約 3,045,442 件
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/13.html
法律的なhIEの取扱 ・所持登録 hIEは、法的には自動車に準じる扱いになります。 所持は登録制、かつhIEを公共の場(オーナーの私有地もしくは家の外)に出す場合には、機体検定証明書が必要になります。オーナーになるには年齢制限はありません。 3年ごとに自動車の車検のように機体検定があり、このとき整備をしていないと検定を通りません。 車検中の「代車」にあたるようなサービスも行われます。 検定証明書は、このときメーカー側と車検を担当した工場が、異常がなく危険がないことを証明しないと発行されません。 自動車の車検と同様、hIEの買い換えのタイミングもこの時期になります。 hIEを、電源を切って倉庫に放り込んでおくだけなら、更新の必要がない登録証があればよく、検定証明書は必要ありません。 ・道具性 hIEはオーナーの道具であるとみなされます。このため、hIEが何らかの問題をその行動で起こしたとき、責任はオーナーが問われることになります。 hIEを用いた犯罪は、盗難、オーナー自身も犯人の支配下にあった、などの特殊な場合以外は、かならずオーナーは責任を問われます。 これは、貸した自動車で事故をおこされた場合、オーナーが責任を問われるのと同様です。 日本では、12歳以下のhIEオーナーは保証人を立てる必要があります。 hIEが問題を起こした場合、この保証人が責任を問われることになります。 ・hIEの立ち位置 破壊などの損害を受けたとき、hIEは器物であるとして扱います。 hIE自体が訴え出ることはありませんので、誰も見ていないところでオーナーが自分のhIEを破壊するぶんには法に触れることはありません。 人間型をしていることから、人間に準じる扱いが必要なのではないかという問題提起はよく起こりますが、それが法律や条令になることはありません。 破損した状態のhIEを公共の場で使うことが、県の条例で禁止されているケースはあります。ただし、これはhIEに配慮したルールではなく、それを見せられてしまう公衆に配慮したルールです。同様に、hIEを裸体や風紀を乱す衣装で公共の場で用いてはならないという条例もよくあります。 ・使用制限 hIEに「させてよいサービス」については、法律で規定があります。 家内で家事をさせるには特別な許可や免許は必要ありません。 ですが、家内でも性サービスをhIEにさせるには、日本ではオーナーおよびサービスを受ける者がどちらも18歳以上である必要があります。(国によって規定年齢は違います) hIEに家内労働以外の労働(オーナーが事業主である場合の専従者としての労働を含む)をさせる場合も、代理労働許可免許という許可免許が必要です。 この代理労働免許はhIEの取扱でもっとも基本的な免許のひとつです。 オーナーもしくは代理人が「正常な判断力を有している」「15歳以上」かつ「日本人」かつ「犯罪歴がない」人物であれば、1時間程度で終わる筆記試験と講習を受ければ取得することができます。 容姿に関する規則 hIEの容姿には、厳しい規制があります。 hIEは工業製品でありながら、容姿を完全にオーダーすることが一部例外を除いてできない(※)のです。 これは、実在人物や他のhIEと容貌がまったく同じ機体を作って、犯罪行為に利用することを防止するためです。 (※)身代わりhIEについては、完全に容姿をオーダーすることができます。ただし、例外であるため、業者の認可も極めて下りにくく、かつユーザーの使用目的なども厳しく問われます。 まったく同じ顔の機体を作ってしまわないように、hIEの容姿は販売店で決定します。 オーナーは欲しい機体の傾向を伝え、顔登録の専門機関が提案する「かぶらない顔」の候補から選択するかたちで購入する機体の容姿を決めます。 これは後からもめるケースがあるため、専門のコンサルタントと相談しながら行います。 購入したhIEの容姿を後から変える整形も、登録された認可業者のみが行うことができます。 この整形の認可業者も、顔登録機関に認可を受けている必要があります。 整形でも他のhIEと同じ顔を作ることはできません。違法な整形業者を使ってhIEの顔を替えることは、業者だけではなく顧客も罪を問われます。 hIEの公的な所持登録には、顔の登録も入っています。これは三年ごとに行うhIEの機体検定のときにも、現在のhIEの顔と体のかたちを登録しなおすことになります。 hIEを廃棄登録した場合、あるいは整形した場合、この連絡も顔登録機関に入り、別のユーザーが失われた顔と同じ顔を作れることになります。 顔登録と機体登録は別なので、機体を買い換えたとき、同じ顔登録で同じ顔にすることも可能です。 体型については特に規制はありませんが、メーカー標準の体型の中から選ぶので普通は一定範囲のうちにおさまります。 体型については、ぽっちゃり専門ブランド、筋肉質専門ブランド、巨乳専門ブランドといったフェティッシュなブランドもあります。メーカーが汎用性のある素体をリリースしていて、かなり融通のきいたオーダーを受け付けているケースもあります。 ただし、一般的でない体型を選ぶと、コスト削減できないことから性能に比べて高額になります。 代理労働許可免許 オーナーは、所持するhIEを、自分のかわりに働かせることができます。 「代理労働契約」と呼ばれる許可を結ぶことで、2105年の世界では多くの人々がhIEに労働させて金銭を得ています。これは老人など働けない年齢になった人々や、その他、働けない状態の人々の生活を守るセーフティネットの側面もあります。 代理労働契約では、雇用手が人間(普通はオーナー)を雇って、その人間が自分のかわりにhIEを働かせるというかたちをとります。 ただ、営利でhIEを貸し出す場合には、免許をとらなければならなりません。 免許は自治体に登録するもので、自治体の許可する業種のみで営業が可能です。 代理労働許可免許は、個人オーナーは一種免許、hIE派遣業を行う法人オーナーは二種免許を必要とします。 一種は、二種よりも許可される営業業種の範囲が限られています。 これは、個人所有hIEは汎用機が多く、特殊な業務に必要なハード・ソフトウェア的基準を満たしていないケースがあることが建前になっています。 向かない業務にむりやりつけて事故を起こすケースは多く、たとえば土木工事の現場ではたらくhIEは安全のためすべて業者のものです。風俗産業でも、保健衛生の観点から一種免許では自治体から許可が下りることはなく、悪質な場合はオーナーが逮捕されます。 この措置は白タク業者が逮捕されるようなもので、無許可風俗にいたっては明確に刑法で犯罪とされています。 代理労働許可免許によって、個人所有hIEの貸し出し業務が管理されているのは、「雇用先でhIEが問題を起こしたとき」「雇用先がhIEを不法労働させたとき」に、これを追跡しなければならないためです。 この登録は、hIEのオーナー側を守る手段である側面も強いので、かならず行うよう言われます。 hIEを家内労働で使う場合には、代理労働許可免許は必要ありません。 hIEの設備としての使用 hIEを営利企業や団体で使用する場合には、代理労働許可免許ではなく、hIEは企業が所有する設備である扱いになります。 代理労働契約で派遣する場合より、使用可能業種は広く制限もゆるくなっています。 企業でhIEを所有して自社業務をさせる場合、労働させる事業所がある自治体の免許をとらなければなりません。学校で教員をhIEでまかなっている場合もこれに準じます。 設備としてそろえたhIEを使って、hIE派遣を行うかわりに、業務を丸ごと請負する場合は、自治体に申請しなければなりません。(一時hIE派遣の制限を穴抜けするために請負業務が利用されて、大きな問題になったのです。)一種の大規模なhIE人材派遣であると見なされるためです。 hIEを利用した請負業務の場合は、自治体に本社または営業所を置く企業でしか労働ができません。これは、大規模なhIE賃貸業が、地域住民の代理労働契約オーナーを潰してしまわないための規制です。 自治体の基準もまちまちです。営業可能業種がサービス業のみに限られている自治体、風俗不可の自治体など、hIEを利用した請負業務の許可範囲は一定ではありません。 [NOTE] hIEの体型に規制はありません。 ただ、身体欠損やいちじるしい変形のあるケースでは、AASCを含めて他律型制御の機体では対応しきれないケースがあります。 この場合は、自律機をカスタムで用立てるよりありません。 ただし、法的規制はありませんが、そうした外見の機体をカスタムすることは、人によっては道徳に反することだとみなします。 それでも法的規制がないのは、これを規制することが差別ではないかとの論議があるためです。 差別の問題は22世紀になっても非常にデリケートです。 『BEATLESS』では描かなかった部分ですが、アンダーグラウンドなものを創作されたい場合は、基本的に21世紀から完全になくなった問題はないと考えてください。 21世紀より確実に改善はしていますが、その世界の中でも、日本は豊かな国で恵まれた立ち位置ではあるのです。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/39.html
資本と文化の関係 21世紀は資本家の時代でした。 文化は投資家の作る流れに引きずられるメインストリームと、それに反抗するカウンターカルチャーに大別され、カウンターカルチャーが大きくなるとメインストリームに吸収される運動を続けた時代でもあります。 そして、カウンターカルチャーが無料のかたちで膨らんだ時代でもありました。 ただ、無料のカウンターカルチャーは、常にベンダーにうさん臭い業者が紛れ込んでいました。無料の文化は、ユーザー自身を食い物にする悪徳業者との戦いでもあり続けました。 若い世代はまず無料のカウンターカルチャーになじみます。そして、それが成長して消費者となる頃には、高額の宣伝費やインフラ費をかけたメインストリームにカルチャー自体が吸収されていて、文化消費者として養成されているという、サイクルが回っていました。 これに対して大きなインパクトが訪れるのは、2090年以降です。 宇宙居住者たちと純粋に距離が離れることによって、流行に断層ができるようになったのです。 22世紀初頭の段階では、まだ宇宙居住者たちが超高速で洗練されたサイクルを持つ地球の流行に憧れている状態です。まだ宇宙は文化的に、巨大な辺境なのです。 けれど、この状況は22世紀中に逆転する可能性があるとも言われています。 このとき、文化ビジネスは、地球で21世紀に築いていたサイクルをそのまま回すことは不可能であると計算されています。 このため主に地球資本によって新しい収奪モデルが計算され、試行されています。 人間文化の状況 22世紀初頭の文化は、量的に氾濫しています。 この一因は、アートやエンタテインメントの膨大な生産期だった20世紀中盤から21世紀初期の作品の多くが著作権切れを起こしていることです。 視覚と聴覚に訴えるのがもっとも一般的であることは、20世紀中盤からそれほど変わらないため、無料の古典は22世紀人類にも観賞に耐えるものがたくさんあります。 アーカイブは愛好家やお金のない若い層以外には無視されることも多いですが、お金をかけずに時間を潰すには充分すぎるほどの量が存在します。このため、貧困地域でもエンタテインメントは普及しています。 アーカイブを掘らなくても、新作も安価なものが氾濫しています。 新作を追いかけるだけでも、自分の好きなジャンルを追いかけるだけでも一生それを享受し尽くすことはできません。 人工知能補助によって、絵も音楽も映画も、作る速度が爆発的に上がっているためです。 「作る」欲求の人工知能アシスト(人工知能ボーナス) 人間が作品を作る環境は、大きく自動化されています。 これは、人間がだいたいのイメージを伝えれば、人工知能がそれを現実にする手助けをしてくれるということです。何かを作りたいと思ったとき、手が止まったり難しかったりする場所を、人工知能が自動で乗り越えたり適切なアドバイスをしてくれたりします。人間は作りたいところ、やりたいことだけをやって、触りたくないところは人工知能にアウトソースすることができます。 「人間の根源的な作る欲求」を「普通の人間なら満足できる品質」に結びつける人工知能による補助は、しかも安価で手に入れられます。 この人工知能アシストによって、ゲームや映画、アニメーションといった非常に人手がかかるものの製作も自動化されます。 だいたいのストーリーを考えると、それを人工知能が漫画化してくれるようなサービスもあります。 人間が共同作業をする場合、人間関係やコミュニケーションの齟齬でうまくゆかなくなる場合も多いのですが、人工知能アシストではその協調がきちんと働きます。(※) 物資リソースを使わない、人間がその想像力と経験と技術とで作り上げるものは、人工知能補助の威力をもっとも受けやすい分野でもあったのです。 (※)ただし、人工知能は無難なものを提案しがちなので、普通以上のものにするためには作り手にディレクションの感覚が必要です。これは突き詰めてゆくと、一人でプロレベルのものを作るためには、多方面のセンスと製作時間が必要になるということでもあります。 人工知能のアシスト環境さえ整えてしまえば、どんな作り手がやってもそれなりのものには仕上がります。それは、リーダーが駄目でも、できる部下が何十人もいればそれなりに尻ぬぐいをしてくれる集団制作のようなものではあります。 ただ、最高のもの、他のもっときちんとした作り手が扱った場合に比べると、出来映えでは勝負できません。 人工知能アシストで作られるものは、どこかで見たようなものになりがちです。 それを避けるためには、アシストを使う人間に、センスや経験、強いモティベーションなどが必要になります。 それでも、人工知能アシストによって作られるものの質が底上げされているのは事実です。つまり、人手の制約が外れることで、物作りの質はまだ上がる余地があったのだとされています。 ただ、この「人工知能ボーナス」にも頭打ちはあるとされていて、二十年後三十年後にどうなるかは不安視されています。 このため、22世紀初頭の文化はフロンティアとしての宇宙を向いており、経済的な状況とも合致するため(地球文化に取り込めるかたちでの)宇宙文化の創出には多大な資金が投下されています。(参照「宇宙文化」) 宇宙文化 22世紀初頭の宇宙文化は、ふたつの潮流が衝突しています。 ひとつは「人工知能ボーナス」以後の人類文化を見越した、地球文化に取り込めるかたち編集されている宇宙文化です。 二つを厳密に分ける場合は、「地球型宇宙文化」と呼ばれます。 地球からパッケージ化して販売できる形態が主流で、音楽やムービー、ゲーム、ファッション、食品などありとあらゆる商品に文化が付加されています。地球発の宇宙文化は、どうやって課金するかの出口がしっかりしていることと、有料のものと無料のものの整理がついていることが特徴です。 また、地球文化のアーカイブが無料で見られ、ある程度の改変が可能なものとして提供されています。このため、圧倒的な物量と質で、人類の居住可能な宇宙中に広がっています。 この地球主導宇宙文化は、人工知能の強い支援を受け、文化投資を大量に受ける華々しいものです。 二つ目は、宇宙住民から自然と湧出する宇宙文化です。これは宇宙住民の生活文化で、予算が少ないものであるため宇宙生活者の生活に密着したものです。 二つを厳密に分ける場合、「宇宙型宇宙文化」と呼ばれます。(※) 廃棄された宇宙船や宇宙用機材を利用したオブジェやグラフィティアート、音楽が主流です。また、地球文化の無料アーカイブを加工や編集したものが多く、22世紀初頭段階では明らかに地球文化の影響が色濃く表れています。 地球では法的に認可されない過激なアートが宇宙で発生もしています。ただ、こうした作品は認可コロニーの外に持ち出すことができないため、破壊的なインパクトをもたらすという状況にはなっていません。観光客がコロニーに旅行して見る状況が発生しています。 文化全般としては口語での語りやソーシャルな繋がりが強く、地域に密着しています。 (※)「地球型-宇宙型」と呼ばれるのは、宇宙メディアや宇宙文化圏での分類です。学術的にも普通はこちらを使います。ただし、地球メディアでは「地球型-地域型」と分けます。「地域型宇宙文化」という呼び方自体も地球中心の差別的分類であるとして、宇宙生活者からは批判されています。 この二つは22世紀初頭現在、すでに大きな齟齬を起こしています。 そして、このそれぞれの文化影響下にあるコロニー間や植民地間で大きな摩擦を起こす原因になっています。 宇宙住民にとって悩ましいのは、人工知能ボーナスの影響下にある地球型宇宙文化が、ときとして宇宙発の文化芸術より宇宙住民のこころを捕らえることです。 本来、技術によるサポートなしでは生存不可能な宇宙環境にあって、人工知能は地球上よりも必要性からスムーズに受け入れられるはずでした。けれど、文化的に露骨な誘導が見て取れる構図は、宇宙住民に根深い人工知能や自動化への不信を引き起こしています。 宇宙にもやはり抗体ネットワーク(参照「抗体ネットワーク」)に相当する運動が存在し、これはしばしば宇宙海賊やコロニー行政府に対する反政府運動と結びついています。宇宙で高度な人工知能を使うことが許されているのは基本的には行政府だけなので、人工知能=行政府というイメージが宇宙住民に存在するためです。 宗教 現時点[2015/01/19]において、宗教について、「アナログハック・オープンリソース」はオフィシャルなかたちでは記載をしないことを選択しています。 これは、宗教観に関してはオープンリソースを使うかたそれぞれで選択していただくのがよいと考えているためです。 このため、長谷の作品に宗教に関する記述が登場する場合も、オープンリソースとして追記する予定は今のところありません。 具体的に言うと、アナログハック・オープンリソースでは、22世紀を現代の延長上にある(架空未来である)としているため、そこで信じられている宗教は未来のキリスト教やイスラム教、仏教などの現実にあるさまざまな宗教、あるい新興宗教です。 そこで、たとえば宇宙植民時代のムスリムやクリスチャンの姿を、設定として置くことに、考えるところがあったという感じです。 これについてはいかなる正解も不正解もありませんので、自由に設定なさってください。 管理人(長谷)は思ったように書きますので、そちらを使ってくださってもそうでなくても構いません。アナログハック・オープンリソースはそういう趣旨のものなのですが、宗教についてはより一層にそうです。 社会的弱者への眼差し 新しい時代、技術や社会の急速な進歩による変化から、新しい弱者はさまざまなかたちで生まれ続けています。 けれど、21世紀から22世紀にかけて、社会的弱者への眼差しはそれほどやさしいものにはなっていません。 ただ、その間の進歩はあります。この進歩は、「理解の深化」「補助サービスの安価傾向」によって支えられたものです。 つまり、総予算に対する社会保障費の割合は増えていません。けれど、この費用によって最大の効果をあげられるよう研究が進み、サービス自体が安価になることで手を広げられるようになったということです。 社会的弱者は、日々新たに生まれ続けています。 これに対して手を差し伸べる努力は行われ続けました。ただし、差し伸べられた手ですべてが掬われるわけではありません。むしろ、理解が深まりサービスが効率化したことで、「具体的に何人掬えるか」が数量として明確になり、どういう線引きでどこまでを掬うのかという選択が立ち上がっています。 22世紀でも、社会的弱者の状況には21世紀初頭と変わっていないケースもあります。たとえば難民は状況があまりよくなっていません。(※) その理由は、各国の予算振りわけの優先順位で、国内弱者の保護よりも優先順位を下げられているためです。 しかも、難民が発生すること自体を止めることはできません。これは難民が弱者への補償とはまったく関係のないシステム――国家としては弱者補償よりも優先順位の高いプロセスによって発生してしまうためです。 (※)難民キャンプを設置する速度は速くなり、そこでの暮らしは以前より改善されています。けれど、難民キャンプが略奪や攻撃を受けることを止めることはできません。これは略奪や攻撃が、理解が深化しようともサービスが安価になろうとも止めようがないことだからです。 難民キャンプへの略奪や攻撃は22世紀になっても頻発しています。これは、治安が無効化される場所では歯止めのかけようがなくなるためです。 キャンプ内の秩序維持の試みも、効果は限定されています。 難民受け入れに制限があることも、同じ理由で改善があまりありません。むしろ人工知能化によって国内世論の政治的誘導が容易になったことで、行政府の意向を受けて見捨てる方向に進むことも珍しくありません。 進歩した世界でありながら、だからこそ救われる弱者と救われない弱者との線引きが明確になっています。 これは、塗炭の苦しみにまさに塗れている人々にとっては怒りを掻き立てる構図であり、テロの底流にもなっています。 差別や憎悪も、理解の深化やサービスの効率化では対処できていないもののひとつです。この差別や憎悪は社会的弱者に向く傾向があり、理解の深化がこれを止める力は限定的です。これは、弱者をたたく人々の多くが、そもそもきちんとした知識を学ばないためです。 22世紀初頭では、21世紀初頭と比べて多くの事柄で深い知識を得ることができます。けれど、学ばなければその恩恵も限定的なかたちでしか得られません。 こうした学ばない人々に対する知識の伝達は大きな課題です。 一番効果的なのは、一定以上に現実が広がってしまうことです。 身近な現実になることで知識が否応なく広がると、傾向としては差別が和らぎます。22世紀初頭の日本でいうと、生活保護受給者に対する差別などはその一例です。 ただ、身近な現実になってから、理解が広がるまでには、より苛烈な差別が行われることがよくあります。このときに決定的な事件が起こると、さらなる差別が発生するケースがあります。先進国では比較的その泥沼に至ることは少ないですが、それでも失敗例はあります。 また、現実とセットで知識が広がっても、より激しい憎悪が燃え上がるだけであるケースもありました。知識が歪んで伝わったり一面的にしか学ばれなかったりするパターンです。これは、歪んだ解釈を伝える人々にも利害があるため、誘導がメディアや政府によって堂々と行われるケースも多くあります。 このパターンが解決を見るのは非常に困難です。間違った情報であっても、もう一度学び直すというモティベーションは持たれないことが多いためです。 特に戦争に状況が近づくと、こうした世論誘導が行われるのはよくことであり、これを改善するすべは22世紀初頭になってもありません。強力な人工知能や資金力を握っている者が誘導に荷担しているためです。 AIと芸術活動 AIは芸術活動によく使われています。 これは、AIそのものが芸術作品となるケースと、AIを利用して芸術作品を作ることの両方を指します。 AIは芸術活動の用途での使用に、ほぼ制限がありません。 「芸術作品を作るAI」を作ること自体が、「芸術とは何か?」(人間・文化とは何か)を問う一種の芸術活動だからです。 ただし、芸術用途で作られたAIを、他分野で流用することは認められていません。 たとえば、内分泌系の働きまでを完全にシミュレートし、人間とほぼ同じであると科学的に証明できる感情を持ったAIも存在します。 けれど、これを人間と扱うかということは、芸術的問い掛けとしては有用ですが、社会制度にとって難しい問題です。 「芸術作品として作られる人格AI」に人権を与えるべきかは、未解決の大きな問題として人類に突きつけられています。 「見せ物として作られ、見せ物として存在を許されているAIは〝搾取されている人格〟であるのか?」ということは、芸術としては高い価値を持ち続けています。けれど、深刻すぎて解決不能のまま放置されているというのが現実です。 完璧に人間を模倣したAIの他に、それにカウンターを当てるように99%人間、98%人間、90%人間であるAIも作られています。 あるいはスライダーで操作すると、100%から30%まで人間の模倣度が可変するAIまで芸術として作られています。 100%人間模倣のAIをもし人間だと認めるなら、99%、90%、何パーセントまでを人間だと認めるかの分水嶺が発生することになります。そして、その分水嶺の正当性が攻撃を受けることになります。 芸術AIの制作自体が、現代芸術(コンテンポラリ・アート)の一ジャンルとして、一般的に知られています。 これのフィードバックが、hIEにもフィードバックされています。 hIEの動作決定クラウドなどは、どこかしらにこの芸術ジャンルからのフィードバックを受けています。 芸術AIは、パトロンなしで芸術家が自力で巨額の富を手に入れられる分野なので、活発に人材が流入している分野でもあります。 つまり、芸術AIの開発に成功すると、少なくともそれが飽きられるまでの間、大量の収入を芸術家は手に入れることができます。(※) 人間の芸術家では到底不可能な生産量で、大量の作品を作って売りまくることができるのです。 (※)これには「芸術品として作られたAI」のほうには完璧な人格があるのに財産権が存在しないという搾取が制度上発生し、この状況自体をアートとして消費した作品も存在します。 ただ、人間の芸術家人口と、芸術用途の人工知能を数で比べると、これも人工知能が10%という比になったということが知られています。 これは、人間が創作する欲求自体は減退することはないためです。 ただ、作品製作補助をAIが分担してくれるため、人間による創作のハードルも下がっており、芸術家人口は21世紀よりも多くなっています。もちろん、芸術で生活が成り立つのがそのうちごく少数であるという状況は変わっていません。 書籍 22世紀初頭の世界では、書籍の70%以上は、電子書籍に切り替わっています。 そして、書籍は基本的には人間によって書き続けられています。 けれど、紙の本もまた出版され続けています。 これは、日本においては2063年のハザードの影響です。関東の巨大地震から超高度AI《ありあけ》による支配に社会が入ったそのさなか、人々は知識を著しく制限されました。 ネットワーク上のデータは《ありあけ》に検閲を受け、またエネルギー不足を名目にアクセス制限がかかってしまいました。 紙の書籍は、少し電子書籍よりも割高です。これは、紙書籍自体のコストと同時に、同じ内容の電子データも通常ついているためです。 22世紀初頭の紙書籍は、基本的には電子データとのセット販売です。あるいは、「電子書籍に紙の本というオマケがついた豪華版」と扱われています。 ベストセラーや冊数の見込める本は、限定何千セットといったかたちで、紙書籍セット版が売られることがよくあります。このため、22世紀の人々は、紙書籍というと、古い本というイメージと愛蔵版・豪華版・マニア向け特装版というイメージがついて回ります。 また、電子書籍はたいていの場合、配信元企業のひもがついています。このため、配信元企業が配信停止を決定すると、昨日まで読めた本が突然読めなくなる事態が起こります。 これは、提供データに責任を持たねばならない配信企業側の事情によるものですが、検閲にもよく利用されます。このため、技術書や文化的意義を企画意図として作った書籍は、紙の本が一定数作られるのが通例です。 hIEや超高度AIのある世界に拒否感を覚えている人々は一定数おり、こうした人々は紙の本を愛用し続けています。 紙の本は、かつてのような文化の主流を担ってはいませんが、ひとつの文化的態度を示すアイコンとしてその役割を持ち続けたのです。 紙の本は、主流が電子書籍であることははっきりしているので、刊行点数は減っています。 書店の数は日本全国で2000店程度になっており、書籍流通は日本でも再販制もない普通の物流になっています。 そのかわりに印刷技術の進歩で、オンデマンド出版に近いことが安価でできるようになっていて、300人程度の要望があれば電子書籍を紙の書籍化してもきちんと採算に乗ります。 つまるところ、嗜好品としての立ち位置を手にしたため、紙の本はかつてとは比べものにならないほど小さいものながら安住の地を手に入れたのです。 図書館 22世紀の図書館は、いまだ大きな施設を必要としています。 書籍の主流は電子書籍であり蔵書にたいしたスペースは必要ないのですが、図書館はいまだに紙の本の蔵書を増やしているためです。つまり、紙の書籍は一般的には高額な趣味の品になっていますが、図書館はあらゆるコンピュータが使用できないときのために本をたくわえ続けているのです。 22世紀の図書館は、紙の本と電子書籍の、二つに別れた書籍の両方を蔵書しています。 また、書籍のデータアーカイブ自体が存在意義のひとつであるため、図書館は「版元の紐が付いていない書籍データ」を持っています。つまり、発禁になったり配信者の都合によって配信が停止された書籍であっても、図書館にはデータが残っています。 ただし、図書館側の都合やルールとしてこれの閲覧許可が出るかは別の問題です。 図書館の電子書籍窓口は、紙の書籍に対して長めの貸出期限をとっていることが普通です。 ただ、図書館の電子書籍は「図書館から配信される書籍」として扱われるため、必ず貸出期限が存在します。これは、出版業界との合意があってのことであるため例外はなく、また期限が切れれば容赦なく書籍を読めなくなります。 また、図書館だけでの利用では儲からないため、書籍の版元は「図書館バージョン」を一般販売する書籍とは別データで用意していることがよくあります。この傾向は、エンタテインメント出版物ほど強く、学術書や技術書ほど弱くなります。 これは「図書館がその書籍の顧客割合としてどの程度の割合を占めるていか」による部分が大きく、図書館需要が大きい書籍は一般販売と同じデータで置かれています。 電子書籍時代になっても、紙の本の蔵書を持っているため、図書館は地域に根ざしたものであるままです。ただ、館数自体は顕著に減っています。 大学図書館のような、閉架書庫がある場合は、施設の中でのみ使える特別な端末を受付カウンターで渡されます。 閉架書庫の本はほぼ百パーセント電子化が終わっているのですが、それがかならず公開されるわけではありません。これは公開データにすることと、その管理に予算がかかるという理由が大きく(※)、大きな施設や潤沢な予算を持つ施設の蔵書ほど公開されやすい傾向があります。 このため、郷土史など限られた小さな施設にしか置かれていない蔵書データは、地域図書館に直接出向かなければ見ることができないことは少なくありません。 (※)どのみち元データである貴重な紙の書籍は保管するため、電子データ公開と維持に関わる費用がすべて追加計上になってしまうためです。電子化と同時に閉架書庫の古い紙書籍を破棄してしまおうという声はかならずあがるのですが、これが本当に実行されることは比較的まれです。 いくつもの国で、これをしてしまったため、散逸した紙データを二度と取り戻せなくなる現象が起こっています。こうしたタイミングで流出した貴重な書籍の中には、後に稀覯書になったものも数多く存在します。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/41.html
病気の克服 病の克服はいまだ達成できていません。 人体が健康である状態を、あらゆる人間がいつまでも達成し続けるということが、そもそも現実的な目標ではないためです。 ただ、病気に対する耐性を高める方法は模索され続けています。 遺伝子改造などで人体に大きく手を入れるという方法は、有力な方向性として常に提案され続けています。けれど、これは倫理的問題を克服できず、技術はあるものの一般的に普及はしていません。 むしろ絶対に病気になりたくなければ全身義体を使うことのほうを推奨されています。これは人体よりも遥かに機械のほうがメンテナンス性が高いためであり、また出生という倫理と政治のブラックボックスを開ける必要がないためです。 22世紀初頭現在、医療は大きく進歩しています。 それでも人々は病気にかかり続けます。人間の限界として、ほとんどの人間はなにがしかの病気で死にます。 このこと自体は今後も変わらないとみられており、そのときまでをどう健康にコンディションよく過ごすのかが医療の重点になりつつあります。 サイバネティックス 人体の機械化で、もっともよく使われている分野は神経系の機械的強化です。 これは実際に世話になるまでは22世紀初頭の人々にも意外なことではあるのですが、同時に恩恵を受けると手放せないものでもあります。 人間は老化します。特に、この老化による反射を含めた不随意運動と身体感覚の衰えとを取り戻すは、機械化がもっとも安定しているためです。 たとえば、22世紀初頭の日本で、もっとも普及している人体機械化は、喉の反射強化です。 人体は、老化するにともなって呑み込む力が弱まり、また気管に入った異物を排出するための反射が落ちてしまいます。このため、誤嚥性肺炎を起こすようになり、これによって体力を落とすことが死へ近づく大きな要因でした。 こうした人体の不随意機能を、機械化によって取り戻すことが行われるようになりました。 これによって、胃ろうを作ることなく、ほとんどの人間が死の直前まで口から飲み食いを行うことができます。そして、視力や聴力の低下から回復するための機械化をためらう高齢者たちも、口からものを食べるための機械化はほとんどの場合拒否しません。 人口感覚器はサイバネティクスでは長い歴史を持つ分野です。21世紀前半に実現した人工視覚はすでに一般普及しています。ただ、事故による視力喪失から回復するためにはよく使われますが、老化による自然な視力低下を機械化で治すかは個々人のポリシーと経済状態によります。 高齢者の感覚機械化は、視覚以外の感覚の鈍化についても同じことが言えます。 手足を補う義肢は、神経直接接続を行うことが一般的です。ただ、神経接続義肢は、脳をこれに慣れさせるため、手術からリハビリ期間が二週間から一ヶ月程度かかるのが一般的です。つけてすぐ使えるという時代にはまだ到達していません。 脳神経と、身体にない機能と接続するモジュールは、一般的ではありません。 健康な身体に、しかも脳という命に関わる場所への処置を行いたくないということがひとつ。危険をおかして埋設したモジュールが、「何年かすると型落ちしてしまう」という事実がひとつです。 このため、「一回埋設したら最低十年二十年は使えるもの」以外は、こうした増強インプラントはカジュアルには行われないことが普通です。 特に、個人の能力を上げるものは、埋め込みの後、撤去や再埋め込みの手間があるため、余計に尻込みされています。アンケートをとると、「増強機器を埋め込んだ後、より高性能な新製品が登場すると苛立つ」と答えた患者は60%を越えます。 普通の人はこれをやりたくないからこそ、「神経接続でできること」をアウトソースしたhIEが使われるという側面もあります。 機械のインプラントは、高額な医療処置とともに、単純に「健康な人間が自分の体にメスを入れるか」という点で、少数派の選択です。(※) ただ、命にかかわる場合にはみんな人工臓器を使います。サイバネティクスの主となる用途は、人間能力の増強ではなくあくまで医療なのです。 人工感覚や義肢のように「失ったものを補う」場合には、インプラントはよく使われます。こうした手術を行うか否かは、使用者に強いモティベーションがあるかないかの問題であるためです。そして、たいていの患者は、何かを獲得するためより、失った何かを乗り越える目的のほうでリスクをとるのです。 (※)22世紀初頭に500種以上の職業別に身体機械化についてアンケートをとったところ、性産業従事者の一時的避妊処置がもっとも施術率が高かったというデータがあります。これは施術自体が非常に安価であることもあり、国別統計をとっても同じ結果になりました。 医療と全身義体 身体の一部ではなく全身を機械化する処置を、全身義体化と呼びます。 全身とはいえ、脳と延髄、脊髄といった中枢神経は本人のものを使用します。 全身義体では骨髄が本人の使用する血液量を作るぶん確保できず、また生身の人間の血液は義体と合わない(※)ため、人工血液を使用します。このため、全身義体にすると血液型などの個人データは変化します。 このため、たいていの国では、個人認証とメンテナンスのために、一年に一度検査を受けることになっています。 (※)細管に血液が目詰まりを起こすことが主な症状です。このクリーニングが煩雑になるため、最初から目詰まりを起こさず不純物の透析がしやすい人工血液を使うのです。 22世紀初頭において、全身義体にする患者の50%は医療目的です。 もっとも多い全身義体への換装理由は、ガンです。22世紀現在でも、人類はガンの発生を完全に食い止めることはできていません。一度できて、ある程度の大きさになってから発見し、これを根治しの繰り返しになります。 ただ、発見が遅れて一定以上の転移が認められると医師は全身義体を使うことをすすめます。きちんと検査して治療を受け続ければ命はたいていの場合助かるのですが、とはいえ治療は苦しく長引き、頻繁に再発するようになるためです。 脳と中枢神経のみ生身の場合、再発もごく限られたものになるため、QOL(クオリティオブライフ)は格段に上がります。 最悪のケースでの義体換装をもって人類はガンを克服したという意見もありますが、治しようがなくなった肉体を捨てているのだから本末転倒だとする見方も正当性があります。 最悪に達すると全身義体に換装するという処置は、ガン以外の病気や外傷でも用いられています。 hIEには生体モデルがあり、この中にはオーナーのための予備臓器を体内で保管するサービスに対応している機種もあります。こうしたモデルを、全身義体への換装までの時間繋ぎ目的で常に傍らに置いている人間も少なくはありません。(参考「生体モデルhIE」) 人類の寿命 抗老化処置は一般化しています。飲み薬によるものが一般的です。ただし効果は皮膚や内臓や血管の老化による劣化が改善するというもので、加齢が止まるというものではありません。 これによっておおよそ人間の平均寿命は100歳程度まで延びています。 つまり、抗老化薬を服用している層と服用していない層との間に、寿命に有為な差が出ているということでもあります。抗老化薬服用群では平均120歳程度、服用なしの群では平均90歳程度です。 更に、人間が健康に働ける年齢となると、抗老化薬服用群が100歳程度、服用なしの群が75歳程度とやはり有為な差が出ています。 抗老化処置を始めるのは早い人でも30歳くらいからで、そのくらいから始めると60代でも40代と身体年齢があまり変わりません(※) (※)ただ、抗老化処置をしていない人間が40代、50代で身体能力が大きく落ちるように、抗老化処置を行っていても節目で身体能力は大きく落ちます。目安としては身体年齢が70代半ばまで到達すると、仕事を続けるのは困難になります。 これは人間の寿命が金銭で買えるということであり、特に「貨幣価値が高い国」では収入に対して抗老化処置の維持費が安いということでもあります。(※)この事実は、貨幣価値が低い経済の弱い国では不満の元であり、テログループの犯行声明にもよく取りあげられています。 (※)たとえば日本では70歳男女の抗老化処置率は30%を越えます。アフリカ大陸での同じ年齢での平均処置率は5%を切ります。宇宙では火星が30%、貧困コロニーでは1%以下となっています。 それでも寿命が足りず、人格をデータ化してオーバーマンを目指す者もいます。この選択肢は、技術登場時は夢を持たれたのですが、IAIAによる徹底的な攻撃により、22世紀初頭では忌避されるものと考えられています。 生体モデルhIE 生体モデルhIEは、生体材質のパーツで作られたhIEです。 大半のモデルは、外見が人間と似ているだけでなく、内部構造なども人間に似ています。 生体モデルhIEは、筋力や頑健性は大きく機械式hIEに劣り、何よりも栄養と水分を定期的に与えなければ死んでしまいます。 口から栄養をとるモデルが一般的で、食べるものも人間とまったく同じです。傷が付けば血を流し、修理はhIEだけでなく応急処置なら病院でもできるほど人間に似ています。人間と同じように分泌物を出すため風呂に入れる必要があり、人間同様に排泄も行います。 生体なので老化もし、オーナーと一緒に年を取ります。 こうした生体モデルの特徴は、外観や手触りだけでなく、匂いや存在感に至るまであらゆる点で人間そっくりであることです。 このため、人間らしさを求める愛玩用の他、患者とhIEが密に接する機会が多い医療や介護の現場でも生体モデルhIEはよく用いられています。 富裕層には、もしもの事故のときに備えて〝パーツ取り〟ができるよう、自分の体と臓器が共通するhIEを連れているケースがあります。 生体モデルhIEの作製は、法的に禁止されている国もあれば認可をもとに許可されている国もあります。日本では認められていますが、宗教的理由で禁止されている国もあります。 ただし、hIEの躯を完全に実在の人間と同じにすることは法的に禁じられています。これは、hIEを盗まれたとき等に、生体認証を利用した個人認証をすり抜けられてしまうためです。 この規則は、殺人を犯して、本人そっくりの生体モデルhIEをその身代わりとして何年も暮らし続けたというケースがあったため作られたものです。このため、罰則は刑事罰かつ重い量刑になっています。 生体モデルhIEは個体認証データがメーカーにあります。このデータと機体の実データが同じものであることを、メーカーは保証する必要があります。オーナーはこれを改ざんすることを認められていません。 ウイルスと細菌 ウイルスについて、その新しい変容に人類は追いつけていません。 これに関しては、人類知能では不可能だというだけではありません。超高度AIによる計算をもってしても、新種ウイルスの発生を完全には予測できていないということです。 このため、風邪のようなウイルスが原因の疾患は22世紀初頭になってもなくなっていません。ただ、対症療法のほうは進歩しているので、風邪が重症化して深刻な事態になることは少なくなっています。 20世紀に知られていたウイルス性疾患は、22世紀初頭現在、そのほとんどに特効薬が存在します。ただ、こうしたウイルスも変異型が定期的に登場するため、その更新までのタイムラグで重症化したり犠牲者が出たりすることがあります。 細菌由来の病気については、より状況がよくなっています。これは人体内に微細なロボットを送り込めるようになっているためで、精密にターゲットしてこれを破壊することができます。 このため、薬物耐性を持った細菌であっても、よほど劇的な症状を引き起こして治療が間に合わなくなるケース以外では、医療の整った病院で万全のケアを受ければ死ぬことはほぼありません。ただし、微細ロボット療法は医療費が高額です。経済的な理由で選択されないことは、貧困層ではそう珍しいことではありません。 医療分野でのAI利用 医療分野では、AIはさまざまなかたちで利用されています。 患者情報を監視するリストバンド型端末のようなものは、22世紀初頭の入院患者なら標準としてつけているものです。これはAIが組み込まれていて、患者の生体情報を常に監視し、ナースコールや急変に備えた注意などを24時間体勢で行います。 医療機器も、複雑なものはAI搭載であることが多くなっています。AI搭載機器で機器自体に判断させることで、高度化した医療が要求する作業量を吸収しているのです。 医療分野のAIのもっとも大きな貢献は、患者の診察に利用されていることです。 ネットワーク化と高度な人工知能化によって、22世紀初頭の医療機関は非常に高い精度で患者の診断を行うことができます。 電子化された莫大なカルテや診断画像から、人工知能が正確な診断を下せるようになっているのです。 この診断と見比べることで、医師の診察はより正確になっています。 人工知能が最後まで診察を行わないケースでも、医師の求めに従って、論文や世界中で行われた手術データ、過去の患者データや統計データを迅速に集めて補助をすることでも貢献しています。 人工知能は、医療分野での人手不足を緩和することに大きく貢献しています。 医師は、診察時間が短縮されたことで、より多くの患者を診ることができます。 また、無医村のような人口が少なく医者がいない場所でも、人工知能による診断を受けることはできます。 こうした場所では、地域の保健所に看護士が一人派遣され、データを人工知能に分析させて診断を行うようなこともあります。 診断後、看護士で可能な処置で済む場合は処置を行い、処方箋に従って薬が宅配されることによって、医師なしで最低限度の医療を行ってしまうのです。(※) 問題を指摘されますが、過疎化の進んだ村落では、現実的に崩壊している医療をAIが支えているケースは多数あります。 (※)医師による処置が必要とされた患者については、バスのような車でまとめて病院に移送されます。 宇宙における医療 人体の宇宙適応は、22世紀初頭になっても多くの課題を残しています。 まだ宇宙に本格的に住居を移してから一世紀にもならないため、あらゆることが宇宙では手探りです。 医療もその未発展分野のひとつです。 宇宙においては常に物資は不足傾向にあります。医療用品はそのひとつで、地球では簡単に治る患者が、医薬品の移送にかかる時間の間に死んでしまうこともよくあります。距離的制約で医薬品は地球で買うよりも高価になりがちです。 これは宇宙では物資の貯蔵スペースがそもそも限られているケースが多く、また外部から取り寄せるのに長い時間がかかってしまうたまです。このため、宇宙における医療は、コロニーよりも月や火星、金星といった星の表面を使える場所のほうが行き届いています。物資を大量に取り扱う余裕があればあるほど、医療でも有利なのです。 木星は医療施設の設置が遅れています。ただ、木星は開発のため多額の資本が投下されていることと、軍が多量の物資を抱えているため、比較的医薬品の備えは潤沢です。 医療用途の人工知能は、宇宙であっても甘い基準で高度なものの設置が許可されてます。この許可は、地球の本国、IAIAの双方から出ます。 厳しい高度AIの設置規制があるコロニーでも、コロニー行政府からの正式な要請があれば医療用途の人工知能は許可がたいてい通ります。 ただ、資料として地球側の本国に患者データを提供するように要求されることが多く、これが地球の本国に帰属意識がない住民たちの不満を掻き立てています。 宇宙では、医療用途の人工知能が、まさに医療を支える柱になっています。 これは、まず距離や天体位置の条件のため、広域ネットワークを信頼しきれないためです。このため、一基の人工知能に頼る部分が大きくなっています。 そして、医療用物資が欠乏しがちな宇宙では、迅速で正確な診察ができないと死亡率が大きく上がってしまうためです。コロニーのような物流のバッファが小さいところでは、近隣に欲しい医薬品がまったくないケースもままあります。また、医薬品は消耗品であるため、物流のバッファの小ささに見合った少量の備蓄があっても流行が起こった場合あっという間に尽きてしまいます。 宇宙にも医薬品の生産拠点はあるのですが、需要の大きい薬以外は、宇宙では採算がとれずに誰も作っていないケースはよくあるのです。 この物流の問題から、宇宙では、病気はかかりはじめに治療しないと、重症化してからでは医薬品不足のため死亡率が跳ね上がります。 このため、医療の中心は予防と軽症のうちの早期治癒です。 だから、宇宙住民は頻繁に健康診断を受け、人工知能でその身体状態を精密に診断します。コロニーによっては、予防を徹底するため、手首につけて血中成分から病気を早期発見するリストバンド型端末を全住民に支給しているケースもあります。 けれど、これは徹底した予防と早期ケアに努めるというかたちで医療に関して手厚いケアを受けているのだともいえます。(※) (※)これにも例外があり、経済的に破綻したコロニーでは医療福祉も切り下げられる傾向があります。そして、医療が崩壊すると、まともに経済活動を営める住人が逃げてしまい、コロニーが本格的に立ちゆかなくなります。医療の崩壊はコロニーの寿命を知らせるサインでもあります。 宇宙生活者が医療に気を遣うのは、宇宙では放射線リスクが高く、事故が起こると大事故になりがちなためです。宇宙生活では、医療は地球上よりも生活に密接した問題です。 また、居住環境に遠心力で見かけの重力を作らなければならなかったり、低重力環境で長期間過ごしていたりと、身体コンディションが悪化する要因が数多くあります。 人類の肉体は地球で進化したものであり、宇宙環境に適応してはいません。宇宙生活者は地球上で暮らしている人々よりも体調を崩しやすいのです。 宇宙における医療は、まさに人類が宇宙生活にどう適応できるかを模索しながら発展を続けています。 ここは宇宙人口が爆発的に増加しているからこそ基礎データが増えている分野であり、人類の新たな可能性を試す最前線でもあります。 そして、この最前線では、人体のことを人間自身よりも人工知能のほうがよく知っているのです。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/12.html
社会でhIEに向けられる目 2105年現在、日本は超少子高齢化の影響で8400万人しか人口がありません。 しかも、人口比率は21世紀中葉の状況よりは若年の比率が高くなったものの、まだ比重は高齢者が厚くなっています。 超少子高齢化社会のままの日本では、必要であるからhIEの数は多いです。 けれど、人々は、人工物に包囲されたような、強いストレスにさらされ続けています。 hIEは日本国内で産業用も含めると1000万体使われているためです。普通に生活している人間が、一日に一体もhIEを見ないということはそうそうありません。都市部だけではなく、過疎化地域ですら労働力確保のためにhIEはよく使われているからです。 だからこそ、アンドロイドを破壊するような事件は後を絶ちません。 《抗体ネットワーク》(社会セクションで後述)のような集団が存在するだけでなく、hIEに対する虐待は、社会道徳としては問題にされますが法的規制が存在しないためある場所にはある光景です。 hIEに対する虐待を禁止する法や、hIEに人権を与えようという社会運動はありますが、どれも実を結んでいません。 hIE虐待については「自分の所持する物品を、生物ではなく、かつ完全に修理で復旧できるのに破壊を禁じる公益が存在するのか」という問題によって止まっています。人間のカタチをしていることが問題であるなら、人形や彫像のようなものも対象になってしまうこともあります。 hIEへの人権賦与は、人間以外への人権賦与がAIの人権の問題に繋がるため、正当性以前に反対勢力が強大です。 学校のような教育現場からも、アンドロイドはあたりまえに排除されています。 若い世代はhIEが物心ついたときからあったので、それほど極端な反応はありません。 hIEは地域社会の目の届かない部分にセンサーを向けてログをとることで貢献し、社会的アナログハックで人に親切にすることで地域社会での助け合いを無償で担っています。都市住民の減少と高齢化によって重くなった、地域社会の安定に掛けるコストを、hIEが支払って都市生活が健全に保たれていることも事実なのです。 ただし、2080年代以前に10代を過ごした人々には(2105年現在では50代以降世代)、違和感が消えない人が多くなります。 特に2063年のハザードを知っている世代には、根深い不信感を持たれています。 hIEとの付き合い方の地域差 hIEとの付き合いかたには、社会の性質によって大きな差が出ます。 宗教的なジェンダーの現れかたに差異が大きいことがひとつ。特にイスラーム圏では、女性型hIEの取扱が地域によっては非常に微妙です。 もうひとつは社会の持つ過剰な部分が、アンドロイドとの付き合いかたにも反映するということです。 たとえば、日本の場合は、リスク忌避体質、サービス業への過剰要求が、hIEにも反映します。日本では接客業者に扱われるhIEはかなりの割合でハードワークさせられています。 デジカメや自動車がそうであったように、日本人はhIEでも製品に安心やサービスを、当然あるものだとして考えます。 日本の業者のクラウドは常に安心を重視するため、アンドロイドの機能としてのエンタテインメント性は、アメリカ製よりも弱めです。 歌うと上手い、バスケットボールが上手いといった、家事にあまり役に立たない機能はアメリカの業者のクラウドが強いです。そして、実際、アメリカの家庭ではそういうことをhIEにさせます。 ただ、全体的にhIEが多く使われる社会では、子供の性虐待被害は、一定割合程度ではありますが減っています。 これはhIEに子守や子供と遊ぶことがアウトソースされることが増え、子供と大人が直接接する機会が減ったことが一点です。また、センサーとメモリー機器の塊であるhIEが見張っているため、犯罪者が犯行に及ぶ機会が減っていることがもう一点です。 ビジネスユースhIE ビジネスユースに食い込んでいるアンドロイドは、「ないとこまる」ほど依存具合が強くなっています。なので、企業がオーナーのhIEは、hIEに何事かあったときの用心に、オンラインの会社サーバにデータを持たせています。 セキュリティ意識の高い企業は、機体ローカルには重要なデータを極力持たせない運用であることが多いのです。重要な仕事に同行したhIEが、帰り道に盗難に遭ってデータを抜きとられるケースがあるためです。 ビジネスユースでのhIEの位置づけは、一定ではありません。 これはhIEがセンサー類の塊であることはよく知られており、保安のために「交渉の席にhIEを同行することを断られる」ケースがあるためです。 特に自社ビルに研究セクションがある企業では、外部hIEを社内に入れることを全面禁止するケースもあります。 このビジネス現場ではhIEが情報の穴になることから、重要な会議に同行したhIEは、可能になったとき本社サーバに情報をすぐに送って、機体本体の情報キャッシュのたぐいはすべて破棄してしまいます。 ただし、こうしたセキュリティ重視の運用は確実に利便性と非常時の耐性を奪います。すべての実データをオーナー企業のサーバが抱えるため、こういう企業では、企業サーバがシャットアウトするとhIEがデータを持っていないためそれを使えなくなるケースがあります。もちろんユーザー側が選択した運用なので、保証はありません。 なので、特別なセキュリティをほどこされた管理職用のhIEに、ハードコピーを持たせるケースもあります。こうした機体は例外なく、高度に暗号化された特別なデータストレージを持った高級機です。 このような特別なアンドロイドは、部署付きとかで、企業外に許可無く持ち出しできせません。 こうした特別なhIEは、企業の人員に顔を覚えてもらったほうが都合がよいので、社会的アナログハックで社員のために日頃働いているケースが多くあります。こうした労働の積み重ねで、企業の顔役のような独自の社内社会での立ち位置を得ているケースもあります。 給湯室の主になっていたり、朝一番にかならず来るとそのhIEが掃除をしている場合もあり、そうした機体の社内の人間関係での評価は良好です。 プレミアムブランド ハイクラスのhIEメーカーの生き残り戦術は、高級車メーカーのそれを参考にしています。双方共に、顧客のほとんどが男性だからです。 hIEに身につけさせる革製の特注オーナーエンブレムや、国際オーナークラブの紹介など、オーナーに特別感を持たせる演出が盛んに行われています。 盗難に供えた機体追跡サービスなど、機体外のサービスも充実していることが普通です。 プレミアムブランドでは、クラウドを自社と関連企業で囲い込んでサービスの向上にあてています。 こうしたプレミアムブランドは、データをフィードバックする顧客も上流階層や富裕層であるため、得られるデータも価値が高くなります。 こうした高級ブランドが扱うクラウドは、オーナーが求めるTPOに合わせた社会的振る舞いを行うことが可能です。 「LSLX(Luxury Style your Life Xteram)」は、アメリカ、スタイラス社のプレミアムブランドです。LSLXは、人間以上を志向してショウに様々なコンセプトモデルを出すブランドで、hIEの皮膚を吸湿性にして人間の皮膚とまったく同じ素材感を出すことに初めて成功しました。 プレミアムブランドは、ブランド戦略として、皮膚であったり、動きであったり、髪であったり、どこかしらにどこにも負けない自負を持つ特徴があることがほとんどです。どのブランドのhIEを持っているかで、趣味が分かることが、オーナーの自己表現であるようイメージ戦略しているためです。(参照:NOTE2) 一般hIEメーカーでも、大手メーカーは買収や新規立ち上げによってハイブランドを最低一つは持っています。 プレミアムブランドのhIEは、一機で都内に家が買えるくらいの価格と、相応のオプションやサブパーツ費とランニングコストを要求します。 [NOTE] 1 この時代のhIEユーザーにとっての、hIEのコスト感 人間型の機械であるhIEは、この時代、ひとり暮らしのおとなの男女によく購入されています。 それは、人生の満足と物質的な裏付けという二軸の、「現実的な拮抗点」であるためです。 欲望に対して使える金銭の範囲で考えると、hIEは、安い収入環境でまかなえる満足なのです。 このため、一般的なhIEは、金利を入れても月々3万円程度の支払いで、ローンで5年以内に完済できる価格帯です。21世紀初頭でいうと100万円程度のコスト感のhIEが中心です。 安価なモデルや中古品は、その30%~70%で購入することが出来ます。 この時代のhIEメーカーが販売のために計量した、満足と物質的裏付けの二軸の、この額が安価な拮抗点だということでもあります。 hIEのためにローンを組むのは圧倒的に男性ユーザーのほうが多く、そのため女性に人気のあるタイプのaIEは家事労働ができても30~70万円程度のコスト感の商品が中心です。 2 ユーザーの社交性とhIEの取扱 hIEを購入するユーザーは、90%以上が社会人です。これは、hIEを置くスペースをとれるのが独身の男女だからです。 家庭にすでにhIEがあるのでなければ、最初の一台はある程度の収入を得ることとができるようになった後に購入することがほとんどです。 特に社交性の高いユーザーは、家内で使用しているケースでも外には連れ歩かないケースがほとんどです。 人間関係を広げる時期の人々は、年代を問わず、hIEを意外と連れ歩きません。この傾向は25歳以下のユーザーに顕著ですが、生活介助が重要になる60代くらいまで続きます。 hIEを連れ歩くユーザーの割合は、60代の自営業者より30代の子供がいない主婦のほうが高いというデータがあります。 これは「他の人間と仲良くなりたいときはお荷物」だからです。 グループの中でhIEを嫌っている人がいる場合があることをユーザーも知っていて、それを避けるためです。グループの中で、人間型機械とのよからぬ関係を邪推されるかもしれないということを、社交性の強い人々は避ける傾向があります。 グループの中で「悪い評判」を流されることはリスクであり、それを特に若くて世間が狭いときは避けたがる傾向が強いのです。 プレミアムブランドのhIEは、こうした社交性が重要な場でも連れ歩けることが大きな特徴です。 狭義のプレミアムブランドの定義は、「このブランドの製品なら社交の場に出ても問題ない」という暗黙の了解を獲得したブランドだからです。 このため、プレミアムブランドはイメージを非常に重視して、常にアピールを続けています。こうしたメーカーが、完璧な機能性や、歩く宝石のような一目で人を黙らせる何かを求めるのは、ユーザーからの要望をくみとってのことです。 ある程度以上の規模のhIEメーカーがハイブランドを持つのも同じ理由からになります。 hIE文化は、すでに通常のhIEユーザーのコスト感以外に、文化を抱えられる広がりを獲得しています。 3 hIEはオーナーの下から脱走を行うのか? hIEにとって、人間はストレートに所有者です。 なので、事故で所有者から「はぐれる」ことはあっても、人間の元を「脱走」することは(語意的な問題として)ないと見られています。 なので、「保護・捕獲」というよりは「回収」が近いニュアンスになります。「落とし物」であるとみなされるからです。 hIEが脱走を行わないと見なされるのは、それが機体内に自律して行動を決める判断系を持っていないことが良く知られているからです。 hIEの行動を決定する行動管理クラウドは、それ自体がサービスです。なので、持ち主の元を脱走する行動プログラムをhIEに実行させることもありません。サービス提供会社が訴えられるためです。 逆に、そういう行動指針を与える特殊なカスタムクラウドに接続していれば、hIEが人間を避けて稼働しようとするケースはあります。 元の所有者が、みずからそうし向けて、人間社会にhIEを放流したものです。 この時代の芸術作品には、おそらく芸術家が、自分の所有するアンドロイドにカスタムクラウドを接続して放流し、「人間として生活させて、グラフィティフィルムを撮る」ようなものもあります。 所有者がこうした行動をするケースでは、原因は様々です。 人間のように情報を取り入れて整理するカスタムクラウドに接続させて、調査目的でhIEを社会に放流するケースもあります。 ただし、こうしたhIEが、長期間活動することはマレです。自動車を鍵をかけたまま放置しているのと同じで、盗難に遭うからです。 逃走、自衛の能力を持たせるケースもあります。ただ、hIEの自衛によって犯人が怪我を負った場合、犯人に逆に訴えられることがあります。この場合は、hIEの持ち主が警察に出頭して事情を説明、メモリーから事実関係を確認する必要が出ます。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/18.html
日本軍の再編 2105年の時点で、日本は軍を復活させています。 名称が自衛隊から日本軍に戻ったのは2055年です。東太平洋の権益争い激化によって、自衛隊が創設された時代とは条件が変わったとされ、憲法改正を経て軍組織に戻りました。 軍は志願兵の軍隊として編成され、徴兵は行っていません。軍事行動と兵器の扱いが、ともに高度な技術を要求するものであるためです。 また、日本軍に名称が戻った21世紀なかばは、少子高齢化に出口が見えない時期だったこともあります。若年労働者を徴兵すると、国家経済が破綻すると判断される状況でした。 日本再軍備後、混乱した世論を誘導し、21世紀後半を乗り切るためのロードマップを引いたのは超高度AI《ありあけ》です。 21世紀初頭の自衛隊時代と、日本軍の再編後では大きく異なることがあります。 軍が政治に対して一定の発言力を持っている点です。 軍事組織は、軍事的衝突がなくても独自のルールで拡大を続けます。この傾向は彼らが常に命の危険に晒されていて、備えなければ命が危ないという構造的問題のため、本質的には止まりません。 日本でも、身内から戦死者が出るようになった軍が、政治や行政にものを言い始めるのに、それほど時間はかかりませんでした。 22世紀の一般的な状況 21世紀から、軍事では民兵とどう戦うかがひとつの潮流として続いています。 これは再軍備以後、日本も人ごとではなくなったことでした。 21世紀なかばごろ、日本にとってもっとも困難な軍事的課題は、中国との緊張関係だけではありませんでした。軌道エレベーター建設にともなって、赤道地域の利権で民族運動が火が噴き、内戦が起こっていたたためです。 21世紀の軍事にキーワードを3つあげるとすれば、自動化と、民兵と、あらゆる軍事力が高度化する普遍化でした。 先進国では人命が失われると高くつくのに比べて、途上国では人命をどんどん戦場に押し立ててきます。 しかも、危険に飛び込んでくる人命に、ネットワーク化で普及した知識と、ネットワークによってフットワークが軽くなった経済活動としての軍事訓練と知識・そして兵器流通が加わっています。 そして発生した、「安くて高度な民兵」とどう戦い、その被害をおさえることが可能なのかという問題が、大きくクローズアップされるようになりました。被害が大きくなると長期の駐留ができなくなり、駐留を中途半端に切り上げると、結局戦勝した土地が守りきれないためです。 高速で展開しても、いかに迅速に敵の兵力を打撃しても、戦争目的を長期スパンで達成することが難しくなりました。 その中で、いかに勝利するかの次、いかに勝利を守るかという問題に、21世紀の軍隊は苦慮し続けました。 戦勝はできるが安定した現地政体を残して撤兵できないという構図が定着してしまいます。これまでの「戦争に勝つ」ということの、その先まで見越してドクトリンを構築しなければならなくなりました。 21世紀の軍隊は、この民兵の高度化に対して、おおまかに2種類の分岐をすることになります。 ひとつは伝統的な手法である「現地勢力に血を流させる」ことです。 ただし、多くのデメリットがありました。「さまざまな国がさまざまな勢力に介入することで泥沼化する」「支援した現地勢力すらもが後から敵に回る」「政治的空白ができて周辺国にまで影響が出る」ことが、有史以来ずっと歴史的に継続している課題であり、注意深い外交と調整が必要となる茨の道でした。 もうひとつは、新しく現れた「無人機に切り替える」方法です。 これは無人機を後方で人間が操作する「遠隔操縦型無人機」と、行動を自動制御する「自動型無人機」に分かれました。 その中で、21世紀終盤からは、hIEが自動型無人機として採用されています。採用の決め手となったのは、遠隔型無人機よりも、民兵に奪われたとき戦力として転用される可能性が低かったことです。 つまり、hIEは機体自体に行動プログラムが積まれていないためです。現地で機体を奪ってハッキングしても、民兵勢力に戦力化される危険が少なかったのです。機体だけ奪っても、機体制御は背後の行動管理クラウドにあるので、民兵たちではどうしようもありませんでした。また、AASC更新のタイミングでライセンス外の改造をした機体はレベル1(故障機)を割り振られて駐機させられてしまうことも、信頼性となりました。 つまるところ、先進国では、安価かつ自軍の人命を失わない兵器にアウトソースするというのが、大きな道筋となりました。 つまり、「民兵と絶え間のない非正規戦を継続しても経済的に破綻しない」ところまで、先進国側の被害をコストカットしたのです。そうすることで、安くて高度な民兵に対抗することが試みられました。 先進国が戦争当事国から自国兵士を撤兵するための、民兵への対処を目的に、2105年現在ではすでに軍用無人機の比重は大きく高まっています。 2105年時の日本軍 2105年時の日本軍でも、もっとも基本になる部分は変わっていません。 政治家の防衛大臣をトップにすえた防衛省によるシビリアンコントロールが維持されていることです。 暗号に関しては軍が独自に作ったものではなく政府が作ったものが使用される(参照「軍事-戦略と暗号」)ため、二重のシビリアンコントロールを受けています。 日本軍が持つ最も高度な戦略AIは、情報軍調布本部市ヶ谷情報軍基地《セッサイ》サイロに格納された高度AI《セッサイ》です。 統合参謀本部は、陸海空軍および情報軍の長をメンバーとして構成され、そのほかに数名の最高責任者をメンバーとします。情報軍が管理する戦略AI《セッサイ》は、このメンバーによる会議で、メンバーからの要請に応じ、あるいは予測を算出します。 防衛省と統合参謀本部は、それぞれ文民、軍人の立場において三軍と情報軍の上にあります。 防衛大臣、統合参謀本部議長は、どちらも安全保障会議(参照「軍事-戦略と暗号」)のメンバーです。 編成の例 日本陸軍を例にとって、この時期の軍が(人間側では)どのような組織で動いているかを記載しておきます。 無人機の側がどうなっているかは、「軍事-無人機の運用」を参照してください。 ・小隊 一分隊7名(分隊長・副分隊長・小銃手[アサルトライフル]・ATM手・機銃手) 4個分隊=28名 +2名(小隊長・副隊長) =30名 この時代の軍の小隊は、構成によって分隊の人員の役割や人数が変動します。 これは陸軍が扱う装備が多岐にわたるようになっているためです。 けれど、もっとも基本的な歩兵のみで構成された小銃小隊は以上のように編成されています。 ただし、この人数は人間だけで、人間型無人機を配備している部隊であってもそれをカウントしていません。人間型無人機を配備している場合、一個分隊に対して1体、小隊に4体の配備になります。 小隊には司令AIなどは置かれませんが、個人兵装のHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などによって、司令AIからの支持と支援は兵士個々人に繋がっています。 また、小隊に無人機が配備されている場合、「管制機」という機材が配備されることがあります。これは無人機と司令部AIのなかだちをするもので、司令部AIに直接リンクしています。 「管制機」は、小隊かあるいはその上の中隊に置かれます。どちらになるかは、機材の管理者が小隊長か中隊長になっているかによります。(参照「軍事-無人機の運用:NOTE」) たとえば、小隊に随行する人間型無人機では、小隊に小型(携帯電話サイズのイメージ)の管制機が配備されます。各分隊に配備された人間型無人機の様子が、管制機を通して、常に小隊長からモニタできます。管制機と通して、分隊の人間型無人機に命令を与えることもできます。 無人戦闘機や自動化戦車では、中隊司令部に、車載サイズの比較的大型な管制機が置かれます。 目安としては、管制機はメンテナンスクルーと不可分なので、無人機を配備した戦闘集団とメンテナンス要員とが別小隊である場合、管制機は中隊管理です。(※) (※)たとえば戦車小隊や航空機小隊が、高度な機器のメンテナンスまでやることありません。なので、その管制機も、その無人機を管理する中隊司令部に置かれているということになります。 ・中隊 中隊は、3個小隊=30×3=90名 中隊司令部=4名 中隊予備分隊(1個)=7名 中隊設備小隊(1個)=16名 =117名 中隊は、陸軍では3個小隊からなります。 中隊設備小隊には工兵も含まれ、(あれば)大型の武装もここでの管理になります。 特別に専門家チームを編成しているのでない場合、特殊な装備は中隊以上の軍組織で管理されます。 中隊以上の組織では、装備のメンテナンスチームが必ず置かれます。装備の前線でのメンテナンスは中隊設備小隊が管轄し、手に負えない場合は大隊の設備中隊に搬送します。 軍が扱う物資が複雑、多岐にわたるようになり、中隊から司令部で大量の事務仕事が発生するようになります。 ・大隊 大隊は、3個歩兵中隊=117×3=351名 工兵小隊(2個)=60名 =411名 重火器中隊・火砲中隊=100名 大隊設備中隊=180名 =280名 =691名 大隊は、陸軍では3個中隊からなります。 大隊には、任務上の問題がなければ、司令部AIが置かれます。つまり無人機の高度な運用を独自の計画で行えるのは大隊からとなります。 大隊司令部が機能不全に陥ると、麾下の無人機も機能不全に陥る可能性があるため、大隊司令部は厳重にこれを守ることを推奨されています。 また、大隊設備中隊の役割は、かなり大きな幅を持っています。 工兵小隊は、司令AIの設置やメンテナンス施設など、出先で施設を突貫で建てることが多いため、建設重機を持っているケースもあります。工兵は無人機を含んでいる場合も多く、設備中隊との役割は相互乗り入れしている部分が多くなっています。 情報軍 情報軍は、日本軍が再編成されたとき、陸海空軍から独立して組織されました。 その主たる目的は、周辺国からのネットワークを介した攻撃、あるいは人工知能を用いた攻撃に対する防御です。 これは2050年代に至るまで、すでに中国からのサイバー攻撃が激しいものであったことが設立の動機のひとつです。超高度AI。 中国の情報軍に対抗するため、日本でも設立されたのが、日本の情報軍です。 情報軍は大きく四つの拠点を持っています。 ・調布情報軍本部(大将管轄) 日本軍全軍に配備された司令部AI(参照「軍事-2105年時の日本軍の編成」)の情報を集め、管理しています。 この情報を管理・運用・防衛することが、情報軍のもっとも重要な任務です。 同一敷地内に調布中央情報戦隊(少将管轄)があります。 調布情報戦隊は、旧自衛隊の中央情報隊から直接任務を引き継ぎ、作戦情報、偵察情報、地理情報などを一元管理しています。 情報軍の、いわゆる情報戦闘を行っているのは、市ヶ谷、九品仏、入間の各基地です。 ・市ヶ谷情報軍基地(中将管轄) 対AI戦を管轄します。対AI戦は、どこから仕掛けられているかも分からないため、戦略AI《セッサイ》をはじめとする高度AIが運用されています。《セッサイ》でもどうしようもない場合は、安全保障会議を通して日本政府の超高度AI《たかちほ》の計算力を借ります。 市ヶ谷基地の地下には、日本軍の戦略AI《セッサイ》をおさめたサイロがあります。《セッサイ》サイロは少将管轄です。 この巨大なサイロの地下コンピュータルームには、二機の統括コントローラーによって計算を振り分けられる四千機のコンピューターによる分散システムが置かれています。 高い階級の軍人が求められているのは、それだけ重要な位置を《セッサイ》が占めているためです。 《セッサイ》に計算をさせるとき、最高機密レベルの情報を扱う場合は、オペレーターにすら最低で大尉の階級が必要です。 ・久品仏(くほんぶつ)情報軍基地(中将管轄) 対人諜報・謀略活動を管轄しています。 暗殺や破壊活動を行う実行部隊は、ここだけではなく様々な基地に駐屯しています。 ・入間情報軍基地(中将管轄) ネットワーク戦を管轄しています。 アジア・極東・オセアニア・ヨーロッパ・北中南米・アフリカ、国内の、7つのネットワーク戦隊が基地内に置かれています。 人間の兵士の士気 兵士の士気は軍によって大きな違いがあります。 兵士と無人機の比率が前線でも10:1である陸軍や海兵隊は、士気が高いです。兵士は今でも勇敢です。 けれど、前線のユニットのほとんどが無人機である空軍などは事情が変わってきます。 つまり、どうしても前線に兵士がいない場所では、戦争の感覚が遠くなっています。 とくにこれは、人間が表舞台に居場所がない空軍で顕著です。 クラウドになっていると、アビオニクスのデータすらローカルである機体上には限定的なものしか置かれていません。 データすらここにはない、張りぼてと一緒に死ぬのは嫌だという思いから、パイロットの士気は往時に比べるとかなり下がっています。 「兵士が前線で戦わない軍隊は腐る」という、この時代の指揮官のことばもあります。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/11.html
クラウド稼動による他律形式 hIEの特徴は、機体内に判断系をほとんど持っていないことです。 hIEに「人間らしい振る舞い」をさせているプログラムは、機体上にはほとんど置かれていません。 常にネットワークと無線接続されていて、ネットワーク上にあるクラウドから行動プログラムを実行することで機体を動かしています。 この形式が選ばれているのは、インフラの発展によってネットワークへの接続と応答が、充分に高速化したためです。 そして、hIE各機体(ローカル)の判断で自律行動させると、複雑な人間社会の中で協調行動を行うのが至難になるためです。 フレーム問題(→wikipedia)によって、複雑な問題を適切に切り分けて解決に至るのが困難になります。これは機体個々の判断で動く人間型ロボットが問題空間の中に多数いると確実に悪化します。フレーム問題によって誤答するアンドロイドは、人間よりも突拍子もない答えを出す可能性が高くなるからです。 このため、人間型ロボットの制御を機体個々で自律させるか、それとも外部から他律させるかは2071年のリスボン会議(後述)までは大きなトピックでした。 この会議以降、大量にデータを持たせた高機能のものに他律判断させ、各機体(ローカル)では不測の事態を防ぐために判断をさせない他律方式が主流になっています。 その後、他律制御の方式はさまざまなものが現れては消えています。(※) 2105年では、AASC(行動の一般化(AASC)で後述)という、超高度AI《ヒギンズ》が2084年に作りだした制御言語・制御方式が90%以上の不動のシェアを持っています。 (※)自律方式の人間型ロボットも、すぐさま市場から消えたということではありません。むしろ2080年代に入るまでは、高級モデルの自律制御方式のほうが性能がよいともされたためです。特に高級機では、22世紀になっても愛される多くの傑作機が2070年代前半に現れています。 振る舞いをなぞるhIE hIEに「人間のかたち」で動作をさせる行動プログラムは、ネットワーク上に蓄積された動画などから人体の動きを抽出し、この膨大な積み上げによって作られています。 抽出した動作をバラバラのパーツにして、これを組み立てることで適切な動作を作ります。 機体状態などもすべてhIEが備え付けているセンサー情報をクラウドに送り、クラウドがそれに適切な行動を判断します。 たとえば機体が転びかかっている場合や、押し倒されそうになった場合でも、hIE主機がそれに対応する行動を起こすのではなく、クラウドが行動プログラムを選びます。 hIEのセンサーは問題が起こってからそれに対処するのではなく、常時監視して次の行動を決め続けているので、それでも充分間に合うのです。(※) (※)機体自体が判断をする割合がゼロだというわけではありません。例外はAASCのレベル5の項参照。 振る舞いの選択は、行動制御クラウドに送られているセンサー情報によって選択されます。 たとえば、hIEの眼球の他にセンサーがない画像センサーがない状態でhIEを目隠しすると、hIEは視覚を閉ざされた制限の中で行動プログラムを選びます。けれど、hIE眼球の他に連動した室内カメラがあるなら、hIEは「目隠しをしているユーザーがそうしてほしいだろう振る舞い」をセンサー情報から選んで行動プログラムを選択してくれます。 行動プログラムは、さまざまなツールによって編集することも可能です。 さまざまな需要にこたえるため、たくさんの行動管理プログラムの提供企業がさまざまな振る舞いのプログラムを提供しています。 家事能力だけでも、地域によってよろこばれるものがそれぞれ提供されており、たとえば京都の人風のやりかた、北国の人ふうのくせといった手つきや空気感まで選択が可能です。 ゲーム系、開発系、アート系、介護、翻訳、等々、ありとあらゆるサービスが行動プログラムとして提供されています。 そして、ネットワーク上のクラウドにアップロードされています。 こうしたクラウド上への追記は、企業の参入障壁が低く活発に流入が起こっています。 流行に対応できるhIE行動プログラムがあっという間に草の根業者からクラウドにアップロードされることで、hIEは時代性に素早く対応することが可能になっています。 クラウドによる他律形式の注意点 他律形式でhIEを動かすためのインフラ整備は、2105年にはもう完了しています。ただ、回線環境が著しく悪い場所では、動きに影響が出る可能性があります。 ただ、hIEがAASCを採用している場合、ある行動プログラムに従ってhIE主機が動作する準備は実行の通常0.5秒前には完了しています。なので、0.5秒以内のラグは吸収することができます。 通信速度で他律型hIEの動きに影響が出たのは、2070年代中盤くらいまでです。つまり、2105年現在では、30年前からインフラ整備をまったくしていない地域では動きに影響が出る可能性があります。 hIEの行動プログラムの送受信の中継電波を、途中で読み取ることは不可能ではありません。 ただ、《ヒギンズ》によるAASCの暗号はAASC更新のたびに切り替わっています。無線通信の帯域が超高速かつ超大容量になっていることによって、高度な暗号をかけても通信がほとんどボトルネックになりません。 ネットワークの断線するところでは、hIEを動かすことができません。 これ自体は、制御の観点からは一種の利便性でもあります。hIEを入れたくない場所は無線ネットワークから遮断するようにしておけば、事故や故意によってhIEに侵入されることがないからです。 セキュリティの強固な施設では、そうして外部からのhIE持ち込みをシャットアウトしています。 リスボン会議 2071年、この頃すでに増え始めていた人間型ロボットの自律能力について、国際会議が開かれました。 他律制御方式は、当時、協調行動の問題を解決できる可能性を評価されていたものの、大規模な設備投資が必要で、規格が軌道に乗るまで難航することが予想されていました。 自律制御ロボットを自由にメーカーに作らせ続け、他律制御とどちらが残るかは市場の評価にまかせるというのが業界の動向でした。 ただ、超高度AIも開発され人間型ロボットが能力を急速に伸ばす中で、人間型ロボットがトラブルを起こす件数も増加していました。 これは台数の純増によると考えられていましたが、それだけとは考えがたい多彩なバリエーションを持っていました。人間社会のあらゆる場所に浸透しつつあった人間型ロボットは、まさにあらゆる場所で大小のトラブルを起こしていたのです。 そして、このトラブルが大事件に繋がるのではないかという社会不安は、軍で扱われている秘書ロボットが、兵器の発射ボタンを操作する事件が発生して爆発します。 この危機の中、2071年、スペインはリスボンで国際会議が行われることになったのです。 この会議で、オブザーバーである9基の超高度AIすべてが「自律系ロボットは将来制御しきれなくなる」と回答しました。 会議で問題とされた大きな点は「自律によって身体を動かし複雑な課題を解決するロボットは、いかなる内部制御を行っても個々が人工知能としてはたらく」ということです。 そして、この大量に普及した人間に近い人工知能が、製品寿命が尽きるまで長期間運用されます。このこと自体がトラブルの大きな要因であると指摘したのです。 人間型ロボットの判断系は、運用される間学習を続け、かつプログラムのパッチ修正を受け続けます。この中で、制御は徐々に失われてゆき、事態が収束するどころか、現状程度を維持することに莫大な予算を投入しなければならなくなるとされたのです。 大なたを振るおうとすると、かえって余計なブレイクスルーが発生して制御が外れる要因にもなるとも指摘されました。 頻発するトラブルを乗り越えようとする過程で、十年以内に致命的な事件が起こる可能性は高いと結論されました。 これは、自律制御の機体を「人間の生活の中の運動や仕事をすべてこなすことが出来る」ように作っていたメーカーにとって大きな痛手となりました。トラブルの原因が、性能ではなく、「人間生活や仕事をひととおりこなすことができる人工知能」が大量に世の中にあふれる状況自体であったためです。 実験環境としては興味深い現象だったのですが、世界すべてを実験環境として利用するわけにはさすがにいきませんでした。 そして、会議は、オブザーバーの超高度AIが30年すでに人類知能より先を行っているとされたため、30年以内に自律方式では制御問題を解決できない可能性が極めて高いと結論しました。 結果、自動反応の集積でロボットを動かす自律系は人間型ロボットの主流を去ることになりました。これ以後、ネットワーク経由でロボットを動かす他律型が主流になります。 ただし、リスボン会議で自律系の機体が外れたのは、民生用の主流からだけです。軍用無人機の世界では広く用いられています。 自律系ロボットのほうが身体反応が速く、軍用無人機は反応速度が速ければ速いほどよいからです。 しかも、都市環境や人間の住んでいる住環境よりも、不整地や斜面などが多く、そこで人間以上に高い運動性を求められます。だから、"振る舞い"の集積が薄いところでは性能が下がる他律型のhIEより、自律型のほうが優秀なのです。 逆に、軍隊においての機体の振る舞いは、人間のいる住環境に適応しようとするときよりも遥かに単純です。(言語コミュニケーションが限られるだけで、計算負担は格段に減っています)他律式ではなくこの自律式であるケースがあるため、軍用無人機という言葉は、軍用hIEと区別されて用いられます。 自律機械を他律の状態にして動かすことは不可能ではない(※)ため、軍用無人機は、必要があれば一時的に他律状態にして使用することもできます。 この他律状態は、爆発物を取り扱う精密作業のような、自律状態でやらせる意味が薄い場合の措置で、一般的なネットワークに接続させるのはセキュリティ的に問題があるため司令部コンピュータへ接続して運用します。軍もやはりリスボン会議の結果は尊重していて、軍用無人機に自律状態で多様な学習を積ませることは避けているのです。 (※)軍用の自律無人機は、AASC適応機体の基準を正確には満たさないので、特殊なプラグインを必要とします クラウド提供サービス クラウド提供サービスが提供するクラウドは、多岐にわたります。 おおまかに以下のようなものが存在し、サービスからユーザーが自由に選択します。 クラウド提供サービスは月額課金のものが多くてお試しがしやすく、大手サービスから同人に近いものまで、値段もピンからキリまであるので、オーナーがまったく同一のサービスセッティングでhIEを動かしていることはあまりありません。 このため、町中で見られるhIEの動作は画一的なものにはなっていません。 [代表的なサービス種別] 産業用クラウド 接続することによって、hIEは産業従事者として働くことができます。 業種ごとに一般的に使われているものもありますが、職場が熟練した技倆を求めている場合は、熟練した技術のクラウドを企業が特別に編集しています。これによって、接続するだけでhIEは事業者の要求する高度な労働を行うことができます。 工場労働、運送業、接客業、調理師、美容師、看護婦、モデルなど、ありとあらゆる産業のものが存在します。 ただ、自己判断を多く求められるなどhIEが苦手とする業種もあります。医師や、弁護士、作家、栽培作物の多い小規模農家などです。 定評のある産業用クラウドが存在しない業種では、産業へのhIE導入も限定されている、車の両輪の関係にあります。 サービス用クラウド 接続することによって、hIEは特殊なサービスを行う能力を得ます。 家事サービスクラウドや、育児サービスクラウド、楽器演奏クラウド、性的サービスクラウドなど、一般的に使用されているものでも多岐にわたります。 サービス業者に草の根的な小規模業者が多いのも特徴で、同じサービスでも多様な特色があるため、同種サービスのクラウドを複数個同時に契約するユーザーも多くいます。 パーソナリティウェア 接続することで、hIEは特定の性格あるいは個人を装います。 hIEの仕草や口調をやさしいものにさせたり、頼りがいのあるものにさせたり、といったキャラクター性をhIEにつけるために用いられます。 2105年の世界では、芸能人が自分のファンに使用させるためにパーソナリティウェアを売るのも一般的です。 パーソナリティウェアは、「特定の人間の身代わりをする」用途で用いられることもあります。亡くなった配偶者や家族のかわりをさせるためなどの用途で、個人の映像や家内システム・hIEのユーザ記録などから抽出してクラウドが編集されます。血縁のない個人の身代わりをさせることもできますが、この場合、集められたデータに違法性がないかは厳しくチェックを受けます。編集に特殊なノウハウとオーナーとの綿密な打ち合わせが必要で、かつ例外なく高額サービスです。この身代わり用途の場合は、外見などもたいていその特定の個人に似せてカスタムで作られます。hIEを特定個人に似せて作った場合、これを私有地およびオーナーが占有する場所から外に出すことはできません。 それぞれ、機体メーカーとの提携があるケースがあります。特に産業用に企業が設備投資として買うものなどは、特定業種での労働前提のものはそうです。 AASCによって機体能力はほぼ均等のものとして扱われるのですが、それでも関節の摩耗など、初めから扱うクラウドを想定して作ってあるもののほうが確実に性能が上がるためです。 人間の身代わりをするhIE hIEには、人間の身代わりをするように作られているものがあります。 外見は写真や画像データから、動作については録画映像などから抽出してカスタムクラウドを作ることで、本人に似せることができます。 国によっては作成行為自体を禁止していますが、日本は可能な国のひとつです。 若くして死んだ子供であったり、配偶者であったりといった人物に似せたものがよく作られます。 クラウドをカスタムする必要があるため、作成費も毎月かかる運用費用も非常に高額です。 ただし、身代わりhIEには制限があり、人権保護のため、生きている人間をモデルに作ることは許されていません。 また、身代わりhIEは外見を登録しなければなりません。 カスタム業者にも特殊な許認可が必要で、オーナーにも詐欺防止のため機体がhIEであることを隠してはならないといった制限が課せられます。 人生はままならないものであり、作成需要は途切れることはありませんが、作られた機体が大切にされるとは限りません。 若くして死んだ娘の身代わりとして作られた身代わりhIEが、オーナーの再婚で、再婚相手の要望で破棄されるようなケースはよくあることなのです。 [NOTE]ボトム・アップかトップ・ダウンか? hIEは、社会の中での人間らしさを、超高度AIによるトップダウン方式で達成しています。 個々のユニットの行動がボトムアップ的に社会性を築いてゆくのではなく、トップダウン的に作り込んだ「人間らしさ」のモデルをコピーすることが『BEATLESS』世界では選ばれています。 機体センサーでオーナーや周囲の観測データを拾って、クラウド上のデータベースとマッチングし、最も適切だとAASC(後述)自身が判断した行動プログラムを実行します。hIEは、人工知能ではなく、おそろしく綿密に作り込まれた会話ボットに近いアプローチです。 トップダウン型が選ばれ続けているのは、その利点が認められたためです。一般普及させる台数の問題で、学習余地のあるコンピューターにユーザー個別のデータを多く集めてボトムアップを期待するより、確率的に問題行動を起こしにくいのです。 可塑性の高い子供から、ボトムアップして知能を高めてゆく人類は、協調行動をとることが苦手です。 ボトムアップする知性が一定数存在すること自体がリスクを抱えるという意見も、リスボン会議では超高度AIから出ています。 2105年に、それぞれがボトムアップして成長してゆく知性である人間は100億人もいます。戦争はなくならず、利害の対立は激化するばかりで、全体がひとつの目的に進むことは極めてまれです。 リスボン会議(前述)で問われた制御不能性でも、余計なブレイクスルーが起こる小さな可能性よりも、成長した無数の自律hIEが多数の事故を起こすことのほうが重視されました。 そして、新しい状況や問題が目まぐるしく発生している速度に、ボトムアップ型人工知能の学習速度では間に合わないあります。 新しいものに知性をボトムアップで適応させるのは、学習のために時間がかかり、かつ学習結果が一様になりません。なので、トップダウン型で《ヒギンズ》が修正パッチを当ててしまうことで、高速度の適応と適応後の安全性を確保し、そして「世界のどこかでは発生しているけれど、その機体はまだ遭遇していない重大問題へのワクチン」を入れることができました。 これについては、《ヒギンズ》が得た情報からどのくらいの性能のパッチを当ててよいのかという、「未遭遇事案の事前解決問題」と呼ばれる別の問題もIAIAからは指摘されています。 ボトムアップで成長してゆく人工知能にもパッチを当てること自体はできるのですが、機体ごとに学習した結果と、適応パッチの間で、重大な齟齬を起こす可能性が必ずありました。 そして、ボトムアップ型の判断系を持つ機体に、修正パッチで足並みが乱れた上、それぞれの個性を学習によって獲得されてしまうと、メーカーもそこで何が発生するか正確に把握できなくなっていたのです。
https://w.atwiki.jp/analoghack/pages/43.html
ロードマップについて(Ver.1.00) 当アナログハック・オープンリソースの更新は、現在(2015/03/30)のところ、第三シーズンまでを想定しています。 もちろん、記述することが多くなれば第三シーズン以降にまで長くなることも充分にありえます。 更新にシーズンという期間の区切りを導入したのは、おおまかに更新の傾向を変えるつもりであるためです。 どこかで区切りをつけないと、延々と更新が続いていては、データを使う皆さんもかえって使いにくくなるのではないかと考えたためです。 これは、第一シーズンの更新情報で、すでにSF小説の背景として利用するのにそう不自由しないデータ量はある(※)と判断したためでもあります。 オープンリソースのデータ追加が続くのは、情報が豊かになるということです。ですが、その反面、ユーザーの皆さんが作品を作っている最中に、皆さんのオリジナル設定と齟齬が出る可能性があります。 このため、どこかの段階で一度情報公開をストップし、落ち着いて作っていただく期間を設けようと当初から考えていたのです。 (※)管理人のPC上にある更新用作業ファイルは、ツリーテキストファイルですでに約2MBになっています。これでも穴だらけなのですが、片っ端からふさげば使いやすくなるのかというと、それも違うと考えているのです。 第一シーズン 2014/7/4のオープンから、2015/3/31(このロードマップVer.1)までの更新のことです。 2014/7/4までに管理人(長谷)の手元にあったアナログハック・オープンリソースの基本的なデータの更新は、この第一シーズンで一区切りついています。 ただ、更新を後回しにした項目もあります。(「風景作製」「ハザード」「世界の状況」) これは管理人(長谷)の都合のほか、以下のような理由からです。 どこまで書いてよいものかわからず、データとしてぐだぐだと長いものになりそうだったこと。 データ量がムダに多いわりに穴も多いため、使用者それぞれで自由に埋めてもらったほうがよいと判断したこと。 第二シーズン 2015/4/1からの更新のことです。 アナログハック・オープンリソースが始まってから、第一シーズンではデータの更新のみを行っていて、サイトに手を入れることはありませんでした。 第二シーズンでは、おもにサイトとしてのアナログハック・オープンリソースに手を入れてゆくことになります。 今のところ、以下のようなことを考えています。 (1)掲示板の設置[15/5/23 更新完了] twitterの#ah_openタグで従来も情報を集めることは可能でした。けれど、どうしてもtwitterの情報は流れ去ってしまって後から探すのが困難です。 また、140字の制限では書ききれないことも多くなります。 このため、掲示板の設置を考えています。 誤字・脱字。記載内容へのご意見などをユーザーの皆さんから募るために、スレッド式の掲示板を設置するつもりです。 掲示板は、ユーザーの皆さんが作られたアナログハック・オープンリソース作品の宣伝を書き込む用途も考えています。 オープンリソースを利用した作品を探すのがとても大変なので、情報をひとつにまとめられるとよいかと考えました。これは基本的に自薦を考えています。 オープンリソースに対する要望を募る用途も考えています。 アナログハック・オープンリソースは自由に使っていただくためのものですが、それはそれとして集まるための「場」の提供はやってもよいのではないかと思っています。 掲示板の管理人は当面長谷がやることを考えていますが、ひょっとしたら公募などのかたちで掲示板管理者を募ることになるかもしれません。 これは、さすがに更新すら延期が頻繁に起こっている多忙の中、掲示板の頻繁なチェックができるかは微妙であるためです。 「アナログハック・オープンリソース総合掲示板」を開設しました。 http //jbbs.shitaraba.net/otaku/17173/ (2)画像およびデザインのアップロードポリシーの制定および、アップロードの開始。 現在、アナログハック・オープンリソースでは管理人による設定文章のアップロードのみを行っています。 これを、オープンリソース公式にデザインや図版を寄稿いただき、アナログハック・オープンリソース作品に自由に使ってもらえるようにすることを考えています。 オープンリソースページにデータをアップロードすることで、アナログハック・オープンリソースでの利用の範囲で他の皆さんに広く使ってもらうオープンリソースに加えるということです。 これについては、興味のあるかたはやってみてください。 せっかくオープンの場があるので、長谷がデータを公開するだけではなく、皆さんが「場」にリソースを加える側にも参加されるというのも楽しいのではないかと考えました。(※) (※)管理人が公開しているような設定を募るというのも考えたのですが、いまのところは見合わせています。元々アナログハック・オープンリソースは『BEATLESS』と関連作品の背景設定を公開するものであるため、ここが開設してすぐに広がりすぎると何のためのものか分からなくなるためです。 ただ、図版やデザインは、著作権として強固に守られているものです。これは設定文章よりも遥かに強固なものです。 このため、図版とデザイン用の公開ポリシーは、作成者の権利が守られるよう新たに現行のものとは別に作る予定です。 実は、すでにビッグゲストさんからデザインをいただいていたりします。準備が整いましたらこのサイトでオープンにしますので、お待ち下さい。 そして、図版とデザインについてはさすがに弁護士さんと相談しなければならないため、いろいろと手がかかっております。しばしお待ちください。 (3)本文インデックスの作製。 アナログハック・オープンリソースは、SFなのでいろいろと特徴的な用語が登場します。 けれど、現在は情報が多くなりすぎて、用語がどこに登場しているか探すのが面倒なサイトになっています。 このため、本文インデックスページを作ることを考えています。いまのところイメージとしてwikipediaによくある情報一覧ページのようなものを作るつもりでいます。 アナログハック・オープンリソースのサイトでは【右メニュー】のページをまったく使っていません。 なので、ここにインデックスをまとめることを考えています。 第三シーズン スタート時期は未定ですが、第二シーズンが一区切りついた後、再び新規情報の更新を始めようと思っています。 現在連載している『天動のシンギュラリティ』の設定をオープンリソースに追加してよい状態になったら、はじめる予定です。 今後の展望 今後のアナログハック・オープンリソース更新は、基本的には1~2ヶ月に1度程度のゆっくりした更新になってゆく予定です。 奇数シーズンでは新しい情報の追加を行うことを考えています。 現在連載している『天動のシンギュラリティ』(ファミ通コミッククリア)の設定。 また、長谷敏司(管理人)がアナログハック・オープンリソース作品の作例として作ったという位置づけですが、『ワールド・フランケンシュタイン』シリーズ(ファミ通クリアコミック)に使用した設定。 今後は、アナログハック・オープンリソースでは、新規の設定情報は奇数シーズンのとき増やしてゆく予定です。 偶数シーズンでは、その情報の整理やシステムまわりに手を入れる更新を考えています。 サイトのデザイン変更などは、よほど緊急のもの以外は偶数シーズンで行ってゆくつもりです。 また、偶数シーズンでは、アナログハック・オープンリソースを使ったイベントなどを行うかもしれません。 掲示板やtwitterなどで意見を募ることもあるかもしれません。 ただ、これに関しては、管理人多忙により、オープンリソースページでは(管理人主催で)開催はしない可能性もあります。 現在のロードマップのバージョン情報ログ 2015/3/20 Ver.1.00公開
https://w.atwiki.jp/jubeat/pages/507.html
Analog BASIC ADVANCED EXTREME Level 4 6 8 Notes 301 540 835 BPM 213 Time - Artist Strung Out Version jukebeat 動画 ニコニコ動画 譜面動画 EXTREME (フラワー) 攻略 各譜面の攻略に関する情報はこちらへ。 名前 コメント ※攻略の際は、文頭に[BSC] [ADV] [EXT] のいずれかを置くと、どの譜面に関する情報かが分かりやすいです。 コメント時は、以前同じような攻略が投稿されていないか、よく読んでからにしましょう 「攻略」には、譜面の攻略情報を書きましょう(攻略と関係ないものは削除の対象になることがあります) 攻略に関係の無い話はこちらで ⇒ 情報交換&雑談 【よくある書き込み】 1. 譜面攻略に関する質問 ⇒ まずは、ひと通りページを読みましょう。既に出ている情報の場合、重複とみなし削除されます。 2.『クリアできた』『やっとS取れた』といった報告 ⇒ 攻略に関係の無いコメントは禁止です。 3. 攻略とは関係の無い、曲に関する情報 ⇒ 関連情報は、ページ上部(タイトル近く)に追記されることがあります。 4. 他の曲との比較 ⇒ ほどほどにしましょう。 注意書きを編集する
https://w.atwiki.jp/pafenextnightmare/pages/18.html
Stan Analogはサウスパークの登場人物「スタン・マーシュ」のファンメイドとして制作されたアナログホラー「Stan's Grieving」の画像を使用したネクストボット Stan's Grievingはスタンの悲しみという意味 特徴 他のネクストボットとは違く、ジャンプをすることはできない ただ、落下をすることは出来る さらに、1.2倍の速度 音 採用された新音源 Stan's Grievingという動画の、3 53ら辺Mr.incredible Becoming Uncannyの音声も含んである このウィキの管理者とまた別のwikiになっちゃいますが、音声貼っておきます 採用された旧音源 海外のゲーム「Pocoyo Racing」のToy TrainというコースのBGM リーク時 マリオパーティ9ボスバトルミニゲームBgmの一種
https://w.atwiki.jp/ansin01/
新サイトへ引越し致します。新たなトップページへは以下のURLをクリックしてお進み下さい。 http //www32.atwiki.jp/ansin/ このページの中身は、ほぼフィクションです。 架空バスメーカーAnsin社 最新更新日 2012.04.07 架空バスメーカーCONNECTION 最新更新日 2010.12.19 架空トロリーバス Saitama Trolleyliner 最新更新日 2011.05.21 「ネタ」ラジコン連節バス 最新更新日 2010.08.29 リンク集07/11/23 画像掲示板 作者へのメールはこちら お問い合わせ・発注などにご活用ください。 作者紹介 合計: - 今日: - 昨日: -