約 1,319,099 件
https://w.atwiki.jp/newani4/pages/353.html
◆eNKD8JkIOw 氏が手がけた作品 話数 タイトル 登場人物 011 前途多難 空条承太郎、折原臨也、一条蛍 024 あいあいびより おおきなやまをみた 宮内れんげ、園原杏里 045 1+1+0+1−1= 犬吠埼樹、セルティ・ストゥルルソン、ホル・ホース、針目縫 074 犬吠埼風は■■である 犬吠埼風 086 『犯人』に罪状が追加されました 衛宮切嗣、折原臨也 100 それでも『世界』は止まらない DIO 113 わるいひとなどひとりもいないすばらしきこのせかいで 三好夏凜、アインハルト・ストラトス、桐間紗路、小湊るう子 122 勝てるわけねえタイマン上等 纏流子、高坂穂乃果 126 三人揃えば雌雄決裂六人揃えば群雄割拠 針目縫、空条承太郎、衛宮切嗣、言峰綺礼、ジャン=ピエール・ポルナレフ、東條希 143 キルラララ!! わるいひとにであったキルラララ!! あの子を愛したケダモノ二匹折原臨也と、天国を 蟇郡苛、平和島静雄、折原臨也、一条蛍、纏流子 164 地獄が噴き出る時を待つ ヴァニラ・アイス 登場させたキャラ 3回 折原臨也 2回 空条承太郎、針目縫、纏流子、一条蛍 1回 蟇郡苛、平和島静雄、宮内れんげ、園原杏里、犬吠埼風、衛宮切嗣、DIO、犬吠埼樹、セルティ・ストゥルルソン、ホル・ホース、ヴァニラ・アイス 三好夏凜、アインハルト・ストラトス、桐間紗路、小湊るう子、高坂穂乃果、衛宮切嗣、言峰綺礼、ジャン=ピエール・ポルナレフ、東條希 氏に寄せられた感想 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/bizarre/pages/255.html
【第三部:スターダスト・クルセイダーズ】 なんと承太郎以外のほとんどのメンバーはDIOと承太郎が時止めを出来るのを知らない! 空条承太郎 [時間軸] ロードローラーが出てくる直前 ※もはや三部のコミックス13~28巻を全て読めと言ってるようなもの。だが、シンプルな性格なゆえ、キャラの把握は容易ではある。 ※DIOの時止めは知っている。 モハメド・アヴドゥル [参戦時期?]DIOの館突入前 ※意外と出番の少ない彼。コミックスは13~16巻(これだけでも充分)、21~22巻、26巻を読めばOK。 ※しかし、DIOのスタンド能力、承太郎の時止めは知らない。ロワでもまだ知らない。 花京院典明 [時間軸] 文庫版17巻(コミックス27巻)、『法皇の緑』の結界を張り巡らせた直後 ※アブドゥルと同じ。 ※なお、花京院は死んだはずのアブドゥル達の存在に疑問を感じている。 J・P・ポルナレフ [時間軸] ヴァニラ・アイスを倒した後。DIOに出会う前 ※もちろんアヴドゥルと同じ。 イギー [時間軸] エジプト入り、ペット・ショップ戦より前 ホル・ホース [時間軸]:エジプトでディオに報告した後 ※なんと彼もDIOのスタンド能力と承太郎の時止めを知らない。 ミドラー [時間軸] DIOに承太郎一行の暗殺依頼を受けた後 19~20巻をどうぞ。 DIOのスタンド能力をしっているかは不明。だが承太郎の時止めは知らない。 ペット・ショップ [参戦時期]イギーと戦う前 ヴァニラ・アイス [時間軸] 不明。吸血鬼化はしているようだ。 DIO [時間軸] ポルナレフ達対ヴァニラ・アイスの直前 キャラ把握はコミックス27~28巻で充分ッ!ゆえにカリスマッ! だが承太郎が時止めが出来ることを知らない!
https://w.atwiki.jp/goronka/pages/1905.html
【作品名】Idiots 【ジャンル】ゲーム 『iP! 1月号』(晋遊舎) 掲載 (雑誌掲載)ウィンドウズ7に最強に効く!! フリーソフト777 (雑誌掲載) 【先鋒】CE-07 Aldra 【次鋒】CE-03 Muliphen 【中堅】CE-06 Furud 【副将】sirius VY 【大将】Aldra prototype 【共通設定】 【属性】ロボ 【大きさ】平均的な成人女性の6倍は大きい人型ロボ 【防御力】【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガンの連射に15発以上耐えて戦闘続行可能 【素早さ】大きさ相応の成人男性並み 【先鋒】 【属性】ロボ 【大きさ】共通設定参照 【攻撃力】素手の一撃で【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガンの連射に等しいダメージ 【防御力】共通設定参照 【素早さ】共通設定参照 【次鋒】 【属性】ロボ 【大きさ】共通設定参照 【攻撃力】持ってる8m程の剣の一撃で【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガンの連射に等しいダメージ 【防御力】共通設定参照 【素早さ】共通設定参照 【中堅】 【属性】ロボ 【大きさ】共通設定参照 【攻撃力】持ってる8m程の剣の一撃で【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガンの連射に等しいダメージ 【防御力】共通設定参照 【素早さ】共通設定参照 【副将】 【属性】ロボ 【大きさ】共通設定参照 【攻撃力】持ってる8m程の剣の一撃で【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガンの連射に等しいダメージ 【防御力】共通設定参照 【素早さ】共通設定参照 【大将】 【属性】ロボ 【大きさ】共通設定参照 【攻撃力】チェインガン:【大きさ】のロボが持つ大きさ相応に巨大なマシンガン 10発当てれば共通設定の防御力の奴を破壊可能 射程や弾速は人間が持つマシンガンより大幅に上だろう 残弾数300発 ドラゴンソード:副将や中堅と同じぐらいの大きさの剣 3回切れば共通設定の防御力の奴を破壊可能 【防御力】共通設定参照 【素早さ】共通設定の奴等を全て上回る 反応、移動、戦闘速度で相手にもならずに一方的にボコボコにできるぐらいの素早さ 参戦 vol.95 310
https://w.atwiki.jp/changerowa/pages/213.html
「こんなものか」 燦々と降り注ぐ太陽。 百年ぶりに感じる、日光の暖かみ。 久しく味わう眩しさ。 それらに対するDIOの感想は、至って冷めたものだった。 バトルロワイアル開始直後にちょっぴり抱いた、日光浴への期待。 実際にやってみれば、思いの外何も感じない。 太陽をこの目で拝んでも、「ジョナサンの肉体なんだから当たり前だろう」という言葉しか浮かんでこない。 何故こんな結果になったのか。 当然自分の事なのだから、理由も分かっている。 結局のところ、これはDIOの肉体ではない。 あの船で死ぬ前の、ディオ・ブランドーと死闘を繰り広げたジョナサンの肉体だ。 だから日光を平気で浴びれても、感動も喜びもそこには無い。 首から下を乗っ取り、長い年月を掛けて馴染ませたDIOの身体であったら。 吸血鬼としてのDIOが真に太陽を克服し、日光を浴びても塵とならないのなら、心の底から充足感を得られただろう。 (俺が真に安心を得られるのは、お前から奪ったあの身体の時だけ、ということだな) 薄々分かっていたことだが、そう呟き太陽を睨みつける。 その横顔を、恍惚とした表情で見つめる少女が一人。 宇宙植物の花粉により、思考を大きく狂わされた甜花である。 (DIOさん…凄く、かっこいい……) 朝日を浴び、端正な顔がより一層輝いている。 愛する男の姿をこのままずっと見つめていたい、そんな蕩け切った思いで熱い視線をぶつける。 (何を考えてるんだろう…。て、甜花の事だと、嬉しいな……) 愛する男が、どんな時でも自分の事を考えていてくれる。 それだけで幸せのあまり死んでしまいそうだった。 実際には甜花の事など微塵も考えていないのだが、それを彼女が知る術はない。 定時放送が流れたのは、丁度そのタイミングだった。 「11人か…」 口に出すのは発表された死者の数。 妥当な人数だと思う。 DIOが遭遇した参加者は貨物船以外殺し合いに反対の者ばかりだった。 しかしヴァニラを筆頭に参加者を殺して回っている者も、それなりの数を揃えられているはず。 であれば10人以上の死者が出ても何ら驚きはない。 ご丁寧に顔写真付きで発表された死者の中に、DIOが知る者は精神・身体共に誰一人いなかった。 承太郎とヴァニラの生存に驚きは無い。 ジョースターのしぶとさは嫌という程に知っている。 最初の6時間すら生き延びられないような雑魚ならば、ジョースター家との因縁はもっと早くに断ち切れていただろう。 それに今回ばかりは承太郎に生きていてもらわねば少々困る。 ザ・ワールドが再び本来の力を取り戻すには、あの男のスタンドが必要となる。 ヴァニラに関しても、スタンドの強力さと本人の忠誠心を考えれば何の問題も無い。 きっと今も会場のどこかで、DIOの為に邪魔な参加者を殺して回っているのだろう。 続いて地図を取り出すと、空助の言った通り複数の施設の名が表示されている。 その中に一つ、DIOの知る名を見つけた。 ジョースター邸。ジョナサンとディオが青春を過ごした屋敷であり、長きに渡る因縁の始まりの場所。 ここに承太郎やヴァニラが向かう可能性はあるものの、存在するエリアが良くない。 スギモトとの戦闘で火事になった森のすぐ近くだ。 あれから大分時間が経っている。主催者がわざわざ消火活動でもしてない限り、ジョースター邸に近付くのは困難だ。 ただでさえジョナサンの身体になってから炎に対する忌避感が強くなっている気がするのに、燃え盛るジョースター邸という苦い記憶の再現のような光景に近付きたいはずがない。 石仮面が置いてある可能性を考えなくも無いが、幾らジョースター邸に関係するものとはいえ一施設に置くよりは、支給品として参加者に渡す可能性の方が高いだろう。 よって、ジョースター邸を目指す気は無し。 「ウキ!ウキキ!」 思考に耽るDIOへ、どこか誇らしげに話しかける猿。 元は意思を持った船であり今はオランウータンの肉体、しかも両方スタンド使いという異質な存在、貨物船である。 部下にチラリと視線をくれてやると、英和辞典で己の意思を伝えて来た。 『私はさっき参加者を一人殺しました。その証の名簿があります』 「ほう」 DIOの言った「ほう」には、複数の感情が込められていた。 甜花と戦極ドライバーを自分の元に運んできた以外には何の役にも立っていないと思っていたが、 流石に一人くらいは仕留められた事への僅かな感心。 殺せたのは一人だけであり他の者は仕留め損ねた癖に、何故か自慢気にしている無能さへの侮蔑。 それはそれとして、精神と肉体の組み合わせを記した名簿への興味。 以上が混ざり合った短い言葉への返答として、貨物船は名簿をDIOへ献上する。 「フム…では中で休みがてら確認するとしよう。甜花も疲れているだろう?」 「えっ、う、ううん…!DIOさんの為なら、これくらい全然平気、だよ…!」 「フフ、休める時に休んでおくのも大事な事だ。それに大切な君の体を壊す訳にはいかないからね」 「!?う、うん…!にへへ……DIOさん、そんなに甜花のこと……」 優しく囁かれ手を取ってやると、それだけであっさり言う事を聞く。 我ながら薄っぺらい言葉を口にしたものだと思いつつ、甜花に内心で冷めた思いを向ける。 恍惚の笑みで悶える少女が気付くはずはなく、ただ愛しい男に手を引かれるまま校舎内へ足を踏み入れた。 その後ろに貨物船が続き、PK学園はようやく静けさを取り戻した。 ○ 二人と一匹は校長室にして名簿の確認を行う事にした。 来客用のソファーにどっかりと腰を下ろし、足を組む。 好青年な外見のジョナサンには不釣り合いなポーズ。 だがDIOの醸し出すどこか妖艶な雰囲気が、他者の体であろうと違和感のないものになっている。 隣にはちょこんと座る甜花の姿。 早速名簿を開き、中身を確認する。 (成程……) 参加者全員に支給された名簿には無かった、誰の身体に入っているのか。 確かに記載されている。 己の名であるDIOの隣にはジョナサン・ジョースターの名が、大崎甜花の隣には大崎甘奈、 ついでに貨物船の隣にはフォーエバーと記されている。 当然、他の全ての参加者も同様だ。 承太郎の身体は燃堂力、ヴァニラの身体は立神あおいと言う日本人のものらしい。 どちらもDIOの知らない人間。 彼らが何の力も無い者か、それともスタンド使いのような能力を持っているかも不明。 名簿から知ることが出来るのは、精神と身体の組み合わせのみ。 各自に配られたプロフィールのように、顔写真や経歴などは記載されていない。 ざっと見回したが、ジョースター一行や他の部下の身体は無い。 ジョナサンの肉体が完璧に復元されている為、嘗て自分に楯突いた波紋戦士どもや従えていた屍人の身体もある可能性もゼロでは無いと考えていたが、それらも無し。 ただ一つだけ、少し気にかかる名があった。 (東方仗助…?) DIOの記憶に東方姓の日本人など存在しない。 どうやら犬飼ミチルという参加者の肉体らしいが、こちらも知らない人間。 特別珍しい名でも無い、なのにどうしてか引っ掛かる。 自分では無くジョナサンの知り合いであり、肉体の記憶に自分が引っ張られたのではと考えるも、ジョナサンが日本人と交流があったなどDIOは聞いた事がない。 何とも言えない気持ち悪さを感じ、ある可能性に気付いた。 (もしや……ジョースターの血統か?) スギモトとの最初の戦闘の後、会場のどこかにジョースターの肉体があると星形の痣の疼きで知った。 だがこの名簿を見る限り、承太郎とジョセフの肉体は参加者に与えられていない。 ということは、DIOの知らないジョースターの肉体があると言う事だ。 それが東方仗助かどうかは、現段階では判断が付かない。そもそも単なる気にし過ぎでないとも言い切れない。 実際に会って確かめる他ないだろう。 もしDIOの予想通りジョースターの人間ならば、確実に始末しておく必要がある。 例え肉体のみであろうと、ジョースター家の人間を生かす選択肢など存在しない。 (こんな所か…) 「甜花、君の知っている者の名は載っているかな?」 「う、うん、見てみるね」 DIOの知る名は他に無かったが、甜花はあるかもしれない。 役に立つ情報があるかどうかはともかく、一応確認させておいて損はないと考えての事だった。 ちなみに貨物船に見せても承太郎の名前に反応する程度で、新たな情報は得られないと判断した。 受け取った名簿に目を通すと、すぐに甜花の顔色が変わった。 「なんで……」 意図せず口から漏れる、震えた声。 血の気が引くというのはこういうのだろうと言わんばかりに、顔は蒼白と化している。 ガタガタと震える手、いや全身のせいで今にも名簿を落としそうだ。 彼女にとって何か好ましくない情報があった。それは確実。 その何かを確かめるべく、DIOは極めて優しい声色で落ち着かせる。 「なんで…千雪さんと…真乃ちゃんまで…それに…エボルトって……そんな……!」 「一度落ち着こうか甜花。今の君は良くない状態だ」 「DIOさん…で、でも…!千雪さん達が……!」 「君にとって何か良くない事が起きているのは分かる。だからまずは落ち着いて、それから話を聞かせてくれないか?私が君の力になる」 動揺の余り泣き出しそうな甜花と目を合わせ、そう告げた。 DIOの言葉は不思議と甜花の中に浸透し、頭を冷やしてくれる。 数回深呼吸をし、パニックになっていた自分をどうにか落ち着かせようとする。 その間、DIOが手を握っていてくれたのも功を為したのだろう。 愛する男のおかげで一先ず落ち着きを取り戻せた事に感謝の念を抱いた。 「落ち着いたかい?」 「う、うん…。ありがとう、DIOさん……」 気にしなくて良いと返し、ふと考える。 そう言えば自分は甜花に関してほんとんど知らない。 分かっている事と言えば、殺し合いであの仮面ライダー…戦兎と共に行動していたらしいくらい。 であれば丁度いいかもしれない。この機会に彼女が殺し合いで得た情報を聞き出すには。 安心させるように笑みを向けながら、口を開く。 「甜花、何故名簿を見て顔色を変えたのかも含めて、君の事をこのDIOにもっと教えてくれないか?」 ○ 「そうだったのか…」 話を聞き終えたDIOは神妙な顔で呟く。 参加者の身体として名簿に載っていた名、その中には甜花が良く知る人間が三人もいた。 大好きな双子の妹であり、今は甜花の仮の肉体となっている大崎甘奈。 甜花と同じユニット、アルストロメリアのメンバーで大崎姉妹が本当の姉のように慕っている桑山千雪。 同じく283プロ所属のアイドルであり、イルミネーションスターズのメンバーである櫻木真乃。 彼女達まで巻き込まれているのなら、甜花が取り乱すのも無理はない。 更に悪い事に、千雪の身体に入っている参加者の名はエボルト。 戦兎が話していた凶悪なエイリアンだ。 エボルトの事を説明した時、戦兎はどこか強張った顔になっていた。 それ程までに危険な男が千雪の身体で何をしでかすか、考えるだけでも恐ろしい。 真乃の身体に入っているダグバなる人物は知らないが、もしかしたらエボルト同様に殺し合いに乗っている可能性の高い者かもしれない。 ほんわかした雰囲気の、一緒に居るだけで心がぽかぽかする。そんな真乃の身体で参加者を殺して回っているなど、想像しただけで気絶しそうだ。 加えて二人とも、甘奈と同じく精神は参加していない。 彼女達もまた、ボンドルドに捕らえられているのだろうか。 もしそうなら、自分はどうしたら良いのか分からず、俯いてしまう。 悩める少女へDIOは、力強い声を返した。 「甜花、君が妹や友だちを心配する気持ちは良く分かった」 「うん……」 「そこで提案なのだが、彼女達の事は私に任せてくれないか?」 驚いたように顔を上げた甜花、その頬へ優しく手を当てると途端に顔が赤くなる。 潤んだ瞳に視線をぶつけ、彼女に「安心」を与えるべく言葉を紡ぐ。 「君の大切な人が捕らえられているなら、私が必ず救い出すと誓おう。無論、身体の方も危険な参加者の好きにはさせない」 「ほ、ほんと?本当に、なーちゃん達のこと、助けてくれるの…?」 「勿論だとも。君は私を愛してくれる。だから私もその愛に応えたいんだ」 「…DIOさんっ」 歓喜極まり思わず抱きついた甜花を、DIOも優しく抱きしめ返す。 愛しい男の腕の中で、甜花は思う。 どうして自分はもっと早く、この人と出会わなかったのだろうと。 強くて、優しくて、誰よりも信頼できる男の人。 そんな彼が甘奈達を助け出すと約束してくれたのだ。嬉しくないはずがない。 妹の事が心配だったけどもう大丈夫、きっとDIOが何とかしてくれる。 狂わされた頭で、根拠も無いのに甜花はそう確信した。 ○ 緩み切った顔で自分に抱きつく少女を一瞥し、手に入った情報を頭で纏める。 妹がどんな女の子なのだとかどれくらい大切に想っているかなど、そういった話はどうでも良かった。 が、それ以外の話は実に有益だ。 特に参加者がそれぞれ別の世界から参加しているというのは、流石に驚いた。 貨物船がDIOを一方的に知っていたのも、別の世界で自分の部下だったからなのかもしれない。 (新世界、か……) DIOと一戦交えた男、桐生戦兎。 驚くべき事に、何と奴は新たな世界を創造してみせたらしい。 甜花からの又聞きであり、大雑把な概要のみしか分からなかったが。 嘗て、地球外生命体のエボルトが月を吸収し消し去ったのが原因で、戦兎の住まう地球が滅びの危機に瀕した事があった。 そこで戦兎はエボルトを倒し、尚且つ地球を救う為の方法として大きな策に打って出る。それが新世界の創造。 戦兎が住まう地球を、別の宇宙に存在する、所謂平行世界の地球と融合し、その為のエネルギーにエボルトを利用して消滅させる。 そうする事で、10年前にエボルトが地球に現れなかったという歴史に上書きされた世界が生まれた。 もっと細かい条件や必要な物については、戦兎がそこまで詳しく説明した訳では無いので分かり様が無い。 実に興味を惹かれる話だ、『天国』という新たな世界を目指すDIOにとっては。 無論、戦兎の創った新世界と自分が目指す天国が同じものでない事は理解している。 必要となるものも、手順も、創造する動機も違う。 何よりDIOの言う天国とは極限まで高められた精神…スタンドにより時が加速し、宇宙を一巡させた果てに誕生する世界だ。 平行世界同士の融合という要素は含まれていない。 それでもより詳しく知るだけの価値はある。 ひょっとすると、自分がノートに記したのとは別の方法で天国に到達も可能なのではないか。 尤も現段階ではあくまで、そういう可能性もなくはないかもしれない程度であるが。 (甜花自身に纏わる話は実にくだらんが、他は価値のあるものだったな) 甜花はDIOが甘奈達を救ってくれると信じ切っているが、DIOにそんな気は微塵も無い。 大衆の前で尻を振って歌うアバズレどもを、何故このDIOがわざわざ気にかけてやらねばならないのか。 甘奈や真乃とか言う小娘の安否など知った事では無い。 但し千雪という女には興味がある。正確に言えば千雪の身体に入っている者に。 エボルト。新世界創造の話にも登場した侵略者である、戦兎の宿敵。 それが何と甜花が心配する女の身体に入り、参加者として会場のどこかにいる。 DIOとしては是非接触し、話をしてみたい。 甜花の齎した情報は、他にも興味深いものがあった。 承太郎の身体である燃堂という男は、先程学園から逃げた連中の内の一人らしい。 この手で殺したいと思っているスギモトや戦兎、電気を出す黄色い獣に比べれば大して重要ではない者の一人だが、まさかそいつの身体に承太郎が入っているのは予想外だ。 甜花から聞いた所、その燃堂は自分が殺し合いに巻き込まれているのも理解していない、呆れを通り越して哀れに感じる程の馬鹿。 一体全体どんな間抜け面の身体になっているのやらと、承太郎を嘲笑う。 更にもう一人、戦兎の仲間である柊ナナという少女。 確かメガネをかけた少年の身体になっていたが、その肉体の名は斉木楠雄だという。 (斉木楠雄。“斉木”……) 定時放送でボンドルドから紹介を受けた少年、斉木空助。 主催側の人間と同じ姓の持ち主が、参加者の肉体として存在する。 偶然な訳がない。間違いなくナナの肉体は、斉木空助と関係がある。 ひょっとすると、ナナ自身も斉木と何らかの関係性を持っているのかもしれない。 DIOの肉体はジョナサン、甜花の肉体は甘奈と、参加者に与えられた肉体はどれも何らかの強い繋がりがある。 貨物船とて、フォーエバーのスタンド能力が船に関係するという関連性があるのだ。 ナナに主催者に繋がる何かがある可能性は否定できない。 (フフッ、悪くない流れだ…) 戦兎達にこそ逃げられたものの、有益な情報が手に入ったのは喜ばしい。 加えて甜花が手元にいる以上、連中の方から懲りもせずDIOに戦いを挑んでくるだろう。 その時こそ自分に手傷を負わせたスギモトらを纏めて潰し、主催者と関りを持つと思われるナナを確保する。一石二鳥だ。 おもむろに白い小さな機械を取り出して眺める。 エターナルメモリ。DIOがこの地で得た新たな力。 変身した時の能力もさることながら、何より名前が気に入っている。 短い時の中でしか生きられないちっぽけな人間とは違う、人間を超越した吸血鬼として永遠を生きる、このDIOが持つに相応しい力だ。 甜花には見せていない、邪悪な本性を剥き出しにした笑みが自然と浮かんだ。 「ウキ…」 そんな主の姿に、貨物船は思う。 DIOが機嫌を良くしているのは良い。主が喜んでいると自分も嬉しいのだから。 しかしあの小娘、甜花にばかり構っているのはどうも面白くない。 カエルみたいな奴を殺し、名簿を手に入れたのは自分。 甜花とメロンみたいな鎧を纏う道具を献上したのも自分。 なのにDIOは先程から甜花にばかり構い、自分は空気のような扱いだ。 最初からDIOに忠誠を誓っていたのではない、支給品で洗脳されたに過ぎない小娘が、何故自分よりああもDIOと親しくするのか。 貨物船は沸々と苛立ちを募らせていた。 【E-2 街 PK学園高校/朝】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 [身体]:ジョナサン・ジョースター@ジョジョの奇妙な冒険 [状態]:両腕火傷、体中に痺れ(時間経過で回復中)、疲労(中)、火に対する忌避感 [装備]:ロストドライバー+T2エターナルメモリ@仮面ライダーW [道具]:基本支給品、ジークの脊髄液入りのワイン@進撃の巨人、精神と身体の組み合わせ名簿@オリジナル [思考・状況]基本方針:勝利して支配する 1:貨物船と甜花を従えておく。 2:どちらも裏切るような真似をしたら殺す。 3:役立たないと判断した場合も殺す。 4:学園から逃げた連中への苛立ち。次に出会えば借りは返す。(特にスギモト、戦兎、黄色い獣(善逸))。 5:元の身体はともかく、石仮面で人間はやめておきたい。 6:アイスがいるではないか……探す。 7:承太郎と会えば時を止められるだろうが、今向かうべきではない。 8:ジョースターの肉体を持つ参加者に警戒。東方仗助の肉体を持つ犬飼ミチルか? 9:エボルト、柊ナナに興味。 10:仮面ライダー…中々使えるな。 11:もしこの場所でも天国に到達できるなら……。 [備考] ※参戦時期は承太郎との戦いでハイになる前。 ※ザ・ワールドは出せますが時間停止は出来ません。 ただし、スタンドの影響でジョナサンの『ザ・パッション』が使える か も。 ※肉体、及び服装はディオ戦の時のジョナサンです。 ※スタンドは他人にも可視可能で、スタンド以外の干渉も受けます。 ※ジョナサンの肉体なので波紋は使えますが、肝心の呼吸法を理解していません。 が、身体が覚えてるのでもしかしたら簡単なものぐらいならできるかもしれません。 ※肉体の波長は近くなければ何処かにいる程度にしか認識できません。 ※貨物船の能力を分身だと考えています。 ※T2エターナルメモリに適合しました。変身後の姿はブルーフレアになります。 【貨物船@うろ覚えで振り返る承太郎の奇妙な冒険】 [身体]:フォーエバー@ジョジョの奇妙な冒険 [状態]:疲労(小)、ダメージ(大)、ジークの脊髄液入りのワインを摂取、酒酔い(多少は醒めた) [装備]:英和辞典@現実 [道具]:基本支給品、ワイングラス [思考・状況]基本方針:DIOのためになるように行動 1:DIOの命令に従う。 2:漫画を置いて行ってしまったのが少し残念。 3:甜花が気に入らない。 [備考] ※スタンドの像はフォーエバーのものとそっくりな姿になっています。 ※一応知性はあるようです。 ※DIOがした嘘のワインの説明を信じています。 【大崎甜花@アイドルマスターシャイニーカラーズ】 [身体]:大崎甘奈@アイドルマスターシャイニーカラーズ [状態]:疲労(大)、DIOへの愛(極大) [装備]:戦極ドライバー+メロンロックシード+メロンエナジーロックシード@仮面ライダー鎧武 [道具]:基本支給品 [思考・状況]基本方針:DIOさんの為に頑張る 1:DIOさん大好き♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥ 2:戦兎さん……どうしてDIOさんに酷いことするの……? 3:ナナちゃんと燃堂さんも……酷いよ……。 4:なーちゃん達はDIOさんが助けてくれる……良かった……。 5:千雪さんと、真乃ちゃんまで……。 [備考] ※自分のランダム支給品が仮面ライダーに変身するものだと知りました。 ※参戦時期は後続の書き手にお任せします。 ※参加者が並行世界から集められている可能性を知りました。 ※ホレダンの花の花粉@ToLOVEるダークネスによりDIOへの激しい愛情を抱いています。 どれくらい効果が継続するかは後続の書き手にお任せします。 71 カルマ 投下順に読む 73 適者生存 時系列順に読む 42 Dのステージ/迷いを捨てた火花が今、散った DIO 84 楽園に背く 大崎甜花 貨物船
https://w.atwiki.jp/japanesehiphop/pages/1583.html
Format Title Artist Label Model Number Release Press 12 RADIO RADIO(promo) MIC BANDITZ ESPIONAGE,CUTTING EDGE,AVEX CTJT-6077 2002/--/-- - Side Track Title Produce A 1 RADIO RADIO dj ajapai B 2 RADIO RADIO(Inst) dj ajapai PERTAIN CD The Visitorz(CCCD)
https://w.atwiki.jp/changerowa/pages/350.html
『空条承太郎…その身体の名は燃堂力』 これを聞いた時、口角が上がらなかったと言えばそれは嘘になる。 南西の森エリアにおいて、DIOによって一時停戦の提案が出された直後、第三回放送が始まった。 そんな提案が出されたばかりなこともあり、放送の間、そこにいた三人はその場で黙って放送に耳を傾けていた。 けれども彼らの間にある空気は、すさまじい殺気に満ち溢れていた。 休戦の提案があったからと言って、それまでに行われていた殺し合いがなかったことになるわけではない。 ピリピリとした、一触即発な殺伐とした空気感が形成されていた。 それでも三人共放送の重要性も分かっていたため、その間は静かにしていた。 DIOとJUDOは、それぞれエターナルとディケイドへの変身も解除しないままであった。 やがて流れ始めた放送の内容において、DIOは注目しないわけにはいかなかった。 (フ、フフッ。フフフ…ッ。そうか…そうか!承太郎が死んだか…ッ!) DIOは心の中で高笑いを上げた。 空条承太郎…それは、DIOにとって運命の最大の障害物であったジョースター家の末裔。 彼にとって、ジョースターとは運命という道に散らかり捨てられた犬の糞のようなもの。 それが知らずの内に掃除されたというのならば、無意識にでも笑みがどうしても浮かんでしまう。 歌でも一つ歌いたいような良い気分だ。 もっとも、この状況でそんなことをする訳にはいかないが。 (……だが、これでザ・ワールドの能力の真価を引き出すのは、完全に自力で行わなければならなくなったか) 受かれた気分になってきていたが、そのことを思い出し少し冷静さを取り戻す。 この殺し合いに来る直前辺りで、承太郎のスタープラチナは自分のザ・ワールドの能力を知り、影響されたことで、時間停止ができるようになった。 それと同じようなことをやるのは、これで不可能となった。 ザ・ワールドの時間停止能力を復活させるのは、DIO自身でどうにかしなくてはならなくなった。 そのためにはやはり、エンヤ婆が言っていたように、できると思い込むことが重要であろう。 けれどもそれは、承太郎に影響されるよりも手間がかかりそうだ。 (…そういえば、ジョースターの肉体の繋がりもいつの間にか感じられなくなっていたな。やはり、東方仗助の肉体の者も死んだためか?) 何故かジョースター家に関わりがあるんじゃあないかと感じていた東方仗助の肉体も死亡状態にあることを知った。 ジョースターの血を引く肉体同士は、何故だかその存在を感じ取れる。 その感覚も、確かにいつの間にか無くなっていた。 であれば、東方仗助の肉体は本当にジョースター家のものだったのかもしれない。 まあ、DIOからしてみれば、もしかしたら他の死亡者の誰かの肉体の方がそうだった可能性もまだ考えられるが。 ◆ (それと…まさか、わざわざ用意していたモノモノマシーンを封じるとはな。言っていた通り、誘導だけが目的だったという訳か?気に食わんな) 今回の放送で指定された禁止エリアによって、本来自分がここに来た目的の一つであったモノモノマシーンが、もう使えなくなったことが知らされた。 そうなった理由については、誘導する必要が無くなったとのことだ。 つまり、今この場にいる者達が出会った時点で、主催陣営にとってモノモノマシーンは価値が無くなったということだ。 モノモノマシーンは新たなアイテムを得られるとの話だったが、主催達は本当はそんなものを渡すつもりは初めからなかったのだろう。 思い通りにさせられているような感じで、この点に関してはかなり不愉快であった。 (……だが、考えようによっては都合が良くなったと言えるか?) DIOは今、ここにいる三人で停戦することを提案した。 けれども、三人ともここに来た当初の目的はモノモノマシーンだった。 そしてそのモノモノマシーンは、一本道の地下通路内に存在していた。 もし二人がDIOの提案を受け入れたとしても、モノモノマシーンが使用可能なままだったら、三人とも同じ方向を目指す可能性が高い。 三人一緒に仲良く歩くことになったのでは、提案の意味が一部無くなる。 他の場所にいるであろう、都合の悪い者達を殲滅するまでという約束で動こうというのに、三人固まっていてはそれが出来るのかとなってくる。 そういった者達がモノモノマシーのある方向に集まって来る可能性は、マシーンの使用条件のことを考えると低いかもしれない。 それに、動ける範囲の限られた地下通路の中で三人でいれば、いつ誰が唐突に裏切ってくるか分からない。 それこそ、モノモノマシーンを使おうとする隙を狙ってくる可能性も考えられる。 そんなことを全員思い付けるとすれば、いざマシーンの下にたどり着いた時に余計な心理戦が始まるかもしれない。 そんなことをしている内に、やはり殺し合いに反抗する者達が集まり、結託し、余計に都合の悪いことになるかもしれない。 だがここで地下通路の方に入る理由が無くなれば、ここにいる三人はバラバラに動くことになる。 DIOからしてみれば、他二人の目が無い方が都合良く動きやすい。 サニー号のこと等、そこにあるモノのことを隠し通せれば、より有利にこの殺し合いの舞台の上を動きやすくなる。 それに今のDIOは、たとえ一人になったとしても他参加者を全て殲滅できる自信がある。 二人への提案は、云わば自分の手間を減らしたいがためだけだ。 それを実現するためという視点からでは、今回モノモノマシーンが使用不可になったのは都合が良いと言えなくもないかもしれない。 今回、DIOが気にした点としてはこれで以上だろう。 他には、放送ではこの近くにある電話ボックスがC-5の村に繋がっているみたいな話もあった。 それについては、視界の内に件の電話ボックスらしきものが、地下通路の入り口の近くにあるため、後で調べるか近くの者が知ってれば話させるかすれば良いだろう。 放送でも、分かる者には分かる話と言っていた。 ◇ 『私は、「亀」である』 『…………そして、今の私は、「カメラ」でもある』 (………カメ?) (亀?) 「亀……?」 放送の最後の方で伝えられたことに、ここにいた三人皆が反応を見せた。 放送は、終わりそうになったと思ったら、何故か急に予定外の話が付け足された感じになった。 そこで語られたあまりにもの内容に、三人とも呆気にとられた。 黒幕からの伝言とされたもの、それは黒幕自身の正体についてだった。 それが「亀」で、しかも今は「カメラ」等、三人にとってもまるで意味が分からない。 しかも、一応ここまで生き残ってきた褒美の情報のはずなのに、こんな訳の分からない所で止まり、放送は終わってしまった。 「………おい、今のことに………心当たりはあるか?」 「………カメバズーカ………いや、絶対に違う」 「………宇水の盾…………いや、何でもねえ」 三人とも混乱し、それぞれ自分でもよく分からないままに口走る。 記憶にある亀に関連するものを引っ張り出すが、当然それらは全て無関係だ。 (亀……亀…?そいつは、知性を持っている…ということか?それはつまり…スタンド使いの可能性もあるのか?) 放送で伝えられたことが真実だと仮定すると、DIOの中ではそんな可能性が思い浮かぶ。 スタンド使いになった動物は、通常のものよりも知能が高くなることがある。 それこそ、人間に匹敵するくらいのものだってある。 ならば、殺し合いを企画できるだけの知力を獲得できることだってあるかもしれない。 今はカメラだという発言は…参加者や他の主催と同じく身体側を別のものに変更しているということだろうか。 カメラという非生物が肉体側なのは、普通に考えればおかしいことだが、この殺し合いには既に非生物の貨物船が精神側として参加者にされていた。 それならば、非生物でも身体側となれるポテンシャルはあるだろう。 もしかしたら、その身体側のカメラとやらも、貨物船と同じくスタンド使いだったのかもしれない。 身体側に選んだのも、そのカメラが持つ能力目当てだったのかもしれない。 ………ナチュラルにこんな可能性を考えてしまう辺り、あの貨物船の存在にある程度毒されてしまっているのかもしれないとも考えてしまう。 (…だが、もしそれが真実ならば、許しがたいことだ。このDIOを差し置いて、畜生ごときがスタンド使いとして上に立とうなど…!) ――この殺し合いに巻き込まれている時点で、DIOも、他の者達も、主催陣営に一度敗れているようなのものである。 ―ここに来るまでの記憶が無い分、なおさらだ。 亀のスタンド使いの存在に、DIOに心当たりは全く無い。 それは、この殺し合いがDIOのために行われている可能性を低めることも意味していた。 殺し合いの黒幕が本当に亀だとして、尚且つそれがスタンド使いであるとしたら、DIOにとっては腹立たしさを感じることにもなる。 どんな能力かは分からないが、吸血鬼どころか人間以下の亀ごときがこのDIOを出し抜いて殺し合いの参加者にするなど、受け入れられないことであった。 せめて神だとかそういったものを名乗るくらいなら、その座から引きずり下ろして自分が代わって座ってやるくらいの気概を出そうと思えたかもしれない。 だが実際には亀を名乗るなど、こちらのことを大きく嘗めているのかと言いたくなるようなことであった。 DIOの中には、主催陣営に対し少し怒る感情もまた、確かに出現してきていた。 ◆ 放送で言われたように、先ほどまで降っていた大雨が止む。 そのタイミングで、DIOはもう一度話し始める。 「…………さて、改めて聞こうか。私の提案に、乗るかどうかを」 放送のせいで調子を大きく狂わされた感じがあったが、DIOは改めて他の二人に問う。 指定された禁止エリアだったりで状況は大きく変わったが、まだこの提案は生かせるものと判断していた。 「……てめえはさっき、情報の開示とか言っていたが、てめえが欲しい情報はもう無くなっちまったんじゃねえか?空条承太郎って奴は、死んだみてえだが?」 「………ふん。まあ、その点に関してはそうであろうな」 DIOの提案は、志々雄がスタープラチナの名を出した直後にあった。 そのことやDIOが出すザ・ワールドのこともあり、志々雄はDIOが求めている情報の中に承太郎のことも含まれていることを察していた。 「そうかい。なら、一旦話を変えるか。さっきの放送で言っていた電話ぼっくす…『公衆電話』について、てめえらがまだ知らねえだろうことを教えてやる」 志々雄は、少し離れた場所に向けて指差す。 そこにあるのは、放送でも言われた通りな、公衆電話ボックスだ。 「少し調べれば分かることだが…アレは、遠く離れた場所に一瞬で移動できるものだ。行き先は、まあさっきの放送で言われた通りだろうな」 志々雄は、自分が先にここにたどり着いた時に確認した公衆電話の機能を簡単に説明する。 「で、アレはどうやら前に使われたことがあったから、俺は使えず待っていたわけだが…これで何時使えるようになるか分かった。そして、次に問題となるのは…てめえらもアレを使いたいと思うかどうかって点だ」 「……なるほど。アレを使った方が、網走監獄の方に早く行けるかもしれないという訳か…」 「アレは一応、一度使ったら十分以内なら他の奴も使えるが…果たしててめえらは、それをやすやすと通すのか?」 志々雄が問題として提起したのは、もし仮に休戦する場合、公衆電話の扱いをどうするかについてだ。 放送前にDIOが懸念していた、地下通路のモノモノマシーンがあったらここにいる全員がそちらの方に向かう可能性問題が、再発するようなものだ。 モノモノマシーンの方へ向かうことを考えると、やはり全員が公衆電話で瞬間移動(ワープ)することを望む可能性が出てくる。 ワープ先であるC-5に一時間後、一瞬で行けることを考えると、順当に移動するよりも早くB-1の網走監獄に到着できると考えられる。 今回でDの1、2だけでなくD-3が禁止エリア指定されたことや、地形的な問題から、そんな風になっていた。 しかも、基本的に使うのは一人ずつなことを考えると、先にワープした者が後からワープした者をワープ直後に攻撃する可能性も考えられる。 いわゆる、着地狩りというものだ。 DIOは地下通路のモノモノマシーンが使用不可になったことについて、都合が良いかもしれないと一度考えたが、それは誤りだったかもしれない。 むしろ、片方が封鎖されないで、それぞれどちらかを目指す形となった方が良かったかもしれない。 まあ、このことについてはDIOには一応、多少の解決となる情報を持っていた。 「ふむ、それならばこちらからも一つ先に教えておこう。地図を見れば分かることだが、G-2の方にサニー号という施設が追加されている。これは船であり、中には我々参加者でも動かすことができる特殊な小舟が用意されている。私が確認した。提案を飲む場合、私はそちらの方に向かおうか」 サニー号のことは元々隠したいと思っていたが、こうなっては仕方がない。 ここでこの情報を出した方が、バラけて動けて都合が良いと判断した。 「ちなみにだが、そこで小舟を使うには条件がある。首輪を多く用意することだ。果たして貴様らは、それだけの首輪を持っているのか?」 「……なるほど、使えるのは自分だけだと、言いてえ訳か」 志々雄はDIOの言葉に一定の理解を得た姿勢を見せる。 どこまでが本当のことかは彼視点では分からないが、一応はこれで休戦する場合の今後の動きが予測出来てくる。 サニー号とやらの中にある小舟がどれ程のものかは知らないが、ようはそれで海を渡り、F-1の川から島の中に入り、川を伝って近道すると言いたいのだろう。 ◇ 「また少し話しを変えるが、てめえの案に乗るために必要な情報はまだあるだろう。そっちが言う目障りな奴ら、そいつらの場所だ」 志々雄はまだ答えを出さずに、更なる情報を求めてくる。 「ちなみに俺の方からそういったことは何も言えねえ。放送二回分…十二時間はずっと誰とも会えずじまいだったからなあ。会った奴の中でまだ生きている奴は一人いるが…もうどこにいったかなんて全く分からねえさ」 「……そんな口の利き方で聞き出せると思っているのか?」 志々雄のこの言葉に嘘は無い。 けどもDIOからしてみれば、志々雄が自分だけ情報を出し渋ろうとしているようにも聞こえる。 「ちなみにそいつは長髪の男で、斧と剣が混ざったみてえな武器を使い、氷や飛ぶ斬撃みてえな妙な術を使う。こっちが先に言ったんだから、そっちも言えよな?」 志々雄は自分が知る唯一の相手…魔王についての情報を先んじて与える。 そうすることで、案の同意前にDIO達からも戦力についての情報を吐き出させようという魂胆だ。 その魂胆は、実際上手くいっているようだった。 「……我からは僅かに、言えることがある」 ここで、これまでほとんど静かにしていたJUDOが口を開く。 「おそらく…この島の中央か、東の方の街で…おそらく4人程度が固まって動いている。1人は羽を生やした剣士の女…残る3人は、我や貴様のように『仮面ライダー』への変身能力を有している。1人は銃使い、1人は武器を複製する力を持つ。…最後の1人は、貴様と同じベルトを巻いていた」 「何だと?」 その言葉にDIOは反応を示す。 他の仮面ライダー程度、今のDIOにとっては大したものとは思っていないが、自分と同じベルトを使っていると聞いたら話は少しだけ変わる。 それはつまり、可能性としてはごく僅かなものではあるが、自分に近い力を持っているかもしれないからだ。 なお、JUDOが話した3人の内1人は厳密には仮面ライダーではないかもしれないこと、JUDOは一応それに気付いていること。 それは、わざわざ話すことではなかった。 「そのベルトをした者は、どんな姿になっていた?」 「それを聞きたければ、貴様も話すことだ。特に、他に仮面ライダーがいたかどうかをな」 「……チッ。…おそらくは、ここから北の山の方で……5人が固まって動いてる。…まあ、厳密には1人は1匹か。電気を発する鼠に、再生能力を持つ女……残る3人は、仮面ライダーだ。…青い剣士が1人、刀と盾を持つ者が1人。…最後の1人は、貴様のベルトをピンクに染めたようなものを使っていた」 「…………そうか。なら、こちらも言っておこう。貴様が知りたがっている仮面ライダーは、黒かった。戦闘方法は、徒手空拳だ」 「そうか…黒か」 DIOとJUDOは睨み合いながら、お互いに持つ情報を引き出させる。 DIOとしては対等な交渉をさせられているようで不満なところもあったが、これにより少しの懸念事項も解消された。 本当に黒いライダーであるならば、少なくとも自分と同じくエターナルを使っている可能性は無くなる。 こちらの情報を話すだけの価値はあっただろう。 せっかく同じベルトを使っていた奴がいたことを教えたのに、何故か反応が少し薄めなのも気になるが、そこまで問題として捉えることではないだろう。 ◇ 「……で、ここまでのことを踏まえた上で、結局どうするつもりか?私の提案に乗ろうと思えてきたか?」 ある程度の情報が整理されたために。DIOは改めて問う。 これまでの話により、お互いにあるだろう心配事項はある程度までは解消されたと言えるだろう。 予めの情報もかなりサービスした。 けれども、DIOが望んだような答えは返ってこなかった。 「そうだな……はっきり言ってしまえば、俺としちゃあ『どっちでもいい』だ」 そう答えるのは、志々雄真実だ。 「確かにてめえの言う通り、どうせなら余計な奴らが居なくなってからの方が良いかもしれねえが…結局最終的にはお前らとも戦うことには変わりねえ。むしろ、そんな奴らと戦い、疲弊した所をてめえが狙ってくることも考えられる。だが、今後どうなるかについては結局のところ動いてみなくちゃ分からねえ。ここでお前らと戦うか、戦わないか、どっちを選んでも最終結果は変わらねえと思うぜ。どうせこの世は弱肉強食、生き残るのは『強い奴』なんだからな」 志々雄は持論を交えながら語る。 その言葉には、前からと同じく挑発的な要素も混じっていた。 「…生き残るのは強者だという点には同意する。だが、よくもまあそんな中途半端で煮え切らない答えが出せたな。前にも、つまらん挑発は貴様自身を滅ぼすと言ったはずだが?」 「はっ。つまり何だ?てめえはここで殺り合っても自分だけが生き残れる自信があるってわけか?」 「……お望みとあらば見せてやろうか?」 「さあな。てめえの好きにしたらいいさ。自分の提案を無碍にしたいんならな」 志々雄は挑発的な態度を止めない。 けれども、この言葉に対してDIOの方から手を出すわけにはいかない。 こんな挑発に乗って攻撃を仕掛けたら、どこか精神的な敗北感が微かに残るかもしれない。 「で、さっきから妙に静かな感じがするが…そっちの方はどうなんだい?そこの縞々仮面」 苛つき始めているDIOを尻目に、志々雄は話をJUDOに振る。 先ほどの放送が終わってから、JUDOは確かに口数が何故だか少なくなっている感じがあった。 他参加者の位置情報の話になった時は喋っていたが、それも「仮面ライダー」以外のことについては反応が薄かった感じもあった。 これまでの交渉はほとんどDIOと志々雄だけで行われていた。 JUDOが何を考えているか、二人には分かりにくくなっている感じがあった。 「…………そうだな。確かに、余分な者共を削ぎ落としてから決着をつけるというのは、理にかなった提案だろう」 口を開いたJUDOは、DIOの案に肯定的な言葉を発する。 「………だがそれは、3人も必要なことであろうか」 ◆ 「…何を言いたい」 「言葉通りだ。貴様の提案通りにするとしても、3人もいる必要はないだろう。つまり、1人は消えるべきだ」 JUDOは、DIOの言う通り他の都合が悪い者達を排除するまで休戦するのは構わないが、それは2人だけで十分という意味の発言をした。 それは、3人の内1人はもうここで死んでもらいたいという意味でもあった。 「だが、今ここで3人の内誰かが死ぬまで戦えば、今後戦うための力を失う可能性もある」 JUDOは自分が今言ったことの問題点も自覚していた。 「だからここは、消す者を予め決めておくべきだ」 「――――消えるのは、貴様だ」 JUDOは指を差す。 それが指し示していたのは、DIOだった。 ◇ 「……なるほど。つまり、2人がかりでこいつを殺ろうって言いてえわけか」 志々雄はJUDOの言葉に納得の色を見せる。 「確かに3人残っていたら、最後の方で漁夫の利を狙う奴が出るかもしれねえからな。特に、そんな提案をしてきた奴なんかな」 志々雄はDIOを見ながら皮肉交じりな言葉を発する。 それは、JUDOの新たな案に乗りかけていることを意味していた。 「…我の考えに、貴様にとってももう少し利があることを教えてやる」 JUDOは志々雄を見ながら話し始める。 自らのデイパックの中に手を入れ、1つのアイテムを取り出す。 それは、棒の取り付けられた宝石のようなものだった。 「この『賢者の石』は、使用者本人と、一定範囲内の使用者が味方と認識している者を回復する。一度使ったらしばらくは使えんがな。我に協力するなら、貴様にもこれを使ってやる」 今の志々雄は確かにダメージを負っている。 時間を置けば自然回復するものではあるが、今すぐ治せるのはそれでも悪くない。 すぐに治るのであれば、この場で改めて戦う道も非現実的なものから離れていく。 「……まさかとは思うが、本当にその愚かな案に乗るつもりじゃあなかろうな…!」 DIOが志々雄に向かって声をかける。 その声には、大きく怒気が含まれているようだった。 「そもそもだ。何故に貴様はそのような愚か極まりない選択をとる?………今すぐ謝るなら、許してやらんこともないが?」 「………貴様のような人間如きが、そんな自分の方が上だと思っているかのような態度をしているのが気に食わん。…理由はそれだけで十分だろう」 「……人間だと……?」 DIOは威圧的な言葉に臆する様子なく、JUDOは煽り返す。 …けれども少し、返答までに妙な間もあった。 何か無理矢理、理由付けを考えていたかのようであった。 けれどもDIOはそんなことよりも、自分を人間呼ばわりしたことの方に気を立てた。 その言葉の方が、彼の神経を逆撫でしていた。 「…………良いのか?他にもまだ知らせてない情報はあるぞ?」 DIOはより激しくなりそうな怒りを無理矢理にでも抑え込み、冷静さを装いながら今度は言い聞かせるかのように話す。 実際、まだ隠している情報はある。 DIOがこれまで会った中でまだ情報を話していない者が2人いる。 1人は承太郎が身体を使っていた燃堂力。 そして、身体側の身内が主催陣営におり、何か特殊なものがあると思われる柊ナナ。 この2人に関してはPK学園の方に戻ってこなかったため、現在地の予測は正確性を少し欠く。 おそらくは最初に逃げ延びた場所に待機し、今頃桐生戦兎達と再合流している可能性は高いと思われるが、確実にそうだとは言えない。 言わなかったのはそれだけでなく、柊ナナの方に少し興味があり、他の者に先に殺されるのはなるべく避けたい気持ちもあったためだ。 他にもまだ、隠していることはある。 「そんなこと…これまで言ったことも含めて、どこまでが本当かは互いに分からねえだろ」 ここで、自分たちが知る他参加者の情報を話すとしても、全て真実である必要は無い。 全員が共に行動できない方に話が進んでしまっている以上なおさらだ。 むしろある程度情報を隠した方が、他の者らの殺害に苦労し、都合の良い感じに消耗してくれる可能性も考えられる。 そういったことは、全員思いつけている。 ここでの情報は、そこまで大きく鵜呑みにはできない。 ある程度までは信頼できないかもしれないことを意識するべき。 そのことも、全員分かっている。 「それにまあ、情報はもう十分だろうからな」 「その言葉…我に乗ると見ても良いのか?」 先ほどからの志々雄の態度を見て、JUDOもそんな風に判断する。 けれどもはっきりそうだとは言ってないため、一応の確認をとる。 「ああ、いいぜ。やってやろうじゃねえか」 そして志々雄は、JUDOに対し肯定の言葉を返した。 最初に遭遇した時は殺し合った相手であるが、それを一旦置いておいて協力する道を選んだようだ。 当初はDIOが提案したものが、望んでいなかった形で実現してしまったようだった。 「………ハァ。まさか、君たちがここまでの大馬鹿者だとは思わなかったよ」 DIOはわざとらしくため息をつき、大きく呆れたような反応を見せる。 「よかろう。貴様らがどれほど愚かな選択をしたのか、この行いがどれほど無駄なことなのか、頂点に立つべきは誰なのか…その身に味合わせてやろう!」 ◆◆◆ 開戦の合図となるのは、DIOが迎え撃つことを決めて発した言葉だけではない。 JUDOは手に持った棒付きの賢者の石を振った。 同時に、確かにその石の効果が発揮された。 JUDOと志々雄が負っていた傷が、回復された。 特に志々雄は、完治と言ってもいいレベルまでに傷が癒された。 クリームによって削り取られていた左肩も、そんな事実が無かったかのように元に戻っていた。 そのことを確認できた志々雄が、真っ先に動く。 片手に持ったエンジンブレードを大きく振り上げる。 そしてDIOの方へと向かって行き、振り下ろそうとする。 「ザ・ワールドッ!」 それを受け止めるのは、DIOのスタンドのザ・ワールドだ。 両手に持った2本の刀を交差させてエンジンブレードにぶつける。 20kgの重量と柱の男の肉体を持って振り下ろされたエンジンブレードだが、2本の刀の方もザ・ワールドのパワーが乗せられることで弾き返す。 その隙に、今度はJUDOが動く。 手に持ったライドブッカーをガンモードにし、DIOの方目掛けてトリガーを引く。 「チッ、無駄なことを…!」 この攻撃による効果は実際薄い。 発射されたエネルギー弾は、胴体部分へは届いてもエターナルの装甲に阻まれて大きなダメージにならない。 顔部分へ届きそうになったものも、DIOが咄嗟に持ってきたエターナルエッジと腕に防がれる。 とは言っても、これは何かしらのダメージを期待してでの攻撃ではない。 自分の方に注意を向けさせるための、牽制の目的があった。 結果、DIOはJUDOの方を、ザ・ワールドは志々雄の方を相手する形になっていく。 ザ・ワールドが志々雄の攻撃を捌きながら、本体であるDIO自身はJUDOの方へと向かって行く形になっていく。 本体とスタンド、どちらも同時に動かしながらそれぞれ違う戦闘方法で別々の相手と戦うのは精神的な負担も増える。 だからと言って、DIOはそもそも自分がそんなこと程度のことを気後れするような者だと思っていない。 『無駄無駄無駄無駄ッ!!』 ザ・ワールドが両手に刀を持ったまま突きのラッシュを志々雄に向かって行う。 数十分前、JUDOに向かってやったものと同じだ。 「シャアアッ!」 『ガンッ!』『キンッ!』 志々雄はそれに対しエンジンブレードを振り回して弾いて捌く。 1対1の状態ならまだしも、2人相手でスタンドを本体と別の相手と戦わせていては普段よりも操作するための集中力はやはり落ちる。 ザ・ワールドが持つ精密性も、いつもよりは僅かに低い。 そして何より、刀剣類を扱った戦闘は志々雄の方がよく慣れている。 相手の刀の切っ先がどこに向かっているか、これを避けたり弾いたりするにはどうすればいいか、それが志々雄には分かる。 元々有していたものと、ここに来てからの承太郎やディケイドカブトを相手にした戦闘経験により、素早いラッシュもある程度見切れていた。 これにより、JUDOを相手にした時と違い二刀流によるラッシュは志々雄に対し有効な攻撃を当てることは難しくなっていた。 スタンドにラッシュを行わせながら、DIO自身はJUDOの下へと駆けていく。 走りながらDIOはエターナルメモリをロストドライバーから抜き取り、それを手に持ったエターナルエッジのスロットの方に差し込む。 『ETERNAL MAXIMUM DRIVE』 『バチッ』 「ッ!?」 その瞬間、志々雄の持ち物に異変が起こる。 エンジンブレードに差しっぱなしだったヒートメモリ、それから一瞬電気のようなものが走ったように見えた。 これにより志々雄の意識は、そっちの方に一瞬引っ張られた。 『無駄無駄ァッ!』 「ぐあっ…!」 そうしてできた一瞬の隙により、志々雄の体にザ・ワールドが持つ刀が複数回突き刺さる。 柱の男の肉体ではこれは致命的な傷とはならない。 けれども勢いよく突かれたことにより、志々雄は後方へと押し出される。 「くっ…!」 志々雄は咄嗟に後ろ向きに跳んでザ・ワールドから距離を離す。 そしてザ・ワールドが再び近づいてくる前に、エンジンブレードからヒートメモリを一旦抜き取り、それのボタンを押してみる。 (何だ?急に壊れたのか?) ボタンを押してみても、何も反応がなかった。 本来鳴るはずのガイアウィスパーは、うんともすんとも言わなかった。 これは、エターナルメモリが持つ本来の能力の一つだった。 T1のガイアメモリの機能を永久的に停止させる、それがエターナルのマキシマムドライブの効果だ。 これは、エターナルメモリが破壊されない限りは解除されないものだ。 本来ならその効果は風都全域程の広範囲に及ぶものだ。 けれどもこの場においては、近い場所にあるものにしか効果がないようだった。 なお、このことはDIOが意識してやったことではない。 JUDOへの攻撃のために発動したものが偶発的に作用した。 そして、DIOがJUDOの攻撃の方に一瞬意識を集中したために、ザ・ワールドの動きも少し鈍った。 それにより、志々雄はこの瞬間にヒートメモリの動作確認ができた。 ここで発動されたマキシマムドライブでは、メモリのエネルギーが青い炎となってエターナルエッジを包み込む。 そしてDIOはエターナルエッジを一閃、青い炎が斬撃と共にJUDOの方へと飛んでいく。 これは数十分前に発動した、結果的にディケイドアギトの必殺技とのパワー比べとなったものと同じ技だ。 「フンッ!」 これをJUDOは、単純な跳躍で回避。 マキシマムドライブの発動の前に、跳ぶ準備はできていた。 JUDOが跳んだ後、青い炎はその下の方に着弾して爆発を起こす。 「フン、確かに回復しているようだな」 そう言いながらDIOはエターナルメモリをエッジの中から出してドライバーの方に戻す。 苛つきを感じながらも相手の現状をDIOは把握する。 先ほどの戦いではかなりのダメージを与えたはずだが、そんなことがなかったかのような動きをしていた。 賢者の石は、JUDOが受けたダメージも確かに回復させていた。 「よそ見すんなよ!」 DIOがまだ空中にいる状態のJUDOに目線を向けている間に、志々雄が体勢を整え直して動く。 エンジンブレードを再び構える。 そんな状態になった志々雄の前に、再びザ・ワールドのスタンド像が立ちふさがる。 (こいつ、何故平気そうにしている?刺した手応えは確かにあったはずだが…) ザ・ワールドの目越しに、志々雄に刀を何度も突き刺したことは確認していた。 普通の生物なら死ぬか、そうでなくとも重傷になるほどのものだ。 けれども、志々雄がそれをあまり気に留めずに立っていることに疑問を感じてしまう。 (こいつ、もしや吸血鬼か?) この点についてはそんな可能性を考えてしまう。 少し刃物で刺して体に小さな穴を開けた程度で動ける存在は、それくらいしかDIOは知らない。 かつてのDIO…ディオ・ブランドーも、吸血鬼になった後は銃弾を何発か撃ち込まれても動けていた。 それと、同じようなものだと感じた。 自分と同じくエターナルメモリを使っている可能性は、エターナルの姿になってないから考えない。 DIOが志々雄の肉体について一瞬考察した頃、JUDOは最初の位置から少し後ろの方の地上に降り立つ。 同時に、滞空していた間にライドブッカーから取り出していたカードをディケイドライバーに差し込んだ。 『KAMEN RIDE RYUKI』 JUDOが選んだのは、龍騎へのカメンライドだ。 ディケイド龍騎となったJUDOは、続けざまに別のカードをディケイドライバーに挿入する。 『ATTACK RIDE ADVENT』 その音声が流れた後に、近くにできていた水溜まりから赤い龍…ドラグレッダーが現れる。 ――ディケイド龍騎のドラグレッダーは、数時間前の戦いで破壊されたこともあった。 けれども、このドラグレッダーは本物のミラーモンスターのドラグレッダーというわけではない。 だから、こうして再び出現させることもできていた。 JUDOがそうしてディケイド龍騎として戦う準備をしている間にも、志々雄とザ・ワールドの小競り合いも続いている。 JUDOがカードの用意をしていた時、再びエンジンブレードと2本の刀のぶつかり合いがあった。 そこでの数秒の間に、刃同士の何度かの打ち合いがあった。 そこでもまた、一つの異常が起きてしまった。 『バキッ』 (ムッ…!?) ザ・ワールドが持っていた刀が、1本折れてしまった。 折れたのは、時雨の方だ。 時雨は、先端から全体のおよそ三分の一の長さの分だけ折れてしまっていた。 こうなってしまったのは、様々な要因が重なったためだ。 まず単純に、これまでの戦いで酷使されたこと、 ザ・ワールドの強い力で振り回されていたことで、刀身に負荷がかかっていたことが挙げられる。 特に負担となったのは、突きのラッシュでの衝撃によるものだった。 そして、志々雄の肉体に突き刺したのも要因の一つだった。 今の志々雄の身体…柱の男のエシディシは500度もの高温の血液が流れている。 一回一回の突き刺しは一瞬でも、その血液に触れたことにより刀には急激に熱が加えられた。 かつて、エシディシの血液が金属性のマスクにかかった時、そのマスクは脆くなった。 触れた時間は短いため程度はマスクの時より低いが、それと同じようなことが、突き刺された刀にも起こった。 それに、先ほどまで降っていた雨により、ある程度までは冷えた状態からでもあった。 それによるヒートショックの影響も、少なからずあった。 そして最後に、今の打ち合いで20kgのエンジンブレードと柱の男の膂力が合わさった衝撃が脆くなってきていた刀に何度か伝わった。 それが止めとなり、遂に時雨が折れた。 なお、もう1本の刀の秋水の方は、元々が頑丈さを誇る品だったこともありここでは折れなかった。 そちらの方に関してはまだ大丈夫そうであった。 時雨は、名刀であることは確からしいが、それ以上の特徴の情報が無いためにここで折れることとなってしまった。 刀が1本折れたことにより、ザ・ワールドの動きにズレが生じる。 「シャアッ!!」 「ぐっ…!」 その隙を逃す志々雄ではない。 刀が折れたと同時に、左胸部分が一瞬空いた。 そこに、エンジンブレードの刃が届いた。 ザ・ワールドの左胸から腹の辺りまでを、斜めに斬りつけた。 とは言っても、そこまで深い傷を作れたわけではない。 表面からおよそ数センチの深さ…致命的なダメージにはなっていない。 それでも、刃がスタンドの像の中に入っていったのは確かなようだった。 それにより、本体のDIOにもフィードバックが起きる。 ザ・ワールドと同じ箇所を、斬られた感覚がDIOの上を走った。 JUDOがドラグレッダーの召喚を完了したのも、それと同じタイミングだった。 「やれ」 『GYAOOOO!』 ドラグレッダーが口の中から火球を飛ばす。 その火球は、DIOの方へと向かっていく。 「! 無駄ァッ!!」 エンジンブレードによるダメージを受けながらも、DIOはその火球を認識する。 そして火球が自身の下へと着弾しそうになった瞬間、背中にあったローブマントを翻す。 火球は、そのマントに包み込まれると、かき消された。 このマント…エターナルローブには、あらゆる熱や冷気、電撃や打撃等を無効化する能力が備わっている。 その能力により、ドラグレッダーの火球を打ち消した。 「行け」 『GUOOOOO!!』 JUDOが指示を出すと、ドラグレッダーは今度はDIOの方に向かって突進して行く。 口を開き、DIOに対して噛み付こうとしているようだった。 「ちょっと頭数を増やした程度でこのDIOに対抗できると思うな!」 DIOはそう叫ぶと、彼もまた跳躍した。 そのまま前方に向かって跳び、ドラグレッダーの頭の上へと跳び乗った。 「あっ、てめ、待ちやがれ!」 同時に、ここまで志々雄と打ち合いをしていたザ・ワールドのスタンド像が離れてDIOの方へと戻っていった。 DIOに伴って空中に移動していくザ・ワールドを、志々雄は追いきれなかった。 『GAAAAAA!!』 DIOはドラグレッダーの頭の上に股がる。 ドラグレッダーは頭を振ってDIOを落とそうとする。 それち対しDIOは片手でドラグレッダーの角を掴み、落とされないように耐えていた。 「こんなちょいとばかしデカいだけの赤い蛇でどうにかできると思っていたのかァ~?なあァーッ!」 『GIIIIIA!!』 DIOはもう片方の手に持ったエターナルエッジを振りかざし、それを勢いよくドラグレッダーの頭頂部に突き刺した。 同時に、ザ・ワールドが折れた時雨を投げ捨て、秋水を両手で握りしめて、股がったDIOより後ろのドラグレッダーの胴体部分に刀を叩きつけた。 頭を刺されたドラグレッダーは悲鳴のようなものを発声する。 そして胴体の方は、ザ・ワールドのパワーで秋水を打ち込まれたことにより、切断されてしまった。 真っ二つにされたドラグレッダーは、そのまま落下していく。 DIOは落下途中のドラグレッダーの上から飛び降り、先に地面へと着地する。 落下したドラグレッダーの残骸は、まるで溶けるような形で消滅した。 DIOが着地した後、志々雄とJUDOは横並びの形で、DIOに対峙するように移動する。 DIOもまた、2人がいる方に向き直る。 「…重ね重ね言っておこう。貴様らがどんな手を尽くそうとも、このDIOの前では全てが無駄だということをな!」 DIOは自分の体が2人に見やすくなるように胸を前に押し出すよう少し反る姿勢で力強く立つ。 ガイアメモリを使った仮面ライダーは肉体が直接変化するタイプであるため、エターナルの装甲の上からでも傷が見えていた。 するとどうだろう、DIOの体に付けられていた傷に変化が生じる。 傷は、まるで何事もなかったように塞がっていった。 「何だ?てめえも俺と同じだったのか?」 志々雄がそんな疑問を呈する。 彼の肉体もまた、先ほどの戦いで刀で開けられた体中の傷穴が再生・塞がり始めていた。 「…さあ、どうだろうな?」 DIOは志々雄に対し、微笑を浮かべながら返答する。 (こいつ、こちらのことを吸血鬼だと認識したか?だとすれば、その認識はいずれ足を引っ張るだろう) 内心では、DIOは志々雄の態度にそんな風な判断をとっていた。 こちらのことを吸血鬼だと思ったのならば、相手は自分を殺す手段を日光が確実なものだと考えるだろう。 しかし、今の時間帯ではもう日がほとんど沈んでおり、日光もこちら側には届いてない。 ならば、相手は次の手段として頭部…脳の完全破壊を殺害のための手段として考えるかもしれない。 けれども、今の自分ならばそれでも死には至らないだろうと、DIOは認識していた。 DIOは内心、ほくそ笑んでいた。 そんなやり取りをしている2人をさほど気に留めていないかのように、JUDOは新たなカードを取り出していた。 それは、今の攻防をきっかけに新たに解放されたカードだった。 今のJUDOが持つ中では、最後のカードでもあった。 JUDOはそのカードをディケイドライバーの中に差し込んだ。 『KAMEN RIDE KIVA』 ◆◆◆ →
https://w.atwiki.jp/pspprogram/pages/30.html
pcm出力初期化割り当て int sceAudioChReserve(int channel, int samplecount, int format); pcm出力解放 int sceAudioChRelease(int channel); pcmデータ出力関数 int sceAudioOutput(int channel, int vol, void *buf); int sceAudioOutputBlocking(int channel, int vol, void *buf); int sceAudioOutputPanned(int channel, int leftvol, int rightvol, void *buffer); int sceAudioOutputPannedBlocking(int channel, int leftvol, int rightvol, void *buffer); 設定変更関係 int sceAudioGetChannelRestLen(int channel);//Get count of unplayed samples remaining. int sceAudioSetChannelDataLen(int channel, int samplecount); //多分reserveの第2引数の変更 int sceAudioChangeChannelConfig(int channel, int format); //多分reserveの第3引数の事後変更 int sceAudioChangeChannelVolume(int channel, int leftvol, int rightvol); //多分ボリューム変更 サンプル wavファイルから再生
https://w.atwiki.jp/jojotoho_row/pages/328.html
紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― ②⇐その②より ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『空条承太郎』 【午前】C-3 紅魔館 地下の大図書館 翼竜に案内されたその空間は、巨大な蔵書部屋……所謂『図書館』のような場所だった。 地下へ地下へと階段を下った先に、日光などひとつとして届かない。 しかし完全なる『闇』というわけでもない。点々と灯された照明器具が、承太郎の足元を照らしている。 環境。戦闘は充分すぎるほどに『可能』。広さも申し分ナシ。かび臭さと埃っぽさは多少気になるが、戦闘に影響もナシ。 装備。頼りになるミニ八卦路は直接触れているとマズイようなので紙に入れている。問題ナシ。 体調。霊夢やF・Fとの戦闘による負傷や疲労はあったが、この館に来るまでには既に万全にしている。問題ナシ。 懸念。敵はDIOひとりとは限らない。霊夢たちがディエゴを抑えているので奴の乱入は考えにくいが、警戒は必要。 歩みを止め、前方を鋭く見据える。そこは図書館のおよそ中心部。 長テーブルに高く積み上げられた本の山々が、視界を多少悪くしている。 その本の山の隙間で、何かが微かに動いた。 冷たい感覚が、一層研ぎ澄まされる。 「知っているか? この幻想郷には……いや、“元”の世界の幻想郷と言ったほうが正しいか。 『博麗大結界』なる、常識と非常識の結界が張られているそうだ。 百数十年前に張られたそれは博麗の巫女と八雲紫、及びその眷属が代々管理している、とか」 落ち着いた、しかし癇に障る声が静かに響いた。 ああ……本当に最低最悪の気分だ。承太郎は心の中で唾を吐く。 50日という遥か長い旅路の末に、3人という戦友の犠牲あって死ぬ思いで倒したはずの。 承太郎の感覚ではつい数時間前に粉々にしたばかりのはずの。 ―――吸血鬼DIOの声だった。 「外の世界に住む我々が『科学の文化』を持っているのに対し、幻想郷では『精神・魔法の文化』が発達しているようだ。 この互いに決して相容れない、全く対極にある文化が故に……常識は常識足りえ、非常識は非常識足りえる境界が存在する」 反吐が出るほどに憎らしい相手の声を聞くことの、何と『無駄』なことか。 しかし承太郎は決してそれ以上DIOに近づかない。 周りの気配は目の前の男ひとり。この部屋に居る者は自分とDIOの2名のみだ。 「一般の論で言えば……我々が持つスタンドは本来『幻想』にあるべき産物なのだろうな。 となれば、スタンド使いは幻想郷に住まう資格を有し、またこの世界のバランスを著しく傾けたりはしないのだろう。 そうでなくとも私は吸血鬼。幻想郷に跋扈する妖怪どもとどこが違うのか? きっと本質は同じなのかもな……」 エジプトで対峙した時のような迫力や傲慢さは今のコイツからは感じられない。 むしろ真逆。実に優雅で紳士的な態度が見て取れた。 「何が言いてえ」 しかし承太郎は男が被る仮面に騙されない。 コイツの本性などとうに知れているし、ひと皮剥がせば簡単にその攻撃性が露わになるだろう。 かくして承太郎はここで初めて男との『会話』を成立させた。 幻想郷の由来や今昔になどさして興味はない。今、自分の心にあるのは――― 「俺はもう一度てめえを倒しに来ただけだ。殺し合いだとか、幻想郷がどうのだとかは関係ねえぜ。 てめえが妖怪たちと同じ本質だと? 面白い冗談だぜ。“元”人間の吸血鬼気取りが」 闘争。 すなわち今の承太郎にはそれしかない。 この男には100年も前から大勢の人間があらゆる物を貸していた。 幾里もの果て、エジプトでDIOを倒しそれらは取り返したものだと思ったが……。 「フフ……クックック………ッ! “元”人間……そのとおりだ。 この紅魔館の主レミリア・スカーレットやらとは違い、私には払拭できない『人間』としての過去がある。 100年前、石仮面により吸血鬼となったが……根本を言えば私と、そしてお前も人間なのだ。どれだけ強かろうがな」 ガタリと椅子を動かす音と共に、男は本を閉じて立ち上がった。 一挙一挙が絵になるような優雅さ。だが承太郎からすればその全てが苛立ちを覚えさせる。 嫌味なほどに“黄”をてらった服に、黄金の髪。この薄暗い部屋でも目立つなりをしている。 男はこちらを向くことなく横顔のまま、その余裕を崩さずに語りを続けた。 「幻想郷縁起という書物によれば、ここ幻想郷にはそんな“元”人間は案外珍しくないらしい。 亡霊の姫として幽霊の管理をする者。仙人に憧れるも成り損ないの邪仙に堕ちた者。 天界に住まうことを許された天人くずれの者。大昔に人間をやめた大魔法使いの尼僧である者。 ……どうだ? 彼女らに比べればこの私の方がよっぽど『常識的』だと思わないか?」 言いながら男はコツコツとゆっくり音を立てながら、テーブルを大きく回りこんでくる。 承太郎はそれを細い目つきでじっと凝視しながら構え、しかし会話を絶やすことはしない。 「俺はてめえと世間話をしに来たワケじゃねえ。 それに人間をやめてから今まで多くの命を奪ってきたてめえが常識的だとは全く思わねえぜ」 「……幻想郷にはひとつ、『妖怪は人間を襲うもの』『人間は妖怪を退治するもの』という規律があるそうだ。 いやそれは規律というよりかは、それこそ『常識』であるらしいのだがね。 そしてもうひとつ。『外の世界から迷い込んだ人間を、妖怪は喰ってもいい』という規律もあるらしい。 さて、承太郎? さっきも言ったように私は吸血鬼でありスタンド使い。非常識世界である幻想郷に生きる『資格』はあると思うんだ。 そんな私が“もし”幻想郷に来たとしたら……『喰われる側』かね? それとも……『喰う側』になると思うかね? 『襲う側』か? はたまた『退治する側』か? 私は『人間』か? 『妖怪』か? 首から上は元の『吸血鬼』だが、ボディはかつて戦った男のもの……『人間』だ。その『境界線』はどこにある? この首のキズかね?」 長々と、だが決して早口にはせず。男はゆったりとその疑問を承太郎にぶつけてきた。 会話でも楽しんでいるつもりなのか。ここは街角カフェの一席ではない。殺し合いという名の広大な円卓だというのに。 彼が丁度言い終える頃には足も止め、いつの間にか男と承太郎を結ぶ直線距離は10メートル。間を遮る物は何もない。 ―――二人の男が、決闘者のように視線を交えた。 「……てめえが吸血鬼だろうが妖怪だろうが関係ねえ。だが敢えて、てめえの言い分で言わせてもらうなら…… てめえはこれから『裁かれる側』で、俺が『裁く側』だということだッ!」 承太郎が眼光を光らせ、『スタープラチナ』を発現させるッ! 「わかりやすいな承太郎ッ! だがひとつ訂正させてもらうならッ! オレが『上に立つ側』でありッ! キサマはオレに蟻のごとく『踏み潰される側』だということよッ!!!」 空気が震った。吹くはずのない風が鳴いた。 これまでの紳士な態度も一変。とうとうDIOがその本性を剥き出しにしたッ! 同時に現われた『ザ・ワールド』が、両者の間に激しい火花を打ち散らかすッ! 今にも激闘が繰り広げられそうなピリピリした空気の中、数瞬の間が流れる……! その“間”に、DIOは再び落ち着いた――しかし深淵のような殺気の声で口を開いた。 「オレがさっきから何を言いたいかというと、だ。……承太郎ォ? ジャパンという黄金の国は実に面白いなァ~~? お前もこの国に住んでいるのなら少しは愛着ぐらいあるのだろう? オレ自身、この幻想郷も結構気に入っているぞ。空気も美味いし、その名を示すとおり幻想的な世界だ」 今度は承太郎、返答はしない。 ただただ敵との間合いを見測り、射程距離ギリギリの境界に立つ。 「だが、この幻想郷のルールという危ういバランスには大いに疑問を抱いている。こんなシステムがあと何十年続く? 現にここでは、幾度となく幻想郷を揺るがした異変が起こり続けているという。オレからすれば穴だらけの欠陥システムよ。 だったらいっそ……一度壊してしまえば良いのだ。そう、幻想郷の住民を全て滅ぼすことのように。 丁度―――このバトルロワイヤルという殺戮遊戯の行いのように」 しかしいつにも増して喋る野郎だ、と承太郎は思う。 まるで幻想郷博士だ。そんなにこの世界が気に入ったというのか。 「『もしも』この幻想郷の万物を創りだした神がいるとして……やはりその神もこの世界のシステムには疑問を感じたのではないか? だからバトルロワイヤルを開催したのか? あるいは―――あの主催どもがその万物の神なのかもしれんなァ?」 DIOが横歩きに移動すると同時に、承太郎もそれに伴って歩く。 互いに視線は外さず、スタンドの構えは解かず。 決して必要以上に近づかず、離れ過ぎず。 近距離スタンド同士の応酬では『間合い』が大事だ。このDIOに対しては特に。 「神がそれを望むというなら……このDIOも加担してやらんでもない。 ……『皆殺し』という形でな。もっとも、オレにはオレで『別の目的』は存在するが」 もう一度DIOは足を止め、再び膠着状態が始まった。 焦らすような溜めの後、DIOはペロリとその妖艶な唇を舐め―――牙を見せて一言だけ放った。 「賢者の一角『八雲紫』は既にこのオレの掌中に落ちた。『博麗霊夢』もすぐにディエゴが刈り取ってくれるだろう」 ―――ピクリ――― 承太郎の眉が一瞬だけ僅かにつりあがり、反応を示した。 その際を狙ったかのように、DIOがここで初めて前へと動き出すッ! (時を止められる―――!) 直感的に承太郎は感知した。 その息詰まる一瞬の狭間で、考えを流動的に巡らせる。 DIOは果たして“どこまで知っている”? 目の前の男はこの空条承太郎の『能力』について知っているのか、知らないのか。 つまりは承太郎がかつてDIOとの一騎打ちの結果、土壇場で『時間停止能力』をモノにした事実をだ。 もしもDIOが、承太郎のスタープラチナは時を止められることを知らないとしたら、戦いは途端に承太郎有利の展開になる。 時を止めてハイテンションになったDIOがノコノコ近づいて来たところを、時止め返しで逆にブッ飛ばしてやればいいだけだ。 しかし承太郎が時間を止められることをDIOが『知っていた』としたら……? 可能性は幾つも考えられる。 DIOはディエゴと組んでいる。会場中の情報を掌握しているであろうディエゴから承太郎の能力の片鱗でも聞いた可能性。 承太郎の能力を知っている他の参加者と既に接触し、間接的に聞いた可能性。 DIOが『呼ばれた』時間軸が、承太郎が時止めを取得した後だという可能性。 ―――考えても答えは出せない問いだ。ならば承太郎のやることはシンプル。 (DIOが何を策していようと……俺が止められる『2秒』という時間の中でスタープラチナをブチかますだけだ) そしてDIOの唇が、その名を呟いた――― 『 世 界 ―― ザ ・ ワ ー ル ド ―― 』 ピキン。 無音の世界で、鉄糸が切れたような音が錯覚した。 瞬間、拡がる『DIOの世界』。 静止したように冷たかった図書館が、完全に停止する。 動く者はDIOのみ。承太郎は―――停止したままDIOを迎える。 (まだだ……まだ時を止め返すな。ヤローがもっと近づかねえと意味がねえ) 獲物を狙う獅子のように。 草葉の陰で潜む蛇のように。 承太郎は、勝利を確信できる『最高の瞬間』を狙って、あえて動かない。 敵の喉笛は……まだ遠い。 「聞こえているのだろう? なあ承太郎」 鬱陶しい声がこの世界に響くその間、承太郎にはDIOの走りがスローモーションのように見えた。 「狸寝入りの真似事はよせ……。お前が止まった世界で動けることは知っている。 果たして『何秒』動けるんだ? 2秒か? 3秒か? まさか5秒も動けないよなあ……?」 エジプトの時と似たようなこと聞きやがって……。 承太郎は表情には出さずとも、心で毒づく。 だが、そんなことを聞いてくるということはつまり、DIOは知らないのか? ……俺が何秒動けるのかを! 「もしお前が長い時間を動けるのなら……お前という男を侮ってうっかり近づきすぎるのは賢い者のすることではない」 まさか……と、承太郎は予感する。 DIOが足を止めた。まだスタープラチナの射程距離外だ。 そして奴がニタリとこれ以上なく傲岸に、楽しそうに笑い、懐から取り出した『ソレ』は――― 「そこで承太郎! きさまが何秒動けようと関係のない処刑を思いついた……」 ズラァーと手の中に収められた『ソレ』は、銀色に輝くナイフ。おそらく厨房かどこかで失敬した物だろう。 かつて行われたその悪どさ極まるやり方を、まさかいきなり使ってくるとは思わなかった。 意表を突かれた、という思いは拭いきれない。 「逃れられるならやってみろッ! 喰らえィッ!!!」 ザ・ワールド――『世界』から繰り広げられた、無数の雨あられ。 銀色の五月雨のように承太郎に降り注ぐナイフの全てが、その目前で取り囲むようにピタリと止まった。 (『動いて』弾き落とすか……!? いや、この数は……ッ! いくら止まった時の中で動けようと、すでにDIOの術中。全てのナイフを振り払うまでには至らないだろう。 あの時のようにマンガ雑誌を制服に仕込むことなどしていない。 かつて霊夢が咲夜に対抗した時はまな板を使ったものだが、それを承太郎は知らない。 「ん~~? 動かないのか承太郎? それとも実は動けないの か な ? すぐに動いてナイフを振り落とさないと、アイアン・メイデンもビックリの悲惨な蜂の巣になるぞ?」 (迷っている暇は……ねえようだなッ!) 承太郎の選択は――― 「………時間だ。『ゼロ秒』! 時は動き出す」 無音だった世界が、爆発するように一斉に動き出した。 無数のナイフが空気を裂く音を醸し出し、そして――― 「―――スタープラチナ ザ・ワールド」 再び静止する、無音の世界。 承太郎を串刺しにするはずのナイフが、またも宙に止まる。 ―――――――――― 「―――むっ?」 再び止まった時が、三度動き出す。 承太郎が居た位置には既に誰も居なく、空いた空間をナイフが虚しく通り過ぎるだけだった。 DIOが視線を横にずらすと、そこに承太郎は居た。ほんの数メートル横に移動しただけだ。 初撃は、かわせた。 「…………フフフフ。ハァーーーッハッハッハッハァーーーッ!!! なるほどなぁ承太郎! 今のでよく分かったよ。ククク……そうかそうか。お前が止められる時間はその程度か」 DIOの攻撃は失敗した。 そのはずだというのに、この男の大笑いのワケは。 いや、DIOの目論みはまんまと成功したッ! 「『2秒』! お前の止められる時間は2秒といったところかな!? もしもそれ以上止められるというのなら、お前は時間停止切れのオレを追撃するためにもっと近寄ってきているはずだからなぁ!」 まさしくDIOの言った通りだった。 彼は……やはり承太郎が時を止められることを知っていた! その停止時間を測るために、初撃から得意技を披露しておいて、あえて近づき過ぎなかったのだ。 承太郎が時を止め返すことを読み、その射程距離ギリギリまで近づいた。 そして承太郎が攻撃してくるかこないかの距離を測り、時止めの『持ち時間』を逆算した。 「フフフ……間違いない。この距離でお前がオレに突っ込んでこなかったということは、お前が止められる時間は2秒! この数字が値千金! たった数秒差だが、このDIOに遥か及ばない絶望的な差だ!」 承太郎は戦慄する。 やはりコイツは俺の能力を知っていた……どころか、まんまとその停止時間まで探られてしまった。 『3秒』あれば、コイツに接近出来ていただろう。 『4秒』あれば、少なくとも拳は届いていただろう。 『5秒』あれば、すかさずラッシュの速さ比べまで持ち運べただろう。 しかし『2秒』……接近してもぎりぎりカウンターで返される、絶妙に惜しい時間。 DIOはそこまで計算して立ち回りを考えている。ムカつくが、本当に利発な奴だ。 汗が頬を伝い、床に垂れる。 「動揺しているな承太郎? 図星といったところか。 だが……だがな承太郎。オレは嬉しそうに見えて―――はらわたが煮え繰り返しそうに怒っている……ッ!」 様子が一変。 何がDIOの堪忍袋に影響を与えたのか、いきなり青筋を浮き彫りにし始めた。 「今こうしてキサマの能力を実感して、改めて許せない気持ちだ……ッ! ジョースターの血族ごときが我が『時の世界』に入門するどころか、自在に世界を『支配』するまでに至りッ!! よりによって我が唯一無二のスタンドの名までキサマの能力名に組み込むとはッ!! 『スタープラチナ ザ・ワールド』だとォ……? 吐き気がするッッ!!! その名を使うのはオレひとりで十分ッ!!」 「何に怒り出したかと思えばくだらねえ……。コイツは俺のスタンドが到達した新しい境地だ。 なにもてめえだけが時を支配できるわけじゃねえ。俺にもその『素質』があったってだけの話だぜ。 『ザ・ワールド』を冠する名がひとつだけだってんなら丁度いい―――。 ――――――てめえが消えりゃあ、時を『支配』するのは俺だけになる」 今度は承太郎がニタリと笑み、挑発する。 彼にとって、時を支配するだとかの独占欲や帝王論などどうだっていい。 挑発することで憎きDIOが激昂する、その姿が見れればおもしれえ。それだけだ。 そして激情という感情は精神に隙を生み出し、攻撃のチャンスを作ってくれる。 かつてDIOが祖父ジョセフの血を吸い、わかりやすいほどに自分を挑発してきた時のように。 それに逆上し、状況を悪化させてしまった時のように。 今度は承太郎がDIOを挑発した。 「……ときに承太郎よ。この幻想郷に話に戻るが、どうやらここの住民にも『時間に干渉できる』能力の持ち主が何人かいるらしい。 まったく世界は広いと思わないか? オレやお前だけではなく、『他にも』いるのだという。……戯けたことだが」 その言葉を聞いて承太郎は、名も聞けなかった『女中風の女』の姿をそっと思い出し……今ではF・Fと呼ばれるその者と霊夢の安否を少しだけ心配した。 だが今は目の前の敵を潰すことだけを考える。 承太郎の挑発が効いたのか効いてないのか。DIOは声の中に怒りを匂わせてはいたが、あからさまに剥き出しにするまではいかなかった。 「そんな奴らもこのゲームに参加しているならば……お前も、そいつらもすぐに潰してやる……! 帝王は常にひとりッ! 取るに足らない存在ばかりよッ!」 「……ああ、もういい。口を閉じな。 てめえの逆恨みにもならねえ論理はこれ以上聞きたかねえ。 霊夢たちが待ってるんでな、そろそろ仕舞いにさせてもらうぜ」 轟、という風切り音と共に駆けたのは―――DIOッ! 「口を閉じるはキサマの方よ承太郎ッ! キサマの停止時間は既に知れたッ! もう警戒の必要はない……! 直接ッ! この『世界』の拳で骨肉まで微塵にしてくれるわァーーーーッ!!!」 やはりなのか、挑発は無事効いているようだ。 結局の所は承太郎もDIOも、一番の武器はその『拳』ッ! だが承太郎は拳をブチ込むための『一手』をまず打った! さっきDIOから乱れ撃ちにされたナイフの内の一本、空中でちゃっかり掴み取っておいたそれを――― 「オラアッ!!」 下手投げで思い切りブン投げたッ! 一直線に投げられたそれを、向かってくるDIOは首を動かしただけで他愛なく回避する。 ナイフはその軌道のままDIOの後方を飛び、虚しく闇に消え去った。 「そんな小手先でこのDIOを脅かせるかッ! さあ、スタンド射程範囲内だぞッ!! 時は止めないのか承太郎!?」 まだ止めない。必要ない。その手には乗らない。 時間停止能力者同士が戦った場合、時止めとは基本的に後出しが有利なのだ。 もし先に止めてしまったなら、その分時止めの『持ち時間』を減らしてしまう。 そこを相手に時止め返しされた場合、持ち時間が少ないほど不利に陥ってしまうのは言うまでもない。 無論、両者の時を止められる時間に差がある場合はその限りではない。 「オラアァッ!!」 「無駄ァッ!」 鉄の塊同士が衝突したような、鈍く重い音。 星の白金――スタープラチナと、世界――ザ・ワールドの拳がぶつかった。 「凄まじいパワーだな、『星の白金』! だが時を止めるまでもなく、キサマのスタンドはこのDIOの『格下』だッ!」 「…………!! ほお、そうかい。だったら―――こんなのはどうだ?」 拳と拳が密着され、両者の振動が互いに感じられる距離で承太郎は笑う。 その視線の先……DIOの後方上部に、動く気配。収束するエネルギー。 「遠慮なくアイテムを使わせてもらうぜ。『ミニ八卦路』だ……!」 「ムッ!?」 その小さな気配を察知し、振り返ったDIOの目に映った小型の浮遊物体。 承太郎の支給品『ミニ八卦路』が燃え上がる炎を噴き出した! 「SPW財団の資料やじじいから見聞きした話によれば、てめえは俺のひいひいおじいちゃん……ジョナサン・ジョースターに『三度』敗北しているらしいな。 そしてその三度とも全てが『炎』に塗れてやられたとか。だったらこの支給品はてめえにとって『悪運の炎』になるわけだ」 DIOの脳裏に蘇る忌まわしい記憶。 最初は焼えあがるジョースター邸。慈愛の女神像に貫かれ、焼け苦しんだ。 次にウインドナイツ・ロットでの館。宿敵ジョナサンの持つLUCK PLUCKの剣に炎を纏わされ、気化冷凍法を破られた。 最後は沈みゆく豪華客船。結果こそ痛み分けであったが、船の爆炎に巻き込まれその後100年間を海底で眠る屈辱を味わった。 DIOが『氷』――アイスとするなら、彼にとって確かに『炎』――ファイアーは過去に越えられなかった壁。 その忌むべき炎に……またしてもやられるわけには――― 「―――いくものかァァァァアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッッッ!!!!!」 『 世 界 ―― ザ ・ ワ ー ル ド ―― !!! 』 DIOが、承太郎より『先』に時を止めた。 背後には大津波が如く襲い来る炎の壁。当然、後退など有り得ない。 前方には……承太郎がいつの間にか距離をとっていた! DIOが振り向いている隙に大きく離れたのだ! 「この『世界』の時止め時間を少しでも削る考えか? なまっちょろい考えだぞッ! 策を弄すれば弄するほど、人間には限界があるッ! それを今からその身に叩き込んでやろうッ!」 ―――1秒経過ッ! DIOが承太郎に向けて疾走するッ! ナイフはもう無い。己の……『世界』の拳のみが敵を打ち崩すッ! ―――2秒経過ッ! 『世界』の拳が承太郎に迫るッ! 止まっていた承太郎の時間は―――その機を狙って動き出すッ! 『 星 の 白 金 ―― ス タ ー プ ラ チ ナ ―― !!! 』 承太郎の狙いは最初からたったひとつ。 ―――DIOが何を策していようと……己が止められる『2秒』という時間の中でスタープラチナをブチかますッ!! ここから始まる2秒間で全てのケリをつけてやる。 承太郎は最大全力のスタンドパワーを『星の白金』の両拳に込めたッ!! ―――3秒経過ッ! 二人が一斉に大きく動き出した。 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!」 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!」 分子レベルで駆け巡る破壊衝動。疾風怒濤。無秩序の豪撃。 より早く、速く、疾く―――! より重く、強く、深く―――! 打てるコースを刹那に見切り、乱撃のスキマを潜り抜けて流星の拳を繰り出す。 飛び掛かる敵の拳を正確無比に防ぎ、致命を直前回避――グレイズ――する。 その様は無限なる弾幕の如し。ただし、幻想少女たちがやるごっこ遊びといった生易しい遊戯ではない。 本気の殺し合い。魂と魂がぶつかり合う、真の『闘い』。 千を越えるほどの火花散る、さながら星雲状態の空間。しかし両者の心に燃えるものはたった一つのシンプルな思い。 ―――『コイツに勝つ』ッ!! 瞬く間に展開する激しいラッシュの連打! 連打!! 連打!!! 連打!!!!! 連打!!!!! 両者一歩も退かず、極限まで時間を濃縮した1秒が終了する……! ―――4秒経過ッ! DIOが時を止めて4秒が経過した頃、承太郎の心に小さな『違和感』が芽吹き始める。 エジプト・カイロで散々撃ち合った相手だ。その間合いも、拳の速さ重さも、打撃の癖すらも感覚で覚えている。 『あの時』と『今』のDIO……そのスタンド『世界』も、どこか『違う』……! 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!」 拭いきれない『違和感』はすぐに『不安』にまで開花し、承太郎の額に嫌な汗を流した。 ―――重い。そして、速い。 DIOのスタンドはこれほどまでに強烈であっただろうか……? 確かに『世界』は超強力。スタンドパラメータひとつとっても文句の付けようのない、まったく恐ろしいスタンドだ。 しかし曲がりなりにも承太郎の『星の白金』は、その『世界』にすらも打ち勝った最強のスタンド。 ―――押され、ている………ッ!? 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!」 最強の『星の白金』が、徐々に『世界』の拳に押され始めた。 (こ、こいつ……ッ! エジプトの時よりも………『強く』なっている……ッ!?) 不安は承太郎の心を茨のように取り巻き、確信に至る。 DIOのスタンドは以前戦ったときよりもパワーが『重い』。スピードが『速い』。 ―――5秒経過ッ! DIOがこのバトルロワイヤルに参加した時点で、『世界』が止められる時の限界は『5秒』だった。 そして承太郎の『星の白金』が止められる、または止まった時の中を動ける時間は『2秒』だった。 DIOが時を止めてから『3秒』が経過した時点で承太郎は大きく動き始め、拳のラッシュを展開。 そして今……『5秒』が経過し、二人の時止め終了時間が偶然重なった。 いや、偶然などではない。承太郎はDIOと自分の時止めが同時に終わるよう、調整して最初に距離をとった。 連続で時間は止められない。ここからは互いに動き出した時の中で、引き続きラッシュの撃ち合いを続けるのだ。 しかし時間が動き出すということはDIOの背後に設置した『ミニ八卦路』が文字通り、DIOに火を噴くということ。 全身粉砕か、火達磨か。DIOが辿る道はその二つのどちらか、あるいは両方ッ! そして今、時は動き―――――― 「まだまだまだまだァァッ!!! 第2ラウンドだァァァアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーーッッッッ!!!!!!」 ―――出さない。止まったままだ。 (DIO……ッ! こいつ、やはり間違いないッ! 『成長』してやがる……! 時止めの『持続時間』が……5秒よりも長いッ!!) 計算が外れた。DIOの『世界』は5秒以上に時を止められた。 『DIOの世界』で、承太郎はこれ以上動けない。置いていかれる―――! 「終わりだァ承太郎ッ!!」 ―――『成長』。 しかしそれを言うなら承太郎の『星の白金』も成長し、時の世界に入門したことだってある。 スタンドとは精神の具現。 本人の思いひとつで強くも弱くもなるのなら―――! 「――――――オラァァアアッ!!!!」 『止まった世界』の中で、『世界』の拳を『星の白金』は弾いた。 「いくぜオイッ!!」 承太郎もこの土壇場で成長する。時止めの持続時間が延びたのだ。 それはなにより目の前の『邪悪』を打ち倒さんとするため。 『勝つ』ための成長ッ! 「流石だな承太郎! キサマならきっと『動いてくる』と思っていたぞッ!! それでこそ殺し甲斐があるというものッ!!!」 ―――6秒経過ッ! 自分の成長がどこまで時止め持続時間を延ばしてくれたのかはわからない。 だが、1秒でも早く! 決着はつけるッ! DIOにラッシュを叩き込むッ!! 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!」 ―――が……! (何故だ……! こっちは完全に全力のスタンドパワーを出してんだぜ……! だが、今のコイツは……ッ!) 「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ…………ッ!!!」 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!!!!!」 DIOが時を止めてから6秒が経ち、ここで完全に『優劣』が付いた。 『星の白金』が競り負ける。 空条承太郎が、敗北する……! 一撃。 承太郎は初めて『世界』の打撃を受ける。 『星の白金』でさえ、見切れなかった一撃。 二撃。 ひとたびダメージを受ければ、次に襲い掛かる拳の群も防げない。 右肩に破壊的な衝撃。木の折れるような、鈍い音が自分の中に響く。 四撃。 間髪入れず刺してくる圧倒的なパワー。 もはや全く衝撃を受け流せない。 八撃。 意識が―――飛ぶ。 今まで自分が殴り飛ばしてきた敵スタンド使いは、皆このような重苦を味わってきたのだろうな、というあられない思いまでが浮かぶ。 十六撃。 完全に防御する腕が止まった。 『世界』の拳全てをその身に喰らいながら承太郎はふと、先ほどのDIOの台詞を思い出していた。 ―――『賢者の一角『八雲紫』は既にこのオレの掌中に落ちた。『博麗霊夢』もすぐにディエゴが刈り取ってくれるだろう』 三十二撃。 機関銃の乱射でも受けたと錯覚するような、骨の隅々が粉砕された苦痛を味わいながら、承太郎は自身の『敗因』を悟った。 (そういやあ……霊夢の奴がチラッと言っていたな。『八雲紫』とかいう大妖怪の存在を…………) 走馬灯のように過ぎ去るその記憶は、承太郎にひとつの『推測』を与えた。 DIOは……既に八雲紫に会い―――恐らくその血でも吸ったのではないか、と。 吸血鬼のDIOにとって人間の血など、どれだけ吸ったところで精々身体を馴染ませるための『栄養分』。 その身をパワーアップにまで至らせるには、『ジョースターの血』でも吸わなければ為されない。 だが―――例えば『大妖怪』の血など吸えばどうなるか。 予想は……難くないだろう。実際に今、身を以って体験している。 合点がいった。『世界』の拳が前の時より速く、重くなっているその理由。 時止め静止時間が延びた、その理由。 ―――DIOは間違いなく八雲紫の血を吸って力を上げている。 承太郎が最後に真実に辿り着いた時には既に『敗北』の後。 もはや立つことも困難。自分は―――敗けてしまったのだ。 正真正銘、真正面から戦い、真正面から敗けた。 スポーツの試合であればむしろスッと清清しくもなるだろう。だがコイツ相手には……屈辱しか感じない。 (―――悪ィ、霊夢。F・F。……じじい。花京院。ポルナレフ。…………俺は、コイツに敗北した) (―――だが、) ―――7秒経過ッ! 「勝ったッ! 死ねィッ!」 勝ち誇ったDIOがトドメの一撃を入れようと迫り――― ス パ ッ ! 敗北したはずの承太郎と『星の白金』の右腕が。 ボロボロである承太郎と『星の白金』の右腕が。 「ウガッ―――!?」 勝利を確信し、ほんの僅かに油断したDIOの左目を一閃した。 「フ、フフ……。流星指刺(スターフィンガー)……! イタチの……最後っ屁、ってやつ、だぜ…………」 三十二撃の拳を喰らっても、承太郎は倒れない。 『星の白金』の指先に力を一点集中。瞬間的に伸縮させるその技が承太郎にとっての最後の技になった。 今ので力尽き果てた。もう、動けない。 それでも承太郎は倒れない。 「……100年前、ジョースター家を乗っ取ろうと画策した時も……、 俺のひいひいおじいちゃん『ジョナサン・ジョースター』と3度に渡って戦った時も……、エジプトで俺達と戦った時も……」 それでも承太郎は不敵な笑みを絶やさない。 「……てめえの計画は過去、一度として、成功した試しなんざねーんだよ……!」 それでも承太郎の心は砕けない。 「……今回の『ゲーム』も……DIO! てめえという『悪』は…………俺たちに……敗けるぜ」 フラフラの身体で、最後に目の前の男に示したポーズは――― 「―――てめえは……『くたばりやがれ』」 手の甲を相手に向け、人差し指と中指を立てるジェスチャー。 いわゆるVサインを裏返すこの仕草は『Fuck off』。最上級に悪いスラングである。 DIOの国では、撃たれる覚悟のある人間が向ける仕草だった。 左目を縦に切り裂かれたDIOは怒りで瞼を痙攣させるも、すぐに取り直す。 そして動けずに膝を支える承太郎の背後にツカツカと回り込み――― 「俺“たち”……だと? フンッ! 他のジョースターの血統共のことか? まさかあの霊夢とかいう巫女のことではないだろうな? なんにせよ、みっともない負け台詞だったなァ……!」 DIOが承太郎の首をガッと掴む。 195センチの体格を軽々と持ち上げ、目の前にある―――火を噴いたままで止まった『ミニ八卦路』へと突き出した。 「キサマの敗因は『情報』……その思い込みだ。『思い込む』ということは何よりも『恐ろしい』ことなのだよ。 我が友から聞いていたぞ。非情に腹立たしいことだが、キサマがエジプトにてこのオレを討ち倒したという未来を。 一度戦ったのだから、ラッシュの対決では絶対に『負けることはない』……そう“思い込んでいた”。 このDIOが大妖怪の力を吸っていた可能性など露にも考慮せずにな……だから敗けたのだ。 スタンド戦において『情報』とは特に重要な要素……キサマならよく分かっているだろう?」 DIOはプッチ神父からエジプトでの承太郎との戦いの瑣末を聞き、承太郎はその経験から『今度も負けない』という自信があった。 その思い込みをDIOは利用し、ラッシュ対決に持ち込んだ。 二人が二人共、『自分が勝つ』という強い自信を持っていた。―――結果、勝利者はDIO。 「これで『8秒』経過だ……ッ! まさかキサマが止めた時の中を『5秒』も動けるとは……驚いたな。 その大健闘を称え……キサマは『火炙りの刑』だ。『悪運の炎』とはキサマのことだったなッ!」 ―――8秒経過。 『――― そして時は動き出す ―――』 ――――――承太郎の全身が、残酷に焼き尽くされた。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 『ディエゴ・ブランドー』 【午前】C-3 紅魔館 廊下 紅い廊下に点々と形作られてゆく、赤い染み。 再び恐竜化された八雲紫の背に運ばれる、博麗霊夢とF・Fの身体から滴る血だった。 ドシドシという重い足音と共に無感情に歩く肉食獣を連れ歩きながらディエゴは耽る。 博麗霊夢についての記述は多少ながらこの世界の本で触れている。 幻想郷でも有名な妖怪退治の巫女。物心ついた時から修行を積み、『博麗の巫女』として生きてきた。 そんな彼女が生まれ持っていたのは『天性の才能』。巫女として充分すぎるほど、有能な力を持っていた。 大した努力もなく、与えられた役目を担い、全ての異変を解決してきた。 ―――そう、博麗霊夢は『天才』だった。間違いなく。 対するディエゴはというと、イギリス競馬界において『異例の天才』という肩書きは持っていたものの、その過程は霊夢とは随分違っている。 生まれた時から下層階級での貧困家庭。傲慢で最低だった父親の行方はわからず、母親の一途な愛のみで育ってきた。 その母も若くして社会に殺された。そんな社会の奴らに復讐すべく、ディエゴは憎悪にまみえる『奪う側』に回った。 ディエゴには何も無かった。生きるために必要な『金』も『地位』も『名誉』も、全て他人から奪ってきた。 目的のためなら何だってやってきた。それが自分にとって『必要』だと考えていたからだ。 そんな『持たざる者』だったディエゴが、『持つ者』である霊夢を憎らしく思うのは彼からすれば当然の思考。 博麗霊夢のような、最初から全てを持ち、周りから持て囃される『甘ったるい天才』が大ッ嫌いだった。 だからその全てを『奪って』やりたかった。 奪って、這い蹲らせて、その命すらも奪う『侵略者』ディエゴ・ブランドー。 男は、ドブ川の中から這い上がるような執念で『勝利』をもぎ取った。 博麗霊夢はその執念に敗北したのだ。 「クソ……ッ! 右目が……! 最後の最後で油断した……!」 裂かれた右目を押さえ、恨めしげに霊夢を睨む。 今すぐに八つ裂きにしてやりたい気持ちはあったが、そうはいかない。 DIOから霊夢の肉体の回収を頼まれている。蹴ってやりたい頼みだったが、何故だか「まあいいか」という気持ちになった。 どうもあの男と対すると、調子が悪くなる。負ける気がしないという気持ちにはなるが、気に入らないのだ。 巫女を恐竜にするのも一興と考えたが、何故だかこの女には恐竜化が半分ほどしか効かない。余計な肉体強化をさせてしまい、先の不手際を被ってしまった。 どうせこの女は『致命傷』だ。じきに死ぬ。 そう思い、今はDIOと待ち合わせるために廊下を歩いている。 一方の『F・F』と呼ばれていたこっちの銀髪メイド。 こちらはとっくに『死亡』している。急所への一撃、即死だった。心臓も停止している。 一度死んだ肉体を操っているらしいが、よくわからない生物だ。 肉体の方の銀髪女の情報もほとんど無い。ディエゴが恐竜情報網を使用した時点で彼女は既に死んでいたからだ。 死体を恐竜には出来ない。精々がDIOのおやつにでもなるだろう、という程度の気持ちで運んでいるだけだ。 「……フン。さっさと運びなよ、八雲の妖怪」 八雲と呼ばれた意識なき獣は、何も言葉を返さず二人を運ぶ。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ 「遅かったな。しかし無事に霊夢らを始末できたようで何よりだ。流石はディエゴ」 「これが無事に見えるってんならすぐに目を医者に見せた方がいい。……その切られた左目も一緒にな」 ディエゴがエントランスホールに赴くと、既にDIOは階段に座して待っていた。 その左目は承太郎との戦いで負傷したのか。ディエゴの右目と同じ様に縦に切られている。 「……どうやら傷の治りが遅い。これも制限とやらか。 お互い、苦労したな。私の方もほんの少し、しっぺ返しを受けた」 DIOは左目を軽く撫で、足元に倒れる承太郎を恨めしげに睨んだ。 戦いに敗れた空条承太郎。その身体は全身焼け焦げ、ピクリとも動いていない。 その身体の傍にはミニ八卦路も転がっている。どうやら炎を出し尽くして力を失ったらしい。 「殺したのか?」 「いや、しぶとくもまだ息はあるようだ。ジョースターは総じて『強運』だからな。 だがすぐに死ぬ。その前に頂ける血液は全部吸っておこうと思ってね」 DIOの肉体は元を言えば100年前に奪ったジョナサン・ジョースターの肉体。 生きているジョナサンが会場のどこかに存在していることを考えると奇妙だが、とにかくその肉体は未だDIOの頭部とは馴染んでいない。 完全に馴染ませるにはあとひとり……ジョースターの人間の血が必要だった。 その血を吸い、肉体が完全にDIOと馴染んだ時、吸血鬼として更なる力を得る。 「どんなに強靭なパワーを手に入れても、日光という弱点は消せないんだろう? 吸血鬼ってのは厄介なリスク背負ってんなぁ。オレだったらまだ人間の方がマシだと思うがね」 吸血鬼という未知なる力に興味がなくはなかったが、太陽の下を一生歩けない体などディエゴはゴメンだった。 地位を得るためという名目上では天才ジョッキーとして名を売っていたが、馬を走らせることはディエゴなりに好きではあった。 もし自分が吸血鬼などになればそれは永劫叶わなくなるのだろう。 既に自分は『スケアリー・モンスターズ』という、人間を超える肉体能力を手にしている。不死など馬鹿馬鹿しい。 「肉体の構造上、という意味でなくても人間のやれることには限界がある。 私は吸血鬼になったことを後悔したことなど一度もないよ。血の味を楽しむのもオツなものだ」 ディエゴの軽い皮肉にも嫌な顔ひとつせず、DIOはそう言って霊夢に視線を向けた。 「博麗霊夢……博麗大結界の管理人で、幻想郷バランスの一端を担う巫女か。 フフ……今まで吸ってきた女の血は数知れど、巫女の血となるとさぞかし美味だろうな。 古代ローマの処女神ウェスタに仕える巫女は、処女でなくなると力を失うと聞くが……東洋の巫女はどうかな?」 紫の背に乗せられた霊夢の体を、片腕で乱暴に持ち上げて床に落とした。 ジョースターの血というメインディッシュの前にまず、巫女の血を吸って傷を癒そうというのだ。 仰向けに転がった彼女の右肩から腰にかけて大きくナナメに切り傷が広がり、赤い巫女装束が血で更に赤黒く染まっている。 「大妖の次は巫女の血か。アンタも中々大喰らいだ……、今までに何人吸ってきたんだ?」 「君は今まで食ったパンの枚数を覚えているのかい?」 性格の悪い男だ、とディエゴは卑しく思う。 パン一つまともに食べられなかった幼少時代を思い出しながら、ディエゴは紫の体に背を預けながら『ショー』を眺めることにした。 その時――― 「―――アンタ、たち………、ゆる、……さ…な、ぃ……わよ…………」 力ない、今にも潰れそうな声が微かにだが漏れた。 その声を発した本人……霊夢が頭上のDIOを倒れたままで睨む。 「ほう! まだ意識があるとは、流石に博麗の巫女はゴキブリ並みの生命力だな。 ……だが安心して逝け。その生命力をこれから奪ってやるのだからッ!」 面白そうに叫んだDIOは、霊夢の首元に思い切り指を突き刺し、その血を躊躇いなく吸い始めたッ! 「―――っ!? く、ああぁ……! や、め…………、DI……O…………っ!!」 「ンン~~! どうだ霊夢? 純潔を穢される気持ちというのは! お前の綺麗だった血を今! このDIOがゴクゴク飲んでいるぞッ!」 ディエゴが彼の『食事』を見るのは2回目だが、相変わらず不快な光景だと息を漏らす。 女を弄び、落ちるとこまで落として嬲った経験は何度かあるが、そんな経験と目の前の光景とがダブって見えたからだ。 『持つ者』から全てを『奪う』ことに幸福感を感じるディエゴは、やはりこのDIOとよく似ている。自分でもそう思ったのだ。 まるで自分を鏡写しで見ているみたいだと、思わずその光景から目を逸らす。本当にどこまでも嫌な奴だ。 そして、DIOの『食事』は終わった。いや、『前菜』を食べ終えたと言うべきか。 「……で、感想は?」 「……『格別』、の一言でしか言い表せないな。体内の血が全てサラサラに洗浄されていくようだよ。 オードブルとして頂くにはあまりにも美味な一品……。更に力が満ち足りていくようだ。 これは……クク……! 食事の順番を間違えたかな?」 邪悪のオーラ、とでも表現すべきだろうか。 DIOの表情から滲み湧き出るその感情が、ドス黒く煌いているように見えた。 傷を負った左目も見る見ると塞がっていく。霊夢の血を吸った作用だろう。 霊夢の肉体から、生命の源でもある血液が失われた。 人は総血液量の約30%を失うと生命維持が極めて困難になると本で見たことがある。 DIOがどれだけ吸ったのかは知ったことではないが、これだけ急速に血を失えばすぐにでも死ぬだろう。 天下の博麗の巫女サマが、全くあっけないもんだと思う。 どちらにしろ霊夢を恐竜化できない以上、生かしておくこともない。 霊夢の体から『命の消滅』を感じながら、ディエゴはそれをただ冷たく見下していた。 「―――さて。次は『メインディッシュ』……ジョースターの血だ。 承太郎。キサマの血で私の肉体は完全に馴染み、最強となるのだ。 やはりこの体に一番しっくりくるべき血は大妖や巫女ではなく、ジョースターであるこそがふさわしい」 クルリと向きを変えたDIOが、承太郎の体に近づいていく。 承太郎の肉体も瀕死。全身砕かれた骨と焼け焦げた肉から、更に血液まで絞り尽くそうというのだ。全くえげつない。 DIOはコイツらジョースターを最も警戒しろとオレに言ったが、正直肩透かしだ。 オレからすればジョニィやジャイロの方がまだ危険だったが、そのジョニィも既に死亡。本当にあっけないもんだ。 ―――これにてオシマイ、だな。 ディエゴが感慨なく心で呟き、そして『あること』に気付いた。 それは今までこの部屋に承太郎の焼けた臭いが漂っていたのでわからなかったが…… (―――ん? この『ニオイ』は…………) クンクンと、自身の武器でもある恐竜の鋭い嗅覚に意識を研ぎ澄ます。 こいつは…………! 「さて……正直言ってお前をこのゲームで早めに殺せてホッとしているぞ。まったくジョースターの血統は厄介な奴らだったからな。 しかし最後は意外とあっけないものだったな。では、血を吸われて私の礎になるがいいッ! Good Bye承太郎!!」 DIOの指先が倒れた承太郎に迫る。 ――――――その時ッ! 「DIOッ! 外から参加者だ、多いぞッ!!」 ド ッ ゴ オ オ オ ォ ォ ォ ン ッ !!!! ディエゴの声が響き渡り―――次の瞬間、轟音と共に館の玄関が吹き飛ばされた。 「―――ッ!?」 承太郎への無慈悲な食事が寸前で止められる。 現れたのは―――軽トラック。 荷台には数名の女。どいつもこいつも――震えている者もいたが――ひと筋縄ではいかなそうな、強者の風格。 そして運転席からDIOを強く睨みつけている金髪の少年。 この中で最も『修羅』を経験してきたかと思わせる、そんな只者でない風格を持つ者――― ―――『黄金の風』を纏っているかのようなオーラの少年が叫んだ。 「承太郎さん! 霊夢さん! あなた達は僕らが必ず助けますッ! いま少し辛抱をッ!」 ひと際の朝風が、この場を通り抜けた。 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽ その④へ⇒紅蒼の双つ星 ― ばいばいベイビィ ― ④
https://w.atwiki.jp/terachaosrowa/pages/1980.html
他の拠点へと避難するため、地下の秘密通路へ足を踏み入れたDIOとリン。 だが、そこで一つ問題が発生した。 「ムウ……迷った」 「……………………」 秘密地下通路という言葉の響きに魅せられたDIOが、欲望のままに地下通路に隠し扉や罠を配置した結果、 元々あった他の地下通路や、地下遺跡などとも繋がってしまい、地下通路はさながらちょっとした不思議のダンジョンと化していたのだ。 「慎重に進め……いきなりモンスターハウスに突入するはめになりかねんからな」 「………………モンスター?」 この現代日本のどこにモンスターがいるのですかDIO様、とリンは内心思うがあえて口には出さず、 何故か通路に落ちていた皮の盾+2を無言のまま拾い、DIOに差し出す。 「でかしたぞリン。これで腹が減りにくくなるな」 「はあ。……あ、DIO様、階段です」 ト○ネコやシ○ン気取りの主に言いたいことが無いわけではないが、 従者という立場上それは許されず、ツッコミをぐっとこらえてリンは階段を下りる。 次のフロアが最下層であってくれと、心の底から願いつつ。 「「我等は地下ダンジョンの番人、迷宮兄弟!!」」 「「この先へ進みたくば、我等とのデュエルに勝利せよ!!」」 その願いは、速攻で裏切られたが。 「中ボス戦はデュエルか……面白い。リン、タッグマッチだ!」 DIOは嬉々として懐から自分とリンの分のデッキを取り出す。このDIO、ノリノリである。 デッキを受け取りつつも、主に聞こえないようこっそりと溜め息をつくリン。 「「「決闘(デュエル)!!!」」」 「……デュエル」 そして、鏡音リンの憂鬱は完全に無視して――地下の迷宮デュエルが幕を開けた。 【午前8時00分/地下ダンジョン】 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:カオスロワの混乱に乗じて、世界を制覇する。 2:邪魔者は手下に始末させる。 【鏡音リン@ボーカロイド】 【状態】肉の芽 【装備】デリンジャー 【道具】支給品一式 【思考】 1:DIOに従う 【迷宮兄弟・迷@遊☆戯☆王】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:デュエルに勝利する 【迷宮兄弟・宮@遊☆戯☆王】 【状態】健康 【装備】 【道具】支給品一式、不明支給品 【思考】 1:デュエルに勝利する
https://w.atwiki.jp/nuxyonsosso/pages/143.html
デザイン プロフィール 能力ジョブ ステータス スキル 関連人物 デザイン プロフィール 種族 ゴヌッシーモョ族 性別 男 年齢 75歳(人間換算) 身長 172cm ジョブ からくり士 属性 地 思想 混沌・中庸 武器 機械、工具、杖 一人称 わし、私 二人称 お前、貴様 好きなもの 発明、孫 苦手なもの ソォンソォンォポポヌッヌゥ 趣味 発明、からくりのメンテナンス、孫の絵の鑑賞 “からくり”の権威として有名な技術者。 木と金属と魔法の産物である「機械」の発明と扱いに長け、その技術力は世界最高峰。 引く手数多だが、問題は本人の性格。頑固な職人気質をしている上に無愛想で偏屈なのだ。扱いが難しすぎて並の交渉者は敵わず身を引いてしまう。 人里離れた美しきムョスペォ山間に工房を建て、孫のポェゾヌビョルンと2人で住んでいる。 集中すると長時間飲まず食わずで作業をするため、広い敷地内でお互い音信不通になることが多々あるが、仲が悪い訳ではない。むしろとても仲がいい。 じじいも孫が大好きだし孫もじじいが大好き。 万能発明家であるソォンソォンォポポヌッヌゥ博士をライバル視しているが、肝心のソォンソォンォポポヌッヌゥ博士は全く気にせず仲間だと思って接してくる。すっごい気に食わない。 能力 ジョブ 【からくり士】 ステータス 腕力 体力 魔力 器用 敏捷 幸運 D C B A+ D D+ スキル 名称 ランク 詳細 関連人物 【ポェゾヌビョルン】 何よりも大切な孫。 偏屈で頑固で面倒じじいもかわいい孫には甘い。