約 2,023,382 件
https://w.atwiki.jp/mioazu/pages/131.html
通番 タイトル(無題のものは1行目) 備考 56 ネコネコ子ネコ!(前編) 57 笑顔と共に 58 バトル・オブ・ポッキー 59 Cold Turkey 修羅場ネタ。 60 深紅のまどろみ 61 風邪の引き方直し方 txt11 62 ポニーテイル。 63 守る盾になるまで 蒼空に駆ける決意の後日談。律視点。 64 甘い口元、あたたかな心 65 キスの味 txt12 66 誰だよ澪にあんなマンガ読ませたの 小ネタ 無題42が元ネタ。txt13 67 永遠の輝き、永遠の想い 68 守りたい願いと意志 69 すとぱん! ~妖精占い~ すとぱん!の続編。txt14 70 羽ばたける光 蒼空に駆ける決意の後日談で守る盾になるまでと同時期。紬視点。 71 白き願い 72 その心のままに 73 想いはいつも傍に 姉妹設定。 74 砂粒 75 二人の時間 『私の大切な――』side 澪.の続編。 76 まっすぐな心 一つ前のページにもどる
https://w.atwiki.jp/busphoto/pages/3089.html
写真なし J30722(京王電鉄バス・桜ヶ丘営業所多摩車庫)時代⤴︎︎ 写真なし J30722(京王電鉄バス)時代⤴︎ 社番 S30722 メーカー 三菱ふそう 車名 エアロミディMK 型式 PA-MK27FM 車体 MFBM 年式 2007.7 ステップ ノンステップ 転入年月 2012.4 改番年月 - 前所属 多摩営業所(京王電鉄バス)→桜ヶ丘営業所多摩車庫(京王電鉄バス) 前社番 J30722(京王電鉄)→J30722(多摩・京王電鉄) 登録番号 八王子200 か 1450 登録変更年月 - バックカメラ × ラッピング - 備考
https://w.atwiki.jp/mobile_no_hdd/pages/155.html
Dynabook SS3480 Fujitek CF4GB130SM・CF-IDE44・Win98SE 681 名前:いつでもどこでも名無しさん[sage] 投稿日:2007/04/07(土) 07 12 24 ID ???0 【PC型番】 DynaBookSS3480 【アダプタ型番】 CF-IDE44 【SD/CF型番(容量)】 fujitek130x4GB 【OS】 Win98se 【転送モード】 DMA 【インストール方法】 専用CDドライブとCDでリカバリー 【その他】遅ぇ・・・orz、ひっかかりまくり 【ベンチマーク】多分数字だけはまともそうなので取る気にならない でもあとでやってみようorz
https://w.atwiki.jp/yuiazu/pages/79.html
中野梓です。放課後。音楽室には私と唯先輩しかいません。ほかの先輩方は用事があるとかで遅れてくるそうです。DMe/gl3I ティータイムまでとんがりコーンでしのごうとした唯 「あずにゃ~ん」 ybPhV1LR ハグといちゃいちゃ 梓「こんにちはー」SJIo5OdF 梓を避けだした唯。その理由は 唯「澪ちゃ~ん、髪さらさら~♪」 gYK6RJrD 髪を下ろした梓に、唯が告げた一言とは 私、平沢唯は今とっても機嫌がよくありません。jXtm5RAF 皆で勉強会、澪に教えてもらってばかりの梓に唯は… 「あずにゃーん!ぺろぺろっ」 IrJWtEys 唯「あずにゃんぺろぺろ」 「今日から抱きつきは一回だけにしてください!」 AcV8c1Rg 梓からの要請に、唯がとった行動とは 「唯先輩は、私のことが好きなんですか?」 mygKLqkA 静かに愛を交し合う二人 夕飯を作りながら主人の帰りを待つ。エプロン姿もだいぶ板についてきたかな。 GRVM5cz3 新妻あずにゃんと唯 憂「ねぇ、お義姉ちゃん、最近お腹出て来たんじゃない?」ニヤニヤ Pj4xBEt4 幸せな唯と梓の結婚生活 「ねーねー」 tl3J09pQ 唯が梓に言って欲しい言葉 ゆいあず、クッキーネタ。TWgLytVJ ある日の部活、クッキーを作ってきた梓 放課後ティータイム。名前の通り、私たちの部活はまず全員でのティータイムから始まる。 8Xymdldh 放課後、二人きりのティータイムで ある日、私は風邪をひいて学校を休んだ。 k1x1aAeX 風邪を引いて休む梓の元を訪れた唯 「あずにゃん、そろそろ帰ろっか」 ovqxqkls 居残り練習をする二人と、梓の想い 「雨……か」 ovqxqkls 会えない日に君を想う 私はいつから唯先輩を好きになったんだろう… 58B/Mntt ふとした弾みで唯を傷つけてしまった梓 こんにちは、平沢憂です。6/p0y76q 梓にお酒を飲ませたら 今日は2月14日、バレンタイン +R/sQYQl 友チョコと本命チョコ 勝手に18の続き書いてみた drE4Zfp6(同級生&幼馴染ルート) もし唯と梓が幼馴染だったら ある朝学校に着くと、下駄箱の近くに唯先輩が立っていた。yUaX/NBV 様子のおかしい唯に、梓は 「唯先輩」 TnBHcToi 少しこげたクッキーと甘いひと時 『唯先輩、今までありがとうございました』 J8e9PgQ9 離別を意識してしまった唯は… 「ねぇ、あずにゃん」 93LJbu51 その愛を確かめたくなる瞬間 律「よーし、今日はこれくらいにしとくかー」 PV6SDkug 仲のいい律と唯に嫉妬してしまう梓 ゆいあず、結婚ネタ SRIgdHWx 大切な二人の記念日 「唯先輩……」 RFqMgZpc 想いと、通じ合うその瞬間 「今日はなかなか上手でしたよ」 RFqMgZpc 二人に新しい家族が増えた日 キーンコーンカーンコーン… m65ZiO1p 二人のバカップルライフ 「あずにゃん、かえろ~」KvjT96UG 放課後デート 梓「ゆ、唯ちゃん……」J758B7TR 突然呼称を変えてみた梓の真意 どうすれば唯先輩に私の想いを気付かせられるんだろう。zlBV4oe1 あずにゃん鈍感 それは、唯先輩と付き合い始めてから1ヵ月が過ぎた頃のこと。 PNXCscA4 梓が唯に抱く不満とは 『ピンポーン』 VsW+fm++ 突然の来訪者と緩やかな時間 唯「あ~ずにゃ~ん♪」 th2s+s5V 好きな人に抱きつかれたら 「ただいま、あずにゃん2号」GCGYpHW1 会えない時間が二人の愛を強くする ある日、暇だったので街に出てみると、唯先輩とばったり会った。 kPmfd3MF その幼馴染との対話 ある日の放課後、私は部室で先輩たちを待ちながら机に突っ伏していた。/qd+S4xO 唯の秘めた思いを聞いてしまった梓 「ねえねえ、あずにゃんの願い事ってなあに?」 NwdMSMQo 短冊に掛けた、二人の願い 梓「はぁ…」 Nfv1Fel1 文化祭前一人きりの部活が続く梓 「あずにゃん、はい」 la5bBwoX 想いの形の記録 「今日もいい天気だね~」 la5bBwoX 唯から朝の散歩に誘われた梓 ある日、二人きりの部室にて jJ4VUVzN 唯が後輩からもらったのは、差し入れのお菓子と… 自宅デート VsgGu+4B 唯のお部屋で二人きり自宅デート Heaven s door girl zyXgezHW 訪れるはずのない訪問者。何故なら… ある日、二人きりの部室 ddXny9RY 寒がる梓に唯がとった行動は お母さんネタで便乗しようと思ったら無駄に長くなったからテキストで 3KZ+/rfl (外部リンク) リンク切れ envy-yui sM7DDFDe 唯が自分に嫉妬したことに気付いた梓 放課後の部室に一人 r06dEtO0 旧ジャンル 『突如イケメン化』 if『唯がお嬢様(?)』 URqMfd7j もし唯がお嬢様だったら 梓母「いらっしゃい唯ちゃん。ごめんなさいね、梓は今おつかいに行ってるの」 kY7vqIAh ただその幸せを願う。それが例え… うたたねあずゆい F6tA1IXb 陽だまりの中眠る唯を見つけた梓は 錯覚 WEwWcpKB 突然の告白と、そして気付いた本当の想い こんにちは、中野梓です。 tRv1+WFT 唯に翻弄される梓 「あずにゃんはあずにゃんの道を行って私は私の道に行くから」 l+mZJLdN(2部待ち) ずっと一緒にいたいと願う梓 私はあずにゃんのことが大好きだ。iC2HEB2T 想いを募らせた唯は梓にそれを打ち明けるが… 梓「唯先輩、こないだギターの練習に付き合ってほしいって言ってましたよね」 F8LHccYb 二人きり部屋で練習のはずが… キ~ンコ~ン… vb2DVGtN アグレッシブあずにゃん やくそくゆいあず OGilvgkU その先の未来に不安を覚える梓に唯が交わした約束 ハロウィンの前に ZkvIWA+3 部室に入った梓を迎えたものは その日私は、誰もいない部室の扉の横で身を潜めていた。 /27j3lf6 梓唯のち唯梓 「トリック、オア、トリート!」 RyO2xnNS ハロウィンを楽しむ二人 ピンポーン… X8nFm0/4 いちゃいちゃハロウィン ハロウィンゆいあず CJ8fPe1q お菓子をもっていない唯への梓の甘い悪戯 唯「ねぇねぇあずにゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけど」 IAURUxDY きのことたけのこと唯梓 私たちの帰り道 AW5TkijA 唯と梓と憂と三人で 休日、唯の家にて Z8QZK6UF 梓をベッドに押し倒す唯 「あずにゃん、アイス食べたくない?」 xETI3J6K 寒さに凍える中アイス発言をした唯に梓は 唯「ふんふふーん…うぁっ!?」 f4qu0mGe 積極的な梓、その理由は ウメネタ2 SHpUvc4C 届かないと知りつつ止められない想い
https://w.atwiki.jp/yuiritsu/pages/67.html
SS39 「もんだい!」 二人きりin部室 唯「りっちゃんりっちゃん」 律「なんだ?」 唯「問題です。普段は冷めているのにある程度の刺激を与えると一気に興奮してしまうものってなーんだ」ニヤニヤ 律「えぅえ!? えー・・・」 唯「あれぇ? りっちゃんわかんないの?」ニヤニヤ 律「わ、わかるわいっ!」アセアセ 唯「んじゃ答えは?」 律「え、えーと・・・その・・・///」 唯「3・・・2・・・1・・・、はいしゅうりょー!」 唯「答えは―――」 律「・・・・・・」ダラダラ 唯「―――ニューロンでした!」 律「・・・・・・へっ?」 唯「生物の時間に習わなかったの? 常識だよ?」 律「う・・・、私すごく恥ずかし・・・・・・」 唯「へぇ? りっちゃんは一体何の事を考えてたの?」ニヤリ 律「―――!」ゾクゾク 唯「・・・・・・顔真っ赤なりっちゃんかわいい」ボソッ 律「うぅぅ・・・」ドキッ ドア「ガチャ」 澪「おーっす」 唯「あ、澪ちゃーん」ヘラヘラ 澪「どうしたんだ律? 顔真っ赤だぞ」 律「な、なんでもないからっ! アハハ!」 澪「?」 唯「澪ちゃん澪ちゃん、問題です。かくかくしかじか」 澪「ああ・・・・・・ニューロン?」 律「えええ!?」 澪「え? だって授業で今日習ったろ?」 律「ああ・・・そうか。そうだったんだ」 唯「りっちゃんにも同じ問題したらね、りっちゃんはじぶんのこ―――」 律「ゆいいぃぃいっ!!!」
https://w.atwiki.jp/yutorigk/pages/89.html
番長グループSS3 無題 『僕の名前 ~ボード・エニグマティック・ボード~』 『安価SS・もういろいろと無理です』 3ターン目後手SS 爆心地 無題 鴿子「鳩いくつだせる?私、14羽もだせるんだ~wwwwww」 アンディ「15羽です」 鴿子「・・・え・・・!?」 アンディ「鳩、15羽だせます。」 鴿子「・・・う、うわあ・・・ああ・・・ああああああああああ(イスから転げ落ちる)」 アンディ「どうかしましたか?1羽、2羽……」 鴿子「ああ、あふゥッ・・・ひいいい・・ガクガク(足が震える)」 アンディ「11羽、12羽、13羽……あれ、出ないな……頼む。出てきてくれ」 鴿子「ああ・・あ・うんっ・ああ・・・クルッポークルッポー(鳩が飛び出る)」 アンディ「なんてね冗談さ^ ^。14羽。そして、……15羽。」 鴿子「あんっ!ああん・・らめ・・・もうらめえ!クルッポー(14羽目の鳩が飛び出る)」 うん……アンディ知らない人にはサッパリだよねw アンディwww なんか「らめえ!」言いながら鳩出してるのえろいね。 『僕の名前 ~ボード・エニグマティック・ボード~』 鍋パーティーを終えた番長グループの面々は片付けを行う者とくつろぐ者に分かれていた。 食後の一服に煙を吐く狂白ユウ。 隣で武器のメンテをするフルアーマー純子からも並んで煙が。 「カニカニカニカニカカニカニ、ふぐふぐふぐぐふぐ」 蛇淵かわずはいつものように歌っている。 ちなみにもちろん、今日の鍋にはカニもふぐも入っていなかった。 「ファハハハ……アカチャン!」「アイエエエエ!?」 運悪く夢魔の今宵の相手に選ばれてしまった影平が襲われ嬌声を響かせるが、周りは 慣れたもので動じる者はいない。 「ヨタさん、これもお願い」 「承知しました」 番長小屋奥の簡易台所では、掃除婦のヨタが残像が見えるほどの速度で次々に皿を 洗っては片付けている。ヨタの元に皿を運んでいるのはれたいたぷただ。 大きな鍋をどかすと、三五が鍋敷きの模様に気がついた。 生徒会SSスレの27で夢追から渡されたものである。 「綺麗な模様じゃな……ん? 裏にも何か描いてあるぞ」 「レッサーパンダだーっ」 かわずが即答した。確かに、しっぽがしましまの動物の絵が彫られている。 「あっほんとだ、そんな絵も描いてあったんですねー」 れたいたぷたは働きながら、横目でその絵を確認した。近づいて見ようとする。 「あ、番長ー、お茶ー」 しかしそこで、動き回るれたいたぷたを目に留めた鶉かなめがぶっきらぼうに声をかけた。 「それいいな、アタシも」狂白。 「あ、頼む」純子。 「すまんがワシも頼む」峰内。 「俺は……コーヒーがいい。ブラックで」紫乃守。 「助けてくれえー!」影平。 「あ、はーい!」 これは一般にパシリと呼ばれる行為で、普通は番長が言いつけるものである。 ひととおり食器を運び終えたれたいたぷたは、嫌味のひとつもなく笑顔で小銭を抱えて 外に出た。影平を助けるのは無理なので見なかったことにした。 ――― 自販機の前で大量の缶を抱えながら、れたいたぷたは見知った顔を見つけた。 「夢追さん、素敵な鍋敷きありがとうございました」 「あっ、な、鍋……?」 一瞬混乱した夢追だがすぐに思い当たる。自分が渡した金属板が鍋敷きになるとは。 しかし、ということは。れたいたぷたは、そこに描かれた内容を見たのだろうか? 「ど、どうでした!?」 「どう……えっと、とっても可愛かったです! レッサーパンダ!」 果たしていかなる変化が? 意を決して聞いてみた夢追に、 れたいたぷたは一切罪のない微笑で応えた。……いや、なんにも応えられてない。 嗚呼、レッサーパンダ……。夢追は文字で伝えなかった事を後悔した。 どう伝えたものか、夢追は思案に暮れる事となる―― 『安価SS・もういろいろと無理です』 ―――――――――――――― ホーホー、ホッホー。ホーホー、ホッホー。 境内にキジバトの鳴き声が響き渡る。絶え間なく続く鳴き声と、共鳴する音がキジバトの多さを物語る。 三五は今日のような休日だといつもキジバトの鳴き声に起こされる。規則正しい生活を送っているために 起床時間がある程度固定され、時間通りに起きられることも一つの理由だが、主な要因はこれにある。 彼女がそっと目を開けると、ぼやけた視界の先に黒い何かがいるのを見つけた。 忍者。 そう、この忍者は先日三五と契約した影平代である。仕事のため、朝早くから神社の警備に当たっていた。 「ドーモ、ミコ=サン。オハヨーゴザイマス」 忍者装束に身を包んだ影平が、三五の真上で朝の挨拶をする。上手いこと足だけで天井に張り付いて いるため、首から下(上?)が見えない。三五は影平の頭を避けて起き上がった。 「お主、そのようなキャラではないだろう……」 「昨日ですね、友人からニンジャはこのような喋り方をすると聞きました」 「それは違う忍者じゃ。お主までそのニンジャになる必要などないのじゃぞ……」 三五は寝間着替わりに着ていた襦袢が着崩れていることも気にせず洗面所に向かった。顔を洗い終えると、歯ブラシを取り出して歯を磨き、口を濯ぐ。 寝起きの習慣を終えた三五は、身の丈に不釣り合いな襦袢を引きずりながら部屋の隅に置かれた 小型の冷蔵庫に向かった。中から今日の朝食を取り出した。 スシだ。昨日買ってきたパック詰めのスシである。半額で買ったため、二百五十円だ。 布団に戻って、黙々ともぐもぐ食べている三五を影平は観察した。 「……欲しいのか?」 「そういう訳ではないんですが……いつもそんな食事なんですか?」 「いや、今日だけじゃ。普段は自炊しとるから経済的なのじゃ」 「ですよねー」 食事を終えると、三五は巫女装束に着替えた。緋袴が極端に短かったり、袖に赤い紐がついていたり しない、正真正銘の巫女装束。 神社の仕事といっても、参拝客の相手をするとき以外は特にすることがない。金銭の管理は基本的に 一家に任せているので、ある意味では三五も雇われの身だ。 「本日は晴天なり……っと。ん? あれは……」 鳥居の上に立つ影平が何かを見つけたらしく、微笑んでいる。 「来客ですよ」 「逆砧と蛇淵……それと、狂白もな。なかなか珍しいのが来とるようじゃな」 そう言われて影平が目を凝らすと、確かにその三名である。 「……本当だ、なぜわかったのです?」 「ふっふっふ。それはわしが神社ではいろいろとできるからじゃよ。神社でならわしはお主より強いぞ?」 三五は胸を張って言った。 「せっかくじゃから、迎えに行ってくれぬかの? いや、行ってくるのじゃ!」 「了解しました」 体のいいパシリにされているようながしたが、サービスの一環ということで自身を納得させた。 「ついた! ここがみーちゃんの神社だよーっ! ……ゲコ!」 蛇淵かわずは聳え立った崖の前で叫んだ。 「たっけーな。あの上に神社があんのか?」 次に口を開いたのは狂白ユウだ。彼女は典型的な不良少女だが、世の中には不良ほど友情や絆を大事に する傾向がある。ゆえに、コミュ力使いである蛇淵と仲がい。 「とにかく、行きましょう。でも、もうこの崖を登るのは嫌ですよ?」 「え? なに? この崖のぼんの? 面白そうじゃん!」 れたいたぷたの言葉に反応して、狂白は例の崖を登り始めた。れたいたぷたが止めようとすると、 上からニンジャが降ってきた。いや、忍者が降ってきた。狂白はその下敷きになった。 「どうも、おはようございます、みなさん」 「お、おはようございます。影平くん。あ、あの……」 「長い道を歩かせるのも何なので、お迎えに参りました。一人づつ私が担いでいきます」 れたいたぷたが狂白のことを教えようとしたら、口を挟まれた。 「おお、それはありがとう! ぜひ頼むよ! ……ゲコ!」 蛇淵も狂白には目もくれずに、影平に担がれ一気に崖を登った。 れたいたぷたは、ずっと下敷きになっていた狂白に声をかける。 「あの、大丈夫ですか?」 「畜生、あのニンジャ、ツブしてやる……」 「だめです、そんなことしたら狂白さんが爆発してしまいます! 爆散四散でうわあぁぁあぁ!?」 着地と同時にれたいたぷたを担いで、再び影平は崖を飛んで登った。それを追いかける狂白。 「待てやこのニンジャアアァァッ!」 崖の上では、巫女装束の三五が待っていた。 「よくきたの、お主ら。歓迎するぞ。といっても、特に何もないがの」 「うん、みーちゃんも相変わらず変わってないね! ちょっとは背が伸びたみたいだし! ……あれ?」 「あの、今日は狂白さんも連れてきたんですけど……」 と、言葉を紡ぎかけた所で、背後から叫び声。 「どこだニンジャァァアッ!!」 あの崖をものの十数秒で駆け上がってきた。なかなかの体力だ。 影平は自分を呼ぶ声に反応する。 「ここにいますよ」 マスクの上からでもわかるドヤ顔。狂白はそれを挑発と受け取った。 「上等じゃねーか……! アタシと勝負しやがれッ!」 直後、周囲に霧ができた。狂白の能力、『ホワイトメルト』によるもの。目くらましにはならないが、 この霧は相手の防御に関する部位を劣化させる能力。装甲の持つ耐久力が低くなるのだ。 同時に、それによって相手の動きも鈍くなる。ただし、基本的にタイマン用の能力なので霧の中の 一人しか対象にできない。 「さっきは本当にごめんなさい。でも、喧嘩ならいくらでも受けて立ちますよ!」 影平が臨戦態勢に入る。狂白によって一撃、二撃と加えられる拳を華麗に避ける。 狂白が蹴りを入れようとすると軸足を倒され、殴ろうとしても手で止められるかギリギリで躱されるか のどちらか。だが、影平から攻撃を仕掛けることはない。 一方的な展開が続いていたが、影平に砂利を投げつけると大きな隙ができた。 「あンたちょっとウカツだぜ!」 影平の顔面に拳が届こうかという瞬間、狂白は腕を中心に一回転し、地面に伏せられていた。 「喧嘩はそこまでじゃ。こんなところで湯けむり殺人事件なぞ起こされてもかなわんからの」 上から三五によって抑えつけられていた。肩の関節もキまっているため、腕はピクリとも動かない。 「逆砧から事情は聞いた。ほぼお主のせいじゃの、影平」 「ええ……後から気づきました。彼女を下敷きにしているということに、いや、本当に申し訳ないです」 影平はぺこりと頭を下げた。 「まあ、何かに免じてもらうわけでもないが、許してくれんかの?」 「フザけんな、それじゃあアタシの気がすまな――」 「まーまー、ちゃんと反省してるみたいだし許してあげようよ……ゲコ」 「……」 蛇淵のコミュ力で、どうにかして狂白を宥めた。狂白は納得行かない様子だったが、蛇淵のため という理由で渋々了承した。 「そうだ、こんなことをしにきたんじゃなくて……」 蛇淵は本殿の賽銭箱に向かう。賽銭箱の前で財布を取り出すと、逆さまにして金を全てぶちまけた。 「今度のハルマゲドンで勝てますように! ……ゲコ」 「む、もしかしてまだ『金をいくらでも出す』になっておるのか?」 「うん……まぁ……」 ちなみに全く関係ない話だが、この時影平は「番長グループの数少ない男友達である紫乃守煉獄なら 『ヤツを投入しろ! 急げ!』と言いながら同じ事をするだろう」と考えていた。 「これだけあれば願いも叶うよね」 「別に、金の量で決まるわけではないのじゃが……」 「叶わなかったらその時は『全く、何のために高い金を払っていると思っているのだね!』 って神様に文句言ってくるよ! ……ゲコ」 「お? 今度は神サマに喧嘩売んのか?」 三五は無言で狂白をにらみつけた。 「あれ、絵馬がありますね……」 れたいたぷたが、賽銭箱の隣にある絵馬に目が行った。それぞれの絵馬に様々なことが書いてある。 普通の願い事もあれば、愚痴やら何やらを書いてのもある。 「サキュバス? スイートサキュバス? スイートチョコレートおいしいです^^」 「メガネの教えに従う限り、コンタクトレンズ使いを見逃すわけにはいかん。ここで死んで貰う」 「ごめんなさい、もう色々と無理です」などなど、バリエーションは豊富である。 「さて、特にやることもなかろうし、何かで遊ばぬか? 缶蹴りくらいならできるぞ」 「あ、それいいね! ……ゲコ」 「うーん、でもみーちゃんは神社だと強いから、もっと違うのにしませんか?」 「アタシはなんでもいーぜ」 今日も神社は平和であった。 3ターン目後手SS 嗚呼、空を見よ!! 魍魎の匣が中空を飛んでゆくではないか!! 盛り上がった大地のバリケードを掻い潜り鶉を殺すために!! 敵を殺す能力は味方を殺せるか否か!! 家康は神の認識に打ち勝ったのだ!! 女を殺したいのに敵に女が少ない。 彼の鬱屈とした魔人としての妄念が開放の時を待っていたのだ。 そう家康は味方を殺したかったのである!! 魍魎の匣が鶉の脳天を打ち砕く。 これが魔人田中権左衛門家康が神に愛された瞬間であった。 覚醒の時は近い。 爆心地 吸い寄せられたかのように 引き寄せられたかのように 血が、肉が、折り重なる場所 平らげるのは、皿の上のディナー 味付けは、FFの苦味 そこには敵も味方もない墓標 打ち捨てられた魍魎の匣を閉じるのは誰 骨を拾うのは誰 ハルマゲドンなんて起きたのかしら きっと何も起きなかった 誰も死ななかった だって死体がどこにもない! デタラメ、デマカセ、与太話 怪談だわ 怪談よ 死体を食べる女が居るのよ きれいにするのね 何事もなかったかのように 明日にはきっと元通りよ
https://w.atwiki.jp/sosgame/pages/34.html
776名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[sage] 投稿日:2007/07/05(木) 20 28 58.76 ID IiwpwpWo0 谷口「もう冒頭も考えてあるんだ。おのおの方ちょっと見てくれ」 夕暮れの学校。俺は命の次に大事な、美少女ランキング帳を取りに戻りに教室へ向かう。 ガラッ 「うぃ~っす、WAWAWAWA忘れ物……」 扉を開けると茜色に染まった教室に、一人の美少女が立っていた。一体誰なのだろう 「谷口君?」 思わず見とれてしまっていた。しかしこの声には聞き覚えがある。 「え、もしかして朝倉さん?」 なんてことだ朝倉涼子は、雰囲気によって美少女力をあげるというのか! 普段の朝倉はいわば仮の姿、まさしくこれは 「AAA++……」 「え?」 思わず考えが口に出てしまっていた。それほどに今の朝倉涼子は美しい。美しすぎる! 「いや、なんでもない。それよりこんな時間にいったいどうしたんだい?」 俺が聞くと朝倉はうつむきながら、少し恥ずかしそうにこういう。 「人を……待っていて」 待っていた。そう、それはまさしくこの俺。谷口を置いて他にない! 「俺もだよ。ずっとこの時を待っていた」 谷口「というのはどうだろうか?」
https://w.atwiki.jp/minidisc/pages/466.html
ニュースリリース https //web.archive.org/web/19990423035620/http //www.sharp.co.jp/sc/gaiyou/news/990218.html https //corporate.jp.sharp/press/990218.html ホームページ https //web.archive.org/web/19990423000744/http //www.sharp.co.jp 80/sc/eihon/mdss321/text/index.html
https://w.atwiki.jp/yuiritsu/pages/54.html
SS35-1 午前六時半。私はいつも、これくらいの時間からエプロンをつけて朝食作りを始める。 今日のメニューは、ご飯、みそ汁、卵焼き、ほうれん草のおひたし、そして塩鮭というかなりオーソドックスな朝食だ。 とはいえ、近頃の過程の食生活は破綻しているとか何とかテレビでよく見るから、その点に関しては私はちゃんとしているほうだろう。 むしろ、こんなしっかりとしたものを朝から食べられて、私の相方は大いに果報者だ。 まさしくりっちゃんさまさま、と大げさに感謝してほしいくらいだけれど、生憎私の相方、つまり旦那様はまだ夢の中だ。 まあ、こんな時間に起きていることの方が珍しいので、とっとと二人の寝室に向かう。 朝食の用意をし終わって、旦那を起こしに行くのは、もうとっくに習慣となっていた。 最初のころは、憂ちゃんはこんなに大変だったのか、と彼女の妹の苦労をしみじみと感じたものだったけれど、今では特に苦に思わない。 「……完璧に、唯に毒されたなあ」 私の頬に自然に笑みが浮かぶ。唯と一緒にいることに慣れ切って、むしろそれが心地よくて、当然のように感じていることを自覚している。こういうときに、夫婦ってこんな感じなのかな、と考える。あ、夫婦じゃなくて、婦妻か。 寝室に辿りついて、開口一番。 「こらー、唯! おーきーろー!」 寝室にはダブルベッドが一つあって、いつもそこで唯と私は一緒に寝ている。 ベッドの上で、唯はむずむずと動きながら、「んむ……りっちゃーん、おいでえ~」なんて私が寝ていたスペースに手を伸ばしながら、寝言を言っていた。りっちゃんはここにいる。つうか、むしろお前がリビングに来い。 「お・き・ろっつうの! いつまで寝ぼけてんだよ?」 少し強めに言うと、唯がようやく覚醒したように大きく体を動かした。ゆっくりと体を起して、ドアのところに立っている私を見る。 「……なーんだ、夢かぁ」 失礼なことに、私を見るなりがっかりした声を上げて、またベッドに沈もうとする。 おいおいおい! なんだとはなんだ! せっかく起こしに来てやったのに! 私はずんずんとベッドに歩み寄り、唯が被った毛布をはぎ取る。すると、唯はびくっとして、大きい目をさらに大きくして、私を見た。 「おおおおきいいいいろおおおおおおお!」 唯の耳元で叫んでやると、「っわあああ!」とうめき声を上げて、飛び上がった。そそくさとベッドから下り、私をびくびくと見つめる。 起きられるじゃんか。まったく。手間かけさせて。 「お、おきました!」 「ん、ならよろしい。ほら、顔洗ってこい」 らじゃー! と敬礼を返し、唯はそそくさと寝室を出ていこうとする。 まったく、こういうところは、変わってないんだからな。 ふと、気になったことがあって、唯の背中に声をかける。 「唯、さっき見た夢って、どんなのだったんだ?」 聞くと、まさに洗面所にいこうとしていた唯は、パッと振り向いて、にへら、としまりのない笑みを浮かべる。……なんか、予想がついた。 「え、へ、へ。あのねえ、りっちゃんがねえ、私に裸でしがみついて、すっごく甘えてきたんだよお」 ほー。ほおお。 「『唯が欲しい、唯とずっと一緒にいたい』っていってねえ、もーう、すんごくかわいかったんだからあ」 ……唯、覚悟はいいな? 「それでりっちゃんを抱き寄せようと思ったら、エプロン姿のりっちゃんに邪魔されちゃったんだよね……ってうおあ!?」 「ばっかやろおお!」 唯に走り寄り、華麗なドロップキックを決めた。 唯はつんのめるように倒れたけど、いてて、と腰を押さえてすぐに立ち上がる。 付き合ったころから受けているからか、唯も耐性が身についてきたみたいだ。 「ふざけんな! 勝手にお前のエロ夢に私を登場させるなよ! それで『なーんだ』っていったのかこんちくしょー!」 「えええ、だってえ~、本当にいいところだったから」 「あほ、ばか、トロ唯! さっさと顔洗ってこい!」 しっしっと追い払うように手を動かすと、唯は、はたと気付いたように、意地悪な笑みを浮かべた。 「……なんだよ」 「……りっちゃん、ヤキモチ?」 「ぁあん!?」 「安心してよ。昨夜のりっちゃんも、夢の中のりっちゃんに負けないくらい、可愛かったから!」 ぷちん、と何かが切れる音がした。 「大体さあ、確かに私は寝坊しちゃうかもしれないけど、でも、それはりっちゃんにもちょっと責任あるからね」 ぶちぶち、とまた切れる。 「昨夜だって、なかなかりっちゃんが寝かせてくれなくて……うう~ん、眠いよお」 ぶちぶちぶちぶちぶちっ。 「もう、りっちゃんたら、お・さ・か・ん……」 「だあああ! おっまえが勝手にサカってただけだろ! 早く顔洗いやがれええ!!!」 鬼の形相で吠えると、唯は今度こそ青ざめて、そそくさと洗面所に向かった。 「鬼嫁だよ、鬼嫁がいるよ!」という嘆きが聞こえた気もするけど、気にしない。あの、どあほが悪いんだからな! 唯がぐちゃぐちゃにしたベッドを直しながら、ふとシーツを見る。 「……洗濯機、回すか……」 昨夜のことを思い出しそうになって、熱をもった頬をとっさに手で覆った。 「わあ! お~!!」 身支度を素早く終えた唯が、食卓にきて歓声を上げた。 そりゃそうだろ。これだけ完璧な朝食が揃っているんだからな。 ふふん、どうだ、と鼻高々に私がつつましい胸を張ると、唯が空気をぶち壊すような言葉を放り込んできた。 「今日は、パンの気分だったかも……」 言い終えると同時に、私はすぐに唯にチョーキングを決めた。 なんって、妻不孝な奴だ。 「ご、ごはん好きです。ごはん食べます」 「よろしい。っつか、日本人ならごはんだろ」 「1・2・3・4・ご・は・ん~♪」 調子に乗って歌い出す唯の頭をぺチリと叩くと、唯はえへへ、と笑って、行儀よく「いただきます」と手を合わせた。 唯の、こういうところが好きだ、とふとした拍子に想う。 いいかげんなようで、ちゃんと相手を想っているところ。 それは、りっちゃんも同じだよ、って前に唯にいわれたから、私たちは似た者夫婦なのかもしれない。 「おいしいい! どうやったら、こんな風に作れるの?」 「唯には無理だなー。やっぱり、りっちゃんの天才的センスがないと」 「むう、がんばるもん!」 「期待せずに、待ってるよ」 そんな軽口をたたき合いながら、私たちはぺろりと朝食を平らげた。 私は、いわゆる専業主婦ってやつだ。家事は嫌いじゃないし、近所の人たちともうまくやれているから、寂しいとかつまんないとか、あんまり感じない。 ローンで買ったこの一軒家に唯と一緒に住む前は、専業主婦にあまりいいイメージをもっていなかった。でも、唯と住むなら、自動的に家事をやるのは私になるから、なりゆきでそうなったけれど、意外に毎日は充実していた。 休日には唯とギターとドラムでセッションするのが楽しいし。暇を見つけて澪やムギ、梓とかと会ったりするし。 唯は、会社に行って、何とか働けているようだ。そこそこ忙しいようで、残業とか、休日出勤がないわけじゃないけど、それでも、私と話す時間は毎日つくってくれていた。 仕事はできるというわけじゃなく、上司に怒られるのはしょっちゅうだ、といっていたけれど、それでも元気に毎日出社するから、それなりにがんばっていて、可愛がられているんだろう。 総合的に見て、私は幸せだと思う。波風立つことなんて、皆無といってもいい。 このままこの日々が続けばいいな、続くんだろうな、と思っている。 「唯、八時十五分発の電車に乗るんだろ? 間に合うのか?」 「だーいじょうぶ……ってうわぁ!!」 「ばか、だからさっさとしろっていったのに」 唯はどたどたと音を立てながら、バッグを肩にかけ、パンツスーツの裾をはためかせて、玄関へと向かった。 ああ、こりゃ、またごみ当番は私になりそうだな、と息をつく。 「りっちゃん、ごみごめんね! 行ってくる!」 「こおのやろー、明日こそ早く起きろよ」 「うう、ごめん、あっ、りっちゃん!」 「ん?」 首をかしげると、唯が目をつぶって、唇をつき出した。 「いってきますのちゅー」 無言でばしり。朝だけで、何回唯に突っ込みを入れただろう。 「いたい! ひどいよりっちゃん!」 「そんな暇あるなら、ごみ置いてこいって話だろ!」 いいながら、唯の背中をぐいぐいと押し、玄関のドアを開けて、外に出す。 唯は口をとんがらせながらも、小さな門を抜け、ドア先に立っている私に手を振る。 「いってきまーす!」 「いいから走れ! 早く行け!」 無邪気な唯の声が大きかったから、照れ隠しにぶっきらぼうに言った。 唯はぶう、と不満そうにしながらも、すぐに駆けだして行った。 唯の姿が見えなくなるまで見送り、私はごみ袋を手に、ごみ置き場まで歩いて行った。 ごみ袋を置くと、近所の誰かの旦那さんらしいサラリーマン風の男性が、急いで置き、早歩きで駅の方向に向かっていった。 「そうだよな、最近の旦那っていうのは、これくらいはやるよな」 独り言をつぶやきながら、家へと歩いて行くと、二、三人の主婦の集団とすれ違った。 げっ、と心の中で思う。私は、大抵の近所の主婦たちと上手くやれていると思うけれど、このベテラン主婦集団だけは、なんとなく苦手だった。 挨拶だけして、そのまま通ろうと思ったけれど、呼び止められた。 「田井中さん……でよかったかしら?」 「……あ、はい。おはようございます」 リーダー格っぽい天然パーマのおばさん主婦が、尊大な感じで話しかけてくる。 「あなたが、いっつもごみ置いてるの?」 「あ、いえ、えと、旦那が置いてくれることもあります」 「でも、いつも大体あなたよね」 「っ、は、はあ……ま、まあそうかもしれないですねえ」 人のごみ置くところを、毎回チェックしてんのかよ、と気味悪く思う。 「だめよ、甘やかしちゃ。最近の夫っていうのは、ごみ置きは最低限してるんだから」 「で、ですよねー、気をつけまーす。あはは……」 乾いた笑いを最後に、今度こそ家に戻ろうとしたとき、後ろからひそひそ声が聞こえてきた。 「でも、旦那っていってもね……」 「夫、ともいえないし……」 「若い人の恋愛って、分かんないわねえ」 何を言っているのか、分かる気もしたけれど、完全にシャットアウトして、家に急いだ。 気にしない。世の中、色んな考え方の奴がいるから。 それでも、幸せばかりだった私と唯の日々に、ちくりとケチがついたような気がして、少し不愉快だった。 朝の嫌な気分を振り切って、午後からは買い物に出かけた。 最初は迷ったりもしたけれど、ここの商店街の道は、もう慣れたものだ。たまに楽器店やスタジオを見つけるたびに、唯と一緒に行ったりもしている。 私は、馴染みの肉屋の前で足を止め、じっと肉を吟味していた。 すると、店の奥から、これまた馴染みの肉屋のおっちゃんがやってきて、私に二カッと笑いかけた。私も、笑顔で会釈をする。下手に自分で選ぶよりは、専門家に見つくろってもらった方がいい。 「奥さん、こんにちは! 今日はいい肉が入ってるよ!」 毎回、奥さん、と呼ばれる。そのたびに、くすぐったいような、照れくさいような気持ちが広がる。自分の、今の幸せを実感できているみたいで、嬉しくなるのだ。 「んー、どれがおすすめ?」 「そうだな、この黒毛和牛が、安く入ってるなあ。あとは、んー」 「じゃあ、それにする。……旦那に、元気つけてもらいたいし」 人前で、旦那、と呼ぶことに嬉しさを感じる。まあ、あの主婦集団の前で言ったのは、ノーカウントだけど。 「あいよお! これは、うまいぞお! 旦那も精ついちゃうかもなあ!」 「つってもなー、もともと元気だから別にいいような気もするけど……まあいいや」 「おっほう、ノロケかい? お・さ・か・んだねえ」 にやにやとしながら、おっちゃんは素早く肉を包んでいく。 唯、お前の言葉、おっちゃんと同じレベルだぞ。まったく。 「ばかいうなっつうの。ていうか、いまどきお盛んって」 「あっはっは。毎度! またよろしくなあ」 手を振るおっちゃんにお辞儀をし、私は家へと向かう。 おっちゃんは、旦那が女であることを知らないだろうけれど、それでも朝の嫌な気分は、すべてなくなった。 ビニール袋を下げながら、今日はステーキにしようかな、と軽くなった心で考えていた。 遅い。今日は、ずいぶん遅い。 大抵いつも残業で、帰ってくるのが八時くらいだから、それにぴったりと間に合うようにりっちゃん特製のビーフステーキを作ってやったというのに。 もう、時計は十時を過ぎていた。ビーフステーキはラップをして、唯が帰ってくるのを今か今かと待っている。 「……食べちゃおうかな」 いつも私は、唯と一緒に夕食を食べる。唯の食べる姿を見るのが好きだし、昼間はほとんど会話をメールで済ませているから、こういうときにいろいろ直接話す時間を作りたいのだ。 唯も、嬉々として仕事やいろんなことを話して、風呂に入って、で、ちょっといい雰囲気になったときは……まあ、昨夜みたいなことをするわけだけど。 「でもなあ」 唯も、食べながら私と話すのを楽しみにしていることを知っているから、そんな唯の気持ちを無駄にしたくはない。 まあ、いいか。一回ぐらい、夜中に食べて、脂肪ついちゃっても。 そう思って、暇つぶしにテレビをつけようとすると、ぴんぽんとインターホンが鳴った。 私は、急いで駆けだす。 「はい」 『えへへ、私』 受話器を耳に当てると、唯特有の幼い声が聞こえてきた。 ドアを開けると、少し疲れたような、でもいつものように笑っている唯が立っていた。 文句の一つも言ってやろうと思ったけれど、すぐにどうでもよくなった。 「おかえり、外寒いだろ」 「ただいまっ、マフラーしてたから平気だよ」 唯は、赤い手編みのマフラーを指さしながら答えた。付き合っているときに、唯がおねだりしたので、わざわざ私が編んでやったマフラーだ。それがいたく気に入ったらしく、寒いときには必ず巻いてくれていた。思わず、笑みがこぼれる。 「あれ? 朝行くときは、巻いてなかっただろ?」 「ふふふ、バッグに忍ばせておいたんだよ。寒いときに、りっちゃんマフラーは必須だからねっ!」 思わず和やかな空気になりかけたが、向こうにラッピングされたビーフステーキを見て、ぽかりと唯の頭を小突く。 「うわあん、いたあい」 「いたあい、じゃなくて、なんかいうことは?」 その言葉に、唯は食卓を見て、うつむいた。 「遅くなっちゃって、ごめんなさい」 殊勝な態度に、怒っているのがばからしくなって、ふっとほほ笑む。 「遅くなるのは、仕方ないだろ。仕事なんだし。そうじゃなくて、連絡ぐらいしろってこと。昼には余計なメールを送ってくるくせにな」 「ひ、ひえっ、余計!?」 「まー、こっちも暇つぶしになるし? 別にいいけどな」 言って、私は夕食の皿を電子レンジに入れて、温め始める。 後ろから、わあい、今日はステーキだ! と無邪気に喜ぶ唯の声が聞こえてくる。 「これ、りっちゃんがいってたお肉屋さんの?」 「そうそう。今日のおすすめだって。早く食べよーぜ」 最後に、ステーキの皿二つを電子レンジに入れると、唯が、うつむきながらもじもじとしていた。 「どうした?」 「あ、あのね」 唯が眉をハの字にして、私を見る。 「りっちゃん、今日みたいな日は、先に食べちゃってていいよ?」 おそるおそる、といった口調の唯に、はっ、と笑う。 「いーよ、大したことじゃないし。ま、連絡はしてほしいけどな」 「でも、りっちゃんがせっかくつくってくれたステーキが、冷めちゃったし」 「だあから、連絡さえすれば、間に合うようにつくるから。ほれ、とっとと食べる」 「また、これくらい遅くなること、あるだろうし」 「いいって。連絡はしろよ。まあ、あんまり遅くなるようだったら、私も腹減るし、食べる。それでいいだろ?」 私の言葉に、ゆっくり頷く唯の手を引いて、食卓につかせた。 「いただきます」 「……うん、いただきます」 私に続いて、唯が復唱した。 温めなおしても、ステーキは美味しくて、さすがにおすすめだな、と言うと、りっちゃんの腕とお肉屋さんの目利きのコラボがよかったんだよ、とわけわかんないことを唯は言った。 「ゆーめのっ、夢の、コラボレーション♪」 「調子にのるな」 こつ、とまた唯の頭を小突き、切ったステーキを口に入れる。唯も、もくもくと食べながら、仕事の話をして、私を笑わせた。 「まーた、ドジったのか?」 「うう、コピー太が言うことを聞かなくなっちゃって」 「いや、お前の操作ミスだろ。……ていうか、まさか会社でコピー太って言ってないよな?」 「え? 言ってるよ?」 「まじか! 周りはなんか言ってる?」 「最初はね、えっ、て感じだったけど、だんだん周りの人もコピー太っていうようになってきたんだよお」 「気付け! 誰か、おかしいことに気付け! 感染してるぞ!」 「ええ~、りっちゃんひどーい」 話しながらふと、あ、そうだ、と切り出す。 「唯、今日残業で遅くなったんだよな、まーた叱られたか?」 「……う、ん。そうだよ。えへへ、だめだなあ私」 「自分でいってりゃ世話ないな。ま、めげずにがんばれ」 「……うん」 微妙に、間があったことが気になったけれど、大したことじゃないだろ、とスルーした。 「このお肉、美味しいね。うふふ、精がついちゃうわん」 いやだから、お前の言語センス、おっちゃんと同レベルだから。 「でも唯、今日はエロいことなしな」 「っ! え、ええ!? なんで?」 声を張り上げて驚く唯に、ふん、と意地悪い笑みを見せる。 「連絡もなしに、こんな遅くまで叱られた罰だ、罰」 「ええ、いいよ、っていったくせに~」 「夕食抜きになんなかっただけ、感謝しろ」 「りっちゃんの鬼嫁!」 「第一さ、一応残業してきて、疲れてるだろ?」 本音を向けると、唯は感動したように、りっちゃん……ときらきら目を向けてきた。 けど、すぐにしまりのない顔になる。 「でもね、疲れてる時の方が、燃えるんだよ! ってうぼわっ!」 「どこのエロ親父だ、お前は! さっさと寝ろ!」 「せめて、お風呂! お風呂だけでも一緒に……」 「ごちそうさまっと。さー、皿洗い」 「りっちゃんの鬼畜!」 「どっちがだよ!」 そのあと約束通り、風呂は別々にして、二人で床に入った。 ふと、今朝のことが頭を過ぎって、ぎゅっとかたく目をつぶった。 すると、唯の腕が体に回されて、そのまま唯の体に引きつけられ、強く抱きしめられた。 「……唯」 「……ふふ、これくらいなら、いいよね?」 唯の顔は見えなかったけど、でも、優しく微笑んでいるような気がした。 約束通り、唯はエロいことはしてこなかったけど、朝までずっと抱きしめてくれていた。 唯の腕の中は、あったかくて、柔らかくて、いい匂いがして。 すごく安心して、ぐっすりと眠れた。 大丈夫、唯とだったら。 嫌な気分も、唯が全部消してしまったようだった。 翌日からも、私と唯の、慌ただしい朝は続いた。 唯をベッドから引っ張り出して、朝ごはんを食べさせて(一回、パンにしてやったら、「朝って、ごはん食べたくなるよね」と抜かしやがったので、頬をつねってやった)、 やっぱり時間ぎりぎりになって、「ごめんね」といいながらもごみを捨てに行けず、猛スピードで、それも騒がしく家を出ていく。 この繰り返しだったけど、いつものことと思えば、それなりに慣れてくるもので、ごみ置きもほぼ毎回私が行っていた。 そのたびに、少し白い目で見られたり、何かこそこそと言われるのは嫌だったけれど、唯と話していれば、自然にリセットできた。 だから、今まで以上に唯の帰りを待ち望むようになった。 だから、あの日以来、唯の帰りが極端に遅くなっているのが気にかかった。 八時どころか、この前のように十時、十一時が当たり前になって、一度は日をまたいだときもあった。 きちんと言い含めていた甲斐あって、何時に帰るかしっかりとメールはするようになったけれど、 唯と話す時間が減っていることの実感は日に日に積もっていった。 朝は朝で慌ただしいから、ゆっくりと話す余裕がない。 仕事だからしょうがないけれど、それでも忸怩たる思いがあった。 唯は、いいかげんに見えても、相手のことを想って行動できる奴だから。そういうところに、惚れたんだから。 だから、唯があまり話す時間を作れないことに、少しの不満と不安があった。 退屈だなあ、と思った。いつも当たり前にあると思っていた唯との触れ合いが減ると、こうも空虚感を覚えるものなのか。そういえば、エロいことも……最近していない、かも。 唯が疲れている、と思うから、私も言いだせないし。 家事をやって気を紛らわそうとしたり、澪やムギ、梓たちと会って色々話したりしても、どうしても埋められなかった。 なんか、なんか嫌だな、これ。 こんな不安定な状態だったから、あっけなく私の心も崩れてしまったのかもしれない。 今日も唯は、慌ただしく家を出ていった。 自分の当番なのに、ちゃんとしなくてごめんね、と行き際に言って、駅へと向かった。 いただきます、と言ってくれたし、美味しそうに食べていたし、起きるときも軽口程度の会話は交わせたけど。 それでもやっぱり、気持ちが沈む。 私はごみ袋を手に持って、歩き始めた。 今日も遅くなるのかな。 残業続きで疲れているだろうし、なんか胃に優しいものでもつくってやろっかな。 唯は、私が支えてやんないと。妻だし、さ。 少し元気を出して、夕食のメニューを考えながらごみ置き場までやってきた。 するとそこには、珍しいことに、私より早くあのベテラン主婦組がいた。 何か、嫌な予感がしたけれど、軽く会釈をして、ごみ袋を置く。 早く帰ろう。洗濯して、掃除して、買い物に行って……。 「またあなたがやってるの?」 鋭い声が飛んできた。私は、思わず振り返ってしまった。 「え、あ、まあ、そうです」 答えると、ふーん、と何か嫌な含みを持たせた口調で言った。 なんだよ、言いたいことがあるなら言え。 「旦那さん、よっぽどお忙しいのね」 「んー、そうみたいですね」 皮肉めいた言葉も、何とか受け流す。 「へえ、そうは見えないんだけどねえ」 私は、リーダー格の主婦の女の方を向いた。 「いや、忙しいみたいですよ。別に、私も置きに来るのは面倒じゃないですし」 「あはっ、本当に忙しかったら、あんなに騒がしく家を出ていかないでしょうよ」 その言葉に、私は顔を上げる。 「だって旦那さん、いつもあなた、田井中さんに背中を押されるようにして出ていくじゃない。単に、しっかりと起きていないだけでしょ? それでごみ置きくらいできないっていうのは、ただの甘えよ」 ……こいつ、いつも私たちの様子を見てんのか。 気味が悪くて、背筋が冷たくなる。 「あなたたち、新婚さんでしょ? そういうのは、最初にびしっといってやらないと、これからずるずるそうなっていくわよ、どんどんだめになっていくの」 「もう、手遅れかもしれないけどね。私だったら嫌だわ、そういう人」 「もしかして、忙しい、っていうのも、仕事ができないからどんどんやることが増えていってるんじゃないの? なんか、そういう人がいると、こっちにまで影響しそうでちょっとねえ」 三人が間髪をいれずに唯をなじっていく。 一理あることはあるかもしれないけど、そんなの私たちの勝手だ。 私は、唯にいうべきことはちゃんといってるし、こいつらに言われる筋合いはない。 「そういう人、連れ合いに選ぶ田井中さんもちょっと、どうなのかしらね」 「早いとこ、しっかり更生させてね。見ていると、いらいらするのよ」 「どうかしら。慌ただしいってことは、夫婦間の会話もあんまりないんじゃない?」 ずきっと、図星をさされた。 何も言わない私に追い打ちをかけるように、さらに三人は続ける。 「あらー、かわいそうに。せっかく家を買ったのにねえ」 「ローンを返すために、ただ働くだけが役割じゃないわよね、夫は」 「そうね、近頃は家事とか育児とかもやって当然だって言うし……あっ」 リーダー格の主婦が、わざとらしく口に手を当てた。 「ごめんなさいねえ。育児は、必要ないものね」 「えっ、どういうこと、どういうこと」 脇にいるやせぎすの主婦が、はしゃいだようにリーダーの主婦の方を向く。 「だって、ほら、ねえ、女性同士じゃ、子供なんて生まれないしねえ」 「あ、そうね。表札の名字も、別々だものね、同姓婚って禁じられてるし。旦那さんは平沢でしょ?」 「え、女性同士だったの。じゃあ、夫婦でも何でもないじゃない、単なるルームシェアっていうものかしら?」 知っていたくせに。唯が、女だということを。 体が、がちがちと震えて、動かない。 「ねー、実際にいるのね、そういう人たち。理解できないわ、何が楽しいのかしら」 「想像できないわ。それで、妻とか、旦那とか……なんかね」 「そういうのって、一瞬の気の迷いでしょ。熱病。どうせすぐ飽きて、普通に男性とくっつくものなんじゃないの?」 分かっていた。普通に、受け入れられる人間なんて、少ないということくらい。 分かっていて、どんと構えているつもりだったのに、それでもどんどん心が削られていく。 「もう破綻するんじゃない? 会話がないって、結構致命傷だもの。それに、あんなだめな感じの人じゃ、どっちみちね」 「だめな人ほど、あっちこっちに気持ちが行くし」 「家を買うの、もう少し待てばよかったのにねえ」 三人は好き勝手に言い散らし、ふふん、と鼻息荒く横を通り過ぎていった。 私はうなだれたまま、しばらくそこから動けなかった。 お前らに何が分かる。唯の、何を知っているんだよ。女同士の、私たちのこれまでの関係の何が分かるっていうんだ。 唯は旦那だし、私は妻だ。そんなの、当たり前だ。 心の中ではいくらでも言えるのに、悔しくて悔しくてしょうがなかった。 なのに、それらの言葉を口に出して言えなかったのは。「何をそんな、くだらない」と笑い飛ばすことができなかったのは。 心の中で密かに感じていた色んな心配や不安を、言い当てられたような気がしたから。 気丈だと思っていた自分が、こんなにもろいなんて、知らなかった。 机に突っ伏したまま、かなりの時間が過ぎた、と思う。 昼ごはんは、とてもじゃないけど食べられなかった。このままじゃいけないと思って、何とか体を動かして、夕食を作り、七時に出来上がった。 いつもは、唯が帰る時間に合わせて作っていたけど、何か体を動かしていなければ、気がまぎれなかったから、特に何も考えずに黙々と料理をしていた。 作ったら、すぐに食べた。初めて一人で食べる、夕飯だった。 唯に悪いな、という気持ちは、少しはあった。でもそれ以上に、とにかく口に入れなければ、もたなくなると思った。 食べ終えたら、暇で、何もすることがなかった。 何でだろう。昨日までは、そんなことを感じなかったのに。 唯と一緒に食べたり、話すことを楽しみにしていれば、いくら遅くなったって待つのは苦じゃなかった。 ふつふつと、朝の悪意のある言葉が、蘇ってくる。 唯をバカにし、私たちを否定した言葉。 私は、頭を振って、その考えを消そうとした。 やめろ。こんな風に悩んでたら、ますますあいつらの思うつぼじゃんか。 それでも、どんどん心が苦しくなってくる。 どれくらい頭を抱えていたんだろう。不意に、インターホンの鳴る音がした。 ゆっくりと立ち上がり、受話器を手に取る。 「……はい」 『わたしだよー』 ふと時計を見ると、十一時を回っていた。 唯のお気楽そうな声に、ピクリと何かが刺激された。 ドアを開けると、そこには、いつもと同じように、少し疲れながらもにこにことしている唯の姿。 今まではそれに癒されていたはずなのに、少し、気に障った。 「……おかえり」 「ただいまー。うふふ、おなか減っちゃったあ」 私を通り過ぎて、唯はリビングへと入って行った。食卓にラップされた皿があるのを見て、唯がん? と声を上げる。 「あれ、先に食べたんだね」 「……ああ」 「そっかあ。メールしたんだけど……」 「……別に、先に食べたっていいだろ」 投げやりな私の口調に、唯が目を丸くする。 何やってるんだ、私。 「……え、あ、うん。そうだよ、そうだよね」 「先に食べてていいって言ったのは、唯だろ。こっちだって、疲れてるんだよ」 「う、ん。ごめんね、ちょっと気になって言っただけだから」 こちらをうかがいながら、気遣う唯の声。 唯の顔から、いつもの笑みが消えている。 こんな顔させて、どうするんだ。 何言ってるんだよ、私。 それでも、私の中にどんどん嫌な気持ちが生まれていく。 「すごい、疲れてるんだね、りっちゃん」 「……見りゃ分かるだろ」 「ご、ごめんね」 座ったまま動かない私を見て、萎縮して小さくなった唯は、ラップをされた皿をもって電子レンジに向かった。ぴ、ぴ、と電子音が聞こえる。 料理も、温めるのも、ほとんど私がやってきたから、唯は家の電子レンジの操作に慣れていない。試行錯誤しながら何とかやろうとしている気配が伝わってくる。 唯、大皿のやつは、二分くらいに設定して、他の小鉢はまとめて温めるんだぞ。 ほら、みそ汁も温めないと。一応、いつもどおり上手く出来たつもりだからさ。 言葉にしようとしても、一向に口から出てこない。 「り、りっちゃん。あのね」 少し温めすぎた大皿を食卓に置きながら、唯が探るように声をかける。 「明日、私帰り遅くならないかもしれないんだ」 唯は全部の食器を置いて、席についた。 唯は、この空気を変えようとしているのか、いつもみたいに明るく話そうと努めていた。 「ううん、頑張って絶対早く帰るよ、だからね、明日――」 「じゃあ、何で今まで遅かったんだよ!」 気付いた時には、大声で唯にあたっていた。 「……り、りっちゃん?」 「頑張れば、早く帰れるんだろ!? だったら、今まで何してたんだよ!」 仕事に決まってんだろ、何言ってんだよ、私。 「お前が仕事できないから、ぐだぐだ働いているから、だめな奴だから、叱られたり、無駄な残業が増えてるんじゃないのかよ!?」 唯が、ちゃんと頑張っていること、知ってるよ。 「仕事がだめなうえに、ちゃんとした生活しようとしないし、いろんなとこ私任せにしてるし!」 やめろ、やめろ。 そうは思っても、自分の本音とはかけ離れた言葉が、次から次へと出てくる。 「……自分だけ、気楽な顔して、人のことほっといて。私が、どれだけ頑張って、どんな思いしてるかなんて、考えてないだろっ……!」 朝に、あいつらにぶつけてやりたかった胸のむかつき。 受け流せばいいのに。ちゃんと、自分の中で、消化するべきなのに。 唯を見た途端、ふいにそれが破裂していく。 「り、りっちゃ、りっちゃん」 唯が、おろおろしながら私を見ている。 頬を何かが伝っているのを感じて、私は初めて自分が泣いていると分かった。 馬鹿だ。泣き叫んでる子供かよ、私。 唯がそっと手を伸ばしてきたけど、それを避けるようにして、私は席を立った。 「……もう、寝る」 それだけ言い残し、すぐさま部屋に行き、ベッドに飛び込んだ。 パジャマに着替えもせず、そのまま眠りたかった。 唯は、追いかけてこなかった。追いかけても無駄だと思ったんだろう。 しばらく物音がしなかったけれど、かちゃ、かちゃという食器の音がして、夕飯を食べてくれているんだろうと分かった。それから、水を流す音。いつもは私がしている皿洗い。慣れない手つきで懸命にしているに違いない。そして、水音が止まった。 唯が、ベッドに来てくれないかな、と思った。急に、唯に抱きしめてほしくなった。 こんな、鬱屈とした気分を打ち消すぐらい、強く、強く。 散々に言っておいて、都合のいいことを考える自分が嫌になる。 でも、唯に抱きしめてもらったら、色んな事がどうでもよくなるんだ。そうすれば、また普通の私に戻れるから。いちいちあんなことで、くじけたりなんて、しないから。 だから、早く来てよ。 ――それでも、唯は来なかった。 隣がいないベッドは、それだけで、寒かった。 SS35-2へ
https://w.atwiki.jp/msgk/pages/38.html
-函館市 元町郊外- 北海道には梅雨がない。と言われるが、暑いのは変わらない。落し物を探してほしいとの依頼を受け街中をうろうろしている。 スーツ姿では不審者にでも思われるので、白のパーカーに下はスカート・ハイソックスに運動靴だ。スカートはとても走りやすく運動性がいいため機動性を求められる状況に持ってこいだ。ただし怪我はしやすいのがネックだ。 しかし、見つからない。手元のタブレットには目標の写真や特徴を描いたものを表示し、バックに仕込んであるアンテナを繋いで発信機からの電波を写す。 「こんな住宅街に落ちてるものなの?」 無線にぼやく。 「クライアントからリークされた発信機の位置は大体その辺」 その辺か 「GPS測位とかもっと正確なのもじゃないの?」 「GPS機能付いたのは高いんだよ。それに発信側もそれなりの電力を使うから一般的に使われるのは電波を出して探す側のアンテナに探知させる」 コウはそのまま話をすすめる。 「まだ発信機のないペットより簡単だよ。早く終わらせて私は緊急クエ行きたい」 「もう3時間は歩きまわってるが、それらしきものなんて」 目標はどこにでもありそうな黒いビジネスバッグのようなもの。中身は私たちが知る必要はない。この業界では当たり前の事。 「ない どこにもなぁぁぁぁぁぁい!!」 とりあえず冷たいお茶でも買って一息つこう 近くに自販機は。 「コウ周囲を検索、半径100m以内の自販機の場所をこっちに転送して」 「断固拒否する。自分で探せ」 まぁ、そうなるな。 ぐるっと見渡し公園を発見 そこに自販機もあったので午後の天然水を買ってベンチで休む。 落とし物なんて昨今交番へ届けられてるのでは?そっちを当たってみるか。 と タブレットから警告音が聞こえる。 『周囲に目標』 どこ、 移動してる? スーツ姿の男性たちが目の前を通る。 それを抱えながら。 「あの、待って下さい」 後先考えず声をかけてしまった。 「なにか?」 無表情で鞄を持った男性が答える。 「あ、っと、その、そのバッグ私の物なんです。先日落としてから探してて」 無理な言い訳をしてみる。 「残念だがこれは私のバッグでね、仕事に使ってる。たぶん似ているのだろう。失礼するよ」 ああまずい、目標を逃がしてしまう。 「バッグには『立教大学』のマークと拓也と名前が刻まれているはず。それを問いただせ」 開きっぱなしの無線で聞いていたのかコウがアドバイスをくれる。 「そのマークと名前、貴方のじゃないですよね?証明できますか?」 「ふむ お嬢ちゃんのだと証明もできるのか?」 まぁ、そうなるな。 「できます。その人から頼まれて探していますから」 「奇遇だな。私もそいつから奪ったとこなのに」 他二人が私の腕をしっかり掴み拘束する。 「どうやらお嬢ちゃんはいけない世界をみてしまったようだ。いろいろとゆっくり、話を聞こうじゃないか?なに、時間はあるさ・・・他の事も交えつつじっくりとな」 男の手が頬を撫でる。 その手はゆっくりと身体を添わせるように下へ。 腰も撫でまわしながら男は笑みを浮かべる。 「大丈夫 痛い事や傷を残すようなことはしない。むしろ楽しいぞ?」 その手は衣服を遊ばせながらさらに下へと伸び、スカートの中へ入れようと 「うぐっ、このガキぃぃぃぃぃ!!!!」 男の股間を靴で思いっきり蹴りあげた。一応先端には安全靴と同じように鉄板のプレートを仕込んである。 「ザッケンナコラー!」 右の男が手を緩め髪の毛を掴む。 「ありがとねっ」 袖の仕込みナイフを下腹部へと突き立てる。悲鳴にならない声を上げながら唸り、腹を抱え込みながら倒れる。 「イヤッー!!」 もう一人拘束している男が私の顔に拳をいれる。 いったいなぁ。 「よくも貴様あぁぁぁぁぁ」 バッグを持った男が拳銃を取り出し頭に突きつけてくる。 「撃てるの? あんたに」 「舐めてんのか!?」 残念ながら私はすでにSP2022を抜いて安全装置を外していた。 まず自由を確保するために拘束してる奴に一発。 すぐに離され男は悶えながら倒れこむ。 少女が発砲したのが衝撃的だったのか驚いたバッグの男は驚いた顔を見せていた。 隙に後ろへ回り込み脚を蹴りこんでから体制を崩し、銃を持った腕をねじり武装解除。そしてこちらが頭に銃を突きつけ 「そのバッグ、渡してもらえますか?発砲は目撃者を増やし、警察がくるので控えていたのに」 「命令されて渡す奴がいるとでも」 この男強情。 「だよね、命まで奪うのは主義じゃないから」 銃を下ろす。 「ここで命と引き換えに渡すのも悪くないが、後が怖いぞ?」 男がバッグを地面に置く。 「大丈夫です。目撃者はいませんから」 男の頭を撃ちぬく。 「貴方達もです」 他二名も急所にしっかり弾を撃ち込み絶命したのを確認して目標物を拾う。なんかずっしりとして重いが、任務完了ってとこか。 「コウ?任務完了。そっち系の奴ら数人にからまれたけど発砲、排除したから安心して」 「撃った!?ウソだろこのバカ者が!!すぐに警察くるから早く逃げろ!もう地域住民が通報して警察が出動してる頃だぞ・・・」 コウが呆れ半分で無線を寄こす。 「だってあのまま汚い手で撫でまわされろとでも?観てるだけなら興奮するかもしれないけど酷く頭にキタのよ」 「だからと言って消音機もない銃を撃つのはダメだろ!しかも住宅街!!ナイフで対処しとけよ」 その通りである。 「つい血が上って、あと何分?」 「5分25秒で巡回してたパトカーが着く。後は1分置きに数台増える。警察無線では機動隊も今出た。特殊強襲部隊へも待機命令が出てるから早く」 コウが警察内のネットに潜り込みリアルタイムで状況を伝える。 「いいけど、市電で逃げ切れると思う?」 残念ながら車はイベリコが使っているためバスと市電でここまで来ていた。これはまずい。 「車はすぐに検問張られるからこっちのが好都合かも。着替えは?」 「ちゃんとありますよ。どうせ返り血浴びてるしこのままじゃ目立つ」 「西50mにトイレがあるからそこで着替えろ」 「りょーかい」 近くのトイレに駆け込み赤くなったパーカーを脱いで自分の鞄からグレーのカーディガンを取りだす。遠くからサイレンの音が聞こえ人も増えてきた感じがする。 「コウ、目立たず逃げる最短のルートは?」 「旧公会堂から教会へ抜けて、そのまま弥生坂通りを北へ進み大町駅から市電に乗り込んで。規制線が張られる前に」 ルート表示が手元に送信されてくる。 これ私有地通るのか。たしかに目撃者いたら青髪ロングの少女を追いかけるだろうから振り切るのが先決だが。 あきらかに人さまの庭を抜け教会前に出る。人混みがざわついている気がする。 スマホで拡散されたのか人々が公園へ走る中そそくさと駅へ向かう。 湯の川行きの路面電車を数分待つが普段はあっという間なのにこんな時は長く感じる。 「もう電車がくるから乗りこめば勝ちだ」 コウが安堵のため息をつく。 「そんなうまくいかないようだね」 私は通りの反対側を見ながら答えた。 いかにも怪しい黒スーツの男が何人もなにかを探すようにこちらへ近づく。 「つけられたか?」 「いや、背後には誰もいなかった。あいつらも鞄を探してここまで来たんじゃない?警察とか嘘の身分で目撃情報聞いて」 冷静に状況を把握して伝える。 「まいったね。その鞄を隠せるなにかない?」 コウが高速タイプ音を響かせながら聞いてくる。 「ないな。血がついたパーカーならあるが」 「他の乗客とかの陰にかくれてやりすごせ。90秒で電車がくる」 「あいよ」 時刻表とサラリーマンの陰に入りながら電車を待つ。一人こっちきたか。 が、もう電車はきてるからさよならだ。 整理券を取り乗りこむ。端の席で鞄を奥にして座る。 無事出発 と思ったがさっきのが乗りこんできた。 携帯でなにか通話している。 出口近くの席に座ったようだ。 市電は進む。サイレンを鳴らしたパトカーとすれ違いながら。 道路は簡易の検問所を設営しているようだが私は車じゃないから安心して目的地の駅まで揺られる。 五稜郭前のアナウンスが流れたのでボタンを押してプリペイドカードを出す。電車が止まり整理券とカードを精算機へ投入。 する前に腕を掴まれた。 「お嬢ちゃん いいバッグ持ってるね」 しまった。追手の一人が乗っているのを忘れていた。もう着替えもなければ他にも乗客はいるので武器は使えない。使うと不利になるのはお互い様なはずだが。 「自慢のバッグです。貴方にはもったいないほどにね」 腕を払って出口へ走る。男が 「待てゴラァ」 と叫んで追いかけてくるが精算機に乱暴にカードを入れて運賃を支払ってから思いっきり走る。 「コウ、ここから逃げるのにいいルートはない?」 「とにかく走れ、一人なら逃げ切れるだろ」 なんとまぁ脳筋な。 普段から鍛えているものの、あっちも必死に追いかけてくるから早い。五稜郭時計通りから大通へ出て北へ向かう。 しつこいな 「次の交差点手前を右!!このまま行くと警察本部がある」 コウの怒鳴り声と共にすぐに右折。 いくら鍛えてるとはいえ重いバッグを不安定に持ったままではこっちもつらい。 男も疲れ顔だが後ろを走っている。 消耗戦で逃げきろうかと考えていた矢先、目の前の横断歩道に数台のセダンが停まり本日は見慣れた姿の男が降りてくる。 ああ、応援を呼ばれたのか。 囲もうとする相手に思いっきり突撃。 「グワッー!!」 肘で体当たりをしながら一人どかして車を飛び越える。 車に追われたのは分が悪いなぁ。二つの高校脇を走り抜けるも背後にはなにか感じる。 「お、あれは」 バイクを駐輪場に停め降りる男性の姿が目の前に飛び込んできた。 「お兄さん良いバイク乗ってるねぇ!ちょっと貸してくんない?」 タンデムシートに置いてあるヘルメットをかぶりながら勝手に跨りエンジンをかける。 「おい、ちょっと 待て!」 必死に止めようとするも乗るときに振りまわした例のバッグが彼を直撃した。 「ごめん、後で警察に聞けば却ってくるようにはしとくから」 クラッチを握りギアをローへ蹴り込んでスロットルを吹かす。 「リッターSS、GSX-R1000か」 エンジン音と伝わってくるパワーから判断する。 クラッチを繋ぎ力強い加速で発進する。 スロトルのレスポンスとシフトを上げながらギア比を確かめ、一般車両を縫うように走り抜ける。 「あんた民間人を巻き込んで車両盗難とかイベリコ絶対おこるよ?」 コウの呆れ声が無線越しに聞こえる。 「あのままじゃ街中で銃撃戦とかおこりそうだったし、ちょうどいい脚みつけたと思ってるよ?」 バイクのエキゾーストと風切り音の中でも咽頭マイクなのでしっかりと相手に伝わる。 「とにかく盗難車両は目立つから違反事故起こさないように走って。あと近所に放置するんじゃないぞ」 「わかってますよ。汗かいたから風呂沸かしといて」 「へいへい」 そっけない返事で無線を切られた。 ギアを4速へ入れてシフトフォーリングを感じながら走らせる。 「たまには二輪もいいねぇ。 このまま旅したい」 抱えるようにしてタンクと挟んで固定しているこのビジネスバッグはどんな価値があるのだろうか 少なくとも人が命を落としてでもほしいモノではありそうだ。 エンジン音を響かせながら帰路へ就く