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のどかは走る 夕映が言った事全てを忘れるために。 自分が言ってしまった事を忘れるために。 自分が夕映をひっぱたいてしまった事を忘れるために。 全てを忘れるために…「ハァ…ハァ…。」 どのくらい走っていたのだろうか。 気づいた時には世界樹公園の真ん中で独りたたずんでいた。 のどかは静かに目を閉じる。 消えて。消えて。消えテ。消エテ。キエテ。キエテ、キエテキエテキエテキエテキエテキエテ… 今ののどかには、夕映もネギもどうでもよく思えてしまう。 今はただ、明日菜を本気で助けたいと心から願った。 まるで明日菜と昔の自分を重ねるかのように… のどかは静かに記憶の門を閉じる。 「へぇ…、本屋ちゃんでもたそがれるなんて事あるんだー。」 「え?」 目を開くと桜子が向こうから歩いて来る。 「や!元気?」 「は、はい。どうしたんですか?こんな所で」 それを聞いた桜子は呆れたように溜め息をつく。 「お気楽すぎ…。本屋ちゃんに忠告があってね。」 「え?」 「美砂が駅前であんたを待ち伏せしてるよ。美空の報復だって。くだらないよね。美砂はただあんたをボコしたいだけなのにさ。」 桜子は暇そうにのどかの周りをグルグルと回っている。 「何故そのことを私に?」 「ん?ん~…強いて言えば…なんだろ?特に理由はないなぁ…。」 「はぁ…。」 桜子の足が止まる。 「でも、今の美砂ってさ。なんか付き合いにくいんだよね。なんか憎しみっていうかさ。暗いていうかさ。一緒にいても楽しくないんだ。」 桜子が一瞬見せた笑顔は今まで見てきた笑顔よりも少し色あせて、ぼやけて見えたような気がした。 「じゃあね。一応忠告はしたから。」 桜子はのどかに背を向け、歩いて行ってしまう。 「桜子さん!」 気がついたらのどかは桜子を引き止めていた。 「大丈夫です…。きっと元に戻りますよ。柿崎さんも…。まぁ保証はないですけど。」 「ハハ。あんたも黒くなったね。」 こうして桜子はのどかの前から去っていった。 お互い本音を覗かせながら… 次のページへ
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○月△日 私は、あの日気を失った後病院に運び込まれたらしい。 あの事件で私はオムツなしでは生きていけない体になってしまった……。 思い返せば、私はお嬢様がこのような仕打ちをしたのを何度となく見てきた。 だが、その都度お嬢様に手を貸してしまった……。 取り返しのつかないことだ………。 ○月□日 アスナさんが病院に運び込まれてきた。 全身傷だらけで変わり果てた姿で………。 もしや、私を助けてくれたのはアスナさん? そして、その報復として………… 私はなんとい
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「・・・何それ!イタズラにしては度が過ぎてるわよ!一体誰が・・・!」 もう隠し通す事ができなくなった木乃香から、一連の事情を聞き、怒りの声を上げる明日菜だったが 一緒に話を聞いていたネギは無言でただ表情を曇らせている。 (・・・・その話の通りだとすると、昨晩このかさんがアドレスの変更を伝えた人の中に犯人がいることに・・・ まさか僕のクラスにそんな酷い事をする人がいるなんて思いたくないけど・・・) 「このかも何でもっと早く相談してくれなかったのよ・・・」 「ごめん・・・」 「いや、別に謝る事じゃないけど・・・・」 それでも、木乃香は一人で抱えていた悩みを友人に話す事で少し落ち着きを取り戻したようだった。 「アスナ・・・ネギくんも、お願いや。この事せっちゃんには言わんといて」 この事を知れば刹那は心配を通り越し、激しく憤慨して何としても犯人を探し出そうとするだろう。 そして、その犯人が3-Aの誰かである可能性が高いとなると、クラス内でどんないざこざやトラブルが起こるかわからない。 自分が原因で刹那やクラスメイトにせずともよい不快な思いをさせるのは嫌なのだ。 木乃香の気持ちをそれとなく理解した二人は静かに頷く。 「・・・わかりました!僕が犯人を見つけて、絶対にこんな事は辞めさせますよ」 ネギは出来るだけ明るくそう言ったが、彼の胸中もまた複雑であった。 毎朝のバイト後に行っている刹那との稽古を今朝は休む事にする明日菜。 木乃香の一件が気に懸かり、集中できそうに無い上、刹那と二人きりでいると うっかり口を滑らせ、木乃香との約束を破ってしまいそうな気がしたからだ。 その旨を刹那に伝える明日菜だったが、刹那からは予想外の答えが返ってくる。 「そうですね・・・私もお嬢様があの様な事でお悩みになられている時では、心配で修行にも身が入りません・・・」 「えっ・・・!刹那さんも知ってたの・・・!?」 驚き、咄嗟にそう言い返す明日菜に刹那がピクリと眉を動かした。 「・・・・・やはりお嬢様の身に何か起こっているのですね?」 一瞬意味が解らず呆けた明日菜だったが、ようやく『しまった』と口に手をやる。 「刹那さん・・・ひょっとしてカマかけた・・?」 「はい、失礼ですがそうさせてもらいました。お嬢様が何かに悩まれている事は感づいていましたし、 アスナさんも今朝は少し様子がおかしかったので」 「・・・・このかに刹那さんには言わないでって頼まれてたのよ・・・あぁ~私ってホント馬鹿」 「・・・・お嬢様が私に心配をかけまいとそう言って下さっている事は解っています。 でも、私は何かがあったという事はもう確信しているのですから、隠しても無駄ですよ。全部話してもらいます」 そう言われると明日菜はもう洗いざらいを喋るしかない。 そして、話を聞いた刹那は当然のごとく表情を歪め、激しい怒りを隠そうともしなかった。 (誰だ・・・?誰がそんなふざけたマネをしているんだ!?絶対に許せん。見つけ出してこの手で斬り捨ててやる!!) その日の休み時間。刹那は木乃香の携帯を調べるため、彼女のカバンから携帯を抜き取った。 この様な真似は本位ではなかったが、直接見せて欲しいと言っても見せてはくれないだろうし、 明日菜が約束を破ったと思われてしまうかもしれない。 (失礼しますお嬢様・・・申し訳ありません) 心の中で木乃香に詫びながら、携帯を調べる刹那は、メールの受信履歴を見て、思わず息を呑む。 (酷い・・・!!なんだこれは・・・!?) そこには何百と溜まった罵詈雑言の並んだメール。 これが無垢な木乃香の心をどれだけ傷つけたかと思うと刹那の怒りは、さらに激しく沸き溢れて来た。 (誰だ・・・・お嬢様に何の恨みがある・・・・・!!) しかし、結局手掛かりと言える物は見つからない。 内容はあくまでもただの『死ね』『消えろ』などの羅列。送り主の特定には全く繋がらなかった。 送られてきたアドレスも一応いくつかメモしたがそれも意味はないだろう。 犯人を見つけ出すと意気込んだ刹那だが、早々に行き詰ってしまった。 (・・・工学研究会の者に頼めば逆探知ぐらいしてくれるか・・・?いや、駄目だ。そこに敵がいるかもしれない。 話を聞いた限り、クラスの者の可能性が一番高いんだ・・・) 木乃香に気づかれる前に携帯を元に戻し、刹那は自分の無力さにため息をつく。 だが、刹那にとって幸か不幸か、その日、犯人は新たなるきっかけを与えて来た。 剣道部の活動を休む事にし、昨日同様、木乃香と明日菜と三人で帰路に着く事にした刹那。 だが、三人が靴を履き替えようとした時、新たな事件が起こる。 「きゃああああっ!!」 靴箱を開けた途端、木乃香が悲鳴を上げた。 「このかどうしたの・・・っ!?嫌っ・・・・!」 靴箱を覗き込んだ明日菜が絶句する。 そこには首のない鳥の死体が入っていた。 「くっ・・・・なんと言う事を!!」 木乃香はその場に崩れ落ちて泣き出し、明日菜も畏怖と嫌悪に表情を歪める中、 刹那は木乃香の靴箱を覗き込み、他に何か異常が無いかを確かめる。 「うぅ・・・せっちゃん・・・」 「大丈夫です・・・他に何かされた様子はありません・・・アスナさん、お嬢様をお願いします」 「え、刹那さん・・・?」 「・・・私はこの鳥を埋葬してきます・・・」 明日菜にその場を一旦任せると、刹那は首の無い鳥を抱いて、校舎の外に出た。 あたりには騒ぎを聞きつけた野次馬が集まり、死骸を抱えた刹那に視線が注がれるが、 木乃香に向けられる注目が代わりに自分の方に集まってくれるならそれでかまわない。 「くそっ・・・・・惨い真似を・・・」 その鳥は街中ではお目にかかれないような白い鳩だった。 鳥の死体を調べてもやはり手掛かりらしいものは見つからない。首は強い力で無理矢理千切られたようである事と 死体にはまだわずかに温もりがあり、死んでからそれほど時間がたっていないであろう事ぐらいだ。 「さて・・・どこか土のある所に埋めてやらねば・・・・・」 刹那は鳥の亡骸を校内に生えている木の根元に埋め、近くの石で簡易な墓標を立てた。 次へ
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「な――!」 唐突に大地に飲み込まれて消えた小太郎に、ライフルを構えていた真名も息を飲む。 真名の位置からは、何が起こったのかよく分からない。藪と下草に隠され、直接は見えない。 ただすぐに直感したのは、この場所が既に敵の掌中にあるということ。 「そういえば五月の荷物も足跡もなかった……迂闊ッ!」 真名は己の判断ミスを呪う。呪いの言葉を吐きながら、狙撃体勢を解いて周囲を見回す。 森の中にぽっかり開いた小広場、そこに倒れていた五月。 しかし考えてみれば、五月がこんな場所に来る理由はない。襲われたにしては持ち物もない。 他の場所で襲われ、無力化され、ここに運ばれてきたと見るのが妥当だ。 ……何のために? 決まっている。真名や小太郎のような巡回中の「誰か」を惹きつけるためだ。 罠に誘う、餌とするためだ。 準備万端整えて誘い込み、巡回の者たちを返り討ちにするためなのだ。 ここに居続けるというのは、どう考えてもマズい。真名の顔が、蒼ざめる。 「一旦引くぞ、茶々ま――!」 撤退を叫びかけた真名は、そして咄嗟にその場を飛びのく。 一瞬遅れて飛来する、幾本もの銀色の光。真名の身体を掠める刃。 黒いボロ布に身を隠す「敵」が、閃光のように投げナイフを放ったのだ。 様々なナイフを自在に使い分けるゼロにとって、スローイングナイフもまた持ち技の1つ。 何本ものナイフが真名を捉え損ね、ドスドスと地面に突き刺さる。そしてその内の1本は…… 「……しまったッ!」 バチバチと音を立てる、細長い鞄。結界弾ライフルに突き刺さる、小さなナイフ。本命の1本。 引き金を引けば暴発必至の危険な銃は、そして、その場で爆発を起こした。 真名の視界が、閃光に真っ白に染まる。一時的にではあるが、閃光に視力を奪われる。 何も見えない世界の中、悪意の気配が接近する。――ということは、茶々丸も倒されたのか? 慌てて拳銃を抜く真名、しかし何も見えぬ今の状態では、間に合わない。 薙ぎ払われた凶刃が真名の顔を捉え――白一色の世界は、闇に閉ざされた。 永遠の、闇の中に。 ……満月の下。 横たわり気絶したままの五月。ようやく口からの出血は止まったようだ。 大の字に横たわり、天を見上げるような姿勢の真名。こちらもピクリとも動かない。 そんな広場に、茶々丸がゆっくりと近づいてくる。 「ターゲットの逃走を確認。単独での追撃は不可能と判断。我々の、完敗です」 「……茶々丸は無事なのか? コタローは?」 「私も片腕を失いました。出血しない自分の姿に、混乱した模様です。 小太郎さんは…………死亡を、確認。落とし穴の中で、全身バラバラにされていました」 淡々と茶々丸は報告する。見れば確かに茶々丸の左手は途中からない。 途中からないが……しかしそれは実は、ロケットパンチのワイヤーを切って外しただけ。 ダメージなどと呼べるような怪我ではない。なんともおざなりなダメージの偽装。 しかし今の真名には、それすら確認できはしない。なぜなら、真名の傷は…… 「そうか……。コタロー君には悪いことをしたな。彼こそ生き残るべきだったのに」 真名は諦めきった態度で、溜息をつく。 無防備な大の字で寝ていたのも、「殺したいならさっさと殺せ」という「敵」へのメッセージ。 にも関わらず、「敵」は真名にトドメを刺さずに立ち去った。 見逃してくれたのか、それとも生かしておいた方が残酷だと思ったのか。 真名の両目は、横一直線に走る刀傷によって、2つとも潰されていた。 結界弾ライフルの爆発に乗じて接近したゼロの、横薙ぎのナイフの一閃。 鋭い視力は、スナイパーの命。真名の最大の武器・『魔眼』の力の源でもある。 もう、彼女は再起不能だろう。高位の治癒術師だろうと、『魔眼』までは治せまい。 危険な仕事をあえて続けていた以上、いつかはこうなる可能性も覚悟の上だったが…… 「……『彼』の顔をもう見れないことだけが、心残りだな」 真名は、胸元のペンダントを握り締める。その中の失われた顔を、思い浮かべる。 満月の下、龍宮真名は、己の敗北を、自分たちの完敗を受け入れる―― 「……機械の腕、か。流石はハカセだな」 「まあ、そういう研究もしてましたからー。丁度いい機会かな、って……って、あれ?」 「そのサイボーグ技術、腕以外もあるのかな? だとしたら――」 ――月曜日の朝。 ロボットの腕を装着して登校してきた聡美に、声をかけたのは。 両目を覆うように包帯を巻いた姿の、龍宮真名だった。 何も見えないであろうその状態で、しかし机などにもぶつかることなく、ごく自然に歩いてくる。 「だとしたら、『目』とかも作れるのかな。急に必要になってしまったわけだが」 「た、龍宮さん! それ、どうしたの!?」 「仕事で少し、ヘマしてしまってね。結局、両眼球摘出だよ。 医者は入院しろとうるさかったんだが、出てきてしまったよ。クスリだけ貰ってね」 なんてことないかのように、微笑んでみせる真名。周囲のクラスメイトたちは、しかし言葉もない。 一方の聡美は、機械の腕を顎に当てて考え込む。 「ん~。実は感覚器って難しいんですよねー。生身の神経に伝える部分の変換が面倒で……。 例えば茶々丸みたいにー、全部機械だったら簡単に常人以上の視力作れるんですけどー。 特に目については、空間的余裕もないですし、脳神経に直接接続しなきゃなりませんし。 今のところまるで目途立ってない状態ですー。今後の課題ですねー」 「そうか……まあ、どうせ『魔眼』は戻らんしな」 聡美の説明に、あっさり諦めてしまう真名。 彼女くらいの達人になると、周囲の「気配」を察知することで、日常生活くらいは苦もなくこなせる。 せいぜい、黒板や教科書が読めずに授業で困るくらいか。 これにしたって、クラスメイトの助けを得ればなんとでもなる……。 裏の社会の仕事人・龍宮真名は『死んだ』が、3-Aの一員としての真名は、普段のままだ。 「あー、みんな聞いてー! 1限目のネギ君の授業、休みだってさー! 何か、緊急の職員会議があるとかで」 「えー!? ネギ君だけが今日は学校に来る楽しみだったのにー!」 日直の円が伝えた急な自習の知らせに、まき絵が不満げな声をあげる。 もうちょっと大騒ぎになってもいいこのニュースに、しかしクラスの反応は鈍い。 亜子は全身包帯グルグル巻きの格好で、自分の席に黙って座っている。 裕奈は何があったかまたも手首を切ろうとして、アキラに羽交い絞めにされて暴れている。 事件の被害者であるあやかと千雨は、未だ入院中。まだ退院の目途も立たない。 入院患者のリストには、美空と木乃香、五月が加わっている。いずれも詳しい説明はまだされていない。 のどかは今日もサボリ。カーテンを閉ざした暗い部屋に、引き篭もっている。 刹那は木乃香の病室にずっと泊まり込んだまま、授業にも出てこない。 それぞれ顔に傷を負ったチアの3人は、未だに冷戦状態が続いていて。険悪な空気を漂わせている。 千鶴と夏美の2人は入院中のあやかに加え、昨夜から「行方不明」の小太郎が心配で仕方ない様子。 そして、片腕がメカと化した聡美と、両目を失った真名。 エヴァは例によってサボリだろうか。にしては、茶々丸は人形を頭に乗せ教室に残っているが。 31人のクラスのうち、欠席8名。何らかの傷を負っている者7名。間接的影響もかなり大きい。 週末の土日の間に、倍ほども増えてしまったゼロの犠牲者。 一週間の間に豹変してしまったクラスの雰囲気に、和美は眉を寄せる。 ジャーナリストとしての直感が、「何かがおかしい」と彼女に告げる。 このクラスだけに、これだけ不幸が集中するのは、明らかにおかしい。絶対に偶然ではない。 ……と、そんな和美の隣で小さな呟きが上がる。 『……なんか、この雰囲気、覚えがあるような気がします。前にも見た気がします』 「さよちゃん?」 『いつだったかな……昔、ずいぶん昔、同じようなことが、あったような気が…………』 それは、3-Aの教室にずっと存在し続けた、最古参の生徒の呟き。 幽霊・相坂さよは、そして遠い目のまま、額に手を当てる。彼女の輪郭が、少しだけ揺らぐ―― NEXT TARGET → -???
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龍宮真名 龍宮真名短編? キチガイまなちゃん
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名前 コメント
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「明日菜さん!ドコにいるんですか?」 「刹那さん、こっちにはいません。」 「あとは…世界樹公園…」 「明日菜さん!」 「明日菜さん、どこにいるんですか?」 なぜ、明日菜はこのかを殺したのかは分からない。 しかし裏に何か秘密がある事は間違いない。 「あ、いました!あそこです!」 そこにいたのは全身黒ずくめの男と、その男に抱き抱えられる様に気絶している明日菜。 「あ、明日菜さん!」 「貴様!何者かは知らんがその女性を放せ!」 二人とも身構える。 しかし、男は何も言わず、コートのポケットから鉄の塊を取り出すと、ネギに向かって投げつけた。 「ま、まずい!ネギ先生、伏せて!」 「え?」 パァン… 突然、目の前を強烈な光が全てを包み混む。 「くっ、閃光弾か…。」 うっすらとした光の霧の中に、男が明日菜をかかえてにげる様子がぼんやりと映っていた。 「明日菜殿を連れて来たでごさる。」 教会の裏の霊園に先ほどの黒ずくめが立っている。 「ご苦労、よくやってくれた。」 黒ずくめの前には少女が墓石の前でぼさーっと立っていた。 「いつまでこんな事を続ける気だ。いい加減やめるでござるよ。」 男…いや、長瀬楓は縁の深い帽子を取り、細い目で目の前の少女を睨みつける。 「そうはいかない。もうクラスは止まらないよ…。クラスのほとんども今の状況を望んでいる。」 少女は哀しそうな顔で目の前の墓石を蹴り倒した。 「馬鹿な…、みんなが望んでいるだと…」 「そう…。だいたいこの女も以前はそういうタイプではなかった。明るく、ニコニコと笑って、優しくて…。」 少女は目の前に転がる墓石を思いっきり踏み付けた。 「しかし今は、暗く、そして残忍で、話しかけるのも嫌なほど、周りから浮いた存在になり…、そして殺された。」 「…」 「やられる側の人間だってそうだ。最初は互いを庇い合うこともあったかもしれない。 しかし、段々それも崩れていき、かつては庇い合った仲間も、やる側とやられる側に分かれる。 鳴滝姉妹がいい例だ。彼女たちは今を楽しんでいる…、やる側として。」 「…」 楓は言い返す事が出来なかった。 「このかさんも鳴滝姉妹もやる側として、今を楽しんでいる。まぁこのかさんは調子に乗って殺されたけどね。」 「…」 「楓さんが辞めたいと言うのなら、私は止めない。でもその代わり、鳴滝姉妹はやる側からやられる側に一変する。ただそれだけ…」 「そこまでだ!!」 突然、茂みのほうから龍宮真名が姿を表す。 「楓、クナイを捨てろ。」 龍宮の瞳孔の開いた目が楓を捕らえる。 楓のクナイは少女の首筋にまで伸びていた。 観念したのか、その場にクナイを落とし、龍宮に背を向け、何も言わずに歩いていってしまった。 「すまないね、龍宮さんのおかげで明日菜さんを奪還できたよ。」 「お前も無茶な事をやらせる。明日菜だけに見える様に銃をちらつかせてパニックにさせるのは大変だったぞ。 おまけに、訳の分からない男に攻撃された。」 龍宮の右手に巻かれている包帯が真っ赤に染まっている。 「訳の分からない男?」 「ああ、まぁ少しだけ武に心得のある優男って所だろう、恐らく楓と互角くらいだな。」 「ほう…。」 少女はどうでもいいという顔で、龍宮の話を聞いている。 龍宮が少女から謝礼金を貰って消えたあと、少女は倒れた墓石をジッと見つめていた。 きれいに加工された石には、近衛と彫ってある。つまりここは近衛このかの墓なのだ。 供えられた花は枯れ、線香を置く銀色の器は線香の灰で小汚なくなっている。 「憐れ…、近衛このか。人は死んでしまったらもうおわり…、もう学校の時の様に威張る事も出来ない…。」 そうして少女は憐れな墓石に背を向け、歩いていった。 「あ、そうそう。」 突然、何かを思い出した様に振り返り、 「憐れなアナタに免じて、ネギ坊主と刹那サンには、黙ってておいてあげるネ。感謝するヨロシ。」 少女は気絶している明日菜を拾い上げ、姿を消した。 「あの…、刹那さん。明日菜さんとこのかさんの事についてなにか心当たりがありますか?」 「いえ、私の前ではそのような素振りは…。」 誰もいない世界樹公園。その真ん中で二人は地に座りながら異常に巨大な世界樹を眺めている。 「もしかして…、知らないの、僕たちだけですかね…?」 「明日菜さんの様子を見るとおそらく…」 季節に似合わない冷たい風がふらりを包み始めた。 苛【いじめ】
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まき絵日記 修学旅行編
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あとがき(チラシの裏) とりあえず、このお話はこれでおしまいです。 SSを投下するのはこれが初めてなんで、いろいろ文章が稚拙だったり、表現が下手なところがあったかもしれませんが、 これでも精一杯頑張ったつもりです。 まぁ心残りなのは、 458を完全に見落としていたことと、第7話で 760を入れようとして、すっかり忘れてしまったことでしょうかw。 ちなみに、朝倉と美砂とハルナの腕力の設定についてですが、 原作ではこの3人の運動能力についてあまり触れていない プレステ2のネギまのゲームでの能力 俺の脳内設定 以上の3つを考えて、朝倉>美砂>ハルナという順にしました。 ちなみにゲーム持ってない人のために言うと、 プレステ2のゲームでの3人の運動能力(といっていいのかな・・・)は、朝倉>>ハルナ>美砂になってます。 (攻略本では朝倉を「隠れたアスリート」、ハルナを「やや良い」と評価していました。まぁあくまでゲーム版での話なんですけどね。) 一人でも多くの方に楽しんでいただけたら幸いです。ご愛読ありがとうございました! 亜子「あーでも良かった。最近のこのスレの空気からして、ウチもターゲットにされるかと思ったわ。」 このか「いや、まだまだわからんで~。」 亜子「うえっ!?でも、『早乙女ハルナの憂鬱』はこれでおしまいやで!?」 このか「『和泉亜子の消失』があるんとちゃう~?」 ――――ないないwww おしまい