約 3,170,996 件
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4086.html
前ページ次ページ異世界BASARA 異世界BASARA-45 幸村がゴーレムの腕に叩き潰される少し前。 酒場の1階は修羅場と化していた。 玄関から現れた傭兵の一隊が、酒を飲んでいたワルド達を襲ったのである。 一同は大理石で作られたテーブルの足を折り、それを盾にして矢から身を守っていた。 「しええぇっ!い、いいか若造!わしの前後左右と、ついでに頭上も守るのじゃ!!」 「どれか1つぐらい自分で何とかしてくれ!」 浴びせ掛けられる矢の攻撃をテーブルで防ぎながら、ギーシュと氏政は言い合っている。 こんな状況でも口喧嘩する2人はある意味大したものである。 「キュルケ殿、あいつ等キュルケ殿との戦い方に慣れているぞ」 「そうね、ちょっとマズイかも」 利家の言う通り、傭兵達はメイジとの戦いに手馴れているようだった。 先ず、1度、2度の応酬で魔法の射程を見極め、その 範囲外から矢を射かけてくる。 そして立ち上がり、魔法を唱えようとした所へすかさず矢を放ってくるのだ。 「連中は我々に魔法を使わせ、精神力が切れた所に突撃するつもりだな」 ワルドは髭を弄りながら言った。 「さて、どうしたものか……」 「ええい忠勝は何をしておる!!何故来んのじゃ!!」 氏政がタバサに向かって喚き散らす。 タバサは本から目を離さず、「分からない」と呟いた。 実は、忠勝もフーケのゴーレムには気づいていた。 「!!」グオオォン!プルル!! 切り立った崖の上からゴーレムを見つけた忠勝は右手を真っ直ぐ伸ばす。 すると、地面に亀裂が走り、轟音と共に巨大な槍が飛び出してきた。 いや、槍というよりはドリルに近い代物である。 『機巧槍 黒王』…… あらゆる物質を貫き通す鋼鉄の巨大槍。 本田忠勝しか扱えず、止まろうとしたトンボが真っ二つどころか粉々になった槍である。 「……!」ガシィン!! 忠勝は黒王を握ると、フーケのゴーレム目掛けて飛び立った。 黒王の穂先をゴーレムに向け、忠勝は上空から急降下する。 ビュオオオオオォォ!!! だが突如竜巻が起こり、空中の忠勝に襲い掛かってきた。 「!!??」ギギ、ボシュルル!! 衝撃により、忠勝はバランスを失って岩の壁面に激突する。 忠勝は竜巻が飛んできた方に目を向けた。すると…… 仮面を被った3人の男がこちらを見ていた。 一方、酒場ではキュルケ達が身動き取れずにいた。 キュルケ以外にも他の貴族の客達がカウンターの下で隠れて震えている。 しかし店の主人はたまったものではない。 いきなり自分の店を滅茶苦茶にされてしまい、遂に我慢の限界に達してしまった。 「お前等わしの店が何をし……」 店の主人が立ち上がって叫ぼうとした。丁度その時であった。 「ぐあああぁぁぁぁぁっ!!」 「ほげぇっ!!」 天井を突き破って男が落ちてきた。 店の主人は落ちてきた男の下敷きになり、短い悲鳴を上げて地面に倒れた。 「ユキムラ?ユキムラじゃない!?」 「あだだ……これは一体、何の騒ぎにござるか?」 そう、落ちてきたのは2階でゴーレムの腕に叩き伏せられた幸村だった。 彼はそのまま床を突き抜け、1階まで落ちてきたのである。 一足遅れて、ルイズが2階から降りてきた。 「ルイズ!良かった、無事だったんだね」 ワルドが安堵の息を漏らした。 と、ルイズは今しがた天井から落ちてきたであろう幸村を見つけた。 「おおルイズ殿!ご無事で何よりであります!」 「生きていたのね……馬鹿、潰されちゃったかと思ったじゃない!」 ルイズはピンピンしている幸村を見て怒鳴る。 だが、心の内では生きていて安心していた。 「いいか諸君」 と、忠勝を除く全員が揃ったのを確認したワルドが低い声で言った。 「このような任務は半数が目的地に辿り着ければ成功とされる」 こんな状況でも本を読んでいたタバサが、本を閉じてワルドの方を向いた。自分、キュルケ、ギーシュを指差して「囮」と呟いた。 それからタバサはワルドとルイズを指して「桟橋へ」と言った。 「時間は?」 「今すぐ」 ワルドが尋ねると、タバサは短くそう言った。 「聞いての通りだ、裏口へ向かうぞ」 「で、でも……」 ルイズはまだ訳が分からないという顔をしている。 するとキュルケがその赤い髪をかきあげながら言った。 「いいから早く行きなさい。勘違いしないでよルイズ、あなたの為に囮になるわけじゃないから」 タバサもルイズ達を見て「言って」と促した。 「じゃあおっぱじめますか。ギーシュ、ちょっと頼みたいんだけど」 傭兵達の動きをテーブルの影から見ながら、キュルケは振り返ってギーシュに命令…… しようとした。 「あら?」 ギーシュと、氏政の姿がいつの間にか消えていた。 ワルドはぴったりとドアに身を寄せ、向こうの様子を探っている。 「誰もいないようだな」 ドアを開け、3人はラ・ロシェールの街へと躍り出た。 「桟橋はこっちだ」 ワルドが先頭を行き、ルイズが続く。幸村が殿を務める。 「待つのじゃ!」 その筈だったが、さらに幸村の後ろから年老いた声がした。 「氏政殿、囮を受け持ったのではなかったか!?」 現れたのは、残る筈だった北条氏政。 「や、やぁ」 その背後からさらにギーシュが顔をだす。 「何で付いて来たのよ。自分達の役目分かってる?」 「僕は止めたんだよ?だけどウジマサが勝手に……」 「お主等だけに手柄を渡してたまるか!わしが手柄をたてるんじゃぁ~!」 「仕方ない、彼等も連れて行こう。桟橋へ急ぐぞ」 結局、ギーシュと氏政も連れて行くことにした。 月が照らす中、5つの影法師が遠く、低く延びた。 その頃、忠勝は仮面を被った3人の謎の男と対峙していた。 「……………」オオオォォォン… 「「「……………」」」 双方一言も喋らず、お互いに出方を伺う。 先に動いたのは男達だった。 それぞれが呪文を唱え、杖を忠勝に向けて振るうと、その杖から風の刃……「エア・カッター」が放たれる。 「!!」キュィーン!! 素早く攻撃を察知した忠勝は「起動形態」から「防御形態」に移行。 盾を肩に装着し、風の刃を防いだ。 攻撃を防がれた仮面の男達は飛び上がる。 上空から2人が青白く光った杖を振り上げ、忠勝に向かって振り下ろした。 黒王を振り上げ、その杖を防ぐ。 忠勝の槍と、仮面の男達の杖がぶつかり合い、火花が飛び散った。 だが鍔迫り合いの最中、残った1人が呪文「ウィンド・ブレイク」を完成させてそれを放った。 杖を振り下ろしていた2人はすぐさま飛び退く。 「!?……」ウィィー!ギュルギュルギュル!! 至近距離で受けた忠勝の巨体は吹き飛び、岩の壁面に激突した。 土埃が巻き上がり、岩がボロボロと崩れ落ちていく。 仮面の3人は杖を降ろさず、警戒しながら近づいて行った。 と、土埃の中から忠勝が凄まじい速さで飛び出してきた。 突撃する騎馬兵のように黒王を構え、高速で突進して行く。 そのあまりのスピードに1人は反応が遅れて避ける事が出来なかった。 仮面の男に忠勝の槍が直撃し、消滅する。 残った2人が舌打ちすると、杖から竜巻を放った。 忠勝は再び「起動形態」に変形し、そのまま空中に飛び立った。 しかし、放たれた竜巻は蛇のように伸び、飛んでいる忠勝を追尾する。 忠勝は追いかけてくる竜巻を体を回転させて躱す。 だがそれでも駄目であった。一度避けたものの、再び方向を変えて向かってくるのだ。 「……!…!!」ガガ、コオォォォォ!! 忠勝は高速で飛んでくる竜巻を何度も飛行しながら左右、上下にと避け続ける。 ところが、次に見た光景に目を見開いた。 今まで2つだった竜巻が分裂し、一気に8つに増え、速度がさらに上がったのである。 負けじと忠勝もバーニアを噴射させて距離を取ろうとする。 しかし1つの竜巻が忠勝の背中に命中した。その衝撃で忠勝の動きが遅れる。 その隙に残り7つが一斉にぶち当たった。 竜巻はまるで蜘蛛の糸のように絡め取り、忠勝の体を覆い隠して上空で爆発した。 しばらくして風が晴れ、忠勝が落下していくのが仮面の男の目に入る。 忠勝を倒したと考えた2人は杖を下ろし、傭兵達が囲っている酒場に目を向ける。 だがあと少しで地面に激突するという時 忠勝の背中が光り輝いた。 自分達の背後から突如聞こえた爆音に、仮面の男は振り返った。 見ると、倒したと思った忠勝が「起動形態」となって迫ってきている。 いや、よく見ると肩には盾が装着されており、「防御形態」にもなっているではないか。 「…!?…」グオオオォォ!? 忠勝自身、自分の体の変化に戸惑っていた。 本来、体に負担をかけ過ぎないように形態変化は1つしか出来ない。 今の自分は2つの形態を同時に展開していた。 しかし、体に痛みがあったり、動きに問題は出ていない。 自分の背中が眩く光った事が関係しているのかと忠勝は考えた。 「…!……」ルオォォン!! だが忠勝はその疑問を考えるのを止め、自分の敵を睨みつけた。 今やるべきはあの2人を倒し、自分の主の元に駆けつける事だ。 仮面の男は突進してくる忠勝に向かって呪文を唱える。空気の鉄槌「エア・ハンマー」だ。 エア・ハンマーは命中した。が、防御形態の忠勝は気にも止めず、さらにスピードを上げる。 次に忠勝は中腰になり、肩の盾でタックルした。 「「ぐほぉっ!!」」 あまりの速さに避けきれず、2人の男は衝撃で空中に舞い上がった。 だが忠勝の攻撃はまだ終わらない。さらに背中から長い筒状の物が飛び出す。 そしてフライの呪文で態勢を立て直そうとした2人の眼前に向けられる。それは大砲の砲身であった。 「攻撃形態」 背中から大砲を取り出し、遠距離の敵に砲撃を行う攻撃に特化した形態である。 これで忠勝は3つの形態を同時に展開した事になった。 「!!!」ガシャン!!キュイイーッ!! 忠勝は吹き飛んだ仮面の男に対し、砲弾を発射した。 至近距離で発射された砲弾は外れることなく2人に直撃し、高熱の火炎と爆風によって四散した。 「……………」ドスン…プルルル 背中の光がどんどん弱くなり、消えていく。 すると、自分の意志とは関係なく通常形態に戻ってしまった。 敵を倒した忠勝は、酒場の方を見る。 何時の間にか巨大なゴーレムの姿は無くなっていた。 忠勝は槍を握り締め、主の元へと急行した。 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/ws_wiki/pages/3894.html
総評/戦国BASARA なんだヴァイス坂ってwいまだに駆け上がってきた男をみたことがないぞ -- (名無しさん) 2011-01-30 22 29 21 信長チェンジも十分主なデッキじゃね? -- (名無しさん) 2011-02-06 14 38 43 赤緑とか強力だよ?推して参るを使うこと前提のデッキタイプが載ってるね -- (名無しさん) 2011-02-10 12 26 30 寧ろ推して参る使わないとバサラ使う意義が無いような… -- (名無しさん) 2011-02-10 14 34 02 推して参る使うだけがBASARAじゃないかと。うちは慟哭信長をレベル応援する黄緑で戦ってます -- (名無しさん) 2011-02-10 16 24 29 だけじゃないかとって…。どう考えても"推して参る"はバサラにおける筆頭強カードの1枚なんだがなぁ…。ハンドアド自体は取れないけれど、割と早い段階から使用可能で相手の早出しを狩りに行ける。1枚で盤面アドとライフアドを取れる優秀なカードではあると思うよ。応援持ちのレベル0謙信と推して参るを積む程度で難なく回るから試してみる価値は有ると思うよ。 -- (名無しさん) 2011-02-11 12 21 06 とりあえず信長を載せるべきかと。ぶっちゃけ他のどの色組み合わせても中々合う。赤で回収増やしたり緑でレベル応援&武器持ってきたり青で回復しまくったりだとか… -- (名無しさん) 2011-03-02 00 46 03 秀吉も強いよ? -- (名無しさん) 2011-03-03 05 43 58 とりあえず信長から載せないか?信長デッキで多いのは黄青か黄緑タッチ青かな? -- (名無しさん) 2011-03-06 01 13 47 信長とか今の環境じゃ速効狩られて無理。赤緑青が安定。 -- (名無しさん) 2011-03-13 03 36 56 信長はむしろチェンジ狙うよりはソウルビート気味に大ダメージ狙うほうが強いんじゃないかなぁ -- (名無しさん) 2011-03-13 12 45 54 ↑2 出たターンは竜の右目とかでサポートしてやれば? -- (名無しさん) 2011-03-13 19 42 31 赤青緑が1番強いな -- (名無しさん) 2012-01-05 14 37 11 慟哭信長にロマン感じた -- (名無しさん) 2012-02-28 13 04 42 慟哭信長さん最高っす -- (名無しさん) 2012-03-11 11 58 46 バサラのトリガーなし1LV7000て、KGしかいないんだよね。3と宴、劇場版もやったのに強化されないのは、やはり人気が下がってるからなのだろうか… -- (名無しさん) 2012-07-07 19 23 39 +2000CXは青だけだしなあ 追加ブースター欲しいよ -- (名無しさん) 2012-07-07 20 43 45 単純に大人の事情だと思うけどね。まあ、ABみたいにいきなりエクストラ枠でって可能性は大いにある。出れば一気に上位タイトルになれる要素は十分備わってるしね。 -- (名無しさん) 2012-07-08 11 48 04 ↑ブシのことだからAB売れるからだしたんだろ バサラはない -- (名無しさん) 2012-07-08 12 31 26 BASARAの映画のブースターを出してほしい -- (名無しさん) 2012-07-19 07 22 45 ↑出してほしいよね。そろそろ強化が来てもいいんじゃないだろうか。 -- (名無しさん) 2012-10-13 22 16 10 トリサバとかでは現状で結果残してるし、追加来たら確実に最上位行っちゃうから今のままが妥当かな -- (名無しさん) 2013-06-21 21 29 19 最上位とか何言ってんだこいつ -- (名無しさん) 2013-06-21 21 57 22 ↑パワーラインと盤面維持力見直されたら、詰め性能・回復リソース豊富で手つけられなくなるが大丈夫か?現状雷光に繋ぐまでが貧弱って言われてるだけなのに -- (名無しさん) 2013-06-27 01 40 20 色分かれてるとは言え1/1/7000も1/0/6000も追加してもらって恋の駆け引きに純朴真田、優秀な3500にアンコール付与伊達も居るのにパワーライン低くて盤面維持出来ないとか甘えかよ -- (名無しさん) 2013-06-27 05 10 11 とりあえず、↑がBASARA使った事ない事だけはわかるわ -- (名無しさん) 2013-06-27 06 08 59 雷光レベ3秀吉推して参る右目川中島って強カードが存在して、それを握るためのカード群追加されたら(例:まどかの林檎セットやゾンビさやかみたいなもの)十分強タイトルの仲間入りだわwww自分で言っててそれに気づかないとか雑魚過ぎワロタwww -- (名無しさん) 2013-06-27 06 12 32 1/1バニラ自体現環境でゴミ同然で、ストック5枚6000とかいう時代遅れしかないのにパワーラインも盤面維持力も低くないとかやべえwwwちょっとリライトで養分にするからBASARA組んで大会出てこいよ^^ -- (名無しさん) 2013-06-27 06 15 26 マジレスすると、今の環境ってかリライトを構築で対策不可能な時点で終わってる。一応、伊達男+純朴or慶二で貫けるけど、カウンター喰らったらゲームエンドだからなぁ -- (名無しさん) 2013-06-27 06 30 10 軍神 上杉謙信でスタンドロックしたり、黄色でバウンスではいけませんかね? -- (名無しさん) 2013-06-28 00 42 22 ↑そこで2ストック使った時点で負けだし、風頼みにするなら何もこのタイトルじゃなくてもいい -- (名無しさん) 2013-07-16 20 39 22 BASARA3と4で追加来ないんですかね? -- (名無しさん) 2013-11-16 20 37 29 BASARAはアニメとゲームでなんやかんやで結構出てるから追加は厳しいんじゃないかと・・・・ -- (名無しさん) 2013-11-17 08 40 03 ヴァイスはもうアニメ作品(ミク・艦これみたいなのは別として)中心で動かすみたいだから無理だろうな。というかバサラ自体がもう落ち目。 -- (名無しさん) 2013-12-17 20 59 53 BASARAはまだL2伊達で相手のCX削りながら殴るデッキならまだいける まぁL0、1はほとんどバニラになるけど -- (名無しさん) 2014-01-24 21 53 50 1レべが辛いんでそこを強化してくれれば何とかなるって感じ・・・0は元親 春日 竜の爪あれば戦えるだろうな -- (名無しさん) 2014-02-15 03 06 52 Lv1はバニラでなんとかするしか・・・恋の駆け引きと1/1 7000並べてカウンター等で延命しつつLv2に備える感じじゃないかと -- (名無しさん) 2014-02-15 22 02 15 今アニメやってるし、追加来てほしい。 -- (名無しさん) 2014-07-09 16 18 04 皇発表着たけどどうせまたスルーされるんだろうな -- (名無しさん) 2015-01-23 12 54 09 個人的にはカプコンがコーエー訴えた件とかでブシロ側は見限ってるんじゃないかなぁとか思ってる -- (名無しさん) 2015-01-24 11 22 13
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4139.html
前ページ次ページ異世界BASARA 異世界BASARA-46 裏口からルイズ達が出て行った後、キュルケは今の現状を考えて溜息をついた。 「困ったわねぇ……予定が狂っちゃったわ」 状況は全く良くなっていない。相変わらず矢は降り注ぎ、いつ突撃されてもおかしくなかった。 「ギーシュのワルキューレに油を取って来させようと思ったのに、ああもう!何でいなくなっちゃうのかしら」 キュルケは額に手を当てて悪態をつく。 「キュルケ殿、油が要るのか?」 と、利家がキュルケの顔を覗き込みながら言った。 そして腰に付けた瓢箪を手に取り、キュルケに見せる。 「これじゃ駄目か?」 キュルケはそれを見てアッ、と声を上げた。 そうだ、利家はいつもこれで火を吹いていた。つまり引火性のある液体が入っているという事だ。 「あなたってやっぱり役に立つわね、じゃあ入り口に向かって中身を吹いてくれる?」 利家は言われた通りに瓢箪の中身を口に含む。その間、キュルケは手鏡を覗き込んで化粧を直した。 「折角の歌劇の始まりだもの……主演女優がすっぴんじゃ……」 そう言っている最中、利家が勢いよく口から中身を吐き出した。 「しまらないわよね!!」 それに向かって、キュルケが杖を振るった。 キュルケの魔法によって液体は発火し、入り口の辺りに炎を振り撒いた。 今しがた突撃を敢行しようとした傭兵の一隊が、突然現れた炎に驚いてたじろぐ。 「名もなき傭兵の皆様方。あなた方がどうしてあたし達を襲うのか存じませんけども」 キュルケは微笑を浮かべて一礼した。 「この“微熱”のキュルケ、謹んでお相手つかまりますわ」 燃え上がる火炎と微熱の舞が始まり…… 「ああ、わしの店が……店が……燃えていく……」 そして店主は気絶した。 巨大ゴーレムの肩の上でフーケは舌打ちをした。 『女神の杵』亭の入り口から炎が噴き出し、突撃をしようとした一隊が炎に巻かれて逃げ惑っている。 「ええいもう!頼りにならない連中ね!どいてなさい!」 ゴーレムが地響きを立てて入り口に近づく。そして拳を振り上げ、入り口にそれを叩きつけた。 酒場の中でキュルケは炎を操っていた。 さらにタバサの風も手伝って、威力を増していっている。 「見た?分かった?あたしの炎の威力を!火傷したくなかったら家にお帰りなさい!」 キュルケは勝ち誇ったように笑い声を上げる。 だがそれは轟音と共に終わりを告げた。 「調子にのるんじゃないよ小娘が!!まとめて潰してやるからねっ!!」 建物の入り口が壊され、もうもうと立ち込める土煙の中にゴーレムが浮かび上がる。 そのゴーレムの肩の上に乗っているフーケが怒鳴っていた。 「あちゃあ~あのおばさんの事忘れてたわ。どうしよう」 キュルケがタバサに問い掛けるが、両手を広げて首を振っている。 どうやら自分達に打つ手はないようである。キュルケは逃げようとした。 ところが、利家がゴーレムの正面に立ち塞がった。 「何をしているのトシイエ、逃げるわよ」 しかし、利家はキュルケの言葉に首を振った。利家はさらに数歩、ゴーレムに近付いて行く。 「どきな!また私のゴーレムに吹き飛ばされたいのかい!?」 フーケは眼下に立つ利家を睨みつけながら言った。 そう……『破壊の杖』事件の時、利家は彼女のゴーレムと戦った事がある。 その時彼はフーケのゴーレムに手痛くやられているのだ。 「あの時とは違うぞフーケ」 利家は低い声で言った。その迫力に、フーケは思わず息を飲む。 「あの時は朝飯を抜いていて空腹……だが今のそれがしはさっきまで飯を食べていた。つまり……」 利家は目をクワッ!と見開き、フーケに向かって叫んだ。 「今のそれがしは……満腹だあぁぁぁぁぁーーー!!!!」 「……だからどうしたってんだこの野人があぁー!!」 フーケは叫ぶと、ゴーレムの腕の振り上げさせて利家のいる場所に一気に振り下ろした。 利家は後ろに大きく跳んで後退する。少し遅れて岩石の腕が叩きつけられた。 それを見た利家は叩きつけられたゴーレムの腕に飛び乗り、1回、2回と大きくジャンプして腕を登っていく。 3回目の跳躍でゴーレムの頭上よりも高く飛び上がった利家は、三叉槍をフーケ目掛けて振り下ろした。 「チィッ!!」 フーケは咄嗟に呪文を唱え、ゴーレムの体を使って自分の前に岩の壁を作った。それで槍を防いでいる隙に素早くゴーレムから舞い降りる。 利家は岩を叩いた反動で空中に浮いた。その利家をゴーレムは掴もうと腕を伸ばす。 「ラグーズ・ウォータル・イス・イーサ・ウィンデ」 しかし、そこにタバサの魔法「ウィンディ・アイシクル」が放たれた。 空中に現れた氷の矢がゴーレムの腕を貫き、間一髪で利家は逃げ切った。 「助かったぞタバサ」 利家は簡単に礼を言うと、再びゴーレムと対峙する。 ゴーレムは腕に氷の矢が刺さっているが、全く気にも止めていない。 (やはり一撃必殺が一番か……) 利家は、槍を握る腕に力を込めた。 力を込める利家の腕に血管が浮き上がる。 さらに足にも力が入り、利家の足元の地面にヒビが入った。そしてゴーレムが近づき、両腕を振り上げた瞬間。 「おおおおりゃああぁぁぁぁぁ!!!!」 利家は下から上へ、槍を一気に振り上げた。 槍の衝撃は大きく一気に脳天まで達し、ゴーレムの体に綺麗なヒビが縦に入る。 人の力ではない、もはや“野生の斬撃”である。 「せえええぇぇぇやっっ!!!!!」 間髪入れず、利家は槍を持ち直して横薙ぎにぶん回した。ゴーレムの体に横一直線にヒビが入る。 一時の硬直状態の後、ゴーレムは体が維持出来なくなったのか、ボロボロと崩れ落ちていった。 フーケの立っている場所に向かって。 「ちょ!ちょっと待……きゃああぁぁぁ~!!」 哀れフーケは崩れ落ちる岩に巻き込まれ、その姿が見えなくなった。 ゴーレムが崩れ去り、後には岩の瓦礫が残る。 が、しばらくすると瓦礫の中からモゾモゾとフーケが現れた。 「畜生っ!お前等……よくも私のゴーレムを!」 「あら、お似合いの姿に変わったわねぇ~お・ば・さ・ん♪」 フーケは岩や土の中から這い出してきた所為か、服は土まみれ、髪はぼさぼさに変わっていた。 だが、そんな事よりもフーケの怒りに火を付けたのは、キュルケの最後の一言だった。 「おばさんだって!?ふざけるな!私はまだ23だよ!!」 「フーケ。大丈夫だ、まだ間に合う」 「裸は黙ってろ!!!!!!」 利家の一言でフーケは怒り狂い、杖を向けた。 ゴゴゴゴゴゴ…… しかし、彼女の背後から地響きが聞こえてきた。 フーケはハッとなり、背中を冷や汗が流れる。こんな大きな音を出す人物が、彼女の記憶にあったからだ。 フーケは恐る恐る振り返る。 「……クソ、やっぱりこいつだったか……」 「…!……」シュゴー! 案の定、彼女の後ろには戦国最強と言われた男……本多忠勝が立っていた。 「土くれのフーケも年貢の納め時かしら?」 さらに前方にはキュルケ達がいる。まともに戦って勝てる状況ではなかった。 (まぁいい。時間は稼いだ……これぐらいで充分だね) フーケは挟み撃ちにされているにもかかわらず、ニヤリと笑みを浮かべる。 次の瞬間、フーケはフライで飛び上がり、忠勝の頭上高くを飛び越えた。 「!……!?!?」プルルル!バスン!! 「この辺で帰らせてもらうよ。私の仕事は済んだからね」 そう言い残すと、フーケは逃げ去って行った。 「ちょっとタダカツ、何でフーケを捕まえなかったのよ?」 「!?」バスン、バスン!! 「いいじゃないかキュルケ殿、それがし達は役目を果たしたぞ」 忠勝に詰め寄るキュルケを、利家がなだめる。 確かに利家の言う通り、囮作戦は上手くいった。 雇われていた傭兵の一派も散り散りに逃げ出していったようだ。 「……ま、それもそうね。でもここでじっと待っているのも何だし……追いかけましょう」 キュルケは髪をかき上げながら言った。 キュルケ、利家、タバサは忠勝に乗る。 「じゃあ行くわよ!タバサ、いつもの」 キュルケの言葉にタバサは小さく頷き、忠勝に呟いた。 「飛んでタダカツ」 その言葉に忠勝は「起動形態」となり、空高く飛び上がる。 ……筈だったのだが 「!?……??」バスン、バスン!!ヴィィ? 何故か忠勝は飛び上がらなかった。 「タダカツ?何で飛ばないのよ」 業を煮やしたキュルケが問い掛ける。 しかし、忠勝の体からは何か空気の抜けるような音が聞こえるだけで、一向に飛ぶ気配がなかった。 この異変に忠勝が気づいたのは、フーケを追いかけようとした時だった。 「起動形態」になろうとしてもなれないのである。 もしやさっきの3形態の同時展開が原因ではないか? 忠勝はそう考えながらも、何とか飛ぼうと頑張り続けた。 一方、ルイズ達一行の方も問題が発生していた。 停まっていたフネに半ば無理矢理に乗り込み、アルビオンに向けて出発した。 そしてフネが港を出発して朝になった頃……幸村と氏政は驚くべきものを目にする。 大陸が空に浮いている……“白の国”、アルビオンを目の当たりにしたのだ。 この光景に、幸村と氏政は驚きの声を上げ、ルイズは「驚いた?」と自慢気に話していた。 そう、ここまでは良かったのである。 「船長!右舷上方の雲中より船が接近!は、旗を掲げておりません!」 見張り員の声が甲板に響き渡り、船長の顔が青ざめた。 空賊の来襲である 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/96udrc/pages/4.html
莉月 瑠璃(戦国BASARA) 概要 名 前/りつき るり 年 齢/16歳 身 長/158cm 誕生日/2月14日 所 属/伊達軍 属 性/雷(黒) 武 器/刀「漆龍しつりゅう」 あだ名/「夜叉姫」「かぐや姫」 お相手/政宗、元親、他逆ハー要素有り 戦国BASARAシリーズの女夢主。 平成生まれの女子高生。気持ちが高ぶると目が金色になるという特異体質のせいで友達が作れずにいた。 家族構成は父・鴇真、兄・浅緋。 政宗と小十郎が瑠璃の元に逆トリップした後、瑠璃も政宗たちと共に戦国へトリップする。 性格 おとなしめで「ですます」の丁寧口調。慣れてくると丁寧口調が崩れ、ツッコミもしてくる。 双竜がトリップしてくる前はとにかく大人しく、学校では影薄く暮らし、家族にもあまり反論できなかった。 好きな色は青、ピンク。好きな食べ物はから揚げ。毎日食べても飽きない、からあげクンも好き。甘いものも好き。 嫌いな食べ物はないが、野菜ジュースはどうしても飲めない。ジュースではなくサラダとして食べたい。 虫は苦手だが叫びはしない。だがゴキブリは別で、ゴキブリが出現した時は男性陣を盾にする。 特異体質 莉月家は代々特異体質がある家系で、瑠璃は気持ちが高ぶると目が黒から金色に変わり、無感情・戦闘能力(平成では暴力として)が上がる。 戦国にトリップすると金目になったときの戦闘能力は上がり、初めは能力の制御ができず敵味方関係なく攻撃していた。また満月の時は金目になりやすく、体調が優れない。 この金目から「夜叉姫」と呼ばれるようになるが、瑠璃自身夜叉姫のあだ名は気に入っていない。しかし、政宗は気に入っており、このあだ名のことでたびたび喧嘩になる。小十郎いわく「子どもの喧嘩」。 無印~英雄外伝までは制御ができていなかったが、3からは段々制御できるようになっていく。制御できるようになると、金目のときの戦闘能力は少し下がってしまうが、味方への攻撃はしなくなった。 戦闘能力 刀身、柄、鍔など全てが漆黒の愛刀・漆龍は代々莉月家当主が持つことができる刀である。光にあてると蒼白く光るのが特徴である。 戦闘モーションは、①右から横斬り→②左下から→③右斜めへ振り下ろす→④回転しながら攻撃→⑤足元を突く→⑥下から相手を空中へ飛ばす→⑦空中へ飛ばした相手を叩き落す、の7段と他のキャラより1段少ない。(政宗8段)4段目の後は少し隙ができてしまうが後ろの相手も巻き込んで攻撃することが可能である。 ジャンプ攻撃は2回攻撃ができ、ジャンプ特殊攻撃では着地後相手の足元を攻撃する。 【固有技】 「響く」…雷を前方広範囲の相手に叩き落とす。 「永劫」…相手の回りに雷が付きまとう。 「瞬き」…足元から雷が出てくる。 「円光」…雷で結界を作り、自身は防御・結界に当たった相手には攻撃をする。 「煌き」…前方に雷をとばす。最高3つまで出すことが可能になる。 「夜叉」…夜叉姫モード。瑠璃自身、刀に雷をまとわせ、全ての攻撃に雷を発生することが出来る。戦闘能力は大幅に上がる。小十郎の極殺モードのようなもの。 【バサラ技】 上下から雷が雨のように降り注ぎ、歩きながら連続攻撃を繰り出す。
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/7340.html
前ページ次ページ異世界BASARA “自分は……まだ夢を見ているのか?” 幸村は目を擦ってもう一度目を開く。 だがそこには間違いなく自分の主……甲斐の虎と呼ばれた男、武田信玄が立っていた。 「目が覚めたか幸村よ」 信玄は戸惑う幸村に対して、温かみのある声で言った。 「お、お、おおおお、お館様あああああぁぁぁぁぁぁ~~~!!!!」 感極まった幸村は涙と鼻水を垂れ流しながら叫んだ。 「幸村よ、わしの元に戻って来るがよい」 「は、ははぁぁっ!!この幸村、お館様の御上洛を力の限りお助けする所存にあります!!」 信玄はそれを聞くと、満足そうに大きく頷く。 「そうか、よく言うたぞ幸村よ。それでこそ日本一の兵じゃ」 「おおぉ……お館様あぁ!!」 感嘆する幸村に信玄は一度微笑んだ。 「などと……………言うと思ったかあああああああぁぁぁぁぁぁ~~!!!!!!」 しかし次の瞬間、鬼のような形相になった信玄は拳を繰り出してきた。 「ぶるああああぁぁぁぁぁ~~!?」 顔が酷く変形する程強力な一撃を受けた幸村は、壁をぶち破って外に吹き飛んだ。 しかし、不思議な事に地面に落ちた感じがしない。 辺りを見回してみると、いつの間にか目が覚めた時の部屋や城壁がなく、暗闇の中に倒れていた。 と、目の前に突然信玄が現れた。 「今のお前は日本一の兵ではないっ!日本一のたわけ者じゃぁ!」 顔をさする幸村に向かって信玄は大きな声で怒鳴る。 「見よ!!」 次に信玄は暗闇の一点を指差すと、そこが明るくなり、どこかの軍隊の姿が映された。 そして、その陣列中にいた1人の人物が大きく映し出された。 その桃色のブロンド髪を揺らす少女に、幸村の目が大きく見開かれる。 「ル、ルイズ殿!!」 「そうじゃ、今お前のいる……何処とも知れぬ世界でお主を置いてくれた娘じゃ」 「し、しかし何故ルイズ殿が。あれではまるで戦に行くようではありませぬか!」 「その通りじゃ、あの娘は今……戦に赴いておるのじゃ」 幸村は言葉を失う。 いつの間に戦争など起きてしまったのか。いや、それよりも何故ルイズがその戦地に向かっているのか分からなかった。 「聞け幸村よ。お前が寝ている間に、天より敵軍が攻めてきたのだ」 頭を抱えている幸村に信玄は説明した。 自分がルイズと共に行ったあのアルビオンが条約を破り、トリステイン艦隊を蹂躙した事…… そしてトリステインは劣勢の状態で開戦を決意し、ルイズはそれに賛同した事を。 「馬鹿な!!何故こんな危険な場所へ……」 「ならば幸村、お前は国や……慕う者に危機が迫った時、ただ黙って見ているか?」 その言葉に、幸村ははっと顔を上げた。 「ではルイズ殿は……」 「そうじゃ。あの娘も国の為、己が慕う者の為に動いたのよ。 幸村、お前はどうする?このまま眠り続けるか、それとも恩義に報いるか!?」 幸村に選択が迫られた。 しかし、彼の心は既に決まっていた。 自分は甲斐の国に戻る方法が見つかるまではルイズの元にいると、彼女を守ると誓ったのだ。 そしてそのルイズが戦地に赴き、戦おうとしているのなら…… 「申し訳ありませぬ!ルイズ殿への恩も忘れ、甲斐に帰っては武士の恥!! この幸村!!ご恩返しによって武士の務めを果たして参りまする!!!!」 信玄は幸村の言葉を聞くと、今まで険しかった表情を崩し、その顔に笑みを浮かべた。 「よくぞ言った幸村よ!!それでこそ武田の将よ!!」 「おおおぉぉぉお館様ああぁぁぁ!!!!」 信玄は再び一点を指差す。 すると今度はそこから眩い光が見えてきた。 「行け幸村!今こそ真の目覚めの時、己が力を奮う時じゃ!!」 「ははっ!!」 信玄の言葉に応えると、幸村はその光に向かって歩き出した。 「幸村!」 と、後ろから信玄が幸村の名を呼んだ。 「今からお前に必要な言葉を言う!それを胸に戦へ行け!!」 幸村は振り返る。 信玄はすうぅっ、と息を深く吸うと、暗闇を吹き飛ばさん限りの声で言った。 「気合じゃ幸村!!!!気合いがあればいかなる窮地も打ち破れる!!!!」 「お館様……!」 「幸村!!気合い!気合いじゃああああぁぁぁぁぁぁーーーー!!!!!!!!」 同時刻、利家を先頭にキュルケ、ギーシュ、氏政はトリステイン王宮内を歩いていた。 向かっているのは、幸村のいる部屋。利家は幸村を迎えに来たのである。 「王宮の人に聞いたけど目を覚ましてないそうよ?そんな状態で連れて行く気?」 「ならば引きずってでも連れて行く」 利家の応えにキュルケは溜め息を1つ吐いた。 そんな事をしている間に、キュルケ達は幸村の眠る部屋に到着した。 「幸村、入るぞ」 一応、利家はそう言ってから扉を開いた。 どうせまだ眠っているに決まってるじゃない……キュルケは心の中でそう呟いた。 しかし、開いた扉の向こうにいたのは…… 赤い具足に着替え、背中に槍とデルフリンガーを背負った幸村だった。 「皆の者、待たせたな」 赤い鉢巻を締めながら幸村は言う。 その幸村の様子を見て、利家は「大丈夫そうだな」と言った。 「あ~ユキムラ。病み上がりの所悪いんだけど……」 と、横からギーシュが口を開いた。 「知っておる。戦が始まったのだろう?」 「へ?」 自分が言おうとした事を先に言われ、ギーシュだけでなく、キュルケも呆気に取られた。 「そうか、ならルイズが戦場に向かったのは知っているな?」 だが利家は落ち着き、幸村に言った。幸村が頷く。 「ならばすぐに行くぞ。忠勝とタバサが外で待っている」 幸村達がタルブに向けて出発した頃…… 「ようやく目覚めたか……幸村め、またまだ未熟よのう……」 ハルケギニアとはまったく異なる世界。 日本の……甲斐にある屋敷の屋根の上で信玄は呟いた。 「幸村よ。お前が遥か彼方でどのような事を学んだか……戻ってきたら見せてもらうぞ」 「時に幸村、お主あの娘が戦場に行ったと誰から聞いたんじゃ?」 「お館様だ、お館様が教えてくださったのだ!」 「…………(駄目じゃこいつ……早く何とかせねば)」 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4551.html
前ページ次ページ異世界BASARA ニューカッスル城内は騒然としていた。 突如として、上空に浮かぶ戦艦レキシントン号が砲撃を開始したのである。 さらにレコン・キスタの兵がなだれ込み、戦闘の準備もままならない王軍に襲い掛かっていった。 「こいつぁ大砲だぜ相棒、連中もうおっ始めたみたいだな」 砲撃で揺れる中、幸村の背中のデルフリンガーが落ち着いた様子で言った。 「攻撃は明日って話だったが……ありゃ嘘だったのかねぇ……ところで相棒、さっきからどうした?」 ふと、デルフは左目を押さえている幸村に不思議そうに尋ねた。 「ワルド殿が……ワルド殿が見える」 幸村は、自分の左目に映る光景に驚く。まるで右目と左目が、それぞれ違うものを見ているようだった。 「これは……拙者の目はどうしてしまったというのだ!?」 「ああ、そりゃあ娘っ子の視界だろ」 驚く幸村にデルフリンガーが答える。 「ルイズ殿の?」 「ああ、使い魔ってのは主人の目となり耳となる能力があるって聞かなかったか?逆の場合もあるのさ」 幸村は左手に輝くルーンを見る。 なるほど、これもまた自分に与えられた能力なのだと、幸村は納得した。 しかし、何故今になってこんなものが見えるようになったのか…… 「相棒、娘っ子の所に行った方がいいぜ。多分やばい状況になってんだ」 「何っ!?」 デルフリンガーの言葉に、幸村は思わず声を上げる。 もし、ルイズの身の危険を教える為にこの能力が現れたのならば早く向かわねば。 幸村は十文字槍を手に取り、部屋から駆け出した。 ルイズは不安におののきながら、ワルドを見つめていた。 今のワルドの言葉…… “総攻撃の合図”とはまさか…… ルイズの心の中で、考えたくない答えが急速に膨れ上がっていく。 震える声でルイズはワルドに尋ねた。 「ワルド、あなたまさか……レコン・キスタ!?」 「そうとも、いかにも僕はアルビオンの貴族派『レコン・キスタ』の一員さ」 ワルドは冷たい、感情のない声で言うと、杖を掲げて呪文を唱え始めた。 ルイズはハッとなり杖を抜くが、『閃光』の二つ名の如き素早さで呪文「ウィンド・ブレイク」を完成させていた。 強力な風の魔法に、ルイズの小さな体は紙切れのように吹き飛ぶ。 「欲しいものは力ずくでも奪え。それが出来ないのなら、他の者に奪われるぐらいなら、いっそ壊した方が良い。なぁルイズ?」 吹き飛んだルイズに向かって再度呪文を唱え始める。 空気が震え、稲妻がワルドの杖から発生する。ワルドが得意とする呪文……『ライトニング・クラウド』だ。 「さようなら、僕のルイズ」 ワルドが叫ぶと同時に杖が振られ、ライトニング・クラウドが放たれた。 (ああ……私、殺される……) 立ち上がろうとするが、ショックで足に力が入らない。 ルイズは震えながら自分の最期を悟った。 不意に1人の青年の姿が脳裏に映る。ルイズは、自然とその青年の名を口にしていた。 「助けて……助けに来なさいよ……」 眼前にまで青白い雷光が迫ってくる。 ルイズはあらん限りの声でその青年の……使い魔の名を叫んだ。 「ユキムラアァッッ!!!!」 ルイズは目を瞑る。 その時だった。 ルイズの目の前の床が砕け、見覚えのある赤い甲冑を着た男が飛び出してきたのは。 「貴様……!」 ワルドは驚いたように呟いた。 床を突き破って現れた幸村がルイズの前に立ちはだかり、代わりにライトニング・クラウドを受けたのである。 「ユ、ユキムラ……」 「ルイズ殿、御無事でございますか?」 幸村はルイズに問い掛ける。ルイズは尻餅をついたまま、何度も頷いた。 「驚いた、まさかあれを受けて立っている者がいようとは」 と、ワルドが幸村を見て言った。 ワルドのライトニング・クラウドは、当たれば相手の命を奪う程の威力だ。 だが信じられない事に、直撃を受けたにもかかわらず幸村の体は多少火傷を負った程度であった。 原因は、彼の世界……戦国の日本での戦いだった。 奥州独眼竜や越後の龍との幾重にも渡る戦い……そして武田信玄による厳しい修行が、幸村の屈強な肉体を作り上げたのである。 「とはいえ、流石に体を動かすのは難しいようだな。ガンダールヴ?」 「くっ!」 ワルドの言葉通り、立っていた幸村はしばらくすると片膝をついてしまった。 それでも幸村は左手でデルフリンガーを引き抜き、右手に持った槍を構えてワルドを睨みつける。 「これはどういう事だワルド殿、国を……アンリエッタ殿を裏切るというのか!?」 「そうだ」 自分に何の非もないという顔でワルドは言った。 「この攻撃……レコン・キスタとやらに合図を送ったのもお主か!?」 「そうだ」 「何故だ!お主程の男が何故!!」 「だからこそ!ハルケギニアの将来に憂いたのだ!!」 言うと同時に、ワルドはウィンド・ブレイクを放った。 (いかん!) 咄嗟に幸村はルイズを突き飛ばす。 一足遅れて、ウィンド・ブレイクが幸村に命中した。 強力な風の衝撃は、幸村が叩きつけられた壁ごと破壊する。 壁の向こうは外。しかも、高所に位置していた。 「ぐおおぉっ!!」 幸村はそのまま吹き飛ばされ、上空に舞う。 ワルドは吹き飛んだ幸村を追う為、空けられた穴から外へ出て行った。 突き飛ばされたルイズは慌てて起き上がり、穴から外を覗いた。 辺りを覗うと、幸村の着込んだ赤い甲冑がルイズの目に止まる。 地上に激突したかと思われた幸村だったが、運良く城の外にあった塔のてっぺんに着地したようだ。 ルイズはホッと溜め息を吐く。 「娘っ子!安心してねぇで早く助けてくれ!」 と、崩れた城壁の瓦礫の中から声が聞こえた。 見てみると、瓦礫の下からデルフリンガーの刀身が覗いている。 幸村がウィンド・ブレイクを受けた拍子に手放してしまったようだ。 ルイズは瓦礫をどかし、デルフリンガーを助け出す。助け出されるやいなや、デルフリンガーは叫んだ。 「早く、早く俺を相棒の所に!」 ルイズはもう一度外に目を向ける。 塔に着地した幸村が、空中に浮かぶワルドと対峙していた。 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/gununu/pages/5207.html
犬上小太郎〔いぬがみ こたろう〕 作品名:魔法先生ネギま! 作者名:[[]] 投稿日:年月日 画像情報:640×480px サイズ:213,609 byte ジャンル:[[]] キャラ情報 このぐぬコラについて コメント 名前 コメント 登録タグ 個別い 魔法先生ネギま!
https://w.atwiki.jp/aketi/pages/274.html
徳川家康 「」 石田三成 「」 伊達政宗 「」 真田幸村 「」 雑賀孫市 「」 黒田官兵衛 「」 鶴姫 「」 大谷吉継 「」 前田慶次 「」 島津義弘 「」 長曾我部元親 「」 風魔小太郎 「」 毛利元就 「甘い汁を吸わせ、耳もとでささやく… 貴様、金吾に何をさせようとしている?」 本多忠勝 「」 お市 「」 織田信長 「」
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/1989.html
前ページ次ページ異世界BASARA 盗賊事件のあった翌朝、ルイズはコルベールに学院長室へ来るように言われた。 実はあの後、オスマンの秘書のロングビルが街で聞き込みをしたところ、森の奥にある廃屋に出入りする怪しい人物がいる事が判ったのである。 ロングビルがその人物の姿を描いてみたと言うので、目撃者である彼女に確認してもらう事にしたのだ。 「………で」 学院長室に来たルイズはさも不機嫌そうに横にいる人物を見た。 「何であんたまで来るのよ!」 「あらいいじゃない、何だか面白そうだし♪ねぇタバサ」 「………」 キュルケの言葉にタバサは答えない。ただ、僅かに頷いた様にも見えた。 「そうか、それがしの知らぬところでそんな事があったとは」 「うむ、盗みを働くとはまったくけしからん!」 ルイズやキュルケと共に来たのか、真田幸村と前田利家の姿もそこにあった。 「宜しいですか?一応私が描いてみたのですが…」 ロングビルは紙を広げ、ルイズ達に見せる。 「これは…フーケです!間違いありません!!」 「うむ!確かにあの盗っ人とそっくりにござる!」 フードを被った人物の絵を見て、ルイズと幸村は確信を持ってそう言った。 「オールド・オスマン、すぐに王室に連絡しましょう!王室衛士隊に頼んで兵を差し向けてもらわなければ…」 だがコルベールの提案にオスマンは首を横に振る。 「ならん、ぐずぐずしておったらフーケに気取られる。それにこれは我々の責任じゃ」 そう、いくらアンリエッタ王女が来訪していて警備を割いてしまったとはいえ、盗賊の侵入を許してしまったのだ。 出来る事なら、学院のメイジで奪われた宝を取り戻し、名誉挽回したいところである。 オスマンは集まった教師やルイズ達を見回す。 「これよりフーケの捜索隊を編成する。我と思うものは杖を掲げよ!」 だが、集まった者達は誰も杖を掲げない。下を向いているか、誰かが掲げるのを待っているだけであった。 「…何じゃ?誰もおらんのか?」 オスマンは教師達にきつい視線を向ける。 「どうしたのじゃ!フーケを捕らえようという貴族はおらんのか、ってええぇぇーっ!?」 強い口調で言っていたオスマンがいきなり素っ頓狂な声を上げた。 掲げた者が1人いたのだ。だがその人物とは…… 「ウジマサ、お主はグラモンの使い魔であろう?いや、それより何でここにおるのじゃ?」 「な、何じゃオスマン!わしがここにおったらいかんのか!」 氏政であった、何故か呼ばれてもいないのに学院長室に来ていたのである。 「まったく困った事があるならこのわしに言えばいいのじゃ!わしを誰だと思っておる?天下の北条じゃぞ」 自身満々に言うがとても信用出来ない。昨日だって2度も倒れているのだ。 しかも気絶していたせいで彼は相手がどんな恐ろしいメイジか知らないのである。 「いや止めておけ…ただでさえ短い寿命をここで散らすでない」 「お、お、同じジジイに言われたくないわ!大体わし以外誰も上げとらんじゃろ!」 氏政の言う通り、未だ誰も杖を掲げていない。 「ほーれ見ろ!やっぱり頼れるのはわしだけじゃ…」 「私が行きます!!」 そんな中で、ルイズは杖を高く掲げた。 「ミス・ヴァリエール!あなたは生徒ではありませんか!」 コルベールは驚いて声を荒げる。 ところがルイズの横からまた1人、杖を掲げた者が現れた。 「キュルケ!」 「ヴァリエールには負けていられないもの」 そしてキュルケに続いてタバサも杖を掲げる。 「2人が心配」 タバサの言葉にルイズは小さな声で「ありがとう…」と呟いた。 「おおルイズ殿!この幸村も共に行きまする!」 「キュルケ殿、それがしも行くぞ」 その3人の様子を見ていたオスマンは満足そうな顔をした。 反対に、氏政は面白くなさそうな顔をする。 「そんな顔をするでない、ここは彼女達に任せてはくれんかの?」 「フン!こんな小娘共に何が出来るのじゃ!」 氏政はルイズ達を見ると吐き捨てるように言った。 彼にしてみれば、小娘よりも劣っていると思われたのだろう。 「まぁそう言うなウジマサ、彼女達はちゃんと実力は備わっておるぞ。 例えばミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持っておる」 シュヴァリエとは与えられる爵位の中では最下級であるが、純粋に実力でしか得られない称号である。 キュルケも知らなかったのかそれを聞いて驚いていた。 「そしてミス・ツェルプストーはゲルマニアの優秀な軍人の家系の出で、彼女自身の炎の魔法も強力じゃ」 オスマンの言葉に応えるようにキュルケは胸を張った。 胸が盛大に揺れ、幸村は鼻を押さえて目を逸らす。 「どうじゃウジマサ、彼女達が優秀だと解ったじゃろう?だからここは譲ってくれんか…」 「あの桃色髪の娘の紹介がまだじゃぞ?んん?」 オスマンの顔が引きつった表情へと変わった。 「…え、えーとミス・ヴァリエールは優秀な魔法使いを輩出したヴァリエール家の出で…」 オスマンはそう言いながら流れ出る汗をハンカチで必死に拭っていた。 「あーそのなんじゃー…将来有望な…その…」 「将来有望な、何じゃ?ん?ん?んんんー??」 何とか褒めようとするものの、中々見つからないのか焦りが顔に浮かんでいる。 「おおそうじゃ!確かミス・ヴァリエールの使い魔はお主の主人であるギーシュ・ド・グラモンを圧倒したではないか」 結局何も思いつかなかったオスマンは、最終的にルイズの使い魔である幸村に目をつけた。 「そうでした!彼はあの伝説のガンダー…」 コルベールが何かを言おうとしたが慌てて口を閉じる。 幸村…そしてキュルケの使い魔である利家の強さを知っている氏政はそれ以上何も言えず、ただ黙っていた。 やっと納得してくれたと、オスマンは胸を撫で下ろすとルイズ達に向き直る。 「魔法学院は諸君らの努力と貴族の義務に期待する!」 オスマンの言葉にルイズ達3人が杖をもう一度掲げる。 「ミス・ヴァリエール、そしてミス・ツェルプストーの使い魔よ。主の力になるのじゃぞ」 「お任せあれ!この槍にかけて、ルイズ殿の力になって見せましょう!!」 「女を守るのは男の役目、それがしもキュルケ殿やルイズ達を守るぞ」 こうして、3人のメイジと2人の使い魔がフーケ捜索隊に選ばれた。 前ページ次ページ異世界BASARA
https://w.atwiki.jp/anozero/pages/4438.html
前ページ次ページ異世界BASARA 幸村とルイズは長い廊下を、2人並んで歩いていた。 「良き主君にござるな、ジェームズ殿は」 廊下を歩きながら、幸村はルイズに話し掛ける。 「配下の将を見ていれば分かる。あのように慕われるのは幸せでござろう」 「……でも、明日には戦って死んじゃうのよ?」 ルイズが震える声で口を開いた。 「嫌だわ……何であの人達死のうとするの?姫様が逃げろって言っているのに……」 次第にルイズの目から涙が流れる。遂には立ち止まり、その場で泣き出してしまった。 幸村はそれを黙って見ている。 「私、もう一度説得してみる。国より、愛する人の方が大事じゃない」 「それはなりませぬ」 と、黙していた幸村が首を横に振りながら言った。 「どうして!?ウェールズ様だって本当は……!」 「アンリエッタ殿を想うからこそにござる」 幸村は真剣な表情でルイズを見つめ、さらに続けた。 「ルイズ殿。皆、勇敢に戦い果てる事を決心しておられる。その思い、察して下され」 だがルイズは頷かなかった。 ルイズは武士ではない、ましてや戦に出た事もない少女である。 彼女にはどうしても理解出来なかった。だから、ルイズは幸村にこう言った。 「……ユキムラ、あんたは死ぬのが怖くないの?」 「この幸村、武士となったその日から死する事は覚悟しておりまする」 「じゃあ、私が戦って死ねって言ったらあんたは死ぬの?」 「それがルイズ殿の望みであれば」 その瞬間、幸村の頬に平手が飛んできた。 一瞬、幸村は何が起こったのか分からず、呆けた顔でルイズを見ていた。 「ルイズ殿?何を……」 数秒後、自分の頬を押さえていた幸村がやっと口を開いてルイズに尋ねた。 「やっぱりあんた馬鹿だわ、この国の人と同じ、自分の事しか考えてないのね!」 「そのような事は!拙者はルイズ殿の為ならば命懸けで……!」 「それで死んで満足?残された人の気持ちはどうなるのよ!!」 ルイズはその目に涙を溜めたまま、幸村を睨んだ。 今まで何百、何千という敵と刃を交えてきた幸村であっても、ルイズの涙と、その小さな体から発せられる気迫にたじろぐ。 しばらく幸村を睨んでいたルイズだったが、少し落ち着いたのか、腕で涙を拭ってもう一度幸村を見て言った。 「あんたは使い魔だから、私を守るのは当然よ。でもね、それで死ぬなんて絶対ダメ。分かった?」 「……は、ははっ!!」 幸村は我に返り、ルイズに深く頭を下げた。 「あ、そうだ」 と、ルイズは何かを思い出したのか、はっとした顔になる。 「あ、あのねユキムラ……ラ・ロシェールで言い忘れていた事だけど……」 「はっ!何でござろうか?」 ルイズは困ったような表情になり、ポリポリと頬を掻いた。 「ワ、ワルドがね、私と結婚しないかって」 「おお!そうでござるか!結婚…………結婚んんんーーーっっ!?!?」 予想だにしなかった告白に、幸村は素っ頓狂な声を上げた。 「け、け、けけけけけけけ結婚とは!ななな何故いきなり!?」 今にも飛び出しそうな程に目を見開き、ルイズに尋ねた。 「そんなに驚かないで、婚約者なんだからいつか結婚するのは当たり前じゃない」 そんな幸村とは違い、ルイズは落ち着いた様子で腰に手を当てている。 「でも安心しなさい。結婚はしないから。」 「そ、そうでござるか……」 それを聞いてほっとしたのか、幸村は大きな溜息をついた。 「私、これからワルドにこの事を謝ってくるわ」 「ルイズ殿、拙者も御供いたしますぞ」 しかし、ルイズは突然慌てた様子になってそれを止める。 「い、いいわ!ユキムラは先に戻ってて!こ、こういうのは当人同士で話し合った方がいいのよ!」 「し、しかし……」 「いいから!戻ってなさい!!」 戸惑っている幸村を戻らせ、ルイズはワルドの部屋に向かっていた。 相手は憧れていたワルド子爵だ。幼い頃、結婚するのを夢見ていた…… それなのに、今は結婚する事を考えると気持ちが沈んでしまうのである。 滅び行くこの国を見たからか、それとも死に向かうウェールズを目の当たりにしたからか…… しかし、そのどれも今の心境の原因ではないように思えた。 不意に、ルイズは幸村にワルドと結婚する事を話した時の事を思い出す。 幸村にまだ結婚はしないと話した時の、あのほっとした顔を見た時…… 何故か自分も安心したのである。 まさか、自分はワルドとの結婚を否定して欲しかったのだろうか? そんな考えが頭をよぎった頃、ルイズはワルドのいる部屋の前まで来ていた。 ルイズがワルドの部屋に着いた頃、幸村は言われた通りに自分の部屋に戻っていた。 「ひでぇ慌てっぷりだったな相棒」 すると、今まで黙っていたデルフリンガーが口を開いた。 「あそこはあれだぜ、俺の傍にいてくれ!とか、そういった事を言わねぇと」 「何を申すか、拙者はルイズ殿の傍にいるよう心掛けているが?」 そういう意味じゃねぇよ……と、デルフリンガーは小さい声で呟いた。 デルフ自身も薄々感づいてはいたが、この幸村という男、戦いにおいては中々のものだが、女性の事となるとまったくの二流……いや、三流であった。 さらに片や自分の気持ちに素直になれないルイズである。 (こりゃ嬢ちゃんが猛烈にアタックしない限りは無理だな……) 「結婚は出来ない?」 一方、こちらはワルドの部屋。 突然訪れてきた婚約者の言葉に、ワルドは思わず聞き返した。 「ごめんなさい。ワルド、あなたには憧れていたわ。もしかしたら恋だったのかもしれない……」 ルイズは俯きながら話していたが、深く深呼吸すると顔を上げ、決心したように言った。 「でも、今は違うの。私……」 話そうとしたところで、ワルドがルイズの手を取った。 「……緊張しているだけさ。そうたろうルイズ?」 しかし、ルイズは首を振る。 その瞬間、ワルドの目が吊り上り、ルイズの肩を強く掴んできた。 「世界、世界だルイズ!僕は世界を手に入れる!その為に君の力が必要なんだ!」 豹変したワルドに、ルイズは震え上がった。 「……む?」 その頃、幸村の体にある異変が起こっていた。 「どうしたね相棒?」 「今……ワルド殿の姿が見えたような……」 幸村はそう言って、しきりに目をこする。 武器を握っていないのにも関わらず、左手のルーンが光っていた。 「ルイズ!僕には君が必要なんだ!君の才能が、力が!」 ワルドはルイズの肩を掴んだまま、激しい口調で詰め寄る。 その剣幕に、ルイズは顔を歪めた。 「嫌よ。そんな結婚死んでも嫌……!あなた、私の事愛してないじゃない!」 ルイズはそう言い放つと、ワルドの手を振り解く。 「……こうまで言ってもダメなのかい?」 「嫌よ。誰があなたなんかと結婚するもんですか!」 その言葉を聞いたワルドは、唇の端を吊り上げ、禍々しい笑みを浮かべた。 「そうか……分かった、分かったよルイズ。手に入らないのならば、壊すとしよう……」 ワルドはそう言うと杖を手に取り、呪文を唱え始める。 そして、杖を振るうと、杖の先から光の玉が飛び出す。 光は窓を突き破って上昇すると、空中で大きな音と光と共に爆ぜた。 「子爵……今のは?」 ルイズは恐る恐るワルドに尋ねる。 対してワルドはいつもルイズに見せるような笑顔を浮かべて言った。 「合図だよ。ニューカッスル城を総攻撃せよという合図さ」 その言葉の後、城が轟音と共に大きく揺れ動いた。 「……どうやら、彼は言いくるめるのに失敗したようだな……」 レキシントン号の甲板上で、松永久秀は砲撃を受けるニューカッスルの城を見ながら呟いた。 不意に松永は指を鳴らす。 すると、彼の背後に長身のメイジが現れた。だがそのメイジから発せられる雰囲気は貴族というよりも傭兵のそれである。 「御出陣ですかマツナガ様」 「欲しい物は自分で手に入れるから良い。セレスタン、卿は女子供を捕らえてくれ」 「何に使うんです?」 「余興だよ。いずれトリステインの姫君に見せる余興に使うのだ」 松永はその顔に嫌な笑みを作り、笑った。 だが、セレスタンと呼ばれたメイジは困ったように松永に尋ねる。 「俺はやりますけど……“あの2人”はどうするんで?」 それを聞いた松永は、歯を剥き出しにし、さらに邪悪な笑みを浮かべて言った。 「欲望のまま血を啜らせればよい。肉を喰らわせればよい。それが彼等の真理……」 前ページ次ページ異世界BASARA