約 3,317,812 件
https://w.atwiki.jp/dollbook_wiki/pages/433.html
リカちゃんお洋服BOOKもっとキラキラ! ドレスアップ! 著者 田端 永子 発行日 2019/10/29 発行所 主婦の友社 ISBN 978-4074378432 ○コメント○ ~実際に作ってみての感想やその他この本の情報をお気軽にどうぞ 名前 コメント すべてのコメントを見る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2668.html
Report.22 長門有希の憂鬱 その11 ~涼宮ハルヒの手記(前編)~ わたしは観測対象の内面、『心情』を理解する上で超一級の資料を入手した。観測対象が自ら書いた、個人的な心情を綴った文書。 その中から、今回の一連の出来事に関連する部分を抜粋して報告する。 本文書の内容にわたる部分は、すべて原文を記述した観測対象本人の思考によるものであるが、内容の理解及び構造の把握に資するため、報告者が小見出しを付加するなどしている。誤字脱字その他の、通常の日本語の文法に即していない記述は、すべて原文に起因するものである。 (涼宮ハルヒの序文) キョンもすなる書き物を、あたしもしてみむとてするなり。 な~んてね。『土佐日記』風の書き出しにしてみたけど、毎日書くつもりはない。だから、「日記」というよりは「手記」かな。 題して、『涼宮ハルヒの手記』! ……別に誰かに見せるわけでもないのに、なんでこんなに言い訳がましいことを色々書いてるんだろうね、あたしは。あ、でも、有希にはちょっと見せてみたいかも……?(んなこたぁーない。) でもまあ、普通に書くのもつまらないので、小説風に書いてみることにする。文芸部の会誌を作ったときにキョンが書いた話みたいに、あたしが普段考えていることをそのまま文章に書き出して書くことにしようと思う。 後から聞いた話になるけど、キョンはあの話を書く時に、普段考えていることをそのまま文章にしたら良いって古泉くんに言われたらしい。 それじゃ、まずは序文ってことで、これを書くに至った経緯から。 この手記を書くことを決意した日、あたしはとんでもなく恥ずかしい思いをした。 気が昂ってイライラした時なんかに、あたしは紙切れに色々なことを書き付けていた。最近の議題は、「有希への想い」かな。 なんとその紙切れを、あろうことか有希本人に見られちゃった! しくじったわ。ちゃんとゴミ箱に捨てないから…… おまけに、その現場を見て混乱したあたしは、同じく混乱してる有希を突き飛ばして怪我させちゃった。涼宮ハルヒ、一生の不覚! なんてね。そのあとあたしはもっと酷いことをしてしまったけど…… そんなわけで、このような失敗を二度と繰り返さないために、今日からは、書き付けるのはこの日記帳だけにすることにした。鍵も掛かるしね。 『日記帳』を使ってるけど、先に書いた通り、毎日書くつもりはない。もちろん、毎日書くことがあれば別だけど。 (長門有希の消失) 「あ゛~~もう!! 何であんなことしちゃったんだろ!!」 あたしは頭を抱えて部屋中を転げ回る。激しい自己嫌悪。 今日、部活後の部室で、有希にあたしが書いた恥ずかしい紙切れを見られてしまった。 あたしは、つい恥ずかしさから心にもないことを口走り、有希を突き飛ばしてしまった。すると運の悪いことに、有希が本棚にぶつかった拍子に本が落ち、そのうちの一冊が有希の頭に当たり、その血が額に垂れてきた。 正直、血の気が引いたわ。 そして混乱したあたしは、とんでもないことをした。 苦しい言い訳。そして怪我をした有希を、あろうことかそのままにして、逃げるように立ち去った。いや、逃げるようにじゃないな。文字通り逃げ出した。 最低だ。 それくらい、恥ずかしかった……なんて、言い訳にもならないわね。でも、でも……! まさか、よりによって、『アレ』を有希に見られるなんて…… 「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛~~~~!!」 いけない。考えたら、また恥ずかしさがぶり返してきた。もう、死にたい。明日……一体どんな顔して有希に会えば良いっていうのよぉ!! 「お゛お゛お゛お゛お゛……」 頭を抱えて足をジタバタさせながら、あたしは長い夜を過ごした。 「あああああああ! 有希にだけは会いたくない!」 ……祈りが届いたのかしらね。こんな祈り、届いてほしくなんかなかったけど。 翌日、有希は学校に来なかった。 聞いた話によると、有希は身内のごたごたがあって、急遽学校を休んで遠方に出掛けているらしい。不謹慎にもあたしは、『当分、有希と顔を会わせなくて済む』と安堵してしまった。 べ、別に有希が嫌いってわけじゃないわよ!? ただ、昨日あんなことがあったから、ちょっと顔を合わせ辛いってだけなんだから! それに、有希もそんなに長く学校を休むわけにもいかないだろう。せいぜい一週間くらい? それぐらい時間が経てば、あたしも気持ちの整理ぐらい付く。ていうか、付ける。それで、「ごめん」って謝って、喫茶店で何か甘いものでも奢って、仲直り。それで良いじゃない。 (朝倉涼子の邂逅) 今日はすごいニュース! 朝倉涼子が帰ってきた! って、これ、前にも書いたっけ……ああ、書いたってのは、紙切れ時代のことね。 何でも、カナダから一時帰国しているらしい。 そんなに長く日本に滞在していられないらしいけど、懐かしくて北高に顔を出したそうだ。たちまち元・1年5組の女子達に囲まれる彼女。 そういえば、キョンが何やら青い顔をしていた。朝倉も、キョンを複雑そうな顔で見ていた。二人の間に一体何があったんだろう。 今度キョンを締め上げて問い詰めてやるか。 【ここから先はしばらく、初めて出会った時からの、わたしとの思い出を回想している記述が続く。既に報告済みの内容と重複するので割愛する。】 (涼宮ハルヒの遭遇) 今日はすごいニュース! 朝倉涼子が帰ってきた! あの、突然カナダに転校していった朝倉よ! ↑これは、前に書き付けてた紙に書いたもの。朝倉が帰ってきたことで思い出したので、再録。 この時の記述は実は誤りで、朝倉涼子本人じゃなかった。正しくは、こうなる。 長門有希と朝倉涼子のそっくりさんに遭遇!! もう、びっくりしたわ。他人とは思えないくらい、よく似てる……というより、生き写し! しかもこの二人、なんと従姉妹同士なんだって! 全然顔も性格も似てないけどなあ。 面白いことにこの二人、あたしが知ってる二人と姿かたちがそっくりでも、性格が全然違う。 有希似の彼女は、はきはきとした、笑顔が似合う可愛い娘。 朝倉似の彼女は、無口な、引っ込み思案で神秘的な娘。 なんと声までそっくり! 有希似の娘は、声こそ高めで、有希の低めの平坦な声とは似ても似つかないけど、あたしは知っている。例えば歌うとき、有希は高めの声も出す。試しにその声のまま、喋ってもらったことがある。その時の声とよく似てる。意外ときゃぴきゃぴした声になるのよね、有希って。それと……感じてる時の声…… って、きゃ――――!! 何を考えてるんだ、あたしは!! でも、有希似の彼女のそんな声も聞いてみたいかも……いかんいかん! あたしはノーマルだ! あ、でも、「ノーマル」ってことは、「普通」ってことか。むむむ…… 「普通」であることは、あたしにとっては何よりも不名誉な称号。でも、だからといって「レズ」ってのもいかがなものか。相手が、宇宙人、未来人、異世界人、超能力者っていうなら、男でも女でもEverything OK! なんだけどね。 そういえば、前にキョンが言ってたっけ。『長門は宇宙人が作った有機アンドロイドだ』って。つまんない冗談だったけど、この際、そういうことにしちゃうのもアリかも。 そうすると、宇宙人謹製アンドロイドと、あたしはデートしたことになるのか……今度、みくるちゃんも誘って、三人でデートしよっかな? みくるちゃんは、キョン曰く『未来人』だったかな? ということは、宇宙娘と未来娘の両手に花! ……どんな女だ、あたしは。宝塚の男役スターかっちゅうねん!? とか思ってたら、有希似の彼女が、有希の口調を真似して喋った。 マジそっくり! とかやってたら、今度はあたしの有希が、有希似の彼女の口調を真似して喋った。無表情で。 有希、それは反則だよ。 正直、くらっと来たわね。 朝倉似の彼女の反応も、なんか新鮮だった。 あたしが知ってる朝倉は、いつも明るくてクラスの中心にいたから。そういえば、クラスに溶け込んでいないあたしを心配してか、しょっちゅう声を掛けてきてたな。正に学級委員の鑑。もっとも、その頃のあたしは憂鬱の塊みたいなもので、ずっと無視してたけど。その後急に転校しちゃうなんて思わなかったから、今にして思えばもっと話しとけば良かったかな? 転校して以来、何の便りもないけど、どうしてるかな。「便りのないのは元気な証拠」って言うけど。みんなも、もう忘れちゃってる? 今度聞いてみよう。 以上が、この時に思っていたこと。 この時のあたしは、まさか本当に朝倉と再会することになるとは、夢にも思わなかったでしょうね。 【ここから数枚、ちぎった跡がある。ちぎった跡からは、何の情報も読み取ることはできなかった。そしてここから先は、わたしが情報操作を行い、涼宮ハルヒからわたしへの想いを消去した日より後の日付となっている。この間に何が起こったのか。何を書いていたのか。分からない。】 (朝倉涼子の戦闘) 【ここは、過激派による襲撃に関する部分の記述。当該記憶は消去したはずだが、本人は『夢』と認識した状態で記憶を保持していたと思われる。】 ありえない。 朝倉……あんまり激しく動くと、ぱんつ見えるわよ。いや、既に見えたんだけどさ。 朝倉は縞パン……か。可愛いの穿いてるじゃない。スカートの丈が短いから、激しい動きをすると、ちらちら見えちゃうのよね。ほら、また見えた…… うー、とっても眩しいぞ。むっちりした太ももとセットで、すごい破壊力だわ。男子がここにいたら、さぞや大喜びするシチュエーションなんだろうな。 とか言いつつ、女のあたしが何で喜んでるんだろうね。 そういえば、スカート丈の短い北高の制服着てるあたしも、激しく動いた時は、ちらちら見えちゃってるってことか。当たり前のことなんだけど、改めて他人がそうなってるのを見ると、実感するものね。 さて、何であたしが、こんなに「ぱんつ」を連呼してるかというと、そうでもして現実逃避しないと、やってられないから。 何が起こってるのか分からないから、見たままを書くわ。 鉄筋を持った朝倉と、ストッキングを被った変態超能力者が対決してる。 以上。説明終わり。 ……意味が分からない。そこ、首をかしげて良いわよ。あたしにも意味不明だから。 ←Report.21|目次|Report.23→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1208.html
Report.08 長門有希の操作 今日、すること。この流れなら言える。以前試みて、できなかったこと。 ネット上の、彼女に関する個人情報を消去する。 やはり彼女が日常生活を取り戻すためには、この過程は必要となる。情報統合思念体としても、涼宮ハルヒが世間に妙な注目を浴びて、余計なストレスを受けることは好ましくないと大勢は判断している。対処が難しくなるから。 そしてもちろん、わたしという個体も、彼女が日常を取り戻すことを……強く、願っている。 実現のために必要なことは……彼女、涼宮ハルヒの同意。 どのように話を持って行くか。考える。昨日、わたしは彼女と一緒に帰宅するために、彼女に変装……男装をさせた。 そう。彼女は、そのままでは誰かと一緒に歩くことも叶わない。そして何より、彼女の仲間……SOS団に近付くことさえできない。団長であるというのに。このままで良いのか、彼女に問い掛ける。彼女は否定すると予想される。 そこで、日常に戻れる方法として、ネット上の個人情報を消去することを提案しよう。この線だ。 彼女が同意さえすれば、情報の消去はたやすい。むしろ、彼女に対する偽装工作の方が重要となる。どのように彼女に現象を納得させるか。 あくまで、一般的な人間の理解の範囲から余り外れない方法で納得させるのが望ましい。その方法については、一つ心当たりがあった。少し無理があるかもしれないが。 方針は決まった。 以上のことを、わたしは彼女と抱き合いながら、耳元で囁きあいながら、考えていた。まだまだ彼女とこうしていたいという『願望』はあったが、それは好ましくない。 「……そろそろ起きないと。」 「むふー、残念。」 わたし達はゆっくりと体を起こした。ようやく今日という一日が始まった。 洗面台。わたし達は並んで歯を磨く。彼女は歯磨き剤を使わない。いつまでも口の中に味が残って、食事の味が変わるのが嫌なのだという。 「なんで、歯磨きって、ミント系の味しかないんやろな? 揃いも揃って。他の味、というか、あんまり味がせえへんやつ、味が残らへんやつがあってもええと思うんやけどなー。」 【なんで、歯磨きって、ミント系の味しかないのかしら? 揃いも揃って。他の味、というか、あんまり味がしないやつ、味が残らないやつがあっても良いと思うんだけどなー。】 などと言いながら、わたし達は同じタイミングで同じ動作をしていた。うがいのタイミングまで同じ。 朝食は、昨日買ってきたコンビニエンスストアの弁当その2。彼女もわたしも、Tシャツとパンツだけを身に着けている。 「女同士、気にすることないやろ? 一緒にお風呂入った仲やんか。それに……(ごにょごにょ)」 【女同士、気にすることないでしょ? 一緒にお風呂入った仲じゃない。それに……(ごにょごにょ)】 とは、彼女の弁。なお、不明瞭な後半部分は、あえて記すこともないと判断した。 わたしは、いつもの無表情の裏で、話を切り出す時機を窺っていた。 人間が服装に特別な『思い入れ』を持っていることは、知識としては知っている。 衣服を身に纏うことは、毛皮も鱗も持たない有機生命体である人間が、生命活動を維持するために気温等周囲の環境から身を守る行動。 しかし人間は、衣服に別の情報を付与した。 『おしゃれ』 衣服その他を用いて、人間は自らの身体を装飾することを覚えた。最初それは、他の生命体同様、繁殖のために異性を惹き付けるための行動だった。例えば孔雀のオスの華美な羽や、タナゴやオイカワに現れる婚姻色の代替手段として。毛皮等を持たず、明確な発情期がなく、身体に余り変化が現れない人間にとって、衣服で異性を惹き付けることは、制限から生まれた苦肉の策といえる。 またしても、制限による工夫。 当初は異性を惹き付けるための苦肉の策であったおしゃれ。 これは換言すると、『他者とは違う格好をすることに意味を持たせる』行為。 そこに、新たな情報が生まれた。 人間は、性別、地位、職業その他の様々な属性の違いに応じて、服装を変えることで違いを表示するようになった。例えば『制服』。人間は、一定の職業と性別に合わせて、一様の衣服を着ることで職業と性別を表示する。そうすることで、他の職業の人間との区別を行いやすくし、その職務執行を円滑にしている。 そして涼宮ハルヒが朝比奈みくるに行わせている『コスプレ』や、昨日わたしが彼女に提案した『変装』及び『男装』は、こうした属性を表示する制服の機能を利用した行為。 そういえば、『萌え』という感情は、人間の性的衝動と深い関係があることが分かってきたが、萌えを刺激するコスプレや異性装が、元々は着飾ることの原因だったものの、後に切り離されていった性的衝動に再び繋がるのは興味深い。 わたしは、服装についての情報に重きを置いていない。周囲の環境から身を守るという機能は、わたしにとって無意味。たとえ裸であっても、機能上は全く問題はない。 裸で表を出歩かないのは、身体を覆わないことを禁則事項とする認識が人間社会に共通して存在するから。身体を覆う面積は地域、文化、風習等で差異が生じるが、どれだけ覆う面積が小さい、裸に近い姿で生活している文化でも、生殖器だけは何らかの方法で覆うことは共通している。そこにどのような意味、あるいは『意識』が込められているのか、わたしには実感できない。 ここからは推測になるが、それには『生殖能力』が関係しているのではないだろうか。 わたしには、『生殖能力』は存在しない。『性器』は有するが、『生殖器』としては機能しない。必要がないから。 だが、もしかすると、人間をより詳細に観測するためには、なくても良いと判断できるような機能でも、備えているといないとでは、観測結果に微細な又は重大な差異を生じるのかもしれない。 この点について、現時点では情報が不足している。情報の不足を解消するためには、やはり実験してみる必要があるだろう。わたしを使うのか。あるいは別のインターフェイスを使うのか。どのような手法によるものかは分からない。 長々と服装について考察していたのには理由がある。わたしが立案した計画は、服装も大いに関係がある。わたしは待った。 「ごちそーさまっ。」 「食後はコーヒー?」 「えっ! 淹れてくれるん!?」 【えっ! 淹れてくれるの!?】 「待ってて。」 わたしは台所に行き、お湯を沸かしながらドリッパーを準備する。 「あたしはカフェオレでお願い! 豆乳でー!」 コーヒーを淹れ始めると、すぐにコーヒーの香ばしい匂いが立ち込める。フィルターを外して蓋に差し替え、リビングに向かう。カップセットは二つ。砂糖はなし。 「ブラックはよう飲めへんけど、甘いのもあんまり好き違(ちゃ)うねん。」 【ブラックはとても飲めないけど、甘いのもあんまり好きじゃないのよ。】 甘くないカフェオレが一番具合が良いそうだ。わたしはブラックで飲む。 『ふ――――っ。』 思わず息をつく。一人で飲んでも特に何も感じるものはなかったが、今は二人。これもまた食事と同じく、美味しいものだった。 「さて、今日はこれからどないしよ?」 【さて、今日はこれからどうしようか?】 彼女はぽつりと呟いた。 来た。 「朝の続きする?」 彼女はにんまりと笑いながら言った。 「それは推奨できない。他にやるべきことがある。」 わたしは彼女の瞳を真っ直ぐに見据えて言った。 「わたしに考えがある。」 「あなたは現在、表を普通に出歩ける状態ではない。買い物もできない。この原因は一つ。ネット上に晒されたあなたの個人情報。これを消去しない限り、あなたへの来襲は止まない。でも、ひとたびネット上に掲載された情報は、無限に複製し拡散できるため、完全な消去は困難。」 「ほな、どうすんの?」 【じゃあ、どうするの?】 彼女が食いついてきた。行ける。 「一つ手段がある。」 わたしはそこで言葉を区切る。彼女は続きを無言で促す。 「友人のスーパーハッカーに協力を要請する。」 彼女の目が見開かれた。 「スーパーハッカー!? 何それ!?」 これはとあるネット上でのやり取りに登場する一種のジョークに由来するが、彼女は知らないらしい。 「IT関係にとても詳しい人。この人に任せれば間違いない。」 「すごい知り合いがおるんやなぁ……それで、その人にはどうやって連絡すんの?」 【すごい知り合いがいるのね……それで、その人にはどうやって連絡するの?】 「実はもう、手配済み。」 「早っ!!」 「あなたの同意があれば、すぐに着手できる。よく考えて。」 彼女は真剣な表情でわたしを見ている。 「あなたは今、団長でありながら、活動はおろか、団員にさえ近付くことができない。あなたは今のままで良いの?」 「……ええわけ……ええわけないやんかっ!!」 【……良いわけ……良いわけないじゃないっ!!】 彼女は立ち上がった。両手に握り拳を作っている。 「いつまでもしつこくしつこく、散々付き纏いよって! もううんざりや!!」 【いつまでもしつこくしつこく、散々付き纏って! もううんざりよ!!】 彼女は親指で力強く床を指差す。 「ええわ、有希! やっちゃって! その友達のスーパーハッカーさんとやらにすぐに連絡して!!」 【良いわ、有希! やっちゃって! その友達のスーパーハッカーさんとやらにすぐに連絡して!!】 「わかった。」 わたしは彼女の携帯電話を借りると、あるサイトを表示した。いわゆる『まとめサイト』。 「ここにあなたの個人情報が掲載されている。」 「うわ……ほんまや。住所、電話番号に通学経路から家族構成まで!」 【うわ……ほんとだ。住所、電話番号に通学経路から家族構成まで!】 「分かりやすい指標として、このサイトが今から消滅する。」 わたしは席を立ち、固定電話に向かった。彼女からは見えない角度で、0120…から始まる一連の番号を入力する。電話口から声が聞こえてくる。 『こちらは、NTT西日本サービスガイドです。音声でお聞きになる方は01……』 わたしは通話口に語りかける。 「わたし。……そう。同意が得られた。……そう。……わかった。」 電話を切ると、わたしは彼女の元に戻って座った。 「どう!?」 「すぐに着手する。数分もすれば、すべて終わる。」 そしてわたしは情報介入を開始した。今度は弾かれない。しばらく待ってから、時計を見やる。三分経過。もう良いだろう。 「終わった。」 「早っ!?」 「そのページをリロードしてみて。」 「……!? あれ!? ……!? 嘘っ!? 消えてる……」 当該情報の電網空間からの完全消滅を確認。 「情報発信の中心だったそのサイトが消滅した。見える範囲以外の、バックアップデータ等もすべて消去されたと思われる。」 わたしは、コーヒーセットを片付けながら言った。 「彼女の仕事は正確。」 「女の人なんや、そのスーパーハッカーさんて……」 【女の人なんだ、そのスーパーハッカーさんて……】 念のため、『彼女』にも検証を依頼した。すぐに答えが返ってくる。 『全く問題ありませんよ、長門さん。さすがです。相変わらずいい仕事してますね。』 喜緑江美里からの返答が伝わってきた。 『協力に感謝する……ありがとう。』 『どういたしまして。』 あとは人間に残る記憶の方だが、これは単純に情報に触れた人間を片っ端から操作して、一人一人丹念に記憶を消去していくしかない。これは膨大な情報を処理する必要があるため、情報統合思念体が直接行うことになった。わたしが操作するのは、ここまで。10分もあれば、すべて終わるだろう。 これでようやく、彼女は元の生活を取り戻せる。 そんな異常な生活を楽しんでいるのではないか、という意見も一部にはあったが、今のわたしなら断言できる。 それはない。 これで、彼女の行動に対する制限事項は無くなった。 もしかしたら、これまで考察した通り制限に人間の進化を促すきっかけがあるとしたら、彼女が進化するきっかけを失ってしまったのかもしれない。だが、反省も後悔もしていない。他に方法はなかった。少なくとも今は、これで良いと思う。 物事には順序がある。 今の彼女は、制限事項を受け入れる準備ができていない。それはこれから、彼女が様々な経験を通し、『成長』して獲得するもの。これまでの人間の観測結果から、そのような結論が導き出される。 今後彼女は、自身の持つ力を自覚しても何ともないほどに成長するのかもしれない。まだまだ、精密な観測が必要だと思われる。わたしの任務も続くことになる。 でも、それでも良いと思った。むしろそうなってほしいかもしれない。 任務……観測が続けば、それだけ長く彼女を見続けることになる。見続けていられる。 それだけ――彼女のそばにいられる。 ←Report.07|目次|Report.09→
https://w.atwiki.jp/soreiro/pages/154.html
▼金銭効率・金稼ぎ 管理人の経験をまとめてみます基本、non-VIP・ソロ 商人キャラを用意する 主に罠師で効率を出す 関連クエストウンバラLanguage Quest - iRO Wiki Ore Downgrading - iRO Wiki スパイ疑惑 スパイ疑惑 Spy Quest - iRO Wiki Cooking Quest - iRO Wiki 序盤では、拾ったモノを適当に売っていきます Great Nature スリッパ(Lv81)で集め、ウンバラで割ってNPC売り期待値は噂では確か3.5K程、手間も jRO よりかかって、イマイチですが Elder Branch 主にピンギ(Lv105)から出ますBaseもそこそこ稼げるので、二次追い込みを兼ねて露店向けですが、最近また、買い取りも高額化参考値 35K ほど? Jewelry Box 宝石箱スパイ疑惑クエストで1個もらえますゼニーが500K かかりますが、数Mで売れます。20分ほどで、EXP=600K、80代前半でお手頃料理クエをやって、必要な料理を自前で作るのもあり(クエの帽子の材料集めが一番手間ですが) Reset Stone ターン・インクエなどで、Eden Merit Badgeをもらい、交換で入手します露店で数Mで売れます Battle Manual X3 期間イベント Try your Luck! でだいぶたまりましたイベントをお見逃しなく最近は、露店で13M前後? Diamond Ring その他jROでは、影葱のゲフェニア2隔離狩りでDiamond Ring、Gold Ring などがそこそこ集まりますが、iROでは、配置も少なくてイマイチ? 露店向けアイテム 総評ターン・インが、EXP/ゼニー効率がベストですが、狩り場との相性次第
https://w.atwiki.jp/vhsunofficialjp/pages/41.html
Book Of The Dead 詳細ロックボックス 使用方法 マップ位置 詳細 Book Of The Deadは使用すると、死亡しているティーンを1人生き返らせることができるマップアイテム。 1試合につき1つ確定で生成され、各マップ25個あるスポーンポイントのどこかにあるロックボックスから入手できる。 ロックボックスを開けるには回転スキルチェック(自販機と同様)を5回クリアする必要がある。 また、ティーンの蘇生には約10秒程の詠唱時間が必要。 ロックボックス △ロックボックス ロックボックスは全てのプレイヤーが見ることができるが基本的に隠されたように置いてある事が多く、生存中に25箇所あるポイントを見て探すのは難しい。 だが、死亡しているプレイヤーはスペクトル状態でロックボックスの近くにいると不気味な効果音を聞くことができる。 スペクトル状態でもpingを出すことは可能なので、生きている生存者にロックボックスの位置を知らせることができる。 使用方法 この本を所持しているティーンは、死んだティーンに近づき、回復スキルチェックを10秒以上行うとティーンを復活させる事ができる。復活した後、Book Of The Deadは消える。 復活したティーンは負傷状態かつ体力はわずかの状態で復活する。 アンデッドとなり、薄い緑色の肌に白い髪、ゾンビのようなうなり声を出し、独自のアニメーションを使用するようになるが、生存時と能力に差は無く通常通りモンスターと戦うことができる。 また、Book Of The Dead は地面に落としたり、他のティーンに渡したりすることができる。 マップ位置 準備中 コメント 名前 コメント欄での【煽り、叩き、晒し、荒らし】を禁止します。 最新20件を表示しています。全てのコメントを見る場合はこちらから コメント左側の◯をクリックしてから書き込むと、レス形式でコメント可能です。 当wikiで使用している画像、情報等の権利は、Hellbent Games様に帰属します。 著作権者からの申し出があれば対応させていただきますのでお問い合わせ下さい。 [https //vhs-the-game.fandom.com/wiki/Home]からCC-BY-SAに従い文章を改変して利用しています。また、同wikiからTodajun氏、RadicalLynx氏、Masusder氏が投稿した画像につきましてもCC-BY-SAに従い一部改変して当Wikiでも使用させていただいております。こちらも申し出があれば削除させていただきます。
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/1212.html
Report.09 涼宮ハルヒの復活 土曜日はわたしと彼女で、衣服等を買いに行った。もちろん彼女は、行く時は北高の『女子』制服を着て行った。わたしの私服は、彼女には小さい。 「二人で、行った先で買った服に着替えよ!」 【二人で、行った先で買った服に着替えましょ!】 という彼女の発案で、わたしも同じく制服で出掛けた。 マンションから外に出た時、彼女は潜伏者の存在など、最初から気にしていなかった。 「有希が大丈夫って言(ゆ)うたんやから、間違いないやん!」 【有希が大丈夫って言ったんだから、間違いないじゃん!】 彼女は完全に、わたしのことを信用している。素直に『嬉しい』と思った。 西宮北口駅前のショッピングモールに向かう道すがら、彼女は終始楽しそうな表情をしていた。それは、『SOS団団長』涼宮ハルヒが、何か面白いことを考え付いた時のような、何かを企んでいる表情ではなかった。彼女は純粋に、『少女』涼宮ハルヒとしての表情をしているように見えた。 それは、これまでの常に誰かに見張られているという緊張から開放された反動なのか。あるいはそれが、わたしのことを完全に信じて、心から安心しているからなのか。とにかく彼女は、彼女本来の、素直な表情を浮かべているのだと思えた。 もしその表情の原因が、『長門有希がそばにいること』であったなら、わたしはとても嬉しい、と思う。 駅前のショッピングモールで、まずは服を探す。 「せっかくやし、お礼も兼ねてあんたに似合う服探したるわ!」 【せっかくだし、お礼も兼ねてあんたに似合う服探したげる!】 わたしには、人間の『ファッション』なるものはよく分からないが、何をやらせても器用にこなす彼女のこと。わたしに似合う『おしゃれ』な服なのだろう。 ……今度、ファッション雑誌でも読んでみた方が良いのだろうか。 そんなこんなで、服を買って着替え、様々なものを見て周った。 「有希の部屋に合いそうな小物とか、色々あるな~」 【有希の部屋に合いそうな小物とか、色々あるわね~】 わたしの部屋を彼女色に染める計画が始まった、かもしれない。 散々見て周り、時々買い周ったあと、一階のオムライスの店で少し遅めの昼食を取る。 「ん――――……今日は久々に思いっきり動き回ったわ~」 【ん――――……今日は久々に思いっきり動き回ったわね~】 彼女はデザートのパフェを頬張りながら、心底満足した時の表情で言った。買い物中の彼女の表情は、それはそれは明るいものだった。 「……楽しかった?」 「うん! めっちゃ楽しかった!!」 【うん! すっごく楽しかった!!】 「そう。」 子供のように無邪気な満面の笑顔で答える彼女を見ていると、わたしも釣られて笑ってしまいそうだと思ってしまう。そのような『感情』は、本来持っていないはずなのに。 「!?」 突然、彼女の顔が驚愕の表情に変わった。そして次の瞬間には、照れたときの真っ赤な顔に変わった。 「……なに。」 「……私服のあんたの……笑顔に……ヤられた……」 わたしは釣られて笑っていたようだ。微笑。 「ハルヒが嬉しいと、わたしも嬉しいから。釣られて笑ってしもた。」 【ハルヒが嬉しいと、わたしも嬉しいから。釣られて笑っちゃった。】 「はぅ!? ……有希の生の声……私服で……反則……」 彼女の反応がおかしくて、わたしはついに、くすくすと笑ってしまった。また新たな笑い方を覚えた。彼女は口をぽかんと開けて、うっとりとわたしの方を見ている……見とれている。 今のわたしの状態。これが、いわゆる『ギャップ萌え』というものだろうか。萌え……こうまで人間の精神に大きな影響を与えるものなのか。興味深い。 「どうしたの。」 と、わたしはいつもの平坦な声で問い掛けた。 「……!? はっ!? ……はぁ、はぁ、はぁ……思わずお花畑で三途の川を渡る準備しとったわ……」 【……!? はっ!? ……はぁ、はぁ、はぁ……思わずお花畑で三途の川を渡る準備してたわ……】 「おかえり。」 「昨日今日と、あんたには驚かされっぱなしやわ……調子狂うなぁ……」 【昨日今日と、あんたには驚かされっぱなしだわ……調子狂うなぁ……】 「たまには、ええやん。」 【たまには、良いじゃない。】 と、わたしは片目を閉じながら言った。 彼女がスプーンを取り落とした音が響いた。彼女はスプーンを持っていた時の姿勢のまま目を見開き、口を開けたまま硬直していた。ユニーク。 食後は、かさばる物、重そうな物を買って、帰途についた。と言っても、荷物はそんなに多くはない。女子高生二人が普通に持てる程度の量。 「結構買(こ)うたな~」 【結構買ったわね~】 「……わりと。」 今のわたし達は、周囲からはどのように見えるのだろうか。仲の良い女子高生二人組だろうか? 実際は、仲が良すぎる関係になってしまったが。 マンションの部屋で荷物を降ろし、二人の物を分ける。 「ほな、今日は帰るわ。」 【じゃあ、今日は帰るわ。】 自分の荷物を持って、彼女が戸口で言った。 「今日のデート楽しかったで。」 【今日のデート楽しかったわ。】 デート……やはり今日の買い物はそう定義されるのだろうか。 彼女は、わたしを抱き締めると、そっと唇に口付けをした。別れを惜しむような、でもすぐにまた会えるという確信の篭った、暖かい接吻。 わたしの中に、あるものが湧き上がる。昨日まで『エラー』と呼んでいたもの。 『寂しい』『嬉しい』『切ない』『気持ち良い』『愛しい』『幸せ』 たくさんの『感情』が一度に湧き上がった。 これが……『愛情』なのだろうか。分からない。分からないが、決して嫌いじゃない。この『感情』は、嫌いじゃない…… 「ほな、また月曜日、部室で!」 【じゃっ、また月曜日、部室で!】 「……ばいばい。」 元気に手を振りながら帰る彼女を、部屋の外の廊下で見送った。 「……また、部室で。」 それが、彼女が取り戻したかった生活なのだろう。彼女の仲間と過ごす、彼女の、『SOS団団長』涼宮ハルヒとしての生活。 月曜日になれば、色々するべきことがある。忙しくなる。だから日曜日は、ゆっくりしよう。買ったものを飾りながら、彼女のことを考えよう……彼女とのこれからの関係も。 そして月曜日。いつものように登校する。昼休みには部室へ。すぐに読書を開始する。これがわたしの日常。 一日三食取るという決まりはない。三食取る日もあれば、取らない日もある。必要なエネルギーは、朝食、昼食又は夕食でまとめて摂取してしまっても構わない。単に、周囲から怪しまれないように人前では三食取っているに過ぎない。過ぎなかったが。ふと、彼女と一緒に昼食を取るとどうだろうかという考えが浮かんだ。 例えば、わたしが弁当を用意し、部室等で一緒に食べるのも新鮮で良いかもしれない。彼女の好きな食べ物は何だろうか。嫌いな食べ物はなさそう。卵焼きに砂糖は入れる派だろうか。ちなみにわたしは入れない派。それから弁当に半熟卵は危険。痛みやすい。巨大な重箱に日の丸弁当……は、味気ない。却下。せめて『海苔段々』くらいはしないと。 そのようなことを考えていると、部室の扉が開く音がした。彼女が入ってきた。 「お、やっぱり有希はここにおったんやね。」 【お、やっぱり有希はここにいたのね。】 そう言いながら彼女は部室に入ってきた。そして扉を閉めるとすぐに鍵を掛けた。 「これでこの部室は密室。もう逃げられへんでぇ~」 【これでこの部室は密室。もう逃げられないわよ~】 両手を広げ、わきわきさせながら、怪しい笑顔で彼女は言った。 「学校で……けだもの。」 「いやいやいや、さすがに学校ではせえへんって!」 【いやいやいや、さすがに学校ではしないって!】 彼女は笑いながら言った。 「ちょこーっと、二人でいちゃいちゃするだけ♪ 読書の邪魔にはならへんように……まあ善処するし。」 【ちょこーっと、二人でいちゃいちゃするだけ♪ 読書の邪魔にはならないように……まあ善処するし。】 彼女は一度わたしを立たせると、わたしが座っていた椅子に腰掛けた。 「ほんで、有希はあたしの上に座って。」 【それで、有希はあたしの上に座って。】 わたしが彼女の太ももの上にちょこんと腰掛けると、彼女に後ろから抱かれる格好となった。 「時間まで、有希を抱っこさせてな?」 【時間まで、有希を抱っこさせてよね?】 「……当たっている。」 「当てとぉねん♪」 【当ててんのよ♪】 彼女の腕は、わたしの胸に回されている。時折撫で回されもする。しかしそこには、性的衝動の類は感じ取れない。彼女の脈拍も呼吸も落ち着いている。 体重を彼女に預けてみる。彼女の膨らみがより強く感じ取れる。彼女に強く抱き締められた。暖かく柔らかく、それでいて力強い何かに包まれる感覚。このように密着すると、なぜかとても『安心』する。 これが、人間が肉体接触を求める理由の一つなのかもしれない。もしかしたら、日頃彼女が朝比奈みくるにいたずらをするのは、このような肉体接触への欲求が現れたものなのかもしれない。 つまり、彼女はいつも『不安』。そして『寂しい』。そしてわたしは、そんな彼女の……支え、になりたいと思っている。 おかしい。本来あり得ない、というより、あってはならない考え。 彼女は、観測対象。そしてわたしは観測者。観測者が観測対象に干渉してしまっては、観測結果がおかしくなってしまう。やはりわたしは処分されることになるのだろうか。今は、『彼』の『威嚇』が効いているだけで。あるいは、このようなわたしの行動も含めて、壮大な観測なのだろうか。わたしは観測しているつもりで、実は同じく観測されているのだろうか。 そんな懸念も何もかも、彼女の感触ですべて消えてしまう。無知で無力で脆弱な有機生命体である人間が、とても頼もしく感じる瞬間。それは、肉体を持つ有機生命体にしか感じることのできない感覚なのかもしれない。作り物とはいえ、同じく肉体を持つわたしにも感じることができる。これも人間の、奇妙な魅力。 どちらが甘えているのか分からない奇妙な昼休みも、予鈴と共に終わりを告げる。 「もうちょっとこうしてたいけど、しゃあないな。」 【もうちょっとこうしてたいけど、仕方ないわね。】 そう言うと彼女は、名残惜しそうにわたしを解放した。背中を支配していた感触が消失する。背中が寂しい。わたしも残念。 「ほな、放課後に。いよいよSOS団も今日からは団長も復活や! これまでの遅れを取り戻すで!!」 【じゃあ、放課後に。いよいよSOS団も今日からは団長も復活よ! これまでの遅れを取り戻すわ!!】 彼女は握り拳を固めて宣言した。 団長復活。 いよいよ、本格的に日常が再開する。彼女達と彼達の、わたし達の。 『SOS団』一同の日常が。 放課後。ついにこの時がやってきた。わたしが部室に入ると、既に彼女は所定の位置についていた。 「団員一番乗りは有希かあ。」 『団長』と書かれた三角錐が置かれた、彼女の席。彼女は来るものすべてを真っ向から受け止めようとするかのように、腕組みをしながら真っ直ぐ前を見据えて座っていた。 わたしはいつもの窓辺の席に座って、本を読み始めた。これがわたしの日常。 「こんにちは……!? あ、ああっ!?」 「よっ! みくるちゃん、久しぶり!」 「す、涼宮さん!?」 「いよいよ今日から団長復活や!」 【いよいよ今日から団長復活よ!】 「は、はいっ! あ、すぐに着替えてお茶淹れますね!!」 朝比奈みくるは、手際よく着替えを終え、いそいそとお茶をハルヒに渡す。 「ぷっは~!! いやー、みくるちゃんのお茶飲むんも久しぶりやわ~」 【ぷっは~!! いやー、みくるちゃんのお茶を飲むのも久しぶりだわ~】 ノックの音。朝比奈みくるが返答する。 「おや、これはこれは。いよいよ団長も復活でっか。」 【おや、これはこれは。いよいよ団長も復活ですか。】 「古泉くん、お待たせ! あたしがおらへん間、副団長としてよう働いてくれたわ!」 【古泉くん、お待たせ! あたしがいない間、副団長としてよく働いてくれたわ!】 「いえいえ、それほどでも。何にしても結構なことですわ。」 【いえいえ、それほどでも。何にしても結構なことです。】 古泉一樹は、いつもの爽やかな笑顔で答える。そして更にノックの音。再び朝比奈みくるが返答する。 「うーっす……!?」 「どないしたん、キョン? そんな、鳩が豆で狙撃されたような顔して。」 【どうしたのよ、キョン? そんな、鳩が豆で狙撃されたような顔して。】 「いや……」 と、『彼』はわたしに視線を泳がせた。わたしは『彼』にしか分からないほど小さく頷いた。 「そうか……もう、大丈夫なんやな。」 【そうか……もう、大丈夫なんだな。】 そして『彼』は一言、こう告げた。 「おかえり、ハルヒ。」 多くの言葉は必要ない。SOS団は、この一言で、ついに日常を取り戻した。 「いよいよSOS団も完全復活! まずは団長不在中の活動報告から行ってみよか!!」 【いよいよSOS団も完全復活! まずは団長不在中の活動報告から行ってみましょ!!】 ←Report.08|目次|Report.10→
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/1241.html
Report.08 長門有希の操作 今日、すること。この流れなら言える。以前試みて、できなかったこと。 ネット上の、彼女に関する個人情報を消去する。 やはり彼女が日常生活を取り戻すためには、この過程は必要となる。情報統合思念体としても、涼宮ハルヒが世間に妙な注目を浴びて、余計なストレスを受けることは好ましくないと大勢は判断している。対処が難しくなるから。 そしてもちろん、わたしという個体も、彼女が日常を取り戻すことを……強く、願っている。 実現のために必要なことは……彼女、涼宮ハルヒの同意。 どのように話を持って行くか。考える。昨日、わたしは彼女と一緒に帰宅するために、彼女に変装……男装をさせた。 そう。彼女は、そのままでは誰かと一緒に歩くことも叶わない。そして何より、彼女の仲間……SOS団に近付くことさえできない。団長であるというのに。このままで良いのか、彼女に問い掛ける。彼女は否定すると予想される。 そこで、日常に戻れる方法として、ネット上の個人情報を消去することを提案しよう。この線だ。 彼女が同意さえすれば、情報の消去はたやすい。むしろ、彼女に対する偽装工作の方が重要となる。どのように彼女に現象を納得させるか。 あくまで、一般的な人間の理解の範囲から余り外れない方法で納得させるのが望ましい。その方法については、一つ心当たりがあった。少し無理があるかもしれないが。 方針は決まった。 以上のことを、わたしは彼女と抱き合いながら、耳元で囁きあいながら、考えていた。まだまだ彼女とこうしていたいという『願望』はあったが、それは好ましくない。 「……そろそろ起きないと。」 「むふー、残念。」 わたし達はゆっくりと体を起こした。ようやく今日という一日が始まった。 洗面台。わたし達は並んで歯を磨く。彼女は歯磨き剤を使わない。いつまでも口の中に味が残って、食事の味が変わるのが嫌なのだという。 「なんで、歯磨きって、ミント系の味しかないんやろな? 揃いも揃って。他の味、というか、あんまり味がせえへんやつ、味が残らへんやつがあってもええと思うんやけどなー。」 【なんで、歯磨きって、ミント系の味しかないのかしら? 揃いも揃って。他の味、というか、あんまり味がしないやつ、味が残らないやつがあっても良いと思うんだけどなー。】 などと言いながら、わたし達は同じタイミングで同じ動作をしていた。うがいのタイミングまで同じ。 朝食は、昨日買ってきたコンビニエンスストアの弁当その2。彼女もわたしも、Tシャツとパンツだけを身に着けている。 「女同士、気にすることないやろ? 一緒にお風呂入った仲やんか。それに……(ごにょごにょ)」 【女同士、気にすることないでしょ? 一緒にお風呂入った仲じゃない。それに……(ごにょごにょ)】 とは、彼女の弁。なお、不明瞭な後半部分は、あえて記すこともないと判断した。 わたしは、いつもの無表情の裏で、話を切り出す時機を窺っていた。 人間が服装に特別な『思い入れ』を持っていることは、知識としては知っている。 衣服を身に纏うことは、毛皮も鱗も持たない有機生命体である人間が、生命活動を維持するために気温等周囲の環境から身を守る行動。 しかし人間は、衣服に別の情報を付与した。 『おしゃれ』 衣服その他を用いて、人間は自らの身体を装飾することを覚えた。最初それは、他の生命体同様、繁殖のために異性を惹き付けるための行動だった。例えば孔雀のオスの華美な羽や、タナゴやオイカワに現れる婚姻色の代替手段として。毛皮等を持たず、明確な発情期がなく、身体に余り変化が現れない人間にとって、衣服で異性を惹き付けることは、制限から生まれた苦肉の策といえる。 またしても、制限による工夫。 当初は異性を惹き付けるための苦肉の策であったおしゃれ。 これは換言すると、『他者とは違う格好をすることに意味を持たせる』行為。 そこに、新たな情報が生まれた。 人間は、性別、地位、職業その他の様々な属性の違いに応じて、服装を変えることで違いを表示するようになった。例えば『制服』。人間は、一定の職業と性別に合わせて、一様の衣服を着ることで職業と性別を表示する。そうすることで、他の職業の人間との区別を行いやすくし、その職務執行を円滑にしている。 そして涼宮ハルヒが朝比奈みくるに行わせている『コスプレ』や、昨日わたしが彼女に提案した『変装』及び『男装』は、こうした属性を表示する制服の機能を利用した行為。 そういえば、『萌え』という感情は、人間の性的衝動と深い関係があることが分かってきたが、萌えを刺激するコスプレや異性装が、元々は着飾ることの原因だったものの、後に切り離されていった性的衝動に再び繋がるのは興味深い。 わたしは、服装についての情報に重きを置いていない。周囲の環境から身を守るという機能は、わたしにとって無意味。たとえ裸であっても、機能上は全く問題はない。 裸で表を出歩かないのは、身体を覆わないことを禁則事項とする認識が人間社会に共通して存在するから。身体を覆う面積は地域、文化、風習等で差異が生じるが、どれだけ覆う面積が小さい、裸に近い姿で生活している文化でも、生殖器だけは何らかの方法で覆うことは共通している。そこにどのような意味、あるいは『意識』が込められているのか、わたしには実感できない。 ここからは推測になるが、それには『生殖能力』が関係しているのではないだろうか。 わたしには、『生殖能力』は存在しない。『性器』は有するが、『生殖器』としては機能しない。必要がないから。 だが、もしかすると、人間をより詳細に観測するためには、なくても良いと判断できるような機能でも、備えているといないとでは、観測結果に微細な又は重大な差異を生じるのかもしれない。 この点について、現時点では情報が不足している。情報の不足を解消するためには、やはり実験してみる必要があるだろう。わたしを使うのか。あるいは別のインターフェイスを使うのか。どのような手法によるものかは分からない。 長々と服装について考察していたのには理由がある。わたしが立案した計画は、服装も大いに関係がある。わたしは待った。 「ごちそーさまっ。」 「食後はコーヒー?」 「えっ! 淹れてくれるん!?」 【えっ! 淹れてくれるの!?】 「待ってて。」 わたしは台所に行き、お湯を沸かしながらドリッパーを準備する。 「あたしはカフェオレでお願い! 豆乳でー!」 コーヒーを淹れ始めると、すぐにコーヒーの香ばしい匂いが立ち込める。フィルターを外して蓋に差し替え、リビングに向かう。カップセットは二つ。砂糖はなし。 「ブラックはよう飲めへんけど、甘いのもあんまり好き違(ちゃ)うねん。」 【ブラックはとても飲めないけど、甘いのもあんまり好きじゃないのよ。】 甘くないカフェオレが一番具合が良いそうだ。わたしはブラックで飲む。 『ふ――――っ。』 思わず息をつく。一人で飲んでも特に何も感じるものはなかったが、今は二人。これもまた食事と同じく、美味しいものだった。 「さて、今日はこれからどないしよ?」 【さて、今日はこれからどうしようか?】 彼女はぽつりと呟いた。 来た。 「朝の続きする?」 彼女はにんまりと笑いながら言った。 「それは推奨できない。他にやるべきことがある。」 わたしは彼女の瞳を真っ直ぐに見据えて言った。 「わたしに考えがある。」 「あなたは現在、表を普通に出歩ける状態ではない。買い物もできない。この原因は一つ。ネット上に晒されたあなたの個人情報。これを消去しない限り、あなたへの来襲は止まない。でも、ひとたびネット上に掲載された情報は、無限に複製し拡散できるため、完全な消去は困難。」 「ほな、どうすんの?」 【じゃあ、どうするの?】 彼女が食いついてきた。行ける。 「一つ手段がある。」 わたしはそこで言葉を区切る。彼女は続きを無言で促す。 「友人のスーパーハッカーに協力を要請する。」 彼女の目が見開かれた。 「スーパーハッカー!? 何それ!?」 これはとあるネット上でのやり取りに登場する一種のジョークに由来するが、彼女は知らないらしい。 「IT関係にとても詳しい人。この人に任せれば間違いない。」 「すごい知り合いがおるんやなぁ……それで、その人にはどうやって連絡すんの?」 【すごい知り合いがいるのね……それで、その人にはどうやって連絡するの?】 「実はもう、手配済み。」 「早っ!!」 「あなたの同意があれば、すぐに着手できる。よく考えて。」 彼女は真剣な表情でわたしを見ている。 「あなたは今、団長でありながら、活動はおろか、団員にさえ近付くことができない。あなたは今のままで良いの?」 「……ええわけ……ええわけないやんかっ!!」 【……良いわけ……良いわけないじゃないっ!!】 彼女は立ち上がった。両手に握り拳を作っている。 「いつまでもしつこくしつこく、散々付き纏いよって! もううんざりや!!」 【いつまでもしつこくしつこく、散々付き纏って! もううんざりよ!!】 彼女は親指で力強く床を指差す。 「ええわ、有希! やっちゃって! その友達のスーパーハッカーさんとやらにすぐに連絡して!!」 【良いわ、有希! やっちゃって! その友達のスーパーハッカーさんとやらにすぐに連絡して!!】 「わかった。」 わたしは彼女の携帯電話を借りると、あるサイトを表示した。いわゆる『まとめサイト』。 「ここにあなたの個人情報が掲載されている。」 「うわ……ほんまや。住所、電話番号に通学経路から家族構成まで!」 【うわ……ほんとだ。住所、電話番号に通学経路から家族構成まで!】 「分かりやすい指標として、このサイトが今から消滅する。」 わたしは席を立ち、固定電話に向かった。彼女からは見えない角度で、0120…から始まる一連の番号を入力する。電話口から声が聞こえてくる。 『こちらは、NTT西日本サービスガイドです。音声でお聞きになる方は01……』 わたしは通話口に語りかける。 「わたし。……そう。同意が得られた。……そう。……わかった。」 電話を切ると、わたしは彼女の元に戻って座った。 「どう!?」 「すぐに着手する。数分もすれば、すべて終わる。」 そしてわたしは情報介入を開始した。今度は弾かれない。しばらく待ってから、時計を見やる。三分経過。もう良いだろう。 「終わった。」 「早っ!?」 「そのページをリロードしてみて。」 「……!? あれ!? ……!? 嘘っ!? 消えてる……」 当該情報の電網空間からの完全消滅を確認。 「情報発信の中心だったそのサイトが消滅した。見える範囲以外の、バックアップデータ等もすべて消去されたと思われる。」 わたしは、コーヒーセットを片付けながら言った。 「彼女の仕事は正確。」 「女の人なんや、そのスーパーハッカーさんて……」 【女の人なんだ、そのスーパーハッカーさんて……】 念のため、『彼女』にも検証を依頼した。すぐに答えが返ってくる。 『全く問題ありませんよ、長門さん。さすがです。相変わらずいい仕事してますね。』 喜緑江美里からの返答が伝わってきた。 『協力に感謝する……ありがとう。』 『どういたしまして。』 あとは人間に残る記憶の方だが、これは単純に情報に触れた人間を片っ端から操作して、一人一人丹念に記憶を消去していくしかない。これは膨大な情報を処理する必要があるため、情報統合思念体が直接行うことになった。わたしが操作するのは、ここまで。10分もあれば、すべて終わるだろう。 これでようやく、彼女は元の生活を取り戻せる。 そんな異常な生活を楽しんでいるのではないか、という意見も一部にはあったが、今のわたしなら断言できる。 それはない。 これで、彼女の行動に対する制限事項は無くなった。 もしかしたら、これまで考察した通り制限に人間の進化を促すきっかけがあるとしたら、彼女が進化するきっかけを失ってしまったのかもしれない。だが、反省も後悔もしていない。他に方法はなかった。少なくとも今は、これで良いと思う。 物事には順序がある。 今の彼女は、制限事項を受け入れる準備ができていない。それはこれから、彼女が様々な経験を通し、『成長』して獲得するもの。これまでの人間の観測結果から、そのような結論が導き出される。 今後彼女は、自身の持つ力を自覚しても何ともないほどに成長するのかもしれない。まだまだ、精密な観測が必要だと思われる。わたしの任務も続くことになる。 でも、それでも良いと思った。むしろそうなってほしいかもしれない。 任務……観測が続けば、それだけ長く彼女を見続けることになる。見続けていられる。 それだけ――彼女のそばにいられる。 ←Report.07|目次|Report.09→
https://w.atwiki.jp/souleater/pages/82.html
COMIC ソウルイーター 1~5巻 6~10巻 11~15巻 16~20巻New! ソウルイーターノット! 1巻~New! ガイドブック 画集 ANIME オフィシャルファンブック シール&ポストカードブック GAME 攻略本
https://w.atwiki.jp/bfgmatome/pages/487.html
ゲーム情報(登録されているタグ) ジャンル>アドベンチャー 製作会社>Banzai Interactive 製作会社>Gogii Games 製作会社>未確認 言語>英語 コメント欄へ移動 ゲーム配布ページ 英語 http //www.bigfishgames.com/download-games/4402/book-of-legends/index.html 日本語 紹介文 Join Zoe and Charleston Black as they unravel a powerful and ancient Arthurian legend in this gripping Hidden Object game! What began as a casual interest quickly spirals into a dangerous obsession when a young researcher is consumed by the search for a mythic book of limitless power. Travel the world uncovering clues to one of the most powerful and sought-after tomes in human history. Delve into Book of Legends today! Captivating storyline Challenging mini-games Unleash legendary power! Get help at our Forums 画像 « » var ppvArray_0_3904412c62a7030b520ea558805904db = new Array(); ppvArray_0_3904412c62a7030b520ea558805904db[0] = http //w.atwiki.jp/bfgmatome/?cmd=upload&act=open&page=Book+of+Legends&file=en_book-of-legends-screen1.jpg ; window.onload=function(){ ppvShow_0_3904412c62a7030b520ea558805904db(0); }; function ppvShow_0_3904412c62a7030b520ea558805904db(n){ if(!ppvArray_0_3904412c62a7030b520ea558805904db[n]){ alert( 画像がありません ); return; } ppv_0_3904412c62a7030b520ea558805904db$( ppv_img_0_3904412c62a7030b520ea558805904db ).src=ppvArray_0_3904412c62a7030b520ea558805904db[n]; ppv_0_3904412c62a7030b520ea558805904db$( ppv_link_0_3904412c62a7030b520ea558805904db ).href=ppvArray_0_3904412c62a7030b520ea558805904db[n]; ppv_0_3904412c62a7030b520ea558805904db$( ppv_prev_0_3904412c62a7030b520ea558805904db ).href= javascript ppvShow_0_3904412c62a7030b520ea558805904db( +(n-1)+ ) ; ppv_0_3904412c62a7030b520ea558805904db$( ppv_next_0_3904412c62a7030b520ea558805904db ).href= javascript ppvShow_0_3904412c62a7030b520ea558805904db( +(n+1)+ ) ; } function ppv_0_3904412c62a7030b520ea558805904db$(){ var elements = new Array(); for (var i = 0; i arguments.length; i++){ var element = arguments[i]; if (typeof element == string ) element = document.getElementById(element); if (arguments.length == 1) return element; elements.push(element); } return elements; } 備考 レス一覧 256 名前: 名無しさんの野望 [sage] 投稿日: 2010/10/14(木) 21 56 02 ID 6zQWaDQA . 248 Mの項じゃなくて、Dの項にちゃんとあった。適当なこと書いてスマン 「Danger Next Door Miss Teri Tale's Adventure」 . 249 設定的にイタリアのおかんっぽいけど、警察とかアメリカン? ボーナスゲーム、ロシアンな製作者達の素顔紹介だった! 定価で買うには短めだけど、割引価格ならおススメ! あと、テンション高いアイテム探しって、「Book of Legends」 「The Scruffs」「Discovery! A Seek and Find Adventure」 「Annie s Millions」「Polly Pride Pet Detective」とかかな? コメント コメント すべてのコメントを見る トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/haruhi_vip2/pages/2669.html
Report.23 長門有希の憂鬱 その12 ~涼宮ハルヒの手記(後編)~ 前回に引き続き、観測対象が綴った文書から報告する。 (朝倉涼子の幻影I) 最近、朝倉が出てくる夢を見る。 最初は変な空間だった。 「ようこそ、涼宮さん。ここはわたしの情報制御下にある。」 朝倉は、意味不明なことを宣言した。と思ったら、おもむろにごっつい軍用ナイフを取り出した。そして、あたしに向けてナイフを構えた。 「ちょ、ちょっと! 何の冗談よ、それ!? 面白くないし笑えないって!」 朝倉はあたしの呼び掛けを完全に無視すると、一直線にあたしを刺してきた。 「……っ!」 あたしは紙一重で、朝倉の攻撃をかわした。 「性質の悪い冗談はやめて! 玩具でも危ないって!」 あたしは叫びながら、あたしを掠めていった朝倉に向き直った。 ……ナニ、コレ。 朝倉のナイフが、何もない空間に突き刺さっているように見えた。 かと思ったら、朝倉のナイフが突き刺さってる辺りを中心に、黒い人型の靄のようなものが現れた。朝倉は、ナイフをその黒い人型の靄に突き刺したまま、靄を払うように振り抜いた。 一刀両断された靄が空気に溶けていった。 ……… …… … なんじゃこりゃ――――!! ってところで目が覚めた。 マジで、何じゃこりゃ? (朝倉涼子の幻影II) 最近、朝倉が出てくる夢を見るっていうことは前に書いたけど、この話には続きがあったのだ。いや、本当に続きなのかどうかは分かんないけど。 内容としては、実は前に書いたことがあった。ここから前のどっかのページに書いてある。その内容は、まあ、その……あたしが朝倉の『ぱんつ』見て喜んでるやつよ。 そこ! HENTAIとか言わない! あたしだって自覚してるんだから! 冗談はさておいて。 前にも書いた内容ではあるんだけど、『ぱんつ』だけなのもアレなので、もうちょっと詳しく書いとこう。 状況としては、こう。 あたしは通学路の途中、あの北高前の長い坂を下り、線路沿いにしばらく行った住宅街にいた。街並みは、あたしが知ってる、見慣れた風景。でも、二つ違う点があった。 一つ。空の色がヘン。一言で言うと、色がない。 二つ。物音がしない。本当に、一切、音がしない。完全な無音。 目の前には、人影が二つ。 人影その1。私服姿の朝倉涼子。両手にはなぜか鉄筋を持っている。 人影その2。覆面姿の超能力者。覆面にはなぜかストッキングを使っている。 そんな二人が、あたしの目の前で戦っている。超能力者が空中に鉄筋を発生させて、朝倉に向けて撃つ。朝倉は、両手の鉄筋で、飛んできた鉄筋を残らず叩き落とすと、そのまま間合いを詰めて超能力者に殴りかかる。超能力者はすぐに自分の手の中に鉄筋を出現させ、対抗する。一進一退の攻防。 ああ、なんて現実離れした夢だろうか、とあたしは目の保養に勤しんでたってわけ。夢の中なのに、妙にリアルだったわね、朝倉のスカートの中身(ちなみに『縞パン』よ)。 しばらく攻撃の応酬が繰り広げられた後、両者は間合いを取って睨み合い。 って書くと、互角のように見えるけど、実は超能力者の方は飛び道具持ってんのよね。撃ち出される鉄筋を叩き落としてる朝倉だけど、だんだん押されていく。そして、調子に乗った超能力者は、大量の鉄筋の雨を朝倉に降らせた。 夢の中なのに、思わず叫んじゃったわ。まあ、朝倉は無事だったけど。さすが夢。 その後もすごかった。 地面に磔にされた朝倉の言葉に、あたしは有希の姿を思い浮かべた。 何ということでしょう。 再び降る鉄筋の雨を爆散させて、長門有希が颯爽と現れたのです。 ……いや、劇的にビフォーアフターしてる場合じゃないって。自分で自分にツッコミを入れてる間に、有希はヌンチャクで超能力者をしばき始めた。……いつも通りの無表情で。 有希……相当怖いって、それ。 だって、考えてみてよ? ぱっと見は可憐で儚げな美少女が、ストッキングで覆面した変態を、無言で無表情のまま、淡々とヌンチャクでどつき回してるのよ! こんなシュールな画には、なかなか遭遇できないわね。 それから朝倉は、これまたイメージぴったりな薙刀を装備。あたしの護衛として大立ち回りを披露してくれた。 はっきり言うわ。 激萌え!! 夢の中の二人は、なぜか息もぴったりで、まるで長年付き合った相棒みたいだと思った。 まるで……姉妹みたいに。 (朝倉涼子の幻影IV) 夢とは、まこと奇怪なものであることよ。 ……古文の直訳風に書き出してみたけど、他意はない。 最近、朝倉が出てくる夢を見るけど、今日のは今までで一番恥ずかしい夢だった。 これを書いてるのは午前五時。あまりの恥ずかしさに目が覚めて、しかもそのまま眠れなくなったってわけ(目が覚めたのは四時頃だったような……うわ、一時間も悶々としてたのか! 重症だ……orz)。 どうにも寝付けないし、悶々として身悶えして仕方がないので、文章を書いて気持ちを落ち着けようと試みるテスト。 ああ、やっぱり動揺してるな。日本語おかしい。「試みる」と「テスト」って、意味一緒やん! ……よし。大分落ち着いてきた。落ち着いてこー! ああもう。いい加減話を進めよう。書き出してしまわないともう、おかしくなりそうだし。 まず場面を説明するわ。 この夢は、この間見た夢と繋がっているのかいないのか、よく分からない状況。ただ、なんかやたら長い、どこかで見たような包みが壁に立て掛けてあったから、多分続きものじゃないかと睨んでる。 壁、ってことでも分かるように、場所は室内。て言うか部室。 登場人物は、朝倉、有希、みくるちゃん、古泉くん、キョン、それから……喜緑さん? 生徒会役員の。あのクソ生徒会長と一緒に現れた人。SOS団に恋人の捜索依頼をしてきたこともあったわね。 状況は、部室で、あたしと有希が話してて、というか、あたしが有希に語りかけてて、それを登場人物全員に見られてるところ。 こんな大勢の人間に見られながら、あたしは……うわー、やっぱり恥ずかしい! 自分でも分かるくらい、顔が熱い。多分、真っ赤になってるんだろうなあ。でも、これを書かなきゃ、多分ずっとこの顔と身体の熱さは治まらないわ。 こんな衆人環視の状況で、あたしは、有希に、激しく、 告 白 し た キ ス し た ……… …… … ぎゃぽ――――!! 死ぬほど恥ずかしい!! ――30分経過。ようやく落ち着いてきたので再開。 あれから30分、あたしは布団でずっとごろごろ転がってた。ていうか、身悶えてた。あひー、とか奇声を発しながら。……こんな姿、人には絶対見せられないな。 夢の話の続きは…… あ゛――――! ダメ! 無理! もうこれ以上詳しく書けない! 書いたら死んじゃう! でも書かないとやっぱり恥ずかしくて死んじゃう! ギリギリ書ける範囲で書いてみることを試みると、次のようになる。 あたしは有希を正面から見据えた。そして、有希に出会った日からの、あたしと有希の思い出を語った。 最初はやけに無口で変わった娘だと思っていたこと。それがだんだん、どうすれば仲良くなれるかというものに変わっていったこと。文化祭の思い出。体育祭の思い出。雪山の冬合宿。バレンタインデー攻略計画。 要は、あたしの「愛の告白」が延々と続いてたってわけ。 おお、これだけ端折って書くと、書けるもんね。 しかし、ありえない。夢だから、で説明は付くけど。 それにしても、おかしすぎる。違和感ありまくり。どこに違和感を覚えるかって、そら、女が女に告白してる時点でツッコミ入れるやろ! ってなもんだけど、そこだけじゃない。何というか、夢にしては、そしてありえない情景にしては、妙に現実感があることか。 今でも、こう、抱き締めた時の有希の感触とか……うわー! 不用意に書いたら、感触が蘇ってきた――――! 落ち着け落ち着け……こんせんとれーしょん……って、それは「集中」! アホなこと書いてないで、先に進めよう。 さて。このやたらと恥ずかしい夢は、困った事に、非常に現実感があるのだ。なぜなら、夢の中で有希に熱く語った、あたしと有希の思い出が、どれも実話だからだ。 思い出だけじゃない。あたしの、有希に対する「想い」もまた、現実にあたしが有希に感じてる想いをいろいろと加工したら、わりと無理なく得られるくらいに「それっぽい」のだ。 つまり。 あたしは、有希のことが好き? ……ということは、これはあたしの願望っていうこと? いつか、有希に告白したい。そしてOKを貰いたいっていう、信じられないような願望だと? ありえなーい。 はあ。明日からどんな顔して有希に接したら良いんだろ? まともに顔見られないかも。 そうだ。試しに有希に抱きついてみて、感触を確かめてみようか。それで「現実は違う」って納得しよう。 ……なんてね。アホか、あたしは。 翌日。……結局実行してしまった。アホや、あたしorz えー、抱き締めた有希の感触は、小さくて、柔らかくて、正直たまりませんでした…… って、違う、そうじゃなくて。 驚いたことに、夢の中と同じ感触だった。 すぐに抱き比べ(!)てみたけど、やっぱりみくるちゃんとは違う感触。主に胸とか。 いやー、有希ってば、やっぱりちっちゃくて可愛いなぁ~! でも身長は、実はみくるちゃんの方が若干低いのよね。あの巨乳で分かりにくいけど、みくるちゃんの方が、本当は小柄なのよね。抱き締めても、全然そうとは思えないけど。 有希の方が、胸とか小振りで、なんていうかイメージぴったり? って感じ。 みくるちゃんのは「手から溢れ出す」って感じだけど、有希のは「手に収まる」って感じかな。小柄な身体と小振りな胸を、あたしの身体と掌でしっかり掴めるというか。 ……とにかく、みくるちゃんの感触を夢で再生してたわけじゃなかった。 何であたしは、有希の抱き心地を知ってたんだろう。まだ抱いたことなかったはずなのに。まさか予知夢? って、「抱いたことない」って、なんか変な意味にも取れるわね…… うーん…… 考えれば考えるほど、分からないや。 【ここから先は、涼宮ハルヒがすべてを思い出した後の話。】 (涼宮ハルヒの混乱) あたしは今、猛烈に困惑している。 何コレ。 「コレ」とは、今この文章を書いている、この日記帳、『涼宮ハルヒの手記』のことよ。 もう一度問う。何コレ。 この手記に書いてある文字は、確かに、あたしの字だ。でも、あたしはこんな手記の存在を知らない。でも、何となく書いた覚えがある。 そしてその内容が、ますますあたしを困惑させる。とても信じられない内容だわ。ぶっちゃけ、ありえない。 だって、だってよ。 あたしが、有希のこと、その……「好き」だなんて。しかも、有希と、その……「一線越えちゃってる」なんて。 あー、やばいやばい。書いてて顔が熱い。いや、全身か。 落ち着いて考えてみなさいよ? あたしと有希は、女の子同士。 そりゃ、あたしだって、有希と仲良くしたいとは、思うわよ? あの娘、いつも無口で無表情で、ちょっと変わってるところはあるけど、ああ見えてうちのSOS団随一の万能選手なんだから。団長たるあたしも鼻が高いってもんだわ。それに、確かに有希は、よく見るととても整った顔立ちで、色白で……儚げな中にも、可憐さと凛々しさが同居してる、そんな不思議な魅力があることは認めるわ。 でも、だからって、有希と……「肉体的に」まで仲良くなりたいとは、さすがに思わないわ。 だから、ありえない。それこそ、精神病の一種だわ。 落ち着け、あたし。こんなときは素数を数えるのよ。 1,2,3……しまった、1は素数じゃないわ。 (涼宮ハルヒの決心) さてと。前のページでは、あのように書いたけど。前言を撤回するわ。 この手記を見付け、読み終わって、前のページを書いてからしばらくの間。 あたしは、心を落ち着けるために、しばらくぼーっとしてた。 物事を考察するに当たっては、先入観や固定観念は最大の障害となる。だから、心を空っぽにするために、ひたすらぼーっとしてた。ある意味放心状態よね。そうやってしばらく放心して、明鏡止水のような心境になって、あたしは再び考え出した。 そうしたら、思い出した。 間違いない。この手記は、あたしが書いたものだわ。朧ながらも、あたしがこれを書いていた頃のことが思い出されてきた。 それと共に、ある「想い」も、思い出した。 あたしは、有希が好き。 まさか自分がこんなことを思ってたなんて、信じたくない、認めたくないけど、もう言い逃れはやめることにするわ。だって、自分の心にはいつまでも嘘をつき続けられないんだもの。 自分の心に嘘をつくのをやめた途端、色々なことが一気に思い出された。 何てことかしら。 あたしは、こんなにも、有希のことが好きだったなんて。 それに……有希と、その……ヤっちゃったのも本当のことだ。 うわ、恥ずかしい! 有希ったら、あんなことやこんなことを…… いや、そもそも、先に手を出したのはあたしなんだけどさ。 てことは、自業自得か、あたし? あたしは、決めた。もう迷わない。もう忘れない。 あたしは、有希のことが好き。 この気持ちは、まだ明確に伝えてないかもしれない。あの告白が夢だったとしたら。夢じゃないかもしれないけど、それならそれでもう一度、想いを伝えたって良いはずだわ。 だからあたしは、有希に手紙を書くことにした。この際だから、この手記ごと見せるわ。 有希、読んでね。あたしのこれまでの、そしてこれからの気持ちをさ。 (涼宮ハルヒの手紙) 有希に読んでほしいこと。 ここまで読んで、あたしはどんなことを思っていたのか思い出した。 不思議なことに、今まで何となく感じていた、心の一部が抜け落ちたような感覚が治まった。まるでパズルのピースがはまるように、抜け落ちていた部分がぴったり埋まったような気がする。 この「手記」を読むに、あたしは色々と大事なことを忘れていたらしい。 あたしの身に何かが起こったのだろうか? その辺りは今でもまだ思い出せない。でも、ある日を境に、心から何かが抜け落ちたような気がしていた。 今なら分かる。その時「何か」があって、あたしはある大切な想いを忘れてしまった。 自分で忘れていたのなら、自分の不甲斐なさを恥じるしかない。でも、なぜかそうじゃない気がする。あたしは、何者かにその想いを忘れさせられたのだと感じている。これは何かの陰謀かもしれない。 とにかく、今はそのことはいい。思い出せた事実の方がずっと大切だから。 思い出した想いを、改めてここに記す。もしもまた、忘れたり忘れさせられたりするようなことがあっても、すぐに思い出すことができるように。 有希へ。 あたしはあんたを愛してる。 あたしもあんたも女の子だけど、そんなことは関係ない。 いろんな意味で、あんたが好き。大好き。 だからあたしは、あんたがいなくなった時、とても寂しかった。苦しかった。 そして、もう二度とあんたを失いたくないって思った。 それなのに、この気持ちを忘れていたなんて、どうかしてる。本当にごめん。 この気持ちを忘れないように、想いを文字にしてここに記す。 願わくば、もう二度とこの気持ちを忘れることがないように。 願わくば、もう二度とあんたを失うことがないように。 そして――願わくば、あんたとずっと一緒にいられますように。 涼宮 ハルヒ 【ここまでが、その時にわたしが見た手記の内容。その後、次の部分が涼宮ハルヒ自身の手によって新たに書き加えられた。】 追伸 有希はあたしの嫁。 「嫁」と書いて「ともだち」と読む。 ←Report.22|目次|Report.24→