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真っ白な砂浜、底まで見えそうなくらい透き通る青い海、そして雲ひとつない空。 俺の遊び場には、今日もあの人が来ていた。 誰かを待っている訳でもなく、ずーっと海を眺めているだけ。 長い髪を海風に靡かせながら、その人は立っていた。 「ねえ、なんで毎日ここにいるの?」 気になって仕方がなかった俺は、ついにその人に声を掛けた。 長い髪がふわっと舞いながら、その人はこちらの方に体を向けた。 その人を見た俺は、一瞬どきっとした。 誰もが見とれてしまうような絶世の美女、という表現がふさわしいだろう。 砂浜と同化してしまいそうなその白い肌は、俺たち自慢の海と同じくらい透き通っていた。 彼女の薄いピンク色の唇が動く。 「ここのね、景色が気に入ったの。」 そう一言だけ言い、再び海のほうを向いた。 「そりゃそうだよ!ここの景色は日本・・・いや、世界一だぜ!」 俺は自慢げに言う。すると彼女はこちらを向き、ふふっと笑った。 「私もそう思うわ。今まで色々な所を歩いてきたけれど、これほど心に残る所はなかったわ。」 「お姉さん何やってるの?」 僕は無邪気に質問をする。 まだこの頃は、彼女がどういう立場、心境にあったのか全く露知らずだったからこんなことがいえたのだろう。 「私?・・・色んなところを・・・旅してる人・・・かな?」 「どうして旅してるの?」 「自分探しの旅なんだろうね・・・きっと。」 「自分探し?」 「私ね・・・元々は男の人だったの・・・でもね、ある日突然女の子になっちゃってね・・・」 彼女はゆっくりと話し出した。 どこか遠くを見つめている。何かを思い出しているのだろうか。 俺は彼女が何を言っているのか理解できていなかった。 まだ女体化という言葉すら知らぬ時期であった。 「あ、まだ君には関係のないことだったね。」 そう言うと、彼女は屈みながら俺の頭をわしわしと撫でた。 当時6歳であった俺は、素直に喜んだ。 「いずれ君にも来るよ・・・分かるさ・・・」 何処となく寂しそうな表情をしていた。 「また会えるといいね。」 そう言い残して、彼女は港のほうへ歩いていった。 夕暮れ時の海岸。波の音だけが俺らを包んでいた。 それから10年後、俺は女となった。 漁師である親父の仕事を継ぐことを夢見ていたが、本当に夢となってしまい、女体化した日は一日中泣いていた。 翌日、途方にくれた俺はいつもの場所に向かった。 彼女と出会ってから10年間、毎日欠かさず立ち寄っているあの海岸だ。 夢や希望を失った俺は、砂浜に寝転んでいた。 雲ひとつない空が広がっていた。 「ここも変っていないわね・・・」 ふと後ろから声がする。 地元の人のしゃべり方ではない。 どことなく懐かしいその声。聞いたことがあった。 俺はその声をするほうを向く。 するとそこには、10年前に出会った彼女が立っていた。 彼女は相変わらず美しかった。 あのときから10歳も年をとったとは思えないほど、若々しかった。 俺は懐かしさと不安な今の状態が相まって、寝転んでいた体を起こし、彼女の方に走っていった。 彼女は俺の行動に驚き、少しばかり後ろに仰け反る。 一体何が起こったのか分からないような感じであった。 「あの・・・10年前にもこちらを訪れませんでしたか?」 「え・・・ええ、訪れましたけど・・・?」 突然の質問に驚きを隠せない彼女。 俺は間髪いれずに質問をした。 「10年前に、ここで出会った少年のこと、覚えていませんか?」 彼女が覚えていないことは百も承知で聞いてみた。 10年も前の話、まして10分くらいしか話してない俺のことなど覚えている訳がない。 「もしかして・・・あの時の少年ですか?」 なんとも、覚えていたのだ。 彼女は驚きながら聞いていたが、驚いているのは俺のほうだった。 「女体化・・・しちゃったんだ。」 少し苦笑いしながら言う。その表情にはどことなく懐かしさを感じさせるものがあった。 俺は今の心境、そして今後どうしていったらよいかなどを彼女に話した。 「私ね、旅をする前はあなたと全く同じような考えをしてたの。 すっごく後ろ向きで、なーんにもやる気が起きなかった。 でもね、何かをやらなくちゃ始まらないよ、って言われたの。 それから私は自分探しの旅を始めたの。」 そう話す彼女。10年前に見たときより、表情に力強さがあるように感じた。 旅をしてきて、彼女は彼女なりに何かを見つけたらしい。 俺も見つかるものなのか、と聞いてみた。 「あなたの努力次第ね・・・」 彼女は何かを考えるように上を向き、そして俺にこう言った。 「・・・あなたも旅に出たら?」 船の汽笛とともに、すうっと心地よい風が駆け抜けた。
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374 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 00 07 59.16 fuWbwRjt0 「あはは、それは確かに大変かもだねぇ。」 「ちょっ、笑い事じゃないですよ。」 「だいじょぶだいじょぶ!気にしなければ無問題」 「変におろおろしてる方が逆に駄目だと思うネ」 「そんなもんですかね」 「そうそっ。もっと他のこと心配した方がいいよぉ。」 ―――以上、ユカリンに相談した結果。 「アンタなんかしようってんじゃないわよね?」 「なな、何言ってんだよ!」 「この年で女湯に入るなんて・・・」 「俺、今女だってば!」 「・・・なのよねぇ・・・」 「だからこうして相談を!」 「そうね、せめて前隠すのは忘れないこと。」 「はぁ・・・」 「女性らしく、つつましく!」 「へぇ・・・」 ―――以上、お袋様のアドバイス。 「おう、そうか、まぁ慣れるしかないだろう。」 「そうだよね。」 「ふーむ。(ジョリジョリ)」 「どうしたのさ?」 「うらやま――」 ―――以上、一般の中年男性の感想。 377 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 00 11 50.89 fuWbwRjt0 ウチの学園では人間関係や上下関係など、またその中での駆け引きなんかが重視されている。 卒後、社会では教養やそういうものがモノを言う、という見方かららしい。 その一環として年度の初めには、一・二年生のオリエンテーションが開かれる。 俺は、その行事中三回も訪れる『女子と一緒にお風呂☆』という甘く切ない響きの行為に、困っていた。 まだまだ俺の中身は男が抜け切っていない。 何故俺が女体化してしまったか。答えは簡単、童貞だったからだ。 さて、俺は女に興味が無いウホッなオトコノコでも、勉強やスポーツに打ち込みすぎて女が見えていなかったわけでもない。 当然、色恋沙汰が学校であれば噂を聞いて楽しんだ。 誰が誰に告白して砕け散ったとか、誰が誰と付き合って第三者が告白前に砕け散ったとか。 思い起こせば近しい男どもは彼女いなかったなぁ・・・ははは・・・・俺もだけど・・・ いや、今は自らの悲痛な歴史を振り返るときじゃない。 いまだ女を異性という区切りで見てしまうことに注目すべきだ。 クラスで隣に座る女の子の裸体をジロジロ見ないとも限らないし、いっぱしの女子高生らしく振舞えるかが重要である。 せっかく自己の平穏のために名前も変えて隠してきたんだ。 万に一つでもしぐさが原因で女体化がバレた、なんて馬鹿らしい。 俺はそれへの対処を身近な三人を相談していた。 379 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 00 16 49.95 fuWbwRjt0 以下は得られた成果である。 1.下手に意識しない。 2.恥じらいと共にあれ。 3.慣れる。 1は分かる。2もまま、日本人らしい。 3は・・・うん、まぁそうだねお父ちゃん。プロテインだね。 ゆうしゃ は くじけぬこころ を てにいれた! ごめん! うそだ! テクニックでなく気合を教えられたが、そんなんで納得しない俺は妙な同じ夢を見るようになっていた。 ふわふわとした世界の中、俺は女生徒群の中に紛れ、今まさに温泉に浸かろうとしていた。 熱めの湯の感触を感じながら女生徒を見回す。 おっと、これはおっぱい祭りって奴ですな。ふひひ・・・げふんげふん! 『おっきい』のや『ちっちゃい』のや『キレイ』なのや『ぺたん』なの、よりどりみどりだ。 南風には乗っていないのが残念だ。 うひょひょ、と鼻の下を伸ばしきょろきょろと見回す。 その時誰かが叫んだ。 「キャアアァァァ!コブラ!コブラが鎌首を上げてる!」 381 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/09(月) 00 23 16.16 fuWbwRjt0 コブラティックスクリーム(?)によってびくぅっ!と身体をはね、目を覚ます。 その後激しく拍動する胸に手を当て、現在あるべきふくらみと、現在あってはならないモノを確認し、 ああ、バレてない良かった良かった。と安心して寝ては、また同じ夢を繰り返し覚め・・・というループ地獄な日が続いた。 ああ。昔の俺がコブラだったかどうか、ご想像にお任せしよう。 俺の口からは怖くて言えない・・・ っていうか平均サイズって誰が何人分測ったんだよ! 畜生めが! そんな眠れぬ俺をよそに日付は進んでオリエンテーション前日。 「それじゃあ今から組み合わせ発表するからな。」 小林はそういうと名前、所属グループと読み上げていく。 はきはきとした声がフィルターを通してぼーっとした俺の頭に情報をねじ込む。 寝かせてくれ。 「相沢 『群青-3』 石田―――」 グループは『マゼンダ』『群青』『アイボリー』『漆黒』の四色のどれかの布地で、 1から30までの番号がプリントされたゼッケンで分けられた。 743 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 00 41 02.28 jR4TWlZF0 まぁ後回しで投下 ―――――――――――――――――――――――――――― サクサクと、微妙な色について以外ツッコミもなしで、バラバラの数字、色のゼッケンを手渡された。 ちなみに俺は『漆黒-14』を受け取った。 グループ公開を終えて小林はオリエンテーションの最終確認を始める。 「いいか、オリエンテーションだからって気を抜くな。毎年そのせいでケガ人も出てる。」 クラスがざわざわしだした。 いつも爽やかに薄笑いを浮かべる小林が神妙な顔をしていたせいだ。 どうやら真剣らしい。 俺の頭も「話を聞けモード」に意向した。 「詳しい事はいえないが、生っちょろいこと考えてるとただツライだけになるからな。(中略;この間五分) 各自、全力を出して頑張ること。幸運を祈る。」 そう締めくくって小林はHRを終了した。 なんだ?幸運をって。 それに最終確認の中でもプログラムの内容は全く知らされてないぞ? 生徒がつかんでいる情報は飯の時間と起床時間、あとは動きやすい服とジャージを持ってくるってことだけだ。 なにやらひっかかる小林の物言いに、むむ、と考え込んでいると、後ろから元気な声。 「みーかー」 ユカリ先輩が一音ごとにエクスクラメーションマークを伴って駆けてくる。 「やっ。元気?」 俺に追いついて背中をぺしぺし叩きながら話しかけてくる。 いつもどおりの笑顔に俺もつられて微笑み、はい、と応えてから 「先輩も元気そうですね。」と返した。 「そっりゃあ元気だよー 明日から、キミ、オリエンテーションじゃないのさー」 あなたは何事にも関係無くいつもお元気です。 745 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 00 44 11.92 jR4TWlZF0 そのあとすっ、と眉根にシワをよせ、 「ってかそろそろ敬語止めようよー とっつきづらいじゃん。」 と冗談めいた言い方をする。 とっつきづらいって本気だろうか? へぇ?と苦笑しながらそれでも俺は従うことにして 「うん。分かった」 それを聞いたユカリさん、すぐさま距離つめ、 「よぉ~し、よしよしよしよし.... 良いコだねぇ~」 ムツ○ロウさんの口調となでなでコンボ。 先輩の甘い香りのするホールドを感じながら、 『男が』やられたらたまんないだろうなぁ。うふふ・・・ なんてね・・・ しばしやわらかい感触を堪能した俺は、人が見てますってば、と振り払い、 やっとさっきから気になっていたことを聞いた。 さっきの忠告を思い出し、なるたけタメ語で、だ。 「明日からってどんなコトするの?」 先輩は質問に対しふむ、と下唇に人差し指を置いてから思案するようなしてないような顔をする。 やや間があって、やっと小首を捻ってから、ふふふと含み笑いとともに 「さあ?」 な、なんだってーー!? ―――て言わないのか。おいっ。 746 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/10(火) 00 50 09.23 jR4TWlZF0 Q;大変なの? 「どーでしょうね?」 Q;ご飯美味しい? 「神のみぞ知る、だね(キュピーン)」 Q;「バナナっておやつに入る?」 「お弁当箱の中なら入りませ~ん」 駄目だ。具体的なトコには触れずに完全にかわされる。 ユカリンはしつこく食い下がる俺をあしらうのが、これまたえらい楽しいらしく、 駅に着くころにはニコニコ三割増し(当社比)だった。 ふぅ、まあ結局何も聞け出せなかったけど、楽しかったし、いいさ。 なでなでで元は取ったし。 改札を通り、振り返ると改札の向こうでぴょんぴょん跳ねつつ、またねーっと手をぶんぶん振っている。 ホント元気だなぁ、あの人。 あ、おじさんに手ぶつけた。 はは、謝ってる謝ってる。 俺はその光景を思い出し、にまにましながら電車に揺られて自宅へと・・・ で、三夜連続おっぱい祭りの初日。 バスから降り、というより降ろされた俺達生徒は、 目をらんらんと輝かせた校長からとんでもないことを聞かされみんな困惑した表情を隠せないでいた。 「下手すると三泊とも屋外ですので頑張ってくださいね」 えーっと。祭りの心配は後でしたほうが良さそうだな。 242 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 09 57.68 ZtxBSrDj0 学生×泊りがけ×お楽しみ=【 】ときたら普通【 】の中には何が入るんだろうか。 枕投げか、女湯覗きか、他には猥談や恋バナで夜を明かしたりだとか。 教師に発見され正座させられるコトとなっても、笑い話となろう。それも一つのお楽しみだしな。 (作者はそれで足が痺れたまま歩いてコケて、足骨折したまま二日間過ごしてあげくに紫の風船みたいになってたから笑えなかった。) さて、ウチの学園ではカッコ内にどんな言葉が入るんだろうね。 「はぁ?知るか!」ってか?俺もそうさ。 ヴィトゲンシュタインの言うように、「語りえぬものには沈黙しなきゃならない」のさ。俺の口からはなんとも言えないさ。 さぁ、判断はみんなに任せて、コトの成り行きをお話しましょうかね。 我ら生徒は、オリエンテーションという名目の元、バスに揺られ移動した。 目的地は学園の所有している森らしい。 なんでも学園長の家系の地主が学びの場として提供したとかなんだとか。 高速道路を駆ける数百名の大所帯は一時過ぎに目的の場所へと到着した。 教師達の先導により、バスから降りて森の中へと歩いていく。 しばらく荷物を抱えてホテルはどこか、と視線を走らせながら歩くこと五分、一行は開けた土地に到着した。 森の中にぽっかりと空いたこのスペースには、朝礼台のような丸太で組まれた粗雑な台が一つ、しつらえてあるだけだ。 木々から抜け出したスクールメイツは一瞬広場を見渡してから、後続者たちに押されてこの空間に入っていく。 生徒全員がいることを確認してから、学園長は登壇なさった。 マイクを握り、軽く叩いてスピーカーとの具合を調べてから口を開く。 『おはよう、みなさん』 243 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 15 29.22 ZtxBSrDj0 主に二年生の間からおはようございます、と返事が起こる。 生真面目に挨拶を送る上級生に関心し、ふと目をやると、二年生はなぜかみんなジャージか野戦服のような色気の無い服着ている。 しかもみんな妙に顔付きが真剣。なんでだろう。 挨拶を聞きとめ、全員におじいちゃん笑顔を振りまいた。そして増幅された声を皆に伝える。 『下手すると三泊とも屋外ですので頑張ってくださいね』 話が、全く見えない。 活き活きとした我が学園のトップは、これまた目をらんらんと輝かせて話を続けようとしたが、ここで女教頭が壇上に躍り出てマイクをひったくる。 そして女教頭は顔にかかる髪を軽く払ってから、キリリとした眉を微塵も動かさず話を始める。 『えー、それではこの行事について説明します』 入学式当日、生徒並びにその保護者達に見せた威厳はどこへやら、学園長は子供っぽく教頭ふくれっつらを向けている。 それを尻目に平然と説明を始める女史。毎年こんなことやってんのか。 『わが学園のオリエンテーションとは―――』 四色に分けられた組でポイント争奪戦を繰り広げ、半日ごとに順位で宿や食事が決まるシステムだそうな。 ランダムに決められた組み合わせでいかに動くか、いかに団体に貢献するかという 柔軟に人間関係を築き、社会に出てから役立つ経験を云々かんぬん――という目的でこの行事は行われているらしい。(うろ覚え) 宿と食事は大まかに、順位によって次の通りとなる。 一位 ホテル(二人部屋) 洋食のコース料理等 二位 ホテル(四人部屋) バイキングスタイル 三位 ホテル(大部屋) 弁当支給 四位 屋外(テント) 自炊(食材は学校で用意) 『―――ということで健闘を祈ります』 244 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 20 43.51 ZtxBSrDj0 ざわ・・・ざわ・・・と生徒間に不安が伝播していく。 「テント!?あたし枕無いと眠れないよ・・・」 「なんだよそれ、格差ありすぎだろ・・・」 「大部屋って・・・男子も一緒?ありえないんだけど」と生徒口々に思ったことを呟き始めた。 といってもそれは一年の間だけで、当然去年も経験した二年生達は次の言葉をじっと待っていた。 経験者は背中で語っている。種目はなんだ、と。とっとと種目を話せ、と。 教頭からマイクを返してもらってぱっと顔を輝かせた学園長はやっとプログラムを告げた。 『一日目、種目は「狩り」です。それでは、グループに別れて準備を始めてください』 役目を終えた校長はニコニコと生徒を見つめるのみである。 詳しい事はそれぞれで聞け、ということらしい。 俺もその言葉に従い『漆黒-14』のゼッケンをバッグから取り出し、同輩を探し始めた。 で、グループに分かれて俺は自らの額をパシンと叩いた。 「やっ。美香!」 け っ き ょ く 同 じ 班 な の ね 。 『漆黒-14』には俺を除き、男子生徒二名、女子生徒二名で構成され、女生徒のうち一人は何を隠そう、藤井ユカリ先輩であった。 いやぁ、すごい偶然もあったもんだ。つかランダムってウソだろ。絶対。 245 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 26 08.33 ZtxBSrDj0 デコに手を当てた俺を無視し、ユカリンは男子生徒の片割れを紹介し始めた。 「こちら、二年のナオタ君」 よろしく、と紹介された男子は手を差し出す。俺もその手を握り返すと、 「青山直太です。蓮本さんだね?」 ああ、もうこっちのことはある程度伝わってるのね。笑顔ガールが女体化までは伝えてくれてないと信じよう。 「ナオタ君は剣道部員で今回は、きみ、班長さんだから偉いんだよ?」 「ははは」 185cmはかたいと思われる長身のナオタ青年は、清涼感溢れる人物で、水洗便所のように清らかな声で笑う。 「偉い偉くないはともかく、これから四日間よろしくね」 整った歯並びを見せつけてから、会釈をする。 残りの人員については、俺が合流する前に自己紹介を済ませたらしい。 ユカリ先輩が無礼にも、もとい無邪気に指を指しながら名前を教えてくれた。 男子は鈴木亮輔、一年生で中肉中背の、良くも悪くも特徴の無い平凡な生徒。 そして女子は、村上遥という無表情だが端正な顔立ちでショートの栗毛が似合う一年生。 結構な上玉・シッダールタだ。すまん。流してくれ。 「ども、スズキッス。よろしくお願いします」ぺこぺこしながらスズキが言う。 ちょっと間を空けて、自分の番だと自覚したハルカちゃんは下を向いて 「ボク・・・その・・・・よろしく」と言ってぺこりと頭を下げた。 そして、俺、と言い掛けた口をいったん閉じて、「私は蓮本ミカ。よろしくね」と握手を求めた。 スズキは赤面しながらそれに応え、ハルカはちょっと握って、さっと手を引っ込めた。 なんだ。無愛想だな。 程なく先輩達のリードの元、あらかた各組のグループ内での自己紹介が終わり、各色の組長達が声を張り出した。 「俺はーマゼンダのーー!」「ボクはーー!!」「しっこk――」 あああ、うっさい。割愛しよう。 246 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 28 29.11 ZtxBSrDj0 組長の文字通り激しい激励に続き、各員にメッシュ地のキャップとタグが二枚、それぞれ配られた。色はもちろん、各組の色に対応している。 先輩方の話によると、『狩り』の標的はお互いのタグとキャップらしい。 各組、1000の持ち点からスタートし、『狩り』中では終了時に手元に残ったそれらの数でポイントが増減されるそうだ。 「タグ一枚が五点で、帽子一つで十五点。組長の班はそれぞれのポイントが4倍加算されるから、結構大きいよ」とナオタ先輩。 「自分の帽子が取られたら、キミ、狩った得点半減だから気を付けてね」とこちらはユカリンだ。 お二人とも目に力がこもってます。 『開始まであと一分です。各自、準備を終えて下さい』突如スピーカーが叫ぶ。 「ちょ!」 まだ自分ジャージですらないんですが! 急いで余分な荷物をバッグに詰め込み、ゼッケン、タグ、帽子をつける。 「髪結ったほうが良いね」とユカリンが帽子を被る前にゴムでまとめてくれた。 「ほらっ似合ってる似合ってる!」ぱちぱち手を叩きながら喜ぶユカリン。 「そ、そうですか?」 「ほら、また敬語!」びしっと指を突き出す。 「あ、すいま・・ごめ―――」 247 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/11(水) 21 31 42.84 ZtxBSrDj0 『10秒前』 「二人とも始まるよ!」ナオタ先輩だ。 「ごめんごめん!」 「さぁ集中集中!!」 熱いなぁ。 『5秒前』 「そういえばこれ、何分やるんですか?」ナオタ先輩に訊く。 「何分?・・・えーと」 「えーっと」先輩二人で顔を見合わせ考える。 『2・・・1・・・スタート!』 周りが駆け出し、漆黒-14も走り出す。 そして森へと突っ込みながら二人が同時に叫んだ。 「「たぶん300分くらい!」」 「え?は?ちょ!」 542 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 00 52 27.52 kpJI6SG50 木々の間に、班とはぐれたらしい男二人がうろついている。 片方の男が興奮して声をあげた。 「おい、見ろよ!帽子が落ちてるぜ!」 「ホントだ。間抜けが落としていったんだな」 「これで十五点ゲッ―――」 ずぼっ 「「なっ!落とし穴!?」」 気持ち悪いくらいにハモる二人組に声が降って来る。 「いやぁ、悪いねぇキミ達?」 そして木の上から女子生徒達――ユカリンと俺だ――が降って来た。 「「お、おんな!?」」 気持ち悪いくらいにハモる二人組をよそに俺達は距離を詰める。 「じゃっ、これもらってくね☆」 とユカリンはぴっぴっ、とマジックテープをはがす音をさせて、二人からタグを奪い、次いで帽子も手中に収めていく。 最後に、囮の帽子のホコリを払って持ち去る。(以上、ユカリンの行為は全て眩しい笑顔で行われた) 気持ち悪いくらいにハモる二人組は落とし穴に腰まではまり、ぽかんと口を開けてそれを見送った――― ―――今から約三時間前。開始から十分後、やっとのことでスズキ、ハルカ、俺は息をついていた。 二人の先輩はハイペースで、全員が顔から汗を滴らせる。 着替えやらなんやら詰まったバッグをそれぞれ持ってのランニングだ。キツいのなんの。 俺はと言うと久しぶりのランニングに足の裏がつりそうになっていて、スズキはぜぇぜぇと犬のように息を吐く。 そしてハルカは水筒を両手で持って可愛らしくこくこくと飲んでいた。 545 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 00 55 39.04 kpJI6SG50 ナオタは周りを警戒してから口を開いた。 「これから、僕達の班はトラップを張る」 「そんなのやってる内にこっちが狩られちゃいませんか?」 俺はそんな悠長な、といった口調で尋ねる。それを支持するように 「そう・・・っすよ。蓮・・・本さんの言う・・・とおりっす」とスズキ。 息を整えながらしゃべるコイツの顔に、俺への微妙な下心が見え隠れするが目をつむってやろう。 そして四人が最後の一人の意見を聞こうと視線を集める。 「・・・」 「・・・」 「・・・?」(←視線にやっと気づいた) ハルカちゃん。キミは特になにも無さそうだね。うん。 しばしの沈黙をものともせずに 「その辺は組長とすでに話し合ってるから大丈夫」 とにっこりと笑ってナオタは説明を始めた。 「まず、漆黒はさっきの広場から数十m毎にゲリラを備えてる」ゲリラと来たか。 来る時にデカイ森だとは思ったが、作戦の話を聞くと脳内MAPがさらに拡張される。 「選ばれたのは二年のみで、かなり動ける奴ばかりなんだ」 「撹乱して時間を稼いでいる間に、キミ、トラップを仕掛けるってわけさ」 説明の後で俺とユカリ先輩、スズキとハルカちゃんとナオタ先輩の二手に分かれて動くことになった。 二人きりになってからユカリンは自分のバッグをごそごそ漁り、中から長物と衣服を取り出した。 「『ここ掘れスコップ』ー!と『コレ着ろジャージ』ー!」 「・・・・」 わぁい、ドラ●もん、道具に夢が無いよ。 546 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 00 59 24.94 kpJI6SG50 そして今。 「いやいや、今年の男の子は無用心だね~」 大漁、大漁、と狩った獲物を握り締めながら上機嫌に話すユカリン。 既に八人の生徒を陥れた俺達、悪女(?)はそこそこの得点を稼いだ。 「うおっ!?」 「ぬふぅ!」 「ひでぶっ!」 「罠じゃ!これは孔明の―――アッー!」 と腰までハマる彼らから着実に二人ともゼッケンがタグで埋まっていた。 狩ったタグはゼッケンに貼り付けで、自分のじゃないキャップは手持ちなので今は二人ともごちゃごちゃした格好だ。 それもこれもゲリラ部隊が上手いこと他の班の戦力を分散させ、トラップの効果を上げていたからだ。 しかし時間を稼がれても、落とし穴はそう簡単に掘れるモノじゃない。 普通の人の場合は、だけどな。 女体化によって俺が怪力を得てから三週間強。 俺の怪力もいまでは『ちょっと力持ち』くらいに抑えられるようになっていた。 柔らかめの地質も助けて、最初の二時間で四箇所、大人二人はゆうにハマる大きさの落とし穴を掘ることができた。 各所の落とし穴にカムフラージュを施し、木の上や草陰で待ち、まんまと狩って立ち去る。 そして振り切ったら戻って仕掛けなおす、というイタズラのような一時間が過ぎていた。 隠れて仕掛けての繰り返しだが、だんだんとハイになってきた俺は、 缶蹴りやケー泥(ユカリンいわく「泥ケーじゃないの!?」)を思い出した。 547 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 01 02 31.40 kpJI6SG50 懐かしい雰囲気にふけっていると、突如どこかから「藤井さん」と声がする。 そして声に続いて、すっ、と木の陰から姿を現したのは、ナオタ先輩だ。 「やっナオタ君!そっちはどう?」上機嫌を振りまいて藤井さんことユカリさんは返事をした。 ナオタ先輩はスズキとハルカちゃんをどこかに待機させているらしい。 「タグ7にキャップ3。スズキ君が見つかってキャップとタグを取られたって言ってた」 「ハルカちゃんは?」 「うん。上手くやってくれてる。かなりの活躍ぶりだよ」 上手くやってる、の意味や他に訊きたいコトを後回しにして、俺は最優先だと思う事項について口を開いた。 「そろそろこっちは引き時みたいです」 明らかにトラップだ、と勘ぐる二年は別として、狩られた生徒同士に情報が伝わり始めたらしく、 いまやここら一帯に生徒はほとんど近寄らない。 ふむ、と口元に手をやるナオタ先輩。 「そうだね、それじゃ本隊と―――」 ぱきっ。 俺達三人の近くで枝を踏み折る音がする。 三人ともぎくっと身をこわばらせ、即座に俺達は音の方向に身構えた。 カンフースターの構えで男一人女二人が見やると、なんてことない、味方だ。 「・・・あの」ぽつぽつと言葉を繰る栗毛の女生徒、ハルカちゃんがそこにいた。 俺達はほっと胸をなでおろし、ナオタが声をかける。 「どうした?スズキ君は?」 「えと・・・置いてきました」 へっ?とユカリンが声をあげる。 「どうしたの?何かあった?」と心配そうな顔で訊く。 「その・・・燃えてます・・・」 確かにウチの学園の上級生は大半がすごい燃えてるよな。 不燃ごみに出したら怒られそうなくらいに。 548 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 01 04 28.37 kpJI6SG50 「へぇ?もえ・・てる・・?」 俺と同じく理解できないらしく、ユカリンが呟く。 「村上さん、なんか見えたの?」こっちはナオタ先輩だ。 「その・・・組の本隊が・・・燃えてます」 ナオタとユカリンがぎょっとした顔をしてハルカに近寄る。 「どどど、どっちの方?」といつになく真剣な顔でユカリンが問うと、ハルカはすぅっと指を木々の中に向ける。 まさかこのコちょっと電波なコなのかしら。 しかしそちらを一瞬見たナオタ先輩は俺とハルカちゃん二人に向き直って、こう叫んだ。 「二人とも着いて来て!」 わけの分からぬ俺をそのままに中距離走を敢行しようとする先輩方。 ちょっとちょっと、訊きたいコトが結構ある。 本隊って何よ? なんでハルカちゃんの言葉そんなに信用するわけ? 俺はあるかどうかも分からない火事場へとダッシュしてる間に、質問をぶつけようと試みた。 が、あまりにもペースが早く、走っていると脳みそより脚に酸素が送られ、結局すっかり忘れていた。 「美香っ!」 横から出てきた他の組の生徒を目の端で捉え、ユカリ先輩が「やっちゃって」と俺に声をかける。 俺は初日に力を見せびらかすなとか言っていた張本人がこんな事言うなんて、と思ったが、 ウインクしてから俺にだけ聞こえるように「緊急事態☆」と呟いたので結局は従った。 ふう、やれやれ。走っているので返事をする余裕はない。俺は代わりに行為で示した。 549 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/14(土) 01 06 03.23 kpJI6SG50 「せいっ」 「うぼっ!」 ゼッケンのタグに伸びてくる手を払いのけ、軽く握った拳を鳩尾に押し込む。 走っているので例の怪力はかなり抑えておいた。 「次っ!」 「はいなっ」 「ぐ!」 「今度は右!」 「やっ」 「ぶふぉっ!」 それにしてもこの女体化男、ノリノリである。 そんなこんなでようやく着いた途端、俺は思わず熱気にむせた。 そこでは生徒達が火と戦っている最中だった。 ―――――――――――――――――――――――――― 今回はここまでです。 792 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 01 07 35.96 wiUcNzDz0 「いや~!わりぃわりぃ!ちょいと小腹が空いたんでウィンナーでも焼こうかとしてたら火が風で飛んじまってよぉ!」 ガハハ、と笑い飛ばすこの大柄かつ土方焼けの兄ちゃんは漆黒の組長、黒岩鉄夫。 あぐらをかきつつ頭をボリボリやり、灰で黒くなった顔でナオタ先輩を見上げている。 「何言ってんだよてっちゃん!ウィンナーどころか生徒がこんがりになっちゃうとこだったろ!?」 ナオタがハンサム顔を赤くして声を荒げている。 「男子生徒が焼けてたら、その股から一本ずつウィンナーが採集できたな!それともキノコか?ぶははは!」 「~~~~!!!! お前って奴はぁぁ!!!!」 「まーまー、誰も怪我人出さなくて良かったじゃない」 とユカリンが二人に割ってはいると、すすけた顔の黒岩は 「全くその通りだ藤井!焦ったのなんのって!」とまた笑い始めた。 コトの発端はてっちゃんの言うように火の不始末だったそうな。 『狩り』中は、ほとんどの場合組長の班を中心に何班かが本隊と呼ばれる陣を作るらしい。 本隊の役割は次の三つ。 ・組長の班を守る ・作戦の指揮を取る ・組員の水分や栄養を補給する 長丁場を乗り切るためにどこからとも無く生まれ、もはやほとんど伝統となった制度だそうだ。 そして上記の「栄養補給」の項目を果たそうと組長自らが率先して頑張り、結果火事もどきを起こしてしまったという。 やれやれ・・・なんだかなぁ。 ―――鎮火してから数十分後。 アナウンスで狩りの『打ち切り』が伝えられ、生徒は始めの広場に集まった。 俺達のトラップやゲリラの成果もむなしく漆黒はボヤの責任を取って屋外泊が決定された。 トップは、本隊を組まずにガンガン攻めまくったマゼンダ。そしてアイボリー、群青と続く。 本隊とか組まない方が勝てたんじゃねえか。という思いを俺に植え付け、一同解散。 793 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 01 10 35.94 wiUcNzDz0 790おやすみだみゅん ―――――――――――――――――――― 最下位以外は宿泊施設に移動を始め、残された漆黒組は肩を落としげんなり顔でぶつくさ言っていた。 それを見て黒岩は、漆黒の生徒全員に声を張り上げる。 「すまねぇっ!全くもって俺のせいだ!文句やなんかはちゃんと受け止める!悪かった!」 そういって、ずざっと音を立てつつ土下座の体勢をとり、「この通りだ!」と叫ぶ。 急な行動に驚いた生徒一同は、雑談や文句を一切止めた。 そして言葉を受けた上級生達は、やや間をおいてから(最下位の元凶の)てっちゃんに感涙し始める。 「気にすんなてっちゃん!」 「点差が開いたわけじゃないよ!」 といろんなところから大声が上がった。 その間一年はちょっと引いていた事は言うまでもない。 土下座を解いた黒岩は「おお!心の友よ!」と駆け寄る組員を抱きしめ、 そして今度は自身が組員に胴上げされ・・・っておい。どこぞのガキ大将とB組が混ざってるぞ。 しかもガキ大将はいやに鼻につく映画版の方だ。 あー、くさいくさい。 それから、持ち直した黒岩は張り切ってテント設営を開始した。 時刻は六時半。 ほとんどの生徒が自分達の寝床を確保し、広場がテントで集落と化した頃、俺はというとぐったりしていた。 「ぐはぁ・・・」 トラップ待ちをしていたとは言え、非日常的行動が多くて足が鉛のように重い。 春先の爽やかな風が無ければ気が参って死んでしまうだろう。 テントに入って休もう・・・として俺は、腕を掴まれた。 794 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 01 14 56.47 wiUcNzDz0 掴んだ主は誰あろう、にこっとしたユカリン。もう片手にはハルカちゃんをぶら下げている。 そして「美香っ、行くよっ」とハルカちゃんと俺を引っ張ってぐんぐん歩き出し始めた。 「ねぇっ、ちょっ、どこ行くの?」 周りを見るとタオルや服を持った女生徒が同じ方向に向かっている。 「決まってるでしょ?」 振り返って笑顔を向けてくる。 「オ・フ・ロ☆」 「お・・・」 「そう、お風呂。行くよっ!」 ぐいぐい 「・・・♪」 心なしかハルカちゃんの無表情にもうれしそうな色が見える。 無言で掴まれていない腕でガッツポーズをとる。 こんだけ疲れて、そんでも屋外で寝ることになったんだ。 女体化バレだとか、もはや知るか! そんなんは脇に転がしておいて、おっぱい祭りを楽しまなければどこで元を取る! ここに来る前に心配していたオパーイ祭りが、今!俺の脚に羽を付けた! 795 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 01 18 11.93 wiUcNzDz0 「どこにあんの?」 ハイになって俺は自然なタメ語で話かける。 「あっちの山へちょちょっと、ね」 山、と言われたが、ろくすっぽそれを見ないで返事をする。 「はいはい、わっかりましたぁ!」 「・・・♪」 サクッと着替えの準備をしに戻って、聖地へと向かいました。 おそらくそれぞれに違う意味の笑顔で。 てなわけで土臭さとはやっとおさらば☆ 次回「ドキッ!女だらけのおっぱい祭り!」をお楽しみに☆ 870 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 14 17 04.56 wiUcNzDz0 ―――川のせせらぎをバックに歩くこと十五分。 森や山の麓の足場が悪いので、距離に対して時間がやたらとかかったが、ようやく到着。 そして俺はその場で鼻血を吹きそうになった。 屋外組のみ露天風呂が自然の温泉で、湧き出る温泉は広く深く、そして脱衣場のようなモンが無い。 つまりはみんなが服をそこらで普通に脱いでいたのだ。 しかもタオルで体全体を隠しているのはホントに数人で、一年生と思しき女の子達だった。 若い肌が揉んだり触ったり泳いだりで大賑わいだ。まさにおっぱい祭り!なのだが・・・ 「はいはい、そこの一年生。女同士なんだから隠さなくてもいいじゃない」 「えっ、は、はぁ」 ちょっと離れて服を脱ぎだした俺は上級生にやさしく声をかけられる。 そう声をかけてくれた先輩もまた、タオルでバミューダトライアングルのみ隠している。 俺は結局祭りの会場に来て、情けないことに萎縮しまっているのだ。もちろん息子の話ではない。 にごり湯で無かったら鼻血を盛大に吹いていたかもしれん。 盗み見てやろうと思うのは隠れているからあって、いざ目の前にさらされると目のやり場に困る。 チラリズムの分からない連中には分からないだろうけど。 堂々とした女傑達に俺は畏敬の念を感じるよ。ホント。 もちろん、可愛い所だけを集めたメンバーというわけではない。 逆の意味で凄いのも何人かいる。 外見で判断するのはよろしくないとは思うが、しかしその辺は、ほら、ねえ? フィルターかけて見ないことにしてるわけよ。 872 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 14 21 35.35 wiUcNzDz0 ちなみにユカリンは、ばばっと脱いでとっくに温泉にダイブしていた。 「ほああぁ~ びば・おんせん~」 「こーらっ、ユカ!アンタせめて体にかけ湯するとか気にしなさいよ!」 「いいじゃ~ん。無礼講だよぉ~」 注意をものともせずに、今は仰向けに浮かび、胸を救命ブイさながらにふわふわと・・・。 母さん、恥じらいなんてもんはとっくに日本から消えてるよ。 いそいそと服を脱ぎ終わり、やっと湯船に入る。 深いので立ったまんまでエントリー。じわっと熱が体を包む。 「「はああぁ~」」 誰かとため息が重なる。 そして目が合い、笑いかけられた。大人びた巨乳さんだ。 「はじめまして」 「は、はじめました」 はっ、日本語がっ。 そのヒトは俺の言葉にクスクス笑って、 「アンタ名前は?」と訊いてきた。 美香です、と自己紹介すると、 「そう。一年だよね?あたしも一年なんだ」 「えぇっ!?」 どうみても年上な彼女は、あたしは服部綾香と名乗りながら温泉を横断して来た。 水の抵抗で胸がふわりふわりと浮き沈みする。ポイズンforアイ。英語に自信はない。 隣りに来て、天を仰ぎつつ話始めた。 873 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 14 25 21.75 wiUcNzDz0 「ホント今日は疲れちゃった。まさか初日にこんなんやらされるとは思っても見なかったなぁ」 「う、うん」 出るとこの出たボディが凶器にも匹敵するほどの何かを放ち、俺は圧倒された。 纏め上げた髪もうなじを文字通り必殺の業である。 ん?日本語がおかしい? いかんいかん、我輩は女である。名は既にある。 「服部さんは何やってたの?」 「本隊で給仕やってた。てっちゃんさんが火事起こすまでは、だけど」と茶目っ気たっぷりに言う。 っていうか、と言って普通の顔に戻って続けようとする。 「あたしのことは”綾香”って呼んでよ。中学でも何度も言ってきたんだけどさ、なかなか『さん』付け止めてくれなかったんだよ」 中学生の頃にすでにこれだけのオーラを持っていたってことか。凄いな。 「姐さん、とか言ってる奴もいて困ったよ。ほら、アタシ老けて見えるじゃん?」 「老けてる?」 「そう・・・だからあんまり友達もいなくてさ・・・」 深刻な顔をしてうつむく。しまった。地雷踏んだか? しかし、一瞬間を置いてアヤカが吹き出した。なんだ冗談か、とつられて俺も笑う。 そのあとやっと俺は返事をした。 「えーっと、それじゃ、よろしく・・・アヤカ?」 「うん、よろしくね。ミカ」 そして湯面の上に拳を出す。初対面なのに馴染みの男みたいなことをするな・・・。 俺はそれに軽く自分の拳を重ねて微笑んでから他愛も無い話に花を咲かせた。 俺は女になってから、初めて同姓の友達を作れた事にすぐには気付かなかった。 まぁ大切なことってのはすぐには気付かないもんだ。 ユカリン主催の「可愛い一年生コンテスト」なるものに引っ張り出されたせいもあるけど。 874 名前:安価命名 ◆bXy6n9iBgQ 本日のレス 投稿日:2006/10/15(日) 14 28 39.58 wiUcNzDz0 班の可愛い子を選抜し、自己紹介をさせたり、歌わせたり・・・ ニヤニヤと先輩達のイジワルな視線にさらされる。 「優勝は、蓮本美っ香ちゃーん!!」 で優勝してしまう俺。 素っ裸で岩場に立たされ、右手を審査員長のユカリンに掲げられ・・・ 外気に触れて寒い。っていうか俺の中で男が急速に遠ざかっていく(汗 やっと温泉に再び入り込む。 空は既に暗くなり、先輩一同が準備していたろうそくに明かりが灯っていた。 「ぷっ!アンタ大人気だね!」 早速砕けた様子でアヤカが近寄ってくる。 「寒いよぅ」とふざけてアヤカに擦り寄る。 「おおよしよし、可哀想なコだこと」ノリのいいコだ。 あんまり女の子と話している感じではない。 まさか・・・いや、まさかな・・・。 ふふっと笑ってから俺は呟く。 「アヤカって面白いね」 「アンタもね?」 そう言って軽く肩をぶつけてくる。 明るい先輩、新しい友達に囲まれた俺は、温泉とは別の理由で温かさを感じていた。
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8ページ目 レッド(マサラに戻ってきてしまった・・・) レッド(まあここが一番落ち着くし・・・) レッド「ただいまー」ガチャッ シーン・・・ レッド「留守か・・・」 レッド「グリーンの家に行こう」 レッド「こんにちはー」ガチャッ ナナミ「あら? レッドくん。戻ってきたのね」 レッド「戻ってきたといいますか、なんというか・・・はは・・・」 ナナミ「そっか。まあゆっくりしてって」 レッド「ではお言葉に甘えて・・・」 ナナミ「ちょっと待っててね。お茶入れるから」 レッド「あ、はい」 レッド(・・・ナナミさんって結構スタイルいいよね・・・) 31 Re レッド「安価でナツメさんにセクハラする」( No.31 ) 日時: 2014/03/23 22 48 名前: ああ まんこをさわる 次へ トップへ
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【ミリシタ】アイドル格付けチェック!【安価.コンマ】 執筆開始日時 2020/01/02 元スレURL https //ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1577892908/ 概要 ミリP(以下P)「……39プロジェクトを立ち上げてはや2年半。劇場のみんなも今やSランクになりました」 小鳥「そうですねぇ。みんな前代未聞のスピード昇格で嬉しい限りです」 P「しかぁし! 大スターに相応しい品格を彼女らが身につけているのか? 五流アイドルの器に収まっていないか?」 小鳥「もちろん、親しみやすさも大事ですけどね」 P「私は何としてでもこれを確かめたい……そこで小鳥さん、今日は彼女達の品格を測ろうと思います」 小鳥「名付けて……」 P小鳥「「アイドル、格付けチェック~~~!!」」 小鳥「いやぁ、まさかね! 正直話聞いた時は本当にやるとは思ってませんでしたが!」 P「エンタメは思い立ったが吉日なんですよ」 小鳥「エンタメって大変なんだなぁ……ところで、誰にやるのかまだ聞いてませんよ? 私」 P「すみません、あのとき彼女達の許可がまだ取れてなかったので……」 タグ ^音無小鳥 ^田中琴葉 ^矢吹可奈 ^春日未来 ^天空橋朋花 ^所恵美 ^二階堂千鶴 ^百瀬莉緒 ^水瀬伊織 ^三浦あずさ ^双海亜美 ^伊吹翼 ^最上静香 ^ジュリア ^伴田路子 ^双海真美 ^佐竹美奈子 ^玲音 ^黒井崇男 まとめサイト あやめ速報-SSまとめ- えすえすゲー速報 ポチッとSS!! SSまとめ SSびより wiki内他頁検索用 アイドルマスター コメディ コンマ シアターデイズ ジュリア ミリオンライブ 三浦あずさ 二階堂千鶴 伊吹翼 作者◆EshlTUewlHOp氏 双海亜美 天空橋朋花 安価 所恵美 春日未来 最上静香 水瀬伊織 田中琴葉 百瀬莉緒 矢吹可奈
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そう、まるでこの吹雪は悪魔の吐息。この山小屋に取り残された我々を、下界に帰すまいと荒れ狂う怒りなのだ……。 「一人で勝手にナレーションぶって悦に入るの止めてくれる?」 「失敬な。俺はあくまでこの状況を冷静に分析しようとしているのではないか」 「……冷静に分析して下山できるのなら、いくらやっても構わないんだけどね」 「はは、そう悲観するな」 「あんたは嫌に陽気ね」 「まあな。何しろ我々は別に、二人だけでこの山に来たわけではないからな。いずれ山の麓にいる先生や他のクラスメイトが気づくだろう。そうなれば明日にでも我々は下山できる!」 「っていうか、まさかスキー合宿で遭難だなんてマンガみたいな展開が起こるとは思ってもみなかったわ……」 「安心したまえ!俺がついている!」 「だから余計に不安なのよ!今日は仕方ないから一緒に一晩過ごすけど、私に何かしたらソッコー外に放り出すからね!?」 「心外な!この俺が君に手を出すと!?」 「え……、そりゃ、まあホラ、男の子だし?」 「この俺が君の目に、そこまで低劣な人間に映っていたとは…っ」 「あーもー!悪かったわね、謝るわよ!」 「ふふ、では仲直りと行こうか」 「はいはい。んじゃ、アンタもたとえ明日が16歳の誕生日でまだ童貞だったとしても私に手を出さないって誓ってよね?」 「………ちなみに今日は何日だ?」 「……………12月の22日だけど」 「…………………」 「………………………」 「……………………………ラブコメ的王道に沿えば、この山小屋で何が起きても不思議ではないと思わんか?」 「あんたを燃やして薪の足しにするわよ?」 12月23日の朝、『女性二人』が救助されたという。
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むかしむかし、ヨーロッパの某所に魔女が住んでいました。 その魔女は目立ちたがり屋でいつも魔女を主張していました。 ある日大規模な魔女狩りが行われました。 が、その目立ちたがり屋な魔女は処刑どころか相手にもされませんでした。 みんな魔女は中二病だと思っていたからです。 それに怒った魔女は15、16歳位までに童貞を捨てないと女体化する魔法をかけました。 が、それに気付かないみんなは突然女体化した人たちを魔女だと処刑しました。 そのとき処刑された女達の怨念で魔法は呪いと変わり、今でいう女体化症候群となりました。 おしまい。
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1.今日寝るのが楽しみだ。 なぜなら、明日は僕の誕生日だから。去年はがっかりした。何事も無く朝を迎えたから。 今年こそはと思うと、なかなか寝付けなかった。 2.今日寝るのが楽しみだ。 なぜなら、明日は環の誕生日だからだ。去年はがっかりした。何事も無く一日が過ぎたから。 今年こそはと思うと、なかなか寝付けなかった。 3.健ちゃんの家に向かう。 健ちゃんはチャイムを鳴らすとすぐに出てきた。 「おはよう。」 「・・・、た、環か?」 「うん。おはよう、健ちゃん。」 「環ぃ!」 「ちょっ、いきなり抱きつかないで。」 「環、可愛いよ、環。」 「健ちゃん・・・。へへっありがとう、嬉しいよ。」 4.でも、忘れてたよ僕は。ずっと誕生日のことを考えてたから。 幼馴染で。ずっと格好良くて。ずっと好きで。去年が駄目で、今年をずっと待ってて。 5.でも、忘れてたよ俺は。ずっと環のことばっかり考えてたから。 幼馴染で。ずっと可愛くって。ずっと好きで。去年が駄目で、今年をずっと待ってて。 6.少し小さくなった環を見下ろす高さは変わらなかった。 「誕生日、おんなじ日だったね・・・。」 「ああ。そうだった。」 「せっかくだったのにね。」 「ああ、まったくだ。」 7.でも。それでも。 大好きだから。 15、6年待てば許される。それだけで今日まで来た。 もう、待つ必要も無い。変わることはもう、無いのだ。 つないだ手から伝わる鼓動が嬉しくって、 自分の鼓動も少し加速した。 おしまい。
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今、俺は2人の幼馴染から逃げるために走っている。 ブラジャーもつけずに男物の服のまま走っているので胸が擦れたり揺れたりして痛い。 さらに、下校途中の高校生や遊んでいる子供が俺をガン見している。 だが、そんなことは気にならないほど俺は焦っている。 他人からしたらバカバカしい理由かもしれないが、今の俺にとってはかなり大切なことだ。 今から約10時間ほど前のことだ。16歳の誕生日の朝、起きたら俺は女体化していた。 まあ、することもしていなかったし仕方がないか。そうは思ったものの、やはり悲しい気分になる。 とりあえず、学校に女体化するため今日は休むと連絡をいれた。 それから女物の服を買いに行こうと思ったのだが、ここで一つ問題が生じる。 近くの服屋までそこそこの距離(おそらく1~2km)があるということだ。 さすがに下着もつけずに男物の服のまま長時間外に出て女物の服を買いに行くのには抵抗がある。 そこで、幼馴染の高橋早希に女物の服を貸してもらうことにした。 今からメールをしておけば家に帰ってくるまでには俺のメールに気がつき適当にサイズの合う服でも持ってきてくれるだろう。そう思い、早希にメールをした。 今思えば、これが大きな間違いだったのだ。 それから俺が女体化してから9時間後、つまり2人の幼馴染から逃走し始める1時間前、早希と、もう1人の幼馴染である山崎裕二が俺の家まで服を届けにきてくれた。 早希は両手に大きな紙袋を持っている。 ん?何で服を届けるのに裕二までいるんだ? 「服を届けにきてくれたのは嬉しいんだが……何で裕二までいるんだ?」 「なんでって……そりゃあ大親友の藤本明夫くん……いや、藤本明子ちゃんが心配だからに決まってるじゃないか。」 いつから俺は明子になったのだ。 「勝手に改名するなよ。身体は女になったとはいえ、心は男のままなんだからな。」 「まあまあ、私たち大親友なんじゃない。それに細かいことは気にしない気にしない。」 裕二も早希もやたらニヤニヤしている。何となく想像がつく。 こいつらは間違いなく俺が女物の服を着る姿をからかいにきたのだ。 まあ服を持ってきて欲しいと頼んだのは俺だしこれくらいは我慢するべきだろう。 「まあそれはともかく……どんな服を持ってきてくれたんだ?新しい服を買うまでの繋ぎとはいえ、やっぱり気になるしな。」 「ああ、その服だったら全部明子にあげるわよ。間違いなくあたしは着ないものだしね」 勝手な改名はともかく、どうやら服をくれるようだ。今度飯でも奢ろうかな。 そんなことを思いつつ早希から紙袋をもらう。 気になるのは2人の顔がずっとにやけていることだ。 まさか露出度の高い服でも持ってきたのか?なんてことを考えながら紙袋の中身を見てみる。 中からメイド服がでてきた。 …………………………は? まさかと思い紙袋を逆さにして中のものを全部出した。 出てきたのはナース、猫耳、その他コスプレ衣装etc…… 普通の服は数着しか入っていない。 それもやたら短いスカートなどの露出度が高いものだ。 なんとなく2人の考えが読める。間違いなくこの2人は俺にコスプレをさせる気だ。 チラッと早希の方を見る。 「当然でしょ?目の前に美少女がいるってのに。」 いや、理屈はおかしい。 「おとなしくしてろよ。すぐに立派なコスプレ美少女にしてやるからな。」 気がつくと後ろに裕二がいた。 まずい……! 俺は家を飛び出した。 「逃げたぞ!早希、追うぞ!」 「もちろんよ!」 家を出る時そんな言葉が聞こえた気がする。 そんなこんなで今俺は走っている。 かれこれもう30分だろうか、しかし体力のあった男の身体と違い、限界はすぐにやってくる。 オマケに向こうは二人掛かりだ。すぐに捕まるに決まっている。 諦めて捕まってしまおうか……ふとそんな考えが頭をよぎる。 いや、それだけは駄目だ。早希と裕二に捕まったが最後、元男として大切な何かを失ってしまう気がする。 「あ、明子ちゃん発見!」 やばい、見つかった! 力を振り絞って走り出す。早希相手ならまだ振り切れる可能性がある。女になったとはいえ元男だ。負ける訳にはいかない。 「裕二、そっちの方向に逃げたわ!」 どうやら2人は携帯電話を使って連絡をとっているようだ。 「そこまでやるか!?」 つい本音がでる。本当なら無言で走ればいいだけなのに。 「あたし、美少女にコスプレさせるのが小さい頃からの夢だったの!あんたか裕二が女体化したら絶対コスプレさせてやるってずっと思ってた!」 「このド変態がっ!!」 そろそろ体力もきつい。コスプレさけるにはもう一つしかない。 この2人に悟られないように家に戻り、鍵をかけ、コスプレ衣装をすべて捨てる。 それですべてが丸く収まるはずだ。 最後に早希を見かけてから20分後、なんとか俺の家に戻ることができた。家を飛びたしてから1時間は立っているが妙に懐かしいような、嬉しいような気分になる。 のんびりしている暇はない。さっさと家に入って鍵をかけなければ。 そう思ってドアを開けると、裕二が満面の笑みで立っていた ………………なんで? 男である裕二と元男である自分では勝てるわけもなく、あっという間に捕まえられる。 「くそ……お前ら、携帯電話で連絡を取り合って俺を追い詰める作戦じゃ……!?」 「最初はそのつもりだったさ。ただ、ついさっき早希からお前が家の方向に戻るって言われてな。俺が家でお前を待ち伏せることにしたのさ。」 どうやら俺の作戦は失敗していたようだ。 だが、俺が今考えるべきことはそんなことではなく…… 「裕二!確保したのね!?」 早希が帰ってきた。俺の死刑タイムスタート。 「早かったな。じゃ、さっそく始めるとするか。お前が帰ってくるまでずっと我慢してたんだからな?」 「じゃあ、まずこれなんかいいんじゃい?」 そう言って早希が取り出したのは俺が最初に見つけたメイド服だった。やたらスカートが短く、胸元が大きく空いている。間違いなく本物のメイドは着そうにもない。 「おい、早希。下着も忘れるなよ?こいつ走ってる途中もずっとノーブラだったはずだしな。」 そう言って裕二は女物の下着……すくなくとも俺にはただの紐にしか見えないが。 「な、なあ……2人とも……冗談だろ……?そろそろ話してくれよ……」 最後の抵抗だ。自分でも声が弱くなり涙目になるのがわかる。 だが、それが逆効果だったようだ。 「そんなわけないじゃない!さあ、覚悟を決めなさい!」 「あきらめろ!お前はもう明夫ではなく明子ちゃんなんだ!」 やたら目が輝いている2人が俺にせまる。 「おい、やめっ……!あわああああああ!!」 それから数年後、俺がコスプレに目覚めるのだが、今の俺や早希、裕二にはそんなこと知る由もない。 ~おわり~
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123 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 07 38 57.62 ID ZiS+xH/50 じゃあ 125 125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 07 41 12.75 ID 64AnSVYV0 忘れてたって言って 姉友にコンドーム 127 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 07 42 11.37 ID ZiS+xH/50 125 もう自分用のしかないけどそれでおk? 129 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 07 43 44.56 ID 64AnSVYV0 127 OK 135 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 08 03 59.04 ID ZiS+xH/50 「いやー晴れたね」 姉「寝ろっつったろ童貞」 友「せめてチェリーにしてあげて」 「あんまダメージ変わんないすよ」 姉「ってかこれもって帰れ」 「使えよ、大事だぞ」 姉「わかってるよ!」 友「大事だねー」 姉「食いつかない」 「ですよねー、あ、友さんにも渡すの忘れてました」 姉「なにしてんですか?」 「ゴムを贈呈してます」 姉「ほんと氏ね、そんでせめて肥料になれ」 友「wwんーいや、いらないかなーw」 姉「もう帰れ」 「大事すよ」 姉「わかってるっつってんの!」 友「www困るしね」 「そうですか、じゃあ姉ちゃんにやる、さっきのじゃたんないだろーし」 姉「どんだけ好きなんだよ」 友「そうなの!?」 「らしい」 姉「お母さん、ひろを殺します」 「宣言すんなよ」 でちょっと喋って戻ってきた、なんかもうちょいしたら寝るとかいってた どーしる? 140 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 08 10 56.18 ID 64AnSVYV0 クオリティをありがとう、って言って 姉と友に握手しにいけ。 姉は普通の握手 友は握手した後に、腕引っ張って抱きしめとけ 159 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 08 49 09.78 ID ZiS+xH/50 「ねーちゃーん」 姉「うるさい、何回も何回も来るな」 「なんで着替え中じゃないんだよ、お決まりだろ、空気嫁」 姉「そのまま返す」 友「お姉ちゃんすきだねー」 「冗談でもやめてください、吐き気がします」 姉「同じく」 友「www」 姉「こんどは何?」 「なんつーかクオリティをありがとう」 姉「は?クオリティ?何この手?」 「握手」 姉「なに企んでんの?」 「企んでないよ、早く」 姉「キモ」 「キモくない」 びびりながら握手しる 「友さんも」 友「うち?あ、どーもー、ってかクオリt」 引っ張って抱きしめる 姉「!!!」 「クオリティをあr」 おもくそ姉に引っ叩かれる 「痛いな!!」 友「えーーwwww」 姉「なにしてんのお前」 「友さんを、抱きしめました」 姉「冷やし中華、始めました。みたく言ってんな」 「落ち着けガリ」 姉「略すな!」 「お礼しよーとしただけだよ」 姉「何のお礼!?そしてそれを社会一般でやると変態といいます」 160 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 08 51 00.55 ID ZiS+xH/50 マジ切れっぽかたからちょっとひく 「いや冗談、ごめん友さん」 友「なんかわかんないけどびっくりしたww」 姉「もう帰ってねろよー…」 「そんな嫌うなよ姉」 姉「こんなじゃなかったら嫌わないよ弟」 「あ、友さんありがとうございました」 友「なんかわかんないけどいいえー」 握手 姉「はい、寝ろ」 「姉ちゃんも寝ろ」 姉「寝るよ変態」 「お休み好きもの、友さんおやすみ」 友「おやすみー」 姉リアルにちょっと怒ってたwww 友さんすいません、 166 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 08 55 42.78 ID orLZssAPO 廊下に布団をひいて 全裸になってお休みして 姉貴たちがくるまでねる 173 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 02 40.15 ID ZiS+xH/50 166 オレが高校行ってる時寝てる間に 額に「中」ほっぺに「モスコミュール」って油性で書いた女なんだぜ 今日こんなことして何もしないわけがない 177 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 05 45.78 ID Og7qSUCG0 175 あえて聞いてやるよ 童貞? 180 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 07 24.94 ID ZiS+xH/50 177 d、童貞じゃねーし! 181 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 07 54.75 ID seUYVqsTO 姉の乳首つんつんしてきなさい 182 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 08 28.94 ID wuX1Ai5j0 180 無理に応えなくていいんだよ? 188 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 12 42.98 ID ZiS+xH/50 181 死ぬるぽ 182 む、無理なんてしてないこともない ってかおまwwwwこんな時間まで見てくれてありがとう 189 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2006/09/03(日) 09 14 04.37 ID Og7qSUCG0 188 なんかおもしろいことしてきてよー 191 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 16 40.37 ID ZiS+xH/50 184 どっちにしても行くのかよwwww ってかタイプすんの遅いしこれ以上やっても gdgdな気するけどどーする? みんなにまかせる、たぶん行けてもラスト 197 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 22 23.59 ID ZiS+xH/50 おk、じゃああんま期待しないでくれ、 200 いかなかったら寝よう 200 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 23 55.56 ID uVGrLE8PO ksk 208 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 09 26 13.63 ID ZiS+xH/50 200 ?? 把握 した 257 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 10 01 23.94 ID ZiS+xH/50 書いたyつけしてしもたorz 欝だ 261 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 10 03 22.63 ID ZiS+xH/50 「やっぱ寝る前は柿だよね」 姉「おい」 「はい」 姉「状況をいってみ」 「姉ちゃんと友さんが寝ようとしてる」 友「正解」 姉「ハナマルをあげよう、怒らないうちに帰れ小僧」 「もう立派なジェントルメンですが」 姉「私が思うジェントルメンは人の就寝を邪魔しない」 「下半身はジェントルメンじゃないけどね」 姉「おっさんみたいな事いってないで帰れよー」 友「おっさんwww」 姉「ほら友が壊れた」 友「壊れてない」 「ねえねえ」 姉「何?柿の話しなら来年にして」 「大分先だな」 姉「で、何」 「なんかさ、あそこの加速が止まらないときない?」 姉「はぁ??」 友「??」 「いや、だからこう立ちっぱなしーみたいな」 姉「君は今何時だと思ってんの?」 友「でもいるよね男の人で常にやらしい人」 姉「今目の前にもいるね」 「いやww常にじゃないけど女の人はないいのかなーと」 姉「チェリーじゃなくなったら教えてやるよ」 友「大分先だ」 「ちょwwwwwだから童貞じゃ(ry」 262 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 10 04 12.83 ID ZiS+xH/50 姉「ってかさっきから何?」 「いやただ聞きたかっただけ」 姉「立ちっぱなしになったら冷凍庫にアイスノンあるからそれで冷やせば?」 「痛いねたぶんね」 姉「知らんよ」 友「わからんねw」 姉「もういいだろチェリー、ね、ろ!」 「わかったよ、友さんおやすみ」 友「おやすみチェリーw」 「ちょww違うからね」 姉「なんも違わないよ」 「黙ろうぜ失恋さん」 姉「原型なくしてやる」 「サーセンwww」 怖かったんだぜwww 287 名前:◆1acQULiV.o[] 投稿日:2006/09/03(日) 10 19 15.86 ID ZiS+xH/50 こんなクソスレに付き合ってもらってありがとうなんだぜ! また暇ならやってみるノシ その3 【ひろ君の弁当~姉と添い寝×2】へ
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マモルは小走りしていた。スカートが風にヒラヒラ揺れ、足に纏わりつく。転ばないように必死だ。 早く帰らなければ特番の『わんにゃん大集合、のりたま!』を見逃してしまう。 あと3つ路地を曲がれば自分の家だ・・・というところだった。 マ「ぅにゃっ!?」ドシンッ 突然飛び出してきた何かにぶつかって、マモルは転んでしまった。 飛び出してきた何かも倒れている。同年代の男の子だ。 マ「あたたぁ・・・すみません、急いでいたもので・・・」 男「・・・・・・・・・/////////」 なぜか彼はそっぽを向いて顔を赤くしている。 マ「・・・?大丈夫ですか?どこか打ちました?」 男「・・・脚・・・閉じてください・・・//////////////」 マ「ふぇ?・・・・・・ぅぁっ!バッ///////////」 マモルは豪快に脚を開いてしまっていた。同じくマモルも顔が赤くなる。 男の子は無言で立ち上がると、マモルに手を差し伸べ、立ち上がらせた。まだ頬の赤みは残っている。 男「すみませんでした。ちょっと急ぎの用事があったもんで・・・あ、やべっ!それじゃ!」 そう言うと彼は足早に立ち去った。後に残されたマモルは、静かにスカートをたくし上げた。 マ「・・・/////・・・今日どんなパンツはいてたっけ・・・/////・・・」 ヒコーキ雲が、静かに伸びていった。 ――――――――fin―――――