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Blogs on Laura Alonso Padin #blogsearch レパートリー 作曲家名(全角フルネーム)に置き換えてください [部分編集] 作曲家名(全角フルネーム)に置き換えてください 作品名(全角)に置き換えてください役名(全角)に置き換えてください Last Update 2011/01/29 22 10ページ先頭へ
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SENSMITHをお気に入りに追加 SENSMITHのリンク #bf Amazon.co.jp ウィジェット SENSMITHの報道 gnewプラグインエラー「SENSMITH」は見つからないか、接続エラーです。 SENSMITHとは SENSMITHの47%は心の壁で出来ています。SENSMITHの20%は税金で出来ています。SENSMITHの16%は魂の炎で出来ています。SENSMITHの8%はミスリルで出来ています。SENSMITHの6%は毒電波で出来ています。SENSMITHの2%は信念で出来ています。SENSMITHの1%は希望で出来ています。 SENSMITH@ウィキペディア SENSMITH Amazon.co.jp ウィジェット 掲示板 名前(HN) カキコミ すべてのコメントを見る ページ先頭へ SENSMITH このページについて このページはSENSMITHのインターネット上の情報を集めたリンク集のようなものです。ブックマークしておけば、日々更新されるSENSMITHに関連する最新情報にアクセスすることができます。 情報収集はプログラムで行っているため、名前が同じであるが異なるカテゴリーの情報が掲載される場合があります。ご了承ください。 リンク先の内容を保証するものではありません。ご自身の責任でクリックしてください。
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VERSION GENRE TITLE ARTIST bpm notes 属性 14 GOLD RAVE Sense 2007 good-cool 140 2008 - 攻略・コメント 名前 コメント
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概要 2chDJコントローラー。 各モデル解説 DJConsole +スペック表・DJConsole Technical specifications feature Advanced Sound Board feature 16 and 24-bit/48 KHz sampling, 24-bit ADC/DAC feature 5.1 audio channel output feature High-quality connectors feature Digital optical/coaxial In/Out feature MIDI In/Out feature 5.1 output with 1/8 jack (3.5mm) and cinch connectors feature Stereo cinch line input feature ¼ jack (6.35mm) stereo microphone input feature ¼ jack (6.35mm) stereo headphone output Hercules http //www.hercules.com/ DJConsole MK2 2009年ころ発売。 <DJ CONSOLE MK2の主な特長> ●ターンテーブル、DJミキサーをシミュレート ターンテーブルを模した2基の大型ジョグホイールやクロスフェーダーなどを搭載 ●ポータブルなDJコントローラー USBバスパワーで動作、特にノートPCと組み合わせればポータブルDJシステムの完成 ●2系統のオーディオインプット装備 外部素材のミックスが可能、将来的にはタイムコードレコードでのコントロールも ●2mのUSBケーブル、ストラップ、トップカバーを付属 ●MP3フォーマットの曲データが付属 ・DJソフトをバンドル 高性能DJソフト、Virtual DJ専用版が付属 それぞれwinとmacのバージョンあり。 +スペック表・DJConsole MK2 Technical specifications feature Advanced Sound Board feature 16 and 24-bit/48 KHz sampling, 24-bit ADC/DAC feature 5.1 audio channel output feature High-quality connectors feature Digital optical/coaxial In/Out feature MIDI In/Out feature 5.1 output with 1/8 jack (3.5mm) and cinch connectors feature Stereo cinch line input feature ¼ jack (6.35mm) stereo microphone input feature ¼ jack (6.35mm) stereo headphone output feature Compact size 235x200x65mm (cover included) <DJ CONSOLE MK2 for Win> <最低動作条件> OS:Windows XP CPU:Pentium 4、1.2GHz以上 メモリー:256MB以上 (512MB以上を推奨) 接続端子:USB 2.0、または1.1ポート CD-ROM/DVD-ROMドライブ (CDDA対応を推奨) 16ビット、1024×768以上の解像度を持つモニター ヘッドフォーン、モニタースピーカーなど インターネット接続 (ソフトウェア等のアップデートの際必須) 100MB以上の空きハードディスク容量 (アプリケーションのインストール用) <DJ CONSOLE MK2 for Mac> <最低動作条件> OS:Mac OSX 10.4以降 PCU:PPC G4/G5 1.5 GHz、IntelMac 1.66 GHz メモリー:512MB以上 接続端子:接続可能なUSBポート (1.0/2.0) CD-ROM/DVD-ROMドライブ ヘッドフォーン、モニタースピーカーなど インターネット接続 (インストールしたMacがインターネット接続可能な環境) 100MB以上の空きハードディスク容量 (アプリケーションのインストール用) ダイナミックマイクロフォン (マイクから外部入力を行う場合のみ) 価格 39800円(当時) Hercules http //www.hercules.com/ DJConsole MK3 ※詳細不明、調査中。 DJConsole MK4 2chDJコントローラー。持ち運び用の保護カバーとショルダーストラップが同梱。VirtualDJ® DJC Edition同梱。 +スペック表・DJConsole MK4 TECHNICAL SPECIFICATIONS Built-in audio 2 stereo outputs 2 types of plug per output Mix output (channels 1-2) 2 RCA for hi-fi mixers 1 stereo 1/8" jack (3.5mm) for multimedia speakers Preview output (channels 3-4) 1/4" jack (6.35mm) for headphones 2 RCA for speakers 1 microphone input 1/4" jack plug with volume knob to talk over the music 2 stereo inputs 2 x 2 RCA inputs, to include external sources in your mix Inputs compatible with phono (turntables) consumer line (-10dBv) (for MP3 players, etc.) pro line (+4dBu) (for studio gear CD players) boosted line (+8dBu) (for Pioneer CDJ players) Built for mobility Compact (10.5 x 7.3 x 2.5") Lightweight (2.56 lb/1.15kg) Transport cover shoulder strap included Included DJ mix software VirtualDJ® DJC Edition For Windows® XP/Vista/7 For Mac OS® 10.5/10.6 Specifications Controls for DJing 2 jog wheels, 3 faders, 11 knobs 36 transport buttons Audio for DJing 4-channel in / 4-channel out Microphone input for talk-over Headphone jack for previewing tracks Phono preamplifiers on the audio inputs Drivers ASIO WDM for Windows® Core Audio for Mac OS® MIDI control Windows Mac BOX CONTENTS DJ Console Mk4 VirtualDJ® DJC edition User manual MINIMUM CONFIGURATION PC minimum requirements Windows® XP/Vista/7/8 32-bit/64-bit 1.5GHz CPU or higher 1GB RAM or more USB port (USB bus-powered) Stereo speakers and/or headphones Mac minimum requirements Mac OS® 10.5/10.6 1.5GHz CPU or higher 1GB RAM or more USB port (USB bus-powered) Stereo speakers and/or headphones 価格 £179.99 DJConsole MK4 http //www.hercules.com/uk/advanced-controllers/bdd/p/125/dj-console-mk4/ DJConsole MK4 MX メタルボディの2chDJコントローラー。本体は2デッキだがスイッチ切り替えで4デッキ操作可能。VIRTUAL DJ LE同梱。 DJConsole MK4 MX DJConsole MK4 MX Black Edition +スペック表・DJConsole MK4 MX Manufacturer Hercules Product Name Dj Console 4-Mx Size 15.75” x 9.8” in size Price $449.99(UK SRP £399.99) Available November 22nd Hercules http //www.hercules.com/
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Let s Go Skysensor(Listen) 八木・宇田アンテナ(ヤギ-ウダ・アンテナ) ランク:E~A+(使用者により変動) 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000人 東北帝国大学工学部電気工学科に所属していた二名のキャスター(真名:八木秀次、宇田新太郎)が共同で作り上げたアンテナタイプの宝具。現在でもこの宝具の模造品は世界各地で利用されており、中でもこれは、『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』に所蔵されていたその原典である。 世界で最初に製作されたアンテナはキャスター(真名:ハインリヒ・ヘルツ)の宝具『ヘルツアンテナ』であるが、この宝具はそれに比べて魔力・電波の指向性と利得が飛躍的に高められている。 この宝具は後に大量に複製され、第二次世界大戦中のミッドウェイ海戦において、米軍がこれらを駆使して作戦を展開し、日本の連合艦隊に大損害を与えた逸話を持つ。 そのため、真名を認知している所持者は自動的に、その『軍略』スキルが1ランク上昇する。 この宝具はわずかな魔力か電力を通すことで起動する。その際、通した魔力・電力を投射し、その周波数と強さに応じた距離・解像度で任意の対象物からの反射波を受信することができる。この時同時に、使用者はこの宝具のランクに等しい『気配感知』スキルを得る。 また、日本のシンガポール占領の際、日本軍は技術将校すらイギリス軍の技術書中に記載されたこの宝具を知らず、捕虜から「あなたは、本当にその言葉を知らないのか。YAGIとは、このアンテナを発明した日本人の名前だ」と教えられて驚嘆したという逸話をも持ち、これが上述のミッドウェイ海戦の戦果に繋がっている。このため真名を認知していない相手に対しては、使用者はこの宝具のランクに等しい『心眼(真)』スキルを得、同時に相手の『心眼』『軍略』スキルを1ランク低下させることができる。 〔THz:3510GHz(御坂美琴)〕 「超短波から極超短波くらいかしら、この共振を見ると……。確かにメートル波からセンチメートル波。 別にダイポールにこだわんなくてもいいし……。放射素子調整して、ミリ波以下まで楽に送受信できるようにしちゃおう……!!」 黒を基調にしたフリルの多い衣装をはためかせ、御坂美琴はアンテナをステッキのように携えて上機嫌だった。 磁力を出してはそのアンテナ金属をちまちまいじくりまわしている彼女。 半地下の放送室でうきうきとステップを踏む御坂美琴の様子を、軽巡洋艦の艦娘である那珂ちゃんは身を引いたまま見つめていた。 目が覚めたら、目の前で起こったのはスプラッタな殺羆事件であり、その犯人はこんな魔女のような格好をしており、なおかつその人物はかつて一度は憧れた人であった。 などという意味不明な状況が発生しているのだ。 那珂ちゃんはどうにかこの状況の理解と対処を模索しようと脳内で妖精さんを駆け回らせたが、結局その場で立ちすくむ以外の方法は出てこなかった。 「い、一体、どういうことなの……!?」 「あ、そうよね。突然聞かされてもわからないわよね。でも、このアンテナがあるだけで、参加者を救出できる手段がグッと現実味を帯びてきたし、その上ここの防衛に使える『武装』が強化……、いや、さらにもう1つはできるのよ」 「……え!?」 「私たちは今、島内の参加者に放送で呼び掛ける手段がないか模索してたの。 ただ、島が停電に陥ってしまった以上、全島のスピーカーへ『一斉に』通電できるような電力も方法も無くて。 でも、このアンテナさえあれば、そもそもそんな利得の低いことをせずに済むわ」 御坂美琴からは、那珂ちゃんが聞きたかった内容とは全く違う答えが返ってきた。 しかし、美琴の語る内容は、それはそれで那珂ちゃんに衝撃的な興味を湧かせた。 アンテナは電波を送受信するだけの装置だ。通信か電探以外に何の使い方があるというのか。 「……このアンテナは、かなり指向性が強いわ。だから、電波を散らさず・減衰なく遠くまで届けられる。 島中へいっぺんに電気を届けようとしたら、電力の無駄が大きすぎてとてもできないことだったけど……」 ここの島には、電線というものが存在しない。 各建造物は、示現エンジンから供給される、溢れんばかりの電力を直接受信してそれぞれの電化製品へ投げていた。 ここで御坂美琴が、機器へ電力を供給しつつ放送を行う場合、その最も現実的な送電方法は、電波であった。 彼女自身が周囲に電波を送ろうとした場合、そのままでは電波は集束せず広範囲に散ってしまう。 彼女の演算能力が紡ぎ出す電力は目減りして、島の端でスピーカーを起動させることなどできないだろう。 電波の集束に演算能力を裂いた場合、今度は送るべき電力の総量がそもそも下がってしまう。 美琴の直近の能力測定を元に、彼女が持続的に利用できる電力量を算出すると、最低で一日当たり約3万キロジュールとなる。 これは普段、美琴が特に気合を入れたりせずにAIM拡散力場として常に放出している電力である。 音速の3倍の『超電磁砲』を毎分8発放ち続けた時のエネルギーであり、一般家庭の消費電力ならば彼女一人で十分賄えるものだ。 一見凄まじいが、これを発電力に直すと、その値は約354ワット。 これだけでドライヤーをつけっぱなしにすることは出来ない。 彼女は確かに、何をせずとも自分の電力を2か月溜めればそれだけで雷を落とせる。演算能力をフル稼動させれば、攻撃の際などに短時間だけ起電力を上昇させることもできる。 何しろ深いプールに水柱を巻き上げるような、ほとんど雷と同等にまで『超電磁砲』を加速し続けた時の熱量などは約1500キロジュールを誇るのだ。 彼女がレベル5である所以は、その膨大なエネルギーを瞬間的に発電・蓄電でき、その上で電子機器のハッキング、50m先の『超電磁砲』着弾分布18mmといった精密操作性を有していることによる。 ここで、彼女の演算能力の低下は、その発電・蓄電容量に大きく響いていた。 その操作の精確さ自体は保てているものの、美琴は、宇宙から帰還する際の大威力の『超電磁砲』で、自身に蓄えていた電力を消費し尽している。 今の彼女は、『電池切れ』だ。 そして放送は、雷のような一瞬で終わるものでもない。 回復してきたとはいえ、交流電源の装置を長時間動かすには、無理のない発電力で機材を動かし続けるしかなかった。 無線放送の送信ユニット稼動に50VA。アンプの稼働に200VA(ボルトアンペアは、ロスも含めた実際の動作に必要な電力のこと。減衰が無ければワットに等しい)。 ここまでなら約100ワットの余力を残して、美琴は余裕で無線放送ができるのだ。 しかし、スピーカー含めた放送の受信ユニットまで稼働させるには、1つにつき、さらに200VAが必要となる。 アスレチック内のスピーカーを動かすだけでも、彼女は自身に貯め込んだなけなしの電気を切り崩しながらの行為になったのだ。 さらに消費電力を増やせば、蓄電の無い彼女は『ブレーカーが落ちる』。 この状態では、遠距離に点在する幾つものスピーカーを、効率の悪い送電方法で動かすなど到底できるはずがない。 それどころか、電波で送電しなくてはならない以上、彼女からだけの無指向性な発信では、万全の発電力があったところで無駄が多すぎて全島放送は不可能だろう。 しかしここで八木・宇田アンテナを用いた場合、美琴の演算能力は大きく補助される。 密に集まった電波の帯は、空中でその電力を削り切られることなくスピーカーに到達しうる。 少しの時間差にさえ目を瞑れば、島の南から北までぐるりと180度、スピーカーひとつふたつずつへ、このアンテナを回しながら放送すればいいだけなのだ。 「この場合、私の発電力で足りない分、後はその放送を賄えるだけのバッテリーがいくつか有りさえすればいい……。 直流交流の変換は私ができるし、必要電力はかなり現実的な値に下がったと思うわ」 「も、もしかして、あなたは、すごい高級技官殿、なの……!?」 「いやいや技官殿とか。私は『電撃使い(エレクトロマスター)』だから、自分なりに能力を活かせるよう考えてるだけよ」 「『電気工学系の指導者(エレクトロマスター)』……!?」 那珂ちゃんの驚愕に、御坂美琴は笑いながら手を打ち振る。 年恰好は那珂ちゃんとほとんど変わらず、西洋かぶれの若い女学生にしか見えないが、この知識にこの技能。その上自分を『エレクトロマスター』と呼んでいる。間違いなくこの女性は、海軍電測学校でも有数の将校だ。と那珂ちゃんは思った。 恐らく階級も、大佐や少将といった相当な高位であるに違いない。 見た目は怪しいけど、それだけで人となりを判断してはいけないんだ……! と、那珂ちゃんは強くそう思った。 そんな那珂ちゃんの心中を知る由もなく、美琴はそこで一転して低く息をつく。 「……まぁ、そうは言っても、このアンテナはあくまでピースの一つ。放送の敢行がメインなんだから、『次の手』で止まってはいられないわ……」 「『次の手』……?」 スピーカー1個2個を動かせるだけのバッテリー――。 最低限それだけ確保できれば、美琴は全島に向けての放送ができる目算が立っていた。 問題は、そんなバッテリーや電池の類が果たして存在するのか。そして、存在するにしてもどこにあり、どうやって確保してくるのかである。 『現実的な値』とはいえ、その確保手段がわからない以上、この目算は皮算用の域を未だ出なかった。 美琴は首を傾げた那珂ちゃんに向けて、手のアンテナを挙げながら指を一本立ててみせる。 「『次の手』ってのは、ここのアスレチックを防衛する『武装』のことよ。まずはレーダーね」 「ああ、電探だよね……」 「うーん、微妙に違うかも。この周囲に刺してもらった槍からの波長を検波するつもりだから。それに加えてもう1つがね……」 「ひどいじゃないか美琴ちゃん!! 脳みそが抜けるかと思ったぞ!?」 美琴が二本目の指を立てようとしたその時である。 痙攣して死んでしまったのではないかと思われたヒグマが、脳天を押さえてむくりと起き上ってきていた。 「ああ、あんたのことだから、ちょっと抜けた方がまともになったんじゃない?」 「……そうだなー、賢者タイムに入るもんなー。って、アホか!!」 「無事だったんだからいいじゃない。使わせてよ」 その剽げた顔のヒグマ、クマーは、肩をすくめた美琴に対して神妙に頷いた。 「……むう、仕方ないな。それなら美琴ちゃん、代わりにもう一回俺の穴に出し入れしてくれないか? 実を言うとちょっとクセになりそうだった」 「何よそれ!? しないわよ!!」 「あっ、イイ! それもイイぞ美琴ちゃん!!」 そして頭を差し出しながら足元にすり寄ってくるクマーを、美琴は驚きと嫌悪を露わにして蹴りつける。 固い靴底で何度も蹴られながらひとりで盛り上がってゆくそのヒグマに、那珂ちゃんは唖然としていた。 先程からこの二人は漫才でもしていたんだろうか。とでも思うしかなかった。 「あ、あの……、結局、何が起きてるの……?」 「ん、ああ。私たちは、この島にいる人々を助けようとしてるだけ。色々あんたに聞きたいのはこっちよ。 話せる余裕あるなら、今話してくれていいのよ? あんたは地下で暴れてるヒグマとも関係があるみたいじゃない」 「地下……、ヒグマ帝国……」 美琴とクマーは、もめるのをやめて那珂ちゃんへ視線を集めていた。 那珂ちゃんの脳裏に浮かんでくるのは、ヒグマ提督。解体ヒグマ。襲い掛かってくるビスマルク。 鏡写しのような世界で謁見したイソマ。バーサーカーとの戦闘。操られる自分……。 意識を失っていた中で漏れ聞こえた放送では、ヒグマ提督を責め立てようとしていたはずのヒグマたちが、彼を讃えるような言動をしていたような気もする。 果たして、誰が敵で、誰が味方なのか。それすらわからない。 この目の前にいる少女やヒグマ、バーサーカーから助け出してくれた少女たちすら、味方と言えるかはわからない。 ただその中で一つだけ確実なことを、那珂ちゃんは震える声で宣言した。 「那珂ちゃんは……、『アイドル』だよ。それだけは、何があっても、絶対に、路線変更しないから……!」 「アイドル……!?」 那珂ちゃんから発せられた場違いな言葉に、今度は美琴たちが驚く番であった。 夢原のぞみから伝え聞いた那珂ちゃんの戦闘中の行動と合わせて考えるに、この子はちょっとアブナイ子なのではないかと思わざるを得ない。 しかし、那珂ちゃんの眼は真剣だった。 「……那珂ちゃんはアイドルだから、歌とダンスで、みんなを助けてあげたい……。 あの剣士さんには届かなかったけど、それでも。提督も、ヒグマさんも、他の人も、みんなに仲良く、夢中になってもらいたいんだ……」 「そう……、なの……」 常軌を逸している。 だがそれでも、彼女は自分たちの味方だ――。そう、御坂美琴とクマーは確信した。 方法はどうあれ、思想はどうあれ、『ヒグマまでをも含めた』実験の参加者を助けようと、彼女なりに砕身しているのだ。 決して話が通じないわけでもない。 操られ、死にかけるような眼に遭ってもあきらめないその姿勢は、きっと大きく自分たちの力になってくれる。 そう思って美琴が言葉を継ごうとした時、放送室の扉が荒々しく開け放たれていた。 「――ウグェぇ……」 ――クマー、こいつを抑えてて欲しいモン。 「うぉ、くまモン!? どうしたんだそのヒグマ!?」 放送室の入り口に乱暴に投げうたれたのは、一頭のヒグマだった。 その眼は涙に溢れ、両前脚の爪が全て跡形もなく折られている。よく見れば牙も何本か砕かれているようだ。 そのヒグマの心臓に槍を突き付けながら、一切の感情を推察できぬ表情で、漆黒のクマ・くまモンは語った。 ――こいつの名はクックロビン、またはクロード(蔵人)。 ――地下のヒグマ帝国で、ツルシインという縁起を読む能力を持ったヒグマが指揮する、『穴持たずカーペンターズ』という建築班に所属していたらしいモン。 ――でも放送で殺されたシバという例のヒグマからアイドルを勧められ、よりによって殺し合いが起きてる地上で今さっきからそれ用のスタジアムを建設しようとしてたらしいモン。 ――結局、夢原のぞみたちが戦ってたバーサーカーの木の煽りを喰らってそこは崩壊し、彼以外その場のカーペンターズは全滅。 ――唯一カーペンターズが残っているだろう海食洞に向かおうと、ここまでやって来たらしいモン。 「お前その情報、全部こいつから吐かせたのか!?」 驚いて駆け寄ったクマーに、クックロビンは倒れたままビクリと体を震わせ、怯えた眼差しを向ける。 一体どんな拷問を受けたというのか。その場の一員は、暫く交互にくまモンとクックロビンを見つめた。 ――命乞いをしているし、殺すにしても他の情報を吐き尽させた方が良いと思って連れて来たモン。 「いやはやすげぇお手並みだな……」 「ふひゅー……、やっぱり危険なヤツも寄って来たのね。早速防衛ありがとう」 クマーから改めてくまモンの言葉を聞いた美琴は、予想通り自分の放送の後に襲撃者と思しき人物が来たことと、その迎撃が上手く行ったことへ純粋に満足するだけだった。 ヒグマだけではなく少女からも向けられたそんな冷たい対応に、クックロビンは懇願するように泣き喚いた。 「お、俺は……、凛ちゃんの歌を聞きたかっただけなんだよぉ……!! 助けてくれよぉ……!!」 「何言ってんだよ凛ちゃんとかアイドルとか……。それってもしかして、この参加者の星空凛ちゃんか?」 「そ、そうだよ! そうなんだよ! そんなブロマイド持ってるってことは、もしかしてお前も凛ちゃんのファンか!?」 クマーが首を捻りながら取り出した星空凛の写真を見て、クックロビンはパッと声を明るくした。 こんな場所でも、同志に出会えたのだ。絶対に助けてもらえる――。 そう思って彼は言葉を重ねた。 「俺は凛ちゃんのためにスタジアム建てようとしただけだ!! 俺はアイドルの味方なんだ――!!」 「死ねぇええええええええっ!!」 「ゲバァァアアァ――!?」 顔を上げたクックロビンの頬は、その瞬間、渾身の力で振り抜かれたクマーの拳で殴り飛ばされていた。 顔面が変形しかねない衝撃を受けて倒れたクックロビンへ、クマーは今まで同行していたくまモンや美琴が見たこともないような剣幕で怒り狂っていた。 「どの口で『アイドルの味方』とかほざきやがる!! てめぇは自分の欲しか考えねぇで、凛ちゃんのことなんかこれっぽっちも考えてねぇだろうが!! ここじゃ殺し合いやってんだぞ!? 首輪外して生きてんのかどうか知らねぇけどよぉ、本当に凛ちゃんを思ってるなら、彼女の歌を聞くとかどうこうよりも、まず彼女の無事と安全を確保して、こんな島から逃がす方法を考えるとこからだろうが!! しかもお前、下の帝国じゃあちゃんと仕事があったんだろ!? それほっぽって上で何やってんだ!? 自分の欲はその次だ! 優先すべきは常に仕事! 幼女好きとしてもゆるキャラとしても、てめぇみたいなちゃらんぽらんな奴だけは絶対に許せん!!」 常のおどけた態度が嘘のように猛々しく張り上げたクマーの言葉は、脇で聞いていたくまモンと美琴をも気圧すものだった。 クマーは自分の行いを棚に上げているのではないかと思えなくもないが、その内容は確かに同意できるものではある。 事ある度に美琴たちへ変態的行為を試み、その性癖を臆面なく吐露してきたクマーであるが、彼はある一線は決して越えようとせず、その変態行為も一応状況と折り合わせているとは言えなくもない。 その芯にある『幼女好き』という性質は、確かにゆるくないゆるキャラの世界で生き抜いてきただけのことは、あるのかも知れなかった。 ――ばらし、バミり、出ハケのゲネプロ、香盤表管理にPAチェック……。コンサートやるには本来、準備の必要なことは山ほどあるモン。 ――『学習装置』でどんな技術を刷り込まれてるか知らんばってん、そもそもこの島にそんな急造のハコ作った程度で、アポもないアイドル呼んで初見のコンサートできると考えている時点で気が知れんモン。 「くまモン、こんなバカに話してもらう情報なんてねぇよ。今すぐ殺そう」 「ひぃいいいいい――!?」 続くくまモンの言葉も、可哀想な素人を突き放すように冷淡なものだった。 仕事柄、数々の舞台をこなしてきたくまモンからすれば、見通しもなく勢いだけでそんな計画に突っ走ったクックロビンの行為は、笑うこともできない程度には馬鹿げたものだった。 同胞かつ先輩であるはずのヒグマ二体にまで敵視され、クックロビンは絶体絶命の状況に喉を絞る。 抵抗しようにも、既に爪は全てくまモンに叩き落とされ、牙も砕かれている。 心臓に突き付けられた槍を刺されれば一巻の終わり――。 そう思われた瞬間、彼とくまモンたちの間に、そっと一人の少女が入り込んで来た。 「……あの。このヒグマさんを、責めないであげて下さい。 これでも、このヒグマさんなりに、アイドルを思って、やってくれたことなんだろうから……」 オレンジ色の衣装を纏った少女――那珂ちゃんが、くまモンが突き出している槍をそっと掴んでいた。 那珂ちゃん自身でさえ、この集団の中で確固たる立ち位置が定まっているわけではない。 しかし、自分と同じアイドルを慕ってくれていたファンが、その顛末で責められる様を見過ごすなど、彼女にはできなかった。 怯えながらも真っ直ぐに見つめてくる彼女の視線に、くまモンとクマーは顔を見合わせた。 その後目の合った美琴は、彼らの視線に頷きつつ、上から下へ抑えるように、両手のひらを下げる。 彼女の意気に免じて、処刑は保留しよう――。 そんな暗黙の意思決定を受けてくまモンが槍を引いた。その時だった。 「おっ、お前ぇ――!! 艦娘だろ!? 艦娘がアイドル気取りとか寝ぼけてんじゃねぇよ!!」 「ひゃっ!?」 突如、前に立っていた那珂ちゃんをつんのめらせる程の勢いで、クックロビンが立ち上がっていた。 クマーに抱き留められた那珂ちゃんに向けて、彼はわなわなと震えながら指を突き付ける。 「お、お前ら艦これ勢のせいで、俺たちは要りもしねぇ工廠建てる羽目になったんだぞ!? シバさんや帝国を悩ませる妖婦の集まりだろお前らなんかッ!!」 クックロビンの怒声に、その場の四名は揃って眼を点にした。 彼の言い分は、実際に工事担当として無用な激務に追いやられた者としては当然のものなのかも知れない。 アイドルファンとしても、一言物申したいことがあるのかも知れない。 しかし、要りもしねぇスタジアムを地上に建築した本人がどの口でそれを言うのか。 しかもそれを、自分の命を助けた恩人に向けてこのタイミングで言うのか。 一体全体、彼は自分の置かれた状況が分かっているのか――。 全員が、脳内を埋め尽くすその疑問に、眉を顰めるのみだった。 そうしてなおも震える那珂ちゃんを責め立て続けるクックロビンのもとに、つかつかと御坂美琴が歩み寄る。 「お前らがいなければ、ヒグマ帝国は今も平和だったんだ!! アイドルはお前らなんかに務まるようなものじゃねぇ!! お前みたいなニセアイドルに助けられるくらいなら死んだ方がマシ――」 「ちょっと黙れ」 「ンダバァ――!?」 そして一瞬。 喋り続けるクックロビンの横から、美琴は自身の発電する354ワット秒の電力を全て腕の加速に回してその鼻面を叩いていた。 時速90キロを越える速度まで加速されたその拳撃は、保有エネルギーだけで見れば警察拳銃以上。 入り口から室外に転げたクックロビンは、鼻血の噴き出す自分の鼻先を押さえて悶絶した。 「かんむすだとかヒグマだとか、もはやどーでもいいわよ……。 重要なのは、この島で殺し合いに巻き込まれた参加者を一緒に助けてくれる気があるのか、ないのか。それだけ」 一同を見回し、美琴は毅然と言う。 その言葉の大部分は、蹲って悶えるクックロビンに向けてのものである。 「敵対する気なら倒させてもらうし、この期に及んで無関係決め込んで遊びたいなら、さっさと人外魔境へ遊びにいって死んでくるのね。 ……ま、でもアイドルアイドル言われてるから、この機会に見せてもらうわ」 美琴の視線が最後に止まったのは、言葉責めを受けてクマーの胸に震え続けていた、那珂ちゃんだった。 顔を上げた那珂ちゃんに美琴は、放送室の外へ向けて顎をしゃくる。 「……アンタの言う『アイドル』ってので、本当にみんなを助けられるのか、確かめてみなさいよ」 クックロビンが血と涙でぐしょぐしょになったその顔を振り向けた時、一同の視線は揃って彼に向けられていた。 〔MF:2411kHz(那珂)〕 「……クソッ、認めねぇ……、ぜってぇ認めねぇぞ、艦娘がアイドルとか……!!」 「うるせぇなぁ、幼女が歌ってくれるんだから黙って聞きやがれ」 目の前で、ヒグマさんが唸った。 うつ伏せにされて、背中に捻じり上げられたその腕の上に、クマーさんがのしかかっている。 床という観客席に無理矢理縛りつけられた形の彼は、クックロビンさんとも、クロードさんとも言うようだった。 会場は、広さ数畳くらいしかない小さな放送室。 だけど観客の眼だけは、途轍もなく厳しい。 クックロビンさんは、まずもって那珂ちゃんを敵視している。それどころか艦娘自体を敵だと思っている。 もうひとりの観客、クマーさんは、一見那珂ちゃんを応援してくれているようにも思える。 だけどそれは、『那珂ちゃん』を見て言っている言葉ではない。 クマーさんにとっては、言い方は悪いが、『女の子であれば何でもいい』のだ。 よく言えば博愛主義。彼はたとえ、那珂ちゃんがアイドルに挫折しても、優しく慰めてくれるんだろう。 『那珂ちゃんのファンやめます』なんて軽口も、言うことはないだろう。 でもそれは、クマーさんがそもそも那珂ちゃんのファンじゃないからだ。 女の子としての那珂ちゃんは慮ってくれても、決して彼は那珂ちゃんにアイドルとして注目してくれてはいない。 たまたま那珂ちゃんの曲を聞けば「いいね」と褒めてくれるだろうが、だからといってそれに聞き惚れてCDを買いに走るようなことはたぶんない。 今ここで観客になっているのも単に、『親戚の娘がカラオケで歌うのを微笑ましく見守るおじさん』的な心情なのだろう。 そんな立ち位置の人に過ぎなかった。 ――外に動きはないモン。歌うなら早く歌うモン。 厳重に会場を警戒してくれるSPもいる。 微笑んだような驚いたような不思議なポーカーフェイスで全く感情を読ませない漆黒のヒグマ、くまモンさん。 入り口の扉から外を窺うばかりで、那珂ちゃんのことなど眼中にない彼。 言葉の端に上る知識と経験からして、このくまモンさんも、間違いなく男性アイドルだ。 しかも多分、那珂ちゃんとは比べ物にならない場数を経験しているベテラン。 彼が那珂ちゃんを歯牙にもかけていないのは、那珂ちゃんみたいな気合があっても、まったく実力の伴わないアイドルを山ほど見てきたからだろう。 この場で歌う以上、観客に加えて、最低でもそんなベテランに納得して貰えるような歌を歌わなければならない。 「……さ、根性あるなら、見せてみてちょうだい」 隣で腕組みをしたまま呼びかけてくる黒装束の女の子は、そんな無名アイドルに過ぎない那珂ちゃんへこの舞台を用意してくれた、オーガナイザーの御坂美琴高級技官殿だ。 那珂ちゃんに語り掛けてくれる言葉は優しいけれど、その視線は、夢現の舞台で見たあの黒い剣士さんのような冷たさを含んでいた。 どうせ歌なんかでみんなを救うのは無理――。 そう、初めから決めてかかっている視線だ。 それを頭ごなしに言うのではなく、那珂ちゃん自身に気付かせようとしている。 これはそんな配慮の元に組まれた、計算づくの舞台だ。 ……クックロビンさんは、死ぬ。 那珂ちゃんの歌を嘲り、アイドルと認めることなく反発する。 そうして、星空凛というアイドルを胸に抱き、不埒なヒグマと認定されたまま、甘んじて殺される道を選ぶ。 戦場において、そんな者は死んで当然だ。 那珂ちゃんが助けようとしたのを突っぱねて死に急いだのだ。 軍艦として那珂ちゃんが生きていくなら、それで全く構わない。 だがその結末に至った瞬間、アイドルとしての那珂ちゃんの人生は、終わる。 『歌やアイドルで他人は救えない』 そんな烙印が太鼓判となり、那珂ちゃんたちはまた、人を殺してゆく道しか歩けなくなってしまう。 そのアイドル人生の喉元にすり寄る刃を掻い潜るただ一つの方法は、この場の全員に、『艦娘の面目』、『アイドルとしての那珂ちゃん』、『那珂ちゃん自身の歌唱力』、『歌のチカラ』を、それぞれ認めてもらうことしかなかった。 それこそ、御坂美琴高級技官殿が、ただ一つ那珂ちゃんに残してくれた希望の道。 越えられはしないだろうと思いつつも、淡い期待を寄せて設置してくれた、ハードル。 ……なんて高さのハードルだろう。 鳴らす咽喉の唾は固い。 何を歌えば、何をすれば、みんなの心に届くのだろうか。 満足な音源もない。 舞台には照明もない。 一歩外に出れば、そこはもう殺し合いの空間だ。 『恋の2-4-11』? ダメだ。 私を支えてくれたあの子にも、振り付け指導してくれたあの子にも、席から立ち去ってしまったあの剣士さんにも、誰一人としてその歌は届かなかった。 恋なんてシチュエーションじゃなかったし、そもそも那珂ちゃんたち艦娘の生活を知らなければ、一部の歌詞は意味不明だ。 那珂ちゃんのためだけに書かれたそのスコアは、あまりにも場違いで、あまりにも独り善がりだった。 提督だったら、喜んでくれただろうか。 それもわからない。 そんな半人前の歌なら、喜んでくれたとしてもきっと、それは心からのものではないに違いない。 手に握るのは、体を操られながらも、最後までなくさなかった、那珂ちゃんのマイク。 『自分自身は、最後まで自分のファンでいてくれるだろう。……だから、きみはそこに帰りなさい』 自分自身の姿をした赤の他人から託された希望。 『ぼくたちに考えもつかない実験結果』を求め、『新たな可能性』を求めた皇帝陛下が、那珂ちゃんの『始まりの日』を祝って贈ってくれたものだ。 その期待に、みんなの期待に応えるなら、もう那珂ちゃんは、身一つで挑むしかない。 自分自身を改修して。 自分自身を改造して。 最後までファンである自分の先へ帰る道。 その航路を作り上げよう。 きっとその今日が、那珂ちゃんの始まりの日なんだ――。 「……なじかは知らねど 心わびて――」 そう決心した瞬間、那珂ちゃんの唇は、自然に息を吹いていた。 笛のような、背筋を一本走り抜けるような、真っ直ぐな声。 踵の底から響き、頭の先から徹るような音だった。 周りの視線が、かすかに見開かれた。 「……『ローレライ』――!」 高級技官たちの息を飲む音が、その時耳に届いた。 「昔の傳説(つたへ)は そぞろ身に沁む――」 独逸はフリードリヒ・ジルヘル作曲、近藤朔風訳詞、『ローレライ』――。 ライン川に沈み、生まれ変わった少女が、その身一つで行き交う船人を惹きつけた歌。 伝説となり、民謡となり、人々の根底に響き渡った旋律が、その歌である。 〔VHF:75.0MHz(那珂)〕 「美(うるわ)し少女(おとめ)の 巌頭(いは)に立ちて―― 黄金の櫛とり 髪のみだれを――」 眼を閉じ、ただ祈るように立ち尽くし、那珂ちゃんは切々と歌い上げる。 マイクすら、使ってはいなかった。 彼女のその肉声のみが、放送室に響き、その壁を抜けて空を渡ってゆく。 ――アカペラ。 静かでありながら豊かに広がる彼女の声質に。 深い悲しみを湛えながら闇に落ち切らない表現に。 その骨子を裏打ちして揺るがせない彼女の声量に。 そしてその声量を徹してなお曇ることのない彼女の喨喨とした力に、くまモンは思わず、室外に向けていた視線を引き戻して那珂ちゃんに瞠目していた。 「梳(と)きつつ口吟(くちずさ)ぶ 歌の聲の―― 神怪(くす)しき魔力(ちから)に 魂(たま)もまよふ――」 低く高く、ハ長調の進行に合わせて、次々とライン川に揺蕩う情景が脳裏に綴られてゆく。 圧倒されるようなその光景に呆然としていた御坂美琴が、その時唇を噛んだ。 「――ッ!」 思わず腕が動く。 宙を払うように横薙ぎに走った彼女の手刀がその時、彼女の背後でオーディオコンポを触れぬままに起動させた。 あたかも共感覚のように音階へ絵筆を走らせて行く那珂ちゃんの歌を聞けば、美琴の体はこれ以上の静観になど耐えられなかった。 BFO(ビート・フリークエンシー・オシレーター)が唸る。 一般的には、『スカイセンサー』というポータブルラジオから搭載されてきた独特の発振器だ。 美琴の思考から投射された何者にも聞こえぬその景色を、それが過たず拾って復調する。 弦と管の帯に広がるその電子のチャンネルが、那珂ちゃんの過ぎてゆく背景を次々と染めていく。 自身を波と化し、その波間にシンセサイズする、野生にして人工の音響。 その音は、那珂ちゃんの歌に誘われ、巌に立つ彼女の手を、しっかりと取っていた。 「漕ぎゆく舟人 歌に憧れ―― 岩根も見やらず 仰げばやがて――」 クマーは、呼吸をすることさえ忘れていた。 シグナルとノイズを描く、唸る波濤のような世界を広げた美琴の伴奏の中、毅然として蕭然として佇む那珂ちゃんの姿は、まさに魔力でも有しているかのようだった。 那珂ちゃんと美琴が、聳える奇石の上で軽やかに踊っている。 川面に浮かぶ夕日に照らされ、二人の少女がステップを踏む音階の一段一段。 それは抽象画の一ストロークであり、叙事詩の一節であった。 それはノンフィクションの一場面であり、VFXの一カットであった。 覚えず、クマーの眼からは涙が流れていた。 なんという辛い経験をしてきたのか――。 クマーにはその歌の底から湧く、抑えきれぬ程の那珂ちゃんの想いが、痛みを以て感じられた。 「波間に沈むる ひとも舟も―― 神怪(くす)しき魔歌(まがうた) 謡ふローレライ――」 僚艦は沈み、朋友は散り、幾多のたまを撃ち、たまを喰らい、那珂ちゃんは戦ってきた。 人を救う為。 そうだったはずだ。 だがそうして救えたのは、誰だ。幾人だ。 殺した数の方が余程多いのではないのか。 自他の記憶に残る忌まわしい光景を今生に再現しないため、那珂ちゃんに残されたのは、歌の道だけであった。 この歌。 アイドルという一片の歌謡。 それに惹かれた者たちがまたも沈んでいくなど、那珂ちゃんの望むところでは全くない。 その有様が人を惑わせるものだったとしても、これしかない。 もはやこれしか、那珂ちゃんに遺された術はない。 どうか戦いなどやめてくれ――。 どうかみんなで、生きてくれ――。 それが那珂ちゃんの想い。 それが艦娘としての願い。 その沈黙が届くように、那珂ちゃんは言葉を紡いで祈る。 その言葉が、那珂ちゃんの眼から零れる、涙だった。 「波間に沈むる ひとも舟も―― 神怪(くす)しき魔歌(まがうた)――! ……謡ふ―― ローレライ――!!」 3番の最後、その繰り返しを歌いきって、那珂ちゃんは眼を開けた。 凪いだ湖のように静まり返った空間で、そして深々と、頭を下げた。 拍手が聞こえて、彼女は顔を上げる。 「……良かった! あんた、うん、すごいわ……! TPOがどうあれ、その歌は本物よ……!」 「こ、高級技官殿……! ありがとう、伴奏までつけてくれて……!」 「やめてやめてそんな言い方! 御坂でも美琴でもいいから!」 ゴシックロリータのフリルをはためかせながら、美琴は言葉につまるような潤んだ目で拍手をしていた。 那珂の耳に続いて届くのは、入り口にいるくまモンの声なき声だった。 ――この環境と緊張の下で凄まじいクオリティだモン。普段上手い歌手でも、なかなかできることじゃないモン。 「あ、ありがとうございます……!!」 ――相当キツイ公演を幾つも抜けてきたことは簡単にわかったモン。自信を持っていいモン。 同業の者として、くまモンは拍手と共に彼女を率直に讃えた。 そして美琴とくまモンの視線が集まるのは、那珂ちゃんの目の前で聞いていたクマーとクックロビンだ。 「――で、どうだったのよあんたらは!」 ――お前たちの感想がメインだモン。 「感想も何も……、なぁ……。俺の賛辞は鼻から出っ放しだ……。 救えるよ……。今からはきっと救えるよ、その歌でさ……」 腹の血の海が興奮で鼻から溢れ、それを再び口から飲み下すというループを形成しながら、クマーは嘆息する。 おぼろげには聞き知っていた軍艦の歴史が、その可憐な歌の背後から滲み出ているように感じて、彼は涙ぐんでいた。 「……ごめん……。ごめんよ……」 その時、クマーの下から微かな謝罪が、嗚咽と共に響いてくる。 クックロビンだった。 彼の脳裏に流れていたのは、今わの際のコシミズの言葉だった。 『くれぐれも……、自分の「好い」たアイドルに、こんな歌、歌わせるんじゃないですよ……』 彼女も、那珂ちゃんも、辛い歌しか、謡えなかった。 この環境に共鳴できるのは、そんな歌だけだった。 クックロビンが今この環境で星空凛に明るい歌を歌わせようとしても、それは、きっと誰の元にも届かないのだ。 なぜ、そのような辛いことが起きてしまうのか。 アイドルたちは、歌っているだけだ。 その歌の意図を歪めてしまうのは、歌わせている側であり、聞いている側だ。 果たしてローレライは、聞き惚れてくれる舟人たちを沈めたくて歌を歌ったのだろうか? 夢中になった舟人が勝手に座礁して転覆しただけではないのか。 ローレライには、その岩山しか歌える場所がなかった。 歌を辞めれば彼女の存在意義が失われ、歌を歌えば聞き手は沈む。 そして募るのは、彼女がヒトを沈める妖婦だという悪評ばかり。 それを彼女に強要してしまったのは誰だ。 舟人だ。聞き手だ。ファンだ。 彼らの行動と暴走と自滅が、巡り巡ってアイドル本人に害悪をおっかぶせる。 現代へローレライの伝説を落とし込んでみると、武道館の傍を運転していたら中で好きなアイドルのコンサートをやってたので、脇見しながら通ったら対向車に突っ込んで死にました。などと言っているようなものだ。 それは果たしてアイドルの責任なのか。 勝手に事故ったファンの責任ではないのか。 ローレライのファンたちだって、ライン川のその近辺まで来たら、そんな難所の中をボーッと聞き惚れながら漕ぐのではなく、コンサートが終わるまで行儀よく岸に横付けして堂々と聞けば良かったではないか。 そんな時間がなくてどうしても急がなくてはいけないなら、耳栓でもして集中し、ひたすらに漕ぎ去っていくべきだったろう。 脇見運転の事故で死ぬのはファンの自己責任かも知れないが、それでアイドルまで評判を落としたならたまったものではない。 仕事は仕事、趣味は趣味。 節度を持ったファンの行動こそが、アイドルを盛り立てるか破滅させるかを左右しているのだろう。 『アイドルファンを名乗る気なら、死ぬ気で、プロデュース、してください……!!』 『ファンとプロデューサーって、別モノなんじゃないのかよ……!? 俺はただ、凛ちゃんの歌が聞けてダンスが見れればそれでいいのに……』 クックロビンには、ようやく、コシミズが遺した言葉の意味がわかった。 アイドルの評判を作り、それをプロデュースするのは、他でもないファンの行動だった。 もしファンの行動が整然としており、その他一般人にも見目のいいものであるなら、『こんなきちんとした人が好きなのだから、きっとそのアイドルもちゃんとした人なのだろう』と評判がつくだろう。 だがもしファンが勝手に会社の資金を着服してアイドルに贈り物を買うような輩であるなら、『こんな頭のおかしい奴が好きなのだから、きっとそのアイドルもとんでもない不良に違いない』と評判がつくだろう。 全ての者がそう受け取りはしなかったとしても、ファンが悪い行動をするなら、決してアイドルに良い評判はつかないはずだ。 何も知らないヒグマたちにとっての星空凛は、クックロビンの一挙手一投足で描写される存在でしかなかった。 自分だけのためにテーマパークを作るふてぶてしい奴で。 飛行船一面に自分の姿を貼り付ける目立ちたがり屋で。 ちょっと見た目は可愛いかも知れないが、それを頼みに単純なオスどもを引っ掛けて貢がせる邪なメス猫――。 そんな評判すら立っていたかもしれない。 事実、クックロビンにとっての『艦娘』たちのイメージは、そうして帝国民を堕落させた妖婦に他ならなかった。 実際に彼女たちに相見えてみれば、そんなことは全くなかったのに、である。 クックロビンたちファンがしなくてはならなかったのは、アイドルたちが明るい歌でみんなと響き合っていけるよう、彼女らを助け、ファン同士を助け、その他の聴衆さえ救っていくような、そんな活動であった。 この殺し合いという最悪の辛い状況から、少しずつ共鳴し、その周波数と望みを高め合っていけるような活動こそ、ファンとしての務めだったのだろう。 「……ごめんよ……、凛ちゃんも、那珂ちゃんも……。 アイドル同士を叩いたり、一人で勝手に先走ったり、そんなこと、しちゃ、いけなかったのに……」 クックロビンが土下座のような体勢のままに謝るのは、彼女たちアイドルだけに留まらなかった。 それは彼自身の責任で死地に追いやってしまった幾頭もの同胞、シバさん、そして勝手に敵対関係のように思っていた艦これ勢に対しての謝罪でもあった。 当の艦これ勢自体は、クックロビンらアイドルオタクの存在などほとんど知らないのではあるが。 「……ごめん……。殺してくれ。こんなことやらかした俺は、そうでもしねぇとみんなに侘びれねぇよ……」 「……そんなことない! その凛ちゃんってアイドルのためにも、あなたは死んじゃだめだよ!!」 クマーとくまモンに対して自分の処刑を懇願したクックロビンの声は、即座に那珂ちゃんに差し止められた。 クマーは何も言わず、押さえ込んでいた彼の上から静かに退いた。 那珂ちゃんはクックロビンの掌を両手で包み込み、彼を助け起こす。 彼にとって初めての、生身のアイドルの、握手だった。 「今ここで、その凛ちゃんって子のファンでいてあげられるのは、あなたなんだよ! 凛ちゃんを助けて、みんなにちゃんと見てもらえるよう、今から一緒に頑張ろ。ね?」 クックロビンは呆然と、もはや今日一日で何度目かわからぬ涙を流して、頷いた。 那珂ちゃんと彼のやりとりに、美琴は顎へ手をやり、興味深げに思案していた。 この島の『アイドル』という存在が、救われた瞬間だった。 〔AM:1197kHz(熊本放送)〕 待ってくれないものは、時と言論と襲撃者である。 その時、御坂美琴の『自分だけの現実』に、このアスレチックの周辺から内部へ侵入しようとしている物体のベクトルが感知されていた。 美琴は手元でくるくると八木・宇田アンテナを回転させ、豁然と口を開く。 「……良いところなんだけど、西の崖から侵入者が来るわ。 明らかにここを狙ってる動きなんで、迎撃をお願い」 ――了解。すぐに出るモン。 「うお、マジか。なんでわかったんだ美琴ちゃん!?」 「周りに槍かなんか設置してくれたんでしょ? このアンテナに対してそれが全部センサーになってるのよ。 ……感度上げるために私も出るわ。速い――」 舌打ち混じりに言い捨てて、美琴はくまモンとクマーを連れ、即座に放送室外へ走り出ようとした。 何かとんでもなく嫌な予感がする。 受信したシグナルは、西の崖に張り出している周辺の逆茂木からのものだ。 その侵入者は、先程までまだその壁面を昇っていた。 しかしたった今、侵入者は『かえし』のように設置されたその棘の一本を掴んだ。 乗り越えられた。 早すぎる。 「那珂ちゃん、そのヒグマの処遇は任せるわ。隠れてて!!」 「あ、はい……!」 那珂ちゃんとクックロビンを残して、美琴は放送室のドアを閉めた。 「うおおおお!! オタクでもロボットでも何でも来いやぁ!! 那珂ちゃんの歌でパワーを貰った今、幼女以外の何物にも俺は負けねぇぜぇええええ――!!」 「西南西! 海食洞側から昇ってきたわ! お願い!」 室外に出るや否や、真っ先に息巻いて走り出していたのはクマーだった。 鼻血とともに興奮も最高潮に達している彼は、3rdステージの槍を引っ掴み、野人のような動きで崖側に向けてすっ飛んで行く。 八木・宇田アンテナを崩落した城の上に設置しようと這い登り始めている美琴のただならぬ焦りように、くまモンもそこはかとない危機感を覚え、クマーの後を追った。 そのクマーたちが崖に辿り着くよりも大分前に、設置されている逆茂木の一本がしなった。 ビィン。 と、鈍い振動音と共に、何かがクマーの目の前の空中に跳ねあがる。 そうして空から落ちてくるものの姿を見上げて、クマーは立ち尽くした。 濃いピンクの鮮やかな髪。 ラインを浮かび上がらせるようなぴっちりとした黒いボディースーツ。 陽光に伸び上るしなやかな四肢。 槍持つクマーは、それに憧れ、殺気も見やらず、仰げばやがて――。 「――あ、幼女じゃん」 そう彼が呟いた瞬間、その少女が中空から振り下ろした手刀が、クマーの頭部から胸にかけてを、バッサリと唐竹割りに両断していた。 トマトの丸絞りの如く溜まっていた血を勢いよく吹き出し、クマーはぴたぴたと舌を動かしながら地に倒れた。 「……こりゃ負けるわ」 ――クマーァァ!? 驚愕するくまモンの元へ、その少女の姿をした侵入者は止まることなく走り込んでくる。 虚ろな瞳のまま、漆黒のジャガーのように襲撃してくる少女の爪を、くまモンはギリギリのところで身を捻って躱した。 ――東にぶらっと。 しかしくまモンの行動はそれだけではなかった。 後方へ倒れ込むように捻った体で、彼はその少女が踏み込んだ足先を、自分の左脚で踏みつけていた。 ――『杵島岳』。 そして続けざまに、完全に仰向けとなった体勢から、彼女の膝関節に向けて容赦なく右脚を突き込んだ。 その骨格が、悲痛な音を立ててへし折れる。 ――『烏帽子岳』。 そのままくまモンの右脚は、逆関節のようになって膝から崩れ落ちてくる彼女の股間を蹴り上げた。 爪先でボディースーツの下の会陰を抉り、恥骨を割り、腸骨動脈を裂断させる。 ――『中岳』、『高岳』、『根子岳』! その衝撃で、押さえつけた右足を軸に倒れ込んでくる少女を迎えるように、くまモンは水月、壇中、顎先と、正中線上の急所を次々と蹴り飛ばした。 肋骨の下から胃が破られ、横隔膜が抉られる。 胸骨のど真ん中が砕かれ、心臓振盪を起こす。 下顎骨がへし折られ、突き上げられた少女の頭部は頸椎を折りながら勢いよく真後ろに回転し、頭蓋骨が自身の背骨にまでぶち当たった。 そのままくまモンは背後にとんぼ返りし、逆に背中から地面に倒れた少女へ、残心をとって構え直す。 ――『阿蘇涅槃仏』。 熊本の北東部に聳える阿蘇山は、その雄大なカルデラ内部に『阿蘇五岳』と呼ばれる火口丘群を擁していた。 この山の連なりは、北方から望むとあたかも仰向けに倒れて入滅する(死ぬ)仏の姿のように見えることから、釈迦の涅槃像に喩えられている。 くまモンの行なった一連の体術は、人間ならば4回死んでいるような攻撃だ。 過剰防衛――。 襲撃者とはいえ、少女に対する行動としては、明らかにやりすぎとすら思われるものだった。 それはその通りである。 本来ならくまモンは、『杵島岳』で相手の膝を折った時点から追撃を辞めることもできた。 しかし、それをくまモンは拒絶した。 ――追撃しなければ殺されていた……! そんな感覚が、彼にははっきりと認識されていた。 その理由は――。 彼女の骨格の手ごたえが、骨ではなく、金属だったからである。 カパッ。 そんな音を立てて、死んだと思われた少女の口が開いていた。 そして、折れたはずの首だけが、ぐるりとくまモンの方を向いて立ち上がった。 ――なっ!? 驚愕するくまモンに向けて、次の瞬間、彼女の口からピンク色の光線が射出されていた。 それはくまモンのいた地面を広く抉り、未だ散らばっていた鉄片の類を瞬く間に溶融・蒸発させてしまう。 くまモンの体は、その直前に横から飛びついて来た何者かに、射線上から逃がされていた。 「――ふぇ、ふぇ、ふぇ! この子タフだなぁ! 俺みたいだずぇあ!」 ――クマー! それで生きてるのかモン!? 「だぁら、女の子あらの攻撃はご褒美みたいなもんだっての!!」 くまモンから離れて立ち上がったのは、上半身を縦割りされたまま笑っている、クマーであった。 頭蓋から口腔さえ引き裂かれて呂律の回らぬ頭を、自分の両腕で無理矢理くっつけながら彼は喋っている。 二次元平面にプレスされた福笑いの状態で日常の仕事をこなしていたクマーからすれば、この程度の損傷は物の数ではない。 だが身構え直した彼らの前で、襲撃者の少女の骨格もまた音を立てながら正しい位置に戻り、何事もなかったかのようにゆらりと立ち上がってくる。 そして再び、彼女の口が開かれた。 「ん~、ボディータッチなら負けるが勝ちなんだが、流石に全細胞焼かれたら俺も死ぬよなぁ……」 ――ふざけてる余裕ないモン!! くまモンとクマーは左右に別れながら、彼女の放つピンク色の閃光を回避した。 一瞬で照射されたその光線を両者が躱し得たのは、つい先ほど、類似した能力を持つ穴持たず402と交戦を行なっていたことが大きい。 だがこの時、この襲撃者が狙っていたのは、彼ら二名ではなかった。 射線の仰角から彼らがそのことに気付いたのは、その一瞬後だった。 「――美琴ちゃん!?」 その狙いは、崩れ落ちた『城』の上に向かっていた。 〔THz:3510GHz(御坂美琴)〕 「は……? 相田、マナさん……!?」 美琴が思わず呟いたのは、その赤い髪の襲撃者が、クマーの体を二つに断ち割ったその瞬間だった。 見覚えのある、一緒に島へ参加者を救いに来たはずの、少女だった。 目の前で起きている事実と、今までの認識とが大きく食い違い、美琴は事態を理解できぬまま硬直する。 彼女はHIGUMAアスレチック中央の倒壊した『城』を、瓦礫を頼りに実況席だった場所の上まで登り、八木・宇田アンテナをそこへ設置していたところだった。 ――なぜ彼女がここを襲う!? ――なぜあんな動きができる!? ――そもそもあれは本当に相田さんなのか!? そう思ううちに彼女の眼下では、くまモンが護身術のような動きで少女の下に潜り込み、瞬く間に5連続の蹴撃を叩き込んでいた。 死んだ――。 仰向けに倒れ込んだ襲撃者の動きを見て、美琴は間違いなくそうだろうと思った。 膝は折れ、骨盤は砕け、胸は割れて、首は真後ろに曲がったのだ。 死んでなければおかしい――。 そのはずだった。 だが、少女の肉体は人間に非ざるような動きで復帰する。 ――ロボットか!? と思えるような挙動の彼女の口からは、くまモンに向けて、巨大なピンク色の閃光が発射されていた。 「メ、『原子崩し(メルトダウナー)』……!?」 学園都市の誇るレベル5の第4位、暗部組織『アイテム』の麦野沈利と戦闘した際の記憶が美琴には思い出される。 彼女の『原子崩し(メルトダウナー)』と呼ばれる『曖昧な状態の電子を操作する能力』で作り出されるビームは、この世に存在する物質では恐らく防ぐことができない。 着弾した地面は広く、蒸発するかのように溶け落ちている。 穴持たず402も似たようなビームを放ってきたが、彼の攻撃は掠めても『熱い』で済む程度だった。 だが、この襲撃者の放つ攻撃の保有エネルギーは、そのヒグマとは桁違いだ。 ――あいつのメルトダウナーと同等以上……!? 苦戦の記憶に、美琴は歯噛みしながら八木・宇田アンテナを掴む。 その時だった。 眼下では、復帰したクマーがくまモンと共に、立ち上がったその少女に相対していた。 美琴の感覚には、その少女の口に集束する、巨大な電磁波が感じられた。 「――うそっ!?」 そこから砲撃される光線を回避すべく、彼女は『城』から急いで飛び降りようとする。 だがその動作に移る間もなく次の瞬間、美琴の視界は凶悪なピンクに埋め尽くされていた。 「ぬぇあぁ――」 彼女の脳は、一瞬でタスクオーバーしかねない処理サイクルを、辛うじて演算しきっていた。 後方に身を引きながら突き出した両腕で、美琴はそのピンクの光線を、空に向かって『曲げる』。 仰向けに反り返った彼女の鼻先を掠めて、晴天の向こうに光は真っ直ぐに飛んでいく。 麦野沈利本人からは、『パリィ』と評された防御法――。 メルトダウナーと同じく電子を操作することの可能な美琴が、なおかつレベル5相当の演算能力を有しているからこそ可能な対処だった。 その一瞬で、わずかに蓄電していた彼女の電力は、根こそぎ持っていかれた。 それでもなお、その光線をいなしきるには足りなかった。 光に触れた両掌が熱で焼けただれ、運動エネルギーを殺し切れなかった彼女は、風圧に吹き飛ばされるように体勢を崩してそのまま『城』の上から転落する。 「――ぁ、わぁぁああぁぁ!?」 「――美琴ちゃん!?」 ビルの2階程度の高さから、美琴は瓦礫の山の中に埋まるようにして、クマーたちから見えなくなった。 〔VHF:96MHz(蔵人)〕 「……本当に、良かった」 「な……、何が、だい?」 美琴たち3人が室外に立ち去ってしまった直後、那珂ちゃんがほっとしたように呟いたのは、そんな言葉だった。 身を起こしながら問い掛けるクックロビンに、彼女は微笑みながら答える。 「あなたと那珂ちゃんが信じる『アイドル』を、守れたから――!」 その眩しい笑顔に、クックロビンの胸は、きりきりと痛んだ。 この那珂という艦娘にとっては、『アイドル』という概念こそが、自身の存在意義の全てなのだということが、ありありとわかったからだ。 ただファンとして、彼女たち『アイドル』のもたらすパフォーマンスを享受しようとしていた自分が、情けなくなった。 こんな島で、殺し合いの起こっている中で『アイドル』を守るなら、中途半端な心構えでは到底いけなかったのだろうに。 「……俺も、凛ちゃんたちアイドルを、守れるなら守りたいぜ。もちろんキミ――、那珂ちゃんも。 でも、こんな俺に、この期に及んで、何かできることあるのかね……」 「もちろんあるよ! だってあなた、建築家なんでしょ!?」 「でも、何の道具も、資材もねぇ!! ちょっとした装置やスクラップは散らばってるみたいだけど、俺にはドライバー一本さえ無いんだぜ!?」 道具の無い大工は、牙の抜けた虎のようなものかも知れない。 活かせる長所を失い、その意気まで萎えてしまっている。 実際クックロビンは、くまモンに爪を折られ、牙を砕かれているのでまさにこの状態だ。 わずか数時間のうちにテーマパークとスタジアムを作ってしまえたのも、それが粗い手抜き工事であり、なおかつ何頭もの仲間がいたからのことである。 何とはなしに持ってきてしまった『ランスロット』という参加者の首輪とデイパックは、くまモンに奪われて部屋の隅に置かれているが、ここから都合よく大工道具が出てくるなんてことも考えられないだろう。 彼ひとりでできることなど多寡が知れていた。 海食洞にはヤエサワ、ハチロウガタ、クリコという先輩もいたはずだが、例の根のなくなった今どうしているのかはわからない。 西から侵入者が来たということは、考えようによっては彼らである可能性もあるが、どうなのだろうか。 少なくともヤエサワはアイドルがどうこうという話題に良い顔はしていなかったはずなので、仮に彼らがここに来たとしても、アイドルのために行動してくれるとはあまり思えない。 というかそもそも、帝国の仕事人である彼らがまずここに受け入れられるはずがない。彼らとしても人間と馴れ合う気など端からないだろう。 クックロビン自身にしても、今の立場は捕虜のようなものだった。 それでも、那珂ちゃんの笑顔は曇らない。 美琴が先程まで鳴らしていたオーディオコンポを叩き、燃えるようにクックロビンに語り掛ける。 「だいじょーぶ! だって御坂高級技官殿は、何の道具もなしにあんなすごい伴奏してくれたんだよ!? 那珂ちゃんだってあなただって、道具無くてもカラダ一つでできることあるって!!」 「いやまぁ、那珂ちゃんはそうだけど……。確かにアレ、どうやってたんだろうなぁ……?」 那珂ちゃんにつられて、クックロビンはその何の変哲もないコンポに歩み寄る。 那珂ちゃんが身一つでできることにその歌があるのは、その大いなる力を身に染みて感じているので納得できる。 だが御坂美琴が、触れもせずに身振りだけで、複数の楽器を同時演奏しているような音圧を、CDもMDもカセットもレコードも入っていないコンポの中から取り出してきた方法は、完全に謎であった。 クックロビンら穴持たずカーペンターズにとっては、電子機器類は、どちらかというと専門外の分野にあたる。 研究所に残っていた機材や発動機を反乱後に転用したものはあるが、ヒグマ帝国が自分たちで作り上げられた電化製品は皆無に等しい。そもそも地下にそんな材料がなかったからだ。 件の飛行船などは、ツルシインやヤイコたちがなけなしの物資をもとに作り上げていた秘蔵中の秘蔵っ子だった。 そのため、その内部構造などの知識は一般ヒグマに近いクックロビンたちにはなおさら乏しかった。 「……俺は『蔵人(クロード)』だったし、どっちかっていうと詳しいのは装飾とかなんだよなぁ……。 たぶん、ラジオの発振器かなんか使ってたのかなぁ……?」 恐らく、外部から電波の形で伴奏を送り、機械に受信させて再生すれば、ハイクオリティに振幅復調された形で音を再生させることはできるのだろう。 だが結局それには、そんな音楽になるほど緻密な電波を、身一つで発生させることが必要になる。 後輩であるピースガーディアンのルークも、先輩である事務班のヤイコも電気を扱うことは出来るが、そんな精密に能力の行使をすることは到底できないだろうに、である。 「あぁ、ラジオかぁ! すごいじゃないそれ! だったらここでコンサートもできちゃうね!」 「――コンサート……!?」 「――ぁ、わぁぁああぁぁ!?」 那珂ちゃんが華やいだ声を上げたその時、ガラガラと瓦礫の崩れる音を立てて、半地下の窓の外に誰かが落下してきた。 上から北東のグラウンド側に落下したゴスロリ衣装の人物は、御坂美琴その人である。 一度呻いて顔を振った彼女は、半地下の室内にいるふたりを見下ろすような高さから、にっこりと笑顔を見せた。 「……ああー、『コンサート』でしょ。私もそれ考えてたのよ。 だからそのための『楽器』のチューニングを兼ねて、ちょっともっかい戦ってくるわ……」 二人の言葉尻が聞こえていたのか、そんな発言と共に、美琴は立ち上る。 那珂ちゃんが窓際に駆け寄って、侵入者と戦闘になったらしい彼女へ焦って問いかけていた。 「『楽器』で戦うってどういうこと!? 大丈夫なの!?」 「……大丈夫よ。さっきあんたも『聞いた』でしょう、この『武装』は」 美琴は、まるで舞台に立つかのように呼吸を整えて、自然体に体を落とした。 スカートのパニエを揺らし、袖のフリルを払い、胸のリボンを張り直す。 そして左手でヘッドセットを押さえると、彼女は右手で真一文字に、目の前の空間を手刀で裂いた。 「――『天網雅楽(スカイセンサー)』、起動!!」 その動きをスイッチとして、何者にも聞こえぬ音楽が、触れぬままに奏でられ始める。 〔AM:1197kHz(熊本放送)〕 「美琴ちゃん、大丈夫かぁあ――ッ!?」 ――クマー、後ろッ!! 巨大なビームを弾いたものの、その勢いに押されて背後に転落していった美琴へ、クマーは叫びかけていた。 『城』の瓦礫に隔てられて見えぬその向こうを振り仰いでいた彼に、鋭くくまモンが呼びかける。 その声に反応したクマーの体幹を、たちまち赤い陣風が通り抜けていく。 「くっ、ぷぁ――……」 襲撃者の少女は既に御坂美琴への狙撃動作を終え、その手刀で通りすがりざまにクマーの腹部を両断していた。 内臓をあらわにしたその腹が、血の海の中にくぷくぷと泡を立てる。 クマーの胴体はもはや背骨を補強する釣竿で繋がっているだけであり、体勢を保てずに彼はふらふらとよろめいた。 踏み込みから一転して翻り、少女はたちまち、倒れるクマーの首筋に食らいつこうと飛び掛かった。 「ごぶばっ!!」 瞬間、クマーは飛び掛かってくる彼女の顔面目掛け、渾身の腹圧を込めて自身の血を、切断された腹から噴出させた。 眼潰し――。 最低でもその役には立つかと思われた、彼の最後のあがきだった。 しかし、少女は目を見開いたまま真っ向からその血液を顔面に受け、怯みも瞬きもせず、そのままクマーの上に馬乗りになって首に噛みついていた。 「おぉ、ぎゅ、ぅ、ぅ、ぅ――」 クマーは手足をばたつかせて悶える。 その様は激痛に狂っているようにも、快楽に悦んでいるようにも見えた。 彼はたちまち頸動脈から気管までをごっそりと抉り喰われ、声を出すことも、身動きを取ることもままならなくなってしまっていた。 その嬌声のような断末魔のような悶絶に紛れて、くまモンが即座に、背を向ける襲撃者の背後へ走り寄っている。 この隙にどうにかこのロボットの如き少女を機能停止させる――! そう念じて拳を振りかぶった瞬間、クマーに馬乗りになっていた少女の脚が、槍のように突き出されていた。 ――くっ!? 毛皮を抉られるような突き足をくまモンが身を捻って躱すや、その動作のままに翻転した少女が左の手刀を袈裟斬りに撫で下ろしてくる。 隙だらけにも見えた捕食の最中にも、その襲撃者の感覚は一切鈍っていないようだった。 その手刀に切り裂かれるかと思われた瞬間、くまモンは突如、迫る少女に向けて自分から踏み込んでいた。 ――どうかい、どうかい! そして、斬り降ろされてくる左の腕を自身の右腕で受け、同時に振り上げた右膝に挟み込んで、その肘関節を砕いた。 少女はその破壊にも停止することなく、密着の状態から右腕を撓らせ、フックを打ち込むかのようにくまモンの首筋を狙い、そして同時に大きく口を開く。 砲撃の構えであった。 ――追うたぁ、追うたァ! その返しに、くまモンは踊るような動きで合わせ、右手刀の突きを、肩の毛を飛ばされながら左手で跳ね上げる。 そして開かれた少女の口を、右脚を踏み込んだ勢いのままに、荒々しい右アッパーで撥ね飛ばしていた。 放たれようとしていたピンク色の光は、まるで吐血のように彼女の歯の隙から天空に向かって吹き零れる。 ――弥栄(いやさか)さっさァ――!! そしてくまモンは、がら空きとなった彼女の胸に零距離で両掌を添わせ、大地を踏み鳴らしながらその勢いを突き込んでいた。 べこり。 と、胸部が双掌の形にへこんだ少女の体は、紙屑のように彼方へ吹き飛ばされていた。 藤崎八旛宮秋季例大祭――。 加藤清正が文禄・慶長、大坂から無事帰還できたことを神に感謝し、『随兵』という行列を伴って行なった祭りがそれである。 毎年9月に行われる、飾り馬と共に数万人規模の団体が街を踊り歩く、勇壮なものだ。 かつては、『朝鮮を滅ぼした』または『エーコロボシタ(偉大な人が死んだ)』などと諸説ある由来を持つ、『ぼした』という囃し言葉を掛け声にしていたこの祭りは、『ぼした祭り』と呼ばれていた。 この『ぼした祭り』の発祥当時は、現在では飾られるだけの馬に、酒と興奮剤を投与し、暴れ狂わせながら行列を行なっていた。 周囲の踊り手である『勢子』たちには、この馬の暴走を、踊りながらにして抑える技術が必須だったのである。 現在は、この掛け声は『どうかい』、『追うた』、『いやさ』などの言葉にとって替えられているが、その踊りの内包する勇猛な要素は未だ変わっていない。 今度こそ襲撃者を機能停止させられているように、とくまモンは、崖の縁近くまで転がった襲撃者を見て祈る。 ――これ以上戦いが長引けば、しのぎぎれんモン……! くまモンは表情を変えぬままに、心中で冷や汗を流した。 この少女の形をした襲撃者は、くまモンの見立てでは間違いなく、機械でできたロボットだった。 しかも、あの小熊のような形態をしたロボットとは比べ物にならない頑丈さと機能を有している。 骨格は鋼鉄のように頑強な金属で作られている上、破壊できたように見えても、それは敢えて衝撃を再結合可能な部位に流して重要機構を保護するための、防御手段の一つであるようだった。 もともとが生物・人体の反応や急所を利用した攻防手段を主とするくまモンにとっては、余りにも分の悪い相手だった。 神経や筋肉の反射を利用した攻撃手段は通じず、関節の破壊は即座に修復され、人体の急所は恐らくそれにとって急所ではない。 この上、ヒグマの肉体から生み出される単純な威力を追及した『弥栄さっさ』をも耐え凌がれるのであれば、もはやくまモンに攻め手はほとんど残されてはいなかった。 ――あと望みがあるのは、『松島橋』くらいかモン……!? それだって果たして効くかどうか……。 なおかつ、防御においては主に相手の『気走りを読む』ことで対応しているくまモンは、これ以上相手が生物の常識を逸した挙動で攻めてくるなら、間違いなく対処が間に合わなくなるだろう。 古武術において最重要視されている、「相手が打とうとする『う』を断ち、相手が斬ろうとする『き』を断つ」、『宇気断ち(うけだち)』と呼ばれるこの技法は、無生物に対しては、全く無効とは言わないまでも非常に応用が厳しかった。 機械の駆動音を気とし、モーターの回転率を宇として捉えても、そこから表出される動作は、生物とは全く異なる挙動になりうる。 彼が今までこの襲撃者の攻勢を防ぎきれていたのは、単にそれが、辛うじて人間の行なえる動作範囲で攻撃してくれていたからに他ならない。 これでこの襲撃者が終わるなら、それでいい。 だが、再びそれが立ち上がり予想外の攻撃で攻めてきた場合、くまモンには、対応する術がない――。 ――ああ……。 そして、くまモンの祈りは、届かなかった。 掌の形に凹んだ胸郭が音を立てて戻り、人体にあらざるような動きで反り返った少女の体が、ゆらゆらと亡霊のように立ち上がっていた。 そしてさらに、身構えるくまモンに向けてその襲撃者は、今までに行なって来なかった挙動を見せた。 ステージの端近く、崖を背にした位置から、4,50メートル離れているくまモンに向けて、それが黒いボディースーツに包まれた脚を、後ろに振り上げる。 サッカーのキックオフの姿勢のようにも見えた。 ――一体、何をしてくるつもりなのか……!? 少女の虚ろな瞳孔の奥を見つめても、その意志は全く読み取れなかった。 だが、その脚が蹴り出されようとした瞬間、襲撃者の視線は突如くまモンから外れた。 そして右脚を走らせようとしていた動作は不自然にキャンセルされ、その少女の体は身を退くようにして後方に反る。 ほとんど同時に、先程までその頭部があった空間を、僅かな風切音だけ残して何かが通り過ぎた。 「省電力『超旋磁砲(コイルガン)』――。 無音のこれでも避けられるってことは、やっぱ私の隠密スキル低すぎよねぇ……。 ……それともロボットのくせに『殺気を読んだ』とか、ふざけたこと言わないわよね」 何が起きたか理解できないくまモンの左側の空間から、聞えよがしに呟やかれたそんな声が聞こえた。 2ndステージだったその空間には、ポリカーボネートやコンクリートの壁の瓦礫がそこここに散乱している。 その声は、その壁の裏に隠れた場所から響いていた。 襲撃者の少女は口を開き、そこから即座にピンク色の光線を放つ。 その寸前、瞠目するくまモンの眼には、瓦礫の裏側から、ひらりとステップを踏んで移動する、黒いフリルの動きが見えていた。 着弾した光線がコンクリート壁を容易く貫通して地面を抉った直後、その真横の瓦礫から、再び何かが高速で射出される。 少女はそれを跳ね上がって躱しつつ、勢いよくその瓦礫の散乱する空間へと走った。 くまモンは、その少女の体があった地面に突き刺さる、超音速で射出された弾体の正体を見た。 ――五寸釘。 鋭い鉄釘が、地面を抉りながら、その全体を地中に埋めている。 覗き込んだ場所に釘頭が見えなかったならば、視認もできなかったその正体は全く分からなかったであろう。 その弾丸を投射した狙撃手は、襲い掛かってくる少女の前に、瓦礫の奥から悠然と姿を現していた。 「――相田さんの格好なんかした趣味悪いロボットは、今すぐぶっ壊させてもらうわよ」 爛れた指先に幾本もの釘と鉄筋を遊ばせて舞台に立つ黒衣は、御坂美琴、その人だった。 〔THz:3510GHz(御坂美琴)〕 御坂美琴がその襲撃者を狙撃した地点は、HIGUMAアスレチックの南側から僅かに東に入った、2ndステージの端近くだ。 彼女はそこまで、『城』の裏から瓦礫の隙を伝い、密かに気配を殺して移動をしていた。 そこは3rdステージの崖側で戦闘を行なっていたくまモン達の位置から、優に200メートルは離れている。 50メートルで弾体が溶け落ちてしまう彼女の『超電磁砲』では、射程圏外の場所だ。 しかし彼女は、瓦礫の裏に隠れた状態から、音も光もなく、その距離へと高速の砲撃を行なっていた。 同じ電磁力を使った投射装置である『レールガン』と『コイルガン』であるが、その原理は大きく異なる。 ジュール熱による弾体の帯熱が大きな問題となるレールガンに対し、コイルガンでは、そのスイッチングに高い精度が必要とされることや、弾の形状による効率差はあれど、発光や発熱による派手なエネルギーロスはほとんど生じない。 その分、弾の熔解による射程制限はなくなり、現在の美琴の蓄電力でも起動でき、その隠密性はむしろ高まることになる。 美琴自身のパーソナルリアリティで仮想したコイルならば、その磁界発生効率は非常に高く、自動的なクエンチ現象によりスイッチングも必要ない。 細く、長い弾であればあるほど効率の上昇するコイルガン方式の射撃は、表層からの打撃でほとんどダメージを受けていない機械の襲撃者にも貫通創を与える可能性が高く、この場で手に入る弾丸の性質ともピッタリ合致していた。 美琴は、迫り来る襲撃者の前に姿を現しながらその掌に、ざらりと釘を広げる。 「10秒――」 走り寄る襲撃者の到達時間を彼女が正確に呟いたと同時に、その掌から釘が次々と射出された。 先程の射撃よりかはいくばくか遅い。 しかし、その亜音速の弾丸は撃たれるに音なく、放つ美琴も全く動作しない。 弾幕に等しい釘の連射を、赤い髪の襲撃者は、スラロームのように左右へステップを踏むことで回避する。 弾道の予測が不可能であったが故の行動だ。 避け損ねた五寸釘の一本が、その左の肩口を抉り飛ばす。 美琴の狙い通り、背中側まで貫通する傷だった。 だが、その程度の損傷では、この襲撃者は停止しない。 見る間に接近された空中から、ピンク色の閃光による、美琴のものとは比較にならない高火力の砲撃が襲う。 「フッ――」 だがその高エネルギー大口径のビームを、美琴は触れも、曲げもせずに、息を吹きながら横にステップして躱す。 ゴシックロリータのスカートをはためかせながら、一種、優雅ささえ漂う動きだった。 美琴は、眼を、閉じていた。 「……感度良好よ」 微笑む彼女に向けて、続けざまに空中から少女の手刀が振り下ろされる。 その攻撃も、ただ美琴は片脚を引くだけの動きで避ける。 続けて揮われる左右の爪、拳、脚――。 触れ合うほどの密着位置から放たれるそれらを、彼女は瞑目したまま掠ることさえなく、悉く最小限の動作で躱す。 押さば引き、引かば押す。 回り込み合い、すれ違い合い、自身の存在空間を対称的に変遷させてゆくその二人の様は、まるでダンスを踊っているかのようにすら見えた。 「……アンタの『リズム』は良く聞こえる。正真正銘のロボット――。 それならもう、遠慮しないわ――」 美琴の認識するパーソナルリアリティの視界には、この相田マナの姿をした襲撃者から流れる、余りにも機械的な音楽が、余さず捉えられていた。 この一帯に向けて発信された電波は、半径200メートルを覆う盆状に設置された槍衾をパラボラとして、『城』のアンテナに全てキャッチされている。 そしてまた、八木・宇田アンテナから送受信される、ミリ波以下の高周波数を誇る高指向性の電波が、その探針を補正する。 3rdステージで身じろぐクマー。 美琴を気遣いながらクマーに駆け寄るくまモン。 放送室のドアの陰からこちらを見やるクックロビンと那珂ちゃん。 この目の前で爪を振るう襲撃者。 今の美琴の感覚には、彼らの一挙手一投足の全てが、アップテンポなメロディとして、その一音一音まではっきりと聴こえている。 虚ろな表情のままに攻撃を行い続ける襲撃者の動作。 体幹から肩。 肩から腕。 腕から掌。 掌から爪。 駆動するモーター。 歯車の一回転。 それらの情報が全て、オーケストラの演奏のように読み取れる。 美琴は観客であり、指揮者であり、演奏家だった。 そしてその後に必要なことは、ただ踊り手として、そのリズムに乗って体を躍動させるだけ。 そうしてまた、美琴は振り下ろされる爪の一撃を、フリルとリボンをはためかせて躱した。 ――これこそが、彼女が那珂ちゃんに向けて披露した電離の計、『天網雅楽(スカイセンサー)』である。 人間よりも遥かに速い、ヒグマかライオンかチーターのような挙動で襲撃者は攻める。 しかし、美琴が放ち、そして聴く無音の音楽――『電波』は、それよりも遥かに速い光速であった。 その中でも高周波数の『ミリ波』は、実際に空港などで衣服の下を透視する全身スキャナーや、『ミリ波レーダー』として実用化が進められている。 この技術を御坂美琴が宝具『八木・宇田アンテナ』と、自身の演算能力を用いて昇華させた電波探知網は、わずかな電力しか必要とはせず、それでいて、彼女が自身の五感で知覚するよりも遥かに莫大で精密な情報を彼女に与えていた。 天網恢恢、疎にして漏らさず――。 空に巡る無辺のセンサーをチューンして、美琴の体は踊る。 ミュージカルのヒロインが、言い寄る男たちの手を抜けるように、爪を躱す。 相手は、大きく口を開く。 触れ合うほどの位置から、美琴を消し飛ばさんとしたハート色の光を、澄ました表情で潜り抜ける。 そして美琴は、相田マナの姿をした襲撃者の懐に、踏み込んでいた。 ミュージカルのヒロインが、しつこい男たちへ食って掛かるように、体重を乗せた。 微かな吐息だけを吹いて美琴が突き返した返事は、肘。 全体重を乗せた踏み込みで、黒いボディースーツの胸に、帯電させた右肘を抉り込む。 「――フぅゥ――」 そのまま、肩。 更なる電流と勢いを、相手の顎へショルダータックルで叩き込む。 「――らァッ!!」 さらに、額。 満身の怒りとヒステリシスを総身の身振りに表して、美琴は相田マナの鼻っ柱を折らんばかりに、その顔面へ頭突きをぶち込んでいた。 襲撃者の内部の基盤が、高電流の熱で破壊されるのを、美琴ははっきりと、認識した。 カウンターでタックルの勢いをまともに受けた形となった少女は、2ndステージの瓦礫の上を、南方の川近くにまで、吹き飛ばされるように転がり、そして、動かなくなった。 「……なんだっけ、猛虎硬爬山とか言うんだっけ、こういう体当たり。 『山爬美振弾』とか、適当につけとこうかしら、この技」 誘導電流というものがある。 コイルに電流を流した時、その電磁場によって、接触していない他のコイルにまで電流が流れるものだ。 美琴は自身に纏わせた電磁場により、タックルの瞬間、襲撃者の電子回路内にこの誘導電流を引き起こしていた。 短絡回路のような電流を叩き込まれた電子基板は、その電気抵抗によるジュール熱、および美琴の磁界から受けるヒステリシス損・渦電流損などと呼ばれる発熱により、内部から破壊される。 『天網雅楽(スカイセンサー)』で稼いだ時間に電力を溜め、美琴はこの一撃に勝負を賭けていたのであった。 〔LF:1000hHz(H)〕 ――御坂美琴、大丈夫かモン!? 「ああ、くまモン。クマーは大丈夫なの!?」 満足げに息を吐いた美琴の方にくまモンが、血まみれの毛皮のようにすら見えるクマーの肉塊を背負い走ってくる。 クマーはそんなボロ雑巾に等しい、声も出せないような姿のまま、左手の親指だけグッと立ててみせる。 呆れるほどのタフさだった。 「……まぁいいわ無事なら。それにしても、わざわざ相田さんに似せたロボット投下してくるとかほんと悪趣味よねぇ。 メルトダウナー逸らし切れなくて滅茶苦茶痛いし……」 件の小熊型ロボットを操っているのだろう黒幕の所業に眉を顰めながら、美琴は爛れた手の痛みを散らすように打ち振る。 そうして美琴が気を抜いていたところに、くまモンが鋭く、脚を踏み鳴らしていた。 ――美琴!! 後ろだモン!! 「……え?」 その挙動に、美琴はびくりと顔を上げ、背後を振り向いていた。 その眼に、有り得ない光景が、飛び込んでくる。 破壊したはずの、相田マナの形をしたロボットが、起き上がっていた。 「な……、んで……!?」 内部の電子回路は、溶け落ちたはずだった。 相手が『機械』なら、それで機能停止していなければおかしい。 かといって、この襲撃者が、人間であることは有り得ない。 相手が『人間』なら、くまモンが先程から叩き込んでいた攻撃で、とっくに死んでいなければおかしい。 この襲撃者が、機械でできていることは確実なのだ。 美琴もくまモンも、それの体内でモーターや電子回路が駆動していることははっきりと認識している。 ――つまり、この少女は、『人間』だけでも、『機械』だけでも、有り得ない。 くまモンと美琴は、同時にその空恐ろしい予想に思い至る。 「あ、相田、さ……」 美琴が震える声で呼びかけようとしたその時、その相田マナの姿をした少女は、ボディースーツに覆われた自身の左腕を展開していた。 親指側と小指側の皮が、肘から手首の方まで、それぞれ板状にめくれ上がる。 その皮は筋肉の繊維でできていると思われるピンク色の紐で先端を繋げており、その展開した様は、あたかも小型の弓が形作られたかのようだった。 さらに同時に、少女の右手首が折れて、腕の骨が覗いた。 下腕の骨のうち親指側――、橈骨が、その真っ白な姿を晒して肘からせり出してくる。 そして完全に抜け出た彼女の骨は、まるで矢のようにして、その左腕の肉で作られた弓に番えられた。 美琴は恐怖を感じた。 直感的な恐怖だった。 「――ッ、『天網雅楽(スカイセンサー)』ッ!!」 ヘッドセットを左手で押さえ、右手の手刀を払い、美琴は自身の電波探知網を再起動させる。 ――この襲撃者は、自分の攻撃が悉く避けられたことを理解しているはずだ。 その上で、こいつは今までに見せて来なかった攻撃法を実行しようとしている。 私の『天網雅楽(スカイセンサー)』を破れるという確信がなければ、こんな行動は、してこないはずだ――。 その引き絞られた肉弓から骨の矢が放たれる寸前に、美琴は自分の足元から鉄筋を蹴り上げていた。 目の前に伸ばした右腕は、省電力『超旋磁砲(コイルガン)』の構え。 『天網雅楽(スカイセンサー)』から、その骨の矢が放たれる弾道は確実に予測できている。 自分の心臓を真っ向から狙っている軌道だ。 それが躱されることを見越して撃ってくるのだから、相手には何かしら策があるのだ。 その前に、その矢を射線上で破壊する――。 そう思い、美琴はその鉄筋を、高速で射出した。 少女の手から骨の矢が放たれたのは、それと同時だった。 空中で衝突する――。 と、その瞬間まで、美琴にも、くまモンにも、その背のクマーにも思えた。 だが骨の矢は、空中で、『曲がった』。 「――は」 赤褐色の骨髄を後部から高速で噴射し、その矢は鉄筋と衝突する寸前に、その軌道を鋭角的に曲げていた。 射出された鉄筋は相田マナの姿を掠め、川の向こうに飛び去っていく。 鉄筋を躱した矢は再びその骨髄噴射で軌道を変え、その高速を保ったまま、上空から美琴の心臓を目掛け落下していた。 「くッ――!?」 その高速軌道変換を辛うじて『天網雅楽(スカイセンサー)』に読み取った美琴は、その射線を躱そうと横に動く。 だが垂直落下していたその骨は、美琴の真横で、何の前触れもなく、みたび骨髄を噴射して美琴へ方向転換した。 「がぁあ――ッ!?」 『天網雅楽(スカイセンサー)』は、その必殺の挙動に、美琴がなんとか対応することだけは、許していた。 心臓に向けて直進する矢を、美琴は自分の左手で受け止めた。 矢は容赦なくその華奢な掌を貫通し、美琴を痛みで地に転げさせる。 ――でもこれで、防ぎきれたはず……! そう、美琴は思った。 その思考は、自身の掌を苛む痛みで、否定された。 骨の矢は掌に突き刺さったまま、なおも心臓に突き立たんと、その内部から骨髄を吹き出し続けていた。 矢を掴む左手の力をも引き抜くように、美琴の血を曳いて矢はずるずると進み続ける。 美琴は悶え、慄きながら、進み続ける矢を右手で掴んでいた。 「お、あ、あ、ぁ、あぁぁ――!!」 だが、右手の握力を加えても、その矢の進行を完全に止めることはできなかった。 心臓に進む矢の軌道を必死の力で捻じ曲げた先にあったのは、自分の左肩だった。 仰向けで地に転げ、自分の左手と肩を矢に縫いとめられた美琴の苦痛は、それでも終わらない。 続けざまに、突き立った骨の矢からは、血に触れている部分から、何本も、棘のような鋭い骨の成分が飛び出していた。 掌が、その勢いで弾けた。 肩関節が、その体積で砕けた。 「ぁ――」 呼吸さえできなくなるほどの、壮絶な痛みだった。 身動きのできなくなった御坂美琴は、もはや自分の真上に、相田マナの姿をした襲撃者が躍りかかっていることなど気づけなかった。 気付いたとしても、もう、その攻撃は、躱しようがなかった。 美琴が瞬きした時は既に、少女の手刀が、自身の目前に振り下ろされている瞬間だった。 〔MF:0.33MHz(夢原のぞみ)〕 (……のぞみ、大丈夫なのかね、あんな輩の方針を真に受けて) 「あ、キリカちゃん。やっぱりキリカちゃんが話しかけてくれてたのかぁ。なにこれ、テレパシーなの?」 (まぁそうなんだけど……。あっ、傷口濡らすんじゃないぞ、しみるからな!) 「あはは、そうだね。ありがとう」 お団子を解き、その桃色の髪と肌を温かな湯の雨に濡らし、夢原のぞみは微笑んでいた。 バスチェアーに座る彼女が覗き込むのは、自身の左中指に嵌る、青紫色の指輪だった。 彼女に自身の魂だけを託した呉キリカ――。そのソウルジェムから、キリカのテレパシーが響いていた。 のぞみの太腿に開いた傷口は、形だけは包帯で押さえられ、血がにじんでいる。 まだだいぶ痛かったけれど、血も出なかった最初から比べれば、出ているだけ正常だ。 キリカの意識がちゃんと生きていることも解り、のぞみは次々と溢れてくる希望の光に、うきうきとしていた。 その彼女に向け、キリカは現時点で思いつく限りの、『あんな輩』に対する不安をあげつらっていく。 (……あの那珂ってやつは歌のことしか考えてないバカだったし、あのクマーってヒグマはどう見ても変質者だし。 くまモンは本当にあのゆるキャラのくまモンか怪しいし、もし本当にそうだったところで戦力になるかわからないし。 御坂美琴って女は、本土から来たくせに碌な物資もなくて、来て早々仲間とはぐれるドジだろ? 全島放送を乗っ取るってのも、果たしてどうなのか……。参加者だけじゃなくて敵もうじゃうじゃ寄ってくるだろうし……) 「ゆるキャラって言ったらちびクマのリラックマさんもいたじゃん! 力になってくれるよ! あとバカバカ言うなら、私だってそんなに頭良くないよ? でも、夢を信じて頑張って来たから、私はここまで来れた。あの人たちだって同じだよ!」 (うむむ……) 出会った人員の性質に苦言を呈するキリカを、のぞみは明るい声で諌める。 キリカのテレパシーは、考え込むように唸り、黙り込んでしまった。 体を洗いながらのぞみには、そのキリカが顔をしかめて額に手をやっているような様子まで想像できてしまう。 何だか、ふたりして裸でお風呂に入っているようで、とても楽しくなった。 実際、キリカは魂一丁という、この上もなく高次元の裸だ。 「……キリカちゃんもあんまし難しく考えすぎない方が良いよ! 何とかなるなる!!」 (うーん、そうかねぇ……。って、オイ! のぞみ、何する気だ!?) 「キリカちゃんも汚れてるから、洗いっこしようよ。ね! 二人でリラックスしてほぐれたら、この宝石の濁りも綺麗になるんじゃない?」 (わ、ちょっと! そういうカンケイは織莉子とだけって決め……あふぅん!?) 「あ、なんだ。触ってるのわかるの? それじゃあここがいい? それともこの中?」 (あっ、あぅっ……、のぞみっ! わ、私が抵抗できないからって、やめっ……、ぁあぁん!!) 「あははっ、良いじゃん。気持ちいいんでしょ? 綺麗にしてあげるよ~」 (そ、そんなトコにシャワー当てないでぇえ……!!) 指輪を取り、のぞみは入念にシャワーのお湯と石鹸の泡でキリカを隅々まで洗い尽す。 丹念に転がされ、撫でられ、磨かれるその指使いに、キリカは喘ぐ。 掌の中で、キリカはのぞみのなすがままになるしかなかった。 「……あっれー? 濁り取れてないなぁ~。絶対綺麗になると思ったのにぃ」 (ふっ……、ふふ……。これで魔力回復してたら、織莉子といる時の私はグリーフシード要らないよ……) 「そうなの? でも、気分のいい時って、疲れも吹っ飛んだりしない?」 (いやぁ、実際、高揚してる時は魔力の減りが段違いに少なくなるから、バカにはできないんだけどさ……) 上気して脱力してしまったかのようなテレパシーを、キリカはのぞみの呟きに返した。 (……まぁ何にしても、あの那珂は、のぞみとは比べ物にならないレベルのバカだ。歌バカ。 一人でカラオケに行って何時間も歌い続けて悦に入ってるタイプの歌バカだ) 「一人でカラオケ……? 寂しくないのそれって」 (ああいうタイプは独り善がりで、歌の趣味の合わない複数人で行ったところで楽しくならないのさ。 のぞみも聞いただろ、あの『来いよUFOレイブン』だか何だかいう厨二ソング。意味わかんなかったろ!?) 「うんまぁ……。確かにわかんなかったけど……」 のぞみに諌められようともキリカが確信しているのは、少なくとも那珂ちゃんをこのままにしておいたら碌なことにならないだろうということだった。 実際に、キリカが肉体を喪うまでに受けたダメージの大半は那珂ちゃんのせいであるし、その精神世界まで垣間見て彼女の肉体を操作までしたキリカは、そこだけは物申しておきたいところだった。 『恋の2-4-11』だか何だかタイトルも定かではなく、ラブソングだか作業歌だか判然とせぬ歌を、戦闘中に聞かされたところで、正直その意図も歌詞も何一つわからない。 (アイドル気取りだか何だか知らないけど、あんなの誰の心にも……) 『……なじかは知らねど 心わびて――』 キリカがテレパシーを畳みかけようとしたその時、シャワールームの外から、微かにそんな歌声が響いてくる。 那珂ちゃんの声。 しかも今度は、キリカものぞみも、共に知っている歌だった。 『昔の傳説(つたへ)は そぞろ身に沁む――』 「……『ローレライ』だね」 (ああ……。学校で習った……) 切々と歌い上げられるその声には、那珂ちゃんの人生そのものが織りこまれているかのようだった。 『城』の放送室からは離れた、1stステージ側に張り出しているシャワールームにまで、その声は届いて余りあるものだった。 続いて、どこからか伴奏まで付け加わったその歌は、それだけである種の世界を構築していた。 『波間に沈むる ひとも舟も―― 神怪(くす)しき魔歌(まがうた)――! ……謡ふ―― ローレライ――!!』 歌い切った那珂ちゃんの声の後には、大きな拍手までもが聞こえた。 のぞみもシャワールームの中でぽむぽむと手を打ち鳴らし、キリカに微笑んで問いかける。 「……で、あんな歌は誰の心にも、何?」 (……チッ) キリカのテレパシーは、舌打ちと共にそっぽを向く。 (……歌う奴は気楽でいいよ。大変なのはそれまでの『お膳立て』だ。 『聞かせる準備』さえできちゃえば、厨二ソングだろうが演歌だろうが、ヒトは聞いちゃうだろうさ) 「というと?」 (今の私たちは、『リラックスしてる状況』で、『知っている歌』だったから、奴の歌を聞いただけだ。 これが『戦闘中』で、『聞いたこともない歌』だったら、UFOレイブンの二の舞になるだけ) 「うーん……。なるほどそうかも……」 食事中のお茶の間に歌を届けるのと、戦争中の最前線に歌を届けるのとは、そもそもの条件が余りにも違う。 キリカのセリフには、自身が那珂ちゃんの歌に少しでも聞き惚れてしまった事に対する苛立ちが強く含まれていたが、その内容自体は当を得ている。 内地の平穏な環境で平和を謳うことは簡単でも、戦闘の真っ只中の敵味方を共に宥め、戦争を辞めて平和に導かせるような行為は、非常に難しいだろう。 今まで、シビルウォー、第一次世界大戦、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争、冷戦、ユーゴスラビア戦争、イラク戦争、など、ありとあらゆる戦時において、多くのアーティストたちが、その戦争の停止と平和を祈って反戦歌を謡ってはきた。 だがその行いが実を結んだとは、果たして言い切れるのだろうか。 キリカの感覚では、那珂ちゃんがやろうとしていることは、現実を見ていない絵空事だった。 「……でもキリカちゃん。仮に『聞いたこともない歌』でも、『体に響くリズム』とか、『耳に残るフレーズ』とか、そういうものはあるでしょ? それを精一杯使って、みんなの心に歌を届けることって、出来ないかな?」 (各地の土着音楽とか、祭りの歌とか……、そういう要素は皆無じゃないとは思う。 だがそれを各戦闘ごとに、各人の状況や境遇を見定めて適切に歌い、届け、尚且つそこからそれぞれの心を操作して停戦まで持っていくとか、神様にでもなるつもりかと。 少なくとも、そんなのあの女一人じゃとても無理だね。『歌だけ』じゃ、やはり誰の心にも、それは届かないよ) のぞみが問う言葉に、キリカは考えを纏めながら、静かに断言した。 そのテレパシーを聞き、のぞみは力強く笑った。 「……なら、大丈夫だね!!」 (……なんでさ?) 「私たちがいるじゃん!!」 (はぁ!?) 理解不能な発言に困惑するキリカに向け、のぞみは指を打ち振りながら言葉を繋ぐ。 「アイドルや歌手のステージに、スタッフさんがいっぱい要るのは当然だよね! だから私たちがあの美琴ちゃんやくまモンたちと一緒に、那珂ちゃんの歌を聞いてもらえるよう、舞台を整えてあげよう!! けって~い!!」 (おいおいおいおいおい……。何できもしないことを平然と……) 「那珂ちゃんの歌の上手さは本物だったでしょ!? これを聞いてもらえないのはあんまりにもあんまりだよ!! だいじょーぶ、何とかなるなる!! 私、今売り出し中の春日野うららってアイドルとも友達だし、お手伝いしたこともあるもん!」 (誰だよ知らないし! あの48人とか無駄に数の多いアイドルグループのひとりかい?) 「え~、違うよぉ~。なんだ、キリカちゃんって案外、モノを知らないんじゃない~?」 (の、のぞみにモノを知らないって言われた……!?) 得意げなのぞみの言動に、キリカは愕然とする。 その瞬間、このシャワールーム内にも届くような音と近さで、がらがらと瓦礫が崩落するような響きと、『――ぁ、わぁぁああぁぁ!?』という悲鳴が聞こえてくる。 「――美琴ちゃんの声!?」 (……敵襲だろうね。そりゃあんだけ大音響で声飛ばしたんだ。ほれ見ろ。私の言った通りじゃないか) 「助けに行くよ!!」 (んなぁっ!? 隠れといてくれよ!! 今の私はのぞみに何かあったらお終いなんだ!!) のぞみは体に残る泡を、急いで洗い流し始める。 その最中に叫んできたキリカの嘆願に、彼女はピタリと動きを止めた。 そして、中指に嵌めたキリカの指輪に向けて、静かに、低い声でのぞみは呟いた。 「……なら、キリカちゃんは、残ってればいい」 (え……?) 母親が子供を諭すような。 静かに咎め、気づきを促すような、優しくとも、重い声だった。 「そりゃ、危ないのは当然だもんね。わかるよ。だから、外に踏み出したくはないんでしょ? キリカちゃんは今まで私をずっと助けてくれたし、感謝してる。いいよやりたくないなら無理しないで。 誰の心にも自分を晒したくないなら、この宝石にこもってていいよ。私は、キリカちゃんを、連れて行かない」 (そんな、別に、そういう意味じゃ……!) 「……私は、那珂ちゃんの歌に、希望の光を感じた。私は、今まで沢山の人に助けられて、その希望の道を進み、プリキュアに『なってこれた』。 キリカちゃんだって、そうでしょ? なら今度は、同じように希望を信じる子を、私たちが応援する番だと思わない!?」 (……!!) キリカに言い放ち、のぞみは更衣室へ上がる。 キリカの嘆願は、そこまでの意図を意識したわけではなかった。 参加者を助ける目的があるのは当然として、彼女はただ単に、状況が分かるまではのぞみに戦場へ安易に飛び出していって欲しくなかっただけだ。 だがその言い方には、確かにキリカの無意識の底に流れる、外界への不安と恐怖が刻まれていた。 のぞみには先程のキリカとの会話からはっきりと、その彼女の精神が見て取れていた。 それは魂を守るものの何一つない、痛々しいばかりに怯えた、乙女の姿だった。 (の、ぞ、み……) 呟かれるようなキリカのテレパシーに、夢原のぞみは言葉を返さなかった。 自分にしかすがって来れない今のキリカを、守りたいのは確かだ。 だが、怯えて自身の殻の中に閉じこもる彼女の姿には、のぞみは希望を感じられなかった。 全ての他者に否定から入るのは、自分を守ろうとしていることの表れに他ならない。 キリカの言葉は確かに『正しい』ものだろう。 だが自分の感覚は明確に、那珂ちゃんと、御坂美琴の言葉に希望を感じている。 ならばそれを支えるのが、夢原のぞみの自分としての在り方であった。 自衛の手段もない今のキリカが恐怖に苛まれるのは、身を切るほどにわかるし、当然のことだ。 だがそれを乗り越えない限り、キリカは今以上の希望に到達できないだろうと、のぞみは感じていた。 呉キリカに、無理強いすることはできない。 だからのぞみは、彼女をせめて、危険な戦場に連れて行かないことに決めた。 脳裏で、呆然と立ちすくむキリカの眼から、涙が零れていた。 のぞみはタオルで乱雑に髪と体を吹き、服も着ぬ、一糸纏わぬ姿で外に飛び出す。 その眼に、南側の空間を横切る、激しいピンク色の閃光が見えた。 その場所で戦っているのは、踊るように相手の攻撃を躱しているゴシックロリータのひらめき――、御坂美琴だ。 そしてその彼女へ、暴風雨のような爪と、雷のような閃光を放って襲い掛かっている相手――。 その黒いボディースーツに包まれた、濃いピンク色の髪の少女を、夢原のぞみは確かに見知っていた。 自身と幾つも共通点があるのではないかと、数少ない邂逅のうちでもそう思い至っていた、同志。 御坂美琴の話でも、自分たちを助けに来てくれているのだと話されていた少女。 「――相田、マナちゃん……!?」 その彼女が、今目の前で、自分たちを襲う側となっている――。 そんな奇怪な巡り合わせの妙に、のぞみは自分の眼を、疑った。 【――『Let s Go Skysensor(Tune)』に続く】
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【検索用 Blütenstand 登録タグ BCNOCD CD CDB CDコンピレーション john(作り手)CD kemuCD r-906CD アザミCD ナナホシ管弦楽団CD メガテラ・ゼロCD 一二三CD 亜沙CD 佐高陵平CD 雄之助CD 鬱PCD】 + 目次 目次 CD紹介 曲目 リンク コメント 前作 本作 次作 - Infructescence - 一二三 亜沙 BCNO アザミ 鬱P john メガテラ・ゼロ ナナホシ管弦楽団 佐高陵平 r-906 雄之助 kemu 発売:2023年7月12日 流通:全国 レーベル:ブシロード CD紹介 CD名:『Blütenstand』 夢ノ結唱ROSEの1stアルバム。 曲目 役にすがる / 一二三 変身シンドローム / 亜沙 エトス / BCNO シテキセイサイ / アザミ SUSHI-GO-ROUND / 鬱P グッド・バイ / john I no rockstar / メガテラ・ゼロ 禁略フォビドゥン / ナナホシ管弦楽団 ユーフォリア / 佐高陵平 怪電話 / r-906 Freak Out Hr. / 雄之助 花呼ぶ声 / kemu Freak Out Hr.(夢ノ結唱ROSE×友希那ver.) リンク 公式サイト コメント 名前 コメント
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Fens of Nathsar 参考というか、パクリ元:Fens of Nathsar NPCs A Apprentice Trainer Hasika An Apprentice's Plea At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Devoured-hide Shoulderguards Assistant Vihl 伝来 // Handed Down At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +500 faction with Riliss Vihlにお使い頼まれて // Vihl's Errand At least 17g 22s 36c Auleren Faithheart 反則は故意のうえ // Intentional Roughing At least 17g 22s 36c 騎士団からのお呼び // Calling in the Cavalry At least 17g 22s 36c 盗賊は殺しも厭わない // Murderous Thugs At least 17g 22s 36c C Celeria Glandowin 豊作狩り // Gathering Grains At least 8g 11s 18c Earring of the Painsmith Collector Gebblie Gobbling Gems // Gobbling Gems At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Bellywhumpers Softly Jingling Gemmed Doll Conscript Chrydok 最後の瞬間の大きな猶予 // Last Minute Reprieve At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch Cowl of Thievery Conscript Vitaliz 胃袋は牙を向く // Toothy Maws At least 8g 11s 18c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Slayer s Fang of Blood Consol Klinsen ゴブリンの同士 // Goblin Allies At least 2g 60s 83c Resplendent Necklace Crusader Jelexx サーナクは侵害する // Sarnak Interlopers At least 17g 25s 37c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss Belt of the Selnok Brigade リリスの檻へ // Riliss Bound (and Gagged) At least 6g 27s 71c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss To the Pens At least 6g 27s 71c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss D Dragoon Linzinek 専念されたし、監視の目(リピート可能) // Watchful Eyes Completing this quest gives 500 faction with Bathezid s Watch Dragoon Tiwin スカウトはなぜ帰らないのか // Scouting For Scouts At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch 謎のアドバイス // Mystic AdviceAt least 6g 30s 71c Drill Master Nessin サーンシャクたち // The Sarnshak At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss サーンシャクの破壊工作者 // Sarnshak SaboteurAt least 6g 27s 71c E Exile Grislihn サーンシャクの破壊工作者 // Sarnshak SabateurAt least 6g 27s 71c 反旗を翻すサーンシャク // The Sarnshak Rebellion At least 23g 51s 12c One of the Following Exile s Band 追放者のバンド Sarnshak Earring of Jade サーンシャクの翡翠のイアリング Shroud of the Sarnshak サーンシャクの骸布 Reclaimer s Buckler 開墾者のバックラー Exploragist Zokil クリスタル・マウンテン // Crystal Mountain At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga Duskwalker Stud Extermadier Blodd サソリ // Scor-peons At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga Jade-inlaid Boots G Gilriss the Handler この指とまれ、タスカーよ! // Round Up At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Dracurion Militiaman s Gauntlets Gribs McDibbles ベリーウンバーの収穫 // The Bellywhumper Harvest Completing this quest gives +500 faction with The Bellywhumpers H Hammin Burynai Order At least 17g 22s 36c Hydiel Lawborne Hidden Communications At least 6g 27s 71c J Jerome Find the Freed Froglok At least 22g 55s Finicky Frogloks The Froak Language Shorty s Goblin Doll - House Item At least 22g 55s Shorty will follow you around after turning the quest in and say various things. Jessith Malrion 魚だ! すばらしき魚だ! // Fish, Glorious Fish! At least 5g 84s 70c Sleeves of the Karana Willows K Keeper Gresrik To the Pens At least 6g 27s 71c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 眠りの薬 // Sleeping Pills At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 眠れ、リリスの囚人よ At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss Keeper Slarn Capture the Escapees At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Resplendent Sash Keeper Vellis Hard Knock Life At least 11g 73s 5c Completing this quest gives 10000 faction with Riliss Reet Warrior s Shoulderguards Klok Ilesia Welcome to the Jungle At least 8g 11s 18c Klok Tulren ベリネの秩序 // Burynai Order At least 17g 22s 36c L Legionnaire Captain Valkan 冒険の冒険による冒険のための冒険 // Advancing on the Advancers At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch リリスの士官たち // Riliss Lieutenants At least 8g 11s 18c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Selnok Legionnaire s Longbow Loreseeker Xeksin ヴェクサーは蘇る? // Veksar Rising? At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Yha-lei Tracker s Belt M Merchant Hesskin Vihlにお使い頼まれて // Vihl's Errand At least 17g 22s 36c いざ、オーメンズ・コールへ // To Omen's Call At least 6g 27s 71c Merchant Paxi 商売敵の上を行け! その1 // Superior Prowler Pelts At least 17g 23s 39c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 商売敵の上を行け! その2 // Superior Sabertooth Fangs At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 商売敵の上を行け! その3 // Superior Feathers and Feets At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 商売敵の上を行け! その4 // Superior Sarnshak Baubles At least 17g Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 商売敵の上を行け! その5 // Superior Brute Shag At least 8g 11s Completing this quest gives +5000 faction with Riliss One of the Following Superior Hawker s Bangles or Superior Hawker s Girdle Merchant Vix クリスタルの森を世話する獣 // Crystal Gardeners At least 8g 11s 18c Completing this quest gives 2000 faction with Riliss リリスの消費者事情 その1 // Prowler Pelts (Fens of Nathsar) At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss リリスの消費者事情 その2 // Sabertooth fangs At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss リリスの消費者事情 その3 // Feathers and Feets At least 17g 24s 39c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss リリスの消費者事情 その4 // Sarnshak Baubles At least 8g 12s 18c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss Jade Ring of Torsis リリスの消費者事情 その5 // Brute Shag At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss Hawker s Bangle or Hawker s Girdle O Oracle Vorzalka 朽鱗の治療法 // Scalerot Cure Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 17g 22s 36c 護りの血 // Warding Blood 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 病の源 // The Source 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch S'neuchiに死を。 // Death to S'neuchi At least 21g 51s 12c Completing this quest gives +10000 faction with Bathezid s Watch Choice of Oracle Blessed Wristbands Sarnak Dragoon s Mark Sanctified Bathezid Shoulderplates Outrider Aerkun Scouting For Scouts At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Scalerot Cure Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 17g 22s 36c Outrider Bewin Scouting For Scouts At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Scalerot Cure Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 17g 22s 36c Outrider Clazkaer Scouting For Scouts At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Scalerot Cure Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 17g 22s 36c Outrider Kelgyn ディゾックの恩恵 // Favor of the Di'Zok At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +500 faction with Bathezid s Watch Emissary s Slippers Outrider Wyrlyk Scouting For Scouts At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Bathezid s Watch Scalerot Cure Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch 17g 22s 36c P Pen Keeper Valjik Frog Stew 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Reet Warrior s Gloves Pulnil the Haggler 値切り王者 // Haggler's Dozen At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with The Bellywhumpers ヤツらのものは、オレのもの // What's Theirs is Mine Completing this quest gives +5000 faction with The Bellywhumpers At least 17g 22s 36c ベリネと過去の物語 // Unbury the Past Completing this quest gives +5000 faction with The Bellywhumpers At least 17g 22s 36c She Has The Answer At least 8g 11s 18c Tribute to the Baron Completing this quest gives +10000 faction with The Bellywhumpers At least 6g 27s 71c One of the following Plated Luminous Neckloop Boots of the Bonetrodder Woven Silk Underlay Burrower s Vestments R Researcher Teksi Fishy Magic At least 17g 22s 26c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Yha-lei Elder s Drape S Sethis Kai Feathers for Sethis The Satherian Language a Burynai Teddy Bear - House Item At least 22g 55s Find Sethis Kai At least 22g 55s Snouts Snoutsの快適インテリア // Tokens for Snouts At least 8g 11s 18c Armguards of Thievery Completing this quest gives +5000 faction with The Bellywhumpers Span Captain Zylxx Behind the Lines At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Necklace of Glorious Plunder Supply Sergeant Anuhadux Bathezid Journeyman Scholar Work Requisition At least 33g 32s 15c Completing this quest gives good faction with Bathezid s Watch Stomps ウロコなウルフ // Scaley Wolfies At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga One of the Following Necklace of the Duskwalker Student Mikyal 湖は宝の山 // The Others At least 6g 27s 71c T Tildekil the Trader 影が指す先の兆し // Cloudy and Future Danger At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch Bonedigger Rockbreaker Tinkerist Glazid Glazidの小さなビッグバン // Little Big Bang At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga Glazidの中ほどビッグバン // Mediumer Bang At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga Painsmith s Empowered Ring Tinkerist Nalzie スマッシュな道具 // Smashing Tools At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga 危険な掃除 // Hazardous Cleanup At least 17g 22s 36c Completing this quest gives 5000 faction with Exiles of Droga Fernal Machines // Fernal Machines At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Exiles of Droga 発明合戦のゆくえ // The Inventor's Invention At least 23g 51s 12c Completing this quest gives +10000 faction with Exiles of Droga One of the Following Threaded Steel Ring Tiny Gear Earstuds Gearzerker s Leggings Censer of the Shamachanic Trader Desthir Best of Buds At least 8g 11s 18c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Emissary s Sleeves Trainer Sulrig タスカーはソコカーにあらず // Sokokarn't At least 8g 11s 19c Completing this quest gives +2000 faction with Riliss Devoured-hide Boots Trooper Hallisk An Indecent Proposal 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss Trooper Kresix 眠れ、リリスの囚人よ At least 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 不作法な提案 // An Indecent Proposal 17g 22s 36c Completing this quest gives +5000 faction with Riliss 和解の配達 // Conciliatory Delivery At least 6g 27s 71c Completing this quest gives +10000 faction with Riliss choice of legendary item Trooper Sakred ガードのポスト // Guard Posts At least 8g 11s 18c Completing this quest gives 5000 faction with Riliss Skleross Poison Launcher Tymon Smalltooth ベリネは光りものが好き // Let's Make a Steal At least 8g 11s 18c Mantle of Thievery Completing this quest gives +5000 faction with The Bellywhumpers Thalin Trueguard 終わらせろ // Finish it 盗賊ハンターのリストガード 祝福されし予言のレギング 許さぬ者のコイフ ハートブリンガーのハンドラップ At least 17g 22s 36 V Vessel Jarln 3度目のコカトリス // Thrice the 'Trice At least 8g 11s 18c Emissary s Pantaloons Completing this quest gives +5000 faction with Riliss W Weaponmaster Zalzak鋼の剣 // Blades of Steel 8g 11s 18c Completing this quest gives +5000 faction with Bathezid s Watch Nightwatch Shoulders Z Ziveth Vraeth More Territory, More Problems(リピート可能) Completing this quest gives +250 faction with Riliss その他 (指名手配)Examine the side of the door in the Drogan Exile Camp at ( -602, -204, -1302 ) ゴブリンの復讐 // Goblin Revenge At least 11g 73s 5c Completing this quest gives +10000 faction with Exiles of Droga Runed Drogan Scimitar (指名手配)This quest is started by a poster on a column at ( -792.52, 49.25, -251.37 ) in Riliss. The column is next to Trooper Kresix Overseer Dra'soks At least 23g 51s 12c Swifttail Champion s Staff 猛き武力 // Brute Force At least 11g 73s 5c Completing this quest gives +10000 faction with Riliss Emissary s Robe (指名手配)Page on the piller of the tower in Fens(503, 13, 1511 - Facing West) 事前にKPにてクエスト進める必要アリ 醜い報酬 // An Ugly Bounty(FABLED ITEM QUEST) Receive one of the following Band of Thuuga Bracelet of Thuuga Signet of Thuuga Tailsman of Thuuga Lore and Legend Burynai Lore and Legend Yha-lei 次の追加、から。
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レコーディングを近日に控えている水銀燈は、自分の家のなかで、ギター演奏の練習の最終確認をしていた。 レコーディングしたい曲は、いまのところ16曲ほどある。どれもほぼ完璧にこなした。本番だってミスりようがない。 1テーク目でいける自信はある。あの The End を除いては。 「あの曲、どうすんのよ……歌われるたびに歌詞が違うんじゃぁねぇ……」 歌詞を一定にきめろ、といいたいところであったが、水銀燈はどうも雪華綺晶と話すことが苦手だった。 彼女が嫌いという訳でもないが、彼女と会話すると、いつもこちらのペースが乱されてしまう。 毎回毎回彼女の仕掛ける何かしらのトリックに、水銀燈は嵌められるのだ。 以前バンド仲間で一緒に街を歩いている最中、いきなり雪華綺晶が町のど真ん中でぐるぐる踊りながらバカ騒ぎを始めたものだから、見ていた水銀燈もそれにのって騒ぎ出したところ、突然雪華綺晶は彼女を指差し、「引っ掛かった」と笑い出したことがあった。 水銀燈は恥かしさと自分の愚かさに腹がたち、顔を真っ赤にした。その後水銀燈は彼女に、 「これがアリスゲームだったら貴女はいまごろ私の手のなか……」 と、よく分からないが危険そうなことを言われたのだった。 「はぁ……」 水銀燈はため息をつく。 「曲でも書こうかしらねぇ……」 それはほんの暇つぶしだった。水銀燈は Kinks の all day and all of the night をその時の気分で聴きながら、適当に歌詞を書きつづっていた。 「うっふふ……」 気分がのってくる。水銀燈が何か歌詞を考えるとき、いつもある男の人に想いが寄る。紛れもなくそれは彼女のボーイフレンドで、The Maidens がウィスキー・ア・ゴーゴーにて活動を開始する前から、水銀燈はその人と交際を持っていた。 Hello, I love you "こんにちわ、愛してるわ" Wont you tell me your name? "貴方のお名前を教えてくださる?" Hello, I love you "こんにちわ、おばかさん" Let me jump in your game "私もそのゲームに参加していいかしら" (kinks - all day and all of the night ) ◇ 家に雪華綺晶の本を持ち帰った真紅は、信じがたい驚きと共にその本を読みふけっていた。 エディプス神話。そこには自分の父親を父親と知らずに殺し、自分の母親と母親とはしらずに結婚し、近親相姦するに至ったという悲劇の話がかいてある。 「父親を殺し、母親を犯す」だ。雪華綺晶が昨日 The End で歌った内容を含んでいる。 それだけではない。 ニーチェの哲学。ニーチェといえばそう、ギリシャ神話マニアだが、そこでこのエディプス神話を本で触れている。 ニーチェは、「父」を「権威・秩序の象徴」としての「アポロン」、「母」を「生・情動の象徴」としての「ディオニュソス」としてとらえた。 「権威・秩序の象徴」である「父」を殺し……「生・情動の象徴」としての「母」と交わる…… 「自分の本質を手に入れる…」 雪華綺晶は自分のこの宿題を課すことで、自分にあの歌詞の意味を教えてくれようとしていたのか。真紅の背筋に興奮が走る。 ギリシャ神話の文学とニーチェの哲学を伴なんだ詩。難解にもなるわけだ。これほどの素養に裏付けられた詩を、 ロックバンドとして音楽で表現することとなるのか。 「これは凄いことになりそうね」 本の感想をお聞かせください。その真の意味がいま分かった気がした。この「感想」とは言葉で述べるものではない。 真紅は心底 The End のレコーディングが楽しみになってきた。これは恐らくひょっとすれば、ロック史上初の試みになるかもしれない。 私達がこれから創り上げようとしているものは、「ロック文学」だ。 だが、真紅はまだ甘かった。 ◇ 彼女たちにとってドキドキの日がやってくる。そうレコーディングだ。 エレクトラ・レコード社のロスチャイルドによってスタジオの現場に案内された真紅達四人は、 想像を遥かに超えた設備の充実振りに驚いた。 「…すごいわ」「ですぅ」「ね」 元々詩人であり映画に興味のあった雪華綺晶には用意された設備がどうすごいのか分からなかったが、仲間達の反応をみたところ、自分達は恵まれたらしかったことを類推する。 丁度「ビートルズがステレオサウンドを実現した!」と話題になっているこの時代に、真紅達" The Maidens "に与えられたレコーディング設備は、4トラックのマルチ・レコーダー、空間系エフェクト、そしてヴォーカル専用ブースであった。 サンセット通りの人気バンドとはいえ、アマチュア・バンドである。スタジオでの作業には慣れていないし、演奏だって粗が沢山ある。 そんな状態で作業が開始されたのだから、 「翠星石、水銀燈のソロのところ、もう少し抑揚をつけて叩いてくれ」 とロスチャイルドが注文するも、 「こうですか?」 「違う違う。全然変わっていないよ。」 「どうです?」 「いや、そうじゃない。つまり…」 「じゃあ、これでどうですか?」 「いやだから…、」 「どうしろっつうんです!!」 というようなやり取りがしょっちゅうだったし、雪華綺晶に至っては楽器やスタジオの設備のことなどちんぷんかんぷんだったので、やることがなく、持ち運んできた本をスタジオの隅で読み始める始末で、 「ちょっとあなた、なに本なんか読んでいるのよ!」 と水銀燈が彼女の本をとりあげると、雪華綺晶はいきなり小さな子供のように喚き出し、その甘く悪魔的なこだましがスタジオじゅうに轟いたりして、 「まるでガキどもの託児所だ!」 とロスチャイルドが叫ぶも、次第にスタジオは The Maidens のレコーディング現場として機能するようになってきた。 彼女たちはウィスキー・ア・ゴーゴー時代からずっと演奏し続けてきた曲 "Break on thoguh" , "Soul kitchen" , "The crystal ship" , " Light my fire " , " Back Door man" などのレコーディングを終える。 スタジオの環境に慣れてくると、元々演奏はやり慣れてきた曲ということもあって、1テーク目で成功する曲も多かった。 また、雪華綺晶が元々シンガーではないと聴いたロスチャイルドは、彼女の歌唱力の向上には考慮にい入れなかったという。 代わりにボーカルのリバーブを強めにして、なんといっても彼女の魅力である声 - 時には透き通り時には甘く籠もる声を - 前面に出すような工夫をする。 彼女たち The Maidens は、本当に色々なタイプの曲に挑戦していた。 アコースティック・ブルースの巨人ハウリン・ウルフの"Back Door Man"のカバー曲があるかと思えば、なんと、クラシック音楽をロックのアレンジでカバーしたという大胆な曲も存在する。 「三文オペラ」で知られる『マハゴニー市の興亡』の"Alabamasong"がそれだ。 Well, show me the way "導いてください" To the next whisky bar "最寄のウィスキー・バーまで" Oh, don t ask why "あら、理由は訊かないで…" Oh, don t ask why "あら、理由は訊かないで…" メインは雪華綺晶一人で歌うが、 "oh , don t ask why(理由は訊かないで)" と切なげに述べる部分は真紅の声も加わり、2人の声が重なって、いかにも退廃的な雰囲気をだす。 For if we don t find "次のウィスキーバーが" The next whisky bar "もし見つからなかったら" I tell you we must die "私たちは死ななければならない" I tell you we must die "私たちは死ななければならない" I tell you, I tell you "私たちは、私たちは" I tell you we must die "死ななければならない" ネイティブな曲。 The Maidens は、リードボーカルの存在感からか、"Light my fire"の(一緒に燃えて火葬と死にましょう)と死をポップに誘い込むような奇抜な曲から、この"Alabama song" 、極めつけの(父を殺し、母を犯す)まで、何かと破滅的で光の見えない暗闇の道をどんより歩くような曲が多かった。 Oh, moon of Alabama "アラバマのお月さま" We now must say goodbye "さようならを言わなければなりませんね" We ve lost our good old mama "私たちは昔のようないいママを失くしたの" And must have whisky, oh, you know why "だからウィスキーバーを探らなければならない、あら理由が知られてしまったわ…" 六曲ほどのテイクを完成させ、その日のレコーディングは終わった。 (7)へ戻る/長編SS保管庫へ/(9)へ続く
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Bensherman UKカジュアルブランド チェックシャツで有名 また、モッズコートが人気である モッズの影響を受けたブランドからロッカーが着用している事がある 国内の店舗が減少しているのが残念な所 セレクトショップで扱われている場合が多い 価格帯は普通 Amazonの売り場へ チェックシャツ モッズコート モッズマーク付きポロ
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