張り上げていた時だった。 ――状況は立て続けに巻き起こる。 それに、僕は気が付いていなかった。 「……何だ?」 ざわざわと、背後が騒がしいことが気になって振り返る。 天江が、僕の背後、ランスロットの更に背後を指差してた。 腕の接続を終えた枢木もそれを見る。 次にインデックスが、最後に僕が振り返って……。 「――――!?」 天江が指差した先には、一棟のビルがあった。 ショッピングセンターに向かい合うように建てられた建造物、けれど天江が指差していたのはそれ自体じゃない。 その上の、屋上にあったものだ。 巨大な給水機か何かの陰になっていて今まで見えなかったんだろう。 いやそれにしたって何故アレに気がつかなかったのか、皆目検討もつかないけれど。 天江によって、その姿が認識できるようになった瞬間。 「あれは……ナイトメア……フレーム……?」 枢木の呟きが聞こえた。 それは確かに、あのナイトメアと呼ばれるモノなのだろう。 大きさが大体一緒くらいに見える。 だけどあれは、ランスロットとも、サザーランドとも違う。 知らない機体だ。でも今はそんなことが問題じゃなくて。 問題はその機械が抱えた巨大なロケット砲みたいなものが、僕らの方向に向いている、ことで……。 「……こ、ここから離れろォッ!!」 僕は全力で叫んでいた。 叫びに応じるように、天江が一歩下がった。 僕が叫ぶ前から、枢木は既に動いていた。 インデックスはそ知らぬ顔で行動を開始した。 皆がばらばらの行動を取る中で―― 僕等に向けられていた災厄の銃口は厳かに、閃光と焦熱を迸らせた。 □ □ □ □ 「ザザザザッ――あー、あー、もしもし? ノイズ酷いっすねー、聞こえてるっすか?」 『まだなんとか……聞こえてるよ。でもこれ以上距離が開くと途切れちゃうかもな。で、そっちはどうだ?』 「いやぁー、なかなか期待通りにはならないみたいで。死人はゼロみたいっすよ。 やっぱり直接狙わないとあたらないっすね」 『そうか、でも、目的は達成できたんだろ?』 「あ、はい。そのあたりに関しては上々っす、足止め完了しました。 むこうのロボットも瓦礫の向こう側、あの人たちだけじゃどかすのは無理そうっすね。 埋まってなくても、道が塞がってるようじゃ誰にもたどり着けないっす」 『敵の機動兵器は封じた、か。ならもう十分だよ。お前はこれ以上動かなくていい。 同じポイントに敵が来れば逐次砲撃してくれ。それだけでいいから』 「了解っす。とは言え、もう誰も戻らないと思うっすけど……」 『それでもだ。無理に動かれて、勝手に死なれたら私が困るんだよ』 「あーはいはい、分りました。わたしはもうココから一歩も外に出ないっすから、澪さんは澪さんの仕事をして下さい」 『うん、分ってる。任せとけ』 「はい、任せました」 『じゃあ終り次第連絡するから、あの場所で落ち合おう』 「ええ、ではまた」 『…………なあ、モモ』 「なんすか?」 『……死ぬなよ?』 「澪さんは…………役目を果たしたら、適当に死んじゃっていいっすよ?」 『ははっ……やなこった』 通信が、切れる。 どことも知れぬ小さな部屋の中で、少女はソファにもたれかかっていた。 通信機に添えていた手を離して、もう片方の手に持ったそれを見つめる。 「んー、やっぱり本調子にはほど遠いっすねー。感覚全然ないっすよ」 ボロボロの腕の先に持つ、トリガー(引き金)。 それは、ナイトメアフレームの遠隔操作機器だった。 彼女には機動兵器を操縦した経験など無い、練習も積んでいない。 故にパイロットとして戦うことなど出来はしない。 しかし、『引き金を引く』事だけならば、誰にだって出来る。 「……ん」 引き金を、引っ掛けた指でクルリと回したその時、彼女はふと懐かしい気配を感じた。 それはもう遠い日の記憶にすら思える、あの肌寒い不条理(オカルト)の手触り。 ああ想定外がまた一つやってきた、と。 そんな、番狂わせの予感を確かに感じとりながら。 「それじゃあ、私達も……」 今は兎も角、と。 彼女は開け放たれた窓の外を見つめ。 ふっと、口元に笑みを浮かべて、小さく小さく呟いた。 「戦闘開始、っすね」 □ □ □ □ /PSI-missing(3) 吹き上がる炎が大気を焦がし、立ち上ぼる陽炎が空間を歪ませる。 大出力のスラスターより噴出し、全長十七メートルにも及ぶ巨人の全身を持ち上げるそれは、空の世界へ飛翔を為さしめる光の翼だった。 深紅の人型戦闘兵器、ガンダムエピオンは轟々と金緑色の軌跡を描きながら空を登り往く。 敵対するモノに対抗する唯一の手段をその装甲と、その掌に宿して舞い上がる。 「耐えてくれよッ!」 男が叫ぶ。 巨体の内側にて、操縦桿を握るグラハム・エーカーはこの時、パイロットとしての真価を問われていた。 この程度の機体上昇、エピオンにとっては造作もない。機体が秘めるポテンシャルの一割にも満たない瑣事。 しかし、機体の手の内に抱え込まれている生身の両儀式に掛かる負担は計り知れない。 全速力の運動性能を引き出せば、装甲の内側にいるグラハムにすら命の危険が及びかねない程、この機体は本来から強烈な暴れ馬である。 それを御するのみならず、機体の外側に剥き出しなっている唯一の攻勢手段を気遣いながらの航行―― ましてや戦闘など、狂気の沙汰としか言い様の無い行為だった。 空を飛ぶエピオンを、追う影が九つ。いずれも大質量の砲弾だった。 金属の鉄柱、コンクリートの外装、木製の骨組み、雑多な物物で構成されたそれは、地に無数に建ち並ぶ建築物そのものである。 立ち並ぶビル、民家等がそっくりそのまま地より抜き放たれ、エピオンを追尾してくる。 ともすれば滑稽とも言える光景も、勢いがミサイルの如しならば脅威でしかありえない。 砲弾が描く軌跡、その全てが同一ではない。天に孤立する巨人を落とさんとする包囲弾。 取り囲むように、曲進してくる六発。僅かに遅れて円の内側から狙い撃つ、三発の直進弾。 安易な判断は許されない。 エピオンの全速力をもってすれば、容易に離脱もできようが、しかし急劇な高速航行は式の肉体を壊してしまう。 故に、勝利のために、この時のグラハムエーカーに求められている技能は以下の三つである。 一つ、両儀式に害の及ばない航行速度を維持する。 二つ、一つ目の制限を守った上で迫り来る砲撃をやり過ごす。 三つ、上記二つを完遂した上で反撃に転ずる。 不可能。まるで不可能な難題だ。 そもそも自然の摂理を数え切れぬほど無視した攻撃を前に、 エピオン最大の強みである機動力を封印したまま対抗し、あろうことか反撃に転ずるなど夢のまた夢。 ただの理想論である。妄想に過ぎない、非現実。 「ならば――」 そう常人ならば、脳裏に浮かぶ不可能の三文字によってすぐさま振り払う。 馬鹿げた妄想。 諦めることが、正しい道理であり、 「ならば、そんな道理、私の無理でこじ開けるッ!!」 しかし、違った。 この乙女座の男、グラハム・エーカーは違うのだ。 なぜならば、彼はしつこく諦めも悪い男、俗に言う人に嫌われるタイプなのだから。 「ぜえぇぇぇあぁぁぁッ!」 裂帛の気合と共に、繰る手綱。 グラハムは手元で暴れる駻馬を全力で押さえ込み、己の意志を叩き込む。 手始めに機体の左手を同じ位置に固定させ、左腕部のシールドを下方に突き出した状態で、残りの全身を更に上空へ押し上げて。 ――ときに、パイロットとMSの関係とは、つまりヒトとモノのコミュニケーションである。 しかしそれは常ならば意志の非意識の疎通となる。 内なる会話。人による訴えに対し、機械による従順な行為の変換。 グラハム・エーカーとガンダムエピオンのそれは、暴力的の一言に尽きた。 非意識ではありえないと思えるほどの、まるで意志を持っているかのような、機械の反逆が此処に在る。 逆らうはずの無い非意識が、手先で御せる筈の機械人形が、まるで言うことを聞こうとしない。 放つ命令に意義を唱える。否、否、否だと訴える。操れない、制御できない、という次元の理ですらない。 真逆、魔逆、操るものを操らんとする妖魔の業。 恐るべき事に反意の作用は機械の内側だけでなく、グラハムの内側にも生じている。 意識に、介入されている。 このような機体を、グラハム・エーカーは知らない。 人の反応速度を完全に無視した滅茶苦茶な機体スペック。 実戦を想定するにはあまりに不可解な武装構成。 そして、グラハムの脳裏すら操らんとする悪魔的システム――ゼロ。 暴れる、暴れる、暴れ続けて止まらない。 指先の繊細な動作など受け付けない。 今にもこの機体はグラハムの制御を振り切って、心を食いちぎって、解き放たれようとする。 抱え守る式など無視して暴発する。その速度で、彼女を殺す。 一瞬選択を誤るだけで、力加減を誤るだけで、呆気なくグラハムの意志など関係なく、制圧し、 自由を取り戻し、全速力で押し潰し、全てを壊し、下方の敵を殺し、勝利を、 そう勝利を、勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利を勝利だけを―― 「ああ、いいぞッ! 悪くない抱擁だッ! 私の心すら焼きつくさんとするのかッ!」 勝利を拒絶するならば此処に、もう一つあるモノは繊細な手技などではなく―― 「だがまだぬるいッ!ぬるいぞッ!もっと、もっとだッ!そうだもっと感じあおうじゃないかッ! 私からも、今こそ、抱きしめよう、ガンダムッ! 抱き合おうじゃないか、ガンダムッ!!!!!」 意中のモノの気を引き付けんが為の情熱的な、男の手技である。 押さえ込み捻じ伏せ組み敷き蹂躙せんとする、野太い腕である。 内なる炎をで鋼の機体を焼き尽くさんとする、情の抱擁である。 「さあ、行こうかッ! 力ずくで抱きしめ合おう! 私は全力で、君を抱きしめて放さんッ!」 そして始まる攻防戦。 向かい合った一つの意志と、一つの非意識。 ぶつかり合い、潰しあい、抱き締め合った、暴虐的な意思疎通は乱反射して戦場へと。 「ああそうとも!! 多少強引でなければ、ガンダムは口説けんからなぁ!!」 両儀式を抱えた手は固定。 どれほど、ガンダムが暴れようが、ここだけは動かさない。 譲らぬ一線、ゼロが示した偽りの勝利は、いかに勝利であろうと、グラハム・エーカーの勝利ではありえない。 「私の道を切り開け! 私に勝利を齎すならば! 君の力を示してみせろ!」 エピオンの左手を自ら封じる以上、使える攻撃部位は右手のみ。 グラハムに許された現状唯一の攻撃手段、機体の腰部にマウントされたビームソードを抜き放つ。 大気を焦がしつくす金緑色の刀身が、天を突き刺すように高らかに掲げられた。 まずは、先んじて向かい来る、六つの砲撃に対する迎撃を決行。 機体の向きを傾ける。 ビームソードを水平に構え、スラスターを吹かせながら、瞬間的にブーストすべき位置を調節し。 「はぁぁぁぁァッ!!」 『その場』で回転した。 同じ場所、同じ座標で、ガンダムエピオンの推進力をフルに発揮して機体の全身を回転させる。 ビームソードが、空間に何重にも斬撃のエフェクトを描き、斬る。 同時直撃を狙い打たれていた六の砲撃が、等しく同時に切り裂かれた。 それは既に達人の枠外にすら届きかねない。 驚嘆すべき機体制御力が成し遂げた、至宝とすら表現できるほどに磨きぬかれた経験と、 一握りの才能による、正しく『エース』パイロットの為せる技だった。 「ぐ……が……は……っ!」 代償は、多大なる圧力。 身体への負荷。 Gを一身に引き受けたグラハムは、 コックピットで血反吐を吐きながらも次なる動作を行なおうとする。 「……来た、か!」 直感的に察していた。 敵は近い、仕掛けてくる。 直後、予感違わず、エピオンの左腕部シールドへと横向きに激突した一棟のビル。 そこに加えられるインパクト。 盾の内側に守られた式を狙ってのものだ。 遅いと知りつつグラハムは対応を開始する。 しかし驚くべきことに、狙われていた式はとっくに対応を成し遂げていた。 衝撃が届く寸前、少女はその場で跳躍を敢行していた。 床下からの、不可視であった攻撃をを容易く、中空に飛び出すことで回避する。 古来の絶技、侍の歩法。 目さずとも、殺気の距離を測る、感じ取る、間合いの読み。 限定的ではあるものの、未来予知にも届く域の直感併用。 しかし、それだけで窮地を脱するには不足だった。 タイミングとしては完璧の跳躍も、 次の刹那に足場が消えてしまえば、身投げに等しい自殺行為に置き換わる。 式の反応が最適であっても、更に横方向からの攻撃に晒されたエピオンの動きには、同調していなかった。 少女の足場が消え失せた瞬間。 エピオンは砲撃の攻略に成功する。 がしかし、その一瞬の間に、グラハム・エーカーは肝心の両儀式を見失っていた。 「不覚ッ!!」 全ての砲撃を止め、撃ち落とした。 破片が無数に落ちていく中空。 舞い散る瓦礫をくまなく探れど、落ちる人影は見えない。 「どこに――」 「よォ?」 代わりに、 絶対零度の如き怖気が、 グラハムの背中に深々と突き刺さった。 「貴様ッ!」 機体を反転させ、エピオンの滞空していた位置より、更に上空を仰ぎ見る。 視界に映るものは、早朝の空と、天に浮かぶ雲と、エピオンを取り囲むように未だ浮く、空中でバラバラになった建造物の破片。 その内の一つ、中ほどで折れた高層ビル、横向きに落ちていくその上に立つ者が一人。 見間違いようの無い敵手の姿。 先の砲弾に紛れエピオンより更に上空に陣取った、一方通行の姿だった。 「そろそろ、逝っとくかァ?」 足場のビルを蹴り飛ばし、直下のエピオンへと喰らいにかかる。 これこそが十発目の砲弾。隠し球、変化球、魔球。 「まだだ」 両儀式という敵への抑止力を失ったいま、 敵の接近を持続的にを許すエピオンの装甲は、強度を失いハリボテに成り下がる。 矛は単体でも戦えるが、盾は矛と一体でなければまともに機能し得ないのだ。 接近そのものを回避するしかない。 即座にエピオン急降下を開始するエピオン。 しかしパイロットは己の動作に反する言葉を叫んでいた。 「まだ、退くわけにはいかんのだ」 戦闘が始まってから、そう長い時間は経っていない。 グラハムはこの一方通行との戦いで、回数にして三度の交差を越えてきた。 その間に、何度死線を潜ったか分らない。 しかしまだ足りない。スザクとの通信は電波状態が悪く、途切れたままだ。 北の集団と合流するには、まだ時間が足りないだろう。 これだけの時間では、あのか弱くも優しい少女の安全を確保するには足りない。 しばし、もうしばしの間。 もたせなければならないというのに、現状、矛を失った盾には時間稼ぎすらままならない。 エピオンの攻撃では何一つ出来ない。 先ほどまでは何とか保っていた、形式上の膠着状態すら、保てずしかし、グラハムは退けないのだ。 「認めん、認められんぞ私は!」 もう何度目かも分らない、絶対絶命。 紛れもない窮地。 されど同時に、彼の味方たる『矛』は、そう容易く折れるものではなく。 「おい、さっさと指示出してくれよ。オレも死にたくは無いんだけど」 「は――やはりな!」 落ち続けるガンダムエピオンの傍らで、同じく落下の一途を辿っていた高層ビルの、破片の上。 グラハムの確信通り、両儀式はそこにいた。 一方通行と同じように、シールドによって防がれ折れた一発目の砲弾の破片を足場にし、 灰色のビルの壁、コンクリートの上に、無傷で立っている。 あの一瞬、跳躍の瞬間、エピオンの手を離れた刹那の判断で、彼女は落下するビルの壁へと飛び移っていたのだ。 「私は信じていたぞ!」 「早くしろって」 「ああ、承知しているッ!」 とはいえ、このままでは地に叩きつけられる運命の少女へと、 エピオンの左手が伸び、拾い上げ、そして一方通行への道を作る。 「飛ぶぞ、両儀式ッ!!」 旋回するエピオンの腕。 装甲を蹴り飛ばし、ただ一人重力に逆らって、再び飛翔する少女。 その目前には、翳された一本の刀。 右手が柄を、左手が鞘を握り、キン、と鉄の音をたて、白銀の牙が顕となる。 今度こそ完全に黒鞘を破棄して、式は構えを取った。 鉄と空の路を駆け抜けながら、選択された型は――八双。 己の肩の上にて、左の手で柄を握り締める。 刃を水平に寝かせ、鋭利な切っ先を目前に向けた特殊型。 意味する技とは、殺法とは、殺傷力のみを追求する牙の刺突。 握るその古刀に、銘は無い。 煌く刃には曇り一つ無く、現世の空を今も、在りし日と変わらずに映している。 左手で放つ突き技を得意とし、無敵の剣とも称された一人の剣士が振るいし剣術。 かの日、それを実戦の元に行使した正義の凶刃。 決して紛うことの無い、名もなき名刀。鍛えし者の名を、鬼神丸国重といった。 「――――」 式は、空を見る。 金緑色の閃光が過ぎていった先に、澄み渡る掃天。 それに劣らぬ蒼き眼光をして今、降りてくる一方通行の姿を、確かに見据え。 大量の瓦礫と共に降りてくる声を、聞いた。 「ち、そォかよ。そンなに俺と闘りてェンなら、いっぺンだけサシで遊ンで――」 「――――」 踏み込みは、もう不要。 最低限の推進力は既に得ている。 じきに失われる前進だが、構わない。 いつか重力に囚われようとも、こちらから接近せずとも、斬るべき対象は自ら迫り来る。 そして今度は、決して逃がさない。 「オマエ……誰だ?」 「――」 質問に、少女は笑う。 『両儀式』は、とても女性らしい微笑で敵を迎えた。 「まァ、誰でもいいンだけどよ」 瞬間、爆ぜるような突き上げが、蒼天を穿つ。 両儀式は左腕を、弓の如くに絞りきった頂点から、解き放った。 腕、腰、足、回転する全身で狙い撃つ。 一点に込められた力は空間すら突き破るように、天へと伸ばされる。 もう同じ手は使わせない。 たとえ風圧の盾を展開されようとも、両儀式の切っ先は大気すら貫き通す。 空気の断層すら、殺してみせる。 今や中間の空を操ろうと、一方通行には迫る刃を止められない。 もうじき刃は空間を次々と突き刺し、刺し抜き、穿ち抉って、到達は数秒にも満たない間隙の後―― 「しゃァらァくせェェェェンだよッ!!」 相対する一方通行は、退避を選ばなかった。 掲げられる手。右腕が、更に上空へと伸ばされる。 空を掴むように、そこにあった塵芥を握る。 掃天に拡散した億万の瓦礫の破片、空気に充満した埃の粒、そのベクトルを、操った。 構成されたそれは、真昼に降り注ぐ流星だった。 上空より一方通行に触れた瓦礫の破片が、その全てが殺意の豪雨となりて炸裂する。 向かう先は当然、下方より迫り来る蒼き殺意、その刀身に収束する。 攻撃が避けられぬなら、その穂先を潰すまで―― 「「――――!!」」 瞬間、規格外の双方、同時に確信した。 突きの速度を、見切れず。 されど一方通行は構わず。 澄んだ刃にピシリと、僅かな亀裂が生まれ。 されど両儀式は構わず。 刃を伸ばす。 手を伸ばす。 そして、交錯する両者の影。 瞬く間もない、刹那の攻防の終わり。 上空に抜ける、両儀式の刀身が、砕けて散った。 下方に抜ける、一方通行の首に、薄く赤い筋が走った。 「――っ」 「……は」 苦む、両儀式。 哂う、一方通行。 決着、未だ訪れず。 両者、四度目の交差を終えていた。 刹那の先に、五度目の攻防を見据えながら。 □ □ □ □ /PSI-missing(4)/あるいは阿良々木暦の俯瞰風景『合流(悪)』 何も、見えない。 しばらくの間、僕の視界は完全にブラックアウトしていた。 痛みなんて、もう何度も経験しすぎていて、慣れてしまっていた。 だけど、見えないことは怖かった。 ええっと僕は……僕達はどうなったんだっけか。 イマイチ思い出せないけれど。 なにがどうなったのかも分らない。 どうなってもいい、そう思わないことも無かったけど。 これ以上失うものもない、そうかもしれないけど。 だけど、このまま僕が死ぬのも。 誰かが死ぬのも、不思議と、嫌なんだって、少しくらいは、未だに思えた。 「――――くぁ……」 奇声っぽい呻きを上げながら起き上がる。 身体は動く。ははは、じゃあ大丈夫だ。僕はまだ大丈夫だぞ。 それならきっと、他のみんなも大丈夫。そのはずだ。 そうじゃないと、困るんだ。 「…………あ」 景色が戻る。 平和な風景を期待していたわけでもないのに、覚悟していたはずなのに、呆気に取られる。 僕の目の前には抉られたアスファルトの路面と、薙ぎ倒されたビルと、炎と、瓦礫の山があった。 そして、目の前には、巨大なロボットが、横たわっていた。 あれは確か……ガンダム・エピオン……だっけか? 「なん……だ……これ」 なんでこんな所にあるんだよ。 式と一緒にあの交差点に残って、一方通行と戦っていたんじゃなかったのか? それがどうして……こんな近くに。 えっと、アレ、僕は、僕たちはいま、何やってたんだっけ? ショッピングセンター前にいて、それで枢木の腕が治って、それで隣のビルにロボットがあって、動き出して、砲撃……され……て。 てか、ああ、くそ、やっぱ駄目だ。もう、立てな…… 「立て」 い、と思っていたんだけど。 不思議と身体が軽くなった。 いや、肩を持ち上げられたのか、いつ間にか隣にいた枢木に。 枢木は、僕の身体を引きずるように支えながら、燃える風景の中、どこかへと歩いていく。 くそ……やっぱコイツ、けっこう身長高いな……。 なんて、ボケたことを思いながらも。 「天江は……天江……は……どうなったんだ……よ?」 酷い耳鳴りの中で、僕は何とかそれだけを聞いた。 生き延びているのか、どうなのか。 「生きている」 枢木は、簡潔に答えて、指差した。焼け焦げたコンクリートの道の先。 そこは、ショッピングセンターの第一駐車場。立体駐車場の入り口。 天江と……そしてインデックスが、立っている。 こっちにむかって何かを叫んでいる天江。 そして駆け寄ろうとしている天江を、煤けたシスター服のインデックスが、無表情のまま袖を掴んで止めている。 良かった。ふう、あの馬鹿、そんなとこにいないでさっさと逃げろよ。 僕なんかに構ってどうすんだっての。 「って、なんで、だ?」 「なに?」 「なんでだ、いったいどこに行こうとしているんだ、僕達は」 「分るだろう。あそこだ」 僕の問いに枢木の指が、やはり立体駐車場を指している。 「ここは危険だ。ひとまずあそこに逃げ込んで、やり過ごすしかない」 「逃げ込む? あの、駐車場に?」 いや、待てよ。 まて、まてまてそれは、駄目だ、駄目すぎる。 やり過ごすだって? そんな時間、もうないのに。 「馬鹿いうな。なんでそんなこと、ランスロットは……!?」 アレに乗ればすぐにルルーシュ達の所に着くんだろ。 お前の腕が治ったら、飛行ユニットが使用できてそれで、なんとかなるんだってそういって……。 なのに、枢木は頭を振ってただ一言、こう言った。 「何を言っている? ランスロットはいま……そうか、君は見ていないのか。兎に角、いまは無理だ。後で説明する」 「そん……な。危険なら尚のこと隠れてる暇なんてない。 早くルルーシュのところにいかなきゃ駄目なんだろう……!」 こいつはさっきから何を言ってるんだ? ガラガラと音をたてて、足場が崩れていく感覚がする。 「君こそ馬鹿を言わないでくれ、いやまて……君は、もしかしてまだこの状況が分っていないのか?」 そうして怪訝そうな顔をした枢木が、ソレを指した。 「もう一度、アレを見てみろ。そして考えろ」 壊滅したショッピングセンター周辺を。 いや違う、幾つかの建造物を下敷きにして横たわる、ガンダムエピオンを、だ。 あ……ああ、なるほど、それで理解力のない僕にも流石に伝わった。 エピオンがここにある。 つまり、グラハムさんがここにいる、つまり、 「はは……」 なるほど、そういうことかよ。 ああ、なんて、ことだ。 「分ったろう。奴が、すぐそこまで来ている」 枢木の言葉を聞くまでもない。 エピオンがここに在るということは、自然、それと闘っていた者もここにいる。 よく見れば、エピオンの、大空へ伸ばされた手の平の上、そこに両儀式が見えた。 そして彼女は下方を、地面を見下ろしていて、そこに、そこに――奴がいた。 忘れもしない。 白髪の、赤目の、狂気の、超能力者の、一方通行。 奴も、式を見ていた。 もう僕からは視線を切り、エピオンと繋がるヘッドセットを通して、連絡を図ろうとする枢木。 応えるように、エピオンの腕が動く。 それはつまり中にいるグラハムさんもまだ生きているっていことだ。 斜めになった腕を式が駆け下りる。 奴も、一方通行も動く。 なんて、化け物だ。 襲撃、待ち伏せときて、次は戦地誘導。 僕は、僕らはそれを、愕然と見送るしかなかった。 あってはならない事が起こってしまう。 戦場が、僕らに追いついてしまった。 揺れ続ける僕の視界では、間違いなく、絶望的な状況が再び動き出している。 天江衣の死まで、残り時間、約三十分。 いまだ、希望との合流は成らぬまま。 再び僕らの目の前で、殺し合いが始まっていた。 【 ACT1 『PSI-missing』-END- 】 時系列順で読む Back crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) Next crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一) 投下順で読む Back crosswise -white side- / ACT1 『PSI-missing』(1) Next crosswise -black side- / ACT1 『疼(うずき)』(一)
https://w.atwiki.jp/terrachaosgaiden/pages/201.html
CROSS FIRE ◆Iku3M44SGw 「……本当に南なのか?」 『多分ですが、それと着替えるなり、風呂に入るなりしてくださいよ……』 「何故だ?」 『絶対にまずいですって、その格好は!!』 爆弾魔(田井中律)を追い駆け、移動を続けるシグナム。 それを宥めるように10/は忠告する。 今、シグナムの機動六課の制服が謎の白い液体が付いている。 その匂いは何かを発酵させたものだ。 「……何がまずいんだ?」 『これは忠告ですよ……私も【一応】紳士の端くれなんですよね。 今の貴女を見たら……成人男性がどうなるか知っていますか?』 見た目は万年筆、頭脳は紳士。 それが今の彼(?)10/である。 ただのゾフィーマニアや乗り物酔い野郎とは違うのだよ。 「……仕方ない、一旦着替られる場所と新しい服を探す……」 『Es ist gute Entscheidung(いい判断です)』 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ それにしても近くに民家があってよかった。 今、シグナムさんはシャワーを浴びている最中だ。 クソ……人間の身体さえあれば覗きにいけるってのに…… この状態(万年筆)では動けない。 ええい、考えろ、私! 三択―一つだけ選びなさい。 答え1.ハンサム(?)の10/さんが斜め上の発想を閃く。 答え2、『あの人』が来て助けてくれる。 答え3、動けない。現実は非情である。 個人的には答え1に丸を付けたい、が。 無理だっ……! 私はハンサムじゃないっ……! つまりっ……! 答え2かっ……? 駄目だっ……! 『あの人』即死してる可能性があるっ……! 私っ……! 痛恨っ……! 最初から選択肢なんて無かったじゃないですかっ……!! よって答えは3、動けない。ですよねー。 ……って、アホなことを考えてる場合じゃないな。 あの時、いつもの私ならもっと遠くに【転】移できたはずだ。 ……考えられるものと言えば制限か? だが、私は首輪をしていない。ってことは…… 【この会場自体に制限が掛かっている】のか? うーん、考察材料が少なすぎる。 ……あれ、待て、その前に『あの人』って誰なんだ? いや、そもそも私は本当に『10/』なのだろうか? 何だ、この違和感というかなんというか、モヤモヤは? 『何か』が私の中にある『何か』を引き出すのを拒んでいるのだろうか? ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 機動六課の制服を脱ぎ、ポニーテールを解き、荷物を置き、まず、シグナムは浴場に向かった。 入浴は個人的に好きなのだが、今は非常事態だ。手早くことを進めていく。 シャワーから流れ出るお湯を浴び、体に付いた白い液体は落としていく。 (……にしても、元親とは決着を付けたかったな……) その最中、この場で最初に戦った男のことを思い出す。 あの男の眼は確実に多くの修羅場を潜り抜けてきた鋭い眼だった。 本来の愛剣レヴァンティンがあったとしても、苦戦は必至であっただろう。 (……それで次にあったのは、爆弾の少女か……) その最中に乱入してきた爆弾の少女。 10/の転移能力が無ければ………正直、危なかった。 その後、その少女を追いかけ、追い詰めたはいいものの……不覚を取ってしまった。 (その転移能力であの触手の化物の所に行ったのだろうか? いや、その可能性はない。恐らくしたとしても……) シグナムは自分の首元の首輪を触る。 シャワーのお湯を浴びているはずなのにその首輪の温度は一定を保ったままだ。 (……首輪の解除か…… この首輪がある限り、あの場に着いたとしてもあの男の二の舞だな) シャワーのお湯を止め、民家にあったタオルで体を拭く。 バスタオルを身体に巻き、浴室を退却。そして今度は新しい衣服を探す。 (流石にあの服のままでは今後の行動に支障が出る。 鎧とは言わないが、せめて動きやすい服があればいいのだが……) そんなことを考えながら民家のタンスを漁るシグナム。 「…こ、これは……?」 ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ 「なんでこんな服しかないんだ……」 『似合っていると思いますよ、黒はいい、実にいい!!』 「……それは褒めているのか?」 シグナムが着衣したのは黒を基調とした修道女が着るような服だ。 まあ世間一般的に言う、『シスター服』だ。 『メイド服とウェディングドレス、妙に露出が多い服。 一番まともなのがそれしか無いのであれば……』 「10/、お前はバリアジャケット展開とか出来ないのか?」 『……無理です、私デバイスじゃないですから』 「……じゃあ、仕方ないな……出発するぞ」 デイバックを担ぎ、サイファーを右手に、万年筆(10/)を左手に装備するシグナム。 そして、シグナムが外に出た頃にはもう日が暮れかかり、空には月がうっすらと浮かび上がっていた。 【豊島区/一日目・夕方】 【シグナム@魔法少女リリカルなのは】 [状態]健康 [装備]光剣サイファー@ストライダー飛竜、黒い万年筆(10/)@カオスロワ、シスター服@現実 [道具]支給品一式、ランダム支給品0~1(本人確認済み) 、謎の白い液体付き機動六課の制服 [思考] 基本:バトルロワイアルの破壊 1:あの少女(律)はどこに消えた? 2:危険人物は拘束する。 3:首輪を解除する方法を探す。 〔備考〕 ※元親は死んだと思っています。 ※田井中律を危険人物と認識しました。 ※爆発で死者が出たことには気がついていません。 〔10/の思考〕 基本:持ち主に従う。 1:自分の存在に疑問。 ※この会場にも制限が掛かっていると考えていますが、真偽は不明です。 【現地調達品紹介】 シスター服@現実 シグナムが民家で調達した服。本当にただのシスター服。 他にもメイド服やらウェディングドレス、妙に露出が多い服があったらしい。 ……どうやらこの民家にはまともな服はなかったらしい。 068 叶えられた祈り 投下順に読む 070 フルアーマーとネイキッド 068 叶えられた祈り 時系列順に読む 070 フルアーマーとネイキッド 045 奇跡にふれたよ! シグナム [[]]