約 3,317,967 件
https://w.atwiki.jp/kapper1224/pages/54.html
PortabookでもLinuxが動作します。 今回色々と移植してみましたが、 GPU関係のバグが激しくなったのでまずブログに記載しました。 インストール方法までをご紹介致します。 ご参考までに。 http //kapper1224.sblo.jp/category/4457822-1.html
https://w.atwiki.jp/book-love/pages/66.html
小說進度 日版標題 日版發售日期 日版線上商店 台版標題 台版發售日期 台版ISBN 內容收錄 第三部2 本好きの下剋上ふぁんぶっく 2016/12/20 線上商店 小書痴的下剋上FANBOOK 2020/02/10 9789573335108 第四部1 本好きの下剋上ふぁんぶっく2 2017/12/09 線上商店 小書痴的下剋上FANBOOK. 2 2020/03/09 9789573335122 第四部4 本好きの下剋上ふぁんぶっく3 2018/11/10 線上商店 第四部8 本好きの下剋上ふぁんぶっく4 2019/11/09 線上商店 第五部2 本好きの下剋上ふぁんぶっく5
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/2399.html
Report.19 長門有希の憂鬱 その8 ~涼宮ハルヒの告白~ 部室の扉がノックされる音が響いた。わたし、涼宮ハルヒ、朝倉涼子の三人は、互いに顔を見合わせた。 「どうぞー。」 結局、ハルヒが返答した。扉が開き、四人の人物が入ってきた。 「ちょっと失礼しますよ。」 喜緑江美里、古泉一樹、朝比奈みくる、『彼』……通称キョン。 「あんたは、生徒会の……何でここに?」 「実は我々は、長門さんが北高に向かっていたという話を聞いて、戻ってきたところなのですが、そこでたまたま彼女に会いまして。彼女……生徒会の方でも、何やら長門さんに用があるとかで、御一緒した、というわけなんですよ。」 古泉一樹が答えた。……話し方が変わっている。 「そんなに睨まないでくださいな。活動状況を簡単に確認するだけですから。」 ハルヒが江美里を睨み付けているのは、先の文芸部会誌を作成した時のことを踏まえてのものだろう。 「文芸部の活動は 極 め て 順 調 やから、どうぞご心配なく!!」 【文芸部の活動は 極 め て 順 調 だから、どうぞご心配なく!!】 彼女は目を三角に怒らせて、江美里を威嚇している。江美里は全く意に介していないが。 「長門さん……お久しぶりです……」 みくるが声を掛けてきた。そういえば、既に会ってはいるものの、まだ彼らには言っていない。わたしは彼らに視線を向けて、言った。 「ただいま。」 「……おかえり、長門。」 『彼』が答えてくれた。わたしは、帰ってきたことの『実感』が湧いた、ような気がした。皆は一様に、わたしの帰還を喜んでいるようだった。 その中で、ハルヒからすれば部外者である江美里が、わたしに向けて口を開いた。 「今年度の文芸部の活動状況についてですが。」 『御承知のように、敵対勢力の排除は完了しました。』 「…………」 『協力に感謝する。』 かぎ括弧は声に出した会話。二重かぎは通信の内容。 「昨年度は会誌の発行が、例年に比べてかなり遅延していました。まあ、内容は充実していたようなので、その点は心配していませんが。」 『《全員で突入する》という要請でしたけど、期待には応えられたでしょうか。』 「…………」 『十分。予想以上。』 「ここだけの話ですけど、うちの会長も、口ではああ言ってますけど、次の刊行を心待ちにしてるんですよ。文芸部の会誌をこっそり読んで、お腹抱えて笑ってましたから。特に鶴屋さんが書いた小説には、腹筋を破壊されたみたいでしたね。」 『皆さん、とんでもない戦闘能力を持ってますね。さすがは涼宮さんに選ばれし兵(つわもの)達、といったところですか。』 「……善処する。」 『……同意する。』 江美里は、絵に描かれた貴婦人のような微笑を浮かべて、 『彼女の感情がそろそろ限界のようなので、会話相手は譲りましょうかね。ほら、あなたもボーっとしてないで。』 『んあ!? ちょっと! 急に話を振らないでくれる!?』 涼子が不意を突かれて慌てている。このような反応は、我々インターフェイスのものとは思えないほど人間的だった。 『どうしたのでしょうね。あなたらしくもない。』 『いや、ちょっと……涼宮さんと長門さんの表情に見とれちゃって……』 わたしの表情? わたしは何か表情を浮かべていたとでも言うのだろうか。 涼子はわたしをまじまじと見つめた。 『……本気で言ってるの?』 嘘をつく理由も利益もない。 『……無自覚、か。なるほどね……』 話が見えない。 『長門さん。あなたは、さっき涼宮さんに「ただいま」って言った後、目を細めて微笑したのよ。』 ……身に覚えがない。 『じゃあ、無意識のうちに、微笑してたのね。』 わたしに表情を作る機能がないわけではなく、また、誰にでも分かるほどはっきりと表情を変えることも、できなくはないことは知っている。実際に、『微笑』という表情をハルヒには見せたことがある。しかし、先ほどの会話では、特に表情を作った記憶はない。 『だからさ……それは「自然な表情」って言うのよ。「自然と笑みがこぼれる」っていうやつ。』 それは、本にも頻繁に登場する表現。しかし、実際にどのような状態なのかは、分からなかったもの。そのような理解不能だった状態に、わたしがなっていたと言うのか。信じられない。 『……変わったわね。』 『……変わりましたね。』 二人は、嬉しそうに顔を見合わせた。 わたしは、そこまで自由に、任意の表情を浮かべることはできないはず。それに、なぜ二人が『嬉しそう』なのかの理由も分からなかった。 「有希……有希……!」 ハルヒの声。見ると、人間の言葉で言う『感極まった』様子だった。 「有希ぃ――――!」 彼女は、わたしのそばに駆け寄るとわたしを強く抱き締めた。そして一気にまくし立てた。 「有希! ごめん! ごめんなさい! あんな、あんなことして……! あんたを突き飛ばして怪我さして! それで、怪我したあんたをほったらかしにして!」 【有希! ごめん! ごめんなさい! あんな、あんなことして……! あんたを突き飛ばして怪我させて! それで、怪我したあんたをほったらかしにして!】 彼女は、泣きながら詫びている。先日の、わたしが消失した日の出来事。わたしがうっかり、彼女の心にある、侵してはならない領域を侵してしまった、あの日の出来事。 「いい。気にしてない。」 「ほんま?」 【ほんと?】 彼女は潤んだ瞳でわたしを見つめる。わたしは、誰にでも分かるほど大きく、はっきりと頷いた。彼女はまたわたしを抱き締めた。そして、人間の言葉で言うと『堰を切ったように』、語り始めた。わたしがいなくなったことで、どれだけ自分が寂しかったかを。 「……他にも数え上げたらキリないけど、とにかく! それぐらい寂しかったんやから!」 【……他にも数え上げたらキリがないけど、とにかく! それぐらい寂しかったんだから!】 「事情はよく分かった。」 わたしは、素っ気なく答えた。本当は、とても嬉しい。彼女にここまで強く気に掛けてもらえて。 「でも、これだけは言わして?」 【でも、これだけは言わせて?】 と、彼女は涙目で言った。 「なに。」 彼女は、大きく深呼吸した。そして、意を決して言った。 「有希――――!! 愛してる――――!!」 ざわ……ざわ…… そんな擬音語を背景につけるのがふさわしいと思った。わたしと彼女以外のその場にいた者は皆、目を丸くして驚愕している。彼女は、わたしを強く抱き締めてきた。 「もう、絶対に、あんたを、失いたくない! 離したくない!!」 そして彼女は……わたしの唇を奪った。 『んっ、んっ、んっ……んむ……んむ……』 濃厚な接吻。それも、他人の目の前で。 『んっ……はっぁ……あむ……んっ……』 彼女の口付けは終わらない。彼女の、暖かい気持ちが伝わってくるような気がする。 ようやく彼女の濃厚な接吻が終わった。口を離すと、お互いの唇から唾液が糸を引いて繋がっていた。 彼女は滔々と語り始めた。それは紛れもなく、わたしへの『愛の告白』だった。 「最初は単なる好奇心やった。無口で無表情な娘やなーって。泣いたり笑ったりせえへんのかなーって。まるで部室の付属物みたいに、存在感のない娘、っていうのが最初の頃の印象やったわ。」 【最初は単なる好奇心だった。無口で無表情な娘だなーって。泣いたり笑ったりしないのかなーって。まるで部室の付属物みたいに、存在感のない娘、っていうのが最初の頃の印象だったわ。】 それが、共に過ごすうちに、だんだん見る目が変わっていった。 「毎日なんとなく眺めてるうちに、だんだん気になりだしてん。あんたは無口で無表情やったけど、万能やった。何でもそつなくこなせた。その時に思ってたんは、どうやったら有希と仲良くなれるかってことやった。」 【毎日なんとなく眺めてるうちに、だんだん気になりだしたの。あんたは無口で無表情だったけど、万能だった。何でもそつなくこなせた。その時に思ってたのは、どうやったら有希と仲良くなれるかってことだった。】 彼女は遠い目をして言った。 「決定的やったんは、一年の時の文化祭。気ぃ付いてた? あんたの情熱的なギターは、一緒に舞台に立ったあたし達も含めて、その場にいた誰もを魅了したんやで。あの時あたしは、最高に気持ち良く歌ってたけど、それはきっと、あんたがギターで支えてくれたからなんやと、今になって思うわ。急遽代役で立った舞台で、どうなるか分からへん一発勝負。いくらあたしでも、緊張せえへんかった、って言(ゆ)うたら嘘になるわ。それでも何とか乗り切れた。今なら理由が分かるわ。それは有希が、いつもあたし達の期待に応えてくれる有希が、そばにおってくれたから。一緒に舞台に立ってくれたから。体育祭では、文武両道さを存分に見せ付けてくれたし、バレンタインデーの時は料理も振舞ってくれた。あの時作ってくれたうどん、めっちゃ美味しかったで。今でも忘れられへんもん。阪中の家の犬を治した時は、正直感動したわ。いつもいっぱい本読んどぉけど、ただ読むんやなくて、ちゃんとその知識を役立たせてるんやから、改めてすごいと思ったわ。それで、ますます有希から目が離されへんようになった。」 【決定的だったのは、一年の時の文化祭。気付いてた? あんたの情熱的なギターは、一緒に舞台に立ったあたし達も含めて、その場にいた誰もを魅了したのよ。あの時あたしは、最高に気持ち良く歌ってたけど、それはきっと、あんたがギターで支えてくれたからなんだと、今になって思うわ。急遽代役で立った舞台で、どうなるか分からない一発勝負。いくらあたしでも、緊張しなかった、って言ったら嘘になるわ。それでも何とか乗り切れた。今なら理由が分かるわ。それは有希が、いつもあたし達の期待に応えてくれる有希が、そばにいてくれたから。一緒に舞台に立ってくれたから。体育祭では、文武両道さを存分に見せ付けてくれたし、バレンタインデーの時は料理も振舞ってくれた。あの時作ってくれたうどん、すっごく美味しかったわ。今でも忘れられないもん。阪中の家の犬を治した時は、正直感動したわ。いつもいっぱい本を読んでるけど、ただ読むんじゃなくて、ちゃんとその知識を役立たせてるんだから、改めてすごいと思ったわ。それで、ますます有希から目が離せないようになった。】 それに、と彼女は続けた。 「あれは夢やったみたいやけど、未だに忘れられへんことがあんねん。覚えとぉ? 一年の冬休み、鶴屋さん家の別荘に合宿に行った時の事。」 【あれは夢だったみたいだけど、未だに忘れられないことがあるの。覚えてる? 一年の冬休み、鶴屋さん家の別荘に合宿に行った時の事。】 周囲に緊張が走った。 「あの時、あたしはやけにあんたのことを心配しとったやろ? あれな、あたしの夢の中で、あんたが熱出して倒れてんけど、それはもう、心配したで。夢から覚めても、全然気が付かずにあんたのことを心配するくらい。それで、気ぃ付いてん。あたしは、夢にまで見るくらい、あんたのことを意識してるんやな、って。」 【あの時、あたしはやけにあんたのことを心配してたでしょ? あれはね、あたしの夢の中で、あんたが熱出して倒れたんだけど、それはもう、心配したわよ。夢から覚めても、全然気が付かずにあんたのことを心配するくらい。それで、気が付いたの。あたしは、夢にまで見るくらい、あんたのことを意識してるんだな、って。】 その時は『無口で頼れる万能選手』として。 「その時はそう思(おも)てたけど、今にして思うと、既に違(ちご)てたんかもしれへん。でも、自覚はしてへんかったな。思いが変わった、あるいは自覚したんは、この間のこと。あたしが変質者を捕まえて新聞に載って、それから、変な奴らに付きまとわれてた時のことやわ。」 【その時はそう思ってたけど、今にして思うと、既に違ってたのかもしれない。でも、自覚はしてなかったな。思いが変わった、あるいは自覚したのは、この間のこと。あたしが変質者を捕まえて新聞に載って、それから、変な奴らに付きまとわれてた時のことだわ。】 彼女はその時のことを思い出すように、 「あの時あたしは……ほんまはめっちゃ辛かった。団員達に……特に有希、あんたに会われへんことに。それから、変な奴らへの対応も。どうってことないつもりやったけど……やっぱりきつかった。あたしは、もう、一杯一杯やった。そんなあたしを救ってくれたんが、あんた。」 【あの時あたしは……ほんとはすっごく辛かった。団員達に……特に有希、あんたに会えないことに。それから、変な奴らへの対応も。どうってことないつもりだったけど……やっぱりきつかった。あたしは、もう、一杯一杯だった。そんなあたしを救ってくれたのが、あんた。】 ここで彼女は周囲を見渡した。 「みんなの前でこんなこと言(ゆ)うてるなんて、我ながら大胆やと思うけど、どういうわけか、有希の前やと素直になれるわ。こんな……恥ずかしいことを告白できるくらいに。」 【みんなの前でこんなこと言ってるなんて、我ながら大胆だと思うけど、どういうわけか、有希の前だと素直になれるわ。こんな……恥ずかしいことを告白できるくらいに。】 彼女は再びわたしに視線を戻した。 「あの時、あたしがあんたを呼び出した時、あんたは来てくれた。あたしの恥ずかしい話を黙って聞いてくれた。泣き出したあたしのそばにずっとおってくれた。色々とあたしに良くしてくれた。それから……あんたの意外な一面も見せてくれた。あの時のあんたの仕草、反則的なまでに可愛かったわ。」 【あの時、あたしがあんたを呼び出した時、あんたは来てくれた。あたしの恥ずかしい話を黙って聞いてくれた。泣き出したあたしのそばにずっといてくれた。色々とあたしに良くしてくれた。それから……あんたの意外な一面も見せてくれた。あの時のあんたの仕草、反則的なまでに可愛かったわ。】 そして気が付けば、ただの気になる人から、愛しい人に変わっていた。 「あたしは必死でその気持ちを否定した。だって、おかしいやん? 女同士でこんなこと思うなんて。相手が、宇宙人とかっていうならまだしも、有希は物静かな……可愛い人間の女の子やんか。でも、今日のことで実感したわ。あたしの中で、あんたの存在がどれだけ大きくなってたか。それで、あんたの顔を見て思った。もう、この気持ちは抑えられへんって。」 【あたしは必死でその気持ちを否定した。だって、おかしいじゃない? 女同士でこんなこと思うなんて。相手が、宇宙人とかっていうならまだしも、有希は物静かな……可愛い人間の女の子じゃないの。でも、今日のことで実感したわ。あたしの中で、あんたの存在がどれだけ大きくなってたか。それで、あんたの顔を見て思った。もう、この気持ちは抑えられないって。】 いつの間にか、恋に落ちていた……気が付いたときには、既に。 「さっきあったことを話すわ。また夢を見てたらしいんやけど。」 【さっきあったことを話すわ。また夢を見てたらしいんだけど。】 先ほどの情報統合思念体過激派による襲撃のことだろう。 「夢の中で、あたしと朝倉は、変態に襲われた。ストッキングで覆面した変態。朝倉がそいつと戦ってたんやけど、ピンチになってん。もう絶体絶命。そこに颯爽と現れたんが、有希、あんたや。朝倉にも言われてんけど、その時のあんたは、マジでヒーローやった。かっこよかった。そのあとそのまま今の場面に続いとぉから、正直、どこまでが夢で、どこからが現実か分からへん。もしかしたら、今この瞬間も夢かもしれへんし。でも、それでもあたしは確信した。」 【夢の中で、あたしと朝倉は、変態に襲われた。ストッキングで覆面した変態。朝倉がそいつと戦ってたんだけど、ピンチになったの。もう絶体絶命。そこに颯爽と現れたのが、有希、あんたよ。朝倉にも言われたんだけど、その時のあんたは、マジでヒーローだった。かっこよかった。そのあとそのまま今の場面に続いてるから、正直、どこまでが夢で、どこからが現実か分からない。もしかしたら、今この瞬間も夢かもしれないし。でも、それでもあたしは確信した。】 彼女はわたしの瞳を真っ直ぐに見据えて言った。 「やっぱりあたしは、あんたが好き。大好き。」 彼女の気持ちは伝わった。今度はわたしが答える番。わたしは彼女に言った。禁じられた言葉を。 「わたしは……わたしも、あなたを、愛している。」 観測とか、処分とか、そんなものはどうでも良いと思えた。 彼女は、わたしを愛している。 わたしも、彼女を愛している。 それで十分だと思えた。それでわたしは――幸せだと思った。 「有希、有希っ!」 また彼女が抱き締めてくる。わたしも彼女を抱き締め返す。とても幸せで、そして、だからこそ……『悲しい』。 これから、わたしが行うことを思うと、悲しくなった。 わたしがこれから行うこと。それは涼宮ハルヒへの情報操作。今まで決して許されることがなかった行為。 今回の過激派による襲撃の記憶を消すことだけではない。わたしは、彼女の『長門有希への思い』を操作する。 彼女のわたしへの感情には、明らかに『性愛』が含まれている。それは本来、『異性』に対して向けられるもの。一部に例外はあるものの、大多数の雌雄の別がある有機生命体はそのようにしている。それが、有機生命体の繁殖に必要不可欠だから。だから、今の彼女は……『異常動作』。そしてわたしも異常動作。 わたしの口から明確に、わたしの想いを彼女に伝えられた。それだけで十分。彼女の行動を修正しなければならない。 提案したのは、わたし。情報統合思念体の許可は下りている。いよいよ、これまで最大の禁則事項だった行為を行う。 わたしは操作を開始した。 「あれ……? なんか急に眠く……」 彼女の身体が崩れ落ちる。わたしは彼女の身体を抱きかかえるようにして支えた。彼女が完全に眠ったことを確認すると、彼女の精神に干渉する。そして、彼女のわたしへの想いから、性愛に関する部分を削除する。今後彼女は、わたしをこれまで通り『無口で頼れるSOS団随一の万能選手』として見るだろう。ただし、わたしへの想いは大きく発達していたため、元通りとはいかないかもしれない。それでも、『仲の良い女友達』程度には抑えられたはず。わたしに、あのような行為に及ぶことは、もうないだろう。 操作終了。 「…………」 わたしは無言で、彼女の身体を抱きかかえながら、静かに眠る彼女の寝顔を見ていた。 事態の推移を見守っていた『彼』が、やっとの思いで口を開いた。 「……長門。お前はハルヒに一体何をしたんや?」 【……長門。お前はハルヒに一体何をしたんだ?】 「行動の修正。」 わたしは平坦な声で答える。 「最近の涼宮ハルヒの行動は、明らかに異常動作。先ほどのわたしへの行為もそう。」 わたしは、ぼんやりと彼女の顔を眺めていた。名残惜しいのだろうか? わたしは彼女の顔から視線を外すことができないでいる。 「修正は完了した。問題ない。」 そう、これで問題ない。何も。 その時、何かがわたしの頬を伝った。 涙が一粒、頬を伝った。 ←Report.18|目次|Report.20→
https://w.atwiki.jp/vltcc/pages/51.html
2013.06.02 南幌探訪記 参加者 Hiura / Abiko / Tabata / Miura / Saito / Inagaki 天気 快晴 旅程 札幌をMiura君コースで突破>南幌中心街で昼食>南幌温泉で一息>道なりに札幌へ 走行距離 約70km 報告者 Abby 夏の兆しが見え、我らがVLTCCの活動も徐々に隆盛期を迎えるころ、我々はMiura君の故郷たる南幌町へと繰り出した。 JRに体よく見放されたこの地に、彼のルーツがあるという。これは行かずにはいられない。 出発後10分で予定のコースを見失う。焦るMiura君。実はルートを知っているTabataさん。 「とにかく東に行けばいいんだろ?」そう言わんばかりのその他大勢。まったくなんてチームだ(他人事) ソロで爆走するMiura君。後を追うのは新星、Inagaki君。 ママチャリで駆け抜ける様を見ていると某先輩が思い浮か若さっていいな、とか思ってしまう。 さて、南幌はすごい街だ。中心街には善人にしか見ることのできない歓楽街が広がっている。だから僕らの眼には広大な空き地しか見えない。 旧Miura家を横目に見、Miura君の故郷の味、南幌のラーメンを頂き、帰りがけに南幌温泉につかる。日焼けを堪えるHiura部長を尻目に、南幌を満喫するVLTCCメンバー。帰りはゆったり。途中Saito君、Tabataさんと別れ、無心に走って札幌まで。 意外と結構走ったね!
https://w.atwiki.jp/vltcc/pages/42.html
2013.04.29 自転車解禁日(食欲を満たす旅) 参加者 Tabata / Mombetsu / Miura / Hiura / Saito / Uenishi / Seguchi 天気 曇り時々小雨稀に晴れ 旅程 白石からサイクリングロードに進入>北広島駅>大曲の「くるるの杜」で昼食>36号沿いに札幌へ 走行距離 約50km 報告者 Hiura 生命とは衰えるものである。それはヒト科の人間とて例外ではない。簡単に言えば足が痛い。 待ち侘びた自転車解禁日である。水不足解消的な意味で天候に恵まれ、新入部員を加えた総勢7名、北海道に歓迎されているとしか思えない気温の中の旅路となった。 タイヤの空気を入れるのに若干手間取り、焦って向かった集合場所に着いたら4分前。遅くなったかな、と思ったら誰もいないという現実。そう言えばこんな研究室でした。 その後続々と、風にも負ケズ集合する部員勢。だがMiura君がいない。 降りしきる小雨の中、出発時間を超えて待ち続ける。だがMiura君がいない。 Miura家訪問となったのも当然と言えば当然の帰結である。 という訳で7人に増えた一同での初回活動日。 サイクリングロードは面白い事がないので割愛。晴れていれば、きっと気持ち良かった。 何事も無く北広島に到達し、空腹を抱えた一同、一路大曲へ向かう。 強風と低温のダブルパンチの中の強行軍、それは試練の道だった。さすがエースSaito&Seguchi。 1時間待った上でのくるるの杜は、きっと努力に見合う何ものかであったろう。これが一番の試練だった人間がいたのも言うまでも無く。 とにかく自然と闘った一日だった。次回に活かしましょう。
https://w.atwiki.jp/wiki10_kaori/pages/10.html
いろんなジャンルでたくさん読みたいです エッセイ/ノンフィクション/資料 小説 子供用 つるのおんがえし のんちゃん雲に乗る The Twelfth Angel
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2723.html
Report.24 長門有希の憂鬱 その13 ~朝倉涼子の手紙~ それにしても気になるのは、涼宮ハルヒが見たという夢。朝倉涼子が出てきたという。そして、あの『手記』を見せられた時の突然の閃き。あの時わたしは、誰かが囁く声を聞いたような感覚を覚えた。 あれは何だったのか。わたしの感覚器の誤作動か。 ここでわたしは、ある仮説に辿り着いた。喜緑江美里にその仮説を伝えると、彼女もそれを支持した。しかしその仮説を検証することはできない。なぜなら、それはわたしの感覚では知覚できないから。 江美里は、あるいは知覚しているのかもしれない。 「わたしが知っているかどうかは、不開示情報です。もし知っていたとしても、それを長門さんに教えるつもりはありません。……意味が無くなってしまいますから。」 わたしが辿り着き、そして検証することができない仮説。 それは情報統合思念体の把握している情報には存在しない概念。むしろ、人間に存在する概念。だから、あえて人間の言葉で表現する。 朝倉涼子は、『あの世』に逝った。 説明を要する。 人間には『宗教』が存在するが、人間の『死』についての概念は宗教によって区々。 代表的なものは、死ねばそれですべてが終わるという概念と、死んだ後、別の世界に行くという概念。わたしの仮説は、後者の説を採用する。 最期のあの日。橋の欄干から飛び降り、『入水自殺』した涼子。あの時彼女は、落水後すぐに、意図的に水を大量に飲み込んだ。ヒトとしての『死』を迎えるために。当時のわたしは、人間の言葉で言えば『動転』していて、正常な判断を下すことができなかったので、そのことに気付かなかった。 しかし落ち着いた今、冷静に当時のログを分析してみると、前記の状況を把握した。あの時の涼子は、情報統合思念体との接続を完全に切断していた。インターフェイスとしての機能を完全に停止させたまま、水中で『呼吸』しようとすればどうなるか。 当然、ヒトと同様に生命活動は停止する。もちろん、その後再接続すれば、何事もなかったように活動を再開できるが、その時の涼子には、その選択肢はなかった。待つのは有機情報連結解除だけ。だから、なぜ涼子がそのような『無意味』な行動を取ったのか、その時のわたしには分からなかった。 呼吸器官を水で満たしても、すぐに『死亡』するわけではない。しばらくは意識もあるし、生命活動は続く。それが急速に生命活動が低下し、死に至る。その過程は、ヒトと同じ。よって、たとえインターフェイスであっても、その瞬間には相当な苦痛を伴う。それなのになぜ。 その考察の結果、辿り着いたのが、前記の仮説。涼子は、人間で例えると『霊魂』として『あの世』で活動しているのではないか。 情報統合思念体との接続を切断した状態では、情報統合思念体は即座にインターフェイスの情報を把握することができない。ほんの僅かながら、情報取得までに時間差が発生する。 涼子は、その時間差を突いたのではないか。『肉体』が機能を停止し、情報生命体だけの状態となって、情報統合思念体に強制的に接続され、情報生命体は回収、肉体は有機情報連結を解除されるまでの、ほんの僅かな時間差。この刹那に、涼子は持てる情報操作能力を総動員して、情報統合思念体が感知できない領域に潜り込み、その管轄から外れることに成功したのではないか。 情報統合思念体が感知できない領域があることを、情報統合思念体は認めないが、わたしは確信している。涼宮ハルヒの能力が作用すれば、そんなことも可能になる。 しかし、ここで一つ問題がある。ハルヒは涼子の消滅を知らないはず。 まさか……涼子単体で? 答えは意外な形でもたらされた。 ある日のこと。全員揃った部室にノックの音が響く。 「どうぞー。」 答えたハルヒの声に、江美里が入室した。 「文芸部宛てに手紙が届いたので持ってきましたよ。」 江美里がもたらした物は、エアメールだった。差出人は……“ASAKURA Ryoko”。 ハルヒに手紙を渡すと、江美里は退室した。 ハルヒは手紙を一瞥すると、嬉々として読み上げた。内容は『近況報告』と言えるものだった。 手紙の締め括りはこう。 ――文芸部部長 長門有希様、SOS団団長 涼宮ハルヒ様へ - To Leader of the literature club NAGATO Yuki, Leader of the SOS brigade SUZUMIYA Haruhi ――SOS団海外特派員(笑) 朝倉涼子より - Than the SOS brigade foreign correspondent -) ASAKURA Ryoko 締め括りは、日本語と英語で書かれていた。 「うんうん、朝倉も、ちゃんとSOS団員としての活動をしとぉみたいやね! ちょっと、キョン! あんたも、少しは朝倉を見習って、もうちょっと活動に気合入れたらどう?」 【うんうん、朝倉も、ちゃんとSOS団員としての活動をしてるみたいね! ちょっと、キョン! あんたも、少しは朝倉を見習って、もうちょっと活動に気合入れたらどう?】 「へいへい。」 『彼』は、肩をすくめながら返事をした。表情には、事情を知っているせいか、若干戸惑いが見て取れる。それは、他の団員達もまた同様だった。 「ん? 何(なん)か入っとぉわ。」 【ん? 何(なん)か入ってるわ。】 ハルヒは同封物に気付いた。彼女は早速それを出してみる。 「これ、何(なん)やろ?」 【これ、何(なん)だろ?】 出てきたものは、栞。……涼子と過ごした最後の日に、涼子がわたしとお揃いで買った物だった。ハルヒもその事実に気付いた。 「そういえばこれ、有希が使ってるのと一緒違(ちゃ)う?」 【そういえばこれ、有希が使ってるのと同じじゃない?】 わたしはこくりと頷いた。 「貸して。」 わたしはハルヒに向けて手を伸ばした。 「有希、これがどうかしたん?」 【有希、これがどうかしたの?】 ハルヒからそれを受け取ると、わたしはそれを少しいじった。 「うわ!? 何(なん)か出てきた!」 「これはUSBフラッシュメモリ。」 ちょうどページをめくるように本型の飾りを操作すると、中から簡素化されたUSB端子が現れる仕組みになっていた。 ここでわたしは思い当たった。別れの間際、最期の瞬間に涼子が遺した一かけらの情報。その情報にはヘッダとして、『器へ』という指示が付いていた。 『器』とは、もしかして、人間が使用するこのストレージデバイスのことではないのか。 わたしは試しに、情報をこのフラッシュメモリに導入してみた。特に変化は見られない。 「じゃあ、早速中を見てみよか。」 【じゃあ、早速中を見てみようか。】 フラッシュメモリをハルヒに渡すと、彼女は団長席のパソコンにそれを接続した。 「うーんと、中身は……よぉ分からんファイルがいくつかと、実行ファイル、か。カチカチっとな。」 【うーんと、中身は……よく分かんないファイルがいくつかと、実行ファイル、か。カチカチっとな。】 「ちょ! おま、ウィルスチェックしてから……っ!」 『彼』が慌てて止めようとするが、時既に遅し。ハルヒは謎の実行ファイルを実行してしまった。何か問題が起きても、すぐに対処できると見て、わたしは静観する。 「ふーん。『分割ファイルの連結プログラム』やって。」 【ふーん。『分割ファイルの連結プログラム』だって。】 しばらくパソコンのファン音が大きくなり、やがて処理が終了した。 「何(なん)かビデオファイルができたわ。ほな、再生するから、みんなこっち来て。」 【何(なん)かビデオファイルができたわ。じゃあ、再生するから、みんなこっち来て。】 団員達を団長席に呼び寄せると、ハルヒはビデオファイルを再生した。 内容は……カナダで撮影したという、涼子からの『ビデオレター』だった。 『――以上、SOS団海外特派員・朝倉涼子がお届けしました! ……なんちゃって♪』 映像の涼子は、そう言うとちろりと舌を出した。 『また、日本に帰ってみんなと会える機会があると良いな。じゃあね。』 手を振る涼子の姿が煌めく砂と化して風に溶けると画面が暗転し、『劇終』の文字が黒い画面に映されて、ビデオは終了した。 この『ビデオレター』は、もちろん捏造。実際のカナダの映像と、涼子の身体構成情報を合成してある。わたしが導入した情報は、どうやら涼子の身体構成情報の一部だった模様。 それにしても手の込んだこと。一体、誰が、何のために? 「普通の手紙に加えてビデオレターとはねえ。なかなか手の込んだメッセージやないの。」 【普通の手紙に加えてビデオレターとはねえ。なかなか手の込んだメッセージじゃないの。】 ハルヒは満足げに頷いている。 「カット割といい仕草といい、撮り慣れ、かつ撮られ慣れしてる感じやね。」 【カット割といい仕草といい、撮り慣れ、かつ撮られ慣れしてる感じよね。】 ハルヒは腕を組んで椅子の背もたれにもたれると、 「これは美味しい逸材かもしれへんわ。今度の映画では、超監督のあたしの下に、助監督兼助演女優として抜擢しよか。」 【これは美味しい逸材かもしれないわ。今度の映画では、超監督のあたしの下に、助監督兼助演女優として抜擢しようかしら。】 「大変結構なことかと。」 「おいおい、まさか映画の撮影のためだけに、カナダから呼び出すつもりか!?」 いつもの通りハルヒの意見に逆らわない古泉一樹と、ツッコむ『彼』。 「さすがにカナダから呼び出すと、映画制作費が足りひんようになるから、次に朝倉が帰国する時やな。その辺の連絡調整はあたしがするから、あんたらは心配せんでええわ。」 【さすがにカナダから呼び出すと、映画制作費が足りなくなるから、次に朝倉が帰国する時ね。その辺の連絡調整はあたしがするから、あんた達は心配しなくて良いわ。】 ハルヒは封筒と便箋をためつすがめつし、 「電話番号とか、せめてメールアドレスくらい書いとけばええのに……エアメールで送るしかないか。今度はすぐに連絡取れるようにしとかなあかんな。」 【電話番号とか、せめてメールアドレスくらい書いとけば良いのに……エアメールで送るしかないか。今度はすぐに連絡取れるようにしとかなきゃね。】 調べてみたところ、その住所は架空のものだった。地名は存在するが、そのような番地はない。 「それにしても、ビデオのラスト、すごい特殊効果やな。CGやろか?」 【それにしても、ビデオのラスト、すごい特殊効果ね。CGかしら?】 それ以外にも、例えば空を飛びながら撮影したような映像や、涼子が分身した映像等、様々な映像が納められていた。まるで、インターフェイスの能力を誇示するかのように。 「どうやって撮ったんか分からへんけど、まるで、朝倉が人間違(ちゃ)うような感じやったな。例えば……宇宙人か何(なん)かみたいな。」 【どうやって撮ったのか分からないけど、まるで、朝倉が人間じゃないような感じだったわね。例えば……宇宙人か何(なん)かみたいな。】 『宇宙人』。その言葉にわたしは驚愕した。驚愕のあまり、『彼』にしか分からない程度に目を見開くくらいに。 涼子は、ハルヒに自分の存在をアピールしている? 忘れさせないように、思い出させるように、教えるように。 まさか。 涼子は、ハルヒの能力を利用して『復活』を企てている? 涼子が情報統合思念体の管轄を離れた独自の情報生命体として活動しているとは、あくまで仮説の域を出ない。検証のしようもない。それに、今この瞬間にも、涼子の存在は検出できない。やはり考え過ぎか。 『抵抗。』 不意に、通信が入った、ような気がした。……涼子? ――――。 返事がない。ただのしかば……いや、何でもない。人間の言葉で表現すると『気のせい』か。後ろを振り返ってみても、何もない空間が広がっているだけだった。 活動終了後。 わたしは、皆が帰った後の文芸部室に江美里を呼び出し、問い詰めた。 「どういうつもり。」 「何のことでしょう?」 江美里は、透き通るような、人畜無害な笑みを浮かべたまま答えた。 「とぼけないで。」 わたしは更に言い募る。 「あなたが、『朝倉涼子の手紙』を持ち込んだ。あれは本来、この世界に存在し得ないはずの物品。」 そう。そのような……『死者からの手紙』など、本来この世界にはあり得ない物。 「わたしは単に、誤って振り分けられた手紙を適切な宛先に届けただけですよ? 感謝されこそすれ、非難される謂れはないと思いますが。」 あくまでとぼけるつもりか。 「あなたの行動は、情報統合思念体に対する『反乱』と解釈されても仕方のない行為。」 「まあ。」 江美里は『驚いた顔』をした。……つまりは、作った表情。 「この銀河を統括する、情報統合思念体に対して『反乱』だなんて……」 江美里は被りを振って、 「わたしみたいな、『ただの人間ごとき』に、そのような大それたこと、できるはずがないじゃないですか。」 ……自分をして、『ただの人間ごとき』? どの口が言うか。 「いひゃい、いひゃい、ひゃへへふひゃひゃい~」 【痛い、痛い、やめてください~】 わたしは、江美里の口に両手の指を突っ込んで横に引っ張っていた。 「ひょんとうのほほははひはふはら~」 【本当のこと話しますから~】 わたしが指を引き抜くと、江美里はさも痛そうに自分の頬を撫でた。 「ふう。」 「本当のことを話して。全部。詳らかに。」 江美里は、しばらく中空に、まるで何かを確認するかのように視線を巡らせた後、口を開いた。 「あなたは、神を信じますか?」 ………… 「は?」 思わず間の抜けた声が出てしまった。あまりにも突拍子もない言葉だったから。 「あらあら。その反応は新鮮ですね。」 ………… 「まあ、今のは軽いジョークです。だから、その手はとりあえず下ろしてください。ね?」 後ずさりしながら江美里は言った。わたしは静かに、再び江美里の口に突っ込もうと臨戦態勢を取った手を下ろした。 「長門さんは、朝倉さんについて、ある仮説に辿り着きましたね。」 わたしは頷く。 「端的に言えば、その仮説は正しかった、ということです。」 涼子は、『霊魂』又は『幽霊』、若しくはこの国の伝統的な宗教によれば、『神』になった。 「そして、情報統合思念体でさえも把握できない次元に潜り込むことに成功したのです。」 荒唐無稽で、俄かには信じ難い話。でも、そう仮定すれば辻褄が合うのも事実。 「潜伏した朝倉さんは、水面下で行動を起こしています。」 様々な形でわたし達に働きかけながら。例えば、消去された記憶を呼び覚ますために夢を見させたり、適切な定義を耳元で囁いたり。 だが、行動を起こしているのは涼子だけではない。わたしは江美里を真っ直ぐに見ながら言った。 「その行動を幇助しているのが、あなた。」 江美里はわたしの視線を真正面から受け止めながら、 「なぜそう思ったのですか?」 と、事も無げに問い返した。わたしは証拠を突きつける。 「あの『手紙』には、同封物があった。」 同封されていた、USBフラッシュメモリが付いた栞を取り出した。 「これは、あの日涼子がわたしとお揃いで購入したもの。」 「市販品ですから、他にも同じものが沢山あると思いますが?」 普通に考えれば、そう。だが、 「同封されていた栞は、市販品ではない。このような機能は、通常の商品には付いていない。」 USB端子を露出させる。本来この飾りには、何の機能もない。だが送られてきた栞の飾りには、USBフラッシュメモリが仕込まれていた。そのように改変されていた。 「その中には、存在しないはずの動画が収められていた。」 主演・朝倉涼子、のビデオレター。 「その動画は、わたしが朝倉涼子から受け取っていた最期の情報を埋め込むことで、完成された。」 涼子の身体構成情報を基に、高度に再現された涼子の映像。 「このような真似ができる者は、涼宮ハルヒを除いて人類には存在しない。」 そしてこのような手の込んだ方法で情報を完成させたのは、恐らく情報統合思念体の目を欺くため。それぞれの端末が持つ情報単体では、何の意味も成さないただのノイズにしか見えない。また、それらの情報を単に情報統合思念体の持つ方法で結合しても、やはり何の意味も成さないようになっていた。 鍵は、栞。 栞に仕込まれた、人間が使用する記憶媒体に、人間が使用する情報機器が取り扱える形で情報を埋め込むと、初めて『人間にとって』意味のある情報が生成されるように断片化し、暗号化されていた。 これは情報統合思念体に対しては極めて有効な隠蔽方法。たとえ情報統合思念体が情報の暗号化を見破って生成された情報を手にしても、情報統合思念体にとってはやはり意味を成さないノイズでしかない。なぜなら、その情報は情報そのものには意味がないから。 これは、情報生命体である情報統合思念体には、なかなか理解できない概念。有機生命体でなければ、理解できないのかもしれない。 この情報を取り扱うためには、情報を『情報』として再生しても意味がない。この情報の送り主の『意図』を再生しなければならない。 『なぜ』このような情報を、『誰』に対して、『どのように』伝達したのか。 これらの点を、送られた情報以外の『状況』から『推理』し、その『趣旨』を『解釈』しなければならない。 情報統合思念体にとって、情報とは『目的』。情報そのものに価値があるのであって、情報を伝える手段等には何ら興味はない。 しかし有機生命体……人間にとっては、情報は時に『手段』となる。 人間が取り扱う情報は、情報統合思念体から見れば、極めて不完全。情報の伝達には常に齟齬が発生する。その点を逆に利用する。 一見正常な、普通の情報があったとする。その情報は、通常の再生方法では、特に変わった意味を持たない。だが、その情報の『背景』から『連想』することで、全く別の情報が生成されることがある。そしてその生成された別の情報こそが、『目的』としての情報である場合がある。 これは、情報に込められた真の情報、メタデータ。ある意味で『偽装』。このような情報の伝達方法は、情報統合思念体等の情報生命体には、考えも付かない。 なぜなら、情報生命体の情報伝達は、完璧だから。完璧過ぎるから。少なくとも同種の情報生命体同士なら、齟齬なく情報を伝達できるから。 人間は、同じ人間同士であっても、情報の伝達には常に齟齬が発生する。これは、情報統合思念体――情報生命体――から見れば、重大な構造的欠陥。しかし人間は、この構造的欠陥を補い、逆に活用する術を見付けた。情報の伝達に齟齬が発生するならば、齟齬を見込んで情報を冗長化して伝達すれば良い。 その冗長化の手段として、伝達する情報そのものには仮の意味を持たせ、本当に伝達したい情報はメタデータに埋め込む。メタデータの再生方法は、人間が最も得意とする情報処理方法……『連想』に拠らせる。 人間の『連想』では、その処理を行う際に『鍵』となる情報によって、再生結果が左右される。もしその『鍵』となる情報を共有する者同士なら、『連想』された情報は極めて高い精度で、時には人間の通常の手段で伝達する情報よりも高い精度で、伝達したい内容を再生する。 しかし、その『鍵』となる情報を共有しない者同士では、伝達したい内容はほとんど再生されない。また、場合によっては、全く逆、あるいは全く別の情報に再生されることさえある。 この特性を利用すれば、人間の持つ程度の情報伝達手段、つまり不特定多数を経由しないと情報を伝達できない仕組みであっても、特定の相手に対して選択的に情報を伝達することが可能となる。また、同様に不特定多数に対して同じ情報を伝達しながら、情報の受け手によって再生結果が異なることを利用して、情報の攪乱を図ることもできる。 これらのことは、別々に行うことも、同時に行うことも可能。 今だから言う。わたしはこの手法を用いて、情報統合思念体に『隠し事』をしていた。朝倉涼子から受け取っていた最期の情報の内容を、この手法で意図的に伏せていた。 理由など説明できない。わたしが伝えたくなかったからとしか言えない。 また、今もわたしは『隠し事』をしているかもしれない。あるいは、もうしていないかもしれない。これも明言はしない。したくないから。 では、なぜわたしは今になってこのような『告白』をしたのか。理由はあえて言わない。言ってしまっては『意味』がない。 情報統合思念体は、これらの点についてよく考えるべき。そうでないと、朝倉涼子の、喜緑江美里の、行動は理解できない。 これは私見だが、この二体の、あるいはわたしを含めた三体のインターフェイスの行動が理解できなければ、人間の行動は到底理解できない。すなわち、情報統合思念体に未来はない。そう思う。 ヒントは、後の報告にあるかもしれないし、ないかもしれない。よく考えてみてほしい。 ←Report.23|目次|Report.25→
https://w.atwiki.jp/ranranv/pages/45.html
)(); } キャラクター紹介 チーム職:マネージャー 名前(IDネーム) Weavel(うぃー) メイン職 ガンナー キャラクター シエスタ(鈴仙)・星白・ドゥドゥ・雪国もやし・凄いキャス漢・のり 種族 キャス子/ヒュマ子/ヒュマ男/ニュマ男/キャス漢/海産物 IN時間 平日は21時以降・休日は適当 その他 基本さびしがり屋なのでクエストに同行してやってください((( 個人サイト:http //blog.livedoor.jp/weavel/ガンナーやるよ! 画像
https://w.atwiki.jp/vltcc/pages/17.html
2012.04.29 札幌芸術の森 行 参加者 Hiura / Monbetsu / Tabata / Saito 天気 曇り 走行距離 約45km 報告者 Hiura 記念すべき第一回活動は、札幌芸術の森までのライディング。天候に恵まれてとは言い難い曇天の下で、ウォーミングアップ的に走りました。 1時間半ほどで芸術の森に到着。顧問おススメの「ぷくぷく麺」で昼食を取り、何とも言えない創作麺を堪能しました。 Saito君とMonbetsuさんの攻めっぷりが際立つ中、Tabataさんのウォームアップとしても適当だったかと。参加できない人も多い中でしたが、初回としてはまずまずの旅程だったかと思います。
https://w.atwiki.jp/vltcc/pages/24.html
2012.07.03 物理学科遠足2012 参加者 Hiura / Monbetsu / Seguchi 天気 晴れ 走行距離 約130km 報告者 Hiura 疲れた。アウターで7%の坂を登ってはいけない。おかげで行きの時点で力尽きかけたどこかの男は、帰りもぐったりとしていた。 天候にはある程度恵まれ、行きは曇りがちで走り易かったと言える。帰りはもはや天候どころではない。 最も元気だったのはSeguchi君だった。支笏湖、来年こそ皆で行きましょう。