約 2,973,204 件
https://w.atwiki.jp/jlcbr/pages/18.html
Girl meets Falcon 建ち並ぶ民家とは裏腹に全く人の気配が存在しない、人によっては不気味とも言える静けさに包まれた住宅街。 しかしそんな周囲の異様さを気にした様子も無く、緑色のツナギを着たスキンヘッドの巨漢がガードレールに座り込む。 男の名は伊集院隼人、裏の世界では海坊主やファルコンなどと呼ばれている。 海坊主は表向きは喫茶店の経営者だが、かつては傭兵であり現在も裏の世界では現役のスイーパーだ。 何人もの命でその手を汚し、それを仕事として割り切って生きてきた。 悪人と言われても否定は出来まい。 しかし汚れ仕事だからこそ、通すべき筋が有る。 少なくとも海坊主はそう考える。 仕事として正式に依頼するのでなく、爆弾を仕込んだ首輪で脅し殺し合いを強いる。 (フン! こんなもんで脅せばおれが、はい分かりましたと殺して回るとでも思ったのか?) これはプロのスイーパーに対する、侮辱に他ならない。 この殺し合いを主催する者、ワポルはプロのスイーパーの誇りを汚した。 ならばプロの流儀に拠る報いを受けて貰う。 殺し合いには乗らずに生還した上で、ワポルを殺す。 海坊主の己自身に課す任務は定まった。 海坊主は湧き上がる怒りに突き動かされる様に、自分の持つデイパックを、乱暴に開ける。 中に入っているという武器を、確認する必要が有る。 支給したのがワポルだというのは引っ掛かったが、細かい事を気にしていられない。 今の状況では、支給武器が大事な生命線なのだ。 そして開ける時とは対照的に、慎重にデイパックの中を改める。 海坊主は視力が無い為、デイパックの中を改めるのも手探りになる。 接触が即命取りになるような物は入っていないだろうが、慎重になるに越した事は無い。 (刀……にしちゃ、妙な造りになってやがる…………) デイパックの中に入っていたのは日本刀。 ただ刃が通常と違い、反りに対して内側になっている。 他に入っていた物は紙片や食料等、武器にはなりそうに無い物ばかりだった。 (…………何時までもここでじっとしてても始まらねえ。これだけで行動するしかねーな) 日本刀以外の荷物を仕舞って、海坊主は歩き始める。 当座の目的は、殺し合いに乗っていない人物との接触。 その人物から自分の支給品の詳細等のミクロな情報から、現在地や主催者等の殺し合いに関するマクロな情報まで 生存及び殺し合いからの脱出に必要な情報を交換し、可能ならば協力体勢を取る。 (理想を言えば、こいつを外す方法に繋がりそうな奴がいいんだがな…………) 海坊主は自分の首元を擦り、首輪の感触を確かめる。 殺し合いから脱出するには、首輪の解除が不可欠。 だが少なくとも工具も首輪の構造の知識も無しに、外せる代物では無さそうだ。 工学に明るい者ならば、解析が可能かもしれない。 「リトーっ!! どこー!?」 それまで海坊主に拠るもの以外の物音が無かった住宅街に、若い女性の声が木霊する。 視力が無い代わりに発達した聴覚が、即座に声の主の位置を把握する。 (近いな。しかし殺し合いの真っ只中ででかい声を上げるとは、何考えてやがる!?) 殺し合いの参加者以外が居るとは思えないが、殺し合いの当事者なら大声を上げて人を呼び寄せる危険性は分かる筈だ。 それが出来るのはよほど考えが足りない者か、あるいはよほどの自信家か。 (…………取り合えず、どんな奴か確かめに行くか……) 「リトーっ! 春菜ーっ!! 出てきてよー!」 建物の陰から、声の主の様子を窺う。 10代後半と思しき女性が、周囲を警戒する様子も無く呼び掛けながら歩いている。 奇妙な事に、どれ程耳を澄ましても衣擦れの音がしない。 (服着てねー訳、無いよな……。そんな事より問題は接触するか否か、だ) 周囲に余人の気配は無い。 歩行音から察して、武器は持っていない。 武器も無い小娘1人、いざとなれば力付くでどうとでもなる。 海坊主は接触を試みる事にした。 極力気配を消して近付き、建物の陰から女の腕を掴まえた。 「リトと春菜、どこいったのかな…………あっ!!」 建物の陰に引き込み、後ろから女の首に手を回す。 「動くな! 声も上げるんじゃねえぞ。こっちの指示に従えば危害は加え…………おまえ、本当に裸じゃねえか!!」 女の服の感触が無い事に、海坊主が顔を真っ赤にして驚く。 「やっ…………はなしてよっ!!」 女は海坊主の手を強引に引き剥がし、身体ごと振り回す。 振り回されている当の海坊主は、自分の状況が把握出来ていない。 自分より遥かに体格で劣る少女に腕力で振り回されるなど、海坊主の常識では考えられない事態からだ。 しかし女――――ララ・サタリン・デビルークは、正に地球人である海坊主の常識外の存在 デビルーク星の人間であった。 振り回す勢いのまま地面に叩きつけられる。 全身に走る衝撃を最後に、海坊主は意識を失った。 ◇ ◇ ◇ 「うーん、ちょっとやりすぎちゃったかな? 地球人のパワーに合わせるのって、難しいんだよねー」 倒れ気絶している海坊主を見下ろして、ララは珍しく僅かに困惑の色を浮かべそう呟いた。 殺し合いが始まって、ララが思った事は訳が分からないという事だった。 地球の文化では珍しくないのかも知れないが、デビルーク星に生まれ育ったララには 何の意味があって殺し合いなどしなければならないのか、まるで理解が出来ない。 行動方針を定めかねたララは、最初に集められた場に居た知人の結城梨斗と西連寺春菜を捜す事にした。 地球人の2人ならば殺し合いについて、何か知っているかもしれない。 ペケが居ないので着る服も無いが、近くにはほとんど人が居ない様だし もし襲われたとしても、地球人相手ならば遅れをとる事も無いだろう。 そう判断し呼び掛けて回っていたら、予想外の奇襲を受け 咄嗟に相手を投げ付けてしまい、現在の状況に到った。 「この人も、私を殺そうとはしてなかったみたいだし…………どうしよっかなー?」 地に倒れた傭兵、そして未知の殺し合いを前にララの困惑は深まっていった。 【B-6 北西・街 / 一日目 深夜】 【伊集院隼人@CITY HUNTER】 【装備】:逆刃刀・真打 【所持品】:支給品一式 未確認支給品0~2 【状態】:健康 気絶中 【思考・行動】 1.気絶中に付き思考停止 【ララ・サタリン・デビルーク@To LOVEる】 【装備】:無し 【所持品】:支給品一式 未確認支給品1~3 【状態】:健康 全裸 【思考・行動】 1.この人をどうしよっかなー? 2.結城梨斗、西連寺春菜と合流 004 笑う狼 投下順 006 はじまり 004 笑う狼 時間順 006 はじまり 初登場 伊集院隼人 023 聞く耳持ちません 初登場 ララ・サタリン・デビルーク 023 聞く耳持ちません
https://w.atwiki.jp/gensouiri/pages/348.html
BOY MEETS GIRLS 動画リンク コメント BOY MEETS GIRLS 作者 疾風 ひとこと 主人公 名前:まふら男 年齢:10代(?) 特徴:いつでも何処でもマフラー着用。 彼のチャームポイントにして、唯一の特徴。 動画リンク 新作 一話 コメント・レビュー こんにちは、彼方様の幻想入り第3話を、幻想入りラジオでリクエストさせていただく事は可能でしょうか? -- 名無しの視聴者 (2008-04-29 14 07 12) リクエストですか?勿の論でOKでございますw 寧ろ拙作をリクエストしていただいて感謝感激という感じです。 -- 疾風 (2008-04-29 22 38 50) 返答ありがとうございます、早速リクエストさせていただきます。これからもがんばって下さい。 -- 名無しの視聴者 (2008-04-30 02 08 02) 2008年04月21日 14 05 59 投稿 投稿者コメント 幻想入りシリーズ~BOY MEETS GIRLS~ 第3話 つ、疲れた……!orzどうもこんにちは、255番改め253番目のうp主です。何とか四月に上げれることができましたが、この調子だと一ヶ月に1話ペースになりそうです……でも僕頑張るよ!名前を考えてくれた方がいたんですが、結局採用出来なくて申し話ないです。ですが、大変嬉しかったですwそういえばこの前エレベーターに乗ってる時におてんば恋娘聞いてたら、誰もいないのに⑨階で止まりました。どうでもいいですね、サーセン^^;●今回クロスさせていただいたどてらさんの最新作はこちら→(sm2778682)本当にありがとうございました!描いてて楽しかったですw●前話→(sm2767968)●作品リスト→(mylist/5387777) -- (名無しさん) 2008-09-13 13 08 34 ヤゴコロをさがせ!? マフラ男? デフォルメが可愛い? ステルスパッド? イケメンと狂気? ある意味サムネ一本釣り? 投稿者コメント百 どてら出演? -- (名無しさん) 2008-09-13 13 08 54 名前 コメント すべてのコメントを見る ※この作品のレビューを書いてくれる方を募集しています。レビューについては、こちらもご覧下さい。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/24572.html
【登録タグ CD CDV EZFGCD HoneyWorksCD bakerCD emon(Tes.)CD ぺぺろんPCD みきとPCD ゆうゆCD ゆよゆっぺCD シグナルPCD ダルビッシュPCD マチゲリータPCD レフティーモンスターPCD 全国発売 自然の敵PCD】 前作 本作 次作 - VOCALOID3 meets TRF - emon(Tes.) ゆよゆっぺ マチゲリータP EZFG みきとP ぺぺろんP 自然の敵P ダルビッシュP HoneyWorks レフティーモンスターP シグナルP ゆうゆ baker 発売:2013年3月27日 価格:¥2,625(税込) 流通:全国 レーベル:avex trax CD紹介 TRFのデビュー20周年企画の1つとして発表されるコンピレーションアルバム。 「EZ DO DANCE」「BOY MEETS GIRL」、、、誰もが知ってるTRFの代表曲が人気ボカロPとVOCALOID3により新しく生まれ変わるスペシャルアニバーサリー企画。 全13楽曲新規制作、もちろんCD初収録!2010年代のクリエーター×TRF=∞ 店舗別購入特典あり。 曲目 GOING 2 DANCE/ emon feat. GUMI EZ DO DANCE / ゆよゆっぺ feat. MEW Silver and Gold dance/ マチゲリータ feat. 蒼姫ラピス WORLD GROOVE / EZFG feat. VY1V3 寒い夜だから… / みきとP feat. GUMI survival dAnce ~no no cry more~ / ぺぺろんP feat. Lily BOY MEETS GIRL / じん(自然の敵P) feat. IA CRAZY GONNA CRAZY/ HoneyWorks feat. GUMI masquerade / ダルビッシュP feat. GUMI Overnight Sensation ~時代はあなたに委ねてる~ / レフティーモンスターP feat. Lily BRAND NEW TOMORROW / Dios/シグナルP feat. VY1V3 Love Peace Forever / ゆうゆ feat. GUMI Unite! The Night! / Baker feat. GUMI 動画 リンク 特設サイト TRF公式サイト コメント ボカロPが、とても豪華ですね!!欲しい! -- 終焉P (2013-02-19 22 36 25) ほんとだ、豪華! -- 名無しさん (2013-02-20 01 24 46) こういうカバー系のアルバムはなんでガチの神調教する人を入れないのか・・・。ぺぺろんさんやシグナルPさんはいいとしてじんさんやみきとPなんかは有名Pという理由で参加してもらったのか? -- 名無しさん (2013-02-20 20 44 36) みきとPもじんさんも良い調教です。 -- 拍手 (2013-02-20 23 22 15) なにこれすごい -- 名無しさん (2013-02-21 22 16 21) でもとりあえずうれしい -- 名無しさん (2013-02-25 00 37 14) V3って言うんならゆかりやりおんとかも聞いてみたかったな。声質が合わないのかな?でもMewとかラピスとか聞けるのは素敵。 -- 名無しさん (2013-02-28 02 53 27) おお! -- dero (2013-03-03 15 01 31) これはまず視聴してみるべき!! -- 秋 (2013-03-11 07 34 13) ボカロここまで進出。 -- 名無しさん (2013-03-16 09 39 51) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/akatonbowiki/pages/4412.html
このページはこちらに移転しました Boy become a girl 作詞/118スレ276 微かな感触が残る右の小指 浮かび上がるのは変わらない笑顔 言葉が出ない…それが嘘だと今更 貴方の目を見るのが怖くて 初めは軽い気持ちで 純粋無垢なフリをして 気付けば絡め取られ 愛してる 愛せない 天秤に掛けた重い想い もし 叶わない願いが一つ叶うとするなら この過ちに気付いた私をどうぞ殺して 塗り固めた嘘がいつか剥がれ落ちたら 貴方はきっと繋いだ手を離してしまうから 余りに苦しくて 貴方に笑顔を見せられなくて 気付けば見透かすような目で 忘れない 忘れたい 天秤に掛けた重い想い もし 聞こえないフリでここから逃げ出せるなら この心は少しの傷で済むのでしょう 塗り固めた嘘はいつか剥がれ落ちても 貴方にそそいだ愛は、変わらない(消えはしない) もし 叶わない願いが一つ叶うとするなら この過ちを犯す私をどうか帰して 繋いだままの手が変わらず暖かかったから 今はその優しさに溺れていたいのです 叶わぬ想い…叶わない
https://w.atwiki.jp/nisina/pages/131.html
Mohikan meets girl 1話目 503 [[◆G9YgWqpN7Y]] [sage] 投稿日:2009/12/03(木) 21 26 23 ID g0LDeSWF これは少しだけ昔のお話。 中型那賀はもう少しで3年になる春間近のある日、学校帰りの空を見上げる。 赤く染まった空が目に入り、那賀は目を細めた。 「なに感傷的になっているんだ。俺は……」 軽く頭を振り、那賀は一人歩く。 一組のカップルを見かけたときから彼はこの調子だった。 普段の彼ならあっさり因縁をつけに行っただろう。 しかし、彼がみた女性はかつて憧れた一才年上の女性だった。 その女性が見知らぬ男性と楽しそうに歩いてる。 那賀の目から見ても、それは幸せなカップルそのものだった。 吹っ切れたはずの心に震えが走り、彼は踵を返すと方向転換し、今の道を歩いている。 ――そして、冒頭に戻る。 那賀は唇の端を僅かに歪め、息を吐いた。 「っち、全く俺は……いつまでたっても女々しいよな」 その女性に初めて会ったのは幼稚園の時だった。 よくいじめられて泣いていた俺を助けてくれたのが彼女だった。 そのまま同じ小学校に通い、年上でも近所が近いということもありよく遊んだ。 その時の那賀の心にあったのは始めは純粋な尊敬だった。 しかし、時が過ぎ、中学生になる頃には尊敬の心が恋心へと変わっていた。 しかし、そのころの那賀にはその思いを告げる勇気はなく。 女性が高校に入ることによって会う回数自体が激減し、そのまま自然消滅した。 那賀にあった幼い恋のあっけない終わりだった。 それは、実によくある話。 しかし、昇華されない思いは燻り続け、那賀の中でその思いは一種の聖域と化してしまっていた。 その思いが歪んで歪んで歪み切り、那賀をカップル狩りに走らせているが、本人はそのことに気づいていない。 ――その那賀の中で知らず神聖視してしまった女性が、彼氏と思われる男性と仲良く歩いている。 その光景を見て、那賀はいつものように因縁つけるのも忘れ、逃げだした。 那賀は再び視線を地面に落とし、たそがれるように歩いている。 寄り添う影すらも元気がなく見えるくらい陰気だった。 ふと視界に影が増えたことに気づき、顔をあげる。 そこには見知った顔が一つあった。 「なんだ、台か」 「どうした? なんだか暗いな、おい」 台は苦笑しながら那賀に近づく。那賀も苦笑し、しかし歩みは止めない。 「分かってるさ。なに、ちょっとした古傷が痛んだのさ」 「そうか」 台はそのまま何も言わず、一緒に歩いている。 その台に那賀はわずかな苛立ちを感じる。 「っち、相変わらず何でもお見通し見たいな顔しやがって」 「何、なんでもお見通しだから仕方ないだろう」 「……けっ!」 那賀は悪態を吐くが、それ以上は何も言わず歩く。 実際そうなのだろう。台の人を見る目は神がかり的な物があった。 本人は、これを鍛えたからと言っているが、実際は天性だと那賀は思う。 「まったく、お前のように人を見る目があればまた違う人生もあったかもな」 ――そうすれば、あの女性の気持ちもわかったかもしれないのに。 その気持ちを込め、ぼやくように言う那賀に対し、台は再び苦笑する。 「なに、これはこれで大変だぞ。必要以上に分かってしまうのも困りものだ」 半分は独り言のような口調で呟き、台は歩く。 「? おい、それはどういう……?」 「さて、では那賀の正式な失恋記念と言うことで、ラーメンでも食いに行くか」 「……おう、お代は台が持てよ」 台の言葉に違和感を感じ、那賀は疑問の声をあげようとするが途中で台は遮るように言葉を続ける。 那賀は台の雰囲気に疑問を飲み込み、頷く。 二人は近くの 早い、安い、まずいの三拍子そろったラーメン屋に連れ立って行く。 騒ぎ、笑い、怒鳴り、怒り、殴り合い、那賀にあった、今まで引きずっていた気持ちを昇華していく。 今やっと、ようやく完全な失恋ができた。 台と別れ、一人帰る那賀はそう感じていた。 その帰り道、那賀は街頭の照らす道の脇にある影に一組の男女がいることに気づいた。 那賀は普段なら気にもせず通り過ぎただろう。 それは別れ話をする雰囲気を持った男女だったから。 しかし、少し感傷的になっていた那賀はふと眼を向ける。 そこには男が殴ろうとしてる瞬間だった。 男の拳が振るわれ、女が崩れ落ちる。 その男はひきつった表情のままさらに蹴りを加えようとし、 ――半回転するように転がった。 状況に気づいた那賀はとっさの判断で駆け出し、 その勢いのまま男の軸足を蹴り飛ばしていた。 「な! なんだてめ――!」 怒りで我を忘れかけた男は、しかし、那賀の姿を見て凍りつくように黙り込む。 一昔前の不良の服装、髪型はモヒカン。 どう見ても悪物そのものの姿に男は言葉を飲み込む。 その男に対し、那賀は一言告げる。 「失せろ」 その低く、唸るような声色に男は震え、慌てて逃げ出す。 後には那賀と女が残された。 続く。 前:先輩とアルミサッシ 次:実は響鬼よりも初代が好きなんだ、俺
https://w.atwiki.jp/ln_alter2/pages/70.html
ネコの話 ―― Girl meets Girl ―― ◆76I1qTEuZw 海が近いのか、遠いさざなみの音に混じって潮の匂いがしていた。 大きな川の、三角州。 ひときわ目を惹く摩天楼を中心に、背の高いビルが並ぶビジネス街。 これだけの重量ある建物を支える地盤の改良、そして氾濫を繰り返したであろう川を押さえ従わせる治水技術。 地味にこのエリア一帯の技術レベルは、相当に高いものであるらしかった。 そんな、コンクリートとガラスに囲まれた街の中に、1人の少女が佇んでいた。 長い髪を頭の両脇でリボンで結わえ、どこかの制服のような服を着て。肩には似合わぬデイパックを提げ。 そして、不釣合いな印象を与えるものを、それぞれの手に構えていた。 右手に提げていたのは、見るからに凶悪な装飾の成された刺々しいナイフ。 左手に提げていたのは、槍の穂先を途中から折り取ってきたかのような、手槍にも似た刃物。 彼女は小さく溜息をつくと、そして手近なビルの壁面に向き直った。 瞬間―― 彼女からおよそ5メートル先。 傍らのビルの壁面に、そのナイフが、音もなく深々と突き刺さっていた。 投げたわけではない。彼女は1ミリだってその手を動かしてはいない。 そして、投げて刺さるような標的でもない。何せ鉄筋コンクリート造りの建物である。 投擲に向かぬ形状のナイフを、ただ投げてここまで突き刺すことができるとしたら、それはそれで十分な異能だ。 そしてこのツインテールの少女は、そんな怪力とは全く異質な異能を、その身に備えている。 ふむ。突き刺さったナイフを確認した彼女は、何か確認するように小さく頷く。 続いて彼女の左手からも、手槍のような武器が音もなく「消え」、ナイフと並んで壁面に「突き刺さる」。 やがて軽く2呼吸ほどの間を置いて、彼女自身の姿も掻き消えて…… ビルのすぐ傍、手を伸ばせばナイフと手槍に届く位置に、出現した。 突き刺さったままの2本の凶器に軽く触れると、それは次の瞬間、向きを変えて彼女の手の内に納まる。 「能力は、問題なく使えますわね……ただちょっと、普段より計算が『重い』ですかしら? この状況下、ストレスを感じていないと言ったら嘘になりますけれど……さて……」 少女は、小さく呟く。 『能力』。 そう、彼女には特殊な能力が備わっている。 超能力開発機関『学園都市』でも五本の指に入る名門・常盤台中学に属する、『大能力者(レベル4)』。 使い手もレアな11次元特殊計算式応用分野、『空間移動(テレポート)』使い。 学園都市治安維持機関『風紀委員(ジャッジメント)』所属。 白井黒子、だった。 ◇ 白井黒子は考える。 この残酷な「椅子取りゲーム」のことを、考える。 最多でも1人しか生き残れない、最長でも3日間で終わることが確定しているという、生き残りのゲーム。 そして、こうして支給された2つの品。 『グリフォン・ハードカスタム』という名のナイフと、『地虫十兵衛』という人物が使っていたという槍。 最初の説明に拠れば、自分だけではなく他の参加者にも「武器」がランダムに支給されているという。 あの狐面の男は明言こそしなかったが、この状況を作った者の意図は明らかだった。 ――殺し合え。 最後の1人が決まるまで、互いに武器を取って、殺し合え。 「……ほんと、分かりやすいですわね。思わず反吐が出そうなほどに」 お嬢様学校の生徒には似合わぬ汚い言葉をあえて選び、白井黒子は吐き捨てる。 殺し合い、傷つけあって、「最後の1人」を選べ。「優勝者」を選び出せ。 自分たちの、手によって。 なんともシンプルな話だ。そしておそらく、この場では既存の法など役に立たないのだろう。 警察も、『警備員(アンチスキル)』も、『風紀委員(ジャッジメント)』も機能しない空間。 いや、仮にこの場で行われる行為が法の裁きを受けるとしても、きっと「優勝者」は罪に問われない。 裁かれるのは、この催しを仕組んだ者たちだけだ。 優勝者自身は「緊急避難」として無罪放免だろう。なにせこの状況、典型的な『カルネアデスの板』なのだから。 これでは、多くの者が殺し合いに乗ってしまうはずだ。 容易に、乗ってしまうはずだ。 「問題は、その『たった1枚の板』を誰に回すか、なのですけれども」 この状況設定がいやらしいのは、自分が「最後の1人」になる気のない者でさえ、殺し合いに乗りかねないことだ。 名簿をザッと見渡せば、同じ姓を持つ名が2組、すぐに目につく。 『黒桐』が2人、『ウィッティングトン・シュルツ』が2名。 親子か、兄弟姉妹か、それとも夫婦か。従兄弟やら孫やら、もっと遠い親族の可能性もあるけれど。 もしこのうち1名でも、「自分はどうなってもいいから大事な家族を生き残らせたい」と考えたとしたら、どうなるか。 ……決まっている。殺し合いに、乗るのだ。 他の参加者を減らし、「大事な家族」を保護し、そして可能であれば「最後の2人」になって、自決する。 そうすれば、晴れてその「大事な家族」は「優勝者」だ。狐面の男の言葉を信じるのなら、生還が約束される。 いや、これは別に「家族」に限った話ではない。 愛する恋人。将来を誓った許婚。命を投げ出すに足るほどの主君。 名簿で名前を見ただけでは判断のつかないこれらの関係によっても、人は自らを犠牲にしうる。 自分自身を犠牲にし、見も知らぬ人々を犠牲にし、「最後の1人」の座を「誰か」に譲ろうとする可能性がある。 そして――こんな考察をしている白井黒子にもまた、大切な人が。 「お姉様……」 御坂美琴。 白井黒子が敬愛して止まぬ、偉大なる先輩にしてルームメイト。この世で最も大事な存在。 何とも忌まわしいことに、彼女の名もまた、名簿に載っていたのだった。 彼女のことを想うと、胸が熱くなる。 彼女のためなら、何でもできる。 彼女にとって何かプラスになるのなら、自分自身が報われなくたっていい。 だから、そう、彼女が生き残るためなら、この手を汚すことだって……! 「……って、それはありえませんわよ。 もしもあの『狐のお面』の『上』にいる奴がそれを期待しているのなら、『クソ喰らえ』って言って差し上げますわ」 一瞬湧き上がってしまった妄念を次の瞬間には蹴倒して、白井黒子は心の中で中指を立ててみせる。 ありえない。 それは、ありえないのだ。 御坂美琴を「最後の1人」にするために、白井黒子が積極的に殺し合いに乗る……そんな展開は、ありえない。 まず、その想い人たる御坂美琴そのものが、白井黒子に大人しく守られているような存在ではない。 常盤台中学のエースにして、学園都市全体でもたった7人しか居ない『超能力(レベル5)』。 最高レベルの電撃使いであり、ついた異名は『超電磁砲(レールガン)』。 磁力を操り、何の変哲もないコインを音速の3倍で撃ち出す大技の名でもある。 とてもではないが、白井黒子が「守る」などと大見得を切れる相手ではないのだ。 しかし、そんなこと以上に―― 御坂美琴という人物は、誰かの犠牲をよしとはしない高潔な精神の持ち主である。 白井黒子は思い出す。「あの長い1日」を。 戦い、傷つき、敗北し、全てが終わった後でも事情は僅かにしか垣間見えなかった、あの日。 『樹形図の設計者(ツリーダイアグラム)』の『残骸(レムナント)』に関わったあの夜、白井黒子は思い知ったのだ。 御坂美琴という人間を。 そして、御坂美琴が見ている世界を。 何より、自らが到達したいと願っている世界の姿を。 御坂美琴は、誰かが犠牲になって終わる展開を、決して望まない。 彼女ならきっと、加害者も被害者もまとめて全部救おうとする。 彼女ならきっと、こんな馬鹿げた椅子取りゲームそのものを否定する。 彼女ならきっと、あの狐面の男が「無駄」と断定した「最後の1人になる以外の方法」を、ギリギリまで模索する。 ならば――白井黒子の取るべき道も、また同じ。 最後まで諦めず、この残酷なゲームを否定する道を探す。 御坂美琴と白井黒子では、持っている能力も才能も異なるから、全く同じというわけには行かないが。 殺し合いに積極的な者がいたら、『風紀委員(ジャッジメント)』の流儀で死なない程度に叩きのめし。 殺し合いの犠牲になりそうな者がいたら、『風紀委員(ジャッジメント)』の責務として保護する。 そして同時に、御坂美琴と白井黒子が手を取り合ってこの箱庭を脱出する方法を見つけ出す……! どう考えても容易ならざる道だが、やるしかない。 「たった1人しか生き残れないなんて……そんな幻想、ブチ壊して差し上げますわ」 決意のための誓い。 自分で口にしながら、ふと何か引っ掛かりを覚えたが、まあいいやと軽く首を振る。 本音を言えば、何とかして御坂美琴と合流し、協力体制を取りたくはある。 あまり気は進まないが、御坂美琴が惚れているらしい「あの殿方」も助けにはなるだろう。 しかし、差し当たっては―― 「差し当たっては、そう……貴方への対応をどうするか、ですわね」 白井黒子は軽く溜息をついて振り返る。 学園都市全体の治安に携わる『風紀委員(ジャッジメント)』なんて仕事をしていた関係で、身に覚えのある感覚。 敵意以上、殺意未満。やや困惑と怯えの色も混じった視線。 予知能力(ファービジョン)系の『能力』が無くとも分かる、その気配。独り言の途中から感じていた息遣い。 果たして、向き直ったその先には。 白い髪をした、小柄な幼い少女が、緑の瞳を見開いて、無表情に白井黒子を見つめていた。 ……膝立ちの姿勢のまま、その肩にRPG-7を構えた格好で。 ◇ RPG-7。 旧ソビエト連邦で開発された、個人携行用の対戦車榴弾発射装置だ。 乱暴な話、「戦車さえも倒せる威力の、巨大な単発グレネードランチャー」。 簡便な構造や使い勝手の良さから、広く長く世界で利用されていた代物だ。 もちろん、「外部とは2、30年は技術レベルが異なる」学園都市では見る機会のない、旧世紀の遺物。 白井黒子とて、類似の兵器を資料の上で見たことがあるだけだ。 しかし、それでも分かる。 こんなものをまともに喰らったら、まあ生きてはいられないだろう、ということくらいは。 「それでも、わたくしにとっては、大した脅威ではないのですけれど」 「…………」 「荒っぽい手段に訴える前に、一応聞いておきますわよ。 その物騒なものを、下ろして頂けませんこと?」 幼い少女の僅かな動きも見逃さないよう注視しながら、白井黒子は警告を発する。 かく言う白井黒子も、左右の手にそれぞれ刃物を提げている。 妙な動きをすれば、すぐにでもそれらが「空間移動(テレポート)」で少女に襲い掛かる構えだ。 標的は少女の構える武器そのもの。 狙いは相手の武器破壊。 空間自体に割り込む転移攻撃なのだ。鉄だろうがコンクリートだろうが簡単に切り裂き突き刺すことが出来る。 ぶっちゃけてしまえば、転移させるのは刃物である必要すらないのだ。 標的の堅さを問わずに貫く、見てから避けたのでは絶対に間に合わない、必殺の攻撃―― しかし、それだけの攻撃力を持ってなお、白井黒子は少し躊躇った。 「うーん……でも、それだと暴発が怖いですわね」 「…………?」 「ここはいっそ、手っ取り早く済ませた方がいいですかしら。こんな風に」 逡巡は1秒。 次の瞬間、白井黒子の姿は掻き消える。 消失と同時に、驚いた様子で口をぽかんと開ける少女の、すぐ隣に出現。 少女の視線が転移した彼女を捕らえる前に、す、と手を伸ばしRPGに触れ…… 次の瞬間には、少女の肩の上から重みが消失する。 がしゃん。 小さな音を立てて、離れた場所にRPGが落下。大した高さではなく、この程度なら暴発の心配もない。 ほんのまばたき2つほどの間に、完全な武装解除に成功する。 白井黒子の能力、『空間移動(テレポート)』。 転移させられる対象は、彼女の肌に触れている物体、あるいは彼女自身。 限界飛距離81.5メートル、限界重量130.7キログラム。 ただし精神状態の乱れによってその性能は大きく低下するのだが…… この程度の『敵』の無力化など、実に容易いものだった。 『能力』を理解していない様子の少女にも分かりやすいよう、ナイフを突きつけた上で降伏を勧告する。 「まだ、やられますか?」 「…………」 「なんのおつもりで、あんな物騒なモノを向けられたのか分かりませんが……」 「…………」 「貴方がまだ殺し合いに乗るというのなら、次は少し痛い目に会って頂くことに……」 「…………」 「……あの、わたくしの声、聞こえてます? 言葉、通じてますかしら? まさか……喋れない、とか?」 「…………わかる」 「…………」 「…………」 RPGを取り上げられ、その場にへたり込んだ格好のまま、しかし感情の読めない表情で見上げる少女。 白井黒子は、軽い頭痛を覚える。 言語が通じないわけではない。喋れないわけでも、聞こえていないわけでもない。 なのに少女は、いくら待っても口を開く様子がない……。 「これは、どうしたものですかしらね……」 「…………」 「誰か翻訳して下さる方はいらっしゃらないですかしら。 わたくし、『読心能力(サイコメトリー)』の心得はないのですけど」 「…………」 「この子の考えそのものでなくても、代わりに会話して下さるだけでも助かるのですけれど」 「ならば私で良いのだろうか」 「誰でもいいですわ、このお地蔵さんみたいな子と喋ってるぐらいなら……って、え?」 反射的に言葉を返して、そして、白井黒子の思考は停止する。 驚きの原因は、2つ。 1つは、その声がさっき僅かに聞こえた少女の声ではありえない、妙に貫禄ある男の声だったこと。 もう1つは……その、声の放たれた源が。 「どうしたのかね。会話を望んだのはキミだったはずだ」 「い、いや、そうですけれど……え? 何? これ、腹話術か何かですの?」 「……ちがう。ねこ」 「その通り。私は猫だ。私が喋ることに何かおかしな点でもあるのかね。 私にはキミが先ほど見せた不可思議な移動の方がよほど理解できないのだが」 白井黒子は今度こそ眩暈を感じ、額に手を当てた。 目の前の少女は無表情なまま、少し不思議そうな様子で彼女を見上げる。 そう……白い髪の少女に代わって発言した、朗々たるバリトンの声の主は。 少女の傍らに置かれたデイパック。 その口から半身を乗り出すように顔を出した、1匹の、三毛猫だった。 ◇ 白い髪の少女の名は、『ティー』。 喋る三毛猫(珍しいことにオスだった)は、『シャミセン』。 シャミセンの方は『参加者』ではなく、ティーの『支給品』という扱いらしい。 どちらもシャミセンに質問を浴びせかけ、ようやく引き出せた情報だった。 ちなみにティーはその間、無言でシャミセンを抱きかかえたまま、物欲しそうな視線でRPG-7を眺めていた。 それを白井黒子に向けて構えていたのも、敵意や殺意に拠るものではなかったらしい。 ただ純粋に「それが炸裂する様を見てみたい」というだけの、ある意味、酷く傍迷惑な好奇心であったらしい。 何とも危うい、ティーの感性。 白井黒子は本格的な頭痛がしてきたこめかみを押さえ、何度目かも分からぬ溜息をつく。 「それにしても……何で猫が喋ったりするんですの? 常識的に考えてありえませんでしょうっ!?」 「私には何故キミが自分の常識こそ絶対だと思えるのかが分からない。 キミと接触する前、こちらの少女から聞いた話では、彼女も『言葉を喋る犬』と日常的に接していたという。 変革を迫られるべきなのは私の存在ではなくキミの常識の方ではないのか?」 妙に観念的なことを言う猫だった。やけに良い声をしているのがさらに苛立ちを誘う。 一事が万事こんな感じで、饒舌ではあるのだが会話は脱線してばかりだ。 ティーは相変わらず無言を貫き、しかし、この状況では少女を放置もできない。 白井黒子の悩みは、どうにも尽きることがないようだ。 それにしても……と、白井黒子は思う。 シャミセンが今言ったことは、あながち外れていないのかもしれない、と。 一例を挙げれば、こうして「猫が喋っている」という状況。 白井黒子の知識で強引に説明するとすれば…… 例えば『念話能力(テレパス)』系あたりの能力者なら、似た現象を再現できるかもしれない。 実際に喋っている能力者はどこか別の場所に居て、この三毛猫を能力発揮の『足場』にでもすれば……。 しかし、そうやって強引に説明をつけようとすること自体が、かなり危険なのかもしれないのだ。 あの狐面の男の説明を受けた、あの最初の状況。 あそこから今いる現在地まで「飛ばされた」方法は、『空間移動(テレポート)』ではない。 少なくとも白井黒子の知る限り、能力者の使う『空間移動(テレポート)』系能力ではない。 白井黒子の能力では、同系統の能力者を転移させることは出来ないのだ。 そして、逆もまたしかり。 つまりあれは――「能力のように見えて能力に拠らない現象」、としか言いようがない。 となれば、「能力以外に基づく不思議な現象」が起こりうる可能性を、頭の片隅にでも留めておく必要があるだろう。 そう、それこそ……人語を喋る猫、のような存在も。 「常識を疑え、ね……。 なんで猫なんかの言葉に感心しそうになってるのか、自分でも分かりませんけれど。 確かにこの場では、先入観は抜きにした方が良さそうですわね。でないと、咄嗟の判断を誤るかもしれません」 「キミが私の言葉から何を得ようと私の知ったことではない。 それはキミの判断であって私の判断ではないのだから」 「戯言はもう結構ですわ。それより、これからのことですけれども」 無駄に喋り続けるシャミセンを無視して、白井黒子はティーに向き直る。 無口な彼女に発言を求めても無駄だということは、この短時間で既に身に染みて理解している。 なので、あえて言葉での発言は求めない。 発言せずに意思が伝えられるよう、名簿を広げてティーの方に向けてやる。 「どなたか、貴方の知り合いはいらっしゃいません? その『喋る犬』とかいうのとは別に」 「…………」 沈黙。そして少しの思案。 やがてティーの指が、名簿の上の1つの名を指して止まる。 「『シズ』さん、ですか。この方お1人ですわね?」 「…………」 「貴方にとって、大切な方なんですね?」 「…………」 迷子の子供に1つ1つ確認するかのように、白井黒子は問う。 ティーは無言のまま、微かに頷く。 そして、 「では……貴方はこの方のために、御自分の命を投げ出すつもりはおありですか?」 「…………」 ティーと向き合う前に考えていた懸念。誰かに奉仕するかのように殺し合いにのる可能性を問い。 少しだけ考え込んだ様子のティーは、これも小さく、微かに首を振った。 ようやく安堵の溜息をついて、白井黒子は緊張を解く。 「それでは……当面は、そのシズさんとの合流を目指すことにしましょう。 『喋る犬』の方も、そこの小生意気な猫のように『支給品』になっているかもしれませんしね。 とは言っても、アテもありませんから、しばらくは適当に動き回ることになりそうですけれど」 「…………」 「了解した。それで私はどうすれば良いのだろう」 「デイパックにでも入って大人しくして下さいませ。余計な口出しされると五月蝿いだけですわ」 「……まあ、よかろう」 横柄な言葉と共に、シャミセンは素直にティーのデイパックに納まった。言葉とは裏腹に、物分りはいいようだ。 続いてティーが落ちていたRPGを拾い、これもまたデイパックに収める。 白井黒子も少し眉を寄せるだけで、とりたてて咎めたりはしない。 この先何があるか分からないのだ。無闇に濫用されるのはマズいが、武器はあるに越したことはない。 「さて、まずは……見晴らしの良い所に行きましょうかしら。あの大きなビルなど、良さそうですわね」 「…………」 「では、行きますわよ」 そして白井黒子は、ティーと共に虚空に消えた。 2人まとめての連続転移で、地図上に『摩天楼』と記された一際大きなビルを目指し、「駆け出した」。 ティーを保護する。シズや喋る犬を探してやる。御坂美琴や上条当麻も探す。殺し合い以外の解決策も探す。 容易な道ではない。が、しかしだからこそ、後ろを振り返っている余裕などないのだ――。 ◇ ――再び無人となった深夜のビジネス街に、遠いさざなみの音が響く。 壁面に刻まれた、2本の刃物の傷。 たったそれだけの痕跡をその場に残して去っていった白井黒子は……しかし、気づいているのだろうか? 自らが「保護」した、その少女の心の内を。 別にティーは白井黒子に嘘をついていたわけではない、偽っていたわけではない。ただ、彼女は、純粋に……。 【E-6/ビジネス街/一日目・深夜】 【白井黒子@とある魔術の禁書目録】 [状態]:健康 [装備]:グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ、地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖 [道具]:デイパック、不明支給品0~1、 [思考] 基本:ギリギリまで「殺し合い以外の道」を模索する。 1.当面、ティー(とシャミセン)を保護する。可能ならば、シズか(もし居るなら)陸と会わせてやりたい。 2.可能ならば、御坂美琴か、(気は進まないが)上条当麻とも合流したい。 3.とりあえず見晴らしの良い所(E-5の摩天楼)にでも行ってみる [備考]: 『空間移動(テレポート)』の能力が少し制限されている可能性があります。 現時点では、彼女自身にもストレスによる能力低下かそうでないのか判断がついていません。 【ティー@キノの旅】 【状態】健康。RPG-7を使いたくて、うずうず。 【装備】RPG-7(1発装填済み)@現実 【道具】デイパック、RPG-7の弾頭×2、シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱、不明支給品0~1 【思考】 基本:??? (とにかく手榴弾やグレネードランチャーやRPG-7を使いたい?) 1.RPG-7を使ってみたい。 2.とにかくRPG-7を撃ってみたい。 3.機会があったらすぐにでもRPG-7をブッ放してみたい。 4.白井黒子に怒られるかもしれないがチャンスがあったらRPG-7を炸裂させてみたい。 5.RPG-7でなくとも、手榴弾やグレネードランチャー、爆弾の類でも可。むしろ色々手に入れて試したい。 6.シズか(もし居るなら)陸と合流したい。そのためにも当面、白井黒子と行動を共にしてみる。 [備考]: ティーは、キノの名前を素で忘れていたか、あるいは、素で気づかなかったようです。 シャミセンは用事がない限りティーのデイパックの中で大人しくしているつもりのようです。 【グリフォン・ハードカスタム@戯言シリーズ】 澄百合学園の一年生、西条玉藻が愛用する得物の1つ。 見るからに派手で凶悪なナイフ。 【地虫十兵衛の槍@甲賀忍法帖】 甲賀卍谷衆が1人、地虫十兵衛の愛用の得物。槍の穂先の部分。 手も足も無い地虫十兵衛はこれを己の食道に隠し、最後の切り札として口から発射する形で使っていた。 【RPG-7@現実】 旧ソ連が開発した歩兵携帯用の対戦車榴弾発射兵器。構造が簡単で世界的に広まった。 今回、予備の弾頭が2つセットで支給されている(合計3発撃てる)。 【シャミセン@涼宮ハルヒの憂鬱】 キョンの家で飼われている元・野良猫。非常に珍しいオスの三毛猫。 猫にしてはやけに大人しい性格で、人の言うことをよく聞く。三大欲求の中で睡眠欲が突出している。 参戦時期は2巻目に当たる『涼宮ハルヒの溜息』の途中から。 ハルヒの『力』の影響で、人の言葉を喋れるようになった模様。妙に観念的な発言をする。 投下順に読む 前:Parallel daze――(平衡幻覚) 次:魔女狩りの王 時系列順に詠む 前:女怪 次:魔女狩りの王 ティー 次:摩天楼狂笑曲 白井黒子 次:摩天楼狂笑曲
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/23222.html
【登録タグ:Anemone I 初音ミク 曲】 作詞:Anemone 作曲:Anemone 編曲:Anemone 唄:初音ミク 曲紹介 音楽制作ユニットAnemoneの第2作目(Sound:エーコ、Illustration:▽、Movie:Parabellum9、Compose:ソーキ、Lyrics:moore)。 弾けるような可愛らしいメロディとネイティブなミクさんが特徴 歌詞 (動画から書き起こし) Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy 窓の外は溜息ばかりで それだけじゃ涙も流せないでしょ 今夜だけはかかとを鳴らして 君の手の平で遊ばれて過ごしたい I'm stilling fell you and make me that sweeten and wonder 曖昧な関係 壊したい I'm stilling feel you and make me that sweeten but one love 君とどこまでも行きたい 曖昧な関係壊したい 君とどこまでも行きたい Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy Instant Boy and Instant Girl Instant Girl and Instant Boy 目をつぶれば ほらね すぐ隣 3分間でそう 頭の中のsweat heart 明日だけは煙に巻かれて 君に嘘をついてる訳じゃない 自分が分からないだけ I'm stilling feel you and make me that but one love 曖昧な関係 壊したい I'm stilling feel you and make me that sweeten and wonder 君とどこまでも行きたい I'm stilling feel you and make me that sweeten and wonder 曖昧な答えの繰り返し I'm stilling feel you and make me that but one love 君の目線は僕の先 コメント 英語の発音が上手で、ビックリした。最初ルカかと思っちゃたけど、ミクしか使ってないのね。 -- 竜奇 (2012-10-28 21 16 47) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/anison-rap/pages/1158.html
【曲名】 Lucky Boy, Lucky Girl 【アーティスト】 呂布カルマ 【歌詞】 【作詞】 呂布カルマ 【作曲】 鷹の目 【作品】 なならき ~Seven Lucky Gods~ 【メディア】 YouTubeアニメ 【テーマ】 主題歌 【初出】 2022年 【備考】 小説『なならき~七福神と七野家~』原作、アニメーション作家・谷口崇による短編アニメの主題歌。 アニメ本編はこちらから、全12話。 呂布カルマによる楽曲制作秘話はこちら。
https://w.atwiki.jp/hmiku/pages/25521.html
【登録タグ As'257G B KAITO 曲 水無月龍那】 作詞:水無月龍那 作曲:As 257G 編曲:As 257G 唄:KAITO V3 STRAIGHT 曲紹介 何時だってあなたのために歌うカイト兄さんにファンクを歌ってもらいました! イラストはHach氏が担当している。 配信EP『窓辺で夢見る紅茶時間』収録曲。 歌詞 憂いた瞳でなぞった 読みかけの文庫本と 氷溶けかけてるグラス 窮屈そうね 「飛び込みたい?」それなら 僕が背中押しましょう 空間を作るMusic Track no. さあ、教えて! 隠されてる 謎を明かす鍵は 先へ急ぐ 道標を飾る フレーズに 溶けてく 氷とコーヒーが 奏でた音は 事件追う君に 届いているかな? まるで心奪うような 辿り着いた結末まで そっと支える歌を 僕が歌ってあげる 寂しそうな指で捲る 新しいガイドブックと 回す古い地球儀 なんか 退屈そうね 「出かけてみる?」それなら 僕が連れて行きましょう 街の色描くMusic Track No. さあ、数えて! 移ろってく 季節巡るドアは 先へ向かう 道標を探す フレーズに 止まった 地球儀の付箋紙が 剥がれた音は 街を行く君に 届いているかな? 何処でも何時でも 歌うから 笑っていてね? 僕はそう君を 彩る グラモ・フォン 微笑むような目でなぞった 栞の無い文庫本に 回る地球儀から落ちた 付箋紙貼って 「歌って頂戴」電源ONで僕を呼び出して 指先で回すList Track No. さあ、選んで! Lalala…… コメント みくみく世代からずっと色んなボカロ曲を聴いてきて、しかも初めてこの曲を聴いたときはあまり好みでもなかったはずなのに、気づいたら今まで聴いた中で一番好きになっていた。最早出会えたことに感謝。 -- 名無しさん (2014-04-04 10 20 19) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/nisina/pages/160.html
Mohikan meets girl 3話目 目を覚ますとそこは倉庫だった。 まだ頭に靄がかかったように意識がはっきりしない。 ぼうっとした頭でその女性は何が起こったかを考える。 学校が終わって帰り際に数人の男に突然囲まれて殴られた。 たったそれだけのことしか記憶にない。 「……今度は誘拐でもされたっぽい……ついてない…… 彼氏に振られた後にこれはないでしょう……」 誘拐された女性である地奈は、誰にも聞こえない程度の声で呟く。 周りに誘拐した男たちがいることは分かってる。 体を縛られ床に転がされていて、身動きの取りようがない。 猿轡はされてないのがせめてもの救いだろう。 「……不幸ね。でも……なんでこんなことに……。 私、これからどうなっちゃうのだろう?」 つい最悪の事態を想像し、血の気が引く。 今の所、何もされてはいないようだが、だからと言って安心はできない。 相手は誘拐犯なのだから。目的が見えない。 身動き一つせずに思考を巡らせる地奈。 その地奈の周りにいる誘拐犯達は、地奈が目を覚ました事に気付かず動いている。 号令と怒号。まるで何か予想外のことが起きたかのような慌ただしさ。 そこで初めて何かがおかしいと思い、地奈は耳を澄ませる。 誘拐犯達の声が容易に耳に入ってくる。 「あの男がここに来ているだと? 尻尾連中はしくじったか」 「ああ、別の男と二人でだ。もう一人の男と二手に分かれたようだ」 誰かがここに向かっている? 「一人はまっすぐこっちに来るぞ。どうする?」 「馬鹿野郎! 一人で来るような馬鹿はいない。これは警察に通報されてる可能性が高いな。撤収だ!」 警察? 「女はどうします?」 「置いてけ! どうせ顔は見られてない。移動の邪魔になる!」 「依頼の件に違反しませんか?」 「契約内容は誘拐までだ。そっからは好きにしていいってこと。このまま置いていこうがかまわんだろう」 「了解した。撤収準備完了しました!」 誘拐犯達の足音があっという間に遠ざかり、辺りに人がいなくなった。 どうやら助けが来たらしい。 地奈は心の底から安堵し、息を吐いた。 「でも誰が? 警察じゃないとしたら誰なの?」 その疑問を言葉に出したとき、一人分の足音が聞こえてきた。 地奈はそこでようやく目を開け顔を向ける。 がらんとした廃棄倉庫。その中央部分にモヒカンが立っていた。 余りにも予想外の顔に思わず声が漏れる。 「あれ? 君は?」 その声が聞こえたのだろう。那賀は地奈に気付くと向かってくる 「あいつらに襲われてな。あんたを誘拐したと聞いたから一応助けに来た。 すでに誘拐犯はいないようだな」 肩を竦めて話す那賀に対し、地奈は予想外な人物の登場に茫然とする。 那賀はあっさり縄を外すと一人つぶやく。 「しっかし誰もいないとはなあ。ちっ 先公のいう通りか…… 俺を襲ったことを後悔させてやりたかったんだがなあ」 心底悔しそうに呟いている那賀。 地奈はゆっくりと体を動かし調子を確かめ、まだ悔しそうにしている那賀に呆れたように話しかける。 「結構な人数がいたから一人で戦うのは無謀だと思うなあ」 「……何を言っている。正面から戦うなんてことは正義の味方がやることだ」 「つまり、罠を張っていたってこと?」 その言葉に頷くと「無駄になったがな」と呟きにたりと笑みを浮かべる。 地奈はそのチンピラそのもの表情に思わず吹き出した。 「あはは、その表情はないわよ。まるで雑魚チンピラよ」 「いーんだよ! 気にするな」 悪態を吐く那賀を見て、地奈は不思議と不安感が消えていることを感じた。 ようやく、助かったという実感がわいてくる。 その地奈の様子を確認すると、那賀は「さて」と前置きを言い、話し始める。 「こりゃ先公の言った通り警察に連絡しても面倒なだけだな。誘拐があったことすら分らない状態だ。 へたすりゃ狂言誘拐する疑われる……お前、歩けるか?」 「うん。大丈夫……ありがと」 その地奈の礼の言葉に那賀はさっさと後ろを向くと歩き始める。 そのままいい加減に手を振りながら話した。 「ま、ついでだついで。さ、こんなしけたとこからおさらばするぞ。 もうひとつ行くところがあるとか言ってここに連れてきた先公も行っちまったしな。 あの先公、何を考えてやがる」 「……先生? いたの?」 「ああ、まあ、あれが考えてることはわからんしな。台ならわかるかもしれんが。 ともかく帰るぞ。こんな埃っぽいとこ長居するもんじゃねぇ」 「うん。そうだね」 二人はそのまま倉庫から出た。 地奈は黙って那賀の後ろを歩いて行く。 その表情は那賀には見えない。 そのまま普通に日常へと帰って行った。 ――数ヵ月後、この二人が恋人関係になったのは別の話。 「無事、逃げられたようですね?」 誘拐犯たちが逃走し、たどり着いたアジト。 そこには一人の男性が待ち構えるように立ち、声を掛けてくる。 誘拐犯は一瞬身構えるが、その姿を確認すると警戒を解いた。 それはこの国の裏稼業のプロのならば、一度は目にする人間だった。 俗に情報屋と呼ばれる人種だった。 そのなかでも特に異彩を放つ男だった。――余りにも普通すぎる男だという意味で。 その男は柔和な笑みを浮かべてただ立っている。 「よう……あんたか。根回し助かった。今回は警察に捕まる所だった」 「いやー、これもサービスの一つですから」 誘拐犯が謝意を示すと、男、大里巧は柔和な笑みのまま答える。 その笑みには一遍の不自然さがなく、故に今の殺伐としたアジトとは一線を画している。 余りにも自然体故に不自然な男に対し、誘拐犯は視線を鋭くする。 「はっ! そもそもあんたが介入してこなければ全てはつつがなく終わったんだがなぁ」 その仕事の邪魔をされた事に対する苛立ちを含んだ挑発の言葉に、しかし巧の笑みは変わらない。 「仕事の邪魔をしたのは謝りますよ。 しかしですね、そもそもあなたみたいなプロが、この町で仕事をするのがルール違反ですからね。 今回だけは大目に見ることにしますけどね」 その言葉に誘拐犯は舌打ちをし、それ以上の追及を止める。 代わりに別の疑問をぶつけることにする。 「しかし、あんたが人助けね。信じられんな」 この男は裏の人間でもある。ただ、正義感で動くわけがない。 そう推測し、誘拐犯はあえて疑問として口にだした。 その言葉に巧は軽く肩を竦ませる。 「なに、あの場を荒らして欲しくなかっただけですよ。 変な噂が立ってしまうと、壊しがいのある生徒が入ってこなくなるじゃないですか。 ……あの町で人を壊していいのは私だけなんですよ?」 表情は笑みのまま。しかし、その言葉を聞いた瞬間、誘拐犯は身震いをする。 全てが変わらないはずなのに、目の前にいる人間が別の怪物に見えた。 巧の内側を、見てはならない物を見たときの感覚。 震える体を宥めつつ、誘拐犯は言葉をやっとのことで吐きだす。 「……まったく、あんたが敵じゃなくてよかったよ」 「ご謙遜を。全てに劣る私が君たちに敵うわけないですよ」 「それを臆面もなく言えるような奴は怖いものさ」 「はて、そうですかね? まあそう思ってもらえるならありがたいですよ」 そして、話は終わりだとばかりに巧は、背を向ける。 一歩だけ踏み出した所で、立ち止り、言葉だけを誘拐犯に向けた。 「ああ、一つ依頼を。これで今回の貸し借りはなしということで」 「借りなんてあったか? ……まあいい。それで何をさせたい?」 「今回の件の依頼人をそちらで処理しておいて下さい。手段は問いません」 「おいおい、依頼主を裏切れってか? こちとら信用で成り立ってんだぞ」 断ろうとする誘拐犯に巧は一言。 「私の依頼ですよ。その辺は大丈夫です」 そう言うと、巧は再び歩き出す。答えを聞こうともせずに巧はアジトから姿を消した。 「……まったく。情報屋ってのは怖えなぁ。分った。引き受ける。 だから、あんたもミスんなよ。あんたとは末長く付き合っていきたいのでな」 誘拐犯は一人ごち、次の"依頼"をこなすために動き始める。 そして闇から闇へ葬り去られた話が一つ。 この話が表に出ることはない。 終わり。 前:先輩、ペットボトルロケットです!(1) 次:カップル撲滅運動宿命のライバル編