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basa /// / カンガルー \ 14 seren klel カンガルー sid bsa(袋) \
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竜殺しを探して ◆Wv2FAxNIf. 空の黒煙の合間を縫いながら、二つの歪な影が通り過ぎていく。 一つは人型でありながら翼を持った白いKMF、ランスロット・アルビオンである。 七メートルにも及ぶその巨体は、そこにあるだけで空を圧迫していた。 そしてもう一方は同じく翼を生やした、犬のような姿のつながれもののヴァルだった。 ランスロットに比べれば小さいが、人ひとりを丸ごと飲み込めるだけの巨躯を持ち合わせている。 その上にヴァルと繋がれた少女・エィハ、それに巨漢の黄飛虎を乗せているため、シルエットはますます奇妙なものになっていた。 ランスロットが先行し、目指すのはルルーシュが消息を絶った九段下だ。 そこに向かう道中、そのパイロットである枢木スザクは少々困惑していた。 集音マイクと外部スピーカーでエィハらと会話しながら進んでいたのだが、いつからかスザクの耳にはすすり泣きが聞こえてきている。 「そ、そいつぁ……悪いこと聞いちまったなぁ……うっ」 『ど、どうして飛虎さんが泣くんですか……?』 「バカ野郎、これが泣かずにいられっか!」 飛虎が熱の入った様子で反論してくる。 初対面の印象通りの人柄だった彼は、誰に聞かれるでもなく自分の素性について語り始め、そしてエィハとスザクにも尋ねたのだ。 どこから来たのか、どんな生活をしていたのか、家族はどうしているのか――と。 結果、飛虎は泣き出したのであった。 「オレんとこは家族が多くてよ……こういう話に弱えんだ……」 『あの、僕は気にしてませんから。 エィハもそうだろ?』 スザクは黙ったままでいるエィハに水を向けた。 エィハとは短い付き合いだが、ドライで達観しているようにすら見える彼女が動じているとは思えなかったからだ。 「そうね。いないのが当たり前だと思っていたから」 スザクが思っていた通りの乾いた反応があった。 何とも思っていない――スザクは彼女に家族がいないことではなく、それ自体に無関心であることに胸を痛めた。 家族がいないのはスザクも同じだ。 元より一人っ子で、幼い頃に母を亡くし、父が死んだのももう随分前のことになる。 しかし、少なくともスザクが父を失ったのは自業自得だったのだ。 誰のせいでもない、自分のせいだった。 対するエィハは何も悪くない。 ニル・カムイという土地に戦火が絶えなかったから、貧しかったから。 そんな外の環境に歪められてしまったエィハが、それを当然として受け入れてしまっていることが悲しかった。 スザクの世界にも戦争はあり、孤児もいるが、割り切れるものではない。 「よーし分かった。オメーら二人、今日からオレが面倒見てやるぜ!!」 スザクを考え事から引きずり戻すほどの大声で、飛虎はそう宣言した。 何が分かったのかは分からないが、飛虎は深く頷いている。 『それってどういう……?』 「オレを親父だと思って頼っていい、ってこった!」 父親、と、スザクはマイクに入らない小さな声で呟く。 突然の申し出でも、嫌味や不快感を全く感じさせないのは飛虎の人柄故か。 胸を張る姿には威厳と包容感が見えて、まさに「理想の父親」と言える男なのかも知れない。 だがスザクの答えは歯切れの悪いものだった。 『いえ、僕には……その資格は』 「家族に資格も何もあるか! なっ、嬢ちゃんもそう思うだろ」 「そうね」とか、「そうかしら」とか。 これまで通りの、無味乾燥な返事があるものと思っていた。 だがエィハの反応は、スザクが初めて見るものだった。 「……ごめんなさい。分からないわ。 私は家族を知らないから」 慎重に言葉を選んでいる様子で、エィハは言う。 大抵の物事に無関心に見えていたエィハの、珍しい姿だった。 「私には友達しかいないと思っていたわ。 だけど……家族も、新たに得られるものなのかしら」 「あったりめえよ! 嬢ちゃんだってもう少し大きくなったら、好きな男と結婚すんだろ? そうすりゃそのうちガキもできるし、家族ってのは増えてくもんなんだよ」 「そう……だったわね」 エィハは思案しているようだった。 彼女の乏しい表情からは、何を考えているかまでは分からない。 「後でうちの次男坊も紹介してやりてえが。 ま、今はここを何とか出ねーことにはな!」 黙り込んだエィハの様子を見てか、飛虎は話を切り上げた。 スザクとしても反応に窮していたので、失礼とは思いながらも安堵する。 自分がかつて壊したものを、奪ってしまったものを、嫌でも思い出してしまうから。 『……あっ』 「どうした、スザク」 『知り合いが、近くにいるみたいです』 九段下まで間もなくという地点で、ランスロットの敵味方識別装置に反応がある。 友軍機、即ちジェレミアの機体である。 ランスロットよりも早く現地に到着していると思っていたのだが、どうやらその地点で停止しているらしい。 スザクは九段下に向けていた進路を僅かに逸らした。 『すみません、行き先を変更します!』 「おうよ、嬢ちゃんとヴァルも頼むぜ!」 「分かった」 ルルーシュの安否がかかっている時に、ジェレミアが足を止めている。 悪いことが起きていなければいいがと、スザクはランスロットの速度を上げた。 ▽ オレンジ色のその巨体は、嫌でも人目を引いた。 鮮やかなカラーリングに加え、十メートル四方の立方体にも収まるかどうかという圧倒的な大きさ。 KMF――ランスロットが人型であるのに対し、KGFという「要塞型」として設計されたこのサザーランド・ジークは隠密には不向きだった。 そんなサイズのものが自動車以上の速度で空を移動するのだから、無理からぬことである。 だがジェレミア・ゴットバルトには外敵に見つかるというリスクを負ってでも、急がねばならない理由があった。 「ルルーシュ様……」 主君であるルルーシュが消息を絶って以降、何度か携帯に掛け直してみてはいるものの、未だ繋がらない。 焦燥に駆られながら、ジェレミアは九段下へと急ぐ。 その行く手を阻むように、その女は現れた。 サザーランド・ジークの前方、数十メートル先に突如現れた「それ」を前に、ジェレミアは急遽減速した。 女といっても姿形がそうであるだけで、全く異質なものであることは考えるまでもなかった。 空中に足場でもあるかのように、真っ直ぐに立つ女。 その着ている服も、髪も、肌すらも、全てが深い青色だった。 そしてその美貌と視線は、この世のものとは思えない。 女は何を言うでもなく、ある一点を指差した。 下方、サザーランド・ジークが通り過ぎた地点である。 ジェレミアが機体の向きはそのままに、モニターを切り替えて集音マイクで音を拾う。 三人の人影が映り、機体の中には場違いといってもいい少女の声が飛び込んできた。 「お願いしまーす! 話を、させてくださーい!!」 必死に呼びかけてくる少女と、急ぐべき理由。 ジェレミアはここで、選択を迫られた。 ▽ 初めに「休みたい」という紂王の泣き言を聞き入れたユウナは、とある建物を丸ごと一つ氷付けにした。 見上げれば首が痛くなるほどの、浅葱が住む日本では考えられないほどの堅牢な建物が、一瞬でである。 召喚獣は一度に一体ずつしか呼べないそうだが、その分一体ごとの能力は凄まじいもので、浅葱はしばらく声も出せなかった。 氷の塊となった建物に侵入できる者はおらず、死者の群れが溢れ返った地上を尻目に、三人は屋上で一呼吸ついたのだった。 三人の頭上を影が通り過ぎたのは、それから間もなくのことである。 ユウナはそれを見上げて「飛空艇」と呼んだ。 操縦している人がいるに違いないと、ユウナはシヴァを召喚してこれを呼び止めた。 浅葱が空飛ぶ巨大な鉄塊というものを目の当たりにし、呆気に取られている間の出来事だった。 そうでなければユウナを制止していたに違いない。 ただでさえ紂王という信用ならない荷物を抱えている時に、敵が増えたらどうするつもりなのかと。 ユウナが呼び止めてしまった後も、鉄塊にはそのまま無視して通り過ぎて欲しいという思いでいっぱいだった。 だがそれもあっさりと打ち砕かれて、その巨体は緩やかに高度を落としたのだった。 「来て下さって、ありがとうございます。召喚士のユウナです」 丁寧に頭を下げるユウナの姿に、浅葱は軽い目眩を覚える。 浅葱の懸念には気付いてすらいないらしい。 「誰か……乗っているんですよね?」 『いかにも。 礼儀として名乗っておこう。 私はジェレミア・ゴットバルト。 さる高貴な方にお仕えしている』 低い、男の声が鉄塊のどこからか聞こえる。 周囲の建物にぶつからないギリギリの高さまで下りてきてはいたが、その鉄塊から人が出て来る気配はなかった。 『手短に済ませて頂こう。私は急ぐ身だ』 「人捜しでもしてるわけ?」 『……』 上からの物言いが癇に障り、浅葱は間髪入れずに嫌味を言う。 この状況で急ぐことといえば、おおよそ絞られる。 浅葱はその一つを口にしたに過ぎない。 反応からして正解だったらしいが、ユウナからは窘めるような視線を投げられた。 「私たちは、二十人全員でここを出る方法を探しています。 そのために協力して欲しいんです。 あなたが人を捜しているなら、そのお手伝いもできると思います」 『それが見返りというわけか』 「はい」 しばしの沈黙が流れる。 そしてジェレミアと名乗った男が切り出した。 『その方法が見つからなかった場合、君はどうするつもりだ?』 「それは……」 『そして、私には君たちを信用するに足る理由がない。 信用ならない者に、協力などさせられん』 ユウナが答えに窮する。 言わんこっちゃないと、浅葱はやむなく口を挟んだ。 「本気で言ってるのかい、それ。 少なくとも、あんたは急いでいたのにここにやってきた。 協力者が欲しいのはそっちだったんじゃない?」 わざわざ呼び掛けに応じた以上、理由があるはずだ。 こうして話していても、ジェレミアが人助けをしようとしているお人好しとは思えない。 何らかの打算あっての行動だろうと、浅葱は読んでいた。 『誤解があるようだな』 「へえ?」 『私は君たちを見定めに来た』 肌に冷気が刺さる感覚がある。 鉄塊に取り付けられた巨大な銛状の武器が、今にもこちらを狙ってくるのではないかと、浅葱の額に汗が浮く。 相手の顔は見えなくても、殺気に近いものは伝わってくる。 「僕らじゃ不合格ってこと?」 『それは――』 まだ本気で殺す気ではないはずだと、浅葱は交渉の余地を探す。 だがそこで唐突に、ジェレミアが黙り込んだ。 白い鎧が現れたのは、それから間もなくのことだった。 その鉄塊の主は枢木と呼ばれ、ジェレミアとの再会を喜んでいた。 そのお陰で剣呑な空気は霧散し、浅葱は止めていた息を深く吐き出す。 だがこの二人の合流は、もう一つの予期せぬ再会を生んだ。 「武成王……?」 それまで黙って様子を窺っていた紂王が、口を開いたのだった。 ▽ それは、間が良かったと言えるのかも知れない。 痩身の、人の良さそうな三人組。 この場で始末しておくべきかと、ジェレミアが思案していた矢先の出来事だった。 口減らしの機会を逸したとも思えたが、ルルーシュの安否が掴めない以上、事を急ぐべきでもない。 結果としてこれで良かったのだろうと納得することにした。 黄飛虎と紂王が知り合いだったということで、二人はしきりに話し込んでいた。 その間にジェレミアもランスロットとのチャンネルを開き、二人だけで会話をする。 「随分、大所帯になったようだな」 『……それなんですが。 彼らを残して、僕らだけでルルーシュを捜しに行きませんか?』 「……ほう。君がそんな提案をするとはな」 彼らだけで残した場合――もしその中に一人でも不穏な動きをする者がいれば、集団は瓦解する。 それを防ぐためにここに残ると、スザクならそう言い出すと思っていた。 『僕に考えがあるんです』 ジェレミアとしては、一刻も早く出発できればそれでいい。 彼らを半ば見捨てるようで多少の良心の呵責はあるが、ルルーシュの安全には代えられないのだ。 氷漬けになったビルの屋上に残るのは、五人。 スザクは彼らを残していくことを説明すると、彼らの方もあっさりそれを承諾した。 「すぐには戻れないかも知れない」と、それだけ言い残して、ランスロットとサザーランド・ジークはその場を離れていった ▽ 「召喚士、というのね。凄いわ」 「えへへ……」 エィハはユウナの隣りで、熱心に話を聞いていた。 その会話を聞いていた者には、この二人が姉妹のようにも見えただろう。 エィハの視線の意味に気付いている者は、まだいない。 ――〈竜殺し〉。 〈喰らい姫〉から受け取った、〈竜殺し〉を判別する能力。 エィハの目が、スザクのランスロットに続く次の〈竜殺し〉を見つけたのだ。 だからエィハはずっと観察していた。 ユウナの召喚獣が氷漬けにしたという建物を見て、そしてユウナ本人を見る。 その細い首筋を、腕を、見極める。 自分とヴァルの力で、殺せるかどうかを。 召喚獣を出していない今なら殺せるのではないか。 もし殺すなら、その後に残った面々はどうするか。 エィハは必死に考えながら、ユウナの話を聞いていた。 横で面白くなさそうに不満顔を見せている浅葱のことも、全く気にならなかった。 そうしてユウナのことばかり見ていたからだろう。 それ以外の者たちが何を話しているのか、エィハはまるで聞いていなかった。 故に、その事態に気付くのが一歩遅れたのだ。 ▽ 「紂王陛下!」 「おお、本当におまえだったか……!」 飛虎は紂王の姿を前にして、素直に喜んでいた。 かつて紂王が原因となって妻が、そして妹が死んでいる。 飛虎自身は殷を裏切って他国の将となってしまった。 しかしかといって、かつて仕えた王の不幸を願えるはずもない。 紂王の無事を確認して、飛虎は心底安堵したのだった。 「して、武成王。今までどこに?」 「品川、とかいう地名だったかと。 エィハとヴァルのお陰で――」 「いや、そうではない。 予が政をしている間、おまえはどこに行っていたのだ?」 「武成王」、という呼び名に違和感を覚える。 飛虎は殷の鎮国武成王から、周の開国武成王となった。 紂王から「武成王」と呼ばれることは、もうないと思っていたのだ。 そして何より、話が噛み合わない。 「それは……西岐に」 「西岐だと? 何故今の時期にそのような」 まるで、本当に何も知らないかのようだった。 次第に紂王の顔に不安の色が広がり、視線を彷徨わせ始める。 『――なので飛虎さん、ここをお願いします!』 「あ、……ああ、分かった。 気をつけてな」 スザクが何か話していたようだったが、飛虎にはほとんど聞こえていなかった。 この時点で、スザクをを引き止めておくべきだったのかも知れない。 だが飛虎にはその決断ができなかった。 「……そう、だ。何故殷に、武成王がいなかった? いや……何故予は、武成王の不在をおかしいと思わなかった? 帳簿の数字が全く合わなかった。 合わなかったことを、おかしいとも思わなかった。 何かが足りなかったはずなのに。 そういうものだと思ってしまったのは何故か? 民の様子が妙だと思ったはずではなかったか? そうだ聞仲は? 聞仲はどこだ? 聞仲に聞けば分かるはずだ。 聞仲を捜さなくては 聞仲。 聞仲!! 聞仲はどこに!!!」 独り言を続ける紂王の視界に、すでに飛虎の姿はなくなっていた。 肌がざわつく感覚に、飛虎は紂王の両肩に掴みかかるようにして前を向かせる。 「しっかりして下さい、陛下! オレはあの時――――」 飛虎の手首に強い力が掛かった。 紂王に掴まれたのだ。 「そうだった。 おまえは予と殷を裏切ったのだったな、武成王」 違う。これは紂王陛下ではない。 彼の濁った目を見て、飛虎は確信する。 そしてそのまま、細身の王によって投げ飛ばされた。 ▽ 「ヴァル!!」 飛虎のただごとではない声で、エィハはようやく視線をそちらに向かわせていた。 そしてエィハの倍ほどもある背丈の男が吹き飛ばされたのを見て、咄嗟にヴァルに指示したのだ。 ヴァルが体を浮かせ、飛虎の体を受け止める。 「あ、ありがとよ……だが……!!」 エィハの視線の先で、紂王が縮んでいた。 エィハとそう変わらない、少年のような姿をしている。 会った時は間違いなく、スザクと同じかそれ以上の上背があったはずだ。 飛虎を屋上に下ろすと、エィハとヴァルが臨戦態勢を取る。 「予は寛大である。 それ故に武成王よ、機会を与えよう。 殷に戻り、これまでのように予に仕えよ。 おまえの家族も悪いようにはすまい」 エィハは初めて、生まれながらの「王」の声を聞いた。 王になるべくして生まれ、なるべくしてなった王。 忌ブキとはまた違うその威厳を前にして、阻んではならないように思えて、口を閉ざしてしまった。 「……陛下、オレぁ……戻れません。 オレは周の開国武成王だ! それに、賈氏と黄氏のことを忘れたとは言わせねぇ!! 「そうであろうな。 故に……予は、悲しい」 紂王が涙を浮かべる。 事情を知らないエィハには、飛虎の方こそ間違っているのではないかと思えてしまう。 そしてその感情は、打ち破られた。 「おまえを殺さねばならないとは、予は、悲しいッッ ッ ッ! ! !」 声の波が周囲に叩き付けられる。 それだけで氷漬けになっていた建物が崩れ出す。 エィハはヴァルに飛虎の襟首を咥えさせて飛び上がり、僅かに残った足場でユウナが叫んだ。 「召喚します……!」 そこでエィハの脳裏に、一つの考えが首をもたげた。 今なら。 スザクがしばらく戻らないと言っていた今なら。 全員の注意が逸れている今なら。 ユウナが召喚しようとしている今なら。 あの細い首が無防備に見える今この瞬間なら。 〈竜殺し〉を討ち取れるのではないか……? ユウナの杖から火の玉が滴るように落ちる。 建物の足場に魔法陣が広がり、魔素の流れが変わる。 今―― ヴァルが口を開け、飛虎を離す。 地上まで落下していく彼を気にも留めず、ヴァルが加速する。 だが一層激しくなった音の波が、エィハとヴァルに襲いかかった。 「っく……!!」 呼吸を乱される。 召喚の方が速い。 炎を宿した召喚獣がユウナと浅葱を守り、加速していたエィハとヴァルはバランスを崩した。 『エィハ――――――――!!!!』 紂王とは別の声が、音の波を突き破った。 一本の光の筋に見えるほどの速度で、彼は戻ってきたのだ。 地上に落ちかけていた飛虎を拾い、建物の壁面に打ち込んだ銛を巻き取って機体を屋上まで引き上げ、エィハとヴァルを手の中に収めた。 回収した者たちを守りながら、白い騎士は地上へ着地する。 そして還り人の群れを踏み散らしながら、屋上を睨むように顔を上げた。 「スザク、オメーどうしてここに……」 『飛虎さん、話は後です! エィハも手伝ってくれ!』 あの紂王の存在以上に。 助けられたこと以上に。 〈竜殺し〉を仕損じた事実が、エィハの脳裏で渦巻いていた。 だがそんなエィハに耳打ちするように、スザクの呟きが届いた。 『君もだ、エィハ。後で話そう』 その口調は優しく、そして声は厳しかった。 スザクには既に気付かれているのかも知れない。 もしそうなら―― ▽ 「僕は、戻ります」 それがジェレミアへの提案だった。 一度二人で抜けた後、スザクだけが戻る。 その回りくどい方法は、エィハの様子を見るためだった。 エィハを信じたいと思いながらどこかで、彼女が何かをしようとしているように思えたからだ。 そのことをジェレミアにも説明し、納得してもらえた。 『了解した。ルルーシュ様の捜索は私一人で行う。 だが枢木、その少女についてだが』 「何か?」 『危険だと判断した時は、確実に始末したまえ』 「……ええ」 スザクも最近になって知ったことだが、普段のジェレミアは人好きのする人物である。 主君への忠誠心は言うまでもなく、部下や身内へはお節介なまでに世話を焼く、人間味に溢れた男だった。 だが仕事として割り切って「必要」と断じた時、彼は冷淡なまでに最善手を打つ。 特にそれがルルーシュの身に関わるとなると、彼には一切の迷いがない。 『万一討ち漏らした時、彼女がルルーシュ様に危害を加えないとは限らない。 もしも君にできないなら、私が代わろう』 「いえ、大丈夫です」 それはジェレミアなりの気遣いだったのかも知れないが、スザクは断った。 今さら、綺麗事が通るとは思っていない。 「もしもエィハが彼らを殺すなら。 その時は、僕がエィハを殺します」 【一日目昼/九段下付近】 【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス】 [所持品]サザーランド・ジーク、携帯電話、手甲剣 [状態]健康 [その他] 〈竜殺し〉ではない。 四道から情報を得る。 ユウナから情報を得る。 【枢木スザク@コードギアス】 [所持品]ランスロット・アルビオン [状態]健康 [その他] ランスロットは〈竜殺し〉 【黄飛虎@封神演義】 [所持品]棍 [状態]健康 [その他] 〈竜殺し〉ではない 【エィハ@レッドドラゴン】 [所持品]短剣 [状態]健康(還り人) [その他] 特記事項なし 【浅葱@BASARA】 [所持品]剣 [状態]健康 [その他] 〈竜殺し〉ではない 【ユウナ@FFX】 [所持品]ニルヴァーナ [状態]健康、イフリート召喚中 [その他] 特記事項なし 【紂王@封神演義】 [所持品] [状態]健康、服の袖が破れている、少年の姿 [その他] 記憶障害 Back 光芒 Next スアロー・クラツヴァーリの場合 002 汝は竜殺しなりや? エィハ - 枢木スザク 黄飛虎 008 持つ者と持たざる者 浅葱 ユウナ 紂王 004 国の真優ろば ジェレミア・ゴットバルト
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507 : お腹空いたでござる… (・∀・) 508 : (´┏┓`)武士は食わねど高楊枝じゃあ!!!! 509 : (-゚∀゚-)<ネギ食う? 510 : (*・∀・*)佐助ぇ!ネギ鍋が食べたいで御座る!作ってくれ!! 511 : (・∀・)<やっぱり肉も食べたいでござる!ねぇ佐助ってばぁ~ 512 : (- A`-)。oO(この扱いで薄給か…) こうして佐助の謀反ドライブは溜まっていくんだなW 513 : (・∀・)<あとかぼちゃたるとも忘れないようにな!某有名A店の新作のたるとじゃないと許さんぞ! 514 : 佐助ママ、頑張って!! 515 : 蒼天疾駆 猿飛佐助 家 出 516 : 幸村「佐助帰りが遅いでごさるなぁ…なにかあったのであろうか…」 信玄「案ずるな幸村!!佐助はいま流行りのつんでれになったと見た。」 幸村「お館様!!そのつんでれとは一体!?」 信玄「うむ。つんでれとは、慕う者に対して素直に気持ちを伝えられない者の事を言うのじゃ。佐助は儂らが自分の事を心配してくれる愛情があるか試しておるのじゃ。」 幸村「なるほど!!ではお館様!!お館様への思いを拳で表現するしかないこの幸村もつんでれにございますか!!?」 信玄「儂もお前もつんでれじゃあ!!!!!ぃゆきむらぁ!!!!!」 幸村「ぅお館様ぁ!!!!」 佐助(二人とも微妙に間違えてる…) 517 : 佐助「…って事があってさぁ」 かすが「…それがどうした」 佐助「いや、BASARAでツンデレの代表って言ったらやっぱかすがだよなっt(ry」 武田家政夫 猿飛佐助 討 死 ウソダローン 518 : ひもじい…、拙者は捨てられたのだろうか。 ( ;∀;)<ウッ 佐助… 腹の男へつづく
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--ではキャラクター誕生の経緯から。天海=光秀でいいんですよね?(笑) 山本:はい(笑)。 やっぱり一番大きかったのは史実の「明智光秀=天海説」で、これをなんとかものにしたいという気持ちがありました。 『3』では信長時代が終わっているので、これを機に光秀を天海にしようということになりました。 始めに。 用語集にもあるとおり、『B3』で登場した天海は、教科書たる『戦国無双3』の明智光秀シナリオで採用された「光秀=天海説」の丸パクリというのがアンチ層における一般的な見解であり、引用者も当然同意である。 付言すると、この内容は追加版の『うつけ』で更に悪化しており、公式の病理の程が明らかになっている。 なお、ここでは史実における「光秀=天海説」が堂々と語られているが、勿論この説は史実ではなく、俗説・トンデモ論の類である。 また、信長時代が終わったと言っているにもかかわらず、本編では信長が出てきているという作中内容の出鱈目ぶりもまた確認しておく必要があるだろう。 --では光秀を出した経緯は? 織田軍は光秀以外にも、人数が多いですが……。 山本:初代『戦国BASARA』のときは、織田軍の大きさを出したかったんです。 濃姫は女性で、蘭丸は子どもにしたということもあって、もう少し魔王の軍団にふさわしい人物を出そうと。 決して高名とは言えない人物である、濃姫・蘭丸という織田家の両武将という偏った人選は、初代におけるBの無双の後追いを象徴するものと言える。 また、魔王と言う信長の扱い、そしてこの「ふさわしい人物」と言う光秀の扱いも、同様のものと言える。 これは、以前の信長・光秀編の内容とも重複する話である。 --史実の天海は家康に仕えた側近のイメージが大きいですが、『戦国BASARA』では徳川軍ではないですね。 山本:それを繋ぐのが、小早川なんです。 関ヶ原のあとに天海が徳川軍につくとしたら、史実で西軍を裏切る小早川軍にいたらそうなるんじゃないかなと。 そうなる可能性もあるという話ですけどね。 あとは、天海が鎌を後ろに持ってきて輪を作るポーズをするのですが、これは史実の天海の鎧をイメージしています。 ここで天海の所属について言及されているため、少し基本的事実を確認しておきたい。 前半生の謎が多い天海であるが、一般に、彼は奥州の蘆名氏を出自とすると言われている。 修行をしつつ東国各所の寺社を転々とした末、豊臣秀吉の小田原討伐の際に関東に着陣した徳川家康の元に赴き、 そこから天海と家康との関係が始まったとされるのが通説である。 要は、家康の側近としての天海の半生は関ヶ原以前から既に始まっており、そもそも関ヶ原の後に徳川軍につくという筋書き自体が明らかにおかしいのである。 なお、天海が直接関ヶ原に参陣したとの史料もあるが、信憑性に欠くとの評価がある。 ここでは、「そうなる可能性もある」と留保はしているが、明らかに筋が悪いと言えよう。 最後の、鎌による輪のポーズと天海の具足の件は、単なる偶然の一致と考えてよい。 旧作では光秀と天海とを関連付ける要素がなかった以上はこう考えざるを得ないだろう。 --光秀や天海が信長に抱いていた感情は、最終的には何になるのでしょうか? 山本:いたずらっ子が好きな人にいたずらしたいのと似たようなものだと思うんですよ(笑)。 それの最上級というか。 信長の存在が大きいので、討ったは討ったでいいけど、消化しきれなかったから甦らせてでも討ちたいという感じです。 小人には周囲の人間が小人にしか見えず、餓鬼には周囲の人間が餓鬼にしか見えないという話であろうか。 何というか、引用しているこちらが居たたまれなくなってくる内容である。 --小早川軍では小早川をいじって楽しんでいるように見えますけど……(笑)。 山本:小早川に救われている部分はあると思います。 「人になりたい」と言いながらもどうしても欠落している部分があるけど、小早川といるときは和んでいるんじゃないでしょうか。 居心地がいいから小早川軍にいるんだと思いますね。 最近は、イジリ芸が苛めを誘発するのではないか、あるいは苛めそのものではないかと言う観点が広がりつつあるため、このような笑いや救いの内容は低級なものと引用者には見える。 これもひどい話ではあるが、およそ作中で碌な扱いをされていない小早川と一緒にいることが居心地がいいのであれば、それこそ公式自体が天海を冷遇している=公式が最大の天海アンチであると見做されても反論出来なかろう。 --最後に読者へのメッセージを。 山本:『3』や『宴』では天海として描いていますが、そこまでの光秀の物語は『HD』に収録した3タイトルで語られています。 彼の過去を紐解くうえでも、ぜひ遊んでほしいです。 本稿の纏めであり、一種の広告欄。 過去作未プレイの人の中で、こんな碌でもない人物の過去を紐解きたいと思う人が一体どれだけいるだろうか。 『戦国BASARA』の天海はこんな武将! 小早川秀秋を影で操る謎の高僧 正体は死んだはずの明智光秀 信長公をもう一度殺したい! 従来通りの編集部による三行紹介の欄であるが、ここではB天海を「高僧」と述べている。 確かに史実の天海は高僧と呼ぶべき人物であったが、Bのそれは果たして適切な評価であろうか。 B光秀=天海は共通して、信長を殺すことを至上の愉悦・行動目的としている。 しかしである。 高僧と言うからには当然ながら仏門の徒ということになるのだろうが、その仏教では人を殺すことをどう考えているか。 仏教の教えの中に「五戒」があり、その中に「不殺生戒」がある。 これは、「濫りに生命あるものを殺してはならない」という、ある意味では至極当然の教えである。 他の宗教にも類似の発想は勿論見られるため、仏教の枠内に留まらない普遍的な価値観と考えていいであろう。 では、この戒を公然と蹂躙するB光秀=天海はどうだろうか。 少なくとも、破戒僧とは呼び得ても高僧として評価することはおよそ不可能な筈である。 この程度の矛盾にすら気づかないのであれば、公式も編集部も、 相当の鈍感かあるいは無法な提灯持ち・自画自賛主義者の類でしかなかろう。 最後に。 本稿を締めるにあたり、ある件に言及しておかねばならない。 それは、今更と言われるかもしれないが、「光秀=天海説」自体の問題である。 本稿や用語集では一貫して、「光秀=天海説」は俗説、つまりは根拠不明瞭な話としている。 何故ならば、両者に関する地名や人名の僅かな重複程度しかこの説の根拠は存在しないためである。 だが、それ以外にも(そしてそれ以上に)重要な問題点がある。 それは、「(光秀=)天海が家康に仕えた」という事実それ自体が孕む矛盾である。 本能寺の変において、光秀は自らの主君である信長を弑逆した。 そして、本能寺の変の後に天海は家康に仕えている。 ここまでは誰も疑う余地はないであろうが、ここで問うてみたいのは、当の信長と家康との関係である。 家康にとって、信長はどういう人間であっただろうか。 大名=公人としては、清洲同盟と言う重要な同盟の締結先で、多くの苦楽を共にした貴重な相手である。 個人としては、人質時代に舎弟分として遇してくれた、思い出深い兄貴分である。 では、このような人物を殺害した相手に対して、殺害された側の縁者・遺族はどのような感情を抱くであろうか。 ましてや、自分自身がこの殺害に関する余波で死にかけている(*1)という側面すらあるのに。 引用者が見る限り、「光秀=天海説」の持つ致命的な問題点は以下のように纏められる。 「真に光秀が天海であったとしたら、何故自身が弑逆した大名の同盟相手に自ら赴いて仕官したのか」 「自身の盟友・恩人の仇である人物を、何故家康は自身の側近として採用したのか」 さらに加えるならば、 「徳川の家臣団は、何故大多数が恐らく知っているであろう天海の正体に気付けなかったのか」 ということも挙げられよう。 長きに亘る同盟の中で、徳川家臣団の中にも同盟先の重鎮である光秀の容姿や為人を知る者は多かった筈である。 そして、徳川家臣団は単なる武辺者の集団ではない。 史実においても天海の政敵として名高い高僧・金地院崇伝や若き大儒・林羅山に加え、 戦国有数の謀臣である本多正信・正純親子らも家康の側近として存在していた。 当代有数の知識人集団である彼らの目を掻い潜ることは果たして可能であったろうか。 もし、それだけの知性や世渡りの技量が光秀にあったとしたら、そもそも本能寺の変を起こすような窮地に陥ること自体が無かったろう。 或いは、こんな話も出てくるかもしれない。 「実は本能寺の変の黒幕が家康であったので、光秀を助けるという密約があった…」と。 このような反論は、俗説を通り越して最早陰謀論の域であると言わざるを得まい。 歴史にロマンを求める場合にも、この説を採る場合もあり得るのかもしれない。 しかし、その場合でも下されるのは以下のような評価でしかない筈である。 「姓名を偽ってまで自身が弑逆した主君の盟友を再仕官先に選ぶ光秀は天下一の恥知らず」 「そのような凶状持ちを採用した家康は寛容と言うより規律心が弛緩しきった昏君」 「自身を窮地に陥れた仇敵の正体に気付かず遇した徳川家臣団は救いようのない愚物共」 このような内容の一体何処にロマンや美学があるのか。 ロマン派の歴史ファンには悪いが、この説の結論は逆効果にしかなっていないと引用者には思えるのである。 目先の新規さや奇抜さに心奪われた挙句、定説や通説よりも碌でもない結論に至るというのが、 俗説の俗説たる所以ではある。 それでもなお、この説を「ものにしたい」のであれば、最低でも上記の問題を解決する必要が、 つまりは光秀と家康との関係に何らかの説明か修正を施す必要が出てくるであろう。 そして、実際にそのことを行った物語は実在するのである。 それは一体何か。 それこそが先述した、『戦国無双3』の明智光秀シナリオに他ならない。 『戦国無双3』の明智光秀シナリオの第一話は、「長篠の戦い」である。 これ自体は特に問題ない合戦場選出ではあるが、その内容に「ある興味深い仕掛け」が施されていることにプレイして気付いた方も少なくないと思われる。 それは、PCである明智光秀と自軍NPCである徳川家康の初期配置が極めて近い位置にあるということである。 無双シリーズではほぼ全作品を通じて、PCと敵味方NPCが接触する際に会話イベントが生じる場合がある。 逆に言うと、上記の場合は戦闘開始後ほぼ確実に両者の会話が発生する形になっているのである。 その中で、両者は一種の相互理解的な会話を行うのであるが、これが伏線になっているのと同時に、 先に述べた両者の関係に関する説明になっているという形になっているわけである。 この戦いののち、畏友・長宗我部元親に煽られる(内心を見透かされる)形で本能寺の変が起こり、 山崎の戦いで敗れ、畏友も配下も、そして自分自身すらも喪った彼は世を儚み世捨て人になる。 時代は流れ、その彼の元に「ある人物」が訪れ、光秀の「再起のための戦い」が始まる…というのが、 『3』光秀シナリオの概略である。 本稿は当該シナリオの是非を問う目的で記されているのではないため、これ以上の内容への言及は差し控えたい。 ただ、上記の通り、KT公式の側は「光秀=天海説」を採用するにあたって、 その矛盾や限界を明確に理解し対応したという事実は動かないと考えてよいであろう。 翻ってB3天海である。 多くの史家や市井の歴史愛好家に数多く語られてきた色々と有名な説を採用して「あれ」である。 B3が少なくとも後発である以上、先行作を上回る完成度を持っていないと更に評価は低くなるというのに、 およそ公式による思慮の痕跡が見られない内容になっているのは一体どういうことであろうか。 ファンへの訴求力の高い人気声優の速水奨氏を続投すべく、無理矢理に光秀を作中にねじ込む為の格好の口実を得ただけの様にしか引用者には思えないのである。 「あーはいはい。名前だけは合ってるのは分かったから、さっさとあっち行け。しっしっ」 引用者の偽らざる本音である。
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<企画立案> みみろくさん <CAST> 名前 コミュ キャラクター みみろくさん co534891 織田信長、松永久秀、最上義光、竹千代 詩ねこさん co545418 猿飛佐助 またろうくん co541854 前田慶次、北条氏政 とっしんさん co1394664 伊達政宗 姉御さん co170786 お市、ザビー にゃがみさん co252811 濃姫 いちゅさん co1362734 お市 パシフィストさん 武田信玄 鬼神さん co1158641 伊達政宗 牛天鹿さん co380895 蘭丸 レイリーさん コミュ確認中 天海、黒田官兵衛、島津義弘、片倉小十郎、ナレーション 明智・T・ハラオウンさん コミュ確認中 明智光秀 ハンベイさん 大友宗麟、徳川家康 カクレミノさん 猿飛佐助、片倉小十郎 やんちゃんさん co545210 長宗我部元親 翔啝(トワ)さん 孫市、濃姫・お市 のだこじゅさん 上杉謙信 ふじよしさん 松永久秀 クローバーさん 猿飛佐助 女王さん 上杉謙信 桔梗さん お市 <STAF> 名前 やること みみろくさん シナリオライター・製作総指揮 庚さん 絵師 岬さん シナリオライター・絵師(影絵) 猫の人さん シナリオライター・HP作成 skyくん サウンドミキサー コメント 名前 コメント test -- 猫の人 (2011-12-08 23 48 09) 現在のキャスト人数 キャラクター 中の人 現在の人数 ナレーション 渡辺英雄 1 織田信長 若本規夫 1 濃姫 日野由利加 2 森蘭丸 下和田裕貴 1 浅井長政 辻谷耕史 お市 能登麻美子 4 明智光秀 速水奨 1 前田慶次 森田成一 1 前田利家 坪井智浩 まつ 甲斐田裕子 伊達政宗 中井和哉 2 片倉小十郎 森川智之 2 武田信玄 玄田哲章 1 真田幸村 保志総一朗 猿飛佐助 子安武人 3 上杉謙信 朴路美 2 かすが 桑谷夏子 徳川家康 大川透 1 北条氏政 宮澤正 1 今川義元 塩屋浩三 島津義弘 緒方賢一 1 長曾我部元親 石野竜三 1 毛利元就 中原茂 松永久秀 藤原啓治 2 石田三成 関智一 大谷吉継 立木文彦 雑賀孫市 大原さやか 1 鶴姫 小清水亜美 黒田官兵衛 小山力也 1 小早川秀秋 福山潤 天海 速水奨 1 立花宗茂 稲田徹 大友宗麟 杉山紀彰 1 最上義光 白鳥哲 1 いつき 川上とも子 ザビー 塩屋浩三 1 豊臣秀吉 置鮎龍太郎 竹中半兵衛 石田彰 宮本武蔵 浪川大輔 本願寺顕如 辻親八 直江兼続 伊丸岡篤 南部晴政 宝亀克寿 佐竹義重 木村雅史 宇都宮広綱 吉田孝 姉小路頼綱 白熊寛嗣 尼子晴久 川村拓央
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はじめまして。 いまさらですが タブレットが面白くなり 人生初のブログを 作ってみました(∂∂) 更新頑張ろう 応援して下さい
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est -- testt (2008-06-17 01 40 55) 名前 コメント
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脚本:高橋ナツコ/絵コンテ:佐野隆史/総作画監督:徳田夢之助、小林利充 かつて、徳川家康と石田三成が戦ったことで、生じた関ヶ原の巨大な亀裂。 時を経て、その亀裂は日ノ本の国を二分する象徴となった。 そして今、二人の約束の地で 天下をかけた戦いの火蓋が切って落とされようとしていた。 ある者は、自らの人生を切り開く為、ある者は、宿命の好敵手と戦う為、ある者は復讐の為、ある者は絆の世を創るため……。 己のけじめをつける為、決戦に臨む一同。 (アニメ公式サイトより引用) +←箇条書き先頭のこの部分をクリックすると詳細が表示されます。 もう一度クリックで 閉じます。 ※このページでは検証目的で「戦国BASARA Judge End」(テレコム・アニメーションフィルム制作)の映像を一部引用しています。 サムネ表示なので、クリックすると大きめの画像へ飛びます。 ・以下アニメの疑問点を紹介 + 私怨まみれの関ヶ原 私怨まみれの関ヶ原 ナレーションでは「天下を賭けた戦いの火蓋が切られた」と説明がある。が西軍側で天下を念頭に 置いて戦う者はほぼ確認できない。 特に総大将の石田三成は8話の演説で徳川家康個人を倒した後のことは考えていないと宣言している。 何より前回まで各キャラの信条や信念に関する描写が薄く矛盾も多い為に、戦を勃発させた理由が曖昧で ただの私闘としか見えなくなってしまっている。 そして関ヶ原の地にかつて家康と三成が作った巨大な亀裂が日ノ本を二分する象徴となったとナレーションの 説明が有る。 しかしそれが周知の事実と思えるような描写がなく、いささか唐突感を覚える表現である。 また原作においては。かの地が物理的に二分されているわけではなく、この二人の「約束の地」であるがために最終決戦の場に 選ばれた事実もない。さらに魔王信長復活も関ヶ原に移動させられ、東西軍その他勢力図も原作と異なるため 非常にごたつき、全容が掴めない状態の演出となってしまっている。 + 「まるでお館様に見えるぜ、大将」 「まるでお館様に見えるぜ、大将」 西軍本陣にて幸村は「今は個々のことよりもこの大戦の流れに集中せねば」と自らを戒め、 それを信玄の様だと佐助に賛美される訳だが、その直後に「家康殿を超えることでお館様に報いる」 「道の先にいるのは政宗殿」と個人的な事情と思われる思考が前触れもなく現れ、直前のやりとりが あっさりと無意味なものになってしまっている そもそも家康が信玄を倒した訳でも無く、信玄は病気によって倒れたのであり、何故家康を超える事が 信玄に報いる事になるのかは謎であり、この一連の遣り取りやそれまでの行程から佐助が何をどう見て どう思っての「まるでお館様に見せるぜ、大将」なのかも謎である。 + 本陣から動かない政宗 本陣から動かない政宗 本陣に腰を据えて高みの見物状態の政宗に違和感しかない。 自軍兵を進軍させる様はアニメ過去回(初陣)の政宗を彷彿とさせ、原作においての伊達政宗は どこにも居なくなっている。 + 合戦場に入り込む鶴姫 合戦場に入り込む鶴姫 恋愛対象である宵闇の羽の人、風魔を追いかけて東軍陣内から合戦場へと入り込む等、非常に無謀な行動に出ている鶴姫。 7話の駿府城での行動といい、原作の鶴姫は世間知らずではあるものの、このようないささか厚顔無恥な恋愛脳ともとれるような 非常識なキャラとしては描かれていない。 また原作と違いアニメの家康と鶴姫の仲は決して良好とはいえないが、東軍本陣にいる徳川主従や伊達主従らが 完全な部外者であり、まだ年若い巫女でもある彼女が単独で自陣内に紛れ込み、さらに戦場のただ中に飛び出してゆくのを 黙って見過ごすことは考えられない。東軍本陣でいったい何が起きているのか。 + 日輪 日輪 原作においての毛利軍兵器「照日大鏡」「明日大鏡」を模していると思われる「日輪」だが 前者は鏡面から光線が出るが、後者は鏡面から光線が出たと思えば上空から撃ち落とす光線に なるという不思議仕様となっている。 そして中盤、対鶴姫に発動する際は鏡面からの直線描写となっている。 + 見逃される大友軍と酒井忠次 見逃される大友軍と酒井忠次 関ヶ原での大友軍の登場箇所は亀裂を超えた東軍側で本陣にも近い。あの見晴らしのいい戦場でどうやって 見つかることなくそこまで近づけたのか、なぜそんな無茶な策が採られたのかも謎であるが、それ以上に奇妙なのは 敵陣内で完全に孤立状態にあるにもかかわらず全く攻撃されない点であろう。 その上己の職務を放り出し、さらには大友軍に付いていったらしい酒井に対しても東軍は何の反応も見せない。 (項目:戦の最中に人生相談とレボリューション後、大友軍が引き上げるのと同時に酒井の姿は消えている) 彼に従っていたと思われる兵らは指揮官なしで西軍に攻め入り、目の届く距離であろう本陣の者達も沈黙したままである。 特に家康とザビー教(現大友軍)は過去に敵対関係だったことがあり、また酒井は直前に信頼をこめて見送ったばかりの幼馴染であるだけに まるで大友軍と酒井の存在が突然他のキャラには認識できなくなったとしか思えないような不可解な状況となっている。 そして宗麟が酒井の人生相談を聞き、肩を叩いて慰めた段階では二人以外の大友軍は消失している。 しかし酒井に洗礼名を与えたおよそ20秒後には、立花宗茂をはじめ大友軍一同が宗麟の背後にいつの間にか控えている。 このような演出には首を傾げるしかない。 + 口調のおかしい片倉小十郎 口調のおかしい片倉小十郎 原作において政宗に対しては基本極丁寧な物言いであるが、他武将に対して謙る言葉を使う事は 無い。しかし本陣において家康へ 「敵包囲を突破するには戦力が合いませぬ。このままでは勢いは劣るかと」 と発言している。まるで家康の家臣の如く、である。 + ジェットコースターカタパルトと人間大砲島津義弘 ジェットコースターカタパルトと人間大砲島津義弘 カタパルトからの発進という演出は原作でもされているが、アニメ内において過去カタパルトを使用した 発進の演出はされておらず、島津の人間大砲との対比の為か唐突にジェットコースターのレールのような カタパルトを使用した発進演出が唐突に加えられた事に違和感を感じる。 既に指摘されている事だが、忠勝の背中のバーニアは単なるリュックとなってしまっており、 動力は謎となっている。原作においては背中のバーニアを吹かして飛ぶ演出がされている。 そして忠勝が発進した後、島津は忠勝が空を制するのを制す為に、薩摩戦術の奥深さと称して砲身へとセットされ 人間大砲として発射されているが、原作にはそのような演出は勿論無い。BASARAらしいという声も有るが、アニメでの 演出は今までリアルに重きを置いているかのような演出だった為、人間大砲以外でも九話は非常に違和感を覚える。 なおカタパルトについてだが、走路が離陸速度の確保を阻害する様に湾曲した急勾配になっており、 あのような仕様では無駄に動力が必要になってしまう。普通に考えればあのような形状の走路は有り得ない。 + 戦の最中に人生相談とレボリューション 戦の最中に人生相談とレボリューション 酒井忠次はアニメオリジナルキャラクターであり、その設定として徳川重臣であり信条は「信じる!」と なっている。が、戦の真っ只中に敵軍大友宗麟に対して地べたに座り込んで愚痴を言い出すという 立場も信条も忘れ去られたような演出が取られている。 その後洗礼名「Revolution」として衣装チェンジが行われるのだが、上記と同じく何故今その演出をするのか 全くもって理解に苦しむという状況になってしまっている。 なお、洗礼名とチェンジ後の衣装は忠次に声をあてている西川貴教氏のいわゆる「中の人ネタ」となっている。 参考動画:ttps //www.youtube.com/watch?v=vBmU5v2EyxM(外部サイトになります) (T.M.Revolution Official YouTube Channelより) + 激昂する孫市 激昂する孫市 前回同様、孫市のキャラクター性とはかけ離れた演出となっている。 (詳しくは八話「激昂する雑賀孫市」項を参照) + 小早川軍鍋スライダー 小早川軍鍋スライダー 原作において鍋が武器の金吾だが、小早川軍の兵が鍋を使う事は無い。だが、なぜか金吾と兵が 丘上から鍋を使って戦場へとスライダー移動している。 + 家康との戦いを神聖視する石田三成 家康との戦いを神聖視する石田三成 戦場を荒らす天海らの報告を聞き、三成は「この私と家康との神聖な戦いすら冒涜するするつもりか!」と怒りを見せる。 しかしこの言い回しではまるで彼が家康と対等な戦を望んでいるかのようなである。 三成はこれまでのストーリーで家康を卑劣な裏切り者と見なし一方的な死を望んでいる。 ここでは「私の」神聖な戦いと呼ぶほうがまだふさわしいといえる。 + 合戦場の中央まで侵入するゾンビ軍と雑賀衆 合戦場の中央まで侵入するゾンビ軍と雑賀衆 西軍兵の三成への報告によると、天海らと織田残党のゾンビ軍は襲撃を繰り返したのちに合戦場のほぼ中央まで入り込んだという。 ゾンビ軍の行軍速度はおせじにも速いとはいえず、また非常に目を引く一団である。 大戦のさなかの混乱は有るだろうが、そこまで侵入を許す東西両軍の伝達網はどうなっているのか謎である。 そして地上に大きな災厄をもたらす魔王復活を阻止するため脇目も振らず天海を狙う雑賀衆だが、 事の重大性を認識しておきながら孫市らは東西軍どちらにも一報を入れることすらしない。 戦場で自軍ではない兵などいつ攻撃されてもおかしくなく、そうなれば無駄に兵を死なす可能性もある。 孫市らは天海たちゾンビ軍よりも先に関ヶ原に到着したようであり、警告や協力を求めるなどその場で使者を立てることも出来たはず。 仇である信長の事となると動揺しやすいのは原作でも見られる傾向だが、アニメでは直情が過ぎると思われる。 また家康とのわだかまりを解いた慶次が東軍に助力を頼んでもおかしくない状況である。 後に幸村と政宗の二人が唐突に関ヶ原の戦いを神聖視し始めて自主的に事態の解決に乗り出すが、 同じ戦場で共通の敵がありながら意思の疎通がろくに行われないため、それぞれの事情でばらばら動いているといった印象が残る。 + 天海(明智光秀)をかばう大魔の手 天海(明智光秀)をかばう大魔の手 原作においてそのような演出は無い。何より、原作3より魔の手は市の体から独立という形になっているが あくまでも魔の手は市が呼び出している。にも関わらず、天海を庇い市を逆さ吊りにする等、見方によっては あたかも魔の手の主が天海のようにも受け取る事が出来、違和感しかない。 原作市ステージにて大魔の手に逆さ吊りにされている演出が有るが、宙吊りから地面へと落ちた後に 大魔の手の小さい派生手が市を抱き起こす様な演出となっている。 + パニックに陥る市 パニックに陥る市 原作3宴において市は人を人として認識するのが難しい程の喪心状態に陥っているが、アニメにおいて 天海を見て直ぐに明智光秀だと察し、叫びだしパニックに陥っている。 原作において天海の事を光秀だと認識する素振りも有るが、名はノイズに掻き消され聞こえない演出となっている。 そして、織田信長を討ち取ったのは明智光秀だが、それに関して市がパニックに陥る理由が明確では無い。 + 部下になった真田幸村 部下になった真田幸村 序盤において三成から出撃を指示されたものの「武田は未だ動かぬ!時を見定める」と発し 武田の大将としての立場を演出しているようであったが、終盤突如 「石田殿!某に出撃をお命じ下され!」 と、三成の配下の如くな言葉を連ねるという違和感を通り越して困惑する演出となっている。 勿論原作にそのような設定も演出も有るはずが無い。 既に指摘されているが、幸村は武田の大将であり豊臣(石田)軍は同盟相手、軍門に下った訳でも家臣になった訳でも無い。 上へ 一つ前のページにもどる
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朱理は紅蓮の野に立つ ◆Wv2FAxNIf. 渋谷駅に近く、昼過ぎということもあって多くの客で賑わう喫茶店。 そのテーブル席に一組の男女が座っていた。 女性が着用しているのは、KMFを操縦するための赤いパイロットスーツだ。 ゴムのように伸び縮みする生地でできたそれは、彼女のメリハリのあるボディラインにぴったりと張り付いていた。 整った顔立ちで、スーツよりも少し淡い赤色の髪を肩まで伸ばしている。 そんな人目を引き付けてやまない外見の彼女が、がさつと言ってもいい食べ方でカレーを口に掻き込む。 そのため店内でその一角だけが浮いてしまっていた。 しかし彼女を注視しているのは、対面に座る男性だけだ。 「……ちょっと。何、じろじろ見てるのよ」 同じくカレーを食べていた男に、赤い髪の女――紅月カレンは目を細め、唇を尖らせる。 短く切った黒髪で、年齢はカレンと同じぐらいだという青年。 皮鎧の上に赤いマントを羽織った彼は、カレンの苛立ちにまるで動じていない。 どころか胸を張り、堂々と言い放った。 「感心していた。 やはり、よく食う女は発育がいいんだな」 「ちょっと!! それ、セクハラなんじゃないの!?」 カレンが勢いよくテーブルを叩く。 派手な音が鳴ったが、やはり他の客は誰も振り向こうとしない。 それから少し恥ずかしくなって、カレンは叩きつけた手をテーブルの下へ隠した。 「今日初めて会った相手に、よくそんなことが言えるわよね。 こっちこそ感心するわよ」 カレンの皮肉もどこ吹く風と、男はカレーを食べ続けている。 朱理と名乗ったこの男に振り回され続けるカレンは、今日だけで何度目かになる大きな溜め息をついた。 ▽ 博物館で目を覚ましたカレンは、まず身の回りの確認をした。 パイロットスーツを着込んでおり、財布、携帯、ポーチ、それに大切な『鍵』と、一通りの持ち物が揃っている。 全てブリタニアの捕虜になった際に没収されたものだ。 カレンは黒の騎士団のエースパイロットとして、ブリタニアから日本を取り返すべく戦っていた。 しかし戦争に敗北し、皇帝への反逆者として処刑を待つばかりの身となった。 そのはずが〈竜〉や〈喰らい姫〉と会うことになり、儀式に放り込まれ、状況に全く追いつけていない。 そしてそれらと同じぐらいに不可解なものが目の前に鎮座しているため、カレンの困惑は深まるばかりだった。 「……何で?」 地域の風景写真、人口推移のグラフ、そうした地域特有の資料が並ぶ中で唐突に展示された――紅蓮聖天八極式。 ダモクレス戦役でランスロットと相討ち、ほぼ大破した状態にあったKMFだ。 誰が修理したのかと、カレンは人目を気にしながら機体に手を伸ばした。 だが触れる直前、建物の外から男の怒鳴り声が響いた。 驚いて咄嗟に紅蓮から離れるが、屋内からでは様子は窺えそうにない。 やむをえず、カレンは紅蓮を置いて外へ向かった。 博物館の入り口に駆けつけると、建物の正面で男が通行人の胸に掴みかかっていた。 淡い光を纏って見える、鎧姿の奇妙な男だ。 カレンはすぐに止めに入ろうとしたが、足を止める。 男に怒鳴られようと、体を揺すられようと、その通行人は無反応だった。 他の通行人も同様に無表情で、二人の横を通過していく。 見て見ぬふりをしているというより、初めから見えていないような動き。 興奮した様子の鎧姿の男ではなく、その周囲の方が異常なのだ。 そうして出鼻を挫かれて立ち止まっていたカレンは、その男と目が合ってしまった。 「そこの変な格好の女!」 「っだ、誰が変な格好よ!!」 「よし、お前は話せるな」 しまった、とカレンは舌打ちする。 周りが見えなくなっているように見せて、この男は冷静だ。 そして男はあるものを指さした。 「これは何だ!?」 「何だ、って…………車じゃない」 何を言っているのかと、カレンは心底呆れた声を出してしまった。 しかし彼はその言葉を復唱して、停車したワゴン車の外装を興味深そうになぞっている。 「話には聞いたことがある。乗り物だな。 馬は要らないのか? それともまさか、地上の乗り物に蒸気を使っているのか?」 「要るわけないでしょ、馬も蒸気も。 全部サクラダイトよ」 ふざけているのかと声を荒らげそうになってから、思い出す。 〈喰らい姫〉に見せられた五つの世界。 カレンが知らない日本に、ニル・カムイに、殷に、スピラ。 数秒の映像ではあったが、それぞれが全く異なる文化を持っていることは理解できた。 それからカレンは改めて、まじまじと車を観察している男に意識を向ける。 「もしかして、ホントに知らないの?」 「知らん。だがお前は詳しいらしいな。 ちょうどいい、案内しろ」 彼は己の無知すら恥ずかしげもなく言ってのけた。 この男は元より人の上に立つために生まれた人間なのかも知れないと、そう思わせるほどの態度だ。 それはカレンにとっては思い出したくない相手を思い出させるもので、胸に苦い味が広がる。 しかし彼にはカレンの胸中など関係なく、互いに名乗り合った後で爽やかに笑ってみせたのだった。 「紅月に、カレンか。良い名だな」 傍若無人で、しかしどうしてか不快感は薄い。 それが朱理との出会いだった。 ▽ その後もカレンは朱理のペースに乗せられ続けた。 車、バイク、モノレール、携帯、テレビ。 乗り物や新しいものが好きだという朱理にとって、この渋谷は理想の環境だったようだ。 目を輝かせ、走り回り、あれは何だこれは何だとカレンを質問攻めにしては好奇心を満たす。 カレンは観光などしている場合ではないと思いつつも、他にやるべきことも浮かばず、結局辛抱強く付き合っている。 「そんなに隙だらけでいいのかしら。 私が後ろにいるのに」 「お前がその気なら、そんなことを聞く前に刺しているはずだ。 少なくとも今は乗り気には見えんが、違うか?」 街中で子どものようにはしゃいでいる朱理だが、時折こうして真剣な表情を見せる。 ただ好きなものを見て楽しんでいるだけではなく、間の抜けた姿すら計算ずくであるように振る舞うのだ。 少なくともただの馬鹿ではないらしいと、カレンは彼を評価していた。 とはいえ、説明続きでうんざりしていたのは確かだった。 最終的に朱理は「腹が減った」、「食うなら美味いものがいい」とごね始め、カレンもそこで我慢の限界に達した。 くだらない口論の末に適当に選んだ店に入り、無難にカレーを注文し、現在に至る。 腹を満たしたことで多少、お互いに気分が落ち着いていた。 「しかし、俺が女に奢られるとはな」 「私だって好きで奢ってるわけじゃないわよ。 でもここのお金がないなら仕方ないじゃない」 「そうは言うがな。前だって――」 はたと、何かに気づいたように、朱理は言いかけた言葉を飲み込んだ。 そしてそのまま黙り込んでしまう。 「ちょっと、最後まで言いなさいよ」 「……いや。 俺も整理できていなかった。 悪いが忘れてくれ」 口数の多い無遠慮な男がカレンの前で見せる、初めての姿だった。 それまでの威勢の良さが嘘のように消え、神妙な面もちで考え込んでいる。 「案外俺は、未練がましいのかも知れん」 朱理がそう小さく付け加えたことで、カレンは女性の話だろうと察した。 朱里のことを何も知らないのだから、見当違いな推測かも知れない。 しかし今のカレンにはそう思えたのだ。 「未練っていったら、これもきっとそうなのよね……」 カレンは朱理に届かないような声量で呟き、携帯電話を指で摘み上げる。 十数分前にあった着信に何の返事もしていない。 電話してきたのは、ルルーシュだった。 彼に駒だと言われた時、裏切られたと思った。 それでも直後に「君は生きろ」と言われて、彼の真意が分からなくなった。 だからもしもアッシュフォード学園で彼が「ついてこい」と言ってくれていたら。 駒ではなく紅月カレンを必要としてくれていたら。 きっとそれが、何よりも大切だと思っていた日本を裏切る道だったとしても、ついていったのだろう。 けれどそうはならなかったから、この話は終わりだ。 彼に別れを告げて。 殺そうとして失敗して、戦争にも負けた。 もう終わったのだ。 嫌なら着信拒否にすればいい。 意地を張っている場合ではないと思うなら、素直に電話に出ればいい。 そのどちらもせずに、ただ履歴の名前を眺めている。 きっとこれこそ、未練だ。 「連絡が取れる相手はいないのか?」 「……いないわよ」 朱理の問いに嘘をついて、携帯をテーブルに置いた。 外部とは繋がらず、他に番号を知る相手もいないとなれば、もう使い道がない。 代わりに地図を広げ、朱理におおまかな説明を行う。 「今いるのがここ、渋谷。 環状線を挟んで内側が租界、外側がゲットー」 「環状線は、確かモノレールの名前だったな。 租界やらゲットーやらというのは?」 「租界は、ブリタニアに媚びを売って栄えた盗人の街。 ゲットーは、ブリタニアに散々傷つけられた私たちの街よ」 説明しながら、カレンは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。 いつだって、環状線の内と外の間にある格差を憎んでいた。 ブリタニア人が我が物顔で伸し歩く租界を見ても、廃墟が広がるゲットーを見ても、ブリタニアへの憎悪が膨らんだ。 しかしこの地では、少々事情が違うようなのだ。 「さっき見た限りでは、そんな大層な差があるようには見えなかったが」 「そうなのよ。 ここが日本だったら――私の日本だったら、そんなのありえない。 それに租界だって、今は人が暮らせる状態じゃないから……やっぱりおかしい」 数ヶ月前に使用されたフレイヤ弾頭により、租界は壊滅して巨大なクレーターになった。 渋谷の一部もその範囲に入っているはずで、街として正常に機能しているはずがない。 「それならここは、俺の知る日本でもお前の知る日本でもない、三つ目の日本か?」 「そう……なのかも知れないけど。 それにしてもやっぱり変というか……」 カレンが曖昧に言葉を濁す。 気になるのは、二点。 一点はこの街がサクラダイトに支えられていること。 カレンにとっての日本と朱理にとっての日本の姿がかけ離れていたのに対し、ここはカレンにとっての日本に近すぎる。 ブリタニア人を全く見かけないことを除けば、生活様式にも大きな違いが見られない。 そしてもう一点は、この街に住む人々の様子だ。 彼らの姿に、カレンは既視感を覚えたのだ。 「リフレインっていう薬があるのよ。 自分にとって一番よかった頃を思い出させる、最低な薬。 日本って名前にこだわったり、皆して妙に幸せそうな顔をしてたり……。 この街の人たちを見てると、薬の中毒患者そっくりでムカつくわ」 「夢を見ているような状態になるわけか」 「そうね……多分、そんな感じ」 朱理の言葉で、〈喰らい姫〉も「夢」と口にしていたことを思い出す。 しかし街や人が「夢」だと言われても意味が分からなかった。 朱理はまだ街について考えているようだったが、カレンは早々に諦めることにした。 ここで考えていても進展があるとは思えない。 ルルーシュならば何か気づいているかも知れないと、そう考えてから、すぐに頭を振ってその思考を追い払った。 ちょうど食事も終わったところで気を取り直し、本題に入ることにする。 「それで、これからどうするつもりなの?」 「まずは人を捜す。 知り合いもそうだが、協力者が欲しい。 そういうお前こそどうなんだ」 朱理の答えは明瞭だった。 何も考えていないように見えるだけで、この男は考えるべきことは考えている。 緊張感は薄いが、この状況でも平常心を保てるのはむしろ強みといえる。 「私の敵はブリタニアよ。 関係ない人たちと殺し合えって言われても従えない。 ……本当に五人しか帰れないようなら、困るけど。 〈竜〉の力っていうのも気になるし……」 「殺し合いに関しては、何とかなるかも知れん」 「どういうこと?」 カレンが思わず聞き返す。 朱理のことは評価していても、そこまで考えがあるとは思っていなかったのだ。 「お前も〈竜〉には会ったんだろう? 何を言われた」 「何って……〈契りの城〉に行けるのは五人だけって」 「そこじゃない。 俺は『器を示せ』と言われたぞ」 改めて〈竜〉の言葉を思い出せば、確かにそうだった。 そしてカレンは朱理が言わんとしていることを理解する。 「殺し合え、って言ったのは〈喰らい姫〉だけ?」 「そうだ。 俺は〈喰らい姫〉の言うことを鵜呑みにする気はない。 別の道があるかも知れんということだ」 単に〈赤の竜〉が明言しなかっただけなのかも知れないが、と朱里は付け加える。 だが争う以外の方法の可能性が見えたことは大きかった。 よく考えている。 よく観察している。 態度に反して、朱理は思慮深い。 対する自分はどうだろうかと、カレンは自省する。 朱理よりも多くの情報を持ちながら、名簿に載った彼らに――着信履歴にある彼の名前に、気を取られている。 反省している今ですら、〈竜〉や帰る方法よりも、彼らとの決着の方が気になってしまうのだ。 朱理に遅れを取るのも当然だった。 そうしてカレンが黙っている間にも朱理は話を続け、不満を口にする。 「だいたい、俺はあの女が気に入らん。 次の時代の担い手を決めると言いながら、その選定方法が殺し合いだと? そんなもんはこっちから願い下げだ」 強者が弱者を殺して、それで手に入れた力を振るうのでは、これまでの時代と何が違うのかと。 静かな憤りをもって、朱理はそれを語る。 正しい、正当な怒りだ。 だが彼の正論はカレンにとって、快いものではなかった。 「じゃあさっさとここを出るわよ。 じっとしてても仕方ないんだから」 「……おい、何を怒ってるんだ」 「別にあんたに不満があるわけじゃないわ。 あんたの言ってることが、私の嫌いなやつに似てただけ」 裏切りの騎士と呼ばれた日本人がいる。 名簿にも記載されたその人物と、カレンは最後まで手を取り合えなかった。 彼も日本を想って行動しているのだと信じていたが、結局権力を求めていただけだったのだ。 次に会ったらKMFではなく素手で殴ってやりたいと、そんなことを考えながらカレンは席を立った。 朱理が後ろから文句を言ってきているが、構わずに会計を済ませる。 そうして店を出ようとしたところで、地面が鳴動した。 ▽ 店の外に出て、朱理は噴煙を見た。 方角はカレンの説明によれば、租界の中心に近い。 「ここにいる連中が自発的に何かするとは思えんな。 殺し合いのために用意された『夢』とやらなら、事故や偶然もないだろう」 「誰かが派手にやってる、ってことかしら」 「そうなるな」 噴煙の数は増えていく。 街が破壊されていく。 朱理は噴煙の方角へ向かおうとして、カレンに腕を掴まれた。 「ちょっと、どうするつもり?」 「参加者の誰かがいるはずだ、会って止める」 まともな策はまだ浮かんでいない。 持っている武器は剣一本、土地勘はほとんどなく、地元の住人を味方につけられるとも思えない。 普段の口八丁で切り抜けられる状況ではなさそうだが、それでも逃げるという選択肢はなかった。 「見ろ、周りにいる連中を。 こんな状況でも誰も見向きもしない。 このまま続けばこの連中も巻き込まれる」 何の縁もない、話もまともに通じない、本当に生きた人間といえるのかも怪しい人々だ。 だからといって、彼らをむざむざと殺させていい理由にはならない。 その考えはカレンも同様だったらしい。 「私だって黙ってるつもりはないわよ。 でもあんたには武器がないんでしょう? だから」 言って、カレンは胸元から『鍵』を取り出す。 赤と白、炎と翼を組み合わせたような意匠のそれを、彼女は握り締めた。 「見せてあげる。 あたしの紅蓮を」 紅蓮聖天八極式。 女性パイロットが乗る機体とは思えないほどいかめしいフォルムで、特に鋭い鉤爪を持つ右腕は悪魔じみた形状だ。 そのスペックは現代のKMFの中でも最強と呼んで差し支えなく、ランスロット・アルビオンすら凌ぐ。 何故か博物館に展示されていたその機体に、カレンは乗り込んだ。 日本式の紅蓮のコックピットは、背もたれ付きの座席に座るブリタニア式のコックピットとは趣が異なる。 居住性が重視されたブリタニア式に対し運動性が求められた結果、座席にバイクのように跨って操縦する方式が取られたのだ。 カレンは席に着くと姿勢を前に倒し、操縦桿を握る。 非常時とはいえ、久しぶりの感覚に気持ちが高揚するのを感じた。 起動キーを刺して機体のチェックを行うが、オールグリーン。 期待のコンディションもエナジーも問題なく、いつでも動かせる状態だ。 発艦の前に、気分を落ち着けるべく一つ息を大きく吸い込む。 そして一人の男が、それを台無しにした。 「おい、狭いぞ」 「仕方ないでしょ、一人乗りなんだから!」 紅蓮の全高は平均的なKMFと大きくは変わらず、約五メートルである。 コックピットのスペースは限られており、朱理はカレンの座席の後ろで中腰を余儀なくされていた。 「変なところ、触らないでよね」 「ボタンの話か? いや体の方か」 「両方よ、バカ!!」 締まらない空気のまま、紅蓮は発進する。 エナジーウィングで機体全体を覆い、防御姿勢を維持したまま外界とを隔てるガラスを打ち破った。 ▽ 紅蓮が空を舞う。 エナジーウィングによって鋭角の運動と高速機動を可能にしたこの機体は、ものの数分で目標地点へ到着した。 渋谷から租界の中心に向かう、その途中に位置する場所。 一度空中で停止し、地上の様子をモニターで拡大する。 そこに映し出された光景は、カレンの想像を絶するものだった。 人が人を襲っている。 襲っている者たちは――死体。 信じたくはないが、手足の欠損や胸部の損傷の具合から、既に死んでいるとしか思えないのだ。 動く死体が群れを成して、人を襲っている。 高高度から街全体を見渡せば、群れが租界の中心の方角から放射状に広がっていくのが見て取れた。 このまま拡大すればいずれは環状線を越え、ゲットーを、そしてトウキョウ全域を覆うだろう。 現実味のない光景にカレンが息を止めたのは、一瞬だけだった。 すぐに「敵」を認識し、感情を爆発させる。 「やめろぉぉおおおおおおおッ!!!!」 紅蓮の右腕を発射する。 右腕は肘から先が着脱可能で、ワイヤーによって肘と繋がっている。 そして腕自体にブースターが点いているため、射出後も軌道を自在に変えられるのだ。 鋭い鉤爪が高速で飛び、生者を襲おうとしていた死体を貫く。 同時に、死体が高熱によって破裂した。 掌部分に搭載された輻射波動と呼ばれる機構によるものだ。 高周波を短いサイクルで対象に直接照射することで膨大な熱量を発生させ、爆発・膨張を起こす兵器。 KMFですら一撃で破壊する威力であり、実際に戦場では夥しい戦果を挙げている。 これが強力なブースターと組み合わさることで、紅蓮本体がその場から動くことなく、戦場を蹂躙することが可能になった。 腕が群れの中を縦横無尽に駆け回り、死体たちが原型を留めず破壊される。 腕が発射されてから紅蓮本体の元へ巻き戻されるまでの数秒のうちに、一つの通りにいた死体たちは全てただの死体に変わった。 だが潰したのは全体のほんの一部に過ぎない。 街全体を覆わんとしているそれは、紅蓮の力をもってしても止め切れない。 「早く、早く止めないと……日本人が……!!」 「……カレン、他の武装はあるのか」 朱理の声を聞き、カレンは我に返った。 焦りを鎮め、紅蓮の機体に装備された武器を確認する。 「えっ……と……MVSとスラッシュハーケンと……」 「ええい分からん。 今の以外に、広範囲を纏めて巻き込むような武装はあるかという意味だ」 「……ないわ」 「サクラダイトとやらのことは分からんが、要は燃料だろう。 これはいつまで動かせるんだ。 補給の目処は?」 「……そんな何時間ももたないわ。 補給も……ここでは多分無理」 エナジーウィングも輻射波動も、莫大なエネルギーを必要とする。 普段なら黒の騎士団を頼るのだが、この場ではそうもいかない。 一度エナジーが切れてしまえば、如何に紅蓮が強力でも動かなくなる。 「引け、カレン。 これ以上は無駄だ」 「……こんな時まで正論?」 朱理が正しい。 それは分かっている。 否、言われなくてももう分かっていたのだ。 ここまで広がってしまった以上、紅蓮ではどうしようもないと。 だがそれを認められるぐらいなら、初めから手出ししていない。 操縦桿を握る手を震わせて、モニターの先の景色を凝視したまま叫ぶ。 「目の前で人が殺されてるのに逃げろって言うの!? 力があるのに! 一人で冷静ぶってそんなの――」 「おい。 俺が好きでこんなことを言ってると思うな」 そこでカレンは初めて振り返った。 一段と低くなった朱理の声に、怒らせたのかと思った。 しかし朱理の顔に浮かぶのは怒りではなく、悔しさだ。 怒りがあるとすれば、それは自分自身へのものだ。 唇が白くなるほど噛み締めて、沈痛な面持ちでモニターを見つめている。 「軍がない以上、街を守るには民自身に戦わせる必要がある。 自分たちでバリケードを作らせて、応戦させて、それで勝てるように俺が指揮を執る。 だがここの連中にはそれが通用しない……逃げようともしない。 だから、ここで俺たちにできることはない」 カレンが正面を向くと、モニターの向こう側では未だ殺戮が続いていた。 ブリタニアが日本に行った侵略よりもなお一方的な、虐殺だった。 「何も持たないことがこんなにも無力だとはな。 久しぶりに思い知った」 「……そう。 私はつい最近、力があってもどうにもならないって思わされたばっかりよ」 紅蓮はランスロットに勝利した。 だが戦争に勝ったのはブリタニアで、皇帝による世界征服が成し遂げられてしまった。 紅蓮が最強のKMFでも、カレンがそれを使いこなせても、世界は変えられない。 今の状況すら、変えられないのだ。 カレンが肩を落とす。 そこで朱理はひとつ提案をしてきた。 「せめて租界の中心に行けば、原因が分かるかも知れん。 無駄足になる可能性もあるがな」 今ここで襲われている人々を助ける方法は見つからないが、まだやれることはある。 カレンも大人しく引き下がるつもりはなかったので、朱理の言葉に大きく頷いた。 「いいわ、付き合うわよ」 目標を決め、操縦桿を握り直す。 だが眼下で一点、異変が起きた。 モニターに映る景色の一角で、淡く光るものがある。 数百メートル先にあったその光を拡大すると、一人の青年が動く死体に囲まれているのが見て取れた。 青年の頭部からは突起が生えており、触覚か角かと迷ったが、髪の一部のようにも思える。 青い髪と着物のような衣服を纏ったその男が、腕を振り上げた。 「え……?」 その男は何も手にしていなかった。 しかしその手を振り下ろした時、周囲にいた死体たちが糸の切れた人形のように呆気なく倒れていったのだ。 もう一度手を振り上げて、下ろす。 同じように死体が倒れる。 しかしそれは死体に限った話ではなく、生きた人々の身にも振りかかった。 生者も死者も問わず、死んでいく。 反射的に輻射波動腕を掲げ、その男に向かって打ち込もうとして――止まる。 カレンは紅蓮の内部にいる。 距離もある。 だというのに――目が合った。 モニター越しにも関わらず、その男は確かに視線をカレンの方へと向け、にんまりと口元に笑みをつくったのだ。 背筋や首に蛇が絡みつくような気持ちの悪さ。 それでも咄嗟の反応ができたのは、これまでに培ってきた経験と、パイロットとしての天性の才能のお陰だろう。 紅蓮が急激に高度を上げ、向かってきた炎の塊を回避。 反撃に、円盤状にした輻射波動をその男へ投げつける。 そしてカレンはその結果を見ることなく、紅蓮を急発進させてその場から離脱した。 ▽ 「随分、優秀な機械のようだな」 赤い機体の姿が瞬く間に小さくなっていくのを、シーモアは手出しせずに見送った。 遠目ではあったが、機械の大きさは召喚獣と同程度。 速度も機動も武器の威力も、アルベド族が用いるものとは比べ物にならない。 あれはスピラの外の技術によるものなのだろうと、シーモアは結論づけた。 スピラ以外の世界の、兵器。 〈喰らい姫〉に見せられた通り、スピラの外にも絶望が満ちている証拠だ。 世界を隔てようと、『シン』が存在しなかろうと、人の本質は変わらない。 クツクツと、シーモアは声を殺して嗤う。 人間同士で殺し合う者たちも、あの〈喰らい姫〉すらも、滑稽でならなかった。 〈喰らい姫〉は言った――救うのか、滅ぼすのか、それとも革命か、と。 あの少女は全てを知ったような風でいて、まるで理解していないのだ。 救いとは滅び、滅びとは救い。 この二つは同一のものなのだと気づいていない。 ならばシーモアが己の手で、示すしかないだろう。 全ての世界に滅びを。 人間が死に絶えれば、生者の世が終われば、死の螺旋もまた終わる。 悲劇の連鎖は止まり、人々は悲しみから解放される。 それこそが、シーモアの与える救いなのだ。 〈竜殺し〉である必要すらなく、〈竜〉さえ殺せば世界を滅びへ向かわせられる。 悲願の達成を間近に感じながら、シーモアは死体の街で踊る。 【一日目昼/渋谷(東部)】 【シーモア@FINAL FANTASY X】 [所持品]不明 [状態]健康 [その他] 〈竜殺し〉ではない ▽ カレンは途中で何度か方角を変え、何も追ってきていないことを確かめながら逃げる。 そしてまだ破壊されていない地域まで戻ったところで、紅蓮をビルのヘリポートに着地させた。 「……退いたわよ。 これでいいんでしょ」 「ああ、今はこれが正しい」 生身の人間を相手にKMFが退くことは、本来あり得ない。 だが〈竜〉がいる、死体すら動き回るこの異常事態の最中では、あの男が本当に人間なのかどうかすら怪しい。 得体の知れない相手を前にして、カレンは朱理に言われるまでもなく撤退を選んだ。 紅蓮のエナジーを無駄に消耗するわけにはいかなかった。 そして何より、一瞬交わってしまったあの視線が、今も視界の片隅にこびりついている。 「租界の中心に向かうのは後だな。 状況を整理したい」 急いだところで死体を止められる確証はなく、動き回ればまた妙な相手に出くわすかも知れない。 被害を見過ごすことになるが、カレンはやむなく同意した。 「分かったわよ。 私も少し休むわ」 コックピットのハッチを開け、二人は外へ出た。 朱理が地図を見つめている間に、カレンは屋上の縁から身を乗り出す。 眼下に広がるのは、平和に見える風景。 カレンが取り戻せなかった風景で、これから失われるであろう風景だった。 変えられない。 〈竜殺し〉である紅蓮を持ちながら、何も。 カレンは己の無力を、もう一度噛み締めた。 ▽ この殺し合いは圧倒的に不利な状況で始まったのだと、朱理は理解した。 そもそもカレンとの出会いがいなければ、参加者と殺し合う以前に死体に殺されていただろう。 力も、地位も、名誉も、武器も、軍も、何もない。 それでも平常心を保っていられるのは朱理の生来の打たれ強さと、経験によるところが大きい。 無一文同然の状態になるのは、これで三度目なのだ。 一度目は信じていた部下に裏切られ、クーデターで地位を追われた。 二度目は知りたくなかった事実を突きつけられ、狼狽したまま戦に敗けた。 どちらも朱理にとって想定外の出来事で、特に二度目は自殺を図るに至るほどだった。 それらを思い知った今の朱理だからこそ、今回の儀式に心を乱さなかった。 とはいえ他人に運命を弄ばれて、黙っていられるような男ではない。 まして名簿に更紗の名があり、目の前で民が殺されるのを見せられてしまったとあっては。 ――〈竜〉も〈喰らい姫〉も、後悔させてやる。 ――望んだ結果を得られると思うなよ。 赤の王、朱理。 王朝の反逆者。 王子の身でありながら、王家に禍いをもたらすと予言された呪いの子。 どんな環境に置かれようと、その内側にあるものは何も変わらない。 例え〈竜殺し〉であると宣告されようと。 朱里は朱里のまま、運命に反逆する。 【一日目昼/渋谷(西部)】 【紅月カレン@コードギアス】 [所持品]紅蓮聖天八極式、ポーチ、財布等 [状態]健康 [その他] 紅蓮は〈竜殺し〉 【朱理@BASARA】 [所持品]剣 [状態]健康 [その他] 〈竜殺し〉です。 Back 汝は竜殺しなりや? 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