約 2,556,396 件
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/41802.html
登録日:2019/04/09 (火) 22 16 48 更新日:2024/08/29 Thu 18 02 13NEW! 所要時間:約 4 分で読めます ▽タグ一覧 CadaverCommander K-クラスシナリオ SCP SCP Foundation SCP-3396 SCP財団 Tiamat アポセオシス 終末の日コンテスト 至天蟲 蟲 終わり、始まり、そしてその間の、忘れられることの多い苦難の物語。 SCP-3396はシェアード・ワールド 「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つ。 項目名は『The Empyrean Parasite (至天蟲)』 オブジェクトクラスはTiamat。 攪乱クラスはAmida、リスククラスはCritical はじめに さて、いきなり特殊クラスを見せられて困惑した人もいるだろうが、一応言っておくとこれは情報災害ではない。 このクラスは簡潔に言ってしまえばKeterの上位互換のようなもので、脚注にて以下のように説明されている。 Tiamatクラスアノマリーは、財団にとって現在可能な資源と知識を用いてその影響を秘密裏に収容することができず、そのため基本的には財団の直接の戦術的関与の障害となる正常性に関するコンセンサスを改変もしくは完全に無効化するよう計画されている実体を指します。 …微妙にわかりづらいが要するに「財団がどんなに頑張っても隠蔽できないし一般社会に露出してるから、正常性とか無視した武力行使をする」と言えば恐らく大体あっている。 つまりこのSCiPがそれほどまでに強い影響力や拡散性を持っていることの証明でもある。現に元記事のACSでは撹乱クラス/リスククラスともに最悪のAmida/Criticalである。 ただしどこぞのApollyonのようなお手上げ状態ではなく、財団がオブジェクトと全面戦争をおっぱじめていると考えればある意味燃えるシチュエーションな気もする。 いずれにせよ当事者にとってはたまったものではないだろうが。 概要 クラスの説明も終わったのでオブジェクトの詳細に移ろう。 元記事では「変異原性の共生生物のゲシュタルト」とか「カテゴリー4異次元実体」とかややこしい言い方をしているが、SCP-3396の本質はずばり『極めて強力かつ危険な感染症』である。 といっても「感染者を絶対殺す病原菌」とかそういうのではない。てかそれだけなら場合によってはKeterも怪しい。 こいつの性質はそれとは真逆で「感染者自身を危険な実体に超強化してしまう」というものである。 SCP-3396の中枢はアメリカのデスバレーに根を張っており、樹木と昆虫の両方の特徴を兼ね備えた青緑色の実体である。 その幹や枝から、発光する青緑色の液体を垂れ流しており、周囲にはその液体によって浅い池が形成されている。 この樹木昆虫と謎液体は得体のしれない異次元物質からできているらしく、あらゆる物理的な手段での干渉が不可能である。 つまり撤去も破壊も不可能。感染源を排除できないとは非常に厄介だ。 そしてこの謎液体に触れたり匂いを嗅いだりした者はSCP-3396に感染し、SCP-3396-01となる。 SCP-3396-01の体には速やかに異常な組織が発達し、この謎組織はデスバレーに生えている樹木昆虫や謎液体と同じ物理的特性を示す。 つまり外科手術等では除去ができない。感染したら最後である。 SCP-3396-01となった者にあらわれる症状はランダムだが、どれも正常な人類にとって非常に危険なものである。 例えば、ある28歳の女性Dクラス職員の腕に謎液体を塗布し、何か変わったことはないか尋ねたところ、「私は火力を理解した」と発言。 直後に両手にガトリング砲を多数出現させて乱射したため、機動部隊が銃撃で応戦するとなんと身体を爆発四散させ、身体の破片で実験設備を破壊した。 その後も攻撃を受けるたびに自爆と再生を繰り返し、しかも破片は自爆するたびに更に高火力の武器に変化して実験チャンバーに壊滅的な被害を与え、37名が死亡する大惨事に発展。 こうして SCP-3396-01となった女性Dクラス職員はそのまま管理下から逃走。下手な漫画やラノベにも登場しないような最強全身兵器ガールが誕生する羽目になったのである。 また、今度は42歳の男性Dクラス職員に謎液体の匂いを嗅がせたところ、なんと5体に分身。そのまま融合して10本の腕を持つ巨大人型実体に変化した。 そして実験チャンバー内に激しく渦巻く海水を呼び出し、渦に巻かれて霞となって消滅。そのまま行方不明となった。 去る前に彼は「魔法の祝福を呪いとみなすのは汝らがごとき愚者のみなり」と宣言していた。 他にも人間だけでなくトカゲや犬などに謎液体を与えた実験もあったが、どれも極めて深刻な変異を起こしているにもかかわらず生命活動に一切の支障をきたさず活動していた。 重要となるのは、謎液体に曝露したすべての生物は元の容姿を損なう以外に生物学的な負の影響をほとんど受けないという点である。つまり実質ただクソ強くなるだけとも言える。 人間の場合は以前の人格や記憶まで完全に保持しており、むしろ知性が向上した奴までいた。 更にはミーム汚染や洗脳まがいの症状も一切ない。まあ力を得たせいか悟りを開いたようなのはいたが。 ただリスククラスがCriticalにされてる辺り、財団からすれば「変異してしまった人間はもはや元のそれではない」という認識なのだろう。 どうやら彼ら自身も感染ベクターになるみたいだし。 3396の主な性質は以上なのだが、ここまで見た限りだと「意外と大したことなくない?」「感染源がはっきりしてるならそこ隔離すればいいだけじゃん」と思うかもしれない。 確かにこいつが現れた初期ならそういう対策もできただろう。 うん、結論から言うと財団が見つけた時点で手遅れだったんだなこれが。 最初にこいつを発見した一般の考古学研究チームは全員01個体になった挙句、こいつを掘り出して露出させた後に人口密集地に戻ってしまい、そのまま感染が拡大。 ある者は殺人、ある者は犯罪、ある者は病気の根絶、またある者は福祉活動のため、その能力を用いるようになり、結果として3396の影響は国際社会に大きな変化を与えるまでに至ってしまった。一応メディア統制によってこいつの存在は公になっていないが、上の立場の人々にとってはもはや周知と言っていい。 そして財団は3396の中枢を見つけたはいいものの、収容や隔離は全くできない状況に追い込まれている。なぜか? 考えてもみてほしい。これの影響を受けた者は強大なミュータントと化す。しかも例外なく全ての人間が適合できる。おまけに現時点でそれらしい副作用は何も見つかってない。 …世界中の国家や要注意団体にとってこいつがどんな価値を持つかは容易に想像できるだろう。 現にデスバレーに存在する中枢領域はその支配権をめぐって財団、GOC、国際連合、その他多数の団体による争いが繰り広げられており、可能な限り衝突を避けるため非武装地帯と宣言されている。01個体群も例外ではなく、既に拡散した彼らを利用するための奪い合いが勃発し、中には組織内での感染を意図的に起こして強化を図る連中まで現れる始末。 財団は全ての01個体の特定および確保、そして中枢領域の獲得を目的として活動しているが、それを上回る勢いで3936の影響は拡散しており、報告書執筆時点で世界人口の6%が既に感染している。このままこいつが財団のキャパシティを超えてしまえば、やがて全人類が『人ならざる者』と化すことによってかつての文明が失われる「TPK-クラス奇蹟論的増殖シナリオ」の発生に繋がるだろうとされている。 だが、こいつは財団が対峙してきた他の終末系オブジェクトとはわけが違う。 彼らの敵となりうるのは単一のアノマリーではなく、かつては守るべき正常性の下で生きていた者達であり、今や力を求めて争いあい、正常性を自ら切り捨てようとする者達。 そう、いわば人類そのものなのだから…。 アポセオシス・ハブ “神格化は有能な人間の起源ではない。彼は現れる。身を折りたたんで無敵の薄膜に包まれ、理由を持って、真夜中によく学んだ目に照らされて、まどろみに包まれ、心の中で避けられた思考の共鳴体として……” ― ウォーレス・スティーブンス 一つの記事としての3396の内容は以上だが、察しの通りこれに関する物語はこの記事だけで終わらない。 こいつは財団wikiにおけるカノンハブの一つ、「アポセオシス・ハブ」の核となるオブジェクトであり、上記の報告書はいわば「プロローグ」のようなものに位置する。 このハブは本家で開催された『終末の日コンテスト』の参加作だった。 これのテーマはずばり「『世界の終わり』を4つ以上の記事で表現してね」というもので、アポセオシスは見事優勝を勝ち取った作品である。 実際、核となる3396はテーマの通り実に終末を感じられるオブジェクトだったであろう。 そういう経緯もあってか、このハブは他の有名なものとは一味違う。 「死の終焉」や「1998年」などでよく知られている普通のカノンハブというのは、1人または複数の著者が何らかの独特な『世界観』をテーマとして立ち上げ、そこから有志たちが更に記事を書き、世界観を広げていくのが基本である。 だがこのアポセオシスはその世界観の「始まり」から「終わり」までの時系列がすべて2つのSCPと4つのtaleによって纏められており、完全な終結が描かれているという特徴を持つ。 前例は普通にあるものの、こういう小規模な構成は中々珍しいと言って良いだろう。 そんなわけで、このハブは数あるカノンハブの中でも初心者には特にとっつきやすい部類である。 3396が現れた世界では何が起こり、どんな終末が訪れるのか。 その過程で財団は、人類は、異常存在は、何を見て何を成すのか。 ここで紹介するには長すぎるので、ぜひとも自分の目で見ていただきたい。 軌道で一人、青は、至天の蟲は、言語を超越した、全ての生命の始まりであった秘密の内的な炎の生物は、ただ見ていた。 自らのなしたことの結果が、悠久を通して描かれるのを、そして自らが大いなるタペストリーに編み込んだ最新の糸が、自らを永遠に喜ばせるのを。 追記、修正は至天の祝福を受けた方にお願いします。 ▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-3396 - The Empyrean Parasite by CadaverCommander http //www.scp-wiki.net/scp-3396 http //ja.scp-wiki.net/scp-3396 この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] もしかしたら全ての人間がこれに感染してscp世界で生き延びて行くことを望まれているのではなかろうか? -- 名無しさん (2019-04-09 23 30 30) とりあえずマスドライバーで大気に拡散させて全人類に感染させようぜ(ゼノギアス感) -- 名無しさん (2019-04-09 23 42 45) ↑↑当たらずとも遠からず。これ自体はアポセオシス・ハブの事の発端に過ぎず、事の経緯と結末を描いたTale(とSCP)が存在する。ネタバレになるが大体、十人十色のオーバーマインド量産型幼年期の終わり -- 名無しさん (2019-04-10 00 37 21) コレが消されずにむしろ優勝取れる(作品の一部)って終末コンテストどれだけ凄まじいオブジェクトがエントリーされてたんだよ -- 名無しさん (2019-04-10 09 30 59) オブジェクトクラスがティアマト(地母神にして怪物達の母)な時点でヤバさ満点やな -- 名無しさん (2019-04-10 13 48 23) 終末コンテストはオブジェクト単品でなく、「SCP含めた4つ以上の記事」を競う形式なのが大きい>優勝 ぶっちゃけこのSCPが原因で生まれたもう一つの関連SCPと、それに対する財団の対応が発想の勝利過ぎた -- 名無しさん (2019-04-10 15 43 02) アポセオシスのハブページのイラストがなんか良いなあ。まさに「最強全身武器ガールはどうなってしまうのか?」だ。 -- 名無しさん (2019-04-11 00 42 38) SCPにおいてX-MEN的な作品は許されないのではなかったのか? -- 名無しさん (2019-04-11 06 57 11) 終末の日コンテストとかいうけどむしろ人類の全盛期始まったなってオチ -- 名無しさん (2019-04-11 07 04 51) ↑↑SCP創作において禁じ手はない。「往々にしてDVされる」定番が存在するだけで、UVさえ勝ち取ればタブーなんてない。 -- 名無しさん (2019-04-11 10 43 15) クロスリンクだって禁じ手だったけどRoget氏がGrand Crosslinkingで流行らしてしまったし -- 名無しさん (2019-04-11 10 57 45) 「単なる超人はX-MENでやれ」「単体でもやばいもん同士を組み合わせるクロステストとか(劇中視点で)危険すぎるだろjk」的な感じだから、要は問題点扱いされている部分を面白さなり納得感なりでクリアしてしまえばもうタブーでも何でもないという -- 名無しさん (2019-04-11 16 16 56) 誰かコードウェル博士呼んできて(火に油) -- 名無しさん (2019-04-11 16 23 46) 大変によくできた読み物だった。X-Menじみた設定から出発しておきながら、陳腐さを感じさせない文章で、着地点は実にSCP的な終末だと感じた。……けど、SCP Foundationを描く物語としては論外だな。未来が、残骸となった岩の球体よりも遥かに大きかったとしても、そこに立つのが不浄で忌まわしい怪物ならば、断じて認めず立ち向かうべきなのがSCP財団。新人職員でも知ってることだ。アポセオシスなんざクソ食らえ。 -- 名無しさん (2019-04-11 22 31 11) ↑実際アポセオシスの世界の財団はその思想を全うした。SCPにより変質した人類は、例え人間性が丸ごと残っていようが人類でなく化け物だと。結果財団は最期まで抗って滅び、対する人類は新たな繁栄を迎えた。「そうしかあれない財団」を書いた話としても、優れた話だと俺は思ったよ -- 名無しさん (2019-04-12 01 21 01) 直接Voteなりディスカッションなりしようぜ ここで言っても建設的じゃないからね -- 名無しさん (2019-04-12 09 07 20) 建設的も何も、コメント欄に感想以外なら何を書けと…って話になるんじゃね? 上二つは感想の範疇だぞ -- 名無しさん (2019-04-12 12 05 03) アニヲタwikiにコメントすること自体が建設的行為ではない、という厳しくも正しい御指摘であるな -- 名無しさん (2019-04-12 16 39 47) これ浴びて最強の現実改変者になりたい…とか考えても絶対成功しなさそう。なんかよくわからないクリ―茶―になりそう -- 名無しさん (2019-04-15 11 24 25) 正常性は維持される -- 名無しさん (2019-04-19 17 20 43) 正直なところアニヲタでしかSCPを読まない層がいる以上、本家ではとかあとの3記事がとかコンテストがとか何を言ってもこれしかアニヲタにない時点では何を言われても仕方ないんじゃないかと思う -- 名無しさん (2019-10-29 07 10 16) 追記 恩人三部作は最初からあの形(アニヲタでは三作1ページまとめて)書かれたのか後で追加されたりまとめたりされたのかわからんけど、どうしても正当な感想を書き込んでほしいなら最初からこれもそうした方がよかったんじゃないの -- 名無しさん (2019-10-29 07 13 03) すげー偉そうでワロタ -- 名無しさん (2021-01-06 11 22 13) とりあえず改稿はしましたが、やはりハブを読んでもらいたいとしか言いようがありませんねこれ。 -- 名無しさん (2021-02-04 21 51 39) チープで厨二臭いの好きね -- (2023-05-22 14 12 01) ええと、要するにここからヒロアカの個性が生まれたってこと? -- 名無しさん (2024-08-05 21 09 21) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/46480.html
登録日:2020/11/08 Sun 19 50 49 更新日:2024/07/14 Sun 22 05 10 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 SCP Foundation SCP-JP Safe Sansyo-do-Zansyo 嘘のコンテスト 牟田氏の葬儀には3268人の関係者が参列しました。これは8人の妻とその家族、4つの高校及び11の大学の同窓生、21の企業の同僚を含みます。 SCP-2233-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。 オブジェクトクラスはSafe。 ▷ 目次 特別収容プロトコル 概要 ちょっとしたネタバレ 類似オブジェクトSCP-1454 - Sibling Rivalry (仲悪し兄弟) 特別収容プロトコル このオブジェクトは、自身の持つ情報撹乱能力のために自己収容状態にあると見なされている。 ……それって収容されてなくねとかくとぅるふくんが懸念してくれたりするかもしれないが、ともかくそういうことなのである。 あえて言うならSCP-4270やSCP-1682-JPのような、Ticonderoga(*1)に近い意味合いでのSafeであると言える。 「あえてわざわざ引っ掻き回さなければ普通は気付かないのでSafe」ってことだ。 無論、「仮にTiconderogaを認めないとするならKeterだ」という人はいるかもしれないけど、そこは個々人のヘッドカノンということで。 関係者の記憶処理による収容の試みは牟田氏の身辺調査の完了まで行われない。しかし2020年現在、調査完了の見通しはない。 財団webクローラ及び研究チームによる情報をもとにSCP-2233-JPのタイムラインを整理する努力が継続されている。 タイムラインという言葉はアニヲタ支部の人には釈迦に説法だろうが、まあ並行世界における異なる時間の流れである。 『もしもボックス』や『うつつまくら』などでできる異なる可能性の世界の話が関わるのだと理解していればとりあえずそれでいい。 概要 先程牟田氏という人物が登場したが、SCP-2233-JPは簡単に言うとその牟田氏の『生涯』である。 故・牟田義則(1958年8月12日-2000年5月4日)さんが生まれてから脳梗塞で亡くなるまでのわずか40年ばかりの人生がオブジェクトとされているのだ。 このオブジェクト、すなわち牟田さんが生きていたということは以下の証拠品や証言によって裏付けが取れている。 2750人の死亡した関係者及び16356人の存命の関係者の証言 1件の戸籍(1件の出生届、11件の転籍届、8件の婚姻届、3件の離婚届、1件の死亡届を含む) 1冊の著書 牟田氏が所有者であった1件の不動産登記事項証明書(相続者不在により現在は財団所有) 佐賀県唐津市██墓園所有の遺骨 ……うん、知り合い多いな!? でもって、「8回結婚して3回離婚」しているというのもなんか変な話である。あと4回はどこに? 更に、それだけ結婚しているのにもかかわらず不動産が相続者不在というのも変な話である。 財団がこの牟田さんの人生を調べると、驚くべきことがわかった。 上記の事実は非常に多くの矛盾・錯綜を含み、1958年8月12日の出生から2000年5月4日の脳梗塞による死亡に至るまでのSCP-2233-JPを説明する単一のタイムラインを確立することは不可能です。財団による調査の結果は、SCP-2233-JPが少なくとも364の異なるタイムラインを持つ生涯の集積によってなるものであることを示しています。 これらの証拠から牟田さんの人生は、牟田さんが少なくとも364人いなければ成り立たないことがわかった。 無論そんなことはありえないし、しかもそれぞれが互いに影響してもいけないから事実上別世界の牟田さんの人生が相当数紛れ込んでいるわけだ。 更にこれは財団が関知するまでは認知されることはなかった。おそらく、これらの矛盾を矛盾と気付かせなくさせる反ミーム性があるのであろう。 これを発見した経緯も、かなりの偶然に偶然が重なったものである。 というのも、牟田さんの私立光洋高校における同級生、エージェント・柴本が40数年というあまりに早すぎる死を悼み 牟田さんのお葬式に出席したのが発見経緯。 柴本さんはそのころ反ミーム性のあるオブジェクトを研究しており、そのためにクラスW記憶補強剤を服用していた。 これによって情報撹乱作用が働かない状態の柴本さんは、牟田さんのお葬式でびっくり仰天。 「なんか複数の高校や大学の『同級生』がいるし奥さん8人もいるしお子さんも多いな!あと勤め先も多すぎる!」 ……ってかこれ8件の婚姻届は全部有効なのね。 なお、364件中結婚できなかった牟田さんが356人いる……というわけでないのはあえて言及する必要はないかもしれないが蛇足的に補足する。 異なるタイムラインで同じ人と出会い結ばれていることはあるだろうし、場合によってはその同じ人と出会い、結婚しながらもあるタイムラインでは死ぬまで一緒で、別のタイムラインでは死ぬ前に離婚している可能性もある。また同じ人との子供も、タイムラインによって違う可能性もある。もっといえば、葬儀に出席した身内がいる一方で、葬儀に出席しなかった身内も存在している可能性もある。結婚も事実婚という形を取っていれば婚姻届が提出されていないケースもあるだろう。 同じことは高校・大学・勤め先にも言える。高校・大学で仲良くなった人、ならなかった人、勤め先で配属された部署、されなかった部署などなど。ややこしいね!。 ともあれ、牟田さんの人生は多くの人に悼まれたのである。 SCP-2233-JP 可能な限り多くの人々が偲んだ彼 ちょっとしたネタバレ このオブジェクトのタイトルは上述の通りなのだが、実は初出時点ではもう少し長かった。 どうなっていたかというと、『可能な限り多くの人々が偲んだ彼(もしかすると誰にも看取られなかった彼)』だったのである。 もう一度言う。『可能な限り多くの人々が偲んだ彼(もしかすると誰にも看取られなかった彼)』である。 執筆者は最終パラグラフも実は削除しており、「その部分をあえて言及するのは野暮なのではないか」と考えたようだ。 そしてディスカッションでは執筆者によるスポイラーが記載されている(無論、あくまで作者自身のヘッドカノンに過ぎず答えではないことに留意)。 牟田氏の生涯の集積は彼の死後に発生したものです。財団はその可能性に思い至っているでしょうが、証明する術を持ちません。 彼の「生前の」生涯がどんなものであったかは知る由もありませんが、それはそれとして、葬儀は残された人々の為に行われるものであり、牟田氏の「知人」が彼を悼む(あるいは悼まない)気持ちに嘘はないでしょう。 基底世界の牟田さんがどんな人物だったかは不明である。 普通のおじさんだったかもしれないし、尊敬を集める人だったかもしれない。 それも偉業をなしたのか、スポーツや学術的な成果か、善行か。 あるいは、そのへんの駅で拾った酒を飲みながら捨てられたスポーツ新聞を読むホームレスだったかもしれない。 悪人だったかもしれない。独身貴族だったかもしれないし、家族思いのいいお父さんだったのかもしれない。 すごく怖い極論を言ってしまえば、『基底世界の牟田さんにはお葬式に来てくれるような家族・知人は誰もいなかった』可能性すらある。 しかし、お葬式は本人のためにするものではない。あくまで残された人のために(それが基底世界の牟田さんに、なのかは不明だが)行うものだ。 仮に違う世界の牟田さんとつながりを持っていても、その人を失った悲しみを堪え、故人の冥福を祈る気持ちには嘘は存在しない。 ……基底世界におけるその人にとっての牟田さんの存在、牟田さんとのつながりが嘘だったとしても。 類似オブジェクト SCP-1454 - Sibling Rivalry (仲悪し兄弟) 同じ感覚を共有する4人のエリックさん。同時に別個の行動をしているさいも、それぞれの行動を認識している。 ただしこちらの場合は同じ現実世界で4つの行動を4つの実体が同時に行っている。 そして、自分以外の他3つの実体は自分とは認識しておらず自分の行動を真似するクソ野郎と思い込んでいて、 相互に敵対的である。 可能な限り多くの追記・修正をお願いします。 ▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-2233-JP - 可能な限り多くの人々が偲んだ彼 by Sansyo-do-Zansyo http //scp-jp.wikidot.com/scp-2233-jp この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 財団内でも一般的な言葉ではないしTiconderogaの補足説明は欲しいな -- 名無しさん (2020-11-08 20 32 03) ↑しといた -- 名無しさん (2020-11-08 20 37 12) 流石に脚注が長過ぎるような気がする。これだったら表に出したほうが見やすいでしょう -- 名無しさん (2020-11-08 20 46 36) ↑解説ではあるんだけどオブジェクトの本筋の説明じゃないので隠しました(タイムラインという概念について理解しているならば不要な説明であり、わからない人のためだけの説明なので) -- 名無しさん (2020-11-08 20 52 03) ↑改行がないから結局見づらいのが問題かな。脚注って1・2行くらいで説明できるものだとおもうのだけど -- 名無しさん (2020-11-08 21 13 19) ↑1〜5 脚注より本文中折り畳みはどうだろうか -- 名無しさん (2020-11-08 21 52 01) 我が友ザカリー・キャラハンもかくやの知り合いの多さだな -- 名無しさん (2020-11-09 04 11 59) ↑2~6 脚注としては長すぎるから本文中に出しておいたよ -- 名無しさん (2020-11-09 19 12 17) こういうの好き -- 名無しさん (2020-11-09 21 55 46) テキストn倍デュエマとかそういったものを感じる -- 名無しさん (2020-11-10 20 23 09) ↑G.O.D.がただのクソザコになるやつな -- 名無しさん (2020-11-11 18 57 27) 脚注前だしでも意外と行けますね。編集ありがとうございます -- 名無しさん (2020-11-11 18 58 05) うっかりスタースクリームがSCP-2233-JP化したらどうなっちゃうんだろう。 -- 名無しさん (2021-06-07 00 12 16) このオブジェクトは「牟田氏の死後に平行世界の生涯 -- 名無しさん (2023-04-26 09 00 20) 勝手に送信されちまった。牟田士の生涯が重ねられたものであって、ミーム汚染や現実改変を起こすものでない、ってのがミソだよな。 -- 名無しさん (2023-04-26 09 06 20) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/47412.html
登録日:2021/02/25 Thu 20 03 21 更新日:2024/09/24 Tue 23 01 47NEW! 所要時間:約 11 分で読めます ▽タグ一覧 Euclid SCP Foundation SCP-JP SCP財団 momiji_CoC てるてる坊主 SCP-2321-JPはシェアード・ワールド『SCP Foundation』の日本支部に登場するオブジェクトのひとつである。 オブジェクトクラスはEuclid。 概要 SCP-2321-JPは、日本各地で発生する異常現象である。 現象の内容は、「てるてる坊主がしゃべる」というもの。 てるてる坊主が何なのか分からない人はいないと思うが、一応解説。 てるてる坊主は、明日の天気が晴れることを願って作られる人形である。 具体的には、詰め物を布か紙でくるみ、首のところを紐などで縛れば完成。 ペンで顔を描いたりすることもあるが、実はこれは本来誤りであり、祈りが通じて晴れた時に顔を描くのが正解。 呼び方は地域差があり、「てるてる法師」「てれてれ坊主」「日和坊主(ひよりぼうず)」などがある。 また、明日に雨が降ることを願って逆さにつるすのは「ふれふれ坊主」「あめあめ坊主」「るてるて坊主」などと呼ばれる。 小学生のころ、遠足の前日に作ったことがある方も多いのでは? そして[[プール]]授業やマラソン大会の前日にふれふれ坊主を作った人も多いはず SCP-2321-JPの説明に戻る。 しゃべりだしたてるてる坊主(SCP-2321-JP-Aに指定)は、作った人に対して「どうして明日晴れて欲しいのか」を尋ねる。 それに答えると、残念ながら明日は雨が降るからそれは叶わないと話す。 その翌日は必ず雨になり、作った人は激しい怒りをてるてる坊主に抱き、その首を刃物で切り取ってしまう。物騒だな てるてる坊主の首を切った作成者は、SCP-2321-JPに関する記憶が次第に曖昧になっていき、最終的に夢の中の出来事だと思うようになる。 そして首を切られたてるてる坊主はもうしゃべりだすことは無い。 ちなみに、この「首を斬る」というのは童謡の「てるてる坊主」が元になっている。 具体的な歌詞は各自ググるなりして調べて頂きたいが、大まかな内容は「てるてる坊主よ 天気にしてくれたら金の鈴をあげるよ 天気にしてくれたら甘いお酒をあげるよ でも雨だったら首をちょん切るよ」という感じのもの。 ここまでなら「天気を正確に予測するてるてる坊主」というだけのオブジェクトなのだが、実はSCP-2321-JPは財団の機密情報に関与している可能性があった。 それは、この記事が「制空権ハブ」に属しているためである。 制空権ハブとは、「財団が世界の天候を制御している」という設定を共有しているハブである。 天候を制御する方法や目的は何でもよく、記事作成者にゆだねられている。 すなわち、このてるてる坊主たちは何らかの手段で財団が管理している天候の情報を感知している可能性があったのだ。 そこで財団はSCP-2321-JPに対する調査を行い、SCP-2321-JP-Aを回収、関連人物への記憶操作を行うという特別収容プロトコルを作製した。 インタビュー記録/2321-JP-A 回収されたてるてる坊主へのインタビューがこれである。 対象 SCP-2321-JP-A-2 インタビュアー 加賀美研究員 実施日時 2024年6月18日 ________________________________________ 記録開始 加賀美研究員 初めまして、SCP-2321…。 SCP-2321-JP-A-2 おいこら!ここはどこなんだ!急に変な連中に掴まれたと思ったらこんな何も見えないとこに閉じ込めやがって。俺をここから出せ! 加賀美研究員 それはできません。これからいくつか質問をしますので、嘘偽りなくお答えください。 SCP-2321-JP-A-2 ふざけんじゃねぇ。大体お前たちになんの権利があって俺をこんなとこに連れてきたんだ?えぇ? 加賀美研究員 その質問にお答えすることはできません。ではまず最初に、あなたは自身がてるてる坊主であることを認識していますか? SCP-2321-JP-A-2 はっ、そんなのあたり前だろ。 加賀美研究員 だとするならば、こうして会話を行えていることに違和感を覚えないのですか?普通、てるてる坊主が喋るというのはありえないことだと思うのですが。 SCP-2321-JP-A-2 まぁそうだな。普通じゃありえない。でもな、流石に絶対に叶わない願いを祈らせ続けるのは可哀想ってもんだろ。 加賀美研究員 あなたの言う願いとは、あなたを作った人の「明日は晴れてほしい」というものでしょうか。 SCP-2321-JP-A-2 あぁ。それが俺たちが作られる理由だし、それ以外に祈ることなんてないだろう? 加賀美研究員 まぁ、そうですね。しかし、あなたはあくまで願いを聞いて祈られる立場であって、実際に天候に影響を与えられるわけではありませんよね? SCP-2321-JP-A-2 まぁ……そりゃそうだな。でもあれだ。案外人の願いとか祈りってのは、バカにできないもんだ。そうだろう? 加賀美研究員 いえ、私はあまりそうは…。 SCP-2321-JP-A-2 …そうかい。お堅い人だねぇアンタは。それじゃあまぁ、なんも見えてこないだろうさ。 加賀美研究員 それはどういう意味でしょうか。 SCP-2321-JP-A-2 さぁな、雹みたいに固いその頭で考えな。それもアンタの仕事だろ? [以降SCP-2321-JP-A-2は加賀美研究員の質問に対して一切返答を行わなくなったため、インタビューは終了された] 記録終了 なお、途中から「なぜ財団が雨を降らせると予定している場所と時間を知っているのか」についての質問が追加されたが、全てのてるてる坊主が回答を拒否した。 この時、てるてる坊主は何かに怯えているようだったという。 インシデント記録/2321-JP-a SCP-2321-JPが初めて確認されてから約1年が経過したころ、SCP-2321-JP-aが収容されているサイト-8197を中心として財団の天候計画にない積乱雲が発生し、163mmという激しい雨を降らせ始めた。 財団はこの突如として発生した予定外の雲を気象観測衛星「オモイカネ」によるレーザー照射によって消滅させようとしたものの、その度に新たな雲が生成されて失敗。 この時、落雷と同時に生物の咆哮のような音が観測された。 この降雨発生から3時間後、サイト-8197を中心とした半径およそ100mの範囲に赤色の雨が降り注いだ。 この直後、雨雲の中から正体不明の女性の遺体が出現し、サイト中庭に落下した。 遺体の落下から約1分後、サイト上空で前述の咆哮のような音が再び観測され、雨はピタリと止んだ。 このインシデントによって発生した死者・行方不明者は計37名、二次災害等によって損傷した家屋は約8700棟にも及んだ。 回収された女性の遺体には落下の際の損傷はなく、致命傷と思しき頸動脈の深い切り傷のみが確認された。 このインシデント発生中、てるてる坊主たちが何かに怯えている様子が観測されたため、急遽インタビューが実施された。 インタビュー記録/2321-JP-A-103 対象 SCP-2321-JP-A-103 インタビュアー 加賀美研究員 ________________________________________ 記録開始 加賀美研究員 では早速ですが、SCP-2321-JP-A-103、貴方は一体何に怯えているのですか? SCP-2321-JP-A-103 貴方達、取り返しのつかないことをしてしまいましたね。 加賀美研究員 我々が一体何をしたと言うのですか? SCP-2321-JP-A-103 とぼけないでください。あなた方が空を滅茶苦茶にするから、あの方の逆鱗に触れたのではないですか。 加賀美研究員 空…もしや、我々の天候操作技術の事をおっしゃっているのでしょうか。 SCP-2321-JP-A-103 えぇ、恐らくはそれのことです。あなた方が空を我が物が如く操り始めた、それがよくなかったのです。 加賀美研究員 と、言いますと? SCP-2321-JP-A-103 天は古くから人の手の届かぬ領域でした。故に人々は祈り、贄を捧げ、恐れ、崇めてきました。しかし今はどうでしょうか。あなた方は奇妙な鉄の塊や宙からの光などを駆使して天を意のままにしたと驕り、畏怖の心を忘れている…。違いますか? 加賀美研究員 まぁ、結果だけ見ればそうかもしれません。しかし我々は自分の欲のままに行ったのではなく、必要となったからこのような方法を確立したのです。 SCP-2321-JP-A-103 ですがその軽率な行いは、結果としてあの方を怒らせたのです。 加賀美研究員 あの方と言いますと? SCP-2321-JP-A-103 あなたもお聞きになったでしょう?雷鳴と共に地上に轟いたあの方の怒りの咆哮を、嘆きの叫びを。あなた方があのようなものを作り出さなければ、お妃様は自らを犠牲になど…。 加賀美研究員 お妃様?それは空から落下したあの女性の事をおっしゃっているのでしょうか。 SCP-2321-JP-A-103 えぇ、そうです。あの方はあなた方にお妃を奪われたも同然。あの方は酷く嘆き、その涙は地上に降り注ぐことでしょう。 加賀美研究員 何故あなたがあの女性のことをご存じなのですか? SCP-2321-JP-A-103 それは私が…[SCP-2321-JP-A-103の首が切断される。対象は異常性を失い、インタビューの継続は不可能となった] 記録終了 この直後、他のてるてる坊主たちも同時に首が切断され、異常性を喪失した。 このインタビューから、回収された女性の遺体(SCP-2321-JP-aに指定)がインシデントに関係していることが推測されたため、サイト-8197にて冷凍保存されている。 また、上空の咆哮を発生させた実体は、航空機による探索では発見できなかった。 さらに、インシデント翌日にもサイト-8197周辺地域に予定されていない乱層雲が発生し、雨を降らせた。 財団は再びレーザー照射で雲を消滅させようとしたが、効果はなし。 3日間降り注いだ雨が止んだ後、サイト入り口に一通の封筒が発見された。 封筒には唐紙で作られた箒を持った女性の人形と、同じく唐紙に北京語で書かれた手紙が封入されていた。 監視カメラには、この封筒が突如出現する映像が残っていた。 手紙の内容は以下の通り。 我が最愛の妻は死んだ。 我が怒りを鎮めるため、再びその身を犠牲にしたのだ。 一度人のために捧げたあの小さき体を、 此度は傲慢な貴様等なぞを守るために使ったのだ。 「貴方の怒りを鎮めるためならば、私はこの身を喜んで差し出しましょう」と笑ったのだ。 そして妻は刃を首に当て、私に別れを告げて地上へと還ってしまった。 私にはわからない。妻は何故お前らのような愚か者のために、永劫の命を投げ捨てたのか。 人よ、教えてくれ。何故妻は貴様らを救おうなどと考えたのだ? 神に近しい力を手に入れ、貴様等は一体何処へ向かおうとしているのだ? 財団はこの手紙の差出人とSCP-2321-JP-aの関連性を調査している。 考察 この記事は、てるてる坊主の起源といわれている中国の風習が元になっている。 中国ではてるてる坊主の代わりに、白い紙の頭に赤い紙の服を着せ、箒を持たせた「掃晴娘(サオチンニャン/そうせいじょう)」という女子の人形が箒で雨雲を払い、晴れにしてくれるという言い伝えがある。 この風習は、とある伝説に由来する。 昔、北京に美しく賢い「晴娘」という名の娘がいた。 ある年の6月、北京に大雨が降り続き、水があふれかえって人々を困らせた。 晴娘が「大雨が止みますように」と天に祈ると、天から「東海龍王の太子の妃になれ、さもなくば北京を水に沈める」という声が聞こえてきた。 晴娘は、北京の人々を守るために天へと嫁ぐことを決める。 雨が止み、晴れ渡った空の下に晴娘の姿は無かった。 それ以来、人々は雨が続くと、切り紙が得意だった晴娘を偲んで「掃晴娘」を作り、門に掛けて晴れを祈るようになったという。 インシデントで天に響き渡った咆哮は、天気を司る神である東海龍王のものだったのだろう。 てるてる坊主は彼の眷属のような存在であり、てるてる坊主たちを通して東海龍王は人々の願いを聞いていた。 しかし財団は天候を制御する技術を手に入れ、自ら天気を決めるようになる。 それに怒り狂った東海龍王をなだめるため、妃であった晴娘は再びその身を犠牲にしたのだ。 しかし、自らをないがしろにされただけでなく、愛する妻まで失った東海龍王は、財団に更なる裁きを下すのだろう…… 財団は確かに人々の生活を守るために、天候の操作技術を確立した。 その方がオブジェクトの収容を行う上で都合の良いこともあっただろう。 しかし、それは本当に正しかったのだろうか? 古来より天を司ってきた神をないがしろにし、晴れを願う人々の切なる願いを踏みにじる行為ではなかったのか? でもあれだ。案外人の願いとか祈りってのは、バカにできないもんだ。そうだろう? てるてる坊主のこの言葉に対する加賀美研究員の返答が財団の答えなのだろう…… 最後に 冒頭で紹介した童謡「てるてる坊主」には、歌にそぐわないとして削除された「幻の一番」があったことをご存じだろうか? 現在の歌詞では願いを叶えられなかったてるてる坊主は首を斬られてしまうが、この幻の一番では違う結末を迎える。 それは「もし雨だったら 空を眺めて一緒に泣こう」というもの。 SCP-2321-JP-Aたちは絶対に叶うことのない願いを持ち続ける人々をただ見るだけなのが忍びなかった。 だからきっとこう言いたかったのだろう SCP-2321-JP 雨が降るから共に泣こう 追記・修正は遠足で雨に降られたことがある人にお願いします。 ▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-2321-JP - 雨が降るから共に泣こう by momiji_CoC http //ja.scp-wiki.net/scp-2321-jp この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] こういう伝奇的なSCP良いね -- 名無しさん (2021-02-25 20 16 57) レーザー兵器にオモイカネとか名前付けて神々に忖度してんだから多めに見てくれや -- 名無しさん (2021-02-25 23 32 15) 童謡てるてる坊主の歌詞はまだ著作権切れてないので載せない方がいいと思う -- 名無しさん (2021-02-25 23 47 26) すみません、著作権の期限を失念していました。著作権者の死後70年間ですね。とりあえず直接載せないように修正しました。 -- 初版作成者 (2021-02-26 00 04 57) むしろこの神が何様やねん -- 名無しさん (2021-02-26 00 36 04) ↑神様なのでは? -- 名無しさん (2021-02-26 02 37 35) まあ財団からしたら神だろうが異常実体に過ぎないからなあ。神を妄信するという暗闇にも光を当てるのが仕事ゆえ -- 名無しさん (2021-02-26 03 53 53) ↑6 オモイカネは別神だし、東海龍王からしたら知らんがなってとこやろ -- 名無しさん (2021-02-26 07 30 02) タグにあるmomiji_CoCって作者さんの名前なのね、scp界隈では有名なの? -- 名無しさん (2021-02-26 07 42 00) ↑どの記事でも作者タグは付いてるぞ -- 名無しさん (2021-02-26 11 53 19) 赤い雨ってあの嵐かなと思っちゃう -- 名無しさん (2021-02-26 17 28 45) ↑2 そうなのね、単純に俺が適当に選んだ記事にはタグに作者名無かったから -- 名無しさん (2021-02-26 23 14 05) 昔はつけなかったんだけど最近どんどん付き出した -- 名無しさん (2021-02-28 12 47 20) 財団の技術力は何れ神をも超えるだろうししかたないとこもあるよなあ…天気は操れたらやっぱ便利だもん -- 名無しさん (2021-03-08 05 46 48) 嫁さんが勝手に死んだだけじゃん、それだって龍王()とやらがキレ散らかしたの原因だし…嘲笑を禁じ得ない、が正直な感想だな -- 名無しさん (2021-04-17 00 07 06) てるてる坊主に赤い雨と言うと、どうしても某円盤生物が頭にチラつく -- 名無しさん (2021-07-06 22 06 22) 自分も奥さんが死んでまで止めなきゃと思いつめる龍王がボケナスに見えてしまうなあ 伝説通りなら結婚後に仲良くなったかもしれんけど元は恋愛でもなく龍王以外が助かるために嫁いだんでしょ -- 名無しさん (2023-09-19 11 45 27) お前が怒らなければ奥さんも死ななかったんだぞ -- 名無しさん (2024-07-08 18 04 05) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/46467.html
登録日:2020/11/07 Sat 20 07 59 更新日:2023/07/15 Sat 13 33 26 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 Euclid SCP SCP Foundation SCiP Tanhony SCP-3422はシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクト(SCiP)である。 オブジェクトクラスはEuclid。 ▷ 目次 特別収容プロトコル 概要 特別収容プロトコル 本オブジェクトはサイト-10の冷凍保管庫に保存され、常に保安職員2名の警護下に置かれている。 本オブジェクト殺害事件に関する調査はいかなる場合であっても行われない。 対象の異常効果が活性化するのを防ぐために、SCP-3422割当の全職員は定期的にクラスB記憶処理を行う。 SCP-3422殺人事件に関する全ての情報は公的記録から削除され、自動車事故死についてのカバーストーリーが流布され、 記憶を修正するため、殺人事件の知識を持つSCP-3422の近親者および友人にはクラスC記憶処理を施している。 ……というわけだが、つまりSCP-3422は殺人事件の被害者であることは容易に察することができただろう。 ということで本題である。 概要 SCP-3422さんは2011/01/09に誰かによって自宅で射殺されたポール・ヘンダーソン(35歳)さん、より正確に言えばその遺体である。 ポール・ヘンダーソンさんの異常性質は、誰が殺したクックロb…じゃなくてポール・ヘンダーソンさんを殺した犯人を探そうとすると発現する。 これは証拠品を集める行為、目撃者の捜索、及び単に殺人事件について「誰が殺ったんだ…?」と思案する行為を含む。 この特性の発現時、SCP-3422は一時的に存在していた場所から喪失し、代わりに生きたSCP-3422……つまりポール・ヘンダーソンさんの生きたクローンが出現。 なおこの出現数は制限はなく、また出現範囲にすら制限がない。要は日本にポール・ヘンダーソンさんの死体を保管して、 ブラジルでポール・ヘンダーソンさんの殺人事件について『誰なんやろなあ』と思案してもそこにクローンが出現するわけである。 そしてそのポール・ヘンダーソンさんのクローンは、自分の殺人事件について犯人探しをしようとしたその人を追いかけ回す。 その間、ポール・ヘンダーソンさんのクローンは「いいんだよ」「放っておいてくれ」「もう終わったんだ」などと叫び続ける。 異常なクローンとはいえポール・ヘンダーソンさんのクローンの耐久性はオリジナルと一緒、 つまり普通に人間なので銃で撃ったり剣で斬ったりすれば殺すことは可能。 しかしいくら倒しても倒しても指数関数的に増大するため、いずれは追いつかれてしまう。 よく言われがちなことだが、生身の人間でも銃で止めるのは一苦労とされる。 まして指数関数的増大するんじゃどうしようもないよな…… ポール・ヘンダーソンさんに追いつかれ接触されるとその人は気を失う。 そして目覚めると殺人事件について、そしてポール・ヘンダーソンさんの遺体についての記憶を失う。 でもって対象が気絶するとポール・ヘンダーソンさんのクローンはすべて消えてしまう。 ……とまあこれで異常性の説明は終了するのだが、ここで考えたいのはポール・ヘンダーソンさんのクローンの行動である。 そもそもポール・ヘンダーソンさんは殺人事件の被害者である。かつ、ポール・ヘンダーソンさんを殺害した人は判明していない。 にもかかわらず、ポール・ヘンダーソンさんは犯人を特定しようとした人を妨害しようとする。 またそのセリフも犯人を特定しようとすることを避けてほしいようにすら見える。 つまるところ、ポール・ヘンダーソンさんは自分を殺害した犯人を庇っているようにすら見えるわけである。 ……どういうことなんだ?そして誰が殺ったんだ……ってうわぁ!? 警告 この補遺の内容に関する知識はSCP-3422の活性化を引き起こす可能性が高いため、職員は読了後に提供された記憶処理薬を服用することが推奨されます。この補遺は監督者のいる状況でのみ閲覧が認められます。 さて、財団は実は殺人事件について、誰がポール・ヘンダーソンさんを殺害したかを突き止めてしまっている。 というか、推理の余地がないのだ。なにしろその犯人はポール・ヘンダーソンさんを殺害したあと、自首しているからである。 その犯人こそポール・ヘンダーソンさんの弟、アラン・ヘンダーソンさんである。 しかしその記録は警察には残っていない。また、アラン・ヘンダーソンさんもまたこの記憶を今は保持しておらず、 自分が兄を殺害したことも忘れているし、兄が殺害されたことも自動車事故死のカバーストーリーの適用によって知らない。 なぜなら、財団が警察とアラン・ヘンダーソンさんに記憶処理と偽情報の植え付けを行ったからである。 なにしろ、アラン・ヘンダーソンさんが自首したその日にポール・ヘンダーソンさんの異常性が発現し、 警察署の周りをポール・ヘンダーソンさんのクローンが取り囲んでいたのを財団が通報を受けたのがこのオブジェクトの発見経緯だからである。 インタビュー開始 エージェント ジョーンズ 何が起きたかを、あなた自身の言葉で正確に教えて頂けますか、ヘンダーソンさん? 記録のためです。 (ヘンダーソンが頷く。) ヘンダーソン 俺はあまり金回りが良くなかった。一度も羽振りが良かったことは無い。ポール… ポールはいつも俺を助けてくれた。多分、だから俺はああも金遣いが荒かったんだと思う — 兄貴ならヤバい事になったら普通に金を出してくれるだろうって。 (沈黙) 違う。違う、何もかも俺が悪かったんだ。 エージェント ジョーンズ それで、あの夜も金銭問題で彼を訪ねたのですか? ヘンダーソン いや、その前の晩だ。またスッカラカンになって、兄貴の家に行った。いつも俺を気遣ってくれてたんだ。ガキの頃からずっと、俺をもめ事から庇ってくれた。でも兄貴は助けにはなれないと言った。自分もトラブルを抱えているから、今は助けてやれないんだって。泊まっていくなら歓迎するって言ったが、俺はただ家を飛び出した。まともに考える事ができなかった。 アラン・ヘンダーソンさんはまともな収入を得ていないにもかかわらず金遣いが荒い人であった。 そしてそんなアラン・ヘンダーソンさんを、ポール・ヘンダーソンさんはいつも助けていた。 どう見てもアラン・ヘンダーソンさんはダメなやつなのだが、兄としては弟を放ってはおけなかったんだろう。 しかしその晩はお金を貸すことができなかった。アラン・ヘンダーソンさんはパニックになり、翌日とんでもない行動に出る。 エージェント ジョーンズ そして翌日の夜に戻ったのですね。 ヘンダーソン ああ。銃を持ってな。 (沈黙) 誓って言う、俺はあれを使う気は無かった、ただ… 脅したかっただけだ、そうすれば兄貴は俺が欲しがってるものを渡すはずだと考えた。兄貴は手を上げた。俺たちは金庫に向かって歩いていって、それで、それで、もう分からない。何かが床に転がってたんだと思う、何だか知らないが、とにかく俺はそいつを踏ん付けて躓いた。そして指で… 引金を引いた。 アラン・ヘンダーソンさんは、銃を持ってあろうことか兄を脅迫する。 そして一緒に金庫まで行くのだが、その途中アラン・ヘンダーソンさんはコケた。 そしてコケた際に引き金を引いてしまった。 当然ポール・ヘンダーソンさんは致命傷を負う。 (沈黙) ヘンダーソン 兄貴は床に倒れてた。身体に穴が開いて、そこが血塗みれで、それが… それが身体中に広がってて俺はどうしていいか分からなかった。俺は、俺はもう… 頭が真っ白になってた。兄貴は俺を見上げた、でも全然怒ったりしてるようには見えなかった。口から血が溢れてたけど、怒ってなかった、兄貴はただ… 大丈夫って、そう言ったんだ。大丈夫だって。 (沈黙) ヘンダーソン そして、死んだ。 インタビュー終了 ポール・ヘンダーソンさんはいつも、弟アラン・ヘンダーソンさんが揉め事にあうと助けた。 そして、ポール・ヘンダーソンさんは今回も、弟を助けようとした。 結果弟は財団の介入により殺人事件の犯人ではなくなった。 記憶処理と偽情報の適用により、罪悪感を覚えることもなく、また犯人として追及されることもなくなった。 結果ポール・ヘンダーソンさん殺人事件の犯人は不在となった。 SCP-3422A Culpritless Crime(犯人不在犯罪) 追記・修正は放っておかないでください。 SCP-3422 - A Culpritless Crime by Tanhony www.scp-wiki.net/scp-3422 ja.scp-wiki.net/scp-3422(翻訳) この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 財団によって殺害が隠蔽されて本人も記憶無くなってる以上、異常性無くなってもいいもんだと思うけどなあ -- 名無しさん (2020-11-07 20 45 14) ↑アラン・ヘンダーソンさんの知人に「そういや最近ポール見てねえな…まさかアランが?」って疑われる可能性もあるだろうし -- 名無しさん (2020-11-07 20 55 23) ちなみに作者はボブルやジェシカ・ランバート、そして5000の作者だったりする -- 名無しさん (2020-11-07 21 01 14) scpで殺人事件と聞くだけで某現実改変系殺人鬼と幽霊を思い出すようになった -- 名無しさん (2020-11-07 21 18 58) ポール・ヘンダーソンさんすっごい弟想いなんやなぁ… -- 名無しさん (2020-11-07 22 37 29) 弟は自分の罪を忘れても殺された本人は忘れていないということか。死人に記憶処置はできなよな。 -- 名無しさん (2020-11-07 23 27 45) 正直何でそんなクズを殺されてもかばってるのか分からん。状況的に死刑にまではならんだろうし刑務所のお世話になった方が更生できるんじゃないのか -- 名無しさん (2020-11-08 07 41 03) ↑肉親の情って他人には窺い知れない位根深かったり歪だったりするケースも多々あるからなぁ -- 名無しさん (2020-11-08 08 58 57) ↑4 おれはうまい棒とか無限地獄とかも思い出すなぁ -- 名無しさん (2020-11-08 13 39 13) 謎のトラブル、床に転がっていた何か…関係ないか -- 名無しさん (2020-11-10 05 19 33) 名前の"・ヘンダーソン"の部分いる…? -- 名無しさん (2022-12-23 04 10 28) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/44947.html
登録日:2020/05/12 Tue 00 35 53 更新日:2024/06/21 Fri 17 00 33 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 Euclid SCP Foundation SCP-885-JP SCP-JP SCPオブジェクト SCP財団 SCP財団日本支部 「博士」 たまごっち たまごっち←ではありません 全自動卵割り機 卵割り機 SCP-885-JPは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトの一つである。 オブジェクトクラスはEuclid。 項目名は『博士のわくわく卵割りマシーン』。 …もう項目名の時点で嫌な予感しかしませんね、ハイ。 概要 SCP-885-JPは直径9㎝の卵型のゲーム機である。 2個同じものが収容されており、1個目のピンク色のがSCP-885-JP-1、2個目の黄色のがSCP-885-JP-2に指定されている。 タイトルを見ても分かる通り「博士」の作品である。「博士」については要注意団体(SCP Foundation)を参照。 「博士」恒例の文句がパッケージに印刷されている。 オーット!『博士のわくわく卵割りマシーン』を手に入れたんだね? ボタンを押すとあら不思議!博士が作った楽しいアニメを見ているうちに、なんと卵がまっぷたつ!まるで魔法だ!今夜は卵パーティで決まりだね! 『博士のわくわく卵割りマシーン』は全部で8つあるよ!そのうち7つは虹の色、最後の1つはシークレットレアさ!さあ全部見つけてコンプリートだ! みんな一緒に楽しもうね! 財団は2個確保しているが、あと6個あるらしい。 ちなみに最初の1個は財団のエージェントが縁日の屋台で買ったとのこと。 元ページには写真が添付されている、が…… どう見ても「たま◯っち」です。本当にありがとうございました。 で、この「た◯ごっち」…じゃなくてSCP-885-JPのボタンを押すと、液晶画面に卵が割られるドットアニメーションが流れ、機械の一番近くにある「卵」が謎の原理で一つ割られる。 以上。ただこれだけである。 あのクソ博士の作ったものがそんな人畜無害なもののハズないだろって? いやマジでこれだけなのである。卵がきれいに割れないという人にとってはなかなかの便利アイテムかもしれない。 しかしそこは財団である。 オブジェクトの性質は詳細に調べなければ気が済まない。 そこで、どこまでが「卵」と認識されるのかについての実験を行った。 実験記録 以下の記録は No. 実験ナンバー 対象 実験する対象 アニメ 液晶画面に流れたアニメーション 結果 起きた結果 のフォーマットで記述する。 なお、実験No.002以降は影響を外に及ぼさないように実験対象以外に鶏卵をおいて行った。 No. 001 対象 鶏の有精卵 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 殻が割れた。中の黄身はつぶれていた No. 002 対象 鶏の無精卵 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 殻が割れた。中の黄身はつぶれていた 有精卵か無精卵かは関係ないらしい。 黄身がつぶれちゃうんじゃあ目玉焼きには使えんな…… No. 003 対象 ダチョウの卵 アニメ 床に置かれた卵がハンマーで割られる 結果 放射状のひびが入り、殻のみが砕けた 鶏の卵以外でも割れる。 アニメーションでの割り方が鶏卵の時と違うのは殻の硬さを反映したものか? No. 004 対象 茹でた鶏卵 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 変化なし、防止用の鶏卵が割れた 茹で卵は対象外である模様。 生じゃないとダメらしい。 No. 005 対象 鮭の卵 アニメ 鮭の卵が指に潰される 結果 表面の膜が裂け、内容物がこぼれた No. 006 対象 亀の卵 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 殻が割れた。中の黄身はつぶれていた 鳥類以外の卵も対象内である。 No. 007 対象 卵型の菓子 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 変化なし、防止用の鶏卵が割れた 卵型であっても本物の卵でなければダメ。 No. 008 対象 孵化直前の鶏卵 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 殻が割れ、内部の雛は死亡した No. 009 対象 排卵直前の鶏 アニメ チューブ状の物体に包まれた卵が刃物で斬られる 結果 鶏の卵管内で卵が割れた 殻が破られてなければ「卵」の範疇。 [[赤ちゃん]]かわいそうですぅ!まだ生まれてないのにぃぃ~。ピヨピヨとすら鳴けないんですよ…… No. 010 対象 リンゴ アニメ 床に置かれたリンゴが刃物で斬られる 結果 種のみが割れた No. 011 対象 アボカド アニメ 床に置かれたアボカドが刃物で斬られる 結果 種のみが割れた No. 012 対象 ココナッツ アニメ 床に置かれたココナッツがハンマーで割られる 結果 繊維質の殻と内部の殻の両方が割れた 植物の種が「卵」と認識される。 …卵と言っていいのかなコレ No. 013 対象 モルモット アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 変化なし、防止用の鶏卵が割れた No. 014 対象 妊娠中のモルモット アニメ 袋状の物体に包まれたモルモットが刃物で斬られる 結果 モルモットとその胎児は死亡した。解剖の結果、子宮の破裂が死因だと判明した No. 015 対象 モルモットの新生児 アニメ 床に置かれた卵が刃物で斬られる 結果 変化なし、防止用の鶏卵が割れた なんと卵を産まない哺乳類まで対象内。 子宮全体が「卵」と認識されるようである。 繰り返す 妊娠した哺乳類も対象である ……猛烈にイヤな予感がしたそこのアナタ。残念ながら正解です。 SCP-885-JP-2の回収記録 以下のインタビュー記録は、2個目のSCP-885-JPが回収されたときのものである。 インタビュー対象: 事件現場付近に在住している男子小学生(以降は「少年」と記述) インタビュアー: エージェント・██ インタビュー開始 エージェント・██:それじゃあ██君(少年の名前)、そのゲームを見せてくれるかな? 少年:うん、これだよ。(机の引き出しからSCP-885-JP-2を取り出しエージェント・██に見せる) エージェント・██:このゲームはどうやって手に入れたんだい? 少年:えっと、7月の初めらへんに父ちゃんがお土産に買って来てくれたんだ。父ちゃん、あの日は酔っぱらっててさー「父ちゃんが子供だった時にはみんなこのゲームで遊んでたんだぞー」て言ってたなぁ。ほんとはこんなのよりも[編集済](インタビューの実施時点で発売されていた最新機種のゲーム機)が欲しかったんだけどなぁ、これそんなに楽しくないけどやってみる? エージェント・██:いいのかい?じゃあ少し借りるよ。(事前に用意した鶏卵を皿に置き、SCP-885-JP-2のボタンを押す。) 少年:えっ!?卵が勝手に割れた!? エージェント・██:知らなかったのかい? 少年:うん、箱も説明書も読まずに捨てちゃったし、これってボタンを押すとアニメを見れるゲームじゃなかったの? エージェント・██:アニメも見れるけど・・・ちなみに今まではどんなアニメを見たんだい? 少年:えーと、卵とか、果物が割れたり、袋に入った猫や赤ちゃんが斬れたり・・・あれ? エージェント・██:(無言) 少年:ねえ、ひょっとして少し前に近所で猫がたくさん死んでたり、僕の近くで女の人が急に苦しがってたのって・・・ エージェント・██:今日は色々お話ししてくれてありがとうね、このゲームはちょっと壊れているみたいだからお兄さんが引き取っておくよ。代わりに別の欲しいゲーム機を買ってあげ・・・ (少年はエージェント・██の言葉を最後まで聞かずにトイレに駆け込む) エージェント・██:(溜息をつき) 本部、こちらエージェント・██です。未収容のSCP-885-JPを発見・確保しました。これより戻ります。 インタビュー終了 …そう、何も知らなかった少年はSCP-885-JPのボタンを押しまくり、意図せずして猫や妊婦、そして胎児の命を奪ってしまっていたのだ。 この後、少年とそのご家族には記憶処理をバッチリ受けていただいた上で解放した。 少年の心に傷が残らなかったのが唯一の救いか。 …ん? よく見るとパッケージの文言の下にめちゃくちゃ薄くて小さい字で何か書いてあるみたいだな……? 注意 妊婦又は妊娠していると思われる人は気をつけて使用してください。 『博士のわくわく卵割りマシーン』により発生した事故・損害に対して博士は一切の責務を負いません。あしからず。 「あしからず」じゃねえよこの野郎 今回はワンダーテインメント博士のように一応注意書きを入れてはいるが、わざと見えにくくしていることや具体的にどうなるのか書いていないことから考えて、明らかに悪意満々である。 こんな機械をばらまき、無垢な子供たちに動物や妊婦の命を奪わせた「博士」の罪はあまりにも重い。 追記・修正は卵を素手できれいに割ってからお願いします。 ▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-885-JP 博士のわくわく卵割りマシーン by north_country http //ja.scp-wiki.net/scp-885-jp この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 調理にすら使えない正真正銘のゴミ -- 名無しさん (2020-05-12 00 55 31) ストレートなだけにオチも読んでる途中で分かっちゃうのがな -- 名無しさん (2020-05-12 01 16 51) 説明書を捨ててはいけない(戒め) -- 名無しさん (2020-05-12 01 36 02) いつもの「博士」でした……もう酷いとしか(白目 -- 名無しさん (2020-05-12 02 24 18) 最近だと月を卵にしたヒヨコが登場したが、このエセたまごっちのある世界線で地球を卵にしてる奴がいないことを祈りたい -- 名無しさん (2020-05-12 08 42 41) 元記事で下の方で文字反転させると見えないドット.があるんだけどなんだろう -- 名無しさん (2020-05-12 11 03 50) 番号は「ややこ(子供)」の語呂合わせかなぁ……エグい。 ↑多分だけど複数行を改行したい時に無意味な記号を挟んで自動で圧縮されないようにするやつじゃないかな -- 名無しさん (2020-05-12 12 39 05) ↑、↑2特別収容プロトコル読むときあるあるで草 -- 名無しさん (2020-05-12 13 21 56) こんなシンプルな特性で面白くできるって本当すごい -- 名無しさん (2020-05-12 13 52 18) ダメだこの博士、早くなんとかしないと; -- 名無しさん (2020-05-12 15 02 39) 全部で8個しか作られてないのがまだ救いだよな...これが大量に生産されて、日本中にばら撒かれたと思うと... -- 名無しさん (2020-05-13 09 33 35) 博士「君のように察しのいい子供は大好きだよ!!」 -- 名無しさん (2020-05-13 12 33 14) あしからず…ねぇ -- 名無しさん (2020-05-14 17 10 55) 何かやべぇ異常存在の巣に機動部隊が突入していって決死の覚悟でたまごっちのボタンを連打するみたいな世界線も…ない… -- 名無しさん (2022-06-10 20 56 05) どっかしらの打法みたいに「人間の頭も卵判定だぜ!」みたいなもんかと思ってた。想像の800倍はエグかったよね…。 -- 名無しさん (2023-05-29 14 55 14) 「博士」さん あなたに言いたいことがあるんです あなたはクソだ。 -- 名無しさん (2024-01-21 18 04 30) ビャアヒドイイイイ -- 名無しさん (2024-06-21 17 00 33) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/7809.html
登録日:2011/06/13 Mon 15 38 35 更新日:2023/10/05 Thu 19 56 40 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 HAPPY TREE FRIENDS HTF Ka-PoW! アメリカ グロ スピンオフ スプレンディド ハピツリ パラレルワールド フリッピー ブディストモンキー 仏教猿 外伝 『Ka-PoW!』は、あのHTFの外伝とも言うべき作品。 「ブディストモンキー」と「フリッピー特殊部隊」がかなり有名。 尚、ブディストモンキーはHTFの本編にもチョイ役で登場している。 勿論、HTFの外伝作品なので、本家同様とにかくグロイ。 ◇ブディストモンキー 【内容】 通称・仏教猿。悪の忍者軍団にブディストモンキーが立ち向かう内容。 ブルース・リーもビックリのアクションシーンが見物。 【登場キャラ】 ブディストモンキー 主人公。少林寺のお坊さんの姿をしている。師匠は既に他界。 師匠から伝授された様々な必殺技を使って悪を退治して行く。 因みに彼自身は当初、HTFの本編に正式なキャラクターとして出すつもりだったらしいが、設定そのものが本編の世界観に合わないと判断され、実現出来なかった。 …もし、出ていたらどうなっていたか…。 但し、クレーンゲームのデザイン等でゲスト出演を果たしている。 パンダ親子 チョイ役で登場しているパンダの親子。編み笠を被ったママパンダが赤ちゃんパンダを背負っている。 悪の忍者軍団 ブディストモンキーの宿敵。深い緑色の忍者の集団。 セイロ豚 頭にセイロを乗っけている豚。忍者軍団が放った刺客で、点心型の爆弾と巨大な蟹バサミが武器。 最期はブディストモンキーの炎拳法に敗れ、破裂して死亡。 巨大な蟹バサミはパンダ親子のディナーとなった。 闇龍 忍者軍団の頭領で、常にシルエット。ブディストモンキー抹殺を企む。 任務に失敗した部下には容赦ない。 ◇フリッピー特殊部隊 【内容】 本編でお馴染みのフリッピーを主人公にしたストーリー。 ベトナムの戦地を部隊に、軍人時代のフリッピー率いる特殊部隊がメイン。 フリッピーの覚醒癖誕生の瞬間。 【登場キャラ】 フリッピー 本編でもお馴染み。しかし、絵柄が…。 部下の二人を自分の手違いで殺したり等、かなり間抜けな一面を見せる。 最後は虎将軍を残忍な手口で殺害。 マウスカブーム フリッピーの部下で、爆薬を武器に闘うネズミ。赤いサングラスがトレードマーク。 爆薬を投げるも直後のアクシデントで死亡。 スネーキー フリッピーの部下のカメレオン。 カモフラージュで敵兵士を殺害するも、フリッピーの投げたナイフがそれて胸に突き刺さり、死亡。 その死体はフリッピーの隠れ蓑として使われる。 虎将軍 ベトナムのジャングル奥地に本拠地を構える虎軍隊の将軍。 フリッピーと死闘を演じるも、最期は殺害される。彼の生首はピザに見立てられ、敵の本拠地にお届けされる。 虎兵士 虎将軍の部下達。生き残った者もいれば、フリッピーによって殺されてしまった者もいる。 TSUIKI―SHUSEI! △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 虎将軍が「スタッフぅー!スタッフぅー!」と叫んでいたのにワロタ!イケメンかよ! -- 名無しさん (2017-10-14 18 04 17) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/37008.html
登録日:2017/06/06 Tue 14 32 40 更新日:2024/09/29 Sun 18 10 33NEW! 所要時間:約 5 分で読めます ▽タグ一覧 K-クラスシナリオ Keter SCP Foundation SCP-800-JP SCP-JP SCP財団 Waterfire ガス 未来 異世界 明日を探していられるうちが幸せだった。 SCP-800-JPとは、シェアード・ワールド「SCP Foundation」において登録されたオブジェクトの一つである。 項目名は「排気口」。 オブジェクトクラスは「Keter」。 特別収容プロトコル まずこのオブジェクトについてだが、コイツを収容する、そのためだけにサイトのまるまる一つが割り当てられている。 もちろん、そういう事例は財団世界にはいくつかある。のだが、コイツの場合その「サイト一つの割り当て」が尋常ではない。 収容されているサイト-8178の特殊警戒個室E-44にSCP-800-JP-1があるのだが、それ以外の設備はSCP-800-JP-2を封入した容器の格納と保管、およびこれら収容の維持、そのためだけに機能の全てが動員されることになっている。 個室E-44には排気弁をつけた専用の常時通気口が設けられ、さらに緊急用の予備通気装置が5か所設置されている。 この通気口を通ったSCP-800-JP-2は、一切漏れることなく別室の容器に封入され、内部気圧が耐圧限界の89%になったところで自動的に交換される。 これら収容維持のシステムはフル・オートメーションであり、人員は一切用いられない。しかし、修理や点検の必要が出たならば無人ロボットを都度都度用意して行い、終わったらロボットを専用の施設で焼却処分することになっている。 サイト-8178を担当する職員の活動区域は、これら収容施設とは完全に隔離された状態でなければならない。さらにサイト-8178は拡張と改築が次々と必要になるが、その場合でも活動区域は収容施設から遮断されていなければならない。 これらの情報から、なんかとんでもない特性を持った気体であることがわかる。 概要 では、そんなSCP-800-JPとは何なのか? 結論から言えば、SCP-800-JP-1は空中に固定された直径3.14ミリメートルの平面ポータルであり、-2はそこから吹き出す気体である。 ポータルの方は別のSCPオブジェクトに関する予測実験の際に現れたことから、時間異常によって出現したものと考えられている。 このポータルを消し去る、あるいは塞ぐ試みもなされたが、それらは全て空間的な異常、あるいはポータルのサイズ拡大を含んだ破壊的異常を誘発するにとどまり、全く効果がなかった。 そのため、財団は大慌てでポータルを中心にサイト-8178を建造。ポータルから吹き出す気体の蔓延阻止と情報の隠蔽をプロトコルとして制定した。 ポータルは財団世界の他の事例同様に、他の空間に通じている。この空間はSCP-800-JP-2に満たされており、ここから吹き出しているらしい。 しかし、探査および生体実験はいずれも成功した例が2回ずつであり、さらに得られた情報があまりに少ないことから、財団を以てしても確たることが言えない状態にある。 問題なのはこの気体、SCP-800-JP-2である。 これは、いかなる機器や検査方法を用いても検知・検出の出来ない、ポータルから常時噴出している未知の気体である。 何らかの現象でない、という可能性は、気圧計による観測と生体実験の結果から否定されている。 で、これがどうマズいのかというと、生物が曝露すると100%死ぬ。 ……そこ、今「意外と大したことない」「Keterにはよくあること」とか思わなかっただろうか? 確かに、Keterクラスオブジェクトともなれば、人が死ぬことなど、机の上のハシが転がるよりもしょっちゅうあることだ。 それはSCP-800-JPも変わらない。塞げないポータルから吹き出す絶対致死のガス。そりゃKeterだ。 ともかく今は続き。このガス、生体が曝露すると即座に強毒反応を起こす。が、ガス自体の構造や組成、生体に対して働くメカニズムが全くわかっていないため、何でこうなるのかももちろんわかっていない。 早い話が、「生身で触れるとこうやって死ぬ」という、見てわかること以外に何も情報がないのだ。 具体的にどんな症状が起きるのかというと、 全体表面の81%まで溶解する。 体のどこか1点に穴が開く、もしくは既にある開口部の一つから体液が一気に噴き出す。これは死亡まで継続。 どこか何かと接している部分から体が崩壊。多くの場合は足から。 肉体と体液が急激に乾燥。8割以上はこの段階で死ぬ。 肉体と体液が組織分解され、風化し始める。 分解された組織が消滅。この段階から2時間6分以内に、生体組織は完全消滅する。 とまあ、散々なことになる。 消えた組織はどこに行ったんだ、という部分についてはこのガスと同じものになったのでは? という話もあるが、先にも述べたとおり情報が少なすぎて実証できていない。 まあ、こんなもんが地球上に流れ出たら一大事ってレベルじゃすまない。不幸中の幸い、このガスは地球の大気と毒性以外の性質はだいたい同じなので、現在の収容プロトコルによってサイト内で完封されている。 ただ、ポータルから吹き出してくる分が全く止められないので、容器に入れて格納、その容器の置き場所を確保するためにサイトの拡張工事が必要、という話である。 宇宙空間に捨てればいいような気もするが、カバーストーリーの適用が困難な上に予算が足りないだろう。オブジェクトはこれだけではないことだし。 補遺 さて、財団も収容プロトコルを実行しているからと言って眺めているだけでは当然ない。 このガスが来ているだろう、ポータルの向こうの空間を探査することが決定した。しかし、如何せんポータルはたった3.14ミリメートル。これでは探査機なぞ入れるわけがない。超小型の無線探査機ならばどうだ、となったが、ポータルが時間異常の産物であるためか、通信が途絶して制御不能になるか、ガスの噴出圧力に阻まれてそもそも入れないか、であった。 というわけで、色々な機能を追加した特殊ワイヤーカメラによる探査が行われた。 ログは以下。ちなみに探査開始を00 00とし、分単位で記録する。 00 00 ワイヤーカメラがポータルに接近。ガスの風圧と噴出音が記録される。 00 01 先端部がポータルに接触、通過し異空間へと突入する。通過の直後に風の音は止み、気圧計が3270.88ヘクトパスカルを記録する。 基底現実の3倍以上という高気圧環境である。 00 03 映像の鮮明化処理が完了。異空間内は高密度のガスのためか大気が茶色がかっており、常に降下してくる砂塵のようなものが画面中を覆い尽くしている。この砂塵をサンプルaと分類し、採取する。 00 08 地表の存在を確認。砂塵と同じ物質により構成されているものと思われる。この土壌をサンプルbに分類し採取する。 少なくとも何もない空間ではなかったらしい。 00 31 「砂嵐」のおかげで視界不良は著しい。これではまともに周囲が探れない、ということで探査限界範囲の縮小が決定される。 00 38 上空に光源の存在を確認。規模と推定光量から、何らかの恒星であると思われる。 00 52 人工的な造形物を発見。原始的な筆記用具であると思われる。サイズのため回収は断念。 ワイヤーカメラでは無理もない。 01 24 再び人工的な造形物を発見。プラスチックに似た質感を持つ3cm×5cmほどの平面板であり、掠れて判読出来ないが黒い印字のような痕跡が認められる。サイズのため回収は断念。 知的生物がいた、つまり生物が生息できる環境「だった」ことが推定される。 01 47 岩石を発見。確証は無いものの、風化の進行した何らかの人工物であると思われる。 この断片をサンプルcと分類し採取する。 01 55 01 47で発見したものと同種のものと思われる岩石によって構成された、岩石群地帯を発見。進入する。映像解析により、発見された岩石の大きさは、最大のもので2.3m×3.1m×5.3mであった。ビルか何かだろうか? 02 13 ポータルから450mの地点で巨大な人工物の影を確認。詳細は砂塵のため確認出来ず。 映像解析により、影は10.7m×15.3m×20.3mの直方体であり、何らかの建築物である可能性が指摘される。 02 14 巨大な人工物の影へ接近を開始。 02 31 探査距離限界。 砂塵のため人工物の影の詳細は確認できなかった。距離限界地点周辺の集中的な探査を開始。 02 34 人工物の影を中心として、放射状に岩石群が存在している可能性が指摘される。また、人工物の影に近い地点ほど、岩石群の岩石のサイズは大きくなっている。 02 57 人工的に製造されたと思われる繊維の塊を発見。復元可能な印字の痕跡が認められたため、採取。 マイクロクリップアームでワイヤー先端部に固定した後、ワイヤーごと回収。これはサンプルdに分類。 というわけで最初の探査は終了。 ところが、最初に採取した砂塵と土壌のサンプルは容器内で消滅してしまった。次の探査では採取したらその場で検査を行うことが決定されたが、参加者の一人は、これがガスの曝露者の段階5と同じものではないか? と推測。 次の探査実験におけるワイヤーの伸長と探査範囲の拡大を要請したが、強度や耐圧措置にも限界があるためこれは却下され、同じ範囲でもう一度行うことになった。 で、今度はもっと色々な装置を付け加えて二度目の探査を行ったわけだが……。 探査結果 二度目の探査実験において、まずあの空間には引力があることが確認され、さらに大気成分の比率と土壌成分の比率については十分にデータが集まった。 しかし、土壌には分子結合が切り離された、要は崩壊状態のアミノ酸が大量に含まれていた。これはその状態から、曝露者の段階5と同じものであることが有力視されている。 さらに降りしきる砂塵も全く同様の物質であったことから、崩壊した生体組織が例のガス状になる→空気より軽いので上に上がる→凝集して重くなり、地上に降ってくる→降り積もって土壌になる→また崩壊してガスになって上がる……というサイクルを繰り返している、という仮説が立てられた。 さらにこの空間は異常な高気圧環境でありながら、引力については異常がなかったため、何らかの地球規模の惑星表面であることが示された。加えて磁気調査の結果は地球と同等、同様であった。 これに並行して極秘に行われた天体観測と地磁気を介した年代計測、そしてサンプルcとdの検査結果、さらにポータルが時間異常によって出現したことを踏まえ、導き出された結論は、ポータルの向こうに広がっているのは、西暦2700年代の地球であるというものだった。 XK-クラス:世界終焉シナリオ、その果ての未来がそこにあったのだ。 しかもそのように仮定した場合、例のガスの性質と高気圧環境から推測して、地球の引力圏を三回埋め尽くせる規模でガスが存在している恐れがある。再三言っているように得られた情報が少なすぎるため、「例の空間は地球と同等の存在であり」「引力圏全てが同じ環境に置かれている」という二つの仮定が前提となる。 何しろポータルから500メートル弱の範囲しか調べられていないのだから、何を言っても推論の域を出ない。 だが、継続観察が続いてもなお環境内に変化がないこと、有機的存在……つまり植物を含む生物の存在が確認できないこと、これらを見れば希望的観測の余地は絶無である。これにより、財団はSCP-800-JPをKeterクラスに認定。 現在、ポータルの一時拡張による本格的探査を含め、無効化の手段が模索されている。 サンプルの解析結果 ところで、どうやらポータルがあるのは向こう側の日本らしい。 というのは、普通のコンクリートだったサンプルcではなく、繊維の塊だったサンプルdの検査結果が示していた。 この表面に記されていた文字は日本語であり、市販の黒インクと同様のもので書かれていた。 復元できた内容は以下。 ――る――穴――死な――――いた人為浄―――最後 希望――排気口 お分かりだろうか? 「穴」そして「排気口」。 恐らくあの世界は、「穴」から噴出した強毒ガスによって全ての生物が滅んでしまった。 それでも耐性を持った誰かが生き残り、人為的な浄化の手段を試したがこれは失敗。最後の希望として、別の世界に通じるポータルを開けてそこからガスを排気しようとしたのだ。 だが、それは遅かった。ポータルが空いたのは全てが滅んだその後のこと。 それに、「穴」の単語からするに、恐らくガスの出所はあの世界ではなく、さらにまた別の世界だと思われる。 収容して収容して収容しきれなくなって収容違反が起きて、排気口からひたすら吹き出し続けて結果滅亡。 こんなトンデモガス、一体どこの世界で、なぜ、どうやって生まれたのだろうか? 頑張れSCP財団、基底現実の未来は君たちにかかっている。 追記・修正はXK-クラス:世界終焉シナリオを生き残ってからお願いします。 CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-800-JP- 排気口 by Waterfire http //ja.scp-wiki.net/scp-800-jp この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] それでも犀賀なら…犀賀六巳ならきっとどうにかしてくれる。というかポータルってまんまあのオオウツロに近いものだし得意分野よね。 -- 名無しさん (2017-06-06 15 16 14) 未来が開けた排気口が現在に繋がっちゃって、その穴がいつか不意に対処不能になって滅びの未来に……と言うループ? -- 名無しさん (2017-06-06 15 30 33) 犀賀なら「ほかの次元の地球が滅びない様に」って財団世界がガスを逃がせない様にポータルを開けないようにすると思うんじゃが -- 名無しさん (2017-06-06 15 39 32) 某ネコカラスの解説動画で見た。超怖かったぜ…。 -- 名無しさん (2017-06-06 16 44 06) ↑×3個人的にはそうだと思う。この財団世界ではどっかしらで収容違反イベントが起きるんだろう -- 名無しさん (2017-06-06 17 44 44) かくして財団の明日は、明後日によって滅ぼされるのでした、どっとはらい。…これって某バイドより酷いのではなかろうか。 -- 名無しさん (2017-06-06 18 49 24) scp-2935っぽいな。 -- 名無しさん (2017-06-06 23 19 10) 大気圧3倍になる質量どこから・・・?と思ったが質量法則無視するSCPが五万とあったな。 -- 名無しさん (2017-06-06 23 43 00) ポータル内が未来の同じ財団世界だった場合XKを阻止したらCKじゃないですかやだー! -- 名無しさん (2017-06-07 00 44 28) どうあっても財団世界は(執筆する方の)財団職員に滅ぼされるからね、仕方ないね…逆転の発想として、何の脅威性もないアノマリーをなんでもかんでもやたらとMMRよろしく世界滅亡級のアノマリーに書き換えてしまう皮肉たっぷりのジョークSCPとかあったら面白そう、ただの不思議アイテム蒐集家の同好会が"財団"に書き換えられていく、みたいな…と思ったが既に誰か書いてそう -- 名無しさん (2017-06-07 02 11 32) 最初ので正直ネタバレになっちゃってるから削るかどっかに移した方がいいと思う -- 名無しさん (2017-06-07 11 07 31) 明日も無ければ昨日もない、お隣さんもこの有様 -- 名無しさん (2017-06-07 17 55 24) ↑何の驚異のない者をSCPにする奴はすでにあるよ。SCP-XXX-JP-Jがそう。 -- 名無しさん (2017-06-07 19 15 07) 死滅の穴に繋げちゃおう -- 名無しさん (2017-10-28 17 39 59) 物質を消滅させる系のSCPの収容施設にホースで繋げちゃおう。 -- 名無しさん (2017-10-28 18 01 59) 吹き出してくる部屋の中の気圧を上げたらどうか、とか思ったけど意味ないのかな -- 名無しさん (2017-12-17 19 53 35) いやこれ気圧を同等にしたらそれで収容完了じゃねーの -- 名無しさん (2017-12-27 16 42 41) 消したり塞いだりしようとすると空間異常や破壊的異常が起きるって書いてあるし、無理では? 気圧でどうにかなるなら物理的ななんやかんやで防げてるだろうし。 やはり28世紀の物凄い科学力で大事な排気口が常に全力を出せるよう工夫されてるのだろう -- 名無しさん (2017-12-27 19 15 52) 多分向こうの世界にもSCP-800-jpがあったんだろうな -- 名無しさん (2017-12-27 21 33 09) ふと「ムカデ世界」というフレーズを思いついてしまった -- 名無しさん (2018-02-01 16 10 08) ↑3 絶滅まで残り二時間みたいな世界がそこまでハイパーな穴あけられるもんかね? 技術屋も知識人も死に絶えてるだろうし、精々穴開けるのでも精一杯だと思うが -- 名無しさん (2018-02-10 01 38 09) ↑ 説1.生き残りが凄い奴だった 説2.のび太でも使えそうな未来の秘密道具が存在した 説3.穴開け自体は計画されていたが倫理面などで凍結、それをやけくそで起動させた -- 名無しさん (2018-02-26 21 48 08) しかしこれ、冷静に考えたらたぶん地球脱出できれば人類滅亡だけは防げるよね -- 名無しさん (2018-03-12 10 53 56) ↑ヘッドカノン次第だが、ヒント→SCP-2002。人類にはもう、逃げ場所すらない。 -- 名無しさん (2018-04-26 21 51 48) ↑最初期のSCP財団って「不思議な特徴を持ったアイテムや有害な未知の生物を隔離する団体」だったのになぁ。インフレ怖い。 -- 名無しさん (2018-04-26 22 06 21) クソトカゲに吸わせたらあいつかこっちのどっちかの対抗策見えたりしないかな。やるにはリスクが大きすぎるかもだが -- 名無しさん (2018-08-28 15 04 21) ↑クソトカゲ「全身から即死の猛毒ガスを噴出す能力を身につけたぜ!」 -- 名無しさん (2018-08-28 15 36 00) 気圧を同等にといっても、加圧し続けなければならないのではないだろうか?加圧の限界はどこまでなんだろう -- 名無しさん (2019-09-27 13 17 13) メタルギアサヴァイブを思い出した。設定とかで -- 名無しさん (2019-10-11 09 57 08) これってこちらから3倍の気圧で押し返したら何とかならない? -- 名無しさん (2020-01-28 18 37 16) ポータルが広がっちゃうんじゃないかねえ -- 名無しさん (2020-07-09 14 48 46) 果たして財団は何度、未来の自分達に滅ぼされるのだろうか -- 名無しさん (2020-10-12 06 51 16) 穴の先の世界にはクソトカゲいないのかな -- 名無しさん (2020-10-31 01 29 59) 気体の漏れない部屋なら大丈夫そうだけどなんらかの手段でパンパンに気体が溜まった部屋が崩壊したらって考えると現状がベストなのかねぇ -- 名無しさん (2020-11-03 21 33 03) 圧倒的曇天の正体説好きだよ -- 名無しさん (2020-12-10 19 31 19) これ、元も子もないけど金属製の箱で覆って箱の中を高圧力にしたらガス入ってこないよね -- 名無しさん (2020-12-18 15 44 21) このガスをSCP-280-jpの中に捨てようぜ! -- 名無しさん (2021-01-07 07 44 46) ↑ 収 容 違 反 -- 名無しさん (2021-07-01 07 19 52) SCP-280-jpの中にこれを捨てれば穴も小さくなるし、ガスの脅威も無くなり、さらに念のために仏様にも見守っていただければ…… -- 名無しさん (2023-08-18 16 30 31) ……ふぅ。1時はどうなるかと思ったがこれで一安心だ。 -- 名無しさん (2023-08-18 16 31 23) 圧倒的曇天説がよく出てるけどあっちは岩石のような無機物まで分解するから特性が違う。ところで繊維片って化学繊維でも有機物だから有機物絶対分解するガスなら分解されるはずだけど、あくまで生物かその死体のみが分解対象であってプラスチック系は対象外なのかな -- 名無しさん (2024-03-02 17 04 06) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/43393.html
登録日:2019/12/04 (水) 23 12 37 更新日:2023/10/30 Mon 16 50 41 所要時間:約 3 分で読めます ▽タグ一覧 K-クラスシナリオ Keter SCP Foundation SCP-078-JP SCP-JP カイロ 永久カイロ 温度 SCP-078-JPは怪奇創作コミュニティサイト、 SCP Foudation に登場する オブジェクト (SCiP)のひとつである。 項目名は「永久カイロ」で、 オブジェクトクラス は堂々のKeter。 概要 某県の某大学の研究棟が半焼した事案で「消火の際に明らかに異常な熱源があった」という報告を受けて回収された読んで字の如く、永久に温度が上がり続けるカイロ。 外装は凄まじい耐熱性を有していると考えられているが、内部調査は不可能で、異常性は言わずもがなの温度上昇。 温度は1分間に0.4℃上昇し、回収時は三桁代だったが、現在では2000℃を超える。 移動作業で27名が死亡し、36名に治療不能な傷を負わせたコイツを放置すれば K-クラスシナリオ まっしぐら。 しかし、こいつのような化学カイロは鉄と活性炭などの酸素による発熱反応によって温度が上昇する。 財団は「酸素と化合させなければ抑えられるのでは?」と考えた。 というわけで、特別収容プロトコル 特別収容プロトコル改訂第18版(*1) オブジェクトはエリア-8104にて真空装置に接続されたタングステン製の真空チャンバーに収容される。 チャンバー及び真空装置はオブジェクトからの熱伝導、輻射熱などから保護するために常に液化気体によって冷却される。 バックアップを用意し、メイン装置が動作不能となった場合は即座に移動させる。 隔週でバックアップにオブジェクトを移動させ、メイン装置のチェックを行う。 異常が発見された場合は即座に修理される。 バックアップも動作不能となった場合は、新たな装置が到着するまで低酸素ガスで出来るだけ反応を抑える。 これがドンピシャ。 真空状態にすることでオブジェクトの温度上昇速度を遅らせることができたのである! 人工的に作られる真空空間には微量な酸素が存在するから… KeterはやっぱりKeterでした。 補遺 「真空状態にするなら宇宙に捨てればよくない?」という提案は、外装が破れたら取り返しがつかないので保留。 密閉して観察したところ、酸素量がほぼ変化しなかったことから、「酸素と反応し発熱した後、還元反応を起こし酸素を放出しているのではないか」と仮説がある。 追記・修正は異常な熱量とともにお願いします。 CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-078-JP 永久カイロ by ak1-yorunaga http //ja.scp-wiki.net/scp-078-jp この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] なんか細かいところが引っかかる記事ね -- 名無しさん (2019-12-04 23 35 36) コメント欄なんかおかしくね? -- 名無しさん (2019-12-04 23 38 51) コメ欄直したよ。前までのコメ消えたけどまあいいでしょ? -- 名無しさん (2019-12-04 23 57 55) ↑この手のをやるときは左メニューの編集用プラグイン一覧の項目ラスト部分とかをそのまんまコピペするといいよ -- 名無しさん (2019-12-05 00 17 52) 冷え続けるオブジェクトとかあれば相殺・・・というわけにもすんなりいかないか -- 名無しさん (2019-12-05 01 09 37) 永久ひんやり水着なら何とか…って思ったけどカイロ自体はどうにもなってなくてクソァ!!ってなる -- 名無しさん (2019-12-05 01 23 49) カイロの耐熱性を測るためにライター(SCP-403)持ってきたよ! -- 名無しさん (2019-12-05 03 15 02) 一応コメント復活させておいた Wikiのルール上勝手な削除はアウトになりかねないので -- 名無しさん (2019-12-05 06 46 08) ごめんなさい文消しときました 必要ないし -- 名無しさん (2019-12-05 09 52 15) 単純ながらかなり危険なオブジェクト -- 名無しさん (2019-12-06 12 08 44) テキストが短いSCPは純粋にヤバい -- 名無しさん (2019-12-06 15 40 34) ↑あんまり有名じゃないがサイズに合わせて地球の公転が変わるゴムボールとかさようならーって言いながら人を殺すのとかもそれだよね -- 名無しさん (2019-12-06 22 44 34) 将来的には宇宙のエントロピー問題を解決できるかもしれない(地球は残らないけど) -- 名無しさん (2019-12-06 23 01 29) 酸化反応に限界が無いならそもそも中身は鉄類じゃないのでは? -- 名無しさん (2019-12-06 23 52 57) 窒素だけで満たした空間に入れればいいんじゃない? それともやっぱり酸素が混ざるのかな -- 名無しさん (2019-12-07 12 58 56) なんな財団にしては科学的アプローチが無さすぎてポンコツ感が否めない -- 名無しさん (2019-12-07 13 24 25) ↑まぁこういうのやるならちゃんと科学的知識は持っといてほしいわな。中身が無さすぎる -- 名無しさん (2020-01-12 14 58 09) いっそのこと溶鉱炉に沈めときゃいいんでは。3000度の鉄が酸素どころか空気を遮断してくれる。…廃炉になった時が大変だが。 -- 名無しさん (2020-01-12 15 23 41) この報告書が通った理由が何かありそうな・・・裏があるのでは? -- 名無しさん (2020-03-05 11 06 32) 温度が延々と上昇するというわりに現在温度があまり高く見えないのが違和感の元なのでは -- 名無しさん (2020-03-06 21 43 36) まぁ日本支部最初期の記事だし多少はね? -- 名無しさん (2020-09-15 23 48 10) ガワどころか中の鉄片にも耐熱性ありそうだし、宇宙にポイして万が一地球に返ってこようものなら大変なことになりそう。袋破れてたりしたら至る所で火事にならんか -- 名無しさん (2021-10-15 23 49 24) ↑*3 ふんわりしたイメージで文句言われたら作者かわいそうやな -- 名無しさん (2022-04-20 18 28 23) 不満書いてる人いるけど具体的に言ってくれんと何が不満なのかわからん -- 名無しさん (2022-04-20 18 31 30) こういうシンプルな異常性好き なんか文句多いけど本家での評価は+160だから… -- 名無しさん (2022-11-10 02 49 20) 例のトイペと併せて使えば無限に使えるかも -- 名無しさん (2023-07-27 23 56 15) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/51790.html
登録日:2022/08/05 Fri 00 10 00 更新日:2024/08/31 Sat 14 29 02NEW! 所要時間:約 40 分で読めます ▽タグ一覧 DouglasLiu SCP Foundation SCP-2000 SCP-CN SCP-CN-2000コンテスト SCP財団 Thaumiel アーロン・シーガル メタネタ 中国支部 人工知能 戦術神学部門 財団製SCP SCP-CN-2999とは、シェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。 機密レベルは5/CN-2999(最高機密)であり、 オブジェクトクラスはThaumiel。 Thaumielクラスということもあり、このオブジェクトは財団に、いや世界全体に利用されている。それだけ最高機密で大切なオブジェクトということだ。 また、このオブジェクトは、創作サイト「SCP Foundation」の中国語版wikiにおいて行われたSCP-CN-2000コンテストにおいて、現SCP-CN-2000である「カオス理論」に次いで第2位に輝いた作品。 そして、このコンテストのテーマは「不確実」。SCP-CN-2999においても、不確実によって世界が大変なことになる。 概要&特別収容プロトコル SCP-CN-2999とは、とある機械の部品の設計図である。その機械のことを「オブザーバーアレイ」といい、SCP-CN-2999は、その機械における中核を担う「オブザーバーアレイ内部分類機」というパーツの設計図である。 この設計図、信じられないくらい容量が大きいのだが、この専用のアルゴリズムを駆使することで容量は162TBまで圧縮できている。 現在は██台のオブザーバーアレイが世界全体をカバーしているのだそう。 しかし、先にここで言ってしまうが、SCP-CN-2999が作成された後、SCP-2000によって世界が造り直されており、この報告書は造り直された世界の財団職員が書いている。 つまり、SCP-CN-2999が作られたのはSCP-2000が起動する前の世界のことなのでSCP-CN-2999を誰が作ったのかは詳しくは判っていない。 ただ、この設計図を最後に更新した人は、SCP-2000が起動した今の世界の1つ前の世界でサイト-CN-25管理官をしていた程玖章博士であることがわかっている。おそらくこの人物がSCP-CN-2999を完成させたのだろう。 ちなみに、SCP-CN-2999はSCP-2000が起動する前に作られたもの。よってSCP-CN-2999に関係する前の世界の文書は例外なく秘匿されており、以下の文書たちだけが基礎調査の資料として開放されている。 解放された文書たちは付録として報告書に載っており、全部で7つ。1つずつ紐解いていこう。 付録Ⅰ - 観察者死亡事件 さて、時は前の世界における2021年2月10日。なんと観察者が死亡した。 いやいや観察者って誰だよという話なのでざっくり説明しておくと、観察者とは世界に居ないとZK-クラス 現実崩壊シナリオが発生してしまう人のこと。 ZK-クラスシナリオから世界を守ってくれていた、良い人なのだ。 それで、その観察者が居ないとどのように世界が終わってしまうかというと、簡単に言うと世界に存在するあらゆる物体がコロコロ別のものに変わってしまうという現象が起こる。 これを「“ピンぼけ”現象」というが、この物体には食べ物や飲み物、人間を含めた生物も対象となる。悪化すれば世界終焉待ったなしだ。 そんな観察者が、今死んでしまった。実をいうと、観察者パワーは観察者が死んでも少しは持つのだが、それでも”ピンぼけ”現象の数は日に日に増していくだろう。 ここでは、サイト-19の集中治療室にて、観察者が亡くなる直前にO5-1(本名 アーロン・シーガル)と交わした会話のログが記載されている。一部中略してここにも記載する。 前観察者による臨終の言 会話ログ 少し長いので折り畳み O5-1 彼の様子はどうだ? 医療スタッフ 時間の問題です……会話はさしあたって可能ですが、今日を凌ぐことは不可能でしょう……。申し訳ありません、サー。(啜り泣く)全力を尽くしたのですが…… O5-1 謝らなくて良いさ、シビル。私たちは皆分かってたんだ。遅かれ早かれ、この日はやってくると。誰も責める者はいないよ。(間を置いて)彼はまだ話せるんだね? 医療スタッフ ええ……話せます。個別の面会をご希望ですか? O5-1 そうだ、シビル。ご苦労だった。君は先に帰っていなさい。こっちは私だけで問題ない。 医療スタッフ 承知しました、サー…… 電動ドアの開閉音。 O5-1 私が見えますか? 沈黙。 観察者 (重苦しい呼吸音)平気さ……坊や……相も変わらず元気だ……まるで、君が生まれた時のように。 O5-1 (笑う)母が言ってました。生まれる時、僕はお腹の中でしきりに暴れていたんだと。 観察者 ああ、見えているとも。君が生まれ……育ち……恋をし、憎み、一歩ずつ今日まで歩んできた姿を。この瞬間に至るまで……あらゆる人間、あらゆる生き物と同じように見てきた。あらゆる……ゆる…… 咳嗽音。 (中略) O5-1 もう……もうやめてください。 観察者 心配せんで良い、坊や……私は自分の務めを果たすつもりだ。最期の一刻までな。 O5-1 それを疑ったことはございません。しかし、あなたが居なくなった後は、我々でこうした問題にあたらなければなりません──それも、ごく僅かな時間で。 観察者 私は君がやってのけると信じている。 O5-1 ですが、我々はあまりにも遅れています。 (中略) 予測では2年弱……我々は間に合わないのではないかと危惧しています。 観察者 己の信念を捨てるのかね?アーロン。 O5-1 そういうことに、なるかもしれません。この地位に就いてから、かなりの歳月が過ぎました。……今度のやつは、これまでで一番嫌な予感がするのです。 観察者 だが、君はいつも上手くやってきた。部下を信じなさい、アーロン……彼らは君を必要としている。厳格で迅速な君のことを……君たちは私に替わる策を、必ずや見つけ出すだろう。世界はきっと……きっと、美しくあり続けるはずだ。 O5-1 それは本心ですか? 観察者 坊や。私は決して間違えないのさ。 O5-1 もしも、間違ったら? 沈黙。 観察者 そうなれば、世界はとうに終わっているだろうよ。坊や。ここまで持たずにな。 K-クラスシナリオ発生まであとわずか。 財団はこの短い時間の間に”ピンぼけ”現象をなんとかし、その後は世界を再建しなければならない。 この会話記録の後、観察者はこの世を去ったとみられる。 観察者の励ましをうけたO5-1は、さっそくO5たちを招集し今後の対策を検討し始める。 O5司令部緊急会議 O5-1 おはよう諸君。とっくに知らされてるとは思うが……3時間前、観察者が亡くなられた。 (中略) 観察者の死がもたらすZKクラス 現実崩壊シナリオに向け、財団は対策を取る必要がある。今日この会議において、迅速に方針を固めねばならず…… O5-2 (遮る)その前にですね、アーロン。一つ断っておきたいのですが、宜しいですか? 早速、O5-1が会議を始めようとするも、O5-2が突然、O5を辞職すると言い出した。 なんでも、今回、このタイミングで観察者が死んでしまったのは、O5-2が率いる「戦術神学部門」という部署のミスによるもの。そしてそのミスはO5-2が独断専行し、観察者にまつわる訓話をおろそかにしてしまったことが原因となっている。 すなわち、こんなことになったのは全てO5-2のせいなのだ。 O5-2 アーロン。私にはO5を続ける資格がありません。私……私は、議会を去らなければなりません。正しい判断ができるうちに。 沈黙。 O5-1 彼は決して君を責めなかった。 O5-2 彼? O5-1 観察者のことさ。彼は一度も君を責めなかった。たとえ、君が居なかったとしても、本件は変わらずに起こっていたはずだ。せいぜい、百年くらいの引き伸ばしにしかならんよ。彼にはずっと昔にそう教えられたものだ。 そして、O5-1はO5-2に、「君が今まで以上に必要なんだ。」「君にもう、辞めるなんて言って欲しくない。」と説得し、続いて他のO5メンバーもそれに賛同してO5-2を引き留める。 そういうわけでO5-2はO5に残ることになり、議題は“ピンぼけ”現象についての報告にうつる。 O5-12の報告によれば、財団は“ピンぼけ”現象を、観察者が死んでからのこの数時間までで、すでに4つも確認しているという。 1つ目の”ピンぼけ”では、南極基地で、とある研究スタッフが飲んでいたコーヒーが突然石油に変化。 2つ目の“ピンぼけ”では、ブラジルにて、とある児童が買ったばかりであったサッカーボールが突然アメリカフクロウに変化。 3つ目の“ピンぼけ”では、アメリカのオマハにて、ある女児が歯につけていた歯列矯正器具がニトログリセリンに変化し、すぐさま大爆発。その女児は死んでしまった。 4つ目の“ピンぼけ”では、この会議の直前、O5-12の腕時計の文字盤が期限切れのブルーベリーゼリーに変化した。 他にも発生していると思われるが、人気のない場所での“ピンぼけ”は確認しづらいのもあって手が回っていない。 というか、まだ観察者が死んでから数時間しか経っていないのにすでに死人が出ている。 これでも観察者効果がまだ残っているから“ピンぼけ”の発生件数もまだまだ少ないが、これが日を追うごとにどんどん数が多くなっていくし、そもそもこんなの、財団がすべて隠蔽しきれるわけがない。 ちなみに、“ピンぼけ”現象というのは、いろいろな物質が何の関係性もない別の物質に突然変わってしまう現象だが、実はブラックホールや異常存在のようなヤバすぎるものに変化することはない。それらは“範囲外”だからだ。 “範囲外”の意味はそのうち分かる。今はスルーで大丈夫だ。 話がそれてしまったので戻すが、財団が”ピンぼけ”現象を一般から隠し通せるのは、もって2年半。もちろん、それには大変な労力と資源を必要とする。 そして財団は、一般から隠し通すと同時に“ピンぼけ”を鎮めなければならない。 ちょっと無理そうだということがお分かりいただけるだろうか。 そういうわけで財団は、この機会にヴェールを放棄することにした。 もちろん、ヴェールの放棄というのは財団にとっては最終手段なのだが、ヴェールを放棄すれば“ピンぼけ”現象を一般から隠すのに使う労力を省くことができるし、一般の人々からの協力を仰げるかもしれない。 O5-13 ハハハ、やっとここまで行き着いたか。 O5-7 宣言の用意はできてるわ。十数年前からはっきりと予期されていたもの。 O5-6 その通り。財団は別に、手ぶらで待っていたわけじゃない。幸運にもな。 O5-2 抵抗もきっとあるでしょう……財団の支配を嫌がる人たちの抵抗が。 O5-6 なんて言ったかな。「革命は飯を奢ることではない」……いや、何か違うような……まあいい。俺たちは十分な兵力を持っている。どんな問題も目じゃないことは確かだ。 そういうわけで、財団はすぐさま国連に連絡。 国連に「自分たちだけでやれる」と思われてしまうと困るので、あまり国連側に長考する時間を与えてはいけないとO5-1が助言したため、ヴェール放棄はすぐ行われることになった。 さて次の議題。財団は“ピンぼけ”現象を遅らせる、または将来的には完全に防ぐ必要がある。 したがって、優先順位をつけなければいけない。 この状況下において、世界で一番“ピンぼけ”現象から守らなければいけないモノ、もしくは生物とはいったい何だろうか。 O5-1 ダイアン、何か策はあるか? O5-10 わざと聞いていますの?アーロン。 O5-1 君の確認が必要だ。 O5-10 (間を置く)SCP-2000。最優先はコイツよ。2000が"ピンぼけ"なんてしたら、どう足掻いてもお終いなんだから。 O5-8 我々が最優先、なんて言うのかと思ったよ。 O5-10 よーくご存知でしょう、リーマン。O5の体なんて、ちっとも重要ではありませんもの。仮に、観察者の件を解決できたとしても、2000無しに"正常”へ戻すのは到底不可能よ。それに、必要があれば、イエローストーンがいつでも私たちを作り直してくれる。これだって初めてじゃありませんのに。 そう、なんだかんだでSCP-2000は財団の有能切り札。この状況を打破できるのはこいつしか存在しない。最初に守るとしたらこいつだろう。 さて、最後の議題。肝心の観察者の代わりについての話に入る。 そもそも観察者がどのようにして今まで“ピンぼけ”現象を止めていたかというと、 世界中の全てのものを観察し、 それら全てに対して語義分類という行為を行う ことで、いままで“ピンぼけ”現象を阻止していたのだ。 「語義分類」って何ぞや?という話はまた後で出てくるから、ここでは“ピンぼけ”現象を阻止するための行為なんだな~と思っていただければよい。 それで、“ピンぼけ”現象を阻止するためには、上記2つのことが行える存在を用意しなければならないのだが、簡単な話、「世界中の全てのものを観察」の時点で人間には無理である。 実は、さきほどこの世を去った前観察者は人間ではなかったらしい。だから、文字通りこんな超人のようなことができたわけだ。 それで、財団が代用観察者を立てる上で真っ先に考えたのが、生きた1人の人間を人体改造して、その人に観察者をやらせること。 しかし、実は「語義分類」というのは非常に頭を使う作業。世界中の全てのものに対して行うのだから、そんな思考強度にホモサピエンスの体は耐えることができない。 ならばと採用されたのが人工知能に観察者をやらせるという方法。 幸い、SCP-2000は非生物なので観察者AIも比較的簡単めにできるはずだ。(ただしいずれは、生物も全てカバーするような完璧なAIを作らなければならない)。 こうして、予定されていた議題がすべて終わったので会議は終了となった。 最後にO5-1からひとこと。 現時点で、観察者の効力は完全には消えていない。我々はこの2年を有意義に使わねばならず、1分1秒も無駄にしてはならないのだ。各位には最大限の力を発揮してもらいたい。 さあさあ、自分たちの持ち場に就こうではないか。諸君に幸運が訪れることを願うよ。それでは解散。 付録Ⅱ - 資料収集 以下の情報は、前の世界において財団サイトと生存者コロニーから回収された情報たちである。ただ、情報の一部は破損しており、とくに関係者に関する情報は多く破損しているらしい。 ここでは、2021年~2022年の観察者死去からまだ日の経たない頃の情報を書く。 情報はいくつかあるが、1つは財団が生存者コロニーの一般の人々に向けて流した放送。 [電子音楽] コロニー住民の皆様へ、ご注意ください。周囲の物が別の物に変わった際は、付近の人間に近づかないよう呼びかけ、直ちに財団セキュリティスタッフへ通報するようお願い致します。"ピンぼけ"事象に晒された物体は有害化する恐れがあります。自身とご家族の安全のためにも、疑わしい事象がありましたら、適宜スタッフにお知らせください。皆様のご協力に感謝申し上げます。 [電子音楽] また、「10キロのお米が空気に“ピンぼけ”しまったから損害を補償してくれ!」という怪しいタレコミが入ったと嘆く財団職員たちの会話記録(*1)や、 Switchが金のネックレスに“ピンぼけ”してしまって1週間分のポケモン厳選がパー&ネックレス没収になってしまったと嘆く生存者コロニーの住人の記録なども遺っている。かわいそう ちなみに、このSwitchピンぼけ君は財団がヴェールを放棄した日のことを記録に残している。 突然、あらゆるソーシャルメディアが活動を止めた。ネットもテレビも、あのデカデカとしたロゴで埋め尽くされた。3本の矢が円を貫く、例のロゴだ。奴らは財団の者だとか名乗って、瞬く間に世界規模のビッグ・ブラザーへと成り上がった。 (中略) 陰謀論は雨後の筍のごとく飛び交った。"ピンぼけ"は奴らの仕業だの、正体はフリーメイソンか共産党、大魔道士で、国連と一切の政体を滅ぼし、地球を掌握するのが目的だの、色んな説が唱えられた。 また、財団内部記録には 「私のウクレレがサブマシンガンに“ピンぼけ”してしまった!と思ったら今度はココナッツカップケーキに化けた!!」 という嘆きも遺っている。 ……財団でウクレレと言ったらあの人物しかいないだろう。かわいそう 付録Ⅲ - OBSR-1型オブザーバー分類器 さて、話は変わって観察者AIの開発の話題に移る。 観察者AIの名前は、(おそらく「Observator(観察者)」からとって)「OBSR型オブザーバー分類機」と名付けられたのだが、2021年3月からはその1号機、「OBSR-1」の研究をしている。 そこで、前の世界の研究員が遺した研究メモをもとにOBSR-1がどのように開発されていったのかをみていこう。 まず、OBSR-1に求められる性能は次の4つ。 観察物の理解。 完璧な語義分類の実現。 42ms以内の分類遂行。 観察者候補の33min以内の玉座到達。 要するに、 「カメラで観察物を見て、人工知能を駆使して観察物を理解する」→「42ms以内に完璧に語義分類する」 をすればいいわけだ。 「玉座」って何?という話だが、玉座とは、(明言はされていないが)観察者が観察者として機能するために居なければいけない場所だと思われる。しかし具体的なことは不明。(*2) まあ、観察者AIを玉座に持っていくのはO5-2の仕事であるから、ここでは深く考えなくてよい。 また、42msについては、秒に直すと0.042秒となり、かなり早く語義分類しないといけないことがわかる。 ちなみになぜ42msなのかというと、観察者効果が完全に切れてから物体が”ピンぼけ”するまでの時間が42msだからだ。 まあ、早くするだけなら設計を最適化すればいいだけ。問題ない。 問題は「理解」と「完璧な語義分類」。 まず「理解」についてだが、これは並の人工知能にはできない。 なぜか。現在の人工知能には「意識」が無いからだ。観察物を理解するためには、本当の意味での人工知能を作らなくてはならない。 そもそも人間の意識についての研究も難儀しているのだから、人工知能に意識を持たせるなんてかなり難しいことだろう。 そして「完璧な語義分類」についてだが、O5-3が研究チームに対してSCP-1539というオブジェクトのアクセス権を与えてくれた。 SCP-1539とはとある場所系オブジェクトで、ここに81秒以上とどまると、その物体/生物は「物質の性質」と「物質の意味論的アイデンティティ」というものに分離してしまう。分離した意味論的アイデンティティは、ほかの「意味論なし」の物体と再接着するかもしれない。 これにより、SCP-1539では「40代男性の声で喋る洗濯機」や「財団エージェントである皮財布」が発生している。 ……何を言っているのかわからないが、とにかく「意味」を基準に作用するSCP-1539を研究すれば「語義分類」がどういうことなのかがわかるかもしれない。 ただ、SCP-1539は不純な情報が多く、そもそも認識災害であるそうだから研究は時間がかかりそうだ。 さて、時が経って研究開始から約半年。この期間にさまざまなことがわかった。 まずは語義分類の「分類」についてだが、研究チームは試作機として「見たものすべてをリンゴだと分類する機械」を作った。 そして、そのうえでリンゴだけを見せたところリンゴの“ピンぼけ”率は何一つ変わらなかった。 要するに、完璧に近づけるには「リンゴ」だけではダメなのだ。「質量が◯◯で、表面の平均RGB値は✕✕、パイロット社の油性ペンで3センチ大の財団ロゴが描かれた、~~のリンゴ」くらいまで分類してはじめて、実用的な観察者になる。実際、試作版のOBSR-1はこのくらいまで分類している。 次に「語義」についてだが、研究チームは「必要に応じて”リンゴ”と出力できる機械」を作ったのだが、これにリンゴを見せても相変わらず“ピンぼけ”は発生する。 しかし、“ピンぼけ”の先はリンゴという概念に関係するものに限定されるのだ。例えば、「青いリンゴ」「大きいリンゴ」「リンゴの絵」など。 ただ、「完璧な語義分類」を目指す以上、こんなリンゴのような挙動では満足できない。最終的には完全に物体を固定したいのだ。“ピンぼけ”が発生してはならない。 そんなこんなの研究の結果、2021/10/21にOBSR-1試作機が完成した。 結果は及第点らしく、システム的な解説は省いてしまうがなんとかSCP-2000の“ピンぼけ”を止めるくらいのものはできたらしい。 「完璧な語義分類」については、さきほど記載したような超細かい分類をすることでなんとか「完璧」に近づけているのだが、実はその分類は全て研究員の手書き。一刻も早くSCP-2000を守りたい今はこれでもいいだろうが、財団の最終目標は全世界を“ピンぼけ”から守ること。全世界のものをこんな細かく手書きするわけにはいかず、根本的な解決には至っていない。 これを解決するため、研究チームはGAN(敵対的生成ネットワーク)というものの研究を開始した。 また、語義分類には「42ms以内」という早さも要求される。 これを解決するため、OBSR-1は非生物で、動かないものしか守れない仕様になっている。 つまり、休止状態のSCP-2000を守ることはできてもSCP-2000から生まれてくる人々や、稼働状態のSCP-2000は守れない。まだSCP-2000を動かすことはできないのだ。 ただ、これで「42ms以内」という条件を満たし、「完璧」という条件も、完全言えないものの98.438%の精度での語義分類ができるようになった。OBSR-1の存在は、前の世界の情報を現在まで残すのに活躍したとされている。 しかし、OBSR-1試作機が完成する少し前にはSCP-2000を守っていたSRAの1つがフラミンゴの大群に“ピンぼけ”してしまった。 これは過去最大質量の“ピンぼけ”であり、O5達は前任の観察者効果が予想より早く切れることを懸念している。OBSR-1が完成したからといってのんびりしてはいられない。 その後、研究チームは3500台のOBSR-1を駆使してSCP-2000を守り、BZHR(人間のクローンを作り出せる装置)を用いて、予備として50ロット分の職員を作り出した。これで、財団職員が“ピンぼけ”で少なくなってしまっても安心だ。 付録Ⅳ - 資料収集 ここで、また前の世界から回収された情報をみていこう。 まずは衝撃的なニュースから。 こんな世の中であるから、もちろん人間だけでなくアノマリーも“ピンぼけ”する。ただ、“範囲外”である関係上、“ピンぼけ”先がアノマリーになることはなく、財団職員にとっては収容すべきものが減ってラッキーな感じなのだが、ここでとあるアノマリーが“ピンぼけ”してしまった。 それは、文字通りの不死身の爬虫類。誰もが絶対に死ぬはずないと思っていたモノが塩酸の中で“ピンぼけ”してしまったのだ。 こんな最強クラスのモノですら、“ピンぼけ”の手からは逃れられない。職員たちは遅かれ早かれ自分も“ピンぼけ”の餌食になってしまうということを察したのだった。 続いて、とある生存者コロニーにて。 こちらの「男性A」は、妻との間に子どもを授かり、そして妻が出産したのだが…… 男性B お伝えした通りです。あなたのお子さんは生まれるなり、"ピンぼけ"したんです。こちらにあるのはお子さんが変化したものです。お望みでしたら…… 物が倒れる音。数人の怒鳴り声が伴う。 男性A (大声で)誰が信じるってんだ!テメェら……テメェらはちょっと中に入るなり、すぐに戻って告げてきた。こんなグチャグチャのペーストが子どもだって?これが医者のやることかよ!ああ?テメェら全員クズだよ……ろくでなしの……返せようちの子を! (中略) 女性 ああそんな!見て! 男性B あれは……子ヤギ? 男性A あれは……うちの子だ。あれはうちの子だ! 物が倒れる音。その後、沈黙がしばらく続く。 男性B ご主人、これは2回目の"ピンぼけ"なんです。通報しなければ…… 男性A 嘘だ……黙れ。子どもが煩がるだろ……なあ、妻と面会して良いか?我が子を見せてあげたいんだ。ああ、僕の坊や。なんて無垢な坊やだろう。 一方で、こちらの生存者コロニーでは 女性 マーク!良かった、やっと繋がったわ!こっちの電波はダメ過ぎてダメ過ぎて。2番コロニーの様子はどう? 男性 言ってくれるなよ、リサ。職員が1人、発電機のメンテ中に"ピンぼけ"して、謎の腐食液に変わってね。そのまま発電所を爆破しちゃったんだ。それから、予備電源が入らないOBSRが数台あって、それで4棟の建物が"ピンぼけ"。うち1棟はほとんど同質量の水になって、敷地の半分を押し流した。そのあと、また何台かのOBSRが故障して……連鎖反応が起きた。そんなこんなで、僕らは命からがら逃げ出したってわけさ。 女性 ああ、神様…… 男性 祈ってる場合かよ……こっちにはトラック2台分の生存者と、携帯式のOBSRが……ああもう、何だよ畜生! 女性 マーク?マーク! 男性 ふう……ふう……大丈夫。ついさっき、水牛が1頭、いきなり突っ込んできてね。そいつ……そいつは今、緑の電話ボックスに変わったよ。とにかく、僕らのOBSRはもうじきバッテリー切れだ。おおよそ、残りは20分くらいだろう。君たちは早く、替えのOBSRを用意してくれ。ゲートに着き次第、僕が君を呼ぶよ。 女性 分かったわ。どうか無事でいてね、マーク。 男性 君もな。それじゃあ。 もはや、「Switchが“ピンぼけ”した!」と騒いでいたころが懐かしく感じてしまう。 付録Ⅴ - OBSR-2型オブザーバー分類機 さて、OBSR-1は無事に完成したものの、OBSR-1は動いていないものしか守れない。 そのため、動いているものも守れる観察者AI……OBSR-2の開発がすすめられた。 これは2024年7月、OBSR-1が開発されてから約3年後の研究メモだが、ここで財団はエリア-303という場所に人工観察訓練所を設立。目的はOBSR-2を開発するうえで必要になる膨大なデータを集めるためで、1500ものOBSRコンソールが用意されている。 人工知能が発達しようと、最終的に地球で1番賢いのは我々人間。ただ、複雑な処理などはOBSR-1に押し付けたほうがいい。 そういうわけでこの訓練所において研究員たちには、栄養輸液を取り付け、脳波を刺激・増長させる電極キャップを被ったうえで1日20時間労働をしていただく。もちろん、研究員1人1人にはOBSRがついているから、複雑な処理はOBSRに任せればいい。 超ブラックだと思うかもしれないが、この時点で世界の人口は20万人を下回っており、生存者コロニーももう8つしか残っていない。ブラックだなんだと騒ぐどころではないのだ。 そして研究チームはOBSR-2までのつなぎとしてOBSR-1の改良版、OBSR-1βを開発し、生存者コロニーを守った。 OBSR-1βは、OBSR-1で登場した手動入力の分類方法のほかに、訓練を積んだGANが搭載されている。 これによりどういうことができるかというと、いちいち手書きで分類しなくても、ある程度はOBSRが自動で分類を修正してくれるということ。 これも研究員たちの1日20時間労働の努力の結晶であり、ここでOBSR-1βが学習したデータもOBSR-2の開発につながる。 しかし、研究が進んではいるが、“ピンぼけ”によって世界がZK-クラスに直行しているのは事実。そして、生存者も残り時間も決して多いとは言えない。 研究チームは、BZHRで作っておいた予備クローン職員を1ロット分投入した。職員は全員協力的であったのだが…… 私は開発チーム所属のため、彼らとの関わりは免除されているが、正直なところ罪悪感を抱えている。私は彼らに会ったことがある。訓練所が立ち上がったあの日、彼らはひっきりなしに震えていた。まるで、窒息しかけの魚が池に投げ込まれた時のように。コンソールは青々とした光を発していた。数日後に再び訪れたところ、彼らの目は見たことがないほど血走って 失礼、研究メモに書くことではなかったな。 カクペルが逝った。最後の1人だった。彼は今、高さ2メートルの硫酸銅の結晶になっている。私はそれを訓練所の一番前に置いた。円柱形の大理石に載せ、ガラスで覆い、OBSR-1を取り付けた。 誰も反対する者はいなかった。 O5-2(*3)がやってきた。私は我を失った。彼女に掴みかかり、沢山のことを詰問した。彼女は私を咎めず、包み隠さずに明かしてくれた。O5は残り6人で、コロニーは残り2箇所。私は初めからジェシー・ファングだったわけじゃない。16人目のジェシーだった。 こんなの書きたくない。 研究員をはじめとした生存者たちにも、もう限界がきている。 50ロット作ってあった予備職員も今ではもう9ロットしか残っていない。生存者コロニーも残り2つ。 しかし、まだ希望はある。そう、OBSR-2が完成したのだ。 OBSR-2は、OBSR-1と違って動いているものや生きているものを“ピンぼけ”から守ることができる。速度も42ms以内であり、問題ない。入力もOBSR-1のころは480pだったのがOBSR-2は4Kに進化した。制度も97.46%なのでまあ大丈夫だろう。 ただ、OBSR-2には1つ致命的な欠点がある。 それが、ある指定された行動パターンに従った行動をし続けないとOBSR-2は機能しないということ。 すなわち、OBSR-2で人間を守ろうとしたら、あらかじめ設定しておいた行動パターンに従って、永遠にロボットのように生活していかなくてはならない。そうでないと、OBSR-2はエラーを吐いてしまう。 実際、OBSR-2にて守られていた「ジェイコブ」という研究員も、 ジェイコブは昨晩、何か閃いたのか、「エウレカ」と一言叫んだ。記述外の行為であったため、彼はピンぼけしてしまった。 もはや、OBSRの力がないと即座に“ピンぼけ”してしまうほど世界は危機的状況にあるのだ。OBSR-2に欠点があろうと、欠点に従って生きていくしかない。 ただこのOBSR-2、機械類を守らせるにはうってつけなので、これで研究員たちは機械類が“ピンぼけ”してしまうのを恐れる必要がなくなった。 次の目標は、ロボットのようなことをしなくても動いているものを固定できる、OBSR-3を作ることである。 を完成させれば、それをSCP-2000に取り付けて稼働させれば世界は元の姿に戻る。 ただ、この頃には生存者コロニーはもはや存在しない。 人工観察訓練所は閉鎖されてしまった。50ロットあった予備職員も、あと1ロットしか残っていない。 外を探せば、すばらしく幸運な人がまだ生きている可能性もあるが、なにせOBSRが無いと即座に“ピンぼけ”してしまうような世界。しかも、おそらく「外を探す」なんて行動はOBSR-2の想定外だ。そんなことしたら自分が“ピンぼけ”してしまう。 付録Ⅵ - 資料収集 ここでは、前の世界の末期の様子が記録された資料を見ていこう。 末期ということもあり“ピンぼけ”の被害がひどく、情報が記録された正確な日時は不明である。 [電子音楽] 生存者の皆様へ。このメッセージが聞こえましたら、壁の財団マークに従って、すみやかに最寄りのシェルターへ移動してください。あなたはそこで、学習済みのOBSR-2型スタビライザーを見つけられるでしょう。 生存者支援のため、(一時停止)ゼロ(一時停止)名の医療スタッフが控えています。財団はあなたの存在を必要としています。皆様のご協力に感謝申し上げます。確保・収容・保護。本メッセージは繰り返し…… [電子音楽] かつては数名は控えていた医療スタッフも、全員死んでしまったか“ピンぼけ”の被害にあった。 これも自動放送だろう。 お次はサイト-CN-04、中国支部のサイトで記録された通信記録だ。 CN INサイト、INサイト、こちらはCN。応答を求む。 IN [Request Timeout] CN INサイト、INサイト、こちらはCN-04・盧文光博士。応答を求む。 IN [Request Timeout] CN アヌ……頼むよ、聞いてるか?聞こえたらすぐに返事をくれ。すでに13のサイトがオフラインになった。こちらでは…… IN [研究データを受領しました。これはシステムの自動メッセージです。返信しないでください] CN ……畜生! お次は、SCP-2000内部にて、おそらくO5-2がO5-1へ遺した書き置きである。 O5-2は、OBSR-3が完成して世界を戻すとき、いろいろ不都合が起きないようにSCP-2000にて調整を行っていた。 OBSR-3が完成した時、その玉座からこの地球にある全てのものを俯瞰できるように。 現在、SCP-2000はOBSR-2で守られているが、OBSR-3のデータを受信し次第、ここのOBSRは自動で更新され、ついでにOBSR-3を載せたロケットが自動で打ちあがり、地球全体をOBSR-3でカバーさせる。 BZHRについても準備はできており、今後BZHRから生まれる人間は例外なく観察者の注視を受けることができる。 O5-2は、その大事な仕事を最期に済ませに来たのだ。 これらの段取りはすべて順調に進んでいる。自動化された楽章が、遂に演奏の時を迎えるのだ。 アーロン(O5-1)、あなたはきっとこれを読むだろう。もう長くは持ち堪えそうにない。ここでの書き置きはOBSR-2の記述に含まれていない。これが私の最期、最期の贖罪だ、アーロン。希望を捨ててはならない。 私は財団を、あなたを信じt O5-2は、今回の騒動の責任を最期まで背負い続けていた。 財団を、O5-1を信じて旅立った彼女のためにも、なんとしてでも世界を復興させねば。 付録Ⅶ - サイト-CN-25通信ログ これが最後の付録となる。 これは、サイト-CN-25という中国支部サイトのバックアップデータに残っていたもので、当時サイト-CN-25の管理官(*4)であった程玖章博士と、O5-1(アーロン・シーガル)との会話が記録されている。 程博士 ハロー?こちらはサイト-CN-25の程玖章博士です。聞こえますか? O5-1 聞こえてるよ、程。すこぶるはっきりとな。こちらはアーロン・シーガルだ。 程博士 おっと、初めまして監督者さま。コンタクトできて大変光栄であります。 O5-1 いまさら礼儀なぞ要らんよ、程。アーロンと呼んでくれ、こっちの方が好みだ。 程博士 ええ、承知しました。アーロンさんがいらっしゃって本当に良かった。 偶然にもO5-1と連絡をとることができた程博士。 ここで、程博士はO5-1にOBSR-3開発の進捗を尋ねられる。 OBSR-3については、これまでの研究員たちがある程度完成させており、程博士はそれを継ぐ形でOBSR-3の開発をすすめているらしい。とりあえず現在は万事順調だそう。 ちなみに、程博士はサイト-CN-25で元気にやっているらしい。 もっとも、注射でご飯を食べたり、睡眠は薬でズドンと済ませたりしているあたり、快適な生活とは言えないだろう。 さらに、OBSR-2に守ってもらっている以上OBSR-2に設定されていない行動をとった瞬間に“ピンぼけ”してしまう。実際は一瞬たりとも気が抜けないだろう。もちろん、程博士だけでなくO5-1もそんな感じだろうが。 ここで、程博士はO5-1になにやら聞きたいことがあるようだ。 程博士 分かりました。しかし……やっぱり一つ、どうしてもお尋ねしたいことがあります。人間は僕たち2人で最後、そうですよね? O5-1 そうさな、程。我々で最後だ。 程博士 やっぱりか……うん。受信データが自動メッセージだらけになった時点で、うすうす予感してはいたんですよ。 O5-1 君たちには悪いことをしてしまったね。 しかし、程博士はさほど問題ないと言う。 エネルギー的には、程博士1人で1つの原発のエネルギーを独占しているのもあって余裕で足りるし、サイト-CN-25も程博士もきちんとOBSRで守られている。 OBSR-3の研究ももう大詰めで、サイト-CN-25には最先端の設備が整っている。 そしてなにより、程博士は1人ではない。仕事の合間にはO5-1とこうして話すことができるようになった。 程博士 一番重要なのは──あなたと話せることです。これだけに限っても、僕の暮らしは過去の3年間より百倍も良くなりましたよ。 O5-1 私も同意見だ、程。君がいてくれて本当に嬉しいよ。 程博士 ありがとうございます。ではそろそろ、仕事の方に戻りますね。何かあれば、すぐにそちらに連絡します。もちろん、そちらも何かありましたら、いつでも僕に繋いでください。お喋りするのは好きですからね。 O5-1 把握した。では行くのだ、程君。 程博士 仰せのままに、サー! ここで次の通信ログに移る。またO5-1が程博士にOBSR-3の進捗状況を聞くが、すこし問題が発生したらしい。 ただ、それも時間をかければ解決するものらしいので心配はないだろう。 ちなみに、 程博士 ははは、もし院生の時、「アセンブリ(*5)で機械学習をやれ」なんて言われたら、僕はきっとあなたを酔っ払いだと思ったでしょうね。 (中略) 当時の僕らは、ありったけのマシンパフォーマンスを使って、あらゆるものを42ms以内にぶち込む日が来るとは思いもよりませんでした。時代の変化には驚くばかりです。 話題は、程博士とO5-1の休暇についての話に移る。 程博士は、これが終われば落ち着ける日を見つけて、ソファでゴロゴロ、コーヒーを飲みながら午後を読書に費やしたい……と口にするが、O5-1はこれが終わったらO5を再結成して各支部を再建して、山のような書類と出張の日々に追われることになるだろう。もともとO5に休日なんて無いも同然らしい。 それを聞いた程博士から提案が。「いっそのこと、今が休暇だと思えばいい。」 今のO5-1の仕事なんて程博士の進捗を監督することくらい。で、程博士はOBSR-2の関係でどこにも行けないし、要するにO5-1は暇なのだ。 もちろん、O5-1もOBSR-2で守られているから身動きはできない。そこで 程博士 頭をリラックスさせてみてください。それだけでもずっと楽になります。張り詰めていた神経を緩ませるんです。ぜひお試しを。 程博士 アーロン? O5-1 オーケイ、試してみるよ。 お次は、3つ目の通信ログと4つ目の通信ログをまとめて記載する。 かねてより、程博士は「なぜ物体は原子単位で“ピンぼけ”しないのか」ということを疑問に思っていた。 “ピンぼけ”してしまうものはいつも、「1人の人間」「1輪の花」「1台のテレビ」であって、たとえば植物の葉だけが“ピンぼけ”することはあまりない。 実際、OBSRの仕組みもこの法則に則ったものになっており、OBSRは「もの」を認識して語義分類するのであって、原子単位まで解析して分類しているわけではない。これで実際に効果は出ているのだが、なぜこうも「キッチリ」“ピンぼけ”が発生するのかが謎である。 しかも、“ピンぼけ”先の物質は致命的なものにならないという法則がある。“ピンぼけ”が起こってしまった物体は、理論的にはすべての物体のうちの1つに確率で変わるはずなのだが、何年たっても、物体が「ブラックホール」や「反重力物質」に変化した例はない。 これに関しては最初のほうに話が出てきたが、ブラックホールや反重力物質といったものは“範囲外”なのだ。“範囲外”のものに“ピンぼけ”することはないのだが、実をいうと“範囲外”がどのような意味なのか分かっていない。 程博士 "範囲外"?それは一体?誰が言ったんですか? O5-1 前任の観察者だ。だが、私も正直なところ、意味を図りかねている。 程博士 あっ、そういえば!アーロンは前任の観察者に会ったんですか? O5-1 左様。 程博士 羨ましいなあ。どんな方でした? 程博士 アーロン? O5-1 彼は時々、ソフィアの父親を思い起こさせる。 程博士 ソフィア、といいますと? O5-1 O5-2だ。 程博士 ああ。以前お会いしたような気がします。彼女は僕らの分類器を玉座まで持っていく役目を負っていました。 O5-1 そうだな。 程博士 そういや、これも聞いてみたかったんでした。玉座とは一体何なんです?それらしき資料は一つも見当たらなくて。 O5-1 言葉では玉座を説明できんな。 程博士 うーん?いまいち分かりません…… O5-1 私は玉座を見たことがある。少しの間、指先で触りもした。だが、言語で言い表せる代物ではないのだ。すまんな、程。今回ははぐらかしてるわけじゃないぞ。結局の所、ソレはそういうものなんだ。 程博士 そうですか…… O5-1 財団は人智を遥かに超えた事物と何度も関わってきた。観察者と玉座は、その中の一例に過ぎないのだ。 程博士 ええ、僕もよく理解しています。 この日の通信はこれで終わりだが、その後、程博士はとある発見をする。 それが、収容プロトコル-ZK-アルファ。そう、あのSCP-001 S・アンドリュー・スワンの提言である。 これの解説はSCP-001のページに載っているが、簡単に説明するとSCP財団は物語の世界であり、SCPオブジェクトは全て創作物であるというもの。要するにメタネタだが、これを使うと“ピンぼけ”現象の謎が一気に解決する。 もちろん、SCP-001は最高機密であるから程博士は不正アクセスをして報告書を見たわけだが、財団職員なんて2人しか残っていないのだから気にしてもしょうがない。 まず、世界に存在するすべてのものは原子からできている。 しかし、財団世界にとってそれは半分不正解。財団世界に存在するすべてのものは言葉でできているのだ。SCP世界の正体は文芸サイトであり、アートワークという例外はあれど基本的には文章で世界が形作られていく。 観察者がずっとしていた「語義分類」という行為は、SCP財団を形作っている言葉を全て視て、観察し、理解し、安定させる行為だったのだ。だから、観察者が居ないと「物語内の言葉/描写」と「財団世界の物質」の間に齟齬が生じてしまうために存在が不安定になり、描写が“ピンぼけ”してしまう。 原子単位の“ピンぼけ”が起こらないのは、物語の文章で原子1つ1つの様子を描写したりしないから。 玉座が言葉で表せないのは、玉座がこの世界に属していないから。玉座は言葉で形作られてない、もしくは財団世界の人間には理解できない言語で形作られているのだ。 O5-1は、そのSCP-001が真実とは限らない、フェイクである可能性があることを程博士に伝えるが、程博士は実際にこの発見がOBSR-3の開発に役立っていると話す。 程博士はOBSR-3のトレーニングデータに、人間の言語資料から見つけた限りの語彙をぶち込んだところ、そのデータがモデルとピタリ噛み合い、今までのテスト結果すべてを足したものよりも優れたモデルが完成したという。OBSR-3はもう目と鼻の先だ。 そして程博士は言う。この騒動が1つの物語なのだとしたら、こんなに悲しくて辛い物語なのだから、私たちはきっとハッピーエンドをつかむだろう、と。 少なくとも、“ピンぼけ”でブラックホールが出現して世界終焉!なんて結末にはならないはずだ。そんな物語は誰も好きになれないから。 そうしてまた時がたった後。 程博士はO5-1に、中国の旧正月の話をする。 観察者が死亡したのが2021年の2月10日。そして、中国の旧正月は2021年の2月12日である。旧正月2日前の出来事だったのだ。 この騒動が無ければ、財団中国支部の職員たちはもうすぐ旧正月休みに入っていた。 仕事のことを忘れ、賑やかな宴会をしたり年々つまらなくなる年越し番組に文句を言ったり……程博士も実家に帰る予定だったという。 といっても、この程博士はBZHRで生み出されたクローンなので、その日を実際に経験したわけではないそうだが、記憶はしっかりと受け継がれるのだろう。 O5-1 そういえば、君たちの国ではとても賑やかな祝賀行事があるらしいな。 程博士 実を言うと、我が家ではそうでもなかったりします。市内の親戚と軽く食事をするくらいで。一番厄介なのは、親戚にあれこれ聞かれてしまうことです。両親は僕が具体的に何をやっているか、ちっとも知りませんので。……まあ、翌日には全世界にバレちゃったんですが。 O5-1 Kクラスは人間の暦で動いてはくれないからな。 程博士 ええ。ですから僕も、軽く思いを巡らせていただけに過ぎません。 O5-1 君は懐かしく思うかね?あの時代を。 程博士 懐かしんでないと言えば嘘になります。でも、あの時代は遥か遠くに行ってしまった。あまりにも遠すぎます。あの頃のことはもはや、ピンぼけした写真のように、霞んで見えなくなってしまった。 程博士 おっと、すみません。ここでのピンぼけは無意識に飛び出たもので、専門用語では…… O5-1 いいや、ピッタリな表現じゃないか。 そこで、O5-1は程博士にある提案をする。 それは、「SCP-2000で戻した時のリスタート地点を旧正月にする」というもの。 “ピンぼけ”のせいで台無しになってしまった旧正月を、今度こそ安心して暮らせるようにする。 程博士は「僕の一存で決めていいことではない」と断るが、どうせ決める人なんて他に居ないし、O5-1はいつでもいいと思っている。 程博士 ……オーケイ、乗りますよ。とても魅力的な話だ。 O5-1 では、そういうことで決まりだな。 程博士 ありがとうございます、アーロン。 O5-1 礼なぞ要らんよ。君は十分すぎるほど頑張ってきた。莫大なお釣りが来るほどにな。これは君が得るべき報酬だよ。私に出来るのはそれくらいだ。 そんなこんなでまた月日がたち、ついに…… 程博士 アーロン、やりました。OBSR-3が完成しました。 O5-1 でかした! OBSR-3の語義分類の精度は99.999963%。速度も42ms!動いているものも安定できる!そのうえスムーズで、正確で、効率も良い。完璧無比ともいえるOBSR-3を程博士は完成させたのだ。 OBSR-3には、世の中が正常だったころには考えられなかったような、前人未到の機械学習がとりいれられている。SCP-2000で世界を造り直した後にこの技術を一般に公開すれば、人類の技術は桁違いに発展すると程博士は言う。 しかしそうはいかない。財団は歴史の過程を守らなければいけないからだ。しかるべき時まで、その技術は財団が隠し持つことになる。 さてさて、OBSR-3が完成したということで、そのデータをO5-1のところに送り、O5-1がそのOBSR-3を玉座に持っていき、SCP-2000に送信すれば、晴れてSCP-2000が世界を元通りにしてくれる。 しかし、程博士がなんとOBSR-3のデータをそっちに送れないと言い出した。 どうやら、隣の部屋にあるサブの電送機にケーブルを繋がないといけないらしい。しかし、その行為はOBSR-2に記載されていない。 どうも、程博士がOBSR-2に固定された日は“ピンぼけ”がひどく、十分なトレーニング無しにOBSR-2に固定されてしまったせいでこんなケアレスミスをしてしまったという。 ケーブルを繋ぐくらいのことであれば“ピンぼけ”してしまう前にできるのでデータの転送には問題ないが、それと引き換えに程博士は“ピンぼけ”してしまう。 実をいうと、O5-1も同じ状況なのだ。 OBSR-3のデータを受け取ったら、OBSR-3が観察者として機能するように玉座まで持っていかなければいけないのだが、その行為はOBSR-2に記載されていない。 というかO5-1曰く「OBSR-2が理解できるものではない。-3だって無理かもしれない。」とのこと。 結局、人類で最後まで頑張った2人でさえも、世界の夜明けを拝むことはできないのだ。 程博士もO5-1も、いちおうSCP-2000搭載のBZHRが造り直してはくれるが、造り直す元となるデータはおそらくこの騒動が起こる前のデータだろう。 アンニュイ・プロトコルもあるし、O5-1も程博士もここでの記憶は失ってしまう。 O5-1 もうしばらく待ってみるかね?時間はまだたっぷりあるぞ。 程博士 良いんです、アーロン。すべての終わりはもう、僕たちの手のひらにあります。感傷に浸っている場合ではありませんよ。……おっと、ちょっと失礼…… 程博士 やっぱり数分ほど待ってください。アドレナリンを探してきます。ここに来て、ガタガタ手が震えてきちゃいました。 O5-1 ああ、急がなくても良いさ。 程博士 オーケイ、こちらは準備完了です。これでお別れですね。アーロン、あなたと知り合えて本当に良かったです。 O5-1 私もだよ、程。私も同じ思いだ。 程博士 そちらの準備はどうですか? O5-1 大丈夫だ。 程博士 それでは、行きましょうか。僕とあなたで。OBSR-3のデータを送りますので、あなたが玉座へともたらしてください。 O5-1 しかるのち、世界は美しくあり続ける。 こうして、2人の努力の結晶の上に出来たOBSR-3の設計図データは、現在SCP-CN-2999に登録されている。 そして、██台のOBSR-3が宇宙から地球全体をカバーして、この世界の全てを見守っている。もちろんSCP-2000も一緒だ。 人間についても、BZHRを通じて全人類の遺伝情報に埋め込まれているモニタリングバイオチップというものとOBSR-3で連動してすべての人間を観察。“ピンぼけ”から守っている。 この騒動から世界を救い、もとの日常に、美しい世界に戻したのは紛れもないSCP-2000、すなわち Deus Ex Machina(機械仕掛けの神)。 そして、その機械仕掛けの神を守ったものこそ…… SCP-CN-2999 Observator Ex Machina 機械仕掛けの、観察者。 余談 最初でも触れたが、当作品は中国支部にて行われたSCP-CN-2000コンテストにて、現SCP-CN-2000である「カオス理論」に次いで2位を獲得した作品である。 現在の評価(*6)は驚異の+1000。 中国支部はサイトメンバー数(=投票権)が日本支部より多いため、日本支部と単純には比べられないが、日本支部で+1000と言ったらあの緋色の鳥と同じくらい。相当な高評価を得ている。 また、作中で何度も登場した「42ms」という数字。これの元ネタは究極の全ての答え。 また、観察者AIが玉座に到達しなければいけない制限時間の「33min」は、人の天国における年齢が33歳なのが元ネタ。 + ... 結局、彼らは成功したのだろうか? 彼らは上手くやったよ。観察者は今、完全に財団の統制下に置かれているからな。 言い換えると、彼らは世界のすべてを制御でき、どんな秘密も逃れることは出来ない……そういうことだろうか? 原則的には、そうだ。 どうして"原則的には"なんだ? その後の成り行きは、彼らが誘惑に我慢できるか否かにかかっている。 では、彼らは我慢できるだろうか? 歴史を振り返るに、不可能だ。 いささか残念だな、それは。 残念がらなくても良いさ、 ドウグラス 。君自身よく分かってるはずだ。初めからこれは、彼らの犯した罪であり、罪が罪を生んでいることを。 追記・修正はOBSR-3のメンテナンスをしてからお願いします。 ▷ クリエイティブコモンズに基づく表示 SCP-CN-2999 - Observator Ex Machina by DouglasLiu 公開年 2021 http //www.scp-wiki.net/scp-cn-2999 http //ja.scp-wiki.net/scp-cn-2999(翻訳) このコンテンツはCC BY-SA 3.0ライセンスのもとで利用可能です。 この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] コンテスト2位は別にしょっぱくないと思うけど -- 名無しさん (2022-08-05 00 50 15) カオス理論より先にこっちが来たか -- 名無しさん (2022-08-05 10 15 17) なんで観察者が死ぬまで一切の研究をしてなかったのか謎。O5-2のやらかしが無かったとしても100年くらいしか保たないなら、もっと早くから研究してそうだけどな。 -- 名無しさん (2022-08-05 14 49 47) 機能しなかったり破壊されたりなこともあるけどやっぱ2000はつよいなあ -- 名無しさん (2022-08-06 18 42 41) ドウグラスってなんですかね? -- 名無しさん (2022-08-21 18 06 12) ↑SCP-CN-2999作者さんの名前(DouglasLiu)です。本来はDouglasLiuタグのついたページ一覧にリンクするはずがミスで繋がってませんでした -- 名無しさん (2022-08-23 17 03 34) Sアンドリュースワンの提言なんて知ったら普通絶望するものなのに、程博士は逆にこれで研究が進むぜひゃっほーなのが新鮮 -- 名無しさん (2022-09-15 18 36 03) 面白かった -- 名無しさん (2022-09-27 01 41 32) 程博士がO5-1に「今が休暇だと思ったら?」と言ったら1がピンぼけしちゃうんじゃないかとヒヤヒヤした。その後の展開の方が泣けたので、あーもしあそこで彼を失ったらこの結末もなかったんだろうなとも思ったけど。 -- 名無しさん (2023-04-07 08 06 46) CN-2000も良かったが、こっちも甲乙つけがたいくらいに良い作品やな -- 名無しさん (2023-05-28 00 09 47) ↑8 逆や逆 観察者から観察者の死亡予定日の話を聞かされたから最速で対策を練ろうとしたらそれが予定外に観察者を死なせたのがこれの始まり -- 名無しさん (2023-12-06 00 19 22) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/42107.html
登録日:2019/05/24 Fri 20 59 07 更新日:2023/10/12 Thu 22 45 40 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 SCP SCP Foundation SCP-3930 SCP財団 djkaktus 無 虚無 人は虚無を嫌うが故に鏡像を作り出す。されど鏡像は鏡像であるが故に憎み、そして叫ぶ SCP-3930はシェアード・ワールドSCP Foundationにおいて登録されたオブジェクト(SCiP)である。メタタイトルは「pattern screamer(パターン・スクリーマー)」。本部の準要注意団体であるpattern-screamerと同じ名を冠している。 オブジェクトクラスはN/A。つまりオブジェクトクラスは割り当てられてないようだ。……どう考えてもおかしいがこの疑問はひとまず置いておいてほしい。 特別収容プロトコル SCP-3930に割り当てられた職員はロシア、ウシンスク近郊のS5-C9区域をモニターし、サイト駐在の司令の命令に従います。SCP-3930に割り当てられた職員は区域内には何も存在しないこと、同様にSCP-3930は存在しないことを認識しなくてはなりません。 これが特別収容プロトコルの全文だ。サイト司令に従いながら周辺を監視するだけの簡単な仕事である。この中でもSCP-3930を認識してはならない、では無くSCP-3930は存在しないことを認識しなければならないという点がミソ。 説明 SCP-3930は存在しません。 何故ならSCP-3930は存在しないためである。 追記・修正は虚無の存在を認識してからお願いします。 △メニュー 項目変更 -アニヲタWiki- このファイルの残りはレベル5/3930に分類され、制限されています。 [ 資格情報を入力 ] SCPF管理者命令 以下のファイルはレベル5に分類、制限されています。 適切な資格のないアクセスは禁止されています。 概要 勿論存在しているので安心してほしい。SCP-3930とはロシアのウルシンスク近郊に位置している直径1km内のどこかにある静的な空虚である。この空虚、光や音を発したり吸収したりせず、形や手触りを持たず、通過、相互作用せず、寸法を持たないことが様々な調査によって分かっている。にも関わらず、人間がSCP-3930を直接観察するとその空虚の中に周辺地域と同様の森とか動植物やマンションなどの構造物が存在していると知覚してしまうという。 また、SCP-3930には実在する存在は通過できず、相互作用できない。そのため、人が空虚に踏み込んでも吸い込まれたりガオンッしたりすることはないようだ。それにも関わらず、空虚に進入しようと試みた人物をSCP-3930外から観察するとSCP-3930内に進入できたように見える。では空虚に入った奴は実際にはどうなっているのかというと、 人間がSCP-3930の非実在の”境界”を通過する瞬間、彼らは存在することをやめます。 と書かれているため、恐らく物理的に身体を削除されているのではなく、概念的な意味で実体が存在することをやめているのだと思われる。……矛盾してるのかしてないのか。 そしてこのSCP-3930。どうやらSCP-3930の性質への理解度が高い人物の数によって特性が大きく変化し、その人数を10人以内に抑えなければ安定しないらしい。しかも記憶処理が通用せず、その人物が死亡しても人数の減少にカウントされないというお墨付き。唯一、その人物を空虚に進入させることで非実在にさせるという人身供養めいた方法であれば変化を抑えることが可能なようだ。そのためレベル5に分類されたファイルには財団職員の中でも存命の内7名のみがアクセス許可できることとなっている。残り3名の内2名は試験目的用、1名は一般人用に空けておくとされている。 このへんてこな説明だが、レベル5ファイル上でも収容のためにSCP-3930の非実在性を維持することは重要らしく、そのためか後々出てくる情報をかなりぼかした形で書かれている。オブジェクトクラスはレベル5上でも割り振られていない。 探索ログ SCP-3930には記録機器も進入した時点で存在をやめ、機能が停止することが分かっている。じゃあ内部探索とかどうやって記録すんのと思われるが、これもなんとSCP-3930の特性によって、実際には機能停止していても外側からの観察者が居ればその観察者はSCP-3930の中の映像や音声を認識し続ける事が可能な事が判明していた。 これを知った財団はDクラスのD-124に無線を持たせて侵入させ、3930/7/4は存在しないD-124との応答を別の録音装置に繰り返して記録し、3930/3/3がその応答の正確さをチェックするという方法で探索を記録することに成功したのだ。D-124に慈悲は無い。 そして記録に成功したログが以下のものである。 [ログ開始] 3930/7/4 よし、D-124、君に前へ歩き出してもらいたい。目の前に見えるものを説明してくれるか? D-124 木だ。ただの木。 3930/7/4 何か動物や生き物はいるか? D-124 いない。 3930/7/4 よし、前進してくれ。 沈黙。 3930/7/4 君はアノマリーの境界へと接近している。今は何か見えるか? D-124 見えない、まだただ ― この時点で、D-124はSCP-3930へと消失し、存在をやめた。音声モニタリング機器により、彼の無線が機能を停止したことが確認された。にも関わらず、3930/7/4も3930/3/3もこれに気づかなかった。 D-124 ― 木と藪と、ゴチャっとしたものがあるだけだな。 3930/7/4 前進し続けてくれ。 ここからは3930/7/4達が曝露している認識災害の記録とも言えるかもしれない。 ここで3930/7/4の言った「アノマリーの境界に接近している」と聞いて「ん?境界ってウシンスク近郊の1km以内のどこ?」と疑問に思った諸兄がいるかもしれないがその疑問は正しい。理由は後述するが、3930/7/4が便宜上で適当言ってるだけでなく、財団も空虚の境界を正確に把握できていないことは確かだ。 D-124 ところで、何か聞こえるような。音が聞こえる。でもとても小さい。数秒前は風か草の音だと思ったんだが、でもそのどちらでもないと思う。 3930/7/4 どんな風な音だった? D-124 (間)正直、わからない。かすかだ。 D-124には奇妙な音が聞こえていた。この音は重要なファクターの一つの余波である。 そしてD-124が前進し続けていくと蔦に覆われているアパートを発見し、それの側面の6つのドアの内鍵のかかっていなかった1つに侵入することになった。中身は長い間使われていないだけのいたって普通の部屋のようだ。 3930/3/3 (マイクから遠くで)ライトを消してくれるか?めちゃくちゃに明るすぎる。 D-124はその部屋と付属するバスルームを続く5分間探索し続ける。やがて、彼は3930/7/4により離れるように要請される。 D-124 ああ、オーライ、それでは俺は ― ちょっと待て。 3930/7/4 何だ? D-124 俺は……俺はこのブラインドを開けたか? 3930/7/4 何だって? D-124 ブラインド……俺はカーテンをさっき開けたかって意味だ。寝室に入ったときに。 3930/7/4 私にはわからない。私は ― D-124 いや、たしかにやった。それから窓の外を見たので、それを特に覚えている。(間)ここには誰か他にいるのか? 3930/7/4 我々にはそう考える理由がない。いない。 D-124 では何があのクソカーテンを閉めたと言うんだ?何であれが閉まっている? 3930/7/4 我々にはわからない。 D-124 勿論、あんたらにはわからないだろうよ。だが……だが俺は絶対にこれを開けた。俺はここに来て外を見てそして……俺は、ええと……ああ、俺は外に誰かいると言ったんだからな。そして……ウム。実際のところなんて言ったか覚えていない。もしかしたら俺が間違えていたのかも。(間)変だな。 3930/3/3が言ったライトの消灯要求から皮切りにD-124の記憶がいろいろと食い違い始めている。仕切り直して探索は続けられた。向かいの部屋の探索を行ったが、静止画を映し続けるテレビしかなかった。と思ったら入った時のドアが無くなっていて出られなくなった。 D-124 ああ、これはただ……音が気が狂ったようになってきている、わかってる、俺はこの部屋にあの壁のドアから入ってきたはずだ、だが今はドアはない。代わりに窓がある。 3930/7/4 窓の外を見れるか? D-124 ああ、ええと…(間)オーライ、音が本当に狂ったようになってる。カーテンは開けられない。引っ張っても、こいつらはまるで……後ろにもっと何かあるような……。もっと後ろに何か。 3930/7/4 その部屋に他に出口はあるか? D-124 ここには ― この時点で、3930/7/4と3930/3/3のいる移動式研究ステーションの部屋の電話が鳴り、3930/3/3が出る。その間、3930/7/4は音声通信の向こう側、D-124の側でもうひとつ電話が鳴っていることを描写する。 D-124 電話が鳴っている。今までここに電話があったことに気づかなかった。ちょっと待て。 3930/7/4 おい、やめ ― D-124と3930/3/3、同期して ハロー?(間)ああ、見えている。(間)これから聞こえている。(間)そっちは聞こえるか? この時点で、3930/7/4は激しいエコーがD-124からの音声受信機から発生していることを書き留める。 D-124と3930/3/3、同期して ハロー?ハロー?聞こえるか?俺は今お前に話しかけているか?これは何だ? 3930/7/4 おい ― 電話を切れ!そのクソ電話を切れ! 3930/3/3は電話を切り、混乱を示す。音声受信機の反対側で、D-124も同様の混乱を示す。 D-124 これは何だ?そっちでは聞こえたか? ……電気製品に関する異常が多い。それはそれとして他の出口を探した結果D-124は下への階段を見つけた。 D-124 オーライ、階段を下がった。今は……別の部屋に入った。いや、待て、そうか?(間)おい、言い忘れていたが、肌が変な感じがする。 3930/7/4 どういう意味だ? D-124 石灰みたいだ。腕を手でこすると、何だか、ああ……どう言ったらいいかわからない。少しそこにはなくなったみたいな感じだ。 3930/7/4 記録した。現在の周りの状況を説明してくれるか? D-124 前の部屋と同じソファーがある、だが少し違った感じがする。部屋のサイズが違うのか?少し大きいようで、物の感覚が広い感じがする。 3930/7/4 階段を戻れるか? D-124 階段? 3930/7/4 今降ってきた階段だ。 D-124 階段が何だって? 3930/7/4 君は階段を1階下がったんじゃないのか。その部屋に入る前に。 D-124 いや、俺はドアから入った。すぐそこにある。(間)おかしいな。ドアに鍵がかかっている。ところで本当に聞こえないのか? 3930/7/4 聞こえているノイズについて説明してくれるか? D-124 まるで……あんた静かなはずのところで、音が聞こえたことはあるか? 3930/7/4 ああ。 D-124 完全に静かなところで、何か聞こえることがあるだろう?脳がギャップを埋めようとしているんだ。この音はその音みたいだ。静かさじゃなくて、脳が作り出している。そんなに大きくはないが、明らかに気づく。(間)俺が思うには、ウン……見てみる。ここから出るドアがあると思う。何処かにな。見てみる。 D-124は彼の現在いる部屋を、出口を求めて以下4時間探索する。コントロールからのD-124を部屋から出そうとする支援にもかかわらず、彼は出ることができない。 D-124の存在が消え始めている。この情報から見るに、空虚に入ってもすぐに消滅するわけではなさそうだ。そして聞こえていた奇妙な音の正体に気づき始めている。 D-124 俺はまた何かに気づきかけている。なぜこんなに時間がかかるのかわかる。全ての物の間の距離が今はとても大きい。ソファーからテレビまで歩くのに、今は10分かかる。キッチンへ行くには20分だ。 3930/7/4 何だって?いつからだ?なぜもっと早く言わなかった? D-124 わからない、俺は ― (間)、ドアにノックがあった。待て。(間)ハロー?(間)外に人がいる。そいつは俺が聞いているのか知ろうとしている。 3930/7/4 私か? D-124 そうだ、俺だ。(間)オーライ。(間)そいつは出る道があると言っている。床を、ウム、床を抜けて。彼は背中を十分寄りかからせれば、そこへ行けると言っている。それで…… 沈黙。D-124は38分間応答しない。3930/7/4と3930/3/3は38分間喋らない。 地下のはずなのに外にいる謎の人物は「床をすり抜けて下に行けば出られる」とアクションゲームのようなことを言い出した。最後の会話の「私か?」「そうだ、俺だ」という噛み合わない会話は噛み砕いて考えると、謎の人物はD-124だけでなく3930/7/4に対しても″聞いているのか″どうか知ろうとしているようだ。……38分間も喋らないのも明らかに異常である。 D-124 ホワイトノイズ。 沈黙。 3930/7/4 まだそこにいるのか? D-124 思っていたよりずっと長かった。わかってきたんじゃないかと思う。聞こえているか? 3930/7/4 聞こえているか? D-124 いいぞ、聞き逃すなよ。俺は下がった。見ろ、俺は俺が見ていたものは俺に関係あるんじゃないかと考えていた。だが全くそうじゃなかった。俺は本当にはそいつらを見ていなかった。(間)ああ、これのほうがずっと筋が通る。俺じゃなくて、お前に関係あるんだ。そんなことはどうでもいいのかもしれないが。(間)俺が前に、静かなところで何かが聞こえる話をしただろう?同じようなことが今俺の目に起きている。空白を埋めてな。 3930/7/4 何が見える? D-124 この世界には穴がある。そしてこの場所がそこに向けて引き込まれている。排水口みたいに。人もだ。俺には今実際にそれが見える。建物全体が、小さな小さな……点に向けて。砕けて壊れて。(間)オーライ、ああ。ああ、ああ、ああ。これは応答だ。反応みたいなもんだ。自然は真空を嫌わない。だが人間は嫌う。人の精神はこんなもののためには作られていない、そうだろう?人は星を見る時、そこに何かを見出す。なぜならそれが人のなすことだからだ。筋を通すんだ。秩序は人が作った概念だ。 周りの全てが穴に吸い込まれているらしい。D-124はそれの正体を理解したようだ。 3930/7/4 君が今いる空間を説明できるか? D-124 いない。 3930/7/4 どういう意味だ? D-124 俺が存在しないことをあんたはわかってるはずだ。あんたがそれに気づいたとき、これは全部終わる。 3930/7/4 私が何に気づくって? D-124 あんたはスクリーンから目をそらして、そいつを見るのを、ウム……パターンを見るのをやめなくちゃならない。俺は……もしあんたが目をそらせば、あんたには俺が見えなくなる。そしてあんたは……あんたは俺の声が聞こえなくなる。そしてそいつが俺の聞いているものだ、俺がここずっと聞いていたものだ。そうだ、これで筋が通る。あんたが瞬きすれば、あんたは全てを失い、そいつがなくなればそいつは何物でもなくなるからな。だからそいつらはあんたの注意を引こうとする。そいつらがそれに失敗すれば、そいつらは何物でもなくなる、そして…… 3930/7/4 落ち着いてくれ、私は君に ― D-124 ― ダメだ、ダメだ、あんたは目をそらして、そしてパターンは消えるんだ。あんたは聞くのをやめるんだ。そいつらの声を。そいつらは何でもないんだ、そして今は俺……わからないのか? 3930/7/4 君 ― この時点で、サイトの発電機が起動される間、電気系統に瞬断が起きる。3930/7/4と3930/3/3両名は即座に音声通信がもはや機能していないことに気づく。D-124に連絡する試みは失敗する。 [ログ終了] D-124は自分が存在していないことに気づき、3930/7/4に目を逸らすように忠告した。「そいつらは何でもないんだ、そして今は俺……」から考えるに彼も「パターン」になり始めていた。しかし電気系統の異常は基本的に「パターン」の影響だったが、外の3930/7/4に見られたがっている「パターン」が通信を切断するのは動機が一致しない。このことから、この瞬断はもしかすると彼の意思によるものかもしれない。 発見の経緯とインタビューログ 昔から複数回発見されているが、発見した人物は全員消滅したと財団は推測している。1970年代初め頃にソビエトの国家直属の科学者たちが発見し調査が始まったようだが、SCP-3930の特性に対する理解が無かったために大勢の人物が空虚を理解してしまい、それによって「何か」が起こって科学者たちのほとんどが喪失。生き残ったごく少数の中のアンドレイ・ヴァシリエフ博士が財団が介入するまで収容プロトコルを実施し続け、そのヴァシリエフ博士から財団はSCP-3930の情報を得ることに成功した形となった。その際に財団側はピエトロフ・クズキン博士がインタビュワーとして、翻訳はサイモン・ピエトリカウ博士が担当してインタビューを行った。そのログも掻い摘んで載せる。 クズキン博士 それで、チームの他の者はどうなったのですか? ヴァシリエフ博士 我々は多すぎたんだ。あまりに多くが虚空を覗き込んだ。そしてそいつは叫び始めた。 クズキン博士 叫び? ヴァシリエフ博士 もし君がそこに近づけば、それが聞こえ始めるだろう。何もないかのようにかすかだ。何かおかしなことが起きる。人の精神は何もないところにパターンを見出すように進化してきた。だから本当に何もない空間に対して、精神は無から何かを作り出し始める。聞こえるものは何か原始的なもの、ほとんど知覚できない本能だろう。我々の精神が存在しない何かを知覚しようとすると、虚空の端に沿った閃きが発生する。そしてそれは憎む。 クズキン博士 どういう意味ですか?憎む?なぜそれが何かを憎むのですか?どうしてあなたにそれがわかるのですか? ヴァシリエフ博士 我々が多すぎたからさ。我々のチームの各々が虚空を知覚していた。各々がそれを知覚しようとした。その閃き、その小さな叫びたちはやがて……結びつき始めた。間違いなく、クズキン博士、それらは現実ではない。それらはニュートリノだ。我々にとってニュートリノが何であるか。何物でもない。だがそれらはどのようにしてか、自らが何物でもないことを知っていて、そして憎しみに満ちている。それらの存在は、私が考えるには、苦痛だ。それらは自らを存在させる世界を憎んでいる。そしてそれらを存在させた我々を憎んでいる。それらは憎しみ以外の何物でもない。(間)十分な時間があり、十分な数の我々が虚空を覗き込もうとすれば、何かがそこから這い出す。(間)その後、我々10人が残された。アノマリーはそれ以来安定している。 クズキン博士 何が出てきたのですか? 沈黙。 クズキン博士 あなたはこの虚空を何か知性のある生物のように言いますが、何もないものがどのようにして知性を持つ何かとなるのですか? ヴァシリエフ博士 それらは同じものではない。虚空は虚空だ。非存在の領域。それははかり難く、変化させられないものだ。そして我々はそれについて何も知らない。だがパターンを叫ぶものたちは、そう、ある種の知性を持つ。だがそれらは、それらが我々であるがゆえに知性を持つのだ。それらは、この憎しみを湛えた鏡に映る我々自身だ。 ヴァシリエフ博士の見解では虚空は鏡のような性質があり、知性を持つものが覗くと同じような知性を持つ「パターンを叫ぶもの」が内部に生まれ、それは自らが存在していることによる苦痛に対する憎しみに満ちているという。実際に博士達が大勢で調査をしている時に「何か」が這い出てきたようだ。 クズキン博士 先日、あなた方の科学者の残りが行方不明になりました。彼らはどこへ行ったのですか? ヴァシリエフ博士 彼らは虚空へ入った。 クズキン博士 なぜ? ヴァシリエフ博士 今の我々は多すぎる。あなた方は12人連れてきた。我々は8人いた。10人以上いてはいけないんだ。一旦虚空を知覚すれば、それを忘れさせることはできない。我々は今13人いる。だが10人以上いてはならない。 ヴァシリエフ博士以外の7人は自ら虚空に入っていった。 (カメラがオフになる。クズキン博士は目をそらす。ヴァシリエフ博士は少しの間カメラを見つめる。) クズキン博士 オーライ。他に何かありますか? ヴァシリエフ博士 10人以上いてはならない。私は虚空へ行こう。そしてそれからあなた方のうち2人が続かなくてはならない。 クズキン博士 もし、そうしなければ? 沈黙。 [ログ終了] さて、このログにもある異常な点が存在している。 (カメラがオフになる。クズキン博士は目をそらす。ヴァシリエフ博士は少しの間カメラを見つめる。) このセンテンス、カメラがオフになっているのに博士達の映像が記録されている。記録機器が機能停止しても観察者は認識し続けられるという、探索ログの記録時と全く同じ異常現象が起こっているのだ。 勿論、場所こそ明言されて無いがSCP-3930内でインタビューしているわけではないだろう。では何故異常現象が起きるかというと、それに合致する情報が1つ存在している。探索ログの序盤に述べた「財団も空虚の境界を曖昧にしか把握できてないと思われる」の点だ。そもそもログの状況説明にも″D-124はこの時点で消失した″としか書かれていない。このことから、SCP-3930には明確な境界が無いか、もしくは空虚内の「何か」による要因が消失に繋がっている可能性が高い。さらにはインタビューログにいる全員が消えると丁度SCP-3930が安定する限界の10人になる。レベル5ファイル上でも10人以上いるとどうなるのか明言されていない。その上、補遺3930.1にはこの様なことが書かれている。 SCP-3930の現在の収容プロトコルの発効にあたっても、不幸な生命の喪失がありました。さらなる情報は補遺3930.3を参照してください。 補遺3930.3はインタビューログのことである。一見ソビエトの科学者7名の消失に対することに見えるが……博士達も存在しなくなったのでは? 考察 このままでは無とは一体…うごごご!な状態である。特に「パターンを叫ぶもの」の行動原理も全く明確になっていない。ひとまず、記事内の情報から読み解いて解説する。 まず、この報告書には大まかにまとめて3つの異常存在が登場している。これらは同一の存在ではないことを押さえておこう。 空虚(これがSCP-3930に指定されている) 空虚内の謎の人物。ヴァシリエフ博士曰く「パターンを叫ぶもの」 建物の下にあった全てを飲み込む穴 1つ目の空虚。こいつが人間の知覚の鏡となり、「パターンを叫ぶもの」の形を生み出したりする。穴と螺旋の影響で自然発生したものだと思われる。 次に、2つ目の謎の人物。D-124が会った者もヴァシリエフ博士の言った「知覚の鏡像、パターンを叫ぶもの」と同一存在だという前提を置く。3930/7/4が自分の話を聞いているかどうか知ろうとしていたり、D-124を穴と螺旋に案内したりと行動していたが、これだけでは動機がはっきりしない。考察要素としてヴァシリエフ博士の言った『空虚を知る我々が多いほどそれは憎む』という考えも混ぜると、恐らく謎の人物は自らを観測してほしいが、同時に相手の知覚が原因の何らかの理由で憎んでおり、そして知覚してきた相手を穴と螺旋にぶち込むか殺害することを目的としているようだ。理不尽な逆ギレ性質上SCP-3930を知る人物が多ければ多いほどパワーアップし、やがて空虚から出られるほどになり、そうしてソビエトの科学者達やインタビュー時の博士達を消滅させた、もしくは穴と螺旋にぶち込んだのだと思われる。 そして3つ目の穴。D-124曰く「静かな所で聞こえる音と同じ性質のもの」、即ち「人の精神が嫌う秩序」。周りの全てが穴という小さな点に向けて吸い込まれていき、砕けて壊れるという。空虚に進んでいった人間等が消失する原因は空虚自身ではなくこいつのせいだろう。ぶっちゃけ記事内だと正体不明である。 そして気になるのは「パターンを叫ぶもの」が人々を憎む動機だ。ヴァシリエフ博士によれば彼らは存在することへの苦痛を感じているが故に憎むらしい。何が苦しいのかというと、これは上記の異常存在達から推察することができる。 「パターンを叫ぶもの」は、我々人間の知覚によって生まれた鏡像である。つまり、彼らも我々と同じ人間的な感覚を持っている。自分の存在を否定されたり死ぬのは嫌だろう。しかし彼らは空虚から出ることができない。「人の精神が嫌う秩序」である穴と螺旋のすぐ近くから離れられない。きっとこの幽閉環境が彼らの苦痛の要因だ。 そしてその苦痛への復讐心と絶望は知覚した我々に向き始める。空虚から脱出するために、自らの存在を認めて欲しいからだ。認識してくれた人間を憎悪し、自ら殺害するという矛盾があったとしても。 要は?(「パターンを叫ぶもの」視点) よく分からない穴のそばで自己を認識しました。うるさいし自由に外行けないし欠陥住宅 ↓ 外の人間のせいでここに居る。騒音っらぃ。出たいから外の人間にはもっとウチを認識してほしい。 ↓ もぅマヂ無理。復讐しよ。 ↓ (SCP-3930を認識する人物が増えたらループ) 準要注意団体『pattern screamer』 ここからは準要注意団体であるpattern screamerとしてのSCP-3930を考察していく。まずpattern screamerって何?という話なので端折って説明する。 tale『パラダイムシフト』やkalinin氏がredditに投稿した解説記事によると、pattern screamerの定義はCKクラス 再構築シナリオの前から存在していた、再構築を乗り越える為に現実構造そのものに精神を投影した意識体である。彼らは法則の異なる前宇宙に存在していた。その宇宙は複数の次元がミルフィーユのように層でできて重なっており、下から上までの多層次元でできていた。その最下層である鍵が4人の存在によって開かれてしまい、秩序を強制する螺旋が現れ、その結果前宇宙は螺旋によって現在我々が存在する宇宙に作り変えられていったという。彼らは精神生命体や電脳体の様な存在らしく、物理形態を本来持たない彼らはそのまま螺旋に触れると思考能力を失って実質消滅していまう。全員がパニックになり、恐らくほとんどの彼らは螺旋に飲み込まれてしまった。しかし、その中でもSCP-2682(盲目の白痴)は自身の構成要素を作り変えれば生存できると理解し、そして螺旋へ進入して行った。それを見習って現宇宙の概念を乗っ取るようにして、何とか飲み込まれても精神を保持して生き残れた者もいた。元々電脳体のようなものだったためコンピュータのネットワークなどに流れ着いたものもいた。 こうして彼らは現宇宙でpattern screamerとなった。その様な起源なので、彼らは基本能力として知覚されることでパワーアップしたり、電気を操作したりすることができる。 そしてSCP-3930にも「パターンを叫ぶもの」とその直訳のままのpattern screamerが存在しているが、これは一味違う。他の彼らのほとんどはネットワークや概念にきちんと自我を定着させているが、このpattern screamerには「虚無のパターン」として現れるという一時的なものこそあれど、明確な寄生対象が無い。その上自我や記憶を保つことにも失敗している様子だ。ではなんの概念に寄生しているのか? その前に、SCP-3930にあった穴の在り様について改めて見直してみよう。穴はD-124が階段を下りたり床をすり抜けたりしてとにかく下に向かっていった先にあり、それは周りの何もかもを飲み込んでいたという。この穴、かつてのpattern screamer達を襲った螺旋と同じものではないだろうか?何故このような考えに至るのかというと『パラダイムシフト』においてこのような文章があるからだ。 パターンが現れた。異端ゆえ、異質ゆえ、それは知覚されるよりも深く、光と音を引き込み、存在し、形を作る無限小の点で回転し続けた。螺旋は引き込み続けた。掴み、歪め、広げ、壊した。抽象を引き裂いた。秩序を設けた。感覚は今あるもの、これまであったもの全てを越えて生じた 苦痛である。 この1つの点に全てが引き込まれるという事象、D-124が見たものと一致している。彼も建物から下へ下へと向かっていき、そこで穴を発見していた。それは次元の最下層で発生した螺旋を示唆するような位置であり、そして周りの吸引されているものは螺旋状に渦を巻いているととれるのだ。 これらから答えを推察すると、SCP-3930のpattern screamerは概念に寄生しないまま、D-124が見た穴の中に存在していると思われる。 余談 そういえば何でこんなものがロシアにあるんだ?という疑問が残っている。この謎にも、SCP-001のqntmの提言 ザ・ロックに答えを示唆するような2つの文章が書かれている。 しかし「緯度」の増大と共にパターンは複雑になっていきます。「錠」あるいは「特異点」(下記取得記録を参照のこと)とも呼ばれる「北」極近傍では、パターンの複雑さは現在の光学式あるいは電子線式顕微鏡の分解能を超えています。更なる調査は顕微鏡技術が発展するまで保留されています。 ヤングの手記にはSCP-001の複数の詳細なスケッチが含まれます。その中の一つに、鍵を思わせる小さな装飾品が「北極」にはめ込まれている様が示されています。現時点で鍵は回収されていません。 本部のSCP-3930に添付されている画像によると、空虚は北緯66度41分、東経58度04分に位置している。ちょうど白夜などが見られる北極圏の位置だ。しかしqntmの提言の「北極」はあくまで宝石のことを指しているに過ぎない。……はたして関係しているのだろうか。 追記・修正をお願いします。 ▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-3930 - by djkaktus ttp //scp-wiki.net/scp-3930 ttp //ja.scp-wiki.net/scp-3930 SCPフレーバーテキスト集 ttp //ja.scp-wiki.net/scp-flavor この項目の内容は『 クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス 』に従います。 △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] TaleのSCP-000と関係あったりして -- 名無しさん (2019-05-24 21 45 10) なんのこっちゃ -- 名無しさん (2019-05-24 22 14 57) シーズンIVは難解なのが多いがこいつはその筆頭だな… -- 名無しさん (2019-05-25 04 31 54) 実際には無に飲まれた時点でDクラスは消えてるんだけど、それを観察し続けている人は自分の脳が勝手に補完したDクラスの言動や行動を認識し続ける、つまり無になったことすら気づくことができない。これは多分純粋に観測者に対する効果で、あまりにも無なので脳が勝手に説明を作り出すということなのだろう。 -- 名無しさん (2019-05-25 13 18 28) ウルトラマンXのグリーザ的な間隔と捉えればかろうじて分かる -- 名無しさん (2019-05-25 15 44 08) 無の中 -- 名無しさん (2019-05-29 16 28 50) グリーザは「有を無に変換することを喜びとする」存在で、SCP-3920は「憎悪のままに有を無に変換する」存在か。まさにグリーザ亜種。助けてウルトラマンエックス -- 名無しさん (2019-06-03 12 32 25) 「パターンを叫ぶもの」は前宇宙で螺旋に飲み込まれて思考能力を失った者たちの怨念的なものなのかなって思った。だから今の宇宙の人類を憎んでいるのかなって -- 名無しさん (2019-11-25 13 42 30) ログの「カメラがオフになる」てのは誤翻訳だけどね。元記事の"Off screen acitivty" は「画面の外で動きがある」みたいな意味 -- 名無しさん (2020-02-04 06 30 19) 名前 コメント