約 1,319,061 件
https://w.atwiki.jp/jcbr/pages/742.html
438:選んだ未来(シナリオ) 私がまだ人間の女の子で、中学生だったある日のこと。 全てが始まったのは、日のあたる屋上だった。 ――やっぱさー、石の巨人はこれくらいデカくねーとな! 彼の語る『夢』を聞いたその日から、私の世界は一変した。 ――真中くん、設定だとそこまで大きくないんだけど…… ――いや! 絶対ビル一個分はねーと! そんでもってすべての砂を飲みこむかのように生まれてくるんだ。 私が書いていた小説に、命を吹き込んでくれた。 ――そのシーン、実現できたらカッコイイだろうね。 教室の隅にいた、目立たない、地味な中学生でしかなかった私に、人生で初めての『夢』を見せてくれた。 ――できるさ! 映画の中には不可能なんてないんだから!! 彼と私は、同じ夢を見た。 ぼんやりとした孤独の底から、私を連れだしてくれたのは、真中淳平という男の子だった。 ★ ★ ★ 「DIO」 暗闇の中に、二つの死体が転がる。 それを目にして、どれぐらい経っただろう。 「DIO、DIO」 呼びかけても、返事があるはずがないことは明らかだ。 何故なら、その吸血鬼には首から上がない。 耳も口も、頭が丸ごとなくなっている。 「DIO……」 それなのに、死体に呼びかけるのを、止められない私がいる。 「命令して、くださいよ……」 それは、あってはならない光景だった。 あるはずもないと思っていた――違う、予感はしていたけれど、信じたくなかった現実だった。 「優勝するって、言ったじゃないですか」 信じていないはずなのに、心が痛い。 胸は穴が空いたように息苦しくて、そこから血が流れ出していくように寒々しい。 その喪失感に、本当は分かっているのだと思い知らされる。 「西野さんを生き返らせてくれるって、言ったじゃないですか」 禁止エリアの向こう。二つの死体。 DIOが失われたなど、受け入れたくはなかった。 計画が壊れかけていることなど、受け入れたくなかった。 唯一無二の、頼れる支配者がもういない。 このままでは、西野さんを蘇生させてもらえない。 DIOでさえ敗北したのに、私一人の力で戦い続けなければならない。 そこまで受け入れて、私の考えは完全に立ち止まった。 ――私、一人の力で? 闇の中、座り込んだまま、壊れた両足を見下ろす。 どうしよう。 ――このDIOの傍にいれば、何も恐れるものはない。 西野つかさも、きっと蘇ることができるさ、なぁ…… たった一人の同族だったDIOは喪われた。 ――"吸血鬼"を生かしたままにしておくことは出来ないわ。 人間をやめた挙句、殺人ゲームに乗った。 ――死んだ人を追いかけて自分も死ぬなんて、馬鹿げてる! 友達だった女の子との絆は、自ら切り捨てた。 両足は壊れて、動かない。 DIOのような“異能の強さ”も、西野つかさのような“心の強さ”もない。 もう、後戻りはできない。 陽の下には出られない。 手を伸ばしてくれる人は、どこにもいない。 ずっと、忘れていた。 私は、独りだ―― いつからだろう。 こんなに恐ろしい事実を、忘れていたのは。 少なくとも、DIOと共にいた時は、眩しい夢と安心に満たされていた。 DIOと出会えたことで、西野さんを生還させて、真中くんと2人きりになるという夢が確かなものになった。 そこには温もりとはまた違うのだろうけど、深い安心があった。 でも、DIOに出会う前だって、こんなに寂しいと思ったことはなかった。 真中くんの死を知った時は、本当に、言葉にできないくらいの悲しみを味わったはずだ。 でも、死んで真中くんに会いに行こうと思うことができた。 吸血鬼になっても、この世界に真中くんがいると思うだけで、嬉しくなることができた。 そう、真中くんと共にいる限り、孤独なんて感じるはずがなかった。 そうだ。 本当の意味で、『独り』じゃなくなったのは、ずっと前、真中くんと出会ってからだ。 真中くんに出会う前の私。 クラスメイトからは「地味」で「ダサい」というマイナスの評価が定説で、自分でもそう思っていた私。 仲の良い親友を一人も作れずに、昼休みは一人きりで空想にふけっていた私。 受験勉強や、そういうコンプレックスから逃れたくて、現実逃避として小説を描いていた私。 そんな私を見つけて、私の描いた物語を読んで、私を陽の当たる屋上へと連れだしたのは、他でもない彼だった。 ――驚いた! おまえってスゴイんだな。 私の物語を、認めてくれた真中くん。 ――ほら! 伝説の魔法使いが砂漠から巨人を誕生させただろ!? ――最初は下から上へと巨人を囲むようにカメラを回そう。大きさを伝えるために。 こんな感情が私の中にあったんだと、初めて知った。 ――そして最後に真上から全体を撮るんだ。周りを飛んでる翼竜の視点で。 真中くんと一緒にいる。 それだけで、全てが満たされていた。 ――な? 見えるだろ? 東城。 DIOは、その“圧倒的な力”で私に夢を見せてくれたけれど、 ――うん。見える気がする… ただ、そばにいるだけで、夢を見ることができたのは、 ふたり一緒になら何だってできると、 そんな気持ちにさせてくれたのは、 そんな男の子は、 後にも先にも真中くんだけだ。 そう、この先もずっと―― 「――ダメ!」 声が出た。 マッチの火に消えないでと叫ぶ、マッチ売りの少女のように、幼い悲鳴が口から出た。 「それは……ダメ」 この先の、真中くんのいない未来。 眼の前に揺らめいた独りぼっちの未来を、必死に否定する。 このままでは、どこにも行けない。 このままでは、真中くんに届かない。 私はずっと独りのままだ。 夜の中。 行く場所もない。帰る場所もない。 誰とも繋がっていない。 人間を止めた、友達も殺した、ただの化け物。 真中くんの元に行けないのなら、私は永久に独りだ。 ああ、 孤独とは、なんて耐えがたく、 そして、素晴らしいんだろう。 おかげで、どんなに絶望的でも、 どんなに、傷だらけになっても、 歩みを止めるわけに、いかなくなった。 「優勝……するんだ」 諦めるもんか。 絶対に、絶対に、諦めるもんか。 「私は……最後の一人になる」 孤独より恐ろしいものが、この世にあるはずがない。 「絶対に優勝する! 優勝して西野さんを生き返らせる!」 そして、真中くんと一緒の未来を手に入れる。 そうしなければ、全てを失ったままだ。 ★ ★ ★ 再び力を取り戻した身体を引きずって、DIOを待っていた場所まで這い戻った。 バラバラに倒壊した小屋の周囲を探り、支給品を、全てかき集める。 瓦礫を這い回ったことで、赤黒く汚れた足がさらに埃で汚れたけれど、全然気にならなかった。 「……ふぅ」 収集した戦利品を、並べる。 倒壊した小屋の周囲を這い回って手に入れたのは、DIOの支給品と、DIOがケンシロウの骸から奪い取った奇妙な鎧。 そして、DIOを倒した――認めたくないが、倒した――男が持っていた、発火する刀。 すぐに役立ちそうなものはないけれど、こんな世界では何がどこで役に立つか分からない。 拾えるものは拾っておいて損はない、はずだ。 「さて、と」 一息ついて、私は思考にふける。 目を閉じる。 心が、冷えていた。 さっきまで放心していたのが嘘みたいに、冷静になることができた。 ここから、私が勝ち残っていく上で必要なことは何か。 それを考えなくてはならない。 まず、何よりも両足を治療することが必要だ。 目を開けて、ズタズタになった両足を見つめる。 死体を解剖する医者のように客観的に、私は足を観察できている。 おそらく、神経が傷つけられているのだろう。動かそうとしてもほとんど動かない。 特に、右足の損傷は深刻だ。白い骨がむき出しになっている。吸血するだけでは、きっと回復しきれない。 腕を取り換えたときのように、足を片方、調達しなければならない。 “足”を手に入れる為の手段は二つ。 生きている参加者を襲って奪うか、転がっている死体から回収するか。 この世界で、私が確認した死体は七つ。もちろん、私の見てない所でもっと大勢死んでいるはずだけど、 どこにあるとも分からない死体を探してあてもなく這い回るのは得策じゃない。 その七つは、私が殺した赤鼻の男、腕を貰ったマァムという女性、私が死なせた西野さん、DIOから離反したマミー、ケンシロウ、 そしてDIOとアビゲイル。 DIOとアビゲイルの亡骸は、禁止エリアの中にある。 森の中だから正確な県境は分からないけど、さっき数メートルの距離に這い寄っても首輪は爆発しなかった。 だから、死体があるのは県境ぎりぎりの位置。 けど、手を伸ばして届くような近さじゃない。 かといってこの身ごと三重県に入って回収すれば、それこそ首輪が爆発してDIOと同じ末路を迎えてしまう。 赤鼻の男とケンシロウは、血を吸われてミイラになったから“足”としては使えない。 マァムの死体から腕を持ってきたのはウォーズマンだから、私には場所が分からない。 西野さんの死体は放置していったから、ケンシロウが埋葬してしまっただろう。 ならば、使える死体はマミーのものだけ。しかし、それにしたって、愛知県と長野県の境にある。ずいぶん遠い。 この足で岐阜県まで向かうのだってリスクが大きすぎる。 途中で強い参加者に襲われても、逃げることができない。 反撃したくても、上手く飛びかかることすら困難だ。 考えあぐねて、顔を上げる。 すると、そこには倒壊したロッジがあった。 なんだ、簡単なことじゃないか。 手を伸ばして届かないなら、棒を使って取る。猿でも思いつく発想だ。 立派なロッジだった廃材の山から、できるだけ原型を保った木材を見つけ出す。 一番長くて丈夫そうな断片を、片手で引っこ抜いた。 ロッジを支える柱だったらしい太く長い丸太は、死体を拾う“手”として使うには不格好で重すぎる。 でも吸血鬼の腕力があれば、楽々と持てる。 死体を転がして回収するには、申し分ない長さだ。 勢い余って死体が損壊することはあるかもしれないけど、足さえ無事なら用は足りる。 男性の足ならサイズが不釣り合いだろうけれど、他に足が無い以上どうにか間に合わせるしかない。 次に、足を確保できて、その上で優勝する為に、どうしたらいいか。 DIOでさえ死んでしまったこのゲームを、どう攻略していくか。 緊密な小説のシナリオを考えるように、策を練らなければならない。 必要なのは、実現する説得力のあるシナリオだ。 DIOという強い味方を失った私は、言うなれば“魔法の巨人”を失った、あの小説の主人公。 “巨人”を失った主人公は、どうやって戦えばいいのか。 恋しい人の元へと帰る為に、どうやって生き残ればいいのか。 「そうね。これが、小説のプロットなら」 考えてみたが、ひとつしか思い浮かばない。 ……“戦力”だけで生き抜くことができないなら、“策略”を駆使するしかない。 時代小説でも戦記ファンタジーでも、武力のない登場人物が使う常套手段だ。 権力者や強い強い魔法使いなどに取り入って、信用を得て、時には有用な情報を提供し、時には嘘を教えて扇動し、上手く立ちまわる。 これが小説なら、私はきっと主人公にそうさせる。 ゲームに乗っている参加者と手を結び、協力して他の参加者を狩る。 あるいは、ゲームに乗っていない振りをしてお人好しの参加者に助けを求め、機を見て寝首をかく。 後者の方法を、誇り高いDIOは選ばなかった。 私もDIOには、そんな小細工など要らない圧倒的な力があると思っていた。 しかし、現実はそうではなかった。 彼を侮辱するつもりは無いけど、アビゲイルを無理に追いかけてトドメを刺そうとした、誇り高さ故の失策が、この結果を生んでいる。 DIOよりも力のない私が、残りの参加者に正面から挑んで殺し尽くすのは、どう考えても無理がある。 それに、戦力のことを抜きにしても、遠からず問題が発生する。 それは、夜明け。 日光を少しでも浴びたらどうなるのか。それは、右腕という代償を払って知った。 二日目のように、都合のよい雨を期待するわけにもいかない。 日除けのアジトを見つけたとしても、破壊されて日光に晒されない保障はない。 なら、私が休んでいる間に、見張りをしてくれるお人好しを探す。もしくは、利用し合える殺人者を探す。 「そうね……夜明けのこともあるし、引き返そうかな」 愛知まで引き返せば、初日にDIOが身をひそめていた廃屋がある。 琵琶湖の“狩り”でアジトとして使うはずだったロッジは、このとおり壊れてしまった。 何より、不慣れな地形では、日光を完全に遮断できる建物や洞穴を探すのにも時間がかかるだろう。 愛知県近辺の地形なら、DIOと共に陽射しを避けつつ移動していたおかげで熟知している。 隠れた場所から不意打ちを仕掛ける人間にも、対応しやすいだろう。 DIOを失って慎重に動く必要も出てきた。先程かかってしまったようなトラップが、この先にも仕掛けられていないとも限らない。 決めた。 一度、東へと引き返す。 そして、道中で出会った参加者は、できるだけ利用する。 この点、寝首をかかれる心配もなく日中を過ごせる点では、“お人よし”の方が利用しやすい。 「それでも、問題はあるかな……」 吸血鬼になってから、私は何人かの参加者に出会い、危険視されている。 “乗っていないお人好し”を利用しようと近づいたところで、 彼らがリサリサやケンシロウたちから私の危険性を聞いていたら、厄介なことになる。 でも、付け込む余地はあるはずだ。 リサリサという女性は、私が“吸血鬼”だと知った時点で、殺すべき対象だと認識した。 しかし逆に言えば、リサリサから私のことを聞いている参加者も、「吸血鬼だから危険」程度の認識しか持っていないのではないか。 ゲームに乗る気はない、あなた達を襲ったりしないと必死に訴えれば、迷いを持たせる余地はあるかもしれない。 そこは、私の演技力にかかっている。 グロテスクな外見をしているとはいえ、一見すると無力そうな女子高生だ。 演技だって、映研での経験のおかげでそれなりに自信はある。 ただ、ケンシロウに会った人物がいれば、その手段も通用しないだろう。 何せ、友達の西野さんすら殺したことを知られている(そう言えば、たまねぎ頭の少年がいつの間にかいなくなっていた)。 それにリサリサのように、何らかの“吸血鬼対策”を持った参加者が他にいる可能性もゼロじゃない。 とはいえ、相手が集団なら、一人が私を警戒しても、もう一人の同情を引くといった手段が取れる。 それを利用して、集団の瓦解を生む余地もある。 ただし、逆に大きすぎる集団に入り込むのも考えものだ。 見張りの目がそれだけ多くなり、迂闊な行動が取りづらい。 ある程度の速さを持つ参加者が何人かいれば、一人を襲っている間に囲まれてしまうこともある。 最悪、一対多数になることを考えれば、入り込めるグループは二人か、多くても三人。もちろん、集団の総合力や内訳にもよるけれど。 そう、利用できる参加者はとことん利用すべきだけれど、接触する参加者は慎重に選ばないといけない。 私にできるだろうか。 いや、慎重にはなっても、弱気になってはだめだ。 「できるかどうかじゃない。やるんだ」 幸い、私には夜でも働く視力と、双眼鏡がある。 先手を取ることは可能だろう。 たとえ乗っている相手に先手を取られたとしても、上手く交渉に持ちこめる余地はある。 今の私なら、自分の価値を証明できる。 触れただけでコンクリートの壁を破壊し、指を突き刺して相手の精気を吸い取るという、分かりやすい“力”がある。 実戦の経験こそほとんどないが、簡単に証明できる能力があれば、アピール次第で魅力的に見せられると思う。 力自体は、持っている。あとは、私の駆け引きでどこまで運べるかだ。 DIOのように理想的な同盟関係を期待してはいけない。それも分かる。 DIOは、同族である私に優しくしてくれた。吸血鬼としての在り方も教えてくれた。 そして何よりDIOには、蘇生させたい存在がいなかった。 しかし、これから手を組む相手には、いるかもしれない。 大切な人を生き返らせるという密かな目的を、隠していない保障はない。 いくら“最終的に私自身は死んでもいい”計画だとしても、同盟相手を簡単に信用して、優勝させてやるわけにはいかない。 やはり、私が優勝して西野さんの蘇生を願うのが最善だ。 「うん」 色々考えたけれど、おおよその方針はまとまったと思う。 あとは、その場の状況に応じて、私がどれだけ動けるかだ。 ★ ★ ★ どさりと、重たい落下音と共に死体を置いた。 死体の下から木材を引き抜いて、その場に捨てた。 無事に拾えた二つの死体を前にして、私は安堵の息を吐く。 ひとつは、首の無いDIO。そしてもうひとつは、DIOを殺した男。 さて、この二つの死体のどちらかから足を頂くとして、別の死体からは“食事”をさせてもらうことになる。 右足以外にも、負傷はある。這って移動したことで、ずいぶん血も流してしまった。 “足”だけではなく、“血液”も必要だ。 そして、ミイラになった足はもう使えないから、血を吸った死体とは別の方を“足”に使うことになる。 どちらを“足”にしてどちらを“晩ご飯”にするか、ちょっとの間、考える。 アビゲイルの死体は傷だらけだけれど、首のないDIOよりは血液が残っているだろう。 つまり私は、ここでDIOの死体から足をもぎ取ることになるわけだ。 ――DIO。私は、貴方に一生付いて行きます。 ――ククク……当たり前じゃあないかAYA。このDIOの傍にいれば、何も恐れるものはない。 西野つかさも、きっと蘇ることができるさ 大丈夫。 大丈夫、恩人の死体だとしても、私は真中くんの為に利用することができる。 ただ、少しだけ、浸っていただけ。 少しだけ、哀惜を抱いただけ。 私は、首のないDIOに一礼した。 「DIO、本当にお世話になりました。そして、ごめんなさい」 月並みな言葉しか思い浮かばなかった。 けれど、DIOに飾り立てた言葉は不要だとも思える。 誇り高いDIOの無念は、私が何を口にしても報われるものではないだろう。 ましてや、今からそのDIOを、死体とはいえ傷つけようとしているのだ。 けど、それでも―― 「私は、私の夢の為に、あなたの死を汚します」 それでも、私はDIOを忘れないだろう。 そして私は、ただひとつ残された『夢』を宣言する。 「私は、真中くんが欲しいから」 そして私は、DIOの死体の解体を始めた。 ★ ★ ★ ――むかしむかし、ある王国に、一人の青年がいました。 魔法使いによって創られた石の巨人を従えて、祖国の為に戦う優しい青年です。 青年は、二人の少女から想いを寄せられていました。 一人は、国一番の美しさを誇る、無邪気で明るいお姫さま。 一人は、青年と共に同じ夢を語り合った、控えめで大人しい織物屋の娘。 その物語は、結末を迎える前に書き手が殺戮の舞台に招待されてしまったので、 青年が二人のどちらを選んだのかは分かりません。 ――とある世界の、とある日本に、一人の少年がいました。 優柔不断で頼りないところもありますが、映画監督という夢にまっすぐ進む、芯の一本通った少年です。 少年は、二人の少女から想いを寄せられていました。 一人は、少年と初めて恋人になった、明るく誰からも愛される少女。 一人は、少年の映画の原作を描く夢を持っていた、引っ込み思案な文学少女。 少年は、殺戮の舞台に招待されて死んでしまったので、 少年が二人のどちらを選んだのかは分かりません。 ――とある世界の、とあるミニ日本に、一人の吸血姫がいました。 “吐き気を催す邪悪”と称された吸血鬼に従い、夢の為に無辜の人々を殺戮することも厭わない、まっすぐ過ぎる吸血姫です。 彼女には、一つの道しかありませんでした。 孤独を抱いたまま、その孤独から抜け出す為に、最愛の人を目指し進み続けるという道。 彼女は、その道を進まない限り、永遠に独りきりだと知ってしまったので、 その一つの道を選ぶ他はありません。 【滋賀県/滋賀県と三重県の県境/二日目夜中】 【東城綾@いちご100%】 [状態]:吸血鬼化、波紋を受けたため半身がドロドロに溶けた、マァムの腕をつけている 右足に深い裂傷、左足に軽い裂傷、上手く歩けない [装備]:双眼鏡、ワルサーP38(残弾少) [道具]:荷物一式×9(5食分と果物を少し消費)、天候棒(クリマタクト)@ONE PIECE 無限刃@るろうに剣心、フェニックスの聖衣(半壊)@聖闘士星矢 [思考]:1:優勝して、西野つかさを蘇生させてもらいその後自殺する。 2:DIOの死体から足を貰い、アビゲイルの血を吸う。 3:拠点の確保も兼ねて、名古屋方面に引き返す。 4:利用できそうな参加者はとことん利用する(多人数の集団はなるべく避ける)。 5:真中くんと2人で―― ※滋賀県中央部の林に落ちている六芒星の呪縛@遊戯王には気づきませんでした。 ※瓦礫の中に埋もれた排撃貝@ONE PIECEには気づきませんでした。 時系列順で読む Back 命の炎 後編 Next 『DRAGON BALL project総集編』 ……特別ゲスト追手内洋一 投下順で読む Back 命の炎 後編 Next 風 437 命の炎 後編 東城綾 439 いちご120%~決別の咆哮~
https://w.atwiki.jp/fate_overheaven/pages/187.html
【マスター】 ホル・ホース@ジョジョの奇妙な冒険 【マスターとしての願い】 聖杯を獲り、その力でDIOとその配下どもを斃して粛正から逃れる。DIOの財宝もすべて頂く。 【weapon】 『皇帝』 【破壊力:B スピード:B 持続力:C 射程距離:B 精密動作性:E 成長性:E】 拳銃の形をしたスタンド。 撃ち出される弾丸もスタンドであるため、弾道を自在にコントロールしたり瞬時に消したりできる。 弾数はスタンドパワーの続く限り無限でリロードも必要なし。 【能力・技能】 傍に現れ立つ精神エネルギー『スタンド』を使う者。 スタンド使いはひかれ合う。 【人物背景】 DIOがジョースター一行に差し向けたスタンド使いの1人。 No.2をモットーとしており、スタンド使いには珍しく他人に能力を隠さずにコンビを組む。 初登場時には、J・ガイルとのコンビでアヴドゥルを一時再起不能にするものの、 花京院とポルナレフの2人によってJ・ガイルが殺されたために逃亡した。 2度めの登場では、味方のはずのエンヤ婆に逆恨みされてポルナレフ共々殺されそうになるが、なんとか生還。ジープを奪って退却した。 その後は伝令係めいたことをしていたものの、DIOに咎められる。その際、DIOを暗殺しようとするが、能力の片鱗をみせられ失敗。 物語の終盤で、同じく相方を失ったボインゴと無理矢理ではあるがコンビを組んで承太郎たちのもとへ姿を現した。 ブスだろうが美人だろうが女を尊敬しているらしく、嘘はつくが殴りはしないと豪語していた。 外伝小説の『OVER HEAVEN』ではDIOから、その善にも悪にも属さない飄々とした性格をもって、 個人的な好みとして捨てがたいと評されている。 【参戦時期】 ボインゴとのコンビが敗れ、入院している最中。
https://w.atwiki.jp/niconicomugen/pages/827.html
「きさま!見ているなッ!」 十六夜咲夜のアレンジキャラ。通称「影咲夜」。 影DIOを元にして作られており、DIOを元にアレンジされた咲夜ブランドーと対となる。 ニコ動に制作動画を投稿している勇助氏製作の影咲夜と、思い月の発想でニコ動に関係のない人が作った影咲夜が存在する。 また、咲夜ブランドーの作者が製作した影咲夜ブランドーも存在するため注意が必要。 バグ報告の際は製作者を間違えないように。 以下は勇助氏の影咲夜について解説する。 製作当初は「AVATAR OF PAD」というパーソナルネームであったが、 公募の末この名前に落ち着いた。経緯については製作者の動画にて。 現在は勇助氏がOneDriveを解約したため入手不可。 影DIOと同じく正体不明のスタンドを操り、パニッシュメントなど同様の超必殺技を搭載。 ただし、カリスマはまだ足りないためか、代わりにレミリアが行う。 当然時よ止まれッ!も装備しているが、Unknownの樽でリアル黒ひげ危機一髪を楽しんだり、 ロードローラーではなくOVA版のタンクローリーで相手を潰したりと、鬼畜瀟洒っぷりに磨きがかかっている。 また、イントロでは豪鬼がベガを瞬獄殺で瞬殺するように、紅美鈴を滅多斬りにし、 美鈴はダイイングメッセージの血文字「PAD」を残す、という演出がある。 上記のような大量の要素を1つのキャラに搭載したため、キャラ性能自体は非常に高い。 このキャラが作られた当時の影DIOはアッパー調整の目立つOrochi Herman氏の「Shadow Dio」が主流であり(詳細はリンク先を参照のこと)、 それに近いものとなるように作った結果、自然に隙が少ない万能型の性能となった。 ただし搭載されているAIは適度に遊びを入れるなど調整されており、弱すぎず強すぎずなレベルに収まっている。 弱→中→強→スタンド攻撃→ダッシュ弱→中→…でループできるけどな! 顔に影のかかったバージョンのsffも存在し、(演出も含めて)より影DIOに近い仕様となってきている。 さらに「グングニル」や「不夜城レッド」など、レミリアの技も習得しつつあるようだ。 余談だがこの咲夜、なんと影DIOとレミリア(動画中では名前はレミリ「ヤ」となっている)の娘という設定らしい。 この両親の性能を完全に受け継いだ時、彼女はどこまで強くなるのだろうか。 ニコニコでは咲夜ブランドーの従妹という認識が広がっている。 某動画やとある動画では姉妹とも。 後に咲夜ブランドーの作者によって、咲夜ブランドーの影DIO版である「影咲夜ブランドー」が製作された。 混同しやすいので以下に分かりやすい違いを挙げる。 名前 ディスプレイネーム 主な特徴 咲夜ブランドー SAKUYA I. BRANDO DIOがアレンジ元 咲夜Sブランドー SAKUYA S. BRANDO 影DIOがアレンジ元顔に影のかかったグラフィック 影咲夜 SHADOW SAKUYA 影DIOがアレンジ元イントロで美鈴を倒したり、レミリアの技を使ったりするネームに「ブランドー」の文字が含まれていない ただし、前述の通り影咲夜にも顔に影のかかったバージョンが存在するので注意。 一番分かりやすい違いは1Pカラーで、影咲夜は本ページ冒頭にある影DIOカラー。 一方影咲夜ブランドーは咲夜ブランドーと同じく通常DIOカラーとなっている。 また、熄癈人氏により製作された「S-sakuya」はディスプレイネームが似ているため混同しないように (強さランク的にかなり違うのですぐに気付くだろうが)。 製作マイリスト【ニコニコ動画】咲夜の奇妙な冒険 この他に、クマ屋氏による外部AIも公開されている。 + 大会ネタバレ この大会にて貧乳陣営に乱入者として参戦。 大将が敗れた後、「本戦で乱乳入しなかった助っ人は大将戦後に乱入」というルールに基づき、 レミリア、さくら、アル・アジフを三タテした豊乳陣営大将恋するドラゴンへと立ち向かった。 ドラゴンの下段判定打撃投げからのコンボで放たれた3ゲージ「鏖殺の吐息」を受け、体力をドットまで減らされるが、 直後の起き攻めに放たれたドラゴンファイヤーを恐怖の片鱗で回避。 相手の攻撃を全て躱しながらパニッシュメント、不夜城レッド、パニッシュメントと超必を次々と叩き込んで勝利を収める。 「貴様見ているなッ!」の決め台詞と共に本大会は幕を閉じたのであった。 + おまけ 「全部同じじゃないですか!?」「これだからしろうとはダメだ!もっとよく見ろ!」 出場大会 + 一覧 シングル ゲージMAXシングルトーナメント【Finalゲジマユ】 咲夜さんトーナメント 東方凶悪キャラ全☆員☆集☆合トナメ タッグ ゲージMAXタッグトーナメント【ゲジマユ2】 忙しい人の為のニコニコ最小規模トーナメント【ブロン子杯】 良タッグ発掘男女タッグバトル大会 良タッグ発掘男女タッグバトル大会2nd 良タッグ発掘男女タッグバトル大会SP 遊撃祭 MUGEN TAG BATTLE CHAIN トーナメント 幻想郷お祭りリーグトーナメント 第二回幻想郷お祭リーグトーナメント【タッグ】 東方夢幻童空杯 神人豪鬼&ゴッドルガールがタッグトーナメントに参戦 mugenオールスター?タッグファイト 第二回東方夢幻童空杯 第4回遊撃祭 幻想郷お祭ランセレトーナメント 第二回幻想郷お祭ランセレトーナメント【タッグ】 チーム ストーリー動画対抗戦・無限交差 ドッペルゲンガートーナメント【俺がお前でお前が俺で】 その他 挑発こそ正義!いい時代になったものだ。トーナメント 秋のおっぱい祭り【貧乳VS豊乳】 全員集合ランセレパーティバトル 霊夢争奪戦第二幕 ほこ×たて杯 最強の男たちVS最強の女たち 特大合コン再び!! パラ×ハル杯裏 新生男性軍VS新生女性軍 凍結 東方オンリーチーム別勝ち抜け大会 シンクロナイズド・ストーリーズ 東方キャラクター別対抗トーナメント 削除済み 運要素テラMAX男女混合ランダムチームExceedトーナメント 東方世紀末杯 第3回東方世紀末杯【リミットカット】 非表示 自分の作ったストーリー動画出演キャラでトーナメント。 出演ストーリー + 一覧 Lady Jack MUGEN STORIES INFINITY(ブランドー一家からの出張) MUGEN学園カラス部 影気ままなストーリー 家電量販店DIODIO(主人公?) 紅魔ん家 咲夜の奇妙な冒険(主人公) 志貴と無限市物語 シンクロナイズド・ストーリーズ(無限市物語枠) スターダスト美鈴 ストーリー動画対抗戦・無限交差 大闘領 -Sengoku Legend of the Gainers-(東北紅魔郷枠) 東北紅魔卿 ブランドー一家(主人公) └新約ブランドー一家 ロック・魔理沙のキノコに釣られておいでませ夢幻想郷
https://w.atwiki.jp/sponsor16/pages/1151.html
TBS系列 スポンサー情報 TBS系 金曜 A-Studio+ スポンサー情報 A-Studio+ 2024年4月〜9月
https://w.atwiki.jp/nicorpg/pages/4343.html
最終話の後日談にてリンがDIOの真似の中に紛れたセリフ。 元ネタはジョジョの奇妙な冒険第5部の主人公、ジョルノ・ジョバァーナの 「このジョルノ・ジョバァーナには『夢』がある!」というセリフから来ていると思われる。 何故突然このセリフを発したのかはわからないが、ジョルノの父親はDIOであるため、DIOつながりで使われたのだろう。
https://w.atwiki.jp/familiar_spirit/pages/245.html
勝ち組の宴とその裏で F・Fギーシュ「GJ!決闘フラグ回避!僕よ、さぁっいこぉうにGJ!!」 星屑ギーシュ「漢化フラグ成立!!このまま彼の大魔導士の如く第二の主人公に!!」 偉大フーケ「ありがとう、ありがとう、ミス・ヴァリエール!!お帰りなさい、私の美貌!」 奇妙ルイズ「やったわ!!反抗もしないし、勝手にギーシュを殺したり人間やめずに済む最高の使い魔よ!」 奴隷ギーシュ・絶頂フーケ「おめでとう、おめでとう皆!」 吉良フーケ「うぅらぁぎりぃもぉのおぉ!!」 兄貴ギーシュ(故)「恨めしい!憎らしい!妬ますぅぅいいぃぃ!!」 DIOギーシュ「番鳥ギーシュ、君も一緒に、この特製ワラ人形に五寸釘を打ち込むんだ!」 番鳥ギーシュ「僕の金槌が黒く染まる!貴様を憎めと轟き吼える!!」 ~混沌……というか、他にどう言えと~ DIOフーケ「スプーはイヤ拷問はイヤ爆殺はイヤ(以下エンドレス)」 星屑フーケ「流石にテンパッてるわね(哀)」 奴隷ギーシュ「強く生きてくれ、としかいえない僕らを許してくれ(泣)」 奇妙ギーシュ「他人事みたいに言っているけど、君らもフラグ立ってるんだぞ」 星フ・奴ギ「「オラオラ(アリアリ)で済むんなら、軽いものよ(ものさ)」 奇妙フーケ「負け組を観ていると、『お茶』くらいならって思ってしまう自分がいるの」 パーティギーシュ「僕も、エメラルド・スプラッシュならいいかなって気が」 鉄ギーシュ「待て、気持ちは判るが正気に戻れ」 DIOフーケ「ハッ!そ、そうよ!どうしてこんなことに気が付かなかったのかしら! DIOルイズに狙われている?逆に考えるのよ!!DIO様に護ってもらえばいいのよ!! DIO様~、私に『肉の芽』を、恐怖と絶望のない世界を、お授け下さいませ!」 パラレル一同「「「「「「「まてぇええぇぇえええぇ!!!!!」」」」」」 戻る
https://w.atwiki.jp/justicerowa/pages/149.html
正義の/悪の・ヒーロー/救世主 ◆0BN8XNoM6s 拝啓、お母さん。 お元気でしょうか? 僕は元気です。 箱庭学園に入学して早数カ月、ようやく僕も学園生活に馴染み始めた頃です。 幼馴染のめだかちゃんは相変わらずで、支持率98%、どこの独裁者だ、ってレベルで生徒会長に就任しました。 めだかちゃんも変わらず元気です。元気すぎるぐらいです。 ついこの間も、箱庭学園で秘密裏に進められていたされていた世にも恐ろしい『フラスコ計画』。 天才がどうして天才なのかを解明し、人道的に天才を作り出すなんてびっくり計画です。 そしてその実態は全生徒を犠牲にしたうえでの、天才の開発。 勿論めだかちゃんがこんなものを放っておくわけがなく、てんやわんやの大乱闘。 死闘に苦闘を重ねて、なんとか首謀者を一網打尽。 めだかちゃんは悪党からの『ごめんなさい』が聞けて大満足。 これにて一件落着、という刺激的な学園生活に僕も非常に充実感をおぼえています。 さて、ここまで書いて懸命なお母さんならこう疑問を抱かれるかもしれません。 『どうしてあのドラ息子がわざわざ手紙なんてものを書いてるのだろうか?』、と。 事件が無事に終わって生存確認? 母親を心配させまいと安全確認? 違います。 お母さん、俺はどうやらとんでもないものに巻き込まれてしまったようです。 そう、それこそ『フラスコ計画』なんて目じゃないほどの、もっとはっきりとしていて、それでいてとんでもない『実験』に。 お母さんへ。 私、人吉善吉は今、『殺し合い』に巻き込まれています。 ★ 「ハァ……ハァ……ハァ……!」 「くそ、なんだっていうんだよ、いきなり……!」 月がちょうど頭の上を過ぎていく時間、真夜中。 たださえ一面真っ暗なか、覆い茂る森が辺りをさらに暗くする。 そんな中を走っている一組の少年少女。状況が状況ならば、ロマンチックなワンシーン。 だが違う。二人の間に流れる空気が違う。 ラブもロマンスも、ファンタジーやメルヘンもない。 汗をたらし、歯を食いしばり、全身を動かし一歩でも前に。 必死の形相、という言葉がぴったりな二人は走っていく。 暗闇の中、どこへ行くのかもわからずただ我武者羅に。 二人の荒い呼吸音、少年が後ろを振り向き舌打ちをする音、芝生を踏みしめ疾走する音。 「ああッ!」 ふいに少女の体が宙に舞う。暗闇の中、突き出た木の根に足を取られバランスを崩したのだ。 宙返りする視界、反転する月。恐怖のあまり彼女は目をつぶる。 だが予期していた痛みも衝撃もない。 やわらかく、しなやかなクッションに支えられているような感触に、恐る恐る目を開く。 「よっと、大丈夫か?」 気がつけば少女は少年の腕の中で抱きしめられていた。俗に言う『お姫様だっこ』というやつである。 そしてそのままなにごともないかのように全力疾走を続ける少年。 自分のおかれている状況と、自分をモノともせずに走り続ける少年の凄さに目を白黒させる少女。 「あー、こっちのほうが早いかな、って思ってな。それに粧裕ちゃんもこっちのほうが楽だろ?」 少女は黙って頷いた。恥ずかしいのか、照れくさいのかそのまま顔を下に向ける。 人吉はそんな少女をみて苦笑いを一瞬だけ浮かべるも、すぐさま視線を前に向ける。 とりあえずの目標は『アイツ』からできるかぎり離れること。 それも一秒でも早く、一センチでも遠く。 「!」 「……ッと!」 だがいつのまにか善吉たちが辿り着いて『しまった』のは森のはずれ。 木の切れ目を前に急ブレーキ、広がる平原は彼らにとって大誤算。 善吉は即座に反転、再び森の中に駆け込もうとする。 (こんな開けた場所じゃ良い的だ! それに隠れる場所もない!) 再び駆けだす善吉。だがその足はほんの数秒で完全に止まる。 急ブレーキ、そして再スタート、さらにまたもやブレーキ。 腕に抱かれた状態で俯いていた粧裕は訝しげに顔をあげる。 その額にぽとりと一滴の水滴。 それは善吉の額を伝い、顎から流れ落ちた汗。 粧裕は感じ取った、善吉の震えを。そしてその震えは『恐怖』からの震えであることも。 うっそうとした森の奥から、人影が一歩、また一歩近づいてくる。 なのに善吉は動くことができなかった。そしてそれは粧裕もだった。 くるぶし程度の芝を踏みしめる音。 冷たい夜風が森を揺らし、木の葉と木の葉がサァ……と音を立てる。 男と善吉たちの距離、およそ10メートル。 二人は動けない。蛇に睨まれた蛙、頭をよぎったのはそんな言葉だった。 男がさらに一歩踏み出す。その男を木の間から覗いた満月が照らしだした。 「君たちは……『採食主義者』と聞いて……どんなことを考えるかな?」 男は美しかった。 スポットライトかのように照らし出された姿はまさに芸術、そう思えるほどだった。 氷のように鋭く冷たい視線、黄金色の頭髪、ガラス細工のような透明感のある肌、そして妖しい色気。 身に纏う黄色の衣装は不思議と違和感を感じさせない。 丁寧に織り込まれたものはさぞかし値段の張るものであろう。 「菜食主義者の彼らは随分と味気ない人生を送ってるように思えないかな? 食べることは生きることだ……。 生きる楽しみの一つである食、それを自ら制限するというのだから、彼らを変り者とは言えないだろうか?」 なにげないしぐさひとつひとつが様になる。男は微笑を浮かべると脇にある木に寄りかかる。 そんな姿でさえ、まるで一種の絵画的な美しさがあった。 「だが私はこうも思うんだよ。 つまり彼らにとっては『食べないこと』が当たり前であって『食べないこと』が幸せに繋がるのではないか、と……。 こう考えると納得はできないかね? そしてこうも思う。『当たり前の食事をとる』、こんな異常事態だからこそ私もそんな幸せを楽しみたいな……と」 一段と強い風が通り抜ける。木を揺らし、草を揺らし、そして二人の心さえ揺るがした。 一瞬で雰囲気が変わったのを善吉は肌で感じ取った。 ノーマルの直感だ。目の前のコイツは……とんでもないものだ。 ゆっくりと、視線を男から切ることなく、粧裕を地面に下ろす。 かばうように前に立ちはだかると、カラカラに乾いた唇を湿らせ口を開いた。 「何が言いたいんだ、アンタ。このふざけた実験が始まった直後から俺たちを付け回しやがって、挙句の果てに『菜食主義者』がどうのって……」 「フフフ……それは失礼した。このDIOとしたことが……まさかばれてるとは思わなかったのだがね」 よく言うぜ、善吉は小さくつぶやく。 きっかけはなんでもなく、またなんでもあるものであった。 この殺し合いに巻き込まれて、善吉が最初に出会ったのが粧裕だった。 見たところ14,15歳程度の少女。恐怖のあまり震えていた彼女を善吉は放っておくことができなかった。 それは彼からしたら当然のことであった。 恐怖に震える少女を保護する。それは彼にとっての『正義』であった。 恐怖に脅える粧裕に対して、自分が害を加える意志がないことを善吉は示す。 時間はかかったもののなんとか粧裕を落ち着かせることには成功した。 そして二人で現状の確認、知り合いの有無をチェックしようとしていた時だった。 生物としての本能、粧裕に説明する暇もなく、逃げざるを得ない何かを善吉は感じ取ったのだ。 手をとり、粧裕と一緒に走り出した善吉。わけもわからず、ただ逃げる粧裕。 そして今に至るというわけだ。 「そうだ……DIO、それが私の名前だ。これもなにかの縁だ……どうだい、君の名前を教えてはもらえないかね?」 「……人吉善吉」 「善吉君……フフフ……正直に言おうか、私は君に魅かれている。なぜだがわからんが、そうだな……君とは『イイ友達』になれそうだよ」 「……俺はそう思えないけどな」 「恐れることはないさ、友達になろう……。それに君もそれを望んでるのだろう? なにせ君は私のために御馳走を用意してくれたのだからな……!」 「お前なにを言って……!?」 「ンン〜〜、やはり君はおもしろい。このDIOがこんなにも饒舌になってしまうとは……我ながら驚いてるよ。 100年……伊達に長くは生きてないが、それでもこんな風に初対面の誰かに、このDIOが僅かでも心を開いてしまうとは……!」 ジャリ、と音を立てDIOが一歩前に出る。反射的に二人は一歩下がる。 本能の部分で二人はDIOの危険性を感じ取ったのだ。そんな二人を前にDIOはさらに笑みを深める。 「善吉君……ひとつ、提案しよう。今すぐ私に『食糧』を提供してくれないかな? そうしてくれたなら私は君に手を出さないことを誓おう。 だが君がそれを拒否するというならば……それはお互いにとって残念な結果になってしまうだろう。 そう、後ろに隠れている彼女にとっても、ね。」 「お前は一体……」 「俗に言う『吸血鬼』というやつだよ、善吉君。私としては『人間を超越したもの』と言って欲しいがね」 善吉は決して馬鹿ではない。DIOの言葉の意味も、そしてその異常性も理解してる。 後ろに隠れている粧裕を横目で見る。恐怖で震え、顔は今にも倒れそうなほど真っ青だ。 再び視線をDIOに戻す。DIOと善吉たちの距離、およそ7メートル。 再び二人の間を風が通り抜けていく。その風にまぎれて善吉が何かをつぶやいた。 「つまり……粧裕ちゃんを差し出せ、ってことか?」 「話が早くて助かるよ、善吉君」 DIOは嬉しそうに微笑を浮かべた。善吉の表情は読めない。 自分の無力さを噛みしめているのか、狩られる側の恐怖におびえているのか。 手を広げ差し出された生贄を受けてろうとにじり寄るDIO。 「でも断るッ!」 「ッ?!」 だが不用意に近づいたのは間違えであった。それ以上にDIOは人吉善吉という人物を見誤っていた。 返事代わりの足蹴りがものすごいスピードでDIOに迫る。 かわせない、すくなくとも人間では反応できない速度だ。 善吉の足に衝撃が走る。決してそれを止めてはならない。このまま押し切らなければ……負ける! 原形をとどめまい、そんな気迫のこもった嵐のようなラッシュ。 右から左へ、左から右へ。善吉の持てる限りの力を振り絞った攻撃だった。 やがて立ち上っていた砂埃がおさまる。肩で息をする善吉は確かに手ごたえを感じていた。 足の裏に走った何かを折るような感触、そして鈍い衝撃音。 男から滲み出る異常性はめだか以上だった。それでもある程度はダメージを与えることができただろう。 「なっ……!?」 それが直撃していれば、だが。 「残念だよ……善吉君。君とは仲良くやってけると思ったのだがね……」 目の前には真っ二つに折れた大木。ついさっきまで森の入口にいたはずが内部深くまで移動してる。 一瞬前、時間にして0.001秒前、確かにDIOに一撃を当てたはずだ。 だが現実は違った。蹴ったものただの木、移動したのは自分。 そして振り向いた先、自分がついさっきまでいた地点にはDIOが、そしてそれと…… 「ンン〜〜……前菜としては充分じゃないか! 200年物のワインのように濃厚な! とはいかないが……年相応のまろやかさがある。 例えるなら、そう、これはモーニングコーヒーに似た一杯だ。君たちからしたら夜だが…私は夜とともに目覚めるのでね……フフフ!」 首筋に爪をつきたてられた粧裕。否、粧裕だったもの。 「うわあああああああああああああ!」 冷静さを失った一撃はまたも直撃した。DIOではなくまたも木に。 音もなく、またも超能力のように自分の居場所が変わっている。 そしていつの間にか背後に回ったDIOが、優しく肩に手を置く。 「可哀想に……震えているじゃないか。脅えなくていいんだよ……君はまるでどぶに捨てられた犬のようだ そんな君にもう一度だけチャンスをあげよう。私の友達になる気はないかな? なにも考えなくてよい……ただ私を信頼してくれ。それだけで君は楽になれる。そう、それを人は『幸福』と呼ぶんじゃないか?」 「……!?」 「さぁ、善吉君。力を抜きたまえ……私たちはもう友達だろ? そんな緊張する必要はないさ」 甘い声でささやくDIO。仕上げまでもう少しかと判断し、もう一押ししようとさらに口を開いた。 だがそこでDIOは違和感を感じ取った。 自分を照らしていたはずの月が陰っている。まるでなにかが光を遮ってるかのように……! 「ヌウ……!」 見上げた先にいたのは一人の、いや、ひとうの弾丸。 月を切り裂き、みるみる間に影は大きく、そして素早くDIO目掛けて加速して…… 「ライダァアアーーー! キックーーー!」 善吉が巻き上げた以上の砂埃が立ち込める。善吉は衝撃に吹き飛ばされ、思わず尻もちをついた。 飛んできた飛来物の衝撃は凄まじく、直径2m弱のクレータが出来上がっていた。 そしてその中心に、月の光を反射し立ち上がる怪人が一人……。 「大丈夫かい、少年?」 そしてその目をもう一人の怪物へと向けた。 さきほど同様にいつの間にか善吉の脇をすり抜け、月を背に立ちはだかる男、DIOへと。 「このDIOの朝食を邪魔するとは……貴様、何者だ?」 善吉は見た。DIOの脇に搾りかすのように投げ捨てられた粧裕だったものを。 そしてそれを一瞥した目の前の怪人が悔しさに握りこぶしを震わせていることを。 怪人が視線をDIOへと向ける。その視線が鋭くなったのを善吉は感じる。 そして怪人が胸を張り、背をシャンとのばし大声で叫ぶのを聞いた。 「仮面ライダー、力なき人々を助ける……正義のヒーローだッ!」 その声を聞いただけで善吉の中に安堵が広がる。 その男、まさしく正義のヒーローにふさわしい男だった。 【夜神粧裕@DEATH NOTE 死亡】 【C-6 /森と緑地の境目:深夜】 【本郷猛@仮面ライダーSPRITS】 [属性]:正義(Hor) [状態]:健康 [装備]: [道具]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認) [思考・状況] 基本行動方針:仮面ライダーとして力なき人々を守る。 1:少年を保護、目の前の男を倒す。 [備考] ※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。 【DIO@ジョジョの奇妙な冒険】 [属性]:悪(Set) [状態]:健康+粧裕の血液 [装備]: [持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認) [方針/目的] 基本方針:帝王はこのDIOだッ! 1:とりあえず食事を邪魔した輩を処分する。 2:善吉に妙な親近感 [備考] ※参戦時期は次の書き手さんにお任せします。 【人吉善吉@めだかボックス 】 [属性]:その他(Isi) [状態]:健康 [装備]: [持物]:基本支給品一式、不明支給品1〜3(本人未確認) [方針/目的] 基本方針:??? 1:??? [備考] ※参戦時期はフラスコ計画終了後です。 善吉は気づかなかった。自分が安堵したのは正義のヒーローが現れたからではない。 そう、善吉が安心したのこれ以上DIOと話さないで済んだからである。 DIOは何人もの部下を持ち、悪の救世主と呼ばれるほどのカリスマを持った男である。 そう、無意識のうちに二人は魅かれあっていた。 何者であろうと友達に『なってしまう』人吉善吉。 彼はDIOのカリスマ性を垣間見ていたのだ……。だがそれがこれから二人にどう影響を与えるのか。 それはわからない。 ただ悪も正義も関係なく、友達となる人吉善吉。 彼ははたしてノーマルと言えるのであろうか? 時系列順で読む Back Backlash Next Monochrome clearness 投下順で読む Back Backlash Next Monochrome clearness 実験開始 本郷猛 〜悪意は極力隠すこと、それが……〜大宇宙の真理 実験開始 DIO 実験開始 人吉善吉 実験開始 夜神粧裕 死亡
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/164.html
※更新した際は、更新報告ページまで連絡お願いします。 目次 ⇔ 【三部~vocal off~の目次】 ⇔ 【部別分類】 ●3部総合● ●ジョースター一行● ●空条承太郎● ●スタープラチナ● ●承太郎、DIO● ●承太郎、花京院● ●ジョセフ● ●花京院典明● ●テレンス、花京院● ●アヴドゥル● ●アヴドゥル、ポルナレフ● ●J・P・ポルナレフ● ●イギー● ●ラバーソウル● ●J・ガイル● ●ホル・ホース● ●ホル・ホース、ボインゴ● ●マライア● ●エンヤ婆● ●テレンス・ダービー● ●ダービー兄弟● ●ヴァニラ・アイス● ●ウィルソン・フィリップス● ●DIO● ●DIO、ヴァニラ● ●DIO、ウィルソン・フィリップス● ●追加用テンプレ● 追加用テンプレ 目次に新しいキャラクターの項目を追加したい場合は、 編集ページを開いて以下の『』内をコピペして使ってください。 『●キャラクター名●』 ◎→追加するページの番号 ○→ページ内でのキャラクターの順
https://w.atwiki.jp/jojoson/pages/868.html
今何時か教えて 夢と言って 伝わって… カイロの街に見覚えがある 家族と巡った写真集の中 どうしてひとり ぼくは一人 ずっとずっとそうだと思っていた 瓦礫を走る 何か蹴飛ばす DIOから逃げる出口を探した 「友だちになろう 恐れることは無い」 僕の頭に声が響いた 偽りの忠誠の下 友情(ぬくもり)を見つけた気がした 僕は恐怖に屈した 夢と言って 嘘と言って 止まりかけた僕の心を動かして お願い 隣にDIOがいる 今も僕に囁く 「私達は友達だよ」 偽りの友情がただ優しくて 誰かを想う こんなに想う そんな僕を夢で見つけた もっと知りたい もっと知りたい この気持ちをもっともっと知りたい なんとかしなきゃ 僕がやらなきゃ DIOの世界を僕が暴く 世界が恐い 僕だって恐い だけど今は力になりたい 忘れないよ 今の僕には 仲間がいる 一人じゃないんだ 半径20M エメラルドスプラッシュ 時間差もなくDIOは結界を壊す DIOの世界の正体 そうかやっと分かったぞ なんとか伝えなくちゃ 僕のメッセージ届いて下さい… 見つけたんだ 笑ってたんだ “守りたい”と初めて思えたんだ 守りたいんだ 笑って欲しいんだ 伝えたいんだ 今何時か教えて 夢と言って 眠らせて 止まりかけた僕の心を動かしてくれた 僕は先に逝くけど だけどどうか嘆かないで 初めての僕の友達 スターダストクルセイダーズ 原曲【地獄少女 二籠 OP「NightmaRe」】 元動画URL【http //www.nicovideo.jp/watch/sm1656406】
https://w.atwiki.jp/ichirorpg51/pages/724.html
用語:ザ・ワールド ゲーム内におけるザ・ワールド DIOのスタンド。タロットカードの21番目「世界」の暗示を持つ。 像(ヴィジョン)は逞しい体つきをした人間型で、DIOとの決戦でその姿を見ることができる。 近接戦はスタープラチナとも渡り合える(*1)他、スタンドの固有能力として時間停止と「止まった時の中で動くことができる」(*2)能力を持っている。 原作におけるザ・ワールド 【破壊力 - A / スピード - A / 持続力 - A / 射程 - C / 精密動作性 - B / 成長性 - B】 DIOにスタンドの存在と発現方法を教えたエンヤ婆(*3)が言うには「とてつもないスタンド」「DIO様の人生に影響を与えている」とのことらしい。